Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月15日

https://mainichi.jp/articles/20180413/ddm/012/010/028000c
医師不足
偏在解消見えず 都市部でも深刻化
 
毎日新聞2018年4月13日 東京朝刊

 医師不足が2028年まで続くとする推計を厚生労働省がまとめたが、都市と地方との間で起こる医師偏在に解消のめどは立っていない。労働時間を制限する「働き方改革」で都市部でも医師不足が深刻化していて、医療現場から推計に疑問の声が上がる。

 「医療体制は地域の存亡に直結する」。人口当たりの医師数がワースト2位の茨城県のある議員は危機感を募らせる。

 同県南東部の鹿行(ろっこう)地域は人口10万人当たりの医師数(16年)が95•7人で、全国平均251•7人(同)の4割以下。域内にある鹿島労災病院は災害拠点病院にも指定される地域医療の要だが、10年前に40人いた常勤医は12人まで減少。夜間は当直医の専門外だと救急患者を受け入れられないことも。来年4月には近隣の病院と統合する予定だ。県担当者は「医学部定員は地域の実情に合わせて見直すべきだ」と話す。

 人口当たりの医師数は「西高東低」と呼ばれ、医学部の多い西日本で多く、東日本は東京都を除き軒並み平均を下回る。ワースト1位は埼玉県、2位が茨城県で、東京への医師流出などが原因とみられる。医学部の入学定員に、卒後一定期間の地元勤務を義務付ける「地域枠」を設けるなど国も医師の偏在対策に努めているが、解消できていない。医師偏在は診療科間でも進む。この20年間で、麻酔科や放射線科の医師は6~8割程度増えたが、激務の外科医や産婦人科医は横ばい状態だ。

 聖路加国際病院(東京都)は16年6月に労働基準監督署の指導を受け、1カ月の残業時間を45時間に抑えるよう取り組んでいる。医師数を増やす必要があるが、激務の救急や産婦人科などは募集しても集まらないという。

 働き方改革も医師不足に拍車をかける。同病院は、夜勤や当直の医師数を減らし、土曜の外来診療は救急だけにした。時間外は患者家族に病状説明を断るなど、「患者へのサービスを絞らざるをえない」(同病院)。治療体制を維持したまま残業時間をゼロにするには、今の1・5倍は医師が必要という。今回の推計について、福井次矢院長はこう語った。「患者への影響を第一に考えておらず、非現実的だ」【酒井雅浩、熊谷豪】




https://www.sankei.com/life/news/180413/lif1804130012-n1.html
医師不足は15年後解消 需要低下なら平成40年にも 厚労省推計 
2018.4.13 10:20 産経新聞

 厚生労働省は12日、医学部の定員が現状のままならば、遅くとも平成45年ごろには必要とされる医師約36万人を確保でき、その後は余るとした将来推計を明らかにした。医師の需要をこれより低く見積もった場合は、40年ごろに医師不足が解消され、余剰に転じると試算。同日開かれた有識者検討会で提示した。

 検討会は、32~33年度の定員は現状をおおむね維持する方針を了承したが、今後は定員減も視野に入れた議論が進みそうだ。

 地域によっては医師が不足している問題を受け、政府は20年に定員増を決定。医師は増え続けているが、地域や診療科間での偏りは解消されていない。検討会では偏在対策の必要性を確認するとともに「今後は、定員をある程度減らすことを見据えた議論が必要だ」との声も上がった。

 一方、若手など医師の過酷な労働実態も問題化しており、厚労省は来年3月までに、具体的な時間外労働(残業)の上限規制を含む労働時間短縮に向けた対策を検討する考え。34年度以降の医学部定員数は、医師の働き方改革の進捗(しんちょく)を踏まえ、再度検討するとしている。

 今回、明らかにした将来推計は、労働時間や医師の業務軽減化について、複数のケースを想定。医学部の定員を30年度と同じ9419人と仮定し、病院のベッド数や女性医師の仕事量なども考慮した。

 労働時間の上限を「週55時間」などと設定した場合では、医師の需要が最も増え、45年ごろまでは医師が不足すると推計。ただ、月の残業時間に換算すると過労死ラインに相当する「週60時間」を基にすると、必要となる医師数は減る見込みで、40年ごろには必要とされる約35万人を満たすことができるとしている。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20180413-OYT1T50044.html
里帰り出産できません…医師不足で受け入れ休止 
2018年04月13日 13時34分 読売新聞

 兵庫県立淡路医療センター(洲本市塩屋)が10日から、産婦人科の医師不足のため、「里帰り出産」の受け入れを休止した。

 大学の医学部などに医師の派遣を要請していたが、全国的に産婦人科医が不足する中で補充ができず、安全に出産できる態勢を守るため休止を決めた。早期の再開を目指すといい、淡路島内に住む産婦はこれまで通り受け入れる。

 島内では分娩ぶんべん設備や人員を備えた病院やクリニックが減り、現在は同センターと聖隷淡路病院(淡路市)の2か所だけに。2017年度のセンターでの分娩728件のうち、約4分の1を島外からの帰島者が占め、昨年4月から里帰り出産する人は受診を控えてもらうよう呼びかけていた。



http://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00m/040/094000c
解消は28年ごろ 働き方改革影響で4年遅れ 
毎日新聞2018年4月12日 21時56分(最終更新 4月12日 22時41分)

 2028年ごろまで医師不足が続くとの推計を厚生労働省がまとめ、12日の同省検討会で示した。「働き方改革」で医師の労働時間の上限を過労死の危険性が高まる週60時間に制限したケース。医学部の入学定員について同省は当面増やさない方針だ。

 推計では、高齢者の増加や平均寿命の延びなど人口動態などによる医療の「需要」について3パターンに分類。その上で、今後の医学部定員を今年度の9419人と定め、労働力などから予測した医師の「供給」と比較した。

 その結果、需要は30年ごろまで増え続け、その後は減少すると予測。医師の労働時間の上限を過労死の労災認定基準の目安である「1カ月の残業80時間」に当たる「週60時間」にした場合、28年ごろに必要な医師数約34万9000人を満たした。一般労働者の労働時間の上限「週55時間」だと、33年ごろに約36万人で需給が一致。米国研修医の労働時間の上限「週80時間」とすると、必要な医師数は32万1000人で今年既に満たし、来年以降は「医師過剰」になるとした。

 前回の推計は16年3月。平均的な医療需要で算定すると、24年に約30万人で需給が一致した。今回は、働き方改革を加味したため医師の仕事量や、労働時間の推計方法が異なるが、平均的な需要と比べると医師不足の解消は前回より4年遅れる結果となった。

 医師数を巡っては、実質的に大学の医学部定員が年間の医師の供給数に相当する。医師不足が社会問題化したため、08年度以降、国は卒後地元で一定期間働くことを義務化する「地域枠」などを設けて医師数を増やしてきた。

 この日の検討会では「更に増員する必要はない」との意見が大勢を占めた。一方で「現状で週60時間を当てはめると、各地で医療崩壊が起きる」(同省医事課)ため、「偏在対策に早急に取り組むべきだ」との声も出た。【酒井雅浩、熊谷豪】
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https://mainichi.jp/articles/20180412/ddl/k45/040/405000c
日向市立東郷病院
2年8カ月ぶり入院再開 住民安心感広がる 老朽化で建て替え要望も /宮崎
 
毎日新聞2018年4月12日 地方版 宮崎県

 医師不足のため2年8カ月間休止していた日向市立東郷病院(同市東郷町山陰)の入院(30床)と休日時間外の救急診療が今月再開され、11日現在9人が入院している。旧東郷町地区で唯一入院できる病院だけに住民に安心感が広がっている。【勝野昭龍】

 病院事務局によると、医師2人が退職して1人になったため、2015年7月から入院と休日時間外の救急診療を初めて休止した。日々の診療は近くの民間医療機関から週1回、内科医を派遣してもらって続けた。

 病院は医師の官舎をリフォームし、給与も1割弱アップするなど待遇を改善。県や民間紹介所の他、地縁血縁も総動員して医師集めに奔走した。こうして院長ら外科医3人と整形外科医1人、アルバイト医師4人を確保。外科▽整形外科▽内科▽リハビリテーション科--の4科が整い、入院と時間外救急の再開にこぎ着けた。

 旧東郷町内には他に内科のクリニックしかなく、特別養護老人ホームの9人が早速入院。時間外救急も連日利用者が来院している。

 しかし、4月末にはまた1人が退職する予定。病院は1974年建設の鉄筋2階建てで老朽化の問題も抱えており、建て替えの強い要望が出ている。



https://www.asahi.com/articles/ASL4D2VPCL4DUBQU003.html
医師「過労死ライン」超え15% 秋田県医師会調査 
山田佳毅2018年4月12日12時00分 朝日新聞

秋田県内の医師の時間外労働の実態調査
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 秋田県内の病院に勤める医師の6~7人に1人が、月80時間を超す時間外労働、いわゆる「過労死ライン」に達する勤務をしていることがわかった。調査した県医師会は「過労死寸前の勤務環境に置かれているわけではない」としつつ、医師不足を理由に挙げている。

医師の働き方改革、骨子案まとまる
 調査は昨年10~11月、県内の全69病院と、各病院の非常勤を含むすべての勤務医1580人を対象に行われた。回答は52病院(75%)、医師からは888人(56%)から得られた。

