Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月14日 

https://www.asahi.com/articles/ASL1C5VPGL1CUBQU00Z.html
海外医学部卒の研修医、医師不足の解消につながるか 
松浦新2018年1月12日06時00分 朝日新聞

 埼玉県毛呂山町の埼玉医科大総合診療内科で専門医の研修をする横山央(まどか)医師(38)は4年前の会話を忘れない。

 「実習ができたら一生、俺のところに来い」

 「はい。一生、先生についていきます!」

 相手は同科の中元秀友教授。中元教授は「律義なやつです」と笑う。

 横山医師がそこまで思い詰めたのは、中国の大学医学部卒だからだ。高校時代に修学旅行で行った中国が好きになり、高校を卒業した後、北京に2年間、語学留学をした。その後、上海の大学医学部を受験して合格した。

 それからが大変だった。授業も教科書も中国語。中国の医学部は5年制だが、2回留年して卒業した。2007年に帰国したが、日本の医師国家試験の前に「予備試験」を受けなければならなかった。書類を整えるだけでも苦労し、何度も落ちて12年に予備試験に受かったが、さらに国内で「実習」も求められた。

 相談できる人がおらず、途方に暮れてたどりついたのが埼玉医大の中元教授。13年9月から1年間実習後、15年の医師国家試験に合格。日本で7年半かけてようやく医師として働くことができた。横山医師は「日本の医学部のほうが早かっただろう」と話す。

 とはいえ、医学部は難関だ。埼玉医大で研修医をしている小澤純一医師(31)は、日本の国立大学医学部の入試に3回落ちた。

 小澤医師は、中学の時から医師として海外で国際貢献することを夢見てきた。そこで、父が教えてくれたハンガリーの医学部に行く決意をして07年に同国に渡り、翌年、首都ブダペストにある国立センメルワイス大学医学部に合格した。学費は父が出したが、月10万円ほどの生活費は日本で奨学金を借り、いまも月約13万円を返済する。

 授業も教科書も英語。小澤医師によると、入学は比較的簡単だが、進級が大変で、同期入学の日本人11人のうち、留年せず6年で卒業したのは小澤医師含め3人だけだったという。

 ハンガリーの医学部卒だと予備試験なく医師国家試験が受けられる。小澤医師は1度落ちたが、16年に合格し、埼玉医大の研修医になった。

 海外の医学部卒業生が大学病院で働く背景には、国家試験に合格した医師が自由に研修先を選べる、04年からの「新医師臨床研修制度」がある。教授が研修医らの人事権を握ってきた大学の「医局」に医師が残らなくなった。埼玉医科大病院の織田弘美病院長は「外国で学んだ医師の受け入れには医師確保の期待がある」と話す。埼玉医大では現在、中国で学んだ2人、ハンガリーで学んだ3人が働いており、日本各地でも同様の動きがある。



http://www.kochinews.co.jp/article/151453/
高知県内で若手医師が増加 奨学金貸与など支援が結実 
2018.01.12 08:15 高知新聞

 長らく減少が続いていた高知県内の40歳未満の若手医師数が増加に転じたことが11日、県のまとめで分かった。国の統計によると、2014年の517人から2016年は552人に増加。県は「医学生への奨学金貸与やキャリア形成の支援などが実を結んだ」としている。

 全国の医師数は2年ごとに厚生労働省が発表しており、最新の16年の医師数がこのほど発表された。県医師確保・育成支援課によると、40歳未満の医師数は県が把握する最も古い1996年の818人以来、減り続けていた。

 特に2004年度に臨床研修制度が新しくなり、「都市部の病院で多くの症例を経験したい」と考える研修医が増加。郡部を中心に県内の医師不足に拍車が掛かった。

 このため、県は医師確保対策に着手し、2007年度に「医師養成奨学貸付金」を創設。医学生に月額15万円を貸与し、卒業後に県内の指定医療機関で貸与期間の1・5倍勤務すれば返済が免除される制度を作った。さらに高知大学、高知県医師会などと「高知医療再生機構」を設立し、専門医養成支援事業などのキャリア形成支援策を打ち出した。

 この結果、県内の病院に採用される初期臨床研修医が増加。2009年の36人から、2014年以降は50人台が続き、17年は58人となった。

 高知県健康政策部の家保英隆副部長は「支援策が周知され、若手医師に高知でもしっかりとキャリア形成ができると認知されてきたことが大きい」と増加要因を分析し、「高知市など県中央部に医師が集中し、郡部で不足する地域偏在はまだある。引き続き医師確保を進めたい」。

 高知医療再生機構の倉本秋理事長は「研修医や若手医師のグループが自主的に勉強会を開催したり、高知大で地域医療教育に取り組んできたことも要因」と指摘。「若手医師の増加は当直態勢が充実するなど地域医療の質の向上にもつながる」と話している。



http://www.yomiuri.co.jp/local/shimane/news/20180111-OYTNT50199.html
県内医師充足率77% 
2018年01月12日 読売新聞 島根

◇昨年1.5ポイント改善も不足続く

 県内で2017年に医療機関が必要とする勤務医数1260人に対して、実数は969・7人(前年比29・5人増)で、充足率が77%だったことが県のまとめでわかった。調査を始めた2006年以降で最低だった前年より1・5ポイント上昇しわずかに改善したものの、医師不足が続いている。(中筋夏樹)

 県が島根大付属病院を除く県内の50病院と40診療所の17年10月時点の医師の必要数と実数を調べた。
 県内を7地域に分けた2次医療圏別では、73・7%(前年比4・1ポイント減)の益田以外は前年を上回った。前年比4・5人増の隠岐が最も高い92・4%(前年比1・1ポイント増)。雲南は70・1%で2・5ポイント改善したが、最も低かった。
 16の診療科別では、眼科(53・9%)、リハビリテーション科(58・7%)、救急(60・1%)、耳鼻咽喉科(68%)、泌尿器科(68・3%)が70%に満たなかった。
 診療科を2次医療圏別にみると、松江の救急が17・5%と6年連続で著しく低い。松江市医療政策課は救急医療の激務が背景にあるとして「軽症の場合は救急を利用しないよう呼び掛けたり、休日診療所を設けたりしている」と話す。
 常勤医師数は前年比26人増の1138人で、06年以降で最多となったが、病院機能の充実や医療の専門化などで必要数も増加傾向にあり、充足率は07年に8割を超えた以外は70%台が続いている。
 県は19年での充足率80%を目指しており、今年度は不足している産婦人科と小児科の専門医などを目指す医師らに研修資金を貸与する制度を2年ぶりに復活させた。県内で勤務すれば年240万円の貸与金は返済不要で、現在3人が利用している。県内での勤務に関心を持つ全国の医師を登録する「赤ひげバンク」の登録者のうち、16年度までの15年間に149人が県内での医療に携わった。
 県医療政策課は充足率の微増について「取り組みの成果が表れた」と話す。一方、産婦人科や小児科など診療科別の偏在が解消されないのは、厳しい勤務実態や訴訟リスクが高くて医師が集まらないためとみられ、同課は「医学部のある山陰の大学や医療機関、市町村と連携して医師の養成と確保に努めたい」としている。

