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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月11日 

http://www.sankei.com/column/news/180209/clm1802090001-n1.html
【主張】
診療報酬改定 医師不足と偏在に答えを
 
2018.2.9 05:03 産経新聞

 団塊世代がすべて75歳以上となる「2025年問題」に対応するには、医療費抑制を図っていかざるを得ない。

 診療報酬を定める上でも、医療の在り方の見直しが求められている。

 詳細が固まった今回の改定の最大の特徴は、高コストとなる入院から在宅医療に移行させようとさらに踏み込んだことにある。

 具体的には、かかりつけ医の初診に加算する仕組みを新設した。また、複数の診療所が連携し、24時間対応する体制を整えた場合の報酬を手厚くした。

 高齢化が進む中で慢性疾患の患者数は増える。身近な診療所と先端医療を担う大病院の役割分担を明確化し、両者が連携する体制を推進することが急務である。

 問題は、それらの前提となるかかりつけ医の整備が遅れていることだ。改定を体制づくりを推し進める契機としてもらいたい。

 かかりつけ医に求められる大きな役割は看取(みと)りにある。日本は「多死社会」に突入する。現在は病院で亡くなるケースが多いが、やがて対応しきれなくなる。

 今回、医師とケアマネジャーの連携強化を促した。特別養護老人ホーム(特養)で外部の医師が看取った場合、高い報酬を得られるようにしたのも前進だ。

 とりわけ特養の実態は非常勤医のみのところが多く、夜間に入所者の容体が急変した際に救急搬送することが課題となっていた。

 もっとも、厚生労働省が描く在宅医療へのシフトが、報酬改定で直ちに実現するわけではない。

 医師の不足や偏在は深刻化している。診療所が1カ所しかない地域では、24時間体制の実現は難しい。医療提供体制の立て直しを同時に進めなければならない。

 パソコンなどを通じて診療する遠隔診療の保険対象拡大にしても、医師が個別に対応すべき状況は変わらない。

 医師の過労も問題化している。限られた時間で医師が効率的に診療するには、看護師や介護職員、事務スタッフが行える仕事を移していくべきだろう。

 紹介状なしで大病院を受診する際の患者負担金について、徴収対象の病院を広げた。大病院への集中解消のため、やむを得ない。

 一定の効果を期待しつつも、診療報酬による誘導には限界がある。厚労省にはさらに改革を進めてもらいたい。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59505/Default.aspx
中医協 18年度診療報酬改定を答申 診療実績を報酬体系で評価 地域包括ケアへの布石
公開日時 2018/02/08 03:54 ミクスオンライン

中医協(田辺国昭会長)は2月7日、2018年度診療報酬改定について加藤勝信厚労相に答申した。昨年末の予算編成過程で薬価・材料を1.740引き下げ、診療報酬本体を0.550引き上げる方針を決定した。これを踏まえて年明けの中医協は個別改定項目への財源配分の議論を行った。焦点となった入院医療の報酬体系については、今後の人口減少や高齢化の進展など地域の実情を見据え、診療実績に応じて病院経営者自らが病床機能の転換を判断できるよう見直した。一方、外来医療については、地域包括ケアシステムの中核を担う「かかりつけ医」の機能を診療報酬で評価し、地域の急性期病院や訪問看護ステーション、介護施設と連携できる医療提供体制を構築する。さらに医療ICT関係では、「オンライン診療料」、「オンライン医学管理料」を新設し、情報通信機器を活用した診療を評価する。

2018年度診療報酬改定は、2025年に到来する超高齢社会に向け、今後の方向性を決定づける“分水嶺”に位置づけられる。政府は、2025年の医療需要を策定すべく、47都道府県に「地域医療構想」を策定させた。首都圏を除くほぼすべての道府県が人口減少に直面し、その結果、医療需要そのものに大きな変化をもたらすことが明らかになっている。特に入院医療については、急性期病床の需要が減り、空床に伴う病院経営の悪化が予想される。一方で、救急搬送される脳卒中や心筋梗塞などの患者について、処置後の受入れ先となる回復期リハ病床の絶対数が不足している。さらに、在宅と病院の連携を前提とした病床機能の整備を唱える声も高まっていた。今回の診療報酬改定は、まさに病床機能の再編・統合を病院経営者自らが判断し、地域の実情に応じ、必要な機能転換を促す狙いが込められているのだ。

◎急性期一般入院基本料 重症患者割合300-診療実績評価を導入

こうした背景を踏まえ、入院医療は、基本的な医療の評価部分と診療実績に応じた段階的な評価部分の2つの評価を組み合わせた新たな体系に見直した。具体的には、看護配置7対1と10対1が再編・統合された急性期一般入院基本料は入院料1~7の7段階に区分された。現行の7対1に相当する入院料1については、点数を1591点に据え置いた。ただし、医療看護・必要度を見直し、これに応じた重症患者割合を現行の250以上から300以上(DPCデータベースでは250以上)に基準を引き上げた。平均在院日数は18日以内、在宅復帰・病床機能連携率も8割以上、医師数も入院患者の10/100以上、看護配置も7対1を求めるなど、厳しい要件を定めた。

一方で、新設する入院料2は1561点(重症患者割合:290以上、DPCデータベース:240以上)、入院料3は1497点(同:280以上、230以上)で、平均在院日数は21日以内とした。そのほか、200床未満の医療機関には経過措置を認めるものの、DPCデータの提出を求めることを要件とした。看護配置も10対1が基本となる。一方で、現行の10対1に該当する入院料4~7は点数を据え置いた。

なお、それぞれの病院は診療実績に見合う入院料を選択できる。先述したように、入院料1は急性期病院として高めの要件を設定しており、これを満たさない病院は必然的に入院料2~7を選択する。ただし、現段階で入院料2~3を選択する病院は、入院料1(7対1)の届出実績が必要なため、入院料4~7(10対1)から入院料2~3を直接届け出ることはできない。

◎地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院基本料

一方、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料については、入院料1~4に区分される。看護配置は13対1を基本とする。加えて、実績部分の評価(入院料1、3)として、自宅等からの入棟患者割合(1割以上、10床未満は1人以上)、自宅等からの緊急患者の受入れ(3月で3人以上)、在宅医療の提供、地域医療機関との連携、介護サービスの提供、看取りに対する指針の策定などを求めた。この結果、入院料1は2738点、入院料3は2238点となる。

回復期リハビリテーション病棟入院基本料については、新入院料1~6に区分される。看護配置は15対1を基本に、PT2人、OT1人を配置。実績部分の評価として、リハ病棟のアウトカム評価の実績を入院料1、入院料3、入院料5の点数に上乗せした。このほか、重症者割合は入院料1、2で3割以上、入院料3、4で2割以上。在宅復帰率は入院料1~4で7割以上とする。

◎かかりつけ医 緩やかなゲートキーパー機能を評価

今改定で、病床機能と同レベルで重要視されたのが、「かかりつけ医」の機能評価と言える。主に外来機能を担う、かかりつけ医を軸に、専門医療機関、介護施設、訪問診療、かかりつけ歯科医などとの連携を診療報酬で評価した。いわば、地域における“扇のかなめ”的な役割として、かかりつけ医に緩やかなゲートキーパー機能を持たせることを意味する。

具体的には、かかりつけ医機能をより一層推進する観点から、地域包括診療加算について在宅患者に対する 24 時間対応等に係る施設基準を緩和した。今改定では、従来の地域包括診療料とは別に「地域包括診療料Ⅰ」(1560点)と「認知症地域包括診療料1」(1580点)を設けた。施設要件として、現行の算定要件にある常勤医師2名以上の配置を、常勤換算2名以上と改め、常勤医師は1名以上に緩和した。また、診療料1の算定に際しては、「当該医療機関での外来診療を経て訪問診療に移行した患者数が10人以上」という実績評価を導入した。

このほか地域包括診療料等の要件である患者の受診医療機関や処方薬の把握について看護師等が実施可能であることを明確化した。さらに、かかりつけ医と入院医療機関等が連携して行う医薬品の適正使用に係る取組について、「薬剤適正使用連携加算」(30点)として評価する。そのほか、かかりつけ医が、生活習慣病や認知症などで、専門医療機関への受診の要否の判断を初診時に行えるようにするため、「機能強化加算」(80点)を新設する。このほかにも、かかりつけ医とかかりつけ歯科医の間の情報共有を評価するほか、がん患者に対しての治療と仕事の両立のため産業医と情報共有や連携を評価する。

そのほか病院との連携では、入退院支援を評価する。仮に住民が近隣の病院に入院しても、住み慣れた地域で継続して生活できるよう、入院前から関係者との連携を推進するなど、切れ目ない支援を評価する。医療疎開などを防ぐ狙いもある。これに伴い、現行の退院支援加算を「入退院支援加算」に名称を変更する。さらに地域連携診療計画加算の算定対象を拡大するほか、支援の対象となる患者要件を追加した。
さらに、紹介状なしで大病院を受診した患者については、現行の一般病床500床以上の規定を「許可病床400床以上」の地域医療支援病院に見直す。なお特定機能病院はこれまで通り含まれる。

◎医療ICT オンライン診療料・70点、オンライン医学管理料・100点

医療ICTの関係では、情報通信機器を活用した診療について、対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、診療報酬上の評価を新設する。具体的には、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、オンライン診療料(70点・1月につき)、オンライン医学管理料(100点・1月につき)を新設する。

このほか関係機関間・医療従事者間の効率的な情報共有・連携を促進する観点から、感染防止対策加算や退院時共同指導料等について、連携会議や情報共有等にICTを活用することができるよう、要件を緩和する。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018020702000262.html
【政治】
在宅医療・みとり推進 診療報酬改定 かかりつけ医を強化
 
2018年2月7日 東京新聞

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 厚生労働省は七日、医療機関に支払う診療報酬の四月からの改定内容を決めた。高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせる仕組みづくりを掲げており、介護と連携して在宅医療や施設でのみとりを進める。高齢で慢性疾患を抱える患者の増加を背景に、ニーズに合わせた病床再編を促し、かかりつけ医の役割を強化する。医療費抑制につなげたい考えだ。

 加藤勝信厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が答申した。

 高齢化で死亡者が増えており、自宅や介護施設でのみとりをしやすくする。現在、特別養護老人ホーム(特養)の患者を外部の医師がみとる場合、特養が介護報酬の加算を取ると医師は診療報酬の加算を受けられないが、医師も報酬をもらえるようにして訪問診療の担い手を増やす。

 情報通信技術(ICT)を活用してテレビ電話などで患者を診る「遠隔診療」の報酬を新設。過疎地や離島といった医療機関や医師が不足している地域で在宅でも診療を受けられるようにする。

 身近な診療所にかかりつけ医として日常的な診察を担ってもらい、先端医療を担う大病院との役割分担をさらに進める。今回の改定では、訪問診療や夜間・休日に対応するかかりつけ医を対象に初診時に八百円を上乗せする(自己負担は最大三割)。一方、紹介状なしで大病院を受診した人に五千円以上の追加負担を求める制度は、対象病院を五百床以上から四百床以上に拡大。二百六十二カ所から約四百十カ所に増える。

 重症患者向けの「急性期病床」は現在、看護師の配置人数が多いほど高い報酬を支払っている。重症者の割合や治療内容で段階的に配分する仕組みに改め、ニーズが高い慢性疾患を抱える人向けの病床への転換を促す。病院前で営業する「門前薬局」は、利益が大きい大手薬局グループの報酬を引き下げる。

 診療報酬は原則二年に一回改定され、二〇一八年度は昨年末に全体で0・9%(薬価制度の改革分を含めると1・19%)のマイナスと決まった。今回は三年に一回の介護報酬との同時改定。

◆医療と介護 連携不可欠
<解説> 厚生労働省が診療報酬改定で、在宅医療や介護施設でのみとりの強化に取り組むのは、団塊の世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年が目前に迫り、変化する医療ニーズへの対策が急務となっているからだ。この課題をクリアするには、医療と介護の連携強化が不可欠だが、目新しい政策が打ち出されたとは言い難い。

 今後、加齢による慢性疾患を抱えて暮らす高齢者が増え、重症患者向けの急性期病床よりもリハビリや在宅医療の体制整備が求められる。既に日本は「多死社会」に突入し、十年も待たずに年間の死者が百五十万人を超える。現在は八割近くが病院で亡くなっているが、病院でのみとりの対応も間もなく限界が来る。

 二五年を前にした診療報酬と介護報酬の同時改定は、実質的に今回が最後となる。中医協では、委員がそれぞれの団体の利益を主張するばかりで、連携強化の議論が深まることはなかった。高齢者が暮らし慣れた地域で住み続けることができる「地域包括ケアシステム」の実現に向け、厚労省を中心に、医療と介護の垣根を低くする努力を続けるべきだ。 (共同・筋野茜)

<診療報酬改定> 公的医療保険を利用して受ける医療サービスの対価として、病院や薬局などに支払われる公定価格「診療報酬」を見直すこと。手術や検査など個別に単価が決まっており、原則2年に1回改定される。医師や薬剤師の技術料や人件費に当たる「本体部分」と、薬や医療材料の価格である「薬価部分」を合わせた全体の改定率は政府の予算編成で決まる。個別の単価は中医協の検討を経て決定する。



http://toyokeizai.net/articles/-/207487
「新専門医制度」は医師にも患者にも"迷惑"だ
地方の医師不足を助長、新制度は問題だらけ

井艸 恵美 : ライター 2018年02月07日 東洋経済オンライン

より腕のいい医師から、よりレベルの高い治療を受けたい――。患者ならば誰もがそう願うはずだ。その判断材料を「専門医」という肩書に求める患者もいるだろう。専門医の取得は義務ではないが、医師の9割が取得を目指すという。

この専門医をめぐって、大きな動きが起こっている。従来の専門医取得のしくみを見直した「新専門医制度」(以下、新制度)が2018年4月から始まるのだ。実はこの制度、開始が1年延期され、やっとスタートにこぎつけた。だが、いまだに批判の声が鳴りやまない。

新制度の内容は後述するとして、今回、現役医師に新制度についてアンケート調査を行うと、740が「反対」だった。「制度自体がわかりにくく見切り発車という感が否めない」「医療のためというより既得権益のためのように感じる」「勤務地や専門の選択の自由が制限される」などの理由があがった。

既得権益の「政治闘争」で混迷する新制度

医学生の間にも不安が広がる。

「専門医にはなんとなくなるものだと思っている人が多い。新制度が始まったから早めに専門を考えないといけないと言われるが、何をしていいかわかりません」(医学部3年生)

なぜ、新制度はここまで混迷しているのか。東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司医師は「専門医の質の担保という目的に地域の医師偏在問題が混ざり合い、結局、既得権益同士の政治闘争のようになってしまいました。一番かわいそうなのは巻き込まれた若手医師です」と言う。

渋谷医師が指摘するように、そもそも新制度の狙いは、専門医の質を向上させることだ。

従来の専門医は各学会がそれぞれの評価基準で認定していたため、その基準は学会によってまちまちだった。そこで「日本専門医機構」(以下、機構)という第三者機関が認定することで、専門医のレベルを標準化するしくみをつくった。

