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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

9月9日 

http://news.livedoor.com/article/detail/15252189/
厚労省、医師の過重労働を招く「患者」問題も検討へ 休日夜間のコンビニ受診に懸念 
2018年9月3日 17時58分 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が9月3日、東京・霞が関の厚生労働省で開かれた。正当な理由(事由)なく診療を拒めない「応召義務」など、医師の過重労働の原因とされる問題が取り上げられた。厚労省は、医療にかかる国民側の理解も十分得ていく必要があるとして、今後、医療のかかり方について集中的に検討する懇談会を新設する方針を示した。

●応召義務、救急医療では「厳格な判断」

応召義務は、医師法19条1項に規定されている。この日はまず、三谷和歌子弁護士が過去の判例や通達などをもとに、法的解釈を述べた。応召義務に違反した場合に直接的に処分する刑事罰はなく、行政処分を受ける可能性はあるものの、実際に行政処分を受けたという事例はないことを紹介した。

「正当な事由」をどう捉えるかについては、いくつかの判例を踏まえて見解を示した。通常時の医療では患者による迷惑行為や医療費の不払いなどもあり、裁判所が実態に沿った判断をする傾向にあると指摘。一方、裁判所は救急医療では厳格な判断に立ち、事実上、診療が不可能である場合に限って、診療拒否が認められるとした。

具体的には、入院治療の依頼を受けた医師が、交通事故で重傷を負い出血が激しい別の患者への治療に追われていた際、他の専門医が診療した方が適切と判断して入院診療を拒んだ事例について、裁判所は応召義務違反ではないと認定した判例などを紹介した(名古屋地判・昭和58年8月19日)。

●「タスク・シフティング」は単なる医師の下請けか

また、日本外科学会(理事長=森正樹・大阪大教授)からは、長時間労働が嫌がられ、外科医になろうとする若手が減っていると指摘があった。森理事長は「我々、外科医は土曜日曜も病院に行っている。体に染み付いている。ただ、ずっとこれをしていては働き方改革はあり得ない」。国の方針として、外科医の働き方改革を推進してほしいと求めた。

日本外科学会は、手術後の病棟管理業務などを他の職種に任せる「タスク・シフティング」について、十分な医学的臨床能力を担保しつつ、進めていく重要性を改めて強調した。また、働き方改革の対策のひとつとして、患者の個人的理由による安易な休日夜間の受診(コンビニ受診)を減らすため、国民への啓蒙活動が必要であることも指摘した。

会場の検討会のメンバーからは、「シフトされる側が、単なる医師の下請け作業ではなく、モチベーションを保ってできるようにするべきではないか」などの声が上がった。森理事長は「おっしゃる通り。きわめて重要な問題」と応じた。

●2019年3月、議論を取りまとめ

厚労省の検討会は、来年3月末までをメドに議論の取りまとめをする予定としている。そこに向けて今後は(1)国民の医療のかかり方やタスク・シフティングなど今後目指していく医療提供の姿(2)応召義務などを含む医療の特性(3)時間外労働の上限時間など制度上の論点、の三つの柱について検討を深めたい考えだ。

特に、国民がどう医療にかかるかについては、今後、新たな懇談会を発足させて議論を進める。厚労省は「事務局で立ち上げの準備を進めている」と報告した。



http://news.livedoor.com/article/detail/15248622/
外科医不足 解消遠く 若手、女性 敬遠鮮明に 研修医呼び込みへ活動も
2018年9月3日 6時0分 西日本新聞

 手術室で華麗にメスをさばき、患者の命を救う-。漫画「ブラック・ジャック」に象徴されるような外科医が花形だった時代も今は昔。きつい勤務や訴訟リスクから、若手医師が外科を敬遠する傾向が続いている。高齢化が進み、がんなど外科手術が必要な患者の増加が予想される中、担い手不足が深刻化している。

 「針先を自分の方に向けないとうまくいかないよ」。8月31日夜、九州医療センター(福岡市中央区)が若手医師を対象に開いた外科技術を競うコンテスト。ベテランの指導を受けながら、医師1、2年目の研修医ら若手11人が、縫合や切開など外科医に求められる繊細な作業に挑戦した。

 若手に外科への興味を持ってもらおうと、今回初めて企画。自身も心臓外科医の森田茂樹院長は成績上位者に表彰状を渡し「ぜひ外科に来て」と呼び掛けた。

 日本外科学会によると、医師全体の数は毎年増加しているのに外科学会入会者は減少。30年ほど前は入会者が2千人を超える年もあったが近年は800~900人台にとどまっている。

 3年目以降の若手医師が希望の診療科と研修場所を選ぶ「専門医養成制度」で今年、外科を選んだ人数は福岡39人(定員127人)▽佐賀3人(同12人)▽長崎6人(同25人)▽熊本12人(同20人)▽大分8人(同11人)▽宮崎3人(同12人)▽鹿児島11人(同29人)-など、全都道府県で定員を大きく下回った。学会内では「今は中堅・ベテランに支えられているが、10年、20年後に外科医不足が深刻になる」との危機感が広がっている。

