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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月8日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/569804
真価問われる専門医改革
新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割
内科2554人、総合診療158人、東京の眼科などで調整も
 
レポート 2017年11月17日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は11月17日の理事会後の記者会見で、11月15日に締め切った1次登録者数は、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たる7989人に上ることを公表した。最も多いのは内科で2554人、新たに基本領域に加わった総合診療は158人。それ以外も含め、全19の基本領域別の登録者数は、地域医療への影響を検証した後、公表する予定。

 10月10日の1次募集開始時点の専門研修プログラムは3060だったが、その後、3つの総合診療のプログラムが追加、全3063のプログラムの募集定員総数は、1万9093人(3060プログラムの都道府県別の数は、『新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】』を参照)。今月末までに調整を行い、12月15日までに採否を決定、12月16日から2次募集を開始する。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「初期臨床研修を終えようとしている医師の約9割に、新しい専門医制度に登録してもらったことは、ありがたいと同時に、責任の重さを痛感する」と語った上で、「都市部への専攻医の集中はほとんどない。過去5年間の専攻医の平均採用実績を大きく回っているところはない」と説明した。

 新専門医制度は、都市部への医師偏在を増長するのを防ぐため、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では、医師不足の外科など4領域を除き、過去5年間の専攻医の平均採用実績を超えないように調整することが必要(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「東京都であふれていないかを今、検証している。それほど大きくオーバーしている領域はないが、眼科は前年度の採用数よりも50人ほど増えている。この辺りに心配がある」と語った。脳神経外科以外の領域は、研修プログラム制による専攻医採用実績についての過去5年分のデータがないため、「医師・歯科医師・薬剤師調査」なども照合して、検証を進めるという。なお、厚生労働省も、各基本領域の学会から、1次登録状況について報告を求め、検証する方針。

 7989人のうち、各専門研修プログラムの募集定員を超えたのは、計75人。専攻医登録用のIDを取得したものの、1次登録をしなかった医師が110人。これらに加えて、1次登録で調整の結果、研修先が決まらなかった医師などが、12月16日から開始予定の2次募集で登録することになる。

 1次登録者の大半は現在、卒後2年目の臨床研修医と想定される。2016年3月の医師国家試験の合格者数は8630人。ここには卒後、基礎医学等に進んだ医師も含まれるが、卒後2年目の臨床研修医の約9割が、専門医研修に入ると見込まれる。

 PMDAとAMEDの勤務経験、専門医更新の実績に
 そのほか、17日の理事会では、初期臨床研修が年度末の3月に修了せず、年度途中から専門研修を開始する場合の対応方針も決定した。年度当初から開始する専攻医と同じ募集定員枠内で研修先を決定、研修開始時点から各領域の所定期間(3~4年)、研修を行う。

 「今後、医師の働く場が広がってくる」(山下氏)ことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本医療研究開発機構(AMED)については、その勤務期間を専門医更新の際のキャリアとして認めることも決定した。各学会に対応を依頼する方針。山下氏は、「患者を診ているわけではないが、医学的な知識をフルに活用して仕事をしているため、診療と同様の実績として認める」と説明した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171117171750
地域医療に配慮した診療報酬になるよう改善を
全自病などが要望
 
2017年11月17日 17:30

 全国自治体病院協議会(全自病)などは、地域医療に配慮した診療報酬になるよう改善を求める要望書を、厚生労働省と総務省に提出した。医師の地域偏在を解消するため、医師不足の地域での一定期間の勤務の義務付けなども要望している。【松村秀士】

 要望書では、医療技術の適正な評価などを適切に反映させた診療報酬体系にすることを求めた。また、地域医療で重要な役割を担う中小病院、特に中山間地域の中小病院は現在、適切な医療提供体制を確保できるかどうかの岐路に立たされていると指摘。今後もその体制が確保できるよう、「地方に配慮した診療報酬制度になるよう改善すること」とした。

 また、医師の地域偏在や診療科の偏在を解消するため、需給調整に必要な開業規制と診療科ごとの医師数規制の導入を検討し、医療提供体制の「均てん化」に向けた対策を早急に実施することを求めた。具体的な施策として、▽病院や診療所の管理者となるために医師不足の地域での一定期間の勤務実績を条件とする▽地域医療の確保に関する責務を明確化し、国に検討の場を設ける―ことを挙げた。

 2018年度から開始予定の新専門医制度については、導入による医師の地域偏在などの悪影響の懸念が完全に払拭できていないと強調。同制度によって医師の地域偏在や診療科偏在が助長されないことを国が責任を持って検証した上で、日本専門医機構や関係学会に実効性のある対応を求めるといった必要な対策を講じるべきだとした。

 病院勤務医の労働環境の改善策に関しては、かかりつけ医への受診などで救急医療体制を確保するとともに、勤務医の負担軽減につながるような周知活動を継続的に行うことも要望した。

■措置入院患者の入院先、「高規格」の精神科病棟に限定を

 要望書では、精神科医療にも触れており、措置入院や医療保護入院などに関して、質の高い入院医療と退院後の適切なフォローアップが重要だとした上で、「高規格の精神科病棟に入院先を限定すべき」だとした。また、その際、医療法上の「精神科特例」を廃止し、精神病床について一般病床と同じような施設基準と医療費給付にするよう求めた。

 要望書は、全自病のほか、全国自治体病院開設者協議会や全国自治体病院経営都市議会協議会、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会、国民健康保険中央会の計10の組織が共同で取りまとめたもので、14日に提出された。



http://www.medwatch.jp/?p=16942
地域枠の医師、「理由なき公立病院への派遣」を委員がけん制―社保審・医療部会 
2017年11月17日|医療計画・地域医療構想 MEDWATCH

 「地域枠」で養成した医師の派遣先などは、開設主体(民間や公立など)の種別にかかわらず、病院が担う役割に応じて決めるべき―。

 社会保障審議会・医療部会が11月10日に開催した会合では、このような原則が確認されました。この日のテーマは「医療提供体制に関する現状と課題」で、ほかに、有床診療所の役割などについても話し合いました。

ここがポイント!
1 地域医療支援センターが調整した医師の派遣先、公立病院に偏り
2 地域偏在対策は都道府県と二次医療圏のどちらを中心に考えるべきか
3 専門特化型でない有床診は「医療・介護の併用モデル」に?

地域医療支援センターが調整した医師の派遣先、公立病院に偏り


 わが国の医療提供体制において、医師の偏在が大きな課題としてクローズアップされています。診療科や地域(大都市が多い)によって医師の偏りが見られますし、少子高齢化が今後進むにつれて、患者側のニーズが急速に変わっていく(慢性疾患を複数抱える高齢患者が増える)と想定されます。

 そこで、診療科や地域ごとの医師偏在を解消しつつ、医療ニーズの変化に対応できるようにするための施策が国や都道府県に求められています。具体策は現在、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」で話し合われています(関連記事はこちら)。

 医師需給分科会では、医療提供側が自主的に偏在を解消するために、「地域の医療提供体制の可視化」(診療科ごとの需要と供給がどれだけあるか)や、都道府県内でも医師が足りない「医師少数区域」への医師派遣などさまざまな策が検討されています。

 11月10日の医療部会では、医師偏在の実情や、その対策の検討状況などを厚労省が報告しました。その中で、医師の派遣先を開設主体別(公立・公的・民間)に調べた結果が示され、開設主体と医師派遣の関係をめぐって委員や厚労省の担当者が意見を交わしました。

 このデータは、2015年4月から17年7月の「地域医療支援センターによる修学資金貸与者の派遣調整の実績」を、厚労省が調べたものです。派遣先の医療機関の開設主体別に、派遣された医師数を割り出した結果、公立病院への派遣が最も多く、民間病院への派遣はほとんどありませんでした(公立693人・公的485人・民間30人)。
 これを見た中川俊男委員(日本医師会副会長)は、地域医療支援センターによる派遣調整が、公立病院などを優遇しているとしたら問題だと指摘。神野正博参考人(全日本病院協会副会長)も、開設主体別に「明らかに差異がある」として、「『民間病院に残れ』という話ではなくて、病院の(地域への)貢献度を(開設主体に)かかわらず評価した上で派遣してほしい」と要望しました。

 医学部地域枠は、「卒後に地域医療に従事したい」という明確な意思を持つ学生のための選抜枠です。2010年度以降、地域枠としての医学部定員の上乗せが大学に認められています。上乗せは「医師確保のための施策の一環として、都道府県が奨学金を出すこと」が条件で、この奨学金には、都道府県内で一定期間診療する条件が課されるものもあります。

 そうした医師の派遣については、都道府県の地域医療対策協議会で話し合い、地域医療支援センターが調整して行っています。大学医学部の地域枠の入学者数は年々増えています(地域枠入学定員は、2010年度が313人だったのに対し、16年度は592人)から、そうして養成された医師の派遣は、地域偏在の解消策として今後重要さを増します。

 中川委員や神野参考人の指摘は、それを見越して「公立病院への理由なき派遣」が起こらないようにけん制したものと言えます。

 これを受けて厚労省医政局の武田俊彦局長は、機能に着目した場合、公的病院と民間病院は「変わらない」との考えを提示。また厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長も、病院の果たす役割に応じた派遣が望ましいとの見解を示しました。

地域偏在対策は都道府県と二次医療圏のどちらを中心に考えるべきか

 医師の地域偏在の対策をめぐっては、「都道府県」と、より狭い「二次医療圏」のどちらを中心に考える必要があるかも論点となりました。

 武田局長は、「県の中でもだいぶ温度差があるので、二次医療圏単位で医師不足を考えていった方がよい」との考えを示しましたが、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は都道府県単位での検討を支持しました。

 相澤委員がそう主張したのは、医療提供体制のあるべき姿が決まらないと「適切な医師数」が分からないためで、「(体制を)どうするかが決まっていないうちに、きっちりやり過ぎると大変なことになる」と警鐘を鳴らしています。

専門特化型でない有床診は「医療・介護の併用モデル」に?


 11月10日の医療部会では、有床診療所の現状と課題についても話し合いました。1996年には2万施設を超えていた有床診療所ですが、減少が続き、今年(2017年)8月末には7342施設となっています(関連記事はこちら)。

 厚労省は、産婦人科や眼科、耳鼻咽喉科などの「専門領域に特化した有床診療所」について、「少ない人員体制で専門医療を効率的に提供可能な形態の一つとして今後も期待される」との見方を示しました。

 その一方で「地域医療を担う有床診療所」については、医療ニーズの減少を見越して【医療モデル】から【医療・介護の併用モデル】へと転換することも選択肢として考えられると指摘しています。

 【医療・介護の併用モデル】は、医療を提供するだけにとどまらず、介護サービスの事業所としても地域に貢献する有床診療所を想定したものと考えられます。この点、社会保障審議会・介護給付費分科会では、診療所が看護小規模多機能型居宅介護の事業所になりやすいように基準を緩和すべきかが話し合われています(関連記事はこちら)。さまざまな介護サービスで今後、有床診療所からの新規参入を促す施策が講じられるかもしれません。

 邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、「町立病院が病床を減らして有床診療所になる」ケースが今後増えると予想し、それも踏まえて有床診療所の在り方を考えてほしいと要望しています。



http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20171117-OYT1T50004.html
社説
診療報酬改定 効率化へ介護と連携強めたい 
 
2017年11月17日 06時01分 読売新聞

 超高齢社会に向けて、医療の質を高めつつ、効率化を進めて費用を抑制する。持続可能な制度作りに知恵を絞りたい。

 2018年度の診療報酬改定に向けた議論が本格化している。2年ごとに見直され、今回は介護報酬と6年ぶりの同時改定だ。年内に全体の改定率を決め、年明けに個別の報酬を決める。

 高齢化の進展で医療費は膨張を続けている。団塊の世代が75歳以上になる25年を前に、今回の改定は、超高齢社会に適した体制へと転換する最後の機会と言える。

 医療と介護の連携を強め、病院依存から在宅療養へのシフトを支える環境作りが最大の課題だ。

 政府は18年度予算編成で、社会保障費の自然増を概算要求時の6300億円から5000億円に圧縮する方針だ。その大部分を診療・介護報酬改定で捻出する。

 診療報酬のうち、医薬品価格の「薬価」は実勢価格に合わせた引き下げが当然だろう。焦点は医療職の人件費となる「本体」だ。

 厳しい財政事情の中、財務省は全体で2%超のマイナス改定を求め、本体に切り込もうとする。日本医師会は強く反発する。

 全体がマイナス改定だった前回以降、病院経営は悪化傾向にある。地方の医師不足も深刻だ。本体の改定率については、財政健全化と地域医療への影響の双方に対する慎重な目配りが求められる。

 診療行為ごとの報酬設定では、重症患者を受け入れる急性期病床の要件の厳格化が課題だ。

 看護体制が手厚く、報酬の設定が高い急性期病床は増え過ぎ、リハビリなどを重視する回復期病床が不足している。重症ではない患者が急性期病床にとどまり、医療費を押し上げている。

 急性期病床は重症度の高い患者向けに絞り込み、残りは回復期病床などへの転換を促す方向性は妥当である。慢性疾患を抱える高齢患者らのニーズに合致する。看護師らの有効活用にもなる。

