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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月2日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2334381010112017FFE000/
アジア新興国で医師不足顕著、民間参入に余地
東南アジア

2017/11/10 22:00日本経済新聞 電子版

 中国やインドネシアなどアジア新興国では経済成長とともに、病院や医師の不足が深刻な問題となっている。政府系や国有企業系といった公的な病院だけでは医療ニーズを賄いきれない国は多く、民間参入の余地が大きいのが実情だ。

 経済協力開発機構(OECD)によると、人口1000人あたりの医師数はOECD加盟国の平均で3.3人。中国でその半分程度で、インドネシアはわずか0.3人だ。アジア新興国では医師の育成と同時に、医療ニーズを満たす病院の拡充が課題となっている。

 マレーシアを拠点に富裕層向け病院を運営するIHHヘルスケアは中国やインドで病院を増やす。中間層向けの病院ではコロンビアアジアグループが東南アジア3カ国で病院を運営する。経済発展とともに中間層に肥満などの生活習慣病が増えていて、潜在的な患者数は増えている。中間層向け病院は従来の病院よりも割安にすることで患者を確保する。

(ジャカルタ=鈴木淳)



http://digital.asahi.com/articles/ASKC736Q6KC7PLXB003.html?_requesturl=articles%2FASKC736Q6KC7PLXB003.html&rm=463
勤務医、2千時間超の残業 香川の県立病院、医師不足で
2017年11月7日14時03分 朝日新聞

 香川県内の県立病院で昨年度、時間外労働が2千時間を超える勤務医がいたことが7日、県への取材でわかった。また勤務医約50人が、労働基準法に基づく法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働を可能にする労使協定(36〈サブロク〉協定)の上限を超えて働いていた。県は背景に医師不足があるとし、「医師確保に努めているが、妙案はない」としている。

 県によると、県内にある中央(高松市)、白鳥(東かがわ市)、丸亀(丸亀市)の3県立病院の36協定は「月45時間、年360時間」が原則。特別条項で中央、白鳥は「月100時間を6回を限度に、年800時間」、丸亀は「月70時間を3回を限度に、年480時間」を上限としている。

 残業時間が最長だったのは、丸亀病院の精神科医で年2258時間。精神科医5人で回す宿直を、この医師が多めに引き受けていたという。県立病院課は「精神科の救急患者は多くなく、宿直では超過勤務をしながらも眠れていることが多い」としている。中央病院でも、手術や緊急呼び出しなどで残業が年2102時間の医師がいた。

 また、36協定の上限を超えていたのは、昨年度3病院にいた正規・嘱託の医師計207人のうち、月間では中央35人、白鳥1人、丸亀2人の計38人。年間では中央43人、白鳥1人、丸亀2人の計46人だった。国は過労死の認定基準を、時間外労働が「1カ月100時間、または2~6カ月の月平均80時間」としている。

 県立病院課の中井和博課長は「医療は止められず、対応に苦慮している。医師確保に努めつつ、職場環境の改善をいろいろ検討していきたい」と話した。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20171110-219090.php
葛尾で「内科診療」再開 医師不足で休止、田村医師会医師派遣
2017年11月10日 09時20分 福島民友新聞

 葛尾村は9日、東日本大震災後に医師不足で休止していた村内での内科診療を再開させた。村は昨年6月に東京電力福島第1原発事故による避難指示が大半の地域で解除されたが、医療環境が整わず、住民の帰還が進まない一因ともなっていた。村は同村落合字菅ノ又6の1の現地で村営診療所の開所式を行い、医療環境の充実とともに村復興への期待を込めた。

 村内では男性医師が内科診療を担っていたが、原発事故後に高齢を理由に引退。以降は村内で内科診療は行われていなかった。田村、三春、小野の3市町の医療関係者でつくる田村医師会が医師派遣で協力する。

 開所式では、篠木弘村長が「内科診療再開は村民の念願。村復興に大きく貢献すると確信している」、田村医師会の石塚尋朗会長が「村民の思いを受け止め頑張っていきたい」とあいさつし、看板を設置した。

 村キャラクターしみちゃんが立ち会い、式に花を添えた。関係者向けの内覧会も開かれた。初日は石塚会長が診療を担当した。

 田村医師会の複数の医師が交代で、内科や小児科の患者を診療する。診療所には診療室や処置室、調剤室を設け、尿や血液検査、心電図などの機器を用意した。診療日は毎週木曜日と毎月第2、4水曜日。受け付けは午後1時30分~同5時。



http://japan-indepth.jp/?p=37026
医師不足対策は看護師の有効活用
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
投稿日:2017/11/7 Japan in Depth

【まとめ】
・日本の医師数はOECD加盟国35か国中24位。
・医師不足対策で考えるべきは、看護師の有効活用。
・医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナー(上級看護師資格)を認めよ。

【注:この記事には複数の写真・図が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37026で記事をお読みください。】

我が国の医師・看護師不足は深刻だ。ところが、医師と看護師では不足の度合いが違う。この差について、これまであまり議論されてこなかった。

この点は、国際比較してみると分かりやすい。人口1,000人あたりの医師数は2.4人で、OECD加盟35カ国中24位だ。一方、人口1,000人あたりの看護師数は11人。OECD加盟国中12位である。我が国は看護師より医師不足が深刻だ。

これは看護師数と医師数の比をみると一目瞭然だ。ハンガリーのセンメルワイス大学医学部に通う石川甚仁君の調査をご紹介したい。石川君によれば、我が国の看護師/医師は4.6だ。これはOECD加盟国中、フィンランド(4.7)につぐ2位だ(図1)。

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図1:看護師と医師数の国際比較

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図2:都道府県の看護師数と医師数の比(2014年現在) 作成 センメルワイス大学医学部石川甚仁氏

ちなみに、英米など西欧先進国および北欧は3~4、東欧は2~3、南欧は2以下と低い。ギリシャにいたっては0.6だ。医師・看護師関係も国によって随分と違う。他の先進国と比較すると、我が国は、医師の不足を看護師がカバーしてきたことがわかる。

では、国内では、どのような差があるのだろう。図2は都道府県別の看護師数と医師数の比だ。西日本の値が高く、首都圏と大阪府・愛知県などの都市部が低いことがわかる。我が国の医師数は西高東低だ。看護師数は基本的に医師数に比例する(図3)。だが、実際には看護師は医師以上に、西高東低で偏在しているようだ。

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図3:看護師数と医師数の関係

その傾向がもっとも顕著なのは東京だ。看護師と医師の比は2.7。一番高い宮崎県(7.6)のおよそ3分の1だ。医師は多いが、看護師がいない。東京で働く若手医師が「看護師さんがやる仕事を全てさせられる」とこぼすのも無理からぬことだ。

東京には看護師はいないが、医師が多い。悲惨なのは千葉県や神奈川県だ。医師以上に看護師が不足している。この地域で団塊世代が一斉に高齢化する。厚労省は在宅医療を推進したいようだが、この状況では難しい。

かくの如く、我が国の医療現場が抱える問題は多様だ。地域の実情に適合した個別解が必要だ。ただ、一般論として、我が国は医師が少なく、看護師が比較的多い。医師不足対策で考えるべきは、看護師の有効活用だろう。これまで、このことはあまり議論されてこなかった。

では、福島県はどうなっているだろう。意外かもしれないが、看護師と医師の比は6.3。西日本と変わらない。実は福島を含め東北地方は、医師は少ないが、看護師は比較的多い。人口当たりの看護師数は、中国地方とほぼ同じレベルだ。

福島では、医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナーのような資格を認めれば、医師不足の緩和に役立つはずだ。ナース・プラクティショナーとは上級看護師資格で、一定のレベルの診断や治療を行うことが許されている。医師と看護師の中間職だ。

米国でナース・プラクティショナーが発達したのは、医師と比較して看護師が多かったからだろう。ナース・プラクティショナーが活躍する米国の看護師と医師の比は4.0。看護師の有効活用を考えた自然の帰結である。福島が特区としてナース・プラクティショナーを解禁すれば、「我こそは」と思う看護師が、活躍の場を求めて、やってくるかもしれない。

高齢化が進む地方では、在宅ケアのニーズは高まる。この分野でも看護師は活躍できそうだ。その際に問題となるのは規制だ。

私は、訪問看護ステーションの開設要件を緩和すればいいと思う。現在、新規開業には常勤換算で2.5人の看護師を確保しなければならないが、1人開業を認めたらどうだろう。自宅をオフィスに、全て自分でやれば、初期費用は格段に下がる。独立心旺盛な若手看護師が、地域医療に進出するはずだ。競争はサービスのレベルを向上させ、コストを下げる。

厚労省は、医師不足対策として、若手医師の地方勤務の義務化にご執心だが、この施策は何の根拠もない机上の空論で、おそらく実効性はない。

医師の総数が足りなければ、どんなことをしても問題は解決しない。厚労省が主導すれば、厚労省にとって優先順位が高い病院に優先的に医師が配置されるだけだ。

霞ヶ関で仕事をする高級官僚が、地域のニーズを十分に把握できるはずがない。もっと現場に裁量権を委ねるべきだ。医師不足対策の根本的な対策は、医師の養成数を増やすこと。ただ、それには時間がかかる。すぐにできるのは、既に育成した専門職の有効活用だ。地域の医師不足対策には、看護師の活用も含めて、幅広い視点で考えるべきである。

【訂正】2017年11月7日

本記事(初掲載日2017年11月7日)の本文中、「医師と看護師の中間色だ。」とあったのは「医師と看護師の中間職だ。」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。本文では既に訂正してあります。

誤:福島では、医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナーのような資格を認めれば、医師不足の緩和に役立つはずだ。ナース・プラクティショナーとは上級看護師資格で、一定のレベルの診断や治療を行うことが許されている。医師と看護師の中間色だ。

正:福島では、医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナーのような資格を認めれば、医師不足の緩和に役立つはずだ。ナース・プラクティショナーとは上級看護師資格で、一定のレベルの診断や治療を行うことが許されている。医師と看護師の中間職だ。



http://www.asahi.com/articles/ASKC87KKRKC8UBQU01B.html
医師不足地域での勤務、キャリア認定へ 厚労省が制度化
野中良祐2017年11月8日23時01分 朝日新聞

 医師が都市部などに集中する医師偏在を解消するため、厚生労働省は8日、医師が少ない地方での勤務経験者を認定する制度をつくることを決めた。地方での勤務をキャリアに有利となるようにし、自発的に地方で働く人を増やす仕組みをめざす。この日開かれた同省の医師需給分科会で提案され、大筋で合意を得た。

医学部に「地元枠」で医師不足改善へ

 認定されると、地方に貢献する認定医だと名刺や看板に書くことができるようになる。全国に約500ある地域支援病院などの管理者になるために必要な条件とすることも想定する。厚労省は今後、認定のために必要な勤務の期間や地域を検討。来年の通常国会に医療法の改正案を提出することをめざす。

