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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月20日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190115_23029.html
<むつ総合病院>非常勤医をヘリで送迎 医師不足対策で全国初の実証実験へ 
2019年01月15日火曜日

 むつ市のむつ総合病院は2019年度、非常勤医師をヘリコプターで送迎する実証実験を始める。青森県内の都市部からの「通勤圏」とすることで、医師不足対策につなげるのが狙い。全国的に例がなく、医師不足に悩む地域の「処方箋(せん)」になるか注目される。
 実証実験は、仙台市のヘリ運航業者と委託契約を結び、弘前大病院(弘前市)や県立中央病院(青森市)から応援に来る医師を送迎する計画。ドクターヘリのような緊急時の診療ではなく、通常の診察に当たる医師を対象とするのが特徴だ。
 むつ総合病院まで車だと弘前市から片道約2時間45分かかるが、ヘリ利用なら約30分で到着できる。青森市からの所要時間は約2時間から約20分になる。
 むつ市は現在、運転の負担軽減を図るため、車による医師送迎を試行している。ヘリを使った送迎に伴う時間短縮などの実証が加わることで、日帰りでの医師派遣が可能になり、ローテーションが組みやすくなることが期待される。
 19年度は、数回のヘリ実証実験を予定しており、費用は数千万円の見込み。病院運営主体の市は、国や県の補助金で利用できるメニューがあるかどうか探している段階だが、前例がなく難航している。該当する補助事業が見つからない場合は単独で予算を付ける。
 むつ総合病院は、必要医師数61人に対し、常勤医は41人にとどまる。脳神経外科、心臓血管外科など9科で常勤医がおらず、派遣に頼っている。
 むつ市によると、ヘリを使った医師送迎は長崎県の離島で実施しているが、都市部と陸地でつながる地域での実施例はない。高速道路網が未完成の下北半島は、非常勤医の通勤が大きな負担になっている。
 宮下宗一郎市長は「常勤医をすぐに増やすことは難しい。医師がヘリで通勤できる環境を整えて常勤医のような勤務ローテーションを確立し、医療水準の向上を目指したい」と話した。



https://www.asahi.com/articles/ASM1L1VZ1M1LULBJ001.html
勤務医労組や過労死遺族、残業年2千時間案に反対 
姫野直行 2019年1月18日09時00分 朝日新聞

 医師の働き方改革を検討する厚生労働省が、一部の医師の残業上限時間を年1900~2千時間とする案を示したことを受け、勤務医の労働組合「全国医師ユニオン」が17日、緊急声明を出した。憲法や労働基準法に違反する可能性がある働き方改革は許されないとしている。

 声明は、厚労省案が法の下の平等を定めた憲法14条や「生存権」を定めた憲法25条のほか、労働基準法にも違反すると指摘。「医師不足や医師の偏在は医療政策の失態。医師個人に責任を転嫁することは言語道断」と批判した。同ユニオンが2017年に行った勤務医労働実態調査で4割の医師が健康に不安をもっており、51・6%が労働時間規制に賛成していたという。

 過労死した医師の遺族も反対を表明した。小児科医だった夫を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子共同代表が会見に同席。遺族からの「働く医師たちの命を守るためではなく病院が罰則を受けないでいいように検討された案にしか思えない」や「医師の過酷な勤務を知っていたら娘を医師などにはさせなかった」などの意見を紹介した。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190115-OYTET50005/
地域医療の医師残業上限「年2000時間」厚労省提案…一般の倍、疑問の声も 
2019年1月15日 読売新聞

 医師の働き方改革について厚生労働省は11日、地域医療に従事する勤務医の残業時間の上限を「年1900~2000時間(休日労働を含む)」とする案を有識者検討会に提示した。医師不足の解消が見込まれる2035年度末までの特例とする。一般労働者の2倍にあたる長時間労働を容認するもので、委員の一部からは疑問の声も上がった。検討会で議論を重ね、同省は3月末までに結論を出す予定だ。

 特例の対象は、救急や周産期などを担う地域の医療機関で、やむなく長時間労働にあたる医師に限る。医師の仕事の一部を看護師など他職種に移管する「タスク・シフティング」を計画的に推進することを義務付け、労働時間の削減を図ることとしている。

 一方、一般の医療機関の勤務医については、一般労働者と同じ水準で、休日労働を含め年960時間を提案した。脳卒中などで労災認定される目安の「過労死ライン」(月80時間超)を踏まえた。長時間労働による医師の健康悪化を防ぐため、地域医療に従事する勤務医について、次の始業まで9時間の間隔(インターバル)を空けるなどの健康確保策を義務付ける。一般の医療機関の勤務医に対しては努力義務とする。

 この日の検討会では、残業時間の上限を巡り、医師側の委員から「地域医療を守ることを考えると、やむを得ない」と容認する意見が出された一方、労働側からは「2000時間は長すぎる。いつ労働災害が起きてもおかしくない」と批判する声も聞かれた。

 小児科医の夫(当時44歳)を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子さん(62)は検討会を傍聴後、「医師も家庭を持つ一般の労働者。長時間労働を、医師個人に押しつけるような基準は作らないでほしい」と訴えた。



https://www.medwatch.jp/?p=24431
地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革は相互に「連環」している―厚労省・吉田医政局長 
2019年1月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「地域医療構想」「医師偏在対策」「医師の働き方改革」は、別個の施策ではあるが、それぞれが「連環」している。ゆえに、どれか1つの施策でも順調に進まなければ、他の施策も進まなくなってしまう―。

 1月18日に開催された2018年度の「全国厚生労働関係部局長会議」において、厚生労働省医政局の吉田学局長は、こう強調しました。
 
 全国厚生労働関係部局長会議は、厚労省幹部から、次年度(今回は2019年度)における厚生労働行政の重要事項を、都道府県等の保健福祉担当者に情報共有する場です。

ある施策の進捗が遅れれば、他の施策の進捗に影響が出てしまう

 医療提供体制の確保に関しては、医療計画の策定をはじめとして都道府県が大きな役割を担い、特に次の3点が最重要事項として掲げられています。
▽地域医療構想の実現
▽医師の地域偏在対策
▽医師の働き方改革

 少子高齢化が進行し医療従事者の確保などが困難になる中で、良質な医療サービスを確保するために、「医療提供体制改革」が重要テーマとなっています。より効果的・効率的な医療を提供するために、地域において「2025年における医療ニーズ」を勘案し、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期等―の必要病床数(病床の必要量)などを定める「地域医療構想」が策定され、現在、その実現に向けて、地域医療構想調整会議等での議論が進められています。

