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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月27日

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-05-26/2018052605_03_1.html
医師不足の実態深刻
倉林氏“健康のため増員を”
参院厚労委
 
2018年5月26日(土)しんぶん赤旗

 日本共産党の倉林明子議員は17日の参院厚生労働委員会で、医師の人員不足と長時間労働の問題を取り上げ、医療の安全と医師の健康のために診療報酬引き上げと増員を求めました。

 経済協力開発機構(OECD)調査で、日本の人口1000人当たりの臨床医数は加盟国の下から4番目、病床100床当たり医師数でイギリスは日本の7・5倍、フランス、ドイツは3・7倍です。武田俊彦医政局長は、「日本は諸外国より病床数が多い。近年、医学部の定員を増やしている」などと言い訳しましたが、医師不足を否定できませんでした。

 倉林氏は、フランスの医師は、週の労働時間が48時間、当直後24時間休息の義務付けとなっていると紹介し「これが目指すべき医師の働き方ではないか」と指摘。厚労省が2028年には医師数が充足すると推計していることについて「時間外・休日労働も含めて推計しているのか。多くの医師は労働時間が自己申告制で正確ではない。推計をやり直し、医師を増員すべきだ」と主張しました。

 加藤勝信厚労相は「医師の養成数、時間外労働など、医師の働き方改革に関する検討会での議論を踏まえていく」と述べました。



https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201805/0011296023.shtml
医師不足、赤字穴埋め限界に 三田市民病院再編へ 
2018/5/26 21:30神戸新聞NEXT

 三田市民病院(兵庫県三田市けやき台3)の他病院との統合・再編に向けた動きが、徐々に進んでいる。経営に民間の視点を持ち込んだり、病院の規模を拡大したりして、国主導で公立病院の経営を効率化する動きが加速しているためで、三田でも2018年度中に一定の方向性が決まる見通しだ。

 ■集まらない医師
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3092965024052018L21000/
新潟県村上市、医師不足解消へ新たな奨学金
北関東・信越
 
2018/5/24 23:00 日本経済新聞 

 新潟県村上市はこのほど、地域の医師不足解消を目的とした医学生向けの新たな奨学金の貸与を始めた。2018年度から実施を始めた制度で、将来市内の病院に医師として一定期間勤務した場合は返済を免除する。初年度はまず私立大学生1人を対象に、月30万円の修学資金を無利子で貸与する。

 新たな奨学金制度は村上市内で医師として勤務する意思を持っている人が対象で、国立大学、私立大学の学生にそれぞれ月額15万円、30万円を貸与する。19年度の貸与対象者は今年12月から来年2月頃に若干名を募集する予定だ。

 臨床研修後の12年以内に、市内の病院で4年間勤務すると資金の返還が全額免除になる。市の担当者は「免除要件が過ぎた後も長期間、村上市で活躍し続けてほしい」と話している。

 新潟県内の人口当たり医師数は全国平均を大幅に下回り、村上市は県平均よりも水準が低い。

 新たな奨学金を通じて将来の医師確保につなげる。



https://www.kahoku.co.jp/editorial/20180525_01.html
医学部定員減へ/医師偏在の解決が先決では 
2018年05月25日金曜日 河北新報

 厚生労働省が全国の大学医学部の定員を削減する方向性を打ち出した。医療従事者の需給に関する検討会の専門部会が2022年以降、定員を削減する方針を承認した。
 医学部定員は06年にそれまでの抑制策から増加策に転じた。その後も地域の医師確保の観点から定員の増加を図ってきた。しかし、東北地方をはじめとして、地方の医師不足の問題は、なお解消には程遠いのが現状だ。
 削減を議論する前に、地域医療を充実させる具体的かつ実効性のある方策を実現に移すのが先決ではないか。医師の地域的な偏在だけでなく、診療科における偏在の問題も残されたままだ。
 地方の医師不足の解消に向けては、国会に医療法などの改正案が提出されている。定員削減を巡る検討は、改正案の成立の後、その実効性が実際に確保されてからでも遅くはない。地域医療に不安を与えるような性急な削減は避けるべきだろう。
 厚労省の推計によると、全国の医学部の定員が現状の約9400人のまま維持されると、28~33年には需給が均衡し、医師不足は解消すると見られる。その後は需給が逆転するため、卒業が28年以降となる22年の入学者から削減する必要があるという。
 確かに、医学部学生の定数は、緊急医師確保対策や学部の新設などで約10年前より1800人近く増えた。近い将来、医師不足が解消するという厚労省の推計は間違っているとは言えない。
 ただ、医師の総数が充足したからと言って、地域間での医師の偏在が容易に解消されるわけではない。現に、厚労省は「医学部の定員が抑制から増加に転じて以降、むしろ地域間での格差が広がっており、その解消が急務」と分析している。
 厚労省のアンケートによると、医師の44%が地方で勤務する意思があると回答。それにもかかわらず、実際には勤務に結びついていない。理由は労働環境や仕事内容の過酷さ、子どもの教育に関する不安などだ。
 改正案は、医師確保のための都道府県の体制強化を中心に、研修病院の指定権限の国から地方への移譲、入学者の地域枠を設定するよう要請する権限の創設など、多様な対策を盛り込んだ。
 目新しいのは、医師不足に悩む地域で一定期間、勤務した医師を「社会貢献医」として認定し、各種の優遇策の対象とする制度の導入だ。効果については賛否があるが、地域医療への貢献の動機付けになり得る新たな制度と言っていいのではないか。
 医師不足に悩む地域の住民はこれまで長い間、都市住民に比べると、健康面での不利益を受けてきた。地域医療に従事する医師など医療従事者の不安を解消し、医療を充実させるさまざまな対策をまずは実行したい。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180524202015
医師の働き方改革、「慎重な検討を」
全自病が厚労省などに要望
 
2018年05月24日 20:40 CBニュース

 全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は24日の記者会見で、全国自治体病院開設者協議会と共同でまとめた要望書を、厚生労働省などに提出したことを明らかにした。医師の働き方改革について、医師への時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊につながらないよう、慎重な検討を求めている。【松村秀士】

 要望書は、15日に厚労省や文部科学省、総務省に提出された。その中で、国が医師の働き方改革について検討する際は、医師の応召義務と労働量規制との関係についての十分な議論と整理が不可欠だと強調。また、時間外労働規制の課題をクリアするための医師らの増員は「実現が困難」と指摘している。

 その上で、厚労省の検討会などで医師の働き方改革について議論する際は、「慎重な検討」を行うよう要望。さらに、国が医療機関に対して労働時間に関する指導を行う場合、病院で働く医師の勤務実態などを十分に考慮すべきだとの考えも示している。

 医師の働き方改革をめぐっては、厚労省の検討会の会合が6月末ごろに再開される見通しで、今後、医師への時間外労働規制の在り方などの議論が本格化する。

■開業規制と診療科ごとの医師数規制の導入検討を

 要望書には、医師の地域偏在や診療科偏在の解消に関する提言も盛り込まれた。医師の需給調整に必要な開業規制と診療科ごとの医師数の規制の導入を検討し、専門医数の制限や医師不足地域で一定期間勤務することを義務付け、医療提供体制の「均てん化」施策を早急に実行することを求めている。

 また、医師不足を解消するため、女性の医師が出産や子育てなどで休職した後、医療現場に復帰できる「働きやすい環境」の整備も必要だとしている。

■医師の偏在対策などで日医と懇談

 邉見会長は会見で、「医師の働き方改革」や「医師の偏在対策」をテーマに、日本医師会と懇談したことを明らかにした。今後も年に2回程度、意見交換する予定だという。




https://mainichi.jp/articles/20180522/k00/00m/040/053000c
厚労省
医学部定員、削減検討 22年以降 報告書まとめ
 
毎日新聞2018年5月21日 19時31分(最終更新 5月21日 19時31分)

 医師不足の問題を検討する厚生労働省の専門家会議は21日、2022年以降の全国の医学部入学定員を削減するよう求める報告書をまとめた。将来的に医師数が過剰になるとみられるためで、削減幅など詳細は20年までに検討する。

 医師不足問題を受け、国は卒業後地元で一定期間働くことを要件とする「地域枠」を設けるなど医師増員を図ってきた。専門家会議は当面、現行の医学部定員(約9400人)を維持することを認めた。この場合、20年の入学者が臨床研修を終える28年ごろまで医師不足が続くが、その後は需給が逆転すると推測される。

