Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月22日 

https://mainichi.jp/articles/20180421/ddm/005/070/062000c
社説
医師不足の地域どうする 医学部の「地元枠」拡大を

毎日新聞2018年4月21日 東京朝刊

 医師不足を解消するため、国は医学部の新設や定員増を図っている。ただ、いずれは人口減少のため、医師が過剰になり、医療費の膨張を招くことが懸念される。

 厚生労働省の推計では、働く医師の総数は2028年に約35万人になり、そのころに必要とされる医師数と均衡する。2年前の推計に比べて医師不足解消は4年遅れる見込みだ。若い勤務医の過労死や過労自殺が後を絶たないことを受け、勤務時間に上限を設けることが検討されていることなどが影響したという。

 琉球大医学部の新設(1979年)以降、国は一貫して医師の抑制策を取ってきた。医学部志望熱は高いが、医師の供給体制を拡大すると、過剰になったときに減らすのが難しいとされるためだ。

 国が方針転換をしたのは、00年以降に病院の閉鎖が相次ぎ、「医療崩壊」が問題となってからだ。

 医師不足といっても、実際には地域差が大きい。人口10万人当たりの医師数で最も多いのは徳島県で316人。埼玉、茨城、千葉各県はその半数程度しかいない。

 このため医師不足の地域の医学部に定員を上乗せした「地域枠」を認め、定員増を図るようになった。地域枠の学生には奨学金を支給し、医学部卒業後の臨床研修はその地域で行うことを義務にした。

 医学部の新設についても16年に仙台市、17年には千葉県成田市の大学で実現した。

 「地域枠」は08年に始まってから導入する大学が増え続け、現在の定員は計1600人を超える。医学部を16カ所新設したのと同じ規模だ。ただ、その半数ほどは他の地域から入学する学生で、義務とされる臨床研修を終えると、都市部の医療機関に移るケースも多い。

 一方、地元で生まれ育った学生は卒業後も地元の医療機関に定着する確率が高い。地域枠を拡充する中で、地元の学生の割合を増やす方策を検討してはどうだろう。柔軟な発想で対策を練ることが求められる。

 地域の医療ニーズは診療科によっても異なる。現在は都道府県が地域の実情に応じて地域医療計画を策定することになった。医師の養成や定着も含めて、実効性のある医療供給体制を整備しなければならない。




https://www.asahi.com/articles/ASL4J3TGJL4JUBQU009.html
医師不足 「応援医師の通勤、ヘリ送迎」青森県へ要望
伊東大治2018年4月16日16時30分 朝日新聞

 青森県下北地域の基幹病院・むつ総合病院の医師不足に対処するため、むつ市など5市町村でつくる「下北総合開発期成同盟会」(会長=宮下宗一郎むつ市長)は12日の総会で、派遣医師をヘリコプターで送迎するシステムの導入を県に求めていく方針を決めた。医師の通勤負担を軽減できるうえ、一刻を争う救急医療にも対応できるとしている。

 ヘリによる医師搬送システムは、離島の多い長崎県で2013年から始まっており、期成同盟会事務局のむつ市は今年3月に視察。ヘリ導入に5億円、格納庫整備に1億円、年間維持費に1億円かかると見込む。このシステムで、例えば片道3~4時間かかっている弘前大医学部からの応援医師は30分程度で駆けつけられるようになるという。

 一方、むつ総合病院には21の診療科があるが、常勤医は41人で20人不足しているという。命に直結する脳神経外科や心臓血管外科を含む9科に常勤医がいない状態だ。宮下市長は「医師確保に取り組んできたが、全く成果を上げることができなかった。このシステムが導入できれば医師不足の特効薬になるのではないか」と話した。




https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/003/070/079000c
質問なるほドリ
医師足りているの? 異常な超過勤務が実態 地域や診療科偏在も深刻=回答・酒井雅浩

毎日新聞2018年4月22日 東京朝刊

病院常勤医の週当たりの勤務時間
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 なるほドリ 医師(いし)が足りないってニュースで見たけど。

 記者 医師が働けるのは「週60時間」までとした場合、2028年ごろまで「医師不足」の状態が続くとした厚生労働省(こうせいろうどうしょう)の推計(すいけい)ですね。週60時間は、過労死(かろうし)の労災(ろうさい)が認められる基準(きじゅん)の目安(めやす)となる「1カ月の残業(ざんぎょう)80時間」に相当します。

Q 医師が足りないなら、増やさないとね。

A 将来的に政府は医師の数を減らそうとしています。高齢者(こうれいしゃ)の増加や平均寿命(へいきんじゅみょう)が延びたことで、医療の「需要(じゅよう)」は30年 ...
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https://ryukyushimpo.jp/news/entry-703916.html
腎臓内科の新患制限 北部病院、医師不足改善せず
2018年4月19日 18:29琉球新報

 【名護】沖縄県立北部病院(久貝忠男院長)が医師不足のため4月1日から腎臓内科の新患者受け入れを制限していることが18日、分かった。県立北部病院では医師不足による診療制限が相次いでおり、改善されない状況が続いている。

 腎臓内科は3月31日まで他センターから医師の診療応援があったが、4月1日以降は週1回に減少。医師1人の態勢となり、新患の受け入れ制限を決めた。人工透析についても新患は受け入れないとする。

 北部地域で入院可能な施設は県立北部病院のみで、腎臓に関する疾患で入院が必要な場合は、中南部での診療を余儀なくされる。

 このほか、1日から夜間(午後5時~翌日午前8時)の外科救急診療を週4日から週2日に制限した。日中の一般診療は現状維持できるように検討中だが、今後も医師不足が続くと一般診療も制限される可能性が高いという。

 産婦人科の医師も4月1日には4人から3人になり、緊急性の高い妊婦の受け入れを断っている。消化器内科も同1日から医師が1人減となった。診療制限は行っていないが、扱える患者の数は減少している。眼科は2月1日から休診しており、再開のめどが立っていない。
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https://www.iwate-np.co.jp/article/kyodo/2018/4/21/33531
厚労省、女性医師の両立を後押し
非常勤でも常勤扱い

2018.04.21 岩手日報

 厚生労働省は4月から、小児科や麻酔科など女性医師が比較的多い診療科で常勤医の配置基準を緩め、非常勤でも働きやすい環境づくりに乗り出した。女性医師は増えているが、子育てや家族の介護のためフルタイムで働くことが難しい人が少なくないため、両立に向けた柔軟な働き方を進めることで、離職防止や休職中の人の早期復帰につなげるのが狙い。

 これまでは、医療機関には常勤の医師を置く必要があったが、医師不足や働き方改革が叫ばれる中、18年度の診療報酬改定で基準を緩和。「週3日以上」かつ「週24時間以上」働く複数の非常勤医師を組み合わせれば、常勤医を配置したと見なすことにした。



https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/041/040/102000c
高松赤十字病院
残業緩和、年6回に増加 年1700時間の医師も

毎日新聞2018年4月22日 東京朝刊

 高松赤十字病院(高松市)が2016年末、労使協定(36協定)を結び直し、医師の1カ月の残業を80時間まで延長できる回数を年4回から6回に増やしていたことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。医師の不足や偏在で長時間労働が常態化しているとみられ、同病院は“上限緩和”を「医師の勤務実態に合わせた」と説明するが、関係者は「働き方改革に逆行する改悪だ」と指摘している。(3面に「質問なるほドリ」)

 労働基準法36条は、労使が協定を労働基準監督署に届け出れば、法定労働時間(1日8時間、週40時間)…<中略> ---17年の勤務医213人のうち、残業が月80時間を超えたことのある医師は18%の38人。うち10人は年7回以上超えたことがあり、更新した協定にも違反する状態だった。 残業が最長だったのは心臓血管外科医の年間計1698時間。夜間の手術や術後管理に追われていたという。 同病院総務課は「負担を減らしたいが医師を十分確保できておらず、抜本的対策は難しい」としている。これに対し、日本医療労働組合連合会(東京都)の温井伸二書記次長は「上限の緩和は労基法の趣旨に反する」と批判する。【岩崎邦宏】
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https://www.m3.com/news/iryoishin/598580
医療維新
「医師少数区域」勤務に「経済的インセンティブ」検討
参院厚生労働委員会、医療法・医師法改正法案を審議

