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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月7日 

https://biz-journal.jp/2019/04/post_27229.html
ジャーナリズム
医師不足が深刻になる都道府県マップ…5年後、全国で2万人も不足に
 
文=山田 稔/ジャーナリスト
2019.04.01 Business Journal

 少子高齢化、人口減が進むなか、将来的な医師不足が大きな問題になっている。厚生労働省がこのほど、将来の地域の医師数を新たに試算した結果をまとめて公表した。医師の偏在を解消する目標年である2036年で見た場合、全国で約2万4000人の医師の不足が見込まれる。

 厚労省の試算データには、先進的な技術を必要とする特殊な医療に対応する三次医療圏(ほぼ都道府県単位)と、一般的な保健医療を提供する二次医療圏(県内をブロック分け)ごとの不足医師数が表記されている。それによると、36年に医師不足となっていないのは奈良県のみだった。

 二次医療圏の合計でみた都道府県別の医師不足上位10都道県は次の通り。

 愛知県2250人、埼玉県1563人、新潟県1540人、北海道1406人、茨城県1402人、千葉県1112人、群馬県1110人、静岡県995人、栃木県959人、東京都929人。

 厚労省は、現時点での都道府県や各地域の医師数の偏りの度合いを示す「医師偏在指標」(推計)も明らかにした。医師数や医師の労働時間、人口などを基に算出した「医師偏在指標」の全国平均は238.3。この指標の下位33.3%未満の三次医療圏(都道府県)を「医師少数三次医療圏」(医師少数県)とした。

 医師少数県は全部で16県ある。下位から順番に並べると以下のようになる。

 岩手県、新潟県、青森県、福島県、埼玉県、茨城県、秋田県、山形県、静岡県、長野県、千葉県、岐阜県、群馬県、三重県、山口県、宮崎県。

 2つの指標を比較すると、現時点でも医師少数で、将来的にも医師不足が解消されない県は新潟県、埼玉県、茨城県、静岡県、千葉県、群馬県となる。一方、東京都は医師偏在指標が329.1で全国トップだが、36年には929人の医師不足となってしまう。

10万人当たりの医師数、看護師数、一般病院数の上位は西日本

 さまざまなデータを加味した医師偏在指標とは別の、都道府県別の単純な医療実態をみてみよう。

 まずは「人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数」(厚労省の医師・歯科医師・薬剤師調査=2016年)。

 全国平均は240.1人。多い順に、徳島県315.9人、京都府314.9人、高知県306.0人、東京都304.2人、岡山県300.4人となっている。近畿以西で全国平均を下回っているのは宮崎県のみ。西日本各県は270人を超える県が多い。

 一方、少ないのは、埼玉県160.1人、茨城県180.4人、千葉県189.9人、新潟県191.9人、岩手県193.8人の順。下位5県はすべて「医師少数県」に入っている。東北、関東圏に200人を切る県が目立つ。

 看護師数はどうか。

「人口10万人当たりの医療施設に従事する看護師・准看護師数」(厚労省の衛生行政報告例=2016年)によると、全国平均は953.3人。上位は高知県1574.8人、鹿児島県1535.4人、佐賀県1506.0人、長崎県1480.8人、熊本県1457.9人。九州と四国で上位を独占している。四国、九州は、沖縄県を除くすべての県が1100人を上回っている。

 下位は埼玉県665.4人、神奈川県666.8人、千葉県701.6人、茨城県740.9人、東京都748.0人となっている。

 もうひとつ、一般病院数をみてみよう。
「人口10万人当たり一般病院数」(厚労省の医療施設調査=2016年)によると、全国平均は5.8。多い順に、高知県16.5、鹿児島県13.1、徳島県12.9、大分県11.4、佐賀県・宮崎県11.2。病院数も四国、九州が上位を独占だ。

 病院数が少ないのは、神奈川県3.2、滋賀県3.5、愛知県3.8、埼玉県・千葉県4.0と続く。東京都も4.4で平均以下だ。人口の多い大都市圏や周辺部は、10万人当たりの病院数は少なくなる。

 10万人あたりの数値となると、どうしても高知県のように人口の少ない県が優位になりがちである。そこで、より実態に即すために医師の労働時間などを加味した「医師偏在指標」をつくったのだろう。

5年後の医師不足、診療科別では内科が1万4468人でトップ
 厚労省は医師不足の推計値について、診療科別のデータも公表した。24年、30年、36年の3段階の数値があるが、ここではもっとも近い5年後、24年の不足数をみてみよう。主な診療科別の数値は次の通り。

診療科、24年の必要医師数(A)、(A)と16年の医師数との差
内科、  12万7446人、1万4468人
小児科、 1万7813人、  1227人
皮膚科、  7999人、   -686人
精神科、 1万4919人、  -772人
外科、  3万4916人、  5831人
整形外科、2万4374人、  2345人
産婦人科、1万3624人、   992人
眼科、  1万2336人、  -388人
耳鼻咽喉科、8621人、   -554人
泌尿器科、 8599人、   1173人
脳神経外科、9789人、   2077人

 もっとも医師不足となるのが内科で、次いで外科、整形外科の順となっている。逆に、精神科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科の4科は現時点で5年後の必要医師数を超えている。なお、このデータに歯科医は入っていない。

 都道府県別、診療科別の医師不足の実態をみてきたが、目標年度の36年においても医師不足解消のめどは立っていないのが現状だ。不足の解消に何が必要なのだろうか。

 地方における医師不足、医師偏在の原因として、「研修医の都市部への集中」「都市部での開業医の増加」「診療科別の偏在」などが指摘されている。私立医大を中心とした入試不正問題で、入試が医局就職のステップになっているといった指摘もあった。大学病院による青田買いのようなことを放置していたら、問題解決にはほど遠い。過疎地域勤務医へのインセンティブ、医師が充足している地域から医師不足地域への派遣制度などの対策を早急に打ち立てていくべきだろう。

 一方で、患者側にも問題はないのか。不要な診療、救急要請などで医療現場の負担を重くしている面も見受けられる。医師の過重労働につながる問題だ。

 今回の「医師偏在指標」で、状況の可視化はできた。必要なのは、医師不足や偏在を解消するための効果的な具体策である。国は一日も早く、国民にわかりやすいかたちで提示すべきだ。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)



https://www.asahi.com/articles/ASM307TDKM30UBQU001.html
消化器外科を縮小、医師不足のため 姫路医療センター  
直井政夫 2019年4月1日09時00分 朝日新聞

 国立病院機構「姫路医療センター」(兵庫県姫路市本町)が、消化器外科の業務の縮小を決めた。3月25日に一部の外来患者に他の医療機関へ移るよう要請した。センターは「医師不足のため、対応できなくなった」としている。

勤務医の残業「一般並みに」 一部除き年960時間上限

 センターによると、消化器外科は12人の医師がいたが、3、4月に転勤などで5人の医師が退職して7人となり、補充もできなかったという。退職した医師が受け持っていた外来患者188人に対し、和田康雄院長名で、他の医療機関での受診などを求める通知を25日に郵送した。

 センターは引き続き、医師の派遣などで支援を受けている京都大などに医師の補充を求めるという。広報担当は「今後、大きな手術を続けられるかについても検討する」としている。

 センターでは、脳神経外科でも医師不足のため、2017年秋から手術をやめ、入院も受け入れていない。

 センターは27診療科があり、411床で、1日あたりの外来患者が約650人の地域の中核病院。(直井政夫)



https://www.m3.com/news/iryoishin/669255
シリーズ 日医代議員会
「医師確保、カギは地域・地元枠の活用」城守日医常任理事
第144回日医臨時代議員会、「医師偏在指標」への関心高く
 
2019年4月2日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の城守国斗氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、医学部の地域・地元枠出身の医師は地元定着率が高いことから有効に活用する必要性を指摘した。特に「地元出身者の地域枠」の医師では、地元枠の定着率が8割を超えているというデータも挙げ、地域医療対策協議会でその活用の在り方を十分に議論するよう求めた。

