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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月10日 

https://www.afpbb.com/articles/-/3214196
フランス、地方の医師不足に住民の不満噴出  
2019年3月6日 10:00 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ] AFPBB News

【3月6日 AFP】仏パリ南方にある小さな町、モンタルジ(Montargis)で医師や歯科医を受診することは実に難しい──。首都から100キロ程度しか離れていないにもかかわらず、それは月の裏側に住んでいるのと変わらないほど困難を極めるという。

 この町では先ごろ、地域社会の問題について話し合うタウンミーティング(政治家との対話集会)が行われた。参加したある女性は、「心臓の専門医を受診するまでに、2年も待たなくてはならないというのは到底受け入れられない。それまでに死んでしまう」と訴えると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 タウンミーティングは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、自身の政策に対する抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」への対応の一環と位置付けて各地で開催されているものだ。

 人口約1万5000人のモンタルジや多くの町で、医師不足は大きな問題となっている。フランスでは第2次世界大戦(World War II)終結以降、ほぼ無料で医療を提供する国民健康保険制度を誇りにしてきたが、すべての患者が平等な治療を受けているわけではない。

 公式統計によれば、フランスの医師の数は現在約22万人。1980年からは2倍に増えている。しかし、その多くは地方部や小さな都市よりも、大都市で働くことを好む。

 例えばパリでは住民10万人当たり約798人の医師がいるが、モンタルジ地区では一般開業医が同76人と、全国でも最低水準だ。

■医療砂漠
 フランスでは、全人口の8%が暮らす約9000か所の小都市で、一般開業医の数が不足している。黄色いベスト運動が大きな支持を集めるモンタルジでは、新たな患者を引き受ける一般開業医は一人もいないと住民らは話す。
 地元出身の国会議員で、自身も心臓専門医であるジャンピエール・ドール(Jean-Pierre Door)氏は「誰もかつての休日なし、1日20時間労働だった医師のようにはなりたがらない」と話す。
 マクロン大統領は最近、医師の増員を目指す医学部改革を発表した。だが、ドール氏によれば「医師の養成には12年かかる」。
 モンタルジでは、地区一帯の住民15万人に対して病院は1か所しかない。130人の医師が働いているが、救急医療は依然、人手が足りない。「15年前、この病院では年間1万5000人の患者を扱っていたが、今では6万人だ。しかも、病院での待ち時間は平均5~6時間だ」とドール氏は話す。
 一般開業医が不足しているため、救急外来を受診する患者の60%以上が、耳の炎症や処方箋の更新といった一般外来で対応できる処置のために来院する。

■診断の遅れ
 数か月前に開業したばかりの若手のがん専門医、フランソワ・カミュ(Francois Camus)氏は、受診後の経過観察が十分に行われていないことに驚いたと明かした。「進行がんの患者を何人か診たが…一般開業医が足りないせいで、診断が遅れてしまった人たちだ」

 婦人科医も、同様に不足している。「女性患者の中には20年以上もの間、医師による経過観察が行われていなかったために、腫瘍が大きくなってから診察に訪れた人もいた」とカミュ氏は語った。
 インターネット上の討論サイトでも、医師不足に関する不満が噴出している。ある女性は、「医大を卒業したばかりの若い医師は、医師を必要としている地域で4~5年経験を積むことを義務化すべきだ」とコメントした。
 だがドール氏は、強制しても解決策にはならないと言う。それよりも過去2年間にわたって試験運用されてきたように、開業可能な医師らに無料で診療所となる場所を提供するよう、地元当局に奨励すべきだと同氏は主張する。
 フランスでは現在、カナダ・ケベック(Quebec)州やスウェーデン北部の遠隔地の例を参考に、モンタルジの町が強く要望しているインターネットを通じたオンライン診療の試験運用を行っている。(c)AFP/Anne CHAON



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201903/20190305_13043.html
<地域医療>登米から発信 訪問診療の医師が講演 医師不足・赤字経営「市民が関心を」  
2019年03月05日火曜日 河北新報

 「登米市の未来を創造する講演会」が3日、宮城県登米市迫公民館であり、市内で訪問診療を行うやまと在宅診療所登米院長の田上(たのうえ)佑輔氏が「地域医療は登米市から 地域の声が全て、市民が創(つく)る医療」と題し講演した。
 市民約150人が参加。田上氏は「都市と地方を循環する医師の働き方」をテーマに訪問診療を市内で展開し、現在医師25人が全国から登米市にやって来て、交代で地域医療に携わっている現状を解説した。
 看護師や薬剤師がゲストスピーチし、介護施設など他職種の人々が情報共有し連携して在宅療養ができる体制を市内で構築していることも紹介した。
 医師不足や赤字経営が課題となっている市の病院事業について田上氏は「市民が無関心でいることが一番良くない」と指摘。地域住民、医師、病院、自治体の役割を整理、再考した上で「登米市民病院の良いところを応援していく姿勢が必要だ」と語った。
 田上氏は医療問題を含め「将来のまちづくりには人づくりが大切」と教育の重要性を強調。「頑張っている人を世界一応援してくれるまちに登米がなることを目指そう」と呼び掛けた。



https://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/feature/CO038191/20190306-OYTAT50038/
医師確保「寄付講座」拡充  
2019/03/07 05:00 読売新聞

 つくば4位、筑西・下妻328位、鹿行329位――。

 全国に335ある2次医療圏の医師偏在の状況を指標化し、順位をつけるとこんな結果になる。厚生労働省が、今夏の正式導入を前に、先月試験的に算出した「医師偏在指標」(暫定値)だ。

 新指標は、人口構成や医師の年齢分布などを考慮しているため、これまで全国比較に使われていた人口10万人当たりの医師数と比べ、地方の医師不足の実態がより反映されるという。暫定値では、県内に9ある2次医療圏のうち上位3分の1に入ったのは、つくばを含め3。一方で、下位3分の1は、筑西・下妻、鹿行を含め5。本県の医師偏在の深刻さが改めて浮き彫りとなった形だ。

 県庁で2月21日に開かれた県医療審議会。県の木庭愛保健福祉部長は「新年度にこの指標を基に医師確保計画を策定する。本県の医療保健政策を進める上で重要だ」とあいさつし、協力を呼びかけた。

■行動宣言4・83%増

 大井川知事の就任後、県は昨年2月に「医師不足緊急対策行動宣言」を発表、「あらゆる手段を講じる」ことを明らかにしている。宣言に基づく医師の確保や育成などの関係費用は、今年度当初予算の22億7643万7000円から、新年度は4・83%増の23億8648万円に拡充される。予算案には主な事業として▽地域医療支援センターの体制強化(1億1735万円)▽県外からの医師確保(2億401万円)▽県立学校への医学コース設置(883万円)――などが盛り込まれた。

 地域医療支援センターの体制強化では、若手医師への情報提供を通じたキャリア形成支援といった既存の事業に加え、新たにセンター分室を筑波大に設置し、県内唯一の医師養成機関である同大との連携を強化する。

■つくば「一極集中

 県外からの医師確保では、県の負担で大学に期間限定の「寄付講座」を開く事業を拡充する。

 この事業は県内ですでに一定の成果が出ている。県は昨年9月に医師不足を最優先で解消する県北、鹿行、県南地域の5病院を公表。うち県北の中核病院である「日立総合病院」(日立市)の産婦人科には4月以降、筑波大の医師4人が派遣される。県が新年度、同大に寄付講座を追加で開講するためだ。

 ただ、常陸大宮済生会病院や神栖済生会病院など、残り4病院は「(公表から)2年以内の医師確保を目指して水面下で進めている」(県医療人材課)段階で、まだ実現していない。さらに県は今年1月、日立総合病院で新たに小児科医2人の優先的な確保が必要と発表した。

 本県は、人口10万人当たりの医師数で全国ワースト2位が続くが、医師偏在指標では同ワースト6位と、依然“下位ゾーン”ながらもやや改善する。全国4位となったつくば医療圏への「一極集中」の影響が大きいとみられる。

 県医療審議会の委員でもある県医師会の諸岡信裕会長は取材に対し、「(偏在指標で上位3分の1に入った)つくば、水戸、土浦から、県北や鹿行などに、どうやって医師に移ってもらうかが課題。医師本人だけでなく、家族にも配慮した生活環境の整備などが必要だ」と指摘した。(山波愛)

 2次医療圏 手術や入院治療など、一般的な医療を受けられるようにするため、都道府県が設定する地域の単位。圏域内の中核病院に車で1時間以内で到着できるなど、患者の受療動向、地理的条件や交通事情などを考慮して決める。多くの場合、1次医療圏は市町村、3次医療圏は都道府県全域。
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https://japan-indepth.jp/?p=44548
福島に新しい医療の風、吹く  
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長) 投稿日:2019/3/8 Japan in-Depth

2018年3月20日、NPO法人医療・健康社会研究所が日本能率協会の「KAIKA(カイカ)アワード」を受賞した。東日本大震災以降、メンバーの若手医師が福島県浜通りで診療に従事しながら、国内外に情報を発信してきたことが評価された。

このNPO法人の主要メンバーは4人だ。理事長は坪倉正治医師、理事は尾崎章彦医師と森田知宏医師、幹事は関家一樹氏だ。4人とも学生時代から、当時、東京大学医科学研究所にあった私どもの研究室に出入りしていた。

医師は坪倉・尾崎・森田の3人で、いずれも東京大学医学部の卒業生だ。坪倉医師は2011年4月、尾崎医師は2014年10月、森田医師は2014年4月から浜通りの病院に勤務している。

彼らは、「被災地の役に立ちたい」と自ら進んで飛び込んだ。診療を通じて関係者との信頼関係を構築し、地域の課題を共同で解決した。地元の人に魅了され、気がつけば今でも現地で働いている。その間に現地での活動を臨床研究として発表した。医師は現場で育つ。彼らの存在は新しい医師育成の在り方を体現している。

福島が医師不足であることは言うまでもない。人口10万人あたりの医師数は196人。全国平均の240人を大きく下回り、埼玉(160人)、茨城(180人)、千葉(190人)、新潟(192人)、岩手(194人)に次いで少ない。偏在も深刻だ。3月18日、厚生労働省が発表した「医師偏在指標」は177。全国で岩手(169)、新潟(170)、青森(172)に次ぐワースト4位だ。

福島県内でも特に酷いのが相馬市・南相馬市などの相双地区だ。福島第一原発が位置する双葉郡も含まれる。2016年末現在、この地域の人口10万人あたりの医師数は145人。福島市を含む県北医療圏の266人の半分程度だ。紛争が続くシリア(150人)よりも少ない。

ただ、相双地区の医師不足は悪化の一途を辿っているという訳ではない。興味深いことに、人口10万人当たりの医師数は、震災前(2010年)の120人から2016年の145人に25%も増えている。県北地域の19%増よりも高く、福島県の二次医療圏で最高だ。

勿論、原発周囲の住民が避難し、人口が減少した影響もあるだろう。医師の実数は236人から160人に減っている。ただ、この地域の医師密度が増加したという点は注目に値する。

