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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月26日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34605740V20C18A8MM8000/
残業規制、医師は緩く 救急・産科は上限見送りも
2018/8/26 1:30日本経済新聞 電子版

 厚生労働省は医師に限定した残業規制を2024年度に導入する方針だ。残業時間の上限を一般の労働者に19年4月から順次適用される年720時間よりも緩く設定。救急救命や産科など長時間の対応が必要な診療科にはさらに例外規定をつくる。一般労働者と同じ規制だと医師不足などで医療現場が混乱しかねないため、独自のルールが必要だと判断した。

 医師の長時間労働は他産業に比べても深刻で労働環境の改善が必要だ。しかし一般労働者向けの残業上限規制をそのまま適用すると、現場の医師不足に拍車がかかるなど、医療の質が保てなくなる懸念があった。

 正当な理由なく患者の診療を拒めない「応召義務」が医師法で定められるなど医師という職業の特殊性もあり、政府は残業規制の制度設計の過程で医師への適用を24年度まで延期。残業抑制策のあり方を別途検討し、今年度中に結論を出すことにしていた。

 厚労省は医師の残業上限は一般労働者の年720時間よりも緩くする方向だ。厚労省内では「最大でも年960時間」との意見がある。

 さらに業務の性質上、長時間労働になりがちな救急や産科などで働く医師には例外規定を設け、規制を一段と緩める方向だ。こうした診療科には上限そのものの設定を見送る可能性がある。ただ例外扱いになる場合でも、産業医との面談など健康確保措置を義務付け、労働時間の正確な把握など長時間労働を抑える仕組みを整える。

 医師の働き方改革を進める観点から「応召義務」は見直す。今は医師個人の義務と規定されているので、診療時間外の対応なども当然視される一因になっていた。厚労省は応召義務を「組織として果たすべき義務」に改める。複数の医師や看護師などが連携して対応するチーム医療を想定し、医師個人への負担を和らげる。

 一般労働者向けの枠組みでは努力義務となっている勤務間インターバル制度の導入も積極的に促す。医療界の一部が要望している医師向けの裁量労働制などの仕組みの創設は見送る方向だ。



https://www.medwatch.jp/?p=22111
専門研修修了医(certified doctor)と臨床経験を十分に積んだ専門医(specialist)は区別すべき―四病協
2018年8月22日|医療現場から MedWatch

 初期臨床研修終了後3年程度の研修(後期研修)を修了した医師は「(認定)専門研修修了医師:certified doctor」と位置づけ、十分な臨床経験を積み、science・art・coordinate能力を持つ「専門医:specialist」とは区別すべきである。現在、「19の基本領域(内科、外科、総合診療)に関する専門医」以外にも、さまざまな「専門医」が存在しており、国民に分かりにくくなっており、専門医制度を今一度見直す必要があるのではないか―。

 日本医療法人協会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会で構成する四病院団体協議会(四病協)は8月22日に総合部会を開き、こうした提言を取りまとめました。

ここがポイント!
1 臨床経験を十分に積んだ重層的で多様な専門医(specialist)を認証すべき
2 東京以外の大都市(大阪、愛知、福岡、神奈川)では医師不足、シーリングは必要なのか
3 2014年度改定における「消費増税改定の補填不足」、日病協として対応を検討

臨床経験を十分に積んだ重層的で多様な専門医(specialist)を認証すべき

 新専門医制度は、数多ある専門医資格を国民に分かりやすいものとし、かつ質を担保するために、「専門医の研修プログラム認証や、専門医の認定を各学会と日本専門医機構が共同して行う」ことなどを柱とし、2018年度から全面スタートしました。

「地域の医師偏在等を助長する可能性がある」などの懸念があることから、これまでに▼東京都・大阪府・愛知県・神奈川県・福岡県の5大都市圏では定員上限を設ける(ただし外科などの医師不足が懸念される診療科では除外)▼地域医療対策協議会(いわば「地域医療の課題を吸い上げる場」、各都道府県に設置)から寄せられる意見などを踏まえた、制度見直しを行う―などの対応が図られてきていますが、地域医療の現場や自治体関係者などから、今なおさまざまな課題が指摘されています。

 四病協内部でも、新専門医制度を巡ってはさまざまな意見が出ており、「専門医制度の在り方検討委員会」(神野正博委員長:全日病副会長)を設置し、改善に向けた提言を検討してきました。8月22日の総合部会では、次のような提言内容が了承されています。神野検討委員会委員長は、「病院団体ではこういう意見を持っている」ことを明らかにすることで、より良い専門医制度へ改善されることを期待しています。

(1)国民視点から専門医制度の見直しを求める

(2)初期臨床研修終了後3年程度の研修は「専門研修制度」とし、その研修を修了した医師を「(認定)専門研修修了医師:certified doctor」、その後、臨床経験を10年程度積み、必要な研修等を修了してscience・art・coordinate能力を兼ね備えるに至った医師を「専門医:specialist」と位置づけ、両者を明確に区別する

(3)後者の「専門医:specialist」研修は、「いつからでも」「どこでも」適切な指導者のいる機関で、カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)に基づく技術研修と学習、さらに厳格な資格審査で認証する

(4)医師のキャリアパスに則った重層的で、多様性のある専門研修(例えば、▼研究者専門医(specialist、以下同)▼急性期専門医▼予防・健診専門医▼在宅医療専門医▼高齢者医療・介護専門医—など)を確保する。研修の提供、専門医の認証は限られた機関である必要はなく、例えば「四病協の認証」もありうる

(5)専門研修を受けない医師に対しては、所属病院、病院団体、医師会が「質の担保のための研修」を提供する(四病協でも研修必修化に協力する)
 
 日本専門医機構では、専門医を「ある基本診療領域の疾病などについて、すべて理解し、きちんと患者に説明できる医師」と定義していますが、国民は「いわゆるスーパードクター」をイメージしがちです。また、「専門医」の名称は日本専門医機構・関係学会が独占しているわけではないため、「19の基本領域、今後、認められるサブスペシャリティ領域」以外にも「いわゆる専門医」が乱立する可能性があります。
 このため四病協では、「国民に分かりやすい」制度とする必要があるとし、上記(1)(2)のように▼(認定)専門研修修了医師:certified doctor(現在の新専門医資格取得者に相当するイメージ)▼専門医:specialist—に区別することを提言しているのです。

 また(3)(4)は、後者の「専門医:specialist」を養成・認証する際の基本的な考え方を示したものと言えます。現在は、国民の多くが、心臓疾患や脳血管疾患といった急性期医療において卓越した技術を持つ医師を「スーパードクター」と認識しがちですが、(3)(4)の専門医が誕生することで「基礎研究分野のスーパードクター」「在宅医療分野のスーパードクター」(こうした分野で卓越した知見・技術を持つ医師はすでに数多く存在する)なども広く浸透していくことが期待できそうです。