 在宅療養の推進には、かかりつけ医の機能向上と在宅医療の充実が欠かせない。介護職などとの多職種連携も強める必要がある。報酬面での評価を工夫したい。

 薬局の報酬見直しも課題だ。政府は、患者の服薬情報を一元管理して、重複投薬の防止や残薬の解消、安価な後発薬の利用促進に努める薬局の普及を目指す。

 特定の病院の処方箋を主に扱う「門前薬局」は、こうした役割を十分に果たせない。前回改定で報酬を下げたが、効果は限定的だ。さらなる差別化が望まれる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/569496
医師臨床研修部会
マッチングで「地域密着型臨床研修病院」を新設
7科必修化「手痛い経験、内容をきっちりと」

レポート 2017年11月16日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は11月15日、初期臨床研修マッチングにおいて地域枠学生を優先的に採用する「地域密着型臨床研修病院(仮称)」を新設することや、初期臨床研修で7科目必修とすることを大筋合意した(資料は、厚労省のホームページ)。

 地方における医師不足解消の手段として期待される地域枠の入学者は年々増加しており、2016年度では全体の医学部入学定員9262人に対し、1617人で17.5%にまで拡大している。一方で、研修医の都市偏重を解消するために、全体の研修医の募集定員を2025年度まで1.05倍に段階的に圧縮することが決まっている。地域枠学生が就労義務のある地域でアンマッチになる可能性が高まるため、「優先的に採用する仕組みが必要」と厚労省が提案していた(『マッチング、地域枠学生に「0次募集」枠を』を参照)

 15日の部会で提案されたのが、臨床研修病院の中に「地域密着型臨床研修病院(仮称)」を新たに指定する仕組み。指定は都道府県が行い、希望する病院が手を上げる方式。通常のマッチングでは9月から希望順位登録を開始するが、同病院では5月頃に地域枠学生を対象に選考することができる。応募できるのは地域枠学生のみで、地域枠限定選考で決まらなかった場合は、通常のマッチングに参加する。地域枠限定選考枠は、地域枠学生の2割にとどめる。限定選考枠の対象者には、地域医療の研修期間を長くするなど地域医療に配慮した研修プログラムを提供することが求められる。

 厚労省事務局は「病院にとってのインセンティブは、限定枠を持てること自体にあると考える。マッチングの前に地域医療に熱意のある学生が採れる。人気のない病院に人を誘導するというより、選抜された学生が行く仕組み」と説明した。臨床研修病院の指定などでは都道府県の裁量が増える方針で、都道府県によっては既存のマッチング枠とは別に地域密着枠型臨床研修病院(仮称)に限定枠を付与するなどの対応をする場合もあり得るとする。

 事務局案では、限定枠学生のプログラムでは「地域研修を6カ月」とあった点について、和歌山県立医科大学長の岡村吉隆氏は「地域枠と一般枠を差がないようにした方が良い。地域枠の人が違う研修をさせられるという形にすると結果的に人気がなくなる」、千葉労災病院病院長の河野陽一氏は「地域枠学生の偏差値が低いところがある。優秀な人たちは一番人気の病院に行きたい。病院側がほしい医師としては若干問題が出るのでは」などと指摘した。桐野部会長は「基本的にはマッチング制度で行くが、地域枠の人が地域医療に貢献できるツールを用意しておき、うまくいく状況が想定できないことはないので、保険のような制度かなと認識している」として、大筋合意をした。2020年度の研修医1年生(2019年度マッチング対象学生)から導入する方針。

7科必修化「手痛い経験、内容をきっちりと」

 「医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」座長の福井次矢氏(聖路加国際病院長)が、WGで7科(内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急、地域医療)必修とすることで決まったことを報告(『外科、産科、小児科、精神科が必修復活へ、初期研修』を参照)。

 臨床研修部会でも大筋合意したが、順天堂大学学長の新井一氏は「2004年度に精神科は必修に入ったが、手痛い経験をしている。病棟に行って2-3時間話して終わってしまうなど空洞化した。内容をきっちりしていただかないと、若い医師が無駄な時間を過ごすことになりかねない」と指摘。岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏は「卒後2年間が労働者として規定されているのが間違い。これがあるために全然だめ。試験が終わってぽわーんとしてしまう。精神科はぽわーんとして良い科として最も批判を浴びるため、『急性期入院患者の診療を行うことが望ましい』とした」と説明した。

臨床研修病院、「B-」2回で指定取り消し

 基幹型臨床研修病院には地方厚生局による訪問調査が行われている。3段階(A、B、C)で評価され、Cを取ると指定取り消しとなるが、4段階(A、B+、B-、C)に変更し、指定取り消しの対象に「B-」が2回続いた場合も追加することで合意した。即取り消しになるC判定はほとんど判定されることがなく、「B-」を新設することで改善を動機付けるようにする。プログラム責任者に対する講習も必須とし、講習会の開催指針もよりきめ細かく定めることも決まった。



http://www.medwatch.jp/?p=16921
医師少数地域での勤務経験、まずはインセンティブ付与から始めては—全自病・邉見会長 
2017年11月16日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在対策に向けた「実効的な方策」の一環として浮上している、「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を地域医療支援病院などの管理者要件とする案について、まずは「インセンティブ付与」のような形で緩やかに導入し、効果が芳しくなければ強制的な手法に移行していく形が望ましいのではないか—。

全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、11月15日の定例記者会見で、このような見解を示しました。

いきなり厳格な要件化をすれば、反発を招きかねない

地域間・診療科間での医師偏在が深刻化する中で、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」では、医療法などの改正も視野にいれた「実効性のある偏在対策」の策定に向けた議論を進めています。

11月8日に開催された医師需給分科会では、一定の強制力を持つ方策として(1)「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を地域医療支援病院などの管理者要件に据えることをどう考えるか(2)診療所の開業について一定の制限を設けることをどう考えるか—という2つの論点に沿って議論。(1)については、構成員間で温度差こそあるものの、何らかの形で要件化を進めていく方向が固まりつつあります。

この点について邉見会長は、「いきなり厳しい管理者要件を設定すれば反発も置き、また品のない話だが『駆け込み開業』などが増加する可能性も否定できない。まずはインセンティブを付けるなどして緩やかに導入し、効果が出てこなければ厳格な要件化を進めていく形が望ましいのではないか」との見解を示しました。

なお、小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)はメディ・ウォッチに対し、「医師不足地域での一定期間勤務を希望する若手医師は少なくないが、自分の勤務期間が終了した後に、『次の医師が必ず来る』ことが担保されていることを望んでいる。切れ目なく、医師不足地域に医師が向かうような仕組みが必要になるのではないか」との考えを示しました。医師不足地域の住民にとっても、医師にとっても、極めて重要な視点です。

ところで、公立病院改革が進められる中で、日本医師会の中川俊男副会長らは「(とくに都市部の)公立病院では、回復期機能や慢性期機能を担うのではなく、急性期機能に特化すべき」旨の見解を披露しています。この点について邉見会長は、「高齢化の進展によって公立病院の、地域における役割も変わってくる。今後、都市部で急速に高齢化が進み、医療・介護難民が大量発生するとの指摘もある。公立病院の機能を全国一律に考えるのでなく、都市部の公立病院であっても『地域ごとに機能を考えていく』必要がある」点も強調しています。



http://www.medwatch.jp/?p=16836
医師不足地域での勤務経験、地域医療支援病院の院長要件に向けて検討—医師需給分科会 
2017年11月13日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療支援病院などにおいて「医師少数区域で一定期間の勤務経験」を管理者(院長など)の要件としてはどうか。また、地域における外来医療の需要がどの程度あり、どういった診療科のクリニックがどの存在するのかといった情報を示し、クリニック開業の際の参考とするような仕組みを設けてはどうか―。

11月8日に開催された、医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」で、こういった方向が見出されました。今後、制度化に向けたより詳細な議論が行われます。

ここがポイント!
1 法改正も視野に入れた「実効性ある偏在対策」を検討
2 医師不足地域での勤務経験、地域医療支援病院などの院長要件に据えてはどうか
3 クリニック開設制限の前に、まず地域の外来医療の状況を「見える化」する方向
4 医師少数地域では、1人の医師が「複数医療機関の院長」となれることを明確化


法改正も視野に入れた「実効性ある偏在対策」を検討


医師需給分科会では、現在、医療法改正なども視野に入れた「実効性のある医師偏在対策」を検討しています。昨年(2016年)春の中間まとめでは、▼医学部地域枠の在り方▼初期臨床研修医の募集定員配分などに対する都道府県の権限強化▼医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)▼管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)―など14項目の対策案を固めましたが、その後、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(ビジョン検討会)の報告書も踏まえ、さらに具体的な対策案を練っています(関連記事はこちら)。

その中で、(1)地域医療支援病院などの管理者要件に「医師少数区域での勤務経験」を加えてはどうか(2)診療所の開設について一定の制限を設けてはどうか―といった、いわば「強制的な手法」を検討すべきとの意見が委員から出されています(関連記事はこちら)。強制的に「地方に医師を派遣する」ような手法では、地域住民により良い医療を提供するという面から、実効性に疑問符が付きますが、一部委員は「医師のモチベーションを削がない範囲で、一定程度の強制的手法も検討すべき状況にあるのではないか(それほど医師偏在は深刻である)」と強く要望。厚生労働省も、この意見・要望を無視することはできず、11月8日の分科会に論点や具体案を提示するに至りました。

医師不足地域での勤務経験、地域医療支援病院などの院長要件に据えてはどうか


まず(1)では、「医師少数区域での一定期間以上の勤務経験」を持つ医師を厚労省が認定する(いわば認定資格)とともに、地域医療支援病院などの管理者として認定資格を評価するほか、「認定資格」を保有している旨を広告可能とする案が厚労省から提示されました。
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医師少数地域での一定期間以上の勤務経験を、地域医療支援病院などの管理者(院長)要件にすべきか、具体的な検討が行われる
 
「地域医療支援病院などの管理者として認定資格を評価する」という表現がやや難解ですが、ここには「管理者は認定資格を保有していなければならない」とする(要件化)考え方から、「管理者は認定資格を保有していることが望ましい」とし自主的な資格取得(医師不足地域の勤務経験)を促すといった考え方まで、幅広い内容が含まれています。
この点、小川彰構成員(岩手医科大学理事長)や神野正博構成員(全日本病院協会副会長)らは、「地域の医師不足は深刻であり、強い偏在対策が必要」との見解を示し、前者の「要件化」に向けて検討すべきと強調しました。神野構成員は「私の医師経験の中でもっとも楽しかったのは僻地での勤務時代だ。当初は別の医師が行けばよいと考えており、自主的に積極的に僻地勤務を望んだわけではないが、極めて重要な勉強ができた。今では大きな財産になっている」旨の経験を語り、「一定の強制=モチベーションが沸かない」という式は必ずしも正しくないことも強く指摘しています。

一方、今村聡構成員(日本医師会副会長)は「医師少数地域での勤務経験が、医師の『キャリア』につながる形での運用から始めてはどうか」と述べ、一足飛びの要件化にはやや慎重な構えを示しています。また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「医師少数区域に『行かされる』のでは長続きしない。地域住民の視点に立てば『その地域に行きたい』と考える医師に来てほしい。地域医療は医師にとって大きな学びの場である、ということを示すことが重要」と述べており、あまりに厳格な「強制的手法」には疑問を呈しています。

このように、要件化に関する意見には一定の幅がありますが、極めて厳格な仕組み(例えば、全医療機関の院長に医師少数地域での勤務を義務付ける、など)を求める声や、「要件化は一切認められない」といった極端な反対意見はなく、「どのように運用していくべきか」という具体案を議論する段階に入っていると言えそうです。

具体的運用方法については、「初期臨床研修の後半で地域医療に従事するのであれば、指導医の同行などの条件を付けるべきである」(羽鳥裕構成員:日本医師会常任理事)、「院長(管理者)要件は、臨床経験10年目頃から意識するので、若手医師にはあまり魅力的ではない。その点を意識した仕組みを考えるべきである」(堀之内秀仁構成員:国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長)、「医師が個人的に医師少数地域に出向くのではなく、例えば地域医療支援病院などから派遣するような形で、地域医療支援病院側にインセンティブを付ける仕組みも検討すべきである」(鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長)といった前向きな提案がなされています。

クリニック開設制限の前に、まず地域の外来医療の状況を「見える化」する方向

 また(2)は、例えば病院勤務医がある地域で診療所を開設しようと考えた場合には、地域の医療審議会などで「当該開設を許可すべきか」などを審議し、許可が得た場合に開設を求めるといった仕組みを導入できるかどうか検討する、というテーマです。病院・有床診療所を開設・増床する場合には、既にこうした仕組み(基準病床数)が設けられており、「当該地区では病床過剰であり、開設・増床は認められない」といった判断が医療審議会でなされれば、事実上、開設・増床はできません(保険指定がなされない)。いわば、「外来版の基準病床数」「クリニック開業許可制度」を設けるか否かというテーマと言えます。
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現在の基準病床数制度の概要
 
