Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月10日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180609_11056.html
<登米市>市民病院新築移転へ 医師確保へ環境整備 
2018年06月09日土曜日 河北新報

 宮城県登米市は同市迫町佐沼の市民病院(257床)を新築移転する方針を固めた。慢性的な医師不足を解消するため、新人医師の実習を独自に行える国の制度の指定を目指し、施設整備する。熊谷盛広市長は8日開かれた市議会6月定期議会で、建設財源確保のため国や県と折衝を進めていることを明らかにした。
 市は、新築移転の時期と場所、規模は未定としている。関係者によると、市内一円からアクセスしやすい交通の利便性の高い場所が有力候補地として挙がっているという。
 市議会一般質問で熊谷市長は「あらゆる選択肢を視野に入れ、県や国と相談し多種多様な財源メニューを検討している。病院環境の整備はラストチャンスだと思っている。早急に示したい」と答弁した。
 同病院は市内7カ所にある市立3病院4診療所のセンター機能を果たすが、新人医師が2年間、幅広い診療経験を積む場となる「基幹型臨床研修病院」の指定を受けていないため独自に研修医を募集できず、その後の若手の地元定着が望めない状態が続いている。
 加えて建物の一部は築43年で老朽化が著しく、非常用電源や調理施設などの重要設備が地下にあり、水害などの災害時に機能を失うリスクがある。研修先は新人医師が選択するため、市は古い医療設備のままの増改築だと敬遠される恐れもあるとみている。
 市立病院の医師は2005年の広域合併による登米市誕生時は計45人いたが、現在の3病院4診療所体制で計30人に減少。うち60歳以上が11人と高齢化が著しく今後も減少する見通し。
 常勤医が足りず、津山診療所は今年4月に休診に追い込まれ、登米(とよま)診療所も8月から休診する方針を決めている。



http://blogos.com/article/302815/
「地方に医師がいないなら、医師を増やせばいいじゃない」というマリー議論  
やまもといちろう
2018年06月07日 21:30 BLOGOS

 「地方に医師がいない? 医師が都市に集まりすぎている? なら医師を増やせばいいじゃない」って話は、前厚生労働大臣であった塩崎恭久さんの時代に議論が出ました。なんかこう、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない (byマリーアントワネット)」みたいな感じです。もちろん、塩崎大臣自身が既存の厚労省や某分科会での議論に同意する立場ではないので、いったんその会議を止めてまで「働き方ビジョン検討会」を作り進めてきたわけなんですけど、そこでも必ずしも「医師を増やせばいいじゃない」という単純な結論には至らなかったわけであります。

地方都市から医者がいなくなる!?戦略的な“無医村”づくりが進んで「急病になっても安心」という自治体はどんどん減っていくことになります https://www.minnanokaigo.com/news/yamamoto/lesson23/
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000160954.html

 そんなこんなで、この辺の議論を「みんなの介護」に書いたところ、反応で少なくない数「医師を増やせばいいじゃない」っていうのが出てきます。この辺は、医療業界にいる人にもいろんな考え方があり、また医療については「べき論」と医療従事者の負担の議論が並行して進むので、どうしてもごっちゃになりやすいって点はあります。

 整理すると、現状すぐにでもどうにかしなければならないのは2つあります。

・医師が偏在していて、無医村ができまくる。
・医師を含め、とりわけ勤務医は非常に労働条件が悪く、ブラックな職場になっている。

 なので、高齢者が増える現状において、医療環境を整えつつ僻地医療も充実させようとなると、都市部で働いている医師を高給や好環境で「釣って」地方医療を担わせるか、医学部の地元採用枠から地方勤務期間を義務付けるかしか方法がないよなあって結論になるわけであります。

 ところが、医療の現場においては僻地医療は高級でもやりたくないというのがもっぱらで、その最たるものは「とにかく僻地の医療は患者のモラルが低く、医師が勤務時間を終わっても診療しろと平気で言う地域住民が後を絶たず、プライベートの時間が持てずやっていられない」という話であり、先日も東北某県自治体が高報酬でも医師が集まらないとか、医師の過去の些細な問題を市議が市議会で問題視したため心が折れて医師が辞めてしまうなどの問題を続発させます。

 そんなところに市立病院を建てても医療圏を支えられるほどの人口もないところでは医師も集められないということで、文字通り自壊していくことになるのです。

 一方、問題の解決のために「医師を増やせばいいじゃない」という話が進まない理由は、少子化にあります。単純にこれ以上増やすと医学部定員から毎年1万人以上の医師が生まれかねないわけですが、2017年の日本人の子供の出生数は94万人であって、ぶっちゃけ100人に1人以上医師ができる社会になります。これらは普通に知的エリート層を担う人材となるのであって、いろんな分野で優秀な若者を奪い合う中で医師だけが高いコストをかけて育成され続け、その稼ぎ口はたいして国富に貢献しない地方都市や僻地で高齢者を診察するために投入されるというのは亡国の道筋を辿ることになりかねないだろうという話であります。

 また、どちらにせよ日本の高齢化問題は2040年をピークに解消に向かっていくため、近い将来都市部においても病床あまり、医師あまりを起こす可能性が高くなります。2025年から2033年ぐらいまでが一番医療と高齢者の点ではしんどいという話であって、いまから定員数増やしても研修医を終えてまずまず一人前になるころには高齢者問題がピークアウトしちゃっているわけであります。

 当面苦しいのであれば、ビジョン検討会でも話し合われ、また厚生労働省も省内で準備してきた歯科医師、衛生士、看護師などが簡便な医療行為を代行できる仕組みの創設や、人工知能や遠隔医療などを用いた外来診療の自動化なども視野に入れて、医師の診療負担を極力減らすしか方法はないだろうと思います。