 医学部の臨時定員増が2021年度に期限が切れ、2022年度以降の在り方が注目される中、厚生労働省の医師需給分科会のこの3月の第4次中間取りまとめで、恒久定員の中にも一定の地域・地元枠を設けることや、将来時点で不足する医師数については、地域・地元枠のための臨時定員設置の必要性を検討する方針が示されたことも紹介した(『医師需給「第4次中間とりまとめ」承認』を参照)。

 医師不足対策について質問したのは、岩手県代議員の小原紀彰氏。関連で出た「医師の奉仕の精神だけでは、過疎地の医師の数は変わらない。補助金など経済的なサポートも含めて検討してもらいたい」との質問には、城守常任理事は今後の課題であるとし、日医副会長の今村聡氏は、支援の一環で今般の税制改正の中で、個人版事業承継税制が新たに認められたと説明した。

 この4月から、都道府県で医師確保計画の策定が始まり、2020年度から実行に移される。新たに導入された「医師偏在指標」、それに基づく医師確保対策への代議員の関心は高く、第144回臨時代議員会の計16の「代表質問」のうち、3つを占めた(他の質問については、『外来医師偏在指標「管理統制にあらず」松本日医常任理事』、『「医師養成数の増加、将来に深刻な影響」松本日医常任理事』を参照)。

医師確保対策に関する質問と答弁の概要

質問:岩手県代議員の小原紀彰氏
 岩手県の3次医療圏の医師偏在指標は全国最下位で169.3であり、最も高い東京都はその1.94倍(『医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差』を参照)。岩手県では地域枠の定員を順次拡充してきたものの、医師確保は喫緊の課題であることから、医師養成の一律の抑制ではなく、医師不足県においては(1)医学部定員数を減らさない、(2)地域枠存続――のほか、県境を越えた医師の配置調整にも取り組むことが必要だ。岩手医科大学は、定員130人で、そのうち地域枠は28人分、うち15人分は岩手県出身者が対象。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 2018年5月に公表された医師需給分科会の第3次中間取りまとめにおいて、全国レベルの医師需給推計結果が示された。医師の働き方改革により、年間の時間外・休日労働を960時間に制限することを前提とした場合、2028年に国全体では医師の需給は均衡するとしている。その上で、暫定的な方針として、2020年度、2021年度の医学部定員数は、2018年度の9419人をおおむね維持するする方針が示された。2022年度以降の医学部定員数については、医療計画や医師の働き方改革、医師偏在対策の状況等を勘案し、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の適正化に向けて方針等を見直すとしている。
 しかし、これらはあくまで国全体の方針であり、必ずしも各地域や診療科での需給均衡を意味するものではない。2018年度の医学部定員9419人の定員のうち、臨時定員増による地域・地元枠は1010人に達している。地域・地元枠の医師は地域への定着率は高く、特に地元枠は、2次医療圏間や診療科間の偏在調整機能があり、地域への貢献がより期待できる。2021年度でこれら臨時定員増はいったん解消される予定だが、地域・地元枠医師の地域への貢献度の高さに鑑み、医師需給分科会の議論の中で実効性のある医師偏在対策を行っていくためには、臨時定員の見直しによって、地域・地元枠をなくすのではなく、恒久定員の中で確保するよう主張してきた。3月22日の第4次中間取りまとめでは、医学部の恒久定員内に一定の地域・地元枠を設けることや、将来時点で不足する医師数については、地域・地元枠のための臨時定員設置の必要性を検討する方針が示された。
 さらに2018年の医療法改正によって、各都道府県の地域医療対策協議会の協議を経た上で、知事から大学に対して、地域・地元枠の設置・増員について要請できる仕組みを構築することができた。
都道府県医師会においては、地域への貢献がより期待できる地域・地元枠医師が十分に活用されるよう、地域医療対策協議会で議論を尽くしてもらいたい。
 県境を越えた医師の配置調整については、国において、専門研修等の個別医師のキャリア等を可視化した全国データベースを構築し、地域医療支援センターが機動性を高めた上で、このデータベースを活用することが打ち出されている。この考え方は、日医が全国医学部長病院長会議とともに2015年12月に取りまとめた「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」によって提案された、「医師キャリア支援センター構想」を盛り込んだものだ。都道府県の地域医療対策協議会では、このデータベースを有効に活用し、派遣調整機能を発揮してもらいたい。
 日医としても、県間の調整が円滑に進むように、厚労省に適切に支援することを求めており、今後、都道府県が医師確保計画を作成するに当たって、国が示す予定である基本方針には、国が県間の調整を支えるための役割が明記されるよう、求めていく。
 なお、都道府県間の配置調整を検討する際、医師法に基づく医師の届け出票のデータを有効利用することも必要。日医の要請により、主たる勤務先に加え、従たる勤務先、つまり兼務先も記載することになった。日医総研のリサーチエッセイでも分析を行っている。日医として、医師が地域を超えて勤務している状況など、各種データを十分に活用した議論ができるよう、厚労省に求めていく。

質問:岡山県代議員の武田正彦氏
 過疎という問題が、医師の偏在に大きな影を投げかけている。医師の奉仕の精神だけでは、過疎地の医師の数は変わらない。補助金など経済的なサポートも含めて検討してもらいたい。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 人口が少ない地域では、医師偏在指標は正確ではないと言われている。特に外来医師偏在指標については、僻地等は考慮に入っていないところもある。地域枠で入ってきたドクターでも、義務年限が終わると、県外に去っていくという話だが、地域枠と地元枠を組み合わせて、「地元出身者の地域枠」という形にすると、地元枠の定着率が8割を超えているので、そうした形での取り組みを地域医療対策協議会で検討していただければと思う。
 また僻地において、どんな形の医療提供体制を取るかだが、巡回診療などの体制が取れればいいが、できない場合は、インセンティブとしては、診療報酬は全国一律なので、何らかの財政的、税制的支援も政策的には必要になってくると思うので、この辺りは今後検討していく。

答弁:日医副会長の今村聡氏
 医師需給分科会でも、そうした支援の必要性が強くうたわれている。日医から、医療事業の承継なども強く要望し、今般の税制改正の中で、個人版事業承継税制が新たに認められたのは、こうした支援の一環だ。

質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏
 長崎県は、医師多数区域。ただし、離島が多く、県内の格差が大きい。指標を今後、どのように活用していくかだが、医師過剰県では、他から医師を引っ張ってこないように、とされている。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 医師多数区域(都道府県)においては、他都道府県から医師を調整してもってくることは駄目であるという建て付けになっている。一方で、医師少数区域であっても、実施には機能している2次医療圏もあると思う。各先生には、2次医療圏で医師少数区域と認定しても、医療の実態として困っていることは何かを正確に分析して国に報告することをお願いしたい。実態とマクロの医師偏在指標との乖離のファクターとしてどんなものがあるかも見えてくる。

答弁:日医副会長の今村聡氏
 医師多数県と医師少数県の話と、県内の2次医療圏の医師多数区域と医師少数区域の話が混同されがちだ。都道府県が医師確保計画を策定するに当たっては、都道府県内の医師少数区域の医師をどう確保するかが大前提。それを踏まえた上で、都道府県全体としての医師をどう確保するかという話になった時に、医師多数県と位置付けられている場合、積極的に外に向かって医師を確保することはしないという前提。例えば、もともと外の病院に行って、戻ってくることを前提にしている人に、そうしたことを働きかけてはいけないという話ではない。まず都道府県がやるべきことは、都道府県内の医師少数区域をなくす、標準的なところまで引き上げる計画をしっかり作る。その時に地域医療対策協議会が中心となるので、医師会の役割が大きい。

