Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月25日 

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171125/mca1711250500011-n1.htm
厚労省、診療報酬改定の基本方針案
2017.11.25 05:00 Sankei Biz

 厚生労働省は24日、社会保障審議会の部会に医療機関などに支払われる診療報酬の2018年度改定に向けた基本方針案を提示した。住み慣れた地域で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を重点課題に挙げたほか、医師や看護師の働き方改革推進を明記した。

 地域包括ケアでは、医療、介護、障害福祉、母子保健など、地域のさまざまな職種の連携を強化。質の高い訪問診療や訪問看護の報酬を手厚くし、国民が希望する場所でのみとりを推進する。

 厳しい勤務環境が指摘されている医師や看護師の働き方改革は、柔軟な勤務ができるよう、事務の効率化と合理化のほか、多職種でのチーム医療を実現し、負担軽減を図る。

 最新の情報通信技術(ICT)を着実に医療現場に導入するため、ICTを活用して離れた場所から患者を診療する「遠隔診療」を適切に報酬で評価する考えも示した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171124192856
次期診療報酬改定、遠隔医療・ICT活用を評価へ
厚労省が基本方針骨子案

2017年11月24日 19:45

 厚生労働省は24日、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に対し、次期診療報酬改定の基本方針の骨子案を示した。「質の高い医療の実現・充実」の基本的な視点として、遠隔医療やICT(情報通信技術)の活用、精神医療の地域移行の充実といった具体的な方向性を明記した。次回開催予定の両部会の会合で基本方針案を取りまとめる予定。【新井哉】

 これまでの両部会の会合で出た意見などを踏まえ、厚労省は、改定の基本的な視点と具体的な方向性を記載した基本方針の骨子案をまとめた。

 骨子案では、最新の技術革新によって医療の質を向上させるため、▽遠隔診療を適切に活用する▽医療連携を含めたICTを有効に活用する▽データを収集・利活用し、実態やエビデンスに基づく評価を推進する―といったことを「将来の医療を担う新たな技術」として位置付け、着実に導入する方向性を示した。

 また、地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価、小児・周産期・救急医療の充実などについては、「診療報酬改定において適切に評価していくことが重要」とした。

 医療従事者の負担軽減や働き方改革の推進については、専門性を発揮でき、柔軟な働き方ができるように「環境の整備、働き方改革を推進することが必要」とした上で、専門職の柔軟な配置や、業務の共同化・移管を含む多職種によるチーム医療の推進により、勤務環境を改善する必要性を挙げた。



http://www.medwatch.jp/?p=17121
療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)
2017年11月24日|医療・介護行政全般 MedWatch

 療養病床に関する医療法上の人員配置標準などを緩和する経過措置の期限を、来年(2018年)3月末から2024年3月末へと6年間延長する。また、この経過措置の対象病院が介護医療院への転換を前向きに考えられるように、地域医療介護総合確保基金などで転換支援を行う―。

 社会保障審議会・医療部会は11月24日、厚生労働省が示したこうした方向性を、おおむね了承しました。この経過措置は、病院が配置する看護職員の員数について、本来であれば「療養病床の入院患者4人に対して1人(4対1)以上」としなければならないところを、「6人に対して1人(6対1)以上」と緩めるほか、廊下幅の基準を緩和しているものなどです。

 ただし、6年後に再び延長することになるのを防ぐために厚労省では、病院・診療所の介護療養病床の介護医療院などへの転換に向けた協議を、地域医療構想調整会議で2021年3月末までに行うよう都道府県に求めていく方針です。

ここがポイント!
1 療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置
2 新設の療養病床などは経過措置の対象外
3 6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり
4 再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置

 病院や診療所の療養病床に要介護者を長期入院させ、必要な医療を提供する介護療養病床には、「病床の役割としてふさわしくない」といった指摘があり、廃止が決まっています。具体的には、設置期限が来年(2018年)3月末と定められていましたが、介護療養病床の入院患者の受け入れ先(廃止される介護療養病床の転換先)となる「新しい介護サービス」が必要なため、来年(2018年)4月に介護医療院を創設した上で、転換期間を6年設けることになりました。つまり、現存する介護療養病床には事実上「2024年3月末まで存続が認められる」ことになっています(改正介護保険法:地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。

 一方、医療法では病院や診療所に対し、「都道府県が条例で定める員数」の看護職員(看護師と准看護師)の配置を義務付けています。その員数の標準を厚労省は、「療養病床の入院患者4人に対し1人」(4対1)以上と定めていますが、▼介護療養病床の指定を受けている▼看護配置4対1に満たない―などの病院・診療所に対しては、来年(2018年)3月末までに限って「6対1」以上に緩める経過措置が設けられています。

 この経過措置が予定通り終了すると、介護療養病床(看護配置「6対1」以上)の存続は、来年(2018年)4月から認められなくなってしまい、上記の改正介護保険法と矛盾します。また、医療保険が適用される医療療養病床のうち、看護配置「6対1」(診療報酬の基準は常時配置「25対1」以上)を「病棟単位」で満たせば算定できる【療養病棟入院基本料2】の、2018年度診療報酬改定での取り扱いにも影響を及ぼします。
 そのため、看護職員の人員配置標準の経過措置を延長するのかどうか、などが注目されていました(関連記事はこちら)。

新設の療養病床などは経過措置の対象外

 11月24日の医療部会で厚労省は、▼医療法施行規則における人員配置標準の経過措置を2024年3月末まで延長する▼経過措置の対象は2012年までに届け出ていた病院・診療所のみで、新たに増やさない―という考えを示しました。

 現在、人員配置標準の経過措置はそもそも、「介護療養病床がある」「看護配置が薄い」ことなどを都道府県に届け出た病院・診療所のみに適用されています。その届け出の期限(所定期日)は原則2012年6月末で、計1677施設(1269病院と408診療所)が該当します。このうち、今年(2017年)10月時点で「4対1」以上の看護配置を満たさないのは計400施設弱(山梨・石川・福井3県を除く44都道府県で計377施設)と考えられます。

 そうした実情を踏まえ、新設の療養病床などを経過措置の対象としない厚労省の案に対して、医療部会の委員から明確な反対意見は出ていません。

6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり

 ただし、2024年4月以降の経過措置の取り扱いをめぐっては、委員らの意見に隔たりが見られました。井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は「6年間の中で確実に、病院も診療所も転換を図ってほしい」、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)は「延期がないように、高齢化の時代を乗り切れるように取り組んでほしい」と述べ、「6年限りの延長」だと強調しました。

 これに対して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「経過措置の延長が良くないことのように聞こえるが、地域医療を混乱させない観点から考えると延長は決して悪いことではない」と主張。さらに「6年間延長以上でも以下もない。そうしてほしい」と述べ、2024年4月以降に「再延長を検討する」選択肢を残す必要性を指摘しています。

再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

 厚労省は、2024年3月末まで6年間延長してはどうかと提案した理由を、「診療報酬・介護報酬の同時改定かつ、医療計画・介護保険事業計画の改定を行うタイミング(2024年度)で再度検討を行うことが必要」だからだと説明しています。

 とはいえ、2024年4月以降の再延長を黙認したわけではありません。厚労省は、看護配置「4対1」を満たさない病院・診療所がなくなるように、介護療養病床などの介護医療院への転換を促進する必要性を指摘。その具体案として、(1)遅くとも2021年3月末までに、地域医療構想調整会議において、各区域における療養病床の転換について協議を行うこととする(2)2021年度を「ひとつの目処」として、地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う―考えも示しています。

 このうち、(1)に対しては、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が「期限を設けるのは違和感がある。『遅くとも』ではなく『原則』にしてほしい」と要望しましたが、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、▼今年(2017年)6月に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、地域医療構想調整会議での「2年程度での集中的な検討」が促されている▼地域医療構想調整会議での検討は、主として【高度急性期機能】や【回復期機能】について行われることが多いが、【慢性期機能】を含めてしっかり議論してもらいたい―なとど説明し、「遅くとも2021年3月末まで」と期限を設けることへの理解を求めています。

 ちなみに(2)の地域医療介護総合確保基金には医療分(毎年度904億円)と介護分(同724億円)がありますが、介護医療院への転換のうち、医療療養病床からの転換は医療分、介護療養病床からの転換は介護分の基金で支援されるようです。



http://www.medwatch.jp/?p=17105
地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)
2017年11月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定においては、地域包括ケア病棟について、より状態が不安定で濃厚な医療提供が求められる自宅などからの患者受け入れを評価するために【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を2分してはどうか。また「救命救急入院料1・3や脳卒中ケアユニット管理料の算定病室でも、看護必要度の『測定』を要件化」してはどうか―。

 11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も議題に上がりました。

ここがポイント!
1 地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く
2 救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める
3 自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに

地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く

 地域包括ケア病棟については、中医協総会や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」において、「自宅などから入棟する患者」(いわゆるsub acute患者)と「急性期病棟から入棟する患者」(いわゆるpost acute患者)とで評価を分けてはどうか、という議論が行われてきました。前者のほうが、医療の必要性が高く、状態が不安定なためです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い(図 略)

自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)(図 略)

 この点について厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は【救急・在宅等支援病床初期加算】に着目し、前者(自宅などからの患者)と後者(急性期病棟からの患者)とを区別して評価する考えを明示しました。どのような評価とするかは今後の議論を待つ必要がありますが、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「財政中立としてほしい」と注文を付けています。仮に「自宅などからの患者」の加算を引き上げるのであれば、それによる医療費増分を「急性期病棟からの患者」の加算引き下げで賄うよう求めるものです。
 ところで、両者を分けて評価する手法としては、例えば「自宅などからの入棟患者割合が高い地域包括ケア病棟で、基本報酬(入院料)を引き上げる」などの手法(病棟単位の評価)も考えられます。この点について迫井医療課長は、「自宅などからの入棟患者を数多く確保できる大都市などでは病棟単位の評価も可能であろうが、地方では難しい。運用の硬直化を避けるためには、初期加算に着目した患者単位の評価(上述)が良いのではないか」とコメントしています。

 
 また地域包括ケア病棟については、▼介護保険の「訪問系サービス」の提供も届け出要件の選択肢に加える▼在宅医療、介護サービス提供など、地域包括ケアシステム構築により貢献できるよう、これらサービスの提供実績を評価する—考えも示されています。

 前者は、地域包括ケア病棟の届け出要件として、「▽在宅療養支援病院▽在宅療養後方支援病院▽二次救急医療施設▽救急告示病院—のいずれかであること」という選択要件の中に、「通所リハビリなどの訪問系サービスの併設」などを加えてはどうかという提案です。

前者、後者ともに「地域包括ケア病棟が、より多様なサービスを提供し、地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う」ことを期待するものです。今後の中小規模病院の地域での役割を指し示していると考えることもできそうです(関連記事はこちらとこちら)。

なお、この点に関連して診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「200床未満の病院に限って評価すべき」と、同じく今村聡委員(日本医師会副会長)は「地域包括ケア病棟と、地域のかかりつけ医療機関(主に診療所)との連携を必須とすべき」といった注文を付けています。かねてより日医は「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を設置することは好ましくない」と主張し、2016年度の前回診療報酬改定で新設制限が設けられました。2018年度の次期改定でも新設制限がさらに強化される可能性もあり、今後の議論に注意が必要です。

救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める

 高度急性期医療を提供する特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)などには、より適切な患者の入室が求められます(医師や看護師などの医療資源が限られ、報酬も高額に設定されているため)。このため、各ユニットの特性に応じた「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価票が作成され、この基準に該当する患者(重症患者)が一定割合以上でなければ高額な特定入院料を届け出ることができません(例えばICUでは8割、または7割以上が重症患者でなければならない)。

ICUなどのユニットでは、重症度基準(看護必要度を測定し、それに基づく重症患者割合を施設基準として設定する)を導入しているもの(ICU、HCU、救命救急2・4)と、導入していないもの(救命救急1・3とSCU)とある(図 略)
 
 しかし、救命救急入院料の1と3、SCU(脳卒中ケアユニット)では、看護必要度の測定が義務付けられておらず、当然、重症患者割合の施設基準も設定されていません。このためか、SCUなどでは「重症度患者割合が低い」ことが分かっています

重症度基準を導入しているユニット(ICU、HCU、救命救急2・4)では重症患者割合が高く、導入していないユニット(救命救急1・3とSCU)では低い傾向にある(図 略)

ただし、救命救急入院料1・3やSCUの7割程度では看護必要度測定が任意で行われており、迫井医療課長は、この状況を踏まえて「まず看護必要度の測定を義務化(要件化)してはどうか」と提案しています。例えば、▼救命救急入院料1・3ではICU用▼SCUではハイケアユニット用—などが考えられますが、厚労省保険局医療課の担当者は「影響が大きくならないよう」配慮する考えで、今後の検討を待つ必要があります。また2018年度には導入されませんが、近い将来「重症患者割合」の基準も設けられる可能性があります(関連記事はこちらとこちら)。

迫井医療課長は、▼ICUではDPCデータの中に「入室時の患者の生理学的スコア」(APACHE IIや、SOFA:Sequential Organ Failure Assessmentなどのスコア)の記載を求める▼安全性を確保した上で、ICU入室早期からの「離床に向けた取り組み」を評価する▼ICUにおいて、「重症患者に対するケア」に関する研修を受けた看護師配置を義務化(要件化)する▼ICUやHCUなどの設備・器具について、柔軟に保有できる(共有化できる)よう要件を見直す—考えも示しています。
ICUではペースメーカーなどのユニット内配置(常時)が義務付けられているが、他ユニットなどとの「共有化」ができないか検討を進める
ICUではペースメーカーなどのユニット内配置(常時)が義務付けられているが、他ユニットなどとの「共有化」ができないか検討を進める
 
APACHE IIなどは、ICU入室患者について▼入室から24時間以内の生理学的指標(動脈圧やクレアチニン)▼年齢▼慢性併存疾患—を踏まえて「重症度を指数化」するもので、施設間の医療の質(標準化死亡比:予測死亡率に対して、実際にどれだけ死亡したのかの比率)をベンチマークすることが可能です。ただし、APACH IIとSOFAでは項目も異なることから、診療側の今村委員からは「科学的に確立されていると言えるか疑問である。いきなり記載を義務化することは難しいのではないか」との疑問の声も出されています。

APACHE IIの概要(図 略)

APACHE IIを活用して、各病院の標準化死亡比をベンチマークできる。予測死亡率に比べて、実際の死亡率が高い病院などを見出すことが可能だ(図 略)

 また専門研修を受けた看護師配置の義務化(要件化)については、すでに9割のICU設置病院で配置実績があることを踏まえた見直しですが、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)らから「1割の病院では未設置であり、十分な準備期間を設定してほしい」との要望が出ています。専門研修には受講枠もあり、また研修受講期間中の代替要員確保にも一定の困難が伴うためです。

重症患者のケアについて専門研修を受けた看護師が、ICU設置病院のほとんど(92.1%)で配置され、標準化死亡比が低い(つまり医療の質が高い)などの効果が出ている(図 略)

自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに

 11月24日の中医協総会では、「在宅復帰」率についても議論が行われました。

 在宅復帰率はさまざまな病棟で施設基準の1項目となっており、7対1病棟についても2014年度改定で導入されました(2016年度に基準を80%に引き上げ)。現在、この基準に苦しんでいる病院は極めて稀で、7対1病院の4分の3では、基準値をはるかに上回る「90%」超となっています。

在宅復帰の流れ。さまざまな病棟に「在宅復帰率」要件が設定され、最終的に自宅や居住系介護施設などへの復帰が促されている(図 略)

この状況を踏まえ幸野委員らは「在宅復帰率は急性期入院医療を評価する指標の意味をなしていない」と厳しい指摘を行っていますが、迫井医療課長は「在宅復帰率の計算式、定義に問題があるのではないか」と考えているようです。
現在、例えば7対1病棟では、「自宅」や「居住系介護施設」などのほか、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟なども「在宅復帰」先としてカウントされていますが、この点を整理する必要がるようです。この点、迫井医療課長は「在宅復帰の中に『自施設内での移動』は想定されていないのではないか」とし、「自院の他病棟への転棟患者」は在宅復帰のカウントから外す考えを示しました。この見直しでどの程度の影響が出るのかは未知数ですが(自院の他病棟への転棟割合などのデータがない)、基準値を満たせなくなる病院も一定程度生じる可能性があります。各病院におかれては、早急に「退棟後の行先」を可能な限りチェックする必要があるでしょう。
 
さらに▼療養病棟については、在宅復帰機能強化加算の算定有無に関わらず、在宅復帰先としてカウントする▼自宅などへの退院患者と、他医療機関への退院患者とを区別して報告してもらう—との見直し案も提示しています。しかし前者について猪口委員は「療養病棟や老健施設では、7対1からの在宅復帰先として選定されるために、在宅復帰機能強化加算を目指して努力する。加算なしでも在宅復帰先にカウントされるとなれば、療養病棟などからの在宅復帰の流れを阻害しないか」との懸念を示しています。

 なお、在宅復帰率に関しては、▼介護医療院の取扱い(在宅復帰率に含めることにはなるが、同一建物の介護療養が介護医療院に転換する場合などをどう考えるか)▼名称(地域医療連携率や自宅等退院率などが浮上)―を検討するとともに、「地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟の基準値引上げ」も行うことになりそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=17025
国・公的の大規模急性期病院、民間を圧迫しないよう機能の明確化を—日医総研
2017年11月21日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 国立や公的の大規模急性期病院において「7対1病棟などから地域包括ケア病棟への転換」が加速化しているが、診療報酬創設時の想定と異なる姿になっている。地域の実情を踏まえつつ「国・公的大規模急性期病院が担うべき役割」を改めて明確にする必要がある―。

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、11月16日に発表したワーキングペーパー「国・公的医療機関の地域包括ケア病棟への参入状況と経営状況」の中で、こう訴えています(日医総研のサイトはこちら)。2016年度の前回診療報酬改定でも同様の主張がなされたことを受け、「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の大病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に制限する」ことになりました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた議論にも留意が必要です。

「7対1のみ病院」と「7対1・地域包括ケア併設病院」、経営上の明確な差は見られず

地域包括ケア病棟は、2014年度の診療報酬改定で、(1)急性期後患者の受け入れ(post acute)(2)急性増悪した在宅患者の受け入れ(sub acute)(3)在宅復帰の促進—という3つ機能を持つ病棟として新設されました。

従前の「亜急性期病床」からの転換のみならず、7対1病棟からの転換を期待して創設されたものですが、日医総研では「当初は病棟数が少ない中小病院の届出を想定していた」と述懐。2016年度の前回改定論議(中央社会保険医療協議会)では、一部の診療側委員が「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」と強く主張し、冒頭に述べた「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に限定する」との制限規定が設けられました(関連記事はこちらとこちら)。

今般のワーキングペーパーでも、「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」との主張を強化しています。

なお、国公立・公的病院を「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」などに分類し、とくに大規模な病院について経営状況を分析していますが、「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケアの病院」とで、経営状況に特段の傾向(例えば、「地域包括ケアを併設するほうが有利」など)は見られません

▼国立病院:7対1のみの41病院(平均456床)では赤字幅が拡大(医業収益率は2014・15年度の年度マイナス0.2%から2016年度にはマイナス1.0%に拡大)しているが、7対1と地域包括ケアの8病院(平均359床)では、新病棟を設置した舞鶴医療センター(京都府)を除けば、黒字を維持している(舞鶴医療センターを除く医業収益率は2014・15年度にプラス1.3%、16年度にプラス0.2%)