これは坪倉医師をはじめ、今回受賞した若手医師の存在が大きい。現在、彼らが勤務する相馬中央病院と南相馬市立総合病院には合計13人の40歳以下の常勤医が勤務している。震災前の5人から大幅に増加した。興味深いのは、このうち7人が地元の福島医大の医局員でないことだ。震災前、このような医師は名古屋大学脳外科から来ていた1人だけだった。

東日本大震災以降、彼らは自ら進んで浜通りにやってきた。それは、この地域で働くことがキャリアアップに繋がるからだ。今春、南相馬市立総合病院は3人の初期研修医を受け入れるが、このうち2人は志望動機を「論文が書けるようになるから」と言ったという。

昔から医師教育の両輪は診療と研究だった。近年、「やり方」が変わりつつある。かつて医学研究は大学にいなければ出来なかった。大学には大勢の患者だけでなく、文献、実験器具、さらに研究をサポートするスタッフがいた。ところが、状況はかわった。高齢化が進み、大学病院で高度医療を受けたい患者は減り、自宅での終末期医療や介護の需要が高まった。

医学研究の中心は基礎医学から臨床研究、さらに公衆衛生研究や情報工学などと共同した学際的な研究にシフトした。このような研究では高価な実験器具を揃える必要はなく、SNSなどIT技術を駆使すれば、どこにいても論文は書けるようになった。

近年は地球温暖化が進み、世界中で豪雨や干ばつが生じている。災害医療は世界のトピックとなった。中国をはじめとした新興国で原発の建設が進み、原発事故の情報は貴重だ。このように考えると、東日本大震災後の浜通りには世界の医療が抱える問題が凝縮されている。坪倉医師たちは、この地で診療を続け、その結果をまとめていった。

2011年から2018年までの間に、彼らは合計115報の英文論文を発表している。うち95報は福島関係だ。図1に示すように2017年を除き、毎年発表数は増えている。
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▲図1:坪倉グループの英文医学論文数の推移

筆頭著者として発表したのは、坪倉医師19報、尾崎医師8報、森田医師7報だ。これ以外には、彼らの「仲間」である野村周平氏10報、西川佳孝氏9報、澤野豊明氏8報、村上道夫氏7報、レポード・クレア氏4報だ。8人で全体の76%を占める。

特記すべきは、この8人全員が40歳以下の若手だ。坪倉・尾崎・森田・西川・澤野氏は臨床医で、残る3人は公衆衛生学を専門とする研究者だ。臨床医は全員が浜通りの病院で診療を続けている。研究者も福島県で活動している。村上氏は震災後、勤務していた東京大学から福島医大に移籍した。

クレア氏はエジンバラ大学の修士課程に在籍中に南相馬市立総合病院に約1年間勤務して、研究に従事した。彼女の修士課程の論文は東日本大震災が浜通りの住民の健康に与えた影響だった。

野村氏は震災直後に東京大学医学系研究科修士課程に入学した。指導教員は渋谷健司教授(国際保健政策学)。渋谷教授は筆者とともに震災直後から被災地で活動を続けていた。野村氏は渋谷教授とともに被災地で活動し、修士課程の学位論文を書いた。その後、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程に進んだが、そこでも原発事故の健康影響について研究を進め、博士号を取得した。

彼らは、論文を書くために被災地を「利用」した訳ではない。全員が腰を据えて福島で活動し、その活動を世界に発表したのだ。

例えば、2012年8月に坪倉医師がアメリカ医師会誌『JAMA』電子版に発表した内部被曝に関する論文だ。

相双地区で、まっさきに内部被曝検査を始めたのは南相馬市立総合病院だった。この論文では2011年9月~2012年3月までに同院で内部被曝検査を受けた住民9,498人の検査結果をまとめた。小児の16.4%、成人の37.8%で内部被曝が確認されたが、被曝量の中央値は小児で590ベクレル(範囲210-2,953)、成人で744ベクレル(210-12,771)だった。預託実効線量(放射線被曝をした場合の生涯での被曝量の推計)が1ミリシーベルトを超えたのは1人だけで、多くは問題となるレベルでなかった。

これは福島第一原発事故による内部被曝の実態をはじめて世界に報告したものだ。『JAMA』は世界でもっとも権威がある医学誌の1つである。この論文が発表されると、世界中のメディアが紹介した。「福島原発事故の被曝は問題とならないレベル」と報じられ、福島の風評被害対策に貢献した。

私はこの論文を高く評価する。それはインパクト・ファクター47.6という超一流誌に掲載されたからではない。内部被曝に悩む住民を支えるための活動の結果だからだ。

南相馬市立総合病院で内部被曝検査を立ち上げるのは至難の業だった。政府は、専門家集団である放射線医学総合研究所や日本原子力研究開発機構に指示して、原発事故被災地の支援に従事させたが、対象の中心は原発周辺の高度汚染地域だった。南相馬市立総合病院の内部被曝検査をサポートする余裕はなかった。

南相馬市立総合病院での内部被曝検査立ち上げの中心的な役割を担ったのは坪倉医師だった。ノウハウを有する自衛隊や早野龍五・東大理学系研究科教授(当時)らと相談し、試行錯誤を繰り返した。

内部被曝検査開始後は、検査に立ち会い、検査結果が出たあとは希望する住民の相談に乗ってきた。坪倉医師は「立ち会った検査は10万件、個別相談に応じた住民は数千人を超える」と言う。

地道な活動は坪倉医師に限らない。2013年4月、野村氏は米『プロスワン』誌に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。この研究では、避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。

この研究は世界の原発事故対策に大きな影響を与えた。この論文が発表されるまでは、原発事故が起これば避難することが最優先された。ところが、福島では避難が死亡を招いた。チェルノブイリやスリーマイル島と比較して、福島では高齢化が進んでいたからだろう。長時間に渡る移動および見知らぬ土地でのストレスが寿命を縮めた可能性が高い。

野村氏の研究成果は、国際原子力機関(IAEA)の「福島事故最終事故報告書」にも盛り込まれ、高齢化社会では避難がリスクを伴うことがコンセンサスとなった。

野村氏は、この論文を東京で書いたわけではない。相双地区に入り、坪倉医師とともに全ての介護施設をまわった。南相馬市立病院で泊り込み、震災後の記録をデータベースに打ち込んだ。

論文が発表されたあとは、結果を持って協力してくれた介護施設に回った。あるスタッフからは「感じていた通りの結果だった。これで後世に記録が残せました。まとめて頂いてありがとう」とお礼を言われたという。

尾崎医師の活動も興味深い。昨年、彼は英『QJM』誌に故高野英男・高野病院院長の生涯についての論文を発表した。

高野病院は広野町の唯一の入院施設で、故高野院長は震災後も現地にとどまり診療を続けた。ところが2016年末、たった一人の常勤医である高野院長が急逝した。この状況で尾崎医師は「高野病院を支援する会」を立ち上げ、仲間の医師とともに高野病院をサポートした。その記録がこの論文だ。

坪倉チームは、このスタンスを貫いている。長期間にわたり、被災地での活動を続けている。大学の医局から医師不足の病院に派遣される若手医師とは対照的だ。彼らの在勤機関は通常1-2年間だ。これでは病院スタッフは勿論、地域住民と信頼関係が構築出来た頃に異動することになる。

では、なぜ、浜通りではこのような若手医師が活動を続けられるのだろうか。それは、地元が彼らを迎え入れ、応援してくれるからだ。その筆頭が立谷秀清・相馬市長だ。福島医大を卒業した内科医で、坪倉医師や森田医師が勤務する相馬中央病院の理事長でもある。この病院には、森田医師と東大医学部で同期の藤岡将医師も常勤の消化器内科医として勤務する。

本項で詳述はしないが立谷氏は東日本大震災の被災地の復興の象徴的存在だ(上昌広『今知る、震災市長のリーダーシップ』)。そのリーダーシップのもと、相馬市の復興は速かった。実績を評価され、昨年、全国市長会会長に選出された。相馬市の人口は3万5,307人(2月1日現在)。地方の小都市から初めての選出だ。

立谷氏は平素より「復興したければ、自分たちでやらないとだめ。政府や県を批判しても事態は改善しない」という。実力のある政治家だ。私は東日本大震災直後、仙谷由人氏から「被災地の医療を応援してやってほしい」と立谷市長を紹介されたが、携帯電話で少し話しただけで、その力量がわかった。

立谷市長に最初に紹介したのが坪倉医師だった。当時彼は29歳。4月から東大医科研の大学院に進み、私が指導することになっていた。若者は苦労を経験することで成長する。必要なのはメンターだ。坪倉医師にとって、立谷市長は得がたいメンターとなった。彼は4年間の大学院生活を福島と東京を往復して過ごした。

立谷市長の支援もあり、坪倉医師は福島で多くの「人財」と知り合った。数人をご紹介したい。

まずは、産婦人科医である故高橋亨平・原町中央産婦人科医院院長だ。地元を愛し、行動する医師だった。坪倉医師は、高橋医師とともに空間放射線量を測定し、地元の幼稚園の除染作業に従事した。彼は亡くなるまで「この地域に生まれてくる子ども達は、賢く生きるならば絶対に安全であり、危険だと大騒ぎしている馬鹿者どもから守ってやらねばならない」と言い続けた。この言葉は、坪倉医師に強烈な印象を残した。

高橋氏以外にも、南相馬市には気骨がある医師が大勢いた。既に、他の媒体でも広く報じられているため、本稿では詳述しないが、南相馬市立総合病院の金澤幸夫院長(当時)、及川友好副院長(現院長)がいなければ、この地域の医療は崩壊していた(参考:『FACTA』上昌広「南相馬 名もなき『赤髭』物語」)。

同院は福島第一原発から23キロに位置する基幹病院だ。原発事故後、この病院には医薬品はもちろん、食糧も入ってこなくなった。避難を余儀なくされる医師・看護師も大勢いた。残った医師は4名だった。金澤院長のリーダーシップのもと、彼らは獅子奮迅の活躍をする。5人目としてやってきたのが坪倉医師だった。短期的なボランティアではなく、まずは非常勤医師として定期的に勤務することになった。それから8年にわたる長いお付き合いの始まりである。

南相馬市の学習塾経営者である番場さち子先生にもお世話になった。「ベテランママの会」というお母さんたちの集まりを組織し、地元住民を対象とした「正しい放射能のお話し会」を繰り返した。講師は坪倉医師だ。この会を通じて、病院では知りあうことができない住民の声に耳を傾ける機会を得た。また、彼が実際に測定した内部被曝検査の結果を住民に直接伝える貴重な機会となった。

相馬中央病院を支える事務方の佐藤美希さんもかけがえのない存在だ。病院には多くの専門家や事務職が勤務している。多くは旧知の地元の人だ。余所者である坪倉医師や森田医師が働きやすいよう細心の注意を払ってくれた(参考:『HUFFPOST』上昌広「事務方に学べ 若い医師にとっての『先生』は、院内のいたるところにいる」)。

地元紙である福島民友の五阿弥宏安社長の存在も大きかった。2015年1月より坪倉医師に連載のチャンスを与えてくれた。毎週日曜日の「坪倉先生の放射線教室」だ。この連載は現在も続いているが、これを通じて坪倉医師たちの研究が福島県民にとどくようになった。

