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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月29日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/617654
シリーズ m3.com全国医学部長・学長アンケート
医師不足に苦慮、定員増見込めない中で種々の対策を模索
医学部長・医科大学長アンケート-Vol.4- ◆ 地域枠【その2】
 
レポート 2018年7月23日 (月)配信大西裕康(m3.com編集部)

Q.今後の医師不足・偏在対策では、大学が都道府県と連携しながら、取り組む重要性が高まっています。現在もしくは今後、貴大学で実施している取り組みがあれば、教えてください。

 回答からは、各大学が附属病院や関連病院を設けている都道府県内の医師不足に苦慮している状況が垣間見えた。各都道府県とのタッグ強化はもとより、大学の立地圏域だけでなく県境を越えて、全国規模で、施策が必要と訴える意見もあった。

[県境を越えた施策、全国規模の対策が必要]
【東京慈恵会医科大学・松藤千弥 学長】 本学の定員は、一般枠が100人、東京都の地域枠が5人、本学独自の地域枠が5人の計110人です。日本全体で見た場合、医師は充足していませんが、将来の医療費を考えたら、これ以上は医学部定員を増やせないと思います。タスクシフティングなどを進める必要があります。
 また仮に医学部定員を今後、減らす場合、一般枠と地域枠を固定的に考えていたら、医学部の運営は非常に難しくなるでしょう。文部科学省がどちらを減らすかを一律に決めるのではなく、各大学が柔軟に対応できる仕組みにしておいた方がいいと思います。
 今は各大学が自らの地域の医師不足への対応で苦慮しています。医師偏在を法的に対応するのは過渡的には必要かもしれませんが、日本全体で根本的な解決策は、教育にあるでしょう。「日本のどこに住んでいる人に対しても、医療を提供するのが医師の役割、責任」という教育、倫理観の醸成が非常に大事だと思います。

【大阪医科大学 大槻勝紀 学長】 本学では2人の地域枠の入学生を受け入れています。本学の「建学の精神」から高知県本山町立国保嶺北中央病院に1人、くぼかわ病院に2人の医師派遣を行い、医師不足・偏在対策に協力しています。また、多職種連携教育の一環として毎年夏休みに本学医学部・看護学部と同一法人の大阪薬科大学学生の一部が地域医療を高知県で学んでいます。

【産業医科大学・東敏昭 学長】 全国に産業医を輩出する目的大学として、手薄な地域への就職を促すため様々な意見交換を行っている。

【匿名希望・国公立大】 地方では若者の職業選択が極めて限定されているために、その地域の最優秀の高校生が最も安定した職である「医師」を目指す傾向が著しく高まっている。そのために、地方によっては各県トップの進学校の成績トップ層の半数が、医学部に入学するという事態となっている。工学系産業の衰退などに加え、地域枠もこの傾向を助長している。各地域の将来を担うべき優秀な若者を医師不足解消の道具に使うことは避けなければならない。地域枠を各大学所在地の出身者に限定しようとする動き(医師需給分科会)があるが反対である。医師不足の付けを当該県の優秀な若者に課すことになれば医療以外の分野の人材が枯渇し、結果的に地方がさらに疲弊することになるであろう。したがって、所在地限定地域枠以外の方法で医師不足を解消すべきと考える。

【匿名希望・国公立大】 地域特別枠入試として、複数の県が特別定員枠を持っている。地域枠の学生は、各県主催のプログラムに参加することを本学の必修単位としており、各県の研修プログラムへの移行をサポートしている。

【匿名希望・国公立大】 他県にある本学の関連病院は所在県との連携のもとで医師不足に対応できているとは言い難く、本学が独自に対応しているのが現状である。例えば、隣県市立病院に連携講座を設置し、同病院の医師が本学に社会人入学できる制度を整え、若手医師が地域医療に従事しながらキャリアップできる仕組みを整備した。
 地方においては、都道府県単位での取組を推進するだけでは医師不足は解消されない可能性が高く、より大きな枠組み(複数大学の連携)での取組が考えられる。
 本学関連病院と、各協議会との連携を強化し、学部生の教育から関連病院の医師に参画してもらう仕組みを整えようとしている。


[各県とのタッグを強固に]
【旭川医科大学・吉田晃敏 学長】 北海道教育委員会と共催で次の取組を実施している。
1.メディカルキャンプセミナーの開催(2008年度~)
2.医進類型指定校・協力校と連携しての高校生メディカル講座(2008年度~)
3.地域医療を支える人づくりプロジェクト事業における医学部生の招聘事業(2011年度~)

【東北大学・五十嵐和彦 医学部長】 宮城県との連携は以前より強固であり、東日本大震災後の医療復興も宮城県との強い連携のもとで行っている。本学の修学資金付き地域枠奨学生は医学科3年次に募集し選抜する。したがって、学生は医師という職業や地域医療のやり甲斐を理解した上で応募できる。その結果、他大学で問題となっている卒後3年以内の地域枠辞退(辞退率全国平均13.2%)は今年度まで皆無である。
また地域枠修学資金返還免除の資格は、猶予期間4年間を設けた上で、卒後4年間の宮城県地域医療への従事としている。4年間のうち2年間は東北大学大学院での研究活動や大学病院勤務も義務履行として認めている。したがって、本制度では、義務を履行しながら新専門医制度への対応も可能である。
すなわち、キャリア形成も踏まえた資金返還免除資格を設定することにより、卒後辞退率0%を達成している。

【山形大学・山下英俊 医学部長】 山形県では、山形大学医学部で創設し、山形県全体の医療界(大学、行政、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、助産師会が参加)が協力して山形県内での医師の育成、診療、研究を行なう蔵王協議会を中心として、若い医師が勉強しつつ地域医療を支える体制をとっている。地域医療構想にも山形大学医学部から蔵王協議会を通して積極的な提言を行っている。

【福井大学・内木宏延 医学部長】 県からの要望を受け、地域枠の増員について検討している。

【広島大学・秀道広 医学部長】 県地域医療支援センターを設置し、大学教授(現在は医学部長)がセンター長に就任し、県関係者と医師確保、地域枠出身医師の配置等の事業に取り組んでいる。

【徳島大学・丹黒章 医学部長】 県との連携(地域枠学生への入学前から定期的な指導など)、四国内他県との連携(寄附講座等)。

【大分大学・守山正胤 医学部長】 本学では、県内の都市部と僻地の格差が大きいので、その地域偏在を改善することを目的として、内科医療人材育成事業を本年度から開始した。本事業は、大学の内科医局に入局した専攻医を地域の僻地医療拠点病院に派遣した際に、当該医局の助教が週に1.5日専攻医派遣病院に出向き、当該病院のための専門診療ならびに内科専門医取得のために必要な教育を行うしくみである。
 これは通常僻地医療拠点病院では専門医が少なく、当該病院に勤務している指導医のみでは十分専攻医の指導が行えない短所を補うことを目的としている。その際、当該病院には派遣する教員(助教)の人件費を大学に寄付してもらうことで専攻医を派遣する大学医局でも教員不足を解消できる(dutyの1.5日以外は大学での通常の研究・診療が可能である)。
 また、当該病院でも附属した専門領域を2名の医師(専攻医と派遣される教員)によりカバーすることができる。そして、何よりも専攻医が地域の僻地医療拠点病院で都市部に見劣りしない指導をマンツーマンで受けることができるようになる。本事業により僻地における医師不足の改善を目指している。現時点では僻地の病院からは好評を得ている。

