FC2ブログ

Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月4日 

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20181102/CK2018110202000038.html
4機関に是正勧告、嶺南では医師不足深刻 県内公的医療機関の労働環境 
2018年11月2日 中日新聞 福井

 医師の長時間労働が深刻な問題となる中、本紙は県内の主な公的医療機関の労働環境を取材した。回答があった八機関のうち四機関が、二〇一六年度以降に労働基準監督署から長時間勤務に関する是正勧告を受けていたことが判明。うち三機関が嶺南にあり、深刻な医師不足が過酷な長時間勤務につながっている実態が浮かび上がった。

 基準に適合しない労使協定(三六協定)を結んでいたとされた敦賀市立敦賀病院。担当者は「うちが受診を断ると患者はほかに行く病院がない。医師を派遣してくれるよう県などに頭を下げるしかない」と悲鳴を上げる。中でも産婦人科は一人欠員状態の医師三人体制で、敦賀市や美浜町のほぼ全ての分娩(ぶんべん)を同院と民間病院の二院で受け入れている。最長百七十四時間と指摘された医師も産婦人科医だったという。

 嶺南ではほかに、国立病院機構敦賀医療センター(同市)、公立小浜病院(小浜市)の二機関がいずれも昨年度、過労死ラインとされる月八十時間には及ばないものの、三六協定を超えた残業があったとして是正勧告を受けていた。

 県のまとめによると、十万人当たりの実質的な医師数は二百四十六人と全国平均をわずかに上回っているが、嶺南では百六十五人。さらに開業医も減少傾向にあり患者が公立病院に殺到。丹南、奥越に比べて患者が福井市などの病院を受診しにくいため、医師一人当たりの負担が大きい。

 県によると、医師に嶺南勤務を促しやすくするための奨学金制度を〇九年度から実施。ようやく昨年度から医師の卵が現場に立ち始めている。県地域医療課の担当者は「医師の地域偏在は課題。今はまだ、全ての病院からの医師の派遣希望には応じられない」と弁明する。

 一方で嶺北では、福井大や県済生会、福井赤十字、国立病院機構あわらの四病院では長時間労働に関する是正勧告はなかった。唯一、県立病院が三六協定を超える時間外労働があったとして勧告を受けており、指摘された最長の時間外勤務は月百三十時間だった。

 県立病院では、三六協定違反を避けるための措置として、昨年度までなかった特別条項を新たに設けて年六回を限度に月百時間の時間外勤務を可能にした。また、担当する患者数が一部の医師に集中していた体制の見直しなどを進めている。担当者は「行政サービスが低下しないよう努めながら、働き方を見直していきたい」と話している。

 (梶山佑)
11041_201811040626516fc.jpg



https://www.asahi.com/articles/ASLC336PBLC3UBQU004.html
残業月200時間の労使協定 市立敦賀病院に是正勧告 
2018年11月3日13時00分 朝日新聞 福井

 福井県敦賀市の市立敦賀病院が昨年度、労働基準法に基づく時間外労働の上限を大幅に超えた労使協定を労働組合と結んでいたとして、敦賀労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、病院への取材でわかった。

法定時間越える教員、書類に追われる医師 過労死白書
 病院によると、是正勧告は昨年8月23日付。現行の労基法は、時間外労働の上限を月45時間、年360時間と定めているが、昨年度の病院の労使協定は、時間外労働の上限を月200時間、年1600時間としていた。実際に上限を超えた時間外労働はなかったが、月100時間以上が9人いて、最長は産婦人科医の月174時間だったという。

 病院は今年度、労働組合と時間外労働の上限を月197時間とする協定を結んでいる。病院総務企画課の担当者は「医師が不足している状態だが、組合とも話し合いながら、段階的に時間外労働を減らしていきたい」と話した。



https://www.asahi.com/articles/ASLBV5K4LLBVULBJ012.html
医学部「地域枠」、一般枠とは別に選抜を 厚労省が通知 
阿部彰芳2018年11月2日09時21分 朝日新聞

 医師不足などの地域で将来、一定期間働く条件がある大学医学部の地域枠学生について、厚生労働省は、一般学生と別枠で選抜する方式に限ることを決めた。地域枠学生の確実な確保が狙い。臨時的に認めている医学部の増員分が対象で、都道府県に10月25日に通知し、2020年度以降の入学者から対応を求める。

 医学部定員は国が上限を決め、08年度から地域枠用の臨時増員が認められている。だが、厚労省の調査では、増員分の1割超の学生が、都道府県が貸す奨学金を受け取っていないことが判明。返済免除を条件に地域で働いてもらう仕組みなので、厚労省は奨学金の貸与がなければ、地域枠に当てはまらないとしている。

 入学選抜は一般枠と共通で、地域枠に入る学生を募る「手挙げ」は、一般枠とは別に選抜する「別枠」よりも奨学金を貸与される人の割合、地域への定着率とも低い。このため、厚労省は、都道府県が策定する医療計画に記載する必要がある増員分の地域枠の人数は、別枠方式に限り、事前に各大学と書面で合意することとする。

 地域枠の問題をめぐっては、医師偏在の是正を求める自民党の議連(河村建夫会長)が24日、決議文をまとめ、文部科学省にも大学への指導を求めている。(阿部彰芳)



http://news.livedoor.com/article/detail/15510355/
医師増員・診療報酬増を/「働き方改革」で医療は?/東京でシンポ 
2018年10月28日 9時30分 しんぶん赤旗

 国が進める「医師の働き方改革」によって医師不足や医療崩壊など現場が抱える問題はどうなるのか考えようと27日、東京都千代田区でシンポジウムが開かれました。幅広い医療関係者でつくる「ドクターズ・デモンストレーション実行委員会」の主催。約70人が参加しました。

 厚労省の検討会は医師の時間外労働の上限の設定などの方向性を今年度中にまとめる予定ですが、医師不足を抜本的に改める議論なく進められています。医療現場で働く出席者から、医師増員を求める声が相次ぎました。

 全国保険医団体連合会の竹田智雄理事は「最大の課題は、医療の質を落とさず医師の過酷な勤務環境を改善すること。医師の労働環境を整えてこそ、安全で質の高い医療が提供できる」と主張。必要医師数が確保されるまで計画的な医師養成と、診療報酬の拡充が必要だと訴えました。

 全国医師ユニオンの植山直人代表は、医師不足のまま「働き方改革」が進められれば「深刻な地域医療の崩壊が懸念される」と述べました。全国自治体病院協議会の原義人副会長は、医師の偏在による地域格差を指摘し「地域偏在が解消されない限り医師数は足りているとはいえない。地域医療の継続性と医師の健康への配慮の両立を基本理念とし、国民的議論が必要」と強調しました。

 全日本病院協会の美原盤副会長は、同協会会員病院を対象にした医師の働き方改革アンケートの結果を示し「約半数の病院が医師増員なしには現状の救急体制が維持できないと回答した」と紹介しました。

 医療制度研究会の本田宏副理事長が司会を務めました。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37102320Q8A031C1000000/
医学部の地域枠増員 一般枠に使われる実態が判明  
2018/10/30 13:00 [日経メディカル Online 2018年10月29日掲載]

厚生労働省は10月24日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会を開催。分科会では2036年までに医師の地域偏在の解消を目指すことをおおむね了承した。また、現状の医学部入試地域枠において制度の抜け穴を用いた一般枠の増員があることが報告され、改めて、今後は地域枠を別途設けた入試を行う方針を示した。

