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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月9日 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017120801302&g=soc
地方勤務、病院長就任の評価に=偏在対策で制度創設へ-厚労省
(2017/12/08-21:22)時事通信

 厚生労働省の有識者会議は8日、地方勤務経験を地域医療支援病院などの病院長となる際の評価基準の一つとする新たな認定制度の案をまとめた。医師不足が深刻なへき地などでの勤務を促すのが狙いで、来年の通常国会に医療法などの改正案提出を目指す。
 2014年の人口10万人当たりの医師数は都道府県別で最多の京都は307.9人なのに対し、最少の埼玉は152.8人。より小さい2次医療圏で見ると、東京の都心と島しょ部で10.6倍の開きがあるなど偏在が課題となっている。
 制度案では、都道府県が指定する医師不足の医療機関に一定期間勤務した医師を厚労省が認定する。対象は若手やベテランを問わず、地域医療支援病院などの病院長になる際に財務・労務管理能力などと同じように評価する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573904
中央社会保険医療協議会
「病院とケアマネ」「かかりつけ医と老健施設」情報連携評価
介護施設での看取り、医療保険側での評価に支払側が疑問視

レポート 2017年12月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、12月8日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、医療機関が退院前からケアマネジャーに情報提供した場合に診療情報提供料の算定可能にしたり、介護老人保健施設の退所患者について、入所中の減薬などをかかりつけ医が引き継いだ場合を評価するなど、医療と介護の連携推進に向けた評価を提案、了承を得た(資料は、厚労省のホームページ>を参照)。

 2016年度診療報酬改定では、在宅時医学総合管理料等が、単一建物診療患者の場合に人数に応じた評価に見直されたことなどから、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料、訪問歯科衛生指導料についても、同様に人数に応じた評価に見直すことも了承。

 ただし、介護老人福祉施設(特養等)をはじめ、介護施設の入居者・入所者に対する看取りについて、介護施設と協働で医療機関や訪問看護ステーションが看取りを実施した場合、医療機関等でも、在宅ターミナルケア加算(死亡前14日間)や看取り加算(死亡日)を算定可能とする提案については、診療側は支持したが、支払側は「特養には、ドクターを配置しているのに、他の医療機関と協働して看取りをした場合に評価するのは疑問。そもそも特養におけるドクターの位置付けは何か」(連合総合政策局長の平川則男氏)など慎重な検討を求める声が上がった。

 厚労省の提案と、委員の主な発言は次の通り。

1.介護支援専門員や老健施設との情報共有・連携
(1)入院中からの介護支援専門員への情報提供
 入院中の医療機関から介護支援専門員への診療情報提供について、退院後に円滑に介護サービスを導入する観点から、介護支援連携指導料を算定できない場合であって、退院前一定期間内に限り、診療情報提供料による評価の対象にしてはどうか。
(2)かかりつけ医と老健施設との連携
 かかりつけ医と老健施設との連携について、多剤投薬・重複投薬の是正推進の観点から、入所中の処方薬に係る情報提供、退所後の外来受診時における処方内容のフォローアップなどに対する評価を検討してはどうか。

【診療側】
松本純一氏:誰を評価するのか。かかりつけ医に係る評価であれば、結構だ。

【支払側】
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏:情報提供を行った場合、出来高なのか、管理料的なもので取るのか。
厚労省保険局医療課長の迫井正深氏:イメージとしては老健施設を退所し、施設内で減薬等を実施していた場合、外来でそれを引き継いだ場合に評価してはどうかという提案だ。
幸野氏:それであれば理解する。

2.介護施設での看取り
 介護施設の入居者・入所者に対する看取り期のケアについて、介護施設の従事者と、訪問診療等を提供する医療機関・訪問看護ステーションが協働して看取り期のケアを行った上で、施設内で看取りが行われた場合には、施設ごとの看取りに係る体制に応じて、協働した医療機関や訪問看護ステーションでも看取り期のケアに係る診療報酬を算定可能としてはどうか。

【診療側】
松本純一氏:介護報酬と診療報酬をダブルで算定できるという意味か。
迫井課長:介護サイドで、看取り介護加算を算定していても、一定の要件を満たせば、医療サイドがターミナルケアを実施した場合には、在宅ターミナルケア加算や看取り加算の併算定を認めてはどうかということ。

【支払側】
平川氏:特養には、ドクターがいるが、看取りができない場合には相当あるのか。ドクターを配置しているのに、他の医療機関と協働して看取りをした場合に評価するのは疑問。そもそも特養におけるドクターの位置付けは何か。
厚労省老健局老人保健課長の鈴木健彦氏:特養の配置医が行う看取りは、かなりの頻度で行われているが、外部の医師に依頼することもある。配置医の役割は、入所者に対する健康管理、療養上の指導であり、非常勤なので、24時間365日、配置医がいるわけではない。
平川氏:非常勤だからと言って、別途評価するのはあり得ない。非常勤でも来てもらうべき。
迫井課長:非常勤の配置医以外の勤務日以外の対応は、「勤務日以外でも対応してもらえる」のは49.2%。また現行でも末期の悪性腫瘍患者等には、訪問診療料等の算定は可能だ。
平川氏:あまりこれを拡大していくと、配置医が不要になる、という議論にもなりかねない。慎重に検討してもらいたい。

全国健康保険協会理事の吉森俊和氏:協働の必要性は理解できるが、協働の内容、要件の整理が不足しているから、今のような話になる。また両方とも満額の点数を算定するのか。協働の要件と点数の設定のそれぞれについて明確にしてもらいたい。
迫井課長:重複して評価し、すみ分けができていないとの議論だが、介護報酬が評価している範囲と、診療報酬が評価している範囲は異なる。医療保険サイドが、介護保険が給付対象としていないサービスを実施した場合でも併算定はできなかった。

【診療側】
日医常任理事の松本吉郎氏:特養で最終段階を迎えるのは、現状として難しい。施設での看取りを進める上で、この方向性を支持したい。
全日本病院協会会長の猪口雄二氏:特養の配置医は、常勤ではなく、健康管理を行うのが主な仕事。(配置医が)外来診療中に、看取りが必要になる場合もある。そうした場合に、外部の医療機関の助けを仰ぐことが今後は絶対に必要になる。

平川氏:協働は例外的なものとして対応すべき。
松本吉郎氏:例外ではない。

3.訪問指導料の単一建物に係る取り扱い
診療報酬の在宅時医学総合管理料等で単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直され、また、介護報酬の居宅療養管理指導費についても同一建物居住者から単一建物居住者の人数に応じた評価と見直す方向で議論されたことを踏まえ、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料、訪問歯科衛生指導料についても、同様に、単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直してはどうか。

【診療側】
日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏:人数に応じた評価について、特に反対はないが、臨時で呼ばれることもある。臨時対応については、ぜひ考慮してもらいたい。
日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏:共通の考え方として、在宅患者訪問薬剤管理指導料についてはこの方向でいい。



http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2017/12/07090745053211.shtml
伊万里松浦病院移転を承認
長崎新聞(2017年12月7日更新)

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を病床過剰地域に含まれる松浦市に移転開設する計画について、県医療審議会(会長・蒔本恭県医師会長)は6日、長崎市内で会合を開き、承認することを決めた。

 同病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)が、医療法の特例に基づく病床67床での開設を県に申請。県が同審議会に計画を認めるか諮問していた。開設認可にはさらに国との協議が必要で、県は早ければ年内にも協議を始める方針。

 医療法は原則、病院新設が認められない病床過剰地域でも、公的機関を含む複数の医療機関の再編で病床が減る場合、地域事情に応じて病床開設ができるとしている。県によると、この特例に基づく病床の開設は全国でも例が少なく、県内では初の事例となる。

 松浦市を含む2次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床数は基準の3858を900床以上超えている。このため、病院誘致を目指す松浦市は市内計68床の削減計画を策定している。

 会合では、同市の担当者が市内に24時間対応の救急告示病院がなく、医師の高齢化、後継者不足も抱えていると説明。機構は、救急医療を担うなどして地域に貢献する考えを強調した。委員からは民間への影響を懸念する声もあったが、新病院の必要性についての異論は出なかった。

 機構の尾身茂理事長は「地域の方々と話し合いを進め、できてよかったと言われる病院開設を目指す」と話し、友広郁洋松浦市長は「県には国との協議を進めていただき無事開設を認めてもらいたい」と述べた。



https://mainichi.jp/articles/20171208/ddl/k41/040/379000c
伊万里松浦病院移転問題
跡地にサテライト診療所 市と機構合意 「県外」決定を受け /佐賀

毎日新聞2017年12月8日 地方版

 伊万里松浦病院(伊万里市山代町)の移転計画で、独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)の担当理事は7日、伊万里市の塚部芳和市長に「県外移転がほぼ決まった」と現状を報告。病院跡地にサテライト診療所を建設する問題に市と機構が二人三脚で取り組むことに合意した。【渡部正隆】

 長崎県医療審議会は6日、同県松浦市に病院が移転する計画を了承した。厚生労働省との調整は残っているが機構は「大きな前進」と受け止め、伊万里市に審議結果を報告した。

 伊万里市は今後、市議会や地元自治会などに現状を説明し、それぞれから出される要望事項を市が取りまとめて、機構に伝える--との手順に合意した。

 病院が移転すると、山代町は医療空白地帯となるので、跡地対策は大きな課題。機構も当初から「空白を埋める診療所の建設」を市側に打診していた。だが、2年に及ぶ病院移転問題のもつれから市は「跡地に診療所を建設する問題は機構が言い出した」と、これまで突き放してきた。

 しかし、地元の要望がないまま機構が診療所建設を進めると、厚労省から「独法の自己増殖運動」と受け取られかねない。市は機構の立場を理解し今回の地元要望の取りまとめ役を引き受けた。

 病床を持たない診療所の建設に市内の病院は異論がなく、今後は行政手続きに沿って建設問題は推移する。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/157327
塚部市長「伊万里に診療所残して」
伊万里松浦病院移転で

12/8 8:32 佐賀新聞

 伊万里市山代町の伊万里松浦病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)は7日、塚部芳和市長に対し、長崎県松浦市への移転を前提に伊万里市側と協議を進めたい考えを正式に伝えた。塚部市長は了承し、移転後の現在地に少なくとも診療所機能を残すよう求めた。

 長崎県の医療審議会が6日に移転を承認し、移転が事実上確定したことを受け、機構の宇口比呂志理事が伊万里市役所を訪れた。

 会談は非公開で行われ、宇口氏が移転が確実になった経緯を報告し、2020年7~10月の新病院開設に向け、伊万里市側とは移転後の対応を協議したいと話したという。

 これに対し、塚部市長は「地域に70年あった病院が移転すれば、住民も大変困ることになる。移転後も最低でもサテライトの診療所を残してほしい」と述べた上で、今後、市議会や地元区長会の意見を集約し、あらためて機構側に要望すると返答した。



https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-626262.html
<社説>北部2病院統合 課題克服し早期実現を
2017年12月7日 06:01 琉球新報

 翁長雄志知事は、県立北部病院と北部地区医師会病院の統合を進め、基幹病院を整備する方針を表明した。

 慢性的な医師不足を解消し、安定した医療体制の構築へ向け、一日も早い実現を求めたい。
 沖縄21世紀ビジョンの将来像に「誰もが生きがいをもち、十分な医療や福祉が受けられる沖縄」という項目が含まれる。今年3月に決定した「県地域医療構想」は、北部地域の定住環境を整備するためにも「安定的な医療提供体制を構築するための効果的な施策が喫緊の課題」と明示している。
 本島北部地域は、人口約10万人の医療圏に327床の県立北部病院、200床の北部地区医師会病院という同規模の急性期病院が二つあり、診療科も重なる。そのため医療提供体制が分散され慢性的な医師不足が続いている。2006年に県立北部病院の産婦人科が医師不足による休止に追い込まれた。
 このため14年には県の研究会が両病院の統合を提言した。さらに今年3月、北部市町村の首長、議会議長、女性団体代表、医療関係者は、翁長知事に対し「北部地域における基幹病院の整備を求める決議」と基幹病院整備を求める11万1039人分の署名を手渡した。
 決議は北部地域の医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、住民に寄り添った医療確保のために、両病院の統合・再編を訴えた。基幹病院の機能として(1)500病床の機能集約(2)多様な病気への対応(3)安心して産み育てられる地域貢献病院-などを求めている。
 2病院を統合することで、県立北部病院で1回当たり15時間半に及ぶとも指摘される当直勤務の回数を減らし、医師の負担を軽減できる。県立北部病院の医師らの過重労働について労働基準監督署から是正勧告が出されており、勤務改善は喫緊の課題だ。
 また、中南部への患者の流出が進み症例が少なくなることで若手医師が辞め、医師不足がさらに患者の流出を生む悪循環が指摘されている。統合することにより、幅広い症例を集約することで医師の研修を充実することができる。
 一方、統合に伴う課題は山積している。県は両院の財産の取り扱いや職員の身分など、約50項目にわたる「整理すべき課題」を抽出し、今年3月、関連機関や北部市町村会などに提示した。
 特に、北部地区医師会病院は03年に負債が約61億円に膨らみ、経営破綻の危機に陥った経緯があるため、北部地区医師会の借入金についての取り扱いは大きな焦点となる。さらに職員の身分といった問題もある。
 健康と豊かな生活を送るために医療の充実は欠かせない。地域によって医療体制に差があってはならない。県と医師会病院、北部12市町村には、山積する課題を克服し、合意形成を求めたい。



http://www.huffingtonpost.jp/foresight/doctor-medical-relationship_a_23296994/
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まったく変わらぬ「医師」「製薬企業」「官僚」癒着の実態を告発する--上昌広
医師と製薬企業の不適切な関係は改善されたと思うだろう。 ところが、話はそんなに簡単ではない。

2017年12月08日 13時59分 JST | 更新 2017年12月08日 13時59分 JST ハフィイントンポスト

スイス製薬大手の日本法人「ノバルティスファーマ」が販売する降圧剤の研究不正が発覚して5年が経過した。

この間、医師と製薬企業の関係については、情報開示が進んだ。2012年以降、製薬企業は医師や病院への資金提供を、一部の大学や病院は製薬企業から受け入れている資金を、それぞれ開示するようになった。さらに、今年4月には臨床研究法が制定され、製薬企業は医療機関・研究者への資金提供を公表することが義務づけられた。これで、医師と製薬企業の不適切な関係は改善されたと思うだろう。

ところが、話はそんなに簡単ではない。私は、実態は変わっていないと考えている。

「日本臨床腫瘍学会」の癒着
すこし工夫すれば、医師と製薬企業の「癒着」の痕跡は、容易に見つけることができる。多くの医師主導臨床研究のプロトコール(治験実施計画書)や、学会のガイドラインがインターネットで公開されている。ご興味がある方は、ファイルをダウンロードして、「プロパティ」の「作成者」の欄を調べてみるといい。

例えば、2014年4月に日本臨床腫瘍学会が発表した「大腸がん患者におけるRAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異の測定に関するガイダンス第2版」だ。

このガイドラインは、抗上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)抗体薬の使用法に関するものだ。EGFRは大腸がんなどの一部のがんで高発現しており、がんの増殖と関係する。抗EGFR抗体薬としては、スイス製薬大手の日本法人「メルクセローノ」が販売する「セツキシマブ(商品名アービタックス)」と、「武田薬品工業」が販売する「パニツムマブ(商品名ベクティビックス)」があり、いずれも大腸がんへの効果が認められている。

その後の研究で、RAS遺伝子が変異している患者には抗EGFR抗体薬の効果が低いことがわかった。この変異は、大腸がん患者の45%程度に認められる。2010年には厚生労働省も、遺伝子検査を保険適用とした。

その後も同様の変異の発見が続いており、無駄な投薬を避けるため、使用ガイドラインを改定することとなった。作業部会のトップは土原一哉氏(国立がん研究センター先端医療開発センター)が務めた。

