Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月4日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26477860S8A200C1ACYZ00/
沖縄北部、医師不足深刻に 名護市の医療拠点、整備急務 
九州・沖縄 社会
2018/2/2 21:30日本経済新聞 電子版

 沖縄県名護市が位置する県北部では医師不足が深刻だ。拠点病院で一部の診療科が休診になったり、急患を遠方まで搬送せざるを得なかったりと、利用者は不便を強いられている。名護市長選でも新たな基幹病院の整備などが取り沙汰されるが、先行きは不透明だ。有権者からは「命の問題。政治に振り回されることなく対策を進めて」との声が出ている。

 「すぐに代わりの医師を見つけるのは難しい。診療再開のメドは立たない」。名護市にある沖縄県立北部病院の担当者は頭を抱える。医師の退職に伴い、今月から眼科を休診せざるを得なくなったためだ。

 県北部医療の中核の一つの同病院だが、若手医師の流出などが続き医師不足にあえぐ。昨年8月には夜間の緊急外科の患者を受け入れる日を限定するなどした。急な出産となった妊婦への対応も体制が整わないままだ。

 急患でもわざわざ遠方の県中部の病院に搬送される患者も少なくない。県によると、人口約10万人の北部医療圏から中南部の病院に流出する患者数は2割を超える。

 こうした現状は医療現場の疲弊にもつながっている。細胞の働きが低下する難病と糖尿病を併発し、県立北部病院に長年通う山入端保さん(56)は「人手不足で現場が苦しんでいると医師から悩みを打ち明けられることが増えた」と話す。

 山入端さんは自身の闘病体験を生かし、難病患者やその家族を支援するボランティア活動をしている。医療関係の知り合いも多いが、過酷な勤務を見るにつけ、持病の発作が起きても救急車を呼ぶのをためらうほどだという。「医師には患者の悩みに寄り添うゆとりも必要なはずだが、今の体制では不可能。このままでは医師も患者も不幸になるばかりだ」と警鐘を鳴らす。

 名護市には県立北部病院のほかに、北部地区医師会病院もある。限られた人材が分散し、地域全体として効率的な医療体制が取れないという問題が指摘されており、約4年前から有識者や医師らから両病院の統合を求める声が出ている。

 翁長雄志知事は昨年12月、両病院を統合して新たな基幹病院を整備する方針を表明。もっとも「(統合には)病院職員の身分の取り扱いなど課題が多い。これまで政治に振り回されてきた側面もあり、本当にこれで統合が進むかは不透明だ」(医師会幹部)と、先行きは見通せていない。

 名護市長選では現職の稲嶺進氏(72)と新人の渡具知武豊氏(56)がともに基幹病院設置を訴え、主張に大きな違いはない。ただ米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る翁長知事と政府の対立を映し、稲嶺氏が「知事との協調」、渡具知氏が「国からの支援」を打ち出す構図が目立つ。

 1月下旬、8歳の娘が体調を崩し入院するため県立北部病院を訪れた母親(39)は「病院整備は命に関わること。(政治の事情で)どこと協力するか選ぶのではなく、患者のため団結して解決して」と訴えた。



http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180201000067
産科・小児科医不足課題に 長岡京市が「地域医療ビジョン」印刷用画面を開く 
【 2018年02月01日 11時13分 】京都新聞

 京都府長岡京市は、10年後の地域医療の在り方を示した「地域医療ビジョン」の中間案をまとめ、13日からパブリックコメント(意見公募)を予定している。市内の現状について、周産期や救急の医療を担う産科医や小児科医の不足を課題に挙げ、誘致に向けた対策や病院間連携の必要性を強調。中核病院の済生会京都府病院(同市今里)に求める役割を明記した。

 中間案では、正常分娩(ぶんべん)や軽度異常分娩を扱う市内の診療所が1985年の7カ所から2カ所に減少しており、産科医療機関の不足を課題の一つとした。市内の出産年齢は上昇傾向でハイリスクの出産が増加する一方、重症新生児を受け入れるNICUは4床にとどまり、不足を指摘した。

 また、外来で帰宅可能な軽度患者の一次救急医療に関し、乙訓休日応急診療所(同市今里)で内科医と小児科医の確保が困難になっていると言及。小児外科の一次救急を担う外科医の在宅当番医制では、専門的な判断が求められる場合などで受け入れ困難なケースが出ているとした。対策として重度患者の救急を担う病院との連携強化などを掲げた。

 同ビジョンは、府が京都市と乙訓2市1町を一体の医療圏域と設定する中、長岡京市独自の将来像を示し、医療の充実につなげるため策定する。乙訓医師会や地元医療機関の代表でつくる懇談会の意見交換を踏まえ、市が中間案をまとめた。

 パブコメの開始に合わせて市ホームページで中間案を掲載する。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201802/CK2018020102000168.html
【茨城】 筑波大と自治医大、医師派遣 筑西の新病院 合同で臨床教育センター 
2018年2月1日 東京新聞

 筑西市で十月に開院予定の「県西部メディカルセンター」で、筑波大と自治医科大(栃木県下野市)が、合同で医師を派遣し、臨床教育センターを設置することが三十一日、決まった。複数大学による合同の教育センターは珍しいといい、医師不足の解決などが期待される。

 両大学によると、教育センターには、両大学から最大で計八人の医師が派遣される予定。派遣医は教育センターの教員として研修医を指導するほか、診療にもあたる。

 筑西市によると、複数大学による教育センター設置は、県内では初めて。二つの大学の特色を生かした教育や研修を展開できるほか、医師の安定的な確保などのメリットがあるという。

 西部メディカルに再編されることになっている筑西市民病院内に四月に設置され、活動をスタートする。

 この日、市役所で開かれた協定締結式で、筑波大の永田恭介学長は「地域医療に寄与できると確信している」とあいさつ。自治医大の永井良三学長は「医療教育は、地域での実践が重視されるようになっている。教育センターは、そうした場として極めて重要」と語った。

 県西は医師不足が深刻で、筑西市と桜川市は九年前から、県と協力して中核病院の整備を進めてきた。西部メディカルは、重症患者を受け入れる施設として十月に開院する予定となっている。 (越田普之)



https://www.m3.com/news/iryoishin/583822
神奈川県病院機構、県に真っ向から反論、医師退職問題(2月3日追記)
土屋機構理事長「副知事2人から辞職迫られた」
 
2018年2月2日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 神奈川県立がんセンター(大川伸一病院長)で放射線科医が一斉退職した問題で、神奈川県が1月24日に公表した調査報告書に対して、センターを運営する神奈川県立病院機構理事長の土屋了介氏は2月2日、記者会見を開き、事実と異なる記載があり、結論ありきの調査だったとして「反論」を提出したことを明らかにした。反論書では「偏波的、拙速に作成された『監査結果報告書』をなぞる程度で調査報告書が作成された」と強く非難している。

 また、土屋氏は神奈川県副知事2人に辞表を出すよう求められたが、県知事に面会すると任期まで継続するよう指示されたなど、県内部での混乱があると指摘、「知事に正確な情報が上がっているのか、大変危惧される」と述べた。機構独自に新たに一連の問題を調査する委員会を設置することも表明。土屋氏が理事長任期満了となる2018年3月末までに調査を終える方針を示した。

 会見後に大川病院長を更迭したことも明らかにした(『大川がんセンター病院長を更迭、神奈川県立病院機構』を参照)。

県の調査「結論ありき」

 神奈川県は放射線治療医の一斉退職問題が表面化した2017年12月に、「神奈川県立病院機構の医療の提供体制に関する調査委員会」(委員長:県保健福祉局長)を設置。2018年1月24日に黒岩祐治知事が調査委員会の報告書を公表した(『医師退職の原因「不本意な研修やパワハラ対応の不備」』を参照)。1月29日には神奈川県議会に首藤健治副知事が出席し、事情を説明している(『「退職医師はわがままでは」、県議会で指摘』を参照)。

 土屋氏は会見を開いた理由を、1月29日の県議会に出席し事情を説明する予定だったが、直前に出席しないよう言われたと説明。「両者の意見を付け合わせていただいて、法令に基づいた判断をしてほしいのが心からの願い」だったが、議会の場でそれが叶わなかったため、2月2日の会見直前に県保健福祉局長に反論書を提出したと述べた。

 土屋氏は副知事2人から、今回の問題で責任があると追求され、辞表を求められた経緯も明らかにした。調査委員会の委員長が県保健福祉局長であり、「上司(副知事)が結論を持っているのに、その部下から逆らう結果は出てこない。結論ありきだった。第三者が入るべきだった」と指摘した。反論書は県の見解を求めるものではないが、「県の主張を否定しているので、このままでも県も困ると思う。ご回答をいただけるだろう」との見方を示した。機構顧問弁護士の井上清成氏も、調査委員会の報告書について「見込みを付けて予断と偏見に充ち満ちている。そこら辺が出ていたので、(真相究明の)大きな側面が欠落している」と指摘している。

 会見での主張を盛り込んだ反論の概要は以下の通り。

神奈川県病院機構の反論

■調査の経緯
・地方独立行政法人に対する県の調査は、法律違反、または違反するおそれのある行為に対してでなければならないが、監査結果報告書では具体的記載がなく不十分である。
・監査に際し、監事は退職する医師からのみ聴取し、理事長、病院長、監査コンプライアンス室長には質問書のみで聞き取りを行っていない。監査は偏波的、拙速だったことは明らか。
・監査結果を基に調査委員会が設置され、機構は監事が聴取しようとしなかった真実が明らかになると期待したが、結果は監査結果報告書をなぞる程度だった。

■医師退職の理由について
・退職した医師が重粒子線治療の経験年数を2年間とした記載した問題では、退職医師は放射線医学研究所での客員研究員の実績も参入できると主張しているが、年に数回会議に出席する程度で、「療養実績」とはできない。厚生局、厚生労働省に確認した上で、「7カ月」に修正して、書類を提出している。
・この点は調査委員会にも再三指摘したが、両論併記を採った。法令違反に両論などなく、県が違反を追認する認定を行ったものである。

■パワハラの認定
・調査報告書では「病院機構の監査・コンプライアンス室が医師間のパワハラ事案を認定している」と記載しているが、事実に反する。
・病院長からの報告を受けた理事長の指示によって監査コンプライアンス室長がヒアリングを行い、「ハラスメントに認定しうる得る」と考えたが、被害医師からパワハラを訴える意志がないことを確認した。そのため「ハラスメント」の要件を満たさないと判断し、理事長に報告した。理事長は口頭で、加害医師に対して注意をした。
・認定権限のない監事や委員会による独自の認定は越権行為である。

■調査報告書に記載されていない重要な事項について
・放射線治療医不足を招いた原因としては、県議会でも大学との連携不足が指摘されたが、その点は機構も指摘していたが報告書には反映されていない。2009年度に県立がんセンター内に横浜市大大学院を設置する提案がされていたが、県病院局自身が横浜市大との連携を拒絶していた。

副知事2人が土屋氏に辞職を要求

 土屋氏は2017年12月6日に筆頭副知事の中島正信氏と医師でもある首藤健治副知事が機構を訪れ、「今まで大変世話になったが、今回の問題の責任は土屋氏にあるので辞めてほしい」と言われたと説明。12月7日には国立がん研究センターで同僚だった上昌広氏(医療ガバナンス研究所主宰)から電話があり、「首藤副知事が尋ねてきた。何が悪いことをしたのか?」と問い合わせがあったという。