その一つが「研修プログラム」だ。新制度で専門医を目指す医師は初期臨床研修を終えた後、19の基本領域で3年間の研修プログラムを受ける。この基本領域の専門医を取得した後、さらに細分化した領域(サブスペシャルティ)の専門医を目指す。

ところが、この研修プログラムを実施できる施設が大学病院や都市部の大きな病院に限定されていたことに批判が集中した。

一つは大学医局の復権が起こるというもの。かつて大学卒業後は医局に入るのが王道だったが、2004年から導入された「臨床研修マッチング」によって、初期研修医は全国の病院から研修施設を選べるようになった。

その結果、大学よりも一般病院で研修を受ける医師が増加している。しかし専門医を取得できるのが大学中心となれば、現場で鍛えられてきた若手医師は、大学に戻らざるを得なくなる。ゆえに大学病院が「強さ」を増してしまうのでは、という懸念だ。

大学病院に若手が集中、地方の医師不足を助長

同時に、都市部に医師が集中することで、地方の医師不足が助長されるのではないかという不安の声が、地域の医療機関からあがり始めた。地域による医師数の偏在は今に始まった問題ではないが、新制度が若手医師の所属病院を左右するとなれば、医師不足にあえぐ地域の中小病院は黙っていられない。

こうした批判が相次ぐなか、延期の決定打となったのは、2016年6月に発表された厚生労働大臣談話だ。当時の塩崎恭久大臣は、地域医療への影響を踏まえた新制度への懸念を示した。

厚労省医政局医事課の堀岡伸彦さんは「この談話は大きかった」と話す。

「本来、専門医は国の制度ではないので厚生労働省が関わる法的根拠は薄いですが、医療法という枠組みの中で国は地域医療に責任を持っています。医師の偏在を加速させないために調整を図るのは厚労省の役割です」

機構は制度の開始を2018年に延期することを決め、地域医療に配慮をした制度の見直しを図った。結果、専門医資格を目指す専攻医の都市部への集中を防ぐため、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の専攻医の採用を調整し、過去5年間の採用実績の平均を超えないようにする方針が決まったのだ。

2017年12月、新制度による初の専攻医の採用結果が出た。機構は「眼科などの一部の診療科を除き、都市部への専攻医の集中は起こらなかった。過去5年の採用実績を超えた診療科は調整する」と発表。特に東京都では眼科の応募者が集中したという。

定員調整で採用にあふれた医師は、別の地域の病院に移る、研修を1年後に延期するなどの対応に迫られることになる。

こうした専攻医数の調整だけでなく、内科や小児科などの専攻医数が多い診療科は大学病院以外の研修施設を設置する、地域の関連病院への一定期間の勤務を義務化するなど、地域医療に配慮した基準の見直しが行われた。

いい意味で「地域医療への歩み寄り」。だが、本来の目的である「専門医の質の向上」という点では反対意見もある。
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医師会の反対強く、新制度で本質的な議論進まず

「医師の地域偏在という社会問題と、質の高い専門医の育成を結びつけるべきではありません」

こう話すのは、筑波大学医学医療系地域医療教育学教授の前野哲博医師だ。前野医師は新制度で新たに誕生する「総合診療専門医」の育成に携わる。総合診療専門医とは、子どもから高齢者まで地域の医療をまるごとみるジェネラリストだ。高齢化で慢性的な病気を抱える人が増加するなか、医療だけでなく介護も含めた地域包括ケアが推進されている。その要となるのが、総合診療専門医だ。

だが、その育成には時間がかかりそうだ。理由は、こうだ。「総合診療医の本質的な議論はあまり進みませんでした。というのも、開業医の入会率が高い日本医師会の反対が強かったのです。トレーニングを受けた総合診療医が町に増えれば、今いる開業医は自分たちのパイがなくなるのではないかという不安があるからです」(渋谷医師)

新制度下の一次募集で集まった総合診療の専攻医は全国で158人。総合診療医への注目が高まっているにもかかわらず、その数は伸び悩んだ。前野医師は「一番の障壁は、へき地勤務」と言い切る。

新制度で総合診療専門医は、東京都や神奈川などの都市部では離島などのへき地へ1年間勤務することが義務づけられた。

「若手医師を強制的に地域に行かせるのではなく、医療資源の乏しい地域でもやっていける実力をつけてから地域で活躍してもらうべきです。もちろん指導態勢が整っていればへき地でもかまいませんが、今回はそのことよりも『へき地かどうか』という条件のほうが優先された。良医を育てる環境を壊してまで地域に医師を配置するのは本末転倒です」(前野医師) 

専門医の研修期間は3年とはいえ、20代後半の修業の場をどこでいかに過ごすかはその後のキャリアを左右する。都内の大手民間病院で外科専門医を目指す26歳の男性はこう話す。

「外科はどれだけ自分で執刀できるかが勝負です。大学病院よりも民間病院のほうが症例を積めるので、この病院を選びました」

制度に巻き込まれアホらしい

4月から大学付属の医療センターで内科専門医の研修を受ける27歳の女性は言う。

「新制度で内科のハードルが上がり、別の科に希望を変えた人もいます。内科は症例提出の件数が増えたので、一つの病院でいろんな症例を見られる大きな病院のほうが有利だと思います」

一方で専門医取得にこだわらず、独自のキャリアを歩む若手医師もいる。
「制度に変に巻き込まれ、アホらしいなと思ってしまって」

こう話すのは、福島県南相馬市の民間病院で働く山本佳奈医師(28歳)だ。

山本医師は1年前まで初期研修医として南相馬市立総合病院で働いていた。研修修了後も南相馬市で働きながら産婦人科の専門医を目指したいと思っていたが、そこには専門医研修を受けられる病院がなかった。専門医を取得するには大学病院に行くしかなかったが、地域に残ることを選んだ。

「実際に医療過疎地で働かないと、その地域の実情や患者さん、家族の声はわかりません。一人前になるには主治医としてひとりでも多くの患者さんをみるしかないと思っています」

山本医師は現在、南相馬市の大町病院で唯一の内科常勤医として働いている。ときに周辺病院の先輩医師に協力を仰ぎながら、外来と入院病棟の両方をこなす。若手の医師としては重責に思われるが、徐々に病院スタッフや患者の信頼を得つつある。

「地域で働くことを強制されたらやる気を失いますが、魅力ある地域には若い人が集まるし、多くの症例も積めます。やりたいという人は私以外にもいると思うんです」

山本医師が師事する医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、今後の医師のキャリアについてこう話す。

「今は自分でキャリアを考えないといけない時代です。誰もが専門医を取るならば、それは単なるワン・オブ・ゼムです。自分だけの付加価値を見つけていけなければ国際競争の中では生き残れません」

強制的に行かせても長期的には定着しない

上医師は若手医師のへき地への強制配置にも反対する。

「強制的に行かせても長期的には定着しません。特に医師の偏在の原動力は女性医師です。女性医師は将来子どもの教育を優先し、都市部に戻ってくる傾向が強いからです」

専門医資格を取るまでの期間は、妊娠や出産など女性のライフイベントと重なることも多い。地域の関連病院への派遣やへき地勤務は、専門医取得の障壁になりかねない。必要なのは、地域で長く働き続けられるような労働環境と柔軟な選択肢だ。

前出の渋谷医師は「制度に巻き込まれるより、うまく活用してほしい」と話す。

「プロとしていかに自分が自立して生きるか、どういうキャリアを積みたいのかを自分の頭で考えることです。大学病院にいたら安泰という時代はもう終わりました」

新制度は始まったばかりだ。これから医学部に入る学生が専門医研修を受けるころには、制度に変更があるかもしれない。ただ、旧来の慣習と利権を捨て去って前に進まなければ、若手医師の未来と医療を受ける患者の利益にはつながらないだろう。

本記事は朝日新聞出版 『AERA Premium 医者・医学部がわかる 2018 』(AERAムック)からの転載です



https://www.m3.com/news/iryoishin/580712
未来の医師たちへ―医師のリアルと2035年の医療
2035年、医師は「都会で過剰、地方で不足」◆Vol.2
強制力を持った医師配置、6割が「導入されず」

スペシャル企画 2018年2月4日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 2035年の医師の需給バランスはどのようになるとお考えですか。
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 医師の需給バランスは現在も最もホットなトピックスの一つで、全国的に医師不足が指摘されているが、2035年では「都市部では過剰で、地方では不足している」と予想する医師が全体の70.5%で最も多かった。次いで「全国的に医師が過剰になっている」が16.4%で、「全国的に医師が不足している」の10.9%より多かった。

 その他では以下のような意見が寄せられた。

・専門医は過剰になるが、かかりつけ医として総合診療が出来る医師が不足する。
・専門医は余る。
・都市部ではバランスが取れるが、地方ではますます不足する。
・都市部の高齢化により都市部で不足、地方は人口減のため過剰になる。
・奴隷のように働く医者は不足、サボる医者は過剰。
・必要とされる科は不足し、それ以外は過当競争になる。

Q 地域や診療科の医師偏在を解消するための強制力を持った医師配置の制度が導入されているとお考えでしょうか。
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 医師の配置を巡っては、厚生労働省は現在、「医師少数区域」での勤務経験を有する医師を認定し、地域医療支援病院などの管理者(院長)の要件とすることなどを議論している。
 2035年に強制力を持った医師配置の制度が導入されているかについては、59.70が「導入されていない」と予想。「導入されている」は17.10にとどまった。

◆回答者の属性
診療科
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http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180209000015
医師、月150時間残業容認も 過労死ライン超す協定
【 2018年02月09日 08時40分 】京都新聞

京都滋賀の主な自治体、大学病院の三六協定
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 京都府南丹市の京都中部総合医療センターと同府綾部市立病院が過労死ライン(月100時間、複数月平均80時間超)の残業を認める労使協定(三六協定)を結んでいたことが分かった。両病院とも「医師不足の中、救急態勢を維持する」ことを理由に挙げ、センターは産婦人科医に月150時間、綾部は全医師に月90時間以内に残業時間の上限を設定していた。医師の働き方改革と地域医療確保の両立の難しさが浮き彫りとなった。

 京都新聞社が京都府、滋賀県内の自治体病院、大学病院で救急患者を受け入れる25病院に協定の有無や上限時間を調査した。京都府京丹後市立の弥栄病院、久美浜病院、滋賀県長浜市立湖北病院は協定を締結せずに残業をさせていたことも分かり、両市とも労働基準法に違反していることを認めた。

 京都中部総合医療センターの産婦人科は24時間態勢で患者を受け入れるが、常勤医は3人しかいない。「現在70時間超の残業はないが、医師が減った時に備えている。住民ニーズに応えるには仕方がない」という。綾部市立病院も「残業超過を理由に急患を断るわけにはいかない」と回答した。

 滋賀医科大付属病院は昨年1月、協定の上限を超えて残業させたとして、大津労働基準監督署から是正勧告を受けた。このため、月60時間以内だった協定を4月から過労死ラインギリギリの月100時間未満、複数月平均80時間未満に引き上げた。働き方改革に逆行する改定だが、病院は「実態に合わせないと協定が絵に描いた餅になる」。また9病院で月80時間以内に設定され、勤務医の厳しい労働実態が明らかになった。

 政府は過労死ラインや年間720時間を超える残業をさせた事業所に罰則を適用する労働基準法改正案を通常国会に提案する。この基準に当てはめると、京都市立病院など7病院の協定が超過する。日本医師会などが「地域医療が崩壊する」と慎重意見を出し、医師は5年間、適用が除外されることになった。全国自治体病院協議会は「医師不足地域で自治体病院は急患を一手に引き受けている。規制を強行すれば、診療科縮小や救急を休止する病院が続出する」と危ぶむ。

 信楽中央病院を運営する滋賀県甲賀市は「調査したが、協定があるのか、ないのか分からなかった」とした上で、「常勤医は全員管理職で、非常勤の医師も残業はなく、協定は必要ない」とした。



http://www.sankei.com/west/news/180209/wst1802090036-n1.html
医師らに上限超える残業させた岐阜大病院、是正勧告後も34人が残業
2018.2.9 11:29 岐阜新聞

 岐阜大学が労使協定(三六協定)の上限を超える時間外労働を医学部付属病院の医師を含む職員らにさせたとして、岐阜労働基準監督署から昨年に是正勧告を受け、その後も医師ら34人を協定の時間を超えて時間外労働させていたことが9日、病院への取材で分かった。

 病院によると、昨年1月の労基署の立ち入り検査で、職員が上限の月45時間を超えて時間外労働していることが判明し、岐阜大学が同月18日付で是正勧告を受けた。

 病院は各部署に注意喚起して改善するよう促したが、院内調査の結果、昨年4~11月に医師や薬剤師、技師ら34人が上限を超えていた。うち医師数人は月100時間を超えて勤務していることもあった。

 病院は「勤務時間を確認し早めの退勤を促すなどしているが、医師不足のため早急に効果が出ない」としている。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-648807/
人不足と高齢化で患者激増 医師の労働環境は世界最低レベル
2018年02月04日 16時00分 NEWSポストセブン

 厚生労働省は「過労死ライン」を残業月80時間と定めているが、昨今それをはるかに上回る医師の過酷な勤務実態が次々と明らかになっている。1月13日、東京・渋谷の日赤医療センターで医師の残業時間を「過労死ライン」の2倍にあたる月200時間まで容認する労使協定を結んでいたことが発覚した。

 1週間後の1月20日、東京・三鷹の杏林大学医学部付属病院でも複数の医師が労使協定を超える残業をさせられていたとして、昨年10月に三鷹労働基準監督署から是正勧告と改善指導を受けていたことが明らかになった。約700人の医師のうち約20が「過労死ライン超」の残業をしていたという。

 ほかにも北里大学病院、藤田保健衛生大学病院、国立循環器病研究センター、札幌医科大学病院など全国の病院で医師の長時間労働やずさんな労務管理が指摘されている。

◆30時間連続勤務も珍しくない

 NPO医療制度研究会副理事長の本田宏医師は、「これは氷山の一角」と指摘する。

「慢性的な医師不足と高齢化による患者激増により、医師は重労働になる一方。世界のなかでも日本の医師の労働環境は最低レベルです」

 これまで人命を守る医師は聖職者とみなされ、その使命感から労働条件は度外視されてきた。だが大手広告代理店・電通の新入社員高橋まつりさんが2015年に過労自殺した件で社会の意識は変わりつつある。安倍政権が「働き方改革」を掲げたこともあり、医師の働き方にもスポットが当たり始めた。

 医師でジャーナリストの森田豊さんは、「多くの医師は過労死ラインを超えて働いている」と話す。

「日本の病院では長時間労働が常態化していて、朝8時に出勤後、外来診察、当直をこなした後、そのまま再び日勤に突入して、30時間を超える連続勤務となることも珍しくありません」

 人間は24時間睡眠しないと飲酒でほろ酔いになったのと同じ程度に判断力が低下するといわれている。医師の激務で最も危惧されるのは「医療ミス」の発生だ。病院経営に詳しい医療サービスアドバイザーの武田哲男さんが指摘する。

「医療ミスの多くは、医療従事者の疲労による注意力や判断力の低下から生じる『ヒューマンエラー』です。頭がボーッとした状態で医療行為を行うと、誤診したりカルテを間違えたりする。実際に激務で疲弊した医師が乳がんの手術で右と左の胸を間違えたなどの実例がある。医師の労働環境はわれわれの命に直結する重大な問題です」

