Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月13日 

https://news.careerconnection.jp/?p=53795
深刻な地方の医師不足、年収2200万円でも採用できず 青森県深浦町 
2018.5.9 キャリコネ編集部

地方における医師不足が深刻だ。青森県深浦町が年収2200万円で医師を募集していたにも関わらず、結局採用できなかったことが5月8日までにわかった。

深浦町の人口は男性3972人、女性4449人の計8421人(2018年2月末)。同町には現在、町営の診療所が2つある。唯一残っていた民間の診療所は2017年3月に閉院した。

町営の診療所には、2013年まで3人の医師がいた。しかしそのうちの2人が退職したため、同町は医師を追加で募集していた。

医師の偏在が深刻に

待遇は悪くない。年収2200万円で住宅完備、光熱水費・通信費も無料。学会や研修参加のための旅費も町が負担するというものだった。しかしそれでも新しい医師の採用には至らなかったという。診療所の担当者は、次のように話す。

「公募と紹介の双方で医師を探しており、何人かの応募もありました。しかし希望よりも年収が少なかったり、家庭内の事情があったりと折り合いがつきませんでした。そこで元々診療所に勤めていた76歳の医師に戻ってきてもらうことになりました」

ひとまず医師を1人確保できた形だが、いずれまた医師不足に陥ることが目に見えている。同担当者は、「1町村単独で医師を確保するのは難しく、地域の枠組みの中で医師を派遣してもらいたいと思っています」という。

深浦町は、五所川原市やつがる市、鰺ヶ沢(あじがさわ)町など2市4町で構成する「つがる西北五広域連合」に加わっている。市町村が連携して行政運営にあたるための枠組みだ。

同連合では、つがる総合病院(青森県五所川原市)を中核病院とした地域医療連携に取り組んでいる。普段は地元の診療所で受診するが、必要があれば、つがる総合病院やさらには弘前大学附属病院等に紹介するというものだ。この連携の中に同町の診療所を組み込み、医師の派遣を求めていくという。

人口10万人に対する医師の数は全国平均240.1人、青森県では198人

近年、医師の偏在が問題になっている。厚生労働省が発表した「医師・歯科医師・薬剤師の概況」(2016年)によると、人口10万人に対する医師の数は全国平均で240.1人。東京都や西日本の各府県には平均を上回る医師がいる一方で、青森県は10万人当たり198人と全国平均を大きく下回っている。岩手・茨城・埼玉・新潟なども平均以下だ。

医師がいない、医療機関へのアクセスが難しいという地域は少なくない。山梨県鳴沢村は2017年10月まで診療所も病院もない「無医村」だった。同村が6000万円の補助金を出したことでやっと医師が1人移住を決めたという。



https://mainichi.jp/articles/20180512/ddl/k07/010/182000c
南相馬市
開業医募集 小児など4科対象 最大5000万円補助 /福島
 
毎日新聞2018年5月12日 地方版

 南相馬市は、市内で不足している小児科、産科、耳鼻咽喉(いんこう)科、泌尿器科の診療所を開業する医師を募集する。募集期間は6月15日~8月31日で、開業資金を最大5000万円補助する。

 相双地区は震災以前から、人口当たりの医師数が全国平均を大きく下回る医療過疎地。医師不足や一部の診療科の不足が住民帰還を阻害する要因となっている。市内の開業医は現在、小児科はゼロ、産科、耳鼻咽喉科、泌尿器科もそれぞれ1軒だけだ。

 市は2016年度、小児科などの診療科が開業する場合、工事費や備品購入費の半額を補助する事業を始め、16年度は整形外科1軒が開業した。17年度は子育て世代の帰還に直結する産科と小児科だけを募集したが、応募はなかった。このため今年度は4科に対象を拡大した。

 相馬郡医師会への加入や、10年以上の事業継続などが条件となる。問い合わせは市健康づくり課(0244・24・5336)。【高橋隆輔】



http://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2018/05/180508-35207.php
医師の大都市集中打開を 地域医療を守る病院協が要望一覧へ 
2018.05.08 農業協同組合新聞

 地域医療を守る病院協議会(五病協、議長・雨宮勇厚生連会長)は4月27日、日本専門医機構に対して「新専門医制度に関する要望書」を提出した。

 今年4月から総合診療領域を加えた新専門医制度が新たに始まった。新制度ではこれまで18領域あった専門医に加えて、
基本領域の専門医となる「総合診療専門医」が19番目として創設された。
 厚生労働省の定義によると、総合診療専門医とは「それぞれの診療領域で十分な知識と経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師である」とされている。そして、その総合的な能力により、特に地域での医療や介護、保健などの分野でリーダーシップを発揮し、多様な医療サービスを提供できる医師としての役割が期待されている。
 しかし、制度の中心を担い、専門医を養成する日本専門医機構(吉村博邦理事長)によれば、新制度の下で4月1日付けで19領域8378名の専攻医が採用されたが、そのうち「総合診療専門医」として採用・登録されたのは全体の約2.2%の184名に過ぎない。しかも、従来の18領域でも東京などの大都市に集中し、診療科によっては、登録数がゼロ、もしくは1名か2名程度の道県が多数存在している。
 地域を守る病院協議会は、こうした医師の大都市集中の現状打開とその是正を求めて、機構に対して要望書を提出したもの。協議会は厚生連をはじめ、全国自治体病院協議会、全国国民健康保険診療施設協議会、日本慢性期医療協会、地域包括ケア病棟協会で組織され、要望書は各会長名で出された。
 協議会では、都道府県別の人口比に対する専門医の応募登録者数などを独自に調べた。それによると、東京の人口は日本の人口の10.6%だが、専門医の登録数は全体の21.5%と人口比率を大きく上回っている。また診療科によっては異なるが、内科や外科、小児科など主要な診療科では19%から30%程度となっており、協議会はこの数字を「集中と言わざるを得ない」と指摘し、是正を求めている。
 そして、このまま現状を放置すれば、現在も問題となっている「地域偏在と診療科偏在」がますます拡大するだけではなく、地方の基幹病院や大学病院においても医師不足によって「立ちいかなくなる」との危惧感を示した。協議会はその上で、機構の中に新設される「総合診療専門医に関する運営委員会」での議論深化と課題解決に向けた協議の加速化を求めている。
 協議会は機構の組織運営のあり方についても触れ、特に機構のホームページにおいて、(1)新制度についての情報発信不足、(2)専門医の応募状況や理事会などの動きが適時適正に情報提供されていない、(3)機構の中で決定されたことの経緯が不透明だとして、その改善を強く求めた。



https://news.careerconnection.jp/?p=53625
年収1000万超えも割に合わない勤務医の日常「ほぼ24時間拘束」「休みは一年間で2週間もない」 
2018.5.6 キャリコネ編集部