 ところが、中期医療計画や都道府県の検討しているプランを並べてみていると、一様に「地域医療構想で患者を巻き取る」話が出てきます。地域って誰のことなんですか、ってのはもう少しちゃんと議論したほうがいいと思うんですが、要するに町内会や互助会などの地域で暮らす人たちの集まりや、家庭・家族で傷病者、高齢者は面倒見てよ、医療や介護への負担を減らしてよという筋道になります。これはもうその通りなんだけど、でも読者の方でも思い返していただきたいのですが、地域に医療といって、いままで皆さんどなたか町内会やボランティアで地域の高齢者をお世話したりしたことありますか。ないんじゃないかと思います。特に都市部は「地域や家庭で患者を支える地域医療構想を」と言われても、地域って誰よ、家族ったって結婚できない男女めっちゃ増えてるよ、ってことで、かなり本気で誰も助けてくれない社会になりかねないよね、ってのが正直怖いわけであります。

 解決策はないのか? ってのは、たぶんないんだと思います。結婚が一番優れた制度だと言い切るつもりはありませんが、何らかパートナーや集団で住むようなコミュニティ、疑似家族のような仕組みを社会が用意し、容認していかないと、体調悪くして通院しようにも誰も助けられないとか、自宅で倒れて誰も気づかず死後数カ月異臭騒ぎで死亡しているのが確認されるとか、そういうのは避け得ない状況になるわけでしょう。伴侶がいて子供がいて初めて生物として存続し遺伝子が遺されて… というすんごい哲学的というか身もふたもないレベルの話をしなければならなくなるのが現代です。

 やはり、この手の話をすると「衰退する日本はもう駄目だ」という話になりやすいし、一方で「医師を増やせばいいじゃない」ってのがどれだけ優秀な日本人を生産性の低くなった高齢社会対策に割り当てるつもりなのかってことの裏返しで、優秀な人を生産性の低いところに張り付けるのが日本の衰退を推し進めることになりかねないことは気づいてほしいと思うわけです。健康で長生きしてほしいというのは、社会にとってその人が生産的である限りという留保付きになる時代がもうすぐ来ると感じます。健康寿命の延伸も生活習慣病の予防中心の医療にしようという議論も、いずれも働いて自力で生活できる割合を少しでも増やして社会を富ませ、人々が安心して暮らせるようにするための医学・公衆衛生にシフトしているということの裏返しでもあります。

 オブジーボが高額医療で月額かなりの金額の治療費を公的保険で支払い本人負担は数万円です、でも本人は80歳ですってのが、果たしてそれが生産的な社会になるんだろうかというのはどっかで考える必要があるんですよね、正直なところ。



https://www.asahi.com/articles/ASL663CTXL66UBQU005.html
産科医増員の医療機関に補助金 山口市が制度開始 
金子和史2018年6月6日13時00分 朝日新聞

 子どもを産みやすい環境づくりにつなげようと、山口市は、産婦人科医の増員や新たに産科診療所の開設をした病院や医療法人に費用の一部を補助する制度を始めた。背景には全国的な産科医不足がある。

 市健康増進課によると、市内でお産を取り扱う医療機関は三つで、そのうち、ハイリスクな出産に対応する病院は山口赤十字病院だけという。5年前には五つあった。

 「昼夜を問わない勤務体系や医療訴訟に発展するケースが多いことから産科医のなり手が少ない」と同課の担当者は話す。加えて産科医の高齢化も重なり、全国的に産科医の数は減少傾向にあるという。

 こうした状況をうけ、市は4月から医療機器の購入や増員した医師に支払う給料などの経費の3分の2(上限2千万円)を補助する制度をはじめた。

 新たに診療所を開くか、産科医を増員した医療機関が対象。市内で継続して10年以上お産を取り扱う見込みがあることなどが条件になる。

 市内の産婦人科「ながやレディースクリニック」の長屋寿雄院長は「補助金制度は現状改善に向けた追い風になる」と期待を寄せる。一方で「補助金で全てが解決するわけではない。医師不足などの問題解決の足がかりになれば」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/602627
大学病院における総合診療医育成の在り方 - 古屋大典・埼玉医科大学国際医療センター総合診療・地域医療科教授に聞く◆Vol.2
「これからは、初めから総合医を目指すのが良い」
 
インタビュー 2018年6月6日 (水)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――古屋先生のもともとのご専門は何でしょうか。
 脳卒中です。神経内科で脳梗塞を主に診ていて、t-PA静注などをやっていました。(医学部がある)毛呂の埼玉医大では神経内科でしたが、国際医療センターが10年前にできて、脳卒中センターを開設する時に救命救急センターに移りました。例えば秩父からヘリコプターで搬送された超急性期の脳梗塞を起こしたばかりの患者さんに、アルテプラーゼを使ったt-PA静注療法をしたり、血管内治療をしたりというのを4年ほど担当しました。

 その後、飯能市東吾野の医療介護センターにいました。もともとは飯能市立病院だったのですが、指定管理者制度が導入されたときに、上司から「行ってこい」と白羽の矢が立てられました。有床診療所19床と小規模老人保健施設29床を合わせた小規模多機能施設 で、医療と介護の両方の経験を積むことができました。老健と有床診療所、在宅医療もやりました。医師会の先生に教えてもらいながら、何とかやってきました。その経験を買われて今こういう仕事をさせてもらうことになりました。

