FC2ブログ

Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月26日 


https://www.asahi.com/articles/ASM5P4H5DM5PPIHB01K.html
医師不足でお産休止の恐れ 兵庫・ささやま医療センター  
前田智 2019年5月22日15時00分 朝日新聞

 兵庫県丹波篠山市は、市内にある「兵庫医科大学ささやま医療センター」の産婦人科で、医師不足から分娩(ぶんべん)の取り扱いが休止になる恐れがあるとして、態勢の維持や支援を考える検討会を立ち上げることを決めた。25日に準備会を開く。

医師は過密、だけど出産は隣県で 分娩休止から10年
 市や同センターによると、産婦人科の医師は現在2人。今月に入り、分娩を取り扱う態勢の維持が難しくなっていると、県から市に連絡があった。市側が大学側に確認すると、安心安全な分娩態勢の維持が難しいと説明を受けたという。

 2017年度に市内で生まれた269人のうち、33・1%の89人がセンターで生まれるなど、センターは中核的な存在。市と大学が昨年に結んだ基本協定では、市は運営補助金として大学に年1億2600万円を交付。大学は診療科の存続に努めるが、医師不足などやむを得ない事情で存続が困難になった場合は協議するとしている。

 市側に協議の申し入れはないが、「子育て一番のまちを目指す中、分娩が休止になれば市民に不安が広がる」(酒井隆明市長)と、検討会の立ち上げを決めた。委員は市医師会や自治会などの代表、学識経験者、出産を経験した女性ら約15人。来年3月まで10回ほど会を開く。

 センターの内藤泰事務部長は取材に対し、分娩休止は決めていないとしつつも、24時間態勢で医師2人では休みも取れないのが現状と説明する。「産婦人科をやめるのではない。医療機関の役割分担など、地域で安全な分娩態勢をどう確保するか。分娩休止も選択肢の一つで、近いうちに市と協議したい」と話した。(前田智)



https://this.kiji.is/503757495439918177?c=39546741839462401
常勤医師不足、貸付金2億円超も未返還 滋賀、市民病院の現状  
2019/5/22 11:20 (JST)5/22 13:17 (JST)updated 京都新聞

 滋賀県野洲市は21日、市議会市民病院整備事業特別委員会で、7月1日からの野洲病院の市営化に向けた現状を報告した。現在21人いる常勤医師が19人しか確保できず、非常勤医師で補う方針であることや、野洲病院への貸付残高約2億2500万円が返還されず、債務を免除する可能性があることなどを明らかにした。21年開院予定の新病院整備費については5億円増額する見通しを示した。

 野洲病院では常勤医師21人のうち6月までに2人が退職するため7月以降は19人となる。市は当初22人の雇用を想定していたが、「現状の野洲病院を下回らないような体制を整える」として非常勤医師2人を雇い、21人を確保する予定であることを示した。医師確保対策補助金として約1500万円を6月議会に提案する一般会計補正予算案に盛り込む。

 旧野洲町が経営資金として85〜87年に貸し付けた計9億円に関しては、未返還の残高が約2億2500万円あるが、民間の金融機関からの短期借入金約2億5千万円の返済を優先するため、市への債務を免除する可能性を検討していく。

 21年にJR野洲駅前で開院予定の新病院整備費は、建設資材の高騰などで約110億円から5億円増える見込みを示した。新病院を巡っては6月中に実施設計を終え、秋ごろに建設工事業者の入札を行う見通し。



https://www.medwatch.jp/?p=26509
地域医療構想・働き方改革・医師偏在対策の一体実施で現場は混乱、まず機能分化・連携を進めよ―四病協  
2019年5月23日|医療現場から MedWatch

 「地域医療構想の実現」「医師の働き方改革」「医師偏在の解消」について、厚生労働省は三位一体として進めるとしているが、地域医療構想の実現すらままならない中で、3施策を同時、一体的に進めることは混乱を招くばかりであり、その進め方には反対である―。

 5月22日に開催された四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院)の総合部会では、こういった点で4団体の意見が一致したことが、日本病院会の相澤孝夫会長から報告されました

 相澤日病会長は、個人的見解として「まず地域医療構想を実現して病院の機能分化・連携を進め、その機能等に合わせて医師配置等を考え、さらにその体制の中で働き方改革の実現を目指すべき。さらに、地域医療構想は『病棟単位』での機能分化を念頭においているが、本来は『病院単位』での機能分化を考えていくべきではないか」との考えを示しています。
 
ここがポイント!
1 まず機能分化・連携を固め、そこに必要な医師配置、働き方改革実現可能性の順で検討を
2 専門医制度の全体像を考えるべき、日本専門医機構の抜本的見直しが必要

まず機能分化・連携を固め、そこに必要な医師配置、働き方改革実現可能性の順で検討を

厚生労働省は、「地域医療構想の実現」「医師の働き方改革」「医師偏在の解消」の3施策について「相互に連環しており、一体的に進める必要がある」との考えを示しています(関連記事はこちらとこちら)。例えば、「地域に救急病院が複数あり、それぞれの病院で救急応需体制をとらなければならいために、医師の時間外労働短縮が難しい」という事情があれば、地域医療構想調整会議で「地域の救急医療提供体制のあり方」(例えば一部の病院に救急機能を集約化するなど)を議論しなければ、「働き方改革」を実現できません。また、病院によっては、「医師の働き方改革」を実現するために医師の増員が必要となるところもあります。また「高度急性期機能を強化する」病院では、高度なスキルを持つ医師の確保・養成が当然必要となります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

しかし四病協では、「3施策を一体的に実施すれば混乱が生じる」との点で意見が一致しています。

3施策の中で最も早く議論が開始されたのは「地域医療構想の実現」で、地域ごとに2025年度における▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期等―の機能別の必要病床数を推計し、それに向けて地域の医療機関が議論し(地域医療構想調整会議)、自主的に機能分化・連携を進めていくものです。しかし四病協では「各地の地域医療構想調整会議では、議論が十分進んでいない。そこに、医師働き方改革(時間外労働の上限規制等)や医師偏在対策(医師多数の地域から医師少数の地域への医師派遣等)を加味せよとなれば現場は混乱してしまう。まず機能分化・連携の姿を固め、そこにどれだけの医師が必要か、働き方改革の実現は可能かを順に考えていく必要があるのではないか」とし、一体的な実施には反対との見解を固めています。

また相澤日病会長は、「個人的見解」と前置きした上で、▼働き方改革は、主に「病院の勤務医」が対象となり、そこでは「病院の医師数」が重要な要素となるが、そのデータに基づく議論が十分に行われていない▼地域医療構想では「病棟の機能」に着目し、「急性期が多い、回復期が不足している」と、言わば「ベッドの取り合い」論議をしているが、本来は「病院の機能」に着目し、「どの病院はどういった機能を果たし、そのためにはどの病院と連携すべきなのか」と言った議論を行うべきであろう▼にわかに病院(とくに公立病院・公的病院等)の「統廃合」が議論されているが、病院は重要な社会資本であり、これを活かして「機能分化・連携」を議論すべきあろう―との考えを提示。さらに、「機能分化・連携という『森』を見ずに、自院という『木』が倒れないかどうかだけを考え、バラバラに動いてしまっている」と厳しい指摘を行いました。

「地域医療構想の実現」「医師の働き方改革」「医師偏在の解消」のいずれも、病院団体の理解と協力がなければ円滑には進みません。今後、審議会・検討会なども通じて十分に意見交換していくことが必要でしょう。