 このため専門家会議は、卒業が28年からとなる22年以降の入学定員は削減する必要があるとの考えで一致した。ただ、全国的には医師数が足りても、地域間や診療科間で偏在が解消されない可能性がある。こうした動向を踏まえて定員削減を議論する。【熊谷豪】



http://www.medwatch.jp/?p=20639
2022年度以降、医学部入学定員を「減員」していく方向で検討を―医師需給分科会 
2018年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2020・21年度の医学部入学定員は、トータルで現状を維持したうえで、各都道府県や各大学の要望を慎重に精査していくこととしてはどうか。2022年度以降については、将来的に医師供給が過剰になることに鑑み、医師の働き方改革論議や医師偏在対策の効果を踏まえながら、「減員」に向けて検討していくことしてはどうか―。

 5月21日に開催された医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方向(第3次中間取りまとめ案)が確認されました(関連記事はこちらとこちら)。近く、親会議「医療従事者の需給に関する検討会」と医師需給分科会との合同会議を開き、そこで正式に取りまとめることになります。
 
ここがポイント!
1精密な医師需給見通しの結果、2018-33年以降、医師の供給過剰が明らかに
2 2022年度以降、医学部の入学定員を「減員」する方向で検討
3 総合医と専門医の必要数を示し、医師の過不足を検討すべきとの指摘も
4 地域枠の恒久定員化、大学医学部は「各大学が自主的に判断すべき」と主張
5 2020・21年度は、現在の定員を維持した上で、各地域の状況を精査


精密な医師需給見通しの結果、2018-33年以降、医師の供給過剰が明らかに

 医師の需給見通しについては、2016年5月の医師需給分科会(以下、分科会)で、地域医療構想に基づき、高度急性期や回復期などの機能ごとに医師の必要数を推計する手法を用いて、「2018年から33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」との結果が導かれました(医師の勤務時間改善状況に応じて、均衡時期がずれる)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 その後、▼「医師人口ピラミッド」を作成し、医師人口の動態を見ていく(長時間労働の多い、若手医師数の変化などを勘案する)▼最新の調査研究に基づき性・年齢階級別の「仕事量」を勘案する▼医師の働き方改革について一定の仮定を置く(医師の時間外労働を▼一般労働者並みの月60時間とする▼過労死ガイドラインに基づき月80時間とする▼米国の研修医並みの週80時間とする―など)―といった「精緻化」を実施。次のように、やはり「2018-33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」ことが分かりました(関連記事はこちら)。

【医師の需要がもっとも大きくなるケース1】(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)
→2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要が中程度となるケース2】(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)
→2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要がもっとも少なくなるケース3】(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)
→2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる
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2022年度以降、医学部の入学定員を「減員」する方向で検討

 このように「将来的に医師の供給過剰となる」ことが予想される中では、医師の養成数、つまり「医学部の入学定員」を徐々に縮小していくことが必要となるでしょう。

医学部の入学定員については、地方の医師不足・医師偏在を是正する観点から、現在、「恒久定員」(下図の青色の部分)に加えて、臨時の定員増(臨時定員)が行われています。臨時の定員増は、▼医師確保が必要な地域・診療科のための暫定増(下図の黄色の部分)▼地域枠などを設定するための追加増(下図の赤色の部分)—に分けられます。
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当面の医学部入学定員
 
分科会では、「将来の医師供給過剰」を踏まえて、「将来的(2022年度以降)な医学定員の『減員』」に向けた議論の必要性が確認されました。もっとも、▼地域・診療科によっては医師不足が生じる(解消できない)▼AIなどの技術進展により、医師を取り巻く環境が短期間に変化していく—ことから、「定期的に医師需給推計を行い、将来的な医学部定員の『減員』に向けて、医師養成数の方針などを見直していく」ことになります。医師配置の直近の状況(つまり偏在対策の効果)を見ることができる医師・歯科医師・薬剤師調査が2年に一度行われることに鑑み、「2年ごとに見直してはどうか」との指摘も出されています。
この点、前者の医師不足については、「何を持って医師不足と判断するべきか」という論点があります。現在は、「人口10万対医師数」を用いて医師の供給状況を判断していますが、今後はより多面的に、例えば▼医療ニーズ▼将来の人口・人口構成の変化(高齢者が増えるのか、高齢者も減っていくのかなど)▼医師偏在の単位(区域、診療科、入院/外来)▼患者の流出入▼医師の性・年齢(働き方が異なるため)▼へき地や離島等の地理的条件—などを加味した、医師の供給状況を判断するための「指標」を作成することになります。厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「この分科会で、指標作成に向けた議論をしてほしい」との考えを示しました。当該指標に沿って「医師が不足している」と考えられる地域についてはもちろん、各都道府県が「医師が散在しており、特別の対策が必要ではないか」と判断した場合などには、医師供給に向けた対策をとることが求められるでしょう。

総合医と専門医の必要数を示し、医師の過不足を検討すべきとの指摘も

また、将来の医師需給に関して、神野正博構成員(全日本病院協会副会長)や今村聡構成員(日本医師会副会長)、福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)らは「診療科別の偏在」についても十分に検討する必要があると強調しています。例えば福井構成員は、「今は、医師が自由に専門性を選択できるが、『ジェネラリスト(総合医)とスペシャリスト(専門医)のバランス』を勘案し、コンセンサスを得た上で、一定程度の調整を行っていくことも必要になってくるのではないか」と問題提起。神野構成員も「総合医はこれだけ必要となり、領域別の専門医の必要性はこの程度にとどまります」という数字を「強い偏在対策」として打ち出す必要があると訴えています。

こうした指標の作成や、総合医と専門医のバランスを考慮するためには、すべての医師が「どういった専門性を持ち、かつてどこで勤務し、現在はどこで診療を行っているのか」を明らかにする必要があります。分科会でも、今村構成員や羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)が、いわゆる「医師データベース」の構築を厚労省に強く要望。このためには、例えば新専門医制度を統括する日本専門医機構や各学会の全面的な協力が不可欠となるでしょう。

 
ところで、2022年度以降の医師需給を考えるに当たっては、現在、議論されている「医師の働き方改革」の結論、国会で審議中の「医師偏在対策」(医師法改正案)の効果を踏まえる必要があります。しかし、前者「働き方改革」の結論は2019年3月を、後者「偏在対策の効果」確認は早くても2019年12月(2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査結果)を待たなければなりません。一方、2022年度の医学部入学定員に向けた方針は、遅くとも2020年5月には固めなければいけません。この短い検討時間からは「議論が十分に行えないのではないか」とも思われますが、厚労省は「下準備となる議論を早めに進める」などの対策をとる考えです。

 なお、松田晋也構成員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)は、「若手医師や医学生の声、さらに60歳代、70歳代の医師が今後のキャリアをどう考えているのかという声を調査する必要がある」と、裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は「大学医学部の経営・マネジメントを考えたとき、随時の情報提供を行うことはもちろん、急激な方向転換は避ける必要がある」と指摘しています。

 厚労省医政局の武田俊彦局長は、こうした意見を踏まえ「大学関係者等も含めて『予測可能』な形で、かつ全体像が見え(例えば医師需給と偏在対策は表裏一体の関係にある)、堂々巡りにならないように議論が進むよう努力していく」旨のコメントをしています。

地域枠の恒久定員化、大学医学部は「各大学が自主的に判断すべき」と主張

 医学部定員の「減員」を行う際には、順序として「臨時の定員増」の縮小や廃止をまず考えていくことになるでしょう。

 しかし、臨時の定員増のうち「追加増」には、「地域枠」が含まれており、これをどう考えるのかが大きな論点となります。

 分科会では、これまでに「医師の地域偏在解消にとって地域枠は極めて有用である。地域枠は『恒久定員に含める』形としてはどうか」といった意見が多数出されています。ただし、新井一構成員(全国医学部長病院長会議会長)は、「地域枠の設定は、各大学が判断すべき事項であり、一律に『地域枠を恒久定員に盛り込む』ようなことは避けるべき」との考えを示しています。各大学で「本学では、恒久定員の中で地域枠を設けよう」と自主的に考えるべきとの主張で、「地域枠を恒久定員に盛り込んではいけない」とコメントしているわけではない点に留意が必要です(関連記事はこちら)。