【匿名希望・国公立大】 県との連携、特に地域医療支援センターを中心とした県内研修病医院連絡会などを定期的に開催して初期研修医のキャリア形成支援と地域枠等学生の義務履行を支援している。また、専門研修における基幹病院としての役割を担う大学病院内に「医師派遣検討委員会」を設置して専門医取得と医師偏在対策に対応している。

【匿名希望・国公立大】 県との連携強化

【匿名希望・国公立大】 地域枠学生ならびに地域枠卒業医師の育成およびキャリア形成支援について県との協議を重ね、県内における医師の地域偏在・診療科偏在の解消に向けた取り組みを進めている。

【匿名希望・国公立大】 開学以来、県と地域枠入試で実績を上げてきている。

【匿名希望・国公立大】 地域枠入試を実施している。


[キーワードは“地域医療”]
【岩手医科大学・佐藤洋一 医学部長】 地域医療実習を充実化し、地域医療の意義とやりがいを体験してもらう機会を増やします。国家試験の知識的には無駄とそしられかねない実習をあえて増やすのは、本学の使命である「厚生済民」を重視するからです。

【富山大学・北島勲 医学部長】 地域医療を担う人材育成のため、医師不足が深刻な市町村の寄付講座を開講し診療および地域研修・地域医療実習を行っている。この寄付講座を増やしていく計画である。

【匿名希望・国公立大】 附属病院に地域医療研究・支援センターを設置し、その地域医療支援部門が県の地域医療支援センターと密接に連携し、医師不足・偏在対策に取り組んでいます。

【匿名希望・国公立大】 卒業後に医学部や関連病院の地域医療に広く貢献できるよう、特色ある地域医療教育を実施している。

【匿名希望・国公立大】 寄附講座を設置する方法が正しいとは思わないが、自治体の財源不足もありそれ以外の方法が見つけられないのが現状である。



https://www.m3.com/news/iryoishin/618198
シリーズ m3.com全国医学部長・学長アンケート
勤務時間の的確な把握が急務
医学部長・医科大学長アンケート-Vol.5- ◆ 働き方改革【その1】
 
レポート 2018年7月25日 (水)配信大西裕康(m3.com編集部)

 全国の医学部長・医科大学長を対象にアンケートを実施し、今年は全国25大学の回答を紹介する当企画。Vol.1~2では今年4月開始の新専門医制度に関して、Vol.3~4では医学部定員枠のうち「地域枠」などに関して回答結果を紹介した。Vol.5~6では、医療界として今年最注目の話題、「働き方改革」に関する考えを紹介する。


Q.医師の働き方改革が、医療界では重要課題になっています。大学勤務の医師の場合、臨床、教育、研究に取り組む必要があり、改革の難しさも指摘されています。貴大学・医学部が取り組んでいる内容や、医師の勤務時間などについて提言がございましたら教えてください。

 今回Vol.5では、大学が「働き方改革」の一環として現在取り組んでいる事項、または取り組みの実施に向けて検討中の事項などに関する回答を紹介する。多かったのは、勤務時間を的確に把握する必要性を指摘する意見だ。ただ、どのような手法で「的確に把握する」のかについては、タイムカードの導入を検討している大学がある一方、「タイムカードは意味がない」との考えを表明し、独自の位置情報システムを組み合わせた手法の検証に取り組む大学もあった。業務分担の見直しやタスクシフティングを進めて勤務負担の軽減を図る考えの大学、適切な報酬などで処遇を改善している大学もあった。

[まずは勤務時間を的確に把握する]
【山形大学・山下英俊 医学部長】 医師の勤務時間の把握は、出退勤を機械により把握する体制を整えた。

【大阪医科大学・大槻勝紀 学長】 出勤・退勤時のICカードによる打刻を実施。勤務実態調査を3月に実施、2回目の調査も実施。

【東京慈恵会医科大学・松藤千弥 学長】 (病院における外来・病棟業務など自身で時間をコントロールできない)「Duty」の時間管理は、タイムカードで管理するなど、形式的にやっても意味がないと思います。本学では、分院も含め、計4つの病院で医師にiPhoneを配布しています。iPhoneと位置情報を把握できるシステムと組み合わせ、医師が病院内で勤務している時間を個別に把握できる手法の導入をトライアルしています(なお、iPhone のGPS機能を使えば安価ですが、病院外の行動も把握することになるので、プライバシーの問題があり、使っていません)。

【匿名希望・国公立大】 タイムカード制の導入も一つの方策かもしれない。


[業務分担、タスクシフティングを進める]
【大阪医科大学・大槻勝紀 学長】 タスク・シフティングの推進に関する部会を立ち上げて検討を行う。

【匿名希望・国公立大】 医師の働き方改革の方策と過重労働の改善策として、医師事務作業補助者による診断書の作成、看護師による採血および静脈注射、医師の当直体制の見直しを行っている。

【匿名希望・国公立大】 取り組んでいる内容:タスク・シフティング

【匿名希望・国公立大】 医師の働き方改革の方策と過重労働の改善策として、医師事務作業補助者による診断書の作成、看護師による採血および静脈注射、医師の当直体制の見直しを行っている。

【匿名希望・国公立大】 取り組み:超過勤務管理と長時間勤務者に対する産業医面談。今後勤務時間の把握のためのタイムカードもしくはそれに類したシステムの導入を検討中。


[適切な手当の支給、処遇改善を実施]
【山形大学・山下英俊 医学部長】  医師がリスクを負って診療に取り組んでいることを正当に評価するためのドクターフィーを全国に先駆けて導入している。

【匿名希望・国公立大】 応召義務の問題もあり、対応に苦慮していますが、医師の勤務状況を的確に把握するように努め、手当を支給するようにしています。

【匿名希望・国公立大】 助教と医員との間に特任助教を設け、経験年数の長い医員を教員として採用し、医師のキャリア形成の推進につなげるとともに、短時間勤務を可能とするなど、柔軟な勤務体系を構築することで医師の処遇改善を図っている。


[研究支援、女性支援、患者の理解…]
【富山大学・北島勲 医学部長】 大学勤務医師が研究に参加できる臨床研究管理センターを開設し、研究支援(各種予算申請、研究倫理等)を行う専任教員を配置している。

【大阪医科大学・大槻勝紀 学長】 女性医師支援センターを立ち上げて女性のライフイベントに際して必要となる制度や施設に関する情報の提供等を行う。 医師の労働時間短縮に向けた取組の一環として、患者さまおよびご家族向けに「1.複数主治医制を導入して参ります。2.入院患者様への病状説明等は、緊急時を除きできるだけ勤務時間内に行います」とのお願いを掲示している。