専門医制度の全体像を考えるべき、日本専門医機構の抜本的見直しが必要

 また、5月22日の四病協・総合部会では、新専門医制度をめぐり「日本専門医機構と関係学会では、我が国において専門医をどう育成し、そこにどう日本専門医機構が関わっていくべきかという大局的な議論が十分になされていないようだ。組織体制も含めて抜本的な見直しが必要である」との点でも意見が一致しています。

 この点、日本病院会では「専門医制度の在り方に関する提言」をまとめており、近く相澤会長から、厚労省や日本専門医機構へ提言を行う方針が確認されました。その動きも見ながら、四病協での行動を検討していくことになります。

 さらに、昨今、「内科等の基本領域と、サブスペシャリティ領域との連動研修」にストップがかかったり、「専攻医採用上限(シーリング)」について厚労省の試算した都道府県別・診療科別必要医師数をベースとするなどの点について、四病協では「日本専門医機構や学会のプロフェッショナル・オートノミーが失われつつあるのではないか」との厳しい指摘も出ているといいます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。



http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/190522/ecn19052220460017-n1.html
ハードル低い健診医への復帰支援 高まるシニア医師の存在感  
2019.5.22 20:46 Iza.net / 産経オンライン

 医療業界に特化した人材サービスを中心にグループ展開をするMRT(東京都渋谷区、小川智也社長)。同社でもシニアの存在は高まっている。

 ■リタイア医師を支援

 超高齢社会を迎え、医師不足が深刻だ。高齢者は1人当たりの来院回数が増える傾向にあるため、対応が追いつかなくなる。病床不足や、一般患者が診察・入院しにくくなるという悪循環が生まれているのだ。

 この解決には予防医療が重要といわれる。なかでも「健診」は、病気の早期発見、早期治療・完治が可能になるため、ニーズが高まっている。

 その健診において今、同社が力を入れているのは、現役を引退した60-80代の医師たちの健診医復帰支援だ。

 「健診は身長体重・血液・心電図等の検査を行い、最後は医師の診断が不可欠です。しかし場所が(学校などで)点在しており、(春の健診シーズンなど)時季が限定されているため常勤医では難しく、非常勤・単発での勤務形態が多いのです。また、健診による診断は、異常がないかだけの診断なので、リタイア医師の復帰としてはハードルが低いのです」と執行役員の加藤修孝さん(33)は説明する。

 ただ、シニア医師の場合、電子メールなどが不得意なこともあるため、同社では24時間365日、電話でのサポート体制を完備。復帰時の不安を取り除くサービスも提供している。


 ■医療現場への貢献

 一口にシニア医師といっても、事情はさまざまだという。

 「開業医を継承したが、生活や海外旅行のために健診バイトをしたいという人、長時間拘束で負担になる常勤は難しいが現場に携わりたいという人など、抱えている状況や思いはいろいろです」(加藤さん)

 同社は他社にはない独自ルートで、シニア医師の希望に沿う勤務しやすいサービスを提供できるよう環境を整えている。

 現在、同社からの紹介で勤務している医師は20-80代、そのうち約15%を60-80代が占め、今後もこの割合は増加が予想されるという。このシニア医師たちが健診医として活躍することで、患者の重症化を未然に防ぐことが期待でき、深刻な人手不足の医療現場の改善にもつながっていく。(「オレンジ世代」取材班)



https://www.medwatch.jp/?p=26481
2020年度予算、「医療介護総合確保基金の大幅増」「医師少数地域に赴任する医師への補助」など実施せよ ― 日医  
2019年5月21日|医療現場から MedWatch

 来年度(2020年度)政府予算においては、例えば医師や看護師等の「働き方改革」に向けて、准看護師の養成を強化し「医師からタスク・シフティングを受ける看護師」の業務が過剰にならないよう配慮する必要がある。また、2025年度の地域医療構想実現を目指し、地域医療介護総合確保基金の「医療分」について、大幅な増額と柔軟な運用を実現すべきである。さらに、医師偏在の是正に向けて、例えば「医師少数の地域に赴任する医師」への経済インセンティブ付与なども検討する必要がある―。

 日本医師会は5月15日に、こうした要望内容(2020年度概算要求要望)を明らかにしました(日医のサイトはこちら(概要)とこちら(詳細)とこちら(新規項目の抜粋))。

ここがポイント!
1 がんゲノム医療の推進に向け、我が国でもリキッドバイオプシー確立など目指せ
2 医師から業務移管される看護師が負担過剰にならないよう、准看護師育成も強化せよ
3 地域医療構想の実現目指し、医療介護総合確保基金の積み増しなど実現せよ
4 介護医療院への転換支援、介護従事者の確保などに注力せよ

がんゲノム医療の推進に向け、我が国でもリキッドバイオプシー確立など目指せ
 日医の2020年度予算編成に向けた要望内容は、(1)予防・健康(2)働き方改革(3)オリンピック・パラリンピック対策(4)地域医療(5)ICT・AI・IoT活用(6)災害対策(7)薬務対策への予算確保(8)介護保険(9)医療の国際貢献推進(10)医学・学術(11)医療安全(12)医療保険―の12項目と非常に多岐にわたります。このうち(12)の「医療保険」は、2020年度の診療報酬改定とも密接に絡み、今後、別枠で要望が行われることになります。(1)から(11)の項目の中から、気になるものを拾ってみましょう。

まず(1)の予防・健康に関しては、妊娠・出産から高齢者までの「切れ目のない健康長寿社会」の構築を求めるとともに、これを下支えする「生涯を通じた患者個人の健診データをかかりつけ医等が参照し、診断補助や保健指導に活用するための健診標準フォーマット」を運用するための財政支援を求めています。

また、我が国の死因第1位を独走する「がん」への効果的かつ効率的な治療法選択・開発に向けた「がんゲノム医療」推進に向けた取り組みの強化も求めています。具体的には、リキッドバイオプシー検査(唾液や血液などを検体として、低侵襲で実施するがんの診断)など「ゲノム情報を活用した、安全で精度の高い、かつ簡便な検査法」の確立や、「遺伝カウンセリングなどの相談体制」の構築、「治療に結びつかなかったゲノム治療難民のフォローアップ体制」構築などを要望しています。現時点では、がんゲノム医療によって最適な抗がん剤等が見つかる可能性は10-20%程度にとどまっており、残り8-9割の患者の落胆は大きくなることから、そのフォローが非常に重要となるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

さらに、▼妊産婦健康診査の公費負担増▼出産育児一時金の42万円から55万円への引き上げ▼不妊治療に関する公費負担制度の在り方見直し(所得制限の撤廃)▼病児・病後児保育の充実と、小児デイケア・ショートステイ施設の整備▼妊産婦医療費助成制度の整備▼▼治療と仕事の両立支援の推進(中小・零細企業への助成など)▼特定健康診査・特定保健指導実施体制の充実(特定健診とがん検診との同時実施体制整備など)▼糖尿病性腎症の重症化予防への支援▼アレルギー疾患対策の充実▼がん対策の充実(がん診断時からの緩和ケア実施など)▼難病対策の充実(難病拠点病院と地域医療機関との連携補助等、関連記事はこちらとこちら)―など幅広い、保健医療の充実を求めています。

医師から業務移管される看護師が負担過剰にならないよう、准看護師育成も強化せよ

 また(2)の働き方改革に関しては、医師から多職種へのタスク・シフティングの推進支援などを要望しています。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、勤務医の時間外労働上限を2024年4月から原則960時間以下とし、地域医療の確保に欠かせない救急病院等について特例的・暫定的に1860時間以下にするなどの方針を明確化。これを実現するために、今後、5年間で▼医療機関における労務管理の実施(勤務環境マネジメントの強化)▼医師から多職種へのタスク・シフティング(業務移管)等による労働時間の短縮―などを強力に推し進めることとしています(関連記事はこちら)。