レポート 2018年4月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 参議院の厚生労働委員会は4月19日、今国会に提出された「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」について審議、厚労省医政局の武田俊彦氏は、医師偏在対策として法案に盛り込まれた「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を厚労大臣が評価・認定する制度について、認定医師には経済的インセンティブを設けることも検討すると答弁した。

 経済的インセンティブとしては、若手医師にとって、専門医取得が困難であることが地方勤務を躊躇する一因であることから、当該認定医師の専門医の取得・更新に係る費用支援などが想定されている(『「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討』を参照)。「地方で勤務をする意思を持っている医師が、適切にその選択ができる環境整備と、認定医師への評価を同時に進める」(武田局長)。

 「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」の目的は、医師偏在の解消。さまざまな施策が盛り込まれているが、与野党合わせて、計12人が質問した厚生労働委員会では、「医師偏在指標」や「医師少数区域」の定義、認定医師の仕組みについての質問が相次いだ。

 医師の多寡については、人口10万人当たりの医師数で見ているが、「医師偏在指標」に変更する理由について、武田局長は、医療ニーズや人口構成、患者の流出入を踏まえる必要性を指摘。国が定める「医師偏在指標」を基に、都道府県が、2次医療圏単位で「医師少数区域」または「医師多数区域」を指定。「医師少数区域」に一定期間勤務した医師については、厚労大臣が評価・認定。地域医療支援病院のうち、医師派遣の環境整備機能を有する病院の管理者は、認定医師等にすることを義務化する(法施行日以降に選任する管理者に適用)。診療科別の偏在については、産婦人科や小児科などで医師の多寡を可視化する指標を導入する。

 「医師偏在指標」や「医師少数区域」などについて、「法案成立後、客観的な議論に資するデータを基に、速やかに公開の場での議論を開始する」(武田局長)。2018年度中を目途に結論を得て、厚労省が示す指針に基づき、都道府県は2019年度中に医師確保計画の策定、実施するというスケジュールが予定されている。

 一方、「医師少数区域」で勤務する意思がある医師の不安解消策については、▽定期的に休暇取得ができるように、交代勤務できる医師派遣の支援、▽医師少数区域で勤務を行った後でも、専門的な研修を受けられるように、都道府県、大学、地域の医療機関などが協力して中長期的なキャリア形成プログラムを作成、▽育児休業明けの復職支援、院内保育所の設置――などを例に挙げた。

 また「地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応」策として、(1)外来医療機能に関する情報を可視化、(2)その情報を新規開業者等へ情報提供、(3)地域の医療関係者等において外来医療機関間での機能分化・連携の方針等について協議――という仕組みを想定。地域医療対策協議会、地域医療構想調整会議などが既にある現状で、地域医療、医師確保対策についての会議体が増えることへの懸念も相次いだ。加藤勝信厚労相は、「屋上屋を重ねることを求めているわけではない。地域において弾力的な運用な運用を行うよう、都道府県に周知を図る」と答弁した。

 なお、医師の地域偏在の現状について、武田局長は次のように説明した。2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査によると、人口10万人当たりの医師数は、最高の徳島県(315.9人)と最少の埼玉県(160.1人)で約2倍の開きがある。その上、同一の都道府県内でも、2次医療圏間で医師偏在があり、47都道府県のうち、34都道府県で、最大の圏域と最少の圏域で2倍以上の差がある。また医学部定員増に舵を切った2008年度から2014年度にかけて医療施設に従事する医師数は、約10%増加しているが、2次医療圏のうち、全国平均以上に医師数が増加しているのは21%の圏域、一方、24%の圏域は医師が減少している。武田局長は、医学部定員増加の効果が、全国各地に及んでいないことが、今回の法案提出の理由だと説明した。



http://www.medwatch.jp/?p=20176
2019年10月の消費増税に向け、「病院団体のメッセージ」をまとめる―日病協
2018年4月17日|医療保険制度 MedWatch

 診療報酬プラス改定による消費増税対応には限界がある。2019年10月には消費税率が10%に引き上げられる予定であり、今夏(2018年夏)の2019年度予算概算要求や年末(2018年末)の2019年度予算編成・税制改正に向けて、病院団体としてのメッセージを明確に出せるように議論していく—。

4月17日の日本病院団体協議会・代表者会議で、こうした点を確認したことが、会議後に記者会見を行った山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました(関連記事はこちら)。

2018年夏の概算要求、2018年末の税制改正等見据え、迅速にメッセージをまとめる
 診療報酬や介護報酬に係る消費税は「非課税」とされています。このため、医療機関等が物品等を購入する場合の消費税は、患者に転嫁できず、医療機関等が最終負担者となっています(いわゆる控除所対象外消費税)。この医療機関等の負担を放置することはできず、1989年の消費税導入時から「医療機関等における消費税負担を補填するための、特別の診療報酬プラス改定」(消費税対応改定)が行われてきています(消費税導入時の1989年、消費税率引き上げ時の1997年、2014年)。

社会保険診療報酬については消費税が非課税となっており、患者や保険者は消費税を医療機関に支払わない。このため医療機関が卸に納めた消費税(80円)について「仕入税額向上」も受けられず、医療機関が負担することになり、いわゆる「損税」が発生する。(表 略)

 1989年、97年の消費税対応改定では「消費税の影響を大きく受けると予想される」診療報酬項目について点数の引き上げが行われましたが、「その後の診療報酬改定で、当該点数項目が廃止されるケースなどもある」「当該点数を算定しない医療機関では、消費税負担への補填がなされないことになり、大きな不公平が生じている」との課題が指摘されました。
 そこで2014年度の消費税対応改定では、「可能な限りの公平性」を確保するために、多くの医療機関等で算定する「基本報酬」(初・再診料や入院基本料、特定入院料など)への上乗せ(補填)が行われました。

 厚生労働省が「2014年度の消費税対応改定の効果・影響」を調べたところ、医療機関等全体で、消費税負担に対し102.07%の補填(診療報酬収入の上乗せ)がなされている」ことが分かり、中医協では「マクロ(医療機関等全体)では概ね補填されている」と結論付けられました(関連記事はこちら)。

しかし、医療機関の種類別に見ると、▼病院:102.36%▼一般診療所:105.72%▼歯科診療所:100.68%▼保険薬局:86.03%―、また病院を種類別に見ると、▼一般病院:101.25%▼精神科病院:134.47%▼特定機能病院:98.09%▼こども病院:95.39%―となっており、補填率にはバラつきがあり、「やはり補填に格差が出てしまう」ことが再確認されています(関連記事はこちら)。

特定機能病院(98.09%)や子ども病院(95.39%)では、消費増税に対する補填が十分なされていない
(表 略)
 
補填率が100%に近いほど「適切な補填」となり、補填率が100%よりも大きければ「益税」(消費税負担を上回る収益増)が、補填率が100%に満たなければ「損税」(診療報酬で消費税負担を補填しきれていない)が発生していることを意味し、山本議長は「急性期病院における補填不足が明らかである」と評しています。
国立大学附属病院長会議や日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会などの病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)では、「診療報酬による消費税補填には限界があり、このままでは困る」という点で一致。今夏(2018年夏)の2019年度予算概算要求や年末(2018年末)の2019年度予算編成・税制改正に向けて、「病院団体としてのメッセージを明確に出せるように議論していく」方針を決定しています。

もっとも消費税問題を含めた税制改正については、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会で要望項目が検討されることとなっており、この動きと連携を取りながら「日病協メッセージ」を作成していくことになります。メッセージがどのような内容になるのか(例えば、ゼロ税率対応などの具体的提案に踏み込みのか)、メッセージをどのような形で活用するのか(例えば、与党の税制調査会などに直接提出するのか)などは、今後の調整を待つ必要があります。

