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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月2日 

https://www.asahi.com/articles/ASM5K4JYKM5KPLXB00L.html
さぬき市民病院、8月からお産休止 医師不足が背景に 
江湖良二 2019年5月30日12時54分 朝日新聞

 香川県さぬき市民病院(同市寒川町石田東)は8月から、お産の取り扱いを休止することを明らかにした。さぬき、東かがわ両市で唯一、対応してきたが、医師が足りなくなった。8月以降は、約10キロ西にある香川大学医学部付属病院(三木町池戸)が担う。

 市民病院によると、常勤の医師1人が3月に定年退職し、残る1人では対応が難しくなったため。新たな常勤医の採用は、見通しが立っていないという。

 出産予定日が7月15日までの人ならば他院からの紹介や里帰り出産を受け入れるが、翌16日以降の人はしない。妊婦検診などの外来診療は8月以降も受け付ける。2018年度に取り扱った出産は223件。

 県の統計では、18年の県内の出生数は6974人。県の担当者は「不便をかけるが、安心な出産ができる環境づくりを考えたい」。香川大病院によると、18年度の出産取り扱いは706件で、対応は可能という。(江湖良二)



https://www.sankei.com/region/news/190531/rgn1905310021-n1.html
医師不足対策に5400万増 茨城県6月補正案 
2019.5.31 07:03地方茨城 産経新聞

 県は30日、今年度一般会計を5400万円増額する6月補正予算案を発表した。医師不足対策が柱で、補正後の一般会計は1兆1357億6800万円となる。

 県職員として採用した医師に対し、海外を含む自主研修期間中も給与を支払う制度のPR費として330万円を計上した。特定の県内医療機関で3年間勤務する医師を紹介した人に30万円の謝金を払う制度の経費380万円も盛り込んだ。



https://www.medwatch.jp/?p=26604
新専門医制度の新シーリング、2021年度実施までにコンセプト固めたい―日本専門医機構 
2019年5月28日|医療現場から MedWatch

 新専門医の資格取得を目指す専攻医(研修医)について、2020年度の採用分から「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚生労働省推計)をベースにし、医師が不足する都道府県との連動研修を加味した、新たなシーリング(採用数上限)が導入される。ただし、「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚生労働省推計)については疑問点もあることから、関係学会等を交えた協議会を新たに設置し、年内(2019年内)に疑問点解消などに努め、2021年度以降のシーリング設定に生かす―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は5月27日の定例記者会見で、このような考えを明らかにしました。
 
厚労省の「都道府県別・診療科別の必要医師数」推計を、専門医機構や学会で検証
 専門医資格は、従前、各学会が独自に養成・認定を行っていました。しかし、「国民に分かりにくくなっている」「質が担保されているか不明確である」との批判を受け、2018年度から、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

もっとも、「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。その一環として「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限(シーリング)を設ける」などの対策が図られています。

ただし、現在のシーリングには明確な根拠がないことから、日本専門医機構・厚労省「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」では、来年度(2020年度)から次のような新たなシーリングの仕組みを導入することを決定しました。なお、外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療では、さまざまな動きを勘案しなければならないためシーリングはかけられません(関連記事はこちら)。

(1)2016年の医師数が「2016年または2024年の必要医師数」(以下、必要医師数)を上回っている都道府県・診療科をシーリング対象とし、2020年度の採用数は「2019年度の採用実績」を上回らないこととする(東京都の内科では2019年度の採用実績と同じ515名とする)

(2)採用数上限のうち、一部(2割程度を上限)を「シーリングのかかっていない都道府県」(内科では東京都・石川県・京都府・大阪府・和歌山県・鳥取県・岡山県・徳島県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県以外)での勤務期間が50%以上となる連携プログラム(研修医視点からすれば地域研修プログラム)とする(東京都の内科では77名分)

(3)連携プログラムの一部(5%を上限)を「医師不足が顕著な都道府県」(2016年の医師数が必要医師数の80%未満。内科では青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・埼玉県・千葉県・新潟県・福井県・山梨県・長野県・静岡県・宮崎県)での勤務期間が50%以上となる「都道府県限定分」の連携プログラムとする(東京都の内科では12名分)

(図表13点 略)
 
 新たなシーリングは、厚労省の推計した「都道府県別・診療科別の必要医師数」をベースに、激変を避ける仕組みとなっています。ただし、日本専門医機構や学会には厚労省の推計に一部疑問の声も出ているようです。例えば、「離島の多い自治体(長崎県や沖縄県など)に関しては、離島への派遣医師の分を考慮すべきで、この推計では不十分なのではないか」「東京都や福岡県などの精神科領域では、措置入院へ対応する医師が相当数必要になるが、推計に織り込まれているのだろうか」という声が出ているといいます。

こうした疑問を放置することはできないため、寺本理事長は、早急に(早ければ6月にも)▼日本専門医機構▼関係学会(基本領域の学会)▼医師の人口動態(医師数動態)の専門家▼厚労省担当者―などで構成される「協議会」を設置し、そこで、厚労省推計に関する検証を行い、年内(2019年内)に疑問点の解消を目指すことを明らかにしました。この検証結果を踏まえ、さらに今年(2019年)12月発表予定の医師・歯科医師・薬剤師調査結果(2018年末の状況)を勘案して、2021年度にさらなるシーリングの見直しなどが行われる可能性もあります。

なお、寺本理事長は「年内(2019年内)に協議会で疑問点を解消し、シーリングのコンセプトを固めたい。その後はコンセプトを維持したまま、医師配置状況を踏まえた上限数そのものの修正は行われる可能性がある」旨の考えを示しています。例えば、▼X県のA診療科にシーリングが設けられ、そこでの研修ができない → ▼隣県のY県に多くの専攻医が集まる → ▼Y県で医師が多数となることから、翌年度に「Y県のA診療科でシーリングを設定する」―といった修正が考えられます。

また、新たなシーリングが固まっている来年度(2020年度)の専攻医採用スケジュールについて寺本理事長は、▼6月中にも、研修プログラム(連動研修プログラムも含めて)を基本領域学会で作成する▼7月頃にも、各都道府県の地域医療対策協議会(新専門医制度について地域医療への悪影響がないかを検証し、考えを述べることができる会議体)に2020年度研修のデータを提示する▼地域医療対策協議会の考えを踏まえて、必要があれば厚生労働大臣から意見が提示される▼8月下旬から9月上旬にかけて、厚労省「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」で最終確認を行う▼9月中旬から下旬にかけて、専攻医の登録を開始する―との考えを示しました。ただし、地域によっては「医師不足の我が自治体になぜシーリングがかかるのか」との声が出ることも予想され、遅れる可能性もあります。

 さらに、寺本理事長は、日本専門医機構において専攻医の研修実績を入力・確認するシステムを構築する考えも明らかにしました。専攻医が研修状況を「マイページ」に入力し、研修の統括責任者がこれを承認するというイメージです。これにより、「どの研修医が、●年●月●日から〇年〇月〇日まで、どの県のどの病院で、どのような研修を行った」かが可視化でき、医師偏在対策に向けた迅速な動きが取れることも期待されます。

 この点、内科学会では、すでに同様のシステム「J-OSLER」を稼働させていますが、これと日本専門医機構システムとの連動は将来の課題となり、当面は「両方への入力」が必要となる見込みです。

 なお、日本病院会から日本専門医機構に対して組織見直しなどの要望書が出されています。これに対し寺本理事長は「日本専門医機構に課題のあることも事実で、理解できる部分もある。しかし、機構だけで解決できない問題もあり、日本病院会の相澤孝夫会長には『検討する』と返答するにとどめている」とコメントしています(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/678634
真価問われる専門医改革
2020年度専攻医シーリング、日本専門医機構理事会で了承
専攻医募集「10月にずれ込むことは避けたい」、協議会新設し妥当性検証
 
レポート 2019年5月27日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は5月27日の定例記者会見で、2020年度研修開始の専攻医の募集に関する地域別・診療科別のシーリング(募集定員の上限)について、5月24日の同機構理事会で了承したことを明らかにした。ただし、理事会や基本領域の学会などから、シーリングについてはさまざまな意見が出ていることから、関係者による協議会を6月頃に設置し、シーリングの妥当性などを検証、2021年度の専攻医募集に備える方針だ。