 コンテストに参加した研修1年目の田中里佳さん(25)は「外科は格好よくてやりがいがある一方で、大変だというイメージもある」。病院に勤務する外科医は、緊急の患者に対応するための当直や呼び出しがあり、他の診療科よりも長時間勤務になりがちだ。患者の命を左右する手術の重圧にもさらされる。

 福岡市のベテラン外科医は「かつては命を救いたいという単純な思いで外科を目指す若手が多かった。毎晩病院に泊まり込んで1件でも多く手術を任せてもらい、経験を積もうと必死だったが、働き方改革の風潮で今の若手は勤務時間が終わると帰るし、無理強いもできない」と嘆く。

 外科医が少ない傾向は、特に女性医師に顕著だ。厚生労働省の調査によると、2016年末時点で全国の医師のうち女性の割合は約21%だったが、外科に限ると約9%。長時間労働と出産・子育ての両立の難しさが要因とみられる。女性が外科など特定の診療科目を敬遠せざるを得ない現状が、東京医科大で明るみに出た「男子優遇」問題の背景にあるとも指摘される。

 コンテストを企画した九州医療センターの竹尾貞徳統括診療部長は「外科医が減れば一人一人の負担が増え、労働環境がさらに過酷になる悪循環に陥ってしまう。昔のように根性論で教育するのではなく、子育て支援など若手が働きやすい環境づくりを進める必要がある」と話している。

=2018/09/03付 西日本新聞朝刊=
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090502000142.html
医学部8割 男子合格率高く 女子との差、最大1.67倍
2018年9月5日 朝刊 東京新聞

 女子受験生などの点数を一律に低くして合格を抑制していた東京医科大(東京都新宿区)の不正入試問題を受けて文部科学省が行った調査で、全国八十の国公私立大医学部医学科のうち約八割で男子の合格率が女子を上回っていたことが分かった。東京医科大より男子の合格率の高い大学も十三校あった。得点操作など不正を行っていたとの回答はなかったが、男性優位の実態が明らかになった。 (原尚子、原田遼)

 全八十一大学から回答があり、文科省が速報値として発表した。最終報告は十月中にまとめる。

 二〇一三~一八年度の過去六年間の全受験者のうちの全合格者の割合を男女別に計算し合格率を出したところ、男子の合格率は11・25%、女子は9・55%で、女子を一とすると男子は一・一八倍。不正のあった東京医科大は一・二九倍で、それより高かった大学が私立七校、国公立六校の計十三校あった。

 募集が女子のみの東京女子医科大を除くと、男子の合格率が女子より高かったのは、八十校のうち六十三校で、78・8%を占めた。いずれの年度も男子の合格率が高い大学の方が多く、本年度は71・3%に当たる五十七校で男子の合格率が女子を上回った。

 最も高かったのは順天堂大の一・六七倍。同大広報担当者は取材に「最終的な調査結果を待ってコメントする」と回答した。〇・七五倍と最も低かった弘前大は「公正な入試をすれば女子の方が成績がよく正直な結果」とコメントし、「成績表の名前、性別、受験番号を全て隠して選抜している」と説明した。

 文科省は「全体として男子の合格率が高い傾向があった」としたが、理由については「今後、数字をもとに、個別に訪問調査などで入試の中身についても聞き、分析したい」とした。

 調査は同省の管轄外である防衛医科大を除く全八十一大学に対し八月十日から二十四日までアンケート方式で行われ、入試に関する学内規則とマニュアルの有無、過去六年間の男女・年齢別の受験者数や合格者数などを質問した。特定の受験者や性別、年齢、属性によって事前の説明なく加点を行ったことがあるかについても尋ねた。

◆大学の意に沿う選抜

<NPO法人医療ガバナンス研究所の上(かみ)昌広理事長の話> 8割の大学で男子合格率が女子を上回った結果で、国公立も含め大学が自分たちの意に沿うような選抜をしてきたことが歴然と分かる。大学が教育ではなく経営しか考えていない証拠。安く長時間働かせられる男性研修医が必要で、出産や育児で離れてしまう女性は経営効率上要らないということ。現状は面接でどうにでもできてしまうため、質問や選抜方法を公表させるなど透明性の確保が必要だ。

◆納得できる説明必要

<医学部受験予備校「プロメディカス」の武林輝代表の話> 不正をしたか問われて正直に答える大学があるのか疑問。不正を行ったという回答がないなら、なぜ男子の合格率が高い状態が続いているのか、納得できる説明がほしい。調査では、一般入試と、地域枠や指定校などさまざまな条件で行われる推薦入試の結果を一緒に計算しているため、推薦で女子が多く合格した場合に一般入試で男子有利に操作されても数字が相殺され、女子の不利な扱いの実態が埋もれてしまう可能性がある。
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https://dot.asahi.com/wa/2018090700082.html?page=1
医学部入試の女子差別問題 東京医大以外でも男女の合格率に格差
吉崎洋夫2018.9.7 19:03週刊朝日

