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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月22日 

https://www.nikkei.com/etc/accounts/login?dps=1&url=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXMZO22545920R21C17A0CC0000%2F
医師不足、弱る地方 「国民守る議論を」
2017/10/21 9:47日本経済新聞 電子版

 医師の不足や偏在が地域医療に影を落としている。勤務地が都市部に集中したり、産科など一部診療科の担い手が特に少なかったりすることで、診療体制の維持が難しくなっている公立病院も少なくない。医師の長時間労働の是正も課題になる中、医療現場からは「医療体制のあり方について政治の場でもっと議論を」と求める声が上がる。

 「総合病院の看板を下ろすことになってもやむを得ない」。茨城県小美玉市は市内唯一の総合病院、小美玉市医療センターの民間への移譲を検討中だ。現在10ある診療科は縮小される可能性が高い。市の担当者は「不便になるが、病院の存続が第一だ」と市民の理解を求める。

 病棟も老朽化が目立ち、病床利用率も3割台に低迷する同センター。経営難に拍車をかけたのが医師不足だ。同県は人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位で、中でも小美玉市は医師不足が深刻。同センターは非常勤医などで診療体制を維持してきたが、現在の常勤医はわずか4人と、診療科数に比べると極めて少ない。3つの医療法人が移譲先の候補に挙がっており、今年度中の移譲を目指す。

 1990年に21万人だった国内の医師数は2014年には31万人と、約1.5倍に増えた。ただ医師の勤務地は都市部に集中。地域的な偏在に加え、診療科による配置の偏りも大きく、特に産科医不足が依然深刻だ。産科や産婦人科を持つ病院は26年連続で減っている。

 兵庫県赤穂市の赤穂市民病院は9月、産科医を確保できず分娩休止に追い込まれた。担当者は「大学病院に何度も医師派遣のお願いに行っているが再開のめどはついていない」と話す。

 医師の長時間労働の是正も、地方の医療機関にとっては難しい課題だ。官民が取り組む働き方改革の一環で議論が進み始めたが、北海道砂川市の砂川市立病院の小熊豊院長は「医師が増えないまま時間外労働を減らせば、診療内容を削るしかない」と指摘する。

 政府は残業時間の上限規制を医師にも適用する方針。ただ医師には法律上、理由なしに診療を断れない「応召義務」があり、一般的な労働者とは別の規制のあり方を検討中だ。

 各党の衆院選公約に地域医療への言及は乏しく、選挙戦を通じた論戦も盛り上がりを欠いた。全国自治体病院協議会の辺見公雄会長は「医師の偏在対策は長年、放置されてきた。医療は国民を守るための大事なテーマのはずだ」と強調している。



http://univ-journal.jp/16425/
医学部の2018年入学定員は9,419名、地域枠で定員維持
大学ジャーナルオンライン 2017年10月21日

 文部科学省は、2018年度からの私立大学医学部の収容定員の増加に係る学則変更認可申請について公表した。2017年度で医師確保対策などに基づく臨時定員(317人名)がなくなるため、新たに「地域枠」を設け、同規模の定員を維持できるようにした。

 2018年度からの学則変更認可の申請を行った私立大学は、岩手医科大学、自治医科大学、埼玉医科大学、順天堂大学、日本医科大学、関西医科大学、兵庫医科大学の7校で、今回の認可申請に伴い、2017年度の入学定員と比べ12名増加した。

 医学部の入学定員については、1982年と1997年の閣議決定により7,625名まで抑制されたが、2006年の「新医師確保総合対策」で医師不足が深刻な10県(青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重)で各10名、2007年の「緊急医師確保対策」で、全都道府県で原則各5名の入学定員を増員。さらに、「地域の医師確保の観点からの定員増(地域枠)」「研究医養成のための定員増(研究医枠)」「歯学部入学定員の削減を行う大学の特例による定員増(歯学部振替枠)」などを実施し、2008年度から2018年度までの10年間で、臨時定員1,010名、恒久定員544名(新設による増員を除く)の計1,554名の増員が行われてきた。

 そのうち、「新医師確保総合対策」と「緊急医師確保対策」による臨時定員317名は、2017年度で終了する。その代替手段として、都道府県が作成する医療計画などに基づき、奨学金を設けて「地域医療を担う意思」を持つ人を選抜する“地域枠”を設け、2019年度まで“再度の定員増”を行うことが可能となった。

 2018年度の“地域枠”では49大学316名増の予定で、そのうち再度の定員増によるものが304名、それ以外の定員増が4大学12名だった。よって、2018年度の国公私立大学(81大学) 医学部入学定員は9,419名で、2017年度の9,420人より1名減少となった。“地域枠”の増員期間は2019年度までとなっているが、今後の取扱いは、その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断するという。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171018/k10011181591000.html
「働き方改革だけでは崩壊」病院団体が医師不足解消を要望
10月18日 16時49分  NHK news

長時間労働の是正が大きな課題となっている医師の働き方改革について、全国の公立病院で作る団体は「必要な医師を確保せずに働き方だけを見直せば、地域医療が崩壊する」として、医師不足の解消に向けた対策も合わせて実施するよう厚生労働省に求めました。
医師の働き方をめぐっては、5年前に総務省が行った調査で1週間に60時間以上働いている人の割合が、医師は41.8%と、すべての職種の中で最も高く、厚生労働省は労働時間の短縮に向けた対策を議論しています。

18日、全国の公立病院で作る「全国自治体病院協議会」が都内で会見を開き、ことし7月に879の公立病院に行ったアンケート調査の結果を公表しました。

それによりますと、このまま罰則付きの時間外労働の上限規制を導入した場合、救急患者の受け入れ体制が維持できないとか、時間外診療や深夜の診療を制限する必要が出てくるなどといった意見が多数寄せられたということです。

これについて、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は「過労死を許容することはできないが、必要な医師を確保せずに働き方だけを見直せば、地域医療は崩壊する」として、医師不足の解消に向けた対策も合わせて実施するよう厚生労働省に求めたことを明らかにしました。

厚生労働省は、来年度末までに具体的な対策を取りまとめることにしています。



http://www.medwatch.jp/?p=16364
医師の働き方改革の前に、少なくとも同時に偏在解消が必要—全自病
2017年10月20日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 働き方改革の一環として、医師にも罰則付きの時間外労働上限が適用されるが、厳格に適用すれば「診療縮小」か「医師の大幅増員」をしなければならなくなるが、現状では不可能である。働き方改革の前、少なくとも同時に「地域間・診療科間の偏在解消」を実行すべきである—。

 全国自治体病院協議会(全自病)が10月18日に記者会見を開き、邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)をはじめとする役員からこうした意見が相次いで発されました。

「診療縮小」と「医師増員」の選択肢しかないが、いずれも選択できない

 安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める働き方改革実現会議は3月28日に「働き方改革実行計画」を決定。次のような「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入し(労働基準法改正)、医師も規制対象に含まれます(関連記事はこちら)。

▼時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」(時間外労働の限度の原則)とし、違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す

▼労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間(特例)を年720時間(=月平均60時間)とする。かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

▼特例の上限を▽2か月から6か月の平均でいずれも80時間以内▽単月で100時間未満―とし、特例の適用は年6回を上限とする

 ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととされています。

 
こうした改革内容について全自病では、会員病院を対象にアンケートを実施。そこからは次のような状況が明らかになっています。

▼1か月当たりの時間外勤務平均時間は、初期臨床研修医で29時間、非管理職医師で34.8時間だが、病床規模が大きくなるにつれ伸びていく(500床以上では、それぞれ32.5時間、47.5時間である)
月平均の時間外勤務は、初期臨床研修医では平均29.0時間、非管理職医師では平均34.8時間となっており、病床規模が大きくなるほど時間外労働も増加しているように見える。しかし、小規模病院では多くの医師を管理職に登用し(100%の病院も少なくない)、見かけ上「時間外労働」が発生しないようにしている
月平均の時間外勤務は、初期臨床研修医では平均29.0時間、非管理職医師では平均34.8時間となっており、病床規模が大きくなるほど時間外労働も増加しているように見える。しかし、小規模病院では多くの医師を管理職に登用し(100%の病院も少なくない)、見かけ上「時間外労働」が発生しないようにしている
 
▼初期臨床研修医の15.1%・非管理職医師の28.3%が「時間外勤務60時間以上」で、同じく3.1%・6.6%が「時間外勤務100時間以上」である
 
▼小規模になるほど「多くの医師を管理職に登用」しており(時間外勤務が発生しない)、「小規模病院で勤務医の労働時間が短い」わけではない
▼1か月当たりの平均当直回数は、初期臨床研修医で3.4回、非管理職医師で4.6回(非管理職医師ではこのほかに月平均5.6回のオンコールがある)

▼夜間・休日の緊急対応について、「院内当直・待機」がもっとも多く55.9%、次いで「時間外勤務」14.2%、「院外待機・オンコール」13.7%などとなっている

▼夜間における入院患者への対応は、「当直のみ」がもっとも多く61.3%で、「完全主治医制」は14.5%にとどまるが、500床以上の大病院では24.6%が「完全主治医制」を採っている。時間外臨終対応については、全体の32.4%が「原則、主治医」としており、500床以上の大病院では46.9%にのぼる

夜間の入院患者への対応や、時間外臨終対応について「主治医」が担当している病院が一定程度あるが、500床以上の大病院でその傾向が強いようだ
 
 さらに「罰則付き時間外労働規制」導入などに影響をどう考えるかを見ると、▼救急患者の受け入れ態勢が心配である▼病棟閉鎖・病床減、救急車受入制限などをせざるを得ない▼現状維持のためには医師の大幅増員が必要になる—などの声が寄せられています。
 