2018年7月に改正された医療法および医師法により、医師少数区域を認定し、都道府県に対して医師確保計画を策定することを求めることが定められている。同日の分科会では、医師少数地域の医師を充足させるため、地域医療対策協議会で協議を行った上で知事が大学に対して地域枠の設置・拡充を求めることや、当該自治体で医師不足を解消できない場合には他の都道府県の大学に対して地域枠の設置・拡充を要請できるようにすることを了承した。22年4月以降の医学部入学者を対象とする。

目標医師数は、二次医療圏、三次医療圏ごとに、3年ごと(20年~24年だけは4年)に計画期間の終了時点で確保すべき目標医師数を、地域ごとの人口構成の違いや医師の性別・年齢分布などを反映した医師偏在指標を用いて算出。医師偏在指数が下位の一定の割合以下の地域の医師を、医師の派遣調整や地域枠による増加分で確保する。どの程度の割合の地域を対象にするかについては、今後議論する。最終的な解消のスケジュールは36年を設定するが、分科会では、「医師需給のピークは36年より前にくる。年度ごとにモニタリングが必要なのではないか」(産業医科大学教授の松田晋哉氏)という意見の他、「医師数の偏在だけでなく、診療科偏在まで踏み込まなければいけないのではないか」(全日本病院協会副会長の神野正博氏)という意見も出された。

■手挙げ方式の地域枠に「ずる」との厳しい声も

地域枠については現在、入学試験時に地域枠を別途選別する「別枠方式」と、一般枠と地域枠を共通で選抜する「手挙げ方式」がある。だが、同日の分科会では、文部科学省より、別枠方式では89%の入学者に奨学金を貸与し、うち93%が地域で働く義務を最後まで履行していたのに対して、手挙げ方式の場合は、奨学金の貸与は60%にとどまり、義務の履行者も82%にとどまるという調査結果が示された。地域枠として増員された医学生が一般枠として入学していることに、委員からは問題視する意見が相次いで出された。NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子氏は「手挙げ方式は“ずる"だ」と一刀両断。「医師需給分科会としては、緊急医師確保対策という名目での定員増だったが、なし崩しになってしまう」と主張した他、聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、「地域医療への意志を持った受験生を切り落としている可能性がある」と指摘した。

今後、厚労省では文科省と連携しながら、地域枠の各大学の状況を実名を公表していくと同時に、なるべく早く別枠方式に統一する。ただし、厚労省では、別枠方式にすることで地域枠が埋まらなくなった場合も、一律に枠の返上を目指さず、医師の偏在状況を見ながら調整をしていく。

(日経メディカル 山崎大作)



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/1031516881/
医学部「地域枠」定員削減へ...充足率低い大学、2020年4月入学分から 
2018年10月31日 11:49 (2018年10月31日 読売新聞)

 文部科学省は、地方の医師確保を目的に医学部の定員増を認めた「地域枠」について、充足率の低い大学の地域枠定員を2020年4月入学分から減らすことを決めた。厚生労働省は、地域枠を入試段階から別枠とする場合に限る運用の厳格化を決めており、さらに一歩踏み込んだ形になる。

 国は、医学部定員を抑制する中、医師不足が深刻な地域もあるとし、08年度から原則、地域枠に限って、臨時の定員増を認めてきた。ところが、厚労省が地域枠の実態を調べたところ、定員の1割以上が埋まっておらず、その分、一般枠の学生が増えており、見直しが求められている。



http://news.livedoor.com/article/detail/15519005/
医師、書類作成で多忙=人手不足深刻-過労死白書 
2018年10月30日 9時53分 時事通信社

 政府が30日閣議決定した2018年の「過労死等防止対策白書」で、医療関係者が書類作成事務に追われる姿が明らかになった。

 残業が発生する理由を聞いたところ、医師の57.1%、看護職員の57.9%が「書類作成のため」と答え、ともに最多となった。過重労働防止に必要な取り組みでは、医師、看護職員いずれも「増員」がトップだった。

 病院側に対する調査では、過重労働防止への取り組みとして最多の59.5%が、「医師事務作業補助者や看護補助者の増員」を挙げた。実施に向けた課題に関しては、約半数が「募集しても応募がない」と回答。医療現場でも深刻な人手不足が浮き彫りとなった。

 また、教職員への調査では、残業の理由は「業務量が多い」が69.6%、過重労働防止に必要な取り組みは「教員の増員」が78.5%で、ともに最も多かった。一方、学校に対策を聞いたところ、「会議時間の短縮」や「管理職から教員への積極的な声掛け」が上位となり、増員は6.8%にとどまるなど対応のちぐはぐさが目立った。 



https://kenko100.jp/articles/181030004701/#gsc.tab=0
「塀の中」の深刻な医療事情 
2018年10月30日 06:00 公開 健康百科 by Medical Tribune

 「刑を犯した者に手厚い医療が必要なのか」、「悪いことをした者をなぜ助けるのか」といった声は世間に根強くある。しかし受刑者の大半は有期刑であり、いずれ「塀の外」に戻ってくることを考えれば、刑務所医療※の問題はわれわれ自身の社会的な課題でもある。

 ほとんど知られていない刑務所医療の実態について、「ファイザープログラム~心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」シンポジウムの発表から紹介する。

入所前に処方されていた薬剤をもらえない
 刑務所医療の問題に関連して、とりわけ深刻なのは所内の医師(矯正医官)の不足である。その背景として、医師の待遇や職業的な魅力の問題などがある。

 一方、受刑者からは「医療を受けようとしても、刑務官の段階で拒否される」、「患者としての訴えを聞いてもらえない」といった声が聞かれる。

 NPO法人監獄人権センターによれば、「外部の専門機関での診察が認められないうちに食道がんが見つかり、既にリンパまで転移していた」、「白内障で外来の医師から手術を勧められているが、いつまでも認められない」といった訴えがあるという。

 また、入所前に処方されていた薬剤をもらえないという相談も多い。精神疾患の治療薬や、鎮痛薬の処方希望が、大半を占めるという。精神的ストレスが影響を及ぼす慢性的な痛みなどは、痛みを訴えても受け入れられない状況そのものが、痛みの増強につながりかねない。

 しかし処方薬が限定され、生活リズムが確保された刑務所内の環境は、薬物乱用などの傾向のある者を健康にする最適の環境でもある。医師が適切に介入し、啓発することで、多くの違法薬物使用者の再犯率低下にも寄与すると言われている。

地域医療機関との緊密な連携を
 刑務所における医療事情を改善するためには、所内でのすべての医療を、地域医療機関が担うといった制度改革が必要とされる。これによって医師不足が解消されるとともに、所外の医師の診療が受けられ、刑務所と地域の連携が構築しやすくなるなどのメリットがある。

 フランスや英国では、このような改革が行われた結果、医療に対する被拘禁者の不満は大幅に減ったとの報告がある。日本でも、法務省による刑務所医療の改革が行われている。保安体制からの刑務所医療の独立性を確保し、厚生労働省へ管轄を移すなどの行政面での対応が求められる。

※国内に4か所ある「医療刑務所」とは異なる

(あなたの健康百科編集部)



https://www.medwatch.jp/?p=23199
消費税対応改定、「入院料への財源配分」を大きくし、病院の補填不足等を是正―消費税分科会 
2018年10月31日|2019年度消費税対応改定 MedWatch