この点について、今村構成員は、いきなり開業許可制度を導入するのではなく、「まず、地域の状況(外来医療の需要や、診療科別のクリニック開設状況など)を明らかにし、診療所を開業すべきかどうかの情報提供を行う」仕組みを設けるべきと提案します。現在、一部のクリニック開業コンサルタントなどが、地域の外来需要・供給を考慮せずに、クリニック開設や医療モール開設などを推奨し、情報のない勤務医が惑わされている実態があると今村委員は強調しています。
一方、小川構成員や神野構成員は、現在の制限のない開業が勤務医不足、地域医療偏在を助長している点を指摘し、「一定程度の規制的手法(開業許可制度)を導入しなければ、実効性のある医師偏在対策が採れない」と訴えています。

このように開業許可制度には賛否両論があり、まだまだ「調整する」段階には議論が至っていないようです。なお、この論点について厚労省は、「基準病床数制度は医療機関の開設そのものは制限しない(例えば外来の保険医療提供は制限されない)が、開業許可制度が導入されれば、医療機関の開設そのものを制限する、極めて厳しいものとなる。日本国憲法第22条から導かれる『営業の自由』に抵触する可能性もある」との見解を示しています。

ただし、「外来医療の状況(需要の動向、既存の診療科別クリニック数など)を明らかにしていく」方向では分科会のコンセンサスが得られています。厚労省も、この「外来医療の見える化」を進める方向で検討を進めてはどうか、との考えを示しており、今後、▼提供する情報の内容について、地域の医療関係者などと事前に協議を行う▼地域の救急医療体制の構築、グループ診療の推進、医療設備・機器などの共同利用、といった外来医療機関間での機能分化・連携方針も協議する—という具体的な検討テーマを示しています。地域における「協議の場」としては、例えば地域医療構想調整会議などが思いつきますが、既存会議体を活用するのか、新規の会議体を設置するのかなども、今後、議論されることになります。なお、厚労省研究班では「外来医療の見える化に関するデータベース」作成も進めており、この活用も検討されることになるでしょう。

「クリニックの開業許可制度」の創設には、まだ時間がかかりそうですが、公の場で議論の俎上に上がるだけでも隔世の感があります。

ちなみに、前述の管理者要件について、例えば診療所にも導入することになれば、これは一定の「開業制限」につながり(開業に「医師少数地域での勤務経験」という資格制度を設けることになる)ます。このため神野構成員や小川構成員は「両者をセットで議論すべき」とも要請しています。

医師少数地域では、1人の医師が「複数医療機関の院長」となれることを明確化

なお、現在、原則として「医療機関の管理者は、他の医療機関を管理してはならない」こととされています(医療法12条第2項)。ただし、都道府県知事が、▼無医地区など医療施設が少ない地区の病院など▼介護老人福祉施設などに開設する診療所▼企業などの従業員を対象とする病院など▼休日・夜間対応のための病院など—においては、都道府県知事が「兼任を認める」ことが可能です。

ただし、兼任許可事例は「医療法Q&A」に定められているに過ぎず、現在、都道府県によって解釈の幅があることが指摘されています。分科会では、この解釈の幅なども「医師不足地域における医師確保の妨げになっている可能性がある」と考え、近く、これら兼任許可事例を何らかの法規で明確化することを了承しています。「無医地区など医療施設が少ない地区」が「医師少数区域」に該当することが明確になります。



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/427965.html
静岡県「医学部地域枠」 関西医科大と締結、日本医科大は拡充 
(2017/11/18 08:17) 静岡新聞

 静岡県は17日、県内病院での勤務を条件に県外の医学生に奨学金を出す「医学部地域枠」について、新たに関西医科大(大阪府枚方市)と協定を結んだ。併せて、日本医科大(東京都文京区)が2018年度から地域枠の定員を拡充することも決まった。静岡県の地域枠は全国最多の7大学34人となった。
 協定の締結式が県庁で開かれ、関西医科大の友田幸一学長と川勝平太知事が協定書に署名した。関西医科大は18年度から新たに5人分の地域枠を設置する。友田学長は「学生には地域医療の重要性を説き、地域で活躍する人材として育てていきたい」と述べた。日本医科大からは弦間昭彦学長が出席し、地域枠を従来の1人から4人に増やすことを報告した。
 川勝知事は「静岡県の健康寿命は全国トップクラスだが、県内に医師が少なく、地域から悲鳴が上がっていた。地域枠は大変ありがたく、全面的に支援していく」と述べた。
 地域枠の医学生1人に対して月20万円の奨学金が貸与される。在学6年間で計1440万円が支給され、卒業後、県内の病院で9年間勤務すると返済が免除される。



http://president.jp/articles/-/23629
バイトより安月給"常勤医不足"に悩む僻地南相馬市を救った3年目の女性医師
 
上 昌広
医療ガバナンス研究所 理事長 上 昌広
PRESIDENT Online  2017.11.17

地域医療の崩壊を食い止めるため、厚生労働省は来年にも医療法を改正し、若手医師の「僻地勤務」を義務化する方針だ。すでに一部の若手医師は地域医療のために立ち上がりつつあるが、厚労省や地元自治体はそうした動きを牽制している。なぜ若者の邪魔をするのか。その原因は医療界の「既得権益」にある――。

■大学医局と厚労省に「監視」される奴隷
 地域医療が崩壊の瀬戸際にある。この問題を解決すべく、厚生労働省は来年の通常国会に提出する医療法の改正案に、若手医師を僻地に強制的に派遣する仕組みを盛り込もうとしている。
 2014年、厚労省は「都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組むコントロールタワー」(厚労省HPより)として、各都道府県に「地域医療支援センター」を設置した。厚労省によれば、今回の法改正で、「地域医療支援センター」が地元の大学と連携して、「医学部入学から生涯にわたる医師のキャリア形成・異動を把握」し、「キャリア形成支援・配置調整」ができるように権限を強化するらしい。
 こうなると、医師は大学卒業後も、大学医局と厚労省に「監視」され、彼らの指示するまま「配置」されることになる。これでは奴隷のようなものだ。
 民主主義社会での日本で、こんな「国家統制」が許されるはずがない。ところが、厚労省は本気だ。医療法改正案の中には、これ以外にも、この手の国家統制がふんだんに盛り込まれている。

■「老害医師」が厚労省にすりよる構造
 残念ながら、いまのところ医療界の有識者は誰も反対していない。むしろ、厚労省の尻馬に乗っている。たとえば邊見公雄・全国自治体病院協議会会長は、業界誌の『日経メディカル』で以下のように語っている。
 「国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことを可能にするためにも、医師になって数年間は強制的に全国各地で勤務するようにしてほしいと私は考えている。そもそも医師は「ヒポクラテスの誓い」をしているのだから、100%の医師がこの方針に賛同してしかるべきだ」(日経メディカル「労基署に踏み込まれる前に医療界がすべきこと」)
 私は、この文章を読んで反吐が出た。邊見氏が、僻地医療での勤務を大切に思うなら、業界団体の名誉職にしがみつかず、自ら赴任すればいい。自らは安全地帯にいて、若手をこき使う。日本の医療の問題は、若手医師が僻地勤務を嫌がることではない。このような老害医師が、厚労省にすりより、国家統制の強化を誘導していることだ。
 私は厚労省と業界団体による統制を強化することは、日本の地域医療をますます衰退させると考えている。どんな分野においても、活性化のためには志のある若者が必要だ。だが、常に老害という名の既得権者が、彼らの邪魔をする。
 福島県南相馬市の事例をご紹介したい。今年8月末、南相馬市の大町病院から常勤医内科医がいなくなってしまった。大町病院は南相馬に4つしかない一般病院の1つだ。ここが機能を失うと、南相馬市だけでなく相双地区の医療が崩壊する。緊急事態だ。

■「誰もいかないなら、私がいきます」

 相双地区は福島第一原発事故で大きな被害を受けた。国家が相応の責任を負うべき地域である。医師不足への対応では、厚労省は、医師免許をもつ厚労官僚である医系技官の赴任や、国立病院機構やナショナルセンターの医師の出向といった手段をとれる。前出の邊見氏も、日本の医療界のリーダーと自負するなら、全国自治体病院協議会の場で支援を議論したり、その幅広い交友関係で支援を仲介したりすることもできたはずだ。ところが、彼らは何もしなかった。
 結局、大町病院の内科の穴を埋めたのは、医師になって3年目という南相馬市立総合病院の山本佳奈医師だった。「誰もいかないなら、私がいきます」と及川友好・南相馬市立総合病院院長に志願した。
 彼女は滋賀県出身で、大阪の四天王寺高校から滋賀医大へと進んだ。私は彼女が大学に在学していたとき、東大医科研の研究室で知己を得た。卒業後は南相馬市立総合病院で初期研修を行った。
 滋賀医大在学中から、彼女は産科志望だった。大学に入局せず、南相馬にとどまりながら、産科医になることを希望した。ところが、彼女のような「異端児」を、南相馬市の桜井勝延市長、南相馬市立総合病院に福島県立医大から出向している産科医、さらに福島県立医大の産婦人科医局がいじめ倒した。詳細は拙稿をご覧いただきたい。(JBPress「日本の医療崩壊を救った若き女性医師」)。

■「余計な軋轢」を起こす彼女は迷惑な存在
 福島医大における既得権を守りたい彼らにとって、山本医師のような存在は受け入れがたかったのだろう。一方、南相馬市や福島県などの行政は福島医大に対応を丸投げした。余計な軋轢を起こす彼女は迷惑な存在だ。そこに医療を受ける住民の目線はない。
 追い込まれた彼女を2人の医師が救った。1人目は竹之下誠一・福島県立医大理事長だ。竹之下理事長は、桜井・南相馬市長に、福島医大として彼女を支援することを伝えた。南相馬市は福島県立医大以外に医師招聘のルートがない。桜井市長も、竹之下理事長の意向は無視できない。
 余談だが、竹之下氏は鹿児島の鶴丸高校から群馬大学に進んだ外科医だ。群馬大学の関係者に聞くと「腹腔鏡事故を起こしたグループとの抗争に敗れ、福島に移っていった。そして、そこで実績をあげた」という。苦労が彼を育てたのだろう。今年、外様の竹之下氏が福島医大の理事長に就任し、福島の医療は変わりつつある。
 話を戻そう。2人目の支援者は、南相馬市立総合病院の小鷹昌明医師(神経内科)だ。傷ついた彼女に「僕と一緒にやろう」と声がけした。小鷹氏のキャリアはユニークだ。震災後、獨協医大神経内科准教授のポストを捨てて、南相馬市に移住した。南相馬の復興を願い、院内にとどまらず、地元社会で活動している。詳しくは拙稿をご覧いただきたい(FACTA「南相馬「名もなき赤髭」物語」)。

■20人以上の入院患者と週8コマの外来
 結局、彼女は神経内科医を選択し、南相馬市立総合病院に残った。ただ、それもすんなりいったわけではない。今年4月の時点では「福島県立医大とけんかする医師は雇用できない」(桜井・南相馬市長)という理由で、非常勤雇用だった。正式に採用されたのは今年5月からだ。
 その彼女が南相馬市の危機を救った。現在、大町病院のたったひとりの常勤内科医として働いている。
 彼女は20人以上の入院患者を受け持ち、さらに週8コマの外来を担当している。ベテランの内科医でも、外来は週4コマ、入院患者の受け持ちは10人程度が普通だ。常識では考えられない仕事量だ。
 彼女の毎日は多忙を極める。朝8時に出勤し、病棟を回る。日中は外来だ。その合間に急患が入ってくる。高カルシウム血症による意識障害、溶血性貧血発作疑いなど、診断に苦慮するものが多い。
 彼女は駆け出しで、経験も少ない。「ワシントンマニュアル」や「ハリソン内科学」などの医学書を引きながら診療している。文献だけでは分からないことがあれば、私や、南相馬市立総合病院の先輩医師に携帯電話で聞いている。

■われわれの仕事は、やる気のある若手を支えること
 問い合わせに応じて、知人の専門医を紹介したこともある。例えば、大町病院には放射線専門医がいない。外部に読影を依頼しているが、結果がわかるまで数日かかる。
 先日、発熱が続く患者に胸部X線を撮影した。明らかな所見はなかったが、少しだけ痰が出ていた。彼女は胸部CT画像を撮影したが、非特異的な所見以上にはわからなかった。私も同様だった。そこで、東大医科研時代の同僚の専門医を紹介し、フェイスブックメッセンジャーで画像を送った。すぐに「気管支肺炎」と返事をくれた。抗生剤を投与すると、状況は改善した。一事が万事、こんな感じだ。
 彼女は、毎晩22時ごろまで診療やカルテ整理を続け、終わった後に論文を書いている。現在、3つ目の英文論文を準備中だ。
 彼女は大町病院に異動して成長した。若手は自分で判断させて、責任をもたせると伸びる。われわれの仕事は、やる気のある若手を支えることだ。



http://www.asahi.com/articles/ASKCK446GKCKUBQU00R.html
熊本地震で閉鎖の入院病棟、再建を断念 八代市立病院 
村上伸一2017年11月17日15時00分 あさひしんぶん

