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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月23日 

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20171223-00079612/
産婦人科・産科医と小児科医、都道府県別の「密度」を探る
不破雷蔵 | 「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
12/23(土) 9:03  Yahoo News

・該当人口数比率で産婦人科・産科医が一番多い都道府県は鳥取県。女性人口10万人対で61.2人。一番少ないのは埼玉県で28.9人。

・小児科は鳥取県がもっとも多く15歳未満人口10万人対で174.0人、次いで東京都の152.3人。一番少ないのは茨城県の78.7人で次いで埼玉県の81.9人。

少子化や医療環境整備の問題で特に注目される産婦人科や小児科。それらの診療科の医師の過不足度合いを、医師の対該当属性の人口比の観点で、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の最新版の公開値から確認していく。

次に示すのは、産婦人科・産科及び小児科について、その資格を有する主たる医師数(その診療科のみの医師と、複数の診療科に従事しているが主には対象となる診療科に従事している)を、それぞれの都道府県別で、産婦人科・産科は「15~49歳女性人口10万人比」・小児科は「15歳未満人口10万人比」で算出したのが次のグラフ。

例えば産婦人科・産科では東京都は51.5人。これは産婦人科・産科を利用する可能性が高い15~49歳女性10万人あたり、該当医師は51.5人いることになる。逆算すれば該当人口約1942人あたり産婦人科・産科の医師が1人。

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↑ 15~49歳女性人口10万人対「産婦人科・産科」資格取得医療施設従事医者数(2016年末)

該当人口数比率で産婦人科・産科医が一番多い都道府県は鳥取県。次いで秋田県、和歌山県が続く。少ないのは埼玉県で28.9人となり、2倍強の開きがある。とはいえ、その鳥取県でも人数は61.2人。産婦人科医1人あたりで逆算すると約1634人にもなる。

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↑ 15歳未満人口10万人対「小児科」資格取得医療施設従事医者数(2016年末)

小児科は鳥取県がもっとも多く174.0人、次いで東京都の152.3人。一番少ないのは茨城県の78.7人で次いで埼玉県の81.9人。鳥取県は産婦人科・産科でも最上位にあり、埼玉県は産婦人科・産科では一番少ない都道府県。多様な事情がありそうな雰囲気だ。

今件はあくまでも単純な人口比率で、実際には人口の過密感や交通の便宜性、医療そのものの質など、多様な要素を加味した上で「医療の密度」を考察する必要がある。また、該当する対象の人すべてが一度に、同時に妊娠状況や発症となり、対象診療科への診察を必要とする場面がくるはずも無い。一方で概要的な指標としては、十分に役立つ値ではある。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。



https://dot.asahi.com/dot/2017122000066.html?page=1

平等な医療は「もはや建前」 現役医師が教える「信頼できる主治医を見つける方法」とは?

連載「メディカルインサイト」
上昌広2017.12.22 07:00 dot.asahi

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。そのような中、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、「主治医の条件」について持論を展開する。

*  *  *

 医療を取り巻く現在の状況は、食料難に喘いだ終戦直後に似ています。

 絶対的な医師不足のため、医師と患者の力関係は医師が有利になり、「コネ社会」になっています。厚労省が主張する、平等に医療を受ける権利はもはや建前に過ぎません。終戦直後、政府は食糧管理制度を通じて、食料を「適切に」配分しようとしました。ところが、実際は配給だけでは足りず、国民は縁故を頼って農家を訪ね、闇市で食料を調達しました。1947年10月には闇米を拒否し、配給食料だけを食べ続けた裁判官の山口良忠氏が栄養失調に伴う肺浸潤(結核)のために34歳で亡くなっています。食糧難が改善するには、米国が緊急援助し、日本が復興するまで待たねばなりませんでした。食料の供給量が増えるまで、事態は改善しなかったのです。

 医療でもおそらく同じ事が起こるでしょう。厚労省は、「かかりつけ医制度」や「在宅医療」を推進していますが、これは、「配給制度」により、サービス供給の効率を上げようとしていることに他なりません。

 ところが、官僚の計画通りには現場は動いていません。

 77歳になる私の母も、かかりつけ医の限界を、身を以って知った一人です。彼女は祖母(母の実母)が97歳で亡くなるまで、兵庫県尼崎市の自宅で介護していました。祖母は認知症・陳旧性心筋梗塞・高血圧・逆流性食道炎・甲状腺機能低下症など多くの病気があり、近所の開業医に診てもらっていました。要介護5と認定され、介護サービスも受けていました。

 ある日の夜中、祖母は呼吸困難を訴えました。母はかかりつけ医に電話しましたが、「すぐに救急病院に運びなさい」と言われただけでした。困り果て、京都市内の病院に勤める弟に電話して、大阪市内の病院を紹介してもらい、タクシーで祖母を連れて行きました。タクシー代は1万円以上かかったそうです。ところが、受診した病院の救急外来で「なぜこの程度で、遠くの病院まで来るのですか」と言われ、自宅に帰されました。

 その後私に電話がかかってきたため、尼崎市で在宅医療を行う旧知の長尾和宏医師を紹介しました。長尾医師はすぐに往診し、心不全と判断し、すぐ関西ろうさい病院を紹介してくれたのです。祖母は適切な治療を受け、速やかに状態は改善しました。

 医師が比較的多いとされる阪神間でさえ、夜間に具合が悪くなった場合、引き受けてくれる病院を探すのは容易ではありません。そして、いざという時に、かかりつけ医は機能せず、面倒をみてくれたのは、「コネ」を辿ってお願いした長尾先生だったのです。

 この経験が相当堪えたのでしょう。母は、救急対応をしてくれる病院との関係を維持しようとしています。また、長尾医師のサポートに感激したのでしょう。長尾医師やそのスタッフを、近所の人たちに宣伝してまわっています。

■主治医の条件「柔軟性はあるか」

 どうすれば、頼りになる、信頼できる医師に出会うことができるのでしょうか。

 結論からいえば、自分で探すほかありません。

 学校の同窓生や地元の地域会で探してもよいのです。医師の知り合いはいなくても、看護師など医療従事者の知り合いから情報を得て、信頼できる医師を探し、自分の主治医になってもらい、もしもの時には自分の立場にたってアドバイスをもらうことです。

 主治医に求められる資質は、医学的知識の多寡や医者としての腕だけではありません。

 問題が起こったとき、状況を適切に判断し、適当な専門医に紹介する対応能力です。主治医には「エージェント」としての役割が求められているのです。

 この能力には個人差があります。重要な点は3つです。柔軟な思考力、コミュニケーション力、ICT機器を使いこなせることです。

 ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術を指し、ICT機器とはITに加え、コミュニケーション性を備えた機器のことです。具体的には、パソコンや携帯電話などが挙げられます。柔軟に考えることは、主治医として極めて重要な素養です。主治医はエージェントとして、自分の価値観を押しつけず、患者の希望に沿って対応しなければなりません。

 ところが、エビデンスに基づく医療(Evidence-based Medicine)が全盛の昨今、患者の価値観よりも、エビデンスを優先する医師が珍しくありません。昨今の医療界で、柔軟に考えることは、皆さんが想像するよりもずっと難しいのです。

 医師に柔軟性が求められるのは、全人的なケアが求められる時です。終末期の患者にとって、病気は人生の一部です。残された時間の中で、家族、仕事、人生の総括など、さまざまなことを考えねばなりません。医師は、患者がこのような問題に折り合いをつけていくことをサポートします。

 患者は単なる病人ではなく、職業人、妻、母、地域住民などのさまざまな顔を持っています。全人的に患者を理解しようとすれば、医師には多岐に亘る教養が必要です。私が「柔軟な対応」をしていると感じる医師は、ほぼ例外なく読書家で、普段から貪欲に学んでいます。主治医にするなら、「エビデンスに基づく医療」として医学的に正しい情報だけを伝える医師と、柔軟に対応できる医師、どちらがいいか、言うまでもないでしょう。

 次回は、さらなる「主治医の条件」をお伝えします。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.asahi.com/articles/ASKDP347HKDPUBQU00Q.html
医師の地方勤務 問われる環境整備
林義則2017年12月21日15時00分 朝日新聞

 全国的な医師偏在の影響が青森県内の医療現場を直撃している。そんな現状を目の当たりにした。

 下北地方の中核病院として地域医療を支えるむつ総合病院(むつ市)では、医師不足で外来の待ち時間が平均2~3時間。内科の診療後に話を聞いた70代男性は、午前9時半に受け付けを済ませたが、診察室に入ったのは午後3時過ぎ。「月1~2回の通院はいつも1日がかり。待つのは慣れた」という。

 県の昨年時点のデータでは、同病院の常勤医数57人に対し、1日あたりの外来患者は約1100人。一方、患者数がほぼ同じ八戸市立市民病院には、142人の常勤医がいる。八戸市立市民病院には重症患者に対応する救命救急センターが設けられるなど多くの常勤医が必要になるが、それにしても、むつ総合病院は少数の医師が多くの患者を懸命に支えている姿が浮かぶ。

 同病院では今年、脳神経外科と皮膚科で唯一の常勤医が退職。眼科も常勤医不在が続く。退職したのはいずれも60歳を前にしたベテラン医師で、橋爪正院長は「一定の経験を積み、次の世代を引き継ぐ30~40代の医師が特に不足している。県内の中小自治体病院でも同様な状況」という。

