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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月14日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181013_11042.html
<どうする登米の医療>(上)
診療所休診 患者1000人超、他病院へ
 
2018年10月13日土曜日 河北新報

 宮城県登米市の市立病院の医師不足と経営難が深刻だ。市は本年度、常勤医の確保ができず、運営する3病院4診療所のうち登米(とよま)、津山の2診療所を休止した。2005年の9町合併で新市が誕生して13年。合併前と同じ数の公立医療機関が存続する中、医師不足による収入減、非効率的な運営により、病院事業の累積赤字は150億円を超える。地域医療が崩壊しかねない登米市の現状を報告する。(登米支局・小島直広)

 市登米診療所が休診となった8月1日。「バス停」として開放された診療所待合室で、近くに住む82歳の女性がつぶやいた。
 「胃の調子が悪くてね、月1回お薬をもらいに来ていたの。ここ新しくてきれいで便利だったのに…。どうして休みになったの?」
 この日は、市が用意した他病院への患者送迎バスの初運行日で、女性は約20分かかる市立豊里病院に通うためやって来た。

<人繰りがつかず>
 登米診療所は内科など4科。休診により患者1069人に紹介状が出され、約半数の531人が登米市民、豊里、米谷の市立3病院に、302人が登米町域の2カ所の開業医に移った。
 登米市は県内でも医師不足が最も深刻な地域だ。人口10万人に対する医師数は105人(2016年度県調査)。全国平均の251人、県平均の242人を大幅に下回る。
 登米診療所は医療法の規定で、常勤医1人を置かないと診療が続けられない。市は県の医師確保事業「ドクターバンク」を利用して16年度から2年間、常勤の内科医1人の派遣を受けてきたが、今年3月末で任期が切れた。昨年から県に再度の派遣を要請したが人繰りがつかなかった。
 市は4月から、他の市立病院の医師を同診療所に応援として派遣。内科を午前診療にしてしのいだが、応援医の勤務が加重になりすぎ「病院本体の診療に支障が出る」として、やむなく休診に踏み切った。

<地元からは反発>
 昨年度、同じく市立病院から応援医1人を派遣してきた津山診療所も、人繰りがつかず4月に休診した。
 登米診療所は元は入院病床98床の旧登米町の拠点病院。合併後の08年に無床化され診療所となった。それだけに今回の休診に対する地域の反発は強い。
 旧登米町地域から6月下旬、「診療継続を求める陳情書」が地域住民の3分の2に当たる3374人分の署名を添えて市に提出された。取りまとめた登米地区町内会振興協議会の佐々木康明会長(71)は「明治から続く登米病院が診療所となり今度は休診。住民の多くは悲哀を感じている」と語る。
 始まったばかりの患者送迎バスの運行は、利用者の低迷で10月末に打ち切られることになった。
 佐々木さんは「医師が来る環境を整えることが最善の方法。市は10年以上、医療改革を進めてきたと言っているが、根本的な改革がなされていないのではないか」と苦言を呈する。
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https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181014_11021.html
<どうする登米の医療>(中)
 医師の苦悩 昼夜問わぬ勤務限界
 
2018年10月14日日曜日 河北新報

 宮城県登米市の市立病院の医師不足と経営難が深刻だ。市は本年度、常勤医の確保ができず、運営する3病院4診療所のうち登米(とよま)、津山の2診療所を休止した。2005年の9町合併で新市が誕生して13年。合併前と同じ数の公立医療機関が存続する中、医師不足による収入減、非効率的な運営により、病院事業の累積赤字は150億円を超える。地域医療が崩壊しかねない登米市の現状を報告する。(登米支局・小島直広)

 8月下旬の月曜日午後6時、登米市迫町の登米市民病院。通常の診療時間を過ぎても1階救急外来に患者は続々とやって来る。
 「どっちの指が痛い? こっちかな」。診察室に当直の内科医、大坂英通さん(45)の声が響く。指を挟んでけがをした男の子が、母親とともに駆け込んだ。
 10分後にはもう一人、腎結石の疑いがある中年男性が来院。その6分後には救急車が入り、ベッドから落ちた男性が老人ホームから運ばれた。その後も薬疹が出た女性らが来院し、大坂さんは分刻みで診察に追われた。一段落したのは午後9時すぎのことだ。
 「きょうはまだ楽な方。金曜の夜や年末は、もっと忙しい」と言う。

<当直と救急兼務>
 大坂さんのこの日の勤務は、外来の新患診療。午前9時から午後6時まで、昼食を取る暇もなく働き、そのまま当直勤務に入った。翌日は正午に帰宅するのが決まりだが、午後も勤務を続けることが多い。
 大坂さんは当直と内科週末当番(電話待機)をそれぞれ月1、2回こなす。週末に2日連続でしっかり休日が取れるのは、2週に一度だという。
 市民病院の常勤医は18人。うち60歳以上の4人を除く14人が、夜間の入院患者百数十人の急変に備える当直医として、翌朝8時半まで泊まり込みで勤務する。加えて夜間の救急外来も同じ当直医が1人で担当することが市民病院の慣例となっている。
 「本来なら当直医は入院患者担当の医師が1人、救急外来担当の医師1人の計2人いるのが理想。でもローテーションが回らないからそうはなっていない」と大坂さんは言う。
 医師の絶対数が足りず、夜間の当直医の半分は、東北大からの医師派遣に頼っているのが実情だ。

<増える定年退職>
 7月4日、同市登米(とよま)町であった登米診療所休診に伴う説明会。住民から休診に至った責任を問う厳しい意見が相次いだのに対し、市民病院の松本宏院長は医師不足の窮状をこう訴えた。
 「安易に休診する訳ではない。このままでは中核の市民病院が立ち行かない。登米市の医療全体が成り立たなくなる」
 市医療局によると、市立病院の医師は2005年の広域合併時には計45人いたが、現在の3病院4診療所体制で30人。高齢化が進んでおり、今後5年間で11人が65歳の定年で退職する見通しという。

[登米市民病院]1950年、県厚生連佐沼病院として開院、55年に旧迫町立、2005年に登米市立、11年に現名称。市立医療機関(3病院4診療所)の中核・災害拠点病院で、内科、外科、整形外科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科など13診療科。稼働病床は227床。



https://www.m3.com/news/iryoishin/634898
シリーズ 真価問われる専門医改革
社会医学系の専攻医、2年目も100人超え
専門研修プログラムは73、47都道府県で養成可能に
 