 全自病役員は、こうした状況が自院にも当てはまるとし、「診療縮小」か「医師の大幅増員」かのいずれかを選択せざるを得ないと指摘。しかし、地域医療の砦となる自治体病院では、いずれの選択肢をとることもできないとの苦悩をにじませました。

 末永裕之副会長(小牧市民病院病院事業管理者)は「救急医療体制を維持するためには2交代制を導入するしかない。これには医師が現状より1.5倍程度必要になるが、集まらない」と強調。また小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)は「地方では医師が集まらず、診療縮小をするしかない。救急を近隣の医療機関にお願いするにしても、患者・住民が納得してくれない。内科は崩壊寸前である」と厳しい状況を訴えました。
 
こうした状況を踏まえて邉見会長は、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて、(1)応召義務と労働量規制との関係を整理する(2)言わば「見なし自己研鑽」時間として労働時間から一定時間を除斥する(3)医師の需給バランスの議論も同時進行する(4)1人主治医制の見直しなどが必要で、社会全体への浸透のために医療に関する教育項目を増やす—ことを求めています(9月22日に厚労省医政局に提出済)。近く、「医師の働き方改革に関する検討会」にも参考人として出席し、「医療機関の管理者要件に、医師不足地域での一定期間勤務を盛り込む」よう強く求めていく考えを強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 



https://mainichi.jp/articles/20171018/ddl/k02/010/032000c
岐路・2017衆院選青森
「医師一人の町」深浦 ミサイルより「深刻だ」 新診療所建設、厚遇アピールも限界 /青森

毎日新聞2017年10月18日 地方版 青森県

 青い空と日本海を背景に、JR五能線の観光列車「リゾートしらかみ」が走り抜ける。深浦町中部に位置する広戸地区の高台。人気の撮影スポットにもなっているこの場所で9月中旬、町立の新しい診療所の建設が着々と進められていた。

 診療所は町の「地域医療」を担う拠点施設として、来年6月の診療開始を目指す。町は2015年に「新診療所整備基本プラン」を策定。町の中心部に構える新診療所に1次医療の機能を集約することで、人口減少の時代に適応した地域医療を確立したい考えだ。

 同じ敷地内には完成間近の立派な住宅2棟も建つ。新診療所では常勤医師の2人体制を確保する方針で、住宅は医師に来てもらうために町が提供する住まいになる予定だ。家賃や光熱費、水道代も無料だという。

   ◆    ◆

 深浦町は「医師一人の町」だ。町が医師の暮らしを支えようとする背景には慢性的な医師不足がある。現在、常勤医師は鰺ケ沢町に近い大戸瀬地区の関診療所にいるだけ。診療は平日に限られ、夜間の緊急対応は難しい。町は人手不足を補うため、町外の医師3人と非常勤の契約を結び、交代で対応してもらっている。

 北から南に向かって大きく、大戸瀬、深浦、岩崎の3地区に分けられる深浦町には、数年前まで各地区に診療所や医院が点在していた。だが、後継者不足などで数は減り、現在は町立の診療所が2カ所残るのみ。そのうち、岩崎地区の岩崎診療所には関診療所から医師が週2回ほど出張して対応しているため、関診療所が実質的に町の医療を一手に引き受けている。

 岩崎地区の住民が頼りにする岩崎診療所だが、新診療所の開設で閉鎖される見通しだ。町が13年に行ったアンケート調査では町民の切実な声が相次いだ。「現状では脳梗塞(こうそく)など治療までの時間が勝負になる病気になった時、諦めるしかない」(40代女性)、「小児科専門の先生がいる病院がほしい。風邪をひけば五所川原市や秋田県能代市まで行かないといけない」(30代女性)。

   ◆    ◆

 町は、都市部の病院に引けを取らない給与を用意したり、定年を75歳に延ばしたりするなど、「厚遇」をアピールして医師を呼び込もうとしている。だが、家族連れの医師の場合は子育て環境の充実が条件になったり、若い医師は専門分野のスキルアップを望むことが多かったりするため、ニーズがなかなか合わない。

 県立中央病院によると、自治医大の卒業生を地方の中でもへき地の病院に派遣する仕組みは県内にもあるが、割り当てられる医師は年に2~3人ほど。深浦町に新たにできる診療所に派遣できる余裕はない。関診療所の小山司・事務長は「(町が)医師を集めるのには限界がある」と訴える。

 安倍晋三首相は衆院選で、ミサイル発射や核実験を続ける北朝鮮への対応について「国民に(信を)問いたい」とした。深浦町では公示日の10日、ミサイル対応訓練が行われた。だが、町内の無職男性(65)はこう言う。「首相が現状を『国難』と言うのはこじつけだ。深浦町では高齢化が進み、若者は町を出て行き、(頼れる)病院もない。そっちの方が深刻だ」【一宮俊介】



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171017121810
専攻医の登録開始、基幹施設間で“獲得競争”
福利厚生を充実、医師不足を逆手に…PR過熱

2017年10月17日 14:00 CB News

専攻医希望者に福利厚生や症例数をPRする基幹施設もある
 新専門医制度の専門研修プログラムの専攻医登録が始まった。研修の中心を担う大学病院などの基幹施設は、自施設や連携施設を含めた研修プログラムが、いかに優れているかをPR。研修修了後も地域に残ってもらうおうと、優秀な人材の確保に懸命だ。専門医以外の資格を取れるメリットだけでなく、食事やトレーニングルームなどの福利厚生の充実ぶりを強調したり、医師不足を逆手に取って経験症例数の多さをアピールしたりするプログラムもあり、専攻医をめぐる“獲得競争”が熱を帯びてきた。【新井哉】

■「3食950円」、職員食堂の安さPR

 「サラダバーもあり。3食、食べても950円」。九州地方のある基幹施設では、職員食堂の安さに加え、売店・カフェ、トレーニングルーム、職員宿舎、大浴場といった福利厚生が充実していることを、救急科専門研修の専攻医希望者にアピールしている。

 なぜ、福利厚生をアピールする必要があるのか。救急医療関係者によると、救急医の確保が困難な地域では、医療提供体制を確保するため、あらゆる手段を尽くして専攻医を集めることが「最優先課題」になっている。研修プログラムが充実している都市部の基幹施設と比べ、連携施設や指導医を十分確保できない地方の基幹施設は、福利厚生などの充実ぶりを訴えて専攻医を集める方法を取らざるを得ない。
(残り1589字 / 全2153字)



http://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2017/10/171016-33828.php
地域医療を守る病院協議会 診療報酬算定の要件緩和を
農業協同組合新聞-2017/10/15

 地方の病院が抱える課題を検討する全国自治体病院協議会は、「地域医療を守る病院協議会」を設立し、診療報酬算定に関する要件緩和について、要望事項をまとめた。医療資源の少ない地域に配慮した評価の対象地域および対象医療機関の範囲拡大などを求めている。10月11日発表した。

地方の病院の医師不足を訴える邊見会長(記者会見で) 同協議会は全国自治体病院協議会のほか全国厚生農業協同組合連合会(JA厚生連)、日本慢性期医療協会、全国国民健康保険診療施設協議会、地域包括ケア病棟協会など、地方で医療や診療に関わる病院で構成。「医師の地域偏在対策」や「地方の病院に対する診療報酬のあり方」、特に医療資源の少ない地域に配慮した診療の評価、対象地域・医療機関の範囲拡大などについて協議するとともに、国や地方自治体に対する要望活動などを行なう。

 自治体病院やJA厚生連病院など、地方で診療活動する病院は、深刻な医師・看護師不足に陥り、診療科の休止や病棟閉鎖に追い込まれる病院が増えている。また、平成14年度に診療報酬(本体)が初めてマイナス改定されてから平成20年度まで4回連続でマイナス改定という厳しい状況が続いている。
 このため同協議会では、要望事項として(1)算定要件の緩和、(2)医師の偏在対策、(3)働き方改革を挙げる。具体的には感染防止対策加算、褥瘡(床ずれ)ハイリスク患者ケア加算、地域包括ケア病棟入院科の算定要件緩和、さらに地域包括ケア支援病院の新設、へき地加算の増点などとなっている。また医師の長時間の時間外労働の解消も求めている。
 要望を取りまとめた同協議会の邊見公雄会長は「全ての医療がそろわないと報酬がもらえないという、オール・オア・ナッシングでなく、少しは算定に入れてほしい。また医療資源の少ない地域の指定がころころ変わるのも困る。医師の超過勤務は申告で、医療サービスの縮小か医師の増員しかない」と、医師不足の深刻さを強調した。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201710/20171021_11016.html
<急患診療中断>市議会で注文相次ぐ 市「重症者は診療」
2017年10月21日土曜日 河北新報

 仙台市急患センター(若林区)が医師や看護師の休憩に充てるため、午前3~4時の診療を試行的に中止した問題で、20日の市議会健康福祉委員会で委員から注文や要望が相次いだ。市は「重症者が来れば診療する。市民の安心・安全は変わらない」と強調した。
 共産党市議団の委員は、診療の中止ではなく看護師の増員で休憩を確保するよう要望。市健康政策課は「試行中の看護師の勤務体制は患者数などの実態に見合っている。市民サービスを低下させない方策を引き続き検討する」と述べた。
 市民ファースト仙台の委員は、休憩中に患者が訪れた際の対応を確認。石沢健保健衛生部長は「午前3~4時は患者が平均1人未満なので休憩にしたが、センターの扉も受付も開けている。事務員が対応し、急患なら医師らと即時連絡を取り、診療する」と話した。



https://resemom.jp/article/2017/10/20/40942.html
新人医師の研修先マッチング、自大学出身者0%は6病院…地方内定が過去最高
教育・受験 大学生 2017.10.20 Fri 12:33 リセマム

平成29年度の医師臨床研修マッチング結果 内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)(図 略)