 2004年に始まった新卒医師の臨床研修制度で、研修先の病院を自由に選べるようになったことも一因だ。設備が充実し、豊富な診療経験を積めそうな首都圏などの大病院に希望が集中。上十三や西北五、下北地域では、人口10万人あたりの医師数が118~130人と、全国平均の234人を大きく下回っている。

 同病院は下北で唯一の総合病院。患者に寄りそう初期診療や重症の救急患者など、臨床研修で多彩な治療を経験できる環境や診療科を超えた指導体制をアピールしたところ、近年は募集数とほぼ同数の研修医が集まる人気ぶりだという。

 とはいえ、研修医が一線で活躍できる医師に育つまでは時間がかかる。地域で踏ん張る医師が疲弊して現場を去れば、残った医師にさらに負担が集中する悪循環に陥る恐れもある。

 厚生労働省は今月、医師が少ない地域での勤務経験を医療機関の管理者になる際の評価基準に加える優遇策など、偏在解消に向けた対策案を打ち出した。医師が地方で勤務する魅力を伝え、その後のキャリアに生かせる環境をどう整えるか。国や県の制度作りが問われている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>
http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/

(林義則)



https://www.m3.com/news/iryoishin/576366
医師偏在対策、「1歩進んで2歩下がった」
地域医療を守る病院協議会が見解


レポート 2017年12月21日 (木)配信 水谷悠(m3.com編集部)

 五つの医療団体から成る「地域医療を守る病院協議会」が12月20日に記者会見し、12月18日の「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」の合同会議で了承された医師偏在対策の「第2次中間取りまとめ」について、全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、「(2016年5月の)第1次中間取りまとめより後退している。1歩進んで2歩下がった気がする。いつ終着駅にたどり着くのか」との懸念を示した(第1次は『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』、第2次は『厚労省、医師偏在対策で関連法案、来年国会提出へ』を参照)。


 邉見氏は、全自病などが求めてきた、医師不足地域での勤務実績を医療機関の管理者要件とすることが、「第2次中間取りまとめ」では要件ではなく「評価」とし、地域医療支援病院の一部とするなど規制色が弱い形になったことについて「地域医療支援病院の一部では、ほとんどゼロで、誤差の範囲だ」と指摘。「国費を使って養成した医師が私益のために働き、田舎の人に医療を提供しない状態がずっと続いている」と批判した。

 一方で、地域別の外来医療機能の偏在・不足等に関するデータの可視化が盛り込まれたことについては、「データを『見える化』する方向性は悪くない。議論のベース、共通認識ができるのはいい」と一定の評価もした。

 全国国民健康保険診療施設協議会副会長の籾井眞二氏は、医師不足地域では支払う保険料に対して十分な医療が提供されていないとの考えで、「医療費が(都市部に)流出している。中山間地域は医療における植民地という印象を持っている。医療を受ける機会を奪われ、あるいは遠ざけられている」と嘆いた。日本慢性期医療協会の武久洋三氏は、「国民の健康を守ろうとは、医師がしていないのではないか。皆が都会に集中しては、地方の人はどうなるのか」と指摘。全自病副会長の中島豊爾氏も「自分のことだけを考える医師が増えてきたという危機感がある」と続いた。

 日本専門医機構が11月17日に公表した専攻医の1次登録者数で、新たに基本領域となった総合診療が7989人中158人にとどまったことについては、「サブスペシャルティがないからではないか。(全自病理事の)金丸吉昌先生が『出口のない入り口に入る人はいないだろう』と言っていた。総合診療の専門は『地域』だ。地域、家庭、人を診る。そこがゴール、目標だ」と指摘(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。武久氏は、「全身を診るなら総合医だ。専攻医の半分くらいは総合診療で育ってくれないと、国民のためにならない」と述べた。



http://www.huffingtonpost.jp/yuuki-shimada/doctor-network_a_23311418/
医師不足の解決には医師同士の「使える」ネットワークが不可欠
ネットワークを広げていくためにはどうしたらよいだろうか。

2017年12月21日 14時08分 JST | 更新 2017年12月21日 14時08分 JST ハフィントンポスト
嶋田裕記 南相馬市立総合病院脳神経外科後期研修医

救急患者の受け入れ拒否、救急搬送のたらい回しが問題となっている。断る理由として当直医の専門外であるというのがよくあげられる。しかし、専門外の疾患だったとしても、各疾患ごとに相談することができるネットワークを当直医が持っていれば状況は変わるかもしれない。

ある日曜日の夜、福島県南相馬市立総合病院脳神経外科で勤務する筆者の携帯電話に大町病院に一人内科常勤医で働く山本佳奈医師から連絡があった。

「80代の女性が現在入院中なのですが、意識レベルが悪化していて困っています。麻痺はなさそうです。」という。

まず脳卒中であるかどうかを判断する必要があり、そのためには画像検査が不可欠であることを伝えた。休日の夜間であったため放射線技師は病院内に待機していなかったが、彼女はすぐさま放射線技師を呼び出して画像検査を行い、結果をスマートフォンで送ってきてくれた。その画像から脳梗塞で致命的な状態であることがすぐわかり、急いで転院させるように伝えることができた。その甲斐もあり、一命をとりとめ、現在は食事を口から取り、話すことができるまでになった。患者様のご家族も「ここまで回復できてよかったです」と安堵されていた。

今回のケースは専門外のことでも気軽に相談できるネットワークがあることで、院内急変が救えた事例である。こうしたバックアップがあれば、院内急変だけでなく万が一専門外"かもしれない"ということで救急車、救急患者も断る必要がなくなるのではないだろうか。

特に高齢者にとっては地域で救急を受け入れてもらえ、医療を簡潔させることができることは非常に助かることである。遠い大病院に搬送された場合、帰宅する足がなくて困ったり、入院する場合でも家族の見舞いが困難なことがある。

こうしたネットワークが「使える」ためにはただ知っているだけではなく、電話相談などを行うための敷居の低さが不可欠である。今回のケースでは以前同じ病院で働いていた経験があったため、気兼ねなく電話一本で相談できる環境が整っていた。

ならばネットワークを広げていくためにはどうしたらよいだろうか。一つの方法としては病院間での医師などの交流や診療応援などが考えられる。ただ、現時点では南相馬市立総合病院の医師は地方公務員で基本的に兼業禁止である。

しかし、診療応援として例外的に認めることが深刻な医師不足の緩和につながると考えられる。医師不足や救急車のたらい回しが叫ばれる中、医師が少ない地域でこそ、積極的に患者を診察し、適切な医療を提供できるようにネットワークを構築し、有効に活用していかなければならない。

(2017年12月19日「MRIC by 医療ガバナンス」より転載)



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1220512011/

医師偏在対策、都道府県に「医師確保計画」義務づけ〔読売新聞〕

2017年12月20日 17:40 Medical Tribune

 厚生労働省の有識者会議は18日、医師が都市部に集中し、地方で不足する地域偏在問題への対策を盛り込んだ報告書をまとめた。

 都道府県に対し、確保すべき医師数の目標や具体策を盛り込んだ「医師確保計画」の策定を義務づける。

 厚労省は、各地域で医師がどの程度足りないかを示す新たな指標を導入する。これを基に都道府県は「医師少数区域」を設定し、偏在対策を進める。医師不足の地域で一定期間勤務した医師を国が認定する制度の創設なども盛り込んだ。

(2017年12月20日 読売新聞)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171220152205
専攻医一次登録、内科の採用数が最多
専門医機構が公表

2017年12月20日 15:35 CB news

 日本専門医機構は、専攻医一次登録の採用数を公表した。領域別では内科の採用数が最も多かった。16日から二次登録が始まったが、都市部に集中することを防ぐため、東京や大阪など5都府県については、過去5年間の後期研修医の採用実績などの「平均値」を超えた領域の二次登録を実施しない。【新井哉】

 同機構によると、総合診療を含めた19領域の採用数は7791人。領域別では、内科が2527人で最も多かった。以下は外科(767人)、小児科(526人)、整形外科(516人)、麻酔科(457人)、産婦人科(410人)、精神科(392人)、眼科(288人)などの順だった。

 19領域を合わせた都道府県別の採用数は、東京が1756人で最多。大阪(619人)や神奈川(472人)、愛知(441人)などでも多かった。最も少なかったのは宮崎(30人)だった。

 同機構は、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県については、医師不足などが指摘されている外科と産婦人科、病理、臨床検査の4領域を除く各領域で「平均値」を超えた場合、二次登録を行わない方針を示していた。今のところ二次登録を行っていない領域は公表していない。



https://mainichi.jp/articles/20171220/dde/041/070/051000c

憂楽帳
働き方改革の現場

毎日新聞2017年12月20日 東京夕刊

 過労死や過労自殺の防止に、長時間労働の縮減など働き方改革が注目を集めている。だが、医療、教育の現場はこれまで正面からこの問題に向き合ったことがなく、戸惑いも広がる。

 先日、新潟県医師会の幹部に長時間労働をどうするかを聞いた。幹部は「働き方改革を本当にやったら大変なことになる」と後ろ向き。背景に、同県が10万人当たりの医師数が約205人(2016年末)と全国でワースト5という医師不足がある。労働時間を減らせば現場が回らないという。ある自治体の首長は「医療現場で36協定(残業時間の規制)を守っていたら市民サービスができなくなる」とまで。

