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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

9月30日 

https://www.fnn.jp/posts/00367300HDK
半数が60歳以上!フランスの医療改革に立ちはだかる医師の高齢化問題 
小林善
2018年9月27日 木曜 午前11:30 FNN

ヨーロッパでも報じられた日本の不名誉

東京医科大が、女子受験者の得点を一律に減点するなどして合格者数を抑えていた問題。
信頼第一の医師を育てるはずの大学での不祥事は、ヨーロッパでの新聞でも報じられた。日本の医大が不名誉な形で注目を浴びる中、フランスに住む筆者は、フランスの医大が抱える問題とマクロン大統領の医療改革について考えてみた。

フランス医学生の苦悩

フランスの医大入試は以下のようになっている。

まず、大学側で1年目へ入学するために書類審査を行っていて、この審査によって、生徒の能力が適しているかを見極める。去年、医大の1年生に入学した生徒は5万人を超えたが、そこからが大変だ。狭き門をくぐり抜けて入学しても、その後、5分の4が振り落とされる。毎年学年を上がっていくのには、相当な努力が必要となる仕組みだ。

最も恐れられているのが、1年目にあたる、PACES(初年度共同医療学)だ。医療の一般教育を受ける期間で、その1年を経て専門分野の試験を受ける権利が与えられ進学が決まる。
その試験の分野は、医療学部、薬剤学部、助産学部、歯科学部に分かれている。もし試験に落ちたら、何度でも受けられるわけではない。試験を受けるのは、2度までとなっている。3度目以降は、健康に問題があったか、家族に不幸があった場合に、例外的に許可されることもある。

しかし医大に進むものとして博士まで上り詰めるまでに、医学の場合は最短でも9年かかることから、2度試験に落ちると、医学の道を諦めてしまうこともある。日本と同じように、フランスでは分野によって、進学者数の上限が設けられている。2018年度、医大での2年目への進学切符(Numerus Clausus)は、13523枠だった。この数字は毎年見直されていて、増加傾向にある。
最も多い席が用意されているのは医療学部で、8205枠となった。

進まない世代交代

フランス政府は、2016年に、医大に関する資料を発表した。
2014年に、フランス全土の医大のPACES(初年度共同医療学)に進学をした大学生のうち、2年生への試験に合格したのは、わずか10人に1人だった。
試験を2年続けて受けてやっと合格した場合でも22.2%と、比較的低いことがわかる。
一方、試験を初めて受ける学生は、2年続けて受けている学生に比べて不利だという批判もあったため、両者の間に別枠を分けることにしたり、2018年には新たなPACESが登場したりした。

こうして、不公平の問題は改善されたかのように思われたが、フランスの医療界の問題はより深かった。
フランスでは、登録されている医師の数がここ35年で倍増したにも関わらず、農村や都会から離れると、医師の数が足りない問題に直面している。
一番の理由は、医大の1年生試験で振り落とされる数にある、と考えられてきた。

しかし、フランス医学委員会の2017年レポートによると、2007年から2017年の10年間で、医師の高齢化現象が起きていることがわかったのだ。
60歳以上(活動をやめた人も含め)で医学委員会に登録されている医師は、なんと全体のおよそ半数(47%)を占めている。2007年に比べると、プラス20%と、医療界で世代交代ができていない現状が明らかになった。引退しても活動を続けている医師は、2007年に比べて6%も倍増した。
このように、遅々として進まない世代交代が、根深い問題として議論されている。

男女比は?

以下のグラフは、年代による男女の医師の割合を示したものだ。
左の縦軸に年代、男性は青色、女性はピンク色で示されている。
これを見ると、60歳以上の男性医師が全体の69%を占めていることが分かる。
0930.jpg

マクロン大統領が掲げる医療改革

上記だけで説明するのは難しいが、フランスでの医師不足の解消は、進学者数の制限を見直すなど、なんらかの措置をとらなければ難しい。そこで、フランス政府は、9月18日に新たな医療改革を発表。
夏休み明け早々、マクロン大統領は、「今後50年」医療界を支える改革と述べ、この問題に直接関わる進学枠(Numerus Clausus)を2020年までに廃止することを口にした。

マクロン大統領は、「現在、毎年2万5000人もの学生が無駄になっている」と述べ、半世紀も続いた、進学枠の存在に終止符を打つ覚悟を示した。

それに加えて、国立病院の職場改善や、2019年には医療サービスの利用に苦しむ地域に、400人の医者を給料制で派遣することなど、多くの改革を掲げた。
マクロン大統領の支持率が低迷する中、この改革が果たしてうまく進むのかが、今後の焦点になる。
現在、日本で女性医師が2割と、数が少ない状況と異なり、2017年に登録されている40歳未満の医師のうち62%が女性医師であることがグラフによって分かる。
その動きは衰えておらず、今年大学卒業後、医師の国家資格の取得者のうち、6割ほどが女性となっている。
また、これまで男性のみとされていた外科医のうち29%が女性だ。
もちろん、女性が増えてきた背景には、家族がいても仕事ができる環境が整っているという要素もある。
こうした傾向は日本も見倣いたいものだ。

救急病棟が緊急事態

フランスの医療問題においては、地域の医者から国立病院まですべての面で改革が必要だった。にもかかわらず、オランド前大統領も任期中に行った改革では個別具体的な問題に踏み込まなかった。
今年3月には、救急で3人もの患者が死亡し、そのうち1人は2時間半救急病棟で待たされた結果タンカの上で死亡した。こうした事態から、フランス全土の650の救急病棟のうち100ヶ所もの救急病棟が緊急事態=「Hopital en tension」を発動した。

これは、病院が患者であふれて対処できない緊急の場合、休暇中の人材を呼び戻すことや、他の病棟の予定をキャンセルすることが許可される措置だ。しかし、こうした問題は救急だけにとどまらず、通常外来でも指摘されている。
医師が患者にかける時間はより短くなり、人のケアより数をこなすことにならざるを得なくなっている。

今後、患者に必要なものは高度な技術だけではなく、人間同士の会話と時間ではないだろうか。そのためには、十分な数の医師と看護師を確保することが、最優先課題なのだ。

(執筆:FNNパリ支局 小林善)



http://blogos.com/article/327087/
大学病院勤務の医師は稼げない? 「給料は看護師以下」「月~土で働いて月収20万円ほど」 
2018年09月24日 10:39 BLOGOS

ビズリーチが今年6月に発表した「正社員職種別年収ランキング2018(提示年収の中央値 ベスト30)」では、1位に「医師」(1400万円)が選出された。2位「プライベートエクイティ」(899万円)、3位「ファンドマネージャー」「財務アドバイザリー」(850万円)と、2位以下を大きく引き離す結果となった。やはり、我々のイメージ通り医師は高給取りなのだろう。
ただ、どの業界でも稼げる人と稼げない人が存在するように、医師の世界も例外ではなさそうだ。9月19日に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ系)では、「ナカイの窓×美人医師」と題し、医療現場で活躍している女医が出演。医師のお金事情についてぶっちゃけトークを展開した。(文:石川祐介)

「週に1回、他の病院で仕事をして、それで生活できる」

番組中、産婦人科医の丸田佳奈さんは「科にもよりますけど全体的に(医師の数は)少ないです。忙しいです」と医師不足のために激務に追われている現状を語る。中居正広さんから「割に合わないですか?」と質問すると、泌尿器科医の友梨香さんは
「私、大学病院(勤務)ですけど、看護師よりもらってないです」
と話した。さらに、同じく大学病院に勤めている丸田さんは
「私は月曜から土曜まで昼間だけ働いたケースですと、月収20(万円)いかないです」
と予想外の月収額を口にする。「結局、大学病院って教育機関だから、学ばせてもらってるので、給料が出てるだけマシなんですよね」と一般的な病院とは根底が違うため、給与が低くなると説明。
さらに、丸田さんは「上司も鬼じゃないので、ちゃんと生活の事も考えてくれる。例えば、週に1回、外の病院に行って、その分の給料は自分に入る。それで生活できる」と他の病院で副業しながら生活できるだけの給与を稼いでいるという。

稼ごうと思ったらフリーランスで「自由診療」をやるといい

歯科医の関有美子さんは「早く豊かになりたい人は大学から早く出て、フリーで病院をいっぱい掛け持ったほうがお金は入ってくる」と稼げる医師の働き方について解説する。『ドクターX?外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)の大門未知子のようにフリーランスとして働くほうが稼げるようだ。
また、この日のゲストMCのハリセンボン・近藤春菜さんから「どの科が一番儲かるんですか?」と科ごとに給与差があるのかを聞かれると、丸田さんが「自由診療をやってる科だと思います」と回答。
「歯列矯正」や「ビタミン注射」などの保険が適用されない診療"自由診療"を多くやっていると稼げるようで「保険診療だけで何億も稼ぐのは無理です」と語った。これに中居さんは「一生懸命勉強して、一生懸命いい大学行って、お医者さんになったらお金持ちになると思った」と意外とシビアな医師の給与事情に驚きの声を上げていた。
キャリコネニュース



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201809/CK2018092402000132.html
【茨城】
県、最優先に医師確保へ 20年春目標 医学部に派遣要請
 
2018年9月24日 東京新聞

 人口当たりの医師数が全国ワースト2位で医師確保が課題になっている県は、日立製作所日立総合病院(日立市)の産婦人科をはじめ、県内五つの医療機関・診療科で計15人の医師確保に最優先に取り組むと発表した。大学医学部への働きかけや予算配分などにより、2020年4月までを目標に確保を目指す。 (鈴木学)

 県医療人材課によると、優先的に医師確保を目指すのは▽日立総合病院の産婦人科四人▽常陸大宮済生会病院(常陸大宮市)の内科三人▽神栖済生会病院(神栖市)の整形外科三人▽土浦協同病院(土浦市)の産婦人科三人▽JAとりで総合医療センター(取手市)の小児科二人-だ。