 厚生労働省は10月19日、医師臨床研修マッチング協議会による平成29年度(2017年度)の医師臨床研修マッチング結果を公表した。医学生など、平成30年度(2018年度)から臨床研修を受ける病院が内定した「大学病院マッチ者」に対する自大学出身者の割合は、100%が14施設、0%が自治医科大学附属病院、国際医療福祉大学三田病院など6施設あった。

 医師臨床研修マッチングは、臨床研修を受けようとする者(医学生など)と臨床研修を行う病院の研修プログラムを互いの希望を踏まえ、一定の規則(アルゴリズム)に従い、コンピューターで組合せを決定するシステム。平成16年度に医師の臨床研修が義務化されたのに合わせて導入され、医師臨床研修マッチング協議会が実施している。

平成29年度の医師臨床研修マッチング結果概要

 平成29年度(平成30年度研修開始)のマッチングの募集定員は、前年度(平成28年度)比181人減の11,014人。希望順位を登録した研修希望者数は、前年度比331人増の9,726人。このうち、臨床研修を受ける病院が内定した人は前年度比117人増の9,023人で、内定率は92.8%(前年度94.8%)。

内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)
図:内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)(図 略)

 大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県における内定者の割合は58.9%(前年度58.3%)で、平成16年度の新制度導入以降、過去最大となった。一方、6都府県の内定者割合は41.1%(前年度41.7%)と、新制度導入以降で過去最小だった。

 なお、医師臨床研修マッチング協議会では、新制度導入以降、研修医が特定の地域に集中しやすい状況にあるとの指摘を受け、地域的な適正配置を誘導する観点から、都道府県別の募集定員の上限を設けるなど見直しを行っている。

マッチ者に対する自大学出身者の比率

 このほか、大学病院(施設別)マッチ者に対する自大学出身者の比率をみると、もっとも高い100%の大学病院は14施設あった。このうち、マッチ者数がもっとも多いのは鳥取大学医学部附属病院の18人、ついで帝京大学医学部附属溝口病院の9人。

 逆に、マッチ者に対する自大学出身者割合が0%という大学病院は、自治医科大学附属病院、国際医療福祉大学三田病院など6施設あった。なお、0%の「東北医科薬科大学病院」は、平成28年(2016年)4月1日に「東北薬科大学病院」から名称を変更している。

 マッチ者に対する自大学出身者割合が低いのはこのほか、横浜市立大学附属市民総合医療センター、名古屋大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、慶應義塾大学病院、東京大学医学部附属病院など。



http://blogos.com/article/253412/
「過労死は許容できないが、残業上限設定で地域医療が崩壊する」 全国自治体病院協議会が緊急要望
キャリコネニュース2017年10月19日 13:32

医療職のうち、医師の長時間労働は特に問題視されている。政府は今年3月に定めた「働き方改革実行計画」で、現行の36協定を法律に格上げし、時間外労働の上限を設定する方針を明らかにしている。医師に関しては業務の特性上、法改正の施行から5年は適用を猶予すると記載されていた。

しかし、こうした政府の方針に対し、各公立病院が加盟する全国自治体病院協議会は9月下旬、「医師の働き方改革の緊急要望」を発表し、10月18日に同サイトに掲載した。医師や診療科の偏在など、現在抱えている問題を解決しないまま労働時間の上限規制を適用すれば、診療科目の縮小や救急患者の受け入れを制限せざるを得なくなり、地域医療が崩壊しかねないとの危機感からだ。

大規模病院に勤務する医師の、最長時間外労働時間は月119.5時間
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画像はプレスリリースより

協議会では、今年7月に全国の879病院でアンケート調査を実施し、約半数の47.9%から回答を得た。

政府が導入しようとしている年720時間の上限を受け入れた場合、200床未満の病院では、「病院運営そのものが立ち行かなくなる」という懸念が出た。200床以上の病院では、時間外や夜間の診療、救急患者の受け入れを制限せざるを得ないとの回答が多い。

所属病院以外で単発的に診療する「外勤」の縮小や、手術件数の半減、「救急病院返上、診療科を選別し総合病院も返上等が考えられる」という回答もあった。病院規模の違いに関わらず、現在の診療体制を維持するためには医師の増員が不可欠との要望が数多く寄せられている。

アンケート内で明らかになった現在の医師の勤務状況を見ると、各月の平均時間外労働時間が60時間を超える医師は、研修医で15.1%、非管理職の医師で28.3%いる。時間外労働時間は、病院の規模と比例して増加する傾向にあり、500床以上の病院に勤務する非管理職医師の月平均時間外労働時間は47.5時間、最長では119.5時間にも達している。

診療科目による差も激しい。月60時間以上の時間外勤務をしている非管理職医師の診療科目を見ると、60時間以上80時間未満、80時間以上100時間未満、100時間以上の全てで1位が整形外科、2位が外科だった。

「医師の地域偏在」「診療科偏在」にも対策を

全国自治体病院協議会では「もちろん勤務医の健康が第一で、過労死は許容できません」と強調した上で、要望内で

「いわゆる当直を交代制勤務とし、時間外労働の上限規制を導入する場合の医師数の需給予測をする必要があります。現在ある医師の地域偏在、診療科偏在に対して何らかの手を打たず、時間外労働規制の考え方だけを進めると地域医療は崩壊すると考えます」

と主張している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/563638
医師の働き方改革とキャリア
上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も
全自病が働き方実態調査結果発表、厚労省に要望提出

レポート 2017年10月18日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は10月18日、「医師の働き方の実態及び労務管理等に関するアンケート調査」の結果を発表した。「労働基準法の範囲内で稼働させた場合における診療体制への影響」の項目で、労働基準法改正案要綱で時間外勤務の上限とされた年720時間を守った場合の影響を問い、ある病院からは「手術件数の縮小。現行は年4000件であるが、その2分の1程度」などの回答があった。

 9月22日に、厚生労働省医政局長の武田俊彦氏に、「医師の働き方改革に関する緊急要望」(資料は、全自病のホームページ)とともに提出。全自病会長の邉見公雄氏は「会員病院から悲鳴のような声がたくさん集まった。(厚労省への)要望の際にデータがなくては説得力がないため、反映させるための調査だ」と述べた。また厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」で全自病として意見陳述する機会を求めたところ、11月10日の会議に邉見氏がオブザーバーとして出席して意見を述べることになったことを明らかにした。

 緊急要望の項目は、次の通り。

医師の「応召義務」と「労働量規制」との関係について、十分な議論と整理が不可欠であること。
医師の労働の特殊性として、実際の業務時間と使用者の指示によらない自己研鑽時間が混在しており、その明確な区分が困難であること。一定時間を除斥することも方法論として考えられるのではないか。
時間外労働規制を医師の診療科偏在、地域偏在、病院機能の違い等を考慮せずに適用すれば、救急医療、周産期医療、休日夜間診療など地域医療に大きな負の影響が生じる。医師の労働量の議論のみならず、医師の需給バランスからの議論も同時進行させていく必要があり、現状では、時間外労働規制の課題をクリアするための医師等の増員は、実現が困難であること。
医師の勤務負担軽減を図るための一つの例として、一人主治医制を見直すことが考えられるが、その実現には社会全体、つまり国民や患者、家族の理解の浸透が不可欠であること。

 調査は7月25日から9月1日に879病院に行い、回答率は49.7%だった。「労働基準法の範囲内で稼働させた場合における診療体制への影響」の項目では、他に次のような回答があった。

◆200床未満の病院
2次救急体制の縮小、在宅訪問診療数の縮小。
1次救急施設の取り下げ。また、急性期医療病床の慢性期病床への変更が必要。
現状を維持するためには、医師数を少なくとも2人は増やす必要がある。
当院では、全ての常勤医師が管理職のため、時間外勤務手当の対象時間数は把握していないが、病棟管理に必要な時間を鑑みると、現在の診療レベルを維持するためには、10~20%の医師数の増員が必要と見込まれる。
医師は、本来の診療以外にも、適切な病院運営を行うためのさまざまな課題について協議する場に必要不可欠である。特に200床未満の小規模病院にとっては病院運営そのものが立ちゆかなくなる可能性もあると考える。

◆200床以上の病院
診療科によっては患者数を大幅に減らす必要がある。しかし、経営が成り立たなくなる。
臨時・緊急手術、時間外診療の対応が2~3割程度縮小する。
週5日間行っている外来を週3日などに減らさなければならない可能性がある。
手術件数の縮小。現行は年4000件であるが、その2分の1程度。
入院・外来・救急機能の縮小、地域病院・診療所への診療支援活動の縮小。
救急病院返上、診療科を選別し、総合病院も返上等が考えられる。
診療科にもよるが、1人当たり年間1800時間を超える時間外勤務を行っている科もあることから、おおむね2 ~3割程度の診療規模縮小を余儀なくされる恐れがある。
・2016年度の管理職以外の医師1人当たりの年間平均時間外労働時間は約800時間であるため、(編集部中:改正)労働基準法の範囲内(720時間)に時間外労働時間を収めて稼働させるためには、10%の診療規模縮小が必要と考えられる。
2016年度の各診療科の平均時間外労働を基に積算すると、内科41%、循環器内科33%、整形外科25%、消化器外科24%、脳神経外科17%、泌尿器科15%、麻酔科25%、放射線診断科47%の診療縮小が必要となる。

 医師の増員や診療体制縮小を余儀なくされるなどの回答が多数上がった。邉見氏は、研修医の自殺が過労によるものとして労災認定され、今年6月から診療体制を縮小した新潟市民病院を例に挙げ、「新潟のような大都市であれば、診療体制を縮小しても、代替できる病院はある。人口10万人程度やそれ以下の地方の病院では、縮小しても代わりがいない。患者、住民が困り、苦情の嵐になる」と指摘。

