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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月5日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/549804
真価問われる専門医改革
新専門医制度2018年度開始、「地域医療等に配慮」が前提
日本専門医機構「新たな専門医制度の開始に向けた声明」

レポート 2017年8月4日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は8月4日の理事会で、「新たな専門医制度の開始に向けた声明」を取りまとめ、塩崎恭久前厚労相の「大臣談話」を踏まえ、2018年4月からの新たな専門医制度の開始に向けて、本年10月初旬を目途に、19の基本領域の専攻医の1次登録を、12月中旬を目途に2次登録を開始することを決定した。7月の同機構の理事会では、「2018年4月開始に向け、機構の準備は整った」としていた(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、理事会後の記者会見で、「機構は2018年4月から新しい専門医制度を開始する。ただし、途中でいろいろな議論で問題が出てきた時には、私たちは真摯な態度で対応する。各学会や厚生労働省とよく相談しながら、適切な形で決して地域医療に偏りが出ないように対応する。それを前提として開始したいと思う」と説明。

 同機構理事長の吉村博邦氏は、「副理事長がこれでスタートすると言ったが、もちろんまだ検討会もある。地域の皆様方の理解を得るよう、さらに努力を続ける」と補足した。検討会とは、8月9日に予定されている厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」だ。同検討会は、新専門医制度の地域医療への影響を検証しており、9日の第4回会議でも「これまでの議論を踏まえた日本専門医機構・各学会の対応」を議論する(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。

 「大臣談話」は、8月2日に塩崎前厚労相が吉村理事長と面談した時に手渡したもの。新専門医制度の地域医療への懸念を表明した内容で、日本専門医機構の対応が注目されていた(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 日本専門医機構の「声明」には、「大臣談話」への対応として、2018年当初を目途に専攻医の登録状況の概要が明らかになった時点で、各基本領域の学会に対し、報告を求める。万が一、「地域医療への影響や専門研修レベルについて改善が必要になった場合」には、「専門医制度新整備指針」などに鑑みて、理事会等での審議を経た上で、各学会に制度や運用の修正変更を依頼するほか、必要に応じて応募状況等の調整を行うと記した。

 吉村理事長によると、塩崎前厚労相との面談では、新専門医制度に関する検討経緯を説明、その上で「できれば来年4月からスタートさせるべく、10月くらいから専攻医の登録を開始したいと申し上げた」という。これに対し、塩崎前厚労相は、「これまでの取り組みについては理解しているが、いまだ地域医療に影響する懸念が払拭されていない」とし、応募状況や専攻医の配置状況についての厚労省への報告を求めるなど、「大臣談話」の概要を説明。「塩崎前厚労相の意向を重く受け止め、日本専門医機構として真摯に対応したい」と吉村理事長は答えたという。

 松原副理事長は、新専門医制度の準備状況について、「ほとんどの学会は、専門研修プログラムの1次審査が終了しつつある。総合診療専門医については、8月21日を専門研修プログラム応募の締め切りとし、それから1次審査を鋭意実施し、他と同じく10月初旬から専攻医の募集を開始できるようにする」と説明。新専門医制度では、都道府県の協議会で、専門研修プログラムの1次審査後に地域医療への影響の有無を検証することになっている。「協議会開催の実績はないが、各都道府県で準備を進めている」(松原副理事長)。

 専攻医の調整が必要な場合とは?
 「声明」では、「地域医療への影響や専門研修レベルについて改善が必要になった場合」に対応するとしている。

 「地域医療への影響」とは、都市部や大病院に専攻医が集中した場合など。松原副理事長は、「地域医療に問題が生じるかどうかが分かるのは、都道府県の協議会で協議した時」と指摘。その上で、「応募状況を見てあまりにも偏っていたら、2次募集で調整するなど、あらゆる手段で対応していく」と説明した。ただし、1次募集で研修先が決まった専攻医が研修先の変更を迫られることはないという。

 「専門研修レベルについて改善が必要になった場合」について、日本専門医機構理事長の山下英俊氏は、「例えば、領域全般にわたって研修しなければいけないのに果たして可能なのかなど、(専門研修プログラムを)承認した後に疑義が生じた場合には、変更を求めることなどが考えられる」と説明。

 「大臣談話」と思いは同じ
 記者会見では、「大臣談話」と、その翌日の日本医師会会長の横倉義武氏の会見内容についての質問も出た(『日医会長、「新専門医、国の関与は謙抑的に」』を参照)。「大臣談話」では、新専門医制度に国が一定の関与をする方針が記されているのに対し、横倉会長は、「あくまでプロフェッショナルオートノミーに基づき、運営すべき」としているからだ。

 日医副会長でもある松原氏は、「厚労省は、医療行政に対して責任を持っている省庁。(地域医療への影響を)心配するのは当たり前。一方、日医は、医師の団体として医療を預かっている。地域医療への影響が生じないようにしたいという思いは同じであり、それぞれがお互いの立場で取り組んでいる」と説明、プロフェッショナルオートノミーが最も医師の能力を引き出せる仕組みであると考えているため、横倉会長の会見につながったとした。

 山下副理事長は、「大臣談話には、『専門医制度新整備指針等は、新たな制度の施行により地域医療に影響を与えないような配慮がなされていると理解している』と書かれている」と説明。この指摘を踏まえ、専門医制度新整備指針、運用細則、補足説明などのルールに準拠して実施する重要性を強調した。「ルールを決めてやらないと、うまくいかなかった場合にその理由が分からない。ルール通りにやっても問題が生じた場合には、そのルールをフレキシブルに変更していくことが必要」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549460
真価問われる専門医改革
日医会長、「新専門医、国の関与は謙抑的に」
厚労相「談話」受け緊急会見、2018年度開始に向け準備を

レポート 2017年8月3日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は8月3日、新専門医制度について緊急記者会見し、「医療法に規定する国の責務として、厚生労働省が地域医療への配慮を求めること自体は理解」と認めつつ、同制度は法的な強制力を持つものではないことから、「国の関与は、あくまで謙抑的であることが望ましい」とけん制した。その上で、日本専門医機構がガバナンスを強化し、国と同機構が協力・連携、関係者の意見も調整しながら、2018年度のスタートを見据え、着実に準備を進めることが必要だとした。

 記者会見は、前日2日、塩崎恭久前厚労相が、新専門医制度による地域医療への悪影響が生じる懸念を完全に払拭できないことから、日本専門医機構と各関係学会に対し、学会ごとに応募状況と専攻医の配置状況について厚生労働省への報告を求める内容の「大臣談話」を発表したことを受けた対応(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 横倉会長は、地域医療への影響について、塩崎前厚労相と同様の認識か否かの質問に、「かなり改善されていると認識している。しかし、まだ地域によっては不安を訴える病院管理者の声もあると聞いている」と答えた。「今後、専攻医の配置状況などは、各都道府県の協議会のもとで、医師の配置について議論する場を作ることになっている。その動きをバックアップし、不安の解消に努めていく」。

 「大臣談話」では、「万が一、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、厚労省が日本専門医機構と各関係学会に対して、実効性のある対応を求める」としている。この点について横倉会長は、「各都道府県の協議会の中で、解決していくことだと理解している。(大臣談話で)機構と各学会に要望しているのは、そうした懸念が生じないように、専門研修プログラムをしっかり作ってもらいたいということだろう」との解釈を示した。