◇看護職員は96・4%

 県は県内全51病院の看護師や助産師、保健師ら看護職員の2017年10月時点の調査結果もまとめた。必要な看護職員6513人に対して充足率は96・4%で、10年の調査開始以降、最低だった前年より1・2ポイント増だった。
 2次医療圏ごとでは、松江以外で前年を上回った。前年最低だった隠岐は2・4ポイント改善して92・3%になった。
 県は19年に97%を達成するため、院内保育所の運営費として16年度は12医療機関に計約4800万円を補助したほか、過疎地域や離島に5年間就職すれば返済を免除する看護学生向け修学資金の貸与制度を開始。16年度は20人、今年度は19人が利用した。



https://mainichi.jp/articles/20180110/dde/041/040/023000c
長時間労働
過重労働、悩む若手医師 上限基準を「守れず」7割、制限だけでは医療崩壊 厚労省に環境整備求め提言
 
毎日新聞2018年1月10日 東京夕刊

 医療現場の長時間労働問題を考える医師らのグループが、若手医師や医学生を対象に実施したアンケートで、労働時間の上限基準が守れていないと感じている医師が7割に上ることが明らかになった。人手不足などが要因で、現場からは「疲れていては医療の質も保てない」と悲鳴が上がる。一方で「若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量を減らさず、時間だけを制限すれば医療崩壊につながる」との声もあり、苦悩する医師らの姿がうかがえる。【古関俊樹】

 医師の長時間労働は、一昨年1月に新潟市民病院で37歳の女性研修医が過労自殺するなど大きな問題となっている。政府は働き方改革で残業時間の上限規制を検討しているが、医師には原則診療を拒めない「応招義務」があるため、規制のあり方の検討が必要だとして適用を5年間猶予する方針を示している。

 アンケートをしたのは、東京などの若手医師を中心とするグループ。厚生労働省の有識者検討会で進む医師の働き方についての議論に同世代の意見を反映させようと昨年11月、大学卒業後10年以内の医師と医学生を対象にインターネットで調査を実施。約2週間で約800人から回答を得た。

 調査結果によると、労働時間の上限基準について医師の約77%が「守るべきだ」と答える一方、現状について約71%が「守れていない」と回答した。理由では、業務量の多さや人員不足など医療体制の問題に加え、長時間労働を美徳とする医師の慣習を挙げる意見があった。残業や休日勤務などを取り決める労使協定(36協定)などのルールについては、医師も医学生も6割前後が「理解していない」と回答した。

 調査では900件を超えるコメントも寄せられた。「疲労を少なくすることで質の高い医療を提供できる」と長時間労働の是正を求める声の一方、「時間を規制されて技術が向上する機会を奪われる方が嫌」という意見も。「残業している方が評価されやすい」と現場の雰囲気を問題視する声も多かった。

 グループは調査結果を踏まえて「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」と題する提言書をまとめ、先月22日に有識者検討会に提出した。国民や行政、医師会などが協力して長期的な目標を設定し、医師が労働基準法を守れるような環境を段階的に実現していくよう求めている。

 提言書の取りまとめで中心となった東京大大学院医学系研究科の医師、阿部計大さん(35)は「若手医師が国民の健康を第一に考えながらも、自身の健康状態が患者に及ぼす影響などに大きな危機感を抱いていることが伝わってきた」と話した。

寄せられたコメント(抜粋)
・救急外来の呼び出し、患者の急変など自分ではコントロールできない業務がある(外科男性)

・自主的に、休日に患者の回診をすることが暗黙のルールになっている(小児科男性)

・医師は24時間365日働くものだと考えているベテラン医師、患者が存在する(内科男性)

・気合とプライドで乗り切れるとみんな思っている雰囲気がある(麻酔科女性)

・若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量の軽減を考えずに時間だけを制限すれば医療崩壊につながる(救急科男性)

・病院にいてこそ症例が拾える面がある。オンとオフを区別することが重要(整形外科女性)

・医師も家族を持つ一人の人間。自分を大事にできなければ患者さんも大事にするのは難しい(総合診療科男性)

・自分が患者なら、寝不足で判断力が低下した医師の治療を受けたくない(眼科男性)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180110-OYTET50006/
ニュース・解説
新人医師の臨床研修に産婦人科必修…2020年度から
 
2018年1月10日 読売新聞

 勤務環境の厳しさなどから産婦人科医が不足するなか、厚生労働省は2020年度から、新人医師の臨床研修で産婦人科を必修にすることを決めた。

 10年度に必修科目から外れたが、研修医全員に産婦人科の現場を経験してもらい、志望者を増やすきっかけにしたいと、関係学会が再び必修化するよう求めていた。

 国家試験合格後に受ける臨床研修は、医師法で2年以上と定められている。現在、内科、救急、地域医療が必修で、産婦人科は選択可能な科目の一つ。20年度からの必修は、従来の3科目に、産婦人科、外科、小児科、精神科が加わり計7科目になる。

 日本産婦人科医会の調査によると、昨年の産婦人科医の人数は1万1573人。10年以降、微増傾向が続くものの、不足は解消していない。同医会の昨年の推計では、リスクが高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が、労働基準法を守る上で必要な人数を確保できていなかった。

 日本産科婦人科学会は「産婦人科医が増えるきっかけになることが期待される。受け入れ体制を整えて産婦人科の魅力を伝えたい」としている。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011402000120.html
【社会】
日赤、月200時間残業協定 渋谷のセンター 過労死基準2倍
 