―――医療介護センターではどのようなご経験をされたのでしょうか。
 看取りは、高齢者の場合、夜中の2時や3時に亡くなることがあります。まず訪問看護師さんが呼ばれて、先に浴衣に着替えさせてもらって「朝になったら先生を呼ぼうね」と、朝の6時頃に電話がかかってくることが多かったですね。訪問看護の方も家族の方も医師不足なので気を使ってくださっていました。

 地域の特徴かもしれませんが、“お互い様”の雰囲気がありました。僕は毎月、飯能市で開催されるケア会議にも出ていましたので、訪問看護師さんやケアマネさんから、「こんな人がいて困っている」という相談を受けては、実際に診せてもらっていました。その中で気遣う意味での“お互い様”の関係が生まれたように思います。

―― 日頃からそういう勉強会にいるのといないのとでは違うのでしょうか。
 痛感したのは、「医者は患者のことを全然診れていない」ということでした。例を挙げると「週末になると患者さんが吐いてしまう」という話がありました。原因を胃カメラや超音波で調べたり、地域の先生も一生懸命だったのですが、なかなか解明には至りませんでした。

 原因は薬の副作用でした。その患者さんは認知症で、アリセプトが処方されていました。普段は一人でお住まいで、ご自身ではなかなか薬を飲むことができず、娘さんが帰ってくる週末にだけ薬を飲ませてもらう。認知症の薬は急に飲むと副作用で吐くんです。普段から少しずつ飲んでいれば、嘔吐などの症状は少ないのですが、週末だけ飲むとなると、副作用が強く出てしまう。

 判明したのはケアマネさんからの情報です。ケアマネさんと普段から仲良くしておくと、「家に行くとタンスに薬がたくさんありますよ」とか患者さんの話を聞ける。民生委員の方とも普段から接しておくと情報を得られます。患者が生活する環境や家族の背景といった情報が入らないと、実は薬の副作用だったという診断はすぐにつかないですよね。こういうケースなんかは、ケア会議に出ないと分かりません。こうしたことを学べるよう、研修医や学生を連れて行けたらと思います。

――先生は最初は神経内科で、現在は総合診療を担当されています。総合的な医師養成の在り方についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
 これからは、初めから総合医を目指すのが良いのではないでしょうか。これだけ医師不足が叫ばれる時代なので、総合的にある程度標準的な治療ができる医者がたくさんいないと対応できないですよね。専門医療はやりたい人がやればいいわけで。

 ただ、総合診療に関心の高い学生は僕たちのような病院には残らず、地域の病院に行ってしまいます。そうすると、コモン・ディディーズばかりを診ることになって、逆に専門治療や最新の医療に触れたいという思いも出てくるみたいです。

 総合診療と専門領域を学べるよう、何年かは大学にいてもらって、論文も書いてもらう仕組みができると若い医師にとっては良いと思います。大学の中にいると、救命救急科にいても「意識障害や脳に関しては、あの先生に聞こう」ということができます。

 これからの人材は、総合的な力を付けることが求められるでしょうし、一つの専門性を磨くことに集中しないにしても、その時代によって色々と必要な知識って変わってくると思います。実際に僕が専門の脳卒中の患者は減り、癌が増えています。癌の患者さんの精神面をケアすることが欠かせない課題になっています。どこの臓器の内科であろうと、癌のメンタルは切っても切り離せない。そうするとそれに見合った知識が必要になりますよね。総合診療の中で時代のニーズに合わせた知識を、勉強し続ければいいのではないでしょうか。

――総合的な医師の必要性はどのような時にお感じになるのでしょうか。
 これだけ専門が細分化されてきたら、脳の領域や脳血管のこと、どんな薬を使えば良いかは分かっても、患者さんが送ってきた社会生活にどれだけ近い状態に戻せるかを考えるのが難しくなります。そうすると、「あの先生は、脳は診ても患者は診ない」って言われてしまう。脳の治療ばかりをやっていて、全身を診ていないから、足の爪の病気とかに気が付かない。そのまま地域の先生に紹介してしまうというのは、ありがちですよね。回復期の病院に移ってから、「足の爪の治療もしてもらってなかったね」と言われてしまったり。

 やはり全身くまなく診ないといけないし、社会的背景であったり、家庭環境であったりを含めないと患者さんを診たことにはならないと、僕は思っています。

――どのような教育をされているのでしょうか。
 総合診療や地域医療に強い医者を育てることもしなければいけないのですが、現実はなかなかできていないですね。本当は一緒に往診に行きたいのですが、紹介患者さんを学生と診るくらいのことしかできていません。ただ、埼玉医大の学生さんは、自ら地域に足を運んで色々な経験してきていますよ。地域のミーティングに出たり、何日間かお邪魔させてもらったり。系統立てて授業に取り込むのはまだまだこれからです。

 いろんな専門科の“寄せ集め”が総合診療ではないと思います。自分一人の力である程度の診察ができて、どれくらい緊急性があるのかを見極める力が求められるのが総合診療。そういう人材をどんどん育成して、総合診療の医者を増やしていきたいですよね。

 僕らのところに、一時的に在籍してもらうだけでもいいかなと思っています。親御さんが地方で開業していて、在宅医療をやらないといけないからとか今まで専門は心臓内科をやっていたけれども、全身の病気だとか癌の治療、麻薬の使い方なんかも勉強したいとかという人が来てくれてもいい。そういう中で大学の中で役に立っていただければ、一石二鳥になります。



http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2018/20180607036458.asp
自治体病院の医師確保、30町村長が青森県に要望 
2018年6月7日(木) 東奥新聞