レポート 2018年10月12日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会医学系専門医を目指す専攻医数は、2018年度は112人で、制度初年度の2017年度の109人と合せると221人に上ることが明らかとなった。一般社団法人社会学系専門医協会の9月末の総会で報告された。専門研修プログラムも新たに20プログラムを追加認定し、計73。47都道府県の全てで研修が可能な体制が整った。

 2年連続で専攻医数が100人を超えたことについて、同協会理事で、日本衛生学会理事長の大槻剛巳氏は、「制度開始前は、年30~50人と想定していた。しかも、初年度よりも2年目は減ると考えていたので、想定よりも多い数字」と語る。制度初年度は、社会医学系の大学院に在学中、あるいは行政の仕事に従事している医師などが一斉に研修開始。2年目の専攻医数が減少すると想定していたのは、新たに社会医学系の分野に入る医師数は限られると見ていたからだ。

 社会学系専門医協会は、2015年9月に設立され、2016年12月に法人化。社会医学系の各学会、日本医師会、日本医学会連合など計14の学会・団体から成る。社会医学系専門医の養成は、2017年度からスタートした。制度開始に先立ち、移行措置として、社会医学系分野での一定の経験年数などを条件に、専門医と指導医の認定も開始した。9月末現在、専門医は381人、指導医(専門医資格も有する)は2679人、合計で3060人。

 2019年度研修開始の専攻医の募集は、今秋から来年初めにかけて実施する予定。さらに2019年8月には、経験年数不足などで移行措置による専門医を取得できなかった医師向けの試験も行う。社会医学系専門医の専門研修プログラムは3年。初年度の専攻医は2020年3月に研修を修了、2020年8月に新制度による第1回の専門医試験を予定している。

 専門医制、社会医学系へのキャリアを後押し
 社会医学系専門医の専門研修プログラムでは、「行政・地域」「産業・環境」「医療」のいずれか1つを主分野、他の2分野を副分野として研修する。主分野の専攻医数は、ほぼ3分の1ずつだという。各領域の修了者は、国や都道府県などの行政、職域での産業衛生、医療のほか、教育・研究機関で活躍することが想定されている。

 川崎医科大学衛生学教授でもある大槻氏は、医学生や若手医師の意見を踏まえ、次のように語る。「新専門医制度が始まったこともあり、臨床医を目指す若手にとっては、専門医取得は当たり前のことになりつつある。臨床医か、社会医学系の医師かを迷った若手にとっては、行政分野に進んでも専門医を取得できることはメリット。県庁の部長などの肩書きだけではなく、医師としてのキャリアに、専門医というステータスを付与されることは、『社会医学系に進もう』と考える若手の背中を押す一因になっているようだ」。

 サブスペシャルティも検討
 社会学系専門医協会の構成学会のうち、独自に専門医制度を有するのは、日本産業衛生学会のみ。社会医学系専門医のサブスペシャルティの位置付けになる。今後、他の学会でも、サブスペシャルティの専門医制度を構築するか否かは今後の検討課題だ。

 また社会学系専門医協会の発足当初は、新専門医制度の20番目の基本領域とするか、あるいは別の立ち位置にするかも、検討課題だった(『社会医学系専門医協会、700人超す医師登録』を参照)。制度運営が順調に進んでいることもあり、別の立ち位置で協同し合う道を進むものと見られる。同協会幹部は、日本専門医機構の新理事長、寺本民生氏とこの9月に面談。新専門医と社会医学系専門医の双方の制度で共通する「医療倫理」「感染対策」「医療安全」講習については、相互に協力し合うことを提案したという。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36275850Z01C18A0L01000/
津軽に新中核病院、国立弘前病院と弘前市立病院を統合  
2018/10/9 22:00 日本経済新聞 北海道・東北

国立病院機構と青森県弘前市、青森県、弘前大学の4者は、国立病院機構弘前病院と弘前市立病院を再編して新たな中核病院を整備することで合意し、このほど基本協定を結んだ。新中核病院は国立病院機構が事業主体となり、現在の国立弘前病院の敷地に整備する。2022年の運営開始を目指す。

津軽地域の2次救急体制を維持するため青森県が提案していた。整備費は126億円と見込まれ、弘前市が40億円を負担する。病床は約450床で、弘前大学医学部付属病院に次ぐ規模となる。診療科は24で、精神科、リハビリテーション科、救急科、総合診療科、歯科を新たに設置する。

協定締結式で弘前市の桜田宏市長は「医師不足、医師の偏在化の状況から再編が必要だった。津軽地域の人々の命を守る第一歩」などと述べた。三村申吾知事は「医療機能の集約によって医療対応が充実・強化できる。また若手医師の育成拠点にもなり県全体への好影響も期待できる」と強調した。



https://www.m3.com/news/general/634918
複数大学の医学部、不適切入試疑い 順天堂大や昭和大か 
2018年10月13日 (土) 朝日新聞

 柴山昌彦文部科学相は12日の会見で、全国81大学の医学部医学科を対象とした入試をめぐる調査で、複数の大学で不適切な入試が行われた疑いがあることを明らかにした。性別や浪人年数で合格率の差が大きく、特定の受験生を優遇させている懸念がある大学を中心に訪問調査をしているが、差が生じている理由について合理的な説明を得られていないケースがあるという。関係者によると、不適切な疑いが持たれている大学には順天堂大や昭和大が含まれているという。

 柴山氏は疑いのある大学名などは明らかにせず、「大学の自主的な公表をお願いしたい」と求めた。また、すでに入試不正が判明している東京医科大を除く80大学を訪問調査する方針を新たに示し、月内に中間報告、年内に最終結果を公表するとした。

 医学部入試をめぐっては文科省幹部が起訴された汚職事件をきっかけに、東京医科大で一部の受験生への点数加算や、女子や浪人回数の多い男子への不利な扱いが発覚。文科省は他大学についても男女別の合格率や、不正がないか報告を求め、約30大学を優先的に訪問したという。

 文科省は9月、大学ごとの過去6年間の男女別合格率を公表している。それによると、順天堂大は男子の合格率が女子の1・67倍で、昭和大は1・54倍だった。東京医科大は1・29倍、全大学の平均は約1・2倍だった。順天堂大は取材に対し「文科相の発言を受け、今後の対応を検討するので、コメントは差し控える」とした。昭和大は「文科省で調査中なので、回答は差し控える」とした。(矢島大輔)



https://www.m3.com/news/general/634921
不正入試、昭和大なども…8割で男子合格率高く 
2018年10月13日 (土) 読売新聞