 東京医科大の不正入試で明るみに出た女子差別問題。文部科学省はほかでも行われていないか、医学部医学科がある全国81大学に調査を指示し、結果を9月4日に発表した。

 男女別の過去6年間の平均合格率(合格者数/受験者数)は、男子の方が女子より1.18倍合格率が高かった。2018年度の結果を見ると、不正のあった東京医科大では男子の方が女子より3.11倍高。次いで、日本大が2.02倍、順天堂大が1.93倍、新潟大が1.79倍となった。

 教育関係者によると、医学部を目指す男女の学力差は大きくないという。合格率に2倍近い差があるのは不自然だとの見方もある。しかし文科省によると、得点操作などを認めた大学はなかった。

 文科省は「結果を踏まえて追加調査も検討していく」とするが、調査に積極的だとは言いがたい。教育関係者は「本気で問題に切り込む気があるのか」と疑問の声も上がる。

 そもそも文科省の調査は、十分とは言えないものだ。各大学に調査票を送って回収したというが、大学の自主的な回答に任せており、仮に大学側が虚偽の回答をしても見抜けるかどうかはわからない。

 調査に積極的とは言いがたい姿勢は、今回公表されたデータを見ても透けて見える。調査では一般や推薦、AOなどそれぞれの入試方式における受験者数や合格者数を尋ねているが、公表した合格率は、入試方式をまとめて扱っているためだ。本来は入試方式ごとに、1次試験と2次試験を含め、男女の合格率や得点分布の違いを細かく分析しないと実態は見えてこない。

 例えば、文科省の調査では聖マリアンナ医科大は男子の合格率が女子よりも1.47倍高くなっている。これだけでも男女の開きはあるが、実は一般入試ではさらに差が広がる。大学側がホームページで公開している推薦入試の合格者数をもとに編集部が一般入試の合格率を推計すると、男子は7.4%、女子は3.6%で、男女の格差は約2倍になるのだ。

 聖マリアンナ医科大は、「得点操作はしておらず公正、公平な試験の結果だ」と主張している。

 全ての大学は不正を否定しているので、このままだと女子差別問題は十分な調査がなされないまま、うやむやになってしまう。大手教育事業会社の幹部もこう批判する。

「文科省の調査結果を見ても、大学が本当に正しい情報を出しているのか疑わしい。長年受験生を見てきたが、男子より女子の方がまじめで成績もいい傾向がある。男子の方が女子より合格率が高いのは、小論文や面接など客観的でない試験で得点調整をしている可能性がある。文科省はこの機会にきちんと調べるべきだ」

 文科省が積極的に調べにくい背景には、医学界の一部に女性差別が根強いこともある。女性合格者が増えると、女性が敬遠しがちだとされる外科などで医師が足りなくなり、医療に悪影響が出るとの考え方だ。

「女性は外科などハードな職場を選ばない。医療現場を維持するためには、女性の比率をある程度抑える必要がある。東京医科大がやったことも理解できる」(男性医師)

 女性医師の中でも、こうした考えに賛同する人も少なくない。

 だがこうした医学界の一部の“常識”は、多くの国民にとっては“非常識”だろう。東京医科大は得点操作の事実を隠しており、女子受験生は不利な扱いを受けたことが分からないまま“だまされた”かっこうだ。

 東京医科大の問題を受けてできた「医学部入試における女性差別対策弁護団」には、元受験生らの相談や問い合わせが160件以上来ているという。今後、東京医科大に受験料の返還などを求めていくという。

 文部科学省は、10月をめどに最終的な調査結果を公表するという。女子差別問題を調べるつもりがあるのか、文科省の対応が問われている。

(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定
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https://www.yomiuri.co.jp/national/20180905-OYT1T50033.html
医学部不合格、女子予備校生「不信感が募る」
2018年09月05日 08時56分 読売新聞

 文部科学省が4日発表した医学部・医学科を持つ大学への調査結果で、男子の平均合格率が女子よりも高かった大学は「厳正な選抜の結果」などと説明した。しかし、医師の人材不足が課題となっている地方に比べ、都市部の大学は男子の合格率が高い傾向にあり、女子に不利な状況を指摘する声も上がる。


 文科省の調査では、男子の合格率が6年連続で女子を上回った19校のうち、東京都、大阪府、政令市の大学が15校を占めた。

 「性別や年齢による調整は行っていない」。その一つの慶応大(東京)の担当者はそう説明する。

 合格率は男子12・5%、女子9・2%で1・37倍の開きがあったが、「性別をふせて採点している」と強調した。男女格差が1・36倍の大阪市立大(大阪)は、2次試験の筆記で配点の高い数学と理科で男子の方が平均点が高く、「結果的に男子が有利になっている可能性はある」と説明した。

 格差が1・67倍と最大だった順天堂大(東京)は「文科省の最終調査を待ってコメントしたい」とした。

 だが、医学部専門予備校の可児良友講師によると、男子の合格率が高い医学部・医学科入試では、面接で「子育てと仕事の両立をどう考えるか」など女子受験生が答えにくい質問が出ることも多く、女子に不利な傾向がみられるという。

 医学部・医学科の入試は、卒業後に働くことになる付属病院などの採用試験の意味合いもあり、可児講師は、「出産で休むこともある女子より、男子を優先しがちだ」と指摘する。