 産婦人科や小児科、救急医療などは不採算でも維持する必要がある政策医療で、いずれも緊急度の高い医療機関・診療科という。

 日立総合病院は、地域周産期母子医療センターを休止中で、日立市などでリスクを抱える妊婦は水戸市まで来なければ治療できない。センターの早期の再開には、産婦人科の充実が不可欠になっている。

 JAとりで総合医療センターは医師不足で、二十四時間受け入れるべき地域小児救急センターの機能に支障を来している。

 県は各地域で弱い医療を洗い出し、政策医療を担う計百三の病院の求人状況も見ながら選んだ。

 確保に向けては、各医療機関と強い関係の大学を中心に医師派遣を要請する。自治体が大学の医学部に寄付して研究講座を開設し、研究の一環として病院に大学の医師の派遣を受ける「寄付講座」などを検討している。寄付講座には一億円を用意しているという。

 課の担当者は「来年四月の人事を見据えた時、本格化するのがこれから。スピード感を持って取り組み、県の本気度を示したい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631460
シリーズ 社会保障審議会
「急速な働き方改革で医療崩壊、誰が責任を取るのか」
医療部会、病院団体トップから懸念の声も
 
レポート 2018年9月26日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)は9月26日、同省の「医師の働き方改革に関する検討会」の検討状況について議論、病院団体の代表者からは、「働き方改革を急速に進めて、医療現場が崩壊した時に誰が責任を取るのか」(日本精神科病院協会会長の山崎学氏)など、医療提供体制の維持を念頭に置いて、改革を進めるよう求める意見が相次いだ。

 山崎氏は、労働基準監督署の立ち入り調査を受けて、土曜日の外来診療など診療時間の縮小を実施した聖路加国際病院の例を挙げて、働き方改革を急速に進めることで、医療現場が崩壊することに懸念を呈したほか、「今まで医師の過重労働の中で、医療現場が回っていた。労働量を少なくすれば、それに代わる人を配置しなければ、医療は成り立たない。医師不足、かつ後期高齢者が増え、医療ニーズが増えていく中で、その関連について議論しているのか」と質した。日本医療法人協会会長の加納繁照氏も、山崎氏の意見を支持、医師の働き方と医師需給の問題を関連させて議論することが必要だとした。

 厚労省医政局長の吉田学氏は、「医師の働き方改革に関する検討会」では、地域医療への影響や「改革を通じて、医療を良くしていく」という視点も念頭にあり、患者の受診の仕方も含めて、「複合的な連立方程式を解いていく」との方針で進めていると説明。同省医政局医事課長の佐々木健氏も、「医師需給の議論ともリンクしてくるので、並行して議論を進めていく」と回答した。

社保審医療部会では、「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」、ACPに関する取り組み状況、2019年度概算要求についても議論。

 「病院の収入に直結しない行為」は自己研鑽か
 「医師の働き方改革に関する検討会」はこの9月に2回開催され、応召義務、労働時間の判断基準、宿日直などが議論された(『応召義務は「開業医が往診する時代」の義務』、『後期研修医「自己研鑽の機会奪わないで」』、『応召義務「無制限に働け」ではない』を参照)。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、「今の議論で抜けているのは、次の時代を担う若い人を育てていかなければならないという視点だ。机上ではなく、実際に患者を診て、指導していくことが大事で、そのために皆が時間を使っていることを忘れないでほしい」と訴えた。例として専門医取得のための経験症例数を例に挙げ、「(勤務時間外に)経験すべき症例の患者が来た時に、その患者を診るのは強制か、自己研鑽かだが、その中間になるのだろう」と相澤氏は述べ、労働時間と自己研鑽を切り分ける難しさを指摘した。

 山崎氏は自己研鑽についても発言。「病院は、医師と労働契約を結んでいる。病院の収入に直結しない行為は契約外であり、自己研鑽に当たるのではないか」との考えを述べた。

 応召義務については、「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈についての研究」の主任研究者を務める上智大学法学部教授の岩田太氏がコメント。「従来のやり方は、割と広い義務を課していた。医療提供体制が十分ではなかった時代の産物でもあり、(応召義務が免除される)『正当な事由』として認められるか否かは、事後的に法学者や裁判所が決めていた」「応召義務を理由に、際限なく医師に過重労働を求めるわけでもない。ただし、どんどん患者を断っていいわけでもなく、医療倫理の基本として、応召義務を果たす体制を整えることが必要」などと述べた。

 さらに岩田氏は、「応召義務が争われた裁判で、医療機関が負けた事例はある。しかし、応召義務は医師個人に課されたものだが、それが問題になったことはない」などと説明。医療機関が敗訴した裁判では、応召義務の法的な議論ではなく、過失の有無が争点になったことから、応召義務についての法理論はもう少し精緻化する必要があるとした。

 宿日直については、日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長の木戸道子氏が、「結果的に1件も救急搬送がなくても、それに備えるために当直している時は、十分に寝ることはできない。それが医師にとって負担であるなど、(医師の労働時間を計測するための)タイムスタディ調査からは見えない部分も含めて、議論を進めてもらいたい」と求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631727
労働時間の上限規制、行き過ぎれば医療崩壊
四病協、改めて主張していく考えで一致
 
レポート 2018年9月27日 (木)配信大西裕康(m3.com編集部)

 四病院団体協議会(四病協)の幹事を務めている日本医療法人協会会長の加納繁照氏は9月26日の記者会見で、医師の働き方改革として労働時間の上限規制が行き過ぎてしまえば医師需給がひっ迫し、地域医療の崩壊につながるとの認識で訴えていくと改めて主張した。同日に開いた四病協総合部会で考えが一致したと説明した。

 加納氏は、同日の社会保障審議会・医療部会で、日本精神科病院協会会長の山崎学氏が医療ニーズが増えていく中で、労働時間の上限を強制的に縮めるような施策を打ち出せば医療崩壊につながるとの懸念を表明したことに言及。「医師需給がひっ迫する中で、働き方改革でやり過ぎてしまえば、医師不足などが起こって地域医療の崩壊につながることを、医療団体として訴えていく必要がある」と述べた(医療部会での議論は、『急速な働き方改革で医療崩壊、誰が責任を取るのか』を参照)。

電カル、互換性や経費負担軽減へ一元化を
 記者会見では、医療機関が負担する電子カルテの経費負担や互換性の問題を解消すべきとも訴えた。「2019年度予算の概算要求に電子カルテに関する要求が入っていなかった事実については、今後も問題視していく。ベンダーが違えば互換性がなく、ビッグデータの活用を進めていかなければならない中で医療機関の経費が増大してしまう」と述べ、厚労省が一元化に向けて役割を果たすべきと主張。「医療部会でも訴えているが、売り上げの1.5%が電カルのイニシャルコストとランニングコストにかかっているとの実態もある。急性期病院では利益率よりも高い可能性があり、しっかり対応してもらわないといけないという認識で(四病協は)一致している」と強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/629479
シリーズ 真価問われる専門医改革
必要なのはシーリングではなく「底上げ」- 寺本民生・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.4
19の基本領域の変更は混乱を招く

インタビュー 2018年9月28日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その一方で、診療科の偏在はいかがでしょうか。勤務地の異動は条件次第で可能であっても、将来の転科は容易ではありません。新専門医制度でより重視すべきは、地域偏在よりも、診療科偏在の解消ではないかとも思います。
 それはその通りだと思います。ただし、診療科の偏在をわれわれの方で何ができるかと考えた場合、領域別のシーリングしかないと思います。新専門医制度では、外科を目指す人が減っているということで、シーリングからは外しています。東京都の今年度の外科専攻医は、以前よりも増えています。産婦人科、病理、臨床検査もシーリングの対象外です。
 ただそれにより、地域の外科医不足にまでは影響を与えておらず、少し心配な点もあります。シーリングにより、医師不足の地域に医師が行くようにならなければ、意味がないわけです。今年度は、「外科専攻医ゼロ」という県もあります。「シーリング検討委員会」では、「上限」ではなく、むしろ「フロア」、つまり「底上げ」を行うことが必要という意見が出ています。これはとても正しい意見だと思います。
――そのためには何らかの方法があるのでしょうか。
 私が今、そのアイデアを持っているわけではありませんが、重要な検討課題。アイデアを持っている人もいるようなので、今後、意見をお聞きしていきます。
――さらに新専門医制度の根本ですが、基本領域はなぜ今の19領域なのでしょうか。本制度スタートのきっかけは、厚生労働省の高久先生の検討会(「専門医の在り方に関する検討会」。『新専門医制度、「自由標榜制の制限」が念頭に - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.1 』などを参照)ですが、総合診療を基本領域として加える議論は行われたものの、そもそもどの領域を基本領域にすべきかという議論はありませんでした。この辺りを再検討するのは、難しいのでしょうか。
 私もなぜ「今の19領域なのか」とは思っています。専攻医の応募が少ない基本領域がある一方で、基本領域に本来入るべき領域があるのかもしれません。しかし、いったんスタートした制度を下手にいじるのは、混乱を招くだけです。
――総合診療についてですが、他の領域には担当学会があるものの、総合診療については日本専門医機構が運営を担当しており、機構が第三者的に評価する仕組みではないと思います。
 どこかの学会が担保してくれればいいのですが、現時点ではそうは行きません。現在は「総合診療医検討委員会」が、学会的な役割を果たし、専門研修プログラムの審査を担当しています。この委員会には、内科、外科、救急、小児科の先生方のほか、日本プライマリ・ケア連合学会の先生方もおられ、総合診療のバックグラウンドを持つ先生方の集まりとなっています。
 ただ現時点での理想を言えば、「総合診療医検討委員会」が1次審査を行い、「専門研修プログラム委員会」がそれを認定するという、機構内ですみ分けをするというやり方が妥当ではないかと思っています。あるいは「総合診療医検討委員会」の中に、ワーキンググループを作り、そこで1次審査を行い、それを委員会が承認するという案も出ています。
――総合診療領域については、専門研修プログラムの整備指針ができた後も、後付けでさまざまな基準が追加され、昨年の夏頃は現場が混乱しました。今年はそうしたことは起きていないのでしょうか。
 確かに混乱し、本当にそれは申し訳ないと思っています。今年はそこまで戻ることは考えています。
――新専門医制度については、四病院団体協議会が提言をこの8月に公表しています(『四病協、新たに二階建て「専門医制度」を提言』を参照)。日本専門医機構ではどう取り扱う予定でしょうか。
 われわれの中では、そうした提言があったことは真摯に受け止めます。ただし、あまりにも考え方が基本から違うので、議論のしようがなく、「そうしたご意見がある」という捉え方になると思います。ただし、無視するわけにはいかないので、次の理事会あたり(9月21日の理事会)で、受け取ったことだけは皆さんには公表する予定です。



https://news.mynavi.jp/article/20180927-698144/
医師7割が「働き方に男女差がある」と回答 
CHIGAKO
2018/09/27 09:20:09 マイナビニュース

