FC2ブログ

Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月14日 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000027306.html
医師812名が回答「大学病院で診療の医師 給与未払い」に関する調査
〜約7割の医師が深刻な問題と解答、一方で「慣例だから」と諦めの声も〜
 
株式会社メンタルヘルステクノロジーズ 2019年7月9日 11時00分

 “心の健康”を IT ソリューションで解決する株式会社メンタルヘルステクノロジーズ(所在地:東京都港区、代表取締役:刀禰真之介、https://mh-tec.co.jp/)は、「大学病院で診療の医師2千人超 給与未払い」に関する報道を受け、医師812名を対象に「大学病院の医師給与未払い問題」についてどう思うか調査しました。

 「深刻な問題だと思う」が68%、「問題だが仕方ないと思う」が27%、「問題だと思わない」が5%と、大学病院での“無給医”は医師も深刻な問題だと思っていることが判明しました。
 一方で、どの選択肢の中にも一定数は「昔からよくある話」「好きで(大学病院を)選んでいる」「修行の身だから仕方ない」という考えの医師もいることが、自由記述から判明しました。
 また、「医局秘書の前でアンケートを回答したので、教授をはじめとした上司への告げ口が怖く、実際は無給なのにも関わらず、給与をもらっていると回答してしまった。」「無給医なしと報告している大学病院でも、週5日勤務のうち、週1日〜2日分の給与しか支払っていないことがほとんどなので、今回の報告は氷山の一角。」という文部科学省の調査に回答した現在大学病院勤務の“無給医”や、“元無給医”からの生の声もありました。

<「深刻な問題だと思う」と回答した医師の意見>

働き方改革はここから改善しないといけない。/勤務医不足/労働条件は、医療の質に直結する。/大学病院のブラック企業体質/昔からある問題で、いままで解決されてこなかったことも問題。/医者も労働者としての権利をしっかり持つべきだ。/労働に対する対価は支払われなければならない。/労働の対価として給料は支払われるべき。/以前にも無給医の自殺などもあり問題化したにもかかわらずいまだに続いている。/医師の世界だけに限らず、職人的な世界にはよくあるひどい話。/

<「問題だが仕方ないと思う」と回答した医師の意見>

以前よりあたりまえのこと。/将来の出世のために仕方がない。/民間は医師不足で困っている。/大学病院は大赤字なので仕方ないのだと思う。/無給医を正規雇用したら医療経済が破綻します。/命を扱う職業であり、ある程度は目をつむらないといけないのではないでしょうか。/大学院生は研究の一環と考えられるため。/

<「問題だと思わない」と回答した医師の意見>

昔からの事。働き方改革で問題となるのは、わかっていた。/嫌なら大学を出ればいい。/私が若い頃は、無給が当たり前だったので、問題だと思わない。/希望して働いている。/以前よりあり、勉強だと思えば結構です。/大学病院以外でも時間外手当てのカットはあります。/研修先を自由に選べるようになったので、大学病院以外で研修可能。それを良しとしている人が、大学病院を選択すべき。/(大学病院と医師)双方納得済み。/

■株式会社メンタルヘルステクノロジーズ 会社概要
設立  :2011年3月8日
代表者 :代表取締役 刀禰真之介
所在地 :東京都港区赤坂3-16-11 東海赤坂ビル4階
資本金 :295,725千円
業務内容:メンタルヘルスソリューションサービス、ITソリューションサービス



https://www.excite.co.jp/news/article/Careerconnection_11623/
“大学病院の無給医問題” 医師の7割が「深刻な問題」と回答 一方で「私が若い頃は無給が当たり前。問題ない」と突き放した声も  
キャリコネ 2019年7月11日 07:00 0

“大学病院の無給医問題” 医師の7割が「深刻な問題」と回答 一方で「私が若い頃は無給が当たり前。問題ない」と突き放した声も

メンタルヘルステクノロジーズは7月9日、「大学病院の医師給与未払い問題」に関する調査結果を発表した。

大学病院で診察をしながら給与を受け取っていない医師が2000人以上いることが文科省の調査でわかった。同社はこれを受けて調査を実施し、医師812人から回答を得た。

「大学病院の医師給与未払い問題についてどう思うか」を聞くと、最も多かったのが「深刻な問題だと思う」(68%)で、以降、「問題だが仕方ないと思う」(27%)、「問題だと思わない」(5%)と、「大学病院での無給医」は医師も重大な問題だと思っていることが明らかになった。

■「労働の対価として支払われるべき」「無給医の自殺があり問題化している」と嘆く声も

「深刻な問題」と答えた医師からは、未払い問題は以前からあったとする声が寄せられた。

「昔からある問題で、いままで解決されてこなかったことも問題」「医師の世界だけに限らず、職人的な世界にはよくあるひどい話」

働き方改革などが進められている昨今、医療の現場も変わらなければいけない、という声も多い。「労働の対価として給料は支払われるべき」という至極真当なコメントもあった。

「医者も労働者としての権利をしっかり持つべきだ」「以前にも無給医の自殺などもあり問題化したにもかかわらずいまだに続いている」

ただ、「問題だが仕方ないと思う」と答えた医師からは、

「以前よりあたりまえのこと」「民間は医師不足で困っている」「大学病院は大赤字なので仕方ないのだと思う」

といった諦めの声が出ていた。他には、「将来の出世のために仕方がない」と、今は我慢の時期だと考える医師もいるようだ。

■「以前よりあり、勉強だと思えば結構です」「嫌なら大学を出ればいい」

一方で「問題だと思わない」と答えた医師からは、「嫌なら大学を出ればいい」と突き放した声が出ていた。

「私が若い頃は、無給が当たり前だったので、問題だと思わない」
「以前よりあり、勉強だと思えば結構です」「大学病院以外でも時間外手当てのカットはあります」

医療現場の過重労働の背景には、常態化している医師不足がある。人材を確保しながら適切に配置していかなければ、国全体の医療レベルが低下しかねない。国が主導となって対策を講じていくべきだろう。

また、文科省の調査に回答した大学病院勤務の「無給医」や、「元無給医」からは、

「医局秘書の前でアンケートを回答したので、教授をはじめとした上司への告げ口が怖く、実際は無給なのにも関わらず、給与をもらっていると回答してしまった」「無給医なしと報告している大学病院でも、週5日勤務のうち、週1日?2日分の給与しか支払っていないことがほとんどなので、今回の報告は氷山の一角」

という声も出ていた。実際は無給状態で働く医師はまだまだいると思われる。無給医があまりにも当たり前の存在になってしまっており、声を上げづらい状況になっているようだ。



https://www.kobe-np.co.jp/news/hokuban/201907/0012504195.shtml
加西市内の分娩医療機関ゼロに 加西病院が受け入れ休止へ  
2019/7/11 05:30神戸新聞NEXT

 市立加西病院(兵庫県加西市北条町横尾1)は、来年2月から分娩医療を休止する、と発表した。産婦人科の常勤医2人のうち1人が今年12月末で退職することになり、補充のめどが立たないため。休止によって市内で出産できる助産院はあるものの医療機関はゼロになる見通しで、今後も医師確保による再開を目指す。婦人科や妊娠初期の診療は続ける。(森 信弘)

 同病院によると、2018年度の産婦人科での出産は210件。既に来年2月ごろ出産予定の妊婦が診察に来ており、早めに対応するため休止を決めた。休止以降の出産予定者には、同県姫路市など近隣の医療機関を紹介する。