 日医が求める「国の関与は、あくまで謙抑的」という意味について、「新たな専門医の仕組みは、医師が自律的に自分の能力を高めるものであり、国がさまざまな規制をかけることは、やるべきではない」と説明。「以前、一部に強制的な配置を求める声もあった。そうならないように、謙抑的という言葉を使った」とも付け加えた。

 さらに2018年度の新専門医制度の開始について、横倉会長は次のように述べた。「今、1年間、待ってもらった。誰が待ったのか、それは専門医を目指す若い医師。2年間待ってもらうと、キャリアへの影響が大きい。スタートして、問題があれば改善していくべき。専門医になろうという医師に対し、キャリアの道を開けることが必要」。

 「プロフェッショナルオートノミーに基づき運用されるべき
 横倉会長は会見で、2016年11月に日医が提出した7つの要望項目を「専門医制度新整備指針」に盛り込むなど、日本専門医機構は真摯に対応してきたと認識しているとし、各領域学会と専門医の質向上に努めるとともに、医師の偏在助長の回避、医師のキャリア・パスへの配慮などを「懸命な努力を重ねている」と評価した。

 「専門医制度新整備指針」における制度の基本理念については、(1)プロフェッショナルオートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる制度である、(2)国民に信頼され、受診に当たり良い指標となる、(3)専門医の資格が国民に広く認知される制度である、(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分に配慮した制度である――と整理。

 その上で、地域医療提供体制の確保は、最重要課題であるとし、今回の「大臣談話」において、「医療法に規定する国の責務として、厚労省が地域医療への配慮を求めること自体は理解する」と認めた。しかし、新専門医制度は、法的な強制力を持つものではないものの、医師の自律的な取り組みを学問的に評価するものであり、「専門医制度新整備指針」の基本理念にあるように、「プロフェッショナルオートノミーに基づき運用されるべきものであることは論を俟たない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549268
真価問われる専門医改革
「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話
吉村理事長と面談、プロフェッショナルオートノミーに歯止め

レポート 2017年8月2日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 塩崎恭久厚労相は8月2日、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏と面談、同機構と各関係学会に対し、学会ごとに応募状況と専攻医の配置状況について厚生労働省への報告を求める内容の談話を手渡した。同機構は2018年度からの新専門医制度の開始に向けた準備を進めているが、地域医療への影響を懸念する厚労省が、プロフェッショナルオートノミーを基本とする同制度に一定の歯止めをかけた格好だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は、報告を受け、新専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうかを領域ごとに確認する。その結果、万が一、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、「国民に対し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制」を確保する医療法上の国の責務に基づき、日本専門医機構と各関係学会に対して実効性ある対応を求める方針。

 塩崎厚労相が新専門医制度についての談話を発表するのは、2016年6月に次いで2度目(『塩崎厚労相、新専門医制度への「懸念」理解』を参照)。当時も地域医療への影響を懸念する声が上がり、「一度立ち止まって検討の場を設ける」ことなどを求め、結局、2017年度に予定していた新専門医制度の開始は延期された。

 塩崎厚労相と吉村理事長の面談は、8月2日の午後4時から約15分にわたり関係者を交えずに行われ、その場で、談話が手渡された。

 談話は、一度立ち止まって検討した以降の経緯を記した上で、(1)専門医の取得は義務ではなく医師として自律的な取り組みとして位置付けられる、(2)研修の中心は大学病院のみではなく、症例の豊富な地域の中核病院等も含むことの明確化、(3)女性医師等の多様な働き方に配慮したカリキュラム制の設置――などを「専門医制度新整備指針」等に明記したことについて、「新たな制度の施行により地域医療に影響を与えないような配慮がなされていると理解」と評価。

 しかし一方で、新専門医制度は、プログラム制の導入など、これまでに無い新たな仕組みであるため、「実際の専攻医の応募の結果、各診療科の指導医や専攻医が基幹病院に集中することで地域医療に悪影響が生じるのではないか」「専攻医がその意思に反し、望んでいる地域、内容での研修を行えなくなるのではないか」などの懸念を完全に払拭するには至っていないと指摘した。

 それ故に、新専門医制度の開始に当たっては、「こうした懸念に真摯に向き合い、都道府県、市町村、医師会、大学、病院団体等からなる都道府県協議会等地域医療関係者と十分に協議が行われた上で、運用の中で問題があれば速やかに是正が行われる必要があると考えている」とし、応募状況等の厚労省への報告を求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/548584
シリーズ
m3.com全国医学部長・学長アンケート
専門医研修、基幹施設は「大学病院」優勢◆Vol.5
「学会主導で」、「地域格差起こらぬよう」

スペシャル企画 2017年7月31日 (月)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

 日本専門医機構は7月7日の理事会で、2018年4月からの新専門医制度開始に向けて、準備を進めることを決定したが、有志の医師らが2018年度開始反対の署名を塩崎恭久厚生労働大臣に提出するなど、制度開始への懸念はなお残る。全国医学部長・学長アンケートでも、さまざまな意見が寄せられた。

 なお、アンケートは4月から5月にかけて行った。

Q:専門医研修の基幹病院は、大学病院、市中病院、どちらを主にすべきとお考えですか。

Q::専門医を巡る議論についてご意見があればご記入ください。

【大学病院にすべき】
【山形大・山下英俊医学部長】多様な医療機関が専門医を育成のためにそれぞれの役割を果たすことが重要と考えます。その中で大学病院の果たす役割は大変重要と考えております。このような協力体制を山形大学医学部蔵王協議会では構築し、実施し、効果を上げております。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】地域の病院の医師の配置や1人の医師のキャリアアップを調整できるのは大学のみ。

【福井大・内木宏延医学部長】初期研修では幅広いプライマリ的な診方(ス―パーローテート)を目指しているのに対して、専門医研修ではそれぞれの領域の専門性の高さが要求されている。大学病院は若手医師への教育資源や指導者が豊富であるのに対して、市中病院では不足しているのが現状と考えられる。そして最先端の医療が目覚ましい進歩を遂げている現状においては、市中病院に配属される前に若手医師が身に付けるべきことは年々増加しており、これまで以上に大学病院が基幹施設として専門医教育に時間をかけることが必要となっている。
 さらに、10年以上前に始まった初期研修制度のみで満足していた市中病院の若手医師にとっても、2018年度からの大学病院を中心とする新専門医制度は現行のレベルダウンを補うものになると思われる。その結果として、社会や地域が目先の医療資源の確保に翻弄されずに、高いレベルを担う医師を多く育成することができれば、将来はその地域の医療水準が飛躍的に向上することに繋がると考えられる。

【京都府立医科大・竹中洋学長】市中病院を基幹施設にすると、研修医は都市部に集中し、郡部の病院で研修する者は減少すると推測される。大学病院が基幹施設となり、かつ郡部の病院とのたすき掛けプログラムを提供することにより、都市部、郡部いずれにおいても特徴のある研修が行われると考える。地域におけるニーズ調査が不可欠となる。

【領域による】
【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】領域によって事情が異なるので一概に議論することは難しいが、共通して言えることは、研修の質を落とすことなく専攻医分布の地域格差の助長が起こらないように努めることが肝要ということである。専門研修制度を改善することはもちろん必要だが、できるだけ医療を受ける国民や研修を受ける専攻医に不利の無い形で行う必要がある。

