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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月17日 

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190313/CK2019031302000008.html
本当に「医師多数県」? 厚労省新指標、医療現場から戸惑いの声  
2019年3月13日  中日新聞 滋賀

 地域間の医師数の偏りを解消するために厚生労働省が二月に公表した「医師偏在指標」で、県は医師数が比較的多いとされる「医師多数県」に分類された。県内の医療現場では医師不足が長年課題となっており、新たな指標について「医師不足の実感と隔たりがある」と、戸惑いの声が上がっている。

 医師不足の指標では従来、人口十万人当たりの医師数が用いられてきた。県の医師数は二〇一六年度の調査で、十万人当たり二百三十一・四人で、都道府県別で三十四位だった。

 一方、新たに公表された医師偏在指標は、同様に人口十万人当たりの医師数をベースとしているが、住民や医師の年齢などのデータを考慮して、指標の数値を算出。県は全国平均の二三八・三を上回る二四三・五とされ、十六位となった。

 県医療政策課によると、県内では高齢化のペースが緩やかであることや、若い医師が比較的多いことが、数値が上がった要因だという。厚労省の分類で、上位十六位までとされる「医師多数県」に位置づけられ、今後は県外から医師を呼び込むことが難しくなる可能性がある。

 この指標に対し、県内の医療関係者からは「実態と合っていないのでは」と批判の声が上がる。指標の数値は県内でも地域ごとに差があり、県南部の大津保健医療圏(大津市)と湖南保健医療圏(草津、守山市など)を除いた地域は、全国平均を下回っている。

 湖北地域のある病院では、脳卒中に対応できる医師が四人しかおらず、一人の医師が月に十日近く、夜間など緊急の呼び出しに応じなければならない状態という。病院の関係者は「本来は倍ぐらいの医師を雇いたいが、募集しても全然集まらない」と話す。

 湖西地域の病院には産婦人科医の常勤医が一人しかおらず、非常勤の医師が交代で勤務することで、緊急時に対応しているという。県健康医療福祉部の角野文彦理事は「診療科や地域によっても状況は異なっており、全体としては、まだまだ医師不足を感じている。今回の新指標に関わらず、医師の確保に取り組みたい」と話している。

 (森田真奈子)




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190315-00009370-bengocom-soci
「医師の働き方改革」報告書、取りまとめに暗雲 残業「年1860時間」案めぐり  
3/15(金) 18:01配信 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が3月15日、東京・霞が関の厚生労働省であった。地域医療を確保するためやむを得ない場合に「年1860時間」までの残業を勤務医に認める案について、2日前に続いて意見が噴出。了承に至らず、取りまとめは次回に持ち越された。

●「年1860時間」適用にはいくつものハードル

報告書案では、すべての勤務医が2024年4月時点で、業務の大幅増などの状況におちいったとしても休日労働込みで「年960時間」までの残業となることを目指す一方、やむを得ない場合には「特例」として、「年1860時間」までの残業を容認するとしている。

「年960時間」は一般労働者の上限と同じだが、「年1860時間」はその2倍近くの水準だ。

具体的には、医師不足のため「年960時間」を守ると地域医療の提供に支障が出る恐れがあったり、若手研修医が技能を集中的に磨いたりする場合などに、特例の適用を限定する。

特例適用のためには、都道府県が真にやむを得ないか状況を見極めたうえで、その病院を指定(特定)することが必要。さらに病院に対しては、勤務医に一定の睡眠時間(1日6時間程度)や勤務間インターバル、代休を与えるなどの措置をとるよう義務づける。

●「人間らしい生活ができる水準ではない」

この日の会合では、2日前に意見が尽きなかったことを受け、引き続き「年1860時間」の是非を中心にメンバーが意見を交わした。

連合の村上陽子氏は「1860時間は、一般社会では過労死水準を大幅に上回る非常識な水準だ。報告書案では(特例水準の)1860時間が、例えばいつ1500時間になるのか、1000時間になるのかも不明で、いつ引き下がるのかを明示し法律的にも明示してほしい」と注文。

保健医療福祉労働組合協議会の工藤豊氏は「1860時間という上限に改めて反対だと明確に言いたい。ここまで働かせることができる、と考えてもおかしくない」と指摘した。

自治労の森本正宏氏は「1860時間という、通常の労働者の2倍にあたるような水準は労災認定を大幅に超える。人間らしい生活ができる水準ではないので反対」などと述べた。

報告書案への賛成意見もあり、社会医療法人ペガサスの馬場武彦氏は「(特例の1860時間の)終了年限をガチガチにすると、地域医療の確保に影響を及ぼす。事務局案に賛成だ」。

日本医師会の今村聡氏は「できるだけ早く改善するというのは賛成だが、医師偏在の問題が前提としてある。偏在対策の年限は法律上記載されていないため、偏在対策との整合性という意味では法律に書くことはなかなか難しいのかなと思う」と話した。

●武勇伝を振りかざすベテラン医師の意識改革が肝

病院経営者や現場医師の意識改革の必要性を訴える声も上がった。

救急医の赤星昂己氏は「1860時間働かせていい、と勘違いしている経営者や病院長もいると思うので、周知を徹底的に進めてほしい」と厚労省に求めた。

外科医でコンサル会社を営む裵英洙氏は「『1丁目1番地』は労務管理だ。しっかり周知しないと絵に描いた餅になる。病院の現場で、いわゆる武勇伝を振りかざす方々(ベテラン医師)にどのように意識改革を迫るのかが肝だ」と語った。

岡山大学医療人キャリアセンターMUSCATの片岡仁美氏は次のように述べた。

「1860時間を、可能な限り少なくする努力をしてほしい。1年後に1500時間とか、段階を見える形にした方がいい。

院内で解決するにも研修医や若手は立場が弱くて声をあげにくい。院内、県内での解決ではなくて、声をあげられるシステムが必要だ。私は20年前に研修医で、長時間労働が当たり前だと身に染み付いていた。特に40代、50代は価値観から変わらないといけない」

弁護士ドットコムニュース編集部



https://blogos.com/article/363726/
【正論】医大入試の男女別枠は是か非か  
笹川陽平2019年03月13日 08:42産経新聞

 医学部不正入試をめぐり昨年12月、個人ブログに「天下の暴論か?」と題して各大学医学部の定員をあらかじめ「男子〇名、女子〇名」と決め、それぞれ成績順に合格者を決めたらどうか、私見を記したところ、賛成、反対を含め多数の意見をいただいた。

皮膚科や眼科に偏る女性医師

 合否判定が募集要項に即して厳正に行われるべきは言うまでもなく、女子や浪人生を不利に扱った各大学の対応を肯定するつもりはない。しかし、急速な高齢化で医師不足が深刻化する中、女性医師が皮膚科や眼科などに偏る現実を前にすると、外科や救急などハードな医療を維持していくには、どうしても多くを男性医師に頼らざるを得ない現実がある。

 厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、2016年の日本の医師数は約31万9500人。女性医師は約6万7500人で全体の21.1%に上る。全国の病院で働く医師の性別を診療科別に見ると、女性医師のトップは皮膚科が54.3%。産婦人科、眼科、産科などが40%台前半で続き、外科は乳腺外科など一部を除き1桁台。男性医師に比べ診療科の広がりが欠ける傾向にある。

 医師不足が進む地域医療が、医師の献身的な努力でようやく成り立っている現実が指摘されて久しい。昨年6月に成立した働き方改革関連法では医師の残業規制が適用除外となり、厚労省はその後、地域医療に携わる勤務医の残業上限時間を年1900~2千時間とする案を示している。一般労働者の2倍を超す数字で、もともと地域医療への女性医師の進出は少なく、当面、地域医療の多くは男性医師頼みの状況にある。

 こうした現実を受け、「試験結果だけで判定すると女性医師ばかりが増え、地域医療や救急医療が崩壊しかねない」と危惧する医療関係者の声も耳にした。男性より女性が成績上位を占める傾向は医学部に限らず一般企業の入社試験でも顕著、小論文や面接で加点して男性社員の採用を増やすケースが多いと聞く。「医学部入試でも同様の対応がなされ、医学部関係者にとって不正入試は、ある意味で常識だった」との声もある。

「地域枠」は地元出身を優遇

 それならば、当面は男性医師に多くを頼らざるを得ない医療現場の実態を広く説明した上で、最初から男性の定員枠を女性より多めに設定する方法もあるのではないか。筆者の提案は深刻な医師不足を前にした〝応急策〟の色合いが強いが、医療の現状を前にすれば国民の理解を得られる余地も大きいと考える。

 地域の医師不足解消に向け1997年に札幌医科大、兵庫医科大で始まった「地域枠」も、地域医療に従事する意思のある地元出身者を優遇する点で、形の上では「機会均等」「公平性」を欠く。一般入試に比べ入試偏差値もやや低い傾向にあるようで、国家試験合格後、9年間、地元の医療機関で働けば奨学金の返済を免除するなどの優遇措置も採られている。

 2017年度には71大学、全医学部定員の18%、1674人分までに広がり、札幌医科大のように定員110人のうち90人を地域枠が占める大学もある。政府の後押しもあるが、特段の批判が出ないのは、それだけ地元住民が地域医療の確保を強く求めている、と言って過言ではない。

 日本の女性医師の比率は経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国の中でも最低水準にあるが、2000年以降16年までに比率は6.7ポイント、人数も3万人以上増えた。医師国家試験の合格率も、18年は男性の89.1%に対し女性は92.2%と女性が男性を2~3%上回る傾向が続いている。女性医師は今後も確実に増える。

問題とすべきは将来の医療確保

 要は20年、30年後に医療を少しでも健全な形で引き継ぐには何が必要か、換言すれば、人口が減少する縮小社会の中で高齢者を中心に急増する医療需要にどう応えていくか、という問題である。院内保育や短時間勤務制度など女性医師が子育てを両立できる職場環境や男性が育児や介護、家事に参加する社会環境の整備が進めば、多くの女性医師が30歳代で離職する事態も緩和される。

