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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月9日 

https://www.fnn.jp/posts/00046633HDK
なぜ?医師数は過去最多32万人でも“医師不足” 「地域医療が成り立たぬ」現場の声  
めざましテレビ  2019年6月5日 水曜 午後0:30

常勤医師不在の間に11人死亡 施設側は「地域医療成り立たない」

全国各地で医師不足が深刻化している。

今月、熊本県八代市にある介護老人保健施設「アメニティゆうりん」で、条例で義務付けられている常勤の医師が不在だった2018年2月から5月までの間に、入所者11人が亡くなっていたことが判明した。

カルテに不審な点はなく、県は施設に対して速やかに医師を配置するよう勧告した。
しかし、施設の理事長は「一生懸命、いろいろな方のツテを頼って医者を探したが見つからなかった。非難されるのであれば地域医療は成り立っていかない」と話した。

医師数は過去最多 なのになぜ医師不足?

厚生労働省のデータによると、全国で医師の数は過去最多となる約32万人。その一方で、専門家は問題を指摘する。

医療ジャーナリスト油井香代子氏:
医師の数は地域によって違いがあり、医師が集中するのは大都市です。
最先端の医療技術があり、情報が多くあるので都会に集中する傾向があります。
その影響で人口の少ない過疎地には、どうしても医師が不足するということになります。

医師不足 の背景に“県内格差”
人口10万人に対する医師の増減データをみると、「大都市医療圏」にくらべると、「過疎地域医療圏」では医師の数が減少している地域が多いことがわかる。
そして意外にも、全国で最も少ないのが埼玉県である。

医療ジャーナリスト油井香代子氏:
東京に近くて県庁所在地のある、比較的人口密集した都会は医師が足りているが、郊外に行って都心からどんどん離れるに従い医師の数は減ってきています。

埼玉の北部に位置する熊谷市の「熊谷生協病院」に内情を聞いた。

「熊谷生協病院」小堀勝充院長:
3月まで整形外科の外来をやっていましたが、医師不足の影響で派遣をしてもらえないことがあり、4月から整形外科の外来を閉じている状態です。
入院患者や救急患者の対応が十分にできないことと、休日夜間の緊急患者の対応が十分にできない現状。
常勤の医師はあと4人くらい欲しい。

医師不足解消も視野に、熊谷生協病院では研修制度を導入しているという。

「外来が患者であふれかえっている」

医師不足が更に深刻な地域では、自治体が主体となって非常勤の医師を雇っているという。

ある女性医師は、住居のある埼玉県や東京都内の医療機関に勤務しながら、定期的に北海道などで非常勤で勤務しているという。

消化器内科医・産業医 渡辺由紀子医師:
ピンチヒッター的に数日間、呼ばれたので行ってみると診療体制がとても大変なことになっていた。
外来が患者で溢れかえっていてそのときはかなりショックを受けました。
“ありがとうございます”という手書きの手紙をもらうこともあり、感謝していただける事が一番やりがいにつながります。

常勤医師不在の3年を経て診療再開

そんな中、秋田県湯沢市唯一となる市立の診療所・皆瀬診療所で、3年以上にわたる常勤医師不在が解消され、ついに常勤の医師による診療が始まった。

岩手から赴任した55歳の男性医師は内科と外科が専門で、傷の縫合手術や胃の内視鏡検査も可能に。
今後、湯沢市は必要な設備を充実させていくという。

湯沢市福祉保健部の佐藤恒雄部長は「お医者さんがいなくなってからの3年間で6割程度患者さんが減少し、少ない時で10人というような状態になっていた。人口も減っていて、これから医療は少しずつ変わっていくと考えているが、地域の住民が安心して生活できるような医療を目指し、医師と一緒に市全体の医療を作っていきたい。」と話す。

総務省と厚労省は今後、医師の確保が困難な地域の公立病院に対して、財政措置を拡充していくということだ。

遠隔診断やAIが医師不足解消の糸口に

地域の医師不足の対策として専門家は、最新技術の活用を提案する。

医療ジャーナリストの油井香代子氏:
オンラインによる遠隔診断やAIを使った検査や診断も医師不足解消の糸口になる。

(「めざましテレビ」6月5日放送分より)



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45727200V00C19A6000000/
救急病院がネット資金調達 2千万円、医師不足が深刻  
社会
2019/6/5 19:08 日本経済新聞

大阪府三島救命救急センター(高槻市)は5日、深刻な医師不足で存続が危ぶまれるとして、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで2千万円の調達を目指すと発表した。人手不足で急患の受け入れを制限しており、非常勤の医師ら4~5人を採用する資金に充てる。病院がネットで人件費などの運営資金を調達するのは全国的にも珍しいという。

同センターは、総合病院などを母体とせず独立採算で運営する「単独型」の救命救急拠点。心筋梗塞や脳卒中、交通事故のけが人などの救急患者を24時間受け入れている。2018年度の搬入患者は926人だった。

施設の老朽化などで3年後に高槻市にある大阪医科大学内への移転を予定しているが、10年度に27人だった医師数は今年7月には13人に半減する見込みで、当面の運営維持も厳しいという。

高槻市や近隣自治体などから補助金を年約6億円受け取っているが増額は見込めず、医療機関としては異例のネットでの資金調達に踏み切った。9月3日午後11時まで受け付けている。

5日にセンター内で記者会見した福田真樹子副所長は「医療者の不足で患者が受け入れられず、医療収入が落ちる悪循環に陥った」と説明。「地域医療を続けるため支援していただきたい」と訴えた。〔共同〕



https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000010134.html
「医師の数は不足していると思うか?」について、医師の45%が「不足している」と回答
MedPeer会員医師へのアンケート調査
 
メドピア株式会社 2019年6月7日 11時22分

メドピア株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 CEO:石見 陽)は、医師12万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営し、医師同士が経験やナレッジを「集合知」として共有する場を提供することで、医師の臨床やキャリアを支援しています。この度、会員医師を対象に、「医師の数は不足していると思うか」についてのアンケートを実施いたしましたので、その結果をお知らせいたします。
※本アンケートは、会員医師から投稿された質問を中心に行っている「MedPeer」内の公開型アンケートサービス「FORUM Survey(フォーラム・サーベイ)」で実施されたものです。

調査結果:「医師の数は不足していると思うか?」
(回答者:MedPeer会員医師3,000人、調査期間:2019/5/17~2019/5/17)
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・「医師の数は不足していると思うか?」の質問に対し、3,000人の医師が回答した。最多回答は「どちらとも言えない」(34%)であったが、「不足している」および「どちらかといえば不足している」と回答した医師が計45%を占め、医師の数について不足を感じている医師が多いことが分かった。

・「不足している」「どちらかといえば不足している」と回答した医師のコメントでは、不足していると思う理由として、地域や診療科による「医師の偏在」や、医療の細分化と高度化、医療への要求レベルの高まり、働き方改革によって必要な医師数が増えていることを挙げる声が多かった。

・「足りている」「どちらかといえば足りている」と回答した医師のコメントでは、問題なのは「医師の偏在」や事務作業などの「無駄な業務の多さ」であり、医師の総数自体は足りている、という声や、「人口減少により将来的には余る」という声が多く見られた。

回答コメント(一部を抜粋)

「不足している」  497件
・医療の細分化や多岐にわたる医療ニーズで必要医師数も増えているため。働き方改革などで今後ますます不足すると思われる。(50代、勤務医、消化器内科)
・都会の病院でさえ、今も医師を集め続けています。地方も、郡部はいわずもがなですが、都市部でさえ、昼間の医師数はなんとか足りているとしても、夜間・休日の医師数は全く足りません。(60代、勤務医、消化器外科)
・医師の労働時間を減らすためには、色々な案が出されていますが、主治医制を撤廃する事だと思います。チーム医療にして、誰が抜けてもチームの他の医師で補い合える状態を目指すには、やはり医師数が足りません。(60代、勤務医、消化器外科)
・自由に科を選択でき、自由に開業できることは素晴らしいですが、医師の偏在による医師不足はその影の部分だと思います。(30代、勤務医、一般外科)