CBコンサルティングは9月26日、運営する「CBnews」にて実施した「医学部受験の点数調整は必要?必要ではない?」と題したアンケート調査の結果を発表した。調査は8月17日~9月3日、病院・診療所などに勤務する医師112名を対象に、インターネットで行われた。

医師の業務・働き方に男女差あり
「医療現場で感じる男女差」について聞いたところ、男性と女性の医師とで業務内容などに差が「ある」と回答した意思の割合は73.2%にのぼり、特に、「当直」や「休みの取り方」「オンコール」などで男女差を感じるという意見が多かった。

具体的には、「女性医師は早く帰宅するのに、給料一緒はおかしい」「(有給の消化が多い女性医師に比べ)こっちは有給消化できない」「女性が働けず不公平という声がほとんどだが、男性が子どもと過ごせないのも不公平だ」など、業務量と報酬の差が見合わない状況を疑問視する意見や、「出産や子育ての時期に夫の協力がなく、妻が対応するしかないため、女性に負担がかかりすぎていることが大きい」との指摘も。


そのほか、「『体力面で女子には無理だ』と教授から入局を断られた」(50歳代・女性)という実体験や、「むしろ女性医師のほうがしっかりとして細やかな配慮がある場合もある」(60歳代・男性)と、女性医師の丁寧さを指摘する男性医師の声などが寄せられた。

医学部受験に点数調整は必要?
また、「医学部受験の点数調整は必要かどうか」を問うと、27.7%が「必要」、72.3%が「必要ではない」と回答。「受験は性、年齢、経験に関わらず公平であるべき」といった意見があがった一方で、「医師が不足している中、その解決のためには男性医師の養成がより有効であると思われる」といった意見も見受けられた。

また、点数調整が「必要」「必要ではない」に関わらず、「調整をするなら受験者に事前に知らせる必要がある」という指摘や、「男女別に定員枠を設定すればよいのではないか」といった提案も多数寄せられた。

医師の業務・働き方に男女差
実際に男女差を感じる業務や働き方では、「当直」や「休みの取り方」「オンコール」などを挙げる医師が多かったです。
 <40歳代の男性>
女性医師は早く帰宅するのに「給料一緒はおかしい」。
さらに、「(有給の消化が多い女性医師に比べ)こっちは有給消化できない」
「女性が働けず不公平という声がほとんどだが、男性が子どもと過ごせないのも不公平だ」
などと、業務量と報酬の差が見合わない状況を疑問視しました。
 <50歳代の男性>
出産や子育ての時期に夫の協力がなく、妻が対応するしかないため「女性に負担がかかりすぎていることが大きい」と指摘しました。
 そのほか、「体力面で女子には無理だ」と教授から入局を断られた(50歳代・女性)など診療科を選択する場面で男女差を感じるという意見や「むしろ女性医師のほうがしっかりとして細やかな配慮がある場合もある」(60歳代・男性)などと、女性医師の丁寧さを指摘する男性医師の声もありました。

 詳しい調査結果は、こちらから
医師の業務・働き方に男女差「ある」が約7割
「女性は早く帰るのに」「外科への入局断られた」
https://www.cbnews.jp/news/entry/20180920194758



https://diamond.jp/articles/-/180357
大学病院のブラック職場化を加速した「総合診療方式」研修の罠 
奥田由意
2018.9.25 ダイヤモンドオンライン

東京医科大学の女子受験生への一律減点が明らかになった件について、女性差別の背景には、大学病院の勤務医の過酷な長時間労働の実態があることや、大学病院の人事権を司る医局が一般企業とは違う原理で動いている現状を前回(「東京医大の女性差別を医師の65%が「理解できる」と答えた真の理由」)レポートした。9月3日に開かれた厚生労働省の第9回「医師の働き方改革」有識者検討会ではようやく残業時間規制のあり方について議論が始まったが、今回はそもそも医局が人員不足に陥った背景や、女性医師に特有の状況、今後の展望などについて続報をレポートする。(ライター/奥田由意)

 東京医科大学の女子受験生への一律減点を行っていた件を受け、文部科学省は全国の医科大学や大学医学部に対し、入試の実態について、緊急調査を行った。ほかの学部に比べ男子優位の傾向が明らかになったが、現時点では東京医科大学以外の全ての大学が「得点操作」については否定しているという。

 文科省の調査はさらに続いているなか、実際に前回の記事で挙げたアンケートからもうかがい知れるように、女性を合格させたがらないという姿勢は多くの医学部で見受けられるようだ。その要因となっている大学病院に勤務する医師の過酷な長時間労働の実態については、前回の記事「東京医大の女性差別を医師の65%が「理解できる」と答えた真の理由」で言及した。

新たな研修「スーパーローテート」必修で
大学病院の医局から人材が流出

 大学病院で、なぜ「長時間労働に耐えられる」医師が必要になるのか、前回挙げた点以外にもさまざまな理由があるようだ。

 ひとつの契機は2004年に遡る。それ以前は、国家試験に合格した医師の多くが、自分が卒業した大学の医局に属し、それぞれの専門の科に配属されて、研修医として研鑽を積むのが一般的だった。内科のなかで、例えば循環器を選択した医師が、同じ内科の医局内の消化器について研修をする機会はあっても、外科や精神科の臨床研修を受けることは基本的にはなかった。

 それが2004年から始まった新医師臨床研修制度では、初期研修として2年間、主要な科を全て順番に経験する総合診療方式(スーパーローテート)の研修が必修となった。内科系、救急、地域保健に加え、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科からも2科目選択し、幅広い診療能力を養うものだ。同時に、2004年からは、自分の出身大学以外の希望する病院での研修を志望することも可能になった。
 この制度によって、地方大学の医学部や医科大学を卒業した医師が、母校の医局ではなく、都市へ流出したり、都市部の大学の医局でも、別の病院にとられてしまったりという事態を招いた。また近年では、必ずしも医局に属さない医師も増えつつある。
 医局での人員確保が従来よりも困難になり、その分人数が減ることは、医局の弱体化を意味する。さらに、人員不足から勤務医の長時間労働を前提としなければ、ますます業務がまわらなくなる。
 かたや医局には有給のポストが少ない。収入は市中病院やクリニックなどのアルバイトで補填し、常勤と同じ勤務をこなしながら、手当が支給されない無給医もまた、その長時間労働のシフトを担う。この2004年のスーパーローテートの初期研修制度により、長時間労働の常態化がますます進み、「離職可能性の高い」女子よりも男子を合格させ、医局に採りたがる風潮が強まったと見ることもできる。

医局の弱体化を受け、
「新専門医制度」で医局の復権へ


 ところで、こうした医局の弱体化が進むなか、2018年4月から、新専門医制度という医師のキャリアの積み方に影響を与える新制度が始まった。
 従来、国家試験の合格者は2年間スーパーローテート方式の初期研修を受けたあと、次の3年ないし5年で、自分で選んだ科の専門医となるべく、研修を受け、資格審査や試験を経て専門医の認定を受けていた。専門医の認定は、学会ごとに行われていた。
 これを新専門医制度では、中立的な第三者機関である「日本専門医機構」が認定することになる。そのための研修プログラムは大学病院や都市部の規模の大きい病院でのみ実施され、その数は絞られている。なお、都市部に医師が偏りすぎないように、都市部の病院での受け入れ数を制限するなど、調整も行われる。
 これまで初期研修を行っていた病院は約1100あるが、新専門医制度の研修が行える病院は大学病院を含め300から400しかない。このことから、新専門医制度の実施は、大学病院の医局の復権をもくろんだものという見方もある。
 以上が医局の事情であり、長時間労働を招くひとつの背景である。

なぜ女性医師は二極化するのか
 さて、ここで、女性医師に特有の状況についても触れておきたい。女性医師の働き方では、二極化が進んでいる。長時間労働が前提となる勤務医を諦めて非常勤バイトに徹するなどしてキャリアから離れてしまうか、あるいは「男性並み」に働くかという二極化だ。

 結婚して子どもがいても、外科や循環器などの「ハード」な科で働き続ける女性医師もいるが、結婚せずにハードな科の業務に邁進するか、あるいは結婚して出産や子育てを前提に、眼科や皮膚科のような急変が少なく比較的ハードではない科を選択するという二極化もある。

 医師向け人材紹介会社エムステージが運営する、女性医師対象のウェブマガジンjoy.net編集長の岡部聡子さんは、これまで同サイトの取材で120名、医師担当のキャリアプランナーとして100名、計220名にのぼる女性医師と向き合ってきたなかで、女性医師の働き方が二極化しがちな要因をいくつか挙げてくれた。

 まず、ロールモデルが少ないことだ。

 2014年の日本医師会の調査によると、学会役員の女性比率は2.7%。大学医学部教授以上は2.5%といずれも低い。ちなみに、経済産業省の調査では、2017年の上場企業の女性役員は3.7%である。もちろん数合わせをすればいいという話ではないが、まず学会役員になっている女性医師の絶対的な数が少ないという事実がある。

女性医師の結婚相手は7割が医師
医師同士の結婚は離婚しやすい?