 東京医科大(東京)が医学部医学科の一般入試で女子受験生らの合格者数を抑制していた問題で、複数の私立大学にも不正入試の疑いがあることが、文部科学省の調査でわかった。女子や浪人を重ねた受験生を不利に扱っていたとみられ、関係者によると、順天堂大(同)や昭和大(同)などが含まれているという。

 同省は、東京医科大の問題を受け、8月以降、全国81大学の医学部医学科を対象に緊急調査を実施。過去6年間に行われた入試の男女別平均合格率で、約8割の63校で男子が女子より高いことが判明した。

 不正入試については、東京医科大を除く全校が否定したが、同省は、女子の合格率の低い大学を中心に約30大学を訪問し、詳細な聞き取り調査を実施。一部の私大が、性別や年齢で受験生の取り扱いに差をつけたり、特定の受験生を有利に扱ったりしていたことを申告し、それをうかがわせる資料も見つかったという。



https://www.m3.com/news/general/634841
くらて病院:「移転新築は構想通り」 町長が見直し主張撤回 /福岡 
2018年10月12日 (金) 毎日新聞社

 鞍手町の岡崎邦博町長は11日、記者会見し、地方独立行政法人「くらて病院」の移転新築について「整備基本構想通りに進める」と述べた。岡崎町長は、9月の町長選などを通じて「整備基本構想の収支計画は現状を反映していない」として、構想見直しを主張していた。

 岡崎町長は就任以降、病院側と協議を重ねる中で、収支計画の見直しを要請。病院側が来年4月に内科常勤医が4人増となることを踏まえた新収支計画を提出した。岡崎町長は「収支の改善が見込め、地域医療を守るには、現時点で、構想通りに進めることが最善という結論を得た」と述べた。また、構想で野球場を建設地としていたことについても岡崎町長は再検討を訴えていたが「他の町有地を検討したが、現予定地より費用も建設期間もかかり、断念せざるをえなかった」とした。

 会見に同席した同病院の河野公俊理事長は「今回の町長の決断で地域医療を守ることができる。ありがたい判断だ。医師の招へいにも有利に働く」と歓迎した。

 構想は、総事業費約65億円で、財源として2020年度末の完成が条件の過疎債を利用するとしている。しかし、官製談合事件などで逮捕、起訴され辞任した前町長が人事などに不当介入したとして、当時の内科常勤医6人全員が3月末で辞任。患者数減少などで収支が悪化していた。【武内靖広】
〔筑豊版〕



https://www.m3.com/news/general/634653
「科学研究費増やして」ノーベル賞の本庶さん、文科相に 
2018年10月12日 (金) 朝日新聞

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)が11日、東京・霞が関の関係省庁で大臣と面会した。

 柴山昌彦文部科学相との面会では、科学研究費助成事業(科研費)の増額幅がわずかなことに触れて「基礎研究は科研費が基本。少しずつ増やしていただくのが重要だ」と要望した。柴山文科相は「基礎、それをどう応用するか、私の方でもしっかり支援します」と応じた。

 午後は根本匠厚生労働相と面会。本庶さんの研究がもとになったがん治療薬「オプジーボ」は高い薬価が、医療財政の面で課題とされてきた。本庶さんは「薬価が高いという不満の声も聞き、実際、医療費が増えている」と指摘したうえで、病気の予防への投資を呼びかけた。子宮頸(けい)がんの原因ウイルスの感染を防ぐ「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」が現在、積極的に勧奨されていないことも取り上げた。「世界中で使われ、有効性があるという結果が出ている。WHO(世界保健機関)も非常に問題視している」とし、「ぜひすすめるべきではないか」と訴えた。

 本庶さんは、若手研究者を支援する基金を京大に設立する意向を示している。ノーベル賞の賞金や、がん治療薬「オプジーボ」の販売で得られた利益の一部を受け取るロイヤルティー(権利使用料)などを投じるという。国内の基礎研究費低迷が背景にある。



https://www.m3.com/news/general/634584
市立旭川病院:赤字続き、医師ら給与削減へ 市議会可決 /北海道 
2018年10月11日 (木) 毎日新聞社

 旭川市議会は10日、赤字が続く市立旭川病院の経営再建をするため、11月から2年間限定で医師や看護師らの給与を削減するための条例改正案を可決した。市は年約1億3000万円の経費削減を見込む。

 市によると、2017年4月以降の採用者らを除く約430人が対象。給料本体を削減するのは、管理職、課長補佐級を中心とした医師や看護師、薬剤師らで、削減割合は20~1・8%。ボーナスに当たる年2回の勤勉手当は、若手も含め0・5~0・25カ月分削減する。市はこうした方針を労組に提示し、8月に合意したという。

 同病院は近年、患者数の減少などで経営が悪化し、医師不足も深刻化。17年度の赤字は約6億2000万円に上り、立て直しが急務となっている。16年12月に旭川医大と連携協定を締結。60%台にとどまっていた病床稼働率は80%台まで向上してきたが、さらに給与削減に踏み込むとともに、高利率の起債を低利率へ借り換えるなどで黒字化を目指す。【横田信行】



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54332
世界に取り残される日本の「子宮頸がんワクチン」
議論に必要な情報提供を行う役割を放棄する日本のメディア
 
(文:上昌広)
2018.10.11(木) 新潮社フォーサイト / JB Press

 ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんを起こす。HPV感染を予防するためのワクチンが開発され、2009年にわが国でも承認された。2010年には公費接種の対象に加えられ、2013年の予防接種法改正では法定接種に追加された。

 ところが、接種後に疼痛などの訴えが続発し、厚労省は2013年6月、「積極的な接種勧奨を差し控え」を通達した。先立つ3月には全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が組織され、2016年に集団訴訟が提訴された。

 その後、HPVワクチンの取り扱いについて、わが国は迷走する。詳細は2016年4月7日に筆者が紹介したとおりだ(「『子宮頸がんワクチン訴訟』で明らかになった『情報』と『制度』の不足」)。