このガイダンスはウェブ上で公開され、製薬企業との利益相反は冒頭の3ページで詳細に記載されているが、土原氏は、すべての製薬企業との利益相反はない、と明言している。

ところがこのファイルを調べると、「作成者」の欄には「Merck・Ltd」とあった。同社はメルクセローノの親会社。「アービタックス」は同社の目玉商品で、2016年度の全世界での売上は約1100億円だ。

医師たちは、無駄な抗がん剤の使用を止めるためのガイドライン作成を、その薬を販売する会社に任せていた可能性がある。少なくとも「独立した評価委員による評価を2014年2月から3月に行い、以下に示す改訂版を作成した」という説明は、文字通りには受け取れない。

この件は、これまでどこにも報じられていない。今回、この文章を読んだ日本臨床腫瘍学会は、果たしてどのような対応を取るだろうか。メディアはどう報じるだろうか。おそらく当事者は説明などしないだろうし、メディアも学会を批判したりはしないだろう。

医療界の悪弊は、問題が指摘されても頬被りを決め込むことだ。それは厚生労働省も例外ではない。

日本臨床腫瘍学会は実は、国がん(国立がん研究センター)の医師が立ち上げた集まりだ。国がんは厚労省の直轄組織だが、ここでは科学研究費(科学研究助成の補助金)の不正使用など、多くの問題が発覚している。おそらく、この手の「癒着」は氷山の一角だろうから、下手に問題を指摘すると、自らが返り血を浴びかねないのである。

世界最高峰科学誌に論文掲載
臨床研究不正で、現在最大の問題となっているのは、乳がんの臨床研究グループである一般社団法人「JBCRG(東京都中央区、代表理事大野真司・がん研有明病院乳腺センター長)」だ。

この組織は、戸井雅和・京都大学乳腺外科学教授が設立した団体で、常任理事には黒井克昌・東京都保健医療公社荏原病院院長や岩田広治・愛知県がんセンター中央病院副院長など、乳がん業界の重鎮が名を連ねる。

このグループが今年6月、米国の『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)』誌に臨床研究を発表した。

『NEJM』は世界最高峰の医学誌で、2016年のインパクトファクター(掲載論文が引用された回数を示し、雑誌の格の指標に用いられる)は72.4で、医学誌の中で断トツの1位だ。ちなみに2位は英国の『ランセット』で47.8、科学誌の最高峰とされる英国の『ネイチャー』は40.1。『NEJM』の権威の程がおわかりいただけるだろう。

日本の臨床研究が世界で評価されることは、1人の日本人として誇りに思う。ところがこの論文を詳細に読むと、研究費の扱い、製薬企業との関係、さらに健康保険への不正請求など、JBCRGのやり方が滅茶苦茶なのがわかる。

不可解な資金の流れ
その前に、まずは、この研究の概要をご紹介しよう。

この研究は「CREATE-X」と呼ばれ、対象はHER-2陰性の再発リスクの高い乳がん患者だ。合計910人が登録され、全員が従来型の抗がん剤治療を受けた後に、手術を受けた。

その後、患者は無作為に分けられ、「カペシタビン(商品名ゼローダ、中外製薬)」という抗がん剤を投与される群と、それ以外に分けられた。

結果は驚くべきものだった。コントロール群と比較して、カペシタビン投与群の5年間の死亡、再発リスクがそれぞれ41%、30%も低下していたのだ。臨床試験は中間解析でストップした。

カペシタビンは乳がんの補助化学療法として以前から注目されてきたが、過去の多くの臨床試験では有効性を示せなかった。2015年に米国、また最近ドイツから発表された臨床研究の結果は、いずれもネガティブだった。今回のように再発だけでなく、生存期間まで延長できたという研究結果は、世界に衝撃を与えた。だからこそ、世界最高峰の医学誌である『NEJM』も掲載したのだ。

カペシタビンは、中外製薬が販売する抗がん剤だ。中外製薬は我が国を代表する抗がん剤メーカーで、特に乳がん領域に力をいれている。主力の「アバスチン」(売上921億円、2016年度)や「ハーセプチン」(売上341億円、同)は乳がんに適応があり、この領域での売上が多い。

カペシタビンの売上は123億円で、同社の抗がん剤領域では第4位だ。市場規模は大きくないが、対前年比11%の売上増で成長が期待できる。さらに乳がん治療では、前述のアバスチンやハーセプチンなどの他の商品との相乗効果が期待できる。つまり、この臨床試験は中外製薬と密接な関連があるのだ。

では、実態はどうだったのだろう。『NEJM』を見ると、この臨床試験は、一般社団法人JBCRGと特定非営利活動(NPO)法人「先端医療研究支援機構」によって助成されたと記載されているだけで、中外製薬の名前は一切出てこない。

臨床試験の実施主体がJBCRGなのに、そのための資金がJBCRGから助成されているとは不思議な理屈だ。余程、資金の出所を隠したいのだろうと勘ぐられても仕方ない。『NEJM』編集部は、どうしてこのような記載を許したのかわからない。

この問題を最初に指摘したのは月刊誌『選択』だ。その8月号で「中外製薬が抗がん剤で『研究不正』『カネまみれ』医学界との癒着は続く」という記事を掲載し、ネット上で無料公開した。

「紐付きです」
冒頭でご紹介したように、製薬企業は医師などへの資金提供を2012年から開示している。開示されたデータを調べると、2012年度から4年間に中外製薬からJBCRGに1億円、先端医療研究支援機構にも、2012年度から15年度までに2億円以上の寄付金が渡っている。2011年以前は開示されておらず、これは氷山の一角だが、その巨額さに驚く。

製薬企業からNPOなどへの寄付は、年間100万円程度が相場だ。数億円の寄付は、何らかの見返りがあったと考えるのが普通だろう。知人の先端医療研究支援機構関係者に尋ねたところ、「JBCRGに入れました。勿論、(中外製薬の)紐付きです」と回答した。

言うまでもないが、この臨床試験の結果で利益を受けるのは中外製薬だ。カペシタビンの、これ以上ない宣伝になるだろう。しかも、自らの名前は出ることなく、医師が自主的に研究した形をとっている。

このケースが極めて巧妙なのは、製薬企業から医師や病院への資金提供について情報開示が求められたため、製薬企業は第三者機関を、医師たちは独自の団体を立ち上げ、両者の間で資金をやりとりしたという構造だ。いずれも情報開示義務がなく、外部からはチェックできない。先端医療研究支援機構からJBCRGに渡った金の額は不明だし、JBCRGがどのように使ったかもわからない。臨床研究法の精神を踏みにじる行為で、悪質と言わざるを得ない。

ところが『選択』の記事が出たあとも、医学界・厚労省・マスコミはだんまりを決め込んだ。

この問題を指摘したのはただ1人、南相馬市立総合病院の乳腺外科医である尾崎章彦氏(32)だ。『サイエンス・アンド・エンジニアリング・エシクス』という英語の専門誌に、問題点を解説した論文を寄稿して掲載された。医学界の中で相当な反発が予想される中での、勇気ある行動だ。彼の存在を見ていると、日本の医学界も変わりつつあることを感じる。

「見え透いた嘘」で健保「不正請求」
実は、この臨床試験にはもう1つ問題がある。それは研究者たちが、製薬企業から受け取った研究費でカペシタビンを購入せず、健康保険で不正に請求していたことだ。

医師と製薬企業の癒着は、薬害を別にすれば、極論すれば株主が不利益を蒙っているという問題である。ところが健康保険への不正請求は、国民に対する冒涜だ。

このことを報じたのも『選択』だった。11月号で「中外製薬『抗がん剤研究』の闇 一流医師らと健保組合から『大金詐取』」という記事を掲載した。

先に挙げた乳がん研究「CREATE-X」の対象は、再発リスクの高い乳がん患者で、カペシタビンを手術と併用した。ところが、厚労省がカペシタビンの保険での使用を認めているのは「手術不能又は再発乳癌」だけだ。つまり、適応外使用である。

前述したように、カペシタビンを乳がんに補助化学療法として用いた過去の多くの臨床試験では、有効性を示せなかった。今回の臨床研究のように、カペシタビンを用いた場合の効果は全く不明と言わざるを得ない。JBCRGも、『NEJM』に掲載された論文の中でそのことを明記している。

臨床研究としてカペシタビンの適応外使用をする場合、厚労省の「先進医療」制度に申請し、カペシタビンの費用は別途研究費で支払うしかない。通常、製薬企業はこのための費用を医師に寄付金として入れる。中外製薬からJBCRG、あるいは先端医療研究支援機構を介して研究者に支払われた金は、この目的に使うことを念頭に置いている。

ところが、彼らはカペシタビンの費用を健康保険に請求した。『NEJM』の論文では、「カペシタビンは保険者と相談して投与した」と記載している。

これは明白な嘘だ。臨床試験に用いる適応外使用を認めることは、保険診療・診療報酬のあり方を定める厚労省令の「療担規則」に違反する。健保の担当者が通知違反をしてまで認めることはあり得ないし、あまたある健保組合のすべての担当者に合意を得るなど不可能だ。

どうして、こんな見え透いた嘘をつくのだろう。参加施設の倫理審査委員会は、なぜ、この点を指摘しないのだろうか。日本の臨床試験のガバナンスには問題がある。

誰もが「だんまり」
「CREATE-X」は日韓共同の臨床研究だ。日本で登録された患者の約半数である300人程度がカペシタビンを投与された。2017年11月末日現在のカペシタビンの値段は、1錠360円(2年に1度の薬価改定のたびに安くなるため、「CREATE-X」が行われた当時はもっと高い)。この試験の場合、1日12錠を2週間服用する。そして、これを6~8コース繰り返すから、カペシタビンの費用は総額で約1億5000万円となる。研究者たちは本来、自分たちが研究費として準備すべきこの費用を、健康保険組合に負担させたことになる。

我が国でカペシタビンの術後補助療法は一般的でない。この臨床試験に登録されなければ、おそらく処方されることはなかっただろう。この点を鑑みれば、医師は論文、製薬企業は新規顧客の開拓のために、健保を食い物にしたという見方も可能だ。

医療機関が組織的に保険の不正請求をした場合、病院は不正請求分の払い戻しに加え、延滞利息などを支払い、その結果経営破綻することが多い。さらに院長は、医道審議会で保険医資格の停止などの処分を受ける。

ところが、この件を『選択』が報じて以降も、厚労省、医学会、さらにマスコミも、またもやだんまりを決め込んでいる。JBCRGもホームページや記者会見で見解を述べることはしていない。これこそが、現在の我が国の医学界を象徴していると思う。

問題意識なき医学界
知人の厚労官僚は、この件について穿った見方をする。彼が注目するのは、「CREATE-X」に参加した62施設中、4施設が独立行政法人「国立病院機構」傘下の病院であることだ。これは厚労省直轄の機関で、厚労省で医療政策を担当する医系技官が出向している。彼は、「国立病院機構は臨床試験体制整備のために、巨額の補助金を受け取っていますが、この体たらくです。JBCRGを追及すれば、そのまま自らに矛先が向いてしまうのです」と言う。その構造は、冒頭にご紹介した日本臨床腫瘍学会と同じだ。産官学の癒着構造ができあがり、誰も問題意識をもっていないのである。

臨床研究への社員関与が問題となった2012年のノバルティスファーマ事件で、ノバルティスの日本法人幹部は更迭された。だがその後ノバルティスは再生し、成長を続けている。

一方、東京大学医学部を中心とした多くの関係者は責任を取らず、その地位にしがみついた。東大医学部の衰退は、いまや週刊誌でも揶揄されるレベルだ。明治以来、先人たちが営々とした努力で築いてきた東大医学部という財産を、不心得者たちと、それを批判しない臆病な「お仲間」が壊してしまった。

医療・医学は社会の信頼なしには発展しない。今回紹介したケースの問題点は、公開情報だけでも明々白々だ。今こそ、オープンに議論し、医療界に溜まった膿を出さねばならない。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20171204-OYT1T50106.html
医師残業、年1777時間も…過労死ライン常態
2017年12月05日 09時26分 読売新聞

 愛媛県立4病院で2016年度、勤務医の約8割が労使協定で定めた上限(月45時間、年360時間)を上回る時間外労働をしていたことが分かった。

 1割以上で時間外労働が年1000時間を超え、中には年1777時間に及んだ医師もいた。平均時間は月57時間で、心臓血管外科や脳神経外科、小児科、放射線科で長時間勤務となる傾向が強く、県は「医療事務を担う職員を増やすなどして医師の負担を減らし、勤務環境を改善していく」としている。

 県によると、新居浜、今治、中央(松山市)、南宇和(愛南町)の4病院で、職員の時間外労働は「36(さぶろく)協定」と呼ばれる労使協定で上限を「月45時間、年360時間」、緊急手術など急を要する処置が重なるなどした場合のみ「月90時間、年に6回まで」と定めている。

 だが、16年度は勤務医計269人中210人で時間外労働が年360時間を超過。36人は年1000時間を超え、「過労死ライン」とされる月80時間超が常態化していたとみられる。

 年1777時間だったのは、県立中央病院の心臓血管外科の男性医師。同科は医師が6人で定員(8人)に満たず、県の担当者は「医師不足に加え、緊急手術の数が多く緻密な術後管理も必要な部署で、労働時間が長くなる傾向にある」と説明する。

 県はカルテ入力などの事務を補助する職員を増やしたり、複数の医師によるチーム医療を導入したりしたほか、病院長らに面談で勤務実態を把握させるなどして改善を図っている。今年度の時間外労働は昨年度より減少傾向にあるという。

 「36協定」は労働基準法36条に基づく労使協定。「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて働かせる場合は労使間で協定を結び、労働基準監督署に届け出なければならない。(水谷弘樹)



http://www.medwatch.jp/?p=17394
医師不足区域での勤務経験を診療所の開業条件に―地域医療を守る病院協議会
2017年12月5日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の地域偏在が解消されるかどうかは、医療機関の管理者要件に懸かっている。具体的には、「『医師少数区域』での一定期間以上の勤務経験」を診療所の開業条件にすべき―。

 5つの病院団体(全国自治体病院協議会・全国厚生農業協同組合連合会・日本慢性期医療協会・全国国民健康保険診療施設協議会・地域包括ケア病棟協会)で構成する「地域医療を守る病院協議会」は11月29日の記者会見で、こうした方向で意見が一致していることを明らかにしました。

 中長期的な医師偏在対策については、厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で目下議論されています。地域医療を守る病院協議会では、厚労省側に働き掛けることで、今年(2017年)12月末までに検討会が取りまとめる検討結果への反映を目指すとしています。

ここがポイント!
1 まず病院で要件化するとしても、「国立病院機構」を入れるべき
2 医師不足の地方で働く経験は「キャリア形成に有用」

まず病院で要件化するとしても、「国立病院機構」を入れるべき


 医師需給分科会では現在、「都道府県による医師確保対策の実施体制の強化」(例えば、都道府県ごとの地域医療対策協議会の構成員などを見直し、医師確保対策の実効性を高める役割を発揮させる)や、「医師養成課程を通じた医師確保」(医師が多い都道府県にある大学医学部の地域枠の卒業者を、医師が少ない都道府県で一定期間従事させる)など、さまざまな観点から方策を検討しています。

 「管理者要件の見直し」もこのうちの1案で、分科会では、▼「医師少数区域」(都道府県の中でも医師不足の地域)での勤務経験を一定期間以上有する医師を、「認定医師」(仮称)として厚労省が認定する▼将来的に、「認定医師」であることを地域医療支援病院などの管理者要件に据える―といった厚労省案をベースに議論が進んでいます。

 これを踏まえて、地域医療を守る病院協議会の邉見公雄議長(全国自治体病院協議会会長、赤穂市民病院名誉院長)は会見で、「管理者要件の見直し」が最も重要だと指摘。その上で、医師需給分科会で検討している案よりも強力な施策が求められると主張しました。

 具体的には、「認定医師」を管理者要件に据える対象医療機関の範囲を大幅に広げて、「診療所の開設者になるための要件にしてほしいというのが、われわれの総意だ」と述べました。「『認定医師』になるインセンティブが、より多くの医師に対して働く」と考えられるためです。