 集計の結果、週に40時間以上勤務している医師のうち、昨年9月に時間外労働をした人は9割を超え、91•4%に達した。

ログイン前の続き時間外労働時間の割合をみると、「80~100時間未満」が6•9%、「100時間以上」が8•1%で、計15%が「過労死ライン」を超えていた。中でも、大学病院の40代と公立病院の20代は「100時間以上」が20%を超えていて、それぞれの病院の平均値を上げていた。

 病院に泊まり込む宿直回数を見ると、昨年9月に2~4回宿直をした医師は44%にのぼった。1回の宿直での平均拘束時間は、14時間超が全体の約7割を占めた。平均の実労働時間は5時間で、「ほとんど実労働を伴わないと規定されている宿直からはほど遠い現状」としている。

 この結果を受け、県医師会は「医師の望ましい働き方」として提言をまとめた。その中で、医師独自の労働時間制度の創設や持続可能な医療提供体制の構築といった行政側の努力に加え、住民や患者側にも、不要な救急搬送を頼まないなどの意識改革が必要だと指摘した。

 県医師会地域医療総合調査室の高橋勝弘室長は「医師の効率的な働き方や、医療体制のあり方を考える時期にきている」と話している。



https://www.asahi.com/articles/ASL4D44MHL4DUBQU00G.html
医師足りない…地域偏在解消へ 群馬県や群大、会議発足 
篠原あゆみ2018年4月12日14時00分 朝日新聞

 群馬県と群馬大学、県医師会など関係団体が参加し、「ぐんま地域医療会議」が発足した。県全体でも全国平均より医師数が不足する中、地域医療を守るため、県内の地域ごとの医師の偏在解消や、人材育成のための医療機関の連携を目指す。

地方で勤務した医師に認定制度 地域偏在の解消へ
 厚生労働省が2016年に実施した医師・歯科医師・薬剤師調査によると、人口10万人あたりの医師数は、群馬県では225•2人で、全国平均の240•1人を下回った。一般的な入院医療を提供できる単位として県内を10区域に分けた二次保健医療圏別では、前橋地域が443•3人の一方、太田・館林地域では141•9人、吾妻地域で144人などと、医療圏単位で約3倍の開きがある。

 県や群大によると、これまでは地域の病院から要請を受けて、群大から医師を派遣するケースが多かった。しかし、医師の総数が不足し、大学病院に残る若い医師が減っている中、群大だけで地域医療を支える医師を確保することが難しくなっているという。
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 そこで県が、県内で働く医師の実態を調査した結果を群大に提供し、派遣に役立てることで医師の偏在を解消していく。若手医師の将来のキャリア形成も考慮し、特色のある医療機関で研修を受けられるようにするなど、教育環境を整えていくという。

 初回の会合が3月26日にあり、議長をつとめる県医師会の須藤英仁会長や県、群大、歯科医師会や薬剤師会などの関係者が集まり、目的などを確認した。

 今年秋ごろまでに、病院ごとの医師数や勤務状況、専門分野などを県が調べ、医師の派遣などの具体的な取り組みを19年度に始める方針。県の担当者は「医師の総数が不足する中でも必要な医療を受けられるよう、医師の偏在を解消したい」。群大医学部付属病院の田村遵一病院長は「県内で連携し、質、量ともに充実した研修環境を作ることが、若手医師に県内に残ってもらうことにつながる」と期待する。


https://www.m3.com/news/iryoishin/597238
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「劇的な労働時間短縮は困難」全自病アンケート
厚労省の「緊急的な取り組み」6項目を調査
 
2018年4月13日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は4月12日、厚生労働省が2月に出した「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」6項目について実施の可否を会員病院に尋ねたアンケートの結果を発表した。特に6番目の「医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み」で、「実施できない」が全項目中、最多の48%に上り、自由記載では「劇的な労働時間短縮は困難」などの意見が寄せられた。会長の邉見公雄氏は「『医師の3偏在』(地域、診療科、病院・診療所)の解決なくしての労働規制は、本末転倒だ」と述べた(関連記事は『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。


 アンケートは2月28日から3月31日に、6項目について「実施できる」か「実施できない」を選択する方式で実施。880の会員病院のうち、28.0%の246病院から回答を得た。

項目ごとの、246病院全体のうち「実施できない」と回答した割合と、自由記載の例は次の通り。

医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み=72%
 ・ICカード、タイムカードを導入しても、在院時間=労働時間とはならないため。
 ・常勤医師の数が少なく、当日直の回数が他の病院に比べどうしても多くなり負担をかけている。常勤医師の確保や非常勤の応援医師の確保に努めてはいるが、まだ十分ではない。
36協定の自己点検=15%
 ・医師は全て管理職であり、36協定の適用除外となるため。
既存の産業保健の仕組みの活用=17%
 ・安価な産業医報酬しか捻出できず、産業医確保に苦慮している。
  ・医師の健診受診率が低く、産業保健に結びつきにくい。
タスク・シフティング(業務の移管)の推進=13%
 ・他業種に業務移管できるほどの人材
 ・予算確保が困難。
 ・どこまでの医療行為を医師ではなく看護師がしていいのかなど、明確な基準もないまま実施に移すことはできない。
女性医師等に対する支援=5%
 ・現状ではマンパワーが不足しており、女性医師のみへの支援は困難である。
 ・今後の女性医師の出産・育児等継続的な業務、キャリアが阻害されることのないよう対策を進めたいと考えている。ただ、小規模病院で女性医師が短時間勤務や当直免除になると、他の医師の負担が大幅に増すため厳しいところがある。
医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み=48%
 ・1人または2人体制の診療科が多く、また、2次医療圏内に救急医療を実施できる医療機関が当院以外にないため、医師の長時間労働を改称することは大変困難な状況。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596638
医師調査
男女を問わず、医師が勤務継続できる環境を
日本外科学会定期学術集会、特別企画「女性外科医のキャリアパス」 ** 
 
レポート 2018年4月10日 (火)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「女性外科医のキャリアパス」が4月6日、都内で開催され、女性外科医のキャリアパス支援について、職場の復帰支援などを行う九州大学病院などの先進的な取り組みが紹介された。同大保健学科教授で循環器内科医の樗木晶子氏は、「根本的には医師の労働環境を改善し、多様な勤務形態が提供され、男女ともにワークライフバランスが取れるようにすべきだが、まだまだそうなっていない」と訴えた。

女性医師には仕事も家庭も求められている
 この特別企画は、同学会の男女共同参画委員会の主催で行われた。女性医師が増加する一方、少子高齢化もあり、女性には妊娠・出産・育児が求められる社会的風潮もある。この現状について、セッションの座長を務めた、日本外科学会の男女共同参画委員会副委員長で東京大学消化管外科准教授の野村幸世氏は、「女性医師は仕事と家庭の両方とも、大変なことをやってもらわないといけない時代」とした上で、「本音は、男性も女性も職種を問わず同様に働くべきだ。家庭の仕事も平等に分担すべきだ。妊娠・出産・授乳以外は男性も同様にできるはずで、できないとしたら努力不足。パートナーと自分が平等であるかどうかは常に考えておくべきだ。以上の権利と義務を遂行しつつ最小ストレスで最大アウトカムを社会全体で模索することが必要だ」とした。

常勤への復帰に向けた就業支援
 九大病院は2017年4月現在、医師の21.4%を女性が占めるが、常勤(助教以上)の女性医師は8.3%にとどまる。内訳を見ると、研修医(非常勤)は女性が49.3%と約半数だが、医員(非常勤)で27.8%、常勤(助教以上)が8.3%と職位が高くなるほど女性医師が少ない。樗木氏は、2007年から九大病院で取り組まれているキャリア支援「きらめきプロジェクト」について紹介した。女性医師は出産・育児でいったん離職する傾向があり、就労率は卒後11年で76%と最低となった後に回復するものの、常勤や専門医としての復帰は難しくなっている。そこで、当初は出産・育児でキャリアが途絶えがちな女性医師のキャリアパス支援として国の助成金を受けて始まった。ただ、2010年からは病院の内部予算で運用されており、出産・育児・介護・自身の病気により離職を余儀なくされる男性医師も対象としている。
 具体的には、離職から常勤への復帰に向けて、医局人事の枠外で就業できる雇用形態として「ステップアップ外来医師」の制度を設けた。医師と歯科医師を合わせて毎年30人弱がステップアップ外来医師に参加しているという。短時間勤務による外来診療のほか、研究の継続も可能となる。この10年でのべ129人の医師がこの制度を利用し、常勤職へ復帰したり、専門医取得や博士号取得をしたりした医師もあった。

 同プロジェクトではほかに、人材登録のためのホームページを立ち上げたほか、院内保育施設の設置、教授らへの啓発講演会の実施、学生講演会・交流会の実施、情報発信、育児中の医師向けのe-ラーニングプログラムを配信したりしている。樗木氏は「一番役に立っていると私が思うのは、短時間勤務の医師と毎月ミーティングをして困っていることなどを話し合ってきたことで、九大病院の中で女性医師のネットワークができたことだ。若手医師が自発的にランチ会を行ったりしている」と話した。また病院内にプロジェクトが浸透したことで「医局長が入局したての若手医師らに、きらめきプロジェクトを紹介するなど、医局の仕組みにきらめきプロジェクトが組み込まれるようになっている」(樗木氏)という。