最後は竹之下誠一・福島医大理事長だ。昨年4月、彼の推薦で坪倉医師は福島医大公衆衛生学教室の特任教授に就任した。現場の診療・活動の傍ら、大学院生も指導するようになった。福島医大は社会人大学院があり、病院で働きながら学びたい医師・看護師が坪倉医師の元に集っている。今年4月には大学院生は9名となる。

大学院生の研究内容は福島関連だけでなく、人工知能を用いた病理診断、在宅医療など多岐にわたる。また、エジンバラ大学博士課程に進学したクレア氏など海外との交流も進めている。ネパール、フィリピン、イギリス、フランス、ロシアなどとも共同研究が進行中だ。坪倉チームは福島原発事故問題に留まらず、多分野かつ国内外に活動の幅を拡げている。

変革は常に辺境から起こる。東日本大震災後に集った若手医師を中心に、福島から新しい医療が生まれようとしている。



https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019030802000324.html
<東日本大震災8年>山谷-福島 魂の医療往復 労働者支え35年・本田さん  
2019年3月8日 夕刊 東京新聞

 東京・山谷地区(台東、荒川区)で日雇い労働者らを35年間、支えた内科医本田徹さん(71)が、先月から東日本大震災の被災地、福島県広野町の高野病院で働き始めた。東京電力福島第一原発の30キロ圏内で唯一、事故後も診療し続けた病院だ。本田さんは「一人一人が居場所を見つけて暮らせる社会に」と思いを新たにしている。 (中村真暁)
 「医師がいれば、故郷に戻ろうという人がいるかもしれない」
 原発から南に約二十キロの高野病院。白衣姿の本田さんが思いを打ち明ける。
 本田さんは三人目の常勤医で、福島と東京を行き来しながら週四回勤務する。医師不足は深刻で、七十代の本田さんも当直に入る。「在宅で生き通したい人を支えたい」と抱負を語り、訪問医療にも取り組むつもりだ。
 高野病院の高野己保(みお)理事長(51)は「高齢者が高齢の家族をみる『老々介護』が問題になっている。本田さんが私たちの病院を見つけてくれたことは、住民のためになると喜んでいる」と歓迎する。
 青年海外協力隊の医師としてアフリカに赴任した経験を経て、本田さんが山谷の街と出合ったのは一九八四年のこと。低料金の簡易宿泊所が立ち並び、日雇い労働者や路上生活者が多い。地域を支援するNPO法人「山友会」が運営する無料診療所で、ボランティアで医療を担い始めた。
 医師不足で診察が受けられない矛盾を目の当たりにする一方、たくましく生きる人々に魅了された。
 「過去の人生に悔いがある人も、充実していたころがある。明るさ、精神的な強さ、多くのことを『人生の先生たち』から教えられた」
 未曽有の原発事故が起きた二〇一一年の東日本大震災。その翌年からは「わずかでも役に立ちたい」と、被災地の福島県いわき市の病院で週一回の勤務も始めた。もともと医師の少ない地域だったが、津波被害と原発事故で医療者は激減していた。
 患者の中には、「なぜこんな目に…」と精神的に追い詰められたり、十分な栄養が取れずにひどい糖尿病で命を削る除染作業員もいた。さまざまな健康被害を眼前にし、「余生は福島で医療をしたい」との思いを強めてきた。
 本田さんは高野病院に勤め始めた今年二月以降も、山谷にある山友会の診療所にも、週一回通っている。高度経済成長期などの日本経済を支えてきた日雇い労働者たちが集まった山谷と、日本の原発政策の舞台となった福島。いずれも国策の陰に置かれた場所として重なって見えるという。
 「住人を大切にしているか」「本当の福祉国家とは何か」。こう問い掛け、国策の果てに苦しむ人々と向き合い続ける。



https://special.sankei.com/a/life/article/20190309/0001.html
医師の残業「過労死ライン」の2倍容認へ 学会など反発 
2019.3.9 産経新聞

 厚生労働省が、一部医師の残業時間の上限「年1860時間」を含む医師の働き方改革の報告書案を13日に開かれる有識者検討会に提出し、今月内に決定することが分かった。「過労死ライン」の2倍となる上限案は既に前回の検討会に示されているが、「納得できない」として会の副座長が辞任したことも判明。各医療学会も相次いで抗議声明を出しているものの、厚労省側は「地域医療を守るため」として押し通す方針だ。
 4月から施行される働き方改革関連法では、罰則付きの残業上限規制が規定される一方、医師はその特殊性から5年間猶予されている。同法による一般労働者に定められた残業上限は、労使協定を結び特別条項を設ければ、年720時間となる。
 医師の残業上限を決める際に考慮されたのは、勤務医約1割の残業が実際に年1920時間を超えていることだ。このまま一般労働者と同様の規制になれば、患者の診療に影響が出る。特に医師が不足している地域では深刻な状態になることを懸念した。
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190305-00010000-socra-pol
【舛添要一の僭越ですが】
医学部定員の増加策は反故にされた

舛添 要一 (国際政治学者)
3/5(火) 14:01配信 ニュースソクラ / 産経新聞

いまだに医師は足りていない
 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を(1)医師多数、(2)中程度、(3)少数に分類した。
 (1)は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀
 (3)は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。

 このデータを伝える新聞記事は、いずれも「医師偏在」という大きな見出しである。そこから読者が受けるのは、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するというメッセージである。

 しかし、それは本当であろうか。医師の数は既に十分なのであろうか。次のようなことを考えてみる必要がある。

 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。

 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。

 また、医師免許を持つ医師が永遠に働き続けるわけではない。高齢で引退する者も、結婚・出産・育児で医療の現場を去る女医もいる。とくに近年、医師全体に占める女性医師の比率が増えていることを忘れてはならない。

 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。

 私が厚労大臣になったとき、妊婦のたらい回し事件などが起こり、医師不足や医療崩壊が大きな社会問題となっていた。しかし、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。

 そこで、私は方針を転換して医師数を増やすべきだと考えたが、開業医が主体の日本医師会や厚労官僚の猛烈な抵抗に遭ってしまった。開業医にとっては、医師が増えれば、商売敵が増えて減収につながるからである。また、役人にとっては、医学部定員を制限することが、私学や病院に対する自らの規制権力を強めることになるからである。

 しかし、世論やマスコミの支持もあって、2008年6月17日、私は、11年ぶりに閣議決定を変更して医学部の定員増に踏み切った。

 そのときに、私は記者会見で、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80~90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べたのである。

 そして、8000人の定員を毎年400人ずつ増やし、10年後に1万2000人にまで増やすことにしたのである。この方針決定から10年が経ったが、2018年度の定員は9419人であり、私の方針がいつの間にか反古にされてしまっている。しかも、2022年度以降は定員を削減するという。

 診療科の偏在に関しては、医学生たちに小児科や産婦人科や外科が敬遠されるのは、勤務時間が深夜などに及ぶからである。皮膚科や眼科など志望する学生が増えても不思議ではない。激務でも自分の希望する診療科で頑張るという学生のほうが多いと思うが、診療科によるある程度の偏在は計算に入れねばならない。そうなると、やはり医師の全体数の増加が必要である。

 どの診療科を希望するか、どの地域で医療を行うかは、個人の自由であり、憲法で定められた基本的人権である。厚労省や日本医師会の思惑で医学部定員を決めるべきではない。

 厚労省は、地域枠制度などを活用して偏在を是正することを考えているが、それには限界がある。開業医も、過当競争で減収になれば、稼ぎの多い医師不足地域に移るインセンティヴは増す。

 医師偏在の問題の背景には、中央と地方の格差がある。とくに、医師が地方の勤務を嫌うのは、子どもの教育を考えてのことである。アメリカやドイツのように、中央集権から連邦(道洲)制に移行し、各地域が他の地域との自由な競争を通じて、特色ある発展をとげることができるようになれば、医師の偏在も解消するであろう。要は、「この国のかたち」に深く関わっているのである。



https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/808813
論説 医師偏在、国が新指標
地方と連携し具体策示せ
 
2019年3月5日 午前7時30分  福井新聞

 【論説】厚生労働省が、医師が足りているかを示す新たな指標をつくり、都道府県ごとの数値を初めて公表した。「医師偏在指標」で、従来の目安である「人口10万人当たりの医師数」に比べ、より実態に即した数字になる。ただ、同省が医師の効果的な確保策を持ち合わせているのかは疑問だ。国は地方と緊密に連携し、具体策を示す必要がある。

 医療ニーズの充足状況を地域ごとに把握するには、少子高齢化の進展、他地域との間での患者の流出入、医師の年齢構成などを踏まえる必要がある。

 例えば、高齢化がより進んだ地域は医療ニーズが高まることが想定される。医師数が同じでも平均年齢が高くなった場合、提供される医療サービスに影響することも考えられるという。

 10万人当たり医師数はシンプルな半面、地域実情を表せなかった。医療ニーズにかかわる各種の要素を数値化し、それを特定の計算式にあてはめたのが医師偏在指標である。これなら、より地域実態を反映しているといえる。

 厚労省は、指標の数値の下位16県を「医師少数県」と位置付けた。福井は25位でこの中には入っていないが、四つある2次医療圏のうち丹南、奥越が医師少数区域とされた。指標は、こうした地域課題を整理する材料にできるだろう。

 しかし、医師偏在解消への道のりは遠い。同省は2036年度までの医師偏在解消を目指し、医師少数県に対応を求めている。だが、地方の医師不足対策の切り札といわれた大学医学部の「地域枠」制度は、全国的に欠員が目立つのが現状。医師総数そのものは過去最高なのに、「医師不足の地域は勤務が過酷」として若手医師が避ける悪循環も起きている。診療科ごとの偏在もある。

 こうした課題に医療現場からは国の具体的な施策を知りたい、との要望が聞かれる。国はこの声に応えなくてはならない。

 医師偏在問題には、働き方改革の行方も絡む。24年4月から勤務医に適用される時間外労働(残業)上限の特例を、厚労省が1月、最大年2千時間とする案を示したところ、過労自殺した医師の遺族や労働組合の強い反発を受けた。過労死ラインの約2倍の水準で、批判はもっともだ。ただ、同省によると、特例を設けなければ地域医療体制が持たない現実もあるという。

 医師の負担軽減へ、地方も知恵を絞る必要がある。例えば、識者には、緊急性の低い軽症者がコンビニへ行くような感覚で救急医療機関を利用する「コンビニ受診」を減らすため、救急車の有料化を訴える意見がある。全国では実際に、導入を始めた自治体も出てきているという。

 医療ボランティアが活発だったり、地域医療を考える住民団体が活動していたりする地域では、医療に関する理解が進み、医師の働きやすさに結びつくことも考えられる。国と地方が連携し、それぞれの役割を果たしながら、医師確保の具体策を練り上げたい。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42159300X00C19A3000000/
産業医の3割が「対応する自信ない」 4月の働き方関連法施行で民間調べ
働き方改革 ヘルスケア
 
2019/3/7 17:29 日本経済新聞

産業医の3分の1が長時間労働を受けた面談の増加に「対応する自信がない」――。4月施行の働き方改革関連法で、労働者が医師の面談を受ける残業時間の要件が引き下げられる。メドピアが7日発表した産業医を対象としたアンケート調査によると、多くの医師が現状のままでは面談の需要増に対応できないと感じている現状が浮かび上がった。