 12月9日に首藤氏と2人で会った際には「知事に辞表を持って行けば良いのか」と尋ねると、首藤氏は頷いたという。12月11日の黒岩知事との面会では、土屋氏は辞表を用意していたが、黒岩知事は事態に対処すべく任期満了までは続けてほしい旨を語ったという。土屋氏が副知事から辞表を求められたと説明すると驚いた様子だったという。土屋氏は「知事に正確な情報があがっているのか、大変危惧される」と述べた。

 黒岩知事に対しては、「良好な関係を続けていきたい。知事から不愉快な思いを受けたことはない」と強調。特に、常勤医師を派遣してもらえることになった徳洲会湘南藤沢徳洲会病院については、当初は非常勤の予定だったとし、「フルタイムのご支援をいただけるのは知事のおかげと感謝している」と述べた。一方で、県全体に対して、「法令に準拠しているのか、副知事以下の動きに疑いがある」と批判した。

パワハラ事案は「20分間の叱責」

 個人情報に当たるとして県が詳細を明らかにしていなかった「パワハラ事案」についても説明した。放射線治療部内でのカンファレンスの時間変更をめぐって、加害側の医師が「きつい言葉で20分間叱責した」ことが当たるという。

 被害を受けた側の医師が直接、監査・コンプライアンス室に被害を訴えることはなかったが、病院長を通じて土屋氏の耳に入り、理事長の職権として調査が始まった。清水岩雄同室長は当事者を含む9人にヒアリングを行い、「ハラスメントに認定しうる」と判断したが、被害者から「訴えたり相談する意思がない」ことを確認したため、「ハラスメント」と認定しなかった。監査・コンプライアンス室の報告を受けた土屋氏は、加害医師に対して注意、指導を行った。

 県の調査委員会報告書では、機構がパワハラを認定し、その対応が機構内規に違反していることや一連の対応に対する医師の不信感が退職につながったと指摘している。機構の反論書では「機構本部は十分な対応を行っているのであるから、医師らの退職の間に関連はない」と反論している。  また、パワハラをめぐっては、病院機構監査監事による監査結果報告書でパワハラを認定しているという。清水氏は監事にはパワハラを認定する権限がないとした上で「被害者のみに聞いて認定している。どうして被害者のヒアリングだけで認定できるのか」と疑問視した。

一斉退職の原因、「親元がやめて不安に」

 医師が一斉に退職した原因について、土屋氏は「2017年8月に辞めた部長が取り仕切っていた。親元が辞めて、不安で辞めていったと解釈している」と説明した。年度途中で医師が辞めたことについては「医師免許を持った者が年度途中に辞めるのは想像だにできなかった。年度途中に辞めることに対して医師のモラルを教育していくことになる」。機構の責任については「個々の人事の問題なので、病院長のところで止まると考えている」とした。

 2017年8月に辞めた元部長の医師については、「(重粒子線治療でエビデンスを作っていくという機構の方針について)十分な理解がなく、周りの医師を巻き込んで臨床試験に協力しないと発言した」と説明。県の調査報告書では「反省も含めて1年間の研修を命じた」と記載されたことについては、「懲罰的な意味は全くない。法令遵守については反省してほしいと指導したが、派遣自体は無関係」と説明。研修期間中はがんセンターを離れるから「病院長付の部長」にした対応について、「それを懲罰的に感じたかもしれないが、そういう意図はない」と述べた。

放射線科医確保、横浜市大との連携不可欠

 放射線科医の確保をめぐっては、土屋氏も「10人以上の医師が必要で、がんセンター単独では不可能であることはこの10年で明らか」として、横浜市立大学との連携が不可欠との考えを示した。2009年度に横浜市と横浜市立大学から、がんセンター内に大学院設置を提案する要望書が出されていたが、当時の放射線科治療部長は県に「横浜市大からの派遣に気を遣って譲歩する必要はない」との報告をし、県病院局長も知事に対し「市大には派遣余力がない」と報告していたという。土屋氏は「大変失礼な態度だった。県民の期待を裏切る元凶だった」と指摘した。

 4月以降の医師確保に関連して、部長職の公募に対して応募があり、1月に面接の予定もあったが、がんセンターや県から「当該医師はパワハラの風評がある」として面接をやめるように言われたという。土屋氏が確認を取ったところ確かに風評はあったが、事実は確認されなかったという。

 県の調査報告書ではコミュニケーション不足が指摘している点では、「十分とっていたつもりだったが、指摘自体は同感で、もっとコミュニケーションの時間を作りたい。ただ、どのコミュニケーションが足りなかったかの指摘がない。具体的に何かが報告書から分からない」と述べた。



http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20180203-OYO1T50009.html
奈良2病院に是正勧告…労基署、残業超過などで 
2018年02月03日 読売新聞

 奈良県西和医療センター(奈良県三郷町)が、労使協定(36協定)の上限を超えて医師を働かせ、時間外手当の一部が未払いだったとして、昨年8月に奈良労働基準監督署から是正勧告を受けたことがわかった。

 同センターによると、医師との間に特段の事情がある場合、最長月80時間の残業を可能とする協定を締結していたが、同労基署が医師の労働時間を調査したところ、上限を超えて働いたり、超過時間分の時間外手当の一部が未払いだったりした。同センターは、すでに未払い分として38人に計約3000万円を支払っており、「医師不足で長時間勤務になりがちだが、再発防止に努めたい」としている。

 このほか、奈良県立医科大病院(同県橿原市)が、時間外手当の一部が未払いの医師が複数いるとして、昨年9月に葛城労働基準監督署から是正勧告を受けたことも判明した。未払いの賃金は今後、支払うという。同病院は「勧告を真摯しんしに受け止め、改善したい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583128
3人の医師国会議員が語る日本の医療の課題と未来◆Vol.1
自見氏、吉田氏、岡本氏の鼎談
 
スペシャル企画 2018年1月31日 (水)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 医療政策における主戦場が政治の場に移りつつあるのは、多くの医療者が感じているところだろう。その中で、医師出身の国会議員には、現場の思い、実態を政策に反映させるために、ますます期待が高まる。m3.com編集部ではこのほど、自由民主党の自見はなこ氏、立憲民主党の吉田統彦氏、希望の党の岡本充功氏の3人に、医師養成の在り方や偏在対策、働き方改革について議論していただいた(2017年12月8日に鼎談。全3回の連載)。

――まず、先生方のご経歴、特に医師としての修業時代についてお聞かせください。

自見はなこ氏(小児科)

 2004年に東海大医学部を卒業しました。初期臨床研修必修化の第1期生で、そのまま大学に残りました。大学に残ったのは、東海大医学部付属病院は創立当時からスーパーローテート制だったこともあり、教育風土が出来上がっていたことと、救急が一次から三次救急まで充実していたこと、そして、実習で慣れ親しんだ先生方のすでに知っている人間関係の中で研修したいと思ったからでした。市中病院に行った同期と比べても全く遜色なく、むしろすごく良かったと思っています。外科を半年回ったのも今となれば、大変有益でした。

 その後、池上総合病院で内科の後期研修をしました。その理由は単純で、医師としてもう少し成長して一人前になりたかった、感覚として、専門に入る前に、一人で内科のICUを管理できるようになりたかったからです。東海大学の関連病院で黒川清先生が理事長でしたが、とにかく野戦病院。初めての後期研修医で、私以外が皆10年目以上のベテランだったので、ここだったら可愛がってもらえるだろうと考え(笑)、飛び込んでみました。ほとんどの期間は、循環器内科を回りました。

 認定内科医を取得した後は、東大の小児科に入局しました。小児科に行くことは、初期研修の終わりの時に決めました。東海大に残る選択肢もあったのですが、都内には東海大の関連病院で小児科がありませんでした。父が政治家で家族の生活の拠点が東京でした。都内で勤務せざるを得ないと思って、都内の大学の小児科に入ろうと思って、黒川先生に相談しところ、東大小児科を紹介してもらい入局しました。

岡本充功氏(内科)

 1996年に名古屋大学を卒業して、愛知県内の安城更生病院で初期研修をしました。名大は当時からスーパーローテート制で、大学に残る人はほとんどいませんでした。その後は名大血液・腫瘍内科(当時は第一内科)に入局して、引き続き安城更生病院で働きました。2000年まで働き、2000年4月に大学院に入り、一宮市立市民病院に移りました。大学院生になってしばらくは市中病院で働いていました。2004年ごろに博士号、専門医を取得しました。

 専門は初期研修の中で決断しました。父親を早くに癌で亡くしたので、腫瘍の治療を研究したいと思い、外科、婦人科を含めて考える中で、研究して治療に結びつけるのでは、血液・腫瘍内科が最もフロントランナーとして走っている気がしたので、選びました。

吉田統彦氏(眼科)

 私も岡本先生と同じ名古屋大学を1999年に卒業し、名古屋第二赤十字病院で初期研修を行いました。ものすごく忙しい病院でした。医師の働き方について議論になっていますが、当時は月に7回か8回当直し、しかも当時は救急車の受け入れ数は日本で10本の指に入っていましたから、全く寝られず。そのまま翌日も21時ぐらいまで仕事をしていましたから、過酷でした。

 初期研修が終わった後は名大病院、大学院に入って、分子生物学的な研究をしました。専門を決めたのは初期研修の最後のころ。候補になったのは眼科と外科、血液内科で、最後まで悩みました。患者さんが自分の介在によって良くなることが明らかな科がいいなと思い、眼科を選びました。現実はどの科もそうじゃないんですけど(笑)。

 2005年に博士号を取り、その後すぐ眼科専門医も取りました。医局人事で、江南市の厚生連昭和病院(現・江南厚生病院)、東京医療センター(旧・国立東京第二病院)で勤務しました。その後は、渡米して、ジョンズホプキンズ大学ウィルマー・アイ・インスティテュートで研究と臨床をしました。

 過酷な研修医の生活は今の年齢でやると命に関わると思いますが(笑)、でも日本の医療の中ではオーソドックスな、恵まれているとも言える教育を受けてきたのだと思います。

――2017年度は医師養成の在り方を巡って議論が盛んでした。初期臨床研修でも外科や産科を復活することが決まりました。

岡本
 名大は昔からスーパーローテートで、その後のいろんな疾患の理解をする上でも重要だったと思います。今の研修を見直すにしても、ストレート研修でない方法があった方が良いと主張してきました。

自見
 初期研修の初年度の人間ですが、東海大は地方(神奈川県伊勢原市)にある大学病院で、病院を設立する際の地元との約束事で、一次からの救急を受けることが決まっていました。3つのチームがあり、8名程度の医師のチームで24時間当番になりますが、三次救急から一次救急まで診るので、症例数も幅広く、また土地柄、重症例も多かったです。今も同じかはわかりませんが、東海大学は大学病院の中では、紹介率が少ない分、一般病院で診るような症例もありつつ、大学病院での専門性を要する疾患の症例もあり、ファーストコールは全て研修医と決まっていましたので、体育会系ではありましたが、指導医の下で研修は充実していました。救急の3カ月、外科の半年は臨床まみれで楽しかったです。今回の初期研修の見直しに当たって、外科必修化にこだわったのは自分の経験から、一般臨床能力を高めるには外科は重要だと感じたということもあります。

吉田
 スーパーローテートは絶対良いと思います。ただ、今行われている初期研修より、名古屋大式の方がより普遍的な知識を得ることができるので良かったと感じています。

自見
 今の医師養成課程は無駄が多いことも問題です。2004年に医師になった人間として、1年半前に国会へ送っていただき、もう臨床研修制度が必修化されて10年以上は優に経つのに、これまで厚労省、文科省が定期的に医師の養成について両省で合同会議を開いていなかったことには、正直なところ憤りを覚えました。医師のキャリアデザインに一貫性を持たせて欲しいと働きかけ、ようやく2017年2月に医学部教育のモデルコアカリキュラムと、初期研修の整合性を取る形で、共通のゴールセットが定まりました。

