Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月20日 

http://www.47news.jp/localnews/hotnews/2017/08/post-20170818230631.html
北村山公立病院、来年4月から分娩休止 医師、助産師が不足
2017年08月18日 10:47山形新聞

 北村山公立病院(東根市)が来年4月から分娩(ぶんべん)の扱いを休止することが17日、分かった。産婦人科医の定年退職や助産師不足などで十分な医療体制を維持できなくなることが要因。継続・再開を模索するものの、現状で新たな人員の確保は難しい。お産に対応する医療機関は県内でも減少傾向にあり、周産期医療を担う人材不足の深刻化が背景にある。

 北村山地域では同病院の分娩休止により、お産に対応するのは東根市内の民間医療機関のみとなる。北村山公立病院は、東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町で組織する組合が設置主体で、管理者の土田正剛東根市長は分娩休止について「総合的に判断した」とし、人材不足により安全な出産環境の確保が難しいことなどを挙げた。

 同病院の産婦人科の常勤医は現在、来年3月で定年退職する大塚茂院長のみ。非常勤医の協力も得ながら年間100件ほどの出産を取り扱っているという。助産師は7人在籍するものの、うち2人は育休中。現在勤務する5人のうち2人が本年度末で退職するため、新年度からは夜勤体制が組めなくなるという。

 同病院によると、大塚院長は来年4月以降も常勤嘱託医として残る予定だが、負担の大きい分娩には携わらず妊婦健診などの外来対応を想定している。後任の常勤医や助産師の確保に努めているものの、人手不足などから難航しており、再開のめどは立っていない。

 出産については、24時間の対応や、命を扱うことに伴うリスクもあり、医師や助産師不足は全国的に慢性化している。県地域医療対策課によると、県内で分娩を扱う医療機関は今年4月現在、25カ所。2008年と比べて11カ所も減っている。対応する医療機関は村山地域に集中する一方、最上地域では県立新庄病院が唯一の分娩機関。病院や開業医の分娩休止により、提供体制の地域偏在が顕著になっている。

 土田管理者は「地方の医師不足を改善するには、めりはりの利いた診療報酬の改定や臨床研修制度の見直しといった国レベルでの改革が必要だ」と話した。



http://www.asahi.com/articles/DA3S13090058.html
(社説)新専門医制度 「患者本位」を忘れずに
2017年8月17日05時00分 朝日新聞 社説

 内科や外科、小児科などの「専門医」を育てる新たな研修制度が来年4月に始まる。

 国家試験に合格したあと、2年間の初期研修を終えた医師が対象だ。3年程度、研修先として複数の病院を回りながら知識や技術を現場で学び、試験に合格すると認定される。

 「専門医」という肩書・名称はすでにあるが、様々な学会が独自に認定しており、100種類を超えて乱立状態にある。名称も「専門医」「認定医」などが混在し、患者にはわかりにくい。新制度では全体を19の基本診療科に分け、統一した基準で認定するのが目標だ。

 患者本位の制度にするには、医療の質を高める機会とするだけでなく、患者が病院や医師を選ぶときの客観的な目安にできる仕組みが必要だ。専門性を重視するあまり、医師が自分の分野以外の患者は診察しない、ということになっても困る。専門医を認定する第三者機関「日本専門医機構」は、研修プログラムづくりを学会任せにせず、かじ取り役を担ってほしい。

 避けなければならないのは、新制度に伴う研修や指導のため、医師が大学病院や都市部の大病院に集中する事態だ。

 医師の数は04年の約27万人から14年には約31万人に増えた。ただ、研修先を選べるいまの初期研修が04年に始まってから、地方の大学を卒業した医師が大都市圏に流れ、偏在の一因になったと指摘される。

 専門医制度をめぐっても、地方の病院や自治体からは地元の医師不足の悪化を心配する声が強く、今年度の開始予定が1年間先送りされた経緯がある。

 機構は、(1)大都市圏の定員に一部上限を設ける(2)研修施設を地域の中核病院にも広げる(3)都道府県ごとに置く協議会を通じて地元から意見を聞いて研修プログラムを改善する、といった措置をとった。

 とはいえ、不安は解消されていない。自治体や厚生労働省と、研修で中心的な役割を果たす大学病院は、新制度がもたらす影響を注視してほしい。

 「総合診療専門医」の新設も、新制度の特徴だ。

 地域の病院や診療所で患者に対応するだけでなく、在宅医療や介護、みとりまで担うことが期待されている。人生の最後を住み慣れた地域や自宅で暮らすことを目指す「地域包括ケアシステム」に欠かせない存在だ。

 総合性と専門性をどう両立させるか。まずは、果たすべき役割をもっと明確にしたうえで、実践的な研修プログラムづくりに努めることが求められる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551107
「個別指導で医師の人権侵害阻止」、埼玉の開業医
地方厚生局から画期的回答「カルテに基づく質問は認められず」

2017年8月16日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 山崎外科泌尿器科診療所(さいたま市浦和区)院長で、埼玉県保険医協会常任理事の山崎利彦氏はこのほど、4年の長きにわたる個別指導を経て、二つの画期的な回答を関東信越厚生局から文書で引き出すことができた。一つは、個別指導は、行政手続法の適用を受けること。もう一つは、カルテなどを見てその内容について質問する「質問検査権」が地方厚生局に認められているのは監査の場合であって、個別指導では認められていないということだ。

 山崎氏への個別指導の第1回は2013年3月。第5回は2017年3月で、関東信越厚生局が、カルテとレセプト内容を突合して質問する場面はなく、レセプト請求の方法などについて一般的なやり取りをする「面談懇談形式」で終了、指導の結果は「おおむね妥当」で、診療報酬の返還などは伴わなかった。

 山崎氏は、「関東信越厚生局から、個別指導において『健康保険法に定めのない事項については、行政手続法が適用されるものと考える』との回答を文書で得た。全国保険医団体連合会をはじめ、全国の保険医が長年主張してきたことであり、厚生局が文書で回答したのは初めてのこと」とその意義を説明。

 個別指導は、レセプトで高点数が続いた場合やレセプト請求に問題があると想定される場合などに、地方厚生局が医療機関に対して実施する。ただし、健康保険法73条には「厚生労働大臣の指導を受けなければならない」とあるだけで、その詳細は「指導大綱」に基づき実施されるが、時に同大綱を逸脱したり、地方厚生局の高圧的な態度を機に、開業医が自殺を図るなど、「行きすぎた行政指導」が問題視されることがこれまで度々あった(『保険医の人権を守れ!指導大綱・監査要綱の改正案』などを参照)。

 1994年10月に施行された行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることが目的。地方厚生局の恣意性などを排除するため、同法に準拠した個別指導の実施や、「指導大綱」そのものの改正を求める声は依然から根強かった。その意味で山崎氏が関東信越厚生局から受け取った文書の意義は大きい。その内容は、以下の通り。

山崎氏が個別指導について関東信越厚生局から受け取った文書の抜粋

1.個別指導が行政手続法の適用を受ける点について
山崎氏の質問(抜粋):
 行政手続法と健康保険法との関係について、健康保険法第73条では、指導を受ける義務が規定されており、指導の日時・場所・指導内容については一定の裁量権があると思われるが、目的に照らし、合理的な範囲を逸脱してはならないことは明らかであり、また、これら以外について行政手続法の行政指導の条項が適用されるのは当然である。
関東信越厚生局の回答(2015年3月31日付):
 健康保険法に定めのない事項については行政手続法の適用がされるものと考えます。

2.地方厚生局が「質問調査権」を有しない点について
山崎氏の質問(抜粋):個別指導において、質問調査権があるのか否かを明確にしてもらいたい。
関東信越厚生局の回答(2017年2月28日付):
(1)個別指導は、健康保険法第73条に基づいて行うものであり、同法78条に規定されているような質問または調査権限(いわゆる質問検査権)は有していません。
(2)個別指導の実施方法は、保険医療機関等に課せられている厚生労働大臣の指導を受ける義務に基づき、関係書類を閲覧し、個別に面接懇談方式で実施するものであります。
(3)個別指導は、保険医療機関等および保険医等に課せられた義務である以上、指導において指導者の指示を被指導者が拒んだ場合には、個別指導を実施する権限を有する厚生労働大臣が、これを拒否していると判断することがあります。

 山崎氏の支援を続けてきた埼玉県保険医協会の副理事長を務める小橋一成氏は、今回の成果を「徹底して法律に則った個別指導を求めた結果。従来の個別指導では『監査的指導』が見られたが、面談懇談方式が今後徹底されれば、人権を侵害するような個別指導は一掃されるだろう」と評価。

 「山崎氏のケース、特殊」

 ただし、小橋氏は「今回は特殊な事例」と断る。「特殊」とは、山崎氏自身が法的根拠に基づく個別指導を受けるという強い意思を持って理論武装し、日常診療でもカルテ記載やレセプト請求に留意し、「個別指導の拒否」に当たらないよう、弁護士と相談しながら、慎重かつ丁寧な態度で関東信越局とやり取りを重ねたという意味だ。「個別指導の拒否」と判断された場合には、「監査」に移行する場合があり得る。「常に、『必要に応じて協力する』という姿勢で対応することが必要」(小橋氏)。

 山崎氏も、「私が求めたのは、カルテ閲覧の拒否ではなく、あくまで行政手続法に基づいた個別指導を行うこと」と念を押す。「面談している中で、カルテを見てもらった方がいいと私が思う場面があれば、いくらでも見てもらう。例えば、『外来管理加算を算定する際に、どのような内容をカルテに書いているか』と聞かれた時に、一般論ではなく、実際のカルテを見てもらい、その内容が妥当か否かを確認してもらった方が私としても安心」(山崎氏)。