調査は2月中旬にインターネットを通じて実施した。産業医519人(常勤120人、非常勤399人)の回答を得た。

産業医は企業内で従業員の健康管理について指導や助言をする役割を担う。現行の法制度では1カ月の残業時間が100時間を超えると医師の面談が受けられる。4月の法改正で同要件は80時間に引き下げられ、長時間労働やメンタル不調に関する面談数の増加が予想される。

これに対してアンケートでは常勤医師の32%、非常勤医師の30%がそれぞれ「対応しきれる自信がない」と回答した。理由としては「面談者が増えており、今の勤務時間では不足する」「常勤医での仕事が忙しく、面談が多くなれば対応できない」といった声が相次いだ。「メンタルヘルスへの対応に自信がない」といった言及も目立った。

医師側の時間の不足と専門性の不足――両面での問題解決が、働き方関連法の施行に伴い、課題となりそうだ。
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詳細: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000010134.html



https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15517854072706
なめがた地域医療センター 入院機能を縮小し継続
県厚生連方針 救急・休日夜間休止へ
 
2019年3月6日(水) 茨城新聞

土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市井上藤井)の規模縮小問題で、運営するJA県厚生連が4月から、同病院の入院機能を約5分の1に縮小して継続する一方、診療時間外の救急は休止する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。救急や休日夜間の患者は、道路距離で約25キロ離れた「本院」扱いの土浦協同病院(土浦市)と連携して対応する。

同センターの規模縮小は当初、今年4月からの休日夜間の救急受け入れ休止のほか、入院病棟の将来的な閉鎖などが浮上。地元自治体などから機能を継続するよう要請を受け、県厚生連は地域医療に与える影響を最小限にする方向で、医師派遣元の筑波大や自治体などと協議している。

複数の関係者によると、同センターの病床数は199床から40床に大幅縮小するが、入院機能は「地域包括ケア病棟」として継続する見通しとなった。

一方で、診療時間外の休日夜間や救急の患者受け入れは休止し、本院機能を担ってきた県南地域の基幹病院の一つ、土浦協同病院が代替する形で調整を進めている。常勤医は16人から8人程度に半減する見込みだが、土浦協同から非常勤医の派遣を得て診療機能の維持強化を図る。通院患者の利便性を図るため県厚生連は両病院間を結ぶシャトルバス運行も検討している。

同センターは2000年6月に開院。全国最下位レベルの医師不足に悩む鹿行地域の拠点として役割を担ってきた。土浦協同が16年3月、土浦市の中心部から約4・5キロ東側の同市おおつ野に移転し、鹿行地域寄りとなったのを機に、土浦協同との連携を強化し、18年10月からは土浦協同の「分院」に位置付け機能分担を図ってきた経緯がある。

同センターは、24時間365日体制で重症の救急患者を受け入れる3次救急に指定されてきたものの、実際は医療体制が整わず、重篤な患者は水戸地区や土浦協同に運ばれているのが実態だった。規模縮小後は土浦協同との役割分担をより明確にした上で、鹿行地域の救急患者の扱いなどに関し県厚生連が関係機関と協議している。

県厚生連の財務事情は、土浦協同の移転新築に伴う設備投資で悪化した。さらに、なめがた地域医療センターは開院以来一度も単独で黒字を計上できず、近年は患者数の減少が進み、18年度収支は赤字が5億円を超えるまで膨らむ見通しとなった。同センターは199床のうち稼働が179床にとどまり、実稼働病床はさらにその半数程度に低迷しているという。

「働き方改革」による人件費の増加や今年10月の消費増税などコスト高も今後見込まれるため、県厚生連は経営状況のさらなる悪化を防ぐため、最小限の入院機能を残した上で、同センターの規模縮小を判断したとみられる。

規模縮小について県厚生連は、茨城新聞の取材に「関係機関と協議中で、方針は正式に決まっていない」としている。(成田愛、石川孝明、黒崎哲夫)



https://www.yomiuri.co.jp/local/kyoto/news/20190309-OYTNT50170/
<震災8年>地震想定 護衛艦に医療施設  
2019/3/9 05:00 読売新聞

府や舞鶴市など初の設置訓練
 東日本大震災から11日で8年を迎えるのを前に、府と舞鶴市、海上自衛隊舞鶴地方隊は9日、府北部での大規模地震を想定し、海上自衛隊舞鶴基地の護衛艦「ひゅうが」に負傷者の搬送拠点となる臨時医療施設(SCU)を設置する初の訓練を実施した。

 約30機関1200人が参加。午前7時30分、府北部を震源とするマグニチュード7の地震が発生し、舞鶴、綾部両市で震度6強を観測、140人の負傷者が出たとの想定で行われた。

 府が海自にSCU設置を要請し、海上保安庁などが、周辺の海域を漂流していた負傷者役の海上保安官をヘリでつり上げて救助し、ひゅうがの格納庫に搬送。災害派遣医療チーム(DMAT)が、ほかの負傷者役の女性らに「せきをしていますが大丈夫ですか」などと話しかけ、氏名を確認するなどした。海保の巡視船から、陸上自衛隊などの車両に給水する訓練もあった。

 参加した西脇知事は、「『ひゅうが』なら同時に(複数の)ヘリが着艦できるので、救急救命に有効だと実感した」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25254
東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例、福島では継続するが、宮城・岩手は最長2021年3月で終了―中医協総会(2)  
2019年3月7日|医療保険制度 MedWatch

 東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例について、福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続けるが、宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末まで(最長2021年3月まで延長)とする。また熊本地震および北海道胆振東部地震に伴う被災地特例は、この3月(2019年3月)末で終了し、西日本豪雨に伴う被災地特例については、2019年9月末まで延長する―。

 3月6日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点も了承されました。
 
ここがポイント!
1 診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断
2 2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始
3 「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断

 大地震などの大きな災害に見舞われた地域では、▼多くの傷病者が発生する▼医療機関の中にも通常診療が行えないところが出てくる▼医療スタッフが十分に確保できなくなる―などの事態が生じます。

 こうした事態に、「入院患者に対しスタッフが不足しているので、診療報酬を減額する」などといった対応をとることは人道に悖るでしょう。そこで、厚生労働省では▼一時的な定員超過入院▼平均在院日数や重症度、医療・看護必要度などの施設基準の一部欠如―などが起きた場合でも、通常の診療報酬算定を認めるなどの特例(被災地特例)を設定しています。

 現在、次の4つの「被災地特例」が設けられており、「半年に1度、現地の状況を中医協で確認し、特例の延長を認めるか否かを判断する」ことになっています。
(1)東日本大震災に伴う特例
(2)熊本大地震(平成28年)に伴う特例
(3)西日本豪雨(平成30年7月)に伴う特例
(4)北海道胆振東部地震(平成30年)に伴う特例

 このうち(1)の東日本大震災特例に関しては、▼岩手県の1医療機関では2019年12月中に特例解消▼宮城県の1医療機関では2020年3月に、同じく宮城県の1医療機関では2021年3月に特例解消―が見込まれています。一方、福島県の1医療機関では「帰還困難地区の入院患者を受け入れており、特例解消の時期が見込めない」状況にあることが報告されました。

これを受け、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、▼福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続ける▼宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末までとする(最長2021年3月末まで延長)―ことを提案しました。

 また、(2)の熊本地震特例に関しては、現在1医療機関が利用していますが、この3月末(2019年3月末)までに「閉院」が決まっており、(3)の北海道胆振東部地震に関しては、現在、利用している医療機関がないことから、森光医療課長は「2019年3月末で被災地特例を終了する」ことを提案しました。

 一方、(4)の西日本豪雨特例に関しては、現在、7医療機関等が利用しており、継続の要望も強いことから、「2019年9月まで延長し、再延長の可否を改めて判断する」ことを森光医療課長が提案しています。

 特例の実際の活用状況を十分に踏まえた対応案で、中医協ではこれらを了承しています。

2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始

 また3月6日の中医協総会では、森光医療課長から「2020年度の診療報酬改定」に向けた検討スケジュールが報告されました。

 夏頃まで「医療全体、入院・外来・在宅等に関する総論」(第1ラウンド)の議論を行い、秋以降「個別改定項目」(第2ラウンド)の議論を行う、というものです。第1ラウンドでは、まず「医療全体」に関連する幅広い事項についての検討が行われる見込みです。医療提供体制に目を向ければ、▼医師の働き方改革▼医師の偏在対策▼地域医療構想の実現―という3つの連環する動きがあり、診療報酬もこれを下支えしていく(少なくとも方向を合わせる)ことが求められるでしょう。2020年度改定に向けたスタートの議論は、こうした点もにらんだ「幅広」なものとなると考えられます。

 もちろん、併行して下部組織(診療報酬調査専門組織等)で▼入院医療やDPC制度の改革▼2018年度改定の結果検証―などに関する議論も行われ、逐次、中医協総会に検討状況や中間とりまとめなどが報告されることになります。

「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

 このほか、2016年度・18年度の診療報酬改定に倣い、2020年度の診療報酬改定に合わせて「選定療養の拡大」なども検討されます。

 選定療養は、快適な療養環境を求める患者の要望に応えるために、「保険診療と保険外診療を組み合わせ」を認めるものです。例えば▼特別の療養環境(個室などの差額ベッド)▼予約診療▼時間外診療▼大病院の紹介状なし患者に対する初診・再診▼180日超の入院(入院料が減額され、その減額分を患者から徴収可能)▼制限回数を超える医療行為―などが選定療養として認められています。

 厚労省は、医療関係団体や関係医学会、国民から広く「新たな選定療養」要望を募り(2019年3月から1-2か月程度)、中医協に示す(2019年7月予定)考えを提示しました。あわせて「医療通訳」など「『療養の給付』とは直接関係なく、実費徴収が可能な事項(テレビ貸与料金などもこれに該当)」の拡大も検討することになりそうです。



https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/201903/0012119999.shtml
洲本の鮎原診療所10月から閉鎖 建物は民間公募へ  
2019/3/6 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県洲本市は、同市五色町鮎原西の「洲本市国民健康保険鮎原診療所」を10月1日から閉鎖する方針を固めた。近年、医師が減って入院事業を休止するなど診療体制の見直しを進め、年々利用者は減少。ほかの診療所を含めた累積赤字は約5億3千万円に上り、危機的な経営状況に陥っていた。今後、民間医療機関への施設移譲を目指す。平成の大合併により現在の3市体制になって以降、島内で市立診療所の廃止は初めて。(上田勇紀)

 市は1日に開会した市会3月定例会に関連議案を提出した。

 洲本市立診療所は2種類5カ所。鮎原のほか、五色(同市五色町都志大日)、堺(同市五色町上堺)、上灘(同市相川組)の国民健康保険診療所と、応急診療所(同市港)で、鮎原は旧五色町が1988年に現在の場所に開設し、市合併後も引き継がれた。

 五色地域の基幹的な診療業務を担い、医師2人体制で内科などの診察や19床の入院も受け入れてきた。だが、退職に伴い2010年度からは医師1人になり、14年度に入院事業を休止。16年度から通所リハビリテーション事業を休んだ。

