Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月22日 

https://mainichi.jp/articles/20180421/ddm/005/070/062000c
社説
医師不足の地域どうする 医学部の「地元枠」拡大を

毎日新聞2018年4月21日 東京朝刊

 医師不足を解消するため、国は医学部の新設や定員増を図っている。ただ、いずれは人口減少のため、医師が過剰になり、医療費の膨張を招くことが懸念される。

 厚生労働省の推計では、働く医師の総数は2028年に約35万人になり、そのころに必要とされる医師数と均衡する。2年前の推計に比べて医師不足解消は4年遅れる見込みだ。若い勤務医の過労死や過労自殺が後を絶たないことを受け、勤務時間に上限を設けることが検討されていることなどが影響したという。

 琉球大医学部の新設(1979年)以降、国は一貫して医師の抑制策を取ってきた。医学部志望熱は高いが、医師の供給体制を拡大すると、過剰になったときに減らすのが難しいとされるためだ。

 国が方針転換をしたのは、00年以降に病院の閉鎖が相次ぎ、「医療崩壊」が問題となってからだ。

 医師不足といっても、実際には地域差が大きい。人口10万人当たりの医師数で最も多いのは徳島県で316人。埼玉、茨城、千葉各県はその半数程度しかいない。

 このため医師不足の地域の医学部に定員を上乗せした「地域枠」を認め、定員増を図るようになった。地域枠の学生には奨学金を支給し、医学部卒業後の臨床研修はその地域で行うことを義務にした。

 医学部の新設についても16年に仙台市、17年には千葉県成田市の大学で実現した。

 「地域枠」は08年に始まってから導入する大学が増え続け、現在の定員は計1600人を超える。医学部を16カ所新設したのと同じ規模だ。ただ、その半数ほどは他の地域から入学する学生で、義務とされる臨床研修を終えると、都市部の医療機関に移るケースも多い。

 一方、地元で生まれ育った学生は卒業後も地元の医療機関に定着する確率が高い。地域枠を拡充する中で、地元の学生の割合を増やす方策を検討してはどうだろう。柔軟な発想で対策を練ることが求められる。

 地域の医療ニーズは診療科によっても異なる。現在は都道府県が地域の実情に応じて地域医療計画を策定することになった。医師の養成や定着も含めて、実効性のある医療供給体制を整備しなければならない。




https://www.asahi.com/articles/ASL4J3TGJL4JUBQU009.html
医師不足 「応援医師の通勤、ヘリ送迎」青森県へ要望
伊東大治2018年4月16日16時30分 朝日新聞

 青森県下北地域の基幹病院・むつ総合病院の医師不足に対処するため、むつ市など5市町村でつくる「下北総合開発期成同盟会」(会長=宮下宗一郎むつ市長)は12日の総会で、派遣医師をヘリコプターで送迎するシステムの導入を県に求めていく方針を決めた。医師の通勤負担を軽減できるうえ、一刻を争う救急医療にも対応できるとしている。

 ヘリによる医師搬送システムは、離島の多い長崎県で2013年から始まっており、期成同盟会事務局のむつ市は今年3月に視察。ヘリ導入に5億円、格納庫整備に1億円、年間維持費に1億円かかると見込む。このシステムで、例えば片道3~4時間かかっている弘前大医学部からの応援医師は30分程度で駆けつけられるようになるという。

 一方、むつ総合病院には21の診療科があるが、常勤医は41人で20人不足しているという。命に直結する脳神経外科や心臓血管外科を含む9科に常勤医がいない状態だ。宮下市長は「医師確保に取り組んできたが、全く成果を上げることができなかった。このシステムが導入できれば医師不足の特効薬になるのではないか」と話した。




https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/003/070/079000c
質問なるほドリ
医師足りているの? 異常な超過勤務が実態 地域や診療科偏在も深刻=回答・酒井雅浩

毎日新聞2018年4月22日 東京朝刊

病院常勤医の週当たりの勤務時間
042201.jpg

 なるほドリ 医師(いし)が足りないってニュースで見たけど。

 記者 医師が働けるのは「週60時間」までとした場合、2028年ごろまで「医師不足」の状態が続くとした厚生労働省(こうせいろうどうしょう)の推計(すいけい)ですね。週60時間は、過労死(かろうし)の労災(ろうさい)が認められる基準(きじゅん)の目安(めやす)となる「1カ月の残業(ざんぎょう)80時間」に相当します。

Q 医師が足りないなら、増やさないとね。

A 将来的に政府は医師の数を減らそうとしています。高齢者(こうれいしゃ)の増加や平均寿命(へいきんじゅみょう)が延びたことで、医療の「需要(じゅよう)」は30年 ...
この記事は有料記事です。
残り708文字(全文917文字)



https://ryukyushimpo.jp/news/entry-703916.html
腎臓内科の新患制限 北部病院、医師不足改善せず
2018年4月19日 18:29琉球新報

 【名護】沖縄県立北部病院(久貝忠男院長)が医師不足のため4月1日から腎臓内科の新患者受け入れを制限していることが18日、分かった。県立北部病院では医師不足による診療制限が相次いでおり、改善されない状況が続いている。

 腎臓内科は3月31日まで他センターから医師の診療応援があったが、4月1日以降は週1回に減少。医師1人の態勢となり、新患の受け入れ制限を決めた。人工透析についても新患は受け入れないとする。

 北部地域で入院可能な施設は県立北部病院のみで、腎臓に関する疾患で入院が必要な場合は、中南部での診療を余儀なくされる。

 このほか、1日から夜間(午後5時~翌日午前8時)の外科救急診療を週4日から週2日に制限した。日中の一般診療は現状維持できるように検討中だが、今後も医師不足が続くと一般診療も制限される可能性が高いという。

 産婦人科の医師も4月1日には4人から3人になり、緊急性の高い妊婦の受け入れを断っている。消化器内科も同1日から医師が1人減となった。診療制限は行っていないが、扱える患者の数は減少している。眼科は2月1日から休診しており、再開のめどが立っていない。
042202.jpg



https://www.iwate-np.co.jp/article/kyodo/2018/4/21/33531
厚労省、女性医師の両立を後押し
非常勤でも常勤扱い

2018.04.21 岩手日報

 厚生労働省は4月から、小児科や麻酔科など女性医師が比較的多い診療科で常勤医の配置基準を緩め、非常勤でも働きやすい環境づくりに乗り出した。女性医師は増えているが、子育てや家族の介護のためフルタイムで働くことが難しい人が少なくないため、両立に向けた柔軟な働き方を進めることで、離職防止や休職中の人の早期復帰につなげるのが狙い。

 これまでは、医療機関には常勤の医師を置く必要があったが、医師不足や働き方改革が叫ばれる中、18年度の診療報酬改定で基準を緩和。「週3日以上」かつ「週24時間以上」働く複数の非常勤医師を組み合わせれば、常勤医を配置したと見なすことにした。



https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/041/040/102000c
高松赤十字病院
残業緩和、年6回に増加 年1700時間の医師も

毎日新聞2018年4月22日 東京朝刊

 高松赤十字病院(高松市)が2016年末、労使協定(36協定)を結び直し、医師の1カ月の残業を80時間まで延長できる回数を年4回から6回に増やしていたことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。医師の不足や偏在で長時間労働が常態化しているとみられ、同病院は“上限緩和”を「医師の勤務実態に合わせた」と説明するが、関係者は「働き方改革に逆行する改悪だ」と指摘している。(3面に「質問なるほドリ」)

 労働基準法36条は、労使が協定を労働基準監督署に届け出れば、法定労働時間(1日8時間、週40時間)…<中略> ---17年の勤務医213人のうち、残業が月80時間を超えたことのある医師は18%の38人。うち10人は年7回以上超えたことがあり、更新した協定にも違反する状態だった。 残業が最長だったのは心臓血管外科医の年間計1698時間。夜間の手術や術後管理に追われていたという。 同病院総務課は「負担を減らしたいが医師を十分確保できておらず、抜本的対策は難しい」としている。これに対し、日本医療労働組合連合会(東京都)の温井伸二書記次長は「上限の緩和は労基法の趣旨に反する」と批判する。【岩崎邦宏】
この記事は有料記事です。
残り366文字(全文612文字)



https://www.m3.com/news/iryoishin/598580
医療維新
「医師少数区域」勤務に「経済的インセンティブ」検討
参院厚生労働委員会、医療法・医師法改正法案を審議

レポート 2018年4月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 参議院の厚生労働委員会は4月19日、今国会に提出された「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」について審議、厚労省医政局の武田俊彦氏は、医師偏在対策として法案に盛り込まれた「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を厚労大臣が評価・認定する制度について、認定医師には経済的インセンティブを設けることも検討すると答弁した。

 経済的インセンティブとしては、若手医師にとって、専門医取得が困難であることが地方勤務を躊躇する一因であることから、当該認定医師の専門医の取得・更新に係る費用支援などが想定されている(『「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討』を参照)。「地方で勤務をする意思を持っている医師が、適切にその選択ができる環境整備と、認定医師への評価を同時に進める」(武田局長)。

 「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」の目的は、医師偏在の解消。さまざまな施策が盛り込まれているが、与野党合わせて、計12人が質問した厚生労働委員会では、「医師偏在指標」や「医師少数区域」の定義、認定医師の仕組みについての質問が相次いだ。

 医師の多寡については、人口10万人当たりの医師数で見ているが、「医師偏在指標」に変更する理由について、武田局長は、医療ニーズや人口構成、患者の流出入を踏まえる必要性を指摘。国が定める「医師偏在指標」を基に、都道府県が、2次医療圏単位で「医師少数区域」または「医師多数区域」を指定。「医師少数区域」に一定期間勤務した医師については、厚労大臣が評価・認定。地域医療支援病院のうち、医師派遣の環境整備機能を有する病院の管理者は、認定医師等にすることを義務化する(法施行日以降に選任する管理者に適用)。診療科別の偏在については、産婦人科や小児科などで医師の多寡を可視化する指標を導入する。

 「医師偏在指標」や「医師少数区域」などについて、「法案成立後、客観的な議論に資するデータを基に、速やかに公開の場での議論を開始する」(武田局長)。2018年度中を目途に結論を得て、厚労省が示す指針に基づき、都道府県は2019年度中に医師確保計画の策定、実施するというスケジュールが予定されている。

 一方、「医師少数区域」で勤務する意思がある医師の不安解消策については、▽定期的に休暇取得ができるように、交代勤務できる医師派遣の支援、▽医師少数区域で勤務を行った後でも、専門的な研修を受けられるように、都道府県、大学、地域の医療機関などが協力して中長期的なキャリア形成プログラムを作成、▽育児休業明けの復職支援、院内保育所の設置――などを例に挙げた。

 また「地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応」策として、(1)外来医療機能に関する情報を可視化、(2)その情報を新規開業者等へ情報提供、(3)地域の医療関係者等において外来医療機関間での機能分化・連携の方針等について協議――という仕組みを想定。地域医療対策協議会、地域医療構想調整会議などが既にある現状で、地域医療、医師確保対策についての会議体が増えることへの懸念も相次いだ。加藤勝信厚労相は、「屋上屋を重ねることを求めているわけではない。地域において弾力的な運用な運用を行うよう、都道府県に周知を図る」と答弁した。

 なお、医師の地域偏在の現状について、武田局長は次のように説明した。2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査によると、人口10万人当たりの医師数は、最高の徳島県(315.9人)と最少の埼玉県(160.1人)で約2倍の開きがある。その上、同一の都道府県内でも、2次医療圏間で医師偏在があり、47都道府県のうち、34都道府県で、最大の圏域と最少の圏域で2倍以上の差がある。また医学部定員増に舵を切った2008年度から2014年度にかけて医療施設に従事する医師数は、約10%増加しているが、2次医療圏のうち、全国平均以上に医師数が増加しているのは21%の圏域、一方、24%の圏域は医師が減少している。武田局長は、医学部定員増加の効果が、全国各地に及んでいないことが、今回の法案提出の理由だと説明した。



http://www.medwatch.jp/?p=20176
2019年10月の消費増税に向け、「病院団体のメッセージ」をまとめる―日病協
2018年4月17日|医療保険制度 MedWatch

 診療報酬プラス改定による消費増税対応には限界がある。2019年10月には消費税率が10%に引き上げられる予定であり、今夏(2018年夏)の2019年度予算概算要求や年末(2018年末)の2019年度予算編成・税制改正に向けて、病院団体としてのメッセージを明確に出せるように議論していく—。

4月17日の日本病院団体協議会・代表者会議で、こうした点を確認したことが、会議後に記者会見を行った山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました(関連記事はこちら)。

2018年夏の概算要求、2018年末の税制改正等見据え、迅速にメッセージをまとめる
 診療報酬や介護報酬に係る消費税は「非課税」とされています。このため、医療機関等が物品等を購入する場合の消費税は、患者に転嫁できず、医療機関等が最終負担者となっています(いわゆる控除所対象外消費税)。この医療機関等の負担を放置することはできず、1989年の消費税導入時から「医療機関等における消費税負担を補填するための、特別の診療報酬プラス改定」(消費税対応改定)が行われてきています(消費税導入時の1989年、消費税率引き上げ時の1997年、2014年)。

社会保険診療報酬については消費税が非課税となっており、患者や保険者は消費税を医療機関に支払わない。このため医療機関が卸に納めた消費税(80円)について「仕入税額向上」も受けられず、医療機関が負担することになり、いわゆる「損税」が発生する。(表 略)

 1989年、97年の消費税対応改定では「消費税の影響を大きく受けると予想される」診療報酬項目について点数の引き上げが行われましたが、「その後の診療報酬改定で、当該点数項目が廃止されるケースなどもある」「当該点数を算定しない医療機関では、消費税負担への補填がなされないことになり、大きな不公平が生じている」との課題が指摘されました。
 そこで2014年度の消費税対応改定では、「可能な限りの公平性」を確保するために、多くの医療機関等で算定する「基本報酬」(初・再診料や入院基本料、特定入院料など)への上乗せ(補填)が行われました。

 厚生労働省が「2014年度の消費税対応改定の効果・影響」を調べたところ、医療機関等全体で、消費税負担に対し102.07%の補填(診療報酬収入の上乗せ)がなされている」ことが分かり、中医協では「マクロ(医療機関等全体)では概ね補填されている」と結論付けられました(関連記事はこちら)。

しかし、医療機関の種類別に見ると、▼病院:102.36%▼一般診療所:105.72%▼歯科診療所:100.68%▼保険薬局:86.03%―、また病院を種類別に見ると、▼一般病院:101.25%▼精神科病院:134.47%▼特定機能病院:98.09%▼こども病院:95.39%―となっており、補填率にはバラつきがあり、「やはり補填に格差が出てしまう」ことが再確認されています(関連記事はこちら)。

特定機能病院(98.09%)や子ども病院(95.39%)では、消費増税に対する補填が十分なされていない
(表 略)
 
補填率が100%に近いほど「適切な補填」となり、補填率が100%よりも大きければ「益税」(消費税負担を上回る収益増)が、補填率が100%に満たなければ「損税」(診療報酬で消費税負担を補填しきれていない)が発生していることを意味し、山本議長は「急性期病院における補填不足が明らかである」と評しています。
国立大学附属病院長会議や日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会などの病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)では、「診療報酬による消費税補填には限界があり、このままでは困る」という点で一致。今夏(2018年夏)の2019年度予算概算要求や年末(2018年末)の2019年度予算編成・税制改正に向けて、「病院団体としてのメッセージを明確に出せるように議論していく」方針を決定しています。

もっとも消費税問題を含めた税制改正については、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会で要望項目が検討されることとなっており、この動きと連携を取りながら「日病協メッセージ」を作成していくことになります。メッセージがどのような内容になるのか(例えば、ゼロ税率対応などの具体的提案に踏み込みのか)、メッセージをどのような形で活用するのか(例えば、与党の税制調査会などに直接提出するのか)などは、今後の調整を待つ必要があります。

また、4月17日の日病協代表者会議では、「医師の働き方改革」も議題に上がり、その中で「現在、厚労省の『医師の働き方改革に関する検討会』で、医師への時間外労働上限適用に関するルールが議論されている。そのルール策定論議の最中にも関わらず、労働基準監督署が各地の病院に入り、指導等を行っている。これは『停戦協定中に爆撃するようなもの』だ。現場を混乱させないでほしい」との意見が出されたことも紹介されています。医師の働き方改革に関する検討会では、来年(2019年)3月に報告書をまとめる予定で、そこでは、「医師の負担軽減」「働き方改革」に関する提言とともに、「医師に対する時間外労働上限の適用ルール」が固められることになります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

さらに財政制度等審議会の財政制度分科会では、「地域別の診療報酬」設定論議が熱を帯びています(関連記事はこちら)。この点について日病協内では「国民皆保険の下で、報酬に地域格差を設けることは好ましいのか」「介護報酬では地域別の単価が設定されているが、これをどう考えるか」といった根本に遡った検討も行われることになりそうです。

山本議長は、「2018年度診療報酬改定論議は終了したが、消費増税対応、働き方改革など、病院経営に大きな影響を及ぼす重要議論がこれから行われる。病院団体の意見を集約し、よりよい病院医療提供を目指したい」と強調しています。



https://toyokeizai.net/articles/-/216699
日本の医療は高齢社会向きでないという事実
「医療提供体制改革」を知っていますか?

権丈 善一 : 慶應義塾大学商学部教授
2018年04月21日 東洋経済

 今、医療と介護の大掛かりな改革が進められている。2018年4月は、大きな改革の中でも特筆すべき日付として歴史に残ることになるはずだ。というのも、2018年4月1日には、「惑星直列」にも例えられていた画期的、いやびっくりするような出来事の重なりがあったからである。

4月に重なった怒濤の改革スタート

 具体的には、医療や介護のサービスのあり方および個々のサービスの公定価格を決める診療報酬と介護報酬の同時改定(前者は2年周期、後者は3年周期)、地域医療構想を含む医療計画・介護保険事業(支援)計画(前者は6年周期、後者は3年周期)の同時スタートがあり、そして1961年の国民皆保険制度の成立以来57年間、市区町村が財政運営していた国民健康保険は、今年の3月に、その財政運営の責任が都道府県に移ったのである。

 この国民健康保険の財政運営主体の都道府県化について、今から5年前の2013年に今の社会保障制度の改革の方向性を示した社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)は、「国民健康保険の保険者の都道府県への移行は、(中略)国民皆保険制度発足以来の大事業」と評していた。

 それだけではない。3月29日には、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」の報告書がまとめられている。この検討会が開かれた目的の1つは、2007年に作成された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(旧「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を2014年に「人生の最終段階に……」へ改称)の改訂であった。改訂の理由は、次のようなものだ。

①病院における延命治療への対応を想定した内容ではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるよう、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に名称を変更。さらに、医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化
②心身の状態の変化などに応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むかなどを、本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うこと(ACP=Advance Care Planning〈アドバンス・ケア・プランニング〉)の重要性を強調
③本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族などの信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載
④今後、単身者が増えることを踏まえ、③の信頼できる者の対象を、家族から家族など(親しい友人など)に拡大
⑤繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておき、本人、家族などと医療・ケアチームで共有することの重要性について記載

 さらには、先月の3月13日に「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、いま国会で議論されている。この法案の趣旨は、地域間の医師偏在を解消するため、医師の確保や臨床研修病院の指定、研修医定員の決定について、都道府県へ権限を移譲させることだ。

 そして冒頭に述べた診療報酬の改定では、次の図が用いられながら、今回の改定による改革の方向性が示されている。すなわち、現在のように病院と診療所などの間で、入院・外来の機能が未分化である状況から、診療所などでの「かかりつけ医機能」の強化を図り、病院における外来は、専門外来に特化していこうというのである。
042203.jpg

 これらの一見、てんでばらばらに映る政策群には、1つの共通した背景がある。それを理解すれば、医療と介護が今、なぜ目まぐるしく動いているのかがわかるだろう。

超高齢化で求められる医療の質は変わる

 繰り返しになるが、今の医療・介護改革の青写真を描いたのは、2013年の社会保障制度改革国民会議の報告書である。次に示すのは、改革のスケジュールで、医療と介護で一体的に進められる改革は、国民会議を起点としている。
042204.jpg

 では、医療と介護にどのような改革が求められているのか。その問いについては、この国民会議の報告書の文面を借りるのが最もわかりやすいかと思う。報告書は、20世紀に構築された、これまでの医療とその課題を次のように表している。

 平均寿命60歳代の社会で、主に青壮年期の患者を対象とした医療は、救命・延命、治癒、社会復帰を前提とした「病院完結型」の医療であった。しかしながら、平均寿命が男性でも80歳近くとなり、女性では86歳を超えている社会では、慢性疾患による受療が多い、複数の疾病を抱えるなどの特徴を持つ老齢期の患者が中心となる。
 このあたりはわかりやすい話だと思う。かつての医療は、病気になった人を治し社会復帰させることを目的に掲げて進歩し、実に大きな成果を上げてきた。たとえば、1860年に書かれたナイチンゲールの『看護覚え書』では、病気とは回復の過程であると書かれている。そうした、回復するのが病気であるという定義の下に、医学と、それを社会システム化した医療制度は大幅に進歩し、その成果あって、いずれの先進国でも寿命の伸長を実現することができた。

 しかしながら、そうなれば必然的に、患者の多くは高齢者になり、医療の中心は治す医療から、「治し」、そして患者の生活を「支える」医療に変わらざるをえなくなっていく。こうした状況の下で、1970〜1980年代に欧州諸国をはじめ先進各国が(その中には日本も当然含まれる)、「何かが違うぞ」「患者のニーズと提供体制のミスマッチが起こっているぞ」と悩むことになったのである。では、そうした時代になれば、どのような医療が求められるのか。国民会議の報告書では、次のように表現されている。

医療は病院完結型から治し支える地域完結型へ

 そうした時代の医療は、病気と共存しながらQOL(Quality of Life)の維持・向上を目指す医療となる。すなわち、医療はかつての「病院完結型」から、患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療、実のところ医療と介護、さらには住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる医療に変わらざるを得ない。ところが、日本は、今や世界一の高齢国家であるにもかかわらず、医療システムはそうした姿に変わっていない。

なるほど、という感じだろうか。続けて、

 1970 年代、1980 年代を迎えた欧州のいくつかの国では、主たる患者が高齢者になってもなお医療が「病院完結型」であったことから、医療ニーズと提供体制の間に大きなミスマッチのあることが認識されていた。そしてその後、病院病床数を削減する方向に向かい、医療と介護がQOL の維持改善という同じ目標を掲げた医療福祉システムの構築に進んでいった。

 急性期の患者のために整備されていった「病院完結型」の病院に、複数の病気を患い、完治するのが難しい慢性疾患も抱えた高齢者が大勢入院するようになっていった。そうした患者にとって、急性期の患者に適した医療提供体制であった「病院完結型医療」が、はたして本当にフィットしているのかという疑問が出てきたわけである。慢性疾患の患者には、「病院完結型医療」よりもふさわしい提供体制があるのではないだろうかと。そしてほかの先進国はそうした方向に進んでいったのだが、日本はなかなかうまくいかない。国民会議報告書の中の「医療問題の日本的特徴」というところに次の指摘がある。

 日本の医療政策の難しさは、これが西欧や北欧のように国立や自治体立の病院等(公的所有)が中心であるのとは異なり、医師が医療法人を設立し、病院等を民間資本で経営するという形(私的所有)で整備されてきた歴史的経緯から生まれている。公的セクターが相手であれば、政府が強制力をもって改革ができ、現に欧州のいくつかの国では医療ニーズの変化に伴う改革をそうして実現してきた。

 医療提供体制について、実のところ日本ほど規制緩和された市場依存型の先進国はなく、日本の場合、国や自治体などの公立の医療施設は全体のわずか14%、病床で22% しかない。ゆえに他国のように病院などが公的所有であれば体系的にできることが、日本ではなかなかできなかったのである。

 日本の病院の多くは、他国の公的所有とは異なり私的所有である。この日本的特徴の下で、今、「高齢化の進展により更に変化する医療ニーズと医療提供体制のミスマッチを解消する」ために医療提供体制の改革が進められているのである。そうした改革が進められるのと同時進行で、「医療」という言葉そのものの意味も、かつてのような救命・延命、治癒、社会復帰を前提としたものから、病気と共存しながらQOL(Quality of Life)の維持・向上を目指すものへと変えざるをえない状況になっていった。

 そして、医療をQOL の維持・向上と見なせば、医療と介護の境目はなくなり、医療と介護がQOL の維持改善という同じ目標を掲げた医療福祉システムの構築が、今の時代に要請されることになっていく。これが目下この国で進められている、医療と介護の一体改革である。

 医療と介護が同じ目標を掲げた医療福祉システムとして構築される中、そのキーワードとなるのが「地域包括ケア」である。国民会議報告書では、地域包括ケアは「地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク」のことである。

提供体制改革は2025年までに間に合わせたい

 医療・介護の一体改革は、かなり急ピッチで進められている。その理由は、第1 次ベビーブーム世代、いわゆる団塊の世代が75歳という後期高齢期に達し終えるのが2025年だからである。後期高齢期、すなわち75歳以上になると医療・介護のニーズが急増し、しかも、第1 次ベビーブーム世代が後期高齢者になるあたり以降は、この国の医療・介護ニーズの絶対量は安定的に推移するため、まずは2025年をメドとして、医療・介護の提供体制の整備が図られているのである。

042205.jpg

 こうした目標年2025年を前にして、冒頭に書いたように、医療・介護の提供体制、医療保険制度、医師の養成など、さまざまな改革が重なってきたわけである。

 今進められている医療と介護の改革を理解するための基礎中の基礎の知識は、日本は今、「治す医療」から「治し支える医療」に変わらざるをえず、治し、支える地域完結型の医療には、介護との境はなく、医療・介護の一体改革が必然となっているということである。この一体改革は、地域医療構想と地域包括ケアという両輪で進められているのであるが――このあたりは、いずれ折に触れて論じることにしよう。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29594530Z10C18A4EE8000/
医療費歯止め、患者負担の人口連動を議論 社保審
2018/4/19 20:00 日本経済新聞

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は19日、医療保険部会を開き、2018年度中にまとめる社会保障改革案の議論を始めた。経済成長や人口減少の速度などに応じて、医療に必要となる財源を賄うため、患者の窓口負担を自動的に増やす案などが検討課題に浮上した。負担増に抵抗は強いが、高齢化で社会保障費は膨らみ続けており、大胆な見直しに踏み込めるかどうかが焦点だ。

042206.jpg

 社会保障改革の検討項目を盛り込んだ政府の工程表では、75歳以上の後期高齢者の患者負担の引き上げや、薬の種類に応じた自己負担率の設定などについて、18年度中に結論を出すとしている。与党や財務省などと調整し、具体策を詰める。

 今回、初めて議論の対象としたのが、経済成長率や人口動態などに応じて患者負担を自動的、定期的に調整する仕組みだ。自民党の小渕優子氏がトップを務める同党の「財政構造のあり方検討小委員会」の中間報告で提起された案だ。

 年金制度では、現役世代の人口減などに合わせて給付額を調整する「マクロ経済スライド」が導入されており、その医療版だといえる。財政の健全化をより重視する立場から生まれた発想だ。
042207.jpg

 まだ制度設計の具体像を示すまでには至っていない。アイデア段階の考え方だが、例えば、あらかじめ医療費の伸びを経済成長率や賃金の伸びの範囲内に抑える目標を立て、目標を超過するような場合は翌年度以降に患者負担を増やすといったことが想定される。保険制度の支え手である現役世代の人口が減った分、患者負担を上乗せするというのも一案だ。税や保険料で賄う医療保険の給付額を抑える狙いだ。

 背景にあるのが高齢化の進展や、画期的な新薬の登場による医療費の増加だ。国民医療費は16年度に42兆円の見込みで、10年で3割増えた。経済成長率を上回る速度で医療費が膨らんでいるため、医療保険制度と財政の安定に向けて、医療費の伸び率や総額をコントロールする考え方だ。

 もっとも、厚生労働省は今回の部会資料で「医療費や景気変動に応じて頻繁に負担が変わる」「医療費の伸びは診療報酬や保険料などで対応することが適切」などと問題点も挙げた。本来は医療費の抑制に積極的な立場の健康保険組合連合会の委員も「導入には慎重な検討が必要」という。

 政府・与党内で引き続き検討課題となる見込みだが、日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「負担増が患者の受診抑制を招き、かえって健康状態の悪化につながる可能性もある」と指摘する。

 今回の部会では診療報酬を地域別に設定する仕組みも議論になった。診療報酬は医療機関が診療行為の対価として受け取る報酬で、国が全国一律に定めている。ただ法律上は医療費適正化のために必要な場合、都道府県が独自に報酬を定めることができるとしている。

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は活用に向けた議論を呼びかけているが、社保審医療保険部会の委員からは、地域別に設定した場合の影響が不明確なことなどから「診療報酬は全国統一が前提」などとする意見が多く出ている。



https://www.asahi.com/articles/SDI201804217312.html
医師の働き方改革、どう進める?
2018年4月22日06時00分 朝日新聞

 医師の「働き方改革」は、どう進めるべきか。命や健康にかかわる専門的な仕事で、長時間労働は珍しくない。高齢社会で医療を必要とする人が増える時代、まず取り組むべきことは。

疲労度、病院側が把握して 三島千明さん(医師)

 多くの医師は、自身の労働環境を後回しにしてきました。医師になったのだから患者を診たいし、診断や治療のスキルを上げるために学びたいと考えがちで、心身の健康を崩してしまう環境になりがちです。このままでは、持続的な医療の提供が困難になると危惧しています。

 若手医師の仲間たちと、昨年11月に大学卒業後10年以内の医師と医学生の821人から回答を得たアンケートでは、若手医師の71%が「現行の労働時間の上限基準を守れていない」と回答しました。理由として挙げていたのが、業務量の多さや医療提供体制の問題、長時間労働を美徳とする慣習です。

 厚生労働省の調査では、勤務時間が週60時間以上の常勤勤務医は、男性が27・7%、女性が17・3%いるという結果も出ています。診療科によって働き方は違いますが、長時間労働は30代から40代の勤務医も同じです。

 私も研修医時代は経験を積み重ねたいために、何かあったら指導医に呼んで欲しいと思って、土日や夜は病棟で過ごすことが多くありました。

 医療の専門的なスキルを身につけるには、10年はかかります。若手医師にとって一つの医療行為は労働と成長のための教育の両面を持ち、長時間労働を問題提起しにくくしています。判断を医師個人に任せている限り、このようなジレンマは解決できません。

 労働時間の上限を設けるための議論が進んでいます。しかし、これだけでは従来の業務が回らず、患者さんにしわ寄せがいくという声が医療現場から寄せられています。

 だからこそ、病院など組織のマネジメントとして、まず一人ひとりの医師の労働時間や心身の疲労をモニタリングし、健康管理を徹底すべきです。病院全体として医師の業務を他の職種に移管したり、共同で取り組んだりする必要があります。燃え尽き症候群対策や自殺対策も重要です。

 患者さんは常に「本番」ですが、24時間365日を医師1人でカバーすることはできません。私が働く在宅医療の現場でも、病院でも、1人の患者さんを複数の医師で診ていくグループ診療を広め、患者さんや家族に理解してもらうことが必要です。それは医療の安全にもつながります。

 女性医師の割合は20代や30代は3割を超えます。出産や子育てをしても、働きたい、学びたい人がいます。「厳しい職場は独身者や男性に任せる」という発想にとどまらず、意欲ある人はだれでも現場で活躍できる文化に変えていかないといけません。

 子育てや介護など抱える事情に応じて、働き方やキャリアの多様性を保証することが大切です。継続的に地域医療を支える医師を育てることに、つながっていくと思います。(聞き手・岩崎賢一)

     *

 みしまちあき 1985年生まれ。若手医師らによる提言書「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」の執筆メンバー。


サービス水準、まず検討を 三谷和歌子さん(弁護士)

 「医師も労働者です」と言うと、違和感を覚える医師は少なくありません。でも、給料をもらって労務を提供する勤務医が、労働基準法上の「労働者」にあたることは、争いようがありません。

 医師法では「診察治療の求めがあった場合、正当な事由がなければ、拒んではならない」と、応招義務と呼ぶ規定を定めています。「24時間、どんな状況でも応じなければいけない」ことではないと解釈されていますが、医療行為は医師にしかできない。「患者の命を救いたい」という使命感も強く、特殊な仕事であることは確かです。しかし、労働者である以上、労働時間には規制がかかります。

 これまで、こうした状況から、基準を超えた労働はあえて追及されてきませんでした。近年、労働基準監督署が指導や勧告をする事態が相次いでいます。残念なことに、過労で自殺する医師も出ており、放置するわけにはいきません。

 いま厚生労働省の検討会では、医師の労働時間をどう削減するかが議論の中心になっている印象です。時間外労働の時間に上限を設けつつ、書類作成など事務作業は専門の補助スタッフに、一部の医療行為は看護師に移すなどして、全体の業務量を減らすことが検討されています。

 いまの医療は医師個人の犠牲のもとに成り立っているのですから、私は、労働時間の規制を議論する前に、今後の医療サービスをどの程度の水準に保っていくのか、まず国民が選択する必要があると思います。

 アクセスしやすい、すなわち必要なときにどこの病院でも、質が高い医療を、比較的安く受けられることは日本の特徴です。これを支えてきた大きな要因は医師のがんばりですが、労働時間を減らすだけでは、全体の業務量も減らさざるをえない。実際、働き方改革の流れを受け、救急を制限したり、土曜日を休診にしたりという病院がでてきています。アクセスを制限するなど、医療サービスを低下させるのであれば、患者となる国民の理解は欠かせません。

 医療サービスを維持するのであれば、医師の確保に大きな費用を要します。特に足りない地方部でも、最低限の医療を確保するためには、なおさらコストが必要です。国民の負担を増やす必要も出てくるでしょう。医師を増やそうにも、育成には10年はかかりますし、どう地方での勤務を受け入れてもらうかも難題です。一方、大幅に増やせば、人材の質ひいては医療の質が低下するおそれがあり、そうなっては本末転倒です。

 医療サービスを縮小するのか、保険料や税を上げるのか。どういう形で国民に負担を求めるのか。政治が選択肢を示すべきです。(聞き手・山田史比古)

     *

 みたにわかこ 1974年生まれ。労働法を中心に、多くの医療機関に助言する。編著に「病院・診療所経営の法律相談」。

 

患者も学んで医療選ぼう 谷中照枝さん(市民の医療ネットワークさいたま共同代表)
 患者や家族は、疲れ切った医師に診て欲しくないし、寝不足でイライラしている医師とは心を開いた話はできません。命と向き合い、やりがいや満足感がある仕事でしょうが、適正な労働時間でなければ、安心、安全な医療は提供できないと思うからです。

 9年前、息子が未明に大けがを負ったとき、救急病院で緊急手術をした医師が、その日の外来診療もこなしていたと聞き、驚きました。ただ、健康な人は病院に行く機会がないため、医師がどれぐらいハードな勤務をしているのか垣間見ることはできません。

 医師の働き方改革の議論には、利用者である患者や市民の声も採り入れてもらう必要があります。どのような業務をどのような環境で行い、その結果、どれほど忙しく長時間労働になっているのか、わかるようにしてください。

 医師免許がないとできないこと以外は、医師以外の職種が担えるように整理することも必要でしょう。主治医を2人体制にするなど、複数の医師が診ていくようにすることで、医師が休め、患者も安心感が得られることもあります。また、特定の救急病院に救急車が集中して無理な勤務にならないように、地域ごとにどの病院に空きベッドがあるかがわかるような工夫も、もっと進めるべきです。

 私が暮らす埼玉県は、医療機関に従事する医師数が、人口10万人当たり160・1人で全国最下位です。全国平均の240・1人と大きな開きがあります。医師の長時間労働と言っても、また同じ勤務医でも、地域や診療科によって忙しさは違うはずです。こうした偏在問題も一緒に是正しないと、根本的な解決につながりません。

 また、市民も医者任せではなく、スムーズなコミュニケーションをとるための努力が大切です。

 私の夫は、会社員時代に難病を発症し、東京都内の大病院で治療していました。症状が安定した後は地元の開業医に切り替えたのですが、選んだのは、将来、寝たきりになった際、訪問診療に応じてくれる医師でした。患者側は「とにかく大病院へ」という考えを改め、自分の病気を学び、今後の状態も考えたうえで選択するように、賢くならなければなりません。このような相談に看護師やソーシャルワーカーがのってくれる病院も、増えてきました。

 高齢になると、終末期にどこまでの医療をするのか、家族で話し合っておく必要があります。小さな積み重ねかもしれませんが、医師の負担軽減につながるでしょう。

 医師や看護師は、よく「聖職」と言われ、その名の下に労使共に長時間労働を許容してきた面がありました。しかし、そういう考えはもうやめたほうがいいと思います。(聞き手・岩崎賢一)

     *

 たになかてるえ 1951年生まれ。市民の医療リテラシー向上のため勉強会を催す。2012年から埼玉県医療対策協議会委員。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597887
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度、開始までの“背景”語る、松原・専門医機構副理事長
臨床内科医会総会、特別講演「新たな専門医制度の現状と課題」

2018年4月16日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、4月15日に京都市内で開催された日本臨床内科医会総会の特別講演「新たな専門医制度の現状と課題」で、新専門医制度で医師の地域偏在が助長されるとの懸念に対し、「厚生労働省が全ての地域・領域で定数を決めて割り当てていく方法は、現実的ではなく、うまくいかない」と行政による統制をけん制、プロフェッショナル・オートノミーで運営する必要性を強調した。

 「従来の専門研修はカリキュラム制のため、専門医の養成がどこでどのくらい進んでいるか、学会すら分からなかった。新専門医制度では、誰がどこでどの指導医の下で研修を受けているかが明らかになるのが特徴」と松原氏は述べ、研修プログラム制の導入により、専門医の養成状況が把握できることが新専門医制度のメリットであると指摘。研修プログラム制の運営、さらには卒後2年間の初期臨床研修の段階で、地域枠の卒業生が出身大学に確実に残ってもらう仕組みを作ることが、医師偏在対策として重要であるとした。

 松原氏は総合診療専門医のスタートまでの経緯や、2017年度開始予定だった新専門医制度が1年延期になった背景についても、エピソードを交えながら紹介した。

 総合診療専門研修プログラムの基準に、「僻地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域での1年以上の研修が望ましい」、「内科研修は1年以上」が追加されたのは、医師の地域偏在、内科専門医およびサブスペシャルティとの関係からだという。さらに専攻医の都市部集中を避けるために、5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の14の基本領域については、「過去5年間の採用実績の平均を超えない」という専攻医数のシーリング(上限)が設定されたが、「過去の採用実績を実際に持っていたのは、脳神経外科のみ。他は研修カリキュラム制だったので、持っていなかった。それに対応するものは何かをかなり議論した」(松原氏)。

 「専門医取得は必須ではない」も確認

 松原氏はまず新専門医制度の基本的理念について、(1)プロフェッショナル・オートノミーに基づいて専門医の質の保証・維持ができる制度であること、(2)国民に信頼され、受診に当たり、良い指標となる制度であること、(3)専門医の資格が国民に広く認知される制度であること、(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮した制度であること――を挙げた。

 その上で当初は2017年4月にスタート予定だったが、1年遅れた理由について、(4)の地域偏在を助長する懸念が生じたためだとした。「(2004年度に)初期臨床研修が始まった時に、マッチングでかなり大都会に研修医が集中した現実があるが、新専門医制度でさらなる偏在が懸念され、いったん停止し、やり直しをした」。5都府県で専攻医数のシーリングを設けたほか、専攻医年度採用実績が350人以上の8学会(内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科)については、「原則として複数の基幹施設を置く」など、運用細則の見直しを行ったことを説明。さらに「専門医は必ず取得しなければならないものではない上、ダブルボードも認めることなども確認した」。

 「僻地・離島等の研修、1年以上」が加わった訳

 総合診療専門医を新設した背景として、2008年度の医学部定員増以降、「地域枠」を中心に増やしてきた現状のほか、自治医科大学の卒業生への対応などを挙げた。「自治医科大学の卒業生には、義務年限があり、『専門医になれない』といった風潮が出てきた。それを高久委員会で検討した結果、そうではない仕組みを作る、僻地等で研修しても、専門医を取得できるように、もう一つ作りましょうとなった」。高久委員会とは、前日本医学会会長の高久史麿氏が座長を務め、2013年4月に報告書をまとめた「専門医の在り方に関する検討会」(『新専門医制度、2017年度開始に向け報告書』を参照)。

 もっとも、総合診療専門医をめぐっては、「総合診療専門研修プログラム整備基準」が2017年7月に公表された以降も、基準が追加されるなど、現場が混乱した経緯がある(『「1次審査不合格、大変遺憾」、専門医機構に説明求める』を参照)。

 計3年間の専門研修プログラムのうち、「僻地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域での1年以上の研修が望ましい」という基準を追加し、その基準を満たしたプログラムの採用を優先したのは、「多科にわたった診療が必要なのは、医療資源が乏しい地域」であるという考えからだという。

 ただそれだけでなく、別の事情があったと松原氏は説明。「新専門医制度を始めるに当たって、本当に許可が出たのは(2017年の)8月の上旬、それまではやると言っても、(厚労)大臣がだめだと言っていた。厚労省の検討会(今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会)で、構成員の了解が得られたら、認められると言われた」。結局、新専門医制度の開始についての理事長声明を8月4日付で公表、8月9日から「総合診療専門研修プログラム」の申請受付を開始した。「5都府県でシーリングを設けることになったが、総合診療専門医は過去の採用実績がゼロなので対象外であるため、内科などでいくら絞っても、総合診療専門医に行ってしまったらどうするのか、東京や大阪に総合診療の専攻医が集まることがないように、と指摘された」。

 さらに総合診療専門医については、「もう一つ議論があった」と松原氏は説明。それは内科専門医やサブスペシャルティとの関係だ。「総合診療専門研修プログラム整備基準」では当初、内科研修は「6カ月以上」となっていたが、「1年以上」に変更された。「日本内科学会から、6カ月の研修では十分な内科の素養は身に付かず、1年にしてほしいという要望があった。その代わりに、J-OSLER(専攻医登録評価システム)の使用を認めてもらえるようになった」。

 内科専門医では、13のサブスペシャルティがあり、連動研修が認められている。「内科専門医の資格がなければ、これら13のサブスペシャルティの研修には入れないという通知が、内科学会から来た。ただし、J-OSLERを使って研修をしたら、(総合診療専門医での研修のうち)1年は、内科専門医の研修と同等の扱いにしてもらえることになった。総合診療専門医を取得し、総合診療専門研修II(病院総合診療部門での研修)で幾つかの条件がそろっていれば、さらに1年もあれば、内科専門医を取れるようになるのではないか。その上で、循環器などのサブスペシャルティを取得できるようになるだろう」。

 申請があった総合診療専門研修プログラムのうち、条件の追加等で、「40、50施設が基準に合致しなかった。そこでいろいろと連絡をしたり、対応をお願いした。いろいろ軋轢があったが、大抵は修正していただいたり、あるいは次年度での申請となった」。

 過去実績の把握は脳神経外科のみ

 さらに松原氏は講演で、専攻医登録のシーリングの苦労も語った。5都府県については、14の基本領域について、「過去5年間の採用実績の平均を超えない」というのが条件。「他はカリキュラム制だったので、過去の採用実績を把握していたのは、脳神経外科のみ。(他の基本領域では)それに対応するものは何かをかなり検討した」。検討の結果、専門医試験の受験者数で考える、あるいは学会の入会者数で考えるなど案が挙がったという。内科専門医の場合、最初は認定内科医の受験者数が提示されたが、うち十数パーセントは再受験者数だったため、それを差し引いたという。

 「三師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)の結果と比較して、かなり減少したと言われたが、三師調査から分かるのは、卒後3~5年目の医師が、何科の診療をしているかだ。3年目で内科の基幹施設等以外で診療している医師はかなりいる」と松原氏は述べ、全ての医師が専門医を取得するわけではないため、三師調査とのずれが生じるとした。

 さらに専攻医の「東京集中」については、基幹施設は都内の施設であっても、関東、甲信、静岡の連携施設で研修している専攻医が、専門研修1年目、2年目、3年目と年々増える予定であると説明(『東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%』を参照)。「“本籍地”は東京で、東京に集まっているように見えても、実際にはプログラム制で循環している。この循環があるからこそ、うまくいっている。同様のことは、近畿や福岡でも起きている」。



http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180417-OYT1T50012.html
病棟一部休止でも赤字100億円、市立病院苦境
2018年04月17日 09時20


 市立札幌病院(札幌市中央区)が、患者数の伸び悩みや診療報酬の改定などで経営が悪化し、2017年度決算の累積赤字が100億円の大台に達する見通しだ。

 市立病院は経営改善策を盛り込んだ次期中期経営計画(19~24年度)を策定するため、17日に病院経営者らによる専門家検討会を開く。病院経営に詳しい医師は、抜本的な改革が必要としている。
042208.jpg

 ◆病棟休止

 市立病院8階の東病棟(44床)は、今年1月から病室や廊下の電気が消され、人けがない。このエリアから患者や看護師らを別の病棟に集約、配置したためだ。空洞のような8階東病棟は一見、施設の無駄に見えるが、運営効率化の一環だという。

 市立病院はこの頃、診療科ごとに定めていた病床の枠を取り払い、全病床を一元管理する方法に見直した。特定の診療科に入院患者が集中して病床が埋まると、ほかの診療科で空いている病床があっても入院できない無駄があったからだ。宇都宮顕佳・市病院局経営管理部長は「非効率な方法は今後も改めたい」と語った。

 ◆27億円借り入れても

 市立病院は14年度から3期連続で経常収支の赤字が続き、貯金に当たる内部留保金は16年度に使い果たした。17年度は市の一般会計から27億円を借り入れたが、それでも約11億1000万円の赤字が見込まれ、累積赤字は約104億円になる見通しだ。

 赤字の要因の一つに新規入院患者の低迷がある。13年8月に地元の診療所などと連携する地域医療支援病院に指定され、14年9月から初診時に紹介状を持参しないと追加料金を徴収する制度を導入した。国が病院と診療所の役割分担を進める施策の一環だが、同年度の病床利用率は前年度比4・7ポイント減の65・9%となり、初めて70%を下回った。

 15年度は年度途中に798床から51床(6・4%)を削減して747床にしたことで、16年度の病床利用率は70・3%に回復した。それでも現行の中期経営計画で定めた目標を1・4ポイント下回る。

 16年10月には紹介状がない場合の追加料金が2160円から5000円に引き上げられ、収益環境がさらに厳しくなった。これを受け、17年度からガーゼや包帯などの医療用品や薬品の共同購入による費用削減策を始めたほか、夜間の2次救急の受け入れを拡大して新規の入院患者を増やす取り組みにも力を入れている。

 国は市立病院のような急性期病院に在院日数を短縮させる施策を打ち出し、平均日数が増えると診療報酬が下がる制度を取り入れている。市立病院の16年度の平均在院日数は10・7日で、計画(11・5日)より短縮できたが、短縮分を補うだけの入院患者が確保できずに収益減を拡大させた。

 宇都宮部長は「在院日数は短縮させる方向で進める。そのため患者を増やす試みが重要で、地域の診療所との連携を強めたい」と話している。

 17日からの専門家検討会には、市内の医師や学者ら委員4人のほか、アドバイザーとして道医師会の理事や民間病院経営者が参加する。10月に報告書をまとめ、年度内に策定する次期中期経営計画に反映させる。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180418161427
「病床削減に支援金」諮問会議で提案
民間議員ら、社保費の伸び抑制に

2018年04月18日 18:20 CB News

 財政健全化を進める政府の新たな計画をめぐり、経済財政諮問会議が議論をスタートさせた。日本経団連の榊原定征会長ら民間議員は12日、2019-21年度を「構造改革期間」に位置付け、社会保障費の自然増削減にこの3年間、これまで以上に取り組む必要があると主張した。医療や介護ニーズが高まる75歳以上に22年度以降、団塊の世代の人たちが差し掛かるためで、“病床過剰地域”で病床を削減する病院に支援金を交付したり、診療報酬や介護報酬の包括化を拡大したりする具体策を新たに掲げた。ただ、社会保障費の自然増を具体的にどれだけ圧縮させるのかは示されておらず、今後の焦点になる。【兼松昭夫】

■安倍首相「具体的な検討」を指示

 新しい計画は、政府が6月に閣議決定する「骨太方針2018」に盛り込まれることになっており、安倍晋三首相は同日の会合で、「具体的な検討」を関係閣僚らに指示した。また加藤勝信厚生労働相は13日、閣議後の記者会見で、削減額に関する質問に、「これからの議論だと思う」と答えた。その上で、「団塊の世代の方が75歳に入り始める2022年度までをどう見ていくのか。2040年あたりを見る中で、わが国の人口動態がどう変わっていくのか」と述べ、少子・高齢化の状況を2段階で見守る必要があるとの考えを示した。

 一方、日本医師会の横倉義武会長は18日、CBニュースなどの取材に対し、社会保障費の自然増について、「これ以上抑制をかけると、地域医療を維持できなくなる恐れがある」と述べ、慎重な対応を与党などに求める方針を明らかにした。
 医療や介護などの社会保障分野は、16-18年度が集中改革期間の「経済・財政再生計画」でも歳出改革の重点分野とされ、政府はこの3年間の自然増を計1.5 兆円程度に抑えることを「目安」にした。これを達成するため15年末には、「かかりつけ医」の推進や病床機能の再編など計44の社会保障改革を盛り込んだ工程表を策定。その結果、3年間の自然増は計1.9兆円のうち約4400億円が抑制され、政府は診療報酬本体や介護報酬引き上げのための財源も確保した。

 19年度以降の計画に切り替わるのに合わせ、民間議員らは今回、19-21年度を「構造改革期間」と位置付け、社会保障費の自然増を抑えるためにこれまで以上の取り組みを求めた。社会保障費の自然増は、16-18年度の年0.65兆円程度に対し、団塊の世代が75歳以上になり始める22年度以降は、賃金や物価上昇による影響を含めると0.9兆円規模に膨らむとみられているためで、44の改革すべてを推進するだけでなく、新たなメニューの追加も求めた。
(残り787字 / 全1887字)



http://www.medwatch.jp/?p=20197
現行労基法と異なる、医師の特殊性踏まえた「医師労働法制」を制定せよ―四病協
2018年4月18日|医療現場から MedWatch

 「医師の働き方改革に関する検討会」においては、応召義務など医師の特殊性を明確にした上で、現行の労働法制と異なる【医師労働法制】の制定に向けた検討をすべきである。さらに、集中的に研鑽を積まなければならない「初期臨床研修医」「専門医を目指す専攻医」の期間は【医師労働法制】からも除外し、医療界が自主的に運営するシステムの管理下に置くべきである―。

 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、このような要望をまとめ、4月18日に加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました(関連記事はこちら)。

医療現場の実態把握を十分に行った上で、医師労働法制を検討せよと厚労相に要望

安倍晋三内閣が進める「働き方改革」においては、医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」を適用(労働基準法改正)することとなっています。ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととなりました。

 厚生労働省は、こうした点を検討する場として「医師の働き方改革に関する検討会」を昨年(2017年)8月に設置。検討会では、これまでに▼委員から出された意見を整理した「中間的な論点整理」▼医療現場で早急に進めるべき「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」―まとめ、近く、来年(2019年)3月の意見とりまとめに向けた本格的な論議が始まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この点、四病協では、検討会において次のような点をさらに議論する必要があると進言しています。
(1)労働衛生における十分な配慮、女性医師の勤務環境整備
(2)十分な実態調査に基づく、医療現場の現状把握
(3)医師需給・偏在対策・専門医の在り方などと「働き方改革」との関係
(4)自己研鑽

 このうち(2)について、全日本病院協会の猪口雄二会長は「24時間対応が必要な救急・産科・僻地等の医療では、現在の医師数でも維持が困難な状況である。一方的に医師の勤務時間を制限すれば、これらの医療は崩壊してしまう」と強調します。例えば、地方で「地域の救急医療の砦」の機能を果たす基幹病院で、医師の勤務時間が制限されれば、24時間対応を維持するためには「医師の大幅増員」が必要となります。人件費が急増することはもちろん、その前に「地方でそれだけの医師を確保できるか」という大きな問題にぶつかります。一方、現状と同程度の医師数で対応するためには、24時間対応を放棄しなければなりません。いずれの選択肢をとっても地域の救急医療が大幅に変容することは避けられないでしょう。検討会では、こうした点も議論の俎上に上がりますが、四病協では「真正面から議論する必要がある」と強く求めています。

 
 さらに、こうした検討を進めた上で、来年(2019年)3月の意見とりまとめに向けて、「医師の労働の特殊性(例えば応召義務)を明確にした上で、現行の労働法制とは異なる、独自の【医師労働法制】の制定」に向けた検討を行うべきと四病協は強調します。

 猪口・全日病会長は、「検討会では『医師も一般の労働者であることは明確』『裁量労働制や高度プロフェッショナル制度は医師に適用されない』との前提で議論が進んでいる」と述べ、医師の特殊性を踏まえた議論になっていない点を問題視。

 また、近く「働き方改革の素案」策定論議が医療界(日本医師会・四病協等)で進められますが、これとの関連について日本病院会の岡留健一郎副会長は、「これまでの印象では、日本医師会も『医師の特殊性に鑑みれば、独自の医師労働法制が必要である』という点には同意してくれるのではないか」とコメントしており、今後の医療界内部での調整、さらにその先の検討会論議に注目が集まります。
 
 四病協では、さらに次の点も検討・実現するよう要望しています。

▼医師としての研鑽を積むために重要な「初期臨床研修医」「専攻医(専門医を目指す後期臨床研修医)」の期間は、【医師労働法制】からも除外し、労働時間を総合的・横断的に検証するための「医療界が自主的に運営するシステム」の検討(優れた医療の知識・技術を身に着けるために、集中的な研鑽を積まなければならない期間である)

▼専門医の適正数・適正配置の検討(医療需要を見据え、国全体の適正数・適正配置を検討する必要がある)

▼総合的な臨床医の大幅な増員の検討(超高齢社会を迎え、疾病構造が変化する中で、質が高く、かつ効率的な医療を提供するためには、患者を全人的に診て、術後管理などを行う「総合医」の増員が不可欠である)

▼医師から他職種への業務移管(タスクシフティング)を進めるための、「医師法・医療法の見直し」「医師事務作業補助者のさらなる活用」「特定行為研修を修了した看護師の養成」「救急救命士などの医療従事者の業務拡大」「PA(Physician Assistant:医師の管理・監督下で手術や薬剤処方等の医療行為を行う専門職)制度」「NP(Nurse Practitioner:一定レベルの診断や治療などを行うことが許される看護師)制度」などの整備

 いずれも、医療界内での調整がまだまだ必要な論点であり、「中長期的な検討テーマ」という位置づけです。

 
 なお日本精神科病院協会の山崎學会長は、「医師の働き方改革を検討している最中にもかかわらず、医療現場に労働基準監督署の指導が盛んに入っており、救急医療や時間外外来を制限する病院も出てきている。『近くに24時間救急大病院があるので安心』と考えてマンションを購入した高齢者等には不幸な話であり、研修医から『研鑽・勉強できると思って入職したが、救急等の制限でそれが叶わない』との不満も出ていると聞く。このままでは我が国の医療は崩壊してしまう」とコメントしています。



https://www.m3.com/news/general/598714
公立病院 16年連続赤字
2018年4月20日 (金)配信山梨日日新聞

 山梨県がまとめた県内13公立病院の2016年度事業会計決算によると、本業の医業に関わる経常損益の合計は13億7384万円の損失で、16年連続の赤字となった。外来患者数の減少に伴い、収益が減ったことが主な要因。赤字幅は、薬剤や医療資機材などの費用縮減、設備投資などの減価償却期間が終わった影響で2年連続で縮小し、前年度より3億8128万円(21・7%)減った。

 13病院は甲府、富士吉田、都留、山梨(牧丘)、大月、韮崎、北杜(塩川、甲陽)、上野原、甲州(勝沼)、市川三郷、富士川の12市町立病院と、身延、早川両町の組合立の飯富病院。病院が行う介護施設などの事業も決算に含めた。

 県市町村課によると、甲州と牧丘、飯富を除く10病院で赤字を計上した。塩川は感染症対策として介護施設の利用を制限したことに伴う同施設の赤字が大きく影響。前年度の黒字から3990万円の赤字に転じた。

 赤字額が増えたのは5病院。韮崎は2億6723万円で前年度から7860万円増えた。富士川は1億3416万円(同6456万円増)、上野原は1億7124万円(3369万円増)、甲陽は6417万円(同2536万円増)、都留は2億4826万円(同1616万円増)。

 赤字計上した病院は、大半が患者数の減少を理由に挙げた。13公立病院の16年度の外来患者の延べ人数は99万8386人で、前年度を3万997人(3・0%)下回った。

 赤字幅が縮小したのは4病院。甲府は2億3114万円で3億4864万円(60・1%)の大幅減。回復期の患者の治療などに当たる「地域包括ケア病棟」開設に伴う運営効率化、現在地に移転開院した際の設備投資の一部で減価償却期間を終えたことなどが理由という。富士吉田、大月、市川三郷の3病院も減った。

 病院ベッドの利用状況を示す病床利用率は、塩川が94・0%で最も高く、飯富が91・5%、富士吉田82・0%などと続いた。大月は35・2%、市川三郷は28・7%で5割を下回った。同課は「改善傾向はあるが、経営環境は依然として厳しい状況だ。継続して改善に取り組む必要がある」としている。



https://www.m3.com/news/general/598663
県境またぐ移転で紛糾 住民と医師会、利害衝突 「2025年 超寿社会」「ポスト平成の病院改革」
2018年4月20日 (金) 共同通信社

 2025年に向け国が進める医療提供体制の再編は、自分が住む地域の病院がなくなることも、時に意味する。佐賀県と長崎県では公的病院の移転を巡り、県境をまたいで住民や医師会の利害が激しくぶつかった。

 「松浦中央病院の開設は、地域包括ケアシステムの構築を進める大きな一歩と捉えています」。3月2日、長崎県松浦市議会。施政方針演説に立った市長の友田吉泰(ともだ・よしやす)(54)は、20年にオープン予定の新病院について意義を強調した。

 中央病院は、隣の佐賀県伊万里市にある「伊万里松浦病院」が移転して開設される。運営主体は、旧社会保険病院を引き継いだ独立行政法人「地域医療機能推進機構」。建物が老朽化し、伊万里市内の別地区での建て替えを考えたが、近くに別の公立病院があり、病床が過剰になるとして地元医師会が反対した。

 一方、松浦市には救急病院がなく、救急患者の約7割が市外に搬送されていたため、住民が熱烈な誘致活動を展開。昨年9月に開いた「決起大会」は参加者が会場のホールからあふれ、自治会連合会会長の向井勝正(むかい・かつまさ)(75)が「市民はいつも不安を抱え、安心した生活を送れない」と訴えた。

 ところが、市の医師会からは反発の声が上がった。新病院が救急・重症患者向けのベッドだけでなく、リハビリ向けの回復期病床も設ける計画であることが分かり、民間病院が患者を奪われると懸念したためだ。病院経営者らが集まって地域の医療提供体制を調整する会議は紛糾した。

 会議での承認を2回持ち越した末に、新病院が回復期の病床数を減らすことでようやく決着。向井は「思いが届いてよかった」と喜ぶが、収まらないのが伊万里市側だ。病院の周辺住民は「地域が廃れる」と心配する。

 こうした利害の衝突は今後、各地で起きる可能性がある。25年に向け病院ベッドを再編する各都道府県の「地域医療構想」実現へ議論が本格化するからだ。慢性疾患を抱える高齢者が増えるのに合わせて病院ごとの役割分担を見直さないと、医療費に無駄が生じる。厚生労働省は全国341の「構想区域」で18年度内に具体的な病院名を挙げた議論に入るよう、都道府県の尻をたたく。

 ただ、多くの知事が地元医師会から選挙の支援を受けているため、担当職員は下手に動けず腰が引けがち。思うように進まない地域も多い。厚労省OBの一人は「医療政策を担える都道府県職員の育成が必要だ。知事の姿勢も問われる」と指摘する。(敬称略)



https://www.m3.com/news/general/598271
弘前の中核病院:検討委を中止 桜田市長「廃止含めて」 /青森
2018年4月18日 (水) 毎日新聞社

 弘前市は17日、国立病院機構弘前病院と市立病院の統合による中核病院構想をめぐり、22日に予定していた第3回地域包括ケア検討委員会を中止すると発表した。市は会議の進め方を再検討するためとしており、今後の開催は未定という。

 検討委は、中核病院を中心に住民が地域で安心して暮らせる医療・福祉環境を市が主体となって整備するため、今年2月に設置。学識経験者や医療福祉関係者らで構成し、議論が行われてきた。

 葛西憲之前市長は市が主体となることにこだわってきたが、8日投開票の市長選で初当選した桜田宏市長は、国立病院機構を主体とする整備・運営を打ち出している。市の担当者は「市長の方向性が全く逆なので、従来と同じ議論を継続するのは難しい」と説明。桜田市長は報道陣に対し、「私の方針は委員に伝えているので、廃止も含めて今後どうするかを検討していく」と話した。【藤田晴雄】



https://www.m3.com/news/general/597675
救急出動「不急」集計へ 消防庁、来年から
2018年4月16日 (月) 共同通信社

 総務省消防庁は、救急車出動の必要性が低かった件数を2019年から集計する。救急車の出動は17年速報値で634万2千件に上り、8年連続で過去最多を更新。今後も増える見込みで、タクシー代わりに呼ぶといった「不要不急」の利用実態を把握する。

 出動の増加は高齢化により、病気で運ばれる人が多くなっているためだ。不適切な利用が続くと、緊急時に現場の到着が遅れる事態も心配されている。

 17年の搬送者をみると、48・5%は入院を必要としない「軽症」だった。ただ、119番時点では「激痛で動けなかった」「出血が多く救急車が必要だった」など、出動が必要な事例もある。

 このため、消防庁は新たな基準を設定。搬送後に軽症と分かった人を対象に(1)自力で歩けないなど、見た目の緊急性(2)言語障害といった脳卒中などの疑い(3)救急隊による応急処置の有無―などを隊員がチェックし、すべて該当しない場合は「必要性が低かった事案」として集計する。

 一方、出動後、搬送に至らないケースもあるが「明らかに死亡」「搬送拒否」「誤報」など、理由は多岐にわたる。出動の必要性を判断するのは難しく、今回は理由の分類見直しにとどめる。



https://www.m3.com/news/general/597599
研究者「時間ない、お金ない」…現状に危機感
2018年4月15日 (日) 読売新聞

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学や公的機関の研究者が、研究費や研究時間の確保が著しく不十分だとして研究環境の現状に危機感を抱いているとする調査結果を発表した。

 調査は、日本の科学技術の状況や変化を把握するのが狙いで、2016年度に初めて実施。今回が2回目で、17年9~12月に、大学などの研究者約2100人と産業界の有識者約700人を対象にアンケートをした。回答率は92%だった。

 調査結果によると、「研究費が十分かどうか」と尋ねた問いに対し、研究者の回答は10点満点で平均2・4となり、前回より0・2ポイント低下。「研究時間を確保するための取り組みが十分かどうか」についても同2・2で、前回より0・2ポイント下がった。



  1. 2018/04/22(日) 09:41:23|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

4月15日

https://mainichi.jp/articles/20180413/ddm/012/010/028000c
医師不足
偏在解消見えず 都市部でも深刻化
 
毎日新聞2018年4月13日 東京朝刊

 医師不足が2028年まで続くとする推計を厚生労働省がまとめたが、都市と地方との間で起こる医師偏在に解消のめどは立っていない。労働時間を制限する「働き方改革」で都市部でも医師不足が深刻化していて、医療現場から推計に疑問の声が上がる。

 「医療体制は地域の存亡に直結する」。人口当たりの医師数がワースト2位の茨城県のある議員は危機感を募らせる。

 同県南東部の鹿行(ろっこう)地域は人口10万人当たりの医師数(16年)が95•7人で、全国平均251•7人(同)の4割以下。域内にある鹿島労災病院は災害拠点病院にも指定される地域医療の要だが、10年前に40人いた常勤医は12人まで減少。夜間は当直医の専門外だと救急患者を受け入れられないことも。来年4月には近隣の病院と統合する予定だ。県担当者は「医学部定員は地域の実情に合わせて見直すべきだ」と話す。

 人口当たりの医師数は「西高東低」と呼ばれ、医学部の多い西日本で多く、東日本は東京都を除き軒並み平均を下回る。ワースト1位は埼玉県、2位が茨城県で、東京への医師流出などが原因とみられる。医学部の入学定員に、卒後一定期間の地元勤務を義務付ける「地域枠」を設けるなど国も医師の偏在対策に努めているが、解消できていない。医師偏在は診療科間でも進む。この20年間で、麻酔科や放射線科の医師は6~8割程度増えたが、激務の外科医や産婦人科医は横ばい状態だ。