 県は6日、青森市のラ・プラス青い森で本年度の市町村長会議(町村の部)を開き、県内30町村長(三戸町は代理)と、三村申吾知事ら県幹部が健康づくりの強化や医師確保対策などについて意見交換した。町村長からは、県内で医師数は増えている一方、自治体病院では充足されていない現状を受け、地方の医師不足解消に向け、県がより強い関わりを持つよう求める意見が相次いだ。



https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/6/8/16023
協定超える時間外労働 県立中央病院に是正勧告 
2018.06.08 岩手日報

 盛岡市の県立中央病院(宮田剛院長)が、適正な手続きを踏まずに労使間の協定(三六協定)を超える時間外労働を職員にさせたなどとして、盛岡労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが7日までに分かった。医師の超過勤務手当が不足しているとの指摘もあり、県立病院の給与制度の在り方の検討も必要になりそうだ。

 県医療局によると勧告は4月16日付。内容は▽同協定を超えた時間外労働▽同協定を超えた休日労働▽臨床工学技士の待機時間への賃金不払い▽医師の超過勤務手当ての不足▽衛生管理者らの選任報告の遅れ▽衛生工学衛生管理者の不配置-の6項目。是正報告の提出期限は20日。

 同病院によると、協定で定めた上限時間を超える残業を命令する際に病院側が行うべき手続きを取らずに職員に残業させていた。

 同病院は勧告を受けて手続きを適正化し、職員に出退勤時間を記入させるなど、勤務実態の把握を始めた。



http://www.kanaloco.jp/article/337251
逗子の病院開院2年超遅れ 病床数確保見通せず 
2018/06/08 02:00 更新:2018/06/08 02:00 神奈川新聞

 逗子市は、医療法人社団「葵会」(東京都千代田区)と進める総合的病院の整備計画で、開院時期を2年以上後ろ倒しした。当初「早ければ2020年度中」としていたが、構想段階で200床以上とする病床数を思うように確保できていないことから、「最短でも22年度中を目標に手続きを進める」に見直した。これまで3度頓挫してきた、市の悲願でもある総合的病院の整備は、先行きが不透明になっている。

 市は16年12月、総合的病院の運営法人を葵会に決定したと発表。葵会に市有地(同市沼間3丁目)を無償貸し付けし、開設時200床以上、最終的に300床規模で、小児科や婦人科など13の診療科目を有する「(仮称)葵会逗子病院」を整備する構想だ。

 そもそも今回のきっかけは、県が16年7月、横須賀・三浦二次保健医療圏の基準病床数(5334床)に対し、「175床不足している」と示したことだった。

 これを受け、市は総合的病院を誘致することを決断。公募で選ばれた葵会に対し、県が109床を割り当てた。構想より少ないものの、同医療圏の病床数が今後も足りなくなるとの見通しから、18年度以降に増床を申請することで不足分を補うことにした。

 だがことし2月、事態が変わる。同医療圏の医療、福祉などについて話し合う会合の場で、出席者から「圏内の既存の病院に利用されていない病床が349床あり、その活用を優先すべきだ」「この地域でも医師や看護師不足が深刻で、増床しても対応できない」などの意見が出された。

 こうした意見を踏まえ、県は3月同医療圏の18年度の基準病床数(5307床)に対し、現状は「不足」ではなく、50床の「過剰」と判断。増床の見込みがなくなった。

 増床が見通せなくなったことで、構想や開院までのスケジュールも流動的で、不確定なものに。市は「市民に現状を丁寧に説明する必要がある」とし、早期開院を目指して簡略化していた関係条例の手続きを原則に戻し、住民説明会や計画の縦覧などを行うことを決めた。これにより、開院が少なくとも2年以上遅れることが確実になったという。

 市が今月3日に開いた市民説明会。市民からは「どんな病院ができるのか、形が見えない」「良いものを建ててほしいと待っているのに遅れる一方だ」などと不満の声が上がった。平井竜一市長は約30人の参加者に向かい、力を込めた。「多少時間がかかっても、高齢化が進む逗子で病院を実現することを、諦めるべきでないと思っている」



http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20180610/CK2018061002000053.html
県東部の医師確保へ 清水町で研修医ら合同研修 
2018年6月10日 中日新聞 静岡

 新人医師として県東部の病院に配属された初期臨床研修医の交流や技術向上を図る合同研修が九日、清水町長沢の静岡医療センターで開かれた。

 合同研修は、県東部の医師確保に取り組む「ふじのくに地域医療支援センター東部支部」が年2回行っており、沼津市立病院や富士市立中央病院など六病院から研修医31人が参加。地元医師らの指導を受けながら、災害時に負傷者の治療の優先度を判断するトリアージ訓練や、縫合や超音波診断の演習を行った。

 県東部の医師数は2016年末現在で人口10万人当たり191人と、全国平均の240人よりも少なく、医師確保が課題となっている。合同研修の担当者は「初期研修が終わった後も医師に東部地域に残ってもらうため、いろいろな経験が積めてスキルアップできる環境をアピールしていきたい」と狙いを語った。 

(杉原雄介)



https://www.m3.com/news/iryoishin/607761
シリーズ 「医学部卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~
医師の意識が変われば進む、「地域包括ケア」は“時代”の要請
全国57病院、公的医療・介護グループの考え
 
オピニオン 2018年6月8日 (金)配信独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 尾身茂理事長

 医師の多様なキャリアを紹介する「卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~。今回からは「地域包括ケア」をテーマに、病院の内外で活躍するさまざまな医師たちが登場します。JCHO理事長の尾身茂氏は、57病院を持つ医療・介護グループであるJCHOが実践している地域包括ケアについて語っています。
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 地域医療機能推進機構(Japan Community Health care Organization=JCHO、ジェイコー)は、全国57病院を中心に訪問看護ステーション(訪看ST)や介護老人保健(老健)施設、居宅介護支援事業所など、多様な施設を持つ公的医療・介護グループです。病院の半数には老健施設が隣接しているほか、地域の多様な医療機関、自治体などと連携しているため、国が推奨する“地域包括ケア”の概念を実践する能力が備わっているグループです。