また、4月17日の日病協代表者会議では、「医師の働き方改革」も議題に上がり、その中で「現在、厚労省の『医師の働き方改革に関する検討会』で、医師への時間外労働上限適用に関するルールが議論されている。そのルール策定論議の最中にも関わらず、労働基準監督署が各地の病院に入り、指導等を行っている。これは『停戦協定中に爆撃するようなもの』だ。現場を混乱させないでほしい」との意見が出されたことも紹介されています。医師の働き方改革に関する検討会では、来年(2019年)3月に報告書をまとめる予定で、そこでは、「医師の負担軽減」「働き方改革」に関する提言とともに、「医師に対する時間外労働上限の適用ルール」が固められることになります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

さらに財政制度等審議会の財政制度分科会では、「地域別の診療報酬」設定論議が熱を帯びています(関連記事はこちら)。この点について日病協内では「国民皆保険の下で、報酬に地域格差を設けることは好ましいのか」「介護報酬では地域別の単価が設定されているが、これをどう考えるか」といった根本に遡った検討も行われることになりそうです。

山本議長は、「2018年度診療報酬改定論議は終了したが、消費増税対応、働き方改革など、病院経営に大きな影響を及ぼす重要議論がこれから行われる。病院団体の意見を集約し、よりよい病院医療提供を目指したい」と強調しています。



https://toyokeizai.net/articles/-/216699
日本の医療は高齢社会向きでないという事実
「医療提供体制改革」を知っていますか?

権丈 善一 : 慶應義塾大学商学部教授
2018年04月21日 東洋経済

 今、医療と介護の大掛かりな改革が進められている。2018年4月は、大きな改革の中でも特筆すべき日付として歴史に残ることになるはずだ。というのも、2018年4月1日には、「惑星直列」にも例えられていた画期的、いやびっくりするような出来事の重なりがあったからである。

4月に重なった怒濤の改革スタート

 具体的には、医療や介護のサービスのあり方および個々のサービスの公定価格を決める診療報酬と介護報酬の同時改定(前者は2年周期、後者は3年周期)、地域医療構想を含む医療計画・介護保険事業(支援)計画(前者は6年周期、後者は3年周期)の同時スタートがあり、そして1961年の国民皆保険制度の成立以来57年間、市区町村が財政運営していた国民健康保険は、今年の3月に、その財政運営の責任が都道府県に移ったのである。

 この国民健康保険の財政運営主体の都道府県化について、今から5年前の2013年に今の社会保障制度の改革の方向性を示した社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)は、「国民健康保険の保険者の都道府県への移行は、(中略)国民皆保険制度発足以来の大事業」と評していた。

 それだけではない。3月29日には、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」の報告書がまとめられている。この検討会が開かれた目的の1つは、2007年に作成された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(旧「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を2014年に「人生の最終段階に……」へ改称)の改訂であった。改訂の理由は、次のようなものだ。

①病院における延命治療への対応を想定した内容ではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるよう、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に名称を変更。さらに、医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化
②心身の状態の変化などに応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むかなどを、本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うこと(ACP=Advance Care Planning〈アドバンス・ケア・プランニング〉)の重要性を強調
③本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族などの信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載
④今後、単身者が増えることを踏まえ、③の信頼できる者の対象を、家族から家族など(親しい友人など)に拡大
⑤繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておき、本人、家族などと医療・ケアチームで共有することの重要性について記載

 さらには、先月の3月13日に「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、いま国会で議論されている。この法案の趣旨は、地域間の医師偏在を解消するため、医師の確保や臨床研修病院の指定、研修医定員の決定について、都道府県へ権限を移譲させることだ。

 そして冒頭に述べた診療報酬の改定では、次の図が用いられながら、今回の改定による改革の方向性が示されている。すなわち、現在のように病院と診療所などの間で、入院・外来の機能が未分化である状況から、診療所などでの「かかりつけ医機能」の強化を図り、病院における外来は、専門外来に特化していこうというのである。
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 これらの一見、てんでばらばらに映る政策群には、1つの共通した背景がある。それを理解すれば、医療と介護が今、なぜ目まぐるしく動いているのかがわかるだろう。

超高齢化で求められる医療の質は変わる

 繰り返しになるが、今の医療・介護改革の青写真を描いたのは、2013年の社会保障制度改革国民会議の報告書である。次に示すのは、改革のスケジュールで、医療と介護で一体的に進められる改革は、国民会議を起点としている。
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 では、医療と介護にどのような改革が求められているのか。その問いについては、この国民会議の報告書の文面を借りるのが最もわかりやすいかと思う。報告書は、20世紀に構築された、これまでの医療とその課題を次のように表している。

 平均寿命60歳代の社会で、主に青壮年期の患者を対象とした医療は、救命・延命、治癒、社会復帰を前提とした「病院完結型」の医療であった。しかしながら、平均寿命が男性でも80歳近くとなり、女性では86歳を超えている社会では、慢性疾患による受療が多い、複数の疾病を抱えるなどの特徴を持つ老齢期の患者が中心となる。
 このあたりはわかりやすい話だと思う。かつての医療は、病気になった人を治し社会復帰させることを目的に掲げて進歩し、実に大きな成果を上げてきた。たとえば、1860年に書かれたナイチンゲールの『看護覚え書』では、病気とは回復の過程であると書かれている。そうした、回復するのが病気であるという定義の下に、医学と、それを社会システム化した医療制度は大幅に進歩し、その成果あって、いずれの先進国でも寿命の伸長を実現することができた。

 しかしながら、そうなれば必然的に、患者の多くは高齢者になり、医療の中心は治す医療から、「治し」、そして患者の生活を「支える」医療に変わらざるをえなくなっていく。こうした状況の下で、1970〜1980年代に欧州諸国をはじめ先進各国が(その中には日本も当然含まれる)、「何かが違うぞ」「患者のニーズと提供体制のミスマッチが起こっているぞ」と悩むことになったのである。では、そうした時代になれば、どのような医療が求められるのか。国民会議の報告書では、次のように表現されている。

医療は病院完結型から治し支える地域完結型へ

 そうした時代の医療は、病気と共存しながらQOL(Quality of Life)の維持・向上を目指す医療となる。すなわち、医療はかつての「病院完結型」から、患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療、実のところ医療と介護、さらには住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる医療に変わらざるを得ない。ところが、日本は、今や世界一の高齢国家であるにもかかわらず、医療システムはそうした姿に変わっていない。

なるほど、という感じだろうか。続けて、

 1970 年代、1980 年代を迎えた欧州のいくつかの国では、主たる患者が高齢者になってもなお医療が「病院完結型」であったことから、医療ニーズと提供体制の間に大きなミスマッチのあることが認識されていた。そしてその後、病院病床数を削減する方向に向かい、医療と介護がQOL の維持改善という同じ目標を掲げた医療福祉システムの構築に進んでいった。

 急性期の患者のために整備されていった「病院完結型」の病院に、複数の病気を患い、完治するのが難しい慢性疾患も抱えた高齢者が大勢入院するようになっていった。そうした患者にとって、急性期の患者に適した医療提供体制であった「病院完結型医療」が、はたして本当にフィットしているのかという疑問が出てきたわけである。慢性疾患の患者には、「病院完結型医療」よりもふさわしい提供体制があるのではないだろうかと。そしてほかの先進国はそうした方向に進んでいったのだが、日本はなかなかうまくいかない。国民会議報告書の中の「医療問題の日本的特徴」というところに次の指摘がある。

 日本の医療政策の難しさは、これが西欧や北欧のように国立や自治体立の病院等(公的所有)が中心であるのとは異なり、医師が医療法人を設立し、病院等を民間資本で経営するという形(私的所有)で整備されてきた歴史的経緯から生まれている。公的セクターが相手であれば、政府が強制力をもって改革ができ、現に欧州のいくつかの国では医療ニーズの変化に伴う改革をそうして実現してきた。

 医療提供体制について、実のところ日本ほど規制緩和された市場依存型の先進国はなく、日本の場合、国や自治体などの公立の医療施設は全体のわずか14%、病床で22% しかない。ゆえに他国のように病院などが公的所有であれば体系的にできることが、日本ではなかなかできなかったのである。