 埼玉県保険医協会副理事長の青山邦夫氏は、「誤解してもらいたくないのは、法的に則り、保険診療のルールについて面接懇談する個別指導を実施すべきというのが、我々の基本的スタンスであるということ」と念を押す。「医学的、かつ保険診療のルールを踏まえた、きちんとした個別指導を実施するには、指導医療官の質も問われる。我々協会にはその資質を備えた医師がおり、指導医療官として採用してもらうよう、関東信越厚生局に申し出ている」(青山氏)。

 集団的個別指導の根拠も示されず

 山崎氏の4年にわたる個別指導は、次のような経過をたどった。まず2011年度に「集団的個別指導」の対象に選定された際、その根拠について示すよう求めたが、回答がなかったために、「集団的個別指導」を欠席。それが理由で、2013年3月に第1回の個別指導を受けた。

 第1回の個別指導において、山崎氏は弁護士の帯同のもと、録音と録画まで行った。そこで、興味深いやり取りが展開された。

 一般的な個別指導は、医療機関が直前に指定された患者数人分のカルテを持参し、個別指導の場で地方厚生局に提示。レセプト請求との齟齬等を指摘され、問題があれば診療報酬の返還を求められる。同様の問題があるか否かを、それ以外のレセプトとカルテについて各医療機関が自主的に調査、その結果として「自主返還」を求められることが多い。

 これに対し、山崎氏は、個別指導の法的根拠を確認し、カルテの提示は、健康保険法や指導大綱には記載されていない上、行政手続法は「任意の協力」により指導が成り立つとしていることから、関東信越厚生局に「カルテ閲覧」の根拠を質したが、同局に加え、埼玉県の国保医療課や立会人からも回答はなかった。「『カルテが提示されないのなら、指導の意味がないので、監査に移行する』などの誤った説明があったが、カルテを提示することなく、診療内容についての一般的なやり取りで終了した。指摘事項も1点だけだった」(山崎氏)。事務官から「本日の指導は、終了した」と告げられた。

 ところが指導の結果通知を待っていたところ、約3カ月後に個別指導の「終了」が撤回され、「中断」扱いに変わった。「カルテを閲覧していなかった」のがその理由だった。第2回の個別指導の再開通知が来たのは2014年3月。第3回が2014年9月、第4回が2016年11月、第5回が2017年3月3日だった。これらの個別指導に加えて、関東信越厚生局との文書による質問と回答というやり取りを続け、結果的に二つの画期的な回答を受け取った。

 カルテ、「持参物の確認」にとどまり、内容は見ず
 第5回の個別指導において、山崎氏はカルテを持参したものの、法律に則った形での個別指導を関東信越厚生局に求めた。「持参物の確認」という範囲でのカルテ閲覧にとどまり、関東信越厚生局がレセプトと突合することはなかった。「保険診療についての理解を深めるやり取りであり、医学的な内容も含めて、本当に有意義な指導を受けることができた」(山崎氏)。以下のやり取りで個別指導は終了、その結果は3月29日に通知された。

 山崎氏らは今後、今回の二つの回答について、医療者に広く周知していくとともに、個別指導の「中断」については健康保険法や通知等には規定がないことから、ルール作りを呼びかけていく方針。「私の個別指導においても、中断のルールがいまだ曖昧。その明確化を求めていくことが今後の課題」(山崎氏)。さらに指導大綱や監査要綱について、改正の対案も検討していく予定だという。

◆山崎外科泌尿器科診療所への2017年3月の個別指導の内容(山崎氏による)
・関東信越厚生局は、カルテの閲覧は、持参物の確認として、持参資料に不足はないかという観点で閲覧した。
・対象患者のカルテとレセプトの突き合わせをするのではなく、指導大綱で規定している「面談懇談方式」が実施された。
・関東信越厚生局側は、レセプトに基づいて診療内容、検査の実施方法・頻度、電子カルテの記述方法など一般的な質問をし、山崎氏が回答。山崎氏からも疑問点を技官に質問し、意見を聞くなどのやり取りが行われた。
・対象患者30件全てに実施、予定時間の2時間ちょうどで個別指導は終了。
・指導日から1カ月経たないうちに、結果通知が送付された。結果は、4年前の第1回個別指導の時と同様、1点の指摘事項を受けたのみで、「おおむね妥当」だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549980
医療維新
「日本医学会と日本医学会連合、併存の訳」 - 門田守人・日本医学会会長に聞く◆Vol.1  
歴史的経緯や役割の理解を求める

インタビュー 2017年8月13日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 この6月、日本医学会連合の会長選挙があり、12年の長きにわたって同職にあった高久史麿氏に代わり、新会長に就任したのが門田守人氏。門田氏は2010年4月から日本医学会副会長を務め、同会を日本医師会から独立した組織にすることを早くから働きかけてきた一人。

 日本医学会連合は2014年4月に、一般社団法人化した。日本医師会内には日本医学会が残り、二つの組織が併存、両方の会長を門田氏が兼ねる。「学術団体として活動する場合には日本医学会連合、日本医師会の学術機能にかかわる事業をサポートする場合には日本医学会として活動する」(門田氏)。門田氏に、会長就任の抱負をお聞きした(2017年7月19日にインタビュー。計2回の連載)。

――先生は2010年4月から、日本医学会副会長を務められていました。今回、会長に就任された経緯についてお教えください。

 自ら立候補したというより、加盟学会(社員)からの推薦です。日本医学会連合には128の加盟学会があり、まず会長にふさわしい人を推薦してもらいます。その上位候補者から日本医学会連合の2017年度定時総会の当日に、各学会が投票し、過半数を獲得できれば決定、過半数に至らなければ上位2人で決選投票という仕組みで、今回は私が選任されました。

 今の医療、医学は非常に複雑で、課題は多岐にわたっています。それを解決していくには、各加盟学会の力を結集していくことが必要。そのためにはまず日本医学会の成り立ち、日本医学会連合として2014年4月に一般社団法人化した経緯を理解してもらうことが必要です。いまだに日本医学会と日本医学会連合の二つの組織がなぜあるのかを理解していない方が少なくありません。二つの組織が誕生した経緯や目指すべき方向性について共通理解を得た上で、日常活動において日本医学会の集合体としての活動を推進することが重要です。


会長としての当面の仕事として、日本医学会と日本医学会連合の役割について、関係者に理解してもらうことを挙げる。
――先生は、日本医学会と日本医師会の関係については、2006年に日本外科学会会長に就任した際に、問題意識を持たれたとお聞きしています。
 以前から、日本医師会と日本医学会は対等の関係にあり、役割分担をしていると思っていたものの、専門医制度についての考えなど、両者で意見が食い違うところがあるという認識を持っていました。

 日本外科学会会長に就任した時には、各分科会は日本医学会から「分科会助成金」が支給されていることは知っていました。当時の額は年20万円です。詳細を確認したところ、「なお、送金は日本医師会から行います」とあり、「こんなに意見が食い違う日本医師会から送金されるとは、どういうことか」と疑問を感じたのです。

 日本医学会の事務局に、「定款を見せてほしい」と聞いたら、「我々医学会には、定款がありません。それは日本医師会の下部組織だからです」との回答でした。日本医師会の定款を確認したら、「日本医師会に、日本医学会を置く。医学会は各分科会より成る」と記載され、各学会は、分科会という形で日本医師会の中に位置付けられていました。しかも、「日本医学会の重要な会務については、日本医師会長の了承を得ること」となっていた。

 こうした現状を知り、「分科会助成金をもらうと、定款に書いていることを我々が認めていると解釈されても、おかしくはない」と考え、助成金を受け取ることをやめました。

――どんな点で日本医学会と日本医師会は、意見が対立していたのですか。もう少し詳しくお教えください。

 例えば、専門医制度。各学会がバラバラに制度を作っていたので、何とか標準化しようという機運が長年ありました。学会認定医制協議会(1981年に22の学会で発足)の議長、日本医師会長、日本医学会長の三者懇談会で、各学会の認定医あるいは専門医を承認する仕組み(承認シールと承認通知書の発行)などを作ったのは、1993年。しかし、「認定医の表示は、院内にとどめる」など、制限付きの仕組みにとどまりました。日本医学会や各学会は、専門医制度を整理し、国民がどこにどんな専門医がいるのかが分かる仕組み作りを目指していたのですが、自由標榜制を堅持する日本医師会とは相容れなかったのです。

 その後も、専門医制度については、第三者が評価する仕組みを作ることはなかなかできませんでした。それ以外にも、例えば診療報酬をめぐる議論など、日本医師会とは見解が違うとの思いがあります。

――それで日本医学会の歴史をひもとくことを始められた。

 日本医学会が、日本聯合医学会としてスタートした1902年は、明治35年に当たります。日本の西洋医学は明治の初期、主にドイツから輸入されましたが、ようやく自主独立できそうになった時期が明治35年頃。各専門分野が一堂に会して、医学のあるべき姿を議論すべきという機運が出てきました。しかし、日本医師会が全国組織としてスタートしたのは、それより10年以上遅れた1916年です。それ以降、日本医師会と日本聯合医学会は、並列して存在しました。

 日本医師会は第2次世界大戦時に全員加入の組織になり、戦後、GHQにより解散させられ、新制の社団法人日本医師会が誕生したのは1947年11月。一方、戦前戦後も日本医学会は継続して存在し、4年に1回の日本医学会総会を開催しており、戦後1946年開催予定の総会を1年延期したくらいです。

