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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月13日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39816960Z00C19A1EE8000/
医師残業規制で厚労省原案 医師不足地域は「年1900~2000時間」  
2019/1/9 20:41日本経済新聞 電子版

厚生労働省が2024年4月から適用する医師の残業時間の上限規制の原案がわかった。医師不足の地域の病院などでは「年1900~2000時間」まで容認する案だ。連合など関係団体に示して調整を進めているが、一般労働者の上限規制を大幅に上回るため、議論は難航が予想される。

4月施行の働き方改革関連法では一般労働者で年720時間以内、単月100時間未満などの残業時間の上限規制を課す。医師も規制対象だが、厚労省は医師向けの独自ルールを今年度中に固め、5年後に適用する。

一般の医師の残業時間の上限は休日労働込みで960時間とする方針。その上で地域医療に欠かせない病院などに勤務する医師は特例で上限を緩める。原案では特例は35年度末までの経過措置とする方針。勤務間インターバルなどの健康確保措置も義務付ける。



https://www.asahi.com/articles/ASM193TS2M19ULBJ008.html
医師の残業上限、年2000時間も検討 救急など特例で 
姫野直行、阿部彰芳 2019年1月10日05時01分 朝日新聞

 2024年度から勤務医に適用される残業時間の罰則つき上限について、一部の特定の医療機関に勤める医師では年1900~2千時間の水準とする案を厚生労働省がまとめたことがわかった。35年度末までの特例として検討する。一部の医師が続けている長時間労働を追認する形となり、異論も出そうだ。

 対象は、地域医療への影響が懸念され、救急・在宅医療など緊急性の高い医療に対応する全国の施設を想定。業務がやむなく長時間になる医師に限る。ほかの一般勤務医の上限は年960時間とする。新年度以降、企業に適用される上限は、休日労働を含めて年最大960時間。特例ではこれらの2倍もの長い残業が認められることになる。

 医師の働き方改革を議論する検討会に11日に提案し、年度末までに結論を出す方針という。

 案では、複数の月で平均80時間超という脳・心臓疾患の労災認定基準の残業時間を考慮し、勤務医は年960時間を上限とする。

 この上限まで残業を減らすと診療に大きく影響する場合に特例を認め、年1900~2千時間程度以内で検討する。この場合、月平均約160時間となり、1カ月だけで精神障害の労災認定基準に匹敵する。特例は医師不足や勤務環境の改善を進めながら段階的に引き下げることも検討する。月当たりの上限はいずれも100時間とするが、例外を認める。

 年2千時間という突出した長さの背景には、医師の1割が年1920時間超の残業をしている実態がある。こうした医師が一人でもいる病院は全体の3割、大学病院や救命救急センターがある病院に限ると9割に上る。規制が始まれば、医療機関は上限超えの勤務医をゼロにすることが求められるが、医師は急に増やせず、一部は対応しきれないとみられているためだ。
 医師の都道府県間の偏在を解消する目標時期を36年としていることなどから、特例は35年度末までとしているという。
 15年度の調査では、自殺や死を毎週または毎日考える医師が3・6%いるとされる。医師の健康を確保するため、特例を適用する場合、終業から始業までに最低9時間の休息をとる勤務間インターバルや連続勤務を28時間までとする制限を義務づける方針。(姫野直行、阿部彰芳)



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190107-00000013-kobenext-life
医学部入試での女性差別、なぜ起きたか 女性医師から「差別やむなし」の声も… 
1/7(月) 18:00配信 神戸新聞NEXT

 東京医科大学を皮切りに昨年、相次ぎ明らかになった医学部入試での女性差別。「年齢を重ねると女性は医師としてのアクティビティ(活動)が下がる」「女子の方がコミュニケーション能力が高く、男子を救うために補正した」といった大学側の釈明に、怒り心頭の女性は多いだろう。ところが、当の女性医師たちの反応はちょっと違うようだ。「差別やむなし」との声もある。どうしてなのだろうか。(論説委員 小林由佳)

 「自分も含め周囲の女性医師は『差別というより合理的な対応だよね』というのが正直な感想。女性が多くなると現場は回らない」

 こう話すのは兵庫県内の病院に勤める40代の女性内科医Aさんだ。月に5、6回の当直をこなす。子育て中の同僚女性は時短勤務のため、男性やAさんら独身女性がカバーする。周囲は夫婦ともに医師のケースが多いが、育児負担は妻に偏りがち。時短女性が増えたことで、他の医師が疲弊する例をいくつも見てきた。

 「診療科や地域によっては医師不足がかなり深刻になっている。長時間働ける男性が重宝されるのはある意味当然」。Aさんの口調は淡々としていた。

     ◇

 東京医大による女子受験生の一律減点が発覚した昨年8月、あるアンケート結果がネット上で話題になった。同大学の点数操作を「理解できる」「ある程度理解できる」と答えた医師が65%に上ったのだ。女性医師向けのウェブ雑誌「joy.net(ジョイ・ネット)」が会員を中心に調査し、103人が回答した。

 コメント欄には「実際に妊娠・出産で周囲に迷惑をかけた」「女性は離職率が高いから仕方ない」といった意見も。編集長の岡部聡子さんは「予想外の結果に驚いた」というが、生の声を聞くうちに、多くの女性医師があきらめの境地になっていると感じた。

 要因は過酷な勤務状況。大病院では当直明けの通常勤務で30時間以上働くことは珍しくない。主治医には患者の容体急変時に駆けつける「オンコール」対応が求められる。約1万人の女性医師が回答した日本医師会の2017年調査では、25%が「過労死ライン」といわれる月80時間以上の超過勤務をこなしていた。

 「頑張り抜いて適応する女性もいるが、そういう人は同性に厳しい。多くは努力しても環境は改善されず、無力感に陥る。その結果、入試で女性が差別されても仕方ないと思ってしまう」と岡部さんは分析する。

     ◇

 神戸市立医療センター中央市民病院救急救命センターは「断らない救急」を掲げる。専任医12人の半数が女性で、1人は産休中だ。

 当直明けは昼ごろまで勤務し、翌日は必ず休むなど長時間労働の防止を徹底している。有吉孝一センター長(52)は「私生活を大事にしてこそいい医療ができる」と力を込める。

 かつては「患者を受け入れ過ぎ」との不満もあったというが、スタッフを増やし、専用の集中治療室を設けるなど改善してきた。女性医長の柳井真知さん(42)は「環境整備も重要だが、生活とのバランスを重視する上司の存在が大きい」と語る。

 ウェブ雑誌編集長、岡部さんは「差別入試の背景には、医師の偏在や厳しい労働実態がある。大学を批判するだけでは根本的な解決につながらない」と訴える。

 主治医を複数制にしたり、医師の事務作業を減らしたりといった医療現場の改革が求められている。同時に、緊急度の低い「コンビニ受診」を控えるなど、患者側の意識改革も問われているといえそうだ。


■長時間労働強いる風潮に「NO」を

 ジェンダー(社会的、文化的な性差)を切り口に共生社会のあり方を研究する神戸大学大学院の稲原美苗准教授(臨床哲学)に、医学部の差別入試について聞いた。

 -学生の反応は。

 「授業で取り上げたところ、男女とも『許せない』という反応だった。でも、差別は医療界に限った話ではない。例えば企業の総合職は女性にとって狭き門。就職活動で初めて性差別を感じた、とショックを受ける女子学生もいる。若者には自分の問題として捉えてほしい」

 -背景をどう見る。

 「『男性が主に稼ぎ、女性は家庭を守る』という意識に女性自身がまだまだ縛られている。仕事も家事・育児もと頑張って疲弊している。周囲の同僚も人手不足や長時間労働にうんざりしており、子育てなどで制約のある社員につい毒舌を吐いてしまう」