2018年1月14日 朝刊 東京新聞

 日赤医療センター(東京都渋谷区)が医師の残業時間を「過労死ライン」の二倍に当たる月二百時間まで容認する労使協定(三六協定)を結んでいることが十三日、分かった。医師二十人は二〇一五年九月からの一年間で月二百時間の上限を超えて残業。渋谷労働基準監督署は昨年三月、センターに協定を順守するよう是正勧告した。
 政府は働き方改革の一環として次期通常国会に、残業時間を罰則付きで規制する法案を提出する方針だが、医師への適用は五年間猶予される。適用の前倒しを巡る議論も必要となりそうだ。
 労災の過労死が認められる目安は月百時間の残業とされているが、現行では労使間合意があれば残業時間の上限に制限はない。
 日赤医療センターは日本初の赤十字病院で常勤医師約二百六十人、約七百床の大型総合病院。月二百時間の上限を過重だったと認め、協定を見直すとしている。非常勤を含めた医師の補充や近隣医療機関との連携で「まずは全医師の残業月百時間以内を目指す」と説明している。
 労使協定では、特段の事情が発生した場合に限り時間外労働を「一カ月二百時間(年六回まで)、年間二千時間」まで延長できると規定。ただ、センターによると、二百時間超えも頻繁に発生し、一五年九月からの一年間で四回超えた医師が二人、二回が三人、一回が十五人いた。昨年一月以降も、毎月四十~五十人の医師が百~百五十時間の残業をしている。残業が多いのは外科や小児科、救急科だった。厚生労働省は「医師の働き方」に関する検討会を設置している。病院の労使協定を巡っては、国立循環器病研究センター(大阪府)が残業月三百時間を可能にする協定を結んでいたことが昨年九月、明らかになっている。

◆過酷な労働実態を反映

 勤務医の過労死問題に詳しい松丸正弁護士の話 月二百時間の労使協定は過労死ラインの二倍で異常だが、救急医療に携わる勤務医の過酷な労働実態と懸け離れたものではない。現実を見ながらやむを得ず結んだ協定だろう。行政も日本医師会自身も長時間労働の議論を十分にしなかった結果、勤務医の残業を減らせば、医療が崩壊するという二律背反の状況が生まれている。勤務医の過労は医療の安全にもつながる問題で、早急な解決が必要だ。
<三六協定と過労死ライン> 労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間までと規定するが、同法36条に基づく労使協定(三六協定)を結べば、企業は労働者に時間外労働(残業)を命じることができる。厚生労働省は三六協定の残業を月45時間、年360時間までとの基準を示すが、労使で合意すれば上限はない。厚労省は脳・心臓疾患を労災認定する目安として、発症前1カ月に100時間、または2~6カ月にわたり月80時間超の残業を設定。「過労死ライン」と呼ばれる。



http://www.medwatch.jp/?p=18208
医療介護の地域別データの2017年度版を公表―日医総研 
2018年1月12日|医療・介護行政全般 MedWatch

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は1月10日、ワーキングペーパー「地域の医療介護提供体制の現状(2017年度版)」を公表しました。

 「都道府県別・二次医療圏別データ集」と「市区町村別データ集」があり、▼都道府県▼二次医療圏▼市区町村―の単位で、人口動態や医療需要、介護保険施設の設置状況などを把握できます。病院経営者が自院の将来像を描く際の参考になりそうです(日医総研のサイトはこちらとこちら http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_553.html)。

日医総研のワーキングペーパーでは、人口分布を地図上に示すなど、情報が分かりやすく提示されている(図 略)

自院の将来像を模索する上で参考になるデータ集の最新版


 人口減少社会に入った我が国では、入院患者数そのものも減少していきます。また少子・高齢化の進展に伴い、疾病構造も変化します(肺炎や骨折での入院需要が増え、大手術が必要な急性疾患での入院需要は減る)。このため病院には、▼地域医療構想(地域の将来の医療提供体制像)▼病床機能報告の結果(地域における他院の動き)▼自院の実際の姿▼地域の医療需要(人口動態や疾病構造など)―などを総合的に捉え、将来の姿を模索することが求められます。

 高齢化は介護サービスの需要増大も引き起こすため、「治療によって状態が落ち着いたが、介護サービスを利用するめどがつかず退院できない」高齢患者が増える恐れもあります。病院経営者は、「地域にどの程度の医療・介護資源があり、どの程度の供給不足(もしくは過剰)が見込まれるか」を把握することが求められます。

 日医総研が今般公表したワーキングペーパーは、医療・介護資源の現状や、今後の人口動態などを地域別に示すもので、病院経営者には、最低限このデータを活用して「自院の歩むべき道」を考えることが求められます。

 「都道府県別・二次医療圏別データ集」は2012年、「市区町村別データ集」は2015年から毎年公開しています。2017年度版では、各地の人口データを2015年の国勢調査に基づいて更新するなどして、現状により近い値を示しています。

 上述した2つのデータ集で確認できる情報を、都道府県→二次医療圏→市区町村という具合に、焦点を絞りながら見ていきましょう。北海道→札幌二次医療圏(札幌市など6市1町1村)→札幌中央区を例にとると、次のようなことが確認できます。

【北海道】
▼人口は、▽2005年:562万7737人→(4%減少)→▽2015年:538万1733人→(8%減少)→▽2025年:495万9984人と推移する
▼患者の受療行動が大きく変わらなければ、高齢化の影響により医療需要が2015年から2025年にかけて4%程度増える
▼介護保険施設やサービス付き高齢者向け住宅の定員数は、現状では75歳以上人口に対して比較的多い(偏差値にすると60)ものの、75歳以上人口が増える2025年までに現状の1.1倍程度に増やさなければ不足してしまうので、施設・住宅の増設か、在宅療養のためのインフラ整備が求められる

【札幌二次医療圏】
▼人口は、▽2005年:231万15人→(3%増加)→▽2015年:237万5449人→(3%減少)→▽2025年:229万3364人―と推移する
▼医療需要は2015年から2025年にかけて12%程度増加する
▼75歳以上人口に対する介護保険施設などの定員数の偏差値は現在69で、全国平均レベルを大きく上回っているが、現状の1.3倍程度まで増やさなければ、やはり2025年には不足する