国立の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
労災病院:7対1のみの18病院(平均423床)、7対1と地域包括ケアの7病院(平均353床)のいずれも、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善しているが、「厚生年金基金の代行返上による退職給付費用の減少」という一時的要因によるものである

▼労災の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
▼JCH0:7対1のみの15病院(平均348床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善(15年度:プラス0.4%→16年度:プラス0.5%)している。7対1と地域包括ケアの18病院(平均273床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が悪化(15年度:プラス1.6%→16年度:プラス0.5%)している

JCH0の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
▼日赤:7対1のみの46病院(平均442床)、7対1と地域包括ケアの9病院(平均293床)【経営状況は分析されていない】
▼済生会:7対1のみの31病院(平均358床)、7対1と地域包括ケアの12病院(平均316床)【経営状況は分析されていない】

 
 しかし日医総研では、「病床の機能分化・連携の視点から、地域の事情を踏まえつつ、民業圧迫にならないよう国・公的大規模急性期病院が担うべき機能をより明確にすべき」と主張しています。

 病床機能報告や地域医療構想では「病棟単位の機能分化」を推進しながら、診療報酬については「病院単位の機能分化」を求めており、一貫性に欠けるようにも思われますが、中医協などで、「大規模急性期病院における地域包括ケア病棟の設置(新設)制限」論が強化される可能性もあり、今後の議論に注目する必要があります。



http://www.medwatch.jp/?p=16999
公的病院などの役割、地域医療構想調整会議で「明確化」せよ—地域医療構想ワーキング
2017年11月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公的病院などが地域で果たすべき役割は必ずしも明確になっていないことを踏まえ、▼病床稼働率▼紹介・逆紹介率▼救急対応状況▼医師数▼経営に関する情報▼地域医療介護総合確保基金を含めた各種補助金の活用状況—などを地域医療構想調整会議で共有した上で、個別の「公的医療機関等2025プラン」の確認を徹底する。仮にプランに地域医療構想との不整合がある場合には修正を求める—。

 11月20日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織以下、ワーキング)で、こういった考えが固まりました(関連記事はこちらとこちら)。厚生労働省は、こうした点も含めて、「地域医療構想調整会議を進めるに当たり、都道府県は何をしなければならないのか」という考え方を整理し、近く取りまとめる方針です。

ここがポイント!
1 調整会議を円滑かつ効果的に進めるため、都道府県は何をすべきか
2 毎年度、個別病院が地域で果たす役割と、4機能ごとのベッド数を確認していく
3 改革プランをベースに、公立病院の役割とベッド数を協議していく
4 公的病院の機能は必ずしも明確でない、2025プランベースに明確化を
5 地域医療構想と不整合な病院、是正を求めることが都道府県の重要な役割

調整会議を円滑かつ効果的に進めるため、都道府県は何をすべきか

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、医療(特に回復期・慢性期)・介護ニーズがこれから飛躍的に高まります。このため、地域における医療提供体制の再編(機能分化・連携の強化)が必要となり、都道府県は「2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能別の必要病床数」などをまとめた地域医療構想を策定しています。いわば「2025年における医療提供体制像」に当たるものです。

一方で、一般病床・療養病床を持つすべての病院・有床診療所は「自院の病棟が、高度急性期、急性期、回復期、慢性期のどの機能を担っているのか、また将来担うことになると考えているのか」を毎年、都道府県に報告しなければいけません(病床機能報告)。

地域医療構想の実現に向けた議論が、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進められます。調整会議の進め方は、これまでにもワーキングで議論されてきましたが、厚労省は、「都道府県が何をしなければいけないのか」「どういう点から検討していけばよいのか」などがより明確になるよう、これまでのワーキングなどの議論を整理する考えを示しています。地域医療構想の実現・達成に向けては、都道府県が医療機関などの関係者と十分に連携することが重要で、そのための「道筋」例を示すものと言えます(関連記事はこちら)。

毎年度、個別病院が地域で果たす役割と、4機能ごとのベッド数を確認していく

 11月20日のワーキングでは、厚労省から「議論の整理」案が提示されました。名称通り、これまでのワーキング論議をまとめたものですが、改めてポイントを眺めてみましょう。

 骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017)では、地域医療構想の達成・実現に向けて「個別病院名や機能転換する病床数などの具体的な対応方針」(以下、対応方針)を地域ごとに策定するよう求めています。厚労省は、この対応方針の中に、2025年における役割・医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関の▼2025年を見据えた役割▼2025年における機能ごとの病床数—を包含することを求めています。極めて詳細に、個別医療機関の名称・機能ごとの病床数を記載した「地域医療提供体制像」を策定するイメージで、都道府県は「毎年度」、この対応方針を策定することが求められます。

改革プランをベースに、公立病院の役割とベッド数を協議していく

 対応方針策定の前提に、「医療機関の合意」が必要です。例えば民間のA病院に「貴院の病床構成は高度急性期を●床、急性期を●床とします」などの指示を与えることは法制度上も不可能で、また各医療機関が質の高い医療を提供するためには「合意」に基づく機能分化が必須となります。

 ただし、地域の医療機関の機能を一度に議論することは難しいため、厚労省はまず(1)公立病院(2)公的病院等(3)その他の医療機関—の順で、機能分化に向けた議論を進めることを提案しています。公立病院や公的病院などには、救急や周産期などいわゆる政策医療を提供することが求められており、地域によっては「基幹的な役割」を担うケースも多いことから、まず公立病院・公的病院などの機能を明確にすることが、効率的な議論につながると考えられるのです。

まず(1)の公立病院には「新公立病院改革プラン」(新改革プラン)の策定が義務付けられており、これを踏まえた対応方針(どういった機能を持ち、各機能の病床数はどの程度とするのか)を協議することが求められます。

前述のように、公立病院には▼山間へき地・離島などでの一般医療提供▼救急・小児・周産期・災害・精神などの、いわゆる不採算医療提供▼がん・循環器など、民間では限界のある高度・先進医療提供▼研修実施などを含む広域的な医師派遣拠点機能—などが求められますが、地域の状況を踏まえて「なお、これらを公立病院が提供する必要があるか」を確認するよう厚労省は求めています。

公的病院の機能は必ずしも明確でない、2025プランベースに明確化を

(2)の「公的病院等」には、▼公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会が開設する医療機関、ただし公立病院を除く)▼医療法第7条の2第1項第2号から第8号に掲げる者(共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構、全国健康保険協会)が開設する医療機関▼その他の独立行政法人(国立病院機構、労働者健康安全機構)が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—が含まれます。救急医療などを担う医療機関では今年(2017年)の9月までに、そうでない医療機関では12月までに「公的医療機関等2025プラン」(2025プラン)を策定することが求められます(関連記事はこちら)。個別病院ごとに「地域の課題」「地域における自院の役割」「病床稼働率などの数値目標」を定めるもので、10月末時点で、日赤病院20施設、済生会63施設、国立病院機構91病院などで2025プランが策定されています。
公的医療機関等2025プランの策定状況(2017年10月末時点)
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2025プランは、地域医療構想の達成・実現を目指すものですが、厚労省は「公立病院に比べて、公的病院等では機能が必ずしも明確になっていない」と指摘し、調整会議で「機能・役割の明確化」を図るよう強調しています。
また、公立病院や公的病院等では、「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」がなされている点も勘案し、▼病床稼働率▼紹介・逆紹介率▼救急対応状況▼医師数▼経営に関する情報▼地域医療介護総合確保基金を含めた各種補助金の活用状況—などを地域医療構想調整会議で共有した上で、個別「新改革プラン」「2025プラン」の確認を徹底することを求めています。

公的病院等では補助金などの財政補填が行われているほか、税制上の優遇がなされている(図略)

ところで、公立病院・公的病院等の役割は全国一律に決めることはできません。例えば、医療資源が豊富な都市部に設置されている公的病院等であれば、他院との機能分化を進め高度急性期や急性期に特化することも可能ですが、医療資源の少ない地域に唯一存在するような公立病院には、高度急性期から回復期、慢性期に至る総合的な医療提供機能が求められます。11月20日のワーキングでは、竹中賢治参考人(全国自治体病院協議会常務理事、福岡市立病院機構理事長兼福岡市民病院長、邉見公雄構成員:全国自治体病院協議会会長の代理出席)がこの点を踏まえ「全国一律ではなく、地域ごとに役割・機能を勘案していく」ことを強く求めました。他の構成員もこの点に賛同しています。
 
 これらに次いで、(3)の「その他の医療機関」の役割を議論していくことになりますが、 各医療機関が「自院の等身大の姿」を認識した上で、「地域における自院の役割」を明確にし、それを調整会議に持ち寄って、機能分化に向けた率直な議論を行うことが期待されます。このため、厚労省は、公立病院・公的病院等だけでなく、その他の医療機関(例えば社会医療法人など)にも、地域における役割などを明確にした改革プランの策定を期待しているようです(現時点では義務ではない)。

 なお、都道府県は、改革プランや2025プランなどから「過剰な機能に転換しようと考えている」医療機関を発見した場合には、▼調整会議への出席▼転換の理由説明—を求め、必要があれば「他の機能への転換命令や要請」などを行うことになります。

地域医療構想と不整合な病院、是正を求めることが都道府県の重要な役割

 さらに都道府県の重要な役割として、次のような点があげられます・

▼休眠病棟(すべての病床が稼働していない病棟)を持つ医療機関を発見した場合には、▼稼働していない理由▼今後の運用見通し—などの説明を求め、病棟維持の必要性が乏しい(診療実績や医療需要動向を踏まえ、調整会議で十分に議論する)場合には「病床数削減命令や要請」などを行う

▼新たに病床を整備する予定の医療機関を発見した場合には、開設許可を待たずに▼病床整備計画と必要病床数の関係▼新設される病床の機能と地域医療構想との関係▼雇用計画や設備整備計画の妥当性—などの説明を求め、例えば「過剰な機能への新規病床整備」などが分かれば、開設許可への条件付与(不足している機能の病床整備のみ認めるなど)、条件に従わない場合の是正勧告などを行う

▼個別医療機関ごとに、各機能の診療実績を提示する。例えば、高度急性期であれば▽幅広い手術の実施状況▽がん・脳卒中・心筋梗塞などへの治療状況▽重症患者への対応状況▽救急医療の実施状況―など、回復期であれば▽急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況▽疾患に応じたリハビリ・早期からのリハビリの実施状況▽市町村やケアマネジャーとの連携状―などを提示する。「明らかに疑義のある報告」(外科病棟で高度急性期と報告しながら、手術を行っていないなど)については、調整会議で妥当性を確認する(関連記事はこちらとこちら)

 このほか「調整会議の資料な議事録などの、可能な限りの情報公開」なども都道府県の重要な役割となります。

 こうした「議論の整理」は次回会合(12月13日予定)でとりまとめられ、年明け早々にも親組織である「医療計画の見直し等に関する検討会」に報告される見込みです。そこでの了承を経て、都道府県の担当者に充てて情報提供され、調整会議での「より円滑かつ効果的な議論」のベースとなることが期待されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/570205
地域医療構想
「調整会議」の運営指針、年内にも取りまとめ
地域医療構想WG、「公的病院、民間病院と同じ土俵にあらず」

レポート 2017年11月20日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月20日の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)の第9回会議で、地域医療構想における公的病院等の役割の案と、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示、おおむね了承を得た。

 議論の整理(案)は、2017年度から本格化している地域医療構想の調整会議で、有意義な議論が円滑に進むよう、同ワーキンググループのこれまでの議論などを整理したもので、「調整会議の運営指針」に相当する。次回12月13日の同ワーキンググループで取りまとめ、「医療計画の見直し等に関する検討会」等に諮った後、各都道府県に発出する予定だ。

 公的病院等は、公立病院と同様に、地域の医療需要や公的病院でなければ担えない役割を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」を策定する。調整会議で策定プランを確認し、地域医療構想と整合的でない場合にはプランの修正が求められる。その際、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報等の共有も必要になる見通し。

 今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で、「地域医療構想の達成に向けて、(中略)個別の病院名や転換する病床数の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間で集中的な検討を促進」が求められた。その実現を目指す一環としてまとめられる「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」は、(1)地域医療構想調整会議の進め方(地域医療構想調整会議の協議事項、調整会議での個別の医療機関の取組状況の共有、調整会議の運営)、(2)病床機能報告について、(3)今後さらに議論すべき論点について――という柱から成る。

 20日の会議で多くの意見が出たのが、公立・公的病院等の在り方。日本医師会副会長の中川俊男氏は、国立・公的医療機関等に対する運営費交付金・補助金の実態を分析した日医総研のデータを提示。民間医療機関よりも、収入および税制面で優遇されていることから、公立病院だけでなく、公的病院等の役割は、政策医療や不採算医療などを提供する民間医療機関がない場合にこれらの医療を担うことにあり、調整会議では「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」がこの点を踏まえた内容になっているかを確認する重要性を強調した。

 そのほか調整会議の進捗状況も議論になった。調整会議は四半期ごとに開催する。2017年7~9月の間に調整会議を開催したのは、全341の構想区域中、217。4~6月の136よりは増加し、「意見交換会」等の名称で開催している県があることを割り引いても、全調整区域ではない。

 日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、「なぜ地域によって、議論の進捗状況が違うのか」と質問、現場に調整会議の情報が下りてこない現状もあると指摘した。厚労省医政局地域医療計画課は、「調整会議で何を協議していいのかが分かりにくい」ケースもあるとし、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を取りまとめるほか、好事例を横展開していくとした。

 中川氏は、12月22日に日医が、地域医療構想の都道府県担当理事連絡協議会を開催すると説明し、「共通認識を持つために、都道府県担当者も連れてきてもらいたい、と呼びかけている」と説明、病院関係者への参加も呼びかけた。

「公的医療機関等2025プラン」、策定は282病院

 日赤、済生会などの公的病院等、国立病院機構や労働者健康安全機構、特定機能病院、地域医療支援病院については、「新公立病院改革ガイドライン」(2015年3月)に基づき策定される「新公立病院改革プラン」に倣って、「公的医療機関等2025プラン」の策定が求められている。「公的医療機関等2025プラン」の策定期限は、主に政策医療を担う病院は2017年9月末まで、その他の病院は2017年12月末まで。

 厚労省のまとめによると、9月末までに策定を終えたのは、策定対象814病院のうち、282病院。うち調整会議で議論を開始したのは23病院にとどまる。

 やや低調な策定状況に対し、中川氏は、「今年内に策定できる見通しはあるか。また策定したプランが調整会議で議論されるのか。新たなてこ入れが必要ではないか」と述べ、策定と調整会議での議論が進むよう厚労省に対応を求めた。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、都道府県に対し、策定に関する通知を出したのは今夏であることから、「現状ではまだ十分に取り組めていないが、さまざまな機会を捉えて、積極的に策定するよう求めていく」と答えるにとどまった。

公的病院等、収入と税制面で優遇

 公的病院等をめぐる議論で、中川氏は「新公立病院ガイドラインを高く評価している」と述べ、公的病院等にも同様の考え方に基づくプラン策定が求められる根拠として、運営費交付金・補助金の実態を示したデータを提示。国立病院機構、労災病院、JCHO(地域医療機能推進機構)の合計で見ると、運営費交付金・補助金の合計は、2015年度で389億円、政府出資金は2015年度末で4376億円。加えて、税制面でも優遇されており、民間医療機関は基本的に課税であるのに対し、公的病院等は課税されるのは収益事業のみ。中川氏は、構想区域ごとに、医療提供体制をどのように収れんさせていくかを議論する際、これらの点を踏まえる重要性を強調した。

 これに対し、参考人として出席した全国自治体病院協議会常務理事の竹中賢治氏は、「多くの交付金を受けているのは事実。しかし、調整会議は医療機関の役割が問題になる会議であり、『交付金をもらっているから、役割を減らす』という議論にはならないだろう。地域医療構想は、地域によって違うので、調整会議で議論してもらうことはやぶさかではない」とコメント。

 中川氏は、地域の医療事情を踏まえ、「調整会議で議論する」ことはその通りであるとした上で、その際に重要なのは、(1)地域の医療需要や現状の病床稼働率等を踏まえてもなお、公立病院に期待されている役割(山間やへき地・離島など民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供、救急などの不採算医療の提供、民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供、広域的な医師派遣の拠点としての機能)を果たすことが必要か、(2)民間医療機関との役割分担を踏まえ公立病院でなければ担えない分野へ重点化されているかどうか――を確認することだと強調した。「その地域に公立、公的病院等しかなければ、これらの役割を担うが、民間医療機関と競合しているのであれば、必ずしも公立、公的病院等が担わなければならないわけではない」と中川氏は説明し、この点を踏まえた議論が必要だとした。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏からは、日赤や済生会など各設置母体には設立理念があるため、それを踏まえて公的病院等の役割の検討が必要であるとし、「公立病院と同じ役割を期待するのは難しいのではないか」との発言もあった。

 これに対し、中川氏は、済生会が掲げる生活困窮者への医療などは、他の医療機関でも提供しているとし、「設立理念ではなく、地域医療提供を構築するに当たって、どのような役割が求められるかを、現場の医療需要を考えながら議論するということ」と反論。自身が済生会福岡総合病院を運営する岡留氏も、「(済生会等の)ミッションはこの場では関係ないだろう。ミッションまで問うと、非常に混乱してくる」と中川氏の意見を支持した。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/teiron/article/374638/
【グローバル・ヘルス】 丸山 泉さん
2017年11月20日11時00分 (更新 11月20日 11時23分)   西日本新聞朝刊

◆診療室に世界的視野を

 家庭医療を学ぶ医師の集まりに世界家庭医機構(WONCA)がある。アジア・太平洋地区での未加入は、北朝鮮や太平洋諸島など7カ国にとどまる。そのアジア・太平洋地区の集いが今月、タイ・パタヤビーチで開催された。砂浜で遊ぶ子どもたちや、海上に一直線に伸びた夕日の場所で活発な議論が行われた。

 主要なテーマを列記すると過剰診療・過剰投薬、へき地医療、公平性と医療-などがあった。過剰診療については、根拠が乏しいまま実施されている過剰な医療行為を、医療提供側が科学的な証左を基に見直す米国発の「チュージング・ワイズリー(賢明な選択)運動」が紹介された。過剰投薬の問題は、多科受診が増える高齢者の多剤併用処方に伴う有害な事象をいかに防ぐかが焦点となった。へき地医療に関する専門組織「Rural WONCA」の活動についても議論がなされた。

 とりわけ時間を費やしたのは、公平性と医療の問題だった。例えば、多様なセクシュアリティーを表すLGBTについて、医療者が当たり前のこととしてどう対応すべきか。子どもの貧困と医療、女性の正当な社会参画と医療についても議論された。

   ---◆---

 プライマリ・ケアの分野に関わる者たちが、医療技術と直接的な関係がないテーマに、なぜ時間を割くのか。たとえ少数であっても制度や仕組みの溝に落ちる人々を見落としてはならない‐。プライマリ・ケアの原則は、それに尽きるからだ。溝の存在は、システムに患者側の視点が欠落していることを示す。医療職や医療制度は、他者に優しく寛容でなくてはならない。

 高齢化、人口減少、過疎化、そして医療の地域偏在が同時に進む日本では、現状として診療所と病院がプライマリ・ケアを支えている。双方に確固たる共有項がないと分断が起こり、患者側から見たシームレスな(途切れのない)医療の構築が難しくなる。

 健康問題にさらされた人たちの不安や願いを受け止め、安定し継続性のある医療が必要である。よく誤解されるが、家庭医療学に基づく家庭医療の分野は、診療所医師のみに必要なものではない。