質問:栃木県代議員の稲野秀孝氏
 日本の人口10万人当たりの医師数は、約230人で諸外国と比べて少ない。また医師の働き方改革で、時間外労働上限の暫定特例水準が2035年度末まで延長することを考えると、日本の医師数が不足していることは間違いない。人口10万人当たり何人の医師を目標としているのか。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 従来、医師の偏在指標として、人口10万人当たり医師数が使用されてきた。しかし、この数字には、将来の人口の変動、患者流出入、地理的な要素、またドクターの性・年齢分布などの要素が欠けている。正確な医師偏在を表わす指標ではないという考えの下に、今回新たに医師偏在指標が提案された。
 その中で、(マクロの)医師の供給推計と需要推計が34万人辺りで均衡するのは、2028年という形になっている。現在の計算式、数値は、三師調査と医師の勤務実態の厚労科研の調査などを用いている。今後の医師の働き方改革の詳細な設計によって医師の推計値は異なってくる。2036年度の必要医師数の推計値の精度を、国としても高めていく。2036年度には、全国値と各都道府県の医療圏ごとの偏在指標が合致する、つまり医師偏在が解消されることになっている。

質問:兵庫県代議員の坂本泰三氏
 地域・地元枠を作ると、入試の際の合格点が変わり、その点が問題になる。地域・地元枠を作った場合、事前に公表していたら問題はないのか。合格者を出した後に、地域・地元枠に割り振ると問題なのか。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 地域・地元枠を各都道府県、各大学がどのように設定していたかだろうが、実は文科省が調査をしたところ、受験をする前の段階で分ける別枠方式で採っている場合、あるいは一般枠と同様に受験し、後から決める手挙げ方式があった。今後、厚労省、文科省は、手挙げ方式は原則認めず、別枠方式とし、地域・地元枠の意義を学生に理解して、受験、入学してもらう建て付けになっている。



https://www.asahi.com/articles/DA3S13965233.html
(社説)医師の働き方 偏在対策にも踏み込め  
2019年4月5日05時00分 朝日新聞

 医療機関の勤務医に24年度から適用される残業時間の規制案がまとまった。

 一般の勤務医は過労死の労災認定の目安である「過労死ライン」を上回らない月100時間未満、年960時間を上限とする。ただし、地域医療のためにやむを得ない場合と、研修医や専門医をめざす医師など技能向上のために集中的な診療が必要な場合には、特例で年1860時間まで認める。

 「過労死ライン」の2倍近い残業を認めることに対し、厚生労働省の検討会では「非常識な数字」といった批判も出た。しかし一律に残業を制限すれば、地域で医療を受けられない患者が出かねないという医療関係者の声に配慮した。

 忘れてならないのは、本来改めるべきは、勤務医の過重労働に依存する、そうした地域医療の現状の方だということだ。

 最大の課題は、地域の医師不足などの構造的な問題である。その解消に本気で取り組み、特例なしで成り立つ地域医療を早期に実現しなければならない。

 厚労省は従来、研修医などの特例は将来的に縮減し、地域医療確保のための特例は35年度末を目標に終了するとしていた。しかし最終段階で「35年度目途に廃止することについて検討」との表現に後退した。

 35年度末という目標は、厚労省が進める地域の医療提供体制の見直しや医師偏在是正対策が前提だ。それなのに、こんなあいまいな表現しかできないのでは、自らその実現性に疑問符をつけたようなものではないか。医療機関の集約化や地域・診療科ごとの医師の偏在是正が思うように進まなければ、特例もずるずると続く。そんなことは許されない。

 医療現場ではこれまで、労働時間がきちんと管理されておらず、議論の前提となるデータも十分ではなかった。

 厚労省は今後、医療機関の業務の効率化や勤務環境改善への支援、労働時間などの実態把握に乗り出すという。そうした施策も踏まえ、特例で認める残業時間を適宜短くするべきだ。

 特例の対象となる医師の健康を守るため、連続勤務を28時間以下にする、次の勤務までに9時間の休息を確保する、残業が月100時間以上になる場合は産業医らが面接指導することなどを医療機関に義務付ける。

 疲労の状況を客観的にどうチェックするのか。ドクターストップがかかった場合に代わりの医師をどう確保するのか。実効性のある仕組み作りも課題だ。

 医療現場で働く人たちを守るために、必要があればさらに踏み込んだ施策を考える。それが厚労省の責任だ。



https://www.medwatch.jp/?p=25709
医療計画中間見直しに向け、2019年中に指標追加などの見直し方向を固める―医療計画見直し検討会  
2019年4月2日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2021年度の医療計画見直しに向けて、今年(2019年)中に見直し事項を固め、来年度(2020年度)いっぱいをかけて都道府県で見直し作業を固めることとする―。

 3月29日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういったスケジュール等が確認されました。
 
ここがポイント!
1 2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業
2 在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業

 2018年度から、新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしています。

 2014年施行の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により、▼地域包括ケアシステムの構築▼病院・病床の機能分化・連携の推進―が極めて重要な課題であることが再確認され、医療・介護連携を進めるために、従前の「5年を1期とする」計画から「6年を1期とする」計画に改めるとともに、介護保険事業(支援)計画(3年を1期とする。2018年度から第7期計画がスタート)と歩調を合わせることとなりました。

もっとも6年間は長期間であり、その間に地域医療を取り巻く状況も大きく変化すると考えられることから、「3年後」(第7期計画では2021年度)に中間見直しを行うこととなっています。

2021年度に中間見直しを行う(見直し後の指標等に沿って計画等を進める)ためには、▼2020年度に各都道府県で見直し作業を進める → ▼2019年度中に見直し事項等を固める―必要があります。このため、厚生労働省は3月29日の会合で「2019年中(2019年12月まで)に検討会の意見を取りまとめる」考えを提示し、了承されました。

もっとも「中間見直し」において、それほど大きな見直しをすることは好ましくありません。医療計画では、5疾病5事業および在宅医療の各項目について、いくつかの指標を定めます(全国統一指標に加えて、都道府県が独自の指標を一部定めることも可能)。各都道府県は、その指標に基づいて自地域(都道府県および2次医療圏)の状況を確認し、必要な対策を打っていきます。

たとえば5疾病のうち「がん」対策については、例えば▼がん診療連携拠点病院数(ストラクチャー指標)▼末期がん患者へ在宅医療を提供する医療機関数(同)▼がん検診受診率(プロセス指標)▼がん患者指導の実施件数(同)▼緩和ケア(入院・外来)の実施件数(同)▼がん性疼痛緩和の実施件数(同)▼がん年齢調整罹患率(アウトカム指標)▼がん患者の年齢調整(同)―などが重点指標に据えられており、ほかに▼がん認定看護師を配置しているがん診療連携拠点病院割合(ストラクチャー指標)▼診療ガイドラインに基づく治療実施割合(プロセス評価)▼がん診療連携拠点病院の5年生存率(アウトカム評価)―なども指標となっています。

これらに基づいて、各都道府県では医療計画の中に、例えば「がん患者指導の実施件数」について「2023年度に年間●●件を目指す」などの目標を立てるとともに、達成に向けた施策とその実施方法などを定め、実施していくことになります。

中間見直し時点で、こうした指標を大幅に見直せば「医療計画の前提が崩れ、これまでの取り組みが水泡に帰してしまう」こともありうるため、厚労省では「中間見直しでは、指標の追加等の小幅見直しにとどめる」考えです(関連記事はこちら)。

具体的には、これまで(2018年度の1年度分)の取り組み状況、検討会(例えば「がん対策推進協議会」など)やワーキンググループ(地域医療構想、在宅・医療介護連携)などの下部組織の検討状況などを踏まえて、「指標の追加」などを検討します。

この点に関連し尾形裕也構成員(九州大学名誉教授)は、「第7次医療計画からは、医療・介護連携の強化に向けた大きな見直しが行われた。中間見直しに当たっては、介護保険事業(支援)計画との整合性についても重視すべきである」旨を要請しています。

在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

また3月29日の検討会では、医療計画に関連の深い▼医師偏在対策(医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会の第4次中間とりまとめ)▼地域医療構想の実現▼在宅医療の充実―に関する報告等も行われました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