 医学生が実施できる医行為を定めている、通称“前川レポート”も、四半世紀ぶりに見直すことになりました(『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。CBTテスト、国家試験の整合性も取るべきで、国試のために6年時に実習から離れて、予備校の提供する座学ばかりに時間を費やすような現状は、改めるべきです。医学部生5-6年生の臨床実習と初期研修2年間の計4年間で、一般診療能力が高い医師を養成しますよと宣言するくらいの改革が必要です。

吉田
 自見先生のお考えを実現するには、国家試験の改革が必要ですね。今は基礎から臨床まで全部が対象ですが、それをやめて2年修了時に、米国のように基礎をクオリファイした学生だけが次に進んで、3年からは臨床の知識、クリニカルスキルに関するテストを課していく方がより効率的な人材育成ができると思います。

自見
 イギリス系の国では、医学部は全て国立ですが、国家試験がなくて、医学部卒業したことで、医師資格を与えています。役所からかなり抵抗があると思いますが、そういった形も検討し、大学でもっと落ち着いて学べる、臨床にも集中できる環境作りも真剣に議論した方がいいと思います。CBTとの整合性の中で国家試験撤廃になるのか、OSCEを国家試験化していくのか、別枠の議論としてあると思いますが、いずれにしても、もう少し落ち着いて、安心して、医学部生には臨床実習をしてほしいです。

――医師不足という声に対応するため、地域枠の拡大や医学部新設がされました。

吉田
 国会でも質問しましたが、もし医師を増やすなら、自治医大のような大学であるべきでした。自治医大の定員を増やした方が良かったです。

 人材育成で言うと、アメリカのようなメディカルスクール型、四大を卒業したあとに文系理系にかかわらず、4年で卒業できる医学部を作る方が有益だったと思います。米国では法曹から医師になる人がかなりいます。医師と弁護士のダブルライセンスを持っている人も結構いて、ジョンズホプキンズ時代はそういった学生を指導していました。メディカルスクールを作ることで、幅広い人材ができるはずです。数の議論では言えば、今以上に増やす必要はないでしょう。

岡本
 そういう議論もありましたね。昔を振り返ってもしょうがないですが。民主党時代に「第2自治医大」という話もありました。地域枠出身の医師がだいぶ増えてきましたが、そこで育った医師がその後どう成長するかを検証すべきと今も言っています。数の問題ではないです。

吉田
 おっしゃる通り、数の問題ではなく、地域と科の偏在が原因です。需給バランスはどんどん悪くなっていますよね。今の制度、医師養成の仕組みのままでは、医療過疎地域を守ることができません。本来すべきは医学部定員の増加や新設医大ではなかった。少なくとももっと仕組みを整えてからやるべきだったと思います。人口が減る一方で、AI診療などが導入されようとする中で、無計画に新設医大を作ったことは、今の与党は非常に責任が重いと思います。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15175707588985
茨城県内自治体 産科医確保へ独自策
開業支援や奨学金 効果は未知数 「広域性が必要」
 
2018年2月3日(土) 茨城新聞

深刻化する産婦人科医不足の解消に向け、茨城県内の自治体による独自の取り組みが出始めている。水戸市は、2018年度に産婦人科と小児科の新たな医療施設開設を支援していく方針を打ち出した。坂東市は既に開業支援や奨学金を導入した。医師の高齢化などが課題となる中で、各自治体は産婦人科の機能を維持しようと対策を模索している。(水戸支社・前島智仁)

■県内は217人

「体力的に、夜間の当直勤務が難しくなってきている」。昨年12月、石岡市の冨田産婦人科医院は分娩(ぶんべん)の受け付けを休止した。1986年以降、同医院で分娩を担ってきた冨田雅弘院長(70)は「出産年齢が高くなっていることもあり、他の診療に比べてリスクの高い分娩を高齢の医師が続けることは困難。(開業医が)1人でお産を担う時代ではなくなっている」と、休止の理由を話した。

同医院による分娩受け付けの休止で、石岡市内で開業・勤務する産婦人科医はいなくなった。市保健福祉部の担当者は「出産、子育ては人口増加を考える上でも、市の大きな課題。医師会など関係機関と協議し、医師の確保を進めていきたい」と危機感を抱く。

厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査(2016年12月末現在)によると、県内で開業・勤務する産婦人科医は217人。市町村別では、常陸太田、那珂、鉾田など計20市町村で産婦人科医の人数がゼロとなっている。

■平均年齢63歳

水戸市は18年度、産婦人科と小児科を対象に、診療所など新たな医療機関の開業資金を支援する計画を打ち出す。市内で一定期間開業することが条件で、1施設程度の開業を想定する。市の3カ年実施計画(18〜20年度)の中で、単年度事業として盛り込んだ。

このほか、産婦人科や小児科、救急科の医師として就業を目指す医学生に、修学資金支援も行う計画。開業支援と同様、研修後は市内で勤務することを条件に返済を免除する。年に2人程度を支援する見込みだ。

市内で診療を行っている産婦人科は、17年8月現在で公的病院を含め11施設に上る。ただ、過去20年間、新規開業はなく、「この3年間で4施設が閉院、または診療を休止している」(市保健センター)。

同センターによると、市内で開業医として勤務する産婦人科医の平均年齢は63・7歳。市議会文教福祉委の意見交換会で、市医師会の原毅会長は「あと10年持たない病院も多い」と指摘するなど、新たな産婦人科医の確保は喫緊の課題となっている。

■申請ゼロ

産科・産婦人科の開業医の不在が29年間続く坂東市は14年度、県内に先駆けて医療機関の開業支援を導入し、開業資金のほか、医学生向けの奨学金貸し付け制度を設けた。

これまでに開業資金に関する申請はなく、新規の開業には至っていない。市健康づくり推進課は「申し込みの受け付けは継続しているが、最近は問い合わせもほとんどない」とする。

県医療人材課によると、これまでに神栖や常陸大宮など4市でも奨学金制度を実施していた例があるものの、開業支援は坂東市が初めてという。

開業支援を立ち上げる水戸市保健センターの小林かおり所長は「医療体制充実は広域的に行う必要があり、市独自による医師確保策の効果は未知数。それでも、新たな開業を待っているだけでは医師確保は進まない」と話した。
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(G3註:オリジナルよりレイアウト変更)



https://mainichi.jp/articles/20180202/ddl/k32/040/494000c
医師数
県内、過去最多 充足率77% 奨学金制度、効果表れ 診療科別に偏在も /島根
 
毎日新聞2018年2月2日 地方版 島根

 県は、昨年10月現在で県内の病院や公立診療所などに勤務する医師の実態調査の結果をまとめた。医師の充足率は前年比1・5ポイント増の77%だった。06年の調査開始以降、医師数は過去最多になったが、医療の高度化によって業務量が増え、必要数も過去最多となった。一方、診療科別では眼科53・9%、リハビリテーション科58・7%、救急60・1%となるなど、診療科によっては医師が偏在し、慢性的な不足状態が続いている。【長宗拓弥】

 県医療政策課によると、県内51病院、40診療所から回答を得た。必要数は今年4月1日に必要な人数を尋ねた。非常勤医師は勤務状況に応じて小数点で示した。

 教育機関の島根大医学部付属病院を除いた医師数は969・7人(前年比29・5人増)。ただ、必要数は1260人(同14・1人増)で291人の不足となった。

 診療科別では、16診療科で必要数を満たした診療科はなく、5診療科で充足率70%を下回っていた。一方、精神科(充足率90・1%)、麻酔科(同86・1%)、脳神経外科(同83・6%)は高い水準にあった。

 入院も含めた一般的な医療が域内で完結できるとされる2次医療圏別の充足率は、松江81・3%▽雲南70・1%▽出雲76・6%▽大田71・0%▽浜田71・1%▽益田73・7%▽隠岐92・4%。益田以外の地域では前年から回復した。充足率を診療科別でみると、大田・耳鼻咽喉(いんこう)科10%▽益田・耳鼻咽喉科14・3%▽松江・救急17・5%など不足が顕著な地域があった。

 県は医師の確保を目指し、06年に医師確保対策室を創設。医学生向けの奨学金制度を設け、島根大を中心に32人の推薦枠があり、医学生に6年間で748万~1069万円貸与している。

 奨学金は卒業後12年間に県内の医療機関で初期臨床研修(2年)を受け、その期間も含めた9年間を県内で勤務すれば返還を免除する。地域の偏在を改善するため、4年間は松江、出雲両市以外の医療機関での勤務などを求めている。

 県医師確保対策室の児玉信広室長は「対策の効果が表れつつある。ただ、診療科別の偏在は医師の職業選択の自由もあり、コントロールできない。大学と課題を共有しながら改善に努めたい」と話す。

 一方、県は看護師についても同様の調査をまとめた。51施設が回答し、看護師数は6275人(前年比107人増)で必要数は6513人(同34人増)。充足率は前年比1・2ポイント増の96・4%だった。

 ◆2017年の県内医師の充足率
診療科   医師数  必要数 充足率
内科群   354  458  77
精神科    87   96  90
外科群   125  162  77
整形外科   76   99  76
脳神経外科  25   30  83
皮膚科    14   20  74
泌尿器科   26   38  68
産婦人科   44   58  75
眼科     14   26  53
耳鼻咽喉科  13   19  68
リハビリ科  21   35  58
放射線科   30   38  78
麻酔科    46   54  86
救急     13   21  60
その他    32   40  80
合計    969 1260  77
 県調べ。単位は人(充足率は%)。
 小数点以下切り捨て



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018012902000118.html
専門医研修 都市に集中 外科「10人未満」27県 
2018年1月29日 朝刊 東京新聞

 若手医師に分野ごとの高度な知識や技術を身に付けてもらうため、四月から新たに始まる専門医養成制度で、医師が希望する研修先が大都市に集中し、地域に大きな偏りがあることが二十八日、分かった。外科は東京での研修希望者が百七十人に上る一方、青森、高知など二十七県は十人未満、内科でも九県が十五人以下だった。指導医の数など、研修機関としての基準を満たす病院が地方に少ないことが背景にある。
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 新たな制度は大学の医学部教授や公的機関の代表で構成する一般社団法人「日本専門医機構」(二〇一四年設立)が運営。研修先登録結果は同日までに機構が公表した。

 若手医師は研修終了後も即戦力としてとどまることが多く、地域偏在が続けば地方ではさらに医師の確保が難しくなる。専門家は「研修先の基準見直しなど、早急な対策が必要だ」としている。

 制度の対象は医師国家試験に合格し、国が義務付けている二年間の初期臨床研修を終えた若手で、希望する診療科と、研修先の医療機関を選ぶ。

 診療科ごとに研修プログラムが決まっており、例えば外科では消化器官や心臓などさまざまな部位の手術を執刀医として百数十例経験する必要がある。研修終了後、試験と合否判定は各学会が行い、機構が専門医認定する。患者は病院を選ぶ際に、治療水準を判断する目安にできる。

 一八年度の登録結果によると、外科希望者が十人未満だったのは二十七県で、群馬、山梨、高知は一人しかいなかった。東京が百七十人と圧倒的に多く、大阪六十九人、愛知五十一人、神奈川三十八人が続いた。内科も同様の傾向だった。

 研修の中心となる基幹病院は、指導医の数や年間手術件数といった厳しい基準があり、大都市の大学病院や大病院が多い。結果を分析した仙台厚生病院の遠藤希之(まれゆき)・医学教育支援室長は「当初から地方の病院では専門医(の認定)取得が難しいという批判があった。早急に制度全体を見直さなければ手遅れになる」と指摘する。