 勤務医の労働組合である全国医師ユニオンが勤務医1800人に行った「勤務医労働実態調査2017」によると、医療過誤の原因のトップは「医療スタッフ同士のコミュニケーション不足」で以下、「慢性疲労による注意力不足」「医療スタッフの人員不足」と疲労や人手不足をあげる回答が続く。当直明けの翌日勤務については、約8割が「集中力や判断力の低下」を認め、その際実際にミスが増えたと答えた医師は約3割に達した。

 欧米では過重労働と医療ミスの関係性が認められており、医師の長時間勤務は規制されているが、日本は前述の通り、医師の過重労働がまかり通っている。

※女性セブン2018年2月15日号



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-648792/
人口あたりの医師数トップの京都はがんの早期治療環境整う
2018年02月04日 07時00分 NEWSポストセブン

 男女において罹患数が最も多いのが胃がんだが、女性の胃がんにおける「IM比」(がんの生存率を示す数値。『がんに罹った患者数』÷『死亡者数』で算出。値が大きいほど、がんになっても亡くなりにくい)の都道府県別トップは3.02の京都府だ。しかし、京都府は、医師の数が多いという特徴がある。

 深刻な医師不足で地域間の医療格差が指摘されるなか、京都府は人口10万人当たりの医師数が308人で日本一。最も少ない埼玉県と比べると、その差は2倍。

「歴史的な経緯として、京都市内の2つの大学附属病院が、消化器内科の臨床に力を入れてきました。加えて、京都には国が指定するがん診療連携拠点病院と、府が指定したがん診療連携病院などの医療施設が充実しています。身近な病院や診療所で医療を受けることができる機会が多いことが影響しているのではないでしょうか」(京都府健康対策課、以下「」内同)

 がんになったら早期に適切な治療を受けることが求められるが、京都にはその環境が整っているということ。

 だし文化が根づいている京都では、胃がんのリスクを高めるといわれる塩分の摂取量も高くない。

「京都では薄味の料理が好まれるため、塩分摂取量はあまり多くありません。ただ、野菜の摂取量が少ないので、増やしていきたいと考えています。京の家庭の味として受け継がれてきた“おばんざい”は野菜が多く使われているので、おいしさと健康の両立を目指した“おばんざい弁当”の普及を図っているところです。

 また、胃がんの原因の1つといわれるピロリ菌の感染に関しても、全国的に珍しい除菌治療費の助成事業や高校生へのピロリ菌検査事業を行っています」

 さらに、がんに関する教育にも力を入れている。

「子供の時からがんの知識や正しい生活習慣の理解を深めることががんの予防・早期発見に有効です。京都では行政と学校が協力し、中学校や高等学校での禁煙教育に力を入れてきました。府の喫煙率は低く、2016年の国民生活基礎調査によると、男性の喫煙率は全国で最下位。医師とがん経験者が学校で授業を行う“生命のがん教育推進プロジェクト”にも取り組んでいます」

※女性セブン2018年2月15日号



http://www.yomiuri.co.jp/national/20180209-OYT1T50006.html?from=ycont_top_txt
中核99病院、医師の違法残業などで是正勧告 
2018年02月09日 09時18分 読売新聞

 地域医療の中心となる全国約350の病院のうち、少なくとも99病院が2016年1月以降、医師の違法残業などで労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、読売新聞の調査でわかった。

 病院側は長時間労働の理由を、医師不足や正当な理由なく診療を拒めない「応召おうしょう義務」があるためなどと説明。医師の厳しい労働実態と労務管理の難しさが浮き彫りになった。

 読売新聞は今年1月、大学病院など全国85の特定機能病院をはじめ、救命救急センターや総合周産期母子医療センター、基幹災害拠点病院(救急センターは昨年8月、その他は昨年4月現在)として認定されている計349病院にアンケート調査を実施。8日までに約8割の288病院から回答を得た。

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http://www.medwatch.jp/?p=18822
2018年度診療報酬改定、「病院に厳しい」―全自病 
2018年2月9日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度診療報酬改定で創設される7つの【急性期一般入院料】では、7対1と10対1の中間的評価に当たる入院料などの施設基準や点数設定が厳し過ぎる。本体改定率はプラスでも、病院の経営環境はいっそう厳しくなる―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、2月8日の定例記者会見でこのように述べました。

ここがポイント!
1 「病院に厳しく、診療所に手厚い」と指摘
2 対策なしに医師の働き方を変えれば、偏在が強まる
3 脳外領域などで専攻医ゼロの自治体が現れる
4 公精協、全自病・中島副会長が会長に

「病院に厳しく、診療所に手厚い」と指摘

 メディ・ウォッチでお伝えしているとおり、2018年度診療報酬改定では急性期から慢性期までの多くの入院料が再編・統合され、7対1・10対1入院基本料を再編・統合した7つの【急性期一般入院料】などが創設されます。

 このうち、現在の7対1入院基本料に相当する【急性期一般入院料1】(現行7対1と点数が同じ)では、重症患者割合の基準が250から300(重症患者の定義などが見直されることから、現行の重症患者割合で26.60に相当)へと引き上げられます。基準に満たない病棟では、7対1と10対1との中間評価に当たる【急性期一般入院料2】(現行7対1より1日30点低い)や【急性期一般入院料3】(同100点低い)などへの移行を迫られます(関連記事はこちら)。

 邉見会長は、これら急性期一般入院料の点数や施設基準が「厳し過ぎる」と指摘。その一方で、「かかりつけ医機能」を担う診療所などで初診時に算定できる加算【機能強化加算】(80点)が創設される(関連記事はこちら)ことなどから、「病院に厳しく、診療所に手厚い感が否めない」との見解を示しました。

 その一方で、テレビ電話会議システムなどのICT技術を活用した診療を評価する【オンライン診療料】や【オンライン医学管理料】が創設される点について、「患者が無理をして通院する回数を減らすことができ、良かった」と述べています(関連記事はこちら)。

対策なしに医師の働き方を変えれば、偏在が強まる

 ところで邉見会長は、勤務医の長時間労働是正に向けた「緊急対策」が求められていることについて「医師の偏在解消が先だ」と改めて強調しました。

 医師の長時間労働の是正(働き方改革)に向けて現在、「時間外労働の罰則付き規制」の在り方や、労働時間短縮策が、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で議論されています。この検討会では月内(2018年2月中)に、勤務医の労働時間を短縮するために「医療機関がすぐ実施すべき対策」(緊急対策)を取りまとめる予定ですが、厚労省は、対策の実施に向けた検討を今から進めておくよう、全自病などに宛てて事務連絡を発出しています(関連記事はこちら)。

 「緊急対策」としては例えば、【a】法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて時間外労働させる労働者(勤務医ら)との間で、雇用主(病院管理者ら)が結んでおかなければならない協定(労働基準法36条に基づくため36協定と呼称される)の締結状況を確認する【b】1人の患者の主治医を医師複数名が担当する「複数主治医制」を導入できるか検討する―ことなどが求められます。

 邉見会長は、【a】の36協定の確認などに取り組む必要性を認めた一方で、【b】の複数主治医制などは、雇用する医師数が多い病院でなければ実施できないことから、「このままでは、医師の多い病院に、さらに医師が集中する。医師不足に苦しむ病院の傷口に、塩を塗り込むようなものだ。まず偏在対策が必要だ」と訴えました。

脳外領域などで専攻医ゼロの自治体が現れる

 会見では末永裕之参与(小牧市病院事業管理者)から、2018年度に全面スタートする新専門医制度が、医師の地域偏在を悪化させる懸念が改めて表明されました。

 2018年度から全面スタートする新専門医制度では、医師の地域偏在の悪化を引き起こさないための対策の一つとして、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県で、研修を受ける「専攻医」の採用数に基本領域ごとの上限(過去5年間の後期研修医採用実績などの平均値以下)が設定されています(大都市での不足も懸念される外科・産婦人科・病理・臨床検査の4領域を除く)。

 4月から研修を受ける専攻医の採用は、▼昨年(2017年)11月15日までの「1次登録」▼1月15日までの「2次登録」▼2月15日からの「3次登録」(「2次登録」までに研修先が決まらなかった医師のみが対象)―を経て決まります。これまでに、「1次登録」で7791名の採用が決まり(うち18名が辞退)、現在は、「2次登録」に応募した569名の中から採用者の選考が進められています。

 全自病では、「1次登録」で7791名が採用された段階で、外科領域の専攻医が1名しかいない都道府県がある(群馬・山梨・高知の3県)ことなどから「今後、大学病院でも外科手術ができない都道府県が現れるかもしれない」との懸念を示していました(関連記事はこちら)。

 末永参与は、最新のデータ(「1次登録」の採用者数+「2次登録」の応募者数)でも、▼脳神経外科領域:10自治体▼皮膚科領域:8自治体▼小児科領域:2自治体―などで1名もいないことなどを問題視。「どうしても専攻医が大都市に集中してしまうのであれば、専門研修が終わった後に、適切に配置する仕組みも考えなければいけない」と危機感を示しています。

公精協、全自病・中島副会長が会長に

 また、中島豊爾副会長氏(岡山県精神科医療センター理事長)からは、「日本公的病院精神科協会」(公精協)の会長に、中島副会長が就任する旨が公表されました。

 公精協は、精神科病棟を持つ公立・公的病院で構成する病院団体として先月(2018年1月)設立されました(関連記事はこちら)。中島副会長は、「さまざまなデータを集めて公表し、日本の精神科医療のレベルを上げていきたい」と意気込みを語りました。4月に法人登録を行い、公精協会長に就任します。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180205-OYTET50014/
ニュース・解説
奈良県の2病院に労基署が是正勧告…残業超過や手当未払い

2018年2月5日 読売新聞

 奈良県西和医療センター(奈良県三郷町)が、労使協定(36協定)の上限を超えて医師を働かせ、時間外手当の一部が未払いだったとして、昨年8月に奈良労働基準監督署から是正勧告を受けたことがわかった。

 同センターによると、医師との間に特段の事情がある場合、最長月80時間の残業を可能とする協定を締結していたが、同労基署が医師の労働時間を調査したところ、上限を超えて働いたり、超過時間分の時間外手当の一部が未払いだったりした。同センターは、すでに未払い分として38人に計約3000万円を支払っており、「医師不足で長時間勤務になりがちだが、再発防止に努めたい」としている。

 このほか、奈良県立医科大病院(同県橿原市)が、時間外手当の一部が未払いの医師が複数いるとして、昨年9月に葛城労働基準監督署から是正勧告を受けたことも判明した。未払いの賃金は今後、支払うという。同病院は「勧告を 真摯しんし に受け止め、改善したい」としている。



http://news.nicovideo.jp/watch/nw3272913
神奈川県のがん医療を壊す黒岩知事の暴走
2018/02/06 15:15プレジデントオンライン

神奈川県立がんセンターで、放射線治療医が大量退職し、治療の継続が難しくなっている。原因はセンター内での派閥対立だ。2月5日、黒岩祐治知事は、同センターを運営する県立病院機構の土屋了介理事長を解任した。だが土屋理事長は大量退職の穴埋めに奔走していた功労者で、むしろ混乱を招きかねない。患者不在の派閥対立はいつまで続くのか――。

■本当に「医師間のパワハラ事案」なのか?

神奈川県立がんセンターが危機に陥っている。放射線治療医が大量退職し、治療の継続が難しくなったのだ。

きっかけは、昨年8月、中山優子放射線治療部部長(当時。現国立がん研究センター放射線治療科医長)が退職したことだ。残りの5名のうち、3名が1月末までに退職した。

神奈川県は調査委員会を立ち上げ、1月24日に調査結果を発表した。配布資料の中で中山医師らの主張を引用し、「退職医師らが退職を決意した最も大きな理由は、放射線治療科に長年勤務していた医師が外部機関に研修派遣され、退職に至った」と述べ、この事件を「コミュニケーション上の大きな問題」と認定した。そして「派遣の理由や必要性についてしっかりとした説明責任を果たし、病院現場との意思疎通、コミュニケーションを徹底していれば、今回の事態を防ぐことも可能であった」と結んだ。

さらに、「医師間のパワーハラスメント事案」があることを認め、「病院機構の内部規定に則った対応がされていない」と土屋了介・神奈川県立病院機構理事長の対応を批判した。

この主張だけを聞くと、現場の医師をいじめる土屋理事長を、神奈川県庁が懲らしめたように映る。ところが、実態は正反対だ。

私は、改革派の土屋理事長を引きずり降ろすため、既得権者である中山部長や神奈川県庁幹部が策動したのが真相だと思う。2月5日、神奈川県の黒岩祐治知事は土屋理事長を解任すると発表した。患者不在の迷走はどこまで続くのだろうか。

■土屋理事長にしゃべられると困る人がいる

昨年12月8日の午前、首藤健治・神奈川県副知事から携帯電話に連絡が入り、その夜、彼は私のオフィスに訪ねて来た。そして、「土屋先生は問題がある。このままではもたない。(土屋降ろしに)自らの進退をかける」と言った。

首藤氏は灘中学・高校剣道部の2年先輩で、37年のお付き合いだ。嘘は言わないだろう。私は、この時、土屋理事長と神奈川県庁が抜き差しならない関係に陥っていることがわかった。調査は非公開で、8人のメンバーのうち7人は県の役人だ。県の調査が「土屋理事長追い落としの結論ありき」であることが分かる。もちろん、こんなことは許されない。県民視点に立って、公正に評価されなければならない。

神奈川県は、この点を突かれたくない。1月29日、この問題を県議会で取り上げる予定で、自民党が土屋理事長と大川伸一・神奈川県立がんセンター院長を参考人に招致したが、当日になって招致はキャンセルとなった。土屋理事長にしゃべられると困る人がいたようだ。

当日、質問に立った小川久仁子県議(自民党)は「(退職した中山)医師のわがままではないか。県民視点で指導してくれたのなら、それは正しいことではないか」と批判した。

彼女が中山医師を批判した理由は、中山医師が「経歴詐称」をしていたからだ。


■経歴を詐称する人物は信用できない

神奈川県立がんセンターでは「先進医療」である重粒子線治療に取り組んでいる。この治療について、厚労省は施設基準として、施設責任者には1年間の療養経験が必要としている。だが中山医師は放射線医学総合研究所(放医研、千葉県)に3カ月出張した経験があるだけだった。中山医師は放医研で2年間、客員研究員を務めているが、大部分の期間を県立がんセンターで勤務しており、これでは基準を満たさない。この点を指摘された中山医師は「当該外部機関に確認した上で記載した」と説明したが、「経歴詐称」であることは明らかだ。だが、神奈川県はこの主張を追認し、申請書類を厚労省に提出した。

彼らの理屈が通用しないことは誰でもわかる。療養に従事しない客員研究員の期間を臨床経験に加えていいはずがない。それに、「確認」は、共同申請者である「当該外部機関」ではなく、厚労省に対して行うべきだ。

私は経歴を詐称する人物は信用しない。ほかでも嘘をついている可能性が高いからだ。多くの研究不正事件で、ひとつでも不正が見つかった研究者は、その後、数多くの不正が露見することが多い。