 聖路加国際病院(東京都)は16年6月に労働基準監督署の指導を受け、1カ月の残業時間を45時間に抑えるよう取り組んでいる。医師数を増やす必要があるが、激務の救急や産婦人科などは募集しても集まらないという。

 働き方改革も医師不足に拍車をかける。同病院は、夜勤や当直の医師数を減らし、土曜の外来診療は救急だけにした。時間外は患者家族に病状説明を断るなど、「患者へのサービスを絞らざるをえない」(同病院)。治療体制を維持したまま残業時間をゼロにするには、今の1・5倍は医師が必要という。今回の推計について、福井次矢院長はこう語った。「患者への影響を第一に考えておらず、非現実的だ」【酒井雅浩、熊谷豪】




https://www.sankei.com/life/news/180413/lif1804130012-n1.html
医師不足は15年後解消 需要低下なら平成40年にも 厚労省推計 
2018.4.13 10:20 産経新聞

 厚生労働省は12日、医学部の定員が現状のままならば、遅くとも平成45年ごろには必要とされる医師約36万人を確保でき、その後は余るとした将来推計を明らかにした。医師の需要をこれより低く見積もった場合は、40年ごろに医師不足が解消され、余剰に転じると試算。同日開かれた有識者検討会で提示した。

 検討会は、32~33年度の定員は現状をおおむね維持する方針を了承したが、今後は定員減も視野に入れた議論が進みそうだ。

 地域によっては医師が不足している問題を受け、政府は20年に定員増を決定。医師は増え続けているが、地域や診療科間での偏りは解消されていない。検討会では偏在対策の必要性を確認するとともに「今後は、定員をある程度減らすことを見据えた議論が必要だ」との声も上がった。

 一方、若手など医師の過酷な労働実態も問題化しており、厚労省は来年3月までに、具体的な時間外労働(残業)の上限規制を含む労働時間短縮に向けた対策を検討する考え。34年度以降の医学部定員数は、医師の働き方改革の進捗(しんちょく)を踏まえ、再度検討するとしている。

 今回、明らかにした将来推計は、労働時間や医師の業務軽減化について、複数のケースを想定。医学部の定員を30年度と同じ9419人と仮定し、病院のベッド数や女性医師の仕事量なども考慮した。

 労働時間の上限を「週55時間」などと設定した場合では、医師の需要が最も増え、45年ごろまでは医師が不足すると推計。ただ、月の残業時間に換算すると過労死ラインに相当する「週60時間」を基にすると、必要となる医師数は減る見込みで、40年ごろには必要とされる約35万人を満たすことができるとしている。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20180413-OYT1T50044.html
里帰り出産できません…医師不足で受け入れ休止 
2018年04月13日 13時34分 読売新聞

 兵庫県立淡路医療センター(洲本市塩屋)が10日から、産婦人科の医師不足のため、「里帰り出産」の受け入れを休止した。

 大学の医学部などに医師の派遣を要請していたが、全国的に産婦人科医が不足する中で補充ができず、安全に出産できる態勢を守るため休止を決めた。早期の再開を目指すといい、淡路島内に住む産婦はこれまで通り受け入れる。

 島内では分娩ぶんべん設備や人員を備えた病院やクリニックが減り、現在は同センターと聖隷淡路病院(淡路市)の2か所だけに。2017年度のセンターでの分娩728件のうち、約4分の1を島外からの帰島者が占め、昨年4月から里帰り出産する人は受診を控えてもらうよう呼びかけていた。



http://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00m/040/094000c
解消は28年ごろ 働き方改革影響で4年遅れ 
毎日新聞2018年4月12日 21時56分(最終更新 4月12日 22時41分)

 2028年ごろまで医師不足が続くとの推計を厚生労働省がまとめ、12日の同省検討会で示した。「働き方改革」で医師の労働時間の上限を過労死の危険性が高まる週60時間に制限したケース。医学部の入学定員について同省は当面増やさない方針だ。

 推計では、高齢者の増加や平均寿命の延びなど人口動態などによる医療の「需要」について3パターンに分類。その上で、今後の医学部定員を今年度の9419人と定め、労働力などから予測した医師の「供給」と比較した。

 その結果、需要は30年ごろまで増え続け、その後は減少すると予測。医師の労働時間の上限を過労死の労災認定基準の目安である「1カ月の残業80時間」に当たる「週60時間」にした場合、28年ごろに必要な医師数約34万9000人を満たした。一般労働者の労働時間の上限「週55時間」だと、33年ごろに約36万人で需給が一致。米国研修医の労働時間の上限「週80時間」とすると、必要な医師数は32万1000人で今年既に満たし、来年以降は「医師過剰」になるとした。

 前回の推計は16年3月。平均的な医療需要で算定すると、24年に約30万人で需給が一致した。今回は、働き方改革を加味したため医師の仕事量や、労働時間の推計方法が異なるが、平均的な需要と比べると医師不足の解消は前回より4年遅れる結果となった。

 医師数を巡っては、実質的に大学の医学部定員が年間の医師の供給数に相当する。医師不足が社会問題化したため、08年度以降、国は卒後地元で一定期間働くことを義務化する「地域枠」などを設けて医師数を増やしてきた。

 この日の検討会では「更に増員する必要はない」との意見が大勢を占めた。一方で「現状で週60時間を当てはめると、各地で医療崩壊が起きる」(同省医事課)ため、「偏在対策に早急に取り組むべきだ」との声も出た。【酒井雅浩、熊谷豪】
04141_20180416060900830.jpg



https://mainichi.jp/articles/20180412/ddl/k45/040/405000c
日向市立東郷病院
2年8カ月ぶり入院再開 住民安心感広がる 老朽化で建て替え要望も /宮崎
 
毎日新聞2018年4月12日 地方版 宮崎県

 医師不足のため2年8カ月間休止していた日向市立東郷病院(同市東郷町山陰)の入院(30床)と休日時間外の救急診療が今月再開され、11日現在9人が入院している。旧東郷町地区で唯一入院できる病院だけに住民に安心感が広がっている。【勝野昭龍】

 病院事務局によると、医師2人が退職して1人になったため、2015年7月から入院と休日時間外の救急診療を初めて休止した。日々の診療は近くの民間医療機関から週1回、内科医を派遣してもらって続けた。

 病院は医師の官舎をリフォームし、給与も1割弱アップするなど待遇を改善。県や民間紹介所の他、地縁血縁も総動員して医師集めに奔走した。こうして院長ら外科医3人と整形外科医1人、アルバイト医師4人を確保。外科▽整形外科▽内科▽リハビリテーション科--の4科が整い、入院と時間外救急の再開にこぎ着けた。

 旧東郷町内には他に内科のクリニックしかなく、特別養護老人ホームの9人が早速入院。時間外救急も連日利用者が来院している。

 しかし、4月末にはまた1人が退職する予定。病院は1974年建設の鉄筋2階建てで老朽化の問題も抱えており、建て替えの強い要望が出ている。



https://www.asahi.com/articles/ASL4D2VPCL4DUBQU003.html
医師「過労死ライン」超え15% 秋田県医師会調査 
山田佳毅2018年4月12日12時00分 朝日新聞

秋田県内の医師の時間外労働の実態調査
04142_20180416060901987.jpg

 秋田県内の病院に勤める医師の6~7人に1人が、月80時間を超す時間外労働、いわゆる「過労死ライン」に達する勤務をしていることがわかった。調査した県医師会は「過労死寸前の勤務環境に置かれているわけではない」としつつ、医師不足を理由に挙げている。

医師の働き方改革、骨子案まとまる
 調査は昨年10~11月、県内の全69病院と、各病院の非常勤を含むすべての勤務医1580人を対象に行われた。回答は52病院(75%)、医師からは888人(56%)から得られた。

 集計の結果、週に40時間以上勤務している医師のうち、昨年9月に時間外労働をした人は9割を超え、91•4%に達した。

ログイン前の続き時間外労働時間の割合をみると、「80~100時間未満」が6•9%、「100時間以上」が8•1%で、計15%が「過労死ライン」を超えていた。中でも、大学病院の40代と公立病院の20代は「100時間以上」が20%を超えていて、それぞれの病院の平均値を上げていた。

 病院に泊まり込む宿直回数を見ると、昨年9月に2~4回宿直をした医師は44%にのぼった。1回の宿直での平均拘束時間は、14時間超が全体の約7割を占めた。平均の実労働時間は5時間で、「ほとんど実労働を伴わないと規定されている宿直からはほど遠い現状」としている。

 この結果を受け、県医師会は「医師の望ましい働き方」として提言をまとめた。その中で、医師独自の労働時間制度の創設や持続可能な医療提供体制の構築といった行政側の努力に加え、住民や患者側にも、不要な救急搬送を頼まないなどの意識改革が必要だと指摘した。

 県医師会地域医療総合調査室の高橋勝弘室長は「医師の効率的な働き方や、医療体制のあり方を考える時期にきている」と話している。



https://www.asahi.com/articles/ASL4D44MHL4DUBQU00G.html
医師足りない…地域偏在解消へ 群馬県や群大、会議発足 
篠原あゆみ2018年4月12日14時00分 朝日新聞

 群馬県と群馬大学、県医師会など関係団体が参加し、「ぐんま地域医療会議」が発足した。県全体でも全国平均より医師数が不足する中、地域医療を守るため、県内の地域ごとの医師の偏在解消や、人材育成のための医療機関の連携を目指す。

地方で勤務した医師に認定制度 地域偏在の解消へ
 厚生労働省が2016年に実施した医師・歯科医師・薬剤師調査によると、人口10万人あたりの医師数は、群馬県では225•2人で、全国平均の240•1人を下回った。一般的な入院医療を提供できる単位として県内を10区域に分けた二次保健医療圏別では、前橋地域が443•3人の一方、太田・館林地域では141•9人、吾妻地域で144人などと、医療圏単位で約3倍の開きがある。

 県や群大によると、これまでは地域の病院から要請を受けて、群大から医師を派遣するケースが多かった。しかし、医師の総数が不足し、大学病院に残る若い医師が減っている中、群大だけで地域医療を支える医師を確保することが難しくなっているという。
04143_20180416060901e11.jpg

 そこで県が、県内で働く医師の実態を調査した結果を群大に提供し、派遣に役立てることで医師の偏在を解消していく。若手医師の将来のキャリア形成も考慮し、特色のある医療機関で研修を受けられるようにするなど、教育環境を整えていくという。

 初回の会合が3月26日にあり、議長をつとめる県医師会の須藤英仁会長や県、群大、歯科医師会や薬剤師会などの関係者が集まり、目的などを確認した。

 今年秋ごろまでに、病院ごとの医師数や勤務状況、専門分野などを県が調べ、医師の派遣などの具体的な取り組みを19年度に始める方針。県の担当者は「医師の総数が不足する中でも必要な医療を受けられるよう、医師の偏在を解消したい」。群大医学部付属病院の田村遵一病院長は「県内で連携し、質、量ともに充実した研修環境を作ることが、若手医師に県内に残ってもらうことにつながる」と期待する。


https://www.m3.com/news/iryoishin/597238
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「劇的な労働時間短縮は困難」全自病アンケート
厚労省の「緊急的な取り組み」6項目を調査
 
2018年4月13日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は4月12日、厚生労働省が2月に出した「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」6項目について実施の可否を会員病院に尋ねたアンケートの結果を発表した。特に6番目の「医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み」で、「実施できない」が全項目中、最多の48%に上り、自由記載では「劇的な労働時間短縮は困難」などの意見が寄せられた。会長の邉見公雄氏は「『医師の3偏在』(地域、診療科、病院・診療所)の解決なくしての労働規制は、本末転倒だ」と述べた(関連記事は『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。


 アンケートは2月28日から3月31日に、6項目について「実施できる」か「実施できない」を選択する方式で実施。880の会員病院のうち、28.0%の246病院から回答を得た。

項目ごとの、246病院全体のうち「実施できない」と回答した割合と、自由記載の例は次の通り。

医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み=72%
 ・ICカード、タイムカードを導入しても、在院時間=労働時間とはならないため。
 ・常勤医師の数が少なく、当日直の回数が他の病院に比べどうしても多くなり負担をかけている。常勤医師の確保や非常勤の応援医師の確保に努めてはいるが、まだ十分ではない。
36協定の自己点検=15%
 ・医師は全て管理職であり、36協定の適用除外となるため。
既存の産業保健の仕組みの活用=17%
 ・安価な産業医報酬しか捻出できず、産業医確保に苦慮している。
  ・医師の健診受診率が低く、産業保健に結びつきにくい。
タスク・シフティング(業務の移管)の推進=13%
 ・他業種に業務移管できるほどの人材
 ・予算確保が困難。
 ・どこまでの医療行為を医師ではなく看護師がしていいのかなど、明確な基準もないまま実施に移すことはできない。
女性医師等に対する支援=5%
 ・現状ではマンパワーが不足しており、女性医師のみへの支援は困難である。
 ・今後の女性医師の出産・育児等継続的な業務、キャリアが阻害されることのないよう対策を進めたいと考えている。ただ、小規模病院で女性医師が短時間勤務や当直免除になると、他の医師の負担が大幅に増すため厳しいところがある。
医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み=48%
 ・1人または2人体制の診療科が多く、また、2次医療圏内に救急医療を実施できる医療機関が当院以外にないため、医師の長時間労働を改称することは大変困難な状況。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596638
医師調査
男女を問わず、医師が勤務継続できる環境を
日本外科学会定期学術集会、特別企画「女性外科医のキャリアパス」 ** 
 
レポート 2018年4月10日 (火)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「女性外科医のキャリアパス」が4月6日、都内で開催され、女性外科医のキャリアパス支援について、職場の復帰支援などを行う九州大学病院などの先進的な取り組みが紹介された。同大保健学科教授で循環器内科医の樗木晶子氏は、「根本的には医師の労働環境を改善し、多様な勤務形態が提供され、男女ともにワークライフバランスが取れるようにすべきだが、まだまだそうなっていない」と訴えた。

女性医師には仕事も家庭も求められている
 この特別企画は、同学会の男女共同参画委員会の主催で行われた。女性医師が増加する一方、少子高齢化もあり、女性には妊娠・出産・育児が求められる社会的風潮もある。この現状について、セッションの座長を務めた、日本外科学会の男女共同参画委員会副委員長で東京大学消化管外科准教授の野村幸世氏は、「女性医師は仕事と家庭の両方とも、大変なことをやってもらわないといけない時代」とした上で、「本音は、男性も女性も職種を問わず同様に働くべきだ。家庭の仕事も平等に分担すべきだ。妊娠・出産・授乳以外は男性も同様にできるはずで、できないとしたら努力不足。パートナーと自分が平等であるかどうかは常に考えておくべきだ。以上の権利と義務を遂行しつつ最小ストレスで最大アウトカムを社会全体で模索することが必要だ」とした。

常勤への復帰に向けた就業支援
 九大病院は2017年4月現在、医師の21.4%を女性が占めるが、常勤(助教以上)の女性医師は8.3%にとどまる。内訳を見ると、研修医(非常勤)は女性が49.3%と約半数だが、医員(非常勤)で27.8%、常勤(助教以上)が8.3%と職位が高くなるほど女性医師が少ない。樗木氏は、2007年から九大病院で取り組まれているキャリア支援「きらめきプロジェクト」について紹介した。女性医師は出産・育児でいったん離職する傾向があり、就労率は卒後11年で76%と最低となった後に回復するものの、常勤や専門医としての復帰は難しくなっている。そこで、当初は出産・育児でキャリアが途絶えがちな女性医師のキャリアパス支援として国の助成金を受けて始まった。ただ、2010年からは病院の内部予算で運用されており、出産・育児・介護・自身の病気により離職を余儀なくされる男性医師も対象としている。
 具体的には、離職から常勤への復帰に向けて、医局人事の枠外で就業できる雇用形態として「ステップアップ外来医師」の制度を設けた。医師と歯科医師を合わせて毎年30人弱がステップアップ外来医師に参加しているという。短時間勤務による外来診療のほか、研究の継続も可能となる。この10年でのべ129人の医師がこの制度を利用し、常勤職へ復帰したり、専門医取得や博士号取得をしたりした医師もあった。

 同プロジェクトではほかに、人材登録のためのホームページを立ち上げたほか、院内保育施設の設置、教授らへの啓発講演会の実施、学生講演会・交流会の実施、情報発信、育児中の医師向けのe-ラーニングプログラムを配信したりしている。樗木氏は「一番役に立っていると私が思うのは、短時間勤務の医師と毎月ミーティングをして困っていることなどを話し合ってきたことで、九大病院の中で女性医師のネットワークができたことだ。若手医師が自発的にランチ会を行ったりしている」と話した。また病院内にプロジェクトが浸透したことで「医局長が入局したての若手医師らに、きらめきプロジェクトを紹介するなど、医局の仕組みにきらめきプロジェクトが組み込まれるようになっている」(樗木氏)という。

 特別企画「女性外科医のキャリアパス」では、他に育児中の日本外科学会員医師のストレス状況について調査をした、東京女子医科大学心臓血管外科の冨澤康子氏による、「育児中の日本外科学会会員の仕事とプライベートのストレス―働くドクターストレス調査結果から」など計7講演があった。

 厚生労働省の2016年医師・歯科医師・薬剤師調査によると、国内の医師31万9489人中、女性医師は21.1%と増加しており、また今年の医師国家試験合格者の34.0%が女性と、今後も女性医師は増えると見られている。また、女性医師の専門の上位は内科(15.5%)、小児科(9.0%)、眼科(7.8%)、皮膚科(6.7%)などで、女性の外科医が増えてきたとはいえ、まだまだ多くない。



https://www.fnn.jp/posts/00291950HDK
【働き方改革】診察をしない「産業医」は従業員の敵か?味方か? 
小林晶子
2018年04月13日 金曜 午前6:30  FNN prime

「産業医」とは”診察・治療をしない医師“
 国を挙げて進められる「働き方改革」。
 「働き方改革実行計画」では、「産業医」は権限を強化され、改革の後押しを求められています。
 そして、長時間労働への対策、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援などが重点項目とされています。
 つまり、企業が産業医を選任し、活用することが強く求められている訳です。
 とは言え、「産業医」と言う職業は一般的にはよく知られていないかもしれません。

産業医の仕事には、大きな特徴があります。
それは、病気の診断をしたり、治療をしないこと。 
そもそも産業医は、「診察」という行為を行いません。
そこが、一般のクリニックや病院の医師との大きな違いです。

ミッションと権限
 では、産業医は何を行うのかと言うと、「診察」ではなく、従業員の健康状態や業務への適性を評価する「面談」です。
 その上で、「◯◯病の疑いで治療が必要か否か」「就労が可能か否か」「労働時間の制限や配慮の必要性」などを、産業医の立場から評価します。
 医学的見地から、従業員の健康状態を判断し、中立な立場で、企業と従業員、双方にとって最善の策を出すのが、産業医のミッションなのです。
 正しい判断・評価をするため、産業医には情報収集の権限が与えられました。
 企業には、残業が月100時間超の従業員の氏名などの産業医への報告や、健康診断やストレスチェックで異常が見つかった従業員に関する情報提供が義務付けられています。

従業員を追い込む『ブラック産業医』の存在
 しかし昨年来、「メンタルの不調等で休職した従業員が回復してきたにもかかわらず、産業医がさまざまな理由を付けて復職させないために退職に追い込まれた。これでは企業と結託した『ブラック産業医』ではないか」等と、トラブルになるケースがありました。
 昨年、弁護士らが厚生労働省に申し入れを行った事例では、本人と面談を1回しただけの産業医が、「統合失調症」「混合性人格障害」など、本人が一度も受けたことのない病名の診断をし、復職不可との判断をしたとしています。
 しかもこの産業医は精神科の医師ではなかったとのこと。
 これが事実なら極端な逸脱行為と言わざるを得ません。
 先述したように、そもそも産業医は病名の診断はしないからです。
 本来の産業医としての役割を果たしたとも言えないでしょう。

良好な「働き方」を左右する産業医の判断
 多くの産業医は、従業員の今後や生活のことを考慮し、「復職」するにはどうすればいいかを、まずは念頭に置いています。
 しかし、先ほどのような悪質な事例は論外としても、誠実に仕事をしている産業医が「ブラック産業医」では?と誤解される場合もあるかもしれません。
 と言うのも、産業医には「復職したい」と言う従業員の意に反する判定を下さざるを得ない場合もあるからです。
 産業医は、会社組織の中での本人の役割や仕事内容から、復職の可否を判断します。
 場合によっては、従業員がかかっている主治医は復職可能としていても、産業医は復職できないと評価することもあり得ます。
 と言うのも、復職判断が早すぎたために、復帰後 間もなく欠勤が相次ぎ、結果的に休職・復職を繰り返すケースがあるからです。
 早すぎる復職が本人の負担となり、回復しつつあった疾患が悪化したりしたら取り返しがつきません。
 そのため、復職判定には慎重さが必要なのです。
 もちろん、産業医が復職不可とする場合は判断根拠を従業員に示し、それを基に復職に向けてどうしたらいいのかについて、面談を行っていく必要があります。

「働き方改革」推進には、産業医の育成が課題
 「働き方改革」の中で産業医の役割は増していますが、現状では産業医を選任している事業所は全体で87%。
 事業所の大部分を占める50人から100人未満の中小企業では、80.9%に留まっています。
 その要因の1つは、産業医の圧倒的な不足です。
 厚生労働省によると、現在産業医の養成研修・講習を修了した医師は約9万人いますが、そのうち実働しているのは3万人程度。
 一方、産業医を必要としている事業所は、全国に16万カ所以上とされています。
 「働き方改革」を進める中で、今後 産業医をどう育成していくかも重要なポイントかもしれません。
(医師 小林 晶子)



https://ryukyushimpo.jp/column/entry-697051.html
<金口木舌>北部医療、先行者の責任 
2018年4月9日 06:00 琉球新報

 入学式シーズンの真っただ中。名護市為又の北部看護学校でも、黒のスーツ姿の84人が入学し、白衣姿の職員たちが温かく見守った

▼名護市出身の宮里涼奈さんの新入生宣誓が印象的だった。学業専念を誓うとともに、到来する超高齢社会などに触れた。「看護師不足が指摘される中、北部地区は病院も少なく、救急対応も課題です。看護師になって貢献したい」
▼北部は慢性的な医師と看護師の不足に直面し、救急医療体制の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘される。県立北部病院では外科や産科などで後任医師が見つからず、週の診療日数が制限されることもしばしば
▼命に直結する医療の充実は、住民の切なる願い。定住するためにも地域完結型の医療は重要だ。県推計によると、2025年時点でも北部住民で入院を必要とする1割が、中南部へ行かざるを得ない
▼人手不足を解消し、安定的な医療体制を目指そうと、県立北部病院と北部地区医師会病院の統合による基幹病院整備の動きも進む。約220億円と試算される事業費負担、統合後の職員待遇などの課題は多い。何よりも働きやすい医療現場の環境整備は不可欠だ
▼入学式のあいさつでは、看護師への一歩を踏み出した新入生に期待が寄せられた。学生が巣立つ3年後、働く環境は今よりも魅力的だろうか。先を歩む者たちには期待するだけでなく、環境を整えていく責任もある。



http://www.medwatch.jp/?p=20106
軽微な傷病での医療機関受診では、特別の定額負担を徴収してはどうか―財政審 
2018年4月12日|介護保険制度 MedWatch

 公的医療保険・介護保険を持続可能なものとするために、「医療費・介護費そのものの増加を抑える」「保険給付範囲の在り方を見直す」という2つの改革が必要となる。後者では、例えば「軽微な傷病での医療機関受診」について、特別の定額負担を導入してはどうか―。

 4月11日に開催された財務省の財政制度等審議会「財政制度分科会」で、こういった議論が行われました(財務省のサイトはこちらとこちら(参考資料))。

ここがポイント!
1 軽微受診における定額負担、保険制度の在り方にも関連する重要テーマ
2 地域別診療報酬や地域医療構想実現に向けた知事権限の強化、課題も多い
3 ケアマネジメントへの利用者負担導入など、近く正面からの議論を
4 診療所や介護事業所の再編・統合なども、近い将来重要検討テーマに

軽微受診における定額負担、保険制度の在り方にも関連する重要テーマ

 高齢化の進展や、医療の高度化(オプジーボ・キイトルーダなどに代表される画期的で超高額な抗がん剤の登場など)により医療費が増加を続ける一方で、少子化により「支え手」(財政の支え手、医療・介護の担い手)が減少し、公的医療保険制度・介護保険制度の存立基盤が脆くなってきています。

高額な抗がん剤が次々に登場し、医療保険制度の基盤を脆くしつつある(図 略)
 
 このため財務省は、「医療費そのものの増加を抑制する必要がある」(保険制度見直しによる負担の付け替えには限界がある)、「保険給付の在り方を大きく見直す必要がある」との考えのもと、今般、具体的な社会保障改革案を財政制度分科会に提示しました。
 具体案は次のような内容で、すでに提案されている内容が多数を占めますが、目新しい項目も散見されます。ポイントを絞って見ていきましょう。

まず、医療分野における「保険給付範囲の見直し」については、次のような提案が行われました。
(1)新たな医薬品・医療技術について、安全性・有効性に加えて経済性・費⽤対効果を踏まえて公的保険での対応の在り⽅を決める仕組みとする(▼原価計算⽅式:費⽤対効果評価を義務付け、費⽤対効果が悪いものは、「保険収載の⾒送り」「償還可能価格までの引き下げ」を行う▼類似薬効⽐較⽅式:補正加算が付される場合は費⽤対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げる―仕組みとする)
(2)▼薬剤の種類に応じた保険償還率の設定▼⼀定額までの全額⾃⼰負担—制度を参考にした「薬剤自己負担率」を導入する
(3)少額受診に⼀定程度の追加負担を求め、「かかりつけ医」等への誘導策として「定額負担に差を設定する」ことも検討する

 このうち(3)は「軽微な傷病」での受診について、定率の自己負担(年齢・所得により1-3割)に加えて、「追加的な定額の自己負担」を求めるというものです。
 
 従前、財務省は「かかりつけ医以外を外来受診した場合に、特別の定額負担を設けてはどうか」との提案を行っていましたが、「かかりつけ医の定義、範囲が明確でない」「かかりつけ医を持たない国民も多い」といった指摘が、社会保障審議会・医療保険部会などで相次ぎ、方向を若干修正したと見ることもできます(もっとも「かかりつけ医等」へ誘導するため、定額負担に差を設ける(かかりつけ医等の場合には定額負担を小さくする)考えも示しています)。

 このテーマは古くから議論される「保険給付の在り方」にも関連する重要論点の1つです。保険給付の在り方を考える際、大きく▼軽微な医療は自己負担とする▼超高額な医療は自己負担とする―という両極の選択肢があり、この中間にさまざまなバリエーションが考えられます(自己負担割合を疾病によって変えていくなど)。財務省は「前者」の考え方に寄っていることが、この提案で明確になったと言えるでしょう。もちろん、▼患者にとって「自分の疾病が軽微なのか重篤なのか」を判断することは難しい▼早期治療を阻害し、かえって医療費が増加する―といった課題もありますが、そろそろ真正面から議論する時期に来ていると言えそうです(関連記事はこちら)。

 また(2)は、例えばフランスにおける薬剤自己負担率「▼抗がん剤等の代替薬のない⾼額医薬品:0%(全額保険償還)▼⼀般薬剤:35%▼胃薬等:70%▼有⽤度が低いと判断された薬剤:85%▼ビタミン剤・強壮剤:100%(全額自己負担)」や、一般用医薬品と医療用医薬品との価格差(湿布薬であれば、医療用は3割負担で36円だが、一般用は1008円など)などを踏まえよ、との提言です。

2018年度の診療報酬改定では「ヒルドイドソフトなど」の保険給付が議題の1つにあがりました。ヒルドイドソフトは、アトピー性皮膚炎患者に対する保湿剤などとして処方されますが、女性芸能人などが「ヒルドイドにはアンチエイジング効果があり、医療保険を使って3割負担で入手できる」といった紹介をし、一部に大量処方されているケースがあることが問題視されたのです。今回の提案は、こうした「不適切事例へのペナルティ」をも視野に入れていると考えられます。モラルハザードが横行すれば、適正化に向けた動きが強くなり、「本当に必要な患者」のアクセスが阻害されてしまいます。医療従事者・国民の双方が「適正な医療保険制度の運用」に協力しなければなりません。

地域別診療報酬や地域医療構想実現に向けた知事権限の強化、課題も多い

 また医療費そのものの増加を抑える方策として、財務省は「公定価格(診療報酬点数や薬価、特定保険医療材料価格など)の適正化」「医療提供体制の改革」が必要とし、次のような具体的な見直しを行うべきと提案しています。
(i)診療報酬本体も含め「改定率」は厳しく抑制していく
(ii)薬価制度の抜本改革の中で「残された検討課題」(費用対効果評価の本格導入など)を着実に検討し、併せて▼創薬コストの低減▼製薬企業の費⽤構造の⾒直し▼業界再編—に取り組む
(iii)かかりつけ機能を果たしていない薬局の報酬⽔準適正化など、調剤報酬の在り⽅を見直す
(iv)地域医療構想の実現に向けて、▼診療報酬・介護報酬改定のフォローアップ▼都道府県への⼿段の付与▼都道府県へのインセンティブ▼適切な進捗管理▼医療・介護を通じた在宅医療・介護施設等への転換—を行う
(v)7対1・10対1一般病棟の再編・統合など、2018年度診療報酬改定が地域医療構想に沿った「病床の再編」「急性期⼊院医療費の削減」につながるか、KPIを設定して進捗を評価し、必要に応じて「更なる要件厳格化」などを2020年度改定で実施する
(vi)介護療養・25対1医療療養から介護医療院などへの転換を促進するが、▼患者の状態像に合わない、高単価の医療療養への転換を防止する▼転換が進まない場合に介護療養の報酬⽔準を検討する(引き下げる)▼⾼齢者住まいへの転換も含めた幅広いダウンサイジング⽅針を策定する―ことなどを進める

介護療養からの医療療養への転換は、「防止せよ」と財務省は考えている(図 略)
 
(vii)▼診療所▼医師数▼⾼額医療機器—など「病床以外の医療資源」に関しても、配置への実効的なコントロール方策を早急に検討する
(viii)都道府県における医療費適正化の取組みに資する実効的な⼿段を付与し、医療費適正化に向けた地域別診療報酬の具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰す
 このうち(iv)の地域医療構想の実現に関しては、▼病床再編に向けた都道府県の権限整備▼地域医療構想の進捗に応じた保険者努⼒⽀援制度・地域医療介護総合確保基⾦の配分▼病床機能報告における定量的基準の策定—などが打ち出されています。ただし、「最も多い民間医療機関に対し、都道府県が機能転換命令を行うことなどは、憲法上、難しい」「進捗の低い都道府県への基金配分を薄くすれば、さらに進捗が遅れ、格差が広がる可能性がある」「定量基準を定めることは、病床機能報告制度の否定につながる(基準を定めるのであれば報告の必要はなくなる)といった課題もあり、さらに議論を詰めてく必要があるでしょう。
地域医療構想の実現に向けた、具体的なてこ入れ案(図 略)
 
また(viii)の「地域別診療報酬」には、「かえって医療費を高くするのではないか」との指摘もあります。現在は、オールジャパンという単位で「診療側と支払側との価格交渉」が中央社会保険医療協議会で行われていますが、これを都道府県単位で行った場合、「診療側のパワーが増し、支払側のパワーはさらに下がるのではないか」と考えられるのです(「診療報酬に詳しく、交渉能力に長ける」医師等は全国に多数いるが、「診療報酬に詳しく、かつ交渉能力に長ける」保険者関係者等の状況は未知数)。また、全都道府県で一定水準以上の事務局機能を果たせるか、というテーマについても疑問を持つ識者が少なくありません。効果・運用の双方でまだまだ課題があり、地域別診療報酬は「もう少し先の検討テーマ」と言えるかもしれません。

ケアマネジメントへの利用者負担導入など、近く正面からの議論を

 介護分野の「保険給付範囲の見直し」としては、次の2つの提案が行われました。
▼居宅介護⽀援(ケアマネジメント)への利⽤者負担導入
▼⼀層の総合事業の推進

 双方とも社会保障審議会・介護保険部会を中心に、専門家による議論が行われ「時期尚早」との結論が出ています。例えば、前者の「ケアマネジメントへの利用者負担」には「介護保険利用を阻害する」「利用者・家族によるプラン変更が助長される」といった懸念が、後者には「要支援1・2の訪問・通所介護が総合事業へ移行して間もなく、状況を把握しないままに拡大することは極めて危険である」との指摘が強いためです。

 もっとも前者については、利用者負担導入で「ケアマネジャーの意識も変わり、ケアマネジメントの質が高まる」ことが強く予想され、また後者については、今後データが集積される中で、「他サービスやより重度者の総合事業への移行」が可能かどうか実証されていきます。そう遠くない将来、両者については真正面から議論が行われることになるでしょう。

診療所や介護事業所の再編・統合なども、近い将来重要検討テーマに

高齢化の進行によって、介護費は著しい増加を見せており、「介護費用の伸びを抑える方策」が今後の最重要テーマの1つとなることは間違いありません。財務省は、次のような提案を行っています。
(a)在宅と施設の公平性確保も踏まえ、「多床室の室料相当額」も基本サービス費から除外する
(b)保険者機能強化推進交付⾦(自立支援等に積極的に取り組み市町村・都道府県へのインセンティブ)について、指標の達成状況がよくない⾃治体について、原因を分析し、都道府県・市町村の取組を⽀援する
(c)頻回なサービス利用に対する「保険者によるケアプランチェックのための指針」等を早急に策定・周知し、利⽤者の状態像に応じたサービスの利⽤回数や内容等についての標準化を進める
(d)介護費の地域差縮減に向けて、在宅サービスについても▼総量規制▼公募制—などのサービス供給量を⾃治体がコントロールできる仕組みを導⼊する
(e)⼈材の確保・有効活⽤やキャリアパスの形成によるサービスの質の向上などの観点から、「介護サービスの経営主体の統合・再編」等を促す

このうち(d)は、医療でも同様の問題意識が顕在化しています(診療所開業規制の是非など、さらに上記(vii)との関連)。また、これらは(e)の再編・統合とも共通要素があります。例えば、訪問看護ステーションについては、「数の整備」とともに「規模の拡大」が、以前より重要なテーマに据えられています。大規模化によって、個々の看護師の負担が減り、またサービス提供体制を手厚くする(例えば24時間・365日対応など)ことが可能です。また、再編・統合によって総務部門などの共通コストを低廉にすることが可能で、経営的なメリットもあります。さらに、業務負担軽減は「働き方改革」とも同じ方向を向いていると言えます。

高齢化だけでなく、少子化が進行する我が国では、医療・介護サービスの担い手不足が深刻化しており、今後、深刻度は増していきます。近い将来、病院だけでなく、診療所や介護施設・事業所においても「再編・統合」が検討すべき重要テーマの1つとなりそうです。

諸国における診療所開業等の状況(図 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/597140
日医「勤務医の健康支援を中心に」
医師の働き方検討委員会が答申
 
レポート 2018年4月12日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は4月11日の定例記者会見で、「医師の働き方検討委員会」(委員長:相澤好治・北里大学名誉教授)が2017年6月以降、計6回の会議でまとめ、横倉義武会長に答申した内容を発表した。日医が主催して「医師の働き方検討会議」を設置し、4月21日に第1回会議を開催することも報告。日医からは松本吉郎氏と今村聡副会長、市川朝洋常任理事が入り、四病院団体協議会の代表や、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員らから成る。6月まで3回程度の会議を予定し、同月頃に再開が見込まれる厚労省の検討会に、医療界としての見解を提示することを目指す。

 答申は、次の4項目による章立てで、最後の「まとめ」として、「地域医療を守るにあたって、勤務医の健康支援を中心に据えることが命題である」などと宣言している。
  勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現
  勤務医の労働安全衛生の充実
  地域医療を守る
  医師会の役割

「労働時間等設定改善委員会」活用を
 松本氏は、「この答申の一番の核」として「2.勤務医の労働安全衛生の充実」を挙げた。2015年の「労働基準監督年報」で、労働基準監督署の定期監督によって、医療保健業では1772事業場のうち78.8%の1396事業場で法令違反が指摘された。全業種平均は69.1%で、医療保健業ではかなり高い割合となっている。特に健康診断では全業種が14.1%に対し、医療保健業では25.6%で法令違反が指摘されており、答申では「医療界全体として反省すべき重要な課題。安全衛生に関わる多くの専門家を有する医療保健業で、法令違反が多く指摘されていることは重く受け止める必要がある」と指摘した。

 対策としては、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」により、労働安全衛生法で規定されている衛生委員会を「労働時間等設定改善委員会」として活用できることが定められていることを紹介。労働者の健康に関して調査や審議をする衛生委員会で労働時間設定の検討が可能であるとして、「長時間労働が問題となっている現状を踏まえた多角的な取り組みを促すための施策であり、大いに活用すべきである」と指摘している。

 「1.勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現」では、一般論としての労働時間の定義から始まり、宿日直やオンコール、自己研鑽など医師特有の労働形態や、労働法制との乖離について考察。例えば、宿日直は労働基準法上、「状態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるもので、定時巡回や少数の要注意患者の検脈、検温など」に限るが、実態としては救急患者や容態急変の患者への対応など通常の労働を行っていることを指摘している。対策は、医療勤務環境改善支援センターの充実強化を挙げ、都道府県医師会のアンケートで寄せられた、「診療報酬上の加算」、「医療機関管理者である医師への啓発」などを紹介した。

「時間外労働の上限規制は必要」
 今後、厚労省の検討会でも議論が本格化するとみられる、医師の時間外労働の上限規制については、時間外労働時間に関する「医師の特別条項」を医療界が意見集約して設定することが妥当と主張。その特例を定めるに当たっての基本的視点として、「時間外労働の上限規制は必要」、「医師の労働時間の取り扱いについて共通認識の下で検討される」など7項目を挙げた。具体的な時間については、答申では挙げていない。

「3.地域医療を守る」では、労働時間制限による地域医療への影響について、日医「勤務医委員会」が行った医師へのヒアリング結果として、次の6点を紹介。

(1) 救急医療からの撤退
(2) 外来診療の縮小
(3) 産科・小児科の撤退
(4) 医療機関の経営破綻
(5) 医療の質の低下
(6) アクセスや利便性の低下
 答申は、日医の立場として「医師の勤務環境改善には全面的に賛成であるが、患者や地域住民が健康を害する政策には反対である」ことを強調。応招義務について議論を深め、「現代にあった解釈または法改正を行う」ことの必要性や、タスク・シフティング、タスク・シェアリングなどによる医師の効率的活用、女性医師の離職防止と復職支援、救急車の利用や「コンビニ受診」など、住民の理解と協力などの対策を挙げた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180412133959
都道府県別の診療報酬、「医療の質低下の恐れ」
日医・横倉会長、反対姿勢を改めて表明
 
2018年04月12日 13:55 CB news

 財務省が財政制度等審議会財政制度分科会で「都道府県別の診療報酬」の設定を提案したことを受け、日本医師会の横倉義武会長は11日の記者会見で、「県境における患者さんの動きに変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動によって地域における偏在が加速することで、医療の質の低下を招く恐れがある」とし、反対の姿勢を改めて示した。【松村秀士】

 11日の財政制度分科会で財務省は、医療費の適正化につなげるため、「地域別診療報酬」を設定する仕組みの活用を提案した。

 会見で横倉会長は、「都道府県別の診療報酬」の設定について、「これまで、医療は地域によって分け隔てなく全国一律の単価で提供すべきだと述べ、一貫して反対の姿勢を示してきた」とし、財務省案に反対する姿勢を示した。

 横倉会長はまた、「診療報酬で人事院規則が定める地域に従い、1級地から7級地までの地域加算があり、入院基本料などに加算されている」とし、既に地域の特性を考慮した加算が設けられていると指摘した。

 「都道府県別の診療報酬」の設定については、2017年12月7日の社会保障審議会医療保険部会で「議論の整理案」として示されたが、委員からは「慎重に検討する必要がある」といった意見が出ていた。

 高齢者の医療の確保に関する法律の14条では、「厚生労働大臣は、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」(診療報酬の特例)とされている。ただ、具体的な運用規定がなく、この特例はこれまで適用されたケースはない。

 奈良県が3月に策定した第3期医療費適正化計画では、医療費の削減目標を23年度に達成するのが困難な場合、全国とは異なる診療報酬を設定するよう、国への意見提出の検討を方針として掲げている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596915
シリーズ 社会保障審議会
「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討
厚労省、医療法・医師法改正案の医師不足対策を説明
 
2018年4月11日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局総務課長の榎本健太郎氏は、4月11日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、3月13日に閣議決定した「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」に盛り込んだ「医師少数区域」等で勤務した医師を「認定」する仕組みについて、「例えば、認定を受けた医師が専門医を取得する際や、医療機関を開設する際の支援をしたり、認定医師を雇用する地域の医療機関の税制を優遇するなどが考えられる。認定される医師をしっかりと活用する枠組みを今後、先生方の意見を聞きながら整理していく」と説明した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「医師少数区域」での勤務経験を持つ医師を厚生労働大臣が認定する仕組みは、今回の改正案で打ち出された医師偏在対策の一つ(『医師偏在対策に向けた医療法等改正は2段階で実施』などを参照)。永井座長が「認定医師をどのように使うのか」と質問したのに対し、榎本課長が回答した。

 「医師少数区域」は、国が定める「医師偏在指標」に基づき、都道府県が定める。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「医師・歯科医師・薬剤師調査」や「医療施設調査」などを基に全国一律に決めることなく、「地域の実情を反映できる仕組みにしてもらいたい」と強く要望した。日本病院会会長の相沢孝夫氏も、「2次医療単位で、必要医師数を決めて確保しようとするのは、非常に融通が利かないやり方。これにより、医療が崩壊することがないように忠告する」と語気を強めた。

 認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、新専門医制度において都道府県が日本専門医機構に問い合わせを行っても返事が返ってこないため、同機構への不信感が募っている現状があると指摘(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。医療法・医師法改正案に「厚労大臣は、日本専門医機構等に対し、必要な措置の実施を要請できる」旨が盛り込まれている点について質問。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で「同機構の代表者から、今後改善していくという発言があった」と紹介、「都道府県から出てきた意見を集約して機構に伝えるなど、改善の取り組みについて国が調整的な役割を果たしていく」と回答した。

 そのほか、永井座長は、「地域枠」で入学した医師の定着を図るため、約20%は臨床研修修了後、「地域枠以外の県」に勤務している実態を踏まえ、「本当にこの制度が機能しているのか。地域枠の県を離れた理由などを詳しく調査するよう求めた。

4月11日の社保審医療部会は、計5つの報告事項について議論。

 オンライン診療料、指針は緩い?

 厚労省は、省内で検討した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」、「検体検査の精度管理等に関する検討会」、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」、「無痛分娩の実態把握および安全管理体制の構築」についても報告した。

 特に意見が出たのは、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」と「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」について。

 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は3月30日に公表された(『「対面診療なしオンライン診療」も条件付きで許容』を参照)。

 国立病院機構理事長の楠岡英雄氏は、2018年度診療報酬改定で新設されたオンライン診療料は、初診から6カ月が経過した患者が対象であり、30分以内に患者が対面診療を受けられる医療機関に限るなどの条件がある一方、指針はそれより緩い条件になっているとし、「最初から自由診療を前提としている場合、緩やかな体制で実施する可能性があり、十分に注意してもらいたい」と指摘。

 それを受け中川氏が改めて、オンライン診療料と指針の関係について、「公的医療保険下と自由診療下で、オンライン診療に違いはあるのか。自由診療だから何をやってもいいわけではない」と質問。

 武井課長は、「オンライン診療全体についての基本的な考え方を整理したものが指針であり、有効性、安全性、必要性の観点からまとめている。オンライン診療料の算定に当たっては、指針を踏まえることが当然であり、エビデンスがある一部について報酬が付いたという整理になる。保険診療上の取り扱いと、衛生法規としての指針は、ともに同じ方向性を向き、整合性を取りながらやっていく」と答え、保険診療か自由診療かを問わず、同じ考え方に基づいて進める方針を示した。中川氏は、「今回のオンライン診療料の施設基準は、ストイックですばらしいと思っている。この精神が指針で緩むことがあってはならない。この点についてはぜひ気を付けてもらいたい」と釘を刺した。

 日医常任理事の釜萢敏氏は、オンライン診療は対面診療が基本であるものの、「禁煙外来など、定期的な健康診断等が行われる等により、疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものに限っては、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る」とある点について質問。武井課長は、記載の条件を全て満たすことが大前提であると答えた。

 ACP、課題は普及・啓発

 「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」は3月末に報告書をまとめた(『ACP普及へ、厚労省検討会が報告書で大筋合意』を参照)。3月14日には、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が改訂された。これらを評価する声が相次いだ一方、普及・啓発の難しさのほか、死生観についての教育の必要性なども指摘された。

 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、ガイドラインやACPについての医師や国民の医療者の認知度は低いと指摘、これらが普及すれば、マンパワーや医療費を有効に使うことが可能になるとした。政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、在宅から救急搬送される場合などを念頭に、「救急車を呼べば、延命治療を希望していると受け取られる」などと述べ、地域で患者の意思を共有する仕組みの必要性を指摘。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、延命治療を中止した場合の法的責任ついて質問。厚労省医政局医師確保等地域医療対策室長の松岡輝昌氏は、「指針は、法律ではなく、あくまでも標準的なやり方を示したもの。法的なものが阻却されるような効力はない。しかし、これを指針に則り実施することにより、結果として患者家族とのコミュニケーションがよくなり、法的な争いがなくなるという効能は指摘されている」と答えた。

 猪口氏は、「終末期」と「人生の最終段階」という言葉の使い分けについても質問。松岡氏は、2015年から「人生の最終段階」に名称変更したと説明。「終末期というより、最後まで尊厳を持って生きていただくというイメージを持ってもらうため」であるとし、行政としては「人生の最終段階」を使う方が圧倒的に多いが、「終末期」という言葉の使用を禁じているわけではないとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597508
シリーズ 真価問われる専門医改革
東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%
サブスペシャルティ認定基準決定、「当面は抑制的に」
 
レポート 2018年4月14日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は4月13日の会見で、東京都の基幹施設に登録した専攻医の1年目から3年目の勤務地に関する調査結果を公表、1年目は東京都以外が13.6%、2年目は33.6%、3年目は43。8%に増加する見通しであることが分かった。同機構副理事長の松原謙二氏は、「東京に一極集中したのではないかと言われるが、3年目には半分近くが関東、甲信、静岡に行くことになる。東京に集まっているように見えても、(周辺地域への)循環がうまくいっている」と説明した。同機構副理事長の山下英俊氏も、「東京集中を増長はしていない」とし、東京都への医師の集中は、新専門医制度のみではなく、初期臨床研修の在り方も含め、総合的に検討する必要性を指摘した。

 この4月から新専門医制度に基づき研修を開始するのは、計8378人。日本専門医機構の吉村博邦理事長名で、「新専門医制度の開始に当たって」という声明を近く同機構のホームページに掲載する予定。

 都内の基幹施設に登録した専攻医の勤務地は、以下の通り(各年で総専攻医数が異なるのは、現時点で未定の場合があるため)。

・1年目:東京1317人、神奈川65人、千葉51人、埼玉29人、静岡24人、栃木14人、茨城12人、福島5人、長野3人、群馬2人、北海道1人、山梨1人
・2年目:東京779人、神奈川98人、千葉84人、埼玉76人、茨城30人、静岡29人、栃木28人、福島16人、長野10人、群馬5人、北海道4人、鹿児島4人、沖縄2人、山形2人、宮城1人、富山1人、山梨1人、広島1人、愛媛1人、宮崎1人
・3年目:東京621人、埼玉115人、千葉97人、神奈川85人、静岡56人、茨城40人、福島22人、栃木19人、長野12人、群馬9人、鹿児島6人、山梨5人、山形3人、沖縄3人、北海道2人、新潟2人、青森1人、岩手1人、岐阜1人、兵庫1人、高知1人、大分1人、宮崎1人

 13日の理事会では、日本専門医機構の一組織である「基本問題検討委員会」で、今後の専攻医のシーリング(募集定員の上限)の在り方を検討することも決定した。山下副理事長は、「都道府県協議会で、(専攻医数などについて)審議できる時間を取れるようにする」と述べた。2019年4月開始の専門研修の専攻医登録は、9月1日から始める予定であり、それ以前にシーリング数について情報提供する方針。

 サブスペシャルティの認定基準も承認した。山下副理事長は「サブスペシャルティは、全国の平均的な都市の中核病院に掲げている診療科、診療部門のイメージ」であると説明。内科であれば、循環器や呼吸器など、国民にとって分かりやすいサブスペシャルティを目指す。「しばらくの間、認定する数は抑制的に考えていく」(山下副理事長)。サブスペシャルティ学会から研修内容などの書類提出を求め、審査する。既に認定されている内科13、外科6、放射線科2、計21のサブスペシャルティについても、書類の提出を求めるべきとの意見があったという。(1)単数の基本領域学会と関わるサブスペシャルティ領域学会の場合、当該基本領域学会が認める、(2)複数の基本領域学会と関わるサブスペシャルティ領域学会の場合、基本領域学会と関連する学会が認める――ことが認定基準で、いずれの場合にも、理事会で最終的に認定する。

 19の基本領域のうち、総合診療専門医については、日本専門医機構が運営する。「Adhoc委員会」として、「総合診療専門医に関する委員会」を設置していたが、今後、運営委員会を設置し、総合診療専門医についての議論を月1回程度、議論していくことも決まった。

 「専攻医の移動の把握が可能に」、意義強調
 東京都の基幹施設への調査は、321施設を対象に実施、287施設から得た回答を集計した。詳細に研修先を把握している小児科以外の専攻医の勤務地を聞いた。その結果、東京都以外で研修する専攻医数は、1年目は13.6%(1524人中207人)、2年目は33.6%(1173人中394人)、3年目43.8%(1104人中、483人)。

 松原副理事長は、調査の回答が集まってきた当初は、1年目でも都外が20%を超えていたが、集計が進むにつれ、その割合が下がったことから、「東京都外に専攻医を出す施設が、調査に協力的だったのだろう」と見る。「パーセンテージではなく、(都外で研修する専攻医数の)絶対数に意味がある。絶対数は増えることはあっても、減ることはない」。また反対に、地方の基幹施設から東京都の連携施設で研修する専攻医も存在する。「これまで専攻医の移動を把握する仕組みがなかった。今回初めてデータで把握できるようになったことに意味がある」と強調した。

 なお、日本専門医機構については、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、都道府県への情報公開の在り方が問題視された(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。松原副理事長は、「連携施設になっていない病院について、『入れてもらいたい』という問い合わせが多かった。学会とのやり取りに時間がかかっていたのは事実。3月31日までに全ての問い合わせに対し、返事を出した」と述べ、各学会に職員派遣を依頼するなどして、事務局体制を強化する方針を説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596278
「他ができる仕事をなぜ医師が」、外国で指摘も
日本外科学会定期学術集会、特別企画「働き方改革」
 
2018年4月10日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「外科医の働き方改革:現状と改善方策」が都内で4月5日、開催された。登壇者は異口同音に、医師の中でも労働環境が過酷な外科医の負担を軽減する対策として、「外科医でなくてもできる仕事を移管すること」の重要性を力説。東京慈恵会医科大学外科学講座准教授の川瀬和美氏は、フィンランドの医療機関を視察した際に、「なぜ医師以外の人ができる仕事を、医師が行わなくてはいけないのか。高給を支払って、時間を無駄遣いしている」と指摘されたことなどを紹介した。

 北海道大学循環器・呼吸器外科教授の松居喜郎氏は、「外科医が比率からすると一番減っている。外科専攻医もどんどん減り、特に新専門医制度で外科を専攻する人がかなり減っている のは問題だ。真剣に考えないといけない」と指摘。女性医師の比率が他科より小さいことや、手術以外の仕事が外科医の主なストレスになっていること、当直明け勤務の疲労がインシデントの一因となっていることなどを説明した上で、「外科医の働き方改善方策」として、「外科医の中心的仕事が手術であるようにする」、「教育体制を含む施設集約化により、個々の症例数を増やし外科医の質を担保する」ことなど、6項目を提言した。

「なぜ医師以外ができる仕事を医師が」指摘
 川瀬氏は、日本外科学会男女共同参画委員会が2007年と2014年に行ったアンケートの結果を基に発表。過剰労働を生む要因の一つとして、アルバイトをしなければ生活が成り立たない場合があるという問題を取り上げた。アルバイトをしていないグループ(G1)と「年収の30%以上をアルバイトに頼っている」グループ(G2)に分けたところ、G2は大半が大学病院勤務。週の労働時間が60時間を超えるのは、G1では60%弱なのに対してG2では約80%で、90時間以上も約20%いた。一方で、大学病院の医師がアルバイトをしなくなった場合、地域の病院、診療所、健診センターなどの多くの医療機関が成り立たなくなることや、地域医療に貢献するためにアルバイトをする医師も多いことを指摘した。

 フィンランドのヘルシンキの医療機関を視察した際に、「なぜ医師以外の人ができる仕事を医師が行わなくてはいけないのか。高給を支払って、時間を無駄遣いしている。他の職種に任せて患者を診療した方が割に合う」と指摘されたことも紹介した。

外科医の労働環境改善にはPA
 防衛医科大学校名誉教授の前原正明氏は、米国で1960年代に導入された、フィジシャンアシスタント(PA)やナースプラクティショナー(NP)が効果的に機能していることを説明した。それによると、導入の目的は外科医の労働環境改善と、外科医の専門性を高め、一人の外科医がたくさん手術をして、技術を高めることなどがあった。

 日本での中間職種に関するこれまでの経緯も紹介。厚生労働省の検討会が2010年3月に、国家資格を持つ新たな職種として特定看護師を創設する報告書をまとめたが、2013年3月には「特定行為に係る看護師の研修制度」として、日本医師会や日本看護系大学協議会の反対を受けて「骨抜きになった」と説明した。

 今後については、現行の「特定行為に係る看護師の研修制度」を2年以上のプログラムを組んで発展的にやっていくか、全く新しいPAやNPを職種として導入していく必要があることを提言。「現在の医師の働き方改革も追い風になっている。何とか先に進んでいきたい」と話した。

 東京女子医科大学講師の西田博氏は、タスクシフティングの重要性について講演し、タスクシフティングを「各医療職のコア業務に専念できるようにし、『その医療職にとっての雑用から解放して専門性を高めること』」と説明。今後目指すべき方向性としては、現在の「特定行為に係る看護師の研修制度」の枠組みの中で特定行為を増やすのではなく、「周術期PA確立に向けて新しい枠組みをつくる」ことだと指摘。医学部医学科の修士課程での教育で、(1)「特定行為に係る看護師の研修制度」を行う、(2)看護師をベースにしたPA教育制度を確立する、(3)臨床工学技士など看護師以外の医療職も参加可能なPA教育制度を確立、(4)米国型PA(基礎となる医療職なし)=新しい職種――を提案。これらを実現するためには、日医など関係各方面との利害調整のための恒常的な相談の場をつくる必要も挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594779
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「東京集中」の是正、初期臨床研修から要検討の余地◆Vol.3
「初期研修医⇒専門研修」、移動先を都道府県別に分析
 
医師調査 2018年4月8日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度では、東京都など都市部に専攻医が集中したか否かが議論になっている。初期臨床研修と専門研修の実施場所(都道府県別)について、4月から専門研修を開始すると回答した計276人の医師に聞いたところ、トップは東京都で63人(22.8%)。日本専門医機構が、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で公表したデータでは、専攻医8394人中、東京都での専門研修実施は1811人(21.6%)だった(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。

 専門研修で増えた都道府県も、東京都が19人で最多だった。以下、福岡県(8人)、宮城県(5人)、大阪府(5人)などとなった。回答数が限られた調査であるものの、各地域ブロックの中心地に多い傾向が見て取れた(Q1)。

Q1.初期臨床研修と専門研修の実施場所(n=276、都道府県別、表中の数字は人数)
(表 略)

 今回の調査で初期研修医が多かった上位3都県について、初期研修医がどこで専門研修を行うかという視点から分析したところ、東京都では44人中、37人(84.1%)が東京都と回答。神奈川県では、28人中、16人(57.1%)が残るものの、7人が東京都に移動する(Q2)。愛知県は22人中、17人(77.3%)が愛知県に残るが、次のQ3 の回答結果と併せて見ると、愛知県に移動した研修医はゼロだった。

 東京都は初期研修医が多い上に、専門研修も引き続き東京都に残る割合が今回の調査では高かった。初期臨床研修と専門研修において、医師の地域偏在是正を進めるのであれば、初期臨床研修のマッチングの在り方も含め、検討する必要がありそうだ。

Q2.初期臨床研修医から見た、専門研修の実施場所(東京都:n=44、神奈川県:n=28、愛知県:n=22、表中の数字は人数)
(表 略)

 一方、専門研修医が多い上位3都県について、初期臨床研修をどこで実施したかを分析した結果、63人中、37人(58.7%)が東京都でトップ、以下、神奈川県7人、埼玉県4人、千葉県3人と周辺県からの流入が多かった(Q3)。神奈川県については、22人中、16人が神奈川県。

Q3.専門研修医から見た、初期臨床研修の実施場所(東京都:n=63、神奈川県: n=22、愛知県: n=17、表中の数字は人数)
(表 略)

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性29人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人   (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2923818010042018EE8000/
地域別に医療費下げ 財務省、社会保障費の抑制案
診療報酬の特例活用
 
2018/4/11付日本経済新聞 朝刊

 6月に政府がまとめる新しい財政健全化計画に向け、財務省は計画の柱となる社会保障費の抑制策の議論に入る。病院や薬局などの医療機関が受け取る「診療報酬」を都道府県がそれぞれ設定するよう促したり、訪問介護サービスの過剰な利用を減らしたりする。医療関係者などの反発も予想されるなか、どこまで改革に踏み込めるかが焦点になる。

04144_20180416060903410.jpg
04145_2018041606090438f.jpg

 11日に開く財務相の諮問機関、財政制度等審議会に具体的な改革案を示す。まず、厚生労働相や都道府県知事が特例で決められる「地域別診療報酬」の活用を打ち出す。

 診療報酬は公的医療保険で受けられる医療サービスの一つ一つに定められた公定価格。全国一律が原則だが、法律上は都道府県が独自に設定できる。点数制で表示され、1点は10円で換算する。

 例えば1点10円の報酬を9円にすれば、医療費は10%削減できる。奈良県が先行して導入を議論しており、財務省はこうした取り組みを全国に広げることをめざす。

 社会保障費を切り詰めるため、外来患者に受診ごとに一定額を支払ってもらう「定額負担制度」も論点にする。現在は患者が紹介状なしで大病院を受診した場合、5千円以上を医療費に上乗せするが、この仕組みの対象を大幅に広げる。

 財務省は新しい薬や医療技術に自動的に保険を適用する仕組みを見直し、費用対効果から判断する必要性も訴える。市販薬と同じ成分の一部の医薬品を保険適用から外すこともテーマにする。

 訪問介護サービスの適正化も進める。例えば高齢者を訪問して掃除や買い物など身の回りの世話をする生活援助サービス。平均の利用回数は月10回程度だが、100回前後使う人もいる。過剰な利用を抑えるため、要介護度の低い人向けのサービスは保険給付から外すことも想定する。

 一連の見直しには反発も予想される。診療報酬を一部の地域だけ下げれば、その地域の医療関係者から反発を招く可能性が大きい。外来患者の負担増も、患者が必要な受診まで抑制して病状が悪化する事態をどう防ぐかなどが課題となる。

 学者や経済人らでつくる財政制度等審議会は、11日に財務省が提示する改革案をもとに議論に着手。5月をめどにまとめる意見書を麻生太郎財務相に提言する。6月の新しい財政健全化計画に反映させたい考えだが、厚生労働省や内閣府などとの調整も必要になる。

 政府は税収などで政策経費をまかなえているかを示す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2020年度までに黒字化する従来の計画の撤回を余儀なくされた。

 今後、新たな黒字化目標を設定するが、団塊世代が後期高齢者になる25年にかけ社会保障費の膨張は避けられない。予算を効率配分する具体策が欠かせなくなっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597210
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
2022年度以降の医学部定員、「削減」の方向で検討
2020年度と2021年度の定員は「現状を維持」

レポート 2018年4月12日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、4月12日の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、2020年度と2021年度の医学部の入学定員について、「現状の9419人をおおむね維持する」と提案、構成員は提案を支持した。各都道府県、各大学の臨時定員増員等の要望に対しては、全体として現状程度の定員を超えない範囲で慎重に精査する。

 さらに2022年度以降については、医学部定員は減らす方向で議論が進み、ほぼ意見の一致を見た。2008年度以降の医学部定員増は、「地域枠」を中心に増やしてきたが、現行の暫定増員は2019年度に終了する。定員削減に当たっては、「地域枠」を減らさないような仕組みを求める声が相次いだ。同分科会は今後、1、2回の議論を経て、5月末に第3次中間取りまとめを行う予定。

 厚労省提案の根拠になったのが、新たな医師の需給推計(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。医師の労働時間を「週60時間程度(月の時間外労働は80時間相当)に制限」等による推計では、2020年度の医学部入学者が臨床研修を修了する2028年頃に約35万人で需給は均衡。「週55時間程度(年間の時間外労働は720時間相当)に制限」等による推計では、2033年頃に約36万人で需給は均衡する。厚労省は2016年6月の第1次中間取りまとめに先立つ、同年3月にも医師需給推計を公表していた(『医師需給、「2024年に約30万人で均衡」との推計も』を参照)。

 医師の需給推計には、医師の働き方改革が影響するが、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の結論は2019年3月に予定されている。また、医師の需給推計には、「医師・歯科医師・薬剤師調査」のデータも必要だが、2018年調査の結果公表は、2019年12月頃。医学部受験生への配慮もあり、「医師需給について検討が可能なのは、最短で2022年度以降の医師養成数」(検討期限は2020年5月頃)というのが厚労省提案の背景だ。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、厚労省提案について、「方向性については、おおむねいい」と支持。さらにその先の方向性として、将来は医師の需要が減少していくことは間違いない事実であるとし、「医師の養成数は減らしていく方向性を見据えながら、議論していくことを、(第3次中間取りまとめに)ぜひ記載してもらいたい」と求めた。「今、暫定定員増で地域枠を増やしているが、それを減らすと、医師偏在対策の大きな柱がなくなってしまう。恒久定員の中に地域枠を確保できる枠組みにしてもらいたい」(今村氏)。その他の構成員も厚労省提案を支持。

 片峰座長は、今村氏の発言を受け、「今後、働き方改革の帰趨(きすう)がどの程度、医師の需給にインパクトを与えるのか。それで多少変動があっても、(厚労省が示した医師需給推計の)トレンドは変わらないのではないか。将来的には医師養成数を減らすという方向性をどのように第3次中間取りまとめに書き込むかがポイントではないか」とコメントした。

 医師数、医学部定員で調整

 医師需給分科会は2016年5月に第1次取りまとめ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)、2017年12月に第2次取りまとめ(『「第2次中間取りまとめ案』を参照)をそれぞれ行った。

 構成員の多くが、2022年度以降の医学部定員減を求める中、慎重な検討を求めたのが、国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏。医学部定員のみならず、医学部の卒業試験、医師国家試験の段階のほか、専門医定数によっても医師数の調整が可能であると指摘。緊張感ある医学教育を行うためにも医学部定員は一定数確保し、医学部定員数のみではなく、どこで医師数を調整すべきかを一度、議論すべきではないかと提案した。

 これに対し、慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、厚労省の医師需給推計を基に、「将来、医学部定員を減らす方針がここで認められたということでいいのではないか」と述べ、その上で「いかに減らしていくかだが、医学部に入学する学生の偏差値はものすごく高い状況。どんなテストをやれば、(その卒業生を対象とした)医師国試の合格率が8割となるのか。それはロスではないか。その段階の調整は考えなくていいのではないか」と付け加えた。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏も、「その論点は、重要。しかし、ロースクールの多くは、閉鎖に追い込まれている。同じようなことが起こり得る」と述べた。厚労省医政局医事課も、「医師を養成していくためには社会資源が必要であり、その点も踏めて検討しなければいけない」とし、医学部定員の段階での調整が必要との見方を示した。

 医師需給推計、「働き方改革」と密接に関連

 医師需給推計、今後の医学部定員をめぐって、多くの構成員から出たのは、医師の需給に関係する医師の働き方改革と並行して進める必要性と、医師需給推計の精緻化だ。

 医師の働き方改革の関連で、今村氏は、看護師や事務だけでなく、薬剤師も医師のタスクシフティングの対象になり得るとし、薬剤師の需給の検討について質問。厚労省医政局医事課は、薬剤師の需給等も推計することを考えているが、その検討の場は未定とした。

 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、自院の緩和ケア病棟の事例を紹介。夜間は同病棟の主治医ではなく、内科当直医が診る体制に変更したものの、患者家族からのクレームはなかったとし、「日本的な主治医制を変えていくことは、われわれが思っているほどには難しくないのではないか」と述べた。さらに医師需給推計について、医師・歯科医師・薬剤師調査の結果がまとまるたびに検討するなど、検討する機会を設ける必要性を指摘。