 一方、過去6年の平均合格率で女子が男子を上回った16校のうち14校は弘前大(青森)や岐阜大(岐阜)など、東京都、大阪府や政令市以外にある。島根大(島根)の担当者は「女子は入試結果も入学後の成績も良好」、徳島大(徳島)は「成績順に合格判定した結果」と話す。

 医師でNPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長は「都市部では病院間の競争が激しく、働き続けられる男子を確保したい思惑がある」と語る。また、駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「地方の女子は地元の医学部を目指す傾向にあり、女子が苦手とされる理科を2次試験で課さない大学もある」と話す。

 調査結果には受験生から厳しい目が向けられた。今春、医学部を不合格となった都内の女子予備校生(19)は、「これだけ合格率に差があると不信感が募る。採点基準など透明性を高めてほしい」と訴えた。
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http://news.nicovideo.jp/watch/nw3827982
医師の残業時間
特定の診療科や地域などで規制に特例も

毎日新聞2018年9月3日 20時30分(最終更新 9月3日 23時53分)

 医師の残業時間の上限規制を巡って、地域医療の確保と過労死防止との間で医療界は板挟みになっている。日本医師会の専門家会議も、特定の診療科や医師不足の地域などで規制を緩めるよう提言する一方、長時間労働是正を訴えている。

 救命救急など高度医療を担う特定機能病院85病院を対象に、毎日新聞が6月に行ったアンケート(有効回答は49病院)で、一般労働者と同じ上限規制を導入した場合、現在の診療体制を維持できるか尋ねたところ、約3割に当たる14病院が「維持できない」と答えた。救急など「診療科によっては維持できない」も3病院あった。

 西日本のある病院は、医師の働き方改革について「医療の質の劣化につながらないか。若い医師に勤務時間を守るよう指導すると、学ぶ意欲を低下させる可能性もある」と懸念を示した。首都圏のある病院も、望ましい上限について、一般労働者の上限(2~6カ月の平均で80時間)の倍近い150時間と答えている。

 だが、一般労働者の上限ですら過労死の危険性が高まる「過労死ライン」に設定されている。医師の上限規制の緩和については、現場にいる医師や過労死遺族らからは批判の声も上がりそうだ。



https://www.medwatch.jp/?p=22304
医療に係る消費税、「個別医療機関の補填の過不足」を調整する税制上の仕組みを―2019年度厚労省税制改正要望
2018年9月3日|医療・介護行政全般 MedWatch

 厚生労働省は8月29日に、来年度(2019年度)の税制改正に関する要望をおこないました(厚労省のサイトはこちら(主要項目)とこちら(全体の概要))(関連記事はこちら)。

注目される「医療に係る消費税」については、「個別の医療機関等の補てんの過不足について、新たな措置を講ずる」よう求めています。三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)・四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の提言と同じ方向性と言えます。年末にかけて、財務省とどのような調整が行われるのかますます関心が集まります。

社会医療法人でも「訪日外国人の診療」においてコストに見合った費用徴収を可能とせよ
 「医療に係る消費税」については、特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)によって医療機関等(病院、診療所、薬局など)の負担(いわゆる控除対象外消費税)に対する補填が行われています。

 2014年度(消費税率5%→8%)には、医療機関等による不公平ができるだけ生じないよう、基本診療料(初診料、再診料、入院料など)への上乗せが行われましたが、その後の調査で「医療機関等ごとに、大きなバラつきが生じている」ことが分かりました。医療機関等によって、診療報酬の算定状況が異なるためです(関連記事はこちら)。

消費税率が引き上げられれば、医療機関等の負担も大きくなる(社会保険診療は消費税非課税であり、引き上げ分を患者・保険者に転嫁することができない)ため、こうしたバラつきが医療機関等の経営に与える影響も大きくなります。そこで厚労省は、2019年10月に予定される消費増税(8%→10%)において、「医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせ、▼医療機関の仕入れ税額の負担▼患者等の負担—に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ検討を行い、『個別の医療機関等の補てんの過不足』について、新たな措置を講ずる」よう求めているものです。

詳細な措置内容には言及していませんが、「消費税対応改定を維持した上で、個別医療機関等の補填の過不足を申告によって調整すべき」という三師会・四病協の提言と同じ方向性を言えるでしょう。

 
このほか厚労省は、医療・介護に関連する税制について、次のような見直しも要望しています。

▽社会保険診療報酬における「事業税非課税性措置」を存続する

▽医療法人の社会保険診療報酬以外の部分に係る「事業税の軽減措置」を存続する

▽訪日外国人の診療において、「診療報酬と同一の基準で計算された額を請求する」という社会医療法人等の認定要件を見直し、社会医療法人等が費用に見合った額を請求できるようにする(訪日外国人が増加し、多言語対応などのコスト増に見合った費用請求を可能とする)

▽▼社会医療法人▼特定医療法人▼認定医療法人—の「社会保険診療収入等が全収入の8割超」という要件において、「社会保険診療収入等」の中に、▼社会保険診療収入▼介護保険収入等—に加えて「障害福祉サービス収入」を追加する