 専門医はこれまで各学会が独自に認定していたが、基準がばらばらで「医師の質や統一性に問題がある」として新制度が導入された。

◆偏る原因、議論を

<日本病院会の相沢孝夫会長の話> 「医師不足」「地域偏在」が言われるようになって久しいが、いまだにどの地域にどれくらいの医療体制が必要なのか、正確に検討、把握されていないのが実態だ。今回の登録結果を受け「大都市に偏っているから定員を地方に振り分けよう」という短絡的な対応に終始するべきではない。なぜ偏っているのか、根本的原因をもう一度正面から議論し、必要な医師の数だけでなく、医師を育てる基盤をどう整えていくのか、総合的に考えていく必要がある。

<専門医> 日本では国家試験に合格して医師免許を取得すると、基本的な診療ができるように2年間の臨床研修が義務付けられている。その後は各地の病院などで本格的に働き始めるが、特定の診療科で高度な知識や治療技術を身に付けるため「専門医」の認定を目指す人が多い。これまでは各学会が独自に認定していたが、基準が異なり、領域も100以上に細分化していたため、2014年に第三者機関の「日本専門医機構」が発足。外科や内科など基本的な19診療科について学会の養成プログラムをチェックし、専門医を認定する制度が18年度に始まる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582923
「5都府県シーリングのデータ公表」、松原・専門医機構副理事長
新専門医制度に関するデータ開示求める声、相次ぐ
 
レポート 2018年1月29日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は、1月29日の第6回会議で、2018年度開始予定の新専門医制度の「専攻医の採用・登録状況」について議論、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏の代理で出席した、同機構副理事長の松原謙二氏(日本医師会副会長)は、「東京に専攻医が集中しているように報道されているが、それは間違っている。内科の専攻医減少という報道も違う」と説明、その上で構成員から5都府県のシーリングに用いたデータ等の開示を求める声が上がったことから、「なるべく早く対応する」と回答した(資料は、厚労省のホームページ)。

 新専門医制度は、地域や診療科の医師偏在を増長させないことが求められ、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の14の基本領域(外科、産婦人科、病理、臨床検査、総合診療を除く)では、過去5年間の専攻医の採用実績を超えないというシーリングがかかる。しかし、シーリングに用いたデータをはじめ、新専門医制度の影響を検討するために必要なデータは、1月19日の日本専門医機構の記者会見でも、本検討会でも開示されなかった(記者会見は、『「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構』を参照)。

 遠藤座長は、新専門医制度は新たな制度であるため、「やりながら、さまざまな調整をしていけなければならない」とした上で、「透明性が重要という指摘があった。日本専門医機構には、この場で必要なデータについては開示してもらいたい」と要望した。

 シーリングのデータを求めた一人が、東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏。松原氏の説明に対し、「かなり定性的なスペキュレーション。今回の懸案は、都市部のシーリングの在り方。どんな制御が働いたのかを数字で明らかにしないと、この問題は収束しない」と強調。これに対し、松原氏は、「スペキュレーションなので、証明したいと思っている」とし、各学会に4月以降、精査を求めると回答。渋谷氏は「4月以降のフォローアップも必要」としたものの、1次募集時の採用人数を決める際、各基本領域は何人を過去の専攻医の採用実績としたのか、その根拠は何か、またどのようなシーリングがかかったのかなど、使用した実データの公表を求めた。

 奈良県の荒井正吾知事の代理で出席した、同県医療政策部長の林修一郎氏も、渋谷氏と同様に、「どのようにシーリングをかけたのか、次年度の設定の前にきちんと議論しなければいけない」と指摘。さらに医学部入学定員は、2009年度、2010年度に「地域枠」を中心に大幅に増え、臨床研修では大都市(5都府県)以外の採用割合が増加傾向にあるものの、厚労省が毎年実施する2年目の臨床研修医を対象としたアンケートと、新専門医制度の1次、2次登録者数を比較した結果、「後期研修では、大都市以外の採用割合が増加傾向にあったが、新専門医制度ではこうした傾向が見られない」と指摘した。「地域枠の医学生に、県は相当なお金を投じており、その成果がやっと出てくると期待した。過去数年と同じ傾向であれば、それでいいという結論ではなく、少なくとも臨床研修と同等に(地方の専攻医が)増えているかを議論しなければいけない」と提起した。

 松原氏は、「何も資料のないところから始め、今の形で何とかやっている」と理解を求めるとともに、「早くデータを出したいと思っている。なるべく早く対応したい」と回答。新専門医制度で、専攻医の地域別、診療科別の数が把握できるようになったとし、「今年、来年、再来年と積み上げ、これらのデータを基に議論していきたい」と強調した。

 林氏はさらに、都道府県協議会から、「地域医療従事者や女性医師への配慮に関して、各学会の研修カリキュラム制の具体的な仕組みを明らかにする」など、さまざまな意見が出ているものの、「日本専門医機構から、いまだ回答がなく、対応が明らかになっていない。回答はもらえるのか」と問題視。松原氏は「早く出すように言っているが、十分に対応できていない」とし、お詫びの言葉を述べ、今年3月末までに回答すると明言した。

 専攻医数、三師調査と比較できず

 新専門医制度をめぐる質疑応答に先立ち、まず松原氏は、12月の1次募集の採用結果と2次募集の状況を説明。1次募集では7791人が採用、その後、辞退者もいるという。2次募集登録者は、569人。「大都市部への専攻医集中を避けることが大命題だった」とし、専攻医の過去5年間の採用実績について、「各学会にお願いし、各学会から出された数値を日本専門医機構は採用した」と説明。

 その上で、2016年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(三師調査)による卒後3~5年目の医師数(地域別、診療科別)と、1次、2次募集の専攻医数と比較し、地域偏在の状況を口頭で解説した。これまでは2014年の三師調査データしか公表されていなかった(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。ブロック別に見ると、関東ブロック(1都6県のほか、山梨県、静岡県)は両者の比較で増えているが、「そう大きな差ではなかった」とした。同ブロックの専攻医増加率として「1.44%」という数字にも言及したが、その詳細は示されなかった。東京都は2次募集の登録者数は、内科16人を含む計60人。

 松原氏は、三師調査と新専門医制度の専攻医数を比較しても、地域偏在を議論できない理由として、(1)三師調査は、全ての医師が回答するわけではない、(2)専攻医数には、卒後4年目以降の医師も含まれる、(3)専攻医は基幹病院に登録、連携病院に派遣される仕組みのため、現在の勤務地を調査する三師調査と相違が生じる――などを挙げた。(3)の関連で、東京都には大学が多く、関東各県、さらには静岡県や山梨県にも医師を派遣している現状を説明。さらに内科専攻医については、1次登録採用者数と2次登録者数は計2659人で、認定内科医試験の受験者数から再受験者数などを差し引くと、ほぼこの数値に近くなるとし、「内科の専攻医が減少したという報道も違う」と述べた。いずれも1月19日の記者会見とほぼ同様の趣旨の説明だ。

 なお、総合診療の専攻医は、1次募集採用数の153人に加え、2次募集の登録が30人。そのまま採用が決まれば、計183人になる予定。

 研修プログラム制、「大学医局の復権か」

 29日の第6回検討会では、新専門医制度が採用する研修プログラム制も議論になった。福島県相馬市長の立谷秀清氏は、基幹病院から連携病院に専攻医が派遣される仕組みは、「基幹病院に人事権が発生する。大学医局の復権ではないか」と批判。派遣先として選択されない病院は医師不足に陥る上、「基幹病院で相当がっちりやらないと専門医を取得できない。取得できなければ医師としてやっていけないなどの恐怖心を医師たちに植え付けた」とし、研修カリキュラム制でも専門医取得をできるだけ可能にするなどの配慮が求められるとした。

 この点については、日本精神科病院協会常務理事の森隆夫氏も、「基幹施設が人事権をコントロールすることになっている」と問題視した。「大学医局への入局」と「研修プログラムの選択」は異なる問題であるとし、連携施設が専攻医を採用した場合には、連携施設での研修を担保できるようにすべきと指摘した。

 そのほか、議論は医師の地域、診療科偏在そのものの問題にも発展。地域医療機能推進機構理事長の尾身茂氏、聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、各地域の医療ニーズ、それを踏まえた必要医師数、専門医数を明確にする必要性を指摘、厚生労働科学研究で進めている研究結果が明らかになる時期を質した。厚労省医政局医事課は、「将来の医療ニーズをどう推計するか、テクニカルな難しさがあることも見えてきた。(医師偏在対策の)さまざまな制度改正を行う中で、その一環として検討していく」と述べるにとどまった。

 40都道府県が日本専門医機構に意見提出

 厚労省は専門医に関する都道府県協議会の活動実績も報告。2017年11月現在、47都道府県全てで設置済み。うち40都道府県で、日本専門医機構に意見等が提出された。「日本専門医機構から各都道府県協議会への情報提供の時期、内容等」「日本専門医機構の役割」「基幹施設、連携施設等の追加」「募集定員」「総合診療領域における一次審査等に関する」など多岐にわたる。しかし、奈良県の林氏によると、日本専門医機構からの回答はないという。

 さらに林氏は、「本来は、日本専門医機構、あるいは学会がチェックすべき研修プログラムの内容を、県が代わりに行った。都道府県協議会が本来の活動ができるように、検討してもらいたい」と求めた。



http://www.tonichi.net/news/index.php?id=65767
蒲郡市民病院 休床病床きょう再開
救急医療「今後もこだわった運営を」/地域の事情に応じた体制整備へ
 
2018/02/01 東日新聞

 蒲郡市民病院(平田町)は2月1日から、休床していた60床を再開させ、全382床での病院運営を行う。医師不足などにより、2008年から患者の受け入れ体制などを縮小。昨年度から経営状況や稼働率が回復しており、再開を決めた。担当職員は「今後も蒲郡の地域の事情に応じた体制を整備し、基幹病院の役割を果たしていきたい」と語る。

 病院は1997年に、同町に新築移転。計382床で運用を始めた。2008年に医師不足のため、診療制限や患者の受け入れ体制を縮小し、322床での運用を続けていた。

 市民病院の常勤医師の数は16年4月が40人、17年4月が44人で、今年4月にも増員が決まっている。常勤医師の増員などにより、17年4月~12月までの病床の稼働率は約78%。10月~12月の3カ月間は約82%と高い状況が続いている。

 今年4月からは、人間ドック事業を開始。検査で入院する患者の増加も見込まれることから、休床病床の再開を決めた。

 受け入れ体制の縮小を始めた当時は、60床ある4階の東病棟を閉鎖。13年以降は、各病棟へ休床する部屋を分散させていた。休床病床の再開により、患者のスムーズな受け入れが可能となり、各科医師の負担軽減の効果も期待される。
救急医療も維持して市民を支える
 近年に市消防本部の救急車は、年間に3000件前後の救急搬送を実施。そのうち、搬送先の90%以上が市民病院だった。

 病院は経営状態が悪化した際にも、採算が取りづらい救急医療を堅持。受け入れができない患者は、近隣市町の病院へ搬送されることになる。一刻を争う症状の市民を守るため、救急医療を担う機関としての使命感も高めている。担当職員は「民間の医師と連携しつつ、今後も救急医療にこだわった運営を続けたい」と話している。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/176278
公立病院の62%赤字
16年度、医薬品価格上昇
 