 昨年の熊本地震で入院病棟(66床)が閉鎖されている熊本県の八代市立病院について、同市の中村博生市長は15日、病棟の機能を八代地域の四つの公的病院に担ってもらうという可能性を示した。再建を事実上断念したとみられる。外来機能は残したいとしているが、こちらも市ではなく公的病院が運営できないか検討しているという。

 県南広域本部で開かれた、氷川町を含む八代地域医療構想調整会議で明らかにした。市長は、入院病棟を同規模で再建すると40億~50億円の建設費がかかり、その後も運営は年4億~5億円の赤字収支が続くとの試算を示した。規模を縮小しても赤字収支が続いて市財政への影響が大きいとし、入院機能の公的病院への再編統合と、公的病院による外来機能の運営についての意見を求めた。

 市長が公的病院として挙げた八代市医師会立病院や八代北部地域医療センター、熊本労災病院、熊本総合病院の各代表者は「前向きに検討する」などとし、反対意見は出なかった。

 市長は各病院の役割分担などについて「これから意向調査をし、市議会で方向性を示したい」と取材に答えた。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201711/553682.html
シリーズ◎産科診療所での無痛分娩は是か非か
集約化を進めれば地域の産科医療は崩壊する
長崎県産婦人科医会長の森崎正幸氏に聞く
 
2017/11/17 聞き手:三和護=編集委員

 無痛分娩関連の事故報道が相次いだことを受けて、被害者側からは産科診療所での無痛分娩を問題視する声が上がり、新聞各紙も施設集約化を求める論調を強めた。こうした事故原因を施設の規模の問題に帰着させようとする動きには、医療現場から異論が出ている。「集約化を進めれば地域医療は崩壊する」と訴える長崎県産婦人科医会長の森崎正幸氏に、持続可能な産科医療を支えるものは何なのかを聞いた。

―― 一連の無痛分娩関連の事故報道をどのように受け止めていますか。

森崎 私どもは正直、戸惑っています。私は自然分娩派ですので無痛分娩は行っていません。ですから推測になりますが、無痛分娩に関連するこれまでの事故と今回の事故は、原因が異なっていると思っています。無痛分娩では痛みが隠されてしまうので、子宮破裂などのお産の異常があっても気づきにくいのです。ある専門家は「(無痛分娩では)子宮破裂だけは避けられない」と言っていました。最近、大学病院が提訴される事故がありましたが、これまでの事故はこのような分娩異常が原因となるものでした。

―― 今回の事故では、麻酔が注目されています。

森崎 局所麻酔中毒や全脊髄くも膜下麻酔などの麻酔合併症で、妊産婦や新生児が死亡したり、重篤な障害が出たりという事故が起こることはなかったと思います。

―― 報道がされる前の4月16日に、日本産婦人科医会が「無痛分娩を提供する施設では、機械分娩や分娩時異常出血、麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整える」との緊急提言を行いました(関連記事)。その中で、「硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した産婦では子宮収縮薬や機械分娩が必要となることが多く、通常の産婦の管理とは異なる管理が求められる。また硬膜外麻酔に伴う局所麻酔中毒や全脊髄くも膜下麻酔などの麻酔合併症は、まれではあるが命に関わる合併症である。従って無痛分娩を提供する施設では、機械分娩や分娩時異常出血、麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整えることが要求される」と解説しています。

森崎 提言の前半に書かれているのは、これまでもあった事故を念頭に置いたものだと思います。後半の麻酔の部分は今回の事故を意識したものになります。

―― 緊急提言は直接、施設の集約化に触れたものではありません。ですが今後、無痛分娩関連の事故を防ぐための方向性として、施設の集約化の議論が出てくるのではないかと危惧する声があります。

森崎 分娩施設の集約化は、地域の産科医療を担ってきた開業医にとって、受け入れがたいものです。日本の周産期死亡率は、諸外国と比べて極めて低いのです。地域の産科診療所があるからこそ実現できている数字なのです。

―― 厚生労働省の2012年のデータですと、1年間の1000出産に対する周産期死亡は、妊娠28週以降の死産+早期新生児死亡で計算した場合、2.6です。データのある15カ国の中で、最も低い数字です。次に低いのがシンガポールの3.7ですから、際立っています。妊産婦死亡率(妊産婦死亡数/出生数10万当たり)も3.5と低く、オランダ(2.2)、スウェーデン(2.6)、デンマーク(3.0)などと肩を並べています。

森崎 例えば長崎県では、分娩の7割近くを診療所が担っています。2015年のデータでは、助産所での分娩を除くと、公的病院が20.3%、私的病院が12.6%で、診療所が66.2%でした。集約化をということになると、診療所が担っている分娩が病院に集中することになります。非現実的な解決策であるのは明らかです。

―― 日本産婦人科医会の調査(2017年9月暫定)によると、総分娩数に占める無痛分娩数の割合は2016年度で6.1%でした。このうち診療所で行われたのは53%でした。

周産期医療支援システム「すくすく」が稼働

―― 集約化ではない解決策はありますか。

森崎 今回のような妊娠トラブルに対応するためにも、周産期センターや産科診療所、病院などがネットワークを組むことが現実的です。長崎県では、2014年から周産期医療支援システム「すくすく」が稼働しています(図1)。あじさいネット(注)の新たなプロジェクトとして始まったものですが、2017年6月時点で7764人の妊婦さんが登録しています。

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図1 周産期医療支援システム「すくすく」の運用図(森崎氏のよる)

―― 妊娠トラブルがあった場合、周産期母子医療センターに搬送となるわけですね。

森崎 妊婦さんが運ばれるだけではありません。搬送前から、周産期診療システムに登録している情報を、周産期センター側で共有できるので、速やかな受け入れができるメリットがあります。緊急度が高いほど、診療記録などが事前に共有できるメリットは大きくなります。

―― 周産期のリスクに応じて担当する施設が決まっているのですか。

森崎 周産期センターはハイリスクの妊娠に対応します。診療所や病院は、主に正常分娩を担当します。施設の機能分担が明確になっており、その上で診療情報の共有が行われています。安心で安全な出産と児の健全な成長を支援する仕組みで、これからの産科医療には欠かせないと思っています。

―― 周産期医療支援システムは、他の自治体でも稼働しているのでしょうか。

森崎 岩手県周産期医療情報連携ネットワークシステム「いーはとーぶ」が日本初のものです。私たちの「すくすく」は、「いーはとーぶ」に多くのことを学んで出来上がったものです。

注:長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会が運営する長崎県内の医療機関をつなぐネットワークシステム。通称、あじさいネット。2004年にスタートし、2017年11月で長崎県下の34の基幹病院と203の病院・診療所、91の薬局が参加する。基幹病院での診療情報(電子カルテ・検査結果・画像など)を、患者が利用している医院や薬局、訪問看護サービスでも共有できるのが最大の特徴。2017年10月で登録患者数は7万人を超えている。
 このシステムの下では、参加する診療所や薬局は、患者の同意が得られれば、診療所や薬局にあるパソコン画面で患者の基幹病院での診療情報を閲覧できる。
 近年は、総合病院の専門医と地域のかかりつけ医があじさいネットで連携し、患者が遠くの総合病院へ行かなくても高度な医療を受けられるようにする取り組みも進んでいる。



inpo.jp/pub/topics/jishin2011/2017/11/post_15566.html
看護師不足解消へ連携 来春にも相互派遣制度 南相馬5病院 
(2017/11/17 11:59カテゴリー:福島第一原発事故)福島民報

 南相馬市立総合病院と市内の民間4病院は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故後に慢性化した南相馬地方の看護師不足対策として、来年春にも相互に看護師を受け入れ、一定期間勤務して人員不足を補う「看看連携」を始める。人的支援、研修・技術指導を目的に市立総合病院と民間病院間で人材交流を進める。各病院の幹部は実施に向け、具体的な協議に入った。

 民間4病院は大町、小野田、雲雀ケ丘、鹿島厚生の4病院。

 人的支援では、民間4病院に比べて人材確保が進んだ市立総合病院と、民間4病院の看護師を研修目的で期間を区切って相互に派遣して勤務させ、業務負担の軽減を目指す。
 市立総合病院と4病院の若手看護師にとっては互いに技術向上の機会となるほか、それぞれの病院に勤務している実務経験豊かな看護師から患者接遇の在り方、熟達した看護技術を教わる場になると期待されている。市立総合病院では今年度内に人工透析治療を始める計画があり、既に実施している大町、小野田の両病院の看護師から技術を学ぶ方針だ。
 給与体系、休暇日数、福利厚生などは各病院間で異なるため、各病院の看護部長ら幹部は今年夏に「市病院看護管理者会議」を発足させた。勤務期間の設定などを含め詳細な協議を進めている。管理者会議は新規高卒者らに対して看護職の意義を伝えているほか、市主催の合同面接会に就職相談コーナーを設けて、人材発掘に努めている。
 市によると、震災と原発事故後、避難などにより2011(平成23)年3月時点で市内に約530人いた看護師は今年4月現在、約350人まで減少した。現段階では看護師約100人が不足しているという。
 管理者会議の会長を務めている大町病院の藤原珠世看護部長と、市立総合病院の五十嵐里香副院長兼看護部長は「『南相馬は一つ』が合言葉。互いの弱点を補い、公立と民間の枠を超えて地域医療の再生を進めていきたい」と述べた。桜井勝延市長は「市も積極的に協力し、看護師が働きやすい環境をつくりたい」と語った。



https://mainichi.jp/articles/20171117/ddm/008/040/124000c
厚労省 「紹介状なし」に追加負担 対象病院を拡大へ 
毎日新聞2017年11月17日 東京朝刊

 厚生労働省は、大病院を紹介状なしに受診した患者に5000円以上の追加負担を求める制度で、2018年度から対象病院の範囲を拡大する方針を固めた。現在の500床以上(262病院)から400床以上に見直す方向で調整する。約150病院が新たに対象になる見通し。

 軽症の人は身近な病院や診療所などのかかりつけ医を受診するよう促し、高度な医療を担う大病院との役割分担をさらに進める狙いがある。

 ただ追加負担の金額や、救急患者らには負担を求めない運用は変えない考え。

 この制度は、紹介状なしで大病院を受診する場合、1~3割の通常の窓口負担に加え、初診時に5000円(歯科は3000円)以上、再診時に2500円(同1500円)以上の追加負担を求める仕組み。大病院に患者が集中し、待ち時間が長いなどの問題も指摘されているため、16年度の診療報酬改定で導入された。

 現在、追加負担の徴収が義務付けられているのは、高度な医療を提供する「特定機能病院」と、500床以上の「地域医療支援病院」。厚労省の調査によると、5000円以上に引き上げた病院では、16年10月までの1年間で紹介状なしの患者が3割減るなど、一定の効果が出ている。

 400床以上の病院の96%は、既に自主的に一定額を徴収しており、診療報酬の在り方を議論する中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)では「医療行動を変えるために200床以上の病院とすべきだ」といった意見も出ている。

 ■ことば

病院の紹介状
 病気やけがで受診した医療機関の医師が、より専門的な病院に行った方がいいと判断したり、患者が希望したりした場合に書く。正式名称は「診療情報提供書」。患者の症状やこれまで受けた治療、検査結果などを記載する。紹介を受けた医師は診療内容を把握することができ、無駄な検査や治療がなくなる。患者の負担が減り、医療費抑制にもつながる。



http://www.asahi.com/articles/ASKCJ4CXPKCJUBQU00Q.html
岩手県の病床数、国の基準より1271床「過剰」 
角津栄一2017年11月16日15時00分 朝日新聞

 国が病床整備の適正水準とする基準病床数と比べて、岩手県全体では約1200床分が過剰な状態にあるという県の試算結果が明らかになった。2次医療圏ごとに定められ、過剰な圏域では病院の新設やベッド数の増設は原則として認められない。

 7日にあった県医療審議会医療計画部会で報告された。基準病床は、病床の地域偏在の是正を目的に定められており、医療圏ごとに設定される。県は今後数値を確定させたうえで、今年度中に策定する次期医療計画(2018年~23年度)に盛り込む方針。

 国は、医療の必要度が高くない病床について、介護施設への転換や在宅医療への移行を促している。県が病床転換について医療機関に調査をしたところ、今後374床分の転換の可能性があるという回答だった。

 これに基づいて県が国の定めた全国統一の算定式で試算すると、基準病床数は県全体で1万1879床となった。既存の病床数は1万3150床(16年9月)で、1271床が過剰な状態となる。

 医療圏別にみると、盛岡圏域が665床、次いで二戸圏域が221床、胆江圏域(奥州市など)が161床の過剰状態で、両磐圏域(一関市など)、久慈圏域は基準病床の水準以下だった。



http://www.townnews.co.jp/0605/2017/11/16/407452.html
地域包括ケア担い手が議論
医療・介護の連携を確認
 
タウンニュース 平塚版 2017年11月16日号

 医療・介護関係者らを対象にした勉強会「平塚市在宅医療人材育成セミナー」が11日、市保健センターで開かれ、およそ70人が参加した。在宅医療・介護連携支援センターの主催。