▽医療機関等が500万円以上(取得価格)の高額医療用機器(高度な医療の提供に資するもの、または医薬品医療機器等法の指定から2年以内のもの)を取得した場合の特別償却制度(特別償却割合を12%とする)を2年延長する。あわせて「高度な医療の提供」という観点から、対象機器を見直す
 
▽サービス付き高齢者向け住宅の住宅供給促進税制(固定資産税について、3分の2を参酌して「2分の1以上、6分の5以下」の範囲内で市町村の条例で定める割合を軽減する、不動産取得税については、家屋では1戸あたり「課税標準から1200万円」を軽減し、土地についても一定額を軽減する)を、2021年3月31日まで延長する

▽研究開発税制を、次のとおり延長・拡充する
・総額型の控除率・控除上限の拡充(最大15%の控除率を実現)
・2018年度末で適用期限を迎える措置(▼試験研究費の対売上高割合10%超の場合▼総額型の控除上限特例)—を3年間延長し、拡充する
・オープンイノベーション型の適用要件を拡充し、ベンチャー・中小企業への控除率・控除上限を引き上げる



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0907515785/
北海道内の376病院が停電...断水は82病院で
2018年09月07日 17:42〔読売新聞〕

 厚生労働省によると、7日午前5時半現在、北海道内の376病院が停電している。11の災害拠点病院も含まれるが、自家発電で対応している。断水は82病院で生じている。停電が続く地域では、在宅の難病患者が生活を脅かされている。

 全身の筋力が衰え、電動車いすを使う筋ジストロフィー患者の男性(58)は、札幌市北区の自宅マンションのエレベーターがストップし、外出もままならない状態だ。

  誤嚥(ごえん)を防ぐ電動の吸引機が使えないため、喉を詰まらせないようにジュースやお茶、チーズなどで食事を済ませている。電動車いすのバッテリーが切れないように、室内での移動も最小限にとどめているという。

 男性は「とにかく一日も早く電気が戻ってほしい」と訴える。

 日本透析医学会などによると、道内で人工透析が必要な患者は約1万5000人、医療機関は約260か所に上る。7日午後0時半現在、14か所で患者の受け入れを停止している。



https://www.medwatch.jp/?p=22319
勤務医の宿日直・自己研鑽の在り方、タスクシフトなども併せて検討を―医師働き方改革検討会(1)
2018年9月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の働き方改革を巡る議論が、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)で熱を帯びてきました。今年度(2018年度)末の最終取りまとめに向けて、岩村正彦座長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、(1)タスクシフトや患者の受診の仕方など「今後目指していくべき医療提供の姿」(2)応召義務など「医療の特殊性」(3)宿日直の取扱いや時間外労働の上限など「制度」—という3分野の議論を併行的・総合的に進めていく方針を示しています。

9月3日の検討会では、(1)のタスクシフトや(2)の応召義務に関し、有識者や学会からヒアリングを行うとともに、(3)の宿日直や自己研鑽について突っ込んだ議論を行っています。今回は、(3)の宿日直・自己研鑽に焦点を合わせてみましょう。
 
ここがポイント!
1 勤務の時間外労働上限、タスクシフトや患者の受診行動などを合わせた検討が必要
2 宿日直の許可基準、現代の医療に合うように見直す案を厚労省が提示したが・・・
3 時間外労働には割増賃金、「診療体制の確保」や「賃金原資の確保」などをどう考えるか
4 「時間外労働」と「自己研鑽」を切り分けられるのか?

勤務の時間外労働上限、タスクシフトや患者の受診行動などを合わせた検討が必要

安倍晋三内閣の進める「働き方改革」の目玉の1つに「罰則付き時間外労働の上限規制導入」があり、時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」と定め、これに違反した場合には罰則が科されることになります(労使合意による上限超過も可能だが、そこにも厳格な制限を課す)。勤務医も、この時間外労働規制の対象となりますが、医師には応召義務が課されるなど医療には特殊性があるため、「医療界の参加の下で検討の場(検討会)を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」こととされました。

検討会では、さまざまな角度から「医師の働き方改革」を検討していますが、例えば「地域医療を守りながら、医師の時間外労働に上限を設ける」ためには、「医師でなくても可能な業務を他職種に移管していく」(タスクシフト)ことや、「患者にも『適正受診』についてしっかりと考えてもらう」ことの重要性が再確認されました。そのため、岩村座長は次の3分野を併行的かつ統合的に議論していく方針を示したのです。9月3日の検討会でも、「宿日直」に議論をする中で、「タスクシフト」や「応召義務」に議論が及ぶ場面が度々ありました。
(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(▼国民の医療のかかり方▼タスク・シフティング等の効率化▼医療従事者の勤務環境改善—など)
(2)働き方改革の検討において考慮すべき、医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務など)
(3)医師の働き方に関する制度上の論点(▼時間外労働の上限時間数の設定▼宿日直や自己研鑽の取扱い―など)


