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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月23日 

https://blogos.com/article/385430/
医師の長時間勤務:医者はまだ不足しているのではないか  
舛添要一
2019年06月19日 07:31 BLOGOS

 政府は、6月18日、認知症対策の新大綱を閣議決定したが、高齢化社会においては、「2000万円」のみならず、十分な数の医師も必要である。

 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を①医師多数、②中程度、③少数に分類した。①は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀、③は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。

 このデータを見ると、医師偏在、つまり、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するという印象を持つ。しかし、医師の数は既に十分なのであろうか。

 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。

 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。

 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。

 2007年に私が厚労大臣になったとき、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。私は、開業医が主体の日本医師会や厚労官僚の猛烈な抵抗に遭いながら、2008年6月17日、11年ぶりに閣議決定を変更して医学部の定員増に踏み切った。

 そのときに、私は記者会見で、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80〜90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べたのである。

 そして、8000人の定員を毎年400人ずつ増やし、10年後に1万2000人にまで増やすことにしたのである。この方針決定から10年が経ったが、2018年度の定員は9419人であり、私の方針がいつの間にか反古にされてしまっている。しかも、2022年度以降は定員を削減するという。

 診療科の偏在に関しては、医学生たちに小児科や産婦人科や外科が敬遠されるのは、勤務時間が深夜などに及ぶからである。皮膚科や眼科など志望する学生が増えても不思議ではない。診療科によるある程度の偏在は計算に入れねばならず、やはり医師の全体数の増加が必要である。

 医師偏在の問題の背景には、中央と地方の格差がある。とくに、医師が地方の勤務を嫌うのは、子どもの教育を考えてのことである。アメリカやドイツのように、中央集権から連邦(道洲)制に移行し、各地域が他の地域との自由な競争を通じて、特色ある発展を遂げることができるようになれば、医師の偏在も解消するであろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/683446
シリーズ 医道審議会・医師分科会
医学生による医行為の「法的担保」、早ければ年内結論
共用試験の公的化も検討、シームレスな医師養成目指す
 
レポート 2019年6月19日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会(会長:中谷晴昭・千葉大学 理事・副学長)は6月19日、「シームレスな医師養成に向けた取り組み」に関する議論を開始、同省は(1)共用試験(CBTとOSCE)の公的化についてどう考えるか、(2)「Student Doctor」の位置付けやその医行為について、法的にどのように考えるか――という2つの論点を提示した。併せて「シームレスな医師養成に向けた改革全体案」も公表した。

 共用試験は、任意の試験だが、全82大学で導入している。CBT合格者の質を均てん化し、全国医学部長病院長会議(AJMC)の認定制度である「Student Doctor」に公的な位置付けを与え、医学生が診療参加型で実践的な臨床実習を行えるようにするのが狙い。将来的には医師国家試験の負担も軽減するなど、卒前・卒後のシームレスな医師養成ができる体制づくりを目指す。

 厚労省は数回の議論を経て、早ければ年内にも議論を取りまとめる方針。厚労省が提示した2つの論点を実現するには、医師法等の改正が必要になることも想定し得る(資料は、厚労省のホームページ。『「卒前・卒後シームレスな医師養成が進展」、厚労省』を参照)。

 シームレスな医師養成の必要性は、卒前の臨床実習、医師国試、卒後の臨床研修、専門研修とそれぞれ改革が進められる中で、これまでさまざまな場で指摘されてきた。今回の議論の直接的なきっかけは、2018年7月公布の改正医療法・医師法の附則で、下記のように明記されたこと。公布から「3年以内」、つまり2021年7月までに措置することを求めている。

 「臨床実習をはじめとする医学に係る教育の状況を勘案し、医師の資質の向上を図る観点から、医師法の規定について検討を加え、その結果に基づき、この法律の公布後3年以内に法制上の措置その他の必要な措置を講ずるもの」

 2018年5月には、日本医師会とAJMCの連名で、(1)共用試験を公的なものにする、(2)「Student Doctor」として学生が行う医行為を法的に担保する、(3)医師国試の抜本的見直し、診療参加型臨床実習に即したものに限定し、CBTとの差別化を図る――を提言している。今回の論点はこれを踏まえたものだ。

 19日の医師分科会では、2つの論点への反対意見はなかったが、共用試験が公的な性格を帯びることで、医学生が医学部に入学した途端に共用試験の準備を始めるなど、医学部が「医学教習所」化したり、専門教育の前倒しが進み、教養教育が手薄にならないよう釘を刺す意見が出た。

 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、2つの論点以外にもさまざまな意見が出たことから、「医師養成に関しては、いろいろなところで議論している。ある部分を変えることは、他にも連動していくという理解」と述べ、19日の意見を整理し、医師分科会と他の審議会等と連携させながら、議論を進めていく方針を示した。

  「シームレスな医師養成に向けた改革全体案」を提示

 「シームレスな医師養成に向けた改革全体案」で検討すべき課題は多々あるが、今回の論点は前述の2つ。医師法第17条には、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と記載されている。古くは1991年の「前川レポート」、最近では2018年の「門田レポート」で、臨床実習において実施可能な医行為が示され、医学生による医行為の違法性が阻却されている(『医学生の医行為、27年ぶりに改訂へ、パブコメ経て決定』を参照)。

 共用試験はCATO(公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構)が、希望する大学を対象に実施。知識を問うCBT(320問、6時間)と、技能・態度を評価するOSCE(客観的臨床能力試験)の2つから成る。臨床実習に入る前の医学部4年生の時期に行う。

 2015年からCBTについては全国統一の合格最低基準が設定され、AJMCは共用試験合格者に対し、「Student Doctor」の認定証を発行してきた。今回の論点はこれらに公的、法的な性格を与えるかどうかだ。共用試験導入後も、医学生の医行為の修得率は依然として低い傾向にあると指摘されている。

  厚労省案支持も、幾つかの懸念

 佐賀県医療センター好生館理事長の桐野高明氏は、「シームレスにする考えを持つことはいい」と厚労省案を支持しつつも、医学部に入学した途端に共用試験の準備を始めるなど、医学部が「医学教習所」化したり、専門教育の前倒しが進み、教養教育が手薄にならないよう釘を刺した。

 医療法人愛の会光風園病院副理事長の木下牧子氏も、卒後の臨床研修等に携わる立場から、「シームレス化には大賛成。もっと臨床ができる研修医が入ってくれば、という思いだ。ただ、それは手技ではない。診療態度や人間性も含めて、患者を診ることができるようになっていれば、より効率的な臨床研修ができる」と述べた。ただし、共用試験や医師国試など、幾つものハードルがあると、「逆に“小さな医師”がでてきてしまう」とも付言した。

 聖隷福祉事業団顧問の清水貴子氏は、違法性の阻却ではなく、法的な根拠を持って医学生が医行為を実習できるようにすることが必要と指摘。ただし、共用試験が国家試験のようになると、その対策に医学生の関心が向きがちになることへの懸念を呈した。

 参考人として出席した、CATO理事長で、慈恵大学理事長の栗原敏氏は、2年間の教養課程とその後の専門課程がバラバラとの指摘があり、教養課程が短縮された経緯があると説明。「倫理などの教養教育は、教室の中だけではなく、医療現場で教えていく。それが適切な臨床実習の在り方ではないか」。栗原氏はこう述べ、医学教育が盛りだくさんで6年間で不足するなら、臨床研修も含め、8年間で医師養成を考えるという根本まで立ち戻った議論が必要になるとした。