 -どのように改善していけばよいか。

 「本来は、こんな状況はおかしいから変えようという議論になるべきなのに、『長時間働けない人が悪い』といった自己責任論になってしまう。そんな風潮が強まっているからこそ、『それって本当に個人の責任?』と声を上げる必要がある」

(聞き手・小林由佳)



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190109_11026.html
<登米市病院事業経営問題>特別委設置へ 医師と資金不足「常任委では抱えきれず」 
2019年01月09日水曜日 河北新報

 宮城県登米市議会は8日、議会運営委員会を開き、市病院事業の経営問題などに関する特別委員会を設置する方向で検討を始めた。
 市議会教育民生常任委員会から昨年12月27日に特別委設置の要望が出された。調査項目案として(1)経営形態を含めた今後の病院事業のあり方(2)今後の地域医療のあり方-が挙げられた。
 議運委で「医師不足や多額の資金不足など常任委だけの議論では抱えきれない大きなテーマだ」などの声が上がり、特別委設置の方向で検討することを申し合わせた。調査項目や委員会構成などについて市議会全体で意見集約し、今春にも特別委設置を決める方針。
 同市では市立2診療所が医師不足のため休診。市病院事業会計の2017年度決算で7億5300万円だった資金不足が、18年度決算では計12億3500万円に膨らむ見通しで、一般会計からの多額の繰り入れが必要な事態となっている。



https://www.swissinfo.ch/jpn/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%94%BF%E7%AD%96_%E9%AB%98%E9%A1%8D%E3%81%A7%E8%A4%87%E9%9B%91-%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%BE%E3%81%97/44657752
医療政策
高額で複雑?スイス医療制度のあらまし
 
Sibilla Bondolfi
2019-01-07 08:30(swissinfo.ch)

スイスでは医療費が急増し、このままでは立ち行かなくなる。誰もがそう考える中、スイスインフォは火急となったこの問題を今後シリーズで取り扱っていくことにした。まずは、スイスの医療制度について概観する。

スイスの医療制度は国営と民間経済のミックスだ。健康保険会社は民営で、その市場は厳しく規制されている。一方、医療機関には民営と公営の両方がある。

また、実際の医療供給は州の管轄だが、連邦レベルの法律が規定している分野もある。このように、スイスの医療制度はかなり断片化されており、組織的にも全体的な把握が難しい。世界でも突出したスイスの医療費支出には、こういった状況も関係している。

だが、種々の比較調査によると、品質のレベルや供給網はその分しっかりしている。医療機関の密度は高く、英国などのような国営医療サービス(ボックス参照)と異なり、スイスでは診察の予約に何カ月も待つ必要はない。

患者の負担も大
スイス国民は全員、基礎医療保険への加入が義務付けられており、自分で選んだ健康保険会社に月々の保険料を支払う。そのため、健康保険会社の間には競争がある。保険料の月額は会社や州によって異なり、低額所得者には居住している州から補助金他のが支払われる。健康保険会社は疾病を持つ人や高齢者であっても、全ての人に対し基礎保険の加入を認めなければならない。但し種々のオプションを追加できる補完的な医療保険は、任意の契約が認められる。

被保険者は年間最低300フラン(約3万円)の医療費を自己負担する。この免責額は2500フランを上限とし、免責額が高くなるほど保険料の月額は低くなる。例えば、最高免責額である2500フランを選んだ場合、被保険者はこの金額に達するまで治療代や薬代を自己負担し、それを超えると健康保険会社が負担する。

免責額に達した後も、被保険者は最高700フランまで治療代や薬代の1割(薬によっては2割)を自己負担しなければならない。また、入院した場合は毎日15フラン支払う。

病院の資金繰りは多角的

それでも病院経営が困難な場合は、州が援助を行う。入院の場合は費用の55%を州が、45%を健康保険会社が負担する。外来の場合は、健康保険会社が全額負担する。そのため、州は患者をなるべく早く退院させようとするが、この「入院の前に外来へ」という今の傾向の評価は割れており、患者の退院が早すぎるケースは「流血の退院」などと呼ばれている。

各州は病院のリストを作成しており、掲載されている病院は基本医療保険を介して清算し、補助金を受けられる。その代わり、これらの病院には適確な医療の供給が義務付けられている。州は各病院の治療の重点や専門を定め、全病院が全分野を扱わないように規制する。こうして「需要に応じた病院での治療」を計画すると同時に、費用削減を狙う。

医師の監視

健康保険会社(基礎医療保険)が補償するのは、「効果的で経済的な治療」に対してのみ。その具体的な要項は法律の規定やリストに定められている。争いが生じた場合は、健康保険会社に治療代や薬代の負担義務があるかどうかを法廷が判断する。

医療機関の請求金額は、健康保険会社と医療機関の間で結ばれる、国の承認を得た治療費協約や、法律もしくは当局により明確に定められている。現在、外来には個別治療料金表「Tarmed」が用いられ、入院には包括払いが適用されている(SwissDRG)。

スイスの医療保険制度、貧困の一因か?

スイスの医療保険制度は、世界で最も優れたものの一つとして知られている。だが、 医療問題が多くの国で議論される現代において、スイスの同制度は低所得層にも高所得者にも適したものなのだろうか?

健康保険会社はまた、「経済性検査」と呼ばれる制度の一環で開業医の監視も行っている。薬の処方や治療の費用が同分野の他の医師より高額であることが統計上明らかになると告訴され、場合によっては報酬を返却しなければならない。このようにして、医師の違反を取り締まっている。過去には何億フランもの払い戻しを求められたケースもあり、家庭医や皮膚科医、婦人科医などの開業医にとっては、医院の運営が左右される大きなリスクとなる。

外国に頼らざるを得ないスイス

スイスでは医療従事者が不足しているため、このような「経済性検査」による戒めの効果はより一層高まる。特に不足が甚だしいのは、家庭医、助産婦、看護師など。そのためスイスは外国人に頼るしかないが、教育レベルの違いなどが問題となっている。

医療従事者不足が深刻化した理由は二つある。大学医学部の定員制と医師数の制限だ。スイスの大学では現在、人間医学、歯科学、獣医学、整骨療法の各学科で定員制を採用している。ここで学べるのは、適性試験の上位を占めた学生のみだ。

医師数の制限はスイス政府の方針だが、意見が分かれる対策でもある。医療費の増加に歯止めをかけることを目的として(医師の密度に比例して医療費も増加する)、2002年に初めてスイスで新たに医師として働く人の数を制限した。現行の制限策は19年に終了する予定で、議会や内閣ではその後の規制についての議論が続いている。

ところ変われば医療制度も……

医療制度にはさまざまなモデルがある。英国、イタリア、デンマーク、キューバなどの国々が採用しているのは、税収を財源とする国営医療サービス。米国などは自由市場経済を適用し、民間の健康保険会社に一任している。ドイツやフランスのモデルは社会保険モデルと呼ばれ、法律で加入が義務付けられた保険を財源としている。

どのモデルにも長所と短所がある。例えば、英国では税金が財源であるため、患者は保険料も治療代も払う必要はないが、その代償として診察まで長期間待たされたり、近くに医療施設が無かったり、ときには満足のいかない治療しか受けられないこともある。診察日を待つ間に患者が死亡するといった医療制度の荒廃もメディアでは報じられている。

それに対し、スイスのような保険モデルは患者の負担が収入にかかわらず一律であり、高額かつ不公平だと見なされている。

(独語からの翻訳・小山千早)



https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190110/mca1901100650001-n1.htm
【経済インサイド】高くついた妊婦加算凍結 社会保障改革で医師会に大きな借りか 
2019.1.10 06:50 Sankei Biz