【産業医科大学・東敏昭 学長】 多項目に及ぶさまざまな改革を試行すべく準備をしている。

【匿名希望・国公立大】 医師の労働時間管理について、労働基準法に基づき適正に管理できるよう継続して検討している。

【匿名希望・私立大学】 検討中です。



https://www.m3.com/news/kisokoza/617959
「最大の課題は医師不足」、千葉・東葛北部圏域における救急医療事情-松戸市立総合医療センター救命救急センター長、村田希吉氏に聞く◆Vol.1
2018年7月25日 (水)配信m3.com地域版

 千葉県・東葛北部保健医療圏(松戸市・野田市・柏市、流山市・我孫子市)における地域災害拠点病院の松戸市立総合医療センターで救命救急センター長を務める村田希吉氏に東葛北部保健医療圏の救急医療について伺った。

(2018年7月19日インタビュー、計3回連載の1回目)

――東葛北部保健医療圏の救急医療の特徴についてお教えください。

 まず、東葛北部保健医療圏の最大の課題は、人口に対する医師数が不足しています。これは、東葛北部の固有の問題ではなく、千葉県全体の問題であり、千葉県の人口に対する医師数は、全国ワースト3位です。特に、東葛北部は東京23区の約半分という面積の広さもあり、医療機関へ搬送されるまでの時間も長くなっています。

 本院の救命救急で働いていて感じているのは、消化管出血が原因で救急搬送されてくる患者さんで手術が必要になる人が少ないと思いました。大規模な疫学調査をしているわけではありませんが、消化管出血の患者さんは病院に運ばれてきたときにはすでに心肺が停止しているケースが他地区に比べても多いのではないかと感じています。

――GIBネットワークがあるとお聞きしました。
 GIBネットワークは、千葉県松戸市、 柏市、 流山市の3市において、2010年3月より運用を始めました。急性吐・下血症例に対し、 内視鏡による止血治療を含む夜間・休日救急当番制度です。

 このネットワークは当該地区で休日・夜間に内視鏡を扱える医師を全部の病院に配置をすることが難しいため、東葛北部3市においては、休日・夜間でも、1カ所は内視鏡を扱える医師を配置するという市民のセイフティネットとして創設されたものです。

 ただ、GIBネットワークはありますが、東葛北部圏域は面積が広く、心肺機能停止後に運ばれてくる消化管出血の患者さんの件数から考えても、対応できていないのが現実でしょうか。これは誰が悪いということではなく、地域の医師不足が、もたらす現実です。医師が足りない影響がこういうところに出ているのではないでしょうか。

――東葛北部保健医療圏の今後の課題はなんでしょうか。
 東葛北部は、医師不足に加え、2025年にむけて、回復期の病床が3000床不足し、2040年に向けて松戸市は後期高齢者が増え続けることが予想されています。また、これに伴って、2030年代前半には救急搬送件数がピークを迎えることも予想されています。この状況をどう乗り切るかは、今のうちに地域全体で話していかなければいけないと思っています。

 当院は3次救急の病院ではありますが、地域連携にも積極的に取り組んでいます。今、地域で解決する力が試されていると思っています。

取材・文・撮影=津村育子

◆村田希吉(むらた・きよし)
東京都出身。弘前大学医学部卒業後、同大学外科勤務。国立病院機構災害医療センター救急科、東京医科歯科大学医学部付属病院救命救急センターを経て、2016年9月より松戸市立総合医療センター 救命救急センター長。



https://www.m3.com/news/iryoishin/619004
シリーズ 社会保障審議会
「医師の働き方、まずは改革が先」、今村日医副会長
医療部会で「医師の働き方改革に関する意見書」説明
 
レポート 2018年7月27日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で7月27日、参考人として出席した日本医師会副会長の今村聡氏は、「医師の働き方改革に関する意見書」について、「現状の医師の働き方を100%認めて、それに法令を合わせるという意味ではなく、やるべき改革を実施した上で、それに合った法令を、という考え方」と説明した。

 同意見書は、日医が主導した「医師の働き方検討会議」がまとめたもの。7月9日の厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で発表した(『時間外労働「医師の特別条項」など提言、日医主導会議』を参照)。

 連合総合政策局長の平川則男氏が、意見書の最後に、「働き方改革を法令に合わせるのではなく、法令を働き方に合わせる」との記載について、「安心・安全の医療のために、働き方改革を行うのではないか」などと疑義を呈した。今村氏は、この表現が誤解を招いているとし、冒頭の発言のように説明した (資料は、厚労省のホームページ)。

 意見書についてはそのほか、その実効性を担保する方策や医師の働き方改革を進めるには、国民の理解を得る必要性を指摘する声が挙がった。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、同センターには、「なぜ重篤な患者がいるのになぜ夏休みを取るのか」「夜中に駆け付けてこないのは、主治医としてあり得ない」などの電話相談があると紹介した。夜間や休日での患者説明を避けたり、チーム主治医制を認めることが必要であり、そのためには医療提供側だけではなく、関係者全体で国民への啓発を進める必要性を指摘。さらに今村氏に意見書の今後の取り扱いについても質問した。

 今村氏は、「(厚労省の)医師の働き方改革に関する検討会で、具体的な議論になっていくのだろう」と述べ、検討会の進み具合によっては、医療界として再び検討の場を設けることもあり得るとした。

 医師の働き方改革の関連では、全日本病院協会会長の猪口雄二氏が、救急応需や時間外の対応などが社会医療法人の認定要件になっているほか、診療報酬上でも救急医療の実績が施設基準となる点数もあることから、「医師の働き方改革の議論と整合性が取れるよう、考慮してもらいたい」と求めた。


 地域医療構想、「定量的な基準」は「外れ値」除外のため

 27日の医療部会ではそのほか、地域医療構想の進捗状況、医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況、「骨太の方針2018」「未来投資戦略2018」「規制改革実施計画」、「医療法及び医師法の一部を改正する法律」について報告されたほか、事故報道が昨今相次いだ「画像診断報告書の確認不足」について議論した。

 地域医療構想の進捗状況について、日本病院会会長の相澤孝夫氏は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」の6月の取りまとめで、地域医療構想調整会議の議論を活発化するために、「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議を経た上で、(定量的な基準を導入することを求める」とある点について、「その目的は何か」と質した。「病床機能報告による(4つの医療機能の)病床数と、2025年の病床の必要量は、もともと基準が違うのだから、両者を合わせる必要はないという議論を何度もしてきた。基準とするのはおかしく、判断の目安などとすべきではないか」(相澤氏)。

 厚労省医政局地域医療計画課は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、調整会議で議論を円滑に進めていくために、定量的な基準を活用している事例として、佐賀県と埼玉県の事例を紹介したと説明。「一律に国の方で基準を定める段階ではないが、地域の事情に合った議論を活発化するための材料として、そうしたものを活用することが必要ではないか」(同課)。