 日本の病院の多くは、他国の公的所有とは異なり私的所有である。この日本的特徴の下で、今、「高齢化の進展により更に変化する医療ニーズと医療提供体制のミスマッチを解消する」ために医療提供体制の改革が進められているのである。そうした改革が進められるのと同時進行で、「医療」という言葉そのものの意味も、かつてのような救命・延命、治癒、社会復帰を前提としたものから、病気と共存しながらQOL(Quality of Life)の維持・向上を目指すものへと変えざるをえない状況になっていった。

 そして、医療をQOL の維持・向上と見なせば、医療と介護の境目はなくなり、医療と介護がQOL の維持改善という同じ目標を掲げた医療福祉システムの構築が、今の時代に要請されることになっていく。これが目下この国で進められている、医療と介護の一体改革である。

 医療と介護が同じ目標を掲げた医療福祉システムとして構築される中、そのキーワードとなるのが「地域包括ケア」である。国民会議報告書では、地域包括ケアは「地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク」のことである。

提供体制改革は2025年までに間に合わせたい

 医療・介護の一体改革は、かなり急ピッチで進められている。その理由は、第1 次ベビーブーム世代、いわゆる団塊の世代が75歳という後期高齢期に達し終えるのが2025年だからである。後期高齢期、すなわち75歳以上になると医療・介護のニーズが急増し、しかも、第1 次ベビーブーム世代が後期高齢者になるあたり以降は、この国の医療・介護ニーズの絶対量は安定的に推移するため、まずは2025年をメドとして、医療・介護の提供体制の整備が図られているのである。

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 こうした目標年2025年を前にして、冒頭に書いたように、医療・介護の提供体制、医療保険制度、医師の養成など、さまざまな改革が重なってきたわけである。

 今進められている医療と介護の改革を理解するための基礎中の基礎の知識は、日本は今、「治す医療」から「治し支える医療」に変わらざるをえず、治し、支える地域完結型の医療には、介護との境はなく、医療・介護の一体改革が必然となっているということである。この一体改革は、地域医療構想と地域包括ケアという両輪で進められているのであるが――このあたりは、いずれ折に触れて論じることにしよう。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29594530Z10C18A4EE8000/
医療費歯止め、患者負担の人口連動を議論 社保審
2018/4/19 20:00 日本経済新聞

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は19日、医療保険部会を開き、2018年度中にまとめる社会保障改革案の議論を始めた。経済成長や人口減少の速度などに応じて、医療に必要となる財源を賄うため、患者の窓口負担を自動的に増やす案などが検討課題に浮上した。負担増に抵抗は強いが、高齢化で社会保障費は膨らみ続けており、大胆な見直しに踏み込めるかどうかが焦点だ。

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 社会保障改革の検討項目を盛り込んだ政府の工程表では、75歳以上の後期高齢者の患者負担の引き上げや、薬の種類に応じた自己負担率の設定などについて、18年度中に結論を出すとしている。与党や財務省などと調整し、具体策を詰める。

 今回、初めて議論の対象としたのが、経済成長率や人口動態などに応じて患者負担を自動的、定期的に調整する仕組みだ。自民党の小渕優子氏がトップを務める同党の「財政構造のあり方検討小委員会」の中間報告で提起された案だ。

 年金制度では、現役世代の人口減などに合わせて給付額を調整する「マクロ経済スライド」が導入されており、その医療版だといえる。財政の健全化をより重視する立場から生まれた発想だ。
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 まだ制度設計の具体像を示すまでには至っていない。アイデア段階の考え方だが、例えば、あらかじめ医療費の伸びを経済成長率や賃金の伸びの範囲内に抑える目標を立て、目標を超過するような場合は翌年度以降に患者負担を増やすといったことが想定される。保険制度の支え手である現役世代の人口が減った分、患者負担を上乗せするというのも一案だ。税や保険料で賄う医療保険の給付額を抑える狙いだ。

 背景にあるのが高齢化の進展や、画期的な新薬の登場による医療費の増加だ。国民医療費は16年度に42兆円の見込みで、10年で3割増えた。経済成長率を上回る速度で医療費が膨らんでいるため、医療保険制度と財政の安定に向けて、医療費の伸び率や総額をコントロールする考え方だ。

 もっとも、厚生労働省は今回の部会資料で「医療費や景気変動に応じて頻繁に負担が変わる」「医療費の伸びは診療報酬や保険料などで対応することが適切」などと問題点も挙げた。本来は医療費の抑制に積極的な立場の健康保険組合連合会の委員も「導入には慎重な検討が必要」という。

 政府・与党内で引き続き検討課題となる見込みだが、日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「負担増が患者の受診抑制を招き、かえって健康状態の悪化につながる可能性もある」と指摘する。

 今回の部会では診療報酬を地域別に設定する仕組みも議論になった。診療報酬は医療機関が診療行為の対価として受け取る報酬で、国が全国一律に定めている。ただ法律上は医療費適正化のために必要な場合、都道府県が独自に報酬を定めることができるとしている。

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は活用に向けた議論を呼びかけているが、社保審医療保険部会の委員からは、地域別に設定した場合の影響が不明確なことなどから「診療報酬は全国統一が前提」などとする意見が多く出ている。



https://www.asahi.com/articles/SDI201804217312.html
医師の働き方改革、どう進める?
2018年4月22日06時00分 朝日新聞

 医師の「働き方改革」は、どう進めるべきか。命や健康にかかわる専門的な仕事で、長時間労働は珍しくない。高齢社会で医療を必要とする人が増える時代、まず取り組むべきことは。

疲労度、病院側が把握して 三島千明さん(医師)

 多くの医師は、自身の労働環境を後回しにしてきました。医師になったのだから患者を診たいし、診断や治療のスキルを上げるために学びたいと考えがちで、心身の健康を崩してしまう環境になりがちです。このままでは、持続的な医療の提供が困難になると危惧しています。

 若手医師の仲間たちと、昨年11月に大学卒業後10年以内の医師と医学生の821人から回答を得たアンケートでは、若手医師の71%が「現行の労働時間の上限基準を守れていない」と回答しました。理由として挙げていたのが、業務量の多さや医療提供体制の問題、長時間労働を美徳とする慣習です。

 厚生労働省の調査では、勤務時間が週60時間以上の常勤勤務医は、男性が27・7%、女性が17・3%いるという結果も出ています。診療科によって働き方は違いますが、長時間労働は30代から40代の勤務医も同じです。

 私も研修医時代は経験を積み重ねたいために、何かあったら指導医に呼んで欲しいと思って、土日や夜は病棟で過ごすことが多くありました。

 医療の専門的なスキルを身につけるには、10年はかかります。若手医師にとって一つの医療行為は労働と成長のための教育の両面を持ち、長時間労働を問題提起しにくくしています。判断を医師個人に任せている限り、このようなジレンマは解決できません。

 労働時間の上限を設けるための議論が進んでいます。しかし、これだけでは従来の業務が回らず、患者さんにしわ寄せがいくという声が医療現場から寄せられています。

 だからこそ、病院など組織のマネジメントとして、まず一人ひとりの医師の労働時間や心身の疲労をモニタリングし、健康管理を徹底すべきです。病院全体として医師の業務を他の職種に移管したり、共同で取り組んだりする必要があります。燃え尽き症候群対策や自殺対策も重要です。

 患者さんは常に「本番」ですが、24時間365日を医師1人でカバーすることはできません。私が働く在宅医療の現場でも、病院でも、1人の患者さんを複数の医師で診ていくグループ診療を広め、患者さんや家族に理解してもらうことが必要です。それは医療の安全にもつながります。

 女性医師の割合は20代や30代は3割を超えます。出産や子育てをしても、働きたい、学びたい人がいます。「厳しい職場は独身者や男性に任せる」という発想にとどまらず、意欲ある人はだれでも現場で活躍できる文化に変えていかないといけません。

 子育てや介護など抱える事情に応じて、働き方やキャリアの多様性を保証することが大切です。継続的に地域医療を支える医師を育てることに、つながっていくと思います。(聞き手・岩崎賢一)

     *

 みしまちあき 1985年生まれ。若手医師らによる提言書「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」の執筆メンバー。


サービス水準、まず検討を 三谷和歌子さん(弁護士)