 だが、そんな中で研修医が過労自殺する悲劇も起きている。ある医師は「医師不足のツケは現場が負うべきものなのか。国や医師会はその解消に何をしてきたのか」と疑問を呈し、首都圏の条件の良い現場に職を求めている。多くの医師、教師が疲弊している。

 幹部の発言とは逆に、「何もやらなければ大変なことになる」ことが浮かび上がるのだ。【東海林智】



http://www.medwatch.jp/?p=17803
医師確保対策は進めるべきだが、支援病院要件の見直しは拙速を危惧―日病・相澤会長
2017年12月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在対策の中で「地域医療支援病院の管理者要件として、医師不足地域での一定期間以上の勤務経験を付与する」案や「医師派遣機能を持つ地域医療支援病院へ経済的インセンティブを付与する」案などが浮上しているが、日本病院会の常任理事会でも賛否が分かれている。拙速に対策案を取りまとめれば、将来、対策を実行する際に見直しが必要となってしまうのではないか—。

日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)は、12月19日の定例記者会見でこういった考えを明らかにしました。

ただし相澤会長は、「医師に都道府県内にとどまってもらう策は積極的に進めなければいけない」旨も強調しており、12月18日の「医療従事者の需給に関する検討会」・「医師需給分科会」の合同会合での取りまとめそのものを否定しているわけではありません。

地域医療支援病院の要件見直しなどの対策案、日病会内でも賛否は割れている
「医療従事者の需給に関する検討会」・「医師需給分科会」では、働き方改革などを踏まえて「将来の医師養成数を推計する」ことを主な目的として議論していますが、その中で「医師偏在を放置して、将来の医師数を議論することはできない」という点で意見が一致し、「実効性のある医師偏在対策」が重要な議題に追加されました。

昨年(2016年)春の中間取りまとめで、▼医学部地域枠の在り方▼初期臨床研修医の募集定員配分などに対する都道府県の権限強化▼医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)▼管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)—など14項目の対策案を決定。さらに今年(2017年)9月からより具体的な議論を行い、12月18日に座長一任で第2次中間取りまとめ案を了承しています。

第2次中間取りまとめ案では、医師偏在対策の具体案として次のような項目が提唱されています。

(1)都道府県における医師確保対策の実施体制の強化
▼「医師確保計画」の策定
▼地域医療対策協議会の実効性確保
▼効果的な医師派遣等の実施に向けた見直し

(2)医師養成過程を通じた地域における医師確保
▼医学部▼臨床研修▼専門研修—のそれぞれについて都道府県の権限強化などを図る

(3)地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応
医師偏在の度合いが指標により示され、地域ごとの外来医療機能の偏在・不足などが客観的に把握できるようになることを踏まえ、この情報を新規開業予定医などへの有益情報として「可視化」する

(4)医師の少ない地域での勤務を促す環境整備の推進
▼医師個人に対する環境整備・インセンティブ
▼医師派遣を支える医療機関等に対する経済的インセンティブ等
▼認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価

 
日本病院会の常任理事会では、これら(1)から(4)の偏在対策についてさまざまな意見が出されたといいます。とくに(4)の「医師の少ない地域での勤務を促す環境整備の推進」では、医師不足地域で一定期間以上の勤務を経験した医師を「認定医師」とし、これを地域医療支援病院の管理者要件の1つに据えることや、医師派遣機能を持つ地域医療支援病院に経済的インセンティブを与える具体案が示されていますが、「医師派遣を行える地域医療支援病院は全国に200から300程度にとどまり、偏在対策としての効果が薄いのではないか」「若手医師の中には、管理者にはならず、専門性を極めたいといの人もあり、効果は期待できない」という否定的意見が多数出された一方で、「半強制的に医師少数地域での勤務を求めなければ、偏在は解消していかない」という賛成意見も出ており、日病としての見解をまとめることは難しい状況のようです。

相澤会長はこうした状況から、今般の医師偏在対策取りまとめ(第2次中間とりまとめ)について、「日病の会内でもさまざまな意見がある。個人的には拙速が心配である」との見解を示しています。

また、例えば「地域医療支援病院の管理者要件に、認定医師であることを盛り込む」という策に関しては、これから初期臨床研修を受ける医師が対象となるため、直接の効果が現れまでに数十年かかります(間接の効果は改正法適用後から徐々に現れると見込まれる)。ただし、数十年経てば地域の人口構成は大きく変化する可能性もあり、「地域医療支援病院への要件化」などの偏在対策を実施する段になって、「対策を見直さなければならない」事態も生じかねないと相澤会長は心配しました。

なお、医師派遣機能を持つ地域医療支援病院への経済的インセンティブ付与については、「インセンティブ目当てに医師を数多く抱えようとする病院が現れたりしないだろうか」との懸念も示しました。

 
一方、(1)「都道府県における医師確保対策の実施体制の強化」や(2)「医師養成過程を通じた地域における医師確保」といった、「当該都道府県の中に、医師がとどまる」ような方策については、積極的に進める必要があると相澤会長は指摘。「拙速に地域医療支援病院の要件見直しを行うよりも、▼大学医学部▼初期臨床研修▼専門医研修―の中で、しっかりとフォローし、当該県にとどまってもらうことを一生懸命行うほうが大事ではないか」とも指摘しています。

さらに相澤会長は、偏在対策の重要性を認めた上で、「細かいところまでがちがちに法律で縛れば、人口や社会の変化についていけなくなる可能性もある」と述べ、一定の弾力性・柔軟性を持たせるべきとの考えも示しています。

 
なお、12月18日に正式決定された診療報酬改定率(医科プラス0.63%、歯科プラス0.69%、調剤プラス0.19%など)について、「ほっと一息つくこともできない。病院経営は厳しく、1%程度のプラス改定が必要である」とコメントしています(関連記事はこちら)。



http://www.medwatch.jp/?p=17819
「医師不足地域での勤務経験ある医師」が働く病院に経済的インセンティブ―医師需給分科会
2017年12月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」と、下部組織の「医師需給分科会」は12月18日、「早急に着手すべき医師偏在対策」の検討結果(第2次中間取りまとめ)を大筋で取りまとめました。対策は主に、(1)勤務環境の整備やインセンティブ付与による「自発的な医師不足地域での勤務の推進」(2)都道府県の権限強化などによる「医師養成過程を通じた地域定着の推進」―に分けられます(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 早急に着手する医師偏在対策、来年の通常国会に法案提出
2 医師不足地域で働く医師の不安を解消
3 医師不足地域での勤務に医師がメリットを感じる仕組みに
4 認定受けるための期間や勤務地は「医師不足の度合い」を可視化しつつ検討
5 医師養成過程を通じて、医師定着を促す仕組みに


早急に着手する医師偏在対策、来年の通常国会に法案提出
 (1)のインセンティブ付与に向けては、「医師不足地域にある医療機関で一定期間勤務した医師」を、厚生労働大臣が認定する制度(認定医師制度)を設けた上で、「認定医師を雇用して、質の高いプライマリ・ケアを提供させている」医療機関などに経済的インセンティブを与える方向性も盛り込まれています。

 医療法や医師法の改正が必要となり、厚生労働省は、12月22日の社会保障審議会・医療部会に報告の上、来年(2018年)の通常国会に、これらの改正案を提出したい考えです。

 12月18日には、「医師偏在は喫緊の課題なので、まず対策を実行し、必要に応じて見直すべき」との声が構成員から相次いだ一方で、「検討が不十分なまま実行すれば状況がさらに悪化する」と慎重姿勢を崩さない構成員もおり、対策の具体化に向けた医師需給分科会などでの今後の検討が注目されます。

医師不足地域で働く医師の不安を解消
 ここからは、12月18日に大筋で取りまとめられた医師偏在対策を解説していきます。

 まず(1)の「医師不足地域での勤務の推進」に向けた施策は、医師不足地域で勤務することの魅力を高めるもので、医師の自発的な勤務を促す狙いがあります。医師需給分科会では、「単に『若手医師を強制的に医師不足地域で働かせる』という対策は避けるべき」という考え方にのっとって検討してきたため、若手・ベテランを問わず、あらゆる医師に医師不足地域での勤務を促す施策が示されています。

 「勤務環境の整備」と「インセンティブ付与」の2つの対策があり、前者の勤務環境の整備では、医師不足地域で働く際の不安の払拭を目指します。例えば、「代わりに働く医師がいないので、休みが取れないかもしれない」「幅広い患者の診療が求められるが、周りに相談できる医師がおらず、専門外の患者に適切な診療ができないかもしれない」といった不安です。

 こうした不安を解消するために、医師複数人によるグループ勤務や交代勤務を推進して、医師不足地域で働く医師が「働き詰め」になることを防ぎます。また、▼専門外の症例に対応できるように、地域の中核病院が、助言や患者受け入れなどの後方支援を行う▼医師不足地域で働く前や働いている間に、プライマリ・ケアの研修・指導を受けられる体制を確保する―方策もとられます。