これまでキャリコネニュースでは様々な有名企業で働く人の口コミを紹介してきたが、当記事では、キャリコネに寄せられた勤務医たちの口コミを紹介したい。

長時間労働は当然で、6割が過労死の危機とも言われる勤務医たちの世界にも、働き方改革が及んでいる。政府が昨年3月にまとめた「働き方改革実行計画」を受け、厚労省は同8月、医師の働き方改革に関する検討会を設置。今年1月には看護師など他職種への業務移管の徹底などを盛り込んだ、緊急対策案を示した。

「100時間残業しても給料に全ては反映されない。働いている時間や責任を考えると不満はある」

厚生労働省によると、医師の時間外労働の理由のトップは緊急対応だという。口コミでも「24時間365日拘束状態であり、自分の時間が全くもてず、とうとう体調に変調をきたすようになりやむなく退職した」(医師・歯科医師・獣医 30代後半男性 1150万円)といった声はやはり多かった。

「労働時間の長さ。休みのなさ。休みは一年間で2週間もない。権利意識の高い患者が増えている。夜中にきて、医者を出せと怒鳴る患者。医療費が高いと文句をいう患者。病状説明を行うように医師に要求する患者。外科系であるので、肉体的、精神的ストレスがともにある」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 732万円)

「外来患者数が多く、入院も多いため夜遅くなってしまうことが多く、睡眠時間の確保が大変です。医師数がさほど多くないため週末2日休めるということは少ないです。また、急変などの場合には休み・深夜問わず駆けつける必要がある」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 600万円)

「残業は100時間にもおよびますが、給料には全ては反映されず、常に呼び出されても病院にかけつけられるように旅行にもいけません。当直後には普通に勤務があるので何十時間も寝ないこともあります。実質働いている時間や責任の重さを考えるとやはり不満はあります」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 1560万円)

年収1000万超えの投稿者も多いが、「現在の報酬は安いとは言えないが決して高くはない。ほとんど24時間拘束状態。給与は年功序列なので若手が激務の割に恵まれていない」(医師・歯科医師・獣医 30代後半男性 1150万円)など、労働環境や責任の重さを鑑みると、むやみに高給とも言い切れない。

また、一括りに医師といっても勤務形態や科、病院などによって処遇には大きな差がある。「研修医の給与は安いです。月4回の当直の手当てを合わせても手取りで27万位です。当直の場合は徹夜で救急外来を診ても翌日普通に仕事で診察です。遅いとその日の夜十時まで帰れません」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 330万円)と、見習い時代は特に大変そうだ。

「常勤と非常勤では圧倒的に時間対給料で不公平感がある。常勤医は受け持ち患者を持ち、それに対して24時間責任を持つ体制であるため、夜中においても呼び出されることはしばしばである。にもかかわらず基本給は60万程度と抑えられている。一方非常勤医は外来の定時診療で一日だけでも7-8万程度の給料が出ており、単純換算10日程度出勤すれば常勤医と同等で、時間外勤務もほとんどない状況になる」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 1160万円)

「報酬については、基本給は40万程度であり、時間外勤務が部門にもよりますが、自分の部署では月80時間程度で、トータル年収900万程でした。派遣社員にはボーナスはありませんが、都内の他の病院と比べると、恵まれている方だと思います。ただ、時間外手当が青天井でないことなど、個人的にはもう少し報酬は上がってよいかとも思いますが…」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 900万円)

「やりがいがないと続けられない仕事」「24時間オンコールの科だと育児との両立はきつい」

医師の働き方改革では、女性医師が出産や子育てをしやすい環境の整備も求められている。高給バイトに事欠かず常にポジションは確保されているという指摘や、保育所の整備やワークシェアによって外来勤務なら両立例もあるという話もある一方、育児などとの両立は厳しい内容が目立った。

「基本的に育児休暇が1年取れますが、医師の場合はまず取っている人はいませんでした。だいたい産休明けに働き始める女医さんが多かったです」(医師・歯科医師・獣医 30代後半女性 1100万円)
「レジデントいう立場だと産休も、育休もとれませんでした。労働環境としては決していいものではありません。中には24時間オンコールの科もあるので、そういう所だと育児しながらはきついと思います」(医師・歯科医師・獣医 20代後半女性 600万円)

ただ、「ひとりとして同じ患者様はいなくて、その人にあった方法で命を救うことで大きなやりがいを感じます。同時に感謝されることで精神的にも充実すると思います。逆にこのやりがいがないとこの職業は続けられないのではないかと思います」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 1560万円)というように、多くの医師がやりがいを持っているのも事実だ。

「仕事の面白みは、高度な医療技術を常に身につけ、さらなる改善を模索できるということ。人を救うための技術に日々磨きをかけていくことには特に面白みを感じる」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 1160万円)

医療サービスの低下を覚悟で診療体制を見直しても、患者や家族の事情が壁になる例もある。たとえ病院が医師を増やし対応しても、病院経営が医療保険制度の上に成り立つ以上、コスト増は保険料を払う国民に跳ね返る。安心できる医療体制と医師の働き方改革は両立できるのか、今後の動向にも注視したい。



http://www.chunichi.co.jp/article/feature/iryou/list/CK2018050602000231.html
「働き方」 揺れる医療現場 地域の病院支える長時間労働 
2018年5月6日 中日新聞

「患者を放っておけない」
 安倍政権の「働き方改革関連法案」が、中部の主要病院に波紋を広げていることが、本紙のアンケートで明らかになった。成立すれば、医師の残業は制限されるが、多くの病院は必要な医師を確保できるか、見通せないでいる。各病院は、救急患者受け入れなどで地域医療を支えるが、長時間労働に頼っているのが現実。識者は医師の労働環境改善の必要性を唱えるが、病院側からは「地域医療が崩壊する恐れがある」といった困惑の声が聞かれる。(安田功)