2020・21年度は、現在の定員を維持した上で、各地域の状況を精査

 これまで2022年度以降の医学部定員を見てきましたが、2020・21年度はどうなるのでしょう。2020年度には現在の高等学校2年生、2021年度には現在の高等学校1年生が大学医学部に入学します。

この点について、検討会では「医師の働き方改革に関する結論が出ていない」「医師偏在対策の効果が明らかになっていない(現在、医療法改正案の審議中)」ことなどを踏まえ、暫定的に現状の医学定員を概ね維持する考えを固めています。具体的には、「2019年度の医学定員を超えない範囲で、医学部定員増に関する各都道府県・各大学の要望について必要性を慎重に精査していく」ことになります(具体的な各大学の医学部入学定員は、これから検討)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605066
会長に山下・山形大医学部長、副会長は羽生田・愛知医大病院長、AJMC
「卒前・卒後のシームレスな医師養成で、諸問題の解決目指す」
 
レポート 2018年5月26日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)の新会長に山形大学医学部長の山下英俊氏、副会長に愛知医科大学病院長の羽生田正行氏がそれぞれ就任することが5月25日に決定した。任期は2年。

 AJMCは25日に定例社員総会を開催、任期満了に伴う役員選挙を実施した。全国6つのブロックから推薦された計30人の理事選任を決議。その後の理事会で山下会長、羽生田副会長の選任が決議された。会長推薦候補は、山下氏以外にはいなかった。

 山下氏は、理事会後の取材で、「医学教育を充実することで、医師の地域や診療科の偏在、医師の働き方改革などの問題を解決していきたい。地域医療構想においても、大学の果たす役割は大きく、教育を軸にして社会貢献をしていきたい」と語り、卒前・卒後のシームレスな医師養成に力を入れていくと表明した。AJMCでは、医師養成に関連した長年蓄積したデータ等を有することから、エビデンスを基に、各種提言、対応をしていく方針。AJMC の各種専門委員会の構成や委員の見直しにも着手する。

 羽生田氏は、大学病院が抱える課題として、「医師の働き方の問題は非常に大きい。医師の自己犠牲の上に、医療が成り立っている現実が明らかになってきた」などと述べ、今の局面を乗り切っていく必要性を指摘した。

 山下会長は、「医学教育が非常に大事な時期。医師の卒前教育から卒後の研修まで大改革が進んでいる」と指摘。教育を軸に医療の諸問題を解決していくに当たって、卒前・卒後のシームレスな医師養成、その中での医学教育における臨床実習を充実させる必要性を強調した。「それにより、その後の研修も充実できる。幅広い臨床能力を持った中で、それぞれの専門性を持つような医師を養成していきたい」。

 山下会長は現在、日本専門医機構の副理事長も務める。新専門医制度は医師の地域・診療科偏在の問題と密接に関係するが、「法律で強制的に医師を配置するのではなく、医師が育つプロセスの中で医師の配置を考えていかなければならない。(医師不足などの)地域に医師が定着するためには、循環型の研修で地域にいても専門医が取得できる仕組みが必要」と指摘した。

 地域医療構想についても、「成否は大学をいかに使うかにある」と山下会長は指摘。大学は地域医療をよく知る立場から、実情に合わせた医師派遣を通じて、医療のクオリティー・コントロールができるとし、地域医療対策にも積極的にもかかわっていく方針。



https://toyokeizai.net/articles/-/221256
ピンチ!がん治療の危機を招く「病理医」不足
病気の発見・診断・治療が遅れるリスクを生む
 
小倉 加奈子 : 順天堂大学練馬病院病理診断科先任准教授
2018年05月25日 東洋経済オンライン

今、日本のがん治療が危機的な状況を迎えようとしている。

日本人の死因で最も多いがんの治療には、外科医だけでなく、病気の診断を専門とする病理医の存在も欠かせない。だが、その数が圧倒的に不足しているのだ。

このまま病理医が増えないと、日本の医療の根幹が揺らいでしまう。

■最も不足している「もうひとりの主治医」

昨年、女優の芦田愛菜さんが将来の夢に病理医を挙げて話題をさらったことで、病理医の存在を初めて知った方も多いのではないだろうか。

病理医は、検査で採取された細胞や組織の一部である「病理検体」を顕微鏡で観察して、病気を診断する専門医である。病理医がいる検査室には、頭のてっぺんから足の先まであらゆる細胞や組織が届けられる。

病理診断は病気を確定する最終診断となり、病理診断がないと治療は始まらない。それはがんも同様である。

病理医は、がんの手術で切除された臓器を観察し、ステージを確認する。腫瘍が取り切れているのかどうか、がんがどの程度進行しているのか。こうした視点でも病気の広がりを診断する。手術の方針を決めるための診断も行う。

このように病理医は、患者に直接会うことのめったにない医師であるが、誰よりもその患者の病気を熟知している「姿の見えないもうひとりの主治医」といえる。

だが、病理医は非常に不足しているといわれる。

一般的に病理医を必要とするのは、病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つ「病院」だ。厚生労働省の医療施設調査・病院報告(2016年)によると、病院数は8442。これに対し、病理医数は2405人(日本病理学会調査、2017年10月現在)となり、その差は6037にも上る。

一方で、病理診断件数は増加している。

診療行為の状況を毎年6月に調査する厚生労働省の社会医療診療行為別統計によると、2011年に43万8533件だった病理診断の数は、5年後の2016年には53万948件と9万2千件以上も増えている。単純にこの数を12カ月分で計算すると、年間ベースで100万件以上も増えたことになる。

これは、抗がん剤の開発が非常に進んでいる中、抗がん剤の効き目があるのか否かを病理検査で確認する機会が増えていることが主な理由である。

このようにがん治療において、病理医が大きな役割を担うことが増えているが、がん専門の病理医数は十分とはいえない。

厚生労働省によると、2016年時点でがん診療連携拠点病院に指定されていた400施設うち、50施設で常勤の病理専門医が不在だったという。がん診療拠点病院はいわゆる「大病院」が多い。ところが、その「大病院」ですら病理医を抱えていないという心もとない状況なのである。

■病理医不足は患者にも影響する

病理医が不在の病院は当然、自前で検査できないため、外部の検査センターに病理検体を送る。しかも、わざわざ日常業務以外の時間を割いて別の病院から駆けつけた病理医が診断しているというありさまである。

さらに、検査センターでの診断は歪んだ状況を生んでしまっている。

診断という医療行為は、医師法によって医療施設で行わなければならないと定められている。よって、検査センター経由の病理検査は法律上診断とみなされないが、病理医が不足している現状では、こうした実態を「暗黙の了解」として認めざるをえないのである。

患者にも影響を及ぼす。

検査センターで診断を下す病理医は、依頼主である医師と面識がない場合がほとんどである。こうなると、仮に病理医が診断する上で確認したいことがあっても、医師とうまくコミュニケーションを取れなくなる。

病理診断はかなり専門性が高いため、その内容を病理医と主治医の間で直接ディスカッションする必要が時にある。

筆者が勤める病院では、手術に向けた話し合いを総合外科と週2回行うほか、婦人科腫瘍・皮膚疾患・脳腫瘍・乳がん・肺がん・泌尿器腫瘍・血液疾患の担当医たちとも、治療に向けた話し合いの場を月1回のペースで設けている。

だが、病理医が不在だと、患者の主治医と病理医がさまざまな症例を討議する場すら作れない。

主治医と病理医の連携が取れていないと、病理診断やその後の治療方針などを相談することが難しいといった弊害も起きる。結果、検査に要する時間が長くなり、患者に診断結果を伝えるスピードが落ちる。これに加えて、病院に病理医が不在の場合、手術中に迅速な診断を下せなくなる。

がんの治療は早期発見、早期治療が原則。だが、診断が遅れれば治療も遅れる可能性がある。いわば患者が「病理診断難民」になる恐れがある。

■病理医不足の解消は待ったなし

常勤の病理医が1人しかいない「ひとり病理医」という問題も起きる。病理診断件数が増加し、病理診断の専門性もどんどん高まる中、病理医1人で全臓器、全疾患の病理診断を担うことは負担が大きすぎる。