 一方で、参考人として出席した愛知医科大学医学教育センターの伴信太郎氏は、日医やAJMCの提言について、「問題認識が違うと思う。共用試験を公的化したり、医行為を法的に担保したら、きちんとした診療参加型の臨床実習ができるのか」と問題提起。「前川レポート」等が出ても、診療参加型臨床実習が進まなかったのは、1、2カ月といった短期間で実習先が変わるなど、教育内容、教え方に問題があるからだとし、「非常によく考えなければいけいない。学生を(共用試験の)準備に走らせるだけで、臨床実習はあまり変わらないという事態も起こり得る」とけん制した。

 大学教員への配慮が必要

 栗原氏は、共用試験の実施について、「地方の大学では、医師や事務員が少なく、なかなか立ち行かないという声も聞いている。大学間の格差をどうするかという視点も考える必要がある」と述べ、支援が必要な大学への手当ても検討すべきだとした。

 清水氏は、大学教員は、医学生、研修医、専攻医の教育研修や評価を担わなければならず、共用試験の公的化などを進めれば負担が増すと予想。「大学教員のゆとりも考えなければならない」と述べ、臨床研修病院の人員等も巻き込んで取り組む必要があるとした。



https://www.toonippo.co.jp/articles/-/206886
八戸赤十字病院の累積欠損金65億円  
2019年6月17日 東奥日報

 八戸赤十字病院(青森県八戸市)の2018年度決算で、総収支の単年度赤字が前年度比8.7倍の4億4864万円と大幅に悪化したことが17日、分かった。18年5月に抗菌薬がほぼ効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の感染者が確認されて以降、入院患者数が減ったのが響いた。電子カルテの整備費用が増えたことも影響した。累積欠損金は65億1178万円に膨らみ、この10年で最大規模となった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/683842
シリーズ 地域医療構想
公立・公的病院の「代替可能性」「再編統合」、検証手順おおむね了承
「大半が代替可能性あり」なら再編統合を議論
 
レポート 2019年6月21日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は6月21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第22回会議で、公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」を検証するための具体的な手順等の案を提示、おおむね了承を得た。21日の議論を「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」に反映させ、次回以降の会議で取りまとめを目指す(資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療構想では、公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」については、「役割の代替可能性がある」、「再編統合の必要性について特に議論する必要がある」という視点から検証し、公立・公的医療機関等しか担えない機能に重点化することが求められる(『公立・公的病院の病床機能、2025年度も全体では「現状維持」』を参照)。厚労省は、検証のために必要な各構想区域別の診療実績(急性期医療に関する9領域、17項目の予定)の分析結果を2019年央までに公表する予定。

 「役割の代替可能性がある」とは、(1)各分析項目について、診療実績が特に少ない、(2)構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している――のいずれかの要件を満たす分析項目。大半の分析項目について「役割の代替可能性がある」とされた医療機関を、「再編統合の必要性」を議論する医療機関とする。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は、「役割の代替可能性がある」ケース(図2のB病院)について、「他の医療機関が代替できる能力が本当にあるのかは、どこで判断するのか」と質問。また議論の対象は、公立・公的医療機関等となっていることから、診療実績が少ない民間病院(図3のE病院)についても考えなければいけないのではないかと質した。

 厚労省医政局地域医療計画課は、「代替可能性や再編統合の議論は難しく、議論は一筋縄で行かないことは認識している」と断った上で、他の医療機関に診療機能を移す場合、医師や設備などの体制も含めて検討する必要があり、地域の事情を踏まえ、地域医療構想の調整会議で議論することが重要だとした。さらに大学医局から医師が派遣されている場合なども想定し、県単位の調整会議を利用することもあり得るとした。また、民間病院の扱いについては、今の議論は公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」の検証が出発点であると説明。

 日本医師会副会長の中川俊男氏が、厚労省に続いて、「代替可能性があるかどうかは、全国一律の基準で判定することはできず、またしてもいけない。スタッフと設備などを踏まえて、各構想区域で判断する」と補足説明。さらに、「同じように診療実績が低いような場合でも、民間病院の場合は間もなく消えるが、公立・公的医療機関等は、(補助金等があることから)生き残る」などと形容し、公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」を検証する必要性を指摘した。

  脳梗塞に対するtPA投与件数の取扱について」も議論

 21日の会議では、「病床機能報告における脳梗塞に対するtPA投与件数の取扱について」も議論。病床機能報告では、「超急性期脳卒中加算」のレセプト件数を報告することになっているが、同加算の施設基準を満たせない医療機関でも、tPAを投与している実態がある。厚労省は、「脳梗塞に対してtPAの投与を実施した件数についても、報告を求めることとしてはどうか」と提案。脳梗塞は、診療実績の分析項目の一つ。

 しかし、中川氏は、人員配置なのか、あるいは患者の病態の問題なのかなど、「超急性期脳卒中加算」のレセプト件数と、tPA投与件数の相違の理由について、まずは調べるべきと提案。奈良県立医科大学教授の今村知明氏も、「大きな都道府県だと(両者が)パラレルだが、小さい県ほど差が大きい。一つの数字だけ使うとミスリードする」と述べた。厚労省はこれらの意見を踏まえ、再検討する。

 中川日医副会長「国が重点的に支援する区域」をけん制

 その他、会議で中川氏は、構想区域のうち「国が重点的に支援する区域」を設定、国が直接助言するやり方について、「本ワーキンググループで議論をしたことがない」と指摘。厚労省が5月23日の社会保障ワーキング・グループで提案、6月7日の2019年度の第1回医療政策研究会/第1回地域医療構想アドバーザー会議でも説明していた(『地域医療構想、「国が重点的に支援する区域」設定し推進』を参照)。

 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、「名称は今後決めるが、特に厚労省として強く支援する地域を設定することを考えている。その際は、厚労省の職員を派遣して支援する」と説明。

 これに対し、中川氏は、「将来の医療提供体制に向けて自主的に収れんさせることが、地域医療構想を進める大前提」と述べ、「厚労省が支援するのは大変なこと。厚労省の職員がきたら、十分に圧力を感じる。強制的に何かをやるようなことは慎重になるべき」と強く釘を刺した。

 健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、「国の関与については、私が発言した。地域の医療機関には利害関係があるので、外から“行司役”が入った方がいい場合があり、状況によっては国が行司役にならないと、なかなか進捗しないのではないか」と述べた。

 中川氏は、「調整会議の“行司役”は、各地域の医師会会長などを想定している。国が“行司役”になることは基本的にはあり得ないと私は考えている」と重ねてけん制した。



https://www.medwatch.jp/?p=27101
公立病院等改革の検証、都道府県知事の民間病院機能転換命令権、急性期一般1の要件厳格化など検討せよ―財政審建議  
2019年6月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、公立病院・公的病院等の機能改革案が将来の必要病床数(地域医療構想)と整合的でない場合、改革案の再検討を求めるとともに、民間医療機関への機能転換命令権を都道府県知事に付与すべきである。また、2018年度診療報酬改定が急性期病床数適正化にどの程度の効果を及ぼしたのかを検証し、次期2020年度改定では「更なる急性期一般病棟入院料1などの要件厳格化」などを検討すべきである―。

財政制度等審議会(財政審)が6月19日、麻生太郎財務大臣に宛てて、このような内容を盛り込んだ建議(令和時代の財政の在り方に関する建議)を行いました(財務省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医療費増に合わせ、「患者負担増」「診療報酬引き下げ」を自動的に行う仕組み検討せよ
2 次期介護制度改革、軽度者への給付の在り方など検討せよ