このうち「地域医療構想の実現」に向けては、下部組織である地域医療構想に関するワーキンググループで、地域の医療機関の診療実績を勘案し「公立病院・公的病院等の改革プラン内容」を検証する方向が示されるとともに、厚労省で診療実績データに関する分析を進めることとなっています。3月29日の検討会ではこの方向を正式に了承しており、厚労省は急ピッチで各地域の医療状況の分析を進めます(関連記事はこちらとこちら)。

また在宅医療の充実に関しては、地域医療構想の実現に伴って生じる新たな在宅医療ニーズ(例えば「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を在宅等に移行することとなっている)に応えるために、都道府県が市町村の取り組み支援していく方針が示されています(関連記事はこちらとこちら)。

この点、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)から「杓子定規な対応はすべきでない」旨の指摘がありました。例えば、上記で言えば、「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を、在宅医療や介護施設等で受け入れることになりますが、都道府県・市町村によっては「在宅医療の整備が思うように進まない」「介護医療院への転換が進まない」ところもあるでしょう。こうした患者を「療養病棟に入院することはできません。在宅医療の整備はまだですが、頑張って在宅で生活してください」などと放り出すことはできないことから、城守構成員は「一定の柔軟性を認めるべき」と訴えているのです。厚労省では、こうした指摘も踏まえながら、都道府県や市町村の在宅医療推進をサポートしていくことになります。
 


https://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20190402/CK2019040202000229.html
【開院】 地域医療のモデルへ 富山まちなか病院  
2019年4月2日 中日新聞 富山

 富山市が新たに運営する「富山まちなか病院」(旧富山逓信病院)が一日、開院し、開院式が同市鹿島町の同病院で開かれた。

 まちなか病院は、市が日本郵政から逓信病院の事業を引き継いで運営。将来的に在宅医療や回復期医療の提供を基本とし、高度専門医療や急性期医療を強みとする市民病院(同市今泉北部町)と機能を分けることで中心市街地に医療拠点を維持し、住み慣れた地域で市民が医療サービスを受けられる地域完結型医療を目指す。

 式には、市の関係者や病院スタッフ三十人が出席。森雅志市長は他医療機関との連携を強化して「全国から注目される新たな富山市型の医療モデルへ」とあいさつ。樋上義伸院長は「地域包括ケアの核として成果を出し、市民がいつまでも健康に暮らせる豊かな社会に貢献したい」と誓った。

 診療科は逓信病院と同じ内科、外科、整形外科、婦人科、眼科で、一般病床は五十床を設置する。 (柘原由紀)



https://tanba.jp/2019/04/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%94%AF%E3%81%8884%E5%B9%B4%E3%80%80%E3%80%8C%E6%9F%8F%E5%8E%9F%E8%B5%A4%E5%8D%81%E5%AD%97%E7%97%85%E9%99%A2%E3%80%8D%E3%81%8C%E9%96%89%E9%99%A2%E3%80%80%E7%97%85/
地域医療支え84年 「柏原赤十字病院」が閉院 病院ボランティアに感謝状/兵庫・丹波市  
2019年4月3日 丹波新聞

 兵庫県丹波市柏原町柏原の「柏原赤十字病院」で3月29日、閉院式が行われた。前身病院を含め明治時代から地域密着型の医療を提供してきた同病院。関係者50人ほどが出席し、「84年の軌跡」を振り返るスライドショーが上映され、慣れ親しんだ病院の閉院を惜しんだ。今夏、柏原赤十字病院と県立柏原病院(同市柏原町柏原)が統合移転し、同県丹波市氷上町石生に新病院が開院する。

前身病院は明治30年開院

 同病院は、明治30年に開院した氷上郡立柏原病院が前身。明治41年に財政上の理由で柏原町に移管され、昭和10年に日本赤十字社兵庫支部柏原診療院となった。当時は病床30床、職員25人だった。

 患者が増え昭和17年に増築、日赤兵庫県支部柏原病院となり、後に柏原赤十字病院と改称した。200床を超えた時代もあったが、閉院時は59床、職員数は約120人だった。

「赤十字精神、新病院へ」

 閉院式で、2017年4月から、県立柏原病院と兼務で16代目の柏原赤十字病院長を務めてきた秋田穂束氏は「私自身、日本赤十字社の地域社会への奉仕に対する真摯な取り組みなど、非常に感銘を受けながら学ばせていただいた。柏原赤十字病院は閉院するが、赤十字精神を受け継ぎながら、新施設でも地域社会に貢献していくものと確信している」などとあいさつした。

 また、日本赤十字社長の代理で、同社医療事業推進本部統括副本部長の矢野真氏は「84年に渡る歴史に幕を下ろすのは残念だが、地域住民のための医療を続けてきたことを誇りに思う」と述べた。

 丹波市の谷口進一市長は「日赤がなくなるのは寂しいが、(新しく開院する)市健康センターミルネにその機能がしっかりと引き継がれる。地域に根付いた日赤の精神はそこでより大きく育まれていくと思う」とあいさつした。

病院支えたボランティア「旅立ちは希望。新病院でも継続を」

 前日の28日には、同病院を支えた「病院ボランティア」への感謝状贈呈式があった。急激な医師減少による病棟縮小が行われた2008年に始まった「病院ボランティア」は、来院する患者のサポートや、清掃、洗濯、夏祭りやクリスマスなど季節のイベントの手伝い、伝票運びなどを担った。感謝状贈呈式には対象者23人中18人が出席し、感謝状を受け取った。

 他病院で行われている活動を参考に立ち上げを提案した元丹波市連合婦人会長で、氷上郡(現丹波市)時代から日赤奉仕団の委員長を務めた荻野美代子さん(83)は、「私たちにできることをと始めた。家族も自分もお世話になった一番身近な病院」と言い、30年以上ドライフラワーを贈り続けた川上朋子さん(81)は、「職員の息子が交換してくれるので年に6回ほど新作を渡していた。喜んでもらえていたのなら幸い」と話した。

 式典に出席したリハビリ科長で理学療法士の石原直幸さん(56)と井上恭子看護師長は、ともに同病院勤続30年超。「細かいことに良く気づいてもらった」「手が回らないところを助けてもらった」と感謝。閉院について石原さんは「職員は仲が良く、いい病院だった。寂しい」と言い、井上さんは、「とうとうこの日が来てしまったという思い。寂しいが私たちがやってきたことを新病院に引き継ぎたい」と前を向いた。

 雛倉恵美看護部長は、「看護師が全然足りないなかで、患者の側で助けてもらった。みなさんに来てもらって、地域とつながった気がした。今日までありがとう」と涙ながらに謝辞を述べた。

 ボランティア代表の増南文子さん(71)は、「長い柏原日赤のわずかの期間だが病院と共にあった。別れ、旅立ちは希望。たくさんの希望を持ち新病院でもボランティア継続を」と締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/669007
シリーズ 日医代議員会
「公立・公的病院、代替・再編の可能性を議論」中川日医副会長
第144回日医臨時代議員会、「地域医療構想、働き方改革、新専門医制は一体」
 
2019年4月1日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、「他の医療機関による役割の代替可能性」「再編統合の可能性」がある公立・公的医療機関等について、期限を切って地域医療構想調整会議で議論する仕組みが今後導入されると説明した。

 さらに地域医療構想の実現に向けて、公立医療機関を有する地方自治体の首長が調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを防ぐ手立てのほか、公立・公的医療機関等への補助金等の投入状況の「見える化」も検討しているとし、公立・公的等と民間の医療機関が役割分担しながら、地域医療構想の実現を目指す方針を表明した。


日医副会長の中川俊男氏
 地域医療構想において、公立・公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、その役割を明確化し、2019年3月末までに調整会議の合意を得るとされていた。ただし、形式的な合意で終わるケースが少なくないことから、新たな仕組みの導入につながった。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の議論を踏まえたもので、同省は具体的作業を進めている(『17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し』を参照)。「例えば、『民間と、公立・公的が競合している』『公立・公的しかない』『民間しかない』などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい」。