 来年(2019年)10月に予定される消費税率引き上げを踏まえ、医療機関の負担(控除対象外消費税)を補填するために特別の診療報酬プラス改定(以下、消費税対応改定)が検討されているが、その際、医療機関の補填のバラつきを是正するために、▼直近のNDBを用いた適切な配点▼医療機関の分類の精緻化▼収入に占める「入院料のシェア」の勘案▼病院における入院料への財源配分の引き上げ―などを検討してはどうか―。

10月31日に開催された診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で、こういった方向が検討されました。12月の予算編成に向けて議論を深めていきます。
 
ここがポイント!
1 病院による「収益に占める入院料のシェア」にも着目した配点を実施
2 個別点数での対応、補填のバラつきを誘引しかねないが、支払側は検討を要望

病院による「収益に占める入院料のシェア」にも着目した配点を実施

保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関や薬局(以下、医療機関等)が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できず、医療機関等が最終負担をしています(いわゆる「控除対象外消費税」)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担も増加することから、1989年の消費税導入時より消費税対応改定が行われており(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度と2014年度)、来年(2019年)10月に予定される消費増税改定でも同様に対応される見込みです。
 
2014年度には消費税率が5%から8%に引き上げられたため、初診料や再診料、各種入院料といった「基本診療料」を引き上げる、消費税対応改定が行われました。しかし、補填状況を詳細に調査した結果、特に急性期病院を中心に、大きな補填不足・補填のバラつきがあることが分かりました(関連記事はこちら)。
 
厚生労働省が、この補填不足・バラつきの要因を分析したところ、大きく次の4つに起因していることが判明しています(関連記事はこちら)。
(1)基本料の算定回数が、「見込み」と「実績」とで異なっていた(「見込み」>「実績」であれば補填不足となる。例えば一般病棟入院基本料では、見込みに対して78.2%、特定機能病院入院基本料では、同じく88.7%にとどまった)

(2)補填(改定財源の配分、点数の引き上げ)の基礎となる課税経費率について、「見込み」と「実績」とでずれがあった(例えば、「病院:診療所」の比率が、▼2012年度は73.0:27.0→▼2014年度は76.1:23.9→▼2016年度は75.8:24.2—と変化し、病院に配分されるべき財源が相対的に小さくなり、診療所に相対的に多くの財源が配分されてしまった)

(3)病院については、例えば「一般病棟入院基本料」という大くくりで課税経費率を捉え補填を行っており、看護配置(7対1、10対1など)による細かい分類をしていなかった(分類ごとに、財源配分や点数引き上げの基礎となる課税経費率が異なっている)

(4)「収益に占める入院料等の割合」を考慮していなかった(例えば特定機能病院では、手術等を多く実施し、収益に占める入院基本料の割合(シェア)が小さいため、入院基本料への点数上乗せ効果が相対的に薄まってしまう)
 
厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室の樋口俊宏室長は、こうした点に次のような対応をとることで「補填不足・バラつきを相当程度解消できるのではないか」と提案しています。

(1)への対応
→直近の通年実績のNDBデータを使用して、基本料の算定回数を精緻に見ることで、より適切な配点を行う

(2)への対応
→2014年度改定では「初・再診料への配点において、一般診療所の財源をほぼ使い切る」(結果として初・再診料の増加分が大きくなる)こととしたが、これを、▼まず無床診療所において、初・再診料を「消費税負担」に見合うように引き上げる → ▼病院の初・再診料、外来診療料を診療所と同額に引き上げる → ▼残りの財源を用いて入院料の引き上げを行う―こととする
 
 病院では、初診料等のシェアが小さいため、「初診料等での補填」の効果も相対的に小さくなってしまいます。そこで、上記の対応によって「入院料により多くの財源」を充て、補填効果の大きな「入院料の引き上げ」の充実を目指すことになります(ただし、病院では初・再診料等の比率が小さいため、この対応の効果は一定程度にとどまると見込まれる)。

(3)への対応
→▼一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料については「療養病床の割合」で病院を分類する(例えば、許可病床のうち療養病床が6割未満の病院を「一般病棟入院基本料」届出病院とし、6割以上の病院を「療養病棟入院基本料」届出病院とする)▼精神病棟入院基本料については「精神科病院」のみとする―など、課税経費率をみる際の病院の分類を見直す。ただし、分類によりサンプル数が小さくなってしまう場合もあり、その場合には、細かい分類は行わない

(4)への対応
→病院種別や入院料別の「収益に占める入院料のシェア」を勘案して補填点数を決定する

 こうした見直し方針に特段の異論は出ませんでしたが、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)らは、「見直しによって補填不足・バラつきがどの程度是正されるのか、試算をしてほしい」と要望しました。

 ただし、見直しによって点数が変更されれば、「診療行動の変化」が生じ、さらに課税経費率にも影響が出てしまう(結果として、試算においてもバラつきが生じ、堂々巡りになってしまう)ため、試算をしたとしても、その結果にどこまでの意味があるのか(実態にどれだけ近いのか)は不透明です。樋口保険医療企画調査室は、どういう手法が考えられるのかも含めて検討すると答弁するにとどめています。

個別点数での対応、補填のバラつきを誘引しかねないが、支払側は検討を要望

 また、10月31日の分科会では「個別点数での対応」の是非についても議論が行われました。

 1989年・97年の消費税対応改定では「個別点数での対応」が行われましたが、その後の診療報酬改定で「引き上げを行った点数が改廃された」ため、事後に、「どの程度の補填が行われているのか」を検証することが極めて困難となっています。また、個別点数の算定状況は、同規模・同施設基準の病院でも相当程度異なるため、大きな補填のバラつきを誘発すると懸念されます。そこで、2014年度改定では「基本料での対応」が採用されたのです。

 診療報酬に占める個別点数でシェアが大きな項目(点数引き上げを行った場合に、補填の効果が大きな項目)としては、「検査」や「手術」があげられます。しかし、「検査」はDPC制度下では包括点数に含まれるため正確な実態を把握することは困難です(算定状況が明確でなく、どの程度の点数を上乗せすると、どういった効果が出るのかも見極められない)。また「手術」は、出来高算定でき、「手術件数の多い病院では、補填割合が小さい」(十分に補填されていない)という関係がありますが、病院によって手術の算定件数は極めて多様であり、「バラつきのない補填」を行うことはできないでしょう。厚労省は「個別点数での対応」には慎重姿勢を示していると見ることができそうです。また、中川俊男委員(日本医師会副会長)をはじめとする診療側委員は、「個別点数での対応」に明確に「反対」を表明しています。

しかし、支払側の委員(吉森委員や幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事))は、「(上記4点の)見直し後にも不合理な補填不足・バラつきが残る可能性があり、その場合には『基本料での対応』にとどまらず、『個別点数での対応』も選択肢として考えるべき」と主張しています。今後も、議論が続けられることになりそうです。

なお、幸野委員は「初・再診料での対応によって、診療所の過補填(消費税負担増を上回る補填)がある」旨を指摘し、個別点数での対応を検討するよう要望しています。しかし、過補填の原因は上記(2)の「財源配分」によるところが大きく、診療側委員との議論にかみ合わない場面もありました。個別点数での対応は、上記のように「バラつきを誘発する」「事後に検証できない」という大きな課題があり、慎重に検討すべきでしょう。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/638712
シリーズ 中央社会保険医療協議会
「個別項目での消費税補てん」、診療側と支払側で意見対立
消費税分科会、「初再診料、病診で同一」は維持の方針
 
レポート 2018年10月31日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月31日の中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長:荒井耕・一橋大学大学院商学研究科教授)で、2019年10月に予定されている消費増税への対応として、消費税の補てん不足や補てん率のばらつきをなくす対応策を提示した。

