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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月29日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/565078
医療従事者の需給に関する検討会
医学部定員の「地元出身者枠」、地域枠とは別に設置を
マッチングも別枠に、専門医制度での国・県の役割法制化を検討

レポート 2017年10月25日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、「医療従事者の需給に関する検討会」の第13回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、医師の地域偏在解消に向け、医学部入学定員には「地域枠」とは別に「地元出身者枠」を設けるほか、卒後の臨床研修では、地域枠の医師や地元出身者枠等については、地元定着を図るために一般のマッチングとは別枠にしたり、都道府県が臨床研修病院の指定・募集定員の設定を行うことなどを提案した。

 専門医制度については、国と都道府県が、地域医療の観点から日本専門医機構に対し、意見を述べることができる仕組みを法律上、位置付ける。さらに診療科偏在の解消に向け、将来の診療科別の医師ニーズを都道府県ごとに明確化し、国が情報提供し、研修医等が専門を決める際のデータとして活用してもらう方針。

 医学部入学、臨床研修、専門研修という医師養成の3つの過程で、さまざまな仕組みを組み込むことにより、医師の地域と診療科偏在の解消を目指すのが、厚労省の狙い(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省の提案に対しては、「見直しの方向性についてはおおむね賛成する」(日本医師会副会長の今村聡氏)など支持する意見が大勢だった。しかし、自治医科大学と防衛医科大学の卒業生と同様に、地元枠等のマッチングを別枠とすることについては、それ以外の学生との平等性等の問題から、全日本病院協会副会長の神野正博氏が反対。「地域枠の学生を早いうちから都道府県がフォローして、マッチングの段階で県と相談しながらどこで研修するかを相談すれば、別枠を設ける必要はないのではないか」と述べた。

医師需給分科会は、今年末にかけて医師偏在対策に関する議論を精力的に続ける。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は、「日本の医療システムは、医師の自主性を尊重し、供給のコントロールも、経済的インセンティブでやってきた」と述べた上で、厚労省提案を次のように総括した。「被保険者や国民皆保険制度の視点がこれまでの議論に欠けており、医師が偏在すれば、医療が受けられなくなる懸念がある。一方で、医師には職業選択の自由はある。両者のマッチングはどうすればいいのか。従来の方法ではうまくいかない場合、もう一段の仕組みが必要ではないか。プロフェッショナルオートノミーとは、一定の公的ミッションを持った専門職集団が(サービスなどの)提供をコントロールし、問題があれば対応する仕組み。プロフェッショナルオートノミーがうまく機能しないので、行政に出てきてもらわないといけない状況かと思う」。

 なお、「医療従事者の需給に関する検討会」は、2016年9月の段階で、医師偏在対策として14項目を挙げていた。うち、「管理者要件」(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、診療所等の管理者要件にする)については、厚労省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」で、同報告書は「規制的手段」は否定しており、医師需給分科会では議論されない見通しだった(『医師偏在対策、5月から集中的議論、医療計画に盛り込む』を参照)。

 しかし、第13回会議で「管理者要件」についての議論を求める声が上がり、厚労省医政局の担当者は、「若手医師に強制的に地方に行ってもらうことについての懸念がある。その辺りに配慮しながら、どんな工夫ができるか次回以降、議論する」と述べ、強制以外の何らかの方法を検討するとして引き取った。

 第13回会議の議題は、第12回会議で議論が尽くせなかった「医師養成過程における地域での医師確保」(第12回会議は、『「医師確保」に新計画、医療法に位置付けを検討』を参照)。

 医学部入学、臨床研修、専門研修の3段階で、厚労省が提示した案と主な意見は以下の通り。

【医学部入学】

◆地元出身者の取り扱いについて(見直しの方向性)

○医師偏在の度合いに応じて医師が少ない都道府県と判断された場合には、地域医療対策協議会の意見を聴いたうえで、都道府県知事が大学に対し、入学枠に地元出身者枠を設けることを要請する仕組みを設けることとしてはどうか。
○また、地域枠ではない地元出身者枠の医師についても、地域医療支援センターが働きかけを行い、積極的にキャリア形成プログラムの策定等の支援を行ってはどうか。

日医常任理事・羽鳥裕氏:地元出身者の地元定着率が高いことは分かるが、例えば地元枠を狙って、高校1年から、(大学のある)地域に移住した場合はいいのか。あるいは10年以上など、定着しないとだめなのか。 厚労省事務局:地元枠は、地元に長期間住んでいるなど、急に対応できない仕組みを検討している。

全国衛生部長会会長・鶴田憲一氏:地域医療支援センターは、今は“紐付き”(地域枠の学生など)を対象としている。それ以外の医師の支援については公的な権限を付与してもらわないと対応できない。
厚労省事務局:地域医療支援センターは、地域枠あるいは地元出身者枠にかかわらず、対応できるよう検討している。

【臨床研修】

◆臨床研修における地域枠・地元出身者枠の医師確保について(見直しの方向性)

○研修医の臨床研修修了後における、出身地や出身大学の都道府県への定着を図るために、地域枠の医師や地元の出身者等を対象とした選考を、一般のマッチングとは分けて実施してはどうか。
○ その際、医師偏在の度合いに応じて医師が多いと判断された都道府県については、一律ではない慎重な検討が必要ではないか。

全日病副会長・神野正博氏:地域枠、地元出身者枠の医師を自治医科大学卒業生と同様に、別枠でマッチングを行うことは、そうではない学生との平等性から問題。都道府県が、地域枠の学生を早いうちからフォローして、マッチングの段階でどこで研修するかを相談することにより、別枠を設ける必要はないのではないか。

◆臨床研修への都道府県の関与について(見直しの方向性)

○ 都道府県が管内の臨床研修病院の指定・募集定員設定に主体的に関わり、格差是正を進めていくために、地域医療対策協議会の意見を聴いた上で、臨床研修病院・大学病院の指定・募集定員設定を都道府県が行う、または関与を強めることとすること等について、どう考えるか。

日医副会長・今村聡氏:都道府県が、臨床研修病院を指定する際のデメリット(離床研修の質にバラツキが出たり、有力な医療機関の意向が強く反映される恐れがあるなど)には対応できるのか。
厚労省事務局:まずは地域医療対策協議会で議論して問題点を洗い出し、了解が得られない場合には、指定しないという制度設計にすることを検討している。また社会保障審議会臨床研修部会で、全国統一的な基準を議論する。個別の都道府県の対応を踏まえ、(基準等を)見直すところがあれば、同部会で検討し、都道府県にフィードバックする。

◆臨床研修病院の募集定員について(見直しの方向性)

○ 地域医療の確保の観点から臨床研修医の都市部への集中をさらに抑制していくために、臨床研修病院の募集定員をさらに圧縮させるとともに、特に大都市圏の都府県については、募集定員をより圧縮することとしてはどうか。
※なお、募集定員の圧縮は、採用実績数の減少やアンマッチ率の増加、病院間の競争の低下の懸念があるため、これらを踏まえた対応とする必要があるのではないか。
○ 都道府県別の募集定員上限の計算式について
① 医学部入学定員による募集定員の増加については一定の上限を設けること
② 医師が少ない地域等へ配慮する観点から、地理的条件等の加算を増加させること
としてはどうか。

 2020年までに研修医の募集定員が研修希望者の約1.1倍まで縮小する。2025年までに1.00倍、もしくは1.05倍までに縮小する案が提案されたが、特段の意見はなかった。

【専門研修】

◆新専門医制度における都道府県協議会について(検討の方向性)

○新専門医制度において、専門研修体制が地域医療に影響を与える場合や研修の機会確保が十分でない場合に、国や都道府県が地域医療の観点や研修の機会確保の観点から意見を述べることができるような仕組みを法律上設けることとしてはどうか。
○ なお、都道府県において意見の内容を協議する場としては、地域医療対策協議会に統合するが、都道府県によって特別の事情がある場合には、専門医の協議会を地域医療対策協議会のワーキンググループなどとして存続させることも可能としてはどうか。

日医副会長・今村聡氏:「法律上設ける」とあるが、どんな形で位置付けるのか。
厚労省事務局:内閣法制局と今後相談するため、確定的なことは言えないが、専門研修プログラムを決める際に、都道府県の意見をきちと聞くことなどを法律に書く。義務にするかどうかも検討するが、あまりガチガチの制度で身動きが取れないようにはしない。

◆将来の診療科ごとの医師の需要の明確化について(見直しの方向性)

○ 医師が、将来の診療科別の医療ニーズを見据えて、適切に診療科選択ができる情報提供の仕組みを構築するために、人口動態や疾病構造の変化を考慮し、将来の診療科ごとの医師のニーズを都道府県ごとに明確化し、国が情報提供することについてどう考えるか。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長・山口育子氏:情報提供により、医師がどれだけ自主的に診療科を選ぶのか、果たして効果があるのか、疑問に思った。あまり厳しく制度で縛ることはよくないと思うが、必要な診療科にドクターが充足する在り方を検討しなければいけない。もう少し諸外国の分析をみせてもらうことはできないのか。

聖路加国際大学学長・福井次矢氏:例えば、イギリスでは、フェローシップに相当するポストの数が決まっている。専門医制度とからめ、おおまかでいいので、(医師のニーズ等を)示しておく必要がある。“入り口”の段階での調整が必要。

慶應義塾大学商学部教授・権丈善一氏:(専門医配置の調整等ができるか否かは)医師会加入とも関係してくる。諸外国と異なり、日本ができていない原因は、その辺りにあるのであれば、“日本型”を考えなければいけない。まず国が情報提供し、都道得府県が関与していく準備をすべき。

日医副会長・今村聡氏:今まではこうした情報がない状況で、医師は開業している。まずはきちんと情報提供していくことが必要。海外の制度は参考になるが、医療提供体制が異なる中で同じ方法はできない。医師会の役割も重要。



https://www.m3.com/news/general/564982
【岐阜】協定ない時間外労働 割増賃金1億円超未払い 土岐市立病院
地域 2017年10月25日 (水)配信岐阜新聞

 岐阜県土岐市は24日、市立総合病院の医師や看護師らに必要な労使協定を結んでいないにもかかわらず法定労働時間を超えて働かせ、時間外・深夜労働の割増賃金の一部が未払いだったとして、多治見労働基準監督署から是正勧告を受けた、と発表した。対象は216人で、時効前の過去2年分の未払い賃金の総額は支払い遅れによる損害金も含めて約1億1600万円。12月21日に対象者に支払う。

 市と同労基署によると、1988年の開院以来、労働基準法に基づく時間外労働に関する労使協定(三六協定)を市職員労働組合と締結していなかった。

 県内の救急病院では職員の過重労働が指摘されており、労基署が立ち入り調査を実施している。下呂市立金山病院でも昨年、時間外労働に関する協定を締結せず、割増賃金の一部を支払っていなかったとして高山労基署から是正勧告を受けたことが明らかになっている。

 土岐市立総合病院には今年4月、抜き打ちで立ち入り調査。電子カルテを管理するシステムの記録や職員への聞き取り調査などを行い、実際の勤務時間を確認した。

 救急を担当する職員には時間外手当、深夜手当を支給すべきところを、仮眠取得を前提とした宿日直手当に代えて支給していたことも分かった。

 病院側は、三六協定を結んでいないことを分かっていたが、約30年間放置し続けた。「時間外勤務の適正な運用を進め、縮減に向けて取り組む」としている。



https://www.m3. com/news/general/564904
500万円以上で薬価下げ 1年延命の追加コスト 厚労省、医療費抑制で
行政・政治 2017年10月25日 (水)配信共同通信社

 厚生労働省は24日、高額な新薬の公定価格(薬価)に「費用対効果」を反映させる新たな制度で、既存の薬と比べ1年間の延命に500万円以上多くかかる場合は薬価の引き下げ対象とする方針を固めた。医療費抑制策の一環で2016年度から試行的に導入しており、効果に見合わず割高だと評価された薬については、18年度の薬価改定で価格を引き下げる。具体的な引き下げ幅など詳細は年末までの決定を目指す。

 25日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で提案する方針。医療保険財政が改善され国民負担の伸びを抑えることにつながるが、製薬業界からは「新薬開発が遅れる恐れがある」「導入は限定的にするべきだ」などの反発が予想される。

 高額な新薬が医療費を押し上げている現状を踏まえ、厚労省は18年度から、費用対効果を薬価に反映する制度の本格導入を目指している。16年度からは、がん治療薬オプジーボやC型肝炎治療薬のソバルディ、ハーボニーなど13品目に限り、試行的に導入している。

 費用対効果の評価は、新薬を使って、生活の質を維持した健康な状態で患者の寿命を1年延ばすためのコストを、同じ病気の治療で使う既存薬と比べ価格に反映させる仕組み。例えばオプジーボでは医療費が患者1人で年間千数百万円に上るとされるが、これまで使われてきた他の肺がんの薬と価格や効果を比較する。