 ただし、医師から、例えば看護師へのタスク・シフティングを進めるにとどまらず、すでに多忙な看護師の業務が過剰とならないよう、「看護師から多職種(准看護師や看護補助者など)へのタスク・シフティングを進め、看護師は『看護師でなければ実施できない業務』に特化する」ことが必要で、他の職種についても全く同じことが言えます。

こうした点を踏まえて日医では、▼准看護師の養成を強化し、病院が多くの看護師を確保できるよう支援する(准看護師養成所の教育環境改善)▼看護補助者の処遇改善▼医療秘書当の養成推進▼タスク・シフティングなどに先進的に取り組む医療機関への必要経費補助▼タスク・シフティングに資する什器・備品やICT機器導入の支援―などを行うよう求めています。

さらに、▼医療機関における勤務環境マネジメントの強化支援▼医療勤務環境改善支援センター(勤改センター)における労務管理支援事業の充実▼女性医師の就業・復職支援―などの実施も求めています。

地域医療構想の実現目指し、医療介護総合確保基金の積み増しなど実現せよ

 一方、(4)の地域医療に関しては、地域医療構想の実現に向けて、▼地域医療介護総合確保基金の「医療分」の大幅増と柔軟な運用▼地域医療構想調整会議の活性化支援(外来、介護連携のための部会設置など)▼かかりつけ医機能・身近な入院機能を担う中小病院や有償診療所への支援▼在宅医療を担う診療所・中小病院の確保▼救急医療「後」の患者を受け入れる後方施設の整備▼病床機能の収斂(機能転換で必要な人材の確保養成や病棟整備の補助)―などを行うよう求めています。

地域医療構想は「2025年度の実現」を目指して進められていますが、地域で基幹となる公立病院や公的病院等の機能改革について、必ずしも十分な絵が描けていないことから、今後、「再検証」を行うこととなっています。残された6年間で、どのように各地域の議論を活性化させ、機能分化等を推進していくのか、各医療機関の動向はもちろん、厚労省や都道府県の舵取りにも注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 
また2020年度には、第7次医療計画(2018-23年度)の中間見直し作業を各都道府県で行うことになります(2019年度中に厚労省で見直し指針を策定し、2020年度に都道府県で見直し作業を行い、21年度から見直し後計画をスタートさせる)。この点について日医では、▼小児在宅ケアの支援▼在宅療養患者の最終段階における「家族等からかかりつけ医への連絡体制」構築▼在宅副主治医制の運用支援▼在宅医療を担う医師・看護職員等養成のための啓発事業(研修など)▼汎用性が高く、継続性の担保されたICT整備―などが必要と強調。

 
さらに2020年度からは、医師偏在を是正するために各都道府県で「医師確保計画」をスタートさせます(2019年度に計画を作成)。新たな指標に基づく「医師多数」地域から「医師少数」地域への医師派遣などを強力に進めるための「魅力的なキャリア形成プログラム」を作成したり、将来においても医師が不足する都道府県から大学医学部に「地域枠」「地元枠」の設定等を求めることなどを盛り込みます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

この「医師確保計画」を実効性あるものとするために、日医は▼医師少数の区域等に赴任した医師への経済的インセンティブ付与▼医師少数の区域等に赴任した医師の「子弟」への教育・進学支援▼医療機関の勤務環境改善支援▼ドクターバンクの設置促進と全国ネットワーク化▼看護学生への支援(就学資金貸与)の充実▼訪問看護師の育成―などを行ってはどうかと提案しています。医師確保計画等に基づいた医師偏在対策が功を奏しない場合には、より強力な対策(例えば開業制限など)が検討される可能性もある点には留意が必要です。

なお、医師の偏在状況(配置状況)をより正確に把握するために、▼医師・歯科医師・薬剤師調査の見直し▼必要医師数調査の実施―なども日医は求めています。

介護医療院への転換支援、介護従事者の確保などに注力せよ

 また(8)の介護保険関係では、▼介護医療院への転換助成▼介護従事者の確保(労務管理や、出産・妊娠・育児への支援、新たなケア手法の検討など)▼地域包括支援センターの機能充実▼在宅医療と介護サービスを一体的に提供する体制の構築(多職種共同研修など)▼科学的介護実現に向けたデータ収集やデータベース構築とその活用▼介護保険総合データベース(通称、介護DB)の活用促進▼認知症にかかる地域支援事業(認知症初期集中支援チームなど)の充実▼かかりつけ医と認知症サポート医との連携推進▼認知症疾患医療センターの整備▼認知症研究の推進―などに注力することを求めています(関連記事はこちらとこちら)。

 2022年度からは、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年度にはすべて後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと予想されます。こうしたニーズに的確に対応するために、主に医療分野では「地域医療構想の実現」が、主に介護分野では「地域包括ケアシステムの構築」が進められており(それぞれ連関する)、日医もこれを積極的にサポートしていく考えを明確にしています。



https://www.medwatch.jp/?p=26486
専門医制度、「専門医の質確保」(高度な研修)と「地域医療の確保」は両立可能―医師専門研修部会(2)  
2019年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 専門医制度の在り方を議論する際には、「地域医療の確保」という視点ももちろん重要であるが、「教育・研修レベルの確保」が絶対要件となり、両者は「両立可能」な関係にある―。

 5月14日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)では、こういった議論も行われました。

 今後の具体的な「サブスペシャリティ領域」論議をする際に、重要な視点となるでしょう。
 
内科領域、専攻医1人当たりの症例数は長野・山口・鳥取・静岡で多く、濃密研修が可能
 専門医資格は、従前、各学会が独自に養成・認定を行っていました。しかし、学会が乱立し、それぞれに専門医養成を行っていることから、「国民に分かりにくくなっている」「質が担保されているか不明確である」との批判を受け、2018年度から、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

 具体的には、19の「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっており、「基本領域のみの専門医資格を取得する」ことも、「基本領域とサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得する」ことも可能です。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域
 
このうち、内科・外科・放射線科の各基本領域学会では、社会的意義や国民への認知の程度などを踏まえ、以下の23学会・領域を「サブスペシャリティ領域とすべき」と推薦し、日本専門医機構でもこれを認定しています。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―議論
 
また内科・外科領域については、一定の症例について「基本領域での経験症例」と「サブスペシャリティ領域での経験症例」との重複カウントを可能とし、より早期に「基本領域とサブスペシャリティ領域の資格を保有する専門医」を養成する「連動研修」が計画されていました。しかし、専門研修部会では▼サブスペシャリティ領域の中には、国民に分かりにくいものもある(消化器内視鏡など)▼連動研修は地域医療の確保を阻害する恐れもある―という意見が多数出され、「この4月(2019年4月)からの連動研修スタート」に待ったがかかっています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

例えば、基本領域である内科において「A病院・B病院・C病院を循環する」という研修プログラムが組まれていたとします。「地域医療の確保」という各方面からの強い要請を受け、例えば「基幹病院のみで完結させない」などの配慮・工夫が凝らされています。

しかし、サブスペシャリティ領域との連動研修となった場合、「B病院には当該サブスペシャリティ領域の指導医がいないので、A病院とC病院のみで研修を完結させ、B病院での研修(勤務)を行わない」という事態が生じてしまう可能性が指摘されています。この場合、B病院の所在する地域において、医師確保に困難が生じるなど「地域医療への悪影響」が生じる可能性を否定できないためです。
 
こうした「待った」がかかった状況の中、医師専門研修部会の遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)は「一度、専門医制度の在り方について根本に戻った整理・議論を行う必要がある」と判断。基本に立ち返った議論を委員および厚生労働省当局に要請しました。