 「地域医療構想に関するワーキンググループ」の構成員である日本医師会副会長の中川俊男氏は、「定量的な基準」は、あくまで「外れ値」についての基準であり、「全国で佐賀県や埼玉県のような基準を導入することではないことを確認している」と説明。「外れ値」とは、急性期医療を担う病棟であれば、本来担うべき医療を全く実施していないケースを指す(『「実態のない急性期病棟」にメス、客観的基準で「外れ値」除外』を参照)。

 さらに中川氏は、相澤氏の発言を支持し、「地域医療構想の大前提は、地域で不足している病床機能を補うことにある。病床機能報告の病床数と、2015年の病床の必要量を単純に比較するな、と言い続けているが、いまだに比較されている。全く異なるものを比較してどうするのか」と語気を強め、地域医療構想を担当する地域医療計画課長がこの夏の厚生労働省の人事異動で交代することから、「後任に引き継いでもらいたい」と求めた。

 電子カルテ、「国が統一規格を」

 「未来投資戦略2018」で議論になったのが、医療等のデータの利活用について。猪口氏が、電子カルテの企画が統一されていないことが不便さを生じているとし、国が統一規格を定めるよう求めた。日本医療法人協会会長の加納繁照氏、中川氏、山口氏、国立病院機構理事長の楠岡英雄氏も、医療費の低減という視点も踏まえ、猪口氏の意見を支持。

 永井部会長も、データの利活用は、各種研究やイノベーションにつながってくることから、データの利活用の基板整備に向け、「ぜひ国のプロジェクトとして立ち上げてもらいたい」と求めた。さらに永井部会長は、「画像診断報告書の確認不足」を防ぐ意味でも、「要注意報告」についてはアラートを出すなど、システム的な対応の必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/618170
シリーズ 中央社会保険医療協議会
中川日医副会長「厚労省の二重、三重の不手際」、消費税補てん率調査にミス
特定機能病院61.7%、精神科病院129.0%、2016年度消費税補てん率でもバラツキ
 
レポート 2018年7月25日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は7月25日の中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長:荒井耕・一橋大学大学院商学研究科教授)で、2014年度の「控除対象外消費税の診療報酬による補てん状況」について再調査したところ、病院の補てん率に誤りがあったことを明らかにした。2015年11月公表データでは、病院全体の補てん率は102.36%だったが、新たな調査では82.9%と補てん不足に転じた。DPC病院の調査において、不正確な点があったためだ。病院、診療所、歯科診療所、薬局を含めた全体の補てん率は、102.07%ではなく92.5%で、全体でも補てん不足。

 今回新たに実施した2016年度の調査では、特定機能病院の補てん率は61.7%にとどまり、こども病院71.6%、一般病院85.4%でいずれも100%を下回った一方、精神科病院では129.0%で、病院種別により補てん率に大きなバラツキが見られた。一般診療所の補てん率は111.2%で100%を超えたが、歯科診療所は92.3%、薬局では88.3%であり、共に100%を下回った(資料は、厚労省のホームページ)。


 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「厚労省の二重、三重の不手際。猛省を求めたい。事は極めて重大だ」と語気を強め、誤りが生じた原因分析と今後の対応を厚労省に質した。「二重、三重」の意味の第一は、消費増税対応した2014年度診療報酬改定での補てん不足。第二は2014年度調査で誤りがあったこと、第三はもっと早く調査結果が出ていれば、2018年度改定等で対応できたが、補てん不足の状態が4年以上も放置されていることだ。

 これに対し、厚労省保険局医療課保険医療企画調査室長の矢田貝泰之氏は、第一の点については、同様の補てん不足が起きないよう2019年10月の消費増税に向けて対応していくと説明。第二の点は、誤りが生じたのはDPC病院の包括部分の補てんの把握にミスがあったためであり、さらに補てん率が100%に近かったことから、誤りに気付かなかったとした。第三の点については、「なるべく早く提出すべきということだが、作業の過程で修正に時間を要したため、本日になってしまった」と詫びた。

 中川氏はさらに、2015年11月の本分科会における「2014年の消費税率8%への引上げによる医療機関等の控除対象外消費増税(3%)分については、診療報酬改定による対応により、補てん状況にばらつきは見られたものの、マクロでは概ね補てんされていることが確認された」との総括の撤回を求めた。

 矢田貝室長は、全体の補てん率は、102.07%ではなく、92.5%であるのが、「現在の認識」であるとし、「なぜそうしたことが生じたのかという要因分析を行い、どうすれば補てん率のバラツキを補正できるかを検証し、きちんと反省した上に、(2019年10月の消費増税に向けて)準備をしていきたい」と答えた。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏、日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏からは、そもそも基本診療料に上乗せする形での補てん方法の妥当性、さらには消費税対応を診療報酬で行うことの限界を指摘する意見も出た。

 支払側から、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、病院種別の補てん率のバラツキを問題視。「単なる技術的な見込み違いがあったのか、あるいは補てん方法に本質的な問題があったのか。まずバラツキの要因をしっかりと検証して、2019年10月の消費増税に臨むべき」として、補てん不足の要因となり得る課税経費率と算定回数等がどう見込みと乖離があったのかについて、精査を求めた。

 保険診療は、消費税非課税。医薬品と特定保険医療材料以外の仕入れにかかる消費税は、患者に転嫁できず、医療機関の負担になるため、診療報酬で補てんしている。2014年4月の消費税率5%から8%への引き上げの際、診療報酬改定で通常の改定分に、消費税率を上乗せした改定が実施された(『初診12点・再診3点増で決定、「苦渋の決断」と会長』を参照)。負担分を診療報酬で100%補えば、補てん率は100%となる。

 消費税率は、2019年10月に10%への引き上げが予定されている。2016年度分の調査は、消費増税対応に向けた議論のたたき台の資料作成が目的。厚労省は今後、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局などの医療機関の種別ごとに補てん率のバラツキの要因分析を進めるとともに、バラツキを是正するための具体的な配点の在り方について検討を進める方針。

 複数月の入院データ抽出に誤り
 消費税の補てん率調査は、収入はNDBデータ等を、支出は医療経済実態調査によるサンプル調査データを用いているほか、消費増税対応をした2014年度改定後、2016年度と2018年度に改定を行っているなど、正確な把握には幾つかの限界がある。

 1989年度の消費税導入時、1997年度の消費税率の3%から5%へのアップ時は、いずれも一部の個別の診療報酬に上乗せする形で、補てんが行われた。これらとは異なり、2014年度改定時は、初再診料や入院基本料などの基本料に上乗せする形で、幅広い補てんがなされた。

 2014年度調査のデータが誤っていたのは、DPC病院の包括部分の補てんの把握に誤りがあったため。NDBデータによる入院日数に、非DPC病院の補てん点数(例えば、7対1入院基本料の場合は25点など)を乗じて推計していた。しかし、NDBデータ抽出の際、複数月にまたがる入院の日数について、重複してデータを抽出していた(例えば、4月末に10日間、5月初めに10日間、それぞれ入院。本来は計20日の入院だが、4月は10日間、5月は20日間、計30日間とカウント)。結果として収入が多くなるケースがあり、補てん率が高くなっていた。