 同科では18年末に常勤医3人のうち1人が退職。緊急の帝王切開への対応など安全面を考えて休止も検討したが、市内唯一の分娩ができる医療機関であることなどから、常勤医2人の負担は増えるが、受け入れを続けてきた。

 来年3月に定年を迎える医師の退職が自己都合により12月末に早まった。全国的に産科医不足が問題になる中、同病院は公募などで採用を目指してきたが、現時点で見つかっていない。

 同病院の産婦人科は、06年にも神戸大から派遣された常勤医2人が他病院に移り、分娩を休止。07年11月、病棟を改造して「マタニティセンター」を開設して再開していた。06年の休止以降、産婦人科の常勤医は同大から派遣されていないという。

 北嶋直人・同病院事業管理者兼院長は「何とか常勤医2名態勢で市内の分娩機能を担ってきたが、苦渋の決断をするに至った。理解と協力をお願いしたい」などとするコメントを発表した。

■市の関係者や市民らからショックの声 移住・定住促進へ悪影響の懸念も

 分娩の受け入れ休止が決まった市立加西病院。市の関係者や市民らは一様にショックを受け、移住・定住促進への影響を懸念する声も聞かれた。

 ママの働き方応援隊北播磨校加西学級代表の馬渡友樹子さん(34)は6年前、里帰りして同病院で長男を産み、そのまま定住した。「産後も個室でゆったり過ごせて、スタッフの印象も良かったのに」と残念がる。「やはり近くで産めるのはいい。今後、加西に住もうと考える際のマイナスになるのでは」と心配する。

 分娩可能な医療機関が1カ所しかないのは、加西市の課題だった。2015年に策定した市地域創生戦略のアクションプランでも「産婦人科医院などの誘致」を掲げていた。同市ふるさと創造部の千石剛部長(55)は「これで、移住定住促進の手綱を緩めることにはならない」としながら「休止が弱みになるのは事実で、開業医確保など改善に努力したい」と強調した。

 「分娩は続くと思っていたのにショック」と話すのは「加西病院サポーターの会」副代表の熊谷佳代さん(76)。同病院は2006年にいったん分娩を中止し、07年に再開した経緯があり「再開に向けた運動を考えていきたい」と話した。

 同病院は16、17年度と市一般会計からの追加繰り出しを受けるなど経営が悪化し、現在は改善の取り組みを続け、将来構想の検討も進めている。事務局の片岡建雄総務課長(57)は「分娩が再開できるよう、なんとか医師を誘致したい」と力を込めた。



https://www.kobe-np.co.jp/news/touban/201907/0012500321.shtml
加古川中央市民病院 黒字が過去最大、21億円超  
2019/7/9 20:20 神戸新聞NEXT

 加古川中央市民病院(兵庫県加古川市加古川町本町)を運営する地方独立行政法人「加古川市民病院機構」は9日、2018年度の決算を公表した。経常収支は21億7千万円の黒字で、過去最大の黒字額だった17年度をさらに約2億円上回った。今月で開院から丸3年となる新病院は、年々経営の安定化が進む。

 同日にあった、外部の有識者らでつくる評価委員会で報告した。経常収支の黒字は6年連続。17年度に引き続き、設立者である市の一般会計から繰り入れる運営費負担金(16.6億円)を除いた収支でも黒字を達成した。

(DrG3註:加古川中央市民病院 600床、兵庫県立加古川医療センター 355床、東播磨医療圏(加古川、明石ほか)人口71万人)



https://www.medwatch.jp/?p=27440
1860時間までの時間外労働可能なB水準病院等、どのような手続きで指定(特定)すべきか―医師働き方改革推進検討会  
2019年7月8日|医療計画・地域医療構想

 2024年4月から医師に新たな時間外労働上限が適用される。医師の時間外労働上限は原則「960時間」以下であるが、救急医療現場などでは「1860時間」以下の特例が設けられる。この特例の具体的な動かし方(対象となる医療機関に、どのような要件を設け、どのような手続きで指定するのかなど)を詳細に検討してほしい―。

 厚生労働省は7月5日に「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(以下、今検討会)の初会合を開催し、こういった議論を要請しました。

 医事法制(医療法や医師法など)の改正も視野に入れた検討が行われ、厚労省医政局の吉田学局長は「年内(2019年内)に一定の結論を出してほしい」と要請しています。
 
ここがポイント!
1 B水準病院への特定、まず「評価機能」で労働時間短縮計画の内容などチェック
2 C水準病院、どういった枠組みで「特定」を行うのか詳細に検討
3 医師の健康を確保するための追加的健康確保措置、詳細を議論

B水準病院への特定、まず「評価機能」で労働時間短縮計画の内容などチェック

厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、前検討会)が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針を明確にしました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)(いわゆるA水準)

▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB水準)

▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるC水準)

▽2024年4月までの5年間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める
医師働き方改革検討会1 190328
 
このうちB水準の医療機関は、▼地域医療に欠かせない機能を持つ▼労働時間の短縮等に向けた努力を行ってもA水準達成が難しい▼労働法規に関する違反がない―などの要件を満たしているかを確認し、都道府県が「特定」(指定)。前検討会では「地域医療に欠かせない機能」として次のような例示を行っています。

●地域医療確保のための必要な医療機関(例)
▽3次救急医療機関
▽2次救急医療機関のうち、「年間救急車受入台数1000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関」
▽在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
▽公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療確保のために必要と認める医療機関(特に患者が集中する精神科救急や小児救急、へき地の中核的医療機関など)
▽特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替が困難な医療機関・医師(高度のがん治療、移植医療などの極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科など)

 こうした機能を持つ医療機関が「労働時間短縮にしっかり取り組んでいるか(計画を適切に定められているか、実践しているか)」などを、新たに設けられる「評価機能」(都道府県から独立した組織)で確認・評価し、その結果を踏まえて「要件を満たしている」と確認されて初めて、都道府県が水準B医療としての「特定」(指定)を行うのです。

今検討会では、このような「B水準医療機関特定」に関する仕組みをまず固めます。例えば、▼評価機能をどういった組織とし、その役割をどう設定するのか▼医師時間短縮計画の内容や対象医療機関をどう設定するのか▼都道府県による「特定」の仕組み(要件や実務)をどう設定するのか―などが重要な論点となるでしょう。

このうち「評価機能」は、「医療現場の実情・特殊性も十分に理解し、かつ労務管理などにも精通し、個々の医療機関の作成する医師労働時間短縮計画の内容が妥当なもので、その実践がなされているのか」を確認する機関です。B水準医療機関の特定において重要な役割を果たすことから、今検討会構成員からはさまざまな意見が出されました。

例えば今村聡構成員(日本医師会副会長)や城守国斗構成員(日本医師会常任理事)らは、「2024年4月に新たな時間外労働上限が適用されるためには、都道府県が23年度中にB水準医療機関等の特定を終える必要があり、そのためには評価機能による確認は遅くとも2022年度から行われなければならない。時間は極めて限られており、評価機能を新設するのではなく、都道府県に設置されている『医療勤務環境改善支援センター』を機能強化することで対応してはどうか」という旨を提案しています。
医師働き方改革推進検討会1 190705
 
また山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)は、「独立性にこだわらず、透明性を確保したうえで、既存組織を活用して制度を前に進めるという考え方も重要である」と指摘。今村構成員・城守構成員と同趣旨に考えと言えそうです。