 厚労省は、1年延命に支払える金額に関する過去の意識調査(10年実施)で、半数の人が485万円と回答した点に着目。既に同様の制度を導入し、日本と生活水準が近い英国の評価基準も参考にして、比較対照する薬よりも500万円以上多くかかったら薬価を引き下げることとした。薬価の急落による企業業績への影響にも配慮し、1千万円以上多くかかる場合は引き下げ幅を一定にとどめる考えだ。

 試行導入の結果などを踏まえ、本格導入時の評価方法を今後検討する。

 ※薬の費用対効果評価

 超高額のがんや肝炎の治療薬の登場が相次いで医療費の膨張を招いていることから、2016年度に医薬品と医療機器の計13品目で試行導入された。革新性が高く、市場規模が大きい品目が対象。結果は価格を調整するだけで、保険適用の可否には使わない。同年末に政府がまとめた薬価制度に関する制度改革で、本格導入する方針が盛り込まれた。18年度の本格導入にあたっては、一般市民3千人対象の面接調査を全国で実施する。費用対効果評価の仕組みは英国やオーストラリア、スウェーデンなど各国で導入されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564636
医師の働き方改革とキャリア
現状のまま上限規制では「有名無実に」
働き方検討会、若手医師からヒアリング

レポート 2017年10月23日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)


 厚生労働省は10月23日、第3回働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、大学病院の後期研修医ら若手医師4人からヒアリングを行った。東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センターの後期研修医、赤星昴己氏は、時間外労働の上限規制について、必要ではあるが、病院の経営や医師数に余裕がない現状のまま規制すれば、「上限規制は有名無実となる。病院が抜け道を探して長時間勤務や無給勤務を強いる形を誘発しかねない」などと指摘。医師事務作業補助の導入や勤務時間の適正な評価基準の導入、管理者を含む人々の考え方の改善などを訴えた(資料は、厚労省のホームページ)。

 赤星氏は救急で勤務時間が長くなる要因として、「根本的なスタッフ不足と患者数過多」、「連続勤務による作業効率の低下」、「予想外の救急搬送や緊急手術」、「勤務時間が長いことを問題と考えない文化」、「長時間勤務が健康被害をもたらす実感がない」ことを列挙。長時間労働には診療科や地域、施設、年代による差があるために一律に制限を設けることは困難であることや、奉仕や過労を美談や苦労話とする文化・精神が、診療科のトップクラスの医師に多いため、働き方の改善が尊重されないことが多いと指摘した。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科助教の猪俣武範氏は、医師の労働時間は「簡単な事務作業などの単純労働」、「医師しかできない労働」、「自己研鑽」に分け、後の二つは減らすことができないため、「どうにかして単純労働の効率性を上げるか、(労働量自体を)減らす必要がある」と指摘。  上限規制については、大学病院の医師の業務が、外来、病棟、手術、経営、教育、研究と多岐にわたり、それらが複雑に絡み合っていて一つずつ切り分けることが困難であるとの見方を表明。また、医師にとって自己研鑽も労働との線引きが難しく、またそれを規制してしまうと、研究時間や医学生への教育時間の減少にもつながり、ひいては医療の発展の停滞も招きかねないと危機感を示した。

 岡山大学医療人キャリアセンター「MUSCAT」センター長の片岡仁美氏は、女性の医療人のキャリアを支援する同センターの活動を紹介。出産・育児を経た女性が復帰しやすい職場として、「5人のチームの5人目ではなく、6人目として現場復帰できるポジションがあること」との同センターの事業の考え方を示し、女性医師がキャリアを継続するためには、「就業継続のための工夫が必要な時期がある」、「柔軟な働き方を選択できることは必須条件」、「画一的なルールを適用されると就業が困難になる場合も」、「保育所、病児保育所などの育児支援は必要であるが、職場の理解、患者の理解などのソフト面も重要である」との視点を提示した。

 参考人として出席し、意見を述べた大和成和病院心臓血管外科部長の畝大(うね・だい)氏は、医師の労働時間を次の二つに分類。

将来執刀するためのトレーニングにつながるもの
手術、患者を診察して内服治療+点滴指示
自己研鑽(手術ビデオや本を読む、学会参加、論文活動など)

将来の執刀につながらないもの
指示の入力、確実にできる簡単な手技の繰り返し(ガーゼ交換)
カルテ記載、退院サマリー+診断書など書類業務
ある程度落ち着いているICU術後患者のつきっきり治療

 自己研鑽や、将来のために必要な時間は改善の余地が少なく、改善する必要もないと断言し、(1)は減らすことができないとして、(2)の負担を減らすことが必要だと述べた。

 カナダのオタワ大学に留学した際に感じた日本との違いとして、手術後のICUの患者は、日本では執刀医がつきっきりになるが、カナダでは専門のICU治療医が担当することを紹介。心臓外科医とICU治療医を「別の職業」と考え、ICU治療を切り離せれば外科医の勤務環境の大幅な改善が見込めると提言した。

 意見陳述を受け、東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は「上限規制をすれば、医療提供の絶対量が減るのは避けられない。NP(ナース・プラクティショナー)やPA(フィジシャン・アシスタント)導入、タスク・シフティングの方向へ進むべきだ」と指摘。また、自己研鑽の重要性を強調した若手医師の意見に対し、産業医の立場から「必要性や生きがいということは分かるが、事実として勤務時間が多く、過労死をする人が出ている」と述べ、時間外労働についての労使協定である「36協定」すらも結んでいない病院があるという現状も指摘した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「自己研鑽は重要であり、欠くべからざるものだ」と強調。一方で、医師の勤務環境改善のためのタスク・シフティングやタスク・シェアリングのための人員の導入・増員は、現状の診療報酬体系では困難だとして改善を求めた。

 全日本自治団体労働組合総合労働局長の森本正宏氏は、意見陳述した4人に対し、勤務先に労務管理を専門とする職員がいるかどうかを質問。猪俣氏は、「コメディカルは管理する人がいるが、医師には寛容だ」、赤星氏も「研修医やコメディカルについては徹底されているが、それ以外には管理する人はいない」と述べた。畝氏も「いない」、片岡氏は「分からない」と回答。関連して、千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏が、「労務管理は、はんこだけというところもあるが、労働基準監督署の指導もあり、IDカードで(医療施設への)出入りをチェックするところも増えている。医師の仕事は切り分けが難しいが、(勤務の)始めと終わりを管理する方向だ」と現状認識を述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/560251
医療費のコントロールは可能-二木立・日本福祉大学相談役に聞く◆Vol.3
最新刊の冒頭、あえて”希望”を語ったわけ

インタビュー 2017年10月22日 (日)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――最新の「概算医療費」は41.5兆円(2015年度)となり、過去最高となりました。
 急増したのはC型肝炎治療薬のオプジーボなどの高額薬剤が原因です。しかし、高額薬剤の薬価がすぐに大幅に引き下げられた結果、2016年度の概算医療費は41.3兆円で、伸び率はマイナス0.4%に減少しました。両年度を合わせた医療費の伸び率はそれ以前と変わりません。医療費については単年度の伸びに一喜一憂すべきではありません。

 確かに、医療技術の進歩は医療財政にも大きな影響を与えます。過去にも医療技術の進歩により医療財政が破綻するという議論はありました。1950年代の結核医療費、1970年代の人工透析、1980年代にインターフェロン療法などが出てきたときも保険財政が破綻すると叫ばれました。

 しかし、これらの医療費もその後、十分にコントロールされました。歴史的、世界的に見ても医療費が増大して破綻した国はありません。例えば透析患者は1980年の3万6397人から2010年には32万448人と8.8倍に増えましたが、透析医療費は5725億円から1兆5061億円と2.63倍にとどまっており、完全にコントロールされています。オプジーボでは保険財政どころか、日本が破綻するという議論が起きましたが、あっという間に薬価は半額に引き下げられました。今後は効果のある患者だけに限定して使うことができるようになっていくはずです。

 国民医療費の「配分」を見ると、2000年以降大幅に増えているのは、調剤費と薬剤費であり、狭い意味での医療機関の取り分は減っています。この流れを是正するのが先でしょう。

――2017年3月に出された一番新しい著書『地域包括ケアと福祉改革』(勁草書房)では、序章として、「今後の超高齢・少子社会を複眼的に考える――医療・社会保障改革を冷静に見通すための前提」が置かれています。
 その章では、(1)今後、人口高齢化が進んでも、社会の扶養負担は増加しない、(2)日本の労働生産性伸び率は欧米と比べて低くはなく、今後も人口1人当たりGDPが毎年1%成長すれば超高齢・少子社会は維持できる、(3)医療費の国際比較時には高齢化率による補正が必要で、それを行うと日本は「高医療費国」とは言えない――ということを、データとともに説明しています。

 ただし、これらはいずれも私のオリジナルな研究ではなく、経済学者等がデータを基に分析すれば、共通に導かれることです。“あえて”今回の著書で冒頭に持ってきたのは、医療・福祉関係者と話すと、「日本は借金大国であり、社会保障費は増やせない」というあきらめの気持ちがすごく強くなってしまっていると感じているからです。私も決して楽観視しているわけではないですが、女性・高齢者等の就業率向上や労働生産性向上があれば、今後も社会保障を維持できることを強調しました。

――安倍政権下では「経済財政諮問会議」「未来投資会議」などで、官邸主導で医療関連の提案が相次いでいます。このことをどのように評価されていますでしょうか。
 厚労省の現在の審議会には多様な利害関係者が参加し、議事録も公開されているので、内部で意見がもまれて、最終的に合意形成に至るプロセスが見て取れます。しかし、官邸主導の会議は、構成員の選任が恣意的で、議事録がほとんど公開されず、透明性に欠けます。特定の構成員の個人的思い付きが、妥当性の吟味がされないまま閣議決定されるのは問題です。

――近年の傾向に、健康の自己責任論とでも呼ぶべき考え方が強くなっています。
 先日、日野原重明先生がお亡くなりになった際には、功績の一つとして、「(生活)習慣病」という名称を早くから唱え、厚生省(当時)がそれを1996年に採用したことを挙げる報道が多くありました。しかし、「生活習慣病」という用語には、日野原先生のかつての解説を含めて、病気の多様な原因を個人の「生活習慣=自己責任」に単純化する傾向が強く、しかも近年その傾向が強まっていると危惧しています。

 小泉進次郎議員らは「医療介護費用の多くは、生活習慣病、がん、認知症への対応」として、健康管理での自助を促す「健康ゴールド免許」(健康維持に取り組んできた方が病気になった場合は、自己負担を低くする)の創設を提唱しています。生活習慣病対策に継続的に取り組んでいる辻一郎氏(東北大学医学部教授)も、喫煙、肥満には「不健康税」を導入することを提唱しています。

 歴史を見ると、「『生活習慣病』という概念の導入」を初めて提唱したのは1996年の公衆衛生審議会「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」です。「生活習慣病(life-style related disease)」を「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義することが適切であると提唱するとともに、食習慣・運動習慣・喫煙・飲酒との関連が明らかになっている疾患を例示しました。

 そこでは、「ただし、疾病の発症には、『生活習慣要因』のみならず『遺伝要因』、『外部環境要因』など個人の責任に帰することのできない複数の要因が関与していることから、『病気になったのは個人の責任』といった疾患や患者に対する差別や偏見が生まれるおそれがあるという点に配慮する必要がある」と注意喚起されていました。

 厚生省(当時)はこの「意見具申」を受けて翌1997年から「生活習慣病」という名称を採用しましたが、その際、この「ただし書き」には触れず、そのために「生活習慣病」は「個人の不健康な生活習慣」が原因=自己責任とのイメージが拡大・固定していきました。2012年に改正された国の基本方針「健康日本21(第二次)」では、それまでの「個人(責任)モデル」を修正し、生活習慣の改善と「社会環境の改善」を同等に位置付けるなどの軌道修正がされましたが、まだ一般にはほとんど知られていません。厚労省は広報に力を入れるべきです。

 疾病が自己責任と誤認させる「生活習慣病」という用語の見直しを検討すべきで、とりあえずは、「生活習慣病」から「生活習慣関連病」への変更が現実的と思います。

――最後に、医師は医療政策にどのように向き合っていくべきでしょうか。
 今や国民皆保険制度は「医療」の枠を超えて、日本の社会を支える制度になっています。それは、国民医療の維持向上だけでなく、日本社会の安定性、統合性の維持のためにも不可欠です。右は自民党から左は共産党まで、国会で議席を持っている政党の中で、社会保障政策で唯一、一致しているのが「国民皆保険の維持」です。日医総研のレポートでも、国民の医療への満足度は小泉政権時代をボトムにじわじわ上がっています。

 かつて小泉政権下では、国民皆保険を解体して、アメリカのように医療にも市場原理を導入すべきとの主張がありましたが、今はなくなりました。医療分野への市場原理導入は、当該企業にとっては利益の拡大になりますが、総体としては医療費(公的医療費と総医療費の両方)を増やし、医療費抑制という「国是」に反するからです。私はこれを「新自由主義的医療改革の本質的ジレンマ」と名付けています。