東京以外の大都市(大阪、愛知、福岡、神奈川)では医師不足、シーリングは必要なのか

 ところで、現在の新専門医制度については、日本専門医機構において「来年度(2019年度)の専攻医(新専門医資格の取得を目指す研修医)募集」に向けて、制度改善論議が急ピッチで進められています。

 例えば「専攻医の東京一極集中は否定できない」との指摘を踏まえ、▼2019年度における東京都の専攻医定員数は2018年度採用数から5%削減して設定する▼大阪府・愛知県・福岡県・神奈川県―の定員は2018年度を踏襲する(過去5年間の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える)—方針が8月3日の理事会で概ね固められました。今後も、「地域偏在を助長しない」ような対策が検討されます(関連記事はこちら)。

 この点について日本医療法人協会の加納繁照会長は、「医療現場の肌感覚では、東京以外の地域では『医師が不足し、減少傾向にある』と感じる。今後も高齢者増に伴って医療需要が増加する中で、東京都以外の大阪府・愛知県・福岡県・神奈川県の『専攻医定員の上限』(いわゆるシーリング)が本当に必要なのか、エビデンスベースで改めて議論する必要がある。地域の医師偏在の是正はもちろん非常に重要なテーマだが、同じように大都市における医師確保も重要なテーマだ」と強調しました。今後、日本専門医機構等に対し「提言」を行っていくことになりそうです。
 
2014年度改定における「消費増税改定の補填不足」、日病協として対応を検討

 このほか8月22日の四病協総合部会では、次の点についても議論が行われました。

▽「訪日外国人への適切な医療の確保」に向けた検討が始まるが、医療現場の声を十分に吸い上げる必要がある

▽来年度(2019年度)の税制改正に向けて、例年と同様の要望(消費税問題の解消、事業税非課税措置の延長など)を行う

▽2014年度の消費増税対応診療報酬改定における「補填不足」の原因を究明し、医療現場への適切な対応を行う

 
 訪日外国人対応については、例えば、▼「支払いにおいてクレジットカード等の活用」が議論される模様だが、カード決済の手数料を医療機関が負担する点についてどう考えるのか(病院の利益率を考慮すればカード活用をするほど赤字になる)▼社会医療法人の認定要件との整合性などをどう考えるか(例えば、保険診療収入等が80%超との要件があるが、外国人への自由診療を拡大すると、要件クリアが難しくなるケースもある)—といった点について、十分な検討が必要であるとの見解で一致しています(関連記事はこちら)。

 また2014年度の消費増税対応改定については、先般「補填不足」(特定機能病院では補填率が60%強にとどまった)が明らかになりましたが、四病協では「徹底した原因究明」と「補填不足への対応」を厚労省に要望していく考えです(他の病院団体も含めた「日本病院団体協議会」としての要望を、近々に行う考え)。その際、「過去の補填不足分を踏まえて、今後の診療報酬プラス改定などで相応の上乗せを要望する」のか、などについては、今後、検討することになります(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/624676
真価問われる専門医改革
四病協、新たに二階建て「専門医制度」を提言
「(認定)専門研修修了医師 certified doctor」と「専門医specialist」

レポート 2018年8月23日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は8月22日に総合部会を開催し、同協議会専門医制度のあり方検討委員会での議論の結果として「専門医制度への提言 社会はいかなる専門医を必要としているのか」を公表した。現在の基本領域の専門医を「(認定)専門研修修了医師 certified doctor」とした上で、その後に多様な認定主体による「専門医specialist」の二階建てにするという内容だ。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は「池の水面に小さな石を投げたということ。こういう意見があるということで議論を進めていきたい」とし、厚生労働省や今月24日の日本専門医機構の理事会にも提出する考えを示した。

提言の骨子は以下の通り。

(1)国民視点から、専門医制度の見直しを求める。すなわち、臨床研修終了後の3年程度の研修は「専門研修制度」とすべきであり、そのプログラムされた専門研修を修了した医師は「(認定)専門研修修了医師 certified doctor」とすべきである。
(2)science, art, coordinate能力を兼ね備える専門医specialistは、十分な臨床経験の後に取得すべきものであり、いつからでも、どこでも適切な指導者がいる機関でのカリキュラム制に基づく技術研修と学習、そして厳格な資格審査によって認証すべきである。
(3)医師のキャリアパスに則り、重層的なかつ多様性のある専門研修を確保すべきであり、その提供と認証者は限られた機関である必要がなく、例えば四病院団体協議会としての認証もあり得る。
(4)専門研修を受けない医師に対して、所属先や病院団体、医師会は質の担保のための研修を提供すべきである。四病院団体協議会は医師の倫理や安全、最新の知見等の必須化等に協力を惜しまない。

 提言は、はじめに~現状認識、(1)国民の視点からの専門医とは、(2)医師の視点からの専門医specialist、(3)病院の視点からの専門医specialist、(4)現行専門医制度に乗らない医師の質の確保、(5)地域偏在解消の視点から、(6)提言--の7つのパートで構成している。

 国民が期待する専門医は「その専門を名乗る領域の文字通りスペシャリスト、一人前であり、一通りの診断から治療(手術を含む)を自らの手と責任で実行可能な医師であろう」として、「決して、臨床研修後の3年足らずの専門研修で認証certifyされるものではなく、10年程度の臨床経験は必須と理解すべきではないだろうか」と問題提起している。現在の基本領域の専門医に当たる「(認定)専門研修修了医師 certified doctor」については、地域偏在対策として、「国がリーダーシップを取って定め、さらに地域医療対策協議会等の議論を経て定員制を敷くことが求められる」としている。

 「専門医specialist」については、「基礎的な経験を十分に踏まえた後に多重的に取得可能な専門性であると理解すべきなのである」とし、時間を限らないカリキュラム制で研修できるようにすべきとしている。総合診療専門医については、日本専門医機構が所管するのは 「問題点が山積」としており、カリキュラムの提供と認証者については、「限られた機関である必要がなく、例えば四病院団体協議会としての認証もあり得る」という。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、東京都以外の4府県で も専攻医の定員にシーリングを残すとする日本専門医機構理事会の決定について、「私自身は疑問視している。4府県では必要な医師がどんどん減っている。高齢者が増えるのに正しいのかを議論してほしい」と要望。機構理事でもある神野氏は「二期目の理事会の積み残しがたくさんある。そのために「検証検討委員会」ができたので、そこでの議論になる」と指摘した(『2019年度、東京の専攻医5%減が努力目標』を参照)。



https://www.huffingtonpost.jp/yuto-maeda/hospital-20180820_a_23505223/
赤穂市民病院からの手紙 −地域周産期医療崩壊の序曲−
第2の故郷である兵庫県のためにも、自分も可能な限りの貢献をしていきたい。