 厚労省研究班が2016年に実施した医師の意識調査では全体の44%、20代の60%が都市部以外の地方で勤務したい意向をもっていた。地方勤務への不安の解消が医師偏在の改善に不可欠だと指摘されていた。

 厚労省は認定制度によって、地方で働く意向のある医師の後押しをしたい考えだ。この日の分科会では、「いろんな世代の医師のキャリアにとって大事なものとなる」「管理者の条件にする病院数を増やした方が良いのでは」といった意見が出た。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23351010Q7A111C1CR8000/
産婦人科「深刻な人手不足の恐れ」 医会が試算
2017/11/10 18:06 日本経済新聞

 医療現場で特に勤務環境が厳しいとされる産婦人科で医師の働き方改革を厳密に実施した場合、多くの病院が深刻な医師不足に陥るとする試算を日本産婦人科医会がまとめ、10日までに公表した。

 厚生労働省は医師の働き方改革の議論を進めており、2019年春をめどに残業時間の上限規制などについて意見をまとめる。医会の中井章人常務理事(日本医科大教授)は「労働環境の改善は必要だが、やり方によっては妊婦に迷惑がかかりかねない。現場の意見を踏まえて慎重に検討してほしい」としている。

 医会の試算は、労働基準法が上限と定める1日8時間、週40時間での勤務を想定。日勤や深夜勤務などシフトごとに勤務時間を分ける交代制を取った場合、現在の医師数で十分な医療提供態勢がとれるかどうか調べた。

 その結果、高度医療を提供する総合周産期母子医療センター(107施設)や地域周産期母子医療センター(298施設)では、計1231人の医師が不足。医師不足で運営できなくなる施設は277施設と全体の68%に上ることが分かった。約14万7千件の分娩に影響が出る恐れがある。

 産婦人科がある一般病院でも、半数以上で医師不足が生じる可能性があり、中井常務理事は「医師の増員とともに、医療機関の集約も必要だ」と指摘している。〔共同〕



http://www.asahi.com/articles/ASKC94W03KC9ULBJ00B.html
常勤医8%、1カ月休みゼロ 医師アンケート
野中良祐2017年11月10日09時32分 朝日新聞

 全国医師ユニオンなどが9日、勤務医に実施したアンケート結果を公表した。当直をする勤務医の7%が過労死ラインとされる月80時間の時間外労働を超えていたなど過重労働の実態が浮き彫りになった。

 ユニオンや日本医療労働組合連合会(医労連)が学会や自治体を通じて今年7~9月に得た約1800人の回答のうち、約1600人分を分析した。直近1カ月の休みを聞くと、常勤医の8%はゼロと答えた。

 当直をする常勤医の時間外労働は、月平均で約64時間だった。当直後に休みなく通常の勤務を始める医師は78%。こうした勤務で集中力や判断力が低下すると回答したのは79%で、27%は実際にパソコン入力などのミスが増えたとした。

 長時間労働の上限を設けるなどの労働時間規制について聞くと、約半数が賛成とした。こうした改革によって労働環境が改善すると思うかを聞くと、57%が「ほとんど改善しない」と回答。理由としては「医師不足で診療体制を維持できない」「現場で法律が守られない」「医師を労働者と考えない風潮が強い」などが多かった。

 全国医師ユニオンの植山直人代表は「非常に深刻な状況。何よりも完全な休日が必要で、休日ゼロは本人の健康と医療安全上、大きな問題だ」と話している。

 ほかに診療科の偏在についても…(以降、有料記事)
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2315813006112017L71000/
県内の医師不足 改善も 松戸市などから来院想定
2017/11/7付日本経済新聞 地域経済 日本経済新聞 千葉

 独協医科大学の取り組みは千葉県内の医師不足改善にも一定の効果が見込まれる。埼玉県越谷市の埼玉医療センターは「千葉県松戸市などからも患者が訪れ、対象人口は約200万人となる」(独協学園の寺野彰理事長)。越谷市から近い千葉県の野田、流山両市からの来院者も想定され、千葉と埼玉、東京をまたぐ広域的な医療圏の中心施設となる。

 厚生労働省の調査によると、千葉県内の人口10万人あたりの医師数は182.9人(2014年調査)。埼玉県、茨城県に次いで3番目に少ない水準にとどまる。一方、75歳以上の人口増加により医療ニーズは年々高まっている。千葉県によると、県内の入院医療需要は35年度に1日あたり約4万5千人と13年度比40%近く増加する見通し。

 千葉県内では国際医療福祉大学が2020年をメドに成田市内に付属病院(642床)を開設する。産科・婦人科や心臓外科を含め、39の診療科を設ける。千葉県も県立病院の医師増員などを通じ、診療体制の充実を目指す。それでも県内の医師不足を完全に解消できるかどうかは不透明だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568057
医療従事者の需給に関する検討会
「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討
基本はインセンティブ、強制力求める声も

レポート 2017年11月9日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月8日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第14回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、医師偏在対策として「医師少数区域」での一定期間以上の勤務経験を有する医師を厚労省が認定し、「認定医師であること」を広告可能としたり、地域医療支援病院等、一定の病院の管理者になる際に評価するなど、義務ではなくインセンティブで「医師少数区域」での勤務を促す仕組みを提案した。

 認定自体には異論はなかったものの、インセンティブではなく管理者要件として「医師少数区域」での勤務義務化を求めたり、地域医療支援病院以外にも臨床研修病院や診療所など、対象範囲をどこまで広げるかなどさまざまな意見が出た(資料は、厚労省のホームページ)。

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(2017年11月8日の「医師需給分科会」資料)

 外来医療については、無床診療所が都市部に偏在する傾向を是正するため、厚労省は地域の疾病構造や患者の受療行動など、外来医療の現状を「見える化」して情報提供することを提案、構成員の了承を得た。

 一方で外来医療における医師偏在対策として、これまでの医師需給分科会では、病床規制と同様に、無床診療所についても開業制限や保険医療機関の指定制限を設けるべきだとの意見が挙がっていた。しかし、厚労省は憲法上の「営業の自由」との関係や、制度導入前の「駆け込み開業」など法制的・政策的な課題をクリアしなければ、制度的に無床診療所の開業制限等を行うのは、「実現は困難」と説明。

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(2017年11月8日の「医師需給分科会」資料)

 「医師少数区域」での勤務を管理者要件とすることと、外来医療での偏在対策、無床診療所の開業制限等は関連する問題。いずれも強制力をもって進めるか、インセンティブを設けて医師の選択に委ねるかという視点で、構成員の意見は分かれた。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「あくまで医師の自主性を尊重すべきだ」とし、インセンティブを中心とした施策を重視し、仮に開業制限等を導入すれば「駆け込み開業」が起きると懸念した。

 一方で、岩手医科大学理事長の小川彰氏は「強制力を設けないと、実質的に動かない」、全日本病院協会副会長の神野正博氏も「偏在対策には、規制的な手法が必要」とし、「医師少数区域」での勤務を管理者要件にすることは「あり」との見解を示した。

 そのほか、病院と診療所の管理者は、2カ所以上の施設を掛け持つことは原則認められていないが、医師不足地域での医師偏在を是正するため、現在は医療法のQ&Aで認めている「無医地区等医療施設が少ない地区に開設する病院等の兼務管理」が可能な旨を明確化する。都道府県によって対応にばらつきがあることから、通知等を出すことになると見られる。

 片峰座長は、「次回は年内の報告書の取りまとめに向けた全体の議論を行う」と会議を締めくくった。医師需給分科会は、今年中に医師偏在対策に関する報告書を取りまとめる予定だ。法改正が必要な対策については、来年の通常国会に医療法改正法案等を提出する方針。

 「医師少数区域」での勤務促進、義務かインセンティブか
 認定医師の「医師少数区域」の勤務経験について、厚労省は、臨床研修や専門研修の期間に限らず、診療所開業前など、医師のさまざまなキャリアの時期での勤務を想定している。「どの時期で経験するのかは、まさに医師の選択による。若い時期、あるいはある程度経験を積んだ時期など、どこでも可能という意味」(厚労省医政局総務課長の榎本健太郎氏)。

 主に議論になったのは、「地域医療支援病院等、一定の病院の管理者としての認定医師の評価」の解釈だ。小川氏は、「認定医師でないと管理者になれないという理解でいいのか。『一定の病院』とは何か」と質問。厚労省医政局総務課は、「これまでの議論で、管理者要件として導入すべきとの意見があった一方、医師の自発的な意思に働きかけるべきだという意見もあった」と述べ、「一定の病院」の範囲と併せ、医師需給分科会で議論することを求めた。小川氏は、医療は税金や保険料など公的資金で成り立っているとし、「地域医療支援病院のみではなく、診療所の管理者要件まで入れないと効果はほとんどない」と提案。

 神野氏も、「強い医師偏在対策は必要。管理者要件を医師不足地域での勤務経験で縛ることは、私はありだと思う」と述べ、公的・公立病院、診療所までを対象に含めるかどうかを検討する必要性を指摘した。

 一方で、「管理者要件」とするなど、強制力を持った施策をけん制したのが、今村氏。「医師少数区域」での勤務を評価することには賛成したものの、「あくまで医師の自主性を尊重すべきだ」とし、医師のキャリアの中で、地域医療を知る機会の一端として、この仕組みを活用することが想定されるとした。さらに、強制的な仕組みを入れ、診療所の開設者の要件とすると、要件導入前に「駆け込み開業」が起きる恐れがあるとし、「相当慎重に検討した方がいい。まずはこの仕組みをはじめ、どんな効果があるかを見て、次のステップに進むべきだ」とした。

 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏も、若手医師に「一つの足かせのコースができた」と受け取られるのを懸念し、医師の生涯のキャリアパスの中で、「医師少数区域」での勤務経験を取り入れていくことを求めた。

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、「『行かされる』のではなく、『行きたい』と思わせることが必要」と指摘し、医師を受け入れる側の地域の体制づくりのほか、インセンティブとして管理者要件だけではなく、「非常に魅力的な学びの場がそこにある」という視点での検討が必要だとした。

 医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏も、「医師が行きたくないのに、行かされたのでは、医師と患者、お互いが不幸になる」とし、「学びの場がある、というメリットがある」を提示する必要性を指摘した。

 外来医療に関する情報提供が第一
 外来医療機能の偏在・不足対策については、情報提供の実施は支持されたものの、無床診療所の開業制限については、賛否が分かれた。

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(2017年11月8日の「医師需給分科会」資料)

 神野氏は、「フリーダムでやっていくのではなく、偏在対策には、規制的な手法が必要」とし、「診療所開業についても、地域の情報を見ながら、地域の医療審議会で、開業の是非を話し合うスキームがあってもいいのではないか。新規開業医の保険医としての活動を規制するのもあり得る話」とコメントした。小川氏も、過去に何度も医師需給に関して議論してきたものの、医師の偏在は悪化しているとし、「強制力のある提言をしないと、問題は解決しない」と指摘。小川氏と神野氏は、「自ら望んだ地域赴任でなくても、実際に経験することにより、地域医療への興味、関心を高めた」という自身の経験も語った。