 2020年度の専攻医募集については、4月中にシーリングを決める予定だった。寺本氏は「ほぼ1カ月遅れ」と述べた。専門研修プログラムの申請、審査を今後、急ぐ。「7月くらいには、(都道府県の)地域医療対策協議会にデータを提出しないと、対応できないだろう」(寺本氏)。地対協での意見は、都道府県知事から厚生労働省に提出される。「8月下旬から9月上旬くらいに、(厚労省の医道審議会医師分科会の)医師専門研修部会が行われることを期待する。9月の中旬、下旬くらいには、登録を開始できる可能性はある。10月にずれ込むことはできるだけ避けたい」と語った。

 寺本氏は、「専攻医研修実績システム」の使用を開始することも発表した。検証テスト等を行うほか、今後、関係学会等の了解を得て、稼働させる予定だが、本格稼働時期は未定。専攻医のフォローアップが目的で、専攻医別の「マイページ」があり、いつどこの医療機関で、どんな研修をしていたかなどを登録、プログラム統括責任者等が承認する仕組みで、登録は義務。登録内容を基に修了認定などを行う。将来的には、専門研修に関するデータベースとしての活用を視野に入れる。ただし、日本内科学会の専攻医実績評価システム「J-OSLER」など、既存の専門研修関連のシステムとは連動していないなど課題は残る。

 診療科偏在は“入り口”で是正
 地域別・診療科別のシーリングは、5月14日の医師専門研修部会で、日本専門医機構案が了承されていた(『2020年度専攻医シーリング、機構案通りに厚労省医道審で了承』を参照)。2016年の医師数と2024年の必要医師数を踏まえ、内科をはじめ、13の基本領域(診療科)で都道府県別に設定するのが骨子。外科など6診療科は対象外。

 2019年度については、東京都だけ2018年度のシーリングから5%減となった。寺本氏はその影響を見極めないことには、次のステップに進めないとしていた。今回新たなシーリングを導入した理由について、次のステップとして、厚労省が医師偏在指標などのデータを提出したことを挙げた(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』などを参照)。

 寺本氏は、「一番はっきりしているのは、診療科偏在があるということ」と語った。「地域偏在については、シーリング設定という形である程度、貢献ができても、日本専門医機構として医師が不足している地域に、医師に行ってもらうわけにはいかない。しかし、診療科偏在については、“入り口”の段階のことであり、(機構として)貢献すべきだと考えている」(寺本氏)。医師の働き方改革、外科や産婦人科など、医師の充足率が低い診療科がある現状を踏まえ、今回のシーリングを決めたという。

 シーリングの特徴の一つは、医師不足の都道府県および診療科に配慮し、これらの都道府県・診療科での研修を組み込んだ「連携(地域研修)プログラム」を導入したこと。寺本氏は、「連携プログラムを入れれば、(今回のシーリングは)それほど激変ではないと思う。医師を育てる時に、都会のある一定の病院だけで研修するのは、いかがなものかという思いがある。地域医療もしっかり見ていただくことで、それなりに力が付く」と述べ、連携プログラムには、教育的な意味合いもあると説明した。

 シーリングに関する協議会、学会などで構成
 今回のシーリングについては、各学会あるいは地域からさまざまな意見が出たという。寺本氏は、「幾つかの問題を抱えているため、日本専門医機構が主体となり、この問題をきちんと解決していくための協議会を設置する」と説明。基本領域の学会のほか、シーリングの在り方について意見をもらうため、社会医学系の学会、データ分析の専門家などが入る見通し。

 「今年末くらいになると、2018年度の三師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)の結果が出揃う。基本的なシーリングのコンセプトを変えるつもりはないが、その結果も見ながら、次のシーリングを考えていく」。寺本氏はこう述べ、2020年の早々には、2021年度のシーリングを決める意向を示した。

 プライマリ・ケア学会認定のサブスペ、「コメントする立場にない」
 日本病院会は5月16日に、日本専門医機構に対し、第三者性の担保、組織強化、位置付け明確化、偏在対策の4項目から成る要望書を提出した(『日病、新専門医制度で機構などに要望提出』を参照)。寺本氏は、副理事長の人数などは日本専門医機構理事会で決めることができないものの、要望書については真摯に対応していくとした。

 日本プライマリ・ケア連合学会は5月18日、総合診療専門医のサブスペシャルティ専門医として、同学会認定の「新・家庭医療専門医」の創設を打ち出した(『「新・家庭医療専門医」、総合診療専門医のサブスペ創設へ』を参照)。その受け止めについて、寺本氏は、そもそも全ての学会によるサブスペシャルティ専門医を日本専門医機構として認めるわけではないと断り、「学会がやることについて、コメントする立場にない」と述べるにとどまった。



https://www.medwatch.jp/?p=26573
日本専門医機構の組織再編し、病院の意見も踏まえた「国民に分かりやすい新専門医制度」構築せよ―日病 
2019年5月27日|医療現場から MedWatch

 新専門医制度は漂流している。数十年後の地域医療に大きな悪影響を及ぼさないよう、▼組織再編による第三者性の確保▼病院の意見を踏まえるための副理事長設置―などを行い、国民に分かりやすい新専門医制度を目指すべきである―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は、5月25日の社員総会後に記者会見に臨み、このような申し入れを日本医師会や日本専門医機構に行ったことを明らかにしました。5月27日には根本匠厚生労働大臣にも申し入れを行う予定です(関連記事はこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 医師の地域偏在・診療科偏在にも、厚労省と共同した対応を
2 末永副会長は勇退、新たに茅ヶ崎市立病院の仙賀名誉院長が副会長に就任


医師の地域偏在・診療科偏在にも、厚労省と共同した対応を

 2018年度から新専門医制度が全面的にスタートしています。従前は、各学会が独自に専門医の養成・認定を行っていましたが、学会が乱立し、「国民に分かりにくくなっている」「質が担保されているか不明確である」との批判がありました。そこで2018年度からは、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

 しかし医療現場からは、新制度においても「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との根強い批判があります(関連記事はこちらとこちら)。

日病が昨年(2018年)末に役員所属病院(73病院)を対象に実施した調査では、次のように新専門医制度の全面スタート後に「専門医資格の取得を目指す研修医」が大きく減少していることが明らかになりました(関連記事はこちら)。

【 全 体 】2017年度:615名 → 2018年度:387名(マイナス228名・37.1%)
【 内 科 】2017年度:238名 → 2018年度:151名(マイナス87名・36.6%)
【 小 児 】2017年度:49名 → 2018年度:27名(マイナス22名・44.9%)
【 皮膚科 】2017年度:11名 → 2018年度:4名(マイナス名7名・63.6%)
【 精神科 】2017年度:7名 → 2018年度:4名(マイナス3名・42.9%)
【 外 科 】2017年度:99名 → 2018年度:67名(マイナス32名・32.3%)
【整形外科】2017年度:39名 → 2018年度:20名(マイナス19名・48.7%)
【産婦人科】2017年度:28名 → 2018年度:18名(マイナス10名・35.7%)
【 眼 科 】2017年度:18名 → 2018年度:8名(マイナス名10名・55.6%)
【耳鼻咽喉科】2017年度:15名 → 2018年度:2名(マイナス13名・86.7%)
【泌尿器科】2017年度:17名 → 2018年度:12名(マイナス5名・29.4%)
【脳神経外科】2017年度:14名 → 2018年度:13名(マイナス1名・7.1%)
【放射線科】2017年度:14名 → 2018年度:9名(マイナス5名・35.7%)
【 麻酔科 】2017年度:19名 → 2018年度:10名(マイナス9名・47.4%)
【 病 理 】2017年度:3名 → 2018年度:5名(プラス2名・66.7%)
【臨床検査】2017年度:0名 → 2018年度:0名(プラスマイナス0名)
【 救急科 】2017年度:29名 → 2018年度:21名(マイナス8名・27.6%)
【形成外科】2017年度:8名 → 2018年度:8名(プラスマイナス0名)
【リハビリテーション科】2017年度:1名 → 2018年度:2名(プラス1名・50%)
【総合診療】2017年度:6名 → 2018年度:6名(プラスマイナス0名)▼