 「病院と診療所の初再診料は同一点数」という原則を維持して、初再診料、入院基本料など、基本診療料で対応する原則についてはおおむね合意が得られた。しかし、それに加えて、検査や手術料など、個別項目でも補てんするか否かについては、意見集約に至らなかった。

 厚労省は、DPCのデータなどを基に、手術料に上乗せして補てんする妥当性を検討。その結果、収入に占める「手術」の割合と、補てん率の根拠となる課税経費率との相関は見られないことなどを踏まえ、「病院ごとのバラツキが出ない個別の配点は現実的に困難。個別の配点については、事後的な検証も困難になることが見込まれるのではないか」とした(資料は、厚労省のホームページ)。

11042_20181104062653004.jpg

 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、厚労省の提案は基本的には支持したものの、これらを実施した結果、医療機関種別の補てん率がどの程度、是正されるか、シミュレーションが必要だとした。「その結果として、不合理なところがなければ個別項目での対応を考える必要はないと思う。完璧にするのは難しいことは分かっているが、不合理なところがあれば個別項目について議論することが必要」(吉森氏)。

 これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「診療報酬で補てんする以上、医療機関種別で補てん率にばらつきが生じるのは当然。極力少なくする努力はすべきだが、補てん率のばらつきがなくならないからと言って、個別項目での補てんを検討すべき、というのは短絡的ではないか」と反論。1989年の消費税導入や1997年の税率引き上げの際に、個別項目で補てんした結果、その後の診療報酬改定で項目が変更され、補てん状況の把握が難しくなった事情がある上、「どの項目に、どの程度上乗せすればいいか」など作業的にも困難、といった問題を解決できないかぎり、個別項目の議論は難しいとした。

 吉森氏はシミュレーションを前提に個別項目の議論を求めたが、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「まず診療所の初再診料の補てん率を決めて、それを病院に当てはめるということだが、そのやり方が本当に正しいのか。検査や画像診断などで、補てんすることも考えられる。(診療所について)初再診料だけで補てんすることには、違和感を覚える」と訴え、シミュレーションの結果にかかわらず、議論が必要だとした。

 中川氏は、幸野氏の主張にも反論。「なぜそこにこだわるのか。診療所の何が気になるのか」。厚労省調査によると、2014年4月の消費増税時の診療所の補てん率は、111.2%(『中川日医副会長「厚労省の二重、三重の不手際」、消費税補てん率調査にミス』、『厚労省保険局長が「お詫び」、消費税の補てん状況調査ミスで』を参照)。中川氏は、幸野氏がこの数字を念頭に置いていると想定し、この結果は消費税率が5%から8%に上がった部分についての補てん率であり、0%から5%までも含めれば、補てん率は下がるとし、「111.2%にこだわって、基本診療料以外の個別項目での補てんも検討すべきだ、というのは趣旨が違う」と強調した。「個別項目の一つ一つについて、課税経費率を出すのは、そもそも不可能」(中川氏)。

 厚労省保険局医療課保険医療企画調査室長の樋口俊宏氏は、シミュレーションについては「検討する」と引き取ったものの、2014年4月以降、診療報酬改定があり、点数自体も、また点数の算定回数も変化し、課税経費率も変わってきていることから、「きれいにやるのは、難しいかもしれない」などと難色を示した。31日の分科会に提案したのは、全体の補てん不足や医療機関種別の補てん率のばらつきの原因を一通り挙げて、それに対する対応策を提案しているとし、「相当程度、改善すると考えている」(樋口保険医療企画調査室長)。

 それでも幸野氏は納得せず、手術の分析がDPCデータだったことから、「このままでは、個別項目では補てんしないという流れになる。これ以上、データを取るのは不可能なのか」と質問。厚労省保険局医療課長の森光敬子氏は、「私どもの持っているデータの中で、DPCは、一番情報量が多いデータ。また医療機関と紐付けて取れるので、一番精緻なデータだと思っている」と答えた。

 病院の入院料の補てん不足を考慮

 厚労省の調査で、2014年4月の消費増税への対応で、消費税の補てん不足や医療機関種別ごとの補てん率のばらつきの存在が明らかになっていた。同省は、これらの問題を解決するために、(1)一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料について、療養病床の割合(6割未満以上)で病院を分類して課税経費率を見る、(2)病院種別ごとの入院料シェアを考慮して、消費税負担に見合う補てん割合を設定、(3)病診間で初再診料の点数差を設けずに、病院の入院料の割合を高める方法を検討――を提案。

 (1)は、「一般病院」の区分でも、一般病床と療養病床の割合によって、課税経費率が異なることから、「療養病床が6割以上か、未満か」を区切りとして、課税経費率を見ていく考え方だ。

 (2)は、入院基本料については、特定機能病院や精神科病院など、病院種別によって収入に占める入院料シェアが異なる点を考慮して、補てん点数を決定する提案だ。2014年4月の増税時は、病院種別を考慮せず、補てん点数を決定したため、入院シェアが相対的に高い精神科病院では補てん超過の傾向に、入院シェアが相対的に低い特定機能病院では補てん不足の傾向になったと考えられる。

 また、2014年度改定時は、診療所に配分される財源についてはほぼ初再診料で使い切る配点としていた。病院への対応は、まず診療所と合わせて初再診料で補てん、残る財源で入院料の補てんをしたことから、結果として入院料への財源配分が少なくなっていた。それが、病院での補てん不足の一因とされることから、(3)では、病診間で初再診料の点数差を設けずに、病院の入院料の割合を高める方法を検討する。具体的には、まず無床診療所(補てん項目は初再診料のみ)の補てんを考慮して、初再診料に配分を行うこととし、病院における初再診料と入院料の比率を変え 、入院料の割合を高める方針。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、いずれの提案も支持。特に(2)について、「(2018年度改定前の)7対1、10対1入院基本料などの急性期や、特定機能病院での補てん不足の原因は、この点だと思っている。ぜひ“シェア”という考え方を入れてもらいたい」と求め、特定入院料なども含め、細かに設定していくべきだとした。一方で、個別項目での対応は難しいとし、「まずは基本料で、どこまで精緻化されるかがカギ」と述べた。

 「診療科別のばらつき」是正が必要?

 全日本海員組合組合長代行の田中伸一氏は、「各診療科別の検証は可能か。もしばらつきがあるなら、それも是正する必要があるのではないか」と指摘。

 日医常任理事の松本吉郎氏は、「診療科と医師、疾患が一対一で対応しているわけではない。グループ(同じ診療科)の中でも、ばらつきがあり、そこまで考えていくのは意味がない」と反論。

 猪口氏は、「診療科のばらつきを是正しようとしても、最後は病院別のばらつきが生じる。診療報酬上でいくら精緻化しても、無理であり、報酬以外の対応が必要になってくる。ばらつきが残るのを前提に、どこまで精緻化できるかを話していかなければいけない」と述べた。中川氏も、「診療報酬で補てんする以上、ばらつきは生じる。個別項目で対応する作業は、天文学的になる上、さらにばらつきが激しくなる危険性が高い。同じ診療科であっても、医療機関によって内容は異なるので、報酬で補てんした上で、何らかの新たな仕組みが必要、という結論になる」と続いた。