 しかし、JCHOは旧社会保険病院、旧厚生年金病院、旧船員保険病院をそれぞれ運営していた、全国社会保険協会連合会、厚生年金事業振興団、船員保険会という3つの団体を統合して誕生した組織のため、統合直後はJCHOの組織全体で能力を発揮し、地域包括ケアを実行するためには、さまざまな障壁がありました。

まず医師の意識改革に着手

 私が理事長としてまず必要だと感じたのは、各病院の院長をはじめとする医師たちの意識改革でした。社会保障制度国民会議が2013年8月に公表した報告書でも指摘しているように、日本の医療は高齢化に伴って、「病院完結型」から「地域完結型」へと移行すべき時期に直面しています。医療の進歩などで、疾病に罹患した状態でも長生きする人が増え、医学に基づいて「治す」だけでなく、地域全体で患者・療養者の生活を支えなければなりません。病院の内外で、医療従事者だけでなく介護従事者、福祉関係の方々、行政、そして地域住民のみなさんにも参加してもらうことが必須なのです。

 ところが、これまでわが国の医学・医療のメインストリームは急性期です。現在の医療提供体制を支えている多くの医師たちは、疾病の診断方法や治療法は学んできていますが、リハビリテーションが中心の医療や、疾病と長く付き合っていくような慢性期医療、さらには介護の領域などには、ほとんど関心がないのが実態でした。特に介護は、医療従事者が関わる領域ではないと考えられがちだったと思います。しかし、時代が、急性期医療に加えてリハや慢性期医療を含めた地域包括ケアを求めているのです。

 意識改革に取り組んだ結果、今では医師の意識はずいぶんと変わってきました。定例ミーティングなどでの発言からも、地域包括ケアに対する理解は深まってきており、各病院の実績からも明確に地域への貢献が見て取れます。地域に出ていくと、関係者間での信頼関係が面で築けているため、「いざという時はJCHOに頼もう」という関係になってきた。地域との連携については、国も診療報酬などで促進していますので、結果的に各病院の経営もプラスになっています。

訪看など実践ツールの強化、人材育成強化、好事例の共有

 JCHO組織全体として、地域包括ケアの観点では主に、以下の3点に取り組んでいます。

・地域包括ケアを実践するためのツール(事業所)を充実させる
・従事者の育成強化
・好事例の横展開

 事業所の充実としては訪看STを強化してきました。2014年度は、事業所数15カ所の訪問件数は延べ8万3000件だったのに対し、2017年度は事業所数を26カ所にまで増やし、訪問件数も延べ14万件にまで増えました。JCHO老健施設全体の在宅復帰率も、2014年度のおよそ34%から50%超にまで引き上げることができています。

 従事者の育成強化では、病院の看護部長や師長などを育成するため、認定看護管理者教育課程を採用しています。訪看ST事業で中核を担う人材育成にもつながるためです。また、公的医療グループとしては初めて、看護師の特定行為研修機関の指定を受け、昨年から研修を始めました。現在は80数人が受講中です。

 好事例の横展開については、組織のスケールメリットを発揮できるよう、各病院が地域で取り組む好事例を共有できるよう「医療機関が地域包括ケアに取組むための事例集」を発行するなど、工夫しています。ホームページで「地域包括ケアことはじめ五か条」も共有しています。

 今後は、リハビリ、老健施設、介護領域も含めた“見える化”を実現したいと考えています。既にDPCのベンチマークに基づく評価などは実行しており、JCHO組織全体として地域包括ケアに関する評価を可能にする、効果的な取り組みにつなげていきたいと考えています。

「先のものが後になり、後のものが先になる」

 私はキリスト教の信仰者ではありませんが、聖書には「先のものが後になり、後のものが先になる」という言葉があります。今まで医療界においては、ともすれば“お荷物”のような存在として光があまり当たってこなかった、リハビリや介護も含んだ領域が、今や時代の最先端になっています。ある意味では、われわれJCHOと同じような状況です。社会保険病院など、多くの病院は売却を前提に事業を整理していていく方向で検討が進んでいましたが、今では地域医療の一角を担う存在になっています。これからも「うちの地域にはJCHOがあるから安心だよね」と言ってもらえる存在でなければなりません。



http://www.medwatch.jp/?p=20911
都道府県担当者は「県立病院改革」から逃げてはいけない―厚労省・医療政策研修会 
2018年6月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、都道府県担当は「県立病院等の機能明確化、再編・統合」などから逃げてはいけない。そこで公平なジャッジが行われるかを、公的病院や民間病院は見ている。また、地域医療構想調整会議の議長等と、都道府県(本庁)の担当者との間で「ざっくばらんに議論できる」関係を構築できるかが、地域医療構想の実現に向けた重要な要素となる―。

 6月1日に厚生労働省が開催した「都道府県医療政策研修会」では、こういった議論が行われました。

ここがポイント!
1 県立病院等の再編から逃げるな、他の公的・民間病院との「公平性」確保が重要
2 公立病院等の再編・統合、住民への丁寧な「メリット」の説明が重要
3 調整会議議長等と都道府県担当者とで「ざっくばらんに議論できる」関係の構築を

県立病院等の再編から逃げるな、他の公的・民間病院との「公平性」確保が重要

 地域医療構想は全都道府県で策定され、その達成に向けて「如何に、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で実のある議論を進めるか」というフェーズに入っています。厚労省は定期的に調整会議の開催状況などをチェック(4半期に一度)しており、そこからは都道府県によって調整会議の進捗状況等に非常に大きなバラつきがあることが分かっています。