 二点目は、女性医師が結婚する場合、相手は約7割が医師である(ちなみに男性医師の結婚相手が医師である割合は約2割)ことだ(参照:東京大学 社会科学研究所:『社会科学研究』女性医師の労働時間の実態とその決定要因―非常勤勤務と家族構成の影響について)。

 医師になると、忙しさから出会いの機会が少ない。そうした理由もあり、大学の同級生や、初期研修などの研修医時代に知り合って結婚する例が多いが、joy.netの行ったアンケートに「研修が始まると非常に忙しくなると先輩医師からのアドバイスがあり、学生のうちに入籍、披露宴をすませた。正解でした」(30代後半・内分泌科)という声が寄せられているように、既婚女性医師には早婚傾向もあるそうだ。

 また、代々医師という医師家庭も多く、女性医師の両親は娘の結婚相手に医師以外を認めないという例も少なくないという。

 そして、医師同士の家庭に子どもが生まれると、一般企業以上に、夫と妻の双方が仕事を調整することが難しい。多くの場合、女性が仕事を調整するか、離職せざるを得なくなる。そうなると、女性が「キャリアを諦めなくてはならなかった」と思い、順調にキャリアを積んで出世する夫に嫉妬や怨嗟を募らせることも一因で、離婚することもあるそうだ。

 医師の母親世代は、専業主婦である場合が多く、夫や子どもや家事を優先している姿を見ていて、男性医師が結婚した女性医師の妻にも同じ「献身」を求めて離婚に至るケースもある。

 岡部さんはさらに、女性医師で出産後も子育てと常勤医としてのキャリアを両立させている人は結婚相手が医師以外の職業であるケースが多いと言う。

「当直中、授乳時間になったら夫に子どもを連れてきてもらうように頼むなど、大変な思いをして育児期間を乗り切るなど、相手が長時間勤務の医師ではなかったから、協力して育児ができたという医師もいる」と話す。

 もちろん代々医師の家庭、医師同士の家庭であっても、それぞれに事情も考え方も違うだろう。医師同士の家庭でうまくいっている例もある。

 ただ、少なくとも、一般企業よりは女性が多様な働き方を選びにくい現場であることは確かだ。そして、もちろんそれは男性医師にとっても同じである。

 現在厚生労働省のもとで、2017年8月から、有識者による、医師の働き方改革に関する検討会が10回にわたって行われており、2019年3月末をめどに最終報告がまとまる予定だ。ここでは聖域となっていた、残業時間の上限がどのように設定されるのかがカギになるだろう。2018年3月末に行われた中間報告では、医師の業務の特殊性を考え、いわゆる過労死ライン(労災認定基準)の1ヵ月100時間・2~6ヵ月の各月平均で80時間を上限にすることについては、慎重に考えるべきという意見が出ている。

 ここで言われている医師の業務の特殊性とは、前回の記事でも指摘した応召義務に基づく「医師は24時間365日医師であるべき」といった医師・患者双方の意識のあり方や、医師自身の生命を預かっているという職業倫理、研修医の期間が労働でもあり、研修や研鑽でもあり、研究でもあるということなどを指す。

 しかし、医師の業務の特殊性といっている限り、患者になる可能性のあるわれわれも含めた双方の意識改革は進まない。長時間労働は正当化され続けてしまうのではないか。

新制度をつくるなど、
多様な働き方の萌芽も


 とはいえ、希望もある。

 前述したとおり、医局に属し、専門医になることだけが医師としてのキャリアではないと考える若手医師も増えているようだ。

 ある産業医によると、かつては現役を引退した医師が担うものと思われていたり、片手間のアルバイトと思われがちだったりした産業医に、健康経営に参画したいという新しいやりがいを求めて、志願する医師も出てきているという。

 岡部さんも「例えば、子育て、介護などの理由により、それまでと同様の勤務内容では勤務継続が困難で無給医となってしまっていた医師のために、短縮勤務制度の有給ポジションとして、准修練医制度を定めた東邦大学の例もあります」と、変わりつつある現場があることを指摘する。

 前述した「医師の働き方改革」に関する検討会の中間発表を受けて、厚生労働省は2月に、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組みを各医療機関でできる範囲で行うことを求めた。その内容とは、労働時間の管理、36協定の自己点検、長時間労働をしている医師への面談など産業保健のしくみの活用、一部の医師の業務を医師以外の職種で分担するタスクシフティング、女性医師への支援、そのほか当直明け勤務負担の緩和など各医療機関の状況に応じた取り組みである。

 そして、5月28日から6月11日にかけて、取り組みがどのくらい行われているかという調査もなされた。調査に回答した全国の1193病院中、何らかの取り組みをしているのは63%という結果となった。実際にどのくらい進んでいるのかは各病院によっても濃淡があるだろう。

 また、アンケートに答えるだけでは、実効性が薄いという指摘もあるかもしれない。しかし、少なくとも、このような調査が行われ、数字を出さなければならない状況になることで、変わらなければならないといういい意味での圧力にはなるだろう。

 男性医師であれ、女性医師であれ、結婚していてもいなくても、子どもがいてもいなくても、健康に働けることこそが、医師にとっても患者にとっても必要なはずだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631577
シリーズ 中央社会保険医療協議会
医師6000人に勤務状況調査、厚労省、改定結果検証で
2018年度改定の「結果検証特別調査」、内容決定
 
レポート 2018年9月26日 (水)配信大西裕康(m3.com編集部)

 厚生労働省が診療報酬の観点から医師の勤務状況の調査に乗り出す。「勤務時間」や「診療時間」、「オンコール回数」、「勤務状況を改善する必要性」などについて聞く調査票を1500施設の医師計6000人に配り、協力を求める。2018年度の「診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」として実施する。9月26日、中医協総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が同特別調査の内容を承認した。10~11月に調査を実施し、来年1~2月に結果を公表する計画だ。

 同特別調査は、2年に1度の診療報酬改定後に毎回実施している。今年度は、▽かかりつけ医機能等の外来医療▽在宅医療と訪問看護▽医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進▽後発医薬品の使用促進策――の4調査を実施する。

 医師の勤務状況については、2018年度の改定で医療従事者の常勤配置や勤務場所に関する診療報酬要件を見直したほか、「医師事務作業補助体制加算」など医師や看護職員の負担軽減を目的にした点数を充実した効果を検証する。

 「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」の調査対象は、「医師事務作業補助体制加算」を算定している医療機関と算定していない医療機関それぞれ750施設ずつ計1500施設を無作為抽出し、調査票を施設と医師個人の双方に配る。医師の対象は1施設当たり4人で、外科系1人、内科系1人、その他2人で構成するよう求める。対象医師数は6000人に上る。

 医師個人に対する主な質問は、(1)医師経験年数や役職、勤務形態、主治医制の状況などを聞く「ご自身について」、(2)1週間の勤務時間、診療時間、事務処理時間や1カ月の当直回数・オンコール回数などを聞く「勤務状況等」(下記参照)、(3)医師の増員状況や勤務間インターバルの導入、予定手術前の当直免除の有無などを聞く「業務とその負担感等」、(4)「病棟薬剤師による業務の負担軽減等」、(5)勤務状況を改善する必要性などを聞く「あなたの勤務状況に関するご意見等」――で構成する。

オンライン診療の実施状況も確認へ

 「かかりつけ医機能等の外来医療」に関する調査では、大病院受診時に患者から一定額を徴収できる「受診時定額負担」の対象範囲を拡大した効果や、かかりつけ医機能の強化として新設した「機能強化加算」や要件などを見直した「地域包括診療加算」「地域包括診療料」「小児かかりつけ診療料」などの影響を検証するほか、「オンライン診療料」の状況も把握する。

 同日の総会では、2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げる場合の備えとして、医薬品と医療材料での対応を検討するスケジュールを決めた。中医協の薬価専門部会と保険医療材料専門部会が10~11月にそれぞれ論点を議論し、12月に各業界から意見聴取し、消費税対応に向けた骨子案をまとめる。診療報酬本体での対応については、既に議論を始めている中医協の診療報酬専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で検討し、骨子案をまとめる。

 消費税率10%への引き上げ時の薬価・医療材料での対応については、全日本病院協会会長の猪口雄二氏が「なるべく簡素な対応が必要」と述べた。

 消費税率引き上げに伴う診療報酬への補てんについては、2014年度に消費税率が8%に上がった際、補てん率のばらつきや補てん不足が生じていたが調査に誤りがあったため、ばらつきや不足がそのままの状態となっており、厚労省も調査の誤りなどを認めている(『消費税対応、初再診・入院料か?個別項目か?』などを参照)。同日の総会では、日本医師会副会長の今村聡氏が、今後は消費税率の引き上げ時だけでなく、定期的に検証すべきと訴えた。

 今村氏は、「消費税導入後26年間の経年変化を検証していない状況が続いてきたことで、厚労省は補てんは十分、医療機関は十分ではないという不満につながっていて、報酬での対応に対する長年の不信感につながった」と指摘。その上で、「税率が上がるか否かに関係なく、定期的に検証しなければならない」と述べ、「定期的に検証すべきものと改めて確認してもらいたい」と要請した。

 これに対し厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、調査の誤りや長年検証してこなかった状態について「深く反省している」と述べた。一方、定期的な見直しを実施する是非に関しては「基本的には、経過に応じて見直しをする必要があれば見直し、検証していくことが必要と思っている」と述べるにとどめた。



https://www.asahi.com/articles/ASL9X4CDLL9XUBQU00C.html?iref=com_apitop
医療機関の被災状況、共有システムへの登録義務化 
阿部彰芳
2018年9月28日19時00分 朝日新聞