 「臓器別」の医療は、さらに発展して細分化される。一方で、異なった価値観と個人史を持つ「個人の医療」「家族の医療」「地域の医療」に全般的に関わることができる医師が、世界的に求められており、むしろ他国でその教育が進んでいる。

   ---◆---

 世界的に評価が高く成熟した良質の保健制度を持つ日本は、ヘルスケアの分野で先導的な影響力が期待されている。しかしグローバル・ヘルス(世界保健)への認識は不足している。「他国よりまし」「自国が良ければ」との考えではいけないのではないか。

 こんな例え話をすることがある。私たちの診察室には見えない壁がある。この壁に小さな穴を開けてみるといい。その向こうには、難攻不落の山々と底の知れない谷々がある。それらは紛争や貧困などに起因する健康や医療に関わる多種多様な難題などを意味する。日々の身近な診療とグローバル・ヘルスが連続したとき、国内の課題がよりしっかり見えるようになる。

 外国に出て行かなくてもいい。見えない壁の向こうの医療課題と日本の医療課題は、強く連関している。例えば、貧困で劣悪な環境の国で発生した新型感染症は、その国の問題では終わらない。わが国も例外ではない。境界を越えることで世界の潮流を知り、現実的で新しい日本のプライマリ・ケアの在り方を大胆に議論することができる。身近な課題と世界の課題とをつなぐ力量が、これからの医師には求められている。

 【略歴】1949年、福岡県久留米市生まれ。久留米大医学部卒の内科医。福岡県小郡市で医師会活動の後、NPO法人で地域の健康増進活動に取り組む。2012年6月から日本プライマリ・ケア連合学会理事長。父は医師で詩人の丸山豊。



http://www.medwatch.jp/?p=16988
内科などの有床診療所、より柔軟に介護サービス提供可能に―中医協総会(2)
2017年11月20日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 有床診療所は、専門的な医療サービスを効率的に提供する「専門医療提供モデル」と、主に地域医療を提供する「地域包括ケアモデル」に大別できる。後者の「地域包括ケアモデル」の有床診療所は、入院医療と介護サービスとを組み合わせて運営する方が安定的に経営できると考えられることから、介護サービス提供をより柔軟に認めてはどうか―。

 11月17日の中央社会保険医療協議会(中医協)・総会で厚生労働省は、このような案を示しました。主な標榜科が内科や外科の有床診療所をめぐっては、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの減少を見越して【医療・介護の併用モデル】への転換を促す必要性が指摘されています。来年度(2018年度)の診療報酬・介護報酬の同時改定では、診療報酬で新規参入などへのインセンティブが設けられる一方で、介護報酬の算定要件などの緩和が図られそうです。なお、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の新規指定を促す具体案は既に、社会保障審議会・介護給付費分科会で検討されています。

ここがポイント!
1 地域包括ケアで果たす機能が評価されるも、減り続ける有床診療所
2 空床を介護サービスに利用して安定経営に
3 短期入所療養介護などの基準緩和も介護給付費分科会で今後議論
4 身体障害者等級「不明」の肢体不自由患者の入院基本料が論点に
5 食事療養(II)、流動食の場合の金額を引き上げ

地域包括ケアで果たす機能が評価されるも、減り続ける有床診療所

 1996年には全国に2万452施設あった有床診療所(19床以下の病床を持つ医療機関)ですが、減少傾向が続いています。最新の調査(2017年8月末概数)では7342施設で、約20年の間に6割程度まで減っています。その病床数も、1996年には計24万6779床ありましたが、最新の調査では10万床を割っています(計9万9737床)。

 しかし有床診療所は、地域で急変した患者の受け入れに加え、看取りや在宅医療の提供などの多様な機能を担っており、国が2025年を目途に構築を目指す地域包括ケアシステムでも、重要な役割を果たすと考えられます。そこで2014年度の診療報酬改定では、有床診療所入院基本料が、「看護職員の配置人数」に応じた3区分から、「看護職員の配置人数」と「地域包括ケアシステムの中で果たす機能」(11の機能中2以上を担えば評価)に応じた6区分へと見直されました。

2014年度診療報酬改定で、有床診療所入院基本料は3区分から6区分へと見直された(図略)

 例えば看護職員が7人以上いる有床診療所では、通常は【有床診療所入院基本料4】(14日以内の点数は1日につき775点)を算定しますが、例えば、「急変時の入院件数6件以上」「院内での看取り2件以上」をそれぞれ過去1年に行っていれば“機能強化型”の有床診療所と見なされ、【有床診療所入院基本料1】(同861点)を算定できます。
 さらに、2016年度の前回診療報酬改定では、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】(1日につき5点)が創設され、“機能強化型”の有床診療所で、さらに在宅復帰率などが一定の基準以上なら上乗せで評価されるようになりました。

 それでもなお、有床診療所の減少傾向が続いているわけですが、有床診療所入院基本料の実際の算定状況(2016年6月審査分)を見ると、“機能強化型”であることを評価する入院料(【有床診療所入院基本料1】など)が8割超を占めています。一方、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】が有床診療所入院基本料と併算定される割合は、19.5%にとどまっています。

空床を介護サービスに利用して安定経営に

 こうした状況を踏まえて厚労省は、11月17日の中医協・総会で、有床診療所が地域で果たしている役割と診療科の関係を分析した結果を示しました。

 具体的には、2015年度の「病床機能報告」で、有床診療所が自己申告した役割と主な診療科の関係を調べた結果、【内科】や【外科】の有床診療所では、「在宅医療の拠点」や「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療」などを選ぶ割合が高く、その一方で【産婦人科】や【眼科】、【耳鼻咽喉科】の有床診療所は「専門医療」、【整形外科】の有床診療所は「専門医療」や「緊急時対応」「在宅・介護施設への受け渡し」を選ぶ割合が、それぞれ高いことが分かりました。

主とする診療科によって、有床診療所の機能に違う傾向が見られた(図略)

 5つの役割のうち「在宅医療の拠点」や「在宅・介護施設への受け渡し」は、地域包括ケアシステムの中で特に重要だと考えられます。そこで厚労省は、【内科】や【外科】などを標榜する「主に地域医療を担う=地域包括ケアモデル」と、【眼科】や【耳鼻咽喉科】を標榜する「主に専門医療を担う=専門医療提供モデル」の2パターンに、有床診療所を大別できるのではないかと指摘しました。

内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた(図略)

 「専門医療提供モデル」の有床診療所が手術や検査で収益を得ている一方で、入院料が主な収益となる「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、高い病床稼働率を維持できないと安定的な経営は難しくなります。ここで、空床を利用して介護サービスを提供できれば、稼働率の低さをカバーできます。実際、日本医師会総合政策研究機構の調査によれば、「介護収入あり」の方が、経常利益率が高いことが分かっています。
 そこで厚労省は、▼「専門医療提供モデル」ではない有床診療所が介護サービスも提供する「地域包括ケアモデル」へ転換することを推進する▼介護サービスを既に提供しでいる有床診療所の評価を見直す―方向性を示しました。診療側・支払側双方の委員が賛成しています。

短期入所療養介護などの基準緩和も介護給付費分科会で今後議論

 このように介護サービスを提供する有床診療所には、診療報酬でインセンティブが与えられる見通しですが、介護サービスの指定基準(居室の床面積や介護職員配置)を満たすのが厳しいままでは新規参入が進まない可能性もあります。

 その緩和については、社会保障審議会・介護給付費分科会で話し合います。看多機については既に、▼利用者専用の宿泊室として1室を確保すれば、残りを診療所の病床を届け出ることを可能とする▼法人でなくても指定を申請できるルールに見直す(診療所は個人開業が4割)―といった具体案が示されています。11月17日の中医協・総会では、厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長が、短期入所療養介護などについても今後、議論すると説明しました。

 気がかりなのは、厚労省が「地域包括ケアモデル」の具体例として、「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」まで示した点です。地域の医療資源や医療ニーズによっては、そうした転換が必要なケースもあり得ますが、無床診療所になる決断を入院料で後押しできるのでしょうか。

厚労省は「有床診療所の地域包括ケアモデル」の例に、「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」も挙げた(図略)

 この点、精神病床には【地域移行機能強化病棟入院料】(2016年度診療報酬改定で創設)があり、いわば「計画的に精神病床を削減することを条件に、高い報酬を与える」ものです。有床診療所が「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」へと移行するインセンティブも、こうした「病床数削減と引き換えに、報酬算定を可能とする」仕組みが考えられるかもしれません。
 そのほか【有床診療所入院基本料】をめぐっては、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】の見直し案も示されています。高齢患者の入院期間が長くなることを踏まえて、有床診療所が「在宅医療を受ける高齢患者」を多く受け入れているなら、施設基準(平均在院日数60日以内など)のハードルを下げるようです。

 また厚労省は、在宅療養する患者を、在宅主治医との連携の下で、本人や家族の希望に基づき有床診療所で看取る場合の「取り扱い」の見直しも提案しています。これについては、機能強化型の在宅療養支援診療所などの施設基準になっている「在宅での看取り」件数の実績に、「最期の最期で入院してしまった」患者を含めるかどうかが中医協・総会で既に議論されています。

身体障害者等級「不明」の肢体不自由患者の入院基本料が論点に

 11月17日の中医協・総会では、【障害者施設等入院基本料】と【特殊疾患病棟入院料】、【特殊疾患入院医療管理料】の見直しも論点に挙がっています。厚労省は、「重度の肢体不自由」で、さらに身体障害者等級が「不明」か「非該当」の患者の評価を見直す方向性を示しました。

 【障害者施設等入院基本料】などをめぐっては、2016年度の前回改定でも、入院患者が「重度の意識障害(脳卒中の後遺症の患者に限る)」で、医療区分1か2に相当するなら、算定する入院基本料の点数を低くする報酬体系に見直された経緯があります。「重度の肢体不自由」の患者も来年度(2018年度)の次期改定で、同様の評価体系へと見直される公算が大きいです。

食事療養(II)、流動食の場合の金額を引き上げ

 また11月17日の中医協・総会で厚労省は、「入院時食事療養費」の見直し案も示しました。「入院時食事療養費」は入院中の食事療養の対価ですが、2016年度の前回改定で、「市販の経腸栄養用製品(流動食)のみを経管栄養法で提供する場合」の金額が引き下げられた経緯があります(薬価収載された製品を用いる場合よりも高かったため)。

 医療保険財政が厳しい中、さらなる引き下げを求める声もありましたが、患者1人1日当たりの給食部門の収支を厚労省が調べた結果、2004年の前回調査時と比べて悪化していました。

 そこで厚労省は、さらなる引き下げは行わない方向性を示し、さらに【入院時食事療養(II)】(栄養士らが食事を提供するといった基準を満たさない場合に算定、【入院時食事療養(I)】より低い)の「流動食のみを経管栄養法で提供する場合」の金額を、1食につき5円高くしてはどうかと提案しました。

 流動食を提供して算定する【入院時食事療養(II)】は現在、1食455円です。一方、食事療養費のうち患者が自己負担する額は、「食材費」相当から「食材費+調理費」相当へと見直され、来年度(2018年度)から1食460円になります。1食455円のままだと患者の自己負担分を下回ることから、理論上「患者が食事提供を受けるたびに、保険者に5円を支払わなくてはいけない」ことになります。こうした不合理を解消するために、【入院時食事療養(II)】を同額にするのが厚労省の提案で、これに対する反対意見は出ていません。




http://www.wic-net.com/report/3154/1.html
注目の記事 [改定速報] 一般病棟入院料を実績に応じた段階評価に再編 中医協・総会
中央社会保険医療協議会 総会(第373回 11/24)《厚生労働省》
発信元:厚生労働省 保険局 医療課   カテゴリ: 30年度同時改定 診療報酬 医療制度改革
2017年11月24日(金) Wic-Net

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今回のポイント
●厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会・総会に、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】を看護配置などに応じた基本的な評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編成する案を提示
○7対1から10対1へのスムーズな移行を促すことが目的で、7対1と10対1の中間的水準の評価を新設し、看護配置を7対1から下げても、大幅な収入減につながらないようにする考え
○過去の実績などで一定の基準を満たす医療機関が自ら希望する場合は、看護必要度に代えてDPCデータのEF統合ファイル(出来高点数情報)で該当患者割合を算出することを認めることも提案。DPCで算出した場合の該当患者割合のほうが約5%低く出ることがわかっており、導入に際してはDPCデータを選択した場合の該当患者割合基準の設定が論点になる



 厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会・総会に、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】を看護配置などに応じた基本的な評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編成する案を示した。7対1から10対1へのスムーズな移行を促すことが目的で、7対1と10対1の中間的水準の評価を新設し、看護配置を7対1から下げても、大幅な収入減につながらないようにする考え。支払側・診療側とも基本的な方向性には賛意を示したものの、診療側は2018年度改定からの導入には難色を示した。

 今後、人口構造が大きく変化するなかで、74歳以下の患者が多い7対1病棟の入院患者数は、減少が見込まれる。厚労省はこれまでも7対1から10対1への転換促進策を講じてきたが、7対1(1,591点)と10対1の最も高い加算(看護必要度の該当患者割合24%)を取得している場合(1,387点)を比較した場合でも約200点の格差があることなどが障壁となり、未だ十分な成果をあげていない。厚労省の試算によると200床の病院で7対1から10対1に転換した場合、年間約1.2億円程度の収入減になるという(p133参照)。

 現在の報酬体系で、10対1は入院基本料に「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の該当患者割合に応じた加算が載り、7対1は該当患者割合基準(25%以上)を満たせない場合は報酬自体が算定できない仕組みになっているが、厚労省はこれを統一し、看護職員配置等に応じた基本部分の評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた報酬体系に再編するイメージを示した。7対1と10対1の中間的な区分を追加した3段階の評価とし、実績に応じた評価の最も高い部分は、急激な変化で現場が混乱することがないよう、現在の7対1看護職員配置をそのまま適用するとした(p134~p135参照)(p147参照)。

◆医療機関の選択制で該当患者割合の判定へのDPCデータ活用を提案

 看護必要度の該当患者割合の判定にDPCデータを活用することも提案。過去の実績などで一定の基準を満たす医療機関が自ら希望する場合は、看護必要度に代えてDPCデータのEF統合ファイル(出来高点数情報)で該当患者割合を算出することを認める。ただ、厚労省が看護必要度とは明らかに表現や規定が異なるDPCデータ項目を除いて追加分析したところ、看護必要度で算出した該当患者割合(28.8%)とDPCデータで算出した値(23.3%)には約5%の開きがあり(p112~p113参照)、導入に際してはDPCデータを選択した場合の基準値を別途検討する必要がある。DPCデータの提出が要件化されている7対1と200床以上の10対1の一般病棟については、Hファイル(看護必要度データ)を該当患者割合の判定や確認に活用することを提案した(p146参照)。

 看護必要度では、▽B項目の認知症・せん妄に関連する項目に該当し、A項目1点以上を併存する患者は該当患者に追加する▽A項目の救急搬送後入院(2日間)を【救急医療管理加算】の算定対象患者(2日間)に見直す▽C項目の開腹手術の所定日数を短縮-の3点について検討を求めた(p146参照)。

◆【救急・在宅等支援病床初期加算】を入院前の居場所で区分、地ケア病棟

 【地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料】では、自宅などから受け入れた患者と、急性期後の入院患者では医療の内容が異なる点に着目。【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を入院前の居場所で2つに区分する案を示した。地域包括ケアシステムの構築に貢献できるよう、在宅医療や介護サービスの実績を評価に加味することや、訪問系サービスの提供を届出要件の選択肢の1つに位置づけることも検討課題にあげた(p189参照)。

 病棟の種類によって異なる在宅復帰率の算出方法では、▽自院の他病棟への転棟患者は評価対象(分子)に含めない取り扱いにする▽【在宅復帰機能強化加算】有りの場合だけが評価対象になっている退院先は、加算なしの退院先も評価対象(分子)に含める取り扱いにする▽見直しの影響が検証できるように自宅などへの退院患者と、ほかの医療機関への退院患者とを区別した内容で報告を求める-ことを論点として示した。地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟については、基準値を引き上げることを提案。在宅復帰率の退院先としての介護医療院の取り扱いについても検討を促した(p198参照)。

◆【救命救急入院料1、3】等でも看護必要度測定を算定要件化へ

 【救命救急入院料1、3】と【脳卒中ハイケアユニット管理料】は、看護必要度の測定を算定要件化する考えを示した。【特定集中治療室管理料】に関しては、▽アウトカム評価に役立つ項目として、DPCデータの中に入室時の患者の生理学的スコアの記載を求める▽重症患者のケアに関する研修を受けた看護師の配置を要件化▽治療室に備えるべき器具・装備について、救命装置などの室内に備えるべきもの以外は共用を認めるなど、医療機関の構造や管理体制に合わせた柔軟な保有が可能になるように要件を見直す-などの検討を提案した(p174参照)。

 【7対1、10対1一般病棟入院基本料】の見直しで、方向性については大方の委員が賛同したが、診療側委員は2018年度改定からの実施は拙速との見解を示した。猪口雄二委員(全日本病院会長)は、「来年は手挙げ方式で導入するなどして、時間をかけて検証していくことが必要。従来の基準も選択できるように従来型も残すべき」と主張。菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)も、「慎重な検討が必要で今回の改定での導入は難しい」と述べた。
 一方、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)と幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は評価体系の再編に合わせて、7対1における看護必要度の該当患者割合基準を現在の25%以上から30%以上に引き上げることを要求。診療側の委員は「30%は有り得ない。現場で大混乱が起こる」(松本吉郎委員・日本医師会常任理事)などと強く反発した。
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資料1 P1~P44 3.5M
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資料2 P45~P70 11.0M
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資料3 P71~P198 9.1M
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関連資料
[改定速報] 療養病棟のデータ提出、一定規模以上で要件化 中医協・総会1
http://www.wic-net.com/report/3150/1.html



https://www.m3.com/news/iryoishin/570955
2018年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)、ほぼ了承
地域包括ケア、働き方改革、薬価制度抜本改革などが柱

レポート 2017年11月24日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月24日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)に、2018年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)を提示、各論での幾つかの指摘や意見は出たが、おおむね了承を得た。医療部会の次回開催予定は12月6日で、社保審医療保険部会でも並行して議論しており、12月の第一週には基本方針が決定する見通し(資料は、厚労省のホームページ/ (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185877.html ))。

 基本方針(骨子案)は、「改定に当たっての基本認識」「改定の基本的視点と具体的方向性」「将来を見据えた課題」から成る。「改定の基本的視点と具体的方向性」の柱は下記の5つ。

1.地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(重点課題)
2.新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療の実現・充実
3.医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
4.効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上


 重点課題に掲げられたのは、「1」で、地域包括ケアシステムの構築に向け、地域間の多職種連携、適切な役割分担に基づく医療・介護サービスの提供、かかりつけ医・かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の評価などを盛り込んだ。

 社会的に重要課題となっている「働き方改革」も今改定の重要なテーマで、チーム医療等の推進、ICTの活用などを進める。ICTを活用した遠隔医療は、政府の「未来投資戦略2017」で提言しており、今改定の注目点の一つだ。

 「4」の関連の目玉は、11月22日の中医協で厚労省案が提出された、薬価制度の抜本改革だ(『長期収載品は「後発品」まで段階的引き下げ、薬価制度改革案』を参照)。その他、入院医療では機能分化、外来医療では機能分化や生活習慣病対策、医薬品の適正使用、効率性等に応じた薬局の評価などが掲げられた。