前田裕斗 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科後期研修医
2018年08月20日 13時23分 JST | 更新 2018年08月20日 13時23分 JST BLOG ハフポスト

 ある日職場に兵庫県は赤穂市民病院から自分宛の手紙が届いた。「常勤医師の退職に伴い2017年9月から分娩取扱を休止している。地域住民、妊婦からは分娩取扱再開の要望が多く、医師確保に奔走しているが上手くいかない。どんなことでもいいから情報提供をお願いしたい。」読んで非常に驚いた。曰く、私が昨年度までの神戸中央市民病院在籍中に書いた前稿「意外な医療過疎地域、兵庫〜関西修行記 vol.2〜」を見て連絡してきたとのことだ。しかし受け取った私は産婦人科4年目、今年専門医になるただの若造なのだ。どうしてこのような切迫した状況になってしまったのだろうか。

 赤穂市と聞くと忠臣蔵・赤穂義士の話を思い出す人も多いだろうが、兵庫県の中でも最も西の岡山との県境にある西播磨地区に属する。県境とはいうが、近隣の大都市である兵庫県、姫路へは約40km、岡山へは約60kmと毎回の妊婦健診を近隣へ受けに行くにはアクセスがいいとは言えない位置だ。元々西播磨地区は医師が少ない。2014年に兵庫県で働いていた産婦人科医師数は神戸市159人、阪神154人に対し、東播磨62人、中播磨49人。そしてなんと西播磨は11人だった。それでも2016年まで赤穂市民病院には4人の産婦人科常勤医がいたが、このうち3人が2017年8月までに退職。緊急時の対応が困難なことから同年9月に分娩取扱を休止した。

 医師確保のために地域行政がまず働きかけるのは、当然大学だ。赤穂市民病院は神戸大学産婦人科学教室の関連施設として同教室のHPにも記載がある。しかし、神戸大学からの医師派遣は実現しそうにないという。おそらく、大学も人手が足りていないのだろう。現に神戸大学関連病院で地域周産期における最重要拠点の1つである兵庫県立こども病院でさえも医師数が減り、規模が縮小されていると聞く。産科は緊急症例に対応するため、そして毎晩当直医が必要になることから最低2人以上のスタッフを確保するのが望ましいが、それだけの医師を派遣することは他関連病院の兼ね合いもあり難しいのが実情と考えられる。

 さらにここへ追い打ちをかけるのが「新専門医制度」だ。新専門医制度とその問題点についてここでは詳しく語らないが、この制度では、若手医師は専門医取得のため大学病院か同等規模の基幹施設で主に研修し、連携施設となった病院でさえも6−12ヶ月しか所属することはない。このためそもそも赤穂市民病院自体が若手医師を独自に雇うことはほぼ不可能であるし、たとえ若手医師が送られてきても、病院ごとの文化に適応しまともに働けるようになる前に他へ移ってしまうことになる。

 さらに新専門医制度による兵庫県で産婦人科研修を始める医師数の減少が拍車をかける。厚労省の調査では、兵庫県の2012-2014年における医師3-5年目の後期研修医数は102人であった。即ち、毎年約34人が兵庫県で産婦人科として研修を開始したこととなる。一方2018年の研修開始者は14人と半数以下となってしまった。来年以降も同様の傾向が続くかどうかはわからないが、もし続いた場合はさらに医師不足は進行し、医師確保は困難となることが予想される。なお、新専門医制度で地方の若手医師数が減ること、その原因については様々な議論がすでに尽くされており、別稿を参照されたい。

 また、昨今の分娩施設集約化の流れも問題の一つだ。2016年に次々と報道された無痛分娩で出産した母体の死亡例についての報道を皮切りに、安全性の確保を錦の御旗に分娩施設集約化の流れが興っている。安全性の確保は確かに大切だが、そのために人員を集約化すれば現在分娩を取り扱う地域の中小病院から医師がいなくなることは必定だ。一方で助産師、看護師へのtask shiftingや、ITの活用などいかに人員数を変えずに業務の効率化、安全性の確保を行うかについての議論は依然として行われていない。

 赤穂市には元々赤穂市民病院と赤穂中央病院の2病院が分娩を取り扱っており、2016年度の分娩は計648件。市民病院は249件、赤穂中央病院は399件だった。隣接する岡山県も含めて市外の利用者が約6割を占めていたようで、赤穂市だけでなく西播磨地区近くの住民が利用していたと予想される。一般的な産婦人科の感覚として、650人の分娩を一つの病院で回すには最低でも3−4人以上の産科医が必要だ。現時点では姫路や岡山へ妊婦が流出することで、市民病院から最も近い赤穂中央病院の妊婦受け入れ制限などには至っていないが、今回の赤穂市民病院と同じような事態がいつ起きないとも限らない。赤穂市民病院の分娩取扱休止に伴い、姫路市以外の西播磨地域で出産できるのは、赤穂中央病院と公立宍粟総合病院(宍粟市山崎町鹿沢)の2病院のみとなった。将来、西播磨地区では分娩できない未来がきてしまうかもしれない。

 長くなったが、今回のことをまとめれば以下のようになる。

・赤穂市民病院の分娩取扱中止・医師確保が困難となった事態は、西播磨地区の産婦人科医不足を背景に偶発的に起きたことであるが、新専門医制度・分娩集約化と言う産科医療全体の流れの中で生じており、他地域でも全く同様の事態が生じる可能性がある。

・赤穂市は西播磨地区において1つの周産期医療拠点である。今回の分娩取扱中止を契機に西播磨地区全体の周産期医療が崩壊する危険性も考えられる。

 この問題をどのように解決すればよいのだろうか。理想的には日本の産婦人科医療全体が安全性を保ちながら効率化し、人員をすべての地域に循環させることが望ましい。しかし残念ながら現在では絵に描いた餅であり、効率化が進むとしても多大な時間がかかると予想される。人材の速やかな確保には個人的なつながりをたどること、そして病院や地域全体からの、赤穂という地域や、赤穂で働くことの利点を感じられるような情報発信が必要だ。第2の故郷である兵庫県のためにも、自分も可能な限りの貢献をしていきたい。

(2018年8月14日MRIC by 医療ガバナンス学会より転載)



https://www.m3.com/news/iryoishin/624059
「医師の働き方改革」、単なる時短にあらず◆Vol.1
医療の近代化が目的、「やらされ感」満載では失敗の懸念

スペシャル企画 2018年8月21日 (火)配信司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が今秋以降、最終局面を迎える。7月の同検討会では各種調査結果のほか、日本医師会が主導してまとめた「医師の働き方改革に関する意見書」が公表され、議論の素材はおよそ出揃ったと言える。
 日医副会長の今村聡氏と、2017年4月に報告書をまとめた「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の座長を務めた、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏という2人の検討会のキーパーソンに、医師の働き方改革をめぐるこれまでの議論や今後の方向性などを語っていただいた(2018年8月9日に対談。全5回の連載。文中、敬称略)。