病理診断は一つひとつまったくケースが異なる。良性の病気なのか悪性の病気なのか非常に慎重に見極めなければならない症例があれば、まれな病気だとエキスパートの病理医に意見を仰ぐ必要がある場合もある。実際、病理医1人では診断をさばききれず、検査センターに病理検査の一部を外注するケースも増えている。

医師である以上完璧な仕事を目指すべきだが、いくら優秀であってもケアレスミスがまったく起こらないとも限らない。こうしたことから病理診断は、2人以上の病理医で行うことが推奨されている。

病理診断の件数が今以上に増えていけば、病理医の日常業務が過密になり、2人以上の病理医で診断を下したとしても、誤診が起こる可能性も否定できなくなる。しかし、病理医の数が圧倒的に増える見通しはない。

病理医は病気の最終診断を下す。医療現場における「最後の砦」ともいえる病理診断で誤診が起きれば、致命的なミスになりうる。必要のない治療がされるか、あるいは必要な治療が行われないという可能性だって出てくる。

病理医不足の解消は待ったなしなのである。



http://www.medwatch.jp/?p=20634
2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構 
2018年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 来年度(2019年度)の新専門医制度を目指す専攻医の募集に向けて、2018年度の専攻医登録データをより詳細に分析し、早急に5都府県のシーリング(募集定員の上限)などを見直す必要がある。また「地域枠」出身の医師が近く専攻医となるため、適切な専門医研修を受けられるよう、機構でも知恵を出し、都道府県などにも協力を要請する―。

 日本専門医機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は5月18日の定例記者会見で、このような考えを示しました。
 
今年(2018年)9月から、2019年度の専攻医募集開始、シーリングの見直しも検討

 2018年度から、新たな専門医制度がスタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

ただし、「質の担保を追求するあまり、専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘があり、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省などが重層的に、「医師偏在の助長を防ぐ仕組み」を設けています。

その1つとして、「5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)において、▼外科▼産婦人科▼病理▼臨床検査—の4領域を除き、専攻医の募集定員を過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える」といったルールが設定されました。

2018年度の状況を踏まえて、機構は「少なくとも医師の地域偏在は助長されていない」と強調していますが(関連記事はこちらとこちら)、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では「医師の東京集中が促進されているのではないか」との指摘もあります(関連記事はこちら)。

機構は、こうした指摘も踏まえ「2019年度の専攻医定員」などを、どのように設定すべきかを検討する考えを提示しています。2019年度の専攻医については、この9月1日(2018年9月1日)から募集開始となる予定です。募集は各基本領域学会が行い、その前に「研修プログラムの設定」などを行う必要があり、「2019年度の専攻医定員をどう考えるか、5都府県のシーリングをどう設定するか」などを早急に決定する必要があります。

5月17日の機構理事会では、「2018年度の専攻医登録状況について、東京都では『1年目、2年目、3年目に、地方にどれだけの医師が派遣されるか』などを分析し、『3年目には半数近くが地方派遣となる』ことを確認した。シーリングをかけている、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県でも同様の分析を行う必要がある」「診療科別に偏在が助長されていないか、まず登録状況を詳しく分析する必要がある」といった意見が出たことが紹介されました。

診療科別の状況について、松原副理事長は「内科、外科では、専攻医全体と同じように『地方から東京都の基幹病院に専攻医として登録している医師は、関東地方やその近隣県からが多く、全国から東京都に医師が集中しているわけではない』ことが明らかになった」(例えば、東京都に5名以上の外科専攻医が移動したのは北海道、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県のみ)とコメント。診療科別に、ローテ―ト状況(例えば、東京都の基幹施設に登録している医師が、1年目、2年目と地方で勤務する状況)を分析する考えを示しています。

また山下副理事長は、「2019年度の定員について、2018年度の状況を踏まえて修正してくことになるのではないか」とも見通しており、上述した5都府県のシーリングについても見直しが行われる可能性があります。

 ところで、2010年度から地域の医師不足解消のために医学部の定員増(追加増員、下図の赤色部分)が行われました。その中では「地域枠」が設けられており、この地域枠で大学医学部に入学した医師が、新専門医制度の専攻医となります。その際、「地域での勤務」と「研修施設」との関係をどう考えるのか、が一つの論点として浮上しています。

地域枠出身医師には「一定期間、地域の医療機関に従事する」ことが求められており、これがために、適切な専門医研修を受ける機会が奪われてしまっては困ります。一方、「どこで研修を受けても構わない」となれば、地域枠の趣旨が失われてしまいます。これを両立するために機構はもちろん、都道府県や基本領域学会がアイデアを出し合い、協力していくことが求められるのです。

 この点について山下副理事長は、専門医制度新整備指針において「地域枠入学や奨学金供与(給与・貸与)を受けている専攻医に関しては、機構は、地域枠や奨学金供与の義務の発生する各都道府県等及び各基本領域学会に対して、専門医制度を適切に行えるように要請する」と定められていることを引き合いに、都道府県等に協力を仰ぐ考えを強調しています。

図:当面の医学部入学定員(既出のため略)
 
 なお、5月17日の理事会では、「消化器内視鏡」専門医がサブスペシャリティ領域として正式に了承されました。近く、「日本臨床腫瘍学会」もサブスペシャリティ領域として認められる見込みです。



http://news.livedoor.com/article/detail/14743365/
過剰医療大国ニッポンの不都合すぎる真実 
2018年5月21日 6時0分 東洋経済オンライン

ほとんどの風邪には抗菌薬(抗生物質)が効かないことは、医者の間では常識だ。風邪の原因の9割はウイルス感染症とされるが、細菌に効き感染症の治療にかかせない薬である抗生物質はウイルスにはそもそも効かない。

だが、風邪で通院すると、今でも「フロモックス」や「クラビット」などの抗生物質が処方されることが少なくない。「抗生物質が風邪の特効薬だと誤解している患者はまだ多い。『なぜよく効く薬をだしてくれないのか?』といぶかしげな表情で迫られると、つい経営のことも考えて希望どおりに処方してしまう」とある医師は打ち明ける。

抗生物質を多用しないよう厚労省も動いた

『週刊東洋経済』は5月21日発売号(5月26日号)で「医療費のムダ」を特集。命や健康を脅かす過剰な検査・検診、あふれる残薬、人工透析、整骨院、終末期医療といった、「聖域」だらけとなっている医療の現実を描いている。

抗生物質の多用が続くと、薬が効かない耐性菌の広がりにつながりかねない。厚生労働省は昨年、重い腰を上げ、抗生物質の適正使用の手引を作成。細菌感染が疑われる重症のときに使用を限り、軽い風邪や下痢には用いないよう勧めている。今年4月の診療報酬改定では、乳幼児の風邪や下痢に際し、適切な説明により抗生物質の処方を避ければ、医師に報酬が支払われる仕組みが新設された。

風邪に抗生物質を処方するような「過剰診療」「効果の薄い医療」が医療現場では蔓延している。過去の慣習や医療関係者の既得権益、世間の無理解などが背景として複合的に絡み合う。日本の医療費が膨張の一途をたどる中、このままでよいのだろうか。

過剰な医療を見直す動きは、今や世界的な潮流だ。代表的なのは、北米の医師が中心となり治療や検査が過剰になってないかを検証する「チュージングワイズリー(賢い選択)」運動である。2012年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団が、賛同した専門学会からそれぞれ提示されたムダな医療の「五つのリスト」を公表し、本格的にスタートした。

運動はカナダや北欧、豪州などにも広がり、70超の学会が約500項目のムダな医療のリストを打ち出している。2016年10月には佐賀大学名誉教授の小泉俊三医師(特集内でインタビュー)を代表に日本支部も立ち上がった。『週刊東洋経済』の特集「医療費のムダ」では医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の協力を得て、同リストの中から、日本の医療現場でもよく行われている60項目をピックアップし解説している。

米国で始まったキャンペーンに呼応し、日本でも総合診療指導医コンソーシアムが日本におけるムダな医療の「五つのリスト」を公表した。「通常の腹痛で腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査を勧めない」「無症状で健康な人にMRI(磁気共鳴断層撮影)検査による脳ドックを勧めない」など5つのうち4つが検査・検診に関する提言となっている。