 私は「社会保障の機能強化が必要」だと考えますが、単純に「医療費を増やせ」とだけは主張していません。それと併せて、医療団体・医療者の自己改革が必要と考えています。医療の質を落とさないで、医療費の不必要な増加を抑えるための効率化も必要です。ではどのように効率化していくべきか。私は医師出身の医療政策・経済の研究者で経験主義者なので、医師・医療団体が医療現場の実態を踏まえた効率化について積極的に提言することがもっとも重要と考えています。

 現場の医師は忙しすぎて、医学以外の問題に目を向ける暇がないのでしょうが、医療政策・医療経済についてもう少し勉強してほしいと思います。そのためにも私の著作や論文をぜひ読んでいただきたいと思います(笑)。私が2005年以降発表した全論文は、毎月配信している「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」に転載しています。これはウェブ上にも公開しているので、ぜひお読みください。



https://www.m3.com/news/general/564976
<仙台医療センター>女性外科医4人が活躍 勤務体制や子育てへ
地域 2017年10月25日 (水)配信河北新報

 国立病院機構仙台医療センター(仙台市宮城野区)の外科で、女性医師の活躍が目覚ましい。今や医学部生の3割を女性が占めるものの、体力的にきついとされる外科は敬遠されがち。ところが、センターでは外科医13人のうち4人が女性。勤務体制や子育てへの配慮など働きやすい環境が整っていることが理由で、これほど女性の割合が高い総合病院は全国でも珍しいという。

 仙台医療センターの外科は長らく女性医師が不在だったが、2005年に1人が着任。06年12月に院内保育所が24時間体制となった後の08年に1人、今年4月に2人が増え、計4人になった。

 手術の際、外科医3人と麻酔科医、看護師が全員女性という時もある。1990年に医師になった島村弘宗総合外科部長(53)は「自分が学生の頃は、外科に女性は要らないと公言する教員もいた。隔世の感がある」と語る。

 長時間の手術がある外科は、体力的にきついイメージが定着。手技を習得する時期に結婚、出産が重なることもネックとなっていた。14年の厚生労働省調査でも病院の女性外科医は6.7%と、全体の21.5%を大きく下回る。

 医療センターの女性外科医の一人で、2歳と5歳の子どもがいる大島有希子さん(35)は院内保育所を利用し、当直回数を減らしたり、長引く手術は別の医師に交代してもらったりして仕事をこなす。「カバーしてくれる同僚と家族のおかげで働き続けられ、感謝している」と話す。

 今年3月まで研修医だった川名友美さん(26)は「女性に外科は無理かとも思ったが、先輩がいたことで励みになった」と言う。

 患者からは「女性医師は回診の際に話し掛けやすく、不安が解消される」との声も上がる。米国では女性医師に診療してもらう方が、死亡率や再入院率が低くなるという研究もある。

 島村部長は「4人とも性差を感じさせない働きぶりで、ステップアップもできている。女性がいなければ外科が成り立たず、女子の医学部希望者や医学部生は外科をぜひ志してほしい」と呼び掛ける。



https://www.m3.com/news/general/564523
【宮城】<急患診療中断>市議会で注文相次ぐ 市「重症者は診療」
地域 2017年10月25日 (水)配信河北新報

 仙台市急患センター(若林区)が医師や看護師の休憩に充てるため、午前3~4時の診療を試行的に中止した問題で、20日の市議会健康福祉委員会で委員から注文や要望が相次いだ。市は「重症者が来れば診療する。市民の安心・安全は変わらない」と強調した。

 共産党市議団の委員は、診療の中止ではなく看護師の増員で休憩を確保するよう要望。市健康政策課は「試行中の看護師の勤務体制は患者数などの実態に見合っている。市民サービスを低下させない方策を引き続き検討する」と述べた。

 市民ファースト仙台の委員は、休憩中に患者が訪れた際の対応を確認。石沢健保健衛生部長は「午前3~4時は患者が平均1人未満なので休憩にしたが、センターの扉も受付も開けている。事務員が対応し、急患なら医師らと即時連絡を取り、診療する」と話した。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/hai/201710/553372.html
コラム: 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
その「働き方改革」は本当に上手くいきますか?

2017/10/27 裴 英洙 Nikkei BP

 疲れた…、そろそろ辞めたい。

 私の連載のことではない。

 今年74歳になる、ある病院理事長の言葉だ。病院経営の最前線で陣頭指揮を取り、さらに外来診療や入院患者もしっかりと診るスーパードクターだ。しかし、冒頭の言。社会的使命感と職員を守る強いリーダーシップの下、自ら鞭打ち続けた老体はボロボロになってきている。筆者は仕事柄、全国の医療機関を回り、多くの医師と話す機会がある。マネジメントの話がある程度終わると、雑談が始まる。その雑談の中に、ポロリポロリと本音がこぼれ始める。

 「疲れた」「眠れない」「疲れが取れない」「気分がすっきりしない」との健康上・体力上の悩みがあふれ出てくる。筆者が勤務医として働いていた病院でも心身不調で戦線離脱する医師を多く見てきたが、医師不足・偏在が叫ばれる中、我が身を削って臨床現場に立っている医師も大勢いるだろう。少ない人数で回している現場から1人でも医師が心身不調で倒れると、残された医師にもまた負担が乗っかり、離脱予備軍となっていく。まさに、医療現場は“疲労現場”と言っても過言ではない。

 では実際、医師はどれくらい“疲れて”いるのだろうか?

 『勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書(日本医師会、平成28年6月)』を見てみよう。これは、勤務医約8万人から無作為に抽出された勤務医1万人に対して実施された調査である。まず、5人に1人以上が、「自身の健康について、健康でない、または不健康」と回答している点に目が行く。また、「他の医師への健康相談あり」は55.1%と半数以上の医師が医師に相談している実態だ。さらに、平均睡眠時間5時間未満(当直日以外)が9.1%、当直日の平均睡眠時間4時間以下が39.1%、と十分な睡眠を確保できずに多くの医師は頑張っている。そして、「自殺や死を毎週/毎日具体的に考える」割合は3.6%、「メンタルヘルス面でのサポートが必要と考えられる中等度以上の抑うつ症状を認める者」は6.5%となっている。さらに、勤務状況と各アウトカム指標のクロス集計からは、当直中の睡眠時間が短いほど死や自殺についての考えを持つ割合が高い、との結果も明らかになっている(表1)。睡眠不十分の中、働き過ぎでメンタル不調を来しやすい職場環境が浮き彫りとなっている。

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表1 当直の際の平均仮眠時間と死や自殺についての考えの関連性を示したクロス表 平均仮眠時間が短くなるほど、死や自殺について深く考える医師の割合が増加する。(出典:勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書より)

 疲れ切った医師に診察される患者への医療の質の低下が危ぶまれると同時に、それでも休めない現場の苦悩と、身を削っている努力には頭が下がる。ただ、そのような状況の中で、これからさらに加速する多様かつ多量な医療・介護ニーズに医師は対応しなければならないのである。しばらくは続いて行くであろう厳しい医療現場を救うべく、何らかの方策を練らなければならない時期にきている。

 解決策を練らずに、“気合”や“精神論”だけを振りかざす医療機関や医師はもういらない。医師の効率的・効果的な働き方への処方箋を考える際に“マネジメント”の考え方は武器となる。マネジメントのゴールは、効率性や生産性を追求することで職員がより有意義に時間を使え、さらなる価値を生み出せるように環境整備をすることである。フレームワークと呼ばれる意思決定手法や事実分析を通じて、現場のムリ・ムダ・ムラをあぶり出していき、効果的かつ効率的な医師のすべき仕事を結晶化していくのがマネジメントの分野である。

 当然、マネージャーのみならず現場のプレイヤーもこの視点を持たねばならない。現場が自分たちだけの利益(部分最適)に走ったり、職域権限を過度に振りかざしたりするのではなく、働く人自らが全体の利益(全体最適)を意識した上での自己のポジショニングが大切だ。その過程で、ワークシェアリングやタスクシフティングなどの新しい切り口での働き方が現場主導で提案されるはずだ。

 医師の働き方改革は働く医師が主人公であり、現場と温度感を有するお仕着せの「働かされ方」改革では改革は長続きしない。働く医師自らが自身と組織にとって何がベストアンサーかを考える「個として、プロとしての責任」をしっかりと持つことがスタートなのである。他人事ではなく“我が事”と考える医師が増えてくると働き方改革は加速する。そのためには、政策・病院経営・現場の三位一体の改革が必要なのである。



http://www.medwatch.jp/?p=16387
医学生が指導医の下で行える医行為、医学の進歩など踏まえて2017年度に再整理―医師養成と地域医療検討会
2017年10月23日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師免許取得後の初期臨床研修において、十分に診療行為を行えるよう、医学生の臨床実習を強化する必要がある。そのため、医学生の臨床実習で実施可能な医行為を整理しなおすとともに、臨床実習に入る前の共用試験(CBT)の位置づけを明確にしてはどうか―。

 10月20日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった方針が固まりました。

初期臨床研修医が十分に医療提供を行えるよう、医学部教育を充実

 検討会では、これまで「新専門医制度の全面スタートによって、地域医療への弊害が生じない」ような方策を議論してきました。そこでは、「都道府県の協議会で、専門医の養成プログラムに問題がないか(これまでに研修施設となっていた医療機関が漏れていないか、など)確認する」「実際の募集定員などをみて医師偏在が助長されていないかを確認し、問題があれば是正に乗り出す」といった方向が確認され、現在、各領域で専攻医(専門医を目指す医師)の募集が始まっています(関連記事はこちらとこちら)。

 このように専門医制度の問題解消について一段落がついたことを受け、10月20日には、検討会設置の主目的である「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」に議題が移っています。もちろん、今後「専攻医募集状況の確認」なども検討会で行われていきます。

 医師養成の流れを見てみると、▼6年間の学部教育▼医師免許取得(医師国家試験への合格)▼初期臨床研修▼専門医研修―に整理することができます。
 
 このうち初期臨床研修では、医師免許取得後の研修であり、医療現場において実際に臨床に携わることが期待されていますが、「十分な臨床が行えていないのではないか」といった指摘があります。臨床研修で実質的に「初めて」臨床に携わることとなり、指導医が一から臨床の指導を行うため、十分な「戦力」になっていないという指摘です。この点、医師不足に悩む立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は「初期臨床研修であっても、自身の責任で医療提供を行えるよう、医学部教育を充実する必要がある」と強く訴えています。
臨床研修で実質的に「初めて」臨床に携わることになる背景には、「医学部生が、まだ医師ではない」という点が大きいようです。現在、共用試験(医学医療に関する知識の修状況を審査するCBT:Computer Based Testing、技術や態度などを確認するOSCE:Objective Structured Clinical Examination)を経て、4年生以降には診療参加型の臨床実習が行われていますが、医学部によるバラつきが大きいと指摘されます。また、医師免許を取得していない医学生であっても、指導医の下で一定の基礎的医療行為を行うことは違法ではない(刑法第35条の正当行為「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」に該当する)と解されていますが、医療現場からは「法的な担保が十分ではないのではないか」といった指摘もあります。

そこで厚生労働省と文部科学省は、こうした課題を整理し、大きく次の3つの改善を行ってはどうかと提案しています。検討会では異論・反論は出ておらず、今後、両省で具体的な改善策を練っていくことになります。

(1)共用試験(CBT)の位置づけを明確にする
(2)医学生が指導医の下で行える医行為を再整理する
(3)モデル・コア・カリキュラムや初期臨床研修到達目標などの見直し時期を整理する

 まず(1)では、現在、第三者機関である「公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構」が自主的に実施(全医学部が参加)している共用試験のうち、客観性の担保されているCBTについて、何らかの「公的な位置づけ」ができないかを検討するものです。なおOSCEについては、さらなる客観性の担保が必要とされ、今般の検討対象には含まれてない見込みです。

医学部4年生からの臨床実習に入る前に、共用試験(CBT、OSCE)を受け、知識や技術、医師となるにあたっての態度に問題はないかなどが審査される(図 略) 

 また(2)の「医学生が指導医の下で行える医行為」は、1991年に作成されたいわゆる前川レポート(臨床実習検討委員会最終報告)をもとに整理されていますが、30年近く経っており、医学・医療の進歩などを踏まえた再整理を行うことになります。厚労省医政局医事課の担当者は「本年度(2017年度)内に一定の整理を行いたい」とコメントしています。

現在、指導医の下で医学生が実施できる医行為などが整理されている(いわゆる前川レポート)(その1〜3)(図 略)

この点に関連して検討会では、「student doctor資格を法律上、正面から位置付けて一定の医行為実施を可能にすべきではないか」といった意見も出ていますが、「医療を受ける患者・国民」がどう受け止めるのか、などといった点も踏まえた本格的な議論が必要であり、「中長期的な課題」という位置づけになるでしょう。