■なぜ医道審議会で処分を検討しないのか

中山医師は、神奈川県立病院機構が開設した重粒子線治療センターの責任者になりたかったのかもしれない。だが、平気で「嘘」をつく無資格者に治療されては、患者はたまらない。厚労省に「嘘」をつくのだから、患者をだましていてもおかしくない。

この件を報告された厚労省は調査を開始した。無資格者の治療なのだから、本来、医道審議会で処分を検討すべきだ。2015年、聖マリアンナ医大の精神保険医の資格不正取得事件では、医道審議会での答申を受けて、3人が医業停止、15人が戒告となっている。

2014年に神奈川県立病院機構の理事長に就任し、中山医師の経歴詐称について知った土屋理事長は、外部から有資格者である野宮琢磨医師を招聘し、重粒子線治療科の部長に任命した。そして、中山医師が資格をとれるように、放医研での研修を命じた。

ところが、中山医師はこれに納得せず、退職。同調した若手医師も集団退職した。退職した若手医師にも、彼らなりの言い分があるだろうが、患者を見捨てたことは事実だ。世間知らずの医師たちの「わがまま」と見なすのが妥当だろう。

■神奈川県庁にパワハラを調査する権限はない

どこも報じないが、招聘された野宮医師は、中山部長から「パワハラ」を受けていたことが明らかになっている。「報復を恐れた本人は届け出ずに我慢していた」(県立がんセンター関係者)が、予想外の方向に事態が進むのをみて、神奈川県の調査委員会に資料ととともに提出した。ところが、神奈川県はこのことを公表しなかった。

2月2日、神奈川県の不誠実な対応に業を煮やした土屋理事長は、県庁記者クラブで記者会見を開いた。そして、過去の経過を説明した。また、2人の副知事から辞職を迫られたことを明かした。

実は、神奈川県の問題はお手盛りの調査委員会だけでない。そもそも県立がんセンターは独立行政法人である神奈川県立病院機構が運営しているもので、神奈川県には一般指揮監督する権限がない。神奈川県庁にはパワハラを調査する権限も、副知事が理事長の辞職を迫る権限もない。その根拠は地方独立行政法人法だ。

同法の17条では、「職務上の義務違反があるとき」には、神奈川県知事が県立病院機構の理事長を「解任することができる」と明記されている。

他に介入できる点については、同法122条に規定されており、その条件は「法令若しくは設立団体の条例若しくは規則に違反し、又は違反するおそれがあると認めるとき」である。

独法に詳しい政府関係者は「パワハラは法令違反ではなく、神奈川県が独法に介入する理由にはならない。まして、副知事が理事長に退任を迫るなど論外」と言う。

■神奈川県が横浜市大の提案を拒絶した理由

神奈川県のパワハラ認定も一方的だった。2月2日に配信されたエムスリーの記事「神奈川県病院機構、県に真っ向から反論、医師退職問題」によると、神奈川県庁の調査報告書では、「病院機構の監査・コンプライアンス室が医師間のパワハラ事案(筆者注放射線科内部のパワハラ)を認定している」が、これは事実とは異なる。

土屋理事長の説明によれば、病院長から報告を受け、監査コンプライアンス室にヒアリングを指示した。この人物は神奈川県警のOBで、この手の問題への対応には慣れている。彼は「ハラスメントに認定しうる」と判断したが、被害医師からパワハラを訴える医師はいないことを確認したため、「ハラスメントの要件は満たさない」と判断し、土屋理事長に報告した。専門家は、パワハラ認定は、あくまで当事者の意向を優先しているようだ。土屋理事長は、加害医師に対して口頭で注意した。適切な対応だと思う。

神奈川県の問題は、これだけではない。放射線科医不足も、もとは神奈川県庁がまいた種だ。重粒子線治療施設の計画が持ち上がり、放射線治療医を確保することが必要となったのは2009年。このとき神奈川県立がんセンター内に横浜市大大学院を設置し、放射線科医を育成する話が提案された。

しかし神奈川県は横浜市大の提案を拒絶した。当時のことを知る県立がんセンター関係者は「中山部長が『横浜市大に頼らなくても、医師は自分たちで確保できる』と言った」という。土屋理事長によれば、「14年に神奈川県立病院機構に赴任したとき、横浜市大幹部から『いろいろと経緯があって、先生には協力できない』と言われた」そうだ。土屋理事長は、「今回、はじめて全貌がわかった」という。

■120億円の施設が止まれば、引責辞任がスジ

神奈川県が立ち上げた医師確保対策委員会(委員長首藤健治副知事、大川病院長と県職員7人で構成)も、奇妙な存在だった。神奈川県は土屋理事長に対して「医師確保はこちらでやるから、そっちは動かないでほしい」と指示した。こんなことは、県と独法の関係を考えればありえない。神奈川県の越権行為だ。

このことを記者会見で追及された黒岩知事は「緊急事態だから」と苦しい説明をしたが、緊急事態だから超法規的に動いていいという道理はない。

神奈川県がやるべきことは、独法への支援だ。一般指示や医師確保ではない。ところが神奈川県はいまだに県直営病院の意識でいる。だからこそ、県庁に「医師確保対策委員会」という組織まで作った。これが、病院機構も神奈川県も責任をとらない「無責任体制」を招いた。

120億円を費やした重粒子線治療施設が止まれば、責任者は引責辞任するのがスジだ。ところが、県立がんセンターの大川院長も、2人の副知事にも、そんな覚悟はないようだ。

■「神奈川の仲間割れに巻き込まないでほしい」

私には、大川院長は「土屋憎し」だけで動いているように見える。大川院長は、院内で「医師派遣を求めた群馬大と東京大学から『土屋理事長が怖いので、辞めないと人は出せない』と言われた」と報告している。

こんな発言を信じる人はいないだろう。飲み屋の愚痴でもあるまいし、大学が「××さんが怖くて」などというはずがない。現に、今回、県立がんセンターに残ったのは東大医局に所属する若手の女性医師だ。

群馬大学のある教授は、土屋理事長に対して、大川院長の発言を明確に否定したという。知人の群馬大学出身者は「腹腔鏡事件で世間から批判されている現在、理事長が嫌いだから医師を出さない、引き上げるなんて言うことはあり得ない。神奈川の仲間割れに巻き込まないでほしい」という。

■放射線治療医の派遣を調整したのは土屋理事長

現場は、こんな体たらくなのに、神奈川県は手柄だけは誇りたいようだ。1月24日の記者会見で、県内外の大学、医療機関に派遣を要請した結果、3月末までは常勤医4人、非常勤医6人の計10人を確保できたと明かした。黒岩知事は自ら病院に足を運び、電話をかけたそうだ。「最終的にトラブル前よりも増えた」といって、派遣元として福島県立医大など4施設の名前を挙げた。

私はあきれはてた。今回、神奈川県立がんセンターの支援に動いているのは3人の専門医を派遣する福島県立医大だが、この派遣を調整した人物こそ土屋理事長だからだ。

医師の派遣は、土屋理事長が福島医大の竹之下誠一理事長に依頼したことで実現した。竹之下理事長と私は、福島での医療支援活動を通じ、知り合った。とても信頼できる人物であり、今回、私が2人をつないだ。竹之下理事長は、放射線科医大量離職の背景をすぐに理解し、「優先すべきは患者さんです。医師同士の仲たがいのどちらかにくみする気は一切ありません」と言って、放射線治療科の鈴木義行教授につないでくれた。昨年12月13日、土屋理事長は福島県立医大を訪問し、鈴木教授に医師派遣を依頼した。鈴木教授は快諾し、今回の運びとなった。私も、土屋理事長に同行し、両者の会談に同席した。

その後、土屋理事長が竹之下理事長に携帯電話でお礼を伝えた。そこで竹之下理事長から「うちは県立医大です。そちらの黒岩知事から、内堀福島県知事に一本電話を入れてもらえませんか」と付け加えた。これが、黒岩知事が記者会見で話した手柄の背景だ。おそらく、黒岩知事は、こうした経緯を副知事から聞いていないのだろう。

■「土屋先生がいなくなったら、辞めた部長が戻ってくる」

神奈川県庁の問題は、これだけではない。首都圏の大学病院の准教授が、空席の部長に応募してきた。私の知る限り、実力・経験ともに申し分ない。少なくとも経歴を詐称するような人物ではない。

ところが、神奈川県の知事室は「この人物は前の職場でパワハラのうわさがある」という理由で、採用しないように指示してきた。これも越権行為だし、パワハラは単なるうわさ話だ。この准教授には処分の前歴はない。

現在、神奈川県立がんセンターが求めるのは、核になりえる管理職だ。この点で、彼は格好の人材だ。うわさ話のレベルでむげに断るなどあり得ない。県立病院機構の職員は「土屋先生がいなくなったら、辞めた部長が戻ってくるんでしょう」という。

神奈川県立病院機構の混乱を調べていると、患者視点の欠落にがくぜんとする。経歴詐称がばれて、徒党を組んで退職した部長に同情の余地はない。厳格に処分すればいい。

■副理事長らが「理事長解任」を求める緊急声明を送付

神奈川県は遵法意識をもつべきだ。2月2日、土屋理事長は県立がんセンターの大川院長を解職し、企画情報部長とする辞令を交付した。これは懲戒処分でなく、人事異動だ。法的な問題はない。ところが、大川院長や県の関係者はこれに抵抗した。県立がんセンター職員によると「大川院長は黒岩知事に人事異動の取り消しを求めて陳情にいき、土屋理事長の指示で院内に掲示された人事異動の張り紙は、事務職員の手ではがされた」という。

そして、2月5日には、神奈川県立病院機構の康井制洋・副理事長以下、6名の幹部が「神奈川県立病院機構土屋了介理事長の解任を求める緊急声明について」という書面を、黒岩知事や県議に送った。このなかに大川氏も名を連ねている。(※編注:記事の末尾で、関係者から入手した「緊急声明」の書面を掲載しています)

同日、黒岩知事は、土屋理事長を呼び出し、大川院長の解任を取り消すように求めたが、土屋理事長が聞き入れなかったので、彼を解任した。黒岩知事は「県知事の指示を聞けないなら、罷免する」と伝えたそうだ。前述したように、知事が独立行政法人の理事長に指示を出すことは法の趣旨に反することだ。知事の権限は任命と罷免で、指示ではない。

独法制度に詳しい前出の政府関係者は「理事長の方針に反対だからといって、知事に理事長解任を申し立てるなど、全くの権限逸脱です。おそらく、県の上層部と機構幹部が通謀してやったのでしょう」という。

■病院機構は法令を無視する「無法地帯」と化した

経歴を詐称する、辞令を拒否する、張り紙を無断ではがす。独法制度のルールを平気で破る。法令を無視し、「無法地帯」と化している。県立がんセンターの職員はみなし公務員なのだから、法令や規則に違反する人物は淡々と処分すればいい。混乱を引き起こした幹部は、しかるべき責任を負うべきだし、副知事は「進退をかける」と言っていたのだから、約束を果たすべきだ。

神奈川県庁と県立がんセンターの暴走は目に余る。暴走を止められるのは県議会だ。県議会では調査委員会の調査結果に対して、公平な立場から質疑が展開されている。しっかり対応すべきだ。

また議会と並んで重要なのがメディアの役割だ。テレビや新聞の県政担当記者には、正確な事実を報じてもらいたい。患者不在の騒動の詳細を、県民に周知してもらう必要がある。

医療は社会的な営みだ。健全な民主主義がなければ、維持できない。神奈川県に必要なのは、県民視点での情報開示、開かれた議論である。

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上 昌広(かみ・まさひろ)
医学博士。1968年兵庫県生まれ。1993年東京大学医学部医学科卒業、1999年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員、東京大学医科学研究所特任教授など歴任。2016年4月より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、理事長に就任。医療関係者など約5万人が講読するメールマガジン「MRIC」編集長。
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http://diamond.jp/articles/-/158392
神奈川がんセンターで重粒子線治療が継続危機、裏に構造的問題
2018.2.6 週刊ダイヤモンド

 神奈川県議会の厚生常任委員会は1月29日、県立がんセンター(横浜市)の放射線治療が非常事態に陥っている問題を終日にわたり議論した。地域がん医療の拠点である同病院で放射線治療医が相次いで退職、がんの放射線治療に支障が生じているのだ。

 医師の不足で新規受け入れを制限するなど、すでに患者に影響が及んでいる。先進医療に指定された重粒子線治療は、人員配置の要件を満たせず継続できなくなる危機に直面。建設に約120億円を投じて2015年に開設された重粒子線施設が、稼働停止でただの箱になりかねない。

 神奈川県は急きょ、県幹部らをメンバーにして、原因究明を目的とした調査委員会を昨年12月に、放射線治療医を確保するための対策委員会を今年1月に、それぞれ立ち上げた。

 対策委員会は1月24日、他の医療機関に派遣の協力を仰ぎ2月と3月は医師を確保できたと報告。同日に調査委員会による調査結果も提出され、パワーハラスメント事案への対応に不満があったことや、コミュニケーション上の問題があったと報告された。

 これに対し、県議たちは29日の議会に所管の県幹部らを招き、原因の調査および報告内容が不足しているなどと追及した。県議たちは調査が核心に触れていないと感じたのか、さらに病院長、病院を運営する県立病院機構の理事長、事態の対応に当たっている副知事を参考人招致する要望を出した。

 これを受けて当日に応じた参考人は副知事だけ。他の人物は姿を現さなかった。

渦中の参考人参加できず

 彼らは逃げたのか──。実はそうではなかった。

 参考人招致を要望された機構の土屋了介理事長は出席の意思があったという。となると、話をされると不都合が生じる者にこの日の参加を阻まれたということになる。

 議会でのやりとりの中で、県は人材の確保や養成のために横浜市立大学など医学部を持つ地元大学との連携を検討する意向を見せた。しかし、人材の安定的な確保は重粒子線施設開設時の重要テーマだったはずだ。

 なぜ開設時に実現し得なかったのか。なぜ危機に陥るまでに連携できなかったのか。そうした深層を捉えて議論ができるだろうメンツが、議会では“不自然”にそろわなかった。

 もっとも、話はこれで終わらない。参考人出席を阻まれた土屋理事長が議会後に口を開き、開設前にあった横浜市大からの連携の申し出に積極的でなかった放射線医の意見が全体の決断に影響を与えたことなどが明らかになってきた。

 4月以降の医師の確保がまだ決まっていない中で目先の対処も重要だが、“病巣”にメスを入れない限り、問題は解決しない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)



http://japan-indepth.jp/?p=38324
「上昌広と福島県浜通り便り」
南相馬の医療崩壊 求められる改革

上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
 投稿日:2018/2/7 Japan In-depth

【まとめ】
・多くの病院の経営が悪化しており、精神科を除く一般病院の利益率はマイナス4.2%だった。
・いわき市内の「ときわ会グループ」、その中核の常磐病院が急成長している。
・南相馬市の医療が崩壊の瀬戸際に。経営状態悪い市立総合病院は「救急医療」に特化すべき。