 さらに、「医師不足地域で一定期間働くことはよいが、その後のキャリアに不安がある」若手医師のために、▼都道府県▼大学病院・医学部▼地域医療を支援する立場の医療機関―などが協力して、中長期的なキャリアパスを作成。それに基づいて医師派遣を行います。

医師不足地域での勤務に医師がメリットを感じる仕組みに
 さらに上述のとおり、「医師不足地域にある医療機関で一定期間勤務した医師」を、厚生労働大臣が認定する制度(認定医師制度)を創設。この認定に医師がメリットを感じられるように、(a)認定医師であることを広告可能事項に追加(b)医師派遣を支える医療機関等に経済的インセンティブを付与(c)一定の医療機関の管理者として認定医師を評価―します。

 (b)の経済的インセンティブとしては、税制優遇や補助金のほか、「診療報酬による対応」も検討します。このインセンティブの対象は、例えば「医師派遣要請に応じて医師を送り出す医療機関」や「認定医師によって質の高いプライマリ・ケア等を提供する医療機関」です。

 とりわけ地域医療支援病院には、「医師派遣機能」だけでなく、上述した「環境整備機能」(医師に対するプライマリ・ケアの研修・指導体制の確保など)を果たすことを条件に、経済的インセンティブが付与されます。

 この点、医師需給分科会の神野正博構成員(全日本病院協会副会長)は、「地域医療支援病院ではないが、医師派遣・環境整備機能を持つ病院も、それなりに評価してはどうか」と指摘。経済的インセンティブの対象を、地域医療支援病院に限るべきではないと強調しています。

 一方で、(c)の管理者としての評価は、「地域医療支援病院のうち、医師派遣・環境整備機能を有する病院」に限り導入します。具体的には、「認定医師であること」や「マネジメント能力を身に付けるための研修を受講したこと」などを、管理者(院長)の要件に据えます。

 「認定医師であること」を管理者要件に据える施策には、「院長を目指す医師が、認定医師になることにメリットを感じられるようにする」ほかに、「病院が持つ医師派遣機能や環境整備機能を、適切に機能させる」狙いがあります。認定医師であれば、「医師不足地域に派遣する医師に対して、病院からどのような支援を行うべきか」が、経験的に分かると考えられるためです。

認定受けるための期間や勤務地は「医師不足の度合い」を可視化しつつ検討
 認定医師となるには、「どのような医療機関」で「どの程度の期間」勤務すればよいのでしょう。今回の「第2次中間取りまとめ」では、この認定基準についても整理されています。

 まず、対象とする医療機関は都道府県知事が指定します。その際、「地域ごとの医師不足の度合い」が適切に判断できなければいけません。このため、患者の流出入状況や医師数、将来推計人口などを織り込んだ指標を国が示し、それを踏まえて都道府県が、全国的に見て医師不足の地域を「医師少数区域」に設定します。認定医師になるための勤務経験を積める医療機関は、この「医師少数区域」にある医療機関の中から都道府県知事が指定します。

 また、認定を受けるための勤務期間は、上述した指標を設定する段階で検討します。この指標を基に、深刻な医師偏在を解消するために必要な医師の総勤務時間を算出し、「認定医師になりたい医師」が1人当たり何日間働けばよいか設定するイメージです。

 ちなみに、認定医師制度が施行された後に臨床研修を開始した医師に対しては、「医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院」の管理者を務める場合であっても、「認定医師であること」は求められません。したがって、実際に地域医療支援病院の管理者に「認定医師」であることが求められるまでには時間がかかると考えられます。

 医師需給分科会の構成員からは、診療所などの管理者の基準にも「認定医師であること」を据えるべきだという主張が聞かれています。今回の取りまとめでは、まず「医師派遣機能等を持つ地域医療支援病院」に限って導入することになりましたが、対策を講じても医師偏在が解消されない場合、「認定医師であること」を管理者要件とする医療機関が拡大される可能性もあります。

医師養成過程を通じて、医師定着を促す仕組みに
 (2)の「医師養成過程を通じた地域定着の推進」は、次のような傾向を踏まえて対策を講じられるように、都道府県の権限を強めるものです。

【1】地域枠の入学者と、地域枠以外の地元出身者(大学と出身地が同じ都道府県)は、臨床研修修了後に出身地で勤務する割合が高い(地域枠80%、地元出身者78%)
地元出身医師の定着率は、地域枠医師と同じくらい高い
地元出身医師の定着率は、地域枠医師と同じくらい高い
【2】出身地の大学に進学し、出身地で臨床研修を行った場合、臨床研修終了後に出身地で勤務する割合が最も高い(90%)。出身地以外の大学に進学した場合であっても、臨床研修を出身地で実施した場合、臨床研修修了後に出身地の都道府県で勤務する割合が高い(79%)
大学が出身地と別でも、卒業後、出身地の病院で臨床研修を受けた医師は、8割近く定着している
大学が出身地と別でも、卒業後、出身地の病院で臨床研修を受けた医師は、8割近く定着している
 まず【1】のデータからは、地域枠や地元出身者枠を設けると、医師の定着率が高くなると考えられます。そこで都道府県が、医学部を持つ大学に対して、地元出身者を対象とする入学枠を設定するよう要請できる制度を設けます。この点、「大学側が、要請を無視する懸念がある」ことから、医療従事者の需給に関する検討会の荒井正吾構成員(奈良県知事)や山口育子構成員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、大学側への対応の義務付けも検討すべきだと主張しています。
 また【2】からは、大学医学部を卒業した研修医が、初期研修を出身地で受けると、定着率が高くなると考えられます。そこで、研修医と臨床研修病院とのマッチングについて、地域枠などの研修医は別枠で選考することも可能にし、「研修医が出身地での研修を希望したが、選考の結果、別の地域にある臨床研修病院で研修を受ける」ことを防ぎます。

 さらに、臨床研修病院の指定・定員設定権限を、都道府県に移管します。研修の質を担保するために、指定基準は国が引き続き定めますが、都道府県が把握している「地域の病院の実情」を踏まえて、研修医にとって魅力的な研修プログラムを用意しやすくします。

 また、都道府県の医療計画の中で、3か年の「医師確保計画」を策定する仕組みを創設します。「医師確保計画」は、(I)二次医療圏ごとの医師配置状況や人口などを踏まえた「都道府県内における医師の確保方針」(II)(I)の方針に基づいて設定する、計画期間中に「都道府県内において確保すべき医師数の目標」(III)(II)の目標の達成に向けた「施策内容」―で構成され、「施策内容」は例えば、「医師少数区域」への医師派遣や、「医師養成過程を通じた地域定着策」を指します。

 都道府県では現在、「地域医療対策」としても医師確保対策を定めていますが、「医師確保計画」の中に組み込みます。また、「医師確保計画」で定めた対策の具体化に向けた協議は「地域医療対策協議会」で行うことを原則とし、「へき地医療支援機構」や「専門医協議会」などは廃止する、あるいは「地域医療対策協議会」の下部組織にすることが求められます。

 これらの対策に対して、医療従事者の需給に関する検討会の相澤孝夫構成員(日本病院会会長)からは、「議論が不十分。このままスタートすると、地域の病院が大変になる」といった慎重意見もありましたが、医療従事者の需給に関する検討会の森田朗座長(津田塾大学総合政策学部教授)と医師需給分科会の片峰茂座長(長崎大学前学長)に一任する形で、大筋で了承されています。




https://mainichi.jp/articles/20171219/ddl/k09/040/052000c
佐野市民病院
譲渡基本協定を締結 市、支援継続 民営化問題に決着 /栃木

毎日新聞2017年12月19日 地方版 栃木県

 佐野市民病院の民営化問題で、同市は18日、一般財団法人「佐野メディカルセンター」(大坪修理事長)と病院譲渡に関する基本協定を結んだ。病院名と施設を引き継ぎ、来年4月から民間病院になる。法人側は2021年4月をめどにへき地医療など公益性の高い医療を担う社会医療法人としての認定を目指しており、認定後は現地で新病院を建設する方針だ。

 基本協定によると、病棟や医療機器などの施設、敷地は当面、法人に無償貸与し、社会医療法人化後に無償譲渡する。現在の病床数(258床)、診療科目(17科)は診療報酬改定に伴い再検討するが、改廃する場合には同市との協議を義務付けた。

 病院は昨年度約3億1000万円の赤字を計上し、今年度決算でも約3億円の赤字が見込まれる。赤字分は同市が補填(ほてん)しており、民営化後も5年間、15億円を運営補助金として交付する。また、法人が21年度に着工予定の新病院の建設費も10年間で30億円を補助する方針。

 病院は深刻な医師不足による経営難を背景に08年10月、指定管理者制度を導入し、医療法人財団「青葉会」が運営を引き継いだ。指定管理協定が来年3月末で満了することから、同市は昨年5月、民間譲渡を目指す方針を打ち出し、青葉会を最優先に譲渡交渉を進めていた。青葉会本体は譲渡受け入れを否決したが、青葉会の理事だった大坪氏らが受け皿となる新法人「佐野メディカルセンター」を今月8日、設立した。

 佐野市の岡部正英市長は「地域医療を守り続けてくれることを確信している」と期待感を表明。大坪理事長は「地域住民に良質な医療を提供し、市民の安心、安全、満足を確保したい」と抱負を語った。【太田穣】



https://www.m3.com/news/iryoishin/575731
医療従事者の需給に関する検討会
厚労省、医師偏在対策で関連法案、来年国会提出へ
都道府県の責任・権限強化、「医師確保計画」「地元出身者枠」も

