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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月6日 

http://www.asahi.com/articles/ASKC15CJFKC1ULBJ00T.html
医学部に「地元枠」、制度強化案 地方の医師不足改善へ
野中良祐
2017年11月4日00時24分 朝日新聞

 医師が都市部などに集中する医師偏在の問題について厚生労働省は、都道府県の権限を強めて改善を促す。医師不足の解消のため、大学医学部に「地元枠」を設けることを都道府県が地元の大学に要請できるよう医師法と医療法を改正する方針。改正案を来年の通常国会に提出することを目指す。

 「地元枠」は、医学部定員の一部を地元出身者に限定するもの。地元出身者は卒業後もその地域に残る割合が高い。2015、16年に臨床研修を終えた医師を対象にした厚労省の調査では、地元出身者がその都道府県に残る割合は78%。だが16年時点で、地元枠を設ける大学医学部は全体の6割弱だった。

 医学部に進む地元出身者を増やしたい一方、大学との連携が不十分な都道府県もあるため、厚労省は都道府県が大学に地元枠を設けるよう要請できることを医師法で定める方針。東北や四国地方など広域のブロックで医師を確保するため、隣県などの大学医学部に自県の地元枠を要請することも想定している。

 国が主導して定員を決めていた臨床研修の実施施設についても、都道府県が地域の実態に沿って決められるようにする。地元枠の学生が臨床研修先を選ぶ際、他の学生と分けて採用する仕組みも検討する。

 厚労省によると、医師数は人口10万人あたり307・9人(京都府)から152・8人(埼玉県)と2倍以上の差。都道府県内をわけた医療提供の地域単位「2次医療圏」でも最大で10倍以上の差がある。

 改善のため、厚労省は法改正で、目標や具体策を盛り込む「医師確保計画」の策定を都道府県に義務づける。計画の土台となる医師偏在のデータについては、これまで使われてきた人口10万人あたりの医師数だけでなく、高齢者の割合などをふまえた診療科のニーズ、医師の年齢分布などを踏まえた詳細なデータも示す。

 石川・能登半島で病院を経営する神野正博・全日本病院協会副会長は「都道府県の調整力が高まることで偏在解消の一歩前進になる」と話している。

     ◇

 ほかの医師偏在対策として奨学金制度がある。都道府県が医学部の学生に授業料などを貸し、その地域の医療機関に一定の期間、勤めると奨学金を返済しなくてよいとするもの。全都道府県にあるが43は対象を地元出身者に限っていない。厚労省によると16年までに貸与したうち4分の1は地元出身者でなかった。

 返済の免除に必要な地元での勤務期間も4年から9年以上とばらつきがある。また、17都道府県は初期臨床研修の場所を地元に限定していなかった。現状の取り組みでは他の地域に流出する医師もいて十分でないため、厚労省は都道府県に通知を出した。貸与するのは地元出身者とし、勤務期間は、自治医科大と同じ卒業後9年間を基本とするよう求めている。さらなる医師定着の手立てとして、地元枠の強化を含む法改正に踏み切ることにした。(野中良祐)
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51491?page=2&utm_source=nifty&utm_medium=feed&utm_campaign=link&utm_content=next
厚労省の医学部地元優先政策に異議あり 高校野球と高等中学校の歴史が証明する教育のあり方
2017年11月01日 07時00分 日本ビジネスプレス  JBPress

 我が国の医師不足は深刻だ。さらに、西高東低の形で偏在している。

 厚生労働省は来年の通常国会で医療法を改正し、この問題に対応しようとしている。

 10月30日の読売新聞によれば、厚労省は都道府県の権限を強化し、医学部入学定員に地元出身者枠を設けるよう大学に要請できるようにすると同時に、地域の研修病院の定員を都道府県が決定できる権限を与えるらしい。
懸念される学生の学力低下

 私は、このやり方に反対だ。短期的に医師の偏在を改善するかもしれないが、長期的には弊害が大きい。

 医学部を志望する高校生は多いのに、定員を増やすことなく、大学の入学者を地元優先にすれば、実力のない学生が入学してくる。

 また、卒業後は地元の医師不足地域に派遣される。若者は異郷を経験して成長するのは、古今東西共通だ。地元で生まれ、地元の大学を卒業し、地元に縛りつけられれば、成長のチャンスを失う。

 医師不足の日本で病院は医師確保を巡って、激しく競争している。

 経営経験のない退職した大学教授を院長に迎える病院が多いのは、医局から医師を派遣してほしいためだ。「病院経営は医師確保にかかっている」というのが、医療界の常識だ。

 実は、医師不足地域とは、医師獲得合戦で負けている地域なのだ。

 僻地でどうしようもないというところもあるが、多くは経営者に問題がある。地域枠の学生を、卒後、このような病院で勤務させつづければ、実力はつかない。長期的には、医療レベルは低下する。

 医療に限らず、外部と交流せず、内輪で凝り固まれば、地域は停滞する。交流が地域を活性化したケースと、その反対の事例をご紹介しよう。

 前者は高校野球だ。高校野球は、長らく西高東低だった。東北地方は弱く、いまだに春夏を通じて優勝経験はない。

東北地方が強くなった理由

 ところが、近年の東北勢の躍進は目覚ましい。過去10年間の全国高校野球選手権(夏の甲子園)で、毎年ベスト8に進んだ地域は関東地方と東北地方しかない。

 もちろん、東北地方が躍進した理由は関西、関東からの野球留学だ。ところが、近年の東北地方の高校野球の留学生への依存度は、着実に低下している。

 2013年の夏の甲子園は東北地方の高校が大活躍した。

 最終的に前橋育英高校(群馬県)が優勝したが、ベスト4には東北から花巻東(岩手県)と日大山形が入った。この大会でベンチ入りした18人のうち、県外出身者は花巻東が3人、日大山形は2人だった。

 さらに、この大会で2勝した弘前学院聖愛(青森県)は県内出身者だけで臨んだ。準々決勝で前年、前々年と甲子園で決勝戦まで進んだ八戸学院光星高校を破っての出場だった。東北地方の地力は高い。

 元高校球児で、1998年松坂大輔の横浜高校と夏の甲子園の決勝を戦った京都成章高校の主将を務めた澤井芳信氏(スポーツバックス社長)は次のように語る。

 「野球留学については賛否両論、いろいろな意見があるが、少なからず野球留学を受け入れることにより、結果を見れば分かるように東北地方のレベルが上がっている」

 その理由として、「環境はビハインドがあるが、野球留学で上手い選手が入ってくることにより、その上手さを肌で感じ、相手チームであろうが、自チームであろうが、勝つため、そして上手くなるために目標やこのままじゃダメだと気づくことにより様々な工夫が生まれる」と説明する。

 その通りだろう。交流は成長を促す。次に反対の事例をご紹介しよう。これも教育関係だ。

明暗分けた薩長の高等中学校

 明治時代、我が国には高等中学校という教育機関があった。

 高等中学校とは、聞き慣れない名前だが、明治19年の中学校令により、全国に7つ設置された高等教育機関だ。

 全国を5つの区域(当初、東京、大阪、仙台、金沢、熊本)に分けて、各地に帝国大学(のちの東京帝大)に続く、カレッジのような教育機関を設置した。

 高等中学校は、本科と専門科に分かれていた。本科は、帝国大学に進学するための予備教育を目的とし、専門科は医学、法学、工学などの専門科目を教えた。

 実は、この5つの高等中学校以外に、特別に2つの高等中学校が設けられた。それが山口高等中学校と鹿児島高等中学校だ。

 いずれも旧藩主である毛利家、島津家をはじめとする地元の有力者が設立資金を負担することで、特例として設立が認められた。薩長の地元だけ、特別に官立の高等教育機関が設立されたことになる。

 山口高等中学校の場合、他の高等中学校と異なり、防長教育会という地元の団体が実質的な運営権を持っていて、学生は、ほぼ全員が地元出身者だった。

 山口高等中学校の目的は、地元の子弟を帝国大学に進学させることだが、地元の子弟の優先入学が行き過ぎたのだろうか、その後、学校のレベルが低下した。

 山口高等中学校は、財政難もあり、1902年(明治35年)に、官立の山口高等商業学校に吸収される。山口帝国大学には発展しなかった。
大人の思惑など入れるべきではない

 一方、鹿児島高等中学校は山口県のような対応はしなかった。その後、第七高等学校へと発展する。対照的な展開だ。

 このあたり、秦郁彦氏の『旧制高校物語』(文春新書)に詳しく紹介されている。ご興味のある方はお読みいただきたい。

 冒頭にご紹介した厚労省の医療法改正を解釈するにあたり、東北地方の高校野球の躍進と山口高等中学校の顛末は示唆に富む。

 私は、学校の入学資格は教育を最優先すべきで、医師偏在など「大人の思惑」は入れるべきではないと考えている。

 若者は部外者と交流し成長する。内輪で凝り固まるべきでない。医師不足対策には、長期的な視野に立った議論を求めたい。



http://www.sankeibiz.jp/econome/news/171031/ecd1710310620001-n1.htm
医師不足地域の新たな試み、若手医師を地方に ベテラン開業医が技伝授「親父の背中プログラム」
2017.10.31 06:20 SankeiBIZ

