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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月31日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/663312
シリーズ 平成の医療史30年
もう一つの“医療危機”、基礎目指す医師減少【平成の医療史30年◆大学編】
 
清水孝雄・前東京大学医学部長に聞く◆Vol.2
スペシャル企画 2019年3月30日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――研究環境悪化に加えて、基礎研究を志向する医学生、医師も減っているとお聞きしています。

 東大医学部の場合、研究者の道に進む医師の割合は、近年では1986年がピークで、約100人の卒業生のうち約2割という状況。ところが、その後は減少し、私が医学部長に就任した2007年度前後には年に1、2人にとどまっていました。


清水孝雄氏は、政府には予算の拡充を求めると同時に、大学自身の努力も必要だと強調。

 他の大学でも同様に、基礎研究者の減少に直面していました。研究医のポストが減るだけではなく、なり手自体が減っていたわけです。その原因の一つは、2004年度の臨床研修の必修化です。臨床に行けば給料がもらえる一方、大学院に進めば授業料を払わなくてはならず、その差は大きいでしょう。その後に続く学会による専門医制度も、2000年代に数多く作られました。専門医制度は、医療の質を高めるために、必要な面もありますが、多すぎます。一種の“不安産業”。「専門医を持っていないと、どこか不安」などと、多くの医師が考えるようになってしまった。

 また以前は最初に臨床に従事し、臨床上の問題意識を持って、その後に基礎研究に入る医師も少なくなかったのですが、2004年度の国立大学法人化に伴い、臨床が忙しくなり、基礎分野に医師を回す現場の余裕がなくなったことも大きい。その上、臨床の内容も高度になっており、事故が起きれば訴訟に発展しやすい時代になりました。「中途半端に研究に携わるよりも、きちんと臨床をやってもらいたい」というプレッシャーはあったでしょう。さらに教員も減少、教える体制が充実していなければ、この分野を目指す人が少なくなるのは当然です。

 さらに大学自身の努力も欠けていたと思います。私は2007年度に東大の医学部長に就任しました。まずは、全国調査を実施。その後、厳しい研究環境について現状を広く知ってもらうため、阪大、京大、名大とともに文科省と議論をしたり、新聞に投稿、テレビにも出演したりしました。2007年当時、産科や救急医療の分野での医師不足として“医療危機”が叫ばれていましたが、研究医が不足しているという認識は、あまり皆さんお持ちではなかった。研究医不足は10年後、20年後の日本の医療にとって危機であることを、私たちの働きかけにより、徐々には理解されるようになったと思います。日本製薬工業協会も私たちを支援してくれました。メディアの力は大きいということを、あの時、実感しました。

――全国の基礎系大学院入学者に占める医師比率も低下しているとのことです。

 臨床系大学院の場合は、9割前後が医師(MD)。これに対し、1990年(平成元年)頃は、基礎系大学院における医師の比率は7割前後だったのですが、2007年当時は3割弱まで減少していました。医学部教授に限ってみるとMDは7、8割だったのですが、助教だと2、3割にとどまります。将来を考えた場合、さらに医師比率は低下するという懸念を持っていました。

 適正な比率は分かりませんが、生命科学分野の研究は、医師とそれ以外の研究者が協同して取り組んだ方がいいのは間違いありません。理学系出身者の方が、生化学や分子生物学などの知識や技術を持っている場合が多い。一方で臨床上の疑問を研究につなげたり、研究成果をどのように臨床に展開していくかを考えた場合、医学の経験や知識を持った医師も必要。例えば、50%ずついて、両方が協力してやっていくのがいいと思うのです。

――研究医不足という“危機”を打開するには、政府、医学界、各大学、それぞれが行動する必要がある。

 政府ができることは、“お金”の問題。研究費や奨学金、人件費のための予算の拡充をお願いしたい。またその配分においても、日本の研究にとって、いったい何が重要なのかを研究者たちが加わって、しっかりと考える枠組みが大切です。研究者は自分のエゴを主張しがちだと言われますが、エゴではなく、次世代を考えて何が必要かを考えられるブレインは必ずいるはずです。

 もっとも、政府ができることには限界があります。大学自身の努力も必要です。米国には、MSTP(Medical Scientist Training Program)という、NIHと各大学が半分ずつ資金を出し合い、協力して研究医を育成するプログラムがあります。また教員は医学生にとって一番近い存在。「研究は面白い」という姿を見せ、いい成果を出す。研究の魅力を伝えることが大切です。この辺りはもっと努力すべきです。

 私自身、医学部の授業を受けながら、研究もできる環境づくりをするプログラムを作るべきではないかと考え、東大で2008年度にMD研究者育成プログラムを作りました。これは医学部の4年間(3年生から6年生)の間に、平日の講義が終わった夕方、あるいは週末のほか、夏休みなどのまとまった期間に研究することができるプログラム。研究成果を論文としてまとめれば、大学院の入学試験は免除される。ジャーナルにも投稿できる。特に優秀な学生には奨学金を出すなど、経済的にも支援するという仕組みです。同窓生からの寄付も受けました。

 従来もMD-PhDプログラムがあったのですが、いったん医学部や同窓生と離れ、大学院に4年間所属するため、ハードルが高く、このプログラムを選ぶ人は数年間に1人程度でした。それに比べてMD研究者育成プログラムは、敷居を下げており、医学部に所属したまま研究ができるメリットは大きいと思います。面白いもので、それなりの成功体験をし、研究者の生活を見ると、「研究をやってみよう」と考える人が出てくるのです。文科省医学教育課も2009年度からは、MD研究者育成プログラムは有効なシステムだとして、経済的支援をするようになりました。このプログラムで良い研究をし、日本学術振興会の「育志賞」を受賞した学生が何人かいます。

 社会全体としても、研究医がどのくらい必要か、またその育成のためには何が必要かをもっと考えるべきでしょう。研究医がいなくなれば、大学の基礎医学教育が崩壊するだけでなく、医薬品や医療機器の産業にも影響が及ぶことは目に見えています。税制などの変更が必要かもしれませんが、企業や個人がアカデミアに寄付ができる枠組みなども構築することが必要です。

――ここ数年は、ノーベル医学・生理学賞の受賞者が続きましたが、今のままでは将来は続かないと見ておられますか。

 それは明らかだと思います。山中伸弥先生の仕事は違うかもしれませんが、(受賞者の研究は)ほとんどが1980年代から1990年代にかけて基盤が作られた仕事です。

――最後に改めて先生が考える生命科学分野の研究の在り方、魅力をお教えください。

 私が医学部を選んだのは、「人を対象とする学問、文系的理系」と考えたからです。卒業後はまず臨床をやってみようということで、東大第三内科に入局したのですが、呼吸器系を中心にいろいろな患者さんを診ていく中で、特に気になったのが肺線維症の患者さん。治る人は自力で治っていくけれども、本当に難しい患者さんはなかなか治らない。この病気のメカニズムを勉強してみたいと考えたのが、研究の道に入ったきっかけです。アウェイの大学で研究した方が自分のためになると考え、京大と阪大の二つのラボに手紙を書き、京大の早石修先生の教室で生化学の研究に取り組みました。何年間か研究をして、博士号でも取って、また臨床に戻ろうと考えていたのですが、「研究にはまってしまった」というのが正直なところです。

 臨床の現場にいて、課題はたくさんあり、しかもオリジナルの物も多い、それに気付かないでいるのは、すごくもったいない。それにはやはり若い頃に、基礎的な研究の経験があるかどうかがすごく大きいと思います。いったん研究を経験すれば、臨床の現場に行っても課題を見付けやすく、その解決のためには誰と相談したらいいかが、どこと協働したらいいかが頭に浮かびやすくなります。自分自身でまた研究に戻ってもいいし、他の研究者に研究課題を託してもいい。基礎と臨床がお互いに行き来したり、相互に交流できるシステムを作ることが理想だと思います。また、MDがもっと製薬企業や医療健康の機器メーカーで仕事をすることも大切かと思います。



https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/121363
9地域で10連休対策 医療態勢 当番医増や自主開院 県が全域調査、来月公表へ 
[2019/03/29] 上毛新聞

 皇太子さまの新天皇即位に伴う10連休(4月27日~5月6日)への対応で、上毛新聞が郡や市ごとに置かれる13医師会を取材したところ、群馬県の少なくとも9地域で、通常の休日より診察する医療機関を増やす対策が取られることが分かった。休診が集中し、地域医療に支障が出る事態を避ける。一方、医師不足などで特別な態勢が難しい地域も存在しており、県は状況を調査し4月に県民へ周知する。

 連休を控え、前橋市医師会は各医療機関の対応方針を確認。例年は平日に当たる4月30日~5月2日について、当番医の引き受け手を多数確保できることが分かり、通常の休日より大幅に増やす方向。

 高崎市医師会は、外来の需要が特に高いとみる小児科(4月30日、5月2~4日)と整形外科(5月2日)の当番医を増やす。小児科、整形外科とも当番医は通常1カ所だが、それぞれ1カ所増やす。自主的に診察する医療機関もあるが、「当番医を確保しておき、日によって施設数が偏らないようにしたい」としている。

 藤岡多野医師会は連休中の4月30日、5月1、6日の計3日、当番医を増やすことを決定。当初は通常通りの編成だったが、県医師会から医療態勢を整えるよう通達を受け急きょ決めた。調整に手間取ったといい、担当者は「国や県が態勢をしっかり決めてくれれば、より早く対応できた」とした。

 このほか、桐生、太田、沼田利根、渋川、富岡甘楽、安中の各医師会が、少なくとも連休の一部で通常の休日より診察に当たる医療機関を多く確保できると見込んでいる。

 吾妻郡でも、独自に開院する医療機関はあるとみられるが、吾妻郡医師会は医師不足を背景に、当番医を増やすことまではしない方針。担当者は「郡内は医療機関が少なく(連休中に)2度担当が回ってくる先生もいる。増やすのは難しい」と説明する。

 一方、伊勢崎佐波医師会は4月30日~5月2日について平日同様に当番医を設定せず、各医療機関の判断に任せる。同医師会病院は外来対応する。同医師会は「過度な患者の集中、医師の負担増などは想定していない」としている。

 県は医師会や市町村、病院を調査し、連休期間に開ける医療機関を集計し、連休前にホームページで公表する。



https://www.yomiuri.co.jp/national/20190328-OYT1T50203/
医師残業 上限1860時間…24年度から適用 地域勤務・研修医が対象 
2019/03/28 15:00 読売新聞

 医師の働き方改革を議論する厚生労働省の有識者検討会は28日、地域医療を担う勤務医の残業時間の上限を年1860時間(休日労働含む)とすることを柱とした報告書の最終案を了承した。月155時間の残業に相当し、「過労死ライン」(月80時間)の2倍近い。2024年度から適用される。

 この上限が適用されるのは、勤務医の中でも地域医療を担う特定の病院の医師と、技能を磨きたい研修医ら。研修医らは本人が希望する場合に限られる。通常の勤務医は年960時間で、休日労働を含めた一般労働者と同じ長さにした。