■義務
 法案が成立すれば、医師の時間外勤務は原則として、月四十五時間に規制される。現行では、労使協定(三六協定)を結べば、医師の時間外勤務は事実上、制限はない。月百時間を超す協定を結ぶ病院もあるが、それさえも守られないケースがある。

 名古屋市立東部医療センターは月百五十時間を上限としていたが、これを超えて医師四人を働かせていたとして、昨年十一月、労働基準監督署から是正勧告を受けた。このうち一人の時間外勤務は、最大で月百七十八時間に達していた。

 医師法が、医師に原則、診療を拒否できない「応召義務」を課している上、職業倫理から「患者を放っておけない」と考える医師が多いことも、長時間労働の背景とされている。働き方改革に関連し、厚生労働省内では、応召義務のあり方の議論も始まっている。

■制限
 既に医療体制の見直しに着手した病院もある。

 諏訪赤十字病院(長野県諏訪市)は昨年十二月から、急患などを除き、医師が患者に対し、手術や病状の説明をするのは原則、平日午前八時半~午後五時に限る方針を打ち出した。案内文を院内に掲示している。

 以前は急を要さない場合でも、患者の都合を優先し、医師が非番の日に出勤して、説明することがあったという。病院の担当者は「地域医療を守るため、一定の基準を示し、患者や家族の理解を得たい」と話す。

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)は、現場での医師の指示なしに、一定の医療行為ができる「特定看護師」制度を活用。十七人が動脈採血や人工呼吸器の操作、エコー検査などを担当する。

 守瀬善一副院長(55)は「病棟に行くなどの作業が減り、医師の負担軽減に役立っている」と説明。増員を図りたい考えだが、看護師が資格を得るために大学院で二年間学ぶ際、無給になることが難点という。名古屋市立大病院では医学部の学生らが心電図移動や患者の家族対応などで、救急の医師を補助する取り組みを始めた。

■本音
 ただ、大半の病院は具体的な対策を打ち出せていない。制度改革に乗り出した政府への恨み節も漏れる。

 岐阜県内のある病院の担当者は、医師法の応召義務に触れ、「昼夜を問わず患者への対応が求められているのに、長時間労働の是正は困難」と明かす。

 中山間地域では既に医師不足が深刻。ある病院担当者は「都市部に医師が集中しており、十分な交代勤務ができる体制がない」と嘆く。愛知県内の病院幹部は「国から改革を押しつけられ、どこの病院も困っている。このままでは地域医療が崩壊しかねない」と心配している。

医師増員が不可欠
 医師の労働問題に詳しい松丸正弁護士の話 過労死ラインを超える時間外労働(月八十時間)は医師の心身の健康を損ね、大きな問題だ。医師も他の職種と同様、労働者であることを病院も認識するべきだ。医師の労働時間削減と現在のサービス維持を両立するために、必要な地域に医師の増員を図ることが不可欠。国は緊迫感を持って対策を進めるべきだ。



http://www.medwatch.jp/?p=20478
医学部教育における「臨床実習」が年々充実、3000時間近い医学部も―医学部長病院長会議  
2018年5月10日|医療現場から MedWatch

 医学部の教育カリキュラムについて経年比較を行うと、「臨床実習」の充実が著しく、2017年度には3000時間近い臨床実習を行っている医学部が14大学もある。もっとも1500時間未満しか実施していない医学部が5つあり、さらなる充実が期待される―。

 全国医学部長病院長会議は5月9日に記者会見を行い、こういった状況を明らかにしました。

 なお、2020・21年度の医学部入学定員について、大学側や受験者の不安を払拭するために、全国医学部長病院長会議の新井一会長(順天堂大学学長)が文部科学省・厚生労働省に対し「早急に指針を示してほしい」との要望を同日に行っています。

ここがポイント!
1  医学教育の改革進む、臨床実習の充実に向け「県・医師会・大学」の連携も重要
2  2022年度以降の医学部入学定員、地域枠の在り方などは各大学の特性・意見を踏まえよ

医学教育の改革進む、臨床実習の充実に向け「県・医師会・大学」の連携も重要

 日本国憲法第23条は「学問の自由」を保障しており、各大学では自由に教育課程を構築することが可能です。一方、大学医学部は「生命・健康を守る医師」を養成する機関でもあり、質の確保と言う観点で、全く自由に教育課程を構築することは好ましくありません。

 両者のバランスをとる観点で、全国医学部長病院長会議では、1975年から各大学医学部の教育課程を調査(2年に一度)し、それを比較分析することで、「各大学の教育内容のブラッシュアップ」を行っています。

 また、より優れた医師の養成を目指し、医学教育全体の改革(例えば5年生からの臨床実習開始前に学生の能力をチェックする共用試験(CBT、OSCE)の導入など)が行われるとともに、国際水準の医学教育を確保するための体制構築(米国での医師申請資格を確保するために、JACME(日本医学教育評価機構)の組織・WFME(世界医学教育連盟)からの認証)も進められています。後者は、WFMEが認証した各国の評価機関(日本ではJACME)が認定した大学医学部の修了者でなければ、米国で医師資格を取得できないという仕組みにで、JACMEはWFMEから2017年3月に認証を受けています。

 医学教育の改革は、▼学部卒業までに修得しなければならない実践的診療能力を明確化したモデル・コア・カリキュラムの制定・改訂▼5年生からの臨床実習開始前の共用試験(知識習得状況をみるCBT、臨床能力を評価するOSCE)の導入▼学生が実施できる「医行為」の明確化―といった学部教育改革のほか、初期臨床研修制度の必修化、専門医制度改革などからなり、21世紀に入ってから急速に進んでいます。
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全国医学部長病院長会議 会見 180509の図表
 
 全国医学部長病院長会議では、こうした改革が、どの程度、現場医学部で実施されているのかを2年に一度調べ、各大学にフィードバック。その調査分析結果をもとに、各大学で自主的な教育課程改革が進め、全体として継続した教育水準の向上が図られています。