 これに対し、今村氏は、過去とは異なり、今はエビデンスを基に議論しているとした上で、「医師偏在対策のメニューは多ければ多いほどいいのかもしれないが、(メニューによっては)リスクもある。新規開業については、まず情報提供することが一つの大きな前進」と述べ、「開業制限」的な議論をすると、「医師少数区域」の勤務を管理者要件とする場合と同様に、「駆け込み開業」の懸念があることから、まずは情報提供から開始して様子を見るべきと主張した。永井氏や堀之内氏も、今村氏の考えを支持。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「地域医療を経験した人は、そこに根付いてくれる。『地域医療を、1回経験したらどうか』という機会を、なるべく多くの人に無理強いにならないように提供できる体制を作っていくことが必要ではないか」と語った。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171109-OYTET50004/
病院長就任条件に地方勤務の経験を…厚労省提案
2017年11月9日 ニュース・解説 読売新聞

 地方の医師不足の解消策として、厚生労働省は8日、地方での勤務経験がある医師を認定する制度の創設を有識者会議に提案した。

 地域医療を支える病院の院長の就任に認定が必要となる仕組みにして、医師に地方勤務を促す考えだ。来年の通常国会に提出する医療法改正案に盛り込むことを目指している。

 認定制度では、医師が不足すると推計された地域の医療機関で、数か月~数年働いた医師に厚労省がお墨付きを与える。若手医師が研修の一環で地方に赴任したり、ベテラン医師が都市部から赴任したりするケースが想定される。

 認定への意欲を高めるため、厚労省は、全国約550の地域医療支援病院などの院長の要件とする方向。医師が認定を名刺に表記できるようにもする。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171108-OYTET50038/
リスクの高い出産に対応する病院、6割が産科医不足
2017年11月8日 ニュース・解説 読売新聞

 リスクの高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が労働基準法を順守する上で必要な産婦人科医を確保できていない、とする初の推計を日本産婦人科医会がまとめた。宿直や休日の日直の限度回数を超えた勤務が常態化している恐れがあるという。

 労基法では、労働基準監督署の許可があれば、労働時間の規制外となる宿直や日直を認めている。厚生労働省は通知で、1人につき宿直は週1回、日直は月1回が限度としている。

 同センターは、合併症のある妊産婦や新生児の集中治療を行う医療機関で、全国に107施設が指定されている。原則24時間、複数の産婦人科医の勤務が要件だ。

 同医会では、通知と要件に従った場合の宿直・日直体制には16人が必要と試算。今年6月、同センターの人員体制を調査したところ、107施設中66施設(62%)で産婦人科の常勤医が16人未満だった。非常勤医を加えても56施設(52%)が16人に達しなかった。

 実際は、高齢や妊娠・育児中などで宿直・日直を免除、軽減される医師も多い。16人以上いても、限度回数を超えている医師がいる可能性がある。

 産婦人科医不足を巡っては、同センターなど地域の基幹病院に医師を集めて、勤務負担を減らす対策が進む。同医会の中井章人常務理事は「さらに集約化を図るとともに、産婦人科医を増やす方策も必要だ。地域や診療科間での医師の偏在解消が急務だ」と話している。



http://www.asahi.com/articles/ASKC94G2PKC9UBQU012.html
米沢市立病院、救急医療中心に再編へ
石井力2017年11月9日18時00分 朝日新聞

 山形県米沢市の地域医療のあり方を検討してきた検討委員会(委員長=嘉山孝正・山形大学医学部参与)は7日、基幹病院の市立病院(35診療科、322床)を地方独立行政法人化したうえで、救急医療を担う急性期医療中心の病院に再編する意見書をまとめた。

 現在、市立病院とともに救急を担っている民間の三友堂病院(19診療科、190床)は回復期医療を中心とした病院にする。

 市によると、両病院は医師不足や医師の高齢化に直面している。両病院と舟山病院の3病院の輪番制で救急患者を受け入れているが、「救急医療態勢の維持が非常に厳しい」という。このため、病院の役割分担を含めた医療連携について、今年1月、委員会を設置し協議してきた。

 意見書は、今年度から始まった新制度「地域医療連携推進法人」を作ることも提言。この枠組みの中で、市立、三友堂両病院の病床や医師の運用など、連携を具体的に進めるという。両病院とも老朽化のため建て替えが必要で、2023年度までに同時に新規開院できるよう進めていく、としている。

 検討委は嘉山委員長のほか、中川勝市長や三友堂病院の仁科盛之理事長ら5人で構成。記者会見した嘉山委員長は「両病院の機能分担を明確にし、ベストの態勢ができた」と説明、中川市長は「地域医療を守るための方向性ができた」と話した。

 市は今後、意見書について市議会に説明し、独立行政法人化に必要な議案などを提案していく。



https://mainichi.jp/articles/20171107/ddn/041/040/055000c
時間外労働 勤務医、残業最悪2258時間 3割超、過労死レベル 昨年度、香川県立3病院
毎日新聞2017年11月7日 大阪朝刊

 香川県立病院で2016年度の1年間に計2258時間の時間外労働をした勤務医がいたことが6日、毎日新聞の情報公開請求で分かった。3病院の医師計207人のうち67人の残業時間が「過労死ライン」とされる月80時間を超えていた。勤務医の長時間労働が常態化している一端が明らかになり、専門家は「常軌を逸した状況で、労働基準法違反の疑いがある」と指摘する。【岩崎邦宏】

 情報公開されたのは▽県立中央(高松市)▽白鳥(香川県東かがわ市)▽丸亀(同県丸亀市)--の県立全病院に16年度に在籍した正規・嘱託の医師の勤務状況。

 法定労働時間は1日8時間、週40時間だが、労使協定(36協定)を結んで労働基準監督署に届け出れば、上限を超えて労働させることができる。36協定で中央、白鳥両病院は「月100時間を6回を限度に、年800時間」、丸亀病院は「月70時間を3回を限度に、年480時間」まで延長可能としている。

 公開資料によると、3病院で月の残業時間が協定上限を超えたのは計38人、年間では計46人。「過労死ライン超」が常態化していたといえる年1000時間以上の時間外労働は計20人に上った。

 年2258時間の残業をしていたのは丸亀病院の精神科医で、単純計算で月平均188時間、6時間以上の残業を365日続けたことになる。同病院の医師は7人で、定員(9人)を割っており、この医師は宿直と日勤の連続勤務を週2、3回していた。下村健次・事務局次長は「厳しい勤務状況という認識はある。ただ、精神科は救急患者がそれほど多くなく、宿直中はほぼ寝ることができる」と述べた。

 医師には正当な理由なく診療を拒めない「応招義務」がある。各病院は長時間労働の背景に救急患者への対応や医師不足があると説明。中央病院の和泉誠司・事務局次長は「医療はストップできない」と強調する。

 医療現場の長時間労働を巡っては、新潟市民病院の女性研修医(当時37歳)がうつ病を発症して昨年1月に自殺。うつ病発症直前1カ月の残業時間が160時間を超えていたとして、労基署が労災認定した。

氷山の一角だ
 過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「多くの医療現場は勤務医の善意に支えられており、勤務医が壊れるか、医療が壊れるかの瀬戸際といえる。香川県立病院の実態は氷山の一角であり、国全体として医師を増員し、必要なところに配置する必要がある」と話している。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171107-OYTET50010/
ニュース・解説
医師が時間外労働、年2100時間超…「過労死ライン」大幅超

2017年11月7日 読売新聞

 香川県立の丸亀病院(丸亀市、215床)と中央病院(高松市、533床)に勤務する医師が2016年度、2100時間を超える時間外労働をしていたことが、病院への取材でわかった。

 月平均で約180時間になり、「過労死ライン」とされる月80時間を大幅に超えていた。

 丸亀病院は精神科が中心の病院で、勤務医は7人。同病院によると、時間外労働の条件を定めた労使協定(36協定)では、「月70時間を3回まで、年間480時間」と定めているが、精神科医1人が年2258時間、別の医師も年953時間だった。宿直勤務が重なったという。

 下村健次事務局次長は「医師不足で厳しい勤務状況にあるが、容体が急変する患者が少なく宿直の負担は少ない。ただ、今後は勤務の調整と医師確保に注力したい」と話した。

 医師181人が勤務する中央病院では、36協定で「月100時間を6回まで、年800時間」とされるが、泌尿器科医1人が年2102時間に達し、年800時間以上は44人にのぼった。救急医療の中核病院で、手術が重なるなどしたという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568338
医師の働き方改革とキャリア
医師が望むのは「完全休日」、そのためには増員
全国医師ユニオン、「勤務医労働実態調査2017」結果発表

レポート 2017年11月10日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国医師ユニオンは11月9日、「勤務医労働実態調査2017」の集計結果の概要を発表した。この中で、勤務医の労働条件改善策として多くの回答を集めたのは、「完全な休日を増やす」。改善に有効な方法としては、「医師数の増員」と「無駄な業務を減らす」などが挙がった。全国医師ユニオンの植山直人氏は、「全く休みなく働いている医師もいる。2012年の前回調査と比べて、ほとんど変化がない。非常に深刻な状態だ」と述べた。詳細な分析結果は、来年1月に公表予定。

 調査は日本医療労働連合会や各医療団体、学会に協力を求め、7月1日から9月30日に実施。これまでに約1800人の回答があり、うち1621人分をまとめた。内訳は次の通り。

雇用形態別:常勤1336人(82.4%)、非常勤158人(9.7%)、初期研修医71人(4.4%)、後期研修医37人(2.3%)、大学院生5人(0.3%)、未回答14人(0.9%)。
勤務先の開設主別:大学病院304人(18.8%)、国公立病院281人(17.3%)、公的病院308人(19.0%)、民間病院509人(31.4%)、診療所111人(6.5%)、その他38人(2.3%)、未回答70人(4.3%)

 「労働条件改善策として重要と考えるもの(複数回答)」では、「完全な休日を増やす」が最多で抜きんでており、48.4%。「当直・日直回数を減らす」が30.0%、「通常の残業を減らす」が29.5%で続いた。改善に有効な方法としては、「医師数の増員」が63.2%、「無駄な業務を減らす」が46.8%、「医師補助職の増員」が46.5%だった。

 「この2年間で業務負担は変わったか」に対しては、「増えた」が45.5%で最も多く、「変わらない」が35.7%、「減った」が16.9%。診療時間は「増えた」が30.7%、「変わらない」が51.0%、文書作業でも41.8%が「増えた」と答えており、医師1人1人が担う業務負担が重く、増員や業務減でそれを減らすことを医師が望んでいることが分かる。