 
調査対象病院の多くは、いわゆる「地域の基幹病院」であり、こうした病院においてもなお「研修医減」が生じている現状に鑑み、さらに日本専門医機構の対応が十分でないことを重く見て、日病では会内の「専門医に関する委員会」(中佳一委員長:社会医療法人三思会会長)で「専門医制度の改善」に向けた検討を実施。今般、相澤会長が日本医師会および日本専門医機構に申し入れを行ったものです。5月27日には根本厚労相にも申し入れを行う予定です。

具体的な申し入れ内容・改善要望は次の4項目です。

(1)第三者性を担保するため、組織、財務体制の強化に取り組むべき
(2)組織構成の強化に取り組むべき
(3)「専門医」の位置づけの明確化に取り組むべき
(4)地域偏在、診療科偏在への適切な対応に取り組むべき

 このうち(1)について中委員長は、「日本専門医機構の社員構成は、関係学会からの強い要望で、学会代表が多数となる第三者性が失われてしまっている」とし、学会から一定の距離を置き、「第三者性」を担保する必要があるのではないかと指摘。さらに末永裕之前副会長(小牧市民病院事業管理者、日病の副会長職から5月25日の社員総会で勇退)は「将来的には公益財団法人を目指すべき」と提案しています。
 
 また(2)は、専門医の活躍の場の多くが「病院」であることを踏まえ、日本専門医機構の副理事長職について「病院代表者を1名加え、3名体制とすべき」(現在は2名体制)と提案。制度設計や運用に関し、病院の意向をより反映させる必要があると訴えています。
さらに(3)に関しては、2018年8月の四病院団体協議会(日病、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の提言に基づき、専門医制度の改善を図るべきと強調。四病協では、▼初期臨床研修終了後3年程度の研修(後期研修)を修了した医師を「(認定)専門研修修了医師:certified doctor」と位置づける▼十分な臨床経験を積み、science・art・coordinate能力を持つ医師を「専門医:specialist」と位置付ける―こととし、両者をは区別して「国民の分かりやすさ」を担保する、さらに柔軟に専門研修を受講でき資格取得を可能とすることなどを提言しています(関連記事はこちら)。

また(4)について末永前副会長は、「日病調査では医師偏在が助長されていることが明らかになった」とし、厚生労働省と共同して「適切な対応」を図るよう求めています。

 
こうした申し入れに対し、日医は「内容は理解できる。医学部教育の段階から改善を検討していく必要がある」との見解が示されたことが相澤会長から紹介されました。また日本専門医機構も「内容は理解できる」との見解を示したものの、「改善に向けて理事会等で積極的に検討していこうという雰囲気」にまでは至っていないようです。

この点について末永前副会長は、「日本専門医機構側は『制度が動いており、すでに研修を受けている専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)に不利益があってはいけない』としている。それはもちろんだが、今、改善しなければ、数十年後の地域医療に大きな悪影響を及ぼしてしまう」と強調し、改善の必要性を訴えています。


末永副会長は勇退、新たに茅ヶ崎市立病院の仙賀名誉院長が副会長に就任

 5月25日の日病社員総会では、次のような新役員体制が固められました(敬称略)。前述のとおり、末永副会長が勇退され、新たに茅ヶ崎市立病院(神奈川県)の仙賀裕・名誉病院長が就任しました。

会長:相澤孝夫(社会医療法人財団慈泉会理事長、相澤病院最高経営責任者)
副会長(会長代行):岡留健一郎(福岡県済生会福岡総合病院名誉院長)
副会長(会長代行):万代恭嗣(医療法人社団大坪会北多摩病院院長)
副会長(業務執行):仙賀裕(茅ヶ崎市立病院名誉病院長)
副会長(業務執行):島弘志(社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院院長)
副会長(業務執行):小松本悟(足利赤十字病院院長)
副会長(業務執行):大道道大(社会医療法人大道会理事長、森之宮病院院長)

 なお、社員総会で挨拶に立った相澤会長は、医療制度改革について、▼地域医療構想の実現に向けて2019年度・20年度には、相当強引な「病院の収斂」を迫られるのではないか(関連記事はこちらとこちら)▼医師働き方改革について、「宿日直の取り扱い」がいまだ不明確であるが、6月には方向性が示される見込みで、それを踏まえて岡留副会長を中心に病院の動き方を考えていく(関連記事はこちら)▼医師偏在対策について、病院の勤務医数などのデータが十分に示されていない(関連記事はこちら)―旨を指摘。会員の協力を得て、厚生労働省や政治、関係団体に「あるべき医療の姿」の構築に向けた働きかけを行っていく考えを強調しました(関連記事はこちら)。
日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会理事長、相澤病院最高経営責任者)
日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会理事長、相澤病院最高経営責任者)
 
 なお、医療における消費税問題について、個人的見解と前置きをした上で、「診療報酬では個別病院間の補填過不足を解消することはできない。論理的には、『病院については消費税を課税』し、個別病院ごとに補填を行っていく方策しかない」との考えを示しています。こちらは、長期的な検討課題となるでしょう(関連記事はこちら)。




http://tanba.jp/2019/05/%E3%80%8C%E5%88%86%E5%A8%A9%E3%81%AF%E6%96%B0%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%AB%E9%9B%86%E7%B4%84%E3%80%8D%E3%80%80%E3%81%95%E3%81%95%E3%82%84%E3%81%BE%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/
「分娩は新病院に集約」 ささやま医療センター 産婦人科は継続し診療 
2019年5月29日 丹波新聞

 兵庫医科大ささやま医療センター(片山覚院長)は5月23日、丹波新聞社の取材に応じ、産婦人科における分娩は中止して、丹波市に完成する「県立丹波医療センター」にその機能を集約させるが、産婦人科自体は継続し、従来通り妊婦健診や妊娠中のトラブルについては入院も含めて対応する―との方向性であることを明らかにした。片山院長は、「産科医が全国的に不足する中、より安心・安全な周産期医療を提供するためには、『丹波医療圏』という広域で考えることは大前提で、市の問題ではなく、国レベルの課題」と話している。

分娩を中止しても、産婦人科自体は継続し、受け入れ病院の考え方にもよるが、リスクが高まる分娩直前の9カ月まで診ることは可能という。

 ささやま医療センターの産婦人科は医師2人体制で、助産師などのスタッフも「十分でない」状況。長年、献身的に産婦人科を支えてきた池田義和医師が今年3月末で退官。また、医師にも「働き方改革」が求められており、7月には県立丹波医療センターが開院することから、「これを機に、より市民にとって安全・安心な周産期医療をめざし、舵を切りたい」と、市に協議を申し入れる方向。

 片山院長によると、リスクを伴う分娩は、24時間対応で、小児科、麻酔科、場合によっては脳外科も必要な領域で、広域(丹波医療圏)で整備されるべき医療という。2018年4月に改訂された「県保健医療計画」においても「新病院(丹波医療センター)においては(中略)、小児・周産期医療の基幹病院としての役割を果たすことが望ましい」としている。

 ささやま医療センターの産婦人科は、医師2人体制は維持しているものの、労働条件は過酷だ。妊婦の体調の急変に備え、24時間、できるだけ2人で対応できるよう心がけ、また、どちらかの医師が病院にいるか、1時間以内に駆けつけられる範囲に外出を自制している。田中宏幸部長は敷地内の官舎で寝泊まりし、出張などの際は医大にバックアップを要請する。休日はなく、田中部長は少なくとも、池田医師が退官した4月以降、西宮の自宅で夜を過ごしたことはない。

 医師を輩出する兵庫医大においても、産科医を目指す学生は減少傾向といい、「過酷な労働条件が、産科医を敬遠する原因になっている。学生は症例が多く、働き方改革が進んでいるところへ行きたがるし、医大としても現状のささやま医療センターのように、リスクの高い現場に行かせられない」と話す。