医療費増に合わせ、「患者負担増」「診療報酬引き下げ」を自動的に行う仕組み検討せよ

 建議では、「令和時代の税財政運営においては、財政健全化どころか一段と財政を悪化させた平成時代の過ちを繰り返すことは許されず、財政健全化の成果を着実に上げていくことが求められる。更に、厳しい財政状況を乗り越え、その先に見えてくるであろう財政問題の『出口』を模索することも、令和時代における税財政運営の責務である」と指摘し、財政健全化の必要性を強調。

 また税財政運営の要諦は「国民の受益と負担の均衡を図る」ことにあるとし、社会保障に関して、「負担増を伴わないままに給付を先行させてきた」ことが我が国財政の悪化の最大の構造的要因と痛烈に批判したほか、古代ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」(ホメロス)の第12歌に登場する「セイレーン」を引き合いに、「甘い誘惑に負けてはならない」とも指摘します。
 
 さらに財政健全化の道のりを航海に例えて、「時には荒波を乗り越える必要はあっても、現時点で国内の民間貯蓄超過が政府部門の赤字を上回っているという我が国の強みも踏まえつつ、リスクマネジメントを適切に行えば、必ず辿り着く港があろう」と見通し、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめる2022年度より前に、社会保障について次のような改革を行うべきと訴えています。

 まず医療については、▼保険給付範囲の在り方の見直し▼国民健康保険改革▼医療提供体制改革▼公定価格の適正化▼高齢化・人口減少下での負担の公平化―に取り組む必要性を指摘。

 このうち保険給付範囲については、現在は「風邪などの小さなリスクも、がんなどの大きなリスク」も同様の給付(年齢・所得により7-9割負担、さらに高額療養費制度で手厚くカバー)となっていますが、今後は「小さなリスク」について、▼薬剤自己負担の引き上げ(医薬品の種類に応じた保険給付率設定など)▼少額受診等における追加負担(かかりつけ医・かかりつけ薬局等への誘導策として定額負担に差を設定することも視野に)▼民間保険の活用―などを検討するべきと訴えています。
 
 また医療提供体制改革では、「地域医療構想の実現」に向けた動きを加速・強化するよう要望。例えば、▼公立病院・公的病院等の機能改革内容が地域医療構想の必要病床数と整合的でない場合には、期限を付して直ちに再検討を要請する▼民間医療機関への機能転換命令権など、都道府県知事の権限を一層強化する▼地域医療介護総合確保基金のメリハリをつけた活用―を提案するとともに、2020年度の次期診療報酬改定での対応も求めています。
 
 公定価格の適正化とは、現在の診療報酬や薬価の設定が不適正であるとの指摘です。前述した地域医療構想の実現に向けて「2018年度診療報酬改定が病床再編・急性期入院医療費削減に与えた効果を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を2020年度改定で実施する」よう求めたほか、薬価制度抜本改革に関する残された課題の解決、調剤報酬の適正化(かかりつけ薬局・薬剤師の推進など)を実施するよう要請しています。
財政審建議5 190619
 
さらに負担の公平化では、相対的に「収入に比べた負担の度合い」が軽い高齢者に適正な負担を求める(若人と高齢者との世代間の公平を確保)ことが必要とし、まず「75歳以上の後期高齢者の窓口負担2割化」を要望。そこでは「新たに75歳以上に到達する人」はもちろん、数年をかけて段階的に「すでに75歳以上となっている人」についても2割負担へ引き上げていくべきとしています。
財政審建議6 190619
 
あわせて、「保険給付率」(保険料・公費負担)と「患者負担率」とのバランス等を定期的に「見える化」し、▼診療報酬▼保険料・公費負担▼患者負担―で総合的な対応を検討するという、いわゆる「医療版のマクロ経済スライド」導入も求めています。具体的には、保険料・公費負担が一定以上に増加した場合には、自動的に「患者負担を引き上げ」「診療報酬を減額」していく仕組みを検討せよと求めるものです。

 診療報酬については中央社会保険医療協議会で(関連記事はこちらとこちらとこちら)、医療保険制度については社会保障審議会・医療保険部会で(関連記事はこちらとこちら)、地域医療構想に関しては地域医療構想に関するワーキンググループで(関連記事はこちらとこちらとこちら)、それぞれ議論が行われていますが、建議を受けて、議論がどう動くのか注目する必要があるでしょう。

次期介護制度改革、軽度者への給付の在り方など検討せよ
一方、介護に関しては、次期介護保険制度改革に向けて、▼保険給付範囲の在り方の見直し(軽度者サービスの市町村事業への移行)▼効率的なサービス提供(1人当たり介護費の地域差解消)▼高齢化・人口減少下での負担の公平化(利用者負担の2割化、補足給付の見直し、ケアマネジメントへの利用者負担導入)―などを提言しています。

 現在、社会保障審議会・介護保険部会では、次期介護保険制度改革に関する議論が行われています。秋からの個別項目論議に、この建議がどのような影響を与えるのか注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 なお、国民健康保険や公立病院には、地方自治体から毎年度、地方財政計画における計上額を超える多額の支出(公立病院への基準外繰出金は2017年度には3484億円とされている)が行われていることを問題視し、▼地域医療構想▼医療費適正化計画▼国保の財政運営―一体的に担う都道府県が、国や市町村と連携しつつ「抑制」に取り組むべきとも訴えています。

ただし、参議院選挙を控え金融庁報告書で揺れる中、政治がこの建議をどう受け止めるのか注視する必要もあります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/683725
三位一体改革「病院混乱しないよう丁寧に」四病協
看護補助者の位置付けなど検討も
 
レポート 2019年6月21日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は6月19日に総合部会を開き、地域医療構想、医師・医療従事者の働き方改革、医師偏在対策のいわゆる「三位一体改革」や新専門医制度、看護補助者に関して議論した。終了後に記者会見した日本病院会会長の相澤孝夫氏は三位一体改革について「3つが関係していることは疑いのない事実で全く切り離しては考えられないが、一度にドーンと進めていくことには、病院団体としては細かな配慮を持って病院が混乱しないように進めてほしいと意見があった」と述べた。


 地域医療構想について地域の調整会議でいろいろな議論が進行中だとして、「地域の調整が非常に重要であるところに、医師・医療従事者の働き方や偏在対策は国がある程度の計算式で二次医療圏に『こうしろ』と言っており、それが入ってくることで地域医療提供体制の改革を進めていくことにブレーキがかかる、変な方向に行くのではないかという意見があった」と指摘した。

 看護補助者については、病棟の看護助手が年々減ってきており、病院で募集してもなかなか応募がないのが現状だと説明。介護に関わることが増えてきており、病棟の看護補助者で介護の仕事を担う人と介護福祉士の棲み分けや評価をどうするかについて、「大きな問題ではないかということで、詰めていく必要があるのではないか」として今後検討していくことを明らかにした。

 厚生労働省がタスク・シフティングに関するヒアリングを開催し、日本医師会が新職種創設に反対、日本脳神経外科学会からは前向きな陳述があったことについては、相澤氏自身の考えとして「医師の働き方改革を含めていくと、看護師にある程度のことをやってもらっていかないと医師の労働時間は多分縮まらないと思う。将来の方向として十分に考えていく、認めていくにはどうしたらいいのか、何が障壁になるのかを前向きに検討していくべきではないかなと思っている」と述べた(『日医、「新職種の創設反対」を強調』を参照)。