 週2回は診療時間を延長するなど地域医療の確保に努めたが、近隣の専門的な医療機関の利用もあり、13年度に9808人いた外来患者数(延べ)は、17年度には5082人に半減。診察による診療報酬に対して人件費や施設維持の費用がかさみ、17年度決算で4国保診療所の累積赤字は約5億3千万円に膨れ上がった。旧五色町地域では、鮎原診療所の外来患者数の減り幅が、五色診療所より大きいという。

 市は4月以降、約1300平方メートルの鮎原診療所の建物を利用する民間医療機関を公募する。貸与か譲渡かなど詳しい条件は未定だが、民間による20年4月の開業を目指す。市健康福祉部は「住民サービスが低下しかねず、苦渋の判断となった。利用者に不安を与えないよう、民間医療機関を見つけたい」としている。

 淡路市は三つ、南あわじ市は五つの市立診療所があるが、いずれも市発足後に廃止されたケースはないという。



https://www.medwatch.jp/?p=25163
病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日で、依然大きなバラつき―2017年・患者調査  
2019年3月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2017年の1日当たりの入院患者数(推計)は131万2600人で、3年前(2014年)に比べて微減。人口10万対の入院受療率も1036で同じく微減。入院患者の年齢構成など見ると、高齢者が大きく増加しており、各医療機関においては「地域の医療ニーズ」を十分に勘案する必要がある。なお、平均在院日数は短縮が続くが、都道府県間のばらつきが依然として大きい―。

厚生労働省が3月1日に公表した2017年の「患者調査」結果から、こうした状況を伺うことができます(厚労省のサイトはこちら(概要)とこちら(詳細な統計表、e―Statサイト https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450022&tstat=000001031167&cycle=7&tclass1=000001124800&tclass2=000001124802&second2=1))。

ここがポイント!
1 入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要
2 精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%
3 入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差
4 病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日
5 在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要

 患者調査は、医療機関を利用する患者の傷病などの状況を明らかにするもので、3年に1度行われます。「どの地域に、どのような疾病が多いのか」「年齢によって、どのように疾病構造が異なるのか」などを詳細に知ることができます。病院にとっては、地域のニーズを把握するために極めて重要なデータと言えます。

2017年の患者調査は、6427の病院、5887の一般診療所、1280の歯科診療所を対象に行われました。

 まず2017年の1日当たり推計患者数(2017年10月17日から19日のいずれか1日)を見てみると、入院131万2600人(3年前の前回調査に比べて6200人減少)、外来719万1000人(同4万7400人減)となりました。

 年次推移を見ると、入院では2008年調査から概ね「減少」を続けています。さまざまな理由(入院医療から外来医療へのシフト(例えば抗がん剤治療など)、入退院支援の充実、人口減少など)で入院医療ニーズが減少しており、病床規模が適切なのかを再検証することが重要です。

 
一方、外来では2005年調査からほぼ横ばいとなっていますが、病院では「減少」傾向にあります。外来医療の機能分化(一般外来は診療所で、病院は専門・紹介外来を担う)が進んでいることが伺えます。
 
なお、年齢階級別に見ると、65歳以上の高齢者で入院・外来ともに患者数の増加が続いています。医療ニーズの内容についても、「回復期・慢性期」のニーズが増加していることが伺え、とくに病院において「機能転換」を積極的に考える必要性がさらに高まっていると言えるでしょう。
 

精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%

 次に、入院患者の傷病に着目してみましょう。

入院患者数のトップ4は、依然として▼精神及び行動の障害:25万2000人(前回調査比1万3500人減)▼循環器系の疾患:22万8600人(同1万1500人減)▼新生物:14万2200人(同1900人減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:13万7700人(同6400人増)―です。

それぞれが入院患者全体に占める割合は、▼精神及び行動の障害:19.2%(前回調査比0.9ポイント減)▼循環器系の疾患:17.4%(同0.8ポイント減)▼新生物:10.8%(同0.2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:10.5%(同0.5ポイント増)―となっており、これら4分類で入院患者全体の57.9%を占めています。4大傷病のシェアは徐々に低下しており、傷病が多様化している状況が伺えます。

 
 入院患者の重症度合いを見てみると、全体では(1)生命の危険がある:5.9%(前回調査比0.2ポイント増)(2)生命の危険は少ないが入院治療を要する:75.2%(同0.9ポイント増)(3)受け入れ条件が整えば退院可能:12.9%(同0.7ポイント減)(4)検査入院:1.0%(同0.1ポイント減)(5)その他:4.9%(同0.5ポイント減)―という状況で、入院患者の重症化が進んでいるように感じられます。

また(3)のいわゆる「社会的入院」の割合を年齢階級別に見ると、▼全体:12.9%(同錠)▼0-14歳:7.0%(前回調査比0.6ポイント増)▼15-34歳:9.7%(同増減なし)▼35-64歳:11.8%(同0.8ポイント減)▼65歳以上:13.6%(同0.8ポイント減)▼75歳以上(再掲):14.0%(同0.9ポイント減)―と、前回調査から減少傾向にあるようです。今後の推移を注意深く見守る必要があるでしょう。

入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差

 次に人口10万対の受療率を見てみましょう。患者数そのものは、人口の多い都市部で必然的に多くなるため、人口規模の差などを除外して地域比較をすることが重要なためです。

 全国の受療率は、入院1038(同2ポイント減)、外来5675(同21ポイント減)となりました。入院・外来とも微減、あるいは横ばいと見ることができそうです。

 年齢階級別に見ると65歳以上で高くなることが再確認できます(これが高齢者の医療費が高騰する大きな要因です)。ただし、年次推移を見ると65歳以上の受療率は入院・外来ともに下がってきていることが分かります。
 
 傷病分類別に見ると、患者数と同様に▼精神及び行動の障害:199(前回調査比10ポイント減)▼循環器系の疾患:180(同9ポイント減)▼新生物:112(同2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:109(同6ポイント増)―の4大分類で受療率が高いことが分かります。

 さらに都道府県別に受療率を見てみると、入院では、▼高知県:2101(前回調査比114ポイント減)▼鹿児島県:1880(同5ポイント減)▼長崎県:1803(同9ポイント減)―などで高く、逆に▼神奈川県:706(同23ポイント増)▼東京都:745(同14ポイント減)▼埼玉県:753(同30ポイント増)―などとなっています。

 全国平均との乖離状況を見ると、高い方では▼高知県:2.03倍(前回調査から0.8ポイント低下)▼鹿児島県:1.81倍(同増減なし)▼長崎県:1.74倍(同0.1ポイント低下)―と、低い方では▼神奈川県:0.68倍(同0.2ポイント上昇)▼東京都:0.72倍(同0.1ポイント低下)▼埼玉県:0.73倍(同0.3ポイント上昇)―となっています。最高の高知県と最低の神奈川県との格差は2.98倍で、前回調査に比べて0.26ポイント縮小しましたが、いわゆる「西高東低」の状況に変化はありません。

 一方、外来の受療率は、▼佐賀県:7115(前回調査比265ポイント増)▼香川県:6952(同443ポイント増)▼長崎県:6812(同307ポイント増)―などで高く、▼沖縄県:4586(同269ポイント増)▼京都府:5014(同36ポイント増)▼長野県:5033(同89ポイント減)―などで低くなっています。最高の佐賀県と最低の沖縄県との格差は1.55倍で、前回調査から若干縮小しています(0.04ポイント減)。

病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日

 また2017年9月中に退院した患者について平均在院日数を見ると、慢性期や精神科病院なども含めた病院全体では30.6日となりました。3年前の前回調査に比べて2.6日減少しており、年次推移を見ても着実に減少していることがわかります。
 
 傷病分類別に平均在院日数(診療所も含めた全体)を見ると、▼精神及び行動の障害:277.1日(前回調査比14.8日短縮)▼神経系の疾患:81.2日(同1.0日短縮)▼循環器系の疾患:38.1日(同5.2日短縮)―などで長くなっています。より細かく見ると、▼統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日(同14.3日短縮)▼血管性及び詳細不明の認知症:349.2日(同27.3日短縮)▼アルツハイマー病:252.1日(同14.2日短縮)▼気分[感情]障害(躁うつ病を含む):113.9日(同0.5日短縮)▼脳血管疾患:78.2日(同9.3日短縮)▼慢性閉塞性肺疾患:61.5日(同6.6日短縮)―などが長い状況です。
 
 次に、一般病床について在院期間別の推計退院患者数の構成を見ると、▼0-14日:71.9%(同1.3ポイント増)▼15-30日:15.9%(同0.6ポイント減)▼1-3か月:10.5%(同0.4ポイント減)▼3-6か月:1.3%(同0.2ポイント減)▼6か月以上:0.3%(同0.2ポイント減)―となっており、在院日数の短縮化が進んでいることが分かります。

 さらに、退院患者について「入院前の居場所」と「退院後の行き先」をクロス分析してみると、「家庭に帰る」人の割合は、「家庭から入院した人」では90.2%(前回調査比0.1ポイント増)なのに対し、「他の病院・診療所から入院(転院)した人」では43.2%(同0.4ポイント増)にとどまることが分かりました。「転院患者(他院からの入院患者)の自宅復帰は難しい」ことが患者調査でも裏付けられた格好です。
 
2018年度の診療報酬改定では、▼急性期一般病棟1における「在宅復帰率」の見直し(「在宅復帰・病床機能連携率」と名称変更等)▼地域包括ケア病棟、療養病棟における「救急・在宅等支援(療養)病床初期加算」の見直し(急性期患者支援(療養)病床初期加算と在宅患者支援(療養)病床初期加算との2分し、後者を高く評価)―などの見直しが行われました。こうした報酬改定が、患者の流れにどのように影響するのか、今後の調査結果にも注目する必要があります。
 
 ところで、都道府県別の平均在院日数(病院のみ)を見てみると、▼高知県:56.2日▼佐賀県:48.1日▼長崎県:44.1日―で長く、逆に▼宮城県:20.9日▼神奈川県:23.9日▼愛知県:34.6日―で短くなっており、依然として大きなばらつきのあることが分かります。受療率の高い地域で、在院日数が長い傾向があり、「不適切な入院の長期化」あるいは「入退院支援の努力放棄」(消極的な入院の長期化)などが生じていないか、詳しく見ていく必要があるでしょう。在院日数の不適切な長期化は、▼ADLの低下▼院内感染リスクの上昇▼患者や家族のQOL低下(職場復帰等が遅れることによる経済的な損失なども含めて)▼高齢者における認知機能の低下―などのデメリットが大きく、厳に慎むべきでしょう。

在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

 最後に在宅医療の状況を見てみると、2017年10月17から19日のいずれか1日に在宅医療を受けた患者数は18万100人で、前回調査に比べて2万3700人増加しています。

 2008年以降、とくに「訪問診療」が急増していることが分かります。厚労省は、患者自身が医師等の適切なアドバイスを受けて「入院医療を選択するのか、在宅医療を選択するのか」を選べる環境の整備を進めています。あわせて、地域医療構想の中では「2025年には、『療養病床に入院する医療区分1の患者』の7割を、在宅や介護施設等で受け入れる」こととなっており、高齢化による在宅・介護施設ニーズ増に加えて、「約30万人分のニーズ増」が新たに生じる計算です。在宅医療提供体制のさらなる整備が期待されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25215
2018年、病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄していないか―全国公私病連  
2019年3月6日|医療現場から MedWatch