実際の調査分析を行っている全国医学部長病院長会議カリキュラムワーキンググループの奈良信雄座長(順天堂大学客員教授)は、2014年度に15医学部、15年度に20医学部、16年度に32医学部、17年度に14医学部の合計69医学部でカリキュラム改訂が行われ、他医学部でも近く改訂が行われることを明らかにしています。

また、具体的な改革内容を見ると、2017年度までに▼6年間を通じて教養を高め、基礎と臨床の連携を強化する「統合型・学習成果基盤型」教育が76医学部で▼学部の1年生からの医療体験実習は66医学部で▼学部の1年生からの「医師としてのプロフェッショナリズム教育」は26医学部で▼PBL(問題解決学習法)は71医学部で▼TBL(チーム基盤型学習法)は48医学部で―それぞれ導入されています。

さらに、臨床医においても研究能力を高めることが求められる中で、研修室への学生配属状況を見ると、▼65医学部で全員配属▼6医学部で希望者配属―を実施。学部生に対する海外実習の実施状況は、基礎医学については平均8.1週(約2か月)、臨床医学については平均6.8週(約1か月半)となっており、中には、基礎21週(約5か月)、臨床28週(約7か月)という長期間の海外実習を実施している医学部もあります。

奈良座長は「臨床実習の充実」に特に注目。年々、臨床実習時間が各医学部で長くなっており、2017年度には平均で2174.1時間、その内訳は▼2750-3000時間:14医学部▼2500-2750時間:6医学部▼2250-2500時間:9医学部▼2000-2250時間:18医学部▼1750-2000時間:16医学部▼1500-1750時間:12医学部▼1500時間未満:5医学部―という状況です。学部生の間に充実した「臨床実習」を受けることで、医師免許取得後の初期臨床研修で、より充実した臨床研修を受け(積極的に診療に携われる)、その後の後期臨床研修(専門医研修)も充実すると期待され、さらなる「臨床実習の充実」に期待が集まります。

学部における臨床実習を行う場として「大学病院」がまず頭に浮かびますが、多様な症例に接するためには、学外の医療機関等での実習も重要です。この点に関連して新井会長は、「各大学で地域医療の素晴らしさを学生に肌で感じてもらうために、学外の実習も充実してきている。ただし、実習先については、地域医師会や卒業生(OB)に協力を仰ぐなど、教育担当教官が苦労している。少なくとも『1県1大学』の地域では、県・医師会・大学が連携して実習先を確保できるような体制を構築することが、医師偏在の解消にもつながっていくのではないか。日本医師会も、この点、前向きに考えてくれている」旨をコメントしています(関連記事はこちら)。
 
 なお、医学教育にはさらなる改善の余地があり、奈良座長は私見も交えながら、▼アウトカム基盤型教育(期待される医師の能力から遡って、教育内容を考える)の充実▼統合型教育(基礎と臨床、基礎間、臨床間での連携)の充実(上述のように多くの医学部で導入されているが、一部のみで実施という医学部も少なくない)▼診療参加型臨床実習の充実▼学部生の自己学習力の強化(医学教育が広範となり、教官がすべてを教授することは難しくなってきている)▼教育プログラムの定期的な評価―などを今後、さらに進めていくべきとの考えを示しています。
 
2022年度以降の医学部入学定員、地域枠の在り方などは各大学の特性・意見を踏まえよ

 ところで、医学部の入学定員設定に関する議論が、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」で進んでいます。

 2019年度までの医学入学定員は決定していますが、2020年度以降には「医師不足が特に深刻な青森県などの定員増をどのよう扱うか」などの問題が解決していないのです。2020年度の大学医学部受験者の多くは現在、高等学校2年生であり、早期に入学定員が固まらなければ、進路決定が困難になります。また大学側も「どの程度の学生を受け入れる体制を整えればよいのか」を早期に決めておく必要があります。

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当面の医学部入学定員
 
新井会長は「本来であれば、今年(2018年)初めに定員数の考え方を示しておくべきだった」とし、文科省と厚労省に宛て「2020年度・21年度の医師養成数の方針が医師需給分科会等でまとめられた後、速やかに政府方針として示してほしい」と強く要望しました。医師需給分科会等では「5月にも意見をまとめ、夏には方針を固める」考えです(関連記事はこちら)。
また、2022年度以降の定員については、▼拙速な決定は差し控えてほしい(医師の働き方改革などを踏まえて検討する必要がある)▼一律に「地域枠を恒久定員に盛り込む」ようなことは避けてほしい(各大学が判断すべき事項である)▼地域枠設定などの際には、財政支援などの必要な環境整備してほしい―との要請も併せて行っています。

医師需給分科会では、「将来、医師の必要数を供給数が上回るため、養成数を削減する」方向が概ね固められており、一方、地域医療を確保するために「現在、臨時定員増の中に設定されている地域枠を恒久定員に盛り込むべき」との方向も固まりつつあります(関連記事はこちら)。この点、新井会長は、「一律に地域枠を全大学医学部に設ける」ことは乱暴であり、大学ごとの特性・希望を踏まえるべきと求めています。



https://www.asahi.com/articles/ASL5C42FFL5CUBQU00H.html
順大新病院の整備計画に遅れ 地域医療構想に影  
増田愛子、長谷川陽子2018年5月11日17時00分 朝日新聞

 埼玉県がさいたま市内に誘致する順天堂大医学部付属の新病院整備計画の遅れが、地域の医療提供体制の将来を巡る議論にも影響を及ぼしている。2017年度、同市域の医療構想を話し合う会議を、同大の法人は新病院の概要が未定として欠席。関係者からは、困惑といらだちの声も上がる。

 「順大新病院の医療機能がはっきりしないと、議論できない」「県が順大を指導してほしい」。3月、さいたま市地域医療構想調整会議で、救急医療などを担う市内の病院長や医師会長から意見が相次いだ。

 会議は、団塊世代が75歳以上となる25年に必要な病床数や医療機関の役割をまとめた「県地域医療構想」の実現に向け、地域の医療関係者が協議する場。国は、新規整備予定の医療機関にも出席を求めている。だが17年度、同市全域にあたる、さいたま保健医療圏で4回開いた会議を、学校法人順天堂は全て欠席。朝日新聞の取材に対し「医師の出席を求められているが、まだ新病院の院長候補者が決まっていない」と欠席理由を説明する。