【札幌市中央区】
▼人口が、▽2015年:23万7627人→(1%増加)→▽2025年:24万488人→(1%減少)→▽2040年:23万8093人―と推移する
▼人口当たり病床数の偏差値は現在、一般病床が81と非常に高く、▽回復期病床:57▽地域包括ケア病棟:57▽療養病床:57―の偏差値も高い
▼サービス付き高齢者向け住宅の75歳人口当たり戸数が、1000人当たり92.6と多く(全国平均は13.5)、偏差値は119に達し、飽和状態にあると想定される
▼75歳以上人口当たりの通所介護事業所数と短期入所事業所数の偏差値はどちらも43で、地域の需要に対して不足している可能性がある

これらは、病院経営者が「自院の病床戦略を立てる」際や、「介護サービスへの参入を検討する」際などに必要な最低限の情報となります。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180112142123
【中医協】18年度診療報酬改定を諮問、厚労相
12日から1週間程度でパブコメ募集
 
2018年01月12日 15:49 CB News

 加藤勝信厚生労働相は12日、中央社会保険医療協議会(中医協)に2018年度診療報酬改定を諮問した。中医協は同日の総会で、これまでの議論をまとめた整理案を大筋で了承。厚労省はこれを受け、整理案のパブリックコメントの募集を同日にも開始し、1週間程度の日程で意見を受け付ける。これらで集まった意見を踏まえ、診療報酬点数の配分を決める議論を今月下旬以降、本格化させる。2月中旬の答申を目指す。【越浦麻美】

 この日の総会で厚労省は、昨年12月に決めた診療報酬の改定率や同月11日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会が取りまとめた「診療報酬改定の基本方針」に基づいて、従来通り答申を行うよう求めた。

 整理案は、中医協によるこれまでの審議結果を基本方針に沿ってまとめたもの。18年度診療報酬改定では、入院医療の評価体系を抜本的に見直す。一般病棟入院基本料や療養病棟入院基本料などを、▽急性期一般入院料(仮称)▽地域一般入院料(同)▽療養病棟入院料(同)-に再編・統合し、入院医療の基本的な診療の「基本部分」と、診療実績に応じた「実績部分」への評価を組み合わせた体系に再編・統合することなどが盛り込まれている。

 厚労省は、18年度診療報酬改定をめぐる整理案について、医療現場や患者などから意見を募集し、それらを踏まえて中医協で議論を深めていくとしている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554391.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《2》
外来需要は2025年に減少に転じ入院需要は増加

2018/1/12 三和護=編集委員、満武里奈、加納亜子 Medical Tribune

 ■ 外来需要が減少に転じ入院需要は増加へ
 ■ 肺炎や心・脳血管疾患が増えるも癌は横ばい
 ■ 都市部は看取り場所不足で在宅需要が急増

外来需要のピークは2025年

 2040年に向けて、医療ニーズはどのように変化していくのか。それを示す格好のデータがある。経済産業省の「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」(座長:慶應義塾大学教授の土居丈朗氏)がまとめた、外来・入院別の医療需要推計がそれだ。

 2015年に設置された同研究会は、高齢化や人口減少がさらに進行する2040年までを見据えた将来の医療需要を地域ごとに推計。現状の医療提供体制を踏まえて、地域ごとに医療の需給ギャップを可視化している。

 それによると今後、外来の医療需要は微増して2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる。一方、入院の医療需要は2040年までハイペースで増加を続け、ピークを迎えた後はおおむね横ばいで推移すると推計されている(図4)。

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図4 外来・入院医療需要の推移


 推計の根拠には、高齢化率の上昇と人口減が挙がっている。入院の医療需要は、加齢に伴いほぼ直線的に増加する。また、外来の医療需要は80歳を超えると減少に転じる傾向があるが、それまではやはり増え続ける。そのため、団塊の世代が後期高齢者となる2025年にかけては、外来・入院ともに医療需要は増加する。

 2025年以降も高齢化が引き続き進行するため、入院の医療需要はさらに増加する。これに対して外来の医療需要は、団塊の世代が80歳代に差し掛かるとともに、それより若い世代の人口減が進行するため、減少に転じるとみられている。

 こうした外来と入院の医療需要の推計を基に同研究会は、「将来的に多くの地域において、診療所をはじめとする外来医療需要に対応している医療資源を、在宅による訪問診療・看護に活用し、回復期・慢性期機能病床の医療需要の増加へ対応していくことが考えられる」と見通している。

肺炎や心・脳血管疾患が増加

 では、疾病の種類別に見た医療需要はどのように変化するのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計と患者調査から厚労省が作成した入院患者の将来推計によれば、肺炎や心疾患、脳血管障害などが大幅に増加する(図5)。一方で意外なことに、癌(悪性新生物)は2025年まで微増で推移した後、減少に転じると予測されている。

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図5 入院患者の原因疾患の将来推計

 さらには高齢化の進展に伴い、認知症の患者も急増する。認知症について長期的・縦断的に調査した久山町研究を基にした内閣府の将来推計では、2012年に462万人だった認知症患者数は2040年には802万~953万人まで増加し、65歳以上の有病率は21.4~25.4%に達するとみられている。「高齢化のスピードが速い日本では、認知症の患者数も急速に増加する」と九州大学大学院医学研究院附属総合コホートセンターの二宮利治氏は指摘する。

 このような疾病構造の変化を踏まえ、奈良県立医科大学で公衆衛生学講座教授を務める今村知明氏は次のように語る。「今後は急性期よりも急性期後や回復期、慢性期の医療の比重が大きくなる。それに伴って、介護保険における要支援・要介護認定者数も大幅に増えていくことが見込まれる」。

産科・小児科は集約化が加速

 診療科別に見ると、少子高齢化と人口減の進展の影響を最も大きく受けるのが産科と小児科だろう。2016年の医療施設調査・病院報告によれば、産婦人科または産科を標榜する診療所は、2008年の3955施設が2014年には3469施設と12.3%減少した。病院も同様で、2008年の1496施設から2016年には11.0%減となる1332施設にまで減っている。

 分娩に着目すると、日本産婦人科医会のまとめでは、2016年の分娩取扱病院数は1063施設まで落ち込んだ。2007年の1281施設から9年間で2割近くの減少となった。この間の合計特殊出生率は、1.34から1.45へと増えていた。にもかかわらず分娩取扱病院数が減少したのは、施設の集約化が進んだことが影響している。1病院当たりの分娩数を見ると、2007年の446人が2016年には531人と2割ほど増えている。