 医療部会では、既に基本方針について既に2回議論しており、方針には異論はなかったが、各論で幾つか指摘や意見が出た(『「必要な財源確保が改定の大前提」、中川日医副会長』を参照)。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、地域包括ケアシステムの推進に当たっては、24時間365日体制の救急医療体制の確保が重要であるとし、それを担う一般病院の評価を盛り込むよう提案。

 働き方改革の観点では、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏が、労働基準監督署が、病院に対し、医師の時間外労働に対して是正勧告を出すケースが相次いでいることを挙げ、労働基準法改正という将来の問題ではなく、「足元の問題」への対応の必要性を指摘した。

 複数の意見が出たのは、調剤薬局について。骨子案では「薬局の収益状況、医薬品の備蓄等の効率性も踏まえ、いわゆる門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進」と記載。日本精神科病院協会会長の山崎学氏や加納氏からは、「院内処方と院外処方では、技術料が3倍違う。それだけの負担を患者に課しているのであり、その違いに相当するサービスを提供しているのか」(山崎氏)などと指摘した(『「院外処方、なぜ院内の3倍の技術料か」、疑問の声』を参照)。

 これに対し、参考人として出席した、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、日薬の調査では、処方せんの3%に疑義照会が発生し、うち75%では処方変更に至ったなど、医薬分業が医療安全に寄与している実態などを説明。さらに調剤技術料について、「医療経済実態調査で経営実態を見ながら、中医協で決定されている」とも付け加えた。

 そのほか、記載の追加としては、経団連常務理事の井上隆氏は、「経済成長や財政健全化との調和」もしくは「制度の持続可能性」との文言を入れるよう要望。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「将来を見据えた課題」で、「予防・健康づくりやセルフケア・セルフメディケーションの推進」とある部分で、「セルフメディケーション」の削除を要求した。



http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=57248?site=nli
地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(1)-都道府県はどこに向かおうとしているのか
生活研究部 准主任研究員 三原 岳
2017年11月24日ニッセイ基礎研究所

■要旨

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等の整備などを進めることが求められている。

しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携を意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性が明確になるほか、政策の目的について、国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

■目次

1――はじめに
2――地域医療構想の概要
  1|地域医療構想とは何か
  2|地域医療構想の進め方
3――2つの目的が混在
  1|病床削減の目的
  2|切れ目のない提供体制の構築という目的
4――病床削減に消極的な都道府県
  1|「必要病床数=削減目標」を否定
  2|国保改革や医療費適正化とリンクさせず
  3|かかりつけ医や総合診療医に言及
  4|地元医師会との協調・連携
5――おわりに~国と都道府県の認識ギャップ~


1――はじめに

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等(1)の整備などを進めることが求められている。

しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携も意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性を明確になるほか、政策の目的について国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

注釈-------
1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは煩雑さを避けるため、在宅医療と表記する。



2――地域医療構想の概要

1|地域医療構想とは何か
まず、地域医療構想の概要を検討する。地域医療構想は「病床の機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの」とされ、医療計画の一部として都道府県が策定した。
表1:地域医療構想に盛り込まれた病床数
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具体的には、患者の受療行動や人口動向、高齢化の進行などを加味しつつ、2次医療圏を軸とした「構想区域」ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能について、現状と2025年の需給ギャップを明らかにし、在宅医療の充実を含めて課題解決の方策を考えることに主眼を置いている。
今年3月までに全ての都道府県で構想が出そろい、合計の病床数は表1の通り、全国的には高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足するという結果となった。これは厚生労働省令で定めた数式に基づいた一つの推計に過ぎず、将来を反映しているとは限らない。さらに、病床機能報告は医療機関の申告ベース、必要病床数は一定の数式に基づいて計算されている違いがあるため、比較する際には留保が必要である。

しかし、大きな方向性が可視化された意義は大きく、構想に盛り込まれたデータや内容をベースにしつつ、各地域で2025年を意識した医療提供体制の構築に向けた議論が進む予定である。

議論の場として期待されているのが「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)である。これは構想区域ごとに設置される会議体であり、地域医療構想に盛り込まれた病床データや施策などを基に、2025年を見据えた提供体制改革について、都道府県や地元医師会、病院関係者、介護関係者、市町村などが各地域で合意形成を進めることが想定されている。

2|地域医療構想の進め方
具体的なイメージを持ってもらうため、人口当たり病床数が最も多い高知県を事例に考えよう。高知県は「安芸」「中央」「高幡」「幡多」の4つの構想区域に分かれており、病床数は次ページの表2の通りとなった。
表2:高知県の地域医療構想に盛り込まれた病床数
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このうち、人口が最も多い高知市を中心とした中央区域では高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足という結果になり、高度急性期と急性期の削減、回復期の充実、慢性期の削減と在宅医療の整備が求められることになる。そして、こうしたテーマを話し合う場として、県全体をカバーする調整会議と、各区域で調整会議が設置されており、地元医師会や介護従事者、市町村関係者などで構成する調整会議のメンバーが課題解決策などを話し合うことになる。

さらに、地域医療構想を進める手段として、2014年度から都道府県単位に「地域医療介護総合確保基金」(以下、基金)が創設された。使途としては(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備、(2)居宅等における医療の提供、(3)地域密着型サービスなど介護施設等の整備、(4)医療従事者の確保、(5)介護従事者の確保――に関する事業とされ、社会保障目的で引き上げられた消費税を活用する形で、国が3分の2、都道府県が3分の1を負担している(2)。

協議だけで達成が難しい場合の手段として都道府県知事の権限も強化された。具体的には、医療機関が過剰な医療機能病床に転換する場合、都道府県知事は転換の中止を要請(公的医療機関の場合は命令)し、これに従わない時、医療機関名の公表、補助金交付対象からの排除などを講じることができる。

注釈-------
2 2017年度予算の規模は医療分904億円、介護分724億円。



3――2つの目的が混在

1|病床削減の視点
ただ、地域医療構想の目的はあいまいである。厚生労働省は「病床削減のツールではない」と繰り返し強調しており、内閣官房に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が2015年6月に病床数を試算した際も、メディアが「◎◎床削減」などと伝えると、3日後には都道府県宛に「単純に『我が県は◎◎床削減しなければならない』といった誤った理解とならないようにお願いします」という通知を出した(3)。

しかし、地域医療構想で語られているのは病床数であり、在宅医療に関しても「慢性期に入院する軽度患者の70%程度が在宅医療等に移行する」などの前提に立っているに過ぎず、病床に関心が向かいがちである。

こうした考え方が最も表れているのは2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書である。ここでは病床を「川上」、受け皿となる地域を「川下」」と形容しつつ、「急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」「入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現」「受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実」と強調しており、病床を削った後に余った患者を在宅や地域で引き取る発想に立っているのは明らかである。

中でも、患者7人に対して看護師1人を配置する入院基本料要件を満たした急性期病床(いわゆる7:1要件)を圧縮したい思惑があったのは間違いない、政府は2006年度診療報酬改定に際して、7:1要件病床に対して報酬を手厚くしたが、手厚い報酬を期待した医療機関が国の予想以上に7:1要件を多く満たしたため、医療費を増やす原因となり、政府は急性期の圧縮を検討するようになった。

しかも、この考え方は10年ほど前から論じられていた。例えば、2008年6月の社会保障国民会議中間報告では、「過剰な病床の思い切った適正化と疾病構造や医療・介護ニーズの変化に対応した病院・病床の機能分化の徹底と集約化」と指摘していたほか、同様の文言は2008年11月の最終報告と2009年6月の安心社会実現会議報告、民主党政権期に取りまとめられた2011年7月の「社会保障・税一体改革成案」、2012年1月の「社会保障・税一体改革素案」に継承されており、約10年の歳月を経て制度化された経緯がある。

さらに、政府が2016年末に改定した「経済・財政再生計画改革工程表」でも「医療介護提供体制の適正化」として地域医療構想を位置付けており、今年6月に閣議決定された骨太方針でも市町村国民健康保険の都道府県単位化(4)や医療費適正化計画(5)とのリンクを意識しつつ、「都道府県の総合的なガバナンスを強化し、医療費・介護費の高齢化を上回る伸びを抑制しつつ、国民のニーズに適合した効果的なサービスを効率的に提供する」という文言を用いることで、都道府県主導による医療費適正化に期待している。

注釈-------
3 2015年6月18日、厚生労働省医政局地域医療計画課長の名前で各都道府県衛生担当部長に示された「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」という通知。
4 慢性的な財政赤字に苦しむ市町村国民健康保険の財政を安定化させるため、財政運営を都道府県単位とする改革。
5 2008年度から導入され、国と各都道府県が策定する計画。平均在院日数の削減、特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)の実施が主な目的で、都道府県計画は5年に一度改定される。次期計画から周期は6年に変わる。


2|切れ目のない提供体制の構築という視点
では、厚生労働省が病床削減による医療費適正化という目的を否定しているのはなぜだろうか。

それは制度化プロセスにおける日本医師会との調整が影響している。

厚生労働省は2011年11月の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療部会で、人員配置や構造基準をクリアした病床を急性期として認定する「急性期病床群」(仮称)の新設を提案した。これは急性期について国の要件に従わなければ急性期と見なさず、単価の高い診療報酬も渡さない意図だったが、日本医師会は「急性期医療をできなくなる地域が生まれる」と懸念した。

さらに厚生労働省は2012年4月、急性期病床の登録制度を提案したが、これにも日本医師会は実質的に認定と変わらないと反対した。その理由について、日本医師会副会長は雑誌の対談記事で、急性期病床に医療資源を集中する方針が示されたことについて、「急性期だけでなく慢性期・在宅まで切れ目なく(注:提供することが)大事であって優劣はないと一貫して主張した」とした上で、急性期病床の認定制度には「認定される施設とされない施設では診療報酬で大きな差がつき、特に地方では急性期医療が提供できなくなると反対した」、登録制度には「登録でも要件があるはずだから認定と変わらないと(注:反対した)」と明らかにしている(6)。

その後、日本医師会は2012年5月、対案を示した。対案では、(1)各医療機関が担っている機能について、都道府県に情報を提供する仕組みを創設、(2)都道府県は情報を活用し、医療提供者の主体的な関与の下、地域の実情を踏まえた提供体制を検討する、(3)都道府県は報告の仕組みを通じて得られた情報を住民、患者に示し、医療提供者、行政、地域住民、患者とともに、地域に実情に合った提供体制を作り上げる―といった内容であり、現在の制度に至っている。

こうした経緯を見ると、日本医師会との調整プロセスを経て、「病床削減による医療費適正化」という当初の目的が薄まるとともに、「切れ目のない提供体制の構築」という目的が加わったことが分かる。

注釈-------
6 『病院』74巻8号p535における中川俊男日本医師会副会長の発言。


4――病床削減に消極的な都道府県

1|「必要病床数=削減目標」を否定
では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制の構築」という2つの目的が混在しているとして、どちらの目的を都道府県は重視したのだろうか。結論から言うと、後者の「切れ目のない提供体制構築」を重視している。

まず、都道府県のスタンスは必要病床数について表れている可能性が想定される。もし都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視しているのであれば、必要病床数を一つのターゲットとして、削減の姿勢や努力を見せることが予想されるためだ。

図1:必要病床が削減目標ではないと明記したかどうか
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だが、地域医療構想の文言を精査すると、図1の通りに29道府県が「強制的に削減しない」「機械的に当てはめない」などの表現を用いつつ、必要病床数が削減目標ではないことを明示していた。この背景には、必要病床数を削減目標と位置付けないように要請していた日本医師会に対する配慮があったと推察される。日本医師会は必要病床数を削減目標ではない旨を明記していない構想が見られる点を問題視していた(7)。

こうした中、地元医師会を中心とする医療機関関係者との関係が悪化すると、切れ目のない提供体制の構築というもう1つの目的達成が困難になるため、都道府県が病床削減に消極的だった様子が窺え、病床削減に向けた都道府県の主導性を求める政府とは明らかに異なるスタンスを取っていたことになる。この点については、強化されたとされる知事の権限についても、11道府県が言及していたに過ぎなかったこととも符合する。

むしろ、近年の診療報酬改定では、医療機関が7:1要件を取得する際の条件を厳格にしている(8)ため、急性期の病床数については、地域医療構想に基づく調整よりも、報酬改定の影響を大きく受けることが予想されている。こうした状況の下、都道府県としては診療報酬改定の結果と影響を見極めようという機運が強かったと考えられる。

注釈-------
7 例えば、日本医師会の常任理事は「地域医療構想では将来の病床の必要量が注目されがちであるが、重要なことは将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされていくことである。病床の必要量は全国一律の計算式で機械的に計算されたものに過ぎない」と指摘していた。2016年9月20日『日医News』。
8 7:1要件を取得する際、患者の医療・看護度などを評価するいくつかの条件をクリアする必要があり、2016年度報酬改定では手術や受け入れ患者に関する条件を追加することで、取得を難しくするように厳格にした。2017年10月25日の財政制度等審議会では、一層の厳格化が論じられている。



2|国保改革や医療費適正化とリンクさせず
都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視している場合、2018年度の市町村国保の都道府県単位化や、医療費適正化計画の改定との関係を意識することが考えられる。前者は財政運営の責任主体、後者は医療費を抑制する主体として、いずれも都道府県の主導性発揮が期待された制度であり、地域医療構想との関係付けようとしているか探ることで、病床削減による医療費適正化に向けた都道府県のスタンスを把握できると考えられる。

そこで、各都道府県の地域医療構想を見ると、図2の通り、市町村国保の都道府県単位化に言及したのは奈良県と佐賀県の2県、医療費適正化計画に言及したのは10都府県にとどまり、3つを明確にリンクさせたのは実質的に奈良県だけだった。

奈良県の地域医療構想では「地域医療構想の策定は社会保障改革の一環であり、医療費適正化計画の推進や、国民健康保険の財政運営とともに都道府県が一体的に取組を進める必要があります」としている。こうした文言が盛り込まれた背景としては、3つの関係をリンクさせた改革を進めようとする荒井正吾知事のスタンスが影響している(9)が、こうした事例は現時点で極めて少数であり、その背景としては地元医師会や医療機関関係者の反発を恐れ、病床削減や医療費適正化を想起させるテーマを避けた可能性が高い。
図2:国保改革、医療費適正化計画の言及があったかどうか
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注釈-------
9 荒井知事は2015年9月のシンポジウムで、「(筆者注:地域医療構想、医療費適正化計画、市町村国民健康保険の都道府県単位化の)3つは関係している。高度医療、看取り、終末期医療、頻回受診、頻回薬剤投与など議論が進んでいない分野がある。地域でそのようなことを探求していくことも可能」と述べていた。『医療経済研究』Vol.28 No.1。



3|かかりつけ医や総合診療医に言及
では、「切れ目のない提供体制の構築」という点では、どんなスタンスが見て取れるだろうか。切れ目のない提供体制を構築する上で、在宅ケアなど住民の日常的なニーズに対応する医療が重要になるが、「川上」「川下」の言葉に代表される通り、地域医療構想は実質的に病床しか議論しておらず、いわば病床という医療提供体制のごく一部を議論することで、医療提供体制の全体を変えようとする欠点を持っている。

表3:かかりつけ医または総合診療医に関する言及 この点については、第4回で述べる予定だが、地域医療構想を策定した時点では受け皿となる医療サービスの充実について、都道府県に前向きな姿勢が見られた。
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具体的には、37都道府県が日常的な医療ニーズに対応する医師である「かかりつけ医」(10)または日常的な疾病やケガに対応する「プライマリ・ケア」(11)の専門医として全人的・継続的な医療を担う総合診療医に言及した。

両者の定義や役割などは第4回に詳しく述べることとしたいが、両者に期待する役割としては、表3の通り、(a)患者が病状に応じて適切な医療機関を選べるようにする支援、(b)疾病管理や生活習慣病対策を含めた予防医療、(c)在宅医療の充実、(d)病院・診療所連携、(e)医療・介護連携、(f)過疎地医療―などに整理可能であり、いずれも住民にとって身近な日常生活をカバーする医療が想定されている。

目的があいまいな地域医療構想が「病床数ありき」の議論に傾きがちな中、これらの記述は、切れ目のない提供体制の構築に向けた都道府県の積極的な姿勢と受け止めることが可能であろう。

注釈-------
10 日本医師会などが2013年8月に公表した報告書では、かかりつけ医の定義について、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している。一方、総合診療医の中核的な能力としては、「人間中心の医療・ケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」など6点が挙がっており、両者の違いは必ずしも明確ではない。
11 日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケアを「国民のあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的、全人的に対応する地域の保健医療福祉機能」と定義している。詳細は第4回で述べる。



4|地元医師会との協調・連携
次に、地元医師会との連携という点で都道府県のスタンスを検証してみよう。都道府県が切れ目のない提供体制の構築を図ろうとする際、最初に配慮するのは地元医師会と思われる。先に触れた通り、日本の医療提供体制は民間中心であり、都道府県が構想を策定するだけでは実効性を持たず、現場で医療サービスの提供を担う地域の医師会との連携が欠かせない。

そこで、地域医療構想の策定プロセスに地元の医師会がどこまで参加していたか検証した。具体的には、(1)各都道府県の地域医療構想に出ている文言や資料、ウエブサイト(12)に掲載された議事録などを通じて、「実質的な検討の場」を設定(13)、(2)地域医療構想に限らず、医師会関係者は地域の医療政策に関する検討の場に必ず参加しているケースが多いことを考慮し、委員枠として確保されているかどうかではなく、医師会関係者が検討の場のトップに就いているかどうかを検証-といったプロセスを通じて、都道府県と各地域の医師会がどこまで共同歩調を取っていたかどうかを考察した。

さらに、(a)地域医療構想に掲載されている委員名簿、(b)名簿が掲載されていたとしても、トップが判別できない場合は議事録、(c)委員名簿が掲載されていない場合はウエブサイトの資料または議事録―をそれぞれ集計した。

その結果、検討の場のトップの氏名や所属先、肩書などが判明しなかった15府県(14)を除く32都道府県のうち、24都道県で医師会関係者がトップを務めていた(15)。以上を踏まえると、切れ目のない提供体制の構築に向け、地元医師会と連携・協力を図ろうとする都道府県が多かったことを指摘できる。

注釈-------
12 2017年3月31日現在のデータ。以下、同じ。
13 都道府県全域をカバーする専門的な検討組織(例:専門部会)を医療審議会の下に置いている場合、これを検討の場と見なし、その開催頻度が少ない場合、構想区域単位の会議を検討の場と位置付けた。
14 検討の場の議論に用いた資料や議事録の公表が不十分だったため、把握できなかった。
15 8つの構想区域のうち5構想区域で医師会関係者がトップだった秋田県も含む。



5――おわりに~国と都道府県の認識ギャップ~

以上、地域医療構想の制度化プロセスを振り返ることで、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検証するとともに、地域医療構想の内容を把握することを通じて、都道府県はどちらを重視していたのか考察してきた。

図3:地域構想医療を巡る国と都道府県の認識ギャップ
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その結果、全体的な傾向として、(a)必要病床数を削減目標としないことを明記、(b)市町村国保の都道府県単位化、医療費適正化とのリンクを避けた、(c)日常的な医療ニーズに対応する必要性に言及した、(ⅾ)地元医師会と連携・協力しつつ地域医療構想を策定していた―といった実態があり、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築の目的」という混在する目的のうち、都道府県は後者を優先している点を明確にした。