医療勤務環境改善支援センターは、2014年10月施行の改正医療法に基づき各都道府県に設置されている「医療従事者の勤務環境を改善し、離職防止等に向けた専門的・総合的支援」を行う組織です。機能強化に向けて様々な取り組み(地域医療介護総合確保基金や地方交付税措置などによる人員拡充など)が行われており、医師・看護師等の働き方改革を進めるために「さらなる機能強化」が期待されています。

厚労省は、「評価機能と医療勤務環境改善支援センターとの関係性も含めて、近く『評価機能の在り方』に関する厚労省案を提示する」と述べるにとどめています。

なお、島崎謙治委員(政策研究大学院大学教授)らは「都道府県の業務は、これまでと次元の異なる、難しくハードなものとなる。都道府県がそこをきちんと受け止めなければ、絵に描いた餅になってしまう」と指摘しました。ただし、医師働き方改革は「地域医療の確保」と「医師の健康確保」とを両立させる仕組みで、「困難なので、片方を等閑にする」(地域医療のために医師に犠牲になってもらう、逆に医師の労働時間短縮のために医療水準を低下させる)ことは許されません。また上述のスケジュールを考えれば「都道府県の実情に鑑みれば、実現が難しい」というネガティブな議論をしている時間はありません。実現に向けて関係者が前向きに議論を行っており、島崎構成員にも「実現に向けて都道府県に〇〇の支援を行ってはどうか」というポジティブな提案を期待したいところです。

C水準病院、どういった枠組みで「特定」を行うのか詳細に検討

 また、研修医や高度な医療技術獲得を目指す医師には、一定期間の間に多くの症例を集中的に経験することが求められることから、より長時間の時間外労働がC水準として認められます。その際、例えば「年齢・経験の浅い研修医等では、長時間労働が強いられがちである」といった点などを考慮し、次のような運用を行うことが前検討会で固められました。研修医等が自主的に医療機関を選択し、かつ「不透明な長時間労働が強いられない」ような環境の整備を目指すものと言えます。

【C1】(初期臨床研修医、専攻医)
▼臨床研修病院等が、直近の研修医等の労働実態を踏まえて、自院の研修プログラムの中で「研修医等に関する時間外労働の上限(X時間:1860時間以内で設定する)」を明示し、都道府県知事にC水準医療機関としての特定を受ける

▼病院と勤務医等との間で36協定を締結する(36協定の中で「研修医等については、X時間の労働を可能とし、連続勤務28時間以内・勤務時間インターバル9時間以上などの健康確保措置を図る」ことを明示する)

▼病院側の条件(時間外労働上限X時間など)を踏まえて研修希望医等が応募し、採用され、業務(診療)を開始する

▼勤務実態が、条件(時間外労働上限X時間など)と乖離する場合には、各制度の中で是正(臨床研修病院の指定取り消しなど)し、健康確保措置の未実施については、都道府県知事が是正する(C水準の特定取り消しなど)

 
【C2】(高度技能(心臓血管外科の難易度の高い手術など)の修得を目指す医師)
▼「我が国の医療技術の水準向上に向け、高度な技能(先進的な手術方法など)を持つ医師の育成が公益上必要である」分野を、新たに設ける【審査組織】(医学会などで構成)が予め指定する

▼都道府県知事が、「高度な技能を持つ医師」の育成に必要な体制・設備を持つ医療機関を特定する

▼医療機関と勤務医等との間で36協定を締結する(36協定の中で「高度な技能獲得を目指す医師については、Y時間の労働を可能とし、連続勤務28時間以内・勤務時間インターバル9時間以上などの健康確保措置を図る」ことを明示する)

▼「高度な技能の獲得」を希望する医師が、自ら、主体的に「高度特定技能育成計画」を作成し、その必要性を所属する医療機関(当該医療機関は上述のとおりC水準医療機関として特定されている)に申請する

▼申請を受けた医療機関が、計画に必要な業務について【審査組織】に申請し、承認を受ける

▼この承認によって、当該医師について上記36協定が適用され、協定に基づいた業務を実施する

▼健康確保措置が未実施の場合には、都道府県知事が是正する(C水準の特定取り消しなど)

 
 今検討会では、C水準について▼特定の枠組み▼C2水準を承認する「審査機関」の組織と役割―などを詳細に検討し、固めることになります。

 この点について構成員からは、「C水準について、労働時間短縮に向けた取り組みなどをチェックする仕掛けが必要ではないか」という声がいくつか出ています。

 B水準医療機関では上述のように「評価機能が、医師労働時間短縮計画の内容と実践をチェックする」仕組みが設けられますが、C水準にはこうした仕組みがありません。C1水準では、研修プログラムとして「時短に向けた医療機関の取り組み」が研修医に示され、いわば「研修医がチェックする」とも言えますが、今村構成員らは「何らかの確認・評価を行うことを考えてもよいのではないか」とコメントしています。
医師働き方改革推進検討会2 190705
 

医師の健康を確保するための追加的健康確保措置、詳細を議論

ところで、B水準・C水準医療機関はもちろん、A水準医療機関であっても、一般の労働者よりも長時間の時間外労働が可能になることから、「勤務医の健康」確保が非常に重要です。このため、前検討会では一般的な健康確保(労働安全性法で定められる健診など)のほかに次のような「追加的健康確保措置」をとることをすべての医療機関に義務付ける考えを示しています。

【原則】(A水準)
▽やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務化し、あわせて連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以上などの努力義務を課す

【地域医療を確保するための特例】(B水準、地域医療確保暫定特例水準)
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以上などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とする

【技能向上のための特例】(C水準)
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以上などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とし、さらに初期臨床研修医(C1)については更なる配慮を行う
上限が1860時間

この考え方に沿って、今検討会では「追加的健康確保措置の義務化および履行確保」の枠組みについても固めます。厚労省は、特に議論が必要な論点として、▼追加的健康確保措置の履行確保に向けた「都道府県の権限」▼追加的健康確保措置の履行確保に向けた「日常的な管理」「定期的な確認」「未実施時の是正」▼「面接指導」について労働安全衛生法および医事法制面での検討▼追加的健康確保措置とB・C水準医療機関特定との関係―などを掲げています。

上述のとおり、医師の働き方改革は「地域医療の確保」と「医師の健康確保」とを両立するものです。後者の実現に向けた、追加的健康確保措置の詳細な内容がどう設定されるのか、今検討会論議に注目が集まります。

 
 なお、前検討会では、「医師の働き方の実態」を継続的に調査・確認し、B水準の上限(2024年4月から1860時間)の妥当性を確認する方針も固められています。医師の働き方改革が進めば、医師の労働時間が徐々に短くなり、B水準上限も引き下げていけるからです。

この点に関連して今検討会は、まず2019年9月に「医師の働き方実態調査」を行うことを決定しました。1万9000を超える病院・クリニック・介護老人保健施設・介護療養・介護医療院に勤務する14万人超の勤務医を対象に、労働時間の実態などを調べます。2016年に実施された、いわゆる「10万人調査」に続く、「新10万人調査」と言えるでしょう(厚労省のサイトはこちら(調査票案)とこちら(調査概要))。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687685
国立大学病院「増収減益」続く、2018年度決算
赤字は45病院中5病院 、借入金・消費損税も負担大
 
レポート 2019年7月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立大学の2018年度決算は、附属病院収益は1兆1444億円で、2017年度よりも404億円増加したものの、人件費や高額医薬品の使用により医業費用が増加、医業利益ベースでは16億円減少で、「増収減益」の状態が続いていることが明らかになった。45の国立大学病院(42の医学部附属病院、2の歯学部附属病院、1の研究所附属病院)のうち、5病院が赤字。運営費交付金やその他の収益・経費などを含めた経常利益も、2017年度よりも50億円減少。7月11日に開催したプレスセミナーで明らかにした。