 1カ月の時間外労働の平均時間は、初期研修医が最も長く、65.9時間。後期研修医は59.7時間、常勤医が53.3時間だが、当直を行っている常勤医に限ると、63.9時間と大幅に増えた。1カ月の時間外労働が80時間を超えると回答したのは、後期研修医が最も多く18.9%、次いで初期研修医8.5%、常勤医が4.9%。当直を行っている常勤医は7.3%だった。「先月の休みの日数」の平均は、常勤医が4.7日、初期研修医が5.3日、後期研修医が4.9日。「先月の休みが0回だった」との回答は、常勤医8.2%、初期研修医4.2%、後期研修医が8.1%だった。

 長時間労働と医療の安全性に関する項目では、「医療過誤の原因についてどう考えていますか(複数回答)」との質問に対し、最も多かった「スタッフとのコミュニケーション不足」(56.6%)に続き、「慢性疲労による注意力不足」が55.9%。「当直明けの翌日の連続勤務と医療ミスの関係について」は、集中力や判断力が「大幅に低下」との回答が36.3%、「やや低下」が42.7%で、合わせて8割近くに上る一方、「変わらない」は6.1%だった。

 国や医療団体などで議論が行われている「医師の働き方改革」で労働環境が改善するかどうかについては、「大きく改善する」が2.2%、「改善する」が16.4%、「ほとんど改善しない」が57.1%で、悲観的な見方が半数を占めた。改善しない理由(複数回答)については、「今の医師不足では、必要な診療体制を維持できない」が627人と診療提供体制への影響を懸念するものが最も多い。次いで「時間規制の法律ができても、医療現場では法律は守られない」が625人。「医療界では医師聖職者論が根強く、医師を労働者と考えない風潮が強い」が500人「管理者の多くは本気で医師の労働問題改善に取り組んでいない」が355人だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568327
社会保障審議会
「公私、医療機関の扱いは原則平等」、医療部会で確認
医師偏在対策、地域医療構想、医師の働き方改革など総合的に議論

レポート 2017年11月10日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月10日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、同省の各種審議会・検討会で進む医療提供体制をめぐる議論の進捗状況を説明、委員の間で特に議論になったのは、医師偏在対策や地域医療構想における公立・公的と民間の医療機関の役割だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師偏在対策では、地域医療支援センターが、今後増加する「地域枠」の卒業生などを医師不足地域にいかに派遣するかが課題の一つ。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、公民の役割を考える上で、「税金が投入されている国公立病院、税制上の優遇がある日赤や済生会などの公的病院、いずれの優遇もない民間病院がある中で、いかに公平に医療提供体制を構築していくかが重要」との前提を述べた上で、地域医療支援センターが医師の派遣先を考える際に、公民の医療機関の区別があるのかを厚労省に確認。同省医政局医事課は、「差はない」と回答し、都道府県の実態として、公立病院中心に派遣している例があるとしたものの、国としては「機能」に着目し、センターが派遣先としてふさわしいと判断すれば民間病院も派遣対象になると説明した。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「地域貢献などについて、医療機関の開設主体にかかわらず評価した上で、地域枠の卒業生を派遣してもらうにしてもらいたい」と要望した。奈良県知事の荒井正吾氏は、地域医療支援センターを運営する地方公共団体の立場として、公立優先の医師派遣は利益相反になりかねないため、医師偏在に関するデータを派遣先を検討する必要性を指摘した。

 地域医療構想を実現していく上では、公立病院は「新公立改革プラン」、公的病院は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定し、地域医療構想調整会議において策定プランを議論することになっている。この点について、「公立・公的優先」と捉える向きもあり、10日の医療部会でも同様の趣旨の発言があったが、中川氏は「調整会議でプランを議論するのは、地域医療構想との齟齬がないようにするのが目的」と説明、民間病院の改革方針等を調整会議で議論するのは、「逆の方向。むしろ民間病院の自主性を損なうことになる」と釘を刺した。中川氏は、「調整会議の権限が強いことが、全国的に理解されていないことも問題」と指摘し、地域医療構想を進めるために調整会議を有効に機能させる必要性を指摘した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医療法上、公的医療機関は明確に位置付けられており、民間医療機関とは異なる」としたものの、「機能に着目した場合には、公的と民間で変わるものではなく、民間病院でもしっかりとした機能を果たしている場合には、相応の役割を期待する」との見解を述べた。その上で、「地域医療調整は、“枠取り”ではなく、各病院がどんな機能を果たし、他の病院との関係でどんな医療を担っていくのかを考えてもらうのが目的」と説明した。

 さらに医師の働き方改革については、その必要性が指摘された一方、病院経営者の立場からは「あまり拙速に進めないでほしい」(日本病院会会長の相澤孝夫氏)という意見が相次いだ。

 相澤氏は、「医師の働き方がこのままでいいと思っていないが、病院経営は厳しい現状。診療報酬が増えない中で、職員を増やし、勤務環境を整えるのは容易ではない」と指摘。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏も、「拙速はやめてもらいたい」と釘を刺し、「我々としては、医師の労働とは何かを、医療の側から定義していくことが必要」と述べ、労働時間の把握の方法も検討していく必要性を指摘した。

 神野氏は、医師の働き方と医師需給は関連する問題であるとし、「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会は2018年の年始から医師需給の議論に入る予定であることから、両者を関連付けて議論するよう求めた。

 医師不足、「2次医療圏単位で検討」

 厚労省は現在、医師需給分科会、「医療計画の見直し等に関する検討会」の地域医療構想に関するワーキンググループ、医師の働き方改革に関する検討会など、さまざまな場で医療提供体制に関する議論を進めている(『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』、『病床機能報告の基準に「在院期間」、中川日医副会長が反対』、『現状のまま上限規制では「有名無実に」』などを参照)。

 武田局長は、「医療提供体制全般について議論する場は、この医療部会だと考えている」と、10日の会議の開催趣旨を説明した。

 医師需給分科会が中心的に議論しているのは医師偏在対策であり、今年末までに報告書をまとめる予定。同分科会の関連では、前述の公民の医療機関の問題のほか、相澤氏からは、医師不足を考えるエリアは、2次医療圏単位か、あるいは都道府県単位かを問う質問も出た。「医師の過不足は、医療提供体制にマッチしないから生じるのであり、医療提供体制が決まっていない今の段階では、都道府県単位にとどめておいた方がいいのではないか」。

 武田局長は、同じ都道府県内でも差があるとしたものの、地域医療構想は2次医療圏が原則の構想区域別に進めていることから、「高度医療はより広域で考えていくべきだが、2次医療圏単位で医師不足かどうかを考えていくのがいいのではないか」と回答した。

 そのほか日医常任理事の釜萢敏氏は、医師養成課程の観点から発言した。卒前の医学教育では医行為の範囲の明確化、卒後の臨床研修では必修科目の見直し、新専門医制度の開始などの動きを踏まえ、「これらの整合性が取れるような議論を強く要望する」と求めた。



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1112/hkd_171112_3506775142.html
室蘭の3総合病院再編検討 地域医療の将来像探る 来年度に作業具体化へ
2017/11/12 05:00 北海道新聞社

 人口減を踏まえた地域医療体制の構築を目指し、11日に室蘭市保健センターで始まった「地域医療のあり方検討会」は、市立室蘭総合、日鋼記念、製鉄記念室蘭の市内3病院の再編が最終目標だ。官民を合わせた病院再編は実現すれば道内で初めて。市は来年度には具体的な作業に入りたい考えで、地域医療の将来像を示せるかが試される。

 冒頭で、室蘭市の青山剛市長は「現状のままでは、将来的に安定した医療を住民に提供できない。医療編成や連携策について覚悟を持って取り組みたい」と決意を述べた。この日は西胆振の地域医療の現状と課題について話し合われ、各病院が診療科別の病床数や常勤医師数の資料を提出した。出席者からは「介護も念頭に置いて議論するべきだ」などの意見が出された。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171110183913
休眠病棟、地域医療構想調整会議で説明を
厚労省が都道府県に事務連絡

2017年11月10日 19:00 CB News

 厚生労働省は、都道府県に対し、地域医療構想調整会議に関する事務連絡を出した。病床がすべて稼働していない「休眠病棟」のある医療機関を確認した場合、この医療機関を同会議に出席させ、稼働していない理由などを説明させるよう求めている。【新井哉】

 医師や看護師の退職者が出た際、後任を補充できずに病棟の稼働を一時的に休止するケースが少なくない。ただ、長期間稼働を休止してきた病棟を再稼働させた場合、特に患者が少ない地域では、近隣の医療機関との間で患者の“争奪戦”が起きかねない。

 厚労省は、医療機関が休眠病棟を再稼働させた場合、その病床機能が地域医療構想区域内で「過剰な病床機能」となることを懸念しており、こうしたケースを「過剰な病床機能へ転換するケース」として扱い、同会議で慎重な議論を進める必要性を挙げている。

 同会議では、休眠病棟を持つ医療機関に対し、病棟を稼働していない理由に加え、休眠病棟の今後の運用について、説明を求める見通しだ。



http://www.medwatch.jp/?p=16781
一般病院の経営状況、国公立を除けば、むしろ「改善」している—財政審
2017年11月9日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定の重要基礎資料となる「医療経済実態調査」結果が公表されたが、そこでは、国公立を除き、一般病院の経営状況(損益)はむしろ改善している—。

 11月8日に開催された財政制度等審議会の財政制度分科会では、こういった意見が財務省から提示されました。改定率を巡る攻防が、早くも激化しつつあります。

開設主体別の病院構成割合で補正すると、一般病院全体の損益は▲2.6%

 医療経済実態調査のうち、医療機関等調査を見ると、一般病院の損益比率は2016年度の前回診療報酬改定の前後で次のように推移していることが明らかにされました。

【一般病院全体】2015年度(改定前)▲3.7%→2016年度(改定後)▲4.2%:0.5ポイント悪化
一般病院全体の経営状況、損益比率はマイナス4.2%、つまり赤字で、過去3番目に悪い数字のようだ
(図 略)
 
【医療法人】2015年度(改定前)2.1%→2016年度(改定後)1.8%:0.3ポイント悪化
【医療法人+公的(日赤や済生会など)】2015年度(改定前)0.4%→2016年度(改定後)0.1%:0.3ポイント悪化
(図 略)
 
【国立】2015年度(改定前)▲1.3%→2016年度(改定後)▲1.9%:0.6ポイント悪化
【公立】2015年度(改定前)▲12.8%→2016年度(改定後)▲13.7%:0.9ポイント悪化
(図 略)
 
【国立+公立】2015年度(改定前)▲10.2%→2016年度(改定後)▲11.1%:0.9ポイント悪化
国立病院+公立病院
(図 略)
 