「過剰医療は先進国の共通課題だが、中でも日本では検査や検診の過剰が深刻だ」。コンソーシアムの世話人を務める、群星沖縄研修センターの徳田安春センター長は語る。

実際、日本医学放射線学会が指針で推奨していない「通常の頭痛を訴える人への頭部CT、MRI検査」を頻繁に行っている病院は、調査対象の半数を占めた――。昨年1月、順天堂大学の隈丸加奈子准教授がそんな調査を行った。隈丸准教授は「CTのような被曝を伴う検査のデメリットへの認識が、現場に浸透していない」と危惧する。経済協力開発機構(OECD)加盟各国中でも、日本のCT、MRIの台数は圧倒的だ。人口100万人当たりの機器台数は両者とも加盟国中トップに立つ。

検査するだけ収入が増す出来高払い

日本の外来診療は検査をするだけ収入が増す出来高払いとなっており、病院経営者からすれば、こうした高額な機器を入れた以上、稼働率を上げようとなりがちだ。過剰検査の弊害は患者本人の不利益にとどまらない。検査が重なると、本当に必要な検査が後回しになったり、重要な指摘を見落としたりしかねないためだ。それは特定の病気の有無を調べるための検診でも同様で、典型的なのが胃がん検診だ。

胃がん検診は1982年に開始され、2015年に内視鏡検査が選択肢に加わるまで、40歳以上を対象に年1回、胃部X線検査(バリウム検査)で行うものとされてきた。胃がん死亡者数は年約5万人と50年近くほぼ変わらず高止まりする中、国が一貫して推奨してきたバリウム検査だが、患者からも医師からも評判は芳しくない。

患者にとっては発泡剤を飲み検査台上で無理な体位を求められる身体的苦痛に加え、バリウムによる排便障害もある。何より「胸部X線検査の数十倍から100倍近くの被曝量」(複数の医師)のデメリットは無視できない。

医師にとっても現在、消化器内科の臨床現場で活躍するのはもっぱら内視鏡検査であり、バリウム検査はそれこそがん検診の場でしか扱うことはない。特に若手医師はほとんどが、学生時代にも臨床現場でもバリウム検査を学んでいない。

そのため「経験がないから不安で、つい内視鏡での再検査に回してしまう。結果はほとんどが異常なし」(若手医師)。患者にとっては二度手間のうえ、医療保険財政にも負担をかけることになる。「内視鏡が未発達だった時代は、外からでも工夫して見ようとするバリウム検査の意義は確かにあった。だが内視鏡技術が著しく進歩した今もバリウム検査に頼っているのはおかしい」。NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構事務局長の笹島雅彦医師は話す。

実は内視鏡検査を新たに推奨した現行の「胃がん検診ガイドライン2014年版」(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)の当初案では、推奨するのは引き続きバリウム検査のみで、内視鏡検査は推奨しないとなっていた。だが、臨床医たちからの猛反発を受けて、ようやく盛り込まれた経緯がある。数千万円するX線装置を積んだ検診車や検診センター、放射線技師など、バリウム検査にかかわる利害関係者への配慮が働いていたといわれている。

ただ胃がん検診で内視鏡検査を行っている自治体は今も少数だ。内視鏡医の人手不足の問題が大きく、医師不足の地域ではより厳しい。そもそも全国民が一律に毎年胃がん検診を受ける必要性があるのか、という根本的な疑問の声も専門家からは上がっている。「胃がんは生活習慣病ではなく、99%がピロリ菌による感染症だと判明している。危険度が診断できるようになった以上、一律の検診は合理的ではない」。北海道医療大学の浅香正博学長は力を込める。

ピロリ菌と胃粘膜委縮双方が陰性なら?

そのため一部の先進的な自治体や健康保険組合は「胃がんリスク層別化検査」(胃がんリスク検診)を導入している。ピロリ菌感染の有無と、胃粘膜萎縮の程度を血液検査で確認して、胃がん発症の危険度をグループ分けする。ピロリ菌と胃粘膜萎縮双方が陰性なら、胃がんのリスクはほぼゼロで内視鏡検査は基本必要ない。

いずれかが陽性ならば内視鏡検査を受け、胃炎があれば保険適用で除菌治療を行う。ピロリ菌陽性率は4割弱とみられ、「検査が必要な人を絞り込むことで、確かな診断力を持った内視鏡医による対応が可能になる」(国立国際医療研究センター国府台病院の上村直実名誉院長)。

「もし、もっと早い時期に胃がんリスク検診を経て、内視鏡検査を受けていたら、夫は助かったかもしれない」。スキルス胃がんの患者・家族の会「NPO法人希望の会」理事長の轟浩美さんは話す。轟さんの夫は毎年自治体の実施する住民検診でバリウム検査を受けていたが、見つかった時はすでに末期のスキルス胃がんだった。「全員検査でリスク分けもされず、流れ作業のようになっているバリウム検査では救える命も救えない」(轟さん)。

大手企業の健康保険組合では、胃がんリスク検診への切り替えが続々進むが、市区町村の住民検診ではまだ限定的だ。厚生労働省が「死亡率減少効果が明らかになっていない」(健康局がん・疾病対策課)などとして、住民検診などでは胃がんリスク検診を「推奨しない」としているためだ。自主判断できる企業健保とは異なり、行政の実施する住民検診では「国の推奨と異なる選択には相当の覚悟がいる」(複数の医師)のが現実だ。

厚労省が推奨しないとする根拠となっているのが、先の国立がん研究センターの胃がん検診ガイドラインだ。内視鏡検査こそようやく推奨に転じたが、胃がんリスク検診をほぼ名指しする形で「科学的根拠不明な検診」などと強い調子で批判している。

胃がんリスク検診導入を働きかけた医師の末路

『バリウム検査は危ない』(小学館)著者でジャーナリストの岩澤倫彦氏によれば、関西のある市では基幹病院の検診担当部長だった消化器内科医が、胃がんリスク検診の導入を自治体に働きかけて実現手前までこぎつけた。だが突然理由も告げられず、検診担当部長の職を解かれ閑職に追いやられた。結果、同市でのリスク検診導入は白紙に戻った。この直前に、「国立がん研究センター検診研究センターの幹部が市を訪れていた」という複数の証言があるという。

ただ、胃がんリスク検診を強く批判していた当時のガイドライン作成の担当者2人は、今春そろって退任。後任となった国立がん研究センターの中山富雄検診研究部長は「検診というかは別にして、リスク分類することの有用性は高い。どう検査としてシステム化するのか、運用面での支援を含め、対話を深めていきたい」と話す。

旧来のシステムやしがらみに固執することなく、国民の命や健康を守るためにできることは何なのか。広く医療者に問われている。



http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20180522-OYTNT50017.html
津島市民病院 黒字に…昨年度 
2018年05月22日 読売新聞 愛知

病床減らし「V字回復」…専門性高いHCU稼働も

 2001年度から赤字が続いていた津島市民病院の経常収支が、17年度は約1億7700万円黒字の見通しとなることが21日わかった。過大な増床などの結果、市と金融機関から限度額ギリギリまで借金するなど“経営破綻”も心配されていたが、病床数を減らし、専門性の高い「重症患者専用病床(HCU)」を本格稼働させるなどして「V字回復」を遂げた。病院の担当職員は「収益を増やし、地域医療の拠点として安定させていきたい」と話している。


 市民病院は、1943年に津島町立病院としてスタート、47年から市民病院となった。

 97~2005年度に、診療科を充実させて患者数の増加を目指そうと、増改築などを行い、同年度には440床の病院となった。

 しかし、周辺の市にも病院があり、名古屋にも近いことから、患者数は伸び悩み、赤字経営が続いた。

 累積赤字は17年度で約95億円の見込み。市の規定で、市と金融機関からの一時借入金の限度額は20億円と決まっているが、16年度末には19億円。担当職員は「20億円を超えれば一般企業でいう破産。綱渡り状態だった」と振り返る。市は17年に運営資金の不足を補うため6億円を出資した。

 同年夏から病院内に医師や看護師らのプロジェクトチームを作り、10月に51床を休止して389床とすることを決めた。

 同時に、余裕のできた人員を振り分け、重症患者専用病床(HCU)を本格稼働。循環器内科医を新たに採用し、それまでは難しかった平日の昼間の救急搬送も常時受け入れた。HCUや救急搬送は、診療報酬が高く、17年度の収支は一気に黒字へと転換を果たした。