地域医療構想の実現に向けた「当面の重点事項」としては、本年度(2018年度)中に「すべての公立・公的医療機関等の具体的対応方針(担うべき機能や病床数など)について、地域医療構想調整会議で合意形成する」ことがあげられます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
また、医師の地域偏在対策については昨年(2018年)の改正医療法・医師法において、▼医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度(将来、地域医療支援病院等の院長要件とするなど)の創設▼都道府県における医師確保対策の実施体制の強化(新たな「医師偏在指標」に基づいて、地域の医師確保状況を「見える化」し、医師多数地域から医師少数地域への派遣等を促進する)▼医師養成過程を通じた医師確保対策の充実(都道府県知事から大学医学部へ「地域枠」「地元枠」などの創設を要請する権限を付与するなど)▼地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応(地域の外来医師配置状況を「見える化」するなど)―といった対策がとられます。

現在、厚労省の「医師需給分科会」で、新たな医師偏在指標の策定などが進められており、2019年度中に各都道府県で「医師確保計画」(医療計画に包含される)を策定し、2020年度から実施することになります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 
また医師の働き方改革については、一般労働者と異なる「医療の特殊性を踏まえた時間外労働上限」等を定め、これを2024年4月からスタートさせる(上限超過の場合には、院長等の管理者に罰則が科せられる)ことになります。あわせて、それまでの間に、医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)やマネジメント改革を進めて、医師の労働時間そのものの短縮化を図るとともに、「研鑽と労働の切り分け」「新たな宿日直許可基準の制定」なども進められます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

「医療の特殊性を踏まえた時間外労働上限」については、一般の勤務医については「年960時間・月100時間未満」とし、救急医療など地域医療の確保などに欠かせない医療機関については「年1900-2000時間程度以内」とすしてはどうか、との提案が厚労省からなされていますが、賛否両論があり、現在、調整が進められています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

また、医療機関等に勤務する「医師以外の医療従事者」(看護師や理学療法士など)、「事務職員」などには、今年(2019年)4月から、新たな「時間外労働の上限」(平日:月45時間・年360時間まで、臨時的な必要がある場合:年6か月に限り休日込みで月100時間かつ年720時間まで)が適用され、これを超過する場合には、やはり院長等の管理者に罰則が科せられることになります。

 
吉田医政局長は、これら3重要施策(地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革)がそれぞれ「連環」しており、どれか1つの施策でも進捗が遅れれば、他の施策も進まなくなってしまう、と指摘。

例えば、「地域医療構想の実現」が遅れれば、「どの医療機関がどういった機能を担い、そこではベッドを何床確保するのか」などが明確になりません。これは、「地域で必要な医師数」把握に大きな影響を及ぼします(つまり「偏在対策」が遅れる)。さらに、医師の労働量は「医療機関における医師数の多寡」とも大きく関連するため、「医師の働き方改革」が遅れることにもつながります。

一方、「医師の働き方改革」の重要項目であるタスク・シフティング等が遅れれば、「地域で必要な医師数」が明確にならず(把握に影響が生じる)、これは「地域医療構想の実現」論議を遅らせる原因にもなります。

このため吉田医政局長は、都道府県に対し「各施策の適切な進捗管理を行う」よう強く要望しました。

もちろん、都道府県のみでこれら3施策を円滑に進めることが困難な場面も出てくることから、厚労省が、すでになされているデータ提供等に加え、「企画立案や総合調整を行う人材」育成などで都道府県を支援していきます。さらに吉田医政局長は、都道府県が自ら、地域の有識者(大学やシンクタンクの研究者や実務家)などを把握し、協力を得ることで「地域の総合力を高める」ことが重要になると吉田医政局長はコメントしています(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/652692
シリーズ 平成の医療史30年
「最大の危機」は2025年から10年間【平成の医療史30年◆厚労行政編】
医療機関再編、医師働き方改革が引き金に- 鈴木康裕・厚労省医務技官に聞く◆Vol.3
 
2019年1月19日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――データヘルス改革が進めば、研究開発だけでなく、日常診療の適正化、診療報酬をはじめ政策決定の際のエビデンスなどにも使うことが可能。そうなると、医師の役割、仕事の内容が相当変わってくる可能性があるのでしょうか。

 すごく変わると思います。AI(人工知能)の影響も大きく、医師の働き方、役割も相当変わってくると思います。例えば受付で、タブレット端末で症状を入れる。検査値もデジタルに送付される。その結果、考えられる診断が提示されれば、医師が常に最新、かつ膨大な知識を覚える必要性もなくなってくるでしょう。それにより、医師による治療のばらつきも是正され、標準化が進むのではないでしょうか。

 そうなった時に、外科系で必要な手技処置を除けば、医師の仕事は、対人関係がメーンになってくるでしょう。目の前にいる患者さんに病状と治療法の選択肢を説明し、患者さんにいかに理解してもらうか。いかに納得して治療法を選んでもらうかが、重要になってきます。変化の激しい時代ですが、今の若い医師にとっては、エキサイティングな時代なのではないでしょうか。


現状での一番の課題は、医師の働き方改革だという。
――さまざまな変化に医療が適応できるよう、「バックキャスティング」な視点で支援、あるいは牽引していくのが行政の役割。

 ただ難しいのは、技術の進歩があまりにも早く、かつ民間の方が進んでいる場合もあり、難しさもあります。私が今使っているのは、第3世代のApple Watch。米国で使われている第4世代のApple Watchには、心電計が入っており、医療機器としてFDAに承認申請して、承認を取得していますが、日本ではApple社がまだ開発に着手していない状態です。正確な診断に用いるなら高い精度が必要ですが、何らかの異常が感知された際に医療機関の受診を促すためのものであれば,技術の進歩を阻害しないように,適切なverificationのレベルを考える必要があるかもしれませんね。

 AIを利用した医療機器も同様です。AIの特徴は教師データを蓄積して「賢くなる」わけです。ところが、承認審査はある時点での効果と安全性を見ているので、それ以降、変化し得るものについては現状では簡単には承認を与えられません。「進化を止めろ」とは言えないので、AIの特性を踏まえた規制や承認の在り方を考える必要があり、厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会のとりまとめに基づいて検討を進めているところです。

――地域医療構想という発想も、「バックキャスティング」という考えから生まれてきた。

 要はメリハリだと思うのです。「平時」は従来のやり方でも問題ないと思いますが、「有事」はそれでは間に合わない。団塊の世代が2025年に75歳を超えると、その後は高齢者の数自体はあまり増えませんが、80歳を超えると医療、介護のニーズがさらに高まります。しかも今は単独もしくは夫婦のみの世帯が半数以上を占め、平成初期と比較しても、高齢者の暮らし方が大きく変化しています。