 構想の推計では、25年に同圏で必要な病床数は7664床で、15年度に比べ約660床不足する見通し。医療機能別に見ると救急対応の「高度急性期」や「急性期」よりも、リハビリの提供などを行う「回復期」が約2千床の大幅な不足を見込むなど、増床と共にこれらの再編も課題となる。

 一般的に大学病院は高度急性期や急性期の医療を担うため、800床を計画する順大の新病院は、将来の機能再編に向けて「大きな影響要因」(市地域医療課)。県保健医療部の三田一夫参与は、「まず既存病院で話を進めて頂き、新病院の基本計画が出た段階で整合性を取っていかなければいけない」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/602145
「医学部卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~
ふつうの内科医が目指す“総合内科的医療”の普及
“うちじゃないと言わない”“それ本当?”を大事に
 
JCHO星ヶ丘医療センター総合診療部 医長 小嶌 祐介
オピニオン 2018年5月11日 (金)配信

小嶌 祐介 Yusuke Kojima
【略歴】奈良県出身。2005年滋賀医科大学医学部卒業後、医仁会武田総合病院初期研修医・消化器内科後期研修修了を経て、2012年から洛和会丸太町病院総合診療科で医員として勤務し、2016年から現職。
 所属学会・取得資格は日本内科学会認定内科医、同学会総合内科専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医、同プライマリ・ケア認定医。

 私は大阪府枚方市にある星ヶ丘医療センター総合内科に勤務しています。急性期とリハビリ病床を合わせて580床の総合病院です。当科では複数の問題を抱える高齢者や主訴が特定の専門科に該当しにくい初診、診断のつかないケース、救急受診、院内からのコンサルテーションへの対応などを担当しています。よく言われることですが患者さんが診断名をぶら下げてやってくるわけではありませんので、結果として多様な疾患を初期対応から診断まで担当し、続いて院内他科への紹介、大学病院への紹介、場合によっては当科で治療を提供することになります。

 現在医師数は7人、入院患者数は平均して20人前後です。疾患名として誤嚥性肺炎や尿路感染が多いことは当然ですが、いわゆるサブスペシャルティでいうところの内分泌疾患や血液疾患、感染症、膠原病、神経疾患などを診療する機会もあります。総合病院といっても専門科のない領域も多く、なるべく院内の隙間を埋めるよう努力しています。一方で肺炎以外の呼吸器疾患や典型的症状で発症する脳梗塞、稀な神経変性疾患、手技的治療の対象となるような消化器および循環器疾患は院内の専門科にお任せすることが多くなっています。もう少し救急や集中治療の領域での仕事が増えることが当面の目標です。

 私がここに就職したのは2年前になりますが特別な経緯はなく、どこかと比較して選んだわけでもなく、単に自宅から通勤できる範囲にある「総合内科」だったからです。前職では上田剛士先生で有名な丸太町病院の総合診療科にいましたが、家庭の都合で転居したため通勤できなくなり、不本意ながら転勤を選びました。有名どころに所属してはいましたが私自身はふつうの内科医であり、総合内科を指揮するつもりも特になく、求められるものに応じて臨機応変に働くことを想定していました。

 星ヶ丘の総合内科は数年前から存在はしていたものの、スタッフ・症例・教育・院内での認識などすべてが不足していて、そのままでは潰れてしまいそうな状態でした。当時は徳田安春先生がJCHOの顧問だったのでときどき教育回診に来られていましたが、院内や地域に告知をしても若手医師は集まらず、熱心な学生が徳田先生目当てでイベントには参加するものの当院自体は研修先に選ばれないままでした。日常の業務においては専門科の狭間に埋没して魅力がない、ということが気の利いた若者にはお見通しだったのかもしれません。

 それでもJCHOと病院の上層部は地域の需要に応じるために総合内科を維持発展させるという意向を示していました。そこで私は総合内科の人員と仕事を増やすことを目標に、まずは自分の知る総合内科らしさを実行することにしました。丸太町病院の真似事ではありますが、少ないスタッフと一緒に回診をして病歴を聴取し身体診察を行い、検査の前に鑑別を挙げて無駄な検査を減らし、夕方には集まってカルテの確認をして、すべてのプロブレムを挙げて、治療には根拠を求め、基本的な知識について教育を提供し、ネットに掲示板を作って参考資料を共有し、製薬会社からの情報提供は受けず、常に英語情報を参照するという態度を見せ、勉強会で症例提示をして院外にも発信しました。最近では多くの病院で同様の実践がなされているようなので、「総合内科はじめました」と言うためには、ここがスタート地点なのだろうと思います。

“うちじゃないと言わない”“それ本当?”を大事に

 総合内科やこういう仕事をしている自分が生き残るために、私は“うちじゃないと言わない”受容的態度と“それ本当?”という批判的精神、この二つの要素を大事にしています。いずれも尊敬する二人の先輩医師からそれぞれ聞いた言葉です。前者については、専門科の隙間で自分の仕事を確保するために取るべき態度です。ふつうの内科医であって特定の専門分野を持たない私には“うち”という領域がないので、“うちじゃない”と言うと仕事が無くなるからです。

 念のために申し上げますが、専門分野に特化して診療している医師を批判する意図はまったくありません。正確に言うと、個人的には外傷と小児と産婦人科は診られないので、すべての初期対応に“うちじゃないと言わない”わけではないし、内科疾患を診断したとしても自分たちで治療を提供してよいかどうかは常に慎重に判断しているので、最終的には“うちじゃないと言っている”場合もあることになります。そのような留保のある受容的態度ではありますが、結果として院内や地域からのいろいろな需要に応じている(と思う)し、無用な軋轢や衝突を未然に防いでいる(かもしれない)し、一人の患者さんに複数の問題があるときに、そのうち一つだけではなく、多くをまとめて扱うことができます。多様な診療機会によって研修医を教育することもできます。もう一つ重要なことですが、そのような態度で得られる経験と知識の蓄積こそが、将来も“うちじゃないと言わない”自分を育てているのであって、他の方法はないと思います。