なお、「現在、医学部ではどのような医行為が行われているのか」といった実態調査についても今後、前向きに検討していく予定です。

 
さらに(3)は、現在、バラバラに行われている「モデル・コア・カリキュラム」(医学部教育の3分の2程度を占める、必ず学ばなければいけない事項)の改訂(2016年度に改訂、18年度から実施)、「初期臨床研修の到達目標」の見直し(2020年度に実施予定)、「医師国家試験の出題内容」見直し(直近では2017年に見直し)などを整理していってはどうかというテーマです。卒前・卒後の一貫した医師養成を進める上では、これらをセットで考得ていく必要があり、さらなる厚労省(医師国家試験、初期臨床研修などを所管)と文科省(医学部教育を所管)との連携が期待されます。
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モデル・コア・カリキュラムや臨床研修医の到達目標などは、バラバラに見直されているのが実態である
 
こうした見直しによって、医学生時代に十分な臨床実習が可能となれば、初期臨床研修医が「医療現場の戦力」となり、医療水準の向上はもちろん、「偏在の解消」にも一定の役割を果たすことにつながります。



http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20171025/CK2017102502000054.html
県内65病院で医師不足 全体の2割、診療制限も
2017年10月25日 中日新聞 愛知

 県の調査によると、県内全三百二十三病院の20・1%に相当する六十五病院が依然、医師不足により診療制限をしている。

 調査は二〇〇七年度から毎年実施し、回収率は100%。診療制限の内容は、休止や時間、日数の短縮、検査や手術、入院の制限など。

 制限している病院の割合は調査以来、右肩上がりが続き、最近はほぼ横ばい。昨年の22・6%からは2・5ポイント下がった。

 診療科別では、医師不足が社会問題にもなっている産婦人科が県内でも16・4%と最も高い。ただ、調査開始時の〇七年度(26・4%)と比べれば、下がっている。ほかは精神科12・5%、小児科10・0%、内科9・9%、整形外科9・2%、麻酔科6・3%、外科3・9%。産婦人科以外は総じて調査開始以来、ほぼ横ばい。

 圏域別では、尾張北部(春日井、犬山市など)36・0%、海部(津島、愛西市など)27・3%、知多半島(半田、常滑市など)26・3%の順で高い。逆に低いのは、尾張中部(清須、北名古屋市など)ゼロ、尾張西部(一宮、稲沢市)15・0%、東三河南部(豊橋、豊川市など)16・7%など。

 (豊田雄二郎)



http://www.medwatch.jp/?p=16526
急性期病棟、「断らない」重症急性期と「面倒見のよい」軽症急性期に細分―奈良県
2017年10月27日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 病床機能報告制度で「急性期」と報告している病院であっても、重症の患者を積極的に受け入れている病棟と、主に軽症患者を受け入れている病棟とあり、両者は今後進むべき道が異なるのではないか。そこを明確にするために、一定の基準を設けて前者は「重症急性期を中心とする病棟」、後者は「軽症急性期を中心とする病棟」として細分化した報告を求めている—。

 10月26日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)では、奈良県医療政策部長の林修一郎参考人から、こういった奈良県独自の取り組みが報告されました(関連記事はこちら)。「回復期機能」として報告された病床数と、「軽症急性期を中心とする病棟」として報告された病床数を合算すると、地域医療構想の回復期病床数と近い値になっています。

ここがポイント!
1 医療機関の再編・統合により、医師増や急性期度の増加などの効果も現れる
2 調整会議の開催状況にバラつきあるが、「意見交換会」を盛んに実施する地域も

医療機関の再編・統合により、医師増や急性期度の増加などの効果も現れる

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に高まり、現在の医療提供体制ではこれらに的確に対応できないと指摘されています。そこで医療機能の分化・連携の強化が重視され、その一環として2014年度から病床機能報告制度がスタートしました。一般病床・療養病床をもつすべての医療機関が、自院の病棟がそれぞれどのような機能(▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期)を持つのか(あわせて将来、どのような機能を持たせると想定しているのか)、各病棟の人員配置や診療実績などを都道府県に年1回報告するものです。

奈良県では「可住地面積が小さく、人口当たり医師数は全国平均に近い」にもかかわらず、医師不足感が強く、救急医療体制に遅れがあるといった課題があります。その背景には、中規模病院が多く「医師が散在してしまっている」ことがあるのではないかと林参考人は分析。その上で、(1)「重症患者を断らない」病院を絞り医療機能強化する(2)医療機能を絞った、在宅・介護(連携)機能を強化した「面倒見のよい」病院を整備する—という2つのアプロ―チで医療提供体制を整備していくことを決断しました。

そこで、全国的に「さまざまなタイプが混在している」ことが分かっている急性期病棟について、(1)(2)のいずれの機能を果たすべきかを模索するために、一定の基準(50床当たりの手術+救急入院件数が1日2件)を設け、これを参考に基準を超える病棟を「重症急性期を中心とする病棟」、そうでない病棟を「軽症急性期を中心とする病棟」と細分化して報告してもらう(いずれに該当するかは基準を目安・参考にして、病院が自身で判断)という独自の取り組みを行っています。
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奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている
 
前者の「重症急性期を中心とする病棟」は、「断らない病院」を目指し、医療機能を強化していく戦略を採択します。この一環として、ある地域(南和地域)では3つの公立病院を▼1つの救急病院(急性期機能)▼2つの地域医療センター(回復期・慢性期)―に機能分化し、医療提供体制の再構築が行われました。急性期機能を担うこととされた病院(南奈良総合医療センター)に医師配置を重点化したところ、急性期機能や医師派遣機能の向上、若手医師への魅力向上などの効果が出ています。
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奈良県の南和地域では3つの公立病院を再編統合し、1つの急性期病院と2つの回復期・慢性期病院とした
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病院の再編・統合により医師増員、急性期度の向上などの大きなメリットが得られる
 
医師の働き方改革が進められる中で、とくに「救急現場で、どのように負担を軽減していくか」が大きなハードルとなっています。病院の統合・再編によって、特定の病院に医師を重点配置すれば、1人当たりの負担は減少することが期待され、病院の再編・統合は「働き方改革」にも合致する方向と考えられそうです。
ただし林参考人は、地域の特徴(人口構成や地理特性など)に合わせた対策が必要であると指摘。例えば、人口が少なく基幹病院の機能が不足している地域では「病院の統合再編による急性期機能の強化」(事例)、人口が比較的多く、基幹病院が複数ある地域では「機能分化と集約」など、さまざまな対策が考えられます。厚生労働省に対して「地域医療構想の実現(後述)に向けて、地域のデータだけでなく、特性に合った課題解決策なども提示してはどうか」とも提案しています。
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地域の様々な状況に合わせた対策をたて、地域医療構想の実現を目指さなければならない
 
なお、「回復期」と報告された病床数と、奈良県独自の「軽症急性期を中心とする病棟」として報告された病床数を合算すると、地域医療構想の回復期病床数と偶然にも「近い値」になっていることも参考情報として紹介されました。しかしワーキングの中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「回復期状態の患者は、高度急性期から慢性期の各病棟にいる。各都道府県が軽症急性期と回復期を併せて『回復期』と考えてもらっては困る」とコメントしています。
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回復期と軽症急性期を合計すると、偶然にも「地域医療構想の回復期病床数」と近い値になった

調整会議の開催状況にバラつきあるが、「意見交換会」を盛んに実施する地域も

ところで、各都道府県では2025年に▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—のそれぞれの機能で必要となる病床数を試算した「地域医療構想」を策定しています。この構想と病床機能報告結果を突き合わせ、地域の事情を勘案しながら、地域の医療関係者などが集う地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で「地域医療構想の実現」を目指していくことが求められています。

厚労省は「3か月に1回程度、調整会議を開く」よう都道府県に求めており、開催状況を調査しています。今年(2017年)4-6月の調整会議開催状況を見ると、▼136の地域医療構想区域(概ね2次医療圏、以下、構想区域)で150回開かれている▼個々の医療機関ごとの現状分析は341の構想区域で320件実施されている▼具体的な医療機関名をあげた議論は、公立病院について135病院、特定機能病院については8病院実施されている—ことなどが分かりました。

しかし都道府県別に見ると、調整会議を一度も開催していない自治体がある一方で、複数回開催している自治体もあり、バラつきがあるように見えます。ただし奈良県では調整会議自体は一度も開かれていませんが、意見交換会などは盛んに開かれています。奈良県の林参考人は「より多くの医療機関に参加してもらうため、より小さな地域ごと意見交換会を数多く開催している。もちろん最終的な議論は調整会議で行う」との見解を示しており、厚労省は「詳細に見ていかないと、実施状況の実態は見えない」と述べるにとどめています。

奈良県では、地域の多くの医療機関が参加する意見交換会が盛んに開催されている(図 略)
 
 
地域の医療提供体制を再構築するためには、自院だけでなく「他院の状況」などを把握しなければなりません。調整会議や意見交換会も積極的に活用し、「自院の戦略」を早期に立てる必要があります。
 


http://www.medwatch.jp/?p=16497
「入院からの経過日数」を病棟機能判断の際の目安にできないか―地域医療構想ワーキング(1)
2017年10月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 病床機能報告制度の下で、各病院が病棟機能報告を行うに当たっての「目安」を探る議論が、地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)で始まりました。

10月26日に開催されたワーキングでは、「入院からの経過日数」に着目した指標が一例として考えられるのではないかと厚生労働省から提案されましたが、中川俊男構成員(日本医師会副会長)が猛反発。厚労省はさらなる検討を進めます。

ここがポイント!
1 明らかに異なる機能を報告した理由を調査、報告項目の改善にもつなげる
2 在院日数を指標とすれば、「診療報酬算定が制限される」との誤解生じるとの指摘

明らかに異なる機能を報告した理由を調査、報告項目の改善にもつなげる


2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、これから医療・介護ニーズが急速に高まり、現在の医療提供体制ではこれらに的確に対応できないと指摘されています。そこで医療機能の分化・連携の強化が重視され、その一環として2014年度から病床機能報告制度がスタートしました。一般病床・療養病床をもつすべての医療機関が、自院の病棟がそれぞれどのような機能を持つのか(あわせて将来、どのような機能を持たせると想定しているのか)、各病棟の人員配置や診療実績などを都道府県に年1回報告するものです。

病棟の機能については、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—の4つが設定されていますが、例えば高度急性期では「急性期の患者に、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」といった具合に、曖昧な、定性的な基準しか設けられていません。

厚労省は、より明確な基準を示す必要があると考え、「特定入院料と病棟機能の紐づけ」(2016年度報告から)、「一般病棟入院基本料と病棟機能の紐づけ」(2017年度報告から)を行っています。
病床機能報告の4機能と、診療報酬上の特定入院料の紐づけ(図 略)

▼7対1は高度急性期または急性期▼10対1は急性期または回復期▼13対1・15対1は回復期または慢性期、一部は急性期—といった基本的な紐づけが行われた。もちろん異なる報告をすることも可能である(図 略)
 
このように病棟の機能はかなり明確になってきていますが、例えば「循環器内科などを標榜し、かつ高度急性期と報告しているにも関わらず、1か月に一度もPCIを実施していない病院がある」ことや、「外科を標榜し、急性期と報告しているにも関わらず、1か月に一度も手術を実施していない病院がある」こと、「急性期と報告しながら、幅広い手術への実施やがん・脳卒中・心筋梗塞などの治療、救急医療の実施、全身管理などをまったく実施していない病院がある」ことなども分かっています。病床機能報告は、病院が自主的に機能を選択することが基本ですが、こうした報告がどうして発生するのか明確にする必要があると厚労省は考え、「2017年度報告結果を分析する際に、高度急性期・急性期と報告した病棟のうち、『急性期医療をまったく提供していない』などの明らかに疑義が生じた病棟には、報告の理由を調査する」考えを明らかにしました。

循環器内科で、高度急性期機能と報告している病院の中には、1か月に1度もPTCAを実施していないところもあることなどが分かった(図 略)

(高度)急性期の外科病棟であるにもかかわらず、手術を1か月に1件も実施していない病棟がある(図 略)

急性期病棟として報告している病棟の中には、全身管理を全く行っていないところなどもみられる(図 略)
 
具体的な調査手法は明らかにされていませんが、例えば、上記の「1か月に1件もPCIを実施していないにも関わらず高度急性期を報告した」病院を対象に、▼単なる間違いなのか▼高度急性期の定義などへの誤解があるのか▼報告すべき診療実績などの項目に不足があるのか―などをヒアリングしていくことになると考えられます。調査の結果、「この病院では、内科を中心に●●や■■といった高度な医療を提供している。しかし現在の報告項目は外科系に偏っている」といった事態が分かれば、「内科の高度急性期機能を適切に評価するために、診療報酬の●●点数や、■■医療行為の実施状況なども報告対象に含める」といった見直しに結びつく可能性もあります。
さらに厚労省は、「現在の報告項目では、回復期や慢性期に関する項目が不足している」とも考えており、今後の報告項目に「在宅復帰に向けた医療」などに関連する項目(▼市町村との連携▼ケアマネとの連携▼療養環境―など)の追加を検討するほか、「明らかに回復期機能・慢性期機能を果たしていると思われるのに、別の機能で報告している」病院を対象に、その理由(ミスか、誤解か、報告すべき診療実績項目の不足か、など)を調査する考えも明らかにしました。