 「今回のようなことは名称を含めて誤解を招いた。そういうことがないような(診療報酬の)点数設定をしてほしい」-。平成31年度予算案の閣議決定を目前に控えた昨年12月19日夕、東京・本駒込の日本医師会(日医)本部で記者会見した横倉義武会長は、妊婦が医療機関を外来で受診した際に請求される「妊婦加算」が凍結されたことに苦言を呈し、今後の見直しに注文を付けた。この日の午前、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)で妊婦加算の凍結が了承されたが、日医としては渋々受け入れた格好だった。

 “小泉発言”で社会問題化

 妊婦加算は、妊婦の外来の受診に当たり、胎児への影響を考慮した薬を処方するなど「丁寧な診療への評価」を目的として、今年4月の診療報酬改定で導入された。問診で「妊娠中」と答えるなどした女性が対象で、妊婦が外来を受診すると、初診で750円、再診で380円が上乗せされて医療機関に支払われる。妊婦の窓口負担(原則3割)は初診で225円、再診で114円増える。深夜や休日、診療時間外はさらに上乗せされる。通常の妊婦健診では加算されない。

 ところが、周知不足で制度自体を知らない女性も少なくなく、9月ごろからインターネットを中心に「妊婦税だ」「少子化対策に逆行する」などと不満を訴える声が続出。運用面でも、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方といった妊娠と直接関係のない場合や、診察後の会計の際に妊娠していることが分かって加算されたケースなどに批判が集中した。

 問題が永田町にまで波及してきたのは予算編成が本格化した11月以降だ。同月29日の自民党厚労部会で、小泉進次郎部会長は「このまま放置するわけにはいかない」と厚労省に対応を要請。発信力の高い小泉氏の発言の影響もあり、マスコミで連日取り上げられ、一気に社会問題化した。

 高い代償

 医療界としては、妊婦の診察には一定のリスクがあり、産婦人科以外では診察を避ける医療機関が出ていることを踏まえ、妊婦加算の導入により妊婦診察のモチベーションづくりにつなげる狙いがあったが、そうした真の目的は十分に理解されないまま、事実上の廃止へと話は一気に進んだ。厚労省は運用の厳格化で乗り切ろうと調整に動いたものの沈静化せず、安倍晋三首相まで事態打開に乗り出すことに発展した。安倍首相は12月13日にタイ・バンコク出張中の横倉会長に電話を入れ、何とか凍結の了解を取ったのだった。

 調整の過程では、医療機関に支払われる加算は維持した上で、妊婦の窓口負担分(約10億円)を公費で穴埋めして無償化する案も検討されたが、制度設計に時間がかかることなどから見送られた。来年に参院選や統一地方選という大型選挙を控え、事態が長引けば選挙に悪影響を及ぼすのは必至で、多少強引でも年内に幕引きする必要があった。

 ただ、永田町や霞が関の世界では、利害関係者の間で何か借りができたら、相手にそれ相応のお返しをするのが常識だ。政府・与党としては「首相」という最高の切り札を使ったことで、日医などに“首相案件”にふさわしい高い代償を払わなければならなくなったともいえる。

 参院選後に影

 かつて鳩山由紀夫政権時代、廃止されていた生活保護の母子加算をめぐり、深夜の首相公邸に当時の長妻昭厚労相と山井和則厚労政務官が約60億円の全額復活を鳩山首相に直談判したケースの再現とも映る今回の展開に、自民党内からは「なぜ、たかが10億円くらいの話に首相を使ったんだ」(幹部)と批判の声も上がっている。

 31年度予算案では、高い資金力と集票力を持つ日医に配慮し、地域医療・介護の態勢強化で設けられている「地域医療介護総合確保基金」の200億円積み増し、医療機関のIT化推進のための基金300億円の創設を盛り込んだ。地域医療介護総合確保基金は横倉会長のイニシアチブで導入された経緯もあり、業界関係者の間では「横倉基金」とも呼ばれているが、日医幹部は「そちらを増やされても、妊婦加算凍結の件は別の話だ」と強調する。

 夏の参院選が終われば、負担増を含む社会保障制度改革の議論が本格化する見通しだ。日医など業界団体の権益への切り込みも避けられない情勢だが、今回の妊婦加算凍結で生じた“貸し”を日医側から「ここで返してほしい」と要求される可能性もある。社会保障制度改革をめぐり、妊婦加算の凍結が「たかが10億、されど10億」になるのか。(桑原雄尚)



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/66857/Default.aspx
厚労省 10月の消費増税に伴う初・再診料の上乗せ率は5.5% 14年度改定前ベースに 
公開日時 2019/01/10 03:52 ミクスオンライン

厚生労働省は1月9日、中医協診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」に、2019年10月に予定する消費増税に伴う診療報酬改定について、初・再診料の上乗せ率は5.5%となることを報告した。現行点数ではなく、2014年度改定前の点数をベースとするため、単純計算で初診料は約3点、再診料は約1点引き上げることになる。同省は、19年度政府予算案の編成過程で、増税に伴う診療報酬本体の改定財源として約4700億円を確保しており、この範囲内で財源配分を検討し、最終的な診療報酬点数を決定する。

同省は、消費税率を5%から8%に引き上げた際に十分な補填がなされていなかった経緯を踏まえ、8%引上げ時を一度リセットし、2014年度改定前の診療報酬点数をベースに点数の引上げを行う。改定財源については約4700億円確保した。内訳は、医科約4000億円、歯科約400億円、調剤約300億円。これまでの議論のなかで、高度急性期・急性期病院で補填不足が大きかったことなどを踏まえて補填を精緻化すべく、財源配分を検討してきた。

初・再診については上乗せ率5.5%。2014年度改定前の初診料270点をベースに単純計算すると284.85点で、現行点数から約3点アップ。再診料については14年度改定前の69点をベースに72.795点となり、現行点数から約1点アップする。

一方で、入院料は「入院基本料」と4分類からなる「特定入院料」から構成する。急性期・地域一般入院基本料は上乗せ率4.9%、特定機能病院入院基本料は8.8%の上乗せ率となる。最も上乗せ率の低いのが療養病棟入院基本料で1.5%。ただ、医薬品や医療材料を包括する点数については、2017年度医療経済実態調査の結果を踏まえて上乗せ分を別途加味する。同省はそのため、マイナスになることはないとの見方を示している。

この日の検討会では、中川俊男委員(日本医師会副会長)が「2014年度改定の問題は4年半放置された。より迅速に実態を把握し、期中での対応なども検討すべき」と述べるなど、増税に伴う診療報酬改定後、早期の検証を求める声があがった。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39814300Z00C19A1EE8000/
初診料を30円前後引き上げへ 消費増税対応で  
2019/1/10 1:31 日本経済新聞

厚生労働省は9日、10月に予定する消費税増税に伴い、初診料を今の2820円から30円ほど引き上げ、2850円前後にする方針を明らかにした。2回目以降の診察にかかる再診料は720円から730円前後になる。実際に患者が支払う金額はこのうち1~3割。医療費は非課税だが、医療機器の仕入れには課税されるため、増税分を賄えるようにする。

同日に開いた中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で方針を示した。

医療サービスの公定価格である診療報酬は非課税なため、増税分を上乗せするため10月に改定する。診療報酬は全体で0.88%の引き上げとなる。保険料や自己負担、税金を含めた医療費に換算すると年間で約4100億円になることも報告した。

内訳は医師の技術料にあたる本体部分が0.41%のプラスで1900億円。薬価などが0.47%のプラスで2200億円。

初・再診料の最終的な値上げ幅は、財源が過不足にならないよう、入院基本料などほかの料金の値上げ幅と調整しながら決める。



https://www.medwatch.jp/?p=24317
医療事故の原因究明に向けた院内調査、「外部の第三者」の参画も重要テーマ―医療安全調査機構 
2019年1月11日|医療・介護行政全般 MedWatch