――まず先生方は研修医時代、どんな生活を送っていたのか、お聞かせいただけますか。

今村 大学卒業後、研修したのは、三井記念病院(東京都千代田区)の麻酔科です。出身は秋田大学ですが、あまり大学には行っていなかったため、先生方に顔を知られず、「お前、俺の医局に来い」とは言われなかったので、東京に出ることになりました(笑)。虎の門病院(東京都港区)や東京警察病院(当時は東京都千代田区)も考えたのですが、三井記念病院にいた尾本先生(埼玉医科大学名誉教授の尾本良三氏)から、「日本でも有数の心臓外科がある病院だから、ここに来れば充実した麻酔の研修ができる」とオルグされ(笑)、決めたのです。

 外科系が強い病院なので、麻酔科は完全に「従」。夕方4時か5時になると、翌日の手術予定がようやく分かり、「明日、今村君。このオペの麻酔に入って」と決められる状況でした。予定が立たない日々でしたが、昔はそれが当たり前。最初の1年間は、外科の研修医たちと一緒に、ほとんど病院に泊まり込んでいました。勉強熱心な先生方が多く、「救急患者が来た」となると、皆がテンション高く集まってきたため、麻酔科医は患者さんになかなか近寄れず、「血圧が測れないんですけど……」と外科医の間をかき分けながら仕事をしていたのです。

 1年くらい経った後のある日の朝、不整脈が出たこともあります。「なぜこんなに脈が乱れているのだろう」と思いましたが、睡眠不足だったんですね。1年目は、メチャクチャ働きましたが、2年目くらいから次第に余裕を持って働けるようになりました。

渋谷 東大の医局には入らずに、初期研修は新設の帝京大学の市原病院(現帝京大学ちば総合医療センター)麻酔科を選びました。森田先生(後に帝京大学麻酔科教授、帝京大学附属病院の元病院長の故森田茂穂氏)がいたからです。学閥に関係なく色々な人が集まるベンチャー企業のような雰囲気がありました。麻酔、救命救急と集中治療を研修したのですが、森田先生は、「集中的に働き、思いっきり遊べ」という発想の持ち主。救命救急と集中治療はシフト制を敷きやすく、メリハリはあったものの、実際には仕事漬けの日々で、ほぼ病院に住んでいました。しかも、当時の私大病院の給与は安く、初任給は4万円。週給かと思ったら、月給。びっくりしましたね。生活費を稼ぐために、土日の当直やバイトをせざるを得なかったのです。まさに「ブラック企業」(笑)。

 印象深かったのは、新東京病院(千葉県松戸市)でのバイト。当時は天野先生(現順天堂医院院長の天野篤氏)が部長で、須磨先生(心臓血管外科の第一人者の須磨久善氏。現財団法人心臓血管研究所付属病院スーパーバイザー)が助っ人で来ていて、お二人のオペに入ることがありました。もちろんオペは素晴らしかったですが、休むこともなく術後も患者へ寄り添い、その対応が素晴らしかった。「現場にはたたき上げの、すばらしい先生方がいる」ことに驚き、医局に入らなかった自分も勇気付けられました。麻酔科で研修したのは、麻酔科医になりたかったからではなく、森田先生のコネを使って海外で臨床研修をしたかったのと、いろいろな分野を見たかったから。コメディカルを含め、さまざまな科と働いたり、野戦病院で多くの修羅場を経験したことは、すごく勉強になりました。

今村 私も麻酔科で研修したのは、いろいろな科を見たかったからです。学生の頃に、話を聞いて外科系に興味を持っても、本当にそれぞれの科が何をやっているかは、実際に見てみないと分からなかった。結局は、「面倒くさがり屋」なので、そのまま麻酔科に居着いてしまいましたが(笑)。


渋谷 学生時代、十数時間に及ぶ脳外科のオペに立ち会ったことがあります。「お前だけだよ、ずっと立ちっぱなしで最後まで残ったのは」と言われ、「大丈夫です、ボート部だから」と答えたら、「お前、脳外科に入れ」と誘われた。当時は、情報もなく、周りの医学生はそんな感じで進路を決めていましたね。けれども入局したら、一生そこにいるのが基本。それが嫌で、森田先生のところに行ったのです。「来るものは拒まず、去るものは追わず」の先生で、「お前、海外に行きたいんだろう?」「はい、そうです」。そんな感じで決めました。今、考えれば、のどかな時代だった。

――先生方の特に1年目は、まさに「レジデント」の生活。渋谷先生が研修医だった時代からも30年近く経っています。その後、医師の働き方は、徐々に変わってきたのか、あるいは変化の節目があったのか。その辺りは、どう受け止めておられますか。


今村 ずっと同じ病院に勤務して見ているわけではないので、一概に言えないですね。また今も、病院によって状況は違うと思うのです。

 私が2006年に日医の常任理事になってからのことを言えば、ある日、日医の役員会で、「今、勤務医の働き方について、いろいろデータが出てきているのに、日医は何もしなくていいんですか」と尋ねたところ、「日医の会員には経営者もいるのだから、そこに触れるのは難しい」といった雰囲気でした。

 しかし、2年経った頃に、精神科のある先生から、「医師の健康を守るのは、医師会の重要な役割。海外では医師会が主導的にこうした問題に関わっている」と指摘され、2008年から日医内に「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」を設置し、私も関わるようになりました。

 同委員会が勤務医1万人を対象に行ったアンケートでは、「希死念慮を持つ勤務医が5%」という衝撃的な結果でした。「このデータを出したら、『こんなに不健康な医師から、国民は医療を受けている』と言われる」との声も上がりましたが、データはオープンにしました。

 つまり、医師会の中でも、その辺りから相当に雰囲気が変わってきたのだと思います。今回問題が顕在化したのは、「電通の過労死問題」など、他の業界の影響が大きいでしょう。

――2000年代後半と言えば、「医療崩壊」という言葉が使われるようになった時期。

渋谷 小松秀樹先生が『医療崩壊』を上梓したのも、2006年です。当時、"たらい回し"などと医療界が叩かれ、その原因として医療費抑制や医師不足などが挙げられました。以前から医師の過重労働や長時間勤務があったものの、それは当たり前だという意識があったことは否めません。ここに来て他のセクターの影響を受け、医療界にもある意味「法のメス」が入り問題が顕在化し、議論がわき起こっているように思います。しかも今は、医師の人権意識も高くなっています。