 二つ目の“それ本当?”という批判的精神は、診断や治療の妥当性を常に吟味するために持ち合わせるべき心構えです。ある診断や治療について“それ本当?”と聞かれたら、

・どんな患者さんに(P)
・どのような検査あるいは治療を実施したら(I)
・しない場合あるいは別の手段を実施した場合と比較して(C)
・何がどうなる?(O)

と聞かれていることになります。文脈としておかしいことを言ってるかもしれませんが、そういうことなのです。「誰かが言っていた」とか「前の病院ではそうしていた」では答えになりません。周囲に倣って行っている医療が実は無意味であったりコストが高いだけだったり根拠がいつの間にか覆されていたり、場合によっては有害だったりすることはしばしばあります。
 高齢の患者さんは複数のプロブレムが相互に影響していることも多く、知識が充実したとしても適用する文脈が一致しないこともあります。正しい意思決定を自立して行うためには、具体的に問題を設定し、教科書や文献を確認し、情報を取捨選択して、それを読み解くリテラシーが必要です。個別の価値観へも配慮しないといけません。つまり根拠と患者の要望に基づく医療です。などと偉そうに言っていますが、いまだに英語や統計の理解に困難を感じることがあるし、すべての問題について正解を知ることはできないし、ガイドラインに目を通すだけでやっと、という場面もしばしばあります。それでも年数が経つほど肝腎なことは自分で判断しなければならないので、以上のような意思決定の作法を繰り返して修得することは重要だと思います。

 総合診療科あるいは総合内科という部門に所属する以前の私は、ふつうの総合病院で初期研修を受け、消化器内科の後期研修を修了した後に内視鏡ばかり握っているのが嫌になって市中の一般内科を転々としていました。明確なビジョンがあったわけではありませんが、同じく医者である父親が自分のことを内科医としか言わなかった(言えなかっただけかもしれないが)という影響と、正しいことを広く知りたい、という気持ちが強かったことで特定の専門内科を選べなかったといえます。

スーパーDr.Gじゃない、ふつうの内科医が取り組む意義

 専門を選ばずにやりたいことを優先してきて現在の仕事をしていますが、総合診療や総合内科というものが、数少ないスーパーDr.Gによって布教されるものばかりでなく、ふつうの内科医によって普及されることはそれなりに意義があると思います。高齢者を総合的に診る、専門科の隙間を埋める医師は多くの病院や地域で需要があり、どこにでもいる内科医で対応することが、いくらかの努力を要するもののいちばん簡単ではないでしょうか。その努力の内容についても、自分のようなふつうの内科医にこそよくわかることがあります。直腸診やグラム染色を初めて経験しました、論文など読んだことありません、意思決定は上司の言う通りにしていました、と言う若手医師は過去の自分と同じだからです。

 すべての研修医が有名病院でスーパーDr.Gの教育を受けられるわけではありません。そのような環境を経験しなかった医師が10年程度をかけて総合内科を実践していくために、自分がこれまでに感じたこと、行動したこと、必要な知識、などを提供していくことで、この分野の裾野というか間口を広げることができると思います。

 なお、総合診療とか総合内科という用語は自分の所属してきた部門に応じて適当に使用しています。紛らわしくてすみませんが、新専門医制度に付随して議論の対象となっている「総合診療」という専門領域の定義とは関係ありません。病院の総合内科を専門領域と認定するべきかどうかという議論にもあまり興味はありません。専門家と認定されなくても仕事は成立するし、多様な問題への正しいアプローチを検討する毎日は楽しくやりがいがあります。

 当科は一部の有名な総合診療科に比べるとものたりない部分もありますが、有名病院で教育を受ける機会のなかった人や、興味の対象を特定の専門分野に絞れない人、専門科へ進む前に内科の基礎を広く経験したい人、うちじゃないと言いたくない人、それ本当?って思っている人、自称“ふつうの内科医”の人、等々は、当科での勤務を検討していただければ嬉しいです。一緒に勉強しましょう(とはいえ、新しい制度で枠組みの設定された総合診療専門研修をしたいという方のために、近隣の協力施設とともに認定されたプログラムもあります)。

 本稿のおしまいに中期的な目標を掲げてみます。まず組織としての目標は、人材の流動性を保ちながら科が存続することです。とてもありがたいことに奈良医大感染症科や阪大総合診療科からも協力をいただき、現在は複数人の後期研修医がいます。このまま総合内科が成長しつつ、患者アウトカムの向上や地域医療への貢献を達成し、若い医師が経験を積むことができればよいと思います。そして個人的な目標は、これまでやってきたこととの連続性を大事にして40代を生きること、人生の後半に向けて自分の社会的価値を稼ぐことです。そのため勤務地域に限らず総合内科の普及に関与したいと考えます。たとえば居住している京都府南部は僻地というほどではないものの高齢者は多く、医師は少なく、総合内科的医療の発展する余地があると思います。私に出来ることは限られていますが、住人のひとりあるいは内科医として、地域を支えている医師の方々と協力して勉強会などを開けないかと思います。地域の関係者の方がもしこの記事を読んでいれば声をかけてください。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596735
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「カリキュラム制も柔軟に」「ダブルボードも」◆Vol.7
「改善すべき点はない」は1.1%にとどまる
 
医師調査 2018年5月6日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度は、2018年度は初年度だったこともあり、試行錯誤が続き、結局、開始が1年遅れた。制度を設計する立場ではなく、当事者である本制度一期生に改善点を複数選択で尋ねたところ、最も多かったのは、「研修プログラム制と研修カリキュラム制を柔軟に選べるようにする」(58.3%)、次が「ダブルボード(複数専門医取得)を容易にする」(51.8%)でいずれも5割を超えた。

 新専門医制度では、あらかじめ研修する基幹施設を定め、所定のスケジュールにしたがって研修する「プログラム制」が基本。症例数やレポート提出などの結果のみではなく、研修プロセスの管理を通じて、専門研修の質向上を図るのが狙いだ。しかし、複数の施設をローテーションしたり、出産・育児をはじめ、さまざまな事情で研修施設を変更したい場合には対応しにくい。新制度でも、地域医療従事者や女性医師等への配慮からカリキュラム制も可能だが、より柔軟に選択できるように望む声が多かった。また19の基本領域のいずれかを登録する仕組みであり、複数の専門医資格を取得するダブルボードは可能だが、現時点ではそのハードルは高い。