 全自病副会長の小熊豊氏は、自身が病院事業管理者を務める砂川市立病院(北海道)を例に「医師が増えない以上、診療内容や需要を減らすしかないが、患者は、近隣の開業医の先生にかかってほしいと何度説明しても、うちに来る。いつでも、何でも診てくれるという意識が抜けない。内科は崩壊しそうな状況だ」と、患者の受診行動の啓発の難しさを指摘した。

 そのほかの質問項目では、「常勤医師に占める管理職の割合」で、全体(n=427)のうち13.6%で「100%が管理職」と回答。規模の小さい病院ほど、常勤医師の100%が管理職であるケースは増え、99床以下(n=88)では36.4%が、「100%が管理職」との回答だった。「時間外臨終対応」では、「主治医を原則」との回答が全体(n=408)で32.4%。300床以上400床未満(n=72)では48.6%、500床以上(n=64)でも46.9%に上った。

 「時間外勤務60時間以上の非管理職医師の診療科」では、「60時間以上80時間未満」、「80時間以上100時間未満」、「100時間以上」の全ての層で整形外科が1位。要因について、邉見氏は「呼び出しが原因だと考えられる。救急で骨折を疑うと、すぐに整形外科医を呼ぶ。見落としての訴訟を恐れるためだ」と指摘。また、いずれの層でも上位に入っている循環器内科と脳神経外科については、「命に関わる場合が多く、回数が多くなくても1回ごとの時間が長くなるためだろう」と述べた。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201710/553314.html
【2017年度】フルマッチ校は11校、東京医科歯科大は5年連続
マッチング最終結果、市中病院人気が再び加速

2017/10/19 増谷 彩=日経メディカル

 医師臨床研修マッチング協議会は10月19日、2017年度の医師臨床研修マッチングの結果を公表した。マッチングに参加した医学生は9969人。うち、希望順位を登録した参加者は9726人で、このうち臨床研修先が内定した人(内定者)は9023人(内定率92.8%)。参加者が希望順位表に登録した研修プログラムの平均数は2.99プログラムだった。参加病院は1022病院(研修プログラムは1383プログラム、募集定員は1万1014人)。

 大学病院希望者数と臨床研修病院(市中病院)希望者数の割合をみると、臨床研修病院にマッチした医学生は58.6%だった(図1)。大学病院と臨床研修病院の内定者数の差は2009年から年々拡大しており、昨年度は大学病院にマッチした医学生がやや増加したが、今年度さらに引き離された。

図1 大学病院および臨床研修病院のマッチ者数の比率の推移(図 略)

 第1希望マッチ者数は7106人(78.8%)、第2希望マッチ者数は1208人(13.4%)、第3希望マッチ者数は463人(5.2%)で、全体の97.4%が第3希望まででマッチしていた。

 大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県における内定者の割合は、58.9%。これは2004年の新医師臨床研修制度を導入して以降最高で、昨年度(58.3%)に続き記録を更新した。

 都道府県別に見ると、前年度に比べ内定者が増えた県は、多い順に新潟県(内定者数129人、対前年度+31.6%)、岩手県(90人、+21.6%)、石川県(120人、+16.5%)、宮城県(144人、+15.2%)、和歌山県(110人、+15.8%)だった。

 日経メディカルでは、大学病院本院の定員充足率ランキング、マッチ者に対する自大学出身者の割合ランキングを独自に作製した。次ページからは、これらのランキングとその解説を示す。

 大学病院本院で定員充足率が100%となったのは、東京医科歯科大学(マッチ者数119人)、京都大学(79人)、杏林大(65人)、大阪市立大(66人)、京都府立医大(61人)、奈良県立医大(61人)、慶應大(52人)、東海大(50人)、関西医大(45人)、昭和大(39人)、国際医療福祉大(5人)の計11校。今年4月に医学部を新設した国際医療福祉大学もフルマッチとなった。ただし、フルマッチを達成した大学病院本院は昨年の計15校には届かなかった(表1)。

表1 大学病院本院の定員充足率ランキング(充足率の高い順)(表 略)

 東京医科歯科大学は5年連続、京都府立医科大学は4年連続。杏林大学、京都大学、関西医科大学は3年連続でフルマッチを達成した。一方、昨年度まで3年連続でフルマッチを達成していた順天堂大学は11位となった。昨年4月に医学部を新設した東北医科薬科大学病院は、募集定員10人のところ7人の学生が内定し、前回の79位から50位にランクアップした。

 昨年度と比較して20位以上順位を上げたのは、前述の東北医科薬科大学を始め、大阪市立大学(21位→1位)、慶應大学(23位→1位)、東海大学(29位→1位)、神戸大学(46位→12位)、聖マリアンナ医科大学(43位→14位)、岡山大学(37位→17位)、愛知医科大学(64位→22位)、名古屋市立大学(55位→33位)、大阪大学(54位→34位)、東京女子医科大学(62位→35位)、広島大学(57位→37位)、富山大学(65位→41位)、山梨大学(66位→42位)、岩手医科大学(77位→48位)だった。

 反対に順位を20位以上下げたのは、産業医科大学(1位→71位)、信州大学(38位→68位)、北里大学(20位→49位)、滋賀医科大学(28位→57位)、琉球大学(50位→79位)、佐賀大学(49位→75位)、北海道大学(40位→65位)、三重大学(48位→73位)、横浜市立大学(13位→36位)、久留米大学(10位→32位)だった。

 大学病院本院で、マッチ者に対する自大学出身者の割合を見てみると、東京都や神奈川県などの大学ではマッチ者に対する自大学出身者の割合が低かった(表2)。自治医科大学は出身地での初期研修を義務付けられており、同大の卒業生はマッチングに参加していない。また、東北医科薬科大学は昨年度、国際医療福祉大学は今年度医学部を新設したばかりで、自大学出身者がいない。

 その他、マッチ者の9割を自大学の出身者が占めた大学は14校あった。中でも鳥取大学はマッチ者の全員が同大の卒業生だった。

表2 マッチ者に対する自大学出身者の割合(自大学出身者の割合が低い順)(表 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/562421
医師不足への処方せん
大都市圏の研修医割合、9年連続減―2017年度マッチング最終結果
大学病院の割合は過去最低を更新

レポート 2017年10月19日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 2018年4月からの初期研修先を決める、2017年度医師臨床研修マッチングの最終結果が10月19日に発表され、大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)の内定者の割合は41.1%で、2009年度から9年連続で減少し、過去最低を更新した。大学病院の割合は41.4%で、2016年度の42.7%から減少し、同じく過去最低を更新した(昨年度の結果は『大都市圏以外に過去最多の研修医、2016年度マッチング最終結果』、資料は厚労省のホームページ参照)

 マッチングの参加病院は1022施設で、2016年度より5施設減少。募集定員は1万1014人(2016年度1万1195人)、希望順位登録者数は9726人(同9395人)、内定者数は9023人(同8906人)、内定率は92.8%(同94.8%)だった。

 募集定員に対するマッチ者の比率を示す「定員充足率」を都道府県別に見ると、京都の98.10%を筆頭に、奈良、東京、大阪、兵庫、神奈川、和歌山の7都府県(2016年度6都府県)で90%を超えた。80%台が7県(同8府県)、70%台が20道県(同15道県)、60%台が7県(同14県)、50%台が5県(同4県)、50%未満は48.75%の鳥取県のみ(昨年度1県)だった。

 大都市圏を除く41道県の内定者の割合は58.9%(2016年度58.3%)で、2008年度以降上昇が続いており、大都市への集中を防ぐための募集定員の上限設定の効果と見られる。全体の募集定員は2016年度から181人減少しているが、そのうち大都市圏での削減が66人を占める。

 2016年度との比較でマッチ者数が大幅に増えたのは、新潟(31人、31.6%増)、岩手(16人、21.6%増)、石川(17人、16.5%増)、宮城(19人、15.2%増)、和歌山(15人、15.8%増)の5県。2016年度、定員充足率が最も高い95.59%だった熊本県は、全都道府県で最大の20人減となり、充足率は79.14%にとどまった。
(表 略)

2017年度医師臨床研修マッチング最終結果で公表された『研修医マッチングの結果(参加病院の所在地による全国分布)』を、「定員充足率」が高い順にランキング。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2240317018102017CR8000/
製薬会社の資金提供、所属機関も公表 厚労省が新ルール
2017/10/18 20:00日本経済新聞 電子版

 厚生労働省は今年の通常国会で成立した「臨床研究法」で、製薬会社が資金提供する際のルールの大枠を固めた。製薬会社が研究費を出し、自社製品を大学病院などの医師が臨床研究する場合、医師に加え所属する大学や病院への資金提供も公表対象にする。子会社にもこのルールを適用し、透明性を確保する。

 製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンの臨床データ改ざん問題を巡っては、同社が大学病院の医師らに多額の奨学寄付金を提供していたことも問題となった。

 これらを踏まえ、今年の通常国会で、臨床研究法が成立。4月に公布され、1年以内に施行する。同法は製薬会社に対して資金提供の公表を義務付けており、厚労省は省令で規定する詳細なルールの大枠を固めた。

 製薬会社が自社の医薬品の臨床研究を大学病院の医師(研究責任者)らに依頼する場合、医師に直接渡す研究費だけではなく、所属する大学や病院への資金提供も公表対象にする。研究結果が自社に有利となるよう働きかける目的で、不適切な資金が所属機関を経由して医師側に渡るのを防ぐ。厚労省は製薬会社の子会社にもこのルールを適用する。

 製薬会社が資金を出している財団法人などを通じて、医師に臨床研究のための費用が渡ることがある。こうしたケースも公表対象とし、臨床研究の信頼性を高める。

 資金提供の状況は、製薬会社がホームページなどで公表する。具体的な項目は研究費に加え、講師謝金や執筆料なども含む。臨床研究の終了後、2年以内の支払いも開示する必要がある。