 会議冒頭、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「地域医療構想の業務は、地域の医療提供体制を守る大きな仕事である。これに携わることは宿命・運命であると捉え、真剣に取り組んでいただきたい。現在、国会で医療法・医師法の改正法案を提出し、医療政策に関する業務を都道府県に担っていただくことが増える。この点、厚労省も『都道府県が医療政策を担える』と考えており、そのための研修会でもある」と檄を飛ばしました。

 さらに佐々木地域医療計画課長は、想調整会議では、まず公立・公的病院の機能について「公立・公的病院でなければ担えない機能」に重点化・明確化していく点に触れ、「自治体病院を抱える都道府県もあると思うが、その取扱いを他病院はしっかり見ている。逃げずに、公平なジャッジをお願いする」と強く要請しました。自治体病院については、後述するように「首長の選挙公約マター」になっているケースもあり、ベッド数の削減や再編・統合に向けて都道府県が物を言いにくいこともあるようです。しかし、ここから逃げてしまうと、他の公的病院や民間病院から信頼を失い(身内に甘いと見られてしまいかねない)、地域医療構想調整会議の議論が進まなくなってしまうのです。佐々木地域医療計画課長は「覚悟をもって取り組んでほしい」と強調しています。
 
公立病院等の再編・統合、住民への丁寧な「メリット」の説明が重要

 都道府県医療政策研修会では、主に地域医療構想の実現に向けて、厚労省から都道府県や地区医師会の担当者等に対し「地域医療構想ワーキンググループ」や「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(いずれも「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)における議論の最新動向や、データ活用のためのスキルなどが伝授されるとともに、先進的な取り組みを行う都道府県からの事例報告と意見交換などが行われます。

 今般の研修会でも、5月16日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(関連記事はこちらとこちら)、5月23日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」における議論の状況が詳しく報告されました(関連記事はこちら)。

 前者の地域医療構想ワーキングでは、▼公立・公的病院の機能分化▼公立・公的病院の再編・統合▼都道府県単位の「調整会議」の設置と開催▼調整会議のアドバイザー育成―などが議題となりました」(関連記事はこちらとこちら)。

 このうち「公立・公的病院の再編・統合」については、参加者の関心も高く、活発な意見交換が行われています。

 例えば奈良県では、3つの公立病院を▼1つの救急病院(急性期機能)▼2つの地域医療センター(回復期・慢性期)―に機能分化。急性期機能を担う病院(南奈良総合医療センター)に医師配置を重点化したところ、急性期機能や医師派遣機能の向上、若手医師への魅力向上などの効果が出ているといいます。この点について厚労省担当者は「再編・統合のメリットを地域住民に丁寧に説明した」ところが大きいと分析。特に公立病院では、開設者である首長(県知事や市町村長)が、選挙の際に「公立病院の維持、さらには新規開設や増床」などを公約で打ち出すケースがあります。その中で、「病院の再編・統合」を病院側が単独で唱えれば、住民から猛反発を受けることもあります。そこで、例えば県知事が大所高所に立ち「現在のベッド数を維持することのデメリット」「再編・統合し、病床削減などすることのメリット」「再編・統合後の医療機関へのアクセス保障」などを丁寧に説明し、理解を得ることで、地域医療構想の実現に向けた大きく動きだせると考えられます。

 また茨城県では、例えば、▼筑西・下妻医療圏において、公立の2つの急性期病院と、1つの民間病院を再編・統合し、「2つの公立病院」(1病院は地方独立行政法人化、1病院は再編に参加した民間病院が指定管理者)とする【公立の県西総合病院、公立の筑西市民病院、民間の山王病院→公立の茨城県西部メディカルセンター、公立のさくらがわ地域医療センター】▼鹿行医療圏において、公的の2つの病院(済生会と労災)を再編・統合し、「本部病院」(350床)と「分院」(10床)として、本部病院に資源・機能を集約する【神栖済生会病院、神栖労災病院→神栖済生会病院の本院と分院】—ことが決まっています。

 
 後者については茨城県の担当者から、「済生会病院が労災病院を引き取る形になったが、給与等の格差が大きく(労災病院の給与>済生会病院の給与)、人員確保のために労災病院については現在の給与保障をせざるをえなかった。再編・統合を進めるために、こういった部分への支援も必要になるのではないか」との提案が改めてなされています。
 ちなみに、「病院が自主的にダウンサイジング(ベッド削減)」を行う場合、不要となる建物や医療機器の処分に係る損失(財務諸表上の特別損失に計上されるものに限り)について、2018年度から地域医療介護総合確保基金の対象事業に含まれています。病院が再編・統合する場合、病床規模を削減するケースも少なくなく、その場合、基金の活用によってハードルが少し低くなると言えそうです。厚労省担当者は「今後も、基金の対象事業について必要な拡大を行っていく」考えを示しています。

 もっとも、後者の統合事例では、現在の「合計378床」から新たに「合計350床」となり、わずかなベッド数削減しか行われません。この点について茨城県サイドは▼筑波大学病院からの医師派遣を受けるために、必要な教育環境を整える必要がある▼圏外の流出患者を圏内で診ることを想定している―と説明しましたが、会場(他の都道府県や医師会等の担当者)からは「合併した場合、医師数が減る可能性が高い。医師確保の見通しを立ててからベッド数を決めるべきではないか」として「再編・統合後の350床は多すぎる」との指摘が数多く出されています。この点、茨城県も「最終的に350床すべてをオープンできるかどうかは不透明である」ともコメントしています。