 2016年度調査の結果、一般病院の補てん率は、非DPC病院90.0%、DPC病院80.1%で差がある。

 一般病院の補てん率は、開設者主体別、看護職員基準別でも異なる。補てん率が低いのは、開設者主体別では公立、看護配置基準別では7対1、10対1など。



http://www.medwatch.jp/?p=21649
2014年度消費増税対応改定の検証誤り、「厚生労働行政の根本」が揺らぐ大問題—四病協 
2018年7月25日|医療保険制度 MedWatch

 メディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、7月25日の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(以下、消費税分科会)で、2014年度の消費増税(5%→8%)に対応するための特別の診療報酬プラス改定(以下、消費増税対応改定)の検証結果に誤りがあることが報告されました(関連記事はこちら)。

 同日に開催された、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会でも、この点が大きな議論となり、「厚生労働行政の根本が揺らぐ大問題であり、『単なるミス』と簡単に考えてほしくない」「2014年度の消費増税対応改定で十分な補填がなされず、それが現在の報酬でも継続している。急性期病院等への補填が必要なのではないか」といった意見が出ています。
7月25日の四病院団体協議会・総合部会後に記者会見に臨んだ、日本精神科病院協会の山崎學会長(写真中央)、全日本病院協会の猪口雄二会長(写真向かって左)、日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行(写真向かって右)
7月25日の四病院団体協議会・総合部会後に記者会見に臨んだ、日本精神科病院協会の山崎學会長(写真中央)、全日本病院協会の猪口雄二会長(写真向かって左)、日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行(写真向かって右)
 
ここがポイント!
1 病院全体では85%、特定機能病院では60%程度の補填にとどまる
2 「消費増税への診療報酬での対応には無理がある」との声が四病協で多数
3 急性期病院では入院基本料と診療単価との差が大きいため、補填不足になったのでは
4 病院に対する「過去の補填不足分」を別途、補填せよとの声もあるが・・・

病院全体では85%、特定機能病院では60%程度の補填にとどまる

 2014年度には、消費税率が5%から8%に引き上げられたため、医療機関の消費税負担増を補填するために、特別の診療報酬プラス改定が行われました(通常の改定とセットで実施)。診療報酬算定項目の不公平などを勘案し、基本料(初診料や再診料、入院基本料、特定入院料)などに消費増税分の「上乗せ」(点数の引き上げ)が行われています(例えば、初診料では12点、再診料・外来診療料では3点、7対1一般病棟入院基本料では25点、10対1一般病棟入院基本料では21点、7対1特定機能病院入院基本料(一般)では33点、10対1特定機能病院入院基本料(一般)では28点、など)。

 この2014年度の消費増税対応改定の効果について、厚生労働省が調査を行ったところ▼マクロ(医療界全体)では概ね補填されている(102.07%)▼病院の種別等で補填状況にバラつきがある―との結果が出ました(2015年11月公表)(関連記事はこちら)。

 しかし、今般、最新の補填状況を調査する中で「2015年11月公表データにおいて、複数月をまたぐ入院では『入院日数が重複してカウント』される、という誤りがある」ことが分かり、厚労省は急きょ、再調査(集計)・分析を実施。その結果、例えば▼病院全体では102.36%(2014年度)の補填とされていたが、実際には85.0%(2016年度)であった▼一般病院では101.25%(2014年度)の補填とされていたが、実際には85.4%(2016年度)に過ぎなかった▼特定機能病院では98.09%(2014年度)の補填とされていたが、実際には61.7%(2016年度)にとどまった—などの状況が明らかになりました(関連記事はこちら)。

「消費増税への診療報酬での対応には無理がある」との声が四病協で多数

7月25日の四病協総合部会後に記者会見に臨んだ、消費税分科会の委員でもある全日本病院協会の猪口雄二会長は、「厚労省データへの信頼が揺らぐ。7月25日の消費税分科会には『修正後のデータ』が報告されたが、これも『正しいのか』と心配してしまう」と指摘。また日本精神科病院協会の山崎學会長も、「厚生労働行政の根本が揺らぐ大問題であり、『単なるミス』と簡単に考えてほしくない」と問題視しています。

 さらに猪口全日病会長からは、「2014年度の消費増税対応改定では、医療界全体で補填率が92.5%にとどまり、医療機関の種類で大きなバラつきが出ている。これは消費増税に診療報酬で対応することが『無理である』ことを証明するものだ。また建て替えなどを行った場合には、巨額の控除対象外消費税が発生するが、それには対応がなされないという問題もある。根本的な見直しが必要である」との声が四病協内部で多数出ていることも紹介されました。今後、四病協の内部、さらには日本医師会との合同協議などでどのような「根本的な見直し案」がまとまるのか注目が集まります(関連記事はこちらとこちら)。

 他方、やはり消費税分科会の委員でもある日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行は、「実は2015年2月に四病協と日本病院団体協議会との合同調査(303病院が有効回答)を行い、▼病院全体の補填率は84.2%▼大規模病院ほど補填率が低い(200床未満では平均99.2%、200-399床では87.2%、400床以上では70.5%)—などといった結果が出た。その後、厚労省の補填率調査結果で『マクロでは補填されている』と大々的に発表されたが、今にして思えば、我々病院団体の調査結果の方が正確であった」とコメント(関連記事はこちら)。

2014年度の消費税対応診療報酬改定、65.3%の病院では消費増税に対する補填が100%に満たない
病床規模の大きな病院ほど、消費増税に対する診療報酬プラス改定の補填率は低い傾向にある
 
 さらに伊藤医法協会長代行は、データ誤りが2014年度の消費増税改定から4年も経過してから明らかになった点に注目し、「元データなども公開し、誰もが検証できる仕組みとしておく必要がある」と提案。例えば、2015年11月に厚労省が検証データを示した際に誤りが分かれば、2016年度の前回診療報酬改定あるいは2018年度の今回診療報酬改定で一定の対応が図られたのではないかと指摘しています。医療機関の経営データであり、すべてを公開することは困難ですが、検証可能性を確保する何らかの仕掛けは検討に値しそうです。

急性期病院では入院基本料と診療単価との差が大きいため、補填不足になったのでは

 また、猪口全日病会長は、「急性期病院では、入院基本料と診療単価(患者1人1日当たりの請求額)との開きが大きい(手術料や麻酔料など)。一方で、精神科病院や慢性期病院では、入院基本料と診療単価の開きが小さい。この差が『急性期病院の補填不足』『バラつき』の原因ではないか」と分析しています(関連記事はこちらとこちら)。来年(2019年)10月に予定される消費増税(8%→10%)に診療報酬改定で仮に対応するとなれば、「病院を、種類別・入院基本料別などに分類し、それぞれにおいて、消費税負担がどの程度発生しているのか(課税経費率などから)を調べ、細かく、丁寧に上乗せ(点数引き上げ)を行っていく」ことが現実的な対応の1つとなることが、猪口全日病会長の分析からも裏付けられます。