 外科や内科などへの女性医師の進出も間違いなく増え、多くの診療科で男性医師と女性医師のバランスが取れるようになれば、男女平等の本来の入学試験に戻れば済む。

 繰り返して言えば、入試要項で男女平等を謳(うた)いながら、現実の入試で差別をした各大学の姿勢が厳しい批判にさらされ私学助成金のカットを招いたのはやむを得ない。メディアの報道も不正入試を追及するあまり、医療の課題や将来に向けた問題提起が二の次になった感が否めない。

 少子高齢化の中で国民の医療をどう育んでいくか、世界共通の課題である。最先端を行く日本が医師の育成を含め、今後の医療にどう取り組んでいくか、世界が注目している。報道関係者には新しい時代の国民医療の在り方について実のある提案を望みたい。

(ささかわ ようへい)



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190316-360126.php
全国初!福島県7病院で「遠隔病理診断」 AI診断実験開始へ  
2019年03月16日 08時00分 福島民友新聞
   
 福島医大は15日、県内で深刻化している病理医不足への対策として、同大付属病院と県内6病院を結び、遠隔で病理診断を行うネットワークの運用と、同ネットワークを利用した胃生検のAI診断システムの実証実験を始めると発表した。AI診断の実証実験は全国初、遠隔病理診断ネットワークの構築は県内初。

 同大医学部病理病態診断学講座の橋本優子教授が日本病理学会と共に取り組むプロジェクトの一環。病理医の業務負担軽減と、AI診断導入を通じた診断の質向上が狙いで、本県での活用状況を踏まえ、全国でのAI診断導入を目指す。

 病理医は、患者から提供を受けた組織を顕微鏡で調べるなどして最終的な診断を下す医師。本県の10万人当たりの病理医は1.27人、平均年齢は60.2歳とともに全国ワースト2位で、病理医不足と高齢化が課題となっている。2人以上の常勤病理医がいる県内の医療機関は福島医大だけで、ネットワークに参加するほかの病院は病理医が1人だけか、常勤医を置かず非常勤で対応しているという。

 ネットワークでは、同大が福島赤十字病院(福島市)、太田西ノ内病院(郡山市)、星総合病院(同)、総合南東北病院(同)、福島医大会津医療センター(会津若松市)、竹田綜合病院(同)とそれぞれ連携。6機関が福島医大に病理画像を送って同大で病理診断を行うことで、病理医が不足している機関でも診断ができる体制を整えた。将来的には難しい症例に関して参加機関同士が連携して判断することも見据えている。

 実証実験は、同ネットワークの遠隔診断で得られた胃生検の病理画像を同学会のサーバーに集積し、AIを使って胃がんを診断する。AIの判断に対して医療機関がフィードバックを行い、診断精度の向上を図る。

 橋本教授と同学会の北川昌伸理事長、倉田盛人福島病理ネットワーク担当が15日、県庁で開いた記者会見で明らかにした。橋本教授は「病理医の診断対象はこれまで以上に幅広くなっているが、AI診断が業務をカバーし、質の高い診断が行えることに大きな期待がある」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663309
シリーズ 平成の医療史30年
大学勤務医の臨床の比重増加、経営悪化で【平成の医療史30年◆大学編】 
 
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.2
スペシャル企画 2019年3月17日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その上、国立大学病院にとっては、控除対象外消費税の問題もあります。2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた際、特定機能病院の補てん率は61.7%という結果でした(『2019年度消費増税対応は基本診療料で、「議論の整理」(案)了承』を参照)。

 その通りです。2019年10月の税率10%への引き上げの際は、見直され、特定機能病院全体では補てん率が100%近くになるとのことですが、それはあくまで平均値。われわれは、病院の規模によって補てん不足が億単位でばらつくことを以前から主張してきました。その点は今回も改善される見通しはありません。

 厳しい経営環境が続く中、45ある国立大学病院全体の2017年度の決算は、前年度より18億円のマイナス 。また、医業による収益差額は31億円のマイナスで、前年度より悪化しています。それに運営費交付金が12億円入っても、収支は均衡しません。病院だけでなく、国立大学そのものが今、存亡の危機なのではないかと思っています。収入は授業料と運営費交付金がほぼ全て。それ以外の特許料収入などはごくわずか。経営改善につながる手立てがなかなか見当たりません。

 大学病院がこうした厳しい環境に置かれているのは、そもそも医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか、役割は何か、医療の中でどう位置付けるのか、あるいは社会としてどう支えるかが明確になっていないことが大きいと思っています。

――それはどのような意味なのでしょうか。

 大学は、臨床、教育、研究の3つの柱を担っています。臨床面で言えば、「大学は最後の砦」とよく言われます。他で治せなかった患者さんが大学病院に来るわけで、もちろん一生懸命に治療はしますが、コストがその分、かかります。けれども、診療報酬で優遇されるのは、DPCの大学病院本院群の係数と入院基本料くらい。いずれも特定機能病院として高い点数が付いていますが、それは収入全体から見ればわずか。それ以外は、全く他の一般病院と同じ土俵で仕事をしなければいけません。

 DPCは、診断群分類別の評価ですが、あくまで「平均値」をベースに点数を設定しています。正規分布の端に位置するような、多くの医療資源を要する患者さんを診る割合が大きい大学病院では、採算が合いにくくなります。ICUの加算も同様で、2週間を過ぎれば加算はなくなりますが、2週間を超えてしまう重症の患者さんは少なくありません。

 また患者さんは「大学病院だから」と信頼して受診されます。それは有り難いことなのですが、その分、医療の内容や医療安全に対する目は厳しい。大学病院は、専門的で高度な医療が要求されます。しかも、医療が進展するスピードは速く、それにキャッチアップするとともに、高い安全性が求められます。

 大学病院には、臨床以外にも、研究という重要な役割があります。当院は全国で12カ所ある臨床研究中核病院の一つですが、倫理委員会をはじめ、体制を整え、維持するための持ち出しの方が多いのが現状です。

――厳しい環境の中で、医師をはじめ、医療従事者の献身的な努力で大学病院は成り立っている。

 献身的な努力というか、使命感なんですかね。いくら大変であっても、私たちはやめるわけにはいきません。


山本修一氏は、「医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか」を明確にしてすべきと強調。
――そのひずみなどは現われているのでしょうか。

 まずは大学病院として経営を安定させないといけない。結局、高度先進医療ばかりやっていたのでは、今の診療報酬体系では、経営が厳しいわけです。場合によっては、一般病院でもできるような医療までを出さざるを得ないというひずみは出てきています。

――法人化の前後、そして今との比較で、臨床、研究、教育にかける比重は変わってきているのでしょうか。

 臨床が忙しくなっており、教育、研究のウエイトが下がっています。収益を上げるために、われわれ経営陣はいかに数多くの患者さんに受診してもらい、しっかり診療して、地域の医療機関等にお戻しするかに腐心する。急性期病院として機能分化もあり、病床の稼働率、回転率ともに上げなければならず、以前なら1カ月くらい入院していたような患者さんでも、今は病状が安定したら、10日くらいで退院している。当然、労働密度の上昇につながるわけです。

――先生のご専門である眼科であれば、日帰り手術も増えた。

 その通りです。やや古いデータですが、国立大学病院の場合、臨床系教員が診療等に従事する時間の割合は、2002年は35.8%から、2013年には51.5%まで増えています。一方で、研究に充てる時間は、28.8%から2割を切り、17.7%になっています。今の時点で調査すれば、診療等の時間はさらに増えていると思います。

――これは国立大学に限らないことですが、2004年度の臨床研修必修化で、大学で臨床研修を行う若手が減少した影響もあると思います。必修化前は、7割以上が大学病院で研修していましたが、今は5割弱のまま回復の兆しはありません。

 確かにその通りです。ただし、千葉大に関して言えば、新専門医制度により、後期研修医(専攻医)が増えています。以前は1学年約100人だったのですが、今は150人くらいになっています。千葉県は医師不足なので、東京都や神奈川県と違い、シーリング(専攻医の上限)がかからなかったことが大きいと思います。

 まずは専門医を目指す若手に対して、より良い研修環境を提供することが大事。問題はその先で、専門研修が終わった後、最先端の医療をやりたい、研究をしたいという医師をつなぎ止めるために、いかに魅力のある大学、病院にするかということです。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00009354-bengocom-soci
医師の残業「年1860時間まで」議論大詰め 救急医は「守れるルールを」  
3/13(水) 16:05配信 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が3月13日、東京・霞が関の厚生労働省であった。年度末の取りまとめに向け報告書案が示されたが、例外的に勤務医の残業を「年1860時間」まで認める案などへの意見が尽きず、承認には至らなかった。次回は3月15日に開かれる。

●「年1860時間」適用にはいくつものハードル

報告書案では、まず前提として、医師も一般労働者と同等の残業時間規制とし、上限を「年360時間」とすることを明記。そのうえで、業務の大幅増など休日出勤がなければまわらない状況に直面したら、休日労働込みで「年960時間」まで認めるとした。

2024年4月時点で、こうした水準をすべての勤務医が達成している状況を目指す。ただ、現実的には、医師不足の地域などでは未達となるケースも想定される。このため、「地域医療確保暫定特例水準」という特例を設け、「年1860時間」まで容認するとした。

この特例の適用は2035年度末まで。具体的には、地域に十分な医療を提供するうえで真にやむをえないかどうか、都道府県が判断し、対象となる医療機関を特定する。特定されないと、「年1860時間」まで勤務医を働かせることは許されない。

さらに、行政による特定だけでなく、勤務医の睡眠時間(1日6時間程度)を確保し、疲労回復ができるよう勤務間インターバルや代休を与えるなどの健康確保措置を義務づける。

また、研修医が技術を重点的に磨く過程においても、医療機関が行政による特定を受け、健康確保措置をとることを条件に「年1860時間」まで認めるとした。

●「過労で命を落とす医師もいる」

「年1860時間」は、いわゆる過労死ラインを大幅に超える水準だ。すべての勤務医に適用されない例外的なものとはいえ、制度として位置づけられることに対し、検討会を見守る現役医師や過労死遺族たちは強い懸念の声をあげている。

この日の検討会でもさまざまな意見が出された。

連合の村上陽子氏は「1860時間が安易に認められることはないことは重々承知しているが、過労で命を落とす医師もいる。1860時間という時間には賛同できない」と発言。