調整会議議長等と都道府県担当者とで「ざっくばらんに議論できる」関係の構築を

 ところで、大学病院や大規模な公立・公的病院では「高度急性期」機能を持つ病棟を抱えることが多くなります。地域医療構想では、地域(構想区域、主に2次医療圏)ごとに▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―の必要病床数を定めますが、「高度急性期は都道府県全域の患者の診ることになり、都道府県単位での検討が必要なのではないか」との意見も出ています。

 この点について厚労省担当者は、「地域医療構想を策定する段階で、高度急性期の機能等を織り込んでいるはず」と指摘した上で、「想調整会議で議論を進める中で見えてくる課題もある。そこで、都道府県単位の調整会議を設置し、例えば各調整会議の議長や基幹病院の管理者等が出席し、意見を調整することが期待される」とコメント。例えば、仮に「高度急性期病棟を持つ大学病院が、県全域の高度急性期医療を一手に引き受ける」方針が都道府県単位の調整会議で固まれば、アクセスの問題等は残るものの、各調整会議では「高度急性期を除く、急性期から慢性期に至る医療機能」について議論すればよく、より効率的な議論を円滑に進めることが期待されます。

 なお、関連して厚労省担当者は、調整会議の議論を円滑に進めるための重要な要素の1つとして、「調整会議の議長と、都道府県本庁の担当部局等がざっくばらんに議論できる関係の構築」を掲げました。この点からも、都道府県単位の調整会議を設置することで、各調整会議の議長等と、これまで以上に「顔の見える関係」を築けると期待されます。すでに県単位の調整会議を設置している佐賀県では、通常の調整会議以外にも、2年間で50回以上の懇談会、研修会、意見交換会を開催。公立病院の再編論議なども円滑に進んでいるといいます。
 
 なお、厚労省は8-9月に第2回研修会を開催する予定で、同時に各都道府県から推薦された地域医療構想アドバイザー(地元大学医学部の研究者などを想定)への最新情報提供なども行う考えです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/607404
「2040年問題」、主眼は給付費増より医療福祉従業者数
医療部会、社会保障給付費の将来推計等について議論
 
レポート 2018年6月6日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)が6月6日開かれ、厚労省大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人氏は、2040年度の社会保障給付費の将来推計について、「とても負担できないのではないか、という意見があったが、社会保障給付費が対GDP比24%という水準は、今のドイツに近く、フランスではもっと高い。世界に類を見ない水準というわけではない」と説明した。

 厚生労働省は5月21日、経済財政諮問会議に対し、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」を提示した。日本の高齢者数がピークを迎えるのが2040年頃だ。医療・介護給付費については、「現状投影」と、病床機能分化や後発医薬品の普及などを実施した「計画ベース」で推計。「計画ベース」と「現状投影」の差は、医療給付費はマイナス1.6兆円、介護ではプラス1.2兆円で、全体ではマイナス0.3兆~0.4兆円。年金等を含む社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%から、2040年度には23.8~24.0%に増加すると推計(『2040年度の医療費、66兆7000億円、政府推計』を参照)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、伊原審議官の説明を評価、「社会保障の持続可能性を危ぶむという議論ばかりだったが、久しぶりに安心した。ぜひその雰囲気で話してもらいたい」とコメントした。中川氏は、「医療給付費がマイナス1.6兆円という推計は、地域医療構想を進めても、あまり変わらないという認識か」とも質問。厚労省保険局調査課長の山内孝一郎氏は、「見方はいろいろあると思うが、介護と合わせてみればそれほど変わらない」と答え、今回の推計は給付費の増減ではなく、将来の給付費の規模感を示すのが目的であると説明した。

 これに対して、将来推計で危惧されたのは、医療福祉分野における就業者数の見通し。日本の就業者数全体に占める割合は、2018年度は12.5%だったが、2040年度は18.8%と推計(計画ベース)。医療・介護の需要が一定程度低下し、ICT等の活用により、医療・介護の生産性が向上した場合は、16.5%となり、「規模感としては、2025年度の14.7%と同程度の水準」(山内課長)。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、社会保障給付費については「アンコントローラブルではないという印象」とした一方、経済財政諮問会議で在留資格を緩和して、外国人人材の受入拡大方針を打ち出していることを踏まえ、「外国人の介護労働力を受け入れるべきではないと言っているわけではないが、東南アジアの特殊出生率は急激に減少しており、若年の労働者は減っている。在留資格を緩和すれば、外国人が来てくれると考えるのは間違いで、その点を考慮する必要がある」と指摘した(『介護分野で外国人人材の受入拡大、経済財政諮問会議』を参照)。

 経団連常務理事の井上隆氏は、「就業者数に占める割合が2割くらいになれば、日本経済の重要な産業分野になる。産業としての社会保障を前向きに捉えてもらいたい」と述べ、成長の可能性がある産業という側面に光を当てた前向きな議論を求めた。

 地域医療構想と5疾病5事業の調整は?