 セミナーでは、医師や看護師、介護支援専門員、ケアマネジャーらが参加してグループワークを行った。強皮症を患い在宅医療を希望する独居女性に対して、医療・介護の両面からどのようなケアができるかなど、2つの架空事例をもとに意見を出し合い、発表した。

 発表の際には「最期を自宅で迎えたいという本人の意志は尊重されるべき」という意見が多く聞かれ、あるグループは「医療と介護の支援の隙間を作らぬよう、両者の十分な意見や情報の共有が大切」と横の連携を強調していた。

 セミナーを主催した在宅医療・介護連携支援センターは、今年10月に平塚栗原ホーム(立野町)内に設置。地域包括ケアシステム構築にむけ医療と介護関係者を対象にした研修会を定期的に開く。センターの担当者は「今後もセミナーを重ねて顔の見える関係作り、より良い支援のあり方を追求したい」と話している。



http://www.medwatch.jp/?p=16899
特養での医療ニーズ対応を強化すべく、配置医の夜間診療などを高く評価―介護給付費分科会(1) 
2017年11月15日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)の配置医師による早朝・夜間や深夜の診療を、2018年度介護報酬改定で新たに評価する。また特養に限らず、介護保健施設などで入所者に身体拘束を行った場合の減算をより厳しく見直し、「身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」を定期的に開催しない場合などにも減算する―。

 11月15日の社会保障審議会・介護給付費分科会の会合で、厚生労働省はこうした案を示しました。そのほか、小規模な特養の基本報酬の引き下げなども提案しました。

 この日は特養のほか、▼短期入所生活介護(ショートステイ)▼特定施設入居者生活介護▼認知症対応型共同生活介護▼認知症対応型通所介護―の見直し案についても議論しました。そちらは改めてお伝えします。

ここがポイント!
1 入所者の医療ニーズへの「的確な対応」促す
2 配置医師への新評価は事前の「取り決め」が前提
3 身体抑制の適正化目指して研修実施や対策の検討求める
4 入所者の一時的な在宅復帰時、居宅サービスを施設から提供
5 小規模特養の基本報酬を通常規模と同水準に見直し

入所者の医療ニーズへの「的確な対応」促す

 特養は、重度の要介護高齢者が入所する生活施設で、介護老人保健施設(老健)や介護療養型医療施設(介護療養病床)と合わせて介護保険施設と位置付けられています。要介護者の中でも、居宅での生活が困難な人を支える施設とされ、2015年4月以降は「要介護3」以上の要介護者以外は原則入所できません。

 今年(2017年)4月時点で全国に9726施設あり、57.7万人が利用しており、入所者の要介護度(2015年10月時点)は89.5%が「要介護3」以上です。

 そのため特養では、重症者の積極的な受け入れや、施設内での看取り期(死亡30日前から死亡日まで)の対応の充実が、介護報酬の加算などで後押しされてきました。ただ、人員基準(介護報酬を算定するために最低限満たす基準)では、医師の常勤配置が求められていません。このため、入所者の夜間の緊急時には、連絡を受けた配置医師が診察(自施設を訪問)している施設がある一方で、配置医師に連絡を取らず、救急車を呼ぶことを原則にしている施設もあるのが実情です。

 こうした状況を踏まえて厚労省は11月15日の介護給付費分科会で、入所者の医療ニーズに「より的確に対応できる」特養を増やすための5つの案を示しました。

(1)配置医師が施設の求めに応じて、早朝・夜間または深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行うことを新たに評価する
(2)医療提供体制を整備した上で、実際に施設内で看取った場合、現行の看取り介護加算よりも高く評価する
(3)常勤医師配置加算の要件を見直す
(4)夜間の看護職員の配置などを、現行の夜勤職員配置加算よりも高く評価する
(5)入所者の急変時などの対応方針を定めておくことを、すべての特養に義務付ける

配置医師への新評価は事前の「取り決め」が前提

 このうち(1)は、配置医師による夜間などの診療を評価する提案です。ただし、▼入所者の病状を配置医師に伝える方法や、診察を依頼するタイミングなどの「具体的な取り決め」をしておく▼医師を複数名配置するか、配置医師と協力病院等の医師が連携して、施設の求めに24時間対応できる体制を確保しておく▼「看護配置25対1以上」などの施設基準を満たして看護体制加算(II)を算定している―といった要件を満たす場合に限り、評価するとしています。

 また(2)の施設内看取りの手厚い評価は、(1)の要件を満たす施設に限り、看取り介護加算(入所者の看取りに向けた体制整備などへの評価)の単位数を通常より高くするものです(現在、施設内で看取った日に算定できる加算は1280単位)。厚労省は、死亡日の前日・前々日に680単位ずつ算定できることも紹介しており、(1)の要件を満たす施設では、前日・前々日に算定できる加算の単位数も通常より高く設定されるかもしれません。

 (3)の常勤医師配置加算(1日につき25単位)の見直し案は、「ユニット型施設」と「従来型施設」を同一建物内に併設するケースで、それぞれの施設がこの加算を算定しやすくするものです。

 ユニット型と従来型の両方でこの加算を取りたい場合、今のルールでは、「常勤専従の医師」をそれぞれに1人以上(計2人以上)配置しなければなりません。厚労省は、同一建物内の施設が一体的に運営されていて、両方の施設の入所者の健康管理などが適切に行えるのであれば、「全体として、常勤専従医師1人以上の配置」でそれぞれ加算を算定できるように、要件を緩和してはどうかと提案しています。

 (4)の夜勤職員配置加算(定員30人以上の施設なら、定員数などに応じて1日につき13-27単位)は現在、介護職員か看護職員の夜間配置を評価しています。厚労省は、現行要件を満たし、さらに「たん吸引」などを実施できる「認定特定行為業務従事者」か「看護職員」を配置している施設を、より高く評価するとしています。夜勤職員配置加算は短期入所生活介護(ショートステイ)にもある評価で、厚労省はショートステイにも同様の評価を新設したい考えです。

身体抑制の適正化目指して研修実施や対策の検討求める

 11月15日の介護給付費分科会で厚労省は、入所者への身体拘束廃止に向けて、施設側にさらなる取り組みを促す見直し案も示しています。

 特養などの入所者に対して、身体拘束などの行動を制限する行為を行うことは、「当該入所者または他の入所者等の生命または身体を保護するために緊急やむを得ない場合」を除いて禁止されています。やむを得ず身体拘束などを実施した場合には、その態様や時間、入所者の心身の状況、やむを得ない理由を記録することが求められており、その記録を怠った特養や老健では、身体拘束廃止未実施減算として、入所者全員の基本報酬から毎日5単位ずつが減算されます(記録を行わなかった月の翌月から、改善が認められた月まで)。

 厚労省の見直し案は、この減算をより厳しくするものです。具体的には、記録を怠った場合だけでなく、▼身体拘束などの適正化のための対策を検討する委員会を、少なくとも3か月ごとに開き、その結果を介護職員やその他の従事者に周知徹底させる▼身体拘束などの適正化のための指針を整備する▼介護職員その他の従事者に対して、身体拘束などの適正化のための研修を定期的に行う―のいずれかが欠けた場合、この減算が適用されることになりそうです。

 さらに、減算幅を1日5単位から、基本サービス費の一定割合へと見直します。「何%」減算するかは未定ですが、今以上に厳しくなることは間違いありません。

 その上で厚労省は、この減算を特養や老健だけでなく、認知症対応型共同生活介護や、特定施設入居者生活介護、そして来年(2018年)4月に創設される介護医療院の基本報酬にも適用させる方針を示しています。

 こうした方向性に対して、介護給付費分科会の委員から反対はありませんでした。特に、身体拘束廃止に向けた改善の必要性は複数の委員が指摘しており、「身体拘束だけでなく、虐待も委員会を開いて検証することが求められる時代だ」(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)、「拘束廃止は重要だが、一方で転倒や転落リスクが高まる。そういうリスクの評価はしなくていいのか」(鈴木邦彦委員:日本医師会常任理事)といった声も上がりました。

入所者の一時的な在宅復帰時、居宅サービスを施設から提供

 11月15日の介護給付費分科会で厚労省は、(1)特養の利用者が外泊した際に在宅サービスを利用しやすいように評価を新設する(2)小規模特養の基本報酬を引き下げ、通常の特養と同じにする(3)外部のリハビリテーション専門職と連携した自立支援・重度化防止の取り組みを評価する(4)障害者が入所者数の5割以上を占め、常勤の「障害者生活支援員」を2人以上配置する施設を、より手厚く評価する(5)「ユニット型準個室」という名称を「ユニット型居室」に改め、入所者の誤認を防ぐ(実際には天井や壁に隙間が空いていることもある)―といった見直し案も示しています。

 このうち(1)の外泊時に関する評価の新設は、入所者が一時的に自宅に帰ることを認め、自宅療養中に特養から在宅サービスを提供する場合に、基本サービス費の代わりに「一定の単位数」を算定できるようにするものです。

 状態が安定した入所者が、一時的に自宅へ帰るケースでは、訪問介護などの居宅サービスを受けられない決まりになっています。そこで厚労省は、入所者の自宅を特養の介護職員らが訪問し、必要なサービスを提供するのを介護報酬で新たに評価することで、一時的な在宅療養の期間中にも必要なサービスを届けたい考えです。特養だけでなく、老健にも同様の評価を設けるとしています。ただし、この評価を受けられるのは1か月のうち6日までで、外泊の「初日」と「最終日」は算定対象外です。

 なお、実際に入所者の自宅に訪ねるのは、施設が委託した「外部」の訪問介護事業所の職員でも構いません。その場合には、介護報酬を特養などの施設側が算定し、委託した業務にふさわしい費用を外部事業者に支払うことが想定されます(外部事業者は介護報酬を請求しない)。

小規模特養の基本報酬を通常規模と同水準に見直し


 (2)の小規模な特養(定員30人)の基本サービス費を引き下げる案は、来年度(2018年度)以降に新設される施設について、通常規模の特養(定員31人以上)と同額に見直すものです。

 例えば入所者が「要介護3」の場合、1日当たりの基本サービス費は、通常規模なら682単位、小規模なら830単位と差があります。今年度(2017年度)の介護事業経営実態調査では、通常規模の特養の収支差率(高いほど利益を出しやすい)が1.6%だったのに対し、小規模の特養は4.2%と高水準でした。

 厚労省の提案は、この調査結果を踏まえたもので、既存の小規模な施設や、「経過的地域密着型介護福祉施設」(2005年度以前に開設した定員26-29人の特養)の報酬水準も、一定の経過期間を置いた上で、基本サービス費を通常規模の特養とそろえるとしています。

 通常規模の特養の収支差率(1.6%)は、昨年度(2016年度)の状況を調べたもので、15年度と比べて0.9ポイント悪化していました。11月15日の会合では、瀬戸雅嗣委員(全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)がこの結果に言及し、「このままでは特養が崩壊する」として、特養全体の基本サービス費の引き上げを強く求めました。また、既存の小規模の特養の基本サービス費を通常規模とそろえる方向性に理解を示したものの、過疎地域にある施設への配慮や、「最低6年」の経過措置を要望しました。



https://mainichi.jp/articles/20171115/ddm/016/040/040000c
どう変わる医療と介護 2018年度 同時報酬改定 迫る多死社会 最善の「最期」目指す 国・自治体、事前意思表示を啓発 
毎日新聞2017年11月15日 東京朝刊

 2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、地域で療養する患者は現在より約30万人増えるとされる。死亡者数が増加し、人口減少が加速する「多死社会」を迎える中、国や自治体は、人生の最終段階(終末期)に、本人の希望に応じた治療や療養ができるよう、環境整備のための啓発活動に着手している。【細川貴代】

 「病院だけが選択肢ではありません。在宅療養も選択肢の一つです」。10月上旬、神奈川県横須賀市の高齢者サロンで、市職員が市民約30人に語りかけた。町内会への出前講座で、テーマは「最期の医療」。自宅で受けられる医療・介護サービスや、最期まで自宅での暮らしを望む場合は、普段から家族や主治医に伝えておくよう呼び掛けた。

 参加者からは「1人暮らしだと実際は最期まで自宅は難しいのでは」との率直な意見も。小林健晋自治会長(80)は「地域に1人暮らし高齢者も増え、終末期への関心も高い。真剣に考えざるを得ない話題だ」と話した。

 同市は11年度から、在宅医療や在宅みとりに関わる地域の人材育成や多職種連携に力を注ぐ。市民啓発にも力を入れ、在宅療養を紹介する啓発冊子の発行、相談窓口の周知などを行ってきた。全死亡者のうち自宅や高齢者住宅で亡くなる「在宅死」の割合は14年の場合、22・9%と、人口20万人以上の自治体でトップ。川名理恵子・市地域医療推進課長は「1人暮らしでも最期まで自宅で暮らすことは可能だが、制度があっても市民の理解がないと進まない」と話す。

 宮崎市は13年度にエンディングノートを作った。回復の見込みがなく死期が迫った場合の治療の希望の有無や、治療方針を任せる代理人を書く欄も設けた。手引を作り、内容を熟知した市職員らが使い方を説明して手渡す。担当者は「書いた内容が法的効力を持つことはない。何が自分に最善の医療か、家族と話し合う道具の一つにしてほしい」。