1/31 16:11 佐賀新聞

 赤字決算の公立病院の割合
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 全国873公立病院の2016年度決算を集計すると、61・7%に当たる539病院の経常収支が赤字だったことが30日、総務省の調査で分かった。前年度より3・3ポイント増え、6年連続で拡大。病院が受け取る診療報酬のマイナス改定や、医薬品などの価格上昇が影響した。

 公立病院は、民間では採算が取れない離島や山間部の地域医療を担っているケースが多く、自治体が特別会計を設けて運営している。総務省の有識者研究会は昨年末の報告書で、民間のノウハウを持つ外部人材の登用や経営の見直しを提言。これに沿って同省は自治体に改善を促す方針だ。

 赤字病院の割合は、医師不足が深刻化した06年度に74・3%となり、国は07年に病院の統合・再編を含む効率化を要請。10年度の赤字割合は46・1%まで減ったが、その後は地方の人口流出などで経営が再び悪化した。全病院の収支を合算すると16年度は831億円の赤字となり、15年度の542億円から1・5倍に拡大した。

 小規模な病院ほど、自治体の一般会計からの繰入金に依存する割合が高く、経営の維持が難しくなっている。



http://www.medwatch.jp/?p=18621
新専門医制度、偏在対策の効果検証せよ―医師養成と地域医療検討会 
2018年1月30日|医療計画・地域医療構想MedWatch

 来年度(2018年度)から全面スタートする新専門医制度では、医師の地域偏在を助長しないように5都府県に専攻医採用の上限を設定したが、その数字や算出根拠となるデータを明らかにして、上限設定によって実際にどの程度偏在を抑えられたか検証する―。

 1月29日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)で、松原謙二参考人(日本専門医機構副理事長、吉村博邦委員:日本専門医機構理事長の代理出席)が、このような考えを明らかにしました。公表されたデータを基に、新専門医制度が医師の地域偏在を本当に助長しないか、検討会などで確認することになります。

ここがポイント!
1 専攻医の偏在防ぐため、東京などでは採用者数「過去の実績の平均以下」に
2 上限値など確認し、今後の偏在対策に生かす
3 医学生が臨床実習中に「実施すべき医行為」を明確に

専攻医の偏在防ぐため、東京などでは採用者数「過去の実績の平均以下」に

 2018年度から新たな専門医制度が全面スタートします。専門医の養成・認定はこれまで各学会が独自に行ってきましたが、「質の担保」「国民への分かりやすさ」を目指し、学会と日本専門医機構が協働して、統一的な基準で養成・認定する仕組みへと変わります。

 ただし、「質を追求するあまり、専門医を養成する施設の基準が高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています

 偏在が生じる原因の一つとして、「医師の大都市集中」があげられます。これを新専門医制度が助長しないよう、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数を「過去5年間の後期研修医採用実績等の平均値以下に抑える」ことになっています(上限設定)。ただし、大都市においても不足が懸念される外科・産婦人科・病理・臨床検査の4領域では、この上限から除外されます。

上限値など確認し、今後の偏在対策に生かす

 日本専門医機構では、昨年(2017年)11月15日までの1次登録での採用状況(7791人分)を公表しています。その後18人が辞退したほか、今年(2018年)1月15日までの2次登録に応募した569人について、採用者の選考が進められています。2次登録の応募状況などはまだ公表されていませんが、1月29日の検討会で、松原参考人は「現時点では5都府県での上限が遵守され、都市部への専攻医集中が抑制されている」と説明しています(関連記事はこちら)。

1次登録での採用専攻医数(基幹施設の所在地・診療領域別)。7791人のうち18人は採用を辞退したという
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 しかし、検討会の渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は、「採用者数の上限がどのように設定され、専攻医の地域選択にどのような制御が働いたのか、数字で明らかにすべき」と指摘。その数字などに基づいて「偏在が明らかになった場合には、学会や日本専門医機構に是正を求めるとともに、今後の専攻医偏在対策に生かすべき」と主張しています。

 渋谷構成員の指摘を受けて、松原参考人は、▼各領域の5都府県の上限値▼上限値の根拠―などのデータを、次回の検討会に示す考えを述べています。

 領域ごとの上限値は、各基本領域学会が算出していますが、「5都府県それぞれで上限値は何人なのか」が明示されておらず、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)なども公開を求めています(関連記事はこちら)。上限値などを踏まえた検討会での議論が注目されます。

医学生が臨床実習中に「実施すべき医行為」を明確に

 ところで、専門医研修をめぐって立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)からは「後期研修医として専攻医に来てもらうが、基本的な診療能力が備わっていない」との批判が以前からなされています。この背景には、▼初期臨床研修のプログラムが必ずしも十分に統一されていない▼大学医学部在学中の臨床実習中に学ぶべき医行為が十分に学べていない―という2つの課題があるようです。初期臨床研修までの養成過程を充実させれば、後期研修において「医師として」活躍できると期待されるのです。

 この点について、厚労省と文部科学省は共同して、医師の養成過程の見直しに着手しました。例えば後者の「臨床実習中に実施すべき医行為」については、臨床実習内容の実態調査結果を踏まえた上で、今年度内(2018年3月末まで)にも明確化させる考えです。

厚労省と文科省は、医師の養成過程を一体的に見直す(図 略)

今年度(2017年度)の厚生労働科学特別研究事業で、臨床実習での医行為実施の実態を調査している。今後、この調査結果を踏まえて「臨床実習中に実施すべき医行為」が明確化される(図 略)

 現在、「医学生が実施してもよい医行為」(1991年)をベースに各大学において、医学生に「臨床実習でどのような医行為を実施させるか」を決めていますが、今後は、上記の「臨床実習中に実施すべき医行為」の中で示される▼実施すべき医行為▼実施が望ましい医行為▼実施すべきでない医行為―の具体例をもとに、臨床実習の内容を充実させていくことになるでしょう。

「医学生が実施してもよい医行為」は、1991年に取りまとめられた「臨床実習検討委員会最終報告」で例示されている(図 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/583348
「臨床医学論文、日本は30位以下」と警鐘鳴らす、福原京大教授
第1回稲門医学会学術集会シンポジウム「医療×ビッグデータの最前線」
 
レポート 2018年2月1日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

京都大学大学院医療疫分野教授福原俊一氏

 京都大学大学院医療疫分野教授の福原俊一氏は、1月28日都内で開催された稲門医師会主催の第1回稲門医学会学術集会のシンポジウム「医療×ビッグデータの最前線」で、「データベース研究が医療の質に与えるインパクト」と題して講演、日本の臨床医学コア・クリニカルジャーナル120誌の合計論文採択数で、日本は30位以下に低迷しており、「わが国の医学アカデミアは、岐路に立たされている」と警鐘を鳴らした。

 日本の臨床研究低迷の理由として、臨床医の統計解析や英語力の不足が指摘されることが多い。しかし、福原氏は「研究デザイン学」が体系的に教えられなかったことこそが問題であると指摘し、イギリスの遺伝統計学者である故Ronald A.Fisherの「データを集めた後に統計家に相談するのは、確定診断のために死体解剖を依頼するようなものだ」という言葉を紹介した。
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(提供:福原氏)

 さらに福原氏は、臨床研究をめぐる問題として、「臨床研究=臨床試験」ではない点も強調。昨今は診療情報やレセプト情報などのビッグデータの研究での活用が可能になったため、むしろ観察研究こそ大きな可能性を秘めているとした。日本の学会では基礎研究、あるいは症例報告に関する演題が多く、時々臨床試験も見られるものの、日本で少なく、海外で圧倒的に多いのは分析的観察研究だという。「1990年代後半に、EBMという“黒船”が日本にやってきて医学・医療に良い影響を与えたが、一方で、誤解されて受け入れられ、RCTでなければ強いエビデンスではないという教条主義が日本に蔓延し、刷り込みが行われた」と問題視した。

 分析的観察研究の事例として、福原氏自身が約20年にわたって関わっている、12カ国、2万人を超す透析患者を対象とした観察研究である「DOPPS」(Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study)や、福島県南会津地区住民の運動機能、排尿機能、睡眠、物の見え方(QOL)などを測定し、その後のメタボ発症、転倒や受療行動などを追跡するLOHAS(Locomotive Syndrome and Health Outcomes in Aizu Cohort Study)の成果を紹介した。

 シンポジウム「医療×ビッグデータの最前線」には、横浜市立大学医学部臨床統計学教授の山中竹春氏も登壇、「医療分野では、ビッグデータが集まってきて、思いもかけない分析ができるところまで来ている。臨床試験も重要だが、観察研究の時代に入ってきているのだろう」とコメント。患者データの名寄せができ、患者の長期経過も異なる医療機関の情報をつないで分析できるようになれば、さまざまな分析が可能になるとし、「医療ビッグデータの環境構築によって、臨床研究のやり方が根本的に変わる時代が来る」と見通した。

 山中氏の講演テーマは「産官学連携を踏まえた医療データの利活用に関する横浜の取り組み」。NDB(ナショナルデータベース)を活用した、がん腫別の外来化学療法の治療実態や看取りの実態などのほか、高齢者増に伴い増加が見込まれる救急需要予測などの結果を紹介した。横浜市立大では、今年4月から「データサイエンス学部」を設置し、医療分野を含む多領域のデータサイエンス人材の育成に取り組むことを紹介した。山中氏によると、同学部の設置は、医学部や附属病院を有する大学として全国初という。

 稲門医師会は、早稲田大学卒業後、他大学医学部に入学、医師免許を取得するなど、早稲田大関係の医療者で構成する団体(『「早稲田・稲門医師会」、136人で発足』を参照)。1月28日の学術集会には、医療法人社団鉄祐会理事長の武藤真祐氏、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授の渋谷健司氏、日本医師会会長の横倉義武氏の3人が基調講演したほか、シンポジウム、口演・ポスター発表が行われた。

 臨床医学の論文シェア、日本は2.64%

 福原氏が紹介したのは、北海道大学第一内科教授の西村正治氏の分析。各臨床領域のトップジャーナルである「Core Clinical Journals」をPubMedで調べた結果、臨床医学の論文採択数のうち、日本人による論文は、2000年代前半は年2200~2300本(約5%のシェア)だったが、2010年代は年1500本程度に減少した。2012年の場合、全論文採択数のうち日本人の論文が占める割合は2.64%にとどまる。一方で、米国は20%ものシェアを長期間持続している。

 日本の臨床研究の低迷改善に向け、前述のように福原氏は、「研究デザイン学」を教育する重要性を指摘。研究デザインとは、「構造化抄録形式の『研究の基本設計図』完成までのプロセス」であると説明。福原氏の教室では、優秀な大学院生でも、A4判1枚の研究の基本設計図をデザインするのに、約半年かけるケースが少なくないという。「研究デザインを発表させては、皆でディスカッションを行う。このプロセスの繰り返しが大事。研究の基本設計図を作成すれば、大学の倫理委員会に提出する研究プロトコルは、分厚いものでも1カ月ほどで作成できる」(福原氏)。

 分析的観察研究でエビデンス

 福原氏が講演で強調したもう一つの論点は、分析的観察研究の重要性。観察研究のうち、比較対照を置いて分析するのが分析的観察研究で、要因とアウトカムの測定タイミングと観察の向き(要因⇒アウトカムか、アウトカム⇒要因か)によって、コホート研究、症例対照研究、横断研究に分類できる。