しかし、骨太方針2017の「都道府県の総合的なガバナンスの強化」という文言に代表される通り、経済財政諮問会議や財務省を中心とする国の議論は(1)に傾きがちであり、図3のように(2)に力点を置く都道府県の間に認識ギャップが見られる。

その一端は基金のスタンスに表れていると言える。財務省は基金の分配先について、回復期病床の充実など病床転換に繋がる使途に重点配分するよう求めており、これは(1)、特に急性期削減を重視していると言える(16)。

一方、都道府県のスタンスは異なる。近年の改定では7:1要件を厳格化しており、急性期の削減や回復期の充実は診療報酬改定の影響を受けやすい。こうした中、都道府県は2018年度改定の影響を見極めつつ、(2)を重視する観点に立ち、在宅ケアの整備や人材確保などに基金を使うことを期待している(17)。このギャップは2つの目的を混在させた結果であり、こうした認識ギャップは今後も制度の目標設定や進行管理の場面で一層、顕在化する可能性が想定される。

では、都道府県は今後どのような対応が求められるのだろうか。第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを用いつつ考察を深めたい。

注釈-------
16 財政制度等審議会が2016年11月に示した建議で、「病床機能の転換等に直接資するものに交付を重点化すべき」と求めた。
17 基金の使途については、大津唯(2017)「『地域医療介護総合確保基金』の現状と課題」『会計検査院』No.56が詳しい。同論文では「医療機能の分化・連携を進めるための医療機関の施設・設備整備など単年度会計になじみにくい事業と,医療従事者の確保のための国庫補助事業という異質のものを1つの基金に混在させたことは,妥当でなかった」と指摘している。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/375046/
県北調整会議で67病床承認 伊万里松浦病院 移転許可に見通し 12月、県医療審に諮問 [長崎県]
2017年11月22日 06時00分 西日本新聞朝刊

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)の松浦市への移転問題で、同市を含む2次医療圏「佐世保県北医療圏」の3回目の調整会議が20日、佐々町内であった。病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が病床数を67床に減らすことを伝えると同会議は了承。病床数についての特例措置申請に対する受け入れ地域の承認を得たことで、移転許可への見通しが立った。県は12月に開く県医療審議会に諮り、国との協議を進める。

 県北地域では病床数が国の基準を上回っており、病院を新設するには医療法に基づく特例措置の適用が必要で、JCHOは8月、県に適用認可を申請した。移転開設時の病床数を87床とする計画を打ち出していたが、県北医療圏の調整会議では病床数の多さや医師の確保などの課題が指摘され、12委員でつくる部会で議論を深めてきた。

 この日は調整会議に先立って開かれた2回目の部会で、JCHO側が「開院時の病床数を67とし、同市の医療の再編状況に応じて100床まで増やす」と説明し、調整会議も含めて了承された。そのほか365日24時間の救急医療体制や医師の確保、同市鷹島町や福島町の病床廃止に伴う受け皿の整備などについても了解を得た。

 同市の橋口忠美副市長は「県北という広い地域で承認が得られたことは開設に向けて大きな弾みとなり、喜ばしい。より良い地域医療の環境づくりを目指したい」と話した。



http://healthpress.jp/2017/11/post-3368.html
産婦人科医師はつらいよ!形成外科に次いで訴訟が多い!長時間労働で過労の医師も多数
2017.11.24 Health Press

 2004年、福島県立大野病院で妊婦が死亡し、担当医が2006年に逮捕(業務上過失致死などの容疑、不起訴)され、産婦人科界を震撼させた大野病院事件が発生した。

 日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会は、刑事訴追に対する意見書を発表し、懸念を表明。多くの産婦人科医師の心に深く刻まれる事件となった。

日本の周産期医療の安全性はトップクラスだが訴訟が多い

 産婦人科医師が訴訟に巻き込まれるリスクはどれくらいだろう? 産婦人科医師1000人当たりの訴訟件数は、形成外科7.1件、産婦人科4.8件。産婦人科は、全診療科で2番目に訴訟が多いことが分かる(平成28年 医事関係訴訟事件(地裁)の診療科目別訴訟件数)。

 なぜ産婦人科医師は、訴えられやすいのだろう?

 理由はいくつかある。胎児・新生児も妊産婦も若いため、死亡や後遺症による逸失利益が大きいこと、妊娠・出産は病気でないため、病気よりも過少評価されやすいこと、周囲の祝福・期待が強いため、受ける心理的な落差が大きいことなど、妊産婦や家族が納得しがたい不条理を感じやすいことから、提訴される確率が高まる。

 一方、日本の出生数10万人当たりの周産期死亡率は2.6人、妊産婦死亡率3.5人。諸外国と比較しても、日本は周産期死亡率、妊産婦死亡率ともに低く、日本の周産期医療の安全性は世界的にトップクラスにある(厚生労働省資料「周産期医療体制の現状について」平成24年)。

 ちなみに周産期は、妊娠22週から生後7日未満までの時期を指す。

1ヶ月の在院拘束時間305時間!1ヶ月の当直回数平均5.8回!

 このよう不条理な訴訟リスクを軽減するために2009(平成21)年1月にスタートしたのが「産科医療補償制度」だ。妊娠・出産の何らかのトラブルがあれば、過失の有無に関わらず一定額の補償金が妊産婦に支払われる。ただし、現在は脳性麻痺だけが保障対象だ。

 その後、産婦人科の訴訟件数は、やや減少したものの、水口病院事件(中絶後に死亡)、順天堂大学順天堂医院事件(無痛分娩による死産)などが発生。今なお産婦人科医師への不信感も、訴訟リスクも根強く残っている現実は変わらない。

 産婦人科医師が直面している課題は何か? その現状を見よう。

 産婦人科医師の1ヶ月の在院時間(通常の勤務時間+当直時間=職場の拘束時間)は305時間。過労死基準(月80時間の残業)をはるかに超えた勤務時間だ。産婦人科医師の1ヶ月当たりの当直回数は平均5.8回。内科3.2回、外科3.1回、救急科4.5回なので、産婦人科の当直の多さが分かる。交代制を導入している施設は全施設の6.4%のみ。交代要員の不在、24時間365日勤務は当然と考える無理解や偏見が交代制導入を妨げている。当直翌日の勤務緩和を導入している施設は23.1%に過ぎない。4分の3強の産婦人科医師は、日勤―当直―日勤の32時間連続勤務を強いられている。

 産婦人科医師の過剰勤務、多忙、人手不足が窺えるが、過労死する産婦人科医師もある過酷な現状も見なければならない。

女性医師が増えても、病院の受け入れ体制・環境が未整備

 しかし、さらに難題が横たわる。女性医師の増加と、受け入れる病院の対応の遅れだ。

 訴訟や激務の高リスクは、若い医師が産婦人科を敬遠する最大の理由だ。だが、分娩施設の産婦人科常勤医師に占める女性医師の割合は、2008年の30.6%から2014年の38.7%に高まっている。また、女性医師のうち妊娠・育児中の医師の割合も32.8%から52.3%に増加。

 一方、分娩施設での勤務医への妊娠・育児支援の状況を見ると、妊娠中に当直を軽減される女性医師は46.4%。育児中に当直を緩和・免除される女性医師は64.9%に上っている。ただし、病児保育は23.7%、24時間保育は22.9%に留まっているため、子どもの体調が悪くなれば休まざるを得なくなる、当直や時間外勤務が不可能になるなど、育児中の制約が大きい。つまり「妊娠・育児中の女性医師」は増えているものの、「勤務に柔軟に対応できる医師」はあまり増えていない。

 また、妊娠・育児中のために当直免除など勤務の軽減を受ける医師と軽減されない医師の間に、勤務時間や収入への不公平感も生じている。さらに、妊娠・育児中の勤務状況が制限される女性医師を病院が忌避する傾向もあることから、採用後に休職や休業などの勤務リスクの高い女性よりも男性が優先採用されるケースも少なくない。

 このように、産婦人科の女性医師が増加しても、病院の受け入れ体制や環境・制度の整備は大きく立ち遅れている。

 世界トップクラスの安全性を堅持する強い使命感。避けられない高い訴訟リスクと激務。この過酷な環境に立ち向かう献身的な医師たちに支えられているのが、日本の周産期医療の現実だ。

 このような産婦人科医師の勤務環境の改善を図ろうと、日本産科婦人科学会の医療改革委員会は、「産婦人科医療改革グランドデザイン 2015」を作成。地域基幹分娩取扱病院を新たに設定し、産婦人科医師の重点化・集約化を行ないつつ、主治医制の廃止、交代制勤務の実現をめざしている。

 何よりも最優先すべきことがある――。妊産婦と胎児・出生児を見守る産婦人科医師の人権を尊重しながら、産婦人科医師が永続的に活躍できる環境整備を急がなかればならない。

*参考:2015年1月に日本産婦人科医会が取りまとめたアンケート調査報告書
(文=編集部)



http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171123/mca1711230500004-n1.htm
厚労省、医師不足を「見える化」 都道府県の権限強化で、医師偏在の解消を目指す
2017.11.23 05:00 Sankei Biz

 医師が都市部などに集中する一方、足りない地域が生じている問題で、厚生労働省は22日、それぞれの地域で医師がどのくらい足りないかを評価する指標の導入を盛り込んだ対策骨子案を有識者会議に示した。医師の過不足について「見える化」を進め、都道府県の権限を強化することで、医師偏在の解消を目指す。

 厚労省は今後の有識者会議の議論も踏まえた上で、年内に対策を取りまとめ、来年の通常国会に医療法と医師法の改正案を提出する方針。新指標では、現状の医師の配置や年齢のほか、将来の人口予測や年齢分布、地理的条件を加味し、医師の偏り度合いを算出。医師の派遣数の調整や財政支援などの対策に活用できるようにする。



https://www.m3.com/news/iryoishin/570740
医療従事者の需給に関する検討会
「新規研修開始の医師」が対象、へき地等勤務が管理者要件
「駆け込み開業」を懸念、無床診の規制は見送り

2017年11月22日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第15回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)は11月22日、前回会議に続き、「医師少数区域」での勤務経験を有する医師(認定医師)の評価の在り方や「外来医療機能の可視化」などについて議論した。これらは今年末に予定している医師偏在対策の取りまとめには入るが、前回会議で「駆け込み開業」が起きるなどの懸念が呈せられた「無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組み」は見送られる見通しだ(前回会議については、『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を認定、評価する仕組みは、若手とベテランを問わず、あらゆる世代を対象とする方針。認定制度自体が、「医療機関の管理者」として評価するなど、医師個人の一種のインセンティブとなるほか、認定医師を雇用する医療機関にとっても、認定医師を広告可能事項としたり、予算(地域医療介護総合確保基金など)や税制上の優遇措置などのインセンティブ付与を想定している。

 特に注目されるのは、「医療機関の管理者」としての評価。厚労省は「これからキャリアプランを考える人」という考えから、「施行日以降に臨床研修を開始する者」を対象とし、「認定医師」であることが、地域医療支援病院などの管理者(院長)の要件とすることなどを想定している。この制度の実現には、医療法改正が必要であり、厚労省は来年の通常国会に、他の医師偏在対策とともに医療法等改正法案の提出を目指す。早ければ、2019年度から臨床研修を開始する医師が対象になる見通しだ。

 もっとも、医師需給分科会の構成員からは、制度化自体には異論は出なかったものの、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏、読売新聞医療ネットワーク事務局次長の本田麻由美氏らからは、「施行日以降に臨床研修を開始する者」とするのでは効果が現れるまでに時間がかかるとの指摘が相次いだ。全日本病院協会副会長の神野正博氏も、管理者要件とする案については、「あまりドライブしないと見た方がいい」と述べ、「認定医師にいかにインセンティブを付けるかがカギとなり、他のインセンティブで本当に医師少数地域に医師が行くようになるのか」と疑問を呈した。

 厚労省医政局総務課は、「管理者要件としての効果は先になるが、制度がスタートすれば、認定を受けるために一定程度の人が医師少数区域に行くようになると考えられるので、一定の即効性はある」との見解を述べた。

 そのほか22日の検討会では、「外来医療機能の可視化」、「無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組み」についても議論。

 「外来医療機能の可視化」は、外来医療における医師偏在の度合いを可視化し、医師自身が開業の是非を判断できるようにするのが狙い。NDBを用いた性・年齢調整標準化レセプト出現比(SCR)や医療機能情報提供制度などのデータ利用を想定。

 「開業する医師と受け入れ側の地域の医療事情のミスマッチが、外来医療の医師の偏在を生んでいる。これを避けるために、ある程度のメルクマールが必要」(医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏)、「政策情報として使うことができ、これは大きな一歩ではないか」(慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏)などの評価の声の一方、「保険医登録の規制くらいやらないと、偏在対策にならないという話で進めてきた。それがままならないということで、外来医療機能の可視化が出てきたが、これもドライブしないのではないか」(神野氏)との意見も出た。


医師需給分科会は、今年内に医師偏在対策をまとめる方針

 専攻医の1次募集状況、公表求める声
 さらに今年末の取りまとめに向け、厚労省は、過去の医師需給分科会の議論において、「制度改正の方向性について一定の合意を得たと考えられる医師偏在対策」を整理した(過去記事はこちら)。基本的な方向を支持する意見の一方、医師偏在対策としての実効性を疑問視する声が上がった。


1. 都道府県における医師確保対策の実施体制の強化
(1)「医師確保計画」の策定
(2)「地域医療対策協議会」の実効性確保
(3)効果的な医師派遣等の実施に向けた見直し
2.医師養成過程を通じた地域における医師確保
(1)医学部: 地元出身者枠の拡充/他県での地域枠の特例
(2)臨床研修: 地域への医師定着策/都市部集中の是正
(3)専門研修: 新専門医制度における行政の役割の明確化/診療科ごとの医師のニーズの明示
3.地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応
 (前述の「外来医療機能の可視化」など)
4.その他


 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「全般的にはこの方向でぜひ進めてもらいたい」と述べつつ、専門研修について、「情報提供も必要だが、救急や産科などの医師不足分野に対し、報酬だけではないと思うが、現実的なインセンティブをもう一つ考えてもらえないか」と提案。

 永井氏は、「地域医療対策協議会」の実効性確保のため、(1)マッチング機能(医師不足地域と、その地域に行きたいと考える医師のマッチング)、(2)医師が疲弊しない体制作り(代替医師の確保など)、(3)教育研修機能(大学や県立病院などと協同した体制作り)――が求められるとした。さらに女性医師が増加する中、プライマリケアや在宅医療の領域などでは女性医師が適しているとし、交代制勤務の導入などの検討も必要だとした。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏からは、医師不足地域での勤務について、「診療報酬の仕組みを、思い切って変更できるのであれば、かなり有力なインセンティブになるのではないか」との意見も出た。

 一方で、岩手医科大学理事長の小川彰氏は、「診療所の管理者要件」に関連付けた施策の必要性を指摘。山口氏も同様の指摘のほか、診療科偏在についても、将来の需要を可視化しても「不足診療科を選ぶ」などの行動変容には結び付きにくいとし、「今必要なところに、必要な医師が行くような仕組みが必要」と指摘した。

 医師不足の現状に対する受け止めに相違も見られた。日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、ここ数年間でも医療の現場は変わってきているとし、「(医師偏在対策が)即効性に欠けるという指摘は分かるが、まだ医師不足、偏在はあるものの、少しずつ前進している」とコメント。これに対し、神野氏は、「急性期医療や救急医療を担う病院経営の立場から見れば、誰に聞いても、悪くなっているという認識。医師数が増えているとしても、偏在していると言わざるを得ない。ある程度、強力な偏在対策をかけてもらわないと、地域医療は良くならない」と反論した。

 専門研修については、11月15日に新専門医制度の専攻医の1次登録が締め切られたことから、診療科別の応募数の公表を求める意見が相次いだ(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、専門研修については、「将来の診療科別の医療ニーズを見据えて、適切に診療科選択ができる情報提供の仕組み」の構築に向け、国と都道府県が連携して進める方針であると説明。専攻医のデータについては、まず「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で議論する予定であるとした(『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。



http://www.medwatch.jp/?p=17060
医師少数地域での勤務、病院管理者要件や税制優遇などで評価してはどうか—医師需給分科会
2017年11月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を、例えば地域医療支援病院の管理者(院長など)要件に据えたり、そうした経験を持つ医師を雇用する医療機関に、税制上の優遇や予算措置などを行ってはどうか―。

 11月22日に開催された医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」で、こういった制度の創設に向けた議論が進められました(関連記事はこちら)。今後、「医師少数地域」をどことするか、「一定期間」をどの程度とするか、「管理者要件」を具体的にどういう形で設定するか、といった議論が行われ、早ければ、来年(2018年)の通常国会に医療法改正案などが提出される可能性もあります。

もっとも、例えば地域医療支援病院の管理者要件に「医師少数地域での勤務経験」が組み込まれたとして、改正法施行日「以降」の勤務経験に基づいて評価されるため、近く地域医療支援病院の院長に就任する医師に「医師少数地域での勤務経験」が必須となるものではありません。

ここがポイント!
1 医師偏在度合いに基づいて医師少数地域を決め、そこから「勤務期間」を導く
2 管理者要件など、地域医療支援病院や臨床研修病院を対象としてはどうか
3 医師偏在解消に向け、都道府県の権限を大幅に強化

医師偏在度合いに基づいて医師少数地域を決め、そこから「勤務期間」を導く

医師需給分科会では現在、「地域間・診療科間の医師偏在」是正に向けて実効性のある対策を検討しています。その中で、冒頭に述べた「医師少数地域での一定以上の勤務経験」を評価する仕組みが浮上しました。

「医師少数地域での勤務経験」を持つ医師を厚生労働省が認定し(認定医師、仮称)、例えば(1)認定医師である旨を広告可能とする(2)地域医療支援病院などの管理者として認定医師を評価する—といった仕組みを設けるものです。

医師少数地域での一定期間以上の勤務経験を、地域医療支援病院などの管理者(院長)要件にすべきか、具体的な検討が行われる(図略)

 この仕組みで最も気になるのは「一定期間とはどの程度なのか」という点ではないでしょうか。「短期間であれば地方勤務も可能だが、長期間であれば躊躇してしまう」という医師も少なくないでしょう。しかしこの「一定期間」は、「医師少数地域の範囲」が決まり、「どの程度の医師が必要とされているのか」が明確にならなければ設定できません。厚労省は、まず▼医療需要▼将来の人口、人口構成の変化▼医師偏在の度合いを示す単位(区域、診療科、入院/外来)▼患者の流出入▼医師の年齢分布▼へき地や離島などの地理的条件—などの指標に基づいた、客観的に比較・評価可能な「医師偏在の度合い」を可視化し、これを基に「医師少数地域」を決定してはどうかと考えています。ただし、医師少数地域にも中核病院があったり、医師が比較的多くいる地域でもへき地があり、都道府県知事が具体的に「例外医療機関を定める」ことになりそうです。
こうして「医師少数地域」が具体的に定まった後に、必要な医師数が算出され、そこから「勤務期間」が導き出されます。ただし「認定医師となるには、●年間の勤務が必要」と設定されたとしても、「医師少数地域で働きたいが、家族の状況なども勘案すると『連続した●年間の勤務』は難しい」と考える医師もいるでしょう。厚労省はこうした点に配慮し、「断続した医師少数地域での勤務経験」を「通算する」ことも認める考えです。

管理者要件など、地域医療支援病院や臨床研修病院を対象としてはどうか

また、管理者に「認定医師である」ことが求められる病院として、厚労省は▼地域医療支援病院▼臨床研修病院▼社会医療法人▼公的医療機関▼地域医療機能推進機構(JCHO)―を限定例示しました(ここから絞っていく見込み)。