 「医師も労働者です」と言うと、違和感を覚える医師は少なくありません。でも、給料をもらって労務を提供する勤務医が、労働基準法上の「労働者」にあたることは、争いようがありません。

 医師法では「診察治療の求めがあった場合、正当な事由がなければ、拒んではならない」と、応招義務と呼ぶ規定を定めています。「24時間、どんな状況でも応じなければいけない」ことではないと解釈されていますが、医療行為は医師にしかできない。「患者の命を救いたい」という使命感も強く、特殊な仕事であることは確かです。しかし、労働者である以上、労働時間には規制がかかります。

 これまで、こうした状況から、基準を超えた労働はあえて追及されてきませんでした。近年、労働基準監督署が指導や勧告をする事態が相次いでいます。残念なことに、過労で自殺する医師も出ており、放置するわけにはいきません。

 いま厚生労働省の検討会では、医師の労働時間をどう削減するかが議論の中心になっている印象です。時間外労働の時間に上限を設けつつ、書類作成など事務作業は専門の補助スタッフに、一部の医療行為は看護師に移すなどして、全体の業務量を減らすことが検討されています。

 いまの医療は医師個人の犠牲のもとに成り立っているのですから、私は、労働時間の規制を議論する前に、今後の医療サービスをどの程度の水準に保っていくのか、まず国民が選択する必要があると思います。

 アクセスしやすい、すなわち必要なときにどこの病院でも、質が高い医療を、比較的安く受けられることは日本の特徴です。これを支えてきた大きな要因は医師のがんばりですが、労働時間を減らすだけでは、全体の業務量も減らさざるをえない。実際、働き方改革の流れを受け、救急を制限したり、土曜日を休診にしたりという病院がでてきています。アクセスを制限するなど、医療サービスを低下させるのであれば、患者となる国民の理解は欠かせません。

 医療サービスを維持するのであれば、医師の確保に大きな費用を要します。特に足りない地方部でも、最低限の医療を確保するためには、なおさらコストが必要です。国民の負担を増やす必要も出てくるでしょう。医師を増やそうにも、育成には10年はかかりますし、どう地方での勤務を受け入れてもらうかも難題です。一方、大幅に増やせば、人材の質ひいては医療の質が低下するおそれがあり、そうなっては本末転倒です。

 医療サービスを縮小するのか、保険料や税を上げるのか。どういう形で国民に負担を求めるのか。政治が選択肢を示すべきです。(聞き手・山田史比古)

     *

 みたにわかこ 1974年生まれ。労働法を中心に、多くの医療機関に助言する。編著に「病院・診療所経営の法律相談」。

 

患者も学んで医療選ぼう 谷中照枝さん(市民の医療ネットワークさいたま共同代表)
 患者や家族は、疲れ切った医師に診て欲しくないし、寝不足でイライラしている医師とは心を開いた話はできません。命と向き合い、やりがいや満足感がある仕事でしょうが、適正な労働時間でなければ、安心、安全な医療は提供できないと思うからです。

 9年前、息子が未明に大けがを負ったとき、救急病院で緊急手術をした医師が、その日の外来診療もこなしていたと聞き、驚きました。ただ、健康な人は病院に行く機会がないため、医師がどれぐらいハードな勤務をしているのか垣間見ることはできません。

 医師の働き方改革の議論には、利用者である患者や市民の声も採り入れてもらう必要があります。どのような業務をどのような環境で行い、その結果、どれほど忙しく長時間労働になっているのか、わかるようにしてください。

 医師免許がないとできないこと以外は、医師以外の職種が担えるように整理することも必要でしょう。主治医を2人体制にするなど、複数の医師が診ていくようにすることで、医師が休め、患者も安心感が得られることもあります。また、特定の救急病院に救急車が集中して無理な勤務にならないように、地域ごとにどの病院に空きベッドがあるかがわかるような工夫も、もっと進めるべきです。

 私が暮らす埼玉県は、医療機関に従事する医師数が、人口10万人当たり160・1人で全国最下位です。全国平均の240・1人と大きな開きがあります。医師の長時間労働と言っても、また同じ勤務医でも、地域や診療科によって忙しさは違うはずです。こうした偏在問題も一緒に是正しないと、根本的な解決につながりません。

 また、市民も医者任せではなく、スムーズなコミュニケーションをとるための努力が大切です。

 私の夫は、会社員時代に難病を発症し、東京都内の大病院で治療していました。症状が安定した後は地元の開業医に切り替えたのですが、選んだのは、将来、寝たきりになった際、訪問診療に応じてくれる医師でした。患者側は「とにかく大病院へ」という考えを改め、自分の病気を学び、今後の状態も考えたうえで選択するように、賢くならなければなりません。このような相談に看護師やソーシャルワーカーがのってくれる病院も、増えてきました。

 高齢になると、終末期にどこまでの医療をするのか、家族で話し合っておく必要があります。小さな積み重ねかもしれませんが、医師の負担軽減につながるでしょう。

 医師や看護師は、よく「聖職」と言われ、その名の下に労使共に長時間労働を許容してきた面がありました。しかし、そういう考えはもうやめたほうがいいと思います。(聞き手・岩崎賢一)

     *

 たになかてるえ 1951年生まれ。市民の医療リテラシー向上のため勉強会を催す。2012年から埼玉県医療対策協議会委員。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597887
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度、開始までの“背景”語る、松原・専門医機構副理事長
臨床内科医会総会、特別講演「新たな専門医制度の現状と課題」

2018年4月16日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、4月15日に京都市内で開催された日本臨床内科医会総会の特別講演「新たな専門医制度の現状と課題」で、新専門医制度で医師の地域偏在が助長されるとの懸念に対し、「厚生労働省が全ての地域・領域で定数を決めて割り当てていく方法は、現実的ではなく、うまくいかない」と行政による統制をけん制、プロフェッショナル・オートノミーで運営する必要性を強調した。

 「従来の専門研修はカリキュラム制のため、専門医の養成がどこでどのくらい進んでいるか、学会すら分からなかった。新専門医制度では、誰がどこでどの指導医の下で研修を受けているかが明らかになるのが特徴」と松原氏は述べ、研修プログラム制の導入により、専門医の養成状況が把握できることが新専門医制度のメリットであると指摘。研修プログラム制の運営、さらには卒後2年間の初期臨床研修の段階で、地域枠の卒業生が出身大学に確実に残ってもらう仕組みを作ることが、医師偏在対策として重要であるとした。

 松原氏は総合診療専門医のスタートまでの経緯や、2017年度開始予定だった新専門医制度が1年延期になった背景についても、エピソードを交えながら紹介した。

 総合診療専門研修プログラムの基準に、「僻地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域での1年以上の研修が望ましい」、「内科研修は1年以上」が追加されたのは、医師の地域偏在、内科専門医およびサブスペシャルティとの関係からだという。さらに専攻医の都市部集中を避けるために、5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の14の基本領域については、「過去5年間の採用実績の平均を超えない」という専攻医数のシーリング(上限)が設定されたが、「過去の採用実績を実際に持っていたのは、脳神経外科のみ。他は研修カリキュラム制だったので、持っていなかった。それに対応するものは何かをかなり議論した」(松原氏)。

 「専門医取得は必須ではない」も確認

 松原氏はまず新専門医制度の基本的理念について、(1)プロフェッショナル・オートノミーに基づいて専門医の質の保証・維持ができる制度であること、(2)国民に信頼され、受診に当たり、良い指標となる制度であること、(3)専門医の資格が国民に広く認知される制度であること、(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮した制度であること――を挙げた。

 その上で当初は2017年4月にスタート予定だったが、1年遅れた理由について、(4)の地域偏在を助長する懸念が生じたためだとした。「(2004年度に)初期臨床研修が始まった時に、マッチングでかなり大都会に研修医が集中した現実があるが、新専門医制度でさらなる偏在が懸念され、いったん停止し、やり直しをした」。5都府県で専攻医数のシーリングを設けたほか、専攻医年度採用実績が350人以上の8学会(内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科)については、「原則として複数の基幹施設を置く」など、運用細則の見直しを行ったことを説明。さらに「専門医は必ず取得しなければならないものではない上、ダブルボードも認めることなども確認した」。