 福原氏がSteering Committeeの一人として携わってきた「DOPPS」は、12カ国、2万人を超える透析患者に関する分析的観察研究。診療の実態・ばらつき(うつの診断の有無、シャント形成方法、透析時間、水質など)、診療のばらつきとアウトカム(イベント発生率、死亡率など)との関連性などを分析することによって、さまざまなことが明らかになってきており、「JDOPPS(日本のDOPPS)の結果が、世界の診療や日本の医療政策を変えた」(福原氏)。例えば、日本の透析は、諸外国に比べて、エンドトキシン濃度が低く水質が良く、それが日本の透析患者の死亡率の低さと関連している、シャントも日本の方法が良好な患者予後と関連している、ことなどが示されている。透析時間については、長いほど生命予後が優れるため、診療報酬も透析時間に応じた体系に改善された。

 福原氏は、「研究の参加施設、参加医師」は、「単なるデータ提供者から、リサーチ・クエスチョンの発案者、研究者」になるべきと期待を込めるとともに、若手臨床研究医の育成の重要性を強調し、講演を締めくくった。福原氏は、データベース研究等の振興と人材育成をミッションに掲げる日本臨床疫学会の代表理事を務め、第2回年次学術大会(2018年9月29、30日、京都大学)の会長も務める。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018013090123413.html
時間外労働で春日井市民病院に是正勧告 名古屋北労基署 
(中日新聞)2018年1月30日 12時34分

 愛知県春日井市の春日井市民病院が、時間外労働を可能にするための労使協定(三六協定)がないのに、医師をはじめとする病院職員に時間外労働させていたとして、名古屋北労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。勧告は昨年11月17日付。残業代は市の条例に基づき支給されていた。

 市によると、地方公務員は残業のための労使協定締結は必要ないとされるが、病院など現業職場の職員は該当しないという。春日井市民病院は「市役所の職員同様、病院も必要ないと認識していた。年度内には締結する予定」と説明している。

 また、昨年4~9月の時間外労働は、事務職員6人と医療技師1人が1カ月に100時間超、最大は医療技師の134時間だったこともあり、名古屋北労基署から過重労働による健康障害の防止に努めるように求められたことも分かった。

 同病院は「人員不足や昨年春の電子カルテへのシステム移行で業務量が増えた。各部門に労働時間を減らすように通達した」としている。



http://www.medwatch.jp/?p=18682
DPC病院や地域医療支援病院は病床稼働率の維持に苦労、規模が適正か検討しては―厚労省 
2018年2月2日|医療・介護行政全般 MedWatch

 病院の機能別に病床稼働率を見ると、地域医療支援病院やDPC病院では、年々下がってきているが、新規入院件数は増加している―。

 こういった状況が、厚生労働省が2月1日に公表した2016年度の「病院機能別 制度別医療費等の状況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちらとこちら)。「在院日数の短縮に新患獲得が追いついていない」状況であり、地域の医療ニーズに比べて現在の病床規模が適正なのか、という点も検討する必要がありそうです(前年度の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 1日当たり入院単価、特定機能病院で7万2141円、地域医療支援病院で6万436円
2 平均在院日数、75歳以上の後期高齢者や国保加入者で長い
3 稼働率は低下傾向、「適正な病床規模はどの程度か」を検討する必要あり

1日当たり入院単価、特定機能病院で7万2141円、地域医療支援病院で6万436円

 「病院機能別 制度別医療費等」は、病院を▼特定機能病院▼地域医療支援病院▼DPC病院—などの機能別に分類し、また患者が▼被用者保険▼国民健康保険▼後期高齢者医療制度―など、どの医療保険に加入しているのかで分類し、医療費を詳しく分析するものです。どの医療保険制度に加入する人が、どの機能病院にどれだけかかり、どれだけの医療費がかかっているのかなどが分かります。病院経営的には「どういった患者を積極的に受け入れれば、収益向上につながりやすいのか」といった視点で分析結果を眺めることができるでしょう。

 まず病院機能別の1日当たり医療費(いわば単価)を見ると、医科入院では▼特定機能病院7万2141円(前年度に比べて1788円・2.5%上昇)▼地域医療支援病院6万436円(同802円・1.3%上昇)▼DPC病院5万6470円(同450円・0.8%上昇)▼療養病床のみの病院2万1584円(同107円・0.5%上昇)―などとなっています。いわゆる高度急性期・急性期機能を持つ病院ほど、単価が上昇していることが分かります。

 また、療養病床のみの病院を除けば、「病院機能に関わらず『未就学児』で単価が高い」状況にあります(▼特定機能病院では8万8230円で、当該病院における医科入院全体よりも1万6089円・22.3%高い▼地域医療支援病院では7万1719円で、同じく1万1283円・18.7%高い▼DPC病院では7万2106円で、同じく1万5636円・27.7%高い)。

 逆に、75歳以上の後期高齢者では、療養病床のみの病院も含めて「病院機能に関わらず単価が低い」状況です(▼特定機能病院では6万9485円で、当該病院における医科入院全体よりも2656円・3.7%低い▼地域医療支援病院では5万4941円で、同じく5495円・9.1%低い▼DPC病院では4万9597円で、同じく6873円・12.2%低い)。

 また医科入院外に目を移すと、単価(1日当たり医療費)は▼特定機能病院2万4527円(前年度に比べて1251円・5.4%上昇)▼地域医療支援病院1万9581円(同552円・2.9%上昇)▼DPC対象病院1万8098円(同360円・2.0%上昇)▼療養病床のみの病院7376円(同4円・0.1%低下)―などとなっています。

 入院と異なり、未就学児では単価が低く、例えば▼特定機能病院で1万7594円(当該病院における医科入院全体よりも6933円・28.3%低い)▼地域医療支援病院で1万4055円(同5526円・28.7%低い)▼DPC病院で1万2017円(同6081円・33.6%低い)—などという状況です。

 逆に国民健康保険の加入者では単価が高く、▼特定機能病院で2万6647円(同2120円・8.6%高い)▼地域医療支援病院で2万1314円(同1733円・8.9%高い)▼DPC病院で1万9826円(同1728円・9.5%高い)—などとなっています。

1日当たり医療費は病院の機能によって異なる、さらに患者の属性(どの医療保険に加入しているか)によっても特徴がある(図 略)

 
傷病種類や診療報酬の支払方式(包括か、出来高か)なども勘案した、詳しい分析に期待したいところです。

平均在院日数、75歳以上の後期高齢者や国保加入者で長い

 次に、平均在院日数を見てみましょう。

 ▼特定機能病院16.3日(前年度に比べて0.4日短縮)▼地域医療支援病院15.2日(同0.2日短縮)▼DPC病院16.6日(同0.2日短縮)▼療養病床のみの病院169.7日(同8.3日短縮)―などとなり、短縮傾向が続いていることが分かります。

 未就学児では、在院日数が短い傾向にあります(地域医療支援病院では8.5日(同0.2日短縮)、DPC病院では9.1日(同0.1日短縮))が、特定機能病院では重篤な症例などが多く14.9日(同0.2日短縮)と比較的長めです。

 逆に在院日数が長いのは75歳以上の高齢者です(▼特定機能病院では17.3日、当該病院における医科入院全体よりも1.0日長い▼地域医療支援病院では19.0日、同3.8日長い▼DPC病院では21.7日、同5.1日長い▼療養病床のみの病院では175.1日、同5.4日長い)。

 また70歳未満でも、国保加入者は被用者保険加入者に比べて在院日数が長い傾向にあります(▼特定機能病院では2.4日▼地域医療支援病院では4.1日▼DPC病院では4.2日▼療養病床のみの病院では62.2日―長い)。国保加入者では「無職者」が増加しており、退院困難な患者が増えていることも予想されます。2018年度の次期診療報酬改定では、【入退院支援加算】(退院支援加算から名称変更)の算定対象患者に「生活困窮者」などが追加されますので、例えば無職者への入退院支援をこれまで以上に強化することで、「加算の算定」「在院日数の短縮」などにつながります。診療報酬改定に限らず、医療政策情報を積極的に収集し、かつ現場の業務に結び付けていくことが重要です(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

多くの機能で、新規入院患者数の増加(新患獲得)、平均在院日数の短縮がみられる(図 略)

稼働率は低下傾向、「適正な病床規模はどの程度か」を検討する必要あり

 さらに、病床の稼働率に目を移してみると、次のように推移しています。

【特定機能病院】▼2013年度:82.2% → ▼14年度:82.0% → ▼15年度:82.8% → ▼16年度:82.9%

【地域医療支援病院】▼2013年度:81.9% → ▼14年度:81.4% → ▼15年度:81.2% → ▼16年度:80.5%

【DPC病院】)▼2013年度:80.3% → ▼14年度:80.0% → ▼15年度:80.3%→▼16年度:80.1%

平均在院日数が減少傾向にある中で、多くの病院では病床稼働率低下に苦しんでいる状況がうかがえます。

地域医療支援病院やDPC病院では、病床稼働率が減少傾向にある(図 略)
 
 在院日数の減少は「空床の拡大」を意味し、同時に新規入院患者を多く受け入れなければ、病院経営は厳しくなっていきます。しかし、新規入院件数が前年度に比べてどれだけ増加(あるいは減少)しているのかを見ると、▼特定機能病院3.1%増▼地域医療支援病院6.5%増▼DPC病院4.3%増▼療養病床のみの病院5.5%増―などとなっており、多くの病院(DPC以外の一般病院ではマイナス6.6%)では、新規入院患者に向けた努力をしていることが伺えます。
 さらなる努力を検討することはもちろん重要ですが、地域の患者数は限られており、かつ大都市を除けば患者数そのものが減少している(人口が減少傾向にある)中では、努力にも限界があるでしょう。

 稼働率上昇が見られない地域医療支援病院やDPC病院では、「現在の規模(ベッド数)が適正なのか、地域の医療ニーズに比べてベッド数が多すぎないか」という点も含めた検討が必要です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583340
医師の働き方改革、「医師とは何か」の議論を◆Vol.2
医師国会議員:自見氏、吉田氏、岡本氏が鼎談
 
スペシャル企画 2018年2月3日 (土)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

医師国会議員:自見氏、吉田氏、岡本氏が鼎談
・3人の医師国会議員が語る日本の医療の課題と未来◆Vol.1
・医師の働き方改革、「医師とは何か」の議論を◆Vol.2

――医師として現場で働く中ではどのような問題を感じましたか。

岡本充功氏(内科)
 一番は、ドラッグラグの問題です。自分自身も大学院生の時に臨床研究や治験の手伝いをしており、血液・腫瘍内科は当時から全国的な臨床試験を行う組織を持っており、そこの事務局が名古屋大学にあり、さまざまな臨床試験のプロトコールを作るお手伝いをしていました。政治に参加しようと思ったのもドラッグラグが一番大きかったです。現場でできることは限られており、議員になって、日本でも臨床試験や治験がよりスムーズに行われる環境を作ろうとして、相当力を入れてきました。当選時に比べてだいぶ短くなったと思います。

吉田統彦氏(眼科)
 海外で研究、教育をしていたこともありますが、国産の医療機器、薬品を作って、国民の命と健康を守るとともにグローバルな競争力を持たせる必要があります。医療機器だけで毎年1兆円弱が海外に支払われており、次々と開発される高価な医薬品についても、どうやって保険診療に組み込んでいくかも含めて、考えていかなくてはならないと思います。

自見はなこ氏(小児科)
 最も問題を感じたのは女性医療職のことです。20代の医師の3割強は女性ですが、看護師、薬剤師など含めると、医療職の75%が女性だという統計があります。今まで医師、看護師、薬剤師、歯科医師など個々の団体で考えていた女性の働き方について、医療職全体を横断的に考えていく時期になりました。超党派の「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」で事務局長を務め、12月には加藤勝信厚労相に意見書を提出します(編集部注:12月15日に提出、『「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」、加藤厚労相に決議文』を参照)。