宿日直の許可基準、現代の医療に合うように見直す案を厚労省が提示したが・・・

このうち「宿日直」は、労働基準法において「労働密度がまばらで、労働時間規制を適用しなくとも、必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働」として、労働基準監督署長の「許可」を受けた場合には労働時間規制の適用から除外される(時間外労働に該当しない)こととされています。逆に、労働密度がまばらでないなどの場合には、宿日直としては許可されず、時間外労働と扱わなければなりません。

この点、医療(医師、看護師等)においては、▼病室の定時巡回▼異常患者の医師への報告▼少数の要注意患者の定時検脈、検温—など、「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務に限る」といった基準(宿日直許可基準)が1949年に設けられています。しかし、医療が高度化した現代社会には、この基準は医療現場の実態に合っておらず、「基準の見直しを行うべき」との強い指摘があります。この基準のままでは医療現場で実効性のある「宿日直」の実施ができないとの悲鳴に似た声も聞かれます。
 
一方、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の調べでは、今年(2018年)7月30日から8月3日の5日間において、「宿日直の許可を得ながら、長時間の患者対応を実施している」病院が一部にあることが分かりました(一過的に救急患者等が集中し、長時間の患者対応が発生してしまった可能性も否定できないが)。1949年の基準に照らせば、長時間の患者対応は「宿日直」には該当せず、時間外労働と扱うのが本来の姿です。
 
こうした点を総合的に踏まえ、厚労省はまず「宿日直許可基準」について、現在の医療現場の実態に合うよう、次のような見直しを行ってはどうかと提案しました。法規の面で、現実的な対応をまず行う考えと言えるでしょう(適正な宿日直の運用は、その後に検討する、とも思われる)。

▽▼病棟当直において、少数の要注意患者の状態の変動への対応について、問診等による診察、看護師などの他職種に対する指示、確認を行うこと▼非輪番日等の外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動について、問診等による診察、看護師等他職種に対する指示、確認を行うこと―などは、「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務」に該当する(これらの業務は宿日直の範囲に含まれ、時間外労働には該当しない)

▽結果として「休日・夜間に入院となる」ような対応が生じる場合もあるが、昼間と同態様の労働に従事することが稀であれば、宿日直許可は取り消さない

 
この提案に対し、馬場武彦構成員(社会医療法人ペガサス理事長)らは「検討会とりまとめとは別に早急な見直しをしてほしい」と歓迎。対して、村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)は、否定こそしないまでも「基準の見直しが、勤務医の負担軽減につながるのか見えない」と慎重姿勢を見せました。また、今村聡構成員(日本医師会副会長)も、基準見直しを否定しないものの、「医師でない労働基準監督署長が、医療内容に関する判断を適正に行えるのだろうか」と運用面での課題に言及しています。

さらに、島田陽一構成員(早稲田大学法学学術院教授)らは「医師の宿日直は、救急患者や急変患者への対応という側面がある。労働基準法の宿日直とは分けるべきではないか」と指摘し、宿日直許可基準の見直しにとどまらず、より根本的な議論をすべきと求めています。

引き続き、宿日直許可基準の見直し・根本的な宿日直の在り方を含めた議論が行われます。

時間外労働には割増賃金、「診療体制の確保」や「賃金原資の確保」などをどう考えるか

ところで、宿日直許可基準の見直しの有無に関わらず、基準を厳格に運用すれば、長時間の患者対応などは「時間外労働」に該当し、病院側は宿日直の担当医に割増賃金を支払わなければなりません。この点について厚労省は、次の3つの論点を示しています。
▼十分な医療(診療体制)を確保した上で、現行の給与体系に沿って割増賃金を支払うためには「賃金原資の確保」が必要となる
▼現行の給与体系に沿うが、賃金原資の確保が困難となれば「診療体制の縮小」が必要となる
▼賃金原資の確保が困難な中で、診療体制を確保するためには「給与体制の見直し」(基本給の引き下げ)が必要となる

しかし、これらはいずれも困難な選択です。例えば「賃金原資の確保」は、社会保障費の適正化が求められる中では困難であり、「診療体制の縮小」は地域医療の確保と矛盾します。また「給与の引き下げ」は、医師の生活・モチベーションを損なうことになってしまいます。3者のバランスをどう図っていくのか、今後、慎重に検討していくことが求められます。

「時間外労働」と「自己研鑽」を切り分けられるのか?

働き方改革の根底には、「長時間の時間外労働を是正し、労働者の健康を守る」ことがあります。この点、医師については「時間外労働の中に、『労働に該当する』ものと、『自己研鑽に該当する』ものとか混在している」という特殊性があります。

これを放置したままでは、例えば▼すべてを時間外労働と扱えば、割増賃金が膨大となり医療機関経営がままならなくなる▼すべてを自己研鑽と扱えば、医師のモチベーションが著しく低下する(自己研鑽を阻害し、医療水準の低下につながりかねない)―という大きな弊害が生じてしまいます。そこで、「どういった行為が労働に該当し、どういった行為が自己研鑽に該当するのか」の切り分けを行うことが考えられますが、両者の性質を併せ持つものも少なくありません。厚労省は、切り分けの第1弾として、例えば次のような行為は「使用者の指揮命令下になく、明らかに労働には該当しない」のではないか、との考えを示しました。