 しかし、米国のAMA(American Medical Association)が学術機能を持っているのに倣い、GHQの方針で1948年に日本医師会は日本医学会を統合。その頃の記録を見ると、「日本医師会は、医師一人一人が参加する団体。一方、日本医学会は学会が所属する団体であり、活動内容も違う」として、日本医学会内には統合を疑問視する声があったようですが、日本医師会の定款に、「日本医学会を置く」という規定が設けられました。

 こうした状態が2006年に我々が問題視するまで、約60年間続いてきたわけです。私は問題は日本医学会側にあると考えました。2007年に日本外科学会定期学術集会の会長を務めた際、会長講演でこの点に触れ、その後、日本医学会独立に向けた活動を始めました。2009年に日本医学会分科会に対してアンケートをすると、大半は独立すべきとの意見でした。

――「日本医学会側にも問題があった」とのことですが、どんな意味でしょうか。

 各学会を束ねるという役割を理解して、それに向けた活動をしていたのかが疑問という意味です。例えば、医師法21条の問題。1994年に日本法医学会が「異状死ガイドライン」を公表しました。臨床に関係する全学会が関係する問題でもあり、前もって医学会全体で議論しておけば、その後の混乱は少なかったのではないかと思います。医学会全体にこのような視点がなく、「日本医学会は、4年に1回、総会を開くだけの組織」というのが、多くの医師の認識だったと思います。

 もっとも、私達は何度も日本医師会などに日本医学会の独立を働きかけてきましたが、なかなかうまく行きませんでした。日本医師会の定款変更には時間がかかると想定され、日本専門医機構の社員になる場合など、法人格が必要な活動があることから、「名前を変えて法人化する」という選択肢を選び、「一般社団法人日本医学会連合」を設立したのが、2014年4月、日本専門医機構が同年5月に設立される1カ月前のことです。

――日本医学会と日本医学会連合は、どのような関係にあるのでしょうか。

 128の学会が集まった連合体であることは、日本医学会も日本医学会連合も同じもので変わりはありません。学術団体として活動する場合には日本医学会連合、それ以外に、日本医師会の学術面での機能を支援する場合、医療制度などについて日本医師会と協力関係を築く必要がある場合には日本医学会の名称で活動しています。ただ、法人化してまだ3年。歴史的経緯も含め、日本医学会と日本医学会連合の役割が理解されていないので、その説明に当面力を入れていき、その上で128学会のエネルギーを結集して、ガバナンスを利かせて各種課題に取り組んでいく方針です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549981
医療維新
新専門医制度、「2年延期は問題」- 門田守人・日本医学会会長に聞く◆Vol.2  
医学会の横断的課題に対処する体制構築

インタビュー 2017年8月18日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――具体的な活動としては想定されている課題があればお教えください。

 各種研究に関する倫理指針や個人情報の取り扱い、さらに国の研究費助成が最近減少している問題など、医学の学術団体として社会に対して発信していくべきことは多々あります。

 国の研究費助成が伸び悩む一方で、例えば、防衛省からの研究費助成が大幅に増加している現状があります。日本学術会議は今年3月、「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表、軍事目的の学術研究をけん制しましたが、医学研究が軍事目的に使われることは想定され、我々としても医学研究分野についてのあるべき姿を検討していくべきでしょう。

 さらに教育の問題、例えば卒後臨床研修や新専門医制度についても、学術的観点から、卒前と卒後の医師養成全体を踏まえて提言していく必要があります。

新専門医制度については、2年延期すべきではないと指摘する。

――新専門医制度は、日本医学会連合の加盟学会である各学会が直接的に関わる問題であり、かつ喫緊の課題です。

 先ほども触れましたが、専門医制度について我々日本医学会連合は、学会単位で運営する制度には限界があり、第三者機関による認証の仕組みを作るべきとの考えでした。2013年4月に厚生労働省の検討会報告書を経て、ようやく2014年5月に日本専門医機構が設立されました。

 しかし、2016年2月頃から、地域医療への影響を懸念する声が出始めました。厚生労働省が2016年3月に立ち上げた「専門医養成の在り方に関する専門委員会」において、私は「立ち止まることはない。微調整してスタートさせるべき」と主張しましたが、賛同が得られませんでした。そして、2017年4月の開始は延期になりました。その結果、専門医研修を始めようとした約8000人の若手医師たちが、宙に浮く状態になってしまった。確かに地域医療への配慮も大事ですが、これから立派な医師になろうとしている若手も大事。しかし、ブレーキをかけてしまったのです。

 今の新専門医制度をめぐる議論は、当初の精神はどこかに消えてしまい、おかしな方向に行っているのではないかと危惧しています。

――どこが一番問題だとお考えなのでしょうか。

 日本の医療提供体制の全体を考えた上で専門医の領域を決めるべきであり、各学会がそれまで運営してきたという理由で、各専門医を認定する制度では不適切だということです。

――新専門医制度の19の基本領域の妥当性について、あまり議論されたことはないように思います。

 だからこそ、我々は学術集団として、現状把握と分析を冷徹に行い、十分に議論を交わし、是々非々で主張すべきことは主張していかなければいけないのです。

――日本専門医機構は、2018年度開始に向けた準備は整ったとしています。スタートしつつ、軌道修正すべきなのか、あるいはもう一度、立ち止まるべきとお考えでしょうか。

 2年にわたって、若手医師たちを路頭に迷わせるのは問題。最初からパーフェクトな制度はあり得ませんので、スタートさせた上で、徐々に改善していくべきでしょう。

――領域横断的な問題としては、医療事故の問題もあります。
 私は、医療事故あるいは合併症などの問題は、必ず発生するという大前提に立ち、それを包み隠すのではなく、透明性を持って、医療者だけではなく、患者さん、国民も含めて議論していかないことには進歩がないと思うのです。そのための組織を作っていくことが大切だと考えています。

 最近読んだ本に、『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』(文藝春秋)があります。日本は、縦割り型の組織がそれぞれ仲間集団を作り、相互間の意思疎通を困難にさせるという“たこつぼ型社会”、小さな組織で対応しようとしがちです。そうではなく、お互いが納得するシステムをいかに作っていくか、多くの人が参画できるシステムを作れば、解決には至らなくても、納得が行く制度が作れると思うのです。日本医学会連合はありとあらゆるステークホルダーが関わっており、そうした場を作れば、問題解決の糸口を作れると考えています。

――日本医学会連合が取り扱うべき課題は、各領域にまたがる横断的な内容が多いと思います。どのような組織運営を想定しているのでしょうか。

 常時検討できる体制を作り、何か問題が生じれば、社会に対して迅速に発信し、専門学術集団としてのミッションを果たすことが重要だと考えています。

 日本医学会連合には4人の副会長がいます。幾つかの重要なテーマについて、副会長と担当理事を置き、委員会を作るなどして、議論を深めていきます。各加盟学会の専門家の方々の協力を得て、日本医学会連合としての方向性を整理しながら、定期的にメッセージを出していく方針です。こうした取り組みを強化しないと、我々の存在意義はありません。

――その辺りの体制はいつ頃までに、例えば今秋くらいまでにでき上がる見通しでしょうか。

 体制は早く作る必要があり、その方向性は今秋くらいには打ち出したいと考えています。ただし、実際に提言などを出していくには、もう少し時間がかかると思います。

――4年に1回の日本医学会総会は、形骸化しているとの指摘もありますが、そもそもどうあるべきだとお考えですか。

 確かに、ご指摘の通りの側面もあります。既に2年後の次回2019年の日本医学会総会の内容は決まっています。次々回をどうするかですが、各学会単位の学術集会と日本医学会の総会をどうすみ分けるか、どんな形態にするかなど、さまざまな検討課題があります。まだ時間的余裕があり、その前に優先的に検討すべき課題があるという認識です。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170818-196772.php
小高病院再編「医療の質...落とさないで」 説明会で南相馬市民
2017年08月18日 09時05分  福島民友新聞  

 南相馬市は17日、経営状況が悪化している市立小高病院(同市小高区)の経営再編について市民説明会を開いた。市は早ければ本年度中に入院病床99床を市立総合病院(同市原町区)に移管し、サテライト診療所とする方針を示したが、地元住民は病床の維持や医療サービスの質の向上を求め、反発した。


 小高病院は2006(平成18)年の市町合併後も、7診療科99病床を有し、地域密着型の1次医療を提供しながら、急性期医療と在宅医療の橋渡し役を担っていた。東京電力福島第1原発事故により小高区が警戒区域になった影響で一時閉鎖されたが、13年4月に外来診療を再開した。一方、入院医療は東日本大震災による建物の損壊や医療従事者不足により休止している。

 医療収益だけでは診療体制が維持できないため、国や県の補助金などに依存する経営状況が続いている。常勤医師や看護師など医療人材不足が深刻化、医療提供体制の維持は困難な状況だ。原発事故の避難による人口減少で、見込み患者数も減っている。

 市は16年度、総務省のガイドラインを基に市立病院改革プランを策定。小高病院を診療所として経営基盤を確立することや、全病床の移管により、外来診療と在宅診療への特化、総合病院との連携強化を取り組み方針に掲げている。

 説明会で地元住民は「小高に帰還する住民のために医療の質を落とさないでほしい」「診療所に認められている病床数19床は維持してほしい」などと求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550239
「2025年問題」後の“引き戦”も視野に - 鈴木康裕・厚労省医務技監に聞く◆Vol.2
2018年度同時改定、カギは「予見可能性」

インタビュー 2017年8月16日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――日本の医療が抱える問題としては、2025年に向けてどのように提供体制を構築していくかという問題もあります。