 五十嵐北斗君という若者が、私が主宰する「医療ガバナンス研究所」でインターンを始めた。笑顔が素敵な好青年だ。五十嵐君は中央大学商学部の4年生。今春、卒業予定だ。実は、彼には大学生とは別の顔がある。「trimy」というベンチャー企業の社長だ。医学生向けの初期臨床研修向けのマッチングサイト「ホクトレジデント」を運営している。ベンチャーキャピタルから資金を調達して立ち上げたらしい。私のところに来たのは、サイトの作り込みについて相談するのが目的だ。

 彼は研修医のマッチングについて随分と調べていた。名門病院はほぼ知っていたし、研修医が抱える問題も熟知していた。商学部の学生のレベルを超えていた。私は彼の経歴を聞いて納得した。世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させた華岡青洲の縁戚だという。1966年に有吉佐和子が発表した『華岡青洲の妻』で描かれた一族だ。親族は北海道で病院を経営している。五十嵐君は医者に囲まれて育ち、病院経営を肌感覚で知っているようだ。

 では、彼にどのようにアドバイスしたのだろうか?私は「君のサイトで病院の経営状態を紹介したらどうだろう」と勧めた。幸い、大学病院をはじめ、多くの大病院が財務諸表を公開している。大学生が就職活動をする際、もっとも注目するのは企業の経営状態だろう。慢性的な赤字で、改善の目途がたたない企業に就職するのは、よほど奇特な学生だけだ。ところが、医学生の間で、このことは議論されない。

 我が国では診療報酬は、厚労省が全国一律に決めている。社会保障費を抑制するため、診療報酬が据え置かれ、多くの病院の経営が悪化している。厚労省が発表した2016年度の「医療経済実態調査」では、精神科を除く一般病院の利益率はマイナス4.2%だった。前年度より0.5ポイント悪化していた。

特に深刻なのは、物価が高い都市の総合病院だ。少子化が進み、不採算となる小児科や産科を抱え、「選択と集中」することが出来ない。日本医大、東京女子医大、聖路加国際病院、亀田総合病院などが赤字経営であることは有名だ(参考:プレジデント、FACTA)

最近、三井記念病院が債務超過に陥っていることも明らかとなった(参考:選択 2018年1月号))。高い医療レベルを維持するには、投資が欠かせない。赤字病院には余裕はない。このような病院は、医学生は避けるべきだ。

 ところが、現実は正反対だ。昨年のマッチングでも聖路加国際病院や亀田総合病院が上位に入った。中間発表では、それぞれ定員24人、28人に対して、59人、48人が応募した。投資余力のない病院に大勢の若手医師が集まっている。一般企業ではあり得ないことだ。

この状況は都心の名門病院に限った話ではない。地方では、別の形で若手医師が不適切な病院に配置されている。東日本大震災以降、私は福島県浜通りの医療支援を続けている。震災からもうすぐ7年となるが、健全な形で病院を維持していくには、つくづく「経営」が重要だと痛感する。

 現在、浜通りの医療機関で急成長しているのは、いわき市内の「ときわ会グループ」だ。その中核が常磐病院(一般床150、療養床90)である。泌尿器科・人工透析を中核としたグループで、1982年に常盤峻士医師がいわき市内に「いわき泌尿器科病院」を開設したのがきっかけだ。その後、成長を続け、2010年4月にはいわき市立常磐病院を譲り受けた。現在、グループ全体で2つの病院、一つの有床診療所、5つのクリニック、さらに介護施設、訪問看護ステーション、幼稚園なども経営している。

 筆者が知り合ったのは、東日本大震災の時の透析患者の搬送をお手伝いしたことがきっかけだ。これ以降の躍進は目覚ましい。震災前8名だった常勤医は、この4月には25名になる。うち内科医は9名だ。このグループの特徴は、経営が安定し、しっかりと投資していることだ。それが、医師集めに貢献している。

震災後、即座に内部被曝検査(ホールボディーカウンター)を導入した。ロボット手術であるダヴィンチシステム、PET-CTがん検診、さらに加藤茂明・元東大分子生物学研究所を雇用し、基礎研究室まで立ち上げた。2017年度は32本の英文論文・レターが英文医学誌に掲載された。これはやる気のある医師や看護師にとって、大きなアピールになる。

昨年は前徳島県立中央病院長の永井雅巳医師が赴任した。この4月には日本の血液界を代表するような教授が、大学を辞してときわ会に移籍する。ほか数名の二十代、三十代の医師がやってくる。彼らは「ときわ会なら、新しいプロジェクトにチャレンジできる」という。

人口34万5209人(2018年1月1日現在)のいわき市で、医師は不足している。人口10万人あたりの医師数は199人で、長崎県の五島列島より少なく、対馬と同レベルだ。世界的にはリビアやメキシコと同水準だ。成長の余地が残されている地域に、優秀な経営陣がいるのだから、全国からやる気のある医師が集まるのもむべなるかなだ。

対照的なのが、南相馬市立総合病院だ。同院が位置する相双地区の人口10万人あたりの医師数は110人。全国平均の半分以下で、世界的にはアルバニアやチリと同レベルだ。この地域の医療が崩壊の瀬戸際にある。問題は内科だ。家庭の都合などで、常勤医師の退職が続いた。今春から常勤の内科医は1名となる。

昨年4月、同院の院長に就任した及川友好医師は医師確保に努めるが、問題は容易に解決しそうにない。その理由は、南相馬市立総合病院の経営状態が悪いからだ。

2016年度の決算では、医業収益は約34億1744万円なのに、医業費用は42億5471万円もかかっている。補助金・交付金収入は4億7454万円だ。

さらに固定比率(固定資産/自己資本)は3510、固定長期適合率(固定資産/自己資本+固定負債)は1340もある。自治体病院の平均は710だ。2017年に完成した脳卒中センターなどの固定投資(総事業費58億円)が大きくのしかかっている。

この状況で、さらに人工透析を始める(8床)。1月21日の市長選挙で敗退した桜井勝延市長の肝煎りの政策という。これは、おそらく病院のためにも、患者のためにもならない。人工透析クリニックの経営者は「この規模で始めても、黒字にはならないし、医師や看護師は確保できない。医療事故のリスクがある」という。

南相馬市立総合病院がやるべきは、病院が持続可能なように、診療科を見直すことだ。その際、地域から何を求められているか、具体的に考えるべきだ。

私は市民病院しかできないことは、「救急医療」だと思う。この中には一般外科、脳外科、整形外科、循環器内科、小児科などが含まれる。幸い、一般外科は3人、脳外科は6人、整形外科は2人、循環器内科は2人、小児科医は1人の常勤医がいる。さらに、この病院は初期臨床研修指定病院で、最大8名の初期研修医がいる。

私は「救急医療」に特化し、その他の診療科を削減するしかないと思う。内科は、初期研修医と彼らの教育に熱心な指導医を中心に体制を整備し、足りなければ、6名もいる脳外科医にサポートして貰えばいいだろう。

周辺の病院と競合する人工透析や、開業医と競合する診療科は撤退すべきだ。さらに、専門技量を身につけたい若手内科医を強制的に配置して、内科医不足の数合わせをすべきではない。彼らの成長を損ね、数年後には我が身に返ってくる。嫌気がさして、他の地域にでていくかもしれない。南相馬市の医療の発展を願うなら、いまこそ彼らに投資して、専門的な技量を身につけて貰うべきだ。この判断ができるか否かは、及川友好院長と門馬和夫・新市長にかかっている。

病院経営者の中には、自らの失敗を棚に上げ、他者に負担を押しつける人が少なくない。厚労省の審議会の委員の中には「若手医師に地方での勤務を義務化すべきだ」と主張する者までいる。犠牲になるのは、いつも若手医師だ。「医師を派遣して欲しい」と言われ、ダメ病院に派遣される。

やるべきは、若手医師の派遣ではなく、駄目なリーダーを退場させることだ。南相馬市は市長が交代した。今こそ、過去の問題を総括すべきだ。

残念ながら、これが難しい。我が国の病院は情報開示に消極的で、現状が市民に伝わらないからだ。市民の支持がなければ、働かない医師や事務員などの「抵抗勢力」の利権に切り込むことは出来ない。この点で、冒頭にご紹介した五十嵐さんの取組に期待したい。初期臨床拠点病院だけでなく。広く一般病院も調査してもらいたい。

相双地区は、今後も人口が減少する。縮小する町で如何に医療提供体制を維持するか、難しい問題だ。今回、ご紹介したのは、私がみた被災地の医療の現状だ。患者と現場の医師以外の様々な思惑が交叉し、患者と現場が犠牲になっていることがお分かりいただけただろう。私は、被災地と付き合い続けたいと思っている。どうすべきか思案している。



https://mainichi.jp/articles/20180210/ddl/k14/010/198000c
黒岩知事
県立病院機構理事長解任へ 「任に適さない」 /神奈川

毎日新聞2018年2月10日 地方版

 県議会の2018年第1回定例会が9日開会し、黒岩祐治知事は本会議の提案説明で、放射線専門医が相次いで退職の意向を示した県立がんセンター(横浜市旭区)を運営する県立病院機構の土屋了介理事長について、解任手続きを進めていることを報告した。黒岩知事は「病院長の更迭や対応を踏まえ、任に適しないと認められ、理事長の解任を決意した」と述べた。

 県は先月から、同センターの大川伸一病院長らと連携し、来年度以降の診療継続のための医師探しを進めてきた。しかし、土屋理事長は今月2日付で大川病院長の降格人事を発令。これを受け、一部の機構幹部や職員が5日、黒岩知事に理事長解任を求める要請文を提出した。黒岩知事は「混乱を収束させ、センターと医師確保に全力で取り組み責任を果たす」と述べた。

 第1回定例会の会期は3月23日まで。総額1兆8328億円の18年度一般会計当初予算案や条例案など計97件を提出した。【堀和彦】



http://www.sankei.com/life/news/180207/lif1802070036-n1.html
神奈川県立がんセンターの医師確保 県が病院機構の理事長解任へ 病院長の降格人事公表で混乱招く? 
2018.2.7 12:08 産経新聞

 神奈川県立がんセンター(横浜市)で医師が相次ぎ退職し、重粒子線治療の継続が危ぶまれている問題で、県は安定的な医師確保に支障があるとして、運営する県立病院機構の土屋了介理事長を解任する方針を明らかにした。

 神奈川県によると、土屋氏は医師確保の責任者であるがんセンターの大川伸一病院長の降格人事を内部手続きなしに公表するなどして病院内の混乱を招いた。黒岩祐治知事は報道陣に対し、「診療継続に深刻な影響を懸念している」と述べた。

 土屋氏は取材に「知事の判断は法律に違反している」と反論した。

 がんセンターでは昨年末までに医師が相次ぎ退職する意向を示し、全国5カ所でしか実施していない重粒子線治療の継続が危ぶまれていた。県は先月24日、3月末までは医師確保ができたと発表。4月以降も継続するため、県とセンターは県内外の医療機関に医師の派遣要請を続けている。



http://www.medwatch.jp/?p=18826
病院の統合・再編へ「地域医療介護総合確保基金」から優先補助―厚労省 
2018年2月9日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、2018年度の地域医療介護総合確保基金を「病院の再編・統合」に優先して配分する―。

 厚生労働省は、2月9日に開催した2017年度の「医療計画策定研修会」で、都道府県の担当者にこのような方針を示しました。

 各地でさまざまな病院の再編・統合が進んでいますが、財政的な補助が行われることになり、さらに再編・統合が加速化する可能性があります。

ここがポイント!
1 地域医療構想を実現するための機能転換など、基金で費用補助
2 病床削減に伴う改修費用や処分費用なども補助の対象

地域医療構想を実現するための機能転換など、基金で費用補助

 2025年には、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと予想され、こうしたニーズに現在の医療提供体制では十分に対応できないと考えられています。そこで、各都道府県において「一般病床・療養病床という大きなくくりだけでなく、高度急性期・急性期・回復期・慢性期といった機能ごとの必要病床数」などを定めた地域医療構想が作成されています(すでに全都道府県で作成済)。

 一方、各病院・有床診療所には「自院の病棟がどの機能を持つと考えているのか、また将来持たせようと考えているのか」を毎年報告する義務が課せられています(病床機能報告)。

 両者(地域医療構想と病床機能報告結果)には、大きな隔たりがあり、これを地域の医療関係者等が集う「地域医療構想調整会議」における議論の中で埋めていくことが、地域医療構想の実現に向けて極めて重要となります。具体的には、調整会議での話し合いを通じて「自院は急性期機能を担っているが、将来、地域の急性期患者は減ってしまう。将来的には回復期や慢性期機能に転換していくべきである」と病院自身が考えることが求められます。

 ところで、機能分化を進める中では、構造設備の見直しなども必要となるため各都道府県に設定されている地域医療介護総合確保基金から補助が行われます。

 2月9日の医療計画策定研修会では、厚労省医政局地域医療計画課の担当者から、地域医療介護総合確保基金について、▼医療機関の機能転換について、地域医療構想調整会議で合意できている場合に、優先して配分する▼医療機関が再編・統合する場合には、「単一の医療機関の機能転換」よりも優先して配分する―考えが示されました。

 例えば、「急性期機能が過剰な地域において、急性期機能を担う300床のA病院と同じく300床のB病院が再編・統合して500床のC病院となる」場合、急性期のベッドを100床削減することが可能となり、地域医療構想の実現に一歩近づくことになります。この場合、新病院(500床のC病院)建設のために大きなコストがかかりますが、▼例えば薬剤を購入する際に、A・Bが個別に購入するよりも、Cとして購入したほうが、バイイングパワーが強くなり、購入費を抑えられると見込める▼1病院当たりの医師数が増え、手術件数増加による治療成績の向上や、「当直明けの勤務を別の医師に任せる」ような負担軽減策などを講じることができる―といった利点があると考えられます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

病床削減に伴う改修費用や処分費用なども補助の対象

 また「単一の医療機関が機能転換する」ケースでも、地域医療介護総合確保基金からの補助が行われます。機能分化を進めることが、地域医療構想の実現に直結するためです。2月9日の医療計画策定研修会では、次のような費用が補助の対象になることが説明されました。

▼病床数を減らす結果、使わなくなる病棟・病室の改修費用
 病床削減について地域医療構想調整会議で合意できていれば、教育研修棟に改修したり、建物のワンフロアを職員の休憩スペースに改修するための費用が対象となる。おおよそ、「鉄筋コンクリート」の場合は単価が20万900円/平米、「ブロック」の場合は17万5100円/平米までであれば補助される。ただし、改修する建物が、地域医療構想策定後に取得したものの場合は対象から外れる

▼病床削減や機能転換の結果、不要になる建物や医療機器の処分費用
 不要となった建物・医療機器の撤去にかかる費用補助や、「帳簿上の固定資産としての価格」と「売却価格」の差額補填などに活用できる。ただし、地域医療構想策定後に取得した建物や医療機器は対象から外れる。また、医療法人の役員に売却する場合などは、▽売却価格が市場価格と大幅にずれていないことが、複数の不動産鑑定士らの鑑定によって確認できる▽購入者が使用する▽売却した後は使わない―をすべて満たすことを条件に、活用を認める
 
【更新履歴】病床削減に伴う改修費用や処分費用について、「地域医療構想策定前に取得した建物」などは地域医療介護総合確保基金の対象外であるとしていましたが、「地域医療構想策定後に取得した建物」の誤りです。お詫びして、訂正させていただきます。記事は訂正済です。
 