 対象となる特定の病院は、国が定めた指標を基に都道府県が選定する。救急車の受け入れが年1000台以上の2次救急病院など、1500か所程度になる見通し。国が医師不足の解消を見込む35年度末までの特例として扱われる。

 1860時間の上限が適用される医師について、健康確保のための措置を病院側に義務付ける。当直から日勤など、連続勤務は28時間までに制限。深夜帰宅で早朝出勤といった過重労働を防ぐため、次の勤務まで9時間のインターバル(間隔)を設けるとした。

 また、長時間労働を是正するため、医師の仕事の一部を他職種に任せる「タスクシフト」や、都市部に医師が集中する「偏在」対策の推進が必要だと指摘。安易な受診が医師の負担になっている現状を踏まえ、電話相談の活用を周知することなどを課題に挙げた。

 正当な理由がなければ診療を拒めない医師法の応召義務が、医師の長時間労働の背景にあるとされる問題にも言及。応召義務は、医師に際限のない長時間労働を求めているわけではないとして、厚労省研究班が今年夏頃までに、法律の具体的な解釈を示すとした。

報告書案のポイント

▽地域医療を担う病院の勤務医、研修医らの残業上限は年1860時間

▽通常の勤務医の残業上限は年960時間

▽2024年度から実施する。地域勤務医の年1860時間は35年度末までの特例

▽医師の仕事を他職種に任せるタスクシフト、医師の偏在対策の取り組み推進

▽長時間労働の背景にある応召義務の解釈見直し

【解説】実態は過重労働の追認

 焦点だった勤務医の残業時間の上限は、地域医療を担う特定病院で年1860時間に決まった。一般労働者の2倍近い水準で、長時間労働の是正に向けた道筋が示されたとは言えない。常態化する過重労働を追認する形で、過労死を防げるのか疑問が残る。

 ただ、勤務医の1割が年1900時間を超える残業をしている実態がある。地域の中核病院で残業を大幅に制限すれば、医師確保が難しい現状を考えると、救急医療などに支障が出る恐れがあるのも事実だ。

 まずは医師の労働時間を正確に把握し、問題の所在を探る必要がある。国は労働環境の改善に努める医療機関の支援を急ぐべきだ。医師の偏在対策も、働き方改革の成否に関わる。地域医療を守るため、労働時間の短縮と両輪で進めなければならない。(医療部 加納昭彦)



https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201903_post-15006/
置き去りにされる「医師の働き方改革」…医師の自己犠牲を前提に成り立つ医療の限界 
ビジネスジャーナル 2019年3月29日 20:00 0

 働き方改革により本年4月からは、労働者の残業時間に制限が設けられたり、企業によっては社員の5日間の有給休暇取得が義務付けられます。そのようななか、医師の働き方改革の議論も加速しています。

 医師数を増やすことがよく対策として挙げられますが、産業医としていろいろな企業をみてきた経験からいうと、働く人(医師)を増やしてほしいという社員(医師)の声はたくさんあっても、働く人を増やしたからといって、長い目で見て問題が解決した会社はみたことがありません。

 今回は、医師の働き方改革実現のために、最優先課題を1つ挙げさせていただきます。

 私は、医師の働き方改革にはナース•プラクティショナー(NP)の導入が最優先課題だと考えます。NPとは、米国でみられる資格です。日本語では、上級看護師、診療看護師でしょうか。イメージとしては、医師と看護師の間の位置づけで、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療、薬の処方などを行うことができます。

 実は日本ではこれに似た資格として「特定看護師」というものの創設が2011年頃から議論されたことがあります。行政だけでなく、日本医師会や日本看護協会を巻き込んださまざまな議論があったと思いますが、最終的には「医療行為の質の担保」などのもっともらしい理由で法制化されませんでした。ですので、現在このような資格はありません。

 しかし、当時から5年以上が経過した現代は、医師法が制定された半世紀以上前には予想できなかったような、さまざまなテクノロジーが発達しています。体温、血圧、脈拍だけでなく血中酸素濃度などは、医師ではないと測れないものではまったくなく、街の電化製品店で購入できる機械で誰もが測定可能です。血糖値をはじめとする従来は採血が必要だった数値データも、ウェアラブルデバイスで24時間測定可能になりつつあります。

 画像診断をはじめ、病気の検査方法も質(精度)の向上だけでなく、種類も複数選択することができ、より安全、また確実に異常を知ることができるようになってきました。また、電子カルテによっては、患者のアレルギー既往に基づき処方してはならない薬や、相互作用があり同時に処方されるべきではない薬に対してはアラート機能がついています。医療を取り巻く環境は、より進歩しているのです。

 そのようななか、発達した医療デバイスをすべての医師が使いこなさないといけない必要はなく、一定基準を満たしたNPにも任せることで、医療の専門職種同士が、それぞれの能力を活かして能動的に働くことができる仕組みこそ、まさに働き方改革なのではないでしょうか。

●医療を受ける側のメリット

 NPの導入は医療提供サイドの自己満足だけではなく、医療を受ける側のメリットにもなるはずです。

 例えば毎年冬に流行するインフルエンザ。本当に医師の指示がなくては、インフルエンザの迅速判定を行い、診断してはいけないのでしょうか。NPが問診で同居家族でのインフルエンザ患者の存在、そして診察で一定以上の発熱を確認した場合、インフルエンザの迅速キットで判定をすることは理にかなっていると思います。

 判断を迷ったり紛らわしい場合については、医師と相談することは当然ですが、このようなタスクシフトにより、医師の業務負担軽減だけでなく、患者側にも医療機関に滞在する時間が短くてすむことや、重症の場合にはもっと時間を割いて対応してもらえる、というメリットが生まれるはずです。

 もちろん、どのような医療行為をNPに任せるかは、議論の余地はあります。まずは、医師でなければできない仕事(タスク)、NPに任せても質の落ちない仕事(タスク)を見直さなくてはならないでしょう。場合によっては、NPに任せた方が結果がいい仕事(タスク)もあるかもしれません。

●過重労働が医療事故を招く

 働く人々の幸せのために行われるはずの働き方改革ですが、“医師不足の地域や診療科に勤める医師たち”においては“患者や地域医療への影響を考慮したため”、ますます医師たちの自己犠牲が求められてしまっているのが、多くの医療現場での現状です。

 その背景には単なる医師不足ではなく、医師数の偏在、医療組織における組織マネジメント・経営管理の未熟さ、国民の医療のかかり方のあり方などの問題があります。しかし、労働時間が長い医師には疲労が溜まります。疲労の蓄積は、判断力の低下や些細なミスの増加につながることは、数々の臨床研究が明らかにしているのも事実です。

 3年前にはじまった「こころの健康診断」ともいえるストレスチェック制度、近年の飲食店での受動喫煙防止の動きなどは、実はいきなり始まったものではありません。何度も法制化されそうなところで中止になりましたが、何年かかかって法制化され、現在に至ります。多くの人々は、これらの制度により恩恵を受けていると思います。

 NPの導入に関しても、ぜひ再度多くの場で議題に挙がり、検討され、法制化されることを願ってやみません。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)




https://www.medwatch.jp/?p=25569
医師偏在対策を了承、各都道府県で2019年度に医師確保計画を策定し、20年度から実行―医療従事者の需給検討会 
2019年3月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(以下、検討会)と、下部組織の「医師需給分科会」(以下、分科会)が3月22日に、医師偏在対策を柱とする「第4次中間とりまとめ」を了承しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この中間とりまとめをもとに、厚労省は3月中(2018年度中)に「医師確保計画」作成などに関する指針を都道府県に提示(関係省令の公布や通知発出等を行う)。都道府県は来年度(2019年度)に「医師確保計画」を作成し、2020年度から実施することになります。
 
ここがポイント!
1 医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能
2 産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能
3 3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す
4 現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保
5 将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施
6 外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す
7 「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も

医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能

 地域の医師偏在が大きな課題として指摘される中で、分科会では改正医療法・医師法に基づく「医師偏在対策」を昨秋(2018年秋)から精力的に議論してきました。対策の内容は、これまでメディ・ウォッチで詳しくお伝えしてきましたが、改めてポイントを眺めてみましょう。

 都道府県の作成する「医師確保計画」には、(1)医師確保の方針(2)目標医師数(3)具体的な医師確保に関する施策―を盛り込むことになります。
医師需給分科会(2)の2 181024
 
 まず(1)の医師確保方針については、▼「医師多数」の都道府県・2次医療圏▼「医師少数」の都道府県・2次医療圏▼医師多数でも少数でもない都道府県・2次医療圏―でそれぞれ立て方が異なり、次のように整理することができます。

【都道府県(3次医療圏)】
▽医師少数:医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能
▽医師多数:他の都道府県からの医師確保を方針に定めることはできない
▽それ以外:管内に「医師少数」の2次医療圏がある場合に、医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能
 
【2次医療圏】
▽医師少数:医師多数の2次医療圏(医師多数区域)からの医師確保が可能
▽医師多数:他の2次医療圏からの医師確保は行わない
▽それ以外:必要に応じて医師多数区域からの医師確保を行える
 
これらを組み合わせて、例えば「医師少数県にある医師少数2次医療圏(医師少数区域)」では、他県(医師多数県)から医師確保を行い、「医師多数県にある医師少数区域」では、同県(医師多数県)の医師多数区域から医師確保を行う、などの方針を立てることになります。
「医師多数」「医師少数」は、人口10万対医師数に地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)や性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)などを加味した、新たな「医師偏在指標」に基づいて、上位3分の1を「医師多数」、下位3分の1を「医師少数」と定めています。

どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに「候補」が厚労省から示されており、今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、2019年度早期に最終決定がなされます。

【医師少数の都道府県】(候補)
▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県

【医師少数の2次医療圏】(候補)
▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏

●医師偏在指標(暫定)

産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能

 なお、産科・小児科については、全国的に医師が不足しているため、「多数」という概念を設けず、相対的に医師が不足している区域(やはり下位3分の1、「相対的医師少数」)を定め、▼医療圏の見直し▼医療圏を超えた連携―による対応をまず進め、その上で医師確保対策(医師派遣調整や産科医・小児科医の養成数増加要請など)を進めます。また、相対的医師少数でない地域においても、将来を見越した「医師確保」策を進めることも可能です。

●産科における医師偏在指標(暫定)
●小児科における医師偏在指標(暫定)
 

3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す

 次に(2)の目標医師数設定は、主に「医師少数」の都道府県・2次医療圏で重要となります。

 具体的には2036年までに偏在対策が解消されることを最終目標とし、まず「3年後に、現在の下位3分の1ラインをクリアできる」ように目標医師数を設定します。医師確保計画は3年を1期としており(2020年度からの当初計画のみ4年計画なので4年後)、当該計画の終了時点で「下位3分の1を抜け出す」ような目標を立てるイメージです(もちろん、各地域で医師確保を進めるので必ず3分の1から抜け出せるというわけではない)。
 