 医師不足に悩む地方の医師会が、独自の研修を目玉に若手を呼び込む試みを始める。地元の病院で働く傍らベテラン開業医からノウハウを学んでもらう。名付けて「親父(おやじ)の背中プログラム」。大病院での研修では難しい家庭医としての技術向上の機会を提供し、現状打破をねらう。同様の問題を抱える地域のモデルケースとなるか注目が集まる。

 「認知症の人はギプスの端がめくれていると引っ張ってしまうのでしっかり固めて」。9月下旬、島根県益田市医師会で開かれたワークショップ。整形外科が専門の井上貴雄医師(55)がギプスの巻き方や豚足を使った縫合実習、開業医が扱う特徴的な症例を若手16人に講義した。来春からの研修趣旨や地域の事情を知ってもらう事前企画で過疎地に赴く医師の研修を企画する千葉県の会社「ゲネプロ」が後方支援する。

 平成16年度から始まった制度で、新人医師は研修先を自由に選べるようになり都市部に人気が集中。それまで大学病院が担っていた地方病院への医師派遣が困難になり、地方の医療危機が加速した。益田市でも、益田赤十字病院と並んで6万人の医療圏を支える益田地域医療センター医師会病院で19人いた常勤医師が11人に激減した。

 医師会病院の狩野稔久(かりのみねひさ)院長(63)らがゲネプロの斎藤学医師(43)に相談し、地元開業医の授業を目玉に若手を呼び込む計画を提案された。「単に来て、では医師は来ない」と斎藤さん。「地域医療への思いが熱く経験豊富な医師会メンバーに会って研修モデルが浮かんだ」とし、講師に名乗りを上げたのが男性ばかりだったので「親父の背中」を思いついた。

 若手を対象に期間は2年程度を予定。医師会病院の総合内科で診療を担ってもらい、残りは開業医が整形外科、皮膚科など各専門の経験や知識を伝授する。給与や費用は医師会負担だ。

 専門にこだわらず幅広い視野で診断する「総合診療医」の専門制度が来年度から始まるのを前に若手側にも需要があり、ワークショップ参加者からは「地域医療が危機に直面している状況がよく分かった。先生方の熱意に刺激された」「過疎で高齢患者が多いなど地域のニーズに合わせて専門以外も柔軟に対応するレベルの高さに驚いた」と好意的反応も出ている。

 耳鼻科講師を務めた市医師会の神崎裕士会長(67)は「ここで経験を積んで僻地(へきち)などに行ってもらってもいい」と話している。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1030511378/
医師確保、都道府県の権限強化へ...医学部に「地元枠」
(2017年10月30日 読売新聞)

 地方の医師不足解消に向け、厚生労働省は、都道府県が医師確保のため行使できる権限を強化する方針を固めた。

 地域の事情に通じた都道府県が主導し、卒業後に地元で働く医師を増やす方策を医学部に求めたり、地域の研修病院の定員を決めたりできることを法律に明記する予定だ。来年の通常国会へ医師法と医療法の改正案提出を目指す。

 厚労省によると、医療機関などで働く医師数(2014年)は、人口10万人あたりで最も多い京都府の308人に対し、最も少ない埼玉県は153人と約2倍の差がある。

 厚労省は地元出身の医師ほど地域に定着しやすいことに注目。医学部入学定員に「地元出身者枠」を設けるよう、都道府県が大学に要請できることを医師法に定める方向だ。

 現在は国が決めている研修病院の定員についても、法に基づく調整権限を都道府県に与える。地元での研修を希望する研修医が、定員超過が理由で他県に流出するのを避けるためだ。

 さらに厚労省は、各地域での医師の過不足の実態をつかむため、医療法を改正し、高齢者らの割合を考慮した医療需要や地域の特性などに基づく指標を導入する予定だ。この指標などを基に都道府県に「医師確保計画」の作成を義務づけ、3年ごとに進行状況のチェックを求める。



http://www.huffingtonpost.jp/michiko-sakane/doctor-control_a_23260137/
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厚労省による医師管理の厳格化は正しい道か ~これは研修医奴隷制度ではないのか
医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。

2017年10月30日 12時09分 JST | 更新 2017年10月30日 12時27分 JST ハフィントンポスト

坂根みち子
医療法人 櫻坂 坂根Mクリニック 院長

恒例の医師の臨床研修マッチングの時期になった。これは、医学部卒業後2年間の初期研修先を決めるものである。

医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。医師は余るといわれ続け多くの医師が永年にわたり滅私奉公で無報酬残業を続けた結果、現在の医師数は交代制勤務など夢のまた夢の状態で、研修医も奪い合いが続く。

地方の医師不足を補うために、各自治体は、地域枠を設けて奨学金を出し、医学生を入学させている。卒後決められた年限、その地域で指定の医療機関で働けば、奨学金の返済は免除されるというものである。医学部バブルの現在、地域医療に捧げたいとその制度を利用して入学するというよりは、少しでも入り易い方法として選んでいるというのが実態ではないだろうか。詳細を知らずに入った学生は場合によってはとても苦労する事になる。

まず、卒後のお礼奉公の年限が、借りた期間の1.5倍から2倍に設定されている事が多い。つまり、卒後9年から12年程は働く場所や地域が決まっている。最初の2年間の初期研修はカウントされない自治体もある。医師として使えるようになってから戻って来なさいということであろう。

奨学金を返還して自由の身になろうとすると、一括返還を求められる。例えば北海道の場合、奨学金合計は1200万円以上になるが、これを一括で返還しなければならず、遅れた場合には、年10−15%もの延滞利息がつく。

このように、もともと結構な制限がかかっている制度である。

ところが、これに加えて、本年7月30日厚労省から以下のような通知が出された(1)。

1  臨床研修病院は、医師臨床研修マッチングの希望順位登録前に研修希望者の臨床研 修期間中の地域医療への従事要件等(以下「従事要件等」という。)を必ず確認すること。
2  従事要件等が課されている研修希望者は、選考過程において臨床研修病院にその旨を申し出るものであること。
3  臨床研修病院は、研修希望者に従事要件等が課されている場合、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認した上で医師臨床研修マッチングの希望順位登録を行うこと。 な
お、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がある場合には、希望順位登録を行わないこと。 4 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者の氏名、大学名及び従事要件等を記載したリストを作成し、厚生労働省を経由して、臨床研修病院に情報提供すること。

つまり、研修のマッチングの過程において、地域枠の学生名簿を作成し、それを配布して地域枠の対象者から地域枠外の医療機関への申請があっても認めないように厳重な管理を始めたのである。来年からは、いかなる事情があろうとも、たとえ上記のように奨学金を返還しようとも他の地域で働きたいという研修医を一切認めなくなったという事である。

さらに締め付けは続く。

地域枠の対象者を研修医として選んだ地域指定枠以外の病院には補助金削減と言う罰を与える事にしたのである。

9月27日のCB newsより抜粋する

厚生労働省は27日、臨床研修病院が従事要件に"違反"する研修医を採用しているケースについて、該当する病院の臨床研修費補助金を減額する案を医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に示し、大筋で了承された(2)。

ここまでの強制は法的に許されているものであろうか?年10−15%にもなる延滞利息付きの一括返還、地域枠対象者の名簿の作成とマッチング医療機関への配布、有無を言わせぬ選考前選別、指定外での地域枠対象者採用病院への補助金の削減。

驚くべきなりふり構わぬ締め付けである。たとえば、茨城県の場合は、年10%の利息を入学時にさかのぼって付加しての一括返還を課しており、これなど明らかに違法であろう。

これが、これから医師として人生を輝かせていこうとする者たちへの扱いとして適しているものなのだろうか。まるで奴隷制度のようである。ここには、次世代の若者をエンカレッジして育てようという意識がまるでない。

例えば、結婚等で指定地域を離れたい時、働きながら出産や子育てをするために親の近くへ行かざる得ない時、もしくは親の介護が発生した時、どうしても研修を受けたい場所が出来た時等々。医学部を卒業し人生が大きく動く時に、18歳の頃の決定に少しの変更も許さないシステムというのはいかがなものだろうか。

厚労省がやるべきことは、医師の強制配置ではなく、永きにわたり放置されてきた過労死レベルの勤務環境を改善させ、指導医にゆとりを持たせ、研修医の指導にかける時間を捻出させる事ではないのか。医師も人間である。当たり前に結婚し、子供を持ち、家族との時間を大切にする。厚労省は、その当たり前な人生が大きく損なわれている現状を少しでも改善するようサポートすべきではないのか。

そして、残念な事に、この医師強制配置、厳重管理体制は、初期研修に続く専門医制度でも踏襲されていくのである。

参考

(1)臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際の留意事項等について 厚生労働省医政局医事課長 H29年7月31日
file:///C:/Users/PCUser/Downloads/%E8%B3%87%E6%96%992%E3%80%80170731%E9%80%9A%E7%9F%A5%EF%BC%88%E7%A0%94%E4%BF%AE%E5%8C%BB%E5%8B%9F%E9%9B%86%E6%8E%A1%E7%94%A8%E6%99%82%E7%95%99%E6%84%8F%E4%BA%8B%E9%A0%85%EF%BC%89.pdf

