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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

健康保険制度の危機/アメリカはこれを嫌った

http://mainichi.jp/life/today/news/20101129ddm013100029000c.html
毎日新聞 2010年11月29日 東京朝刊
負担は誰が?:やせ細る健保組合/上 拠出金重く、相次ぐ消滅

 民間企業で働くサラリーマンやその家族が加入する健康保険組合が、高齢者医療費の増加で苦しんでいる。バブル崩壊以降、消滅した健保組合は300を超え、会社員の負担は拡大し、受けられるサービスも縮小している。働く現役世代の医療保険に何が起きているのか。現場をリポートする。【中西拓司】

 ◇1人当たり個人保険料を上回る例も
 「何とかこのまま健保組合に加入していられないだろうか」。三菱自動車健保は昨秋、関連子会社80社の従業員と扶養家族約7万1800人を同健保から脱退させる提案を決めた。東海地方で開いた説明会では子会社の自動車販売店で働く40代男性がこう訴えた。三菱自動車本体の従業員ら約3万3000人は同健保に残ったが、関連子会社の従業員らは今年4月、中小企業などが入る全国健康保険協会(協会けんぽ)などへ移った。
 協会けんぽの健康保険料は労使折半だが、同健保は企業側が約6割を負担。このため、例えば標準報酬月額(月給にほぼ相当)が30万円の人が協会けんぽに移れば月2570円の負担増に、企業側は月2450円の負担が減る。東北地方の販売子会社の50代社員は「本社あっての子会社だ。生き残りのためには仕方がない」と語る。
 健保組合を苦境に追いやったのは、08年度に制度改正された高齢者医療制度による拠出金の急増だ。改正により、国民健康保険に加入する65~74歳の医療費も健保組合がさらに賄うことになった。三菱自動車健保の場合、08年度の拠出金は102億円で前年度より約21億円アップ。その結果、同年度決算は17億8000万円の赤字に転落した。高齢者医療費が増えれば、拠出金は今後も増える。
   ◇
 半導体関連メーカー「アドバンテスト」(東京・丸の内)の健保組合は、高齢者医療費の重みを加入者に実感してもらうため、社員1人当たりの拠出金額を試算した。
 高齢者医療制度の拠出金は、65~74歳のための前期高齢者納付金▽75歳以上のための後期高齢者支援金--などがあり、最も負担が重いのは前期高齢者納付金だ。
 同健保によると、07年度の1人当たりの拠出金は年17万6200円だったが、後期高齢者医療制度導入時の08年度は23万5200円に急増。10年度は35万6300円になる見通し。手取り給与1カ月分近くに相当する。10年度の社員1人当たりの保険料(企業負担除く)は平均20万8000円なので、個人が支払う保険料を上回る拠出金を健保が国に支払っている計算になる。拠出金は、前期高齢者の加入率やその医療費などを基に算定されるため各健保で異なるが、大きな負担になっていることが分かる。
 同健保の小山誠・理事長は「今の負担構造が続けば会社員の働く意欲をそぐ結果になりかねない」と話す。
   ◇
 健保組合は10年3月で1473組合あり約3000万人が加入している。組合数は92年度が1827組合と最も多かったが、その後は減少の一途をたどり、09年度までに計354組合が解散などで消滅した。08年度には西濃運輸、京樽の各健保など24組合が協会けんぽに移るなどして姿を消した。企業業績の悪化で保険料負担が重みになっているところに、拠出金負担が追い打ちをかけた格好だ。
 政府は13年度に、後期高齢者医療制度に代わる新制度をスタートさせる考えだが、サラリーマンの健保組合に頼る構造は変わらない。学習院大経済学部の鈴木亘教授は「国の議論は、膨張する医療費を誰が負担するかに終始しており、いわば沈没するタイタニックのデッキで椅子の奪い合いをしているようなものだ。積み立て式の『基金』を創設するなど、人口変化に左右されない財政構造を確立すべきだ」と提言する。

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 ◇健康保険組合
 民間企業で働く人(パートを除く)とその家族が加入する。会社単独で設立できる単一健保と、同業種の複数企業が集まる総合健保の2種類がある。経済低迷による保険料収入の悪化と、後期高齢者医療制度の拠出金がかさみ、全1473組合(10年3月)の09年度決算は過去最悪の5235億円の赤字に上る見通し。中小企業などは協会けんぽ(3471万人)に、自営業者ら(3597万人)は国民健康保険に加入している。
  1. 2010/11/29(月) 22:58:03|
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