 3位は、「サブスペシャルティとの相互乗り入れプログラムの充実」(43.8%)。内科と外科については、サブスペシャルティが決まっており、相互乗り入れのプログラムが用意されているが、それ以外では、基本領域とサブスペシャルティの関係は未定だ。

 その他、さまざまな改善点が挙がり、「改善すべき点はない」は1.1%にとどまった。

Q1.新専門医制度の改善点は何か(n=276、複数回答)
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https://www.m3.com/news/iryoishin/597515
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「マイナー科志向、大学病院志向が強まる」、7割超◆Vol.8
「専門医の質向上、分かりやすくなる」の期待薄
 
医師調査 2018年5月13日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度については、さまざまな効果や影響が指摘されているが、代表的な8項目を挙げて、5段階で評価してもらった結果、「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計が最も多かったのは、「マイナー科志向が強まる」(73.9%)だった。以下、「大学病院志向が強まる」(72.1%)、「都市部志向が強まる」(67.0%)の3項目で、5割を超えた。

 そもそも新専門医制度の第一義的な目的は、「専門研修、専門医の質」の向上。しかし、「あまり当てはまらない」と「当てはまらない」は計42.8%で、「当てはまる」と「やや当てはまる」の計17.8%を大きく上回った。「国民にとって専門医制度が分かりやすくなる」「地域の医療の質向上につながる」も「当てはまらない」の回答が大勢を占めた。

Q1.新専門医制度の影響は?(n=276)
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【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.m3.com/news/iryoishin/601924
医学部定員、2020、21年度分「速やかに示して」
全国医学部長病院長会議、2022年度以降は「減らさざるを得ない印象」
 
レポート 2018年5月10日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議は5月9日、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」で議論が行われている2020年度以降の医学部定員の取り扱いについて、「2020年度、2021年度の医師養成数の暫定的な方針を速やかに示していただきたい」などとする、厚労相、同省医政局長、文部科学大臣、同省高等教育局長宛ての要望書を同日に提出したと発表した。全国医学部長病院長会議会長の新井一氏は記者会見で「前回は(対象年度の)2年前の暮れくらいに方針が出て、大学や受験生、予備校から不満が出た。今の時点で2020年度分は出ているべきだ」と述べた(要望書の全文は記事の末尾に掲載)。

 医師需給分科会の構成員でもある新井氏は、2022年度以降の定員については、「一般論としては、減らす方向にならざるを得ないという印象だ」と説明。減員の方法として「全体の定員を減らして地域枠を残すとなると、地域枠を恒久定員に組み込むという議論が出てくる可能性がある」と指摘し、要望書にも盛り込んだ通り慎重な検討を求めた(同分科会の議論は、『2022年度以降の医学部定員、「削減」の方向で検討』を参照)。

 会見では、同会議カリキュラム調査ワーキンググループが行った「全国医学部教育カリキュラムの現状」の2017年度調査について座長の奈良信雄氏が報告した。臨床実習の総時間数は2000時間以上2250時間未満が18の医学部で最も多く、次いで1750時間以上2000時間未満が16医学部、2750時間以上3000時間未満が14医学部となっており、「臨床実習の時間数は明らかに増えている。ECMFGの(2010年の)アナウンスがきっかけと考えている」と指摘。臨床実習後のOSCEについては、ステーション数が平均4.45との調査結果で、「不十分だ。増やしていかないといけない」と述べた。

 調査結果のまとめとしては、医師としてのモチベーションを高めることやプロフェッショナリズム教育の充実、自己学習力の涵養などを通して「国民に信頼される医師の養成に重点を置いている」と説明。臨床医としての教育を充実させる一方で、80のうち65大学で研究室への全員配属が行われるなど「研究マインドの涵養を忘れない」ことや、医療英語の教育や海外実習などでグローバル化への対応も行われていると指摘した。

要望書の全文は以下の通り。

2020度以降の医学部定員の取扱について(要望書)

 現在、厚生労働省が設置する「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」において、2020年度以降の医学部定員の取扱についての検討がなされております。医学部の定員については、各医学部・医科大学における入学者選抜等にも直結することから、社会的関心も極めて高く、各高校や各大学をはじめとする関係者間で懸念されているところであります。本件については、関係各所において精力的にご議論が進められていると承知しておりますが、下記の事項について強く要望いたしますので、所管官庁として適切なご対応をお願い申し上げます。

 2020年度、2021年度の医師養成数についての暫定的な方針については、各医学部・医科大学における入学者選抜等にも直結することから、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」において取りまとめられた後に、これを政府方針として速やかに示して頂きたい。

 2022年度以降の医師養成数、医学部定員の在り方については、今後示される医師偏在指標、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論の結果等を踏まえて議論する必要があることから、拙速に医学部定員の在り方について決定するようなことは差し控えて頂きたい。

 大学における地域枠の設定については、地域医療対策協議会において各都道府県が各大学との間で事前に十分な協議を行い、また、各大学が定める admission policy、教育・研究・診療に関するミッションとの整合性等を踏まえた各大学の判断を尊重することを原則とし、例えば地域枠定員を恒久定員に組み込むといった施策を大学ごとの特性や希望を踏まえず画一的に行うことについては慎重に対応頂きたい。

 その上で、大学も各都道府県と連携して引き続き地域偏在対策に取り組んでいきたいと考えているが、各都道府県から地域枠の設定に関する要請を受けた場合に、各大学が積極的に協力することができるよう、財政支援等の必要な環境整備をお願いしたい。



https://www.asahi.com/articles/ASL5631TML56UBQU003.html
病床不足対策、公募で増床へ 3年後に向け
埼玉県
 
小笠原一樹
2018年5月6日11時00分 朝日新聞

 病床が不足し今後の高齢化に対応できない恐れがある地域について、埼玉県は新たな病床や医療機関の増設を募る。特に春日部市や越谷市を含む「東部保健医療圏」、川越市や東松山市を含む「川越比企保健医療圏」で300床以上足らず、在宅療養の患者の急変などに備える病床や、リハビリテーションを提供する「回復期機能」を担う病床の整備が必要だという。