「どちらかといえば不足している」  844件
・地方でも都心でも、救急や総合病院では常に人手不足です。このまま進行すると、医師が自分の好きな科を選べず、強制的に配置される時代がくるのでは…と思ってしまいます。(30代、勤務医、精神科)
・救急とか産婦人科とか、大変な部署は不足していると思います。あと、へき地もです。医師の数は増えても、自分は楽をしようという考えの若い先生が多いので、今後も地域格差、部門格差は改善されないと思います。(50代、勤務医、一般内科)
・地方勤務医ですが、東京で勤務していた時に比べて勤務医の偏在化を顕著に感じます。また、マイナー科(血液内科、膠原病内科など)は明らかに足りておらず、どの科に注目するのかで話が変わるかと思われます。(40代、勤務医、腎臓内科・透析)
・丁寧な診察をする、救急特に夜間に対応するには不足していると思います。しかし、政治的に医療費を抑制する方向に導いているので、病院の経営としては増やしがたいのでは。(60代、勤務医、循環器外科)

「どちらとも言えない」  1,011件
・地方では医師の絶対数が不足しているのかもしれない。しかし自分の開業している付近では病院やクリニックはたくさんあり、医師に不足はしていない。(50代、開業医、皮膚科)
・周りを見回してみて、足りないという印象はありません。さらに患者受診数が減ればますます不足感はなくなると思います。自己管理を啓蒙啓発することで無駄な受診は減らすことができるはずです。病気かどうかわからない人の病院通いが多すぎます。(60代、勤務医、一般内科)
・どちらでもなく、医師に課せられたどうでもいい業務量が圧倒的に多すぎるのだと思います。業務に限らず臨床研究における書類申請しかり、専門医制度しかり。生産性の低い国民性が全ての原因でしょう。(40代、勤務医、放射線科)
・病院の数が多すぎるのと、フリーアクセスで専門医への受診も患者が自由に選べることで医師の負担が増えている。医師の数自体は集約すれば足りるのではないでしょうか。(30代、勤務医、家庭医療)

「どちらかといえば足りている」  415件
・地方都市の急性期病院レベルでは患者数が減り始め、医師がそこまで不足している実感はないです。急性期病院の医師数の問題は、病院を集約すれば概ね解決するような気がします。(40代、勤務医、精神科)
・医師数としてのみ考えれば、当然足りて余るぐらいでしょう。しかし、現実は偏った診療科に大都市集中により、当院も慢性的な医師不足が10年以上も続き、もうじき私自身も定年へ。(50代、開業医、一般外科)
・絶対数は足りていると思います。偏在(地域・診療科)の問題と、常勤ではなくバイト・育休産休からそのまま復帰しない医師などが問題かと思います。(30代、勤務医、一般内科)
・医師不足ではなく、医師の労働内容の無駄が医師の診療時間を制限していると感じます。(50代、開業医、産婦人科)

「足りている」  233件
・既に人口比で医師数は足りている。足りない様に思えるのは診療科と地域の偏在のため、そう見えるだけ。不要なのに医学部を今更増やすなどで、近い将来医師は大々的に余ってくるだろう(60代、勤務医、脳神経外科)
・以前、不足している病院にいてものすごく大変でしたが、隣の病院には医師があふれていました。偏在しているだけです。地域というより、病院ごとに違います。楽な病院ほど人気があり、医師が余っています。(50代、開業医、一般内科)
・私たちが医師になるときには「医師過剰時代」「医者では食っていけなくてタクシー運転手になる」などと脅され、以降も毎年8000人以上が医師になっているのになぜ未だに不足なのか理解できない。(50代、勤務医、健診・予防医学)
・足りないんじゃなくて、偏っているだけです。臨床研修医制度が始まる前はそこまで医師不足とは言われていませんでした。(40代、勤務医、血管外科)

調査概要

調査期間:2019/5/17 ~ 2019/5/17
有効回答:3,000人(回答者はすべて、医師専用コミュニティサイトMedPeerに会員登録をする医師)
調査方法:MedPeer内の「FORUM Survey」コーナーにおいて、医師会員からご投稿頂いたテーマをもとに、以下の質問を投げかけました。


医師不足や地域偏在に関連する報道をよく見ます。
地域で見れば開業医が多く、総合病院の医師が少ないだけで、医師の数はそこそこという都市もあると思います。そのせいか日本の医師数は他のOECD(経済協力開発機構)加盟国と比べると少ないが、病院数は1番多いです。
医師の数は不足しているのか、それとも不足しておらず医師配置など他に問題があるのか皆さまはどう思いますか。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
1. 足りている
2. どちらかといえば足りている
3. どちらとも言えない
4. どちらかといえば不足している
5.不足している



https://www.medwatch.jp/?p=26812
公立・公的病院等の再編・統合、国が「直接支援」する重点地域を2019年夏に策定―厚労省・医療政策研修会  
2019年6月7日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今夏から「各地域(地域医療構想区域)の病院がそれぞれどのような診療実績を有しているのか」などのデータをもとに、公立病院・公的病院等の機能改革内容を再検証し、検証結果によっては再編・統合等の検討を行うことになる。それと前後して、国と都道府県とで協議し、「再編・統合等に向けて国が重点的に支援する地域」を定め、国が「直接の支援」を行う―。

 厚生労働省が6月7日に開催した「都道府県医療政策研修会」(以下、研修会)で、こういった点が明確にされました。

ここがポイント!
1 診療実績データもとに、公立・公的病院等の機能改革について再検証
2 公立・公的病院等の機能改革、「民間との競合がないか」などが重要な視点
3 国が再編・統合を「直接支援」する重点地域を、都道府県と協議して設定
4 地域医療構想・医師働き方改革・医師偏在対策の整合性が重要

診療実績データもとに、公立・公的病院等の機能改革について再検証

2025年度の「地域医療構想の実現」を目指し、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で「病院の自主的な機能改革」に向けた議論が進められています。まず2018年度中(2019年3月まで)に「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっており、ベッド数ベースで、▼公立病院は95%(2018年12月末から47ポイント向上)▼公的病院等は98%(同38ポイント向上)―の合意が得られています(ほとんどの公立病院・公的病院等で「機能改革」に関する合意ができた)。
 
ただし、機能別の病床数割合の推移を見てみると2017年度から2025年度にかけて大きな変化は見られず、また「合意を急ぐあまり、形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっているケースがある」との指摘もあります。
 
そこで、厚労省の「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、次のように「合意内容の検証をする」ことを決めました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

▽各医療機関(民間も含めて)における▼がん手術の実績▼がん化学療法の実績▼心血管疾患の診療実績▼脳卒中の診療実績▼救急医療の実績▼小児医療の実績▼周産期医療の実績―などの精緻なデータを洗い出す(厚労省で分析中、2019年夏頃に結果が示される見込み)

▽データをもとに、公立病院・公的病院等の果たしている機能を分析し、合意内容を検証。検証結果を踏まえて、必要な対応を要請する

▼公立・公的等でなければ果たせない機能に特化していると判断された場合
→現在の機能を維持する公立・公的病院等

▼民間病院と競合している機能(例えば、がん診療、循環器領域など)があると判断された場合
→民間病院のキャパシティなども考慮した上で、当該機能を民間病院へ移管することができないかを検討する(【一部の機能転換】等の検討)

▼多くの病院に手術症例等が拡散しているなどと判断された場合
→地理的要素(患者のアクセス)なども考慮したうえで、「病院同士の再編・統合」を検討する(【再編・統合】等の検討)

公立・公的病院等の機能改革、「民間との競合がないか」などが重要な視点
 
 地域医療構想の実現に関しては、「病棟が実際に果たしている機能」と「病床機能報告で報告されている機能」とをできる限りマッチさせることが重要です。病床機能報告結果が「実際の機能」と乖離していれば、調整会議での「急性期と報告する病床がニーズに比べて過剰なので、不足する回復期機能への転換を促してはどうか」などといった議論が意味をなさないからです。

さらに公立病院・公的病院等では、上述のように「公立病院・公的病院等でなければ果たせない機能に特化しているか」「民間病院との競合はないか」という視点が欠かせません。

この点、例えば、ある公立病院の「急性期」病棟について、「実質的には回復期である」として回復期機能への転換を考えたとします。機能のマッチという視点からは「回復期への転換」が妥当ですが、「公立・公的等の役割」「民間との競合」という視点では、疑問も残ります。地域では「公立病院が高度急性期から回復期までの機能を網羅し、患者の囲い込みをしている」との指摘も出ており、地域で「当該公立病院が回復期病棟を持つことが適当か」という点を十分に議論する必要が出てきます。

国が再編・統合を「直接支援」する重点地域を、都道府県と協議して設定

 この再検証スキームについて厚労省は、「診療実績データの多くは、病院名も明らかにした上で公表する」との考えを提示。全国の病院の等身大の姿が「見える化」されることになり、客観的なデータに基づいた再編・統合論議が各調整会議で進むことが期待されます。