レポート 2017年12月19日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は12月18日、医師偏在対策に関する「第2次中間取りまとめ案」を、第5回「医療従事者の需給に関する検討会」(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)と第17回「医師需給分科会」(座長:片峰茂・長崎大学前学長)の合同会議に諮り、文言修正等は座長一任の上、了承された。同省は、関連法の改正法案の来年通常国会への提出を目指す。

 「第2次中間取りまとめ案」は、12月8日の第16回「医師需給分科会」で了承済み(資料は、厚労省のホームページ。詳細は、『規制色弱まる、医師偏在対策の第2次中間取りまとめ案』を参照)。

 「医師偏在対策に有効な客観的データ」を整備し、「見える化」を図るほか、医師偏在対策として都道府県の責任と権限を強化したことが特徴だ。都道府県は「医師確保計画」を策定し、その実現に向け、2008年度以降の医学部定員増に伴い、今後増える「地域枠」の卒業生の地元定着を図るため、「キャリア形成プログラム」の策定、医師派遣の調整などを行う地域医療支援センターの業務について実効性を伴うように見直す。

 医師養成過程においても、臨床研修病院の指定・定員設定の権限を国から都道府県に移管する。医師の地元定着を図るため、都道府県知事が地元医学部に「地元出身者枠」の設置・増員を要請することを可能とする。新専門医制度についても、国や都道府県が日本専門医機構の運営に一定の関与が可能な仕組みを設けるほか、「医師少数区域」で勤務した医師を国が認定(以下、「認定医師」)、医師派遣等の機能を有する地域医療支援病院の管理者となる際に評価するなどのインセンティブも新設する。

 18日に出た意見を踏まえ、「医学教育における地域医療教育の重要性」「医師偏在対策における職能団体の役割」についても追記される予定。

 森田座長は、「強力な医師偏在対策を講じるのは喫緊の課題。今回はエビデンスに基づき、規制的な施策についても検討し、これまでにない医師偏在対策を議論したのは、大きな一歩。今回の案に基づく法律が早期に成立することを期待する」と述べ、新専門医制度について都道府県別・診療科別定員を設定するなど、賛否が分かれ両論併記にとどまった点もあることを踏まえ、「今回の対策の効果が不十分であれば、速やかに次の対策を検討することを要望する」と厚労省に求めた。片峰氏も「全体としてかなり踏み込んでいる。ここに盛り込んだことをいかにスピード感を持って実行するかカギとなる」とコメントした。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏も、会議の最後に、「医師偏在対策についての大きな第一歩」と述べ、関連法案提出を目指すほか、2018年度以降は2020年度以降の医学部定員について議論すると説明した。


「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」は、第2次中間取りまとめ案を了承した。

相澤日病会長、「認定医師」を問題視
 第2次中間取りまとめ案は、第16回「医師需給分科会」でほぼ固まっていたが、18日の会議でも幾つかの意見が出た。

 各論への要望が多かった中、数多くの反対意見を述べたのが、日本病院会会長の相澤孝夫氏。「日病内では、激烈な議論が交わされた。これらを全て性急に実施したら、地域医療の崩壊を来しかねない。細かい部分についてはもう一度、議論すべきではないか」と述べ、都道府県単位の医師の地元定着策は必要なものの、2次医療圏単位の偏在対策については、「患者は移動する。何をもって偏在と見なすのか、その判断は難しい」と指摘。「認定医師」についても、(1)半強制的に、医師少数区域に行け、というのはおかしい、(2)医師少数区域での勤務経験と経営能力を持つこととは別問題、(3)認定医師に対し、病院は高い給与を支払わなければいけないのか――など、「かなり厳しい意見があった」と紹介した。日本医療法人協会会長の加納繁照氏も、「認定医師には違和感を覚える」とコメント。

 これらの意見に対し、厚労省事務局は、医療提供体制を考える上で重要な圏域である2次医療圏単位で医師偏在対策を考えていくことが基本であり、例えば医学部定員の調整など、都道府県を越える課題については、国も検討していくと説明。「認定医師」についても、「強制的に医師少数区域に行かされるような仕組みにはしていない」と説明、税制、診療報酬、補助金などの経済的なインセンティブを付ける方向で検討していくとした。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「医師需給分科会として意見が違った部分は両論併記しており、全体としてはこうした方向性でいいのではないか、ということでまとまった。今までの医師偏在対策と比べると、かなり踏み込んだ内容になっているのではないか」などと述べ、第2次取りまとめ案を支持。

 他の構成員からも、「まずは可能な施策から実施して、PDCAサイクルを回す。医師偏在対策が奏功しなければ、次なる対策を検討」という考えでの意見が相次いだ。「過去において、いろいろな議論を重ねても、地域や診療科の医師偏在が改善していない状況にあり、ここで実効性のある方向性を出さない限り、これからも偏在が続いていく」(岩手医科大学理事長の小川彰氏)、「医師偏在を早く解消しなければいけないとして、議論してきた。意見がまとまらなかった部分は、賛否両論を併記している。できるところから進めるために、取りまとめてもらいたい」(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏)、「認定医師については後退したイメージがあるが、まずはこの形で進めてもらいたい」(読売新聞東京本社医療ネットワーク事務局次長の本田麻由美氏)、「PDCAサイクルを回しながら、効果がないなら、また見直していくことが必要」(慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏)などだ。

「地元出身者枠」、実効性のある法整備求める声
 各論で要望が挙がったのは、医学部の「地元出身者枠」について。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、「地域枠」の卒業生でも県外に就職する例があることから、「抜け穴がたくさんある」と指摘し、卒業生が地元に定着するための法整備を求めた。同様の指摘は、山口氏や小川氏からも挙がった。

 もっとも、片峰氏が、「地域枠の学生が将来地元に残るように、法的に強制するのはかなりハードルが高いように思う」と問うと、厚労省事務局は「ハードルは高いのはその通り」と回答。実効性のある法整備の在り方が今後の検討課題となる。

 国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏からは、地域枠の学生でも奨学金を返上したり、地域枠と一般枠の学生が混在すると、一般枠学生は「地域枠学生が地元に残るなら、都市部に行く」と考えるなど、「逆のマインド」を持ちかねないことから、「地域枠に対する過大な評価ではないか」との指摘も挙がった。自治医科大学のように、全員が地域医療従事の義務を持つ医学部を作るなど、今後の地域医療対策の検討に当たっては、「もっと根本的な改革も含めて議論をしてもらいたい」と求めた。「第2、第3の自治医科大学」構想は、邊見氏も支持。


「医師需給分科会」の座長を務めた、片峰茂・長崎大学前学長は、第2次中間取りまとめ案を了承するに当たって、「座長談話」を公表した。
 
都道府県からは不安・要望も
 今回の医師偏在対策では、都道府県の責任と権限が強化される。奈良県知事の荒井正吾氏は、文書で、(1)臨床研修病院の指定権限を都道府県に移管するとされているが、どんなメリットがあるのか、(2)都道府県間の偏在対策については、国の役割を期待――などについて質問、要望を寄せた。

 厚労省事務局は、臨床研修病院の指定について、「例えば、地域の病院の研修体制は、国では把握できない。『このような病院群を組んでほしい』と依頼するなど、きめ細かな対応がやりやすくなる」と答えるとともに、臨床研修について一定の質を担保する観点から、指定基準自体は国が定めると説明した。また都道府県間の調整についても、例えば新専門医制度については、国が必要な意見を述べることができる仕組みになっていると述べ、理解を求めた。

 
特徴の一つが「医師偏在の可視化」
 都道府県が「医師確保計画」の策定・実行に活用することなどを目的に、「医師偏在対策に有効な客観的データ」を整備することも特徴だ。

 産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、フランスでは、周産期医療などへのアクセス時間が可視化されていることを紹介。「クリティカルな医療について、どれだけアクセスが阻害されているかを指標化しきれていないことが問題」と述べ、客観的データを作り、住民から改善要望が挙がってこないと、医師偏在対策にはつながりにくいと示唆。職能団体が医師偏在対策に関わる必要性も指摘した。

 客観的データは、外来医療の医師偏在対策のため、医師が新規開業等の判断材料に使うことも想定。ただし、「診療所と病院という医師の偏在もある」(加納氏)、「病院には基準病床数はあるのに、診療所になぜ基準診療所数がないのか。それはおかしい」(日本精神科病院協会会長の山崎学氏)などの指摘も挙がった。

 その他、医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏からは、「自治医大が、一人の医師を派遣しているような国保診療所は少なくなっている。従来と同じような医師不足地域の医療をやっていたのでは、成り立たない。グループで対応したり、教育研修機能も持つなど、医師不足地域に勤務する医師が疲弊しない仕組みを作らないと、単に医師の数だけを考えていたのでは、解決という方向に行かないのではないか」との意見も出た。



http://www.medwatch.jp/?p=17860
医師偏在対策の具体策を議論する医師需給分科会に参画させよ―地域医療を守る病院協議会
2017年12月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師需給分科会などが取りまとめた医師偏在対策は、昨春(2016年)と比べて後退してしまった。対策の具体化に向けた分科会での検討に参画し、医師偏在を解消させたい―。