例えば2次医療圏の下位3分の1ラインは「医師偏在指標147.0」となっており、医師少数区域では「147.0」を確保できるように目標医師数を設定します。最下位の秋田県北秋田医療圏(医師偏在指標69.6)では、その差が「77.4」なので、2020-23年度の4年間で約78人分の医師を確保するという目標を立てるというイメージです。

現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保

こうした目標を達成するための施策を(3)に盛り込むことになります。

ところで医師確保策は、大きく医師派遣調整などの「短期的施策」と地域枠設置要請などの「長期的施策」に分けられます。

現時点で医師少数の場合には「短期的施策」のみで対応し(医師の育成には10年近くかかり即効性がないため)、将来(2036年)時点で医師少数の場合には「短期的施策」と「長期的施策」の両方で対応することになります。

短期的施策は、例えば医師多数の都道府県に対し、「医師の派遣」を行ってもらえるよう要請することなどが考えられます。厚労省では、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築する考えです。

また、「医師少数区域等での勤務」(6か月以上が要件だが、1年以上の勤務が望ましい。またベテラン医師では断続勤務も可能)を厚生労働大臣が認定し、この認定資格を「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院の管理者(主に院長)要件とする」仕組みも設けられています。2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師が対象となります。

さらに、医師少数の都道府県では、医師派遣を要請するとともに、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことも求められます。

将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施

長期的施策では、「都道府県知事から大学医学部へ地域枠や地元枠の設置を要請する」ことが中心になり、その概要は次のように整理できます。

【将来、「医師少数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:下記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【将来、「医師多数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:下記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない
 
 地域枠と地元枠とは次のように性質が異なります。
▼地域枠:専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務する」ことを条件に奨学金等を貸与する
→都道府県の中で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持つ

▼地元枠:地元出身者を対象とした入学枠で、奨学金等の貸与はない(地元出身者は奨学金等がなくとも、地元の医療機関に定着する)
→各都道府県で医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持つ

このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数区域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。

●将来時点(2036年時点)における不足医師数等

外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す

 ところで、分科会等では、従前より「医師偏在が大きな問題となっているのは、病院の入院医療である。これは自由開業制が医師偏在を助長していると考えられる」との指摘がありました。このため一部には「自由開業制を一定程度制限すべき」との強い指摘もありましたが、まずは「診療所の設置状況等の可視化から始める」ことで落ち着いています。

具体的には、▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組みが創設されます。

●外来医師偏在指標(精査中)
 
もっとも、こうした仕組みによっても「自由開業が医師偏在を後押ししている」と考えられる場合には、さらなる措置(自由開業制の一部制限など)が検討されることになるでしょう。

「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も

 こうした第4次中間とりまとめ内容について、3月22日の検討会・分科会では、主に検討会の構成員から異論が複数出ました。

 相澤孝夫構成員(日本病院会会長)は、「人口当たり医師数でみると、我が国はさほど医師が不足しているわけではない。しかしベッド当たり医師数になると、我が国は極端な医師不足となる。これはベッドが過剰であることを意味しており、医師偏在対策の前に、あるべき医療提供体制の姿を議論する必要がある」「2次医療圏単位の議論を全国一律の指標で行えば、大きな誤りが出るのではないか。2次医療圏単位の議論は都道府県に委ねてはどうか」と指摘。

 また山崎學構成員(日本精神科病院協会会長)も、「我が国には医師が絶対的に多数な地域はないのではないか。さもなくば医師紹介業などは成り立つはずがない。医師派遣もうまく進まないのではないか。外来についての話し合いなどを行っても、新規の開業医がそれを遵守するわけがない」と厳しく指摘しています。

 こうした指摘に対し、厚労省は「医師偏在対策は、地域医療構想の実現、医師の働き方改革と連環し、一体となって進めるものである」旨を説明。

 また分科会のメンバーである今村聡構成員(日本医師会副会長)や小川彰構成員(岩手医科大学理事長)は、「これまで人口10万対医師数のみで議論してきた医師偏在対策について、限られた情報の中で画期的な精緻化を行っており、スタートラインに立つことができた。さらに、医師確保計画は進捗状況を見て3年に一度見直していく」「都道府県が計画を定め医師確保を進める上で、一定の目安が必要となる」旨を説き、相澤構成員や山崎構成員に理解を求めました。

 検討会では最終的に、第4次中間取りまとめを了承しており、厚労省は3月中(2018年度内)に中間取りまとめ内容に沿った「医師確保計画」作成に関する指針などを各都道府県に示します。その後、計画作成(2019年度)・計画実行(2020年度から)段階に入りますが、その時点で的確な計画実行等が進むよう、厚労省は相澤構成員や山崎構成員らの指摘を踏まえたチェック等を行うことになるでしょう。さらに、2023年度の第1期計画終了時点の状況を見て、相澤構成員や山崎構成員の懸念が現実化しているような場合には、より大きな見直し(例えば自由開業制の一部制限など)が検討される可能性もあります。



https://www.medwatch.jp/?p=25626
医師の働き方改革、診療報酬で対応できる部分も少なくない。医師増員に伴う入院基本料引き上げも検討を―四病協 
2019年3月28日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革においては、宿日直の在り方、副業・兼業の取扱いが大きなポイントになり、今後の動きを注視していく必要がある。また、医師働き方改革の推進に向けて、「専従要件の弾力化」「常勤要件の緩和」など診療報酬で対応できる部分が小さくない。また、医師の働き方改革を進めれば「医師の増員」が必要となり、その分のコストを入院基本料などに反映させることも検討すべきではないか―。

 3月27日に開かれた四病院団体協議会(日本医療法人協会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会で構成)の総合部会後に記者会見を行った全日本病院協会の猪口雄二会長は、個人的見解も含めて、こうした考えを示しました。
 
ここがポイント!
1 医師働き方改革、ポイントは宿日直や副業・兼業の取扱い
2 医師働き方改革で必要となる「医師増員のコスト」、入院基本料引き上げで対応を
3 診療実績を踏まえた機能分化、公立病院等にとどまらず、民間病院にも影響するのか

医師働き方改革、ポイントは宿日直や副業・兼業の取扱い

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は本日(3月28日)、意見とりまとめを行う予定です。すべての医療機関で「労務管理の徹底」「タスク・シフティングなどによる労働時間の短縮」を強力に推し進めていくとともに、2024年4月から新たに時間外労働の上限を設定するといった内容が盛り込まれる見込みです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 こうした内容について四病協の総合部会では、「概ね了承できるが、今後の▼宿日直許可基準(4月以降に改正通知が示される見込み)▼副業・兼業の取扱い(別の検討会で議論中)―の2点がポイントになる」という点で一致していることが、総合部会後に記者会見を行った猪口雄二・全日本病院協会会長から報告されました。

 宿日直のうち、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働時間に該当しません。許可するか否かの基準(宿日直許可基準)は、1949年(昭和24年)に作成されたままであり、今般、現在の医療現場にマッチするような改正が行われます(4月以降の予定)。この点、どういった業務等が「労働時間に該当する」のか、あるいは、どういった場合であれば「労働時間に該当しない」のかが非常に重要となります。

 また、大学病院等の若手医師が、副業・兼業で中小病院の宿直等を行うことが多々ありますが、「副業・兼業でも労働時間は単純に通算(合算)する」のか「一定程度の調整が行われる」のかなども極めて重要なポイントとなります。

現時点では、この2点の取扱いがどうなるのかは不透明であり、四病協では「今後の動きを注視していく」ことを確認しています(関連記事はこちら)。

 
前述したように、今後、5年間(2024年4月まで)の間に、すべての医療機関で「労務管理の徹底」「タスク・シフティングなどによる労働時間の短縮」を強力に推し進め、まず、原則となる「時間外労働、年間960時間以内」(A水準)を目指します。労働時間短縮等をしてもA水準を満たせない救急医療機関等では、都道府県知事による特定(この場合、年間1860時間(B水準)までの時間外労働が可能となる)を目指します。

この点について猪口全日病会長は、個人的見解であるとした上で、「働き方改革の影響が最も出るのは急性期病院、とくに2次救急病院であろう。連続勤務時間制限や勤務間インターバルが義務化されることから、どうしても医師の増員が必要となる。しかし、医師を派遣してくれる大学病院も働き方改革を進めなければならず(やはり医師増員が必要)、どれだけアルバイト医師を確保できるかが不安である。今後、急性期病院、救急病院は集約されていくのではないか」と見通します。

さらに、副業・兼業の取扱い如何によっては、「宿日直をするアルバイト医師がいなくなり、日本中の中小病院は成り立たなくなる」と危機感を募らせています。

医師働き方改革で必要となる「医師増員のコスト」、入院基本料引き上げで対応を

 また、3月27日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、▼患者の年代別の課題▼働き方改革など昨今の医療と関連の深いテーマ―について、今夏(2019年夏)まで横断的に議論していく方向を固めました(関連記事はこちら)。

 この点について中医協委員でもある猪口全日病会長は、「医師の働き方改革により、全国的に医師不足感が加速し、『効率化』が求められる。そうした中では、人員配置などのストラクチャー評価から、結果・成果に着目したアウトカム評価への移行や、医師の専従要件の弾力化(2018年度改定で緩和ケア診療加算等に導入した、緩和ケアチームでは専従者は1人で良いとするなど)、常勤配置要件の緩和(リハビリ職員なども短時間職員の組み合わせで常勤換算しても良いとするなど)といった、診療報酬で対応できる部分も相当ある。さらに、医師を増員すればコストに跳ね返る。診療報酬改定財源は厳しいが、入院基本料等の引き上げも検討する必要があるのではないか」との見解を示しました。

 4月からの中医協論議が注目されます。

診療実績を踏まえた機能分化、公立病院等にとどまらず、民間病院にも影響するのか

 また、厚労省の「地域医療構想ワーキング」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)では、公立病院・公的病院等について「地域での診療実績を踏まえた機能改革」論議を進め、検証していく方針が固まりつつあります。具体的には、地域の公立病院・公的病院等における、がんなどの診療実績データを分析し、例えば「地域で、一定数以上の診療実績を持つ医療機関が複数あり、近接している」場合や、「診療実績が特に少ない」場合などには、その機能を他の医療機関への集約できないかを検討・検証することが求められます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この点について四病協では、「公立病院・公的病院等に限った話」なのか、「民間病院にも影響する話」なのかを注視する必要があると見ています。後者は、「地域に、公立・公的の基幹病院があり、周囲に中小の民間病院があったとして、公立・公的病院で手術等の診療実績が圧倒的に勝っている場合、中小民間病院は手術等機能を公立・公的病院等に集約しなければならない」という点にまで進むのか、という問題です。

地域医療構想ワーキングでは、構成員間で「民間病院は自然淘汰されるのを待つことになるだろう」との議論が行われていますが、明確に確認されたわけではありません。猪口全日病会長は、この点についても「今後の動向を注視する必要がある」との見解を示しています。