もっとも、間もなく地域医療支援病院などの院長に就任する医師にも「医師少数地域での勤務経験」が求められるとなれば、院長就任予定者も、病院側も混乱してしまいます(例えば、医師少数地域での勤務が明けるまで就任を待たなければいけず、院長不在の期間が発生する可能性も高い)。そこで厚労省は、管理者としての評価を行う対象は「施行日以降に臨床研修を開始する医師」に限定する考えです。

これらの医師が地域医療支援病院の院長に就任するまでには相当の期間(数十年)がかかりますが、その間にも「医師少数地域での勤務」が進展していくため(将来を考えて、今のうちに医師少数地域に行こうと考える医師が当然、現れる)、医師偏在が徐々に解消していくと期待されます。

この点に関連して、「数十年先に要件化されるのであれば、一般の診療所などの管理者(院長)にも同様の要件を設けるべき。実効性を考えれば、診療所も対象とすべきである」との指摘が小川彰構成員(岩手医科大学理事長)や神野正博構成員(全日本病院協会副会長)、権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らから出されています。要件化を即座に始めれば「駆け込み開業」が生じる可能性がありますが、新たに臨床研修を受ける医師を対象とするのであれば、こうした危険はなくなるためです。今後の重要論点の1つとなりそうですが、「開業制限」にもつながる「難しい論点」です(関連記事はこちら)。

 なお、小川構成員や鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は「医師少数地域に派遣された医師が戻る医療機関の確保が重要である。派遣を行う病院に経済的支援をすることが現実的ではないか」と指摘し、医師派遣病院への何らかのインセンティブ付与を強く求めています。

 このほか厚労省は、▼認定医師を雇用・支援する医療機関を対象とした経済的インセンティブ(税制優遇や予算措置など)を付与する▼認定医師である旨の広告を認める—ことなども論点として掲げています。
 
 なお、厚労省は認定医師について、「すべての世代の医師」を対象として、医師少数地域での勤務を促進してはどうかとの考えを示しています。初期臨床研修では1か月以上の地域医療従事経験が求められ、総合診療専門医(新たな専門医資格)にもへき地医療従事経験などが求められていることから「医師少数地域での勤務は若手医師が対象か」とも思われがちですが、シニア世代にも積極的にへき地医療勤務を希望する医師がいることから、「全世代対象」であることを明確にしたものです。医師少数地域を含めた地域医療勤務には「幅広い症例を経験できる」「充実感がある(患者・住民から必要とされる)」などのメリットがあり、幅広い世代の医師が「医師少数地域での勤務」に目を向けることが期待されます。

もっとも医師少数地域での勤務には、「家族の同意」「交代できる医師の存在」「地域の理解」といったハードルもあり、これは若手医師とベテラン医師で微妙に異なります(例えば子育て世代では「子供の教育」などが重要要素となる)。こうしたハードルの解消、さらには若手医師では「教育」と言う問題もあり、医師偏在以外の視点(医師養成など)も加えた検討が行われる見込みです。

医師偏在解消に向け、都道府県の権限を大幅に強化

 11月22日の医師需給分科会では、これまでに固められた「医師偏在対策」について、例えば以下のような整理も行われました。上述の「医師少数地域での勤務経験」を認定する仕組みも、今後の議論次第で「医師偏在対策」に盛り込まれる可能性もあります。

 今後、さらに詳細を詰め、年内にも「医師偏在対策」を正式に取りまとめ、来年(2018年)の通常国会に医師法や医療法の改正法案を提出することになる予定です。

▼都道府県が作成する医療計画に、新たに「医師確保計画」(3年計画)を記載することを法定する(地域内の医師確保方針、医師偏在の度合い(上述)に応じた医師確保の目標、目標達成に向けた施策内容を明示する)→知事は、医師偏在の度合いに応じて、地域内の「医師が比較的多い地域」から「医師が少ない地域」への医師派遣などを円滑に実行できると期待される
医療計画の中に「医師確保計画」の記載を義務づける(図略)

▼都道府県が医師確保対策を実施するための協議を行う「地域医療対策協議会」について、構成員の見直し、他の会議体(地域医療支援センター運営委員会など)の機能移管などを行い、実効性を確保する
地域医療対策協議会の構成員・機能を満たし、より実効性を高める(図略)

▼都道府県が、県内の大学医学部に「地元出身者枠」設定を要請し、他県の大学医学部に「自県での勤務を従事要件とする地域枠」設定を要請できる仕組みを設ける(地元出身の医師が、自県内の医療機関に定着する傾向が高いというエビデンスを踏まえたもの)
都道府県が大学医学部に「地域枠」の創設を要望する仕組みを設ける(図略)

▼初期臨床研修について、▽一般のマッチングとは分けた地域枠での実施▽都道府県による臨床研修病院の指定・募集定員設定▽2025年における募集定員倍率の1.05倍への圧縮―などの見直しを行う
▼国が、新専門医制度について▽研修の機会確保が不十分な場合の必要な措置▽研修プログラム認定前の必要な意見具申―などを行えることを法定化する

▼将来の「診療科ごとの医療需要」を明確化する(代表的な疾病と診療行為との対応表を作成する→診療科ごとの医師の需要を推計する→医師の働き方改革などを需要に反映させる)
診療科ごとの医師需要を定量把握し、診療科間の医師偏在解消を目指す(図略)

▼医師偏在度合い(上述)に基づき、外来医療の偏在・不足などを客観的に把握し、外来医療における機能分化・連携などを地域医療構想調整会議なども活用して協議する
▼医師少数地域において、1人の医師が複数医療機関の管理を行えることを明確化する(院長の兼務を認める)



http://www.medwatch.jp/?p=17042
地域ニーズに合う医療提供体制の構築支援を―全自病等10団体が要望書
2017年11月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の達成に向けた取り組みで、医療費の抑制があまりに強調されれば医療現場が気概を失う。病床削減を目的としない形で具体的な協議が地域ごとに進み、地域住民のニーズに対応可能な医療提供体制が構築されるように、国は積極的に都道府県などを支援すべき―。

 全国自治体病院協議会(全自病)や全国知事会など自治体病院関係10団体は11月14日、来年度(2018年度)の予算編成や診療報酬改定などに向け、こうした要望を取りまとめて厚生労働省などに提出しました。

 この中で、「地域医療介護総合確保基金」の偏りない配分や、2019年10月に予定される消費税率の引き上げ(8%→10%)によって生じる財源を活用することで、地域医療構想を達成すべきなどと主張しています。

 また、▼医師の地域偏在の解決策として、一定期間の医師不足地域での勤務実績がなければ病院などの管理者になれない仕組みを設ける▼医師の働き方改革(長時間労働の是正)に向けた議論を、医師の需給バランス面の議論と同時進行させる―といったことも要望しています。

ここがポイント!
1 地域医療構想の達成に向けた基金の配分に注文
2 医師偏在は管理者要件や専門医師数の制限などで解消を

地域医療構想の達成に向けた基金の配分に注文


 少子高齢化が進むにつれて今後、患者側の医療ニーズが変化します(肺炎や骨折での入院ニーズが増え、大手術が必要な急性疾患での入院ニーズは減る)。医療提供体制が今のままでは、手術などを行う急性期機能の病床数が余る一方で、患者の身体機能を回復させて在宅復帰させる回復期機能の病床数が不足すると考えられます。

 そこで都道府県では、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年時点のニーズに合った必要病床数を、機能ごと(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に、地域単位(二次医療圏ごと)で推計し、地域医療構想として公表しています。

 それを踏まえて医療提供体制を再構築するには、病院・有床診療所それぞれが、自院の設備や職員数、これまでに果たしてきた役割などを振り返った上で、都道府県が公表した情報(将来の地域の医療ニーズ)を踏まえて、今後果たしていく機能を決める必要があります。例えば、「これまでは2病棟で急性期機能を担ってきたが、急性期医療のニーズがこれから少なくなるから、1病棟は回復期機能に見直そう」といった考え方です。

 ただし、地域全体で見たときに、病床機能の転換を決断する医療機関が多過ぎても少な過ぎても、医療提供体制は将来のニーズと合わなくなってしまいます。そこで、病院などの関係者が地域医療構想調整会議で、地域医療構想の実現に向けた方策を話し合っています。さらに病院が機能の転換を決断した場合、病棟改修の費用などを「地域医療介護総合確保基金」で支援する仕組みが準備されています。

 全自病等はこの「地域医療介護総合確保基金」について、「官民の公平に配慮しつつ、民間病院のみならず、自治体病院が十分活用できるようにする」よう求めています。

 昨年度(2016年度)の基金(医療分、国費負担は602.4億円)の配分先をみると、2016年11月時点では「民間機関」が65.5%(394.6億円)を占め、自治体病院など「公的機関」は26.0%(156.4億円)にとどまりました(なお51.4億円の交付先は未定)。全自病などの要望は、こうした状況を踏まえたものです。

 医療分基金の財源は2014年度から毎年度、国・地方分を合わせて904億円でしたが、全自病などは「(2019年10月の)消費税の引上げ分を予算として確保」すべきだとも主張しています。

 また基金の使い道は「地域医療構想の達成に向けた施設・設備の整備」が50.6%(305.1億円)、「医療従事者の確保・養成」が44.2%(266.3億円)、「居宅等における医療の提供」が5.1%(31.0億円)でした。これについて全自病などは、「基金で対応すべき課題は地域によって違うため、施設・設備の整備ばかりを偏重せずに、地域の実情に応じて配分すべき」と訴えています。

 さらに、自治体病院ばかりが病床機能の転換を強いられることのないように、都道府県に対して国から的確な助言を行うべきとも主張しています。地域医療構想調整会議では、自治体病院の経営改善計画(新公立病院改革プラン)の内容をチェックすることになっています。もし、関係者間の協議の方向性と合っていなければ、プランを見直すことになっていますが、「自治体病院だけが機能を変え、民間病院は機能を維持して地域医療構想を達成する」といった安易な結論が出ることがないように、けん制したものです。

医師偏在は管理者要件や専門医師数の制限などで解消を

 全自病等は、医師の地域偏在解消に向けた具体策にも言及しています。具体的には、「医師不足地域で一定期間勤務した実績」がなければ病院・診療所の管理者(院長など)になれない仕組みにすべきで、さらに診療科ごとの偏在をなくすために「専門医」数の制限も行う必要があると指摘しています。

 また医師不足対策として、夜間救急へのいわゆるコンビニ受診を抑制するため、「かかりつけ医療機関への受診」などを国民に促すべきとも主張しています。

 さらに、医師の働き方改革について、▼「応召義務」との関係を十分に議論・整理することが不可欠▼医師の労働には、実際の勤務時間と自己研さん時間が混在していて明確に分けられない▼医師の需給バランス面からも議論すべきで、現状では時間外労働規制の課題をクリアできるだけの医師等の増員は実現困難―といったことに十分留意して施策を検討するよう求めています。

 そのほか、▼診療報酬による補てん分を超えて医療機関が負担している「仕入税額相当額」(医療機器などの購入に掛かる消費税のうち、患者に転嫁できない額)が還付される「税制上の措置」を講じる▼来年度(2018年度)診療報酬改定で、医療機関の機能的コストなどを報酬体系に適切に反映させる▼がんの粒子線治療について、有効性や安全性が認められたものから早期に医療保険の対象に加える一方で、粒子線治療施設の「全国的な配置のあり方」(地域別の必要施設数など)を検討し、過剰な整備を防ぐ―といったことも要望しています。

 このうち次期診療報酬改定に向けては、全自病が今年(2017年)6月、9つの提言(全国で数施設しか満たせない施設基準を設定しないことなど)と128項目(出来高関連110項目・DPC関連18項目)の要望をまとめて厚労省に提出しています。11月14日の要望書では、9つの提言と128項目の要望事項を「十分に尊重」するよう求めてもいます。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15112717599211
在宅医療の体制構築へ 県、県医師会 12グループに機関証
2017年11月22日(水) 茨城新聞

県と県医師会が進める在宅医療推進事業がスタートした。訪問診療を連携して行う「医療提供施設等グループ化推進事業」で、12グループがつくられた。在宅医療の需要の高まりを背景に、切れ目のない医療体制を構築するとともに、新規参入を促すのが狙い。21日には水戸市笠原町の県メディカルセンターで機関証の交付式が開かれた。

同事業は、地域の医師会を中心に複数の医療機関でグループをつくり、在宅患者の訪問診療や夜間の急変時の対応を連携して行う取り組み。13日現在で県内62カ所の医療機関が参加し、9医師会を中心に12グループをつくった。2019年度までに54グループの形成を目指す。

県長寿福祉課によると、県内で在宅医療を必要とする患者は13年約2万2000人だったが、25年には4割増の約3万1000人に増える見込み。これに対し、訪問診療を行う人口10万人当たりの医療機関は360カ所(15年)にとどまっている。

県や県医師会は、グループ化により、24時間切れ目のない見守り態勢を構築。医師1人の小規模診療所の負担軽減につなげ、新規参入も促す考えだ。

同日の交付式には、県内の医師約50人が出席。菊地健太郎副知事が「地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを進めるため、全力で取り組みたい」と述べた。県医師会の諸岡信裕会長は「今日を第一歩として連携を進め、さらに在宅医療の輪を広げたい」とあいさつした。

各グループの代表に機関証が手渡され、水郡医師会の櫻山拓雄会長が「医師不足でマンパワーが不足している地域もある。今回のグループ化を力にして頑張っていきたい」と決意表明した。

グループをつくった9医師会は以下の通り。水郡医師会▽常陸太田市医師会▽那珂医師会▽稲敷医師会▽つくば市医師会▽取手市医師会▽きぬ医師会▽古河医師会▽日立市医師会 (成田愛)



http://www.huffingtonpost.jp/coffeedoctors/yamato-project_a_23286037/
やまとプロジェクト: 宮城県登米市で医師の"働く"を変える
これからの医師は一人で10個20個と仕事をするような時代になると考えている。

2017年11月23日 13時05分 JST | 更新 2017年11月23日 13時05分 JST HUFFPOST

医療法人社団やまとがある、宮城県登米市。やまと診療所登米とともに、医師の新たな働き方の提案をしています。その背景には、医師不足からもう一歩踏み込んだ課題感がありました。

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医師の働き方や需給について話し合う厚生労働省の検討会で、医師の偏在解消のために強制的医師配置や、地方勤務医師の認定制度などの意見が出ている。

しかし私が東日本大震災以降、宮城県登米市での地域医療を中心に東京と循環する働き方を通じ感じていることは、「地方は医師の数が足りるだけでいいのか?」という、もう一歩踏み込んだ課題である。

そして、その1つとして地方の医療課題は医師不足でも医師偏在でもなく、医師のモチベーションにあるのではないかと考えている。

地方で働く医師のインセンティブ政策や勤務環境改善は、地方勤務のハードルを下げるが、大きなモチベーションアップにはならない。

多くの自治体で医師確保のために奨学金制度の設置や大学との連携を進めているが、現状、持続的な解決策にはつながっていないと感じている。

医師の採用のみでなく定着を目的と考えると、まず取り組むべきは、各自治体、医療機関が本質的に求める医療のあり方とどのような医師を必要としているかを考え、そこに来た医師は何ができるのかビジョンを発信し、適切にマッチングすることだ。

求めるビジョンに合わない医師を、所属大学・専門といった属性や報酬のみで働かせることに無理がある。

そういう意味では、各医療機関・自治体の医師人事戦略が大切で"挑戦する医師を発信するWebメディアcoFFee doctors"でも、適切にビジョン戦略を発信して成功している実例を取り上げてきた。

さらに地方では医師不足以上に、医療人材の流動性の低下と閉塞感が課題だ。実は、地方にはモチベーションの高い医師が相対的に多いと思う。

ただし、都市のような人が集まる場が少なく、そのような閉鎖的な環境の中で継続的にモチベーションを維持していくことは困難である。

都市部ではエネルギーの高い人たちが集まり、常にお互いを刺激する環境に恵まれている。そのような環境に身を置くことによって得られるものは、ネットでは得ることができない。

その観点からは、大学や大病院がある都市に行くことに意味があり、私自身、地方と都市を循環する理由の1つがそこにあると感じている。

そこで、都市と地方を循環して診療を行い、「診療を通じた現場課題に参加する、属性でなく嗜好性に合わせてその価値を正しく評価し業績とする。」そんな新しい働き方「やまとプロジェクト」を登米市から発信していきたいと思っている。

モチベーションを維持しつつ地域の現場から新しい課題を見つけ、地域の人たちとチームで解決する。この仕組みによって都市部の医師が地方と混ざり、双方にとって良い循環が生まれると考えている。

現在やまとプロジェクトでは"総合診療をベースに地域に参加できる医師"を求め、10名の医師が都市⇄地方と行き来しながら診療を行い、コミュニティ、行政、教育、研究、ビジネスのさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。働く日数は人それぞれで、ライフスタイルや嗜好性に合わせて従事している。

診療を疎かにするということでなく、今まで何となくやっていた医師の仕事を、仕事という価値のあるものとして可視化するためである。

特に地方はそのような診療以外のプロジェクトが多く、coFFee doctorsでもそのような働き方を取り上げて来た。そして、実は女性医師の働き方としても可能性を感じている。

これからの医師は一人で10個20個と仕事をするような時代になると考えている。医師に求められる役割が病気を治す以外に、病気の予防、病院に来る前の介入に広がっているからだ。

外来、在宅、入院患者の診療をして、遠隔診療も始まり、学会や研究にも遠隔参加し、地域で勉強会を開催し教育も行う、ネットで情報発信し、行政、企業からも仕事を受けるなど、医師の仕事が多様化している。

それによって、それぞれの医師には所属や資格とは別に、個人としての資質が求められる。

その中で医師がモチベーション高く働く、正しく評価される、そんな働き方が今後重要になってくるのではないだろうか。

まずは医師に多様な役割が求められる地方こそ、自発的に新しい働き方を発信していくべきだ。

やまとプロジェクトHP
https://project.yamatoclinic.org/

【医師プロフィール】
田上 佑輔 
腫瘍外科・総合診療医 やまと在宅診療所院長。1980年、熊本生まれ。2005年東京大学医学部卒。東大病院腫瘍外科勤務を経て2013年より現職。医療を通じて日本を良くしたい、東京と宮城で在宅診療、地域医療を行う。



http://www.sankei.com/west/news/171120/wst1711200044-n1.html
残業100時間→150時間可へ増やす協定を労基勧告後に結び直す 岐阜市民病院
2017.11.20 12:24 産経新聞

 岐阜市立の岐阜市民病院が、労使協定(三六協定)で定めた月100時間の上限を超える残業を医師にさせたとして、岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けた後、上限を150時間に増やす協定を結び直していたことが20日、病院への取材で分かった。関係者は「緊急対応が必要な医師であっても考えられない」と批判している。

 病院によると、医師の残業を月100時間(年6回まで)、年間870時間まで可能とする労使協定を平成28年5月に締結した。同年11月、労基署の検査で上限を超過する医師が複数いることが判明。超過しない労働環境にするか、実態に合う上限にするよう是正勧告を受けた。

 対応を検討した同病院は29年5月、上限を月150時間(年6回まで)、年間1170時間に積み増す協定を結んだという。

 同病院の病院政策課は「労働環境の改善に努めているが、医療の現場では難しい部分もある」としている。「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子代表は「過労死ラインの月80時間を大きく超えている。根本にある医師不足の問題から解決するべきだ」と話した。



https://mainichi.jp/articles/20171119/ddq/041/040/005000c
岐阜市民病院
残業上限150時間に「是正」 院長インタビュー