――渋谷先生が厚生労働省の「保健医療2035」(2015年6月に報告書)をまとめた時、医師の働き方改革はどの程度、意識されたのでしょうか。

渋谷 働き方というより、医療の在り方の議論が中心でした。しかし、今の働き方改革も、単に「時短」といった話ではなく、医療の提供側が健康に働くことで、質の高い、価値のある医療をいかに患者に提供するかが目的。本質は「保健医療2035」と同じなのです。何のために働き方改革を実施しているのか、その目的を考えないと結局、「労基署が入って、面倒くさい」「政府が決めたから、仕方なくやる」など、「やらされ感」が満載の働き方改革になってしまう。それでは、改革が失敗しかねません。

 働き方改革をテコに、昔ながらの慣習やシステムの残る医療の在り方を近代化するのが改革の目的だと思います。研修医や、やる気のある医師は、時にはがむしゃらに働いてもいいと思うのです。しかし、女性医師も増えており、皆に同じように長時間労働を強いる時代ではないのです。そんな病院には、医師は集まらなくなるでしょう。



http://blogos.com/article/319487/
いい医療を行うためには 赤字と補助金
BLOGOS 中村ゆきつぐ2018年08月21日 18:03

北海道の市立旭川病院のニュースです。(医療従事者の給与削減、提案へ 赤字続く市立旭川病院)(ここは血液内科があるんですよね。)

>病院側は市議会で「2~3年の限定で身を切ることで(職員の)了解を得る覚悟だ」と説明した。近く労組に提示し、新年度中に実施に踏み切りたい考え。

旭川市を守っている医療従事者の方には本当申し訳ないと思います。病院側と言っているのは市の職員でしょうか。以下の文章をを読む限り、この市は何もわかっていないようです。

>市は他職場との関係もあることから、一般事務職員については対象に含まない考えだ。
自分たちの給料は落とさず医療者だけの給料を落とす。そんなことをして医療者がこの病院に残ると考えているのでしょうか。まして市の職員の給料体系ですから医療者の給料もそこまで高くはないと思われますが。


この病院、整形外科含めた医師不足から赤字となり、支援を依頼している旭川医大に

>医大は協議の中で市立病院の自助努力が前提だとし、医大がかつて職員給与や病床の削減で赤字脱却を図った実績を挙げて「身を切る改革」の必要性を伝えているという。

と言われたみたいですが、正直この議事録を読む限り本当に旭川にこの病院が必要なのか少し疑問は感じています。

そして旭川医大と市立旭川病院の一番の違いを別の記事で説明します。(救急は「ブラックでないと無理」なんてことはない。断らない、スタッフを犠牲にしない、日本一の救急はこうして可能になった)

この記事をみてちゃんとやればいい医療ができるのではとお思いの皆さんに、この一文を載っけます。

>とはいえ、病院経営的には完全な赤字部門。
神戸市立医療センター中央市民病院を、阪神・淡路大震災を機に生まれた「医療産業都市構想」の中核に据える神戸市から、年間8億円の補助をもらうことでなんとかやっていけている。

旭川市、この額しっかりみてください。所詮今の診療報酬では急性期を含むいい医療をやろうとすると病院経営は赤字になり、大学病院等が何とか黒字になっているのは補助金が入っているということを理解して市民病院の立て直しを計らないと全く意味をなさないのです。

多分このままでは旭川市民病院は潰れるのかな。役所が何もわかっていない典型です。



https://www.zaikei.co.jp/article/20180820/460761.html
東京医科大学の女子一律減点、医師の65%が「理解できる」
2018年8月20日 13:55財経新聞  記事提供元:エコノミックニュース

エムステージが医師を対象に東京医科大学の女子一律減点に関するアンケート調査を実施。「理解できる」とした医師は65.0%。理由は仕方ないという諦めの声が多数。今後医療業界に必要なことは働き方改革。

 東京医科大学の女子一律減点が議論を呼んでいる。女子一律減点は女性差別だとする者がいる一方、女性医師の離職率が実績において高くなっている以上、制度維持のためにはしかたがないという意見もある。

 医療コンサルタント業のエムステージが医師の男女103人に対して東京医科大学の女子一律減点に関するアンケート調査を実施し、その集計結果を公表している。

 女子一律減点に関する意見を聞いたところ、「理解できる」が18.4%、「ある程度は理解できる」が46.6%、「あまり理解できない」が3.9%、「理解できない」が31.1%で、「ある程度は理解できる」が最も多く、「理解できる」と「ある程度は理解できる」を合わせると65.0%医師が程度の差はあれ「理解できる」と回答している。

 「理解できる」と答えた者の意見を見ると、「実際自分も、家事育児をするために仕事を調整して、できないことも多い」(小児科医)。「医療システムの問題として、激務は事実。また、妊娠出産での欠員を埋めるようなバックアップシステムが不十分であることも事実」(小児科医)。「男性医師が深夜12時過ぎまで働いたり、当直の肩代わりなど、現実の負担増を考えると東京医大がやったことも必要悪として気持ちはわかる。」(放射線治療)。「現状で、女子の離職率や勤務制限があるのは事実であり、男性や未婚女性への負担が大きくなっているから」(放射線科)などとなっており、現状を考えた場合しかたないという意見が目立った。

 「理解できない」と答えた者の意見を見ると、「どうしたら復帰できるか、医局を離れないようになるかを変えるべき」(産婦人科)、「女性医師が産休育休後に復帰しやすい職場環境を整えないと医師不足は進むばかり」(精神科)などとなっており、現状を改善するべきだという意見が多かった。

 今後医療業界に必要なことを尋ねると、「コメディカルの増員」(放射線治療)、「全て医師が抱え込む権力一極集中を辞めて、ナースプラクティショナーなどへの権利依託」(内科)、「男女に対してフレキシブルな働き方を認める必要がある」(産婦人科)、「保育園やシッターサービスの拡充、主治医制の撤廃」などとなっており、制度・組織改革、働き方改革が必要であるとの意見が目立った。(編集担当:久保田雄城)



https://the-liberty.com/article.php?item_id=14822
東京医科大が批判され、防衛大(女子募集12%)が批判されない理由
2018.08.23 The Liberty web

《本記事のポイント》
防衛大の募集枠でも女子は12%、大阪電気通信大は女子に加算
東京医科大の問題は「非公表の男性優遇」「医師事情の認知不足」
大括りな「差別反対!」ではなく、冷静な議論を