 ただし、診療所の「開業規制」につながり、反発もあると考えられることから、邉見議長は、対象医療機関を絞って要件化した後、どこかのタイミングで診療所にも導入する方法が現実的かもしれないとコメントしています。

 その上で、「認定医師」であることを管理者の要件とする病院の対象範囲について、「国立病院機構が運営する病院も入れるべきだ」という意見が、地域医療を守る病院協議会の中で多数派であることを明かしています。この点、厚労省案では、▼地域医療支援病院▼臨床研修病院▼社会医療法人▼公的医療機関▼地域医療機能推進機構(JCHO)―の5つを候補に挙げ、さらに対象を限定するとしています。国立病院機構が運営する病院の多くは、「地域医療支援病院」や「臨床研修病院」に当てはまると考えられますが、邉見議長は「国の“お膝元”の病院だ。そこが入らないのはおかしい」と主張しています。

医師不足の地方で働く経験は「キャリア形成に有用」

 また邉見会長は、医師偏在対策の一環として地方で働く経験が、若手医師の教育面でも有用だと強調。というのも、医師が少ないへき地の多くでは、高齢化が特に進んでいます。今後、全国的に高齢化が進む(今後は都市部での高齢化が急速に進む)ことを見据えて、若いうちに総合的な医療提供を体験しておくことが、自身のキャリア形成にも有用だというのです。

 この点、会見に出席した押淵徹・全国国民健康保険診療施設協議会会長(国民健康保険平戸市民病院院長)は「医師の人生にとって、大きな『財産』を得る経験ができる。若い時期に一度は来て、人間を磨いてほしい」、武久洋三・日本慢性期医療協会会長(医療法人平成博愛会理事長)は「地方でさまざまな患者を診て、経験した上で管理者になる。そういう医師の『育ち方』も大事ではないか」と指摘しています。

 「認定医師」をめぐっては、「どの程度の期間の経験で認定するか」も重要なポイントですが、邉見会長は、医師自身がキャリア形成に資するような経験を積むためには、少なくとも「1年半程度」勤務する必要があるのではないかとの考えを示しています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573725
臨床研修制度の見直し
7科目必修化や評価の標準化、初期研修の改定案まとまる
2020年度から新カリキュラム、一貫性、標準化、簡素化などに力点


レポート 2017年12月8日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「第17回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が12月7日に開催され、臨床研修制度の2020年度からの改定方針について大筋で合意した。7科目が必修になるほか、卒前の医学教育との一貫性、評価の標準化などに力点が置かれた。WGは今回で終了し、座長一任で修正の上、年度内に医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に提出する予定(資料は、厚労省のホームページ)。

10年ぶりに7科目必修化
 臨床研修制度は2004年度の必修化時は7科目必修でスタート。2010年度に「3科目必修+5科目の中から2科目選択必修」に変更となった。2020年度からは再び7科目必修に戻る。
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厚労省資料より引用

 事務局は改定案の特徴を▽卒前教育(モデル・コア・カリキュラム)との一貫性の確保▽標準化▽質の強化▽簡素化――にあると整理。これまでは各ローテーション内での研修内容の詳細は定められておらず、「地域医療」でも急性期病院で手術ばかりしているといった事例があったが、今回は「地域医療では僻地、離島の医療機関、200床未満の病院、診療所」を選択することとし、「病棟研修の場合は、慢性期、回復期病棟を含むこと」などとやるべきことを定めている。

研修医の評価は360度で
 初めて研修医評価表を作成し、半年ごとに研修管理委員会がフィードバックする仕組みを導入する。研修医評価表は「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」、「B. 資質・能力」「C. 基本的診療業務」で構成され、ローテーションごとに指導医を中心とした360度評価を行う。

 評価は原則として4段階で、研修を通して上から2番目となる「レベル3(「期待通り」「ほぼ単独でできる」など)」を取ることが求められる。最終的に研修管理委員会が評価表を基に「達成度判定表」を使って、14項目について既達か未達かを判定する。原則として全てで既達であることが求められるが、やむを得ない事情で未達があった場合などの対応については今後詳細を詰めるとしている。

経験症候・疾病を厳選
 「経験症候・疾病」も現状の52症候88疾病から、29症候26疾病に厳選した。(『臨床研修、必須29症候、25疾病を提案』を参照。12月7日の議論で、疾病に「肝疾患」が追加された)。これらは日常業務で作成する「病歴要約」で、経験したかどうかを確認する。評価の管理に当たっては、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)などが開発運用している「EPOC(エポック)オンライン卒後臨床研修評価システム」などの活用も検討するとしている。

 2014年8月に始まったWGは17回を数えた。この日の議論を踏まえて、座長一任で2017年度中に取りまとめる。2019年度の医師臨床研修マッチングで研修医の募集を開始し、2020年度から新カリキュラムによる研修が始まる。福井座長は「指導医の勉強が大変になる。これを使いこなすだけの指導医集団にする必要があるが、かなり大きな今後の仕事になる」と話した。



http://www.medwatch.jp/?p=17514
2018年度診療報酬改定の基本方針を了承、良質な医療の効率的提供目指す―社保審・医療保険部会 第110回(1)
2017年12月8日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の診療報酬改定では、(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(2)新たなニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―4本柱を基本的視点に据える—。

 12月7日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こういった基本方針が概ね了承されました(関連記事はこちらとこちら)。社会保障審議会・医療部会の意見も踏まえて、近く正式取りまとめとなります(12月15日目途)。

 改定論議はすでに中央社会保険医療協議会で進んでいますが、医療保険部会・医療部会の議論の内容などは中医協にも逐次、共有されており、基本方針に沿った改定が行われます(中医協には手続き上、年明けの諮問時に正式に報告される予定)。

機能分化、質の高い医療提供、効率化を推進、働き方改革も重視

診療報酬改定に向けた議論は、2006年度改定から▼基本方針を医療保険部会と医療部会で策定する▼改定率は内閣が予算編成過程で決定する▼基本方針と改定率に沿って、具体的な点数設計を中医協で行う—という役割分担が行われています。かつては中医協に権限が集中し、汚職事件が発生してしまった点への反省を踏まえたものです。

基本方針では、まず2018年度の次期診療報酬改定に当たっては、前提として「高齢化が進展し、人生100年時代を見据えなければいけない」「地域包括ケアシステムの構築を急がなければならない」「制度の持続可能性を確保すると同時に、医療・介護現場における働き方の改革も進めなければならない」という点を認識しなければならないと指摘。

例えば「人生100年時代」を迎える中では、我が国の人口構成が大きく変わり、合わせて疾病構造も「急性期中心から慢性期中心へと変化していく」点を考慮しなければいけません。当然、報酬による財源配分に当たっても疾病構造の変化を十分に踏まえなければいけないことが分かります(関連記事はこちら)。さらに、「重症化予防」(診療報酬を離れれば、そもそも疾病に罹患しないような予防・健康づくり)への取り組みを重点的に進めていくことも重要となります(関連記事はこちら)。

また地域包括ケアシステムは、地域の実情に応じて▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を総合的・一体的に提供する体制を指します。団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向けて、医療・介護サービスなどの提供体制を再構築する必要があり、現在、各地で地域包括ケアシステムの構築が急ピッチで進められています。2018年度は6年に一度となる診療報酬・介護報酬の同時改定が行われ、かつ「2025年までに大きく舵を切れる最後の同時改定」となるため、とくに「医療・介護連携」や「医療と介護の役割分担」などの道筋を明確にすることが重要であることを再確認する必要があります(関連記事はこちらとこちら)。

また、少子高齢化は医療保険制度の基盤を脆くする(給付は増えるが、保険料などの収入は減少していく)ため、「診療報酬の適正化」「効率的な医療提供を促進する報酬設計」を十分に行わなければいけないという考えにつながっていきます。

こうした基本認識に立って、2018年度改定では次の4本柱が建てられます。

(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

(2)新たなニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

まず1つ目の柱である「機能分化・連携の強化」については、▼医療機関連携▼多職種連携▼医療・介護で切れ目のないリハビリ提供▼かかりつけ医などの機能の評価▼医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価▼外来医療の機能分化▼生活習慣病の重症化予防▼質の高い在宅医療・訪問看護の確保▼国民の希望に応じた看取りの推進—などが具体的項目として挙げられています。

例えば「外来の機能分化」を進めるためには、「かかりつけ医が十分な機能を発揮する必要がある」、「効率的な入院医療提供」を行うためには、「質の高い在宅医療」を提供する体制を整備する必要がある、など、各項目は有機的に関連している点を忘れてはいけません。

また2つ目の柱である「安心・安全で納得できる質の高い医療提供」では、▼緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価▼認知症患者への適切な医療の評価▼難病患者に対する適切な医療の評価▼小児医療、周産期医療、救急医療の充実▼先進的な医療技術の適切な評価▼ICT等の将来の医療を担う新たな技術の導入、データの収集・利活用の推進▼アウトカムに着目した評価の推進—などの具体的事項が列挙されました。質の高い、手厚い医療を国民は求めており、より充実すべき分野への十分な評価が求められます。
 
さらに3本目の柱となる「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」は、現在、医療現場がもっとも注目している項目と言えるでしょう。近い将来、病院勤務医にも罰則付きの時間外労働規制が導入されますが、2018年度改定でも、この点を見据えた「布石」を打っておく必要があると言えます。また現時点でも、労働基準監督署による「宿直医には原則として業務を行わせてはいけない、業務を行う場合は夜勤となり、時間外手当を支払わなければならない」旨の指導などが積極的に行われ、とくに救急医療に力を入れる病院において経営上の危機を迎えていると指摘されます。こうした点について、診療報酬でどういった対応が可能なのかも検討する必要があるかもしれません。また、1つの医療機関でさまざまな機能を担っている状況は「負担の増大」につながるため、機能分化(入院・外来ともに)も負担軽減に向けた重要な視点の一つとなります。
 
質の高い医療は何よりも重要ですが、医療保険を取り巻く環境(少子高齢化、財政状況の悪化など)に鑑みれば、4本目の柱である「効率化」「制度の持続可能性の確保」も極めて重要な視点と言えます。具体的には、▼薬価制度の抜本改革▼後発医薬品の使用促進▼医薬品の適正使用▼費用対効果の評価▼効率性等に応じた薬局の評価▼機能分化―などが挙げられています。この「効率化」「制度の持続可能性の確保」は、少子高齢化に歯止めがかからない状況の中で、時間の経過とともに重要性を増していきます。
 
12月6日の医療部会、12月7日の医療保険部会では、幾ばくかの注文が付きましたが、基本方針案を概ね了承。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「最終調整を行い、近く(12月15日を目途)基本方針を正式に取りまとめる」考えを示しています。

なお、改定論議は既に中医協で始まっていますが、医療保険部会・医療部会の議論の内容などは中医協にも逐次、共有されています。基本方針は、手続き上、年明けの諮問時に中医協に正式提示されますが、それを待たずに、基本方針に沿った改定論議が行われます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573686
社会保障審議会
紹介状なし大病院受診、定額負担の徴収拡大
社保審医療保険部会、改革工程表3事項の「議論の整理」

レポート 2017年12月7日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は12月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2017」と「経済・財政再生改革工程表2016改定版」において2017年末、もしくは2017年度末までに結論を得ることが求められている事項について、先発医薬品の薬価を後発医薬品の薬価まで引き下げることや、紹介状なく大病院を受診した場合の定額負担の徴収義務の対象となる医療機関を拡大することなどを、同部会の「議論の整理」として取りまとめることを了承した。

 都道府県別の診療報酬体系の導入については、都道府県の意見を踏まえ、中医協での諮問・答申を経た上で合理的であると認められるかを議論するなど、運用プロセス上の留意事項を定めた(資料は、厚労省のホームページ)。修文は部会長に一任された。

 2017年末、2007年度末までに結論を求められたのは、以下の3点(詳細は、文末を参照)。「1.」は、既に2018年度薬価制度改革に向けた中央社会保険医療協議会における議論で、後発医薬品への置き換えが進まない場合など、先発医薬品の薬価を後発医薬品の薬価まで引き下げる方向で検討されている(『厚労省の2018年度薬価制度改革案、5つの柱』を参照)。「2.」も、大病院の定額負担の徴収義務の対象を拡大する方向で議論が進んでいる(『紹介状なし定額負担、どこまで拡大?』を参照)。

1.先発医薬品価格のうち、後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方
2.病院への外来受診時の定額負担
3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策

 これらを踏まえ、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「1.」と「2.」について、「中医協で決着すれば、これ以上、医療保険部会で議論しなくていいということか」と質問。厚労省保険局総務課長の依田泰氏は、「医療保険部会の議論を踏まえて、中医協で具体的な議論がなされているという流れで進んでいる」とのみ回答。

 なお、2018年度中に結論を得るとされている、下記の4項目については、これまで社保審医療保険部会で議論してきたが、引き続き検討を進める。経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長の望月篤氏の代理で出席した岩村参考人は、「後期高齢者の窓口負担の在り方の検討が重要になる。2019年度から後期高齢者になる人から、2割負担にすべきと考えている。スピード感を持って検討が進むようにしてもらいたい」と求めた。

・かかりつけ医の普及を進める方策や外来時の定額負担の在り方
・後期高齢者の窓口負担の在り方
・薬剤の自己負担の在り方
・金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担の在り方

 「再診患者から2500円徴収、実効性あるシステムに」
 「議論の整理」は、社保審医療保険部会のこれまでの議論をまとめた内容だ。7日の同部会では、確認の意味での意見が幾つか出た。

 複数の委員から挙がったのが、「2.病院への外来受診時の定額負担」に関する意見。2016年度診療報酬改定で特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院については、紹介状なしの患者から初診5000円以上、病状が安定した患者で他院を紹介しても継続受診する患者から再診2500円以上、それぞれ徴収することが義務化された。2016年10月は、2015年10月と比べ、定額負担徴収の対象となる紹介状なしの患者比率が2.9%減少した。

 日本看護協会副会長の菊池令子氏は、外来の機能分化・連携の推進は支持したものの、「受診行動を変容させるには、定額負担が本当に妥当なのかを検討すべき。2.9%減少で成果が上がっているという味方もできるが、定額負担を課したにもかかわらず、2.9%しか減少していないという見方もある。大病院における定額負担の意味が国民に伝わっているのか、お金を払っても大病院を受診したいと考える背景も検討し、その上で外来の機能分化の在り方を検討すべきだ」と指摘した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、再診の場合の定額負担がほとんど徴収できていない現状を問題視した。「病状が安定した患者を、紹介元の医療機関、あるいは地域の医療機関に戻すことが十分にできていない」と述べ、再診の患者からの定額負担徴収が実効性のあるシステムになるよう、診療報酬での対応が必要だと指摘し、厚労省の考えを質した。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「指摘の点も踏まえ、今回の改定も含め、どんな取り扱いが可能かをしっかり検討させてもらいたい」と答えた。

 都道府県別の診療報酬、「慎重に」
 「3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策」について、全国知事会社会保障常任委員会委員長(栃木県知事)の福田富一氏の代理として出席した小竹参考人は、地域別の診療報酬の特例についてはその実効性に疑問があるとし、効果や妥当性を踏まえ、慎重な対応を求めた。全国知事会・全国市長会・全国町村会は、今年5月にこの趣旨も盛り込んだ「社会保障制度改革に関する緊急要請」を国に提出した。

 菊池氏は、診療報酬の特例で点数が下がると、医療機関経営に影響し、人員削減、ひいては医療の質にも影響しかねないことから、「第14条の特例方策の活用については、地域医療構想に基づく医療提供体制の改革の動向をみながら、慎重に検討する必要がある」とコメント。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論も踏まえて、第14条の規定の適用の必要性について検討」とある点について、保険者協議会には医療関係者が委員やオブザーバーとして入っているものの、医療提供体制は都道府県の医療審議会で議論していることから、両審議会の位置付けの明確化を求めた。