 国立大学病院長会議会長の山本修一氏は、「経常利益が乏しい上に、借入金償還による負担が大きく経営を圧迫している。特に近年の増収減益により、今後の投資財源は借入金に頼らざるを得ない状況」と述べ、政府の2020年度予算概算要求に向け、運営費交付金の確保のほか、働き方改革に向けた取り組みへの財政支援(医師の待遇改善に必要な財源確保、看護師の特定行為研修の実施機関への支援増額、タスクシフティングのための医師以外の増員に必要な経費の支援)などを求めていく方針。

 今年10月には消費増税も予定されている。2014年度の消費税率8%への引き上げ時には、診療報酬での補填が不十分だったため、2018年度までの5年間で969億円の補填不足が生じている。山本氏は、「10月の増税時には、基本診療料の見直しで100%補填がされるとのことだが、実際には、個々の病院で消費税の負担額は異なるので、病院間の不均衡は残る」と述べ、10月以降、消費税の補填状況を速やかに検証し、見込みと異なる場合には適切な救済措置を求めていく方針。

 その他、政府に対しては、2020年度診療報酬改定の重点的要望事項(特定入院料の算定期間の通算ルールの見直しなど)、臨床研究の推進・強化に向けた支援の充実(認定臨床研究審査委員会の設置と運営に係る費用の支援など)、地域医療への貢献に対する支援の充実(地域医療介護総合確保基金の活用による財政支援など)を求めていく。

 6月20、21日に開催された第73回国立大学病院長会議総会では、「医師の働き方改革」、「病院経営マネジメント」、「グローバル化への対応」という直面する3つの重要課題についてグループディスカッションした。7月からスタートした厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の構成員も務める山本氏は、大学病院の医師をめぐる課題について、「客観的な勤怠管理をどのように行っていくかが課題だが、まだ結論は出ていない。教育、診療、研究に分けて管理ができる仕組みをつくっていきたい」と述べた。その他、厚労省検討会が2018年2月にまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」が必要になるとしたほか、「長い歴史の中で、慣習化した診療体制について、この機会にどう効率化できるかを、(医師に時間外労働の上限規制が適用される)5年後に向けて真剣に考えてもらいたい」と求めた。

 医療機器の更新間隔、耐用年数の2倍に

 附属病院の収益は2018年度1兆1444億円で、2017年度1兆1040億円から404億円増加。一方、2018年度の人件費は5049億円(2017年度4900億円)、診療経費は7492億円(同7221億円)で、合わせて420億円増加。医業利益は差し引き16億円の減額。

 人件費率は2018年度44.1%でほぼ横ばいだが、金額は増加。医療材料費は、共同購入や価格交渉などの取り組みを進めているものの、右肩上がりで39.7%だった。

 経営を圧迫しているのが、借入金償還。2004年度に国立大学法人化時点で、全体で1兆円を超す債務を承継、その返済は年々進めているが、一方で、施設設備投資は新規借入金に頼らざるを得ない状況。その結果、特に医療機器の更新が年々遅れ、2012年度は更新間隔が耐用年数の1.1倍だったが、2018年度には2倍程度まで延びている。

 「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」
 プレスセミナーではその他、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」も説明。国立大学病院長会議は、2012年に「グランドデザイン」を策定。2016年には、2025年のあるべき将来像を実現するために改訂した。その中に7分野で、計35の提言が盛り込まれており、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」には、2018年度の取り組みと成果、2019年度の行動計画、各大学のケースも掲載している。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190709-00010001-wordleaf-hlth
病院も「定額制」に?かかりつけ医普及のために政府が模索か  
7/9(火) 12:32配信 THE PAGE

 かかりつけ医が月額固定料金になるという新制度の検討が始まったと報道されています。根本匠厚生労働相はこの報道を否定しましたが、定額制の検討を行う意向を示しています。増え続ける医療費に歯止めをかけるため、政府は「かかりつけ医」の制度を普及させようとしていますが、定額料金制もその一環とみてよいでしょう。

背景には医療保険の深刻な財政状況

 このところ年金問題が世間を賑わせていますが、社会保障制度の財政問題という点では実は医療保険の方が深刻な状況です。2016年度における国民医療費の総額は42兆1381億円でしたが、このうち国民が支払う保険料と自己負担分(一般的には3割)でカバーできているのは26兆円に過ぎません。残りは政府や地方自治体などからの補助で成り立っているというのが現実です。医療保険には年金のような積立金はありませんから、その年に徴収した保険料で、医療費をカバーしなければなりません。医療費が高騰するとたちまち財源不足になるという制度的な特徴があります。

 これに加えて日本人は、医療機関を受診する回数が諸外国と比較して極めて多いという特徴があり、これが医療費の増大を招いています。ちょっとした風邪でも大病院の外来に行く人も多く、大病院に患者が集中するという問題も発生しています。政府では大病院への集中を防ぐため、2016年4月から紹介状なしで大病院を受診した場合には最低5000円の初診料がかかる制度を導入しましたが、効果はいまひとつのようです。同様に政府は、かかりつけ医の診断を受けてから、必要に応じて大病院を紹介する制度の導入を検討していますが、かかりつけ医制度に医師会が難色を示していることもあり、こちらもまだ実現していません。

 今回、日本経済新聞が報じたプランは、かかりつけ医を登録制にした上で、診察料を月額の定額とし、患者が気軽に受診できるようにするというものです。基本的にはかかりつけ医が患者の健康状態を把握していますから、必要に応じて大病院を紹介します。患者がかかりつけ医以外を受診した場合は、患者からは追加の自己負担を徴収するとしています。根本厚労相は報道を否定しつつも、定額制は「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」における検討事項であると発言しており、同工程表には「かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討」という記述がありますから、かかりつけ医の普及のために何らかの定額制の形を模索しているものと考えられます。

無駄な検査が減る一方、医師には負担に
 これまで、医療費については患者が受診するたびに支払われる仕組みだったことから、過剰な検査が多くなるという弊害が指摘されていました。定額制にすれば、過剰な検査をしても医師側の利益にならないため、ムダな検査が減るといわれています。一方、定額制にした場合、何度もクリニックを受診する人が増え、医師側に過度な負担がかかる可能性があることも否定できません。

 いずれにせよ高齢化が進む日本の場合、医療費の抑制は避けて通れない課題であり、何らかの対策が必要なことは間違いありません。国民の健康に関わる話ですから、もっとオープンな議論が必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)



https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=67793
中医協総会 人口減少がもたらす地域医療への影響を提起 地域医療構想の実現急ぐべき  
2019/07/11 03:53 ミクスOnline

厚生労働省保険局医療課は7月10日の中医協総会に、人口減少がもたらす地域医療への影響について提起した。同省が示した「2040年を見据えた人口階層別市町村の変動」と題する資料では、北海道夕張市が2015年比で70%人口減少すると指摘。全国の自治体データを示しながら、地域に見合う病院病床数の見直しを急ぐ必要性を指摘した。一方で無薬局町村が約150町村にのぼるとのデータも示し、医療資源の適正配分の必要性を訴求した。国は2025年の医療必要度を示す地域医療構想の実現を急ぐが、入院医療の診療報酬上の評価に加え、医療資源の少ない地域における報酬上の評価の検討など、今後の議論に様々な問題提起をした格好だ。オンライン診療をはじめ、医療ICTの利活用を含めて、リソースの再配分とテクノロジーの活用という新たな切り口での議論を中医協に投げかけた。