 中川氏はその他、調整会議で医療機能に関する「定量的な基準」を導入する動きがある中、「病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握するだけのことだ」と説明。

 地域医療構想との関連で、都道府県別の診療報酬の導入も浮上するものの、現行の「高齢者の医療の確保に関する法律」(高確法)の下では導入のハードルは高い上に、「両者の関連はないと認識してもらいたい」と説明。ただし、「高確法を改正して、都道府県別の医療費抑制を狙う人達もいる」と述べ、注視していくとした。

 さらに地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、努めていく方針も表明した。

 地域医療構想について質問したのは、三重県代議員の馬岡晋氏。それに対し、日医常任理事の釜萢敏氏が答弁した後、関連質問が相次ぎ、中川副会長が回答した。

地域医療構想に関する質問と答弁の概要

質問:三重県代議員の馬岡晋氏
 (1)1年ごとの地域医療構想の策定、厚生労働省への報告は変更を検討できないか、(2)医療区分1の在宅への移行は、各地域に自由に設定させることは考えられないか、(3)病床区分における基本ルールの策定の是非の検討を含め、地域医療構想調整会議の活性化に取り組む意思は日医執行部にあるか――の3点を質問。

答弁:日医常任理事の釜萢敏氏
 調整会議では、年4回会議を行うことが示されている。協議内容は、地域の不足する医療機能の確認、それを補うための具体策、次年度の地域医療介護総合確保基金の活用などになる。こうした年間スケジュールを毎年繰り返すことで、各地域における病床の機能の構成が、自主的に収れんされ、地域医療構想で描いた姿に近付くことになる。
 調整会議は、定期開催と随時開催ができるよう、地域医療構想策定ガイドラインに記載されている。コアメンバーによる随時会議をあらかじめ行い、論点を整理するなど、医療職以外の委員の負担を軽減し、会議の効率を高めるようにしてもらいたい。2025年を見据え、議論を掘り下げていくことも必要。都道府県が短期的な目標のみならず、中期目標などを設定できるよう、国に働きかけていく。
 「医療区分1の70%」は、各地域において病床機能の分化により、在宅医療の追加的需要がどれだけ発生するか、その一つの目安にすぎず、それに縛られる必要はない。それから得られる数値は参考値にすぎない。病床の削減、在宅への移行を強いるものではない。高齢化に伴う在宅医療の需要の自然増にも対応しなければいけない。地域の実情に応じて、実現可能な方法で体制を構築していくことになるが、在宅での受け入れは、かかりつけ医の確保にかかっている。中小病院や診療所の医師偏在解消、在宅医療を担う医師の育成、介護施設の整備など、基盤が整って初めて在宅での受け入れが可能となる。これらの現状を確認し、地域の自主性をもって在宅医療を進めることになっている。
 病床の区分割り当てに関する各都道府県独自の判断基準の作成とは、昨年厚労省が通知で示した、地域医療構想調整会議の活性化のための地域の実情に応じた定量的な基準のことだと思う。都道府県独自の基準が診療報酬の都道府県化につながることを懸念しているが、そのようなことを決してない。日医は、国民皆保険の理念に合致しない、都道府県別診療報酬算定には断固反対する。
 日医は、急性期機能を全く発揮していないのに、急性期機能の病棟と報告するような極端な場合を除き、全国一律の定量的な基準を入れることにあまり意味がないと、一貫して主張してきた。この考え方は、厚労省からも了承されている。地域の実情に応じた定量的な基準は、厚労省が通知で説明している通り、調整会議の議論を活性化させる観点のもの。あくまでも各構想区域の実態を把握するツールであり、必ずしも導入しなければいけないものではない。
 最後に、公立・公的医療機関等は、「それらでなければ担えない機能」に重点化すべきである。一方、これらのプランがさしたる議論もないまま、調整会議で合意される実態もあると聞いている。日医は、その点を公の場で厳しく指摘してきた。その結果、厚労省も調整会議に対し、病床数に固執した機械的、形骸化した議論ではなく、公立・公的医療機関等の実績をしっかりと分析評価し、ダウンサイジングなどを進めることを求めていく方向。

質問:三重県代議員の馬岡晋氏
 調整会議の本質は、今まで中川副会長が何度も言われていたが、地域医療の再生、在宅医療の充実に向けて、いかに皆で手を携えるかという観点であり、住民全員を巻き込んだ議論をしなければいけないと思う。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 調整会議は、ガイドラインの策定時から、定例会議と臨時会議に分け、地域住民も含めて大きな会議(定例会議)では、その構想区域のデータを共有する。しかし、踏み込んだ議論はたくさんの人が参加する会議では難しいので、利害関係者も含めて、(臨時会議で)しっかりと議論することから始まる。その使い分けを上手にやっていただきたい。
 また「定量的な基準」のことだが、2018年8月に(厚労省医政局)地域医療計画課から課長通知が出されたのは、当時、全国の構想区域で「回復期機能が不足している」ということが頻発したので、それに対して危機感を持ったため。独自の定量的基準を導入して、しっかり実情を把握してもらいたいという意味だ。その結果、全国で次第に回復期が不足しているという認識が改められてきたと思う。「定量的な基準」を導入する目的は、病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握する、それだけのことだ。

質問:岐阜県代議員の川出靖彦氏
 一番、今問題になっているのは、新専門医制度が始まり、医師が急激に不足しつつあること。中小病院では、医師の引き揚げが起きている。医師の働き方改革でも医師の不足が生じる。医師の確保と医師の働き方改革も、調整会議で議論してもらいたいが、これらを把握、評価するためのデータはない。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 医師がどのくらい必要なのかという把握が難しい状態。三師調査では、今回から「主たる勤務先」と「従たる勤務先」の両方を書くようにした。「従たる勤務先」で何日間働いているかも含めて、分析を始めている。精緻なことを始めているので、ぜひご提供したい。地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、しっかりと詰めていきたい。

質問:宮城県代議員の橋本省氏
 釜萢常任理事は「都道府県別の診療報酬にはつながらない」と回答したが、地域医療構想、現状には都道府県による差が大きい。そのような状況下だと何が出てくるか分からない。奈良県では昨年、都道府県別の診療報酬が出た(『地域別診療報酬の検討、奈良県が事実上凍結』を参照)。本当に大丈夫か。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 都道府県別診療報酬の特例に関する根拠法は、高齢者の医療の確保に関する法律、すなわち高確法だ。その中で、関係しているのは第13条と第14条だ。「第13条に基づいて都道府県が診療報酬の特例を要望して、第14条で厚労大臣が許可する」と考えている方も多いが、それは誤解。第13条は、都道府県が全国一律の診療報酬について、意見を提出することができるというだけの条文。一方、第14条は、厚生労働大臣が、医療費適正化を推進するために支障がある、都道府県別の診療報酬を導入した方がいいと判断した時に、実行ができる。厚生労働大臣の判断の基準は、全国の医療費適正化計画がうまく行っているかどうかだ。全国と都道府県の計画目標の両方がうまく行かない時に、初めて都道府県別の診療報酬導入の可能性が出てくる。
 この法律は、非常に精緻になっており、都道府県間の給付に不公平になってはいけないとまで書いている。実質的に導入は不可能。このことも認識して、地域医療構想と都道府県別の診療報酬の関連はないと認識してもらいたい。
 しかし、問題は、高確法を改正して、都道府県別まで医療費抑制を狙う人達もいる。日医は、しっかりと警戒して、注視していく。