 「僻地・離島等の研修、1年以上」が加わった訳

 総合診療専門医を新設した背景として、2008年度の医学部定員増以降、「地域枠」を中心に増やしてきた現状のほか、自治医科大学の卒業生への対応などを挙げた。「自治医科大学の卒業生には、義務年限があり、『専門医になれない』といった風潮が出てきた。それを高久委員会で検討した結果、そうではない仕組みを作る、僻地等で研修しても、専門医を取得できるように、もう一つ作りましょうとなった」。高久委員会とは、前日本医学会会長の高久史麿氏が座長を務め、2013年4月に報告書をまとめた「専門医の在り方に関する検討会」(『新専門医制度、2017年度開始に向け報告書』を参照)。

 もっとも、総合診療専門医をめぐっては、「総合診療専門研修プログラム整備基準」が2017年7月に公表された以降も、基準が追加されるなど、現場が混乱した経緯がある(『「1次審査不合格、大変遺憾」、専門医機構に説明求める』を参照)。

 計3年間の専門研修プログラムのうち、「僻地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域での1年以上の研修が望ましい」という基準を追加し、その基準を満たしたプログラムの採用を優先したのは、「多科にわたった診療が必要なのは、医療資源が乏しい地域」であるという考えからだという。

 ただそれだけでなく、別の事情があったと松原氏は説明。「新専門医制度を始めるに当たって、本当に許可が出たのは(2017年の)8月の上旬、それまではやると言っても、(厚労)大臣がだめだと言っていた。厚労省の検討会(今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会)で、構成員の了解が得られたら、認められると言われた」。結局、新専門医制度の開始についての理事長声明を8月4日付で公表、8月9日から「総合診療専門研修プログラム」の申請受付を開始した。「5都府県でシーリングを設けることになったが、総合診療専門医は過去の採用実績がゼロなので対象外であるため、内科などでいくら絞っても、総合診療専門医に行ってしまったらどうするのか、東京や大阪に総合診療の専攻医が集まることがないように、と指摘された」。

 さらに総合診療専門医については、「もう一つ議論があった」と松原氏は説明。それは内科専門医やサブスペシャルティとの関係だ。「総合診療専門研修プログラム整備基準」では当初、内科研修は「6カ月以上」となっていたが、「1年以上」に変更された。「日本内科学会から、6カ月の研修では十分な内科の素養は身に付かず、1年にしてほしいという要望があった。その代わりに、J-OSLER(専攻医登録評価システム)の使用を認めてもらえるようになった」。

 内科専門医では、13のサブスペシャルティがあり、連動研修が認められている。「内科専門医の資格がなければ、これら13のサブスペシャルティの研修には入れないという通知が、内科学会から来た。ただし、J-OSLERを使って研修をしたら、(総合診療専門医での研修のうち)1年は、内科専門医の研修と同等の扱いにしてもらえることになった。総合診療専門医を取得し、総合診療専門研修II(病院総合診療部門での研修)で幾つかの条件がそろっていれば、さらに1年もあれば、内科専門医を取れるようになるのではないか。その上で、循環器などのサブスペシャルティを取得できるようになるだろう」。

 申請があった総合診療専門研修プログラムのうち、条件の追加等で、「40、50施設が基準に合致しなかった。そこでいろいろと連絡をしたり、対応をお願いした。いろいろ軋轢があったが、大抵は修正していただいたり、あるいは次年度での申請となった」。

 過去実績の把握は脳神経外科のみ

 さらに松原氏は講演で、専攻医登録のシーリングの苦労も語った。5都府県については、14の基本領域について、「過去5年間の採用実績の平均を超えない」というのが条件。「他はカリキュラム制だったので、過去の採用実績を把握していたのは、脳神経外科のみ。(他の基本領域では)それに対応するものは何かをかなり検討した」。検討の結果、専門医試験の受験者数で考える、あるいは学会の入会者数で考えるなど案が挙がったという。内科専門医の場合、最初は認定内科医の受験者数が提示されたが、うち十数パーセントは再受験者数だったため、それを差し引いたという。

 「三師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)の結果と比較して、かなり減少したと言われたが、三師調査から分かるのは、卒後3~5年目の医師が、何科の診療をしているかだ。3年目で内科の基幹施設等以外で診療している医師はかなりいる」と松原氏は述べ、全ての医師が専門医を取得するわけではないため、三師調査とのずれが生じるとした。

 さらに専攻医の「東京集中」については、基幹施設は都内の施設であっても、関東、甲信、静岡の連携施設で研修している専攻医が、専門研修1年目、2年目、3年目と年々増える予定であると説明(『東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%』を参照)。「“本籍地”は東京で、東京に集まっているように見えても、実際にはプログラム制で循環している。この循環があるからこそ、うまくいっている。同様のことは、近畿や福岡でも起きている」。



http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180417-OYT1T50012.html
病棟一部休止でも赤字100億円、市立病院苦境
2018年04月17日 09時20


 市立札幌病院(札幌市中央区)が、患者数の伸び悩みや診療報酬の改定などで経営が悪化し、2017年度決算の累積赤字が100億円の大台に達する見通しだ。

 市立病院は経営改善策を盛り込んだ次期中期経営計画(19~24年度)を策定するため、17日に病院経営者らによる専門家検討会を開く。病院経営に詳しい医師は、抜本的な改革が必要としている。
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 ◆病棟休止

 市立病院8階の東病棟(44床)は、今年1月から病室や廊下の電気が消され、人けがない。このエリアから患者や看護師らを別の病棟に集約、配置したためだ。空洞のような8階東病棟は一見、施設の無駄に見えるが、運営効率化の一環だという。

 市立病院はこの頃、診療科ごとに定めていた病床の枠を取り払い、全病床を一元管理する方法に見直した。特定の診療科に入院患者が集中して病床が埋まると、ほかの診療科で空いている病床があっても入院できない無駄があったからだ。宇都宮顕佳・市病院局経営管理部長は「非効率な方法は今後も改めたい」と語った。

 ◆27億円借り入れても

 市立病院は14年度から3期連続で経常収支の赤字が続き、貯金に当たる内部留保金は16年度に使い果たした。17年度は市の一般会計から27億円を借り入れたが、それでも約11億1000万円の赤字が見込まれ、累積赤字は約104億円になる見通しだ。

 赤字の要因の一つに新規入院患者の低迷がある。13年8月に地元の診療所などと連携する地域医療支援病院に指定され、14年9月から初診時に紹介状を持参しないと追加料金を徴収する制度を導入した。国が病院と診療所の役割分担を進める施策の一環だが、同年度の病床利用率は前年度比4・7ポイント減の65・9%となり、初めて70%を下回った。

 15年度は年度途中に798床から51床(6・4%)を削減して747床にしたことで、16年度の病床利用率は70・3%に回復した。それでも現行の中期経営計画で定めた目標を1・4ポイント下回る。

 16年10月には紹介状がない場合の追加料金が2160円から5000円に引き上げられ、収益環境がさらに厳しくなった。これを受け、17年度からガーゼや包帯などの医療用品や薬品の共同購入による費用削減策を始めたほか、夜間の2次救急の受け入れを拡大して新規の入院患者を増やす取り組みにも力を入れている。

 国は市立病院のような急性期病院に在院日数を短縮させる施策を打ち出し、平均日数が増えると診療報酬が下がる制度を取り入れている。市立病院の16年度の平均在院日数は10・7日で、計画(11・5日)より短縮できたが、短縮分を補うだけの入院患者が確保できずに収益減を拡大させた。

 宇都宮部長は「在院日数は短縮させる方向で進める。そのため患者を増やす試みが重要で、地域の診療所との連携を強めたい」と話している。

 17日からの専門家検討会には、市内の医師や学者ら委員4人のほか、アドバイザーとして道医師会の理事や民間病院経営者が参加する。10月に報告書をまとめ、年度内に策定する次期中期経営計画に反映させる。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180418161427
「病床削減に支援金」諮問会議で提案
民間議員ら、社保費の伸び抑制に