 片山院長は、「市の分娩数が減っている中、市域における共存という意味では、『地元で産みたい』という人は、幸い市内には産婦人科医院があり、そこを利用してもらえばよい。医療センターでなければならない理由はない」と話す。

 ささやま医療センターの「分娩休止を検討」との意向を受け、酒井隆明市長は20日、同センターの産科充実に向けて市民の意見を聞く検討会を6月にも立ち上げることを表明した。

 昨年6月に医科大と結んだ「ささやま医療センターの運営等に関する基本協定書」では、医科大は、同センターにおける婦人科や小児科などの「存続と充実に努める」とし、医療従事者の不足や経営状況などでやむを得ない事情となっても「当該診療科の存続、再開について可能な限り努力する」と明記している。市は同センターに対し運営補助金として年1億2600万円を交付している。





https://www.medwatch.jp/?p=26653
病院の保険診療には消費税を「課税」し、病院間で消費税負担に不公平のない仕組みとせよ―四病協 
2019年5月30日|医療現場から MedWatch

 医療の消費税問題について、病院では「原則、課税」とし、抜本的な解決を図るべきである。それまでの間は、診療報酬プラス改定での対応となるが、個別病院間の補填の過不足に対応するための措置を行うべきである。また、医師の働き方改革の実現に向けて「人材確保に向けた予算措置」「ICT化に向けた財政支援」などを行うべきである―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)は5月24日に、根本匠厚生労働大臣に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020年度の「予算概算要求に関する要望」書を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医療の消費税問題、非課税のままで「不公平解消」はできない
2 働き方改革実現のための人材確保や、ICT化などを支援せよ
3 電子カルテの標準化に向けた医療情報化支援基金、確実な実施を


医療の消費税問題、非課税のままで「不公平解消」はできない

 四病協の要望項目は、▼消費税▼働き方改革▼医療従事者の能力向上▼介護施設・介護従事者▼地域医療介護総合確保基金▼医療機関のICT化▼社会の国際化等への医療の対応▼障害保健福祉▼災害対策―の大きく9項目。多岐にわたっているため、ポイントを絞って眺めてみましょう。

 まず「消費税」に関しては、病院の保険診療について「原則、課税」とし、個別医療機関の補填過不足を解消すべきと要望しています。

保険診療については消費税非課税となっているため、医療機関が物品購入等の際に支払った消費税は、患者・保険者負担に転嫁できず、医療機関が最終負担しています(いわゆる控除対象外消費税)。消費税率の引き上げによりこの負担が増加するため、特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填が行われますが、個別医療機関により診療報酬の算定内容は異なることから、補填の過不足が生じてしまいます。2019年度の消費税対応改定では、病院の種類に応じた補填を行うなどの「精緻な対応」が図られていますが、個別病院の補填過不足を解消することはできません(関連記事はこちらとこちら)。
 
この点、昨年(2018年)夏には四病協と三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)との合同で、▼消費税非課税・消費税対応改定による補填は維持する▼個別の医療機関ごとに、補填の過不足に対応する(不足の場合には還付)―という仕組みの創設が要望されましたが(関連記事はこちらとこちら)、与党の税制調査会は「税理論の中で、非課税制度を維持したまま税の還付を行うことはできない」とし、事実上のゼロ回答にとどまりました(関連記事はこちら)。
日本医師会は「消費税問題は解消」としていますが、物品購入量が多い病院(特に急性期病院)では補填不足が生じやすく、また民間病院では、クリニックと異なり、いわゆる四段階制(社会保険診療報酬の所得計算の特例措置で、概算経費率を診療報酬収入が2500万円以下の医療機関では72%、2500万円超3000万円以下では70%、3000万円超4000万円以下では62%、4000万円超5000万円以下では57%の4段階とする)などの優遇措置もありません。このため四病協では、抜本的な解決が必要と判断し、「原則課税」とするよう求めているものです。消費税課税となれば「還付」も可能となり、個別医療機関の補填過不足を解消することが可能と考えられます。

もっとも、非課税措置を課税に改めるには時間をかけた論議が必要となることから、四病協では「現行の非課税制度の中で、補填によるバラつきが完全に解消されるまで、補てん不足医療機関には必要な財源措置を講ずる」ことも求めています。


働き方改革実現のための人材確保や、ICT化などを支援せよ
 
 また「働き方改革」に関しては、▼医師の増員が必要となることから、「診療報酬以外に医師の人件費に相当する部分への予算措置」▼タスク・シフティング(医師から他職種への業務移管)、タスク・シェアリング(医師間での業務分割)に必要な医療人材確保・養成に係る財政的補助▼医療従事者に対する処遇改善への予算確保(介護現場では処遇改善加算の予算が従前から確保されている)▼看護職員の離職防止に向けた施設(宿舎や院内保育施設)整備の補助▼仕事と家庭の両立支援の推進(看護職員等再就業支援事業)▼育児休暇に係る財政的補助▼医療人材資源を補完するICT・ロボット等導入への財政的補助▼病院給食における新調理システム等の導入に関する補助―などを求めています。

 勤務医については2024年4月から、看護師など他職種に関しては今年(2019年)4月から新たな時間外労働上限規制が導入され(てい)ます。労働時間短縮を進めるためには、タスク・シフティング、タスク・シェアリングが必要となり、このためには職員の増員(前者であれば他職種、後者であれば医師)が欠かせません。こうした職員増には、当然、コストが必要となり、「予算措置」を訴えているのです(関連記事はこちらとこちら)。

 もっとも、多くの病院が「職員増」に動くことから、医療人材の確保は「困難」の度合いを高めていきます。さらに少子化に伴い、人材確保ができない事態も生じます。このため四病協は、▼ICT・ロボットの導入▼新調理システムの導入―なども併せて求めています。


電子カルテの標準化に向けた医療情報化支援基金、確実な実施を
 
 また、高齢者患者では多くの疾病を抱え、また全身の機能が低下していることから、「個々の臓器に着目した治療」ではなく、「全身を管理する総合的な治療」が必要となります。高齢化が進行する中では、こうした「総合的な治療」能力を持つ医師に期待が集まり、日本病院会では「病院総合医」(新専門医制度の総合診療専門医とは異なる)の養成を進めています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 この取り組みがより多くの病院に浸透することが期待される中、四病協は「医師が専門性を有しつつ、総合的診療能力の獲得を促すキャリア支援事業を実施している病院団体に対して、経費補助を行う」よう求めています。

 
さらにICT化に関しては、今年度(2019年度)予算で創設された「医療情報化支援基金」(医療ICT化促進基金)による「電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入支援」の確実な実施とともに、「医療機関における初期導入経費」への補助を求めました。

電子カルテは多くの医療現場に浸透していますが、ベンダーが独自に開発し、個々の医療現場の要望を踏まえた進化が行われているため、「異なるシステム間で、事実上、データの互換性がない」と指摘されています。これは、ベンダーによるユーザー(医療機関)の囲い込み(システムの乗り換えをすると、システム上で過去のデータが活用できない)であると批判されるとともに、地域医療連携を阻害する大きな要因になっているとも指摘されます(異なるシステムを利用する医療機関間でデータの連結等ができない)(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

そこで厚労省は、2019年度予算において「電子カルテデータを連結するためのコンバータシステムなどを導入する医療機関に対し、その費用の一部を補助する」ことなどを目的とした医療情報化支援基金(300億円)を設置したものです(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/678564
地域医療構想「追加推進策の議論も必要」と示唆
土生・厚労省大臣官房総括審議官、鹿児島医法協で講演
 
レポート 2019年5月27日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)
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 厚生労働省大臣官房総括審議官の土生栄二氏は5月25日、鹿児島県医療法人協会創立55周年記念講演「社会保障の展望~医療を巡る課題を中心に~」で、「社会保障・税一体改革は2025年をターゲットとしてやってきたが、今後の一つのターゲット・イヤーは2040年」と指摘、その上で当面の課題として、「地域医療構想の実現に向けて、ここ数年で道筋を付けていくことが、医療提供体制の面では一番重要なのではないか」との見解を述べた。「地域医療構想を検証して、より良いものにしていくことが、今年度から来年度に向けての大変重要な課題だと思っている」。