 その他、医師需給推計については、患者の受診行動、診療科による男女比率の相違、応招義務の在り方など、さまざまな要素を勘案して精緻化を求める声が相次いだ。しかし、森田氏は、政策決定に必要な推計は、科学的推計とは異なる難しさがあると指摘。「例えばある推計をしても、何らかの政策が出た途端、人々の行動は変容するので、推計はほぼ確実に外れる」とした上で、「社会が上向きの場合はいいが、そうではない場合はかなり固めに推計する。医師については供給が需要を上回ってくることは間違いない。細かい方策として何が必要かという調整をしていくことが必要」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/596674
「国際的に十分な成果出ていない」 研究者の認識増える 
その他 2018年4月14日 (土)配信朝日新聞

 文部科学省の科学技術・学術政策研究所は10日、研究者や有識者らへのアンケートで、「国際的に突出した成果が十分出ていない」とする認識が、前年度より増えたと発表した。大学の研究環境などに対する強い危機感も示されたという。

 アンケートは研究機関のトップや大規模プロジェクトの責任者ら研究者約2100人と、産業界の有識者ら約700人が対象。2016年度から5年間の継続調査で、2年目の今回は17年9~12月に実施し、全体の92%から回答を得た。

 「基礎研究で国際的に突出した成果が十分出ていると思うか」についての回答を10点満点に換算すると、研究者の平均は4•1で、前年度より0•6ポイント低下。有識者は同4•0で、0•5ポイント下がった。

 研究者を対象に、研究費が十分にあるか尋ねると、答えは平均2•4で、前年度より0•2ポイントの低下。研究時間を確保する取り組みについても平均2•2で、0•2ポイント下がったという。

 成果で大学を競わせる文科省の政策が基礎研究の衰退を招くとの指摘もあるが、研究所は「むだを省き、限られた経費でできるだけ多くの研究費を確保」などの事例を挙げ、「(改革は)少し長い目で見る必要がある」としている。(小宮山亮磨)



https://www.m3.com/news/general/596406?id=mrank
増えぬ医学部「地域枠」なぜ 公立大で最少の京都府立医大 
大学 2018年4月9日 (月)配信京都新聞

 地域医療に従事する意向がある地元出身者などを優先的に入学させる大学医学部の「地域枠」で、京都府立医科大(京都市上京区)の枠が自治体設置の公立医大8校の中で最少の7人となっている。全国的には枠を拡大し、医療過疎地へ医師を送る自治体も目立つが、府は「府立医大は全国の医療充実に貢献している実績がある」と増員に慎重な姿勢を崩さない。

 医師偏在が問題になる中で地域枠は、国が2008年度、導入する医大に定員増を特別に認めたことで急速に増え、10年間で約9倍になった。札幌医科大は定員の8割を地域枠に充てるなど、特に地域医療を担う自治体設置の公立大が積極的に活用している。

 府は府内の中高出身者などを対象に、在学6年間で奨学金計1080万円を貸与し、研修後に6年間、南丹市以北の医療機関に勤務すれば返済免除にしている。ただ枠は医学部定員の約6%で、地域枠を導入する国公立・私大の計71大の17年度平均(20%)より低く、国公立45大では東京医科歯科大(4人)、名古屋大(5人)に次いで少ない。

 府立医大によると、17年度入学者のうち府内の高校出身者は43%で、例年も3~4割程度という。府内病院で研修を終えた卒業者が、府内の病院に勤務した割合は68%(16年度までの3年平均)と、全国平均(85%)より低い。地域枠を増やせば京都府北部が悩む医師不足が改善する可能性がある。

 府医療課は「奨学金は府民の税金で予算上の問題がある」とした上で、「地域医療に加え、全国の病院で活躍する医師の養成も重要。定員が増えないまま地域枠を拡大すると、一般受験者の門戸を狭めてしまう」と説明する。定数増が認められた7人分の地域枠を充て、一般枠100人を変えていない。

 京都府内の病院が研修医から人気が高いことも理由という。他府県からの希望者が多く、国から都道府県に割り当てられる研修医定員は毎年、ほぼ満員になる。研修医流出に悩む他県から削減を求める声があるといい、「地域枠を増やしても、府内で研修できない恐れもある。研修医定員の死守が先決」(医療課)という。

 府の10万人当たりの医師数は314•9人(16年12月末現在)と全都道府県で2番目に多いが、京都市周辺の京都・乙訓医療圏に集中し、他の医療圏は全国平均以下。地域間格差が顕著で、市町村からは府に医師派遣を求める声が強い。

 「大学の自治」で医大の医師には知事の人事権が及ばない難しさもあるが、8日の府知事選投開票を控え、府民は府立医大の役割をどう考えるのか。



https://www.m3.com/news/general/595736?id=mrank
【愛媛】医学生奨学金 応募ゼロ 
2018年4月5日 (木) 読売新聞 愛媛

◇新居浜市

 新居浜市が2017年度に新設し、昨年4~10月に定員3人で募集した医学生向け奨学金制度で、一人も応募がなかったことがわかった。「市内の高校卒業」など条件が厳しかったためとみられ、市は応募期間を3月29日まで延長したが、申請はなかったという。18年度も同じ条件で希望者を募るが、今後は条件の緩和も検討する方針だ。

 奨学金制度は市内の医師の減少に歯止めをかけようと市が創設。入学金(上限50万円)と月20万円の奨学金を最大6年間貸与し、奨学金を受けたのと同じ年月だけ、愛媛労災病院など市内の指定病院3施設に勤めれば返還が免除される。

 貸与の条件は<1>市内の高校を卒業<2>国内の大学医学部に通学<3>本人か保護者が市内在住――など。市によると、市内に住む医学生の保護者2人から相談があったものの、学生が松山市にある私立高出身で応募がかなわなかったという。



  1. 2018/04/16(月) 06:25:26|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

4月8日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/596080
真価問われる専門医改革
減少続いた外科専門医数、「新専門医制度で回復傾向に」
日本外科学会定期学術集会、特別企画「サブスペシャル領域を見据えた新専門医制度のあり方」

2018年4月6日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「サブスペシャルティ領域を見据えた新専門医制度のあり方」が4月5日、都内で開催され、同学会専門医制度委員会委員長で慶應義塾大学外科教授の北川雄光氏は、外科専攻医は2018年度805人であり、最近減少傾向にあったものの、「今回の新専門医制度で少し回復の傾向が見えてきた」と語った。外科研修を開始した医師数は、過去5年間は減少傾向にあり、2013年度832人、2014年度816人、2015年度787人、2016年度816人、2017年度740人だった。

 ただし、「外科専攻医の地域偏在はある」と認め、「今後取り組まなければいけない課題」であるとした。外科専攻医の募集定員は、204プログラムで計2044人。最終登録した専攻医は805人。大学病院のプログラムに集中することはなかったものの、204プログラムのうち、専攻医の応募がなかったのは44プログラムで、うち大学病院のプログラムが7プログラム。「専攻医3人以下」が8県で、うち2県は1人のみだった。

 外科専門医については、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺、内分泌外科の6領域が、日本専門医機構認定のサブスペシャルティとなる。北川氏は、「外科系専門医制度グランドデザイン」も提示。「外科専門医を取得した人が、6つのサブスペシャルティのいずれかを取得し、その上に主に技術的なものを中心として、高度の技能をリンクさせた3階部分の高次専門医を取得する。外科医がこの縦の方向に、努力して上っていけば、報われる構造を作らなければいけない」(北川氏)。外科系の症例データベースであるNCD(National Clinical Database)で各段階の必要専門医数を算出し、医療経済効果を勘案しながら、専門医へのインセンティブを設ける必要性も強調した。

 特別企画では、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏が基調講演を担当。「サブスペシャルティについての検討は遅れている」と断りつつ、この4月中にはサブスペシャルティの新規認定基準を決定するなどの意向を示した。「基本領域学会の推薦がある」「日本専門医機構理事会の過半数の承認を得る」などの基準を想定しているという。

 吉村氏は、新専門医制度全般についても講演。3月15日現在での専攻医数は8394人(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。「こんなにも多くの若い先生方に、新専門医制度に参加してもらうことは、日本の医療レベルを向上させるという意味ではよかったと思っている」(吉村氏)。「大都市圏への医師偏在」を加速させないために、5都府県の専攻医の募集定員のシーリングを設けたとし、対象となった14基本領域全て「シーリング内に収まった」と説明した。吉村氏は、新専門医制度をプロフェッショナル・オートノミーで運営する重要性も強調。学会が主体的に運営することが基本であるとし、「国が出てくると厄介なことになる」とも述べ、学会と日本専門医機構が連携して統一的な制度を構築する必要性を強調した。

 特別企画では、6つのサブスペシャルティの代表者も講演。2016年度外科専門医試験合格者とその指導責任者を対象にした「外科専門医制度の改善に向けて日本における外科研修の現状に関する全国アンケート調査」の結果も報告された。

 外科系は初期から「3階部分」まで連続して研修

 北川氏は、「専門医制度のあるべきグランドデザイン構築と外科医の将来像」というテーマで講演。講演の冒頭で、「一時、新専門医制度から脱退するという話もあったが、新制度に建設的に参画する方向に舵を切ったのは、外科医が不利益を被らないようにするため」と説明。その背景要因として、(1)日本専門医機構認定の専門医は、公的な資格となる、(2)将来は診療報酬上の加算、インセンティブの獲得に必要となる可能性がある、(3)全基本領域一斉スタートに遅れることはできない――などを挙げた。

 「サブスペシャルティの乱立」と言われる中、外科系の6つのサブスペシャルティでは、重複していないと説明。NCDの活用で、初期臨床研修、外科の専門医研修、サブスペシャルティにわたり、症例登録が可能で、連続した研修が可能であるとした。さらに、日本外科学会では、2018年4月から、NCDと連動した「研修実績管理システム」を構築、指導医と専攻医の相互評価が可能で、学会等の実績も生涯にわたり登録できるという。

 外科の専門研修では、2年目以降、サブスペシャルティとの並行研修が可能なことが特徴。ただ、例えばサブスペシャルティの一つである消化器外科の場合、「3階部分」の専門医として内視鏡外科技術認定医、食道外科専門医、肝胆膵高度技能専門医があるが、内科系の消化器病専門医から内視鏡外科技術認定医を取得するルートはあり得ない。「このように3階部分がデザインされた時に、外科系のサブスペシャルティを通過することで、しっかりとしたキャリアパスを構築できるようにしていく」(北川氏)。それ以外にも、感染症、がん薬物療法などの横断的な専門医と、外科系の専門医は区別して考えていくことが必要だとした。

 最後に北川氏は、「外科専門医の未来のためになすべきこと」として、「地域偏在の問題も重要だが、それをなくすための道具ではない。研修、育成内容の質の向上が大事」と強調。その他、(1)外科医のキャリアパスと合致した明確な専門医制度グランドデザインを社会に向けて示す、(2)労働、安全環境の整備、(3)それぞれのステージで適正な専門医数を算定し、専門医の技能、労力を正当に評価する仕組みの構築――を課題として挙げた。

 「学会専門医の整理・標準化」「質の高い専門医養成」が目的

 吉村氏は、「改めて新専門医制度の目的を考えていただきたい」とし、日本専門医機構の設立目的として、(1)学会専門医が乱立し、各学会が個別に、専門医制度を制定している現状を、整理・標準化、(2)専門医を養成する仕組み(卒後の研修制度の確立)を構築し、質の高い専門医を育て、日本の医療レベルの向上――を挙げた。「医師偏在是正がミッションのように言われているが、医師偏在を悪化させないで、(1)と(2)を達成することが目的」(吉村氏)。

 日本専門医機構は、サブスペシャルティのうち、内科13領域、外科6領域については、既に認定済みで、内科研修と外科研修との連動研修が可能。それ以外の(1)基本領域から分化したサブスペシャルティ12領域、(2)区分未定の52領域(細分化した領域、技術・診断・治療・病名・症状等に関する領域)――がある。

 サブスペシャルティについて、吉村氏は、「基本領域のスタートを優先したので、検討は遅れている。早急に確定したいと考えている」と語った。内科と外科以外の領域で、基本領域が複数にまたがる場合などの調整に難しさがあるとした。「一つの領域について認定すると、なぜ私のところで認定しないのか、となる」と述べ、「当面は非常に限定的に認定していくことになっている」と説明。

 その上で、新規のサブスペシャルティの基準として、(1)基本領域学会の推薦がある(ただし、基本領域の推薦があるからと言って、必ずしも機構認定されるわけではない。他領域に関連する場合、関連領域の合意を得る)、(2)日本専門医機構理事会の過半数の承認を得る(あらかじめ機構の基本問題検討委員会等で審議)――などという基準を検討していると説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596169
始動する“医療事故調”
医療事故調査制度、「センター調査は上級審」は誤解
日本外科学会定期学術集会、特別企画「外科医に求められる医療安全―医療事故調査制度開始2年を経て―」

2018年4月7日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 第118回日本外科学会定期学術集会が都内で開催され、4月6日の特別企画「外科医に求められる医療安全―医療事故調査制度開始2年を経て―」で、日本医療安全調査機構の総合調査委員会委員長を務める山王病院・山王メディカルセンター血管病センター・センター長の宮田哲郎氏は、医療事故調査制度の院内調査とセンター調査について、「誤解がある」と指摘した。「裁判と同じように、センター調査は、上級審に当たるのでは、という意見もあるが、決してそうではない。両者の結果が異なることもあるが、それぞれの調査が尊重され、相互の調査が相まって、今後の再発防止に役立っていく」と説明した。

04071_20180408095413d73.jpg
院内調査とセンター調査の考え方(提供:宮田氏)

 宮田氏の講演テーマは「センター調査の標準化の試み」。2015年10月にスタートした医療事故調査制度は、院内調査が基本だが、医療機関もしくは遺族が第三者による調査を希望した場合には、医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構に、センター調査を依頼することが可能。院内調査は、自律的な取り組みであり、「自らの組織における医療の安全の問題点を見直し、さらに発展させる重要なプロセス」と説明。一方、センター調査は、「院内調査結果を引用に、その是非を問うのではなく、第三者としての専門的立場から、事故についての可能な範囲で事実確認や調査・分析・再発防止策を提言する」役割を担うとした。

 医療事故調査・支援センターの2017年年報によると、2016年と2017年の2年間の院内調査結果報告数は547件で、うちセンター調査依頼は58件(10.8%)。約8割が遺族側からの依頼で、「院内調査結果に納得できない」が主な理由。センター調査依頼時期は、「院内調査結果報告前」(33%)と「院内調査結果報告から1カ月未満」(33%)を合わせると、全体の約3分の2。「恐らく事故が発生した直後から、医療機関と患者側とのコミュニケーションが難しくなっている事例ではないかと考えている」(宮田氏)。58件中、34件が手術(分娩を含む)。

 宮田氏は、センター調査の進め方も説明。まずセンター調査の依頼があった時には、総合調整委員会(日本医師会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議、各学会からの推薦、遺族代表、法律家、有識者の18人で構成)で調査の方向性を検討、その後に事例ごとに設置する個別調査部会(専門学会から推薦された委員で構成)で検討する。個別調査部会から報告書案が提出され、総合調査委員会とやり取りをしながら、最終的にセンター調査報告書をまとめる。「総合調査委員会と個別調査部会は、対等な立場で一緒に報告書を作り上げる。個別調査部会は、医学的、専門的な立場からまとめる。総合調査委員会は、センター調査報告書として一定の基準(マニュアル)に則っているかを確認したり、院内調査と結論が異なる場合はその点を丁寧に説明しているか、理解されやすい文章になっているかなどをチェックする」(宮田氏)。

 2018年2月までにセンター調査依頼は62件で、センター調査結果報告は4件。「センター調査の課題と対策」として、宮田氏は、(1)センター調査報告書の標準化、(2)センター調査と院内調査の結果の差異、(3)センター調査報告書交付までの時間、(4)患者・遺族に寄り添った対話推進――を挙げた。

 (1)に挙げた標準化を目指し、マニュアル作成と改訂、調査支援員のトレーニングに取り組んでいる。(2)について、宮田氏は、「センター調査と院内調査の結果が異なる場合、医療機関と遺族の関係を悪化させるのではないか、という指摘もある。しかし、センター調査は、院内調査の結果や、解剖結果など後から分かる情報を踏まえて実施する。両者の差異は、センター調査で検討した内容や根拠を丁寧に説明することで、解決できるのではないか」と述べた。(3)の時間短縮のため、分担執筆していた調査報告書の執筆者を絞るなどの工夫をしているという。

 さらに、宮田氏は、センター調査の目的の一つに、「診療担当者と遺族の相互理解を促進させること」があるものの、「院内調査あるいはセンター調査の結果が出たとしても、身内が突然なくなった場合、遺族は事実を『理解』できるかもしれないが、『納得』はできないと思う。あるのは一つの『区切り』だろう。区切りを付けるためには、十分なコミュニケーションが必要」と説明。「センター調査は当該医療機関と遺族に郵送するだけなので、今後の制度運営を考えるに当たって、患者・遺族に寄り添った対話推進者の必要性も考えていかなければいけないのではないか」(宮田氏)。

 特別企画に登壇したのは、宮田氏を含め、計5人。日本医療機能評価機構常務理事の木村壮介氏、日本医療機能評価機構理事の後信氏、奈良県総合医療センター総長の上田裕一氏、読売新聞医療部の高梨ゆき子氏だ。

 木村氏は、医療事故調査制度の2年強の現況を紹介(『第三者機関への調査依頼、院内調査終了の1割』を参照)。同制度の課題と今後の展望として、「自ら考えて調査するこの制度をぜひとも発展させていきたい。外部からの規制がある制度では、十分に発展していかないと思う」と述べ、制度に伴う医療者の責務として、「医療者側から調査し、結果の説明をする。情報を共有し、次の再発を防ぐ」ことなどが求められるとした。

 後氏は、日本医療機能評価機構が行う医療事故情報収集等事業と、医療事故調査制度は相互補完的に機能すると説明。医療事故情報収集等事業は、「医療事故、ヒヤリ・ハットの全て」を対象とするが、医療機関からの報告は詳細なものも可能だが、「簡単~中程度」の報告が基本。患者・家族へのフィードバックはない。一方、医療事故調査制度は、「医療に起因し、予期しなかった死亡・死産のみ」が対象だが、医療機関の調査は「簡単~中程度~詳細」であり、患者・家族へのフィードバックがあるとした。

 上田氏は、群馬大学腹腔鏡死亡事故の外部調査委員会の委員長を務めた(『“名大事件”が群大事故調査の手本 - 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く』を参照)。医療事故調査制度が対象とする医療事故ではなく、「広義」の医療事故には、(1)不可抗力による事故、(2)明白な過誤による事故、(3)現在の医療水準から見てはるかに低い水準の医療が行われたことに伴う事故――があると説明した。(3)では、現在の医療水準とその許容限界が問題になるが、医療水準の把握・評価には難しさが伴う。英国ではデータベースを活用して、施設別、医師別の術後90日以内の死亡率データなどが把握できる仕組みになっていると紹介。日本心臓血管外科データベース機構のデータベースでも、リスク調整した死亡率で手術の質を評価することが可能だという。過失の有無にかかわらず、診療中に生じた「望ましくない結果」は、常に一定の基準をもって、M&Mカンファレンスや委員会などで調査し、その経験が蓄積されるべきだと強調した。

 高梨氏は、「医療事故の取材から見えてきた課題」というテーマで、群馬大学腹腔鏡死亡事故や千葉県がんセンター、千葉市立海浜病院などの医療事故取材から、医療者と患者の認識の相違や情報不足が不信感につながるとコメント。海浜病院については、事故調査報告書の「おわりに」から、「リスクの高い医療は、その医療が患者に本当に有益であるか、そして患者が幸せになれるかどうかを真剣に考えて、真実を患者に話して、患者の納得のもと、提供しなければならない」という記述を引用。「再認識した重要なこと」として、(1)患者と医療者の情報共有、(2)判断の基軸は「患者のため」、(3)客観的で公正な事故調査――を挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/595751
「現場から過度に医療費が伸びない提案を」横倉・日医会長
専門医機構に対し「公正性、公平性、透明性の担保を」

2018年4月5日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は4月4日の定例記者会見で、新年度の所感として、6月にも公表される「骨太の方針2018」に社会保障関連の数値目標が作られるかについて「政府は数字を出してくると思うが、必要な医療費はしっかり確保する必要がある。持続可能な国民皆保険をどう作り上げていくか皆で知恵を出さなくてはいけない。そのためには現場から、過度に医療費が伸びない提案をしていく」と強調した。

 混乱が続く専門医養成の在り方では、「新たな専門医の仕組みは質の向上と標準化という目的に加え、医師の地域偏在を助長することがないように地域医療に配慮したものであることが求められる。この異なる2つの目的を一体的に実行することが日本専門医機構の責務であると認識されているところである。中立的な第三者機関として機構の運営に当たっては公正性、公平性、透明性が担保されなくてはならない。速やかな情報公開とともに適切なものになるよう日医としてもさらにに支援をしていく」とした上で、2019年度の専攻医登録に向けて早急に対応策を検討することを要望した。

 2018年度改定については、「地域包括ケアシステムの構築に向けて、きめ細やかな配慮がされた」と評価した。入院医療の評価体系の再編については、「基本的な診療に関わる評価と診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編統合する方向となったことは、地域の医療ニーズと資源投入のバランスを取る上で好ましいと考える」と指摘。一方で、「改定の度に変わると医療現場は混乱し、『慣れたら次の改定になる』の繰り返しである。今回は評価体系をどのように判断するかはある程度の時間がかかると思われるが、中長期的な改定がなされたと認識している」として頻繁な改定は望ましくないとの認識を示した。

 新設されたオンライン診療料については「あくまで対面診断の補完。あくまで最終的な責任を取るのはわれわれ医師であり、オンライン診療は対面診療に取って代わるものではない。中医協の審議やガイドラインを踏まえて今後、適切な運用がされていくだろう」と述べた。

 検討が進む「医師の働き方改革」については「医師自らがその働き方を考え、変えていく時期に来ている」と強調。「この議論の要諦は地域医療の継続と医師の健康への配慮をいかに両立させるかとし、「会内の『医師の働き方検討委員会』で鋭意検討を行ってきたが、勤務の特殊性に鑑み現行の労働基準法に当てはめるのが適切かどうかも含めて検討することが必要ではないかという提言をいただいている」と説明した。

 医療機関の健康経営が重要として、「医療機関には全国300万人以上が従事している。医療従事者自らが未来投資戦略に基づく日本健康会議による健康経営を意識し、健康増進に率先して努める取り組みを進めていくことも重要だ」と指摘した。

 「かかりつけ医のための適正処方の手引き」について、高血圧、脂質異常症、糖尿病、認知症の4疾病についても発刊する予定であることを報告した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/595638
医療事故で刑事事件化、「軽率性」「未熟性」の傾向
厚労省検討会、過去事例を分析、2018年度も検討継続

2018年4月4日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の委託事業である「医療行為と刑事責任に関する研究会」は、2017年度に計6回の会議を開き、収集した約430の医療事故事例の半数を分析した結果、医療行為が刑事事件化する事例は、「軽率性」あるいは「未熟性」に類型化できる傾向があるとの認識に至った。

 ただし、「軽率性」と「未熟性」の定義を明確にした分析ではないため、刑事事件化して有罪になったうち、何割が「軽率性」あるいは「未熟性」に該当するかなど、定量的な分析には至っていない。あくまでいずれか、もしくは両方の類型に当てはまる傾向があるという認識だ。

 研究会の座長は、樋口範雄・武蔵野大学法学部教授が務め、医師、法学者、元検察官や元裁判官など、計10人で構成(『「医療行為と刑事責任に関する研究会」、厚労省初会合』を参照)。2018年度も同じメンバーで継続して議論を重ねる。厚労省医政局医事課によると、中間的な取りまとめを行うか否か、最終的な報告書の体裁や内容などは、現時点では未定。「まず残る半分の事例の分析を行い、その結果、どんな結論が導き出せるか次第で、その次にやることが変わってくる。事例収集の結果、刑事事件化する医療行為の件数は、最近減ってきていることは分かってきた。この辺りの推移を含めて、可能な限り、議論の結果を取りまとめて共有したいと思っている」(同課)。

 1999年以降、約20年分の起訴事例を検討

 本研究会は、自民党の「医療事故調査制度の見直し等に関するワーキングチーム」(WT)が、2016年6月に「医療事故調査制度等に関する見直しについて」を取りまとめたのがきっかけ。2015年10月にスタートした医療事故調査制度は、法施行から2年に当たる2016年6月に見直すことが求められていたことから、同WTは議論を重ねた。取りまとめでは、医師法21条と「医療行為と刑事責任」の在り方について検討するよう求めていた。前者については自民党内で議論、後者についての検討の場が、本研究会となった。

 まず医療事故の事例として、(1)1999年以降、医療行為がきっかけで医師または看護師が起訴された約280事例、(2)「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」(日本医療安全調査機構が、2014年10月の医療事故調査制度開始前に実施していた事業)の対象となった約150事例――を収集した。(1)については、主に法務省を通じて資料を得た。1999年以降に刑事事件化した医療事故事例をほぼ網羅しているという。一方、(2)は、大半は刑事事件化していないといい、(1)との比較対象として用いた。2017年度には、これらの約半数を分析した。

 収集した事例について、刑事事件で有罪、あるいは無罪と判断する際に、どんな因子が考慮されているかを分析した結果、浮かび上がったのが、「未熟性」あるいは「軽率性」だった。「悪質性もあったが、これは当然有罪になるので、考慮しても仕方がないと判断した。未熟性か、軽率性かを明確に切り分けられるかは別として、そうした要素を持っている事案が多かった。中には、両者が合わさったものもある」(厚労省医政局医事課)。

 「未熟性」あるいは「軽率性」については、まずは刑事事件化する傾向を把握するのが目的であり、客観的な定義を定めず、主観的に切り分けをした。厚労省医政局医事課によると、「未熟性」には、診断が正しくできなかったりするなど、医師等としての能力が影響しているケース、「軽率性」には、患者の取り違えなどの事例が、それぞれ該当するという。個人的な技量の問題が原因の場合もあれば、医療機関の運営管理面に問題がある場合もあり、「両者の切り分けが必要」などの意見はあったという。

 モデル事業の事例の中でも、「未熟性」あるいは「軽率性」に該当するものが含まれるが、刑事事件化して有罪になったものよりは、その程度が低い傾向にあるという。ただ仮に同程度の「未熟性」の事例であっても、遺族が刑事事件化を望まず、告訴等をしないケースも想定される。「その点は、議論になった。有罪になるラインを超えた事例が全て刑事事件化し、有罪となったわけではない。それが分かれば、一つのメッセージになるだろう。法曹界に対してはどんな事例が刑事事件化するのかについての理解、医療界に対しては配慮してもらいたい点についての理解になれば、双方にとって意味のあることだと思う」(厚労省医政局医事課)。

 前述のように、「未熟性」と「軽率性」の考え方等を明らかにした報告書をまとめるかどうかは未定であり、慎重に検討するという。仮に曖昧なまま、考え方等を明らかにすれば、該当事例が刑事事件化しやすくなるなど、医療界に悪影響を及ぼす懸念もある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594876
自民「医師の働き方改革PT」、診療報酬の課題も議論
全日病臨時総会で羽生田座長あいさつ、「36協定締結なら加算を」

2018年4月1日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 自民党厚生労働部会「医師の働き⽅改⾰に関するプロジェクトチーム(PT)」の座長を務める参議院議員の羽生田俊氏は、3月31日に開催された全日本病院協会の第6回臨時総会の来賓あいさつで、今までの医師の働き方改革で最も効果があったのは診療報酬の「医師事務作業補助体制加算」であるとし、「診療所も含め、36協定を結んでいるところは全て算定できるように、厚生労働省に要望している」と説明。

 労働基準監督署の是正勧告の中で、時間外手当の未払いが指摘される病院がある中、「限られた診療報酬の中で運営している病院としては、時間外手当を全て支払うには原資が足りない。医師の働き⽅改⾰に関するPTでは、(厚労省の)保険局にまで物を言えるところまで、結論を導いていきたい」と語り、医師の働き方改革では、診療報酬での対応も重要課題になるとの認識を示した。

 他に来賓のあいさつした二人も、医師の働き方改革を今の医療界の重要課題として取り上げた。参議院議員の自見はなこ氏は、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の取りまとめに反映させるためには、「医師の働き⽅改⾰に関するPTでは、ヒアリングなどを重ね、今年の12月くらいには、おおよその方向性を出していくことになる」とのスケジュール感を語った。「地域医療そのものにかかわる問題なので、しっかり取り組んでいく」。

 日本医師会会長の横倉義武氏の代理であいさつした、日医常任理事の鈴木邦彦氏は、近く日医の働き方検討委員会の答申を公表すると説明。医療界の意見集約を目指して、「医師の働き改革検討会議」を近く設置する予定であることも紹介し、鈴木氏は「同答申などを基に、医療機関経営者や勤務医を交え、医療界が考える具体的な医師の働き方改革案としてまとめ、各方面に提言していく」と語った。

 「各職種ができる範囲でやらなければ、ワークシェアできず」

 羽生田氏は、「医師の働き方改革は、今の医療費の倍を出すつも
りでやれば、すぐに解決する話だ。医師数は今の1.5倍から、2.0倍は必要。しかし、それはできず、いかに今の人数で、勤務医の給与を減らさず、かつ経営者としては出費を増やさず、医師の勤務時間を短縮していくかが非常に大切」とコメント。

 医師の働き⽅改⾰に関するPTは、3月30日に役員会を開催した。他の職種に対するワークシェアリングが議論になったと紹介。「看護師ができるはずの予防接種や採血を実施していないケースが多いという意見があった。各職種が自分のできる範囲について、きちんとやってくれなければワークシェアリングにはならない。今後のヒアリングで、日本看護協会などには、要望という形で出していかなければならないだろう」。

 「医師事務作業補助体制加算」については、算定のハードルが高いとし、「病院でも、十数パーセントは36協定を結んでいないところがあるという。36協定を結んだところは、診療所も含め、全て算定できるようにしていきたい」と述べた。労基署の立ち入り調査については、「公立病院を中心に入っており、億単位の時間外手当を支払わなければいけないことも起きている。当然、民間病院にも入ってくるだろう。そうなる前に何とか考えていかなければいけない」とし、「限られた診療報酬の中で運営している病院としては、時間外手当を全て支払うには原資が足りない。その点を何とかしなければいけない。このPTの検討会で、保険局にまでいろいろ言えるところまで、結論を導いていきたい」と語った。

 「一番関心が高いのは、消費税問題」

 自見氏は、医師の働き方改革のほか、さまざまな政策課題に言及。中でも「一番関心が高いのは消費税の問題だろう」と語り、「今夏を目途に、厚労省が省内で税制要望まとめ、その後、財務省に提出、交渉していくことになる。その提出前が一つの山場になってくるだろう」とした。消費税問題については、この3月から厚労省での議論もスタートした(『消費税分科会、2年ぶりに開催、薬価・材料調査の実施了承』を参照)。「消費税法の改正すら入ってくるのか、否かを検討していく必要がある。民間と公的の医療機関との間に、不公平感が正直なところある。そこをいかに解決するかも課題」であるとし、日医、厚労省、財務省とも連携を取りながら、取り組んでいくとした。

 自民党内では、外国人観光客への医療に関するプロジェクトチームが発足したことも説明。医療費の未払い問題や医療提供体制などについて議論し、6月に政府がまとめる予定の成長戦略に反映させるために、ゴールデンウイーク前には提言をまとめる予定だという。

 その他、「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」(『「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」、加藤厚労相に決議文』を参照)の事務局長を務める立場から、2018年度診療報酬改定では、「総合入院体制加算」算定に必要な「医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に盛り込むべき項目候補の一つに、「院内保育所の設置(夜間帯の保育や病児保育の実施が含まれることが望ましい)」が加わったことを紹介。

 今通常国会に提出された医師法・医療法改正案は、地域医療対策協議会への都道府県の影響⼒を弱めたほか、民間医療機関の管理者を入れるなど、厚労省の当初案から変更になったと説明し、「地域医療は公的医療機関のみで支えるものではない」と民間病院への期待を込めた。



https://www.m3.com/news/general/596044
県立3病院:引当金大幅に不足 未収診療費 包括外部監査で指摘 /香川
2018年4月6日 (金) 毎日新聞

 県立3病院の未収診療費について、県の包括外部監査人を務める公認会計士が民間並みの会計基準に基づいて精査・試算したところ、回収できない恐れのある債権に応じて計上すべき貸し倒れ引当金が大きく不足していることが5日、分かった。債務者が破産したのに引当金を計上していない例もあり、試算額は県計上額の24~9倍に達した。【植松晃一】

 浜田恵造知事に提出された2017年度の包括外部監査結果報告書で指摘を受けた。

 県県立病院課によると、15年度までに実施した診察による未収診療費(予算ベース)は総額約8952万円(中央約7253万円、丸亀約267万円、白鳥約1432万円)。県は過去3年に債権放棄するなど欠損とした平均実績の4・1%にあたる約366万円(中央約297万円、丸亀11万円、白鳥約58万円)を貸し倒れ引当金に計上した。

 ところが、数年前から未収となっている分のほか、債務者が破産していたり、行方不明になって連絡がつかなかったりするケースも一律で扱っていた。このため、包括外部監査人が回収できない恐れが特に強い債権について、未収発生からの経過年数も考慮しつつ、債務者の破産や住所不明(行方不明)といった場合は全額、その他は半額のルールで試算。全体で計上すべき貸し倒れ引当金は、約4242万円(中央約3444万円、丸亀約268万円、白鳥約530万円)に達した。

 県は新年度予算でも、従来と同水準の貸し倒れ引当金しか計上していない。包括外部監査人の指摘に対し、県県立病院課は「貸し倒れ引当金をどの程度積むかという課題について検討していきたい」と話している。



https://www.m3.com/news/general/596022
地域医療維持へ広島大が医師派遣
2018年4月6日 (金) 中国新聞

 尾道市の島しょ部などの医療を支える因島総合病院(因島土生町)に今月、広島大からの非常勤医師が赴任した。同病院は岡山大の関連病院で、約100年の歴史で同大関連ではない医師が派遣されるのは珍しい。リウマチ治療などの充実を目指す。
04072_20180408095416229.jpg



https://www.m3.com/news/general/595816
陸前高田・広田診療所に待望の常勤医 岩井医師が着任
2018年4月5日 (木) 岩手日報

 常勤医師が不在となっていた陸前高田市広田町の国保広田診療所所長に岩井直路(なおみち)医師(62)が就任し、4日に診療を始めた。千葉県松戸市の東松戸病院長を務めた岩井医師は「被災地のために仕事がしたかった。人情味あふれる地域で市民と一緒に歩みたい」と意欲。市民は温和な雰囲気の医師着任を喜んだ。

 「岩井です、これからよろしくお願いします」。診療前に笑顔で患者にあいさつすると、患者に気を配って自身の椅子と患者用の椅子を交換。落ち着いた口調で診察に臨んだ。

 受診した同市広田町の菅野ヨウ子さん(84)は「とても優しい印象。常勤医がいてくれると安心して生活できる」と感謝した。



https://www.m3.com/news/general/595787
秋田県内勤務医15%、過労死ライン超 24時間以上拘束は半数
2018年4月5日 (木) 秋田魁新報

 秋田県内の病院で時間外労働をした勤務医のうち15%が、月80時間の「過労死ライン」を超えていたことが、県医師会の調査で分かった。全体のほぼ半数は、勤務日の最長拘束時間が24時間以上だったと回答。医師の長時間労働が社会問題となる中、県内でも勤務医が厳しい労働環境に置かれている実態が浮かび上がった。

 調査は昨年10~11月、勤務医の労働実態を把握するため、県内の全69病院の勤務医1580人を対象に実施。56・2%に当たる888人が回答した。

 法定労働時間は1日8時間、週40時間だが、労使協定(三六協定)を結び、労働基準監督署に届け出れば時間外労働ができる。調査で昨年9月に「時間外労働をした」と回答した勤務医は91・4%で、「していない」が7・6%、「分からない」が1・0%だった。

 時間外労働をした医師に時間を尋ねたところ、80時間以上と答えたのは15%で、このうち8・1%は「100時間以上」だった。割合が最も高かったのは「20時間以上40時間未満」で26・6%。平均は40・3時間だった。

 時間外労働の理由(複数回答)は「緊急対応」が最多で、「病棟業務」「記録・報告書作成や書類の整理」と続いた。

 昨年9月のある勤務日の最長拘束時間は「24時間超~36時間以下」が41・6%、「36時間超」が10・3%と24時間以上が5割を超えていた。宿直翌日は75・7%が通常勤務をしていると回答。多くの医師が宿直を挟んで連続勤務を余儀なくされている状況がうかがえる。

 就労時間に対する負担感は「かなり過重」「少し過重」が合わせて53・1%で、「ちょうどよい」の37・1%を上回った。負担感は時間外労働時間と相関が見られた。

 医師には診療の求めを原則拒めない「応召義務」があり、長時間労働の背景には医師不足のほか、宿直やオンコール(院外待機)があるとみられる。政府の働き方改革に伴う残業規制は、医師への適用が5年間猶予される予定で、県内各病院は医師の負担軽減に向けた取り組みをどう進めるかが課題となる。

 県医師会は今回の調査結果を踏まえ、「医師の望ましい働き方について」と題した提言をまとめ、厚生労働省に送った。「医師の働き方を考慮せずに時間外労働規制が行われれば、患者サービスの低下は避けられず、医療崩壊につながる可能性がある」と訴え、裁量労働制に準じた医師独自の制度創設を求めた。

 県医師会の小玉弘之会長は「働き方改革を進めるには、県内の医療提供体制をどうすべきかについても議論していく必要がある」と話している。



https://www.m3.com/news/general/595103
東郷病院受け入れ再開へ 入院、救急体制を確保
2018年4月2日 (月) 宮崎日日新聞

 日向市は2日から、医師不足により医療体制を縮小していた市立東郷病院(佐藤大亮(だいすけ)院長)の入院、救急診療を再開させる。2年8カ月ぶりに元の医療体制が整う。

 同病院は2015年に医師の退職が相次ぎ常勤医1人となったため、入院、救急患者の受け入れを休止した。市は医師確保に奔走し、昨年5月には休止前と同じ常勤医3人体制に。入院、救急診療再開に向け、宿直医や看護師の確保、入院病床の給食業務委託などの準備を進めてきた。市議会3月定例会に病床再開を見込んだ18年度病院事業会計補正予算を提案し、可決されていた。

 病床数は休止前と同じ30床。常勤医3人に加え、非常勤医4人が交代勤務する。外来診療は外科、整形外科を専門とする常勤医3人が総合診療に当たる。医師の入れ替わりにより、小児科はなくなる。宮崎大医学部の非常勤医による毎週水曜の整形外科は継続される。

 十屋幸平市長は「東郷病院は地域医療を担う重要な医療機関。今後も医師確保に努め、地域に必要とされる病院として役割を果たしていく」とコメントした。



https://www.m3.com/news/general/594965
不安定な任期制、一因か 若手研究者に大きな重圧 防げなかったiPS研究不正
2018年4月2日 (月) 共同通信社

 論文著者の助教が懲戒解雇となり、監督者として山中伸弥(やまなか・しんや)所長も処分を受けた京都大iPS細胞研究所の捏造(ねつぞう)問題は、実験ノートの保管などの対策を取っていたにもかかわらず防げなかった。科学研究を巡る不正は京都大以外でも相次いでおり、背景には任期制という不安定な立場で採用された若手研究者が、短期間に成果を出すよう強いられている問題があると指摘されている。

 ▽ノート検査

 著者の山水康平(やまみず・こうへい)元特定拠点助教は昨年、米科学誌に血中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って作ったと発表。アルツハイマー病の治療にも将来役立つ可能性があるとしていた。

 だが京都大内部の指摘で、数値の書き換えがありグラフが再現できないことや、補足図5点に不正があると判明。論文は撤回された。

 不正を防止し、知的財産管理を徹底するため、研究所は2010年の開所以来、研究者に専用の実験ノートを配布。3カ月に1度、ノートを提出させ、論文掲載が決まったら実験データ自体も提出させていた。全国的にも先進的な取り組みだったが、結果的には不正を見抜けなかった。

 山中氏は不正が発覚した1月22日の会見で、この制度が「一部で形骸化していた」と認めた。ノートの内容まで確認できておらず、未提出者の管理も不十分だった。

 ▽国策研究

 研究不正は国内各地で相次いでおり、14年に起きた理化学研究所のSTAP細胞問題をはじめ、東京大でも12年と17年に明らかとなった。若手研究者が不正に手を染めるケースも目立つ。

 京都大によると、山水氏は調査に対し「論文の見栄えを良くしたかった」と話したという。だが若手研究者の現状に詳しい榎木英介(えのき・えいすけ)・近畿大講師は、短期間に大きな成果を求められる任期制の雇用体制を一因に挙げる。山水氏の任期は今年3月までだった。

 iPS細胞特有の事情もあるとみられる。山中氏のノーベル賞受賞で注目度が高く、国はiPS細胞研究を成長戦略の柱の一つとして10年間で1100億円もの予算を投入。再生医療などでの実用化が目標とされ、高い成果を求められる。山中氏の「(所内の研究者は)全員任期があるし、研究費も競争的資金で行っている。プレッシャーのもと、毎日努力している」という言葉は重い。

 ▽広い視野を

 京都大は再発防止策として、実験ノートや論文データの提出を厳格化し、倫理教育の徹底を図るとした。山中氏は「所長として事態を未然に防げなかった責任を痛感し、自主的に当面の給与相当額を寄付する」とのコメントを発表した。

 一方、榎木氏は、若手研究者が教授などの少ないポストを奪い合う現状を問題視する。「海外では大学の研究者として成功しなくても、企業に就職したり教育者になったりして活躍する場がある。日本は終身雇用制度が根強く、研究者以外の道を目指しにくい。広い視野で対策を考えなければならない」



https://www.m3.com/news/general/594886
臨床研究法:きょう施行 「薬とカネ」適正化に期待 企業に情報公開義務化
2018年4月1日 (日) 毎日新聞

 資金提供した製薬企業の医薬品を使った臨床研究などについて、不正を防止するための臨床研究法が1日、施行された。研究者側にデータの点検を義務付ける一方、製薬企業は資金提供に関する情報を公開しなければならない。製薬企業と大学との「薬とカネ」を巡る不祥事が相次いだ臨床研究の適正化が期待される。

 同法は、医薬品などの臨床研究のうち、製薬企業から提供を受けた資金や、未承認や適応外の薬などを使って行うものを「特定臨床研究」と規定。研究者に対し、データを操作するなど不正が行われないようモニタリングや監査を義務付けた。大学など研究機関に設置した専門家らによる「認定臨床研究審査委員会」に研究計画を提出し、モニタリング方法などが適正か審査を受けなければならない。データは5年間の保存を義務付けた。

 製薬企業などには、特定臨床研究を行う研究者側に提供した資金に関する情報の公開を義務化。内容は▽研究資金▽寄付金▽原稿執筆料や講師謝金――など。毎年度公表し、期間は5年と定めた。違反すると国が企業に勧告し、従わないと企業名が公表される。

 研究に参加した患者が予期せず死亡したり、障害が発生したりするなど重篤な症状が出た場合、国への報告も義務付けた。国による研究の中止命令に違反した研究者には、懲役3年以下、罰金300万円以下の罰則が科せられる。

 医薬品の臨床研究を巡っては、製薬大手ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)を使った臨床研究でデータ改ざんなどが相次いで発覚。不正防止のため同法が2017年4月に成立した。【河内敏康】



http://www.sakigake.jp/news/article/20180330AK0011/
社説:地方の医師不足 1県では解消策に限界
2018年3月30日 秋田魁新聞

 「いま、岩手の、そして日本の地域医療は崩壊の危機にさらされています」。こんな内容の岩手県の意見広告が今月、週刊誌などに掲載された。医師不足と医師偏在の解消が急務とし、(仮称)の制定を提言している。

 医師不足は岩手にとどまらず地方共通の課題で、各県が懸命に医師確保に取り組んでいる。本県なら医学生向けの奨学金を設け、医師として県内に一定期間勤務することで返還を免除するといった対策を講じている。

 岩手県医療政策室は「医師不足に対応するのに、1県の取り組みでは限界がある。国と地方が協力し、国全体の問題として考える必要がある」と指摘する。同県が策定した基本法草案は、医師の計画的養成や偏りのない配置を実現するため、国や地方公共団体の責務を定めた。

 人口10万人当たりの医師数(2016年)を見ると、岩手県は207・5人で全国平均251・7人を大きく下回る。特に東日本大震災で被災した沿岸部で医師不足が深刻という。医師数は1位の京都府が334・9人、2位徳島県が333・3人など西高東低で、都道府県間で大きな差が生じている。

 本県は236・0人で岩手より多いが、全国平均には届かない。さらに、県内八つの2次医療圏(主に郡市単位)別に見ると、秋田周辺が311・2人と突出する一方、北秋田は106・0人、湯沢雄勝124・9人、大館鹿角156・5人と地域による偏りが大きい。医師不足には、県全体の医師の不足と、県内地域間の偏り(偏在)という二つの問題がある。

 新卒医師が幅広い診療技術を学ぶため国が04年度に導入した臨床研修制度が、地方の医師不足に拍車をかけた。研修先が都市部の病院などに集中し、県内に残る新人医師が減少。秋田大学の医局が担う医師派遣機能も大きく低下した。その後、同大医学部の入学定員増や、知事が指定する医療機関など一定期間の県内勤務を義務付ける「地域枠」が設定されるなどした。

 まだ時間はかかるが、知事が指定する施設に勤務する医師は4、5年後に100人規模になる見込みという。県医師確保対策室は「医師不足が深刻な地域で、対策の成果をある程度実感してもらえると思う」と話す。

 だが、4月にスタートする専門医養成制度が新たな懸念材料になっている。医師の希望する研修先が大都市に集中しており、地方の医師確保の努力を打ち消しかねないためだ。医療の質の向上は重要で制度の意義は理解できるが、そこに地方に配慮した仕組みを組み込むことが求められる。

 国全体の制度との兼ね合いで1県にできる対策には限りがある。県は岩手県などと連携し、地方の言い分をしっかり主張してほしい。国と地方が同じ方向を向き、より強力に医師不足の解消を目指す必要がある。



http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/312662
新専門医制度で医師不足解消なるか
福井は専攻医採用に苦戦

2018年4月2日 午前10時43分 福井新聞

 4月からスタートした新専門医制度で、従来の後期研修医に当たる専攻医の登録がまとまり、福井県内の医療機関の採用は計39人となった。特に専攻医の大部分が希望する研修先を決めた1次登録の採用は計33人にとどまり、人口10万人当たりで「全国30位台半ば」(県地域医療課)と苦戦した。研修を受けながら現場で診療に当たる専攻医は、将来的な医師確保につながるとみられ、県は新制度の影響を注視している。

 新制度は、医師国家試験に合格し免許取得後に、国が義務付けている2年間の初期臨床研修を終えた人が対象。専攻医として研修プログラムの基幹施設に採用され、連携する複数の医療機関も回りながら専門領域の知識や技術を学ぶ。これまで各学会が独自に認定していた専門医を、第三者機関の「日本専門医機構」が統一的な基準で認定する。

 福井県内では福井大医学部附属病院、県立病院、県済生会病院、福井赤十字病院、福井総合病院、市立敦賀病院、杉田玄白記念公立小浜病院、国立病院機構あわら病院の8病院が基幹施設に選ばれた。18の専門領域で計約150人の専攻医を募集した。

 県も福井大医学部の教員を中心にした手厚い指導・相談体制や、専門医の資格取得に対する助成制度、住みやすさをアピールし、県内基幹施設での研修を促してきた。1次登録では、外科で東京での研修希望者が170人に上る一方、福井県が2人など27県は10人未満。内科でも東京が520人に対し、福井県が11人など9県は15人以下となった。福井県は18領域全体でも計33人にとどまった。

 県地域医療課によると近年、医師免許を取得した50~60人が県内の医療機関で2年間の初期研修を受け、後期研修医はその6~7割の傾向だった。同課は「若手が確保できなければ医療体制の維持が難しくなる」と指摘する。

 新制度を巡り、指導医の数など研修機関の基準を満たす医療機関が多い大都市部に専攻医が集中し、地方の医師不足に拍車をかける恐れがあるとの懸念は根強い。西川一誠知事が会長を務める全国自治体病院開設者協議会も、国に医師の偏在是正を繰り返し要請してきた。

 1次登録の状況を踏まえ、日本専門医機構は東京や大阪など5都府県で一定の採用があった診療科の2次登録を行わない措置を取った。同課は「県内の初期研修医の動向や新制度の影響を分析した上で、(同機構の)措置が妥当だったかも検証し、必要ならば医師偏在を助長しないよう国に働き掛けていく」としている。



http://kyoto-np.co.jp/top/article/20180407000020
増えぬ医学部「地域枠」なぜ 公立大で最少の京都府立医大印刷用画面を開く
2018年04月07日 08時13分 京都新聞

公立医科大の「地域枠」
04073_20180408095414485.jpg

 地域医療に従事する意向がある地元出身者などを優先的に入学させる大学医学部の「地域枠」で、京都府立医科大(京都市上京区)の枠が自治体設置の公立医大8校の中で最少の7人となっている。全国的には枠を拡大し、医療過疎地へ医師を送る自治体も目立つが、府は「府立医大は全国の医療充実に貢献している実績がある」と増員に慎重な姿勢を崩さない。

 医師偏在が問題になる中で地域枠は、国が2008年度、導入する医大に定員増を特別に認めたことで急速に増え、10年間で約9倍になった。札幌医科大は定員の8割を地域枠に充てるなど、特に地域医療を担う自治体設置の公立大が積極的に活用している。

 府は府内の中高出身者などを対象に、在学6年間で奨学金計1080万円を貸与し、研修後に6年間、南丹市以北の医療機関に勤務すれば返済免除にしている。ただ枠は医学部定員の約6%で、地域枠を導入する国公立・私大の計71大の17年度平均(20%)より低く、国公立45大では東京医科歯科大(4人)、名古屋大(5人)に次いで少ない。

 府立医大によると、17年度入学者のうち府内の高校出身者は43%で、例年も3~4割程度という。府内病院で研修を終えた卒業者が、府内の病院に勤務した割合は68%(16年度までの3年平均)と、全国平均(85%)より低い。地域枠を増やせば京都府北部が悩む医師不足が改善する可能性がある。

 府医療課は「奨学金は府民の税金で予算上の問題がある」とした上で、「地域医療に加え、全国の病院で活躍する医師の養成も重要。定員が増えないまま地域枠を拡大すると、一般受験者の門戸を狭めてしまう」と説明する。定数増が認められた7人分の地域枠を充て、一般枠100人を変えていない。

 京都府内の病院が研修医から人気が高いことも理由という。他府県からの希望者が多く、国から都道府県に割り当てられる研修医定員は毎年、ほぼ満員になる。研修医流出に悩む他県から削減を求める声があるといい、「地域枠を増やしても、府内で研修できない恐れもある。研修医定員の死守が先決」(医療課)という。

 府の10万人当たりの医師数は314・9人(16年12月末現在)と全都道府県で2番目に多いが、京都市周辺の京都・乙訓医療圏に集中し、他の医療圏は全国平均以下。地域間格差が顕著で、市町村からは府に医師派遣を求める声が強い。

 「大学の自治」で医大の医師には知事の人事権が及ばない難しさもあるが、8日の府知事選投開票を控え、府民は府立医大の役割をどう考えるのか。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20180402/CK2018040202000005.html
質の高い医療提供へ 済生会守山市民病院で開所式
2018年4月2日 中日新聞 滋賀

 守山市民病院(守山市守山四)が一日、指定管理者制度の導入で公設民営の「済生会守山市民病院」に生まれ変わり、院内で開所式があった。

 一九八二年に開設された同病院は、診療報酬の改定や医師不足で赤字経営が慢性化。市直営での存続は困難として、全国八十カ所で病院事業を展開する社会福祉法人「恩賜財団済生会」(東京)に経営が引き継がれることに決まった。

 病床数や診療科目は変わらず、常勤医も従来と同じ十六人体制。午後の診療を完全予約制で始め、患者にとって便利になる。

 式には関係者七十人が出席。同法人の炭谷茂理事長、野々村和男院長=写真(中)=があいさつし、急性期から慢性期までの質の高い医療を提供していくと誓った。来年秋にはリハビリセンター、回復期病棟、健診センターを備えた新館が完成し、病院機能が強化される。

 (平井剛)



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2889508002042018L72000/
順天堂大付属病院 2020年度開業不透明に
浦和美園 県の用地取得に遅れ

2018/4/3付日本経済新聞 

 埼玉県が浦和美園地区(さいたま市)に誘致している順天堂大学(東京・文京)医学部付属病院の開業時期が不透明になってきた。当初は2020年度の予定だったが、県の用地取得が遅れたうえ、環境影響評価(環境アセスメント)も未着手のためだ。県内有数の大規模病院の整備遅れは、同地区の街づくりや、県内の医師不足対策にも影響を与えかねない。

 県は3月下旬に開いた医療審議会で、18年3月末までの着工時期を延期するなどの計画変更を了承した。県は同審議会で「着工に向けた行政手続きで、県の見込み違いが原因となった。整備スケジュール通りに進められず、おわびする」(保健医療部)と陳謝した。

 県内の人口10万人当たりの医師数は全国でも最低水準にとどまる。県は不足する医師を確保する狙いもあり、15年に同大医学部付属病院の誘致を決めた。埼玉高速鉄道の浦和美園駅の北側にある計約7.3ヘクタールの3区画に、病床数800床の病院や大学院、看護学校を設ける計画だった。

 ただ、建設予定地のうち、県が取得する分の手続きが遅れた。取得予定地が都市再生機構(UR)による区画整理事業地にあったことが響き、手続きを進められなかったことが要因という。

 同大が整備方針を見直したことも、開業時期を遅れさせる要因となってしまった。

 同大は建設工事を3期に分け、第1期工事は延べ床面積が計約5万3000平方メートルの病院を整備する方向で検討している。当初は同5万平方メートル未満に抑えることを検討したが、5万平方メートル超に方針を転換。さいたま市の条例では5万平方メートル未満ならば環境アセスは不要だが、5万平方メートル超になったため、環境アセスを行う必要が生じた。

 県の審議会で計画変更が了承されたことを受け、同大は整備計画を改めて立てる。同大は「新たなスケジュール案をできるだけ早めに出したい」としている。ただ、県関係者の間では「着工は1~2年程度遅れるのでは」との見方が強い。



http://news.nicovideo.jp/watch/nw3406754
都心部の総合病院、経営危機が深刻化…臓器別の外科医、食えない時代へ
2018/04/03 19:50 Business Journal

 2月7日、中央社会保険医療協議会(中医協)は、加藤勝信厚生労働大臣に対して、2018年度の診療報酬改定を答申した。

 中医協は、さまざまな医療行為の価格(診療報酬)を決める場だ。物価や人件費は大きな国内格差があるのに、我が国の診療報酬は中医協で全国一律に決められる。神ならぬ人間が価格を適正に決めることができるはずがない。さまざまな利権が生じる。2004年に発覚した日歯連事件をはじめ、中医協には不祥事・汚職がつきものだ。

 では、今年の診療報酬改訂の目玉はなんだろう。

 まずは、医師の技術料に相当する診療報酬本体が増えたことだ。今回の答申に先立ち、昨年末の予算編成で0.55%増で決着した。横倉義武・日本医師会(日医)会長は「一定の評価」とコメントした。我が国の財政状態を考えれば、日医の大勝利だ。

 今回の中医協の答申では、メディアは在宅医療やテレビ電話を用いた遠隔診療を推進するため、その診療報酬を増やすことを強調した。ただ、このような論調を真に受ける医療関係者はいない。年末に決まった診療報酬本体の増額は、あくまで予算であって、決算ではない。予算さえ増額すれば、マスコミが大きく報じ、安倍政権の有力支持者である横倉・日医会長の面子は保てるが、予算執行は別次元の問題というわけだ。

 現実には、中医協での議論を通じ、算定できない加算をつくることで診療報酬の増額が骨抜きにされる。たとえば、パソコンやスマートフォン(スマホ)を用いたオンライン診療が解禁されるが、対象は慢性疾患で継続的な治療を受けており、状態が安定している患者に限定される。初診は対象外で、3カ月に1回は対面診療が義務づけられる。診療報酬は、医療機関は「オンライン診療料」として月に700円、オンライン医学管理料として月に1000円を請求できるだけだ。

 これでは多忙で医療機関を受診できない若年世代になんの恩恵もないし、こんなに診療報酬が安ければ、オンライン診療を推進する医療機関はごく少数だろう。加算の条件付けを通じた典型的な「空集合」だ。

 厚労省が誰に気を使ったのかは明らかだ。今回の改定では、身近な「かかりつけ医」の役割を強化するため、夜間・休日対応などの「かかりつけ医」として患者を診療した場合、初診料に800円を加算できる「機能強化加算」が新設された。これで利益を得るのは開業医で、患者や保険者にとっては負担が増える結果となった。

 中医協は医療費というパイの分捕り合いを行う場だ。強い奴が勝つ。現状でもっとも強いのは日医だ。開業医の利益を代弁する。急性期、慢性期を問わず、病院が割を食うことになる。知人の病院経営者は「今回の改訂でも病院は大幅なコストダウンを求められるでしょう」という。

●総合病院の経営は悪化

 私は、我が国の財政状況を考えれば、診療報酬を抑制するのはやむを得ない。ただ、このまま規制を緩和することなく、全国一律に診療報酬を引き下げれば、やがて「倒産」する病院が出てくる。まっさきに倒産するのは、物価の高い都心部の病院だ。

 都市部の病院はコスト削減のため、さまざまな努力を積み重ねてきた。その代表が「選択と集中」だ。たとえば、首都圏の場合、がんではがん研有明病院、心臓病では榊原記念病院、甲状腺疾患では伊藤病院のような専門病院に患者が集中し、このような病院の経営は概して良好だ。

 一方、「選択と集中」が困難な総合病院の経営は悪化している。学生教育のため、患者が激減している産婦人科や小児科を閉鎖できない東京女子医大、日本医科大学などの大学病院の経営難は、すでに多くのメディアで報じられている。最近、三井記念病院が債務超過に陥ったという報道まであった。このままの状態が続けば、都心部の病院の再編は避けられそうにない。

 では、地方都市の医療機関はどうなるだろう。こちらも診療報酬抑制に合わせて、その在り方が変わりつつある。

「これからの地方病院経営の肝はコストダウン」と内科医で相馬市長(福島県)を務める立谷秀清氏は言う。立谷氏は、この地域の医療の「責任者」だ。公立相馬総合病院の管理者、自らが設立した医療法人社団茶畑会の理事長、さらに経営難に陥った地元病院の理事も務める。

 感心するのは、地域内で医師の配置をうまく誘導していることだ。その基準は患者のニーズと病院の経営状況だ。相双地域には4つの公立病院と8つの民間病院が存在する。人口減が続くこの地域で、将来的には集約化されるだろうが、現状では、いずれも地域に必要不可欠だ。赤字が補助金で穴埋めされる公立病院はともかく、民間病院は稼がなければならない。

 ところが、これが難しい。どう対応しているのだろうか。私は民間病院が内科・透析・整形外科、公立病院が外科・救急・産科、開業医が眼科・皮膚科と棲み分けが進みつつあるように感じる。もちろん、棲み分けの理由は経済性だ。整形外科や透析施設の収益性が高いことはいうまでもない。意外なのは内科だ。内視鏡などの技能がない「普通の内科医」の売上は少ないと考えられている。

●地方でも「選択と集中」

 では、なぜ相双地域の病院は収益が上がるのだろうか。それは、相双地区は医師不足のため、1人当たりの患者受持数が多いからだ。今年1月、南相馬市立総合病院の尾崎章彦医師(写真1)が、同じく南相馬市内の民間病院である大町病院に移籍した。

 彼が大町病院に赴任したのは、南相馬市立総合病院の後輩の内科医で、昨年9月に大町病院に出向した山本佳奈医師をサポートするためだ(http://japan-indepth.jp/?p=37556)。山本医師は常勤内科医が退職し、誰も内科医がいなくなった大町病院の惨状を見かねて、自ら出向することを立候補した。ところが、その仕事は彼女ひとりでカバーできるボリュームではなかった。彼女を助けたのが尾崎医師だ。

 尾崎医師は東大医学部を卒業し、「外科」専門医資格を有する人物だ。相双地区の地域医療に従事しながら、46報の英文論文を発表している。将来の日本の医学界を担う逸材だ。ところが、大町病院での尾崎医師の肩書きは「内科医」だ。

 彼が「内科医」を名乗った、あるいは名乗らざるを得なかった理由には、大町病院に外科医を派遣している大学医局との関係がある。必ずしも、尾崎医師自ら「内科医」と名乗ることを希望したわけではない。私も浜通りの医療を目の当たりにして、被災地の医療は綺麗事だけではすまないことを実感する。ご興味のある方は、『選択』(3月号)の以下の記事をお読み頂きたい。大町病院が取り上げられている。一読し、私も衝撃を受けた。ただ、経緯はどうであれ、結果的に尾崎医師の経験は、今後の地方病院の外科医の在り方を考える上で示唆に富む。

 彼は15名程度の入院患者と週8コマの外来を担当する。さまざまな疾病を有する患者を、自分の判断で治療している。もちろん、外科のスキルを有すため、外科的処置は対応できる。彼は大町病院で働くことで、外科以外の多くの臨床経験を積むことができる。将来リーダーになることを嘱望されている医師には貴重な経験だ。

 尾崎医師は、今年半ばにはいわき市内の病院に移籍し、本来の専門である乳腺外科に従事する。人口34万人のいわき市内には、乳腺外科の専門医は1人しかいない。尾崎医師にとって、いわき市は多くの臨床経験を積める理想的な環境だ。仕事を求めて、移籍するのは合理的だ。

 話を大町病院に戻そう。大町病院のような地方病院が外科を維持するのは容易ではない。外科は病棟以外に手術室を維持しなければならない。人件費・固定費が高い。ところが、患者は多くない。特にがんなどの待機手術だ。その理由は、患者がハイレベルの専門病院を選ぶからだ。冒頭にご紹介したように、都心部の病院は生き残るために、「選択と集中」を進めている。東北地方も例外ではない。

 たとえば、仙台厚生病院だ。目黒泰一郎理事長のもと、徹底した「選択と集中」を掲げてきた。循環器・消化器・呼吸器では全国屈指の病院に成長した。胃がんの内視鏡手術は236件(2016年度)で、東北地方で1位、全国10位だ。

 相双地区は歴史的に仙台との交流が深い。南相馬市立総合病院の藤岡将医師(消化器科)は「がんと診断された患者の多くが仙台厚生病院を希望します」という。この結果、同院で手術を受けるのは、仙台厚生病院がやっていない診療科や、緊急対応が必要になる患者だ。症例数も少ない。大町病院の手術数は週に1~2件という。これでは、どうしてもコスト高になる。地元の病院経営者は「外科は赤字を垂れ流す。このままでは維持できない」という。この地域で外科を維持するためには、赤字を補助金で穴埋めできる公立病院で、救急医療と一緒にやるしかない。

●変わる外科医の在り方

 今後、ますます外科手術は集約化されるだろう。相双地区のような都市近郊の地方都市でがんと診断されれば、専門病院を受診するようになるだろう。この結果、がんを扱う病院の数は減少する。

 これは外科を志す若者、特に臓器別の従来型の外科医を志望する若者にとっては、就職が難しくなることを意味する。大学や専門病院で先端技術を学んでも、専門施設には就職できないし、多くの民間病院は外科専門医を抱える余裕がない。雇用できるとすれば公立病院だろうが、彼らが期待するのは救急医療と外科の一般診療だ。肺がんの名医として有名な土屋了介・前神奈川県立病院機構理事長は「肺や大腸などを専門とする従来型の臓器別外科医の時代は終わった。地域のニーズを汲み取り、変化できる外科医だけが生き残れる」という。その典型が尾崎医師だ。彼は乳がんという専門性と、何でも屋の内科医の役割を担っている。まさに地域のニーズに応える「総合医」だ。

 高齢化、財政難が進むわが国で、医療の在り方は変わる。従来型の外科医のニーズは激減している。外科を志す若手医師は変わらねばならない。社会のニーズを捉え、適応することだ。狭い専門領域に閉じこもることなく、自分の頭で考えるしかない。尾崎医師は、その格好の事例である。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180405103201
ストレスチェック制度、「依然として疑問」
日医が「提言」を公表

2018年04月05日 14:05 CB News

 日本医師会(日医)は4日、ストレスチェック制度の在り方や産業医の活動などに関する「提言」を公表した。日医の産業保健委員会が取りまとめたもので、ストレスチェック制度に関するアンケートの結果を分析。この制度の有効性について、「多くの認定産業医から依然として疑問があるとする意見が示された」としている。【新井哉】