(2)臨床研修医採用、従事要件"違反"は補助金減額
厚労省案、医師臨床研修部会が大筋了承
CB news 2017年09月27日 https://www.cbnews.jp/news/entry/20170927192055
地域枠募集についての各自治体のHP
北海道
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/syugakusikin.htm
青森県
https://inomori-aomori.info/highschool/p03
宮城県
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/641355.pdf
茨城県
http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/jinzai/ishikakuho/isei/ishikakuho/hstsudent/11081601/documents/30kennai.pdf
埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0709/ishiikusei-shougakukin/index.html
(2017年10月24日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/564239/
専門医取得の義務化、「崩れてしまった」- 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.2
専攻医の3割程度は総合診療専門研修に

2017年11月4日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――新専門医制度は2017年度開始の予定が、医師の地域偏在、地域医療への影響を懸念する声が上がり、1年延期となりました。「専門医の在り方に関する検討会」の報告書では、この点への言及はあるものの、あまり懸念されていなかったように思います。

 そうですね。地域医療などへの影響を懸念する声がこれほど出るとは、当時は想定していなかったと思います。それよりも、より良い専門医を育てたいという思いが第一でした。
「将来的には、専門医資格取得の義務化が必要。標榜科目は資格取得の領域に限定し、自由標榜制を見直すべき」と語る、高久史麿氏。

――新専門医制度の基本的な考え方を、実際の制度に落とし込んでいく段階で、問題が生じてきたということでしょうか。

 研修プログラム制になり、経験症例数などの要件を設定した結果、大学病院中心の制度になったのではないでしょうか。大学病院が基幹病院になれば、連携病院にどの程度、専攻医が行くようになるか、この辺りは実際にスタートしてみないと分からないですね。

――懸念を払拭し、2018年度開始に向けた議論の過程で、検討会報告書の提言から幾つかの変更がありました。

 検討会報告書では、「専門医の定義や位置付けに鑑み、医師は基本領域のいずれかの専門医資格を取得することを基本とすることが適当である」としていましたが、厚労省がこの4月に設置した検討会で「専門医資格の取得は義務化しないことを明記する」との意見が出ました(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。私は将来的には専門医資格の取得を義務化すべきだと思っています。米国はレジデンシーの研修を終えないと、“看板”(標榜)は出せません。このレジデンシーに相当するのが、日本の3年間の専門研修です。

 また研修プログラム制が原則でしたが、研修カリキュラム制も認められるようになるなど、変更点は幾つかあります。要は「不完全な形でもいいからスタートする」と判断したのでしょう。

 過渡期なので仕方がない面もありますが、一番問題だと思っているのは、総合診療専門医の位置付けです。例えば、イギリスは、GP(General Practitioner)と臓器別専門医をほぼ半々ずつ養成しています。日本でも地域包括ケアに本格的に取り組んでいくのであれば、専門医の半分くらいは総合診療専門医にしていく必要があるのではないでしょうか。

――日本医師会は、「総合診療専門医は、あくまで学問体系の裏付けとしての専門医」であり、臨床の担い手としてのかかりつけ医と総合診療専門医は切り離して考えるべきとしています(『かかりつけ医と総合診療専門医は別物』、『かかりつけ医「総合診療専門医も日医の研修を」』などを参照)。

 総合診療専門医は、臨床の担い手としての呼称です。「かかりつけ医」は、医師と患者さんとの個人的な関係を示す言葉であり、大学病院の専門外来に通院している患者さんにとっては、大学病院勤務医がかかりつけ医。イギリスほどではなくても、専攻医の3割程度は総合診療専門研修に入るようにすべきでしょう。開業されている「かかりつけ医」の医師も、希望があれば一定の研修を受けて総合診療専門医になれるようにすればいいでしょう。

――2016年7月の日本専門医機構の執行部交代を境に、同機構と各基本領域学会との関係も変わりました。

 また元に戻り、学会中心の制度になっています。

 確かに日本専門医機構が、各基本領域の専門研修プログラムを作ることは難しい。だから各学会が作成、それを認定する仕組みになったわけですが、今の機構の権限は限られています。例えば、「県立医大だけが基幹病院で、県内の他の病院を全て連携病院にするのはおかしい」「連携病院で、何カ月間か必ず研修すべき」といったくらいの指摘は、して良いと思います。本来なら、さらに踏み込んで専門研修プログラムの内容まで判定できるようにすべきでしょう。
――先生方が「専門医の在り方に関する検討会」で議論していた際は、米国のACGME (Accreditation Council for Graduate Medical Education) のような大規模の組織を念頭に置いていたのでしょうか。

 本当のところはそうです。

――でも実際問題として、日本では医師が充足しておらず、専門医制度を運営する医師を配置することは難しいと思うのですが。

 そこまではできなかった。国からの補助もなく、財源も乏しいからです。

――「専門医の在り方に関する検討会」の議論を始める際は、医療事故調査制度と同様に、国が第三者機関を指定し、専門医制度を運営する仕組みを想定されていたのでしょうか。

 いえ、当初から、プロフェッショナルオートノミーの仕組みを想定していたと思います。ただ、プロフェッショナルオートノミーでやれればいいけれど、新専門医制度については容易ではないですね。

 日本専門医機構は、例えば専門研修プログラムの内容や専攻医の研修においてクレームが生じた際の“メディエーター役”は果たせるでしょう。でもそれだけでは、以前の日本専門医制評価・認定機構などの時代とあまり変わらないのでは、と思います。

――ではこれだけ議論をし、準備を重ね、2018年度から新専門医制度がスタートした場合、専門医の質はどう変わっていくのでしょうか。

 先ほども言いましたが、本来なら臨床をやる以上、専門医資格を取得しなければならない仕組みにする必要があります。そして将来的には専門医制度と連動させ、自由標榜制を変える。これは第一に患者さんのためです。

――しかし、全員が取得するわけではなく、「全員取得」という最初の段階から変わってしまった。

 したがって、以前とあまり変わらないのではないでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564238
新専門医制度、「自由標榜制の制限」が念頭に - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.1
「なぜ19が基本領域か、検討すべきだった」

スペシャル企画 2017年11月1日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com医療維新が2007年11月にスタートして10年。この間、医療界では実にさまざまな動きがあったが、その中からトピックスを厳選して、当事者に当時の思いと医療界の今について語っていただくスペシャル企画を、10周年記念としてお届けする。

 最初にご登場いただくのは、今年6月まで日本医学会会長を務めた高久史麿氏。新専門医制度が発足するきっかけとなったのが、2013年4月に公表された厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書。同検討会の座長を務めたのが高久氏だ。
 座長としてどんな問題意識を持ち、議論を進めたのか、検討会報告書の骨子は何か。地域医療への影響が懸念され、新専門医制度の骨格は、検討会報告書から幾つかの点が変更されたが、どう受け止めているのか……。今は地域医療振興協会会長を務める高久氏にお聞きした(全3回の連載)。

新専門医制度では、19番目の基本領域として総合診療専門医が追加されたが、そもそも既存の18分野は基本領域として妥当なのかといった議論はなかったという。

――先生は、新専門医制度が発足するきっかけとなった、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の座長を務められました。2011年10月の議論開始当初、どんな問題意識を持っていたのでしょうか。

 専門医制度を持つ学会が増えたのは、2002年に厚生労働省が外形基準を作り、広告可能な専門医資格を決めてからです。その前後からさまざまな専門医制度が誕生し、標準化が必要となりました。1981年に学会認定医制協議会が発足していましたが、2001年に専門医認定制協議会に改称、その後、2002年に日本専門医認定制機構、2008年には日本専門医制評価・認定機構となり、2014年5月に日本専門医機構が設立され、今に至っています。

 私が以前、ある講演会で「まず近くの開業医を受診して、専門的な治療などが必要になった場合には専門医を受診する仕組みがいい」と話した時に、「そもそもどこにどんな開業医がいるのか、何を専門としているのか、どれだけの実力なのかが分からない」との指摘を受けたことがあります。確かに、内科、皮膚科などと複数の診療科を標榜して、何が専門かが分からない開業医の方も見受けられます。自由標榜制の問題は、以前から感じていました。

 厚労省の検討会は、2013年4月に報告書をまとめましたが、その特徴は三つです。第一に、専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義したこと。専門医は、決してスーパードクターを指すのではありません。

 第二は、学会が認定する専門医ではなく、中立的な第三者機関を設立し、専門医の認定と研修プログラムの評価・認定を統一的に行うこととし、専門医等に関するデータベースを構築すること。

 そして第三は、総合診療専門医を基本領域の専門医の一つとして加えることです。

――総合診療専門医を基本領域として追加する際、そもそも基本領域とは何か、既存の18分野は基本領域として妥当なのかといった議論はありませんでした。

 個人的な考えを言えば、基本領域に病理や臨床検査などが入っているのは問題だと思っています。今回の専門医制度は患者さんの受診に役立つことを基本として考えられたものであり、病理や臨床検査は、患者さんが直接受診する診療科ではないからです。

――18の基本領域は既定路線で、根本から議論する予定はなかったのでしょうか。

 それはありませんでした。後から考えると、「議論しておけばよかった」と思っています。ただ、病理や臨床検査の先生方は、これらは病院に必要な部門であり、「病院の権威が高まる」という理由から、標榜したいという希望が強いようです。