救急医の赤星昂己氏は「守れるルールを作るのが一番大事かなと思う。960時間にすると、表面上このように見せかける病院が出て、本末転倒なことになるかもしれない」。

日本病院会副会長の岡留健一郎氏は「960とか1860は医療界にとって非常に厳しい数字だが、医療界が総力をあげて取り込んでいくことが大事。早く目標を決めて、4月以降、具体的な実行をしていくことが大事」と述べた。

「年1860時間」という数字がひとり歩きしているなどとして、報道への不満も複数聞かれた。ただ、どの意見も具体的な媒体を名指ししたものではなかった。

●副座長が辞任、「若手の医師が希望を持てるよう」

検討会では、2月22日付で副座長の渋谷健司・東大院教授が辞任したことも報告された。

医療系メディア「m3.com」が伝えたところによると、渋谷氏は「1860時間に納得できるロジックがあるわけではないので、前に進めるのならば僕ではない人を副座長に選んでまとめていただきたいと思っている」と語ったという。

座長の岩村正彦氏(東大院教授)は「渋谷さんが残念ながら辞任された。渋谷さんが、『若手の医師が希望を持てるような改革でなければならない』とおっしゃっていたのが印象的だった。そういう観点からも次回の議論を深めたい」と述べた。

弁護士ドットコムニュース編集部



https://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20190312-OYTNT50077/
八幡浜での分娩停止へ  
2019/03/12 05:00 読売新聞

 ◇産婦人科3月末で 診療、治療は継続

 八幡浜市内で唯一、出産が可能だった産婦人科医院(19床)が今月いっぱいで分娩ぶんべんの取り扱いを停止することがわかった。八幡浜保健所管内(八幡浜、大洲、西予3市と内子、伊方2町)で出産を取り扱うのは大洲市の2医院(計24床)のみとなる。

 医院によると、少子化や院長の高齢などを停止の理由に挙げている。分娩は扱わないが、一定時期までの妊婦健診を行い、その後は希望する産科施設を紹介するシステムに移行する。産婦人科疾患の診療や治療などの受け付けは継続する。

 八幡浜市内での出生数は2017年度で199人。市内では、市立八幡浜総合病院が出産業務の再開を目指すが、めどはたたない。

 八幡浜総合病院では、医師不足もあって12年1月から出産の取り扱いを中止。現在、産婦人科には医師1人と助産師4人がいるが、新年度には助産師が1人減る。昨年、将来的に分娩の取り扱いの再開を目指して助産師4人程度を募ることにし、資格取得を希望する病院内の看護師に必要経費などを助成する支援策を打ち出したが、希望者はいないという。

 市では愛媛大などに産婦人科医も含めた医師の派遣を要望している。大城一郎市長は「市立病院で出産できるよう今後も働きかけていく」としている。



https://www.sankei.com/affairs/news/190311/afr1903110005-n1.html
【主張】東日本大震災8年 被災地の思い次代に繋げ 新たな発想でまちの復興を  
2019.3.11 05:00社会地震・災害 産経新聞

 8年がたった。東日本大震災の死者は1万5897人、行方不明者は2533人に上る。一人一人の暮らしがあり、家族や友人がいた。それが突然引き裂かれた。

 時を経ても「3・11」は鎮魂の日であることに変わりはない。改めて犠牲者の冥福を祈るとともに震災の記憶と、困難を乗り越えた復興の取り組みを次代に伝えていく責任を共有したい。

 ≪鉄路に映る人々の願い≫

 復旧、復興はなお途上だ。岩手県沿岸を走る第三セクター・三陸鉄道(三鉄)の新生「リアス線」が、震災から8年を経て今月23日に繋(つな)がるのは、復興の道程(みちのり)の長さを象徴する。

 津波で不通だったJR山田線釜石-宮古間が三鉄に移管され、大船渡市の盛(さかり)駅から久慈市の久慈駅まで163キロが全通する。鉄路の再開は生活の足だけでなく、復興への勇気と希望を与える。

 東日本大震災では津波で駅舎が流されるなど寸断された。だが復旧をあきらめなかった。5日後から順次再開した三鉄の関係者の努力は、次代を担う子供たちのため岩手県が進める復興教育の教材にも取り上げられている。

 三陸を訪れた今月初め、北リアス線を運転していた宇都宮聖花さん(24)は宮古出身で、津波で友人を亡くした。首都圏の鉄道会社に入社し駅員を務めていたが震災5年を機に、運転士を募集していた三鉄に採用された。幼い頃から三鉄に親しみ、ふるさとを思う人材が今後を支えていく。

 もちろん「リアス線」を取り巻く環境は楽ではない。車窓から震災直後の凄惨(せいさん)な様子はうかがいしれないが、沿線で高い防潮堤や土地をかさ上げする工事が続いている。工事が終わっても人々のにぎわいが戻らない「空白」が広がる。他の被災地にも共通する。

 被災地の復興は転機にある。政府が総仕上げと位置づける「復興・創生期間」は残り2年と少なくなってきた。福島などを含め全体の避難者は当初の47万人から大幅に減ったものの、なお5万2千人に上る。仮設住宅で暮らす多くの人がいる。

 息長い支援が必要だ。そのためにも行政のみならず、一人一人が被災地をけっして忘れない、との強い思いを新たにしたい。ボランティア、観光を含め、さまざまな機会を捉え、被災地に足を運びその体験を知ることは復興の後押しになるはずだ。

 新生「リアス線」の駅の一つ「鵜住居(うのすまい)」(岩手県釜石市)は、今秋開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の会場となる新スタジアムの最寄り駅だ。スタジアムは津波で大きな被害が出た小中学校の跡地につくられた。

 市立釜石中学の川崎一弘校長は震災の前から市教委で防災教育にかかわった。津波から児童生徒が避難し「釜石の奇跡」といわれたが、奇跡でなく「日頃からの備えが重要」だと指摘する。「命の尊さを十分知っていればマニュアルに左右されず自然と必要な行動に繋がる」とも話す。

 ≪参加促す「芽」広げたい≫

 震災後、力を入れている一つが避難所の開設訓練だ。震災時、日頃から地域との交流が盛んな学校ほど教員らと役割分担し円滑な運営ができた。「学校が地域に何ができるか」双方向の発想は、防災教育だけでなく今後のまちづくりにも生かされるはずだと言う。

 人口減が止まらず、にぎわいが戻らない被災地の課題は、被災地以外の日本の将来を映す。

 地域の再興へ、若い医師の取り組みを紹介したい。震災を機に宮城県登米(とめ)市で地域医療にあたる田上(たのうえ)佑輔さん(38)だ。特徴的なのは東京など都市部と、登米市のそれぞれ在宅診療専門の拠点を設け医師が毎週、ローテーションで勤務する。同僚と立ち上げたが、参加しやすい仕組みで、いまでは仙台などの若手医師も加わり、約30人が参加している。

 東京大学付属病院に勤務していたとき震災が起き、宮城県南三陸町の避難所のボランティアを経て県に相談し、医師不足など深刻な登米市を紹介された。同市は震度6強に見舞われた地だ。

 田上医師は「震災でふるさとを離れても、戻りたい、貢献したいと思っている人は多い。まちづくりに、起業的発想で参加しやすい仕掛けなどが必要ではないか」と話す。震災を機に、絆を生かした復興の芽も息吹(いぶ)いていることを知っておきたい。



http://news.livedoor.com/article/detail/16163083/
医師の長時間労働、「上限規制」だけでは変わらない現実  
2019年3月15日 8時31分 HARBOR BUSINESS Online

「働き方改革」が進むなか、厚生労働省は医師の働き方にもメスを入れようとしている。残業時間に上限を設けることで、長時間労働を解消しようとしているのだ。しかし患者の命を守るという医師の職務の特性上、一筋縄ではいかないようだ。

◆「上限があっても、患者さんの具合が悪いと病院から帰れない」

 厚労省の「過労死等防止対策白書」によると、時間外労働が「過労死ライン」とされる月80時間を超える医師のいる病院が全体の20.4%に上る。月100時間以上も12.3%に上った。

 長時間労働は、医師本人の健康を害するだけでなく、医療ミスを引き起こす可能性もある。医師ユニオンが1803人を対象に医療過誤の原因を複数回答で聞いたところ、56.4%が疲労による注意不足と答えている。

 こうした中、厚生労働省は、2024年4月から勤務医に適用となる残業時間の上限を年960時間とする方向で検討を進めている。ただ、地域医療を担う医師の上限は1860時間とされそうだ。医師の過重労働を解消するためには、上限を引き下げていく必要があるだろう。

 しかしそもそも残業時間の上限を設けるだけで、医師の労働時間を削減することができるのか。そう疑問を投げかけるのは宮崎春香医師(仮名・40代)。専門は血液内科で、これまで大学病院や総合病院で勤務してきた。

「残業時間の上限を設けたところで、受け持ちの患者さんの具合が悪ければ実際には病院から帰れません。大学病院に勤務していた頃は、病棟で10~20人くらいの患者さんを持っていましたが、常に誰かが熱を出したり、誰かの容体が急変したりするので土日も関係なく仕事をしていました。当直の先生もいらっしゃいましたが、当直の先生1人で全ての患者さんを診るのは無理があります。結局、何かあれば担当の医師が呼び出されることになるわけです。20~30代の頃は友人の結婚式をドタキャンしてしまったことも何度かありましたね」

 受け持ちの患者の容体が悪いと病院から帰れないのが実情なのだ。実際、一週間病院に泊まり込んだこともあったという。

 医師が病院を離れられないのは、診療のためだけではない。患者の家族への対応も医師の負担になっている。

「患者さんのご家族にも病状を説明する必要があります。家族への説明も大切な仕事の一つなんです。ただ家族の方が夜遅くや土日しか来られないことも多い。患者さんに何かあったときに『この先生はきちんと説明すらしてくれなかった』ということになってしまうので、結局、夜遅くまで家族の方を待っていたり、土日に出勤して対応することになってくるんです」

◆医師の数だけでなく、「医師事務作業補助者」の拡充も

 こうした状況を改善するためには、医師の勤務をシフト制にして、医師の業務時間と業務でない時間を分ける必要があるという。

「主治医がいつでも対応し夜間も呼び出されて診るのではなくて、シフト制にしていく必要があると思います。シフト制にするには医師の人数を増やさねばならないでしょうし、患者さんにも理解してもらわなければなりません。」