東京医科大学のいわゆる「不正入試問題」が、世間を騒がせている。

同校は入学試験の際に、男子受験生を優遇し、女子受験生の合格者数を抑えるよう得点操作をしていた。

これが「女性差別である」として、大炎上している。

防衛大の募集枠でも女子は12%

一方、入試で"あからさまな男女差別"を行いながらも、特に問題になっていない学校もある。

その一つが、防衛大学校だ。

極端な例に見えるかもしれない。しかし、「東京医科大の、何が本当の問題だったのか」を炙りだすには有効な比較対象だ。

例えば、同校の「第66期学生の一般採用試験(前期日程)」の募集人数を見てみる。すると、定員300人のうち女子の募集人数は35人と、約12%しかない。

女子受験生が定員割れを起こしているわけではない。女子の受験生は3670人であり、そのうち合格者は188人。3500人ほどの女子受験生が涙を呑んでいる。

しかしそれが「不正な差別だ」と社会問題になることはない。


大阪電気通信大は女子に加算していた

こうした例は他にもある。

大阪電気通信大は2016年、公募推薦入試において「女子受験生に点数加算して優遇すること」を公表。一部で話題になった。

もちろん賛否両論あり、本欄としても積極的に評価はしないが、炎上することも、「不正」と言われることもなかった。

こうした例を見ると、東京医科大の件で問題視されたのは、厳密に言えば"特定の性別を多く合格させようとしたこと"でなかったことが分かる。


問題は「非公表の男性優遇」「医師事情の認知不足」

では何が問題だったのか。

もちろん筆頭に挙げられるのが「男性優遇を公にしていなかったこと」だろう。

必死で勉強してきた女子受験生にしてみれば、「騙された」という感情を持って当然だ。

男女に適用する合格基準・ルールを分けるのであれば、防衛大や大阪電気通信大のように、そのことを公表して"土俵も分ける"べきだった。

もう一つ浮かび上がってくる問題は、「医学部で男性優遇をする事情が、社会の共通認識になっていなかったこと」だ。

防衛大については、「自衛官という職業が、どちらかといえば男性の方に適性がある」ということが、ある程度世間に納得されている。

大阪電気通信大についても、「社会的な弱者などを優遇する『アファーマティブ・アクション』というものがある」という共通認識がうっすらとあった。

一方、東京医科大についても「系列病院の医師不足に対応するため」という事情があったとされている。

「女性の医師は、どうしても離職率が高くなる」「外科医など、体力的にハードな分野で人が足りなくなる」といった現実は、関係者からも聞こえてくる。

しかし防衛大や大阪電気通信大のように、医師不足の事情や深刻さは共通認識となっているわけではない。

その理解を求めるどころか、説明さえないまま点数操作がなされていた。これは一種の「怠慢」であり、「根拠の薄い男性優遇なら、偏見で女性を下に見る『差別』であって、『区別』ではない」「公共の幸福につながるわけでないなら、『法の下の平等』『職業選択の自由』に反する」と批判されても、甘んじなければならないだろう。

大括りな「差別反対!」より冷静な議論を

今回の件で本当に問題だったのは「公表しなかったこと」であり、今後論点とすべきは「男性優位にする事情が、社会的に納得されるか」だろう(さらに事情の根源を探れば、最終的に「政府の医学部定員抑制が医師不足を招いた」という問題に行き当たる)。

いずれにせよ、防衛大や大阪通信大と比較すると、「女性差別反対!」といった大括りな批判ではなく、冷静な議論が求められることが分かる。

(HSU未来創造学部 瀧川愛美/馬場光太郎)



http://www.sankei.com/life/news/180823/lif1808230002-n1.html
画像診断ミス、ベテラン医師も見落とし 情報過多、経験関係なく 「追いつけぬ目」進むAI開発
2018.8.23 05:00 産経ニュース

 画像診断でがんなど病変の見落としが続発している問題で、見落としは医師の経験年数に関係なく発生していることが22日、医療事故情報を収集する日本医療機能評価機構の調べで分かった。背景には、画像診断技術が高度化したことで医師が扱う情報量が著しく増加し、ベテラン医師でも追いつけていない現状がある。人の目に全面的に頼らず、人工知能(AI)による診断開発も進んでおり、厚生労働省は抜本的な再発防止対策に乗り出した。

検診年420万人

 同機構は、平成27~29年の3年間に発生した32件の画像診断による病変見落としを調査。医師に職種経験年数を聞いたところ(複数人介在を含む)、1~5年=7人▽6~10年=6人▽11~15年=7人▽16~20年=4人▽21~25年=4人▽26~30年=7人と、ほとんど偏りはなかった。

 32件のうち「撮影目的の部位のみ確認した」が27件で、「医師の目が広範囲に届いていなかった」と指摘する。

 こうした病変の見落としは近年、相次いでいる。東京都杉並区では40代女性が肺がん検診でがんを見落とされ、6月に死亡した。市区町村が公的資金で行う肺がんの検診は40歳以上が対象で年1回行われる。厚労省によると、肺がん検診は27年度に全国約420万人が受診している。

1回で数百枚撮影

 「画像診断の検査数が増加し、診断書の中に記載されている情報量が多く、主治医自身がその結果を消化しきれなくなっている」

 日本医学放射線学会は7月19日、異例の見解を出した。見落としの要因は画像診断を担う放射線科医と主治医の連携不足などに加え、医療の高度化に伴う情報量の増加もあるというのだ。特に画像診断の検査では息を1回止める間に数百枚以上の撮影が可能となったが、主治医が自分の担当領域を見ることに腐心し、十分な知識のない他の領域に映った病変の発見に及ばない恐れも出ている。

 東京慈恵医大病院では病変見落としで患者が死亡したケースを踏まえ、診断報告書を主治医が確認し、必要な対応をしたかスタッフが2回、医師に確認する仕組みを導入した。今春からさらに診断報告書を全患者に手渡すことも始めた。

 ただ、同病院だけで年間約8万5千件の画像診断があり、情報処理には時間がかかる。名古屋大病院の長尾能雅(よしまさ)教授(医療安全)は「技術向上で異常が見つかりやすくなった半面、フォローするシステムが追いついていない」と指摘する。

0.004秒判断

 理化学研究所と国立がん研究センターの研究グループは7月20日、米ハワイの学会で、AIを使って早期胃がんを発見することに成功したと発表した。

 理研光量子工学研究センターの横田秀夫チームリーダーによると、早期胃がんは炎症との判別が難しく、画像では専門医でも発見しにくいというが、「熟練医に迫るところまで精度を高めた」。がんの80%を見つけ、かかった時間はわずか0.004秒だった。

 医療系IT企業「エムスリー」(東京)などは医療機関のニーズが増えているとして、今秋までにAI診断の支援システムの構築を目指している。

 ただ、将来的にAIが導入されても、AIが指摘したことを患者に伝えるのは医師だ。人為的なミスを見逃さない包括的なシステムが求められている。

 同機構や厚労省は24年から複数回、病変見落としを注意喚起する文書を発布。それでも続発していることから、厚労省は適切なシステムの構築に向けて今後2年間の研究調査を専門家に依頼している。



https://ironna.jp/article/10470
教授に媚び製薬会社にたかる「白い巨塔」が差別を生んだ
上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)2018/08/20 IRONNA