【産業医科大・東敏昭学長】質の担保は重要だが、プログラム方法に固執せずカリキュラム方式での研修を、より取り入れる。試験での質の担保を重視しても良い。また更新制度はゆるやかでも必要。

【学会の役割が重要】
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】プロフェッショナルオートノミーの名の下に、専門医の質を担保するという意図は分かるのだが、専門学会を差し置いて始められたのは、稚拙としか言いようが無い。初期臨床研修制度が、地域医療の崩壊を早め、かつ医科大学における基礎医学研究の低迷を招いたことに対する反省も無しに、専門医制度が議論されてきたのは、誠に寒心に堪えない。医師需給とともに長期的展望を基にした指針を作らないと、教育は弥縫的にならざるを得ないと思う。

【金沢医科大・神田享勉学長】学会主導が良いと思います。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】大学と医師会・自治体との闘いである。周りに振り回されない、堅牢なシステムを学会内で作れば恐れるものは何もない。一方で、日本ではインセンティブが付くことは医療費削減の中であり得ないことであり、名誉を重んずる日本独特の制度に不思議さを感じる。このインセンティブのない雇用体系が日本の医療費削減の支えとなっている。

【その他】
【東北医科薬科大・福田寛医学部長】我が国における「専門医」の位置付け、国民から何を期待されているかなど、原点に立ち返った議論も必要。

【富山大・北島勲医学部長】新専門医制度の早期実行を! 国民に専門医とはどのようなものであるか、見える形にしてもらいたい。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】大都市においては専攻医の募集定員に上限が設けられ、また大学では診療実績から受け入れ上限数が算出されるため、私立大学にとっては不利になると考える。

【兵庫医科大・野口光一学長】専門医研修はあくまでも質保証を目的としての制度改革であるべきで、それと医師偏在問題とを無理に結びつけるべきではない。

【島根大・山口修平医学部長】来年度からのスタートが決定した以上、十分な地域医療への配慮の下で進めていきたい。同時に、卒前、卒後教育のシームレス化の議論を早く進める必要がある。

【広島大・秀道広医学部長】優れた知識と技能を修得することは大変重要であるが、医療において専任教員の設置は不向きである。すなわち、専門医となったものは、研修医を指導する役割を担うことが必要で、教えてもらっただけの専門医を作るべきではない。

【徳島大・丹黒章医学部長】専門医の選択が研修医の自由意思で決められ、高給を求め、死と責任を避ける傾向にある。よりハードルの高いプログラムは敬遠される方向にあり、評価、報酬等でメリハリを付けるべきである。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】新専門医制度は、その研修期間に大学のみならず、関連施設へ出向しなければならず、また、大学医局のローテーションを難しくする。また、専門医を取得することのみを目的として、腰掛け的に大学医局へ所属する可能性がある。したがって、系統立った長期的な指導(10年間ほど)が困難となる。また、専門医取得第一となり、研究がおろそかとなることもあり得る。さらに、大学院への進学も激減する可能性があり、多大な影響を及ぼす懸念がある。研究志向の若手医師は、明確に少なくなるのは確かである。
 総合診療専門医は、内科から外科、その他の診療科などへ、どの程度の診療までカバーすべきであるかが見えてこない。つまり、総合診療専門医の医師像がいまだ明確でないのみならず、統一した見解がない。特に、大学病院のように専門性を求めた場においては、その育成が中途半端となる可能性が懸念される。一般内科医、一般外科医別の総合診療とするのが、大学としては望ましいと考えられる。地域性によっても、総合診療専門医の定義が異なることも以前から指摘されている。専門医制度と地域医療は別問題である。第一に地域医療、特に、医師の偏在化(都市集中)を考えていくべきである。また、地域枠で入学した学生の義務化に関しても問題がある。
 自学は、地域枠を9年前にスタートさせた。奨学金制度などを取り入れてないために、さまざまなバリアントが生じる可能性がある。また、地域枠入学者が優先的に専門医制度や専攻医に選ばれる雰囲気があるのはいかがなものであろうか?

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



http://www.asahi.com/articles/ASK847WVRK84UBQU013.html
新専門医制度、来年度からスタート 統一的基準で認定へ
野中良祐
2017年8月4日23時56分 朝日新聞

 地方の医師不足が加速する恐れがあるなどとして、導入が延期されていた「新専門医制度」について、日本専門医機構は4日、2018年度に始めると発表した。第三者機関の日本専門医機構が、質を上げるため統一的な基準で専門医を認定する。

 2年間の初期臨床研修を終えた医師は、内科や外科など19の基本領域を選び、全国の大規模病院や地域の病院を回って3年間の研修を受けて専門医の認定を受ける。介護やみとりを含め幅広い範囲を担う「総合診療科」もその一つ。希望者はさらに専門性の高い領域の専門医に進む。医療機関は、専門医がいることを広告できるようになる。

 これまでの専門医制度では、それぞれの学会が医師の経験した症例数や研修への参加など、独自の基準で専門医を認定していた。会員数は数千人程度から10万人以上と規模も異なり、一口に専門医といってもわかりにくかった。

 ログイン前の続き今年度に新制度は始まる予定だったが、医師が研修の主力を担う大学病院などに集中し、地域偏在が加速すると懸念する声が上がり延期になっていた。04年から始まった初期臨床研修では、地方の大学を卒業した医師が都市部に流れ、地域偏在の一因になったと指摘されている。地方自治体の首長らには、新専門医制度でも同様の事態が起こるのではないかと心配する声が今も残っている。

 これを受け、日本専門医機構は規定を改め、専門医を必ずしも取得しなくてもよいことや、自治体や医師会などでつくる都道府県協議会の要望に協力することなどを明示した。塩崎恭久・前厚生労働相は2日、談話を公表し、「地域医療に影響を与えないよう配慮がなされている。他方、懸念を完全に払拭(ふっしょく)するには至っていない」と指摘。開始後、各診療科の応募や医師の配属といった状況を報告するよう求めた。日本医師会の横倉義武会長は3日、「自律的な研修であって、国が規制をかけるべきではない」と話すなど、関係者の間で温度差はあるが、制度開始への理解は広がってきた。

 今後、各学会が承認した研修プログラムを協議会で検討。同機構の審査を経て正式に研修内容を決定する。医師の登録は10月に始めたいという。同機構の松原謙二副理事長は「新専門医制度によって、このお医者さんにかかれば適切な医療を受けられる、という安心感を得ることができる」と話す。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0803509955/
「地方で医師不足進む」懸念払拭を...新専門医制度で厚労相が談話〔読売新聞〕
2017年08月03日 13:10(2017年8月3日 読売新聞)

 学会が独自に行ってきた専門医の認定を一元化する新専門医制度について、塩崎厚生労働相は2日、制度を運営する日本専門医機構に対し、2018年度の導入で、地方で医師不足が進むという懸念を 払拭(ふっしょく)するように求める談話を発表した。地域医療に悪影響がないか確認を行うため、研修プログラムへの応募状況や医師の配属状況を学会ごとに報告するように求めた。

 制度は17年度に開始予定だったが、地域医療の現場が混乱するなどの批判を受け、1年延期された。



http://www.medwatch.jp/?p=15144
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2017年8月3日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度からの全面スタートに向けた準備が進められている新専門医制度について、学会(基本領域)ごとの▼応募状況▼専攻医配属状況―を厚生労働省に報告することとし、地域医療への影響を確認する。万が一、地域医療への影響が懸念される場合には、厚労省から日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する。