 土生氏は、経済財政諮問会議でも、地域医療構想が議論になっていることにも触れた。「地域医療構想は現場の自主的な取り組みに重きを置いているものの、そうではない、という意見もある。都道府県知事の権限の在り方についての議論を求める意見、あるいはインセンティブ、より背中を押す仕組みを整えていくべきだ、という意見もある」と述べ、機能再編やダウンサイジングをどう推進していくかなど、「もう一弾、二弾の推進策についての議論も必要になってくるのではないか」と見通した。


 “医療事故調”創設を担当
 鹿児島県医療法人協会会長を務める小田原良治氏は、厚労省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」(2015年3月に「取りまとめ」)の構成員を務めるなど、医療事故調査制度に造詣が深い(『“医療事故調”、当事者の一証言を記録に - 小田原良治・医療法人尚愛会理事長に聞く』を参照)。当時、同検討会の事務局、医療事故調査制度の創設準備を担当した厚労省医政局総務課の課長を務めたのが土生氏で、この日の記念講演につながった。小田原氏は、「当時、土生氏が総務課長だった故に、医療事故調査制度が妥当な制度として仕上がった」と紹介した。

 医療事故調査制度は、2014年6月に公布された医療法改正で創設された。「“事故調”という重たい制度が含まれており、荷が重い法改正だったが、役人冥利に尽きる。関係者とオープンな議論をさせていただき、いい制度になったと言っていただけることは、勇気付けになる」と振り返った。

 今は医政の直接の担当審議官ではないと断りつつも、講演では、昭和から平成の時代の医療政策を振り返るとともに、今後の医療を展望した。

 「令和の新しい時代に向けて、少子高齢化、生産年齢人口の急減が今後の大きな課題」と指摘。これまでの日本の医療は、欧米諸国と比べて人口の高齢化は進んでいるものの、医療費はかなり抑制的になっているとの分析を示し、「自助、共助、公助がうまく組み合わされてきた結果」と評価。「OECD Health at Glance 2017」も引用し、日本の医療のアウトカムは優れているとし、健康的な生活スタイル、医療アクセスの良さ、質の高い医療がそれを生み出しているとした。

 今後の医療政策のターゲット・イヤーを2040年とする理由について、「高齢者数がほぼピークになる一方、生産年齢人口は減少する」ことを挙げ、これらを念頭に置いて改革を行う必要性を指摘。「一人一人に、就労に参加していただき、社会の活力を保っていく。そのためには健康寿命の延伸が必要になる。ITの活用も視野に入れて提供体制の効率化もやっていかなければいけない」と述べ、並行して給付と負担の見直しも実施していかないことには、社会保障の維持は難しいと見通した。

 その上で、「地域医療構想の実現に向けて、ここ数年で道筋を付けていくことが、医療提供体制の面では一番重要なのではないか」とコメント。

 地域医療構想は現在、公立・公的医療機関等が、「新公立病院改革プラン」もしくは「公的医療機関等2025プラン」を策定、公立・公的医療機関等しか担えない機能に特化しているかなどを検証するフェーズにある(『公立・公的病院の病床機能、2025年度も全体では「現状維持」』を参照)。

 「進んでいる地域もあるが、全体としてはまだ明確な絵を描きにくい状況だと聞いている。仮に絵を描けたとしても、それぞれの医療機関がどんな役割を果たすかを決めていくのは、そう簡単ではないことは理解できる。その中で、現在の地域医療構想の案を分析して、どう見直していくのか、検証して、より良いものにするかが、今年度から来年度に向けての大変重要な課題だと思っている」。

 地域医療構想、諮問会議でも議論に
 経済財政諮問会議の議論については、次のように説明。「地域医療構想は、現場の自主的な取り組みに重きを置き、医療界の自律性を大事にしている。その枠組みの中で、ビジョンを描き、実現できないかと考えているが、そうではないという意見もある。都道府県知事の権限の在り方について議論をしていくべきとの意見、あるいはインセンティブ、より背中を押す仕組みを整えていくべきだという意見もある。基金や診療報酬の在り方をどう考えるのか、機能再編やダウンサイジングをどう推進していくのかなど、もう一弾、二弾の推進策の議論が必要になってくるのではないか」。

 土生氏は、「ダウンサイジング」という言葉よりも、「いかに今ある資源を適正に配置、配分するか」という表現の方が適切だとした。「人口構成が変わった時に、急性期、回復期、慢性期という機能の転換、重点の置き方のバランスをどう変えていくのか、つまりニーズに合った医療、介護をいかに展開していくかだ。そのために必要なお金は厳しい財源の中でも、何とか確保しなければいけないと思っている」。

 「日本の医療制度、全体としては大変すばらしいものだと思っている。次の時代に引き継いでいくことが、私たちの使命だと思っている」とも述べ、医療機関に対しては、自立的な協議の推進を念頭に置き、地域医療構想等に対応していくことを要請した。

 最後に土生氏は、「制度的には、公立・公的医療機関等の役割は限定されていると思う。そうしたところからまず取り組むということ。ただ、最後は民間医療機関も含めた全体で、地域の医療提供体制をどうするかについて、地域で合意形成していくことが必要。合意形成にはまだツールが足りない部分が出てくるかもしれない。『こんな仕組み、補助金等があれば』ということがあれば、現場から挙げていただきたい」と述べ、講演を締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/679823
大学臨床系教員「専門業務型裁量労働制を基本とすべき」、AJMC
人材育成・キャリアパスを踏まえた「医師確保計画」も提言
 
レポート 2019年6月1日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)は、5月31日に記者会見を開き、大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員は、専門業務型裁量労働制を基本とするほか、地域医療確保の観点や、初期・後期研修医で特例的に認められる時間外労働の上限規制である「年間1860時間」はあくまで暫定的なものであり、エビデンスに基づき是正すること、働き方改革を実現するため病院の財務基盤の強化などを盛り込んだ「大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員の働き方改革に関する提言」を公表した。

 併せて「今後の『医師確保対策』の進め方について」も公表。今年度から都道府県が医師偏在対策として策定する「医師確保計画」において、医師の人材育成やキャリアパスの観点を考慮せず、人数合わせのような進め方をすると、かえって地域医療に弊害をもたらすと警鐘を鳴らし、計5点について要望した。

 2つの提言は、同日に開催されたAJMCの社員総会で了承され、今後、関係各所に提出予定。厚生労働省は、地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策を「三位一体」で進めていく方針(『2040年の医療提供体制構築に向け「三位一体」改革推進』などを参照)。その際に、医療提供体制や人員配置、時間外労働時間の上限規制を数合わせではなく、業務内容やキャリアなど医師の特性を踏まえて進めるべきだと釘を刺すのがこれらの提言と言える。

 「年1860時間」の時間外上限は暫定的

 AJMC大学病院の医療に関する委員会委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院長)が、「大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員の働き方改革に関する提言」を説明した。

 臨床系教員について、「専門業務型裁量労働制を基本とし、労働時間全体がみなし労働時間と大きく乖離しないように適切に把握、管理を行う必要がある。そして、時間外の教育・臨床業務に対しては、適正な処遇を行うこと、格段の健康確保措置を行うことが必要と考えられる」と提言。臨床系教員は、助教以上の常勤教員が該当する。山本氏は、提言の背景を「裁量の幅が比較的広い研究者としての働き方と、患者の状況等に応じた対応が必要な臨床医としての働き方の二重性を有している」と説明。

 山本氏によると、専門業務型裁量労働制は、国立大学医学部・病院は30大学超、私立大学医学部・病院は2大学が採用している。全ての教員、あるいは講師以上や手挙げ式など、大学によってそのパターンはさまざま。専門業務型裁量労働制を適用する場合、「それぞれの大学で事情が違うので、各大学で検討し、労働基準監督署と相談しなら、36協定を結ぶことになる」(山本氏)。