まず、厚労省は専門医制度を検討する際には、冒頭に述べた過去の反省に立ち、▼国民へ分かりやすいものである▼医療提供体制・医療計画に資するものである―こととの2つの視点を提示。前者の「分かりやすさ」は、例えば、一般の国民・患者が医師や医療機関を探す際に「専門家でなければ正確に理解できない資格」では困る、というもので、専門研修部会はもちろん、社会保障審議会・医療部会などでも何度も確認されている視点です。

また後者は、当然のことですが「専門医も地域医療の1プレイヤーである」ことを確認する視点です。地域医療は、都道府県の定める医療計画(5疾病5事業及び在宅医療など)に沿って進められ、そこには2020年度からスタートする「医師確保計画」も組み込まれます。したがって、「一部の地域・一部の診療科に専門医が集中し、他地域では医師が極端に不足する」という事態は避けなければなりません。

この視点に立って厚労省は、専門医制度を議論するにあたり、(1)国で専門医制度を議論する意義は「専門的医療を、できるだけ公平に国民に提供する」点にある(2)診療内容と専門医資格とが一致することが原則である(3)都道府県レベルで養成が困難な「希少疾患に対応する専門医」は、ブロック単位(東北ブロック、関東ブロックなど)での養成も検討する―という論点も提示しています。

このうち(1)は、「専門医の在り方」について、大きく2つの側面があることを意味しています。学会・日本専門医機構は「専門医には、専門的な知識・技術を習得しなければならない」という側面からアプローチして専門医制度を検討・構築することが求められ、一方、国(専門研修部会も含めて)は「専門医には、習得した質の高い専門的医療を、公平に国民に提供しなければならない」という側面からアプローチすることが求められるというイメージです。

どちらの側面も重要で、学会・専門医機構のアプローチが十分でなければ「質の高い医療の確保」が不可能になり、国のアプローチが不十分であれば「医療にアクセスする機会」が阻害されてしまいます。5月15日の専門研修部会でも、この点が再確認されました。

地域医療確保に責任を持つ自治体の立場で参画する立谷秀清委員(全国市長会会長、相馬市長)は「地域枠・地元枠出身の医師が新専門医制度のプログラム制(定められた医療機関で定められた年限、研修する仕組み)で置いて行かれることにないよう、カリキュラム制(年限を定めず、一定の症例を経験する仕組み)の充実を要望してきた。日本専門医機構・学会・全国医学部長病院長会議・国・医師会が連携し、地域医療を確保してほしい」と強調。

また同じく自治体の立場で参画する阿部守一委員(長野県知事)は、「地域枠医師が専門医資格更新で不利益にならないような配慮」「希少疾患に対応する専門医も、すべての都道府県において一定期間は連携病院として研修がなされるような枠組み」を要望しています。

両委員の意見は、後者の「専門的医療を公平に国民に提供する」という側面を重視したものと言えるでしょう。

この意見への反論はもちろん出ていませんが、山内英子委員(聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)や片岡仁美委員(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授)らは、前者の「専門的な知識・技術の習得」という側面を「絶対的条件」として強調します。片岡委員は「『医師の不足する地域なので研修はほどほどでよい』ことなどがあってはいけない。日本内科学会ではJ-OSLERシステムで研修実績を把握し、質の担保を図っている。各学会や大学病院が、専攻医をバックアップする仕組みが必要である」と指摘しました。

また山内委員は、この点に関連して「研修医(専門医資格の取得を目指す専攻医も含めて)時代に地域医療に携わる考え方もあるが、例えば研修を受け一人前の知識・技術を身に着けてから地域医療に携わるほうが、より地域医療にとってプラスではないか」との考えも示しています。医師偏在対策について議論した「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」では、ベテラン医師による断続的な「医師少数の地域」での勤務を認定する仕組み(医師派遣機能を持つ地域医療支援病院の「管理者(院長)要件」などとして活用)も設けており、山内委員の考えはすでに厚労省も取り入れていると考えることができそうです。

 
 なお、日本内科学会からは「J-OSLERシステムによれば、専攻医1人当たりの経験症例数が多い(言わば、濃密な研修を実施している)都道府県は、長野県・山口県・鳥取県・静岡県などで、都市部の専攻医がより多くの症例を経験しているというわけではない」ことが報告されています。これは、「勤務地(研修地)」と「研修の質」とは、必ずしもトレードオフの関係(言わば「どちらかを重視すれば、他方をあきらめなければならない」という関係)にはないことの証左と言えるでしょう。

 「専門医の質確保」と「地域医療の確保」とを両立する(日本内科学会報告を踏まえれば実際に両立可能である)という視点で、今後、サブスペシャリティ領域の在り方などを議論していくことになります。
 
 

https://www.m3.com/news/kisokoza/675694
公立医療機関だからできる医療過疎地での役割―柳澤勉・埼玉県立循環器・呼吸器病センター副病院長に聞く◆Vol.2  
2019年5月22日 (水)配信m3.com地域版

 埼玉県内の死因第4位に挙げられる脳卒中。しかし、県北部では緊急医療体制が十分に整っているとはいえず、遠方の埼玉医大に搬送されるケースも多発していた。2019年4月にカテーテル治療にも対応できる「脳神経センター」を開設。名称も新たに、スタートした脳神経センター開設の経緯や、県北部エリアの救急医療体制の実情と課題について、副病院長の柳澤勉氏に伺った。(2019年4月11日インタビュー、計2回連載の2回目)

▼第1回はこちら

――埼玉県が運用を開始している「埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(Saitama Stroke Network、以下、SSN)」。県南地域と県北地域とで登録されている医療機関の数に大きな差があります。理由は何でしょうか。
 医師の数が理由だと思います。医療機関側に対応したい気持ちがあり、設備を整えられるとしても、治療できる医師の数が揃わなければ対応できません。埼玉県に限らず、医師はどうしても県庁所在地周辺地域に集まってしまう傾向にあります。医師にも生活があるわけですから、田舎よりも都市部に近いところで暮らしたいと思うのはおかしいことではありません。通勤に時間をかけるのも負担になるので、職住近接を考えたとき、都市部に医師が集中してしまうのは致し方ないと言えるでしょう。

――とはいえ、都市部以外でも救急医療の体制の整備は必要ですね。
 都市部から離れた地域になると、高齢者の人口が増えます。救急医療が必要になる可能性が高いのは、やはり若者層より高齢者層ですから、総人口が少ないからといって救急医療の需要が低くなるわけではないのです。

 脳卒中のように、発症から治療までのタイムリミットが厳しい病気の場合、物理的な距離は命を救えるかどうかに直結する重要事項です。であるにもかかわらず、地方になると、その地域にある医療機関で対応可能なものが1次救急だけになってしまうことも少なくありません。2次救急の時点で遠方の大病院に搬送せざるを得ないという状態は、患者にも家族にも負担にもなるし、受け入れ先の病院側を圧迫することにもつながります。

――県北エリアの脳卒中患者の救急搬送先が限られていたことにもつながりますね。
 県北エリアにも、1次救急に対応できる医療機関はあります。しかし、2次・3次と症状が重くなると、途端に対応できる医療機関がなくなってしまいます。結果として、患者は深谷赤十字病院(深谷市)へ、深谷赤十字病院が受け入れられない場合は埼玉医科大学国際医療センター(日高市)へと搬送されていました。循環器・呼吸器病センターでは、これまで循環器内科・呼吸器内科のみ、3次救急まで対応して参りました。これからは、脳神経センターの開設に伴い、脳神経外科の領域でも3次救急まで対応できるようになります。