 その一方で、働く人が減っています。「2025年から10年間くらい」と私は見通しているのですが、それが「最大の危機」であり、それをどう乗り切るかが問われています。

 これは二つの結果を導きます。一つは保険料や税金を支払う人が減少し、財政的にはものすごく厳しくなること。もう一つは、特に労働集約的な医療や介護の分野では、担い手を探すことが大変になることです。労働力人口減少のスピードに合うだけの施策を厚労省が打ち出せるか――。例えば2030年までにロボットやAIの活用などで人がやっている仕事を何%まで代替するか、あるいは改正出入国管理法で海外からの労働者をどのくらい受け入れるかなどを具体的に考えなければいけません。そのための準備は1年や2年でできることではありません。2025年まではあと6年しかありません。

――地域医療構想は、うまく機能すると見ておられますか。

 公的病院が大半を占めるドイツやフランスとは異なり、民間病院が8割以上を占める日本では、合併や集約化などは容易ではありません。今、公立・公的医療機関の改革プランが先んじて策定されています。短期的視野では見えにくいですが、5年後、10年後に医療ニーズは大きく変化します。急性期医療への志向が強く、そこにこだわっていると、手をこまねいている医療機関は立ち枯れてしまう懸念があります。それをいかに病院トップに理解してもらうかが、地域医療構想では重要です。

 特に私は医療機関再編の引き金になるのが、医師の働き方改革だと思います。1つの医局に医師が3、4人しかいなければ、当直体制を組むのは容易ではありません。将来のニーズを提示した上で、「ここは周産期、ここはがん、あるいは循環器」などと役割分担をし、診療領域ごとにハイボリュームセンターを構築していかないと、医師の働き方改革は乗り切れないと思います。

 地方の県では大抵、1つの大学から病院に医師を出しています。各病院の運営主体を一つにするのは難しいでしょうが、関連病院間の連携を強くして、お互いの役割分担を進めることは可能でしょう。それを進めるのが、地域医療構想だと理解しています。

 要は医療に対する情熱と義務感を持った有能な行政官が、どれくらい都道府県にいるかどうかにかかっています。

――最後にお聞きしますが、厚労省の今の一番の課題、あるいは「立ち後れている分野」は何だとお考えですか。

 今の一番の仕事は医師の働き方です。若い医師たちの働き方、あるいは医療機関の経営問題であるだけでなく、管理者である院長の資格問題でもあるのです。改正労働基準法では病院の運営管理者に罰則規定が設けられています。懲戒罰が科せられると、医道審議会にかけられ、医師免許の停止等も含めて議論されることにつながりかねませんます。病院の院長は医師でないとできませんから、免許停止となれば、院長を務めることはできません。

 もちろん、医師の健康管理は重要です。インターバル規制や連続勤務規制、産業医による健康管理などを実施しなければいけませんが、合理的な範囲の基準を決めないと、地域医療の問題にもなりかねません。施行は改正労基法施行から5年後の2024年4月ですが、2019年3月までに、時間外労働の上限規制等の基準を決めなくてはいけません。

 ただ2024年4月までには、実態調査を再度行うことも必要になってくるでしょう。地域の救急医療が守れない、あるいは病棟の当直が回らないなどの問題がないかどうか、本当に省令で決めた基準で大丈夫かどうかを検証する必要があります。調査の結果、基準自体の微修正を議論することも必要になるかもしれません。

 何をもって当直、時間外労働とするのか、また自己研鑽の定義などは、必ずしも省令で厳密に書くわけではありません。その解釈によっては、上限が実態として動く可能性があります。その際の対応なども考えなければいけないと思います。

 「立ち後れている分野」の一つとして挙げたいのが、児童精神保健。今、子どもの虐待などが問題になっています。虐待には精神発達遅滞が一定程度関係しているとされ、乳幼児健診などの段階で早期発見し、支援の手を差し伸べることが、虐待を防ぐことになります。厚労省管轄する乳幼児健診から、文科省管轄の学校保健までつなぐことが必要で、そのためには児童精神保健分野の専門医なども必要になってきます。

――人生100年時代、高齢者についても、フレイル対策などが重要になってきています。治療ではなく、予防的な視点が全世代にわたり、必要になってきているということでしょうか。

 そうだと思います。財政制度等審議会などでは「予防にこれ以上、お金を使うのは無駄だ」という意見がある一方、経済産業省などからは「医療費抑制のためには予防が重要」といった声が上がっています。私はその中間の立場。今の健診はリピーターが多い。毎年健診を受ける人もいれば、全然来ない人もいます。大事なのは「来ない人」の行動をいかに変容させるかです。

 食事や運動の習慣の詳細を聞き出し、その改善をじっくりとアドバイスするような取り組みは、管理栄養士や保健師などが向いているでしょう。総合的なプランづくりと総責任は医師が担い、実際の日々の生活に対する詳細なサービス提供はコ・メディカルが行うなど、予防にはチームで取り組んでいく視点が求められます。



https://www.medwatch.jp/?p=24349
勤務医の年間時間外労働上限、一般病院では960時間、救急病院等では2000時間としてはどうか―医師働き方改革検討会 
2019年1月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2024年4月から、勤務医の時間外労働上限時間を「年960時間・月100時間未満」とするが、地域医療の確保を踏まえ、対象を限定した特例として「1900-2000時間程度以内」と設定する。これにより、現在の「勤務医の10.5%が1920時間を超える時間外労働を行っている」状況を改善する―。

1月11日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)で、厚生労働省からこういった提案が行われました。

労働組合代表の構成員は反対していますが、病院経営者サイドはもとより、勤務医サイドからも「現実的な提案だ」との高く評価する声が数多く出されています。
 
ここがポイント!