――その一方で、最初は総合医、家庭医などさまざまな呼称が使われていましたが、総合診療専門医は初めから加える方針だったのでしょうか。

 私は初めから加えるつもりでした。高齢社会に向けて地域包括ケアの構築が始まりつつありましたが、その中心となるのは総合診療専門医であると考えていたからです。もっとも実は、総合診療専門医の呼称は、私は「総合医」の方がいいと思っていました。診療に限らず、地域の予防活動や健康教育など、さまざまな役割が期待されるからです。その実践には社会学的な知識も必要。けれども、さまざまな議論を経て、総合診療専門医に落ち着きました。

――「専門医制度が乱立している」「何を専門とする医師かが分かりにくい」など、患者さんに分かりにくいとされていたのは、基本領域以上に、サブスペシャルティ領域かと思いますが、その議論はあまりされませんでした。

 基本領域の専門医をまず取得し、次にサブスペシャルティ専門医を取得するという、二階建ての制度にすることは決めましたが、それ以上の議論はあまりやりませんでした。

 そのほかできなかったのは、「専門医を取得しないと、看板を出せない」、つまり自由標榜制の見直しについての議論です。

――自由標榜制の見直しが必要だとお考えですか。

 当然のことです。先ほども言いましたが、内科、あるいは外科でも、きちんとトレーニングを受けた医師のみが標榜できるようにすべきです。しかし検討会では、「自由標榜制」について議論されることはありませんでした。



https://news.biglobe.ne.jp/economy/1103/zks_171103_6346732270.html
総合診療医制度の枠組みと課題
11月3日(金)20時41分 財経新聞

 来年度から、専門分野に拘らず幅広い視野で患者を診断する「総合診療医」制度がスタートする。医師不足に悩む地方への対応策である。具体的には若手医師を対象に2年程度の時間をかけ医師会病院の総合内科で診療を担当してもらいつつ、内科以外の例えば「整形外科」「皮膚科」などについてはそれぞれの開業医が経験に基づいた専門知識を伝授するという枠組み。給与や専門技術の伝授費用は、医師不足に悩む地方・地域の医師会が負担する。2年余り後、件の若手医師はいわば「よろず診療所」を医師会の援助を得て開設。医師会と連携を取りながら「医師不足」解消の入り口を担うことになる。

 既に先行して「総合医療医」制度の趣旨を実行に移している地方の医師会もある。例えば、島根県益田市医師会。10余年前から「新人医師は研修先を自由に選べるようになった結果、都市部に人気が集中した。それまで大学病院が担っていた地方病院への医師派遣が困難になった。このままでは地方の医療危機が加速する」という当時の医師会病院長が音頭をとり、実行に踏み切った。

 単に若手医師に「来て」と呼び掛けただけでは、困難。若手医師に「存在感」を実感してもらう必要がある。浮上したのが「よろず診療所長」。やはり「地域医療の脆弱化」に危機感を抱いていた開業医が「講師」として手を挙げた。手を挙げたのが全員男性だったことから「親父(おやじ)の背中プログラム」と名付けられた。

 こうした流れが加速していかないことには、総合診療医制度も機能しない。第2・第3の島根県益田市医師会が相次ぐことを期待したい。

 そうでなくては拡大が期待されている「日本版CCRC」の動向にも、大きく影響してくる。CCRCとは「リタイア後の高齢者が地方に移住し、介護・医療状態が整備した中で安心した老後を送る」という、米国産の概念。日本版CCRC創りの構想が「人口減少」に悩む地方自治体で盛り上がりを見せている。現に移住者用の施設が着工された例もある。人口減⇔若手医師の都会集中への対応策が進められなくては、日本版CCRC構想も「画餅」に終わってしまう。

G3註: CCRC - Continuing Care Retirement Community



https://www.m3.com/news/iryoishin/566866
臨床研修、4科目必修化を決議、「廃止すべき」という意見も
レポート 2017年11月3日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」が11月2日に発足、設立総会を開いた。臨床研修制度における外科、小児科、産婦人科、精神科の4科の必修化などを求める「医師養成の過程から医師偏在是正を求める決議」(案)を大筋合意、議連会長の河村建夫衆院議員に最終的な取りまとめを一任した。11月15日に開催予定の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で、臨床研修カリキュラムの見直しについて議論する予定であることから、11月第2週にも加藤勝信厚労相に提出する。

 設立総会では、参加議員らによる積極的な意見交換が行われ、臨床研修制度の廃止や大学の医師派遣機能強化を求める声も多かった。

 議連は2017年春から議論を重ねてきた「医師偏在是正に関する研究会」と若手議員中心の「医師偏在と良質な地域医療を考える勉強会」が合流する形で設立、70人程度の自民党議員が入会した。議連会長には河村氏、幹事長には羽生田俊参院議員、事務局長には自見英子参院議員がそれぞれ就任した。現在、厚労省で議論が進む医師偏在対策や臨床研修制度の見直しに対応するため、当初は9月中に設立する予定だったが、衆院解散を受けて延期された。

 設立趣意書に記された「実現を目指し、活動していく予定」の事項は、下記の5項目。

(1)卒前の臨床研修において、医学生が行うべき臨床上の手技の範囲について再検討を行い、診療参加型実習を強化する。

(2)現在全大学で実施されているにも関わらず公的な枠組みのない医学部4年終了時の共用試験の位置づけを見直すと共に、その試験内容と連動して医師国家試験の抜本的な見直しを行うなど医学部教育と臨床研修をシームレスにつなぐ医師養成となるよう充実を図る。

(3)卒後の初期臨床研修において、総合的な診療能力の獲得と地域医療に必要不可欠な外科、小児科、産婦人科、精神科等の必修化を検討するとともに、地域医療研修の充実を図る。

(4)卒後2年目終了時点で、一般診療能力を有する医師の認定も視野に検討する。

(5)医師偏在に関しては、様々な対策が講じられてきたものの抜本的な解決が図られてこなかったことから、初期研修のマッチング、大学の医局、医師会、地域医療との関連性を踏まえ、新たな仕組みの構築を目指す。

 事務局長を務める自見氏は、2004年3月卒業で、2004年度からスタートした臨床研修制度の1期生でもある。卒前・卒後のシームレスな医師養成の必要性を指摘、「本来ならば、導入前にきちんと議論すべきことだった。体験者として憤りを感じている」と説明する。

臨床研修、「やめてしまえばいい」も

 設立総会には代理参加の秘書らも含め約120人が参加。厚労省医政局長の武田俊彦氏、全国医学部長病院長会議の新井一会長(順天堂大学学長)、日本外科学会理事の大木隆生氏、日本産婦人科学会理事長の藤井知行氏、日本精神科病院協会副会長の森隆夫氏、日本小児科学会副会長の宮田章子氏が医師養成の現状について説明した。

 4科の代表者は、2010年度から臨床研修の必修科目から外れたことで志望者が減少したことや「研修のクオリティを保つためにも必修化を望む」(大木氏)、「女性は男性と根本的に違う。産婦人科を回ることで女性の健康をトータルにサポートできる」(藤井氏)、「統合失調症の患者とコミュニケーションを取る訓練を重ねることで、コミュニケーション能力を高められる」(森氏)、「小児は成人のミニチュアではない。ジェネラリストになるにしても小児科が必要」(宮田氏)などとして、ジェネラルな医師を養成する過程においても、必修化は必要と訴えた。

 質疑応答では、医師でもある古川俊治参院議員は、「医療崩壊が言われ出したのは2006年頃から。卒前教育改革には全く同意するが、初期臨床研修はやめてしまえばいい。いくら県知事が言っても、医師は従わない。大学にホームがあるからこそ、医師を派遣できる。臨床研修はなくてもいいのでは、というところから議論するべき」と主張。同じく医師でもある三ッ林裕巳衆院議員も「初期研修を終えて、大学に残るのが3割程度しかなく、大学の医師の派遣機能が失われている。地域医療支援センターを進めようとしているが、大学に医師をしっかり入れることが一番の根本」と述べた。

 新井氏は「『初期研修をなくせ』という意見には共感するところもある。ただ法律で決められているので、どう変えていただけるのか。私たちができるのは、内容をゼロベースで見直すこと」と回答。大木氏は「地域に必要なのは、物見遊山的に1カ月、2カ月来るスチューデントドクターに毛の生えた医師ではない。30代、40代、50代の医師をどうやって派遣するか。そもそも地元の人が住みたくない町に自発的に医師が行くわけがない。もし魅力ある町だったら、そこで生まれた人が定住するはず。そこを維持するのであれば、大学の人材派遣機能を強化し、片道切符ではなく、戻ってきたら“1階級特進”という形で行うしかない。2年、3年のタームで医師を回すことにより地域医療の形を作ることになる。人材を派遣できてきたのは医師会でも県でもなく、大学だった」と力説した。

 藤井氏は若手医師の意識が変わってきているとして、「『どこかに行ってくれないか』とお願いしても『嫌だ』となる。それを強制するとパワハラになるので、引っ込めざるを得ない。そういう意味では、新た専門研修制度で、地方で一定期間研修をしなくては専門医になれないとなり、地方に行ってほしいと言いやすくなったと思っている。多少の強制力は必要だと思う」と説明した。

 医師で、10月の衆院総選挙を機に政界引退となった赤枝恒雄氏は議連顧問に就任した。赤枝氏は「1968年に東京医大を出たが、教授に行けと言われて、北海道、新潟、長野に行った。当時は文句を言う人は誰もいなかった。そういう時代があって、各県一医科大学になって『やった。これで地元大学が派遣するはず』と思ったが、こういう状況である。実効性のある意見を期待している」と締めくくった。
決議文「外科、小児科、産婦人科、精神科の必修化を」