 特別企画「女性外科医のキャリアパス」では、他に育児中の日本外科学会員医師のストレス状況について調査をした、東京女子医科大学心臓血管外科の冨澤康子氏による、「育児中の日本外科学会会員の仕事とプライベートのストレス―働くドクターストレス調査結果から」など計7講演があった。

 厚生労働省の2016年医師・歯科医師・薬剤師調査によると、国内の医師31万9489人中、女性医師は21.1%と増加しており、また今年の医師国家試験合格者の34.0%が女性と、今後も女性医師は増えると見られている。また、女性医師の専門の上位は内科(15.5%)、小児科(9.0%)、眼科(7.8%)、皮膚科(6.7%)などで、女性の外科医が増えてきたとはいえ、まだまだ多くない。



https://www.fnn.jp/posts/00291950HDK
【働き方改革】診察をしない「産業医」は従業員の敵か?味方か? 
小林晶子
2018年04月13日 金曜 午前6:30  FNN prime

「産業医」とは”診察・治療をしない医師“
 国を挙げて進められる「働き方改革」。
 「働き方改革実行計画」では、「産業医」は権限を強化され、改革の後押しを求められています。
 そして、長時間労働への対策、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援などが重点項目とされています。
 つまり、企業が産業医を選任し、活用することが強く求められている訳です。
 とは言え、「産業医」と言う職業は一般的にはよく知られていないかもしれません。

産業医の仕事には、大きな特徴があります。
それは、病気の診断をしたり、治療をしないこと。 
そもそも産業医は、「診察」という行為を行いません。
そこが、一般のクリニックや病院の医師との大きな違いです。

ミッションと権限
 では、産業医は何を行うのかと言うと、「診察」ではなく、従業員の健康状態や業務への適性を評価する「面談」です。
 その上で、「◯◯病の疑いで治療が必要か否か」「就労が可能か否か」「労働時間の制限や配慮の必要性」などを、産業医の立場から評価します。
 医学的見地から、従業員の健康状態を判断し、中立な立場で、企業と従業員、双方にとって最善の策を出すのが、産業医のミッションなのです。
 正しい判断・評価をするため、産業医には情報収集の権限が与えられました。
 企業には、残業が月100時間超の従業員の氏名などの産業医への報告や、健康診断やストレスチェックで異常が見つかった従業員に関する情報提供が義務付けられています。

従業員を追い込む『ブラック産業医』の存在
 しかし昨年来、「メンタルの不調等で休職した従業員が回復してきたにもかかわらず、産業医がさまざまな理由を付けて復職させないために退職に追い込まれた。これでは企業と結託した『ブラック産業医』ではないか」等と、トラブルになるケースがありました。
 昨年、弁護士らが厚生労働省に申し入れを行った事例では、本人と面談を1回しただけの産業医が、「統合失調症」「混合性人格障害」など、本人が一度も受けたことのない病名の診断をし、復職不可との判断をしたとしています。
 しかもこの産業医は精神科の医師ではなかったとのこと。
 これが事実なら極端な逸脱行為と言わざるを得ません。
 先述したように、そもそも産業医は病名の診断はしないからです。
 本来の産業医としての役割を果たしたとも言えないでしょう。

良好な「働き方」を左右する産業医の判断
 多くの産業医は、従業員の今後や生活のことを考慮し、「復職」するにはどうすればいいかを、まずは念頭に置いています。
 しかし、先ほどのような悪質な事例は論外としても、誠実に仕事をしている産業医が「ブラック産業医」では?と誤解される場合もあるかもしれません。
 と言うのも、産業医には「復職したい」と言う従業員の意に反する判定を下さざるを得ない場合もあるからです。
 産業医は、会社組織の中での本人の役割や仕事内容から、復職の可否を判断します。
 場合によっては、従業員がかかっている主治医は復職可能としていても、産業医は復職できないと評価することもあり得ます。
 と言うのも、復職判断が早すぎたために、復帰後 間もなく欠勤が相次ぎ、結果的に休職・復職を繰り返すケースがあるからです。
 早すぎる復職が本人の負担となり、回復しつつあった疾患が悪化したりしたら取り返しがつきません。
 そのため、復職判定には慎重さが必要なのです。
 もちろん、産業医が復職不可とする場合は判断根拠を従業員に示し、それを基に復職に向けてどうしたらいいのかについて、面談を行っていく必要があります。

「働き方改革」推進には、産業医の育成が課題
 「働き方改革」の中で産業医の役割は増していますが、現状では産業医を選任している事業所は全体で87%。
 事業所の大部分を占める50人から100人未満の中小企業では、80.9%に留まっています。
 その要因の1つは、産業医の圧倒的な不足です。
 厚生労働省によると、現在産業医の養成研修・講習を修了した医師は約9万人いますが、そのうち実働しているのは3万人程度。
 一方、産業医を必要としている事業所は、全国に16万カ所以上とされています。
 「働き方改革」を進める中で、今後 産業医をどう育成していくかも重要なポイントかもしれません。
(医師 小林 晶子)



https://ryukyushimpo.jp/column/entry-697051.html
<金口木舌>北部医療、先行者の責任 
2018年4月9日 06:00 琉球新報

 入学式シーズンの真っただ中。名護市為又の北部看護学校でも、黒のスーツ姿の84人が入学し、白衣姿の職員たちが温かく見守った

▼名護市出身の宮里涼奈さんの新入生宣誓が印象的だった。学業専念を誓うとともに、到来する超高齢社会などに触れた。「看護師不足が指摘される中、北部地区は病院も少なく、救急対応も課題です。看護師になって貢献したい」
▼北部は慢性的な医師と看護師の不足に直面し、救急医療体制の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘される。県立北部病院では外科や産科などで後任医師が見つからず、週の診療日数が制限されることもしばしば
▼命に直結する医療の充実は、住民の切なる願い。定住するためにも地域完結型の医療は重要だ。県推計によると、2025年時点でも北部住民で入院を必要とする1割が、中南部へ行かざるを得ない
▼人手不足を解消し、安定的な医療体制を目指そうと、県立北部病院と北部地区医師会病院の統合による基幹病院整備の動きも進む。約220億円と試算される事業費負担、統合後の職員待遇などの課題は多い。何よりも働きやすい医療現場の環境整備は不可欠だ
▼入学式のあいさつでは、看護師への一歩を踏み出した新入生に期待が寄せられた。学生が巣立つ3年後、働く環境は今よりも魅力的だろうか。先を歩む者たちには期待するだけでなく、環境を整えていく責任もある。



http://www.medwatch.jp/?p=20106
軽微な傷病での医療機関受診では、特別の定額負担を徴収してはどうか―財政審 
2018年4月12日|介護保険制度 MedWatch

 公的医療保険・介護保険を持続可能なものとするために、「医療費・介護費そのものの増加を抑える」「保険給付範囲の在り方を見直す」という2つの改革が必要となる。後者では、例えば「軽微な傷病での医療機関受診」について、特別の定額負担を導入してはどうか―。

 4月11日に開催された財務省の財政制度等審議会「財政制度分科会」で、こういった議論が行われました(財務省のサイトはこちらとこちら(参考資料))。

ここがポイント!
1 軽微受診における定額負担、保険制度の在り方にも関連する重要テーマ
2 地域別診療報酬や地域医療構想実現に向けた知事権限の強化、課題も多い
3 ケアマネジメントへの利用者負担導入など、近く正面からの議論を
4 診療所や介護事業所の再編・統合なども、近い将来重要検討テーマに

軽微受診における定額負担、保険制度の在り方にも関連する重要テーマ

 高齢化の進展や、医療の高度化(オプジーボ・キイトルーダなどに代表される画期的で超高額な抗がん剤の登場など)により医療費が増加を続ける一方で、少子化により「支え手」(財政の支え手、医療・介護の担い手)が減少し、公的医療保険制度・介護保険制度の存立基盤が脆くなってきています。

高額な抗がん剤が次々に登場し、医療保険制度の基盤を脆くしつつある(図 略)
 
 このため財務省は、「医療費そのものの増加を抑制する必要がある」(保険制度見直しによる負担の付け替えには限界がある)、「保険給付の在り方を大きく見直す必要がある」との考えのもと、今般、具体的な社会保障改革案を財政制度分科会に提示しました。
 具体案は次のような内容で、すでに提案されている内容が多数を占めますが、目新しい項目も散見されます。ポイントを絞って見ていきましょう。

まず、医療分野における「保険給付範囲の見直し」については、次のような提案が行われました。
(1)新たな医薬品・医療技術について、安全性・有効性に加えて経済性・費⽤対効果を踏まえて公的保険での対応の在り⽅を決める仕組みとする(▼原価計算⽅式:費⽤対効果評価を義務付け、費⽤対効果が悪いものは、「保険収載の⾒送り」「償還可能価格までの引き下げ」を行う▼類似薬効⽐較⽅式:補正加算が付される場合は費⽤対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げる―仕組みとする)
(2)▼薬剤の種類に応じた保険償還率の設定▼⼀定額までの全額⾃⼰負担—制度を参考にした「薬剤自己負担率」を導入する
(3)少額受診に⼀定程度の追加負担を求め、「かかりつけ医」等への誘導策として「定額負担に差を設定する」ことも検討する