 この状況について財務省は、「損益率が⾼い医療法⼈の施設数の割合が実際より⼩さく、損益率が低い公⽴病院の施設数の割合が実際より⼤きい」ことから、「必ずしも⼀般病院全体の経営状況を適切に反映していない」と指摘。
一般病院について、実際の開設主体別構成割合と医療経済実態調査における構成割合を比べると、公立の割合が8.7ポイント高く、医療法人の割合が4.9ポイント低くなっている
(図 略)

病院の構成を補正する(実際の開設主体別施設数分布を踏まえる)と、「国公⽴を除く⼀般病院は、前回改定時より損益はむしろ改善している」と強調しました。財務省の補正によれば、2016年度の損益率は、一般病院全体ではマイナス2.6%(実態調査結果ではマイナス4.2%)、国公立を除く一般病院ではプラス0.6%(同0.1%)となっています。

一般病院の経営状況(損益比率)を、実際の開設主体別構成割合に補正すると、全体ではマイナス2.6%、国公立除外では0.6%になると財務省は指摘する
(図 略)
 
 財務省は、国家財政の健全化に向けて社会保障費を抑制する必要があるとし、2018年度の次期診療報酬改定では「2%台半ば以上」のマイナス改定が必要と提言しています。今回の分析をもとに、「一般病院の経営状況は好調である」として提言の根拠とし、改定率決定論議に臨む考えです。

また公立病院については、「公⽴病院の経営改善、地域の医療ニーズを踏まえた必要な病床機能の転換やダウンサイジングを後押ししていくべき」とし、公立病院の厳しい経営状況を踏まえたプラス改定論議を封じ込める考えも示しています。

 

http://www.medwatch.jp/?p=16775
紹介状なしに外来受診した場合の特別負担、500床未満の病院にも拡大へ—中医協総会(3)
2017年11月9日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 現在、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院に義務付けられている「紹介状なし患者の特別負担(初診時5000円以上、再診時2500円以上)徴収」について、金額や除外患者は維持したまま、「より小規模な病院にも拡大」していくべき—。

 11月8日に開催された、中央社会保険医療協議会・総会でこういった方向が概ね固まりました(関連記事はこちらとこちら)。

 また、現在「許可病床数500床以上の病院などでは、地域包括ケア病棟入院料の新設を1病棟に限定する」など「病床数500床以上」に着目する診療報酬項目がありますが、これを例えば、特定機能病院の指定要件である「400床以上」などに見直す提案が厚生労働省から行われています。

ここがポイント!
1 徴収金額(初診時5000円以上)や除外患者(救急患者など)の規定は、現行維持
2 地域包括ケア病棟の新設制限、400床以上の病院にも拡大する可能性
3 医療資源の乏しい地域、病床数に着目した診療報酬をどう考えるか

徴収金額(初診時5000円以上)や除外患者(救急患者など)の規定は、現行維持

 「一般外来は診療所や中小病院が担い、大規模病院は専ら紹介外来や専門外来を担う」という外来医療の機能分化推進が求められています。「大規模病院に軽症の一般外来患者が殺到し、重症患者が適切な医療を受けられない」といった事態、「大規模病院の医師・看護師が一般外来に忙殺され、本来の機能である重症患者への医療提供が遅れてしまう」といった事態を防止し、医療の質向上を狙うものです。

 これまでに▼200床以上の大病院において紹介状をもたない初診患者への選定療養導入(1996年健保法等改正)▼紹介率・逆紹介率の低い大病院における初診料等の減額(2012・14年度診療報酬改定)―などが導入され、さらに2016年度の前回診療報酬改定で「特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院(以下、500床以上病院)では、紹介状なしに外来を受診する患者から、初診時に5000円以上、再診時に2500円以上の特別負担(選定療養)を徴収しなければならない」との仕組みが導入されました。

2016年度から、特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院において、紹介状なしに受診する場合には特別負担が義務付けられた
(図 略)
 
 この仕組みについて、経済・財政再生計画の改革工程表では「対象の見直し」を2017年末までに検討するよう指示され、社会保障審議会・医療保険部会でも「拡充」の方針が固められており、今般、中医協でも具体的な検討が始まったものです。
厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、▼500床以上病院では、紹介状なし外来患者割合が、改定前(2015年10)の42.6%から、改定後(2016年10月)には39.7%に低下した(低下率は2.9ポイント)▼200床以上500床未満の病院では、同じく改定前60.3%から改定後59.4%で、0.9ポイント低下した—といった調査結果などを踏まえ、「対象医療機関の拡大を検討してはどうか」と提案しています。最低徴収金額(初診5000円、再診2500円)と徴収除外患者(救急患者、公費負担医療患者など)は、現在の仕組みを維持する考えです。

500床以上の大病院では、紹介状なしの受診時特別負担によって「紹介状なし患者割合」は3ポイント弱しか減少いていない
(図 略)
 
委員からは特段の反論は出ておらず、今後、「どこまで対象病院を拡大するか」が検討されます。この点、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「200床以上の病院では紹介状なし外来患者から特別負担を徴収できるが、外来患者の8割は紹介状なしというデータがある。患者・国民の受療行動を変えなければいけない。思い切って200以上にまで拡大すべきではないか」と要望しています。
なお、公立病院などに新たに徴収義務を課すためには、条例改正が必要となるため「6か月の経過措置」が設けられます。

地域包括ケア病棟の新設制限、400床以上の病院にも拡大する可能性

現在の診療報酬では、「病床数500床」に着目した項目がいくつか設定されています。例えば、前述の「紹介状なし外来患者からの特別負担徴収義務」は、「許可病床数500床以上」の病院を対象としており、また地域包括ケア病棟入院料については、「許可病床数500床以上」の病院などでは「新設は1病棟に限定」されています。
(図 略)
 
迫井課長は、500床以上病院が減少している状況などを踏まえて、「病床数500床」の基準を見直してはどうか、とも提案しています。

この点、特定機能病院や臨床研究中核病院の指定要件を見ると「病床数400床以上」となっており、両者は必ず一致させなければならない性質のものではないものの、ターゲットの1つとなりそうです。
(図 略)
 
もっとも、単純に「500床→例えば400床」と置き換えるのではなく、▼各診療報酬項目の趣旨▼算定実績—なども見ていくことになります。診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や松本吉郎委員(日本医師会常任理事)からは「現場の混乱がないようにすべき」との、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)からは「そもそも500床以上と設定した背景や、現在の課題などを踏まえて検討すべき」との注文が付いており、今後、具体的なベッド数や、対象診療報酬項目の絞り込みを検討することになります。

なお、地域包括ケア病棟については、前述のように、現在「許可病床数500床以上」の病院(ほかICUな度の保有病院も)では、新設が「1病棟」に限定されています。大規模な高度急性期病院では、その機能に特化すべき(回復期機能などは他病院で担うべき)との厚労省の見解が伺える規定です。

ここで、基準値が「400床以上」に引き下げられた場合、経過措置の有無は別として、当然、400床以上の病院でも地域包括ケア病棟の新設が制限されることになります。病床戦略を考える上で(例えば7対1の維持など)、極めて重要な見直しとなるため、今後の動向に注意するとともに、自院の戦略策定を想起に行う必要があります。

医療資源の乏しい地域、病床数に着目した診療報酬をどう考えるか

ところで、医療資源が少ない地域では、診療報酬の届け出・算定のための要件が一部緩和されています。人員不足などに配慮したもので、2012年度の前回同時改定で導入されました。

2014・16年度改定では、対象地域の見直しや、対象診療報酬項目の拡大などが行われており、2018年度の次期改定でも一定の見直しが行われる模様です。迫井医療課長は、「病床数を要件とした診療報酬について、各項目の趣旨なども勘案しつつ、一定の配慮を行う」ことを提案しています(関連記事はこちら)。

例えば、病室単位での届け出が可能な【地域包括ケア入院医療管理料】(地域包括ケア病棟入院料は『病棟』単位の届け出必要)は、全国一律で「許可病床数200床未満」の病院でした届け出が認められていません。このような、病床数に着目した診療報酬項目について、▼医療資源の少ない地域でも、同じ基準(病床数)でよいのか▼そもそも基準(病床数)が妥当か—といった点を検討することになりそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564240
「専門医=医師会員」で医師配置を適正化 - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.3
臨床研修の在り方も今後の検討課題

スペシャル企画 2017年11月8日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生は、専門医資格の取得を義務化し、標榜とも連動させ、自由標榜を制限すべきとの主張です。

 ドイツには、全員加盟の医師会があり、州の医師会が医師分布などを決めています。日本でも、専門医資格取得を義務化し、資格取得と標榜をドッキングさせ、さらに「専門医=医師会員」とすればいい。これにより、日本専門医機構と行政と医師会とが話し合って、医師の地域や診療科による分布もある程度、コントロールできるはずです。この辺りを関係者が集まり、検討していけばいいと思います。

卒前の臨床実習の変更により、卒後の臨床研修も併せて見直す必要性を指摘する。

――「専門医=医師会員」とする理由は。

 医師の地域分布などを考える時に、行政だけではできません。地域医療の事情を把握しているのは医師会です。自由標榜制を制限する代わりに、医師会にそうした役割を持ってもらえばいいでしょう。

――医師会、日本専門医機構、行政、それぞれが医師のデータベースを持っています。そうしたものも一元管理するイメージでしょうか。

 そうです。それぞれにメリットがあるような仕組みが必要です。

――その実現に向け、先生が何らかの働きかけをするご予定はあるのでしょうか。

 もう年ですし、私自身が買って出るつもりはありません。また日本専門医機構では最近、初期臨床研修を終えた医師が全員専門医の資格を取る方針を変更したようですので、実現は難しいでしょうね。

――先生は今、地域医療振興協会の会長を務められています。協会の医療機関に勤務する医師は、自治医科大学卒業の方も多いと聞いています。専門研修に対し、どのように取り組まれていく予定でしょうか。総合診療専門医の養成に力を入れる計画などはあるのでしょうか。

 全国で病院24カ所、診療所33カ所などを直営、もしくは指定管理で運営していますが、専門研修への取り組みは医療機関によって違います。首都圏で言えば、千葉の東京ベイ・浦安市川医療センター、東京の東京北医療センターや練馬光が丘病院、神奈川の横須賀市立うわまち病院などは、専門研修に積極的です。専攻医はさまざまな大学の出身者です。

 また、自治医大卒業生は、卒後の義務年限があり、各都道府県が指定する医療機関で研修しなければなりませんが、地域医療振興協会の医療機関で指定を受けているケースはそう多くはありません。協会を挙げて総合診療専門医の養成に力を入れていくという話は、あまり聞いていません。

――自治医大の卒業生は、義務年限の間、へき地等も含めて研修しなければいけないので、専門医取得に時間がかかるのでは、との指摘もあります。総合診療専門医が基本領域に位置付けられれば、同専門医については取得しやすくなるのでは。

 「カリキュラム制で研修し、義務年限を終えた自治医大卒業生は、自動的に総合診療専門医を取得できるようにする」ことを提案されている方もいると聞きますが、現時点では新専門医制度が自治医大卒業生に特別なメリットがあるとは思っていません。