 ▼全国自治体病院協議会▼全国厚生農業協同組合連合会▼全国国民健康保険診療施設協議会▼日本慢性期医療協会▼地域包括ケア病棟協会—の5団体で構成される「地域医療を守る病院協議会」が12月20日に開いた記者会見で、邉見公雄議長(全国自治体病院協議会会長、赤穂市民病院名誉院長)は、こうした考えを示しました。

ここがポイント!
1 偏在対策が後退し、「非常な憤り」
2 医師偏在の度合い「見える化」は高く評価

偏在対策が後退し、「非常な憤り」
 医師の地域偏在や診療科偏在の是正に向けた対策は、主に、厚生労働省の「医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織、以下、検討会)で検討されています。昨春(2016年)に14項目の対策案が示された後、働き方改革なども踏まえた具体的な議論を行い、今年(2017年)12月18日に「早急に着手すべき対策」を大筋で取りまとめました(第2次中間取りまとめ)。

 14項目の対策案の中には、(a)医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)(b)管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)—も含まれていましたが、「第2次中間取りまとめ」では、(a)の「自由開業の制限など」は、将来に向けた検討課題に位置付けられ、(b)の「管理者としての評価」は、地域医療支援病院の一部に限定して導入することに落ち着きました。

 この点について邉見議長は、「偏在問題には従前から関わっている」とした上で、「非常な憤りを持っている。いつになったら解決するのか」といら立ちを隠していません。邉見議長は、親会議である「医療従事者の需給に関する検討会」の構成員ですが、分科会で決まったものを「医療従事者の需給に関する検討会」で議論するにとどまっている点を指摘。具体的な議論を行う分科会への参画が必要であるとし、「われわれ5団体は、医師偏在に困っている地域の住民の代表である。分科会の構成員としてほしい」と要望していく考えを示しました。

医師偏在の度合い「見える化」は高く評価
 邉見議長は、第2次中間取りまとめの個別項目についてもコメントしています。

 例えば、「都道府県が3か年の医師確保計画を策定し、計画期間中の医師確保数の目標を立て、大学病院・医学部と協力して医師の地域定着策や医師派遣などに取り組む」点については、「都道府県は大学に強く要望できず、実効性が乏しい」と指摘。また、医師確保計画は、PDCAサイクルを回して3年ごとに見直されますが、「誰がチェックをするのか。都道府県自身がチェックするのであれば意味がない」との見方を示しました。

 その一方で、医師偏在の度合いを、▼人口▼患者の流出入▼医師数▼交通アクセス—などのデータから「見える化」する対策については高く評価し、「対策を話し合う者の中で共通認識ができる。議論は進んではいないものの、方向性は良い」と述べました。



http://www.medwatch.jp/?p=17837

新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

2017年12月20日|医療現場から MedWatch

 新専門医制度のスタートによって、地域間・診療科間の医師偏在が助長されないように▼東京都▼神奈川県▼愛知県▼大阪府▼福岡県—の5大都市では専攻医総数の上限を「過去5年の採用実績の平均値を超えない」ように設定することになっている。ただし上限値や採用実績などの詳細が明らかになっておらず、情報公開を日本専門医機構に求めていく—。

12月20日に開催された四病院団体協議会の総合部会で、こういった方針が固まりました。

四病協から、日本専門医機構に「情報公開」求める意見書

2018年度から全面スタートする新専門医制度は、これまで各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指しています。

ただし、「質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域医療に悪影響を及ぼすのではないか。地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘などがあり、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省らが重層的に「医師偏在を助長させない仕組み」を設けています(関連記事はこちらとこちら)。

その1つとして「各基本領域学会の5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)のそれぞれにおける専攻医の登録総数は、▽外科▽産婦人科▽病理▽臨床検査—の4領域を除いて、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限値が設けられています(関連記事はこちら)(日本専門医機構のサイトはこちらと)。

すでに2018年度の専攻医募集が始まっており(関連記事はこちら)、12月15日には日本専門医機構から第1次登録の採用数が公表されました(日本専門医機構のサイトはこちら)。19領域全体について都道府県別の採用数を見ると、多いほうから東京都(1756名)、大阪府(619名)、神奈川県(472名)、愛知県(441名)、福岡県(421名)、兵庫県(326名)、京都府(274名)、北海道(260名)などで、上記の5都府県が多いことが分かります。
 
この状況について12月20日の四病協(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)・総合部会では「上限の数値が公表されず、また過去の領域別の採用実績なども明らかになっていない」点が問題視され、四病協として日本専門医機構に情報公開を求める意見書を近く提出する方針が固められました。
同日に記者会見を行った日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)は、「地域間(都道府県間)でバランスのとれた専攻医採用を目指しているが、バランスがとれていない可能性もある。医師の需給にも関連する事項であり、上限値の在り方なども含めて検討していく必要があるのではないか」とも指摘。ただし、すでに募集は始まっており、近く採用が決定する(第1次分は12月15日、第2次分が年明け2月15日)ため、仮に上限値の見直しなどが行われるとしても、2019年度からの専攻医が対象になるでしょう。



http://www.medwatch.jp/?p=17778
地域医療支援病院の承認要件見直しへ議論開始―厚労省・検討会
2017年12月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」は12月15日、地域医療支援病院の承認要件の見直しに向けた検討に着手しました。現行要件は、主に「かかりつけ医との連携体制」などに着目して設定されていますが、「地域医療を支える病院」に求められる役割を見つめ直して、より適切な要件を探っていきます。地域医療支援病院の実態調査を年明けに行い、実態を把握した上で議論を進めます。

ここがポイント!
1 地域医療を支える病院に、どのような役割が求められるか
2 へき地への医師派遣も論点に
3 地域医療支援病院や都道府県の調査を年明けに実施

地域医療を支える病院に、どのような役割が求められるか
 地域医療支援病院は、「医療は、患者に身近な地域で提供されることが望ましい」という観点から、必要な病診連携などを推進する目的で、1997年の第3次医療法改正で創設されました。名称の通り、「第一線の地域医療を担うかかりつけ医」を支援する能力を備えた、原則200床以上の病院を、都道府県知事が承認しています(2016年10月時点で543病院)。

 具体的な役割としては、主に、(1)かかりつけ医から紹介された患者を治療し、治療後には、かかりつけ医に逆紹介する(2)院内の医療機器などを開放し、かかりつけ医らが共同利用できる体制を確保する(3)救急医療を提供する(4)地域の医療従事者に研修を実施する―の4つを担います。これらを踏まえて現在、次のような要件が設けられています。

【1】「紹介率80%超」「紹介率65%超かつ逆紹介率40%超」「紹介率50%超かつ逆紹介率70%超」のどれかを満たす
【2】施設や設備を地域の医師・歯科医師に開放し、共同利用に関わる運営規程を明示するなどして利用を促す
【3】年間救急搬送患者数が「1000人以上」「救急医療圏人口の0.2%以上」のどちらかを満たす
【4】地域の医療従事者に対する研修を年12回以上主催する

 こうした要件は前述のとおり、「地域医療を支える病院には、かかりつけ医を支える役割が必要ではないか」という観点から設定されています。しかし、地域医療支援病院に求められる主な役割が、今なお「かかりつけ医を支えること」であるかは、検討の余地があると厚労省は考えているようです。

 例えば、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、回復期や慢性期の医療ニーズが増大していきます。これからの医療提供体制の整備では、2025年時点の医療ニーズに対応できる体制への再編が重要なテーマとなり、再編後には、異なる医療機能を持つ病床間の連携も強く求められます。

 こうした方向性を踏まえて地域医療支援病院の在り方を考えれば、かかりつけ医との連携だけでなく、「病院同士の連携の評価」も重要ではないかと厚労省は指摘しています。新たな承認要件を固めるために、まずは「地域医療支援病院に求められる連携」を具体化していく必要があります。

へき地への医師派遣も論点に
 加えて厚労省は、「へき地の医療機関への医師派遣」といった観点からも、承認要件の在り方を検討してはどうかと提案しています。

 この点、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」と下部組織の「医師需給分科会」では現在、「医師の地域偏在や診療科偏在の解消に向けて早期に実行に移す具体策」の一環として、「医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院に、経済的インセンティブを与える仕組みづくり」が検討されています(関連記事はこちら)。

 より具体的には医師派遣機能のほか、「派遣された医師が診療に不安を感じずに済むように、研修・指導などでサポートする機能」も持つ地域医療支援病院が、経済的インセンティブの対象病院として挙げられています。

 このような、地域医療支援病院が「経済的インセンティブによって評価されるべき医師派遣機能」と、「承認要件として課されるべき医師派遣機能」との関係は、今のところ明らかになっていませんが、今後、両者がリンクする可能性もあります(例えば、年間一定回数以上の医師派遣がインセンティブの要件となり、一定の経過期間を経て承認要件となる)。

 「経済的インセンティブを付与する仕組みづくり」を含む偏在解消策については、地域医療支援病院の承認要件よりも早くから検討されてきており、早ければ12月18日に取りまとめられます。その後の、具体化に向けた議論の行方を注目すべきでしょう。