病院に対する「過去の補填不足分」を別途、補填せよとの声もあるが・・・

 ところで、山崎日精協会長と伊藤医法協会長代行は、「厚労省の修正データでは、2016年度には1病院当たり314万5000円の補填不足があることが示された。ここから病院全体(2016年度は8500施設弱)で1年間に260億円程度の補填不足があると試算される。さらに2014年度改定以降、現在まで補填不足が続いているので、病院全体で1000億円程度の補填不足になっている」と指摘。この過去の補填不足分1000億円について「病院側への補填を行うべきではないか」とも要望しています。

もっとも、7月25日の消費税分科会では、厚労省保険局医療課保険医療企画調査室の矢田貝泰之室長が「診療報酬制度では、『不足していたので後から補填する、逆に多かったので国に戻してもらう』といった仕組みとしていない」ことを確認。また、仮に「過去の補填不足分を医療機関等に別途補填する」ことになれば、理論的には100%を超える補填がなされている一般診療所(111.2%)、精神科病院(129.0%)、療養病棟入院基本料算定病院(107.5%)は、「多く補填された分を国に返還しなければならない」こととなってしまいます。「過去の補填不足分を、別途補填する」仕組みの導入には大きな障壁がありそうです。
 


http://www.medwatch.jp/?p=21610
地域医療構想調整会議、本音で語り合うことは難しい、まずはアドバイザーに期待―地域医療構想ワーキング(2) 
2018年7月23日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議では、メンバー間で本音を言いあうことが難しく、議論の活性化に向けた方策が求められる。そのために、例えば「地域医療構想アドバイザー」を養成し、議論のファシリテート役を担ってもらったり、都道府県が事前に具体的な論点整理をしておくことなどをまず進めてはどうか―。

 7月20日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった地域医療構想調整会議の議論活性化に向けた方策の検討が続いています。
 
地域医療構想アドバイザー、7月27日までに都道府県から厚労省へ推薦を
医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。例えば、骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」などの指示が出されています。

地域医療構想の実現に向けては、なんといっても地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で関係者が集い、データを踏まえて率直な議論を行い、納得の上で各医療機関が自主的に機能分化を目指すことが求められます。このためには、「活発かつ率直な議論」が各調整会議で行われることが必要で、ワーキングでは次のような方策によって調整会議の議論活性化を狙ってはどうかといった議論が進められています(関連記事はこちらとこちら)。

(1)都道府県単位の調整会議を設定する
(2)都道府県主催の研修会を設ける
(3)学識者を「地域医療構想アドバイザー」とし、調整会議を支援してもらう

 このうち(1)は、各調整会議(主に2次医療圏単位)の議論の足並みを揃えるために、調整会議の全議長が参画する「都道府県単位」の調整会議を設置するよう努めてほしいといった内容です。

 また(2)は、各都道府県においても、厚労省の研修会・勉強会のような会を主催し、地域の関係者の知識・スキルの向上を狙うものです。

 さらに(3)は、各都道府県において「地元大学医学部の公衆衛生学研究者」などを地域医療構想アドバイザーとして推薦し、厚労省による知識・スキルの水準を高める研修を経た上で、各調整会議の議論を支援することなどを期待するものです。

  
 厚労省は、これらに関連して7月20日のワーキングに、各区域における▼個別医療機関ごとの具体的な対応方針の協議に関する状況(個別医療機関の人員配置や病床機能の状況など)▼基本情報(人口動態、高齢化率、ベッド数、病床利用率、患者の流出入の状況など)▼公立・公的医療機関の状況(再編統合の協議事例も含む)—などを整理した膨大な資料を提示。「2017年における地域の現状」と「2025年における地域の状況予測」を一目で把握し、かつ個別医療機関の状況を詳しく見ることが可能です。

◆厚労省のサイト(以下)から「構想悔いの公立・公的病院等を中心とした機能分化・連携の状況」に関する資料をダウンロードできます。
○その1(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県)
○その2(群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県)、
○その3(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
○その4(和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県)
○その5(熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)
 
  
また、この日は、調整会議の議論が芳しくない沖縄県から状況報告も行われました。沖縄県では、地域医療構想の策定が昨年(2017年)3月に行われ、その後1年間は、関係者への構想内容の周知期間となり、公立病院・公的病院等に関する議論がまだ始まっていません。

沖縄県では、調整会議での議論について「本音を言いにくい」点があると説明。今後、活発化に向けて、公立・公的等の個別医療機関からヒアリングを行い、医療機関の抱える課題などを事前に確認し、協議の素材とする考えなどを示しました。

この点、「本音を言いにくい」状況は、どの構想区域でも同様と考えられます(患者の紹介逆紹介などを行う中では、連携先病院の将来像に疑問を持っても、言いにくいのが実際でしょう)。一方、例えば佐賀県などでは、非常に活発に調整会議の議論が進んでおり、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「県の担当者が、医療関係者と顔の見える関係を構築するとともに、データ等をもとに詳細に、事前に論点整理を行っている結果ではないか」と分析します。たしかに、「ざっくりとした」データ等を提示された場合、構想会議のメンバーは、どこから議論すればよいのか分からないことになりかねません。上述のデータなども活用した、事前準備が不可欠です。

もっともワーキングの岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「本音を言いにくい状況は、各地域でこの先も続く。なんとか良いアイデアを出さなければ、おざなりな会議で終わってしまうとこも少なくない」と危機感を述べ、皆で知恵を出し合っていくことが重要と指摘しています。

 
ここで、調整会議の議論活性化の鍵を握ると考えられているのが、(3)の地域医療構想アドバイザーです。例えば、「言いにくい」ことなども手伝い、議論が停滞した場合、アドバイザーが口火を切ったり、メンバーに話を振ったりするなど、いわば、会議のファシリテーターとして機能することが期待されるのです。

各都道府県では7月27日までに、アドバイザーの推薦書を厚労省に提出することが求められます(多数の調整会議を1人のアドバイザーで担当することは難しく、複数人の推薦が待たれている)。義務ではありませんが、調整会議の活性化に向けて多くのアドバイザーが誕生することが期待されます。この点、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「都道府県医師会の事務局や、都道府県の保健医療担当部局員もアドバイザーとして推薦すべき。医師に限るべきではない。地域の実情と地域医療構想をきちんと理解している人材が求められる」と指摘し、多様な人材の参画に期待を寄せました。
 



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072601334&g=soc
病院の補助金減額へ=地域枠学生の条件外採用-厚労省 
(2018/07/26-21:56)時事通信