 医療機関の被災状況を的確に把握するため、厚生労働省は27日、国が運営する災害時の情報共有システムへの登録を医療機関に義務づける方針を決めた。重症患者を受け入れている病院や診療所を対象とする見通し。水や燃料の残量や給水車の派遣が必要かどうかなども入力内容に加え、医療態勢を維持できるような支援につなげる。

 情報共有の仕組みは広域災害・救急医療情報システム(EMIS)と呼ばれ、23年前の阪神・淡路大震災を契機につくられた。医療機関は、災害時に建物被害や水・電気の不足、患者の受け入れ状況を入力。国や自治体、医師会などが支援チームの手配に役立てる。
 だが今年4月時点で7
%の病院が未登録で、診療所の多くは参加していない。操作が複雑で、停電で固定回線のインターネットが使えなくなると情報が送れない問題もあった。このため、7月の西日本豪雨や9月の北海道地震では情報を入力する医療機関が少なく、厚労省や自治体の職員らが電話や訪問をして状況を聞き取っていた。

 この日の専門家会議で、ライフラインが途絶えると命に危険のある患者を受け入れている医療機関に登録を義務づける対策を提案し、大筋で了承された。今後、医療現場や関係団体の意見を聞いて、登録基準の詳細を詰めていく。

 また、EMISで共有する情報も増やし、平時から自家発電や貯水槽の有無、人工呼吸器の数などを入力してもらう。災害時は電気や水をあと何時間まかなえるかや、電源車や給水車の派遣依頼も発信できるようにする。また、停電時にタブレット端末などで使えるようアプリの開発も進めていくという。



https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/79679
日光地域で医療連携法人設立へ 人口減、需要変化で機能分担 7病院など勉強会 
9/27 9:44 下野新聞

 県は26日、日光地域で異なる法人が運営する病院や介護施設などが連携し、効率的な医療・介護体制を目指す「地域医療連携推進法人」の設立に向けて支援を進めていることを明らかにした。県主催の勉強会に日光市や7病院が参加。人口減少と医療需要の変化に伴い、個々の医療機関での対応が困難になると予測される中、新法人内での医療機能の役割分担、職員の再配置などを模索している。
(以下有料記事)



https://www.asahi.com/articles/ASL9V53JFL9VUBQU00X.html
豪雨で出勤不能「診療できない」岡山の病院、相乗り作戦 
中村通子2018年9月28日06時00分 朝日新聞

 7月、岡山県内各地に大きな被害をもたらした豪雨は、地域医療も脅かした。今回の災害での地域医療の動きと、そこで学んだ「次」への教訓を紹介する。

西日本豪雨(2)高梁中央病院

 岡山県高梁市は、7月の豪雨で広範囲に床上浸水や停電、断水など大きな被害を受けた。災害拠点病院で、市の中心部にある高梁中央病院(192床)はかろうじて浸水を免れ、停電や断水もなかった。だが、意外な事情で、診療機能が脅かされた。

 7月6日(金)午後8時。激しい雨が降り続く中、20代の若手医師が妻と2人でずぶぬれになって病院に現れた。病院から約1・2キロ南、高梁川にかかる橋のたもとにある自宅付近が浸水し始め、水があふれ流れる道路を歩いて病院に避難してきた。「高梁川は、流木だらけです」

 その日、院内には当直医2人のほか、この若手医師に加え、雨で帰宅できなかったスタッフら20人ほどが残り、リハビリ室や処置室、空き病室で夜を過ごした。ダムの放水を知らせる警報音が鳴り響いていた。

 7日(土)。雨は未明にやんだが、スタッフから次々と電話がかかってきた。「出勤できません」

 高梁中央病院は、JR伯備線の備中高梁駅から徒歩5分。高速道路のアクセスも良く、JRでも車でも岡山市から1時間弱の通勤圏内だ。

 そのため、スタッフの多くは岡山や総社から通勤している。中には、兵庫県から通う医師もいる。非常勤医師約50人は全員市外在住。常勤医でも、約15人のうち、病院の近くに住んでいるのは当時、院長を含め4人だけだった。

 岡山や総社などと高梁中心部をつなぐ主要ルートはJR伯備線、岡山自動車道、国道180号の三つ。豪雨ですべて不通となり、病院を動かす人たちの多くが閉め出され、出勤不能に陥ってしまった。また、市内在住職員の中には、自身が被災して出勤できない人もいた。

 前日から院内で「籠城(ろうじょう)」状態だった数人の医師らで、救急などできる限りの診療はこなしたが「これで、週明けからまともに診療できるのか……」。院内災害対策本部に集まったメンバーは頭を抱えた。

 8日(日)。岡山方面から吉備中央町を抜けて高梁に通じる国道484号は無事で、このルートなら通勤できそうだと分かった。

 この日、このルートで岡山から病院に着いた戸田俊介理事長らは、その他の市内道路や天候、高梁川の状況を調べ、午後5時に「週明け9日は通常診療をする」と全職員に連絡した。

 9日(月)朝7時半。伯備線で通勤している医師たちはJR岡山駅西口に集合し、戸田さんらの車3台に分乗して病院へ向かった。

 この日は問題なく1時間余りで病院に着いた。だが、翌日から状況は激変した。県北部に向かうルートが限られる中、無事だった国道484号から高梁市を通る道に交通が集中。さらに、一般の車に加え、支援物資を運ぶトラックや復旧関係の車両などがひしめき、大渋滞になった。「これは、二次災害だ……」

 伯備線が全線開通した8月1日まで相乗り作戦は続いた。曜日によって出勤する医師の顔ぶれも人数も違う。当直シフトなどで朝と帰りの人数も変わる。事務職員は複雑に入り組んだ相乗りダイヤを連日組み続け、診療機能を守った。

 戸田さんは振り返る。「2012年に病院を建て替えた時、災害拠点病院として建物や設備、ライフラインが水害や大地震に耐えられるよう配慮しました。しかし、スタッフの通勤路が断たれて、機能が脅かされるとは想定外でした」

 30年以内に7~8割の確率で起きると見られている南海トラフ巨大地震では、さらに大規模な交通遮断が起きる可能性が高い。どうすれば診療を維持できるのか。戸田さんは、答えを見いだしあぐねている。

 「病院の努力だけでは解決できません。道路や鉄道などのインフラを含めた医療継続対策を、社会全体で考える必要があると思います」(中村通子)

災害時の病院の事業継続 地域を守る

 災害時に病院が機能を維持するにはどんな備えが必要なのか。病院の事業継続計画(BCP)に詳しい九州大大学院の永田高志助教(災害救急)に聞いた。

 病院機能は、電気や水、物流、スタッフの通勤など、高度なネットワークの上で成立している。一つ外れると、一気に回らなくなる。高梁中央病院では通勤路だったし、今月6日に起きた北海道地震では、札幌市の病院の多くが大規模停電で機能を喪失した。

 置かれた状況に応じて素早く判断し、指揮系統を確立し、状況の変化に柔軟に対応することが大切だ。そのために、自院の課題を洗い出し、トップ不在の際の権限付与について事前に計画しておく。これがBCPだ。BCPの目的は病院を守ることであり、それは地域を守ることに他ならない。

 交通の問題など、今すぐ解決できない課題を自覚するのも、BCPの重要な役目だ。病院がすべて解決できるわけではないことを市民に理解してもらい、議会に減災対策を訴えるなどの行動につなげる。BCPはつくって終わりではない。長い旅路の始まりだ。



https://www.asahi.com/articles/ASL9S3FHHL9SUBQU002.html
災害時、患者の命どう守る 停電や断水に病院の備えは 
青木美希 千種辰弥2018年9月24日11時00分 朝日新聞

 台風や豪雨、地震など大規模災害が相次いでいる。そのたびに課題として浮かぶのが、医療機関の「備え」だ。患者や被災者の命を守るため、防水や耐震、飲食料や薬・燃料の備蓄は十分か。被災時に業務を継続するための取り組みが進められている。

長時間停電…自宅の療養、どう備える?
北海道地震の停電、医療に打撃 吸入・透析…自宅療養も


 「今日は透析できません。連絡するので携帯の充電を温存しておいて下さい」。札幌市厚別区の透析医療施設「H・N・メディック(新さっぽろ)」の遠藤陶子内科部長(42)や看護師ら約40人は手分けして、6日朝から7日夕にかけ、人工透析を使う患者164人に電話で伝えた。

 6日未明に北海道を襲った最大震度7の地震で、道内のほぼ全域が停電、「ブラックアウト」した。透析には電気や水が欠かせず、医師たちは移送先の確保に追われた。H・N・メディックでは自家発電機がなく、休日だった職員も駆けつけ、電話で透析患者の安否を確認したり、移送先が決まるまで自宅待機をお願いしたりした。電話はつながりにくく、自宅を訪れ、直接伝えた患者もいた。

 中には3日間透析できなければ心停止になる恐れがある人もいる。7日朝までに停電が解消されなければ、受け入れ先を確保することを決めた。

 事態は変わらず、7日朝から病院を探し始めた。通信環境は悪く、何度もかけ直した。「患者さんに何かあったら」と気はせいたが、「1人なら大丈夫」「10人いいですよ」。少しずつ受け入れ先が見つかっていき、夕方までに計16施設、札幌市と江別市に移送先を確保した。164人はこの日から8日にかけ、H・N・メディックの送迎車4台などで、各医療施設に身を寄せることができた。(青木美希)

北海道地震、発電の燃料確保に課題

 北海道地震で、道内では一時376カ所の病院が停電し、82カ所で水も使えなくなった。災害拠点病院は34カ所全てが停電し、自家発電機で対応した。停電が完全に解消されるまで3日間かかった。