――最後に、医師養成過程全般についての考えをお聞かせください。
 卒前の臨床実習が充実してくれば、卒後の研修をどうすべきかを、本当は真剣に議論しなければならないのではないでしょうか。

――全国医学部長病院長会議は、臨床研修は「脳、心臓、呼吸器、腹部(急性腹症)」への緊急対応能力の取得を目的とし、臨床研修の一部を臨床実習に前倒しにし、専門医研修の一部を臨床研修に組み込むことを提言しています(『「医師1万6000人の実質増員策」、塩崎厚労相に提案』を参照)。

 臨床研修は、スタート当初は7科目が必修でしたが、2010年度から内科、救急、地域医療の3科目に必修科目を限定し、外科、小児科、産婦人科、精神科を選択必修に変えました。しかし、この4つの科を必修にする動きが現在進行中のようです。

 日本医学教育評価機構(JACME)が世界医学教育連盟(WFME)の委託を受けて、わが国の医学教育を評価することとなりました。その結果、医学生の臨床実習の期間が長くなることが考えられます。卒後の臨床研修のカリキュラムを、それに合わせて見直すことも必要だと思っています。

 このシリーズの1回目に、病理・臨床検査を基本領域に入れるのは問題だと述べましたが、その後、いろいろな先生方からご意見をいただき、病理・臨床検査の重要性を認識し、病理・臨床検査を基本領域に入れて良いと考えるようになりました。訂正させていただきます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/567394
医師の働き方改革とキャリア
三保連「診療報酬マイナス改定に強く反対」
医師の働き方改革について提言書発表

レポート 2017年11月7日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 三保連(内科系学会社会保険連合、外科系学会社会保険委員会連合、看護系学会等社会保険連合)は11月6日、医師と看護師の働き方改革について、外保連会長の岩中督氏、内保連理事長の工藤翔二氏、看保連代表理事の井部俊子氏の連名で提言書を発表した。

 人員増や地域医療、救急医療に携わる医師へのインセンティブの付与など4項目から成り、結びで「次期診療報酬のマイナス改定は、医療崩壊を導きかねず強く反対する」としている。

 10月30日に開催した三保連合同シンポジウム「医療における働き方改革:医療現場からの提言に向けて」の議論を踏まえ、取りまとめた。11月5日に、加藤勝信厚生労働大臣と同省保険局に提出した(シンポジウムは『三保連シンポ、「働き方改革には財源」』を参照)。

提言書は次の通り。

提言書
 安心・安全で、患者目線の適切な医療を今まで通り提供していくために、内保連、外保連、看保連は医療者の働き方改革に関する合同シンポジウムを開催し、以下に提言を取りまとめた。関係する行政機関が連携し、これらの提言を採択することを望むものである。

1. 医師の過重労働、長時間労働を防ぎ、夜間休日においても適切な医療を提供するためには、医師の交代制勤務の導入が不可欠であり、そのために必要な医師数を確保する必要がある。また業務を支援、補佐する医師事務作業補助者をはじめとする他職種の人員も増やす必要がある。
2. 看護師に適切なワークライフバランスを提供し、離職者を少なくするとともに適切な夜勤体制を維持するためには、十分な看護師数の確保と看護師を支援する補助者が不可欠である。
3. 医師の労務環境改善に伴う地域医療、救急医療の崩壊を防ぐためには、地域医療や救急医療に携わる医師に十分なインセンティブを提供することが必要である。
4. 意ある若い医師・看護師のスキルを限られた時間で向上させ、医療の質を担保するためには、効率の良い教育体制の構築が不可欠である。そのためには、指導者に対しても十分な支援による業務負担の軽減が必要である。

 これらの提言を実行するためには、現状の財源規模では明らかに不十分であり、今後医療現場への更なる追加財源の投入が不可欠である。次期診療報酬のマイナス改定は、医療崩壊を導きかねず強く反対する。


外科系学会社会保険委員会連合(外保連) 岩中 督
内科系学会社会保険連合(内保連) 工藤 翔二
看護系学会等社会保険連合(看保連) 井部 俊子



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171106180459
働き方改革は、医療産業改革を起こすインパクトを持つ
医師の働き方改革の未来(1)

【関東労災病院 経営戦略室室長、卒後臨床研修管理室長、救急総合診療科部長 小西竜太】
2017年11月07日 13:00 CB News

 医療は労働集約型産業であり、すべての医療サービスは医師のオーダーから発生するといっても過言ではない。つまり医師の「働き方改革」は、医療制度や診療報酬以上に、医療提供体制に大きな影響を与える「医療産業改革」になりうる。
 医師の「働き方改革」が進められると、医師はどれくらい不足するのか。
 「週40時間+時間外20時間(月80時間)」を労働時間の上限とした場合、病院勤務医の25%(約4万-5万人)※1が消失するほどのインパクトがある。
 これだけの労働力が消失すれば、「医療供給体制の崩壊(特に地方やへき地)」「病院経営の維持が困難」「臨床研修や自己研さんにマイナス効果」は避けられないだろう。特にへき地で医師の診療時間が制限されたりすれば、地域の医療提供体制は崩壊すると考える。

 ただ、法的制度スタートまでには、少なくともあと7年ある。無論、現在の労働環境の改善は待ったなしの状況であるが、2025年を迎えるころが本格稼働の時期だろう。
 働き方改革は、医療の各制度と密接にリンクしている。地域包括ケアシステムや地域医療構想などの医療提供体制の整備、新専門医制度や医師偏在・需給問題も当然絡んでくる。現場の当事者としては、現時点での医療環境における働き方改善に想像力が限定されてしまい、同時並行で変化する将来像の中での働き方を想起することは難しく、長期的な視野での取り組みが欠かせないだろう。

※1 医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査、平成26年医師調査の概況からの推算
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 安倍政権は15年9月に成長戦略「新・三本の矢」を発表した。その軸は、(1)希望を生み出す強い経済(2)夢をつむぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障―だ。今後の人口減少や高齢化に伴う経済成長の減退に備えようとする背景がある。一部の識者に、一人当たりのGDPが上昇するのであれば、経済成長がなくても問題ない、日本は成熟国家として文化度や幸福感を高めればよいとする主張もある。しかし、筆者は、子や孫の世代のためにも、経済成長を継続したままでバトンを渡すべきであり、医療分野が経済成長に寄与することが必要と考えている。連載では、経済成長の視点も交えつつ、医師の働き方について考えてみたい。
(残り3135字 / 全4098字)



https://www.m3.com/news/iryoishin/568428
医師の働き方改革とキャリア
四病協調査「宿日直許可得ず」19%、「36協定なし」15%
厚労省働き方検討会、医療団体からヒアリング

レポート 2017年11月11日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は11月10日、「第4回医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、日本医師会と、全国自治体病院協議会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議からヒアリングを行った。各団体は、それぞれが行った勤務実態などに関する調査結果を発表し、「医師に対する時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊を招かないよう、慎重な検討が必要だ」(全自病会長・邉見公雄氏)、「大学病院の医師が意欲と希望を持って診療、教育、研究に打ち込むことができるよう配慮を」(千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏)など、現場の実態を踏まえた議論の必要性を訴えた。

 一方で、四病協の調査では、労働基準法上の宿日直許可なく宿直勤務をしている施設が19.2%、36協定を締結していない施設も14.9%あるなど、長時間労働の是正以前の問題として、労働基準法の基本的ルールを遵守されていない実態も明らかになった(資料は厚労省のホームページ)。

 山本氏は、全国医学部長病院長会議が10月17日~11月6日に行った「医師の勤務環境改善策の取組み状況についての緊急調査」(80施設に発送、73施設から改修)の結果を発表。「大学病院の勤務環境の大きな特徴として、院内の各種委員会が多数に上るとして、約3年前に、3割ほど委員会を減らしたが、現在には元に戻ってしまっている。厚労省などから指導を受けると委員会が増える」と千葉大病院の例を紹介した。

2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・全国医学部長病院長会議ヒアリング資料 (図 略)

 日本医療法人協会副会長の馬場武彦氏は、四病協が各団体の会員病院を対象に行った調査結果(5118施設に発想、639施設から回収)を発表。労基法施行規則第23条にある宿日直許可を行わずに宿日直勤務を実施している施設が19.2%あり、医師に法定労働時間を超える時間外労働をさせるために必要な36協定を締結していない施設も14.9%あった。この結果について、馬場氏は「一般的な医療機関での宿日直の実態と、現在の労働基準法の宿日直基準があまりにもかけ離れていることがその一因。救急対応などを行っている医療機関の宿日直の実態にあった仕組みが必要なのではないか」と述べた。


2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・四病協ヒアリング資料 (図 略)

 日医常任理事の市川朝洋氏は、日医勤務医委員会の委員が9月から10月にかけて所属ブロックの医師にヒアリングした結果、労働時間短縮が地域医療に及ぼす影響として、(1)救急医療への影響、(2)外来診療の縮小などの病院機能の低下、(3)高度医療・長時間手術などへの影響、(4)へき地への影響、(5)研修時間と研修医教育への影響――などの意見が挙がったと紹介した。

 日医副会長の今村聡氏は、日医女性医師支援センター長としての立場から、2016年に同センターが行った調査(結果は同センターのホームページ)を紹介。女性医師の割合は今後さらに高まるため、「出産・育児のみならず、医師業務との両立、キャリア形成確保のための支援も重要。多様な働き方、幅広い選択肢を前提とした支援策が望まれる」と指摘した。

 邉見氏は参考人として出席し、意見陳述し、全自病が7月から8月に行った調査結果(879施設に送付、437施設から回収)を紹介。改正労基法の規定で時間外労働の上限が医師も一律に720時間とされた場合の診療体制への影響などを尋ね、「救急外来の対応が困難になる」、「深夜帯の診療制限が必要」などの回答があったとし、「現状では、時間外労働規制の課題をクリアするための医師等の増員は、実現が困難。応招義務と労働量規制との関係について、十分な議論と整理が不可欠だ」と述べた(関連記事は『上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も』)。

構成員の主な発言は次の通り。

◆東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授・渋谷健司氏:働き方改革をきちんとしないと偏在の問題は解決しないと思っている。(厚労省の)医師需給分科会では管理者要件を課すというのが出たが、管理者の根拠としてへき地勤務は関係ない。インセンティブならまだ良いが。また、今村構成員の資料に女性医師が仕事を続けるために必要と思うことが出ているが、「診療報酬、医療費等」という回答はほとんどなく、要は働き方だ。この辺りをきちんとしないと、女性医師や若手が地方に行かない。

◆今村氏:渋谷構成員の言う「お金、診療報酬ではない」というのは、その通りではあるが、やはりお金はかかる。私は中医協(中央社会保険医療協議会)の委員でもあるが、1号側(支払側)の委員から「働き方改革と診療報酬は関係ない、切り分けて議論するべきだ」という極めて強い主張があり、激しくやりあった(『診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める』を参照)。診療報酬改定の時期でもあり、今こそ必要なものは必要と言わなければいけない。