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59504/Default.aspx
【解説】2018年度診療報酬改定 地域包括ケアで機能分化・強化に動き出す医療機関
公開日時 2018/02/08 03:53 ミクスオンライン

「高度急性期、急性期、回復期、慢性期という4つのカテゴリーに収斂していく。人口構造が変化し、急性期病床は空床が出てくる。そうした中で、各医療機関が選択することであるべき姿に収斂する。それを後押しするのが今回の診療報酬改定だ」-。日本医師会の横倉義武会長は2月7日、中医協が2018年度診療報酬改定を加藤厚労相に答申したのを受け、日本医師会館で開いた会見でこう話した。18年度改定では、入院基本料を医療資源投入量と診療実績に応じた段階的な評価へと抜本的に見直した。これまで診療行為に応じた報酬体系であったこともあり、急性期病院は様々なメニューを揃えた総合デパート方式とも揶揄されてきた。18年度改定を皮切りに各医療機関が自らの強みを発揮し、それ以外の医療機関と連携する形へと動き出すことになる。地域包括ケアシステム構築へ向けて、入院医療は急性期病院の転換を皮切りに大きく動き出すこととなりそうだ。

◎新たな医療提供体制に歩みだす 「それに寄り添う診療報酬改定だ」横倉日医会長

「18年度は各都道府県で策定される地域医療構想が実行に移され、それに向けて新たな医療提供体制に歩みだす。今改定は、それに寄り添う診療報酬改定だ」-。横倉会長はこう語る。間近に迫った今年4月は、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定にとどまらず、第3次医療費適正化計画、第7次地域医療計画がスタートするタイミングでもある。

これまで政府が最も医療資源、そして医療保険財政を投入してきたのが看護配置7対1に代表される急性期病床だ。7対1入院基本料と10対1入院基本料との間には診療報酬上で300点の格差があった。10対1への転換は、看護師の雇用を含め、病院経営へのダメージも大きかった。一方で、人口構造が変化する中で、急性期病床はすでに稼働率が低下しているとの声も医療現場からはあがっている。今後はさらに高齢化に伴って、脳・心血管疾患の発症やその後のリハビリテーションや肺炎、骨折などの増加も見込まれる。こうした中で、18年度改定では、7対1と10対1の中間的な点数を新設した。点数の格差が縮まることで、医療機関の転換を促す。ここでひとつポイントとなるのが、新たな点数である入院料2、3を算定に際して、重症患者の割合の判定について診療実績データ(DPCデータ)を用いることを要件化したことだ。

地域医療構想の策定も相まって、自身の医療機関の実診療データをベンチマークすることで、医療機関自ら病床機能の転換について判断することを後押しする。この姿は、2025年度の改定に向けて、「過渡期」との見方を全日本病院協会の猪口雄二会長は示す。

厚労省は将来の姿として、すでに看護配置10対1を基準として診療実績を評価する、入院料を5段階とする姿を示した。今後は各医療機関が、自ら医療ニーズに合致した、医師、看護師、薬剤師、OT、PT、STなどの人員配置を選択する姿へと移行することとなる。これにより、医療費も自然と適正な範囲へと抑制される姿を描く。

◎ますます重要性を増すネットワーク型医療

こうした中で、医療機関同士や訪問看護ステーション、保険薬局などとの連携の重要性を増す。18年度改定では、地域包括ケアシステムの要の役割を担う、かかりつけ医に手厚い評価を行ったが、それだけでなく、看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどの多職種連携、医療連携に手厚い配分を行った。

患者の入院前に入院生活におけるオリエンテーションや持参薬の確認、褥瘡・栄養スクリーニングなどを外来で実施し、支援を行った場合の点数として、「入院時支援加算」を新設。あわせて、退院時共同指導料についても医師、看護師に加え、薬剤師やOT・PT、ST、社会福祉士(MSW)が共同指導する場合も評価対象とするよう見直した。入院前から入院、退院までを一貫し、がんや認知症患者であっても住み慣れた地域で継続して生活できるよう促す。

看護配置7対1を確保する医療機関では、看護配置を見直し、訪問看護ステーションを併設するケースの増加も見込まれる。多死時代を迎える中で、在宅での看取り、ターミナルケアの重要性が増す中で、役割を発揮することも期待される。さらには、複数の疾患を合併し、ポリファーマシーに陥る高齢者が増加する中で、医療機関と保険薬局の連携による医薬品の適正使用を促すことも視野に入る。地域の実状に合致した連携体制が構築されることで、これまで以上にネットワーク型の医療が重要性を増すことになる。

2013年度に「税と社会保障一体改革」の方向性を示した安倍政権は、一貫した改革路線を貫いている。高齢化のピークを迎える2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築すべく、様々な施策を繰り出してきた。診療報酬改定も2014年度、16年度、18年度と歩みを進めている。冒頭にも書いたが、この4月はトリプル改定のほかに、地域医療計画もスタートする。都道府県の保健ガバナンスも強化され、いよいよ地域包括ケアシステムの外堀が完成することになる。

18年度改定を取材して、ひとつ見えたことがある。先の薬価制度抜本改革の時も感じたが、薬価にしても診療報酬・調剤報酬にしても、既定路線の延長に我々は存在しないということだ。逆に、この3回の診療報酬改定を取材して、その延長線上にある医療の姿の輪郭が見え始めてきた。すでに2020年度改定にむけた改革議論の火蓋は切られたと見るべきだろう。(望月英梨)



http://biz-journal.jp/2018/02/post_22256.html
連載  上昌広「絶望の医療 希望の医療」
内科・外科志望医が激減、眼科志望医ゼロの県も…新専門医制度失敗で地方の医療崩壊
 
文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
2018.02.08 Business Journal

 日本の地域医療の崩壊が加速する。原因は、今春から始まる新専門医制度だ。従来、専門医の資格は、日本内科学会や日本外科学会、あるいはその下部組織である日本循環器学会や日本心臓血管外科学会などが独自に認定してきた。学会によって質にバラツキがあることが問題視され、中立の第三者機関が認定することが求められた。そのために立ち上がったのが、一般社団法人日本専門医機構(吉村博邦理事長)だ。

 専門医機構は、主要な19領域の診療科を対象に、専門医を認定することとなった。厚生労働省もこの組織を支援してきた。厚労省の目的は専門医のレベル向上に加え、都道府県や病院ごとの専門医育成の枠を制限することで、医師の地域偏在や診療科の偏在を是正することだった。今年の通常国会に提出する医療法改正案では、専門医機構と連携し、都道府県等の調整に関する権限を明確化し、診療領域ごとに地域の人口、症例数に応じた地域ごとの枠を設定する方針だ。

 昨年12月15日、専門医機構は新専門医制度の1次募集の結果を公開した。新制度には7791人の医師が応募した。初期研修を終える医師の約9割となる。基礎研究や厚労省など行政職に進む一部の医師を除き、今春3年目を迎える若手医師のほとんどが、新専門医制度のカリキュラムに応募したことになる。

 この結果を仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が分析した。専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。

 遠藤医師らは、今回の応募者と、厚労省が発表している「平成26年都道府県別医籍登録後3―5年目の医師数」を比較した。この調査では、比較対象を何にするかが難しい。従来の学会は任意参加であり、日本内科学会の会員数が正確な内科医の数を示しているわけではない。私もそうだが、日本内科学会に所属しない内科医が大勢いる。ところが、新専門医制度が始まり、内科医を志す若手医師は、日本内科学会への加入が実質的に強制されることとなった。このため、過去数年間の日本内科学会の新規登録会員数と、今春の応募者を比較することは妥当ではない。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/583347
自見氏、吉田氏、岡本氏の鼎談
医師議員「医療提供体制の見直し、待ったなし」◆Vol.3

スペシャル企画 2018年2月9日 (金)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――2025年にむけて、医療提供体制の在り方について、議論も進んでいます。
吉田統彦氏(眼科)
 ソフト・ハードともに見直すべきです。国立、公立、公的病院の役割についても、これからどういう役割を担っていくべきか。私はそもそも民間でできるものは民間ですべきだと考えております。公的病院は政策医療に特化して、赤字になるのはしょうがない、結核医療がその典型です。そういった部分のハードの見直しも必要だと思います。


岡本充功氏(内科)
 人口が減る中で、どこでどういうサービスを展開できるかを、国民の皆さんと冷静に議論しないといけない。どこでも全てがありますというのは、残念ながらできないということを説明していくのも政治家の仕事だと思います。国民の皆さんにどういうサービスが提供できるか、医療だけでなくインフラ整備も含めて、冷静に我が国の在り方を考えていく必要があると思います。

自見はなこ氏(小児科)
 全く同感です。私たちは医師なので、例えば末期癌の方に「今後10年、20年元気に生きられます」とムンテラをしないのと同じように、この国の形がずいぶん、そして急速に変わっていく中で、本当の話をしなくてはいけない時期に入っています。明らかな人口減少の中で、どういう社会を、特に地方で作るかを公的医療機関の在り方もフラットに俎上に載せて、地域医療構想の中で話していく必要があります。

 ただ、なかなか議論としてかみ合っていないところが現実的にあります。福岡県などは過去に県立病院を民間移譲している一方で、岩手県のように沿岸は今も全て県立病院という地域もあります。地域の実情もあり、全国一律にはできないですが、国の財政状況もあり、待ったなしでもあり、そろそろみんなで素直な話をすべきだと思います。

――地域医療構想の作成に当たっては、調整会議という仕組みもありますが、どういう仕組みがあれば率直な議論ができるのでしょうか。
自見
 私は地方議員の先生と勉強会をすべきだと思います。市立病院、県立病院は市議、県議の先生が非常に強いステークホルダーですので、そういった先生と率直に話し合うべきです。

吉田
 公的病院に過度な負担がかかりすぎているので、もうちょっと上手く機能するための国立、公立、公的で分けた機能分化をしつつ、できるだけ私立病院を生かした方が日本の医療にとっては良いのではないでしょうか。効率的な医療運営と地域の産業、雇用を担うという意味では民間病院が優れているのはどこを見ても明らかです。様々な民間病院が地域の医療を守りながら、雇用、産業となっています。税金も納めています。

 私の選挙区は名古屋ですが、似たような規模の病院が多く、公的病院が3つ並んでしまっているのは変えていかなくてはならないでしょう。市立病院、県立病院は抜本的な話し合いが必要です。公的病院は税金が免除されており、公立病院は、税金が補填という形で入っています。

岡本
 私も「国立病院改革をしてくれ」とずっと言っていて、国立病院の職員の皆さんには大変つらい思いをさせたかもしれないし、裁判にもなり、正直言っていろいろ思うところもありますが、現に今の国立病院の経営実態は大幅に改善しました。

 公立病院もやり方を考えていけば、経営状態はだいぶ変わると思います。もちろん、今更どうにもならない建設費などコストもありますが、調達費用などを工夫をすることで一定程度の財務状況の改善ができるはずです。それをどう広げていくかは、まさに自見先生がおっしゃるように地元議会、病院、役所が話し合う中で、答えを見つけていくしかないでしょう。

――どのような議論が求められるのでしょうか。
岡本
 議論しなくてはいけないポイントとして、看取りを誰がするかという点でしょう。これから先も医師のみなのか、医師以外にも認めていくべきかという議論も必要だと思います。受診間隔を延ばして開業医の先生方に在宅の看取りに関与してもらうという仕組みを作ることもあるでしょう。このままでは、病院以外から医師の数が足りないという声があがるような気がします。

 特定看護師の時にも議論がありましたが、医師でなければならないことは何なのか。いったん決着していますが、もう一度振り返って、特定看護師が在宅、診療所でなにができるかを考えていく必要があります。医師会の立場は違うかもしれませんが。

吉田
 
 AI(人工知能)の話も盛んにされるようになりましたが、カナダは広い国土の割には人口も少なく、医療提供体制もそれほど整っていない国ですが、患者さん自らがCTAS(Canadian Triage and Acuity Scale; 緊急度判定支援システム)に入力していくと緊急度の判定をしてくれます。日本版のJTASができています。そういったものを使いながら、今のような状態から変わっていくのでしょうね。

自見
 人口減少・偏在は切実な問題です。能登半島に行った時に聞いた話ですが、地域枠ができて8年が経ち、3人の医師が来てくれたが、地元の住人が少なくなってしまって3人も医師がいらなくなってしまったと。これが日本の現状だと思います。そういった現実を見据えながら、日本の医療提供体制を守っていく必要があります。また医療資源を効率的に活用していくために医療ICTをこのタイミングで積極的に発展させていく必要があります。

 今日は先生方と率直に意見交換ができてとても良かったです。医師として日本の医療を守り、発展させるため一緒に協力していけたらと思います。ありがとうございました。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201802/CK2018021002000132.html
【千葉】
東千葉MC、全面開業は8年遅れ2025年度 東金市議会中期案可決
 
2018年2月10日 東京新聞

 東金市丘山台の地域中核病院「東千葉メディカルセンター(MC)」の全面開業が、当初計画から八年遅れとなる二〇二五年度にずれ込む見通しとなった。少子化で入院患者数の減少が見込まれ、小児科病棟の開業時期を見直すなどしたため。九日の東金市議会臨時会は、東千葉MCの一八~二一年度の中期計画案を可決した。

 東千葉MCは、東金市と九十九里町が設立した地方独立行政法人「東金九十九里地域医療センター」が運営する。一七年十二月現在で二十診療科、二百四十三床。今月十四日には九十九里町議会臨時会で同案が提案される。

 東千葉MCは一四年四月に一部開業。当初は一七年四月に全面開業する予定だったが、必要な看護師を確保できず、全面開業を二一年度に延期していた。

 東金市によると、今回の計画案では、少子化に伴う入院患者減で、小児科病棟の二一年度中の開棟が困難となったことや、開業できていない泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科の三科について「地域の医療需要や医師確保、収益性などを考慮しながら、慎重に検討する」ことなどを盛り込んだ。

 東千葉MCの一七年度の累積赤字は約五十七億三千四百万円に上る見込み。県は建設費を含めて約八十五億六千万円を財政的支援している。 (黒籔香織)



https://www.m3.com/news/iryoishin/585308
3次募集は2月16日から、5都府県は全領域で“締め切り”
2019年度は9月1日から専攻医登録を予定
 
レポート 2018年2月9日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は2月9日の理事会後の記者会見で、2018年度から開始予定の新専門医制度の専攻医の3次登録を2月16日から実施すると説明した。登録期間は3月5日まで。3月14日まで採用選考を行い、3月15日に採用通知をする。ただし、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の全19の基本領域での募集は行わない。

 2019年度開始予定の新専門医制度についてのスケジュール案も公表。4月末までに研修プログラムの申請・変更等を受け付け、各基本領域学会による1次審査、都道府県協議会における協議、日本専門医機構による2次審査を経て、9月1日から専攻医の登録を開始する予定だ。

 新専門医制度をめぐっては、地域医療に影響を来さないことが求められる。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、1月の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、5都府県のシーリングなどに用いたデータを公表すると回答していた(『「5都府県シーリングのデータ公表」、松原・専門医機構副理事長』を参照)。