もっとも調整会議の議論が難航する地域も出てくると考えられます。例えば【再編・統合】等となった場合、吸収・廃止等される側の自治体などからは「近隣に病院がなくなってしまう。我々を見捨てるのか」という反対意見が出てくることも予想されます。また、首長が「病院の建設・存続・増床」などを公約に掲げている場合には、再編・統合論議は「政治的」な様相を帯びてくることも予想されます。こうした中で「調整会議で議論を進めよ」と依頼することは酷な場合もあります。

このため国は、「再編・統合論議を国が重点的に支援する地域」を定める仕組みも準備する考えを示しています(5月31日の経済財政諮問会議で根本匠厚生労働大臣が発表)。さらに、6月7日の研修会では、▼重点的に支援する地域は、国と都道府県とで協議する▼重点的に支援する地域の決定は、診療実績データの提示・公表と前後して行う(2019年夏頃の予定)▼国が「直接」支援を行う―考えが厚労省医政局地域医療計画課から明らかにされました。
 
対象地域がどの程度になるのかは明らかにされていませんが、国が「直接」に支援を行うためにその数は限られ、多くとも「十数程度」になるのではないか、と考えられます。今後、国と都道府県とで対象地域を検討します。

なお、5月29日の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」取りまとめでは、民間病院についても「大規模化・協働化」を提言しており、これは「民間病院についても再編・統合を進める」内容と言えます(関連記事はこちら)。
 
今夏(2019年夏)以降、公立・公的等にとどまらず、民間をも含めた「病院の大再編」が進む可能性があります。今後の様々な動きに注目する必要があります。

地域医療構想・医師働き方改革・医師偏在対策の整合性が重要

なお、こうした医療提供体制改革は、「医師の働き方改革」「医師の偏在対策」とも整合性をとって進める必要があります。厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長もその点を強調するとともに、「今後、医療環境がめまぐるしく変化していく。各施策(地域医療構想・医師働き方改革・医師偏在対策)の狙いを自治体・関係団体(医師会・病院団体等)にも十分に理解してもらい、医療行政の推進に協力してほしい」と強く要請しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
 このため研修会では「医師働き方改革」について、▼勤務医の時間外労働上限を、2024年4月から「原則960時間以下」「地域医療確保に欠かせない救急科などは暫定的・特例的に1860時間以下」「研修医や高度技能獲得を目指す医師は暫定的に1860時間以下」とする▼今後、5年の間に「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を強力に進める―ことなどが詳細に解説されました。
 
また医療提供側がどれだけ働き方改革を進めても、患者が「夜間のほうが待ち時間がない」などと考えて夜間救急外来を一般の外来のように受診したのでは、医師の労働時間は短縮しません。このため厚労省は、有識者も交えて「上手な医療のかかり方」の考えをまとめ、これを普及・啓発していく考えを強調しています。この点について、11月を「上手な医療のかかり方月間」とし、都道府県にも振興に向けた協力を要請しています。



https://www.medwatch.jp/?p=26723
「医師確保計画」作成に当たり、医師個々人のキャリアパスなど丁寧に勘案せよ―医学部長病院長会議  
2019年6月4日|医療現場から MedWatch

 医師偏在の解消に向けて都道府県が「医師確保計画」を作成するが、そこでは単なる人数合わせでなく、医師個々人のキャリアパスなどを十分に勘案しなければならない。都道府県は医師確保計画作成に当たり、当初より大学医学部と緊密に連携する必要がある。また医師の働き方改革に向けて、労働時間短縮等を強力に進めていくが、そこでは「病院の財政基盤強化」が必要であり、国が補助などを検討すべきである―。

 全国医学部長病院長会議が5月31日に総会を開催し、こういった提言をまとめました。
 
ここがポイント!
1 千葉県や九州の一部県では、都道府県と大学医学部が連携して医師確保を進めている
2 医師の働き方改革実現に向けて、病院の財政基盤強化が不可欠
3 日本専門医機構、「専門医の質担保」よりも「社会的要素」に傾きすぎていないか

千葉県や九州の一部県では、都道府県と大学医学部が連携して医師確保を進めている

 医療提供体制の改革に向けて、審議会・検討会の論議は大方まとまり、これから「実行」に向けた動きが加速化します。▼地域医療構想▼医師偏在の解消▼医師の働き方改革―の3施策を、整合性を持った形で進めることになります。

 そうした中で全国医学部長病院長会議では、とくに▼医師偏在の解消▼医師の働き方改革―の2点に関する提言をまとめました。

 前者「医師偏在の解消」に向けては、人口10万対医師数に「地域の性・年齢別人口」「地域の性・年齢別医師人口」などを加味した新たな「医師偏在指標」に基づいて、都道府県・2次医療圏を、▼医師多数の地域(相対的に医師が多い上位3分の1の地域)▼医師少数の地域(同じく下位3分の1の地域)▼医師多数・少数のいずれでもない地域(同じく中間の地域)―に区分けし、「医師多数の地域から医師少数の地域への医師派遣を進める」「医師多数の地域では、他地域からの医師派遣を認めない」などの方針が打ち出され、これから各都道府県で「医師確保計画」の作成が進められます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
 この点について全国医学部長病院長会議は、「単なる人数合わせで進めては日本の医学・医療の発展を阻害する。医師の人材育成やキャリアパスの観点を考慮しなければならない」と強調し、例えば次のよう提言を行っています。

▽医師はそれぞれのキャリアパスの中で様々な経験を積み、自らの能力を高めるために大学や地域の医療機関を循環する。そうした医師育成の観点を踏まえずに、医師多数の地域から少数の地域への配置を行うことは不可能である。それぞれの医師の人材育成・キャリアパスを適切に考慮すべき

▽医師派遣の対象は「地域枠医師」を中心とし、また医師多数の地域では他地域からの医師確保は行わないとしている(一定の柔軟な取り組みが可能)。しかし、特定の集団(例えば地域枠医師)だけで調整しようとすれば、医師の人材育成やキャリアパスに歪みを生じさせかねず、また大学医学部ばかりが困難な派遣調整を迫られることにもなりかねない。「地域全体での医師の適正配置」の視点が不可欠である

▽「医師偏在の解消」と「医療提供体制改革」とは表裏一体であり、現状の医療提供体制を前提に医師確保計画を定めるのではなく、病院の再編・統合も含めた医療提供体制見直しを視野に入れて医師の適正配置を検討すべきである

この提言について嘉山孝正・専門委員長会委員長(山形大学医学部参与)は、「医師少数の地域から多数の地域への医師移動が認められないとなると、例えば『他県に派遣されていた医師が東京の病院に戻れない』などの事態が生じはしないのか。また医学部から病院へ医師を派遣する際には、その医師の能力(派遣先の病院で求められている能力を持っているのか、当該医師が抜けた穴は他の医師でカバーできるのか、など)を見極めて実施する。乱暴の医師の配置を決めれば、チーム医療体制が崩壊してしまう」ことを強調。都道府県が、今後、医師確保計画を作成するにあたっては、当初から大学医学部と緊密な連携をとることが必要と訴えています。

この点について山本修一・大学病院の医療に関する委員会委員長(千葉大学医学部附属病院長)は、「千葉県や九州のいくつかの県では、すでに大学医学部と連携し、医師のキャリアパスなどを考慮した医師確保の検討を始めている。特に医師不足が深刻な小児科や産婦人科について、医師確保をどう進めるかなど、具体的な検討も行っている」ことを紹介。他の都道府県でも、大学医学部と連携を強化していくことが喫緊の課題と言えそうです。

医師の働き方改革実現に向けて、病院の財政基盤強化が不可欠

 また後者の「医師の働き方改革」については、2024年4月から新たな時間外労働上限が勤務医に適用され、▼原則として年間960時間以下とする(いわゆるA水準)▼救急病院など地域医療確保に不可欠な場合には、暫定的・特例的に1860時間以下とする(2035年度の解消を目指す、地域医療確保暫定特例水準、いわゆるB水準)▼研修医や高度技能獲得を目指す医師については、暫定的・特例的に1860時間以下とする(技能獲得に必要な研修時間数などのエビデンスを構築する、集中的技能向上水準、いわゆるC1・C2水準)―ことが決まっています。今後、5年の間に全医療機関において、労務管理を徹底するとともに、タスク・シフティングやマネジメント強化などにより労働時間の短縮を進めることが求められます(関連記事はこちら)。
 