 2020年度末時点で、全県で1638床が足りないとされ、県は7月23日から8月24日まで、病院と診療所から増床計画を受け付ける。

 県医療整備課によると、県内はすでに5万375床あるが、団塊の世代がみんな75歳以上となる2025年には5万4210床が必要となる。今年度から6年間の「第7次県地域保健医療計画」に基づいて整備を目指すが、3年後に向けた不足分を募集する。

 増設が必要なのは、回復期機能を担う病床や緩和ケア病床、がんや脳卒中、心血管疾患に対応する高度専門医療で、21年3月までに着工することが応募条件。

 一方で、現在の病床数がすでに必要数を上回っている熊谷市、深谷市、秩父市などを含む医療圏は対象外。さいたま市についても、県は、着工予定時期が未定の順天堂大医学部付属の新病院の800床を見込み、増床の対象外とした。

 高齢者が減って病床の削減に悩む地方が多い中、埼玉のようなケースは珍しいという。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/60829/Default.aspx
日医・横倉会長 超高額医療「主治医以外が必要性判断する仕組みの検討を」 
公開日時 2018/05/07 03:51 ミクスonline

日本医師会の横倉義武会長は5月1日の定例会見で、欧米で承認されたCAR-T療法に要する費用が1回で4000万円超となることを引き合いに、「審議会で、担当の医師以外の第三者の目を通すことで、本当に必要かどうか判断をしていく仕組みがあってもいいのではないか」との考えを示した。財務省主計局が提案する「高度・高額な医療技術や医薬品」と保険財政のバランスに一石を投じたもの。さらに財務省が4月25日の財政審財政制度分科会に提案した医療費の給付率の自動調整案について、「財務省や財政審の提案はあまりにも無責任」と反発。欧米諸国に比べて国民の負担率が低いことなどから、「患者だけでなく、社会全体の負担率を調整することでカバーすべき」と主張した。

抗がん剤・オプジーボを契機に明るみとなった高額薬剤問題だが、遺伝子治療など、革新的技術の登場で新たな局面を迎えることになる。ノバルティスファーマのCAR-T療法は、日本もすでに申請段階にある。政府部内では、CAR-T療法に代表される医療技術のイノベーションと保険財政のバランスについて喫緊の課題と位置づけており、厚労省の社保審医療保険部会や経済財政諮問会議でも議論となっている。なかでも財務省は2025年度以降の社会環境の変化と社会保障制度の持続性に強い問題意識を示しており、特に「高度・高額な医療技術や医薬品」について、一歩踏み込んだ改革案を提示したところ。これに対し日本医師会の横倉会長は5月1日の会見でクギを刺す場面が見られた。

◎横倉日医会長「新しい医療技術は有効性・安全性が確認され次第、迅速に保険収載を」

横倉会長は会見で、「費用対効果評価は保険償還の可否に用いるべきではない」と反発。「新しい医療技術は、有効性・安全性が確認され次第、迅速に保険収載されることが重要だ。有効性・安全性が確認できているにもかかわらず、価格が高いという理由で保険償還の対象外に置かれ続けるということであれば、国民が医療技術の革新を受け入れられないという不幸な事態になる」と危機感を示した。希少疾患などで、対象患者が少なく、高額になる場合でも、「有効性・安全性が確立されたものは、保険診療の対象とすべき」との考えを示した。

また、厚労省が生活習慣病治療薬や抗がん剤などについて最適使用推進ガイドラインを策定していることに触れ、「医療側も患者の症状や特性に応じてコスト意識を持った上で、まずはプロフェッショナル・オートノミーに委ねるべき」との考えを表明した。その上で、さらに極めて高額な医療を行う場合に、「更生医療給付のように、医学的・社会的観点も踏まえた意見を聞くことも必要ではないか」との考えを示した。更生医療の給付に際しては、主治医の意見書を添付して患者が市町村に申請。市町村役場で身体障害者更生相談所の判定に基づく審査を行い、必要性が認められた場合に患者が給付を受けられる流れとなっている。

◎財務省の給付率自動調整案に反発

横倉会長はこのほか、財務省が財政制度等審議会に示した医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入について、「経済成長ができなかった場合、給付率のみで、患者に負担を押し付けようとしている」と反発。一方で、金融資産を考慮した負担については、「日本医師会は所得や金融資産の多寡に応じた応能負担を行うべきと主張してきた。低所得者に十分配慮した上で、金融状況を考慮した負担の在り方についてきめ細やかな対応が必要だ」と述べた。

一方で、社会全体で支えるための働き方改革や一億総活躍の実現により、健康な高齢者が活躍社会を作り、支え手を増やすことの重要性を強調した。健康寿命の延伸に向け、日本医師会として、日本商工会議所や保険者、自治体らと「日本健康会議」の取り組みを進めていることを紹介。2018年度に都道府県が国保の保険者となったことなどから、連絡協議会の開催などを通じ、都道府県へと取り組みを波及させることに意欲をみせた。横倉会長は、「日本健康会議の取り組みを国民運動にしていくことが重要。大手企業では徹底され始めている中で、中小企業にいかに広げていくか。協会けんぽの取り組みを後押ししたい」と述べた。すでに、宮城県や静岡県では、都道府県版の健康会議が設置されている。横倉会長は、「先に医療費削減ありき、ではなく健康増進を目指した施策の結果として、医療費が削減されることを地域で進めていくことが重要」と強調した。

◎地域別診療報酬「地域偏在加速で医療の質低下を招く」

このほか、地域別診療報酬の活用について、「県境での患者の行動に変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動により、地域による偏在が加速することで医療の質低下を招く恐れがある」と指摘した。

また、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師・薬局以外受診時の定額負担の導入について、「かかりつけ医の普及に水を差すことになる」と反発した。一方で、かかりつけ薬剤師・薬局については、「まず薬局の在り方自体を議論することが必要」と指摘。「国民の保険料、税金が原資となっている社会保障費が社会保障の再生産に回るのではなく、株主に還元されるのは大きな問題」と述べ、医薬品医療機器等法(薬機法)改正議論の中で、社会保障財源で事業を行う非営利の“薬局法人”の在り方や、保険薬局の収支決算の公開などを検討すべきと主張した。



  1. 2018/05/13(日) 06:46:22|
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