 山本構成員の発表で、委員会が多いとのことだが、診療報酬に位置付けられて開催しなければいけないものはどのくらいあるのか。また、せっかく時間をかけて特定看護師になった方を活用できていないのはなぜか。

◆山本氏:「医師の出席義務があるもの」というくくりで調査したため、診療報酬上のしばりについてはすぐには分からないが、感覚的には半分くらいではないか。組織が大きいため、トップダウンで済むということではなく、コンセンサスの形成、医療安全上、臨床上の必要などでどんどん増えていくのが実情だ。特定看護師については、千葉大にいないので分かりかねるが、例えばフィジシャン・アシスタントで言えば、各病院で独自に雇えるが、制度的な裏付けがない。ガイドラインなどもなく、病院の責任でやらなければならないなどがネックになっている。

◆東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏:邉見参考人の発表で、「上限規制がかかると患者が困る」という話があったが、自治体病院の窮状よりもそれが出てくるところは、医師のプロ意識だと思った。この検討会では、医療に規制をかけるよりも、医師、医療者を支援する観点で議論するべきだと強く思う。

◆全国衛生部長会会長・鶴田憲一氏:医療が高度化し、高齢化も進んでいる現状では医師の労働時間は多くなる。一方で上限規制も行われるとなると、どういう医療が国民に必要かを考えないといけない。患者の側も、受診のあり方を考えないといけないのではないか。

◆今村氏:国民の理解が必要だということには、この検討会の誰も反対しないと思う。では誰がどのようにやるのかという方法論が欠けている。方向性を出さないと、堂々巡りだ。国民皆保険は大事で、崩壊したら終わりだ。考えていかないといけない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565786
医療維新10周年記念
「当事者が罰を受ける仕組み」、瞬間的に察知 -有賀徹・労働者健康安全機構理事長に聞く◆Vol.1
“医療事故調”、2008年の第3次試案・大綱案に反対した訳

スペシャル企画 2017年11月11日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2015年10月にスタートした医療事故調査制度。さかのぼれば、自民党政権時代の2007年10月に第2次試案、2008年4月に第3次試案、同年6月に「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」の作成まで進んだものの、「警察への通知」が組み込まれ、医療安全と刑事責任の追及が連動している制度設計が問題視されてとん挫した。
 その後、政権は民主党に交代、ようやく議論が再開したのは2012年2月。さらに自民党政権復活後の2014年6月に医療法改正法案が成立、制度創設に至った経緯がある。紆余曲折を経てスタートした本制度は、第3次試案・大綱案と異なり、医療者の自律的な事故調査が重視され、院内事故調査が中心であり、医療安全に特化した点が特徴だ。
 一連の議論の過程で、医療者側から積極的に発言、制度設計に大きな影響を及ぼした一人が、独立行政法人労働者健康安全機構理事長の有賀徹氏(前昭和大学病院長)。有賀氏に議論の過程を振り返っていただいた(全3回の連載)。

――第2次試案、第3次試案、大綱案がまとまった頃、制度に反対していた一人が有賀先生でした。

 私はまず日本救急医学会の「診療行為関連死の死因究明等の在り方検討特別委員会」、その後に本学会の代表理事や全国医学部長病院長会議の立場で、この問題に関わってきました。第3次試案、大綱案の頃ですが、当時は日本救急医学会のほか、日本脳神経外科学会、日本麻酔科学会などから反対の声が上がっていたと記憶しています。

 要するに第3次試案、大綱案を見て、「医療事故を第三者機関に報告すると、その当事者が罰を受ける仕組みができ上がってしまう」と、ほとんど瞬間的に思ったわけ。十分に説明した上で、患者さんに治療法を選んでもらうことができる臨床分野と比べると、救急医学の現場は、医師がリードしなければいけない場面が多い。それなのに、その結果が悪ければ、「リードしたお前たちが悪い」と言われたのでは、「ひどいじゃない?」「これではやっていられない」と日本救急医学会の先生方の皆が考えた。

 また仮に患者さんに説明でき、「分かりました。観念して手術を受けます」と患者さんが答えても、それは「言葉の上での理解」。「感情的な観点からの理解」を得るのは、時間勝負の救急医療の現場では容易ではありません。

――日本救急医学会は2008年4月、第3次試案へのパブリックコメントで、明確に「反対」と表明しています。「『重大な過失』が捜査機関への通知の対象となれば、わが国の救急医療は壊滅するであろう」と述べ、「医療の安全を確保することと、紛争を解決することとは、全く異なるプロセスを必要とする」と指摘しています(日本救急医学会のホームページ)

 はい。その際、日本救急医学会としてメッセージを出すだけでなく、その裏付けがほしいと考えました。そこで出てきたのが、WHO(世界保健機関)の「World Alliance for Patient Safety who Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems from Information to Action」を訳そうという話。言い出したのは、富山大学の救急・災害医学の奥寺(敬)先生。やはり医療安全と責任追及の仕組みは分ける必要があることを、根拠を持って言わなければいけないとなり、皆で手分けして翻訳し、出版したのが『有害事象の報告・学習システムのためのWHOドラフトガイドライン』(へるす出版、2011年10月)です。同ガイドラインでは、「学習を目的とした報告制度」と、「説明責任を目的とした報告制度」は目的が異なるため、1つの制度に2つの機能を持たせるのは難しいとしています。

 もっとも、WHOは「ドラフトのままなのは、各国の条文に合わせて、上手にガイドラインを利用してもらいたいからだ」と説明していたのに、当時は厚生労働省も含め、複数の方面から「ドラフトガイドラインなのだから、WHOがオーソライズしたものではない」みたいな言われ方をされましたが……。

――2009年8月末の衆院選で民主党政権が誕生してしばらくは、議論がストップしていました。

 その間、政府筋から特別に難しい話が出てきたわけではありませんでした。だからこそ、自分たちで粛々と議論を進めればよかったのです。しかし、実は多くの医師は、医療事故対応のことを普段から考えているわけではないのです。それは、患者さんにとってより良い医療をやろうという思いが第一だから。病院長の立場としては、「医療事故は起きるものだから、それに対する備えも医療の一環」と考えるでしょうが、現場の医師にとっては日々の仕事の中では、(医療事故調査制度のことは)意識の中から遠ざかっていたのではないでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568327
社会保障審議会
「公私、医療機関の扱いは原則平等」、医療部会で確認
医師偏在対策、地域医療構想、医師の働き方改革など総合的に議論

レポート 2017年11月10日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月10日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、同省の各種審議会・検討会で進む医療提供体制をめぐる議論の進捗状況を説明、委員の間で特に議論になったのは、医師偏在対策や地域医療構想における公立・公的と民間の医療機関の役割だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師偏在対策では、地域医療支援センターが、今後増加する「地域枠」の卒業生などを医師不足地域にいかに派遣するかが課題の一つ。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、公民の役割を考える上で、「税金が投入されている国公立病院、税制上の優遇がある日赤や済生会などの公的病院、いずれの優遇もない民間病院がある中で、いかに公平に医療提供体制を構築していくかが重要」との前提を述べた上で、地域医療支援センターが医師の派遣先を考える際に、公民の医療機関の区別があるのかを厚労省に確認。同省医政局医事課は、「差はない」と回答し、都道府県の実態として、公立病院中心に派遣している例があるとしたものの、国としては「機能」に着目し、センターが派遣先としてふさわしいと判断すれば民間病院も派遣対象になると説明した。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「地域貢献などについて、医療機関の開設主体にかかわらず評価した上で、地域枠の卒業生を派遣してもらうにしてもらいたい」と要望した。奈良県知事の荒井正吾氏は、地域医療支援センターを運営する地方公共団体の立場として、公立優先の医師派遣は利益相反になりかねないため、医師偏在に関するデータを派遣先を検討する必要性を指摘した。

社保審医療部会は、医療提供体制について総合的に議論。

 地域医療構想を実現していく上では、公立病院は「新公立改革プラン」、公的病院は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定し、地域医療構想調整会議において策定プランを議論することになっている。この点について、「公立・公的優先」と捉える向きもあり、10日の医療部会でも同様の趣旨の発言があったが、中川氏は「調整会議でプランを議論するのは、地域医療構想との齟齬がないようにするのが目的」と説明、民間病院の改革方針等を調整会議で議論するのは、「逆の方向。むしろ民間病院の自主性を損なうことになる」と釘を刺した。中川氏は、「調整会議の権限が強いことが、全国的に理解されていないことも問題」と指摘し、地域医療構想を進めるために調整会議を有効に機能させる必要性を指摘した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医療法上、公的医療機関は明確に位置付けられており、民間医療機関とは異なる」としたものの、「機能に着目した場合には、公的と民間で変わるものではなく、民間病院でもしっかりとした機能を果たしている場合には、相応の役割を期待する」との見解を述べた。その上で、「地域医療調整は、“枠取り”ではなく、各病院がどんな機能を果たし、他の病院との関係でどんな医療を担っていくのかを考えてもらうのが目的」と説明した。

 さらに医師の働き方改革については、その必要性が指摘された一方、病院経営者の立場からは「あまり拙速に進めないでほしい」(日本病院会会長の相澤孝夫氏)という意見が相次いだ。

 相澤氏は、「医師の働き方がこのままでいいと思っていないが、病院経営は厳しい現状。診療報酬が増えない中で、職員を増やし、勤務環境を整えるのは容易ではない」と指摘。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏も、「拙速はやめてもらいたい」と釘を刺し、「我々としては、医師の労働とは何かを、医療の側から定義していくことが必要」と述べ、労働時間の把握の方法も検討していく必要性を指摘した。

 神野氏は、医師の働き方と医師需給は関連する問題であるとし、「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会は2018年の年始から医師需給の議論に入る予定であることから、両者を関連付けて議論するよう求めた。

 医師不足、「2次医療圏単位で検討」

 厚労省は現在、医師需給分科会、「医療計画の見直し等に関する検討会」の地域医療構想に関するワーキンググループ、医師の働き方改革に関する検討会など、さまざまな場で医療提供体制に関する議論を進めている(『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』、『病床機能報告の基準に「在院期間」、中川日医副会長が反対』、『現状のまま上限規制では「有名無実に」』などを参照)。

 武田局長は、「医療提供体制全般について議論する場は、この医療部会だと考えている」と、10日の会議の開催趣旨を説明した。

 医師需給分科会が中心的に議論しているのは医師偏在対策であり、今年末までに報告書をまとめる予定。同分科会の関連では、前述の公民の医療機関の問題のほか、相澤氏からは、医師不足を考えるエリアは、2次医療圏単位か、あるいは都道府県単位かを問う質問も出た。「医師の過不足は、医療提供体制にマッチしないから生じるのであり、医療提供体制が決まっていない今の段階では、都道府県単位にとどめておいた方がいいのではないか」。