これらを順次実施することで、各機能の評価に当たって重要な項目(診療報酬や実施医療内容など)がより明確になってくると期待されます。

在院日数を指標とすれば、「診療報酬算定が制限される」との誤解生じるとの指摘102808.jpg


さらに厚労省は、2018年度以降の報告に向けて「各機能に関するより明確な基準・指標」を模索しており、10月26日のワーキングでは「入院からの経過日数」(在院日数)に着目できるのではないか、との提案も行いました。

DPCデータから、救命救急入院料やICU、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟などを届け出ている病棟の入院患者について「入院からの経過日数」別の構成割合を見ると、例えば次のような特徴があることが石川ベンジャミン光一参考人(国立がん研究センター社会と健康研究センター臨床経済研究室長)から報告されました。

▼救命救急入院料:1-7日の患者が8割程度

▼ICUなど:1-7日の患者が6割程度、8-14日の患者が2割程度

▼一般病棟(7対1・10対1):1-7日の患者が4割弱、8-14日の患者が2割強

▼地域包括ケア病棟:5週間以上の患者の6割程度

▼回復期リハビリ病棟:5週間以上の患者が8割程度

病棟の機能によって、入院患者の「入院からの経過日数」の構成割合に特徴がある(図 略)

 この「入院からの経過日数」は平均在院日数とは異なり、調査対象期間の各日に在棟している患者が「病院に入院してから何日経過したか」を調べたものです。厚労省は、これを一つの目安として病棟の機能を判断し(例えば自院のA病棟には、●日程度の患者が最も多く入棟している。したがって■機能を選択することが好ましいのではないか、などと判断)、報告することも考えられるのではないかと提案しています。
 各病棟には、さまざまな状態の患者が入棟しています。例えば急性期であっても、相当重篤な高度急性期患者や、急性期治療を終えて在宅復帰を目指す回復期患者などがおり、厚労省は「もっとも多くの割合の患者」に該当する機能を報告してほしいと求めており、中川委員もこの考えに賛同しています。患者の状態を明確に規定する基準・目安はありません(地域医療構想の策定においては医療資源投入量に着目)が、「入院からの経過日数」がその目安となり、病棟機能を判断する際の有効な拠り所の1つとなりそうです。

各病棟にはさまざまな状態の患者がおり、厚労省は「最も多い患者の状態像」から報告することを基本としている(図 略)
 
 しかし中川構成員は「病床機能報告が診療報酬にもたれかかっている。病棟機能が算定できる診療報酬を制限するものではない、との認識がまた崩れてしまう」と述べ、「厚労省案に明確に反対する」と強い口調で述べました。入院からの経過日数が「平均在院日数」と読み替えられ、「施設基準で定められた平均在院日数」を基に病棟機能の基準が診療報酬で定められてしまうのではないか、といった点を懸念した発言と推察されます。例えば、「●●機能の平均在院日数が21日程度」などのデータが出る→「平均在院日数21日は、一般病棟10対1の施設基準要件の1つである」→「●●機能として報告した場合には、10対1の届け出は可能であるが、7対1の届け出はできない」といった実しやかな噂・情報が流布してしまうケースを恐れていると言えそうです。
厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、この指摘を踏まえ「病床機能報告の際に、各病院がより判断しやすい基準を探している。さらなる検討を進める」と返答しています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/565253
地域医療構想
病床機能報告の基準に「在院期間」、中川日医副会長が反対
地域医療構想WG、調整会議の進捗状況なども確認

レポート 2017年10月26日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月26日の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)の第8回会議において、病床機能報告において、高度急性期、急性期、慢性期、回復期の4つの医療機能の定量的な基準として、「入院後の在院期間」に着目して検討することを提案したが、日本医師会副会長の中川俊男氏が「明確に反対する」と明言、厚労省は定量的な基準の再検討を迫られることになった(資料は、厚労省のホームページ)。

 2014年度からスタートした病床機能報告は、病院の自主的な判断で行う。厚労省は、その判断において4つの医療機能の基準を定量化・精緻化することで、より精度の高いデータにすることを目指している。2017年度の病床機能報告では、例えば急性期医療を全く提供していないのに「急性期機能」と報告した場合にその理由を尋ねるなど、明らかな疑義が生じた病棟を対象として調査し、病床機能報告の精度を高める予定。さらに2018年度の病床機能報告に向け、厚労省は引き続き定量的な基準作りを進める。

 厚労省が「入院後の在院期間」を基準として提案した根拠の一つは、「入院中の患者の在院日数別構成により、その病棟の中心的な機能の目安になるのではないか」との研究成果だ。

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(2017年10月26日の地域医療構想に関するワーキンググループ資料)

 しかし、中川氏は、「病床機能報告を行う場合に、なぜ在院期間に着目しなければいけないのか。明確に反対する」と述べ、地域医療構想は、病床機能報告を基に不足する医療機能を手当てする仕組みという理解が進んできたにもかかわらず、その流れに逆行すると指摘した。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏が、中医協で「診療報酬は、地域医療構想に“寄り添う”と明言した」と紹介し(『迫井課長「地域医療構想に寄り添う」は名言 - 中川俊男・日医副会長に聞く』を参照)、在院期間に着目すると、平均在院日数の要件がある診療報酬と連動する仕組みになりかねないことから、「地域医療構想が診療報酬に“もたれかかる”ことになってしまう」(中川氏)。例えば回復期機能を選択した場合、急性期関連の診療報酬を算定できないなどの誤解が生じないような仕組み作りを改めて求めた。

 中川氏の発言を受け、厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「各医療機能を選択するときに、病院にとって分かりやすい基準がないかと考え、議論をお願いしている。注意深く取り扱わないと誤解を招くことは肝に銘じて、在院期間の取り扱いについての次の議論の際には資料を整理する」と応じた。

 健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、病床機能報告の報告内容と実態とが大きくずれているケースは現実にあるとし、「診療報酬と切り離して考えることが必要だが、定量的な指標、精緻化は必要」と指摘。

 調整会議、4-6月の開催は136構想区域
 26日の会議では、地域医療構想調整会議における議論の進捗状況も報告された。各都道府県とも2016年度中に地域医療構想の策定を終え、2017年度から調整会議の議論が本格化している。国は3カ月ごとにその進捗状況を把握することが求められる。

 2017年4~6月に、調整会議を開催したのは全341構想区域のうち、136構想区域。「非稼働病床」がある291構想区域のうち、その在り方を議論したのは21構想区域。また調整会議では「具体的な医療機関名を挙げて議論」することが求められている。7月末までに調整会議で公立病院の新改革プランについて議論したのは、800病院中135病院、85の特定機能病院のうち、調整会議でその役割を議論したのは8病院などとなっている。

 調整会議をいまだ開催していない地域もあることから、厚労省医政局地域医療計画課は、その理由を確認したり、議論が遅れている自治体に対しては、データの分析方法の好事例を活用したアドバイスをするなどの支援をしていく方針。

 参考人として出席した奈良県医療政策部長の林修一郎氏は、同県ではまだ調整会議を開催していない理由として、同会議はメンバーが限られていることを挙げ、直接関係する各病院に多く参加してもらう意見交換会などを開催して調整を進めていることを紹介した。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏からは、「経済財政運営と改革の基本方針 2017」(骨太の方針2017)で、調整会議について「今後2年間程度で集中的な検討を促進する」とされていることから、「時間の制限が足かせになっている」との指摘も出た。「経営環境が大きく変わる中で、2年で区切ることはないようにしてもらいたい」と述べ、時間をかけて議論できる体制を求めた。

 佐々木課長は、「今回調整会議の取り組み状況には差があることを把握した」との認識を述べ、どんな理由で議論が進みにくいのかを把握して、議論を促進する取り組みをしていくとした。

 調整会議、公立病院のデータ開示が前提
 26日の会議では、総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」の報告書骨子も紹介された。公立病院は「新公立病院改革ガイドライン」を策定、改革を進めているが、同ガイドラインの策定および実行に当たっては、「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」が求められ、調整会議でも公立病院の役割などを議論する。

 中川氏は報告書骨子を踏まえ、地域医療構想や調整会議における公立病院の扱いについて、「一般会計からの繰り入れや補助金がある公立病院、税制上の優遇がある公的病院と、民間病院とが同じ土俵で地域医療構想を進めていくには、繰り入れ等の状況を調整会議に示して議論する必要がある」と指摘。公立病院の今後の運営についても、(1) 民業圧迫にならないように、例えば休棟があり、地域医療を民間病院が支えることができる場合には、ダウンサイジングや撤退などを検討、(2)休棟を再開する場合は、新たな医療機能の病棟が増えることになるため、調整会議で議論、(3)再編・ネットワーク化を進めるに当たっては、ダウンサイジング、民間譲渡なども検討――などを求めた。

 さらに中川氏は、公立病院の役割として「政策医療」や「不採算医療」があるものの、定義の明確化も求めた。佐々木課長は、次回以降、資料を用意すると回答。

 公立病院については、全日本病院協会副会長の織田正道氏も発言。「新公立病院改革ガイドライン」や地域医療構想を進める際には、公民の役割の明確化が求められるとした上で、「各病院がどんな機能分化をするかという議論をしているが、まずは不採算医療等をどこが担うかを議論すべきだ」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565401
低血圧の患者に降圧剤、誤投薬で死亡、青森市民病院
女性看護師が名前確認を怠る、「主たる要因の一つ」

レポート 2017年10月27日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 青森市民病院(遠藤正章院長)は10月26日、低血圧症状が出ていた80代の女性入院患者に誤って降圧剤を投与し、死亡する医療事故があったと公表した。病院は「誤投薬が死亡の主な要因となった」と説明している。

 病院の説明によると、女性は80代で2017年7月25日に入院。原疾患は、うっ血性心不全、大動脈弁狭窄症、右小脳梗塞、結腸出血、慢性腎不全だった。誤投薬が発生したのは朝食後の9月24日午前8時ごろ。女性看護師(20代、経験5年未満、病院は「新人ではない」と説明)がワゴンに複数人の薬を積んで運んでいた。薬は患者の名前が記載された与薬タッパーにそれぞれ入っていた。

 女性看護師は患者のいる個室に、隣室の患者と2人分の与薬タッパーを持って入室。患者は自力で服薬することができないため、内服の介助が必要だった。その際に、隣室の患者の薬を服用させた。患者の名前は確認したが、与薬タッパーの記載を確認することはなかったという。

 本来投与すべきだった薬剤と誤投薬された薬剤は以下の通り。

◆本来投与すべきだった薬剤
スピロノラクトン
アミオダロン塩酸塩速崩錠
フェブリク錠
フロセミド
ミヤBM
マグミット錠

◆誤投与された薬剤
ノルバスク錠5mg
メインテート錠2.5mg(0.5錠)
バイアスピリン錠
エフィエント錠
タケキャブ錠
クレストール錠
アーチスト錠
オルメテック錠
ムコスタ錠
マグミット錠

 看護師はその後、隣室に移動し、そこで誤投薬に気づいた。すぐに主治医に連絡をし、医師らは「血圧が下がってから血圧を安定させる処置をした」。集中治療室に入ったが、10月14日に心不全で死亡した。誤投薬と死亡との因果関係について病院は「誤投薬が症状の悪化を招いた。(死亡の)主たる要因の一つ」と説明。「ノルバスク錠」「メインテート錠」の影響が大きいと判断しているという。

 院内に常設されている「診療トラブル委員会」(委員長:病院長)が対応に当たった。今後、医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構に報告した後に、正式に院内事故調査委員会を立ち上げる予定。

 院内マニュアルでは投薬の際に、患者と与薬タッパーの名前の確認するようになっていたが、今回のケースでは与薬タッパーの確認が行われていなかった。一方で、個室に入る際に、その患者以外の薬を持ち込むことを明示的に禁じていないなど、病院は「マニュアルの完全性などシステムエラーの要因」についても説明している。現時点で、女性看護師などへの処分は行われていない。現在は先輩看護師と2人で仕事をするようにしているという。

 女性看護師は午前0時15分から同9時までの深夜帯勤務の最中だった。前日は休日であり、病院は「過重労働ということはない」としている。

 女性患者の死亡後、病院側は10月21日に遺族と面談。公表の了解が得られたとして、10月26日に病院長による記者会見を開いた。会見を開くことは、10月25日の段階で、独自取材の結果として朝日新聞が報じていた。 遠藤院長は記者会見で「あってはならない重大な事故。再発防止対策を徹底したい」と謝罪。病院側は賠償する方針で、現時点で遺族から訴訟の意思が示されていることはないという。

 青森市民病院は青森地域医療圏の基幹病院。21診療科(1診療科は休診)、538床(うちICU8床、NICU15床、HCU25床)を持つ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565145
臨床研修制度の見直し
外科、産科、小児科、精神科が必修復活へ、初期研修
外来での研修も追加、精神科研修の在り方は継続審議

レポート 2017年10月26日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「第16回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が10月25日に開催され、臨床研修で、外科、小児科、産婦人科、精神科の4科のほか、外来での研修も必修にすることで大筋合意した(資料は、厚労省のホームページ)。