 群馬県境に近い場所になると、埼玉ではなく群馬の病院に搬送されるケースもあります。県庁所在地付近には対応できる病院が多くあるからです。もちろん、必要に応じて助けてもらうことは悪いことではありませんが、やはり地域の医療は地域で担うのが最善ではないかと考えています。その場所にはその場所で医療を必要としている患者がいるわけですから、隣県任せにしておくべきではないでしょう。県民の医療を引き受けるのが、県立病院の役目だとも考えています。

――ただ、総人口が少ない地域で病院の運用をする難しさもあるのではないでしょうか。
 そうですね。そのため、地方の医療こそ、循環器・呼吸器病センターのような公立医療機関が担っていくべきものだと考えています。公立医療機関には、私立病院のように何かを決めたらすぐに行動できるというような身軽さはありません。今回、当センターに脳神経センターを開設するにあたっても、役所関係の手続きに関して、一つ一つ段階を踏んで進めていかなければならないという手間がありました。

 何かをしようと話がまとまると、まずは議案を提出します。その後、自治体の条例に照らし合わせ、県議会の承認も受けなければなりません。そこから、ようやく予算を計上します。計画がまとまってから実際に動き始めるまで、簡単に1~2年は経過してしまうのです。今回の脳神経センターも、動き始めたのは3年前でした。

 私立病院は経営陣が決定しさえすれば物事を進めていけるため、公立病院よりスムーズに事が運ぶでしょう。しかし、私立病院には、患者数が一定以上見込めなければ何かを始めにくいという、経営面でのハードルがあります。公立医療機関にも経営判断は必要ですが、私立病院の方は判断がよりシビアになると思われます。

 全国各地で、県庁所在地周辺とそれ以外との救急医療格差が生まれているだろうと思っています。受け入れ病院が少ない地方には、これから救急医療が必要になる可能性が高い高齢者が多く、この状況は今後しばらく続くでしょう。だからこそ、公立医療機関は地域で完結した医療を提供する役割を担わなければと考えています。公立医療機関は、県民からの税金も運営資金になっているわけですから。ただし、やはり人材不足は深刻です。行政側は必要ポストに医師を雇えるだけの予算を提示してくれてはいるんですが、それでも難しい。「後は自助努力だ」と言われてしまうこともありますが、地方になればなるほど自院の努力だけでは医師数を増やすことは困難でしょう。

――今回、県立循環器・呼吸器病センターに脳神経センターが開設されることにより、県北エリアの脳外科分野の救急医療体制はどう変わっていくと思われますか。
 これまで埼玉医科大学国際医療センターに搬送するしかなかった患者を受け入れられるようになるため、深谷赤十字病院、埼玉医科大学国際医療センターの負担を減らせるのではないでしょうか。搬送時間を理由に受け入れてもらえなかった患者も救えるようになるでしょう。

 深谷赤十字病院や当院の他、1次救急・2次救急と症状の段階に応じて対応可能な各医療機関とも連携しながら、県北エリアの救急医療を回していきたいですね。

――脳神経センターは2019年5月7日から本格始動するとのことですが、今後の動きについて聞かせてください。
 これから「県立循環器・呼吸器病センターがSSNの基幹病院になった」というPRに力を入れていきたいですね。医師会に周知を行っていきます。最初に患者が運び込まれた病院の医師が、当院の脳神経センターがSSNであると知っていれば、迅速にこちらに転送指示を出せますから。1次・2次・3次救急を地域の医療機関で連携して対応できる体制を作っていきたいと考えています。

 また、高度な脳神経外科治療と血管内治療が可能であることに加え、脳卒中と因果関係の強い心臓血管疾患などの包括的診療機能を併せ持っていることも、当施設の大きな強みだと考えています。脳卒中患者の最後の砦として、まずは24時間365日脳卒中患者に対して血栓回収可能な血栓回収センターの認定を目指し、包括的脳卒中センターとして埼玉県北部地域の脳卒中医療のリーダーとしての役割を果たせるように整備したいと考えています。

◆柳澤 勉(やなぎさわ・つとむ)氏
埼玉県立循環器・呼吸器病センター副病院長。1984年新潟大学医学部卒、1992年より同センターの呼吸器内科医。専門は呼吸器内科一般、結核。

【取材・文:卯岡 若菜】



https://www.medwatch.jp/?p=26538
病床稼働率の著しく低い病院、国の補助でダウンサイジングや機能転換を促進せよ―日慢協、武久会長・池端副会長  
2019年5月24日|医療現場から MedWatch

 地域医療提供体制を詳しく見ていくと、病院ごとに病床稼働率・利用率に大きなバラつきがある。稼働率・利用率の低い病院は、「ダウンサイジング」や「地域の医療ニーズにマッチした機能への転換」がどうしても必要だが、コストもかかるため、何らかの補助を検討すべきではないか。また、地域には「住民が暮らしていくために欠かせない医療機関」も存在することから、そこは国などが関与し、存続を図る必要がある―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、5月23日の定例記者会見でこのような考えを述べました。
 
同じ地域、同じ機能でも稼働率に大きな差があり、それは「地域住民の評価」結果
 入院医療においては「在院日数の短縮」が必要です。不必要な長期入院には、▼ADLの低下▼院内感染リスクの上昇▼患者・家族の経済的損失(医療費がかかることはもちろん、収入が途絶える可能性もある)―などさまざまな弊害があるためです。

 さらに「入院から外来へのシフト」(例えば抗がん剤治療など)が進められ、病院によっては、新規患者の確保が追い付かず、病床稼働率・利用率が低下しているところもあります。一方、こうした「在院日数の短縮」等によっても病床稼働率・利用率を維持している病院も少なくありません(関連記事はこちら)。

 日慢協が病床機能報告結果をもとに調べたところ、例えば北海道小樽市では、稼働率・利用率が90%を超える急性期一般病院(急性期一般病棟を持つ病院、ケアミクスの場合も)がある一方で、60%そこそこの障害者病院(障害者施設等入院基本料の届け出病棟を持つ病院)もあります。
日慢協会見1 190523
 
また同様に大阪府門真市では、稼働率・利用率が90%近い急性期一般のみの病院がある一方で、70%そこそこのケアミクス病院もあります。
 
さらに岡山県玉野市では、急性期一般・障害者施設・地域包括ケア・回復期リハというケアミクス体制を敷きながら、稼働率・利用率が40%台にとどまる病院もあります。
 
こうした病床稼働率・利用率の差は「地域住民による評価の結果である。稼働率・利用率の低い病院は地域住民から評価されていない。今、何か手を打たなければ、10年後、20年後には存続できないであろう」と武久会長は見通します。

 
その際に重要となる視点として、(1)ダウンサイジング(病床数の削減)(2)機能転換―の2つがあげられます。

まず(1)のダウンサイジングは、地域の医療ニーズ(患者数)を踏まえて、病院を「適正な規模」にすることを意味します。池端幸彦副会長は「急性期病棟では70%、慢性期病棟では90%程度の病床稼働率・利用率がなければ安定経営は難しい」と指摘しており、例えば200床の急性期病院で、病床稼働率・利用率が60%にとどまっているのであれば、120人の入院患者を70%で割り戻し、170床程度にダウンサイジングすることがまず考えられます。これにより、看護配置を手厚くすることなどができ、場合によってはより高い診療報酬を取得できる可能性も出てきます。なお、都道府県知事が認めれば「200床未満」の病院であっても地域医療支援病院となることが可能です。

しかし、武久会長は「いまだに、病床数の多さをステイタスと考えている病院も少なくない」と指摘したうえで、「減反政策ならぬ『減床』政策として、ダウンサイジングを行う病院には一定の補助を行ってはどうか」と提案。この点、ダウンサイジングには地域医療介護総合確保基金を活用できますが、武久会長と池端副会長は「退職するスタッフも出てくるであろうし(退職金の発生)、構造設備の見直し(改修コストの発生)も必要になる」ことから、これらを適切に賄えるよう、さらに「1床当たり500万円程度の補助」を行うよう提言しています。