このほか、3月27日の四病協・総合部会では▼新専門医制度について、基本領域(19領域)は日本専門医機構がグリップすべきだが、サブスペシャリティ領域については線引きが難しく学会の裁量を認めるべきではないか▼医師の需給について、働き方改革の動きも見て、検証していく必要がある―といった議論も行われています。

 

http://www.saitama-np.co.jp/news/2019/03/29/08_.html
秩父中央病院、4月から入院中止 医師やスタッフ不足続く 外来・訪問診療などに重点 
2019年3月29日(金) 埼玉新聞

 秩父地域で唯一、精神科の病床がある秩父市寺尾の秩父中央病院が4月から、入院機能を中止して診療所へ移行する。医師やスタッフ不足が続いており、入院や外来の診療の質を保ち続けることが困難になったことが大きな要因。

 国も精神科病床を減少させる政策を進めているが、患者の家族には負担も広がっている。

 精神障害への偏見や過去の隔離収容政策の影響で、日本の精神医療は国際的な遅れや人権侵害が指摘されている。人口当たりの精神科の病院ベッド数は先進国最多で、患者の平均入院日数も突出して長い。

 厚生労働省の2017年度調査で、入院患者は全国で約28万4千人に上り、約5万5千人は入院期間が10年以上だった。手足をベッドにくくり付けるなどの身体拘束を受けた患者は1万2千人強。施錠された部屋に隔離された患者も1万3千人近くおり、いずれも10年間で2倍近く増えた。

 秩父中央病院によると、診療所になっても移転はせず、現在の場所で外来診療を実施。デイケアや作業療法室での活動を継続するほか、訪問看護も訪問看護ステーションとなり、継続していく。

 訪問診療(往診)も始める予定で、4月からは外来診療を午後も行う予定。歯科診療は継続するが、内科外来はなくなるという。

 同病院は方針変更で入院を縮小し、外来・訪問診療や地域生活支援に重点を置くこととなり、17年4月に新入院の大部分に対応してきた精神一般病棟を休床していた。

 同病院は「地域全体の医療スタッフ不足や人口減少などの現状を考えた上で、秩父地域に一つしかない精神科医療機関として長く地域に役立つために決断した。秩父地域で精神科医療やケアを受けられ、患者がなるべく入院しないで自分らしい生活が続けられるよう努力していきたい」としている。

 同病院の診療所移行については市議会3月定例会でも取り上げられた。

 議員から精神疾患患者の対応や市立病院での精神科設置について問われた市側は「現在、精神科医療は外来対応が主流であり、日頃より定期受診を励行し、病状の悪化を防ぐよう心掛けてもらうことも必要。市立病院での精神科設置は非常に要件が難しい状態」と答えた。

 同病院から別の病院への転院を余儀なくされた患者の家族は遠方の病院まで定期的に通うことになり、体力的な負担も大きくなったと明かした。

 「精神障害は誰にでも起こり得る病気ではあるが、現在も社会の偏見があるので、声が上げにくい。地元では暮らせなくなったということで、行政には声なき声をくみ上げて、対策を講じてもらいたい」と話していた。

G3註:秩父中央病院 精神科病床数 123床(診療科:精神科、内科、歯科、口腔外科)



https://www.m3.com/news/iryoishin/668281
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方改革案「やむを得ない」、四病協
全日病猪口会長、「急性期、救急医療は集約化の方向では」
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は3月27日の総合部会で、28日に結論が出る医師の働き方改革の厚生労働省案などについて議論した。部会後に記者会見した全日本病院協会会長の猪口雄二氏は「我々にとって、やむを得ないかなという感じだ。何が何でも変えろということではない。宿日直基準や兼業・副業のあり方については今後出てくるものを見ていこうということだ」と説明した(医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへを参照)。


 猪口氏は、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の議論も踏まえ、「働き方改革が医師にも適用されて、医師が十分に余ることは絶対にないわけで、ますます厳しくなる。女性医師も増えてきて、(男性医師を「1」とした場合の)0.8で計算しているが、もっと少ないという話もあり、余計不足感が強くなる。数を合わせるという話よりも、現場での不足感をどうするか。(医学部定員の臨時増員が終了する)2022年度以降の話をしなければいけない」と述べた。

 医師の働き方改革の経営面への影響については、「一番影響が出るのは急性期だと思う」と指摘。三次救急や救命救急センターは輪番制を取っているところもあり、二次救急でこれまで当直として扱っていたものを勤務にすることや、勤務間インターバルを取らないといけないことから、「医師の数が余計に必要になってくる。大学病院などがどう厳しくなるかによって、アルバイトの医師がどれくらい出てくるかという話になる」と説明。さらに、四病協ではなく猪口氏個人の意見として「急性期、救急医療が集約化されてくるのは流れとして出てくると思う」と述べた。

 その他、新専門医制度については、基本領域とサブスペシャルティの連動研修4月開始が見送られたことについて、サブスペは多すぎてどこまでやっても整理がつかないとして、「日本専門医機構は基本領域だけきちんとしておいて、サブスペは学会に任せるのがいい」という意見が出た。「最初から見直すべきだ」という意見もあったが、猪口氏は「動いている以上はなかなかそうもいかない」と指摘した(サブスペシャルティの議論は、『23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667417
シリーズ 社会保障審議会
医師需給「第4次中間とりまとめ」承認
親会構成員からは異論続出「ビジョンない」
 
レポート 2019年3月25日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)は3月22日、下部組織の医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)との合同会議を開き、2月27日の同分科会で了承された「第4次中間とりまとめ」を審議した。検討会の構成員から分科会の取りまとめへの異論が相次いだものの、細かな修文は森田座長に一任の上で了承した。厚労省は医師確保計画の策定方針を3月末までに都道府県に通知し、都道府県は4月から医師確保計画を策定、2020年度から計画を実行に移す(資料は厚労省のホームページ、分科会の議論は『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)。

 森田座長は、分科会構成員は既に取りまとめについて議論を終えていることから、主に検討会構成員に積極的な発言を求めた。日本精神科病院協会会長の山崎学氏(検討会構成員)は、「将来時点における不足医師数等」の資料に「過剰医師数」との言葉が使われていることについて、「医師が過剰なのはどこなのか。少なくとも精神科医療で過剰なところは全くない。業者に高額な紹介料を払って集めているのが現状だ。どういう現場を知っていて過剰という言葉を使うのか。数字だけで過剰と言われるのは心外だ」と激しい口調で指摘。

 厚労省医政局医事課は「これまでは人口当たりの医師数だけでやっていたが、できるだけ実感に近いものでやりたいということだ」と説明したが、山崎氏は納得せず、「誤解を招くような表現で審議が行われているような気がしてならない。全ての診療科で足りないし、へき地に行けなんて言ったら医師は辞めてしまう。バカみたいなことを書いていて、現実に合っていない。これでやっていけばまた医療が壊れる」と話した。


 分科会座長の片峰氏は「具体的なエビデンスは初めて出てきて、具体的な偏在対策をすることが可能になった」と取りまとめの意義を説明したが、日本病院会会長の相澤孝夫氏(検討会構成員)は、「医師が過剰、不足というのは全ての医師を言うのか。病院医師、大学で研究する医師、診療所の医師も全て含めて多い少ないという指標か。また、需要は入院医療需要ということか」と質問し、医事課は診療に従事する医師だけで研究者は入っていないこと、入院と外来双方の需要であることを回答。相澤氏は「そこから矛盾が生じる。日本の医師数は人口当たりで欧米に比べてあまり少なくないが、ベッド当たりでは極端に少ない。病院で働く者にとって医師が不足するという感覚はだぶんそこに起因する。地域でベッド数が決まれば必要医師数が出るわけで、この議論は逆からやっている。医療提供体制をどうしようかというビジョンが全くない」と厳しく切り捨てた。

 日本医師会副会長の今村聡氏(分科会構成員)は「議論の過程を親会の方々が詳らかに知る機会があまりなかったのかなと思う」と指摘。同じく日医副会長の松原謙二氏(検討会構成員)は「あまりにも仮説の上に仮説を重ねて仮説の結末を出している。これで全てが解決するのではなく、一つの案として謙抑的にやっていただきたい」と述べた。森田座長は「これに基づいて具体化して取り組まなければならないので、ゼロベースでもう一度議論している余裕はない。今回のところはこの形でご承認いただきたい」とまとめ、承認された。



https://www.medwatch.jp/?p=25575
医師の働き方改革に向け、特定行為研修修了看護師の拡充や、症例の集約など進めよ―外保連 
2019年3月26日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革論議が進む中で、医師から他職種へのタスク・シフティングが重要である。そうした中で「特定行為研修を修了した看護師」への期待が高まっており、まず特定機能病院が指定研修機関となり、自院の看護師が「働きながら研修を受けられる」体制を構築してはどうか―。

 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)が3月19日に開催した記者懇談会で、このような考えが示されました。

ここがポイント!
1 特定機能病院は、特定行為研修の指定研修施設となるべき
2 産科医療の実態を踏まえ、宿日直の基準を一時的に緩和すべき
3 消費税率10%への引き上げで、高度急性期・急性期病院の負担が増加

特定機能病院は、特定行為研修の指定研修施設となるべき

 医師(勤務医)にも働き方改革が求められており、厚生労働省の「医師の働き方改革検討会」で、時間外労働上限の設定とともに、さまざまな労働時間短縮策に関する議論が進められています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 労働時間短縮策の中でとくに重視されている項目の1つとして医師でなくとも可能な業務の他職種への移管(タスク・シフティング)があり、既に制度化されている「特定行為研修を修了した看護師」の拡充はもちろん、新たに「ナース・プラクティショナー(NP)」を制度化していくべきとの指摘もあります。

 「特定行為研修を修了した看護師」は、指定された研修機関で一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を修了した看護師のことで、医師・歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38行為(21分野)の診療の補助(特定行為)を実施することが可能です。

 2020年4月からは、研修科目を精査し「研修の質を担保しながら、研修時間の短縮を行う」とともに、▼在宅・慢性期領域▼外科術後病棟管理領域▼術中麻酔管理領域—の3領域において特定行為研修をパッケージ化するなどの見直しが行われます(関連記事はこちらとこちら)。

 パッケージ化研修を修了すれば、例えば「外科術後病棟管理領域」では▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼胸腔ドレーン管理関連▼腹腔ドレーン管理関連▼栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連▼創部ドレーン管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養及び水分管理に係る薬剤投与▼術後疼痛管理関連 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整▼循環動態に係る薬剤投与関連―の特定行為を実施可能となり、医療現場でのさらなる活躍が期待されます。さらに、研修を受ける看護師にとっても、看護師を研修に送り出す医療機関にとっても「負担の軽減」が図られ、「特定行為研修を修了した看護師」の拡充も見込まれます。
 