 ちなみに、医師派遣を実施している地域医療支援病院は現状、少数にとどまります。例えば、地域医療支援病院のうち「へき地医療拠点病院」(へき地の医療確保に取り組む病院)でもある83施設に限って医師派遣の状況を見ても、50施設(60.2%)では派遣実績がありません(医師の派遣日数が「0日」)。地域医療支援病院全体では、派遣実績ゼロの割合がさらに高いと考えられます。

 医師派遣ができない個別の理由は定かでありませんが、医師派遣に関する承認要件を設ける場合には、こうした実情を踏まえる必要があります。また、「医師派遣の実績を承認要件に加えるべきだが、既存の地域医療支援病院がすぐに満たすのが困難」と考えられる場合には、一定の経過措置も求められます。このため厚労省は後述のとおり、地域医療支援病院の実態調査を行う方針です。

地域医療支援病院や都道府県の調査を年明けに実施
 厚労省は、地域医療支援病院数に地域格差があることや、上記4つの役割の実績に差(病院間格差)が見られる点も論点に挙げています。前者については、二次医療圏ごとの地域医療支援病院数を見ると、大阪府の「大阪市医療圏」(12病院)や兵庫県の「神戸医療圏」(11病院)、福岡県の「福岡・糸島医療圏」(同)など6医療圏で10病院以上が承認されている一方で、1病院もない医療圏が、全医療圏の32.3%(111医療圏)を占めます。

 そもそも地域医療支援病院には、「全医療圏に1つ以上必要」のような整備目標がありません。地域に医療を確保する上で必要な場合に、都道府県が独自に「地域医療支援病院を設置する目標」を医療計画の中で掲げることになっており、例えば長野県や静岡県が具体的な目標を設定しています。

 長野県では、「地域医療支援病院がある二次医療圏数」(現状は10医療圏中7医療圏)を、今年度(2017年度)末までに増やす目標を掲げています。しかし、地域医療支援病院がない医療圏は、中山間地域などに位置します。そもそも医療機関の数が少ないために病診連携が行われず、紹介率・逆紹介率の低さが、承認する上でのネックになっています。

 そこで山本英紀構成員(長野県健康福祉部長)は、「中山間地域等に限り、病院が救急医療を実施していれば、紹介率の要件を満たさずとも地域医療支援病院として取り扱ってはどうか」などと提案。また、地域医療支援病院に関する意見を、他の都道府県からも募ってほしいと要望しています。

 一方、後者の病院間格差は、地域医療支援病院が都道府県に毎年提出する業務報告書である程度把握できています。ただし、実際に果たしている「医療機能や地域での役割」までは分からず、厚労省は、地域医療支援病院に対するアンケート調査を、年明けに実施し、実態把握を目指す方針を示しています。



http://www.medwatch.jp/?p=17769
療養病棟の死亡退院率を「半減させよ」―日慢協・武久会長
2017年12月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 病床が持つ医療機能を、「急性期」「地域包括期」「慢性期」の3つに分類し、どの病床でもリハビリテーションを充実させるべきである。また「慢性期」の機能を有する療養病棟では、治療による在宅復帰を増やすなどして、死亡退院率を半減させる必要がある―。

 日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は、12月14日に開いた定例記者会見でこのような提言を行いました。

ここがポイント!
1 病床の医療機能を3つに分け、「急性期」は高度急性期と広域急性期のみに
2 療養病棟と介護医療院の両方を持つ病院は、多様な患者ニーズに対応しやすい
3 急性期病棟では看護配置を緩める分、看護補助者を厚く配置してはどうか

病床の医療機能を3つに分け、「急性期」は高度急性期と広域急性期のみに
 病床が持つ医療機能は現在、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分類されています。2014年6月公布の「改正医療法」(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)で、「地域医療構想」や「病床機能報告」を導入するに際して採用された分類方法です。それぞれ、次のような機能を指します。

【高度急性期】急性期の患者の状態を安定化させるため、診療密度が特に高い医療を提供する
【急性期】高度急性期以外で、急性期の患者の状態を安定化させるために医療を提供する
【回復期】急性期を経過した患者に、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する
【慢性期】長期療養が必要な入院患者を受け入れる

 各都道府県の地域医療構想には、「2025年時点の医療ニーズに見合う医療機能別の病床数」(必要病床数)を、地域ごとに推計した結果が盛り込まれています。これが、いわば「2025年における入院医療提供体制像」に当たります。

 一方で、入院医療機関は毎年度、自院が担う医療機能を病棟ごとに選んで都道府県に報告しています(病床機能報告)。この報告結果から「地域の医療提供体制の現状」を把握し、「2025年における入院医療提供体制像」に近づけていくことが求められていますが、武久会長は、医療機能を4つではなく、(1)急性期(2)地域包括期(3)慢性期—の3つに分類してはどうかと指摘しています。

 いわば、病床機能分類の日慢協案を示したわけですが、この中で(1)の「急性期」病床は、「高度な医療機能を提供する」「県全域から急性期患者を集めて治療する」ような役割を持ちます。武久会長は、こうした機能の病床を持つ病院が、二次医療圏ごとに1―2つくらい必要だと言います。

 一方、(2)の「地域包括期」は、「近隣の急性期患者を治療する『地域急性期機能』」や「急性期治療後の患者に、在宅復帰に向けたリハビリテーションを提供する機能」を含みます。 いわば、現在の4機能分類における「急性期」の一部と「回復期」を統合させたイメージ です。

 「地域包括期」という言葉は聞き慣れませんが、武久会長は、「回復期」という医療機能を設けると、さまざまな弊害が生じるために「地域包括期」を採用したとコメントしています。例えば、「回復期」はリハビリテーションを連想させる言葉であることから、「回復期機能以外の病床ではリハビリテーションをしなくてもよい」という誤解が生じるかもしれません。本来は「急性期」や「慢性期」の医療機能を担う病床であっても、患者の心身機能の改善に向けたリハビリテーションに取り組むべきだと武久会長は主張します。

療養病棟と介護医療院の両方を持つ病院は、多様な患者ニーズに対応しやすい
 (3)の「慢性期」は、「高齢患者らが急性増悪を起こした際に受け入れ、治療して在宅復帰させる」療養病床などの機能です。「高齢患者らを看取りまで長期入院させる」機能は含まれず、そうした機能は、医療・介護の複合的ニーズに対応できる新たな介護保険施設の「介護医療院」(2018年4月創設)に委ねるべきだといいます。

 この点、厚労省が行った病棟単位の実態調査(2016年度の入院医療等の調査)では、現状、「療養病棟 に入院していた患者が入院中に亡くなった割合」(死亡退院率)は40.1%で、7対1病棟(3.4%)や地域包括ケア病棟・病室(3.2%)と比べて高いことが分かっています。
療養病棟に入棟した患者の死亡退院率は40.1%で急性期の病棟等と比べて高い。武久会長は、自宅等へ退院する患者を増やすなどして半減させるべきだと主張した


 一方、療養病棟に入院した患者の半数超(53.5%)は「自院・他院の7対1病棟から転棟・転院した」患者であり、自宅から直接入院した患者は1割程度(11.0%)です。これらを踏まえて「療養病棟で亡くなった患者像」を推測すれば、「急性期の治療が終わったが、在宅復帰するには医療ニーズが高過ぎるため、亡くなるまで長期入院する」患者が多く、「在宅療養中に急性増悪を起こし、療養病棟に入院して治療を受けたが亡くなった」患者も一部いると考えられます。
 武久会長は、こうした療養病棟の状況を改めて、「急性増悪を起こした慢性期患者を治療して、状態を軽快させ、在宅復帰させる」比率を高めていくことで、死亡退院率を半減させるべきだと強調しています。

 半減は高いハードルにも感じますが、池端幸彦副会長は、「例えば、一部の療養病棟を介護医療院に転換させ、一つの病院の中にある療養病棟と介護医療院の役割を分ければ、多様な患者ニーズにバランスよく対応できる」との考えを示しています。

急性期病棟では看護配置を緩める分、看護補助者を厚く配置してはどうか
 また武久会長は、急性期病棟 での「看護職員と看護補助者との役割分担」を、さらに進めていく必要性も指摘しました。

 現在、急性期患者を受け入れる7対1病棟では、専門的なケアが必要だと考えられることから、「看護職員を1日平均して患者7人に対して1人以上配置」した勤務体系を毎月組んでおり、そのためには「患者1.4人に対して1人以上」の看護職員を確保する必要があります。

 ただし、7対1病棟に入院する急性期患者の5割近くは75歳以上の高齢者で、おむつ替えなどにもマンパワーが必要です。そうした業務は看護の専門性を必ずしも必要としませんが、ほかに対応する人がいなければ看護職員が対応せざるを得ません。一方で、看護職員と看護補助者の両者を厚く配置する病棟では、役割分担が図られ、看護職員は専門性を生かす業務に専念できます。

 これを踏まえると、「看護配置7対1で、看護職員がおむつ交換なども行う病棟」と「看護配置は10対1や13対1だが、おむつ替えなどは看護補助者が担当する病棟」では、看護の専門性を生かしたケアが、同程度提供されるかもしれないと武久会長は指摘。少子高齢化の進展に伴い、「介護ニーズを持つ高齢患者の増加」と「若い働き手の不足」が並行して起こっていることも踏まえて、「専門職が、専門性を生かす業務に専念するための役割分担」を一層進めるべきだと訴えています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/575347
地域医療支援病院、果たして必要か、議論本格化
特定機能病院の承認要件、再び承認