 医療事故調査制度について、医療機関の認知度は高いが、遺族(国民)の大半は知らない。また、院内調査や事故などに関する説明について、医療機関側と遺族側とで受け止め方に大きな違いがある。そうした中で、調査の公正・中立を確保するために、医療機関・遺族の双方から「外部の第三者」参画が提案されている―。

 日本医療安全調査機構(以下、機構)が1月9日に公表した「医療事故調査制度に係るアンケート調査」結果から、こういった状況が明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医療機関からは「院内調査報告書の様式提示」「事故判断の基準明確化」などの改善提案
2 遺族の大半は医療事故制度を知らず、院内調査の理解・納得も十分ではない

医療機関からは「院内調査報告書の様式提示」「事故判断の基準明確化」などの改善提案

 2015年10月から、医療事故調査制度がスタートしました。すべての医療機関等において、院長など管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてを医療事故調査・支援センター(機構がセンターに指定されている)に報告する義務を課すものです。

 機構では、報告された医療事故を調査・分析し、積極的に「再発防止策」を打ち出すとともに(再発防止策はこちら(中心静脈穿刺)とこちら(血栓塞栓症)とこちら(アナフィラキシーショック)とこちら(気管挿管)とこちら(腹腔鏡手術)とこちら(胃管挿入))、報告状況を毎月公表しています(2018年12月分の報告状況に関する記事はこちら)。

 そうした中で、「医療事故調査制度がどこまで浸透しているのか」、特に「一般国民がどこまで整理を知り、理解しているのか」という点で課題が浮上しており、今般のアンケート調査実施につながりました。

 調査は、医療機関の医療安全管理者に対し▼医療事故調査制度の認知度▼医療事故調査制度への意見や感想―などを、遺族(国民)に対し▼医療事故調査制度の認知度▼院内調査結果への遺族の理解・納得感▼医療事故調査制度への意見や感想―などを聞いています。医療機関からは80件、遺族からは23件の有効回答が寄せられました。数こそ少ないものの、制度に関する率直な意見を把握する重要な調査結果と言えます。

 まず医療機関に対する調査結果を見てみると、事故が発生する前から「制度を詳しく知っている」との回答が75.0%を占め、制度の周知を相当程度進んでいると考えられます。
 
また医療事故調査制度の課題(改善点)や感想については、「報告すべき医療事故かどうか」の判断が難しいという声が上がっています。上記のとおり「院長などの管理者が予期しなかった、医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」が報告対象ですが、例えば「『医療に起因する』とは死亡の主因ということか」「合併症か、予期せぬ死亡かの判断が難しい」「医療安全管理者と施設管理者の見解が異なるケースもあり、判断基準をより明確にすべき」などの意見が寄せられています。また、「報告対象ではないと考えられるが、『遺族の心情』に鑑み、報告した」事例もあることが分かりました。

「報告すべき医療事故か否かの判断」については、機構や医療事故調査等支援団体(医師会や病院団体、大学病院など)が支援を行っていますが、事例を踏まえた「さらなる明確な判断基準」作成なども期待されます。

また、「判断」以外での支援依頼は回答の67.5%にのぼります。依頼内容は、▼院内調査に必要な専門家の派遣(依頼内容の38.5%)▼報告書作成(同18.8%)▼院内調査の進め方(同16.2%)▼遺族への対応(同12.0%)▼調査手法(同8.5%)―などが多くなっています。

事故が発生した医療機関では、「センターへの報告」や「院内調査」とともに、遺族への説明を行うことが必要です。遺族への説明者としては、事務担当者が最多(説明者を決めていた医療機関の44%)ですが、▼医療安全担当看護師(同26.7%)▼医療安全担当医師(同9.3%)▼院長(同6.7%)▼主治医(同5.3%)―が担当したケースも少なくありません。

遺族への連絡対話で留意した事項としては、▼遺族の心情を理解するよう心がけた(回答の38.4%)▼遺族の疑問に応えるように心がけた(同26.8%)▼定期的に連絡するよう心がけた(同23.2%)―などが多くなっています。また、遺族側から連絡を拒否された医療機関もあり、その場合「定期的に連絡を試みる」ケースもあれば、逆に「心情に配慮し連絡を控える」ケースもあるようです。

また、医療事故調査制度を構築する上で大きな争点となった「遺族への説明に当たり、院内調査報告書を提示するか」(制度上は「提示までは不要」という形で決着した)という点について、回答医療機関の61%は「院内調査報告書を提示している」と回答しています。積極的な情報開示姿勢を伺うことができるでしょう。

なお、医療事故が訴訟に発展したケースは1.3%(1件)にとどまっていますが、より大規模な調査結果が待たれます。

さらに、院内調査を通じて「大変であった」事項としては、▼報告書の作成(何をどう書けばよいかが分からない、など)▼当該医療従事者への対応(聴取時間もかかり、医療従事者の心情への配慮も必要である、など)▼遺族への対応(遺族へ不快な思いをさせてしまったなど)▼医療事故の判断―などが上がってきています。回答医療機関からは「報告書の見本・様式の提示」などを求める提案もなされています。

また院内調査等を通じた改善点としては、▼診療記録の記載・保管・運用(カンファレンス記録や検査記録、同意書等):回答医療機関の63.8%▼インフォームド・コンセントの在り方(病状・リスクの説明、治療法の選択、説明内容の記録等):同57.5%▼マニュアルの検討(規定、手順・マニュアルの見直し、クリニカルパスの整備等):53.8%▼職員・患者間のコミュニケーションの在り方:52.5%▼ルールや安全情報の周知 (現場への周知の徹底、院内啓蒙等):51.3%▼職員に対する安全教育、研修:51.3%▼多職種間の情報・リスクの共有:45.0%▼診療体制の構築(指示命令系統、連絡体制、勤務体制等):35.0%▼他の診療科との連携:23.8%―など、広範に及んでいます。「医療事故の再発防止」という目的に向けた取り組みが進んでいると言えるでしょう。
 
さらに、他医療機関に対し、▼院内の医療事故報告体制を構築しておく▼途中経過等を遺族に伝える▼院内調査において外部委員導入は公正・中立の点から重要であるが、進捗計画などを定めておくとよい▼職員への精神的支援を行う―などといったアドバイトもなされています。

遺族の大半は医療事故制度を知らず、院内調査の理解・納得も十分ではない

 次に遺族側への調査結果を見てみると、医療事故調査制度については「医療機関からの説明で初めて知った」との回答が70.0%を占めています。「以前から知っていた」という方も一部おられますが、「国民の大多数は医療事故調査制度を知らない」と認識すべきでしょう。
 
行政や機構、医療団体などに「さらなる制度の周知」に向けた取り組みを期待したいところですが、効果が出るまでには長い時間がかかります。このため、医療機関側は「遺族は医療事故調査制度を知らない」という前提に立った対応が必要となります。

遺族サイドによる、事故医療機関側の対応評価については、▼事故の状況説明を「理解できた」(十分+まあまあ)人が65.2%、「理解できなかった」人が4割弱▼十分な連絡がなかったと感じた人が65.2%▼院内調査結果の説明を「理解できた」(十分+まあまあ)人が61.0%、「理解できなかった」人が4割弱▼院内調結果に「納得した」人が43.5%、「納得できない」人が過半数▼院内調査が「遅い・長い」と感じた人が56.5%▼院内調査結果の説明後に、医療機関に対する気持ちが「良い」方向へ変化した人が13.0%、「変わらない」人が39.1%、「悪い」方向へ変化した人が43.5%―などとなっています。上述の医療機関側と「受け止め方」が大きく異なりますが、「身内を亡くしている」という心情、医学・医療に関する知識等の不足を考慮すれば、受け止め方に差が出てくることは当然かもしれません。
 