 現状では7割以上の人が病院で最期を迎える。一方で自宅死を希望する人は約6割に上るが、家族間で終末期の話題を避ける傾向は強く、13年の国の調査で、自分の死が近い場合の医療について「家族と全く話し合ったことがない」人が約56%。書面作成までした人は少なかった。

 厚生労働省も今年度、終末期医療について、話し合ったり意思表示したりする機会を持ってもらうため、事前に医師や家族らとの話し合いを促す内容を盛り込んだ、市民向け啓発冊子のひな型を初めて作る。

 ただ同省としては08年に医師が75歳以上の患者や家族と終末期について話し合って文書にまとめた場合、診療報酬で評価する「終末期相談支援料」を打ち出したところ、「意思決定を無理強いする」と批判を受けて廃止した経緯もあり、慎重に進める考え。担当者は「まずは患者自身が終末期について選択し、意思表示できる仕組みを考えたい」としている。

患者の思い、共有する 医療現場でも取り組み

 医療現場では、高齢化の進展に伴い、人生の最終段階で、治療に対する患者本人の意思がわからず、家族や医療者が決定を迫られ苦悩する現状がある。

 そうした中、医療現場で広がりつつあるのが、患者本人と家族やかかりつけ医ら医療・介護の関係者が、何度も話し合いを重ねて患者の思いを共有する「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の取り組みだ。

 ACPは、高齢者や余命の限られた患者らを対象に、医療者側が治療の選択肢を説明し、人生観や受けたい治療・療養場所などを話し合う「過程」に力点を置く。

 厚労省も、体制を構築すべく、昨年度からは、死期が迫った患者と家族の相談に対応できる医師や看護師など多職種の育成研修を全国で展開しており、研修ではACPも学ぶ。

 研修担当の木沢義之・神戸大医学部付属病院特命教授は、「ACPによって、患者の意向が尊重されたケアが実践され、家族の満足度も上がる。特定の医療機関でなく、地域の医療・介護関係者全体が理解して実践していく体制を作る必要がある」と指摘。「最期を決めるのは患者本人だということを医療関係者も国民も理解していく必要がある」と話す。



http://healthpress.jp/2017/11/post-3358.html
米国の医療費の約5割が「救急医療」に!社会的弱者がERに殺到するのは日本の近未来? 
2017.11.14 ヘルスプレス

 全米の診療データベースを用いた研究から、2010年に米国で提供されている医療の約5割を救急医療が占めていたことが明らかになった。

 研究を実施した米メリーランド大学医学部救急医学准教授のDavid Marcozzi 氏は「現在の米国の医療システムにおいて、救急科が重要な役割を担っていることが浮き彫りになった」としている。詳細は「International Journal of Health Services」10月17日オンライン版に掲載された。

 Marcozzi 氏らは今回、全米を網羅した複数の病院診療データベースを用い、1996~2010年のデータを分析。その結果、14年間の「一般外来」「入院」「救急科」を合わせた受診件数は35億件超で、この間に救急科の受診件数が約44%増加していたことが分かった。また、2010年の受診件数は「一般外来が1億100万件」、「入院が3900万件」であったのに対し、「救急科は約1億3000件」と全体の約5割を占めていた。

■人種では黒人、高齢者や低所得者で高い割合

 さらに、救急科を受診する患者を人種別にみると、「黒人」の割合が最も高かった。2010年には黒人が利用した医療サービスの54%を救急医療が占めていた。この割合は都市部の黒人では59%とより高かった。
 
 このほか「メディケア(高齢者向け公的保険)」および「メディケイド(低所得者向け公的保険)」の加入者も、救急科の受診率が高かった。また全体の医療に占める救急医療の割合は、北東部(39%)に比べて南部で54%、西部で56%と高く、地域差も認められた。

 Marcozzi 氏は「この研究結果には愕然としたが、米国医療の現状について理解する手掛かりが得られた」と話し、特に黒人や公的保険の加入者で救急科の受診率が高いことについて「こうした社会的弱者で救急医療を利用する人が多いのは、医療アクセスの格差に起因しているのではないか」との考えを示している。

■マイノリティーという弱者の最後の砦がER

 では、アメリカでの「医療アクセスの格差」とはなぜ起こるのか? 

 アメリカは個人個人が支払可能能な保険を選択し、その保険会社によって指定される医療機関のみに、その保険は適用される。加入者は契約時に示される医師リストの中から、自分のかかりつけ医である「ホームドクター」を選び登録する。体調を崩した場合や不安がある場合は、まず登録した医師を受診することが必要だ。専門医の受診、救急病院への搬送や入院など、あらゆる場面でこの登録した医師の許可、紹介が必要となる。

 専門医は完全予約制のため、急病時に受診できる医療機関は限られる。いきおい予約無しで受診できる救急医療施設(ER)では、いつも患者が多くってしまう。メディケアおよびメディケイドなどの加入者でも、アクセスがより限定されるため救急病院への受診が多い、

 さらには救急救命室には保険加入者だけではなく、医療費支払い能力のない患者も多く訪れる。民間保険やメディケアおよびメディケイドなどの公的医療保険に未加入の場合、実質的には高額すぎて医療費が支払えないため、通常の医療を受けることはできない。

 このように医療費の支払いが十分にできない中所得者から低所得者が、救急医療制度に頼る傾向が強くなっているのだ。

 健康管理面で見ても、保険未加入者では慢性的な受診控えが生じ、必要な医療サービスを受けない状態での生活を強いられる。さらに定期受診もできないため、さまざまな疾患の早期発見も困難となる。

 今回の調査では、黒人の救急受診の割合が高くなっているが、アメリカ合衆国の少数民族は、一般的に白人よりも定期受診は少なく、救急救命室や診療室を利用する機会が多い。これは、社会経済状況や教育などの要因だ。自分の健康管理に対するリテラシーが低く、知識があっても医療費の支払い能力がないため、救急受診が必要となるまでに重篤化することも少なくないのだ。

 マイノリティーという弱者の最後の砦がERだ――。こうした状況は、国民皆保険と医療機関へのフリーアクセスが原則の日本では考えにくいことだが、現在、日本では「市場原理に則った医療」を目指して、病院を民営化し混合診療を認めようとしている。しかし、その方向は本当に正しいのだろうか? 真剣な議論が必要だ。
(文=編集部)



https://www.m3.com/news/iryoishin/568817
中央社会保険医療協議会
「複数医療機関による訪問診療」、診療報酬で評価
有料ホームへの訪問診療、介護医療院の給付調整なども議論 ** 
 
レポート 2017年11月13日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月10日、在宅医療を議題とした。複数の医療機関による訪問診療について、厚生労働省は主として在宅医療を担う医療機関の医師が患者・家族の同意を得て他の医療機関に訪問診療を依頼し、実施した場合に診療報酬上の評価をすることなどを提案し、了承された(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が提示した論点案ごとの委員の主な意見は次の通り。(網掛け部分が厚労省提示の論点案)

在宅における療養計画に基づき、主として在宅医療を担う医療機関の医師が、患者・家族の同意の下で、他の医療機関に当該患家への訪問診療を依頼し、当該他の医療機関がそれを実施した場合、診療報酬上の評価を設けてはどうか。
地域医師会等の協力により、在宅療養支援診療所以外の医療機関が他の医療機関と連携して、24時間対応を含めた在宅医療体制を構築し、訪問診療を提供している場合には、一定の評価を検討してはどうか。
日本医師会常任理事・松本純一氏:特に専門性の高い診療科に関して我々は要望していた。方向性として歓迎する。不適切な運用はあり得るので、論点案には地域医師会「等」とあるが、外して地域医師会が認めた医療機関で運用してみてはどうか。

日医常任理事・松本吉郎氏:24時間体制の在支診(在宅療養支援診療所)以外の医療機関の連携だが、在支病(在宅療養支援病院)や在支診で診て、昼間は在支診以外のところが診るという考え方もある。

併設する有料老人ホーム等の入居者等を訪問診療する場合、実態としては、外来診療と訪問診療の中間的な取り扱いとなることから、そうした患者への医学管理に係る評価を、新たに設けてはどうか。
介護医療院については、入所者として想定されている患者の状態や医療ニーズを踏まえつつ、介護療養型医療施設や介護老人保健施設における取り扱いを参考に、医療保険と介護保険に係る給付調整の取り扱いを整理してはどうか。
松本純一氏:移動距離や移動時間が効率的だという観点から考えるならば、同一施設で一回の訪問で複数の患者を診るのと同じように考えれば良い。本来医学管理には当然差があってはならないから、訪問診療料を訪問部分と診察部分に分解して考えてみることが必要ではないか。

末期の悪性腫瘍の在宅患者について、患者の状態の変化に伴い適切なサービス提供を可能とする観点から、医療機関とケアマネジャーとの間の情報共有・連携等を、在宅時医学総合管理料等の要件としてはどうか。

松本純一氏:方向性としてはいいのではないか。ただケアマネが医療の必要について十分理解していることが最低条件。ともすれば、医療的ケアが必要ということで医療保険を使うわけだが、訪問看護が必要だと説いても、なかなかケアマネが必要性を理解できずに、訪問介護をすることも、ままある。その辺りの連携が取りにくい場面もある。

松本吉郎氏:急速な機能低下に対応するための提案とのことだが、あらかじめかかりつけ医とケアマネが合意した場合に、かかりつけ医の指示のもとで必要な医療サービスを提供して、ケアプランに反映させるような柔軟性を持つ必要があると思う。

日医副会長・今村聡氏:情報共有と連携を在宅時医学総合管理料等の要件とするのは大事なことだ。看取りをしている先生が、ケアマネからのさまざまな情報共有の要請に対して応えていないというのは、現状はないと思う。

患者や家族の希望に応じた看取りを推進する観点から、ガイドラインを参考に行われる医療等の提供方針の決定プロセスについて、診療報酬上の位置づけを検討してはどうか。
看取りについてはさまざまな希望があることから、在宅で療養している患者が、在宅の主治医と病院との連携の下で、本人や家族の希望に基づき、最期を入院で看取った場合の評価を検討してはどうか。

松本吉郎氏:本人の意思に反して救命救急センターに搬送し、フルに救命救急活動を行うことが、問題点として指摘されている。救急車の適正利用の観点からも進めていくべきだ。

往診料の緊急加算の算定要件とされている病態については、医療提供に係る実態を踏まえて、対象患者の要件を見直してはどうか。
患家の求めに応じて患家に赴き、診療を行った場合に算定できるとの往診料の取り扱いについて、「患者の求め」の解釈に幅があることから、より適切な運用につながるよう、要件を明確化してはどうか。
松本純一氏:現在の往診料の算定要件には違和感がある。現場の意見を反映した見直しに期待する。解釈に幅が必要だとは考えるが、悪用されることのないような要件にすべきだと考える。

今村氏:緊急加算には心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症という疾病、病態が書かれているが、「これらを起こしたら救急車でしょう」という話だ。実は緊急に行く医療機関は何が大変かと言うと、診療中に出かけて行くことが大変。そういうことの加算なら理解できると思う。

 そのほか、訪問歯科診療と訪問薬剤指導について、厚労省は以下の論点を提示した。

訪問歯科衛生指導料の「複雑なもの」と「簡単なもの」の区分について、見直しを行ってはどうか。
「簡単なもの」の算定要件の一つに「複数の患者に同時に40分以上指導を行った場合」があるが、このようなケースは少ないと考えられることから、評価のあり方について見直しを検討してはどうか。
要介護高齢者に対する口腔の管理を推進する観点から、口腔清掃や有床義歯に関する実地指導のみではなく、口腔機能も含めた療養上必要な指導を行った場合も評価の対象となるよう、訪問歯科衛生指導料の見直しを検討してはどうか。
無菌製剤など積極的な対応を要する在宅薬剤管理をより広く推進するため、専門的な技術を要する在宅薬剤管理の実績や地域の薬局への支援等に着目した評価を検討してはどうか。また、小児に対する在宅薬剤管理に対する評価を検討してはどうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568586
全日病、10年以上の医師対象に「総合医プログラム」開始
都内でのスクーリング中心、ゴールは「現場で一歩踏み出せる」
 
2017年11月13日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全日本病院協会の猪口雄二会長は11月10日、東京都内で記者会見し、同会会員施設の医師に対し、「全日病総合医プログラム」を提供することを公表した。対象はおおむね10年以上の医師で、50万円程度と見込まれる受講料は各病院が負担する。2018年1月から受け付けを開始し、7月からスタートする(『「全日病 病院総合医」を養成するわけ - 猪口雄二・全日病会長に聞く◆Vol.2』を参照)。

 最短で1年間で取得できるが、勤務しながらであることから、1~3年での取得を想定している。全日病は年間40人程度の取得を見込んでおり、各病院には修了者に「総合医としての評価」を行うように求めている。プログラムは日本プライマリ・ケア連合学会が協力。(1)自院における診療実践、(2)スクーリング、(3)e-learning――で構成され、スクーリングを中心に据える。スクーリングは診療実践コース(22回)、ノンテクニカルコース(10回)、医療運営コース(3回)で、プログラム参加時に各自が必要なものを選んで選択する。全35回の3分の2程度が必須となる。1回1日の予定で、東京で土日曜日に連続して開催することを想定。各コマを少なくとも年に1回開催する。