 では、2040年代の産科医療はどうなっているのか。日本の将来推計人口によると、2040年の出生率(中位推計)は1.43となっており、現状とそれほど変わらない。ということは、分娩取扱病院数が増える可能性はまずない。むしろ人口減の影響で、各地域で産科施設の集約化がさらに進むと考えられ、分娩取扱病院数は減るばかりというのが現実的な予測といえそうだ。

 産科ほどではないが、小児科も標榜施設数の減少や患者減が著しい。先の医療施設調査・病院報告によれば、小児科を標榜する診療所は2008年の2万2503施設から2014年には2万872施設へと7.2%減少した。病院も2008年の2905施設から2016年の2618施設へと9.9%も減っている。

 また、厚労省の研究班が日本小児科学会に登録されている医療機関924施設を対象に実施した調査によると、2005年から2014年までの10年間で、小児の外来患者は23.6%、入院患者は15.9%、それぞれ減少したことが明らかになっている。

 その後も少子化には歯止めがかかっておらず、2015年に1589万人だった14歳以下の小児人口は、2040年には1194万人にまで減る見込みだ。小児患者の減少がさらに進んでいくことに疑いはない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/579386
「大学病院こそ地域包括ケアを理解、教育する場」
医療介護福祉政策研究フォーラムが新春座談会
 
レポート 2018年1月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人「医療介護福祉政策研究フォーラム」は1月10日、「地域医療構想と地域包括ケア」をテーマに新春座談会を都内で開催した。司会を務めた慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏は、2018年度診療報酬改定の基本方針として、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」が掲げられた一方、介護報酬改定でも「医療」という言葉が頻出するなど、2000年度の介護保険制度の創設当初は、医療と介護の間には非常に距離があったが、今は密接に関係するようになった点を強調、その上で、「急性期病院は、世間から孤立して急性期医療をやっていればいい時代ではない」と指摘した。

 約3時間にわたった新春座談会の最後のあいさつでも、田中氏は、「医療機関が地域に期待される役割は何か。入院、外来、訪問機能、介護関係職種への教育機能など、さまざまな機能を果たし得る。その中で一つの機能にすぎないベッドを埋めることにこだわっていてはいけない」と述べ、多世代共生の町づくり、地域づくりという視点も踏まえ、医療の在り方を再考する必要性を強調し、関係者の意識改革を促した。

 横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長で、同大麻酔科教授の後藤隆久氏は、「大学病院は、地域包括ケアシステムをきちんと学生に見せ、学生が進路を考える場を提供していかないと、大学が病院を持つ意味がない」と強調、「特に教授がこれからの医療の在り方を理解すべき」と述べ、大学自体も地域医療構想や地域包括ケアシステムの構築が進む中で変革を迫られている現状を紹介した。

ディスカッションでは、医師の働き方改革・新専門医制度・医師偏在対策、地域医療構想等における都道府県が果たす役割への期待、地域創生の在り方について、各シンポジストが発言。

 「地域医療構想と地域包括ケア」は、行政や経営者の視点から語られることが多いが、現場の医師の意識改革、関与の必要性を指摘する声が挙がり、産業医科大学公衆衛生学教授の松田晋也氏も、「地元福岡のケアマネジャーに聞いたところ、一番連携しなければいけないのは医師だが、最も連携しにくいのも医師とのこと」とエピソードを紹介。

 「地域医療構想と地域包括ケア」がターゲットとするのは、団塊の世代が全て後期高齢者になる2025年。松田氏は、75歳以上人口の推移と予測データも提示。75歳以上人口が増え始めたのは、1985年くらいからであり、その後、急速に増加しており、「“2025年”の意味はただ一つ。それは、後期高齢者の激増が止まる時期。そこから15~20年はほぼ横ばいになる。この時期を乗り切るために、2025年までにメドを付けておく必要があり、そのために地域医療構想、地域包括ケアなどがあることを理解してもらいたい」(松田氏)。

 松田氏は、現状および将来の医療の在り方を考える際に必要なデータも示した。その一つが、広島県の医療と介護のレセプトを連結して分析した「脳梗塞のために急性期病院で入院利用を受けた患者の入院前後のサービス利用状況」であり、介護保険のサービスを利用していたのは、入院6カ月前は約4割、入院後6カ月後には7割以上が利用していた。「介護の現場から急性期病院に入院し、また介護の現場に帰っていく」と松田氏は述べ、医療・介護を総合的に考える重要性を強調した。

「なぜ大学病院は急性期病院か」、横市大

 シンポジウムには、田中氏、後藤氏、松田氏のほか、厚生労働省大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人氏、日本医師会副会長の今村聡氏、全日本病院協会会長の猪口雄二氏、参議院議員の古川俊治氏の各氏が登壇。

 地域医療構想や地域包括ケアは、制度論や一般病院経営の立場から語られることが多いが、地域医療の現状を踏まえ、大学病院の立場から発言したのが後藤氏。

 後藤氏が院長を務める横浜市立大学附属市民総合医療センターは、大学病院分院の位置づけ。726床でDPCII群。病院のある横浜市は人口約370万人だが、400床以上の急性期病院が計16病院ある。2025年には急性期の病床の必要量は減る見通しであり、「既に急性期病院は、“レッドオーシャン”で、患者の取り合いが起きている」(後藤氏)。2年前に後藤氏が病院長に就任した際に、病床機能の転換も考えたものの、大学病院は急性期以外にはダメだとされたと言い、「なぜ大学病院は、急性期病院なのか」と思ったという。

 「大学病院の医師のインセンティブとは何か。なぜ大学病院の医師は、安月給なのに、あえて大学にいるのか」と問いかけた後藤氏は、その一つの理由として、次のように説明。「医師同士の間でとにかく認められたい。そのためには困難な患者をより多く見て、その診療成績を発表したり、論文を書く。それにより学会の中での地位を上げていくことを追求する。困難な患者は診療密度が高いので、大学病院はやはり急性期病院になる」。