 武田局長は、同じ都道府県内でも差があるとしたものの、地域医療構想は2次医療圏が原則の構想区域別に進めていることから、「高度医療はより広域で考えていくべきだが、2次医療圏単位で医師不足かどうかを考えていくのがいいのではないか」と回答した。

 そのほか日医常任理事の釜萢敏氏は、医師養成課程の観点から発言した。卒前の医学教育では医行為の範囲の明確化、卒後の臨床研修では必修科目の見直し、新専門医制度の開始などの動きを踏まえ、「これらの整合性が取れるような議論を強く要望する」と求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565710
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「週7日勤務」、日本6.2%、米国4.2%◆Vol.2
年代で差、20代では米国医師の方が激務

スペシャル企画 2017年11月12日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師の「働き方改革」や過労死などがクローズアップされている昨今、医師の長時間労働の改善が急務になっている。日本の医師の勤務実態に関する調査は多々あるが、日米両国の現状を比較するため、今回の調査でも改めて聞いた。

 まず1週間の勤務日数を聞いたところ、医師全体では、「5日」(日本47.1%、米国57.0%)が日米両国とも最も多かった。しかし、それを上回る「7日」(日本6.2%、米国4.2%)、「6日」(日本40.1%、米国21.4%)であり、いずれも日本の方が勤務日数が多かった。

 もっとも年代別に分析すると、医師全体とは異なる傾向が見て取れる。回答数は少ないものの、20代の米国医師では69.7%が「6日」と回答、一方で日本の20代医師は約半数が「5日」と回答。日本の20代の医師は、卒後2年間の臨床研修と専門研修の時期にほぼ相当。臨床研修では、研修時間、休日・休暇が制度により保障されている。一方、米国医師の20代は、4年間のメディカルスクール卒業後に進む初期研修(レジデンシー)の時代にほぼ相当。1年目の研修医の勤務時間の上限は週80時間と長く、両国の制度の相違も調査結果に影響している可能性がある。

 30代以上では、年代が上がるにつれ、日米両国とも1週間当たりの勤務日数が減少する傾向にあるが、いずれの年代でも米国医師の方が「5日以下」の割合が多かった。

Q1. 1週間の勤務日数をお教えください(日米比較)
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Q2.1週間の勤務日数をお教えください(日米比較、年代別)
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 さらに1日(通常勤務日)の勤務時間を質問した結果、日本の最多は「8~9時間」(40.5%)、米国の最多は「10~11時間」(37.4%)。「12時間以上」との回答は、日本19.5%、米国28.5%。米国医師の方が1日当たりの勤務時間は長い傾向にあるが、Q1とQ2の結果と併せると、米国医師は1週間の勤務日数は少ないものの、勤務する日は長時間働くという実態が垣間見える。

 
 年代別では、若いほど長時間勤務の傾向にあるのは日米ともに同じ。日米で開きが大きいのは、20代。米国の20代医師は、7割超が12時間勤務という回答だった。

Q3.1日(通常勤務日)の勤務時間をお教えください(日米比較)
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Q4.1日(通常勤務日)の勤務時間をお教えください(日米比較、年代別)
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◆ m3.comスペシャル企画「日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!」 ⇒ 掲載記事一覧はこちら。

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/general/568266
病院計画の住民投票中止決議 滋賀・野洲市会、法的拘束力なく
地域 2017年11月10日 (金)配信京都新聞

 滋賀県野洲市議会は9日、臨時会を開き、JR野洲駅南口の市民病院計画の是非を問う住民投票の中止を求める決議を賛成多数で可決した。決議に法的拘束力はなく、住民投票は19日告示、26日投開票の日程で実施される。提案した議員は「10月の市議選で改選された議会の宣言という位置付け」とするが、計画に反対する議員から「市民の権利の剥奪だ」と反論が相次いだ。

 決議案は、市議選で病院計画賛成派の議員が過半数を占めたことや、住民投票にかかる約1600万円の費用を福祉にまわすべきなどの理由で、新誠会と共産党、みらい野洲の3会派の議員が提案。橋俊明議員(新誠会)が「住民投票を実際に中止する手法も模索したが、これ以上、住民を混乱させないため、宣言的な決議にとどめた」と提案理由を説明した。

 討論で荒川泰宏議員(自民創政会)ら反対派の議員は「住民投票の費用があたかも無駄であるというのは市民に対しての愚弄(ぐろう)ではないか。市政に対して意思表示できる行為を剥奪する行為」などと述べた。

 採決では賛成10、反対7で可決された。



https://www.m3.com/news/iryoishin/567872
中央社会保険医療協議会
診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める
厚労省、医師の常勤要件緩和などを提案

レポート 2017年11月8日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月8日の会議で、横断的事項として「医療従事者の働き方、病床数の取扱い、地域の実情を踏まえた対応」を議題とした。厚生労働省は、医療クラークの配置、他職種との業務の分担などの促進や、常勤要件の緩和など勤務医の負担軽減策を提案。診療側からは診療報酬での対応を求める声が上がった一方、支払側は「働き方改革と診療報酬は別の議論だ」と反論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が提示した主な論点案は次の通り。

◆医療機関における勤務環境改善
 加算や特定入院料で評価されてきた勤務医の負担軽減策については、医療機関の取り組みがさらに進むよう見直してはどうか。
 病院勤務医および看護職員の負担の軽減・処遇の改善に資する体制に係る手続きについて、合理化することとしてはどうか。

◆医師の常勤要件の見直し
 小児科、産婦人科、その他専門性の高い特定の領域や、夜間等の緊急対応の必要性が低い項目については、週一定時間の勤務を行っている複数の医師の組み合わせにより、常勤の医師が配置されているものとみなしてはどうか。

◆医師以外の医療従事者の常勤要件の見直し
 かかりつけ薬剤師指導料の1週間当たりの勤務時間の要件について、子育て世代などの薬剤師が、育児・介護休業法に基づいて短時間勤務する場合に、他の薬剤師との連携も図りながらかかりつけ薬剤師として活躍できるよう、基準を見直してはどうか。
 看護師、管理栄養士、歯科衛生士、歯科技工士について、人材の有効活用の観点から、常勤の必要性が高くない業務において、常勤要件を見直してはどうか。

◆医師の多様な働き方による勤務負担軽減
 集中治療室に勤務する医師については、一定の要件の下で、「常時、治療室内に勤務していること」との要件の運用を見直し、ICUに入室する重症患者に対して入室前から診療を行うこと等を可能とすることについて、どのように考えるか。
ICTを活用した医師の柔軟な配置を推進することについて、どのように考えるか。

◆看護職員の夜間等の負担軽減
 看護職員の負担軽減、看護補助者との業務分担・協働を推進するために、看護業務の見直しや看護補助者への研修、身体抑制減の対応等、より質の高い看護の提供を目指す取り組み推進についてどのように考えるか。
 看護師の管理や観察の頻度の高い障害者病棟(7対1、10対1)において、障害者が入院中に安心して適切な医療を受けることができるため、看護補助者の配置の評価についてどのように考えるか。
 慢性期病棟における夜間の看護業務の負担軽減、ケアの充実を促進するために、看護補助者の夜間の配置の評価を充実してはどうか。


委員の主な意見は次の通り。

【診療側】
■日本医師会常任理事・松本純一氏:医師の働き方は地域医療体制の維持の面から考えることが不可欠だ。診療科や地域間の差、学会参加、自己研鑽の取り扱いなど医師特有の問題は多く、労働時間の規制を中心とした議論のみでは医師の働き方改革は実現できないと考える。働き方の多様性、高い倫理性など他の職業と同列に扱うことが難しい医師という職業の特性を踏まえ議論する必要がある。 医師の事務作業が多いのは全医療機関の問題であり、(軽減のための)さらなる取り組みが進むよう見直していくべきだ。医師事務作業補助体制加算は、勤務医らの負担軽減に効果があるものとして改定ごとに拡大してきた経緯がある。この効果は現在算定対象となっていない有床診療所や病院、診療所の外来でも期待でき、現場からも求められている。

■全日本病院協会会長:猪口雄二氏:さまざまな理由で非常勤を選ぶ人は多い。若い医療従事者で非常勤を希望する人が働きやすいよう、雇用できるようにし、(複数人を組み合わせて)常勤として換算することを通則とする必要があるのではないか。

■日医常任理事・松本吉郎氏:女性医師にしっかりと働いてもらえるようにすることは、喫緊の課題。短時間勤務の仕組みづくりを進めていくことが大切だ。

■日医副会長・今村聡氏:医師事務作業補助は、医師の働き方改革に関する検討会でもすべての医師が、大事と言っている。積極的に賛成したい。時間外労働にきちんと対価を支払うのは当然だが、労働基準監督署から勧告を受けて、大病院でも診療体制を制限せざるを得ない事態が生じている。医師事務作業補助者は診療報酬で十分に対応できていない。  薬剤師については、養成数は多いが、病院薬剤師が十分でなく、今必要とされている。薬局の薬剤師の基準を緩和したら、ますます病院で働かなくなってしまうのではないか。

【支払側】
■健康保険組合連合会理事・幸野庄司氏:「医師の働き方改革」という言葉が飛び交っているが、そもそも論だが、それと診療報酬は区別して考えていくべきだ。働き方改革のために診療報酬上の対応をするのは違うのではないか。働き方改革は別の場で議論され、その結果どうしても診療報酬上の対応が必要だとなったときに対応していくことが重要だ。働き方改革のために常勤の要件を緩和するというのは違うのではないか。(診療報酬の)要件が設定された背景にはそれなりの必要性があったからで、「環境が変わったから外す」というのがあればいいが、必要性が薄くなったから外すというのは、慎重に議論するべきだ。

【診療側】
■今村氏:幸野委員は診療報酬と働き方改革を一緒にするべきでないと言うが、「働き方改革」には、一人一人が適切な労働時間を守り、健康を守るという意味と、医療における働き方、つまり医療機関で働いている人が健康に働けなければ、国民に安全で良質な医療を提供できないという意味がある。医療機関の働き方を変えるのは、国民が良い医療を受けるためであり、その支援を診療報酬でやっていこうということだ。全く別だから別のところでやれというのは、やめていただきたい。

【支払側】
■幸野氏:医師の負担軽減をして安全な医療を提供する、というのは否定するものではない。医師事務補助体制加算などはいいが、人材の有効活用といったことで、(診療報酬の)要件を緩和して体制を変えるのは、違う。診療報酬は与えられた医療、環境、設備に対して支払っているものだ。働き方改革のために診療報酬を緩和するのは違うということだ。

■松本吉郎氏:医師の働き方改革の根底にあるのは、地域医療を壊さないようにということだ。そこには診療報酬が関係してくるのはご理解いただきたい。



  1. 2017/11/12(日) 11:38:19|
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