【議論の整理(2017年12月8日社保審医療保険部会)】

1.先発医薬品価格のうち、後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方
(1)先発医薬品と後発医薬品の差額を患者負担とする考え方
⇒先発医薬品・後発医薬品の選択は、治療に関わるものであり、選定療養に馴染まない、負担能力によって医療が制限される恐れがある。
(2)患者負担にはせず、先発医薬品の薬価を後発医薬品まで引き下げる考え方
⇒製薬会社への影響や後発医薬品の使用促進への影響等も踏まえつつ、長期収載品や後発医薬品の薬価の在り方とセットで議論を進めるべきとの方向性について異論はなかった。

2.病院への外来受診時の定額負担
・外来の機能分化・連携を推進する観点から、定額負担の徴収義務の対象となる医療機関を拡大するという方向性については、異論がなかった。
・選定療養による定額負担については、再診での効果や徴収義務の対象外である患者等の受診行動も含め、実施状況の検証を引き続き行う必要があるとの意見のほか、定額負担だけでなく、国民への啓発などの他の誘因も含めて検討すべきとの意見があった。

3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策
 高齢者医療確保法14条(国は、あらかじめ都道府県と協議した上で、都道府県の地域に別の診療報酬を定めることができる)の運用については、以下のようなプロセスに留意する必要があるという点については、異論はなかった。
・医療費適正化計画の枠組みにおける第14条の規定については、都道府県において医療費適正化計画の目標の達成に向けて保険者・医療関係者等の協力を得ながら取組を行い、その取組状況の評価の結果を踏まえて、都道府県と協議した上で、厚生労働大臣が判断するプロセスとなっている。このため、各都道府県においても、医療費適正化計画に関する取組の実績を分析し、これを評価した上で、既存の診療報酬や施策、取組の予定等を踏まえて、適用の必要性について検討していく必要がある。
・ その際、各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論も踏まえて、第14条の規定の適用の必要性について検討していく必要がある。
・ 厚生労働省においては、都道府県の意見を踏まえ、中医協における諮問・答申を経て、診療報酬全体の体系との整合性を図りながら、医療費の適正化や適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められるかを議論した上で判断していく必要がある。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171207195232
診療報酬改定の基本方針、重症化予防に力点
医療保険部会が厚労省案で大筋合意

2017年12月07日 20:05 CB News

 厚生労働省は7日、社会保障審議会医療保険部会に対し、次期診療報酬改定の基本方針案を示し、大筋で合意を得た。糖尿病などの重症化予防に取り組むため、「予防・健康づくり」や「セルフケア」を推進する方向性を強く打ち出した。今後、委員らの意見を基に加筆・修正し、来週をめどに公表する見通しだ。【新井哉】

 前回の会合で示された基本方針の骨子案に、委員らの意見を反映させた。「予防・健康づくり」と「セルフケア」に関しては、▽医療関係者▽保険者▽地方自治体▽企業-などが「一体となって国民一人一人を支援する」とした。

 また、「地域包括ケアシステム構築のための取り組みの強化」の項目では、患者が安心して入退院し、住み慣れた地域での療養や生活を続ける際、「救急時の対応」が重要な役割を果たすことを明記した。

 門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進するとした「効率性等に応じた薬局の評価の推進」の項目に関しては、「服薬情報の一元的・継続的な把握」といった薬局の本来の役割が期待されていることを書き加えた。

 「質の高い医療の実現・充実」の項目では、医療の中で重点的な対応が求められる分野を診療報酬で適切に評価することを明記。認知症の人に対する適切な医療の評価や小児医療、周産期医療などを充実させる方向性が盛り込まれた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573677
社会保障審議会
2018年度診療報酬改定、基本方針案を部会長一任で了承
社保審医療保険部会、地域包括ケアシステムの構築などが柱

レポート 2017年12月7日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は12月7日、2018年度の診療報酬改定の基本方針案を、修文を部会長一任の上で了承した。同日の同部会および6日の社保審医療部会の意見を踏まえ、来週中を目途に基本方針が確定する見通し(資料は、厚労省のホームページ。6日の医療部会の議論は『中川日医副会長「調剤財源で院内処方評価を」医療部会』を参照)。

 改定の基本方針は、「1.改定に当たっての基本認識」(3項目)、「2.改定の基本的視点と具体的方向性」(4項目)、「3.将来を見据えた課題」から成る。重要課題として位置付けられたのが、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」だ。医療保険部会では、過去3回にわたり、基本方針についての議論を進めてきたため、7日は表現を確認したり、過去の意見を改めて主張する発言などが主だった。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、「2.改定の基本的視点と具体的方向性」の「新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」で、「質の高いリハビリテーションの評価をはじめとして、アウトカムに着目した評価を推進」との部分を、「第三者による評価、アウトカムに着目した評価」に変更するよう要望。医療安全の担保が目的であるとし、既に第三者による評価を施設基準にしている点数があることから、その対象の拡大を求めた。「第三者評価を受けるには、費用がかかる。それを加算として評価してもらいたい」(松原氏)。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長(多久市長)の横尾俊彦氏は、生活習慣病の重症化予防、後発医薬品の使用促進に向けた国による広報の重要性のほか、「3.将来を見据えた課題」で、「予防・健康づくりやセルフケア等の推進」に言及している部分について、「診療報酬改定にかかわる議論とは少し違うかもしれない」「少しわさびが効きすぎかもしれない」と断りつつ、次のようなメッセージを盛り込むよう要望した。「自分の健康は自分で守る。健康は自分を守るのみならず、日本の医療保険財政を助ける。言い方を変えれば、治療の怠慢は、自らを滅ぼし、ひいては国や医療保険の財政を滅ぼし、ひいては医療保険制度も揺るがすかもしれない」。



http://www.medwatch.jp/?p=17518
2018年度診療報酬改定、医療機能の分化などが引き続き重点課題―第57回社保審・医療部会(2)
2017年12月7日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 来年度(2018年度)の診療報酬改定では、「地域包括ケアシステムの構築」や「医療機能の分化・強化、連携」の推進を重点課題に位置付ける。報酬改定のたびに対応している「医療従事者の負担軽減」には、専門職配置の柔軟化など「働き方改革」と併せて取り組む―。

 社会保障審議会・医療部会は12月6日、こうした内容で2018年度診療報酬改定の基本方針をまとめることを大筋で了承しました。

 2018年度診療報酬改定の基本方針は、社保審・医療保険部会での審議結果も踏まえ、両部会の連名で、近く取りまとめられる見通しです。

ここがポイント!
1 重点課題の機能分化を進めるため、入院医療は「医療機能と患者の状態」で評価
2 院内調剤と薬局調剤の報酬差、中医協で議論か

重点課題の機能分化を進めるため、入院医療は「医療機能と患者の状態」で評価

 12月6日までの医療部会での議論を踏まえれば、2018年度診療報酬改定の基本方針では、次の4つの基本的視点に立つことを求め、さらに具体的な改革の方向性を例示します。

(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(重点課題)
(2)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

 このうち(1)では例えば、入院医療の評価を「医療機能」や「患者の状態」に応じたものへと見直したり、「大病院受診時の定額負担」の見直しなどで、大病院と中小病院、診療所の外来医療の機能分化を進めたりすべきだと指摘します。

 基本方針の審議と並行して、2018年度診療報酬改定の内容を議論している中央社会保険医療協議会(中医協)では、急性期から慢性期までのほとんどの入院基本料の評価体系を、「基本部分」(医療機能など)と「実績部分」(患者の状態など)の組み合わせに再編するという大規模な見直し案が浮上しています。

 また、紹介状を持たずに「大病院」を受診した外来患者らが支払う定額負担の制度をめぐっては、「大病院」の範囲を広げる方向で、医療保険部会の意見がまとまりつつあり、具体的な見直し内容は今後、中医協で検討されると考えられます。

 (2)では、▼客観的な評価(第三者評価やアウトカム評価)を推進する▼患者が適切な情報を基に、納得して主体的に医療を選択できる仕組みを目指して、データ収集などを進める―ことなどを求めます。「遠隔診療の適切な活用」も促します。

 (3)では、医療の安全などを損なわないように配慮しながら、柔軟な働き方を可能にする環境整備と、医療従事者の負担軽減とをセットで進めるよう促します。例えば、「専門職の柔軟な配置」や「業務の移管を含むチーム医療の推進」がキーワードになります。

 (4)では、医薬品・医療機器の価格設定方法の見直し(薬価制度の抜本改革など)に加えて、「治療効果が相対的に低くなった技術(検査など)」への評価の適正化や、病院の門前や同一敷地内にある薬局の評価適正化を求めます。

院内調剤と薬局調剤の報酬差、中医協で議論か

 12月6日の医療部会では、こうした方向性が大筋で了承されました。しかし、「院内調剤の報酬を引き上げるなどして、薬局調剤との差を縮める」方向性の追記をめぐり、さまざまな意見が出ました。

 中川俊男委員(日本医師会副会長)や山崎學委員(日本精神科病院協会会長)は、薬局の報酬(調剤報酬)を引き下げて財源をつくり、医療機関での薬剤の一包化などを新たに評価すべきだと訴え、報酬差の解消を目指す方向性を基本方針に追記するよう求めました。

 また邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、院内調剤と薬局調剤の報酬の差が「薬剤師の給与の差」を生み、病院の薬剤師不足を招いていると指摘。「病棟での服薬指導が大事だが、できない。非常に困っている」とコメントしています。

 一方で、森昌平参考人(日本薬剤師会副会長、安部好弘委員:日本薬剤師会常務理事の代理出席)は、基本方針への追記に反発し、「複数の医療機関の処方を一元的に管理し、重複投薬を解消する」といった薬局の役割への理解を求めています。

 追記の是非は永井良三部会長(自治医科大学学長)に一任されましたが、厚労省保険局医療課の矢田貝泰之・保険医療企画調査室長は、「院内・院外の調剤の問題をどうしていくかは、医療部会での意見を踏まえて、中医協で議論することだと考えている」と述べています。

 基本方針は改定内容の方向性を示すものであり、「医科と調剤の財源配分」といったテーマは社会保障審議会の所掌から外れ、中医協マターとなります。中川委員らの発言には、それを踏まえた上で「中医協論議に先鞭をつける」狙いがあるのかもしれません。近く中医協で「調剤報酬」がメインテーマとなり、この議論が再燃することになるでしょう。



http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20171207-OYTNT50097.html
入院費担保「別方法を」…行政評価局
2017年12月07日 読売新聞 宮城

27病院に要請、保証人確保困難で

 病院に入院を申し込む際に、入院費の担保として連帯保証人を求められる規則について、総務省東北管区行政評価局は6日、保証人の確保が困難な患者のために、他の方法を検討するよう東北地方の国立病院や国立大付属病院など27病院に要請した。来年2月末までに対応についての回答を求めている。

 同評価局には昨年度以降、「連帯保証人を頼める相手がおらず対応に苦慮した」との相談が宮城や岩手県などで計3件寄せられた。高齢化や過疎化に伴い同様の事態が増える可能性があるため、同評価局は今年8~9月に東北6県の国公私立の37病院を対象に調査した。

 その結果、入院申し込み時に37病院が連帯保証人や保証人を求めていた。うち19病院は困難な場合には、連帯保証人を求めないこともあり、10病院は連帯保証人から入院費を回収できない経験があると回答していた。同評価局は「連帯保証人がいても必ず入院費を回収できるとは言えない」と指摘した。

 国内の医療機関では、連帯保証人の確保が困難な患者向けに、クレジットカード番号の登録や民間の保証会社と連携して入院費を担保する方法も採用されている。同評価局は「クレジットカードや保証会社の活用は、病院にとっても入院費を確実に担保できる手段」とし、こうした制度を検討し、患者の負担軽減に取り組むよう病院に求めた。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201712/CK2017120702000123.html
医療と介護の連携強化 厚労省方針 報酬同時改定を機に
2017年12月7日 朝刊  東京新聞

 厚生労働省は六日、来年四月に改定する診療報酬の基本方針と、介護報酬の報告書案を公表した。今回の改定が六年に一度の同時改定であることを踏まえ、医療と介護の連携強化を意識した内容が目立った。 (木谷孝洋)
 厚労省が同日、診療報酬と介護報酬を議論している社会保障審議会の部会と分科会にそれぞれ示した。
 診療報酬改定は「どこに住んでいても適切な医療・介護を受けられる社会の実現」を掲げ、在宅でも必要な医療サービスが受けられる体制づくりを重視。住み慣れた地域で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」の充実や、日常的に患者の健康や服薬を指導する「かかりつけ医」や「かかりつけ薬剤師」の報酬を手厚くする方針を打ち出した。
 慢性疾患を持つ高齢者の増加を踏まえ、重症患者向けの急性期病床の報酬を引き下げ、リハビリ向けの病床への転換を促す。
 介護報酬では、利用者が入院・退院する際に医療機関と情報を共有する事業者を評価し、医療と介護の現場で切れ目のない対応を促す。リハビリへの医師の関与の強化も盛り込んだ。
 今回の改定では、膨らみ続ける社会保障費をどう抑制するのかも論点となった。がん治療薬オプジーボなど高額な薬の登場を受け、診療報酬の改定方針に薬価制度の抜本改革を明記。現在は二年に一度の薬価改定を毎年できるようにする。
 介護報酬では、訪問介護で家事などの生活援助を頻繁に使う利用者のケアプランを市町村の会議でチェックする仕組みの導入を目指すが、利用者側の委員からは「必要なサービスの抑制につながる」と反対意見が出た。
 診療報酬と介護報酬は今月下旬に改定率が決まり、年明けに医療と介護のサービスの具体的な報酬を議論する。
 政府は来年度、高齢化などに伴う社会保障費の自然増を五千億円に抑えるため、抑制しない場合の見込み額(六千三百億円)から千三百億円圧縮する目標を掲げる。診療報酬のうち医薬品など「薬価部分」の引き下げで対応し、医師らの人件費にあたる診療報酬の「本体部分」と介護報酬は微増とする方針。



http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/07/news023.html
欧州では議論進む:
地域医療の「脱中央集権化」

[三原岳,ニッセイ基礎研究所]
2017年12月07日 06時00分 ITmedia ビジネスオンライン

 広域自治体に医療政策の権限を移譲したスウェーデンなど、欧州では「脱中央集権化」が進む。もちろん海外の事例をダイレクトに輸入してもうまくいくとは思えないが、地域医療構想の推進に役立つ側面はある。
 2017年3月までに各都道府県が策定した「地域医療構想」を読み解く第1回では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している点を指摘するとともに、国は前者を重視しがちであるのに対し、都道府県は後者を優先している点を指摘した。

 第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、「プライマリ・ケア」という3つのキーワードを使いつつ、各都道府県が地域医療構想の推進に向けて、必要な考え方や対応策を検討したい。

 今回は、前半で民間中心の医療提供体制などを考察しつつ、地域医療構想の推進には合意形成が重要である点を論じるほか、人口動向や病床数の地域差を見ることで、地域の課題を地域で解決する発想が求められる点を指摘する。

 その上で、後半では欧州諸国を中心に論じられている「脱中央集権化」(decentralization)という言葉を1つの手掛かりとして、地域の特性に応じた提供体制の構築に向けた各都道府県の対応として、(1)ケアの統合、(2)ヘルスケア領域を超えた部門間の連携、(3)住民を含めた幅広い関係者の参加――が重要になる点を強調する。

民間中心の提供体制

 地域医療構想に基づいて議論しなければならないテーマは広範囲である。具体的には、急性期病床や慢性期病床の削減、回復期病床の充実、在宅医療等(※1)の整備、医療・介護連携などであり、関係者も多い。地域医療構想では、都道府県を中心とした関係者の合意形成を通じて、地域特性に応じた提供体制の構築が期待されている。

 では、なぜ合意形成に力点が置かれなければならないのだろうか。第1に、日本の医療提供体制の特徴が挙げられる。日本の医療制度では国、自治体、保険者が保険料と税金で費用の約8割を調達しているが、サービス提供は民間中心であり、これは世界的に珍しいとされている。