 ストレスチェックの開始に伴い、産業医の契約や活動にどのような影響があったかを把握しようと、日医は2017年3月から4月にかけて認定産業医(無作為抽出の5000人)を対象としたアンケートを実施し、2040人から有効回答を得た。

 このうち、産業医活動をしている認定産業医(1332人)の活動内容(複数回答)を調べたところ、「健康相談」(1174人)が最も多く、以下は「職場巡視」(954人)、「衛生委員会出席」(934人)、「高ストレス者面接指導」(893人)、「長時間労働者面接指導」(803人)などの順だった。

 嘱託産業医として活動する事業場への訪問頻度も調べた。「月に1回」と回答したのは639人で全体の半数超を占め、「月に2回以上」も2割弱の217人いた。

 ストレスチェックの開始に伴い、産業医の契約更新を拒否された認定産業医が56人いた。このうち、「ストレスチェック委託先の医師に取って代わられた」(25人)との回答が最も多く、「報酬面で折り合いがつかなかった」と答えた医師も13人いた。

 ストレスチェック制度の課題や改善を求める意見についても、「肯定的な意見」と「否定的な意見」に分類した。「否定的な意見」が過半数を占め、「負担が過大」「有効性に疑問」「報酬に問題」「事業者が理解不足」などの意見があった。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20180402-257558.php
「ふたば医療センター病院」開院 双葉地方の2次救急医療拠点
2018年04月02日 09時00分  福島民友新聞
  
 双葉地方の2次救急医療拠点となる「県ふたば医療センター付属病院」の開院式が1日、富岡町の現地で行われた。24時間365日対応で救急医療を担うほか在宅診療や住民の健康づくりを支え、帰還した住民や復興事業従事者、進出企業の安心を医療面で支援する。23日から診療を始める。

 双葉郡では震災前、四つの病院が2次救急医療を担っていたが、原発事故で全て休止。地元の強い要望を受け、県が新たな2次救急医療機関の整備を進めてきた。避難指示解除が進む中、新病院の開院で帰還を検討する住民の安全・安心につながる効果が期待される。

 診療科は救急科と内科で原則、救急車で搬送された患者や地域の医療機関が開院していない時間に急病で来院した患者などが対象。救急医療のほか、東京電力福島第1、第2原発に近い立地を生かした緊急被ばく医療も担う。院内に設けた除染室で初期対応を行い、ドクターヘリや新たに導入する「多目的医療用ヘリ」で適切な医療機関に搬送し、早期治療につなげる。

 高齢者の帰還が多い現状を踏まえ、訪問診療や訪問介護も行うほか、自治体や医療機関、介護福祉施設と連携した「地域包括ケア」の仕組みを構築。健康を支える取り組みでは、健康教室や出前講座で疾病予防や健康増進を図る考えだ。

 新病院は鉄骨2階建てで1階に全室個室の病室30床や救急治療手術室など、2階は医局や会議室を設置。医師は福島医大から派遣を受け19人が交代で勤務。平日の日中は4~5人、休日の日中は3~4人、夜間は2人体制を検討する。看護師や診療放射線技師、理学療法士らを合わせると医療スタッフは約70人となる。

 開院式では内堀雅雄知事が「住民の安心には地域医療確保が不可欠。今後も帰還に向けた環境整備を進める」とあいさつ。加藤勝信厚生労働相、吉野正芳復興相(衆院福島5区)が祝辞で双葉郡の医療再生への継続的な支援を約束した。式後は関係者に病院内を公開。16日午後2時~同3時には住民向け内覧会も開かれる。住所は富岡町本岡字王塚817の1。



  1. 2018/04/08(日) 10:03:52|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

4月1日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/594833
全日病の総合医育成事業、定員40人に対し、既に半数の応募
第6回臨時総会で説明、30代~70代と年齢層は幅広く
 
2018年3月31日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全日本病院協会常任理事の井上健一郎氏は3月31日の第6回臨時総会で、2018年7月から全日病が開始する総合医育成事業に対し、現時点で既に40人の定員の約半数の応募があると説明した。年齢は40、50代が中心だが、30代から70代にわたる。病院院長も少なくないという。募集期間は3月1日から5月31日まで。研修開始は7月14日から。

 総合医育成事業は、外国人技能実習生の受け入れ事業、介護医療院協議会の組織と並んで、全日病が2018年度から開始する三大新規事業の一つ。高齢患者が増加する中、幅広い診療能力を持つ医師が病院においても求められる。2018年度からスタートする新専門医制度により、総合診療専門医の養成が始まるが、病院の現場に行き渡るまでには時間を要する状況であるため、本事業が発足した。新たなキャリア形成を指向する医師を支援する狙いもある。井上氏は、「キャリアチェンジ、あるいはキャリアアップのために、ぜひ本研修プログラムを活用してもらいたい」と求めた。

 総合医育成事業は、全日病が、日本プライマリ・ケア連合学会および筑波大学の協力を得て取り組む。おおむね医師経験6年以上の医師が対象。定員は40人、2年目からは50人を予定。研修期間は2年間が推奨されるが、職場や個人の状況により、1年間から5年間での修了を求める。受講料は、全日病の会員が40万円(税別)、会員外が50万円(税別)。

 研修プログラムは、自院における診療実践、e-learning(プライマリ・ケア実践に役立つレクチャーをオンデマンドで配信)、スクリーニングで構成。スクリーニングは、(1)診療実践コース(全22単位)、(2)ノンテクニカルスキルコース(全10単位)、(3)医療経営コース(全2単位)――から成る。総合的な診療を実践していることに関する修了レポート提出、e-learningを4回以上視聴、スクリーニングを所定回数以上履修(診療実践コース12単位以上、ノンテクニカルスキルコース6単位以上、医療経営コース2単位以上、合計20単位以上)により、認定証を交付する(資料は、全日病のホームページ)。



https://www.m3.com/news/general/594821
県立中央病院:HCU運用めど立つ 看護師採用増で来年度から 開始時期は未定 /香川 
地域 2018年4月1日 (日)配信毎日新聞社

 2014年3月の県立中央病院の移転・開院時、病院機能拡大の目玉の一つとされながら、看護師不足のために一度も使われていなかった高度治療室(HCU)が新年度から運用される見通しとなった。看護師採用試験を改革したところ、志願者が増えて4月採用者も増加することになり、運用のめどが立ったという。【植松晃一】

 2月定例県議会で、松本祐蔵・県病院事業管理者が答えた。県の県立病院課によると、看護師不足が深刻な県立中央病院では、患者2人に看護師1人を配置する集中治療室(ICU)が10床整備されたが、運用は8床のみ。このため、患者4人に看護師1人と一般病棟(患者7人に看護師1人)より多くの看護師配置が必要なHCUは移転時に整備されたが、運用できない状態が続いている。

 県は今年度、県立3病院の看護師採用試験で志願者の負担となっていた専門知識を問う学科試験を廃止し、看護師への思いなど人間性を問う小論文に代えた。看護師として必要な知識は国家試験でも問うため、重複を避けた形だ。

 この結果、昨年度は計75人が志願して計56人が合格したのに対し、今年度は計130人が志願し、計80人が合格した。このうち、昨年4月(51人)を上回る74人を採用する予定で、運用開始の方針を固めた。

 ただ、12床あるHCU全てを運用するには、二十数人の看護師が必要なため、一部にとどめるほか、運用開始の時期も新採用の看護師の習熟状況などを見極めながら決める。

 HCUは、容体急変の恐れもある患者を24時間態勢で集中的管理するICUより軽症の患者を収容する施設。ICUの患者を一般病棟へ移す前に収容するケースを想定するが、運用できない県立中央病院では、ICUが混雑する状況となっているという。

 県立病院課は「ICUが満床で重い症状の患者を受け入れられないこともあったが、HCUを運用すれば、そういう事態を減らせるのではないか」と期待している。



https://www.m3.com/news/general/594834
徳島市民病院:医療機器を再使用 17年度175件 使い捨てを滅菌 /徳島 
地域 2018年4月1日 (日)配信毎日新聞社

 徳島市民病院(同市北常三島町2)が2017年度、使用後の廃棄が定められている医療機器を、約175件の手術で再使用していたことがわかった。9月に厚生労働省が通知するまでに複数の医師が行っていた。健康被害は確認されていない。

 同病院によると、再使用されたのは骨を切断する「ブレード」と、骨に穴を開ける「ドリルバー」。17年4~8月に整形外科約170件、脳神経外科5件の手術で再使用された。16年度以前は「調査対象ではない」として明らかにしていない。

 昨年9月に県外の病院で再使用が明らかになった後、同病院でも同じ問題の存在が浮上したという。手術の際は多数の機器をそろえるが実際に使用するのは数本で、残りは廃棄する必要がある。同病院では、封を開けただけのものやほとんど使っていないものを含め、全ての廃棄は非効率と考えた医師が、安全のため専用装置で洗浄、滅菌した上で使っていた。

 三宅秀則院長は「国の通知は以前から周知してきたが、十分に行き届いていなかった。再発防止を徹底する」との談話を出した。

 同病院の問題発覚以前も、厚労省からは04年以降、使い捨て機器の再使用を禁止する通知が出ていた。同病院は通知の度に院内へ文書で通知し、専用サイトや会議の議題でも取り上げてきたものの防げなかった。

 県外では17年8~9月、兵庫医大病院や大阪市立大病院で同様の問題が発覚した。【大坂和也】



https://www.m3.com/news/general/594716
福島、内科医院が破産、負債総額約1億6000万円 
2018年3月30日 (金)配信東京商工リサーチ

 医療法人相﨑医院(郡山市笹川2、設立1989年8月、理事長:相﨑雄二氏)は3月22日、福島地裁郡山支部へ破産を申請した。申請代理人は隈部泰正弁護士ほか1名(はる総合法律事務所)。負債総額は約1億6000万円。

 1968年に創業し、JR安積永盛駅近くで「相﨑医院」を運営していた。内科を中心とした診療所として地域住民に定着し、1992年7月期にはピークとなる売上高約1億6200万円を計上していた。

 2007年には「ささがわ居宅介護支援事業所」を開設し、介護事業にも進出したが、患者数の減少などから近年の年間売上高は1億円を下回り、赤字経営が続いていた。2017年19月までに相﨑雄二理事長が死去し、理事の相﨑一雄氏が引き継いで事業を継続していたが、資金面の悪化で先行きの見通しも立たず、今回の措置となった。



https://www.m3.com/news/general/594817
日本海ヘルスケアネット:設立へ 医師など3師会参加 /山形 
地域 2018年3月31日 (土)配信毎日新聞社

 医療や介護、福祉などのサービスを将来にわたり地域内で安定的に切れ目なく提供できるシステムの構築を目指す地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の設立が、このほど県庁で開催された県医療審議会で適当と判断された。4月初旬にも吉村美栄子知事から認定される見通し。

 認定されれば、愛知、広島、鹿児島、兵庫県の法人に次いで5番目の組織になるが、地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会がそろって入るのは全国で初めてで、精神科の専門病院が加わるのも前例がないという。設立に向け中心となって取り組んできた県・酒田市病院機構の栗谷義樹理事長は「社会保障制度が厳しさを増す中、各サービスを継続して提供するための“足腰”を整備するスタートラインに立てる」と意義を話す。

 同ネットは、日本海総合病院(酒田市)を運営する同機構、酒田地区医師会、同歯科医師会、同薬剤師会など庄内北部地域の関係9法人で構成。参加各法人の個性や特徴を生かして役割を分担し、急速に進む少子高齢化、過疎化に対応した高い品質の医療サービスなどを住民が住み慣れた地域の中で安定的、効率的に提供することを目指す。医療連携推進区域は、将来の人口減などを考慮して庄内全域とした。

 医療法の一部改正に伴って創設された地域連携医療法人制度を活用して計画を進め、今年1月に設立総会を開催。県に認定を申請していた。

 栗谷理事長は先駆的な法人が設立される背景として、県立日本海病院と酒田市立酒田病院の統合(2008年)とその後の運営が順調で、設立の下慣らしができていることを挙げた。

 医師会など地元3師会がそろって参加したことについては「地域連携を進めるために3師会は必ず必要な役者」との認識を示し、理念を共有できたことから実現したと説明。精神科専門病院の参加を求めたのは「これから爆発的に増える認知症患者をどうマネジメントするか考えた場合、欠くべからざるものと当初から思っていた」と語った。【高橋不二彦】



https://www.m3.com/news/general/594810
【大阪】子ども心臓手術、器具使い回しか…3年100件 
2018年3月31日 (土)配信読売新聞

 大阪府立病院機構は30日、運営する大阪母子医療センター(和泉市)で2015年1月以降、幼い子どもの心臓手術計100件で、再使用が禁じられている医療器具を使い回していた疑いがあると発表した。

 今のところ、健康被害の報告はないという。

 発表によると、再使用していた医療器具は、脳動脈瘤りゅう手術用のクリップ。子どもの細い血管を挟むのに便利なため、子どもの心臓手術でこのクリップを使うことは同センターの倫理委員会が認めている。

 ただ、感染の恐れがあることなどから、メーカーは再使用を禁止している。

 同センターの心臓血管外科では、6、7歳ぐらいの子どもに行った心臓手術で、滅菌処理しながら再使用していたという。大人の心臓手術で血を止める際に使う器具は再使用可能なため、同科の医師や看護師が「クリップも再使用できる」と誤って認識していたという。



https://www.m3.com/news/general/594508
医療事故4千件、最多更新 17年、評価機構への報告 
2018年3月31日 (土)配信共同通信社

 日本医療機能評価機構(東京)は29日、2017年に全国の医療機関から報告があった医療事故は前年比213件増の4095件で、年単位の集計を始めた05年以降、最多を更新したと発表した。

 事故情報の収集事業に参加している1049の医療機関のうち、375施設から報告があった。機構は「事故が起きたら報告するという流れが定着しつつある」としている。

 法令に基づき報告を義務付けられた大学病院や国立病院機構の病院などからの報告が3598件と、9割近くを占めた。このうち死亡事例が261件(7・3%)、障害が残る可能性が高い事例は361件(10・0%)。ほとんどのケースで治療などを受けていた。

 内容別では、転倒や転落を含む「療養上の世話」が最多の1475件(41・0%)、治療や処置に関するものが960件(26・7%)だった。

 地域別での最多は関東甲信越の1111件。他に中国四国607件、東海北陸599件、九州が508件、近畿451件、東北223件、北海道99件となっている。

 機構は、医療行為に関連して患者が死亡したり、当初予期された水準を上回る処置が必要になったりしたケースを医療事故として情報収集。年間の報告件数をまとめている。



https://www.m3.com/news/general/594835
くらて病院:内科「常勤医3人」体制へ 外来診療は8割カバー /福岡 
2018年4月1日 (日) 毎日新聞社

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の河野公俊理事長(68)は、内科常勤医6人の退職後の4月からの診療体制について報道各社の取材に応じた。新病院長には田中宏明整形外科診療部長(62)が就き、内科の外来診療は従来の約8割はカバーできるという。

 河野理事長は「この地域にとって重要な病院なので、なんとか再生、再建できるよう頑張りたい」と話した。

 内科の新体制は、河野理事長が常勤内科医として診療にあたる他、老健施設の内科医(58)が病院常勤医を兼務する。また、透析は、担当医と九州大からの非常勤医派遣で週6日できるようになり、実質「常勤医3人」体制となる。その他、九州大や久留米大から非常勤医を派遣してもらうことで、診療枠(1枠4時間)39のうち32をカバーできる体制が整った。

 一方、1日平均約50人いた内科系入院患者は、今月末までに全員が退院、転院している。4月以降の受け入れは「分からないが、見られる範囲で見たい」としている。救急患者は、4月中は受け入れを辞退し、5月以降は新体制での運営を見て判断するという。

 また、病院の新築、移転について、4月に第三者委員会を発足させたいとしている。【武内靖広】

〔筑豊版〕



https://www.m3.com/news/general/594668
後発薬の使用8割を目標 2018~23年度医療費適正化計画 
2018年3月31日 (土) 高知新聞

 高知県は3月29日、生活習慣病対策などの数値目標を盛り込んだ「第3期医療費適正化計画」(2018~23年度)を策定した。後発医薬品の使用割合80%以上などを掲げており、目標を達成すれば県民医療費を約29億円抑制できると見込んだ。

 08~12年度、13~17年度に続く今回の計画では、県民医療費(15年度)が3233億円で、1人当たりでは全国1位の44万4千円などと説明。平均在院日数は全国2位の41・8日(15年)で、医療費のうち75歳以上の後期高齢者医療費の割合が高いなどの高知県の特徴を挙げた。

 23年度の目標には、後発医薬品の使用割合80%(15年度=54・3%)のほか、特定健診実施率70%(同46・6%)▽特定保健指導実施率45%(同14・6%)▽メタボリック症候群の該当者・予備軍を08年度比25%以上減―の4項目を掲げた。

 目標を達成すれば、23年度の県民医療費は約3508億円。施策を講じなかった場合は約3537億円だという。



https://www.m3.com/news/general/594651
後発薬シェア、20%へ加速 日医工・田村社長が意欲 エーザイと提携 
地域 2018年3月31日 (土) 北國新聞

 ジェネリック医薬品(後発薬)最大手の日医工(富山市)の田村友一社長=写真左=は29日、都内のホテルで会見し、新薬メーカーのエーザイ(東京)と資本・業務提携に関する戦略提携契約を締結したことを受け、後発薬の国内シェア20%に向けた動きを加速させる考えを示した。2021年3月期の達成を目標に掲げているが、田村社長は会見後、記者団に「1年ぐらい前倒しできればいい」と語った。

 田村社長とエーザイの内藤晴夫代表執行役最高経営責任者(CEO)が会見した。

 提携では日医工がエーザイ子会社で後発薬を手掛けるエルメッドエーザイ(東京)を約170億円で買収し、完全子会社化する。これについて田村社長は「規模の拡大でコスト競争力が高まる。シェア20%へのアプローチがスピードアップできる」と強調した。

 エーザイのインド工場で原薬(API)の共同開発、調達を進めることに関しては「安価で良質なAPIの調達が可能となり、収益に大きく影響する」と期待を寄せた。地域医療など新たな市場の開拓を強める方針も示した。

 日医工は1千品を超える製品をエーザイに提供する予定で、エーザイは新薬と後発薬を組み合わせて医療機関などに提案したい考えだ。内藤氏は「日医工の豊富な品ぞろえを活用したい」と力を込めた。田村社長については「経営者としてリスクを取りながら、果敢に新しい事業にチャレンジしている」と評価した。



https://www.m3.com/news/general/594405
県立病院機構:理事長に康井氏 知事が任命へ /神奈川 
2018年3月29日 (木) 毎日新聞社

 黒岩祐治知事は28日、空席となっている地方独立行政法人県立病院機構の理事長に、康井制洋副理事長を任命すると発表した。同機構を巡っては運営する県立がんセンター(横浜市旭区)で医師が相次いで退職の意向を示すなどの混乱の末、理事長の解任に至っていた。知事は「要職を長年務め現場を熟知し課題にも対応できる」と理由を述べた。当初は固辞されたが承諾を取り付けたという。

 知事は外部人材も模索したが、年度末のため確保が難しかった。康井氏は県立こども医療センター総長などを歴任。先月、土屋了介前理事長の解任を求める緊急声明を他幹部らと知事に共同提出していた。康井氏は県との連携を強化する方針で、県が推薦した県下水道公社理事長の藤井良一氏を副理事長に起用する。

 また県は放射線治療科の医師の確保について、4月以降は群馬大や横浜市立大などの医師を加え12人の体制を確保した。知事は「安堵(あんど)しているが人材育成を安定的継続的に行う仕組み作りが重要」と横浜市大や医療機関との連携に意欲を見せた。【堀和彦】



https://www.m3.com/news/general/594379
魚沼基幹病院の新運営計画決まる 全面稼働は2021~22年度 
2018年3月29日 (木) 新潟日報

 魚沼基幹病院(南魚沼市)を運営する県地域医療推進機構は28日、新潟市中央区で理事会を開き、全面稼働の時期を2021~22年度に先送りし、単年度決算は20年度から黒字化を見込むとする新たな運営計画を決定した。17年度決算は4億7900万円の赤字になる見通しも明らかにした。

 公設民営方式の魚沼基幹病院は15年6月に県が設置し、9病棟454床を備える。当初計画では開院3年目の17年度に全面稼働、18年度に単年度黒字化を達成するとしていた。

 しかし、看護職員の不足により、これまで稼働したのは最大328床。17年度は308床にとどまる。

 病床の稼働が進まないことで入院診療収入など事業収益も計画を下回り、15年度決算では12億1800万円、16年度は7億6200万円と2年連続で純損失を計上。17年度の損失見込みを含め、累積赤字は24億5900万円に膨らむ見通しだ。累積赤字が30億4700万円を上回ると、県地域医療推進機構は債務超過に陥る。

 新計画では、全面稼働に必要な看護職員を17年度より99人増の423人と設定。今後の採用目標を毎年50人程度とし、半数は経験者としたい考えで、早ければ21年度内に確保する。

 収支見通しでは、19年度まで赤字が続き、累積赤字は最大で29億4400万円に達する。看護職員が391~411人となる20年度に最大425床が稼働することで、2300万~3億7100万円の黒字に転じると試算した。

 魚沼基幹病院の内山聖・病院長は理事会後の取材に、全面稼働が遅れることについて「現実的な計画に見直した」と説明。看護職員の確保と収支改善に向け「計画の通りに1年1年数字を積み上げられるよう、現場で努力する決意だ」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/594161
ぐんま地域医療会議:初会合 医師偏在解消策 県が派遣を要請へ 各地域の実態調査 /群馬 
2018年3月28日 (水) 毎日新聞社

 県内の医師の偏在解消策などについて、県と群馬大、医師会などが話し合う「ぐんま地域医療会議」の初会合が26日、県庁で開かれた。これまで群馬大医学部が中心になって担っていた各医療機関への医師の配置について、県が各地域の患者数や医師数などを調査・分析し、必要な医師の派遣を要請する方式に改めることなどを確認した。2019年度の医師配置から導入する予定。

 県によると、県内の各医療圏の人口10万人あたりの医師数にはばらつきがあり、最多の前橋地域が443・3人に対し、最少の太田・館林地域は141・9人(厚生労働省調べ、16年12月末現在)。前橋地域を除く9地域で全国平均(240・1人)を下回り、偏在の解消が急務になっている。

 そのため、若手医師の適正配置に向け、県がまず県内130病院を調査し、各地域の医療ニーズや医師の勤務条件などの情報をまとめて18年秋までに群馬大に提供する。群馬大によると、若手医師にとって勤務先の環境や条件などを理解したうえで赴任できるメリットがあるという。群馬大医学部付属病院の田村遵一院長は「若手の育成が質量共に安定するのではないかと期待している」と述べた。

 同病院は、同じ男性医師の肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題を受け、17年度から「地域医療への貢献」を掲げ、三つの改革に着手した。その一つが「地域医療研究・教育センター」の設置で、医師配置の適正化に取り組むとしている。【鈴木敦子】



https://www.m3.com/news/general/594137
松阪市民病院在り方答申 2病院統合、選択肢に 三重 
2018年3月28日 (水) 伊勢新聞

【松阪】「地域医療構想をふまえた松阪市民病院の在り方検討委員会」(7人)の末永裕之委員長(全国自治体病院協議会参与)は27日、三重県の松阪市役所で竹上真人市長に答申した。市内の3基幹病院のうち2病院の統合を選択肢に挙げた。

ベッド数を減らす国の地域医療構想を受けて諮問され、昨年6月から5回審議した。

市内3病院は松阪中央総合病院(川井町、440床)▽済生会松阪総合病院(朝日町一区、430床)▽松阪市民病院(殿町、328床)。

答申では(1)3病院の連携強化による併存(2)3病院の統合(3)2病院の統合の3パターンを示し、(1)は「厳しい状況になる」、(2)は「困難」、(3)は「将来におけるこの地域の医療を守っていくために十分検討していくことに値する」「あまり時間をかけずに議論していく必要がある」とした。

ただ、「影響が大きく、一つの具体的な方向性を示すまでには至らなかった」「議論を深めていくことが重要であると考え、その中から一定の方向性が導き出されることを期待する」とした。

末永委員長は「3つの基幹病院はいかにも多すぎる。一番小さい市民病院と新しく病棟を建てる済生会病院の統合が一番現実的。議論のポイントが決まってきた。いたずらに時間をかけるのは得策ではない」と述べた。

竹上市長は「3病院でやっていくのは難しいだろうというのは確か。さらに議論を深める」と話した。



http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20180327/CK2018032702000030.html
診療科多く常勤医不足 静岡・湖西病院を経営診断 
2018年3月27日 (火) 中日新聞

 経営難が続く静岡県湖西市立湖西病院の経営診断を実施した全国自治体病院協議会が26日、同市古見の健康福祉センターで市側に診断結果を報告した。常勤医師不足や、病床規模に見合わない診療科数の多さなどを問題点として挙げ、休止中の病棟の再開か縮小かについても検討の必要を指摘した。

 年間10億円以上の市からの繰入金に頼り続ける病院経営を立て直そうと、市が同協議会に診断を委託していた。この日は同協議会経営調査課の和田光貴主任が市、病院幹部と市議らに報告した。

 同病院には現在、22の診療科があるが、常勤医師は16人のみ。非常勤医師を外部から招いており、診断の結果では、その報酬が経営を圧迫していると説明した。診療科数も、ほかの同規模の病院と比べて多く、経費が膨らんでいると示した。市民が病院に何を望んでいるか調査し、必要な診療科を検討するようアドバイスした。

 病床数は196床あるが、2015年から4病棟のうち2病棟が医師不足で休止しているため、103床のみ稼働している。病棟再開か縮小か、早めに方向性を決めて職員の配置などを考える必要があると指摘した。

 湖西病院は診断結果を受け、昨年3月に策定した改革プランの見直しを4月以降に進める。



https://www.m3.com/news/general/593633
増える訪問診療…在宅医の負担軽減を 福井県と東京大の共同研究 
2018年3月27日 (火) 中日新聞

 超高齢化社会を見据えて県と東京大が進めるジェロントロジー(総合長寿学)共同研究の中間報告会が22日、福井市宝永3丁目の県国際交流会館で開かれた。医療関係者を対象にした実態調査結果などが報告され、予想される訪問診療の需要増に備えて在宅医の負担を軽減する必要性を指摘する声が上がった。

 実態調査は09~15年の第1、2期に続く第3期の共同研究として実施。坂井、あわら両市の調査では、在宅医療を担う医師の8割以上が1人の慢性期患者を月1~2回訪問し、平均で移動と診療にそれぞれ15分程度かけていた。

 在宅対応をしていない医師も、不在時に受け入れてくれる病院や副主治医が確保できれば在宅対応を前向きに検討するとの回答が多く、皮膚科などの医師に在宅医療を分担してもらう視点が必要との声が紹介された。

 県長寿福祉課は、坂井、あわら両市でモデル的に構築した副主治医や後方支援の医療機関を決めて介護事業者などと連携する仕組みを県内全域に拡大したと報告。船木麻央課長は「医師の負担を軽くして労働の質を上げ、患者の生活の質を向上する施策を進めたい」と語った。

 介護が必要になる前の「フレイル」と呼ばれる心身の虚弱化を予防する取り組みも紹介され、東京大高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授は「福井のモデルを日本のモデルに」と呼び掛けた。



https://www.m3.com/news/general/593912
千葉市:病院局が改革案 「青葉」「海浜」黒字化目指す /千葉 
2018年3月27日 (火) 毎日新聞社

 経常赤字が続いている千葉市病院局は、市立の青葉病院(中央区)と海浜病院(美浜区)の健全経営確立を図るため、2018年度からの3カ年計画「市立病院改革プラン(第4期)」(案)を策定した。公立病院の機能見直しを求める総務省の「新公立病院改革ガイドライン」(15年3月)に沿ったもので20年度までの病院事業黒字化を目指す。4月2日までパブリックコメントを実施している。

 病院局は13年度以降、経常赤字が続いており、一般会計からの繰入金が14~16年度は毎年度40億円以上にのぼり、今年度は60億円を超える見込みだ。昨年度は初めて資金不足が発生した。今年度の経常赤字は56億4800万円を見込む。

 同局経営企画課によると、16年度の病床利用率は青葉病院が全国平均並みの76・6%に対し、海浜病院は62・7%。15年4~6月に心臓血管外科で手術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、同科での患者受け入れを中止したことなどが影響しているとみられる。プラン案は病床利用率を20年度までに青葉病院で80・2%、海浜病院で69・4%に引き上げることを目標とし、海浜病院では小児科医、形成外科医、泌尿器科医の増員で小児医療や高齢者医療などを充実させるとしている。

 給与費削減のため、人員配置の見直しも盛り込まれた。定年退職に対する補充を行わないことで、海浜病院では19年度に看護師5人、医療技術員3人、20年度には医療技術員1人を削減する。業務見直しにより、時間外勤務手当も削減する。

 また、1984年開院の海浜病院は施設が老朽化しており、市は民間コンサルティング会社に委託し、市内の医療ニーズの把握や経営課題の整理を行い、統廃合も含めた病院のあり方について本格的な検討に入る。

 プラン案は市ホームページのほか、各区役所地域振興課や市図書館などで閲覧できる。意見は、経営企画課(千葉中央コミュニティーセンター)か各区役所地域振興課に持参するか、経営企画課にファクス(043・245・5257)、メール(kikaku.HO@city.chiba.lg.jp)。問い合わせは同課(043・245・5744)。【信田真由美】



https://www.m3.com/news/general/593652
 医師残業 福山市民病院に勧告 
2018年3月26日 (月) 中国新聞

 福山市民病院(福山市)が、勤務医6人に労使協定の上限を超える残業をさせたとして、福山労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが23日、分かった。医師不足で増員が困難な中、救急患者の受け入れなどで長時間労働を解消しにくいとしている。



https://www.m3.com/news/general/593380
長時間労働:勤務医に上限超える残業 広島市民病院に是正勧告 中央労基署 /広島 
2018年3月25日 (日) 毎日新聞社

 広島市民病院(中区)が勤務医38人に労使協定の上限である月80時間を超える残業をさせたとして昨年11月、広島中央労働基準監督署が病院を運営する市立病院機構(中区)に是正勧告を出したことが分かった。同病院が23日、明らかにした。

 同病院によると、広島労基署から昨年8月、同1~8月の勤務時間実績の提出を求められた。最も残業時間の多かった昨年4月は、管理職を除く常勤医270人のうち38人が労使協定で定められた月80時間(年6回まで)の上限を超える残業をしていたことが判明。38人の平均残業時間は月94時間で、うち8人は100時間を超え、最も多い医師は134時間だった。

 同病院は残業が多い理由に外来が1日平均1800人、入院も700以上ある病床がほぼ埋まっているなど患者数が多く、軽症から重症まで24時間体制で救急患者を受け入れていることなどを挙げる。勧告を受け、患者への説明を原則平日の日中に限るほか、時間差出勤などさらに負担軽減を図るとしている。【竹内麻子】



http://www.sakigake.jp/news/article/20180330AK0011/
社説:地方の医師不足 1県では解消策に限界 
2018年3月30日 秋田魁新聞

 「いま、岩手の、そして日本の地域医療は崩壊の危機にさらされています」。こんな内容の岩手県の意見広告が今月、週刊誌などに掲載された。医師不足と医師偏在の解消が急務とし、(仮称)の制定を提言している。

 医師不足は岩手にとどまらず地方共通の課題で、各県が懸命に医師確保に取り組んでいる。本県なら医学生向けの奨学金を設け、医師として県内に一定期間勤務することで返還を免除するといった対策を講じている。

 岩手県医療政策室は「医師不足に対応するのに、1県の取り組みでは限界がある。国と地方が協力し、国全体の問題として考える必要がある」と指摘する。同県が策定した基本法草案は、医師の計画的養成や偏りのない配置を実現するため、国や地方公共団体の責務を定めた。

 人口10万人当たりの医師数(2016年)を見ると、岩手県は207・5人で全国平均251・7人を大きく下回る。特に東日本大震災で被災した沿岸部で医師不足が深刻という。医師数は1位の京都府が334・9人、2位徳島県が333・3人など西高東低で、都道府県間で大きな差が生じている。

 本県は236・0人で岩手より多いが、全国平均には届かない。さらに、県内八つの2次医療圏(主に郡市単位)別に見ると、秋田周辺が311・2人と突出する一方、北秋田は106・0人、湯沢雄勝124・9人、大館鹿角156・5人と地域による偏りが大きい。医師不足には、県全体の医師の不足と、県内地域間の偏り(偏在)という二つの問題がある。

 新卒医師が幅広い診療技術を学ぶため国が04年度に導入した臨床研修制度が、地方の医師不足に拍車をかけた。研修先が都市部の病院などに集中し、県内に残る新人医師が減少。秋田大学の医局が担う医師派遣機能も大きく低下した。その後、同大医学部の入学定員増や、知事が指定する医療機関など一定期間の県内勤務を義務付ける「地域枠」が設定されるなどした。

 まだ時間はかかるが、知事が指定する施設に勤務する医師は4、5年後に100人規模になる見込みという。県医師確保対策室は「医師不足が深刻な地域で、対策の成果をある程度実感してもらえると思う」と話す。

 だが、4月にスタートする専門医養成制度が新たな懸念材料になっている。医師の希望する研修先が大都市に集中しており、地方の医師確保の努力を打ち消しかねないためだ。医療の質の向上は重要で制度の意義は理解できるが、そこに地方に配慮した仕組みを組み込むことが求められる。

 国全体の制度との兼ね合いで1県にできる対策には限りがある。県は岩手県などと連携し、地方の言い分をしっかり主張してほしい。国と地方が同じ方向を向き、より強力に医師不足の解消を目指す必要がある。



http://www.medwatch.jp/?p=19842
新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会 
2018年3月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門制度の2018年度全面スタートに向けて、専門医を目指す専攻医の登録が各研修プログラムで進められています。

 3月27日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、日本専門医機構から専攻医の登録状況に関する詳細なデータが提示されましたが、これを巡り「新専門医制度によって医師の都市部集中が増悪しているか、否か」について、検討会構成員と日本専門医機構との間で大きな見解の相違があることが分かりました。

 今後、都道府県と日本専門医機構が「医師配置状況」について話し合う中で、増悪の有無について検討していくことになります。

日本専門医機構と検討会構成員とで、「医師偏在の動向」について大きな見解の相違

 3月27日の検討会には日本専門医機構の松原謙二参考人(日本専門医機構副理事長)が、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長)の代理として出席。各都道府県における▼初期研修医の配置状況と専攻医の登録状況との比較▼診療科別の専攻医登録状況と過去の専攻医(後期研修医)採用実績との比較—データを提示しました(厚労省のサイトはこちら(検討会提出資料))。

 前者はメディ・ウォッチで既にお伝えしたもので、松原参考人は「都市部に一定の専攻医集中が見られるが、各研修プログラムで近隣県に医師が派遣されることを考えれば、大きな混乱などは生じていない」とコメント(関連記事はこちら)。

都道府県別に見た、初期臨床研修医の配置状況と、専攻医の登録状況(表 略)
 
また、5大都市圏(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)においては「専攻医集中が進まない」ように採用数上限(過去5年間の専攻医採用実績の平均)が規定されていますが(医師不足が懸念されている外科等は除く、関連記事はこちら)、後者のデータからは「上限規定が効果をあげている」ことが分かります。

都道府県別に見た、診療科別の専攻医登録実績(表 略)

5大都市圏における専攻医採用上限数と、その根拠(過去5年の採用実績)(表 略)

 
しかし、このデータに対し検討会構成員からは「都市部集中が増悪している」との指摘も出されました。

立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は、「専攻医8409名のうち、21.7%・1825名が東京に勤務している。人口比率(総務省統計局によれば東京都には日本全体の10.6%が居住している)に比べても、東京都への医師集中は明らかである。初期臨床研修制度の抜本的見直し、医師の地方勤務へのインセンティブ付与などを検討しなければ、我が国の医療は崩壊してしまう」と強調。

また渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)も、「東京への医師集中は『増悪』している。まずここを認め、その上で原因分析、対策法の検討へと進まなければいけない」と強い調子で指摘しました。

さらに、荒井正吾構成員(奈良県知事)の代理として出席した林修一郎参考人(奈良県医療政策部長)は、2016年度の初期臨床研修医採用状況(厚生労働省調査)と2018年度の専攻医採用実績(日本専門医機構調査)とを比較し、「日本専門医機構は『東京都が近隣県圏をカバーする』というが、関東ブロックで見ると、初期研修医シェアは34.9%であったが、専攻医シェアは37.3%に上昇している。関東以外の静岡県等を加味しても、関東ブロックのシェアは増加しており『都市部への医師集中』が進んでいることは疑いようがない」と指摘。

医師のブロック別シェアをみると、初期臨床研修から専攻医にかけてバラつきがある。関東ブロックでは2.4ポイントも増加しており、「東京が近隣県をカバーしている」だけでは説明が付かないとの指摘もある(表 略)

 
また林参考人は、この原因の一つとして「5大都市圏の採用数上限」が甘く設定されているのではないか、との指摘も行っています。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」による後期研修医の配置状況と、各学会による専攻医採用実績とを比べると、多くの診療科で「前者のほうが小さく、後者の方が大きい」ことが分かります。専攻医採用実績が大きければ、採用数上限が高めに設定され、「医師集中是正効果」は働きにくくなります。林参考人は、「採用数上限が高めに設定され、都市部への医師集中が『増悪』したのではないか」と分析しているのです。

医師の都市部集中が進行・増悪した要因の1つとして「5大都市圏の専攻医採用実績の甘さ(実際よりも上振れ)」があるのではないかとの指摘も(表 略)
 
このように、日本専門医機構と検討会構成員との間で、「新専門医制度によって、医師の都市部集中が『増悪』したか、否か」について大きな見解の相違があります。
この点については、実際に各都道府県において医師の勤務状況がどう変化していくかを確認しながら判断していかなければいけません。現在、国会に上程されている医療法・医師法等改正案(医療法及び医師法の一部を改正する法律案)では、医師偏在対策の一環として、専門医制度に関し▼国から日本専門医機構等に対し、必要な研修機会を確保するよう要請する権限の創設▼国・都道府県から日本専門医機構等に対し、地域医療の観点から必要な措置の実施を意見する仕組みの創設―を規定しています。

とくに後者では、「専門医の研修計画が地域医療に大きな影響を与える場合には、日本専門医機構は、あらかじめ国・都道府県の意見を聴かなければならない」こととされる見込みで、今後、都道府県が「日本専門医機構の推測のように、都市部の基幹病院の研修プログラムによって、近隣県の医療機関へ医師が派遣されている」のかを確認していくことになります。ここで、医師偏在が助長され、地域医療に重大な影響が生じかねないことが判明すれば、国が日本専門医機構に是正を求めてくことになるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

このため厚労省は、現時点で「専門医制度により医師偏在が助長されている」とも「されていない」とも判断することは難しい、と考えているようです。

 
なお、日本専門医機構では2018年度の採用実績をもとに「2019年度の採用数(5大都市圏の上限を含めて)を見直す必要があるか」などを検討する考えを示していますが、林参考人は「新専門医制度の採用実績が積み重ねられれば既得権益化してしまう。学会の採用実績を検証し、2019年度分から採用数見直しを行うべき」と強い調子で求めています。今後の日本専門医機構の動きにも、改めて注目する必要がありそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594446
シリーズ 真価問われる専門医改革
日本専門医機構の社員総会、地域医療への懸念少なく
厚労省検討会と “温度差”、2018年度予算案承認し終了
 
2018年3月29日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構の社員総会が3月29日に開催され、地域医療への影響を懸念する声は一部から上がったものの、全体としては滞りなく議論が進み、2018年度の予算案も承認された。「専攻医の東京一極集中」か否かをめぐって活発な議論が行われた、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」と比較すると、現状に対する問題意識に温度差があったようだ(厚労省の検討会は、『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。

 社員総会で機構側は、この4月から開始する新専門医制度について、「都市部への専攻医集中は避けられた」などと説明。その他、総合診療専門医に関する運営委員会、新専門医制度を検証するプロジェクトチームの設置など、これまで理事会で決定した事項を報告した。

 地域医療への影響について問題提起したのが、日本皮膚科学会理事長の島田眞路氏。地域医療の危機を訴え、東京都の専攻医のシーリングを「1.0」よりも低く設定するなどの提案をしたが、反対意見も出て、議論は深まらなかった。それ以外に、新専門医制度の地域医療への影響を懸念する発言は出ず、社員総会は1時間30分の予定だったが、約1時間で終了した。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「社員総会では、『うまく行きましたね』という意見の一方、『(専攻医のシーリングについて)東京を0.8掛けにすべき』との声もあった。それに対しては、『東京の専攻医が減れば、地域に派遣する専攻医が少なくなる』との反対意見もあった」と説明。

 新専門医制度のシーリングの「1.0」とは、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)では、14の基本領域について、「過去5年間の専攻医の平均採用実績を超えない」という条件。非公開で行われた社員総会後、島田氏は、m3.comの取材に対し、「シーリングが1.0であれば、従来通り、東京に専攻医が集まるのは明らか。0.8や0.9にすることが必要」との考えを説明。島田氏はガバナンスの在り方も問題視した。「新専門医制度を適切に運営するには、日本専門医機構を適切に運営する必要がある。プロフェッショナル・オートノミーでやるなら、よほど強いリーダーシップを発揮できる人材が必要。そうした人材はいないのなら、行政の関与もやむを得なくなるのではないか」との危機感を社員総会で呈したという。

 3月25日の日本医師会の第141回臨時代議員会でも、新専門医制度の在り方が問題になった(『新専門医制「地方への配慮、十分でなかった」、松原副会長』を参照)。日医会長の横倉義武氏は、m3.comの取材に対し、「社員総会では、もっと透明性を高めて運営するよう求めた。また医師の地域偏在解消と専門研修の在り方は、両立が難しい課題。日本専門医機構だけで十分にできないので、臨床研修の在り方も含めて、機構からも提言をしてもらいたいという話をした」と説明した。

 サブスペシャルティの問題も含め、新専門医制度をめぐり検討課題が多い中、同機構のガバナンスと事務局体制の強化を求める声は、臨床現場には根強い。日本専門医機構はこの6月、役員の改選を迎える。「役員候補者選考委員会」を設置し、役員候補者を決定、社員総会の決議によって選任する。現時点でそのスケジュールは未定。現執行部がどの程度、交代するか否かが注目される。




http://www.medwatch.jp/?p=19819
2020年度以降の医学部定員、仮に暫定増が全廃となれば「800人弱」定員減―医師需給分科会 
2018年3月27日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医学部の定員は、2019年度までは「暫定増」措置によって9400人程度となっている。この暫定増が仮にすべて廃止されれば8629人となり、800人弱の減となるが、2020年度以降の医学部定員をどのように考えるべきか―。

 厚生労働省の医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)が3月23日に開催され、こういった検討を開始しました。2020年度には、現在の高等学校2年生が大学を受験するため、今夏には具体的な医学部定員を示す必要があり、検討会では5月までに結論を出すことになります。

ここがポイント! [非表示]

1 この5月までに「2020年度からの当面の医学部定員」方針を決定
2 医師偏在対策・働き方改革については、仮定・幅を置いて定員検討の要素とする
3 将来の医学部定員を考えるに当たり、例えば「医師充足度合いの指標」などを検討

この5月までに「2020年度からの当面の医学部定員」方針を決定

 我が国は人口減少社会に入っており、この点だけを考慮すれば「人口に対する医師数が過剰にならないように、養成数を抑制していく」必要があります。一方、我が国の医療提供体制においては、地域間・診療科間の「医師偏在」という大きな課題があり、これを解消するためには「一定程度、医師数を増やしていく」方向で検討する必要もあります。

 そこで安倍内閣が昨年(2015年)6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2015」では、「人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制の構築に資するよう、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在等の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について検討する」よう厚労省に指示。

厚労省は「医療従事者の受給に関する検討会」「医師需給分科会」で検討を行い、一昨年(2016年)5月に、▼医師不足が特に深刻な青森県など10県における増員は「当面延長」する▼医師確保が必要な地域や診療科に医師を確保・配置するための都道府県ごとの増員は「当面延長」する▼地域医療に従事する明確な意思をもった学生などに配慮した増員は「慎重に精査」する―方針を固めました(第1次中間取りまとめ、関連記事はこちらとこちらとこちら)。

当面の医学部入学定員(表 略)

将来の医師需給の試算結果、早晩、供給量が需要量を上回ることが明確に(上位推計でも2033年以降は医師供給過剰になる見込み)(表 略)
 
その後、検討会・分科会では「医師偏在対策」について議論を行い、昨年末(2017年12月)に第2次中間とりまとめを行っています。
検討会・分科会では、さらに「2020年度以降の医学部定員」についてどう考えるかというテーマを議論することになっています。2020年度には、現在の高等学校2年生が大学医学部に入学することとなるため、志望校選定等のために、遅くとも今夏には医学部定員を明確に定める必要があり、検討会・分科会では「5月中」に結論を出します。

 2017年度の医学部定員は9420名、18年度の医学部定員は9419名(仮定)ですが、ここには上記の「暫定増」が含まれており、仮にすべての暫定増が廃止されれば、2020年度の医学部定員は8269名となります。高等学校3年生になってから「現在より医学部定員は800名近く減る」ことが分かったのでは、大きな混乱を招いてしまいます(定員が減れば難易度も上がる)。このため、遅くとも今夏に定員を固め、高等学校2年生の夏に「進路選択」を行えるような配慮を行う必要があるのです。

医師偏在対策・働き方改革については、仮定・幅を置いて定員検討の要素とする

医学部定員を定めるに当たっては、例えば次のようなさまざまな要素を考えなければいけません。
▽今後の医療需要(高度急性期から慢性期までの入院医療、外来、介護老人保健施設、行政機関、研究機関等)
▽今後の医師供給
▽医師偏在対策の効果
▽医師の働き方改革の効果

 しかし、「偏在対策」については現在、医療法・医師法等の改正法案が準備されている段階で(関連記事はこちら)、また「働き方改革」については議論中(2019年3月に結論、関連記事はこちらとこちらとこちら)であり、この5月時点では、これらの効果は全くの未知数です。このため、検討会では、偏在対策や働き方改革については、一定の仮定・幅を置くこととし、さらに「2020年度から短期間」の医学部定員のみをターゲットに議論する方針が固まっています。

偏在対策・働き方改革における仮定・幅としては、例えば次のような考え方が示されました。
▽医師の労働時間上限について、▼一般労働者と同様に「週55時間」とする▼脳・心臓疾患の労災認定基準に照らし「週80時間」とする▼米国のレジデントに適用される「週88時間」とする―との3パターンを置く
▽医師の労働時間について、タスクシフト(特定行為研修を受けた看護師等への業務移管)などを考慮して、3パターンを置く

偏在対策や働き方改革については、一定の仮定・幅を置いて試算に盛り込むこととする(表 略)
 
厚労省では、こうした仮定・幅を置いた上で、第1次中間とりまとめと同様に「医療需要」「医師供給数」を試算し、検討会・分科会の「医学部定員」論議に供する考えです。
なお、今村構成員は「新たな裁量労働制などを組み込んだ仮定・幅も置くべき」と要望しています。

将来の医学部定員を考えるに当たり、例えば「医師充足度合いの指標」などを検討

構成員からは、より将来を睨み「偏在対策・働き方改革の効果を踏まえた医学部定員」の議論を求める声も出ていますが、これは「2020年度以降の当面の医学部定員」について結論を出したのちに議論することになるでしょう。この点に関連して構成員からは「2020年度の医学部定員を5月までに固め、毎年度、偏在対策や働き方改革の効果を見て定員を議論していってはどうか」(今村聡構成員:日本医師会副会長)という意見も出ていますが、データの精査時間などを考慮すれば「2年度ごとに医学部定員を検討する」と一定の幅を置いた議論が現実的かもしれません(この場合、まず2020年度・21年度の医学部定員を議論する)。

なお、3月23日の検討会では「より将来の医学部定員」を議論する際の視点についても議論が行われ、「医師の充足度合いを評価する指標について、現在は『人口10万人当たり医師数』だが、これでよいのか検討する必要がある」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)、「安易に医師の労働時間上限設定がなされないよう、分科会と『医師の働き方改革に関する検討会』の意見交換会などをすべきである」(小川彰構成員:岩手医科大学理事長)、「現状で『医師不足』という認識が多くの病院である。この前提に立って、つまり医師不足のままで将来需給を考えてよいものか、検討する必要がある」(神野正博構成員:全日本病院協会副会長)といった意見も出ています。これらは、早くとも「5月以降」の検討テーマとなるでしょう。

 



https://mainichi.jp/articles/20180329/ddl/k46/010/345000c
出水市
病院事業、指定管理提案巡り溝 病院トップ拒否、市は困惑 /鹿児島
 
毎日新聞2018年3月29日 地方版 鹿児島県

 赤字が膨らむ出水市病院事業を巡り、市が設置した経営諮問会議が条件付きながら指定管理者制移行を提案したのに対し、病院トップが「実情にそぐわない」と拒否する考えを示し、事業の在り方を巡る溝が表面化してきた。市は「何とも言えない」と困惑しており、問題の行方は4月での退任を決めている渋谷俊彦市長の後任市長に託されることになりそうだ。

 市民グループが18日に開いた「病院問題を考える対話集会」に病院事業トップの今村純一管理者と、事業の核である出水総合医療センターの瀬戸弘院長が出席し、参加者に「答申に対する批判書」を配り、考えを伝えた。批判書は「指定管理者制は必ずしも黒字化が見込めない」と主張し「管理者は出水郡医師会で決まっていたような答申。受けようがない」と反論している。

 出水市の病院事業は医療センターが医師不足に陥り、患者と収入も落ちて赤字が膨らんだ。18年度予算編成時点で累積赤字は86億円を見込んでいる。

 これに対し、経営諮問会議は昨年11月から4回の協議を重ね、3月に答申をまとめた。今年9月末で事業継続に必要と考えられる現金7億円を確保できない場合、指定管理者制に移行せよとの内容に加え「出水郡医師会広域医療センター(阿久根市)と連携を図った上、将来は統合を進めていくこと」と郡医師会を重視した内容だ。

 経営諮問会議は委員名を含め非公開で、郡医師会関係者が含まれるかは不明だが、今村管理者は「バイアスのかかった答申だ」と批判する。一方で、大橋勇太副市長は「答申は最大限尊重すべきで、批判書を出すのは拙速だ」と話す。

 市民グループは後日、改めて対話集会を開くことにしている。【降旗英峰】



https://www.m3.com/news/iryoishin/594183
医療維新 シリーズ 地域医療構想
地域医療構想調整会議、「郡市医師会の役割が重要」
日医「地域医療対策委員会」報告書を公表
 
2018年3月28日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は3月28日の定例記者会見で、地域医療構想調整会議の重要性などを盛り込んだ「地域医療対策委員会」報告書、「地域医療構想に基づく将来の医療提供体制に向けて」を公表した。報告書の「はじめに」で、「地域医療構想は既に策定が完了し、運用する段階にある。中でも、地域医療構想調整会議は郡市医師会の役割が非常に重要であり、それを支援する立場にある都道府県医師会、そして日本医師会の連携が必要不可欠である」と記載している(資料は、日医のホームページ)。

 報告書は、(1)地域医療構想の課題、(2)在宅医療等について、(3)地域医療構想調整会議の求められる役割について、(4)地域医療構想に影響を与える施策――という4つの大枠で構成。

 釜萢氏は、「地域医療構想については、病床削減のための制度ではないことを繰り返し発信してきた」と説明。(1)の「地域医療構想の課題」では、病床機能報告制度の報告数と地域医療構想の「病床の必要量」を機械的に比較することなく、2025年のあるべき医療提供体制についての議論を進めるためにも、調整会議の役割が重要であると強調している。

 さらに調整会議では、公立・公的医療機関等が策定する「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、地域の実情に合っているか否かの議論も重要になる。釜萢氏は「調整会議のメンバーが、日頃からお世話になっている公立・公的医療機関等に対して指摘は言いにくいという声もあるが、地域に必要な医療を踏まえて、適切な議論をしなければならないことも、報告書ではうたっている」と説明した(『域医療構想「公私の競合なら、公が撤退」、石川常任理事』を参照)。

 (2)の「在宅医療等について」では、在宅医療のサービス必要量は、一定の仮定を置いた「推計値」として考えるべきであり、今後整備すべきサービス量として捉えるべきものではないと指摘。

 (3)の「地域医療構想調整会議の求められる役割について」の中で、改めて公立・公的医療機関等について言及。「プランを作成して、調整会議に提出したら、それで終わりではない」(釜萢氏)。報告書では、「対象医療機関でなければ担えない分野へ重点化されているかどうかについて確認する必要があり、具体的対応方針を決定した後に、見直す必要が生じた場合には、改めて地域医療構想調整会議で協議できることを指摘していく必要がある」と記載している。

 とかく「回復期機能が不足」と指摘される現状についても、「病床の必要量と病床機能報告の結果は、単純に比較できるものではない。その比較も構想区域単位で傾向を把握する程度にとどめるべきである。回復期病床イコール回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟の病床であるとの誤解がある。単純に回復期機能が足りないとするのではなく、内容を踏まえなければいけない」と釘を刺している。

 さらに(4)の「地域医療構想に影響を与える施策」では、医療従事者の確保、地域医療連携推進法人、地域医療介護総合確保基金、報道機関の関係について提言。釜萢氏は、「地域医療構想と病床機能報告制度を比較し、『2025年までに病床を減らさなければいけない』という報道がなされた」などと指摘し、病床機能報告制度や地域医療構想の「病床の必要量」の意味を理解するなどして、「今後も正しく適切な報道をしてもらいたい」と求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/593709
医療維新 シリーズ 日医代議員会
地域医療構想「公私の競合なら、公が撤退」、石川常任理事
第141回日医臨時代議員会、「心を鬼にして物を言って」中川副会長
 
2018年3月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の石川広己氏は、3月25日の第141回日医臨時代議員会で、地域医療構想の実現に当たって、「民間医療機関が、公立・公的医療機関等よりも、先に淘汰される事態が起きてはならない」と強調した。地域医療構想調整会議の協議の方向性と、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」の内容に齟齬が生じた場合には、プランの方を見直すことになっていると説明、「公立・公的医療機関等しか担えない分野に重点化しているかを検証し、公私の医療機関の競合があれば、公の方を撤退させることになる」と述べ、その調整を行う調整会議が非常に大きな役割を担うと説明した。

 この答弁に対し、山口県代議員の弘山直滋氏は、プランは出そろったものの、調整は2018年度に行うと説明した上で、「中には、『自分たちはこれをやるんだ』という感じもあり、今のところ調整に応じるような状況ではない。一方で、調整会議の議長は、郡市区医師会の会長であり、普段お世話になっている公立・公的医療機関等に対して、あまり強く言えないという現状がある」と現状を説明。

 日医副会長の中川俊男氏は、「地域医療構想がうまく進むかどうかは、医療法上で強い権限を持つ地域医療構想調整会議が機能するかどうかに尽きる」と述べ、調整会議の活性化を求めた。その上で、「普段お世話になっている公立・公的医療機関等になかなか物を言えない、というのはまさにその通りかもしれないが、『公的な仕組みとして言う』という形をぜひ作っていただきたい。公立・公的医療機関等よりも先に、中小民間病院が倒れるようなことが、絶対にないような仕組みになりつつある。ぜひ調整会議で、心を鬼にして物を言っていただきたい」と答弁した。

 関連で質問した奈良県代議員の大澤英一氏は、「県によっては調整会議が機能していない」と問題提起。奈良県ではホームページで、地域医療構想の目的として、病床削減等を明確に明記しており、急性期病床を40%削減する一方、在宅医療推進を挙げていることを紹介した。その在宅医療等の必要量も、現実的には対応が難しい数値であるとし、「県は国の定めた計算式でしか対応しないため、理想と現実には大きなギャップがある」とも指摘した。

 中川副会長は、「仮にホームページにそう書いてあるなら、それは間違い」と指摘。病床機能報告制度の病床数と、地域医療構想の「病床の必要量」を比較して、前者の方が多い場合、それは「削減」ではなく、「病床が余る」という認識を持つ必要があるとした。「病床の必要量は推計値であり、将来の推計患者数を病床の稼働率で割り戻した数。病床が余る場合、それをどうするかを話し合うのが調整会議」。さらに在宅医療等の必要量については、在宅医療に移行可能な数であり、無理矢理に移行させるわけではないなど、地域医療構想への正しい理解を求めた。

 「調整会議、医療法上の強い権限を持つ」
 弘山氏は、地域医療構想と救急医療について個人質問した。第7次保健医療計画の中の救急医療については、3次救急医療等については施策が記載されているものの、1次救急医療についてはわずかであると指摘。「地域医療構想が進捗していけば、急性期病床が減り、その結果、1次、2次救急医療の混乱を招きかねない事態が危惧される」とし、日医の考えを質した。

 石川常任理事はまず、「地域医療構想によって、その地域から医師や病床が減っていくのではない。人口変動等によって、医療ニーズが減少した結果、病床や医療機関、医師が減っていく事態に、どのように対応していくかだ」と基本的考えを説明。地域医療構想を推進していくことは、「各医療機関が病床の必要量や、他院の病床機能報告制度の報告内容も参考にしながら、自主的に自院がその地域でどのような方向性を持つべきかを考えていくこと」に当たるとした。

 その結果、その地域で不足している病床が手当てされていくことになるが、その過程で重要になるのは、医療法上、強い権限を持っている地域医療構想調整会議。「同会議の重要議題として、公私の役割分担がある。これからの超高齢社会、人口減少社会においては、特に地域の中小病院や診療所が重要になる。そうした民間医療機関が、公立・公的医療機関等よりも、先に淘汰される事態が起きてはならない」。

 さらに「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」の内容が、調整会議の協議の方向性と齟齬が生じた場合には、プランの方を見直すことになっていると説明。「公立・公的医療機関等がそこしか担えない分野に重点化しているかを検証し、公私の医療機関の競合があれば、公の方を撤退させることになる。したがって、調整会議が非常に大きな役割を担うことになる」。

 救急医療については、次のように答弁した。「超高齢社会の下、65歳以上の救急搬送が増加している。特に85歳以上は、前年比6%増となっている。高齢の救急搬送患者は入院が必要なケースが6割近くになる。入院が必要なかった場合でも、転倒、ヒートショック、脱水症状などでは救急搬送しなければ重症化する。そうした患者を受け入れる医療機関は、地域に密着し、2次医療や在宅支援を担っている中小病院や有床診療所であり、また初期救急を実施している地域の医師会や会員の先生方だ」。

 一方、人口が減少し、医療資源が少ない地域では、救急医療体制の弱体化も危惧される。このような地域においても、医療の切り捨てが起きないよう、国に対し、公私を問わず、地域医療を守っている地元の医療機関への財政的支援を訴えていくとした。「さらにドクターヘリーやメディカルジェットの充実、拡大、柔軟な運用を要請し、医療へのアクセスに地域差が生じないようにしていく」とした。

 最後に石川常任理事は、「地域包括ケアシステムを構築していく中で、地域に密着した中小病院や診療所は、在宅急変患者受け入れの体制作り、ひいては住民が安心できるこれからの町作りに欠かせない。日医としてその重要性を国に強く主張していく」と述べた。



https://digital.asahi.com/articles/ASL3W44RCL3WONFB00B.html?_requesturl=articles%2FASL3W44RCL3WONFB00B.html&rm=370
三重)病院統合も視野 松阪市検討委 
高木文子2018年3月28日03時00分 朝日新聞

 2025年に団塊の世代が75歳以上になるのを踏まえて、松阪市民病院のあり方を話し合ってきた検討委員会が27日、松阪市に答申した。市民病院など市内の基幹3病院が併存し、このまま救急対応の機能を維持し続けるのは難しいと指摘。近い将来の課題として病院の統合を挙げた。市は新年度、市民や医師会関係者らを交え検討を続ける。

 25年を見据えて、県は昨年3月、県内を8エリアに分けて地域医療構想を策定。松阪区域(松阪市と多気、明和、大台、大紀の4町)では人口減少や高齢化に伴い、救急対応を担う高度急性期・急性期の病床が16年度より578床過剰になるとされた。一方、リハビリなど回復期の病床は304床不足するという。

 松阪区域では市民病院(326床)、済生会松阪総合病院(430床)、松阪中央総合病院(440床)の3病院が、病床全体の約6割を占める。

 答申書は「医療機関などに与える影響が大きい」として再編案に具体的に踏み込まなかったが、答申書を竹上真人市長に渡した検討委の末永裕之委員長(小牧市病院事業管理者)は「市民病院と済生会病院の統合が一番現実的ではないかと考える」と語った。

 済生会病院は現在地の近くに新病院(400床)を2020年に開院させる計画があったが、現在は中断している。済生会病院は取材に「市民病院との統合も選択肢の一つ。統合の方向性によっては新病院が400床以上になる可能性もある」と話した。(高木文子)



  1. 2018/04/01(日) 11:20:07|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

Google Newsでみる医師不足 2018年3月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年3月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 6,440
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 14,400
First 5 in Google in English 


Central Okanagan testing solution to ease BC doctor shortage
Globalnews.ca-2018/3/30 (カナダ)

Some relief may be on the way for B.C. residents without a family doctor thanks to a new program involving nurses. Finding a family doctor in the Okanagan and around B.C. can be very challenging. According to the Central Okanagan Division of Family Practice (CODFP), 20 per cent of Okanagan residents do not have a family physician. Recently the Central Okanagan became a testing ground for a new program funded by the Ministry of Health that involves nurses working in doctor's offices.


Bush doctor shortage in the spotlight, Turnbull government says
The Australian‎ - March 28, 2018 (オーストラリア)

While the number of medical graduates is increasing, there are serious challenges getting doctors into some areas and training programs for specialist positions. That has left Australia heavily reliant on overseas-trained doctors, while patients face long waits and high gap fees depending on where they live or what condition they have.
The Australian has learned the Department of Health has embarked on a new mapping project for GPs, separate to the District of Workforce Shortage measured used to determine, among other things, where overseas-trained doctors are allowed to work.


Employers Should Act Now to Deal With Looming Doctor Shortage
Inside INdiana Business‎ - Mar 28, 2018 (米国インディアナ州)

Today's healthcare landscape is changing rapidly, and it should come as no surprise that these changes are steadily impacting every single facet of the industry. From diagnostic tests to pharmaceutical costs to post-acute services, prices are steadily rising, and skilled workers are hard to come by.
Unfortunately, that worker shortage now includes primary care providers. In fact, there could be a shortage of up to 100,000 physicians by 2025, according to the American Colleges of Medicine. There are several factors contributing to this staggering shortage, including an increasingly competitive medical school application processes, regulations that cap the number of residency positions at hospitals, and an entire generation of providers aging out of practice faster than new physicians can enter.


Terrace doctor shortage getting worse
Upcoming resignations will push GP numbers below half of what’s needed
Terrace Standard‎ - Mar. 28, 2018 (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

For now, Northern Health and local general practitioners are relying on signing up out-of-area doctors called locums working on short and long-term contracts to provide primary care. The most visible sign of the physician shortage is the daily early morning line up of people on the sidewalk outside of the Lazelle Ave. Medical Clinic who are hoping to see a doctor that day.
With the number of GPs now on the decline, there are more specialists than GPs in Terrace, a total of 15. A further 16 specialists now visit from elsewhere.


How a team approach may help curb nationwide doctor shortage
WCPO‎ - Mar 26, 2018 (米国 オハイオ州)

It used to be so simple: You made an appointment with a doctor and would almost certainly see an M.D., someone who spent four years in medical school and then had at least three years of additional training, usually in a hospital.
But today you're likely to encounter a veritable alphabet soup of healthcare degrees: D.O., P.A., N.P., R.N., and N.D., to name a few. Who are all these people? What training do they have? Which one is best for you? And where's your good old M.D., anyway ?