 女性の働き方について、現場で働いている人たちは忙しくて調整などはできず、男性管理者は知りもしない、致し方ないのですが、気づきもしません。看護師は約160万人いますが、実際には外数で、約72万人が働いていません。人が足りないと嘆くのではなく、女性医療職が働きやすい環境を作れるかどうかは、医療界全体にとっての分岐点となるような死活問題です。そして、女性にとって働きやすい環境は男性も当然働きやすいはずですし、そうならなければいけません。道のりは長いですが、家で子どもと一緒に晩ご飯を食べられる社会が理想です。

――女性に限らず、2017年は医師の働き方改革の議論が多方面からなされました。

自見
 まず2017年3月の「働き方改革実現会議」の取りまとめが出た時点で、医師については特別に2年間の検討期間と約5年間の適用猶予期間をいただきました。それを受けて、医師の働き方改革については昨夏から厚労省で検討委員会ができていますが、最も問題なのは構成員の中に首長さん達が入っていないことです。新専門医制度の時もそうでしたが、最終的に日本では、社会保障制度の下に国民医療を提供していますから、地域における医療の最終的な責任者は首長さんになります。国家であれば安倍首相です。ですが、働き方について、狭い了見で議論がされているのではないかと危惧しています。

 地域医療とのバランスの兼ね合いがどうしたって出てくるのに、その検討の場に首長が入らないことは、今後の議論の一つの混乱の一因になってくるだろうと思います。また、医師の実際の業務を減らしていく話し合いの過程で、医師以外の職種が行った業務に対する責任の所在などの論点整理も必要です。さらに、私は自分のことを労働者と思って働いたことは一度もありませんが、一方で、医師は労働基準法から言えば、がちがちの労働者です。今までの習慣上のことと、法的な枠組み、その根底にある「果たして医師とは何だろう」という議論がないまま進んでいるようにも映ります。

 ご承知のように私と同じ小児科医である中原ドクターが過労死で亡くなりました。こういったことは、二度とあって欲しくないと思います。これからも、もちろん勤務環境改善に全力で取り組みますが、では、夜中に急変した患者さんを診に行くことが労働時間にカウントされ、それが超過したら病院に罰則がかかるのか。あるいは自分が経験させていただいた貴重な症例をまとめる時間も労働とカウントされ、土・日曜日の学会も労働時間かといった議論になってしまいます。自己研鑽と労働の切り分けをどこで区切るのか。

 医師の働き方改革については、議論を重ね、医師だけに適用する高度プロフェッショナル制度は選択肢としてあり得るのか、業務分担時の責任の論点整理も含めて、もう少し幅広く俎上に載せ、国民を巻き込んで議論し、柔軟に考えないと、経営者も当事者の医師も困り、現場は行き詰まると思います。そういった中で、小児科医として思うのは、小児科は本当にチームワークが得意だということ。チームでやっているから当直明けも帰れます。チームワークを良くしていくと患者の満足度も上がります。科を超えてチーム医療を徹底することで、今の人数でかなりの部分が上手く行くだろうと思っています。ただそれには医療資源の集約化など地域医療構想そのものにも触れる部分が出現することを予想し、医療資源の元々かなり乏しい地域に対しては、別の施策が必要になります。

岡本
 医師、患者双方の意識改革をしなくてはいけないと思います。医師も人間ですので、長時間労働が及ぼす体への影響から無理をするようなことを控えていかなくてはならない。患者さんにも医師の過重労働に理解を求めたいです。主治医による対応を求めることが多いですが、チームで医療ができることを知ってほしいです。

 一方で、高度プロフェッショナル制度導入、裁量労働制を拡大するという議論の中で、これに医師を入れてしまうかどうかについては、一定程度、注意が必要です。単純に年収が高いからと、医師を入れるとせっかくの改革の機運を無くすことになります。ややもすると、そうするのではないかと懸念しております。これが答えだとなると、医師の働き方改革はなんだったのかとずっこけてしまいます。

自見
 全く同感です。この議論で忘れてほしくないのは、新しく医師になる世代では、女性が約4割ということです。これはビッグファクターです。管理者の先生方や決定権を持つ方々は、まだまだ専業主婦の奥様を持つ人が多いです。今は約4割が女性であることを忘れては議論は進みません。

吉田
 そもそも日本の医師は働き過ぎです。ただ、海外の医師が働いてないわけではなく、海外の有名な医師は朝6時から外来をやったりしています。一般的には一人一人の患者を診る時間も長く、予約もきっちり機能しています。そして特に米国では給与は極めて高く、いろいろ守られています。

 どちらが幸せかというと、圧倒的に日本の方が患者は幸せで、医師はアメリカです。値段が全然違います。診療レベルは日本が高いことの方が多いです。最先端の極めて特殊な治療はアメリカでしかできないこともありますが、一般的な医療は数字上も日本が優れています。今の制度が維持できるなら圧倒的に日本の方が患者さんは幸せです。

 ヒラリー・クリントン氏は、本当は日本型の医療を米国に入れたかったそうですが、「日本の医療は聖職者並みの医師の自己犠牲に支えられている」といった言葉とともに断念したわけです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583639
厚労省の「働き方改革の論点整理」に対案提示へ
地域医療を守る病院協議会、「緊急的な対策」は対応
 
レポート 2018年2月1日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 5つの病院団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は2月1日の記者会見で、厚生労働省の「働き方改革に関する検討会」が2月に打ち出す方針の「中間的な論点整理」について、対案を示す方針を明らかにした。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「地域偏在をなくす前に働き方改革を先にやると、『アベコベミクス』になってしまう。反対ばかりではなく対案を出していきたい」と説明。ただし、時間外労働についての労使協定「36協定」を点検することなど「緊急的な対策」については、「われわれもやらないといけない」と述べた(厚労省検討会は、『働き方改革の緊急対策、労働時間管理など5項目は「当然」』を参照)。

 2月1日の協議会では、新専門医制度についても議論。日本専門医機構の理事でもある邉見氏は、専攻医の4.5人に1人が東京に集まってしまったとして、「都道府県からおしかりを受けている」と明かした。専攻医の診療科ごとの応募状況を少ない順にまとめた資料を示して「群馬と高知は外科が1人。この人たちが働き盛りになる10年後に、この県で手術ができるのか。小児科は徳島と佐賀でゼロだ。ここでお母さんが子どもを産もうと思うのか」と嘆いた。対策としては、ある程度の強制的な措置や、それに基づいて地方に行く医師を支える仕組みも大切などの意見が出たという。

 全国国民健康保険診療施設協議会会長の押淵徹氏は、総合診療について、「制度が成熟するまでには時間がかかる」と指摘。日本専門医機構の「総合診療専門医に関する委員会」が長く開かれていないことを問題視し、早期開催を求める要請書を国診協副会長の金丸吉昌副会長と連名で、近く同機構に提出する意向を示した。



https://mainichi.jp/articles/20180203/ddl/k18/040/269000c
小浜病院
医師2人欠員 退職続き 地域に影響、後任探し急ぐ /福井
 
毎日新聞2018年2月3日 地方版 福井県

 昨年11月、女性看護師へのつきまとい行為で懲戒処分を受けた50代男性医師が退職した杉田玄白記念公立小浜病院(小西孝病院長)=小浜市大手町=で、先月末にも30代男性医師が退職したことが2日、分かった。現在、医師2人が欠員状態で、既に地域の医療体制にも影響が出ており、病院は後任探しを急いでいる。

 小浜病院によると、50代医師は急性心筋梗塞(こうそく)、30代医師は透析が専門。30代医師は「一身上の都合」で退職した。

 冬場は心筋梗塞のリスクが高まるが、50代医師退職後の昨年12月に6人、先月も5人の患者を小浜病院で受け入れられず、京都府舞鶴市の病院などへ搬送した。両月合わせて前年よりも2~3人増えたという。

 一方、透析の専門医はもう1人いるため、患者に迷惑をかけないよう勤務シフトを考慮しながら対応するという。【高橋一隆】



https://www.m3.com/news/iryoishin/582937
医学生の医行為、「3類型」に分類、厚労科研
卒前・卒後のシームレスな医師養成、5つの柱で遂行
 
レポート 2018年1月30日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、1月29日の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第6回会議で、厚生労働科学研究費補助金による「医学部の臨床実習において実施可能な医行為の研究」の進捗状況を説明した。主任研究者は日本医学会連合会長の門田守人氏が務め、2017年度中に結論を出し、それを基に、同省と文部科学省は、医学生の医行為を定めた1991年の“前川レポート”を四半世紀ぶりに改訂する予定だ(資料は、厚労省のホームページ。『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。

 本研究では、全国の医学部を対象に、臨床実習で医学生が行っている医行為を調査し、臨床実習における医行為を(1)指導医の指導・監視のもとに実施すべきもの、(2)指導医の指導・監視のもとに実施が望ましいもの、(3)原則として指導医の実施の介助または見学にとどめるもの――に分類する。分類を踏まえた上で、医学生が行うことができる医行為の範囲を整理し、明確化する。「臨床実習において、今までなぜ医学生による医行為が進まなかったのか、その現状や今後の方針も各大学に調査する予定」(厚労省医政局医事課)。

 さらに厚労省は、「総合的な診療能力を持つ医師のシームレスな養成」の方針も説明。(1)医学生が行うことができる医行為を整理し、初期実習の充実(2017年度中に取りまとめ)、(2)臨床研修において、基本的な診療能力を身に付けるため、外科、産婦人科、小児科、精神科も必修化(2020年度を目指して改革)、(3)医学生の共用試験(CBT)の位置付けの整理((1)とセットで検討)、(4)医学教育において、「Post CC OSCE」の正式実施(2020年度からの正式実施に向けトライアルを実施)、(5)医師国家試験の出題傾向として「臨床実地問題」により重点を置く(既に一定程度進行、さらに対応を検討)――の5点だ。

 卒前・卒後の一環した医師養成を進めるため、医学教育、医師国家試験、臨床研修の改訂時期を将来的に揃える方針も提示した。

医学教育充実で臨床研修の短縮要望も

 卒前・卒後の一環した医師養成に関連して構成員から出たのは、医学教育を充実させることで、卒後2年間の臨床研修を短縮、あるいは省略できるのではないか、という意見だ。

 福島県相馬市長の立谷秀清氏は、臨床研修に続き、新専門医制度の開始により、さらに3年間研修を行うようになれば、「社会に出る時期がそれだけ遅れる」とし、「医学教育を充実させることにより、臨床研修でやるべき相当部分が、医学教育でこなせるのではないか。専門研修は2年間前倒しができる」と指摘した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、医学教育の充実に伴い、臨床研修が組み込まれれば、「将来的に臨床研修がなくなることもあり得るのか」と質問。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「医学教育改革に伴い、当然、臨床研修も変わってくるだろう。シームレスな医師養成を考える中で、しっかり検討していく」と答えた。

 一方で、臨床研修の短縮に慎重姿勢を示したのは、東京大学名誉教授の桐野高明氏。「いかに医学教育を充実させ、診療参加型の臨床実習の時間を増やしても、それでは基本的な診療能力は獲得できず、医療の高度化、複雑化にも対応できない。一方で医師を早く養成すべきという意見もあり、どちらがいいかは相当な議論が必要だろう」と指摘。

 日本精神科病院協会常務理事の森隆夫氏は、「医学生は今、かなり疲弊している。医学教育では、教えることがどんどん増えているので、その中で臨床実習を充実させるとなると、パンクする人も出てくるだろう」と警鐘を鳴らした。