毎日新聞2017年11月19日 中部朝刊

医師、どこまでが残業

 なぜ残業が長時間になるのか。岐阜市民病院の冨田栄一院長に、医師の労働実態について聞いた。【聞き手・高橋龍介】

 −−超過労働の実態について。

 ◆医師の超過勤務を厳密に測ることは困難だ。例えば患者が危篤状態となり医師が泊まり込んだ場合。未明に患者が亡くなったとして、私の経験からも、そのまま帰宅せず仮眠して通常の日勤に入ることが多い。上司の命令でなく自発的な行為で、どこまでが残業かは明確でない。時間外労働が何時間などと捉えにくい実態がある。

 −−そういう勤務を続けて健康への不安を感じたことは。

 ◆過労のため若いころに心筋梗塞(こうそく)にもなったし、脳膜炎にもなった。過労を何とかしなければならないと考え、支援スタッフの増員や病診連携の推進など対策を講じてきた。

 −−背景に医師不足があるのか。

 ◆外科や小児科など一部の診療科目で医師不足の傾向がある。研修制度の変化で、若い医師が勤務環境を比べられるようになったことも影響している。また、市立の病院は人事や予算の権限が市役所にあり、病院側で自己決定できない制約は大きい。人材獲得は競争であり、岐阜県立病院のように(意思決定を自律的にできる)独立行政法人化することも一つの方策だと思う。



https://mainichi.jp/articles/20171119/ddm/003/040/073000c
厚労省
医師不足把握に新指標 地理条件、偏在是正に活用方針

毎日新聞2017年11月19日 東京朝刊

 厚生労働省は医師の地域偏在を是正するため、地域ごとに医師がどの程度足りないかを示す新たな指標を導入する方針を固めた。そのデータを基に、医師派遣に関する都道府県の権限を強めるなどして平準化を図る。有識者検討会で年内に対策を取りまとめ、来年の通常国会に医療法の改正案を提出する方針だ。

 これまで医師の偏在は、人口10万人当たりの医師数で議論されてきた。国の調査では、最多の京都府(308人)と最少の埼玉県(153人)との間に2倍の差がある。同じ県内でも、例えば愛知県の尾張東部(361人)と尾張中部(79人)では4・6倍の開きがある。だが医療のニーズは地域ごとにまちまちで、単純比較できないとの指摘もあった。

 そこで厚労省は、住民の年齢分布、近隣の医療圏への行きやすさといった地理的条件なども加味し、実態に沿ったデータを作ることにした。全国を約340地域に分けた2次医療圏ごとに医師の不足度合いを算出し、対策のベースとする。

 不足する地域での医師確保には、都道府県の権限を強める。多くの大学医学部の定員には、一定期間の地元勤務を条件に奨学金返済を免除する「地域枠」があるが、都道府県が定員増などを大学に要請できるようにする。地域枠の卒業生を医師不足地域に派遣したり、病院ごとの臨床研修の定員を調整したりする機能も持たせる。また、地域医療の核となる病院の院長になる要件に、医師不足地域での勤務経験を加え、キャリア形成の優遇を図る。

 診療科の偏在も改善を進める。この20年間で、麻酔科や放射線科、精神科の医師は6~8割程度増えたが、激務の外科医や産婦人科医は横ばいだ。厚労省は診療科ごとの各都道府県の需要を予測し、必要な専門医数の目安を示して勤務先を誘導する。来年度導入される新専門医制度でも、研修病院が都市部や大学病院に偏らないよう日本専門医機構が都道府県と調整することを、法律に明記する。【熊谷豪、河内敏康】
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https://www.m3.com/news/iryoishin/569842
m3.com意識調査
大学医局の強化、賛否拮抗「若手を鍛える」「教授の好き嫌い」◆Vol.1
再強化の可能性、4割が「不可能」

レポート 2017年11月18日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 地方の医師不足を解消するため、様々な方策が検討される中で、自民党の国会議員などが強調するのが「大学医局の強化」(『自民党で「医師養成・偏在是正議連」が発足』を参照)。その是非、可否について考えを聞いたところ、当事者である医師では、賛否が拮抗していることが分かった。

Q 地域への医師派遣のため「大学医局」を強化すべきだと思いますか?
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 勤務医では「強化すべき」「すべきでない」「どちらとも言えない」がほぼ拮抗、開業医では「強化すべき」が43.5%と相対的に多かった。

Q 政策的手段により、かつてのように「大学医局」の力を強化することが可能だと思いますか?
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 「可能かどうか」では、勤務医、開業医とも拮抗したが、「不可能」が4割でわずかに多かった。

Q 「大学医局の強化」についてご意見をお聞かせください。

 自由意見には、たくさんの意見が寄せられた。

・過疎地の医師不足、地方の医師不足は、大学医局の力を低下させた研修医制度のせいである。厚生労働省は、間違いであったことは決して認めないであろうが、大学医局が主体の医師派遣体制を復活させることが、若手医師の勘違いを正すためにも、日本の医療体制を確保するためにも必須である。【勤務医】

・臓器別の科ではなく、内科、外科の中にそれぞれ臓器のスペシャリストを置くべき。大学の医局は巨大なピラミッドの形にしておかなければ、医師の供給はできない。医師をある程度コントロールできる組織に属させておかないと収拾がつかなくなる。臓器別の小さな科の分けさせた厚労省の政策は間違いだったと認めて改善すべきである。【開業医】

・退職金も準備せず、福利厚生も与えない組織に誰が従うのですか?【勤務医】

・大学には大学、民間病院には民間の役割がある。対等の立場から意見交換をしなくては日本の医療は、崩壊する。IT社会において昔の医局制度回帰は、極めてナンセンスである。【勤務医】

・医局の権力を強化するかどうかではなく、少なくとも医師としての初期教育は大学がふさわしいと考える。大学を通らなかった医師には、その後問題のある人がいるように思う。【勤務医】

そのほかの意見は『大学医局の是非「医師教育は体育会系に限る」「『白い巨塔』の再現に」◆Vol.2』に掲載

【調査の概要】
調査期間:2017年11月6日~11月14日
対象:m3.com会員
回答者数:2558人(開業医400人、勤務医1618人)
回答結果画面:「大学医局の強化」すべき?できる?



https://www.m3.com/news/iryoishin/569843
大学医局の是非「医師教育は体育会系に限る」「『白い巨塔』の再現に」◆Vol.2
『大学医局の強化』すべき?できる?

レポート 2017年11月18日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 m3.com意識調査で、 「『大学医局の強化』すべき?できる?」を尋ねたところ、たくさんの意見が寄せられた。その一部を紹介する。調査結果は「大学医局の強化、賛否拮抗「若手を鍛える」「教授の好き嫌い」◆Vol.1」。

Q 「大学医局の強化」についてご意見をお聞かせください。

・都市部への医師偏在が進み、地方大学では入局者の減少が目立つ。そのため地域病院への大学からの医師派遣は難しくなっている。やはり大学医局の強化を図る必要があります。大学でも研修できやすいように、大学医局の構造改革も必要である。大学講座の細分化しすぎているように思う。その一つとして、大外科、大内科構想も必要に思います。【勤務医】

・地域医療への大学医局の貢献を思えば、強化してさらに地域医療に役立ってもらうのが本筋だと考えます。【勤務医】

・医局を強化することによって、地域への医師派遣を行えるかどうかは医局の管理者の方針に依存する。個人的には大学医局の強化が地域への医師派遣には直接結び付かないと考える。大学に医師があふれる状態になるだろう。しかし、現状を改善するためには、大学に医師が溢れる状態をいったん作り、あふれ出る医師が地域に派遣される形を取らざるを得ないだろう。個人的には、人が多い病院と人が少ない病院で給与格差ができれば良いと思っている。現状では、大学に所属してアルバイトをすれば、市中病院並もしくはそれ以上の報酬が得られることも多く、肩書や給与、通勤の便利さなど、大学所属で困ることが少ない。【勤務医】

・医師教育は、体育会系に限ります。あたまのいい子が多いので、命令しないと、言うことを聞かない。【勤務医】

・現在、大学に勤めている身分からの意見ですので悪しからず。以前は論文を書いている人が偉くなった時代は終わったと言われていますが、現状はやはり論文での審査によります。自身が勤めている施設内では卒業生で好き嫌い人事が少し前まで横行していました。このため小生はだいぶ辛い目に遭わされましたが、いろいろ振り返ってみると辛かったことが身に付いております。小生も初めは論文なんか関係ないと思い込んでおりましたが、良き厳しい指導者のおかげで何とか雑草のように業績を積ませていただき、現在のアカデミックポジションを与えてくれました。最近は少しゆとりが出てきたためか、少しながら周囲を見渡すようにしています。好き嫌い人事でポジションを得た方々の様子を見ると、下の先生への指導力が乏しいことが自身にも解っておられるようで非常に追い込まれている先生もおられます。それではバイオレンス系で「俺が、俺が」の先生も周囲との関係の維持が困難で職場環境の問題が大きいようです。ちょうど中間の先生が居られないのが実情と思われます。昔、医学生の頃に恩師に言われた言葉ですが、「医師となり患者さんを助けることも重要だが、大学の教官となり沢山の学生に医学教育を施して良い医師を育て、そうして育った医師が、また沢山の患者さんを助けることも重要である」と語っておられたことを思い出す今日この頃です。この言葉を思い出すと、今後の医学教育に不安を覚えるのも事実です。大学教官が減少することは…つまり医師の養成にかかわるので、ある程度の大学強化は将来を見据えても重要なことと考えます。【勤務医】

・専門医制度を盾に強化することは可能だが、都会では効力を持たないであろう。現在の若い先生と話すと、一定の割合の先生方はフリーになることに抵抗もなく、医局に従属することに意義を見い出していないと思う。年齢を経るにつれ、徐々に増加していくと思う。女性医師については働き方の議論が進まなければ、医局に入る必要性を感じず、働ける病院で働くというふうに変化しているので、医局の強化では偏在がなくなると思えない。病院側もフリーの医師が増加することもあり、医師の雇用に医局が関与する意義を見出せないし、実際既に医局と縁が切れている病院が増加している。医局強化で自分の病院の医師雇用が今まで以上に順調にいくとは思えないし、医局側に支払う上納金が法人扱いの寄付に変化するというだけと思われる。【勤務医】

・それだけの実力を伴った医局でなければならないが、そうであれば地域の調和と義務とのバランスを取りやすい。現在は内容の伴わない施設間の競争時代で、義務のたらい回しも起こり、患者をはじめ関係者は誰も得をしていない。むしろ関係しない一部の気ままな自由診療だけが謳歌してその一部が結果問題になっていると考える。つまり義務を伴わない権利の横行が目立つ。有能な医局であれば義務と権利の適切な配分への道が可能であるかもしれないと期待したい。【勤務医】

・既に時遅しで、地方大学は疲弊していると思います。次は大学の復権よりも、地方の衰退が目立つようになるのではないでしょうか。医師もいなくなるが、住民もいなくなるように思います。【勤務医】

・医学部は多額の税金が投入されているので、医者になって数年間は地域に限らず病院で研鑽を積みながら奉仕すべきだと思います。教授や医局長が人を育てようと思い人事をしているなら医局の強化しつつ地域医療にも貢献できると思います。実際は自分や大学のことだけを思う人が増えているのではないでしょうか?【勤務医】

・かつてと異なり、大学は独法化され収益を求められるようになった。研修医は研修病院をマッチングや専門医制度の変遷はあったにせよ、いわゆる徒弟制度からはいったん解放された。一度、甘みを知ってしまった研修医、修練医は昔のような旧態依然した医局には属しませんよ。不満があれば直ぐ退局してしまいます。大学もそれが分かっているのか、昔のように上から目線で地方へ医師を派遣できなくなった。もう一度昔のようにはできません。働き方と一緒に新しい方法を模索しなくては。【勤務医】

・地域医療、へき地医療を云々するのであれば、大学医局の強化は図るべき。しかし、医局の強化をするのであれば、その医局の舵取りをする教授の独断的な判断・独裁を許さないようなシステムを作っておくべき。【勤務医】

・大学医局の強化はアカデミックな視点のみが重要であり、その点では強化する意味があるが、医局制度で地域への医師派遣を考える時代は終わった。【勤務医】

・内科分野では、大学医局の強化によりいわゆる「専門バカ」と言われる専門領域以外には診療しない医師がさらに増加する可能性がある。このような医師が地域の民間病院に派遣されると正直あまり地域では役に立たない。地域医療では一人で何役もこなさないといけない現状がある。日本内科学会も、臓器別医療に対する反省から、内科全般を診療できる医師を養成するという方針を立てており、医局強化はこの方針に反することになる。よって、大学はあくまでも専門科を養成する教育機関として今後も活躍してくれればよく。それ以外に、地域で多くの役をこなせる「使える」内科医をさらに養成する方法を考える必要があるのではないでしょうか。私自身は、片田舎の民間病院に勤務していてそう思います。【勤務医】

・地方の人員確保だけを考えるなら有効な手段。ただし、働く側から見れば、家族の都合も何もなく、へき地から都市部まで、引っ越しのための休みももらえず短期間で移動を繰り返すのはかなり厳しい。結局、民間病院でも魅力のあるプログラムを提供しているところはあるので、政策的に強化しようとしてもそちらに流れるのでは?自分は医療過疎地と言われる県の大学卒業ですが(出身地は違う)、結局奨学金や地域枠の制約をぶっちぎって他県の魅力的な民間病院に流れた同級生が複数いました。【勤務医】

・大学医局が人材育成のために骨を折るのであれば強化もよいかもしれませんが、教授という”支配者”の個人的利益を満たすための組織体であれば、強化せず、研修医や後期研修医は国が人材配置をできるような仕組みのほうが、医師の偏在問題や研修内容の差異を埋めるに公平性があるようにも思える。しかし、職業選択の自由はその人本人のものであり、どこまで介入すべきかは難しい。【勤務医】

・組織よりも個人の価値観が重くなっている現在では、人事を中心とした運営で、医局に医師を引き止める事は非常に困難な状況にあるのではないでしょうか。医師の教育を中心とした運営で、個人のメリットを強調することが大切だと思います。【勤務医】

・大学医局制度が日本の医療界を悪くした。もし大学医局を強化するのであれば、主任教授の任期を2、3年程度にする必要がある。【開業医】

・弱体化してしまった大医学医局はなかなか強化は難しいが、日本全体として医師適正配置としては重要と思われる。医局に集団でいるメリットを見い出せたらいいと思う。【開業医】

・教授以下、講師までの雇用条件を改善することの代わりに、李下に冠を正さず、医局費・研究費の適正利用で医局員の専門性の高い指導をすることが肝要と思います。医療業界のごっちゃん体質はあり得なく、患者や疾病が医師人生の教科書であることも肝に銘じることも必要です。【開業医】

・非常に狭い特定分野の研究者のための医局では臨床スキルを指導することはできないし、有能な臨床医は育たない。だから臨床医を目指す医学部卒業生は大学から離れていったはずである。さらに言えば、地域への医師派遣というのは大学医局の役割ではない。大学医局の「研究者教育強化」なら理解できる。【開業医】

・大学の仕事は、研究、教育、診療であり、政治(人事による医師や関連病院を支配して利権を争うこと)は筋違いで大変迷惑です。【勤務医】

・各地域の実情をよく知っている医局が医師の適正配置を行うのが最も良いと思う。国で一律の医師再配置はうまくいかないと思う。【勤務医】

・内科系は医局も統合化されてしまい、もともと大きかった分野の権力がさらに増大し、当科のようなマイナー内科はさらに苦境に立たされてしまう。人口減に立たされる国にとっては、そもそも医療をこれまで通りに地方の隅々にまでいきわたるようにすることは困難であり、アメリカのように病院に旅行するというような発想に転換が必要かもしれない。地方や都会に住むというリスクとベネフィットをそもそも明確に個人が把握するような議論が必要と考えられる。日本国内に住んでいれば、全てのサービスを平等に享受できる時代は終わったという認識が必要。【勤務医】

・地方の人事は大学医局に頼るしかないのが実情。しかし、その際に人事権は教授から剥奪して、大学に独立した人事部を創設すべき。【勤務医】

・私自身大学に所属しているが、臨床への理解度が低い研究畑の教授が人事権を持つケースが多く、大学医局の医師派遣への貢献は大きいが臨床研修の面等からも望ましいとは言えない。【勤務医】

・地域医療は疲弊しており、マッチング制度ができてからますます若い医師が赴任していないような気がします。ますます悪化することが予測されるため医局の強化というのは必要ではないかと思います。【勤務医】

・20年以上医者をやっていたものからすると、地域医療にとっての大学医局は必要悪のようなものだったのでは?私自身も若いころに地方の公立病院に医局人事で行きました。個人的には良い経験であったと思います。ただし,地方の病院でも,大都会の有名施設と同様の医療を受けたいというニーズがある現代には,若手だけを地方に廻すようなシステムでは,マッチしていないのでしょう。また,医師の世界(出身大学にもよるのかもしれませんが)は、以前は徒弟制度みたいな感じでしたが、今はそれを良しとはしませんからね【勤務医】

・一度自由な研修を受けた若い先生方が以前の徒弟制度に戻れるとは思えない。また、さとり世代以降の考え方では医局や教授に彼らの生き方が縛られるとは思えない。【開業医】

・2004年度の初期臨床研修の必修化は,医学教育における「ゆとり教育」以外の何物でもない.ダメなものはダメと結果を認め,「ゆとり教育」を廃止したように元に戻せばいい.【勤務医】

・会社では人事での異動先を原則的に拒めないように、医局制度下でなければ、医療過疎地を助長することになる。政策的手段では医師個人の選択の自由が優先されてしまい強制力は生じない。【勤務医】

・医局が人事権を持つと、好き嫌いで人事が決まり、コネだけの社会が強化される。それよりも、手術件数、外来件数、検査件数、論文件数などの客観的な指標で人事を決めるべき。【勤務医】

・新専門医制度によって必然的に医局に関わらないと専門医を取れなくなっている。初期研修後から関わるので、明らかに医局を中心としたキャリア形成を今の若手は迫られている【勤務医】

・大学医局を強化するためには、医学博士を持つことの利点を明確化するという方法が考えられる。臨床論文のポイントで学位申請を行えるようにすることで、ある程度実用化が可能なのではと思われる。【開業医】

・絶対反対、白い巨塔の再現、臨床経験の圧倒的に多い野戦病院に若い時行くべきです。教授の命令で老人病院にバイト、短期間の勤務なんかさせられたら、貴重な若い時期の成長期がなくなります。【開業医】

・医局強化はかつての大学教授の専制的な権力増強を復活させるだけで、何のメリットもないと思います。行政が責任をもって地域への医師配置に努力すべきだし医師の集まらない地域では現状より医師が集まりやすくなるようなインセンティブつけるべきであろうと思います。【勤務医】

・大学は各地方の医学教育と人材育成の要なので、特に地方では大学を中心とした人事の流れが、その地方の医師の供給を支える原動力となると思います。しかし、若い医学部卒業性には、都会に出て良いというお墨付きが与えられているので、地方の大学医局が人事の中心に再びなれる可能性は、ないではないが困難を伴うでしょう。【勤務医】

・大学医局は本来医学的研究のためにあるものであって医師派遣業ではない。派遣業がやりたいのならそれに相当する能力のある組織で労働法令に則った合法的組織である必要がある。大学教授にその能力はない。【勤務医】