 ただし、B水準の対象はどの医療機関なのか、複数の医療機関で勤務する場合、労働時間は単純に通算するのか、など詳細についてはこれから詰めることになります。

 この点について全国医学部長病院長会議は、次のような提言を採択しました。可能な限り早期に、勤務医の負担をできるだけ軽減することを求める内容です。

▽B水準(地域医療確保暫定特例水準)の対象医療機関は、2024年4月の段階で「最小限」とし(広範に認めることは許されない)、その後、「対象医療機関の縮小」「終了年限(2035年度予定)の前倒し」を図るべき

▽C1水準(集中的技能向上水準、初期研修医・専攻医)について、早期に労働時間に関するエビデンス(何時間程度が技能獲得に望ましいのか)を構築し、それに基づき上限時間を適正化すべき

▽C2水準(集中的技能向上水準、高度技能獲得を目指す医師)について、その必要性を含めた総合的検討を行い、対象となる診療領域・指定医療機関等を決定し、そのうえで適正な時間設定を行うべき

▽労働時間短縮に向け、▼医師の業務効率化(主治医制からチーム診療性へのシフト、特定行為研修修了看護師を含む他職種へのタスク・シフティング、診療アシスタントの活用、ICT技術の導入など)▼医師の継続的就労・臨床現場への復帰支援体制の整備(弾力的な勤務形態の確保、24時間院内保育・病児保育体制整備など)▼病院の財政基盤強化―を図るべき

労働時間短縮方策の1つとして「他職種へのタスク・シフティング」が注目されます。また、「医師でなければ実施できない業務」は現状少なくないため、タスク・シフティングでは足らず「タスク・シェアリング」も重要でしょう。ただし、いずれにせよ「スタッフの増員」が必要となってきます(現時点で時間を持て余す医療職はなかなか見当たらない)。人員増には当然コストが伴うため、「財政基盤の強化」に向けた措置をとるよう全国医学部長病院長会議は強く求めています。

また、C2の対象について、厚生労働省は「専門医では広すぎ、いわゆるスーパードクターでは狭すぎる」と述べるにとどめていますが、山本委員長も「現時点でイメージがない。専門医資格を取得した後、特定の技術獲得を志す医師が対象になると思うが、具体的な議論はまだ進んでいない」と述べ、早急な対象の設定論議を希望しました。

 なお、大学病院の勤務医も、この働き方改革の対象となっていますが、山本委員長は「臨床系教員(助教以上)は、▼診療▼教育▼研究―の各分野の業務を並行的に遂行しており、診療中心の一般病院の医師とは働き方や業務内容が異なる」とし、「専門業務型裁量労働制」(対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労. 使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度)を基本とした働き方を可能とするなどし、「研究等へのモチベーション低下が生じないようにする必要がある」と訴えています。

日本専門医機構、「専門医の質担保」よりも「社会的要素」に傾きすぎていないか

 さらに全国医学部長病院長会議では、新専門医制度についても次のような提言をまとめています。

▽新専門医制度に関する日本専門医機構の業務は、「専門医の質の担保」以外の「社会的要素」に傾きすぎている。専攻医採用上限(シーリング)についても、基幹病院から関連病院に循環する要素を考慮しておらず、現場に即していない。例えば「基幹病院から関連病院に所属する人数」の扱いなどを反映させるべきである

▽日本専門医機構の執行部が一部の意見を取り入れすぎている。基本診療領域学会からの意見を十分に取り入れるとともに、全国医学部長病院長会議から副理事長を採用すべきである

▽日本専門医機構の独立性を担保するため、社員以外の団体からの資金導入はなるべく少なくすべきである

 このうちシーリングについては、2020年度採用の専攻医から、厚労省の示した診療科別・都道府県別の必要医師数をベースに、「医師不足地域での勤務を50%以上とする」などの連携プログラムを組み込んだ、新たな仕組みが導入されます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。日本専門医機構の前副理事長も務めた山下英俊会長(山形大学医学部長)は、「新たなシーリングの仕組みでも、提言にある課題は解消されていない。今後、全国医学部長病院長会議の提言も踏まえた仕組みとすべき」と指摘するとともに、「当初は『シーリングの効果』を数年間(少なくとも3年間)検証し、そのうえで必要な見直しを行う方針であった。しかし毎年度、制度をいじってしまっており、本来の趣旨から逸脱してしまっていないか懸念している」ともコメントしています。

日本専門医機構に対しては、病院団体からも提言が行われており、今後、これらをどう受け止めるのか注目が集まります(関連記事はこちら)。



https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190607000084
存続危機の診療所に医師3人勤務希望 京都・南丹  
【 2019年06月07日 13時13分 】 京都新聞

 医師の後継者不足で存続が危ぶまれている京都府南丹市美山町の美山診療所について、西村良平市長は6日、運営法人の美山健康会に対して3人の医師から勤務希望があったことを、市議会一般質問で明らかにした。

 西村市長は3月定例会で、診療所でただ一人の常勤医が美山健康会の理事長を兼務している現状を踏まえ、後を継ぐ医師の負担軽減を視野に市直営による運営も検討する方針を示していた。

 美山健康会によると、3月以降、東京都、兵庫県、京都市で働く30代、40代、60代の医師3人から、勤務希望があった、という。

 一般質問で西村市長は「面談した医師は地域の医療に真摯(しんし)に向き合いたいと思っておられた。ただ、医師によって通勤や周辺病院との役割分担に温度差がある。健康会と意見を擦り合わせた上で一定の流れを整理したい」と答弁した。

 さらに、有識者や医療関係者らでつくる市医療対策審議会を7月上旬から開始し、美山町の医療体制を継続する方向性を議論する方針を示した。

 西村市長は「美山健康会がつないでいる3人を市が将来、設置したところに移行していただく。診療所に籍を置くのか、高度な情報が手に入れやすい近隣の病院から派遣する形を取るのか、医師の希望がある。ともかく美山に関心を持っている医師を逃がさないようにしたい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/677393
シリーズ  医師の働き方改革とキャリア
働き方、地域医療構想、医師需給は「三位一体」- 迫井正深・厚労省審議官に聞く◆Vol.4
勤務医が自分自身の問題として捉えるのが原点
 
インタビュー 2019年6月5日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――「医師の働き方改革に関する検討会」では、2018年2月に「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」をまとめ、その実施状況調査を実施しました。今後も、働き方改革の進捗状況を把握するために、こうした調査を実施していく予定ですか。

 労働時間の管理や「36協定の締結」など、「緊急的な取組」でお願いしたことは、やっていて当然のことばかりです。その上で、それぞれの地域で必要な医療提供体制を考えながら、時間外労働の短縮に向け、PDCAサイクルを回していく。毎年かどうかは別として、その実施状況等の実態の把握は必要だと思います。


「医師の働き方改革は、将来の医療需要を見据えた医療提供体制とマンパワーの配置に体制を転換するための非常に強いドライビングフォースになる」
――「やっていて当然」とのことですが、調査結果が最初に出た時、どう受け止められましたか(『「緊急的な働き方改革」、実施は大学30.3%、大学以外26.8%』を参照)。実施率は高くはありません。

 皆さんも、「低い」と思われたのではないですか。私たちは、危機感を持ち、「意識改革こそがスタート地点」だと受け止めました。

――時間外労働がゼロとは想定しにくいですが、「36協定を結んでいないから、見直しの必要はない」との回答もありました。

 それはちょっと考え難い、ちゃんと向き合ってください、ということです。

――36協定は、管理者が労働者の過半数で組織されている労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者と締結する必要がありますが、労組に入っている医師は多くはないと思います。

 管理者との交渉の場に、医師も参画するのが望ましいとは思います。ただ、それ以前に、まず全ての勤務医に、自分自身の問題として考えていただきたい。医療界だけでなく、社会全体で働き方改革を進めようとしており、人ごとではないのです。最終的に、労働契約を結ぶのはご自身なのだから、どんな労働契約になっているのかをチェックしてくださいということです。

――先日の日本外科学会をはじめ、各学会で医師の働き方改革のシンポジウムが企画されるようになっています。

 外科学会は、働き方改革の影響を強く受ける学会の一つであり、それ故に危機感が強いのだと思います。しかし、長い目で見ると、働き方改革を進めることが外科医不足の解消にも大きく貢献するとの思いから、私は学会で講演させていただきました(『「外科医こそ率先して働き方改革を」、迫井厚労省審議官』を参照)。外科については、タスクシフティングをはじめ、具体策を比較的実行しやすい診療科だと思います。

――その他、今後の検討課題として「兼業、副業」、研究医の取り扱いの問題があります。

 研究職の扱いは、医学部だけの問題ではありません。研究内容は違いますが、他学部でも働き方改革については同様の課題を抱えておられるのですから、まずはアカデミアの中で、しっかりと考えていただきたい。