(他に10位以内のニュースは、中国 (2)、カナダ(ブリティッシュコロンビア州、ノバスコティア州)、インド、からも)



  1. 2018/04/01(日) 11:19:22|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

3月25日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/592036
いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
卒後2年目の医師、93.2%が新専門医制度へ◆Vol.1
不参加理由は「キャリアプランに合わず」が最多
 
医師調査 2018年3月24日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年度から開始する新専門医制度については、専門医の質、地域医療への影響など、さまざまな面から医療関係者の高い関心を集めている。
 m3.com編集部では、新専門医制度の一期生に当たる医学部卒後2年目の医師296人を対象にこの2月から3月にかけて、新専門医制度に関する調査を実施した。質問項目は、専門研修実施の有無、研修施設の選定理由、新専門医制度の影響や改善すべき点など。一期生のリアルな声をお届けする。

 まず新専門医制度のプログラムに登録し、専門研修を開始するかを調査した結果、296人の回答者のうち、93.2%に当たる276人が開始すると回答した。日本専門医機構は3月16日、計8409人が新専門医制度に登録したことを公表しており、卒後2年目の医師の約9割が専門研修を開始するという結果とほぼ一致する(『新専門医制度の一期生8409人、「東京で研修」は21.7%』を参照)。

 一方、専門研修を実施しない医師20人に、その理由を複数回答で聞いたところ、「臨床を続ける上で、自分のキャリアプランに合わない」(6人)が最も多く、以下、「大学院に進学(研究)」(4人)、「希望プログラムに入れず、次年度を目指す」(3人)、「臨床を続ける上で、専門医資格の必要性がない」(3人)、「臨床以外の道を目指す」(2人)、「専門医資格取得が困難」(1人)と続いた。「その他」(4人)の理由は、「1年留学をするから」「大学でのプログラムが卒後5年目から始まるため」など。

Q.今年4月から新専門医制度のプログラムに登録、研修開始(n=296)
03251.png

【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性79人
 年代:卒後2年目
  2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.m3.com/news/general/592408
津 2次救急の機能を充実 永井病院が増築棟完成祝う 三重 
2018年3月24日 (土)配信伊勢新聞

【津】三重県津市西丸之内の医療法人永井病院の増築棟が完成した。平成27年に完成した病棟の北側に、救急外来患者に対応する処置室や集中治療室を1カ所にまとめた5階建ての棟を増築。2次救急病院としての機能を充実させた。16日に記念式典があり、関係者が完成を祝った。

永井病院は昭和22年の創立以来、2次救急病院の役割を担ってきた。津市で年間約1万3700件に上る救急要請のうち、1300―1600件を受け入れている。

高齢化で増加が予想されることから、受け入れ体制の充実に向けた整備に着手。旧施設の解体と並行し26年に外来棟、同27年に病棟と手術室を整備した。

増築棟は、これまで1カ所だった救急患者の処置室を2カ所とした。3カ所に分かれていた集中治療床は集中治療室として一つにまとめ、専従スタッフが1カ所で対応できるようにした。透析室を拡張し、回復期の入院患者専用リハビリ室も新設した。

永井盛太理事長(49)は式典で「津市の二次救急の柱となって急性期の医療に対応できるよう貢献したい」とあいさつ。来賓の伊藤正明三重大付属病院長、前葉泰幸津市長らと共にテープカットした。

今後は3次救急を担う三重大病院と連携し、若手医師の教育にも力を入れる方針。星野康三院長(45)は「年間200件以上(救急要請が)増えても安心して医療が受けられる体制を作りたい」と語った。



https://www.m3.com/news/general/593207
転機に立つ医療 病床削減 「住民のため」の再編必要 
その他 2018年3月24日 (土)配信長崎新聞

 団塊世代が75歳以上になる2025年を前に、長崎県の医療が転機に立っている。県は国の制度に基づき、25年に実現すべき医療提供体制を示した「地域医療構想」を16年に策定。医療再編に向けた協議は18年度に本格化する。超高齢社会に対応すると同時に、社会保障を維持するため医療費抑制を図る国の狙いが背景にある。離島や過疎地域が多く、人口減と高齢化のスピードが他を上回る長崎県の医療はどうなるのか。

      ◆

 「CPAです。高齢の女性だそうです」

 職員が耳打ちしてくれた。先月、長崎市新地町の長崎みなとメディカルセンター1階の救急科。CPAは心肺停止状態を指す。医療用エプロンや手袋を着け、器具をそろえる医師、看護師ら。慌ただしさが増した。約30分後、到着した救急車から患者を乗せたストレッチャーが運び込まれた。医師が両手で患者の胸元を何度も押し、心肺蘇生を施す。人と医療機器が取り囲み、処置は長い間続いた。

 同センターは旧長崎市立市民病院を現地で建て替え、14年2月に救急科を含む1期棟が開院。16年7月に全面開院した。救急医療に力を入れ、16年度は救急車4千台以上を受け入れた。本年度もこれを上回るペースで推移している。

 同市消防局管内の17年の救急搬送人員は約2万3千人で、65%の約1万5千人を高齢者が占める。出動件数は10年連続で増加。原口正史副院長は「高齢化で救急対応のニーズが増し、役割は大きくなっている」と話す。

 軌道に乗り始めた新病院。だが、14年制定の医療介護総合確保推進法で導入された地域医療構想により、近い将来、病床減や機能転換などの見直しが必要になる恐れがある。

 県地域医療構想は、県内8区域で25年以降に必要な病床数を推計。県全体で16年の約2万1千床に対し、25年は約1万7千床が適正とした。同市を含む長崎区域では、救急患者ら向けの「急性期」病床が16年の計約3800から3分の2程度に減る見通し。

 国は都道府県に対し、18年度中に地域医療構想の実現プランを固めるよう求める一方、構想実現に向け公的医療機関へ命令・指示したり民間に要請・勧告したりできる権限を与えた。国は医療の効率化の方向性を固めた上で、実現に取り組む責任は地域に負わせた格好だ。

 同センターの一般病床494の内訳は現在、高度急性期54、急性期440。現時点で25年まで現状維持の計画だが、公立病院は構想実現への積極的な関与を求められる立場。運営する長崎市立病院機構の兼松隆之理事長は「ベッド削減ありきではなく、住民が困らないためどうすべきか考えなければならない」と語る。

◎メモ

 地域医療構想 2025年以降の地域医療体制の将来像や必要な機能別の病床数を示した都道府県の構想。16年度までに全都道府県が策定。長崎県など41道府県は病床が過剰とされ、全国で13年の134万床余りから25年までに約15万6000床減の見通し。国は高度医療に偏った病床の再編や在宅医療の推進で、実現を目指している。都道府県は本年度策定した新医療計画(18~23年度)に構想を組み込み、推進する仕組み。



https://www.m3.com/news/iryoishin/593270
医療従事者の需給に関する検討会
2020年度以降の医学部定員、5月にも結論
医療法改正案の行方など考慮、1~2年度分先行で議論
 
2018年3月23日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は3月23日、「医療従事者の需給に関する検討会」の第18回医師需給分科会(座長:片峰茂:長崎大学前学長)に、2019年度までの暫定増員が終了した後の2020年度以降の医学部定員について、今年5月をめどに結論を得たいとの方針を提案した。複数の構成員から、2019年4月の施行を目指して今月閣議決定されたばかりの医師偏在対策を盛り込んだ医療法改正案や、2019年3月までに結論を得るとされている「医師の働き方改革」の行方など不確定要素が多い状況で将来的な方針を出すことへの懸念が示される一方で、受験生に対する影響への配慮も必要であることから、1~2年度分の定員を先行して議論し、5月までに結論を出す方向でまとまった。


 厚労省は、4月中旬に開催する予定の次回会議で医師需給推計を提示し、数回の議論で結論を出すとの日程を提示。片峰座長は「タイトなスケジュールだ。医師偏在対策や働き方改革の行方など、複雑な要因がある」と指摘。全日本病院協会副会長の神野正博氏も「推計と言われても、前提条件が分からない中で議論をするということでいいのか」と疑問を呈した。

 厚労省医政局医事課担当者は、2020年度の受験生への影響を考慮すると、今年5月には医療従事者の需給に関する検討会として結論を出す必要があると説明する一方で、2020年度以降の中長期的な方向性もそれまでに出すのは難しいとの認識も提示。日本医師会副会長の今村聡氏が「今までは一度決めたら数年間、放置していた。1年ごとに、どのような養成をするか見るべきではないか」と提案し、とりあえず5月に1年度か2年度分の結論を出す方向となった。

 医師の働き方改革との関係については、岩手医科大学理事長の小川彰氏が、医師の地域偏在対策の影響がまだ分からない状況で医師の働き方改革の議論が進むことへの懸念を示し、「議論されているような方向で進めば地域医療は崩壊し、最終的には国民が割を食う。医療従事者の需給に関する検討会と、医師の働き方改革に関する検討会の話し合いの場を設けるべきではないか」と主張。働き方検討会の構成員でもある今村氏は「意見交換に反対するわけではないが、両方に参加している構成員も複数いる(編集部注:今村氏含め5人)し、中間的な論点整理にある、地域医療崩壊を招くことがあってはならないとの記載は構成員皆の総意だ」として、双方の会議体で、ある程度、共通の認識はあるのではとの見方を示した。医政局医事課担当者は会議後、意見交換の場の設定については今後検討する考えを示した。

需給推計、2016年の方法に働き方改革など加味

 厚労省は、医学部定員の決定の前提となる医師需給推計について、2016年の第1次中間取りまとめで、最低でも2019年度までは臨時増員を続けることを決めた際の方法をベースとし、働き方改革の議論や最新のデータを加えて行うことを提案(第1次中間取りまとめは『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。労働時間の上限規制が導入されたと仮定して、週55時間、週60時間、週80時間と3パターンを提示し、AI(人工知能)やIoTの活用など、医師の働き方改革によって平均労働時間がある程度短縮することなども盛り込む方針。



https://www.m3.com/news/iryoishin/592778
真価問われる専門医改革
社会医学系、指導医・専門医3000人超へ
厚労省の「医系技官プログラム」新規認定、研修プログラムは計72
 
2018年3月21日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会医学系専門医協会は3月21日、理事会後の記者会見で、新たに指導医447人、専門医142人、計589人を認定したことを公表した。現時点まで認定・登録を終えたのは指導医2217人、専門医254人の計2471人であり、今回の認定者が登録手続きを終えれば、社会医学系の指導医・専門医数は、3000人を超える。

 同日の理事会ではそのほか、「厚生労働省医系技官プログラム」も含め、新たに6つの研修プログラムを認定した。認定済みのプログラム数は計72に上り、社会医学系専門医の研修プログラムを持つのは、山形県を除く46都道府県にわたる。e-ラーニング形式での講習の運営方針のほか、2019年夏に第1回専門医試験を実施することも決定した。

 社会医学系専門医協会は2015年9月に発足、2016年12月に一般社団法人化した。2017年度から社会医学系専門医の養成に取り組んでいる(『社会医学系専門医・指導医2514人認定』などを参照)。今回は、指導医497人、専門医154人がそれぞれ経過措置認定を申請した。うち認定したのは、指導医447人、専門医142人。

 認定した6つの研修プログラムのうち、1つは前回条件付きで認定された研修プログラム。「厚生労働省医系技官プログラム」が新たに申請、認定されたことについて、社会医学系専門医協会理事長の宇田英典氏(全国保健所長会会長)は、「非常にシンボリックで、意義がある」と受け止めた。厚労省は2016年12月、都道府県等に対する事務連絡『公衆衛生医師の確保と資質向上にむけた「社会医学系専門医制度」の活用について』を出し、専門医制度を積極的に活用するよう求めていたからだ(『社会医学系専門医協会、700人超す医師登録』を参照)。厚労省と地方厚生局が基幹施設となり、環境省、国立高度専門医療研究センター、国立病院機構、国立保健医療科学院などを連携施設とする広域都道府県にまたがる、3年間の研修プログラム。

 その他、認定された研修プログラムは、北海道、宮城県、石川県、新潟県、山口県で、県もしくは地元大学等が基幹施設となる。ユニークなのが北海道で、道が基幹施設だが、その下に、道、札幌市、旭川市、北海道大学、札幌医科大学、旭川医科大学が運営する6つのサブプログラムを持つ。

 e-ラーニング形式を導入するのは、7科目、計49時間の講義の受講に代えることを可能とするため。準備ができた科目から順次開始する。2018年末、もしくは2018年度末までには全7科目について、e-ラーニング形式による受講が可能になる見通し。



https://www.m3.com/news/iryoishin/592492
真価問われる専門医改革
日本専門医機構、総合診療専門医に「弊害」もたらす - 丸山泉・日本プライマリ・ケア連合学会理事長に聞く
学会として経緯検証、機構や日医など関係団体に申し入れ予定
 
インタビュー 2018年3月21日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度がいよいよこの4月からスタートする。現行制度との大きな相違の一つが、19番目の基本領域に、総合診療専門医が位置付けられた点だ。同領域には、約180人の専攻医が登録した。
 日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉氏は、「その数は満足できるものではない」と述べつつ、それ以上に、総合診療専門医の制度設計の経緯やその内容に疑義を呈し、「日本専門医機構内部でどんな議論があり、どのように対応してきたのかを検証することで、学会として責任を果たす時期に来ていると思う」と語る。同学会としてこの4月から検証を始め、その結果を基に同機構や関係団体に問いかけていく予定だ(2018年3月16日にインタビュー)。

――総合診療専門医の登録者数は180人前後と聞いています。

 日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医のプログラムに入っていたのは、年200人くらいでした。19番目の基本領域としての専門医に位置付けられるという新たな展開を踏まえて増加を予想していましたが、180人という数字はそれより少なく、決して満足できるものではありません。総合診療という領域は、臨床研修医に浸透しているはずであり、日本の将来の医療を考えると「発展的構築」をすべきなのに、数の面ではそうなりませんでした。

 もっとも、指導医、指導体制や研修場所などを考えると、質を担保した上で総合診療専門医を養成できるのは、年200~300人が上限だと考えていました。これよりは少ないものの、専門医の養成は、質の担保が前提であることを考えると、現時点では無理のない数字とも言えます。

――日本専門医機構は、総合診療専門医の養成に当たって、一定の条件を定め、日本プライマリ・ケア連合学会の指導医以外も指導医になれるようにしました。指導医数は増え、指導体制のキャパシティーは拡大しているのではないでしょうか。

 あまり拡大していません。指導医資格を取得することと、現実に指導ができることは、必ずしも一致しません。われわれの推算では、結果的には、日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医の「ver.2」の研修プログラムに携わっていた指導医のもとに、新専門医制度の総合診療領域の専攻医の9割以上が集まっています。われわれの実績が評価されたことは間違いありません。供給側ではなく、「受け手」の論理が大事。専攻医にとっては、自分のライフワークを左右するわけですから、どんな専門研修プログラムを選択するかが、当然ながら重要になります。

 専門医の養成は、日本専門医機構がルールを作り、「はい、始めましょう」と言ってできるものではないことが証明されたとも言えるでしょう。専門医養成の基盤があり、それを徐々に改善していく以外に、専門医制度の質向上の道はあり得ません。

――では登録者数が伸び悩んだ理由をどうお考えですか。

 専門研修に入るのは、20代後半の医師が中心。若手であっても彼らは日本の医療の将来の課題を見据え、「総合診療専門医は、ポテンシャルが高く、やりがいがある」ことをよく知っています。しかし、私が見聞きした範囲ですが、かなり強いネガティブなキャンペーンが展開されたと承知しています。

 その主体は、内科の先生方だと思います。ネガティブというと悪いイメージですが、組織運営上、理解できる動きです。総合診療専門医の果たすべき役割に「総合病院での包括的診療」がありますが、その点が総合内科あるいは内科専門医が果たすべき役割と重なり、内科として取り込みたい若手医師が総合診療領域に流れるという不安があったのではないでしょうか。内科医局などを運営するためには、若手医師が一定程度必要だからです。その動きを跳ね返すだけの力が、われわれの領域にはまだないということ。

 さらに最も大きいのは、総合診療専門医の運営を主導している日本専門医機構のあり方による「弊害」だと思います。

――「弊害」とは何でしょうか。総合診療専門医は、学会が直接的に関与する他の18の基本領域とは異なり、専攻医の募集をはじめ、日本専門医機構が担当しました。

 われわれにとっては、大事な歴史的な転換点にあります。折々に、誰がどんな発言をし、日本専門医機構内部でどんな議論があり、どのように対応してきたのかを検証することで、学会として責任を果たす時期に来ていると思います。具体的には厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」以降の動きを、関係者の言質も含めて明らかにしていきます(編集部注:同検討会は、2013年4月に報告書をまとめ、新専門医制度発足のきっかけとなった)。

 2014年5月に日本専門医機構が発足した当初は、他の18の基本領域も含めて、同機構がかなりの部分を担当することになっていました。それが途中で、他の18基本領域は学会にほぼ任せる形になり、総合診療専門医だけが切り離され、そのまま日本専門医機構が運営を担当することになりました。

 そうした状況下で、2016年7月に日本専門医機構の執行部が刷新されたのを機に、総合診療専門医の在り方が変わってしまいました。その変わり方は尋常ではなく、一度は「ぶち壊れた」とも言えます。

――どのように変わったのでしょうか。

 一番の問題は、それ以前も良かったとは言えませんが、総合診療専門医をめぐるガバナンスが非常に悪化したことです。事務能力も低下しました。制度設計が具体化するにつれ、事務作業は増えますが、事務能力とのバランスがどこかの時点で取れなくなり、事務能力の不足が顕在化してきました。その上、透明性の担保、ディスクロージャー(情報開示)が行われなくなりました。

 「やるべきことをやらなかった」ことも挙げられます。総合診療専門医に関しては、委員会やワーキンググループが設置され、制度設計を進めるはずでした。われわれ日本プライマリ・ケア連合学会としては、委員会等を通じてしか意見が言えませんが、開催回数は減り、2017年5月を最後に開かれなくなりました。

 さらに、日本専門医機構に、総合診療専門医の本質である「ジェネラル」の意味、その教育の方法論を理解されている方がいないという大きな問題もあります。

――総合診療専門医の制度設計や運営のためのガバナンスが低下した結果、どんな問題が生じてきたのでしょうか。

 日本専門医機構は、若手医師の将来を決定する非常に大事な組織です。そこに求められるものは、公正性、透明性です。このことが担保されていないことで、関係者間の猜疑心を大いに生み出すようになってしまいました。

――総合診療専門医については、基幹病院について「後出し」とも言える整備基準が追加されたことなどを指しておられるのですか(『四病協、総合診療専門研修プログラムの1次審査に疑義』、『「1次審査不合格、大変遺憾」、専門医機構に説明求める』などを参照)。

 「後出し」の事実については存じていますが、どの時点で、あるいはどの場で、どのような手続きで「後出し」と言える状況になったのかの確認はしていません。例えば、「(専門研修プログラムの審査をめぐって)日本専門医機構から電話があり、指示を受けて対応した」とも聞きます。これが現実であれば、極めて「ゆゆしきこと」です。立場が対等であるという関係性が保障されていれば、「健全な意見交換」になるかもしれませんが、「片方が決定権を持ち、もう片方は持たない」という関係性の中で、そうした行為は採るべきではありません。

 総合診療専門医の専門研修プログラムの内容についても、問題があります。日本専門医機構としての最近の発信を聞いていても、この領域の本質を理解しているとはとても思えません。総合診療専門医をどのようなプロセスで養成すべきなのか、世界的に共通言語として確立していますが、その核心部分からずれた発言をされていることに驚きを覚えています。

――それは、総合診療専門医の本質である「ジェネラル」の部分を、複数の診療科をローテーションすれば習得できると考えられていることでしょうか。
 端的に言えば、その通りです。それ以外にも、総合診療の専門研修の位置付けを軽視し、「内科をしっかり学べば、総合診療はおのずから習得できる」というニュアンスにも問題を感じます。断片化された内科領域が、多疾患合併の患者への包括的ケアや、生活を基盤とした在宅医療を含むケアに対して十分対応できていない現実があります。その反省が総合診療を基本領域として位置付ける基盤になったにもかかわらず、そうした歴史的経緯や文脈を理解しているようには思えません。

――日本プライマリ・ケア連合学会として、これまでの経緯を可能な限り検証し、不明な点は日本専門医機構に確認を求め、問題があれば改善を求めていくことになりますか。

 日本専門医機構だけではなく、機構と関わる関係団体には正式に申し入れ、回答を求めることになると思います。検証し、歴史に残しておかないと、同じ過ちを繰り返すことになりかねません。もしとんでもないことがそこで行われたのであれば、沈黙しているわけにはいきません。

――そこにおける関係団体とは、日本専門医機構に理事を出している団体ということですか。

 その通りです。

――いつ頃までに、検証等を終える予定でしょうか。2019年度開始の新専門医制度については、4月末までに研修プログラムの申請・変更等を受け付け、9月から登録開始予定です(『3次募集は2月16日から、5都府県は全領域で“締め切り”』を参照)。このスケジュールは念頭に置かれますか。

 まずは検証が先だと思います。日本プライマリ・ケア連合学会の理事会で最終決定したわけではないですが、現時点の私の個人的な考えとしては、4月から具体的な検証作業を開始して、事実関係を確認し、報告書をまとめ、公表したいと考えています。この公表をもって、日本専門医機構への質問に代えるとともに、この問題に関心を持っている方々、メディアを含めて、問いかけたい。6月に本学会は執行部の任期が切れますが、それまでには一定の作業を終えたいと考えています。

 私は今まで沈黙を保っていましたが、日本の将来、また総合診療の必要性、魅力を感じ、頑張ってきた医師たちへの学会理事長としての責任があります。

――このタイミングで声を上げる理由は。

 今まで“人質”に取られていたわけです。つまり専攻医の登録を終える前に声を上げると、無用な不安を現場に与えてしまいます。

 総合診療専門医の養成は、20、30年先の日本の医療を見据えて考えるべき問題です。今の医師偏在の問題をどう解決するかは、日本の喫緊の課題ですが、別の問題です。この辺りの整理も必要です。地方の医療をどう支えるかは重要な問題であり、私どもの学会の長年の議論の中心であり、他学会に比して多くの会員がそこで頑張っていると自負しています。

 しかし、専門医制度の基本は質です。互いにリスペクトし合える専門医でなくてはなりません。「医師偏在の解決策として総合診療専門医を」という発想そのものが、将来、この問題の解決を量的にも質的にも困難にすると考えています。

 最後に申し上げますが、日本全国の地域医療の課題を一番知る立場にあるのは、日本医師会です。今を知るからこそ、将来の日本の医療を展望できるわけです。それなのになぜ日本医師会は、この総合診療専門医をめぐる問題の重要性を理解されないのでしょうか。日本医師会からの代表者が、日本専門医機構の役員になっており、一般国民の多くは、日本専門医機構のガバナンスの中心は、日本医師会だと考えています。日本医師会はなぜこの問題について黙っているのでしょうか。その責任は重いと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/592673
「労基署、謙抑的に対応を」地域医療病院協議会
労働基準局長宛ての要請文を公表
 
レポート 2018年3月20日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 5つの病院団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は3月20日、厚生労働省労働基準局長に提出した「医療機関に対する労働基準監督の対応のあり方について(要請)」を公表した。3月14日の会議で議決し、3月16日に厚労省宛てに郵送した。(『医師の働き方「検討中、労基署は控えて」、地域医療病院協議会』を参照)

 要請文は山越敬一・労働基準局長宛てで、全国自治体病院協議会、JA全厚連、日本慢性期医療協会、全国国民健康保険診療施設協議会、地域包括ケア病棟協会の 5団体の会長の連名。「現在、病院勤務医の勤務実態等を取り巻くさまざまな諸課題が検討会で議論されているところであり、労働基準監督署は、これらの状況等にも十分配慮しつつ、謙抑的に対応いただくよう要請する」と求めている。

 協議会は、前述の5団体で2017年9月に設立。

要請文の全文は以下の通り。

【医療機関に対する労働基準監督の対応のあり方について(要請)】
 医師の働き方改革に関する検討については、厚生労働省において、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方実現会議決定)に基づき、「医師の働き方改革に関する検討会」(以下「検討会」という。)を設置し、医師に対する時間外労働規制の具体的なあり方、労働時間短縮のための施策等について検討が進められているところである。

 この検討会においても、病院勤務医の長時間労働の実態が明らかにされ、その要因としては、急変した患者等への緊急対応、手術や外来対応等の延長、勉強会等への参加といった自己研鑽に関するものが挙げられるなど、医師には上司の命令ではなく、患者の求めに応じ質の高い医療を提供したいという個々の医師の職業意識の高さや応召義務があり、一般労働者と異なる特殊な労働環境にあることも指摘されている。

 また、労働時間と自己研鑽の区分の統一的なルールがないことや、医師の宿日直許可基準が現在の急性期医療の実態に沿ったものとなっていないとの指摘もあり、医療機関の現場において混乱が生じないよう、国における速やかなルール作りや基準の見直し等が必要と考える。

 ついては、これらの点を含め、現在、病院勤務医の勤務実態等を取り巻く様々な諸課題が検討会で議論されているところであり、労働基準監督署は、これらの状況等にも十分配慮しつつ、謙抑的に対応いただくよう要請する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/590451
医療機能分化「言葉だけでなくシステム確立を」 - 島弘志・日病副会長に聞く◆Vol.2
「働き方改革」、少し配慮されていい方向に
 
インタビュー 2018年3月19日 (月)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

――外来医療では、かかりつけ医の機能強化も大きなポイントです。

 全体としては「地域医療構想に寄り添う」という話ですが、そもそも地域医療構想自体が全国的に確定していないし、なかなかうまくいかない中で、かかりつけ医と専門医療機関の連携をはっきりと強調するということが打ち出されています。

――かかりつけ医は、日本医師会が打ち出しているものに沿ったものとお考えですか。
 日医と四病院団体協議会が提言した、「かかりつけ医とはこうあるものだ」というところですね。これまで制度上は一応あっても実際に名乗れる医療機関が少なかったのですが、今回の要件緩和で、200床未満のいわゆる中小病院と診療所がかかりつけ医として地域住民の病気やけがに対してファーストコンタクトをして、専門的な医療が必要と判断したら、専門医療機関に紹介する形を作りたいということはしっかり読み取れます。そこは大切なところです。医療機能の分化、強化、連携は言葉だけじゃなくて、システムが確立されれば、効率性も質も高まるし、無駄な医療費を投入せずに済むという意味で、大切なシステムだと思っています。

――初診料に機能強化加算が新設されて80点の設定となりました。
 難しいですね。800円、3割負担で240円上乗せになるので、加算を取るとその分、患者の自己負担が増えるので、開業の先生方でもあえて取らないところも多いのではないかという話も聞きます。ただ、点数云々は別にして、「何でも大病院に行ってください」という時代ではなく、専門性を高めたところが適切な医療を提供できる、かかりつけ医がそことの連携を果たせる。そういうところが制度として確立するかは見ていかなければいけないと考えています。

――働き方改革も大きなテーマですが、診療報酬改定であまり手厚く評価されたわけではないですね。
 専従要件緩和や常勤換算といった現場が困っているところを、少し配慮していい方向にいっていると思います。病院団体の要望が少し通りました。人員の確保がキーワードですが、医療機関は国家資格集団なので、そう簡単に確保できるわけではありません。女性の割合も増えて、結婚や出産後に常勤で戻れればいいですが、そうでなくても非常勤で合算となってくれば、働きやすくなる。それはいい方向だと思います。今回の改定で評価できる点です。

――医師事務作業補助体制加算は点数が引き上げられました。
 今の状態で見ると、雇えば雇うほど赤字になります。加算分では給料を払えていません。医師事務作業補助者をたくさん雇用している医療機関では医師の負担を軽減できていることはエビデンスがありますから、引き上げはいいことです。ただ、医師の負担を軽減した分、生産性が高まって病院の収益が上がるということになればいいですが、それがありません。考えられる理由はいくつもありますが、一つは人が増えてないことです。楽になった感はあるが、人数は変わっていません。ゆとりができるから、医師の仕事の中身、クオリティーは高まると思います。患者への気配りや、他の職種と話し合う時間などは間違いなく上がっています。ただ、お金の話をするといやらしいかもしれませんが、病院の収入には結び付いていません。

――負担が減った分、別のことができるほどではないということでしょうか。
 残業は減っていませんから。そこで、病院の運営責任者は医師事務作業補助者をどのくらい雇用しているか、どういう目的で雇っているか。医師についてはどういう風に負担が軽減されているか、実際にどういうをことやってもらっているか。もう一つは補助者を管轄している責任者の考え方。これについて、日本病院会で4月から6月にかけて調査を行います。


――今回の改定について、早急に影響度を検証しなければと思っているところはありますか。
 前回2016年度改定で本体が0.49%プラスであったにもかかわらず、赤字病院が増え続けています。今回0.55%プラスで歯止めが利くかというと、分かりません。医療の質を担保するのにはお金が必要で、黒字ではない状態では将来に対する人にも物にも投資できません。

――医療経済実態調査を踏まえれば、1%くらいは欲しいところでしょうか。
 それくらいあれば、経営は改善すると思いますが、その分、医療費もかかります。医療法には国民の義務(編集部注:第6条2項の3)をうたっていますが、それを国民は知りません。国民へのアピールを徹底的にやらないで、一方的に医療費削減のために締め付けて、医療機関が経営できなくなっていくというのはおかしいでしょう。

――ニーズの変化への対応も必要になってきます。
 地域医療構想が走っていますから、バランスが大事です。自施設が地域の中でどういう役割を果たすべきか十分に理解できていて、10年後、20年後、30年後とやっていくつもりなら、ニーズが変わるのは読めるはずなので、それに柔軟に対応出来る組織を作れるかがこれから先の分かれ目だろうと思います。

 医療は患者のためのもので、患者がゼロなら医療はいりません。地域医療構想がうまくいかないのも、その辺りに原因があります。2次医療圏を中心に、ということになっていますが、2次医療圏に住んでいる人が5万~6万人のところもあれば、何十万人のところもある。それを同じように議論できるでしょうか。自分の医療圏で治療を受ける人もいれば、ほとんどの人は隣の市に行くというところもある。皆が自分の医療圏で医療を受けないなら、その医療圏は施設ゼロでいいわけですが、そこに存在している医療施設を基に、というのが第一義になっている。そこに存在しない患者のことを前提に話しても、結論は出るのかということです。

――その先のあり方は、調整会議の話し合いをいかに進めるかということでしょうか。
 まずは経営です。両輪として、質の高い医療を提供するということと、経営と両方ができてないと先に進めません。そこがアンバランスなところが多いと思っています。医療の現場としては経営がちゃんとできないということは制度がおかしいと言いたくなります。

――先生が院長の聖マリア病院も1000床以上の大病院ですが、改定の影響はどのように見ていますか。また、体制の見直しなどをお考えですか。
 今、病床を減らしています。最大で1420床ありましたが、近代化計画に合わせて減らし、今は1097床くらいです。でもそれよりも、一番困っているのは、労働基準監督署が入ってきていることです。そこが、頭が痛いところです。



https://www.m3.com/news/general/593206
長崎大学病院「禁煙実践」の看板設置 持ち込みも禁止へ 
2018年3月23日 (金)配信長崎新聞

 長崎大学病院は22日、同病院敷地内の禁煙だけでなく、たばこと喫煙関連具の持ち込み自体も禁止する「タバコフリーホスピタル」の実現に向けて、「禁煙実践病院」と書かれた看板を長崎市坂本1丁目の同病院ロータリーに設置した。

 看板設置は、東京五輪・パラリンピック開催の2020年の「タバコフリーホスピタル宣言」に向けた取り組みの一つ。同病院は、受動喫煙防止のため、08年から敷地内を全面禁煙とした。ただ、たばこを持ち込み敷地外で喫煙する病院関係者も出ており、病院周辺で受動喫煙が起きている現状もあるという。

 同日、除幕式があり、河野茂長崎大学長と増崎英明長崎大学病院長が除幕。増崎病院長は「みなさんに禁煙の重要性を分かってもらい、受動喫煙の予防につなげたい」と語った。



https://www.m3.com/news/general/593098
日本の論文割合転落で訂正 
2018年3月23日 (金)配信共同通信社

 オランダの学術出版大手エルゼビアは22日、14日に公表した主要国の論文数などを比較した報告書の内容の一部を訂正した。世界の全論文に占める日本の論文数の割合がインドに抜かれて5位から6位に転落したのは2016年としていたが、正しくは15年だった。

 エルゼビア広報は、データの分析に不備があったとしている。

 報告書では、12~16年に世界で発行された全論文に占める、主要12カ国それぞれの論文数の割合を比較。各国がシェアを維持したり、伸ばしたりする中、日本の減少が顕著だった。



https://www.m3.com/news/general/591680
研究費当たり論文数最下位 出版社の主要国調査で日本 
2018年3月15日 (木)配信共同通信社

 オランダの学術出版大手エルゼビアは14日、主要国の科学研究費や論文数を比較した結果、日本の研究費は米国、中国に次ぐ3位だが、一定額当たりの論文数では最下位だったとする報告書を公開した。研究への投資が論文などの成果に結びついていない現状が浮かび上がった。

 報告書では、主要9カ国の2012年から16年の官民合わせた研究費を調べ、100万ドル当たりの論文数を計算した。日本は12年から最下位で、論文数の減少傾向が続き、16年は0・7と低迷。1位カナダ(3・8)、2位英国(3・7)に水をあけられ、中国(1・1)や韓国(0・9)にも及ばなかった。

 世界で発行されている全論文に占める、その国の論文数のシェアを12カ国で比べると、日本は12~15年に5位だったが、16年にはインドに抜かれて6位に転落。他国はシェアを維持したり、伸ばしたりしており、日本の減少が目立った。

 日本の研究費は8割が企業によるもので、エルゼビアは「産業界では研究が強力に進められている」と評価。一方で、日本の研究者は海外との共同研究が少なく国内にとどまりがちなことが、論文数などで低迷している原因だと分析している。



http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20180322/3002497
獨協日光医療センター移転に10億円規模支援へ 日光市 
その他 2018年3月22日 (木)配信下野新聞

 獨協医大日光医療センター(日光市高徳)の移転計画で、日光市が移転先の用地について支援する方針を固めたことが21日までに、複数の関係者への取材で分かった。同大が希望している日光産業団地(同市森友、土沢)の土地取得を支援する見通しで、支援額は10億円規模になるとみられる。

 県西地区の地域医療を担う中核病院存続のため、大枠の支援方針として近く表明する。

 同市では4月に市長選を控えており、現執行部は大枠を示すにとどめる。このため現時点では、財政支援や用地譲渡といった具体的な支援方法や、財源などについては未定だ。



https://www.m3.com/news/general/592669
【茨城】神栖2病院再編 鹿島労災の調査費削除 市議会、修正案を可決 
2018年3月20日 (火)配信茨城新聞

神栖市議会予算決算常任委員会(石井由春委員長)は19日、神栖済生会病院と鹿島労災病院の再編統合に絡み、2018年度一般会計予算案のうち、鹿島労災病院の建物についての利活用調査費896万5千円を削除する修正案を賛成多数で可決した。

修正案は、構成委員(議長を除く全議員)のうち委員長と欠席1人を除く18人で採決。賛成11人、反対7人で可決した。22日の定例会最終日で委員長報告と討論の後、採決が行われる。

修正案を提出した議員は「建物の利活用計画が策定されていない中で、時期尚早」などと理由を説明。「大規模な医療施設を取得し整備するのは、将来にわたり市財政に大きな負担となる恐れもある。築後40年ほどで調査に値するかも疑問」とした。質疑や反対討論では、「地域の医療資源をどのように確保、利活用していくかが市の最大の懸案事項。統合までの時間もあり、市民の安全を守る活用方法があるのかは十分検討に値する材料だ」との意見が出た。

両病院は19年4月1日に統合予定。統合で同年3月31日で廃止する鹿島労災の建物について、市は施設構造や改修時の経費などの利活用調査費を新年度予算案に計上している。



https://www.m3.com/news/general/592444
県立北部病院 夜間救急外科を制限 医師不足で週2日に 
2018年3月19日 (月)配信琉球新聞

 【名護】名護市大中の県立北部病院(知念清治院長)が、医師不足のため4月1日から夜間(午後5時~翌日午前8時)の外科救急診療を、現在の週4日から週2日に制限することが16日、分かった。県立北部病院は2017年8月にも外科医が退職し診療制限が行われた。北部病院の久貝忠男副院長は「医師の後任が見つからず悪循環に陥っている」と述べた。

 現在4人いる外科医のうち1人が3月末で退職し、3人になる。外科の一般診療は現状維持できるように検討中だが、医師不足のため今後は一般診療も制限される可能性が出てくる。

 さらに産婦人科の医師も現在の4人から4月1日から3人になり、6月1日から2人に減ることが決まった。これまで緊急性の高い妊婦などは受け入れてきたが、3月からは受け入れを断っている。県立北部病院は「本格的に患者を受け入れられない状況が出てきた」と話している。

 県立北部病院は、昨年8月、外科医が1人退職し、外科の日中の一般診療だけでなく、夜間緊急外来を週7日から週4日に制限した。2月1日からも眼科が休診しており、短期間での診療制限や休診が著しい。

 外科医の退職により夜間当直の1人当たりの回数が増加することになり、医師の過重負担は避けられない状況だ。

 久貝副院長は「北部地域の医療体制が崩壊する可能性がある。外科医が不足していくと地域医療に支障を来すことは間違いない。人材確保を最優先にしているが、改善するめどは立っていない」と話した。



https://mainichi.jp/articles/20180322/ddl/k14/040/011000c
県立がんセンター
先進医療の課題 放射線専門医退職問題 「医師不足」深刻さ露呈 施設少なく、治療経験積めず /神奈川
 
毎日新聞2018年3月22日 地方版 神奈川県

 県立病院機構が運営する県立がんセンター(横浜市旭区)で、放射線治療の専門医が相次ぎ退職意向を示した問題。国が「先進医療」に位置づける重粒子線治療の存続が危ぶまれたが、同センターが医師探しに奔走して来年度の診療体制を何とか確保した。騒動の過程で露呈したのは放射線専門医の全国的な人手不足だ。総事業費約120億円が投じられた最新鋭の施設の将来に向け、「担い手不足」という根本的な課題をどう克服するのか。【堀和彦】

知事が説得

 重粒子線治療は、加速器でエネルギーを高めた重粒子線で病巣を塗りつぶすように狙い撃ちする治療法。周辺細胞へ与える影響が少ないことが長所で、従来の放射線治療では治りにくいがんにも効くと期待される。
 国は重粒子線治療を保険診療が併用できる先進医療に位置づけ、医療機関に専従の常勤医2人以上の配置を要件として定める。昨年、専門医の相次ぐ退職に直面した同センターは、県内外の医療機関に医師の派遣を要請してきたが、交渉は不調が続き、一時は診療継続も危ぶまれた。

 見かねた県は今年1月、「医師確保対策委員会」を設置し、本格的な医師探しに乗り出した。当初は難航したが、黒岩祐治知事ら県幹部が派遣元を口説いて回り、専門医をなんとか確保。県内がん患者にとっての「頼みの綱」は、首の皮一枚でつながった。

常勤医不在38%

 放射線の医療現場は、専門医の慢性的な「担い手不足」にあえぐ。日本放射線腫瘍学会によると、放射線治療専門医は全国に1176人おり、県内は69人(2月末現在)。一方で放射線治療施設は全国に約830施設ある。同学会の2013年の調査では、常勤の専門医がいない施設は全国で38・2%に上る。

 同学会の試算では、専門医1人がみる年間患者数を200人とすると、現状の2倍以上の2500人の専門医が必要になるという。同学会は「医学生、研修医へのアピールや各臓器別学会への参加、大学への働きかけなどに取り組んでいる」としている。

育成にも課題

 経験を積める医療現場に乏しく、人材育成の機会も限られる。重粒子線治療について国は、「責任医師」に専門施設での2年以上の治療経験などを求めている。しかし、全国で重粒子線治療を実施する施設はまだ5カ所のみだ。

 放射線医学総合研究所(千葉市)は、1993年に当時世界初となる重粒子線治療の専用施設を開発。以来、国内外の施設と連携して治療の普及に努め、国内の4施設と稼働予定の2施設から医療スタッフを受け入れてきた。同センターでも放医研で治療のノウハウを学んだスタッフは多い。

 重粒子線がん治療普及推進ユニット長の北川敦志さんは、医師不足について「特殊な治療なので習う場所が少ないが、施設が増えればイレギュラーにも対処できる」と話す一方、「医師が増えないと施設は増えない」とジレンマを吐露する。今後は医療機関との人材交流を一層密にしていくという。

 放医研を所管する文部科学省は07年から「粒子線がん治療に係る人材育成プログラム」を策定。放医研など全国8機関で医師や技師を養成し、5年間で約40人を輩出した。だが、その後はこうした取り組みはなく、一過性に終わった国の施策が専門医不足の一因という見方もある。

連携がカギ

 県内でも、同センターの重粒子線治療を巡って横浜市は09年、県に人材育成の必要性を指摘し、同センター内に横浜市立大大学院を併設して医師を派遣する案などを提案した。だが、県が難色を示し、最終的に破談に終わった。機構の土屋了介前理事長は今年1月、毎日新聞の取材に「横浜市大と組んだ長期戦略が必要」と述べ、連携に意欲を見せていた。だが、今回の問題への対応を巡って今月、理事長職を解任された。両機関の連携は課題のままだ。

 先月の県議会で黒岩知事は、専門医の人材育成について「県内外の大学や医療機関と人材確保の仕組みを作っていく」と方針を打ち出した。「人手不足」という業界の積年の課題を前に、行政がどのような一手を打てるのかは未知数だ。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180322_43003.html
地元で産めぬ不安拡大 かづの厚生病院の分娩機能、今秋休止 医師確保へ官民連携図る 
2018年03月22日木曜日 河北新報 秋田

 秋田県鹿角市で唯一分娩(ぶんべん)が可能な「かづの厚生病院」は昨年2月、産婦人科医を派遣している秋田大など3大学の意向で「里帰り出産」の新規受け入れを中止した。さらに大学側は常勤医の派遣を継続できないと通告したため、今秋には分娩機能自体が隣接する大館市の市立総合病院に集約される。大館までは夏場でも車で40分以上かかり、地域に「出産を諦める人が増えるのではないか」と懸念が広がる。(秋田総局・渡辺晋輔)

<「土台なくなる」>
 「妊婦が置き去りにされている」。鹿角市文化の杜交流館コモッセで今月上旬開かれた「お産ができる鹿角を望む住民集会」で、分娩施設が地域からなくなることに約120人の出席者から不安の声が相次いだ。
 人口約3万1500の市は移住・定住や子育て支援に力を入れる。厚生病院で3人を出産した主婦大森雅子さん(34)は「市内には子育てサークルが多く、3人目、4人目を産む人が多い」と話す。
 分娩機能集約化には「産める環境があるから人が住む。地域が縮小する不安と住み続けられるのかという不安がある」と漏らした。
 主催団体の一つで、昨年2月に設立された「鹿角の産婦人科を守る会」の代表を務める会社員安保大介さん(36)は「出産できる施設はいわば地域の土台。子育て環境が充実していても土台がなくては話にならない」と危機感を募らせる。

<出生数減も一因>
 厚生病院には秋田大と岩手医科大が、大館市立総合病院には弘前大がそれぞれ常勤の産婦人科医を派遣している。集約の背景には大館・鹿角地域の出生数減少や深刻な医師不足がある。
 県や鹿角市、隣接する小坂町などは分娩機能の維持を繰り返し要望した。しかし大学側は「安全な出産体制を整備するには、分娩を取り扱う施設を集約してスタッフを充実させるしかない」と回答。方向性は覆らなかった。
 県によると、産婦人科医と年間分娩件数は大館市立総合病院が4人、約500で、厚生病院は2人、約200。集約後は大館市立総合病院に常勤医6人、分娩件数は約700となる見込みだ。
 県は集約後を見据え、大館市立総合病院の機能強化に向け分娩室増設などの整備費約7300万円全額を市に補助する。集約は施設整備が終わる今年秋ごろになる。

<地域が意思表示>
 一方、鹿角市は新年度から医師確保対策を専門に担う地域医療推進員1人を配置する。児玉一市長は13日の市議会3月定例会一般質問で「分娩機能は必要不可欠な都市インフラ。自分たちで医師を見つけるしかない」と答弁し、県や厚生病院、市民団体と連携して取り組む考えを示した。
 先例になるのが、住民団体「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会」の取り組みだ。
 会は常勤の精神科医が不在になる事態を受け2006年に設立された。精神科医を募るチラシを全国の道の駅に置き、今春に大阪の医師が厚生病院に勤務するきっかけをつくった。会長の西文雄さん(68)は「地域が意思表示をしなかったら医師はいなくなっていた」と振り返る。
 産婦人科を守る会代表の安保さんは「住民の医療に対する意識を『受ける』から『支える』に変えていきたい。諦めずに市の手助けをしたい」と話す。

[かづの厚生病院]17診療科、稼働病床207床。2017年4~12月の入院患者3万6182人、外来患者10万5850人。このうち産婦人科は入院1858人、外来5018人。16年度の分娩件数220。分娩機能の集約後も、妊婦健診や産婦人科の外来診療は継続する。



https://www.asahi.com/articles/ASL3N3WJML3NUBQU006.html
医療従事者の給与削減、提案へ 赤字続く市立旭川病院 
渡辺康人2018年3月20日15時00分 朝日新聞

 深刻な赤字が続く市立旭川病院(478床)の経営再建策の一環として、市は医師や看護師ら医療従事者の給与削減を近く労働組合に提案する方針を固めた。病院側は市議会で「2~3年の限定で身を切ることで(職員の)了解を得る覚悟だ」と説明した。3月末から4月上旬にかけて労組に提示し、新年度中に実施に踏み切りたい考え。

赤字の旭川市立病院、経費削減の抜本策

 2億円程度の削減効果を試算している。旭川市が一部の職場に限定して給与削減するのは初めてで、道内でも珍しいという。市は他職場との関係もあることから、一般事務職員については対象に含まない考えだ。

 同病院は2009年度以降、ほぼ毎年数億円規模の単年度赤字が続き、一時は約30億円あった「貯金」が底をついて16年度から資金不足に陥った。17年度も約7億円の単年度赤字となる見込みで、このままだと毎年数億円ずつ累積赤字が膨らみ続け、年間医療収益の20%(約20億円)を超えた段階で経営が国の管理下に置かれる。市としてはこれを阻止したい考えだ。

 同病院の赤字は、医師不足から整形外科と呼吸器内科の入院受け入れを休止している影響が大きく、市は連携協定を結ぶ旭川医大に常勤医師の派遣を要請し続けてきた。市側の議会答弁によると、医大は協議の中で市立病院の自助努力が前提だとし、医大がかつて職員給与や病床の削減で赤字脱却を図った実績を挙げて「身を切る改革」の必要性を伝えているという。

 青木秀俊・病院事業管理者は16日に開かれた市議会予算等審査特別委員会の答弁で、「医大から市立病院の身の切り方が足りない(と受け取られている)ことが基本にあると重々理解している。職員との話し合いで進めていく覚悟だ」と述べた。



http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/225378
「医療体制の崩壊も…」 沖縄の北部病院、外科の夜間救急制限 週4日→2日へ 
2018年3月20日 07:25 沖縄タイムス

 沖縄県立北部病院(知念清治院長)が4月1日から、外科の夜間救急診療(午後5時~翌日午前8時)を現在の週4日から週2日に制限することを決めた。4人いる外科医のうち、派遣医1人が任期満了を迎え、3人となるため。知念院長は「医師1人当たりの当直負担を考えると、現状維持は難しい」と説明する。

 同病院の外科は昨年8月にも医師1人が退職し、日中の外来制限措置を取った。外科の夜間救急受け付けは現在、月、水、金、土の週4回。これが4月からは金と土の週2回となる。受け入れ制限のしわ寄せは今後、北部地区医師会病院にいくと考えられ、「北部地域の医療体制の崩壊につながりかねない」(知念院長)危機的状況という。

 北部病院では4月から、産婦人科でも医師が1人減り3人体制となる。3月に入り、すでに受け入れを数件断るなど現場は逼迫(ひっぱく)している。

 内科では消化器担当医が1人減の2人に、人工透析担当医も応援がなくなり1人となる。小児科も2019年度から医師不足が懸念されている。知念院長は「医師確保に向け県とも調整を続けているが状況は厳しい」と話した。
03252_2018032509370233d.jpg



https://dot.asahi.com/dot/2018031300077.html?page=1
奨学金を受給するも途中で返還 医学部受験「地域枠入試」の理想と現実 
庄村敦子2018.3.21 07:00 アエラdot.

 入る前も入った後も何かとお金がかかる医学部。地域で働けば返還免除になる奨学金や、成績優秀者に大学が給付する奨学金など、学費の負担を軽減する制度を上手に活用したい。医学部志望生向けのAERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、主な地域枠入試の入試方法や募集人数などを徹底調査。受験生は地域に残ることをアピールするが、はたして実情は。

*  *  *
 地域医療を担う医師不足を解消するために1997年度から始まったのが「地域枠」だ。約20年が経ち、現在ほとんどの大学が導入している。2016年度には71大学(1617人)にまで増えた。この数は地元出身者のための地域枠だけでなく、出身地にとらわれず将来地域医療に従事する意志を有する者を対象とした入学枠も含まれる。中には入試時には特別枠は設定していないが、入学後の募集で地域医療に資する奨学金と連動するものもある。

■入試で合格しやすく受験の機会が増える

 地域枠は受験生にとって、どのようなメリットがあるのか。

 まずあげられるのは、合格しやすいということだ。推薦とAO入試の地域枠は倍率が低いなどの理由で、一般入試よりも入りやすい。万が一不合格でも、一般入試にチャレンジできるので受験の機会も増える。

 もうひとつのメリットは、卒業後の一定期間、指定された医療機関や診療領域で働けば、奨学金の返済が免除となるものが多いことだ。

 東北医科薬科大学の「修学資金枠A方式」は、返済免除になれば、学費が国公立大学並みになる。同制度で入学した2年生の奈良井大輝さんはこう話す。

「三つの大学に合格し、父からは島根の自宅から近い関西の私大を勧められました。でも東北の復興のために役立ちたいという思いと、浪人したぶん学費の負担は軽くしたかったため東北医科薬科大学に決めました」

 奨学金の額はさまざまだが、中でも、額が大きいのが09年度に始まった「東京都地域枠入学試験」だ。現在は順天堂大学と杏林大学が各10人、東京慈恵会医科大学が5人募集している。

 出願資格は都内在住か、都内の高校などを卒業・卒業見込みの者。医師免許取得後、東京都が指定する医療機関で、小児医療、周産期医療、救急医療、へき地医療のいずれかの領域で奨学金貸与期間の1.5倍(9年間)以上働けば、各大学の6年間の修学費全額と生活費720万円の返還が免除となる。ただし、定められた勤務を遂行しない場合には、10%の利率で返済しなくてはならないため、注意が必要だ。

 17年春、1期生の5人が2年間の初期臨床研修を終えた。3人が周産期医療、2人が小児医療を選んだという。同試験の立ち上げから担当してきた東京都福祉保健局医療政策部医療調整担当課長の田口健医師は、感慨深そうにこう話す。

「入学した1期生が、指定した診療領域に進むまで8年。長かったですね。まずはホッとしていますが、返還免除まであと6年数カ月あります。9年間働いて立派な医師、よき先輩となってほしい。奨学金は都民の税金です。4領域しか選べないため、覚悟を持って受験してほしいですね」

■最初から地域に残るつもりがないのに…

一方で、地域枠では奨学金を受給したものの途中で返還するケースも増えていて、大きな課題になっている。

 厚生労働省が実施した「平成29年臨床研修修了者アンケート」によると、途中で返還した理由(複数回答可)として、2.4%が「もともと地域医療に従事する気はなく、最初から返還する予定だった」と回答している。

 この回答を裏づけるように、ある医学部予備校の関係者が打ち明けた。

「最初からその地域に残るつもりがないのに、一般入試よりも比較的入りやすいため『地域枠入試』で入学するケースはあります。保護者は『学費を先に払うか、後で払うかの違い』と言っていますね」

■地域への定着を目指し地元出身者に限定

 面接対策をしている受験生は地域に残ることをアピールするが、実情は違うようだ。ある国立大学の医学部長はこう語る。

「面接時に、受験生が『卒業後、離島で働きたい』『地域に残ります』と言っても、卒業すると出身地に帰る学生が多いため、未来については聞かないことにしました。主に高校時代について質問しています」

 同アンケートは、臨床研修修了後に大学と同じ都道府県に勤務する割合も調べている。地域枠全体の入学者が68%に対し、地元出身者(大学と出身地が同じ都道府県の者)は78%に上り、地元出身者の定着率のほうが高いという結果が出た。

 この結果を受け、厚生労働省が「地域枠」の出願資格を地元出身者に限定するよう通達した。現在、都道府県知事が地元医学部に「地元出身者枠」の設置・増員を要請することを可能とする法案化も進んでいる。

「18年度入試では、17年度には出身地による制限がなかった名古屋大学後期の『緊急医師確保対策枠』、大阪市立大学の『大阪府指定医療枠』、愛知医科大学の『愛知県地域特別枠』などが、出願資格の出身高校や居住地を地元に変更しました。今後、出願資格を変更する大学は増えると思います」(メディカルラボ・可児良友本部教務統括)

 多くの都道府県が医師の定着に悩む中、島根県は特殊な取り組みをしている。島根大学の地域枠入試では、地域の医療機関や福祉施設での実習が受験資格として義務づけられているのだ。

「地域枠推薦入試」では、生まれ育った地域が島根県内のへき地等に該当し、地元に帰って医療に貢献する強い意志のある者が対象となる。出身地にある医療機関と福祉施設で実習をするとともに、各施設長の面接評価を受け、市町村長による面接も受ける必要がある。 

一方、「緊急医師確保対策枠推薦入試」は、県内の医療に貢献する強い意志がある者が対象で、出身地は問わない。島根大学が指定する県内の医療機関で実習し、担当者の評価を受ける。さらに病院長や県担当者による面接もある。

 島根大学の並河徹医学部長は、こう語る。「病院長・福祉施設長や、自治体首長による面接評価があるうえ、志願者が実習の活動記録や感想文などを書くため、地域医療に貢献する強い意志があるか、医師としての資質を備えているかを確認できます」

 地域枠の他にも、返還不要の「給付型奨学金」や学費が減免される特待生制度もある。入試や入学後にいい成績を修められるよう、努力しよう。(文/庄村敦子)

※AERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』より抜粋



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2821304016032018TCC000/

「画像診断報告書」相次ぐ確認不足
重要情報共有されず/再発防ぐ 対策続々
 
2018/3/19付日本経済新聞 朝刊

 コンピューター断層撮影装置(CT)などで撮影した検査結果を記載する「画像診断報告書」の内容が医師間で共有されず、がんの治療が遅れ、患者が亡くなる事例が相次いでいる。大学病院が死亡事案を公表しているが、氷山の一角との指摘もある。どの病院でも起こりうる課題として医療界は危機感を強めており、対策に動き出している。

03253_201803250937025ac.jpg

 2015年10月、70代の男性は強い貧血で東京慈恵会医大病院(東京・港)に救急搬送された。消化管からの出血の疑いでCT検査を実施し、放射線科医は肺がんが疑われることから「短期間でのfollow(フォロー)が望まれます」と画像診断報告書に記載した。

肺がん見落とす

 だが、救急医から病棟医、外来医へと担当医が変わる中で、この重要情報が共有されなかった。男性の肺がんの発覚は1年遅れ、17年2月に亡くなった。

 同病院は年間約8万5千件のCTや磁気共鳴画像装置(MRI)の検査を行う。このうち約1割は「要経過観察」や「要精査」が必要で、検査結果に見落としがあれば患者に重大な影響を及ぼす可能性がある。

 丸毛啓史院長は「今後も起こりうる問題」と話す。医師間で重要情報を確実に伝え、共有する教育や研修を強化するが、それだけでは防ぎきれないことから様々な仕組みを整備する。

 その一つが診療情報室の職員が医師に報告書の内容を把握したか連絡することだ。17年10月から実施しており、18年4月には担当者を現在の1人から3人程度へと増やす予定。例えば画像診断報告書に「半年後に再検査が必要」と書かれていれば、実際に実施されたかどうか追跡していく。

 現在の大学病院の医師は専門性が高くなったが、その一方で日常的に治療する臓器以外は必ずしも詳しくはない。このため、主治医が予期しない重要な病気などを検査で見つけた場合、画像診断部の医師は見落としが起きないよう主治医に直接連絡することを周知している。

 さらに画像診断報告書は必要に応じて患者に交付してきたが、原則すべての患者に渡すようにする。検査を依頼した医師向けに書かれた通常の報告書を患者が理解するのは難しいため、4月からは患者用にかみ砕いて書いた報告書を渡す予定だ。医師が見落としたり忘れたりしてしまうのを患者からの指摘で防ぐのが狙いだ。

 画像診断報告書の確認不足は、同病院だけの問題ではない。医療事故情報を収集する日本医療機能評価機構(東京・千代田)によると、15年1月~17年9月の間に同様のミスが32件起きていた。医師の経験年数をみると、▽1~5年▽11~15年▽26~30年――がともに7件で、医師のキャリアに関係なく起きていた。

 名古屋大病院医療の質・安全管理部の長尾能雅教授は「医療の進歩がもたらした新たな課題だ」と指摘する。

 経済協力開発機構(OECD)によると、人口1千人当たりのCTの撮影回数は、日本は231回(14年)と加盟国の中で2番目に多い。放射線科医の読影術も向上し、昔だと分からなかった病気が見つかるようになる一方で、報告書内の重要情報を見落とすリスクも高まった。

 厚生労働省も事態を重くみている。17年度の医療法に基づく医療機関への立ち入り検査では、医療安全対策の確認ポイントの一つとして、画像診断報告書の確認不足の問題を例示。さらに17年11月、画像診断報告書の確認を徹底するよう通知を出した。

 国立がん研究センター中央病院(東京・中央)や、がん研有明病院(東京・江東)も対策の検討に動き出している。

未読管理システム

 名古屋大病院でも画像診断報告書の見落としが起きたことを踏まえ、医師が報告書に目を通したか把握する既読・未読管理システムを導入した。未読が30日以上続くとその医師が所属する医局長に伝え、さらに60日以上がたってもまだ未読だと医療の質・安全管理部に通知が行く仕組みを整備した。

 この管理システムの導入で「未読のまま放置される報告書はなくなった」と長尾教授は強調するが、「万全ではない」とも話す。現状の管理システムでは、医師が報告書の内容を正しく理解したかどうかは分からない。IT(情報技術)を駆使してこの問題をどう克服するかが今後の課題だという。

 東京慈恵会医大病院の肺がんの見落としで亡くなった男性は、亡くなる前に医療過誤原告の会(東京都東村山市)の宮脇正和会長に病院の抜本的改善などを求めて動くよう頼んだ。宮脇会長は「重大なミスが起こりうることを前提に、患者も一緒になって医療安全に取り組んでいくことが大切だ」と話している。

(辻征弥)



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52585
機能不全の地域医療、“経営戦略”で変革に挑戦
シリーズ「商いの原点」~医療法人三つ葉(愛知県)後編
 
2018.3.19(月) 嶋田 淑之 JB Times

 日本の高齢化率は27.4%(2017年)に達し、「超高齢社会」が進展する中、国の方針により要介護者の在宅率は上昇し続けている。しかるに、全国各地では経営難に起因する病院の統廃合が加速化し、在宅要介護者やその家族のニーズの増大に逆行するかのように、十分な医療サービスが提供されにくい状況になってきている。

 大都市部においても状況は芳しくない。夜間や休日に主治医の診療を受けることは困難であり、救急車を呼んでも、たらい回しにされた挙句、患者の医療情報をもたない病院の当直医におざなりの対応をされることも多い。

 医療サービスの質も量も問われるこうした現代日本において、全国的な注目を集めるクリニックがある。名古屋市にある「三つ葉在宅クリニック」(医療法人三つ葉)である。その代表は舩木良真医師(39)。

 常勤医師8人、非常勤10人。他に医療ソーシャルワーカー、診療サポート、医療事務、ドライバー、システムエンジニア、総務などスタッフ62人。

 名古屋市内の8区をカバーし、患者数は約1000人に達する。患者の年代は、80代が最多で、70代、90代と続く。病状に合わせた定期的な往診に加え、夜間・休日を含めた彼らへの緊急往診は年間2000件を超える。

きっかけは“地域医療の機能不全”

「名古屋大学医学部在学中は研究医になるつもりでした」と語る舩木氏。しかし、研修医1年目、日本の医療の在り方に深刻な疑問を感じたという。

非常に多くの高齢者が救急外来にやってきて、病院側は彼らを帰そうと躍起になる。本来、大病院は急性期の患者に高度医療を施す場所なのに、高齢者は地域の医院・クリニックへの信頼感が薄いため、どんな問題であれ、すべて大病院に頼ろうとする。

 高齢化率が急速に上昇し続ける中、地域医療が時代の変化に対応できず機能不全を起こしているとすれば、由々しき事態である。

 舩木氏は、2003年、諸外国を視察して回った。

「北欧とニュージーランドで、“コミュニティ・ケア”を目の当たりにしました。高齢者が(病院や施設ではなく)“地域”でそれまで通りの日常生活を営みながら医療を受けているのです。

 成熟した国家では、自分の生き方を自己決定する。日本においても、高齢者が“人生の最後の時期をどう過ごすのが幸せか”を自ら決める時代が来ると考えました。私だったら自宅で過ごしたい。そういう人は多いに違いない。在宅医療に大きなニーズが存在すると」

 ここでのキーワードは“地域”である。“家庭”が単位になると、今まさに日本で社会問題化しているように、「介護離職による経済的破綻」「老々介護による共倒れ」、そしてそれらの帰結としての自殺や無理心中などを招来してしまう。

 あくまでも、地域の医院・クリニック、ケアマネージャー、訪問看護ステーション、介護事業者などが、(日本の現状とは異なる)強固な連携を構築し、家族の負担を最小限に減らしつつ、高齢者の切実なニーズに対応したサービスを提供することが肝要だ。

 舩木氏は、イノベーティブな在宅医療サービスを創出すべく、ビジネススクールに入学し、ベンチャー企業の成功パターンなどを学んだ(前編「医療界で『三方よし』を実践するMBA医師」参照)。そして、2005年、周囲の猛反対を押し切って、志を同じくする仲間たちと「三つ葉在宅クリニック」を開設した。

薬価を知らない医師が多い日本の現状

 業務プロセスの特性として「看護師がひとりも在籍していない」こと、そして、これがクリニック内に“勉強会文化”を定着させたことは前編で述べた通りである。

 この“勉強会文化”は、実は別の業務プロセス革新の成功を担保している。それは、「同クリニックとして、製薬会社のMR(医薬情報担当者)とはほとんど会わない」という、従来の医療機関では考えられなかった業務プロセス革新である。

 MRは、自社の医薬品の副作用等に関する情報を医療機関から収集しつつ、同時に、自社の新製品などに関する情報を医療機関に提供し、購入への動機づけを行う。

「MRの方々は、新しい医薬品や値段の高い医薬品の方がよく効くと主張する傾向があります。しかし、論文などを読み込めば、決して彼らの言う通りではないことが判明します。はっきり言って、5円の医薬品と1000円の医薬品を比較した場合、効果・副作用ともに大差ないケースもあるのです」

 それなのに、日本の医師の多くが、残念ながらMRに依存してしまっていると舩木氏は嘆息する。それは、ひとえに、自らエビデンスに当たるなどの自己研鑽ができていないからだという。

 三つ葉在宅クリニックでは、MRにほとんど会わない代わりに、医師たちが自ら勉強することで、必要な(しかも正しい)情報を得る。“勉強会文化”の定着がそれを可能にしているのだ。

「私たちにとって何よりも大切なのは、患者さんにとって最適なことをいかに低価格で提供し、それを通じて患者さんの幸せをいかに実現するかということです。そのためには、“費用対効果”ということを常に意識し検証し続けることが重要です。にもかかわらず、現実には、日本の医師のほとんどが薬価を知りません。費用対効果をまったく考えずに処方しているのです」

「不安マーケティング」に乗せられるな

 米国のドナルド・トランプ大統領が離脱の大統領令に署名したため、いったんは雲散霧消したかに見えたTPP。ところが、その後、アメリカを除く11カ国による協議の結果、2017年11月に大筋合意が確認され、2018年3月8日にチリで11カ国による署名式が行われた。それどころか、トランプが再加入を匂わせるなど、きな臭い昨今の状況である。

 日本では、TPP正式加盟に先駆け、混合診療が解禁された。今後は、患者10割負担の自由診療枠が徐々に拡大していくと見られ、医療格差が生まれるのではないかと懸念されている。

「私たちは、いずれこうした日が訪れることを予期し、“費用対効果”を徹底的に追求してきました。『高コスト→高品質な医療サービス』『低コスト→低品質な医療サービス』なら、誰にでもできる。しかし、『低コスト→高品質な医療サービス』にはイノベーションが必要です。私たちは、まさにこの戦略を推進してきたわけです。

“TPP時代になったら富裕層以外まともな医療を受けられない”ということはありません。必要最低限の金銭負担で、まっとうな医療サービスを受けられることは実証済みです」

 ただし、それには条件がつく。日本の医師たちが、MRに過度に依存することなく、自己研鑽に励み、自らエビデンスに当たり、医療サービスの費用対効果を徹底追求する姿勢を持つことだ。

 舩木氏は、これからの時代、患者サイドも、“費用対効果”の意識を持つことが大切だと言う。

「“これだけお金をかければこんな素晴らしい医療サービスが受けられる。でも、これっぽっちしかお金をかけないとこの程度の医療サービスしか受けられない”という形で、米国系多国籍企業がマーケティングを仕掛けてくる可能性があります。万一、こうした価値観が日本社会に蔓延するようなら、日本の医療はズタズタになってしまうと私は危惧しています。そうした“不安を煽るマーケティング”に乗せられてはなりません」

 全国の医師の自己研鑽はもちろんだが、国民一人ひとりも、自ら勉強し、“費用対効果”に対する自分なりの視点を持つことが今、求められているようだ。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180323_53056.html
<日本海ヘルスケアネット>来月設立へ 庄内北部の包括ケア充実 
2018年03月23日金曜日 河北新報