 医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制が2024年度から適用される。「地域医療確保暫定特例水準」(B水準)は「年1860時間」が上限だが、「あくまで暫定的なもの」と指摘。(1)2024年度の段階で、対象病院数を最小限とし、その後も削減を図る、(2)2035年度末に終了予定のB水準そのものの終了年限の前倒しを図る――などを提言した。

 初期・後期研修医が対象の「集中的技能向上水準」(C-1水準)については、教育効果と時間外労働との関係性を明らかにし、エビデンスに基づき適正水準に設定することを求めた。高度特定技能育成の業務を担う医師が対象の「集中的技能向上水準」(C-2水準)については、その必要性も含めた総合的検討を行い、対象診療領域・指定医療機関を早期に決定し、その上で適正な時間設定を行うべきだとした。

 その他、働き方改革実現のため、医師の負担軽減と業務効率化に必要な人材の確保、施設・機器の導入等による経費増に対応できるよう、財政基盤の強化なども提言。

  「困難な派遣調整」で大学敬遠を危惧

 「今後の『医師確保対策』の進め方について」は、AJMC専門委員長会委員長の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)と、同委員会オブザーバーの村上正泰氏(山形大学医学部教授)が説明。

 嘉山氏は、「医師確保計画」について、厚生労働省の基本的なコンセプトは、「医師が多いところから、少ないところに回すというのが原則。例えば、都内の大学から、北関東や東北の病院に医師を派遣している。医師が多い地域から派遣された医師が帰ってくることができない懸念もあり、乱暴かと思う。コンセプトに柔軟制を持たせることが必要」と求めた。

 具体的には、(1)医療圏を越えて動くことも少なくない医師育成の観点を十分に考慮せず、医師の多数地域から少数区域へと医師廃止を行うことは、現実的に不可能、人数合わせではなく、医師の人材育成やキャリアパスを適切に考慮すべき、(2)困難な派遣調整を大学医学部ばかりが強いられると、大学以外の医師との間で不公平が生じ、大学が敬遠され、人材が集まらなく恐れがあり、地域全体で医師の適正配置という視点からの対応が不可欠、(3)厚労省の「医師偏在指標」は、医師個人間や2次医療圏間の均一性を前提とし過ぎており、指標を杓子定規に用いるのではなく、指標に内在する限界を踏まえた検討が必要、(4)病院の再編・統合を含めた医療提供体制の見直しも視野に入れながら、医師の適正配置を検討すべき、(5)「医師確保計画」の策定、実行には都道府県と大学医学部の綿密・実質的な協力が不可欠、卒前・卒後を通じた医師育成の在り方を含め、医師の適正配置や働き方改革への対応などを総合的に検討する共通の場の設置――の5点を提言した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/679834
「卒前・卒後教育のシームレス化」提言へ、AJMC
卒前で可能なことは前倒し、臨床研修7科目必修を疑問視
 
レポート 2019年6月1日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)は、5月31日の記者会見で、総合的な診療能力を持つ医師をシームレスに養成するため、卒前教育でできることは前倒しし、2020年度から7科目必修になる卒後2年間の臨床研修についても見直しを求めていく方針を明らかにした。

 特に、臨床研修については、7科目のうち5科目の研修期間は「4週間」が基本であるため、AJMC医学教育委員会委員長の松村明氏(筑波大学脳神経外科教授)は、「4週間では、学生実習と変わらないのではないか。各科に必要な診療能力を身に付けるのは4週間では難しいのではないか」と疑義を呈した。卒前教育に前倒しする分、将来のキャリアを見据えた研修を取り入れていくことを求める。卒前・卒後教育のシームレス化に関する原案を。今後提言として取りまとめる予定。臨床研修の見直しは5年に1回が基本。2020年度の次は、2025年度になるが、それよりも早い時期に見直すよう、厚生労働省をはじめ、関係各所に働きかけていく方針だという。

 松村氏は、卒前・卒後教育のツールとして、2020年度から稼働予定の臨床研修評価システム「EPOC II」を挙げた。現在の「EPOC」は、約7割の臨床研修病院で使用しているという。

 卒前の臨床実習は、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準を2023年までに満たすため、充実が進んでいる。「EPOC II」では、評価の仕方を「経験したかどうか」ではなく、「補助が必要か、独り立ちしてできるレベルか」など、到達度を評価できるようになるほか、臨床実習記録の閲覧も可能になる。

 松村氏は、シームレス化を進めることで、卒前にできることは前倒しし、臨床研修を見直す必要性を指摘した。「真に地域医療に役立つ医師を養成していきたい。診療能力を身に付けるには、1つの診療科を最低でも2、3カ月回ることが必要ではないか」と述べた。さらに診療科ではなく、症候や疾患ベースでプログラムを組む必要があるとも指摘。

 AJMC専門委員長会委員長の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)も、必修として「診療科」を挙げると、各科の主張が強くなる」と指摘、「獲得目標を定めて研修制度を構築していくのが、AJMCの総意」と述べた。



https://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201905/0012383459.shtml
不適切入試 神戸大医学部、今後は特定地域重視の配点行わず 
2019/5/31 17:32神戸新聞NEXT

 神戸大は31日、医学部の推薦入試地域特別枠で過疎地域出身の受験生に不適切な加点をしていた問題で、2020年度入試(19年度実施)以降は特定の地域を重視した配点を行わず、書類審査や面接、口述試験で地域医療への意欲と適性を重視して選抜する方法に改める、と発表した。

 新たな選抜方法は学生募集要項に明記。18年度入試の採点やり直しで追加合格者が出ていたが、編入学の辞退で欠員が生じたため、20年度の募集定員は10人のまま維持する。

 不適切な加点をした関係者については、入試担当の理事と医学部長、医学科長を学長からの厳重注意処分、地域特別枠専門委員会委員8人を理事からの厳重注意処分とした。

 再発防止策として今後、地域特別枠の審査基準などを変更する場合は、事前に医学科長と医学部長の同意を得た上で、関係委員会の審議を経て医学科会議で承認を得る体制に改めたという。(石崎勝伸)



https://www.medwatch.jp/?p=26634
医師の働き方改革、入院基本料や加算の引き上げなどで対応すべきか―中医協総会(2) 
2019年5月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の働き方改革を診療報酬によっても推進していくべきだが、その際、「入院基本料の引き上げ」や「加算の創設・増点」などを行うべきだろうか―。

 5月29日の中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点に関する熱い議論が行われました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
ここがポイント! [非表示]

1 診療側は「コストを点数増で賄うべき」と主張するも、支払側は「違和感あり」と反論
2 入院基本料の「看護師夜勤72時間」要件、柔軟にすべきか、堅持すべきか
診療側は「コストを点数増で賄うべき」と主張するも、支払側は「違和感あり」と反論
 すべての医療機関において労務管理の徹底・労働時間の短縮などを進め、2024年4月以降は「年間の時間外労働960時間以下」を目指す。もっとも、労働時間短縮を進めてもこの上限に収まらない労働が必要な救急医療機関等では、暫定的に「年間1860時間以下」の特例を目指す―。

 我が国の優れた医療提供体制は、実は「個々の医師の過重労働」によって支えられています。こうした状況を改善するために、「医師の働き方改革」が求められているのです(関連記事はこちら)。
 
改革を進めるために厚生労働省では、例えば▼「医療機関の勤務環境マネジメント向上支援事業」(2019年度には4800万円の予算を確保)▼患者・国民が適切な受診を行うことを目指した「医療のかかり方普及促進事業」(同じく2億円弱)―などの支援を行っています。
 
さらに、かねてより診療報酬で様々なサポートをしており、例えば、広範かつ高度な医療提供を行う病院を評価するA200【総合入院体制加算】(加算1:240点、加算2:180点、加算3:120点)は、「医療従事者の負担軽減・処遇改善」を実施している病院でなければ算定することはできません。逆に言えば、「医療従事者の負担軽減・処遇改善」、つまり働き方改革に取り組んでいる病院に、経済的インセンティブを与えています。