 厚生労働省は26日、地域医療従事などを条件とした「地域枠」で大学医学部に入学した学生を、他の地域の病院が研修医として採用した場合、病院の補助金や研修医の採用枠を減らす方針を決めた。同日の医道審議会の医師臨床研修部会に案を示し、大筋で了承を得た。来春の採用から適用する見通し。
 地域枠は、地域医療に従事する医師の養成を主目的に学生を選抜する。都道府県が奨学金を貸与し、地域内の医療機関に一定期間従事した場合、返還が免除される例が多い。2017年度の医学部入学定員9420人のうち、地域枠は17.8%の1674人を占める。
 しかし、奨学金を返還して地域枠を「離脱」し、地域外の病院で研修医になるケースが見られる。18年度開始の臨床研修では、地域枠の学生805人のうち、9人が地域外で研修している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/618863
シリーズ 医師臨床研修部会
「地域枠離脱者」採用病院に公開ヒアリング、臨床研修部会
「制度を破壊する」「大学、国立病院に驚きを禁じ得ない」
 
レポート 2018年7月27日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は7月26日、2018年度から臨床研修を始める新卒医師で、従事要件があるにもかかわらず、地域枠を離脱した地域枠制度利用者を採用した9病院に公開でヒアリングを行った。構成員からは「制度の根幹を揺るがす」「奨学金を返済すれば良いというものではない」「大学病院や国立病院機構が含まれているのは驚きを禁じ得ない」などと、厳しい指摘が相次いだ(資料は厚労省のホームページ)。

 厚労省では地域枠離脱学生への対応を進めており、2017年度からマッチング参加病院に対して、地域枠学生一覧を送付したり、地域枠かどうかの確認をすることなどを求める通知を発出したりするなどしている。

2018年開始地域枠研修医、1.3%が離脱

 2018年度開始の臨床研修において、地域枠学生の採用結果について調査したところ、都道府県が認識している地域枠制度利用者(以下、利用者と表記)805人だった。そのうち初期研修での従事要件がある利用者は764人。そのうち要件に従って研修しているのは702人(従事要件対象者764人を分母として91.9%、以下同様)、従っていないのが62人(8.1%)だった。地域枠非離脱者は52人(6.8%)で、内訳は国試不合格者41人、卒試不合格者9人、既卒(病気療養中)1人、無期停学1人だった。

 地域枠離脱者は10人(1.3%)で、そのうち1人は2年連続不合格で対象から外れた利用者。問題となったのは、残りの9人だった。厚労省の調査による、離脱に関する事情は以下の通り。

■病院側の採用理由
・本人から地域枠離脱について申告があったため(7人)
・地域枠であることが確認できなかったため(1人)
・制度の誤認識のため(1人) 

■本人の離脱理由(都道府県への申告)
・自己都合(希望する研修、実家、結婚等)(7人)
・健康上の問題(2人)

■地域枠の離脱時期
・採用決定前に離脱(3人)
・採用決定後に離脱(6人)

 9人を採用した病院に対してヒアリングを実施した。各病院の説明は以下の通り。※ヒアリング順

愛媛生協病院(愛媛県)
 定員2人の採用を予定していたが、1人が国試不合格となった。空き枠に対して、2018年3月に当該学生から「研修先が決まっていないので4月から研修させてほしい」と電話があった。大分大学を卒業後、1年間国試浪人をしていた。父方の実家が愛媛県にあり、研修は愛媛で希望していたとのこと。他の愛媛県内の病院を受験していたが、アンマッチだった。大分県の地域枠であったが、本人は「大分県担当者とは早いうちから相談をしていたが、国試を合格しないと話が具体的に進められなかった。合格後に地域枠離脱の了承を得た」と説明した。以上を聞いた上で、3月に採用試験を実施し、採用となった。3月27日に大分県の担当者に直接確認し、地域枠離脱の証明書を発行してもらった。

いわき市立総合磐城共立病院(福島県)
 2017年7月に申し込みがあった。申込書類には修学資金の借入状況を記載する欄を設けており、そこで地域枠かどうかを判断しているが、「借り入れなし」と記載してあった。面接でも地域枠の話がなかった。マッチングでは15人中4位で登録した。その後、厚労省から地域枠一覧を受け取った。福島県以外の地域枠の学生が申し込むことはないと思い込み、県外の学生には確認を行わず気づかなかった。翌年3月に合格の報告があり、採用した。

熊谷総合病院(埼玉県)
 2017年6月に見学があった。8月に書類提出があったが、地域枠の記載がなかった。9月に行った面接で、「栃木県の地域枠離脱を相談している」との申し出があった。採用枠は6人で、当該学生は優秀であり、奨学金を返済しているとのことで、2位で登録した。10月に大学に地域枠離脱の書類を提出したと報告があり、採用した。

昭和大学藤が丘病院(神奈川県)
 産婦人科、小児科キャリアパス支援プログラムは4人が定員だったが、1人が国試不合格で空いていた。2月に当該学生から希望があった。本人から富山大に地域枠の推薦で入学し、富山県の従事要件、返済義務があることを伝えられた。本人から、「富山県内のマッチングが上手くいっていない場合は、他県でも問題ないと説明を受けた」と説明された。大学から都道府県に照会はしなかった。

日野市立病院(東京都)
 採用枠2人。当該学生からの書類では、地域枠であることは確認できなかった。地域枠の学生が応募してくるとは考えていなかった。4人の応募があり、面接で当該学生を含めて2人を採用と判断した。厚労省からの一覧で、地域枠であることを知り、その日に富山県庁に確認した。県庁からは「本人とは面談しており、県として了承済み」との回答だった。本人とも電話をし「家庭の都合で東京に戻ることになった。奨学金は返済済みで、大学、県庁とも話し合いをして了承済み」と説明を受けた。

国立病院機構京都医療センター(京都府)
 2017年8月に面接をしたが、当該学生から地域枠という申し出はなかった。厚労省からの一覧で把握したため、院内で対応を検討した結果、マッチング対象にしないと決定し、本人に通知をした。翌日、本人から「滋賀県の従事要件では4年間の猶予がある」と説明があり、滋賀県に確認したところ「県外で受験することは制限していない」とのことだった。非常に優秀であり、マッチング上位で登録した。その後、12月に近畿厚生局に相談したところ、「文書の形で残すべき」とのアドバイスを受けた。再度、滋賀県に要請したところ、「初期研修は猶予に入っていない」と判明した。その結果、本人と県で話し合いがあり、最終的に修学資金を返還するため「やむを得ない」と判断したと聞き、採用に至った。

近畿大学医学部奈良病院(奈良県)
 近畿大は本院が大阪、分院が奈良県にある。当該学生は8月に面接した。マッチング登録後に地域枠一覧が送られてきて、そこで地域枠であることを初めて知った。大阪府の地域枠であり、本人に「奈良県での研修は困難」と伝え、大阪府にも連絡をした。大阪府から「奈良県で研修するなら全額返納してもらう必要がある」と言われた。本人に県と相談するように伝えた。その後、本人が本院での研修を熱望し、奨学金を返済したので採用した。本人のバックグラウンドだが、当該学生は地域枠に申し込んだ時点では、大阪府で産婦人科医を目指していた。当該学生の父は耳鼻科を開業しており、当該学生の弟、もしくはいとこが継ぐ予定だったが、2人とも医師になる見込みがなくなり、当該学生が耳鼻科を継承しなくてはならなった。耳鼻科の臨床実習を奈良病院で行っており、それで分院を強く希望した。