 70歳を超えると、患者自己負担が3割から2割になります。仮に医療費自体は変わらなくても、公費負担は増えるわけです。その上、2025年には団塊の世代が全員、後期高齢者になります。恐らくそこから5年、10年が日本の医療、介護のニーズのピークになるでしょう。ニーズの急増にどう対応するのか、財源はどう確保するか、これは全省的な課題であり、総力戦で取り組まなければなりません。

 さらに厳しいのは、医療、介護のニーズがピークを迎えた後、今度は減少してくる点です。言葉は適切ではないかもしれませんが、“引き戦”になるわけです。ニーズが増加する時代は、財源をどう確保するかなどは、いわば交渉ごとになります。しかし、医療費が前年度より減少する時代は、相当につらい。既に設備投資した費用をいかに回収するか。医師や看護師は今は非常に有効求人倍率が高いけれども、将来はどうなるか――。

 将来直面する諸問題をうまく乗り切るためには、その基盤をここ2~3年できちんと作らなければいけません。

2018年度診療報酬改定において重要なのは、2025年を見据えた「方向性」だという。

――「基盤」を作る際の基本的な考え方は。

 医療や介護のニーズが増え、その後は下がる時代。例えば、各職種の養成人数や仕事のやり方などをあまり固定的に決めてしまうと、ある時は足りない、またある時は余ってしまうということになりかねません。うまく全体のニーズの変化を見ながら、微妙なかじ取りができるようにしておくことが必要だと思うのです。

――2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も控えています。

 同時改定は、6年に1回しかありません。2018年度の次が、2024年度。2025年の1年前の時点なので、大きな舵を切れず、切ったとしても2025年に間に合うとは思えません。したがって、2018年度は、2025年を迎えるための同時改定としては、実質上最後になると思うので、方向性やペースを誤らないようにしないといけません。

――突然、大きく舵を切ることも難しいと思います。

 診療報酬の点数自体は、改定率や全体の財源の中でどう分配していくかによります。それに一喜一憂するよりも、私が大事だと思っているのは、全体の方向性、つまり予見可能性です。経営者は、借り入れして資本を投下、多数の職員を雇用して医療を営んでいます。その中身や規制の在り方が、2年ごとにコロコロと変わるようでは、安定的な経営はできません。経営者の思いを100%実現するのは難しいかもしれませんが、例えば、「10年後に、制度はこう変わる」と予見できれば、各医療機関は計画を立て、対応できるようになるでしょう。

――2018年度改定は、消費増税が延期された状態で、厳しい財源の中での改定になることが予想されます。

 2018年度は「経済財政運営と改革の基本方針2015」に基づく集中改革期間の3年目なので、社会保障費についてはまだ「5000億円増」に抑えるという目安があり、これを念頭に置いて改定することになります。問題なのは、その後ではないでしょうか。先ほども触れましたが、人口構成の変化は、公費負担割合に影響してくるため、高齢者が増加すれば、医療ニーズも、また医療費もある程度は高くならざるを得ないのだと思います。

 財政的な責任は、一義的には財務省にあります。しかし、内閣全体として考えた場合に、厚労省として責任を果たすためには、医療費増を所与とするのではなく、例えば健康・予防医療に力を入れるなど、医療費を一定程度抑制したり、ムダな部分は省く努力などをしなければなりません。

――「3つの境」や2018年度の同時改定以外に、注目されている分野は何でしょうか。

 個人的な関心もあって私が注目しているのは、製薬、医療機器産業です。年によっても若干違いますが、法人税の担税能力を産業別に見た場合に、最近は必ずトップ3に製薬企業が入るなど、日本の中で業績がいい産業の一つです。外資系であっても、また海外でまず治験をやり、そのデータを用いて日本で承認を得るなど、企業戦略はさまざまですが、いずれにせよ日本で売上を上げれば、当然法人税も納めるわけです。

 担税能力があり、これから少なくとも20年以上は成長していくと予測される産業における課題は、イノベーションにどう報いるかです。他から容易に財源を持ってくることはできず、国民の負担を増やすわけにもいかない。長期収載品とジェネリックに着目し、一定の財源をシフトして、「開発フレンドリーな環境」を整えていく必要があるのではないでしょうか。

 医薬品については、特に従来の低分子化合物からバイオ製品へのビジネスモデルの変化に、いかに対応するかが企業にとっての課題であり、その対応に報いることを考えなければいけません。

 低分子化合物の場合、各企業がライブラリーを持っており、その組み合わせで新薬候補の開発につながれば、研究者の方から提案する形が多かった。このやり方は、製薬企業の内製的な研究モデルに適しています。

 一方、バイオ製品はそうではなく、標的となるタンパク質が分かれば、それを抑える分子標的薬の開発につなげるなど、現場発、例えば大学発、ベンチャー発の分子標的薬が多いわけです。先取性、革新的な技術力や研究開発力を持って、バイオ製品の波にいかにうまく乗るかが重要。

 最近の成功例は、再生医療等製品。「条件及び期限付き承認」という制度を導入した結果、日本に今まで興味を持っていなかった多くの欧米系のメーカーが、日本への進出を検討しています。メーカーの狙いは、日本のマーケットではなく、ICH(医薬品規制調和国際会議)の参加国内で最初に承認を取得することにあるのでしょう。承認が取れれば、米国や欧州での資金調達が容易になり、次のステップに進める意義は大きい。その意味で、日本は再生医療についてはハブとして機能している好例と考えています。

――日本は、医療提供体制も整うなど、先端医療を提供しやすい環境が整っているのでしょうか。

 例えば、癌のゲノム医療については、承認範囲や実施施設を限定して比較的早期に承認、ただし結果については副作用も含めてきちんと報告してもらう。そして一定程度、知見が蓄積されたら、他の医療機関でも使える承認にするという2段階で考えてもいいと、私は思うのです。

――その辺りは、冒頭に言われたように、「省内の境」を越え、研究開発、承認、保険適用まで全て関わってくる問題です。

 だから、全省的にうまくチームを作り、一定の方向性を目指して取り組む必要があるのです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551452
医師の働き方改革とキャリア
産婦人科医の過労自死を受けて声明、学会・医会
基幹の分娩取扱病院、大規模化・重点化を推進

レポート 2017年8月15日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は8月13日、「分娩取扱病院における産婦人科勤務医の一層の勤務環境改善」を求める声明を公表、「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」に基づき、地域の基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化を強い決意を持って推進する方針を表明した(資料は、同学会のホームページ)。分娩取扱病院の管理者に対しては、産婦人科医の勤務実態を把握して、それを正当に評価・処遇し、勤務環境の改善に取り組むよう要望している。

 今回の声明は、都内の病院の30代半ばの産婦人科勤務医が自死したのは、長時間労働が原因であるとし、労災認定されたことが9日に公表されたことを受けた対応(『産婦人科後期研修医の自死、労災認定』を参照)。

 声明ではまず「現場で奮闘していた若い仲間を、このような形で失うことになったことは、専攻を共にする同僚として痛恨の極み」であるとし、「学会・医会は、産婦人科医の勤務環境の適正化に対し、極めて重大な責任を感じている」と厳しく受け止めていることを説明。

 学会・医会はこれまで、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化の推進を通じて、勤務条件の改善を進めてきた。1施設当たりの分娩取扱病院の常勤産婦人科医数は、2008年の4.9人から、2016年は6.5人となり、33%増加したものの、妊娠育児中の医師の増加等により、夜間勤務可能な医師数の増加は限定的のため、推定月間在院時間は2008年の317時間から、2016年の299時間へと6%減にとどまっている。

 学会は、2015年度に「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」を策定、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化の推進を提唱した。声明では、24時間対応が必要な基幹病院の産婦人科では、人数が多ければ、当直等の負担軽減、弾力的な勤務体制への対応などが可能となると指摘。産婦人科医の増加とともに、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化を推進する方針を改めて掲げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550917
新専門医制度、行方見えない不安- 医学連インタビュー◆Vol.2
女性医師のキャリアも心配

インタビュー 2017年8月13日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――自身のキャリアについては、どのような考えを持っていますか。また、情報はどのように得ているのでしょうか
土肥 病院実習が始まるまでは、リアリティーを持って考えていなかったのですが、実習が始まると、興味がなかった科も、どの科も面白いです。内科に興味があったのに、外科回ってみたら好きかもしれないとか、実際見てみると変わりますね、目移りします。途中で結婚・出産などで離れたときにどうなるのか、いまいち分かりません。「戻れるよ」という話も、やっぱり「復帰はきつい」という話も聞きます。新専門医制度に関しても、やってきた人がいませんから、結果的に専門医を取るまで長くなるという話も聞くと、年齢的にどうなのか、自分の医師人生がどうなっていくのかが少し不安です。制度の内容がもう少し明らかになり、「ここで1回休んだらこうなるよ」というのが見られると安心するのかなと思いますね。

 女性でも働けるよというコラムなどをよく見るのですが、その先生方は自分とは違うのではないか、スーパーマンなんじゃないか、と感じて等身大のものとして見られない部分があります。その人だから頑張れたのではないかと思ってしまうので、もう少し自分に落とし込めるものがあるといいと思います。

 またキャリアについては、地域枠入学者たちはどうなるのかなというのも気になっています。地域枠の人に話を聞くと、(義務年限の)9年間残らざるを得ないといったマイナスな気持ちも聞くため、もっと前向きに考えられるような制度だったらと思います。

山田 地域枠も「しばる」のではなく、地域で働きたい医学生の想いを後押しする制度であってほしいですね。そのための地域枠の学生同士の交流の場や学習の場を年1回でも設けている大学はあります。