 表1で示した開設者別の病院数を見ると、医療法人が全体の68.16%と最も多く、2.84%を占める個人と合わせると7割近い病院が民間によって運営されている。この状況で都道府県が単に構想を策定したり、将来像を予想したりするだけでは何の実効性を持たない。

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表1 開設者別で見た病院の数

 このため、前回述べた通り、地域医療構想の推進に際して知事の権限が強化されたとはいえ、民間病院に対しては勧告や要請にとどまる。さらに、都道府県が病床過剰地域で病床の新設に上限を設定している現在の規制についても、医療計画の根拠法である医療法に基づく直接的な規制ではなく、健康保険法に基づいて保険医療機関の対象として認めないという間接的な方法を採用している(※2)。

 こうした状況で医療提供体制に対し、都道府県が果たせる影響力は小さく、地域医療構想の推進には民間医療機関との連携・協力が欠かせない。

 第2に、在宅医療を含めた在宅ケアの充実には医療関係者だけで完結しない点である。

 図1は地域包括支援センターの業務に関係する関係者を列挙しているが、これだけでも相当な関係者が絡んでいる。分かりやすい事例は認知症ケアかもしれない。認知症ケアの場合、専門的な医療による初期診断や悪化防止だけでなく、患者の生活実態に沿って生活の質(QOL)を維持・向上させることが必要であり、介護職やリハビリ職などの支援も重要である。日常生活では住民同士の気付きや支え合いも求められる(※3)。このため、地域医療構想の推進には医療関係者だけでなく、住民を含めた幅広い関係者との連携・協力が必要となる。特に、地域医療構想の推進に際しては、連携・協力の場として関係者で構成される「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)が設置されており、ここでの合意形成プロセスが重要となる。
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図1 地域包括支援センターで連携が求められる関係者

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※1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは在宅医療と表記している。

※2 財務省は財政制度等審議会(財務相の諮問機関)を通じて、民間病院に対しても同様の権限が必要と主張しており、17年10月25日の会合では「都道府県知事の権限を実効的にしていくべき」とする資料を提出した。

※3 なお、政府は日常生活圏域で医療・介護・生活支援などを一体的に提供する「地域包括ケア」を推進しており、「あるべき姿としての切れ目のない提供体制」と共通点が多いが、この言葉は在宅医療や医療・介護連携、介護保険制度改革、保険外サービスなど多様な文脈で使われており、その意味は曖昧である。本レポートでは用語の混乱を避けるため、原則として「地域包括ケア」という単語を使わない。



病床を巡る地域ごとの違い

 現実的とは思えない理由の第2に、病床数が都道府県単位で大きく異なる点である。病床が「西高東低」の傾向であることは知られているが、人口1000人当たりで見た病床数の差は図3の通りである。
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 分かりやすい事例で言うと、40年ごろに一気に高齢化が進む首都圏と、人口減少局面に入る青森県では課題の現われ方と解決策は異なる。

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※4 厚生労働省幹部が青森県を最初に先進事例として取り上げたのは16年6月の神田裕二厚生労働省医政局長の発言。同年7月6日『CB News』、同年7月1日『メディ・ウオッチ』。

※5 厚生労働省は17年11月20日の会合で、都道府県に対して毎年度、病床再編について「具体的対応方針」をとりまとめるよう求めた。その中では25年時点の役割と医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関について、(1)25年を見据えた地域で担うべき役割、(2)25年に持つべき医療機能ごとの病床数――を明示する必要があるとしている。


病床を巡る地域ごとの違い

 現実的とは思えない理由の第2に、病床数が都道府県単位で大きく異なる点である。病床が「西高東低」の傾向であることは知られているが、人口1000人当たりで見た病床数の差は図3の通りである。

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図3 人口1000人当たりの都道府県別病床数

 人口減少が進む高知県や佐賀県などの病床が多い反面、これから先に高齢化が進む首都圏の病床数は少ないことが分かる。地域医療構想に盛り込まれた病床のギャップを見ても、地域差が顕著である。例えば、341構想区域ごとに現状から25年の必要病床数を差し引くと、261区域で余剰となり、三大都市圏に属する区域を中心に75区域が不足となった(※6)。つまり、区域単位で見ても、余剰または不足の状況が異なるのである。

 さらに、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の各機能について余剰または不足するかを341区域ごとに整理すると、地域差が一層顕著になる。区域ごとに4つの各機能が余剰または不足するかどうかを分析(※7)したのが表2である。この方法だと最大で16通り(その他を入れると17通り)になる計算だが、実際には9通り(その他を入れると10通り)のパターンが出現し、全国的に不足するとされている回復期さえ余剰となる地域が見られた。地域の特性に応じて提供体制を構築する上では、こうした地域差に考慮する必要がある。
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表2 構想区域別の病床機能の余剰or不足分布

 第3に、青森県の特殊事情を考慮する必要がある。青森県の場合、開設者別に見た医療機関のうち、25%を自治体病院が占めており、都道府県が議論を主導しやすい環境があった。青森県よりも公立病院の割合が小さい岐阜県や三重県、広島県、大分県も同様の手法を採用しており、関係者の意識など別の要因が働いた可能性があるが、青森県のような手法は決して一般的だったとは言えず、これを全国に「横展開」するのは無理がある。

 こうした地域差を踏まえると、地域の現状や将来像、課題に差が大きく、具体的な進め方は関係者と協力・連携しつつ、都道府県が自ら考えていくしかないことになる。つまり、地域の課題は地域で解決する発想が求められる。

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※6 残りは±0の島根県隠岐区域、高度急性期を全県単位で比較した石川県4区域の計5区域。

※7 この方法では、病床が1つでも上回ると「余剰」、1つでも下回ると「不足」と整理するため、その規模感を把握できない欠点があるが、各地域で事情が異なる中、一定のルールで大まかな傾向を理解できるメリットもある。


言葉の定義

 ここで1つのヒントとなるのが脱中央集権化(decentralization)を巡る議論である。

 ヨーロッパの医療制度に関する資料を見ると、この言葉が頻繁に登場する。一例として、欧州各国のヘルスケア政策を紹介する「European Observatory on Health Systems and Policies」というWebサイト(※8)では、医療制度のパフォーマンスを評価する際の指標として「脱中央主権化」が盛り込まれており、ランスティングと呼ばれる広域自治体(日本の都道府県に対応)に医療政策の権限を移譲したスウェーデンなどの取り組みが紹介されている。

 しかし、脱中央集権化の定義は多岐にわたる。脱中央集権化という言葉は(1)同じ政府組織内で現場に責任を委ねる deconcentration(分散化)、(2)異なる行政機関に責任を委ねる devolution(移譲)、(3)民間向け規制を緩和する deregulation(規制撤廃)、(4)民間にサービス提供を委ねる privatization(民営化)――に類型化されている(※9)。

 さらに、権限、財源、説明責任などに分ける議論があるため、すべてが日本に該当するとは限らない上、医療制度の設計には歴史的な経緯や国民の意識が絡むため、海外の事例をダイレクトに「輸入」してもうまくいくとは思えない。

脱中央集権化のメリット

 だが、脱中央集権化を巡る論議で期待されていることは地域医療構想の推進に役立つ側面がある。

 一例として、脱集権化の目的を「政府の機能をより住民に近付け、コミュニティーレベルの参加を促進すること」とした上で、(1)合理的で統合されたヘルスケアサービスの提供が可能になる、(2)コミュニティーの構成員が自らの健康管理に参加できるようになり、健康ニーズや地域の健康課題に対応した健康計画が可能になる、(3)政府や非政府組織、民間組織の活動が密接に統合できるようになる、(4)地域の行政課題に関する中央の統制が排除され、健康に関する事業の立案が可能になる、(5)地方自治体の活動について、ヘルスケアとは別の関係者とセクションを超えた協力が可能になる――といった点が挙げられている(※10)。

 別の文献では脱中央集権化のメリットとして、(1)スタッフが住民と近い関係を持ち、地域の組織による支援調整に関わることを通じて、士気は上がる、(2)住民参加を担保した意思決定が住民の意識を高め、政治的な課題に対する知識や行動を拡大する手段になる、(3)政策決定プロセスに関する最適な資源分配をもたらす――などを挙げつつ、「住民と現場の専門職が加わることで、政策決定プロセスは新たな気付きを生み出したり、現場職員の意識を高めたりすることにつながり、説明責任と応答性が高まることを期待できる」と指摘している(※11)。

 つまり、脱中央集権化を通じて、地域の特性に応じたコンパクトな制度を整備できるようになるため、そのメリットとしてケアの統合やヘルスケア領域以外の部門を超えた連携、住民など幅広い関係者の参加が可能になる点が挙がっている。

 以下、(1)ケアの統合、(2)ヘルスケア領域を超えた部門間の連携、(3)住民を含めた幅広い関係者の参加――に議論を絞って、地域医療構想への応用を試みる。

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※8 Webサイトはこちらの通り。
http://www.euro.who.int/en/about-us/partners/observatory

※9 脱中央集権化の定義はKrishna Regmi et al.(2014)“Decentralizing Health Services”Springer, Rondinelli A.Denniset al.(1983)“Decentralization in Developing Countries”World Bank Staff Working Papers No.581などを参照。

※10 Anne Mills(1990)”Health System Decentralization”World Bank,p28,142。

※11 Richard B. Saltman et al(2007)“Decentralization in Health Care Systems”pp66-67。



ケアの統合

 まず、(1)のケアの統合である。在宅ケアでは医療・介護連携を含めて、患者の生活を切れ目なく支える提供体制が必要であり、その論点や関係者は医療に限らない。地域医療構想の推進に際して、都道府県は医療部局と介護・福祉部局の連携を密にするのはもちろん、地元医師会や医療機関関係者との連携・協力が欠かせない。

 冒頭で触れた通り、日本の提供体制は民間主体であり、都道府県に強制力はほとんどない。地域医療構想に定められた病床数についても、将来像を示しているとはいえ、これを絶対の数値目標と位置付けることはできない。むしろ、必要病床数は厚生労働省令に基づく1つの試算に過ぎないとの認識に立ち、合意形成に力点を置く方が望ましい。

 さらに、切れ目のない提供体制の構築を図る上では医療関係者だけでなく、介護・福祉関係者との連携が重要になるほか、介護保険の財政運営や福祉行政を担う市町村との関係強化も課題である。つまり、都道府県が地域医療構想を策定しただけでは何の実効性も伴わない上、住民の生活にとっては医療だけで完結しても意味も持たないことを認識する必要がある。

ヘルスケア領域を超えた部門間の連携

 次に、(2)のヘルスケア領域を超えた部門の連携である。その一例として、住宅行政を考えよう。

 住宅行政と医療・介護行政の連携を国レベルで強化しようとした場合、前者は国土交通省、後者は厚生労働省が所管しており、連携には限界がある(※12)。

 しかし、地域医療構想で言う在宅医療には自宅での医療提供に加えて、介護施設や高齢者住宅も対象としており、病床削減が進んだ場合、高齢者住宅は1つの受け皿となる。もし都道府県や市町村が住宅行政とのリンクを想定しなければ、受け皿の選択肢が減ることになる。

 さらに、地域特性も考慮する必要がある。訪問診療や訪問介護の場合、医療機関から自宅までの移動時間が長くなると、採算が悪化することになる。そこで人口密度が希薄な過疎地や山間地、冬場の移動が困難な豪雪地帯の場合、専門職が利用者の自宅と事業所を往来する都会型の在宅ケアは現実的と言えないため、高齢者住宅などの受け皿整備を考える必要が出てくる。

 実際、北海道の地域医療構想は住まいに着目しており、国民健康保険病院の3階部分を改修してサービス付き高齢者向け住宅に転用した奈井江町などの取り組みを紹介しつつ、集住の選択肢を含めた居住環境を確保する重要性を強調した。こうした形で国の縦割りを超えて他分野と連携できるのは現場に近い自治体の強みである。

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※12 それでも近年は連携の強化が図られており、面積など一定の要件を満たしつつ安否確認や生活相談などを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」は国土交通省、厚生労働省の共管となっている。さらに、両省の情報共有や協議を図る場として、関係職員で構成する「福祉・住宅行政の連携強化のための連絡協議会」が16年12月に設置されている。


住民を含めた幅広い関係者の参加

 最後に、(3)の住民を含めた幅広い関係者の参加である。医療政策での「住民」とは医療サービスを利用する患者、費用を負担する納税者、被保険者などさまざまな側面があるが、ここでは患者に限定して考えよう。

 医療の場合、患者―医師の間では情報格差が大きく、患者はニーズの発生も予想できないため、(1)選択を求められていることや選択の余地があることが不明確、(2)決断を下すのは誰かあいまいにされている、(3)判断に関係する情報が医師によってコントロールされている――などの理由で、患者が治療方法を選ぶことが難しいとされてきた(※13)。

 しかし、以前に比べると、患者~医師の情報格差は改善している。第1に、情報通信技術の発達を受けて、患者がさまざまな医療情報に触れる機会が増えた。

 第2に、公衆衛生の発達や栄養環境の改善、人口高齢化を受けた疾病構造の変化である。具体的には、感染症対策や急性期疾患に対するニーズが減った一方、生活習慣病など慢性疾患の患者が増加したことが挙げられる。この結果、急性期疾患の場合、患者が病気になった瞬間、治療方針を決定しにくいが、慢性疾患は完全な回復が難しく、患者は病気と向き合い、生活に照らし合わせて治療法を選択することが必要となり、個人にとって健康は単に「病気のない状態」ではなく、「各個人が自分のために立てた目標に到達に一番適した状態」となった(※14)。

 言い換えると、「病気と折り合いを付けつつ、どう生きるか」が求められるため、治療を受けない選択も含め、患者が治療方針を自己決定できる余地は以前よりも大きくなっている。

 こうした中で、患者と医師の関係性は変容を迫られる。医師などの専門職が治療方針やケアの内容を一方的に決定するのではなく、素人である患者の経験などをベースにしつつ、患者と専門職が生活やニーズに沿って治療方針やケアの内容を決定することが必要になる(※15)。いわば素人である患者の経験や語りが重要性を帯びると言える(※16)。

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※13 George J. Annas(1989)“The Rights of Patients”[上原鳴夫・赤津晴子訳(1992)『患者の権利』日本評論社]。さらに、医療社会学の領域では情報の非対称性が大きい点などに着目し、絶対的な権限を持つ医師が患者を統制する「専門家支配」や医療化、医原病の危険性が指摘されてきた。 Ivan Illich(1976)“Limits to medicine”[金子嗣郎訳(1979)『脱病院化社会』晶文社]を参照。

※14 Rene Dubos(1959)“Mirage of Health”[田多井吉之介(1977)『健康という幻想』紀伊國屋書店]pp208-210。

※15 このプロセスは「意思決定支援(shared decision making)」と呼ばれる。

※16 医療人類学の領域でも患者の訴えや語りが重視されている。Arthur Kleinman、江口重幸、皆藤章編監訳(2015)『ケアすることの意味』誠信書房、Arthur Kleinman(1988)“The Illness Narratives”[江口重幸・五木田紳・上野豪志訳(1996)『病の語り』誠信書房]を参照。



地方分権改革との親和性

 以上、「脱中央集権化」というキーワードに着目しつつ、地域医療構想への応用を考察したが、ここでの指摘は必ずしも目新しいわけではない。例えば、地方分権改革との親和性である。地域の課題を自ら解決するコンセプトについては権限や税源を自治体に移す地方分権改革でも論じられてきた。

 具体的には、93年の国会決議を経て、国の事務を自治体に代行させる「機関委任事務」の廃止に加え、小泉純一郎政権期の三位一体改革では4兆円の補助金改革と3兆円規模の税源移譲が実現した。

 しかし、医療・介護に関して自治体側は忌避してきた経緯がある。具体的には、三位一体改革で全国知事会など地方六団体が補助金改革案を作成した際、高齢化で負担が増えると目されていた医療・介護分野は避けられた。