大筋で合意した「医師養成の過程から医師偏在是正を求める決議」(案)の概要は以下の通り。

一、 卒前の臨床実習において、医学生が行うべき臨床上の手技の範囲について長年見直しがされていないことから、速やかに再検討を行い、診療参加型実習を強化すること

一、 2014年度の臨床研修制度開始後に導入された医学部の共用試験(CBT等)に関して、公的な枠組みのないことから、その位置づけを見直すと共に、その試験内容を連動して国家試験の抜本的な見直しを行うこと

一、 卒後の臨床研修において、外科、小児科、産婦人科、精神科の必修化を行うこと

一、 医学部教育と臨床研修をシームレスに結んだ医師養成となるよう充実を徹底してはかる。また、地域医療に実践的に貢献できるよう外来での臨床技術や医師としての確かな倫理を基本とした心得の習得も同時に磨き、卒後2年目終了時点で、プロフェッショナルオートノミーのもと一般診療能力を有する医師の認定も視野に検討を行うこと

一、 上記を踏まえた上で、地域医療における医師確保については、日本の医学教育体制の文化と地域特性に即した実効性の仕組みを構築することについて、必要な法制上の措置も含めて早急に検討・措置すること



https://www.m3.com/news/iryoishin/566316
病院経営は「増収減益、依然厳しい」
日病、診療報酬等の調査中間集計

レポート 2017年11月1日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会は10月31日、2017年度の「診療報酬等に関する定期調査―中間集計結果(概要)」を発表した。2017年と2016年の6月で経常利益を比較すると赤字の病院が61.4%から54.9%に、医業利益の比較でも赤字の病院が68.2%から62.8%へと減少する一方、給与費の増加を主な要因として、収益の増加幅を費用の増加幅が上回っており、「増収減益で、病院経営は依然として厳しい状況が続いている」という結果だった。

 調査は2017年7月31日~9月22日に会員病院に対して電子メールやファクスで調査票を配布し、回収。2437病院に配布し、9月27日現在の回答数は885病院(36.3%)、有効回答数は657病院。

 1病院当たりの平均損益を見ると、2016年6月と2017年6月の比較で医業収益は1078万1000円増、医業外収益は11万7000円減。医業費用は991万4000増、医業外費用は77万9000円増。収益の合計は1066万4000円増なのに対し、費用の合計は1069万3000円で、収入の増加よりも費用の増加が2万9000円上回っている。

 医業費用の増加額のうち、給与費が713万2000円を占める。医業収益増加の内訳では、入院診療収入が756万5000円、外来診療収入が296万8000円だった。

 経常利益はマイナス2635万7000円からマイナス2618万円になり、赤字幅が微減。医業利益も、マイナス4568万円からマイナス4482万1000円に赤字幅が縮小した。

 診療報酬改定への対応では、一般病棟・特定機能病院一般病棟・専門病院における7対1入院基本料の算定割合は、回答した606病院のうち67.0%。病床規模別では20~99床が13.3%、500床以上で95.1%、病床規模に比例して算定病院の割合が高かった。

 全病院中、算定要件を満たしているかどうかを全ての項目について回答した199病院のうち、要件を満たしているのは90.5%の180病院。日病によると、満たしていない病院では、満たさない要件は「重症度、医療・看護重要度」が最も多かった。

 今後の7対1入院基本料の届け出については、「全ての病床で継続する」が59.4%、続いて「未定」が8.1%だった。

 10月28日に開催された常任理事会については、相澤孝夫会長が出張のため、万代恭嗣会長代行副会長が説明。10月11、25日の厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」に出席した構成員の報告を基に議論を行い、万代氏は「結論としては、病院の医師だけに注目していいのか。診療所の医師も含め、医師全体の分布、キャリアアップなど、全体像を見た上で地域偏在に対応していく必要があるのではないかということになった」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/566775
特定機能病院の病院長選考会議の在り方で議論
地域医療支援病院の在り方の検討始まる

レポート 2017年11月2日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)が11月2日に開かれ、病院長選考委員会の要件などを巡って議論が行われた。

 群馬大学医学部附属病院や東京女子医科大学病院で重大な医療事故が相次いだことを受け、2017年6月に特定機能病院のガバナンス強化を盛り込んだ改正医療法が衆参両院で可決、成立した。一部を除き、公布から1年以内に施行するとしている。細部については省令や通知で定めるとしており、この日の検討会では厚労省事務局が提出した省令(案)について議論した。

 改正により、特定機能病院の管理者(病院長)の選任は「開設者と厚生労働省令で定める特別の関係がある者以外の者を構成員に含む管理者となる者を選考するための合議体を設置し、その審査の結果を踏まえて行わなければならない」として、病院長選考委員会の設置が義務付けられた。

 厚労省の省令案では、同省の「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」等で、病院長選考委員会の人数や「特別の関係者」の割合などについて議論がなかったとして、特段の記載がなかった。同じく6月の医療法改正で新たに設置が義務付けられた「医療安全に関する監査委員会」では、委員は3人以上とし、委員長および委員の半数を超える数は病院と利害関係のない者から選任することを省令で定めている。

 監査委員会との違いについて、事務局は「既に多くの大学で選考委員会が設置されており、各大学の考えを縛る必要はないのでは」などと説明したが、日本医師会副会長の中川俊男氏は「東京女子医大、群大の問題が見直しのきっかけ。今までとは 変えようということで始まった。現場の実勢だけではだめという判断ではないのか」と強く主張した。一方で、北里大学病院病院長の海野信也氏は「選考結果には法人が責任を持っており、人数は規定しない方がいい」と話した。次回に再度議論することとなった。

 「特別な関係がある者」について、省令案では「過去に雇用関係がない」「過去に一定額を超える寄付金・契約金等を当該開設者から受領していない」としている。複数の委員から、金銭授受関係について「受領だけでなく、寄付をしたことがある者も含めるべき」という指摘があり、省令案に盛り込まれることが決まった。

 管理者権限について、省令案では「管理者が病院の管理運営に係る権限及び病院の管理運営のために必要となる一定の人事・予算執行権限について明確化することを求める」としている。筑波大学附属病院病院長の松村明氏は「講座制では、教授に人事権がある。そこまでも変えるのか」と質問すると、事務局は「『明確化』することを求めている」と説明した。

 また、医療法改正に当たって参議院の付帯決議では「特定機能病院の承認後の更新制の是非について検討するとともに、広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」とされている。松村氏は「病院は機能評価疲れをしている。現場が疲れないようにしてほしい」と要望。次回以降に第三者による機能評価や、更新制を議論するかについて検討する。

地域医療支援病院の在り方の検討始まる

 1997年に制度化された地域医療支援病院に関する議論も始まった。地域医療支援病院の役割は(1)紹介患者に対する医療の提供、(2)医療機器の共同利用の実施、(3)救急医療の提供、(4)地域の医療従事者に対する研修の実施――となっているが、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「4つを持つことの意義があるのか。別々にあってもいい。僻地への医師派遣なども検討すべきでは」と指摘した。

 現在、東京医科歯科大学教授の伏見清秀氏が代表を務める研究班の研究が進んでおり、次回以降で地域医療支援病院の在り方を議論していく。当面は特定機能病院の省令の議論を急ぐため、地域医療支援病院について、事務局は「時間をかけて議論していただきたい」と説明している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565708
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1
米国「すばらしい職業」「医師に対する尊敬は低下した」と評価二分

スペシャル企画 2017年11月4日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com編集部では今夏、M3USAの協力を得て、日本の医師1582人(m3.com会員)、米国の医師1150人(M3USA会員)、計2732人に対して調査を実施した。日米の医療事情や医師の働き方の相違は、これまで個人的な印象で語られることが多かったが、今後の建設的な議論に向けてリアルなデータを収集、提示することが目的だ。
 調査は、プロフィールを尋ねる質問も含め、計35問。勤務時間や現状の勤務環境の満足度、年収、論文執筆や留学経験、医師を目指したきっかけなど医師個人に関する質問から、医療制度や医療水準について「最も先進的だと思う国」、「自国の医師の社会的地位」など医療制度に関わる質問まで、多岐にわたる。
 日米の医師、医療事情を浮き彫りにした今回の調査結果を、日米両国の医師から寄せられた数多くのコメントとともに連載する。
(M3USAは、米国に本社を置く、エムスリー株式会社の連結子会社)。

 自らの職業を自身の子どもや友人に勧めたいと考えるかどうかは、今の仕事のやりがいや満足度、将来性などを測るバロメーターになる。医師にとっても例外ではないだろう。日米両国の医師に、まず両親(両方、もしくはいずれか一方)に医師の方がいるかを尋ねたところ、日本の方がやや多く26.4%だったが、米国も20.0%で、大差はなかった。

Q1.両親(両方、もしくはいずれか一方)に医師の方はいらっしゃいますか?
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 では日米の医師は、子どもや友人に医師という職業を勧めたいと考えているのだろうか。「強く勧めたい」「まあ勧めたい」の合計は、日本は42.4%と4割強にとどまったのに対し、米国は57.1%と6割近くに上った。一方で、「あまり勧めたくない」「全く勧めようと思わない」の合計は、日本は22.5%だったが、米国の方が多く26.5%。「どちらでもない」は、日本は35.1%で、米国の16.3%の2倍強。