▼病院外で行われている学会や勉強会で、使用者の指示がなく業務時間外に任意に参加しているもの
▼使用者の指示がなく、業務時間外に任意に行っている執筆活動
 
この切り分け案には、明確な反論こそ出ていないものの、「切り分けは事実上、不可能ではないか」という意見が多くの構成員から出されたほか、次のような具体的な提案もなされています。

▽ドイツのように、個別医師がオプトアウト(いわば、医師側からの申告)で自己研鑽を行い、それに対し一定の手当てを認めることとしてはどうか(遠野千尋構成員:岩手県立久慈病院副院長)

▽使用者の指揮命令下にあるもののみを「時間外労働」と扱い、自己研鑽については「丸めでの評価」としてはどうか(例えば1か月当たり●時間の自己研鑽をするものとし、一定の手当てを支給するなど)(黒澤一構成員:東北大学環境・安全推進センター教授)

 両提案には頷ける部分も大きいのですが、「指揮命令下にあるかどうか、を客観的に判断しなければならないが、困難も伴う」という問題もあり、運用面での課題は残りそうです。例えば「○○業務を行いなさい」という明示の指示があれば、時間外労働であることは明確です。しかし、こうした指示こそないものの、いわゆる「黙示の指示」による業務については、「どのように時間外労働と認定するのか」という問題がどうしても残ってしまうのです。

 このテーマについても、引き続き「さまざまな角度からの検討」が行われます。
 


https://mainichi.jp/articles/20180902/k00/00m/040/146000c
超党派
「医療基本法」制定を 議員連盟発足へ

毎日新聞2018年9月2日 08時00分(最終更新 9月2日 08時00分)

 国民の医療を受ける権利などを定めた「医療基本法」を作ろうと、超党派の国会議員連盟が今月にも発足する。近年、医療の地域格差是正や医師と患者の信頼関係構築には「大黒柱」となる基本理念の法制化が必要だとの声が、医療界と患者側の双方で高まっていた。関係者は来年の通常国会で議員立法による提案・成立を目指す。

 国内には教育、原子力、消費者など「基本法」の名の付く法律が40以上あるが、医療全体に関わる基本法はない。このため、治療のインフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)の規定が病院の施設基準などを定めた医療法の中にあるといった法令の「継ぎはぎ」への異論や、理念が欠如して医師の偏在や過重労働などに有効な手が打てていないとの批判も出ている。

 日本医師会の検討委員会は2014年、医療基本法の条文案を示した報告書を取りまとめた。「医療提供者と患者の信頼関係に基づいた医療」を基本理念に掲げ、横倉義武会長も早期制定に意欲を見せる。

 一方、患者団体や有識者のグループも、患者の権利擁護の立場から基本法の必要性を訴えている。12年に法案の共同骨子を発表し、今年5月には参院議員会館で初の院内集会を開いた。

 超党派議連は、双方の案を土台に議論していく構えで、設立に向け各会派と調整している羽生田俊参院議員(自民)は「医療の崩壊を食い止め、患者に安心して医療を受けてもらうという目的は一致している」と話す。市民団体「患者の権利法をつくる会」常任世話人の鈴木利広弁護士は「実効性ある法案にするには、関係団体からの意見聴取が必要だ」と指摘する。【清水健二】



https://www.m3.com/news/iryoishin/627701?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180907&dcf_doctor=true&mc.l=322047566&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
後期研修医「自己研鑽の機会奪わないで」
医師の働き方改革検討会、宿日直も議論

レポート 2018年9月7日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 9月3日に開催された厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、応召義務などのほか、長時間勤務の問題で大きなテーマとなっている宿日直や自己研鑽についても議題となった(応召義務の記事は、『応召義務は「開業医が往診する時代」の義務』を参照)。厚労省は、時間外の勤務は細切れなことや、宿日直中の勤務時間も医療機関によってばらつきが大きいことを示す資料を提示。自己研鑽では、労働法制上の取り扱いや医療水準の維持などの論点を示した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師・看護師などの宿日直に関する通知 1949年3月22日基発第352号

(1)通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

(2)夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外に、病院の定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温等、特殊の措置を必要としない軽度の、又は短時間の業務に限ること。(応急患者の診療又は入院、患者の死亡、出産等があり、昼間と同態様の労働に従事することが常態で あるようなものは許可しない)

(3)夜間に十分睡眠がとりうること。

(4)許可を得て宿直を行う場合に、(2)のカッコ内のような労働が稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分にとりうるものである限り許可を取り消さないが、その時間については労働基準法第33条、第36条による時 間外労働の手続を行い、同法第37条の割増賃金を支払うこと。

 医師の宿日直は、上記の許可基準に基づいて各医療機関が所管の労働基準監督署に申請して許可を受けるが、医療機関ではこの通知の内容とは違う宿日直の実態もある。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は「宿日直にすれば時間外労働より手当が少なくて済むので、そのようにしてきたところが多いと思う」と指摘。ここ数年は労基署の指導で宿日直とは認められず、遡及して時間外勤務手当を支払う医療機関が多くなっており、「労働基準法では時間外勤務として支払わなければいけなかった。ただ、現実に全部支払うと病院が立ちゆかないので、国として支払ってもらうしかないのではないか」と述べた。