塩崎恭久厚生労働大臣は2日、日本専門医機構の吉村博邦理事長と面談し、このような談話を発表しました(厚労省のサイトはこちら)。

地域医療に悪影響が出るとの懸念、完全には払拭されていない

新専門医制度は、専門医の認定と、研修プログラムの認証を学会と日本専門医機構が共同して行い、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」専門医制度とすることが狙いです。当初は今年(2017年)4月からのスタートを目指していましたが、日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)から「地域の基幹病院ですら研修病院になれないなど養成プログラムのハードルが高すぎる。地域の医師偏在を助長する可能性が高い。一度立ち止まり、専門医を目指す医師の意見を聞くとともに、▼地域医療▼公衆衛生▼地方自治▼患者・国民―の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』を設けて、その検討結果を尊重するべきである」などの要望が出されました(関連記事はこちらとこちら)。

その後、機構は組織を再編し、「全面スタートの1年延期」を決定した上で(関連記事はこちらとこちら)、地域医療へ十分な配慮を行うことなどを制度の根幹規定となる「整備指針」などの中で規定しました(専門医制度新整備指針)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

しかし、その後も全国市長会から▼中小病院が危機に陥りかねない▼医師偏在が助長されかねない—などの懸念を表明し、塩崎厚労相も、さまざまな懸念を払拭した上で新制度を2018年度からスタートする必要があると判断し、「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、改めて関係者間での意見調整を行うこととしました。

検討会では、「専門医の質の担保」と「地域医療の確保」とを両立する方策について議論を行い(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)、例えば、都道府県ごとに地域の関係者が集い、地域の医師偏在が助長されないかなどをチェックし、必要があれば改善を行っていく仕組み(都道府県協議会)をより強固なものにするため、▼「都道府県協議会」において、研修プログラムに関する情報を共有し、確認、検討などを行う▼都道府県協議会において研修プログラムの確認、検討などを行った後、地域医療確保の観点から改善が必要な事項を日本専門医機構へ提出し、日本専門医機構と連携して改善事項などについて調整する▼都道府県で調整に努めたにもかかわらず状況が改善しないような場合には、適宜、厚労省に報告する▼調整終了後、プログラム認定前に、管内のプログラムについての調整結果を都道府県協議会で確認した旨、都道府県協議会の活動実績を厚労省へ報告する—ことなどが固められました(関連記事はこちらとこちら)。

日本専門医機構でも、こうした指摘を重く受け止め、都道府県協議会によるチェックに協力する(さらに地域の基幹病院から都道府県へ、直接「こうした懸念がある」などと報告できる仕組みも確保)考えを明確にし、2018年度の全面スタートに備えて「10月から、研修プログラムへの専攻医の登録(いわば仮登録)を始める」方針を明らかにしています(関連記事はこちら)。

 
塩崎厚労相は、こうした流れを振り返り「地域医療に影響を与えないような配慮がなされている」と評価した上で、▼実際の専攻医の応募の結果、各診療科の指導医や専攻医が基幹病院に集中することで地域医療に悪影響が生じるのではないか▼専攻医がその意思に反し、望んでいる地域、内容での研修を行えなくなるのではないか—といった懸念は「完全には払拭されていない」と判断。新専門医制度を運用する中で、問題が生じた場合には適宜対応していく考えを示しました。具体的には次のような取扱いとなります。

▼日本専門医機構・各関係学会に対し、「学会ごとの応募状況および専攻医の配属状況」を厚労省に報告することを求める

▼厚労省で、新専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、領域ごとに確認する

▼確認の結果、新専門医制度により地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、「国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制」を確保する医療法上の国の責務に基づき、厚労省からも日本専門医機構・各関係学会に対して実効性ある対応を求める



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170804204349
専攻医の応募、地域医療に影響あれば調整も
専門医機構が声明発表

2017年08月04日 21:10 CB News

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は4日、新たな専門医制度の開始に向けた声明を発表した。来年4月からの新制度開始に向け、10月上旬ごろに専攻医の一次登録、12月中旬ごろに二次登録をそれぞれ始める。また、地域医療に影響が出る恐れがあれば、応募に関する調整を行う方針だ。【新井哉】

 声明では、塩崎恭久前厚生労働相が今月2日に出した、新制度が地域医療に悪影響を及ぼす懸念を完全に払しょくできていないとする談話に触れ、吉村理事長が塩崎前厚労相に「意向を重く受け止め、機構として十分に検討した上、真摯に対応したい」と回答したことを説明。この談話を踏まえ、二次登録開始後も研修先の決まらない専攻医希望者に対する救済措置を検討するという。

 同機構は、専攻医がどの診療科のプログラムに所属するかの概要が明らかになった時点で、新制度による地域医療への影響について、各学会に報告を求め、専攻医の偏在などで地域医療に影響が出る場合は、「必要に応じて、応募状況等の調整を行う」との方向性を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547920
m3.com全国医学部長・学長アンケート
医学部での国試対策、多くの大学で実施◆Vol.6
卒業試験後の集中講義、予備校の活用など

スペシャル企画 2017年8月2日 (水)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

 2017年の第111回医師国家試験の合格者は前年より2.8ポイント低い88.7%で、過去10年で最も低くなるなど、近年は国試の難化も指摘される。第112回では、これまでの3日間・500問から2日間・400問になるなど、質量ともに改革が進んでいる。医学部における医師国家試験対策について尋ねた(『合格率88.7%、過去10年で最低、2017年医師国試』を参照)。

Q 近年の医師国家試験は難化しているとも言われております。貴大学・医学部で医師国試合格を目的とした、通常の講義以外の対策を実施されているでしょうか。
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【実施している】
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】チューターによる少人数指導。医師国家試験予備校による集中講義。

【山形大・山下英俊医学部長】通常の講義の枠内で行われていますが、以下の2つが国家試験対策を主眼とした講義です。
(1)臨床実習が長期化しているため、5年生後半から6年生前半にかけてのクリニカルクラークシップ(4週間毎)の期間内、各Phaseの最終日(4週間目の金曜日)に知識の整理と習得を目的とした講義を行っています。この講義は1年間で計9日間行われることになりますが、知識習得が不足していると思われる科目を学生に挙げてもらい、講義を組んでいます。
(2)6年生の9月で卒業試験が終了するが、その後の2か月半は国家試験対策を目的とした講義を行っています。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】卒業試験終了後、数週間のみ出席は任意で行っている。(総括講義)

【横浜市大・井上登美夫医学部長】
・学生の国家試験対策の進捗状況を把握するため、5年次3月に学年末(進級)試験、6年次5月、9月、1月に国家試験形式の実力試験を実施している。また、年2回、民間模試を全員受験とし、進捗状況を把握し、成績下位者には、フィードバックのための面談と個別指導を実施している。
・学生が不得意な分野を中心とした、国試対策授業(2016年度は14テーマ)を実施している。