また(2)の機能転換は、地域の医療ニーズ(疾患等の構成)を踏まえて、「適切な病棟構成」にすることを意味します。例えば、高齢者の多い地域では「急性期病棟」から「回復期病棟」や「慢性期病棟」への転換することが求められます。

武久会長は、「公立病院であっても、地域によっては『急性期病棟の維持』から『回復期や慢性期への転換』へと柔軟な考えを持つ必要がある」と指摘しています。

この点、地域医療構想の実現に向けた議論を行う厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、「公立病院や公的病院等は、公立病院等でなければ担えない機能に特化すべき」とし、例えば「民間病院と公立病院が競合する地域で、公立病院が地域包括ケア病棟や療養病棟を整備することは好ましくない」との方針を打ち出しています。ただし、過疎地等で公立病院しかないような地域では、その公立病院が総合的な機能を果たす必要があり、急性期から回復期、慢性期まで多種類の病棟を持つべきことは当然で、武久会長の提言と、地域医療構想ワーキングとの議論とに齟齬はない点に留意が必要でしょう。

 
さらに武久会長・池端副会長は、ダウンサイジングや機能分化を進めてもなお経営が困難な病院のうち、「その病院がなければ地域が守れない」というところには、国等による補助で存続させる必要があるとも指摘します。

例えば過疎地や離島などでは、そもそもの患者数が少なく、病院は慢性的な経営困窮状態にあると言えるでしょう。しかし、当該病院の存続がなければ地域住民の生活がなりたたないようなケースでは、ダウンサイジングや機能転換を十分に進めた上で、「存続のための補助」を行う必要があると武久会長・池端副会長は強調。また池端副会長は「外来医療や在宅医療においても、バックベッドが必要である」とし、「ここは残さなければならない」という病院については存続のための補助をすべきと説明しています。

 

https://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/201905/0012358882.shtml
柏原病院と住民の懇談会、継続へ 地域の健康増進目指す 丹波  
2019/5/24 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県丹波市内各地で約9年半にわたり、月1回、巡回開催されている県立柏原病院(丹波市柏原町柏原)と住民との懇談会。7月の県立丹波医療センター(同市氷上町石生)の開院に伴い同病院が閉院した後も、継続されることが分かった。同病院は「住民と触れ合える大切な場。懇談会を通じ、地域の健康増進や医療体制の充実を図っていきたい」としている。

 2008年ごろ、柏原病院は医師不足が深刻化し、診療機能の低下に陥っていた。そんな中、「住民自らが地域医療を支えよう」と丹波市自治会長会が企画したのが、医療関係者と住民が病院の方針や将来像を話し合う懇談会だった。09年10月に始まり、月1回開催。市内25地区を順に回っており、今年4月で112回を数える。

 毎回、副院長や診療科部長ら常勤医、医療スタッフのほか、神戸大学医学部付属病院に在籍し、「地域医療プログラム」として柏原病院で臨床を学んでいる研修医が参加している。病気の治療や予防、最近では丹波医療センターの概要などを講話で紹介。その後、住民が自由に質問する。

 112回目の懇談会は4月23日、同センターが立地する丹波市氷上町石生の生郷交流会館で開かれ、研修医2人が脳卒中と緑内障について解説した。

 質疑応答の時間には、住民から講話内容に関することの他、「研修医の働き方改革は」との質問も。研修医は「地域医療では医師の数が限られている。医療の質を保とうとすれば、どうしても勤務時間が増える」と話し「働き方改革を地域の医師にあてはめるのは、なかなか難しいという印象も持っている」と、率直な思いを述べていた。

 市自治会長会理事で、生郷自治振興会会長の酒井浩二さん(62)は「懇談会を通じて、研修医に丹波の魅力を知ってもらい、研修終了後も『丹波に残りたい』と思ってもらえたら」と期待する。

 開催日時や場所については決まり次第、各自治会がチラシ配布などで周知する。次回は27日、丹波市青垣町田井縄の旧芦田小学校で開催。問い合わせは事務局の丹波市まちづくり部市民活動課TEL 0795・82・0409

(藤森恵一郎)



https://www.m3.com/news/iryoishin/677390
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
1860時間は例外、基本は960時間以内 - 迫井正深・厚労省審議官に聞く◆Vol.1
「36協定なし、勤怠管理なし」は論外
 
インタビュー 2019年5月22日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

 この4月から、医師以外の医療従事者については時間外労働の上限規制が適用となった。医師に限っては、5年間の猶予があり、2024年度からの適用だが、改革は待ったなしだ。
 医師の働き方改革についての方針をまとめたのが、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の3月の報告書。同省は、本改革は、地域医療構想、医師偏在対策と「三位一体」で進めていく必要性を強調する。これらを総合的に所管する立場にある、厚労省大臣官房審議官の迫井正深氏に、医師の働き方改革に関する基本的な考え方を整理し、その影響、「三位一体」改革の意味について解説していただいた(2019年4月25日にインタビュー。全5回の連載)。

――先日、日本外科学会で医師の働き方改革をテーマに講演され、多くの質問が出ました(『「外科医こそ率先して働き方改革を」、迫井厚労省審議官』を参照)。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」報告書ですが、まだ正しく理解されていないとお考えですか。

 はい。「B」の水準(時間外労働の上限規制の特例に当たる地域医療確保暫定特例水準)の「年1860時間」ばかりが注目されていますが、時間外労働を「年960時間」以内に抑えるのが基本です。ただし、どうしても難しい場合には暫定的に認める。ただし、その場合でも、最大で「年1860時間」までとなっているのです。全ての医師を「年1860時間」まで働かせるとは誰も言っていません。

 しかも、それは病院の管理者側の判断で決めることはできません。管理者の申し出を踏まえ、都道府県が吟味して、「この病院なら、仕方がない」と判断されて初めて認められる必要最小限の例外です。これらの根本論が理解していただけていないと思います。


時間外労働を「年960時間」以内に抑えるのが基本であることを強調。
――検討会報告書がまとまった3月28日の報道では、「年1860時間容認」といった書き方がありました。

 私たちは、医師の働き方改革を進めようと思っています。しかし、メディアにそのような書き方をされると、「結局、この改革はちゃんと進まないんだな」といった逆の印象を与えるアナウンス効果になってしまう。医療界の中にも、「改革しなくてもいいんだ」という雰囲気ができてしまうことを懸念しています。

 まず各医療機関に、長時間労働を縮減していく努力を最大限していただくことが大前提です。その大前提のスタート地点が、勤怠管理を含む労務管理。それをしっかりやりつつ、地域の医療提供体制のことも真剣に考えていただく。いろいろな改革をやってもなお、地域医療の提供を考えると、どうしても「年960時間」に収まらない。その場合に例外的に認められる上限が、「年1860時間」です。

 従って、もし法定時間を超えた時間外勤務が必要な場合であれば、「36協定を知らない」「36協定を結んでいない」などは論外中の論外で、あり得ない。「勤怠管理など、どうせできない」というのも、論外です。私は、医療サービスは特別なものだと思います。けれども、労働という側面から見れば、特別なものではなく、どれだけ働いたかを管理するのは当たり前のこと。それをやってこなかったから、医療のいろいろな問題が波及して生じています。例えば「外科医のなり手がいない」という問題の根っこに何があるのか――。「外科は割が合わない」「やっていられない」という声を煎じ詰めていくと、労務管理をしていない、それなりの処遇をせず、対価を払っていない、不合理な長時間労働を平気でさせている――という問題に行き着きます。