 「兼業、副業」が主に問題になるのは、大学病院の勤務医。兼業は賃金のため、という捉え方もされますが、私自身の認識はやや違います。大学病院などで開発あるいは有効性が認識された最先端の技術、新しい医療を、地域に広めていく、均てん化するプロセスでもあるわけです。さらには大学病院の医師が、日常生活に近い実地診療に触れることで医療の実相を理解することにもつながります。つまり、「兼業、副業」によりマンパワーを共有し、地域で必要な医療を、地域全体で支えることにつながっているという“意義”も理解すべきだと思います。この仕組みを壊さないような運用の仕組みを考えていくことが必要です。

――つまり、地域医療構想、医師の需給、そして医師の働き方改革は、「三位一体」であり、相互に関連してくるテーマ。昨日(4月24日)の医療部会でも議論になりました(『2040年の医療提供体制構築に向け「三位一体」改革推進』を参照)。

 その通りです。地域医療構想と医師需給の問題、そして医師の働き方改革を整合的に取り組まなければいけないと捉えているので、「三位一体」という表現を使っています。

 医療提供とマンパワーの在り方を最適にしていく取り組みがあり、それをどう動かすのかという話なのです。従来は、診療報酬や補助金がドライビングフォースとなり、支援をしてきました。医師の働き方改革は、将来の医療需要を見据えた適切な医療提供体制とマンパワーの配置に向かって、体制を転換するための非常に強いドライビングフォースになるのです。

――第一義的には、各医療機関レベルの働き方改革ですが、兼業・副業も含めて、地域全体で考えていかなければいけない問題になると思います。この辺りは、どこの場で議論していくことが想定されますか。

 出発点は、個々の医師、そして個々の病院ですが、次に地域で考えて行くという順になるでしょう。

 まずは個々の病院の課題を洗い出し、自院でできることを、しっかり検討して実施していただく。その上で、「自分の病院は、今のこの診療体制では働き方改革への対応は無理」となった時、地域でまとめた地域医療構想を一つの対応の方向として、重点化や集約化も視野に取り組むのが自然だと思います。

 このような個々の病院を超えた調整を進めるのは、やはり地域医療構想調整会議になるでしょうが、構想区域を越えた対応が必要になる場合も少なくないと思います。また、病院の診療体制の見直しは医師確保とセットで進めざるを得ない。そのような場合には、やはり都道府県に間に入っていただきたい。関係する病院にも入っていただき、お互いに各病院の状況を見ながら、皆で方向性を見いだし、地域での改革に取り組んでいただくことになります。

――医師の時間外労働規制は2024年度から。地域医療構想が目指すのは2025年。都道府県単位の医師偏在が解消するのが2036年であり、「B」(地域医療確保暫定特例水準)も2035年度末で終了です。

 その間に、6年に一度の医療計画の見直し、3年に一度の中間見直しがあります。これらをマイルストーンとしてやっていくことが必要です。



https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20190605474040.html
県央基幹病院「計画の見直しを」
有識者会議、周辺の病院集中を問題視
 
【社会】 2019/06/05 11:00 新潟日報

 新潟県財政の危機的な状況を受け、県が設置した行財政改革有識者会議は4日、新潟市中央区で2回目の会合を開いた。新潟県が三条市で2023年度の開院を目指す県央基幹病院について、周辺に既存の県立病院が多くあることなどから計画を見直すべきだとの意見が大勢を占めた。県は19年度中に病院建築工事の発注手続きを終える予定だが、有識者会議での意見を踏まえ、計画が見直される可能性が出てきた。

 県央基幹病院は燕労災病院と三条総合病院を統合再編する計画。450床を備え、県央地域にない救命救急センターを併設する。

 有識者会議は冒頭以外、非公開。終了後に記者会見した座長の小西砂千夫・関西学院大大学院教授によると、県央基幹病院計画について「相当問題がある」との認識を共有した。20年度に着工を予定するなどスケジュールが迫っていることから「即刻対応すべき」「何か手を打たないといけない」と計画の見直しを求める意見が相次いだという。

 見直しが必要な理由として、県央医療圏(三条、燕、加茂、田上、弥彦の5市町村)には、県立の加茂、吉田、公設民営の燕労災、民間の済生会三条、三条総合など病院数が多いこと=地図参照=や、統合する燕労災と三条総合の職員が全員転籍しても医師や看護職員が不足することなどを挙げた。

 ただ、併設される救命救急センターについて小西氏は「(県央の)現状では救急医療に対応できていない。救急機能を持った基幹病院を決して否定するものではない」とも強調。計画全体を具体的にどう見直すべきかについては有識者会議で踏み込んだ議論はなかったという。

 県によると、県央基幹病院は実施設計を終え、建築工事に向けた発注手続きの準備を進めている。会見に同席した県福祉保健部の福岡肇副部長は「県での議論も踏まえ、必要な対応を考えていく」と述べた。
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県の財政に「二つの洪水来る」

 県行財政改革有識者会議の小西砂千夫座長は、4日に開かれた会合後の記者会見で、県財政について近い将来に借金の返済増加と病院経営の悪化という「二つの洪水が来る」と強い危機感を示し、早急な対応を求めた。

 小西座長は国の地方財政などに関する審議会の委員を歴任し、自治体財政の第一人者として知られている。

 小西氏は4日の会見で、県の公債費負担が増大して予算編成が難しくなることと、県立病院事業の赤字が膨らみ、各病院を強制的に再編しなければならなくなる事態をそれぞれ「洪水」と表現。「もうすぐ二つの洪水がやって来るようなもの。相当危機的だ」と指摘した。

 県財政の歳入規模に対する借金(県債)残高の割合は2017年度決算で全国最悪。借金返済に充てる公債費のうち、自己負担分は年々増大し、22年度には県債発行に国の許可が必要な「起債許可団体」に転落する可能性が高い。

 さらに、県が毎年100億円以上を繰り出して支えている県立病院事業も、人件費増と患者数の減少により経営状況が悪化。20年度末にも、運転資金に当たる「内部留保資金」が不足する恐れが出ている。

 小西氏は県財政を取り巻く現状について「川の上流で洪水が起き、下流に必ず来る。この危機は避けられない」と述べ、県民生活への影響を最小限にとどめるため早急な対策が必要だと強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/681196
シリーズ  地域医療構想
地域医療構想、「国が重点的に支援する区域」設定し推進
厚労省、医療政策研究会/地域医療構想アドバーザー会議開催
 
レポート 2019年6月7日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は6月7日、都道府県や関係団体を対象とした2019年度の第1回医療政策研究会/第1回地域医療構想アドバーザー会議を都内で開催。同省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は冒頭のあいさつで、経済財政諮問会議からの「(具体的対応方針の)合意内容が、地域医療構想の実現に沿ったものになっていない」との指摘を紹介し、各医療機関の診療実績データを分析し、「代替可能性がある」または「診療実績が少ない」公立・公的医療機関を特定し、具体的対応方針の再提出、調整を求める方針を改めて説明した。

 同省医政局地域医療計画課課長補佐の松本晴樹氏は、地域医療構想について「公立・公的医療機関における具体的対応方針を今後明確化していくことが大きなミッション」と述べ、診療実績データを分析は019年の年央までに完了、その結果は、「代替可能性がある」等の公立・公的病院等の名称も含めて公表するほか、「国が重点的に支援する区域」を設定、都道府県と連携し、データ分析や再編統合の方向性等について直接助言する方針も明らかにした。

 地域医療構想において、公立病院は「新公立病院改革ガイドライン」を、公的病院等は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ作成、公立・公的病院等は地域の民間医療機関では担えない分野に重点化することが求められる。作成したガイドライン・プランに基づく具体的対応方針を、2018年度までに地域医療構想調整会議で議論し、合意を得ることになっていたが、全体で見れば現状維持となっており、厚労省の地域医療構想に関するワーキンググループで問題視された(『公立・公的病院の病床機能、2025年度も全体では「現状維持」』を参照)。鈴木課長は、さらに5月31日の経済財政諮問会議でも問題視されたことを紹介(『麻生財相「地域医療構想は不十分」、経済財諮問会議』を参照)。

 診療実績データを分析し、具体的対応方針を検証する方法は、地域医療構想に関するワーキンググループで議論されている。「国が重点的に支援する区域」を設定、支援する方針は、5月23日の社会保障ワーキング・グループで厚労省が提案した。対象となる区域には、調整が難航する区域も含まれると想定される。地域医療構想は、基本的には都道府県あるいは構想区域(2次医療圏が基本)単位で進めるものだが、国が支援に乗り出すことで、公立・公的医療機関等の再編等を後押しする構えだ。