 ただし、研修修了者は2018年3月時点で1006名にとどまっており、厚生労働省の掲げる「2025年度までに研修修了者を10万人とする」との目標達成までには、まだまだ険しい道のりがあります。

こうした状況を踏まえ、日本外科学会の馬場秀夫理事(熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学教授)は、「特定機能病院が、特定行為研修の指定研修機関となり、特定行為研修修了看護師の養成を進めることが重要」と訴えています。
 
 指定研修機関は、2019年2月に追加されましたが、それでも全国で39都道府県113機関にとどまっています(関連記事はこちら)。新たに設けられる「外科術後病棟管理領域」のパッケージ研修でも、短縮されるとはいえ、総研修時間は「365時間(共通科目250時間+区分別科目115時間)+各区分別科目の症例実習(科目によって5-10症例)」と長く、看護業務に携わりながら遠方の指定研修機関で研修を受講することには相当の負担が伴います。
 馬場理事は、特定機能病院が指定研修機関となれば、「当該病院に勤務する看護師が、業務に携わりながら研修を受講するハードルは低くなる」と見通します。

 さらに馬場理事は、外科医師の働き方改革に向けて、「地域の実情に応じた手術症例の集約化」も検討すべきと提案。例えば、▼肝臓がん▼胆のうがん▼食道がん―のような高度手術は、症例を集約することで、効率的な治療や周術期管理が可能となるとともに、治療成績の向上も期待できると馬場理事はコメントしています。一方で、▼大腸がん▼胃がん―などでは「ある程度の症例経験を積めば標準的な手技が実施可能となる」とし、集約化の是非を検討する必要があるとも指摘しています。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」でも、医療機関の集約化を地域で検討する必要があるとの議論が行われており、同じ方向を向いていると考えられます。

産科医療の実態を踏まえ、宿日直の基準を一時的に緩和すべき

 また、医師の中でも特に負担が大きいとされる産婦人科領域について、日本産婦人科医会の中井章人代議員(日本医科大学教授、同大学多摩永山病院院長)は、宿日直について一般に「宿直は週1回、日直は月1回を限度とする」との厚労省基準の見直しが必要と指摘します。
 
 産婦人科医の即座の増員が不可能(医師の養成には10年単位の時間が必要)な中で、この限度どおりに産婦人科医師を配置した場合、全国の医療機関で運営が困難になると中井代議員は指摘。
 なお、総合周産期医療センターなどで宿日直基準を守り、夜間の医師業務を「夜勤」とすれば、多くの医師で「週あたり2-4日の休日確保が可能」となり、この休日中に市中の産婦人科医療機関での宿日直を担当する(アルバイトなど)ことができます。しかし、こうした場合、当然、総合周産期医療センターなどの平日・日中の医師配置が手薄となってしまい「本末転倒」な状況が生まれてしまいます。

 中井代議員は、当面は「宿日直の基準を緩やかに設定し、段階的に厳格な基準に戻していく」ことが現実的であると訴えています。例えば、総合周産期医療センターでは、夜間でも平均1.15回の分娩等が行われており、「日中に近い労働」となっていることから「宿日直ではなく、夜勤」と扱うことが必要ですが、一般病院の産婦人科では、夜間の分娩等件数は平均0.61回であり、一定程度柔軟な対応(夜勤でなく宿日直とし、回数基準を当面、緩和する)をとることなどが考えられそうです。なお、宿日直許可基準については「内容の現代化」方向が固められていますが、回数緩和方向はこれまでに示されていません(関連記事はこちら)。

なお、中井代議員は総合周産期医療センターや地域周産期医療センターの機能強化を図るために、産科の有床診療所については現行体制を維持したまま、▼総合周産期医療センター▼地域周産期医療センター▼一般病院の産婦人科―について、一定の集約化を図ることも検討すべきと提案しています。

 「医師の働き方改革に関する検討会」では近く意見をとりまとめ、5年後の2024年4月から時間外労働上限規定などが適用されます。こうした働き方改革について外保連の岩中督会長(埼玉県病院事業管理者)は、「医師の地域偏在、診療科偏在が大きく、1860時間を超える医師も少なくない。一方で、病院経営も厳しい」とい現実を紹介し、改革実現に向けた道のりの険しさを強調しています。
 
消費税率10%への引き上げで、高度急性期・急性期病院の負担が増加

 さらに、外保連の川瀬弘一手術委員長(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)は、今年(2019年10月)予定の消費税率引き上げに関し、高額な医療機器等を使用する術式においては「償還されない費用が消費増税で増大し、病院経営がますます厳しくなる」と訴えています。
 
 例えばK046【骨折観血的手術】の1「肩甲骨、上腕、大腿」とK932【創外固定器加算】を実施した場合、診療報酬点数表では前者1万8810点と後者1万点が設定され、入院料等を除いて28万8100円が請求できます。一方で、▼手術用の基本的な医療機器のセット:1万7928円▼創外固定器の一連のシステム(テイラースペーシャルフレーム):137万5000円―などの償還できないコストが発生します(創外固定器については、特定保険医療材料としての価格が設定されず、上記K932【創外固定器加算】で評価)。
消費税率引き上げにより、機器購入に当たっての消費税負担も増加します(特定保険医療材料であれば、償還価格の引き上げが行われる)。また、昨今では医療安全を重視した使い切りの機器(ディスポーザブル製品)が増加しており、病院の負担する控除対象外消費税負担のさらなる増加も予定されます。

この点、日本医師会では「医療に係る消費税問題は、2019年度の消費税対応改定での精緻化で解消した」との見解を示していますが、特に、高度急性期・急性期の償還不可材料等を多く使用する医療現場(特定機能病院や地域の中核病院など)では「控除対象外消費税」は依然として大きな課題であることは間違いありません。クリニック等の状況のみを踏まえて「解消した」とするのではなく、医療現場全体をみた「消費税問題の解決」に向けた再検討が期待されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/668429
シリーズ 真価問われる専門医改革
「新専門医制、国が関与を強めている印象」横倉日医会長
日本専門医機構社員総会、「23のサブスペの必要性、議論を」との指摘も
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月28日の日本専門医機構社員総会で、「新専門医制度への国の関与がかなり強まっている印象」と述べ、プロフェッショナル・オートノミーで運営する重要性を強調した。同機構認定の23のサブスペシャルティ領域と基本領域との連動研修の4月開始が見送りになったが、同機構が厚生労働省に先手を打ち、専攻医や各学会、地域医療関係者などに説明可能な対策を講じる意味からも、「もう少し整理できないか」と発言したという。

 非公開で行われた社員総会後、横倉氏は、「国民に分かりやすい専門医制度にする必要があり、23のサブスペシャルティ領域についても、必要かということをもう一度、議論してもらうことが求められる」と発言の趣旨を説明した。

 社員総会では、四病院団体協議会の加納繁照氏(日本医療法人協会会長)も、サブスペシャルティ領域の検討を求めたという。

 横倉氏が、「国の関与がかなり強まっている印象」を持つ理由の一つが、連動研修の4月開始が見送りとなった3月22日の厚労省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(『 23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。「サブスペシャルテイ領域と専攻医採用におけるシーリングについて議論されたが、いずれも厚労省の事務局より対応案が提示された」(横倉氏)。

 同機構は3月27日付で、その旨に加えて、「連動研修を行うに当たっては、サブスペシャルティ領域の研修を当初より予定している基幹施設および連携施設での基本領域研修にマイナスの影響がでないように十分に留意する」ことを求める文書を、プログラム統括責任者や各専攻医、関係学会に通知した(資料は、同機構のホームページ)。

 連動研修を予定していた23領域の内訳は、内科15領域、外科6領域、放射線2領域。日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、社員総会後、記者らに対し、「厚労省の医師専門研修部会では、『専攻医に不利益にならないようにする』ことは確認された。社員総会では、(連動研修ではないが)4月からは研修プログラム通りに研修し、J-OSLERやNCDで管理していくことはご理解いただいた。それを報告することによって、(連動研修として)認めてもらう方向で、話は結んだ」と説明した。

 さらに横倉氏の問いかけについて、寺本理事長は、「各学会で相当な議論をして、サブスペシャルティ領域を決めた。日本専門医機構としてもそれを踏まえ、理事会でサブスペシャルティ領域として認めた。23領域についてはそうした流れの中で決まっている」旨を説明したという。「23領域を崩していくのは、厳しいと思う」(寺本理事長)。

 医師専門研修部会では、都道府県が連動研修による地域医療への影響を検証するデータの不足が問題となった。寺本理事長は、サブスペシャルティ領域の現状が分かるデータは学会がまとめていると言い、「できれば4月中にそれを出した上で、それを厚労省に送ることはしたいと考えている」と説明した。

 社員総会には、社員計23団体の代表(もしくはその代理)が出席。サブスペシャルティ領域の問題、2019年度の事業計画や収支予算書、カリキュラム制、事務局体制のほか、2019年度研修開始の専攻医の登録状況等が説明された。3月15日時点で8604人が登録済みだ。



https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/201903/0012178017.shtml
市立川西病院が民間運営へ 1日から診療体制は維持 
2019/3/25 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県川西市立川西病院(同市東畦野)が4月1日、これまでの市直営から、指定管理者制度により、医療法人「協和会」(同市)の運営に変わる。長年の赤字体質からの脱却を目指して市が進める再編事業の一環で、現行の診療科は維持。看護師ら職員も一定数が残るものの、民間への移行直前に収支が急激に悪化するなど、不安も抱えながらの船出となる。

 同病院は2002年度から赤字が続く。建物などの老朽化もあり、市は17年春に再編構想案を発表した。現病院を市中心部と現在地の2カ所に分け、本院機能は市中心部に22年秋をめどに完成する新病院に移す。先行して今年4月から、現病院で協和会が運営を始める。

 職員給与は平均2割減(4年間は市が一部補助)となるものの、看護師や准看護師、助産師約190人のうち約100人が残留。さらに新卒採用などで計約140人を確保した。常勤医も今の36人から32人程度への減少にとどまり「診療体制に問題はない」と市。今後も採用は続けるという。

 ただ、収支は厳しさを増している。18年度は資金不足で、市は従来の補助に加えて、補正予算として約9億2千万円の追加支援を計上する事態に陥った。

 主因は入院患者数の減少。1日平均で17年度の約190人から150人台に落ち込む見通しだ。再編構想を受け「病院がなくなるといううわさが広まり、患者の選択肢から外れやすくなった」と市担当者。協和会が示した19~21年度の収支計画では、200人前後の入院患者数で年間4~5億円余りの赤字。市議会では不安の声が相次いだ。

 民間運営への移行後は、病院経営の赤字を市は補てんしない。病院ではチラシなどで診療継続をPRし、他病院からの転院を増やすなどして患者数の確保を図る方針。新病院の完成後は、高度急性期医療の導入や病室の全室個室化などで収支改善が期待できるといい、24年度の黒字化を見込んでいる。