 このうち(3)は「軽微な傷病」での受診について、定率の自己負担(年齢・所得により1-3割)に加えて、「追加的な定額の自己負担」を求めるというものです。
 
 従前、財務省は「かかりつけ医以外を外来受診した場合に、特別の定額負担を設けてはどうか」との提案を行っていましたが、「かかりつけ医の定義、範囲が明確でない」「かかりつけ医を持たない国民も多い」といった指摘が、社会保障審議会・医療保険部会などで相次ぎ、方向を若干修正したと見ることもできます(もっとも「かかりつけ医等」へ誘導するため、定額負担に差を設ける(かかりつけ医等の場合には定額負担を小さくする)考えも示しています)。

 このテーマは古くから議論される「保険給付の在り方」にも関連する重要論点の1つです。保険給付の在り方を考える際、大きく▼軽微な医療は自己負担とする▼超高額な医療は自己負担とする―という両極の選択肢があり、この中間にさまざまなバリエーションが考えられます(自己負担割合を疾病によって変えていくなど)。財務省は「前者」の考え方に寄っていることが、この提案で明確になったと言えるでしょう。もちろん、▼患者にとって「自分の疾病が軽微なのか重篤なのか」を判断することは難しい▼早期治療を阻害し、かえって医療費が増加する―といった課題もありますが、そろそろ真正面から議論する時期に来ていると言えそうです(関連記事はこちら)。

 また(2)は、例えばフランスにおける薬剤自己負担率「▼抗がん剤等の代替薬のない⾼額医薬品:0%(全額保険償還)▼⼀般薬剤:35%▼胃薬等:70%▼有⽤度が低いと判断された薬剤:85%▼ビタミン剤・強壮剤:100%(全額自己負担)」や、一般用医薬品と医療用医薬品との価格差(湿布薬であれば、医療用は3割負担で36円だが、一般用は1008円など)などを踏まえよ、との提言です。

2018年度の診療報酬改定では「ヒルドイドソフトなど」の保険給付が議題の1つにあがりました。ヒルドイドソフトは、アトピー性皮膚炎患者に対する保湿剤などとして処方されますが、女性芸能人などが「ヒルドイドにはアンチエイジング効果があり、医療保険を使って3割負担で入手できる」といった紹介をし、一部に大量処方されているケースがあることが問題視されたのです。今回の提案は、こうした「不適切事例へのペナルティ」をも視野に入れていると考えられます。モラルハザードが横行すれば、適正化に向けた動きが強くなり、「本当に必要な患者」のアクセスが阻害されてしまいます。医療従事者・国民の双方が「適正な医療保険制度の運用」に協力しなければなりません。

地域別診療報酬や地域医療構想実現に向けた知事権限の強化、課題も多い

 また医療費そのものの増加を抑える方策として、財務省は「公定価格(診療報酬点数や薬価、特定保険医療材料価格など)の適正化」「医療提供体制の改革」が必要とし、次のような具体的な見直しを行うべきと提案しています。
(i)診療報酬本体も含め「改定率」は厳しく抑制していく
(ii)薬価制度の抜本改革の中で「残された検討課題」(費用対効果評価の本格導入など)を着実に検討し、併せて▼創薬コストの低減▼製薬企業の費⽤構造の⾒直し▼業界再編—に取り組む
(iii)かかりつけ機能を果たしていない薬局の報酬⽔準適正化など、調剤報酬の在り⽅を見直す
(iv)地域医療構想の実現に向けて、▼診療報酬・介護報酬改定のフォローアップ▼都道府県への⼿段の付与▼都道府県へのインセンティブ▼適切な進捗管理▼医療・介護を通じた在宅医療・介護施設等への転換—を行う
(v)7対1・10対1一般病棟の再編・統合など、2018年度診療報酬改定が地域医療構想に沿った「病床の再編」「急性期⼊院医療費の削減」につながるか、KPIを設定して進捗を評価し、必要に応じて「更なる要件厳格化」などを2020年度改定で実施する
(vi)介護療養・25対1医療療養から介護医療院などへの転換を促進するが、▼患者の状態像に合わない、高単価の医療療養への転換を防止する▼転換が進まない場合に介護療養の報酬⽔準を検討する(引き下げる)▼⾼齢者住まいへの転換も含めた幅広いダウンサイジング⽅針を策定する―ことなどを進める

介護療養からの医療療養への転換は、「防止せよ」と財務省は考えている(図 略)
 
(vii)▼診療所▼医師数▼⾼額医療機器—など「病床以外の医療資源」に関しても、配置への実効的なコントロール方策を早急に検討する
(viii)都道府県における医療費適正化の取組みに資する実効的な⼿段を付与し、医療費適正化に向けた地域別診療報酬の具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰す
 このうち(iv)の地域医療構想の実現に関しては、▼病床再編に向けた都道府県の権限整備▼地域医療構想の進捗に応じた保険者努⼒⽀援制度・地域医療介護総合確保基⾦の配分▼病床機能報告における定量的基準の策定—などが打ち出されています。ただし、「最も多い民間医療機関に対し、都道府県が機能転換命令を行うことなどは、憲法上、難しい」「進捗の低い都道府県への基金配分を薄くすれば、さらに進捗が遅れ、格差が広がる可能性がある」「定量基準を定めることは、病床機能報告制度の否定につながる(基準を定めるのであれば報告の必要はなくなる)といった課題もあり、さらに議論を詰めてく必要があるでしょう。
地域医療構想の実現に向けた、具体的なてこ入れ案(図 略)
 
また(viii)の「地域別診療報酬」には、「かえって医療費を高くするのではないか」との指摘もあります。現在は、オールジャパンという単位で「診療側と支払側との価格交渉」が中央社会保険医療協議会で行われていますが、これを都道府県単位で行った場合、「診療側のパワーが増し、支払側のパワーはさらに下がるのではないか」と考えられるのです(「診療報酬に詳しく、交渉能力に長ける」医師等は全国に多数いるが、「診療報酬に詳しく、かつ交渉能力に長ける」保険者関係者等の状況は未知数)。また、全都道府県で一定水準以上の事務局機能を果たせるか、というテーマについても疑問を持つ識者が少なくありません。効果・運用の双方でまだまだ課題があり、地域別診療報酬は「もう少し先の検討テーマ」と言えるかもしれません。

ケアマネジメントへの利用者負担導入など、近く正面からの議論を

 介護分野の「保険給付範囲の見直し」としては、次の2つの提案が行われました。
▼居宅介護⽀援(ケアマネジメント)への利⽤者負担導入
▼⼀層の総合事業の推進

 双方とも社会保障審議会・介護保険部会を中心に、専門家による議論が行われ「時期尚早」との結論が出ています。例えば、前者の「ケアマネジメントへの利用者負担」には「介護保険利用を阻害する」「利用者・家族によるプラン変更が助長される」といった懸念が、後者には「要支援1・2の訪問・通所介護が総合事業へ移行して間もなく、状況を把握しないままに拡大することは極めて危険である」との指摘が強いためです。

 もっとも前者については、利用者負担導入で「ケアマネジャーの意識も変わり、ケアマネジメントの質が高まる」ことが強く予想され、また後者については、今後データが集積される中で、「他サービスやより重度者の総合事業への移行」が可能かどうか実証されていきます。そう遠くない将来、両者については真正面から議論が行われることになるでしょう。

診療所や介護事業所の再編・統合なども、近い将来重要検討テーマに

高齢化の進行によって、介護費は著しい増加を見せており、「介護費用の伸びを抑える方策」が今後の最重要テーマの1つとなることは間違いありません。財務省は、次のような提案を行っています。
(a)在宅と施設の公平性確保も踏まえ、「多床室の室料相当額」も基本サービス費から除外する
(b)保険者機能強化推進交付⾦(自立支援等に積極的に取り組み市町村・都道府県へのインセンティブ)について、指標の達成状況がよくない⾃治体について、原因を分析し、都道府県・市町村の取組を⽀援する
(c)頻回なサービス利用に対する「保険者によるケアプランチェックのための指針」等を早急に策定・周知し、利⽤者の状態像に応じたサービスの利⽤回数や内容等についての標準化を進める
(d)介護費の地域差縮減に向けて、在宅サービスについても▼総量規制▼公募制—などのサービス供給量を⾃治体がコントロールできる仕組みを導⼊する
(e)⼈材の確保・有効活⽤やキャリアパスの形成によるサービスの質の向上などの観点から、「介護サービスの経営主体の統合・再編」等を促す

このうち(d)は、医療でも同様の問題意識が顕在化しています(診療所開業規制の是非など、さらに上記(vii)との関連)。また、これらは(e)の再編・統合とも共通要素があります。例えば、訪問看護ステーションについては、「数の整備」とともに「規模の拡大」が、以前より重要なテーマに据えられています。大規模化によって、個々の看護師の負担が減り、またサービス提供体制を手厚くする(例えば24時間・365日対応など)ことが可能です。また、再編・統合によって総務部門などの共通コストを低廉にすることが可能で、経営的なメリットもあります。さらに、業務負担軽減は「働き方改革」とも同じ方向を向いていると言えます。