 経済財政諮問会議は「骨太の方針2017」、「骨太の方針2018」で、地域医療構想に言及。年々、公立・公的医療機関等に厳しいスタンスになっており、6月中に閣議決定予定の「骨太の方針2019」でも、民間医療機関で担えない機能に重点化するよう求める見通し。

 「三位一体」でも、各改革のスケジュールは当初通り

 鈴木課長は、会議冒頭のあいさつで、「地域医療構想、医師偏在対策、医師の働き方改革はそれぞれが密着に関連し、一体のものとして取り組む必要がある」とも説明した。

 松本課長補佐は、その趣旨について、「地域医療構想という先に進んでいる改革がある。これを徹底的に進めていく中で、医師の働き方改革や医師偏在対策も進めていただきたいということ」と述べ、3つの改革を三位一体で進めることは、それぞれを横目で見ながら改革を進めていく必要があると説明した。地域医療構想は既に具体的に進んでいる一方、医師の働き方改革は始まったばかりで、時間外労働の上限規制の適用は2024年度から。医師偏在対策も、「医師確保計画」策定が2019年度から都道府県でスタート、2020年度からの実施となる。松本課長補佐は、地域医療構想が、他の二つの改革を待つ、あるいは進捗を遅くするといった意図はないと強調、「各改革は、それぞれのスケジュールで着々とやっていただきたい」と求めた。

 会議では、医師の働き方改革についても説明。出席者から、医師少数区域で、しかも医師が少ない医療機関が少数で救急医療を担っている場合、「年960時間」の時間外労働の上限規制が適用されると、救急医療が崩壊するとの懸念も呈せられた。

 厚労省医政局地域医療計画課は、それ故に「地域医療確保暫定特例水準」(時間外労働の上限が年1860時間)を設定したと説明。また医師確保計画と並行して、働き方改革を進めていくことが必要だとした。同時に、地域に救急医療機関が複数あり、それぞれが働き方改革が難しい場合、救急医療体制そのものも再考が必要になるとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680987
「医師少数区域等を支援する機能」、全地域医療支援病院に必要か
厚労省が承認要件追加を提案も、反対意見が相次ぐ
 
レポート 2019年6月6日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は6月6日の「第17回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に、「医師少数区域等を支援する機能」を全ての地域医療支援病院の承認要件として追加することを提案したが、反対意見が相次いだほか、これまでの会議と同様に地域医療支援病院そのものの存在意義を問う声が上がった。一方、地域の実情に応じて承認要件の追加を可能とすることには支持が得られた。

 「医師少数区域等を支援する機能」とは、(1)医師少数区域等における巡回診療、(2)医師少数区域等の医療機関への医師派遣機能、(3)総合診療の部門を持ち、プライマリ・ケアの研修・指導機能を持つ――のいずれかを満たす機能。

 厚労省は、第17回会議で特定機能病院の承認要件の見直し案も提案したが、やはり異論が出て、地域医療支援病院の見直しとともに、次回会議で引き続き議論する(特定機能病院の議論は『特定機能病院の承認要件見直し、厚労省案でまとまらず』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、「全ての地域医療支援病院について、医師少数区域等を支援する機能を承認要件化するのはおかしい」と問題視。地域医療支援病院以外の病院が医師派遣機能を担っている地域において、あえて新たに地域医療支援病院に医師派遣機能を持たせる必要があるのか、と疑問を呈した。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、全ての地域医療支援病院の承認要件とする以前に、「公立・公的病院に派遣機能を持たせる方が先ではないか」と指摘。

 日本病院会会長で、地域医療支援病院である相澤病院を経営する相澤孝夫氏は、既に2次医療圏内で医師派遣を行っており、医師の働き方改革も進む中で、「他の2次医療圏に医師を派遣する余裕はない」と訴えた。さらに、そもそも地域医療支援病院が支援する「地域」は2次医療圏であるにもかかわらず、他の「医師少数区域」(2次医療圏単位)を支援することは、「地域」の概念に「ずれ」があるのではないか、と指摘した。

 中川氏は、「やはり地域医療支援病院は一定の役割を終えたのではないか」と、持論を展開。島崎氏も、地域医療支援病院の4つの機能(紹介患者に対する医療の提供、医療機器の共同利用の実施、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施)をセットで持つ必要はなく、「個別に判断していくことが必要」と根本的な議論を求めた。

 厚労省医政局総務課長の北波孝氏は、この日の資料である「議論の整理(たたき台)」の中で、「今後の検討課題」として、「地域医療支援病院が、地域医療構想や、地域の医療提供体制の中で、真に必要な役割を果たしているかどうか、今後も検証が必要である」と記載していると説明。今回は、4つの機能は変更せず、「ファインチューニングさせていただければ」と述べ、理解を求めた。

 承認要件の見直し、医師偏在対策と関係

 地域医療支援病院の要件見直しは、医師偏在対策と関係する。2018年の医師法・医療法改正により、「医師少数区域等で勤務した医師」を厚生労働大臣が認定し、この認定を受けた医師であることを一定の病院の管理者の要件とすることとされた(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』などを参照)。

 この管理者要件の追加対象となる病院は、地域医療支援病院のうち「医師派遣・環境整備機能を有する病院」だが、厚労省提案のように「医師少数区域等を支援する機能」を全ての地域医療支援病院の承認要件とした場合、対象となる病院は全地域医療支援病院となる。

 厚労省提案に対し、真っ先に異論を唱えたのが、島崎氏。地域医療支援病院以外の病院が医師派遣機能を担っている地域において、あえて新たに地域医療支援病院に医師派遣機能を持たせる必要があるのか、と疑問を呈した。また福岡県を例に挙げ、10を超す地域医療支援病院を持つ2次医療圏が2つもあることから、「それぞれに医師派遣機能が必要と考えられるか」とも提起。厚労省がこうした地域を検証したのかを尋ねた。

 厚労省医政局総務課は、医師派遣機能を担っていない地域医療支援病院の理由については、検証していないと回答。また福岡県のような地域では、2次医療圏の中でも医師が少ない地域、あるいは隣接する2次医療圏や他県などへの医師派遣が想定されるとした。また医師派遣機能に限るわけではなく、前述の(1)から(3)のいずれか一つの機能を満たすことを求めていると説明。

 しかし、島崎氏は厚労省の回答に納得せず、「本格的な医師派遣機能を分散するのは、むしろマイナス」などとも指摘。医師派遣機能を持たせることが必要かどうかは、各地域で決めるべきだとした。

 まず公立・公的病院に医師派遣機能を

 中川氏は、地域医療支援病院の中には、公立・公的病院と、民間病院があるにもかかわらず、一括りにしていることを問題視した。「民間、特に社会医療法人でもない民間病院にとって、地域医療支援病院は要件が厳しい割に、税制の優遇措置がないなど、恩恵が少ない。医師派遣機能を全ての地域医療支援病院に持たせるのは、筋が悪く、“民間医療機関いじめ”ではないか。それよりも、(地域医療支援病院ではない病院も含め)公立・公的病院に医師派遣機能を持たせる方が先ではないか」と提言した。

 北波課長は、「地域医療支援病院の機能として、困っているところの地域を支援するという考え方は、あり得るべきもの。ただし、全ての地域医療支援病院の要件化することに、疑義が呈せられているのだろう。他で果たしている時に、重複させて機能を持たせることを本当にするのか、またどこに優先順位を付けてこの医師派遣機能を果たしてもらうのか。我々は全ての地域医療支援病院に果たしてもらいたいと考えるが、地域の実情に応じて要件を加えるという考え方と組み合わせることもあり得るだろう」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680721
2020年度改定「医師偏在是正」要望へ、「地域医療を守る病院協議会」
公精協が新規加入、総合診療専門医の増加に向けた議論も
 
レポート 2019年6月5日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 6つの医療関係団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は6月5日の会議で、2020年度診療報酬改定に向けて協議、7月上旬をめどに厚生労働省に提出する方針を確認した。各団体から医師偏在是正に関連するものなど24項目の要望が挙がったという。事務局を務める全国国民健康保険診療施設協議会(国診協)会長の押淵徹氏が会議後の会見で説明した。

 5日の会議では総合診療専門医についても議論。臓器別専門医に比べ、総合診療専門医を目指す専攻医が少ない現状が問題視された。日本慢性期医療協会(日慢協)会長の武久洋三氏は、「今後、対象とする患者の層と、医療側が目指す方向が食い違ってくる可能性があるのではないか」と述べ、今がそのギャップを是正するターニングポイントであると指摘した。専攻医の約半数は総合診療専門医を目指すべきだと考えているという。