 市の担当者は「しばらくは赤字覚悟。民間運営の下、医師らにも経営の一角を担っている意識を持ってもらうことが必要」と話している。(伊丹昭史)



https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019032902000170.html
【茨城】なめがた地域医療センター 機能縮小を正式決定 高萩でも病床数削減 
2019年3月29日 東京新聞

 行方市の土浦協同病院なめがた地域医療センターが入院病床数の削減や診療時間外の救急受け入れの取りやめを検討している問題で、運営するJA県厚生連は二十八日、水戸市の県JA会館で臨時総会を開き、機能縮小を正式決定した。また、県北医療センター高萩協同病院(高萩市)についても、入院病床数を減らすことを発表した。 (水谷エリナ)

 JA県厚生連によると、なめがた地域医療センターで四月から、入院病床数を百九十九床から四十九床に減らす。夜間や休日の救急受け入れは土浦協同病院(土浦市)で対応する。常勤の医師数も十九人から十人になる。ただ、診療の一部は新しく医師を派遣するなどで強化するという。

 県北医療センター高萩協同病院でも、四月から入院病床数を百九十九床から百四十四床に削減する。

 機能縮小の背景には、患者数減少などによる経営状況の悪化がある。二病院は赤字が続き、本年度は合わせて約十億三千万円の赤字になる見込みという。

 経営管理委員会の佐野治会長は「今後の三年間で、土浦協同病院が黒字化して、経営がある程度安定化すると思う。それまで迷惑をかけることもあるが、理解いただきたい」と話した。

 山田保典理事によると、なめがた地域医療センターの機能の代替などを検討するため、行方や潮来、鉾田の三市や県の関係部署や関係医療機関と四月から協議の場を設ける。

◆職員「命の危険出てくる」 維持求め署名2万筆
 なめがた地域医療センターの大幅な機能縮小に反対しようと、センターの職員らが署名活動し、約二万人分を集めた。職員は「救急受け入れができなくなると、命の危険が出てくる」と訴える。

 職員が機能縮小の方針を知ったのは二月上旬。住民に現状を知ってもらうため、職員で「なめがた地域医療センターを守る職員の会」をつくった。

 系列病院の関係者らと協力し二月中旬から、入院病床数や診療時間外の救急の維持を求め、チラシを配ったり、署名を呼び掛けたりした。

 「脳疾患や心疾患は三十分以内の対応で救命率が高くなる」と職員の一人。夜間や休日の救急は土浦協同病院などで対応することになるが、センターから約二十五キロあり、治療に時間がかかる。「手遅れになる恐れがある」と懸念する。

 職員は「経営者も、まずは住民のニーズに応えてほしい。それでも赤字なら、職員や病院、行政などと協力して解決しないといけない。赤字や患者数などの数字だけを見て、判断できる問題ではない」と説く。

 集まった一万九千八百十三筆の署名は、二十六日にJA県厚生連へ提出。約二百通の住民のメッセージも添えた。(水谷エリナ)



https://www.m3.com/news/iryoishin/668283
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ
暫定特例1860時間「2035年度廃止検討」を法令に明記
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は3月28日の第22回会議で報告書を取りまとめた。病院勤務医の時間外労働上限を年960時間(A水準)、「地域医療暫定特例水準」(B水準)と「集中的技能向上水準」(C水準)を年1860時間として労働基準法施行規則に明記し、2024年4月から適用する。B水準については、2035年度末の廃止を検討することを同施行規則に書き込む。B、C水準の適用に当たっては労務管理や医師の健康確保策などが義務となることが法令上明確となり、これまでおろそかにしてきた問題に医療界が向き合う「改革」がスタートする(資料は厚労省のホームページ、働き方改革に関する法令や告示などはこちら、前回の議論は『医師の働き方改革、報告書取りまとめへ大詰め』を参照)。

 岩村座長は議論の結びとして、「取りまとめはあくまでこれから何をやっていくかを明らかにし、課題解決を目指していくためのものだ。さまざまな改革や改善を、後戻りすることなく強い決意を持って進めることが大事だ」と述べ、改革の推進を呼びかけた。

 B水準の2035年度末廃止を法令に明記することについては、3月15日の前回会議で労働組合関係の構成員が強く主張する一方、病院団体の構成員は「今の段階でがちがちに固めるのは地域医療を危うくする可能性がある」と反対。結局、「検討を行うことを法令上明記する」との表現に落ち着いた。さらに、「医療計画の策定または変更のサイクルに合わせ、3年ごとに段階的な見直しを行う」ことも法令に明記し、2027年度、2030年度、2033年度に合わせて、検討することになる。


 改正労働基準法は今年4月1日に施行され、時間外労働時間に関する労使協定(36協定)で定めた時間外労働時間を超えて労働させた場合に、使用者を「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処することとされている。医業に従事する医師に関しては適用が5年間猶予されて2024年4月からの適用となるが、この規定を報告書の脚注に書き込んだ。

 B水準適用のための要件としては「地域医療の観点から必須とされる機能を果たすために、やむなく長時間労働となる医療機関である」ことなどを示しているが、前回に出された意見を受け、「実際に医師の時間外労働が短縮していること」や「労働関係法令の重大かつ悪質な違反がないこと」などを加えた。

 A、B、C 各水準の対象となる医師の範囲としては、あくまで「医療機関で患者に対する診療に従事する勤務医」と明記。医師免許を有していても、行政機関などに所属して医業に従事しない医師は今年4月1日施行の一般則が対象となる。介護老人保健施設と介護医療院の勤務医は診療を行うが、実態からB、C水準は該当しないとして、A水準が適用される。また、血液センターや健診センターの医師は、「疾患を有する患者の治療を直接の目的としない」として、一般則が適用される。

積み残しは「兼業・副業」、タスク・シフティングの具体的業務など

 報告書に具体策を盛り込むに至らなかったものとしては、「兼業・副業」やタスク・シフティングの具体的業務などがある。千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏は「大学病院の医師に大きく関わる。しっかり考えてほしい」と指摘。また、日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、法令上どの業務を医師から他職種へ移譲できるかを病院団体で精査していることを明らかにし、「これは現行法では変えられない、これは解釈によっては変えられるかもしれないという切り分けが難しい」と指摘。厚労省医政局医事課は今後検討すると回答した。

 B水準を適用する医療機関を特定する新たな組織については、「評価機能」を設けることが盛り込まれたが、具体的にどのような組織をつくるかは「都道府県から中立の機能であること」「地域医療提供体制の実情やタスク・シフティングの実施状況等を評価するために必要な医療に関する知見を有すること」が必要で、引き続き検討することとなった。C水準についても、適用の前提となる「我が国の医療技術の水準向上に向け、先進的な手術方法など高度な技能を有する医師を育成することが公益上必要である分野」を指定する「審査組織」を今後検討し、設ける。

 宿日直や研鑽の扱いについては、報告書の参考資料に考え方が記載されており、今後通知などで具体的に示すことになる。これについては日本医師会常任理事の城守国斗氏が「宿日直や研鑽、副業・兼業の取り扱いや評価機能のあり方などが極めて大きな影響を及ぼすことになる。できるだけ早く、しっかりとした検討をしてほしい」と求めた。



https://www.medwatch.jp/?p=25551
内科・外科の連動研修の4月スタート見送り、ただし単位の遡及認定等で専攻医の不利益を回避―医師専門研修部会(1) 
2019年3月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度において、基本領域(例えば内科)とサブスペシャリティ領域(例えば循環器)との連動研修を認めた場合、「サブスペシャリティ領域の指導医がいないために、基本領域の連携施設となっていた医療機関での研修(勤務)を避ける」といった事態が生じはしないか。こうした点を検討するためのデータが現時点では存在しないため、「連動研修の是非」を検討する段階にない。この4月(2019年4月)からの連動研修は見送るべきである—。

 3月22日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)は、こういった判断を行いました(関連記事はこちらとこちら)。

もっとも連動研修を前提とした研修プログムで研修を行っている専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)に不利益が生じないよう、2019年4月以降も当該プログラムに沿って研修を受け、後にサブスペシャリティ領域の単位として認定(追認)するなどの配慮が行われます。
 
ここがポイント!
1 データが示されておらず、連動研修の4月実施の是非を論じる段階にない
2 専攻医に不利益が生じないよう、経験症例は遡及して単位認定するなどの配慮

データが示されておらず、連動研修の4月実施の是非を論じる段階にない

新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタート。19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっており、「基本領域のみの専門医資格を取得する」ことも、「基本領域とサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得する」ことも可能です。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域
医師専門研修部会(1)1 190322
 
サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認定する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認定することとなっています(例えば、地方の中核的病院で標榜されている診療科や、国民の「どこに専門医がいるのか知りたい」とのニーズの強い診療科など)(関連記事はこちらとこちら)。

ところで、内科・外科・放射線科の各基本領域学会では、社会的意義や国民への認知の程度などを踏まえ、以下の23学会・領域を「サブスペシャリティ領域とすべき」と推薦し、日本専門医機構でもこれを認定しています。とくに内科・外科領域については、一定の症例について「基本領域での経験症例」と「サブスペシャリティ領域での経験症例」との重複カウントを可能とし、より早期に「基本領域とサブスペシャリティ領域の資格を保有する専門医」を養成する「連動研修」が計画されています。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―議論

 連動研修はこの4月(2019年4月)からスターとする予定でしたが、専門研修部会では「一部(消化器内視鏡など)、国民にとって分かりにくいものがある」「整備基準(サブスペシャリティ領域として認定するための基準)をまず策定し、その上で認定を行うべきである」との意見が出されていました(いわば「待った」がかかった)(関連記事はこちら)。

 さらに3月22日の専門研修部会では、厚生労働省から、連動研修の重要性を確認した上で、「現時点で『地域医療に与える影響』に関するデータが示されていない。連動研修の是非を検討する段階に至っていないのではないか」との指摘もなされました。

2018年の改正医療法・医師法により、新専門医制度が地域医療に悪影響を及ぼす恐れのある場合には、厚生労働大臣の意見を踏まえて、日本専門医機構は制度見直しを検討する努力義務を負っています。具体的には、▼「サブスペシャリティ領域の連動研修が地域医療へ悪影響を与えないか」を各都道府県の地域医療対策協議会などで検討する→▼厚生労働大臣が、地域医療対策協議会や専門研修部会の意見を踏まえて、必要な見直しを要請する→▼日本専門医機構で制度見直しを行う―ことが必要ですが、4月までの1週間でこうした一連の業務を完了することは事実上不可能ではないか、との指摘です。

基本領域である内科において「A病院・B病院・C病院を循環する」という研修プログラムが組まれていたとします。「地域医療の確保」という各方面からの強い要請を受け、例えば「基幹病院のみで完結させない」などの配慮・工夫が凝らされています。