「副反応報道」をなかったことにする『朝日』

 この記事から2年半が経過するが、状況は変わらない。むしろ、ますます悪化したと言っていい。それは、HPVワクチンの記事がばったりと減ってしまったからだ。新聞記事のデータベースである「日経テレコン」を用いて調べたところ、『朝日新聞』が過去1年間に掲載した「HPVワクチン」か「子宮頸がんワクチン」を含む記事は、わずかに10件だった。副反応が話題となった2013年の58件の5分の1以下だ。一連のあの報道は何だったのだろう。

 知人の『朝日新聞』記者は「村中璃子さんの記事を掲載したことで、すでに方向転換し、副反応を大袈裟に騒いだのはなかったことになっています」という。

 村中さんの記事とは、『朝日新聞』が2017年12月19日に掲載した、英科学誌『ネイチャー』などが主催するジョン・マドックス賞を受賞したことを報じたものだ。村中氏は、一貫して、HPVワクチンの副反応騒動は医学的な根拠がなく、一部の活動家や研究者の影響を受けていると主張してきた。権威ある『ネイチャー』の編集部が彼女を表彰したということは、世界の科学界は村中氏の主張を支持したことを意味する。HPVの副反応を強調し続けた『朝日新聞』の報道は適切でなかったと言っていい。

 人は誰しも間違える。副作用が疑われた際、マスコミが被害者の視点で報じるのは当然だ。ただ、当初の報道が不適切と分かったら、頬被りしてはいけない。医学研究は日進月歩だ。正確な情報を国民に伝えねば、国民が医学の進歩の恩恵を享受する機会を奪ってしまう。HPVワクチンを打つべきか、打たざるべきか、決めるのは国民だ。そのためには、国民に正確な情報を提示しなければならない。それができるのはメディアだけだ。本稿では、『フォーサイト』というメディアの場をお借りして、HPVワクチンの研究の現状をご紹介したい。

今年1月に「予防効果あり」の報告

 まずは有効性だ。2011年6月、オーストラリアの研究者たちは、英国の医学誌『ランセット』に、4価のHPVワクチンであるガーダシルの接種プログラムの導入後2年で、18歳未満の女性から、前癌病変である高度異形成が38%低下したと報告した。

 2014年3月には、同じくオーストラリアのグループが英国の医学誌『BMJ』に続報を発表し、高度異形成を46%減らしたと報告した。

 前癌病変である異形成の発症を抑制することについては、カナダなど他の国からも報告されており、医学的なコンセンサスといっていい。

 一方、HPVワクチンの接種プログラムが導入されてからまだ10年程度しか経っていない現在、子宮頸がんの予防効果についてのコンセンサスはない。ただ今年1月、フィンランドの研究者が、14~19歳の約2万7000人を7年間フォローしたところ、子宮頸がんの発症率はワクチン非接種群で10万人あたり6.4人だったが、接種群では0だったと『International Journal of Cancer』誌に報告した。今後、子宮頸がんの予防効果については、他のグループからも報告されるだろう。その結果も踏まえ、近いうちにコンセンサスが形成されると考えている。

集団内の感染率低下が、非接種の人の感染リスクを低下

 では、HPVワクチンは社会に、どのような影響を与えるだろうか。麻疹や風疹に対するワクチンは、ワクチン接種を推奨することで、集団内の感染率を低下させ、接種していない人の感染のリスクを低下させることが知られている。この現象を集団免疫と呼ぶ。

 HPVは性感染症なのだが、HPVワクチンの集団免疫効果はどうだろうか。これについても、研究が進んでいる。

 2012年7月、米シンシナティ小児病院の研究者たちが、HPVワクチンがカバーするHPV-6、-11、 -16、-18の感染率が、ワクチン接種者で69%、非接種者で49%減少したと報告した。HPVワクチンの集団免疫効果を示した初めての研究だった。

 2016年9月には続報が米国の『Clinical Infectious Disease』誌に報告され、HPVワクチンの接種率が7割を超えたシンシナティでは、ワクチン接種者の感染率は91%、非接種者の感染率は32%低下していたことが確認された。

 さらに同様の研究結果は、別の研究グループからも報告されている。2016年2月、米国の疾病予防センター(CDC)の研究者たちは、接種プログラムが導入された2006年から6年間の、米国の14歳から19歳の女性におけるワクチンがカバーするタイプのHPV感染率は、ワクチン接種者で64%、非接種者で34%低下していたと報告した。複数のグループから一致する結果が報告され、ワクチンの集団免疫効果は裏付けられた。

 接種時期に関する研究も進んでいる。HPVワクチンが、性交歴のある女性にも効くのかどうかという点については、まだコンセンサスはない。だが2014年9月には、オーストラリアの研究者が、HPVワクチンが25歳以上の女性にも有効であることを示した。その年代の多くの女性には性交歴があるため、持続感染への抵抗効果、あるいは再感染を予防する可能性が示唆されたのだ。

 HPVワクチンが初めて承認されたのは2006年6月、米国においてのことだ。米メルク社の4価ワクチンであるガーダシルが承認された。当時の接種対象は9歳~26歳の女性だったが、一連の研究を受けて、米食品医薬品局(FDA)は27歳~45歳の女性に適応を拡大した。

 HPVワクチンの効果の持続性についても、研究は進んでいる。2017年11月、米国の研究者たちは米メルク社の治験の最終解析結果を発表し、接種者の8割以上で抗体が維持されており、効果は10年以上持続していることを確認した。かくのごとく、HPVワクチンの有効性に関する研究結果は世界各地から報告されている。

「世界標準ガーダシル9」は日本では未承認

 HPVワクチン研究を進める原動力は、製薬企業間の競争だ。当初、HPVワクチンは米メルク社のガーダシル(4価)と英グラクソ・スミスクライン社のサーバリックス(2価)が存在した。

 日本では2009年にサーバリックス、2011年にガーダシルが承認され、サーバリックスが先行したが、カバーするタイプが多いこともあり、海外ではガーダシルが支持された。

 2011年11月、英国政府は12歳~13歳の女児の定期接種に用いるHPVワクチンを、サーバリックスからガーダシルに変更すると発表した。サーバリックスを販売するグラクソ・スミスクラインは英国の企業だ。この判断は世界を驚かせた。

 両社の競争にケリをつけたのは、2014年12月に米FDAが9価のガーダシルを承認したことだ。従来の4つの型に加え、HPV-31、 -33、-45、-52、-58をカバーするようになった。従来の4価ワクチンがカバーするのは子宮頸がん全体の7割だったのが、9割に増えた。