 新専門医制度に関しては、シーリングが決まる過程について、「既に決まってしまっていることなので了承してくれという(日本専門医機構の)理事会だった」という報告が、病院団体推薦の機構理事からあり、「日本専門医機構についてはどうしていったらいいかを真剣に考えながら、意見を申し上げていくことを続けていくことになった」と説明した。



https://dot.asahi.com/aera/2019061900075.html?page=1
地方なら1人辞めれば丸ごと閉鎖する科も…救急医の一斉退職問題が深刻化  
小田健司2019.6.21 17:00 ※AERA 2019年6月24日号

 地域医療を支える病院で医師の一斉退職が起きた。こうした事態は過去にもたびたび起こっている。背景には何があるのか。

*  *  *
 地方独立行政法人・市立大津市民病院(滋賀県大津市)で、救急医6人が今月末に一斉退職する。今月10日、病院関係者は大津市議会の会派を回っていた。その2日前の朝日新聞の朝刊でこの問題が報道され、急遽、議会対応を迫られていた。

「7月からのER(救命救急室)の体制はどうなるのか」

 議員の質問に、増田伊知郎理事長はこう断言したという。

「ほかの医療機関からの医師の応援や院内の調整などで、7月以降もこれまでと同じ体制を維持できる」

 病院法人事務局の説明によると、退職するのは「救急診療科・集中治療部」の7人の常勤医師のうち6人。「指導医」を務めていた診療部長が退職を申し出たことから、4人の「専攻医」と呼ばれている若手の医師も続き、別の1人も退職を決めた。

 会派への説明の場で個別の医師の退職理由について説明はなかったというが、増田理事長は、退職が一斉になったことについて、こう説明した。

「指導医が辞めれば専攻医も辞めてしまう。医師の世界ではあり得ることだ」

 背景事情は一様ではないだろうが、地域医療を脅かす医師の一斉退職は、過去にもたびたび起きている。

 2017年末から18年にかけては神奈川県立がんセンター(横浜市)で、放射線治療医5人が相次ぎ退職。放射線治療と、国が先進医療に位置づける重粒子線治療の継続が危ぶまれた。

 地方独立行政法人「くらて病院」(福岡県鞍手町)では18年、内科医全6人が一斉に退職し、一時、入院患者や透析患者を他の医療機関に転院させるなどの対応をとった。当時の町長による権限を超えた病院人事への介入が背景にあった。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)では14年、小児集中治療室(PICU)の医師9人が一斉に退職し、病床数を減らして対応せざるを得ない事態に陥った。

 今回の大津市民病院の一斉退職について、同病院での実習経験がある医師によると、専攻医たちが辞める理由については、院内でこう見られているという。

「指導医がいなくなれば、専門医の認定が受けられなくなるからではないか」

 大津市民病院は日本救急医学会の専門医指定施設、日本集中治療医学会の専門医研修施設になっている。ここで指導医の指導を受け経験を積めば、専攻医は専門医への道が開けるというわけだ。指導医の存在こそが、専攻医にとっては魅力だった可能性はある。

 前出の医師は、医療現場全体の問題として、長時間労働やストレスフルな職場環境があると指摘し、一斉退職の大きな背景になっていると語る。

「東京をはじめ大都市に医者が集中する状況が根本的に変わらなければ、医師が厳しい労働環境下にある医療の現場でこうした問題はどこにでも起こり得る。地方なら、1人、2人が辞めただけで科が丸ごと閉鎖されることだってある」

 地域医療の問題に詳しい城西大学経営学部の伊関友伸教授は、「少し時間が経過して、忘れられているのではないか」とあらためて問題提起する。

 十数年前には、各地の公的な総合病院を中心に医師が大量退職することが相次ぎ、地方の「医療崩壊」が大きな社会問題となった。

「一般的に、過酷な勤務や医師の働きがいに配慮しない病院が舞台になっているケースが多かった」

 と伊関教授は言う。そのうえで、人材を確保するために必要なこととして、こう指摘した。
「研修機能が充実した病院に若い医師は集まる。そうした体制づくりを地域全体でどう作っていくのか、真剣に考えるべきだ」

(編集部・小田健司)



https://www.medwatch.jp/?p=27070
2020年度診療報酬改定、特定行為研修修了看護師の評価新設やDPC再入院ルールの廃止など行え―全自病  
2019年6月20日|医療現場から MedWatch

 2020年度の次期診療報酬改定において、「常勤加算」規定を拡大するほか、入退院支援加算の増点や、特定行為研修を修了した看護師による在宅での特定行為実施の評価新設などを行ってほしい。またDPCについては、高額薬剤の取り扱い見直しや再入院ルールの廃止などを実施すべきである―。

 全国自治体病院協議会は6月18日に、こうした内容を盛り込んだ2020年度の「社会保険診療報酬に関する改正・新設要望書」を厚生労働省保険局の樽見英樹局長、同局医療課の森光敬子課長に宛てて提出しました(全自病のサイトはこちら(全自病のトップページ、「協議会情報一覧」から要望書をダウンロード可能)。

「常勤換算」規定の拡大や入退院支援加算の増点、看護必要度見直しなども検討せよ
 全自病の要望内容は非常に多岐にわたります。気になる項目をピックアップしてみましょう。

 まず出来高報酬に関する重点要望項目としては、次のような項目が目立ちます。

▼「常勤換算」規定の拡大

▼2科目の【初診料】の増点(141点→188点)、3科目の【初診料】の新設(94点)

▼A207【診療録管理体制加算】(加算1)の増点・要件の緩和

▼A207-2【医師事務作業補助体制加算】の増点(15対1:125点増、20対1:100点増、25対1・30対1:60点増、40対1・50対1:25点増、75対1・100対1:10点増)

▼A207-3【急性期看護補助体制加算】の増点(210-130点→300-150点)

▼A230-4【精神科リエゾンチーム加算】の拡大(週1回300点→週2回400点)

▼A234【医療安全対策加算】の増点(加算1:85点→200点、加算2:30点→100点)

▼A244【病棟薬剤業務実施加算】の拡大(回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟などの包括評価病棟における算定を認める)

▼A246【入退院支援加算】の増点(加算1の「一般病棟入院基本料等」の場合:600点→800点)

▼A308-3【地域包括ケア病棟入院料】における「リハビリ要件」の緩和(入院料3・4については1日2単位→1日1単位に緩和など)

▼B001の12【心臓ペースメーカー指導管理料】の名称変更(「不整脈デバイス指導管理料」へ)と、拡大(両心室ペースメーカーによる場合:420点、植込型除細動器による場合:480点、両室ペーシング機能付き植込型除細動器による場合:540点)

▼B001の23【がん患者指導管理料】のハ「医師・薬剤師が抗悪性腫瘍剤の投薬・注射の必要性等について文書で説明を行った場合」の算定上限(患者1人につき6回まで)の撤廃

▼B011-4【医療機器安全管理料】の拡大(生命維持管理装置を用いて治療を行う場合:50点など)

▼地域医療支援病院におけるE200【コンピューター断層撮影(CT撮影)】、E202【磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)】の算定要件緩和(【画像診断管理加算2】の届け出を不要とする)

▼【入院時食事療養費】の増額(療養費I:1食640円→700円、療養費II:1食506円→557円、特別食加算:76円→84円)

▼糖尿病患者を対象とした新たな疾患別リハビリテーション料の新設

▼特定行為研修を修了した看護師が在宅で、特定行為(医行為)を実施した場合の評価(200点)の新設

▼【医療被曝管理料】の新設

 
 またDPCに関しては、次のような重点要望を行っています。

▼機能評価係数IIの「地域医療指数・体制評価指数」における精神疾患の受け入れ拡大(精神病床が無い急性期病院においてもA300【救命救急入院料】の注2加算「精神診断治療」・A248【精神疾患診療体制加算】の算定実績で評価する)