高齢化だけでなく、少子化が進行する我が国では、医療・介護サービスの担い手不足が深刻化しており、今後、深刻度は増していきます。近い将来、病院だけでなく、診療所や介護施設・事業所においても「再編・統合」が検討すべき重要テーマの1つとなりそうです。

諸国における診療所開業等の状況(図 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/597140
日医「勤務医の健康支援を中心に」
医師の働き方検討委員会が答申
 
レポート 2018年4月12日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は4月11日の定例記者会見で、「医師の働き方検討委員会」(委員長:相澤好治・北里大学名誉教授)が2017年6月以降、計6回の会議でまとめ、横倉義武会長に答申した内容を発表した。日医が主催して「医師の働き方検討会議」を設置し、4月21日に第1回会議を開催することも報告。日医からは松本吉郎氏と今村聡副会長、市川朝洋常任理事が入り、四病院団体協議会の代表や、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員らから成る。6月まで3回程度の会議を予定し、同月頃に再開が見込まれる厚労省の検討会に、医療界としての見解を提示することを目指す。

 答申は、次の4項目による章立てで、最後の「まとめ」として、「地域医療を守るにあたって、勤務医の健康支援を中心に据えることが命題である」などと宣言している。
  勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現
  勤務医の労働安全衛生の充実
  地域医療を守る
  医師会の役割

「労働時間等設定改善委員会」活用を
 松本氏は、「この答申の一番の核」として「2.勤務医の労働安全衛生の充実」を挙げた。2015年の「労働基準監督年報」で、労働基準監督署の定期監督によって、医療保健業では1772事業場のうち78.8%の1396事業場で法令違反が指摘された。全業種平均は69.1%で、医療保健業ではかなり高い割合となっている。特に健康診断では全業種が14.1%に対し、医療保健業では25.6%で法令違反が指摘されており、答申では「医療界全体として反省すべき重要な課題。安全衛生に関わる多くの専門家を有する医療保健業で、法令違反が多く指摘されていることは重く受け止める必要がある」と指摘した。

 対策としては、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」により、労働安全衛生法で規定されている衛生委員会を「労働時間等設定改善委員会」として活用できることが定められていることを紹介。労働者の健康に関して調査や審議をする衛生委員会で労働時間設定の検討が可能であるとして、「長時間労働が問題となっている現状を踏まえた多角的な取り組みを促すための施策であり、大いに活用すべきである」と指摘している。

 「1.勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現」では、一般論としての労働時間の定義から始まり、宿日直やオンコール、自己研鑽など医師特有の労働形態や、労働法制との乖離について考察。例えば、宿日直は労働基準法上、「状態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるもので、定時巡回や少数の要注意患者の検脈、検温など」に限るが、実態としては救急患者や容態急変の患者への対応など通常の労働を行っていることを指摘している。対策は、医療勤務環境改善支援センターの充実強化を挙げ、都道府県医師会のアンケートで寄せられた、「診療報酬上の加算」、「医療機関管理者である医師への啓発」などを紹介した。

「時間外労働の上限規制は必要」
 今後、厚労省の検討会でも議論が本格化するとみられる、医師の時間外労働の上限規制については、時間外労働時間に関する「医師の特別条項」を医療界が意見集約して設定することが妥当と主張。その特例を定めるに当たっての基本的視点として、「時間外労働の上限規制は必要」、「医師の労働時間の取り扱いについて共通認識の下で検討される」など7項目を挙げた。具体的な時間については、答申では挙げていない。

「3.地域医療を守る」では、労働時間制限による地域医療への影響について、日医「勤務医委員会」が行った医師へのヒアリング結果として、次の6点を紹介。

(1) 救急医療からの撤退
(2) 外来診療の縮小
(3) 産科・小児科の撤退
(4) 医療機関の経営破綻
(5) 医療の質の低下
(6) アクセスや利便性の低下
 答申は、日医の立場として「医師の勤務環境改善には全面的に賛成であるが、患者や地域住民が健康を害する政策には反対である」ことを強調。応招義務について議論を深め、「現代にあった解釈または法改正を行う」ことの必要性や、タスク・シフティング、タスク・シェアリングなどによる医師の効率的活用、女性医師の離職防止と復職支援、救急車の利用や「コンビニ受診」など、住民の理解と協力などの対策を挙げた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180412133959
都道府県別の診療報酬、「医療の質低下の恐れ」
日医・横倉会長、反対姿勢を改めて表明
 
2018年04月12日 13:55 CB news

 財務省が財政制度等審議会財政制度分科会で「都道府県別の診療報酬」の設定を提案したことを受け、日本医師会の横倉義武会長は11日の記者会見で、「県境における患者さんの動きに変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動によって地域における偏在が加速することで、医療の質の低下を招く恐れがある」とし、反対の姿勢を改めて示した。【松村秀士】

 11日の財政制度分科会で財務省は、医療費の適正化につなげるため、「地域別診療報酬」を設定する仕組みの活用を提案した。

 会見で横倉会長は、「都道府県別の診療報酬」の設定について、「これまで、医療は地域によって分け隔てなく全国一律の単価で提供すべきだと述べ、一貫して反対の姿勢を示してきた」とし、財務省案に反対する姿勢を示した。

 横倉会長はまた、「診療報酬で人事院規則が定める地域に従い、1級地から7級地までの地域加算があり、入院基本料などに加算されている」とし、既に地域の特性を考慮した加算が設けられていると指摘した。

 「都道府県別の診療報酬」の設定については、2017年12月7日の社会保障審議会医療保険部会で「議論の整理案」として示されたが、委員からは「慎重に検討する必要がある」といった意見が出ていた。

 高齢者の医療の確保に関する法律の14条では、「厚生労働大臣は、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」(診療報酬の特例)とされている。ただ、具体的な運用規定がなく、この特例はこれまで適用されたケースはない。

 奈良県が3月に策定した第3期医療費適正化計画では、医療費の削減目標を23年度に達成するのが困難な場合、全国とは異なる診療報酬を設定するよう、国への意見提出の検討を方針として掲げている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596915
シリーズ 社会保障審議会
「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討
厚労省、医療法・医師法改正案の医師不足対策を説明
 
2018年4月11日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局総務課長の榎本健太郎氏は、4月11日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、3月13日に閣議決定した「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」に盛り込んだ「医師少数区域」等で勤務した医師を「認定」する仕組みについて、「例えば、認定を受けた医師が専門医を取得する際や、医療機関を開設する際の支援をしたり、認定医師を雇用する地域の医療機関の税制を優遇するなどが考えられる。認定される医師をしっかりと活用する枠組みを今後、先生方の意見を聞きながら整理していく」と説明した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「医師少数区域」での勤務経験を持つ医師を厚生労働大臣が認定する仕組みは、今回の改正案で打ち出された医師偏在対策の一つ(『医師偏在対策に向けた医療法等改正は2段階で実施』などを参照)。永井座長が「認定医師をどのように使うのか」と質問したのに対し、榎本課長が回答した。

 「医師少数区域」は、国が定める「医師偏在指標」に基づき、都道府県が定める。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「医師・歯科医師・薬剤師調査」や「医療施設調査」などを基に全国一律に決めることなく、「地域の実情を反映できる仕組みにしてもらいたい」と強く要望した。日本病院会会長の相沢孝夫氏も、「2次医療単位で、必要医師数を決めて確保しようとするのは、非常に融通が利かないやり方。これにより、医療が崩壊することがないように忠告する」と語気を強めた。

 認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、新専門医制度において都道府県が日本専門医機構に問い合わせを行っても返事が返ってこないため、同機構への不信感が募っている現状があると指摘(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。医療法・医師法改正案に「厚労大臣は、日本専門医機構等に対し、必要な措置の実施を要請できる」旨が盛り込まれている点について質問。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で「同機構の代表者から、今後改善していくという発言があった」と紹介、「都道府県から出てきた意見を集約して機構に伝えるなど、改善の取り組みについて国が調整的な役割を果たしていく」と回答した。

 そのほか、永井座長は、「地域枠」で入学した医師の定着を図るため、約20%は臨床研修修了後、「地域枠以外の県」に勤務している実態を踏まえ、「本当にこの制度が機能しているのか。地域枠の県を離れた理由などを詳しく調査するよう求めた。

4月11日の社保審医療部会は、計5つの報告事項について議論。

 オンライン診療料、指針は緩い?