 これらの結果の理由として、米国医師を取り巻く環境、それに伴う自身の仕事への満足度の二極化が想定されるほか、意思表示を明確にする姿勢などが挙げられるだろう。また、米国医師については、自由意見では勤務環境の厳しさ、今後の見通しの暗さなどを記載しながらも、「まあ勧めたい」との回答が多かったことも、日米の相違につながったと言える。

Q2.自分の子どもや友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?
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 自由意見を見ると、「勧めたい」あるいは「勧めたくない」理由は、日米医師の共通の意見が多く見られた。

 「勧めたい」との理由で多かったのは、仕事のやりがい。「医師は、社会貢献できるし、非常に魅力的な職業と思う」(日本:40-44歳男性、民間病院)、「今でもすばらしい職業である。人々を助けることは達成感がある」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)などが挙がった。

 そのほか、「いろいろと難しい問題があるが、現時点では、特殊なことを言わなければ、食うには困らない、と思うので」(日本:60-64歳男性、開業医)、「医師には常に需要があり、時代遅れになることがない職業だ。就職先がなくなることはない」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)など、仕事の安定性を指摘する声も見られた。

 一方、「勧めたくない」と考える医師は、「勤務時間が長く、予測不能の呼び出しも多いため、命を削っているような気がする」(日本:35-39歳男性、公的病院)、「給与はまあまあなのに、仕事が多く責任が重い。全ての段階でストレスが多い。専門は何?自分に合うか?場所は?いつ家族を作れるか?学費のローンはどうなる?医師賠償責任は?とてもストレスが多い」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)など、勤務環境の厳しさや責任の重さ、それに見合った報酬が得られない現状などを理由として挙げた。

 「やりがいはあるが、もらい事故のようなクレーマーに当たることも多い」(日本:50-54歳女性、公立病院)など、医師患者関係の問題を指摘する声もあった。

 米国医師に特徴的だったのは、医療を提供する上での規制、医師からコメディカル等への業務移譲(タスク・シフティング)を挙げる意見が見られたことだ。下記がその代表的なものだ。

・「医学を理解しない人による管理上の規制が多すぎる。患者から離れている時間が長く、医療実務を理解していない管理部門のために、規制に応じるあらゆる書類仕事をするのに時間が費やされている」(米国:30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)

・「オバマケアと過剰規制が医療を破壊した。医療について何も知らずに、実務者向けのあらゆる規則を作る人が多すぎる。診療報酬はますます少なくなってきている。医療における自立性はますます小さくなっている。最近の患者はもっと権利を与えられていると考えているので、医師に対する尊敬は低下した」(米国:50-54歳男性、Private, office based practice)。

【調査概要】

日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/iryoishin/565709
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「医師は非常に魅力的な職業」「永遠に挑戦的でやりがい」◆Vol.1-2
自由意見:医師という職業を【強く勧めたい】【まあ勧めたい】

スペシャル企画 2017年11月5日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)
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 『医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1』で紹介した、「Q.自分の子どもや友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?」との質問に、【強く勧めたい】【まあ勧めたい】と回答した医師の自由意見の中から主なものを紹介する。

【強く勧めたい】
日本
30代
・手に職を付けられる。社会的信用が得られる。(30-34歳女性、大学病院)
40代
・医師は、社会貢献できますし、非常に魅力的な職業と思うからです。(40-44歳男性、民間病院)
・医療業務のみならず、研究・経営など活躍できる分野が多くあるから。(45-49歳男性、開業医)
・やはりやりがいのある仕事だと思います。(50-54歳男性、大学病院)
50代
・患者が喜ぶ姿を目の当たりにできる。(60-64歳男性、民間病院)
60代
・ストレスは多いが、病気を治した時、患者に喜んでもらえるという点。(60-64歳男性、民間病院)
・いろいろと難しい問題があるが、現時点では、特殊なことを言わなければ、食うには困らない、と思うので。(60-64歳男性、開業医)
・高齢になっても、能力ある限り続けられる。社会貢献の意識が保てる。(65-69歳男性、診療所勤務医)

米国
30代
・研修は骨が折れるが、その後の生活の質は、個人の選択、実務領域、大学病院か個人開業かによって異なる。研修後にその人のライフスタイルに合った正しい選択をする限りは、医師になることは非常にやりがいがあるだろう。(30-34歳女性、Private, office based practice)
・頑張る意思があるなら、今でも最も満足できる職業の一つ。給与がいいだけでなく、非常に個人的に満足できる立派な仕事。医師には常に需要があり、「時代遅れ」になることがない職業だ。就職先がなくなることはない。(35-39歳女性、Community Hospital)
・今でもすばらしい職業である。人々を助けることは達成感がある。働きたいと思うような時間、スケジュール、場所、施設について、道はさまざまであり、数多く、また、機会も多い。(35-39歳女性、Community Hospital)
40代
・自分の仕事が好きだ。患者との関係を構築して大きな満足感がある。多額の給与を得ていて、すばらしいチームと仕事をしている。(45-49歳女性、Private, office based practice)
50代
・オーバーワークで押しつぶされていると感じるときはあるが、それでも医師以外にやりたいと思う仕事はないと考えている。医師が患者の人生を向上させていることを知って、非常に満足しており、やりがいを感じている。(50-54歳男性、Private, office based practice)
60代
・患者のケアが好きであるという理由で選択をする必要がある。金儲けが動機の医師はもう必要ない。こうした医師は医師という職業をおとしめている。真っ当な理由で選択したら、医療は永遠に挑戦的でやりがいがある。(60-64歳男性、Private, office based practice)
・この職業には、人々が健康目標を達成するのを助けるすばらしい機会がある。この職業は同胞の生活の質の向上に貢献している。この職業は、熱心なプロのスタッフと働く機会を与えてくれる。(60-64女性、Academic / Teaching Hospital)
・医師になることは大きな栄誉である。これよりも満足できる仕事を思い付かない。確かに、金銭的収入がはるかに多い仕事はあるが、それらは自分にとっては空虚に思われる。(65-69歳男性、Private, office based practice)

【まあ勧めたい】
日本
20代
・かつてのようなメリットはないとはいえ、一般社会からすると意義のある資格であり、仕事である。(25-29歳男性、民間病院)
30代
・人の生命を助けるやりがいのある仕事だから。(30-34歳男性、大学病院)
・収入が安定しており、職にあぶれることはなく、かつ自分のライフスタイルに合わせて、さまざまな働き方ができるから。(30-34歳女性、診療所勤務医)
・女性の場合は、国家資格なので、産休育休後の復帰や転職が他職種と比べるとしやすいと思う。(35-39歳女性、民間病院)
40代
・他業種の苦労を聞くと、医師だから苦労が多いわけでは無いと思い、そうであれば身分保障や収入面からいい選択肢だと感じている。(40-44歳男性、民間病院)
・経済力と勤務形態、内容を選ぶ裁量権が両立しやすく、社会的な信用が得られやすいから。社会貢献できているという満足度も高い。しかし、裁量権を獲得するまでに要する訓練期間は長いし、その間の経済的な問題は大きい。(45-49歳女性、診療所勤務医)
50代
・仕事内容は重いが、それ以上に充実感がある。指導・管理の立場で働くことができる。仕事・研究の範囲が非常に広く深い。他職種に比し報酬が高額。(50-54歳男性、民間病院)
・子どもが親を見て医師になりたいと考えているから、医師という仕事は魅力があるのだと思う。(55-59歳男性、大学病院)
・親の仕事(私自身の普段の行動を見て、私の長男は医学部を希望し、そして医師となり、親が開業している地域の大学附属病院で 勤務している。長男の仕事は激務であるが、使命を果たしていると感じる日々であるため。(55-59歳男性、開業医)
60代
・労働環境の問題はあるが、直接的にやりがいを自覚できるので頑張りが利く。(60-64歳男性、公立病院)