1 まず「超過重労働をしている勤務医」の労働時間を、2024年3月までに短縮
2 厚労省案に救急医も「現実的」と高い評価、ただし医療機関の集約化等が必要
3 長時間労働となる医師の健康を確保するための「追加措置」を準備

まず「超過重労働をしている勤務医」の労働時間を、2024年3月までに短縮

勤務医の時間外労働上限については、医療の特殊性(不確実性・公共性・高度の専門性・技術革新と水準向上)に鑑み、一般労働者の上限(平日:月45時間・年360時間まで、臨時的な必要がある場合:年6か月に限り休日込みで月100時間かつ年720時間まで)とは異なる、次のような規定としてはどうかとの議論が検討会で進んでいます(関連記事はこちら)。

(A)勤務医に適用される上限を設定する(ただし、▼連続勤務時間制限▼勤務間インターバル確保―などの追加的健康確保措置1を努力義務とし、上限超過勤務医に対する▼医師による面接指導▼面接結果を踏まえた就業上の措置(ドクターストップ)—などの追加的健康確保措置2を義務とする)

(B)医師養成には10年程度の時間が必要で、すぐに「全医療機関でA水準とする」ことは地域医療確保が困難になることから、Aを超える上限を対象医療機関を限定して設定する(ただし、上述の追加的健康確保措置1・2のいずれも義務とする)

(C)「将来にわたる我が国の医療水準の維持・向上」のために、研修医や若手医師を対象とするAを超える上限を、対象医療機関を限定・特定し、かつ勤務医本人の申請を基に設定する(ただし、上述の追加的健康確保措置1・2のいずれも義務とする)
 
 1月11日の検討会では、A・Bの上限、および追加的健康確保措置1・2について厚労省から具体案が示され、これに基づいた議論を中心に行いました。
 
 まず(A)については、「診療従事勤務医に2024年度以降適用される水準」として、「休日込みで年960時間・月100時間未満」とする考えが提示されました。

年960時間を単純に12か月で除せば「1か月当たり80時間」に、さらに4週間で除せば「1週間20時間」の時間外労働となります。例えば週に1度、労働に該当する日当直を行えば、それだけで「時間外労働が15時間」となり、当該週の他の勤務日に可能な時間外労働は「合計5時間」にとどまることになります(1日1時間程度)。
 
 
また(B)については、「地域医療確保暫定特例水準」として、「休日込みで年間1900-2000時間程度以内」とする考えも提示されました。(B)水準を採用できる医療機関は、都道府県が特定することととなり、例えば、医師の労働時間短縮等を進めても(A)水準実現が困難な、▼救急医療・在宅医療提供体制のうち「特に予見不可能で緊急性の高い医療ニーズ」に対応するためのもの(2次・3次救急など)▼5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)・5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)▼特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替困難な医療機関(高度のがん治療、移植医療、児童精神科など)―を提供する病院が考えられます。

(A)と同じように考えると、「1週間40時間程度」の時間外労働となり、例えば、週に1度、藤堂に該当する日当直を行う(かつ当直明けは昼まで勤務)とともに、他の勤務日に各4時間程度の時間外労働を行う、というイメージです。

もちろん、この(A)(B)の水準は「上限」であり、地域医療で重要な役割を果たす病院において、全勤務医が「2000時間の時間外労働を強いられる」わけではありません。現在、10.5%の勤務医が、「脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準」の2倍となる年間1920時間を超えて労働を行っている(さらに1.8%の勤務医は、「脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準」の3倍となる年間2880時間超)実態がありますが、こうした超過重労働を、「まず2024年度までに(B)の水準」にまで抑えることが第1目標と言えます。さらに厚労省は、医師の働き方改革(タスクシフティングやマネジメント改革など)を進め、「暫定特例水準の時間(1900-2000時間)は段階的に引き下げていく」「2035年度(2036年3月末)までに、暫定特例水準を廃止する」(つまり、少なくとも勤務医の時間外労働時間は研修医等を除き年間960時間までとする)との考えも示しています。
 
厚労省案に救急医も「現実的」と高い評価、ただし医療機関の集約化等が必要

この提案について、労働組合代表の立場で参画する村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)や森本正宏構成員(全日本自治団体労働組合総合労働局長)は、「そもそもABCの骨格そのものにも問題がある」「2000時間とは、一般の労働者2人分超の労働であることを十分に認識すべきである」「年2000時間は月160時間程度に相当し、いつ労働災害が発生してもおかしくない水準であることを十分に踏まえる必要がある」点を強調し、厚労省の提案に反対しています。

一方、医療提供サイドから参画する委員は、経営者(院長等)はもちろん、救急現場等で尽力する勤務医からも「現実的である」との高い評価が出ています。

例えば岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、(B)の「1900-2000時間」について、「米国の研修医程度であり、一定の安全性が確保されていると考えることができる」「今後、5年間に働き方改革を進め、なんとか実現できるのではないか」と見通しました。

また救急医療に従事する赤星昂己構成員(東京女子医科大学東医療センター救急医)は「年間2000時間という数字のみを見ると長いようにも思えるが、実際の勤務形態に落とし込めば『短い。逆に実現可能なのか』と感じる。妥当な提案ではないか」とコメント。また同じく臨床に従事する三島千明構成員(青葉アーバンクリニック総合診療医)も「研修医はB水準よりも長時間労働をしており、勤務間インターバルなどを組み合わせた良い提案である」と高く評価しました。

  
ただし、赤星構成員は「B水準を実現するためには、医療資源の集約(例えば病院の再編・統合など)が必須となる」、岡留構成員は「2036年3月でのB水準廃止は、医療現場の状況などを調査し、改めての議論が必要である」などの注文も付いています。このうち「医療資源の集約化」については、「検討会のとりまとめ骨子案」に向けた議論においても山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)らから、その必要性が強く指摘されています。

地域医療構想の実現に向けた議論が進められ、そこでも「医療資源の集約化」(病院の再編・統合など)が進んでおり、今後の極めて重要なキーワードになることでしょう。

長時間労働となる医師の健康を確保するための「追加措置」を準備

ところで、(A)の「勤務医全体の水準」でも時間外労働上限は一般労働者よりも長く設定います。このため、上述のように「追加的健康確保措置1・2」が努力義務化・義務化されます。村上・森本両構成員の指摘するように「健康」確保が極めて重要となるのです。

これまでに、追加的健康確保措置1に関しては、例えば▼連続勤務時間は28時間以内▼勤務間インターバルは9時間(日当直明けは18時間)―などといった案が厚労省から示され、これらをベースに議論が進められています(関連記事はこちら)。

また追加的健康確保措置2は、例えばA対象医療機関(年960時間・月100時間)でも、緊急手術などで「月100時間を超える時間外労働が緊急的に生じる」ことがあります。またB対象医療機関では、長時間労働が発生しやすいため、医師の健康を確保するために「産業医等が当該医師に面談を行い、必要な対策(例えば就労の一時的停止など)をとる」などといった仕組みです。ただし、「時間外労働が月100時間を超過した」、その時点で確実に面談を行うことを求めるのは非現実的です。今後、▼ICT等を活用した勤務医の精神・肉体の健康状態モニタリング▼面接を行う医師の第三者性(当該医療機関からの独立性)確保▼健康確保措置が確実に実施されるような支援策―などを検討することになります。

 
 なお、こうした労働時間の短縮を進めるためには、「医師から他職種へのタスクシフティング」などが重要になります。この点に関連して、戎初代構成員(東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)や中島由美子構成員(恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)らから、改めて「ナースプラクティショナー制度の創設」が提案されました。特定行為研修を修了した看護師と異なり、「医師等の包括的指示」を受けずに、自身の判断で一定の医行為を実施できる看護師を育成せよとの提案です。