【富山大・北島勲医学部長】過去の医師国家試験の解説をセミナー形式で行っている。

【金沢医科大・神田享勉学長】1.教育学習支援センターを設置し、取り組んでいる。2.スチューデント・ドクター医局で6年生は学習している。

【福井大・内木宏延医学部長】
・学部6年次生対象に、4〜5月に医師国家試験予備校の講師を招き、前年度国家試験結果分析と次年度国家試験対策に関する特別講義を実施している。学生だけでなく、教育関連委員会の委員および教務関係職員も出席し、学生指導の参考となるようにしている。
・昨年度より、学部3年次生も対象に予備校講師によるCBTおよび国家試験対策特別講義を実施し、学生に早期に国家試験対策を促す対策をしている。
・医学部長より依頼された教員による「国試サポートチーム」を組織し、学部4年次生のCBT成績下位者および6年次生の国家試験模擬試験成績下位者に対し、指導や相談に応じる対策を実施している。
・今年度より、6年次卒業時学科試験(卒業試験)を、内容及び期間などの形式を国家試験に準じたものとし、学生にとってできるだけ卒業試験対策が国家試験対策と重なるように実施することとした。

【兵庫医科大・野口光一学長】成績不良での特別授業、合宿、個人指導など。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】5年生では水曜日の午後、6年生では土曜日全日に、国試対策として、教員あるいは外部講師による小テストや解説、講義等を行っている。

【島根大・山口修平医学部長】業者による模擬試験を8月までに2回受験することを義務化している。費用は医学部から拠出している。各講座に依頼して試験準備用の場所(勉強机等)を提供している。

【広島大・秀道広医学部長】6年次4月に3日間の集中講義を設定し、その中の一部を国家試験対策を意識した講義に充てている。

【徳島大・丹黒章医学部長】補習。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】予備校を使って、成績下位30人に対する合宿を行う、予備校の全国模試を4回受験するなど、また、卒業試験のブラッシュアップ委員会からの介入など。

【実施していない】
【京都府立医科大・竹中洋学長】※直近の国試成績を考えると、何らかの介入が必要と考えている。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】まだ2学年までしか進行していないので、今後検討する。

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



https://www.m3.com/news/iryoishin/547921
m3.com全国医学部長・学長アンケート
国試の目指す方向、医学部長の考え◆Vol.7
「OSCEは正しい」「根本的な議論が必要」

スペシャル企画 2017年8月5日 (土)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

Q 2018年の第112回試験では問題数が大幅に削減されるなど、大改革が予定されております。今後の国試の目指す方向性などについてご意見があればお聞かせください。
⇒国試対策については「医学部での国試対策、多くの大学で実施◆Vol.6」を参照。

【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医師国家試験が資格試験では無く、実質的な競争試験になっているというのは、利他精神を貴ぶべき医療プロフェッショナルを養成する上で、決して良いものでは無いことを認識した上で、医育行政に当たってほしい。問題数削減は、試験の妥当性を増すものでは無く、むしろ資質に富んだ学生の取りこぼしの可能性を増やすことになろう。「国家試験の評価の妥当性に関する議論」を寡聞にして知らない。CBTで問われている事項を削っていくというのは、アメリカのSTEP方式をまねたのかも知れない。しかしながら、日本の医療人育成課程(医学部入学~CBT~卒業試験~国家試験~認定医試験~専門医試験)は、基本的に「認知領域に優れた人材」を選別して育成するものとなっており、それから抜け出ることは難しいと思われる。とはいえ、STEP方式で育成されたアメリカの医師が、優れたプロフェッショナルになっているという証拠があるのであれば、段階的な試験の性格分けは意味があろう。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】現在議論されている内容を正確には把握していないので、コメントは保留する。

【山形大・山下英俊医学部長】今後の国家試験は、卒後の臨床における研修にシームレスにつながる基本的な幅広い診療能力獲得を確認するものであることが求められています。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】臨床実習が72週、初期研修が2年と専門に進むまでの病院での修練が長くなったので、国試や研修の内容、あるいは医学部が6年間必要か否かなど、もっと根本的な議論が必要。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】問題数を削減することに賛成。知識を問う問題と、現場での実習が生きる内容とを適切な割合で出題することが必要。現在のブルーブックシステムは悪くはないが、問題作成の過程で重複する内容の出題をできるだけ減らすことで対応可能かと考える。

【富山大・北島勲医学部長】知識のみでなく、態度・技能の基礎力を客観的に評価すべき。国家試験にOSCEを入れる方向は正しいと思います。

【金沢医科大・神田享勉学長】臨床重視の問題が大切である。

【福井大・内木宏延医学部長】現在の国家試験が、医学教育分野別評価基準および医学教育コア・カリキュラムに準拠していないため、分野別認証評価(国際認証)に応じた医学教育改革(アウトカム基盤型教育へのパラダイムシフト)において、国家試験を教育のアウトカムにすることはできない。そのため、医学部では、国際認証対応と国家試験対策のダブルスタンダード状態となり混乱を招いているように思われる。現在、多くの大学が重点的に取組んでいる国際認証に応じた教育改革を実質的なものにするためにも、国家試験が卒前教育のアウトカムとなるように、コアカリおよび国際標準に準拠したものにすべきであると考える。

【京都府立医科大・竹中洋学長】今後、全大学で実施されていくPCC-OSCEについて、実施基準や評価基準を統一化し、技能やプロフェッショナリズムを持ち合わせるなど、一定のレベルに達した学生を、医師国家試験の合格基準として適用するなど検討が必要と考えている。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】問題数が500題から400題に、試験実施日数が3日から2日に短縮されることは、学生にとって肉体的には負担は軽減するが、1問当たりの重みが増すため、精神的負担が大きくなるのではと危惧する。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】医学部は専門学校であり、入学した以上、合格させなければならない。医師数削減の中で医学部を作り、定員数を増やす行政に異議を申したい。もし、医師数を削減したいのならば、早々に入学定員を削減すべきである。

【兵庫医科大・野口光一学長】臨床実習後にペーパーテストを行う現時点での国家試験を根本的に改革しないと、臨床実習の真の改革は無理と思われる。

【島根大・山口修平医学部長】基礎知識についてはクリニカルクラークシップの前後にCBTを厳格に行うことで対応し、国家試験問題は臨床重視の問題を増やすべきである。

【広島大・秀道広医学部長】問題数の削減は良いが、症例問題で問われている問題のレベルが高すぎるものがある。本来の資格試験としての位置づけを守るべき。

【徳島大・丹黒章医学部長】問題解決型の設問を多くする。

【産業医科大・東敏昭学長】課題解決型へ持って行くことに同意。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】国試での負担を下げていく必要がある。医学系大学間共用試験(OSCE,CBT,PCC-OSCE)などによる評価が行き着く先は、国家試験の簡略化と考えますが、それでいいのではないかと考えます。臨床推論を中心とした最終試験は必要と感じます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549829
退任の塩崎前厚労相「新しい医療の形とその下での働き方を」
受動喫煙対策「立場は変わるが厚労省と一緒に努力していきたい」

レポート 2017年8月5日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 塩崎恭久前厚生労働大臣は8月4日、退任挨拶の中で、退任前日に第1回を開催した「医師の働き方改革に関する検討会」に関連して、「新しい医療の形とそこの下での働き方の新しい形を絵に示して提供した。今後、本格的に実施の段階になる。後任の加藤勝信大臣はこの分野に詳しい方であり、引き続きご尽力いただけると考えている」と話した。