▼高額薬剤の取り扱いについて、「薬価収載と同時の出来高決定」、「診療報酬改定での包括評価における『分岐設定』」を行う

▼「短期滞在手術等基本料について点数設定方式Dを設定する」こととなったが、短期滞在手術3と比較して不利益のない効率的な入院を担保する点数設定への見直し

▼「病理組織標本作成」「免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製」の出来高算定

▼「他院受診」について、現状(入院病院が外来受診先病院に診療費等を支払う)を踏まえて、「高額医療機器による診療が必要な場合」「かかりつけ医(精神疾患の患者等)等の外来受診を受ける場合」など、患者にとって必要な外来機能がなく、自院の主治医の許可を得るなどの条件を満たした場合は、「他院分を出来高にて他院側で算定する」ような明確なルール設定を行う

▼「退院時処方」に関して、「転院の契機となった疾患に対する処方」以外の薬剤は転院元医療機関での退院時処方ができるようなルール設定を行う

 
 このほか、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について▼一連の再手術についてもC項目の評価対象とする▼歯科の患者を「DPCのEF統合ファイルを用いる看護必要度II」の評価対象から除外する―ことを、DPCに関して▼「脳動脈瘤破裂後に(遅発性)脳血管攣縮を合併した場合」について、全身的薬物療法やTripleH療法など多くの医療資源を用いるため、「(遅発性)脳血管攣縮」を定義副傷病名に設定し、日当点を高くする▼再入院ルールの廃止―なども求めています。



https://www.medwatch.jp/?p=27058
看護補助者と介護福祉士、病棟で勤務する際の業務区分けなどを検討していく―四病協  
2019年6月19日|医療現場から MedWatch

 看護補助者についての位置づけを検討していく必要がある。とくに、「病棟で勤務する看護補助者」と「病棟で勤務する介護福祉士」とで、業務の区分けをどう考えるのか、評価をどう考えるのか、などを今後、病院団体として検討する必要がある―・

 6月19日に開催された四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会において、こういった点で4団体の意見が一致したことが、日本病院会の相澤孝夫会長から報告されました
 
ここがポイント!
1 「看護補助者の位置づけ」を、病院団体として今後検討していく方向を確認
2 医師からのタスク・シフティング先、NPやPAについても前向きな議論を
3 専門医制度、根本に立ち返った議論をしなければ誤った方向に進みかねない

「看護補助者の位置づけ」を、病院団体として今後検討していく方向を確認

 医療従事者にも「働き方改革」が求められています。医師については後述するように2024年4月から特別の時間外労働上限が適用されますが、医師以外のメディカルスタッフ、例えば看護師については、すでに「時間外労働上限」が適用されています。このため「労働時間の短縮」などを積極的に進める必要があります。

 一方で、これも後述するように看護師は「医師からのタスク・シフティング先」としての期待が高まっており、「労働時間の短縮」が求められながら、「さらに高度かつ広範な業務に携わる」ことも求められています。

 こうした中では、看護師は「看護師資格を保有していなければ実施できない業務」に集中し、「看護師でなくとも実施可能な業務」は他職種に移管していくことが必要です(タスク・シフティング)。この点、「看護補助者の位置づけ」を検討していくべきとの指摘が従前よりあります。

 看護補助者について、現在は「特段の資格」が求められていません。このため、例えば介護福祉士や救急救命士の資格保有者が、看護補助者として病院に勤務している実態があります。しかし、「保有資格で独占されている業務」に従事するわけではないことから、経済的評価(つまり給与等)は低く、最近では「看護補助者」のなり手が不足している実態もあるようです。

こうした点について四病協でも、「看護補助者の位置づけを検討していく必要がある。とくに『病棟で働く看護補助者』と『病棟で働く介護福祉士』について、業務の区分け、評価の在り方などを今後詰めていく」という点で意見が一致したことが相澤日病会長から報告されました。

 将来、メディカルスタッフの活躍の場が広がることが期待されます。ただし、例えば病棟における介護福祉士の位置づけが明確となり、さらに診療報酬の施設基準などで「一定の介護福祉士配置」が求められるようになった場合には、病院側の負担増になることも考えられます。どのような検討が行われるのか、今後の動きに注目が集まります。

医師からのタスク・シフティング先、NPやPAについても前向きな議論を

前述したように医師(勤務医)にも「働き方改革」が求められ、2024年4月から罰則付きの「時間外労働上限」規制が適用されます。原則として「年間960時間以下」(すべての医療機関で960時間以下を目指す、いわゆるA水準)を適用しますが、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、暫定的に「年間1860時間以下」(いわゆるB水準)とし、また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、当面「年間1860時間以下」(いわゆるC水準)という特例の水準が適用されます。

 このため、2024年4月までの5年間、すべての医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結、労働時間の管理など)と「労働時間の短縮」を進めることが求められます(関連記事はこちら)。
 
後者の「労働時間の短縮」を実現するためには、多忙な医師の業務量自体を減らす必要があることから、「医師免許を保有していなくとも実施可能な業務」は他職種に移管し、医師は「医師でなければ実施できない業務に集中する」ことを進める、いわゆる「タスク・シフティング」に注目が集まっています。

この点についてNP(ナース・プラクティショナー、米国等で活躍する「医師等の指示を受けずに、独自の判断で一定の医行為を実施する」ことが認められている看護師)やPA(フィジシャン・アシスタント、医師の監督のもとに▼診察▼薬の処方▼手術の補助―など、医師が行う医療行為の相当程度をカバーする医療資格者)の養成を求める声が高まってきています。一定の医行為をNPやPAに移管していってはどうか、という考えに基づくものです。

四病協の総合部会でも「NPの位置づけについてきちんと議論していく必要がある」との意見が出ています。この点、相澤日病会長は、「我が国では『特定行為研修を修了した看護師』(医師の包括的指示の下で一定の医行為を実施できる)を養成しており、複合的な研修(パッケージ化)を実施することになっている。こうした動きも踏まえて、NPやPAについて『認めるにはどうすれば良いのか。何が障壁になっているのか』などを十分に考えつつ、前向きに検討していくべきであろう」との考えを総合部会終了後の記者会見で述べています(関連記事はこちら)。

厚生労働省の開催するヒアリングでは、日本医師会は「新職種創設に反対」と、医学会は「PAに期待」との考えを示し、NPやPAへの考えに「温度差」があることが分かりました。今後、四病協もヒアリングに出席することになりますが、そこでどのような「タスク・シフティングに向けた具体的な考え方」が示されるのか、こちらも注目が集まります(関連記事はこちら)。

専門医制度、根本に立ち返った議論をしなければ誤った方向に進みかねない

なお、6月19日の四病協総合部会では、「地域医療構想・医師の働き方改革・医師偏在対策は、それぞれ連関していることは紛れもない事実だが、地域で3施策を一体的に議論し進めるとなると現場に混乱も生じかねない。3施策の関連性に十分配慮しながら、丁寧に医療提供体制改革を議論する必要がある(関連記事はこちら)」「新専門医制度について、良い方向に進むよう提言を行っていく」という点も確認されました。