ナースプラクティショナー制度の「検討」は、医師の働き方改革に向けて非常に重要であり、この点に反対する構成員は皆無です。ただし、「時間外労働の上限」設定や「追加的健康確保措置」とは性質の異なる議論であり、検討会の議論がややぶれてしまうのは非常に残念でもあります。検討の場を変えて、改めて議論することが必要でしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/652940
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「大学病院こそ危機意識を持ち、10年後に960時間を目指す」と宣言を - 渋谷健司・東大教授に聞く
1920時間は過大、PDCAで漸減する体制が必要
 
2019年1月15日 (火)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省での「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が、大詰めを迎えている。焦点は時間外労働(休日労働を含む)の上限。同省は、「年間960時間」を基本とするものの、地域医療を適切に確保するための「地域医療確保暫定特例水準」として「年間1900~2000時間」という案を提示、研修時期を想定した「一定の期間集中的に技能の向上のための診療を必要とする医師を対象とする水準」も設定する方針。
 過労死水準をはるかに超える上限設定に、医療界内外から批判、懸念の声が高まっている。同検討会の副座長で東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏は、「1920時間を容認するような組織が存続できるとは思えない。大学病院こそ、早期に960時間を目指すと宣言すべき」と警鐘を鳴らす(2019年1月14日にインタビュー)。

――先生は、1月11日の「医師の働き方改革に関する検討会」の最後に、迫井正深審議官に考え方を質しました(『時間外上限「地域医療確保暫定特例水準」1900~2000時間』を参照)。どんな思いからだったのでしょうか。


 やはり「どこを目指すのか」というゴールを明確にしないと誤解を生むからです。まず、(法施行から5年後に)全ての医師の時間外・休日労働の上限が「1920時間」であるという誤解。そしてもう一つは、一部の医師への特例がなくなる2035年度末まで、1920時間未満の時間外勤務を放置するという誤解。迫井審議官は、目標は960時間であることを明言、(日本医師会副会長の)今村聡先生も、検討会の中で、「960時間」と言っていた。総論としては「ゴールは960時間」であることを検討会全体で確認できたのはよかったと思います。

 また11日の検討会で評価したいのは、「とりまとめ骨子案」において、昨年末の最後の検討会での案から修正され、3つの大きなメッセージが盛り込まれたこと(『働き方骨子案たたき台「現場の医師の声盛り込むべき」副座長が苦言』を参照)。

 一つ目は、基本的な考え方に、「長時間労働の医師の自己犠牲により支えられている我が国の医療は、危機的な状況にあるという現状認識を共有することが必要である」という一文が入ったこと。改革には、まず危機感の共有が一番大事です。

 二つ目は、医師の働き方は、医師だけの問題ではなく、国民全体の問題であるという視点が盛り込まれたこと。私が座長を務めた「上手な医療のかかり方を広めるための検討会」の『「いのちを守る、医療を守る」国民プロジェクト宣言!』(2018年12月)の提言が具体的に記載されました。

 最後は医師の働き方改革は、労働時間の短縮だけではなく、医療機関の集約化・重点化、タスク・シフティング、国民の医療のかかり方などを全てパッケージで実施しないと動かないということ。これらを改善せずに、労働時間の短縮だけを進めれば、「医師が足りない」し「地域医療は保てない」となってしまう。

 さまざまな改革をパッケージでやらなければいけないという指摘は、私が座長だった「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(2017年4月に報告書)から言っていること(『新たなビジョン、利害調整では生まれず - 渋谷健司・厚労省ビジョン検討会座長に聞く◆Vol.1』などを参照)。「医師の働き方改革に関する検討会」は当初、時間外労働の問題を主に議論することになっていましたが、最終的にはビジョン検討会で議論した内容も盛り込まざるを得ません。

 一方で、「960時間」をいつ実現するか、そもそも特例の「1920時間」という数字が妥当なのかという問題があります。約2万人の医師(その多くは大学病院や基幹病院の勤務医)が、1920時間以上の時間外労働をしています。「1920時間」という数字は、労働者側は「高い」と指摘、これに対し大きな医療機関の経営者などにとっては「結構踏み込んだ」というイメージ。しかし、構造的課題や慣習によって、大学病院や基幹病院の生産性が低く、今の時代の国民や社会のニーズに合った医療ができていないのも事実。そのしわ寄せが、そこで働く若手医師に来ており、結果的に2000〜3000時間という過労死水準をはるかに超えた長時間労働が常態化しています。

――「1920時間」という数字よりも低く設定すべきだと。

 はい。この数字は、ビジョン検討会の過程で2016年に実施した「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」に基づくもので、調査自体は信頼性の高いものです(『医師10万人調査、結果公表!』を参照)。

 もっとも、この時は、自己研鑽や宿日直の定義を明確にせずに、「勤務時間」を「労働時間」としてカウントしています。今回の検討会で議論した自己研鑽や宿日直の定義を当てはめると、実際の「労働時間」は「1920時間」よりも短くなるはずです。「1920時間」という数字は、「労働時間」が過大評価されている可能性が高く、ここ数年で労働基準監督署の立ち入りなどがあり、全国の病院で少しずつ働き方改革が進んでいます。2016年のこの数字をカットオフ値として使うことにそもそも無理がある上、現状維持になりかねません。

 「毎月勤労統計」でのミスを指摘される中、厚労省は今こそ、自己研鑽や宿日直の扱いを定義し、医師の勤務実態について、信頼回復をかけて透明性と妥当性をもった調査を行うべきではないでしょうか。

 医師については、法施行から5年後、つまり2024年度から罰則付きの時間外労働の上限規制が始まります。しかし、働き方改革は、5年後に法律が施行されてから始めるのではなく、今から始める現在進行形のものなのです。それは、病院の魅力化プロジェクトそのものです。「1920時間」を認めるなら、それまでの間は現状をほとんど変えなくて良いことになってしまう。さらに「1920時間」の特例解消期限が、2035年度末までとなっていますが、それでは「時間外勤務960時間以上の医師はいない」というゴールとの整合性が取れません。

 私が座長を務めて2015年6月にまとめた「保健医療2035」では、「2035年には、日本は健康先進国へ」というキャッチフレーズを出しています。それは国民の健康寿命の延伸だけでなく、医療者を含めた医療システムが健康であるべきという意味です。2035年度に960時間を超えて働いている医師がいるという国を「健康先進国」と呼べるでしょうか。そもそも2035年度末を待つ必要はなく、「時間外勤務960時間以上の医師はいない」医療提供体制を10年後くらいには実現するくらいのスピードで改革を実行すべきではないでしょうか。