 塩崎氏によると、厚労相在任期間は1066日で、坂口努氏(公明党)の1361日に次いで、歴代で2番目に長い。自民党議員では舛添要一氏の752日を超えており、「自民党では最長不倒距離」と笑顔を見せた。

 就任時には安倍首相から「医療、年金、労働制度を所管しており、岩盤のように硬い制度を打ち砕いてほしい」という指示をもらったと振り返り、「『成長と分配の好循環』と言っているが、分配である社会保障を守って行くには成長していかなくてはいけない。厚労省設置法3条に、『経済発展に寄与する』という言葉が入っている。高齢化、少子化、人口減少、労働人口の減少の中でも、皆様が地域で納得できる暮らしができるように、あらゆる改革をやっていくのが安倍内閣がやってきたこと」と振り返った。

 最後に力を入れた健康増進法改正案については、塩崎前厚労相時代には、飲食店内は原則禁煙とし、30平方メートル以内のバーなどに限って例外を認める厚生労働省と、例外拡大を求める自民党が対立。法案提出が遅れている。

 塩崎氏は「科学的に被害があるということが証明されており、年間1万5000人が亡くなり、3000億円の医療費、国費ベースでは1200億円がかかっている。科学で、望まない受動喫煙を完全に排除する制度を作っていかなくてはいけない」と改めて強調。「どこの国でも簡単ではないということを学んだ」として、当初案ではパブとプライベートクラブは提供除外としながらも政府と議会が調整し、建物内禁煙を実現させたイギリスの例を出しながら、「どんなに山は高くてもちゃんと努力をすれば上れると思う。立場は変わるが厚労省と一緒に努力していきたい」と語った。

 最も思い出に残っていることを尋ねられると、2015年の国会対応を挙げた。労働者派遣法改正と、日本年金機構の情報漏洩で、「答弁回数がなんと3100回を超えた」と説明。「集中審議の連発だった。9月が終わって本当にほっとした」と振り返った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549720
受動喫煙防止対策で数値目標の扱い言及せず
加藤新厚労相、特に関心が高い「働き方改革」に全力

レポート 2017年8月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 加藤勝信新厚労相は8月4日、就任後最初の閣議後記者会見に臨んだ。政府が今夏の閣議決定を目指している第3次がん対策推進基本計画に、受動喫煙防止の数値目標を盛り込むかどうかについて、「安倍総理からは受動喫煙防止対策を徹底して進めることを昨日の段階で言われている。それに沿って進めていく」と述べたものの、具体的な数字への言及を避けた。

 健康増進法改正案については、塩崎恭久前厚労相時代には、飲食店内は原則禁煙とし、30平方メートル以内のバーなどに限って例外を認める厚生労働省と、例外拡大を求める自民党が対立。この点についても、受動喫煙対策を徹底するとの安倍首相の指示を重ねて示し、「いろいろな所から意見が出てきている。それらを聞きながら、答えを出していく」と述べるにとどめた。

 厚労相として特に関心のある分野については、働き方改革担当大臣を第2次安倍内閣から引き続き務めることから、「まずは働き方改革に全力を挙げる」と述べた。継続審議となっている労働基準法改正案で、年収1075万円以上で高度な専門的知識を持つ場合に労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」と、時間外労働の上限規制を今秋の臨時国会で一括審議する政府方針については、「同じ労基法の改正について二つの法案が出てくると、それぞれ成立するときの状況も違ってくるし、混乱を招きかねない。これまで一つにまとめて議論してきており、それを踏まえて対応していく」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549587
医師の働き方改革とキャリア
新潟県立病院の勤務医「時間外勤務80時間超」は17人
県調査、2016年の長時間勤務の状況と改善策を発表

レポート 2017年8月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 新潟県病院局は8月3日、県立13病院の長時間勤務の状況と改善に向けた取り組みを発表した。7月3日にがんセンター新潟病院で長時間労働などが問題視され新潟労働基準監督署から是正勧告を受けたことに対する措置で、労基署には改善状況を報告した。管理職を除く常勤医師340人中、2016年度に時間外労働が「過労死ライン」とされる80時間以上の月があったのは17人(延べ43人)、100時間以上は6人(延べ13人)。改善策は、診療科内の業務平準化や複数主治医制の検討、時間外勤務の適正な管理などを挙げた。

県立がんセンター新潟病院
 時間外勤務は、時間外勤務手当の支給データを基に算出。7月6日の県議会では80時間以上が30人(延べ81人)、100時間以上が10人(延べ23人)と報告したが、これは県の所定労働時間である1日7時間45分、週38時間45分を超えた時間を計算したもので、今回は労基署の指摘に基づき、労働基準法に規定のある1日8時間、週40時間を基に計算した。

 改善に向けた取り組みは、(1)業務の平準化、(2)医師の業務軽減、(3)病院機能に対応した良質の医療の提供、(4)時間外勤務の適正な管理と意識啓発、(5)医師確保の一層の取り組み――から成る。(1)は、特定の医師への患者集中の是正や、時間外労働が多くなっている医師の宿日直を他の医師に代わってもらうことなど。(4)では、病院ごとに、週1回など定期的に時間外勤務の状況を各医師に通知して長時間勤務の抑制を図ったり、「36協定」や関係法令の周知徹底を図ったりする。

 もっとも、これらの改善策は、どの程度、実行可能かは疑問が残る。その上、労基署の是正勧告内容への対応として長時間労働の抑制を図るもので、医師の時間外労働の上限規制の議論で主要なテーマとなっている医師の特殊性や、「どこまでを労働時間として算定するか」といった内容には踏み込んでいない。労働時間算定の基準を示した内規はあるが、改定などの具体的な検討は始めておらず、県病院局総務課参事の原田正則氏は「国の働き方改革の議論を注視しながら、どのように動くのかということになる」と述べた。

調査結果は以下の通り。

【長時間勤務の状況】
(非管理職の常勤医師340人、かっこ内は延べ人数。)
【80時間以上】
病院別:中央病院4(6)、十日町病院4(6)、がんセンター新潟病院3(8)、新発田病院6(23)
診療科別:内科6(20)、小児科1(1)、外科6(14)、整形外科4(8)
【100時間以上】
病院別:新発田病院4(11)、がんセンター新潟病院1(1)、中央病院1(1)
診療科別:内科3(9)、外科2(2)、整形外科1(2)
【長時間勤務の内容と要因】
(「年間」の時間は、非管理職の常勤医師340人の時間外労働時間の合計で、総計は4209時間)
入院患者診療(急変等):年間2288時間(54.4%)
当該診療科において重症患者が多く、勤務時間外に急変時診療の回数が多いこと。
診療科間、医師間における業務量の偏りがあること。
当該医師が主治医となった患者に重症患者が多いこと。
当該診療科(病態)の担当医が不足していること。
外来患者が多いことなどにより、入院患者の診療が勤務時間外になってしまうこと。
急患診療:年間944時間(22.4%)
急患が多いこと。
常勤医師数が絶対的に不足していること。
手術:355時間(8.4%)
当該診療科において手術件数が多いこと。
診断書等の作成:321時間(7.6%)
診療や手術以外の準備、記録作成などの業務が多いこと。
その他:301時間(7.2%)
周辺医療機関からの紹介患者が多いこと。
勤務時間にかかわらず患者の治療を優先。
若手医師が経験を積むために多くの症例や実技に参画していること。また、多くの若手医師が経験できるよう、時間外に指導に当たっていること。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549316
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理
厚労省の検討会始まる 、最終結論は2018年度内