 さらに、医師が担っている周辺業務を減らしていく必要もある。「過労死等防止白書」によると、時間外労働の原因は「診断書やカルテなどの書類作成」が57.1%で最も多かった。伝票や保険会社に提出する診断書の作成を、通称「ドクターズクラーク」と呼ばれる医師事務作業補助者が肩代わりしていく必要があるだろう。

◆徹夜で業務の「当直」、労働時間に算入されないことも

 どこからどこまでを労働時間に算入するのかという問題もある。夜間の当直は、本来の業務を行わずに待機しているだけであれば、労働時間に算入されない。しかし宮崎医師によると、当直も普段の勤務と同じように働いているのが実情だという。


「当直は、何かが起きたときに備えて待機している、要するに寝ているということになっているのですが、実際にはほとんど眠ることができません。ちょっと寝ようと思っても、30分経たないうちに呼び出しが掛かったり、救急車が来たりするんです」

 こうした現状にもかかわらず、当直を勤務時間として扱っていない医療機関も少なくない。厚労省は、労働時間に算入されるかどうかの基準を見直しているが、当直が労働時間にならない限り、過重労働の削減は実現しないだろう。

◆「女性はいらない」時代は終わり

 医師の過酷な労働環境は、女性の排除にもつながってきた。医師の転職支援サービスを提供するメディウェルが医師653人を対象に調査を実施したところ、「医療の現場は男性でないと無理だと思う」といった声がいくつも寄せられた。女性の医師は、“体力面で男性に劣る”、“産休や育休を取得するから迷惑だ”と考える医師が少なくないのだ。

 東京医科大学が女性の受験者を一律で減点したことに対しても、「必要な措置」が8%、「良いことではないが必要悪だと思う」が47%で、過半数が容認している。宮崎医師自身も差別にあったことがある。外科を志していたにもかかわらず、「女はいらない」とはっきり言われたという。

 しかし長時間労働を放置して、体力に自信のある人だけが医師になればよいという考えは改めなければならないだろう。女性の医師が産休や育休を取得しても、働き続けられる環境の整備が必要だ。

「最近は男性でもワークライフバランスを求める人が増えてきています。長時間働けない人でないと医師になれない、外科には進めないとなると担い手が不足してしまうでしょう。誰もが長く働き続けられるような環境が必要ではないでしょうか」

<取材・文/HBO取材班>



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190315-12550000-cbn-soci
残業上限の厚労省案、「地域医療守るためやむなし」 - 全自病・小熊会長  
3/15(金) 12:55配信 医療介護CBニュース

 全国自治体病院協議会(全自病)の小熊豊会長は14日の記者会見で、暫定特例として医師の時間外労働(残業)の上限を年1860時間までとする厚生労働省案について、地域医療を守るためにはやむを得ない対応だとの考えを示した。【松村秀士】

 医師の働き方改革を巡って、厚労省は「医師の働き方改革に関する検討会」で、地域での医療提供体制を確保するための暫定的な特例水準として、想定外の業務量の大幅な増加などによって限度時間を超えて医師に労働させる必要がある場合、時間外労働時間の上限を年1860時間とすることなどを提案している。

 これについて、小熊会長は、「地域の医療を維持するために、ある程度やむを得ないのではないか」と一定の理解を示した。その上で、各病院は医師の時間外労働を現状よりも減らす努力をする必要があるとしたが、そのためには医師の代替者などの人件費がかかると指摘。医師の働き方改革を進める際には、代替者の人件費などを国が補助すべきとの考えを示した。

■医師の働き方改革で会員向け調査、5月ごろ結果公表

 14日の会見で全自病は、医師の働き方改革に関する調査を実施していることを明らかにした。対象は、会員の875病院で、▽医師の労働時間の短縮に向けた緊急的な取り組みの進捗▽医師の研さんと労働時間の管理の取り扱い▽医師の宿日直やオンコール、救急医療体制▽経営への影響―などを聞く。

 全自病では、22日に調査票の提出を締め切り、5月ごろに結果を公表する予定だ。



https://www.medwatch.jp/?p=25413
医師の時間外労働上限、医療現場が「遵守できる」と感じる基準でなければ実効性なし―医師働き方改革検討会  
2019年3月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)の議論が、佳境に入っています。

すでにメディ・ウォッチでお伝えしたように3月13日には、厚生労働省による、これまでの検討会論議を踏まえた「報告書」案をベースに熱い議論を行い、さらに15日にも最終に近い意見表明が各構成員からなされました(関連記事はこちらとこちら)。

後述するように、いわゆる「B水準」(地域医療を確保するための暫定的な特例水準)である「時間外労働上限1860時間」には、労働組合を代表する構成員から「過労死認定基準を大きく上回る非常識な数字である」といった根強い反対意見も出ています。しかし、労働法制研究の第一人者である荒木尚志構成員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「『遵守しよう』と医療現場が納得できる基準が必要である」旨を冷静に述べ、当初案としての「年間1860時間」の妥当性を説いています。
 
ここがポイント!
1 医療現場が「遵守できるわけがない、遵守しなくてもよい」と考える基準では意味がない
2 B水準の2025年度解消に向けた取り組みを、気概を持って進めることが重要
3 2024年4月までに、全医療機関で「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を推進
4 医師の働き方改革では、「地域医療構想の実現」が必要不可欠要素の1つ

医療現場が「遵守できるわけがない、遵守しなくてもよい」と考える基準では意味がない

 医師(勤務医)の健康を確保しながら、地域医療提供体制を守る―。こうした難しい課題の両立に向けた議論が検討会で進められています。

まず、▼医師の労働時間を的確に把握し、管理する(いわゆる36協定の締結が前提となる)▼医師でなくとも実施可能な業務を他職種に移譲(タスク・シフティング)していく▼病院のマネジメント改革を行う―といった取り組みによって医師の労働時間短縮を進め、2024年4月以降、「原則として、すべての医療機関・医師において時間外労働の上限をA水準(年間960時間)に収める」ことを目指します。

しかし、地方の救急医療機関などでは医師確保が難しいことも手伝い、どれだけ労働時間短縮を進めても「A水準の達成が困難」な場合が出てきます。また、「高度な医療技術を獲得するため、短期間で集中的に多数の症例を経験したい」という医師の志・意向も十分に汲む必要があります。こうした点を踏まえ、厚労省は、2024年4月からの「医師の時間外労働上限」(仮に医師が望んでも超えてはならない上限)を次のように設定してはどうかと提案しています。

【原則】(A水準)
▽年間960時間以下・月100時間未満
▽やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務化し、あわせて連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などの努力義務を課す

【地域医療を確保するための特例】(B水準、地域医療確保暫定特例水準)
▽年間1860時間以内
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とする

【技能向上のための特例】(C水準)
▽年間1860時間以内
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とし、さらに初期臨床研修医(C1)については更なる配慮を行う
 
 3月15日の検討会では、このうちB水準の「年間1860時間」という数字について、多くの構成員から「最終的な見解」が提示されました。

 労働組合を代表する村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)や工藤豊構成員(保健医療福祉労働組合協議会事務局次長)、森本正宏構成員(全日本自治団体労働組合総合労働局長)らは、「A水準の2倍近い、過労死認定基準を大きく上回る非常識な数値である」「長時間勤務可能な医師でなければB水準医療機関に勤務できなくなり、長期的に見て医療提供体制は脆弱化する」とし、「年間1860時間」案を改めて批判しました。

 これに対し、医療者代表として参画する岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「すべての医師に1860時間を強いるわけではない。A水準(年間960時間)に向けて医療界が一丸となって努力していこうとの姿勢を明確にしている」とし、理解を求めています。また実際に地域医療を守る遠野千尋構成員(岩手県立久慈病院副院長)は、「年間1860時間がすべての医師に適用されるわけではない。労使が協議して締結する36協定においても、超えてはならない上限が年間1860時間である点を十分に理解すべき」と強調しています。

 さらに、労働法制研究者である荒木構成員は、「仮に現場で遵守できないような基準を設定しても実効性がなく、罰則を付けても、『患者の命守るために、このような規範は守る必要がない』と考える医師も少なからずでてくる。『遵守しよう』と医療現場が納得できる基準が必要である」と冷静にコメント。厚労省の提案する「年間1860時間」の妥当性を説きました。

地域医療提供体制を守りながら、医師の健康を確保していくことが目的であり、「報告書に少しでも短い時間外労働上限を書き込む」ことが重要なわけではありません。荒木構成員のコメントどおり、実現可能性のない目標を設定し、医療現場が「このような無体な目標は遵守できるわけがない。遵守しなくともよい」と考え、「実際は長時間働いているにもかかわらず、罰則を逃れるために形だけ労働時間を短くする」ような事態が生じる可能性もあります。これでは、働き方改革には何の意味もなくなってしまいます。まず「実現可能な当面の目標」を定め、それに向かって努力(労働時間短縮)をし、結果を踏まえて次の新たな目標を考えることが重要ではないでしょうか。

B水準の2025年度解消に向けた取り組みを、気概を持って進めることが重要
B水準(年間1860時間)は「暫定的な特例水準」に位置付けられ、「働き方改革」の必要不可欠要素の1つである「医師偏在対策」が完了する2036年3月(2035年度末)を解消目標とすることになっています
 
この点、村上構成員や森本構成員は、実効性を持たせるために、「2035年度がB水準の終了年度であることを法律などに明示すべき」と改めて主張しています。

 ただし、例えば厚労省や都道府県が「A医師は●●病院の外科で勤務すること、B医師は◆◆センターの救急科で夜間対応すること」などの強制権限を持てば、2035年度末に医師偏在対策が完了し、医師働き方改革のB水準解消も確実となるでしょう。しかし、当然、行政にこうした強制権限はなく、仮に権限があっても実行すべきではありません。このため、医師偏在対策・働き方改革についても不確実な要素が多々あり、終了年度を法定することに大きな意味があるとは考えられないのです。

もっとも、村上委員らの指摘は「2035年度末のB水準解消に向けて、気概を持って取り組むべき」との趣旨であり、終了年度の法規での明示は別にして、厚労省では「報告書の書きぶりを強調する」考えを示しています。