質問:愛媛県代議員の久野梧郎氏
 民間に先立ち、公立・公的医療機関等の病床の議論が進んでいる。休床になっていることが多々ある。人口が減少する地域では、隣接地域の中間に基幹病院を作った方がいい場合もある。公立・公的医療機関等の問題は、調整会議のみに任せるのではなく、もう少し国として指導力を発揮してもいいのではないか。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 調整会議は法律上、強大な権限を持っているが、なかなか機能しにくいのはその通りだ。なぜ公立・公的医療機関を問題にするかだが、公立・公的医療機関と、民間病院の機能が競合する場合には、公立・公的医療機関がひくという文書が厚労省から出ている。公立病院には年間5000億円以上の税金が投入されているからだ。公的医療機関も県によって違うが、補助金や税制優遇など、いろいろな形で支援をしている。
 (厚労省の)地域医療構想に関するワーキンググループで、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、全国の調整会議で「合意された」とされるが、ほとんどさしたる議論もなかった。それを検証し直すことにした。例えば、一般的な術式の手術について、競合していないかどうかを類型化して、そのデータを構想区域に返すことにした。
 さらにもっと踏み込み、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」という名前を付けて分類し、そのことを調整会議で調整して、期限を切って結論を出すことにした。
 「他の医療機関と再編統合の必要性について、特に議論が必要な公立・公的医療機関等」という分類も行い、これについても期限を切って議論し、方策を得ることになっている。
 さらに大事なことは、補助金が公立・公的医療機関等にどのくらい入っているのか、トータルの額は分かるが、内容は全く分からない。それを「見える化」することも考えている。公立医療機関を有する地方自治体の首長が、調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを何とか防ぐ手立てを考えようとまで踏み込んでいる。

質問:兵庫県代議員の大江与喜子氏
 「新公立病院改革プラン」等の合意だが、3月末までに合意しないと、補助金が減額されるという脅しがあり、あまり議論しなかった経緯がある。また公立病院等の医師は、地域医療構想をほとんど理解せず、勝手に自分たちが作りたい病院を作っているという姿勢がある。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 日医は、公立・公的医療機関等に対する何のうらみも持っていない。地域医療構想を進めていくのは、東京都や大阪府といった地域を除いて、ほとんど病床が間違いなく余ってくるからだ。その最初の役割、ダウンサイジングする、統廃合する役割は、公立・公的医療機関等が担うべきだと一貫して主張している。また基金等を減額することがないよう、厚労省に厳しく言っている。

質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏
 公立・公的医療機関等しか担えないような機能を担っているかを判断するとされているが、それは誰が判断するのか。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 法的には地域医療構想調整会議が判断する。ただ判断すると言っても、基準がないと判断できない。先ほど言ったように、類型を作り、例えば「民間と、公立・公的が競合している」「公立・公的しかない」「民間しかない」などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/668858
シリーズ 日医代議員会
「平成の次の時代の医療、構築は我々の責任」横倉日医会長
第144回日医臨時代議員会、23のサブスペ「見直すよう要望」
 
2019年3月31日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月31日の第144回日医臨時代議員会で、「平成の次の時代の医療制度を、医師と患者・国民との信頼関係の上に、持続可能なものとして築き上げていくことは、未来に対する我々の責任」との決意を表明した。

 「かかりつけ医の心」を全国の医師が涵養した上で、地域医療構想を通じた医療機能の分化・連携等の促進をはじめ、5つの取り組みを高度に相関させながら、人生100年時代に即した医療の在り方を模索する方針。高齢社会のネガティブなイメージを払拭し、一元的に捉えられてきた健康概念を、個々人の価値観に即した多元的なものへと提言していく構えだ。

 横倉会長が挙げた5つの取り組みとは、地域医療構想のほか、▽医師確保対策を通じた医療資源の地域間格差の是正、▽医師の働き方改革を通じた医師の健康確保と地域医療を支える各医療機関の継続性の両立、▽医師の養成を通じた医療の質の向上と医師偏在の是正、▽地域包括ケアシステムを通じた切れ目のない医療・介護提供体制の構築――だ。

 直近の話題として、新専門医制度にも言及。同制度は、プロフェッショナル・オートノミーが基本であることを指摘した上で、3月28日の日本専門医機構社員総会で、「23のサブスペシャルティ領域を見直すことを要望した」ことを紹介。「新専門医制度は、国民にとって分かりやすい制度にすることが目的。しかし、23領域を見ると、領域の一部が重なっているなど、国民に分かりにくい部分があるという危惧を覚える」(横倉会長)。「制度設計に当たっての混乱は、国の関与を強める結果にもなりかねない」との懸念を呈し、「丁寧な議論を基に、目的にかなった早期の制度実現に向けて、日医は引き続き、日本専門医機構を支援していく」との方針を示した。

 「グランドデザイン2030」策定を説明
 横倉会長は、まず「国民生活にとって欠かせない医療は、いつの時代も政治に大きく影響されてきた」と述べ、4月の統一地方選挙、7月に予定されている参議院選挙を控え、「医療政策を政治家の方々にも十分ご理解していただく必要がある」と指摘。その考えの下、日医総研が新たな「グランドデザイン2030」をまとめたと説明した(『「日本の医療のグランドデザイン2030」、日医総研まとめる』を参照)。具体的な提言と行動計画については、今後、日医総研のワーキングペーパー等を通じて公表する予定であり、その中から、高齢化する日本社会全体の活性化につながるようなものを選択し、日本医師会の政策に取り入れていく方針。

 医師偏在指標「数字が独り歩きしないように」
 具体的施策として、この4月から都道府県による医師確保計画の策定が始まることから、「医師偏在指標の数字が独り歩きしないよう注視しつつ、医師偏在対策の実効性の確保に寄与していく」とした。

 地域での医師確保対策は、地域医療構想や医師の働き方改革の議論とも密接に関係するとし、3月28日の厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の取りまとめについては、次のように解説。「過度な長時間労働で地域医療を支えてきた医師達の健康管理、労働環境の改善等について議論されるとともに、地域医療への影響を考慮した暫定特例水準のほか、臨床研修医や専攻医など、一定期間集中的に技能向上に務める際の水準も示された。これらの水準はいずれも要件に適合する医療機関や、希望する医師にのみ適用される」。「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」の両立を訴えてきたとし、引き続き、勤務医の健康確保に向けた医療機関の取り組みを支援しつつ、地域の実情に柔軟に対応可能な制度設計に寄与していくとした。

 医師の働き方改革実現のほか、良質な医療提供のためにも、医療におけるAI(人工知能)やICTを活用する必要性も指摘。集まった医療データ分析により、地域の医療ニーズに見合った医療提供体制を構築していく際のエビデンスにすることも可能であるとした一方、その活用に当たっては安全性を担保しつつ、医師と患者の信頼関係が脆弱になることがあってはならないとした。

 かかりつけ医機能研修制度は2期目
 その上で、横倉会長は「かかりつけ医」の普及、定着、充実に向けた取り組みの重要性を強調。「日医かかりつけ医機能研修制度」は、この4月から2期目を迎えることから、応用研修の講義内容を刷新し、かかりつけ医の社会的機能の充実を図ったという。「かかりつけ医の心」は、「寄り添う心」「和の心」であるとし、こうした心なくしては超高齢多死社会で医療は立ちゆかなくなるのでは、との考えを述べた。

 全ての団塊の世代が後期高齢者となる2025年、また高齢者人口がピークとなる2040年に向けた社会保障の在り方を考えることが必要だとしたほか、今年10月に消費税率が引き上げられた後も、しっかりとした議論の場を作り、国民全体で合意の上、納得を得られる負担と給付を導き出すべきではないかと考えていると表明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25754
医師等の労働時間短縮に資する機器やソフト、共同利用するCT・MRIなど購入費の一部を特別償却可能―厚労省  
2019年4月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医療従事者の働き方改革に資する機器等の購入、地域医療構想の実現に向けた病院の改築等、共同利用を推進する場合の全身用CT・MRIの購入にかかる費用について、一定割合を特別償却することを認める―。

 厚生労働省は3月29日に通知「地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度について」を発出し、こうした点を明らかにしました。

ここがポイント!
1 医療需従事者の勤務状況を把握・労働時間短縮に資するさまざまな機器・ソフトが対象
2  地域医療構想の実現に向けた、病院の新築・改築や転換などが対象
3  稼働率の高い、あるいは共同利用を進める全身用CT・MRIが対象