 東京医科大が世間の注目を集めている。裏口入学が状態化していたことに加え、8月2日、入試で女性受験者の点数を一律に切り下げていたことが明らかになった。このことは海外でも報じられ、言うまでもなく前代未聞の不祥事である。

 報道等によれば、東京医大による女子合格者の抑制は2006年から始まったという。2010年の医学科の一般入試では、女子の合格者数が69人と全体(181人)の38%に達したことに強い危機感を抱いたらしい。大学関係者は取材に対し、出産や子育てを抱える女性医師は男性医師ほど働けないと説明している。特に、外科系の診療科では「女3人で男1人分」との言葉もささやかれていたという。

 私が驚いたのは、メディアのこのような論調に誰も疑問を呈さないことだ。今回、問題が発覚したのは東京医大の入試である。東京医大病院の就職試験ではない。どうして、入試の合否の基準に卒業後の働き方が考慮されるのだろうか。

 医師不足が深刻な社会問題となっている昨今、確かに彼らの言い分は一定の説得力を持つ。男性と比較して、女性が働き続けるのは困難を伴う。激務の医療現場ならなおさらだろう。

 ただ、この問題は医療界に限った話ではない。医療界でも看護師は同じ問題を抱える。日本看護協会をはじめ、看護師の業界団体も、この問題に取り組んで来た。安倍政権も女性活躍を目指して多くの政策を立案している。

 医学部医学科以外で、卒業後に大学で学んだ技術を用いた仕事に就かないから、入試で差別する、というばかげた主張がまかり通ることはない。

 なぜ、こんなことが真剣に議論されるのだろうか。それは東京医大の場合、医師国家試験に合格した卒業生の大半が、東京医大病院をはじめ系列の病院で働くことになるからだ。つまり、大学入試が「東京医大グループ」への就職試験を兼ねていることになる。おそらく、このような形で運用されているのは、大学の学部では医学部だけだろう。

 医学部教授は学生を指導する教員であると同時に「病院の経営者」でもある。病院経営の観点から考えれば、給与が安くてよく働く若手医師をできるだけ多く確保したいというのが本音である。

 東京医大に限らず、若手医師の待遇は劣悪だ。東京医大のホームページ(HP)によれば、東京医大病院後期研修医(卒後3から8年程度の若手医師)の給料は月額20万円だ。これに夜勤手当、超過勤務手当てなどがつく。この給料で、新宿近辺でマンションを借りて生活しようと思えば、親から仕送りをもらうか、夜間や休日は当直バイトに精を出すしかない。

 しかも、この契約は3年間で満了となり、その後は一年契約となる。さらに常勤ではなく、仮に妊娠した場合、雇用が契約されるか否かは、東京医大に委ねられる。

 大学病院経営の視点から考えれば、女性より男性が安上がりであることは間違いない。男性はめったに産休などをとらず、待遇面での不満や特別な事情でもない限り一生働き続けるからだ。入学試験の成績が多少悪かろうが、男性を合格させたいという考えも理解はできる。

 実は、このような主張も屁(へ)理屈だ。女医に限らず、女性は出産・子育ての時期に一時的に仕事を離れることが多い。これを「M字カーブ」という。

 少し古いが、2006年の長谷川敏彦・日本医科大学教授(当時)の研究を紹介しよう。この研究によれば、医師の就業率は男女とも20代は93%だが、30代半ばで男性は90%、女性76%と差がつく。メディアは、このことを強調する。

 ただ、これは今回の不正入試の本当の原因ではない。東京医大が主張する通り、入学者の4割が女性になったことが問題で、これを全国平均の3割に抑えたとしても、それで増加する医師はわずか1人である。その程度の効果しかないのに、東京医大の幹部が不正のリスクを冒したのはなぜなのか。

 問題の本質は、結婚や出産した女性医師が職場を変えることだ。本件に関して言えば、東京医大病院や関連病院を辞めてしまう、ということである。

 例えば、東京医大の内科系診療科の場合、HPに掲載されている循環器内科など8つの内科系診療グループのスタッフに占める女性の割合は、教授・准教授で5%、助教以上のスタッフで22%、後期研修医で37%だった。女性は年齢を重ねてキャリアが上がるにつれて、東京医大病院で働かなくなっていることが分かる。

 医師の平均的なキャリアパスは24歳で医学部を卒業し、2年間の初期研修を終え、その後、3~5年間の後期研修を受ける。その時点で30代前半になる。

 その後のキャリアは雑多だ。東京医大の場合、「臨床研究医」などの医局員を経て、助教、講師へと出世していくようだが、速い人であれば40歳代前半で准教授となる。

 大学病院は教授を目指した「出世競争の場」である。主任教授になれば、医局員の人事を差配し、製薬企業や患者から多くのカネを受け取る。東京医大のある内科教授は、2016年度に115回も製薬企業が主催する講演会の講師などを務め、計1646万円もの謝金を受け取っていたことが明らかになっている。

 大学で出世するためには、安月給でも土日返上で働き、論文を書かねばならない。一方、私大医学部の経営者は、医師の名誉欲を利用する。知人の私立医科大の理事長は「大学の肩書をつければ、人件費を3割は抑制できる」と打ち明けてくれた。

 ところが、女医にはこの作戦は通用しない。医師の世界で男性は保守的、女性は進歩的なケースが多い。食いっぱぐれのない医師は、親が子供に勧める職業の一つである。男性医師の多くは親や教師の勧めに従順に従って、医学部に進む。だが、女性は違う。苦労を知りながら、「女だてら」に医師になる。多くの女医は、狭い医局の世界で出世争いに汲々(きゅうきゅう)とする男性医師を見て嫌になり、医局を辞めていく。

 週刊ポストは8月10日号で、製薬企業からの謝礼が特に多い主要医学会の幹部医師50人の実名を公開した。その中に含まれる女性医師はわずか1人だった。

 大学病院から女医が去って行くのは、勤務体系が劣悪という理由だけではない。診療や研究そっちのけで、教授に媚(こ)び、製薬企業にたかる体質に嫌気が差しているからだ。東大医学部を卒業した知人の女性医師は「男性は本当に肩書が好きですね。私たちには分からない」と本音を漏らす。

 国民の視点に立てば、女医はどこで働いてもらってもいい。彼女たちが育児と両立しやすい職場に移ればいい。象牙の塔を離れ、市中で診療してくれるのは、むしろ有り難いことだ。

 彼女たちが大学病院を辞めて本当に困るのは、経営者だけである。とりわけ、彼らは「女性は使えない」と思い込んでいる。だからこそ、女子受験者を一律減点し、入学を制限しようとしたのである。

 大学教育とは一体何なのか。むろん学生を育てることである。それは医学部だろうが、他学部だろうが関係ない。ところが、東京医大は学生を自らが経営する大学病院の「労働者」としてしか見ていない。