レポート 2017年12月16日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は12月15日、地域医療支援病院の承認要件見直しの議論を本格化させた。社会保障審議会医療部会で、確認を求められた特定機能病院の承認要件については、事務局がこれまでの議論を改めて整理することで了承した。

 地域医療支援病院は1997年の第3次医療法改正で創設。承認要件を(1)紹介患者に対する医療の提供、(2)医療機器の共同利用の実施、(3)救急医療の提供、(4)地域の医療従事者に対する研修の実施――としており、診療報酬では入院初日の地域医療支援病院入院診療加算(1000点)として評価している。

 事務局は現状を

・年々増加傾向にあるものの、所在しない医療圏も3分の1程度存在している。
・承認要件に対する病院の取組状況は、項目や病院によってばらつきがある。2014年度時点で、定量的な承認要件を満たしていない病院が一定程度見られた。
・提出される業務報告書のみでは、医療機能や地域における役割を把握することは難しい。

として、以下のように議論の方向性(案)を提示した。

・医療計画や地域医療構想等の制度動向を踏まえ、地域医療において地域医療支援病院が果たす役割や位置づけについて、どのように考えるか。
・地域医療支援病院の機能を強化していくためには、承認要件をどのように見直したら良いか。
例えば
 ・へき地の医療機関への医師派遣実績の評価
 ・専門医、総合診療医の養成
 ・病病連携等の評価 等
・地域医療支援病院の業務報告書のみでは、地域医療支援病院の医療機能や地域における役割を把握することは困難なことから、承認要件の見直し検討に資する基礎データを入手することを目的として、実態調査をしてはどうか。

 業務報告書やDPCデータを使った地域医療支援病院に関する研究をしている東京医科歯科大学教授の伏見清秀氏は参考人として出席、中間報告を行った。DPCデータからは、地域医療支援病院の「在院日数」「救急搬送率」などが、その他の病院よりも高いことなどを報告した。委員からは、救命救急センターや地域癌診療連携拠点病院が含まれていることから、より詳細な分析が必要との指摘や4機能を併せ持つことのシナジー効果を明らかにしてほしいと要望があった。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「医療法上、地域医療支援病院という類型を設ける必要がないという意見。個別に診療報酬上の評価をすれば良く、一体的に評価して、1000点もの報酬を付けるのはラフなやり方だと思う。2次医療圏で10以上ある場所もあればないところもあるのは、配分として適切でないと思う」と指摘した。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、自身の病院が地域医療支援病院であると断った上で、「制度創設時は、外来において、病院と診療所の役割分担をしようと始まった。外来の問題なので、DPCを分析しても分からない。紹介率の要件は厳しかったが、これによって(役割分担が)相当できてきたと考えている」と述べた。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は「地域医療支援病院がどのような役割を果たすかは、地域医療構想調整会議のど真ん中の議論。それを全国に一律に議論するのは違和感がある。みなさんはどうお考えか」と問題提起した。

 自治医科大学地域医療学センターのセンター長の松村正巳氏は、自治医大卒業生が働く診療所がかつての230施設程度から200施設を切っているなどの事例を挙げながら、地域の医療事情が大きく変化してきていると説明。「(紹介、逆紹介をする)診療所の数が減ってきており、地域ごとの手当てをすべき」、 筑波大学附属病院病院長の松村明氏は「近隣の関連病院を見ていると、がん、救急でかなり性格が違う。4機能を一体にするのはどうなのかと思う」と述べた。

 相澤氏は「介護と医療を総合的に見ることが地域医療の支援をする病院ではないか。手術や救急で評価するのはもう十分では」と提案。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「大賛成。私たちの団体も地域包括ケア支援病院を制度として提案している」と応えた。

 遠藤座長は「地域医療支援病院の在り方は多様な議論ができる。じっくり議論していきたい」と締めくくった。

特定機能病院の取りまとめ、再び了承
 11月30日の検討会後に取りまとめた「特定機能病院の承認要件」に関しては、12月6日の社会保障審議会医療部会で再度の確認が求められていた(11月30日の議論は『「第三者評価の受審」、特定機能病院の承認要件にすべき?』を参照)。事務局は指摘事項と対応の考えを以下のように整理した。

・開設者と管理者の関係、管理者と医学部(教授会)の関係について明確化すべきでは
 ⇒今回の改正においては、開設者と管理者の権限を明確化するとともに、管理者の選任方法を透明化し、開設者と管理者の関係について、整理を行ったところ。医学部(教授会)との関係についても、必要に応じて、これらの対応の中で整理されるものと考えている。

・管理者が有する人事・予算権限について、具体的に明示すべきではないか
 ⇒管理者が有する権限を一律に定めることは、法人の形態が異なり困難である。しかしながら、管理者が必要な指揮力を発揮し、医療安全等を確保できるよう、必要な権限を有するべきである旨、通知で明示することとする。

・ガバナンス改革が適切に行われるよう、改革の状況について確認が必要では
 ⇒まずは、各病院の取組について、毎年病院から提出される業務報告書や、年に一度以上の立入検査時に、確認することとする。今後、状況を整理した上で、社保審医療部会へ報告する。

 幾つかの質問の後、再び了承を得た。



https://www.m3.com/news/general/576219
当直の医師は働いてはいけない?!田村編集委員の「新・医療のことば」
2017年12月21日 (木)配信読売新聞

 「病院の当直医」という言葉に、どんなイメージをお持ちですか?

 「救急車の到着に備え、一晩中診察室で待機」

 「入院患者の容体が急変すると、直ちに駆けつける」

――なかなか睡眠など取れずに診療に追われる医師の姿を想像する人が多いのではないでしょうか。

 研修医の過労自殺が相次いで明るみに出て、長時間労働の是正が医師にも求められています。その際、しばしば問題になるのが、一般的に使われる病院の「当直」(いわゆる泊まり勤務)の実際と、法律上の規定とのズレです。

病院の「当直」≠労基法の「宿直」
 私たちの働き方を定めている法律は、労働基準法(労基法)です。労基法の中には、「当直」という言葉はありません。夜の泊まり勤務は「宿直」、日曜日などの休日勤務は「日直」と言われます。

 医師も労働者であり、労基法の適用を受ける――との考え方は、裁判の判例などを通じて定着しつつあります。

 1日8時間、週40時間という法定労働時間や、時間外労働(残業)時間の制限などの規定のほかに、労基法は残業時間に含まれない勤務として、「宿直」と「日直」を認めています。

 この「宿直」や「日直」は、ほとんど働かずに過ごすのが条件です。労働基準監督署が認めた場合に限り、宿直は週1回、日直は月1回を上限に許可されます。

 「当直」の医師が、日中と同じくらい忙しく働いていたら、労基法上は「時間外労働」ですので、その分の割増賃金も生じますし、残業時間の制限にも関わります。

 日常的に、寝る暇もなく診療にあたっているのなら、それは「宿直」ではありません。労基署が、こういうケースで病院側に未払い賃金の支払いを命じるニュースは、よく目になさっていると思います。

「寝当直」や「連直」も
 医療法は、病院の管理者が入院患者の急変などに対応できるよう「宿直」をおくよう、義務づけていますが、その働き方については規定していません。でも、実態は、一般に言う当直です。このように「宿直」という言葉の意味が、労基法と医療法で異なるというのが、話をややこしくしている一因でもあります。

 さて、宿直は、病院の種類や規模に関係なく義務づけられていますが、現場の忙しさはピンきりです。その実態を裏返した形で教えてくれるのが、業界用語の「寝当直」です。

 寝当直は、急患を受けない慢性期の病院などの、夜中に起こされる可能性の少ない病院での宿直を指す言葉です。本来の「当直」はぐっすり寝てなんかいられない、ということになりますね。

 常勤医の少ない小規模病院の多くは、「当直」にアルバイトの医師を雇うとされます。かつて、バイトの研修医による当直が安全面から問題になったことがありました。これは、2004年に初期研修の義務化に伴い、研修期間中に十分な収入を保証することと引き換えに禁止されました。

 最後は、「連直」という言葉です。「2日続けての当直」を意味します。

 「大学病院の給料だけでは足りないから」と、バイト先の病院で土日をぶっ通しで泊まる医師の話を聞き、月曜日の手術は大丈夫なのか、と心配になったことがあります。

「医師の偏在」問題とも直結
 「当直」の実態は、労基法上の「宿直」と必ずしも一致しない。かといって、それを実態に合わせて労働時間とみなせば、賃金の支払いも増える。新たに医師を雇う必要があるが、財政的にも医師不足の面からも、増やすに増やせない……。地方の病院からはこういったジレンマを嘆く声が聞こえてきます。

 24時間対応の救命救急センターには、日勤、夜勤の交代勤務を導入しているところもあります。しかし、診療態勢を維持するには、これまでよりも多くの医師が必要です。

医師の働き方改革は、地域や診療科によって医師の数に格差がある「偏在」の問題と切り離して考えることはできないのです。 (田村良彦 読売新聞東京本社編集委員)



  1. 2017/12/23(土) 11:31:31|
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