 診療実践コースでは総論の他に、臓器別・診療科別にカリキュラムを作成。循環器コースでは「胸痛と呼吸困難を訴えて受診した患者に対して、身体所見や心電図などの検査所見から、心筋梗塞を診断して適切な初期対応ができる」「健診で初めて高血圧を指摘された患者に対して、二次性高血圧の除外を行った上で、行動科学における方法論に基づく適切な生活習慣指導を行い、適切な降圧薬を選択して継続的にフォローアップできる」など、具体的な到達目標が設定される。プログラム作成に当たった筑波大学地域医療教育学教授の前野哲博氏は、「ゴールは『現場で一歩踏み出せること』。当直の時に、全科を断らずに対応できる。数の多い典型例をガイドライン通りに診ることができるイメージ」と説明する。

 ノンテクニカルコースでは「コンフリクトマネジメント」「教育技法」、医療運営コースでは「医療制度・診療報酬の理解」「介護制度の理解」などがある。全日病常任理事の井上健一郎氏は「幅広さと組織運営ができる医師が求められている」と説明した。

 日本専門医機構の総合診療専門医との関係については、猪口会長は「似ていると思うが、全国に行き渡るには時間がかかる。現場の変化は待ったなしである」と説明。日本病院会でも同様な取り組みがスタートするが、「発想としては同じだが、やり方が異なるかもしれない」として、現時点ではそれぞれが必要だと思うことを実践することが重要との考えを示した(『日病独自の「病院総合医」、2018年4月から育成』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568428
医師の働き方改革とキャリア
四病協調査「宿日直許可得ず」19%、「36協定なし」15%
厚労省働き方検討会、医療団体からヒアリング
 
レポート 2017年11月11日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は11月10日、「第4回医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、日本医師会と、全国自治体病院協議会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議からヒアリングを行った。各団体は、それぞれが行った勤務実態などに関する調査結果を発表し、「医師に対する時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊を招かないよう、慎重な検討が必要だ」(全自病会長・邉見公雄氏)、「大学病院の医師が意欲と希望を持って診療、教育、研究に打ち込むことができるよう配慮を」(千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏)など、現場の実態を踏まえた議論の必要性を訴えた。

 一方で、四病協の調査では、労働基準法上の宿日直許可なく宿直勤務をしている施設が19.2%、36協定を締結していない施設も14.9%あるなど、長時間労働の是正以前の問題として、労働基準法の基本的ルールを遵守されていない実態も明らかになった(資料は厚労省のホームページ)。

 山本氏は、全国医学部長病院長会議が10月17日~11月6日に行った「医師の勤務環境改善策の取組み状況についての緊急調査」(80施設に発送、73施設から改修)の結果を発表。「大学病院の勤務環境の大きな特徴として、院内の各種委員会が多数に上るとして、約3年前に、3割ほど委員会を減らしたが、現在には元に戻ってしまっている。厚労省などから指導を受けると委員会が増える」と千葉大病院の例を紹介した。


2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・全国医学部長病院長会議ヒアリング資料

 日本医療法人協会副会長の馬場武彦氏は、四病協が各団体の会員病院を対象に行った調査結果(5118施設に発想、639施設から回収)を発表。労基法施行規則第23条にある宿日直許可を行わずに宿日直勤務を実施している施設が19.2%あり、医師に法定労働時間を超える時間外労働をさせるために必要な36協定を締結していない施設も14.9%あった。この結果について、馬場氏は「一般的な医療機関での宿日直の実態と、現在の労働基準法の宿日直基準があまりにもかけ離れていることがその一因。救急対応などを行っている医療機関の宿日直の実態にあった仕組みが必要なのではないか」と述べた。


2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・四病協ヒアリング資料
 日医常任理事の市川朝洋氏は、日医勤務医委員会の委員が9月から10月にかけて所属ブロックの医師にヒアリングした結果、労働時間短縮が地域医療に及ぼす影響として、(1)救急医療への影響、(2)外来診療の縮小などの病院機能の低下、(3)高度医療・長時間手術などへの影響、(4)へき地への影響、(5)研修時間と研修医教育への影響――などの意見が挙がったと紹介した。

 日医副会長の今村聡氏は、日医女性医師支援センター長としての立場から、2016年に同センターが行った調査(結果は同センターのホームページ)を紹介。女性医師の割合は今後さらに高まるため、「出産・育児のみならず、医師業務との両立、キャリア形成確保のための支援も重要。多様な働き方、幅広い選択肢を前提とした支援策が望まれる」と指摘した。

 邉見氏は参考人として出席し、意見陳述し、全自病が7月から8月に行った調査結果(879施設に送付、437施設から回収)を紹介。改正労基法の規定で時間外労働の上限が医師も一律に720時間とされた場合の診療体制への影響などを尋ね、「救急外来の対応が困難になる」、「深夜帯の診療制限が必要」などの回答があったとし、「現状では、時間外労働規制の課題をクリアするための医師等の増員は、実現が困難。応招義務と労働量規制との関係について、十分な議論と整理が不可欠だ」と述べた(関連記事は『上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も』)。

構成員の主な発言は次の通り。

◆東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授・渋谷健司氏:働き方改革をきちんとしないと偏在の問題は解決しないと思っている。(厚労省の)医師需給分科会では管理者要件を課すというのが出たが、管理者の根拠としてへき地勤務は関係ない。インセンティブならまだ良いが。また、今村構成員の資料に女性医師が仕事を続けるために必要と思うことが出ているが、「診療報酬、医療費等」という回答はほとんどなく、要は働き方だ。この辺りをきちんとしないと、女性医師や若手が地方に行かない。

◆今村氏:渋谷構成員の言う「お金、診療報酬ではない」というのは、その通りではあるが、やはりお金はかかる。私は中医協(中央社会保険医療協議会)の委員でもあるが、1号側(支払側)の委員から「働き方改革と診療報酬は関係ない、切り分けて議論するべきだ」という極めて強い主張があり、激しくやりあった(『診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める』を参照)。診療報酬改定の時期でもあり、今こそ必要なものは必要と言わなければいけない。

 山本構成員の発表で、委員会が多いとのことだが、診療報酬に位置付けられて開催しなければいけないものはどのくらいあるのか。また、せっかく時間をかけて特定看護師になった方を活用できていないのはなぜか。

◆山本氏:「医師の出席義務があるもの」というくくりで調査したため、診療報酬上のしばりについてはすぐには分からないが、感覚的には半分くらいではないか。組織が大きいため、トップダウンで済むということではなく、コンセンサスの形成、医療安全上、臨床上の必要などでどんどん増えていくのが実情だ。特定看護師については、千葉大にいないので分かりかねるが、例えばフィジシャン・アシスタントで言えば、各病院で独自に雇えるが、制度的な裏付けがない。ガイドラインなどもなく、病院の責任でやらなければならないなどがネックになっている。

◆東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏:邉見参考人の発表で、「上限規制がかかると患者が困る」という話があったが、自治体病院の窮状よりもそれが出てくるところは、医師のプロ意識だと思った。この検討会では、医療に規制をかけるよりも、医師、医療者を支援する観点で議論するべきだと強く思う。

◆全国衛生部長会会長・鶴田憲一氏:医療が高度化し、高齢化も進んでいる現状では医師の労働時間は多くなる。一方で上限規制も行われるとなると、どういう医療が国民に必要かを考えないといけない。患者の側も、受診のあり方を考えないといけないのではないか。

◆今村氏:国民の理解が必要だということには、この検討会の誰も反対しないと思う。では誰がどのようにやるのかという方法論が欠けている。方向性を出さないと、堂々巡りだ。国民皆保険は大事で、崩壊したら終わりだ。考えていかないといけない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/569804
真価問われる専門医改革
新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割
内科2554人、総合診療158人、東京の眼科などで調整も ** 
 
レポート 2017年11月17日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は11月17日の理事会後の記者会見で、11月15日に締め切った1次登録者数は、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たる7989人に上ることを公表した。最も多いのは内科で2554人、新たに基本領域に加わった総合診療は158人。それ以外も含め、全19の基本領域別の登録者数は、地域医療への影響を検証した後、公表する予定。

 10月10日の1次募集開始時点の専門研修プログラムは3060だったが、その後、3つの総合診療のプログラムが追加、全3063のプログラムの募集定員総数は、1万9093人(3060プログラムの都道府県別の数は、『新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】』を参照)。今月末までに調整を行い、12月15日までに採否を決定、12月16日から2次募集を開始する。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「初期臨床研修を終えようとしている医師の約9割に、新しい専門医制度に登録してもらったことは、ありがたいと同時に、責任の重さを痛感する」と語った上で、「都市部への専攻医の集中はほとんどない。過去5年間の専攻医の平均採用実績を大きく回っているところはない」と説明した。

 新専門医制度は、都市部への医師偏在を増長するのを防ぐため、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では、医師不足の外科など4領域を除き、過去5年間の専攻医の平均採用実績を超えないように調整することが必要(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「東京都であふれていないかを今、検証している。それほど大きくオーバーしている領域はないが、眼科は前年度の採用数よりも50人ほど増えている。この辺りに心配がある」と語った。脳神経外科以外の領域は、研修プログラム制による専攻医採用実績についての過去5年分のデータがないため、「医師・歯科医師・薬剤師調査」なども照合して、検証を進めるという。なお、厚生労働省も、各基本領域の学会から、1次登録状況について報告を求め、検証する方針。

 7989人のうち、各専門研修プログラムの募集定員を超えたのは、計75人。専攻医登録用のIDを取得したものの、1次登録をしなかった医師が110人。これらに加えて、1次登録で調整の結果、研修先が決まらなかった医師などが、12月16日から開始予定の2次募集で登録することになる。

 1次登録者の大半は現在、卒後2年目の臨床研修医と想定される。2016年3月の医師国家試験の合格者数は8630人。ここには卒後、基礎医学等に進んだ医師も含まれるが、卒後2年目の臨床研修医の約9割が、専門医研修に入ると見込まれる。

 PMDAとAMEDの勤務経験、専門医更新の実績に
 そのほか、17日の理事会では、初期臨床研修が年度末の3月に修了せず、年度途中から専門研修を開始する場合の対応方針も決定した。年度当初から開始する専攻医と同じ募集定員枠内で研修先を決定、研修開始時点から各領域の所定期間(3~4年)、研修を行う。

 「今後、医師の働く場が広がってくる」(山下氏)ことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本医療研究開発機構(AMED)については、その勤務期間を専門医更新の際のキャリアとして認めることも決定した。各学会に対応を依頼する方針。山下氏は、「患者を診ているわけではないが、医学的な知識をフルに活用して仕事をしているため、診療と同様の実績として認める」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568576
2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
地域枠の研修先、「卒後の条件」に縛られず?◆Vol.2
女性は「実家に近い」、大学選択者は「進路・キャリア」も重視
 
レポート 2017年11月18日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は現在検討している医師偏在対策の一つが、大学医学部の「地域枠」の活用だ。大学卒業後、出身地、あるいは出身大学の都道府県で研修する傾向が見られることから、「地域枠」とは別に「地元出身者枠」を設ける案として上がっている(『医学部定員の「地元出身者枠」、地域枠とは別に設置を』を参照)。

 まず医師臨床研修マッチングにおいて、「研修先として病院を選択する際に重視した項目」を複数回答で聞いた結果、男性と女性ともに最多は「様々な診療科・部門でバランス良い経験を積める」(男性43.8%、女性53.0%)で、以下、「臨床研修のプログラムが充実」(同40.1%、49.4%)、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」(同39.8%、47.0%)などと続いた。上位の順位は同じだったが、上位3項目はいずれも、女性の方が男性よりも、7.2~9.3ポイント高かった。

 男女で差が出たのは、「実家に近い」(男性20.1%、女性25.9%)。妊娠・出産・育児を想定して、実家に応援を依頼できる地域を選んでいることがうかがえる。

Q1.研修先として病院を選択する際、重視した項目は何ですか?(男女別)【複数選択】
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 さらに「最も重視した項目」について、「一般枠」と「地域枠」の別で聞いたところ、当然ながら顕著な差が見られた。「一般枠」の医学生等では、「様々な診療科・部門でバランス良い経験を積める」がトップで、24.0%が選んだ。以下、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」(15.6%)、「とても豊富な症例を経験できる」(11.5%)。

 一方、「地域枠」の医学生等は、「地域枠の卒後の条件に合致する」が最多だが、25.0%にとどまった。「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」も「一般枠」よりも多く、22.9%。その条件にとらわれず、まず広い視点で複数の施設を候補に挙げ、その中から絞り込む際に、地域枠の卒後の条件に合致するかを見るという手順を念頭に置いて回答した医学生等もいると見られる。

Q2.研修先として病院を選択する際、「最も重視した項目」は何ですか?(一般枠、地域枠別)
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 大学病院と市中病院の別でも、大きな差が見られた。大学病院を研修先に選んだ医学生等は、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」が最多で25.7%であり、大学病院でそのまま続けて専門研修を受けることを検討しているものと見られる。