 9日の記者会見でも、松原副理事長は、「2次募集の採用結果がフィックスした時点で、公表する」と説明。2次募集の採用結果通知は、2月15日に予定している。2019年度の新専門医制度について、大きな制度変更等が必要と考えているか否かとの質問に、松原副理事長は、「恐らく今あるデータで見れば、このまま変更なく行けると思う」と回答。今後、東京都の基幹病院から関東他県などの連携病院に、どの程度専攻医を派遣するかなどについて、各基本学会に調査を依頼する予定であり、「そのデータを見て将来どうすべきかについては議論を続ける」(松原氏)。

 サブスペシャルティについては、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏が素案を出し、それをたたき台として検討していく方針。なお、病気療養中だった吉村氏は9日の理事会から復帰した。



http://www.minpo.jp/news/detail/2018021049058
style="font-size:x-large;">「ふたば医療センター病院」4月23日診療開始 富岡 
( 2018/02/10 08:53 )福島民報

 富岡町に新設される県立「ふたば医療センター付属病院」は4月23日に診療を始める。9日、福島市で開かれた避難地域の医療提供体制検討会で県が示した。東京電力福島第一原発事故で失われた双葉郡の二次救急医療機能を回復させるとともに、近隣の診療所などと連携して地域医療を支える。
 新病院は富岡町本岡字王塚地区に整備される。救急科と内科を設け(1)救急搬送(2)地域の医療機関の診療時間外(夜間・休日)の来院(3)他の医療機関で入院が必要と判断された-の各ケースに対応する。高度医療の必要な重篤者は福島医大付属病院などに搬送する。
 常勤の院長に就く田勢長一郎氏(福島医大付属病院ふたば救急総合総合医療支援センター副センター長)のほか、福島医大付属病院の医師19人が非常勤で勤務する。平日の日中は4~5人、休日の日中は3~4人、平日、休日とも夜間は2人体制とする。病床数は30床。より高度な医療機能を備えた病院への患者の搬送、医師の移送に使える多目的医療用ヘリコプターを導入する。
 通院治療の段階まで回復した患者を郡内の医療機関に紹介するほか、訪問診療や訪問看護をサポートする。原発事故後、増加傾向にある糖尿病患者の教育入院プログラムの実施なども検討している。
 双葉郡では東日本大震災前、4つの病院が入院・手術の必要な二次救急医療を担っていたが、原発事故の影響で全て休止している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/585173
全自病邉見氏「病院に厳しく、診療所に手厚く」
2018年度改定、働き方緊急対策には反論多数
 
レポート 2018年2月9日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は2月8日に定例記者会見を開き、2018年度診療報酬改定の答申について、邉見公雄会長は「点数を見たら、病院はますますしんどくなると思う。全体的に、病院に厳しく、診療所に手厚い感が否めない」と危機感を示した(『2018年度診療報酬改定、加藤厚労相に答申』)。

2018年度診療報酬改定!徹底解説
 邉見氏は、かかりつけ医に関する項目の算定要件については、診療所の医師1人で満たせるが、7対1入院基本料は1人でできず、チームでするものだと指摘。「7対1入院基本料で減る分が、かかりつけ医・歯科医・薬局に行っている。地域包括ケアシステムの推進が基本方針の一番にあるからだろうが、病院にはあまりにもしんどい」と話した。

 評価できる項目としては、「メリハリの『ハリ』の部分は、オンライン診療。患者が大勢に抱えられて診療に来なくても良くなるのはいいと思う」と述べた。医師事務作業補助体制加算についても、「医師が一番楽になる項目だ。点数はもう少しほしいが、良かった」と評価。算定要件が厳しくなったが、既に加算を取っている病院は満たせるとの見方を示し、「次の改定でまた付けてくれるのではないか」と期待も示した。

 全自病副会長の中島豊爾氏は、認知症治療病棟入院料で患者の入院期間が31日を超えても加算が付くよう変更があったことについて、「普通はもっと早く退院しないといけない。31日を超えても何点と付くのはおかしい」と疑問を呈した。

「働き方緊急対策」の説明に反論多数
 2月8日には常務理事会を開催し、厚生労働省の担当者から医師の働き方改革の緊急対策と中間整理について説明があり、出席者からは「気の毒になるくらい」(邉見氏)の反論があったという(『働き方改革の緊急対策、労働時間管理など5項目は「当然」』を参照)。邉見氏は、医師の地域偏在、診療科偏在の問題を先に解決しなければ、「傷口に塩を塗るような改革になってしまう」と強調。他の出席者からも、「やれることはやるが、根本的なことを解決しなければ、救急や地域医療が崩壊する」などの意見が上がったという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/584801
横倉日医会長、2018年度改定「60点より少し上に」
三師会が合同会見、「限られた財源でより良い配分に」
 
レポート 2018年2月7日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は2月7日、日本歯科医師会、日本薬剤師会との合同記者会見で、同日答申された2018年度診療報酬改定について、「前回改定に引き続き、少ない改定財源でもそれなりの評価ができたと認識している」との見解を示した。診療報酬本体の改定率0.550は「60点」との評価だったが、その60点の財源で、「中医協委員の先生方、中川(俊男)副会長を中心に、より良い配分をしてくれたと理解している。60点より少し上に行ったと思う」と一定の評価をした。

 日歯会長の堀憲郎氏も、「改定率の時点では60点という評価だった。限られた財源の中では、70-75点ぐらいまでできたのではないか」、日薬会長の山本信夫氏の代理で出席した副会長の森昌平氏も、「調剤報酬の改定率は65点と評価したが、0.190という改定率の中では、自分たちが目指す方向性を改めて示すことができたのではないか」とそれぞれ述べた(『2018年度診療報酬改定、加藤厚労相に答申』、『横倉・日医会長、「改定率は60点、希望は0.76-0.78%だった」』を参照)。

 横倉会長は、具体的な改定のポイントとして、(1)外来医療の機能分化とかかりつけ医機能の評価、(2)医療従事者の負担軽減と働き方改革の推進、(3)医療と介護の同時改定、(4)薬価制度の抜本改革、(5)医療技術の適正評価、(6)入院評価体制の見直し――の6つを挙げた。

 入院評価体制の見直しでは、7対1入院基本料をはじめ、一般病棟の入院料が再編・統合されたことが特徴。横倉会長は、「高度急性期、急性期、回復期、慢性期と4つのカテゴリの中に、徐々に在るべき姿に収斂していくだろう。これを後押しするのが、今改定」とした。ただし、「病棟運営を考えた時に、本来は7対1くらいの看護職員の配置が必要。7対1(入院基本料)を一つのターゲットとして減らそうという今回の方向性はいかがなものかとは思っている」とも述べた(『「7対1」点数据え置き、重症度割合は新定義で300』を参照)。

 外来関係では、初診料に「機能強化加算」(80点)が新設されるなど、かかりつけ医機能を評価する方針が明確に打ち出されたことが特徴(『かかりつけ医機能「機能強化加算」80点、初診3割アップ』を参照)。「今改定が日医が進める、かかりつけ医機能の充実という方向性に合致しているか」との質問には、「かかりつけ医機能の評価については、(地域包括診療料・加算が)4年前の前々回改定で新設され、前回改定で要件が緩和された。今改定では、かかりつけの先生方が困難に思われている、24時間対応の問題、複数医師の要件が見直され、かかりつけ医機能が発揮しやすくなっていると思っている」とし、加算の新設を含め、「日医が考えるかかりつけ医機能の方向に合致していると考えている」と横倉会長は回答した。

 「今改定は、開業医に対するどんなメッセージだと受け止めているのか」との質問には、横倉氏は次のように答えた。「地域に密着した医療をしっかりやってほしいというメッセージだと思っている。今後人口構成が変わり、高齢者が増えてくる。今まで通院できた患者が通院できなくなってくる。しかし、それだけの入院医療を提供できないのも事実であり、在宅医療も含めて、『地域でしっかりささえる』という方向性が今改定で打ち出されたと受け止めている」。改定で対応が不足した点については、「専門的な技術の評価をもう少しすべきだったのではないかと考えている」と回答。

 日歯の堀会長は、歯科報酬について、「口腔の機能の維持、向上に資する歯科医療」と「国際的に見て低く抑えられている、我が国の歯科医療への対応」という二つを重点課題として議論してきたと説明。前者については、かかりつけ歯科医機能について一定の整理がなされたとし、今後も引き続き具体的な方向性の検討が必要だとした。後者については、「一定の引き上げがあった」としつつも、「今後も段階的な対応を求めていく」と表明。その他、医科歯科の連携推進に向け、患者の診療情報を共有する「診療情報連携共有料」の新設などを評価した。

 日薬の森副会長は、0.190という調剤報酬の改定財源の中で、「既存点数の合理化、適正化を図りつつ、評価すべき部分に配分できた」とした。「医薬分業が本来在るべき姿から乖離している」との指摘や、門前薬局への締め付けなど、「非常に厳しい状況の中で、議論が進められた」と振り返りつつ、「対物業務」から「対人業務」への構造的な変換、薬剤服用歴管理指導料やかかりつけ薬剤師指導料の評価、地域医療に貢献する薬局の評価、ポリファーマーシーへの取り組みの評価などを挙げ、「地域包括ケアシステムにおける薬局薬剤師への期待と受け止めている。薬局薬剤師として取り組むべき方向がさらに明確になったと認識している」と述べた。

 地域医療構想に「寄り添う」改定

 横倉会長は、2018年度改定全般について、「超高齢社会に対応する上で最重要課題である地域包括ケアの推進に向けて、地域における医療資源を有効に活用しながら、継続して改革を進めるためにも、適切な財源配分を行うことが必要。今改定では、前回改定に引き続き、少ない改定財源でもそれなりの評価ができたと認識している」と評価。

 さらに「改定とは本来、その時代を反映して、在るべき姿に是正していくもの。しかし、折しも2018年度は、地域医療構想が実行に移され、2025年の医療提供体制の構築に踏み出していく時期であり、それに寄り添う形で今回の報酬改定が行われた」とした。

 「(昨年の)12月12日に、堀会長、山本会長とともに、自民党本部を訪問し、二階(俊博)幹事長と岸田(文雄)政調会長、吉田(博美)参議院幹事長に対して、医療従事者への手当等のために、前回本体改定率0.490を上回るプラス改定をすることを要望した。三師会会長がそろって自民党に要望したのは、歴史上初めて」というエピソードも披露。

 その上で、「今改定の影響を適正なタイミングで検証しつつ、2025年に向けた新しい医療提供体制に寄り添った改革をしていくべき」とした。

 さらに今後について、「骨太方針2018に続いて、いろいろな議論が予想される」と見通した。「社会保障費が過度に抑制されることがないようにしなければいけない。さらに2019年10月には100への消費増税が予想されるため、今年末に策定される2019年度税制改正大綱が重要な意味を持つ。医療等にかかる消費税問題の抜本的な改革に向けて、医療界としての方向性を打ち出した上で、しっかりと対応していく」との決意を示した。

 オンライン診療、「対面診療が原則」

 2018年度改定の各論では、入院料に用いる重症度、医療・看護必要度が、2016年度改定に続いて見直された点について、「現場の混乱を考えると、(見直しは)いかがなものかと主張してきた」とし、次のようにコメント。「今回2つの項目が評価対象に上乗せになり、該当患者割合も上げることになった。評価のための研修をしっかりやっていかなければいけないものの、看護師、医師がベッドサイドで本来業務に集中できるような仕組みを作ってもらいたい。(重症度、医療・看護必要度の)評価のために、相当長い時間が取られるのは、いかがなものか。その意味でも頻回の見直しはすべきではない。ある一定の評価基準を設けたら、しばらくの間、それを使うことが必要」。

 新設された「オンライン診療料」については、離島などでのニーズはあることは認めつつ、「対面診療が基本という大原則は崩してはいけない」と釘を刺した(『オンライン診療料70点、医学管理料100点』を参照)。患者の安全をいかに担保するかが重要であり、それに則った形にする必要性を強調した。



http://www.medwatch.jp/?p=18739
有床診療所の減少続く、2018年度同時改定で歯止めがかかるのか―医療施設動態調査(2017年11月) 
2018年2月6日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 昨年(2017年)10月末から11月末にかけて、病院の一般病床数が309床増加した一方で、療養病床は320床減少した。また有床診療所は、前月から25施設・306床減少し、7236施設・9万8537床となった―。

 このような状況が、厚生労働省が2月5日に公表した医療施設動態調査(2017年11月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 有床診、前月から25施設減少し、2017年11月末は7236施設に
2 有床診療所のベッド数、前月から306床減少し、2017年11月末には9万8537床に
3 介護サービスを提供する有床診療所、高い報酬の要件緩和や加算の新設で経営を下支え

有床診、前月から25施設減少し、2017年11月末は7236施設に

 厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。

 昨年(2017年)11月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9314施設で、前月末から13施設増加。うち、病院の施設数は、前月末よりも3施設減少して8411施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院:7354施設(前月比2施設減)▼精神科病院:1057施設(同1施設減)—という状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3790施設で、前月末から3施設減少し、「地域医療支援病院」は557施設で、同じく1施設増加しました。

 一方、医科診療所は10万1981施設(前月比12施設増)で、うち有床診療所は7236施設となり、前月末から25施設減少しています。

 有床診療所は、2年前(2015年11月末)には7905施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年11月末)には7575施設(厚労省のサイトはこちら)あったので、2015年11月末から16年11月末までの1年間で330施設、さらに昨年(2017年)11月末までの1年間で339施設減少しています。有床診療所の施設数は、2016年11月末以降、次のように推移しています。

▼2016年11月末:7575施設
 ↓(25施設減)
▼2016年12月末:7550施設
 ↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
 ↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
 ↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
 ↓(38施設減)
▼2017年4月末:7426施設
 ↓(29施設減)
▼2017年5月末:7397施設
 ↓(17施設減)
▼2017年6月末:7380施設
 ↓(17施設減)
▼2017年7月末:7363施設
 ↓(21施設減)
▼2017年8月末:7342施設
 ↓(25施設減)
▼2017年9月末:7317施設
 ↓(56施設減)
▼2017年10月末:7261施設
 ↓(25施設減)
▼2017年11月末:7236施設

 この1年間は、1か月当たり28施設強のペースで減少が続いています。後述するように、2018年度診療報酬改定によってこの流れが止まるのか、今後の調査結果に注目する必要がります。

有床診療所のベッド数、前月から306床減少し、2017年11月末には9万8537床に

 次に、医療施設の病床数を見てみましょう。医療施設全体では昨年(2017年)11月末で165万4758床あり、前月末と比べて780床減少。このうち病院の病床数は155万6157床で、前月末から474床減少しました。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1609床(前月比309床増)▼療養病床:32万5859床(同320床減)▼精神病床:33万1664床(同380床減)—などという状況です。

 一方、有床診療所の病床数は前月末から306床減少し、9万8537床となりました。2年前(2015年11月末)には10万6890床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年11月末)には10万2737床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年11月末までの1年間で4153床、昨年(2017年)11月末までの1年間で4200床減少しています。2016年11月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2016年11月末:10万2737床
 ↓(287床減)
▼2016年12月末:10万2450床
 ↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
 ↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
 ↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
 ↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
 ↓(407床減)
▼2017年5月末:10万466床
 ↓(226床減)
▼2017年6月末:10万240床
 ↓(221床減)
▼2017年7月末:10万19床
 ↓(282床減)
▼2017年8月末:9万9737床
 ↓(206床減)
▼2017年9月末:9万9531床
 ↓(688床減)
▼2017年10月末:9万8843床
 ↓(306床減)
▼2017年11月末:9万8537床