 病院によると、医師や看護師ら現場のスタッフが危機意識を共有したことが大きいという。医師たちは、地域の開業医を訪問して、市民病院で行っている専門的、高度な医療を説明するなど、市民病院をPRする活動にも力を入れる。

 今後も約2億円の黒字を確保できる見込みで、病院の担当職員は「経営が安定すれば、不足している専門医の採用にも弾みが付く」と期待している。(沢村宜樹)



https://www.m3.com/news/iryoishin/597532
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「一期生として今後どうなっていくか、不安しかない」◆Vol.10
新専門医制度への自由意見、情報不足・少なさへの不満も多数
 
医師調査 2018年5月25日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.comの新専門医制度一期生への調査で、同制度についての意見を聞いたところ、「初年度ということもあり、後期研修のイメージが付きづらく多少不安だったが、始まったものは仕方ないのでしっかり経験を積んで頑張りたいと思う」と前向きな意見もあったが、圧倒的に多かったのが制度への不満、不安の声だ。「一期生として今後どうなっていくか、不安しかない」「単に医師の強制配置のみが先行しており、人権無視的だと感じる」「全ての負債を研修医が被るようなやり方にされていたように感じた」などだ(調査のバックナンバーはこちら)。

 「とにかく情報が少ないし、来るのが遅い」「制度が成立するまで紆余曲折がありすぎ、研修医が振り回されていた」など、制度決定の遅さや情報公開への不満も目立った。

 新専門医制度は、5都府県の14の基本領域で専攻医数のシーリング(上限設定)が設定されたのが特徴の一つ。「各プログラムで内定が出ているのにもかかわらず、落とされた人がいて、いかがなものかと思った」「人数調整の対象になり、医局の方針で住んだこともない地域、見学もしたことのないプログラムに登録」などの実例が挙がり、「最初から定員人数を抑えておけば良かったのでは」との指摘も。

 その他、内科専門医については、「研修ローテートの負担がかなり大きく、マイナー科に転向した」などの意見も挙がった(『内科専門医、「取得が厳しくなった」』を参照)。

◆制度決定、情報開示
・新専門医制度の概要が確定したのは昨年9月であり、これに伴い各病院とも専門研修プログラムの公表が遅くなった印象がある。私は研修医2年目になる段階で、内科に進むことをほぼ決めており、現在所属している出身大学の附属病院で専門医研修も行うことを考えていたため、悩むことは少なかったが、それでもこのように曖昧な部分の多い専門研修過程については、不安を抱かざるを得なかった。
 新専門医制度はまだ走り出したばかりであり、これまでの迷走ぶりを見るに、今後も制度にさまざまな改変が加えられるのではないかという懸念がある。無論改善すべき点は残っているのだろうが、個々の医師が自身のキャリアパスについて考える上で、支障の無いようにしていただきたいと強く願う。

・情報がまとまってなく混乱を招いていたにもかかわらず、見切り発車になった。ある程度基盤を固めてからの開始ではないと、手探り状態ではお互いにメリットはないと思う。今後新しいルールや、「やはりなかった」的なことが出てくると予想されるので、内容にもよるが、改正等がある場合は、早期に情報の公開、流布を期待します。一期生として今後どうなっていくか、不安しかないです。

・あまりに拙速に始まり、十分な情報が開示されることなく、単に医師の強制配置のみが先行しており、人権無視的だと感じます。現場の意見を全く反映する気のない制度設計で辟易しています。結局、全て今まで通り学会が専門医試験などを管理するのであれば、そもそも機構にお金を払わなければならない理由も分かりません。日本の医療衰退に拍車をかけただけではないでしょうか。

・とにかく情報が少ないし、来るのが遅い。後期研修を決める時点で今後10年先を考えて計画を立てようというのに、こんな混乱した状態で強行するのは無理があるし、あまりに失礼。現場の人間を全く無視している。子供じゃないんだからもっと人の意見を聞いて、前持って計画してほしい。

・詳細を詰めていないのに、日本専門医機構のメンツのためだけに見切り発車された印象が強い上に、情報の公開が遅かったり、後出しで先行枠の調整がされたりと、全ての負債を研修医が被るようなやり方にされていたように感じた。控えめに言って最悪の運営だった。いい大人の仕事とは思えない。

・とにかく後手後手で、不安の多い始まり方。運営が中学校の生徒会レベルであった。 また、そもそも制度開始の意義がよく分からない(明確な説明もされていない)。必要な制度だとしても、当事者への不安や負担が小さくなるようにちゃんと準備してほしかった。

・制度設計ができていないのに、よく分からない理由で振り回されて迷惑きわまりない。結局、専門医の質については何も改善されていない。医師偏在の道具として医局復権させようとしているが、時代はもう戻らない。失敗に終わるのは見えている。

・制度が成立するまで紆余曲折がありすぎ、研修医が振り回されていた。自分はもともと地元での研修を希望していたので今回は混乱はなかったが、今後何らかの制度変更が起きた際に同様のグダグダがあっては困る。

・制度ちゃんと決定していない間にプログラム決定を急かされたように感じ、選択を後悔した同期がいます。私自身も本当にこれで良かったのかと思っています。

・新専門医制度の目的とそれを達成するための手段があいまいに感じた。一期生に対する説明もほとんどないままのばたばたとしたスタートであった。

・とにかく一貫した情報がなく、公表もされていないため、研修医側も施設側も大混乱だった。 他の業界ではあり得ないことだなと感じた。

◆専攻医数のシーリング、医師の地域偏在対策
・情報公開が遅く、非常に困りました。また、眼科を代表とした人数調整では、各プログラムで内定が出ているのにもかかわらず落とされた人がいて、いかがなものかと思った。そうなるのなら、最初から定員人数を抑えておけば良かったのでは。

・人数調整の対象になり、医局の方針で住んだこともない地域、見学もしたことのないプログラムに登録しました。日本専門医機構の登録上、入局先の所属ではなくなり、今後が非常に不安である。このような制度の撤廃を祈らずにはいられません。

・とにかく導入決定から制度の流れまでの公開も遅く、準備不足が目立ったと思います。地域偏在に対する対策として都市部の応募人数を制限すると言っても、結局は応募人数に対して母数が多すぎるから意味なかったです。

・混乱が多いのが気になりました。首都圏に研修医が集まったため、首都圏外の病院の機能が保てなくなる可能性が高いと思います。首都圏の研修医の定員を、さらに減らす必要性を感じました。

・募集定員に達していないのに人数を制限したり、2次募集の際に急に5都府県を制限するなど、最初から提示しておいてほしい。

◆専攻医の登録方法
・開始時期が遅れたこともあり、登録が慌ただしく1次に募集できなかった人もいると聞いているため、もっと早期から登録システムについては練られているべきだった。 また、1施設しか応募できない現状では、自分の望む科での研修ができない可能性もあり、改善してほしいと思う。また、施設ごとの募集定員の枠は、施設ごとに自由設定の方が良いと思う。

・初期研修のマッチングと異なり情報が少なすぎるし、1病院しか応募できず、都市の病院で2次募集をかけないことがどこからも情報がなかったので、漏れた人たちがかわいそうと感じた。

◆研修プログラム制
・マイナー科なので大きな影響はなかったが、自分が所属したプログラムでは、基幹病院に1年目にローテーションしなくてはいけないことになってしまい、半年で異動の予定になった。専攻医側も雇う病院側もメリットが乏しいように思った。

・副病名での登録も可とするべき。病院によっては現状の新内科専門医制度ではローテートが必要になってしまうが、ローテートして経験する疾患、言い換えると、将来的に専門家に紹介するであろう疾患を、たった1カ月ほど主治医として診療することに大きな意義があるとは思えない。