 なお、B水準の対象は、▼労働時間短縮を進めても、なおA水準を満たせない▼地域医療の確保にとって必要不可欠な機能を持つ―ものとして都道府県が特定した医療機関となります。

後者の「地域医療の確保にとって必要不可欠な機能」として、厚労省は次のような例示を行っています。
▽3次救急医療機関
▽2次救急医療機関かつ「年間救急車受け入れ台数1000台以上また年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画の5疾病5事業に位置付けられた医療機関」
▽在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
▽「公共性と不確実性が強く働く」として、都道府県知事が地域医療確保のために必要と認める医療機関(例えば、特に患者の集中する精神科救急や、小児救急、僻地中核医療機関など)
▽特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替が困難な医療を提供する医療機関(例えば、高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科など)

 この点について岡留構成員は、「都道府県間で、解釈にバラつきが生じないようにすべき」と指摘しています。B水準として特例されるか否かは、病院の存続にもかかわる極めてセンシティブな問題であり、病院側が「不公平がある」と感じれば制度への信頼が揺らいでしまうためです。

2024年4月までに、全医療機関で「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を推進
 時間外労働上限(A・B・C)は2024年4月から適用され、これからの5年間で、▼適切な労務管理▼労働時間の短縮―をすべての医療機関で進めることが必要となります。多くの構成員からも「5年間の取り組みが極めて重要である」との意見が相次ぎました。
 
例えば、若手医師代表の1人である三島千明構成員(青葉アーバンクリニック総合診療医)は「すべての医療機関における労務管理や労働時間短縮の事態を把握し、公表すべき」と提案。また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「労務管理の徹底においては、ミドルマネジャー層(医長など)への周知が重要となる。『俺の若い頃は』というミドルマネジャー層の意識を改革することが必要である」と訴えました。

また、救急現場で命を守る赤星昂己構成員(東京女子医科大学東医療センター救急医)は、「労務管理のために書類が増えては、医師の負担が増加し、本末転倒となってしまう」と述べ、「優れた労務管理を行っている病院」などの好事例を横展開することが重要と指摘しています。

 なお、産業医でもある黒澤一構成員(東北大学環境・安全推進センター教授)は、「現状、2000時間、3000時間という長時間の時間外労働をしている医師がいる。そうした医師への緊急対策(労働時間の短縮や健康確保措置の実施)が必要である」と強調しており、これがまさに厚労省の提案内容そのものです。このためには適切な労務管理が大前提となり、これは今すぐにすべての医療機関で進めるべき事項です。

医師の働き方改革では、「地域医療構想の実現」が必要不可欠要素の1つ
また、労働時間短縮などは「個別医療機関だけでは実施できない」部分も少なからずあります。例えば、地域に複数の病院が乱立し、それぞれが救急医療を実施すれば、医療資源が分散しているために、個々の医師の負担は大きくなってしまいます。このため、働き方改革においては「地域医療構想の実現」も必要不可欠な要素の1つとなります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

検討会では、「地域医療構想調整会議において、『平日夜間の救急は●病院に集約する』などの議論を行う必要がある」(鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長)、「医療機関の集約化を進める(医療資源が集中し、効率的な診療が可能となり、労働時間短縮も可能となる)とともに、患者の医療機関へのアクセス確保策を講じるべき」(戎初代構成員:東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)、「個別医療機関へのペナルティよりも、地域の医療提供体制の再構築支援を重視すべき」(今村構成員)といった具体的な提案がなされています。

 厚労省では、3月13日・15日の両日に出された意見を踏まえて「報告書」案を修正。今後、ギリギリの調整を検討会で進め、3月中(2018年度内)に「報告書」を取りまとめることになります。



https://dot.asahi.com/dot/2019031100067.html
連載「ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)」
“奨学金”を返済したのに希望する病院で働けない 医師が語る「地域枠入試は誰のため」 
 
山本佳奈2019.3.13 07:00 アエラdot.#大学入試
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は医学部入試の「地域枠」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

*  *  *
 2月末、全国各地で行われた国公立大学医学部の前期入試。昨年、東京医科大が、私立大支援事業に選んでもらう依頼をした見返りに文部科学省の前局長の息子を入試で合格させたとして、同大学の前理事長と前学長が贈賄罪で起訴されるなど、医学部における女子受験生や多浪生減点といった不正入試が明るみになってから初の入試。医学部受験生にとっては、昨夏以降、複雑な思いを胸に抱いたまま、受験に挑まれたことと察します。

 裏口入学だけなら、もしかしたら「まあ、裏口はあると思っていたよね」で終わっていたかもしれません。けれども、女子受験生を一律に減点していたという事実は日本国内にとどまらず、「女子差別である」と、米国や英国をはじめ、世界各国で報道されました。

 これら一連の報道や文部科学省の調査により、女子差別や多浪性差別に隠された医学部入試における闇が明らかとなることを期待したものの、究明されたとは言い難いまま迎えた入試となったのではないでしょうか。

 受験シーズンも佳境を迎えている今、医師の偏在を解決するために、国や県が主導し、2009年の導入以降、大部分の医学部に設置された「地域枠」について、自身の受験体験記も交えながらお話したいと思います。

■地域枠入試とは

「地域枠」とは、自治体から奨学金を得る代わりに医師になったら、約9年間、当該の自治体で医師として勤務することを“約束”するものです。仕組みは様々ありますが、自治体の多くは、地域枠で入学した医学生に、10%以上の年利で月20万~30万円の奨学金を貸し付けます。医学部卒業時に、借金が2000-3000万円にも上ることになりますが、奨学金が支払われた自治体の指定された医療機関で一定期間医師として勤務すれば、奨学金の返済が免除されるという仕組みです。
 医師になる夢を諦められなかった私は、1年間だけ浪人して医学部を目指すことを決めました。

「私立の医学部に入るお金はない」

 そう両親からはっきりと言われた私には、国公立の医学部に合格するしか医師になる方法はありませんでした。しかし、受ける模擬試験全てでD判定かE判定ばかり。「地域枠は一般枠よりも偏差値が下がるから、医学部に入りやすくなる」という噂を予備校で耳にしていた私は、願書を出す際、「医者になるチャンスが、ほんの少しでも広がるなら」と思い、「地域枠」を本気で検討したのでした。

 募集要項には、滋賀で働く意思や義務年限、授業料や入学金が奨学金でまかなわれるということについての内容の記載はあったものの、奨学金返済時の利子のことなど詳しい記載はなかったように記憶しています。地元で医師として働けば、奨学金を返済しなくていいという制度は、親の負担も減るのでは、と少なからず魅力に思えたのでした。

 けれども、生まれ育った滋賀にいるか分からない。卒業後、滋賀にいたいと思うかどうかわからない。県外に出てみたいと思うかもしれない――。そう考えた私は、地域枠を希望することをやめてしまいました。

■「19歳の私」に6年先の人生を決めさせる

 医師になるまで、最短でも6年かかります。つまり、「地域枠」を選択するということは6年先の人生を決めるということ。19歳の私にそんな先のことが、分かるはずも想像できるはずもありませんでした。今思うと、将来のことの約束を守る自信が私にはなかった、というのが正直なところだったと推測しています。

 医師になり、私は生まれ育った関西を離れました。19歳の私と、25歳の私とでは、見ている世界も見えている世界も考え方もまるで違います。医学部の門すら叩いていない19歳に、将来の勤務の仕方を決めさせるのは酷なのではないでしょうか。

 奨学金給付を受けている地域枠の医学生数名に話を聞いたところ、「年利に関する記載が入学願書になく、よくわからなかった」といった声や、「卒後9年間の義務年限や、10%もの金利を考慮すると、もっといい条件の奨学金があったのではないか」と漏らす医学生もいました。

 文部科学省によると、2017年には全医学部入学者の20%を占めるまでになっている「地域枠」ですが、一方で、過去11年間で地域枠の定員の1割以上を占める800人以上の学生が、実際には勤務地に制約のない「一般枠」の扱いになっていることが昨年の厚生労働省の調査で判明しました。つまり、「地域枠」の定員が埋まらなかったというわけです。

■制度の“離脱者”は「採用しないように」

 厚生労働省は「地域枠」離脱者対策として、病院側に、入学時の取り決めを違反した地域枠卒業の医師を採用しないよう事実上の指示を出しています。これは借金を返済した医師を含めて、です。この結果、地域枠で入学した学生は、借金を返済しても希望する病院で働けなくなってしまうというありさま。さらには、地域枠の医学生が、地域枠から離脱しないようにするにはどうすればいいか、という議論すら行われているのです。

 日本国憲法では就業の自由が定められおり、就業場所を強制することはできません。「地域枠」という制度は、10%もの年利付きの奨学金という形でお金を押し付けて多額の借金を背負せることで、勤務先や居住地を選択する自由を奪い、就業場所を強制していると見ることができるのではないでしょうか。

 最近お会いした医師会の先生は、「開業医の子弟をいれるための制度だよね」と、はっきり言っていました。「息子や娘が医師として地元に残って働いてくれるのは大変ありがたい制度。それが地域枠の目的の一つなんだろうね」と。

 現行の「地域枠」は、医師偏在を解消することに特化されており、若手医師の教育に対して十分に注意が払われていないことが最大の問題だと思います。地域医療が抱える問題は個別具体的であり、医師偏在を解消するための数合わせにしかすぎない「地域枠」では、地域医療に取り組む医師を集める解決にはならないのではないでしょうか。



https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00631/00001/
データで斬る、地域医療の今!
在宅医療支える医療機関、400以上の自治体で空白
選択肢ある豊かな「人生会議」ができる町へ 
 
前田 健太郎=ミーカンパニー 代表取締役
日経 xTECH

 自らが望む人生の最終段階における医療やケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い考える――。これは厚生労働省が啓発している「アドバンス・ケア・プランニング」の内容である。2018年11月30日に愛称が「人生会議」に決まった。

 しかし人生会議を経て、もしものときに望む医療サービスやケアを決めたとしても、その選択肢であるはずの在宅医療の環境整備は、地域によって追い付いていない現状が、データから明らかになった。