米国
30代前半
・医師になることに興味を示す家族・友人と長い時間議論したことがある。彼らに指摘した最も重要な点の一つは、この仕事が本当に好きでなければならないということだ。そうでなければ自分の仕事が嫌いになるだろう。医師は金のために選ぶ職業ではない。確かに、医師は快適な生活を送ることができるが、医師になれるほど頭が良ければ、その人には他のことをしてもっと大金を稼げる頭脳がある。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医師になることに夢中な人に対しては、自分は心からサポートするだろう。だが誰かを医師になれと説得しようとは決してしないだろう。教育・研修中の時間の傾注と犠牲は大きく、この職業が本当に好きでなかったら、その価値がないかもしれない。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・この仕事が本当に好きなら、犠牲を払う価値があるが、好きでないなら、自分が思うことと関係ない業務の全てが大きな負担となることが分かるだろう。そして、多大な時間とお金をかけた後で、この仕事に就く段階になって、この仕事が好きかどうかが分かるというのは、とてもつらい。(30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)
30代後半
・知的興味を駆り立てられ、誰かの人生を本当に改善できるので、やりがいのある職業。しかし、医学部、レジデント、フェローシップを通り抜けるのは、長く、消耗させ、ストレスが多く、お金がかかる道だ。規制の要求による書類仕事の増加、保険会社への対処、診療報酬の減少、誰かを傷付けたり、訴訟に発展したりする恐れのあるミスをする可能性のストレスもある。さらに、今後5年、10年、20年の間に医療がどうなるかが分からない。医療社会化制度に移行するのか。そのときに医師の時間や給与はどのようになるのか。この並々ならぬペースで仕事をして燃え尽きるのか。未来が不確実なことが、職業としての医師を勧めるかどうかが分からない理由だ。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・非常にやりがいのある職業。毎日人々を助け、生命を救うことも多い。絶えず勉強を要求される職業。毎日をおもしろくする課題が常にある。私にとってはすばらしい仕事だが、毎日の大変な努力、社会的交流または迅速な決断を好まない人のための職業ではない。十分な見返りはあるが、医師であることでだけ自動的に裕福になるわけではない。医師以外の人はこのことに気付いておらず、医学部のローンがあっても医者は裕福だという印象を持っている。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・一般の人が作り出した医療分野への不信感が大きくなって、適正な治療に対する障害が生じ、診療でのコミュニケーションはますます難しくなっている。さらに、法律により、NP(nurse practitioner)、PA(physician assistant)、その他多くの医療従事者の診療行為の範囲が拡大されたことが、医師という職業の完全性と医師の将来の暮らしを脅かしている。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・医学はやりがいがあることは分かっているが、混乱と患者の不満が大きすぎて、自分がそうであるべきと考えていたほど全体的にやりがいがあるわけではない。以前より、どちらかというと患者との戦いのように思われる。政治家・政府の規制当局とも同じ。(35-39歳男性、Private, office based practice)
・複数の選択肢(専門医か研究か)があり、人を助けることができるすばらしい職業。しかし、診療報酬が不十分で、規制が過剰で非効率的なため、医学のビジネス面によってその魅力が失われてしまった。(35-39歳、Academic / Teaching Hospital)
40代
・医師であることが好きだ。この仕事はおもしろくて意義があり、快適な生活を送れる十分なお金が得られる。もちろんもっと稼ぎたいけれど。しかし、使い物にならない電子カルテに記録し、保険会社と格闘するという管理上の負担は大きくなってきていて、診療報酬は減っていて、自分が医師になるために投資した金額を投資しなさいと、自分の子に勧めるのは心配だと思う。(40-44歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・金銭的な利益は、多くの医師にとって、現在、十分に大きいものでない。高等教育の修学年数と費用がはるかに少なくて報酬がはるかに多い、実業界の人を知っている。(45-49歳女性、Private, office based practice)
50代
・医学部に入ってからの25年間に、医療の遂行が悪い方向に劇的に変化したのを見ているため。レジデントでの研修に必要な時間から、マネジド・ケアや連邦の規制による制限まで。患者ケアと学習の喜びは変わらないが、以前と比べてその部分は小さくなった。(50-54歳女性、other)
60代
・非常にやりがいのある分野。ただ、この30年間で医師に対する敬意が大きく低下した。この仕事や、必要かつ要求の多い書類仕事に費やした時間の量に対する報酬が少ない。患者はますます要求が多くなり、医師にかかる負担に敬意を払っているようには見えない。(60-64歳男性、Community Hospital)
70代
・生活を楽しむ時間が少なすぎる。自由時間をコントロールできない。家族と過ごす十分な時間がない。金銭的な報酬は昔と違う。最善を尽くせるが、何か起これば責任を取らされるのがオチだ。医療過誤訴訟と診療内容審査を排除すれば、医療行為は、個人の満足に関して過去のもの以上になるだろう。(70-74歳男性、Private, office based practice)



https://www.m3.com/news/iryoishin/566069
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
自由意見:医師という職業を【あまり勧めたくない】【全く勧めようと思わない】

レポート 2017年11月6日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 『医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1』で紹介した、「Q.自分の子供や友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?」との質問に、【あまり勧めたくない】【全く勧めようと思わない】と回答した医師の自由意見の中から主なものを紹介する。

【あまり勧めたくない】
日本
20代
・頭の固い人、プライドの高い人ばかりで世間から取り残されている職場だから。(25-29歳女性、大学病院)
30代
・本人の考え方にもよりますが、QOL(家族と過ごす時間等)を大事にするのであれば、あまりお勧めできないと思います。(30-34歳女性、大学病院)
・これから先、保険診療がもつとは思えず、そうなると医師という職業も安定性がなくなると思う。(30-34歳男性、民間病院)
・勤務時間が長く、予測不能の呼び出しも多いため命を削っているような気がする。(35-39歳男性、公的病院)
40代
・労働に見合う仕事ではないと思うから。名ばかりの管理職で時間外は付かず、しかし仕事は終わらず。全く業務をしない日は月に2、3日で、土日祝日も回診に来たり、重症患者がいたら近隣にしか出られず。(40-44歳男性、公立病院)
・将来的にはAIの進歩により、さらに働きにくくなることが想像されるため。(40-44歳男性、民間病院)
・今は給料における満足度と責任度合いはまあまあ合致しているが、これからの医師は薄給となり責任ばかり重くなるのは間違いないから。(45-49歳男性、民間病院)
50代
・実際は世間から憧れられるような仕事ではない。厳しさの方が勝る。訴訟とか苦情といつも隣り合わせで精神が持たない。やりがいはあるが、もらい事故のようなクレーマーに当たることも多い。(50-54歳女性、公立病院)
60代
・診療科によって差があるが、やりがいがある科ほど、診療行為が適切でも結果が悪い場合があり、それに対する説明を含めた対応に苦労する。したがって、そのような科に従事する医師数が減少する。(60-64歳男性、公立病院)
・最近、非常識なクレーマー患者が増えてきており、自分の子供に勧めたい仕事とは思えない。(60-64歳男性、民間病院)

米国
30代
・医学部は非常に長期間で、学生は多額の負債を抱えて卒業する。ローンを返済し、かつ生活のバランスを取るのに十分なお金を稼げる仕事を探すのは非常に難しい。自分が今働いているクリニックは内科診療所で、医学部の一部なのに、授乳や搾乳をサポートしていないので、産休から復帰するだけでも難しい。母親である医師をサポートできなければ、患者をどうサポートできるのか。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・給与はまあまあなのに、仕事が多く責任が重い。全ての段階でストレスが多い。専門は何?自分に合うか?場所は?いつ家族を作れるか?学費のローンはどうなる?医師賠償責任は?とてもストレスが多い。(35-39歳女性、Community Hospital)
・犠牲が多すぎる。見返りは全体として不満足。医師に対する敬意がない。プライマリケアの報酬がひどい。事務職と教育のない患者に要求されて医学的決定を下すために、自分の20代が犠牲となった。(35-39歳女性、Private, office based practice)
40代
・医師は、全体として、耐え抜かなければならない研修の量に対して、十分なお金を払われていないと思う。長年の通学と教育の費用は、振り返って見ればその価値があるように思えない。こうしたひどい高等教育プロセスを経ずに大金を稼げる活動分野が、他にある。(40-44歳男性、Private, office based practice)
・学習で失われる年数が長すぎる。現在、ミッドレベル(ナース・プラクティショナーなど)は教育期間が短く、同じくらいよい仕事ができるという考えから、ミッドレベルを雇うことがトレンドになっている。(40-44歳女性、Private, office based practice)
・ライフ・ワーク・バランスがない。感情的に疲れる。みんな(患者、家族、保険、病院)からのプレッシャーが大きすぎる。全てのことを効率的にするためには、1日の時間が十分でない。文書作成に非常に長い時間を取られる。(45-49歳女性、Private, office based practice)
・医師は、医療制度と医療提供体制(管理者と保険会社がコントロールしているようだ)をほとんどコントロールできない。医師の給与の低下。責任の増加。医学部の学費の増加。医師に対する尊敬の低下。(45-49歳男性、Private, office based practice)
50代
・外科の下位専門領域、または処置に対する高額の支払い請求が可能な専門領域以外、つまり総合医学、小児科、家庭医の収入は少なく、仕事量は増えた。もっと高収入の、または仕事量をもっとコントロールできる職業を考えるよう勧める。(50-54歳男性、Academic / Teaching Hospital)

【全く勧めようと思わない】
日本
20代
・責任が重く、休日もあまり取れないから。(25-29歳女性、民間病院)
30代
・給料は良いが、その分、責任が重く、万が一、医療事故に巻き込まれた場合のリスクが高いから。(30-35歳男性、大学病院)
・医師を取り巻く環境は時代とともに厳しくなっている。労働量・責任はより重く、給与はより安くなることが見込まれるため。(35-39歳 男性、公的病院)
40代
・理想像を押し付けられ、立場は弱く、しんどい職業だから。(40-44歳女性、大学病院)
・20年後の医療は不透明。まずはやりたい職務に就くことが優先。(45-49歳男性、診療所勤務医)
50代
・10年後の医師の状況が今より良くなることはないから。(55-59歳男性、診療所勤務医)
60代
・才能のある人には他の職業を勧めたい。(60-64歳男性、公立病院)
・世間(マスコミ)の医師に対する目。隙さえあれば非難しようとしている。医者、医者、と呼び捨て。苦労多くて、報われていない。(65-69歳男性、民間病院)