 製薬会社は少なくとも年1回はホームページなどに資金提供先の一覧を掲載し、直近5年分は公表し続ける。公表時期は「2018年10月以降の事業年度」とし、例えば3月期決算の企業だと、19年4月からが対象となる見通し。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171018190531
ベンゾジアゼピン系、中医協支払側委員が制限要望
抗不安・睡眠薬「65%が精神科以外で処方」

2017年10月18日 19:35 CB News

 医療機関で処方された抗不安薬・睡眠薬の約65%が、精神科でない一般の診療所・病院で出されていた―。中央社会保険医療協議会(中医協)が18日に開いた総会で、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が、このような調査結果を示した。1種類の処方の上位20位のうち17種類が依存性のリスクが指摘されているベンゾジアゼピン系だったことを挙げ、依存症の発生防止のため、処方を制限する必要性を訴えた。【新井哉】

 幸野委員によると、調査対象は2014年10月から16年9月までの医科外来・調剤レセプトの企業健保のデータ(1億6000万件)。このうち抗不安薬・睡眠薬のみが少なくとも1種類以上処方されているレセプトが530万件(3%)あった。

 これを調べたところ、精神科を標榜している医療機関は約35%で、残りの約65%が精神科ではない一般の診療所・病院だった。3種類が処方されているケースでは、上位15位までがすべてベンゾジアゼピン系の組み合わせで占められていた。

 この日の総会で、幸野委員は「このまま向精神薬の処方を制限しないと依存症がかなり発生するのではないか」といった懸念を示し、1種類の処方であっても「処方日数に、ある程度の制限をかけていくべき」などと提案した。今回の調査結果を踏まえ、今後、健保連が提言を出す方針も明らかにした。

 この提案に対し、診療側の委員からは「今求められているのは、総合的な診療能力を持つ医師。内科医がそういった薬を出すことはおかしいという方向性は違っている」といった意見が出た。

 厚生労働省は、ベンゾジアゼピンが抗不安薬と睡眠薬の両方に含まれていることや、依存性を考慮し、薬剤数や処方期間などの取り扱いの見直しも視野に入れている。来年度の診療報酬改定で、どこまで踏み込めるかが焦点となりそうだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/563629
中央社会保険医療協議会
睡眠薬・抗不安薬、薬剤数と処方期間の制限検討
支払側支持「依存症が社会問題化する懸念も」

レポート 2017年10月18日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月18日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、ベンゾジアゼピンを含む睡眠薬、抗不安薬をはじめとする向精神薬について、薬剤数や処方期間などの制限と、薬剤師・薬局等と連携した適切な薬物療法の推進体制の評価を提案、支払側は支持、診療側は支持する意見があった一方、態度を保留する委員も見られた(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、ベンゾジアゼピン系の向精神薬では、承認用量内でも特に15日以上の投与で依存症の副作用例が見られるほか、海外では処方期間に制限があることなどを挙げ、「ベンゾジアゼピン系は例示であり、向精神薬全般をどう考えるかという提案」と説明した。過去の診療報酬改定で向精神薬の多剤投与が段階的に制限されてきたが、 2016年8月時点でも、外来・調剤レセプトで、処方料等の減算となり得る「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3剤以上を含む処方は全体の29%を占めた。

 処方制限を全面的に支持したのは、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏。健保連が実施し、近く公表予定の調査結果の一部を紹介、「精神科だけでなく、一般の診療所でも制限なく処方され、かつその期間が長期にわたっていることが問題。薬剤数の制限だけでなく、1剤の場合でも、処方期間をある程度制限していく必要がある。このまま放置しておけば、副作用として依存症発生が社会問題となることが危惧される」と述べた。ただし、「適切な薬物療法の推進体制」については、「不要」と指摘。その理由として、2016年度診療報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」の本来業務である上、「重複投薬・相互作用等防止加算」など既存の点数で対応すべき問題であることを挙げた。

 健保連の調査は、2014年10月から2年間分のレセプト、約1億6000万件を分析したもの。睡眠薬や抗不安薬を処方されたレセプトは全体の約3%、うち精神科での処方は約35%で、残る約65%はそれ以外の診療科の処方であり、ベンゾジアゼピン系薬が多かった。処方期間は約5割は1カ月未満だったが、1カ月以上6カ月未満は約3割、約1割は1年以上の長期にわたる処方で、2年以上も全体の約2%あった。

 これに対し、日本医師会常任理事の松本純一氏は、ベンゾジアゼピン系だけでなく、向精神薬全般が対象になると範囲が広がり、「全体で捉えることが難しい」とコメント。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、幸野氏が「向精神薬の処方を精神科医に限るべき」と受け取れる発言をしたのに対して、「今求められているのは、総合的な診療能力を持つ医師。漫然と投与せず、適正に使用していくことは必要だが、内科医などの処方を問題とするのは、医療の方向性としておかしい」と反論。さらに患者側が向精神薬の処方を求める実態もあるとし、「『出す方がおかしい』という論調では進まない」と述べ、保険者に対し、患者への啓発活動を求めた。

 幸野氏は、「専門医でなければ、処方していけないとは言っていない」と説明。その上で、改めて処方期間等への制限の必要性を強調した。

 そのほか、向精神薬の問題については、全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「乱用されていることが多く、副作用をかなり経験するので、ある程度の規制は必要」と述べ、薬剤師・薬局等の連携についても「疑義を挙げる体制は必要ではないか」と支持。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、高齢患者の増加で向精神薬の処方が増えてくることから、一定の処方制限や薬剤師・薬局等の連携は必要としたものの、既に処方されている患者について、減薬などで離脱症状などが出ないよう、混乱のない対応を求めた。

(2017年10月18日の中医協総会資料)
 18日の中医協総会のテーマは精神医療であり、向精神薬の問題以外に、(1)治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンによる適切な治療の推進、(2)認知症の早期の鑑別診断等の評価、(3)発達障害の患者に対する医療の評価、(4)認知療法・行動療法の推進、(5)2018年度中に国家試験が実施される公認心理師の診療報酬上での評価――についても議論。

 診療側が明確に反対したのは、(5)。「公認心理師は、業務独占ではなく、名称独占の資格。施設基準等で評価すべきでない」(松本純一氏)、「施設基準等で評価されると、奪い合いになる懸念がある。最初からではなく、充足した時期に診療報酬上で評価していくことが必要」(全日本病院協会会長の猪口雄二氏)などの意見が出た。

 それ以外の(1)から(4)の論点と主な意見は以下の通り。

(1)治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンによる適切な治療の推進

【課題と論点】 治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンは、統合失調症患者での処方率は海外では25~30%だが、日本は0.6%と低い。クロザピンの1日維持量の薬価は、他薬に比べて約2~10倍高く、無顆粒球症などの重大な副作用があり、患者モニタリングが必要。精神療養病棟入院料で、一部を除き薬剤料や検査料が包括されているが、この見直しについてどう考えるか。

【診療側】
今村氏:日本の精神医療は遅れていると見られるデータだが、日本でのクロザピンの承認は2009年で諸外国と比べて40年遅い。現場が使用に慣れていないことも処方率が低い要因だろう。より使いやすくするため、包括評価から外すのはいいが、難治性精神疾患患者の連携体制の評価は考えないのか。
迫井課長:連携体制の評価はさまざまな形で行われているため、今一番ネックになっている包括範囲の見直しを検討する。

日本病院会常任理事の万代恭嗣氏:クロザピンの治療を希望する全ての患者に、処方できる環境整備が必要。精神療養病棟で包括なので、使いにくい現状がある。患者モニタリングも、治療抵抗性統合失調症治療指導管理料だけでは管理がしにくく、ぜひ充実をしてもらいたい。血液内科との連携も重要。

【支払側】
全国健康保険協会理事の吉森俊和氏:クロザピンの処方率が低い理由が、残念ながら分からない。日本での使用が緒に就いたばかりというのが理由なら、精神療養病棟入院料の見直しは違うのではないかと思う。

(2)認知症の早期の鑑別診断等の評価

【課題と論点】 認知症の早期の鑑別診断や専門医療の支援体制確保のため、認知症疾患医療センターの整備が進められている。基幹型、地域型、診療所型だったが、2017年度からは、従前の診療所型の類型に、病院も加わったために「連携型」と名称を変えた。それを踏まえ、認知症専門診断管理料の評価を見直してはどうか。

【診療側】
松本純一氏:さらに何か点数を付け加えるのか。
迫井氏:2016年度診療報酬改定時は、診療所型しかなかったので、現時点では病院は算定できない。病院についても、一定の報酬算定ができるように、という趣旨だ。

(3)発達障害の患者に対する医療の評価

【課題と論点】 発達障害の患者に対する治療プログラムの普及や適切な医学管理の推進の観点から、現行の発達障害を含む患者への評価の見直しや、自閉症スペクトラム障害(ASD)専門のショートプログラムなど、発達障害の患者に対する専門治療プログラム等に対する評価を検討してはどうか。
(診療側、支払側ともに意見なし)

(4)認知療法・行動療法の推進

【課題と論点】 認知療法・認知行動療法は1~3がある。「地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健指定医と、看護師が共同して行う場合」に算定できる「3」の届出医療機関はない。専任の看護師に係る要件(一定の研修や実務経験など)を見直してはどうか。

【診療側】
今村氏:厚労省の提言は賛成。施設基準(うつ病等の気分障害の患者に対して、認知療法・認知行動療法の手法を取り入れた面接を過去に自ら10症例120回以上実施し、その内容のうち5症例60回以上のものについて、面接を録画、録音等の方法により記録して、専任の医師または研修の講師が確認し、必要な指導を受けていること)は現実的に厳しいので、見直してもらいたい。

【支払側】
吉森氏:方向性に反対しているわけではないが、「3」の届出がなぜないのか、施設基準が厳しいからなのかなどを検証してもらいたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/563667
中央社会保険医療協議会
「精神科、診療所の位置付けが大事」
中医協総会、措置入院や精神保健指定医など議論