[くりや・よしき]東北大医学部卒。仙台市立病院などを経て1988年酒田市立酒田病院。98年に同病院長。2008年に独立行政法人「山形県・酒田市病院機構」の初代理事長兼日本海総合病院長。14年から酒田地区医師会長も務める。71歳。北秋田市出身。

 山形県医療審議会は22日、県・酒田市病院機構など酒田市内の医療・福祉関連9法人が参画する地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の設立を認める方向で一致した。知事の認定を経て、東北初となる地域医療連携推進法人が4月初旬にも発足する。代表理事に就く予定の栗谷義樹・同病院機構理事長(71)に展望を聞いた。
(酒田支局・亀山貴裕)

◎山形県・酒田市病院機構 栗谷義樹理事長に聞く

<スタッフ派遣も>
 -審議会が新法人設立を認めました。今後どのような取り組みを進めますか。
 「最終的には知事の認定が必要だが、9法人で1年半重ねてきた議論がようやく実る。地域医療連携推進法人となれば、職員の相互派遣や共同研修、医療機器の共同利用、病床機能ごとの役割分担など非常に多くのことが可能になる」
 「介護士や看護師の確保策を例に挙げると、比較的知名度が高い病院機構で募集・採用し、ある程度キャリアを積んだ段階で人手不足の連携施設に出向してもらうことはあり得る。機構としては余剰スタッフを抱えるが、連携する回復期病院や介護・福祉施設の体制が整えば、地域包括ケア体制の充実という意味で結果的にプラス効果が生じる」
 -患者のメリットは。
 「利用者側の個々のメリットとなると、説明が難しい。地域で必要とされる医療、介護、福祉サービスを将来にわたって提供し続けるための基盤づくりと考えてほしい」
 「少子高齢化で社会保障費が増大する中、病院や介護施設は非常に厳しい時代を迎える。これまで競合してきた法人同士が協調へ転換し、施設間の資源を有効活用することで、医療崩壊など最悪の事態を避けられる確率が高まる」

<統合協議が素地>
 -地域医療連携推進法人は東北で初めて。酒田で実現できるのはなぜですか。
 「庄内北部では10年前、県立病院と酒田市立病院の統合という大きな出来事があった。医師会や病院、行政との間で非常に難しい議論が交わされ、統合後も日々の連携や利害調整で率直に、時に厳しい話を重ねてきた。そこで生まれた信用が素地となり、新法人設立に至ったと考えている」
 -参加法人は全て庄内北部。鶴岡市を中心とした南部との連携はありますか。
 「国の定めた連携推進区域は二次医療圏が基本原則で、できない理由はない。庄内全体の人口は28万弱から、2025年には24万まで減るという推計が出ている。急性期医療に用いられる医療機材は高価で、生活圏を同じくする庄内の各病院が重複投資を続ければ共倒れになりかねない」
 「これまでは北部と南部の病院が共同で運営するという意識は薄かった。南北の連携は私たちの次の世代の課題になるだろう」

[地域医療連携推進法人]地域の医療機関や介護施設のネットワーク化により、業務連携や医療機能の分担を促し、質の高い効率的な医療提供体制を地域で確保する。厚生労働省が2017年4月、地域医療構想を実現するための一つの選択肢として制度化。全国で愛知県や広島県などの4法人が認定を受けるが、関東以北では事例がない。



http://www.medwatch.jp/?p=19684
新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構 
2018年3月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度からの新専門医制度スタートに向けて、専門医を目指す専攻医の1次・2次登録結果をみると、東京都に多く登録しているように見える。しかし、研修の1年目から地方病院へ配属される医師も十数%程度おり、関東一円を広くカバーすることになる。新専門医制度によって「医師偏在が助長されている」とは言えない―。

 日本専門医機構は3月16日の理事会に、このような資料を提示しました。今後も、専攻医の動向(どこの地域に配属されているか)などを調べるとともに、大都市部への集中が起こらないような「都道府県別の専攻医上限数」(シーリング)を常に調整していくことになります(関連記事はこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 数字上は東京都に専攻医が集中しているが、プログラム上、一定割合が地方派遣される
2 東京都の研修プログラム、一定割合が「近隣県の連携施設での研修(派遣)」を予定
3 自治体サイドは依然として「医師偏在助長」を懸念し、制度改善の申し入れも

数字上は東京都に専攻医が集中しているが、プログラム上、一定割合が地方派遣される

2018年度からの新専門医制度全面スタートに向けて、専攻医の登録が進んでいます。日本専門医機構では、「専攻医登録の推測結果」(3次予定等を含めた4月以降に勤務する都道府県、基幹病院ベース)と、「初期臨床研修地」(3月まで勤務する都道府県、主に基幹病院ベース)との比較結果を発表しました。次のような状況が明らかになっています(初期研修医数と合計と、専攻医数合計は合致しない)。

▽北海道:初期研修医338名、専攻医296名 → 4月から▲42名
▽青森県:初期研修医82名、 専攻医61名 → 4月から▲21名
▽岩手県:初期研修医66名、 専攻医62名 → 4月から▼42名
▽宮城県:初期研修医114名、専攻医158名 → 4月から+44名
▽秋田県:初期研修医84名、 専攻医60名 → 4月から▲24名
▽山形県:初期研修医74名、 専攻医55名 → 4月から▲19名
▽福島県:初期研修医95名、 専攻医85名 → 4月から▲10名
▽茨城県:初期研修医155名、専攻医129名 → 4月から▲26名
▽栃木県:初期研修医128名、専攻医120名 → 4月から▲8名
▽群馬県:初期研修医78名、 専攻医79名 → 4月から+1名
▽埼玉県:初期研修医286名、専攻医228名 → 4月から▲58名
▽千葉県:初期研修医338名、専攻医268名 → 4月から▲70名
▽東京都:初期研修医1350名、専攻医1825名 → 4月から+475名
▽神奈川県:初期研修医569名、専攻医497名 → 4月から▲72名
▽新潟県:初期研修医95名、 専攻医100名 → 4月から+5名
▽富山県:初期研修医72名、 専攻医54名 → 4月から▲18名
▽石川県:初期研修医93名、 専攻医110名 → 4月から+17名
▽福井県:初期研修医49名、 専攻医39名 → 4月から▲10名
▽山梨県:初期研修医53名、 専攻医37名 → 4月から▲16名
▽長野県:初期研修医129名、専攻医112名 → 4月から▲17名
▽岐阜県:初期研修医117名、専攻医97名 → 4月から▲20名
▽静岡県:初期研修医194名、専攻医115名 → 4月から▲79名
▽愛知県:初期研修医446名、専攻医449名 → 4月から+3名
▽三重県:初期研修医120名、専攻医102名 → 4月から▲18名
▽滋賀県:初期研修医91名、 専攻医89名 → 4月から▲2名
▽京都府:初期研修医230名、専攻医283名 → 4月から+53名
▽大阪府:初期研修医602名、専攻医650名 → 4月から+48名
▽兵庫県:初期研修医366名、専攻医342名 → 4月から▲24名
▽奈良県:初期研修医112名、専攻医104名 → 4月から▲8名
▽和歌山県:初期研修医90名、専攻医72名 → 4月から▲18名
▽鳥取県:初期研修医40名、 専攻医45名 → 4月から+5名
▽島根県:初期研修医52名、 専攻医37名 → 4月から▲15名
▽岡山県:初期研修医176名、専攻医215名 → 4月から+39名
▽広島県:初期研修医169名、専攻医148名 → 4月から▲11名
▽山口県:初期研修医68名、 専攻医46名 → 4月から▲12名
▽徳島県:初期研修医52名、 専攻医60名 → 4月から+8名
▽香川県:初期研修医61名、 専攻医48名 → 4月から▲13名
▽愛媛県:初期研修医91名、 専攻医86名 → 4月から▲5名
▽高知県:初期研修医59名、 専攻医50名 → 4月から▲9名
▽福岡県:初期研修医380名、専攻医451名 → 4月から+71名
▽佐賀県:初期研修医64名、 専攻医58名 → 4月から▲6名
▽長崎県:初期研修医73名、 専攻医83名 → 4月から+10名
▽熊本県:初期研修医101名、専攻医102名 → 4月から+1名
▽大分県:初期研修医71名、 専攻医64名 → 4月から▲7名
▽宮崎県:初期研修医44名、 専攻医37名 → 4月から▲7名
▽鹿児島県:初期研修医94名、専攻医94名 → 4月から増減なし
▽沖縄県:初期研修医148名、専攻医107名 → 4月から▲41名

 数字だけを見ると、▼東京都(+475名)▼福岡県(+71名)▼京都府(+53名)▼大阪府(+48名)▼宮城県(+44名)▼岡山県(+39名)—などで医師が増加し、静岡県(▲79名)や神奈川県(▲72名)、千葉県(▲70名)埼玉県(▲58名)などで医師が大きく減少することになり、「都市部への一極集中」が進んでいるのではないか、とも思われます。

 しかし機構では「ある都道府県の初期研修医が、どの都道府県で専攻医となるか」(逆に見れば、ある都道府県の専攻医が、どの都道府県で初期研修を受けていたか)という分析も行っています。

例えば、東京都の専攻医1825名について見てみると、1115名が「東京都」で、710名が「東京都以外」で初期研修を受けています。710名の内訳を見ると、▼神奈川県165名▲千葉県132名▼埼玉県101名▼静岡県51名▼茨城県34名▼栃木県28名▼北海道15名▼福岡県15名▼沖縄県15名―などとなっており、近隣県(上位6県)で72.0%が占められています。

またこの分析からは、「全国から東京都に一極集中している」のではなく、「複数の府県(福岡県、大阪府、岡山県など)に近隣県から医師が移動している」状況も伺えました。例えば、福岡県には▼山口県から16名▼東京都から12名▼長崎県から11名▼佐賀県から10名―が、大阪府には▼兵庫県から68名▼京都府から22名▼奈良県から17名▼和歌山県から11名―、岡山県には▼広島県から21名▼兵庫県から11名▼香川県から9名―の医師が移動しています。

東京都の研修プログラム、一定割合が「近隣県の連携施設での研修(派遣)」を予定

 さらに機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、「例えば東京都の研修プログラムについて問い合わせたところ、20-10数%は1年目から関東地方をはじめとする近隣県の医療機関(連携施設)で研修を受ける(つまり勤務する)ことが分かった」と説明。つまり、東京都で専攻医登録した1825名のうち20%から10数%にあたる300名程度は、2018年度には東京都以外で勤務することになるのです。さらに、研修の2年目、3年目になれば地域医療を学ぶために、さらに多くの割合の専攻医が地方勤務に就くと予想されます。

 こうしたことを総合して松原副理事長は、「数字上は東京都に専攻医が集中しているように見えるが、多くの医師が東京都から近隣県に派遣される形となる」「東京都以外で医師が増加したところ(大阪府や福岡県)も同様と考えられる」と説明しています。

例えば東京都には、多くの専攻医が集中していますが、ほとんどは「もともと東京都で初期研修を受けていた」医師であり、残りの医師の多くは「近隣県から東京都に移動した」医師です。一定割合(現時点では20-10数%)の医師は、近隣県に派遣される(研修プログラムで規定)ことになり、「地域医療が崩壊する」とは考えにくいというのが機構側の見解と言えます。

もっとも松原副理事長と山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、例えば静岡県で大きく医師が減少する点について、「静岡県から東京都に51名の医師が移動することになる。これを東京都の研修プログラムで『東京都から静岡県に派遣する』などの形で、どこまでカバーしていくのかを十分に注視していく必要がある」旨も強調しています。静岡県以外でも、上記で見たように神奈川県(▲72名)、千葉県(▲70名)埼玉県(▲58名)などで医師が大きく減少し、同様に、「これらの減少が、個別研修プログラムの中でどこまでカバーされるのか」注意深く見守っていくことが重要です。その他の地域でも「実際に医師減少分が派遣等でカバーされるのか」を確認することが必要でしょう。

さらに松原・山下両副理事長は、「これまでのカリキュラム制による研修(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)では、専攻医がどこに勤務しているのか分からなかったが、新専門医制度でプラグラム制を軸としたことで、専攻医の勤務地が『見える化』できた」と、新専門医制度の創設意義を改めて強調。

また、医師偏在を助長しない仕組みの1つである「大都市部の専攻医上限」(シーリング)についても、今回、初めて都道府県別のデータが揃ったことから、「毎年、状況をチェックして適宜、上限数を調整していく」ことが明らかにされています。

自治体サイドは依然として「医師偏在助長」を懸念し、制度改善の申し入れも

 もっともこれらのデータでも、自治体サイドの「医師偏在が助長される」と言う懸念は払しょくできていないようです。3月16日の理事会では、井戸敏三理事(兵庫県知事)から▼専攻医登録数(採用数)上限について、初期臨床研修医と同じく1.1倍(2年目初期臨床研修医ベース)とする▼診療科ごとの募集定員設定を検討する▼連携施設での研修期間を1か所につき「原則6か月以上」に見直す―などの改善提案が行われています。本提案は、加藤勝信厚生労働大臣にも行われています。

なお、3月16日の理事会では、▼内科のサブスペシャリティ領域として13領域(▼外科のサブスペシャリティ領域として6領域—を機構として認証することが決まりました。今後、各基本領域についてどのサブスペシャリティ領域とするのか(サブスペシャリティ領域の専門医資格を取得するためには、該当する基本領域の専門医を取得することが前提となる)、順次決定していくことになります。


  1. 2018/03/25(日) 09:42:00|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

3月18日 

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-683972.html
県立北部病院 夜間救急外科を制限 医師不足で週2日に
2018年3月17日 07:30 琉球新報

 【名護】名護市大中の県立北部病院(知念清治院長)が、医師不足のため4月1日から夜間(午後5時~翌日午前8時)の外科救急診療を、現在の週4日から週2日に制限することが16日、分かった。県立北部病院は2017年8月にも外科医が退職し診療制限が行われた。北部病院の久貝忠男副院長は「医師の後任が見つからず悪循環に陥っている」と述べた。
 現在4人いる外科医のうち1人が3月末で退職し、3人になる。外科の一般診療は現状維持できるように検討中だが、医師不足のため今後は一般診療も制限される可能性が出てくる。

 さらに産婦人科の医師も現在の4人から4月1日から3人になり、6月1日から2人に減ることが決まった。これまで緊急性の高い妊婦などは受け入れてきたが、3月からは受け入れを断っている。県立北部病院は「本格的に患者を受け入れられない状況が出てきた」と話している。

 県立北部病院は、昨年8月、外科医が1人退職し、外科の日中の一般診療だけでなく、夜間緊急外来を週7日から週4日に制限した。2月1日からも眼科が休診しており、短期間での診療制限や休診が著しい。

 外科医の退職により夜間当直の1人当たりの回数が増加することになり、医師の過重負担は避けられない状況だ。

 久貝副院長は「北部地域の医療体制が崩壊する可能性がある。外科医が不足していくと地域医療に支障を来すことは間違いない。人材確保を最優先にしているが、改善するめどは立っていない」と話した。
(阪口彩子)



http://healthpress.jp/2018/03/post-3542.html
震災バブルで集まった医師たちの撤退が止まらない 南相馬市立総合病院の深刻な医師不足 
2018.03.16 ヘルスプレス

 震災から7年を迎え、背に腹は代えられず、本メルマガに久しぶりの投稿をさせていただきます。

 2018年度春からの当病院(編集部註:南相馬市立総合病院)における診療体制に関して、特に内科診療の立場からの予見について、まずはお知らせします。

 今年度のはじめまで(すなわち2017年度初旬)、内科診療部門には10名の常勤医師がいました(循環器内科3名、消化器内科2名、在宅診療科2名、神経内科2名、呼吸器内科1名)。もともと震災前から働いていた医師が3名(循環器内科、消化器内科、在宅診療科、それぞれ1名ずつ)、福島県立医大からの派遣医師が2名(循環器内科2名)、そして私(編集部註:小鷹昌明医師)のように震災後に支援に入った医師が5名です。

 アレルギー・膠原病・内分泌代謝・腎疾患の専門医は不在なものの、150床程度で運営されていた地域病院の規模から見れば(決して恵まれているとはいえませんが)そこそこの医師数が確保されていました。

 当科においても、初期臨床研修を終えた3年目の女医さんを迎えることになり、お陰様で2人体制となり、個人的にも楽しい診療の日々でした。多くの医療支援者の方々には、とても感謝しております。

4月から内科の常勤医は、これまでの半数の5名へと減少

 歯車の狂い出した序章は、消化器内科医である当時の病院長の急な病欠でした。がん検診を目的としたバリウム検査に伴う不慮な合併症が原因で、一時期は人工肛門、人工呼吸器装着に至るまでの重篤な状態に陥りました(お陰様で、現在は回復しています)。

 その結果、消化器疾患患者を大量に紹介せざるを得ない状況に至ったばかりでなく、内視鏡検査(および治療)の削減へと舵が切られました。電子カルテ導入とヘリポート完備の新病棟建設で出費の重なっていた当院においては、まさに青天の霹靂、経営に大きな影を落としはじめました。

 続いて、在宅診療科医1名の南相馬市立小高病院への派遣が決まりました(20km圏内の旧警戒区域にある病院の再建に力を貸すのは公立病院としての責務)。

 さらに、一足先に医師不足に陥っていた市内の民間病院(医療法人社団青空会・大町病院)の応援のために神経内科の愛弟子に白羽の矢が立ち、彼女は進んで出向されていきました。2017年10月のことでした。

 その結果、当科におきましても、再び「ひとり医長」を強いられることになりました。半年間に3人の内科常勤医を欠きましたが、外科医の協力を得ながら、それでもなんとか維持してきました。

 復帰の目処の立たない病院長に代わり、その後を引き継いだ代行病院長(脳神経外科医)の指示のもと、企画室が立ち上がり経営改善への施策が進められました。「地域包括ケア病棟」が開設され、今春から透析部門の導入が予定されています。

 地域包括ケア病棟の実務的責任者は、難病やレスパイト患者を多く扱うという理由から、私(筆者)になりました。血液透析の恩恵を受ける患者はもちろんいるであろうし、確かに経営改善の一躍を担うと思います。しかし、管理するのはおそらく内科医になります。

 この4月からの診療体制がどうなるかといえば――、消化器内科の前病院長と神経内科の愛弟子は既に退職しました。ひとり奮闘してきた6年目となる消化器内科医1名の退職に引き続き(相馬市の医療法人茶畑会・相馬中央病院へ就職)、残っていた1名の在宅診療科医の退職(南相馬市内の鹿島厚生病院へ就職)、さらに、小高病院へ派遣中の在宅診療科医の休職が追い打ちをかけています(家庭の事情により地元へ帰省予定)。

 あっという間に、内科常勤医はこれまでの半数の5名へと減少します。残った5名のうち3名は、循環器内科医なので、当該科のエマージェンシーに対応するだけで手一杯です。そうなると、呼吸器内科医1名と神経内科医である私の1名が実質的な内科医となり、きっと高齢者や障害者、コモンディジーズの対応に忙殺されることになります。

風化が進む被災地での支援医師の撤退が止まらない

 震災から7年が経過しました。震災前におけるこの病院の常勤医は、全体で14人だったと聞きます。それでもなんとか回っていたのは、高度医療の提供を諦めていたからです。今は違います。できるだけ断らない医療の実践を目指しています。

 少しずつ復興に向かって取り組んでいる、この街での6年間の生活は、医師として、あるいはひとりの人間の生き方として、私をいろいろな意味で成長させてくれました。

 風化の進む被災地において、支援医師の撤退が止まりません。

 これからのこの病院の魅力は、いったい何なのでしょうか? 臓器専門性の高い医療は集約化が進み、そこで必要な治療を受けた患者が、回復期病床あるいは地域に戻ってきてケアを受けるようになっています。それでいいと思いますし、実際にそうなっています。

 地域の医師の条件として「何でも診られる」というスキルは決して誤りではありません。しかし、自分の専門周囲の疾患程度が、そこそこ診られれば、まずはそれでいいと思っています。

 でもそれは、若手の医師である必要はまったくなく、専門領域においてさまざまな経験を積んだ、それなりに機転の利く医師で構いません。高齢者患者のすべての病気が診られることよりも、患者個人を「自分らしい暮らし」へと導ける医師のほうが大切で、そうした医療者こそが地域医療を回してゆくと私は考えています。

南相馬市立総合病院が目指すのは、日本の行く末を見据えた先駆的な地域病院

 震災跡地というこの場所には、新しい価値観を見出した医師が残っています。すべての診療科を揃えて、救急患者に備えようとするよりも、ここでしか作れない固有の文化価値を持つ医療をどれだけ生み出すかが被災地病院を支えていくための基礎になります。この病院の目指す方向は、日本の行く末を見据えた地域病院としての先駆的な取り組みです。

 そのような文化価値を有する医療の創出には、「訴えのはっきりしない高齢患者を正しく理解する『見識力』」「健康管理の責任者は、まずは自分であると自覚させられる『指南力』」「無理な延命よりは、患者本人の自分らしい生き方を考えられる『想像力』」「さまざまな異なる悩みを共有できて、解決の糸口を探れる『共感力』」――。

 「最終的には、総合病院に駆け込むことだけが大切だ」と教え込ませる医療ではなく、その人らしい生き方を適用していける「やり過ぎない医療体制」です。私たちは前向きに衰退するために、寂しさと向き合いながら、歯を食いしばってこの課題に取り組まなくてはなりません。

 震災バブルで集まった医師たちでしたが、ここへきて完全に弾けました。早晩、南相馬市立総合病院の内科部門は立ち行かなくなります。

 被災地の地域病院は再び崩壊へと向かうのでしょうか? それとも起死回生はあるのでしょうか?

 残念ながら、いまのところ有効な対処法はありません。多くの苦難が予想されますが、決して絶望はしません。4月から新しい初期臨床研修医も2名やってきます。第2ステージへと進みつつある、この街の医療の行く末を、もう少し見届けたいと思います。それまで、どうか再びのご支援を賜りたいと願っています。
(文=小鷹昌明/南相馬市立総合病院・神経内科)

医療ガバナンス学会発行「MRIC」2018年3月14日より転載



http://www.yomiuri.co.jp/local/niigata/news/20180316-OYTNT50139.html
医師志望者に情報サイト 
2018年03月16日 読売新聞

 医師不足の解消につなげるため、県は15日、研修医や医師を目指している人向けの情報を集めたポータルサイト「医師ナビにいがた」を開設した。県内で受けられる臨床研修や修学資金制度などを紹介し、勤務環境を幅広くPRしていく。

 現役医師や医学生、医師を志す高校生らも対象に、最新のイベント情報も随時更新する。仕事を身近に感じてもらおうと、県内で活躍する医師や研修医約65人のインタビューも掲載。公式のツイッターとフェイスブックでも情報発信を始める。

 2016年度の県内医師数は、人口10万人当たり205・5人で全国43位にとどまり、全国平均との差は年々広がっている。

 県医師・看護職員確保対策課は、「県内で働きたい人を全力でサポートするというメッセージを込めている。必要な情報が簡単に手に入るよう、内容を充実させたい」としている。

 サイトのアドレスはhttps://www.ishinavi-niigata.jp/



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/medical/article/400762/
医師確保、都道府県に役割 医療法改正案など閣議決定 
2018年03月13日 08時57分 西日本新聞

 医師の都市部などへの集中を解消するため、政府は13日、国が新たに導入する「医師偏在指標」を踏まえ、都道府県が医師の確保計画を策定するなどとした医療法と医師法の改正案を閣議決定した。

 改正案には、医師不足地域で勤務した医師を厚生労働相が認定し、一部病院で院長ら管理者になる際の評価項目に加える優遇措置も盛り込んだ。

 医師養成課程での都道府県の権限も拡大。大学医学部に地元出身者枠の設定や増員を要請できるようにするほか、新人医師の臨床研修を実施する病院の指定や募集定員の設定もできる仕組みづくりも進める。



https://mainichi.jp/articles/20180314/k00/00m/010/103000c
医療法改正案
閣議決定 医師の地域偏在を是正へ
 
毎日新聞2018年3月13日 21時18分(最終更新 3月13日 21時18分)

医師法改正案も
 政府は13日、医師の地域偏在の是正策を柱とした医療法と医師法の改正案を閣議決定した。医師の養成や派遣調整について都道府県の権限を強化するとともに、医師確保の目標数や対策を示した「医師確保計画」の策定を都道府県に義務付けた。2019年4月の施行を目指す。

 16年の人口10万人当たりの医師数は240.1人で、年々増えている。しかし最多の徳島県(315.9人)と最少の埼玉県(160.1人)では2倍近い差があり、同じ都道府県内でも地域差が大きい。

 両法案では、この是正に向けて、都道府県の主体的な取り組みを求めた。

 医師の養成課程では、医師会や医療機関で作る協議会との話し合いを経て、医学部を持つ大学に対して必ず地元で一定期間勤務する「地域枠」を定員に設ける要請を都道府県ができるようにする。地域枠出身の医師らの派遣は、都道府県の役割だと法律で明記する。

 医学部卒業後は、臨床研修をする病院の指定や定員設定の権限を国から都道府県に移す。新年度に導入される新専門医制度でも、研修病院が都市部に偏らないよう、日本専門医機構が都道府県の意見を聞く仕組みを設ける。

 また、国は新たに医師不足の度合いを示す指標を作成。それに基づき、都道府県は重点的に医師を送る「医師少数地域」を指定するとした。同地域で勤務した医師を認定する制度も新設し、認定取得を地域医療の中核的な病院の院長になる要件にするなど優遇する。

 政府は同日、食品メーカーがリコールした際に自治体への報告を義務付ける食品衛生法改正案も閣議決定した。【熊谷豪】



https://www.asahi.com/articles/ASL3F3TRNL3FUBQU007.html?iref=com_apitop
ふるさと納税で医師確保へ 目標は3千万円 三重 
深津慶造2018年3月13日14時00分 朝日新聞

 三重県いなべ市がふるさと納税制度を使って、不足している医師の確保のための費用をまかなう事業を、来年度から始める。自治体が寄付金の使途を明確にして資金を調達する「ガバメントクラウドファンディング」と呼ばれる手法で、ふるさと納税サイトを利用するという。

ふるさと納税で高齢者見守り装置 愛知・犬山市
 JA三重厚生連が運営している同市北勢町阿下喜の「三重北医療センターいなべ総合病院」(220床)は、内科、皮膚科、小児科など22科を持ち、市の医療の中核をなしている。しかし、ここのところ、特に内科医が不足しているという。

 市健康推進課によると、多いときには11人の内科医が在籍していたが、退職などで徐々に減り、現在は6人態勢。4月からは3人になってしまうといい、すでに非常勤医師で回している。

 市はインターネット上のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で、寄付を募る。1万円ほどから集め、3千万円を目標とする。不足した場合、市は補塡(ほてん)も検討している。

 集まった3千万円を使って、医学部を持つ大学に地域医療などを研究する寄付講座をつくる。大学側からは、その講座を担当する医師をいなべ総合病院に派遣してもらうという。市は医師2人の派遣を想定している。

 市の担当者は「都会で活躍しているいなべ市出身者も、両親や祖父母は今でも地元で暮らしている方が多い。医師不足の現状を理解して、ぜひ都会から応援してほしい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/590947
シリーズ 日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「最高の医療提供」の動機付けを医師に◆Vol.15-2
【米国】自国の医療制度の課題
 
スペシャル企画 2018年3月11日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 米国の医師に「自国の医療制度の課題」を尋ねたところ、医療費や医療保険の問題についての意見が多数を占めた。併せて公的医療保険や医療政策を立案、運営する立場にある行政官や政治家等への批判も相次いだ(日本の医師の回答は、『「日本の医療、問題ありすぎ、どこから手を付ける?」』を参照)。

◆メディケア/メディケイド/民間保険会社
・非常に多くの保険会社が政府とは異なる関心を持ち、政府による集権的な単一支払者制度の成立阻止していること。われわれはその中間におり、道半ばで、行き詰まっている。(25-29歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・医療費請求書を書いている人たちは、医療が実際にどのように機能しているのかについて無知である。彼らは患者について考えたり、関心を持つことはせず、医療費がどれくらいかに関心があるだけである。(30-34歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・彼らは医療の世界から出て行ってもらう必要がある。保険は利益の点で意味がない。あらゆる人の面倒を見るためには多額の費用が必要だ。また、給付金を分配することをやめる必要がある、すなわち拡がり続けるメディケイドをやめるということだ。諸経費をカバーできない最低額の保険償還の下で働きたい医師などいない。(35-39歳男性、Private,office based practice)
・全てのアメリカ人に対して保険を実現することと同時に、医師に対して最高のレベルの医療を提供する動機となるに十分な保険償還を保持すること。(40-44歳男性、Private,office based practice)
・医療を利益追求産業としようとすること。製薬会社や保険会社のロビー活動はあまりにも投資額が大きい。排除すべきである。(40-44歳男性、Community Hospital)
・国の予算に負担をかけず、患者への手頃な価格の医療提供のバランスを取ることはチャレンジであると思う。メディケイドシステムは本当に必要とする患者が、必要とする医療を受けられるように改善しなくてはならない。多くの人々は、どのようにしてメディケイドシステムを利用すべきかを理解しているように感じている。(45-49歳女性、Private,office based practice)
・保険会社の影響や関連する障害を排除(少なくとも低減させる)するような、単一支払者制度のリスクと利益を秤にかけること。(45-49歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・あらゆる人に低コストあるいは無料の医療を提供すること。その理由は保険会社や製薬会社が、医療に関わる医療費、何の検査や医薬品を認めるかを決定するからだ。(45-49歳男性、Private,office based practice)
・自分の健康への関心をなくさせるメディケイドの資格の付与をやめること。良い健康を保つことは共同責任であるが、アメリカ人は健康的なライフスタイルを生きるという負荷を背負うことをしたがらない。(60-64歳男性、Private, office based practice)
・あらゆる人に基本的かつ予防的および慢性的な疾患治療の補償範囲を規定する方法、経済的破綻をせずに医療技術提供者を追い払う方法。(60-64歳女性、Private,office based practice)

◆医療費問題
・病院と医療保険会社のロビー活動が過小評価されている。病院と医療保険会社は利益第一であり、このことが現在維持できないほどの医療費上昇につながっている。(35-39歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・コストダウンを図りながら、アメリカ人がずっと慣れてきた質の高い医療をどうしたら供給できるのか。たとえホームレスや市長であっても、誰でもが同じ医療を受けることができなくてはならない。しかし、世界中で最も良質な医療に対して、いったい誰が支払うのかという論点がある。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・できるだけ多くの人々をカバーしようとする医療費の抑制。医師はあらゆる人々に治療を施すことができないことを知ること。人々に諸情勢と健康に責任を持たせること。(50-54歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・2つある。第一は、医師が「偉大なるアメリカの過剰な治療マシーン」であることが、医療費をつり上げていると言えること(これは過剰請求マシーンとも関連しているのであるが)。第二に、医療費が常に有意義に対処されるなら(実際にその必要があるのだが)、医療の支出低減が、医療産業の多くの仕事の喪失を生むにすぎないこと。できれば、その影響は医療スタッフ以外の人たち、例えば行政官、財務関連の人たちなどであってほしいものである。しかし、雇用喪失は結果として社会基盤への重大な重荷となるわけである。(60-64歳、Private,office based practice)
・正直であること。一般の人々が何の利益も享受してないのに、巨大な利益を得ている多くの人々がいること。例えば、癌治療の薬剤費は驚異的である。(60-64歳女性、Private,office based practic)
・必要なものは配給するが、喫煙、ドラッグ、飲酒などの悪い習慣を罰すること。(60-64歳男性、Community Hospital)
・妥当な医療費でできるだけ多くの人々に医療を提供すること。あらゆる人はどんなことがあっても医療費を支払う義務があること。(65-69歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・医療費が高くなることのない、安価なより良い分娩など、全ての人にとっての医療を確保すること。米国の医療は現状では国民総生産(GNP)の17%を消費しているが、医療の質や成績においては世界のトップ5にランクされているわけではない。事実、米国では小児死亡率の低さはトップ5にも入っていない。(75-79歳男性、Private,office based practice)

◆医療行政/政治
・医療政策担当者のほとんどは真の臨床経験が伴っていないので、彼らの医学への無理解があり、典型的ビジネスのように扱っていること。また、良質な医師数が、予想される報酬が少ないことや経済的投資が大きすぎることに伴って少なくなっている。医学部の教育ローンを抱えたプライマリ・ケアの医師たちは、初期投資と収入を得るまでに時間がかかるせいで、結局、30年以上の経験を持つバス運転手の最低賃金よりも低いという結果に終わってしまう。(30-34歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・医療政策は、実生活ではどのようにして医療が機能しているのか理解しない人々によって作られるものであり、彼らは個々のアメリカ人に医療がどのように影響しているのかということよりも、医療に関する政治的課題について重要視しているのである。(30-34歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・何が彼らを動かしているか、あるいは医療システムがどのように働いているのかを理解していないこと。かつまた、保険会社がその仕事を牽引し、政策による医療システムの変更が保険会社の歳入を守っているとも言えるのである。彼らは医師たちへの保険償還をできるだけ少なくするようにしてきたわけで、患者の自己負担を増やし、保険会社の歳入を増加させるべく患者からの請求を拒否して、彼らの利益を増やしてきたわけである。(30-34歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・大きな決定を下す行政官たちは医療についての手掛かりを何ら持っていない。彼らは医療システムを理解していない。それら多くの人たちは、医師や薬剤師が躍起になってそれらの医療に関する知識を得て収入を得ていると考えている。また、保険会社は医療費が全体にかかりすぎると考えている。医療費は膨張し、そのために医師に支払う金額がべらぼうに増えているとも考えている。サービス産業に比べると、医学は例えば100ドル支払うべきところ、たったの65ドルしか支払われていない分野にすぎないのだが。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・行政官は一般的には医療関係者ではないため、彼らはやっていることが分かっていない。彼らはとても適用できない規則で、かつ患者とはかけ離れているような規則を作るような政治家である。また、Direct Primary Systemのようなクリニックに見られるように、無制限の自由市場は物事を飛躍的に変えてしまうことを理解していない。結局、主たるチャレンジもなく多面的な問題点が残るだけである。(35-39歳男性、Private, office based practice)
・共和制だ!と冗談を飛ばしているのだが。政府関係者はACAを廃止させようと躍起になっていて、妥協しようとはしていない(全てフェアであること、民主主義者はむしろ悪であるとか、両者はもっと協力する必要があるとか)。(40-44歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・最大の問題は現在の政治家であり、問題は彼らの地位の保全よりも、国家のために何が最適かを考えようとしないことである。政治家の動きに左右される現在の保険機構と製薬会社。(50-54歳男性、Community Hospital)
・(1)高いクォリティー、(2)効率の良い医療、(3)少ない医療費で提供すること。なかなかできないことだが、恐らくこのうち2つは選択しなくてはならないが、3つ目は難しいだろう。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・主たるチャレンジは政府関係者自身である。その理由は彼らがそれ以上進めることをせず、医療機関で何が起きているかを知ろうともしない。医師と患者が共に協力していかにして健康を取り戻すか、草の根運動を展開することだ。つまりは医師と患者の関係だ。(55-59歳女性、Private, office based practice)

◆医療の在り方
・患者について。患者は権利意識を持ちながら、あまりにもしばしば彼らの健康を維持しようとする努力と責任を放棄している。(35-39歳男性、Private, office based practice)
・医師たちは短時間のうちに多くの患者を抱えて、プレッシャーを感じていると思う。そのことが、医師と患者双方の不満につながっていると思う。(35-39歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・新しい治療、短い待ち時間、新しい医療技術を求める患者を満足させると同時に、老人や貧困者には基本的かつ適正な治療を施すこと。(40-44歳男性、Private, office based practice)
・国全体の健康が、個人の健康のために購入する商品よりも、医療が重要だということをいかに一般に納得させるか。(45-49歳男性、Private, office based practice)
・医師に患者の治療に関して完全な管理権限を与えること、それはある種の安全装置であり、結果的に滅多にないのであるが、医療費の無駄を防止することになる。医療の質を改善することが医療費削減につながる。(50-54歳男性、other)
・薬剤費の高騰、高齢者の増加、患者はしばしば重篤な肥満、糖尿病などが共存。患者は予防的な健康意識を高めるインセンティブが不十分であるとか。酒、タバコ、モルヒネの蔓延に関連する医療費。(60-64歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・健康な食事とライフスタイルにフォーカスする必要があるのではないか。SAD(標準的アメリカ人の食事)、運動不足、肥満/糖尿病/がんの流行は、全て予防可能である、いわゆる医療システムは完全に破綻しており、状況は逆なのである。つまり、医療システムはむしろ病気を促進しているものであり、かつ高価な医療システムだ!!(65-69歳女性、Private, office based practice)
・医師が実施すること、および医師がいかに患者と接しているかについて感謝すること。スキルや医療の質について制度化することはできない。政府関係者ができることは全て指示書の作成にすぎない。(65-69歳男性、other)

◆医師の仕事の在り方/評価
・既存の医療システムで不当な損害を被ることのない支払いようにバランスを取ること。医師への書類作成業務や法的な負荷を縮小すること、それが医師たちには一層ストレスになっている。(35-39歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・仕事にふさわしい対価と公正な保険料。患者はより多くの医療サービスを期待するが、支払いを渋りたがる。その医療費を彼らの税控除にまわしてしまうというのはむちゃくちゃだ。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・重荷となっている事務作業を減らし、研修医が職場でなく医学部で学ぶための学習計画が必要。(55-59歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医師としてのキャリア形成に充てた時間に対する所得保障や、医師が負う医療過誤へのリスク。私の人生は私だけのものではない。私の診療予約は予測不可能であり、私自身が予約の維持が可能かどうかが分からないので、自信を持って診療予約ができるとは言えない。私は患者のため、私の生活の全てを費やしているのである。患者のあるものはこれを悪用し、緊急の差し迫ったものではない質問に対して勤務時間後に電話をして来るのである。(60-64歳女性、Community Hospital)
・訓練され経験年数の長い医師への適切な報酬が求められる。また経験のある医師になることに関する義務。(60-64歳男性、Private, office based practice)
・医師に十分な訓練を積ませ、真に患者との関係を構築する。電子カルテ、保険会社、政府による干渉、不法行為の修正の欠如などを含む多くの障害がある。(60-64歳男性、Private, office based practice)
・全ての人に保険契約をさせる制度をどのように提供するか、一方で、医療の質、医師の独立性、公的にカバーされた医療保険の維持、および補助的医療従事者の利益動機(商売っ気)の制限。(60-64歳男性、Community Hospital)

◆いろいろあり
・普遍的な医療と政府の選択肢の欠如、患者の医療費、医療費の高騰化、過剰な支払い手続き、製薬会社の影響力、官僚制度、全システムを非効率にする情報管理の必要性、医療過誤のリスク、医療過誤規制の欠如。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・医学教育コストの高騰化がある。EMR(電子カルテ)が相互に情報交換がないという馬鹿げた事実。長期にわたる研究機関/薬物治療/検査情報を見ることができないことや、医師が電子カルテシステムを変更するたびに情報が失われること。薬品代が高くてどうにもならないこと。ばかげた経費や不条理な会社の支出に隠蔽されている利益を有する保険業界。保険料の低減や医療に使うべき利益を隠蔽する必要のない巨大なオフィスビル。健康管理の多様性(例えば、Dartmouth Atlasプロジェクトなどを参考に)や真の相対的有効性に関する研究の必要性への理解不足。この電子カルテシステムにおける意思決定支援への共有が不足していること(同意文書に比較すると)や、前者を実施するための法的支援がないこと。終末期医療計画の欠如。消費者に直接宣伝する膝装具や車椅子のような製品に対してメディケア医療保険提供会社に蔓延している乱用の問題。(50-54歳、Public Clinic (outpatient facility))
・(1)準自由市場システムのような従来のシステムデザイン、(2)政策と法律を作成する者(医師を含む)の多くの特別な興味、(3)根性のない政策決定者たち、(4)しばしば非現実的な患者および患者家族への期待とその他の医療システム要素。(60-64歳男性、Academic / Teaching Hospital)

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/iryoishin/590841
2021年度入試改革「医学部は迷っている」
全国医学部長病院長会議「医学生の学力に関するアンケート調査」◆Vol.2
 
レポート 2018年3月10日 (土)配信大西裕康(m3.com編集部)

 2021年度に入試改革を実施するのであれば、2019年度初頭には予告の通知を公表する――。文部科学省の「高大接続システム改革会議」が2016年3月31日に公表した「最終報告」で求めている大学入学者選抜改革の内容だ。医学部も例外ではなく、全国医学部長病院長会議が3月5日に開いた記者会見では、同改革について調査した結果から、医学部が対応を巡って苦慮し、迷っている姿が浮き彫りになった(Vol.1はこちら)。

 同調査を実施した同会議「医学生の学力問題検討ワーキンググループ」の座長を務める福島統氏(東京慈恵会医科大学教授)は、医学部に入学できる学生が画一的になっていると指摘し、「裕福な家庭で育つと医学部に入れるという、新しい身分制度のようになっていることが世界的に問題視されている」と説明。一方、「一気に変えるのは難しい。入試改革をどう考えるか、各大学医学部の『悩んでいる』という状況が調査に回答した自由記述に現れている。5年、10年先まで見据えてやっていかないといけない課題だ」とも述べ、一朝一夕には解決しないとも強調した。

 同会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は、2018年度入試から約11年ぶりに2次試験で面接を復活させる東京大学理科三類(医学部)を例に挙げ、「われわれは、医師となる適性を持った人が受験しているのか、という問題意識を常に持っており、2次試験の面接などを重視して、成績が良くても、適性がない人は入れないなどの努力はしている」と説明。その上で、「多様性のある学生を受け入れたい、経済的なバックグラウンドが必ずしもなくても、ということだが、実際は難しい」と述べた。

 同会議は同日、2021年度の入試改革に関する調査結果として自由回答の一部を公表。学力偏重かつ一発勝負の入試ではなく、AO入試のような長い視野で評価した成果を重視する入試への改革を訴える意見のほか、多面的な方法による人物評価に力点を置きたいなどの意見も見られた。また、マークシート式の大学入試センター試験を2019年度で廃止し、2020年度からは国語と数学に記述式を導入(2024年度からは理科などへの記述式導入も検討)して「大学入試共通テスト」に刷新する際の内容などを気にする意見もあった。

2021年度入試改革に関する自由記載抜粋
・これまでの学力偏重、一発勝負の入学試験を改め、AO入試のように高等学校において長い視野で評価した到達度や達成度など特定の分野における優れた成果を重視する入試に改めるべきである。

・全国全ての医学科の受験生に対し、人間性や適性を共同でチェックする機関などはないものだろうか。そこの合格証を有するものだけが医学科を受験できるようにすれば、効率良い選抜ができるのにと、いつも思う。

・インリーチ活動(大学・医学部説明会、模擬授業、医学部学生による相談・交流会、教員による進学相談、研究室の訪問・見学、医療現場の訪問)やアウトリーチ活動(入試説明会、出張講義、体験型ワークショップ、医学部学生との交流、入学説明・相談会)は、各医学部の使命や3大ポリシーの周知と理解、医学・医療へのモチベーションの向上、適切な資質を備えた医療人材の選抜のために、多様な学校や生徒に対する機会をより拡充すべきである。

・医師不足、医師の地域・診療科の偏在を解消するために、医学部定員増が実施されてきたが、その効果はまだ明らかでない。改めて、そのプロセスとアウトカムを見直し、長期展望にたった将来の疾病構造や医師需給の見通しの検証が必要である。

・面接試験の充実、学修計画書、所信書などを活用し、学力だけでなく多面的な方法での人物の評価にも力点を置きたいと思います。

・フランスのように大量に入学させ、1~2年次で頭角を現した(医学科で学業に適応できることを確認できた)学生のみを進級させるのも、むしろ合理的かもしれない。

・医学部入試については、地域医療や医師偏在などの問題の解決を求められる社会的なニーズという外的要因と、研究者や医師として社会で活躍できるための基礎学力や優れた社会性を有するなどの求められる人物像という内的要因が、最大限に折衝した入試が行われるべきと考えています。現在行われている入試に特記すべき問題点があるわけではありませんが、価値観の多様性からか、入学辞退や休学者が増加している点は深刻に受け止めています。2021年(平成33年)入試を良い機会と捉え、入学辞退や休学者が減るような改革を進める必要性があると感じています。

・大学入学共通テストに関する内容等、まだ不透明な部分も多く、対応に苦慮している。



http://www.tonichi.net/news/index.php?id=66549
東栄病院来月から町営化
人材不足と赤字体質脱却できず/珍しい民営化からの「逆戻り」/在宅介護や生活支援と連携「1つのあり方」 期待の声も
 
2018/03/12 東日新聞

 愛知県で過疎化が激しい東栄町が、社会医療法人財団に運営を委託していた「東栄病院」を戻し、4月から町営病院として再スタートさせる。医師やスタッフの不足に加え、患者数の減少で病院の赤字体質を脱却できなかったのが要因とされる。総務省や県によると、全国的には公営病院の「民営化」が増えているが「逆戻り」のケースは珍しく、過疎の町の苦悩ぶりがうかがえる。

 同町は2017年4月現在で人口3350人。戦後まもないころは1万人を超えていた人口がどんどん減り、65歳以上の高齢者は全体の約半数を占める。町の歳入に占める自主財源は20%を切り、台所は非常に苦しい。

 東栄病院は18年3月現在で病床数は一般病床40床を含む計69床。常勤医師3人、看護師20人。内科や外科など9科を診察するほか、北設楽郡の3診療所に医師を派遣するなど、へき地医療の中核的な存在だ。だが、長年の累積赤字を抱えており、町は07年4月から社会医療法人財団「せせらぎ会」に運営を委託し、経営改善に取り組んだ。

 08年度までの2年間は職員の人件費や経費の削減で黒字となったが、09年度以降は入院患者の減少などで赤字が続き、町は16年までの4年間で計3億8700万円を運営資金として投入した。

 町は17年5月から町内の福祉に携わる代表らをメンバーとする協議会を設置し、病院の経営形態を検討した結果、会から直営に戻すべきだと報告を受けた。

 町は「医師やスタッフの確保が難しく、患者数も減少の一途で不安定な中で社会医療法人に委託するのはそぐわない」と判断、町営化することを決断した。

 町は今後、病院を経営改善するため規模を縮小し、医療や訪問介護などの医療センターと、予防・生活支援の拠点となる保健福祉センターを併設する。旧新城東高校本郷校舎跡地の建設が有力視されている。

 県内では名古屋市やあま市で公営病院が民間の法人への委託やその準備を進めている。県地域医療支援室は「逆戻りのケースは聞いたことがない」と話す。

 一方、せせらぎ会は町営東栄病院の職員を丸抱えする形で採用した。総務省準公営企業室は「同じ人が衣を変えただけでは経営改善の効果は期待できない」としながらも、町営として再スタートすることに「在宅介護や生活支援などと連携する取り組みは過疎地の1つのあり方だろう」と期待する。
03181_20180318111023fa6.jpg



https://digital.asahi.com/articles/ASL3F528KL3FULBJ00M.html?rm=437
「地域医療に精通した医師」国が認定制度 偏在解消図る 
野中良祐2018年3月13日19時37分 朝日新聞

 政府は13日、医師の地域偏在の解消を目的とする医療法と医師法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。医師が少ない地域で勤務した経験者を厚生労働相が認定する制度を新設。医師確保に向け都道府県の権限も強化する。

 2016年の人口10万人あたりの医師数は315・9人(徳島県)から160・1人(埼玉県)と2倍近い差がある。

 認定制度では、厚労省が医師偏在の指標を定め、それに基づき都道府県が「医師少数区域」「医師多数区域」を設ける。少数区域に一定期間勤めると、地域医療に精通した医師として評価・認定を受ける。認定されれば、開業の際などに広告や看板に認定医をうたうことができる。全国に約500ある地域支援病院の管理者になる際の要件の一つにもなる。制度により地方に勤務する医師の増加を促す。

 厚労省研究班の16年の意識調査によると、医師全体の44%、20代では60%が地方で勤務する意思をもっていた。だが実際に勤務する人が少ない理由の一因に、キャリアへの不安があるとされている。

 医師確保に関する権限が強化される都道府県は「医師確保計画」を作り、大学に地元出身者の定員枠の創設や増加を求めることができるようになる。臨床研修を実施する病院の指定や定員決定の権限も、地域の実情に合わせられるように国から都道府県に移す。20年4月までに施行する。

 医師偏在対策を議論する厚労省の有識者会議座長の片峰茂・長崎大名誉教授は「新たな制度をつくる大きな一歩だが、あくまでスタート段階。実効性を高めるには、都道府県が大学や大病院と連携を強めていくことが重要だ」と話す。(野中良祐)



https://www.m3.com/news/iryoishin/591746
医師の働き方「検討中、労基署は控えて」、地域医療病院協議会
総合診療専門医で日本専門医機構に要望書(2018/3/16)
 
レポート 2018年3月15日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 5つの病院団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は3月14日の会議で、厚生労働省で検討が進む「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」について協議した。会議後の記者会見で、病院に対する労働基準監督署の指導が相次いでいる状況について、「対策を検討している最中に、労基署が入るのはやめてほしい」とする決議を行ったことを明らかにした。

 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は同日の協議会で、厚労省に対して「現在、検討中である」として病院に労基署が入るのを控えるよう要望する決議を採択したと説明。邉見氏は「検討中であり、“停戦中”は紳士協定みたいなもの。今から一生懸命にやろうと検討しているのに、そこで入られたら指導待ちになってしまう。せっかく前向きに検討しているところを検討しないでいいのかと思ってしまう」と訴えた。

 医師の働き方をめぐっては厚労省で議論が進んでおり、自治体病院協議会でも会員病院に対して緊急アンケートを実施、4月中にも集計結果を公表するとしている。集計途中の結果として、「タスクシフティングをしようにも、医師以外のマンパワーもない」「皆が管理職で36協定を結んでいない」などの回答があったことを紹介した。

総合診療専門医で機構に要望書

 日本専門医機構での議論が遅れている「総合診療専門医」について、3月2日付で、吉村博邦理事長宛てに「委員会の早期開催及び委員の追加について」とする要望書を出したことも報告した。吉村理事長の体調不良により委員会が開かれず議論が止まっていると指摘。邊見氏は「副理事長が委員会の意見と関係なくどんどん進めている。(2016年6月までの)旧理事会のように遅く、不確実になってきている。どの分野でも情報公開を迅速にやってほしい」と要望。日本公的病院精神科協会の中島豊爾氏は「委員会すら開かないのは独断専行。全くおかしい」と厳しく批判した。

 併せて、総合診療専門医に関する委員会の委員に、JA全厚連、日本慢性期医療協会、地域包括ケア病棟協会も加えることを要望した。

 新専門医制度を巡っては、JA全厚連の瀧幹男氏は全国の厚生連で基幹施設として応募があった専攻医は56人だったと説明。同じ公的病院の日本赤十字の3分の1であるとし、「我々の病院107病院の半分は5万人未満。入院単価では1万円ぐらい日赤が高い。農山村地域はますます厳しくなっていく」と訴え、医師偏在が進んでいくとの危惧を示した。

 協議会は全国自治体病院協議会、JA全厚連、日本慢性期医療協会、全国国民健康保険診療施設協議会、地域包括ケア病棟協会の5団体で2017年9月に設立。

【訂正】2018/3/16
 当初の記事では緊急アンケートを「地域医療を守る病院協議会」が実施しているとありましたが、自治体病院協議会でした。お詫びして訂正します。



https://www.m3.com/news/iryoishin/591947
「働き方改革は自治体病院へ影響多い」、全自病
2018年度の地方会議共通議題「医師の働き方改革」
 
レポート 2018年3月16日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は3月15日の定例記者会見で、2018年度の地方会議の共通議題を「医師の働き方改革」とすることを報告した。邉見公雄会長は「自治体病院が恐らく働き方改革の影響が一番多い病院」と説明した。

 地方会議は全国7ブロックで開催され、議論の結果を受けて予算要望や国会議員への陳情などを行う。2017年度は「新専門医制度」と「地域医療構想」の2つだった。例年はテーマを2つ設定することが多かったが、「働き方改革」は論点が広いとして、1つに絞ったという。邊見会長は「良くしようとしてもない袖は振れない現実がある。しかし、やらなかったら、悪循環でさらにスタッフが来なくなる。医療機関がなくなると人が住めず、地域が衰退していく。頑張って知恵を出し、当局にも現状を理解していただき、働き方改革、勤務環境を改善しながら地域医療が悪くならないように取り組んでいきたい」と語った。

 論点としては、下記が挙がっている。

1.医師の勤務実態をどのように捉え、対応していくか
 ・労働と自己研鑽の切り分け
 ・宿日直許可基準への対応
 ・応招義務の考え方
 ・患者対応に伴う事務作業の多さと、診療時間外での患者対応
 ・出席が要件とされる会議や作成書類の多さ

2.時間外労働規制の在り方をどのように考え、取り組んでいくか
 ・医師の特殊性
 ・医師(研修医)の養成
 ・国民の理解
 ・医療安全の確保
 ・医師の健康確保
 ・諸外国の制度との比較

3.勤務環境の改善等をどのように図っていくか
 ・一人主治医制の見直し
 ・労働時間短縮に向けた取り組み
 ・医師の業務負担軽減
 ・タスクシフティングとタスクシェアリング
 ・女性医師等への支援
 ・ICTの活用
 ・病院経営との両立

4.その他
 ・大病院及び中小病院それぞれの苦悩
 ・労働基準監督署への対応
 ・病院管理職の労働環境



https://www.m3.com/news/iryoishin/592099
医療維新  シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度の一期生8409人、「東京で研修」は21.7%
松原副理事長「地域医療への影響、東京集中」を否定
 
レポート 2018年3月16日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は3月16日の理事会後の記者会見で、4月から開始の新専門医制度における都道府県別の専攻医の登録状況を公表、全体では8409人で、東京都が最も多く1825人(21.7%)であることを明らかになった。多少の変動はあり得るものの、ほぼ確定した数値だという。専攻医の現在の勤務地(初期臨床研修の研修施設の所在地など。以下、現在数)別に見ると、東京都は1350人で、475人増えることになる。

 もっとも、新専門医制度では、東京都など5都府県の14の基本領域では、過去5年間の専攻医の採用実績を超えないというシーリングがかかるが、シーリングに用いたデータは公表されなかった。したがって、過去採用実績との比較での専攻医の増減、ひいては地域医療への影響は明らかではない。19の基本領域別の専攻医数も未公表。

 同機構理事長の松原謙二氏は、東京都が475人増となっている点について、「東京に全国から医師が集まっているのではなく、関東、甲信越、静岡のほか、北海道と沖縄が多い。(現在数との比較で、専攻医数が減少した)他の県では、東京に集まったのではなく、隣県など関連の深い地域に専攻医が移動している」と説明。同機構では、東京都の基幹施設を対象に、(1)4月1日から、東京都以外の連携施設で研修する専攻医数、(2)専門研修の期間で、東京都以外の連携施設で研修する専攻医のスケジュール――について調査中だ。(1)については、十数パーセントとなる予定だという。「十数パーセントの専攻医は、東京都以外で研修を開始する。日本小児科学会からは、2年、3年目になると、さらに東京都以外に出る専攻医数が増えると聞いている」(松原副理事長)。

 これらを踏まえ、松原副理事長は、「専門医の質を高める新たな仕組みにおいて、地域医療に大きな変動が起きるのではないことだけは、(16日に公表したデータから)明らかであり、4月1日からそれほど混乱が起きないだろうと思っている」と説明した。ただし、「例外的な地域」として、静岡県を挙げた。専攻医数は115人で、現在数194人より79人減。うち51人は東京都に移動。「51人を本当に(静岡に)戻してくれるのかについては、今のところ調べが終わっていない。専門研修1年目は東京に戻っても、2年目からまた静岡に戻ってくるような仕組みで対応できれば、特に静岡の医療が問題になることはないと思っている」(松原副理事長)。

 さらに松原副理事長は、過去採用実績等のデータを公表しない理由について、「脳神経外科以外は研修カリキュラム制だったため、採用実績を類推する仕組みが曖昧だったり、バラバラだった。シーリングに使ったデータは、各学会に再度精査して出してもらう」と説明。16日の理事会では、新専門医制度において、各年度の専攻医の勤務地などを把握するためのデータ収集体制を構築することを了承した。この仕組みができると今後、誰がどこで研修しているかを把握できるようになるため、これらのデータを基に、新たなシーリングの基準を作成していくという。

 16日の理事会では、サブスペシャルティについても議論。松原副理事長は、「内科専門医は13領域、外科専門医は6領域のサブスペシャルティについて、2018年度から日本専門医機構が認定することが了承された」と説明した。もっとも、関係者によると、理事会では、サブスペシャルティの認定基準が確定しない状況で、内科と外科のサブスペシャルティを先行して決めることなどに異論が出たという。

 記者会見で公表されたデータは、都道府県別の現在数と専攻医数のマトリックス。松原副理事長が特に重点的に説明したのは、東京都のデータだ。

 東京都の現在数は1350人。専攻医数は1825人で、うち1115人は初期研修等も東京都。差し引き710人が他道府県から、新専門医制度に伴い、東京都に移動する。710人の主な内訳は以下の通り。

・関東(多い県順)
 神奈川県165人、千葉県132人、埼玉県101人、茨城県34人、栃木県28人、群馬県4人

・その他(多い県順、10人以上)
 静岡県51人、北海道・福岡県・沖縄県15人、長野県14人、宮城県・山梨県・大阪府13人、福島県・愛知県10人



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03264_01
【特集】 新専門医制度 次年度に向けて 
週刊医学界新聞 第3264号 2018年03月12日

 新専門医制度の2018年度開始に向け,専攻医登録がおおむね終了した。同制度は当初17年度開始予定だったものの,地域医療への悪影響が懸念されたことなどから16年7月に延期が正式決定となった。その後も度重なるスケジュール変更や情報の錯綜があり,当事者である指導医・研修医らは手探り状態での準備を強いられたのではないだろうか。

 日本専門医機構は先日,19年度採用の専攻医登録スケジュールを発表した。これを受け,各プログラムにおいて研修内容や定員の見直しが今後本格化する。本紙では,今回の専攻医登録を振り返るとともに,19年度採用の専攻医希望者に向けての注意点や制度上の検討課題を解説する(関連記事)。

 18年度採用の専攻登録スケジュールは図1のとおり。一次登録では7791人が採用された。これに二次・三次登録の採用者を合わせて,およそ8300人前後が新専門医制度1期生となる見込みだ。専攻医登録者のうち約9割が,一次登録の段階で採用通知を受けたことになる。

03182_20180318111018f59.jpg
図1 2018年度採用の専攻医登録スケジュール

2019年度採用の専攻医登録は2018年9月1日開始予定。これにより,全体のスケジュールも1~2か月前倒しになると予想される。
 第1希望から順に希望順位表を登録する新医師臨床研修制度下の研修医マッチングとは異なり,新専門医制度下での専攻医登録は「1領域の1プログラムに限る」とされた。また今回は,専門医機構により,「専攻医希望者は基幹施設のプログラム統括責任者と連絡を取り,十分に情報を共有したうえで登録する」ことが推奨された(17年10月6日付「平成30年度スタート予定の新しい専門医制度の登録手順のお知らせ」)。このように,採用に至るプロセスが研修医マッチングと大きく異なるため,19年度採用の専攻医希望者は,「1期生がどの時期に,どのような活動を行ったか」をしっかり把握しておくことが重要だ(関連記事も参照)。

2019年度採用の専攻医登録は2018年9月1日開始予定

 専門医機構が2月9日の記者会見で示した2019年度専攻医登録スケジュール案によれば,18年4月末までに研修プログラムの申請・変更などを受け付け,一次・二次審査を経て研修プログラムを認定。9月1日から専攻医登録を開始する予定だ。

 これを受け,各プログラムにおける採用試験・面接も1~2か月ほど前倒しになると予想される。専攻医登録希望者は,専門領域の決定と並行して,情報収集と病院見学の準備をそろそろ始めよう。

内科希望者は初期研修中の症例登録の準備を

 内科専攻を希望する初期研修医にとって特に重要なのは,初期研修中に経験した内科症例のデータ抽出だ。

 新しい内科専門医制度においては,3年間の内科専攻研修期間中に経験した160症例(目標は200症例)を専攻医登録評価システム「J-OSLER」に登録することが修了要件となる。これに対して修了要件を満たす症例の取りまとめに不安の声が多く出たことを受け,初期研修中に経験した内科症例を一定の条件下で遡及登録することが可能となった(病歴要約の提出にもこのルールが適用される)。詳細は,日本内科学会Webサイト上の「新専門医制度FAQ」を参照のこと。



 なお,新専門医制度は,19の基本領域で構成される「基本領域専門医」と,基本領域専門医の取得後に選択できる「サブスペシャルティ領域専門医」の二段階制となる(図2)。現時点ではサブスペシャルティ領域の総数,および「基本領域とサブスペシャルティ領域の関連付け」(どの基本領域専門医を取得するとどのサブスペシャルティ領域専門医への道がひらけるのか)の結論は出ていない。これに関しては専門医機構における議論が今後本格化するので,注視する必要がある。

03183_20180318111019dec.jpg
図2 新専門医制度の基本設計(クリックで拡大)
上記サブスペシャルティ領域は現時点で連動研修を含め承認されているもの。今後追加・変更の可能性がある。



https://mainichi.jp/articles/20180314/ddl/k43/040/296000c
八代市立病院
一般病床 2病院が引き継ぐ方向 /熊本
 
毎日新聞2018年3月14日 地方版

 八代地域の主要な医療機関や行政関係者らが集まった八代地域医療構想調整会議が12日夜、八代市の県県南広域本部であった。八代市が来年3月までの廃止を決めた市立病院の事業譲渡について、一般入院用ベッド(66病床)を「熊本総合病院」(同市)と八代郡医師会の「八代北部地域医療センター」(氷川町)の2病院が引き継ぐ方向で協議に入ったことが報告された。

 病床の再編移転については厚生労働相の同意が必要なため、県と厚労省が事前協議を進めており、その協議で2病院への配分が決まるが、現行の66より減るとみられる。市立病院の外来診療については2病院から「引き継ぐことを検討する」と表明があったが、採算面から協議が進んでいない。市立病院が同市宮地地区で唯一の医療機関であることから、市は引き続き譲渡条件などを検討する考え。

 また県全体の医療政策として市立病院が持っていた結核治療用ベッド(30病床)については譲渡希望がなかったものの、熊本労災病院(同市)が一般病床を使った結核患者収容モデル事業(国庫補助)を導入し、結核診療機能を担っていく意向を示した。【笠井光俊】



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28148890V10C18A3CR0000/
医療事故、17年は370件 報告制度浸透せず  
2018/3/15 10:36 日本経済新聞

 患者の「予期せぬ死亡」を対象とする医療事故調査制度で、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京・港)は15日、2017年の年報を公表した。17年の報告件数は370件で、16年の406件から減少。制度の設計時に年1300~2000件を想定していたのと比べ、大幅に少ない状況が続いている。医療関係者の間で制度の理解不足が改めて鮮明になった。

03184_201803181110213fb.jpg

 医療事故調査制度は15年10月に始まった。診療に関連した予期せぬ死亡や死産があった場合、同機構への報告や院内調査を義務付けている。

 17年の医療事故の内訳は、手術が177件で最多。処置が44件、投薬・注射が37件で続いた。

 患者が亡くなってから医療事故として同機構に報告するまでの平均は57.2日(16年は36.2日)だった。最短は2日、最長は657日と、大きなばらつきがみられた。予期せぬ死亡かどうかの判断を巡り、迷う医療機関は少なくない。

 同機構は15年10月~17年12月の報告件数を基に、年換算した人口100万人当たりの都道府県別の報告件数を算出。最多は宮崎が6.9件、次は三重が5.4件だった。最小は高知の0.6件で、地域差があることも分かった。

 医療事故と判断されず不満を持つ遺族もいる。遺族などから同機構に寄せられた相談件数は17年が814件で前年比で25.2%増えた。相談内容をみると「医療事故報告対象の判断」が487件と全体の59.8%を占め、最も多かった。

 17年の院内調査結果の報告数は321件。死亡原因を詳細に分析するには、解剖や死亡時画像診断が欠かせないが、これらが行われたのは191件(59.5%)にとどまった。




http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201803/555208.html
学会トピック◎第16回日本病院総合診療医学会学術総会
新専門医制度の基幹病院+連携病院への要望
ワークショップ「若手が考える教育はこれだ」で語られたこと
 
2018/3/14 三和護=編集委員 日経メディカル

 「困ったときに相談できる相手がいない」「指導医による指導の質が低い」「電子ジャーナルや論文へのアクセスができない」――。これらは、経験者が挙げた地域医療機関での研修時の「困った点」だ。第16回日本病院総合診療医学会学術総会(3月2~3日、大分県別府市)で開催されたワークショップ「若手が考える教育はこれだ」では、新専門医制度に盛り込まれた地域研修に対して多くの要望が語られた。