また遺族側の要望としては、「医療関係者でない第三者を入れて院内調査を行うべき」などといった意見もあります。医療機関側の調査でも「外部委員の導入」を促す声もあり、十分に参考にすべきテーマと言えるでしょう。

医療機関側が十分な説明を行い「理解」を得たとしても、それが「納得」につながるとは限りませんが、説明を真摯に行うことは医療機関に課せられた「重要な責務」であることに疑いはありません。遺族からは厳しい意見もありますが、「医療事故調査制度は良い仕組みで、今後、医療安全が進むと思う」という声が出ていることも事実で、医療安全確保等に向けた医療機関の積極的な取り組みに期待が集まります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/652672
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
時間外上限「地域医療確保暫定特例水準」1900~2000時間
2024年度から適用、2035年度末までに解消目指す 
 
2019年1月12日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は1月11日の第16回「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、診療に従事する勤務医の時間外労働時間の具体的な数字として「年間960時間、月100時間(例外あり)」と、地域医療を適切に確保するための「地域医療確保暫定特例水準」として「年間1900~2000時間、月100時間(例外あり)」を提案した。いずれも休日労働を含む数字で2024年度から適用し、「地域医療確保暫定特例水準」は2035年度末までに解消することを目指すもので、次回以降も引き続き議論する(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省はこの日の議題として、ここまでの議論に関する「とりまとめ骨子(案)」と時間外労働時間の上限を提示し、この順番に議論した。前回(2018年12月19日)の会議で骨子案のたたき台を議論し、岩村座長がそれを基に骨子案と数字の案をそれぞれ用意するよう事務方に指示(『働き方骨子案たたき台「現場の医師の声盛り込むべき」副座長が苦言』を参照)。

 骨子案には勤務医に適用する上限水準(A)、地域医療を適切に確保するための水準(B)、一定の期間集中的に技能の向上のための診療を必要とする医師を対象とする水準(C)を設けて、BとCはAよりも高い水準とする枠組みが記載された。Bが「年間1900~2000時間、月100時間(例外あり)」で、Cについては、今回は具体的な時間数は示さなかった。

 だが、骨子案の議論中に連合総合労働局長の村上陽子氏が、「A、B、C(の枠組み)そのものについて合意していないし、時間が入っていない段階で議論するのは難しい。要件もよく分からない。義務が果たされなかった場合にどうなるのかも判然としない。議論には参加するが、中身が分からないまま賛同するものではない」と表明。その後の時間数の議論の中でも、この考えを再度述べて念を押した。

 骨子案はあくまでここまでの議論を整理するもので、A、B、Cの枠組みを含め制度面について決定するものではないため、厚労省医政局長の吉田学氏が「ここをベースにして対応したい」と述べ、岩村座長も「文章を確定させたい」と引き取り、この日に出された意見に基づいて細かな文言の修正をした上で骨子案の議論は終了した。

「暫定特例水準」は2035年度末解消
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(2019年1月11日医師の働き方改革に関する検討会資料)
 厚労省の提案ではA、B、Cいずれも月の上限を超える場合の面接指導と就業上の措置(労働時間短縮や当直回数減など)を講じることを義務とする。Aの「年間960時間、月100時間(例外あり)」は全ての診療従事勤務医に適用される水準で、連続勤務時間制限28時間と勤務間インターバル9時間確保、長時間の手術や急患対応などで休息を適切に取れなかった場合にその分を積み立てて別途休暇を取得させる「代償休暇」を努力義務とする。

 医師需給は「労働時間を週60時間(年間時間外労働960時間)に制限、7%のタスク・シフティング」などの仮定を置くと、2028年頃に均衡すると推計されている(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)が、改正労働基準法が医師にも適用される2024年度の段階では約1万人のギャップ(医師不足)がある。医師が健康を害することを防止した上で地域医療提供体制を確保する「経過措置」として、Bの地域医療確保暫定特例水準「年間1900~2000時間、月100時間(例外あり)」を設定する。解消時期については、マクロで医師需給が均衡したあとも医師偏在解消のための取り組みが必要とされ、都道府県単位で解消する目標が2036年とされていることと、第8次医療計画が2024~2029年度、第9次医療計画が2030~2035年度となっていることから、2035年度末に設定する。

 1900~2000時間の根拠は、病院の常勤勤務医の時間外勤務時間が、1920時間を超える医師が約1割いて、それが1人でもいる病院が全体の約3割、大学病院の約9割、救急機能を有する病院の約3割、救命救急センター機能を有する病院の約8割と、必ずしも一部に偏ってはいないこと、2024年度以降の上限が罰則付きで「絶対に超えてはいけない」基準となることなどを挙げた。BとCは、Aの健康確保に関する努力義務を「義務」と強くすることで、健康確保を図る。

 上限時間の議論の冒頭、岩村座長は「労働時間を減らすことだけではなく、日本の医療提供体制をどうするかと合わせて考えないと実現できない」と指摘。日本医師会副会長の今村聡氏と日本病院会副会長の岡留健一郎氏からは、「2000時間」の数字が9日に報道されたことを受けて「数字だけが出ると、『そこまで働かせるのか』という誤ったメッセージになる」(今村氏)などと、報道が先行したことへの苦言が呈された。

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、時間を設定したあとにするべきこととして、「ふたを開けてみるとうまくいかないというのはままある。その間の定点観測をどの程度やるか、また、医師はハッピーだがその他の職種や患者がアンハッピーではだめで、好ましくない『副作用』が出た場合の検証の場も必要だ」と指摘。

 千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏は「一時的であれ、医療の質が低下することが許容されるのか。(1920時間超の)1割は医療の高度化によって生じている部分がある。この人達がいることで救える命があることも直視しないといけない」と述べた。一方、自治労総合労働局長の森本正宏氏は「2000時間は(960時間の)2人分働いていると認識する必要がある。長すぎる。短くする検討を」と事務局案に反対を表明した。

 東京女子医科大学東医療センター救急医の赤星昂己氏は、救命救急センターが数人の医師で回っているという自身の経験に照らし、「現場では勤務間インターバルは不可能だ。そうすると、集約化となる」と指摘。また、BやCの医療機関が指定されて公表された場合に、上限時間が長いことから医師に避けられてしまうのではないかという懸念も示した。

 議論の最後には、副座長で東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏が、「国民が安心して医療にかかることができる制度を守って、今の若い医師が希望を持てるような方向性を出したいと思っている。(出席者の中で)医師の立場で政策を進める立場にいる最高責任者は迫井(正深)審議官だが、厚労省としてはどこを目指しているのか、改めて伺いたい」と異例の質問をした。迫井氏は、「目の前にあるのは難しい2つの困難な課題だ。お医者さんの命、健康を守っていこうという問題意識と努力、一方で救われる命が救われないことがないようにという、医療の提供体制を守っていこうという為し難い二つの課題の両立のために努力するということでは構成員も私達厚労省も一致していると思う」などと答弁した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/652667
消費税問題「課税も含めた議論必要」、猪口全日病会長
四病協の賀詞交換会、厚労相、日医会長らもあいさつ
 
レポート 2019年1月12日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 四病院団体協議会の賀詞交換会が1月11日、都内で開催され当番団体としてあいさつした全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「病院を取り巻く問題はある」とした猪口氏は、消費税問題について、「日医と与党政治家の力もあり、一応決着したことになる。ただ今後を考えると、個々の医療機関にとって、きちんとした対応をすることは少し難しい。(診療報酬の)課税を含めて新たな視点に立った消費税の解決を議論する必要がある」と述べ、消費税問題は未解決との認識を示した。