 医療現場は対応に追われた。札幌市内の病院では人工呼吸器が停電で使えなくなり、入院していた0歳児が一時重症となったが、別の病院に移り、手当てを受けることができた。人工透析ができなくなった医療機関も多く、透析患者は別の病院に移ったりした。

 燃料の確保も大きな課題となった。約400人が入院する札幌市内の病院は非常用発電機を作動させたが、燃料の備蓄は8時間分。人工呼吸器を使う患者もおり、病院幹部は「備蓄量が十分だったかなど課題を検討したい」と話した。

西日本豪雨 真備では2カ月半後に診療再開

 7月の西日本豪雨で広範囲に浸水し、51人が死亡した岡山県倉敷市真備(まび)町地区。地域医療を担う民間の「まび記念病院」(80床)も1階が水没し、30時間近くにわたり孤立した。

 「災害に備えたマニュアルや、(災害時に医療を継続するための)業務継続計画(BCP)がなく、お手上げだった」。村松友義院長(60)は振り返る。過去の水害では「水位は膝(ひざ)くらい」と聞き、心配していなかった。

 だが、豪雨は容赦なかった。7月7日朝までに小田川と3本の支流が決壊。病院は午前7時ごろから駐車場が冠水し、約2時間後に停電。近隣住民300人近くが避難してきた。入院患者約80人のうち、人工透析を急ぐ患者が9人おり、翌朝にヘリコプターで他の病院に移った。

 院内での診療を一部再開できたのは豪雨から2カ月半後の9月18日。入院の受け付けは12月になる。村松さんは「地域医療の再開の遅れは、復興の遅れにつながる。地域ぐるみでBCPを作り、災害に備えたい」と話した。(千種辰弥)

熊本地震を機に研修会

 熊本市で8月末、病院のBCP策定のための研修会が開かれた。災害時、病院は入院患者のケアをしつつ、被災者や他院の患者の受け入れで業務が増える。46病院から事務職員や医師ら89人が参加し、はまゆう療育園(苓北町)の佐藤克之医師(64)は「備えがないまま災害に見舞われたら相当混乱することがわかった」と話した。

 研修のきっかけは熊本地震だ。県内の2530の医療施設中、1302施設が被災した。一方、県内214病院のBCP策定率は今年7月1日時点で59病院にとどまる。

 地域医療の要だった熊本市民病院は当時、310人の入院患者全員に転院や退院を求める事態に陥った。蔵原正国総務課長(58)は「災害時に患者を受け入れるべき病院から患者を避難させることはあってはならない」と悔やむ。来秋開業予定の新市民病院では、免震構造などの施設の対策とともに、火災なども想定したBCPを策定する方針だ。

災害時の業務継続計画、拠点病院に義務づけ

 災害時に医療機関が機能を維持し、患者や被災者を受け入れることができるか。様々な検討や見直しが進められている。

 東日本大震災の際、岩手、宮城、福島の災害拠点病院は被災し、入院・外来の受け入れ制限など大きな影響が出た。国は災害拠点病院の指定要件を見直し、通常時の約6割を供給できる自家発電機の設置や災害派遣医療チーム(DMAT)の保有などを盛り込んだ。耐震化に関しては15年、災害拠点病院と救命救急センターの耐震化率を89%とする目標を定め、昨年達成している。

 近年、重要視されているのが、被災時に医療を続けるための準備や行動をまとめたBCPだ。国は災害拠点病院に今年度中のBCP策定を義務づけたほか、一般の医療機関についても協力を呼びかけている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/632167
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医採用数「実はシーリング超え」、3都府県、延べ6領域
医師専門研修部会、厚労省が新専門医制度の問題点を指摘
 
レポート 2018年9月29日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年4月から始まった新専門医制度では、東京都など5都府において専攻医採用数にシーリング(過去5年の専攻医採用実績の平均値を超えない)がかかっているが、3府県、延べ6領域でそれを上回って専攻医を採用したことが明らかになった。東京都では小児科、精神科、耳鼻咽喉科、大阪府では耳鼻咽喉科と泌尿器科、福岡県では泌尿器科だ。厚生労働省が、9月28日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会の第1回会議で公表した(本部会の位置付けは、『厚労相「専門医機構+18学会に要請」が可能に』を参照)。

小児科は全国で11人がカリキュラム制で研修。東京都のシーリング上限数130人に対し、採用数は141人。シーリングを上回った分には、このカリキュラム制での採用数分も含まれるとされる(2018年9月28日の「医道審議会医師分科会医師専門研修部会」資料)

 厚労省はその他、▽5都府県における採用数は、8410人中、3870人(46.0%)、▽47都道府県のほぼ全てが2017年9月頃に、日本専門医機構に要望を提出したが、機構が各都道府県に回答を送付したのは2018年3月31日、▽新整備指針では、「連携施設での研修は3カ月未満とならないよう努める」となっているが、日本専門医機構はこの確認を行っておらず、連携施設で1カ月のみ研修するなどのプログラムが存在、▽採用実績が全国で350人以上の基本領域では、「原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く」こととなっているが、2019年度開始研修プログラムでも、「1つのみ」の都道府県が存在、▽新整備指針でカリキュラム制を位置付けていない基本領域が存在――など、複数の問題を指摘した(資料は、厚労省のホームページ。関連資料を抜粋し、文末にも掲載)。

 「東京都の状況には、怒り心頭」

 新専門医制度の現状に対し、委員からは、地域医療への影響を懸念したり、日本専門医機構のガバナンスを問題視する意見が相次いだ。

 全国市長会会長で、福島県相馬市長の立谷秀清氏は、「東京都の採用数には、忸怩たる思いがある。怒り心頭だ。こんなことになるのであれば、われわれ全国市長会としては、新専門医制度に反対すればよかった」と、専攻医の“東京集中”を問題視。2019年度研修開始分の東京都のシーリングは約5%削減されるが、30%くらいの削減が必要だとした(『専攻医の東京都2019年度シーリング決定、各領域5%減』を参照)。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、日本専門医機構の前副理事長が今年3月の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、「シーリングは超えていない」と発言していたことを挙げ(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)、「実際にはシーリングを超えていた現状がある。なぜこうしたことが起きるのか」と問題視した。

 厚労省医政局医事課は、東京都の2017年度の初期臨床研修医は1350人、卒後3年目の医師の入学年度に当たる2010年度の医学部定員は1446人、2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査の卒後3~5年目の医師数は1162人(全体の16.1%)であるのに対し、新専門医制度の東京都の専攻医採用数は1824人(全体の21.7%)という数字を引用し、「(基幹施設から連携施設への)ローテートの状況を見ないと正確には言えないが、“東京集中”という状況は示唆される」とコメント。

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏の代理で出席した、副理事長の今村聡氏(日本医師会副会長)は、従来の専門医制度では大半がカリキュラム制で運営しており、新専門医制度のスタート時点で、過去の採用実績を正確に把握していなかった学会があるとし、「人口比等で考えても、東京都に集まっている専攻医が多い可能性はあるだろう」と認めた。同機構は、東京都のシーリングを5%削減する方針を決定したが、各学会から「強い反対があった」ことも明かした。「しかし、世間の要請もあり、日本専門医機構がリーダーシップを発揮して、この制度を動かしていく以上、5%削減をお願いし、了承してもらった」。今村氏はこう述べ、シーリングは地域医療への影響も想定されるため、今後データを見ながら対応していく方針も説明。

 さらに立谷氏は、地域の中小病院で診療に従事している場合でも、専門医が取得できるよう、「しっかりと症例経験を積めば、専門医を取得できるよう、プログラム制だけでなく、カリキュラム制も認めていくことが必要」と要望した。

 厚労省医政局医事課は、同省調べで、カリキュラム制については、専門研修の新整備指針で位置付けていても、実際にはカリキュラム制がなかったり、そもそも位置付けていない基本領域があることを踏まえ、新整備指針に位置付け、遵守を求めていくとした。

 今村氏も、「地域枠出身者や、出産・育児中の医師など、さまざまな先生方が専門医を取れないことはあってはならない」と答え、各基本領域を担当する学会に対応を求めていくとともに、日本専門医機構のデータベースでも、プログラム制とカリキュラム制のどちらの研修を受けているのかが分かる形式にすると説明した。

 その他、地域別だけでなく、診療科別の医師偏在対策として、各科別の必要数を出したり、シーリングの設定を検討すべきとの意見も出た。厚労省医政局医事課は、「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」などで検討を進めていることを説明した。

 「都道府県に機構への不信感」
 日本専門医機構のガバナンスについて、山口氏は、2017年度中に出された都道府県の質問への回答が、2018年3月31日だったものの、明確な回答ではなかったことなどを挙げ、「都道府県には、機構への不信感がある。知らない間に募集定員が機構で変更されたり、定員内なのに採用数を減らされた」と問題視。さらに募集定員の情報やシーリングの根拠が提示されないと、都道府県でも議論しにくい現状があるなどとし、「機構が、責任を持って情報提供する必要があるのではないか。どのように改善していくのか」と質した。

 長野県知事の阿部守一氏も、「日本専門医機構からの回答は、そっけないものだった。関係者が何に苦慮しているのかを示してもらいたい」と求めた。

 今村氏は、「何が決まっているのか、いないのかが明らかでないことなどが、日本専門医機構に対する不信感につながっているのは事実。いろいろな手段を使ってできるだけ迅速に情報公開していく」と回答。関係者からの問い合わせにも反省すべき点があったと認め、事務局の体制を強化し、問い合わせ元やその内容、機構内での対応の仕方を整理するなどとして、外部から信頼される体制の構築を目指すとした(『質問に速やかに回答できず、不信感に - 寺本民生・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.1』などを参照)。