 さらに2015年3月、米CDCの諮問委員会がガーダシル9の使用を推奨し、2016年10月にはグラクソ・スミスクラインが米国でのサーバリックスの販売を停止した。ガーダシル9は世界標準のHPVワクチンとしての評価を確立した。もっとも、日本では未承認である。

様々ながんにHPVが関係している

 HPVワクチンの研究が進んでいるのは子宮頸がんだけではない。肛門がん、陰茎がん、膣がん、外陰がん、頭頸部がんの一部はHPVが原因であることがわかっており、このようながんに対しても研究が進んでいる。

 特に注目されているのは頭頸部がんだ。2011年10月に米国がん研究所の研究者が、1984年から2004年の間に収集した271の中咽頭がんのサンプルを調べたところ、HPVに感染していたのは、1984年~89年は16%だったのに、2000年~04年は72%に増加していたと報告した。

 2012年1月には米オハイオ州立大学の研究者たちが、14歳~69歳の健常男女5579人を対象に口腔内のHPVの感染状況を調べたところ、感染率は10.1%だったと報告した。これは女性の3.6%より統計的に有意に高かった。

 頭頸部がんは男性に多いがんだ。これまで喫煙との関係が指摘されていたが、近年、喫煙率は低下傾向にある。現状はむしろ、HPVの影響が顕在化したのかもしれない。専門家たちは、いまや全世界の頭頸部がんの7~9割はHPVによると考えている。

 HPVと関連するがんは、これだけではなさそうだ。2011年には世界保健機関(WHO)の一機関である国際がん研究機関(IARC)が、肺がんとHPV感染の関係を、2013年にはオーストラリアの研究者が食道がんとHPV感染の関係を報告した。因果関係は確立していないが、研究者はHPV感染が多くのがんの発症に関係していると考えている。

現在の問題は接種率の低さ

 当然だが、このようながんに対してもHPVワクチンによる予防が試みられている。

 2011年10月には米メルク社は、男性同性愛者を対象にガーダシルの肛門がん(上皮内腫瘍)の予防効果を検討した研究結果を、世界最高峰の米国『ニューイングランド医学誌』に報告した。この研究によると、ガーダシル投与により、肛門がんは半減していた。

 頭頸部がんに関しては、いまだ確定的なデータはないが、2015年5月にオランダの研究者たちが、女児とともに男児にもHPVワクチンを接種することで、男性の頭頸部がんなどで蒙る逸失利益(本文ではQALYsという指標を用いている)を37%低下させることができると報告した。

 このような研究成果を世界の医学界は積極的に社会に訴え、一部は政策に反映されている。

 例えば、2011年10月に米国CDCの諮問委員会が、2012年2月には米国小児科学会が、男児・男性にもガーダシルの接種を推奨することを公表した。米国では男児もガーダシル接種の対象に含まれている。

 米国での現在の問題は接種率が低いことだ。2015年7月、『米国医師会誌』はプリンストン大学の研究者の報告を掲載した。彼らは、米国でHPVワクチンの接種を義務づけているのはワシントン特別区と2州だけであること、接種率は目標の80%を大幅に下回り、3回接種を済ませている思春期の女児は38%、男児は14%に過ぎないと指摘した。

 この状況を受けて、小児科や感染症の専門誌では近年、どうすればHPVワクチン接種率を高めることができるかという研究が数多く紹介されている。

 例えば、2016年12月、米ノースカロライナ大学の研究者たちは、HPVワクチンの接種率を向上させるには、医師が保護者に、その必要性をはっきりと説明することが有用であると報告している。HPVワクチンに関する議論がタブー視され、接種率がほぼゼロの日本とは雲泥の差である。

WHOは日本でのワクチン騒動を意識した声明

 では、マスコミが喧伝し、多くの国民が関心を抱く副作用についてはどうなっているだろう。こちらについても、数多くの研究成果が報告されている。

 まずは2012年10月に、米国の医療保険会社であるカイザー・パーマネンテの医師たちが、約19万人の若年女性がガーダシルを接種後に救急外来を受診、あるいは入院したかを調べたが、特に大きな問題はなかったと小児科専門誌に報告した。

 同月には、同じくカイザー・パーマネンテの医師たちが、HPVワクチンは接種した女児たちの性行動に特に影響を与えなかったことを、小児科専門誌に発表している。

 さらに2013年10月には、スウェーデンの研究者たちが英国の医学誌『BMJ』に、HPVワクチンが自己免疫疾患、神経疾患、静脈血栓症を増加させなかったこと、2014年6月にはデンマークの研究者たちが『米国医師会誌』に、深部静脈血栓症を増加させなかったこと、2015年9月には米国国立衛生研究所の研究者たちが英『BMJ』誌に、妊娠に悪影響を与えないことを報告している。

 こうした一連の研究を受け、2013年6月には、WHOの諮問機関である「ワクチンの安全性に関する諮問委員会」が「HPVワクチンは世界で1億7000万回超が販売されており、多くの国で接種されている。市販製品の安全性に懸念はないことを再確認した」と総括している。

 このような見解を述べたのは、WHOだけではない。2015年11月には、欧州医薬品庁(EMA)が、HPVワクチンは安全であるとの声明を出している。この声明の中で、“Review concludes evidence does not support that HPV vaccines cause CRPS or POTS”という強い論調で副作用の懸念を否定している。“CRPS or POTS”とは日本の医師たちが指摘したHPVワクチンの副作用のことだが、WHOは日本でのワクチン騒動を意識して、それを否定する声明を発表したわけだ。ところが日本のメディアは、この声明を取り上げなかった。

 以上、わが国でのHPVワクチン騒動以降の世界での研究の動きを紹介した。もちろん、どんなワクチンにも副作用はある。わが国の接種者の一部に重大な副作用が生じた可能性は否定できない。ただ、ワクチン接種の是非を議論する際に重要なのは、効果と副作用を冷静に天秤にかけることだ。その際には正確な情報が欠かせない。日本のメディアは、その役割を完全に放棄している。本稿がその一助になれば幸いである。

上昌広
特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。



https://www.medwatch.jp/?p=22824
病床過剰地域で「ダウンサイジング」が進むよう、効果的な方策を検討せよ―経済財政諮問会議 
2018年10月9日|医療・介護行政全般 MedWatch