この日の中医協総会は、「地域づくり・まちづくりにおける医療のあり方」について保険局医療課が資料を提示する形で議論を行った。入院医療のあり方については、前回2018年度診療報酬改定で急性期一般入院基本料(急性期一般入院料1~7)や地域包括ケア病棟入院料、回復期リハ病棟入院料の見直しなどを行ったところ。改定内容については、検証が待たれるところだが、一方で厚労省の懸案事項としては、地域医療構想の議論の進め方について課題が指摘されていることにある。

◎政府は地域医療構想の実現を命題に

根本厚労相も経済財政諮問会議の席上、地域医療構想の進捗状況を報告し、2025年見込みの病床数について、当初見込みの121.8万床に対し、3.3万床減少するとの見方を報告している。この内容は、財務省の財政審建議や経済財政諮問会議の骨太方針2019でも取り上げられ、今後の医療費適正化策の一環として政府として取り組む姿勢を鮮明にしている。

中医協の議論は、今後診療報酬上の評価が争点となるが、この日の厚労省保険局が示した資料からは、人口段階別市町村の変動を踏まえ、早期に病床機能の見直しを促す狙いが込められている。なお、この日の資料によると、2040年段階で現状人口20万~50万の市町村が2015年に比べて40%に減少する地域として、石巻市、鶴岡市、桐生市など8団体を明示。さらに50%削減する地域として小樽市をあげた。一方、人口3~10万の地域では、滝川市、大船渡市、釜石市など117団体を列挙している。

入院医療提供体制について厚労省は、「医療機関間の機能分化・連携を進めやすくするような評価のあり方について、各入院料の届出等の状況や、前回2018年度診療報酬改定の対応を踏まえどのように考えるか」を論点にあげた。ただ、厚労省が指摘する通り、人口減少に伴う医療機関経営への影響も今後増大することが予想されており、この日の議論をみても、地域医療構想の実現に向けて、各自治体が主導する地域医療調整会議の重要性も再認識される結果となった。

◎薬局と訪問看護ステーションとの連携も重要に

医師の高齢化も進むなかで、各地域の実状に合致した医療提供体制の効率化も求められるところだ。特に在宅医療が中心となるなかで、医療機関と薬局や訪問看護ステーションの連携も重要になる。2018年度診療報酬改定では、多職種での情報共有を通じて地域医療に貢献する薬局に対する評価として「地域支援体制加算」を新設。さらに、医療機関の求めに応じて服薬情報の提供を行った薬局に対する「服薬情報提供料」の評価を拡充するなど、服薬後の安全性情報を把握し、医師と連携して医薬品適正使用に努める薬剤師に手厚い評価を行った。さらに、医療機関などに情報提供する訪問看護ステーションを評価する点数として「療養情報提供加算」を新設した。ただ、情報提供先は医療機関がほとんどで算定も約1割程度にとどまっている現状にある。

看護師や薬剤師へのタスクシフティングも重要になるが、薬局・薬剤師も医師と同様に地域で偏在していることが浮き彫りとなった。この日、厚労省は無薬局村が約150にのぼるとのデータも提示した。こうしたなかで、期待されるのが、遠隔資料や医療ICTを通じた情報共有などによる医療の効率化だ。実際、2018年度に厚労省が、医療資源の少ない地域の医療機関へヒアリングした結果によると、「ICTによる連携とケア会議の運営」や、「eラーニングによる研修」、「遠隔診療」、「ICTを用いた画像情報の連携」などの有用性が指摘されている。この日の中医協では、こうした医療ICT活用についての議論もスタートした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687448
シリーズ 中央社会保険医療協議会
遠隔医療やICT、「医療資源が少ない地域」での活用検討を
地域の実情踏まえた診療報酬求める声、相次ぐ
 
レポート 2019年7月10日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は7月10日、「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」をテーマに議論。日本医師会副会長の今村聡氏は、「医療資源が多いところと、少ないところを切り分けて考えることが必要」と述べ、「医療資源が少ない地域では、医療ニーズがありながら医療が提供できない。患者が医療機関を受診するのも大変。こうした地域でのICTなどの活用をまずはしっかりと議論をしてもらいたい」と求めた。


 厚労省保険局医療課長の森光敬子氏が、資料説明の際に「2040年に向けた人口増減は、各市町村で状況が大きく違う。この点を見据えて検討することが必要」と述べた通り、今村氏と同様に、診療側と支払側の双方から、地域の実情を踏まえた診療報酬の必要性を指摘する意見が相次いだ(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 「僻地とそれ以外の地域では分けて考え、遠隔画像診断やICTを活用した医療などについて、要件を見直す丁寧な議論が必要」(日医常任理事の松本吉郎氏)、「今の診療報酬は都市部を中心に考えられていると思う。今後、人口が減っていく中で、非都市部モデルの診療報酬を考えていくべきではないか」(全日本病院協会会長の猪口雄二氏)、「ICTの活用は、医療資源が少ない地域でこそ生かせるし、必要だと思う。オンライン診療も含めて、医療資源が少ない地域や僻地については考え方を切り離して、そこでどのように医療を提供できるかを考えてもらいたい」(全日本海員組合組合長代行の松浦満晴氏)といった内容だ。

 今後の診療報酬を考える上では、地域医療構想との兼ね合いも問題になる。日医常任理事の城守国斗氏は、「地域医療構想の実現に向け、診療報酬で誘導することは、医療提供体制が地域により多様であり、無理であることを共有してもらいたい。診療報酬が医療提供体制に寄り添う形で進めることを強く要望したい」と求めた。

 一方で、連合総合政策局長の平川則男氏は、「骨太方針2019」を踏まえ、「公立・公的医療機関等に偏った地域医療構想の進め方は問題であると指摘してきた。地域によっては、公立・公的医療機関等が2割くらいしかない。民間の医療機関も踏まえ、人口動態も含めて、真摯に話し合う対応が求められる」とコメント。「骨太方針2019」では、公立・公的医療機関等だけでなく、民間医療機関についても、「2025 年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す」と明記された。

 2040年に向け、人口50%減少する自治体も

 従来以上に地域の実情を踏まえた検討が求められるのは、森光課長が言及したように、今後の人口動態が各市町村によって大きく異なるためだ。厚労省は資料として下記を提示した。

 松本氏は「病床数が要件に含まれる主な診療報酬項目」について言及。許可病床数400床以上、200床以上といった要件がある点数について、同じ病床規模でも地域によって各医療機関が担う役割は異なることを踏まえて検討すべきだとした。日本病院会副会長の島弘志氏は、「どんどん人口が減っていく地域が多数ある。医療を提供することは医療機関の使命だが、一方で患者が減れば経営的に成り立つかという大きな問題もある。こうしたことも含めて、地域の実情に合わせたテーラーメードの考え方もあるべきではないか」と述べた。

 2018年度から都道府県で策定が始まっている「医師確保計画」では、人口10万人当たりの医師数ではなく、医師の年齢や性別、患者の受療行動などを踏まえた「医師偏在指標」を用いている。今村氏は、「(診療報酬上の医療資源の少ない地域の定義として)人口10万人当たりではなく、医師偏在指標を活用する予定はあるのか」と尋ねるとともに、「2040年に向けて人口が減っていく中で、医療・介護従事者の割合が増えてくる。医師については医師確保計画を策定することになっているが、それ以外の看護師や薬剤師などの偏在対策については何も検討されていない」と提起した。