 この1年間、1か月当たり350床のペースで減少が続いています。

介護サービスを提供する有床診療所、高い報酬の要件緩和や加算の新設で経営を下支え

 ところで、有床診療所の減少が続く要因の1つは、厳しい経営環境だと指摘されます。有床診療所の中でも、とくに「在宅医療の拠点」「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療提供」などの機能を果たす施設は、地域包括ケアシステムの重要な構成要素となります。そこでは、厚労省は2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定において、有床診療所の「地域包括ケアモデル」(医療・介護併用モデル)での運用を支援する考えです。

診療報酬では、▼介護サービスを提供する有床診療所では、報酬の高い入院基本料1-3までの要件を緩和する▼介護サービスを提供する有床診療所で、要介護者の入院受け入れを、新たに【介護連携加算】として評価する▼在宅復帰機能の高い有床診療所を評価する【有床診療所在宅復帰機能強化加算】について、平均在院日数要件を緩和する—といった見直しが行われます(関連記事はこちら)。

また介護報酬では、▼食堂を持たない有床診療所でも、短期入所療養介護事業所の指定を受けられるよう要件を緩和する▼利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしていると見なす―などの見直しが行われます(関連記事はこちら)。

こうした見直しが有床診療所経営にどのように影響するのか、さらに有床診療所数の減少に歯止めがかかるのか、今後の動向に注目する必要があります。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26534270V00C18A2CN8000/
中部
愛知県がんセンター愛知病院、岡崎市に移管へ
 
2018/2/5 21:15 日本経済新聞

 愛知県は5日、赤字経営が続く県がんセンター愛知病院(岡崎市)を2019年4月をめどに岡崎市に移管する方針を発表した。同市が運営する岡崎市民病院と統合し、診療科の統廃合などで効率化を図る考えだ。

 大村秀章知事は同日の定例記者会見で「より充実した地域医療につなげるため、一体的に運営することが効果的だ。(統合の方針について)17年度内の合意を目指していく」と話した。

 県がんセンター愛知病院は1954年開院で病床数は276床。県東部の三河地域のがん治療の拠点病院として、高度で専門的な医療を提供してきた。ただ、人件費がかさむなどして、16年度は4億3千万の赤字を計上していた。



https://www.asahi.com/articles/ASL256X1ZL25UCLV00Z.html
「入院より在宅」促進 診療報酬改定、遠隔診療も拡大
水戸部六美
2018年2月10日23時44分 朝日新聞

 医療機関で治療を受けたり、薬を出してもらったりする時の4月からの値段が7日、決まった。医療ニーズが急増する「2025年問題」を乗り切るため、患者がなるべく入院せずに住み慣れた自宅や施設で治療を受けられる体制づくりを一層加速させる内容だ。遠隔診療の対象も広がる。

 中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)がこの日、医療サービスの公定価格となる診療報酬の個別の改定内容を決め、答申した。診療報酬は2年に1度見直す。政府は昨年末、全体で1・190引き下げると決定。治療代などの「本体」は0・550引き上げ、薬代の「薬価」などは1・740引き下げるとした。中医協はこの範囲に収まるよう値段を決めた。原則1~3割の患者の自己負担額も変わる。

 今回の改定は、団塊の世代がすべて75歳以上になる25年を強く意識したものになった。今の年約42兆3千億円から健康保険組合連合会の推計で約57兆8千億円に膨らむとされる国民医療費をいかに抑えるかが課題だ。患者の急増で入院中心では受け皿が足りなくなる恐れもある。

 在宅の患者を支えるための柱は、24時間診療に応じられる新たな仕組みだ。地域の複数の診療所などが連携し、24時間連絡がついて往診できる体制を築いたら報酬を患者1人当たり月2160円加算する。

 スマートフォンやパソコンを通じて診察する遠隔診療は、保険対象を拡大する。対面診療と適切に組み合わせ、診察や日常生活の指導などをした場合の報酬を新設する。糖尿病といった生活習慣病患者の利用などを想定し、訪問診療や外来の代わりとしても使ってもらう狙いだ。1回当たりの治療代は安くなり、生活習慣病なら対面の2割ほどになる。

 国民医療費の4割ほどを占める入院費の新たな抑制策も打ち出した。急性期向けで患者7人に対して看護職員1人と最も配置が手厚く、報酬が高い「7対1病床」は高齢化による慢性疾患患者の増加でニーズが下がっているが、なかなか減らない。次に手厚い病床との入院基本料の差額が大きいためで、二つの基準を残しつつ基本料を7段階に細分化し、診療実績も加味して支払う基本料を決める。

 多死社会の本格化を前に、いまは8割が医療機関で亡くなっている「みとり」に備える見直しもした。6年に1度の同時報酬改定となった介護とも連携。患者の住み慣れた特別養護老人ホーム(特養)で外部の医師がみとった場合、医師側も特養側も報酬を受け取れるようになる。(水戸部六美)
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https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180206/mca1802060500004-n1.htm
公立病院の62%が赤字 16年度、6年連続で拡大 
2018.2.6 05:00 SankeiBiz

 全国873公立病院の2016年度決算を集計すると、61.7%に当たる539病院の経常収支が赤字だったことが5日までに、総務省の調査で分かった。前年度より3.3ポイント増え、6年連続で拡大。病院が受け取る診療報酬のマイナス改定や、医薬品などの価格上昇が影響した。

 公立病院は、民間では採算が取れない離島や山間部の地域医療を担っているケースが多く、自治体が特別会計を設けて運営している。総務省の有識者研究会は昨年末の報告書で、民間のノウハウを持つ外部人材の登用や経営の見直しを提言。これに沿って同省は自治体に改善を促す方針だ。

 赤字病院の割合は、医師不足が深刻化した06年度に74.3%となり、国は07年に病院の統合・再編を含む効率化を要請。10年度の赤字割合は46.1%まで減ったが、その後は地方の人口流出などで経営が再び悪化した。全病院の収支を合算すると16年度は831億円の赤字となり、15年度の542億円から1.5倍に拡大した。

 小規模な病院ほど、自治体の一般会計からの繰入金に依存する割合が高く、経営の維持が難しくなっている。

 病院の数と病床数(計21万23床)は、統合が進んだり、患者数の減少から病院として扱われない診療所に移行したりした結果、いずれも06年度(975病院、23万3874床)から減少傾向が続いている。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/179096
医師常勤の診療所を 伊万里市が要望書 病院移転 
2/8 7:55 佐賀新聞

 伊万里市山代町の伊万里松浦病院が長崎県松浦市へ移転する問題で、伊万里市は7日、病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)に対し、常勤医師を配置した診療所機能の存続などを求めた。

 塚部芳和市長と前田久年市議会議長らが北九州市にある機構の九州事務所を訪れ、要望書を手渡した。

 要望の内容は「市の財政負担が伴わないサテライト診療所の設置」「健診車による市民および市内企業への健診継続」「施設取り壊し後の跡地の管理」の3点。診療所については、常勤医師の配置や移転前と同様の診療時間の確保なども求めている。

 塚部市長は「移転により市民が健康の維持に不安を抱えることがないよう、ぜひ実現してほしい」と述べた。移転後のことを巡っては、機構側が市に要望書を出すよう求めていた。今後両者で協議していく。



https://www.m3.com/news/iryoishin/584690
「外来で入院生活・退院後の経過を説明」、点数新設
地域包括ケア推進に向け各種情報連携も評価

レポート 2018年2月7日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年度診療報酬改定の「重要課題」となった「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」では、住み慣れた地域で継続して生活できるよう、入院予定の患者に対し、外来で入院に関する説明をした場合の「入院時支援加算」200点(退院時1回)を新設するほか、入院早期から退院後までの切れ目のない支援を評価している実態に合わせて「退院支援加算」を「入退院支援加算」に名称を変更するなど、さまざまな改定を行う(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 在宅復帰率についても定義等を見直し、急性期一般入院料1、7対1特定機能病院入院基本料等については「在宅復帰・病床機能連携率」に名称を変更、その他の入院料に係る指標は「在宅復帰率」とする。4月から新設される「介護医療院」は「自宅等」の扱いとする。

 医科と歯科の連携を推進する観点から、かかりつけ医とかかりつけ歯科医が連携した場合の「診療情報連携共有料」120 点を新設。医師と看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も、「退院時共同指導料」の算定を可能にするなど、退院後の診療等の療養に必要な情報提供も評価する。

◆入院時支援加算 200点(退院時1回)(新設)
【算定対象】
(1) 自宅等(他の保険医療機関から転院する患者以外)から入院する予定入院患者であること。
(2) 入退院支援加算を算定する患者であること。

【施設基準】
(1) 入退院支援加算の届出を行っている保険医療機関であること。
(2) 入退院支援加算1 、2または3の施設基準で求める人員に加え、入院前支援を行う担当者を病床規模に応じた必要数、入退院支援部門に配置すること。
(3) 地域連携を行うにつき十分な体制が整備されていること。

【留意事項】
 入院の予定が決まった患者に対し、入院中の治療や入院生活に係る計画に備え、入院前に以下の内容を含む支援を行い、入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び関係者と共有すること。
① 身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握
② 褥瘡に関する危険因子の評価
③ 栄養状態の評価
④ 持参薬の確認
⑤ 入院中に行われる治療・検査の説明
⑥ 入院生活の説明
⑦ 退院困難な要因の有無の評価




https://www.m3.com/news/general/585364?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180210&dcf_doctor=true&mc.l=274929382
日医大6.6億円申告漏れ、国税指摘 謝礼計上せず 
2018年2月10日 (土)配信朝日新聞

 学校法人・日本医科大学(東京都文京区)が、2017年3月期までの7年間で計約6億6千万円の申告漏れを東京国税局から指摘されたことがわかった。このうち約2千万円は、付属病院の医師の派遣先からの謝礼などを計上していなかったとして所得隠しと認定されたという。同大は「ほとんどは解釈の違いによるものだが、指摘に従い修正申告した」としている。

 関係者によると、申告漏れの大半は学校法人などの非課税制度をめぐるもの。公益目的事業に関係するとして申告した管理費の一部を、課税対象の収益事業に関係すると認定された。

 さらに、同大は各地の医療機関からの求めで付属病院の医師を派遣しているが、派遣先が支払った謝礼や紹介料などの一部を、学校法人の口座ではなく、派遣された医師が所属する医局の口座で受け取っていた。民間企業からの委託研究費などの一部もこうした口座に入っていたという。

 国税局は、これらの入金は収益事業で法人所得として申告すべきだったと認定した模様だ。



https://www.m3.com/news/general/584751
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島大病院が医師派遣拡充 18年度常勤7人増32人県西部に重点
2018年2月11日 (日)配信山陰中央新報

 島根県内の医師不足の解消に向け、島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)が2018年度、地域病院への医師派遣を拡充する。4月に常勤医として、前年同期より7人多い32人を新たに派遣。医師不足が深刻な県西部に重点を置く。今後も派遣要請に積極的に応え、地域医療を支える。

 同病院によると、22の地域病院から新規派遣と、開業などによる離任に伴う補充、派遣医師の交代を合わせて、110人を4月に派遣するよう要請があった。院内の専門委員会(委員長・井川幹夫院長)で対応を検討し、新規派遣15人、補充6人、交代11人と決めた。

 新規派遣の圏域別の内訳は、浜田7人▽大田2人▽松江3人▽雲南と出雲、隠岐が各1人―とし、県西部に半数以上の9人を充てる。補充は出雲が3人、松江と雲南、大田は各1人。要請に対する充足率は29%となり、114人の要請に対して25人を派遣した前年同期を7ポイント上回る。

 県内では、新人医師が自由に研修先を選べる新臨床研修医制度の導入により04年度以降、医師の県外流出と高齢化が進んだ。

 県によると、17年10月現在で1138人の常勤医がいたが、必要な医師数に対する充足率は77・0%にとどまった。浜田は71・1%、大田71・0%、益田73・7%と、特に県西部が低い。このため溝口善兵衛知事は同年11月、島根大の服部泰直学長に常勤医の派遣充実を求めた。

 島大病院の常勤医数は増加傾向にあり、同年10月現在で320人。18年4月には新たに専攻医(後期研修医)が37人入る予定。中堅医師の育成を強化する狙いもあり、派遣の拡充を決めた。



https://www.m3.com/news/general/585266
福井大病院オペ延期 医療物資届かず 緊急以外で 
2018年2月9日 (金)配信福井新聞

 大雪の影響で医療物資が届かず、県内の一部の医療機関では手術や受診に支障が出ている。

 福井大医学部附属病院(永平寺町)は、輸血用血液や滅菌した使い捨てのシーツなど予定していた医療物資が届かない上、出勤できない医師や看護師がいることから8、9の両日、緊急を要するもの以外の手術を延期した。外来についても、一部の診療科で予約患者に対し可能な限り延期を要請した。

 同病院は「医療物資が補充できないので不足する可能性がある。手術を予定していた(緊急以外の)患者に連絡し延期をお願いした」と説明。「治療を待っている患者がいるので、一刻も早く物資を届けてほしい」としている。

 国立病院機構あわら病院(あわら市)も予約患者に延期を要請、坂井市立三国病院は一部診療科を急きょ休診した。

 在宅医療が専門のオレンジホームケアクリニック(福井市)は、患者の体調を電話などで確認した上で、6~8日に予定していた定期的な訪問約70件を見合わせた。9日の再開も難しい状況で、担当者は「外出や通院が困難な患者を支えるのが在宅医療の本来の役割なのに、非常に歯がゆい。道路状況が改善しなければ定期訪問がおぼつかない」と話した。

 県済生会病院(福井市)と公立丹南病院(鯖江市)は、金沢方面からの一部の医薬品配送が遅れたものの大きな混乱はなかった。



https://www.m3.com/news/general/585213
子ども死亡率、米が最悪 先進20カ国中 
2018年2月9日 (金)配信共同通信社

 【ワシントン共同】欧米や日本など20の先進国で2001~10年の子どもの死亡率を比較し、米国が群を抜いて高かったとする研究報告を、米ジョンズ・ホプキンズ病院(メリーランド州)などのチームが8日までに米医学専門誌に発表した。

 米国の子どもの死亡率は1960年代から他国よりも高い水準を記録し続けている。銃乱射事件や交通事故、早期新生児死亡などが原因で、チームは「政府による対応が必要だ」と警告している。

 20カ国で01~10年、20歳未満の死亡率を比較すると、米国は1歳未満の乳児では平均より75%高く、1~19歳では57%高かった。乳児に関しては平均より50%以上高かった国は米国だけで、日本は25%以上低かった。

 15~19歳の死因では、最も割合が高かったのは交通事故と銃による襲撃。他の19カ国との比較で、米国の若者は交通事故で2倍、銃で82倍も多く死亡したとの結果が出た。



  1. 2018/02/11(日) 10:08:53|
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