 4月から開始予定の新専門医制度では、内科専門医において、基幹病院と連携病院の連携による研修プログラムが組まれ、連携病院での1年以上の研修が義務付けられた。その連携病院の外形基準は定められていないが、「地域の第一線で急性期医療と慢性期医療を経験し、地域医療や全人的医療を研修する」ことが目的とされ、一般的には300床未満が連携病院となる。また、総合診療専門医では、「総合診療I」で診療所もしくは中小病院での半年以上の研修が必修とされた。

 ワークショップ「若手が考える教育はこれだ」では、こうした連携病院での研修に望むことに焦点を当て、研修医と指導医の立場から議論が展開された。

 順天大の高橋宏瑞氏と大分大学の藤谷直明氏の司会で始まったワークショップはまず、主催者が実施したアンケート結果が示された。医師150人が回答したもので、内訳は初期研修医が5%、後期研修医が17%、6~10年目の医師が31%、11年目以降が47%だった。男性が76%、女性が24%で、総合診療科/総合内科が57%、救急科/集中治療科が9%、家庭医療科が13%、その他の内科系が18%、未回答が3%。地域での中小病院で働いた経験は、「ある」が89%、「ない」が11%で、多くが経験者だった。

 調査の結果、後期研修システムに求めることでは、「指導医による良質な指導」(約120人)、「色々な領域の患者を診ることができる」(80人弱)、「若手でも(治療)方針の裁量を持てる」(約50人)などが上位だった(複数回答、以下同)。

 実際に地域病院で研修経験がある人は、地域病院研修の良い点として、「若手での方針決定の裁量をもって臨める」が70%近くと最多だった。「医療関係者間の関係がよい」も45%ほどあった。

 一方で「困った点」は、「困ったときに相談できる相手がいない」(47%)、「指導医による指導の質が低い」(44%)、「電子ジャーナルや論文へのアクセスができない」(38%)などが上位を占めていた。
「研究などのアカデミックな支援が受けにくい」
 こうしたデータを基に、ワークショップでは3人の研修医が現状を報告。自分たちが抱える共通の課題を明らかにした。

 2015年からJCHO東京城東病院(東京都江東区)の総合内科で後期研修医として勤務している金光陽子氏は、「連携病院と基幹病院で学べることの違い」と題して発表。「連携病院では、患者をより身近に感じながらコモンディジーズを学び、患者を社会復帰させるためのマネジメントも学ぶことができる」と指摘する一方で、「重症な患者や専門性の高い疾患への対応を勉強する機会は少ない。この点は、基幹病院の研修である程度補える可能性がある」とまとめた。

 「連携病院の良い点・悪い点」のテーマで発表した安房地域医療センター(千葉県館山市)の安藤崇之氏は、連携病院の長所に、(1)他科の医師、コメディカルとの顔の見える関係、(2)診療範囲の自由度が大きい、(3)レジデントの役割が大きく、主体性が磨ける――を挙げた。

 困る点については、(1)人事が不安定で1人が抜けるとその影響が大きい、(2)研究などのアカデミックな支援が受けにくい、(3)同期が少なく悩みの共有ができない――を列挙した。

 長崎県上五島病院(南松浦郡)の石川大平氏は、「連携病院の研修で必要なこと、こうなったら最高」のテーマで発表。地域医療研修には、(1)その場でベストの医療に適合させる柔軟性、(2)一戦力として「普通に」働くという心構え、(3)地域住民としての心構え――が求められるとした。

 その上で、「こうなったら最高」のポイントには、研修基幹病院と地域研修病院間の共通認識、研修医のメンタルサポート、研修医にとっての適切な勤務環境――の3点を挙げた。

 例えば、共通認識では「研修医にとっての課題、到達目標が(基幹病院と連携病院で)共有され、メンター間の顔の見える関係を構築すべき」とした。メンタル面では、基幹病院はいつでも帰ってこれる場所としての「ホーム」であってほしいと指摘。適切な環境面では、「勤務の強度はどれほどか、家庭を守りながら働ける環境か」が理解されていることが重要とした。

移動の多い専攻医を支援し、ストレスのケアを重視
 ワークショップでは、研修医を受け入れる側からの発表もあった。

 東京ベイ浦安市川医療センター(千葉県浦安市)の江原淳氏は、基幹病院の立場で発言。指導は現地(連携病院)の指導医に任せる、連携施設は固定し顔の見える関係を維持している、派遣は必ず2人ペア(研修医と先輩医師の組み合わせが中心)で行う、連携施設へは指導医も(例えば当直のバイトなどで)顔を出す、などの工夫が必要とした。

 橋本市民病院(和歌山県橋本市)の橋本忠幸氏は、地域研修施設の立場で発表。自施設での工夫を基に、(1)重点的に何を教えるべきかを決める、(2)スムーズに研修を開始できるように、オリエンテーションやマニュアルを用意する、(3)効率的に指導を行い、評価を密に行う、(4)移動の多い専攻医を支援し、ストレスのケアを重視する――などが地域研修施設が取り組むべき課題とまとめた。

 豊田地域医療センター(愛知県豊田市)の大杉泰弘氏も地域研修施設の立場で発表。自院での経験を紹介しつつ、(1)サイコソーシャルな(心理的、社会的)教育をしっかり行う、(2)(地域研修施設は)魅力的であり続け楽しくなければならない、(3)ダイバーシティ(多様性)は大いに認める――の3点が、教える側が心掛けるべき点と語った。

 ワークショップでは、群星沖縄臨床研修センターの徳田安春氏、飯塚病院の井村洋氏、順天大の内藤俊夫氏の3人がコメンテーターとして参加。「研修医の要望に真摯に向き合うことは、地域研修の質を高めることにつながる」といった指摘や、「今回、紹介された研修施設側の工夫は、先行事例として共有されていくべき」などといった期待も表明された。



http://www.sankei.com/west/news/180314/wst1803140063-n1.html
大阪・近大医学部堺病院が啓仁会へ事業継承 「地域完結型医療の構築を」 
2018.3.14 16:56 産経新聞

 近畿大は、近畿大医学部堺病院(堺市南区)について、「社会医療法人啓仁会」(大阪府和泉市)に事業を譲渡する契約をしたと発表した。同病院は4月1日から、「社会医療法人啓仁会堺咲花(さきはな)病院」として診療が始まる。病床数は、現在の稼働状況などを考慮し、従来の約10分の1の43床へいったん減らすが、状況に応じて増やすことも検討するという。

 大阪狭山市の近畿大医学部付属病院の泉北ニュータウンへの移転計画を進める中で、経費削減に踏み切った。近畿大医学部付属病院は堺咲花病院と医療機能連携協定を締結しており、近大は「堺市南区における地域完結型医療を構築するため、連携・協力体制を強化していく」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/590965
医療維新  シリーズ 日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
国民皆保険なき米国の課題多々◆Vol.16-2
【米国】今、最も関心を持っている医療の話題
 
スペシャル企画 2018年3月17日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 米国の医師に「今、最も関心を持っている医療の話題」を聞いたところ、さまざまなキーワードを列挙した医師が目立った。その内容は、医療保険制度、医療の在り方、最先端医療、医師を取り巻く環境など多岐にわたった。個別のテーマでは、いまだ国民皆保険が実現しない中、メディケアとメディケイドをはじめ、医療保険制度に関するものが多かった。その他、医療の在り方、治療の進歩/改善、国民の健康管理、医学教育/医師のキャリアなどに関する意見が挙がった(日本医師の結果は、『AIから終末期医療、働き方改革……◆Vol.16-1』を参照)。

◆関心事項は多々
30代
・組織工学。研修医教育。チームワーク。仕事と生活のバランス。リアルタイムでの個別化医療。(30-34歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・教育ローン免除プラン。国による医療制度。医療費低減。病院の低い利益。非営利のみの病院。行政官の給与削減。(30-34歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・医療費の負担。仕事環境におけるストレスの低減。雇用としての役割をいかにして成功させるか。(35-39歳男性、Private,office based practice)
・貧困者への手頃な医療。医師の希望に適合した医療。医師の働きに応じた給与。プライマリ・ケアに対してもっと敬意を。(35-39歳男性、Private,office based practice)
・保険未加入者/不十分な被保険者に対する医療の利用について。医学部卒業生へのローン負担への影響の最小化。医師不足への対処。(35-39歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・より安価な保険料。精神疾患治療へのアクセスの改善。書類作成や無意味な法的規制を減らすこと。(35-39歳女性、Private,office based practice)
・単一支払者制度(政府による医療費徴収および負担)保険システムへの移行。資金や資源の利用。医師不足。(35-39歳女性、Community Hospital)
・救急医療。医師の学生ローンの支払い。未保険者/貧困者/ホームレスの人たちへの医療。(35-39歳女性、Community Hospital)

40代
・先進医療サービス。患者による直接的支払いモデル構築。伝統的な医療保険/PPO(Preferred Provider Organizations)保険の拡充。患者と医師との関係。(40-44歳男性、Community Hospital)
・医師不足。プライマリ・ケア不足。医学部卒業生の研修医としての身分が十分でない。(45-49歳女性、Public Clinic (outpatient facility))

50代
・医薬経済学。価値観に基づく医療。質に基づく医療。単一支払者制度(政府による医療費徴収および負担)。不法行為に対する改革。(50-54歳男性、Community Hospital)
・医療過誤に関する改革。メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)による規則を少なくすることにより医療コストを低減させること。電子カルテシステムの影響を少なくすること。(50-54歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・医の倫理。手術。救命救急医療。社会の主流から取り残された人々に対する医療へのアクセス。人生の終末について。(55-59歳女性、other)

60代
・疾病予防。スクリーニング。うつ病。ストレス低減。遺伝子スクリーニン。免疫療法。ロボット技術。医療用携帯アプリ。(60-64歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・権利、物の考え方、健康維持に関わるアメリカ人の無責任な態度。医療費抑制、医療サービス提供者に対する基準を下げること(NP、PA、多様な医師)。(60-64歳男性、Private,office based practice)
・国民皆保険。研究の財源確保。トランスレーショナルリサーチ。医学におけるビッグデータ研究。(65-69歳男性、Academic/Teaching Hospital)

◆医療保険制度
30代
・基本治療に対する強制的な保険補償。リスク集積を考慮した強制的かつ基本的な保険補償。既往歴に対する保護。(35-39歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・患者中心の医療奨励と標準的医療とのバランスの取り方。個人的には医療費の問題はあるが、いずれかはうまくいくと思う。(35-39歳男性、Private,office based practice)
・薬剤費、医療費、メディケアおよびメディケイドの将来、医師への医療保険償還。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・カナダの医療制度。英国の医療制度のモデル。ドイツの医療制度モデル。社会医学モデル。(35-39歳女性、Private,office based practice)
・既往歴に対する保険。メディケイド。直接的なプライマリ・ケア。(35-39歳女性、Private,office based practice)

40代
・コスト削減。患者に自身の医療についてもっと責任を持たせること。病院と医療サービス提供者との間の対立関係を終わらせること。(40-44歳男性、Community Hospital)

50代
・医療サービスに対する報酬。政府の支援による医療保険プラン。低コスト医療への代替案と診断のための検査の代替案。(50-54歳女性、Private,office based practice)
・未保険の患者への対処。個人的には働かない人たちに、税金で医療を提供することは好まない。55-59歳男性、Private,office based practice)
・著しく医療費コストを低減させる方法/システム、それと同時に患者を適切かつ重複しない医療施設に送ること。(55-59歳男性、Private,office based practice)
・HMOやPPOのネットワークに加盟していない医療機関の保険償還、予防医療、普遍的医療。(55-59歳男性、Private,office based practice)

60代
・単一支払者制度(政府による医療費徴収および負担)、普遍的な医療(ユニバーサル・ヘルスケア)、精神障害者や薬物依存患者へ直接アクセスすること、予防医療。(60-64歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・メディケアとメディケイドの支払い能力。EMR(電子カルテ)に関するイライラ(実際の患者医療および患者の利益にはほど遠い)。(60-64歳男性、Private,office based practice)
・不十分であるが過剰な医療。プライマリ・ケアへの支払いの不公平感。医療保険という用語の一般大衆の誤解。(60-64歳男性、Private,office based practice)
・オバマケアの撤回と代替案。低い保険料と高額医療への補償を提供すること。(65-69歳男性、Private,office based practice)
・保険償還の問題。医療へのアクセス。医師たちを雇用している医療機関が、医師の扱いをさらに良好にすること。(65-69歳男性、Academic/Teaching Hospital)

70代以上
・医薬品のコスト。なぜアメリカの巨大製薬企業と競合する、質の良い製品やジェネリック薬を輸入できないのか。(70-74歳男性、Private,office based practice)
・最近の病院における毎日の会話は、病院への支払いを認めない保険会社との闘いについてである。(70-74歳男性、Community Hospital)
・医療を効率的かつ経済的に行う方法の開発。すなわち、医療の方法ではなく、結果について報酬を与えること。結果への報酬と言っても、医師へのいわゆるボーナスシステム法(RVU)ではない。(75-79歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・全ての人々への医療。より良い保健提供システム。重複を軽減する。患者のケアを妨げる規制を減少させる。医療過誤改革(不法行為の改革)。少ない費用でさらなる医療を。(75-79歳男性、Private,office based practice)
・貧困の患者に対してどのように医療を施すか。貧困の患者に対する特別な医療と薬物治療をどのように確保するか。一般および退役軍人の医療の一本化の方法。つまり、大多数の患者に対する質の高い医療費をいかにして低減させるか。(80歳以上男性、Public Clinic (outpatient facility))

◆医療の在り方
・プライマリ・ケアの重要性が増している。医学部学生にプライマリ・ケアを追求することを手助けする。(30-34歳女性、Private,office based practice)
・ラテン系の人々における糖尿病治療、女性の健康。(30-34歳女性、Community Hospital)
・私は人間の健康を改善するという目標をどのように成し遂げるかに興味もあるが、伝統的な医師の診察では十分に達成されてはいない。患者の治療をどのように手助けするかである。患者の食事を用意することでしょうか?彼らを貧困からどのように救うのでしょうか?(40-44歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・救命救急サービスの合理的な提供。適切な緩和ケアあるいは終末医療を伴うため、十分な初期のキャリアとしての救命救急訓練、その訓練の効率化が求められる。(40-44歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・強制的なワクチン投与。小児や青年たちの心の健康。ソーシャルメディアの健康と一般社会への影響。(45-49歳男性、Private, office based practice)
・健康に年齢を重ねること、健康促進、統合医療。(65-69歳女性、Private, office based practice) ・治療の決定は医師によるものであって、保険会社によるものではない。(60-64歳女性、Academic/Teaching Hospital)

◆治療の進歩/改善
・関節置換術後の患者の経過と治療結果。コスト分析。医療の質の分析。整形外科で使用される生体適合材料の評価とデザイン。(30-34歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・コンピューターによる診断、コンピューター/人工知能による増加したカルテへの記入。(35-39歳男性、Private,office based practice)
・遺伝子治療のように新たに出現した治療法。普遍的健康管理(ユニバーサル・ヘルスケア)を提供する医療改革。私の専門領域に関わる医療機器の開発。(50-54歳男性、Academic/Teaching Hospital)
・癌治療研究。遺伝情報に基づく医薬品の処方。抗生物質の適切な使用。健康管理。(70-74歳男性、Public Clinic (outpatient facility))

◆国民の健康管理
・ヘルスリテラシー(健康維持のための情報収集)。普遍的な電子カルテ。結果に基づく保険償還。(30-34歳女性、Academic/Teaching Hospital)
・(1)流行している健康補助食品をどのように扱うのか/誤った情報、(2)肥満、(3)ドラッグの濫用(メタンフェタミン、マリファナ、コカイン、ヘロインなど)、(4)飲酒運転、アルコール依存症。(45-49歳男性、Community Hospital)

◆医学教育/医師のキャリア
・医学教育の費用低減方法。医学部を卒業した研修医に対する訓練のための財政的支援。これらの展開なしに、中堅の医師は育たない。(30-34歳女性、Private,office based practice)
・10年後には教育ローンを免除。収入に応じた返済。(30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・医療における女性の在り方、医師に対する個人的な経済援助。私たち医師のキャリアにおける自由度を見付けること。(35-39歳女性、Private,office based practice)
・闘う医師たちの燃え尽き症候群。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・より良い外科医になること。ヘルニア手術の技法と技術の進展。意味のあるアウトカムリサーチ/質の進歩。(40-44歳男性、Community Hospital)



  1. 2018/03/18(日) 11:15:54|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

3月11日 震災7年目 

http://www.sankei.com/affairs/news/180305/afr1803050013-n1.html
【東日本大震災7年】
被災3県沿岸部、病院再開も続く医師不足

2018.3.5 08:05 産經新聞

【東日本大震災から7年】
人口10万人当たりの医療機関に従事する医師数
0311b_20180311134001598.jpg

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた岩手、宮城両県の沿岸部では震災から7年を迎え、被災した病院や診療所の大半が再開を果たした。東京電力福島第1原発事故で被災した福島県でも復興は進みつつあるが、いずれの地域も医師不足は解消できておらず、打開策を見いだせずにいる。

 岩手県の沿岸部では、震災前にあった病院と診療所計240のうち約9割が開業している。宮城県も、再編前の震災時の医療圏ごとにみると、旧気仙沼医療圏は約8割、旧石巻医療圏は約9割に上る。

 3県の沿岸部は震災前から、人口10万人当たりの医療機関に従事する医師数が全国平均を下回ってきた。その傾向は今も変わらない。平成28年末時点の全国平均240・1人に対し、釜石保健医療圏(岩手)が145・8人、旧気仙沼医療圏(宮城)が136・5人、いわき医療圏(福島)が161・0人だった。

 福島県の原発事故による避難指示が出た地域は100施設のうち、再開したのは28%にとどまる。特に事故の影響を強く受ける相双医療圏は人材流出が著しく、病院に勤務する常勤医の数は、震災直前の23年3月1日時点で120人だったが、29年12月で88人しかいない。

 各県は医学生への修学資金援助などに取り組むが「定着率を上げるのは難しく、すぐに解決できる妙案がない」(宮城県)のが実情だ。



http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030100207/030500005/
3・11  7年が生んだ未来
危機が生む新たな医療システム
「気仙から全国を目指す」

寺岡 篤志
2018年3月8日(木)Nikkei BP

対象は患者だけではない

 住民の登録者が人口の5%を割るEHRが多い中、未来かなえネットは開設2年足らずで16%の1万人まで漕ぎ着けた。登録の対象を一般の住民にも拡大したからだ。通常のEHRは通院時に告知されて登録するケースが多いが、事務局が各地に講演に回り、自治体の広報誌や公民館でも参加者を募った。この取り組みは未来かなえネットの最終目標と密接に関係している。

 3市町の中核病院である大船渡病院の伊藤達朗院長は「EHRからPHRへ。これまで医療機関が握っていたデータを患者が自由に取り出し、利用できるようにする」と構想を語る。PHRはパーソナル・ヘルス・レコードのこと。この中には診察情報だけでなく、幼少期からの健康検査結果やワクチンの摂取履歴も収容される。

 住民は自身の健康情報を能動的に一元管理し、自由に医療機関や介護施設、生命保険会社などにも提供できるようになる。医療機関同士の競争に関係なくセカンドオピニオンを聞くことができるようになるし、データを揃えることで健康状態の推移も理解しやすくなる。いわば、医療データの個人情報銀行だ。

危機感と向き合うことが第一歩

  EHRとしては後発の未来かなえネットが、なぜ全国でも先進事例の一つとして注目されるようになったのか。神田謙一・住田町長は「震災で3市町が危機感を共有し、迅速に連帯することができたためだ」と語る。2010年、15年の国勢調査を比較すると3市町の人口は7万人から6万3000人に約1割落ち込んだ。待ったなしの現実が、改革を加速させた。

 危機感と連帯。現在の東北の復興を語る上で欠かせないキーワードになりつつある。

 震災で3000人を超える死者が出た最大被災地、宮城県石巻市。石巻市立病院は同市を含む医療圏内で初の緩和ケア病棟の新設に取り組んでいる。早ければ年内の開設となる。専門の看護師や家族向けの宿泊施設などを備えた緩和ケア病棟をつくることは、同病院の内科部長、日下潔氏の悲願だった。

 「津波で家を失った高齢者は、災害公営住宅を終の住処と決めた人が多い。しかし、住み慣れない新しい団地の一室で、安心して最期を迎えられるだろうか」。こんな疑問から、日下氏はがん患者が死と前向きに向き合えるための場として緩和ケア病棟の必要性を訴える。

 地方の医療圏では、中核となるがん診療連携拠点病院にすら緩和ケア病棟がない例は多い。懇談スペースや広い廊下、病室が必要で、緩和ケア以外の患者を混在させないなど、利益を出しにくい構造だからだ。日下氏は石巻で緩和ケア病棟の計画が進んでいる背景を「震災前はただの競争相手だった他の大病院が、石巻の復活に取り組む戦友になりつつある」ことだと考える。それぞれの病院が得意とする診療科目に互いに患者を送り込む機会が増えた。患者の食い合いによる合成の誤謬に陥らないため、高コストの投資にも踏み切りやすくなった。

 震災で失ったものの大きさに打ちひしがれる人はもちろんまだ多い。壊れた家に住み続ける在宅被災者や、住宅の無償提供が打ち切られた原発事故の自主避難者など、元の生活を取り戻す目処が立たない人もいる。一方で「震災があったからここまでできた」と語る人も3・11からの7年で着実に増えてきた。その言葉の中に、他の地方にとってもヒントとなる希望がある。真の地方創生の第一歩は、危機感と対峙し、連帯の輪を作ること。今、東北の可能性を探る多くの人がそう語っている。

対象は患者だけではない

 住民の登録者が人口の5%を割るEHRが多い中、未来かなえネットは開設2年足らずで16%の1万人まで漕ぎ着けた。登録の対象を一般の住民にも拡大したからだ。通常のEHRは通院時に告知されて登録するケースが多いが、事務局が各地に講演に回り、自治体の広報誌や公民館でも参加者を募った。この取り組みは未来かなえネットの最終目標と密接に関係している。

 3市町の中核病院である大船渡病院の伊藤達朗院長は「EHRからPHRへ。これまで医療機関が握っていたデータを患者が自由に取り出し、利用できるようにする」と構想を語る。PHRはパーソナル・ヘルス・レコードのこと。この中には診察情報だけでなく、幼少期からの健康検査結果やワクチンの摂取履歴も収容される。

 住民は自身の健康情報を能動的に一元管理し、自由に医療機関や介護施設、生命保険会社などにも提供できるようになる。医療機関同士の競争に関係なくセカンドオピニオンを聞くことができるようになるし、データを揃えることで健康状態の推移も理解しやすくなる。いわば、医療データの個人情報銀行だ。

危機感と向き合うことが第一歩

  EHRとしては後発の未来かなえネットが、なぜ全国でも先進事例の一つとして注目されるようになったのか。神田謙一・住田町長は「震災で3市町が危機感を共有し、迅速に連帯することができたためだ」と語る。2010年、15年の国勢調査を比較すると3市町の人口は7万人から6万3000人に約1割落ち込んだ。待ったなしの現実が、改革を加速させた。

 危機感と連帯。現在の東北の復興を語る上で欠かせないキーワードになりつつある。

 震災で3000人を超える死者が出た最大被災地、宮城県石巻市。石巻市立病院は同市を含む医療圏内で初の緩和ケア病棟の新設に取り組んでいる。早ければ年内の開設となる。専門の看護師や家族向けの宿泊施設などを備えた緩和ケア病棟をつくることは、同病院の内科部長、日下潔氏の悲願だった。

 「津波で家を失った高齢者は、災害公営住宅を終の住処と決めた人が多い。しかし、住み慣れない新しい団地の一室で、安心して最期を迎えられるだろうか」。こんな疑問から、日下氏はがん患者が死と前向きに向き合えるための場として緩和ケア病棟の必要性を訴える。

 地方の医療圏では、中核となるがん診療連携拠点病院にすら緩和ケア病棟がない例は多い。懇談スペースや広い廊下、病室が必要で、緩和ケア以外の患者を混在させないなど、利益を出しにくい構造だからだ。日下氏は石巻で緩和ケア病棟の計画が進んでいる背景を「震災前はただの競争相手だった他の大病院が、石巻の復活に取り組む戦友になりつつある」ことだと考える。それぞれの病院が得意とする診療科目に互いに患者を送り込む機会が増えた。患者の食い合いによる合成の誤謬に陥らないため、高コストの投資にも踏み切りやすくなった。

 震災で失ったものの大きさに打ちひしがれる人はもちろんまだ多い。壊れた家に住み続ける在宅被災者や、住宅の無償提供が打ち切られた原発事故の自主避難者など、元の生活を取り戻す目処が立たない人もいる。一方で「震災があったからここまでできた」と語る人も3・11からの7年で着実に増えてきた。その言葉の中に、他の地方にとってもヒントとなる希望がある。真の地方創生の第一歩は、危機感と対峙し、連帯の輪を作ること。今、東北の可能性を探る多くの人がそう語っている。



http://www.yomiuri.co.jp/local/kochi/news/20180310-OYTNT50062.html?from=ycont_top_txt
<震災7年>DPAT 心のケア円滑に
2018年03月11日 読売新聞

 ◇県、マニュアル3月改定

 ◇派遣や運用方法規定、明記

 南海トラフ地震などの大規模災害に備え、県は「災害時の心のケアマニュアル」の改定作業を進めている。マニュアルは主に行政関係者や医療関係者ら向けに「心のケア」の基礎知識や、被災者支援の体制づくりについてまとめたもので、今回の改定では、「災害派遣精神医療チーム(DPAT)」の派遣や運用について具体的な項目を追加し、今月中に完成させる予定だ。(福田友紀子)

 2011年の東日本大震災で各地から派遣された「心のケアチーム」は、統一された活動指針がなく、連携不足などの課題が浮き彫りになった。そこで厚生労働省は13年4月に運用システムなどを統一したDPATの整備を都道府県と政令指定都市に呼びかけた。14年8月に広島市の土砂災害でDPATが初めて活躍した。

 今回のマニュアル改定は、16年の熊本地震で被災地に赴いた県のDPATの活動経験などを踏まえ、南海トラフ地震を始め県内外で災害が発生した場合を想定して、よりスムーズな支援活動を可能にするのが狙いだ。

 DPATの意義を明記し、活動に必要な情報を別のチームとどうやって共有するかなどについて整理。被災した精神科病院が状況を記入しDPATの派遣を要請するための依頼書や、現場のDPATが活動内容を記録する日報などの様式を示している。

 活動パターンとしては▽南海トラフ地震など県内広域で災害が発生▽集中豪雨による土砂災害など県内局地で災害が発生▽県外で大規模災害が発生――の三つを想定した。

 県内における広域災害の場合、県外から派遣されてきたDPATの活動地域の決定や配置計画の作成など県の役割を規定。県内の局地災害のケースは、被災地域内の県災害医療対策支部にDPAT活動拠点本部を置き、DPATの研修を受講している精神科病院のチームを配置することなどを明記した。県外での大規模災害では、厚労省や被災地から要請を受けた県障害保健福祉課が、連絡を取り、編成可能な病院に派遣依頼を行う流れなどをまとめた。

 今月5日、医師や薬剤師、臨床心理士らからなる検討会で、県側が改定内容を説明。委員からは「投薬について、患者保管用の説明用紙が処方箋と区別しづらい。『二重投薬』のトラブルを避けるため表現を変更してはどうか」「中長期的には、DPATとスクールカウンセラーの連携も重要と思うが、マニュアルに盛り込むことはできないか」などの提案や意見が相次いだ。

 県は、これらの意見もマニュアル改定に反映できるか検討。同課は「南海トラフ地震に備え、マニュアル改定後も、研修や訓練で検証を重ねて、さらに良いものにしていきたい」としている。


 ◆災害派遣精神医療チーム(DPAT) 「Disaster Psychiatric Assistance Team」の略。精神科医や看護師、薬剤師、臨床心理士などで構成。被災地でのカウンセリングや投薬などで、災害のストレスによる被災者の病気を防ぐ。



https://mainichi.jp/articles/20180308/ddl/k03/040/084000c
東日本大震災
被災者の健康調査、診療に活用 医師らデータ確認、患者の負担軽減へ 久慈の医療ネットに提供 /岩手

毎日新聞2018年3月8日 地方版

 東日本大震災の被災者の健康状態を調査している岩手医大「いわて東北メディカル・メガバンク機構」(矢巾町)は、NPO法人「北三陸塾」(久慈市)が運営する地域医療情報ネットワーク「北三陸ネット」に調査結果の提供を始めた。

 調査は、被災者の健康増進を目的とした復興支援事業の一環で、2013年から沿岸部を中心に20市町村で実施している。北三陸ネットに提供するのは、17年から行っている2回目の調査結果。診断を受けた被災者が同意した医療機関などに向け▽血液や尿検査▽ストレスなどのアンケート調査▽内臓脂肪面積や骨密度などの生理機能検査--の結果を提供する。

 北三陸ネットには現在、久慈市と洋野町、野田村、普代村の病院や薬局、介護施設など66施設が参加している。

 これまでは、健康診断を受けた人に知らせるだけで、統計学的なデータの把握にとどまりがちだった。今回、医療機関などに情報提供することで、医師らがデータを確認し、病状の変化がスムーズに把握できるほか、初診の参考にしたり不必要な検査を防いだりすることで患者の負担軽減などにもつながると期待される。今年1月までに200人から同意を得て、既に130人分のデータを提供した。

 いわて東北メディカル・メガバンク機構はこれまで、調査に参加した被災者に結果を通知し、解析結果を市町村や保健所に報告してきた。報告書を持って来院する住民が多いことから、今回の連携に至ったという。

 佐々木真理機構長は「直接、地域医療にすぐに役立てられる形で情報を提供する新しい試みだ。被災者の多面的な健康維持・増進に貢献できる大きなステップになる」と期待していた。【藤井朋子】



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180309173043
被災地の医療提供体制、地域内での自己完結が鍵
研究グループが調査・検証

2018年03月09日 18:05 CB News

 東日本大震災から11日で7年を迎える中、医学・公衆衛生研究者らによる調査・研究が進んでいる。3日には東北大の災害科学国際研究所で、東北大と順天堂大の研究グループが避難所の医療提供体制などを検証する会議を開催し、宮城県の名取市医師会の丹野尚昭会長から避難所の巡回診療などの状況や課題に関する説明を受けた。東北メディカル・メガバンク機構も2月、自宅が全壊した人について、「メタボリック症候と有意な関連が認められた」との調査結果を発表。抑うつや不眠などに関しても「震災の影響は強い」と考察している。【新井哉】

■名取市医師会、近隣病院と連携して医療提供体制を維持

 名取市では、2011年3月11日の東日本大震災の発生後、同市医師会と医療機関が連携し、DMAT(災害派遣医療チーム)やJMAT(日本医師会災害医療チーム)などの支援を受けず、市内の医療提供体制を維持した。外部の支援に頼らず、なぜ避難所の巡回診療を継続できたのか。

 同市の記録などによると、震度6の地震と津波に見舞われた同市の死者・行方不明者は900人超。市の全面積のうち約3割が津波で浸水し、避難所には多数の被災者が詰め掛けた。

 医師会の会員の中には診療所が被災して市外に転出したり、亡くなった医師もいたりして、万全の状態で避難所の巡回診療を行えたとは言い難かった。それでも、医師会の医師や看護師らは、市民と一緒にガソリンスタンドに長時間並び、車の燃料を手に入れ、地道に避難所を回った。

■発災当初から休日夜間急患センターで診療も

 医師会が運営する休日夜間急患センターが被災せず、活動拠点にできたことも大きい。震災当初は電話の不通状態が続き、医師同士の連絡が取れず、口頭で指示や情報交換をする場所が必要だった。診療所が被災した医師の中には、発災当初から同センターで被災者の診療に当たったケースもあったという。

 災害関連死は40人超となったが、人口比では他の沿岸部の自治体よりも少ないとみられる。丹野会長は「市内にある県立がんセンター、近隣の宮城社会保険病院(現在の地域医療機能推進機構仙台南病院)の医師や看護師、薬剤師が積極的に巡回診療に加わってくれたことが大きい」と振り返る。避難所の被災者は、市外から応援に来た医師よりも、地域の顔見知りの医師に安心感を抱き、慢性疾患の症状や体調の良しあしを打ち明けるケースが少なくないからだ。

 こうした被災地の教訓は生かせるのか。首都直下地震に備え、避難所の運営や医療提供に関する研究を行っている順天堂大研究基盤センターの坪内暁子助教は「被災後に外部から支援を得られないことも十分考えられる。それに備え、医師だけでなく、歯科医師、薬剤師、リタイアした看護師などの医療関係者を活用することが求められる。日ごろから地域の医療連携や身体的弱者の対策を充実させておくことが大事だ」と話している。

■自宅全壊の人、メタボリック症候群で高リスク

 東日本大震災からの復興事業となっている東北メディカル・メガバンク計画も研究の成果を出しつつある。この事業を担う東北大と岩手医科大の東北メディカル・メガバンク機構は、15万人の参加を目標とした長期健康調査(地域住民コホート調査=8万人、三世代コホート調査=7万人)を実施している。

 今回は13―15年度に宮城、岩手の両県の特定健康診査などに参加した6万3002人の調査結果を分析。メタボリック症候群に該当する人の割合は、男性が24.8%、女性が8.2%だった。男性に関しては、自宅が全壊した人の方が自宅の被害がなかった人よりもリスクが高くなったという。

 こうした状況を踏まえ、同機構は「自宅の被害の程度は、喫煙・飲酒・身体活動量・心理的苦痛・抑うつ症状を考慮してもなお、統計学的に有意なリスク上昇と関連していた」などと指摘。住居被害を被った人について、「メタボリック症候群と関連するメカニズムについて検討していく必要がある」としている。今後、参加した人に対する追跡調査を実施し、健康状態の推移を把握する方針だ。



https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2018/03/post-9663.php
震災時、医薬品卸の現場の使命感が過酷な状況の病院を支えていた
2018年3月9日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

震災時、過酷な状況にあった病院に医薬品卸企業社員が医薬品を届けた

2011年3月11日に発生した東日本大震災から7年が経つ。当時、インフラが寸断され物資が不足する被災地の患者たちのために、医薬品卸各社の社員たちが高い使命感を持って医療現場へ確実に薬を届けたことはあまり知られていない。

過去の有事対応で得た貴重な教訓を風化させないためにも、改めて震災当時の事例を振り返りつつ、こうした日本独自の医薬品流通の強みを探っていきたい。

東日本大震災という未曾有の災害に対応した医薬品卸の現場

東北で事業展開する医薬品卸企業にとっても、東日本大震災は"想定外"ではあった。それでも、日頃から地域に根ざし医療現場を熟知していたこと、社員たちの高い使命感と熱意があったからこそ、経験したことのない困難にも立ち向かうことができた。

ある企業の石巻支店では、震度5以上の地震が起きたら得意先に駆けつけ状況確認すると取り決めていたことから、病院から求められた輸液や抗生剤などを津波が来る前に届けることができた。津波が来て道路が冠水した後には、徒歩で胸まで水につかりながら薬を病院に届けた社員もいたし、被災した医療機器会社に代わって透析膜200人分を病院に届けるため、東北自動車道で緊急車両認定を受け、物流センターまで取りに行く社員もいたという。

忘れてならないのは、東北で事業展開する医薬品卸企業で働くこうした社員たちの多くも、自身や家族が被災し、生活基盤を揺るがされ、放射能の不安と闘っていたことだ。厳しい状況下でも高い使命感を持って臨んだ彼らの尽力がなければ、必要な医薬品が医療機関に届かず、患者たちの生命が危険にさらされていたであろうことは想像に難くない。震災時、医療品流通はまさに"ライフライン"として頼もしく機能していたのだ。

日本の医薬品卸が持つ総合機能とは

病院や薬局で受け取る医療用医薬品は、日本ではほぼ全てを医薬品卸が日々配送を行っており、この存在がなければ必要な医薬品を入手することができない。厚生労働省が2011年7月にまとめた報告書『東日本大震災対応録――経緯と教訓――』では、医薬品の搬送に関して、医薬品卸大手の多くは全国に物流網を展開し、「地場の卸でもこれら全国展開事業者との協力関係があるため、このネットワークを介して、医薬品を供給することが、一番迅速で、確実である」と指摘している。

さらに、「医薬品物流・通信の完成されたシステムを有する」、地域の医療機関の諸事情を日頃から熟知しているなどの理由から、「他のいかなる供給方法よりも卸ルートが優位に立つ。卸の機能やネットワークが基本的に維持されている限り、災害時といえども、中央集権でなく、卸ルートの方が、迅速かつ効率的である」と評価した。

厚労省が卸ルートの強みとして挙げた「医薬品物流・通信の完成されたシステム」は、欧米のそれとは大きく異なる。米国や欧州の卸が、受発注・在庫管理と一部配送機能に特化する傾向があるのに対し、日本の卸は、価格交渉や債権管理、情報提供、販売促進までを自社で総合的に行っている。このように総合機能を有し、地域に密着した活動を行う日本の医薬品卸の業態が、災害時の医薬品供給の対応においても極めて有効であることが実証されたと言えるだろう。

医薬品卸が直面する偽造医薬品の問題

このように独自の総合機能を持つ日本の医薬品卸業界は、かつては偽造医薬品(偽薬)の問題に強いと考えられていた。偽薬は「開発途上国の問題」であり、日本では流通経路が高度に管理されているので偽薬の流通は生じないとされてきたのだ。

だが、インターネットの普及などで偽薬が世界的に拡大している。世界保健機構(WHO)は、偽造医薬品の世界的な売り上げが2010年に750億ドルに達したと報告。日本でも、ED治療薬やC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽薬の被害が報告されるなど、安全と信頼が脅かされる事案も起きている。

トレーサビリティ強化で偽造医薬品問題に取り組む

偽薬を流通させないようにするには、医薬品の製造ロット番号や有効期限などの情報を管理するトレーサビリティ――生産から消費(または廃棄)までの過程を追跡できること――の手法を強化し、対象を拡大することが必要だ。欧米では近年そうした情報を含む2次元バーコードを販売包装単位に表示することが義務付けられ、順次実施されている。

日本でも医薬品のトレーサビリティは、医薬品の回収や院内での取り違え防止などの有効な手段として表示の範囲拡大が行われて来たが、ここへきて偽造医薬品の流通への混入防止の観点からも、更なるバーコードの利活用に向けた取組みが必要とされている。

どんなときも頼れる医薬品流通に期待

東日本震災時に対応した東北で事業展開する医薬品卸企業からも、「医薬品は供給したが、患者さんに薬が届いたかどうかまでは把握できなかった」として、災害時の情報管理を課題とする声があった。トレーサビリティの強化は、有事・平時を問わず安全、確実な医薬品流通を実現するのに役立つことだろう。

世界に例を見ない総合機能を備える日本の医薬品卸企業と、地域を熟知し高い使命感を持った社員たちが、我々の見えないところでどんなときも頼れる"ライフライン"を担ってくれている。



https://www.m3.com/news/general/590465
双葉郡の救急医療守る 4月から24時間対応へ 「東日本大震災7年」被災地と医療
2018年3月9日 (金)配信共同通信社

 東京電力福島第1原発事故後、福島県双葉郡では、入院や手術が必要な患者を受け入れる医療機関の休止が続く。その中で地元消防本部に医療スタッフを配置し、救急活動を支えてきた県立医大(福島市)が4月、富岡町に新たに開設される病院で24時間体制の救急対応に乗り出す。

 福島第1原発から約20キロ。富岡消防署楢葉分署の敷地内に立つプレハブに、平日の日中、医大の専門医と看護師、救急救命士が常駐する。救命措置や応急手当てが必要な救急要請が入ると、救急車に乗って現場へ出動。患者は近隣のいわき市や南相馬市へ運ばれる。

 医大スタッフの駐在は2016年6月に始まった。出動件数は16年度82件、17年度は12月までで既に80件に上る。避難していた住民が戻るにつれて、お年寄りを診るケースが増えている。

 問題は、119番通報を受けてから病院に収容するまでの時間。平均77分かかっており、全国平均の39・3分を大きく上回る。近隣の医療機関に患者を受け入れる余裕がなく、搬送先がすぐに見つからない。

 解決策として医大が中心となって準備してきたのが、富岡町にオープンする「ふたば医療センター付属病院」だ。地域の介護福祉施設などと連携し、認知症患者への対応も支援。医大から日夜を問わず複数の医師が派遣される。看護師の約4割は県外自治体からの期限付き応援で補う計画で、医療スタッフの継続確保が当面の課題だ。

 この地域特有の悩みもある。原発事故の影響で人口が減少しながらも国の施策で企業誘致が行われており、医大の谷川攻一(たにがわ・こういち)副理事長は「今後の医療ニーズがどう変化するのか読めない。廃炉作業が続くので緊急被ばく医療という特殊医療も必要だ」と指摘する。

 「県立医大は医師を育成する教育機関であり、高度医療も提供する。だからこそ、この地域をずっと見守っていくのが役割だ」と語った。



https://www.m3.com/news/general/590240
進む都市集中 「東日本大震災7年 被災地を歩く」「医師不足」
2018年3月7日 (水)配信共同通信社

 2004年度から新人医師は、臨床研修先を自由に選べるようになった。出身大の病院でなく、専門医としてのキャリア形成や子どもの教育などを考え都会の病院を選ぶ傾向が強まっている。

 「病院の診療機能を維持するため確保すべき医師数」を聞いた国の調査結果によると、全国平均は現員医師数の1・14倍に対し、岩手県は1・4倍と全国で最も不足。対策として県は、開業し院長になる要件に一定期間の医師不足地域での勤務経験を含めることなどを盛り込んだ地域医療基本法の制定を提唱している。



https://www.m3.com/news/general/590239
病院は「生活インフラ」 奨学金で縛るしか 「東日本大震災7年 被災地を歩く」「医師不足」
2018年3月7日 (水) 共同通信社

 海岸線には高い堤防が連なる。その陸側では新しい台地を造るような土地のかさ上げ工事が続く。津波で失われた鉄路の跡を走るバスの窓から見える風景。それは復興がまだ途上であることを物語っていた。

 緩やかな坂を上る途中にある仮設の岩手県立高田病院(陸前高田市)を2月に訪ねた。入ると、赤ちゃんの元気な泣き声が響く。子どもを抱いた母親、老人らが名前を呼ばれるのを待っている。

 「毎日200人近くの患者が来ます。同じ規模の都会の病院に比べかなり多い」。田畑潔院長(57)が話す。もともと医師らが家庭を回り診療する「日本一老人に優しい病院」を目指してきた。

 だが、震災後は若い世代が避難と仕事のため街を出たまま戻らず、少子高齢化が急速に進む。老老介護、独り暮らしの世帯が増え高齢化率は4割に近づいた。「最期は自宅でという高齢者のため在宅医療を進めたいが、地域の介護力が弱くなっています」

 現在の医師は7人で震災直前より1人増えたが「訪問診療を充実するためにも、外回りをしてくれる医師を2、3人は増やしたい」。その見通しは全く立たない。

 隣接する大船渡市の高台にある県立大船渡病院は、この地域の拠点で常勤医は40人。「本当はあと20人欲しい」と伊藤達朗院長(61)。救命救急センターが併設されているが救急の専門医、麻酔科医はいない。常勤医が不在の診療科が目立つ。

 医療サービスを維持するため近隣だけでなく盛岡市や仙台市の病院から毎日、何人もの応援を得ている。「タクシー代は年間7千万円かかっています」。毎日の医師の確保が院長の重要な仕事となっている。

 沿岸の被災地全体ではピークの2003年度より、医師は2割近く減った。「生活インフラである病院を守るため、医師が身の丈以上の仕事をしてきた」と伊藤院長。その結果、疲れ果てて去り、厳しさから敬遠される悪循環に陥っている。

 岩手県は医学生向けに最大で3千万円超の奨学金の貸付枠を毎年55人分設けている。県内の対象病院に6~9年間勤めれば返還を免除するシステムだ。「医師不足に悩む自治体はどこも同じことをしています」と県の担当者。奨学金で縛るしかない現実がある。(共同通信編集委員 諏訪雄三)



https://www.m3.com/news/general/589781
<点検・再始動 復興の理想と現実>医療・福祉 石巻市立病院 包括ケア後退に懸念
2018年3月5日 (月)配信河北新報

 復興は理想にとどまるのか。今が正念場だ。

 東日本大震災で被災し、2016年9月に移転再開した石巻市立病院(180床)。被災者支援と連動して市が進める「石巻版地域包括ケア」の推進母体として、在宅医療をはじめ総合診療の拠点を目指す理念を掲げた。医師確保など態勢整備に時間を要し、「本格稼働」には至っていない。

 「訪問診療や半島部への支援など、出向く医療を充実させなければならないが、院内業務で手いっぱいな面があった」。椎葉健一院長(64)は再開後の約1年半を振り返る。

<目標を下回る>

 市は震災後の課題に対応し、医療、福祉、保健などのサービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの導入を打ち出した。被災地最大規模の仮設住宅団地がある開成・南境地区をモデルに、住民の認知症や健康状態の悪化に多職種連携で対応。市全域での展開を目指し、市立病院を医療の中心的立場と位置付けた。

 一方、病院は建設場所を巡る議論の曲折などで、約5年半の休止期間を経て再開した。医師の多くは他院に移ったまま戻らず、常勤医は現在、目標の20人を下回る16人。再開当初の病床利用率は50%前後と低迷し、収入も伸び悩んだ。「手術件数が頭打ち状態の影響が大きい」として、麻酔科医の確保などを急いだ。

 新年度、医師増員の見通しだが、病院経営に重点を置くかのような流れを懸念する関係者は少なくない。

 地域包括ケアの動向を注視する山口荘一郎市議(41)は「今後の急激な高齢化を見据えれば、包括ケアの態勢づくりを今やらないと間に合わない」と指摘。「在宅医療など地域に出る医師を増やし、実際に動ける態勢をつくることが重要。当初の理念を後退させてはならない」と訴える。

<専門医育成を>

 石巻市内には石巻医療圏で急性期医療に特化する石巻赤十字病院(464床)がある。同病院は震災後、病床を62床、医師を30人以上それぞれ増やした。市立病院について金田巌院長(70)は「公立として地域ニーズにどう応えるか、方向性を明確にすべきだ」と役割分担の意義を強調する。

 理念の具現化には人材育成も鍵を握る。市立病院開成仮診療所と市包括ケアセンター所長を務める長(ちょう)純一医師(51)は、宮城県が支援し16年に誕生した東北医科薬科大医学部の卒業生が初期研修を終える6年後を見据え、在宅医療を担う総合診療専門医の育成強化を提起する。

 先進的な地域医療で知られる佐久総合病院(長野県)に長年勤務した長医師は「市は入院や在宅医療を担う病院に加えて離半島部の診療所も運営する。必要な勉強ができる態勢を整えれば医師は集まる」と強調。「地域枠の奨学生らを総合医に養成するには県の主体的な取り組みも必要。関係機関が連携し、持続的に人材確保できる体制を築くべきだ」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/589780
<点検・再始動 復興の理想と現実>医療・福祉 岩手県立山田病院 診療再編遠のく住民
2018年3月5日 (月) 河北新報

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で被害を受けた岩手、宮城、福島3県では、再建された施設や事業が当初の復興計画通りにいかないなど、なお課題を抱えるケースが少なくない。震災から7年。どこに問題があり、修正策はあるのか。これまでの歩みを振り返りながら点検する。第1部は医療福祉の現場で真の復興への道筋を探った。

 「病院の建物は立派になったのに、頼りの訪問診療が受けられない」

 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県山田町で、同じ80代の夫を介護する女性は不安を訴える。

 被災した県立山田病院は2016年9月、高台に建物を再建した。入院ベッドは10床減らして50床で再開。訪問診療は見直され縮小となった。女性の夫は訪問の対象から外れた。

 夫は寝たきりに近く車椅子での移動もやっと。移送サービスはあるが、経済的負担が新たに増す。老老介護世帯が多い復旧途上の町で、再建した山田病院の「態勢転換」は患者らに波紋を広げた。この女性には医療が遠のいたように映る。

<300件が10件に>

 山田病院は震災後、仮設診療所で外来診療を再開し、訪問診療を拡大。24時間態勢で在宅のみとりに応じ、14~16年は町の在宅死の割合が県内最高となる先進例として注目された。

 訪問診療の拡大は「病床復旧までの特例的な対応」と位置付け、17年度以降は自力歩行や車椅子で移動が可能な患者には通院を促した。訪問は平日の診療時間内に限定し、月最大300件を超えた件数は10件(今年1月)に激減した。

 患者、家族の不安が高まる中、山田病院は「そもそも医師が足りない。通院して適切な検査を受けた方が早期回復につながる場合もある」と理解を求める。

 常勤医は他の病院との兼務を含め3人。震災前は受け入れた時間外の救急対応も行っていない。宮本伸也院長(60)は「医師が疲弊すれば、必要な訪問診療すら行えなくなる恐れがある」と強調する。

<下回る利用率>

 民間病院が少ない岩手で、県立病院は地域医療の要だ。町内唯一の病院の入院機能維持と、震災後高まった訪問診療の住民ニーズの間で生じる「ずれ」。震災から7年の歳月は、慢性的な医師不足に急速な人口減が重なり、病院を巡る環境を変化させた。再建後の病床利用率は40%台前後で、皮肉にも震災前を下回る。

 悪循環の修正策は何か。医療と福祉の連携、合意形成の在り方が重みを増す。

 介護事業者の一人は「通院手段の確保や家庭事情に配慮した態勢が伴わないまま、訪問診療縮小が短期間で一方的に決まった」と受け止める。通院介助などを担うヘルパーも不足。「行政を交え、時間をかけた態勢づくりが必要だった」と明かす。

 「被災した山田町にはどんな医療が必要か。住民不在のまま再編が先行した」とみるのは、住民有志でつくる「山田町の地域医療を守る会」の佐藤照彦会長(77)。「病院はハード整備で終わりではない。地域に根差す医療が実現されるよう、県や町も引き続き取り組むべきだ」と訴える。



https://www.m3.com/news/general/589658
病院再開も、続く医師不足 被災3県、打開策なく
2018年3月5日 (月) 共同通信社

 東日本大震災の津波で甚大な被害に遭った岩手、宮城両県の沿岸部では震災から7年を迎え、被災した病院や診療所の大半が再開を果たした。東京電力福島第1原発事故で被災した福島県でも復興は進みつつあるが、いずれの地域も医師不足は解消できておらず、打開策を見いだせずにいる。

 岩手県の沿岸部では、震災前にあった病院と診療所計240のうち約9割が開業している。宮城県も、再編前の震災時の医療圏ごとにみると、旧気仙沼医療圏は約8割、旧石巻医療圏は約9割に上る。両医療圏は震災後に統合された。

 3県の沿岸部は震災前から、人口10万人当たりの医療機関に従事する医師数が全国平均を下回ってきた。その傾向は今も変わらない。2016年末時点の全国平均240・1人に対し、釜石保健医療圏(岩手)が145・8人、旧気仙沼医療圏(宮城)が136・5人、いわき医療圏(福島)が161・0人だった。

 福島県の原発事故による避難指示が出た地域は100施設のうち、再開したのは28%にとどまる。特に事故の影響を強く受ける相双医療圏は人材流出が著しく、病院に勤務する常勤医の数は、震災直前の11年3月1日時点で120人だったが、17年12月で88人しかいない。

 各県は医学生への修学資金援助などに取り組むが「定着率を上げるのは難しく、すぐに解決できる妙案がない」(宮城県)のが実情だ。



  1. 2018/03/11(日) 13:40:43|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

3月11日 

https://www.asahi.com/articles/ASL374SXDL37UBQU00N.html
医師不足でお産施設、集約へ 秋田の住民に危機感
加賀谷直人2018年3月7日16時00分 朝日新聞

 鹿角・小坂地域で唯一お産ができるかづの厚生病院(秋田県鹿角市)の分娩(ぶんべん)機能が今秋、大館市立総合病院に集約される。産婦人科医を派遣している秋田大学などの医師不足が理由だ。人口減少対策として移住を推進する鹿角市にとって大きな痛手で、市や住民は医師を探す取り組みを始める。

小児・産婦人科の医師確保へ新制度 水戸市

 鹿角市で4日、「お産ができる鹿角を望む住民集会」を市民団体が開いた。参加した出産を控えた女性や住民からは、集約化に対する切実な声が相次いだ。

 「暴風雪の時、救急車は大館に着くのか。ましてや乗用車だとどうなるのか」「妊婦が置き去りにされている。鹿角がなくなる不安がある」……

 市内から大館市までは1時間以上かかる地域も多い。冬季のみならず遠隔地での出産に不安は強い。

 鹿角・小坂地域の産婦人科医療はこれまで、かづの厚生病院が中核病院として担ってきた。秋田大学と岩手医科大学が、産婦人科に常勤医を1人ずつ派遣して支えてきた。

 だが、遠い鹿角市に医師を派遣する負担や医師不足を理由に一昨年12月、秋田大などは同地域に住民票がない人の「里帰り出産」を中止すると通告。昨年2月に実際に中止され、さらに分娩機能の集約も求められた。県や市などは再考を繰り返し求めたが、今秋からの実施が決まった。

 ログイン前の続き集約化で分娩が約200件増える大館市立総合病院は増設工事を実施し、今秋までの完成をめざす。工事終了までは、かづの厚生病院の分娩機能は維持されるという。集約後の外来診療態勢については協議中だ。

 市は集約化はやむを得ないとする一方、産婦人科医を探して、分娩機能再開をめざす考えだ。新年度に医師確保を担う非常勤職員を配置し、県とも連携して首都圏などで活動する。

 住民も危機感を共有している。4日の集会では、住民の手で医師を探すなどの行動案を採択した。集会を主催した市民団体の一つ、「鹿角の産婦人科を守る会」の安保大介代表は「住民の力で波紋を大きくしよう」と参加者に呼びかけた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/590848
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「日本の医療、問題ありすぎ、どこから手を付ける?」◆Vol.15
【日本】自国の医療制度の課題

スペシャル企画 2018年3月10日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本の医師に「自国の医療制度の課題」を尋ねたところ、さまざまなキーワードが挙がった。その内容は、医師不足、医師の勤務環境・働き方、新専門医制度、大学、医療事故、診療報酬、医療費、国民皆保険、政治・行政・団体の在り方、医療の在り方など、多岐にわたり、「ありすぎて、どこから手を付けていいのか分かりません」との意見も見られた。

◆医師不足
・地方、分野別の必要医師数の確保。(35-39歳男性、公立病院)
・医師の適正配置が困難であること。医師を疲弊させない適正な受診者数で経営的に成り立つ保険点数が確保されていないこと。(45-49歳女性、診療所勤務医)
・研修医制度の見直し。この制度で巷から医師が消えました。基準看護の見直し。この制度で看護師が消えた。(55-59歳男性、公立病院)
・医師不足、医師の時間外における免責、医師の応召義務、医師法21条の見直し、安楽死や尊厳死の合法化、看護師業務の拡大、等々。(60-64歳男性、公的病院)
・医師をサポートする職種を考えていくことが必要。医師を増やしても医師のモチベーションは下がってしまう。(65-69歳男性、民間病院)
・地方の医師が少ない。仕事がきつい科(外科、産婦人科など)の医師が少ない。(70-74歳男性、診療所勤務医)
・医師数を行政主導で増やし続けていること。数が増えても地域医療は良くならない。(70-74歳男性、公的病院)

◆医師の勤務環境、働き方
・医師の過労問題、救急外来のコンビニ受診。(25-29歳男性、公的病院)
・給与体系や訴訟対策など医師の立場の確保、患者の質の維持。(30-34歳男性、大学病院)
・大学の給料が安すぎ。バイトに行く意味が分からない。バイトに行かずに暮らせるくらい給料を上げるべき。(40-44歳男性、大学病院)
・楽な科と多忙な科でそれほど報酬に差がないためか、マイナー科へひかれる人が多いように感じる。(40-44歳男性、民間病院)
・主治医制がメインであること。当直を正式な勤務と見なしていないこと。(40-44歳女性、民間病院)
・資格を取るまでの課程を考慮した待遇の区分けができていない。(45-49歳男性、公的病院)
・法的に強制的に休暇を取らせることをしない。(45-49歳男性、大学病院)
・医師個人の裁量に頼る部分が多すぎて燃え尽きてしまう。(45-49歳男性、公的病院)
・医師の自己犠牲に頼りすぎてきた。医療にはカネがかかる、ということをまずは政治家が理解し、それを国民全体に教育し、正当なコストを払う覚悟をすべき。(50-54歳男性、開業医)
・勤務医の労働条件。昔と比較して随分楽になったとは思うのだが、それでも過労死が後を絶たない現状は改善すべき。ただし、一方で時間だけを無駄に拘束し、内容のない労務を残業とみなす風潮と慣習は問題である。(50-54歳女性、開業医)
・主治医制度による医師の時間的、精神的な拘束。(50-54歳男性、民間病院)
・法的に医師が守られていない。(60-64歳男性、公立病院)
・医師の職業上のプライドが低くなってきていると思われ、その原因は金銭的な評価が高く成ってきているためと思われます。(70-74歳男性、民間病院)

◆新専門医制度
・専門医制度に見られる画一化、縦割り化。(35-39歳男性、民間病院)
・新たな専門医制度への移行は中止すべきである。また、医療費抑制ありきの行政、医療費亡国論が医療体制の崩壊につながりかねない。(60-64歳男性、民間病院)

◆大学
・医局制度の崩壊による地域医療の崩壊。(45-49歳男性、民間病院)
・大学病院は研究機関として、臨床は民間病院で、それぞれ役割を設けて手厚く補助し育成する。今の予算では研究は何もできない。(50-54歳男性、民間病院)

◆医療事故
・待遇改善、医療訴訟をはやらせた責任、医療事故についての刑事罰追及という訳の分からない考え方の是正等々。(30-34歳男性、民間病院)
・医療事故と言われるものに対する医師個人の保護。不可抗力で起こった事態に対しての訴訟リスクを考えると、防衛的に診療しなければならないか、と頭をよぎることはある。(45-49歳男性、公立病院)

◆診療報酬
・高額な抗がん剤などをいかに制限できるか。(25-29歳男性、公立病院)
・労働が過酷な科の診療報酬を上げるべき。(35-39歳男性、民間病院)
・診療報酬の是正と医療従事者の待遇改善。(40-44歳男性、民間病院)
・新薬などの薬価が高すぎ、このまま保険医療を継続していくのが困難ではないかと考える。(40-44歳男性、公立病院)
・薬価の問題(特に抗がん剤)。(50-54歳男性、民間病院)

◆医療保険制度、医療費
・保険財政に由来する問題点を、現場に負担させている点。不要なことや、適応がないことができないことを現場の人材だけでなく、普段から広報しておくことが望ましい。仮に患者さんが目にしていなくても理解を求める時に説明しやすいのではないか。(35-39歳男性、大学病院)
・医療従事者に医療費の削減のため負担を強いており、医療費の増大を全て医者のせいにすること。(40-44歳女性、公立病院)
・医療費増大が医者のせいにされること。マジメな病院ほど、赤字になること。(40-44歳男性、公立病院)
・明らかに能力の低下した医師が排除できない。また当たり前のように報酬が受け取れる体制はおかしい。(45-49歳男性、民間病院)
・保険料未払いの患者が皆保険の恩恵を受け続けていること、高齢者医療費が高すぎること。(50-54歳男性、公的病院)
・総額の抑制は必要であり、次の2点が重要。(1)高価な薬品と機器・材料の値下げ(一方で開発に関わる研究の助成は拡大すべき)、(2)医療機関と人材の適正配置。また、低所得者の自己負担に関しては、今の軽減策では不十分。(50-54歳男性、民間病院)
・社会保障費を無理矢理、ある一定範囲内に抑え込もうとしていること。(55-59歳男性、公立病院)
・臨床現場に即した、正当な保険請求のできる保険制度。(60-64歳男性、開業医)
・無料で医療を受ける人が多すぎること。(60-64歳女性、民間病院)
・保険制度を支える少子化+高齢化による財源の先細り。(60-64歳男性、開業医)
・当然ながら、医療費が高騰しており世代間の負担が不公平であること。これまでの医療が患者教育を怠けてきたつけがあること。(60-64歳男性、診療所勤務医)
・財政の先行きに不安があり、現在の医療制度を続けるならば、保険制度が破たんすることが考えられます。(60-64歳男性、公的病院)
・医療保険制度は、国民に最低限以上の医療を保証したもので、最高のレベルまで公的医療保険で面倒を見るのは行き過ぎ、先端医療や高額医療は民間保険に任すべき。(60-64歳男性、開業医)
・ありすぎて、どこから手を付けていいのか分かりません。戦後間もないころまでは、今の皆保険制度は、恐らく世界最高でした。今は機能不全を起こしています。(65-69歳男性、その他)

◆自由診療
・混合診療の解禁。医療報酬の減額による病院収支の悪化。(40-44歳男性、公的病院)
・自由診療を一般病院でも併用できるように。(45-49歳男性、公立病院)
・混合診療をもっと導入すること。医療にはお金がかかるということや医療は安全ではないことを一般人に認識させる必要がある。(60-64歳男性、民間病院)

◆生活保護
・生活保護が多すぎる。不正受給も多い。(30-34歳男性、公的病院)
・国民皆保険の破綻、生活保護者の医療費負担がないこと。(40-44歳男性、民間病院)
・生保の医療費無料が財政を圧迫している。(40-44歳女性、大学病院)
・生活保護者の厳密な認定、これがほとんど諸悪の根源。(55-59歳男性、民間病院)

◆政治、行政、団体の在り方
・臨床をよく知らない医系官僚に決定権がある。医師会の発言力が弱い。(50-54歳 女性、開業医)
・医師会の影響を受けすぎ。(50-54歳男性、民間病院)
・場当たり的な医療行政ではなく、もっと筋の通った一貫性のある医療行政を希望。(55-59歳男性、開業医)
・将来的展望に立った行政を行わせる政治的な判断。(60-64歳男性、大学病院)
・厚生労働省が、医療現場の問題を具体的に把握する必要があると思います。(60-64歳男性、民間病院)
・経済財政諮問会議の意見が偏向的。(60-64歳男性、公的病院)

◆医療の在り方
・不必要な医療が行われて財政が圧迫されている。(25-29歳女性、民間病院)
・必要のない医療行為や治療が数多くある。(50-54歳男性、公立病院)
・無駄な受診、無駄な検査の抑制。(50-54歳女性、開業医)
・無駄な医療をいかに防ぐか。(60-64歳男性、民間病院)
・統一した診断、治療方法、Manual化されてない。(60-64歳男性、民間病院)
・超高齢者の延命処置。生活保護者の喫煙や大量飲酒も、生活習慣改善しないため受診を繰り返され、見ていて何とかならんかと思う。(60-64歳男性、民間病院)
・終末期医療に医療資源が使われすぎている。(65-69歳男性、診療所勤務医)
・末期の高額医療のムダを減らすこと。(65-69歳男性、開業医)

◆高齢者医療
・高齢社会において、医療介護福祉に費用かかかる中、公費でどこまで負担するのか、どこまでサービスを提供するのかということ。(30-34歳男性、大学病院)
・高齢者の自己負担の増額は必須である。反発を和らげるためには、高齢者の収入の確保(年金と労働環境を含む)と一体で進める必要がある。(50-54歳男性、民間病院)
・高額医療の保険支出が多すぎる。高齢者からも相応の医療費負担をさせるべきである。(70-74歳男性、民間病院)
・老人の急激な増加に伴う給付水準の低下。(60-64歳男性、民間病院)

◆患者関連
・患者の安易な医療機関受診、複数医療機関の処方内容が各々の担当医で共有できないこと。(40-44歳男性、大学病院)
・患者負担額が安すぎるため軽症患者の受診機会が多くなり、薄利多売のような状態です。今後高齢者がさらに増えてくる過程で、これでは医師が何人いても医師不足になります。セルフメディケーションでは治らない本当に医療の必要な患者の診療で報酬を得られるようにすれば医師不足は補えると思います。(45-49歳男性、民間病院)
・予防医療に対して国民・企業の関心が低い。(50-54歳男性、民間病院)
・必要以上に医療サービスを享受しようとする(例えば軽症なのに救急車を呼ぶ、無料だから薬を多くもらうなど)人が出てこないようなシステムの構築。(75-79歳男性、診療所勤務医)

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://mainichi.jp/articles/20180306/ddm/004/070/028000c
医学部「地域枠」制度見直しを=山本佳奈・元南相馬市立総合病院内科医
毎日新聞2018年3月6日 東京朝刊

 東日本大震災から7年がたとうとしている。だが、福島県・浜通りにおける医師不足は深刻なままだ。私が勤務した南相馬市の人口10万人当たりの医師数は169人と、全国平均の249人を大きく下回る。私自身、昨年秋に内科の常勤医がいなくなった同じ市内の病院に出向した。多い日は100人もの患者さんの外来診察をしたり、非常勤医師が週1度やってくる診療科の外来日に大勢の患者さんが待合スペースを埋める様子を見たりしたが、この地域が医師不足であることを痛感した。