――「C1」(集中的技能向上水準、初期・後期研修医が該当)と、「C2」(医籍登録後の臨床従事6年目以降の者が、高度技能の育成が公益上必要な分野について、特定の医療機関で診療に従事する際に適用)については。

 先ほどお話しした時間外労働規制の大原則の上に立って、初期・後期研修医を想定した「C1」に加えて、後期研修降の特定の医師について「C2」を設けている理由は、医療サービスの特性としてどうしても必要だと考えるからです。医療技術は絶えず進歩、変化していきます。医師は最新の医療を届けたいと思っており、我々も届けてほしいと思っている。「この時期に、集中的に医療技術を学ばなければいけない」「今この技術を日本に広めるためにどうしても集中した取り組みが必要」と考える医師たちにとって、時間外労働の上限規制がバリアとなってしまうことが適切ではない場合があり得る。このような状況に対して、極めて限定的に運用するという意味です。

 さらに、これも繰り返し言っていることですが、「年1860時間」は当面の数字です。2024年4月までに「年1860時間」超の医師をゼロにするとともに、「B」については今後の取り組みで「年1860時間」の時間外労働上限を下げていき、2035年度末を目途に廃止を目指す方針です。「C1」と「C2」については、研修の効率化等による縮減を図りながら検証していくことになります。

――改めて検討会の議論の経緯を振り返っていただきたいのですが、2017年8月に議論がスタートしました。計22回開催されましたが、ここまで長期の開催になると当初は想定されていましたか。議論の節目などはあったのでしょうか。

 私が直接的に関わるようになったのは、(医政担当の審議官として)着任した2018年7月以降です。それ以前は、(厚労省保険局)医療課長として、診療報酬改定において医師の働き方改革に取り組む立場から、「この問題は容易には解決できない、根源的な課題」との認識を持って見ていました。従って、「いろいろな意見があるにせよ、2年間で皆さんがよく同じ方向に向かうようになった」「軌を一にして動いていただけた」と受け止めています。(検討会の)最後に拍手が起きたのは、その象徴だと思います。

 意見の違いがあっても、「働き方を変えなければいけない」と皆さんが思っておられたのでしょう。

――「同じ方向に向かうようになった」のは、何らかのきっかけがあったとお考えですか。それとも議論を重ねた結果でしょうか。

 それは議論を重ねた結果だと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/677391
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医療界と社会、双方の働き方改革が必須 - 迫井正深・厚労省審議官に聞く◆Vol.2
宿日直、応召義務など各論も考え方は整理
 
インタビュー 2019年5月25日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――以前から医師の長時間労働、過労死の問題は指摘されていても、なかなか改善は進みませんでした。今回の議論は、政府全体として「働き方改革実行計画」が策定されたことが発端です。これがなければ、医療界で働き方改革は進まなかったとお考えですか。

 厚労省の検討会で議論を重ねていた方は、次第に認識が整ってきたと思います。しかし、医療現場は忙しいので、働き方改革について、一般紙の見出しや、かいつまんだ話くらいしか知らない医師たちは、「やはり長時間労働を容認するのか」といった議論になりがちです。

 しかし、重要なのは、働き方改革は日本の社会全体の課題であるということ。まずは日本が置かれている社会の状況を理解していただく必要がある。生産年齢人口が減少する時代にあって、日本社会全体で生産性の向上に取り組まなければいけない。諸外国と比較しても日本の現状は厳しいという文脈でお話しすると、分ってくれる人が多いのです。この前提がなければ、医療だけ、医師だけで働き方改革を進めるのは難しかったかもしれません。


働き方改革を進めるには、医療者と患者側が両輪となることが必要となると説く。
――時間外や休日に、医師に説明を求める患者家族もいます。「なかなか仕事を休めないから」という人が多いのかもしれませんが、その辺りの認識も社会全体で変えていく必要がある。

 まさにその通りです。(医師と患者家族側の)両方が、「これまでの医師の働き方はおかしくはないですか」と問われているのです。

――両方が両輪となって進めないと、医師の働き方改革は進まない。

 そう思います。だから「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を開催したのです(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)。

 私は県の(医療担当の)部局長を務めたことがあり、地域でのキャンペーンやマスメディアの注目を集める努力も何度かやりましたが、国民や患者へのキャンペーンは、ともすればワンショットで終わりがちです。今回は絶対にそうさせたくはなかった。デーモン小暮さんの参加が注目されましたが、デーモンさんはもともと健康や医療に関連する行政施策にずっと協力してくれた方だったからであって、あれで終わりにするつもりはないのです。懇談会でキャンペーンの考え方、ネタを整理してもらいましたので、今後、それらのノウハウを活用し、懇談会委員にも協力していただきながら、繰り返しキャンペーンをやっていく必要があります。

 例えば、全国交通安全週間と同様に、「医療は皆のもの、皆で支え合うもの」であることを繰り返し、定期的に啓発していくことが必要です。「コンビニ受診」も、医療者の疲弊を生み、究極的には自分たちが困ってしまうことなのです。「かかりつけ医を持ちましょう」と呼びかけるのも、医療について考えてもらう一つのいいきっかけです。その他、薬の服薬の仕方や救急車の受診の仕方など、いろいろなテーマで定期的なキャンペーンを展開することが想定されます。

――検討会では、宿日直、応召義務、自己研鑽の扱いも議論になりました。この辺りは今後、通知を出していくことになると思います。ただ、「検討会報告書では、時間外労働の上限規制の時間は決まったものの、詳細はこれから」と受け止める向きもあります。

 報告書をまとめて終わりではなく、積み残した事項はもちろんあります。ただ議論の過程で、何が問題なのか、その中核的な課題はあぶり出すことができました。今後、さらに検討すべき事項や行政文書として記載するという実務的な積み残しはありますが、対応の基本的な考え方や解決の方向性自体は整理できたと思います。

 宿日直については、昭和24年(1949年)の通知が使われていますが、「病棟当直において、少数の要注意患者の状態の変動への対応について、問診等による診察、看護師等他職種に対する指示、確認を行うこと」といった考え方で整理しました。応召義務についても、関係有識者による研究成果を引きながら「時間外の上限規制を超える場合に、診療に応じなかったからと言って、勤務医が応召義務違反で罰せられることはない」という考え方を導きました。

――「B」、「C1」や「C2」を適用するために、「地域医療提供体制の実情も踏まえ、当該医療機関における医師の長時間労働の実態及び労働時間短縮の取組状況を客観的に分析・評価し、当該医療機関や都道府県に結果を通知し、必要な取組を促す機能」を、都道府県から独立した中立的な組織として設けるとされています。

 「B」、「C1」や「C2」の対象をどのように適用するか、また「B」の取り扱いを中心とした中立的な組織の在り方も今からの議論です。(2024年度から時間外労働の上限規制が始まるため)遅くても2023年度中にはこれらの適用対象を定める必要があり、残された時間はそう多くはありません。

――各論ですが、「宿日直の定義を緩和することで、時間外労働ではなく、宿日直として扱い、結果として時間外労働の縮減を狙っているのでは」という見方もあります。

 確かに、これまで宿日直の扱いが明確でなかった一面があったかもしれませんが、そもそも「宿日直」として扱うためには、労働基準監督署から許可を得て行う必要があります。入院医療の在り方が以前とは変わってきた中で、それに併せて宿日直の扱いも現代化し、「このような業務なら、宿日直許可でなじむ内容」という例示的なラインを示しています。言い換えれば、宿日直として許可を得ながら、実態は割増賃金が発生するような「時間外労働」だった場合には、明らかにアウトということが分かるようになるようにします。それをなし崩し的に、宿日直として認めることは、あり得ません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/678019
日本専門医機構の抜本的見直しを、四病協
「三位一体の改革」には問題あり、反対
 