 (1)予防・健康づくりの推進(2)効率的な医療介護制度、地域医療構想等の実現(3)社会保障サービスにおける産業化の推進(4)生涯現役時代の制度構築を通じた経済活力の向上—を柱として社会保障改革を進めよ。とくに(2)では、「病床過剰地域でのダウンサイジング」を進める必要がある―。

 10月5日に開催された経済財政諮問会議では、有識者議員からこういった提言が行われました。

 新内閣(第4次安倍改造内閣)の発足に伴い、安倍晋三内閣総理大臣は「少子高齢化に真正面から立ち向かい、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていく」考えを強調しており、今後も活発な議論が行われると予想されます。

少子化を見据えて、「生産性向上」「タスクシフト」なども進めよ
 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。その後、2040年にかけて高齢者人口の増加の程度は鈍化するものの、「生産年齢人口」が急激に減少していくため、社会保障制度の基盤が極めて脆くなっていきます。

このため、給付と負担の見直しにとどまらない「社会保障改革」が求められているのです。

 経済財政諮問会議の有識者議員(▼伊藤元重議員:学習院大学国際社会科学部教授▼高橋進議員:日本総合研究所チェアマン・エメリタス▼中西宏明議員:日立製作所取締役会長兼執行役▼新浪 剛史 サントリーホールディングス代表取締役社長)は、まず2019年度の社会保障関係予算について「高齢化の伸びが緩和される」点を指摘。つまり、2018年度までよりも「伸びを抑制する」、厳しい改革を行うよう強調しています。
 
その上で、改革の視点として(1)予防・健康づくりの推進(2)効率的な医療介護制度、地域医療構想等の実現(3)社会保障サービスにおける産業化の推進(4)生涯現役時代の制度構築を通じた経済活力の向上—の4点を掲げました。

まず(1)の「予防・健康づくり」(生活習慣病、認知症予防等への重点的取組)に関しては、関係府省が地方自治体・医師会等と協力して、▼現役世代への「特定健診受診、健康増進等のインセンティブ」として、ポイント制度の導入を促進する▼自治体の判断で「包括的・広域的な民間委託の仕組みを導入する」など、多様なPPP(Public Private Partnership:官民連携)/PFI((Private Finance Initiative:公共施設等の建設、管理、運営等に、民間の資金、経営能力等を活用する仕組み)の活用手法を推進する▼認知症対策について、「予防モデル構築に向けて官民を挙げて取り組む重点プロジェクト」の規模・民間資金受け入れの仕組みを具体化する▼ACP(Advanced Care Planning)や、在宅看取りを推進する―よう提案しています。

厚労省では、すでに高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する仕組みの構築に向けた検討を進めており、今後、とかく縦割りと言われる「行政内部での連携」も重要課題となってくると考えられます。

また(2)の「効率的な医療介護制度、地域医療構想等の実現」では、「病床過剰地域におけるダウンサイジング支援に向けて、民間病院等の誘因になる効果的な追加方策を検討する」よう求めている点が注目されます。

地域によっては、すでに「人口減少」が進んでいます。こうした状況の下では、新規患者の獲得が困難で、「病院等の病床の稼働率を維持するために、退院を伸ばす(つまり在院日数を短縮させない)」という操作が行われがちです。不要な在院日数の延伸は、医療費の高騰につながる(現在の入院料は1日当たりで設定されているため)だけでなく、▼ADLの低下や院内感染のリスクを向上させる▼患者の社会復帰・職場復帰を遅らせ、経済的な困難をもたらす―という弊害もあります。

「本当にその病床規模が必要なのか」を、公立・公的病院だけでなく、民間病院も含めて検証する必要があるでしょう。

さらに(3)の「社会保障サービスにおける産業化」に関しては、▼「マイナンバー」「被保険者番号の個人単位化」を活用し、健康関連データの蓄積と活用を推進する▼AIを活用した予防、健診、治療の最適化に向けて、改革工程を具体化する▼医療システム全体のデジタル化を推進し、関連サービスにおける産業化を推進する▼医療関係者の業務分担の見直し・効率的な配置、多様な人材の活用を進め、負担軽減と生産性向上を実現する―といった幅広い改革を求めています。

少子高齢化の進行は、「社会保障費の増大」→「保険料等負担の増加」だけではなく、「医療・介護現場等で働く人材が不足する」ことを意味します。「保険あってサービスなし」という事態が、日本全国で生じる可能性も否定できず、「タスクシフト・タスクシェア」「AI等最新技術を用いた生産性の向上」に向けた取り組みを早急に進める必要があるでしょう。
 
 さらに、社会保障改革で重視しなければならないのが、いわゆる「元気高齢者」にも支え手になっていただくという視点です((4)の「生涯現役時代の制度構築を通じた経済活力の向上」)。

 年金制度改革はもちろん、元気高齢者が「医療・介護」サービスの周辺部分を支えることで、「人材不足」に一定の効果が期待できます。

 この点、臨時議員として出席した根本匠厚生労働大臣は、「高齢者の『若返り』が見られ(日本老年学会・日本老年医学会も指摘するように、「10-20年前と比べ、5-10歳程度の若返りが生じている」(加齢に伴う身体機能変化の出現が遅れている))、就業率も上昇している」点を強調し、今後、国民誰もが、より長く、元気に活躍できるよう、▼多様な就労・社会参加の環境整備▼健康寿命の延伸▼医療・福祉サービスの改革による生産性の向上▼給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保—に向けた検討を進めていく考えを示しています。
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https://www.medwatch.jp/?p=22813
2019年度地域医療係数設定に向け、DPC病院は10月16日までに「がん拠点病院等の状況」の届出を—厚労省 
2018年10月9日|医療保険制度 MedWatch

 2019年度の「DPC地域医療係数」設定に向けて、DPC病院においては「がん診療連携拠点病院などの指定を受けているか」などを10月16日までの都道府県に届け出なければならない―。

 厚生労働省は9月28日に通知「平成30年度地域医療指数(体制評価指数)等の確認に係る手続きについて」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

届け出漏れがあれば、2019年度の医療機関別係数に反映されなくなる点に留意を
 DPC制度において、包括部分の請求額は「診断群分類ごとの1日当たり点数」×「在院日数」×「医療機関別係数」で計算します。
 