しかし、サブスペシャリティ領域との連動研修となった場合、「B病院には当該サブスペシャリティ領域の指導医がいないので、A病院とC病院のみで研修を完結させ、B病院での研修(勤務)を行わない」という事態が生じてしまう可能性が指摘されているのです。この場合、B病院の所在する地域において、医師確保に困難が生じるなど「地域医療への悪影響」が生じる可能性を否定できないのです。
 
この点、日本専門医機構の理事長である寺本民生参考人は、「連動研修を念頭において研修プログラムを組んでおり、プログラム全体を通じて、地域医療に悪影響が出ないような研修(勤務)が行われる」旨を説明しましたが、厚労省は「データが示されておらず、地域医療への影響があるのかないのかを判断・検討できない」と指摘。

医学会や日本専門医機構副理事長ら他の参考人も「専攻医に不安を与えることはできない」とし、この4月からの連動研修実施を認めてほしいと強く要請しましたが、専門研修部会の構成員や遠藤久夫座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)らはデータが示されていない点を重くみて、「この4月からの連動研修実施は見送るべき」との結論に達しました。

専攻医に不利益が生じないよう、経験症例は遡及して単位認定するなどの配慮

もっとも、内科や外科で「連動研修」を念頭において研修を受けている専攻医が不利益を被ってはいけません。このため、山内英子構成員(聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)らは「経験した症例は、将来、過去に遡ってカウントするなどの配慮が必要である」と強調しています。この点、寺本参考人も「専攻医に不利益が生じないように配慮する」ことを約束するとともに、個々の専攻医や指導医等に宛てて日本専門医機構から事情とともに「不利益が生じないような配慮を行う」旨を連絡する考えを示しています。

 
今後、専門研修部会において▼サブスペシャリティ領域の在り方▼連動研修の在り方―も検討していくことになります。

なお、上記23領域・学会については、既に日本専門医機構が認定を行っていますが、消化器内視鏡や老年病など一部について「待った」がかかっていました。この点、3月22日の専門研修部会で具体的な議論は行われませんでしたが、片岡仁美構成員(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授)や山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らは、「高齢者を診るスキルはすべての医師に求められるが、老年病の専門医がそのリーダー役に就くことなどが期待される」との考えを占めました。寺本参考人は、このように23領域・学会のサブスペシャリティ領域認定に向けて構成員の理解が進んでいる点について「大きな収穫であった」とコメントしています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/667901
宿日直やアルバイトの扱い「大きな問題」、日病会長
医療提供体制「データを整えて提言していく」
 
レポート 2019年3月27日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は3月26日の定例記者会見で、公明党の厚生労働部会に医師の働き方改革に関する要望書を提出したことを明らかにした。宿日直やアルバイトの扱いなどについて「病院の実態を考慮の上、適正な制度の設計を要望する」などの内容で、相澤氏はこれらをどこまで労働時間として扱うかどうかは「どう考えていくのか、極めて大きな問題だ。(会員病院から)不安の声が上がっている。早い時期に明確化していただかないと困る」と述べた。


 要望書では宿日直で「睡眠時間も十分確保できている場合も多くある」と指摘。また、オンコールは「緊急時の呼び出しに備え、医師個人の自由時間として過ごしている」ため、労働時間とは考えにくいと説明している。アルバイトについては、医師の生活が兼業・副業で成り立っていることや、それによって派遣元の病院経営が成り立っていると指摘。このことが、「長い年月の中で育った日本の教育、医療の現状であることから、労働時間のみをもって対応することは、地域医療の崩壊、派遣元病院の存続など、医療現場に多大な混乱を生ずることになる」とした。

 2019年度の事業計画についても説明した。重点項目は次の通り。

一般社団法人としての基盤整備
適正な医療確保に向けた病院の基盤整備
医療の質と安全の推進
情報提供と広報活動
病院職員の人材育成
国際活動
医療関連団体との連携推進

 相澤氏は、「適正な医療提供体制に向けた取り組みということで、まずはしっかりとデータを整えて提言していこうということだ」と説明。地域、診療圏における人口や患者数、病院機能などのデータを集め、「各病院が地域の状況を見ながら自分の立ち位置を判断しながら、将来の構想をつくっていくのに役立つことをしていきたいと思っている」と述べた。

 医師の働き方改革に関しても、「病院が働き方を変えたときに、いったいどう変化するかは、実行してみてデータを取らないと分からない」と指摘し、こうしたデータも収集していく考えを示した。今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについては、「病院間の格差を生まないのかどうか、できるだけ早く検証した方がいい」と指摘。さらに、今後の病院経営にとって、生活習慣病の予防や、軽い病状の時点で重症化を予防することが非常に重要だとして、「健診や指導、教育は病院の役割で、講習などを行っていきたい」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25585
<オンコール時間を労働時間に含めるのか、副業等の労働時間をどう扱うのか、早急に明確化を―日病・相澤会長(1) 
2019年3月26日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革に関し、病院経営の面で非常に重要になるのが「宿日直の取り扱い」である。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、「使用者の明示・黙示の指示で、労働者が業務に従事する時間」は労働時間であるとの議論がなされているが、例えば、呼び出しに備え自宅で待機(オンコール)している時間も、使用者の指示に基づく待機であることから「労働時間」として扱うのだろうか。そういった点を明確にしてほしい―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は3月22日に定例記者会見を開き、こうした要望を与党である公明党厚労部会の高木美千代部会長に示したことを明らかにしました。
 
待機時間、使用者の指示を受けての待機だが、自由に過ごせる点をどう考えるのか
 「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が大詰めを迎え、3月中に意見を取りまとめることになっています。

 例えば、36協定を労使で結んだとしても超過できない時間外上限を、原則年960時間、地域医療確保のための特例年1860時間とすることや、医療界を挙げてタスク・シフティングを進め、医師の労働時間を短縮していくことなどの方向性が固まってきています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

そうした中で「宿日直」については、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働基準法上の労働時間等に関する規定が適用されません(労働時間と見做されなくなる)。ただし、許可基準は1949年(昭和24年)のもので「定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温などの業務が稀で、一般的に見て睡眠が十分にとりうる場合には宿直を認めるが、その業務時間は割増し賃金を支払うこと」などとされ、現在の医療現場にマッチしません。このため、厚生労働省は「4月以降に改正を行う」考えを明確にしています(関連記事はこちら)。

この点、ある時間が労働時間に該当するのか、労働時間外と扱われるのかが、極めて重要となります。例えば、夜間の当直が労働時間としてカウントされれば、前述の960時間や1860時間の中に含まれますが、労働時間外と扱われれば、それは960時間・1860時間の外となるためです。

労働時間の定義として「使用者の指揮命令下におかれている時間、つまり使用者の明示・黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」とされていますが、例えばオンコール時間(呼び出しに対応するための自宅待機時間)はどのように扱うのだろうか、と相澤会長は疑問を呈します。

緊急患者等で呼び出されてから診療に従事する時間は「労働時間である」ことに疑いはありませんが、待機時間については、「使用者の指示を受けている」点を考慮すれば「労働時間」に該当しそうですが、「待機時間の多くは自由に過ごせる」ことを考えれば一律に労働時間と扱うことに疑問も生じます。さらに、病棟で当直をする場合にも類似の疑問が生じます。相澤会長は「こうした点を早急に明確にする必要がある」と強調しています。

 また、医師の働き方改革では、副業・兼業をどう取り扱うのか、という問題も生じます。厚労省は、一般則(一般労働者の副業・兼業の取り扱い)の議論を行っており、そこでの結論を踏まえて「医療の特殊性を踏まえた対応」を検討する考えを示しています。

 この点についても相澤会長は、▼特に大学病院に勤務する若手医師は、市中病院でのアルバイト(当直等)収入が大きな生活の基盤となっている▼アルバイトを受け入れる派遣先の市中病院においては、当直体制等の確保に若手医師のアルバイトが欠かせない▼派遣元となる大学病院との経営は「アルバイトを行っている医師が、アルバイト収入を含めて生活している」ことから、成り立っている―という実態があることを強調。

 その上で、例えば「副業・兼業」(アルバイト)の時間を単純に労働時間として合算(通算)するのか、別の取扱いとするのかを慎重に検討すべきと指摘しています。単純な合算(通算)となれば、上記のように多くの関係者に大きな影響がでることでしょう(若手医師はアルバイトが大幅に制限され、収入が減少する可能性がある。市中病院では当直体制確保が非常に難しくなる。大学病院等においても人件費が大幅に増加する、など)。とくに労働時間の長い若手医師がアルバイトをする機会が多く、その影響は甚大と考えられます。
 
 「医師の働き方改革に関する検討会」では、こうした点については結論を出さず、別途の検討に委ねる見込みです。しかし医療提供体制の確保にとっては、これらも極めて重要な問題であり、今後の検討内容に注目が集まります。

 なお、時間外労働上限などは5年後(2024年4月から)に適用され、今後5年の間に、全医療機関で労務管理の見直し(まず36協定を締結するところから)や労働時間の短縮を進める必要があります。この点についても、相澤会長は「労働基準監督署の指導等において、医療現場に大きな混乱が生じないよう、医療現場の意見を十分に考慮することが必要」と訴えています(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/general/668463
医師「できることやった」 意向確認の経緯説明 福生病院、透析中止 
事故・訴訟 2019年3月29日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で腎臓病の女性=当時(44)=が昨年8月、人工透析を取りやめて死亡した問題で、この判断をした同病院の担当医(50)が28日、初めて取材に応じ、透析続行のために必要な手術の準備をしていたが、女性に拒まれ、物理的に透析が不可能になったという経緯を明らかにした。女性側の意思を尊重したとした上で「できることは全部やらせてもらったつもりだ」と述べ、問題はなかったとの見方を示した。

 松山健(まつやま・たけし)院長も取材に応じ、この透析の取りやめについて倫理委員会を開くべきか事前に担当医から相談を受けた際、日本透析医学会の提言を参照した上で開催が必要ないと判断したと説明。「提言に違反も、無視もしていない」と主張した。

 一連の経緯に問題がなかったか都が調べている。

 担当医によると、女性は、透析のために設けられる腕の血管の分路(シャント)の管理のため、半年に1度来院。昨年8月9日に来院した際、分路が閉塞(へいそく)した状態で、医師は手術によって鎖骨付近にカテーテルを入れる治療法を提示。女性は拒否し「元々、シャントがつぶれたらやめようと思っていた」と透析中止の意向を示した。

 担当医は、エックス線撮影を行うなど、事前に女性の手術の準備を進めていた。意向を知り、驚いたという。

 担当医は、夫を呼び、看護師、ソーシャルワーカーの5人で改めて意向を確認した。女性は手術を拒否し、夫も同調。「死期を早めるリスクがある」と記載された意向確認の書面にサインした。