 その他、田中氏と中川氏の間では、消費税率0%から5%までの補てんの在り方についても議論があった。田中氏は、「5%の時点で、診療報酬で措置をされているという前提で、(2014年4月以降の)補てんの過不足を踏まえたものが、今回の消費税対応だ」との認識。これに対し、中川氏は、「補てん率についての検証が可能なのは、5%以降。それ以前については決着が付いたのではなく、不問に付し、議論を蒸し返すつもりはないと言っている。我慢の上の議論をしている」と主張した。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65567/Default.aspx
地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」 地域フォーミュラリを開始 PPIとα-GIから 
公開日時 2018/11/02 03:52 Mix on line

地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」(山形県酒田市)は11月1日、酒田市を中心とする北庄内地域での推奨医薬品を示すフォーミュラリを策定し、運用を始めた。まずは消化性潰瘍などに用いるPPIと糖尿病などに用いるα-GIの2薬効群から開始。PPIは3成分、α-GIは2成分で、推奨後発医薬品(GE)群として1成分あたり2~3メーカーの製品を選定した。処方、調剤において推奨医薬品以外の使用は制限しない形だが、推進法人としては、医療費抑制など地域のコスト管理の取り組みの一環であり、推奨医薬品に集約されていくことを期待する。実施内容は、製薬企業や医薬品卸関係者には正式に通知されておらず、情報を入手した卸関係者は、得意先がフォーミュラリにどう対応するのか確認を急いでいる。

地域フォーミュラリは推進法人の事業。7月以降、推進法人のメンバーである山形県・酒田市病院機構の日本海総合病院、酒田地区の医師会、薬剤師会が中心に検討してきた。地域フォーミュラリを「薬剤に関する有効性、安全性および経済性を考慮した医薬品使用における指針」と位置付ける。PPIを対象にしたのは、先発品の売上が大きく、フォーミュラリ実施で薬剤費節減効果が期待できるため。α-GIは地域としてばらついている採用薬剤の一定の集約が可能と判断した。

推奨医薬品(カッコ内は規格/推奨GEメーカー)は、PPIでは▽ランソプラゾール(15mg、30mg/武田テバ、東和薬品、沢井製薬)▽ラベプラゾール(10mg、20mg/サンド、日医工、キョーリンリメディオ)▽オメプラゾール(10mg、20mg/東和薬品、共和薬品、日医工)の3成分。α-GIでは、ボグリボース(0.2mg、0.3mg:OD錠/沢井製薬、東和薬品、高田製薬)、ミグリトール(25mg、50mg、75mg/東和薬品、沢井製薬(OD錠))の2成分。患者の病態や各施設の事情もあることから、推奨品の処方、調剤を義務付けるものではない。

対象薬効群は、日本海総合病院、医師会と薬剤師会からなる「地域フォーミュラリー作成運営委員会」が選定。推奨成分とメーカーは、薬剤師会内に設置した、推進法人メンバーの薬剤師による「地域フォーミュラリー検討委員会」が決めた。地区内の調剤実績とシェア、安定供給、製品ごとの「生物学的同等性試験」「原薬の産地」「一包化の安定性と利便性」「薬価」「錠剤印字」なども含めて「有効性、安全性および経済性を総合的に検討」したという。AGの登場や原薬供給の不安定化など状況に変化があれば推奨医薬品を再検討することもあるとしている。

地域フォーミュラリに関する説明会を11月6日、酒田市内で薬剤師会会員、医薬品卸関係者を対象に開催し、選定経緯などを解説する。

今後、実施状況をみながら、生活習慣病領域を中心にフォーミュラリの対象薬効群を増やすことも検討する。

「地域フォーミュラリー協議会」設置 自治体ともコンセンサス

地域フォーミュラリの実施にあたり、酒田地区の医師会、薬剤師会、日本海総合病院と、酒田市健康福祉部の国保年金などの関係課をメンバーとする「地域フォーミュラリ―協議会」を設立し、自治体のコンセンサスを得ながら進めることにした。今回の開始も、10月22日の協議会での確認を経て行われた。

なお、推進法人は、日本海総合病院などを運営する地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構、医療法人健友会(本間病院)、医療法人宏友会(上田診療所)、社会福祉法人光風会、医療法人山容会(山容病院:精神科専門)、社会福祉法人かたばみ会のほか、酒田地区の医師会、薬剤師会、歯科医師会の9法人からなる。全て酒田市内にある。



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018103000589&g=eco
過剰病床の削減求める=地域医療を効率化-財務省提言 
(2018/10/30-12:23)時事通

 財務省は30日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)分科会で、医療機関の病床数が一部地域で過剰な状態にあると指摘した上で、ベッド数の削減を通じた地域医療の効率化を提言した。11月下旬にもまとめる財政審の建議に盛り込み、地方自治体などの取り組みを促す。
 同省は、各都道府県の一定人口当たりの病床数と、1人当たりの入院医療費の関係を分析。その結果、高知県が双方でトップになるなど、病床数の多い自治体ほど入院医療費が増大する傾向にあることが確認された。提言は「医療費は医療提供体制の強い影響を受ける」とし、各自治体が病床数などを見直す必要性を強調した。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65550/Default.aspx
財務省 地域財政の安定化へ医療構想の推進加速 都道府県のガバナンス強化を提案 
公開日時 2018/10/31 03:50 Mix on line

財務省主計局は10月30日の財政制度等審議会財政制度分科会で、地域医療構想の推進に向けて、都道府県のガバナンス強化を提案した。国は、地域医療構想の実現を通じ、急性期病床など過剰病床を適正化し、医療費を適正な水準に抑制する絵を描いた。これに対し主計局は、進捗状況に都道府県で大きな開きがあると指摘。2020年度以降の目指すべき姿として、「提供体制改革・医療費適正化のインセンティブと権限・手段を付与」することで、都道府県が「単位化」し、「住民のために持続可能な医療提供体制の構築に向けて主体的な役割を果たす」ことを求めた。

政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2018)では、公立・公的病院の再編・統合に向けた議論を地域単位で進めるよう求める一方で、病床の機能分化・連携が進まない場合は、「都道府県知事がその役割を適切に発揮できるよう、権限のあり方について速やかに関係審議会等において検討を進める」ことを明記した。さらに高齢化のピークを迎える2025年に向け、2次医療圏単位で高度急性期・急性病床、慢性期病床を「削減」、回復期を「増床」するなど、医療必要度に合致した医療提供体制を構築することを求めてきた。

◎今年6月現在の病床再編状況を報告 調整会議に「進捗管理、さらなる対応」を要請

この日の財政審に主計局は、今年6月現在の病床再編状況を報告した。高度急性期・急性期病床は目標の-21万床に対し、実績ベースで病床再編が合意されたのは、わずか-1989床に止まると指摘。同様に慢性期病床は目標の-7万床に対し、実績は-457床。回復期は+22万床に対し、実績は+2882床となっていることを報告した。その上で都道府県に設置した地域医療調整会議に対し、「進捗管理、さらなる対応」を求めた。さらに秋田県や福島県、沖縄県は、公立病院・公的医療機関でも議論がスタートしていない状況にあると指摘。主計局は、「民間医療機関も含めて具体的対応方針の策定を一層促進するとともに、病床の機能分化・連携を進めるため、都道府県の権限強化について検討すべき」と提案した。

主計局はまた、一人当たり医療費(厚労省:2015年度医療費地域差分析)の地域格差の資料を示した。全国平均の53万7000円に対し、最高額の福岡県は+10万4000円。一方で最小額の新潟県は-7万1000円に収めるなど、都道府県間でバラツキがあると指摘した。入院医旅費では病床数と相関が高く、病床数の多い高知県で突出して高いなど、医療提供体制に大きな影響を受けていると分析している。このほか、国民健康保険(国保)の運営主体が市町村から都道府県へと移管されるなかで、公費に加えて補填などの目的で市町村から毎年度3000億超の法定外一般会計繰り入れが行われていることも問題視した。