太田記念病院(群馬県)
 当該学生は群馬県出身、高知の大学に進学した。当初から臨床研修は群馬県を希望した。5年生の夏に、見学に来た。6年生でも2回見学が来た。3回目の見学時に話したところ、「高知県の担当から問題がないと言われている」と説明があった。今回の厚労省からの連絡を受けて、2018年7月に本人にヒアリングをしたところ、「県庁や医学部長、地域医療担当教授の了承を得ている」と説明があった。

神戸掖済会病院(兵庫県)
 当該学生は2次募集の学生。最初のマッチングでフルマッチではなく、2次募集をしたところ、問い合わせがあった。電話をした際に、「地域枠の学生だが、離脱するので受験したい」と説明があった。こちらからは「それが確定しないといけないよ」と伝えた。10月に再び連絡があり、「高知県と話し合いを行い、地域枠を離脱した。在籍する兵庫医大にも相談したところ、良いと言われた」と説明があった。

桐野座長「地域枠が破壊される」

 日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「『お金を返したからいいのでは』という回答が多すぎる。道義的責任を問うべき。(地域枠の) 推薦枠で医学部に入った人もいる。(一般試験なら)合格点に達していない人がいる可能性もある。明らかに不公平である」、順天堂大学学長の新井一氏は「国立病院や大学病院が受けいれるのは驚きを禁じ得ない。原則論としても何らかの介入が必要だと思った」などの厳しい指摘が相次いだ。

 和歌山県立医科大学理事長・学長の岡村吉隆氏は「制度の整備が必要だが、根本的には地域枠学生がルールを守らないことがあり、それを受け入れる病院がある。9つの病院のホームページを見たが、どこも地域医療の重要性を言っている。しかし、それぞれの先生が言っているのは自分の地域のこと。日本全体を考えてほしい。個々の例を見ると確信犯。”犯”と言っていいか分からないが。病院へのヒアリングでは、大変優秀な学生という意見があったが、倫理観から見たら最下位であり、考えてほしい」と病院側の対応を問題視した。座長の桐野氏も「金を返せば良いという風潮が広がると、地域枠が破壊される」との危惧を示した。

 構成員にはその場限りで、個別の理由を記した紙が配られた。岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏は「『精神科の診断書がある』とあったが、いい加減な精神科医もいるのでそれだけでは理由にならない」と指摘。公開ヒアリングについては「これも一つの抑止力として働く。9人は微妙な数字。大きく増えていく可能性もあるのでちゃんとした対応が必要」と強調した。

 横浜市立大学附属病院長の相原道子氏は「不謹慎かもしれないが、離脱者1.3%でこんなに少ないのかと思った。地域枠の制度はそれなりにちゃんと動いたのだと思う」と指摘。地域枠の在り方を巡っては、岡本氏は「一般枠の学生にとって、地域は彼らに任せればよいとなると良くない。地域枠の魅力づくりも必要」、社会医療法人財団董仙会理事長の神野正博氏は「一般枠で地域に残る学生にメリットがあるべき」と提案した。

都道府県「法的に阻止できず、道義的責任を」

 9人の離脱者に関連した都道府県からの意見の一部は以下の通り。

・離脱に関しては、県と貸与者とは民法に基づき金銭貸借契約を結んだ関係にすぎず、償還の意思があれば法的に阻止することはできず、認めざるを得ない。一方、地域枠で入学した事実は変わらず、その道義的責任は問われるべき。

・県および大学からの問いかけに対して非常に攻撃的な態度を取り、時には県および大学の発言を隠れて録音するなど、信頼関係が崩壊している状況が続いた。

・推薦入試であったため、出身高校に対して地域枠の趣旨を理解して推薦してほしい旨の文書を送付し、出身高校からは推薦を取り消す処理をしたこと、今後、このようなことがないようにするとの謝罪があった。

地域枠離脱者採用病院にペナルティ

 厚労省は地域枠離脱者対策として以下の3つを論点として提示した。

(1)地域枠で入学している者について、県や大学がその地域枠の従事要件からの離脱に合意していない場合には、地域枠制度の趣旨や地域医療の安定的確保を尊重する観点を鑑み、臨床研修病院等が趣旨に反した採用をすることは望ましくない旨を周知することについて、どう考えるか。

(2)上記取り組みにも関わらず望ましくない者に対して、希望順位登録や二次募集等における採用を行った臨床研修病院については、医師臨床研修部会でのヒアリングを行った上で、必要に応じて補助金の減額、採用人数の減員または指定の取り消しを検討することについて、どう考えるか。

(3)地域枠の従事要件からの離脱が行われていない研修希望者に対して、臨床研修病院が誤って希望順位登録を行うことができないようシステム等改修を行うことについてどう考えるか。

 いずれも了承された。(1)については近く通知を出す。(2)と(3)については、2020年度研修開始の採用において実施していく方針を示した。



https://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20180728-OYO1T50009.html
72医療機関、建物被害…西日本豪雨被災3県
2018年07月28日 読売新聞

 西日本豪雨の被災地の広島、岡山、愛媛の3県で、少なくとも72の医療機関が浸水や土砂崩れによる建物の被害を受けていたことが、各県などへの取材でわかった。補修や再建、高額な医療機器の買い替えが必要なケースも多く、厚生労働省は被災地の自治体に医療機関の被害実態の詳細な調査を指示した。

 読売新聞が3県や各県の医師会などに取材したところ、水や土砂が流入した医療機関(病院、診療所)は、広島県で29施設、岡山県14施設、愛媛県29施設。一部は今も休診中で、復旧のめどが立たないところもある。

 厚労省は、3県からの報告を基に計87医療機関が被災したと発表した。だが、一時的な停電や断水だけで、すぐに診療を再開できた施設を含む一方、入院機能のない診療所は調査の対象外で、「被災の全容はつかめていない」としている。

 岡山県では、川が氾濫した倉敷市真備まび町で、地域の2病院10診療所のうち1病院を除く医療機関が浸水被害を受けた。まび記念病院では約1億円の磁気共鳴画像装置(MRI)や数千万円のコンピューター断層撮影装置(CT)が水没。敷地内に止めた検診車で外来診療や薬の処方などを続けており、村松友義院長は「地域の中核を担うべき医療機関が機能を失い、強く反省している」と唇をかむ。

 同県新見市では診療所が土砂崩れで倒壊。高梁たかはし市と矢掛やかげ町でも各1診療所が浸水した。

 広島県では、三原市の本郷中央病院1階が医療機器とともに水没し、建物の大規模改修が必要。東広島市の県立病院でも電気設備が壊れた。愛媛県では大洲おおず市の20施設が浸水するなどした。



  1. 2018/07/29(日) 06:44:32|
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