 つまり、2024年から開始する時間外労働の上限規制の特例は、「1920時間」よりも、さらに短く設定する必要があります。かつ厚労省は定期的に医師の労働実態を調査し、現状を把握。着実にPDCAを回し政策効果の判断を行い、適宜、カットオフ値を見直して、労働時間の漸減を図っていく仕組みを構築すべきです。実態調査の際、注意すべきは、大学病院の事務方や医療機関の経営者などに回答を任せるのではなく、現場の医師個人を対象に調査するということ。文部科学省が不正入試の調査で大学に回答をさせたことで、逆に信頼を失ったことを肝に銘じるべきでしょう。

 そして今議論すべきは、「960時間」を目指すために、何をすべきかということ。時短は目的ではなく結果であるべきだと思うのですが、医師の働き方改革については、時短を目標にしなければならないと思うようになりました。そうでないと、結局できない理由ばかりを述べて、既得権益や構造的課題を変えずに、現状維持する力が働きがちだからです。今まで以上に、改革にドライブをかける力強いメッセージを出さないと、動かないと思います。今の医療は既に持続不可能です。医師の働き方改革は、「10年後を見据えて、持続可能な医療を取り戻すこと」だと考えるべきです。

――「1920時間」の特例が認められるのは、一部の病院ですが、「特例が認められる病院」と分かった時点で、医師がそこに行かなくなるのでは、と思います。

 ブラック病院にわざわざ行く人がいるとは思えません。先ほど、既得権益と慣習と言いましたが、長時間労働でも医師が来ると思っている組織があるわけです。全てとは言いませんが、一部の大学病院や基幹病院。

 検討会の議論では、厚労省や日本医師会は現実的で、歩み寄りをしているわけです。従来、日医はタスク・シフティングには慎重でしたが、「とりまとめ骨子案」の中に、「現行制度の下でのタスク・シフティングを最大限推進しつつ、看護師が医師の直接的な指示なく対応できるなど、それぞれの医療専門職種が自らの能力を生かし、より能動的に対応できる仕組みを整えることは重要」との一文が入りました。

 最も危機感がなく、当事者意識に欠け、現実離れしているのは、大学ではないでしょうか。「大学病院は、臨床以外に、研究や教育もやらなければいけない。重症患者も多く人が足りずに大変」と言われます。それも一部事実だと思いますが、大学病院は生産性が低く、タスク・シフティングが進んでいないのも現状。大学病院の生産性の低さは、医師の実態調査のデータに基づき中村利仁先生(夕張市立診療所医師)らが示しています。「タスク・シフティングを進めると、医療の質が低下する」との意見もありますが、救急外来においてはそれを否定する研究結果が出ています(「救急外来診療における特定行為看護師(修士)の貢献を測定する研究」 国際医療福祉大学病院の白石佳奈、志賀隆ら)。

 いまだに大学病院には、「無給医」といった前近代的な慣習も残っています。大学病院、そして、各医療分野のプロが集まる医学会こそが、医療の専門家としての矜恃を持って、医師の働き方改革を宣言し、「1920時間はあり得ない。長すぎる」と訴え、前向きに改革を進めるべきではないでしょうか。若手医師たちは、大学病院、そして将来の医療を維持する生命線。2035年度末まで「1920時間」を容認するような体制、組織が存続できるとは思えません。

 もちろん、病院単位の改革には限界がありますし、大学病院の人的リソースの縛りや報酬なども再検討すべきです。だからこそ、国家政策として病院機能の集約化・重点化、タスク・シフティングを進める環境整備、そして国民の医療の適切なかかり方の推進などを総合的に進める必要があるわけです。「960時間」に向けて、国を挙げて取り組む決意を示せるかどうかによって、日本の医療の将来は決まってくると思います。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t318/201901/559451.html
シリーズ◎2020診療報酬改定
地域医療構想、2年間の集中検討の結果を検証へ
 
2019/1/15 土田絢子=日経ヘルスケア

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」は2018年12月21日に会合を開き、今後の議論の方向性を確認するとともに、山形県、福岡県、大阪府の地域医療構想の取り組みをヒアリングした。

 地域医療構想では、2017~18年度に各構想区域の医療関係者が集中的な検討を行い、公立・公的病院の経営方針について地域医療構想調整会議で合意を得ることとされている。厚労省は21日の会合で、2年間の集中検討の終了を見据えて、その結果を何らかの方法で検証し、地域医療構想の実現に向けた課題を整理する必要があるという方向性を示した。検証方法などを検討するため、これから数回の会合で病院関係者などからのヒアリングを重ねる。

 21日のヒアリングでは、山形県の地域医療構想アドバイザーを務める山形大学医療政策学講座教授の村上正泰氏が同県の現状を報告した。人口減少が進む同県では比較的早くから統合再編が行われてきたが、その後も人口減少が進んでさらなる再編が必要になる例があることや、調整会議に関する複数の課題を挙げた。

 例えば、山形県の置賜二次医療圏では2つの市立病院と町立病院、町立無床診療所を再編して、基幹病院である公立置賜総合病院(520床)と2病院、2無床診療所を設立した事例がある(図1、図2)。この再編により地域で812床分の132床が削減された。ただし、2000年の置賜総合病院の開設後も人口減少による急性期医療ニーズの低下が続いたため、同院は一般床496床のうち100床程度の削減を計画しているという。

 置賜二次医療圏では、このほか公立病院と民間病院の統合再編も計画されている。米沢市内で急性期を担う米沢市立病院と医療法人三友堂病院が地域医療連携推進法人を設立して、米沢市立病院が急性期を、三友堂病院が回復期を担う機能分化を行う予定だ。

 村上氏は調整会議の課題として、(1)必要病床数や病床機能などを正しく理解するために時間を消費してしまう、(2)急性期医療の集約化に際して、「各病院が等しくダウンサイジング」「急性期機能をどこかの病院に集約化」「複数の病院を統合再編」などといった方法のうちどれが最適かの議論が欠落しがちである、(3)公立病院では首長の意向に運営方針が左右される、(4)病院が経営方針を発表しても協議に至らず「報告会」となりやすい――などを挙げた。

 このうち(3)に関しては、ほかのワーキンググループ構成員からも同様の課題認識をしているとの意見が相次いだ。公立病院のあり方は地域住民からの関心が高い。選挙での集票を意識した首長により、地域の医療ニーズの実態とはそぐわない急性期の設備強化がなされることがあるという。