「医療機関別係数」は、▼基礎係数(大学病院本院群(旧I群)、DPC特定病院群(旧II群)、DPC標準病院群(旧III群)のそれぞれで設定)▼機能評価係数I(入院基本料等加算などを係数化)▼機能評価係数II(個別医療機関の機能を係数化)▼激変緩和係数(診療報酬改定時の係数の激変を緩和)の和となります。

機能評価係数IIは、今般の2018年度改定で次の6項目に整理しなおされました(関連記事はこちらとこちら)。
(1)保険診療係数:適切なDPCデータの作成、病院情報を公表する取組み、保険診療の質的改善に向けた取組み(検討中)を評価する
(2)効率性係数:各医療機関における在院日数短縮の努力を評価する
(3)複雑性係数:各医療機関における患者構成の差を1入院あたり点数で評価する
(4)カバー率係数:様々な疾患に対応できる総合的な体制について評価する
(5)救急医療係数:救急医療の対象となる患者治療に要する資源投入量の乖離を評価する
(6)地域医療係数:地域医療への貢献を評価
 
 DPC病院の機能はさまざまであり(例えば、特定の疾患に専門特化した病院、多くの診療科を有する総合病院など)、6項目の機能評価係数によって多角的に評価を行うものです。

このうち(6)の「地域医療係数」は、例えば「がん診療連携拠点病院」への指定や「脳卒中地域連携」への取り組みといった「体制」を評価する【体制評価指数】と、地域の患者のシェア(つまり、地域の患者にどれだけ支持されているか)を評価する【定量評価指数】で構成されます。この【体制評価指数】の内容についても、2018年度診療報酬改定で整理しなおされたため(関連記事はこちらとこちらとこちら)、厚労省は今般の通知において、その内容と確認手続きを詳しく示しました。確認手続き(報告・届け出)に漏れがあった場合、がん診療や脳卒中に力を入れていたとしても、翌年度(今回であれば2019年度)の地域医療係数に反映されないこととなってしまうので、ご留意ください。
 
 各DPC病院では、下記の地域医療指数(体制評価指数)の評価項目の参加・指定等状況を、厚労省の定める様式1「救急医療等の参加状況について」によって、2018年10月16日(火)までに「病院の所在地を管轄する都道府県衛生主管部(局)」に提出することが求められます。

その後、都道府県衛生主管部(局)が、がん対策主管部(局)と連携して、病院の提出様式を確認して、登録状況等を各病院に回答。回答を受けた病院は、当該様式1と様式2「施設基準の届出状況等に係る報告」を、2018年11月30日(金)までに地方厚生(支)局医療課に提出します。

地方厚生(支)局は、提出された様式2の内容を確認し、様式1・2を厚労省に報告し、厚労省で集計の後、「地域医療指数(体制評価指数)等の拡大」→「各病院への内示」を経て、2019年3月に医療機関別係数(機能評価係数Ⅱ)が告示されます。
 
【確認項目】

●がん
▽がん診療連携拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院)、特定領域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院(国立がん研究センター中央病院・同東病院は、「都道府県がん診療連携拠点病院」とみなす)
▽小児がん拠点病院

●へき地医療
▽へき地医療拠点病院
▽「へき地医療」の要件を満たすことで社会医療法人の認定を受けている病院
▽「へき地医療」の要件以外の要件を満たすことで社会医療法人の認定を受けている病院、または社会医療法人ではない病院で、「へき地医療」の業務実績における基準に該当している病院

●災害医療
▽災害拠点病院
▽災害派遣医療チーム(DMAT)への参加(都道府県・政令指定都市が独自に認定する災害派遣医療チーム(DMAT)は届出の対象外)
▽広域災害・救急医療情報システム(EMIS)に参加し、災害時に医療施設の状況を入力可能な病院(都道府県の運営する救急医療情報システムのみの参加は届出の対象外)

●周産期医療
▽総合周産期母子医療センター
▽地域周産期母子医療センター

●救急医療
▽病院群輪番制病院、共同利用型病院
▽救命救急センター



https://this.kiji.is/423648763828044897?c=92619697908483575
八代市立病院、病床移転、外来譲渡へ協定 
(2018年10月13日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

 八代市は12日、本年度末に廃止予定の市立病院(同市妙見町)について、一般病床の再編移転や外来診療の事業譲渡を来年4月に行うための基本協定を、熊本総合病院(同市通町)、八代北部地域医療センター(氷川町)とそれぞれ結んだ。

 病床の再編移転に必要な厚生労働相の同意が9日取れたという。市は「廃止に向けた準備がほぼ整った」として、12月定例市議会に市立病院の廃止条例案を提出する方針。

 協定によると、市立病院の一般病床全66床のうち、56床を熊本総合病院、9床を八代北部地域医療センターへ移転。全床を八代地域に不足している回復期に充てる。市の運営補助金は交付しない。

 熊本総合病院には仮設外来棟や医療機器などを無償で譲り、現地での外来診療を引き継いでもらう。現地診療は来年4月からひとまず10年間とし、市は必要に応じてその後も継続を求める。

 市鏡支所で、中村博生市長と両医療機関の代表が協定書に調印。熊本総合病院の島田信也病院長は「住民の要望が強い整形外科の新設も含め、外来診療の充実に努める。10年過ぎても続けるつもりだ」。八代北部地域医療センターの吉田光宏院長は「八代北部の住民に身近な病院として、機能強化につなげたい」と述べた。

 市立病院の廃止を巡っては、地元・宮地校区の一部の住民らが不安を訴え、反対運動を展開している。(益田大也)

G3註:八代市の病院
            高度  急性  回復  慢性
国保八代市立病院    —   66   —   — 
熊本労災病院       6   404   —   — 
八代北部地域医療CTR  —   46   —   34 
桜十字八代病院     —   55   51   −
八代医師会病院     —   —   —   100 
JCHO熊本総合病院   54   286   —   — 



https://www.medwatch.jp/?p=22832
新専門医制度、2019年度の専攻医登録を控えて「医師専門研修部会」議論開始 
2018年10月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度における2019年度の専攻医(専門医資格取得を目指す後期研修医)の登録を控え、9月28日には医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門部会)の初会合が開かれました。

部会では、近く、各都道府県の「地域医療対策協議会」の意見を踏まえた「厚生労働大臣の意見」(日本専門医機構や基本領域学系に向けた要望)を取りまとめます。また、一部学会ではカリキュラム制の専攻医を合算すると「シーリング(上限)を超えた採用がなされている」ことも明らかとなり、2019年度の登録状況についても「シーリングを遵守しているか」の確認が行われます。
 