 2018年度診療報酬改定では、一部の点数について要件緩和を行うなど、「医療資源の少ない地域等」に配慮した点数設定がなされた。ICTを活用した遠隔医療の要件緩和など、各地域の実情を踏まえた診療報酬設定をいかに行うかが2020年度改定の焦点の一つになりそうだ。

 連携に先立ち、電子カルテの標準化求める声
 「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」は、7月10日と、次回7月17日の2回に分けて中医協総会で議論する。

 10日の中医協総会のテーマは3つ。(1)地域の状況を踏まえた入院医療の在り方について、(2)地域における情報共有・連携について、(3)医療資源の少ない地域等における医療提供体制について――だ。

 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、(1)について、2018年度改定で入院料の体系が抜本的に変わったことから、「病床機能の再編、急性期等の入院病床等の削減につながったのかなどを十分に検討すべき」と、同改定の検証を求めた。また各入院料には、退院先および入院元それぞれに応じた連携にかかる評価として、在宅復帰・病床機能連携率等の要件や、在宅や急性期病棟から患者を受け入れた場合の評価等がある。これらの見直しも2020年度改定の論点だが、吉森氏は疾患別に分析するなど、患者動向を細かく見ていくことを求めた。

 (2)については、各メーカーの電子カルテに互換性がないことを問題視し、国が標準規格をつくるべきとの意見が相次いだ。今年10月から、地域医療介護総合確保基金が「医療情報化支援基金」として活用できるようになる。その対象事象は、「オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備の支援」、「電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援」だ。診療報酬上でも、IT化や情報連携等関連でどんな支援が可能かを検討することになる見通し。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687557]
全自病「地域総合専門医(仮)」の創設を検討
地域医療構想WG、日医提出資料に反発も
 
レポート 2019年7月11日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は7月10日の定例記者会見で、同協議会などで総合診療専門医の2階建て部分として「地域総合専門医(仮)」の創設を検討する考えを明らかにした。また、日本医師会との意見交換があったことを報告。厚生労働省「地域医療構想に関するワーキンググループ」で日医が公立病院に対する繰入金をまとめた資料を出したことについて、「地域医療構想自体がずれてきており、それが(表に)出てきたのが22回の資料提出。日医には機能的すみ分けを壊すことにつながりかねないがそれで良いかと問いかけたい」と指摘した。

 日本専門医機構の総合診療専門医制度については、全自病と全国国民健康保険診療施設協議会(国診協)とともに新たな検討委員会を立ち上げ、8月にも第1回の検討会を開くと説明。

(1)特任指導医への要件として認められている両協議会の地域包括ケア・ケア認定の教育部門の中身の充実が必要
(2)サブスペシャルティ(2階部分)が定まっておらず、新たに「地域総合専門医(仮)」(地域包括医療・ケア認定医)の検討

などの課題に早急に取り組む必要があるとしている。末永裕之氏(小牧市病院事業管理者)は、総合診療専門医について、「今のままでは総合診療専門医が育たない。裾野をもっと広くしないといけない」と指摘した。

地域医療構想巡り「日医と意見分かれる」

 7月1日にあった日医との定例意見交換では、地域医療構想について「意見が大きく分かれた(小熊会長)」という。副会長の竹中賢治氏は6月21日の第22回WGで、日医副会長の中川俊男氏が提出した資料について「繰入金の実態を中川氏が出されたが、ここに至っては、地域医療構想の方向性がだいぶ偏ってきていると危惧している。病院の8割は民間だが、地域医療構想の調整会議という利害関係者が集まるところで、公立病院の意義について議論できるのか」と指摘した(WGの議論は『公立・公的病院の「代替可能性」「再編統合」、検証手順おおむね了承』を参照』)。

 小熊氏も「民間がやれる範囲なら自治体としては引いてほしいということだが、『はい、そうですか』と引いてしまうことが住人にとって良いのか。その後に民間が引いて代替できないこともある」として、慎重な議論が必要との見解を強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687160
医学教育や医療の制度変更、私立大運営を圧迫 - 小川彰・医大協会長に聞く◆Vol.1
最大の課題は働き方改革、医学部教員は別扱いを要望
 
インタビュー 2019年7月10日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 大学医学部・医科大学は今、実にさまざまな経営課題に直面している。医学部定員や地域枠の在り方、不適切入試問題、“2023年問題”に向けた国際認証の取得や卒後までも含めたシームレスな医師養成などがその代表例だ。都道府県で2019年度から「医師確保計画」の策定が進む中、多くの医師を抱える大学病院は地域医療を支える役割も期待される。さらに医師の働き方改革への対応が求められる中、明るみになったのが “無給医”問題だ。
 これまで以上に難しい舵取りが求められる中、この5月に日本私立医科大学協会(医大協)会長に就任したのが、岩手医科大学理事長の小川彰氏だ。小川氏に、29の私立大医学部・医科大学を束ねる立場から、今大学が直面している諸問題への考え方、医大協としての対応などをお聞きした(2019年7月5日にインタビュー。全3回の連載)。

――例えば、10年前と比べて、大学医学部を取り巻く経営環境はどう変化したと捉えておられますか。先生が岩手医大学長に就任したのは2008年、理事長就任は2012年とのことです。

 大学は、経営基盤が安定しなければ、学生にいい教育を行うことができません。特に私立大においては経営と教育が連動しており、経営基盤の強化は極めて重要です。ただ、ここ数年の社会の移り変わりは激しく、私立大を取り巻く環境は極めて厳しいと受け止めています。

医大協会長の小川彰氏。課題山積の中、最も重視しているのは医師の働き方改革だという。

――私立大の経営基盤の強化には、どんな要素が関係してくるのでしょうか。

 極めて重要なのは、国の高等教育政策です。医学、医療がものすごく速いスピードで進展する中で、学生からいただく授業料だけでは、きちんとした教育環境を作ることは極めて難しい状況にあるからです。

 日本は資源に乏しい国なので、“人、頭脳が資源”。いい教育を行い、国民一人一人が財産になるための教育をしていくことが大事。戦後、日本が驚異的な経済復興、高度経済成長を成し遂げたのも、教育の成果だったと思います。

 日本はOECD加盟国の中でも、一般政府総支出に占める高等教育支出の割合(2015年現在)は小さく、公財政支出の1.7%であり、これはOECD加盟国平均3%の半分をやや超える程度で、最下位に近い割合です。

 国立大に対する運営費交付金の削減、私立大に対する経常的経費に関する補助の削減――。これらは間違った方向です。私立大については1975年に「私立学校振興助成法」が成立しました。「私立大学に対する国の補助は、速やかに経常的経費の2分の1とするよう努めること」とされましたが、その割合は年々低下、最近は10%を下回っています。中でも医学部教育にはお金がかかるので、その影響を最も受けているのは、私立医科大学、医学部だと思っています。

 こうした中、医学教育改革もさまざまな形で厳しさを増しています。2004年度から大学は文科大臣が認定する第三者機関の認証評価を受けることが法律で義務化されました。その上、医学部については“2023年問題”に対応するため、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準を満たし、日本医学教育評価機構(JACME)の評価を受けなければなりません。

 さらに大学病院において非常に大きいのは、消費税負担問題。働き方改革や男女共同参画への対応も必要で、医療安全・感染対策、臨床研究の推進なども重要課題です。さまざまな医学、医療に対する制度変更が、私立大運営を圧迫していることは確かです。