 この日、厚労省が示した「臨床研修の到達目標、方略及び評価」での「Ⅱ 実務研修の方略(案)」は以下の通り。

研修期間

 研修期間は原則として2年間とする。協力型臨床研修病院又は臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、原則として、研修期間全体の36週(9ケ月相当)以上は、基幹型臨床研修病院で研修を行う。さらに地域医療や各診療科との関係等に配慮しつつ、1 年以上を基幹型臨床研修病院で行うことが望ましい。

臨床研修を行う分野・診療科

(1)内科、救急、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科及び外来を必修分野とする。

(2)原則として、内科24週以上、救急12週以上、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科及び外来それぞれ4週以上の研修を行う。なお、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科及び外来については、各分野での受入状況に配慮しつつ、8週以上の研修が望ましい。

(3)麻酔科における研修内容が救急における研修内容と同等であるときには、研修内容に応じて、麻酔科における研修期間を、4週を上限として、救急の研修期間とすることができる。

(4)原則として、各分野は一定のまとまった期間に研修(ブロック研修)を行うことを基本とする。ただし、救急、精神科及び外来については、週1回の研修を通年で実施するなど特定の期間一定の頻度により行う研修も可能である。その際、救急においては、4週以上のまとまった期間に研修を行った上で、例えば、週1回の救急当直を通年で実施すること。なお、必修分野を研修中に、その他の分野の研修を一定の頻度により行う場合は、その研修期間は必修分野の研修期間に含めないこととする。

(5)地域医療の研修については、原則として、2年次に行うこと。

(6)外来の研修については、原則として、研修開始時より24週以上の研修を行った後に行うこと。

(7)外来においては、原則として初診患者及び慢性疾患の継続診療を含む一般外来を中心とした研修を行うこと。

(8)精神科については、精神科専門外来又は精神科リエゾンチームでの研修を含むこと。

(9)地域医療については、へき地・離島の医療機関、許可病床数が200床未満の病院又は診療所を適宜選択して研修を行うこと。

(10)地域医療においては、原則として初診患者及び慢性疾患の継続診療を含む一般外来と在宅医療の研修を含めること。ただし、その他の研修で在宅医療の研修を行う場合に限り、必ずしも在宅医療の研修を行う必要はない。また、地域医療で病棟研修を行う場合は慢性期・回復期病棟での研修を含めること。くわえて、保健や福祉との連携を含む、地域包括ケアの実際について学ぶ機会を十分に含めること。

(11)選択研修として、保健・医療行政の研修も可能である。その際、臨床研修病院の判断で、例えば週単位で適切な研修期間を設定する。

(12)保健・医療行政の選択研修については、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、検診・健診の実施施設、国際機関、行政機関、矯正施設、産業保健等において、研修を行うことが考えられる。

 このうち、(4)の研修期間の在り方については、岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏の提案により、「ただし、救急、精神科および外来については、週1回の研修を通年で実施するなど特定の期間、一定の頻度により行う研修も可能である」から精神科を削除し、ブロック研修の対象とすることで合意した。
 新たに必修となった「外来」については、「一般外来」と表記することで合意。特定機能病院である大学病院などで「一般外来」ができるのかという議論もあったが、厚労省の担当者は「基幹病院だけでなく、施設群としてその中で研修カリキュラムを考えてほしい」と応じた。「一般外来」は「地域医療」や「内科」などの他の必修とダブルカウントできないことも確認した。

 議論になったのは精神科研修の在り方。中島氏は「精神科は急性期患者を入院で見ることが大事。非常に興奮した人を外来で診ることはできない。精神科病棟を必須としては」と強く要望した。委員の多くは「理想的ではあるが、約9000人の研修医に必須とすることが可能なのか」と疑問を呈した。厚労省側が次回以降に精神科病棟での研修受け入れ状況などを調査して報告することとなった。

 また、地域医療は研修2年目、外来は研修開始半年後という制約については「プログラムを組む上でハンデになる」という意見や、1週間の日数のカウントの仕方や、当直業務をした翌日の在り方、正当な理由で長期間休んだ場合などについても、整理が必要という指摘が出た。次回以降、細部についても議論をしていく。



https://www.nikkei.com/article/DGXKZO22706120V21C17A0EA1000/
入院から在宅へ誘導 診療・介護報酬同時改定
2017/10/26付 日本経済新聞

 財務省と厚生労働省は25日、2018年度予算編成を巡り、診療報酬と介護報酬の改定の検討に入った。6年ぶりの同時改定により、団塊の世代が75歳以上になる超高齢化社会を前に、効率的な医療・介護の体制を整える。両省は入院から在宅へ誘導する考えだが、社会保障給付費の抑制にどこまでつながるか。持続可能な社会保障制度に向け調整を急ぐ。

病床体制 リハビリも重視

 25日に開いた財政制度等審議会で政府内の検討が始まった。試算だと社会保障給付費は全ての団塊の世代が75歳以上になる25年度に148.9兆円と17年度から23%増える。内訳をみると、年金はあまり増えないが、医療費は38%増、介護費は86%増にそれぞれ膨らむ。両報酬をマイナスにできれば、社会保障給付費を抑え、国民負担の増加も和らげられる。

 両省は6年ぶりの同時改定にあわせ、医療と介護のあり方を一体的に見直す。患者の需要にあった効率的なサービス体制を整えるのを課題とする。入院患者を減らし、地域の医療・介護サービスを受けながら在宅で過ごす人を増やせるようにするのが理想的な姿だ。

 現在は重症患者のための「急性期病床」を多くそろえた医療機関に手厚く診療報酬を回す仕組みになっている。高齢者がリハビリできる「回復期病床」の需要が大きいのに、提供体制は急性期病床に偏りが激しい。報酬の構造を変え、超高齢化社会への対応を急ぐ。

算定基準 無駄な薬使わず

 財務・厚労両省はこうした考え方に沿って、診療・介護の両報酬を見直す。急性期病床に偏重した医療体制など、患者のニーズにあわず、医療費の無駄を生んでいる可能性がある。財務省は診療報酬の算定基準を厳しくする方針で、厚労省も報酬下げの検討に入る。削減する一方で、自宅を中心とした地域での医療・介護の連携サービスには診療報酬で支援する。財務省は算定にメリハリをつける考えだ。

 医療・介護のサービス費用の効率化も目指す。財務省は重複投与を防止する取り組みがおろそかな薬局への報酬を下げる方針。費用対効果の低い高額な医薬品の薬価も下げる。介護では一人暮らしの家を訪れ家事などを援助するサービスで、月100回以上利用するケースもある。財務省は1日当たりの報酬に上限を設けるよう求める。

水準 1%で4500億円分

 前回16年度の診療報酬改定率はマイナス0.84%だった。財務省は今回、2%台半ば以上のマイナス改定を目指す。薬価引き下げに併せ、医師の給与にあたる本体のマイナス改定も求める構え。1%引き下げると、税金や保険料、患者の自己負担の合計で約4500億円減る。

 財務省は介護報酬についてもマイナス改定を主張する。前回15年度は2.27%のマイナスだった。

 ただ診療報酬については日本医師会のほか、与党議員にはプラス改定を求める声が強い。介護報酬も厚労省や介護事業者はプラス改定で譲らない構え。年末まで関係者間の攻防は激しくなりそうだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565066
安倍政権の医療制度改革
日医横倉会長「プラス改定すべき、熾烈な戦いが始まる」
財政審のマイナス改定議論をけん制

レポート 2017年10月25日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は、10月25日に財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が診療報酬の1回の改定当たり「2%台半ば以上のマイナス改定が必要」との考えを打ち出したことについて、同日の定例記者会見で、「2018年度予算編成で適切な手当を確保しなければならない。プラス改定とすべきだ。年末にかけて熾烈な戦いが始まる」と述べてけん制した(『診療報酬「マイナス2%半ば以上」に、財政審』を参照)。

 横倉氏は、10月22日に投開票が行われた第48回衆議院議員総選挙で与党の自民・公明両党が圧勝したことについて、高齢者も子どもも安心して活躍できるよう、全世代型の社会保障を充実してほしいという民意の表れだとの見解を示した上で、「社会保障の中心を担う医療費を抑制するのは国民の期待に反するものだ」と強調。財政審が診療報酬の本体部分のマイナスに言及していることについても、医療従事者の人件費のほか、設備関係費などランニングコストも診療報酬から出ていることを挙げ、「医師が懐を肥やすために(プラス改定を)主張しているとよく言われるが、医療従事者の人件費は報酬でしか確保できない。それ以上に、医療機関の運営にかかる経費そのものも本体からしか出せないのだから、理解していただきたい」と述べた。

 「2%台半ば以上」というマイナス幅の根拠として、10年間の国民医療費の伸びの平均約2.5%から人口や高齢化(1.2%)以外の部分の伸びの2年度分としていることについては、「高度化による伸びには薬剤費が相当入っている。新たに開発される薬の中で、本当にそれだけ高価な薬が必要かということも考えないといけない。高度化を高く予測しすぎている」と指摘。薬剤費を抑制し得る例として生活習慣病を挙げ、「従来からある薬でも治療を十分にできる人がほとんど。無理に高い薬剤を使う必要はない」と述べた。

政治の安定で社会保障安定
 総選挙に立候補した医師の候補者に関しては、自民党から8人、野党から4人の計12人の当選者が出たことについて、「より良い社会保障の実現のために手を携えて協力していきたい」と述べた(『医師候補41人中12人当選、厚労政務三役も』を参照)。全体では与党の自民・公明両党で定数の3分の2を超える313議席を獲得したことを、「政治が安定しなければ、社会保障は安定しない。政治が安定したことは評価できる」と歓迎。選挙に先立つ9月26日に、日医として自民党の二階俊博幹事長に下記の5項目からなる要望書を提出していたことを明らかにし、同党の政策集「総合政策集2017 J-ファイル」に盛り込まれた成育基本法の成立と受動喫煙対策の徹底は、日医の強い要望により明記されたと強調した。

1. 国民皆保険を堅持するとともに、国民間で医療介護の享受に格差が生じないよう、国民医療介護の充実強化を図ること。
2. 健康寿命を延伸し、社会保障の充実により国民不安を解消するため、必要な財源を確保すること。
3. 国民が住み慣れた地域で質の高い医療介護を受けられるよう、かかりつけ医を中心とした、医療介護を確保すること。
4. 望まない受動喫煙をなくすため、受動喫煙の防止対策を推進すること。
5. 国民と医療機関に不合理な負担を生じさせている、医療等に関わる消費税問題を抜本的に解決すること。



http://www.medwatch.jp/?p=16467
2018年度DPC改革、体制評価指数や保険診療指数の具体的見直し内容固まる―DPC評価分科会
2017年10月25日|2018年度診療・介護報酬改定MedWatch

機能評価係数IIの地域医療係数(体制評価指数)について、例えばがん医療について「がん地域連携」と「がん拠点病院」を統合し、前者(がん地域連携)では【がん治療連携計画策定料】の算定割合をもとに最大0.5ポイントで評価し、後者(拠点病院)では、II群では「都道府県がん診療連携拠点病院などに指定されれば0.5ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定であれば0.25ポイント」として評価する—。

 10月25日に開催された診療報酬調査専門組織「DPC評価分科会」では、こうした方針が了承されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けて、DPC制度改革の内容が分科会レベルで固まりつつあります。

ここがポイント!
1 I群は大学病院本院群、II群はDPC特定病院群、III群はDPC標準病院群に
2 保険診療指数の減算・加算規定を整理、I・II群に特化した減算は廃止
3 体制評価指数の内容固まる、「満点評価」の基準が宿題に
4 救急医療係数、【救急医療管理加算2】の算定患者では指標値を減算
5 収入変動に着目した、改定年1年限りの【激変緩和係数】を新設

I群は大学病院本院群、II群はDPC特定病院群、III群はDPC標準病院群に

 これまでのDPC評価分科会の議論で、2018年度には、(1)3つの医療機関群を維持するが、名称を見直す(2)機能評価係数IIについて大幅な見直しを行う(3)暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換えが完了することを踏まえて現在の激変緩和措置は終了となるが、新たな「1年限りの激変緩和措置」を設定する—といったDPC制度改革方針が固められています。

今回のDPC評価分科会では、医療機関群の名称について▼I群→大学病院本院群▼II群→DPC特定病院群▼III群→DPC標準病院群―とすることが了承されました。各群の機能や特性を踏まえた名称とされています。

保険診療指数の減算・加算規定を整理、I・II群に特化した減算は廃止

(2)の機能評価係数IIについては、「後発医薬品係数を機能評価係数Iに置き換える」「重症度係数を廃止する」「保険診療係数において未コード化傷病名割合に基づく減算規定を厳格化する」などの見直し方針がすでに固まっています。今回のDPC評価分科会では、これまでに積み残しとなっていた部分について厚労省から見直し内容が提案され、ほぼ原案どおり了承されました。既に決定している部分も含めて、見直し内容を眺めてみましょう。