 2019年10月からの消費増税への対応として、昨年末の与党税制改正大綱で、診療報酬は非課税のまま、増税対応分を上乗せするとともに、医療用機器の特別償却制度、地域医療介護総合確保基金の増額等で対応することが決まった(『 「非課税下での消費税問題は全体で解決」、三師会と四病協が合同会見』を参照)。診療報酬への上乗せ額の詳細は今後決まるが、「病院団体として、検証を行っていきたい」(猪口氏)。

 「病院を取り巻く課題はいろいろある」と語る猪口氏は、医師の働き方改革にも言及。厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、時間外労働の上限規制の議論が正念場を迎え、この日の賀詞交換会の直前にも開催された。猪口氏は、上限規制について「地域医療を崩壊させず、どうやって守るかという観点から決めてもらいたい」と述べるとともに、時間の問題だけでなく、宿日直、自己研鑽、インターバル規制なども合わせて議論する必要性を指摘。

 さらに地域医療構想についても触れた。11日に開かれた全日病の各支部長が集まる会議の場で、各地区で実りのある地域医療構想、調整会議になっているかを聞いたところ、猪口氏は「手を挙げた支部はなかった」と明かした。

 将来を見通した課題として、挙げたのは人口減少。「特に若者が減るのは明らか。医療界に入ってくる人口は減ってくる。一方、診なければいけない高齢者は増えてくる。その中でどのように医療を守っていくか、今までのように同じ形で行くことは多分できない。外国人労働者という話もあるが、それとてものすごい数ではない」。こう語る猪口氏は、AI(人工知能)やロボット等も活用する必要性を指摘。「未来に向けた病院運営を考える足がかりの年になるのではないか」と述べ、あいさつを締めくくった。

 賀詞交換会では、三師会会長のほか、根本匠厚労相、加藤勝信・前厚労相、細田博之・衆院議員、羽生田俊・参院議員などの政治家、厚労官僚があいさつ。

根本匠厚労相
 根本厚労相は、地域医療構想、医療提供体制の再構築、地域包括ケア、医師偏在対策、医師の働き方改革などについて言及。医療提供体制については、「医師を取り環境が変化する中で、他の医療機関とも適切な連携の下、必要な役割を担ってもらいたい」と、各病院への対応を求めた。医師の働き方改革については、時間外労働の上限規制のほか、労働時間短縮策としてタスクシフティングなどについて、今年度内に取りまとめると述べるにとどまった。

横倉義武日医会長
 日本医師会会長の横倉義武氏は、この5月に平成から新たな時代に入る「時代の変わり目」になることから、「医療界も大きく変わって行かなければ行けない年」とあいさつ。医師以外の職種の時間外労働の上限規制はこの4月から適用されることを踏まえ、「病院にとって大変な努力が必要な年。病院にはさまざまな専門職がおり、その専門職をサポートする一般職の方もいる。病院の運営自体を、地域に合わせた形でもう一度、考え直さなければいけない」と指摘。「医師会では、それぞれの地域で休日当番制や輪番病院制の構築を、行政とともに進めているが、医師会単位でできる地域はだんだん減って来て、広域的な体制を組まなければいけないという議論もスタートしなければいけない」との認識を示した。その他、今年はラグビーのワールドカップが開催されることから、2020年の東京オリンピックを控え、外国人医療の体制を構築していく必要性も求められているとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/652408
シリーズ 平成の医療史30年
医療の「機能分化」「標準化」進んだ30年【平成の医療史30年◆厚労行政編】
診療報酬改定と医療法改正の両輪で - 鈴木康裕・厚労省医務技官に聞く◆Vol.1
 
スペシャル企画 2019年1月12日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 医療は規制が強い分野。その舵取りをするは、言うまでもなく厚生労働省だ。医療、それを支える医療行政が複雑、高度化する中、2017年7月に事務次官級のポストとして新設されたのが医務技監、その初代に就任したのが鈴木康裕氏だ(『医療行政が直面する「三つの境」越える - 鈴木康裕・厚労省医務技監に聞く◆Vol.1』を参照)。鈴木氏に、平成時代の医療や医療行政の「過去」と「現在」、そして「将来」、エピソードを交えながら語っていただいた(2018年12月20日にインタビュー。全3回連載)

――日本の医療提供体制の変化をどのように見ておられますか。

 日本の世帯の核家族化が進むと、自宅で面倒を見ることができない高齢者が増えてきます。日本がこれまでどう対応してきたかという視点からは、3つのフェーズに分けることができます。。

 一つは、1990年代(平成2年)頃まで。医療(病院病床)を増やし、吸収してきました。しかし、1983年に当時の厚生省保険局長だった吉村仁氏が「医療費亡国論」を提唱し、1985年の第1次医療法改正で病床規制が導入されました。実際にその効果が現われるようになったのが、1990年頃です。

 一方で1989年(平成元年)には、ゴールドプランが策定され、介護サービスの整備が本格化。「介護の社会化」を進めるために、2000年(平成12年)に創設されたのが、介護保険制度です。2010年(平成22年)頃までは、病床の代わりに、老人保健施設などの介護施設系のサービスが増え、対応してきました。しかし、介護保険制度も財政が逼迫し、「公」では見きれなくなってきたので、「民」、つまり有料老人ホームと2011年に制度化されたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が最近は著しく増えています。

 もう一つ、別の見方があります。西田在賢先生(静岡県立大学大学院教授)の分析です。1961年の国民皆保険制度の開始以降、2011年(平成23年)でちょうど半世紀。前半の25年は、病院数・病床数の「量的拡大」の時代です。1986年以降の後半の25年が「質的向上」の時代で、全体の数はむしろ減少。1993年(平成5年)の第2次医療法改正で創設したのが、特定機能病院と療養型病床群。その後の医療法改正や診療報酬改定では、医療(病床)の機能分化が進められます。平成の30年間は、この後半の機能分化の時代に重なり、今はその延長線上にあるわけです。
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(提供:石川誠氏)

――2000年(平成12年)の第4次医療法改正では、それまでの「その他の病床」が、一般病床と療養病床の2つに分けられ、2000年代の診療報酬改定では、機能分化が進められました。

 中でも機能分化、そして「質的向上」において、2003年(平成15年)に特定機能病院で導入されたDPCは画期的であり、DPCが果たした役割は大きいと思います。それに先立ち、1998年(平成10年)から国立病院など10病院で「急性期入院医療の定額払い方式」の試行が始まりました。

 画期的という理由の一つは、今まで慢性期医療に導入されていた包括払い制を、急性期医療にも導入したこと。もう一つの理由は、入院期間の短縮と医療の標準化が進んだことです。DPC導入当時、例えば急性虫垂炎の手術にしても、入院期間や医療のプロセス、医療費は、病院によりものすごくばらついていました。DPCの包括評価部分の1日当たり点数は、3段階の設定になっています。15年経った今では、急性期医療を担う病院の8割強がDPC病院になり、第一段階のところにほぼ収束しています。

――2008年(平成20年)の診療報酬改定では、7対1入院基本料が導入されました。

 中医協での議論で、「7対1の算定は、どのくらいの病床数になるのか」との質問に、当時の厚労省は「2万床くらい」と回答しています。しかし、「長瀬効果」(給付率等の変化で、医療費水準が変化すること)だと思うのですが、実際には30万床を超えました。どんな重症度の患者が入院しているかに関わらず、看護師を募集して7対1入院基本料を算定する動きが広がったのです。

 入院基本料は、看護料、入院時医学管理料、室料という3つを統合して設定されましたが、看護師の数でほとんど点数が決まっていました。もちろん、看護師数は大事。けれども、看護師を集めれば高い点数を算定できる仕組みは、ある意味、入院医療の在り方、病院の経営をゆがめてしまったと言えるでしょう。

 これは今回の2018年度(平成30年)改定でかなり改正されました。私は「固定費」と表現していますが、10対1入院基本料の部分を支払い、その上に「変動費」として「重症度、医療・看護必要度」で加算するのは合理的で、入院医療を評価する一つの回答だと思います。