 これに対し、東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、知識面の教育を今のやり方で進めるのではなく、取捨選択して必要最小限の知識に限り、それ以外は医学生が現場で考え、自分で解決策を見いだす教育への転換が求められると提案した。



https://www.asahi.com/articles/ASL2145WZL21UBQU00L.html
病院統合構想の関連予算案、弘前市議会が可決 
佐藤孝之2018年2月1日15時00分 朝日新聞

 青森県弘前市にある市立病院と国立病院機構弘前病院を統合する中核病院構想をめぐり、市議会臨時会が31日開かれ、市が提案した関連予算案など2議案がいずれも賛成14人、反対11人の賛成多数で可決された。これを受け、市は諮問機関を2月中に設け、中核病院と地域包括ケアシステムのあり方を諮問する。

 中核病院構想は、調整役の県が一昨年10月に国立病院機構の主導で整備する案を示し、協議が始まった。しかし、葛西憲之市長が昨年12月、「市が整備、運営の主体になる」と表明し、同時に中核病院を核とした地域包括ケアシステムを構築する方針を打ち出した。

 市がこの日提案したのは、医療コンサルタントへの業務委託料など計978万円の補正予算案と諮問機関設置の条例案。葛西市長は「短命脱却と健康寿命延伸などの課題解決に向け、地域包括ケアシステムの構築とその中心になる中核病院の整備計画を策定するため」と提案理由を述べた。

 ログイン前の続き質疑後の討論で、最大会派「自民・公明・憲政」(12人)を代表して工藤光志議員が「整備の方向性が定まらないことに不安が広がっている。計画を早く示し、国立病院機構などと合意形成しないといけない」と賛成を表明。これに対し、共産党(3人)の千葉浩規議員が「整備、運営の基本方針が明らかにされていない」、無所属の石岡千鶴子議員が「地域包括ケアシステムと中核病院は切り離して考えるべきだ」と述べるなど反対意見も出たが、採決で可決された。

 葛西市長は可決後、報道陣に「丁寧な説明をしたことで、市の取り組みへの理解が進んだと思う。議論が進めば、医師の確保など様々な好影響も出てくる。本日の議論を真摯(しんし)に受け止め、しっかり進めていきたい」と語った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583918
大川がんセンター病院長を更迭、神奈川県立病院機構
土屋理事長「大川病院長に2度辞職を求められた」
 
レポート 2018年2月3日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 神奈川県立がんセンターで放射線科医が一斉退職した問題で、センターを運営する神奈川県立病院機構理事長の土屋了介氏は2月2日、記者会見後に、大川伸一病院長を更迭する人事を同日付で発令したことを明らかにした(会見の内容は『神奈川県病院機構、県に真っ向から反論、医師退職問題(2月3日追記)』を参照。)。

2月2日付の人事発令は以下の通り。
金森平和:神奈川県立がんセンター病院長代行(がんセンター企画情報部長)
小林寿光:神奈川県立がんセンター病院長補佐(神奈川県立病院機構みらい臨床研究支援センター長)
大川伸一:神奈川県立がんセンター企画情報部長(がんセンター病院長)
※括弧内は発令前の所属

 がんセンターの病院長は当面の間、不在となる。病院管理者は病院長代行の金森氏が務める。土屋氏は「責任を明確にし、人心を一新し、管理体制を強化すべく、体制整備の第一弾として人事異動を発令した」と説明している。

 2月2日の記者会見では、土屋氏は副知事2人から辞職を求められたことを明らかにしたが、その前段階として、2017年11月に大川病院長から2度、「先生が原因だから辞めてほしい。先生がパワハラをしたから4人が辞める」と言われたことがあると説明した。土屋氏は「(辞めると言っている4人の医師とは)ヒアリングだけで、直接接したことがない」として、全く身に覚えがないと説明している。

 土屋氏によると、辞任を求めた背景として大川病院長は「医師派遣を求めた群馬大と東京大から「土屋理事長が怖いので、やめないと人を出せない」「土屋理事長がいる限り、一月いっぱいで引き上げる」と言われたから」と説明したという。土屋氏が後日、群馬大教授を訪問した際に直接確認したところ、明確に否定されたという。東大についても土屋氏が「『私がやめたらどういう体制で人を出してくれるのか』と聞くと、下を向いてしまった」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581264
日病会長、「医師は普通の労働者と違う」
産婦人科学会フォーラム、現状を議論
 
レポート 2018年1月22日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本産科婦人科学会は1月21日、東京都内で「拡大医療改革委員会」兼「産婦人科医療改革公開フォーラム」を開催し、産婦人科医や弁護士らが産婦人科の現状や医師の働き方改革について議論した。講演した日本病院会会長の相澤孝夫氏は「今の働き方改革で本当にいいのか。医師も労働者だが、高度な『知識労働者』。普通の労働者とは違うことを強調しなければいけない」と述べ、医師の特殊性に応じた改革が必要だと強調した。

 相澤氏は、病院の職員は医師を筆頭に、ピーター・ドラッガー の言う「知識労働者」(英語でKnowledgeworker、日本で言う『プロフェッショナル』)であり、労働時間や病院に忠誠を誓うのではなく、成果や達成に対して忠誠心があり、知識・思考を生産手段として問題解決を行うことを生きがいとして仕事をするもの、との考えを披露。その中でも特に医師は高度な知識労働者であって管理を忌避し、成果を出すためには働きがい、やりがいを持って働けるようにすることが大事だと強調した。

 一方で社会的な風潮として労務管理の重要性が高まっている中で、日病会長として各病院を回り、人事部門に「時間外労働が80時間を超えた医師と話をしているか」などと尋ねても、「人事が医師の所へなんて行けない、と答えが返ってくる」と言い、医師に関する労務管理が難しい現状を明らかにした。時間外勤務時間が長くなる要因の一つである当直・日直については、「これを労働時間に入れられたら、(時間外勤務手当の支払いで)病院はお手上げだ」と指摘する一方で、当直明けの勤務の軽減などの対策はすぐにでもできると述べた。

川人弁護士、「5年間猶予は疑問」

 過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博氏は、東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた30代男性医師が2015年7月に自死し、2017年7月に労災認定された件を改めて紹介(『産婦人科後期研修医の自死、労災認定 代理人弁護士「産婦人科医療がそうさせている」』を参照)。その上で、医師の働き方改革に向けて次のような提言をした。

 まず、「とりわけ過労死が出るのは建設業、運送業、そして医師ら医療従事者で、上限規制の例外を設けるのはおかしい。罰則付き上限規制を5年間猶予するのははなはだ疑問だ」と述べ、医師についても労働時間規制をしっかりとかけることを主張。また、医師の増員や医師以外でもできる業務の移譲、応召義務の削除または軽減のほか、「(時間外に説明を求めるなど医師の負担が大きい事例で)患者を聖域に置かずに 適切な対応をすること」や、「医療事故・訴訟に関連するストレスをいかに軽減するか」、「『俺たちの若い頃は…』などと言って長時間勤務を正当化するような医療機関側の意識の改革」などを挙げた。

 総合討論では、川人氏が改めて、「産婦人科は国家的な要請のある分野だ。診療報酬を改善し、産婦人科をやることが医療機関の安定につながるよう学会から厚生労働省に求めてはどうか」と提言。また、診療科の偏在を解消するためには、ある程度、誘導するような制度も必要との見解を示した。

 フロアからは、横浜市立大学の医師が「働き方改革をする前提として、医師は自分がどういう雇用条件で働いているのか、知らないケースが多すぎると思う。そこから始めないと、問題点すらあぶり出されてこない」と提案。宮崎県の県立病院医師が「産婦人科ってこんなに優遇されているよと若手に話しても、興味を示さない。就業の自由をあまり縛るのもどうかと思うが、ある程度国家政策として、数そのものを増やすことも含めてやってほしい」と述べた。

 最後は相澤氏が「『お上がそう言うならそうなのか』という感じで、こうしてほしいというようなことを医療界からあまり言ってこなかった。あれができない、これができないと言うばかりでなく、何をやっていけばいいのか議論して変えていくべきだと考えている」と総括した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582543
マッチングに「研究医育成枠」を検討、臨床研修部会
過去2カ年強、研修医の1.2%が研修中断
 
レポート 2018年1月27日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は1月25日、医師臨床研修マッチングにおいて、臨床研修と基礎研究を両立するための「基礎医育成・研修コース」を設置し、一般のマッチング枠・募集定員とは別枠にすることについて議論した。3月中にまとめる、2020年度からの見直しに関する報告書にも盛り込まれる見通し(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省事務局は研究医養成をめぐる現状の課題として、▽基礎医学系の大学院博士課程入学者に占める医師免許取得者の割合が低下▽基礎医学論文数は、国際的に見て日本は低調であり、基礎研究分野の国際競争力は相対的に低下傾向▽基礎医学研究を行う医師であっても、診療(健康診断等を含む)を行う場合は、臨床研修を修了する義務がある▽臨床研修病院の募集定員については、基礎医学に従事する予定の医師も含め設定されている――と指摘。

 医学部でのMD-PhDコース(医学部在学中から大学院を見越した研究活動をできる)の設置も進んでいるが、臨床研修期間中は研究から離れざるを得ない状況もあることから、「臨床研修と研究をより円滑な形で行き来できる仕組みを構築することが必要」とする見直し方針を示した。

 具体的には、「基礎医学に意欲があり、基礎系の大学院に入学する者(MD-PhDコースを含む)」を対象に、一大学につき原則1人(基準に応じて変更)を基礎枠限定の選考を行い、初期研修と基礎研究を同時にできるようにする案を提示した。48週の選択科目の期間に基礎系の研究室に通うことを認めるというもの。事務局は「臨床的な到達目標を満たす範囲で、研究をしてもらうということ」と説明している。

 順天堂大学学長の新井一氏は「制度が導入されれば基礎系に行くモチベーションが高まるのでは」、和歌山県立医科大学学長の岡村吉隆氏も「どっぷり研修をやっていると基礎への意欲が薄れていく。研修中に基礎の教室に行けるのはすごく良いと思う」と歓迎した。

 一方で、参考人として出席した聖路加国際病院長の福井次矢氏は「臨床研修必修化の前から基礎系に進むMDは減っている。原因は研修制度以外にあるということ。大きな潮流についてアタックしないとだめだと思う」と指摘、理学系の学生も減っているとの指摘もあった。

 3月に提出する医師臨床研修部会報告書にむけて引き続き議論する。

研修医の1.2%が研修中断

 事務局は2015年度から2017年度(7月まで)中に、研修医の1.2%(2006~2009年度は平均1.3%)が研修の中断を経験していると報告。大学病院、市中病院ともほぼ同様の数値だった。

 その理由としては「病気療養」が37.4%、「妊娠・出産・育児」が9.9%、「研修内容への不満」が4.1%、「家族等の介護」が2.4%、「研修体制の不備」が0.3%、「その他」が45.9%だった。「病気療養」では「メンタルヘルス上の事情を有する研修医が多い」、「その他」では「プログラム変更、自己都合及び研修医同士のトラブル等が多く挙げられる」と付記している。

基幹病院「年間入院患者数3000人以上」の是非

 今年度中に提出する「医師臨床研修部会報告書」をめぐっては、基幹型臨床研修病院の要件について再び議論となった。「年間入院患者数3000人以上」が指定基準とされている一方、それに満たない病院については、訪問調査の結果によって指定が認められてきた。3000人以上を満たす病院でも訪問調査が必要ではという意見や、病床の機能分化が進む中で3000人という基準そのものを見直すべきではという意見も出た。



  1. 2018/02/04(日) 10:22:58|
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