 その意味では、これまでとはまったく異なる文脈、しかも地方側が望んでいなかった医療(及び介護)分野で地方分権改革の趣旨が問われるのは皮肉な結果と言えるかもしれない。

 さらに、行政学の文脈で考えると、地方分権改革は都道府県という統治機構の権力を強化することにとどまらない。一般的に行政学では「地方自治」を「団体自治」と「住民自治」に区分しており、前者は「自治体の自律的領域(の拡充)」を目指す自治体に対する権限移譲であり、「国から自治体に多くの権限を移譲することによって自治体の仕事の範囲を広げ仕事量を増やすこと」「自治体による事務事業執行に対する国の統制を緩和すること」、後者は「住民が自治体の運営に日常的に参加し、住民の総意に基づいて自治体政策が形成・執行されるように仕組みを変革していくこと」とされている(※17)。

 これを地域医療構想に当てはめると、地域の課題を地域で解決することを目指し、都道府県知事の裁量と責任を拡大した点は医療行政に関する都道府県の団体自治の強化と言えるが、団体自治と住民自治の考え方に沿うと、地域の提供体制について、住民を含めて幅広い意見が反映されるシステムにしなければ、団体自治は積極的な意味を持たないことになる。

 確かに地域医療構想の推進では、最終的に民間医療機関の経営判断に関わる部分が大きくなるため、住民の意向だけで提供体制を左右できないのは事実だが、調整会議への住民代表の参加や住民向け説明会の開催、住民や現場の専門職を交えた小規模なワークショップの開催、調整会議の議事・資料公開などを通じて、きめ細かく住民の意見を聴取したり、情報共有したりする地道な取り組みが求められる。

 先に触れた脱中央集権化のメリットに照らすと、移譲された権限や責任を活用しつつ、自治体が住民を含めた幅広い関係者の参加を進めなければ、自治体に移譲された権限や責任は「無用の長物」と化す。

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※17 西尾勝(2007)『地方分権改革』東京大学出版会 pp241-253。


医療計画創設時点の論議から考える

 以上、地域の医療提供体制構築に向けた対応として、民間医療機関との合意形成が重要になる点を論じるとともに、欧州諸国で重視されている「脱中央集権化」という言葉をキーワードにしつつ、(1)ケアの統合、(2)ヘルスケア領域を超えた部門間の連携、(3)住民を含めた幅広い関係者の参加――が重要になる点を指摘した。

 実は、こうした合意形成の重要性については、85年度に医療計画制度が創設された当時でも論じられていた。主に行政担当者向けに出版された書籍では、「(筆者注:日本の医療制度は民間が大半を占めているため、医療計画は)関係者の合意した努力目標に近い性格をもつ。良い計画に近づけ、実行し、評価していくには、関係者の主体的な参加が必要条件となる」と指摘されている(※18)。

 さらに、当時の日本医師会長の書籍でも「医療計画は都道府県の医師会が自主的に行政と協議のうえでつくっていくべき」との記述がある(※19)。

 日本の医療提供体制が民間主導である以上、この点は時代を超えても変わらない論点である。地域の合意形成に向けた都道府県の積極的な対応を期待したい。

 第3回は「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)をキーワードにして、地域医療構想の推進に関する都道府県のあるべきスタンスを考察したい。

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※18 郡司篤晃監修(1987)『保健医療計画ハンドブック』第一法規 pp9-10。

※19 羽田春冤(1987)『現代の医療』ベクトル・コア pp72-73。


筆者プロフィール
三原岳(みはら たかし)
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員
研究・専門分野:医療・介護・福祉、政策過程論



http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/06/news030.html
都道府県はどこへ向かう:
地域医療構想を3つのキーワードで読み解く
「地域医療構想」に基づいた議論が進んでいる。各都道府県は地域の医師会や医療関係者などと連携しつつ、急性期の病床削減や在宅医療の整備に取り組もうとしているが……。

[三原岳,ニッセイ基礎研究所]
2017年12月06日 09時00分 公開 ITmedia ビジネスオンライン

 団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。

 これは17年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等(※1)の整備などを進めることが求められている。

 しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携も意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

地域医療構想の現状とは……?

 本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。

 第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築――という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性を明確になるほか、政策の目的について国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

 第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical ArmsRace)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

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※1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは煩雑さを避けるため、在宅医療と表記する。


地域医療構想とは何か

 まず、地域医療構想の概要を検討する。地域医療構想は「病床の機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの」とされ、医療計画の一部として都道府県が策定した。

 具体的には、患者の受療行動や人口動向、高齢化の進行などを加味しつつ、2次医療圏を軸とした「構想区域」ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能について、現状と25年の需給ギャップを明らかにし、在宅医療の充実を含めて課題解決の方策を考えることに主眼を置いている。

 今年3月までにすべての都道府県で構想が出そろい、合計の病床数は表1の通り、全国的には高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足するという結果となった。これは厚生労働省令で定めた数式に基づいた1つの推計にすぎず、将来を反映しているとは限らない。さらに、病床機能報告は医療機関の申告ベース、必要病床数は一定の数式に基づいて計算されている違いがあるため、比較する際には留保が必要である。

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表1 地域医療構想に盛り込まれた病床数

 しかし、大きな方向性が可視化された意義は大きく、構想に盛り込まれたデータや内容をベースにしつつ、各地域で25年を意識した医療提供体制の構築に向けた議論が進む予定である。

 議論の場として期待されているのが「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)である。これは構想区域ごとに設置される会議体であり、地域医療構想に盛り込まれた病床データや施策などを基に、25年を見据えた提供体制改革について、都道府県や地元医師会、病院関係者、介護関係者、市町村などが各地域で合意形成を進めることが想定されている。

地域医療構想の進め方

 具体的なイメージを持ってもらうため、人口当たり病床数が最も多い高知県を事例に考えよう。高知県は「安芸」「中央」「高幡」「幡多」の4つの構想区域に分かれており、病床数は次ページの表2の通りとなった。

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表2 高知県の地域医療構想に盛り込まれた病床数

 このうち、人口が最も多い高知市を中心とした中央区域では高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足という結果になり、高度急性期と急性期の削減、回復期の充実、慢性期の削減と在宅医療の整備が求められることになる。

 そして、こうしたテーマを話し合う場として、県全体をカバーする調整会議と、各区域で調整会議が設置されており、地元医師会や介護従事者、市町村関係者などで構成する調整会議のメンバーが課題解決策などを話し合うことになる。

 さらに、地域医療構想を進める手段として、14年度から都道府県単位に「地域医療介護総合確保基金」(以下、基金)が創設された。使途としては(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備、(2)居宅等における医療の提供、(3)地域密着型サービスなど介護施設等の整備、(4)医療従事者の確保、(5)介護従事者の確保――に関する事業とされ、社会保障目的で引き上げられた消費税を活用する形で、国が3分の2、都道府県が3分の1を負担している(※2)。

 協議だけで達成が難しい場合の手段として都道府県知事の権限も強化された。具体的には、医療機関が過剰な医療機能病床に転換する場合、都道府県知事は転換の中止を要請(公的医療機関の場合は命令)し、これに従わないとき、医療機関名の公表、補助金交付対象からの排除などを講じることができる。

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※2 17年度予算の規模は医療分904億円、介護分724億円。


病床削減の視点

 ただ、地域医療構想の目的はあいまいである。厚生労働省は「病床削減のツールではない」と繰り返し強調しており、内閣官房に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が15年6月に病床数を試算した際も、メディアが「◎◎床削減」などと伝えると、3日後には都道府県宛に「単純に『我が県は◎◎床削減しなければならない』といった誤った理解とならないようにお願いします」という通知を出した(※3)。

 しかし、地域医療構想で語られているのは病床数であり、在宅医療に関しても「慢性期に入院する軽度患者の70%程度が在宅医療等に移行する」などの前提に立っているに過ぎず、病床に関心が向かいがちである。

 こうした考え方が最も表れているのは13年8月の社会保障制度改革国民会議報告書である。ここでは病床を「川上」、受け皿となる地域を「川下」」と形容しつつ、「急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」「入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現」「受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実」と強調しており、病床を削った後に余った患者を在宅や地域で引き取る発想に立っているのは明らかである。

 中でも、患者7人に対して看護師1人を配置する入院基本料要件を満たした急性期病床(いわゆる7:1要件)を圧縮したい思惑があったのは間違いない。政府は06年度診療報酬改定に際して、7:1要件病床に対して報酬を手厚くしたが、手厚い報酬を期待した医療機関が国の予想以上に7:1要件を多く満たしたため、医療費を増やす原因となり、政府は急性期の圧縮を検討するようになった。

 しかも、この考え方は10年ほど前から論じられていた。例えば、08年6月の社会保障国民会議中間報告では、「過剰な病床の思い切った適正化と疾病構造や医療・介護ニーズの変化に対応した病院・病床の機能分化の徹底と集約化」と指摘していたほか、同様の文言は08年11月の最終報告と09年6月の安心社会実現会議報告、民主党政権期に取りまとめられた11年7月の「社会保障・税一体改革成案」、12年1月の「社会保障・税一体改革素案」に継承されており、約10年の歳月を経て制度化された経緯がある。

 さらに、政府が16年末に改定した「経済・財政再生計画改革工程表」でも「医療介護提供体制の適正化」として地域医療構想を位置付けており、今年6月に閣議決定された骨太方針でも市町村国民健康保険の都道府県単位化(※4)や医療費適正化計画(※5)とのリンクを意識しつつ、「都道府県の総合的なガバナンスを強化し、医療費・介護費の高齢化を上回る伸びを抑制しつつ、国民のニーズに適合した効果的なサービスを効率的に提供する」という文言を用いることで、都道府県主導による医療費適正化に期待している。

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※3 15年6月18日、厚生労働省医政局地域医療計画課長の名前で各都道府県衛生担当部長に示された「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」という通知。

※4 慢性的な財政赤字に苦しむ市町村国民健康保険の財政を安定化させるため、財政運営を都道府県単位とする改革。

※5 08年度から導入され、国と各都道府県が策定する計画。平均在院日数の削減、特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)の実施が主な目的で、都道府県計画は5年に1度改定される。次期計画から周期は6年に変わる。



切れ目のない提供体制の構築という視点

 では、厚生労働省が病床削減による医療費適正化という目的を否定しているのはなぜだろうか。

 それは制度化プロセスにおける日本医師会との調整が影響している。

 厚生労働省は11年11月の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療部会で、人員配置や構造基準をクリアした病床を急性期として認定する「急性期病床群」(仮称)の新設を提案した。これは急性期について国の要件に従わなければ急性期と見なさず、単価の高い診療報酬も渡さない意図だったが、日本医師会は「急性期医療をできなくなる地域が生まれる」と懸念した。

 さらに厚生労働省は12年4月、急性期病床の登録制度を提案したが、これにも日本医師会は実質的に認定と変わらないと反対した。その理由について、日本医師会副会長は雑誌の対談記事で、急性期病床に医療資源を集中する方針が示されたことについて、「急性期だけでなく慢性期・在宅まで切れ目なく(注:提供することが)大事であって優劣はないと一貫して主張した」とした上で、急性期病床の認定制度には「認定される施設とされない施設では診療報酬で大きな差がつき、特に地方では急性期医療が提供できなくなると反対した」、登録制度には「登録でも要件があるはずだから認定と変わらないと(注:反対した)」と明らかにしている(※6)。

 その後、日本医師会は12年5月、対案を示した。対案では、(1)各医療機関が担っている機能について、都道府県に情報を提供する仕組みを創設、(2)都道府県は情報を活用し、医療提供者の主体的な関与の下、地域の実情を踏まえた提供体制を検討する、(3)都道府県は報告の仕組みを通じて得られた情報を住民、患者に示し、医療提供者、行政、地域住民、患者とともに、地域に実情に合った提供体制を作り上げる――といった内容であり、現在の制度に至っている。

 こうした経緯を見ると、日本医師会との調整プロセスを経て、「病床削減による医療費適正化」という当初の目的が薄まるとともに、「切れ目のない提供体制の構築」という目的が加わったことが分かる。

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※6 『病院』74 巻 8 号 p535 における中川俊男日本医師会副会長の発言。


「必要病床数=削減目標」を否定

 では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制の構築」という2つの目的が混在しているとして、どちらの目的を都道府県は重視したのだろうか。結論から言うと、後者の「切れ目のない提供体制構築」を重視している。

 まず、都道府県のスタンスは必要病床数について表れている可能性が想定される。もし都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視しているのであれば、必要病床数を1つのターゲットとして、削減の姿勢や努力を見せることが予想されるためだ。

 だが、地域医療構想の文言を精査すると、図1の通りに29道府県が「強制的に削減しない」「機械的に当てはめない」などの表現を用いつつ、必要病床数が削減目標ではないことを明示していた。

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図1 必要病床が削減目標ではないと明記したかどうか

 この背景には、必要病床数を削減目標と位置付けないように要請していた日本医師会に対する配慮があったと推察される。日本医師会は必要病床数を削減目標ではない旨を明記していない構想が見られる点を問題視していた(※7)。

 こうした中、地元医師会を中心とする医療機関関係者との関係が悪化すると、切れ目のない提供体制の構築というもう1つの目的達成が困難になるため、都道府県が病床削減に消極的だった様子がうかがえ、病床削減に向けた都道府県の主導性を求める政府とは明らかに異なるスタンスを取っていたことになる。この点については、強化されたとされる知事の権限についても、11道府県が言及していたに過ぎなかったこととも符合する。

 むしろ、近年の診療報酬改定では、医療機関が7:1要件を取得する際の条件を厳格にしている(※8)ため、急性期の病床数については、地域医療構想に基づく調整よりも、報酬改定の影響を大きく受けることが予想されている。こうした状況の下、都道府県としては診療報酬改定の結果と影響を見極めようという機運が強かったと考えられる。

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※7 例えば、日本医師会の常任理事は「地域医療構想では将来の病床の必要量が注目されがちであるが、重要なことは将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされていくことである。病床の必要量は全国一律の計算式で機械的に計算されたものに過ぎない」と指摘していた。16年9月20日『日医 News』。

※8 7:1要件を取得する際、患者の医療・看護度などを評価するいくつかの条件をクリアする必要があり、16年度報酬改定では手術や受け入れ患者に関する条件を追加することで、取得を難しくするように厳格にした。17年10月25日の財政制度等審議会では、一層の厳格化が論じられている。



国保改革や医療費適正化とリンクさせず

 都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視している場合、18年度の市町村国保の都道府県単位化や、医療費適正化計画の改定との関係を意識することが考えられる。前者は財政運営の責任主体、後者は医療費を抑制する主体として、いずれも都道府県の主導性発揮が期待された制度であり、地域医療構想との関係付けようとしているか探ることで、病床削減による医療費適正化に向けた都道府県のスタンスを把握できると考えられる。

 そこで、各都道府県の地域医療構想を見ると、図2の通り、市町村国保の都道府県単位化に言及したのは奈良県と佐賀県の2県、医療費適正化計画に言及したのは10都府県にとどまり、3つを明確にリンクさせたのは実質的に奈良県だけだった。

 奈良県の地域医療構想では「地域医療構想の策定は社会保障改革の一環であり、医療費適正化計画の推進や、国民健康保険の財政運営とともに都道府県が一体的に取組を進める必要があります」としている。こうした文言が盛り込まれた背景としては、3つの関係をリンクさせた改革を進めようとする荒井正吾知事のスタンスが影響している(※9)が、こうした事例は現時点で極めて少数であり、その背景としては地元医師会や医療機関関係者の反発を恐れ、病床削減や医療費適正化を想起させるテーマを避けた可能性が高い。

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図2 国保改革、医療費適正化計画の言及があったかどうか

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※9 荒井知事は15年9月のシンポジウムで、「(筆者注:地域医療構想、医療費適正化計画、市町村国民健康保険の都道府県単位化の)3つは関係している。高度医療、看取り、終末期医療、頻回受診、頻回薬剤投与など議論が進んでいない分野がある。地域でそのようなことを探求していくことも可能」と述べていた。『医療経済研究』Vol.28 No.1。