 厚労省は、省内で検討した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」、「検体検査の精度管理等に関する検討会」、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」、「無痛分娩の実態把握および安全管理体制の構築」についても報告した。

 特に意見が出たのは、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」と「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」について。

 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は3月30日に公表された(『「対面診療なしオンライン診療」も条件付きで許容』を参照)。

 国立病院機構理事長の楠岡英雄氏は、2018年度診療報酬改定で新設されたオンライン診療料は、初診から6カ月が経過した患者が対象であり、30分以内に患者が対面診療を受けられる医療機関に限るなどの条件がある一方、指針はそれより緩い条件になっているとし、「最初から自由診療を前提としている場合、緩やかな体制で実施する可能性があり、十分に注意してもらいたい」と指摘。

 それを受け中川氏が改めて、オンライン診療料と指針の関係について、「公的医療保険下と自由診療下で、オンライン診療に違いはあるのか。自由診療だから何をやってもいいわけではない」と質問。

 武井課長は、「オンライン診療全体についての基本的な考え方を整理したものが指針であり、有効性、安全性、必要性の観点からまとめている。オンライン診療料の算定に当たっては、指針を踏まえることが当然であり、エビデンスがある一部について報酬が付いたという整理になる。保険診療上の取り扱いと、衛生法規としての指針は、ともに同じ方向性を向き、整合性を取りながらやっていく」と答え、保険診療か自由診療かを問わず、同じ考え方に基づいて進める方針を示した。中川氏は、「今回のオンライン診療料の施設基準は、ストイックですばらしいと思っている。この精神が指針で緩むことがあってはならない。この点についてはぜひ気を付けてもらいたい」と釘を刺した。

 日医常任理事の釜萢敏氏は、オンライン診療は対面診療が基本であるものの、「禁煙外来など、定期的な健康診断等が行われる等により、疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものに限っては、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る」とある点について質問。武井課長は、記載の条件を全て満たすことが大前提であると答えた。

 ACP、課題は普及・啓発

 「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」は3月末に報告書をまとめた(『ACP普及へ、厚労省検討会が報告書で大筋合意』を参照)。3月14日には、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が改訂された。これらを評価する声が相次いだ一方、普及・啓発の難しさのほか、死生観についての教育の必要性なども指摘された。

 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、ガイドラインやACPについての医師や国民の医療者の認知度は低いと指摘、これらが普及すれば、マンパワーや医療費を有効に使うことが可能になるとした。政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、在宅から救急搬送される場合などを念頭に、「救急車を呼べば、延命治療を希望していると受け取られる」などと述べ、地域で患者の意思を共有する仕組みの必要性を指摘。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、延命治療を中止した場合の法的責任ついて質問。厚労省医政局医師確保等地域医療対策室長の松岡輝昌氏は、「指針は、法律ではなく、あくまでも標準的なやり方を示したもの。法的なものが阻却されるような効力はない。しかし、これを指針に則り実施することにより、結果として患者家族とのコミュニケーションがよくなり、法的な争いがなくなるという効能は指摘されている」と答えた。

 猪口氏は、「終末期」と「人生の最終段階」という言葉の使い分けについても質問。松岡氏は、2015年から「人生の最終段階」に名称変更したと説明。「終末期というより、最後まで尊厳を持って生きていただくというイメージを持ってもらうため」であるとし、行政としては「人生の最終段階」を使う方が圧倒的に多いが、「終末期」という言葉の使用を禁じているわけではないとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597508
シリーズ 真価問われる専門医改革
東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%
サブスペシャルティ認定基準決定、「当面は抑制的に」
 
レポート 2018年4月14日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は4月13日の会見で、東京都の基幹施設に登録した専攻医の1年目から3年目の勤務地に関する調査結果を公表、1年目は東京都以外が13.6%、2年目は33.6%、3年目は43。8%に増加する見通しであることが分かった。同機構副理事長の松原謙二氏は、「東京に一極集中したのではないかと言われるが、3年目には半分近くが関東、甲信、静岡に行くことになる。東京に集まっているように見えても、(周辺地域への)循環がうまくいっている」と説明した。同機構副理事長の山下英俊氏も、「東京集中を増長はしていない」とし、東京都への医師の集中は、新専門医制度のみではなく、初期臨床研修の在り方も含め、総合的に検討する必要性を指摘した。

 この4月から新専門医制度に基づき研修を開始するのは、計8378人。日本専門医機構の吉村博邦理事長名で、「新専門医制度の開始に当たって」という声明を近く同機構のホームページに掲載する予定。

 都内の基幹施設に登録した専攻医の勤務地は、以下の通り(各年で総専攻医数が異なるのは、現時点で未定の場合があるため)。

・1年目:東京1317人、神奈川65人、千葉51人、埼玉29人、静岡24人、栃木14人、茨城12人、福島5人、長野3人、群馬2人、北海道1人、山梨1人
・2年目:東京779人、神奈川98人、千葉84人、埼玉76人、茨城30人、静岡29人、栃木28人、福島16人、長野10人、群馬5人、北海道4人、鹿児島4人、沖縄2人、山形2人、宮城1人、富山1人、山梨1人、広島1人、愛媛1人、宮崎1人
・3年目:東京621人、埼玉115人、千葉97人、神奈川85人、静岡56人、茨城40人、福島22人、栃木19人、長野12人、群馬9人、鹿児島6人、山梨5人、山形3人、沖縄3人、北海道2人、新潟2人、青森1人、岩手1人、岐阜1人、兵庫1人、高知1人、大分1人、宮崎1人

 13日の理事会では、日本専門医機構の一組織である「基本問題検討委員会」で、今後の専攻医のシーリング(募集定員の上限)の在り方を検討することも決定した。山下副理事長は、「都道府県協議会で、(専攻医数などについて)審議できる時間を取れるようにする」と述べた。2019年4月開始の専門研修の専攻医登録は、9月1日から始める予定であり、それ以前にシーリング数について情報提供する方針。

 サブスペシャルティの認定基準も承認した。山下副理事長は「サブスペシャルティは、全国の平均的な都市の中核病院に掲げている診療科、診療部門のイメージ」であると説明。内科であれば、循環器や呼吸器など、国民にとって分かりやすいサブスペシャルティを目指す。「しばらくの間、認定する数は抑制的に考えていく」(山下副理事長)。サブスペシャルティ学会から研修内容などの書類提出を求め、審査する。既に認定されている内科13、外科6、放射線科2、計21のサブスペシャルティについても、書類の提出を求めるべきとの意見があったという。(1)単数の基本領域学会と関わるサブスペシャルティ領域学会の場合、当該基本領域学会が認める、(2)複数の基本領域学会と関わるサブスペシャルティ領域学会の場合、基本領域学会と関連する学会が認める――ことが認定基準で、いずれの場合にも、理事会で最終的に認定する。

 19の基本領域のうち、総合診療専門医については、日本専門医機構が運営する。「Adhoc委員会」として、「総合診療専門医に関する委員会」を設置していたが、今後、運営委員会を設置し、総合診療専門医についての議論を月1回程度、議論していくことも決まった。

 「専攻医の移動の把握が可能に」、意義強調
 東京都の基幹施設への調査は、321施設を対象に実施、287施設から得た回答を集計した。詳細に研修先を把握している小児科以外の専攻医の勤務地を聞いた。その結果、東京都以外で研修する専攻医数は、1年目は13.6%(1524人中207人)、2年目は33.6%(1173人中394人)、3年目43.8%(1104人中、483人)。

 松原副理事長は、調査の回答が集まってきた当初は、1年目でも都外が20%を超えていたが、集計が進むにつれ、その割合が下がったことから、「東京都外に専攻医を出す施設が、調査に協力的だったのだろう」と見る。「パーセンテージではなく、(都外で研修する専攻医数の)絶対数に意味がある。絶対数は増えることはあっても、減ることはない」。また反対に、地方の基幹施設から東京都の連携施設で研修する専攻医も存在する。「これまで専攻医の移動を把握する仕組みがなかった。今回初めてデータで把握できるようになったことに意味がある」と強調した。

 なお、日本専門医機構については、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、都道府県への情報公開の在り方が問題視された(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。松原副理事長は、「連携施設になっていない病院について、『入れてもらいたい』という問い合わせが多かった。学会とのやり取りに時間がかかっていたのは事実。3月31日までに全ての問い合わせに対し、返事を出した」と述べ、各学会に職員派遣を依頼するなどして、事務局体制を強化する方針を説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596278
「他ができる仕事をなぜ医師が」、外国で指摘も
日本外科学会定期学術集会、特別企画「働き方改革」
 
2018年4月10日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「外科医の働き方改革:現状と改善方策」が都内で4月5日、開催された。登壇者は異口同音に、医師の中でも労働環境が過酷な外科医の負担を軽減する対策として、「外科医でなくてもできる仕事を移管すること」の重要性を力説。東京慈恵会医科大学外科学講座准教授の川瀬和美氏は、フィンランドの医療機関を視察した際に、「なぜ医師以外の人ができる仕事を、医師が行わなくてはいけないのか。高給を支払って、時間を無駄遣いしている」と指摘されたことなどを紹介した。

 北海道大学循環器・呼吸器外科教授の松居喜郎氏は、「外科医が比率からすると一番減っている。外科専攻医もどんどん減り、特に新専門医制度で外科を専攻する人がかなり減っている のは問題だ。真剣に考えないといけない」と指摘。女性医師の比率が他科より小さいことや、手術以外の仕事が外科医の主なストレスになっていること、当直明け勤務の疲労がインシデントの一因となっていることなどを説明した上で、「外科医の働き方改善方策」として、「外科医の中心的仕事が手術であるようにする」、「教育体制を含む施設集約化により、個々の症例数を増やし外科医の質を担保する」ことなど、6項目を提言した。

「なぜ医師以外ができる仕事を医師が」指摘
 川瀬氏は、日本外科学会男女共同参画委員会が2007年と2014年に行ったアンケートの結果を基に発表。過剰労働を生む要因の一つとして、アルバイトをしなければ生活が成り立たない場合があるという問題を取り上げた。アルバイトをしていないグループ(G1)と「年収の30%以上をアルバイトに頼っている」グループ(G2)に分けたところ、G2は大半が大学病院勤務。週の労働時間が60時間を超えるのは、G1では60%弱なのに対してG2では約80%で、90時間以上も約20%いた。一方で、大学病院の医師がアルバイトをしなくなった場合、地域の病院、診療所、健診センターなどの多くの医療機関が成り立たなくなることや、地域医療に貢献するためにアルバイトをする医師も多いことを指摘した。