 早稲田大学法学学術院教授の島田陽一氏は「医療法の宿日直は夜間の診療を確保する観点だが、労基法ではそこは考えていない。医療法と労基法の宿日直は分けて考えるべきではないか」と指摘。岩手県立久慈病院副院長の遠野千尋氏は、「当直の先生に救急の対応をしてもらっている病院は多いと思う。寝当直の医師と救急の医師をダブルで待機させると医師の少ない地域では負担が大きい。制度変更の議論が必要だと思う」と述べた。

自己研鑽、「規制だけはないように」
 自己研鑽については、さまざまな見方が提示された。遠野氏は「自己研鑽にも時間がかかる。それを労働時間として見ず超過勤務手当が出ないとなると、モチベーションの問題がある。自己研鑽の規制だけはないようにしてほしい」と訴えた。日本医師会副会長の今村聡氏も、職場で時間外に自己研鑽をすることが、一般の労働者ではあまりないのではないかと指摘。その上で、「患者から学ぶこと、病院にいて得られる情報から得られるものは多い。自己研鑽は自分のためでもあるが、医療の向上、社会的な要請でもある。自己研鑽の機会を奪うことがないようにするのが大事だ」と述べた。黒澤氏は、「指示があるかないかの一点で分けるのがいいのではないか」と提案。遠野氏と同様、自己研鑽を全く認めないのではモチベーションが上がらないとして、「『自己研鑽手当』のような形で包括的にやるのもあり得るのではないか」と述べた。
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2018年9月3日医師の働き方改革に関する検討会資料

 東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センターで後期研修中の赤星昂己氏は、「私が労働と思っていても使用者は自己研鑽だと思っているものが、トラブルの原因になる」と指摘。また、使用者も医師もともに自己研鑽だと思っていても、院内にいるという点で労働と見なされてしまうことを避けてほしいと訴えた。例として、勤務時間が終わったところで、専門医取得に必要な手技を要する患者が来たときに希望し、上司も了承して手術に加わるようなケースを紹介。これを「時間外労働になってしまうから」として帰宅を命じると、「自己研鑽の機会を奪ってしまうことになる。使用者の指示はなく、主体的に行う場合には自己研鑽として扱ってほしい」と訴えた。ただ、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦座長は「非常に面白いお話だ」と述べた上で、法律の観点からは「病院が赤星先生の手技を了承してしまった以上、それは労基法上の労働時間になってしまう。非常に微妙な難しい問題だ。それをどうするかは個別の議論だ」と説明した。



https://www.asahi.com/articles/DA3S13671187.html
(社説)女性医師 働く環境の整備を急げ
2018年9月9日05時00分

 東京医科大が入試の際、得点調整をして女性を合格しにくくしていたことが判明して1カ月余。背景にある女性医師を取りまく環境の見直しが、社会の課題に浮上している。

 出産や育児で現場を離れるケースが多い。それが同医大による女性差別の理由とされる。

 宿直ができなかったり途中退職したりすれば、周囲が穴を埋めなければならないとして、理解を示す声もある。だがそれは、女性に家事や育児の負担を一方的に負わせている現状を追認し、あわせて男性医師については「私生活を犠牲にして長時間労働する」という生き方を当然視することに通じる。志ある若者を医療界から遠ざけ、質の低下を招きかねない。

 大切なのは、男女を問わず、家庭や個人を大切にしながら仕事ができる状況をつくることだ。女性医師が働き続けられれば、他の勤務医の労働条件の改善にもつながる。医療界は地方の医師不足や診療科による偏在なども抱えていて、「解」を見いだすのは容易でないが、着実に歩を進めるしかない。

 宿直の免除や短時間勤務の導入。夜間早朝でも利用できる保育制度。職場を一時離れても、最新の知識や技術を習得できる研修や実習の充実――。

 どの職場にも通じる対策だが、医師にはより高い専門性が求められることを考えれば優先度は高い。財政支援もためらうべきではない。

 仕事そのものの見直しも欠かせない。例えば複数主治医制の導入だ。主治医は、休日や時間帯を問わずに起きる患者の急変に対処せざるを得ないことも多い。だが複数の医師がチームで責任を共有する体制にすれば、臨機応変の対応が可能になる。

 医師の業務のうち、看護師や薬剤師、病院スタッフで担えるものを洗い出し、ゆだねる取り組みも、もっと進めるべきだ。単なる下請けにならないよう、新たな資格や職種を設けることも検討されていい。複数主治医制にせよ業務移管にせよ、患者の側も、長い目でみれば質の高い医療につながると理解して、後押しする必要がある。

 東京医大問題を受けて文部科学省が全国81大学の医学部を調べたら、この6年間のいずれの年も、6~7割の大学で男性の合格率が女性を上回っていた。

 不当に扱いの差をつけたと答えたところは同医大以外にないというが、「不自然」との指摘は少なくない。文科省は調査を尽くすとともに、こうしたデータを大学が自ら開示して、透明性を高めていかねばならない。



  1. 2018/09/09(日) 09:35:45|
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