 このほか、同日のヒアリングでは産業医科大学公衆衛生学教室の村松圭司氏が福岡県の現状を報告するとともに、「構想区域を類型化して、似た状況の構想区域の中で、機能分化・連携の進み具合を相互に比較することも有効」と紹介した。大阪府私立病院協会会長の生野弘道氏(社会医療法人弘道会理事長)は、大阪府の地域医療構想の現状として、全ての病院が参加する「病院連絡会」を今年度設置したことを報告した。大阪府では医療提供体制が整っており、公民の役割分担を進めて、民間の医療機関が担えない機能を公立・公的病院が強化する必要があることを指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/653911
医師の残業上限「2000時間」は厚労省“案”
地域医療の提供体制、医師偏在解消と三位一体で
 
レポート 2019年1月18日 (金)配信大西裕康(m3.com編集部)

 厚生労働省医政局局長の吉田学氏は1月18日、都道府県、指定都市・中核市に施策内容などを説明する「全国厚生労働関係部局長会議」で、医療機関を特定した上で医師の時間外労働時間の上限として暫定的に認める「地域時間外医療確保暫定特例水準」を、「年間1900~2000時間」とする案を1月11日の「医師の働き方改革に関する検討会」に示したことについて、「具体的な数字については、これから議論があるので、まだ事務局の提案ということ」と述べた。その上で、「上限なので、全ての方がこの時間まで働くわけではない」と強調し、今後の議論の方向性については、「現場に落とし込むとどういうことが起こるのか、それがどういう形で医師一人一人の健康を確実に守ることにつながるのか、ということ」と説明した(「医師の働き方改革に関する検討会」の状況については『時間外上限「地域医療確保暫定特例水準」1900~2000時間』を参照)。
 吉田氏は、2025年の医療に関する受給バランスを推計した上で地域医療の在り方を見直す「地域医療構想」に基づいた体制整備と、医師の地域偏在解消、そして医師の働き方改革の3つが「それぞれ連環し、絡み合っている」と指摘。その上で、「労働時間に関する規制通りにするには、個々の医療機関で労働時間などの管理を努力しながら、偏在を是正し、地域が必要とする医療を可能にする体制を地域医療構想に基づき形作る。単独で走らせてもうまくいかない」と三位一体で進める必要性を強調。「それを都道府県単位で進めている。都道府県に進行管理していただき、国としてはご意見をうかがいながら、支援策、財政なのか、データなのか、やるべきことを用意し、対話しながら進めていきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/653875
「できるだけ日中に受診」が最優先、市民のアクション
医療現場を守るためには「義務教育から変えるべき」
 
レポート 2019年1月19日 (土)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

 医療危機への対策として、市民や医療提供者、行政がやるべきアクションを示した「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授)(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)。本調査では、「市民」に示した4つのアクションで最も取り組むべきものについて質問したところ、m3.com会員の44.7%が「夜間・休日よりも、できるだけ日中に受診」と回答。「夜間・休日に受診で迷ったら#8000や#7119の電話相談を利用」が29.2%で続いた。

Q 懇談会が示した市民のアクション例の中で、最も取り組むべきことは?
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 市民が最もやるべきアクションについて、医師会員の約5割は「夜間・休日よりも、できるだけ日中に受診」と回答。次点は「夜間・休日に受診で迷ったら#8000や#7119の電話相談を利用」で、27.3%だった。一方で、薬剤師と看護師は「#8000や#7119の電話相談を利用する」の回答率が、「できるだけ日中に受診」を上回った。全体で3番目に多かったのは、13.8%の「『信頼できる医療情報サイト』を活用し、まずは患者の状態を把握(国の認証を受けた信頼できる医療情報サイトを早急に作成)」だった。

Q 上記以外で効果があると考えるもの、やってほしいこと、成果を上げている具体的な取り組みなど、ご意見があればお書きください。

【できるだけ日中に受診】
数日前からある症状で、休みだからと時間外や休日に受診しない。職場は受診のできる環境を作る。【勤務医】
不必要な夜間受診は問題が多いと考えています。【勤務医】

【#8000、#7119に関して】
小児科では、休日夜間診療が、#8000で変わってきている。【開業医】
#7119の活用が広く知られるようになってほしい。【開業医】
軽傷と思われる場合の電話相談利用。【勤務医】

【医療情報を提供して!】
小児科では、日本小児科学会が作った『こどもの救急』というサイトがオススメです。【勤務医】
一般市民が、知りたい医療情報を簡単に取得できるように、区、都、国のHPの検索方法を分かりやすくしてほしいです。【開業医】
市民主催の市民のための市民公開講座の開催など。【勤務医】
医療情報サイトで緊急度の評価ができればよい。【勤務医】
抗生剤に限らず「風邪薬が欲しい」「点滴して欲しい」といった医学的に無意味な医療行為を要求することをやめれば、医療現場はもう少し余裕ができると思う。【開業医】
マスコミなどで、インフルエンザや胃腸炎ですぐに受診するように、という呼びかけをやめてほしい。他国では、胃腸炎の場合は受診せずに水分補給して自宅で安静にするように、という呼びかけがされているようで、感染管理の側面からも望ましい。【勤務医】

【やはり教育では】
「医療に関する基礎的な知識の向上」がゴールとなります。テレビプログラムなどを利用して「市民」の知識を義務教育レベルから向上させることが必要です。【勤務医】
正しい受療態度や保険証の使い方、救急医療の現状について等の啓蒙活動。【勤務医】
義務教育での知識獲得に尽きると思います。【勤務医】
健康に関するリテラシーの向上。小学校からの健康教育が大事である。【勤務医】

【根本的な啓発も…】
急病診療等のコンビニ受診の弊害や救急車の利用についての啓発。 【開業医】
医療の不確実性について理解してもらう。その不確実性に対して医師は最大限努力していることを理解してもらう。人間には徐々に老化し寿命に限りがあることを理解してもらう。教育。【開業医】
地域医療を支えるのも、破壊するのも市民であることを啓発する活動。【勤務医】

【普段の準備をお願い】
ドクターショッピングをしない。自己判断をせずに相談をする。まじめに治療に取り組む。医療機関にかからなくてすむように普段から健康に気を付ける。【開業医】
コンビニ受診をやめる。安易な受診をやめる。感冒薬や頭痛薬、虫刺されの塗り薬などは常備しておく。【開業医】
禁煙、減塩、運動、適正体重。ベタだけどちゃんとやれば効果はある 。目新しことばかりや何かを加えて(食べてとか飲んで)というのは商業主義に毒されている。【勤務医】
自分の健康管理は日頃から自らやっておくべき。禁煙、禁酒など、加えて適切な運動実施、がん検診の受診など。【勤務医】