かかりつけ医や総合診療医に言及

 では、「切れ目のない提供体制の構築」という点では、どんなスタンスが見て取れるだろうか。切れ目のない提供体制を構築する上で、在宅ケアなど住民の日常的なニーズに対応する医療が重要になるが、「川上」「川下」の言葉に代表される通り、地域医療構想は実質的に病床しか議論しておらず、いわば病床という医療提供体制のごく一部を議論することで、医療提供体制の全体を変えようとする欠点を持っている。

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表3 かかりつけ医または総合診療医に関する言及

 この点については、第4回で述べる予定だが、地域医療構想を策定した時点では受け皿となる医療サービスの充実について、都道府県に前向きな姿勢が見られた。

 具体的には、37都道府県が日常的な医療ニーズに対応する医師である「かかりつけ医」(※10)または日常的な疾病やケガに対応する「プライマリ・ケア」(※11)の専門医として全人的・継続的な医療を担う総合診療医に言及した。

 両者の定義や役割などは第4回に詳しく述べることとしたいが、両者に期待する役割としては、表3の通り、(a)患者が病状に応じて適切な医療機関を選べるようにする支援、(b)疾病管理や生活習慣病対策を含めた予防医療、(c)在宅医療の充実、(d)病院・診療所連携、(e)医療・介護連携、(f)過疎地医療――などに整理可能であり、いずれも住民にとって身近な日常生活をカバーする医療が想定されている。

 目的があいまいな地域医療構想が「病床数ありき」の議論に傾きがちな中、これらの記述は、切れ目のない提供体制の構築に向けた都道府県の積極的な姿勢と受け止めることが可能であろう。

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※10 日本医師会などが13年8月に公表した報告書では、かかりつけ医の定義について、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している。一方、総合診療医の中核的な能力としては、「人間中心の医療・ケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」など6点が挙がっており、両者の違いは必ずしも明確ではない。

※11 日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケアを「国民のあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的、全人的に対応する地域の保健医療福祉機能」と定義している。詳細は第4回で述べる。



地元医師会との協調・連携

 次に、地元医師会との連携という点で都道府県のスタンスを検証してみよう。都道府県が切れ目のない提供体制の構築を図ろうとする際、最初に配慮するのは地元医師会と思われる。先に触れた通り、日本の医療提供体制は民間中心であり、都道府県が構想を策定するだけでは実効性を持たず、現場で医療サービスの提供を担う地域の医師会との連携が欠かせない。

 そこで、地域医療構想の策定プロセスに地元の医師会がどこまで参加していたか検証した。具体的には、(1)各都道府県の地域医療構想に出ている文言や資料、Webサイト(※12)に掲載された議事録などを通じて、「実質的な検討の場」を設定(※13)、(2)地域医療構想に限らず、医師会関係者は地域の医療政策に関する検討の場に必ず参加しているケースが多いことを考慮し、委員枠として確保されているかどうかではなく、医師会関係者が検討の場のトップに就いているかどうかを検証――といったプロセスを通じて、都道府県と各地域の医師会がどこまで共同歩調を取っていたかどうかを考察した。

 さらに、(a)地域医療構想に掲載されている委員名簿、(b)名簿が掲載されていたとしても、トップが判別できない場合は議事録、(c)委員名簿が掲載されていない場合はWebサイトの資料または議事録――をそれぞれ集計した。

 その結果、検討の場のトップの氏名や所属先、肩書などが判明しなかった15府県(※14)を除く32都道府県のうち、24都道県で医師会関係者がトップを務めていた(※15)。以上を踏まえると、切れ目のない提供体制の構築に向け、地元医師会と連携・協力を図ろうとする都道府県が多かったことを指摘できる。

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※12 17年3月31日現在のデータ。以下、同じ。

※13 都道府県全域をカバーする専門的な検討組織(例:専門部会)を医療審議会の下に置いている場合、これを検討の場と見なし、その開催頻度が少ない場合、構想区域単位の会議を検討の場と位置付けた。

※14 検討の場の議論に用いた資料や議事録の公表が不十分だったため、把握できなかった。

※15 8つの構想区域のうち5構想区域で医師会関係者がトップだった秋田県も含む。



国と都道府県の認識ギャップ

 以上、地域医療構想の制度化プロセスを振り返ることで、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築――という2つの目的が混在している点を検証するとともに、地域医療構想の内容を把握することを通じて、都道府県はどちらを重視していたのか考察してきた。

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図3 地域医療構想を巡る国と都道府県の認識ギャップ

 その結果、全体的な傾向として、(a)必要病床数を削減目標としないことを明記、(b)市町村国保の都道府県単位化、医療費適正化とのリンクを避けた、(c)日常的な医療ニーズに対応する必要性に言及した、(d)地元医師会と連携・協力しつつ地域医療構想を策定していた――といった実態があり、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築の目的」という混在する目的のうち、都道府県は後者を優先している点を明確にした。

 しかし、骨太方針2017の「都道府県の総合的なガバナンスの強化」という文言に代表される通り、経済財政諮問会議や財務省を中心とする国の議論は(1)に傾きがちであり、図3のように(2)に力点を置く都道府県の間に認識ギャップが見られる。

 その一端については、3ページで述べた基金のスタンスに表れていると言える。財務省は基金の分配先について、回復期病床の充実など病床削減につながる使途に重点配分するよう求めており、こうしたスタンスは(1)、特に急性期削減を重視していると言える(※16)。

 一方、都道府県のスタンスは異なる。近年の改定では7:1要件を厳格化しており、急性期の削減や回復期の充実は診療報酬改定の影響を受けやすい。こうした中、都道府県は18年度改定の影響を見極めつつ、(2)を重視する観点に立ち、在宅ケアの整備や人材確保などに基金を使うことを期待している(※17)。このギャップは2つの目的を混在させた結果であり、こうした認識ギャップは今後も制度の目標設定や進行管理の場面で一層、顕在化する可能性が想定される。

 では、都道府県は今後どのような対応が求められるのだろうか。第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを用いつつ考察を深めたい。

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※16 財政制度等審議会が16年11月に示した建議で、「病床機能の転換等に直接資するものに交付を重点化すべき」と求めた。

※17 基金の使途については、大津唯(2017)「『地域医療介護総合確保基金』の現状と課題」『会計検査院』No.56が詳しい。同論文では「医療機能の分化・連携を進めるための医療機関の施設・設備整備など単年度会計になじみにくい事業と,医療従事者の確保のための国庫補助事業という異質のものを1つの基金に混在させたことは妥当でなかった」と指摘している。




http://www.asahi.com/articles/ASKD546LMKD5UBQU00B.html
八代市民病院、廃止へ 熊本地震で閉鎖中
村上伸一2017年12月5日15時00分 朝日新聞

 熊本地震の影響で入院病棟(66床)が閉鎖中の八代市立病院について、同市の中村博生市長は4日、2018年度末(19年3月)までに廃止する方針を明らかにした。入院機能は氷川町を含む八代地域の四つの公的病院に引き継ぎ、外来機能は公的病院に事業を譲渡し、現在地で運営してもらえるよう調整中という。

 この日の市議会本会議で自民党議員の一般質問に答えた。中村市長は、入院病棟を建て替えた場合、建設費が約40億~50億円かかるうえ、その後の運営で毎年約4億~5億円の赤字収支が続くとの試算を示した。病棟の規模を縮小したり、入院機能のない診療所に建て替えたりしても赤字になる見通しといい、「市の財政運営への影響はかなり大きいと判断した」という。

 八代地域医療構想調整会議で先月、四つの公的病院(熊本労災病院、熊本総合病院、八代市医師会立病院、八代郡医師会の八代北部地域医療センター)への入院と外来機能の引き継ぎを提案したところ、「おおむね前向きな意見を伺うことができた」として、今回の方針を決めたという。

 今後、四つの病院に入院病床をそれぞれいくつ引き受けてもらうかや、外来機能を譲渡する病院を決めるための意向調査をし、18年度末までに引き継ぎや譲渡を終えたいとしている。

 入院病棟とともに閉鎖が続く結核病棟(30床)については県から存続の要望があり、国や県と協議して、存続方法を決めるという。

G3註:熊本労災病院 410床、熊本総合病院 344床、八代市医師会立病院 100床、八代郡医師会の八代北部地域医療センター 80床



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1204/ym_171204_8689004653.html
医師の偏在対策 都道府県の調整力が問われる
12月4日(月)6時0分 読売新聞

 地方の医師不足が深刻化している。地域医療を守るために、実効性ある是正策が求められる。

 厚生労働省の検討会が医師の偏在対策に関する論議を進めている。年内に報告書をまとめる。

 柱となるのは、都道府県の役割と権限の強化である。医療計画の一環として、医師確保の目標や具体策を盛り込んだ「医師確保計画」の策定を法制化する。

 確保計画に実効性を持たせるため、都道府県が大学医学部に「地元出身者枠」の設定・増員を要請する権限を設ける。臨床研修を行う病院の指定や定員の設定も、都道府県が担うようにする。

 大学医学部・病院からの医師派遣についても関与を強める。

 現行では、医療計画に医師確保策を記載する規定はあるものの、内容に具体性を欠く事例が多い。医師の確保・定着にとって重要な医師養成課程に関する都道府県の発言力が小さいなど、対策に限界があることも一因だろう。

 医療関係者の自主性に委ねた取り組みでは、是正されなかった。医療提供体制に責任を持つ都道府県の権限を強めて、一定の強制力を持たせる狙いは適切だ。

 都道府県別の10万人当たりの医師数は、最多の京都府と最少の埼玉県で2倍の開きがある。都道府県内の格差も数倍の地域が少なくない。地方では医療機関の縮小や閉鎖が目立つのが実情だ。

 政府は、医学部の定員増や地域医療の担い手を育てる「地域枠」設定を進めてきたが、地域間の偏在解消にはつながっていない。

 医師の4割は地方勤務の意思を持っている。20歳代では6割に上る。一方で、キャリア形成や労働環境に不安を抱く医師は多い。

 都道府県と大学医局が連携し、地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラムを作る。休日の代替要員確保などで負担軽減を図る。不安払拭ふっしょくに知恵を絞りたい。

 報告書には、地方勤務を経験した医師の認定制度の導入も盛り込まれる方向だ。一部の病院長の就任要件にして、医師不足地域での勤務を後押しする目的がある。

 認定を就任要件とする医療機関の範囲が狭ければ、効果は限られよう。検討会では、診療所の開業要件にすべきだとの声もある。

 医師過剰地域の診療所開設を抑制する必要もある。厚労省は地域別の医療需給の情報を提供し、医師の適切な判断を促す方針だ。

 こうした是正策がうまく機能しなければ、より強制的な手法も検討課題となるだろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/566896?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD171209&dcf_doctor=true&mc.l=263555187
医療費、伸び抑制しなければ国が持たず - 舛添要一・元厚労大臣に聞く◆Vol.3
医学部定員、炯々に減らすべきでない


スペシャル企画 2017年12月9日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――752日間、厚労大臣を務められて、何か積み残した課題、あるいはもう少し時間があれば可能だったという点はありますか。

 例えば、薬害C型肝炎訴訟にしても、未然に防ぐ体制はもちろん、実際に何らかの問題が起きた場合に、厚生労働省、財務省、法務省が協議をして、国家賠償などの解決方法を迅速に見いだす枠組みを作るべきでしょう(編集部注:薬害C型肝炎訴訟は、フィブリノゲン製剤によりC型肝炎を発症した患者らが、製造元と国に損害賠償を求めて提訴、最終的に対象患者全員を救済するための議員立法の法律が成立)。

 後期高齢者医療制度の見直しのほか、医療保険と介護保険の一本化もやりたかった。そもそも私が政治家になったのは、母親の介護がきっかけです。介護老人保健施設に入所していて、肺炎などに罹ったりすると、病院への入院となる。治れば、また施設や自宅に戻る。そのたびに使う保険が変わり、手続きも手間である上、もっとシームレスなサービス提供につながらないかと思っていました。

 さらに厚労大臣時代以上に今思うのは、40兆円を超す医療費の伸びをどこかで制御しないと国が持たないということ。医療費を賄うには消費増税しかないと思いますが、一方でやはり支出を減らさないといけません。最近の医療費増加は、オプジーボなどの高額薬剤や技術の高度化の影響が大きい。

 ただ、私はこの夏、股関節の手術をし、リハビリに励んできましたが、病院に行くと、マッサージ目的の高齢者がたくさん来ている現実があります。最大の失敗は、老人医療費を無料化したことでしょう(老人福祉法改正で1973年から開始、1983年の老人保健法成立で廃止)。無料だったら誰もがいい加減に医療を使ってしまう。今は少しずつ高齢者の自己負担が上がっていても、医療機関をサロンのように使う慣習はなかなかなくなりません。

――「医師の数が増えると、供給が需要を生み、医療費が上がる」と、財務当局などは考えているように思います。医師数の話に戻りますが、今後の医学部定員はどうすればいいとお考えですか。

 医学部定員は、炯々に減らすべきではないと考えています。2008年度以降、大幅に定員は増えましたが、医師が一人前になるには、卒後10年くらいはかかります。医療の現場に出てくる医師はこれから増えるわけで、当分の間、様子を見てから判断すべきでしょう。

 外来には、いつも多くの患者さんが来ていて、先生方は忙しい。看護師さんなども含めて、とても充足している状況ではありません。電通の元社員の過労自殺が社会問題化していますが、医師の勤務環境も大変厳しい状況です。加えて今後しばらくは高齢者数が増加し、医療ニーズは増すわけです。

 それに、女性医師も増えています。女性医師が産休に入る場合、代替の医師がすぐに見付かるようなシステムにすることが必要です。交代制勤務、あるいは当直を免除できる体制にしないと、復帰も容易ではありません。今はそうではなく、ギリギリのところでやっています。

 仮に医師が過剰になってきたら、別に日本で仕事をしなくても、海外で働けばいい。あるいはメディカルツーリズムで海外から患者さんを呼んでくればいいわけじゃないですか。

 もちろん、地域偏在や診療科による医師偏在を解消することも必要になってきます。私の故郷である福岡県北九州市は医師が比較的多い地域で、“医療難民”にならなくて済みます。しかし、東京などで今後、高齢化が進めば、医師不足は必至。この不均衡をいかに是正するかですが、これは日本の国土の均衡ある発展をどう進めるかという、国土計画の問題でもあると思うのです。

 今の日本だったら、子どもの教育を考えたら、医師は東京や大阪に集中してしまう。医師の地域偏在の問題は、医師の側だけでなく、国土計画も併せて検討することが必要。これはまさに政府全体の仕事です。私が厚労大臣に就任した当時、妊婦の“たらい回し”が社会問題になり、皆で議論したように、国の在り方、その中で目指すべき医療提供体制について、国民的な議論を展開すべきでしょう。

――医師不足については、医師から看護師にタスク・シフティングするなどの考えもあります。

 タスク・シフティングの推進やナース・プラクティショナーの創設などは、日本人のメンタリティーを考えたら、難しいと思いますね。どうしても日本人は、「医師に診てもらいたい」と考えるからです。一方で、医療クラークの導入は、医師が医療に専念できる状況を作り出すことにつながるので、進めやすいと思います。

――最後に、今の医療行政や医療のあり方をどう見ておられるかをお聞きできますか。

 最近、あまり改革が進まなくなったような気がするのですが。厚労大臣にしても、厚労族などと侃々諤々、時にはけんかするほどにやり合う場面があまりない。塩崎君(2017年8月まで厚労大臣を務めた、塩崎恭久氏)も、自民党中でやり合っていたのは、受動喫煙問題くらいでしょう。私が都知事時代は、本当は全面禁煙の方がいいと考えていても、自民党は小さなスナック経営者などに支えられている部分もあるので、分煙の話にとどめていました。塩崎君は、全面禁煙を打ち出して戦った。ただそれだけじゃないかな。ほかの問題について、自民党を2つに割るような医療の議論はしてないと思いますね。