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図1:在宅療養支援診療所・病院の整備状況
(出所:ミーカンパニー)
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 最新の医療施設データベース(SCUEL DATABASE)で、2018年7月(厚生局への届け出時点)の在宅医療を支える医療機関を調べると、全国の2割に当たる400以上の地方自治体で、いまだに環境が整っていないことが分かった。空白地域は主に東日本に目立っている。

 在宅医療を支える医療機関は、「在宅療養支援診療所・病院(在支診・病)」と呼ばれる。24時間連絡および往診可能な体制、他の医療機関との連携機能を備え、在宅医療サービスを提供する。在支診・病の数は、ここ数年、微増にとどまりあまり伸びていないのが実態だ。2018年12月時点で全国に1万5453(2017年は全国で1万5114)あり、内訳は病院が1374、診療所が1万4079となっている。

 「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(2017年度)の結果を見ると、末期がんとなった時の療養場所の希望は、医療機関や介護施設を抑えて自宅が過半数に迫る第1位(47.4%)である。自宅で療養するときに、日々の容体に合わせ寄り添ってくれる医療サービスがあることは、本人にとっても家族にとっても、非常に重要であることは間違いない。早急に在宅医療の環境整備が求められる。訪問診療の実施回数に大きな開き
 在宅医療の環境整備は、対応する医療機関の数だけでは判断できない。医療機関の報告書「在宅療養支援診療所(病院)に係る報告書(2018年7月報告)」から構築したデータベースによって、診療の実施回数に大きな開きがあることが分かった。


図2:月間訪問診療実施回数(年間の報告を12カ月で割った値)別の医療機関数
(出所:ミーカンパニー)(略)

 計画的に診療を行い日常の容体に寄り添ってくれる「訪問診療」の実施回数について、ある医療機関では1カ月に5000回を超えていた。一方で1年間に0回または回答がなかった医療機関は、報告全体の約11%になる1562医療機関に上った。申請をしているが実態として実施が難しいという別の課題を抱えている医療機関もあるだろう。そういった医療機関を含めて、実施回数が1カ月に100回未満の医療機関は1万934あり、全体の約4分の3を占めることが分かった。

 急に診てもらう必要があるときの「往診」実績についても同様だった。年間往診実績がゼロ回もしくは回答がなかった医療機関は10.7%で1546医療機関、1年間の往診回数が12回以下の医療機関は全体の約34%である。


図3:年間往診実績回数別の医療機関数
(出所:ミーカンパニー)(略)

 実施件数が突出して多い医療機関は、介護施設などへのサービスを実施しているケースが主に想定される。逆に上記のような実施件数が少ないところは、非常に多忙な中、地域の患者のために実施しているケースなども想定される。


図4:医療機関ごとの訪問診療回数と自宅看取り実績の状況
(出所:ミーカンパニー)
[画像のクリックで拡大表示] (略)

 日々の訪問診療が手厚いからといって、そのまま自宅での看取り(みとり)まで寄り添い、診てもらえるかといえば、現状は必ずしもそうではないようだ。往診や看取りは連携の医療機関に任せていると思われる医療機関も多い。

 訪問診療の多い医療機関について、患者の自宅での死亡数を見るとそれがよく分かる。在宅医療サービスとして求められる(1)退院支援、(2)日常の療養支援、(3)看取り、(4)急変時の対応の4つの機能を分担しながら、複数の医療機関で24時間体制をとり、在宅医療の機能を維持しているところも多い。

 誤解のないよう付け加えると、在宅医療のサービス提供は在支診・病でのみ提供されているのではない。24時間体制とはいかなくても、訪問診療・往診などは在支診・病以外の医療機関でも行われている。急変時は救急車も呼べる。介護保険での訪問看護のサービスも提供されている。

 しかし、前述した在宅医療に求められる4つの機能を積極的に担う医療機関が在支診・病である。在宅サービスの提供体制が整ってきているかを判断するには、在支診・病の実態のデータを分析し、検討すべきである。

図5:地図で見る在宅医療の実際(出所:ミーカンパニー)
23の在支診・病がある水戸市のそれぞれの訪問診療・往診・看取りの実態
[画像のクリックで拡大表示](略)

地域のサービスの見える化に期待

 自分や家族の住む地域で、訪問診療や往診、看取りといったサービスが、今どこで受けられるのか知ることは、重要なはずだ。まだ整備は十分とは言えない。しかしデータがあるのだから、それぞれが望む適切な医療機関に本来アクセスできるのだ。分かりやすい「見える化」の仕組みが必要だ。

 2019年1月に厚生労働省は通知「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」で、在宅医療の市区町村単位での見える化を都道府県に促した。これによりまた、地域医療の整備が進むと考えられる。

 自らの残された時間を住み慣れた街や自宅でと考えるとき、在宅医療サービスが選択肢になる。安心して寄り添ってもらえる医療機関や必要なサービスがあってこそ、人生会議にも取り組みやすくなるだろう。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42430380T10C19A3EE8000/
病院の高額医療機器、共同利用へ指針 厚労省、無駄な検査抑制   
2019/3/14 1:00日本経済新聞 電子版

厚生労働省は磁気共鳴画像装置(MRI)など高額な医療機器について、近隣の病院間での共同利用を促す。地域ごとに住民の年齢構成や性別を加味して機器の過不足が分かる指標を作り、新規購入や機器の更新を検討する病院に提供する。国内の高額医療機器の配置数は主要国の中で多い。病院が稼働率を上げるために必要以上に検査を促す環境を改め、医療の効率化につなげる。

指標は、複数の市町村をまたぎ一般的な入院医療を提供できる地域単位の「二次医療圏」や都道府県ごとに定める。2019年度にも人口10万人あたりの高額な医療機器台数の配置状況を示す方向だ。機器が普及している地域では共同利用のためのネットワーク作りを支援する。

MRIやコンピューター断層撮影装置(CT)など高額機器の購入には数千万円から高いもので10億円を超える。費用は医療機関が負担するが、検査は基本的に公的医療保険の対象だ。例えば、MRIの検査費は2万~3万円程度だ。自己負担が3割の患者で2万円の検査費がかかったとすると、1万4千円は公費で負担する。医療機関が機器の稼働率を上げる目的で、過剰に検査を行うと医療費の膨張につながる。

国内の病院と診療所は合計で約11万施設ある。約1万施設でCT、5千施設にMRIが設置されている。人口10万人あたりでみるとCTの台数は10.7台で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均の2.6台を大きく上回る。MRIの検査数を人口1千人あたりでみると、主要7カ国ではドイツに次いで2番目に多い。

地域格差も大きく、CTは国内で最も多い徳島県が10万人あたり21.8台、最少の神奈川県は6.4台だ。人口あたりの機器の台数が多いほど、1台あたりの稼働率は低くなる傾向にある。施設の充実ぶりを示すために高額な医療機器を置くケースがあり、厚労省によると検査の実績がない施設もある。OECDは日本の医療事情について「高額な機器の使用効率が低い」と指摘する。

医療機関の間での共同利用はまだ進んでおらず、財務省によると高性能なMRIで1割台にとどまる。一部の実施例では効果が上がっている。熊本県の「天草医療圏」では8割近くの医療機関が共同利用のネットワークに加入。必要に応じて、機器のある病院の専門医と診療所の医師が同じ画像を見ながら治療方針を相談するなど、医療の質向上にもつながっている。

国内の総人口は直近1年間で約30万人減り、人口減は加速することが見込まれている。地方ではMRIなどが増えなくても、医療機関が機器を更新して維持するだけでも需要を上回る設備投資になっていく可能性が高い。厚労省は高額な医療機器の購入制限という強制的な措置には踏み込まず、機器の配置状況を「見える化」することで、医療機関に周辺の病院との共同利用を促す狙いだ。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/190311/prl1903111320050-n1.htm
世界の医療団日本、相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会 過去7年間の「福島こころのケアの実践と教訓」を発表  
2019.3.11 13:20 SANKEIBIZ


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 2019年3月11日、東京・福島 世界の医療団日本(理事長:ガエル・オスタン)と相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ、理事長:大川貴子)は、7年にわたる福島県相双地区での協働の経験によって編み出された包括的なこころのケアのノウハウとパートナーシップの教訓を広く共有する目的で、冊子「福島のこころのケア:実践と教訓」を発表します。

 東日本大震災後8年経てども、終わりの見えない原子力災害の影響で、福島のこころのケアのニーズは時とともに変遷し複雑化してきました。被災から復興の過程で地域のつながりが分断されてしまった浜通り地区では、生活基盤や周囲の環境の激変や度重なる移転のストレスや疲労だけでなく、帰還先や避難先で多様な背景を背負ってくる人々と新たにコミュニティを築いていかねばならず、住民は大きな精神的、心理的、社会的な負担を経験します。

 一方では、原子力災害に起因する子育て世代の専門家の県外流出が著しい福島では、肥大するニーズに対して保健医療福祉人材が慢性的な支援者不足に陥っています。全国的にも保健医療福祉分野の人手不足が深刻化する中、福島県沿岸部では中長期的な保健医療福祉人材の育成、確保、定着に取り組みつつも、短期的には県内外からの人材派遣に頼らざるを得ません。

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福島におけるこころのケアのニーズは、天災に起因するものとは異なり、長期化する復興の過程において新たな課題が提起されます。2012年初めより、世界の医療団となごみは地域の主体性を重んじつつ、外部の知見やスキルを導入する協働体制を組み、当事者の意思を尊重し、個々人に寄り添った包括的で柔軟な支援を心掛けてきました。

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災害直後のこころのケアの手法については、「サイコロジカル・ファーストエイド」のようなガイドがあるものの長期化する災害、またその復興の段階におけるこころのケアについての著作は多くありません。「福島のこころのケア:実践と教訓」は、避難指示解除が続く被災地で帰還先、避難先で今後も必要とされるこころのケアのニーズに応えると同時に、福島を越えて、今後も発生しうる災害の被災者に対するこころの復興に資するものと期待されます。
また、本冊子は、復興の過程における地域の保健医療福祉機関と外部支援団体の連携のあり方を考察し、震災後10年の節目が迫る中、被災3県におけるこころのケアを支える恒常的な支援体制の議論に一石を投じるものです。