 さらに医学部教授には、“領土問題”、つまり担当科の病床数や医師数の減少に対する抵抗感は強いという事情もあり、「大学病院的な手厚い人員配置で、回復期・慢性期病床の経営が成立するのか」という現実も踏まえ、結果的に「大学病院の病床転換は困難」「急性期病院としての地域での大学病院の在り方を、教授をはじめ医学部教員に理解してもらわないと、大学病院としてはやっていけない」との結論に至ったという。

 2016年の秋頃から、最重要課題として取り組んだのは、「頼まれた救急患者、紹介患者、当院に受診歴がある患者は必ず診る」ことだった。「『大学病院で診るべき患者ではない』と言って、門前払いをすれば、われわれが本来診るべき患者も送ってもらえなくなる」。こうした話を臨床部長会で繰り返した後藤氏。

 今年の課題は、近隣病院と連携を深めること。「高機能、重装備だが、高コストでもある大学病院で診なくてもいい患者は、他に紹介する。そのために顔の見える関係を構築していくことが課題」。

 「なぜ大学は附属病院を持っているか」「なぜビジネススクールは附属会社を持っていないのか」。その答えとして、後藤氏は次のように説明。「大学は、医学、医療を教える場。昔は急性期医療を教えていればよかったが、今は地域包括ケアシステムを教える必要がる。それを学生に見せ、学生が自分の進路を考える場を作ることができなければ、大学病院である意味がない。特に教授がこれからの医療の在り方を理解すべき」。

 横浜市立大学では、文部科学省補助金による「課題解決型高度医療人養成プログラム」として、2018年度から、大学病院のマネジメントの在り方や、都市部の医療システム構築に貢献できる人材育成に取り組むことになっている。



http://www.medwatch.jp/?p=18177
2016年から17年にかけて在院日数が短縮し、利用率も低下―病院報告、2017年9月分 
2018年1月11日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 ここ5年における「9月分」の平均在院日数・病床利用率を見ると、「平均在院日数」の減少傾向が続く中で、2015年まで月末病床利用率が上昇していたが、2016年以降は低下してしまっている—。

 このような状況が、厚生労働省が1月10日に公表した2017年9月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

安定経営と在院日数短縮を両立させる難しさが際立つ

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として公表しています(2017年8月分の状況はこちら、17年7月分の状況はこちら、17年6月分の状況はこちら)。

 昨年(2017年)9月における(1)の1日平均患者数は、病院全体で入院124万3329人(前月比7261人・0.6%減)、外来134万7495人(同1万5268人・1.1%減)となり、入院・外来ともに前月から減少しています。病床種別(医療法)に入院患者数の動向を見ると、▼一般病床:66万8005人(同5421人・0.8%減)▼療養病床:28万6177人(同1165人・0.4%減)―などと全種別で前月を下回っています。

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.1日で前月から0.7日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床16.0日(前月比0.4日延伸)▼療養病床150.9日(同1.6日延伸)▼療養病床のうち介護療養病床326.9日(同10.8日延伸)▼精神病床265.5日(同1.2日延伸)▼結核病床69.3日(同2.5日短縮)―となり、残念ながら全病床種別で前月より延伸してしまっています。

一般病床の平均在院日数は、2017年8月から9月にかけて0.4日延伸した(図 略)

 また(3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では77.0%で、前月に比べて3.0ポイント低下してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床70.5%(前月比4.7ポイント低下)▼療養病床87.1%(同0.8ポイント低下)▼療養病床のうち介護療養病床91.0%(同0.1ポイント低下)▼精神病床85.7%(同0.5ポイント低下)▼結核病床34.2%(同0.8ポイント低下)―という状況です。

 在院日数が延伸しているにもかかわらず、病床利用率を維持できておらず、後述するように「新患獲得」などに苦労している状況が伺えます。

 次に一般病床における「9月分」の平均在院日数を5年前から見てみると、▼2012年:17.8日→(0.3日短縮)→▼2013年:17.5日→(1.0日短縮)→▼2014年:16.5日→(変化なし)→▼2015年:16.5日→(0.3日短縮)→▼2016年:16.2日→(0.2日短縮)→▼2017年:16.0日―と推移しています(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。少しずつではありますが、短縮が着実に進んでいる状況が伺えます。

 一方、月末病床利用率は、▼2012年:70.9%→(2.1ポイント上昇)→▼2013年:73.0%→(0.1ポイント上昇)→▼2014:73.1%→(0.9ポイント上昇)→▼2015年:74.0%→(1.1ポイント低下)→▼2016年:72.9%→(2.4ポイント低下)→▼2017年:70.5%―という状況です。こちらは、2015年まで上昇が続いた後に低下してしまっています。

 メディ・ウォッチで度々お伝えしているとおり、「平均在院日数の短縮」は、▼7対1や10対1病院における重症患者割合の向上▼DPCのII群要件の1つである「診療密度」向上―などに大きく寄与するなど、経営面では極めて重要なテーマの1つとなります。また経営面から離れて、院内感染・ADL低下のリスク低減といった「医療の質向上」にもつながります。つまり、在院日数短縮の努力は急性期に限らず、すべての医療機関で進めていくべきテーマであり、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定でも、例えば早期退院に向けた介護サービス事業者との連携が促されている見通しです。

 とはいえ、単純に在院日数を短縮するだけでは、「病床利用率の低下」(空床の発生)につながり、経営状況の悪化を招く恐れもあります。そこで、▼かかりつけ医と連携する▼救急搬送患者を受け入れる―といった新入院患者の獲得策とセットで在院日数を縮めることが重要と言えます。この点、2016年8月と2017年8月とを比較すると、平均在院日数が0.1日短縮する一方で月末病床利用率が0.6ポイント上昇し、困難な「両立」を実現していました。しかし、2016年9月と2017年9月とを比較すると月末病床利用率が低下しており、「両立」の難しさが際立ちます。

 なお、人口減少社会に入った我が国では、地域の患者数そのものが減少しています(近い将来、大都市でも人口が減少していく)。その中では、▽病床機能報告の結果(地域における他院の動き)▽自院の実際の姿▽地域の医療ニーズ(人口動態や疾病構造など)―などを総合的に捉えて、「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」を視野に入れることも必要となるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59387/Default.aspx
中医協総会 かかりつけ医機能を初診時に加算で評価へ 機能分化、病診連携を後押し 
公開日時 2018/01/11 03:51 ミクスOnLine