医療需従事者の勤務状況を把握・労働時間短縮に資するさまざまな機器・ソフトが対象

 本年(2019年)の税制改正において、(1)医師、その他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等(2)地域医療提供体制の確保のために地域医療構想調整会議で合意された病床の再編等に資する建物・その附属設備(3)共同利用推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器―について「特別償却」の対象拡充・見直しが行われました(関連記事はこちらとこちら)。「医師の働き方改革」「地域医療構想の実現」「高額医療機器の適正配置」などといった医療提供体制改革を進めるため、また厳しさを増す病院経営における設備投資負担への配慮を行うための見直しと言えるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

今般の通知では、これらの詳細を明らかにしています。

まず(1)「医師等の労働時間短縮に資する機器」の特別償却制度について見てみましょう(関連記事はこちら)。

制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、医師等の勤務時間短縮やチーム医療推進に資する未使用の器具・備品・ソフトウエア(勤務時間短縮用設備等)を取得・製作して、医療保健業の用に供した場合に、普通償却限度額に加えて「特別償却限度額(取得額の15%に相当する額)まで償却する」ことを認めるものです。

具体的な勤務時間短縮用設備等の要件としては次のとおりで、1台・1基の取得価額が30万円以上のものに限定されます。

【類型1】労働時間管理の省力化・充実に資する勤務時間短縮用設備等
▼ICカード、タイムカード、勤怠管理ソフトウエアなど「客観的に医師の在院時間等の管理が行える」設備▼勤務シフト作成支援ソフトなど「医療従事者の効率的な配置管理が行える」設備―

【類型2】医師の行う作業の省力化に資する勤務時間短縮用設備等
▼AIによる音声認識ソフトウエアやその周辺機器など「医師が記載(入力)する内容のテキスト文書入力が行える」設備▼画像診断装置(CT)など「救命救急センター等の救急医療現場において短時間で正確な診断を行う」ための設備▼ベッドサイドモニター、患者モニターなど「呼吸回数や血圧値、心電図等の病態変化を数日間のトレンドで把握する」ための設備―

【類型3】医師の診療行為を補助・代行する勤務時間短縮用設備等
▼手術支援ロボット手術ユニット▼コンピュータ診断支援装置▼画像診断装置等(核医学診断用検出器回転型SPECT装置やX線CT組合せ型ポジトロンCT装置、超電導磁石式全身用MRなど)▼在宅診療用小型診断装置―など「医師の診療行為の一部を補助・代行する」設備

【類型4】遠隔医療を可能とする勤務時間短縮用設備等
▼遠隔診療システム▼遠隔画像診断迅速病理検査システム▼医療画像情報システム▼見守り支援システム―など「医師が遠隔で診断することに資する」設備

【類型5】チーム医療推進等に資する勤務時間短縮用設備等
▼院内搬送用ロボット、患者の離床センサーなど「医師以外の医療従事者の業務を補助する」設備▼通信機能付きバイタルサイン測定機器やタブレット等活用システムなど「予診」のための設備▼電子カルテ、カルテ自動入力ソフトウエア、レセプトコンピューター、医療画像情報システム、画像診断部門情報システム、医療情報統合管理システムなど「診断情報と医師の指示を管理できる」設備▼医療機器トレーサビリティ推進のためのUDIプログラム、画像診断装置等のリモートメンテナンス、電子カルテ、レセコンのリモートメンテナンスなど「医療機器等の管理効率化」のための機器・ソフト等―

 こうした勤務時間短縮用設備等を取得等した医療機関では、次のような手続きを行うことで特別償却制度を利用できます。

▽都道府県の医療勤務環境改善支援センター(いわゆる勤改センター)の助言をもとに「医師等勤務時間短縮計画」を作成する
  ↓
▽「医師等勤務時間短縮計画」の中に勤務時間短縮設備等を記載して、都道府県医療勤務環境改善担当課(室)長の確認を受ける
  ↓
▽勤務時間短縮用設備等を取得等(所有権移転外リース取引による取得を除く)して、医療保健業の用に供する
  ↓
▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、勤務時間短縮用設備等について「通常の償却費の額」と「取得価格の15%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、医師等勤務時間短縮計画の写しを添付する

現時点では、取得等および医療保険業の用に供した期間が「2019年4月1日-2021年3月31日」のものが特別償却制度の対象となります。

 医師の時間外労働時間上限(年間960時間以下、1860時間)は2024年4月から適用されますが、それまでの間、すべての医療機関で「労務管理の徹底」と「労働時間の短縮」を強力に進めていく必要があります。また医師以外のスタッフ(看護師等のメディカルスタッフ、事務職員など)については、この4月から新たな時間外労働上限が設定されています。この特別償却制度も活用し、労務管理の徹底・労働時間短縮に直ちに取り組むことが重要でしょう。

地域医療構想の実現に向けた、病院の新築・改築や転換などが対象

 次に(2)「病床再編等の促進」に向けた特別償却制度を見てみましょう(関連記事はこちらとこちら)。

 制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、地域医療構想の実現に向けて、2019年4月1日-2021年3月31日の間に▼新築・改築▼増築▼転換―に該当する工事で建物・附属設備を取得・建設して医療保健業の用に供した場合、取得価額の8%について特別償却を認めるものです。

例えば地域医療構想調整会議において「病床機能の転換」や「回復期機能を持つ病床の新設」などに関する合意が得られた後に、▼病室の新設▼病床の設置▼廊下幅の変更▼入浴介助設備の設置―などを行うケースが想定されます。減築や廃止(単なる解体撤去)は対象に含まれません(なお、地域医療介護総合確保基金において、病床削減等で発生する費用が助成対象となっている、関連記事はこちら)。

このような工事等を検討している医療機関では、次のような手続きで特別償却制度を利用できます。

▽特別償却制度の対象となる建物・附属設備であることを証明する書類(▼工事計画等の工事の概要や範囲が特定できる書類▼具体的対応方針(病床転換の方針など)―で、医療機関の開設許可申請等書類や地域医療構想調整会議への提出書類などを活用できる)を都道府県に提出して、確認を受ける

▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、「通常の償却費の額」と「取得価格の8%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、都道府県の確認を受けた書類の写し添付する

稼働率の高い、あるいは共同利用を進める全身用CT・MRIが対象

 さらに(3)「医療用機器の効率的配置の促進」に向けた特別償却制度を見てみましょう(関連記事はこちら)。

 制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、2019年4月1日-2021年3月31日の間に、以下の要件に該当する高額医療機器を取得等(所有権移転外リース取引による取得を除く)し、医療保健業の用に供した場合に「取得価額の12%」の特別償却を認めるものです。

▽「租税特別措置法第12条の2第1項及び第45条の2第1項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件」(2009年厚労省告示第248号)に定める医療用機器(従前から特別償却対象)のうち、「病院」の全身用CT・MRI(▼超電導磁石式全身用MR装置▼永久磁石式全身用MR装置▼全身用X線CT診断装置(4列未満除く)▼人体回転型全身用X線CT診断装置(4列未満除く)―)は、次のいずれかの条件を満たす場合に限り特別償却の対象とする(診療所の全身用CT・MRIは従前どおり特別償却の対象となり、次の条件を満たす必要はない)

【買い換えの場合】(既存の全身用CTを廃止して、別の全身用CTを発注・購入する場合、既存の全身用MRIを廃止し、別の全身用MRIを発注・購入する場合)
→買い替え前年の1-12月までの各月における「買い替え前の全身用CT・MRIの利用回数」が、全身用CTでは20件(1か月当たり)、全身用MRIでは40件(1か月当たり)を上回っていること