 サブスペシャルティと総合診療専門医の議論も
 その他、サブスペシャルティや総合診療専門医の在り方などにも議論は発展。山口氏は、「新専門医制度は、サブスペシャルティの領域があまりにも乱立していて、国民から見た時に明確ではない、ということでスタートしたはず。今、サブスペシャルティの議論はどこまで進んでいるのか」と質問。立谷氏も、「新専門医制度で質的な保証が必要なのは、サブスペシャルティの領域」と指摘した。

 総合診療専門医をめぐっては、立谷氏が、かかりつけ医が総合診療的な診療を担っている現状を挙げ、「総合診療専門医を作るのは、総合診療をやる医師に、松竹梅のレッテルを張るようなもの」と不要論を展開、かかりつけ医の養成を進めている日医の見解を質した。一方で、阿部氏からは、かかりつけ医か、総合診療専門医かを問わず、「地域を総合的に支える人材の存在は不可欠」との意見も出た。

 日医常任理事であり、日本専門医機構理事で、同機構の総合診療医検討委員会も務める羽鳥裕氏は、「日医かかりつけ医機能研修制度」でも、総合診療を担う医師の養成を目指していると説明。総合診療医検討委員会では、「総合診療専門医のアイデンティティーを確立するための議論をしている。将来的には、外科医がメスを置いて地域医療に従事するようになった場合などを想定して、専門医資格を付与できるような仕組みを考えていきたい」などと説明。

 日医常任理事の釜萢敏氏は、かかりつけ医と総合診療専門医のいずれも、「患者を全体として診ることができる医師の養成」を目指しているものの、総合診療専門医については、「総合的に診ることについて、学問的に掘り下げていく」などの役割もあるとした。羽鳥氏が例に挙げた「メスを置いた外科医に専門医資格を付与」には、反対意見も多いと付言した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180928194959
産科と小児科、医師偏在の暫定指標設定へ
厚労省が分科会に提案
 
2018年09月28日 20:10 CBニュース

 厚生労働省は28日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会に対し、医師偏在の指標に関する対応案を示した。指標は、医師確保計画の目標医師数や医師少数区域の設定などで活用する。診療科別の医師偏在に関しては、産科と小児科で暫定的な指標を設定し、2019年度から都道府県が策定する医師確保計画に反映させたい考えだ。【新井哉】

■都道府県間の患者の流出入も考慮

 厚労省はこの日の会合で、指標について、▽医師確保計画における目標医師数▽医師少数区域・多数区域▽大学医学部における地域枠・地元出身者枠-の設定に活用することを説明。このほか、都道府県内での医師の派遣調整やキャリア形成プログラムの策定、臨床研修病院の定員設定などにも活用できるとした。

 医師偏在指標を導入する理由について、厚労省は、地域ごとの医師数の比較には人口10万人当たりの医師数が一般的に用いられているが、患者の流出入や医師偏在の種別(診療科、入院・外来、区域)、へき地などの地理的条件、将来の人口構成比の変化などが考慮されていないと指摘。「医師偏在の度合いを示すことによって、都道府県内で医師が多い地域と少ない地域が可視化されることになる」とした。

 地域ごとの医療需要についても、人口構成の違いを踏まえ、「受療率を用いて性・年齢調整を行ったものを用いてはどうか」と提案。患者の流出入にも考慮する必要性を挙げた。例えば、人口当たりの医療資源の少ない埼玉県から医療資源の多い東京都に患者が流出するといった都道府県間の患者の流出入が発生しているからだ。

■産科と小児科は「喫緊の対応」

 今後の議論では、産科や小児科の指標の策定を優先する見通しだ。厚労省は「周産期医療、小児科医療については、医療計画上、特に政策的に医療の確保が必要とされている」とし、診療科別の偏在指標を検討することを「基本的な対応」としながらも、産科と小児科に関しては「喫緊の対応」として暫定的な指標を設定する方向性を示した。特に産科については、▽北海道▽山梨▽愛知▽福井▽高知▽宮崎▽鹿児島-の7道県で産科のない二次医療圏があるなど政策的な課題を抱えているからだ。

 ただ、診療科間の偏在を調整するためには、全診療科別の医師偏在指標が必要となる。このため、暫定的な指標は「当面の医師確保計画にのみ活用することとし、医師養成等の将来時点の検討には用いないこととしてはどうか」と提案した。これに対し、委員からは、産科や小児科よりも医師数が減少傾向にある外科を優先すべきではないかとの意見が出たが、厚労省は、産科と小児科は政策的な医療の側面があるとして理解を求めた。

 10月以降は指標に加え、医師少数区域・多数区域、地域枠・地元出身者枠、外来医療提供体制について議論し、19年3月ごろまでに医師偏在対策を取りまとめる。指標などに関する通知も都道府県に出す予定。



https://www.m3.com/news/iryoishin/632100
シリーズ 真価問われる専門医改革
厚労相「専門医機構+18学会に要請」が可能に
新部会発足、省令案を了承、専攻医募集は10月15日以降
 
レポート 2018年9月28日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、9月28日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会の第1回会議に対し、新専門医制度について医師法施行規則の一部を改正する省令案を提示、同部会は了承した。

 先の通常国会で成立した改正医師法で、新専門医制度において、国が日本専門医機構等に対し、意見を言う仕組みが新設された。地域医療に重大な影響が及ぶ懸念がある場合など、特に必要があると認めるときなどは、「必要な措置」の実施を要請することができる。その対象は同法上、「医学医術に関する学術団体その他厚生労働省令で定める団体」となっている。省令案では、日本専門医機構だけでなく、基本領域の18学会を加え、計19団体とした。厚労大臣が、同機構を通さず、学会に直接要請ができる枠組みが誕生することになる。

 厚労省は10月第1週からパブリックコメントを募集。期間は数日間の予定。その後、省令を発出するとともに、都道府県に対し、関連の通知を出す予定。

 新専門医制度は、地域医療への影響が懸念されたことから、開始が1年延期されて、2018年4月からスタート。医師専門研修部会は、改正医師法を踏まえて新設された。部会長には、国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏が就任。厚労大臣が日本専門医機構等に、「必要な措置」の実施等を要請するに当たっては、都道府県の意見を聞いた上で、本部会に諮り、意見を聞くことが求められる。日本専門医機構等は、当該要請に応じるよう努めなければならない。

 次回10月15日開催の第2回会議では、都道府県からの意見を集約、日本専門医機構等への要請事項を取りまとめる予定。したがって、2019年4月開始の専門研修の専攻医募集開始は、それ以降になる。また東京都など5都府県に設けられた専攻医の採用数の上限(シーリング)を超えていないかどうかを検証するために、専攻医の募集の途中、あるいは終了段階で、第3回会議を開催する予定。

 省令案に対して、日本医師会常任理事で、日本専門医機構の理事も務める羽鳥裕氏は、「日本専門医機構と、18の学会が並列して書かれるのはどうか。機構が一定のルールで動き出したら、機構に任せてもらえるのか」と質問。

 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「将来的には、日本専門医機構と各学会の関係を見ながら、状況に応じて見直していくことはあり得る」としたものの、「現状は実態を踏まえ、並列で記載する」と答えた。

 第1回会議では、新専門医制度の現状についても資料が提出され、議論した。2018年4月開始の専門研修においても、シーリングが設けられたが、それを超えて専攻医を採用した地域・領域があることなどが明らかになっている(詳細記事は、別途掲載)。



https://www.medwatch.jp/?p=22620
東京都における2019年度の専攻医定員、外科など除き5%削減を決定―日本専門医機構 
2018年9月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 東京都においては、2019年度の専攻医(新専門医資格の取得を目指す後期研修医)定員を▼内科▼小児科▼皮膚科▼精神科▼整形外科▼眼科▼耳鼻咽喉科▼泌尿器科▼脳神経外科▼放射線科▼麻酔科▼救急科▼形成外科▼リハビリテーション科―の各領域について、今年度(2018年度)定員から「5%削減」する。ただし、東京都から関東近県への医師派遣への影響なども考慮し、当面、この定員を維持し、今後、3-4年程度かけて専攻医の動向を分析した上で、改めて定員について検討を行う―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長(帝京大学・臨床研究センター長)は9月25日に記者会見を行い、こうした点を決定したことを発表しました(関連記事はこちらとこちら)。

 なお専攻医登録(募集)スケジュールについては、都道府県からの要望等を踏まえる必要もあり、まだ正確な期日は明らかにされていません(10月中旬から募集開始予定)。
 
2019年度の定数上限は当面維持し、3-4年後に専攻医動向の実態を見て見直しを検討
 今年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートしました。従前、専門医資格の授与は各学会が独自に行っていましたが、さまざまな学会が乱立するに至り、専門医の水準や内容が不明確という問題が浮上してきました。

そこで、専門医の質を担保し、かつ国民に分かりやすい資格とするために、2018年度から▼専門医の質の担保(研修プログラムなど)は、各学会が責任を持つ(もっとも日本専門医機構の定める方針に則ることが大前提)▼専門医資格の授与は日本専門医機構と関係学会が協働で行う―ことなどを柱とする新専門医制度がスタートしたのです。

しかし、地域医療の現場からは「質の担保を追求するあまり、専門医を養成する基幹施設などになるためのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった強い指摘があり、日本専門医機構・都道府県・厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ仕組み」を設けています。その1つとして、「5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)において、▼外科▼産婦人科▼病理▼臨床検査—の4領域を除き、専攻医の募集定員を過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える」といったルールが設定されました(シーリング)(関連記事はこちら)。

この点、今年度(2018年度)の採用実績を見ると、東京都では「初期研修医1350名」に対し、「専攻医1825名」となり、その差475名が「地方から東京」へ流れていることが分かり、各方面から「東京への専攻医集中が助長されているではないか」との批判が出ています。日本専門医機構では、こうした批判に応えなければならないとし、来年度(2019年度)のシーリング(専攻医の定員上限)について、▼東京都では、2018年度採用実績から5%削減する▼東京都以外の4都市(神奈川、愛知、大阪、福岡)では、2018年度と同じ考えとする▼外科・産婦人科・病理・臨床検査—の4領域はシーリングから除外する―方針を固めました。