――2000年代は診療報酬改定で機能分化が進められ、2010年代に入ると医療法改正も相次ぎ、病床機能報告制度や地域医療構想が導入されました。

 財源およびその配分を決めるのが診療報酬、病床機能や人員体制などを定めるのが医療法。両者がうまくかみ合わないと、医療はいい形にならないのだと思います。

 ただその中で、診療報酬改定による医療費のコントロールの重要性は今後も変わらないと思います。

 2000年(平成12年)から2017年(平成29年)までの18年間を見ると、2000年を「100」とした場合の各セクターの一般歳出の変化を見ると、公共事業は一時5割を切り、今でも63.3。教育はお子さんが減ったこともあり、82.1。

 一方、社会保障関係費全体では、193.7。内訳を見ると、医療(173.2)は、マクロ経済スライド制が導入された年金(225.2)と同程度に、診療報酬改定でコントロールされているのは、注目すべき点です。(改定を担当する厚労省保険局)医療課だけで改定をしていれば、もっと上がったのかもしれませんが(笑)、首相官邸や財務相との議論を重ねており、それが一定の価格メカニズムとして機能しているのです。

 より高齢者増の影響を受ける介護は、ものすごく伸びており、239.3。今後の課題は、介護保険についてどのように価格コントロールメカニズムを入れるかです。ただ労働集約的な介護では、職員の処遇改善を進めているので難しい一面がもあります。

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(提供:鈴木氏)
――改革のスピード感はいかがでしょうか。社会の変化は早くなっています。一方、厚労省内でも、さまざまな審議会、検討会が設定され、議論が進んでいますが、結論を得るには時間がかかっているように思います。

 霞が関の中でも、厚労省は批判を浴びやすい省庁です。医療や年金など国民生活に直結することを担当しているからです。最近では、妊婦加算が問題視されました(編集部注:2018年度診療報酬改定で新設されたものの、2019年1月から凍結。『妊婦加算、2019年1月から「大臣の定める日まで」凍結』を参照)。また省単独で決めることは難しく、医師会、患者代表、関係業界など関係各者に意見を聞きながら、全体の総和として政策を決定していく必要があります。合意形成に時間がかかるプロセスは、民主主義のコストと言えます。

 2017年7月、「日・ASEAN保健大臣会合」が開催されました。日本の高齢化の教訓を尋ねられ、当時の塩崎厚労相は次のような内容を答えられました。

 1973年の田中内閣の際に、老人医療費の自己負担無料化が導入されました。当時の高齢化率はまだ7%台ですが、今や28%。その後、1983年に定額負担化、平成に入り、2001年(平成13年)に定率負担(1割)に変更されました。つまり、老人医療費への定率負担化に、30年かかっています。これは何を示しているか。参院選は3年ごと、衆院選も含めると、ほぼ毎年、あるいは1年おきに国政選挙が行われます。民主主義社会において、特に投票率が高い高齢者に負担を強いる政策を導入しようとすると、合意形成に時間がかかり、改革のタイミングも難しいという特性があります。

鈴木 康裕(すすき やすひろ)氏
 厚生労働省医務技監。1984年慶応大学医学部卒、同年厚生省入省。1998年WHO(世界保健機関)、2005年医政局研究開発振興課長、2008年新型老健局老人保健課長、2010年保険局医療課長、2012年防衛省衛生監、2014年厚生労働省大臣官房技術総括審議官、2016年6 月厚生労働省保険局長、2017年7月より現職。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39839430Q9A110C1000000/
「行政の危機意識低い」6割超 10連休医療提供で医師会  
2019/1/10 9:35 日本経済新聞

皇太子さまの新天皇への即位に伴って4月27日から5月6日まで10連休となることに関し、日本医師会が都道府県医師会を対象に行った調査で、6割以上が「行政の危機意識が低い」と回答したことが10日までに分かった。医師会が公表した。地域医療への影響を調べるため、昨年12月、各都道府県の医師会に書面で調査。40の医師会から回答があった。

10連休での医療提供態勢について、医療や福祉、消防などを担う都道府県部局の危機意識を尋ねたところ、38の医師会が回答。「極めて低い」「低い、不十分」が6割以上を占めた。行政との情報共有や連携については37医師会が回答。「極めて不十分」「不十分」が合わせて約7割と低評価だった。

一方、期間中の救急医療態勢については、過半数の医師会が「ゴールデンウイークと同様」の対応と回答した。

小玉弘之常任理事は「地域医療の予算や計画は行政が担っている。危機感を高めてもらうよう国から周知してもらいたい」と話している。〔共同〕



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3979171008012019EE8000/
医師業務 移管義務付けへ 厚労省、長時間労働対策で 地域の中核病院対象に 
2019/1/9付日本経済新聞 朝刊

厚生労働省は地域医療に欠かせない病院に対し、医師の業務の一部を他職種に移管する「タスク・シフティング」を義務付ける検討に入った。こうした病院の医師には今後適用する残業時間の上限規制を当面緩める。健康を守るため、業務負担軽減など対策を講じる。

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「睡眠時間がとれないこともある。無意識に集中力が低下していることもあるかもしれない」。都内の救命救急センターに勤務する若手医師はこう話す。わずか8人の医師で365日24時間対応しなくてはならない。常に長時間労働になりがちで、夜間は外来と救急車で運ばれる患者を1人でみる状態だという。

医師の過重労働は他の業種よりも深刻だ。だが残業時間を一般労働者並みに規制すれば、医療の提供体制が損なわれる恐れがある。

厚労省は2024年4月に適用する医師の残業時間の上限規制について、一般の医師は休日労働込みで年960時間とする方向だ。ただ、全般に取り入れると地域医療が崩壊する恐れがある。そこで厚労省は地域医療を保つために欠かせない病院には経過措置として、残業時間の上限を960時間より長くする。

そうした病院には終業から次の始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル制度」など、医師の健康を守る措置を義務化する方針だ。タスク・シフティングもその一つとして追加する検討に入った。

電子カルテの入力などを医療クラーク(医師事務作業補助者)に分担したり、医療行為の一部を看護師が処置したりする。厚労省は、病棟と集中治療室の業務の6割を看護師やクラークなどと分担すれば、週100時間の勤務のうち、25時間を減らせると見積もる。

分担を着実に実施しているかを医療機関ごとに点検するための第三者機関を新たに設ける考えだ。あわせて医師の働き方改革を進める病院に対し、引き続き20年度も診療報酬を手厚くする検討も進め、病院の働き方改革を後押しする。

診療報酬は、患者が保険証を持参した上で医療機関で受診したときに払う治療代金のこと。政府が全国一律で定める公定価格で、08年度から働き方改革を進める病院には診療報酬を手厚くすると基本方針にある。

ただ、業務を移管するために病院は医師以外の職種の採用人員を増やさねばならない。医療クラークを配置し、報酬が上乗せされても人件費は賄えないとの指摘もある。診療報酬の上乗せ額や医師の健康を守る新たな仕組みを設けるかなどで検討が進むとみられる。

厚労省によると20~30歳代の外科医の約4割は週に100時間の勤務(月240時間、年2880時間の残業に相当)をしている。



https://www.m3.com/news/general/652750
クローズアップ2019:残業規制、厚労省案 医師の「献身」に依存 上限2000時間、一般労働者の2倍 
行政・政治 2019年1月13日 (日)配信毎日新聞社

 ◇「地域」盾に日医主張

 昨年6月に成立した働き方改革関連法で適用除外になっていた医師の残業規制について、厚生労働省は11日に地域医療を支える勤務医は年1900~2000時間を上限とする案を示した。一般労働者の約2倍に当たり、過労死した人の遺族や労働団体などの反発は避けられない。一方、医師不足地域では、医師の「献身」で救急など過酷な現場を支えている実態があり、規制を不安視する声も上がる。医師の働き方改革には、負担の軽減や偏在の是正が不可欠だ。