 なごみ理事長 大川貴子
「地震・津波・原子力災害という幾重もの被害を受け、かつ精神科医療が崩壊してしまった相双地区において、なごみは地域のニーズを把握しながら、精神医療、保健、福祉に関する新しい支援システムの構築を目指し活動しています。世界の医療団との協働活動を行なうことで得られた教訓を、多くの皆さまと共有し、様々な場で活用頂ければと思います」

 世界の医療団日本 事務局長 畔柳奈緒
「世界の医療団はなごみの理念に共感し、地域の支援者自身が主体的に取り組む復興の過程に関与し、緊急援助から復興まで当事者に寄り添った切れ目のない支援を心掛けてきました。震災後10年を控え、今、外部支援団体として役割やビジョンが改めて問われています」

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 「福島のこころのケア:教訓と実践」2019年3月発行
 執筆・編集・発行
世界の医療団
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ)
 https://www.mdm.or.jp/mdm/cont/uploads/2019/03/fukushima_cocoro.pdf

 [画像4]https://digitalpr.jp/simg/200/31891/700_286_201903111123425c85c6aec16b8.jpg

 本件に関するお問合わせ先
■お問い合わせ先■
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(認定NPO法人)
広報マネージャー/証言活動担当 石川
TEL: 03-3585-6436
Email: ishikawa@mdm.or.jp
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特定非営利活動法人
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会
相馬広域こころのケアセンターなごみ センター長 米倉
TEL: 0244-26-9353
Email: yonekura-k@soso-cocoro.jp

 関連リンク
世界の医療団日本、相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会 過去7年間の「福島こころのケアの実践と教訓」を発表
https://www.mdm.or.jp/news/14075/
福島そうそうプロジェクト
https://www.mdm.or.jp/project/805/

プレスリリース詳細へ 提供:Digital PR Platform



https://www.m3.com/news/general/665812
透析せず死亡、福生病院に立ち入り調査 専門医らの学会  
2019年3月15日 (金) 朝日新聞

 透析の専門医らで作る日本透析医学会(理事長=中元秀友・埼玉医科大教授)の調査委員会は15日、公立福生病院を立ち入り調査した。透析治療の中止の選択肢を提示され、その後死亡した患者への担当医と病院の対応などについて病院側に確認した。月内にも見解をまとめる方針だ。

 調査はこの日昼過ぎに始まり、午後4時ごろまでに終了した。独自に調査委を立ち上げた日本腎臓学会も調査委員を派遣。詰めかけた報道陣が建物の外から遠巻きに様子をうかがった。学会、病院とも調査内容については明かさなかった。

 透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析の中止などを検討する場合として、がんなどを併発した終末期の患者らを想定。透析を見合わせる際には、患者や家族への十分な説明や、医療チームで検討した上で決めることを求めている。

 透析医学会の調査委は今後、聞き取りをもとに病院を受診した腎不全患者の当時の容体が終末期にあたるのかを検討。さらに、担当医の治療の選択、患者や家族への説明がどうだったかについて調べる。提言についての担当医や病院の認識についても検討し、不適切な点がなかったか評価するとみられる。

 調査委は、早ければ22日の学会理事会に調査結果を報告。学会は内部の倫理委員会で検討し、月内にも見解を示す方針だ。

 腎不全患者の治療に長年携わってきた、大塚台クリニック(東京都豊島区)院長の高橋公太・新潟大名誉教授は「速さを優先して部分的な調査にとどまるのではなく、時間をかけてもしっかりと事実を解明するべきだ」と指摘している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664550
問題は「透析中止」にあらず、マスコミ報道に違和感
核心は「十分な選択肢の提示と納得のいく対話」の有無 
 
オピニオン 2019年3月10日 (日) 永井康徳(医療法人ゆうの森理事長)

 公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題でのマスコミ報道が止まらない。多くのマスコミの論調はこうだ。

 「透析を中止すれば死に至るのが分かっているのに、透析の中止の選択肢を提示して患者は死亡した。そもそも医師は患者を死に至らしめる選択肢を提示していいのか」

 医師が透析の中止を選択肢と提示することはいけないことなのか。そもそもこの出発点のボタンが掛け違っている。私が理事長を務める医療法人ゆうの森(愛媛県松山市)は、在宅医療を主体にする医療機関を運営しており、法人全体の看取りは年間約200人に上る。私自身、透析中止の選択肢を提示した経験が何度もある立場から、一言申し上げたい。

 まずは、現在の日本の人工透析について再確認しておこう。人工透析患者の数は、年々増加し、2016年には全国で32万9609人に上る(日本透析医学会ホームページによる)。

 透析に至る原因は、糖尿病性腎症が最も多く、約4割を占めているが、現在は高齢化に伴う腎機能悪化による透析患者も増加している。1カ月の透析治療の医療費は、患者一人につき外来血液透析では約40万円、腹膜透析(CAPD)では30万~50万円程度が必要と言われている。このように透析治療の医療費は高額だが、患者の経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立している。

 人工透析は、医療機関側から見ると最初の医療機器の初期投資は必要だが、一度人工透析を開始すると継続的安定的な患者確保が可能で、透析医療に取り組む医療機関の中には、一種の利権とも言える医療が展開され、人工透析の安易な導入もあるようだ。

 一方、透析患者は基本的に週に3回、1回につき数時間の透析の時間が必要で透析には患者家族にも大きな時間と労力がかかり、公的医療機関では、患者の利便性を考え、人工透析に取り組まざるを得ない状況もある。

 腎不全の患者が、腎機能が悪化した時、人工透析で人工的に腎臓の機能を代用する選択肢が日本にはある。人工透析には多額の医療費がかかるが、日本ではほとんどが公費負担で人工透析を受けられる体制が整っている。多くの海外の国では、医療費が高額のためこの人工透析を受けられない国も多い。

 腎機能が悪化して人工透析が必要になった際、患者家族は、まずは人工透析を導入するか否かという選択を迫られる。医師は透析を導入した場合と導入しなかった場合、その後どうなるかを患者家族に丁寧に納得がいくまで説明する必要があるが、そもそも透析を実施する選択肢もあれば、実施しない選択肢もある。それは、呼吸状態が悪くなったときに人工呼吸器を装着するかどうか、食べられなくなったときに胃瘻栄養などの人工栄養や点滴を行うかどうかを選択することと同じである。医師は、治す医療の選択肢を提示すると同時に、何もせず自然に経過を看る選択肢まで全ての選択肢があることを患者家族に説明する義務があり、患者家族はそのどの選択肢を選択してもよいはずだ。

 ある記事の中に、日本透析医学会監事の医師のコメントがあった。「患者に人工透析を中止する提案をすることは少なく、私自身は経験がない」と発言している。そもそも透析をしない選択や透析を中止する選択はあり、医師はその全てを提示した上で、その患者本人家族にとって最善の方法を選択できるように支援するべきであり、透析をしない選択や中止の選択を提示しないことの方が問題である。

 私たちは、多くの高齢者を診てきたが、最近は、超高齢の患者も多く、腎機能が悪くなっても人工透析を選択せずに、自宅で自然に看取るケースも多い。高齢だからという理由だけで、人工透析をするかどうかを決定できるわけではなく、患者本人にとって最善かどうかが選択の大きなポイントとなる。

 一番問題なのは、人工透析の中止を選択肢として提示して死に至ったことではない。患者家族と十分な話し合いがもたれていたのかということだ。これは、まさにアドバンスケアプランニング(ACP)の問題である。意思決定支援で大切なこととして、本人の気持ちが分からないと家族の気持ちが優先されてしまいがちだが、あくまで本人の命であり、体なのだから、本人が何を望んでいるのかを最優先に考えることがまず大切である。

 そして、自然に診る選択肢から、とことん治療する選択肢も含め、全ての選択肢を関係する全ての人と十分に議論することが大切である。さらに、本人に代わって道筋を選択する家族の重荷に配慮しながら、気持ちは揺れてもいいことをお伝えすることが大切だ。

 本人にとっての最善は何か、正解はない中で、「当事者と支援する医療者で十分に悩んで出した結論が正解なのだ」と言ってあげられるようなプロセスを踏んでいくことが大切ではないだろうか。最終的に出た「結論」ではなく、悩んだ「過程」が大切だと思う。

意思決定支援で大切なこと
 (1)家族だけではなく、本人の意思を最優先する
 (2)とことん治療する選択肢から、何もしない自然の選択肢まで考え得る全ての選択肢を提示する
 (3)その時点で関係する全ての人と十分に議論する
 (4)決断に迷う当事者に寄り添い、決断は変わっても良いことを伝える
 (5)後で「これで正解だったんだ」と言ってあげられるプロセスを踏む(結果ではなくプロセスを大切に)

 現在の社会は超高齢社会となり、今後、団塊の世代の方が後期高齢者となり、死亡者がかつてないほど増加する多死社会を迎える。この多死社会で死亡者が多くなるのは、高齢化が進み、治せない病や老化で亡くなっていく人たちが増えるためだ。

 高齢で亡くなっていく人たちが増えていく時代に、全ての人が最期まで治療を続けて亡くなっていく社会でよいのだろうか。病気だけではなく、人は人生のあらゆる場面で決断を迫られる。もちろん、一人一人にとって最善は違う。どのような決断をしようともその決断をする権利が患者家族にはあるはず。そして、人の命に関わる重要な決断をするときに、迷ったり、決断が変わったりするのも当然のことだと思う。

 支援者にとって大事なのは、本人や家族が命に関わる重大な決断をするときに、「迷ってもいい」というスタンスを示し、十分な説明と対話を繰り返すこと。支援者も当事者と同じ立場に立って一緒に悩んで考えることが大切である。

 そして、一人一人にとっての最善が違う以上、その人にとっての正解は何かは誰にも分からない。そして、一緒に全ての選択肢を十分に議論して出した結論は本人や家族にとっても納得のいくものとなるだろう。一緒に悩んで考える過程を経て、出た結論は「それが正解だった」と後押しをすることが支援者にとって大切である。「結果」ではなく、一緒に悩む「過程」を大切にする。

 今回のこの「透析中止」の報道での核心は、この部分であると思う。十分な選択肢の提示と納得のいく対話が行われていたのか否かなのかが問題であって、透析の中止の選択をして死に至ったことが問題ではない。この点を報道するマスコミの方々にも十分に認識していただきたい。