 一方、市中病院を研修先に選んだ医学生等は、「様々な診療科・部門でバランス良い経験を積める」が最多で26.7%。「とても豊富な症例を経験できる」(13.7%)、「仕事とプライベートのバランスを保てる」(12.0%)も大学病院の選択者よりも多かった。

Q3.研修先として病院を選択する際、「最も重視した項目」は何ですか?(大学病院、市中病院別)
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Q4:研修先として病院を選択する際、「最も重視した項目」は何ですか?(男女別)
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◆ 2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート」 ⇒ 掲載記事一覧はこちら。

【調査概要】
調査対象者:2017年10月27日~10月30日
対象:エムスリー株式会社のグループ会社である医療・福祉系国家試験対策の株式会社テコムに登録のある、全国の医学部6年生、既卒者。
有効回答者数:440人



https://www.m3.com/news/iryoishin/569711
中央社会保険医療協議会
「地域包括ケア」「専門医療提供」、有床診に二つのモデル
厚労省、「入院医療と介護サービスを組み合わせた運営」を検討
 
レポート 2017年11月17日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月17日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、主に地域医療を担う有床診療所は「地域包括ケアモデル」、主に専門医療を担う有床診は「専門医療提供モデル」と位置付け、2018年年度診療報酬改定でそれぞれ評価する案を説明、診療側と支払側からともにおおむね了承を得た。前者については、入院医療と介護サービスを組み合わせて運営することを可能とする方針。

 さらに(1)高齢者では入院期間が長期化する傾向にあるものの、2016年度改定で新設された「在宅復帰機能強化加算」の届け出が1割程度にとどまっていることから、要件を見直す、(2)在宅で療養中の患者が、在宅の主治医と有床診との連携の下で、患者本人や家族の希望に基づき、最期を有床診で看取った場合の取り扱いを検討――の2点についても、両側ともおおむね了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。


(2017年11月17日の中医協総会資料)(図 略)

 有床診の数は、2016年と1999年との比較で約半分以下に減少、病床稼働率は最も高い入院基本料1でも67%にとどまる。有床診が現状で担っている機能を分析すると、「専門医療」(51%)、「緊急時対応」(46%)、「在宅・介護施設への受け渡し」(37%)――など(2015年病床機能報告データによる。7項目のうち、最大5項目を選択可とした場合の回答)。主に専門医療を担う診療科(産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科)と、主に地域医療を担う診療科(内科、外科)、双方の機能を持つ診療科(整形外科)に大別できることから、「病床の稼働率を上げるためにも、病床の特徴を生かした報酬設定や介護への取り組みが必要ではないか」(厚労省保険局医療課長の迫井正深氏)。

 有床診の入院基本料は1から6に分かれる。点数が高い1から3の施設基準は、専門医療、在宅療養中の患者の支援に関するものなど、計10項目のうち、2つ以上を満たすこと。これらの項目の体系の見直しなどが検討される見通し。

 日本医師会常任理事の松本純一氏は、「入院基本料が低く、加算も算定できず、有床診を維持する困難さがあり、病床稼働率も低下している」と経営の厳しさを訴えた。その上で、「地域医療と専門医療、それぞれの特性に応じた報酬が必要」と述べ、特に「地域包括ケアモデル」については、転換をしやすくなるモデルの検討を要望。「在宅復帰機能強化加算」の見直しにも賛成、前述の(2)については、在宅療養支援診療所の施設基準に在宅看取りの実績があることを念頭に、「一定の条件を付けて、最期に有床診で看取った場合にも、在支診の看取り実績に加えてはどうか」と提案した。

 日医副会長の今村聡氏は、地域包括ケアシステムを構築する上で、有床診を評価していく方向性は支持したものの、経営が厳しい中で介護分野に取り組もうとしても難しい現状があるとし、「経営基盤を強化する方向性も併せて検討してもらいたい」と求めた。

 一方、支払側の健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、有床診が二極化している現状を踏まえ、「それぞれに適合した評価に変えていくことが必要」とし、「病床稼働率があまり高くなく、空床になっている部分を介護分野に転換していくことは、地域包括ケアの中で有床診が果たす役割として重要ではないか」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/569533
野洲市民病院:開院時から独法化 整備委で大筋了承 
地域 2017年11月17日 (金)配信毎日新聞社/滋賀
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 野洲市は15日、JR野洲駅前(同市小篠原2203の1)に計画する市立の野洲市民病院について、開院時から独立行政法人による運営とする方針を明らかにした。同日の病院整備運営評価委員会(委員長=塩田浩平・滋賀医科大学長)で説明し、大筋で了承を得た。

 市立病院はもともと、同市の中核的医療拠点とされている民間の野洲病院(同市小篠原1094)の経営継続が困難となったため、市が施設や債務などを引き継いで新たな病院を整備する基本構想を2014年3月にまとめた。構想などでは19年に野洲病院から引き継いだ施設を使って市立野洲病院を地方公営企業法に基づき開院し、21年に駅前で野洲市民病院を開院するとしていた。

 一方、駅前の野洲市民病院の運営主体については「(市立病院)開院後5年程度をめどに運営状況を検証し、市直営を継続か独立行政法人等へ移行するかを検討する」としていた。しかし、昨年、独法化した全国の病院を総務省が検証した結果、地方公営企業による運営よりも収支結果が良いなどとされた他、県内でも大津市民病院などが独法化したことから方針を変更した。【衛藤達生】



https://www.m3.com/news/general/569374
特養の「みとり」報酬増 厚労省、多死社会に対応 
行政・政治 2017年11月16日 (木)配信共同通信社

 厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、特別養護老人ホーム(特養)が夜間に訪問してくれる医師を確保するなど、利用者を施設内でみとる体制を整えた場合に、報酬を引き上げる方針を明らかにした。

 15日開いた社会保障審議会の分科会で案を示した。終末期の高齢者が増える「多死社会」を迎え、病院などでの受け入れには限界があるとして、施設でのみとりを促す。

 特養が地域の病院と協力し、利用者の容体が急変したら早朝や深夜でも医師の訪問を受けられるようにしたり、実際に利用者をみとったりした場合、報酬を手厚くするよう提案。医療処置にも対応できるよう、夜勤の看護師を配置した施設の加算を増やすとした。

 現在、高齢者の8割弱が医療機関で死亡しており、住み慣れた施設や自宅で最期を迎えたいという高齢者の希望がかないづらいとの指摘がある。委員からは「本人や家族が望まないのに病院に搬送されて医療を受けることのないよう、意向をくみ取る仕組みが必要だ」などの意見が出された。

 有料老人ホームについては、病院を退院した入所者が多く医療的なケアの必要性が高いとして、たんの吸引などが必要な利用者を多く受け入れる施設への加算を新設することを提案した。



https://www.m3.com/news/general/569139
研究者育成事業「廃止を」 政府、行政の無駄点検開始 
行政・政治 2017年11月15日 (水)配信共同通信社

 政府は14日、中央省庁の事業に無駄がないかを有識者が公開で点検する「秋のレビュー」を東京都内で始めた。今回は9府省の46事業が対象で、16日までの3日間は都内で、19日には徳島市で開く。初日、有識者は文部科学省による国立大の若手研究者育成事業について事業目的や成果などを検証し「国が支出する国立大運営費交付金の中で対応すべきだ」と廃止を要求した。

 こうした有識者の検証結果は2018年度予算案の編成に生かされる。政府は、歳出削減に取り組む姿勢をアピールしたい考えだ。

 文科省の事業では、ほかに大学院の教育改革支援をうたう二つの事業に関し意見を聴取。有識者は「違いが明確に示されず、国民の税金を投じるべきか意義は疑問」として「廃止を含め、抜本的に見直さないといけない」と判定した。

 燃料の高騰時に施設園芸農家を支援するため、農林水産省が補助金を出し、農業関連団体が積み立てている基金を巡っては「見込みと執行実績に大きな乖離(かいり)がある」と指摘。余剰資金は国庫返納すべきだとした。

 総務省のベンチャー企業への支援事業と、さまざまな機器をネットで結ぶ「モノのインターネット(IoT)」に絡む事業も対象となり、それぞれ「抜本的見直し」とされた。

 レビューは午前から実施され、午後は梶山弘志行政改革担当相も参加した。



https://www.m3.com/news/general/568721
医師派遣、病床融通で効果 大田で導入病院が利点説く 
地域 2017年11月14日 (火)配信山陰中央新報

 複数の医療機関でグループをつくり、医師の再配置や病床再編などを行えるようになる新制度「地域医療連携推進法人」をテーマにした県主催のセミナーがこのほど、大田市大田町のサンレディー大田であった。先駆的に同法人を導入した病院長らが制度の内容や利点を説明し、行政・医療関係者約120人が聞き入った。

 同法人は、人口減や医師不足が進む中、効率的な医療の提供を目的に、4月の改正医療法施行を受け、都道府県知事の認可で設立が可能になった。

 セミナーでは、野村ホールディングス傘下のコンサルティング会社、野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー(東京都)の中村大正社長が、同法人の導入で医師や看護師の相互派遣、若手医師の共同研修、病床の融通など効率的な医療サービスが提供できると強調した。

 医療圏や県境、民間病院と公立病院との垣根を越えて連携することも可能と説き、「若い医師の受け皿、後継者がいない医療機関のセーフティーネットにもなり得る」と説いた。

 広島県北部の3医療機関で4月に中国地方初の同法人認定を受けた「備北メディカルネットワーク」の中西敏夫代表理事=市立三次中央病院院長=は、医師の派遣元となる広島大などとの協議で、各病院が個別に臨むよりも交渉力が増す利点があると指摘。医師不足が深刻化する中山間地域では「地域として医療従事者を確保し、地域の中でうまく配置調整することが求められる」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/568681
室蘭で地域医療検討会が初会合、3総合病院が課題共有 
地域 2017年11月13日 (月)配信室蘭民報

 人口減少に伴う患者減などを受け、室蘭市内の将来の医療提供体制などを議論する「地域医療あり方検討会」(会長・石井吉春北大公共政策大学院特任教授)の初会合が11日、室蘭市東町の市保健センターで開かれ、道内の医育大学関係者らによる有識者、室蘭市医師会、市内3総合病院のトップらが現状や課題などの情報を共有した。

 西胆振医療圏(3市3町)での医療需要を推計して効率的な医療体制の提供を目指す「西胆振区域地域医療構想」(2016年12月策定)では、25年の病床推計を16年7月現在の稼働病床から382床削減の必要性を指摘。不足が見込まれる回復期病棟の充足や過不足ない医療提供体制の構築などの方向性も示している。

 一方で、西胆振医療圏の中核を担う市内3総合病院は、診療科目の重複による患者分散や安定した医師確保などで問題も抱える。このため「現在の医療提供体制を将来的に維持するのは困難。将来のあり方について早急な検討が必要」(青山剛市長)との観点から、行政主導の「地域医療あり方検討会」が設けられた。

 検討会は、本年度末までに計4回を開く予定。室蘭市内の3総合病院をはじめとした将来的な体制を検討した上で、長期的な展望と、短中期的な医療再編や連携策なども探る。

 初会合には札幌医大や北大などの医育大学、室蘭市医師会、胆振総合振興局、市内3総合病院、町内会連合会関係者らの委員9人が出席。

 青山市長は「人口減に伴う医療需要減などで、現状では、将来的に医療の安定供給を、市民に(約束)することができない状況」と改めて説明。「人口減対策に取り組んでいるが、地域医療のあり方は、その根幹・基盤。強い決意と覚悟で取り組む」とあいさつ。

 その後の議論は非公開で行われ、各病院の包括医療費支払い制度(DPC)など、同市の委託を受けたコンサルティング総合研究機関が分析した客観的なデータなどを通じて、現状や課題などを共有した。



https://www.m3.com/news/general/568747
【千葉】評価委員会の開催延期 新中期計画案整わず 東金の中核病院 
地域 2017年11月13日 (月)配信千葉日報

 東金市の地域中核病院「東千葉メディカルセンター」の運営を巡り、来年4月以降の中期計画案が示される予定だった11日の評価委員会が延期になった。設立団体の東金市・九十九里町と病院との間で入院患者向けの「小児病棟」などの有効活用について協議が整わなかった。

 同病院は2021年度に病床数314で全面開業される予定。27床分の小児病棟は開業前であることなどから、現在は245床にとどまる。4年間の第2期中期計画の最終年度に当たることから、来春以降の第3期中期計画案づくりが進められていた。

 新中期計画案策定を前にした先月の評価委員会で、経営を助言する千葉大学から「(少子高齢化などを背景に)小児病棟のオープンには慎重に考えることが望ましい」といった指摘があった。これを受け、病院と設立団体との間で小児病棟を含む施設全体のあるべき姿を探っていた。

 新中期計画案は評価委員会での話し合い後、12月1日開会の東金市議会などに提案される予定だった。

 次回の評価委員会の開催時期は未定で、事務局の東金市は「病院との協議が整い次第、早急に開きたい」と話している。



  1. 2017/11/18(土) 18:04:00|
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