・サブスペシャルティに早く進めるプログラムにしてほしい。半年間、周囲の連携病院での研修を廃止してほしい。

・プログラムに参加しなくては専門医取得する資格がないというのは、医師の質の均一化に寄与する半面、職業人としての選択の自由を狭めることにつながると思います。

・何しろさまざまな決定がころころと変わり、しかも遅くとても負担でした。また、プログラム制ではなく、カリキュラム制も選べるようにしてほしかったです。

◆新専門医制度と大学
・教授の一任で専門研修のメンバーが決まってしまうことに疑問を覚え、昔の教授権力が偉大な時代にさかのぼったように思えた。

・出身大学の関係と新専門医制度のしがらみで、これまでより専門医取得が厳しい状況です。本来の目的を再考する必要があります。

◆その他
・無駄。症例数や就業期間、学会参加回数などではなく、一括で試験すれば良い(外科手技はまた別)。専門医として知っておかなければならない知識を確認するためには、厳格な試験が最も正確かつ効率的。 時代遅れの徒弟制度なぞまだ残しているのなんて医療業界含めたごく少数の業界だけですよ。

・時間の無駄でした。専門研修先を選ぶのに、現在の研修そのものに支障をかなり来したものの、メディアで公表されるほどの充実した説明や安心感等は皆無でした。各学会認定に戻してほしいです。

・初期研修先が基幹病院に指定されるかどうかで初期研修病院の選択も変わっていたはずだが、既に働いているために受け入れるしかなかった。制度の移行期間が必要だと感じた。

・日本専門医機構に責任感が感じられない。何を問い合わせても「それぞれの学会判断です」としか帰ってこなかった。

【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男性217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



http://www.medwatch.jp/?p=20684
新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協 
2018年5月23日|医療現場から MesWatch

 新専門医制度のサブスペシャリティ領域を、「あいまいな基準で、五月雨式に追加する」ことは好ましくない―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、近く発足する日本専門医機構の新執行部にこのような要請を行う方針を固めつつあることが5月23日の定例記者会見で明らかにされました(関連記事はこちらとこちら)。

 また来年度(2019年度)予算の概算要求に向け、四病協は同日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて「控除対象外消費税問題の解決」「働き方改革への対応に伴う医師確保」「介護療養や医療療養から介護医療院への転換」などに関する予算措置を行うよう要望しています。
 
ここがポイント!
1「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である
2 2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である

 今年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートとなりました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

 新専門医制度は、「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となります。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

この4月(2018年4月)から、19基本領域で新専門医の資格取得に向けた研修が始まっています。

2階部分のサブスペシャリティ領域は、基本領域学会の上に設置される(内科領域などでは基本領域とサブスペシャリティ領域が一部融合する形もある)ことになり、現在、学会からの申請をもとに、日本専門医機構での認証が進められています。

サブスペシャリティ領域は、「国民への分かりやすさ」をいう新専門医制度の基本方針に基づき、「全国の平均的な都市での中核病院に掲げてある診療科、診療部門とする」こととされ、日本専門医機構で(1)いずれかの基本領域学会が認めている(2)関連する基本領域学会またはサブスペシャルティ領域学会がある場合は、その学会の合意を得る(3)機構理事会(出席委員)の過半数の承認がある―ことを確認して、認証します(機構のサイトはこちら)。これまでに▼内科13領域▼外科6領域▼放射線科2領域▼消化器内視鏡—がサブスペシャリティ領域として認証され、近く「日本臨床腫瘍学会」も認められる見込みです(関連記事はこちら)。

この点について、四病協では「平均的な都市とはどこを指すのか?中核病院とは何を指すのか?サブスペシャリティ領域の認証基準が曖昧ではないか」という意見が出ており、「曖昧な基準のまま、五月雨式にサブスペシャリティ領域が認証されることは好ましくない。抑制的に、国民の目線で認証すべきである」との要望を近く日本専門医機構に行う予定です。

ところで、日本専門医機構は近く役員の改選が行われ、6月には新執行部が誕生します。四病協の要望は、新執行部に宛てて行うことになる見込みです。

2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

また、四病協では5月23日に、加藤厚労相に宛てて次のような要望を行いました。来年度(2019年度)予算概算要求に向けて、必要な予算の確保を求めるものです。

(1)消費税(関連記事はこちら)
▽消費税率引き上げ(2019年10月予定)による増収分を、医療をはじめとする社会保障財源に確実に充当すること
▽医療界が要望する「仕入税額相当額を上回る仕入消費税についての還付(税額控除)」を実現するとともに、必要な財源を確保すること

(2)働き方改革(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)
▽地域医療の維持に伴う医師確保と、厳密な勤怠管理のための仕組みづくりを補助すること
▽タスク・スフティング、タスク・シェアリングに必要な人材を要請し、採用を支援すること
▽育児・介護等で離職した医師、看護師等の復職支援に向けた研修を行う医療機関を支援うること
ほか

(3)医療従事者の能力向上
▽病院において「医師の総合的診療技能」を高めるためのキャリア支援事業などに財政的支援を行うこと

(4)介護施設、介護従事者
▽介護療養や医療療養から介護医療院へ転換するために必要な修繕工事などに財政支援を行うこと
ほか

(5)地域医療介護総合確保基金
▽「消費税率10%」による増収分から基金に手当を行い、公私の隔たりなく適切に配分すること

(6)医療機関のICT化
▽電子カルテ等のICT技術を積極的に導入する医療機関に財政的支援を講じること
▽電子カルテはベンダー間で互換性に乏しいため、標準マスタ、標準データフォーマットの普及に関する財源を確保すること

(7)国際化等への医療の対応
▽がん患者以外の難病患者や若年性認知症患者等の幅広い層を対象とした「治療と仕事の両立」に向けた予算措置を講じること(関連記事はこちら)
ほか

(8)障害保健福祉
▽精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に必要な予算を確保すること
ほか

(9)災害対策(関連記事はこちら)
▽全日本(全国)病院医療支援チーム(AMAT)の平時からの訓練や資材準備などに要する資金や、派遣費について補助を行うこと
▽災害派遣精神医療チーム(DPAT)についても、事務局事業費を拡充すること
▽病院の耐震化に向けた費用を補助すること
ほか



https://www.m3.com/news/iryoishin/604077
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」
第3次中間取りまとめ案を了承、「週60時間勤務に制限」が前提
 
レポート 2018年5月21日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、5月21日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第20回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、2020年度と2021年度の医学部定員は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」にし、2022年度以降は、「将来的な医学部定員の減員に向けた議論としていく必要がある」とする第3次中間取りまとめ(案)を提示、修文等は座長一任の上で、構成員の了承を得た。

 2008年度以降の医学部の臨時定員増では、「地域枠」を中心に増やしてきた。第3次中間取りまとめ案では、「臨時定員を削減する場合でも、地域間で医師偏在がある場合には、その偏在に応じた程度まで、地域枠のニーズは残ることになる」と指摘。第3次中間取りまとめ(案)は、5月28日に開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」で議論し、了承が得られれば確定する(資料は、厚労省のホームページ)。

 これらの結論のベースとなったのは、第19回会議で提示された、労働時間別の医師需給推計(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。3つのケースが示されたが、中位の「ケース2」(週60時間を超す医師の勤務時間を、週60時間以内に制限)でも、医学部定員が2018年度の9419人のまま推移すれば、2028年頃には約35万人で医師需給が均衡し、2040年には医師供給が約3.5万人過剰となる。2022年度の医学部入学生が臨床研修を終えるのは2030年度以降であること、また3つのケースのいずれでも長期的には供給が需要を上回ることなども踏まえて、結論を得た。

 医師需給分科会は、医学部の臨時定員増の期限を迎える2020年度と2021年度分については、早急に結論を出すことが求められていた(『2020年度以降の医学部定員、5月にも結論』、『医学部定員、2020、21年度分「速やかに示して」』を参照)。

 医学部定員の問題は、2019月3月末までに結論を出すことが求められている「医師の働き方改革」や、今国会に法案提出された医療法改正法案に盛り込まれた医師偏在対策と密接に関係する。第3次中間取りまとめ(案)では、「マクロの医師需給が均衡することは、必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することは意味しない」とし、2022年度以降の医学部定員については、「働き方改革や労働実態、医師偏在対策や医師偏在の状況等を勘案し、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべきである」としている。

 構成員から主に出たのは、2022年度以降の医学部定員の検討に当たって、医師偏在対策等についての議論を深める必要性だ。今後の議論の進め方についても、幾つかの注文が付いた。