――その中で、特に重要な動きは何だとお考えですか。

 医師の働き方改革の行方です。これは私立大に限りませんが、大学の教員かつ臨床にも従事する医師の処遇がどうなるかが大変重要です。昔の話ですが、私が若い時、国立仙台病院、今の国立病院機構仙台医療センターの医長から、東北大に助教授(今の准教授)として移った時、給与は3分の1になりました(編集部注:小川氏は脳神経外科医)。

――それは大学教員としての給与。

 その通りです。例えば文学部と医学部の助教授は、仕事の内容が違っても、大学教員という身分は同じであり、給与体系も同じ。それがいまだに続いているわけです。

――大学教員は、専門業務型裁量労働制の適用が可能です。医学部教員の扱いは。

 そこはまだ何も決まっていません。

――医大協として、医学部教員の扱いについて提言などをされる予定は。

 これまでもやっていますが、「医学部教員は別扱いにしてもらいたい」という話はしています。他業種を参照しても、該当する働き方の体系がないからです。

――大学病院で勤務している際は、医療安全を考えると時間外労働の上限規制が必要だと思います。一方で、研究者や教育者としては、他学部の教員と変わらないという二面性があるから難しいから、「該当するものがない」ということ。

 その通りです。大学病院で臨床医として働く。同時に学生に教育を行う。大学に所属する以上、研究もしなければいけない。臨床研究の推進は国家としても重要課題です。

 臨床、教育、研究をどのように線引きし、労働時間の管理をするかは難しい問題です。その際、地域医療への影響も考えなければいけません。働き方改革を医師に強要すれば、地域医療は壊れかねず、結局、そのツケは国民に跳ね返ります。

――医大協として、さらに新たな提言をする予定はあるのですか。時間外労働の上限規制は2024年度からであり、あまり時間はありません。

 医大協には、総務・経営、教育・研究、病院の3つの部会があり、関連する32もの委員会等があります。その中に、働き方改革に関するワーキンググループも新たに設置します。厚労省の検討会等には、医学部・医科大学、大学病院の現状を知っている委員は極めて少ない。厚労省の議論の動向を見ながら、急いで検討していかなければいけないと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687685
国立大学病院「増収減益」続く、2018年度決算
赤字は45病院中5病院 、借入金・消費損税も負担大
 
レポート 2019年7月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立大学の2018年度決算は、附属病院収益は1兆1444億円で、2017年度よりも404億円増加したものの、人件費や高額医薬品の使用により医業費用が増加、医業利益ベースでは16億円減少で、「増収減益」の状態が続いていることが明らかになった。45の国立大学病院(42の医学部附属病院、2の歯学部附属病院、1の研究所附属病院)のうち、5病院が赤字。運営費交付金やその他の収益・経費などを含めた経常利益も、2017年度よりも50億円減少。7月11日に開催したプレスセミナーで明らかにした。

 国立大学病院長会議会長の山本修一氏は、「経常利益が乏しい上に、借入金償還による負担が大きく経営を圧迫している。特に近年の増収減益により、今後の投資財源は借入金に頼らざるを得ない状況」と述べ、政府の2020年度予算概算要求に向け、運営費交付金の確保のほか、働き方改革に向けた取り組みへの財政支援(医師の待遇改善に必要な財源確保、看護師の特定行為研修の実施機関への支援増額、タスクシフティングのための医師以外の増員に必要な経費の支援)などを求めていく方針。

 今年10月には消費増税も予定されている。2014年度の消費税率8%への引き上げ時には、診療報酬での補填が不十分だったため、2018年度までの5年間で969億円の補填不足が生じている。山本氏は、「10月の増税時には、基本診療料の見直しで100%補填がされるとのことだが、実際には、個々の病院で消費税の負担額は異なるので、病院間の不均衡は残る」と述べ、10月以降、消費税の補填状況を速やかに検証し、見込みと異なる場合には適切な救済措置を求めていく方針。

 その他、政府に対しては、2020年度診療報酬改定の重点的要望事項(特定入院料の算定期間の通算ルールの見直しなど)、臨床研究の推進・強化に向けた支援の充実(認定臨床研究審査委員会の設置と運営に係る費用の支援など)、地域医療への貢献に対する支援の充実(地域医療介護総合確保基金の活用による財政支援など)を求めていく。

 6月20、21日に開催された第73回国立大学病院長会議総会では、「医師の働き方改革」、「病院経営マネジメント」、「グローバル化への対応」という直面する3つの重要課題についてグループディスカッションした。7月からスタートした厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の構成員も務める山本氏は、大学病院の医師をめぐる課題について、「客観的な勤怠管理をどのように行っていくかが課題だが、まだ結論は出ていない。教育、診療、研究に分けて管理ができる仕組みをつくっていきたい」と述べた。その他、厚労省検討会が2018年2月にまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」が必要になるとしたほか、「長い歴史の中で、慣習化した診療体制について、この機会にどう効率化できるかを、(医師に時間外労働の上限規制が適用される)5年後に向けて真剣に考えてもらいたい」と求めた。

 医療機器の更新間隔、耐用年数の2倍に

 附属病院の収益は2018年度1兆1444億円で、2017年度1兆1040億円から404億円増加。一方、2018年度の人件費は5049億円(2017年度4900億円)、診療経費は7492億円(同7221億円)で、合わせて420億円増加。医業利益は差し引き16億円の減額。

 人件費率は2018年度44.1%でほぼ横ばいだが、金額は増加。医療材料費は、共同購入や価格交渉などの取り組みを進めているものの、右肩上がりで39.7%だった。

 経営を圧迫しているのが、借入金償還。2004年度に国立大学法人化時点で、全体で1兆円を超す債務を承継、その返済は年々進めているが、一方で、施設設備投資は新規借入金に頼らざるを得ない状況。その結果、特に医療機器の更新が年々遅れ、2012年度は更新間隔が耐用年数の1.1倍だったが、2018年度には2倍程度まで延びている。

 「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」

 プレスセミナーではその他、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」も説明。国立大学病院長会議は、2012年に「グランドデザイン」を策定。2016年には、2025年のあるべき将来像を実現するために改訂した。その中に7分野で、計35の提言が盛り込まれており、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」には、2018年度の取り組みと成果、2019年度の行動計画、各大学のケースも掲載している。



https://www.asahi.com/articles/ASM774CQQM77PIHB00C.html
分娩継続、求める意見多く 兵庫・ささやま医療センター  
前田智 2019年7月8日14時00分

 「兵庫医科大学ささやま医療センター」(兵庫県丹波篠山市)の産婦人科で医師不足から分娩(ぶんべん)の取り扱い休止の方針が示されていることを受け、同市の「産科充実に向けての検討会」の第1回会合が6日、開かれた。医師確保などに大学側がどの程度努力をしているかを知りたいと複数の委員から要望があり、27日の次回検討会に大学側関係者を招くことを決めた。

 検討会の委員は医師や福祉関係者、子育て中の女性ら20人。この日の会合では、子育て中の父母や妊娠中の女性を対象としたアンケートの結果を市が報告。7割がセンターでの分娩(ぶんべん)取り扱い継続を希望し、「近くで分娩できることが非常にありがたいので、ぜひ存続を」「安心して出産・子育てができるところがなくなってしまうと、住むことができなくなると感じる」などの意見があったことを示した。