大滝 ポリクリが始まって、医局の先生方の働き方を見たり、「どういう風にキャリア形成されていますか」と女性だけでなく男性の先生にお聞きしたりすると、おおよそどの先生も、その場での出会いや流れに乗っていつの間にか今に至る、というようなキャリア形成をされているような印象を持ちました。どこの業界でもそうなのかもしれないですけど、「こういう人に知り合って、この人に教えを請いたいな」とか「ここの医局は雰囲気がいい」とか、そういうところでみなさん決めているのかなというのはあると思います。

 ただ一方で、自分のプロフェッショナリズムを維持し研鑽していかないといけないという点で専門医制度があると思うのですが、今制度が改変されている最中で今後どうなるかがまだ見えない中で考えていかなければならないことは難しいことです。働く場所に関して今のところ同期で話しているのは、新専門医制度もあるのでまずは出身大学に残り研修を終えてから移動した方がキャリア形成しやすいのではないかということです。

山田 (まだ始まっていないので、新専門医制度下で研修を受けた人がいないため)新専門医制度に関しては参考になる人がいません。「君たちが参考にされる側だよ」と先生方から言われることもあります。キャリアについては、だいたい研究者か、臨床で何科になるかくらいの選択肢しか、先輩からも先生からも提示されないようにも思えます。例えば山中伸弥先生みたいにiPS細胞を作るとか、医療にAIが導入されたときに、開発をする人になるとか、医療行政の道に進む人など、臨床や研究以外の働き方の多様な提示があったら多くの医学生はありがたいなと感じるのではないかと思います。そういうロールモデルに出会っていなかったので、病院見学に行くにしても、「君は何科になりたいの」としか聞かれないし、どんな医師になりたいとか、どんな働き方がしたいとか、生涯を懸けて何を極めたいとか、そういうことはあまり聞かれないですね。病院によっては、「君は残るつもりはあるの」と、それを最初に聞くところもあって、「いきなりそこか」と思って答えたりします。

――キャリアについての大学のサポートはどのようなものがありますか。
山田 前向きに取り組んでいる大学もあれば、そうでない大学もあると聞いています。極端なところでは、そんなことやるくらいなら勉強しなさいという言い方をするところもあります。学生としては具体的な取り組みやサポ―トがあればいいですが、そこまではいかないとしても、困ったときに相談できる窓口があるかないかだけでも全然違うと思います。あれば学生も安心します。学校として用意されていないときには、自治会などが、学生ですが役割を果たしていたりもします。

大滝 大学には就職相談窓口があると思います。医学部の場合は、大学によっては教育センターがあるところも幾つかありますが、教育センターがなく学務課の担当者が対応するのみで専門的にキャリアの相談をする窓口がない大学もあります。自分を含めて将来どうするか相談するとき、友人やポリクリで回っている時に先生方に尋ねるくらいです。キャリアについて相談できる機会は非常に限られているなと感じています。



http://www.medwatch.jp/?p=15300
地域包括ケア病棟の2分論、少なくとも2017年度データを見てから議論すべき—日病協
2017年8月18日 | 2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 中央社会保険医療協議会などでは、地域包括ケア病棟について、例えば「在宅で急変した患者を多く受け入れている病棟」と「急性期後の患者を多く受け入れている病棟」などに2分する議論が出ているが、現段階での議論は時期尚早である。少なくとも2017年度のデータを見てから議論すべきではないか—。

 全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会では、現時点ではこういったスタンスをとっていることが、18日に開催された定例記者会見で明らかにされました。

認知症治療病棟、急性期対応を行うが、9割の患者は在院日数61日以上

2016年度改定直後のデータでは、現状を反映していない可能性も

 地域包括ケア病棟(病室含む、以下同じ)は、(1)急性期からの受け入れ(post acute)(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ(sub acute)―の3機能を合わせ持つ病棟・病室として、2014年度の診療報酬改定で創設されました。

 2018年度の診療報酬改定に向けて、中医協や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で議論が進んでいますが、その中で「機能に応じた2分論」が浮上しています。これは、厚生労働省の調査から、▼自院や他院の急性期病棟からの受け皿(前者55.4%、後者15.8%)として活用している病院もあれば、5.4%と少数派ながら「在宅医療の後方支援として、急変時などの受け皿」として活用している病院もある▼「自宅や特別養護老人ホームなどから入棟した患者」と「それ以外の患者」とを比較すると、前者で「患者の状態が不安定で急性期治療を行っているので入院継続が必要」という割合が高い—ことなどが分かったことから、浮上したものです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

この点について日病協の代表者会議では、「厚労省の示したデータは、手術と麻酔を出来高評価とした2016年度の前回診療報酬改定直後のもので、病院側が十分に改定内容に対応できておらず、現状を適切に反映していない可能性がある。少なくとも、改定から1年を経過した2017年度のデータを見てから機能に応じた評価が必要かといった議論をすべきではないか」という意見が多数出ていることが、原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました。

入院医療分科会では、2016年度・2017年度の2度に分けて、2016年度改定後の状況を調査しており、2017年度調査の結果は今秋に報告されます。地域包括ケア病棟の2分論を含めた見直し論議は、秋以降に本格化すると見られます。

 
なお、日病協では2018年度診療報酬改定に向けた第2回要望の検討も進めています。現在、各団体からの要望を受け、▼急性期病棟(主に7対1・10対1)▼地域包括ケア病棟▼精神病棟▼慢性期病棟▼医療介護連携(訪問看護やリハビリなど)―の5つの柱に沿って取りまとめ作業を行っている最中で、原澤議長は「11月末の代表者会議で取りまとめる方向で検討している」ことを明らかにしましたが、医療経済実態調査の公表時期如何によっては少し遅れる可能性もあります(関連記事はこちら http://www.medwatch.jp/?p=13574 )。



http://www.medwatch.jp/?p=15294
療養病床入院患者の在宅移行促進に伴い、在宅医療や介護サービスの整合的な整備を―厚労省
2017年8月18日 | 医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)と新たな介護保険事業(支援)計画(第7期介護保険事業(支援)計画)がスタートするが、在宅医療や介護サービスの整備量を見込む際には、両計画の整合性を図る必要がある—。

 厚生労働省は10日に発出した通知「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画における整備目標及びサービスの量の見込みに係る整合性の確保について」の中で、こうした点を改めて強調するとともに、整合性を保つための基本的な考え方を整理しています。7月31日に発出された第7次医療計画作成のための通知(改正通知)を補完するものと言えます。

ここがポイント!
1 療養病床入院患者のうち医療区分1の70%相当は在宅への移行を促進
2 療養病床から介護医療院への転換や、退院患者の動向データなどを勘案

療養病床入院患者のうち医療区分1の70%相当は在宅への移行を促進

 第7次医療計画に包含される地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量が少ない患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療や介護施設などで対応する」こととされています。高齢化の進行で在宅医療や介護施設などの需要が増加しますが、こうした「新たな需要増」も考慮して、医療計画・介護保険事業(支援)計画の中で在宅医療・介護施設などの整備量を見込む必要があるのです。医療計画の見直し等に関する検討会での議論を経て、今般、考え方が整理されました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

今般の通知では、まず「新たな需要増」として、次の点を考慮することを改めて指示しています。具体的には下記(1)から(3)について、将来推計人口を用いて▼2020年度末(第7期介護保険事業(支援)計画の終了時点)▼2023年度末(第7次医療計画の終了時点)―における「新たな需要増」を推計します(市町村間での調整は可能)。

(1)慢性期入院患者(療養病棟入院基本料、療養病棟特別入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、有床診療所療養病床特別入院基本料を算定する入院患者)のうち、構想区域に住所を有し、医療区分1である患者の数の70%相当
(2)慢性期入院患者のうち、構想区域に住所を有し、入院受療率の地域差を解消していくことで介護施設・在宅医療などの需要として推計する患者の数((1)を除く)
(3)一般病床入院患者(回復期リハビリ病棟入院料の算定患者を除く)のうち、医療資源投入量で、構想区域に住所を有する者の数から、「在宅復帰に向けて調整を要する者(医療資源投入量175点以上225点未満)」「リハビリを受ける入院患者でリハビリ料を加えた医療資源投入量が175点以上となる者」の数を控除して得た数

療養病床から介護医療院への転換や、退院患者の動向データなどを勘案

 次に、推計した「新たな需要増」に対応するために必要となる在宅医療・介護保険施設などの整備量を推計することになります。具体的に「在宅医療でどの程度対応するのか、介護保険施設などでどれだけ対応するのか」は、都道府県(医療計画、介護保険事業支援計画を作成)と市町村(介護保険事業計画を作成)との「協議の場」で調整・協議することになりますが、厚労省は以下のような基本的な方針を示しています。

 まず(3)の「一般病床における医療資源投入量の少ない入院患者」の多くは、退院後に外来医療を受診することが分かっており、「新たな需要増」のほとんどは、「療養病床の入院患者が在宅移行する」ために生じるものと言えます((1)と(2))。一方、2018年度からは「療養病床から介護医療院への転換」も進められます。そこで、厚労省は別途お伝えする転換意向調査を行い、▼医療療養については2020年度末・2023年度末の見込み量を「追加的需要の下限」として設定する▼介護療養については意向調査により把握した2020年度末の見込み量を「追加的需要の下限」として設定する(2023年度末に介護療養の全数相当を追加的需要として設定する)―よう求めています。

また、介護医療院で対応する分を除く部分については、▼現在の療養病床数▼これまでの在宅医療・介護サービス基盤の整備状況▼病床機能の分化・連携、地域包括ケアシステムの深化・推進を踏まえた将来の在宅医療・介護サービス基盤の在り方―などを踏まえて、在宅医療と介護保険施設などとの間で対応分を按分して、それぞれの整備目標に反映させることになります(前述のように、具体的には都道府県と市町村との協議の場で設定)。