レポート 2017年8月2日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は8月2日、「医師の働き方改革に関する検討会」の第1回会議を開き、医師の時間外労働の上限規制の在り方や勤務実態、勤務環境改善策などについての検討を始めた。塩崎恭久厚労相が会議の冒頭、「医師の時間外労働の上限規制について、特例の在り方を議論していただくのが目的。具体的な勤務環境改善策を推進することで医療の生産性を高め、提供する医療の質の維持向上をしながら、働き方を改善するのも重要だ」と挨拶した。

 座長には、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏が就任、年明けには中間整理を行い、最終的な結論は、2018年度内に得る予定。

 政府が3月28日にまとめた「働き方改革実行計画」で、時間外労働に罰則付きの上限規制を設ける方向性が示された。医師に関しては2年後を目処に規制の具体的な在り方や労働時間の短縮などについての結論を得るととともに、改正法施行から規制の適用まで5年間の猶予期間を設けるとされたことを踏まえ、本検討会では議論を進める。

 検討会の構成員は、医療団体の幹部や医療法人の経営者、勤務医、労働法の研究者、病院経営コンサルタント、看護師、労働組合など、さまざまな分野から集められた。2日の会議では、各構成員が順に現状認識などの見解を述べた。主な意見は次の通り。

【日本医師会常任理事・市川朝洋氏】
 医師の働き方を論じる上で大切なのは、できることから始めることではないか。将来の議論は大切だが、まず医療界として自主的な改善を進め、その着地点を予想しつつ、医師の特殊性を踏まえた将来の在り方について考えるべきではないか。応招義務に加え、自己研鑽や高い職業意識、倫理観などの特殊性により、長時間労働、連続勤務、労働時間の突発的な変動、労働時間の解釈の違いが起こり、その結果、労働時間管理や健康管理の難しさが生じている。これが一番の問題点であり、一般労働者と違う点であると考えている。日医の働き方改革の目的は長時間労働の是正ではなく、勤務医の健康を守りつつ、地域医療を守っていくことだ。医師に対する安全衛生体制全般にも目を向けて対応していく必要がある。

【千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏】
 多くの大学病院も労働基準監督署から指導を受けている。全国医学部長病院長会議でも危機感を持ち、医師の労務管理についての検討を進めている。大学病院の特殊性としては診療の他に教育と研究というミッションがあり、それらがモザイク状に絡み合って切り分けられず、問題を複雑にしている。大学教員の場合、通常は教育と研究が主体の場合には裁量労働制が採られている。基礎系の教員は裁量労働で、臨床型の場合は診療が入るので裁量労働になじまない部分がある。どこからどこまでが上限規制の対象になるかということも、この検討会での議論を踏まえて全国医学部長病院長会議で検討したい。

【福岡県済生会福岡総合病院名誉院長・岡留健一郎氏】
 病院の勤務医は管理者と労使協定を結んでいるのかどうか。全然結んだことがなく、「36協定って何だ」と、近年こういう議論が出てきて初めて知ることになった。医師の労働者性ということが根本的に問われる時代であるとともに、労働管理について、オンなのかオフなのかをきちんと定義付けていかないといけない。そのためには現在の医師がどういう働き方をしているか、実態調査をすることが必要だ。

【東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏】
 東北大学病院では時間外労働が月80時間を超えると強制的に面談をしているが、その内容を見ると、目の前に患者がいれば診なければいけない現状がある。コメディカルに業務負担を移したり、産業医が業務の内容を仕分けたりしているが、それでも患者は来る。地域で基幹病院にしても大学病院にしても、そこしか診るところがない。また、大学の給料だけではやっていけず、大学で80時間働いた後、アルバイトで当直に行く分の管理ができていない。当病院は産業医がいるが、いないところも多い。疲れた医師、過労死になりそうな医師を見付けて「休め」と言う人がいないことも、問題だと思う。

【順天堂大学医学部附属順天堂医院 医師・猪俣武範氏 】
 質の高い医療と、職場環境の確保が必要だ。医師には医学生や市民の教育、研究、病院の経営など多岐にわたる仕事があり、自己研鑽や学会への参加も重要だ。それに対して画一的な労働規制をするべきではない。多様な仕事をこなす上での環境は整理すべきだ。

【ハイズ株式会社代表取締役社長・裴英洙氏】
 私は元外科医で、今は病院経営のコンサルティング会社を経営している。医師が提供する価値は量と質のかけ算だと考えている。つまり、労働時間と生産性だ。今回は働き方改革ということで、「働く時間改革」ではないと思う。時間の議論は当然ながら、時間を減らして、どのようにしたら質が上がっていくのかという議論もセットで考えないと、時間を減らすだけでは提供する価値が下がってしまい、患者や地域にマイナスになる。

【全日本自治団体労働組合総合労働局長・森本正宏氏】
 医師が他の職種と違って長時間労働が過労死にはつながらない、などということはあり得ない。どのように働き方を変えれば長時間労働を抑えられるのかということや、応招義務に対して個人ではなく組織的に対応できる体制を作っていくのかを検討していきたい。



http://www.sankei.com/region/news/170805/rgn1708050065-n1.html
新潟市民病院、医師の増員検討
2017.8.5 07:10 産經新聞

 新潟市の篠田昭市長は4日の記者会見で、新潟市民病院(同市中央区)の医師の長時間労働を是正するため今年度中に産婦人科などの医師を増やす方向で検討していると明らかにした。

 篠田市長は「(労働環境が)厳しい部分がある産婦人科などは、新潟大医学部にお願いするなどで医師の増員を検討したい」と述べた。同病院では昨年1月、女性の研修医が過労が原因で自殺し、新潟労働基準監督署が今年6月、改善を求める是正勧告を行った。



http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/121769
2年分で18億円 沖縄の県立病院、当直医師の残業代支払いへ
2017年8月2日 07:43沖縄タイムス

 沖縄県立病院の当直医師らへの時間外勤務手当の未払い問題で、県病院事業局(伊江朝次局長)は全6病院での未払い額が2015年度と16年度の合計で約18億6千万円に上ると概算し、該当者に相当分を支払う準備を進めていることが1日までに分かった。同局は「労働基準監督署からの勧告内容を精査し、従う方針を決めた。できるだけ早く支払い手続きを進めていきたい」と説明。財源を見極めながら、県議会9月定例会での予算補正を含め、早めに対応したい考えだ。(社会部・石川亮太)

 同問題では昨年8月に北部病院が、同11月に北部病院と南部医療センター・こども医療センターが、労基署から過去2年分の未払い賃金を支払うよう是正勧告を受けた。同局は全県立病院で共通した給与の取り扱いがあるとして、全6病院に15、16年度の当直医師の人数と未払い額の報告を求めていた。

 7月21日、債務者である各病院長が債権者の医師らに対して債務があることを認める承認をし、同日からさかのぼって過去2年分の支払期間を確定させた。公務員の給与請求権の時効は労働基準法で2年間と定められており、実際の支払額は概算額より少なくなる見込みだ。