 
また、働き方改革では「医師でなくとも実施可能な業務を他職種に移管し、医師は『医師でなければ実施できない業務』に集中する」というタスク・シフティングが非常に重要となります。

この点、例えば、A207-2【医師事務作業補助体制加算】は、医師が行っている事務作業を補助者(クラーク)に移管することを経済的に後押ししています。

また、A244【病棟薬剤業務実施加算】は、病棟薬剤師が「入院患者の過去の投薬・注射、副作用発現状況などの情報収集」などを行うことで、医療安全の向上を狙うとともに、「医師の負担軽減」の実現をも目指した点数と言えます。

 
一方、医療の質や安全性を確保するためには、高度なスキルを持った医療職種が配置されていることが求められ、例えば▼専従の常勤医師・常勤看護師の配置▼専任の常勤医師・常勤看護師の配置―などが、さまざまな点数の施設基準で求められています。ただし、医療現場では「厳しい施設基準をクリアするために、医師や看護師などのスタッフの労働が過剰になっている面もある」との指摘もあります。そこで、昨今の診療報酬改定では「施設基準の緩和・柔軟化」が図られており、例えば「常勤職員が産前・産後休業、育児・介護休業を取得した場合、同等の資質を有する『複数の非常勤職員』を常勤換算して施設基準を満たすことを原則認める」などです。
 
さらに、医療従事者にとって非常に大きな負担となっている、提出書類などについても簡素化が図られています。
 
こうした診療報酬による「医師をはじめとする、医療従事者の働き方改革」サポートは極めて重要で、2020年度の次期診療報酬改定でも「最重要項目」の1つに位置付けられると見込まれます。

5月29日の中医協総会では、診療側委員から「診療報酬による働き方改革サポート」の充実を求める具体的な声が相次ぎました。

猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、「夜勤スタッフの確保のためにコスト(人件費)が高騰し、病院経営はますます厳しくなっている。全病院に共通する入院基本料の引き上げなどを検討すべき」と提案(関連記事はこちらとこちら)。

また松本吉郎委員(日本医師会常任理事)や今村聡委員(日本医師会副会長)、猪口委員は、「A207-2【医師事務作業補助体制加算】は、医師の負担軽減に大きな効果があるが、届け出は病院全体の3割程度にとどまり、とくに中小病院で届け出がなされていない」と指摘。背景を詳しく分析し、施設基準緩和などの対策をとるべきと訴えています。
 
こうした診療側の指摘・要望に対し支払側委員は「違和感を覚える」と反論。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「医師の働き方改革を診療報酬でサポートする場合、業務効率化を阻害する要因の排除(例えば過剰な書類の整理など)を念頭に置くべきで、入院基本料の引き上げや加算創設・増点などではない。働き方改革は、▼トップ(院長等)のマネジメント改革▼医療従事者の意識改革▼業務の効率化―という順で進めるものだ。診療報酬はだれが負担しているのかを考えるべきである」と述べています。

この点、診療側の今村委員・松本委員は「医師の働き方改革は、医療安全の向上に資する」点を強調しています。▼点数の引き上げ→▼スタッフの確保→▼医師の負担軽減→▼医療の質の向上―という流れを考えれば、点数(入院基本料や加算など)の引き上げを行う方向は誤ってはいないとの再反論と言えるでしょう。

今後も(おそらく2020年度診療報酬改定以降も)議論すべき、非常に重要な論点といえます。

この点をどう考えていくべきでしょうか。まず医療においては「質の低下は許されない」ことを考えなければなりません。例えば、最近では「コンビニエンスストアの24時間営業の是非」が問われています。人件費高騰による経営圧迫や、そもそもスタッフ確保が困難なため、オーナーサイドから「必ずしも24時間営業をする必要はないのではないか」との声がにわかに高まっています。しかし、医療において、院長が「スタッフが確保できず、また人件費が嵩むので24時間の救急体制はとれない」と判断することは非常に困難でしょう(仮に判断するとしても断腸の思いでのものと推測されます)。通常のサービスと異なり、医療は「人の生命を預かっている」という点に留意が必要です。

また、一般のサービスにおいて「人件費増を価格に上乗せする」ことは頻繁に行われます。保険医療の価格は「診療報酬」であり、改定論議の中で「人件費増を価格に上乗せする」という判断も選択肢の1つと言えそうです。保険医療機関では、公定価格である診療報酬が主な収入源となるため、人件費や物価の変動は診療報酬の中で勘案する必要があるためです。

一方で、財源には限りがあることも事実です。こうしたさまざまな要素も踏まえた、積極的な改定論議に期待が集まります。

なお島弘志委員(日本病院会副会長)は、この点に関連して「現在でも多くの病院に労働基準監督署が入るが、そこで最も大きなダメージを受けるのが『救急医療』である。医療の質を落とさずに、労働時間をどう短縮していけばよいのか、皆で知恵を出し合う必要がある」と述べています。医療現場が疲弊すれば、それは我々国民に跳ね返ってきます。良いサービスを受けるには、それなりの対価が必要になることをしっかりと理解し、「より良い医療が提供され、同時に、より良い医療が受けられる」体制に向けて建設的な議論をしていく必要があります。

入院基本料の「看護師夜勤72時間」要件、柔軟にすべきか、堅持すべきか
なお、働き方改革が求められるのは「医師」だけでなく、「看護師」などのメディカルスタッフも同様です。この点について、猪口委員は「入院基本料の施設基準の1つに盛り込まれている『看護師夜勤72時間』要件について柔軟な取り扱いを検討してはどうか」との考えを示しました。しかし、吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)は「72時間要件は堅持すべき」と強く反論、入院基本料に関する「重要論点」として今後も議論が継続されると考えられます。

 
さらに猪口委員は「専従・専任等の運用をさらに緩やかにしてはどうか」とも提案しています。A業務に専従するスタッフが、B業務との兼務も可能となれば、より少ない人数でより広範な業務を遂行できる、つまり「生産性が向上する」と期待されるのです。これに対し平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「専従・専任のスタッフ配置をはじめとする診療報酬の施設基準は、安全性確保のために設定されたと考えられる。緩和等で安全性がどうなっているのかを見ていく必要がある」と慎重姿勢をとっています。

上記の72時間要件も施設基準の1つであり、さまざまな角度からの検討が行われることになるでしょう。



https://www.medwatch.jp/?p=26592
病院の働き方改革等に向け、多職種の行為を診療報酬で評価し、入院基本料を引き上げよ―日病協 
2019年5月27日|2020年度診療報酬改定 Medwatch

 医師をはじめとする医療従事者の働き方改革が求められている。これを実現するには「スタッフの増員」などが不可欠となり、全病院の収入のベースとなる【入院基本料】の引き上げが必要となる。また、メディカル・スタッフが主役となる行為の診療報酬での評価を充実させることで、タスク・シフティングなども円滑に進むと考えられる。さらに、救急医療患者の増加・状態の多様化に対応できる「新たな評価体系・報酬体系の構築」が必要である―。
 日本精神科病院協会や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」は5月24日に、厚生労働省保険局の樽見英樹局長に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020年度診療報酬改定に関する要望書を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

メディカル・スタッフの行為を診療報酬で評価することで、モチベーションアップも

 日病協の2020年度改定に向けた要望項目は、次の5項目。▼地域医療構想や地域包括ケアシステムの推進▼医師の働き方改革▼医師偏在の解消―など、医療を取り巻く課題が山積する一方で、病院経営はさらに厳しい状況になっていることを訴え、我が国の医療の「さらなる向上」と「持続可能性」を追求するための診療報酬改定が必要と強調しています。

(1)医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進支援
(2)医療機関の機能分化・連携強化
(3)多職種協働・チームアプローチとタスクシフティング・タスクシェアリングの推進
(4)救急医療体制評価の充実
(5)医療版 ICT 推進と診療報酬体系や基準届出・保険請求業務の簡素化

 2020年度診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会・総会では「総論」論議を行っている最中であり(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)、個別具体的な点数項目の要望ではなく、大きな「2020年度改定方針」に向けた要望と言えるでしょう。
 