レポート 2019年5月23日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は5月22日に総合部会を開き、専門医制度や地域医療構想について議論した。終了後に記者会見した日本病院会会長の相澤孝夫氏は、厚生労働省が算出した「2016年の医師数が、必要医師数および2024年の必要医師数と同数あるいは上回る診療科」などを基に、日本専門医機構が2020年度専攻医のシーリング案を作成したことやサブスペシャルティ専門医との連動研修の4月開始が見送りになったことについて、「プロフェッショナルオートノミーを掲げている日本専門医機構としていかがか。専門医をどう育てていくか、機構がどう関わるか全体を見据えた議論がなかなかされていない中で、機構がこのままの形で続いていくのは難しいのではないか」との意見が出て、抜本的な見直しを求めて行動や意見をする方向で議論がまとまったことを明らかにした。


 地域医療構想については、医師の偏在対策、医師の働き方改革と合わせ「三位一体の改革」として進めていくことについて「大いに問題があり、反対である」との意見が強く出たという。

 相澤氏は、「医療機能の分化・連携をどう進めていくかがまだ決まっていない中で、三位一体どころか、3つともやることでにっちもさっちも行かないような状況になっているという意見がある」と説明。さらに、「もともとはそこにどういう医療機能が必要でどんな病院だからというのがあって、医師を派遣し、どんな働き方をしていくかが決まる。 順番にやるべきことが一度に押し寄せて難しい」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/677141
「新・家庭医療専門医」、総合診療専門医のサブスペ創設へ
2020年度からプライマリ・ケア連合学会、キャリア明確化と質保証目指す
 
レポート 2019年5月19日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本プライマリ・ケア連合学会理事長の草場鉄周氏は、5月18日に京都市で開催された同学会の第10回学術大会の理事長挨拶で、総合診療専門医のサブスペシャルティ専門医として、学会認定の「新・家庭医療専門医」を養成する方針を表明した。2020年度からの開始を予定。前日5月17日の理事会で了承した。

 草場氏は、「プライマリ・ケアの発展に貢献する質の高い人材養成を目的とし、総合診療専門医取得後の将来性のあるキャリアを支援する新たな枠組みを提唱したい」と意気込みを見せた。世界家庭医機構(WONCA)などが設定する国際認証を受けることを目指す。

 詳細は今後検討し、7月の理事会で決定。9、10月に新プログラムを募集、11、12月に審査を行い、2020年度から養成開始というスケジュールを見込む。

 日本専門医機構の総合診療専門医の養成開始後も、日本プライマリ・ケア連合学会は、「家庭医療専門医」(Ver.2)の運営を続けている。「新・家庭医療専門医」は、「家庭医療専門医」(Ver.2)をバージョンアップさせたVer.3と言える位置付け。「新・家庭医療専門医」の基準を満たした施設で、総合診療の研修をした場合には、その一部を「新・家庭医療専門医」の単位として認める方向で検討している。例えば「総合診療の研修3年+家庭医療専門医1年」といったパターンが想定し得る。

 「新・家庭医療専門医」と同様に、今後、日本病院総合医学会をはじめとする関係学会、団体と共同しつつ、「病院総合診療専門医」、「他のサブスペシャルティ専門医(在宅・緩和医療など)」も、総合診療専門医のサブスペシャルティとして位置付けることも想定している。

 草場氏は、「新・家庭医療専門医」養成開始の背景として、総合診療の専攻医は2018年度と2019年度ともに、専攻医全体の2%で、180人前後にとどまり、2017年度の家庭医療専門医時代の203人よりも減少したことを挙げ、次のように説明した。「新制度が開始したにもかかわらず、むしろ減少しているのは、大変危惧すべきこと。その理由は、総合診療専門医の制度設計の不安定さだろう。専門医取得後のキャリアパスが不明確で、サブスペシャルティ専門医の議論はストップしており、今後の展開も不透明。総合診療専門医の議論はいったいいつになるのか、非常に心配している。これまで通り、日本専門医機構と連携・協力体制を堅持しつつ、学会独自で動いていくことも必要ではないかと判断した」。

 「専門医制度に関する説明会」を緊急開催
 理事会決定を受け、「専門医制度に関する説明会」も18日の夕刻に急きょ開催。日本プライマリ・ケア連合学会副理事長の前野哲博氏が、現時点での検討状況を説明した。

 前野氏は、学会にとって重要な決定事項であるにもかかわらず、幅広く学会員の意見を聞くプロセスを経ずに理事会決定した理由について、(1)日本専門医機構が認定する専門医以外に、学会認定の専門医を立てられる確信を持てたのが、ごく最近だった、(2)同機構の総合診療専門医の制度設計等にはまだ時間がかかる、(3)総合診療の専攻医のキャリアパスが見えないまま、新制度から3期目に当たる2020年度の専攻医の募集が始まる――ことを挙げ、学術大会というタイミングに合わせて公表すべきだと判断したと理解を求めた。

 厚生労働省は、5月14日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会で、専門医制度の検討の視点として、「厚労省が専門医について議論する意義は、各学会が医師の専門的な知識や技術を習得していること(Specialists)を証明する専門制度とは異なり、専門医が一定の質の専門的医療を、できる限り公平に国民に提供すること(Professionals)を保証することではないか」と提示した(『2020年度専攻医シーリング、機構案通りに厚労省医道審で了承』を参照)。前野氏の(1)の発言は、この点も踏まえたものであると思われる。

 また、総合診療の研修プログラムでは、内科研修が1年組み込まれているが、いまだに日本内科学会が運営するJ-OSLER(専攻医登録評価システム)を使える状況になっていない。専門医試験の内容も決まっていないなど、到達すべきゴールが見えない状況が続いている。

 「新・家庭医療専門医」はこうした問題を解決するため、総合診療の専攻医に対し、将来のキャリアパスを示すとともに、その質の担保を図ることを目指す。

 イメージは、「都市部、郡部にかかわらず、プライマリ・ケア診療、組織管理、地域に根ざした学術活動の基盤を身に付け、地域プライマリ・ケアのリーダーシップを発揮できる人材」。「家庭医療専門医」(Ver.2)よりも、上のレベルを目指すため、臨床研究・教育、プライマリ・ケアのリーダーとしての研修などの部分を手厚くすることを想定している。

 「新・家庭医療専門医」の研修は、開始に先立ち登録が必要。2018年度と2019年度に総合診療の研修を開始した専攻医には移行措置を予定。既存の家庭医療専門医からの移行なども、今後の検討課題だ。「病院総合診療専門医」と「他のサブスペシャルティ専門医(在宅・緩和医療など)」については、関係学会、団体と共同しながら検討する。

 前野氏は、総合診療専門医の養成については、これまで通り、日本専門医機構との連携・協力体制を維持することを強調。一方で、「新・家庭医療専門医」は、当面は同機構の認定を求めることは想定していないとした。「サブスペシャルティ専門医として認めてもらうには、厳しい制限があり、実績が必要。今はできるだけ早く魅力のあるプログラムを作り、実績を積み、社会に認められることを優先する。機構認定のサブスペシャルティ専門医を目指すかどうかは、その後に状況を見て判断する」と前野氏は説明、何よりもまず質の高い「新・家庭医療専門医」を養成していくことが先決であるとした。

緊急開催した「専門医制度に関する説明会」には、多数の学会員が出席。



  1. 2019/05/26(日) 10:10:44|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<Google Newsでみる医師不足 2019年6月1日 | ホーム | 5月12日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する