 フィンランドのヘルシンキの医療機関を視察した際に、「なぜ医師以外の人ができる仕事を医師が行わなくてはいけないのか。高給を支払って、時間を無駄遣いしている。他の職種に任せて患者を診療した方が割に合う」と指摘されたことも紹介した。

外科医の労働環境改善にはPA
 防衛医科大学校名誉教授の前原正明氏は、米国で1960年代に導入された、フィジシャンアシスタント(PA)やナースプラクティショナー(NP)が効果的に機能していることを説明した。それによると、導入の目的は外科医の労働環境改善と、外科医の専門性を高め、一人の外科医がたくさん手術をして、技術を高めることなどがあった。

 日本での中間職種に関するこれまでの経緯も紹介。厚生労働省の検討会が2010年3月に、国家資格を持つ新たな職種として特定看護師を創設する報告書をまとめたが、2013年3月には「特定行為に係る看護師の研修制度」として、日本医師会や日本看護系大学協議会の反対を受けて「骨抜きになった」と説明した。

 今後については、現行の「特定行為に係る看護師の研修制度」を2年以上のプログラムを組んで発展的にやっていくか、全く新しいPAやNPを職種として導入していく必要があることを提言。「現在の医師の働き方改革も追い風になっている。何とか先に進んでいきたい」と話した。

 東京女子医科大学講師の西田博氏は、タスクシフティングの重要性について講演し、タスクシフティングを「各医療職のコア業務に専念できるようにし、『その医療職にとっての雑用から解放して専門性を高めること』」と説明。今後目指すべき方向性としては、現在の「特定行為に係る看護師の研修制度」の枠組みの中で特定行為を増やすのではなく、「周術期PA確立に向けて新しい枠組みをつくる」ことだと指摘。医学部医学科の修士課程での教育で、(1)「特定行為に係る看護師の研修制度」を行う、(2)看護師をベースにしたPA教育制度を確立する、(3)臨床工学技士など看護師以外の医療職も参加可能なPA教育制度を確立、(4)米国型PA(基礎となる医療職なし)=新しい職種――を提案。これらを実現するためには、日医など関係各方面との利害調整のための恒常的な相談の場をつくる必要も挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594779
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「東京集中」の是正、初期臨床研修から要検討の余地◆Vol.3
「初期研修医⇒専門研修」、移動先を都道府県別に分析
 
医師調査 2018年4月8日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度では、東京都など都市部に専攻医が集中したか否かが議論になっている。初期臨床研修と専門研修の実施場所(都道府県別)について、4月から専門研修を開始すると回答した計276人の医師に聞いたところ、トップは東京都で63人(22.8%)。日本専門医機構が、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で公表したデータでは、専攻医8394人中、東京都での専門研修実施は1811人(21.6%)だった(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。

 専門研修で増えた都道府県も、東京都が19人で最多だった。以下、福岡県(8人)、宮城県(5人)、大阪府(5人)などとなった。回答数が限られた調査であるものの、各地域ブロックの中心地に多い傾向が見て取れた(Q1)。

Q1.初期臨床研修と専門研修の実施場所(n=276、都道府県別、表中の数字は人数)
(表 略)

 今回の調査で初期研修医が多かった上位3都県について、初期研修医がどこで専門研修を行うかという視点から分析したところ、東京都では44人中、37人(84.1%)が東京都と回答。神奈川県では、28人中、16人(57.1%)が残るものの、7人が東京都に移動する(Q2)。愛知県は22人中、17人(77.3%)が愛知県に残るが、次のQ3 の回答結果と併せて見ると、愛知県に移動した研修医はゼロだった。

 東京都は初期研修医が多い上に、専門研修も引き続き東京都に残る割合が今回の調査では高かった。初期臨床研修と専門研修において、医師の地域偏在是正を進めるのであれば、初期臨床研修のマッチングの在り方も含め、検討する必要がありそうだ。

Q2.初期臨床研修医から見た、専門研修の実施場所(東京都:n=44、神奈川県:n=28、愛知県:n=22、表中の数字は人数)
(表 略)

 一方、専門研修医が多い上位3都県について、初期臨床研修をどこで実施したかを分析した結果、63人中、37人(58.7%)が東京都でトップ、以下、神奈川県7人、埼玉県4人、千葉県3人と周辺県からの流入が多かった(Q3)。神奈川県については、22人中、16人が神奈川県。

Q3.専門研修医から見た、初期臨床研修の実施場所(東京都:n=63、神奈川県: n=22、愛知県: n=17、表中の数字は人数)
(表 略)

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性29人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人   (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2923818010042018EE8000/
地域別に医療費下げ 財務省、社会保障費の抑制案
診療報酬の特例活用
 
2018/4/11付日本経済新聞 朝刊

 6月に政府がまとめる新しい財政健全化計画に向け、財務省は計画の柱となる社会保障費の抑制策の議論に入る。病院や薬局などの医療機関が受け取る「診療報酬」を都道府県がそれぞれ設定するよう促したり、訪問介護サービスの過剰な利用を減らしたりする。医療関係者などの反発も予想されるなか、どこまで改革に踏み込めるかが焦点になる。

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 11日に開く財務相の諮問機関、財政制度等審議会に具体的な改革案を示す。まず、厚生労働相や都道府県知事が特例で決められる「地域別診療報酬」の活用を打ち出す。

 診療報酬は公的医療保険で受けられる医療サービスの一つ一つに定められた公定価格。全国一律が原則だが、法律上は都道府県が独自に設定できる。点数制で表示され、1点は10円で換算する。

 例えば1点10円の報酬を9円にすれば、医療費は10%削減できる。奈良県が先行して導入を議論しており、財務省はこうした取り組みを全国に広げることをめざす。

 社会保障費を切り詰めるため、外来患者に受診ごとに一定額を支払ってもらう「定額負担制度」も論点にする。現在は患者が紹介状なしで大病院を受診した場合、5千円以上を医療費に上乗せするが、この仕組みの対象を大幅に広げる。

 財務省は新しい薬や医療技術に自動的に保険を適用する仕組みを見直し、費用対効果から判断する必要性も訴える。市販薬と同じ成分の一部の医薬品を保険適用から外すこともテーマにする。

 訪問介護サービスの適正化も進める。例えば高齢者を訪問して掃除や買い物など身の回りの世話をする生活援助サービス。平均の利用回数は月10回程度だが、100回前後使う人もいる。過剰な利用を抑えるため、要介護度の低い人向けのサービスは保険給付から外すことも想定する。

 一連の見直しには反発も予想される。診療報酬を一部の地域だけ下げれば、その地域の医療関係者から反発を招く可能性が大きい。外来患者の負担増も、患者が必要な受診まで抑制して病状が悪化する事態をどう防ぐかなどが課題となる。

 学者や経済人らでつくる財政制度等審議会は、11日に財務省が提示する改革案をもとに議論に着手。5月をめどにまとめる意見書を麻生太郎財務相に提言する。6月の新しい財政健全化計画に反映させたい考えだが、厚生労働省や内閣府などとの調整も必要になる。

 政府は税収などで政策経費をまかなえているかを示す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2020年度までに黒字化する従来の計画の撤回を余儀なくされた。

 今後、新たな黒字化目標を設定するが、団塊世代が後期高齢者になる25年にかけ社会保障費の膨張は避けられない。予算を効率配分する具体策が欠かせなくなっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597210
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
2022年度以降の医学部定員、「削減」の方向で検討
2020年度と2021年度の定員は「現状を維持」

レポート 2018年4月12日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、4月12日の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、2020年度と2021年度の医学部の入学定員について、「現状の9419人をおおむね維持する」と提案、構成員は提案を支持した。各都道府県、各大学の臨時定員増員等の要望に対しては、全体として現状程度の定員を超えない範囲で慎重に精査する。

 さらに2022年度以降については、医学部定員は減らす方向で議論が進み、ほぼ意見の一致を見た。2008年度以降の医学部定員増は、「地域枠」を中心に増やしてきたが、現行の暫定増員は2019年度に終了する。定員削減に当たっては、「地域枠」を減らさないような仕組みを求める声が相次いだ。同分科会は今後、1、2回の議論を経て、5月末に第3次中間取りまとめを行う予定。

 厚労省提案の根拠になったのが、新たな医師の需給推計(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。医師の労働時間を「週60時間程度(月の時間外労働は80時間相当)に制限」等による推計では、2020年度の医学部入学者が臨床研修を修了する2028年頃に約35万人で需給は均衡。「週55時間程度(年間の時間外労働は720時間相当)に制限」等による推計では、2033年頃に約36万人で需給は均衡する。厚労省は2016年6月の第1次中間取りまとめに先立つ、同年3月にも医師需給推計を公表していた(『医師需給、「2024年に約30万人で均衡」との推計も』を参照)。