さらに、在宅医療・介護保険施設など整備量を考えるに当たっては、次のような資料も参考にすることが求められます。

▼患者調査や病床機能報告における「療養病床を退院した患者の退院先別のデータ」などを参考にする

▼各市町村において国保データベースを活用し「療養病床を退院した者の訪問診療や介護サービスの利用状況」などを把握する

▼各市町村における独自のアンケート調査、現状における足下の統計データなどを活用する

 ところで、第7次医療計画は2018-23年の6年計画ですが、2020年度に中間見直しを行います。また介護保険事業(支援)計画としては、2018-20年度の第7期計画と2021-23年度の第8期計画があり、▼2020年度▼2023年度―の2つの節目があると言えます。このため、在宅医療の整備目標についても▼2020年度末の整備目標▼2023年度末の整備目標―の2点を設定することが求められます(介護保険施設などの整備目標は、当然、第7期・第8期計画のそれぞれで設定することになる)。

 また厚労省では、「第7期に必要な整備が行われない場合には、第8期に繰り越して対応しなければならない」点に言及し、「計画的な整備」の必要性を強調しています。例えば、介護保険施設などの整備は介護保険料の上昇につながるため、「とりあえず、当面の介護保険料を抑えよう」と考えてしまえば、後の第8期計画で「急激な整備→介護保険料の急激な上昇」となってしまう恐れがあるためです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551240
m3.com意識調査
高校、大学所在都道府県の勤務が最多
医師確保には「解決策にならず」

レポート 2017年8月14日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省が7月31日、医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、医学部の地域枠の入学生は、原則として地元出身者に限定することや、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けることなどの内容だ(『「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知』を参照)。

 医学部の地域枠についてm3.com医師会員に聞いたところ、Q2の「出身地(本質問では、出身高校の都道府県)と出身大学の所在都道府県、現在の勤務地は同じですか?」で「全て同じ」が開業医26.6%、勤務医26.4%でともに最も多かった。一方で、「出身地と出身大学が同じ」、つまり勤務地だけが別という会員は一番少なかった。

Q1:地域枠の入学生を、その大学がある所在地の地元出身者に限ることが、地方での医師確保につながると思いますか?
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 勤務医では「思う」が約半数で、「思わない」と差が開く一方、開業医では、「思う」との回答が多いものの、あまり差が出なかった。

Q2:出身地(本質問では、出身高校の都道府県)と出身大学の所在都道府県、現在の勤務地は同じですか?
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Q3:修学資金貸与を受けた地域枠学生の卒後の「義務年限」、何年くらいが妥当だとお考えですか。
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 「5年」と、医学部の修業年限の1.5倍に当たる「9年」がいずれも30%前後と多くを占めた。

【地域枠は医師確保につながらない】

(医師のコメント)
個人の卒後勤務地を入学条件に加えたり、経済条件を加えたりしても、勤務地偏在の根本的解決策にはならない。防衛医科大や自治医科大でも卒後返済して自由を選ぶ人がいることがその証である。都市に政治経済文化機能を偏在させている今の政治に原因の根幹がある。大学の学費は先進ヨーロッパ並みに(奨学金ではなく)無料化すべきで、公立大の学費を値上げして就学を経済的に困難にしているのは国家の損失である。

私の出身大学は当時推薦枠があり、現役生20人を高校推薦で入学させていたが、ほぼ全員が出身大学に残らなかった。

本来の目的は地域医療における医師確保だったのだが強制力がなかった。

地域枠に対してその地域に関連のない受験生も広く受験できるのであれば良いですが、実質はその地域に関わりのある受験生に限定されていることが殆どで、受験生の受験機会を奪うことになっています。それを県立大学が行うのであれば、ある程度の納得はできますが、国立大学が行うのには違和感があります。私たちの治めた税金で賄われる国立大学であれば、国民が等しくその恩恵を享受できる環境にあるべきだと思います。

【強制力を伴う対策を】
(医師のコメント)
現実的ではないが地域枠には地域限定医師免許証にして、出身大学研修必須、その後一定期間貢献したら普通の免許証も交付される。拘束期間が10年ぐらいあれば、妻子などもできて定着する人も多いのでは?これぐらい強制しないとただの推薦枠と変わらない。

国立大学は全て都道府県に委譲し、知事のもとで半数は大学所在地の学生を受け入れ、大学所在地内での研修を義務付ければよいと思う。国立大学である必要があるのだろうか。東京医科歯科大や京都府立医科大が既にあるので、東大と京大は研究大学として病院施設は廃止する方向はどうだろうか。



http://www.sankei.com/region/news/170820/rgn1708200035-n1.html
千葉の医学部生が知事と面談 資金貸し付け就業条件などで要望
2017.8.20 07:02 産経新聞

 人材不足が叫ばれる医師の確保に向け、県が設置している医師修学資金貸し付け制度を利用している医学部生6人が森田健作知事と県庁で面談。目指す医師像や、制度への要望などを伝えた。

 厚生労働省の調査によると、平成26年の人口10万人当たりの県内の医師数は全国45位の182・9人。全国平均の233・6人を大きく下回り、県は21年度から貸し付けを実施。医師免許取得から一定期間を県内の医療機関で勤務すれば返還が全額免除となる。

 この日は、千葉大医学部の学生らが知事と面談。将来の夢を伝えるとともに、県内での一定期間の就業が返還免除の条件とされていることからキャリアへの影響を懸念する声や、医療現場の要望が反映される行政運営を求める意見なども伝えた。

 市川市出身で帝京大医学部(東京都)4年の笠井健司さん(23)は「資金のおかげで学費がまかなえるのでありがたい。医療を通じた地域の活性化に貢献できる医師を目指したい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/552225
日病協、来年度改定要望第2弾は5項目が柱
リハ病院・施設協会が正式加盟、地域包括ケア病棟協会はオブザーバー

レポート 2017年8月19日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は8月18日の定例記者会見で、2018年度診療報酬改定に向けての日病協としての要望書の第2弾について、▽急性期関連▽地域包括ケア病棟関連▽精神病床関連▽慢性期関連▽医療と介護の連携――の5項目を骨子としていくことが決まったと報告した。要望書の第1弾は今年5月に提出しており、第2弾は中医協などの議論を見据えながら11月を目処に提出予定(第1弾は『日病協、2018年度改定への要望書案を策定』を参照)。

 6月からオブザーバー参加している日本リハビテーション病院・施設協会が9月から正式加入することが決まった。前回の会議で議題に上がった地域包括ケア病棟協会(仲井培雄会長)の日病協への加入については9月からオブザーバーとして参加する(『日病協、地域包括ケア病棟に関する議論を注視』547671を参照)。原澤氏は「次回改定は地域包括ケア病棟がかなりの軸になる。専門的な見地から意見をお聞きしたい」と話した。



https://www.m3.com/news/general/552133
眞榮会が民事再生法申請 佐倉の社福法人 負債24億円
地域 2017年8月18日 (金)配信千葉日報

 帝国データバンク千葉支店によると、佐倉市の社会福祉法人、眞榮会(石岡英明理事長)が17日までに、千葉地裁に民事再生法の適用を申請した。負債額は約24億円。

 2013年設立の同法人は、同市下志津で特別養護老人ホームや居宅介護事業所など3施設を経営。16年3月期の売上高は約2億5600万円だったが、施設開設に伴う借入金負担などから今回の措置となった。

 千葉県内での負債額10億円以上の倒産は、16年12月以来8カ月ぶり。



https://www.m3.com/news/general/552252
浜松医大付属病院:女性医師、復職を支援 「センター」を開設 県内全域でキャリア断絶防ぐ
大学 2017年8月19日 (土)配信毎日新聞社

 子育てしながらのキャリアアップや出産後の復職などを支援しようと、浜松医科大医学部付属病院(浜松市東区)に「ふじのくに女性医師支援センター」が開設された。県内の病院同士の情報網を確立し、女性医師の早期復職を促そうとする取り組みだ。【古川幸奈】

 厚生労働省の2014年の統計によると、医師全体に占める女性の割合は20%以上に上る。しかし、実際に仕事をしている女性医師の割合を示す就業率は他業種と同様に結婚・出産期に当たる年代に低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」をたどる。大学の医学部で6年間学んで就職してからおおむね11年が経過した36歳前後、女性医師の就業率は76%で最低になる。時間外勤務や夜勤の多い診療科では、女性の離職率が高くなるという。

 こうしたキャリアの断絶を防ごうと、浜松医科大は14年に「女性医師支援センター」を設立。相談窓口のほか、女性医師同士の交流会を設けるなどし、仕事と家庭の両立をサポートしてきた。今回はその取り組みを発展させ、県の委託を受けて県内全域でのキャリア支援に乗り出す。

 ふじのくに女性医師支援センターは今年4月に開設され、医師の谷口千津子さんら2人がコーディネーターとなった。現在は、県内の病院を訪れたり、アンケートを配ったりして、センターの周知を図り、各病院との連携強化に力を入れる。

 県内の病院で行われているキャリア支援の内容や勤務形態をまとめて閲覧できるウェブページの作成にも取り組んでおり、夫の転勤などで県内に移住した女性医師が復職しやすい環境作りを目指す。

 一方で、仕事と家庭の両立には、上司や夫の理解も欠かせない。谷口さん自身、子ども2人を産んでから病院を離れた一人で「産婦人科医としての勤務は多忙を極め、常勤医として働くことの限界を感じた」という経験を持つ。