レポート 2017年10月18日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は10月18日の会議で、個別事項(その4:精神医療)として精神保健指定医の取り扱いなどについて議論した。厚生労働省は、通院・精神療法などにおける精神保健指定医の評価の見直しや、措置入院の患者の退院後の支援充実の観点から、退院に向けた取り組みや自治体等との連携推進に資する評価などを論点として提示。委員からは「精神科の治療の9割が外来。診療所の位置付けが大事」、「精神保健福祉法改正の国会での議論が十分でない中で、診療報酬の議論が先行するのは疑問だ」などの意見が上がった(資料は厚労省のホームページ)。

厚労省提示の主な課題と論点案は次の通り。

精神保健指定医の取り扱い

精神保健指定医としての業務は、措置入院等の精神保健福祉法に係る入院の手続き、患者の診察、症状消退の判定等といった、入院業務に係るものが多い。
精神保健指定医数は増加しており、約1万5000人おり、主な診療科が精神科の医師数とほぼ同数となっている。
精神保健指定医については、指定申請に当たり、自ら診断、治療に十分に関与していない患者についてケースレポートを提出したとして、精神保健指定医の取り消しが行われた事案が発生した。このため、精神保健指定医の指定に係る取り扱いが見直される予定となっている。
精神保健指定医に関連する診療報酬上の評価には、精神科救急入院料等のほか、通院精神療法など外来患者の診察に係るものが含まれている。
論点案:精神保健指定医の創設経緯や役割、指定医に求められている業務内容が入院患者に係るものが主であること等を踏まえ、通院・精神療法等における精神保健指定医の評価の見直しを検討してはどうか。

措置入院に係る医療

精神保健福祉法の下、入院させなければ精神障害のために自傷他害のおそれのある精神障害者を、精神保健指定医2人の診察等の一定の手続きの下で、入院させることができる措置として、措置入院がある。
措置入院の届出数は横ばいからやや増加しているが、在院日数は減少しており、在院患者数は、近年、減少傾向。
措置入院の患者の内訳を見ると、統合失調症等の患者が多く、65歳未満の患者がほとんどである。
措置入院の患者の退院後の支援体制を充実するため、退院後生活相談員の専任や、退院後支援計画の作成・決定、退院後の帰住地の自治体への引き継ぎ等を新たに行う内容を含めた、措置入院制度の見直しが予定されている。
診療報酬上の評価は、精神科措置入院診療加算等で評価されているが、退院後の継続的な支援に関する要件は規定されていない。
論点案:措置入院の患者の退院後の継続的な支援を充実する観点から、入院早期からの退院に向けた取り組みや自治体等との連携の推進に資する評価について、現行の精神科措置入院診療加算等による評価を踏まえて、どのように考えるか。

委員の主な発言は次の通り。

【診療側】
全日本病院会会長・猪口雄二氏:非自発的な入院患者は手がかかるため、評価が必要だ。

日本医師会常任理事・松本純一氏:全国で300万人以上が精神科の治療を受け、その9割が外来だ。診療所の位置付けが大事だ。

日医常任理事・松本吉郎氏:措置入院の対象に「自傷他害のおそれのある精神障害者」とあるが、自傷と他害は違う。(他害の場合は)患者によっては、医療監察制度も視野に入れないと対応は難しい。

【支払側】
日本労働組合総連合会総合政策局長・平川則男氏:(衆議院解散で精神保健福祉法改正案が廃案となり)国会での議論が十分でない中で、報酬の議論が先行するのは疑問だ。

厚労省保険局医療課長・迫井正深氏:法改正によらず行った方が良いという内容もあり、その点は診療報酬上の対応を行った方がいいのではないかと考えている。

厚労省社会・援護局傷害保健福祉部精神・障害保健課長・武田康久氏:措置入院者の社会復帰の対応は法整備にかかわらず検討していきたい。



https://dot.asahi.com/dot/2017101700030.html
九大、長崎大…世界的に評価される医学部 その背景に「最古」と「面接」
庄村敦子2017.10.18 07:00 dot.Asahi

 江戸時代に、近代医学教育の原点となった「小島養生所」が長崎に設立されて以来、日本の医療をリードしてきた九州地方。医学部受験に強い高校が多いだけでなく、人口10万人あたりの医師数も多いのが特徴だ。発売中の週刊朝日ムック「医学部に入る 2018」では、九州の国立大を取材。ここでは、その一部を紹介する。
*  *  *
「九州は医師数が多く、医学部人気が高いのは、魅力がある医学部が多いことがあげられます。九州大、長崎大、熊本大、鹿児島大は伝統のある名門大学で、研究でも成果をあげています」

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、そう話す。

 九州の国立大は、旧帝大の九大、旧六医大の長崎大、熊本大、旧医専の鹿児島大、新設医大の佐賀大、大分大、宮崎大、琉球大に分かれる。旧帝大、旧六医大、旧医専、新設医大の順で偏差値が高い。

 熊本で1930年に創立した医学部受験に強い壺溪塾の木庭順子塾長は、国立大の前期試験について、

「佐賀大と宮崎大はセンター試験重視の配点、九大、熊本大、長崎大などでは個別試験重視の配点です」と説明する

■「生物」と「面接」で注目を浴びる九州大

 九大と熊本大は、センター試験の生物が必須だったが、18年入試で熊本大、19年入試で九大が化学、物理、生物から2科目選択できるようになる。この決定に伴い、私立のラ・サールと久留米大附設などでは、現在の高2から生物の補講を行わないことなどを決めた。名門大学による受験改革の“余波”といえよう。

一方で、全国で九大だけ実施しないものもある。面接試験だ。

 18年入試で東大が面接を復活させることにより、面接を課さない医学部は九大だけとなる。17年入試から出願書類に「志望理由書」を追加した九大だが、面接は行わないのだろうか。この質問に対して九大から回答がなかったが、「そのうち九大も面接を実施するでしょう」というのが、高校や予備校関係者のほぼ一致した意見だ。
 九大医学部は、1903(明治36)年に開設した京都帝国大学福岡医科大学が始まりだ。九州の全医学部のなかでもっとも偏差値が高く、医学部を目指す九州の生徒の憧れ的存在だ。

 前出の上医師が言う。

「1961年から、福岡市の東に位置する久山町の住民を対象とした生活習慣病の疫学研究を続けています。この『久山町研究』は、世界的に評価されています」

■廃校の危機を乗り越えた 長崎大“不屈”の精神

 その九大より歴史があるのが、長崎大だ。

 1857(安政4)年に海軍伝習所の医官であったオランダ海軍軍医ポンペが、長崎奉行所西役所で日本人に医学の講義を行った医学伝習所が始まりだ。

「わが国の医学部の中で最古の歴史を持っています。1945年の原爆投下によって廃校の危機に陥りましたが、戦後、急速な復興を遂げ、現在では、原爆後障害医療研究所を中心とした放射線災害医療、熱帯医学研究所を中心とした熱帯医療、感染症、地域医療などの研究で、国際的な医学部に発展しました。研究医コースを設置しており、研究医の育成にも力を入れています」(永安武医学部長)

 世界で活躍する人材を育成するため、1~4年次に外国人教員による「医学英語」を実施。3年次と6年次には、選ばれた学生を海外協定校に派遣している。

 17年の入学者120人のうち、県内出身者は43人、長崎を除く九州が47人で、4分の3が九州出身者だ。

 若手医師、医学部生、医学部志望者向けの外科手術手技トレーニングや模擬手術体験セミナーも積極的に行っている。

(文/庄村敦子)

※週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』から抜粋



https://www.m3.com/news/iryoishin/560250
地域包括ケアでは医療費は削減できない-二木立・日本福祉大学相談役に聞く◆Vol.2
「医療者は積極的関与が求められる」

インタビュー 2017年10月16日 (月)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――地域包括ケアシステムの2つの源流(「保健医療系」と「(地域)福祉系」)は、どのように関係してくるのでしょうか。
 まじめにやっていると、それぞれが必要に迫られて融合するようになるはずです。私は病院チェーンの研究を進める中で、1996年に、保健・医療・福祉を一体的に提供しているグループの存在に気づき、「保健・医療・福祉複合体」と定義しました。

 全国的に見れば、独立した単機能の施設間のうるわしい連携(ネットワーク)が有効に機能している地域はごく一部の大都市部に限られます。逆に、大規模「複合体」が全ての保健・医療・福祉サービスの「囲い込み」を行っている地域も、ごく一部の農村部だけです。これらを両端として、大半の地域では、入所施設開設「複合体」、「ミニ複合体」、単機能の医療・福祉施設とが競争的に共存しているのが実態です。

 私が強調したいことは、病院だけでなく診療所も、本格的に地域ケア・在宅ケアに取り組もうとすると、程度の差こそあれ「複合体」を形成する必要に迫られるということです。地域ケア・在宅ケアを熱心に進めている診療所医師の中には、大規模「複合体」が利用者を囲い込むと毛嫌いし、独立した施設間のネットワークを絶対化・理想化している方が少なくないようです。しかし、大都市で往診専門診療所に特化されている方を除けば、診療所でも地域住民のニーズに応えるために「複合体」化しているところが少なくありません。「複合体」化しない場合にも、他の医療・福祉事業者との連携強化は不可欠です。

 地域包括ケア研究会の2015・2016年度報告書も、「複合体」の役割を積極的に評価するようになっています。

――今後はどのように展開していくと予想されていますでしょうか。
 国が全国一律に導入する「システム」であったら地域差はどんどん縮小していきますが、「ネットワーク」は良い意味でも悪い意味でも、それぞれの地域で作っていくしかないため、うまくいっている地域と、そうでない地域との差は広がっていくでしょう。私は対象を高齢者から全世代に拡大すべきと考えていますし、先進的な地域ではそのようになっていっています。厚労省のプロジェクトチームが2015年に発表した「新福祉ビジョン」も、全世代・全対象型地域包括支援」を提唱しています。