◎財政安定化を達成した都道府県にインセンティブの付与も

こうした状況を踏まえて主計局は2020年度以降の目指すべき姿を図示し、「医療計画、地域医療構想」、「医療費適正化計画」、「国保財政運営」を一体的に検討することを求めた。そのために、病床の機能分化や連携に補助金や規制を重点配分する実効手段・権限を都道府県知事などに与えることを提案した。財政安定化に寄与した都道府県にはインセンティブを与えることも検討する。

◎地域医療構想の進捗遅れに医師会の影

この日の財政審は、ニッセイ基礎研究所の三原岳准主任研究員からヒアリングを行った。同氏は、地域医療構想実現に向けて、「都道府県は病床適正化よりも提供体制構築を優先し、地元医師会との共同歩調をとった可能性」を指摘するなどと、地域医師会の関与に懸念を示した。三原氏は、地域医療構想の実状として、地域医療構想には、「過剰な病床の適正化による医療費の効率化」と「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在しているとの考えを表明。地域医療構想において、「強制的に病床削減するものではない」など、病床削減を目的としていない都道府県が29にのぼったことを指摘。「日本医師会が都道府県に対して、必要病床は削減目標ではないと明記するよう要請していたことが影響」していたとの見方を示した。

さらに、地域医療構想、国保の都道府県化、医療費適正化を明確にリンクさせたのは奈良県だけだったと指摘。「地域医療構想を医療費に絡めて説明すると、地元医師会が反発する可能性があるので、それを避けた可能性がある」などとの見解を披露した。



https://www.medwatch.jp/?p=23151
地域医療構想調整会議、多数決等での機能決定は不適切―地域医療構想ワーキング 
2018年10月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議の中には、病院の機能などを考えるにあたり「多数決」を採用しているところもあると漏れ聞こえてくる。病院の機能などは、データや議論をもとに、当該病院が「自主的に」転換などを考えていくもので、「多数決」などは不適切である―。

 10月26日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった意見が構成員から相次ぎました。
 
ここがポイント!
1 2018年度中に具体的対応方針を決定する必要があるが、「多数決での合意」は不適切
2 既存病床数などが2025年の必要病床数を上回る場合、都道府県が増床等を拒否可能に

2018年度中に具体的対応方針を決定する必要があるが、「多数決での合意」は不適切

 医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、医療・介護ニーズが急速に増加していくことから、現在の医療提供体制では、こうしたニーズに効果的かつ効率的に応えることができないためです。

 地域医療構想の実現は、データをもとに、▼将来の地域の医療ニーズ等▼自院の状況▼他院の状況―などを客観的に把握し、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で議論を行った上で、各医療機関が自主的に「適切な機能」を考えていく(転換の選択肢もあれば、現状の機能を維持するという選択肢もある)ことがベースとなります。

 ただし、調整会議の議論が十分に進んでいないとの指摘もあったことから、骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨が指示されました。この指示を受け、ワーキングでは、例えば「都道府県における4機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期等)の定量的基準の設定」や「地域医療構想アドバイザーの選定、養成」などの「活性化」方策が議論されているのです(関連記事はこちら)。

 その一方で、2018年度の終わりまでには、あと半年ほどしかないため、調整会議では具体的方針の策定を急ぐあまり「機能転換等を多数決で決定している」事例があることが、伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)から報告されました。

 調整会議の要・本質は、「将来の地域の医療提供体制と自院の機能等を十分に検討し、納得(合意)して機能転換を進める」ところにあります。多数決は、この要・本質から大きく外れていることは明らかでしょう。厚生労働省も「実際には合意に至っていないにも拘らず、(多数決などで)合意済とすることは不適切である。適切な運営がなされるよう、地域医療構想アドバイザーなどに改めて依頼する」考えを示しました。

多数決を初めとする拙速な結論は、かえって「時間の無駄」となるばかりか、地域の医療機関の信頼を損ない、調整会議における実効性のある議論を阻害してしまいます(A病院について「自院は急性期を希望しているが、地域の医療機関が慢性期への転換を多数決で決めた」として、A病院が納得して慢性期に転換するだろうか?)。本質に立ち返った議論が望まれます。

 とはいえ、今年(2018年)9月末時点における調整会議の議論の状況を見ると、▼公立病院については、機能等に関する合意済はベッド数ベースで39%(6月末時点から25ポイント増)▼公的病院等については、機能等に関する合意済は同じく52%(同32ポイント増)▼全医療機関については、機能等に関する合意済は同じく19%(同12ポイント増)—にとどまっています(関連記事はこちら)。確実に進捗はしていますが、残り半年でどこまで本質的な議論を行い、機能等に関する合意が完了するのか、引き続き注目していく必要があります。

既存病床数などが2025年の必要病床数を上回る場合、都道府県が増床等を拒否可能に

 ところで改正医療法・医師法では、地域医療構想の実現に向けて都道府県知事の権限が強化されました。ただし、「民間病院に機能転換を命じる権限」などを付与されたわけではなく、「将来、病床過剰になることが確実な場合には、現時点で病床過剰でなくとも、病床の増設等を許可しない」といった権限を付与するにとどまっている点には留意が必要です(前者は、憲法第22条から導かれる「営業の自由」に抵触する可能性があり、極めて慎重な議論が必要である)。

 10月24日のワーキングでは、厚労省から、▼基準病床(医療計画)▼既存病床(実際に、現時点で何床のベッドがあるのか)▼病床の必要量(地域医療構想)—の関係と、都道府県知事との関係について下図のような整理が行われました。
 
 新たに付与された都道府県知事の権限が執行されるのは、第7次医療計画では「27医療圏」あることが分かります。

 この点に関連して中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「自由診療であれば、病床過剰地域であっても病院を開設してよいであろうとして、高度急性期病院を開設・増床するケースがあるようだが、大きな問題だ。厚労省は実態を把握してほしい」との注文を出しています。
 
 このほか、10月24日のワーキングでは▼介護医療院▼地域医療構想アドバイザー―の状況も報告されています。

 前者の介護医療院は、▼医療▼介護▼住まい―の3機能を持つ新たな介護保険施設です。当面は、介護療養や医療療養からの転換が見込まれています。

 昨年(2017年)の病床機能報告では、約35万床の慢性期機能を持つ療養病床・一般病床がありますが、うち介護医療院への転換を予定しているのは1万6000床あり、「医療療養のうち旧【療養病棟入院基本料2】(25対1看護)を届け出ている病棟」が多いことが分かりました。

2018年度の診療報酬改定では、医療療養の報酬体系が大きく見直され、また2018年度の介護報酬改定では、介護医療院の基本報酬や加算、構造・設備基準などが明らかになったことから、「介護医療院への転換意向」の状況が変化していく可能性があります。慢性期機能病床から介護医療院への転換は、地域医療構想実現の中でも重要な事象の一つであり、今後とも、詳細な状況が報告される見込みです。

なお、この点に関連して、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は、「介護医療院への転換を希望するが、介護保険の保険者である市町村側が首を縦に振らないケースがあると聞く。地域医療構想の実現に向け、対策を考える必要がある」と指摘しています。