 まず(1)の「働き方改革」については、もっぱら「病院における医療従事者(勤務医、看護師など)」の労働時間短縮、業務改善(生産性の向上やタスク・シフティングなど)が重要である点を確認したうえで、▼病院の医療従事者の人件費のベースとなる【入院基本料】の増額▼専従・専任要件をはじめとする各種施設基準・関連加算要件等の抜本的な緩和措置―を求めています。
 例えば医師の働き方改革では、2024年4月からの年間時間外労働の上限を▼原則960時間▼救急病院などの地域医療確保に欠かせない場合の暫定的特例として1860時間―とすることが決まり、今後、5年間で全医療機関(特に病院)において労務管理を徹底するとともに、労働時間短縮に、強力に取り組んでいくことが求められます。
 この点、例えば救急科や外科などで医師の労働時間を短縮するためには、▼医師の増員を図る▼他職種への業務移管(タスク・シフティングを進める)▼不要な業務の整理を行う―ことなどが考えられますが、医師の増員はもちろん、他職種への業務移管をする場合でも、その他職種の確保が必要となり、「人件費増」が予想されます。日病協では、この人件費増を賄うために、全病院に共通の収入源となる【入院基本料】の増点を求めていると考えられます(【手術】などの特定診療料の増点では、必ずしも収入増とならない病院が出てくる)。
 
 また(2)の機能分化・連携強化は、2025年度に向けた「地域医療構想の実現」において不可欠です。2025年度には、いわゆる団塊の世代が、すべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増大すると見込まれ、現在の医療・介護提供体制ではこれを賄えないと目されるためです。
 この点、日病協では、【特定入院料】算定病棟で高額薬剤等を含む包括評価などが「機能分化を阻害する要因の1つ」になっていると分析。▼特定入院料の包括範囲見直し▼同一医療機関の複数科受診時の算定要件緩和―などを行うよう求めています。
 
 一方、(3)の「多職種協働」などは、昨今の医療提供体制において最重要テーマの1つとされています。またこれらは、(1)の「医師の働き方改革」の実現においても不可欠の要素となります。
 日病協では、▼「医師・看護師中心の病棟配置基準」から「薬剤師・管理栄養士・リハビリ専門職などの多職種を加味した配置基準」への抜本的な見直し▼各種加算などの見直しによるタスク・シフティング、タスク・シェアリングの推進―を要望しています。
後者については、より多くの専門職の「行為」を診療報酬で評価することを求めるものと言えるでしょう。例えば、A244【病棟薬剤業務実施加算】は、病棟薬剤師が「入院患者の過去の投薬・注射、副作用発現状況などの情報収集」などを行うことで、医療安全が高まり、医師の負担が軽減されることなどを評価する、「メディカル・スタッフ(薬剤師)が主役」の診療報酬項目です。しかし、診療報酬項目を見ると、こうした「メディカル・スタッフが主役」の加算は、ごくごく少数派にとどまっているのが実際です(A242【呼吸ケアチーム加算】、A233-2【栄養サポートチーム加算】などなど)。診療報酬での評価は、病院における「メディカル・スタッフ配置への経済的インセンティブ」になるにとどまらず、メディカル・スタッフが「自らの行為が経済的に評価され、病院経営に役立っている」と自覚できる極めて重要な機会となります。メディカル・スタッフがこうした意識を持てば、チーム医療がより積極的に組織され、円滑に稼働することが期待され、これは確実に「医療の質向上」につながります。非常に重要な要望項目と言えるでしょう。
 
また(4)では、A205【救急医療管理加算】で主に評価されてきた救急医療体制について、救急患者の増加・多様化を踏まえた「新たな評価体系・報酬体系」を求めています。
A205【救急医療管理加算】は、重症の救急患者を受け入れる医療機関を評価する点数項目ですが、従前より「対象患者が曖昧である」「軽症患者でも算定しているケースがある」と指摘され、さまざまな見直しが行われてきています(加算の区分化と、症状が明確でない患者の点数引き下げなど)。日病協では、こうした見直しが、必ずしも救急医療の現場にマッチしておらず、抜本的な見直しを行い、「新たな評価体系」を構築せよと要望しています。日病協の描く「新たな救急医療の評価体系・報酬体系」がどのようなものか、注目を集めそうです
 
さらに(5)では、▼電子カルテ等のシステム導入・維持・更新、システム平準化に対する診療報酬上の評価▼年々複雑化する診療報酬体系の簡素化―を求めています。



https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=67526
メーカー公取協 自社医薬品に関連しない講演会「共催」要件緩和 制度関連テーマも可能に 
公開日時 2019/05/27 03:52 ミクスオンライン

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)は5月24日に行った通常総会で、自社医薬品に関連しない講演会等に関する運用上の考え方を見直したことを明らかにした。メーカーが医療機関や医療関係団体と共催する場合のテーマについて、「医学・薬学をテーマとする」ものに限られていたが、医療保険制度や診療報酬制度等といった医療に関連するテーマでも「規約で制限しない」と改めた。地域包括ケアシステムの進展などで、制度を含めた医療に関する幅広い情報提供は、地域医療の発展に寄与すると判断した。

一方、自社医薬品に関連しない講演会等の開催時に医療担当者等への茶菓・弁当の提供は禁止した。これまでは、参加者1人当たり3000円(消費税除く)を超えない範囲で提供できた。しかし、検討の結果「不当な景品類提供に該当するおそれがある」と判断した。

これら見直しは1月1日に実施した。ただし、自社医薬品に関連しない講演会等の開催時の医療担当者等に対する茶菓・弁当の提供は、既に予定されてる会合もあることから、12月31日までは禁止せず、認めることにした。

メーカー公取協は19年度、見直し内容の周知を重要事業とし、本部、支部の説明会、研修会を通じ理解を深める。

◎自社医薬品関連の講演会のあり方、見直しを検討 違反被疑事案相次ぎ

メーカー公取協は同日、自社医薬品に関連する講演会のあり方について見直しを検討することも明らかにした。18年度に違反に対する「注意」措置1件のほか、自主改善報告16件のうち13件が講演会、説明会、研修会に関連したケースだったことから、対応が必要と判断した。19年度中の基準や運用、指導方法の見直しも視野に議論する。医療担当者等に対する弁当を禁止する議論を進めることはないとした。

注意措置となった1件は、自社医薬品の説明会を午前8時から実施したが、弁当を午前11時30分に昼食として提供。説明会に参加していなかった者にも提供したというもの。自主改善報告でも、説明会に参加していない者への弁当の提供といったケースが目立つ。研修会後の講師慰労会で1人あたり2万円を超える飲食を提供した事案もあった。



https://this.kiji.is/506633968901932129?c=39546741839462401
松阪の医療、年度内提言 3病院の機能分化、連携 三重 
2019/5/30 10:00 (JST) 伊勢新聞社

 【松阪】三重県の松阪市議会の「地域医療と松阪市民病院のあり方調査特別委員会」(西村友志委員長、8人)は29日、4回目の会合を開いた。ベッド数を減らす国の地域医療構想に対応するため設けた同院院長ら有識者でつくる「第2次地域医療構想をふまえた松阪市民病院の在り方検討委員会」で本年度内に、市内3基幹病院の機能分化・連携の方向性を出し、3院で協議する見通しが示された。

 県内8医療圏のうち松阪区域は同市と多気郡、度会郡大紀町。県の審議会「松阪地域医療構想調整会議」では、2025年に向け「病床総数は189床過剰であり、全体的なスケールダウンが必要」とされた。

 特別委で同院は「急性期病棟の患者の4割は回復期ステージの患者。高齢化により回復期機能の需要がさらに高まる。このままいけば実際の患者とマッチしなくなる」と述べた。

 一方、「救急医療体制は当然守られる。医師看護師スタッフを維持する必要がある。検討委員会では3病院の機能の分化、連携を議論していく」と説明。

 その上で、「本年度中には何らかの結論、提言をまとめるべき。一定のものが出た段階で3病院での協議になると思う」と話した。



  1. 2019/06/02(日) 11:06:08|
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