【保険診療係数】

 これまでに、適切なデータ作成を進めるため、▼部位不明・詳細不明コード使用に係る減算(0.05点)規定について、使用割合の基準値を現在の【20%以上】から【10%以上】に厳格化する▼未コード化傷病名使用に係る減算(0.05点)規定について、使用割合の基準値を現在の【20%以上】から【2%以上】に厳格化する—ことが固まっています(関連記事はこちら)。このうち未コード化傷病名の評価対象を「様式1に記載されているすべての病名」とすることが新たに決まりました。ただし2018年度の係数設定では従前どおり「入院医療分レセプト記載の傷病名」が評価対象とされます。

またI群病院において設けられている「指導医療官の派遣実績に基づく加算」(0.05点)は廃止することがすでに決まっています。ただし「適切な保険診療への貢献自体は評価すべきではないか」との指摘を受け、現在、大学病院(I群病院)が実施している▽保険診療の理解を深めるための研修▽医師と医事職員との診療報酬請求に関する共同研修―などの考え方を検討して、「2019年度の係数」に反映させることを目指して対応することになりました。この点について井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)からは「医師と医事職員との共同研修などは素晴らしい取り組みであり、II群も対象に含め、さらに段階的にIII群へも広めていってはどうか」と要望されましたが、▼2019年度に向けた検討はI群に絞る▼拡大は将来的に検討する—こととなりそうです。

さらに「分院の機能を下回る、あるいは機能の低い(外れ値)I群病院」「精神科病床などのないI群・II群病院」については、現在、減算(0.05点)が行われていますが、▼大学病院本院の機能評価は「保険診療の質向上」を目指す保険診療係数の趣旨と合わない▼精神科診療については地域医療係数で評価する—ことを勘案し、「2018年度改定で廃止する」ことが確認されました。

また各病院が自主的に行う「病院情報公表」の加算(0.05点)については、「項目の整理を行う」こと、「医療機関ごとの実績を一覧で公表する」ことなどが検討されています。今回、前者の項目については厚労省が進める「医療の質の評価・公表等推進事業」における『共通指標セット』(患者満足度、職員満足度、医療安全、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、抗菌薬、チーム医療など23項目)を参考に、さらに練っていくことが確認されました。新項目を設定し、各病院が「自院に適した情報」を選択し、公表していく形になります。なお現在の7項目▽年齢階級別退院患者数▽初発5大がんの病期分類と再発患者数―などは維持される見込みです。

後者の「医療機関ごとの実績を一覧で公表する」件については、住民・患者目線に立てば極めて重要かつ有用です(医療機関選択の重要資料となる)が、公表方法や具体的評価手法をさらに詰める必要があり、「2018年度以降、引き続き検討する」ことで落ち着きました。

なお、こうした改革を踏まえて「保険診療係数」という名称の見直しも検討されます。厚労省からは「医療の質向上係数」という案が提示されましたが、委員からは「保険診療向上係数としてはどうか」「現行のままでよいのではないか」との意見が出され、結論は持ち越しとなっています。

体制評価指数の内容固まる、「満点評価」の基準が宿題に

【地域医療指数】

 地域医療係数のうち、5疾病5事業など地域医療への取り組み状況を評価する体制評価指数については、「2項目で評価されている『がん』『脳卒中』などを統合する」「新医療計画を睨んだ評価軸の見直しを行う」方向がすでに固まっています(関連記事はこちら)。この方向に沿って、厚労省は具体的な見直し案を提示し、了承されました。体制評価指数の項目は現在の12項目から8項目に縮減され、満点評価(現在はI・II群では10ポイント、III群では8ポイントで満点)をどのように設定するのかが宿題として残っています。

新たな体制評価指数の姿(その1)※がん診療連携拠点病院等の評価におけるI・II群のポイント数はメディ・ウォッチ編集部で図表を修正済 (図 略)
新たな体制評価指数の姿(その2) (図 略)
 
 例えば「がん医療」について見てみると、現行から次のように見直されます。
▼現行
▽がん地域連携:I・II群では【がん治療計画連携計画策定料】の算定実績に応じて0ポイントから1ポイントの間で傾斜的に評価、III群では【がん治療計画連携計画策定料】などの取得で1ポイントとして評価

▽がん拠点病院:I・II群では都道府県拠点病院・小児がん拠点病院の指定で1ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定で0.5ポイント、III群ではいずれかの指定で1ポイント


▼見直し後
▽がん地域連携:医療機関群に関わらず【がん治療計画連携計画策定料】の算定実績に応じて0ポイントから0.5ポイントの間で傾斜的に評価

▽がん拠点病院:I・II群では都道府県拠点病院・小児がん拠点病院の指定で0.5ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定で0.25ポイント、III群ではいずれかの指定で0.5ポイント

 
また「脳卒中」については、現行の▽脳卒中地域連携(連携実績に応じて0-1ポイントの間で傾斜的に評価)▽24時間t-PA体制(【超急性期脳卒中加算】算定で1ポイントとして評価)―となっていますが、両者を統合し、さらにより高度な「血管内治療実績」も加味した段階的評価(t-PAの実施にとどまれば0.25ポイント、【超急性期脳卒中加算】算定または血管内治療実績があれば0.5ポイント、両者を兼ね備えていれば1ポイント)が行われます。

救急医療係数、【救急医療管理加算2】の算定患者では指標値を減算

【救急医療係数】

現在、【救急医療管理加算】などの算定患者について、入院から2日間までの「出来高実績」と「DPC点数」との差額をベースに評価されており、この考え方そのものは維持されることになりました(関連記事はこちら)。

ただし、【救急医療管理加算】は、症状が明示された加算1(900点)と「加算1に準じた状態」とやや曖昧に定義された加算2(300点)とに細分化されており、2018年度からは「加算2該当患者は指標値を減算する」ことになります。さらい、「暦月ごとの【救急医療管理加算】の施設基準の有無」を考慮して計算されることになり、現状の「10月1日時点で加算取得していなかったために不利になる」点が解消される見込みです。

収入変動に着目した、改定年1年限りの【激変緩和係数】を新設

(3)の「1年限りの新たな激変緩和措置」については、これまでの「医療機関別の調整」(対象病院名は非公表)から、【激変緩和係数】とされることになりました。対象病院名も公表される(医療機関別係数の1係数として告示される)見込みです(関連記事はこちらとこちら)。

【激変緩和係数】の対象は、診療報酬改定の前後で推計診療報酬収入が2%を超えて増減する病院で、該当病院の医療機関別係数は「▼基礎係数▼機能評価係数I▼機能評価係数II▼激変緩和係数—の和」として計算されることになります。

なお、新規にDPCに参加する病院については、「改定後の推計診療報酬収入」と「改定前の『該当する医療機関群の医療機関別係数』を用いて推計した診療報酬収入」とを比較し、変動が「2%を超えて【減少】する」場合のみ、激変緩和係数の対象となります(収入変動がマイナス2%となるように係数設定される)。改定前の「出来高収入」と比較したのでは、かつての「調整係数」と同様の弊害が出てしまうためです。

 
このほか、▼退院患者調査について現行の課題解消に向けた見直し(簡素化、Kコードの見直し、転棟患者の動向反映など)を行う▼退院患者調査結果について、新たに「薬剤耐性菌対策」「後発品使用実態」などの公開を検討する▼ICD-10(2013年版)コードの付与に係る追加データを提出していない病院について、厚労省で機械的な対応が困難な部分は「診療実績なし」として扱う—方針が固められました。

医療機関ごとのカルバペネム系抗菌剤の使用状況、患者構成の違いも考慮しなければならないが、一定のバラつきがあることが分かる (図 略)
 
ICD-10(2013年版)に関する追加データを提出していない病院では、診療内容にもよりますが「カバー率係数」などへ影響が出る(診療実績なしと判断されるため、低く設定されることも)可能性もあります。
 



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201710/20171025_33039.html
花巻温泉病院19年閉院 岩手医大
2017年10月25日水曜日 河北新報 岩手

 岩手医大は24日、老朽化が進む付属花巻温泉病院(花巻市)を2019年3月に閉院すると発表した。新築には100億~200億円の費用がかかるとして、存続は困難と判断した。
 患者は、周辺の医療機関や岩手県矢巾町に19年9月開院の岩手医大付属病院への転院を検討する。
 花巻温泉病院は1972年に国立病院として開院。93年に岩手医大へ移管された。内科、リハビリテーション科など8診療科があり、病床数は150。温泉を利用したリハビリ施設を併設している。
 今年3月に県が公表した耐震診断で、震度6強~7程度の大規模地震による倒壊の危険性が指摘されていた。
 記者会見した岩手医大の小川彰理事長は「地域医療に大きな影響を及ぼすことなく、県民に高度医療を提供できるよう引き続き努めていきたい」と話した。



http://digital.asahi.com/articles/ASKBS2GFJKBSUBQU006.html?rm=357
守山市民病院の譲渡へ、市と済生会が協定調印 滋賀
八百板一平2017年10月24日13時00分 朝日新聞

 守山市と「恩賜(おんし)財団済生会」は23日、赤字を抱える守山市民病院を、来年4月から15年間は済生会を指定管理者とする経営に移行し、2033年4月に済生会側に譲渡することなどを盛り込んだ協定を結んだ。

地域医療考える全国大会
 協定には、新病院の名前を「済生会守山市民病院」とする▽市が、済生会に指定管理料の代わりに約20億円の「地域医療交付金」を払う▽市がリハビリセンターなどを備えた新館を整備する▽土地と本館は、市が済生会に無償譲渡し、新館は無償貸与する――などが盛り込まれている。指定管理期間中の市の実質的な負担は、約35億円と見込む。

 この日の市役所での調印式には、宮本和宏市長と、県済生会の山田光二支部長らが出席した。山田支部長は「(済生会の持つ)技術とネットワークを生かして、医療の質の向上に取り組みたい」などと述べた。

 済生会側は、回復期医療とリハビリに力を入れ、病院の黒字化を目指す考えを示した。宮本市長は「市民に、よくなったと思っていただける病院に生まれ変わらせるのが、私の責務だと考えている」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564058
m3.com意識調査
患者トラブルの原因「待ち時間が長い」4割強
【「患者からクレーム、妥当?」vol.1】患者の主張「妥当」半数弱

レポート 2017年10月22日 (日)配信m3.com編集部

 2017年9月20日 (水)~9月26日 (火)に実施したm3.com意識調査「患者からクレーム、妥当だと思う?」において、患者トラブルの原因として患者側が挙げる主張には、どのような事柄が多いか質問したところ、「診察までの待ち時間が長い」が最も多く(40.2%)、「対応・態度・言動が気に入らない」(24.2%)、「診察結果が気に入らない」(10.5%)と続いた。

Q.ご自身の周りに起こる患者トラブルの原因として、患者側の主張としてはどのような事柄が多いですか。(n=1546人)
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 職種別に見ると、「診察・処置の質が悪い」ことが原因でトラブルが起きると回答した人は、開業医が最も多く、11.5%だった。また、看護師の半数以上(56.8%)が「対応・態度・言動が気に入らない」という理由でトラブルになったと回答し、他職種と比べて割合が高かった。

Q.ご自身の周りに起こる患者トラブルの原因として、患者側の主張としてはどのような事柄が多いですか。(n=1546人)
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 患者の主張は妥当だと思うかについて質問したところ、「妥当だと思う」と回答した人は全体の半数弱(48.1%)である一方で、「全く妥当ではない」と回答した人は2割程度(20.3%)だった。

Q.上記のようなトラブルが起きた際、患者側の主張は妥当だと思いますか。(n=1546人)
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【調査の概要】
調査期間: 2017年9月20日 (水)~9月26日 (火)
対象:m3.com会員
回答者数:1546人(開業医 : 284人 / 勤務医 : 936人/ 看護師 : 37人 / 薬剤師 : 205人 / その他の医療従事者 : 60人)
回答結果画面:患者からクレーム受けたこと、ある?



https://www.m3.com/news/iryoishin/564059
m3.com意識調査
トラブル原因で「うつ状態」4人に1人が経験
【「患者からクレーム、妥当?」vol.2】患者の非常識な言葉、若手編

レポート 2017年10月28日 (土)配信m3.com編集部

 2017年9月20日 (水)~9月26日 (火)に実施したm3.com意識調査「患者からクレーム、妥当だと思う?」において、患者トラブルにより、自身や同じ職場の医師やコメディカルが受けた被害について質問したところ、最も多かった回答は「医師・コメディカルとしての自信をなくした」(28.6%)で、次点が「ひどく落ち込み、うつ状態になった」(23.1%)だった。
 職種別に見ると、「うつ状態になった」と回答した人は、開業医(25.1%)、勤務医(25.3%)、看護師(29.7%)の3つの職種に高い傾向が見られた。また、開業医の13.6%が「ネットで中傷された」と回答した。