 「医師は人の命を扱うため、精神的な負荷は高い。一般労働者より残業規制は厳しくてもいいぐらいだ」。2016年に過労自殺した新潟市民病院の後期研修医の女性(当時37歳)の遺族側代理人を務める斎藤裕弁護士は、厚労省の規制方針に憤る。

 新潟労働基準監督署の認定によると、女性は亡くなる4カ月前の15年9月にうつ病を発症。直近1カ月間の残業は約177時間だった。朝7~8時に出勤し、深夜に帰る日々。午前2時ごろ退勤しても、翌朝7時台には戻った。当直の日は、わずかな休憩だけで翌日午後3時まで働き続け、休みは1日だけ。関わった手術は約4時間の大腸切除を含め36件に上り、女性は「医者にならなきゃよかった」と家族に漏らしていた。こうした危険水域で働く勤務医は、女性に限ったことではない。同病院で過労死ラインとされる月80時間超の残業をしていた後期研修医は27人中20人。月200時間以上の医師もいた。全国で見ても、厚労省の16年調査で4割の勤務医が月80時間超だった。

 今回の厚労省案は「働き方改革」どころか、過重労働を容認しているように読める。一般勤務医の上限は他の労働者と同様に年960時間(月平均80時間)だが、地域医療の核となる医療機関に従事する医師はその約2倍。そのレールを敷いたのは、日本医師会(日医)と、日医の支援を受ける自民党だ。

 日医には勤務医も加入しているが、活動の中心は病院経営者や開業医で、使用者団体の側面が強い。勤務医の労働時間が縛られると人員確保や人件費の負担が膨らむことを意味する。

 厚労省関係者によると、自民党の厚労族議員の間では、高収入の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の医師版導入を求める声もあったという。法改正が必要で国会対応が難しいとして見送られたが、日医は水面下で残業の上限を年2000時間と訴え続けてきた。

 厚労省内でも、地域医療への影響を避けたい医療部門は日医の意向をくんで調整に動く一方、労働部門は規制の例外を作るのに難色を示した。綱引きは緊迫化し、予定していた昨年末の提案は見送られたが、最終的に「病院を閉じろというのか」と詰め寄る族議員に押し切られた形だ。

 約20年前、小児科医の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さん(62)は問い掛ける。「こうしている間にも、医師の突然死は相次いでいる。政治的な思惑に左右されていいのですか?」【熊谷豪、南茂芽育】

 ◇負担軽減、方法限られ

 厚労省が提示した上限の範囲にある月160時間(年1920時間)以上の残業をしている勤務医は、16年調査で約1割に上る。何の手も打たなければ、規制後は上限超過分の労働力が不足することになり「医療提供体制は守れるのか」といった懸念は同省の有識者検討会でも相次いだ。

 実際、既に一部医療機関では、働き方改革に合わせた「自衛策」も広がりつつある。毎日新聞が昨年6月、大学病院など全国85の特定機能病院を調査したところ、少なくとも21病院が診療体制や患者サービスを縮小するか、縮小を検討していた。深夜帯の軽症患者の受け入れをやめたり、患者や家族への説明を平日の勤務時間帯に限定したりと、比較的影響の小さい対策にとどまるものの、ある病院幹部は「上限に達したからといって代わりの医師がいるわけではなく、病院を閉じない限りは(規制を)守れない」と強調する。

 新潟市民病院でも、女性研修医の過労自殺後、紹介状のない患者の原則受け入れ停止や、病状が安定した患者の近隣病院への転院促進などで医師の勤務時間を減らした。

 だが、こうした対応は患者の不利益にもつながるだけに、際限なく拡大できるものではない。医療体制維持と医師の過労防止は、どうすれば両立できるのか。

 厚労省が進めようとしている対策の一つに、一部の医療行為や患者への説明を看護師に移管したり、電子カルテ入力を医療事務に任せたりする「タスク・シフティング」がある。看護師の裁量拡大には日本看護協会も基本的に前向きだが、17年の同協会調査によると、厚労省が目安としている「3交代制で月8回」以上の夜勤をこなしている看護師は3割に上る。ここでも人員不足は深刻だ。

 地域や診療科間の偏在是正も課題となる。厚労省調査では、産婦人科や救急科、外科などの勤務医は半数前後が月80時間(年960時間)以上の残業をしている。特に医師不足の地域では、交代要員も少なく過労が常態化しやすい。村上正泰・山形大教授(医療政策学)は「地域医療を担う病院は『労働条件が厳しい』と敬遠され、医師確保が難しくなる悪循環に陥りかねない。重症患者向けの急性期医療は集約し、かかりつけ医との機能分担を進めて負担を減らすべきだ」と訴える。【酒井雅浩】



https://www.m3.com/news/general/652519
前橋に集中で7医療圏の急患「流出」 医師適正配置を提案へ ぐんま地域医療会議 
地域 2019年1月11日 (金)配信上毛新聞

 県内に10ある2次保健医療圏のうち、前橋、藤岡、富岡を除く7医療圏が、急性疾患や症状が重い急性期患者を診察しきれず、患者が他の医療圏で受診する「流出」状態であることが、県の分析で分かった。前橋は「流入」が顕著で、医療機能の偏在が浮き彫りになった。分析を踏まえ、医療関係者で構成するぐんま地域医療会議(議長・須藤英仁県医師会長)は、今月中にも医師の適正配置方針を公表する。

 本県の65病院と、隣接する茨城、栃木、埼玉、長野各県の計58病院の2016年度の患者データから各医療圏の状況を分析した。発生患者数が診療患者数を上回る状態を「流出」、逆の状態を「流入」とした。患者データを広域で分析するのは初めてという。

 高崎・安中は消化器や循環器をはじめほぼ全ての疾患で全患者を診察しきれず、7617人が他医療圏で受診した。次いで流出数が多かったのは吾妻で3265人。桐生3187人、沼田1519人などと続いた。

 一方、前橋赤十字病院をはじめ急性期患者に対応できる病院が多い前橋は最多の1万8707人が流入。藤岡は2770人、富岡は822人が流入した。

 10医療圏の合計では診療患者数が発生患者数を3575人上回り、県レベルでは流入の状態だった。医療過疎地とされる埼玉県北部の2医療圏は約3万人が流出し、本県の医療機関が支える実態が浮かび上がった。自治医科、独協医科両大学の病院がある栃木県南部は流入が約2万3千人に上り、群馬県民も多く受診しているとみられる。



https://www.m3.com/news/general/652481
医学部総定員は9420人 埼玉医大で地域枠1人増 
行政・政治 2019年1月11日 (金)配信共同通信社

 文部科学省は11日、2019年度の国公私立大81校の医学部入学総定員を、18年度より1人増の9420人とする計画を公表した。

 定員増は(1)都道府県が地域での勤務を義務付け、代わりに奨学金を出す「地域枠」の設置(2)複数の大学が連携して研究医の養成拠点形成を目指す―場合などに認められている。

 文科省によると、埼玉医科大(埼玉県毛呂山町)が地域枠により1人増員する予定で、11日に大学設置・学校法人審議会に諮問した。

 医学部の総定員は21年度までは現状を維持し、22年度以降は人口減などに伴い減らす方向で検討する。

 地域枠を巡っては、厚生労働省が昨年、過去11年間で計約2600人分の定員が埋まっていなかったと発表。学生を勤務地の制限のない「一般枠」に振り分ける不適切な運用もあった。厚労省は、20年度以降に入学する学生の選抜に関して、地域枠を別枠方式にするよう通知している。



  1. 2019/01/13(日) 15:30:40|
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