――医療者はどのように関わっていくべきでしょうか。
 政策的にも「地域包括ケアシステム」、「地域共生社会」が厚労省の“一丁目一番地”となっています。それに関わらなくて済むのは、大学病院、一部の巨大病院、専門病院ぐらいです。地域に密着せずとも広域から患者を確保できる医療機関以外は積極的に関わらないと生き延びられないでしょう。もちろん開かれたネットワークなので、大学病院も地域包括ケアシステムに参画できます。実際、愛知県では藤田保健衛生大学はとても熱心です。

 理想的には地域ケア会議に参加したり、福祉関連の人から相談に乗ったりすることです。医師はどうしても上から目線になりがちなので、本当の意味で多職種と平等になるように心がけるべきです。そうしないと患者も紹介してくれなくなるでしょう。これまでのように皆が外来に来てくれる時代ではないのです。

――地域包括ケアシステムは多職種の協働が必要とされますが、先生が学長を務めていた日本福祉大においてはどのような教育を行ってきたのでしょうか。
 昨年度から、社会福祉学部学生が藤田保健衛生大学の先駆的多職種連携教育(「アセンブリ」、必修科目)に参加させていただいています。これは同大学創設者の藤田啓介先生の発案した科目であり、この多職種連携教育は世界初かもしれません。医療は病気中心ですが、福祉の目が入ることで社会という視点が入ります。医療は深く狭い、福祉は広く浅い面があり、相補うことができます。最初は、本学の学生が劣等感を感じるのでは、と心配していましたが、そんなことはなく、お互い刺激し合っているようです。社会福祉学部は本年度に大規模なカリキュラム改革を行い、多職種連携教育も重視しています。

――地域包括ケアシステムによって、医療・介護費は低下するのでしょうか。
 厚労省も1990年代までは、地域・在宅ケアを拡充すれば医療・介護費が抑制できると思っていたようですが、21世紀に入ってからはそのような主張はしていません。少なくとも重度の要介護者・患者では、地域・在宅ケアの費用が施設ケアに比べて高いことは1990年代以降、膨大な実証研究により確立された国際常識になっています。例えば、OECDが本年出版した“Tackling Wasteful Spending on Health”(『医療の無駄への挑戦』)は、調査対象15カ国平均で、重度の要介護者(1週間の介護時間が41時間以上)の1週間の在宅ケア費用は1400米ドルで、施設ケアの費用約900ドルより5割も高いとの推計結果を発表しています(208ページ)。

 厚労省も地域・在宅ケアが医療費削減につながらないことはよく分かっており、そのことは強調しています。財務省も、厚労省との交流人事が多く、そのことは分かっています。ただ、経済産業省、内閣府には、医療の実態を知らず、空理空論で甘い考えを持った人がまだいるようです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564086?pageContext=m3com_PC_WebPush1.0&mkep=notification_click
医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理
厚労省と文科省、卒前・卒後の医師養成過程を大改革

レポート 2017年10月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省と文部科学省は、医学生が実施できる医行為を定めた1991年の“前川レポート”を四半世紀ぶりに改訂するとともに、医師資格のない医学生の医行為を法的に担保する方針を固めた。合わせて共用試験(CBTとOSCE)を公的な制度とし、その合格を医学生が医行為を行うための質的保証とする予定。さらに医学教育のモデル・コア・カリキュラムと臨床研修の到達目標の整合性を図り、改訂時期も合わせるなどして、診療参加型臨床実習の充実と、卒前・卒後の一貫した医師養成体制の構築を目指す。10月20日に開催された第5回「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、両省は方針を示した。

 “前川レポート”とは、旧文科省の「臨床実習検討委員会」がまとめた報告書。群馬大学学長の前川正氏が委員長を務め、「医学生の臨床実習において、一定条件下で許容される基本的医行為」を例示した内容で、同省高等教育局医学教育課長通知として全国の医学部等に発出されている。現行でも医学生の医行為は可能だが、共用試験とともに制度化することで、医学生の医行為の違法性阻却を担保する。厚労省は今後、厚生労働科学研究班を立ち上げ、医行為の実態調査などの実施も検討し、2017年度中に医学生が可能な医行為の整理を行う予定。

本検討会は当初、新専門医制度についての議論の場だったが、医師養成全般の議論に発展。

 全国医学部長病院長会議会長の新井一氏は、日本医師会と共同の「卒前卒後の医学教育改革のためのワーキンググループ」の提言案(以下、WGの提言案)を紹介。同案でも、共用試験と医学生による医行為を公的なものにすることに加えて、医師国家試験を抜本的に見直し、出題内容は診療参加型臨床実習に即したものに限定し、知識を試す試験であるCBTと差別化を提案している。新井氏は、「医学部6年生の時期を、医師国試の受験勉強のために台無しにしてはいけない」と指摘し、私見として、「(6年生の)12月ギリギリまで臨床実習を行い、1月に受験勉強、2月に医師国試を受ける」といったスケジュールが想定されると説明した。

 卒前の医学教育が充実すれば、必然的に卒後2年間の臨床研修も変わる。「臨床研修1年目は医学教育に、それに伴い2年目には専門研修が、それぞれ前倒しされることになるだろう」(新井氏)。WGの提言案に対しては、幾つかの質問が出たものの、支持する意見が複数出た。

 以前からCBTと医師国試の重複、医師国試対策のための受験勉強のために、診療参加型臨床実習を充実させても、いったん臨床現場から離れることになるなど、卒前と卒後の医師養成の“分断”が問題視されてきた。医師国試の見直しや臨床研修、専門研修の前倒しまでには一定の時間がかかると見られるが、シームレスな医師養成の第一段階として、医行為の改訂と法的位置付け、共用試験の制度化は、大きな一歩と言える。

 80大学で共用試験を実施、臨床実習後も2020年度から

 20日の会議で、厚労省は卒前・卒後の一貫した医師養成の見直しの論点として下記の二つを提示。

○医学生が行える医行為の整理や医学生の共用試験、臨床実習、医師国家試験および医師臨床研修の在り方
○医学教育モデル・コア・カリキュラムと臨床研修の到達目標の内容の整合性やこれらの見直し時期の在り方
 実際、既に卒前・卒後の医師養成のシームレス化の準備は進んでいる。共用試験は全国80の医学部・医科大学で実施、臨床実習修了後の「Post-CC OSCE」も2017年度は23大学でトライアルを実施、2019年度には全国の大学でトライアル予定であり、2020年度から正式実施の予定だ。2020年度に改訂予定の臨床研修の到達目標は、2017年3月に改訂した医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合性が取れるように検討している。課題は両者の見直し時期が一致していない点であり、今後の検討課題となる。

 厚労省の論点提示に呼応する形で、紹介されたWGの提言案は以下の通り。

1. 共用試験(CBT、OSCE)を公的なものにする。
2. 診療参加型離床実習の実質化を図り、Student Doctorとして学生が行う医行為を法的に担保する。
3. 国家試験を抜本的に見直す。すなわち、国家試験への出題は診療参加型臨床実習に即したものに限定し、CBTとの差別化を明確にする。
4. 1~3が確実に実施されれば、必然的に臨床研修の在り方も大きく変革しなければならず、臨床研修を卒前教育・専門医研修と有機的に連動させるべく、その内容を見直す必要がある。

 医学生による医行為について、NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「医学生が医行為を行う際に、一番戸惑うのは患者。患者が置き去りになることは避けてもらいたい」と指摘。新井氏は、「患者の同意を得た上で、医学生が医行為を行うのは当然。患者の立場を配慮した上で実施する」と説明し、理解を求めた。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「すばらしい提言だと思っている」と評価しつつ、診療参加型臨床実習の時間が増えるのに伴い、リベラルアーツ教育が手薄になる懸念を呈した。これに対し、新井氏は、医学部1、2年などに実施していたリベラルアーツの授業時間は減るものの、一方で6年間の医学教育を通して同時並行的にさまざまな手法でリベラルアーツ教育を取り入れ、プロフェッショナルリズムを涵養していくとした。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、医師国試について質問。共用試験は、公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構が担当し、各大学共通の評価システム、かつプロフェッショナルオートノミーで実施していることなどから、それに見習った医師国試改革の可能性を質問。同機構は、問題をプールし、受験生ごとに異なる問題をコンピューターでランダムに出題するCBT、問題の難易度等を調整したIRTという評価、OSCEの際の外部評価などを実施している。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、医師国試についても4年ごとに改善を進めているとし、渋谷氏の提案を今後検討していくと回答した。

 海外の大学卒の「予備試験」が問題に

 そのほか話題になったのが、医師法10条に定める予備試験。同条は「医師国家試験及び医師国家試験予備試験は、毎年少くとも1回、厚生労働大臣が、これを行う」と定めている。

 その趣旨を質したのは、日本医師会副会長の今村聡氏。武井課長は、「海外の医学校を卒業し、日本の医師国試を受ける際に行うのが予備試験」と説明。

 「外国人ではなく、日本人の受験者がとても増えている。3年前は30人くらいだったが、100人くらいに増えており、今後の医師養成の在り方に影響してくるのではないか」と質問したのは山口氏。武井課長は、年によって相違はあるが、現在は80、90人ほどであると説明。「医師国試を受けるのは、年約9000人であり、その1%未満。今後、その推移をフォローし、医師養成の中で予備試験の在り方を考えていく」(武井課長)。

 山内氏は、“2023年問題”への対応、つまり世界医学教育連盟(WFME)の基準に準拠した分野別認証を受けるために、日本医学教育機構(JACME)による評価を日本の医学部・医科大学は受審する必要があることから、「予備試験を受けるためには、この基準をクリアした医学部の卒業生に限るとなってくるのか」と質問。武井課長は、「予備試験や医師国試については、“2023年問題”などグローバルの流れの中で今後検討していく」と回答した。