特に新専門医制度に関して、相澤日病会長は「既に動き始めており、難しいが。▼国民が求める専門医▼行政の求める専門医▼医学会の求める専門医―はそれぞれどのような医師像なのかを改めて整理し、『専門医とは何か』『専門医制度はどうあるべきか』を根本に立ち返って議論しなければ、誤った方向に進みかねない」と警鐘を鳴らしています(関連記事はこちら)。



https://www.medwatch.jp/?p=27003
フィジシャン・アシスタント(PA)等、医師会は新職種創設に反対するも、脳外科の現場医師などは「歓迎」―厚労省  
2019年6月17日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革に向けて、今後、強力に「労働時間を短縮」していくことが求められ、そこでは医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)が必要不可欠となる。この点について、例えば手術場で医師を補助し、一定の医行為を実施可能な「フィジシャン・アシスタント」(PA)などの新職種創設をどう考えていくか。また現行の「特定行為研修を修了した看護師」の業務範囲などをどう考えていくべきか―。

 厚生労働省が6月17日に開催した「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」で、こういった点について意見聴取・意見交換が行われました。
 
ここがポイント!
1 医師会や学会、病院団体等の意見踏まえ「どうタスク・シフティングを進めるか」検討
2 日医は「新職種創設」に明確に反対するが、学会はPA等に期待寄せる
3 特定行為研修を修了した看護師、「特定行為」の拡大についてどう考えるか
4 職能団体は、法令の壁も越えて「我々にこの業務を任せてほしい」と要望

医師会や学会、病院団体等の意見踏まえ「どうタスク・シフティングを進めるか」検討

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針を明確にしました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)(いわゆるA水準)

▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB水準)

▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるC水準)

▽2024年4月までの5年間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める
 
 このうち「タスク・シフティング」については、医師から他職種に、また他職種からさらに別の職種に「当該職種でなくとも実施可能な業務」を移管し、当該職種が「その資格保有者でなければ実施不可能な業務に集中できる」環境を整えるものです。もっとも、ある業務を他職種に移管した場合でも、安全性・有効性などの『質』が担保されなければなりません。また、業務移管を行ったとしても、例えば「指示等に膨大な時間がかかるが、軽減される業務量はごくわずかである」ような場合には、当面は業務移管を見合わせるという判断も必要となってくるでしょう。

このため厚労省は、30超の医療関係職能団体や関係医学会など(三師会、四病院団体協議会、新専門医制度の基本領域学会、日本専門医機構、日本看護協会ほか)に、「どの業務を、どの職種に移管することが可能と考えられるのか」「業務移管によって、どの程度の負担軽減効果が得られるのか」「業務移管後も医療の質を担保するために、どのような施策が必要と考えられるのか」といった点について意見を聴取するとともに、厚労省幹部との意見交換を行う場を設置したものです。

今夏を目途に意見聴取を終え、その後、厚労省で「タスク・シフティングを進めるために何をすればよいのか」を検討していきます。
 
6月17日の会合では、▼日本医師会▼日本技師装具士協会▼日本視能訓練士協会▼日本医師事務作業補助研究会▼言語聴覚士協会▼日本臨床工学技士会▼日本脳神経外科学会▼日本病理学会▼日本形成外科学会―の9団体から意見聴取を行いました。膨大な量の意見が示されており、ここではポイントを絞って眺めてみましょう。

日医は「新職種創設」に明確に反対するが、学会はPA等に期待寄せる

まず日本医師会からは、タスク・シフティングを進めるにあたっての考え方として、次のような5つの基本方針を会内で取りまとめていることが報告されました。
(1)医療安全を守るため、医師による「メディカルコントロール」(医療統括)の下での業務が原則である
(2)新職種の創設ではなく、「既に認められている業務」の▼周知徹底▼実践されていない場合の着実な検証―を実行する。
(3)法令改正や現行法解釈の変更による業務拡大をする場合には、適切なプロセスを経て行う
(4)「タスク・シフティング先の医療関係職種」への支援が必要である。
(5)AI等のICTの活用は、医師のタスクをサポートするものとして推進すべき

 このうち(2)の「新職種創設」は、「医師の働き方改革に関する検討会」でも時間をかけて議論された▼ナース・プラクティショナー(NP)▼フィジシャン・アシスタント(PA)―などを念頭に置いたものと考えられます。NPは、米国等では「医師等の指示を受けずに、独自の判断で一定の医行為を実施する」ことが認められています。また、PAは医師の監督のもとに▼診察▼薬の処方▼手術の補助―など、医師が行う医療行為の相当程度をカバーする医療資格者をさします。

この点、意見発表した日医の今村聡副会長は「若年人口が減少する中で医療関係職種を確保することが困難なため、新たな職種を創設するべきではない」との考えを明確にしました。

 
しかし一方で、日本脳神経外科学会の新井一理事長は「米国で修業をした若手の脳神経外科医を中心に、学会ではPAの創設に前向きな意見が圧倒的に多い」ことを紹介しています。PAが活躍する場を目の当たりにし、かつ過酷な急性期医療の現場で日々手術等に携わる医師にとっては、「非常に魅力的なタスク・シフティング先」と捉えられているようです。

ただし新井理事長は「若手医師のトレーニング」とのバランスを考慮することが必要とも指摘しています。手術場では、シミュレーションでは得られない経験を得ることができ、若手医師にとって貴重な実践訓練の場と言えます。ここで、PAにあまりに多くの業務を移管してしまえば、若手医師が「お客さん」になってしまいかねません。「働き方改革」と「技能習得」の双方を考慮したタスク・シフティングを検討していくことが重要なようです。

なお、日医の今村聡副会長は、既存の医療関係職種の中でも「病院に勤務する薬剤師」「医療秘書」の活躍に期待を寄せています。

特定行為研修を修了した看護師、「特定行為」の拡大についてどう考えるか

学会からは、具体的な「タスク・シフティング」案も提示されました。

例えば、日本脳神経外科学会は、看護師へ▼血管撮影、血管内治療後の圧迫止血、止血確認、圧迫解除▼気管チューブの位置の調整、呼吸器管理、中心静脈カテーテルの抜去、末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入、創部ドレーンの抜去、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保、抗痙攣剤の臨時投与▼鎮静が必要な患者・アレルギーのある患者の検査への立会い▼血管内治療の介助業務(血管撮影における圧迫止血・止血確認・圧迫解除を含む)▼脳卒中の初期対応(病歴聴取、検査オーダー等)▼救急車での患者移送の際の同伴(重症例は除く)―などを業務移管することを提案しています。

このうち「血管内治療の介助業務」などは現行法令では、看護師の実施が「認められてない」「明確に示されていない」ものではあるものの、新井理事長は「特定行為(一定の研修を修了した看護師について、医師の包括的指示の下で実施可能となる医行為)として、トレーニング(特定行為研修)を必須とすることで看護師への業務移管が可能ではないか」と期待を寄せています。手術場や病棟において看護師の働きぶりを見る中で、「こうした業務も十分に実施できるであろう」との判断がなされているものと思われます。

これらは「特定行為」の範囲拡大につながっていきますが、日医の今村副会長は上記(2)に関連して、「特定行為研修を修了した看護師」について、「特定定行為の拡大」をするのではなく、▼研修のパッケージ化▼修了者の増加―を最優先に進めるべきとも強調しており、医師の間(例えば、急性期医療の現場に従事する医師と、診療所等の開業等との間など)では、考え方に違いのあることが伺えます。

もちろん「一方が正しく、一方が誤っている」類の話ではありません。タスク・シフティングの必要性という点では、医師会も学会も完全に同じ方向を向いており、「第1段階としてどこまで進めるか」という点で温度差があるに過ぎません。さまざまな機会を通じてエビデンスに基づいて議論をする中で、「まず、ここまで広げてみよう。次にその結果を検証し、さらなる拡大を行うべきか考えていこう」と意見を擦り合わせていくことが重要でしょう。