ACPの3つのコア概念
 (1)人によって最善は違う
 (2)気持ちは変わってもよい
 (3)結果よりも過程を大切にする

 生まれたら人はいつか必ず亡くなる。亡くなるまで全ての人が治療を受け続けなければいけないわけではない。

 医療者はむしろ治療を続ける方が楽であり、死に向き合って、治療を選択しない選択をする方がつらいものである。

 「死」は医療の敗北ではない。それでもいつか亡くなる「死」に患者本人も家族も医療者も向き合って、いつか亡くなるときにどんな最期を迎えたいのかを考えることがこの多死社会では大切になってくるのではないだろうか。

 人生とは「いつか亡くなるまでどうよりよく自分らしく生きるか」だと思う。長く生きることだけが善ではない。このような報道で透析の中止や死に向き合って治療をしない選択が全て非難されるようなことにならないことを私は祈る。



https://www.m3.com/news/general/665562
神栖再編統合 厳しさ続く医師確保 分院完成に遅れ  
2019年3月14日 (木) 茨城新聞

 神栖市の神栖済生会病院(同市知手中央)と鹿島労災病院(同市土合本町)が4月1日、再編統合する。残り1カ月を切り準備が急ピッチで進むが、鹿島労災の駐車場に新設される分院(10床の診療所)の完成は最大で約3カ月遅れる見込みで、医師確保も難航しているのが現状だ。統合し、将来的には地域の中核病院の役割を担う350床の二次救急病院を目指すとしているが、その道のりは険しい。

■最大3カ月

 両病院の再編統合は、神栖済生会を本院とし、3月末で廃止となる鹿島労災の敷地に分院を新たに整備する計画。神栖済生会は増築工事を段階的に行い、現在179床を2021度中に240床、25年度中に350床に増やすことを目標に掲げる。

 分院は鉄骨平屋で延べ床面積719平方メートル。診察室4室、処置室、検査室、エックス線撮影室などが設けられ、診療科は(1)内科(2)和漢(3)整形外科(4)外科(5)小児科―が予定されている。4月1日の開院を目指し、昨年11月に着工した。

 ところが、神栖済生会が今年1月、開院の延期を明らかにした。「来年の東京五輪や昨年相次いだ自然災害の影響で建築資材が不足している」(神栖済生会)のが主な原因で、工期が最大3カ月程度遅れる見通しという。

■鹿島労災3人

 統合で将来的な病床数増加を目指す中、最大の懸案である医師確保は依然厳しい状況が続いている。

 神栖済生会によると、鹿島労災の常勤医は12人。当初大半が移籍し、引き続き勤務することを期待していたが、鹿島労災の派遣元の大学から神栖済生会に派遣されるのは、現時点で3人と分かった。鹿島労災の機能継承や地域で発生率の高い交通事故の外傷患者に対応するため、最重点の一つとして交渉していた整形外科医の移籍は、実現が厳しい状況という。

 神栖済生会の常勤医は23人(18年4月現在)。県が昨年9月に最優先で医師確保に取り組む必要のある医療機関として公表した県内五つの病院の一つで、整形外科3人が必要医師数として挙げられた。4月以降、非常勤の整形外科医1人が勤務する見込みにとどまっている。

■ワースト水準

 厚生労働省が2月に公表した医師の充足度合いを表す医師偏在指標によると、最も医師が充足している東京都の「329・0」に対し、本県は全国ワースト6位の「179・3」で医師少数県に指定された。県内九つの2次医療圏(全国335医療圏)を見ると、つくばが「442・9」で全国4位の医師の多さを誇る一方、鹿行は全国ワースト水準の「86・9」で329位、県内で最下位だった。

 両病院の所在地で、医師確保を重点施策に位置付ける神栖市は、19年度当初予算案に7億5646万円を計上。東京医科大や日本医科大、筑波大などへの寄付講座継続や、指導医確保に対する補助金制度などに取り組む方針を示す。

 神栖済生会も「関係機関と連携して医療体制の充実に努めたい」とし、引き続き各大学を回るなどして医師派遣の実現に全力を挙げる考えだ。

 統合によって医療資源を集約し、地域の中核病院を目指した再編統合。関係者は「鹿島労災の閉院だけで終わらせてはいけない」と口をそろえる。地域医療の再建と山積する課題の解消に向け、関係機関と行政の連携した取り組みが一層求められる。(鹿嶋支社・関口沙弥加)



https://www.m3.com/news/general/665222
医学部入試不正 学生多数 差別を批判…医学連調査 中間報告 「仕方ない」意見も  
2019年3月13日 (水) 読売新聞

 東京医科大の不正入試問題を受け、全国の大学医学部の学生自治組織で構成する「全日本医学生自治会連合(医学連)」は12日、全国の医学部生を対象としたアンケート調査の中間報告を公表した。入試での女子・浪人差別に対し、批判的な回答が数多く寄せられる一方、「仕方がない」との意見もあった。面接では、女子の15%が結婚や出産について質問されていた。

 アンケートは昨年11月以降、ネットなどを通じて実施。2月1日現在で50大学の男女計2186人(男1257人、女890人、無回答39人)から回答を得た。

 東京医科大は医学部医学科の一般入試で、女子と4浪以上の男子の得点を一律に減点していた。差別は、順天堂大など他大学でも発覚した。アンケートでは、「どんな合理的な理由で説明されても、差別や人権を無視することはあってはならない」(6年女子)、「個々人をしっかり見て判断すべきで、一律の減点は個人の尊重に反する」(1年男子)などの批判や憤りが多数寄せられた。

 一方、「医療現場の体制を考えたら正直仕方がない」(6年女子)、「公表していれば不正とは考えない」(4年男子)など一定の理解を示す意見もあった。

 差別の背景には、結婚や出産で職場を離れる可能性のある女性医師を敬遠する医療現場の実情があるとされる。入試の面接では、女子の15%が「出産、育児で退職するつもりか」(2年女子)「妊娠はメリットかデメリットか」(同)などの質問を受けた。年齢についても、全体の5%が「本当に今から医者になる気があるのか」(医学部を受け直した3年男子)などと聞かれていた。

 医学連中央執行委員会の山下さくら委員長(23)は12日、東京都内で記者会見し、「問題の背景には医師の過酷な労働環境があり、不正入試の根絶だけでなく、医師の働く環境を変えていかなければ差別はなくならない」と訴えた。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。




https://www.m3.com/news/general/665039
うつ症状、仕事の満足度が関係 富大大学院助教調査  
地域 2019年3月13日 (水)配信北國新聞

 富大大学院医学薬学研究部(医学)の立瀬剛志助教が、北陸の公務員2088人を対象に仕事と健康状態の関係について1年間の追跡調査を行った結果、抑うつ症状の発症は労働時間より、仕事への満足度が大きく関わっていることが分かった。働き方改革で労働時間短縮に関心が集まる中、立瀬助教は「労働時間が重要なのはもちろんだが、仕事に満足を感じられる職場環境づくりを忘れてはならないとデータで裏付けられた」と指摘している。

 立瀬助教が2010年5月から1年間調査したところ、「あなたは仕事に満足していますか」との設問に否定的な答えをした人は、肯定的な解答をした人に比べて1年後に抑うつ症状を発症したリスクが1・94倍高かった。

 一方で労働時間だけを見ると、9時間と答えた抑うつ症状発症者数を1とした場合、9~11時間1・04、11時間以上0・86で、抑うつ症状発症との間に明確な関係が見られなかった。



https://www.m3.com/news/general/665009
健康促進は切り札か 医療費抑制の「甘い夢」 「2025年 超寿社会」「さまよう財政」  
行政・政治 2019年3月12日 (火)配信共同通信社

 元気に暮らすのに重要な「歩行年齢」を姿勢などから測る機器や、ミネラル豊富な歯磨き粉...。東京都内で2月に開かれた健康長寿産業展は、近年の健康ブームを一段と刺激しそうな商戦に沸いていた。「高齢化が進む日本は有望市場」と話すのは米国系食品大手の担当者だ。独自開発した大豆粉や甘味料を手に「世界に先駆けた新商品ですよ」と力を込めた。

 長寿社会で花開くヘルスケア産業を利用するのは、介護施設や高齢者らにとどまらない。生産性向上を急ぐ企業は、従業員らの健康診断データを解析するシステムを導入し始めている。

 オフィス機器大手の内田洋行(東京)の健康保険組合は2013年に採用。血糖値などから特定の指導が要る人を自動抽出でき、加入者7千人のうち109人の「ハイリスク者」の生活習慣の改善を重点支援して効果を上げた。保健師らの余力を生かし、慢性的な腰痛や若手社員の食事の改善にも手を広げている。

 「生き生きと働ける状態をつくることが企業がもうかる土台になる」と事務長の中家良夫(なかいえ・よしお)(64)。医療費負担の高止まりに悩む企業健保では、収支改善に向けた先行投資の意味合いも帯びる。

 経費圧縮の思惑を込め、健康促進の追求は国レベルでも進む。合言葉は「治療から、予防や健康管理へのシフト」。腹囲を調べる特定健診(メタボ健診)の実施率向上や糖尿病患者数の抑制といった目標達成に加え、先進技術を生かす予防医療の議論が政策の前面に出てきた。

 半面、健康づくりが財政再建の「切り札」になるとの説には異論が強い。首相、安倍晋三(64)が昨年「予防、健康にインセンティブ(動機づけ)を置くことで医療費が削減されていく方向もある」と、今後の社会保障改革に絡めて発言したことで論争に火が付いた。

 専門家の間では効果の一方、施策に伴う支出がかさむとの指摘が相次ぎ、日本福祉大名誉教授の二木立(にき・りゅう)(71)は「世界的に、むしろ医療費は増えたとの研究結果が定着している。そもそも予防医療は生活の質を上げるためのもので、費用抑制手段と考えるべきではない」と断じる。

 08年度に始まったメタボ健診は年2兆円の医療費削減効果がうたわれたが、検証した対象者の実績は1人年約6千円にすぎず、投じた予算を下回った。時の政権が再び「甘い夢」に浸る光景に、政府内では「超長寿社会に備えた財源確保という『苦い現実』からの逃避だ」と冷ややかな声も出ている。(敬称略)



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