 日本専門医機構理事長の吉村博邦氏の代理で出席した、同機構副理事長の松原謙二氏(日医副会長)は、10月に米シカゴで開催された世界医師会(WMA)総会での話題を提供。「世界的に医学部新設の動きがあり、その教育の質をいかに保証するかが問題になっている」と説明、医師国試に合格しさえすればいいのではなく、質保証された医学教育を受けた医師養成の必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564109
「在宅医療診療GL」をけん制、鈴木日医常任理事
厚労省全国在宅医療会議WG、エビデンス蓄積に向け小委員会

レポート 2017年10月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の第4回全国在宅医療会議ワーキンググループ(座長:新田國夫・全国在宅療養支援診療所連絡会会長)は10月20日、「在宅医療診療ガイドライン」作成の進捗状況が報告されたが、日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「在宅医療ありきという内容になっているのではないか。入院と外来、在宅のいずれかの医療を選択できるような体制が必要であり、一方的に出てきたガイドラインが独り歩きすると問題」とけん制、その取り扱いについては慎重な対応が必要だと指摘した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「在宅医療診療ガイドライン」は、日本老年医学会、日本在宅医学会、国立長寿医療研究センターが主体となり、作成を進めている。訪問系医療・介護サービスに関する33のクリニカルクエスチョン(CQ)について、有効性に関するエビデンス収集が目的。2016年から作成を進め、2018年1~2月には外部評価・パブリックコメントを求め、4月には公開予定だ。

 鈴木氏は、例えば、「肺炎患者に、訪問診療による治療は入院治療に比較して有効か?」というCQを挙げ、患者の状態や家庭環境などさまざまな要因に左右されることから、「非常に単純化されている」と指摘。在宅医療を推進する上でも、入院治療と対立構造にしない方がいいとした。

(2017年10月20日の全国在宅医療会議ワーキンググループ資料)

 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の辻哲夫氏も、「基本的には在宅医療は、入院せずに在宅にいたい、という患者向け。『Yes or No』などと単純に結論が出るものではないので、従来のガイドラインよりも幅の広いものと考え、議論してもらいたい」と求めた。

 「在宅医療診療ガイドライン」作成に携わっている国立長寿研究医療センター在宅連携医療部の三浦久幸氏は、「現在のCQは、在宅療養中の何らかの疾患を有する患者に対する訪問系医療・介護サービスの有効性に関するエビデンスを収集するもの」とし、病院から在宅への移行等のエビデンスには欠けているなどの限界はあると説明。その上で、「日医など関係団体にチェックしてもらった上での発表になると思う」と述べ、理解を求めた。

 同じく「在宅医療診療ガイドライン」作成メンバーである日本老年医学会の飯島勝矢氏は、前身の「在宅医療に関するエビデンス・統計的レビュー」(2015年3月発行)を引き継いだ取り組みである上、疾患系のガイドラインとは異なり、エビデンスが少ないことから、「ガイドラインという名前を付けていいのか、議論があった」と説明。「ガイドラインとの名前を付けているが、(訪問系医療・介護サービスについて)今まで何が言われているのか、どこが弱いのかなど、今後研究を進めていくに当たって、スタートラインに立つ情報を集めている段階」(飯島氏)。

 その上で、飯島氏は、「機動的な小委員会」の立ち上げを提案。新田座長も支持した。今後、新田座長が中心となる小委員会で、別途、訪問系医療・介護サービス等に関するCQ設定やエビデンス蓄積などを行っていく見通し。飯島氏ら、「在宅医療診療ガイドライン」作成メンバーも加われば、小委員会での意見が同ガイドラインにも反映されていくものと見られる。

全国在宅医療会議ワーキンググループは、今年3月以来の開催。

 在宅医療連携モデル構築に向け調査

 厚労省は2017年3月、在宅医療の推進に向けて、各関係者が重点的に対応すべき「重点分野」を策定した(『在宅医療、二つの「重点分野」で推進』を参照)。(1)在宅医療に関する医療連携・普及啓発モデルの構築、(2)在宅医療に関するエビデンスの蓄積――の2つだ。20日の会議は、厚労省の取り組みなどの進捗状況を確認する目的で開催された。

 厚労省は、以下の3点について報告。

・在宅医療連携モデル構築のための実態調査事業
 10~15地域の連携モデル地域を選び、各医療機関の実務実態に関する調査を実施。10~11月にかけて調査対象地域を選定、2018年1月調査実施、2月集計・分析等、3月報告書作成というスケジュールを予定。

・人生の最終段階における医療の普及・啓発等の取り組みに関する、自治体への実態調査
 2017年2~3月に、都道府県と市区町村を対象に調査を実施。住民に対する普及・啓発を目的とした資料(パンフレット等)を「作成」「現在作成中」の都道府県は3割弱、市区町村は1割弱。資料作成・配布の効果を実感している自治体がある一方、取り組みが遅れる自治体もあることなどが明らかになっている。

・在宅医療にかかる地域別データ集の作成
 在宅医療に関連する統計調査等のデータについて、 1741 の基礎自治体別に再集計し、集約したデータ集であり、10月20日付でデータを追加(訪問診療・看取りを実施している病院数および実施件数、往診を実施している診療所・病院数および実施件数など。厚労省の「在宅医療にかかる地域別データ集」)。



https://www.m3.com/news/general/563157
【千葉】建て替え“待ったなし” 市立柏病院、深刻な老朽化
地域 2017年10月16日 (月) 千葉日報

 人口約42万人を擁する柏市の北部、布施地区に位置する市立柏病院。移転建て替え計画の凍結を経て、市は今夏、今後の建て替えの方向性は2019年度以降に判断する方針を示した。18年度内に新病院開院を目指していた当初の計画が大幅に先送りされる見通しだ。深刻な老朽化から建て替えは“待ったなし”の状況だが、早期に現地建て替えを求める住民側と、慎重姿勢を崩さない市側の議論は平行線をたどる。15日告示、22日投票の市長選を前に、同病院を巡る現状と課題を探った。(柏支局 花村愛弓)

 1993年に開院した同病院。市北部を代表する医療機関の一つだが、前身・旧国立柏病院時代の建物を使用しているため、病棟や外来棟は築40年を超える。

 迅速な現地建て替えを訴える市民団体「市立柏病院現地建替え対策委員会」の手塚建二事務局長(75)は「昔ながらの構造は動線が悪く、救急車も2台続けて進入できない。大型化する最新医療機器の使用の妨げにもなっていると聞く」と指摘する。

◆移転計画が白紙

 こうした状況を踏まえ、市は2014年、現地から約4キロ離れた柏の葉地区への移転新築計画を表明。同病院を管理する市医療公社管理課は「医師確保の実現性が高く、他病院や研究機関と連携した医療提供が可能と見込んだ」と話すが、布施地区の住民らの反対を受けて白紙となった。

 振り出しに戻った計画を前に、市は専門家らが同病院の在り方を検討する「市立病院事業検討専門分科会」を設置。審議を通し、同病院が抱える課題が改めて浮き彫りになった。

 その一つが、小児科病床の不足だ。分科会の調査によると、15年度の市内入院患者数(0~14歳)は、1日当たり89・5人だが、市内の小児専用病床は62床。小児科の入院(二次医療)に未対応の同病院は、体制整備が急がれる。

 財政状況も無視できない。建て替えに伴う事業費は約100億~125億円と試算されるが、現在の病床利用率約70%が続く場合、新病院開院時には経常損益が赤字になる危険性も。また、小児二次医療の確立には医師の確保が必須だが、同病院は駅から遠く、医師招聘(しょうへい)の重石となっている。

◆現地か明言避ける

 分科会が8月に市へ提出した答申では「病床利用率の達成(17年度75%、18年度80%)」などが建て替え条件とされ、「建設地は現在地が望ましい」とする付帯意見も提出された。市は「答申通り経営状況を見て、19年度以降に方向性を判断する」とし、現地か否かの建設地については、一貫して明確な言及を避けている。

 手塚事務局長は「条件は努力目標とすべき。市長は議会の質疑で『条件クリア後、直ちに建て替えるのか』という質問に『改めて審議する』と答えた。移転が頓挫し、公立病院を基幹とする医療施策を放棄しかけているのでは」と主張する。

 一方、市は「巨額の税金を投入し建て替えた後、医師は集まらない、経営は赤字、となっては困る」と強調。同課も「今は条件達成に向け、病院全体が一丸となり努力している」と理解を求める。

 だが、患者が抱く老朽化への不安も切実だ。定期的に同病院へ通院している同市の無職女性(78)は「お世話になっているが、診療室と検査室が離れていて高齢者にはつらい。入院になったとき、耐震面でも不安がある」と複雑な胸中を明かす。

 実際、病棟の構造耐震指標値は基準を約0・06ポイント上回るのみ。市は「建て替えまでは修繕で対応」とするが、答申は「限界値に近い。大規模修繕では対応しきれない」と指摘している。

 市長選では、3期目を目指す現職の秋山浩保氏(49)が答申尊重の姿勢。鈴木清丞氏(58)、坂巻重男氏(68)の2新人は「現地で早期建て替えの実現」を主張するが、同病院の周辺は住宅地で、敷地内には介護施設もあり、仮設地確保や騒音対策も重くのしかかる。手塚事務局長は「柏病院の周辺は医療機関が少なく、現地以外に選択肢はない。もう待てない」と語気を強める。

 地域に欠かせない医療機関。時代を見据え長期的に維持しつつ、発展させていくための最良策をどう導き出すか。リーダーの手腕が問われる。


  1. 2017/10/22(日) 06:09:25|
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