2018年04月18日 18:20 CB News

 財政健全化を進める政府の新たな計画をめぐり、経済財政諮問会議が議論をスタートさせた。日本経団連の榊原定征会長ら民間議員は12日、2019-21年度を「構造改革期間」に位置付け、社会保障費の自然増削減にこの3年間、これまで以上に取り組む必要があると主張した。医療や介護ニーズが高まる75歳以上に22年度以降、団塊の世代の人たちが差し掛かるためで、“病床過剰地域”で病床を削減する病院に支援金を交付したり、診療報酬や介護報酬の包括化を拡大したりする具体策を新たに掲げた。ただ、社会保障費の自然増を具体的にどれだけ圧縮させるのかは示されておらず、今後の焦点になる。【兼松昭夫】

■安倍首相「具体的な検討」を指示

 新しい計画は、政府が6月に閣議決定する「骨太方針2018」に盛り込まれることになっており、安倍晋三首相は同日の会合で、「具体的な検討」を関係閣僚らに指示した。また加藤勝信厚生労働相は13日、閣議後の記者会見で、削減額に関する質問に、「これからの議論だと思う」と答えた。その上で、「団塊の世代の方が75歳に入り始める2022年度までをどう見ていくのか。2040年あたりを見る中で、わが国の人口動態がどう変わっていくのか」と述べ、少子・高齢化の状況を2段階で見守る必要があるとの考えを示した。

 一方、日本医師会の横倉義武会長は18日、CBニュースなどの取材に対し、社会保障費の自然増について、「これ以上抑制をかけると、地域医療を維持できなくなる恐れがある」と述べ、慎重な対応を与党などに求める方針を明らかにした。
 医療や介護などの社会保障分野は、16-18年度が集中改革期間の「経済・財政再生計画」でも歳出改革の重点分野とされ、政府はこの3年間の自然増を計1.5 兆円程度に抑えることを「目安」にした。これを達成するため15年末には、「かかりつけ医」の推進や病床機能の再編など計44の社会保障改革を盛り込んだ工程表を策定。その結果、3年間の自然増は計1.9兆円のうち約4400億円が抑制され、政府は診療報酬本体や介護報酬引き上げのための財源も確保した。

 19年度以降の計画に切り替わるのに合わせ、民間議員らは今回、19-21年度を「構造改革期間」と位置付け、社会保障費の自然増を抑えるためにこれまで以上の取り組みを求めた。社会保障費の自然増は、16-18年度の年0.65兆円程度に対し、団塊の世代が75歳以上になり始める22年度以降は、賃金や物価上昇による影響を含めると0.9兆円規模に膨らむとみられているためで、44の改革すべてを推進するだけでなく、新たなメニューの追加も求めた。
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http://www.medwatch.jp/?p=20197
現行労基法と異なる、医師の特殊性踏まえた「医師労働法制」を制定せよ―四病協
2018年4月18日|医療現場から MedWatch

 「医師の働き方改革に関する検討会」においては、応召義務など医師の特殊性を明確にした上で、現行の労働法制と異なる【医師労働法制】の制定に向けた検討をすべきである。さらに、集中的に研鑽を積まなければならない「初期臨床研修医」「専門医を目指す専攻医」の期間は【医師労働法制】からも除外し、医療界が自主的に運営するシステムの管理下に置くべきである―。

 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、このような要望をまとめ、4月18日に加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました(関連記事はこちら)。

医療現場の実態把握を十分に行った上で、医師労働法制を検討せよと厚労相に要望

安倍晋三内閣が進める「働き方改革」においては、医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」を適用(労働基準法改正)することとなっています。ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととなりました。

 厚生労働省は、こうした点を検討する場として「医師の働き方改革に関する検討会」を昨年(2017年)8月に設置。検討会では、これまでに▼委員から出された意見を整理した「中間的な論点整理」▼医療現場で早急に進めるべき「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」―まとめ、近く、来年(2019年)3月の意見とりまとめに向けた本格的な論議が始まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この点、四病協では、検討会において次のような点をさらに議論する必要があると進言しています。
(1)労働衛生における十分な配慮、女性医師の勤務環境整備
(2)十分な実態調査に基づく、医療現場の現状把握
(3)医師需給・偏在対策・専門医の在り方などと「働き方改革」との関係
(4)自己研鑽

 このうち(2)について、全日本病院協会の猪口雄二会長は「24時間対応が必要な救急・産科・僻地等の医療では、現在の医師数でも維持が困難な状況である。一方的に医師の勤務時間を制限すれば、これらの医療は崩壊してしまう」と強調します。例えば、地方で「地域の救急医療の砦」の機能を果たす基幹病院で、医師の勤務時間が制限されれば、24時間対応を維持するためには「医師の大幅増員」が必要となります。人件費が急増することはもちろん、その前に「地方でそれだけの医師を確保できるか」という大きな問題にぶつかります。一方、現状と同程度の医師数で対応するためには、24時間対応を放棄しなければなりません。いずれの選択肢をとっても地域の救急医療が大幅に変容することは避けられないでしょう。検討会では、こうした点も議論の俎上に上がりますが、四病協では「真正面から議論する必要がある」と強く求めています。

 
 さらに、こうした検討を進めた上で、来年(2019年)3月の意見とりまとめに向けて、「医師の労働の特殊性(例えば応召義務)を明確にした上で、現行の労働法制とは異なる、独自の【医師労働法制】の制定」に向けた検討を行うべきと四病協は強調します。

 猪口・全日病会長は、「検討会では『医師も一般の労働者であることは明確』『裁量労働制や高度プロフェッショナル制度は医師に適用されない』との前提で議論が進んでいる」と述べ、医師の特殊性を踏まえた議論になっていない点を問題視。

 また、近く「働き方改革の素案」策定論議が医療界(日本医師会・四病協等)で進められますが、これとの関連について日本病院会の岡留健一郎副会長は、「これまでの印象では、日本医師会も『医師の特殊性に鑑みれば、独自の医師労働法制が必要である』という点には同意してくれるのではないか」とコメントしており、今後の医療界内部での調整、さらにその先の検討会論議に注目が集まります。
 
 四病協では、さらに次の点も検討・実現するよう要望しています。

▼医師としての研鑽を積むために重要な「初期臨床研修医」「専攻医(専門医を目指す後期臨床研修医)」の期間は、【医師労働法制】からも除外し、労働時間を総合的・横断的に検証するための「医療界が自主的に運営するシステム」の検討(優れた医療の知識・技術を身に着けるために、集中的な研鑽を積まなければならない期間である)

▼専門医の適正数・適正配置の検討(医療需要を見据え、国全体の適正数・適正配置を検討する必要がある)

▼総合的な臨床医の大幅な増員の検討(超高齢社会を迎え、疾病構造が変化する中で、質が高く、かつ効率的な医療を提供するためには、患者を全人的に診て、術後管理などを行う「総合医」の増員が不可欠である)

▼医師から他職種への業務移管(タスクシフティング)を進めるための、「医師法・医療法の見直し」「医師事務作業補助者のさらなる活用」「特定行為研修を修了した看護師の養成」「救急救命士などの医療従事者の業務拡大」「PA(Physician Assistant:医師の管理・監督下で手術や薬剤処方等の医療行為を行う専門職)制度」「NP(Nurse Practitioner:一定レベルの診断や治療などを行うことが許される看護師)制度」などの整備

 いずれも、医療界内での調整がまだまだ必要な論点であり、「中長期的な検討テーマ」という位置づけです。

 
 なお日本精神科病院協会の山崎學会長は、「医師の働き方改革を検討している最中にもかかわらず、医療現場に労働基準監督署の指導が盛んに入っており、救急医療や時間外外来を制限する病院も出てきている。『近くに24時間救急大病院があるので安心』と考えてマンションを購入した高齢者等には不幸な話であり、研修医から『研鑽・勉強できると思って入職したが、救急等の制限でそれが叶わない』との不満も出ていると聞く。このままでは我が国の医療は崩壊してしまう」とコメントしています。



https://www.m3.com/news/general/598714
公立病院 16年連続赤字
2018年4月20日 (金)配信山梨日日新聞

 山梨県がまとめた県内13公立病院の2016年度事業会計決算によると、本業の医業に関わる経常損益の合計は13億7384万円の損失で、16年連続の赤字となった。外来患者数の減少に伴い、収益が減ったことが主な要因。赤字幅は、薬剤や医療資機材などの費用縮減、設備投資などの減価償却期間が終わった影響で2年連続で縮小し、前年度より3億8128万円(21・7%)減った。