【制度では?】
夜間休日診療所のセンター化。【勤務医】
啓蒙や良心に訴えるだけでは限界です。救急車利用の有料化、時間外診療費の増額などが有効な対策だと思います。【勤務医】
まずは家庭医。これが基本。どんな疾患も基本は家庭医。【勤務医】
救急車の有料化、小児の無料診療の廃止等でしょうか。【勤務医】

【その他】
理不尽な医療訴訟について考えてほしいと思います。【勤務医】
電話、メール、スカイプなどの診療体制を整えるとよいと思う。【開業医】
医療機関のネットへの悪いクチコミ、素人の間違った知識を書き込むなどについて制限かけるべき。【開業医】
薬手帳を必ず持参して。【開業医】
普段から、家族や友人と自分の最期についてはなしておく。【看護師】
死生観を持つ努力。【勤務医】
何でもかんでも総合病院にかかろうとする大病院信仰の是正。【勤務医】

【調査の概要】
調査期間:2018年12月25日(火)~2019年1月8日(火)
対象:m3.com会員
回答者数:2785人(開業医:421人/勤務医:1591人/歯科医師:19人/看護師:32人/薬剤師:656人/その他の医療従事者:66人)
回答結果画面:医療現場を守るために、市民がやるべきことは?



https://www.m3.com/news/iryoishin/653652
シリーズ 社会保障審議会
「かかりつけ医機能」等を追加、医療機能情報提供制度
医療部会、2月に省令・告示、有用性疑問視する声も
 
レポート 2019年1月17日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、1月17日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)で、医療機能情報提供制度の報告項目に、患者の適切な医療機関選択に資するよう「かかりつけ医機能」「病院の機能分類」などを追加する一方、不要な項目の削除を提案、了承を得た。今後、パブリックコメントを募集、2月の省令・告示の公布、施行を目指す。

 委員から出たのは、医療機能情報提供制度の有用性を疑問視する声。日本精神科病院協会会長の山崎学氏は、「患者が適切な医療機関を選択するための基本的な情報が抜けている」と指摘。例えば、心療内科を標榜する場合、その医師のキャリアについての情報が必要という意見だ。「国民目線での情報提供は考えられないのか」(山崎氏)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏も、現在の報告項目は、患者の利便性を第一に考えたものではない上に、各都道府県の医療機能情報提供制度のWebサイトも、稚拙なものから詳細なものまでさまざまあるものの、「役立っていない。行政の自己満足にすぎない」と問題視した。

 厚労省医政局総務課は、医療機能情報提供制度のWebサイト利用者へのアンケートでは、「使ってよかった」という回答が8、9割に上るものの、認知度は1割くらいしかない実態があるとして、「認知度をいかに高めていくかが課題であり、報告項目も引き続き改善していく」と回答。さらに厚労省の2019年度予算案では、都道府県ごとの公開方法の差をなくし、全国統一的な検索サイトの構築を目指し、その調査研究経費を計上していると説明。これに対し、中川氏は、「それは逆。各都道府県が独自に工夫してやっていかなければいけないのではないか」と返した。

ACP、「人生会議」、実効性を求める意見多々

 その他、厚労省は、2018年3月に報告書をまとめた「人生の最終段階における医療・ケアの普及・啓発の在り方に関する報告書」に基づき、普及・啓発を目指しているACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称が、「人生会議」に決定したことを報告(『ACPの愛称「人生会議」に決定、11月30日は「人生会議の日」』を参照)。今後、ロゴを募集するほか、各都道府県に普及・啓発に向けた取り組みを要請する。

 医師の働き方改革関連で議論した、「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の報告書(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)も説明した。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、ACPの普及・啓発について「愛称やロゴよりも、ACPで決めた中身が医療の現場で反映されることが大事」と述べ、救急隊が来た時に、意思決定が反映される仕組みを構築する重要性を強調。「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」報告書についても、「実効性のあることについて、もう少し議論を深めてもらいたかった」と述べた。例えば、医療の無料化が、乳幼児から拡大している現状には触れずに、医師の働き方改革で時間外労働の上限規制について厳しい議論がなされている状況に対し、「バランスの取り方としていかがなものか」と苦言を呈した。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏も、上手な医療のかかり方については、「75歳の高齢者か、子どもを持つ母親なのか、誰をターゲットにするかを明確にしないと効果がない」と指摘。医療の現場で問題になっているのは、老人ホームや高齢者住宅の入居者の救急搬送であるとし、これらの職員教育等も重要であるとした。

 上智大学法学部教授の岩田太氏は、総務省消防庁の「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する検討部会」で、心肺停止時等の救急隊員の対応の在り方について検討していると紹介。「今年度末で結果が出る予定だったが、まとまらない状況。厚労省もオブザーバーとして入っているので、消防庁と協力して、担当の医師と24時間連絡が取れるようにするのか、地域の中で連携体制を作るのかなど、厚労省からも働きかけをしてもらいたい」と要望。

 これを受け、中川氏は本来であれば厚労省で議論すべき内容ではないか、と指摘。厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、もともとは救急搬送の在り方の議論から出てきた話であるとし、心肺停止時等における救急隊あるいは医療側の対応という、二つの観点から議論していると説明。あくまで救急現場における救急隊の業務をまとめるのが目的のため、消防庁で議論しているというのが厚労省の受け止めだ。



https://www.m3.com/news/general/654006
山口大医学部:地域枠「拡大を」 知事、医師不足対策で要望 /山口 
2019年1月20日 (日) 毎日新聞 山口

 県内で働く医師を増やすため、村岡嗣政知事は17日、山口大医学部の推薦入試で県出身者を対象とした「地域枠」(定員15人)を拡大するよう岡正朗学長に求めた。大学側は実現に向け、月内に文部科学省へ要望を伝える方針。

 地域枠は、地方の医師不足対策として大学医学部卒業後、地域内で一定期間働くことを前提とする入学者用に定員を確保する仕組み。県によると、県内医療機関で働く医師の平均年齢は全国最高の52・5歳(2016年度)で、将来的に医師不足が懸念されている。

 県庁であった岡学長との会談で、村岡知事は「若い医師にとどまってもらい、県の医療を支えてほしい」と述べ、地域枠拡大を訴えた。岡学長も「若い医師こそ新しい治療を作り出す力を持つ。早急に文科省にお願いし、できるだけ早く実現したい」と応えた。

 会談では、認知症予防など医療・健康分野の産業創出の他、若者の県内進学・就職率の向上での連携も確認した。【松田栄二郎】

〔山口版〕



  1. 2019/01/20(日) 15:55:40|
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