 酒井隆明市長は大学側との初めての正式協議を22日に実施すると報告。「(大学側が)全力を尽くして医師を確保したとは見受けにくい。センターでの分娩取り扱い継続に努力してもらうよう、まずはそこを詰めていきたい」と述べた。(前田智)



http://tanba.jp/2019/07/%e3%80%8c%e6%b2%bb%e3%81%99%e3%80%8d%e3%80%8c%e6%94%af%e3%81%88%e3%82%8b%e3%80%8d%e8%9e%8d%e5%90%88%e3%81%b8%e3%80%80%e5%8c%bb%e7%99%82%e5%b4%a9%e5%a3%8a%e3%81%8b%e3%82%8910%e5%b9%b4%e3%80%81%e7%b5%b1/
「治す」「支える」融合へ 医療崩壊から10年、統合新病院発足 新しい地域医療の船出(上)  
2019年7月9日 丹波新聞

 「一番乗りでええとこに来させてもらった。まっさらな設備で、ええ記念になった」。兵庫県丹波市の同県立柏原病院(県立)と柏原赤十字病院(日赤)の統合を受け、1日に開院したばかりの同県立丹波医療センター(医療センター)に県立から移送された入院患者の男性(85)は、真新しい病室でベッドに腰かけ、にかっと笑った。

 2病院の統合再編問題の発端は2006年。初期研修医の臨床研修制度の変更に端を発し、2病院の医師数が大幅に減り、診療機能が低下。経営も悪化した。14年に両病院の統合再編基本方針が示され、15年に基本計画ができた。着工は17年。隣接する同市立健康センター「ミルネ」と並行で整備を進めた。両施設(病院181億円、ミルネ約26億円)と同敷地内にある同市立看護専門学校(約16・5億円)で事業費は約223・5億円。

急性期と地域包括ケア病床で「病院完結型医療を」

 統合新病院は、閉院した県立と柏原赤十字(日赤)の2病院と同規模の238床で開院した。医療センターと「ミルネ」の2施設で2病院の機能を引き継ぎ、支える医療と治す医療が融合した新しい地域医療をめざす。在宅から急性期まで切れ目ない医療を提供する。

 県立は、急性期病院だったが、日赤にあった「地域包括ケア病床」が加わり、回復期機能を備えたのが新病院の特長。

 手術など急性期の治療は終えたけれど、自宅や施設に退院するにはもう少しケアやリハビリが必要だったり、介護保険サービスを利用するための調整や準備が必要な患者のための病床を1病棟(45床)設けた。

 同病棟専従の石原直幸主任理学療法士は、日赤で地域包括ケア病床を経験済み。「急性期の病床は長く入院をさせられないので『もう少しリハビリを』と思っても転院先を探さなければならないが、地域包括ケア病棟で、そういった患者さんを預かれる」と利点を話す。「病院から在宅へ」が時代の潮流だが、秋田穂束院長は、地域の医療、患者の状況を鑑み「時代に逆行する所があるかもしれないが、ある程度、病院完結型医療を提供していくことになる」とする。

診療所や健診、訪問看護などの機能も充実

 「ミルネ」は、診療所と健診センター、訪問看護ステーションなどが入居する。県が指定管理者になり運営する。診療所(内科)の担当医は、主に医療センターの後期研修医ら若手。訪問診療、訪問看護、訪問リハも提供し、在宅を支える。

 8日から一般健診を始めた健診センターには、4日までに600人の予約が入っている。6月20日から始めた予約受付の電話が鳴り続け、開院しやや落ち着いた。

 日赤時代は1・2階に分かれていた健診センターをワンフロア化。検査機器も最新のものをそろえた。健診に慣れた元日赤の職員が担当する。

 人間ドックのオプションのMRI、CT撮影は、医療センターで行う。

 「ミルネ」の医療・健診部門を統括する大野伯和医療センター副院長は「紹介状なしで受診できる診療所と、予防や早期発見につながる健診センターでみなさんのお役に立てれば。多くの方に使ってもらうことで施設が生きてくる」と話している。



http://tanba.jp/2019/07/%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E6%95%B0v%E5%AD%97%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E3%80%81%E5%B8%B8%E5%8B%A450%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%8F%B0%E3%81%AB%E3%80%80%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%83%BB%E7%9C%8C%E3%81%8B%E3%82%89/
医師数V字回復、常勤50人の大台に 大学・県からの派遣増 新しい地域医療の船出(中)  
2019年7月13日 丹波新聞

 兵庫県丹波市の同県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合を受け、1日に開院したばかりの同県立丹波医療センター。6月15日に行われた見学会で、県立柏原の内科患者の女性(77)は、病院ロビー近くに掲示されている各診療科の担当医師の表を指でなぞり主治医の名前を見つけた。「また、こっちでも世話にならんといかん」。友人と顔を見合わせた。

  「医療崩壊」後の2008年、一時期18人まで減った常勤医師は、V字回復。今年7月1日の開院時、50人の大台に乗った。県立時代を含めて最多。08年にゼロだった初期研修医(1、2年目)も過去最多の17人(1人は神戸大から)にまで増えた。

 医療センターの常勤医師の供給源は3つ。最大の供給源は、従来からの神戸大学からの医局派遣。8割ほどを依存しており、大学医局人事抜きでは成り立たない状況に変わりはない。医療センター開院の今年度一気に10人以上増えたのも、主に医局人事による。

 市民の期待が大きい脳神経外科では常勤医師の招へいは実現していないものの、兵庫医科大学の医局から週3日の外来派遣を受け、新たな関係を築こうと模索している。

 もう1つの供給源が、県。県が学費などを負担する代わりに9年間の義務年限を課す県養成医師が5人勤務している。全員が医師免許取得後、3―6年目の若手だ。うち4人が病院の柱の内科で、土台を支えている。

「県養成医師の育成拠点に」

 数年前まで養成医師の派遣は但馬に厚く、丹波は冷遇されていた。赴任前に井戸敏三県知事に、「兵庫県養成医師の育成拠点にしたい」と直談判し、支援を取り付けた秋田穂束院長の着任(13年4月)後、安定的に派遣されるようになった。県養成医師出身の見坂恒明・神戸大特命教授が、院内の「地域医療教育センター長」として教育を担当している点が、派遣される養成医師の安心につながっている。

 医療センターに隣接する丹波市の診療所「ミルネ」は主に、養成医師が担当する。4月から赴任した井崎真理医師(内科)もその1人。「多様な症例が診られるので勉強になる。教育が充実しており、研修医も優秀」と、好印象を持っている。

 大学や県のひも付きでなく、自身の考えで就職した医師も数人あり、神戸大学依存100%だった「崩壊前」と比べ、多様性が生まれている。

「崩壊前」水準に戻らぬ外科系

 医師数回復の端緒となった、今も続く、県市が費用負担し神戸大学と県立柏原で医師を育成する「循環型人材育成プログラム」で、09年に赴任した河崎悟内科部長は、自身が再開させた循環器内科の24時間365日の救急受け入れの継続に心を砕く。現在のチームは7人。「当番制で個々の負担を軽くし、以前のように医師の退職で診療体制が崩壊することがないよう留意している」と言う。

 18人を数える内科を除けば、各科1―6人。外科系は「崩壊前」の人数に戻っていない。他病院と比べ多い訳でもない。大学、県と連携しさらに医師を招へいし、診療を充実させていく。



  1. 2019/07/14(日) 06:24:08|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<Google Newsでみる医師不足 2019年8月1日 | ホーム | Google Newsでみる医師不足 2019年6月30日>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する