 13病院は甲府、富士吉田、都留、山梨(牧丘)、大月、韮崎、北杜(塩川、甲陽)、上野原、甲州(勝沼)、市川三郷、富士川の12市町立病院と、身延、早川両町の組合立の飯富病院。病院が行う介護施設などの事業も決算に含めた。

 県市町村課によると、甲州と牧丘、飯富を除く10病院で赤字を計上した。塩川は感染症対策として介護施設の利用を制限したことに伴う同施設の赤字が大きく影響。前年度の黒字から3990万円の赤字に転じた。

 赤字額が増えたのは5病院。韮崎は2億6723万円で前年度から7860万円増えた。富士川は1億3416万円(同6456万円増)、上野原は1億7124万円(3369万円増)、甲陽は6417万円(同2536万円増)、都留は2億4826万円(同1616万円増)。

 赤字計上した病院は、大半が患者数の減少を理由に挙げた。13公立病院の16年度の外来患者の延べ人数は99万8386人で、前年度を3万997人(3・0%)下回った。

 赤字幅が縮小したのは4病院。甲府は2億3114万円で3億4864万円(60・1%)の大幅減。回復期の患者の治療などに当たる「地域包括ケア病棟」開設に伴う運営効率化、現在地に移転開院した際の設備投資の一部で減価償却期間を終えたことなどが理由という。富士吉田、大月、市川三郷の3病院も減った。

 病院ベッドの利用状況を示す病床利用率は、塩川が94・0%で最も高く、飯富が91・5%、富士吉田82・0%などと続いた。大月は35・2%、市川三郷は28・7%で5割を下回った。同課は「改善傾向はあるが、経営環境は依然として厳しい状況だ。継続して改善に取り組む必要がある」としている。



https://www.m3.com/news/general/598663
県境またぐ移転で紛糾 住民と医師会、利害衝突 「2025年 超寿社会」「ポスト平成の病院改革」
2018年4月20日 (金) 共同通信社

 2025年に向け国が進める医療提供体制の再編は、自分が住む地域の病院がなくなることも、時に意味する。佐賀県と長崎県では公的病院の移転を巡り、県境をまたいで住民や医師会の利害が激しくぶつかった。

 「松浦中央病院の開設は、地域包括ケアシステムの構築を進める大きな一歩と捉えています」。3月2日、長崎県松浦市議会。施政方針演説に立った市長の友田吉泰(ともだ・よしやす)(54)は、20年にオープン予定の新病院について意義を強調した。

 中央病院は、隣の佐賀県伊万里市にある「伊万里松浦病院」が移転して開設される。運営主体は、旧社会保険病院を引き継いだ独立行政法人「地域医療機能推進機構」。建物が老朽化し、伊万里市内の別地区での建て替えを考えたが、近くに別の公立病院があり、病床が過剰になるとして地元医師会が反対した。

 一方、松浦市には救急病院がなく、救急患者の約7割が市外に搬送されていたため、住民が熱烈な誘致活動を展開。昨年9月に開いた「決起大会」は参加者が会場のホールからあふれ、自治会連合会会長の向井勝正(むかい・かつまさ)(75)が「市民はいつも不安を抱え、安心した生活を送れない」と訴えた。

 ところが、市の医師会からは反発の声が上がった。新病院が救急・重症患者向けのベッドだけでなく、リハビリ向けの回復期病床も設ける計画であることが分かり、民間病院が患者を奪われると懸念したためだ。病院経営者らが集まって地域の医療提供体制を調整する会議は紛糾した。

 会議での承認を2回持ち越した末に、新病院が回復期の病床数を減らすことでようやく決着。向井は「思いが届いてよかった」と喜ぶが、収まらないのが伊万里市側だ。病院の周辺住民は「地域が廃れる」と心配する。

 こうした利害の衝突は今後、各地で起きる可能性がある。25年に向け病院ベッドを再編する各都道府県の「地域医療構想」実現へ議論が本格化するからだ。慢性疾患を抱える高齢者が増えるのに合わせて病院ごとの役割分担を見直さないと、医療費に無駄が生じる。厚生労働省は全国341の「構想区域」で18年度内に具体的な病院名を挙げた議論に入るよう、都道府県の尻をたたく。

 ただ、多くの知事が地元医師会から選挙の支援を受けているため、担当職員は下手に動けず腰が引けがち。思うように進まない地域も多い。厚労省OBの一人は「医療政策を担える都道府県職員の育成が必要だ。知事の姿勢も問われる」と指摘する。(敬称略)



https://www.m3.com/news/general/598271
弘前の中核病院:検討委を中止 桜田市長「廃止含めて」 /青森
2018年4月18日 (水) 毎日新聞社

 弘前市は17日、国立病院機構弘前病院と市立病院の統合による中核病院構想をめぐり、22日に予定していた第3回地域包括ケア検討委員会を中止すると発表した。市は会議の進め方を再検討するためとしており、今後の開催は未定という。

 検討委は、中核病院を中心に住民が地域で安心して暮らせる医療・福祉環境を市が主体となって整備するため、今年2月に設置。学識経験者や医療福祉関係者らで構成し、議論が行われてきた。

 葛西憲之前市長は市が主体となることにこだわってきたが、8日投開票の市長選で初当選した桜田宏市長は、国立病院機構を主体とする整備・運営を打ち出している。市の担当者は「市長の方向性が全く逆なので、従来と同じ議論を継続するのは難しい」と説明。桜田市長は報道陣に対し、「私の方針は委員に伝えているので、廃止も含めて今後どうするかを検討していく」と話した。【藤田晴雄】



https://www.m3.com/news/general/597675
救急出動「不急」集計へ 消防庁、来年から
2018年4月16日 (月) 共同通信社

 総務省消防庁は、救急車出動の必要性が低かった件数を2019年から集計する。救急車の出動は17年速報値で634万2千件に上り、8年連続で過去最多を更新。今後も増える見込みで、タクシー代わりに呼ぶといった「不要不急」の利用実態を把握する。

 出動の増加は高齢化により、病気で運ばれる人が多くなっているためだ。不適切な利用が続くと、緊急時に現場の到着が遅れる事態も心配されている。

 17年の搬送者をみると、48・5%は入院を必要としない「軽症」だった。ただ、119番時点では「激痛で動けなかった」「出血が多く救急車が必要だった」など、出動が必要な事例もある。

 このため、消防庁は新たな基準を設定。搬送後に軽症と分かった人を対象に(1)自力で歩けないなど、見た目の緊急性(2)言語障害といった脳卒中などの疑い(3)救急隊による応急処置の有無―などを隊員がチェックし、すべて該当しない場合は「必要性が低かった事案」として集計する。

 一方、出動後、搬送に至らないケースもあるが「明らかに死亡」「搬送拒否」「誤報」など、理由は多岐にわたる。出動の必要性を判断するのは難しく、今回は理由の分類見直しにとどめる。



https://www.m3.com/news/general/597599
研究者「時間ない、お金ない」…現状に危機感
2018年4月15日 (日) 読売新聞

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学や公的機関の研究者が、研究費や研究時間の確保が著しく不十分だとして研究環境の現状に危機感を抱いているとする調査結果を発表した。

 調査は、日本の科学技術の状況や変化を把握するのが狙いで、2016年度に初めて実施。今回が2回目で、17年9~12月に、大学などの研究者約2100人と産業界の有識者約700人を対象にアンケートをした。回答率は92%だった。

 調査結果によると、「研究費が十分かどうか」と尋ねた問いに対し、研究者の回答は10点満点で平均2・4となり、前回より0・2ポイント低下。「研究時間を確保するための取り組みが十分かどうか」についても同2・2で、前回より0・2ポイント下がった。



  1. 2018/04/22(日) 09:41:23|
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