 2017年から18年にかけて、病院の平均在院日数は延伸している。病床利用率を維持するために「在院日数短縮の努力」を放棄している可能性も考えられ、各病院において「病床の規模は、地域の医療ニーズに照らして適正か」を客観的に考えていく必要がある。また病院経営は依然厳しく、全体の75%近くの病院が「赤字」である―。

 こういった状況が、全国公私病院連盟が2月26日に公表した2018年の「病院運営実態分析調査の概要」から明らかになりました(全国公私病連のサイトはこちら(概要)とこちら(図表1)とこちら(図表2))(前年の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 病院の平均在院日数は短縮しているが、、、
2 病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も
3 2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行
4 赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る
5 入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

病院の平均在院日数は短縮しているが、、、

 この調査は、全国公私病連に加盟している病院等について、毎年6月分(項目によっては6月末日)を対象に行われており、2018年調査では915病院から回答を得ています。設立母体別の内訳は、▼自治体:443(調剤客体の48.4%)▼その他公的:215(同23.5%)▼私的:225(同24.6%)▼国立・大学付属等:32(同3.5%)―となっています。

 まず平均在院日数を見てみると、病院全体では14.92日で、前年(14.84日)から0.08日延伸してしまいました。

 一般病院の平均在院日数を病床規模別に見ると、次のような状況です。
▽全体:14.32日(前年から0.11日延伸)
▽700床以上:12.94日(同0.34日延伸)
▽600-699床:11.34日(同0.45日短縮)
▽500-599床:12.10日(同0.32日延伸)
▽400-499床:12.70日(同0.18日短縮)
▽300-399床:14.35日(同0.38日延伸)
▽200-299床:17.32日(同0.14日短縮)
▽100-199床:23.35日(同0.08日短縮)
▽99床以下:22.03日(同1.41日短縮)
 
 前年に比べて、とくに大規模の病院で「延伸」が目立ちます。大規模な病院では急性期入院医療を提供しているケースが多く、今般の結果から「急性期入院において在院日数の短縮に限界が来ている」と見ることもできます。しかし、先進諸国と比べて我が国の急性期入院医療の平均在院日数が長いことが知られており、次項の「病床利用率」とあわせて考えると、違う景色も見えてきそうです。

病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も

 次に病床利用率を見ると73.37%で、前年同月(73.18%)に比べて0.19ポイント向上しました。

 一般病院の病床利用率を、病床規模別に見ると次のような状況です。
▽全体:72.39%(同0.29ポイント低下)
▽700床以上:77.44%(同0.63ポイント向上)
▽600-699床:75.86%(同0.53ポイント向上)
▽500-599床:75.99%(同0.01ポイント向上)
▽400-499床:72.52%(同0.39ポイント向上)
▽300-399床:68.90%(同3.64ポイント低下)
▽200-299床:69.90%(同1.42ポイント低下)
▽100-199床:71.64%(同0.25ポイント低下)
▽99床以下:67.54%(同0.16ポイント低下)
 
 400床以上では向上、400床未満では低下とくっきり分かれています。利用率だけを見れば「大規模な病院で新規患者獲得等の努力が実を結んでいる」と見ることができるかもしれません。

 しかし、前述した平均在院日数の動向と併せて見てみると、「大規模病院では、病床利用率を維持するために、平均在院日数を調整している(少なくとも短縮に向けた努力を抑えている)」のではないかという可能性が考えられるのです。

 メディ・ウォッチでは、たびたびお伝えしていますが、病院の収益性を高めるためには平均在院日数を短縮するとともに病床利用率を向上させることが不可欠です(在院日数短縮のみで、病床利用率向上を目指さなければ単なる減収になってしまう)。利用率向上のためには「重症な紹介患者の獲得」や「救急搬送患者の積極的な受け入れ」などが重要ですが、地域によっては人口減少傾向に入っており、限界があります。このため、病床利用率の低下を抑えるために、平均在院日数の短縮に向けた努力を放棄してしまうケースもあります。

在院日数の短縮、つまり早期退院には▼ADL低下の防止▼院内感染リスクの軽減▼患者のQOL向上(経済的な面も含めて)―などのメリットがあり、すべての入院医療で進めるべきテーマです。ただし、「病院の経営を二の次にして、在院日数短縮を進めよ」と求めることも非現実的です。

この点、医療現場では「地域の医療ニーズを踏まえたダウンサイジング、再編・統合」を進めると同時に、行政(厚生労働省)では「DRG/PPS」などの1入院当たり包括支払い方式の検討を進める必要があると考えられます。

2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行

 次に患者数の動きを見てみましょう。2018年6月における1病院当たりの入院患者は前年同月(7531人)に比べて209人減の7322人、外来患者も929人減の1万1337人となっています。

 一般病院の入院患者数を病床規模別に見てみると、次のようになっています。在院日数の延伸によって、入院患者が見かけ上増加していると考えられるでしょう。
▽700床以上:2万987人(同836人増)
▽600-699床:1万5795人(同116人増)
▽500-599床:1万3078人(同166人減)
▽400-499床:1万625人(同289人減)
▽300-399床:7702人(同101人減)
▽200-299床:5707人(同95人増)
▽100-199床:3552人(同46人増)
▽99床以下:1514人(同77人増)
 
 また外来患者数は、次のようになっています。
▽700床以上:3万4209人(同553人減)
▽600-699床:2万5170人(同247人減)
▽500-599床:2万1303人(同1639人減)
▽400-499床:1万6869人(同319人減)
▽300-399床:1万2120人(同454人減)
▽200-299床:8777人(同282人減)
▽100-199床:5577人(同349人減)
▽99床以下:2972人(同320人増)

 99床以下を除き、外来患者数が前年から減少していることが分かります。厚労省は「大病院は専門・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院やクリニックが担当する」という外来機能分化の方向を描いており、また病院経営という面で見ても、スタッフの負担や収益性などを考慮すれば「大病院で軽症の外来患者を多く受け入れる」ことは好ましいことではありません。

今般の結果から見られる「大規模病院の外来患者減少」は、こうした方向に沿っていると見ることができます。ただし、中小規模の病院における外来患者の減少は、「地域ニーズにマッチしていない」ことや、そもそも「地域ニーズが減少している」可能性もあるため、十分な分析が必要です。

赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る

 さらに、病院の規模の違いを除外するために、2018年6月における「100床当たりの収支」を見てみましょう。

総収益は1億9836万7000円で、前年(1億9896万1000円)に比べて60万円・0.3%の微増となっています。一方、総費用は2億1117万6000円で、前年(2億1095万円)に比べて22万6000円・0.1%の微増です。赤字基調(赤字額は1280万9000円)で、赤字幅は前年に比べて82万円拡大しています。

 収益の内訳を見ると、▼入院収入:1億2963万7000円(前年に比べて44万6000円・0.3%増)▼外来収入:5778万3000円(同99万3000円・1.7%増)―など。

 一方、費用の内訳としては、▼給与費:1億792万6000円(同67万5000円・0.6%増)▼材料費(医薬品・医療材料):5256万8000円(同9万円・0.2%減)▼委託費:1607万円(同8万円・0.5%増)▼減価償却費・1393万1000円(同31万8000円・2.3%増)―などとなっています。
 
2018年6月の医業収益を100とした場合、医業費用は106.7(前年より0.5ポイント増加)で「医業だけに絞っても赤字」となり、また、給与費は55.6(同0.5ポイント増)、材料費(医薬品・医療材料)は27.1(同0.1ポイント増)という状況です。
 
 また黒字病院と赤字病院の比率を見ると、2018年は黒字26.4%、赤字73.6%となっています。赤字病院の比率は、前年に比べて4.6ポイント減少しており、病院経営の厳しさが増していると考えられそうです。
 
 なお、「医師の働き方改革」に関連して、「医師の負担」をどう軽減するかが重要課題となっています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。この点、「医師1人・1日当たり患者数」を見てみると、入院の平均は4.3人で前年から増減ありません。患者数が多いのは、▼精神科:14.3人(同0.3人減)▼リハビリ科:13.7人(同1.2人増)▼整形外科:7.9人(同0.2人減)—などの診療科となっています。
 
またDPC病院における「医師1人・1日当たりの診療収入」(入院)を見てみると、平均では22万6000円で、前年から増減ありません。診療科別で見ると、▼心臓血管外科:52万4000円(同2万4000円増)▼リハビリ科:45万7000円(同3万円減)▼整形外科:44万6000円(同2000円減)▼循環器内科:41万1000円(同9000円増)▼脳神経外科:40万5000円(同1万7000円減)―など、診療科によってバラつきがあります。

入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

 最後に、DPC病院について、主な診療科別の入院患者1人1日当たり診療収入(つまり単価)を見てみると、次のような状況です。自院の状況と平均とを比較してみてください。
▽総数:6万500円(同900円増)
▽内科:4万8100円(同増減なし)
▽呼吸器内科:4万7000円(同1500円増)
▽循環器内科:9万4100円(同700円減)
▽消化器内科:5万300円(同800円増)
▽皮膚科:4万3000円(同増減なし)
▽小児科:6万6600円(同100円減)
▽外科:6万7300円(同1100円増)
▽呼吸器外科:9万6400円(同7200円増)
▽心臓血管外科:15万5600円(同4100円増)
▽消化器外科:7万5100円(同2200円増)
▽脳神経外科:6万6600円(同3300円増)
▽整形外科:5万9800円(同1600円増)
▽小児外科:10万9400円(同3300円増)
▽産婦人科:6万6900円(同2500円増)
▽リハビリ科:3万8100円(同6000円減)
 
診療科によってバラつきがあり、「呼吸器外科では大幅向上」「リハビリ科では大幅減少」などが目立ちます。



https://globe.asahi.com/article/12171782
英国のお医者さん
家庭医ってどんな医者?トリブリッドな視点が生み出す調和とバランス
 
2019.03.04 朝日新聞 GLOBE

みなさん、家庭医というと、どんな医者をイメージしますか?

家族を診る医者、町医者、幅広く診る医者...。

これらは決して間違いではありませんが、必ずしもそうとは限りません。前回お話ししたプライマリ・ケア同様、家庭医がどういった医師であるかをご存知の方は少ないと思いますし、ご存知でも、誤解されていることがある印象です。今回はそんな家庭医の知られざる姿についてお話しします。

一言で言うと、家庭医は、「プライマリ・ケアを専門とする医師」です。世界で関心が高まっているプライマリ・ケアを強化していく上で欠かせないピースの一つと国際的に言われています。聞き慣れないかもしれませんが、内科や外科などの医師と同様に重要な役割を担う、専門の研修を受けた医師です。日本でも家庭医としての働きが期待される「総合診療専門医」の育成がいよいよ始まろうとしています。

ただ、この家庭医という医師を分かりやすく説明するのは簡単ではありません。なぜなら、家庭医の本質は「患者・地域のニーズに応える」ことで、これらニーズは千差万別であるため、これが家庭医!とひとくくりのイメージで表現するのは難しいのです。家庭医は自分が診る問題を自分で定義しません。加えて、家庭医の仕事は国の制度にも影響を受けるので事はより複雑です。水が注がれた器によって形を変えるように、また家庭医も状況に合わせてその姿を変えていく存在です。

こうした専門性をより良く発揮するために、家庭医は以下のように「部分」「全体」「自分」を見る3つの視点を持ち、状況に応じてこれらを使い分けるがことできる「トリブリッド型」とも言える医師です。

(1)部分を見る視点(細胞・臓器・病気・治療など)
(2)全体を見る視点(患者を人としてまるごと・家族・地域社会・システム・国・世界など)
(3)自分を見る視点(医師としての知識・技術のみではなく、自己の感情・姿勢・価値観など)

なぜ家庭医にとってこの3つの視点が重要なのか?