 日本公的病院精神科協会(公精協)の新規加入も認め、「地域医療を守る病院協議会」の構成団体は、公精協のほか、国診協、日慢協、全国自治体病院協議会(全自病)、地域包括ケア病棟協会、全国厚生農業協同組合連合会(JA厚生連)の6団体となった。地域医療機能推進機構(JCHO)がオブザーバーとなる。

 「特定行為研修修了の看護師」、評価は時期尚早

 押淵氏は、「改定に向けた要望の根幹にあるのは、地域における医師偏在が大きな課題であるということ」と述べ、その解決につながる改定を要望していくとした。例として、常勤職員の配置が要件になっている点数の見直し、タスク・シェアリングやタスク・シフティングを推進するための支援などを挙げた。「看護師が特定行為研修を受けるためには、現場を離れることになる。しかし、現実には十分な人員を配置していないので、研修中には診療体制が維持できない。それを何とかできないかという協議をした」(押淵氏)。

 特定行為の研修を修了した看護師は、約1200人(2018年9月末現在)。その診療報酬上の評価について、全自病会長の小熊豊氏は、「まだ人数が少ないため、時期尚早ではないか」と述べ、医療の中でどう位置付けるかを議論した後に評価すべきだとコメント。武久氏も、評価しても現時点で算定できるのは一部の医療機関に限られると指摘した。

 総合診療専門医、「大学医局」が障壁か

 武久氏は、総合診療専門医のニーズが高まっている理由として、患者の高齢化に伴い、複数の疾患を合併しているケースが増えていることなどを挙げた。「一番多く必要とされるサービスをサプライ(供給)するのが常識。しかし、(専攻医数の分布は)全く反対の方向に動いている」と武久氏は指摘。日本よりも人口の高齢化率が低いイギリスでも、約半数がGeneral practitioner(GP)になっている。武久氏はこうした現状を挙げ、専攻医の約半数は総合診療専門医を目指すべきだとした。現状で目指す専攻医が少ないのは、大学医局に所属し、キャリアを積む医師がいまだ多い中、総合診療の講座を持つ大学が少ないからだと見る。

 地域包括ケア病棟会長の仲井培雄氏も、「地域包括ケア病棟は、総合診療専門医のベースキャンプ」と称する医師がいることを紹介。特に地方では、人口が減少していく中で、総合診療専門医のニーズは今後も高まっていくとした。

 新専門医制度の関係では、シーリング(専攻医の募集定員の上限)についての質問に、押淵氏は、国診協の医療機関は地方に多いことを踏まえ、「地方の診療の現場で専攻医を育成する準備できている。むしろ歓迎したいという思いだ」と回答。小熊氏も、「シーリングをかけようというのは、偏在是正の試みだろう。大都市圏などに専攻医が集中しており、地域では悲鳴が挙がっている。地域に必要な医療需要に沿って、ドクターを配置すべきだ。それに向けてようやく動き始めていると受け止めている。地方に配置されるドクターが納得できる形態が取れ、実効性が担保されればいい」と述べた。

 なお、小熊氏は、公精協の新規加入を認めた理由について、「日本精神科病院協会は、私立病院の団体。特に精神科救急、急性期の精神科医療は、公的・公立病院が中心となっているにもかかわらず、これらの病院が正しく評価されていないという思いから、公精協が発足した」と述べた上で、地域医療を守るという意味で、「地域医療を守る病院協議会」の理念と一致していたことを挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680578
日医会長「まずは都道府県内の医師偏在是正を」
専門医で都道府県内での連携プログラムなど求める
 
レポート 2019年6月5日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会会長の横倉義武氏は6月4日の定例記者会見で、日本専門医機構が2020年度の専門医研修から導入する連携プログラムについて、「専門医研修によって医師の地域偏在・診療科偏在が助長されないよう対応することはもちろん必要だが、まず是正されるべきは都道府県内の偏在であると考える」と述べ、同一都道府県内の連携プログラムや、従来通り近隣都道府県の連携施設とのローテートによる医師派遣も可能にするなど、柔軟性弾力性を持った対応が必要との認識を示した。今後、同機構や厚生労働省に働きかけていく(『2020年度専攻医シーリング、日本専門医機構理事会で了承』などを参照)。

 横倉氏は、厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会で公表された医師偏在指標について、「数字が地域の実態、実感と乖離しているとの指摘、懸念が各地域から示されている」と指摘。医師偏在指標は一定の仮定を置いた上で機械的に試算した相対的な指標で、これに地域の実情をいかに反映させ、実効性のある医師確保対策につなげていくかが「各都道府県の地域医療対策協議会に求められている重要な役割だ。地域の実情に応じた具体的な方策が、地域からのボトムアップで国の政策が実行されることが望まれている」と強調した。

 その上で、「トップダウン方式から地域からのボトムアップ政策による転換が今まさに求められており、そこにこそ真のオートノミーが求められている」と説明。新たなシーリングに関して日本専門医機構の提案で一定の緩和策が採られたものの、連携プログラムの設定の可否によって影響が異なることや、従来の連携施設ではなく他の都道府県の医療機関と連携プログラムを結ぶためには時間的にも余裕がないのが実情だとして、「柔軟性弾力性を持った対応が必要であろうと思う。各都道府県の地対協では地域の実情を踏まえた十分な議論が行われることを改めて期待する」と述べた。

 5月には日本専門医機構の在り方に関して病院団体から要望が出されていることに関しては、病院団体からも同機構の理事や監事を出していることから、「そういう中で議論をしながら病院団体もある程度理解を進めてもらう機構にしたい」と述べて慎重な姿勢を示した(『専攻医シーリング「現場に即した制度とは言い難い」、AJMC』、『日病、新専門医制度で機構などに要望提出』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/679207
シリーズ  真価問われる専門医改革
内科専攻医の経験症例、「J-OSLER」で“見える化”
最多は長野県、最小と10倍差、上位プログラムも公表
 
レポート 2019年6月3日 (月)配信聞き手・・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 日本内科学会はこの4月、専攻医登録評価システム「J-OSLER」の2018年度の登録実績概況を公表、内科専門医制度の専攻医一人当たりの経験症例数(承認済み症例数)の都道府県別の平均は、長野県が最多で87.00症例、一方で最低の高知県は8.44症例であるなど、都道府県による差が大きいことが明らかになった(図1)。

 内科専門研修プログラム別で見ると、承認済み症例数(専攻医1人当たり)は、全国トップは福井県済生会病院で125.00症例、国立病院機構栃木医療センター118.50症例、名古屋掖済会病院102.00症例などと続く。内科専門研修プログラムは計542で、うち上位50位の実績を公表した(図2)。さらに北海道、東北など、支部別の上位3位、または5位のプログラムも公表した(詳細は、日本内科学会のホームページに掲載)。

 「J-OSLER」は、2018年度の新専門医制度の開始に伴い、研修の進捗状況を把握することなどを目的に、運用を始めたシステム(図3)。専攻医が症例を登録後、指導医がその内容を確認し、承認する仕組み(初期臨床研修で経験した内科症例についても、日本内科学会指導医が指導し、専門研修に匹敵する研修がなされたと考えられる症例は登録可能)。病歴要約の登録、専攻医、指導医、研修プログラムの評価機能なども兼ね備える(詳細は、日本内科学会のホームページを参照)。2018年度に登録された症例数は10万7426症例、うち2018年度開始の内科専門研修分は7万2227症例に上った(図4)。

 内科専門医制度では、主病名で56疾患群以上・160症例以上の経験を修了要件としている。研修3年目からその評価に入ることから、1年目は平均60症例程度を想定していた。日本内科学会の専門医制度審議会会長を務める横山彰仁氏は、「理想的にはもっと進んでほしかったところ」と述べ、「J-OSLER」の使用1年目ということもあり、専攻医と指導医、双方の慣れの問題も症例数が伸び悩んだ一因と見る(横山氏へのインタビューは別途掲載)。

 「都市部偏在、大病院への偏在」当たらず

 2018年度の新専門医制度の開始に当たっては、内科に限らず、専攻医の都市部偏在、大病院への偏在が懸念されていた。研修プログラム別の「J-OSLER」の登録実績概況を見ると、内科では、これらの懸念は必ずしも当たらないことが分かる。「教育県と言われる地域、あるいは研修病院や専攻医が多く、お互いが切磋琢磨している地域で登録症例数が多い印象だ」と横山氏は語り、こう付け加えた。「専攻医一人当たりの症例数が多い中小病院もある。こうした中小病院では、指導医と専攻医の距離も近く、満足度が高い研修を受けられるのではないか」。