厚生労働省保険局は1月10日の中医協総会で、次期診療報酬改定の焦点である“かかりつけ医”について、初診時の加算新設を提案した。地域包括ケアシステム構築が求められる中で、かかりつけ医が予防から入院、在宅までのステージで中核を担うことが期待されている。患者にとって気軽に相談でき、必要に応じて専門医へ紹介するなどの機能を担う医療機関の評価を新設することで、かかりつけ医の機能を明確化。あわせて、大病院との病診連携を推進し、医療機関の機能分化、地域包括ケアシステム構築に向けて後押しする考えだ。

高齢化が進み、在宅で治療を受ける生活習慣病患者が増加する中で、かかりつけ医は、①日常的な医学管理と重症化予防、②専門医療機関等との連携、③在宅療養支援、介護との連携―と予防・外来、入院、在宅の各ステージにかかわることが求められている。

かかりつけ医を評価する点数としては、地域包括診療料、地域包括診療加算などの点数があるが、初診の機能を重視し、新たに評価する方針を打ち出した。専門医療機関との連携として具体的には、合併症の入院が必要な場合などで精密検査や治療が必要なケースや急性増悪への対応などが想定される。ただし、異なる疾患での再診となる患者については、診療報酬上での区分が難しいことから、初診時に限ることも提案した。

2018年度診療報酬改定の議論では、大病院受診時の定額負担については、現行の一般病床500床以上の地域医療支援病院との対象範囲を400床以上に拡大する方向で議論が進められている。今回要件に示された、専門医療機関への紹介機能はこうした観点からも重要性を増すこととなる。

診療側は提案を歓迎した一方で、支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「初診で、患者が気軽に相談できるというのは当たり前。必要であれば専門医療機関を紹介できるのも当然のことだ。患者にとっては、そういった機能があるところに行くときは高いお金を払わないといけないことになる」と指摘するなど、支払側からは、患者負担の増加を懸念する声もあがった。

◎急性期の入院基本料は7段階に 重症患者割合が今後の焦点に

この日の中医協総会では、一般病棟入院基本料(看護配置7対1、10対1)の見直しについても議論がなされた。7対1入院基本料と10対1入院基本料を再編・統合。7対1と、10対1の間の中間的な評価を2段階新設し、7段階の評価とすることを提案した。

今後、急性期医療のニーズは減少傾向となることが推計されており、急性期病床から地域包括ケア病棟などへの転換が求められている。一方で、現行の7対1入院基本料(1591点)と10対1入院基本料(1332点)との間には診療報酬点数上に格差があり、病院経営の観点からも転換を阻んでいる現状があった。こうした中で、看護配置などの基本部分に加えて、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を評価する診療実績に応じて段階的な評価とすることで、医療機関の「弾力的で円滑な選択・変更」を後押しする見直し方針が示されていた。

中医協に示された具体案では、現行の7対1入院基本料に相当する「入院料1」、10対1入院基本料に相当する「入院料4、5、6、7」に加え、両者の中間的な水準となる基本料として、「入院料2」、「入院料3」を新設する。この新たな基本料は、入院料1の届け出や診療情報データ(DPCデータ)を用いた判定が必須であることなどを要件化する。

診療実績の基準に用いられる「重症度、医療・看護必要度」も見直す。重症度、医療・看護必要度は、A項目(モニタリング及び処置等)、B項目(救急搬送後の入院)、C項目(手術等の医学的状況)を基準に判定することになる。①A得点が2点以上かつB得点が3点以上、②A得点が3点以上、③C得点が1点以上―について、毎日測定し、直近1か月の該当患者の割合を算出する。7対1入院基本料を算定するには、該当患者が25%以上となることが必須要件。10対1入院基本料では、12%以上、18%以上、24%以上と重症患者の割合に応じて段階的な評価がなされている。

厚労省は、見直し案を2案提示したが、診療・支払各側ともに、①「A得点1点以上かつB得点3点以上」かつ「診療・療養上の指示が通じる」または「危険行動」のいずれかに該当している患者を該当患者に追加、②開腹手術の所定日数を5日から4日へ変更――を支持した。

今後焦点となるのが、現行の7対1入院基本料を取得できる重症患者の割合だ。認知症患者の影響もあり、見直し後は重症患者の受け入れ割合が増加することとなる。支払側は、これまで30%以上への引上げを求めてきた。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、基準の見直しにより、「該当患者が3~4%増加する新たな付加的な要素が出てきた」とし、「現行7対1入院基本料の基準を34%に引き上げる」ことを求めた。

一方、支払側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、現行制度でも赤字に陥っている急性期病院があると指摘。10対1入院基本料に相当する基本料については、該当患者割合の基準引き下げを求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=18163
かかりつけ機能持つ診療所など、初診料の評価アップへ―中医協総会 第382回(2) 
2018年1月10日|2018年度診療・介護報酬改定

 かかりつけ医機能を持つ医療機関について、初診に係るコストを考慮した評価を行ってはどうか。また、薬価調査の正確性を担保するために、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか―。

 1月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点についての議論も行われました。

ここがポイント!
1 かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的
2 単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額

かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的

 2013年8月に取りまとめられ、現在進められている社会保障・税一体改革のベースとなっている「社会保障制度改革国民会議報告書」では、外来医療の機能分化を進める方針が打ち出されています。

「診療所や中小病院が一般外来を受け持ち、大病院は紹介・専門外来に特化すべき」との方針で、これまでの診療報酬改定等でも▼紹介状なしに大病院外来を受診した患者の特別負担(初診5000円以上、再診2500円以上)▼主治医機能を評価する【地域包括診療料】や【地域包括診療加算】などの創設・拡充―など、外来医療の機能分化に向けた見直しが行われてきています。

2018年度の次期改定においても、当然、同じ方向が打ち出されており、▼紹介状なし外来受診患者から特別負担を徴収する病院の拡大▼【地域包括診療料】などの要件緩和▼オンライン診察・医学管理の診療報酬上の評価新設―などが既に議論されています。

1月10日の中医協総会では、これらに加えて、「かかりつけ医機能のさらなる評価」案が厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長から提示されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた基本方針や、政府の財政再建に向けた計画(経済・財政再生計画)の改革工程表に盛り込まれた「かかりつけ医機能の推進」をさらに強化していく狙いが見て取れます。

かかりつけ医機能については、昨年(2017年)2月の中医協総会で議論されており、そこでは、次のような機能を診療報酬で評価していくことが重要であるとの共通認識が醸成されています(生活習慣病の指導管理を例に)。