 それと医療界全体の問題として、医療改革関連の本が昔ほど出版されていないのではないでしょうか。この点が気になります。

――それはなぜだとお考えですか。

 政治家の側から言えば、衆院の小選挙区制の問題。中選挙区制の時代は、「あの先生は、他のことはあまりやらないけれど、医療についてはものすごく知っている。だから、落選させてはいけない」といった議員が党を問わず存在しました。しかし、今の小選挙区制では、オールマイティーな問題に対応しないと当選しにくいので、専門家が育ちません。特に専門性が高い医療はそうです。

 政治がそんな状況であれば、医療が政治的イシューになりにくい。結果的に、「議論」が活発化しにくいのかもしれません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573959
真価問われる専門医改革
5都府県、1次登録の専攻医、過去の採用実績内に調整
日本専門医機構、2次登録できない領域・地域も

レポート 2017年12月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は12月8日、理事会後の記者会見で、5都府県で14の基本領域について、専攻医の1次登録者数が過去5年間の専攻医採用実績の平均値を超えないよう調整を終える見通しであることを報告した。内科と脳神経外科については、調整自体が必要なく、1次募集登録者数が平均値の範囲内に収まったという。

 12月16日から専攻医の2次登録がスタートする。1次募集の段階で平均値の上限まで専攻医が登録済みとなった基本領域、都府県では2次登録はできないが、現時点では該当領域・地域は未公表。総合診療専門医については、「過去の専攻医の採用実績はないので、募集定員の範囲内まで2次登録を認める」(日本専門医機構副理事長の松原謙二氏)。

 2018年度から開始予定の新専門医制度の1次登録は、11月15日に締め切り、7989人が登録した(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。

 東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県については、専攻医の都市部集中を避けるため、医師が減少している外科、産婦人科、病理、臨床検査のほか、新たに基本領域に加わる総合診療以外の14の基本領域については、原則として過去5年間の専攻医採用実績の平均値を超えないよう調整することが求められる。12月1日に各基本領域の学会代表者が集まる会議を開催し、平均値を超える基本領域、都府県についての調整を各学会に依頼した。調整の締め切りは12月10日だが、「現時点で既に各学会とも、シーリングの範囲になるよう調整をしたと聞いている」(日本専門医機構副理事長の山下英俊氏)。

 各基本領域の調整対象人数は、現時点では公表されていない。調整は都府県単位のため、個別の基幹病院にとっては、自院の過去5年間の専攻医採用実績と同数の1次登録者数であっても、調整により減らされたケースもあり得るという。調整対象となった医師は、他県、あるいは他の領域の専門研修プログラムに変更したり、12月15日までに決まらなかった場合には2次登録に臨むことになる。なお、専攻医登録のためのIDを取得し、1次登録をしなかった医師が約110人おり、これらの医師も2次登録の対象になる。

 12月7日の理事会では、医師法16条の2に定める臨床研修(卒後2年間の臨床研修)を修了し、医籍に修了した旨の登録を行った後に、専門研修プログラムの登録が可能になることを、「専門医制度新整備指針」の補足説明に追加することも了承した。体調を崩すなど、2年間で臨床研修を修了しない場合、修了した時点から専門研修に入ることになる。ただし、年度途中から専門研修を始める場合でも、4月からスタートする医師と同様の枠組みで専攻医登録をするため、募集定員等の調整の対象になる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/574002
中央社会保険医療協議会
「調剤料、早急かつ大胆な見直しを」、今村日医副会長
診療報酬本体の改定率配分の再考も提案

レポート 2017年12月9日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の今村聡氏は、12月8日の中医協総会で、「院外処方は、院内処方と比較して同じ技術でありながら、点数に大きな差がある」と指摘、特に調剤料の格差は問題があるとし、「早急、かつ大胆に見直すべき」と求めたほか、過去の改定で「医科1.0、歯科1.1、調剤0.3」となっていた診療報酬本体の改定率の配分の見直しも求め、「改定率の配分を固定する必要はないと考えている」と述べた上で、調剤報酬財源で病医院の薬剤師の業務を評価するよう提案した。日医常任理事の松本純一氏も、「おかしいことは、直ちに是正すべき」と今村氏の提案を支持した。

 調剤報酬について議論した同総会では、支払側からも厳しい指摘が相次いだ。健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「薬剤服用歴管理料の制度設計を見直すべきだ。また大手チェーン薬局の調剤基本料は、処方せんの集中率によるハードルを厳しくすべきであり、敷地内薬局については、集中率にかかわらず、『敷地内にある』という区分で、調剤基本料を別途設定すべき」と提案。

 経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理の宮近清文氏は、今村氏と同様に調剤料を問題視、「調剤料は処方日数に応じた設定になっているため、例えば、内服薬処方の3日分では15点、7日分では35点。2倍の評価をする必要があるのか、という疑問がある。調剤料の評価のテーブルを見直すべきだ」と求めた。

 厚労省は調剤報酬についてさまざまな見直しを検討しているものの(『大型チェーン、門前・門内薬局に再びメス』を参照)、同省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、調剤料の格差については次のように説明した。「院内処方については、外来と入院の全体として調剤にかかる点数を評価すべきだと考えており、外来部分だけを切り出して比較するのは、適切かどうかという問題はある」と回答。さらに院外処方について、院内処方との差に見合う効果があるかを『見える化』していくことは必要としたものの、「後発医薬品への置き換えが進むなど、一定の医療費適正化効果などがあり、加えて薬物療法の有効性、安全性の面で薬剤師がダブルチェックするなど、それなりの貢献ができているのではないか」と述べ、理解を求めた。

 これに対し、松本純一氏は、「病院薬剤師と薬局薬剤師は、どう能力が違うのか、やることが違うのか、一度整理をしてもらいたい」と求めた。

 「内服薬28日処方」、院内9点、院外240点
 今村氏は、調剤報酬について4点の提案・問題点を指摘した。

 第一に求めたのは、地域に根付いた、かかりつけ薬剤師の評価。調剤報酬では、大手チェーン薬局への締め付けのため、処方せん枚数と集中度に応じて調剤基本料が下がる仕組みになっているが、かかりつけ薬剤師が一定の業務を果たしている場合、調剤基本料の引き下げはされない(当該薬局勤務の薬剤師の5割以上が、かかりつけ薬剤師指導料の施設基準に合致した薬剤師であり、同指導料を1人当たり月100件以上算定するなど)。今村氏はこの点を問題視したほか、「週32時間以上、6カ月以上在籍」などの施設基準が緩いと指摘した。

 第二に問題視したのは、調剤料の不合理。例えば内服薬3剤(服薬時点が同一であるものは1剤としてカウント)を28日分処方した場合、院内処方では9点だが、院外処方では240点であるなど、差が大きいとし、「2016年度診療報酬改定では限定的に1、2点程度、引き下げられたが、これは不十分と言わざるを得ず、早急かつ大胆に是正をすべきだ」と求めた。

 第三に指摘したのは、診療報酬の改定率の配分。これまでの改定では、技術料部分に対して、同程度の伸びとなるように、「医科1.0、⻭科1.1、調剤0.3」として、改定率が設定され、単価の上乗せが⾏われてきた(財務省資料、24ページ参照)。この点を踏まえ、「医科では、医療の高度化により、新たに評価すべき、または評価を引き上げるべき手術料などが増えている。一方、調剤については、医科と同じ技術料の伸びをしてきたために、さまざまな増点によって、調剤財源を使ってきた面は否めない。改定率の配分を固定する必要はないと考えている」と指摘した。

 第四として、「医師の業務を薬剤師が担うというタスクシフト、タスクシェアにより、医師の業務負担軽減が図れるというデータもある。しかし、病院の薬剤師業務を直接的に評価する診療報酬はわずか」とし、次のように提案した。「医科、調剤という縦割りではなく、薬剤業務を各科横断的に評価する診療報酬体系の検討を提言する。今回の改定で、調剤0.3の財源で、医科、歯科の薬剤業務に対応することを検討してもらいたい」。


https://www.m3.com/news/general/573651

「くらて病院」問題:「全ての責任は町長に」 町議会特別委が報告書 /福岡

地域 2017年12月8日 (金)配信毎日新聞社〔筑豊版〕

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の常勤内科医6人が来年3月末で辞職を表明している問題で、町議会特別委員会(田中二三輝委員長)は6日、「全ての責任は徳島真次町長にある」などとする報告書を議会に提出した。

 病院側から「町長が権限を逸脱した介入をしている」などとする嘆願書が8月に議会に提出され、特別委を設置。11月まで7回の特別委を開き、徳島町長や病院関係者らに事情を聴いて調べていた。

 報告書は「副理事長を退職に追い込んだ」など嘆願書が挙げた6項目を法や病院定款を逸脱した「町長の不当な介入」と認定。そのため「医師は町長に対する強い不信感を抱き、安心して病院経営、医療の提供を継続することができない事態となった」とした上で「町長自身が、患者やその家族、町民らに誠意ある謝罪を行うとともに、病院に対しては、今後一切不当介入を行わないことを誓約し宣言する必要がある」と求めている。

 徳島町長は取材に対し「ノーコメント」とした。【武内靖広】



https://www.m3.com/news/general/573435
生駒市立病院:患者数、順調に増加 課題は医師確保 今年度上半期 /奈良
地域 2017年12月7日 (木)配信毎日新聞社

 生駒市立病院の管理運営協議会(会長・小紫雅史市長)が11月末、同病院で開かれ、開院3年目となる今年度上半期(4~9月)の状況が報告された。医師確保に課題は残すものの、患者数は入院、外来とも計画を約15%上回り、前年同期比でも入院で32%増、外来41%増と順調に推移した。経常利益は約1億円の赤字だが、計画(2億2691万円)の半分以下だった。

 報告によると、1日平均患者数は入院113人、外来159人。前年同期比で整形外科の患者数が入院で3倍増、外来で倍増したのが目立つ一方、4月から常勤医がゼロの小児科は入院が延べ7人と半減し、外来も3割近く減った。小児科は常勤医2人体制を目指しており、1人は1月に着任予定という。

 協議会では、同市の阪奈中央病院長を辞め、9月に市立病院長に就任した遠藤清氏が冒頭にあいさつ。阪奈中央病院や市医師会などが7月、院長就任に関し「地域医療機関との連携・協力を崩壊させる」と申し入れたことを踏まえ、「市全体の医療に貢献できると思って市立病院に来た。阪奈中央病院に迷惑をかけたが、市立病院で頑張ることで恩返ししたい」と述べた。【熊谷仁志】

G3註:生駒市立病院158床、阪奈中央病院255床、直線で2.1km・一般道で2.6km



https://www.m3.com/news/general/573611
【山梨】常勤医の診療再開へ 甲州・大藤
地域 2017年12月7日 (木)配信山梨日日新聞

 甲州市は、来年4月から同市塩山上粟生野の大藤診療所での常勤医による診療を再開する。現在は非常勤医による週4日の診療で、利用者から常勤医を求める声があり、市が人選を進めていた。

 市国保年金課によると、同診療所は、2017年3月末まで常勤医が診察していた。医師が退職してからは、県外の病院に所属する医師が非常勤で診療してきた。今年7~9月は週1回、10月からは週4回の診療となっていた。

 診療所は同市の大藤、神金、玉宮地区の住民らにとっては、近隣の医療機関が少ないことから「診療所は地域医療の拠点となっている」(同課)として常勤医を探していた。

 来年4月からは現在、診療所の非常勤医として勤務している市出身の田中千絵医師が常勤医となる。勤務時間などは今後、詳細を決める予定。落合・一ノ瀬両出張診療所の診療も担当する。

 同課の担当者は「地域医療を支えるため、今後も診療所を維持していきたい」と話している。

G3註:塩山駅から車で5分、甲府駅から35分



https://www.m3.com/news/general/573359
【青森】中核病院構想「市が主体」と弘前市長方針
地域 2017年12月6日 (水)配信東奥日報

 5日に青森県弘前市長選への3選出馬を表明した葛西憲之市長は、同日の市議会一般質問への答弁で、弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の統合による中核病院構想について「市が整備運営の主体となることが最善」との新方針を明らかにした。統合協議の白紙化は否定したが、統合後の中核病院を同機構が運営するという県の提案を拒否する形となった。具体的な整備場所やスケジュール、財源には言及しなかった。

 両病院の統合案は県が昨年10月に提示。構想では中核病院を国立弘前の敷地内に整備し、同機構による運営を想定している。事務レベルで協議を重ねていたが、市側が「地域医療に対する明確なビジョンや、市民の立場に立った提案がない」(葛西市長)として、今年5月を最後にストップしている。

 葛西市長は同日の一般質問で3選出馬の理由の一つに中核病院問題を挙げた。取材に対し、市長は「市立であれば市の責任の下に地域医療を行うことができる。地域包括ケアシステムの構築に重きを置き、市立病院として中核病院を担うことが最善と判断した」と説明した。

 既に同機構や県など協議の相手方に意向を伝えたことも明らかにし、今後市側で県の対案となる具体案をまとめ統合協議に臨むという。

 取材に対し、同機構本部(東京)は「地域医療に貢献するため、引き続き真摯(しんし)に協議していく」。県医療薬務課の担当者は「弘前市の意向も踏まえて今後の協議を進める」とした。

 中核病院問題では、同日の一般質問で伏見秀人議員(弘新会)が協議の遅れを指摘。「市は自治体病院が地域包括ケアシステムの核になるべきだと認識していたはず。なぜもっと早く動かなかったのか」と疑問を呈した。

 一方、市立病院の運営状況は既に厳しさを増しており、対応が急務となっている。市立病院の常勤医は12月1日現在、研修医7人を含む29人で、うち外科医は3人で前年から半減。中核病院整備の必要性が増している。櫻田靖事務局長は「弘大から医師の派遣を受けて2次救急輪番をこなしているが、今後も減ると現状のコマ数はこなせない」と答弁し、危機感を訴えた。



https://www.m3.com/news/general/573378
【兵庫】ささやま医療センター存続へ 来年7月から7年間
地域 2017年12月6日 (水)配信神戸新聞

 兵庫県篠山市は5日の市議会全員協議会で、来年7月に協定期間が満了となる兵庫医科大学ささやま医療センター(同市黒岡)について、その後も最低7年間は存続・運営する方針で両者が基本合意したことを明らかにした。2008年に結んだ基本協定書を更新し、来年7月までに同大の新家荘平理事長と酒井隆明市長が調印する。

 同センターは1997年、国立篠山病院の経営移譲により兵庫医科大篠山病院として誕生し、その後現在の名称に。基本協定書の期限が切れる半年前までに更新の有無や内容を決めることが定められており、両者が協議を進めてきた。



https://www.m3.com/news/general/573384
高知医療センター6年連続黒字 単価上昇で収益増 16年度決算
地域 2017年12月6日 (水)配信高知新聞

 高知医療センター(高知市池)を運営する高知県・高知市病院企業団の企業団議会定例会が5日開かれ、5億2380万円の経常黒字となる2016年度決算案を認定した。診療単価の上昇などによる医業収益の増加(前年度比0・9%増)などで6年連続の黒字を確保した。

 16年度から一般病床40床を休床したことで入院患者数(1日当たり)は前年度比34人減、外来患者数(同)も3人増で横ばいだったが、高度で専門的な医療を担う同センターの機能強化に努めた結果、診療単価は入院で4186円(5・5%)、外来で1671円(10・8%)上昇した。

 抗がん剤「オプジーボ」の使用量が前年度比16倍となるなど高額薬品による治療の増加も診療単価上昇の要因になったという。

 医業費用では、薬品費が前年度比0・1%(3440万円)増となった一方、診療材料費は購入価格の全国相場比較システムの導入などで0・7%(9923万円)抑制した。

 この結果、経常収支は前年度の黒字(7265万円)を上回り、単年度の純損益も3年ぶりの黒字(4億9558万円)となった。

 このほか、500万円以下の未収金の債権放棄について定めた債権管理条例議案を全会一致で可決した。



  1. 2017/12/10(日) 10:01:37|
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