「介護療養→介護医療院」では問題が生じませんが、「医療療養→介護医療院」では、費用が医療保険から介護保険に移り、小規模な町村では、大幅に介護保険料が増加してしまうことが危惧され、転換に待ったをかけるケースがあると指摘されています。この点、2018年度介護報酬改定の総指揮を執った厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長(前、老健局老人保健課長)は「現在、担当課(介護保険計画課)で対応を準備していると聞いている」旨のコメントをしています。



https://www.medwatch.jp/?p=23257
「地域別の診療報酬」特例は最終手段、まず地域住民の健康増進に注力を―日医総研 
2018年11月2日|医療保険制度 MedWatch

 財務省などは「都道府県別・地域別の診療報酬」(診療報酬の特例)の実施に向けた準備を進めよと要請するが、これは医療費適正化計画が達成できない場合の「最終手段」であり、また、「医療資源の偏在助長」などの弊害が懸念される。まず、「地域住民の健康増進」に力を入れるべきである―。

 日本医師会のシンクタンクである日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が11月1日に公表したリサーチエッセイ「診療報酬の特例についての解釈と課題—都道府県医師会の役割を中心に―」では、こういった考えが示されました(日医総研のサイトはこちら)。

「診療報酬の特例」発動は、厚労相・都道府県・保険者協議会で慎重に検討を

高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)第14条では、「厚生労働大臣が、都道府県知事と協議のうえで、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときに、1の都道府県の区域内における診療報酬について、合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」旨を規定しています。いわゆる「都道府県別、地域別の診療報酬」「診療報酬の特例」と呼ばれる規定です。

財務省や一部自治体、さらに骨太の方針2018(経済財政運営と改革の基本方針2018)からは、医療費の伸びを抑えるために、この「診療報酬の特例」について、▼具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰す▼2018年度からの第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活⽤していくための枠組みを整備する―よう要請があります(関連記事はこちらとこちら)。

この「診療報酬の特例」を実施するためには、次のような厳格な手続きを踏む必要があります。

(1)都道府県において、医師会等も参画する「保険者協議会」と協議のうえで、医療費適正化計画を作成・実施する(高齢者医療確保法第8条、第9条)
  ↓
(2)医療費適正化計画終了の翌年度に、厚生労働大臣が、都道府県の意見を踏まえて医療費適正化計画の実績を評価する(高齢者医療確保法第12条)
  ↓
(3)各都道府県において「保険者協議会」での議論も踏まえて、「診療報酬の特例」適用の必要性を検討する((2018年3月29日付けの厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知)
  ↓
(4)厚生労働大臣が実績評価を踏まえ、都道府県と協議のうえで「診療報酬の特例」適用の必要性を判断する(2018年3月29日付けの厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知)

 大まかに整理すれば、▼厚生労働大臣▼都道府県▼保険者協議会(地域の保険者や医師会、歯科医師会などが参画)—で、医療費適正化計画の達成状況を詳細に分析し、「診療報酬の特例」が必要か否かを慎重に判断することが求められていると言えます。

 日医総研では、この「診療報酬の特例」は、「地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内」(高齢者医療確保法第14条)で、謙抑的かつ慎重に必要性を判断することが重要と指摘。さらに、医療費適正化のための「最終手段」であり、そこに至らないように▼地域の実情を踏まえた医療費適正化計画を策定する▼医師会や保険者が協力して計画を実施する▼計画の実績評価に当たっては、保険者協議会で議論を尽くす―ことが必要と強調します。

さらに、財務省等の要請に対しては、▼都道府県が予防・健康づくりをおろそかにして、診療報酬のコントロールに頼るおそれがある▼患者・医療従事者の移動によって地域医療資源の偏在が助長されるおそれがある(経済理論に照らせば、患者は単価の安い地域での受診を希望し、医療提供側は単価の高い地域への移動を希望すると考えられる)—などの弊害を指摘。医療費適正化を推進・達成するためには、まず「地域住民の健康増進」に取り組むことを重要と、強く訴えています。



https://www.medwatch.jp/?p=23184
新専門医制度は「地域で必要とされる優れた臨床医の養成」に主眼を置くべき―日病・相澤会長 
2018年10月30日|医療現場から MedWatcch

 従前の専門医制度では、例えば「個々の医師が専門領域を持ちながらも、内科や外科といった領域を超えて、カバーしあいながら地域医療を支える」形となっていた。しかし、現在の新専門医制度ではこうした形をとれない方向に進み、むしろ医師偏在を助長することになるのではないか。新専門医制度は、「地域で必要とされる優れた臨床医の養成」に主眼を置き、偏在対策は別の仕組みの中で行うべきである。こうした点について、日本病院会としての意見を表明していってはどうか―。

 日本病院会の常任理事会ではこうした懸念等が示され、今後、新専門医制度の在り方について意見を表明していく方針が固められたことが、10月30日に記者会見を行った相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)から発表されました。
 
新専門医制度で、「質の担保」と「地域偏在の是正」を両立させることには無理がある
従前の専門医制度に対し、「学会が乱立し、各々で専門医資格を授与しているため、専門医の質が担保されているのかが不明確で、また国民にとって分かりにくいものとなっているのではないか」という課題があり、これを解決するために新専門医制度が構築されたのです。そのポイントは、▼「18領域+総合診療専門医の基本領域」を1階部分とし、その上に基本領域と関係の深いサブスペシャリティ領域(2階部分)を設け、専門医の認定は、日本専門医機構と学会が共同で行うことで「国民への分かりやすさ」を担保する▼専門研修プログラムを、日本専門医機構の策定した整備指針に則って、各学会が責任をもって作成することで「専門医の質」を担保する―などと整理でるでしょう。

 新専門医制度は、今年度(2018年度)から全面スタートし、現在、来年度の専攻医(新たな専門医の資格取得を目指す後期研修医)の登録が始まっています。

しかし日本病院会の会員病院からは、新専門医制度の施行状況を踏まえて次のような問題点が指摘されているようです。

▽従前の専門医制度に比べて、一般病院(日病の会員病院など)での研修医(専攻医)が減っている

▽内科や外科でも研修医が減少しているが、とくにそれ以外の診療科では、専門研修プログラムの基幹病院からはずれた一般病院では、自ら専攻医(研修医)を募集することができず、ゼロ人となっているところも少なくない

 
 新専門医制度には、上記のような「研修医の質を担保し、かつ国民に分かりやすいものとする」といった要請のほかに、「地域の医師偏在を助長させない」といった要請も加わりました。

 しかし、上述のように地域の一般病院では研修医(専攻医)が減り、地域偏在が助長されている面があるようです。相澤会長は、さらに「若手医師は、指導医の下で学ぶとともに、失敗を指導医にカバーしてもらいながら経験を積んでいく。しかし、新専門医制度のベースとなるプログラム制(年次ごとに定められた研修プログラムに則って、定められた施設で研修を行う仕組み)の下では、『優秀な指導医の下で研修(指導)を受ける』ことが難しくなっているのではないか」(例えば、研修プログラムの下で、必ずしも優秀でない指導医の下で研修せざるを得ないケースが出ていく可能性も否定できない)との考えも示しました。後者は「質の確保」を揺るがすものとも言えます。

 これでは、両方の要請に対して「どっちつかず」の結果に終わることも懸念されます。この背景には、新専門医制度に課せられた「2つの要請」(▼質の担保▼地域の医師偏在の是正―)を同時に達成しなければならないことがあると相澤会長は指摘した上で、後者の「地域の医師偏在の是正」は別の仕組みで対応し、新専門医制度は前者の「質の担保」、つまり「良い臨床医の育成」に主眼を置くべきではないか、と訴えました。