また日本病理学会の佐々木毅理事は、▼臨床検査技師(専ら病理検査を担当する臨床検査技師・認定病理検査技師であることが望ましい)へ「手術検体等に対する病理診断における切り出し補助業務」を移管する▼臨床検査技師へ「画像解析システムによるコンパニオン診断(免疫染色)等(乳がんHER2など)に対する計数・定量判定補助」を移管する▼バイオインフォーマティシャンへ「分子病理診断(高度な解析技術を要する遺伝子診断)」を移管する▼臨床検査技師へ「デジタル病理画像の取り込み・機器の調整・データ管理等」を移管する▼認定病理検査技師へ「病理診断報告書のチェック」を移管する―ことを提案しています。

さらに佐々木理事は既存の「臨床検査技師の業務」について、一部の衛生検査書では「無資格者が実施しているという話も聞く。検査の質を担保するためにも、国家試験に合格した臨床検査技師の業務独占とすべき」と訴えています。

職能団体は、法令の壁も越えて「我々にこの業務を任せてほしい」と要望

 またヒアリングでは、タスク・シフティング先となるメディカルスタッフの団体から「我々に個の業務を移管すべき」との逆方向からの提案も行われました。

 例えば、日本技師装具士協会は「四肢切断術後のドレッシング等の断端形成や、切断者への断端管理に関する指導」などを、日本視能訓練士協会は「白内障・屈折矯正手術におけるオペレーター業務や、脳障害・外傷・高次機能障害などの後遺症に対する視機能回復訓練」などを、日本医師事務作業補助研究会は「検査手順の説明業務や電子カルテの記載」などを、言語聴覚士協会は「高次脳機能障害(認知症含む)・失語症・言語発達障害などの評価に必要な臨床心理・神経心理 学検査種目の選択・実施、および検査結果の解釈、嚥下訓練・摂食機能療法における食物形態等の選択」などを、日本臨床工学技士会は「心・血管カテーテル治療時のカテーテル操作の補助(カテーテルの保持、身体への電気的負荷等)」などを、「我々に任せてほしい」と要望しています。

もちろん、さらなるスキルアップに取り組むことを前提とした要望で、各職種の「向上心の高さ」が伺えますが、法令で規定された業務の範囲を超える内容も多数含まれています。今後、場合によっては「法令(医師法や保健師助産師看護師法など)」の見直しに向けた検討が行われる可能性もあります。

ただし、「法令で規定された業務」に基づいて教育・国家試験の内容が規定されていることなどもあり、法令の見直しに当たっては、多くの関係者を交えた慎重な議論が必要となります(1つの職種の業務範囲見直しは、他職種の業務内容にも影響を及ぼすため、総合的な検討が必要となる)。要望内容が「即、法令改正につながる」ものと考えることは早計に過ぎるでしょう。まずは、現行法令の範囲の中で、「●●行為は〇〇職種の業務の範疇に含まれる」ことなどを明確化していくことが現実的かもしれません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680487
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の健康、働き方は「自身の手で管理」- 中嶋義文・三井記念病院精神科部長に聞く◆Vol.1
産業保健は集団的・多面的アプローチ必要で
 
インタビュー 2019年6月16日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制ばかりに注目が集まるが、産業保健の視点が欠けているとの指摘は少なくない。時間外労働の上限を超える場合には、面接指導を行う必要があるなど、制度上も医師の健康管理にも留意するよう設計されている。
 日本医師会の「医師の働き方検討委員会」の委員などを務め、産業保健に造詣の深い三井記念病院精神科部長の中嶋義文氏に産業保健の大切さ、三井記念病院での取り組みなどをお聞きした(2019年5月22日にインタビュー。全3回の連載)。

――産業保健の立場から、医師の健康管理の現状をどう見ておられるのかをまずお聞かせください。

 私は、日本医師会の「勤務医の健康支援に関する検討委員会」に十年来所属、最近は「医師の働き方検討委員会」の委員を務めるなど、産業医として活動しています。医師の場合、自分の健康に対しての意識が低いことは、前々から指摘されてきました。「勤務医の健康支援に関する検討委員会」が医師を対象に「健康状況」を調査した結果、2009年と2015年の比較では、健康状態がやや改善傾向にありました。ただし、自分自身の不調について、他の医師に相談するケースも少しは増えていますが、まだ十分ではないことが明らかになっています。


日本医師会の「勤務医の健康支援に関する検討委員会」の健康状況に関する結果
――なぜ医師は、自身の健康問題への関心が低いのでしょうか。

 恐らく「自分は大丈夫」といった自信を持っておられるのではないでしょうか。健康診断の受診率も低く、他の職員に比べて、多忙を理由に受診しない人が多い傾向にあります。

 医師は職業柄、他の人の面倒を見る立場にあり、自分の弱さを認めるのが苦手、あるいは認めたくないという心理も働くのではないかと思います。だから、何らかの健康問題を抱えても、他の医師に相談するのがどうしても遅れてしまう。ましてや疲労、あるいはメンタル面の問題については、そのような傾向があるのでしょう。


働き方改革では、病院長がイニシアチブを取ることが重要だが、同時に個々の医療従事者も「自分の健康は自分で守る」という意識を持つことが大切だという。
――医療機関の産業保健の体制も、やはり遅れているのでしょうか。

 日医の「産業保健委員会」が2017年3月から4月にかけて、日医会員の医療機関施設長を対象に実施した「医療機関における産業保健活動に関するアンケート調査」では、体制はある程度整っている一方で、実務上はまだ課題があることが分かりました。例えば、産業医の選任率は92.3%と高かったものの、施設管理者である医師が、産業医を兼任している施設が19.3%ありました。兼任は法的にも、また実務的にも問題です。一方、施設外の医師が産業医を務めるのは17.3%にとどまっています。

 具体的な産業保健の取り組みとして、長時間労働者に対する面接指導も、25.0%が実施しており、これは私の予想よりは高い結果でした。今後、時間外労働の上限を超える労働者に対しては、面接を行うことが必要になります。産業医の役割が増す中で、自院の産業医では対応できない場合に、外部に委託するような体制づくりが必要になるのではないかと考えています。

 働き方改革に先んじて、取り組みが進んでいるのは、ストレスチェック。高ストレス者への面接指導は、60.6%の施設で実施していました。メンタルヘルス担当の産業医も約半数が置いており、担当産業医がいなくても相談先を持っている施設が2割、合わせて約7割なので、それなりに体制が整いつつあるように思います。

――医師の時間外労働の上限規制は2024年度から適用ですが、それ以外の職種についてはこの4月から既に上限規制が始まっています。産業保健の基本的な考え方をお教えください。

 重要なのは、「包括的管理の推進」という視点です。産業保健活動を進めるには、誰か一人、あるいは一つのグループだけではなく、複数の人、部署が連携しながら集団的・多面的に取り組むことが必要です。産業医だけではなく、病院長や管理監督者、あるいは医療従事者自身、それから患者さんや地域にそれぞれお願いしなければいけないことがあるという考え方です。その中で、産業医は、“旗振り役”という位置付けです。