米国
30代
・自分の仕事は好きだが、学生時代、10年前に想像していたものとは全く違う。自分はラッキーで、自分にとって物事はうまくいっているが、この分野に入ってくる多くの有望な医師にとっては、前払いして、楽しめる仕事というご褒美がもらえるかどうか、11年後まで分からない、宝くじにすぎない。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医学を理解しない人による管理上の規制が多すぎる。患者から離れている時間が長く、医療実務を理解していない管理部門のため規制に応じるあらゆる書類仕事をするのに時間が費やされている。 臨床で収入も生み出さない医師以外の管理部門の人間でも、給与は自分の5倍。多くの医療行為は患者に優しくないとも思う。自分より仕事をしておらず、生み出すものも少ないのに、給与が倍の複数の男性医師から、妊娠したことでハラスメントを受け、管理部門は何もせずハラスメントを黙認した。ありがたいことに新しい仕事を見つけたが、自分の子は絶対に医師にならせないだろうと思う昨今である。(30-34歳女性、 Academic / Teaching Hospital)
・書類仕事の法外な負荷を伴う管理業務とコンピュータ作業が多すぎる。そして、1回の診察であまりにも多くのことをしてくれという、プライマリケア医に対する期待。さらに、業績尺度での支払い。 患者が健康・予防対策をして欲しいと思っていない、あるいは医師の推奨に従わず、薬を指示通りに服用しないからと言って、医師が罰せられるべきだとは思わない。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・特に、医師でない管理者やミッドレベル・プロバイダーに医療が席巻されている場合は、もはや、この仕事をするために時間をかけ、努力し、出費する価値がない。医師はもうほとんど尊敬されていない。(35-39歳女性、Academic / Teaching Hospital)
40代
・内科に関しては、患者紹介先の専門医の馬車馬になる。専門医が手にする高給は到底得られないが、多くの患者がサマリ作成、あるいは継続的経過観察のためプライマリケア医のところに戻るので、仕事量が倍になる。米国内の多くの場所で尊敬される地位でもない。(40-44歳女性、Private, office based practice)
・見返りはそれほどでもないのに、研修中の若い時期の犠牲が過度に大きすぎる。患者ケアと無関係のコンピュータ作業が多すぎる。病気で、太りすぎていることが多い患者のケアのストレスが大きすぎる。しかし、主に、病院で年中無休の呼び出しがある間、家族から離れている時間が長いことと、心配ごとで決してのんびりできない。(45-49歳男性、Private, office based practice)
・支払いと敬意が減退した。医師から医療提供者に変わった。激務をこなして最低限の診療報酬で、Medicaidに侮辱されるのは張り合いをなくす。医師には医師自身以外に社会に擁護者はおらず、その点では哀れむべきものだ。 他のことで研鑽を積んでいたとしたら、この職業を辞めようと考えるだろう。(45-49歳男性、Community Hospital)
50代
・オバマケアと過剰規制が医療を破壊した。医療について何も知らずに、実務者向けのあらゆる規則を作る人が多すぎる。診療報酬はますます少なくなってきている。医療における自立性はますます小さくなっている。最近の患者はもっと権利を与えられていると考えているので、医師に対する尊敬は低下した。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・この職業は、電子カルテのせいで退屈なコンピュータ業務に落ちぶれた。医師はどんな管理者や保険会社の経営幹部よりも、明らかに教養がある。いったい誰がこんなことをしたがるだろうか。(55-59歳男性、Community Hospital)
60代
・医師は、医師以外の人またはPA(physician assistant)に取って代わられつつあり、適正な給与が支払われるための規制と規則は煩わしすぎ、診療報酬は15年前から1ドル当たり25セントに減少し、自分の出費が75%増えた。(65-69歳男性、Private, office based practice)



https://www.m3.com/news/iryoishin/566563
新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】
m3.com独自集計、全19領域・47都道府県別

レポート 2017年11月3日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年度からの新専門医制度に向け、10月10日から19の基本領域で専攻医の登録が始まった。本制度は、基幹施設が主となり、連携施設と組みながら運営する研修プログラム制が基本。その数は、計3060(『専攻医の1次登録、3060プログラムで10月10日開始』を参照)。

 しかし、現時点では日本専門医機構から、19の基本領域別、都道府県別の専門研修プログラム数は公表されていない。

 m3.com編集部では、総合診療については日本専門医機構、それ以外の18の基本領域については各基本領域学会のホームページに掲載された情報を基に、都道府県別に、19の基本領域の専門研修プログラムのいずれかを持つ基幹研修施設一覧を作成した(2017年10月27日現在。1次審査に合格したプログラムしか掲載していない学会もあり、2次審査等によって変更されている場合もあり得る)。

 専門研修プログラム数が最も多いのは、内科の542。以下、総合診療368、外科204、救急科200、麻酔科191などと続く。

 厚生労働省が2017年3月に公表した資料と比較すると、過去5年間(2010年度から2014年度)の専攻医の平均採用実績が年360人を超す8基本領域については、専門研修プログラム数が増加している(厚労省資料)。内科(厚労省523⇒10月542)、小児科(同159⇒171)、精神科(同149⇒166)、外科(同188⇒204)、整形外科(同104⇒154)、産婦人科(同122⇒148)、麻酔科(同165⇒191)、救急科(同190⇒200)。

 これら8領域は、地域医療への影響を考慮し、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることが求められていた(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』、『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』などを参照)。専門研修プログラム数は増えたものの、「複数基幹施設」を実現しているのは、整形外科のみ。

 一方、総合診療は3月の397から、368に減少している。

 都道府県別では、19の基本領域のいずれについても、複数の専門研修プログラムを有するのは、北海道、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県の10都道府県。臨床検査科や形成外科など、基本領域の研修プログラム数が「0」の県もある。

 都道府県別の基幹施設の研修プログラム一覧へのリンクを文末に掲載。

新専門医制度、都道府県別の研修プログラム数(2017年10月27日時点)
(表 略)



https://www.m3.com/news/general/567154
高齢者のがん治療…本人の意思考慮し選択
臨床 2017年11月6日 (月)配信読売新聞

 高齢になるほど、がんの積極的な治療を差し控える割合が増えることが、国立がん研究センター(東京都)の調査で明らかになった。体力などを考えると、すべての高齢患者に通常の治療法が最適とはいえない状況を反映している。治療選択に参考となる指針が求められている。

 同センターが8月に発表したがん治療の実態調査では、転移がある進行胃がん(病期4)で治療を行わない割合は40~64歳では8.5%だったが、75~84歳は24.8%、85歳以上では56%に上った。他の進行がんも年齢が上がるごとに「治療なし」の割合が増えた。

 進行がんの場合、抗がん剤などの化学療法が中心となるが、吐き気や 倦怠けんたい 感などの副作用も強く、患者の体力が問題になる。そのため、心臓病や脳卒中などを抱えることが多い高齢者は、体への負担が大きい治療を避け、苦痛に対し必要な治療を受けながら経過をみる傾向がある。

 一方、早期がんでも、年齢が高いほど無治療の割合が多かった。同センターがん登録センター長の東尚弘さんは「早期がんですぐに命にかかわらない場合は、余命などを考慮して経過観察にとどめる場合があるのではないか」と説明する。

 治療方針は患者・家族と主治医が話し合って決めるのが基本。体への負担に応じて選択肢は、有効性が確認されて広く行われている標準治療から経過観察・無治療まで幅がある。しかし患者自身の意思や体力などを、周りが十分考慮せずに治療が進められることがある。患者と家族の意思、様々な状況を整理した上で、患者に最善と思われる治療法を決めることが大切だ。

 治療の話し合いに際し、杏林大学(東京都)腫瘍内科教授の長島文夫さん(51)は、米国のがん専門病院で作る団体が2015年に作成した高齢者のがん診療指針を参考にすることを提案する。指針は考慮するポイントとして、余命、治療の意向、認知症の有無、介護態勢などをあげている。

 高齢者のがんについて医師らの教育体制はほとんどない。長島さんは「専門医と医学生向け両方の教育が必要だ」と指摘する。

 国の新しいがん対策推進基本計画でも、高齢患者に適した治療法や診療指針の研究推進が盛り込まれた。今後、患者・家族にも参考になる、高齢者のがん治療の目安が整備されそうだ。

◇患者の選択
ケース1 70歳代後半女性。盲腸がん

 手術を受けたが、周囲に転移。軽度の認知症を抱える。薬の飲み忘れが心配されるため、外来で点滴の抗がん剤のみ。副作用を考慮し、通常に比べ少ない種類の抗がん剤を使ったが、効果が出て元気に。
ケース2 70歳代前半女性。大腸がん

 肝臓に転移。体力があるため通常の抗がん剤治療を1年半続けたが、完治せず。「治るなら続けるが、もう十分生きた」と治療を自らやめ、8か月後に亡くなる。
(いずれも杏林大学病院の患者)

薬や環境変化で「せん妄」も

 薬の副作用、体の症状の悪化、環境の急な変化などが要因となり、患者に「せん妄」という意識障害が一時的に表れることがある。日付や場所が分からなくなったり、錯乱や人格の変化などが出たりする。埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県日高市)精神腫瘍科教授の大西秀樹さん(57)は「せん妄を認知症だと思い込むと、十分ながん診療が行われない恐れがある」と指摘する。

 せん妄の治療は、薬の調整をしたり、患者が落ち着ける環境に変えたりする。大西さんは「がん治療医も高齢者の精神疾患の知識を持つことが必要。精神科の専門家との連携も欠かせない」と話す。
(石塚人生)



  1. 2017/11/07(火) 05:57:31|
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