医療の専門家としてはまず、部分を診る(1)の視点は不可欠です。けれども、家庭医の専門性である「患者・地域のニーズに応える」ことをより良く行うためには、ものごとの一部にとらわれず全体にも目を配る(2)の視点も必要になります。また、患者のことをより良く知るためには、(3)の自分を診る視点が欠かせません。なぜなら、自分の外をより良く知るためには自分の中を知ることが必要になるからです。例えば、医師自身の感情や姿勢、価値観という内面によっても患者が医師に伝える情報は変わってくる上、医師によるその情報の解釈さえも変わってきます。

健康問題の原因やその影響の多くは単純ではなく複雑です。そのため、部分を見て、全体を見て、自分を見て、それらの結びつきを理解することが重要です。

ここまではやや抽象的な話になりましたが、では、家庭医の専門的な能力とは具体的に何でしょうか?家庭医は、その柔軟性を持ってニーズに応えようとすることで、前回でまとめた現代医療の課題のすべてに対応できるよう発展してきました。そのため、現代版プライマリ・ケアのすべての要素にフィットする専門性を持っています。ここでは主な6つを紹介します。

(1)あらゆる相談に乗り、適切なサービスへと導くゲートオーブナー

家庭医は、保健医療サービスの玄関口として、すべての人のあらゆる健康上の問題や相談に対応します。どの問題を何科で相談すればいいのか、迷う必要はありません。また、外来診療の他にも電話相談や在宅診療など、サービス利用者のニーズに合わせた多様な受診方法を提供します。

もちろん家庭医がすべての問題を解決できるわけでも、すべきでもありません。けれども、複雑で専門性の高い保健医療という世界の中で患者が適切なサービスを受けられるよう、責任を持ちます。

チームケアを基本とし、他の様々な職種や各科医師と連携を取り、必要に応じて、他科の医師や他の医療機関はもちろん、介護・福祉など、適切なサービスへと導いていく「ゲートオープナー」とも言える存在です。チームが役割分担し、連携し合うことによって、お互いの専門性をさらに高めていくことができます。

これを適切に行うには、自分が何を知っているかよりも、何を知らないかを知ることが重要で、家庭医はこのマインドを大切にする文化を持っています。一方で、前回お話ししたように、いつ医療を提供しないべきかを理解し、判断することも大切で、家庭医はこれに長ける医療者でもあります。

(2)当事者本人を中心に据えたケア

医療に絶対的な正解はありません。ですから、医学的な視点、患者の視点、両方を大切にしながら、何が問題なのか、それぞれのシチュエーションにあった解決策は何かを一緒に考えます。二人三脚で事を進める医療のパートナーの存在によって、医療がもっと身近で主体的なものになります。患者が本当に伝えたいことを伝えられるように、医師は聞き上手、引き出し上手である必要があります。また、難しい医学情報をわかりやすく伝えられるように説明上手である必要もあります。こうしたコミュニケーションスキルを専門的に学び、それと同時に自分自身を知るトレーニングも受けます。

(3)環境に応じた適切な臨床アプローチ

第6回で、地域や病院といったリスクの違う環境によって、求められる臨床アプローチが本質的に異なることについてお話ししました。家庭医はそれを理解し、環境に応じた適切な臨床アプローチを取ることができます。加えて、地域は基本、患者が初めに医療サービスを受診する場であり、曖昧な症状が早期に、かつ多様に訴えられる環境です。また、複数の慢性的な病気や複雑な問題の対応も求められます。家庭医はこうした状況にも適切に対応できる専門のトレーニングを受けます。

(4)生活や地域の目線を持った包括的なケア

生活や地域の目線に沿った広い視野も家庭医には求められます。食生活、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣に関するアドバイスや、予防接種や検診などの予防も含めて、個人だけではなく地域全体に健康を広める役割を持ちます。また、必要に応じて地域の介護支援専門員などとも情報を共有しながら、介護と医療の連携を図ります。

(5)安全性と高い質を保ち、個人と地域のニーズのバランスを取る

患者を第一に考える家庭医は、提供するサービスの質と安全性にこだわります。だからこそ、その科学的裏づけ(エビデンス)を大切にします。一方で、地域のニーズにも応えるため、その地域で利用可能な資源の分配にも気を使います。結果、家庭医は患者個人のニーズと地域のニーズが相反する際に上手くバランスを図るバランサーでもあるのです。

(6)患者を人としてバランス良くサポート

現代医療で見失われがちな、患者を一人の人間として診ることを家庭医は大切にします。人間が人としての感情を内に秘め、家族、社会といった集団の中で生活する心理的・社会的存在でもある以上、訴えられる身体的問題のみに表面的に対応するだけでは、健康における重要な側面を見逃してしまいます。例えば、風邪の症状で頻繁に医療機関にかかる一人暮らしの高齢患者に対し、その影にある社会的孤立や寂しさ、メンタルヘルス、喫煙といった状況にも注意を払うことができなければ、問題のより良い解決は難しいでしょう。

このように家庭医は、患者・地域のニーズにより良く応えることを専門とするゆえの多面性を持っていて、調和とバランスを大切にします。家庭医が本当はどういった医師であるのか、少しでもお伝えできたら幸いです。

次回からは、話の内容をイギリスに移していきます。

澤憲明 英国GP
1980年富⼭県⽣まれ。英国GP(General Practitioner)。レスター⼤医学部卒業。英国初期研修を経て、2012年英国GP専⾨医研修・試験を修了。現在、英中部リーズ近郊の診療所にて勤務。NHK『視点・論点』、NHKスペシャル⽇本新⽣『⽇本の医療は守れるか?〜“2025年問題”の衝撃〜』などに出演。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664435
<シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
時間外「1920時間以上」、産婦人科医の4人に1人
筑波大・石川氏らの調査、厚労省水準6割が「長い」
 
レポート 2019年3月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 筑波大学ヘルスサービス開発研究センターの石川雅俊氏は、「全国の産婦人科医師の勤務実態等を踏まえた医師の働き方改革の推進に向けたアンケート調査結果(暫定値・速報)」をこのほど公表、時間外労働が過労死水準に当たる年960時間以上の医師が65.5%、年1920時間以上の医師も27.1%で、月5回以上当直をしていた医師は52.7%と半数を超えるなど、過酷な勤務実態が改めて明らかになった。

 「勤務環境を理由に病院をやめたい」あるいは「勤務環境を理由に産婦人科をやめたい」と1年以内に考えたことのある医師はそれぞれ63.0%、40.2%。「希死念慮あり」と回答した医師も3.0%おり、勤務環境の改善が急務なことが確認された。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、時間外労働の上限を「年1900~2000時間」(2月の調査開始時点。現時点では年1860時間)を軸に検討しているが、39.1%が「とても長い」、19.0%が「やや長い」と回答、合計で約6割に上った。一方で、「ちょうどよい」「短い」と回答したのは計22.0%。「分からない」は20.0%。

 適正な勤務時間については、「週60時間以下」という過労死水準以下の水準を求めていたのは計77.4%。

 厚労省は、時間外労働上限の特例として「年1860時間」を認めるのは、「勤務間インターバル」と「連続勤務時間制限の導⼊」などが条件。「とても厳しい」「やや厳しい」の合計は、「勤務間インターバル」82.1%、「連続勤務時間制限の導⼊」82.0%で、いずれも8割を超えた。

 石川氏は、「厚労省において現在、医師の働き方改革に関する検討が進められている。しかし、診療科別に見ると、産婦人科医は最も時間外労働が長い水準にあるにもかかわらず、公の場で現場医師の意見が表明される機会は限定的」と述べ、「暫定値・速報」ながら、結果を公表したのは、議論が佳境を迎える厚労省の検討会の議論に間に合わせるためだと説明。

 「働き方改革を本当に推進するためには、過労死水準に十分に配慮した時間外労働時間の上限を設定するとともに、勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏は指摘する。労働時間の短縮や医師の健康確保に係る施策、労働に対する対価の支払いなどに加えて、タスク・シフティング、医療機関の集約化や医師の地域・診療科偏在対策などを強力に進めていく必要があると考えている」(石川氏)。

 調査は、2018年度の文部科学省科学研究費補助金による研究。2019年2月18日から開始、全国の分娩取り扱い施設893病院を通じて、個々の産婦人科医にWebアンケートへの回答を依頼した。労働時間等は、直近の1週間(外勤・アルバイトを含む)について聞いた。

 今回の暫定値・速報では、3月3日時点で、194施設、864人から得た回答を集計した。回答者の属性は男性49.8%、女性50.2%。年齢は、30歳未満8.5%、30歳代42.3%、40歳代24.3%で、50歳未満が計75.1%を占める。本記事で紹介した時間外労働の項目以外にも、調査項目は多岐にわたる。

 タスク・シフティング「労働時間1時間以上短縮可」は65.8%

 「勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏が指摘するのは、現在厚労省から示されている宿日直の定義を踏まえた「労働時間」を試算したところ、時間外労働にカウントされない宿日直が一部あることから、年1920時間以上の医師は、「勤務時間」ベースより7%少なかったからだ。「厚労省は、時間外労働時間の上位10%を上限とする提案をしている。仮に厚労省の宿日直の定義を踏まえると、上位10%の水準はもう少し下がるはずだ」と石川氏。

 もっとも、そもそも「過労死水準」以下に抑えるべきだというのが石川氏の考え。そのための方策として、重要視されるのがタスク・シフティング。今回の調査では、事務作業系、診療行為系の両方について選択肢を提示し聞いたところ、「今後は移管すべき」項目、「今後も移管すべきでない」項目、「両者が拮抗した」項目は、以下の結果だった。

・今後は移管すべき:オーダー代行、紹介状や退院サマリーの代行入力、症例登録、造影剤や化学療法のラインの確保、オンライン診療、患者からの問い合わせへの対応、胎児エコー、ルーチンの薬の処方、陣発時や破水時の内診など。
・今後も移管すべきでない:電子カルテの代行入力、陣痛促進薬の開始、手術の助手、会陰切開・会陰縫合、術中の麻酔・呼吸・循環管理など。
・両者が拮抗:胎児スクリーニング、陣痛促進薬の調節、産後1カ月健診、術後の創部管理

 「働き方改革による医療の質・安全への影響」は、「かなり向上する」「やや向上する」が計37.9%、「変わらない」20.2%、「やや低下する」「かなり低下する」が計26.2%(残りは、「分からない」)。