・このままでは大学には人がいなくなってしまう。大学は臨床だけでなく、教育、研究を行う場所であり、マンパワーは一般病院よりも必要。大学に属したことがない医者が増え、その結果、一度も研究したことがない医師、一度も論文を書いたことがない医師が増えてしまう。決して良いことではない。【勤務医】

・大学医局に頼らなくても自己研鑽や勤務先の選択を行うルートがあるため、大学医局の強化は不要と思う。【勤務医】

・大学の労働状況がブラックである以上、医局の力を強化すると若手医師が疲弊するので反対です。また、政策により医局の力を強化しても、賢い医師は何とかして都会の市中病院に逃げるだけだと思います。【勤務医】

・近年、医療技術や知識のみならず医師としてのモラルを著しく欠いた医師が、地方とは言え公的病院でも増えていると聞きます。これは医局制度の「崩壊」に伴って起こった必然的な現象であると思います。これらのゆがんだ医療状況に対しては改めて厚労省が責任を持つべきです。具体的には、厚労省病院局の指導により全ての公的病院の医師の採用に当たっては所属する医局からの推薦を必須とする旨を徹底すべきでしょう。【勤務医】

・医局の強化は地方への医師派遣などで一定の役割はあるが、新専門医制度はあまりに自由度がなく、プログラム外の施設での研修ができない。強化するにしても、自由度は高くしなければ時代には合わない制度だと感じる。【勤務医】

・地方の大学病院の入局者が少ないのは良く無いと思います。東京の集中は後継者の問題もあり、厳しい現実があります。フリーターとして、東京から戻らない方も多いです。【勤務医】

・私は医局制度時代の医師です。研修医制度さえ作らなければ今のような状況は起こらなかった。そこに、さらに専門医制度などと無意味なことをしようとしている。政府が失敗を認めさえすれば医局制度の復活は容易であり、医師不足解消など簡単にできるでしょう。【勤務医】

・医局を強化する以上は、公立病院に勤務している医師に対してもwin-winな関係を築いてほしい。医局のみを強化することにアップアップしている教授には辟易している。【勤務医】

・大学医局というと「白い巨塔」のイメージが今でもつきまとうのは時代錯誤と言わざるを得ない。社会問題化する地域医療の危機の多くは地方のしかも県庁所在地以外で起こっている。そのような地域の中核的医療機関(地方自治体の公的病院が多い)を支えているのは地方大学である。地域医療の医師偏在による医師不足は地方大学の医局に医師が少なくなったことによる。これが新臨床研修制度導入後に起こったことは事実である。全国医学部長病院長会議のデータを見ても大都市(県庁所在地で人口が50万以上)に存在する大学では新臨床研修制度導入後も大学に残る医師は減っていないが、中・小都市(県庁所在地人口が50万未満)に存在する大学では半分以下に落ち込んでいる。この制度を改革しない限り(言い方を変えれば地方大学に医師が残る制度)医師偏在は解消しないだろう。地方大学の医局が強化(医師が増える)されることは地域医療の維持のために必要である。【勤務医】

・地方大学の医局に人が入らなくなり、離島への医師の派遣も困難となっている。そればかりか、市中病院で研修をすることが一般化することによって、特に地方では内科・外科といった命に直結したメジャー系への志願者が減って、今後手術や内科治療を担っていく若手が減ってしまっていると感じられる。【勤務医】

・医局を崩壊させた国策によって医療崩壊が進んだ。関与した官僚全てを解雇し、大学医局を強化するか別の組織が医師の配置をコントロールすべき。少なくとも臨床経験10年未満はコントロールすべき。【開業医】

・国立大学は地域枠を一定枠を多めに(20~30人)は必ず確保する。就業義務遵守に関しても、法律的に保護する。難関化する医学部入試で、地域医療を頑張りたい志が高い若者を一定数、確保することが大事。【開業医】

・教授回診の重要性、教授の人格・人間性、研修医、基礎系の大学院での研究、Ph.D.としての海外留学、チーフレジデント、病棟医長、講師、医局長、全てが、人生にとって、重要なプロセスでした。今は、卒後、TOEFLを取り、米国で、臨床研修することがはやっています。その時代、その時代での流行と思います。医局は、いつの時代においても、その核となります。【開業医】

・以前の医局には戻らないように、そして地域病院と連携してそれぞれ役割分担しながら医師養成を行うことがよいと考えている)。大学医局とgive and takeで連携していけなければ存続できない。【開業医】

・医局は強制することも一部可能であるが、国、地方自治体、学会などからは強制できないため医局にお願いというところなのだろう。しかも、医局のせいにできて好都合になる。医局は悪いところ、教授は悪の権化となる。芸能人医師(ただの評論家)、医療マスコミは批判を強める。このアンケートでも医局に対して悪意を感じるが。【勤務医】

・医局の強化=教授陣の強化だと思いますが、今の給与体系では優秀な教授は国公立大学には残らないでしょう。【開業医】

・大学医局が全て悪いとは思いませんが、縄ばり争いになりやすかったり、医局が地方病院を自分の傘下において支配しているようになりやすいと思います。地方病院からの寄付や中堅医師や高齢医師の就職先(天下りのような関係)として扱う傾向に不安を感じます。誰のための医療なのか、疑問に感じます。中堅医師を1-2年後に派遣して地方の医師不足を解消しているようなことを主張することがありますが、患者にとってはすぐに担当医が変わる外来は決して気分が良くないと思います。まあ、横柄な医師が変わってくれてよかったと思うこともあるかもしれませんがね。何のために大学医局を強化するのか?大学医局の存在意義は何なんですか?主任教授の力支配欲ですか?大学医局を強化するより、患者・国民のために医師不足や医師の偏在をなくす全国的視野を持つ医師政策、医療政策を立案できないですかね。【勤務医】

・大学医局の弱体化によって医師の偏在を補正するだけのマンパワーを派遣元の大学病院が確保できていない。メリットデメリットはあるだろうが、女性医師の産休や育休が自由に取れていない今、大学医局に医師を集中させ、その分、男性含め休暇をしっかりと取得させる働き方改革が望まれる。【勤務医】

・医局を強化し、人員を確保出来れば、医師偏在が解消可能性はあるが、それは適切に医局が医師派遣をした場合であって、派遣する側が、僻地の医療機関の足元を見て無理難題を押し付けてこないとも限らない。【勤務医】

・利点と欠点がある。偏在是正のためなら、研修医制度を含めて総合的に、現場の医師が納得できる仕組みが必要。小手先の改革(改悪?)は現場が混乱するばかり。教授の主張が正しいとは限らない。むしろ教授個人の社会的責任を追及する制度が必要。【勤務医】

・入局時から都市部の人気がある病院ばかりを回る医局員と、地方の野戦病院ばかりをドサ回りさせられる医局員とに分かれるので「大学医局の強化」には断固反対です。機会の平等がなくなります。【勤務医】

・医局は同窓会同様の私的団体にすぎない。政治的に介入するのなら、根拠法が必要。医師も労働者。供給が足りないのなら給与を上げるなどして需要が充足されるよう、いわゆる神の見えざる手が働くのが正常な社会。年収1億円くらい提示したら僻地の医師不足など瞬く間に解消するだろう。売り手市場の今、なぜかくも多くの医師が自らの給与を下げるような方向性(医師派遣とか医局の力強化とか)で活動するのか不思議でならない。【勤務医】

・過去の栄光にすがるのが良いことかどうかは分からないが、昔はそれが良かったのかもしれない。地域医療と大学での研究人材を一緒にとらえているからなのでは?そもそもの医療のありかたから考え直す必要があると思います。【勤務医】

・地域への医師派遣は大学医局からのほうがスムースだろう。そのためには大学医局の強化は有力な方法だが、一方で大学医局の強化は諸刃の剣である。関連病院への医師派遣を医局内の誰が決めるのか?教授か、同門会の民主的な会合か?人事権を教授一人が持つようになれば医局員や同門会にとっては悲劇である。【勤務医】

・無給医局員の廃止し、大学院生にも労働に応じた賃金を支払う。大学によっては、技師、事務、看護師よりも給与が少ないため、職業に見合った給与を支払うべき。また、技師、事務、看護師の給与を減額するべきである。医師の労働環境の悪化は、看護師が医師への責任転嫁による部分もあるため、看護師にはこれまでよりも広く責任や業務を担っていただく必要がある。事務の給与が大学病院内で最も低くあるべきである。【勤務医】

・大学派遣の場合、地域医療の大切さは分かっていても、片道切符では誰も行きたがりません。ローテ―トできっちり規約をつくれば、心あるものは行くと思いますし、臨床の技能は上がります。【勤務医】

・今始まろうとしている新専門医制度のあり方次第ではあると思うが、大学医局に所属しないと専門医を取得できないようにしてしまえば、自然と大学医局の強化にはつながると思われる。しかし、嫌がる人も多いと思う。【勤務医】

・ある種非営利団体であること、組織存続のために医局所属の個人に負担を強いていること、出世しても経済的メリットはほぼないこと、所属しなくても罰則がないこと。これらがある限り医局復権はない。【勤務医】

・目的と手段が大きな課題。関連病院の支配強化のために専門医機構を利用したり、次世代の人材育成が二の次になるようでは困る。人材育成とともに地域医療の安定に寄与することが重要。企業べったりの講演活動や上納金集めばかりするではダメです。【勤務医】

・大学医局人事も色々問題あるが、それでも個々の医師の力量と専門性と家庭の事情(優先順位低いときもあるけど)を考慮しやすいし、技術不足や急な欠員な場合の人的フォローも出しやすいので、やはり顔の見える程度かつ互いの仕事を知っている関係での人事が一番良いと考える。良い医局は医師を育てる。悪い医局(厚労省や社保庁のようにただ権力行使に快感覚える精神異常者が多数いる医局)では医師は育たないけど。【勤務医】

・救命救急センターレベルにある医療機関以外への医局員の派遣がほとんどない。それは一般救急病院でも症例数の激減により専門医訓練施設から外れているためである。医局機能の低下も一因かも知れないがそれだけではないであろう。若い医局員は症例数の多い、都市部の病院を希望しており、以前は嫌でも地方や人口の少ない地域にも、パートのような形でも診療応援に行っていたがそれも少なくなった。最近は大学に近い地域の当直・パートが殆どではないか。大学も救急をしており医局員を外に出したくないのであろう。救命救急センター優遇と専門医訓練施設基準が是正されなければ医局強化が可能であったとしても何も変わらないかもしれない。【勤務医】

・とんでもない発想で、学閥を助長し、世間の狭い教授の横暴を許すにすぎない。現在の医局は即刻廃止で、医師個人や病院の経営などに責任も持てないで、その人事を左右するなんて、根本的に間違っている。大学の講座は研究と高度な臨床教育と学生教育に徹し、研究者を養成する機関として存在するにすぎない。またその医局は病院の医局と同様に医師の集まりにすぎない。【勤務医】

・医局の強化とは、人員配置権限を強めることだが、地方大学では、大学に優秀な人材は残っていないところが多く、教授のなり手も少なく、レベルダウンしている。権限だけ強めても困ったことになる。【勤務医】

・このような制度は欧米ではありません。欧米は出身大学と研修する病院とは別の事も多く、大学医局の強化は変な封建主義になります。むしろ個々の素晴らしい病院を育てるべきで、国も援助すべきです。大学医局は人材も少なく、むしろ教授には臨床のできない先生も多いですので、大学は医学生教育と海外に負けない研究に集中すべきと思います。【勤務医】

・大学医局の実態を知らない馬鹿な議員さんの意見で、そうなれば個人の人権・権利が侵害される状況を危惧する。医師がその勤務場所が医局に縛られると、教授・医局長の好き好みの支配が横行されることになる。また大学の名のもとにあたかも医師の教育がなされている印象をもつが、実態は一般病院に劣っている。またバイトで生活費を稼ぐ環境にあり、医師を育てる土壌はない。日本の医療の後退を意味するからとんでもない発想としか言いようがない。【勤務医】

・単に以前の状態に戻ることは少なくとも望ましい初期臨床研修の実態に合わないし、戻したくても戻せないと思う。ただし、後期研修以降に関しては大学医局からの派遣という形にするのが、教育・地域医療への貢献・専門医の適正配置のコントロールという面から妥当ではないかと思う。教授への権力集中を避けながら、医療の均霑化を図る方法を新たに模索しつつ「大学医局」を強化するのは1つの選択肢ではないか?【勤務医】

・現在のような中途半端な研修をやめて、大学医局に早く入局して研鑽を行い、しばらく医局内で研修した後に、救急や産科などに一定期間出向して勉強した方が良いのでは。色々な意見はあると思いますが、各大学医局の責任において各病院の人事を行う方が合理的でしょう。【開業医】

・大学医局、市中病院、などという外形的区分に実質的意味はない。良い医療、良い教育、良い研究は、併存できるかも知れないし、分離すべきかもしれない。それはどちらでも良いが、大学医局じゃなければならない、などという根拠なき主張には、いったい誰と戦っているのかと思わされる。医師同士はチームであり、戦うべき相手は、社会保障費の問題であり、海外勢であり、産業界であり、研修医が死んでしまうほどの劣悪な職場環境、学生のクラブ活動の延長線上のガバナンスである。【勤務医】



http://www.medwatch.jp/?p=17055
2018年度、診療報酬のマイナス改定を要請—中医協・支払側委員
2017年11月22日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定では、国民皆保険制度の維持、国民負担の抑制、経済の成長などを勘案してマイナス改定とすべき—。

 中央社会保険医療協議会の支払側委員は11月22日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛ててこのような要請(平成30年度診療報酬改定に関する要請)を行いました。年末にかけて、改定率を巡る議論がますます熱くなっていきます。

診療報酬本体のマイナス改定を求めるかについては、支払側内部で意見割れる

要請を行ったのは、▼健康保険組合連合会▼国民健康保険中央会▼全国健康保険協会▼全日本海員組合▼日本経済団体連合会▼日本労働組合総連合会—の6団体です。

「医療費を含めた社会保障費の増大は経済成長の足枷となる」「医療費増に対し、現役世代人口が減少するため国民皆保険制度の崩壊につながりかねない」「賃金・物価水準が上昇しない一方で診療報酬本体はプラス改定が続き、ギャップが大きい」ことを指摘し、国民負担を抑制するために「2018年度には診療報酬をマイナス改定すべき」と6団体は要請しています。

ただし「マイナス改定」が、薬価などを含めた「ネットのマイナス改定」にとどめるのか、「診療報酬本体のマイナス改定」をも求めるものなのかについて、支払側の意見は統一されていません。

会見を行った、健保連の幸野庄司理事(中医協委員)は「診療報酬本体のマイナス改定を求めたい」旨を明言。一方、連合・総合政策局の平川則男局長(中医協委員)は「かつての診療報酬本体マイナス改定で地域医療崩壊という事態を招いた。医療提供体制への影響を慎重に見極める必要がある」と述べ、診療報酬本体のマイナス改定には慎重姿勢をとっています。また、全国健康保険協会の吉森俊和理事(中医協委員)は、「保険者としては診療報酬本体のマイナス改定も必要と思うが、一方で、医療機関で働く人の待遇という問題もあり、一歩踏み込んで『診療報酬本体もマイナス改定』と言い切ることは難しい」と、両者の中間的な意見を述べるにとどめています。

 このほか6団体は、▼医療・介護連携、効率化を主眼に、「地域包括ケアシステムの構築」と「医療機能の分化・強化」を推進する▼急性期をはじめとする患者の状態像に応じた適切な評価を推進する▼患者本位の医薬分業に向けて調剤報酬を適正化する▼後発品の使用を促進する—ことで医療費の適正化・効率化を図るよう求めています。



http://wic-net.com/report/3152/1.html
注目の記事 [医療提供体制] 地域医療構想の進め方で議論の整理案提示 WGで厚労省
地域医療構想に関するワーキンググループ(第9回 11/20)《厚生労働省》

発信元:厚生労働省 医政局 地域医療計画課   2017年11月20日(月) Wic Net

関連資料 http://wic-net.com/report/3152/1.html#al01
PDFダウンロード http://wic-net.com/report/3152/1.html#al02

今回のポイント
●厚生労働省は11月20日の医療計画の見直し等に関する検討会・地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)に、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示
○整理案は、骨太方針2017に明記された、個別病院名や転換する病床数等の具体的対応方針を毎年度作成するよう、都道府県に指示
○過剰な病床機能への転換を希望する医療機関があった際には、都道府県が当該医療機関に対して理由書などの提出を求め、正当な理由が認められない場合は、都道府県医療審議会の意見を聴いた上で、病床機能を転換しないことを命令または要請することができることを明記


 厚生労働省は11月20日の医療計画の見直し等に関する検討会・地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)に、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示した。これまでのWGや親検討会での審議内容を反映させ、地域医療構想調整会議の運営方法や情報共有のあり方、過剰な病床機能への転換を希望する医療機関があった場合の対応-などを記載した。
 骨太方針2017には地域医療構想調整会議について、「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年程度で集中的な検討を促進する」と明記されていることから、議論の整理案は都道府県に毎年度、具体的対応方針をとりまとめるよう指示。内容にも注文をつけ、調整会議で2025年における役割と医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関の(1)2025年を見据えた地域において担うべき役割、(2)2025年に持つべき医療機能ごとの病床数-が含まれていなければならないとした(p63参照)。

 開設主体別の対応手順では、公立病院、公的医療機関について、新公立病院改革プランと公的医療機関等2025プランをそれぞれ策定した上で、2017年度中に2025年に向けた具体的方針を調整会議で協議することと定めた。このうち公立病院は、へき地医療、救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算医療、高度・先進医療、広域的な医師派遣の拠点としての役割が期待されていることに十分留意するとともに、地域においてこれらの医療を公立病院が担うことが適当であるのか、確認する必要があることを示した(p63~p64参照)。

 病床機能報告において、6年後の病床機能を地域で過剰な機能に転換する意向を示した医療機関があった際には、都道府県が▽理由書の提出▽調整会議での協議への参加▽都道府県医療審議会での理由の説明-を要求。正当な理由が認められない場合には、都道府県医療審議会の意見を聴いて、病床機能の転換をしないことを命令(公的医療機関)または要請(民間医療機関)できることを明記した。全病床が稼動していない病棟を持つ医療機関に対しても、調整会議の場で病棟が稼動していない理由や今後の運用見通しを説明することを都道府県が要求。病棟を維持する必要性が乏しいと判断された場合は、都道府県医療審議会の意見を聴いた上で、病床数の削減の命令または要請が可能であることを示した(p65~p66参照)。

 調整会議における情報共有のあり方では、都道府県に対して、病院ごとの診療実績データなどの提供を指示。具体的には、▽高度急性期・急性期機能:幅広い手術の実施状況、がん・脳卒中・心筋梗塞などの治療状況、重症患者への対応状況、救急医療の実施状況、全身管理の状況など▽回復期機能:急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリテーション・早期からのリハビリテーションの実施状況、入院患者の居住する市町村やケアマネジャーとの連携状況▽慢性期機能:長期療養患者の受入状況、重度の障害児などの受入状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリ・早期からのリハビリの実施状況、入院患者の状況、入院患者の退院先-などの提出を求めた(p67~p68参照)。
資料PDFダウンロード
資料1 P1~P12 0.9M
資料2 P13~P42 3.6M
資料3 P43~P61 1.0M
資料4 P62~P82 1.4M

関連資料
[医療提供体制] 厚労省研究班が急性期機能の指標策定 地域医療構想WG3
http://wic-net.com/report/3016/1.html



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