今般、さらに日本専門医機構と関係学会が協議を行い、東京都における2019年度のシーリングを次のように設定することが決まりました。基本領域(診療科)によって若干異なりますが、2018年度に比べて「概ね5%」の削減を目指したものです(1人未満の端数は切り上げとなっている)。例えば、脳神経外科では「3.4%減」にとどまっており、「5%よりもかなり甘い」と思われがちですが、もう1名定員を削減(3名削減)した場合「5.8%減」となってしまうことから、2名減にとどめているものと考えられます。

▽内科:   2018年度・567名 → 2019年度・541名(26名、4.6%減)
▽小児科:  2018年度・130名 → 2019年度・124名(6名、4.6%減)
▽皮膚科:  2018年度・92名 → 2019年度・88名(4名、4.3%減)
▽精神科:  2018年度・101名 → 2019年度・96名(5名、5.0%減)
▽整形外科: 2018年度・122名 → 2019年度・117名(5名、4.1%減)
▽眼科:   2018年度・78名 → 2019年度・75名(3名、3.8%減)
▽耳鼻咽喉科:2018年度・61名 → 2019年度・58名(3名、4.9%減)
▽泌尿器科: 2018年度・52名 → 2019年度・50名(2名、3.8%減)
▽脳神経外科:2018年度・58名 → 2019年度・56名(2名、3.4%減)
▽放射線科: 2018年度・58名 → 2019年度・56名(2名、3.4%減)
▽麻酔科:  2018年度・116名 → 2019年度・111名(5名、4.3%減)
▽救急科:  2018年度・69名 → 2019年度・67名(2名、2.9%減)
▽形成外科: 2018年度・55名 → 2019年度・53名(2名、3.6%減)
▽リハビリテーション科:2018年度・22名 → 2019年度・21名(1名、4.5%減)

▽上記領域の合計:2018年度・1581名 → 2019年度・1513名(68名、4.3%減)

 寺本理事長は、「東京都への専攻医集中」という指摘には応えなければならない、とした一方で、▼「医療資源・症例の豊富な東京都での研修を望む専攻医が多い」という実態がある▼医療資源・症例が豊富であり、質の高い研修が可能なことも事実である▼「東京都から近隣県(特に北関東)への医師派遣」への影響も考慮する必要がある―ため、「当面は上記の定員上限を維持し、今後、3-4年かけて専攻医の動向実態を詳しく分析した上で、定員上限の在り方を検討する」との考えも明らかにしました。そこでは、診療科(基本領域)ごとの偏在是正に向けて、新専門医制度の枠組の中で何ができるか、という視点、さらには「本当にシーリング設定は正しいことなのか」という視点での検討も行われることでしょう。

 例えば、「年月日単位で、専攻医がどの医療機関に所属しているのか」を把握し、東京都から近隣県等へどの程度の人数が、どの程度の期間、派遣されているのかを3年間(多くの研修プログラムの研修期間)、詳細に追跡し、その後、必要な検証等を行った上で、改めて「専攻医の定員上限(シーリング)」はどうあるべきかを考えることになります。もちろん、毎年度の登録状況を踏まえた微修正などは否定されるものではありません。

 このためには、専攻医の登録システム等を、「ある専攻医が、実際にどの医療機関に勤務しているのか(派遣されているのか)」を追跡できるように改修する必要があります。月の半ばに他医療機関に派遣されるケースもある(例えば9月14日までは基幹のA病院で研修を受け、15日から3か月間、地方のB病院に派遣されるなど)ことから、寺本理事長は「できれば『年月日』単位で追跡できるようなシステムが望ましい」と付言しています。

関連し、来年度(2019年度)からの登録システムでは、▼研修が通常のプログラム制(年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行う仕組み)なのか、妊娠・出産・介護・留学などのためにカリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)とならざるを得ないのか▼地域枠出身の医師であるか否か―を選択できるようになる見込みです。

 
 ところで、気になる専攻医の募集スケジュールですが、寺本理事長は「10月中旬から募集開始を目指す」と述べるにとどめています。この背景には、新専門医制度に対する「都道府県の地域医療対策協議会(いわば「地域医療の課題を吸い上げる場」)からの意見・要望」があります。厚生労働省は9月28日と10月中旬に「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」を開催し、そこでは都道府県の地域医療対策協議会からの意見を踏まえ、新専門医制度の改善に向けた議論が行われます。その議論の行方によっては、来年度(2019年度)の研修内容や枠組みに大きな見直しが迫られる可能性も否定できないのです。寺本理事長は「●月●日に募集開始と宣言した後に、一定の制度・枠組の見直しが要望され、日程変更をせざるを得なくなれば、医師の間に大きな混乱を招いてしまう。それは避けなければならない」とコメントしています。

 
 
https://www.m3.com/news/iryoishin/632229
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医師偏在指標、全国一律に「医師多数区域」「医師少数区域」を設定
2019年度から医師確保計画策定、産科・産婦人科、小児科で指標導入
 
レポート 2018年9月30日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省は9月28日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、2019年度から都道府県で策定作業が始まる医師確保計画で設定される「医師少数区域(仮称)」と「医師多数区域(仮称)」を決めるための「医師偏在指標」の計算方法を提示、大筋で合意を得た。診療科別の偏在指標も必要とし、まずは産科・産婦人科、小児科で取り組む考えを示した。

 2018年7月に成立した改正医療法・医師法では、▽新たな医師の認定制度の創設(2020年4月施行)、▽医師確保計画の策定(2019年4月施行)、▽外来医療機能の可視化/協議会における方針策定(2019年4月施行)、▽都道府県知事から大学に対する地域枠/地元枠増加の要請(2019年4月施行)、▽都道府県への臨床研修病院指定権限付与(2020年4月施行)――が予定されている。

 都道府県ごとに策定する医師確保計画では、二次医療圏を基本として「医師少数区域(仮称)」と「医師多数区域(仮称)」を設定し、医師の派遣調整を行うことが求められる。ただし、「医師の確保を特に図るべき地域」の定義には「医師少数区域」だけでなく、二次医療圏より小さい区域で「無医地区」「準無医地区」「知事が厚労大臣と協議の上で定める地域(離島や山間部等のへき地)」も指定できるようにする考えを示している。

 区域の設定に当たっては、全国共通の指標を使って一律に比較し、一定の上位、下位の地区を指定する方針で、その基準は今後、同検討会で議論していく。


 そこで、重要になるのが、「統一的・客観的に把握できる、医師偏在の度合いを示す指標」の導入だ。現在、一般的に使われている「人口10万対医師数」では診療科や年齢分布、患者流出入などが考慮されておらず、統一的な「ものさし」にはなっていないという指摘があった。新たに導入する指標は、医師の性別、年代による労働時間の違いを調整した「標準化医師数」と、人口10万人対医師数をベースに地域ごとに性年齢階級による受療率の違いを調整したもので勘案するというもの。


 計算式については概ね合意が得られ、厚労省は2018年度中に結果を公表する。慶應大学教授の権丈善一氏は「ニーズに基づくのは一歩も二歩も前進。ニーズの代理指標は人口と年齢がベースになり、同じ年齢の人たちは、どこに住んでいても同じアクセシビリティを保障していこうと考え。標準的な平均値が普通で、そこから外れる地域は、挙証責任として理由を言ってもらうようにすべき」と指摘した。聖路加国際大学学長の福井次矢氏は「理想的な分布、受療行動をグランドビジョンとして考えていただき、理想に向けての働きかけも必要」と述べた。厚労省は「基本的には全国均一の受療率があり得るべきものとして平均化する。それが理想かどうかは難しいところだが、過剰な受療行動があれば是正しなくてはならない」と説明した。

産科、小児科で偏在指標
 医師偏在対策においては、診療科ごとの偏在状況を明らかにする必要があるという指摘も根強い。厚労省は基本領域の診療科ごとに偏在指標を作成する方針を示し、その上で「医師数の増加割合が低く、政策的に医療の確保が必要とされる」産科・産婦人科、小児科の2診療科を先行して、「暫定的な指標」を作成することを明らかにした。

 診療科ごとの指標化に当たっては、代表的な疾病・診療行為を抽出し、対応表を作成することが求められる。産科においては「分娩件数」、小児科においては「小児外来診療料」「初診料/再診料の乳幼児加算、夜間加算」などで、比較的明確にひも付けることができるとしている。一方で、ひも付けが明確でない診療科では指標化に時間がかかることが見込まれる。委員からは「増加の傾向が最も低い外科を急ぐべき」「総合診療専門医はどう扱うべきか」という意見も寄せられた。

地域枠のあり方も議論に
 同検討会では、医師偏在指標以外についても、医学部における地域枠、地元出身者枠の在り方、外来医療提供体制、医師少数区域勤務認定制度などについても議論し、2019年3月までに取りまとめる予定。

 地域枠を巡っては、日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「例えば千葉大ではかつては地域枠は15人ぐらいいたが、今年は1人しかいないという。ある程度、地域枠を強く志望する人には優先的にする入学試験を導入すべきでは」と問題提起した。厚労省担当者は「今回、医療法改正では、別枠にするべきという付帯決議がでており、強力に推進していきたい」と回答すると、文部科学省の担当者が「具体的な選抜方法は大学の自治もあり、やり方を強制するのはなかなかできない。我々としては大学に促すという形を考えていきたい」と牽制した。順天堂大学学長で全国医学部長病院長会議前会長の新井一氏は「大学によってやり方がばらばらで自主性を持って行うが、大本の趣旨からは上手く運用されていないことが確かにある。大学側の課題と認識している」と指摘した。



  1. 2018/09/30(日) 12:34:10|
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