(1)日常的な医学管理と重症化予防:▽疾病教育▽生活指導▽治療方針の決定▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師と連携)▽治療効果の評価▽重症化の予防・早期介入―など
(2)必要に応じた専門医療機関などとの連携:▽専門医療機関への紹介、助言▽合併症に応じた療養指導▽急性増悪への対応―など
(3)在宅療養支援・介護との連携:▽在宅医療を行う場合の管理・療養指導▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師との連携)▽要介護状態などに応じた療養指導▽介護との連携▽急性増悪への対応▽看取り支援―など
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日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その1)

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日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その2)
 
 こうした機能を評価する診療報酬項目として、上述した【地域包括診療料】【地域包括診療加算】などがありますが、算定対象は「高血圧症、脂質異常症、糖尿病、認知症のうち2疾患以上を有する患者」(地域包括診療料など)、「認知症と他疾患を合併する患者」(認知症地域包括診療料など)に限られています。また、そもそも「施設基準などが厳しい」と指摘され、2016年度の前回診療報酬改定で緩和したものの、届け出医療機関数は2016年7月時点で6000施設に届いていません(2018年度改定で緩和される見込み)。
 また2016年度の前回診療報酬改定では、小児患者に総合的な診療・医学管理を提供する医療機関を評価する【小児かかりつけ診療料】が創設されましたが、こちらも施設基準の厳しさなどにより、届け出医療機関数は2016年7月時点で876施設にとどまっています(同じく2018年度改定で緩和される見込み)。

 さらに在宅版のかかりつけ機能を評価する診療報酬項目として【在宅時医学総合管理料】が設定されるなど、「かかりつけ医を評価する診療報酬」はありますが、「限定的な評価」にとどまっているとの指摘もあります。

 そこで迫井医療課長は、初診に係るコスト(診療時間が再診に比べて若干長め)に着目し、「初診患者の診療を担う機能については、大病院ではなく、『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』を有する医療機関による、より的確で質の高い診療機能を評価してはどうか」との論点を提示しました。具体的な制度設計は、今後の議論を待つ必要がありますが、例えば、「患者が気軽に相談できる機能」や「専門医療機関へ紹介できる機能」を持つ医療機関(診療所や中小病院)について、【初診料の加算】(かかりつけ医機能加算など)を新設することなどが考えられそうです。

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初診のほうが、再診に比べて、診療時間が長くコストがかかる傾向にある
 
この提案を診療側委員は歓迎。松本純一委員(日本医師会常任理事)は「継続的な診療を行っている再診患者でも、新たな病気を発見した場合には、初診患者と同様にコストがかかる。今後は、この点の評価も検討してほしい」と求めています。
 
これに対し支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)や平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「かかりつけ医機能の推進」という方向性には異論を唱えていないものの、「対象医療機関の要件」を厳格に規定するよう要望。

また幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「同じ診療行為について、医療機関の基準などで報酬が差別化されることに違和感を覚える」と述べ、「慎重な制度設計」(厳格な施設基準設定など)を求めています。

さらに間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』は、かかりつけ医として当然の機能ではないか。そこを評価して患者に負担増を強いることに違和感を覚える」と指摘しました。

このように、方向性そのものは「概ね了承された」と言えますが、具体的にどう点数をつけ、施設基準などをどう設定するかでは、診療側・支払側で意見の隔たりもあり、今後の詰めの議論に注目が集まります。ちなみに、2016年の初診料算定回数は2億1300万件(6月の1か月分で1770万件あり、これを12倍)程度と推測されます。「全診療所が対象となる」と仮定した場合、新加算が1点であれば21億円余り、2点であれば43億円弱、3点であれば64億円弱、の医療費増が見込まれる計算です。

2016年6月、診療所では1777万回程度、初診料が算定されている(図 略)

単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額

 現在は2年に一度、医薬品の公的価格の見直し(薬価改定)が行われています(今後は毎年度)。医療機関や薬局が、卸業者から購入している価格(市場実勢価格)と、公定価格(患者や保険者の負担)である薬価との乖離を、合理的な範囲で埋めていくことが薬価改定の重要な目的の1つです。

 その際、「価格交渉の途中で、まだ購入価格・販売価格が決まっていない」という医療機関・薬局が多ければ、市場実勢価格を適切に把握できません(薬価改定も適切に行えない)。

このため、2014年度の診療報酬改定において、「価格妥結率の低い医療機関や薬局では、基本診療料(初・再診料、外来診療料、調剤基本料)を減算する」規定(未妥結減算)が導入され、スピーディな価格交渉が推進されています。

医薬品の価格妥結率が50%に満たない場合、初・再診料、外来診療料、調剤基本料が減額される(図 略)

未妥結減算の導入で、妥結率そのものはアップしたように見える(図 略)
 
しかし価格交渉を急ぐあまり、本来であれば「A医薬品は●円で、B医薬品は◆円で」という「単品単価取引」が阻害され、「X医療機関は、まとめて薬価から●%引きで購入する」などといった、いわゆる「総価山買い取引」が増えてきてしまったとの指摘もあります(関連記事はこちらとこちら)。

医薬品の単品単価取引(青部分)は十分に進んでいないことが分かる(図 略)

 
そこで今般、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか、との提案を行いました。
上記の未妥結減算とセットの減算規定となる見込みで、「価格妥結率50%未満」または「▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務懈怠」の、いずれか、あるいは双方に該当する場合には、初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額されます(減額されないためには、価格妥結率を50%以上とし、報告義務を果たすことが必要)。

この報告状況を分析し、2020年度改定以降に「▼単品単価契約率が低い▼一律値引き契約が多く行われている—医療機関・薬局における減算」(いわば総価山買い減算)が導入される可能性もあります。
 
このほか、未妥結減算に関連して、▼留意事項に「原則、全品目を単品単価契約とする」「医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を慎む」旨を明記する▼妥結率の報告期間について、現在の「10月の1か月間」から「10-11月の2か月間」に緩和する▼調剤報酬における、「未妥結減算」(25%減算)と「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を発揮していない場合の減算」(50%減算)とを、後者に統合する形で簡素化する—との見直し案も提示され、概ね了承されています。


  1. 2018/01/14(日) 12:52:22|
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