 この点、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される「四病院団体協議会」が、新専門医制度に対する意見を表明していますが(関連記事はこちら)、「日本病院会としての意見」(日病で養成を始めている『病院総合医』と、新専門医制度における『総合診療専門医』との関係、地域で求められる専門医像と、必要とされる能力など)を別途、取りまとめ、表明していくことになりそうです。今後、日病内部でさらに議論を詰めていくことになります(病院総合医の関連記事はこちらとこちら)。

 
さらに相澤会長は、地域医療においては「総合的な診療能力を持つ医師」の存在が非常に重要であるとも強調。新専門制度では、19番目の基本領域として「総合診療専門医」を位置付け、養成を開始していますが、早くとも2021年度以降にならなければ総合診療専門医は誕生しません。その間にも、地域において総合的な診療能力を持つ医師が不可欠なことは述べるまでもありません。

この点、相澤会長は「従前の専門医制度の下では、専門医は、特定の専門領域を持ったうえで、内科医も軽度の腰椎圧迫骨折などの外科領域をカバーし、外科医も肺炎などの内科領域をカバーするという形で、総合的な診療能力を持ち、地域医療を支えてきた。しかし、新専門医制度の下ではそういう形での地域医療の支え方ができなくなっていくように見える」と懸念しています。今後の動向に要注目です。



https://www.medwatch.jp/?p=23262
介護医療院は2018年9月末で63施設・4583床、6月末から3倍に増加―厚労省 
2018年11月2日|介護保険制度 MedWatch

 今年(2018年)9月末時点で、63施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は4583床となった。介護療養と介護療養型老健施設からの転換がほとんどである―。

 こうした状況が、厚生労働省が11月1日に公表した「介護医療院の開設状況等(平成30年9月末)」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

 6月末時点と比べて、施設数は3倍(21施設→63施設、42施設増)に、ベッド数は3.3倍(1400床→4583床、3183床増)となり、着実に転換が進んでいます(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 介護療養・転換老健からの転換が多く、医療療養からは一部にとどまる
2 施設数最多は北海道・山口県の6施設、ベッド数最多は広島県の492床

介護療養・転換老健からの転換が多く、医療療養からは一部にとどまる

 介護医療院は、2017年の介護保険法改正で創設された▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ、新たな介護保険施設です。2018年度の介護報酬改定で単位数や構造・設備基準が設定され、この4月から各地で開設がスタートしました。

 この9月末(2018年9月末)の状況を見ると、日本全国では63施設・4583床が開設されており、3か月前(2018年6月末)の3倍の施設数・ベッド数になりました。

もっとも、2017年の病床機能報告結果からは「一般病棟・療養病棟から、全国で約1万6000床が介護医療院への転換を希望している」(2023年度の意向)ことが分かっており、「転換意向はあるが準備中」であるのか、「転換意向がある、準備も完了しているが、自治体(市町村)の認可が下りない」のか、詳しく見ていく必要もありそうです(関連記事はこちら)。

 報酬区分別・転換元別・地域別の内訳をみると、次のような状況です。

【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】(775-1332単位):35施設(2018年6月末に比べて22施設増)・2425床(同1743床増)
▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】(731-1221単位):26施設(同18施設増)・2059床(同1440床増)
▽I型とII型の両方を設置している施設(ただし同じフロアでの混在は不可):2施設(ベッド数は上記に含まれている)
 
【転換元別】
▽介護療養(病院)から:32施設(2018年6月末に比べて22施設増)・2549床(同1928床増)
▽介護療養型老健施設(転換老健)から:20施設(同13施設増)・1382床(同753床増)
▽医療療養(2018年度診療報酬改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:12施設(同8施設増)・383床(同286床増)
▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:5施設(同4施設増)・235床(同216床増)
▽有床診療所から:2施設(同増減なし)・24床(同増減なし)
▽介護療養(診療所)から:1施設(同増減なし)・10床(同増減なし)

 医療療養からの転換が、合計17施設・618床あります。介護療養はもちろん、医療療養から介護医療院への転換は「総量規制」(介護保険制度における地域の介護施設整備上限)の枠外となっていますが、小規模な自治体(町村)では、「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」へ転換が生じた場合、介護費が急増し、保険料が高騰してしまうため「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されます(下図表のように、医療療養から介護医療院への転換に一定の制限を掛けている自治体もある)。現在、厚生労働省で対応が練られており、今後の動きに注目する必要があります(関連記事はこちらとこちら)。

施設数最多は北海道・山口県の6施設、ベッド数最多は広島県の492床

【地域別】

●6施設ある自治体(2道県)(ベッド数の多い順に記載、以下同)
▽北海道:6施設(同4施設増)・440床(同252床増)
▽山口県:6施設(同4施設増)・369床(同294床増)

●5施設ある自治体(1県)
▽岡山県:5施設(同5施設増)・270床(同270床増)

●4施設ある自治体(1県)
▽富山県:4施設(同3施設増)・317床(同147床増)

●3施設ある自治体(6県)
▽広島県:3施設(同2施設増)・492床(同450床増)
▽静岡県:3施設(同2施設増)・282床(同224床増)
▽埼玉県:3施設(同2施設増)・232床(同134床増)
▽長崎県:3施設(同増減なし)・231床(同増減なし)
▽愛知県:3施設(同2施設増)・219床(同177床増)
▽徳島県:3施設(同1施設増)・109床(同58床増)

●2施設ある自治体(6県)
▽群馬県:2施設(同1施設増)・217床(同150床増)
▽石川県:2施設(同1施設増)・203床(同60床増)
▽香川県:2施設(同増減なし)・130床(同増減なし)
▽大分県:2施設(同2施設増)・104床(同104床増)
▽鹿児島県:2施設(同2施設増)・88床(同88床増)
▽佐賀県:2施設(同1施設増)・74床(同52床増)

●1施設ある自治体(12府県)
▽奈良県:1施設(同1施設増)・238床(同238床増)
▽沖縄県:1施設(同1施設増)・100床(同100床増)
▽福井県:1施設(同1施設増)・80床(同80床増)
▽茨城県:1施設(同1施設増)・60床(同60床増)
▽長野県:1施設(同1施設増)・58床(同58床増)
▽福岡県:1施設(同1施設増)・58床(同58床増)
▽島根県:1施設(同増減なし)・52床(同増減なし)
▽秋田県:1施設(同1施設増)・42床(同42床増)
▽大阪府:1施設(同1施設増)・39床(同39床増)
▽岐阜県:1施設(同1施設増)・36床(同36床増)
▽愛媛県:1施設(同増減なし)・31床(同増減なし)
▽青森県:1施設(同1施設増)・12床(同12床増)

●ゼロ施設の自治体(19都府県)
▽岩手県▽宮城県▽山形県▽福島県▽栃木県▽千葉県▽東京都▽神奈川県▽新潟県▽山梨県▽三重県▽滋賀県▽京都府▽▽兵庫県▽和歌山県▽鳥取県▽高知県▽熊本県▽宮崎県—

 最も施設数が多いのは北海道と山口県の6施設、最もベッド数が多いのは広島県の492床、2018年6月末に比べて最も施設数が増加したのは岡山県の5施設増、同じく最もベッド数が増加したのは広島県の450床増、という状況です。



  1. 2018/11/04(日) 09:18:15|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<11月11日  | ホーム | Google Newsでみる医師不足 2018年10月31日>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する