 この問題を解決するには、情報公開を徹底するしかない。さらに、大学病院を医学部から分離する、あるいは卒業生の入局を制限するなどの対応が必要だろう。

 これは学生にとってはプラスである。進学校から医学部に進み、そのまま入局して、一生母校の医局にいたら、まともな人間になるはずがない。不正に関与した東京医大の幹部はまさに反面教師である。

 近年、大学医学部で不祥事が続発している。今こそ、学生教育という本来の目的に立ち返り、徹底的に議論し改革を促すべきだ。



https://www.asahi.com/articles/ASL8N41MCL8NUBQU00C.html
過疎地診療の充実、でも…岐阜・高山の医師「この後は」
永持裕紀 2018年8月20日15時00分  朝日新聞

 長野県境に近い岐阜県高山市高根町の市営診療所。その所長を、医師の川尻宏昭さん(49)は4年余り務める。高根の人口約330人のうち約55%が65歳以上。慢性期の患者の名前と症状は、すべて頭の中に入る。

土地代は0円、青森県最小の村が移住を募集

 赴任前は名古屋市の国立病院機構名古屋医療センター総合内科医長。父の出身地の高山で生まれて岐阜市で育ったが、過疎地診療に迷いはなかった。長野県で地域医療に尽くした医師、若月俊一氏の著作にふれたことが、高校生時代に医師を志した契機だったから。

 診療に加え、「市地域医療統括担当参事」として、市営6診療所の運営や高山全体の医療体制作りも考える。充実感を感じる一方で、個人としてはこんな思いが時に胸をよぎる。「自分の後は、どうなる?」

 少子高齢化、人口減少が進む中、将来の担い手をどう確保するかは、医療分野だけでなく、高山の様々な業種に共通する課題だ。

 市の「人口ビジョン」(2015年策定)は、市総人口が約9万7千人(00年)をピークに、いまから22年後の40年にはその7割に減ると予測。根拠として、次のように分析した。

 死亡数が出生数を上回る自然減のほか、転出による「社会減」が深刻。10代後半から20代前半までに進学、就職で高山を離れ、その後戻って来ない人が増えている――。

 さらに約800人の高校3年生を対象にしたアンケートで衝撃的な結果が出た。「将来高山に住み続けることを、親、親戚から勧められたことがあるか」という問いに、「何も言われていない」が68%だった。

 華麗な高山祭で内外に知られながら、実は市民の多くはこの地を、「住むに足る」と考えていないのかもしれない。こうした結果も参考にしながら、市がいま力を入れるのが「インナーブランディング」だ。

 企業が自社ブランド、つまり値打ちや持ち味を社員に浸透させる活動の高山市版は、「高山の魅力」を市民に知ってもらう活動だ。

 市などが昨年設立した「大学連携センター」は、多様な分野の市外研究者や学生に町の魅力を解明してもらうこともねらう。国宝「安国寺経蔵」などがある国府町では、住民と市が共同で、歴史遺産の「見せ方」を検討している。

 もっとも魅力発掘や再認識だけでは若い層を働き手として呼び込む力にならない。例えば、進出ラッシュが続く基幹の観光業は人手不足に悩むが、Uターンを考える若者に、「労働条件が厳しい」と敬遠される。

 「人手不足の業種で、賃金や福利厚生での待遇改善に向け、企業と話していく。これらが民間任せだった点は(2期までの)僕の反省点」。3選出馬に向けた5日の記者会見で、国島芳明市長はこう語った。

 医師の川尻さんは11月、医療従事者をめざす高校2年生を対象にした対話集会を開く。川尻さんや看護師など市内の医療スタッフが自分の仕事を説明するほか、将来戻ってくる際に何が決め手となるか若者から聞き取って、今後の医療行政の参考にするつもりだ。

 とにかく人をつながねばならないという使命感や「戻ってきてほしい」という期待。様々な思いを込めた、初めての試みとなる。



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3451443023082018EE8000/
業務移管で医師負担減 厚労省、人件費・ICT活用を補助
2018/8/24付日本経済新聞 朝刊

 厚生労働省は医師の働き方改革を進めるため、業務の移管やICT(情報通信技術)の活用などに取り組む医療機関に経費を補助するしくみをつくる。診察や治療だけでなく事務作業や服薬指導などを担って負担になるケースがあり、看護師ら医師以外に任せるよう促す。医師の長時間労働は深刻な問題で、地域医療の質を保つためにも改善策を後押しする狙いだ。

 週60時間を超えて働く雇用者の割合は医師が約42%に達し、他職種に比べて高い。一因に受け持つ業務の多さがある。検査手順や入院に関する説明、事務作業、服薬の指導などを担う例がある。

 本来、看護師や薬剤師などが担当する業務だ。人手不足などが原因で業務の移管が進んでいない。厚労省はきちんと移管を進めている医療機関を対象に、追加的に必要となる人件費などを補助する事業を始める。

 補助の対象にはICT関係の機器も加える。医師や看護師の働き方や勤怠管理を詳細に把握できるようにし、業務の効率化につなげる。2019年度予算の概算要求に関連経費を計上する。

 医師の長時間労働の原因には、診療時間外に説明を求めてくる患者や家族の対応をあげる声もある。このため、厚労省は国民向けに適切な医療機関のかかり方の啓発活動を始める。日本医師会など医療関係の団体や、健康保険組合なども協力して広く周知活動を展開する。

 医師の働き方改革を進めるため、労務管理の改善に関する病院長への研修も実施する。集中治療室(ICU)にいる患者の生体情報を中核となる医療機関に集約することで、中核医療機関にいる専門医が各医療機関の研修医に指示を出し、専門医が多くの病院で常駐する必要性を減らす事業も検討する。



https://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20180820-OYTNT50275.html
公立2病院 経営統合案
移転の半田と常滑、協議会で

2018年08月20日 読売新聞

 半田運動公園に移転が決まった半田市立半田病院と、同公園から約3キロにある常滑市民病院(常滑市)との経営形態などを話し合う2回目の協議会が19日、半田病院であり、両病院を経営統合し、地方独立行政法人で運営する案などが示された。

 協議会では、経営統合案のほか、病床数を新半田病院が約400床(現在499床)、常滑市民病院を約250床(同267床)とし、半田は急性期医療に特化、常滑は回復期医療や地域包括医療などに機能分担する案も示された。出席者は経営統合案に理解を示した上で、「病院運営は両市以外に近隣自治体にも協力を求めるべきだ」、「両病院間の交通手段を整えることが大事」、「両市民や近隣自治体への説明会を開く必要もある」などの意見が出た。

 協議会は両市の副市長や両病院長、地元医師会代表らで構成。次回は9月17日に開かれる。
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G3作成



  1. 2018/08/26(日) 10:11:31|
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