 東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師の戎初代氏は、医師の働き方改革の結論が2019年3月末まで、また2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査(三師調査)の結果が2019年12月公表予定であることを踏まえ、「2022年度以降の医学部定員については、その2年前、(2020年度と2021年度の例に倣えば)2020年5月頃には結論を出さなければならないことになる。(2019年12月から)5カ月という短いスパンで、議論をするのか」と質問。厚労省医政局医事課は、「数値が出る前に、準備しておくことは当然できる」と回答した。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「(第3次取りまとめ案には)暫定的という言葉が幾つもある。本検討会は息が長く、当初は2016年12月に結論を出す予定だったが、(議論が途中で中断したことなどから)暫定的とせざるを得ない状況になった。次の際にはそうしたことがないようにしてもらいたい」と議論の進め方に釘を刺した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、医師の働き方改革、医師需給、医師養成などについて、厚労省内で複数の検討会があることから、バラバラに議論していくのではなく、厚労省が全体を見渡してコントロールし、有意義な議論とするように要望した。

 産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、「これからの議論では、当事者がどう考えているかが重要なポイントになる」と指摘し、若手医師への意識調査の実施を要望。さらにフランスでは医師に定年制があり、団塊世代がリタイアした後、医師が減り、医師養成数増になったことから、60、70代の医師への意識調査も併せて要望した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医師の働き方、医師需給、医師養成などの議論は、相互に網の目のように関連しており、整合性を持って進めなければいけない。とかく医師需給をめぐる議論は、『昔と同じ議論をしている』という指摘もあるが、データ等に基づく議論は着実に進化している。さらに進化した議論を続けてきたい」と受け止めた。

 「医師偏在指標」、医師需給分科会で検討

 権丈氏は、「医師偏在問題を何とかしなければ、どうしようもない。ようやくスタート地点に立っているというのが、今の状況」とも指摘した。医師偏在対策についての意見は、地域ごとの医師偏在の度合いを示す医師偏在指標など、今後の議論のたたき台になる資料と、医師の診療科偏在に関するものが多かった。

 医療法改正法案では、医師偏在指標を基に、都道府県が「医師少数区域」等を設定して、対策を講じることになっている。聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「この指標が非常に重要」と指摘し、その検討の進め方について質問。

 厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健氏は、「医師偏在指標は、法案が成立したら、本分科会で議論していく予定になっている」と説明。医師偏在指標は、人口10万人当たりの医師数ではなく、患者の流出入など、地域の実情を踏まえたものになるとした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「医師の診療科偏在も当然あり、新専門医制度の医師偏在対策にも絡んでくる。診療科偏在も、医師偏在指標に入るという理解でいいか」と質問。厚労省医政局医事課は、「そうした方向で議論していきたい」と回答した。

 今村氏は、厚労省が構築を進めている医師データベースの進捗について質問。これは三師調査を基に、医師の卒業大学からその後の勤務先など、医師のキャリアを経時的に調査できるデータベースだ。厚労省医政局医事課は、「構築を進めており、今後、都道府県に提供できるように検討していく」と答えた。日本医師会常任理事で、日本専門医機構理事の羽鳥裕氏は、同機構で「地域枠」出身者も分かる専攻医データベースを構築していると説明、「医師の履歴が分かるデータベースを本気で厚労省は作るべき。今後の議論がなし崩し的にならず、データを基にした議論ができるよう、悉皆性を持つデータベースを作るのが厚労省の役割」と要望した。

 医師の診療科選択、「調整が必要」との意見も

 医師の診療科偏在対策について、聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「医師需給は、現在の診療パターンの継続を前提としているが、国全体としてジェネラリストとスペシャリストはどのくらいの割合が妥当であり、それを目指して国がどう取り組んでいくかによって変わってくる」と述べた。「今のように、専門性を自由に選択できる状況は、国全体としての効率的な医療の提供という視点がない。個々の選択に今後も任せるのか否かによって、医師の需給や専門性の分布が変わってくる。国全体として望ましい専門性の分布を考え、そこを目指して調整していくことも必要ではないか」。

 神野氏は、「今のままで(臓器別の)専門医志向は強いので、専門の選択が自由のままであれば、まだまだ医師数は足りない。強い診療科別の偏在対策を視野に入れないと、将来的な医師不足対策にはならない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605012
消費税問題「診療報酬での手当限界、無理」
医療界の意見一本化目指す、日病協
 
レポート 2018年5月25日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の山本修一氏(国立大学附属病院長会議常置委員長)は5月25日の定例記者会見で、控除対象外消費税問題について同日の代表者会議で「従来の、診療報酬で手当する方法は不完全で限界、無理だ」との見方で意見が一致したと明らかにした。正式に決議したものではないが、医療界として今後の方向性について早急に意見を一本化するべきだとの認識も共有したという。

 代表者会議では、や財務省の財政制度等審議会で議題に挙がった都道県別の診療報酬についても議論し、否定的な意見が支配的だったという。山本氏は「はっきり言って無理でしょうというのが皆さんの意見だ。同じ県内でも(医療の)事情は 異なる」と述べた。実務者会議からは「医師の働き方改革」の議論の行方について、会員の病院から不安が上がっていることが報告された。



https://www.m3.com/news/iryoishin/604903
偏在や働き方改革などで要望、全自病
日医と意見交換の懇談会を開催
 
レポート 2018年5月25日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は5月24日に定例記者会見を開催し、全国自治体病院開設者協議会と連名の厚生労働省と総務省宛ての要望書を、同月15日に厚労大臣官房審議官の椎葉茂樹氏に提出したと発表した。医師偏在対策や働き方改革、東日本大震災の被災地などでの医療提供体制の確保など13項目から成る内容だ(項目の一覧は記事の末尾に掲載)。

 全自病会長の邉見公雄氏は会見で、全自病と日本医師会の懇談会を5月16日に開催し、今後は1年に2回程度行っていくことになったことを報告。全自病からは邉見氏や副会長ら、日医からも横倉義武会長や中川俊男、今村聡両副会長らが出席し、地域包括ケアや地域医療構想などについて意見交換した。邉見氏は、例えば自身が名誉院長を務める兵庫県の赤穂市民病院と赤穂市医師会ではほとんど意見が一致するが、「兵庫県医師会との間では10%くらい、麹町と駒込(全自病と日医)では20%くらい意見が違う」との認識を披露。「われわれの意見を日医にも反映してもらえるようにしていきたい」と述べた。

 医師の働き方改革に関連しては、5月29日に自民党の「医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム」に出席して意見陳述を行う。自治体病院議員連盟の会員数が、2017年10月の第48回衆議院議員総選挙後の133人から2018年5月末で162人に増加したことも報告した。

厚労省、総務省への要望書の項目は次の通り。

1. 東日本大震災の被災地等における医療提供体制の確保
2. 地域医療構想について
3. 医師確保、医師偏在解消について
4. 医師の働き方改革について
5. 新専門医制度について
6. 医療事故調査制度について
7. 医療機関に対する消費税制度の改善について
8. 精神科医療について
9. 看護師等確保対策について
10. 薬剤師確保対策について
11. 財政措置等について
12. がん医療提供体制の充実について
13. 医療分野におけるICT化の推進について



https://www.m3.com/news/general/605096
医療連携:2病院同じ敷地に 23年度までに建て替え 米沢 /山形 
地域 2018年5月26日 (土)配信毎日新聞社

 施設の老朽化や経営効率化などの観点から、建て替えの検討や医療連携を進めている米沢市立病院(同市相生町、322床)と民間の三友堂病院(同市中央、190床)をめぐり、同市は25日、現在の市立病院の敷地内に両病院を建設する方針を公表した。三友堂のリハビリテーションセンター(同市成島町、120床)も同じ敷地内に移す計画。

 市立病院の敷地面積は3万6250平方メートル。連携の中で高度・急性期を担う米沢市民病院(仮称、300床)、三友堂病院とセンターを集約した回復期の病院(250床)を建設し、2023年度までの開院を目指す。1000台分の駐車場も整備する。

 同市によれば、同一敷地内に複数の病院が建つのは県内では初めて。医療機器、エネルギー設備、会議室などの共同利用が可能になる。施設間での患者の誘導や、1カ所への集約による交通渋滞などが課題になる可能性があるという。

 25日の市議会全員協議会で市立病院事務局が説明した。三友堂病院側から4月に同一敷地内での建設意向が示され市側と協議していた。【佐藤良一】



  1. 2018/05/27(日) 10:41:52|
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