【新規購入の場合】(▼既存の全身用CTを廃止せず、追加で全身用CTを発注・購入する場合▼全くの新規で全身用CTを発注・購入する場合▼既存の全身用MRIを廃止せず、追加で新たに全身用MRIを発注・購入する場合▼全くの新規で全身用MRIを発注・購入する場合)
→他の病院・診療所と連携して共同利用を行う(紹介患者のための利用を含む)予定であることが外形的に確認できること

【上記以外の場合】
→地域医療構想調整会議で協議を行い、「当該構想区域等における医療提供体制の確保に必要なものとして買い換え・新規購入が適当」と認められること

高額機器の購入等を検討している医療機関では、次のような手続きで特別償却制度を利用できます。

▽全身用CT・MRIについて、上記条件のいずれかを満たすことを証明する書類(▼利用回数を示す書類▼連携先医療機関と連名で作成した共同利用合意書などの「特定の医療機関と共同利用を行う予定について連携先医療機関と合意している」ことを示す書類▼地域医療構想調整会議で全身用CT・MRIに係る協議を行った際の資料などの「地域医療構想調整会議で協議を行い、適当と認められた」ことを示す書類―で、医療機関の開設許可申請等書類や外来医療提供体制の協議の場・地域医療構想調整会議への提出書類などを活用できる)を都道府県に提出し、確認を受ける

▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、「通常の償却費の額」と「取得価格の12%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、都道府県の確認を受けた書類の写し添付する

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/669780
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
働き方改革「皆が対等に協議する場が重要」、日医・今村副会長
厚労省検討会報告書「日医の主張が反映された」と評価
 
2019年4月4日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の今村聡副会長は4月3日の定例記者会見で、3月末に取りまとめられた、厚生労働省の医師の働き方改革の報告書について、「日医が主張してきた『医師の健康への配慮』と『地域医療の継続性』の両立という観点から取りまとめられたと理解している」との見解を示した。同時に、「中身について、現場の医療機関がご理解いただいていない部分がある」として、病院団体などと連携して説明会などを開催していく考えを示した(報告書の詳細は『医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ』を参照)。

 「医師の働き方改革に関する検討会」には、日医からは今村氏ら2人が委員として参加したほか、2018年7月には日医が主導した「意見書」を提出するなどしていた(『松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」』を参照)。

 今村氏は報告書について、日医の見解が反映されたと評価し、「中でも勤務間インターバル、連続勤務時間規制の一部義務化という従来にない方法が取り入れられた。月々の労働時間管理だけに頼り、結果として休息が確保できないという事態を回避する手段として、極めて有効だと思う」と指摘した。

 同時に医療機関に求められる36協定の締結や労働時間短縮計画の策定などのマネジメントシステムの構築については、「勤務医に長時間働いてもらうための必要条件であり、医療機関の責務である。皆が対等な立場で協議する場の設定が重要になることを医療機関の管理者は認識する必要がある」と述べた。

 「地域医療確保暫定特例水準」(B水準)と「集中的技能向上水準」(C水準)で、年1860時間となった時間外労働上限時間については「実現の難しい低い上限目標を設定することで、隠れて残業を行うような事態を招いてはならない。1860時間は高い上限ではあるが、罰則適用で医療提供が過度に制限されたり、罰則適用で地域医療が崩壊したりすることのない制度設計になっている」と評価。B水準であっても2036年4月から960時間を目指すことになった点を「960時間という最終目標の認識を強く持つことになった」と述べた。

 C水準については、「研修医には現場での十分な研鑽が求められ、学びたいという意志を持っている医師も多い」と指摘しつつ、「効率的な研修をすることで労働時間を短くしていくことが求められる」と強調した。

 今後もC水準の審査組織の設計や兼業管理などさまざまな論点が残っていることを指摘しつつ、「これまでにない大改革で、一定の時間をかけて慎重に取り組まなくてはならない。将来の地域医療提供対策は『偏在対策を含む医師確保計画』、『地域医療構想』、『医師の働き方改革』が三位一体になって形作られていく。個々の医療機関では不可能で、地域医療機関の連携が不可欠」と説明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25743
「12月」分データを追いかけると、2012年以降、在院日数短縮と新規患者獲得を一定程度両立―病院報告、2018年12月分  
2019年4月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「12月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年以降、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを一定程度両立できているのではないか―。

 こうした状況が、厚生労働省が4月3日に公表した昨年(2018年)12月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1   2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減
2  12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減

 厚労省は、全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として、毎月、公表しています(2018年11月末の状況はこちら、2018年10月末の状況はこちら、2018年9月末の状況はこちら)。

 昨年(2018年)12月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:122万6039人で前月比1万2551人・1.0%減▼外来:130万7197人で同じく8万6099人・6.2%減―となりました。

 医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:66万6511人(前月比1万1365人・1.7%減)▼療養病床:27万5923人(同86人・0.0%減)▼精神病床:28万1967人(同1093人・0.0%減)▼結核病床:1570人(同7人・0.4%減)―などとなっています。
病院報告(2018年12月)1 190403
  
 次に(2)「平均在院日数」を見てみると、病院全体では27.4日で、前月から0.3日延伸してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:15.9日(前月から0.1日延伸)▼療養病床:138.0日(同1.3日延伸)▼介護療養病床:318.9日(同15.6日延伸)▼精神病床:272.1日(同7.8日延伸)▼結核病床:62.2日(同0.6日短縮)―となり、結核病床を除き延伸してしまっています。
病院報告(2018年12月)3 190403

  
 さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では71.9%で、前月から7.7ポイントも低下しました。病床種別に見ると、▼一般病床:62.0%(前月比13.2ポイント低下)▼療養病床:86.7%(同0.2ポイント低下)▼介護療養病床:90.5%(同0.1ポイント低下)▼精神病床:85.4%(同0.2ポイント低下)▼結核病床32.6%(同0.9ポイント向上)―という状況です。一般病床で著しい低下が目立ちますが、「年末年始はなんとか自宅に戻りたい」という患者の要請に応えているという背景もあり、例年も同様の傾向にあることからさほど驚く必要はありません。
病院報告(2018年12月)2 190403


12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

 このような暦月の変動を除外するために、一般病床における「12月分」の平均在院日数の動向を見てみると、2012年から15年にかけて減少が続きましたが、その後、横ばい状態となっています。

▼2012年:17.2日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.3日短縮)
  ↓
▼2013年:16.9日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.7日短縮)
  ↓
▼2014年:16.2日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.3日短縮)
  ↓
▼2015年:15.9日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.1日延伸)
  ↓
▼2016年:16.0日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.2日短縮)
  ↓
▼2017年:15.8日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.1日延伸)
  ↓
▼2018年:15.9日(厚労省のサイトはこちら)

  
 一方、月末病床利用率は、次のように低下と上昇を繰り返しながら、緩やかに上昇しているように見えます。

▼2012年:61.4%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.1ポイント低下)
  ↓
▼2013年:60.3%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.6ポイント上昇)
  ↓
▼2014:60.9%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.4ポイント低下)
  ↓
▼2015年:59.5%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.3ポイント上昇)
  ↓
▼2016年:60.8%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.9ポイント上昇)
  ↓
▼2017年:62.7%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.7ポイント低下)
  ↓
▼2018年:62.0%(厚労省のサイトはこちら)

 
 大きくみると、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の上昇」とを一定程度実現できているように思われます。

 
 メディ・ウォッチで繰り返しお伝えしているとおり、平均在院日数の短縮は、▼急性期病院においては「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結します。

 もっとも、「在院日数の短縮」は「空床」発生・増加にもつながり、出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため経営悪化につながりかねません。そこで、▼かかりつけ医等と連携した重症な紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策を同時に採る必要があります。

 「12月分」の状況をみると、2012年以降、この難しい両立を一定程度実現できていると考えることができます。

 もっとも、地方によってはすでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることから、新規患者の獲得が難しく(病院間で患者の奪い合いが激化する)なってきます。各病院におかれては、やはり「ダウンサイジング」(病床の削減)や共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を早急に進める必要があります(関連記事はこちら)。


  1. 2019/04/07(日) 10:47:37|
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