 普段透析をしている診療所に手術を受けるよう説得された女性は10日に再び来院。別の医師が意向を確認し、手術を受けないことになった。

 14日に女性は体調不良を訴え入院。16日未明にパニック状態になり「こんなに苦しいなら透析した方がいい。撤回する」と看護師に話した。担当医は、女性が落ち着いている時に意向を確認すると夫に説明。同日正午ごろ、女性に対し、手術して透析するか、苦しみの症状を軽減するかの意向を改めて確認。女性は軽減を選び、午後5時すぎに死亡した。



https://www.m3.com/news/general/668627
大町診療所、内科だけに 民営化2年 医師退職、改修困難で 
地域 2019年3月29日 (金) 佐賀新聞

 2年前に大町町立病院から民営化された「大町診療所」(杵島郡大町町)の診療科目が4月から、現状の3科から内科だけになる。医師の退職や空調設備など建物の改修が困難なことが理由という。

 町立病院は大町町が2017年、社団法人「巨樹の会」(武雄市)に約3億5千万円で経営譲渡した。同年4月に内科、整形外科、脳外科、耳鼻咽喉科の「大町病院」として開院。入院病床60床を系列の新武雄病院(武雄市)に移した同年9月に「診療所」になった。17年に患者数が少なかった脳外科を休診した。

 病院関係者によると、3月末で整形外科の医師が退職するため4月以降の診療を休止する。空調設備が改修できない耳鼻咽喉科の診療も取りやめる。内科の医師1人が異動するため、診療は現状の週5日から3~4日になる見通しという。関係者は「医師の確保というより施設面の問題が大きい。設計図面がなく耐震診断も簡単にできず、空調設備の改修も容易ではない。そういう現状を総合的に判断した」と話す。



https://www.m3.com/news/general/668507
【福島】檜枝岐診療所 常勤医不在に 来月から 医師退職、後任を募集 
地域 2019年3月29日 (金) 読売新聞

 檜枝岐村の唯一の医療機関である檜枝岐診療所が、4月から常勤医不在となる。現在いるただ一人の医師が今月末に契約満了で退職するためだ。28日が最後の診療日となり、村は後任を急募している。

 村総務課によると、退職するのは2017年から同診療所に勤務していた70歳代の男性医師。昨年10月に、退職の意向を村に伝えていた。今年1月に後任者がいったん内定したものの、最終的に契約には至らなかった。

 村は4月以降、南会津町の県立南会津病院から週1回程度、医師の派遣を受ける方向で調整を進めている。同病院からは現在も月2回の派遣を受けている。

 今月、村ホームページに募集の告知を掲載したが、これまでに応募はないという。橘千春・総務課長は「幅広く診療できる医師に来てもらえれば、村民も安心できる」と話している。

 同診療所は内科・小児科の外来診療のみで、患者数は1日平均11・5人。募集しているのは70歳ぐらいまでの医師。年収は2000万円(税込み)で、医師住宅も用意されている。問い合わせは村総務課(0241・75・2500)へ



https://www.m3.com/news/general/668316
天売 また常勤医不在 島民、根本解決求める声 
地域 2019年3月28日 (木) 北海道新聞

【天売】天売島からまた常勤医が不在となった。島内唯一の医療機関である道立天売診療所の田中耕治所長(60)は、27日を最後に診療を取りやめた。31日付で退職する。道は4月以降、代診の医師を月3回派遣して対応する方針だが、島内では根本的な解決策を求める声が上がっている。

 島内で旅館を経営する男性(61)は「田中先生は親身に診てくれ、いい先生だった。何年もいてくれると思っていたのに」と残念がる。別の男性(41)は「長くいてもらうためには医者の負担を減らすなど何か工夫が必要」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/668315
血液内科の新患受け入れ休止/八戸赤十字病院 
地域 2019年3月28日 (木) デーリー東北

 八戸赤十字病院(瀬尾喜久雄院長)は、常勤医の減少により、4月1日から血液内科の外来と入院診療を縮小し、新規患者の受け入れを休止する。白血病や悪性リンパ腫など血液疾患の入院設備を備えている施設は、青森県南地方では同病院のみ。黒沢裕之事務部長兼総務課長は「県南、岩手県北地域一帯の患者さんを受け入れてきただけに大変心苦しい。医師を確保でき次第、新規患者を受け入れたい」としている。

 同病院によると、医師の派遣元である岩手医科大付属病院血液腫瘍内科の医師不足の影響を受け、八戸赤十字病院血液内科の常勤医を3人から2人に縮小。これにより、現状の診療体制の維持は困難、と判断した。周辺の医療機関や患者らには既に通知をして、理解を求めている。

 血液疾患の治療には、無菌室など専用の設備が必要。青森県内で現在、血液内科の入院設備を備えているのは、同病院のほか、県立中央病院、弘前大付属病院、つがる総合病院の3病院のみ。

 八戸赤十字病院は今後、入院や通院している患者については従来通り診療を継続するが、経過を見ながら、患者の希望に応じて他の医療機関をあっせんする考え。



https://www.m3.com/news/general/667788
南相馬・小高病院:入院再開へ方針決定 市が病床再編計画で /福島 
その他 2019年3月26日 (火) 毎日新聞社

 南相馬市は、市立小高病院の入院機能について、いったん無床診療所とした後、将来的な入院再開を目指す方針を正式に決定した。

 25日公表した小高病院と市立総合病院(同市原町区)の病床再編計画に盛り込んだ。計画は、現在小高病院のもつ入院病床99床のうち70床を総合病院に集約。総合病院を計300床とし、小高病院は無床診療所とする。その後、医師確保や、見込まれる赤字に対する財源確保など準備が整えば、19床の入院用病床を整備する。

 方針決定を受け、市は来年度、東日本大震災で損傷した病院本館などを解体する。解体中は診療環境を考慮し、今年8月をめどに、小高区内に一時移転。来年の3月定例市議会で関連議案の改廃を目指し、無床診療所としての運営がスタートする。診療所の場所は、小高病院敷地内の他、同区内の医療機関跡などへの移転も検討する。【高橋隆輔】



https://www.m3.com/news/general/667761
竹田のこども診療所「月末で終了」と所長 来月以降の体制未定 
地域 2019年3月26日 (火) 大分合同新聞

 竹田市唯一の小児医療機関、市立こども診療所の所長を務める男性医師(50)が3月末で診療を終えることが25日、医師らへの取材で分かった。「市への不信感が拭えなかった。もう続けられない」と述べた。同日の市議会対策委員会で表明する見通し。

 4月以降、診療所の運営体制は未定で、市は空白が出ないよう対策を急ぐ。

 医師は委員会開会前に「留任の署名をしてくれた約5300人の保護者の思いに応えようと頑張ってきた。市は何ら問題を解決してくれなかった」とコメント。本年度末で所長を辞める考えを明らかにした。

 市内飛田川にある現診療所の玄関には「長らくのご愛顧ありがとうございました」と記した紙が張られている。

 診療所を巡っては、市が市内玉来へ新築移転させるのを機に運営を市直営から外部委託に変更することを計画。指定管理の条件面で医師と溝が生じ、関係が悪化した。

 医師は1月末の委員会で辞意を示唆。市内の母親らが署名を集め、診療継続を求めていた。市は話し合いを重ねたが平行線が続いていた。



https://www.m3.com/news/general/667495
滋賀・野洲市民病院、収支計画二転三転 整備費も膨張、市民疑心 
地域 2019年3月25日 (月) 京都新聞

 2021年開院予定の滋賀県野洲市民病院の事業収支計画が二転三転している。建設費は増加の一途をたどり、黒字になる時期も繰り返し変更されている。市は「大きな目で見て事業の見通しを考えるためのもの。影響はない」とするが、新たに市の一般会計から7億円を支出する計画も示され、市民からは「将来に不安を感じる」との声も上がる。

 新病院の建設に関して初めて収支計画が示されたのは12年5月。市による整備の可能性を探って専門家らの委員会が検討し、開院20年後も赤字が続くという結論だった。以後、病院事業が黒字化するまでの年数は計8回変更された。

 特に市議会での対立が深まった15年は頻繁に修正された。1月には、それまで「5年目で黒字」としていた見通しを、建設費の高騰などで20年後も赤字が続くと発表。しかし3月と10月には一転して「16年目で黒字」「8年目で2400万円の黒字」に変わった。理由としては、14年度の野洲病院の業績の反映▽見込み患者数の増加―などと説明されたが、市議会は病院関連予算を重ねて否決した。

 直近では昨年12月の収支計画で、黒字になる時期を従来の「2年目」から「12年目」に遅れると修正。今年2月に市が示した改善策では、貸付金の予定だった当初資金7億円を返済義務のない「出資金」に変更する▽医療機器の本格的な更新を6年目以降にずらす―などを行うことで「4年目で8万2千円の黒字」となり、7年目以降は黒字が続くとの見通しを示した。

 収支計画の変遷について山仲善彰市長は開会中の市議会などで「情報を全て公開しているため見通しが変動するのは当然。大きな目で見て病院事業が成立可能かどうかを判断するためのもので、数年で(黒字)転換するのであれば問題ない」と説明する。

 一方で、新病院の整備費は膨らみ続けている。11年8月の検討委員会では(民営の)野洲病院の提案通りに実施した場合、整備費は約55億円と試算した。その後建設費は徐々に増加し、15年3月には病床数を減らすなどして費用削減を試みたが、現在は当初と同じ建設面積と約200の病床数で約100億円を見込む。駐車場など周辺整備を含めると約110億円に上る。

 整備費について山仲市長は「用地取得費や駐車場整備費を含まずに整備費を安く見せることもできるが、含むことで国の交付金が得られるなどの利点がある」と説明。また「野洲病院は本来11年に経営不振で閉院していたが、新病院計画があることで保ってきた。市民に適切な医療環境を提供することが何よりも大切」と話し、病院事業に取り組む意義を強調する。

 収支計画の変遷について市民の受け止めは複雑だ。無職男性(69)は「病院があれば便利だが、大きな赤字を抱えるのなら考え直さないといけない。収支計画がころころ変わることには怖さを感じる」と話す。病院整備の中止を求めて提訴した市民団体の山川晋代表(67)は「これだけ頻繁に変動する収支計画は信用できない。(改善策は)お金を一般財源から投入しているだけ。経営改善とは言えない」と指摘する。

■健全な改善策と言えず

 滋慶医療科学大学院大学(大阪市)の宇田淳教授(病院管理学)の話

 収支計画は患者数や職員給与などをどう見るかによってその都度変動するものだが、赤字になるから市が一般会計から7億円を出資するというのは、健全な収支改善計画とは言えない。

 整備費については、建設業の人手不足で上昇傾向にあり、今後も上昇するだろう。2017年11月の実施計画を見ると、病床稼働率は21年度で73・8%、25年度で81・9%。2割の空きがある計算だが、病床数を減らすことで建設費が削減できる可能性がある。

 市は病院事業を進めるなら、市民にとってのメリットやコスト負担を丁寧に説明する必要がある。特に今後は、一つの病院だけでなく地域の病院間で役割分担する「地域包括ケア」が重要になる。湖南地域で新病院がどんな役割を果たすのかも周知していくべきだ。



  1. 2019/03/31(日) 06:19:21|
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