ここがポイント!
1 「東京への専攻医集中」は抜本的に見直すべきとの指摘も
2 カリキュラム制を含めると、一部基本領域学会ではシーリングを超過

「東京への専攻医集中」は抜本的に見直すべきとの指摘も

 医師偏在是正を大きなテーマに掲げた改正医療法・医師法では、新専門医制度について「各都道府県の地域医療対策協議会の意見を踏まえて、厚生労働大臣が新専門医制度に内容に関して意見を述べる(日本専門医機構は、意見を反映させる努力義務を負う)」仕組みが創設されました。

 地域医療対策協議会には、▼都道府県▼市町村▼医師会▼病院団体▼期間病院等▼大学―などが参加し、地域医療確保の観点で新専門医制度等に関して協議を行い、意見・要望を都道府県・厚生労働大臣を通じて日本専門医機構に伝えることができます。
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 具体的には、新専門医制度において日本専門医機構・基本領域学会が▼専門医制度新整備指針(日本専門医機構で制定)▼専門医制度新整備指針運用細則(同)▼総合診療専門研修プログラム整備基準(同)▼総合診療専門研修プログラム(同)▼各基本領域の専門研修プログラム整備基準(各基本領域学会で制定)▼各基本領域の専門研修プログラム(同)—を制定・変更する場合に、各都道府県・協議会の意見を踏まえて、厚生労働大臣の意見・要望を日本専門医機構・基本領域学会に提示します。ただし、各研修プログムの細部(「●●疾患を○○症例以上、経験すること」など)については、各基本領域学会のプロフェッショナルオートノミーを基盤に設計されるべきものであり、都道府県や厚生労働大臣の意見・要望は「地域の医療提供体制の確保に重大な影響を与える事項」「研修を受ける機会の確保に関する事項」に限定される点には留意が必要です(近く、厚労省令の交付、関係通知の発出等が予定されている)。

 10月中旬(15日予定)の専門部会で、各都道府県・協議会の意見を踏まえて、厚生労働大臣の意見・要望を取りまとめることが確認されました。
 
 9月28日の初会合では、この意見・要望取りまとめも睨み、委員からさまざまな意見が出されました。

このうち立谷秀清委員(全国市長会会長、福島県相馬市長)は、「新専門医制度で、東京への専攻医集中が助長されてしまった」点を重く見て、「シーリング(定員上限)を思い切って厳しくする(例えば現在の30%減)などの見直しが必要」と強調しています。

これに対し日本専門医機構の副理事長である今村聡参考人(日本医師会副会長)は、「例えば、東京都でのシーリング設定で、仙台のある基幹病院から『東京からの医師派遣がストップし、困っている』といった声も出ている。2019年度からはさらに東京都のシーリングを5%減らす(厳しくする)ことになったが(関連記事はこちら)、数字だけではなく、医師の動向などを丁寧に見ていかなければいけない」と説明しましたが、立谷委員は「そもそも、仙台を初め、地方の病院が、東京からの医師派遣を受けなければ医療提供体制が維持できない状況がおかしい」とし、抜本的な「東京への専攻医集中の是正が必要」と改めて訴えました。

カリキュラム制を含めると、一部基本領域学会ではシーリングを超過

ところで、厚労省の調べでは、「2018年度において、カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)の専攻医を加味した場合には、一部基本領域学会において、シーリングを超過して専攻医を採用している)ことも明らかになりました(2018年度は外科や産婦人科などの一部領域を除き、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡の5大都市圏では、シーリングを「過去5年間の後期研修医受け入れ実績の平均」とした、関連記事はこちら)。プログラム制(年次ごとに定められた研修プログラムに則って、定められた施設で研修を行う仕組み)の専攻医に限定すれば、シーリングを遵守していると考えられますが、「医師の地域偏在を助長しない」という趣旨に遡って考えれば、「カリキュラム制の専攻医も含めてシーリングを設定し、それを遵守する」ことが求められるでしょう。
 
この点、牧野憲一委員(日本病院会常任理事、旭川赤十字病院院長)は「シーリングを超過した採用は許されない。超過を防止する仕組みが必要」と指摘。山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「専門部会で、シーリングの遵守状況を確認する必要があるのではないか」と提案しました。採用状況が揺れ動く中では十分な確認は行えず、かと言って専攻医の採用が決定してから「シーリングを超過しているので、●名の採用を取り消せ」と関係学会に要望することは難しく、厚労省ではタイミングを見て「専門部会でシーリングの遵守状況を確認する」考えを示しています。

なお、牧野委員は「5年後、10年後に地域でどういった医師が求められているのかを明らかにした上で、専門医養成の在り方を考える必要がある」とも指摘しており、「診療科別の医師需給」「医師の働き方改革」なども含めた、総合的な検討が今後求められていくでしょう。



https://www.asahi.com/articles/ASLBD4386LBDUBQU004.html
市立札幌病院の経営改善で報告書 「地域と役割分担を」 
戸谷明裕2018年10月12日15時00分 朝日新聞

 4年連続の収支不足が続く市立札幌病院(札幌市中央区)の経営改善を議論する専門家検討会が10日夜開かれ、「高度急性期病院として、地域を支援する役割を十分に果たすことが経営改善への近道」などとする最終報告書をまとめた。今年度中にまとめられる次期中期経営計画に盛り込まれる見通し。

 5回目となる検討会では、同院について、地域に任せるべき外来患者を多く抱えており、地域が担えない入院治療や検査などの役割が果たせていないと指摘した。

 改善策については、外来患者を地域に紹介する「逆紹介」をしたり、救急患者や入院治療を増やすために、救急病棟の入院患者を各病棟へ早期に移すなど、病院全体のベッドコントロールを強化したりして、地域に任せるところは任せ、地域が担えない患者の受け入れ態勢の整備を進めるよう提言している。

 検討会の金子貞男会長は9月発生の地震時に果たした病院の役割について「災害拠点病院として救急患者の受け入れや災害派遣医療チームを派遣し、検討の方向性に間違いはなかった」とした上で、「市民最後のとりでとして、断らない医療を高い使命感を持って実践してほしい」と総括した。

 同院の関利盛院長は「患者の受け入れ態勢など、指摘されたことをさらにブラッシュアップして、強化していきたい」と話した。


  1. 2018/10/14(日) 11:37:10|
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