 タスク・シフティングによる労働時間の短縮は、「2時間以上」20.2%、「1時間以上2時間未満」45.6%。タスク・シフティングで、時間外労働の短縮は期待できるものの、さらなる短縮を進めるために、医療機関の集約化などの必要性を石川氏は説く。



https://www.m3.com/news/general/664465
東京・公立福生病院:透析中止 「独断専行、事実ない」 福生市長、問題受け  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をやめる選択肢を示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、病院は8日、「(女性の)家族を含めた話し合いが行われ、記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はない」とするコメントを発表した。

 病院を運営する「福生病院組合」の管理者である加藤育男・福生市長と、松山健院長の連名。女性の死亡について「悪意や手抜きや医療過誤があった事実もない」と主張している。また、都が6日に実施した病院への立ち入り検査や日本透析医学会が設置した調査委員会の調査を念頭に、「第三者機関の検査結果等も待ちつつ、早急な事実関係の把握に努め、適正に対応する」としている。

 一方、東京都の小池百合子知事は8日の定例記者会見で「患者の意思確認が適切にされていたのかどうか、一連の経緯を含めて確認を進めている」と述べた。

 また、立ち入り検査の結果などを踏まえ、「医療法に基づき適切な指導を行っていく」との考えを示した。【梅田啓祐、森健太郎】

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https://www.m3.com/news/general/664462
東京・公立福生病院:透析中止で女性死亡 「腹膜透析」示さず 治療法限定  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で外科医(50)から人工透析治療をやめる選択肢を提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、女性に対して「腹膜透析」という別の治療法の説明はなく、「血液透析」をやめるか続けるかという二つの選択肢しか示されなかった。透析治療に詳しい関係者は「医療を受ける患者の権利が奪われている」と指摘している。

 透析治療には(1)腕などに針を刺したり首周辺から管(カテーテル)を入れたりして血液を浄化する血液透析(2)腹腔(ふくくう)内に透析液を入れて毒素や老廃物を取り除く腹膜透析――の2種類がある。女性は腕からの血液透析が難しくなったため、昨年8月9日、福生病院を受診。外科医は、首周辺に管を挿入する治療法と、「死に直結する」という説明とともに透析治療をやめる選択肢を示した。同席した夫(51)によると、外科医はこの際、腹膜透析を女性に示さなかった。翌10日には腎臓内科医(55)も女性と面談したが、説明はしなかった。

 腹膜透析は腹部に管を一度埋め込む必要があり、血管ほど長期間は使えず、10年程度が限界とされる。一方で、針を刺す必要はなく、透析液の交換も1日1~4回。生活の自由度は比較的高いといわれる。厚生労働省は「外国と比べ、腹膜透析や腎移植が普及していない」として、普及・推進が必要との立場だ。日本腎臓学会や日本透析医学会などによると、血液透析と腹膜透析は相互移行ができる。

 外科医と腎臓内科医は「(腹膜透析を)やってできないことはなかった」としたうえで、「女性の容体を考えた時、数カ月で血液浄化に不具合が出る。かなり困難と判断したので提示しなかった」と説明している。

 女性の長男(28)によると、女性は血液透析の針を刺す痛みを嫌がっていたという。長男は「母は生前、『痛くないなら透析を受けたい』と話していた」と話す。透析治療に詳しい春日井市民病院(愛知県)の渡辺有三院長は「すべての治療法が提示されておらず、患者の権利が奪われている」と指摘する。

 一方、遺族によると、女性は1999年に抑うつ性神経症を発症し自殺を図ったことが3回あったという。外科医は当時、この病歴を把握していなかったことを毎日新聞の取材に認めた。【斎藤義彦、田口雅士】



https://www.m3.com/news/general/664424
透析中止で死亡「密室で独断専行してない」 病院が反論  
地域 2019年3月8日 (金)配信朝日新聞

 腎臓病患者の40代女性が人工透析治療を中止し、死亡していた公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)で、医師が終末期ではない患者に透析治療をしない選択肢を提示していたことがわかった。透析をしない選択をした約20人のうち複数が死亡したとみられる。このほか、透析中止後に死亡した患者が女性以外に3人以上いることも判明。日本透析医学会の提言から逸脱している可能性もあり、学会は来週後半にも病院に立ち入り調査に入る方針だ。

 福生病院は8日、透析治療をめぐる手続きについて「多職種で対応し、家族を含めた話し合いが行われ、その記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はございません」とのコメントを公表し、病院の対応に問題はないとの考えを示した。

 都などによると、福生病院では2013年以降、腎臓病患者149人が受診。透析を始めるかどうかの相談の際に、医師が透析をしない選択肢も示していた。学会の提言では、透析を中止もしくは始めないことを検討できる状況について、全身の状態が極めて悪い場合などに限定。しかし福生病院では、終末期のように極めて悪い状態でなくても透析をしないことを検討し、実際に約20人が透析を選ばなかった。病院側はいずれのケースでも、患者の同意書をとっていると説明しているという。



https://www.m3.com/news/general/664399
東京・公立福生病院:医師から透析中止提示 「命諦めろ」感じた 治療継続の患者親族  
2019年3月8日 (金)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をしない選択肢を外科医(50)から提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、外科医は昨年、終末期ではない80代女性と70代男性に治療中止の選択肢を示し、いずれも断られていた。分路(シャント)に障害が発生した場合などに「(治療中止の選択肢を)必ず提示している」と外科医は話している。【斎藤義彦】

 関係者によると、腹腔(ふくくう)に透析液を入れ、腹膜を利用して老廃物を除去する「腹膜透析」をしていた80代女性は昨年3月、腹膜が使えなくなったため外科医に相談。外科医は女性の親族に対し、首周辺に管(カテーテル)を入れて透析を継続する治療法とともに「中止する選択肢もある」と話したという。

 親族は「『透析する人は国のお金をたくさん使っているので、もう透析はしないでほしい』『命を諦めろ』と言われたように感じた」という。結局、女性は管にしたが、ショックを受けた親族は治療中止の選択肢を示されたことを女性に明かせなかったという。

 また昨年11月、40年以上透析を続けている70代男性が、血液交換のために針を入れる血管の分路の検査で病院を受診したところ、外科医から「透析をそのままやっていくのか?」「今後分路が使えなくなった時、透析をしない選択もある」と中止の選択肢を示された。男性は承諾しなかった。

 妻は「今までそんなことを言われたことは一度もなかった。医療が変わったのか」と振り返り、男性も「(家族もいて)自分だけで決められない」と戸惑ったという。

 分路に障害が出た場合などに「(透析中止の選択肢を)必ず提示する。(透析継続という)選択肢を取らない決定も当然あるべきだ」と外科医は話す。そのうえで、透析は延命治療で、腎不全は治らないことを理解した上で患者が治療法を選ぶべきだと主張。「適正な選択の話を聞いていないから患者は衝撃を受ける。最初から聞いていれば普通に考えられる」とし、「『さじを投げられた』と感じる患者もいるが仕方ない」と話している。



https://www.m3.com/news/general/664334
来週にも学会が病院調査へ 透析中止の女性死亡で  
2019年3月8日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で昨年8月、腎臓病の女性=当時(44)=に医師が人工透析治療をやめる選択肢を示し、治療中止を選んだ女性がその後死亡した問題で、日本透析医学会が設置した調査委員会が来週にも、病院に調査に入る見通しであることが8日、関係者への取材で分かった。

 医師だけでなく病院が組織としてどう対応したか、患者の生命に関わる判断をチェックする仕組みが院内にあったかなどを確認。2014年に学会の作業班が作成した透析治療の継続や中止に関する提言に沿って今回の手続きを行ったかどうかも調べる見通しだ。

 調査委員会は委員長の土谷健(つちや・けん)・東京女子医大教授のほか、腎臓が専門の医師委員6人、国会議員や弁護士などの外部委員5人で構成し、結果のまとめを急ぐ。

 根本匠厚生労働相は8日の閣議後記者会見で、病院を立ち入り検査した東京都や日本透析医学会の対応について「注視していきたい」と述べた。

 病院の運営組合を構成する福生市と羽村市、瑞穂町も8日までに事実関係の把握に乗り出した。病院側は「2市1町に説明する機会をつくる」と説明しているが、時期の見通しは立っていないという。

 福生病院では昨年8月、医師が腎臓病を患った女性に、治療継続と治療をやめる選択肢を両方提示、治療中止のリスクも説明した。女性は治療をやめることを決め、意思確認書に署名。その後、体調が悪化し死亡した。東京都は今月6日、病院の管理運営体制を確認するため、医療法に基づき立ち入り検査した。



https://www.m3.com/news/general/664264
病院「透析選ばなかった患者20人」…死者も  
2019年3月8日 (金)配信読売新聞

 東京都福生市の「公立福生病院」の医師が、腎臓病患者の女性に人工透析治療をやめる選択肢を示し、中止を選んだ女性が死亡した問題で、同病院がほかにも、透析治療を検討するために来院した患者に対し、透析治療を行わない選択肢を示していたことがわかった。病院側は都に「透析治療を選ばなかった患者は約20人」と説明。死亡した患者がいるとみられ、都は事実関係を調べている。

 都によると、同病院は過去に、他の医療機関からの紹介で来院し、これまで透析治療をやったことのない患者に対して、透析をしなければ命に関わるとの説明をした上で、今後の治療で透析治療を行わない選択肢を示していたという。

 病院側は都に、透析治療を受けないと決めた患者約20人は大半が高齢者と説明しているという。

 日本透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析治療の見合わせを検討する状況について、「患者の全身状態が極めて不良」「患者の生命を著しく損なう危険性が高い」などとしている。

 都は今後、約20人についても、カルテや患者の生死の確認、関係した医師の聞き取りなどを行い、一連の医療行為が適切だったかどうかを慎重に調べる。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。



https://mainichi.jp/articles/20190305/k00/00m/040/249000c
複数主治医制が必要 医師の働き方改革で自民PT提言  
毎日新聞2019年3月5日 20時29分(最終更新 3月5日 20時29分)

 医師の働き方改革を巡り、長時間労働是正のために「複数主治医制」の普及や救急車利用の適正化が必要だとする提言を5日、自民党のプロジェクトチーム(PT)が大筋でまとめた。厚生労働省は一連の働き方改革で、地域の医療体制維持のため、一部医師の残業時間を一般労働者の2倍の年1860時間まで容認する方針で、PTは負担軽減には患者側も意識を変える必要があるとしている。今月末に厚労省に提出する。

 提言案では、医師の長時間労働を改善するために「医療機関への正しいかかり方の啓発と、国民の意識改革が必要」と指摘。日本の医療は入院患者の診察から手術、術後の経過観察まで1人の主治医が担う形が一般的だが、診察と手術に別々の主治医を置くことを検討すべきだとした。軽症での夜間・休日の受診を控えることや、軽症と判断した場合は救急搬送を見送ることなども課題に挙げた。

 厚労省は医師の負担軽減策として、一部の医療行為や患者への説明を看護師に移管する「タスク・シフティング」の導入を目指している。PTは人員確保に向けた財政措置や、医療機関への人工知能(AI)などのシステム導入の支援を求めた。【酒井雅浩】

自民PTの主な提言内容
・複数主治医制
・救急搬送の適正化
・タスク・シフティングに向けた環境整備
・AIなどのシステム整備の支援



  1. 2019/03/10(日) 15:57:55|
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