Q.患者トラブルにより、ご自身や同じ職場の医師やコメディカルが受けた被害として経験があるものをお選びください。(n=1546人)
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Q.患者トラブルにおいて、非常識だと感じた患者あるいはその家族の言葉があればお答えください。(20歳代・30歳代の若手医療者編)
【勤務医】
・抗癌剤での治療をしている患者が多数いるような病棟のナースステーション近くで、民間療法に感化されたある癌の患者家族に、「抗癌剤は増癌剤とされている、こんな治療は受けさせない」と大声で主張されたこと。(20代男性)
・事前に手術内容の説明を行い、同意を得ていましたが、(カルテにも記録が残っています)「そんな話は聞いていない」と一点張りでした。(20代男性)
・とある疾患の治療でその患者の状態が悪く、たとえ治療を行ったとしても合併症で死亡する可能性が高いと治療前にICで伝えた。その後、治療され運よく軽快したのだが、後ほど私にICでリスクが高いと言われたことが相当ショックで今でも夢に出てくると強い口調で不満を言われたこと。自分としてはリスクが高いことを伏せて治療はできないと考えており、伝えないという選択肢はなかった。当方の伝え方に問題があったのかもしれないし、患者の気持ちも分からないではないが、罵詈雑言を浴びせられるいわれはない。(30代男性)
・内科医であるが、膝の痛みを外来で毎回訴えられた。真摯に対応し、変形性膝関節症と考えられ、ヒアルロン酸の膝関節注射で対応していた。一時期は良かったが、その後も痛みの訴えがあった。NSADsで対応していたが、その際には変形性膝関節症とは違う痛みの印象であった。内科ではこれ以上の対応は難しく、整形外科などへの受診を再三お勧めした。それでも、ご家族は整形外科には連れて行ってくださらなかった。内服治療のみで診ていたが、痛みが良くならないのでちゃんと診てくれない、と暴言を吐かれた。(30代男性)
・高齢者が転倒したので救急外来を受診。幸い骨折などはないために帰宅可能と判断したところ、入院させろと家族が主張。こちらが、医学的に入院適応がないこと、病棟の空きがないことを説明しても納得せず。揚げ句には、「名札をよくみせろ」と言ってきたり、「次に家で転倒したらお前の責任だ」と言われた。(30代男性)
・(診断は合っているのに間違っていると勘違いされて)「お前何と言った?間違ってたんやろうが!こっちは心配なんだから頻繁に見にくるとかしろや。それが寄り添う医療だろうが」と。(30代男性)
・救急外来で救急車で来た初診の患者さん。診察前にいったん出ていただくよう促した息子さんが「お前らちゃんと診ろよ」と吐き捨てて出て行った。(30代男性)
・ 血糖値の高い原因をこちらの原因にされることや、インスリンが必要でインスリンを使用しているのに医療費が高いと文句を言われることなどです。(30代男性)
・「この薬は必要ないと思うから中止して」(30代男性)
・「仕事が終わってから受診したいのに診療時間内に間に合わない。夕方や夜に診療をしないのは医師の怠慢だ」(30代男性)
・標準的な治療をしていたにもかかわらず、家族から、こんな治療では患者が殺されると言われた。(30代男性)
・夜間救急で、順番を待たずに自分の子供を先に診てもらおうと訴えてきた時。(30代女性)

【薬剤師】
・患者家族にスタッフが電話対応を行ったが、ある時窓口で別のスタッフにその対応に関して八つ当たりをし、30分以上捕まえた揚げ句、謝罪を求めた。(謝罪を求められたスタッフは電話対応の件には全く関与していない。)(30代男性)
・いかがされましたかと質問したところ、「おまえは薬だけ渡してりゃいいんだ!」と言われた(30代男性)
・幼児の母親に「100%失敗せずに薬を飲ませる方法を教えて下さい」と言われ、一般的な幼児への飲ませ方を説明すると、「絶対に100%なんですね?」と言われ、そこから関係がこじれてしまった。予備の薬が欲しかったのか、それとも「少しでも口に入れば効果がある」と言ってほしかったのか、今でも悩んでいます。(30代女性)
・こちらは、時間をかけて精一杯説明したにもかかわらず、結局自分の話をして、十分理解できておらず、説明が足りない、説明を受けていないと言う。自己主張は後で手紙にして!(30代女性)

【その他の医療従事者】
・お前のせいで死んだんだ!と担当看護師に向かって大声をあげる患者家族。そういう人たちに限って、お見舞いに来ず、病状把握もせず、亡くなった途端に大声で訴え出す。(30代男性)



https://www.m3.com/news/iryoishin/564060
m3.com意識調査
「仕事帰りに病院が開いていないのは医師の怠慢」患者の非常識な言葉
【「患者からクレーム、妥当?」vol.3】患者の非常識な言葉、中堅・ベテラン編

レポート 2017年10月29日 (日)配信m3.com編集部

Q.患者トラブルにおいて、非常識だと感じた患者あるいはその家族の言葉があればお答えください。(40歳代以降の中堅・ベテラン医療者編)
【開業医】
・病気の症状なのに薬の副作用だと言って、先生のせいでこうなったと言われる。(40代男性)
・目が見えているのに、見えていないと言い張り、救急外来に救急車で来て、「見えていますね」と言ったら胸ぐらを掴まれた。家族の人も患者の言動を怖がって一緒にいたのに見て見ぬ振りをした。定期的に同じことをしている人だった。(40代女性)
・自動血圧計の椅子に座って会計待ちをしていて、血圧を測ろうとしている患者さんの邪魔になっているので注意すると逆ぎれする。寝違えて首が痛くなった患者さんの親が「注射を射て」と言って騒ぎ出す、「注射では治らない」というとさらに逆切れ。そんな人たちは「病院を替えるぞ」と脅してくるが、「どうぞご自由に好きなところに行ってください」というと逆におとなしくなる。(50代男性)
・「医者は24時間、365日働くのが常識だろ!コンビニでも24時間営業してるんだから休むな」老人病院当直で夜間のこと。また、老衰で大往生のご老人の家族、一度も見舞いに来ず、亡くなった翌日の夜中に呼び出されて、いきなり「お前が殺したんだろ!認めろ!」(50代男性)
・(顔面手術を希望されたが、患者の精神に問題があるため断ったところ、ベテラン形成外科医の私から、手術を断られたことを逆恨みした30歳半ば女性から送られてきたクリニック宛のメール)『○○さん(私の名前)の腕を切り落として差し上げます。周りが暗くなった夜間に狙います』という、ほぼ殺害予告脅迫を受けたことがある。(50代男性)
・ジェネリック医薬品がない薬品でもジェネリックを希望する患者。製薬会社と医師(病院)が癒着していると言い張る。もちろん、信頼関係が保てず診療拒否した。(50代男性)
・内服の副作用の発生に対し、私は被害者なのに、なんで受診料を払う必要があるのかといった暴言を吐かれた。(50代男性)
・「ここはディズニーランド(みたいに3~4時間も待たせる施設)なのか?」(50代男性)
・前回受診からよくならないとご立腹で再診。処方変更を検討して、念のため「前回の薬の中で飲みにくいものはなかったですか」と確認したところ「あれは飲んだ方が良かったのか」と言われびっくり。小児医療費タダの地域のためか、こういうことが複数回ある。もちろん、前回も薬の内容の説明から飲み方まで説明済み。医療費の面からも問題だと思う。(50代女性)
・大学病院から逆紹介された高血圧の患者。初診後1カ月経過、丁寧な診察、指導しカルテ記載など算定要件を満たしたことを確認し、特定疾患療養管理料を225点算定したら、「大学病院より高い!前回より高い!(225点✕3倍、675円。3割負担)」と叫び、「不正請求だ!」と受付で大声を出された。それが引金となりうつ状態になった。(50代女性)
・自分が原因である疾患を医療側の問題としたり、やたらとネット情報を基に無理な医療を押し付ける患者。(60代男性)

【勤務医】
・裂創で受診し縫合を要することを伝えたところ、「処置中は自分の気分で動くから、それに合わせて縫合しろ」や「縫合させてくださいと言えばやらせてやる」などの言動。また、入院やリハビリに際して名前や住所は個人情報なので教えない、自費で良いから保険証も見せないという態度。(40代男性)
・『医者が死ぬという言葉を使った。そんな奴は医者として認めない』ということをどこかの地方議会議員に電話で言われた。数回同じ電話があったが、最期は交換に繋げないように依頼して終了。言葉が汚く、本当に酷い人だった。(40代男性)
・風邪で抗菌薬をよこせと言ったので、不要と答えて返したら、次の日に治らないので藪医者だからネットに書き込みをすると言われた。(40代男性)
・謝罪の言葉や土下座の強要。同じ医師である患者家族より、謝罪したらどうだと脅迫に似た発言を受けた。(40代男性)
・100歳超えの老衰でいくら寿命だと言っても、「納得できない」の一点張りには困り果てました。(40代男性)
・咳込む際に、マスクもせず、口元も覆わず、診察医師に向かって咳込む患者がほぼ100%を占める。ひどい時には、患者のつばが顔や手に飛んでくることもある。認知症の人の場合は我慢するが、認知症がない方の場合には、感染の原因となるので口元を覆い、後ろ向きで咳するようにお願いしますと、丁寧に依頼しているが、素直に受け入れない人や、怒鳴り散らす人もいた。これは、学会や飛行機等の閉鎖空間でも、同様である。このような状況では、インフルエンザ流行期等で、感染が爆発するのは当然である。テレビ等のメディアを利用して、徹底的に指導するべきである。(40代女性)
・精神病院で処方されている向精神薬を、内科に来て、そのまま処方せよと言われる。以前処方された精神病院受診をお願いしても、ここで処方せよと言われ、できない旨を申し上げると、態度が豹変し、「貴様、患者をたらいまわしする気か? 俺がほしい薬を出せ、言うんが、分からんのか」と外来で暴れ出されました。看護師は皆逃げて、診察室では、自分と患者のみ。かなりもめた後、他から入ってきた情報では、どうやら、以前通院していた精神病院で問題を起こして行けないため、たまたま内科へ飛び込んできたとのことでした。(50代男性)
・普段乗っているバスが遅れて診察時間に間に合わなかったが、いつもは間に合うバスなので診察時間内として扱え、断ったら、私の夫は厚生労働省に勤めていると言って、わざわざ勤務先に電話をかけて圧力をかけようとした。(50代男性)
・いつ急変するかも分からない危篤状態と説明していたのに、夜中に亡くなったら文句を言われた。延命処置を希望されず、付き添いをするように言っていたのだが、最後に会えなかった事が大変不満だったようであった。(50代男性)
・血液検査のために数カ月に1度来院する患者さんから、救急対応で1時間程いつもより待たせた際に、「前から診察が遅いと思っていたがどうして待たないかんのや」と言われた。(50代男性)
・コンピューターの画面を指さしてデータやCT画像の解説をしている際に、突然、俺の目を見て説明しろ、と恫喝された。そこで、データの説明はやめて、治療方針を提示したが、納得されず帰られた。その後、再診されないのでほっとしている。(60代男性)
・前医で発熱が続いたり悪化すれば、採血検査や入院も必要と言われたそうで、子ども急患センター受診時は解熱し、病状も改善していたので検査も不要と、伝えたところ「なぜ、検査してくれない!」と主張し、苦情カードにも記載。(60代男性)
・ターゲットの担当看護師に対して執拗に暴言、嫌がらせの言動で攻め立てたため、担当看護師は、うつ病を発症し離職に追い込まれた。(60代男性)
・タール便に対して緊急内視鏡を拒否した患者に死ぬと忠告したら、後日、患者を脅したと言われ精神的ショックに対して賠償しろと言われた。院長からも患者に謝罪しろと強制された。(60代女性)
・注射のせいで、禿げになった。今後の治療費を無料にして、診察を待ち時間なしで早く診るように要望された。(70代男性)

【看護師】
・サービスの一環としている送迎。患者様から送迎の車が来ない、今からタクシーで向かうからタクシー代金をお前が払え!と言われたことがあります。(40代女性)
・退院を勧めても「〇〇先生は死ぬまで居ていいと言った」の一点張りで交渉できない。(40代女性)
・若いきれいな看護師は素直だし見ていて気持ちがよい。ババアの看護師はどれだけ知識や経験があっても偉そうにする。担当につけるな!と名指しで投書されたり処置などを拒否された。(50代女性)
・面会に来た家族間でいさかいがあり、暴力をふるっていたので職員が仲裁したら、暴力を振るわれそうになり、脅迫された揚げ句、ホームページへ中傷を書き込まれた。(60代女性)

【薬剤師】
・薬局長の仕事を邪魔しているのが気に入らないと言われたが、薬局長と私は全く別の仕事を別のエリアでしていたので、二人とも全く心当たりがなく、なぜこの患者が騒いでファイルを叩きつけているのか分からなかった。(40代女性)
・薬の種類が多く、一包化で用法ごとに薬袋を分ける、服用時点が分かりやすいように線を引く等、個人の要望が多くて待ち時間が長くなるにもかかわらず、「後から来た患者が先帰る、ここの薬局はいつまで待たせるんだ。もう二度と来るか!」と言われる。そのくせに何度も来局する。(50代男性)

【その他の医療従事者】
・貸し出し機器を壊したにも関わらず一言の謝罪もない、来院してすぐに時間がないからすぐ見てほしいという、来院するたび受付でスマホの使い方をきくなど。(40代女性)



  1. 2017/10/29(日) 11:33:59|
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