 地方の医師不足は、浜通りに限った話ではない。全国の地方の医師不足は深刻化して久しい。都市部への医師偏在を解決するため、国や都道府県が主導して多くの医学部に「地域枠」を設置した。地域枠とは、医学部入学と引き換えに、医師になったらへき地医療に従事することを誓約する仕組みだ。多くの場合、月20万~30万円の奨学金を得る一方、医師になったら9年間、当該自治体で働く「約束」をする。地域枠の拡大に伴い、2017年度には医学部定員の18%を占めるに至った。

 だが、この「地域枠」には問題が多い。自治体の多くは、奨学金を10%以上の年利で貸し付ける。そのため、地域枠の学生の借金は医学部卒業時に2000万~3000万円に上る。ただし、自治体が指定した医療機関で一定期間勤務すれば、奨学金の返済は免除される。

 憲法は就業の自由を認めており、就業場所は強制されないはずだ。だが、10%もの年利で奨学金を学生に押しつけ、勤務先や居住地を選ぶ自由を奪っている。米国も同様の制度があるが、義務労働の期間は短い。例えばアラスカでは医師不足の地域で3年働けば借金は免除される。日本の地域枠のある医学生は「年利に関する記載が入学願書になく、よく分からなかった」と話す。「9年間の勤務義務や高い年利を考えれば、もっと良い条件の奨学金があったかもしれない」と話す医学生もいる。

 さらに、厚生労働省は最近、離脱者(当該自治体以外で勤務する医師)を防ぐため、臨床研修の補助金減額などを講じて、全国の病院に借金を返済した医師を含めて雇用しないよう事実上の指示をした。この結果、地域枠の学生は借金を返しても希望する病院で働けなくなった。

 私は地方、それも震災で大きな打撃を受けた地域で働いたが、インターネットや交通手段が発達しており、場所に不便さは感じなかった。地域枠に関係なく、専門医資格を取得するための専門研修に福島県内で取り組む若手医師もいる。若手医師が希望する研修を受けられるような魅力的な体制を病院側が充実させれば、若手医師に勤務地を強制する必要はなくなるのではないだろうか。

 「地域枠」の存在は「へき地は強制された人が行くところ」という誤った印象を与えている側面もある。現行の「地域枠」は、医師偏在を解消するための数合わせに過ぎない。地域医療の問題を認識し、地域医療に取り組む医師を集めるにはどうすべきか。今一度立ち止まって考えるべきではないだろうか。

 ■人物略歴

やまもと・かな
 1989年大津市生まれ。2月まで福島県・南相馬市立総合病院や同市の大町病院勤務。



http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1520300768542/index.html
益田市医師会若手研修に共鳴 開業医ら親身に指導
2018年3月6日 山陰中央新聞

 地域の医師不足解消を目指す島根県益田市医師会が企画した若手医師の研修制度「親父(おやじ)の背中プログラム」で、4月に勤務医2人が赴任することが決まった。開業医らが親身になって指導し、経験や技術を伝える仕組みに地域医療を志す若者が共鳴した形で、制度定着へ向け幸先の良いスタートを切りそうだ。

 県によると、赴任するのはそれぞれ三重県、北海道の病院に勤めている28歳、36歳の男性内科医で、当面は2年間にわたり、同医師会病院に所属する傍ら、地域に出向いて会員の開業医からへき地医療に必要な総合診療医としての知識、経験などを学ぶ。



http://www.sanyonews.jp/article/677841
新見でドクターネットワーク設立 地域医療発展へ交流や情報交換
(2018年03月05日 09時22分 更新)山陽新聞

 新見市出身やゆかりの医師、医学生らでつくる「市ドクターネットワーク」が発足した。会員は岡山県外を含む37人(2月末現在)。医師不足が叫ばれる中、交流や情報交換を通じ、地域医療の発展を目指す。

 市内の医療機関に勤務する若手医師9人が発起人となり、市とともに昨夏から準備を進めてきた。

 2月24日に市内であった設立総会には13人が出席。2018年度の事業として独自のホームページ開設や会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックで会員を募るほか、年4回ニュースレターを発行することとした。将来的には地元へのUターン就職先を紹介するなど環境整備を進める。事務局は市市民課に置く。

 発起人の一人で会長に選ばれた溝尾妙子医師(渡辺病院)は「医師は少ないが、顔の見える関係で連携ができており、地域医療のポジティブな面を発信したい」と話していた。

 市によると、市内の医師数は31人(14年末現在)。人口10万人当たりに換算すると98・2人で県平均(299・3人)の約3割にとどまっている。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180305_43038.html
分娩機能集約に不安 鹿角で妊婦ら参加の住民集会
2018年03月05日月曜日 河北新報

 かづの厚生病院(秋田県鹿角市)が分娩(ぶんべん)機能を休止し大館市立総合病院(大館市)に集約される問題について、鹿角市民らが危機感を共有する「お産ができる鹿角を望む住民集会」が4日、鹿角市文化の杜交流館「コモッセ」で開かれた。二つの市民団体の主催で、約120人が参加した。
 かづの厚生病院は秋田大と岩手医科大から、大館市立総合病院は弘前大からそれぞれ医師の派遣を受けている。しかし出生数の減少や医師不足などから、大学側は大館・鹿角地域の分娩機能を大館市立総合病院に集約する方針を打ち出している。このため秋田県は大館市立総合病院の分娩室を増設する計画で、完成する今秋以降に機能が集約される予定。
 住民集会では妊婦や出産経験者ら6人が壇上に並び、地域で分娩できなくなる不安を口々に語った。大館市まで車で40分以上かかるため、妊娠6カ月の女性は「2人目、3人目を考えた時、不安を感じる」と訴えた。
 鹿角市は、新年度から医師確保を専門とする地域医療推進員を置く。今回の主催団体の一つ「鹿角の産婦人科を守る会」の安保大介代表は集会の冒頭「集約は大学の意向であり、鹿角で二度と分娩ができなくなることではない」と述べ、「市も産科医確保の取り組みを始める。住民一人一人の力をまとめて大きな力にしていくことが必要だ」と協力を呼び掛けた。



http://www.medwatch.jp/?p=19529
在宅医療の推進に向け「病院と在宅医療の協働体制構築」等をマイルストーンに置いてはどうか―全国在宅医療会議ワーキンググループ
2018年3月8日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 関係団体同士が協働して在宅医療の普及・促進に向けた取り組みを進める際、「地域の病院と在宅医療との共同体制の構築」や「ICT等最新技術の活用」「在宅医療実践に関する研究・教育」といった旗印を掲げ、より協働しやすい環境を整備してはどうか―。

3月7日に開催された「ワーキンググループ」で、厚生労働省からこういった提案がなされました。

ただし構成員の一部から疑問の声も出ており、今後、厚労省と新田國夫座長(全国在宅療養支援診療所連絡会会長)とで調整し、どのような形で4月開催予定の親組織「全国在宅医療会議」に報告するか、詰めていくことになりました。

ここがポイント!
1 在宅医療推進に向けて、7項目の中間目標・マイルストーン設置案を厚労省が提示
2 中間目標は、「KPIに基づいて進捗管理を行う」ような目標とは異なる

在宅医療推進に向けて、7項目の中間目標・マイルストーン設置案を厚労省が提示


 全国在宅医療会議は、「国民1人1人の希望に応じて入院医療と在宅医療を柔軟に選択できる」ような体制の整備に向けて、行政や各団体の目指すべき方向を揃え、また各組織の動きがその方向からずれていないかなどをチェックするための組織です(関連記事はこちら)。

在宅医療の推進に向けて、(A)在宅医療に関する医療連携モデルの構築(B)在宅医療に関する普及啓発モデルの構築(C)在宅医療に関するエビデンスの構築―の3点を重点項目と定め((A)と(B)をセットとし、2点を重点分野とすることもある)、行政(国、都道府県、市町村)と関係団体(医師会や病院団体、学会等)とが、互いに「どのような取り組みをすでに行っており、これから取り組んでいく予定なのか」を共有しています(関連記事はこちら)。

もっとも、上記(A)から(C)の重点項目・重点分野、非常に大きな概念であり、具体的な取り組みに落とし込んでいく際に、「「自団体の取り組み方向は誤っていないか」「他団体と協働して取り組んだほうが効果的かつ効率的な部分があるのではないか」といった疑問が生じます。また取り組みを進める上で、例えば「専門職同士の連携が十分でない」「そもそも専門職が地域で不足している」といった課題も浮かび上がってきています。

さらに団体間で、取り組み状況には「差」がありますが、これを放置せず、できるだけ足並みを揃えていくことが円滑な在宅医療の普及・促進のためには重要と言えます。

そこで全国在宅医療会議の下部組織である「全国在宅医療会議ワーキンググループ」(以下、ワーキング)では、▼2025年に向けた長期目標▼2020年に向けた中期目標—を設定し、団体同士が他団体の動きも見ながら協働していく方針を固めました(関連記事はこちら)。

さらに今般、厚労省医政局地域医療計画課の松岡輝昌・在宅医療推進室長は、中間目標として次の7項目を定め、関係団体同士が協働して在宅医療の普及・促進に向けた取り組みを進める際の「旗印」としてはどうかとワーキングに提案しました。例えば地域の医師会と病院団体が合同会議を開く際などに、「まず中間目標(1)の『地域の病院と在宅医療との協働体制の構築』に向けた議論から進め、その後(2)の『行政との連携』などを考えていくこととしてはどうか」という筋道をつけやすくする狙いがあります。

【中間目標】
(1)地域の病院と在宅医療との協働体制の構築
(2)行政と関係団体との連携
(3)関係団体同士の連携
(4)ICT等最新技術の活用
(5)国民への在宅医療に関する普及・啓発
(6)在宅医療に関わる関係者への普及・啓発
(7)在宅医療実践に関する研究および教育

 また、この7つの中間目標は、現場にあるさまざまな課題を解消し、上記(A)から(C)の重点項目の達成に向けた「マイルストーン」(経過点)の意味合いも持ちます。

例えば、地域には▼地域の病院と在宅医療との「水平連携」が不足している▼「かかりつけ医の在宅医療の参画」といった在宅医療推進を支える体制が十分でない―といった課題があることが関係団体から指摘され、これを解消していくために(1)の「地域の病院と在宅医療との協働体制の構築」という中間目標が設定されました。前述のように、この中間目標達成のために、地域の医師会と病院団体が、まず合同会議などを開催し、医療資源(在宅医療を提供する診療所等はどの程度あるのか、在宅医療を支える機能を持つ病院はどれだけ設置されているのか)や地域性などを十分に考慮し、「地域で実際に機能する」体制を練っていくことが求められると言えるでしょう。

在宅医療の推進に向けて、厚労省が提案した「中間目標」案(図 略)

中間目標は、「KPIに基づいて進捗管理を行う」ような目標とは異なる

この中間目標に対し、西澤寛俊構成員(全日本病院協会名誉会長、常任理事)は、「地域で関係団体が共通認識を持つために非常に重要だ」と述べ、厚労省の労をねぎらいましたが、さまざまな疑問・注文の意見も出されています。

鈴木邦彦構成員(日本医師会常任理事)は「すでに在宅医療の普及・推進に向けて、現場は取り組みを行っている。全国在宅医療会議が『方向』を示すことは理解できるが、『いつまでに何をすべき』と指示されても困る」と指摘。この点、松岡在宅医療推進室長は、「期限や数値を盛り込むものではなく、各団体が具体的な取り組みを行う際に、『うちはこの分野にはまだ乗り出していないな』などと気づいてもらうような指標と考えている」旨を説明し、例えば「●年までに●床整備する」とKPIを設け、進捗管理するような目標とは異なる点を強調しています(上述のようにマイルストーンである)。

また、川越雅弘委員(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)は、「(1)から(7)は手段であり、目標としてはイメージしにくい」と指摘。さらに、アバウトな書きぶりであり、他団体と協働する際に「具体的にどうこの中間目標を利用すればよいのか分かりにくい」との指摘もありました。

こうした意見・注文を受け、中間目標の確定は「新田座長預かり」とし、厚労省と文言や構成等を再検討した上で、親組織「全国在宅医療会議」(4月開催予定)に報告することとなりました。

全国在宅医療会議およびワーキングの当面のスケジュールイメージ(図 略)
 
あわせて重点項目の(B)「在宅医療に関する普及啓発モデルの構築」に向けて、ワーキングの下に小グループを設けることが決まっています。
国民の多くは、医療・福祉関係者「以外」であり、在宅医療について普及・啓発していくことは極めて難しいテーマです。この点、厚労省医政局の武田俊彦局長は「国としてはキャンペーンを行うこともできるが、大雑把なものとなってしまう。講演会などは市町村などで開催してもらうことになるが、『本当に来てほしい人』に足を運んでもらうには、地域包括ケアシステムに根差した医療・福祉関係者から声をかけてもらうことが必要であろう。国・自治体・関係団体などで得意な分野は異なっており、どう組み合わせるかを考えていく必要がある」と述べ、小グループでは、「普及・啓発のためには、どういった取り組みが必要か」「取り組みの中で、だれがどの部分を担うのか」といった点の議論に期待を寄せました。単に「2025年の地域包括ケアシステム構築に向けて時間がない。国がリーダーシップをとって、国民に対し、在宅医療の重要性などを普及・啓発すべきである」といった話をどれだけ行っても、実のある対策はとれないでしょう。

松岡在宅医療推進室長は、「人選を含めて、なるべく早く小グループを稼働させ、意見をまとめる必要がある」とコメントしています。

 
なお、一部構成員からは、いまだに本ワーキングと「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)とのすみ分けに関する疑問が出されています。この点について武田医政局長は、前述のように「全国在宅医療会議とワーキングは、在宅医療の推進に向けて、行政や各団体の目指すべき方向を揃え、また各組織の動きがその方向からずれていないかなどをチェックする会議体であり、ここで共有した理念等をもとに、医療計画の見直し等に関する検討会等で、具体的な整備目標(まさに医療計画)などを検討する」旨を確認。松岡在宅医療推進室長は「両会議体の所掌などを整理した資料」を準備する考えも示しています。

全国在宅医療会議では、上述の重点分野(A)から(C)を2025年に向けて構築していきますが、松岡在宅医療推進室長からは、例えば▼(A)の「医療連携モデル構築」は早期に進める必要があり、モデル構築後は「普及」がテーマとなるので、構築論議は不要になる▼(C)の「エビデンス」は常にアップデートしていく必要があり、議論に終わりはない―といった考えが示されています。下のようにグラデーションで議論のイメージを図示することができるでしょう。

2025年に向けた、全国在宅医療会議の検討スケジュール(図 略)



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27763570W8A300C1CC1000/
看護師紹介料 病院が悲鳴 1億円超支払う施設も
2018/3/6 20:02日本経済新聞 電子版

 看護師不足が深刻化する中、病院などが人材紹介会社に支払う高額な手数料に頭を悩ませている。日本医師会総合政策研究機構(日医総研)によると、2016年度の手数料総額は1医療機関あたり548万円。3年間で1億円以上を支払った病院もある。決められた看護師の数を割り込めば診療報酬を減額されるため、各医療機関は人材確保に躍起になっている。

0311_201803111335359c0.jpg

 「また辞めてしまったのか」。昨年11月、神奈川県内の総合病院で行われた理事会で、顧問税理士の男性(46)は深いため息をついた。配られた稟議(りんぎ)書には、4人の看護師を採用するため、紹介会社に約400万円の手数料を支払ったと記されていた。

 約200床の急性期の総合病院。診療報酬の基準となる看護師配置を維持するには、代わりをすぐ雇う必要があるが「求人広告を出しても応募はない」。

 男性が理事を務める同県内の別の病院(約400床)はさらに負担が重い。医師や看護師らを合わせた紹介手数料は年間約1億2千万円に上り、年間収入の1%を超える。「有資格者は限られており、病院の多い都市部ほど人手不足が深刻。紹介会社を頼るほか手立てがない」と嘆く。

 日医総研が昨年末に発表した全国調査によると、16年度までの3年間に紹介会社を通じて看護職員を採用した医療機関は、回答した844施設のうち53.3%。16年度に支払った手数料総額は平均548万円で、14年度から約81万円増えた。3年間の手数料総額が1億円を超す病院も5施設あった。

 看護職員が「不足している」「今は足りているが不足することがよくある」と回答した医療機関は66.7%に上った。過去3年間に看護職員の欠員が発生した医療機関は40.7%あった。

 背景にあるのは慢性的な看護職員不足だ。日本看護協会(東京)によると、病院勤務の看護職員は計99万人(15年)。00年から約3割増えたが、急速な高齢化に追いつかない。入院患者7人に対し看護師1人を配置する「7対1」の基準を満たさなければ診療報酬が減額されるため、医療機関にとっては切実だ。

 一方で、就職を希望する看護職員向けのインターンシップや職場見学などの「職業体験プログラム」を設ける医療機関は53.1%。現役を退いた潜在看護職員向けに復職支援プログラムを導入した医療機関も19.7%にとどまる。

 調査を担当した日医総研の堤信之主任研究員は「紹介手数料の原資は国民が支払う診療報酬で、本来は医療の質向上に充てるべきだ。日本看護協会などが運営する無料の人材紹介を強化するなどの対策が急務だ」と指摘する。病院経営に詳しい高崎健康福祉大の木村憲洋准教授は「離職者が多い病院は労働環境に課題がある可能性もあり、院内で検証が必要だ」と訴えている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/589909
医療界全体で課題共有する第一歩 - 迫井正深・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.1
入院・外来から薬価まで“オーバーホール”

インタビュー 2018年3月9日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 “2025年問題”を見据え、介護報酬と同時改定となった2018年度診療報酬改定。地域包括ケアシステムの構築が重要課題となり、医療と介護の連携が柱になったほか、一般病棟の入院基本料の再編、かかりつけ医機能の強化など、入院と外来ともに注目すべき改定が行われた。
 今改定を担当した厚生労働省保険局医療課長の迫井正深氏に、改定のポイントや改定の意図を読み解くための根底にある考え方などをお聞きした(2018年2月19日にインタビュー。計6回の連載)。

――2018年度診療報酬改定の改定率は全体で0.55%、医科は0.63%でした(『「2018年度改定、ネットでマイナス1.19%」、大臣折衝で決定』を参照)。この改定率で十分な改定が可能だったのかどうか、受け止めをまずお聞かせください。

 財政状況、一方で医療提供体制についても、それぞれ基本的に厳しい状況にあります。あり余るほどの財源をいただけるとは想定していませんでしたが、いかなる改定率であろうとも、厳しいなら厳しいなりに、メリハリを付けて改定を行うのが、私の立場です。


「診療報酬の『枝葉』ではなく、『木の幹』をぜひ見ていただきたい」(迫井正深課長)
――「医科:歯科:調剤」の改定率が「1:1.1:0.3」である点は、今回も変わりませんでした。これは規定路線なのでしょうか。

 各科配分は合理的な内訳を整理した上で設定されたものです。したがって、配分の変更は、関係者の合意の下で行う必要があり、かつ政治的な関心が高いので、一定の政治プロセスも必要になるでしょう。

――2016年度改定を担当された前医療課長の宮嵜雅則氏は、「前回、前々回の改定で取り組んだことを今改定で一歩進めていく。あるいは前回改定の修正すべき点は修正し、次回2018年度の同時改定につなげていく」と説明されていました(『2016年度本体改定財源、前回の5倍 - 宮嵜雅則・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.1』などを参照)。迫井課長は、2025年、さらにはその後を見据え、今改定をどう位置付けておられますか。

 前回改定を引き継ぎながら、現在の医療が抱えているさまざまな課題の解決に向けて、将来目指すべき方向性とその実現のために必要な対応を確認したのが、今改定です。

 人口の急速な少子化・高齢化が進展し、疾病構造が変わってきた、そしてこれからも変わる――。これらの変遷が見えてきている中で、変わっていかなければいけないという問題意識は、多くの医療者が持っていると思います。入院で言えば地域医療構想、外来であればかかりつけ医機能の充実です。在宅医療や終末期医療についても、全て在宅という意味ではなく、一定のニーズに応えていく必要があります。

 ところが、入院、外来、在宅のいずれも、なかなか変革ができない。医療ニーズが大きな変化を遂げる中で、今後進むべき道が分かっていても動きにくい。何が障害やネックとなっているのか――。その課題をひも解くのが、今改定であり、皆さんが個別には感じておられる課題認識を、医療界全体で共有する第一歩になってほしいと思います。診療報酬の「枝葉」ではなく、「木の幹」をぜひ見ていただきたい。

 薬価制度についても同様です。総ざらいして、これほどオーバーホールしたのは初めてのことではないでしょうか。新薬創出・適応外薬解消等促進加算についても、イノベーションにドライブをかけるために必要ではあっても、メリハリが弱かったのではないかと言われており、長期収載医薬品の在り方とセットで見直しました。もちろん、同加算や後発医薬品の薬価の在り方など、今後の推移を見る必要はありますが、考え方は首尾一貫しています。日本を創薬力のある企業を育成する産業構造を持った国家にしたいという方向性を皆で確認したわけです。

――今言われた「将来目指すべき方向性」とはいつ頃を想定しているのでしょうか。

 2025年は一つのマイルストーンですが、その姿は見えてきています。次は2035年、2040年、さらには2060年など、各節目で目指すべき課題は絶えずシフトしていきます。社会保障、医療は常により良きものを目指していくべき永遠のテーマです。

――全体で見た場合、どんな医療機能を持つ病医院が収入アップ、あるいはダウンするか、予想されていますか。大型門前チェーン薬局については、報酬が下がるのは確実だと思いますが。

 入院、外来、在宅、そして調剤とそれぞれで報酬を設定しているので、一概には言えないでしょう。先ほども触れましたが、今回、入院基本料は大幅に再編しました。外来についても、基本診療料をいかに位置付けるかという議論の中で、初診料の加算という形でかかりつけ医機能を評価しました。各医療機関はそれぞれ入院、あるいは外来機能を担っている中で、プラス評価が重なったケースもあれば、プラス評価が適正化評価と相殺されたケースもあると思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/590536
医師臨床研修部会
2020年度からの初期研修の見直し案を了承、7科必修化へ
質向上のため訪問調査の対象拡大、3月中にパブコメ開始

レポート 2018年3月8日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は3月7日、2020年度からの初期臨床研修の見直しに関する報告書案を了承、パブリックコメントを経て、2018年4月中には確定したものが公表される。外科・小児科・産科・精神科が必修に戻り、計7科が必修になるほか、医学部モデル・コア・カリキュラムとの整合を図り、都道府県が臨床研修病院の指定・募集定員設定を行うようになる。年間入院患者数3000人以上の基幹型臨床研修病院でも、訪問調査の対象となることも盛り込まれた(資料は、厚労省のホームページ)。

 2004年度の臨床研修必修化後、厚労省はおよそ5年ごとに内容を見直す報告書を作成している。事務局は、3度目の見直しとなる2020年度からのポイントを(1)卒前卒後の一貫した医師養成、(2)到達目標の見直し、(3)臨床研修病院の在り方、(4)地域医療の安定的確保――などと説明している。

 報告書の目次と、その概要は以下の通り。

1 卒前卒後の一貫した医師養成について
 ・医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合的な到達目標を作成

2 到達目標・方略・評価について
 ・目標、方略、評価に分けて整理・簡素化
 ・経験すべき症例を必須29症候、26疾病に厳選
 ・必修診療科を内科、救急、外科、救急、産婦人科、小児科、精神科、地域医療の7科目とする

3 臨床研修病院の在り方について
 ・訪問調査を見直し、改善の見られない病院は指定取り消しの対象へ
 ・現在は対象外となっている年間入院患者数3000人以上の病院も対象へ
 ・プログラム責任者養成講習会の義務化
 ・第三者評価を強く推奨し、次回の見直しでの義務化を前提に検討

4 地域医療の安定的確保について
 ・募集定員を2025年度に1.05倍に
 ・大都市圏の定員を圧縮し、それ以外の地域では確保
 ・地域枠等の一部のマッチングを分けて実施
 ・都道府県が臨床研修病院の指定・募集定員設定を行う

5 その他
 ・大学病院に基礎研究医養成枠を設置

 委員や参考人からは「研修医自身、患者、医療制度に与えたアウトカムの検証をした方が良い」、「協力型病院が基幹型臨床研修病院になる際の要件について明確化すべき」などの指摘があったが、大筋で了承が得られた。今月中にパブリックコメントを実施し、4月には確定したものが公表される見通し。



http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20180308/CK2018030802000042.html
専門医が少なく「転院搬送」多発 上野総合市民病院
2018年3月8日 中日新聞 三重

 伊賀市消防本部の二〇一五~一七年の救急出動件数のまとめで、上野総合市民病院(四十九町)は、搬送された患者を別の病院に搬送する「転院搬送」が年平均百六十七件あったことが分かった。同規模で民間の岡波総合病院(上野桑町)と比べて四倍以上多い。背景に循環器、脳神経科系の専門医が少ないことがあるという。今月七日の市議会で、市側が明らかにした。

 この問題で一般質問した森川徹市議(自民爽風ク)は「専門の得手不得手があるのはしょうがない。消防と病院がもっと連携すべきだ」と、搬送前に救急隊と病院が情報共有を緊密にする必要性を訴えた。市民病院の副院長は「患者さんごとに症状は千差万別。消防と転院搬送の事後検証もしており、今後も連携していく」と答弁した。

 市民病院は、転院搬送した患者も「受け入れ件数」として換算し、受け入れ率(救急当番時間帯)97%などとしていた。市議は「転院搬送の患者はカウントすべきでない」と修正を求めた。

 消防本部によると、市民病院の救急搬送数(救急当番時間帯を含む)は一五年が二千四百二十九人(うち転院搬送百四十九人)、一六年は二千七百四人(同百六十二人)、一七年は二千三百二十七人(同百九十人)だった。平均で全体の7%近くを占めている。

 市民病院によると、転院搬送の対象となる心筋梗塞や脳卒中などの患者らは、初期処置の後、岡波や滋賀医科大の付属病院などへ搬送しているという。

 「伊賀の地域医療を守る会」事務局長の杉本博之さん(61)は「一刻を争う救急事案だけに、専門医がいない場合は、あらかじめ救急隊に伝え、経由時間を節約すべきだ」と指摘する。

 (飯盛結衣)



http://www.medwatch.jp/?p=19429
2017年、大規模病院で病床利用率低下、適正病床数の検討も進めては―日病、公私病連の調査結果から
2018年3月6日|医療現場から MedWatch

 2017年6月における病院の平均在院日数は14.84日で、前年同月より0.09日短縮。病床利用率は73.18%で、同じく0.11ポイント向上しており、病院全体では「平均在院日数の短縮と病床利用率向上」を両立できている。ただし大規模病院では利用率が低下傾向にあり、紹介患者の確保を強化するとともに、「適正な病床規模」の検討も進める必要がある。また、100床あたりの総収支差(総収益-総費用)は依然赤字基調であり、全体の約7割が赤字となっている―。

 こういった状況が、日本病院会と全国公私病院連盟が3月1日に公表した2017年の「病院運営実態分析調査の概要」から明らかになりました(日病のサイトはこちら)(前年の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 大規模病院は急性期、中小規模病院は後方病床に「機能分化」が進んでいる可能性
2 大規模病院では病床利用率が低下、適正な病床数の検討を進める余地も
3 2017年、大規模病院で外来患者数が減少、外来の機能分化が進んでいる可能性
4 病院経営は赤字基調、人件費等の増加で7割の病院が赤字
5 入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万1500円、小児外科10万6100円

大規模病院は急性期、中小規模病院は後方病床に「機能分化」が進んでいる可能性

 この調査は、両病院団体に加盟している病院について、毎年6月分(項目によっては6月末日)を対象に行われており、2017年調査では918病院から回答を得ています。設立母体別の内訳は、▽自治体:469(調剤客体の51.1%)▽その他公的:216(同23.5%)▽私的:196(同21.4%)▽国立・大学付属等:37(同4.0%)―となっています。

 まず平均在院日数を見ると、病院全体では14.84日で、前年(14.93日)から0.09日短縮しました。

 一般病院の平均在院日数を病床規模別に見てみると、次のような状況です。
▼全体:14.21日(前年から0.01日短縮)
▼700床以上:12.60日(同0.01日延伸)
▼600-699床:11.79日(同0.28日短縮)
▼500-599床:11.78日(同0.37日短縮)
▼400-499床:12.88日(同0.10日延伸)
▼300-399床:13.97日(同0.03日短縮)
▼200-299床:17.46日(同0.34日短縮)
▼100-199床:23.43日(同1.27日延伸)
▼99床以下:23.44日(同0.15日延伸)

700床以上の超大規模病院でわずかに、また200床未満の中小規模病院で若干、平均在院日数が延伸していますが、全体としては「短縮傾向」が伺えます。

病床規模別に一般病院の平均在院日数をみると、全体として短縮傾向にあるようだ(図 略)
 
 一般に、大規模な病院では急性期入院医療を提供し、中小規模病院では急性期後の患者に対する後方病床の機能を担っていると言えます。今般の結果からは、「大規模病院はさらに急性期に特化し、中小規模病院では後方機能を充実させている」と見ることができるかもしれません。今後、「入院基本料別の分析」などが期待されます(関連記事はこちらとこちら)。

大規模病院では病床利用率が低下、適正な病床数の検討を進める余地も

 次に病床利用率を見ると73.18%で、前年同月(73.07%)に比べて0.11ポイント向上しました。

 一般病院の病床利用率を、病床規模別に見ると次のような状況です。
▼全体:73.22%(同0.23ポイント向上)
▼700床以上:76.81%(同0.38ポイント低下)
▼600-699床:75.33%(同1.49ポイント低下)
▼500-599床:75.98%(同1.01ポイント向上)
▼400-499床:72.13%(同1.23ポイント低下)
▼300-399床:72.54%(同1.72ポイント向上)
▼200-299床:71.32%(同0.08ポイント向上)
▼100-199床:71.89%(同0.83ポイント向上)
▼99床以下:67.38%(同0.85ポイント向上)

病床規模別に一般病院の病床利用率を見ると、大規模病院で前月に比べて低下してしまっている(図 略)
 
 メディ・ウォッチでもたびたびお伝えしていますが、病院の収益性を高めるためには平均在院日数を短縮するとともに病床利用率を向上させることが不可欠です(関連記事はこちら)。単月の結果から断定することは困難ですが、今般の結果からは、「600床以上の大規模病院では両立できず、400床未満の比較的規模の小さな病院で両立できている」と考えることができそうです。
今後も同様の傾向が続くようであれば、一般に大規模病院で提供する「高度急性期」のニーズが減少し、中小規模病院で提供する「急性期後(post acute)・軽度急性期(sub acute)」ニーズが増加している可能性が伺え、600床以上の病院では「地域連携の強化による、重症患者の紹介確保」をさらに進める必要があり、あわせて「地域の医療ニーズを踏まえた適正な病床規模」の検討も行っていく必要があるでしょう。

2017年、大規模病院で外来患者数が減少、外来の機能分化が進んでいる可能性

 次に患者数の推移を見てみましょう。2017年6月における1病院当たりの入院患者は前年同月(7378人)に比べて153人増の7531人、外来患者も138人増の1万2266人となっています。

 一般病院の入院患者数を病床規模別に見てみると、次のようになっており、病床利用率と似た傾向が伺えます。
▼700床以上:2万151人(同2人増)
▼600-699床:1万5679人(同432人減)
▼500-599床:1万3244人(同126人増)
▼400-499床:1万336484人(同148人減)
▼300-399床:7803人(同178人減)
▼200-299床:5612人(同74人増)
▼100-199床:3506人(同76人増)
▼99床以下:1437391人(同46人増)

2017年6月の入院患者数、中小規模病院で増加が目立ち「急性期後患者の積極的受け入れ」が進んでいる可能性がある(図 略)
 
 また外来患者数は、次のようになりました。
▼700床以上:3万4762人(同2180人減)
▼600-699床:2万5417人(同1792人減)
▼500-599床:2万2942人(同540人増)
▼400-499床:1万7188人(同319人減)
▼300-399床:1万2574人(同519人減)
▼200-299床:9059人(同293人増)
▼100-199床:5926人(同158人増)
▼99床以下:2652人(同149人減)

2017年6月の外来患者数、大規模病院で減少しており、「紹介状なし患者からの特別負担徴収義務」などが効果を与えている状況が伺える(図 略)
 
厚生労働省は「大病院は専門・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院やクリニックが担当する」という外来機能分化を進めています。また病院経営という面で見ても、スタッフの負担や収益性などを考慮すれば「大病院で軽症の外来患者を多く受け入れる」ことは決して好ましいことではありません。

今般の結果からは「600床以上の超大規模病院において、外来患者が減少している」状況が伺えます。2016年度診療報酬改定では「特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院において、紹介状なしに外来を受診する患者から特別負担(初診時5000円以上、再診時2500円以上)徴収を義務付ける」ことが導入され(2018年度改定で400床以上の地域医療支援病院にも拡大)ましたが、その効果も一定程度現れていると見ることができそうです。

機能分化をさらに進め、大病院での高度治療が必ずしも必要ではなくなった患者は、地域の中小病院・クリニックへの逆紹介を進めていく必要があります(関連記事はこちら)。

病院経営は赤字基調、人件費等の増加で7割の病院が赤字

 さらに、回答病院のうち629病院(平均302床)について、2017年6月における100床当たりの収支に目を移すと、総収益は1億9896万1000円で、前年同月(1億9413万9000円)に比べて482万2000円・2.5%増加しています。一方、総費用は2億1095万円で、前年同月(2億650万1000円)に比べて444万9000円・2.2%の増加。依然として赤字基調(赤字額は1198万9000円で、前年より37万3000円の微減)です。

 収益の内訳を見ると、大きなものは▼入院収入:1億2919万1000円(同335万3000円・2.7%増)▼外来収入:5877万6000円(同168万7000円・3.0%増)―などとなっています。

 一方、費用の内訳は、▼給与費:1億725万1000円(同309万5000円・3.0%増)▼材料費(医薬品・医療材料):5265万8000円(同63万9000円・1.2%増)▼委託費:1599万円(同49万3000円・3.2%増)▼減価償却費・1361万3000円1364万6000円(同3万3000円・0.2%減)―などとなっています。

2017年6月、病院の支出は前年同月よりも増加しており、給与費や材料費などで増加が大きい(図 略)

2017年6月、病院の収益は前年同月よりも増加したが赤字基調は変わっていない(図 略)
 
2017年6月の医業収益を100とした場合、医業費用は106.2で「医業だけに絞っても赤字」となります。また、給与費が55.1、材料費(医薬品・医療材料)が27.0と言う状況です。

2017年6月の医業収益を100とした際、収益・支出の各項目がどの程度になるかを見ると、医業費用は106.2。医業だけでも赤字であるとことがわかる(図 略)

2017年6月の医業収益を100とした際、入院収益が66、外来収益が30といった比率である(図 略)
 
 また黒字病院と赤字病院の比率を見ると、2017年は黒字31.0%、赤字69.0%となりました。赤字病院の比率は、前年に比べて3.9ポイント減少しましたが、7割が赤字と言う厳しい状況は変わっていません。
 なお、注目される「医師の負担」に関連する事項として(関連記事はこちらとこちらとこちら)、「医師1人・1日当たり患者数」を見ると、入院の平均は4.3人で前年同月から0.2人減少しました。患者数が多いのは、▼精神科14.6人(同1.1人減)▼リハビリ科12.5人(同1.3人減)▼整形外科8.1人(同0.1人増)▼肛門外科7.3人(同0.5人減)—などの診療科となっています。

医師1人当たりの入院患者数を診療科別に見ると、▼精神科14.6人(同1.1人減)▼リハビリ科12.5人(同1.3人減)▼整形外科8.1人(同0.1人増)▼肛門外科7.3人(同0.5人減)—などで多い(図 略)

また外来の平均は7.5人で前年同月から0.1人減少しました。患者数が多いのは、▼肛門外科17.0人(同2.9人減)▼皮膚科16.3人(同1.0人減)▼眼科15.0人(同0.5人減)▼整形外科11.5人(同0.2人減)▼泌尿器科11.2人(同0.3人減)▼耳鼻いんこう科10.8人(同0.6人減)—などの診療科です。

医師1人当たりの外来患者数を診療科別に見ると、▼肛門外科17.0人(同2.9人減)▼皮膚科16.3人(同1.0人減)▼眼科15.0人(同0.5人減)▼整形外科11.5人(同0.2人減)▼泌尿器科11.2人(同0.3人減)▼耳鼻いんこう科10.8人(同0.6人減)—などで多い(図 略)
 
入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万1500円、小児外科10万6100円

 最後に、DPC病院について、主な診療科別の入院患者1人1日当たり診療収入(つまり単価)を見てみると、次のような状況です。
▼総数:5万9600円(同900円増)
▼内科:4万8100円(同200円増)
▼呼吸器内科:4万5500円(同2000円増)
▼循環器内科:9万4800円(同5800円増)
▼消化器内科:4万9500円(同800円増)
▼皮膚科:4万3000円(同4300円増)
▼小児科:6万6700円(同2600円増)
▼外科:6万6200円(同1000円増)
▼呼吸器外科:8万9200円(同2600円減)
▼心臓血管外科:15万1500円(同1万1600円増)
▼消化器外科:7万2900円(同1600円減)
▼整形外科:5万8200円(同300円増)
▼小児外科:10万6100円(同8700円減)
▼リハビリ科:4万4100円(同7000円増)

診療科による増減があり、「心臓血管外科では大幅向上」「小児外科では大幅減少」などが目立ちます。

診療科別に入院患者の単価(1人・1日当たり診療収入)を見ると、心臓血管外科15万1500円、小児外科10万6100円などで高い(図 略)




http://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20180308-OYTNT50126.html
病院機構理事長を解任…医師大量退職で
2018年03月08日 読売新聞

 県立がんセンター(横浜市旭区)で、放射線治療科の医師が相次いで退職した問題で、黒岩知事は7日、センターを運営する県立病院機構の土屋了介理事長を解任したことを明らかにした。これに対し、土屋理事長は強く反発している。


 県は、土屋理事長が県の調査委員会の報告書に対して、機構内部の意見を集約せずに反論書を作成・公表したり、機構内部で十分な検討を行わないままセンターの病院長を降格させたりしたと指摘。医師確保や診療継続に支障をきたしかねない状況に陥らせたとしている。

 県は2月22日に土屋理事長の聴聞を実施し、「理事長として十分な資質を有していないと言わざるを得ない」と結論づけた。

 黒岩知事は「やむを得ない決断で、任命責任を重く感じている」とした上で、「すばらしい医療体制を作ることで県民の信頼を取り戻したい」と述べた。

 年度内は副理事長が理事長職を代行するといい、県は新理事長の人選を進める。

 土屋理事長は7日、「処分に強い憤りを覚える」とし、「処分取り消しを求めて法的手続きを取りたい。私は一つも間違ったことはやっていない」などとするコメントを出した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/590142
医学部5年生で留年増、厳しくジャッジか
全国医学部長病院長会議「医学生の学力に関するアンケート調査」◆Vol.1

レポート 2018年3月10日 (土)  大西裕康(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議が、医学生の留年率や休学者数、退学者数などを調べるため毎年実施している「医学生の学力に関するアンケート調査」の結果から、1年生、3年生、5年生の留年率が上がっていることが分かった。5年生での留年増は、各大学が進めている臨床実習を始める時期の早期化が一因として挙がっている。また、絶対数は少ないものの休学者数は4年生でやや増え、退学者数は1年生でやや増加した。

 最新の数値となる2016年度について、経年変化を追える53大学(国立30校、公立2校、私立21校)が回答した結果などをまとめ、同会議が3月5日の定例記者会見で公表した。2016年度の留年者割合(入学定員増を補正)は1年生が181.8%(前年度比18.2ポイント増)、2年生136.5%(同8.6ポイント増)、3年生113.8%(同10.8ポイント増)、4年生119.2%(同16.4ポイント減)、5年生134.1%(同9.7ポイント増)、6年生100.3%(同3.3ポイント減)だった。

 留年率について同調査を実施した同会議の「医学生の学力問題検討ワーキンググループ」で座長を務める福島統氏(東京慈恵会医科大学教授)は、5年生の留年増について「気にしているのは臨床実習が早まっている点。より短い期間で基礎を学ばなければならず、クリニカルクラークシップがもっと一般的になると今までと違う評価基準も出てくる」と指摘。「職場に向かって適正度を高めるのが診療参加型臨床実習なので、(新しい体制に)適合できていない人が出てきているかどうかは、注意深く見ていかないといけない」と述べた。

 同会議の新井一会長(順天堂大学学長)も、臨床実習の評価が影響している可能性に言及。「どう評価するかというパフォーマンス評価は課題。一般論では、実習を評価するので、以前はほぼフリーパスだった5年生から6年生への進級を大学が厳しくジャッジしようという姿勢が影響している可能性はある」との見方を示した。

 休学者と退学者は変化が追える50大学(国立28校、公立2校、私立20校)の回答を集計。休学者数は全体的に横ばい傾向が続いているが、4年生(定員50人増の学年)では前年比31人増の125人。一方、2年生(定員65人増の学年)は同23人減の102人だった。

 退学者は1~3年生が数十人規模で横ばい、4~6年生は10人程度の規模で横ばいだが、1年生は同4人増の49人で、4年連続で増えた。

「脱ゆとり世代」と「ゆとり世代」、違いに有意差なし
 毎年実施している同調査で、今回は最初の「脱ゆとり世代」が2017年度に3年生となっていることを踏まえ、「ゆとり世代」の学生と違いがあるかを調べた。ただ、調査からは両者に有意な差は認められなかった。

 福島氏は、「今年は脱ゆとり教育の学生を迎えて3年目なので、変化があるか聞いてみたが、結論は、有意な差はなかった」と説明。脱ゆとり世代の学生については自由記載で回答を求めたが、「『良い』『悪い』『特に変わらない』など全部あった。教員も職員も変化を認めていないようだ」と述べた。

「脱ゆとり教育の学生」に関する自由記載抜粋

【学務系職員】
・学生の窓口として、日常の業務において学生に対応するに当たって、「ゆとり教育」を受けてきた学生と、「脱ゆとり教育」を受けてきた学生との間に違いを感じることはありません。

・自主性、主体性が無くなってきているように感じられる。協調性はあるように思われる。他人任せの傾向が強いように感じられる。
・「ゆとり教育」と「脱ゆとり教育」の学生を見て、学習に対する積極性が低くみられるのに対し、「脱ゆとり教育」の学生は学習に対して積極性を感じる。

【1~3年までを担当する教員】
・変化は感じていない。むしり「ゆとり教育」「脱ゆとり教育」にかかわらず、理科離れがあるように感ずる。

・学習態度は、いわゆる「ゆとり世代」の方が積極的で、現在の3年生以下の学年の方が受け身の傾向があるように思う。講義実習に関して、教員への質問などは相当減った。知識学力が不十分でも、「ゆとり世代」"では臆せず教員に話しかけたり、質問してくる傾向があった。

・現在の医学部3年生については、(これまでの学生と比べ)講義や実習などでの参加態度が非常に良くなっていると感じています。



https://www.m3.com/news/general/590894
県病院機構:前理事長が提訴へ 県に解任取り消し求め /神奈川
2018年3月11日 (日)配信毎日新聞社

 県立がんセンター(横浜市旭区)などを運営する県立病院機構の理事長を7日に県から解任された土屋了介前理事長が9日、県庁で記者会見を開き、県を相手取り解任処分の取り消しを求めて提訴する考えを明らかにした。機構幹部ら6人に対しても名誉毀損(きそん)などにあたるとして訴える方針。

 同センターの重粒子線治療施設の専門医が昨年に相次ぎ退職した原因について、県は土屋氏が外部に研修に出していた医師が退職した影響などを挙げていた。これに対し、土屋氏は当該医師が先進医療を行う「責任医師」の要件である経験年数を国に虚偽申請していたなどと反論。県は土屋氏が機構内部で集約せずに反論文を公表し、明確な理由を説明せずに病院長の降格人事を断行したことなどから解任に踏み切った。

 土屋氏は「法律違反はない」と解任理由に真っ向から反論し、「黒岩祐治知事や病院長が当該医師に資格がないことを知りながら責任医師の名称を使用させた」などと主張した。また、2月に土屋氏の解任を求める声明文を発表した康井制洋副理事長ら6人を「事実に基づかない一方的な主張で医師にあるまじき行為」と批判した。【堀和彦】



https://www.m3.com/news/general/590728
県立2病院、経営効率化へ病床削減 中央・河北、来月から
2018年3月9日 (金) 山形新聞

 県病院事業局は8日、中央と河北の2病院について、病床数を見直す方針を明らかにした。県立病院の経営効率化を図るためで、中央は50床、河北は24床をそれぞれ削減する。4月1日から実施する。

 新沢陽英病院事業管理者がこの日、県議会厚生環境常任委員会で報告した。

 同事業局によると、中央の病床利用率は80・6%(2016年度決算値)。平均在院日数の短縮や空床の増加などによる病床利用率の低下を理由とし、12ある一般病棟のうち一つの病棟を閉鎖して病院全体の660床から610床に減らすことにした。入院前からの相談や、入院時からの退院支援などを一元的に行う患者サポートセンター(仮称)の設置に向けた体制を強化し、18年度は試行的に実施する考えも示した。

 河北の病床利用率は75・4%(同)。入院患者数の減少を踏まえ、二つの一般病棟をそれぞれ60床から48床とし、病院全体で186床から162床に減らす。さらに夜勤体制、外来や手術室での看護体制の見直しによって人員配置の適正化を図る方針も明らかにした。



https://www.m3.com/news/general/590263
県立4病院 黒字化は困難 17年度見通し 患者減少で減収
2018年3月7日 (水) 上毛新聞 群馬

 厳しい経営環境が続く群馬県立病院全体の収支は2017年度も赤字となり、現行計画で目標に掲げる黒字転換が困難であることが6日分かった。患者の減少による減収が主な理由。県は「高度医療などの強みを生かして患者増を図り、引き続き経営の改善を目指す」としている。

 県立病院は心臓血管センター(前橋市)、がんセンター(太田市)、精神医療センター(伊勢崎市)、小児医療センター(渋川市)の4病院。病院事業会計の17年度補正予算案で、約8億7000万円の赤字となる見通しが示された。県は病院運営の指針となる第3次病院改革プランで17年度の黒字化を目指していたが、達成は困難となった。



https://www.m3.com/news/general/590089
川西病院:指定管理者議案を可決 公設民営化で市議会委 /兵庫
2018年3月6日 (火) 毎日新聞社 兵庫

 川西市が進める市立川西病院の公設民営化計画を巡り、市議会建設公企常任委員会は5日、市内の医療法人「協和会」を指定管理者と決める議案を賛成多数で可決した。26日の本会議の採決を経て、正式決定する見通し。

 委員会では委員長を除く市議8人のうち6人が賛成し、共産と自治市民クラブに所属する2人が反対した。赤字経営が続く川西病院には、市が年間約10億円を補助し、累積負債は昨年3月末現在で約40億円。

 賛成の市議からは「現在のままでは市民病院として存続不可能」という意見や、新病院を市北部から中心部に移すことを踏まえ、「北部の医療体制をしっかり維持してほしい」などの注文が出た。

 反対した市議は、2016年12月に協和会が指定管理者制度による連携を申し入れた結果、市が病院経営改革案を制度導入に向け舵(かじ)を切ったと言及。公募に応じたのが協和会だけで「出来レースだ」と指摘した。

 市側は協和会の連携申し入れが転機だったと認めつつ、公立病院を維持させるためであり、「指定管理者は公募で決めると協和会に伝えてあった」と説明した。

 住民でつくる「川西市北部に総合病院の存続を求める会」が昨年12月、市に1万2900人分の公設民営化の反対署名を提出。この日1524人分の署名を追加で出した。【石川勝義】

〔阪神版〕



https://www.m3.com/news/general/589928
緊急性なければ搬送せず 消防庁、判定マニュアル作成へ
2018年3月6日 (火) 朝日新聞

 全国的に出動が増えている救急車を有効活用するため、総務省消防庁は、救急現場で緊急性がないと判断された人を搬送しない際の、隊員の対応マニュアルや教育体制の整備を新年度から進める。こうした対応は一部の地域で取り組んでいるが、トラブルを懸念する声が出ていた。今年度末にまとめる検討会の報告書に方針を盛り込む。

 2016年の救急出動は10年前より97万件多い621万件、増加傾向が続く。10年で救急隊も全国で約300隊増えたが、現場到着にかかる時間は約2分延びている。出動数が多い都市部や1回の出動に時間がかかる過疎地などは、一刻を争う患者搬送が遅れかねず、地域によっては全ての救急車が出払う事態が起きている。

 こうした中、緊急度の高い人を把握し、出動態勢を手厚くしたり、適切な医療機関を選んだりする、緊急度判定を導入する消防本部が増えてきている。

 総務省消防庁の昨年度の調査では、全国の消防本部の74・9%が、救急現場で緊急性が低いと判断された人に、救急車以外の手段を勧める取り組みが「必要だと思う」と回答。同庁は昨年度の報告書で「緊急度を判定し、救急搬送の要否を判断することが求められる」と対応を促した。

 ただ、救急搬送が必要な人への「判断ミス」があった地域もあり、運ばない判断への慎重論は根強い。同庁の昨年度の調査でも、96・7%の本部が、後で容体が悪化した際の責任問題を不安に挙げた。

 こうした状況から、18年度に患者への説明、搬送しなかったときのアフターケア、記録の残し方などのマニュアルをつくるとともに、職員の教育体制づくりを目指す。速くて正確な判定のための技術開発も同庁の研究班(班長=森村尚登・東京大教授)が進める。19年度にいくつかの消防本部と協力してモデル地域で検証する方針だ。(阿部彰芳)

     ◇

 〈救急の緊急度判定〉 119番通報の時は通信指令員が患者の訴えや状態をもとに判断し、救急現場では隊員が患者を観察し、呼吸、脈拍などの情報も踏まえて決める。判定の過程や留意点をまとめた手順書を総務省消防庁が公表しているほか、独自に手順を決めている地域もある。同庁の報告書では、緊急度が低ければ「時間的余裕があるため、自力での受診が可能」としている。



https://www.m3.com/news/general/589929
「緊急でない」判断、誤りだったら…搬送現場のジレンマ
2018年3月6日 (火) 朝日新聞

 一刻を争う患者に救急車を優先したいが、緊急でないという判断に誤りがあったら――。救急搬送の現場にはジレンマがにじむ。

 緊急度判定に取り組む栃木県のある消防本部では、緊急性が明らかに低ければ、救急車を出さなかったり、現場で患者にタクシーなどの利用を促したりしている。「現場で搬送しないと判断する場合は車内で血圧などを測り、根拠を残すようにしている」と担当者。ただ判断は隊員に任されており、「国が一定の基準を示してくれれば参考になる」と期待する。

 総務省消防庁の今年度の調査では、732消防本部のうち279本部が救急現場で緊急度判定を実施。緊急でないと判断した際、84%は「本人の同意があれば搬送しない」、38%は「説明して搬送しない」を複数回答で挙げた。

 一方、判定をしていない453本部のうち83%は「(搬送せずに)容体が悪化したときの責任問題」を理由の一つとした。今後、実施するなら、「対応マニュアル」や「隊員の教育体制」が必要とする本部が8割に上った。背景には救急搬送しなかった男性が後で意識不明になったり、119番した大学生のもとに救急車を出さずに遺体で発見されたりする問題が過去に起きたことがある。マニュアルの整備などは現場の懸念を軽減するのが狙いだ。



https://www.m3.com/news/general/589797
【愛知】医師の残業、最大月178時間 労基署が是正勧告
2018年3月5日 (月) 中日新聞

 名古屋市立東部医療センター(千種区)が、労使協定(三六協定)で定めた時間外勤務の上限(月150時間)を超えて医師を働かせていたとして、名古屋東労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。勧告は昨年11月30日付。

 センターによると、医師4人が昨年4~9月に上限を超え、最大178時間に達した。いずれも若手で、外科系などを担当していた。同期間に「過労死ライン」とされる月80時間超の時間外勤務をしていた医師も、後期研修医を含めて約100人のうち47人が確認された。残業代はすべて支払っているという。

 労基署の勧告を受け、センターは時間外勤務の多い診療科に勤務体制の改善を求めたほか、当直明けの医師が所定の終業時間前に帰宅できる制度を導入。今年1月に上限を超える医師はいなくなったとしている。

 センターは以前から医師の確保に苦労しており、2月1日時点で10人の欠員が出ている。管理課の担当者は「医師不足の中、時間外勤務が一気に減ると、診療体制を維持するのが難しくなる。医療クラーク(医師事務作業補助者)を増やすなどして、労働環境の改善を進めたい」と話している。

 東部医療センターは病床数498床。2月、一般の救急病院で対応できない重篤な患者に、24時間体制で高度医療を提供する「救命救急センター」に愛知県から指定された。



https://www.m3.com/news/general/589659
東北に根付く人材を 37年ぶり新医学部の試み 被災地の医師確保
2018年3月5日 (月) 共同通信社

 2016年に医学部が新設された東北医科薬科大(仙台市)では、幅広い視野で診断する「総合診療医」を目指し学生が学んでいる。東日本大震災の復興支援として37年ぶりに認められた医学部。東北に根ざし、地域医療を担う医師の養成が与えられた使命だ。

 2月上旬、仙台市内の小松島キャンパスに約50人の1年生が集まっていた。「院内感染対策でチームを動かす上で必要なことは何」「担当者間のダブルチェックも大切」。チーム医療を体験する病院実習の成果を班ごとに発表し、熱心に議論する姿があった。

 現在いる学生は16、17年に入学した200人。地域に残る医師を育てようと、1学年の定員100人中55人を「修学資金枠」とし、東北の医療機関に10年程度勤務すれば奨学金の返還を免除する。東京都出身の松野大輝(まつの・だいき)さん(20)もその一人。「町が津波にのみ込まれるニュース映像が印象に残っている。被災地ではより一層、医師が必要とされており、宮城で働きたい」と語る。

 授業では東北6県の病院と連携し、お年寄りが住み慣れた地域で医療や介護を受ける「地域包括ケア」など、現場の医療に触れるカリキュラムを組む。土地ごとの医療の特性を把握し、愛着を持ってもらうため、研修は同じ病院で繰り返す。

 さらに、地方の病院で働きながら専門医の資格を取得できる環境を整え、卒業後の能力向上も支援する計画だ。

 東北だけでなく全国的にも都市部に医師が集中し、問題となっている。

 東北医科薬科大の医学生のうち、東北出身は約3割にとどまる。東北に根付かせるため、独自の仕組みを打ち出す試みは緒に就いたばかりだ。

 東北医科薬科大の医学教育推進センター長を務める大野勲(おおの・いさお)教授は、医師が地域に定着しない理由を「医学部の大半が都市部にあるので卒業後、なじみのない地方で働くとカルチャーショックが大きいのも背景だろう。地域に赴任することを使命と捉え、その土地を理解し、総合的な診療をできる人を育てていきたい」と話している。



  1. 2018/03/11(日) 13:38:28|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

3月4日 震災関連 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180302_33044.html
<点検・再始動 復興の理想と現実>医療・福祉(1)岩手県立山田病院 診療再編遠のく住民 
2018年03月02日金曜日 河北新報

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で被害を受けた岩手、宮城、福島3県では、再建された施設や事業が当初の復興計画通りにいかないなど、なお課題を抱えるケースが少なくない。震災から7年。どこに問題があり、修正策はあるのか。これまでの歩みを振り返りながら点検する。第1部は医療福祉の現場で真の復興への道筋を探った。

 「病院の建物は立派になったのに、頼りの訪問診療が受けられない」
 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県山田町で、同じ80代の夫を介護する女性は不安を訴える。
 被災した県立山田病院は2016年9月、高台に建物を再建した。入院ベッドは10床減らして50床で再開。訪問診療は見直され縮小となった。女性の夫は訪問の対象から外れた。
 夫は寝たきりに近く車椅子での移動もやっと。移送サービスはあるが、経済的負担が新たに増す。老老介護世帯が多い復旧途上の町で、再建した山田病院の「態勢転換」は患者らに波紋を広げた。この女性には医療が遠のいたように映る。

<300件が10件に>
 山田病院は震災後、仮設診療所で外来診療を再開し、訪問診療を拡大。24時間態勢で在宅のみとりに応じ、14~16年は町の在宅死の割合が県内最高となる先進例として注目された。
 訪問診療の拡大は「病床復旧までの特例的な対応」と位置付け、17年度以降は自力歩行や車椅子で移動が可能な患者には通院を促した。訪問は平日の診療時間内に限定し、月最大300件を超えた件数は10件(今年1月)に激減した。
 患者、家族の不安が高まる中、山田病院は「そもそも医師が足りない。通院して適切な検査を受けた方が早期回復につながる場合もある」と理解を求める。
 常勤医は他の病院との兼務を含め3人。震災前は受け入れた時間外の救急対応も行っていない。宮本伸也院長(60)は「医師が疲弊すれば、必要な訪問診療すら行えなくなる恐れがある」と強調する。

<下回る利用率>
 民間病院が少ない岩手で、県立病院は地域医療の要だ。町内唯一の病院の入院機能維持と、震災後高まった訪問診療の住民ニーズの間で生じる「ずれ」。震災から7年の歳月は、慢性的な医師不足に急速な人口減が重なり、病院を巡る環境を変化させた。再建後の病床利用率は40%台前後で、皮肉にも震災前を下回る。
 悪循環の修正策は何か。医療と福祉の連携、合意形成の在り方が重みを増す。
 介護事業者の一人は「通院手段の確保や家庭事情に配慮した態勢が伴わないまま、訪問診療縮小が短期間で一方的に決まった」と受け止める。通院介助などを担うヘルパーも不足。「行政を交え、時間をかけた態勢づくりが必要だった」と明かす。
 「被災した山田町にはどんな医療が必要か。住民不在のまま再編が先行した」とみるのは、住民有志でつくる「山田町の地域医療を守る会」の佐藤照彦会長(77)。「病院はハード整備で終わりではない。地域に根差す医療が実現されるよう、県や町も引き続き取り組むべきだ」と訴える。
(報道部・菊池春子)



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180228_53034.html
<震災7年>3.11後方支援の教訓 「人工透析をできませんか」慢性患者を受け入れ 
2018年02月28日水曜日 河北新報

 東日本大震災の発生直後、医療機関の対応は迅速を極めた。第1陣の山形県立中央病院(山形市)の災害派遣医療チーム(DMAT)が仙台医療センターに向かったのは、2011年3月11日午後4時40分。山形県が宮城県から要請を受けて66分後のことだ。

◎再生への仙山連携(2)医療

<異なったニーズ>
 10分後に日本海総合病院(酒田市)、午後5時28分に山形済生病院(山形市)、午後5時半には公立置賜総合病院(山形県川西町)が次々とDMATを派遣。しかし、被災地の医療ニーズは当初の想定と大きく異なっていた。
 山形DMATの指揮を執った県立中央病院の森野一真副院長が振り返る。
 「津波から逃げられたか否かで生死が分かれ、外傷患者が少なかった。山形県に求められたのは慢性疾患の患者への対応だった」
 13日からは、石巻市や宮城県南三陸町を中心に津波で通院先と生活の場を失った患者や高齢者の受け入れ要請が相次ぐ。森野副院長らは山形県内の病院に病床の捻出を求める一方、搬送手段の検討を急いだ。

<透析減呼び掛け>
 「山形で人工透析をできませんか」。山形県地域医療対策課には気仙沼市近郊の被災者から電話があった。
 患者は週数回の人工透析が欠かせないが、電気と大量の水が必要なだけに被災地の医療機関はどこもままならない状態だった。
 県内35医療機関で組織する山形腎不全研究会事務局の矢吹病院(山形市)は13日、会員に被災患者の受け入れを要請。地理的に近い村山地域を中心に、各医療機関は透析の頻度を可能な範囲で減らすよう地元の患者に協力を呼び掛け、受け入れ枠を作った。
 収容可能な施設と被災患者のマッチングは、両県のコーディネーターが担った。医療機関同士のやりとりも行われたが、情報が入り乱れるケースもあったという。
 矢吹病院の伊東稔副院長は「広域災害では県単位の情報交換が重要。平時から医療、自治体関係者のネットワークを整備すべきだ」と話す。

<難手術 チームで>
 山形大病院は震災から3日後の3月14日、東北大病院(仙台市)から循環器系の重症患者の手術依頼を受けた。地震被害で手術室が使えないという。患者と担当医は翌日、ヘリコプターで山形市に到着。救急車で山形大病院の集中治療室に運ばれ、両大合同チームが17日、難手術に当たった。
 他にも、震災で手術が完遂できなかった重症の乳児や網膜剥離の患者らが運び込まれ、治療や緊急手術を施した。滅菌装置が壊れた東北大病院に代わり、使用済み手術器材の滅菌処理も行い、処理済みの器材を次々に返送した。
 医師派遣や患者の受け入れなど、内陸部で被災地医療の砦(とりで)となった東北大病院を、山形大病院がさらに後ろで支えた形だ。
 山形大病院の地震被害は軽微だったが、当初は生活物資やガソリンが不足。職員に備蓄食料を分配し、通勤に支障が出ないよう、近くに臨時の宿を確保するなどの措置を取った。
 山下英俊医学部長は「地域医療はもちろん、後方支援でも大学病院は最後の砦。多様なニーズに応えるには医薬品などの確保に加え、職員を守ることが大事になる」と説明する。
[メモ]震災直後、山形大病院、新庄病院など6病院がDMAT8チーム延べ43人を宮城県に派遣した。山形県内の病院が宮城県から受け入れた入院患者は2011年3月21日~5月12日に240人。人工透析患者は3月14~20日に入院と外来を合わせて134人だった。山形大病院は3月12日~4月11日、東北大病院などから高度医療が必要な入院患者ら16人を受け入れ、6件の手術を行った。
          ◆         ◆         ◆
 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城が、発生直後から再生に向けて歩みだせた陰には、奥羽山脈の西に広がる山形からの迅速かつ幅広い支援があった。窮地にある宮城を救うため、復旧復興を下支えするため、「隣人」たちは何を考え、どう行動したのか。被災と支援を巡る教訓を仙山圏に探る。(山形総局・須藤宣毅)



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180303_13021.html
<点検・再始動 復興の理想と現実>医療・福祉(2)石巻市立病院 包括ケア後退に懸念 
2018年03月03日土曜日 河北新報

 復興は理想にとどまるのか。今が正念場だ。
 東日本大震災で被災し、2016年9月に移転再開した石巻市立病院(180床)。被災者支援と連動して市が進める「石巻版地域包括ケア」の推進母体として、在宅医療をはじめ総合診療の拠点を目指す理念を掲げた。医師確保など態勢整備に時間を要し、「本格稼働」には至っていない。
 「訪問診療や半島部への支援など、出向く医療を充実させなければならないが、院内業務で手いっぱいな面があった」。椎葉健一院長(64)は再開後の約1年半を振り返る。

<目標を下回る>
 市は震災後の課題に対応し、医療、福祉、保健などのサービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの導入を打ち出した。被災地最大規模の仮設住宅団地がある開成・南境地区をモデルに、住民の認知症や健康状態の悪化に多職種連携で対応。市全域での展開を目指し、市立病院を医療の中心的立場と位置付けた。
 一方、病院は建設場所を巡る議論の曲折などで、約5年半の休止期間を経て再開した。医師の多くは他院に移ったまま戻らず、常勤医は現在、目標の20人を下回る16人。再開当初の病床利用率は50%前後と低迷し、収入も伸び悩んだ。「手術件数が頭打ち状態の影響が大きい」として、麻酔科医の確保などを急いだ。
 新年度、医師増員の見通しだが、病院経営に重点を置くかのような流れを懸念する関係者は少なくない。
 地域包括ケアの動向を注視する山口荘一郎市議(41)は「今後の急激な高齢化を見据えれば、包括ケアの態勢づくりを今やらないと間に合わない」と指摘。「在宅医療など地域に出る医師を増やし、実際に動ける態勢をつくることが重要。当初の理念を後退させてはならない」と訴える。

<専門医育成を>
 石巻市内には石巻医療圏で急性期医療に特化する石巻赤十字病院(464床)がある。同病院は震災後、病床を62床、医師を30人以上それぞれ増やした。市立病院について金田巌院長(70)は「公立として地域ニーズにどう応えるか、方向性を明確にすべきだ」と役割分担の意義を強調する。
 理念の具現化には人材育成も鍵を握る。市立病院開成仮診療所と市包括ケアセンター所長を務める長(ちょう)純一医師(51)は、宮城県が支援し16年に誕生した東北医科薬科大医学部の卒業生が初期研修を終える6年後を見据え、在宅医療を担う総合診療専門医の育成強化を提起する。
 先進的な地域医療で知られる佐久総合病院(長野県)に長年勤務した長医師は「市は入院や在宅医療を担う病院に加えて離半島部の診療所も運営する。必要な勉強ができる態勢を整えれば医師は集まる」と強調。「地域枠の奨学生らを総合医に養成するには県の主体的な取り組みも必要。関係機関が連携し、持続的に人材確保できる体制を築くべきだ」と指摘する。(報道部・菊池春子)



  1. 2018/03/04(日) 10:39:20|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
前のページ 次のページ