 谷口さんは「そもそも、夫婦両方が医者だと『子どもの不測の事態に対応するのは母』とされる風潮がある。最初は時短勤務を快く受け入れてくれても、次第に白い目で見られるようになることもあり、職場の理解は必要」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/552137
北茨城市民病院ボランティア 患者目線、心強い存在
2017年8月19日 (土)配信茨城新聞

 北茨城市関南町関本下の北茨城市民病院(植草義史病院長)で、来院者が車椅子を必要とした場合に介助したり、バスの待ち時間に話し相手をしたりする市民ボランティアグループの活動が好評だ。玄関から受付窓口までの短い距離の活動ながら、明るい笑顔と素早い対応が、「通いやすい病院」との評判確立に一役買っている。15年間続く活動に病院側も「なくてはならない存在」と頼りにしている。

 「北茨城市民病院ボランティア」(小松礼子代表)の活動は2002年の旧市立総合病院(同市大津町北町)時代に始まった。発足のきっかけはメンバーの久保田三枝子さんの夫の入院。「その病院では案内をするボランティアがいて、高齢者が迷うこともなかった。夫が親切にしてもらった恩返しが少しでもできれば」と友人に声を掛けた。

 10人でスタートし、現在は40~70代の女性会員23人。黄色のエプロンが目印だ。月~金曜日の5日間、午前8時半~11時まで、2人態勢で活動する。開院前に車椅子を用意し、来院者に「車椅子は必要ですか」などと声を掛ける。車椅子を押して待合スペースまで案内する。一方で患者を送って来た車が駐車場へスムーズに進めるため、玄関前の混雑緩和にもつながっている。

 場合によっては赤ちゃんの面倒を見たり、入院患者や帰りのバス待ちの人と世間話もする。雨の日の傘の整理や草取りなども行う。「気付いたことで、やれることは何でもやりますよ」と会員は口をそろえる。菊池光子さんは「患者の目線になって声掛けする」と心構えを明かす。菅野しのぶさんは「母の通院で大変だったので参加した。活動は少しも大変ではない」と笑顔を見せる。

 年2回市社会福祉協議会の研修を受け、車椅子の扱い方やサポートの仕方はもちろん、病院ボランティアの目的や心得、注意点などを習っている。

 患者目線の活動は病院利用の改善点提案や、患者からの要望を病院側に伝える橋渡し役にもなっている。同病院医事課の滝浩課長は「真面目な取り組み、メンバー同士の信頼関係が長続きの鍵なのでは。患者や家族などから頼りにされ、病院としても心強い存在」と期待を寄せる。

 小松代表は「不安な気持ちの初診者や足元が心もとない人など、お手伝いのつもりでやっている。地味な取り組みだが、喜んでくれる人が一人でもいる限り続けていきたい」と話す。協力者が増えれば活動の幅も広げたいとも考えている。

(飯田勉)



https://www.m3.com/news/general/552123
【神戸】救急車の「適正利用」強調で119番にためらい?
地域 2017年8月19日 (土)配信神戸新聞

 突然の激しい頭痛、救急車を呼ぶべきですか―。神戸市消防局がこんなアンケートを実施したところ、「呼ぶべきでない」「分からない」と答えた市民が3分の1を占めた。実はこの症状、くも膜下出血などの疑いがあり、「100%呼ぶべき状況」との想定に基づく設問だった。予想外の結果に、同局は「『救急車の適正利用』が強調されるあまり、119番のためらいにつながっている可能性がある」と懸念している。

 アンケートは、増加傾向にある救急車の出動件数の背景を調べようと、神戸市消防局が今年5月に実施。市内在住のネットモニター2230人が答えた。

 「倒れて意識がない人がいる」など具体的な17の状況を挙げ、救急車を呼ぶべきかどうか、呼んでもよい▽呼ぶべきではない▽分からない―の3択で質問。例えば「突然、激しい頭痛が起こった」場合は、「呼んでもよい」が65・5%にとどまり、「呼ぶべきではない」が11%、「分からない」が23・5%だった。

 激しい頭痛と同様に重症の恐れが強い「急にろれつが回らなくなった」と「胸が締め付けられるように痛む」でも、「呼んでもよい」は8割程度。症状により認識に差はあるものの、タクシー代わりに呼び出すなど救急車の不適切利用が社会問題化する中、119番に対し慎重になっている市民の姿が浮かび上がる。

 高齢化に伴い、同市内の救急出動は2016年、8万件を突破。全国では7年連続で過去最多を更新している。消防当局は「適正利用」を積極的に広報しているが、その際、不適切な通報事例が象徴的に取り上げられ、市民の意識に過度に影響しているとみられる。

 同局は「危険な変調などを感じたら、ためらわずに救急車を呼んでほしい」と強調。通報すべき状況を丁寧に説明するなど、誤解の解消に努めるという。

 救急車を呼ぶかどうか迷った際には、同市が運用する無料ウェブサービス「救急受診ガイド」を利用するようPR。今秋には、救急相談ダイヤル「#7119」を導入する予定という。

 総務省消防庁も救急車を呼ぶ必要があるかどうか緊急度を判定するスマートフォン用アプリ「Q助(きゅーすけ)」を無料提供している。(小川 晶)



https://www.m3.com/news/general/551524
「改革しっかり進める」 医師の働き方で厚労相
行政・政治 2017年8月15日 (火)配信共同通信社

 加藤勝信厚生労働相は15日の記者会見で、東京都内の総合病院に勤めていた産婦人科の研修医が過労自殺したことを受け、「医師についても働き方改革をしっかりと進めていく必要がある」と述べた。

 政府が3月にまとめた働き方改革の実行計画には「最長で月100時間未満」などとする残業時間の上限規制が盛り込まれたが、医師については正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があるとして適用が5年間猶予されている。

 厚労省は今月初め、医師の働き方改革に関する有識者の検討会の初会合を開催、2019年春をめどに報告をまとめるとしており、加藤氏は「応召義務を踏まえて時間外労働規制の在り方、具体的な勤務環境改善策の検討をしっかりやっていきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/551349
海部病院移転3カ月 利用者から不満の声
地域 2017年8月14日 (月)配信徳島新聞

 南海トラフ巨大地震に備えるため、県立海部病院が5月8日に牟岐町中村の高台に移転してから3カ月余り。移転先は町中心部から離れた場所で、旧病院周辺に店を構える経営者は「来店客が一気に減った」と嘆く。通院が不便になったことにも利用者から不満の声が聞かれる。防災面への不安が解消された一方、町民の生活には影響が出ている。

 旧病院は、牟岐駅から約150メートルにある町中心部に立地していた。近くには町内唯一のショッピングセンター「ポルト牟岐」があり、通院患者や見舞客らの利用も多かった。

 病院の移転は、ポルト牟岐のテナントに打撃を与えた。衣料品店「タニモト」は、入院患者が使う寝間着やタオル、下着などの売り上げが約半分に落ち込んだ。経営者の谷本敦子さん(53)は「以前は診察の待ち時間に来てくれるお客さんもいたのに、急に店内が寂しくなった」と肩を落とす。飲食店「ポケット」も、来店客が減少傾向にあるという。

 旧病院周辺に店を構える経営者らが期待しているのは建物や土地の活用だ。町商工会の横尾政明会長(60)は「町の中心部から大きな病院がなくなったのは町経済にとって痛手だ。早急に跡地を再生し、地元住民や観光客を呼び込む場所にしなければならない」と訴える。

 旧病院は敷地面積約1万平方メートルで、本館(鉄筋コンクリート4階、延べ5386平方メートル)や別館(同2階、延べ340平方メートル)などがある。所有する県病院局は「今後の跡地利用については未定だが、牟岐町から利活用や譲渡の相談があれば前向きに対応する」としている。

 これに対し、大森博文副町長は「町としても跡地の活用を考えなければならない。早い時期に県や町内の民間団体と話し合いを進めていきたい」と話す。

 津波に備えて海抜15・6メートルの高台に移った新病院は、災害時は医療拠点としての役割を担う。しかし、これまで徒歩や自転車で通院していた住民からは「通院が不便」との不満の声が聞かれる。

 ほぼ毎週、自転車で通院している近藤将子さん(79)=同町中村、無職=は「以前は徒歩で楽に通えていたのに・・・。自転車で坂を上るのは年寄りにはつらい」とこぼす。

 同町は通院対策として、4月から80歳(4月1日時点)以上の町民を対象にしたタクシー利用の助成制度を始めた。1回当たり300円を補助し、年24回使える券を希望者に配布している。

 6月末時点の交付者数は343人で、80歳以上の町民のうち約43%に当たる。今後、対象年齢の引き下げなど制度の拡充が求められ、町総務課は「現在の利用状況の分析やタクシー業者との協議が必要だが、今後検討していく」としている。



https://www.m3.com/news/general/551348
伊万里松浦病院 松浦移転へ 既存病床減らし 新たに87床
地域 2017年8月14日 (月)配信長崎新聞

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市山代町)の移転問題は、県境沿いに隣接する同市と松浦市が候補地として競合。手詰まり状態だったが、運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(本部・東京)が今春、松浦市への移転方針を固めたことで、2020年4月開設を目指し、大きく動きだした。松浦市地域自治会連合会(市内144自治会で組織)が、市内11の医療機関でつくる「松医会」に対し、公的病院の開設実現へ理解を求める要望書を6月に提出するなど、医療サービス向上への期待感も高まっている。開設が実現すると、市内の地域医療はどう変わるのか。再編の青写真を探った。

■特例措置が必要

 発端は伊万里松浦病院の老朽化だった。築50年以上が経過し、建て替えは急務。同機構は、伊万里市内での移転を考えたが、同市と佐賀県有田町が共同設置した病院が既にあることなどから、伊万里有田地区の医師会が反対。同機構は一転して、隣接する松浦市内で建て替えができないか協議を進めてきた。