 医師の需給推計には、医師の働き方改革が影響するが、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の結論は2019年3月に予定されている。また、医師の需給推計には、「医師・歯科医師・薬剤師調査」のデータも必要だが、2018年調査の結果公表は、2019年12月頃。医学部受験生への配慮もあり、「医師需給について検討が可能なのは、最短で2022年度以降の医師養成数」(検討期限は2020年5月頃)というのが厚労省提案の背景だ。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、厚労省提案について、「方向性については、おおむねいい」と支持。さらにその先の方向性として、将来は医師の需要が減少していくことは間違いない事実であるとし、「医師の養成数は減らしていく方向性を見据えながら、議論していくことを、(第3次中間取りまとめに)ぜひ記載してもらいたい」と求めた。「今、暫定定員増で地域枠を増やしているが、それを減らすと、医師偏在対策の大きな柱がなくなってしまう。恒久定員の中に地域枠を確保できる枠組みにしてもらいたい」(今村氏)。その他の構成員も厚労省提案を支持。

 片峰座長は、今村氏の発言を受け、「今後、働き方改革の帰趨(きすう)がどの程度、医師の需給にインパクトを与えるのか。それで多少変動があっても、(厚労省が示した医師需給推計の)トレンドは変わらないのではないか。将来的には医師養成数を減らすという方向性をどのように第3次中間取りまとめに書き込むかがポイントではないか」とコメントした。

 医師数、医学部定員で調整

 医師需給分科会は2016年5月に第1次取りまとめ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)、2017年12月に第2次取りまとめ(『「第2次中間取りまとめ案』を参照)をそれぞれ行った。

 構成員の多くが、2022年度以降の医学部定員減を求める中、慎重な検討を求めたのが、国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏。医学部定員のみならず、医学部の卒業試験、医師国家試験の段階のほか、専門医定数によっても医師数の調整が可能であると指摘。緊張感ある医学教育を行うためにも医学部定員は一定数確保し、医学部定員数のみではなく、どこで医師数を調整すべきかを一度、議論すべきではないかと提案した。

 これに対し、慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、厚労省の医師需給推計を基に、「将来、医学部定員を減らす方針がここで認められたということでいいのではないか」と述べ、その上で「いかに減らしていくかだが、医学部に入学する学生の偏差値はものすごく高い状況。どんなテストをやれば、(その卒業生を対象とした)医師国試の合格率が8割となるのか。それはロスではないか。その段階の調整は考えなくていいのではないか」と付け加えた。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏も、「その論点は、重要。しかし、ロースクールの多くは、閉鎖に追い込まれている。同じようなことが起こり得る」と述べた。厚労省医政局医事課も、「医師を養成していくためには社会資源が必要であり、その点も踏めて検討しなければいけない」とし、医学部定員の段階での調整が必要との見方を示した。

 医師需給推計、「働き方改革」と密接に関連

 医師需給推計、今後の医学部定員をめぐって、多くの構成員から出たのは、医師の需給に関係する医師の働き方改革と並行して進める必要性と、医師需給推計の精緻化だ。

 医師の働き方改革の関連で、今村氏は、看護師や事務だけでなく、薬剤師も医師のタスクシフティングの対象になり得るとし、薬剤師の需給の検討について質問。厚労省医政局医事課は、薬剤師の需給等も推計することを考えているが、その検討の場は未定とした。

 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、自院の緩和ケア病棟の事例を紹介。夜間は同病棟の主治医ではなく、内科当直医が診る体制に変更したものの、患者家族からのクレームはなかったとし、「日本的な主治医制を変えていくことは、われわれが思っているほどには難しくないのではないか」と述べた。さらに医師需給推計について、医師・歯科医師・薬剤師調査の結果がまとまるたびに検討するなど、検討する機会を設ける必要性を指摘。

 その他、医師需給推計については、患者の受診行動、診療科による男女比率の相違、応招義務の在り方など、さまざまな要素を勘案して精緻化を求める声が相次いだ。しかし、森田氏は、政策決定に必要な推計は、科学的推計とは異なる難しさがあると指摘。「例えばある推計をしても、何らかの政策が出た途端、人々の行動は変容するので、推計はほぼ確実に外れる」とした上で、「社会が上向きの場合はいいが、そうではない場合はかなり固めに推計する。医師については供給が需要を上回ってくることは間違いない。細かい方策として何が必要かという調整をしていくことが必要」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/596674
「国際的に十分な成果出ていない」 研究者の認識増える 
その他 2018年4月14日 (土)配信朝日新聞

 文部科学省の科学技術・学術政策研究所は10日、研究者や有識者らへのアンケートで、「国際的に突出した成果が十分出ていない」とする認識が、前年度より増えたと発表した。大学の研究環境などに対する強い危機感も示されたという。

 アンケートは研究機関のトップや大規模プロジェクトの責任者ら研究者約2100人と、産業界の有識者ら約700人が対象。2016年度から5年間の継続調査で、2年目の今回は17年9~12月に実施し、全体の92%から回答を得た。

 「基礎研究で国際的に突出した成果が十分出ていると思うか」についての回答を10点満点に換算すると、研究者の平均は4•1で、前年度より0•6ポイント低下。有識者は同4•0で、0•5ポイント下がった。

 研究者を対象に、研究費が十分にあるか尋ねると、答えは平均2•4で、前年度より0•2ポイントの低下。研究時間を確保する取り組みについても平均2•2で、0•2ポイント下がったという。

 成果で大学を競わせる文科省の政策が基礎研究の衰退を招くとの指摘もあるが、研究所は「むだを省き、限られた経費でできるだけ多くの研究費を確保」などの事例を挙げ、「(改革は)少し長い目で見る必要がある」としている。(小宮山亮磨)



https://www.m3.com/news/general/596406?id=mrank
増えぬ医学部「地域枠」なぜ 公立大で最少の京都府立医大 
大学 2018年4月9日 (月)配信京都新聞

 地域医療に従事する意向がある地元出身者などを優先的に入学させる大学医学部の「地域枠」で、京都府立医科大(京都市上京区)の枠が自治体設置の公立医大8校の中で最少の7人となっている。全国的には枠を拡大し、医療過疎地へ医師を送る自治体も目立つが、府は「府立医大は全国の医療充実に貢献している実績がある」と増員に慎重な姿勢を崩さない。

 医師偏在が問題になる中で地域枠は、国が2008年度、導入する医大に定員増を特別に認めたことで急速に増え、10年間で約9倍になった。札幌医科大は定員の8割を地域枠に充てるなど、特に地域医療を担う自治体設置の公立大が積極的に活用している。

 府は府内の中高出身者などを対象に、在学6年間で奨学金計1080万円を貸与し、研修後に6年間、南丹市以北の医療機関に勤務すれば返済免除にしている。ただ枠は医学部定員の約6%で、地域枠を導入する国公立・私大の計71大の17年度平均(20%)より低く、国公立45大では東京医科歯科大(4人)、名古屋大(5人)に次いで少ない。

 府立医大によると、17年度入学者のうち府内の高校出身者は43%で、例年も3~4割程度という。府内病院で研修を終えた卒業者が、府内の病院に勤務した割合は68%(16年度までの3年平均)と、全国平均(85%)より低い。地域枠を増やせば京都府北部が悩む医師不足が改善する可能性がある。

 府医療課は「奨学金は府民の税金で予算上の問題がある」とした上で、「地域医療に加え、全国の病院で活躍する医師の養成も重要。定員が増えないまま地域枠を拡大すると、一般受験者の門戸を狭めてしまう」と説明する。定数増が認められた7人分の地域枠を充て、一般枠100人を変えていない。

 京都府内の病院が研修医から人気が高いことも理由という。他府県からの希望者が多く、国から都道府県に割り当てられる研修医定員は毎年、ほぼ満員になる。研修医流出に悩む他県から削減を求める声があるといい、「地域枠を増やしても、府内で研修できない恐れもある。研修医定員の死守が先決」(医療課)という。

 府の10万人当たりの医師数は314•9人(16年12月末現在)と全都道府県で2番目に多いが、京都市周辺の京都・乙訓医療圏に集中し、他の医療圏は全国平均以下。地域間格差が顕著で、市町村からは府に医師派遣を求める声が強い。

 「大学の自治」で医大の医師には知事の人事権が及ばない難しさもあるが、8日の府知事選投開票を控え、府民は府立医大の役割をどう考えるのか。



https://www.m3.com/news/general/595736?id=mrank
【愛媛】医学生奨学金 応募ゼロ 
2018年4月5日 (木) 読売新聞 愛媛

◇新居浜市

 新居浜市が2017年度に新設し、昨年4~10月に定員3人で募集した医学生向け奨学金制度で、一人も応募がなかったことがわかった。「市内の高校卒業」など条件が厳しかったためとみられ、市は応募期間を3月29日まで延長したが、申請はなかったという。18年度も同じ条件で希望者を募るが、今後は条件の緩和も検討する方針だ。

 奨学金制度は市内の医師の減少に歯止めをかけようと市が創設。入学金(上限50万円)と月20万円の奨学金を最大6年間貸与し、奨学金を受けたのと同じ年月だけ、愛媛労災病院など市内の指定病院3施設に勤めれば返還が免除される。

 貸与の条件は<1>市内の高校を卒業<2>国内の大学医学部に通学<3>本人か保護者が市内在住――など。市によると、市内に住む医学生の保護者2人から相談があったものの、学生が松山市にある私立高出身で応募がかなわなかったという。



  1. 2018/04/16(月) 06:25:26|
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