 何より病院長が、今回の労働基準法等の改正内容を理解し、働き方改革を進めなければいけないという、強いイニシアチブを持って進めていただくことが第一。

 同時に管理監督者、具体的には診療科長など各部門のトップの役割が、とても重要になります。医療機関の場合、各部門によって仕事の量や内容、進め方が異なるからです。医師に限らず、各スタッフにどんな仕事を、どのくらい任せるかなどを決めたりするほか、疲れ具合の把握など、現場の労務管理は各部門の管理監督者が行う立場にあります。中には、いまだ労働法制に関する基本的な知識が不足している方もおられるので、勉強していただかなければなりません。

 そしてやはり医療従事者自身、特に医師には、「自分の健康は、自分自身で守る」という意識を強く持っていただきたい。睡眠を確保し、乱暴な生活をしない、あるいは適切な飲酒や運動習慣を身に付けるなど、一般的な意味での健康管理を意識しなければなりません。

 さらに今回、働き方改革が法制化されたわけなので、「どんな仕事を、何時間実施しているのか」など、時間管理に対する意識を持つと同時に、自分の働き方を自分で決めるという意味での勤務時間管理も意識する必要があります。

――「自分の働き方を自分で決める」というのは。

 医師は業務独占で、自律度の高い職業です。それ故、本当に大変になった時に、その職場やその職から離れて、異動や転職することは可能です。自由度が高い分だけ、自分を守ることはできるはずですが、中には命じられるがままに、あるいは求められるがままに働いてしまう習慣が見られます。あるいは意気に感じたり、「懸命に働くことが医師の本分」と考え、働き過ぎてしまって、それで良し、と考えられている方もおられるでしょう。それ自体は立派なことだと思いますが、医師も生身の人間。自分自身がどれぐらい疲れているか、睡眠や食事、飲酒などについて自己管理しないと、結局は自分、ひいては患者さんの診療体制を守れないと思います。

 ワークライフバランスという言葉があります。仕事をしている時間と、それ以外の時間とのバランスを取ることではなく、働き方について自分で決めることが、ワークライフバランスだと私は考えています。多少忙しくても、自分自身で決めたことなら、バランスが取れているのだと思います。ただし、その前提として、先ほども言いましたが、自分の健康は自身を保つように意識付けをしていただくことが大事です。

――「患者や地域医療体制」の役割も重要になる。

 医師の働き方改革の議論を進めると、いつも医師の応召義務の話が出てきます。あるいは不要不急の受診、時間外や休日の患者・家族への説明なども問題になります。患者さんにとっては便利なのかもしれませんが、医師をはじめとする医療従事者にとっては、疲弊につながります。国も、「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を立ち上げて2018年末に報告書をまとめましたが、制度として、これらを防ぐ体制、あるいはコンセンサス作りが必要でしょう。



https://www.m3.com/news/general/683041
病床利用 70%届かず 経営形態変更の可能性も 坂井市立三国病院  
2019年6月19日 (水)配信福井新聞

 坂井市立三国病院の病床利用率が2011年度以降、70%未満にとどまっていることが17日、分かった。20年度中に70%以上を達成できない場合、国から指定管理者や地方独立行政法人などへの移行を迫られる可能性がある。

 同日の市会一般質問で、辻人志議員(政友会)がただした。坂井哲夫事務局長が答弁し「状況は極めて厳しい」と述べた。

 国は15年3月、公立病院改革の新ガイドラインを定め、病床利用率が、継続して70%未満の病院は経営形態の見直しなどを検討すべきとした。三国病院は105病床あるが、利用率は60%前後で推移。70%を確保するには、さらに10~15人の入院患者が必要になる。

 同病院は16年度に20年度を目標とする新改革プランを策定。17年7月には、病状が安定した患者の在宅復帰に向け医療管理やリハビリ、退院支援などを効率的に行う地域包括ケア病床を43床導入するなどしているが改善には至っていない。

 坂井事務局長は「認知症高齢者ら慢性期療養型病院が対象となる患者も柔軟に受け入れる体制にしなければならない」と答弁し、年内の目標達成を目指すとした。



https://www.m3.com/news/general/683030
医師定着結びつかず 岩手・奥州市の養成奨学金制度  
2019年6月18日 (火)配信岩手日報

 岩手県奥州市は17日、市の医師養成奨学金制度を活用した学生13人中5人が、条件である市内の病院への勤務をせずに奨学金を償還したことを明らかにした。最近6年間は応募者ゼロの状況も続いており、制度の目的だった地元の医師確保に結びついていない。市は奨学金増額など制度の見直しを検討する。

 同日の市議会6月定例会一般質問で答弁した。市医療局によると、償還した奨学生は2017年度1人、18年度3人、19年度1人。いずれも市外出身者で、600万~2千万円程度貸し付けしていた。

 専門は消化器内科や産婦人科など。家庭事情や診療体制が希望にそぐわないことなどを理由に挙げている。

 07年度創設の同制度は、市立病院や診療所に勤務する意思がある学生を対象に入学一時金(上限720万円)と月額(同20万円)で計最大2160万円を貸し付ける。一定期間勤務すると返済を免除し、地元の医師定着を促す仕組みだ。

 県医療政策室によると、県などの医師養成の奨学金制度は08年度スタートし、19年度は53人(前年度比11人増)が県内の公的病院の現場に配置された。4月1日現在、計537人に貸し付け、返還者は43人。返還は在学中が目立ち、医師になってからは18人で、奥州市の割合は高いといえる。

 市医療局によると、現段階で奨学生の勤務実績はなく、20年度着任予定の小児科医が最初となる見込み。奨学生のうち、同市出身者は2人。14年度から応募者がおらず、岩村正明病院事業管理者は「他の奨学金制度と比べて魅力がある制度にする必要がある。貸し付け額の増額を含め、利用しやすい制度に見直しする」と語る。



https://www.m3.com/news/general/682792
秋田・厚生連2病院、公設民営を検討 赤字解消へ県と協議  
2019年6月17日 (月)配信河北新報

 秋田県内9カ所で総合病院を運営する県厚生農業協同組合連合会(厚生連)が、慢性的な赤字経営に陥っているかづの厚生病院(鹿角市)と雄勝中央病院(湯沢市)の公設民営化を視野に入れて検討していくことが分かった。厚生連は既に、県と病院経営の在り方を議論する協議会を設立。財政面の支援策も話し合い、県内の各医療圏域で中核的役割を担う総合病院経営の健全化を図る。

 厚生連は3月、安定的な病院運営のための長期ビジョン(2019~25年度)を策定。第1期経営健全化計画でかづの厚生病院と雄勝中央病院を主な協議対象に据え、4月に協議会を発足させた。

 長期ビジョンでは両病院の公設民営方式に言及し「行政と本格的な検討に着手する」と明記した。稼働率の低い病床の廃止や医療機能集約も選択肢に入れ、地域医療維持の方策を探る。

 17年度の事業損益はかづのが約3億8863万円、雄勝が約2億1718万円の赤字だった。18年度はかづので若干の改善があるものの、雄勝は約1億2900万円の赤字増が見込まれる状況だ。

 協議会は年2回の会合を予定し、厚生連と県の双方の関係者が病院の決算や運営状況の内容を共有する。厚生連は地域の医療事情に配慮しながら、赤字解消を図るため経営面を重視した事業計画を提案。県から助言を仰ぎ、必要に応じて財政支援を求める。

 厚生連グループ全体としては、採算が合わない病棟の閉鎖や医薬品の共同購入などにより経営改善を進める。特にかづの、雄勝両病院は人口減少に伴う患者数の先細りや医師不足の傾向が顕著で、経営努力だけでは限界があるという。

 厚生連は「地域医療を維持するために県と意識を共有し、具体的な方向性を定めていきたい」と説明している。



  1. 2019/06/23(日) 09:43:28|
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