 専攻医の研修先施設の規模を見ると、内科専門医制度では「200床未満」をはじめ、中小規模の病院での研修が増加(図5)。2次医療圏別でも、専攻医2年目(2019年4月時点)の研修先分布は、344のうち283の2次医療圏に及び、旧制度(2015年卒業者が後期1年目を終えた、2018年4月時点)の194の2次医療圏と比較して地域分布は広がっている(図6)。

 「J-OSLER」では、「専攻医によるプログラム評価」も年1回実施する。その結果、「全体評価」「技術技能手技経験」「メディカルスタッフ協力」など、市中病院(500床未満)の方が、大学病院や市中病院(500床以上)よりも高い項目が大半を占めた(図7)。




http://news.livedoor.com/article/detail/16589433/
市民病院で救急医が一斉退職へ 診療体制の維持に危機  
2019年6月8日 21時4分 朝日新聞デジタル

 大津市の地方独立行政法人・市立大津市民病院で、救急医療に携わる医師の大半が一斉に退職することが、滋賀県幹部らへの取材でわかった。

 院内の救急以外の医師で対応する一方、近接する複数の病院に応援を打診している。しかし医師不足を解消し、診療体制を維持できるかは不透明な状況だ。

 市民病院は、救急外来「ERおおつ」が24時間態勢で、休まずに救急患者を受け入れている。集中治療室(ICU)に8床あり、屋上のヘリポートではドクターヘリが離着陸できる。

 市消防局によると、昨年1年間に救急搬送した約1万6千人のうち、24・7%にあたる4044人は市民病院が受け入れたという。


https://www.m3.com/news/iryoishin/677638
シリーズ 佐々江龍一郎の「英国GP、日本に戻る」
英国GPが感じる「患者中心の医療」が必要な理由
「家庭医にとって主訴が医療的問題かどうかは重要ではない」
 
オピニオン 2019年6月8日 (土)配信佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部総合診療医)
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「あなたが一番困っていることは何ですか?」
 私はMr.Pという69歳の慢性気管支炎の患者を、かかりつけ医として長年フォローしていた。これまでの説得の甲斐もあり喫煙も辞め、症状は安定していると思っていた。しかし、ある日の朝にいつも通り地域の総合病院から送られてくる紹介状・逆紹介状に目を通していたところ、Mr Pが息切れを訴え、頻回に総合病院の救急外来を受診していることが分かった。

 英国は国民の税収により国営保険サービス(National Healthcare Service; NHS)を運営しており、国民の治療費は原則として無料である。しかし、限りのある公共予算を守り、不必要や過剰な医療が行われないように監視・調整し、費用対効果の高い治療を考えるのも私たち家庭医の仕事だ。このため、総合病院の救急外来の受診頻度をモニターし、家庭医で対応できるような内容であれば家庭医が積極的に介入することになる。私もMr Pに連絡を取り、彼の都合の良い時に受診いただくことにした。

 来院した彼に「ご来院ありがとうございます、今日のご気分はいかがですか」と聞いてみると、「あまり良くありません」と床を見ながら一言口にした。あまり浮かない表情をしていた。病院の救急外来の受診については触れずに、まずは彼の話を聞くことにした。普段より少し長い間を置いて、お穏やかな口調で「どんな風に、良くないのでしょうか?」と聞いてみる。すると彼は、「とにかく辛くて……泣くことをやめられないんです」とすすり泣き始めた。

 「それはお辛いですね。今あなたが一番困っていることは何ですか?」

 そう尋ねると彼は心の中に閉まっておいた気持ちを吐き出すかのように、50年以上連れ添った妻が最近肺癌で他界し、毎日がつらく、人生に意味を見出せていないと語った。孤独、失望、不安に苛まれ、外出することもなく、生活も不規則になり、定期薬の服用も守れていないようだった。

 英国も高齢化社会を迎え、老年医療、終末期医療だけでなく、高齢者の孤独とそれに関連したメンタルヘルスの問題など、さまざまな課題が出てきている。これらに対して家庭医は、自治体やチャリティー(慈善団体)、市民グループと連携しながら、個々の患者に合った方策を練ることになる。患者それぞれの置かれている環境に介入することにより、患者の“well-being(健全な、幸せな生活状況)”を改善し、自己の健康に責任を持たせることを「社会的処方」と呼ぶ。

 私はその地域を担当している「社会処方ナビゲーター」に連絡を取り、翌日に面談を調整した。「社会処方ナビゲーター」は、地域単位のチャリティー団体や非営利団体の活動などを統括し、紹介や調整をする役割を担っている。

 Mr.Pは歴史好きとのことだったので、地域の歴史愛好会を紹介し、外出のきっかけを作ることになった。また、不安や悲しみに対して、カウンセリングサービス(話し合い療法サービス)に直接電話するように私が提案した。近年英国ではメンタルヘルス問題に対して積極的に介入するために、地域がカウンセリングサービスなどのケアを無料で提供し、家庭医の紹介がなくともアクセスが可能となっているのだ。

 慢性気管支炎に対してはサポートグループ(それぞれの疾患についての教育や支援することによりセルフケアを推進する患者グループ)を紹介し、かかりつけ薬局とも連携し、服薬コンプライアンスを監視してもらうことになった。1カ月後にMr.Pに連絡を取ってみると、幸いにも歴史愛好会では友人ができ、慢性気管支炎についての理解も深まり、定期服薬の自信もついたようだった。そして、その後の病院救急の頻回受診もなくなった。

患者中心の医療の必要性はどこにあるのか
 英国では、学生から家庭医専門研修まで一貫して「患者中心の医療」を教育される。患者中心のアプローチを通じて、医療者が患者の要望や期待、選択を尊重し、ニーズに即したケアを提供することにより、患者自身にも健康の責任と選択を与えることが重視されているのである。

 特にプライマリーケアを担う家庭医の専門研修では、医療面接における、「あなたに何が起こったのか」(”what’s the matter with you”)だけではなく、「あなたにとって何が重要なのか」(“what matters to you”)にも目を向けることの大切さが強調されているのが印象的である。家庭医にとっては、主訴が医療的問題かそうでないかというのは、大して重要ではないのだ。

 患者のさまざまな訴えを聞き出し、それぞれのニーズを理解するには医療面接が肝要である。故に、家庭医の専門研修では患者中心の医療コミュニケーションを実践すべく、標準化された医療面接を学ぶ。3年間の専門研修のうち、前半の病院での研修を終えた後、後半の診療所での研修では主に指導医から1対1で実際の診察について教わる。

 筆者も専門研修医時代は、実際に自分が行った医療面接を毎週ビデオに撮り、指導医との振り返りを繰り返し行っていた。患者との目線、言葉使いからテーブルの配置までこと細かく指導され、患者の精神、社会的問題を抽出し、不安や期待について理解を示すことを実践的に学んだ。このように医療面接が標準化されているのは、患者中心の医療によって患者の満足度が上がるだけではなく、慢性疾患のアウトカムや服薬コンプライアンスが改善し、セルフケアも推進されるのがさまざまな研究で示されていることが背景にある。

 つまりこれは、単なる精神論ではなく、サイエンスに基づいた学術的なアプローチなのだ。故に、家庭医の専門医試験は、専門研修2年目から受験可能な筆記試験(コンピュータによる試験、計200問・3時間)と、専門研修3年目から受験可能な臨床技能評価(13場面で、1場面当たり10分間の模擬患者との医療面接)、職場基盤評価(日常診療の評価)から成り、患者対応が重視されている。臨床技能評価に関しては、模擬患者に対する患者中心の医療面接の結果、英国国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインなどで公表されている最新のエビデンスに基づいた費用対効果の高い医療を実践しているかなどが細かく問われる。患者中心の医療を体系的、かつ実践的に学ぶのが英国家庭医療教育の特徴だ。

 日本では諸外国に例のないスピードで高齢化が進行している。高齢者が、自分らしい暮らしを住み慣れた地域で人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを目指す必要がある。その為には地域のかかりつけ医と連携し、患者の様々な社会的問題やメンタルヘルスなどの多様で複雑な問題やニーズにも対応していく医療が求められる。この様な多様な患者のニーズを引き出し、対応するにあたり、患者中心の医療とコミュニケーションは今後重要性が更に増してくる。教育等を通じて若い医師に患者中心の医療を標準化し、地域での社会的処方などの環境や制度を見直し、整える必要があるのではないかと感じている。



  1. 2019/06/09(日) 06:42:15|
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