 そのほか6日の社保審医療部会では、地域医療構想の進捗状況(『「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ』を参照)、医師需給分科会の第3次中間取りまとめ(『医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承』を参照)、検体検査の精度管理等についての省令改正、医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の施行などについても報告された。

 地域医療構想について、島崎氏は、「医療計画の5疾病5事業は、どのように整理されていくのか」と質問。「地域医療構想は、構想区域、ほとんどが2次医療圏であり、その中での医療機能を議論している。一方、5疾病5事業を医療計画に定めたのは、2次医療圏という単位に必ずしもこだわらない仕組みを構築していくのが目的だった」。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、医療法に基づき、各都道府県に医療審議会が設置されており、医療計画および5疾病5事業については、同審議会やそのワーキンググループで議論していると説明。地域医療構想の構想区域ごとの調整会議は、医療審議会とキャッチボールしながら検討していくことが必要であるとした。

 奈良県福祉医療部長の林修一郎氏は、「医療計画、地域医療構想などは、それぞれ別々の会議体で議論し、県庁内でも所管が異なるため縦割りになる。そこをいかに調整するかが県の腕の見せどころ。奈良県では、集約化すべき医療と、均てん化すべき医療を考えながら進めている」と述べ、5疾病5事業と地域医療構想の調整は県に委ねられている現状を説明した。

 地域医療構想についてはそのほか、中川氏が次のようにコメントした。「地域医療構想における公立病院、公的医療機関等の扱いについて、私はこれまで『新公立病院改革プランや公的医療機関等2025プランを策定して、民間病院と競合していたら、公立病院等は引くべきだ』を発言してきたが、少し舌足らずだった。たとえ競合していても、医療レベルによっては、公立病院等が頑張るべき場合もある。税金を投入しているからと言って、『公立病院等、イコール悪』と決め付けるべきではない」。

 医療放射線、線量の把握が第一

 医療放射線の適正管理については、その推進を求める声が複数出た。日本では単純X線撮影やX線CTの検査件数が多く、有益性と有害性を踏まえ、医療被ばくをいかに適正管理するかが課題となっている。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「患者は複数の医療機関を受診している場合もある。(全体で)継続的にどのくらいの線量を浴びているかというデータを把握していないと、適正化を図ることができないのではないか」と質問。佐々木課長は、「現時点では各医療機関レベルで医療被ばく量を記録するルール自体がないことから、それを記録していくことが優先」と説明。継続的な医療被ばく量の管理については、引き続き検討していくとした。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「日本の医療被ばく量が多いことは分かるが、それによって診断性が向上し、早期発見につながっている面もある」と指摘し、有害性についてのデータの有無などについて質問。佐々木課長は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告の「診断参考レベル」などを基に検討していくと回答した。



https://mainichi.jp/articles/20180606/ddl/k11/040/046000c
増床計画を公募 不足7医療圏で 来月から /埼玉 
毎日新聞2018年6月6日 地方版 埼玉県

 県は7月から、今後3年で不足すると推計される医療機能に対応する病院などの整備計画を公募する。県内10の「2次保健医療圏」(入院医療体制を整備するため、医療法に基づき都道府県が設定する地域単位)のうち、7医療圏で計1638床の増床を目指す。

 昨年3月末の県内の病床数は5万375床。医療法に基づく基準病床数4万3598床は上回っているが、県の地域医療構想では2025年には5万4210床が必要になると推計されるため、県は国と協議。20年度末までの必要数として7141床の加算が認められた。このうち、病床不足が見込まれる地域の整備計画を医療機関などから公募することにした。

 公募する病床の機能は、地域包括ケアや回復期リハビリテーションなどに必要な病床▽がんや脳卒中、心血管疾患に対応する高度専門医療や救急、周産期、緩和ケアなどの病床。21年3月末までの着工が条件。対象地域は、医療機関が不足していないさいたま(さいたま市)▽北部(熊谷市など3市4町)▽秩父(秩父市など1市4町)--以外の7医療圏。

 7月23日~8月24日に受け付け、地域医療構想調整会議で協議の上、来年1月に採用する計画を決定する予定。【内田幸一】



https://this.kiji.is/376751300249207905?c=39546741839462401
長崎大病院が「医療人育成室」 民間病院内に開設 地域医療維持と研修医教育を両立 
2018/6/6 00:136/7 00:13 長崎新聞

 長崎大学病院(長崎市坂本1丁目)は、研修医が学外で地域医療を学ぶ教育拠点「長崎医療人育成室」(N-MEC)を、同市南部の民間病院、長崎記念病院(深堀町1丁目)内に開設した。市中心部から離れた南部地区は人口減少地域で、十分な医療人材が確保しにくい状況。このため、長崎大学病院の医師が長崎記念病院に常勤しながら研修医も指導。地域医療の維持と教育充実を両立させ、人材育成を進めるのが狙い。
 長崎大学病院として初の試みで、全国的にも珍しい。研修医は、2年間の初期研修期間中に地域の医療機関で最低1カ月間の地域医療研修が義務付けられている。N-MECは、この受け入れ拠点で、長崎大学病院医療教育開発センター(濱田久之センター長)の下部組織として1日発足。小出優史副センター長が同日付で室長(教授)に就いた。
 N-MECは長崎記念病院が人件費を負担。小出室長は同病院で診療に従事しながら研修医の教育に当たる。今月中旬から本格始動し、本年度は研修医5人を順次配属。地域医療を学びたい大学病院の看護師も受け入れ、既に2人が勤務している。
 高齢化の進展で全国的に医療需要が増大する中、医師や看護師は都市部に集中し、過疎地などでは確保が困難な傾向。長崎記念病院は救急から在宅医療まで担う地域の中核病院だが、近年、医師や看護師の確保に苦慮していた。
 一方、研修医の研修先も大都市部に人気が集まる傾向。長崎大学病院は研修医確保のため、教育内容の充実に努めてきた。N-MEC開設については、費用負担が抑えられる上、教員のポストを増やせるという大学病院側の運営上の利点もある。今後、県北地区にも拠点を1カ所設ける方向で検討している。
 濱田センター長は「地域医療の崩壊を防ぎながら、地域に根差した若手の医療人が育つことを期待したい」。長崎記念病院の福井洋会長は「優れた医師や研修医により病院を活性化できる。地域ぐるみで若い医師、看護師を育てたい」と話している。



  1. 2018/06/10(日) 09:25:04|
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