 松浦市への移転のハードルとなっているのが、同市を含む二次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床の過剰状態だ。同圏内は基準より900床以上多く、新病院の開設は原則認められない。開設するには国、県による特例措置の適用が必要。そのためには、新病院ができても現状の市内372床(16年10月時点)を超えないように既存の診療所などの病床数を減らす努力が求められる。

 そこで同市は、開設までにどれだけの病床を減らせるか民間医療機関へのアンケートを実施。20年3月末の市内の削減目標を市立、民間合わせて88床とする「市医療再編実施計画」を今年3月に策定した。これを基に、市は正式な誘致交渉を推進し、同機構が候補地を同市内に固めたとされる。27年3月末の、16年10月からの削減目標は107床。

■診療科は12科目

 同市内の現在の医療サービスの課題は▽知事が認定し救急患者を24時間受け入れる救急告示病院がない▽医師の高齢化、後継者不足―など。この課題を解決するには、同市は機構の新病院開設が不可欠としている。

 では、いったいどんな病院ができるのか。同機構が4月に示した新病院の基本構想によると、病床数は87床を予定。市内の民間医療機関の病床数の変化に応じ、随時100床まで増やす計画だ。診療科は12科目を予定。肛門外科は、市内唯一の診療科として設ける。これまで市立中央診療所だけが担ってきた人工透析内科も引き継ぐ。

■市外搬送減るか

 新病院開設で大きく変わるのが救急医療。市内では14年から救急告示病院がない。軽症患者の救急は輪番制などで対応しているが、医師の高齢化で今後、輪番ができる医療機関は減る可能性があると市はみる。入院や手術を要する救急患者の約7割(15年度)は市外に搬送している。

 新病院について、市は「原則、極めて重度な症状以外の患者は受け入れる」と説明する一方、「ケース・バイ・ケース」とも。重篤でなくても近隣の高度な医療機関へ搬送されるケースもありそうだ。同市志佐町のパート従業員、吉井ネリ子さん(69)は「新病院が救急を受け入れてくれるのは心強いが、どれほどの症状まで対応してくれるのだろう」と話す。

■「介護型」の療養

 市が20年3月末に削減可能としている既存病床は88床。内訳は、国が社会保障費抑制のため削減などの方針を示す「介護型」の療養病床を中心に二つの市立診療所で38床、三つの民間医療機関で50床が対象となる。

 大きく影響を受けるのが離島の福島、鷹島両町。両町内の2診療所には現在、療養病床31床、24時間対応の医師がいないため使われていない一般病床7床、計38床があるが、計画により病床ゼロになる。

 市は、療養病床で受けられる介護サービスは、福島町の高齢者福祉施設などで代替対応が可能。同施設がない鷹島町については、島内で介護サービスを受け続けられる対応を考えると説明する。

 町民からは不満の声が聞かれる。福島町の自営業、松尾逸子さん(68)は「病床がなくなるのは島民の不安に直結する。市中心部には病院ができて、島内ではベッドがなくなることで、地域間で差が出てくる」と指摘する。

■賛否は五分五分

 医師の確保も課題だ。計画では伊万里松浦病院に在籍する職員が引き続き勤務する予定。加えて長崎大などにも協力を要請するという。厚生労働省の内部資料によると、大学側からは「多くの医師がいるので協力したい」との発言を得ているとされる。だが市内のある開業医は「医師の確保は簡単ではない。看護師を含めたスタッフの体制を確保できるか疑問が残る」と首をひねる。

 安定した運営には患者数も鍵を握る。15年度の伊万里松浦病院の入院患者は1日平均54人。患者の減少で厳しい運営が続いており、同年度の経常収支は約1億4400万円の赤字だった。新病院は入院患者の1日平均目標79人。1日25人も多く設定しており、地域で患者の奪い合いが生まれて既存の民間医療機関の経営に影響を与えるという指摘もある。「松医会」の新病院開設への賛否は、ほぼ五分五分。

■市民説明はまだ

 「この移転話を逃せば、地域医療の中核となる公的病院の開設が今後実現することはない」―。医師の高齢化などによる医療サービスの低下が懸念されるだけに、市幹部の言葉には誘致への熱意がにじむ。

 新病院の20年4月開院予定から逆算すると、開設申請は今秋の県医療審議会に諮らなければならないという。同審議会で特例措置適用の可否も検討する。同市は、審議会で重要となる地元医師会の理解を得るため、説明を重ねている。一方、医療再編の影響を受ける市民向けには説明会を開いていない。

 同市は「まだ開設も認められていない状況で具体的な説明はできない」と弁明。ある市議はこう指摘する。「市民の期待感だけが独り歩きしている。開設できるとしても、今の地域医療に弊害がない形で期待通りの病院ができるのかどうか、まだ見えない」



https://www.m3.com/news/general/551377
一志病院の運営、どこに? 三重県地域医療の今後
地域 2017年8月14日 (月)配信伊勢新聞

【津】鈴木英敬三重県知事は6月、県立一志病院(津市白山町南家城)の民間移譲方針を撤回すると表明した。公営の継続に津市からは安堵(あんど)の声が上がる一方、運営形態をどうするかは現在検討が進められている。津市が今後、経営に参画する意思を示すかどうかが、議論の行く末を握りそうだ。

同院は津市の山間部に位置し、白山、美杉地域では唯一の入院できる施設。総合診療医7人が常勤で働く。平成28年度、1日当たりの患者数は入院が38・1人、外来が85・1人だった。

総合診療医の県内育成拠点として、初期・後期研修医や医学生の受け入れに取り組んでいるほか、看護師を志す学生の研修の場にもなっている。

「(診療圏の)面積は非常に広いが、人口は津市の5%ぐらい。ビジネスモデル的には効率が悪い。少ないマンパワーで、なるべくこの地域に住み続けてもらう体制をとらないといけない」。四方哲院長が語る。

四方院長は24年9月に就任した。病床の有効活用や在宅医療の推進などに取り組み、翌25年度には決算の黒字化を達成した。

例えば、受け入れ可能な救急搬送者はなるべく同院で治療しようと、救急隊員が直接、日当直医に電話できるようにした。救急搬送の時間短縮や搬送者数の増加につながっている。

在宅医療では、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリテーションに加え、薬剤師による訪問薬剤指導、栄養士による訪問栄養指導も実施している。

今年4―6月の延べ患者数は、訪問診療が252人、訪問看護が646人、訪問リハビリテーションが456人、訪問薬剤指導が10人、訪問栄養指導が22人だった。

■ ■

県立病院は現在、四院ある。総合医療センター(四日市市)は地方独立行政法人化し、志摩病院(志摩市)は指定管理者制度を導入、こころの医療センター(津市)は県営を続けている。一志病院に関しては22年に民間移譲の方針を固めたが、今年6月に取りやめを発表した。

県地域医療推進課によると、総合診療医や看護師、介護職員の人材育成機能は県が担うとしている。ただ「地域の医療を県がするのは検討する必要がある」と、県市の役割分担の見直しを示唆する。

16年に市が合併するまでは複数市町が診療圏だったため、広域性があった。現在の患者は8―9割が白山、美杉、一志町の住民。市外は5%以下にとどまっている。また、決算状況は黒字だが、一般会計からの繰入金は3億円以上になる。

一方の津市。前葉泰幸市長は会見で、同院について「医療、福祉、介護の連携拠点。われわれの責任である福祉分野にもっと関与していくという提案は、これからもしていける」と話した。

市のスタンスを「今ある人的資源で、もっと訪問看護をしてもらうとか、介護予防のために地域を回ってもらうとかをしてくださるのであれば、事業費を出す」と説明し、連携する事業への支出には前向きな姿勢を強調。その上で「ただ単に経営参加と言われると筋が違う。共同経営では、もともとない」と述べ、経営への参画には難色を示している。

運営形態について、県から津市への正式な打診などはまだない。県は、県と市、三重大でつくる「津市白山・美杉地域における在宅医療・介護の提供体制等に関する検討会」で議論するとし、6月29日に初会合を開いた。

次回は8月22日に開き、地域包括ケアシステムの目指すべき姿や各主体の役割、取り組み方向などについて話し合う予定だ。その後、今年中に報告書骨子をまとめ、運営形態について一定の方向性を決める。

同地域は高齢化、過疎化の“先進地”。今後の地域医療を考える上でも議論の着地点に注目が集まる。



https://www.m3.com/news/general/550881
住吉市民病院跡地:民間病院の誘致断念を撤回 大阪市が公募へ /大阪
地域 2017年8月10日 (木)配信毎日新聞社

 来年3月末で閉院する大阪市立住吉市民病院(住之江区)の跡地への民間病院誘致について、吉村洋文市長は9日、「民間病院の誘致の可能性があるなら追及すべきだ」と述べ、一度断念した誘致に再び取り組む方針を表明した。近く事業者を公募する。

 市議会民生保健委員会で自民党の前田和彦議員の質問に答えた。市によると、7月に府内や兵庫県で複数の病院を運営する社会医療法人「愛仁会」が跡地での病院新設に関心を持っていることがわかり、誘致を断念していた方針を転換。3度目の公募実施を決めた。手続きの透明性を図るため今月中にも事業者を公募する。

 市民病院は二重行政解消の一環で、約2キロ離れた府立急性期・総合医療センターと機能統合する予定。医療の空白を作らないため跡地には別の民間病院の誘致が決まっていたが、建設計画の不備などの問題から5月に辞退し、市は民間病院の誘致を断念していた。【椋田佳代】


  1. 2017/08/20(日) 11:05:48|
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