 対象の医師らは延べ830人。病院別で最も報告額が多かったのは南部医療センターで約5億9千万円。最も少ない精和病院で約5700万円となっている。

 当直医師は午後5時から翌日午前8時半までの15時間半、救急対応などに当たる。未払いの背景には1972年に当時の厚生部長から各県立病院長に出された内部通知を受け、拘束時間のうち8時間を勤務とみなし、1時間当たり2・5割増で支給する「慣例」があった。

 県職員給与条例、規則では時間帯によって平日、土日・祝日は2・5~6割、時間外勤務が月60時間を超えた場合は最大7・5割の割増賃金を設定。労基署はこれに対し、拘束時間中は救急対応に備えた「待機」で勤務の一環であり、適切な割増賃金を支払うべきだと指摘していた。

 同局は6月30日、伊江局長名で同通知を廃止。7月分からは実質的な休憩時間を省いた時間外手当を支給している。



https://mainichi.jp/articles/20170803/ddm/002/040/142000c
医師の残業
医療機関と労組、規制賛否 厚労省検討会

毎日新聞2017年8月3日 東京朝刊

 厚生労働省は2日、医師の「働き方改革」に関する検討会の初会合を開いた。残業時間の上限規制を巡り、医療関係者の委員から「極端な規制は地域医療を崩壊させる恐れがある」と慎重論が出た一方、労働組合の委員は「医師であっても労働者だ」と主張、意見が対立した。

 政府は3月に策定した働き方改革実行計画で「最長で月0時間未満」などと定めた残業上限規制について、正当な理由なしに診療を拒めない「応招義務」があるとして医師への適用を5年間猶予している。検討会は規制のあり方を議論、再来年をめどに結論を出す方針。

 検討会では、堺市の「社会医療法人ペガサス」の馬場武彦理事長が「医師の勤務には自己研さんの面があり、制限されることに不満を持つ医師もいる。慎重な対応をお願いしたい」と述べた。連合の村上陽子・総合労働局長は「医師は特殊性もあるが、紛れもなく労働者で同じ人間だ。知恵を出し合って検討を進めるべきだ」として、残業上限規制を導入すべきだと主張した。

 昨年1月には新潟市民病院(新潟市)に勤務していた研修医が過労自殺。厚労省によると、2016年度に過労死や過労自殺(未遂含む)で労災認定された医師は4人に上る。

 厚労省が昨年12月に実施、医師約1万6000人から回答を得た調査では勤務医のうち、男性の約4割、女性の約3割で1週間の労働時間が60時間を超えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549410
不採算地区での医師確保「財政措置の充実を」総務省研究会
独法化病院、経常収支悪化の背景に繰入金減少

2017年8月3日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第6回会合が8月2日に開催され、研究会の報告書の内容について議論。「不採算地区において、医師確保に係る財政措置の充実について検討」といった文言が盛り込まれることなどで大筋で合意した。

 地方独立行政法人化した公立病院で2012年度以降に経常収支比率が悪化傾向にあることについては、経営改善に伴い自治体から繰入金減少が主たる原因と考えられると事務局から説明があった。

 事務局が提示した報告書骨子案では大きく分けて【現状・課題】と【今後の公立病院経営に向けた提言】の2部構成になっている。

後半部の構成は、下記の通り。
1.病院マネジメントの観点からの経営手段の充実
(1)公立病院の事務局の強化、経営人材の確保・育成
(2)公立病院の経営指標の「見える化」と地域における経営展望の理解促進
(3)経営指標の分析に基づく取組、PDCAサイクルの展開
2.公立病院に対する財政的・制度的支援
(1)地域医療確保のための財政支援
 〔1〕不採算地区における医療を確保するための必要な措置
 〔2〕近年の資材単価等の動向を勘案した、公立病院の施設整備に関する措置
(2)地域医療構想を踏まえた多様な形態の再編・ネットワーク化の推進
 〔1〕多様な再編に向けた病院事業債(特別分)の活用促進
 〔2〕医療と介護の連携のために必要な措置
(3)経営形態の見直しを支援する制度運用上の対応

 2.-(1)-〔1〕では、「医師確保の重要性に鑑み、医師確保対策に係る財政措置の充実について検討」という記述が盛り込まれた。北海道奈井江町長の北良治氏は「医師確保に対して深い理解が書かれたことに敬意と感謝を示す。看護師、薬剤師の確保も重要であり「等」としてほしい」と要望した。

 骨子案で大筋合意し、今後の研究会で細部を詰めていく。

独法化病院、経常収支悪化は「繰入金の減少」
 前回の会議で示された独法化した病院の経常収支比率が、2009年度の104.3%から2015年度には100.1%に悪化しているという資料について、分析結果を事務局が説明した(『不採算地区病院への支援拡大を検討、総務省審議会』を参照)。医業収支に限定して見ると、2012年度までの上昇傾向を経て、2013年度に減少しその後は横ばいで推移していた。

 一方で、経常収益に対する自治体からの運営費繰入金の割合は2009年度の18.8%から2015年度は12.5%に減少していた。その理由を事務局が自治体に聞き取りをしたところ、収支改善により収支差を埋める運営費繰入金が減少していることが判明した。指定管理者制度でも、2009年度の9.0%から2015年度には6.3%に減少していた。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20170802338434.html
上越の新潟労災病院160床休止
医師減少、稼働200床に

2017/08/02 10:49 新潟日報

 上越市東雲町の新潟労災病院は31日までに、稼働する病床数を200床に減らした。同病院の使用許可病床数は360床だが、常勤医の減少に伴い、160床の休止を決めた。

 新潟労災病院の常勤医は現在20人。昨年9月以降、麻酔医や外科医、泌尿器科医、消化器内科医の常勤医が相次いで異動や退職などしている。

 これに伴い、新潟労災病院は昨年9月とことし4月に2病棟の病床を休止。さらに7月1日、病院運営上の理由から病床削減を行い、計200床とした。現在稼働している機能別病床数は、病気やけがをしたばかりの患者を受け入れる「急性期」157床と、リハビリを重点的に行い、在宅復帰を目指す「回復期リハビリテーション」43床。

 沢野貴博事務局長は、新潟日報社の取材に「医師の退職に伴い、入院患者を受け入れることができなくなった。現在、関係する大学や民間業者などを通じて医師確保に努めており、確保できれば再度、病床を増やしたい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/548891
「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知
医学部地域枠は原則地元出身者、医師DBも構築

レポート 2017年8月1日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は7月31日、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定したり、医師の配置が把握できるデータベース(DB)の構築など、計6つの柱から成る医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。2018年度からの第7次医療計画の関連通知は2017年3月31日付で出されていたが、医師確保対策は盛り込まれておらず、社会保障審議会医療部会などで議論、了承された内容を今回の通知で追加した(『医学部地域枠は「地元出身者に限定」、例外も』を参照)。

 医学部地域枠の入学生については、修学資金を貸与する都道府県の地元出身者を原則とし、特に修学資金貸与事業における就業義務年限については、自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)として、地域医療支援センターが当該医師のキャリア形成プログラムを策定する。社保審医療部会では、他の都道府県の大学医学部に地域枠を設ける場合の扱いが議論になった。通知では、こうしたケースも認めるものの、卒業後の臨床研修は出身地の都道府県で受けるほか、勤務地や診療科を限定するキャリア形成プログラムとする。

 都道府県は、地域医療対策協議会において、これらの点を踏まえた医師確保対策を議論、第7次医療計画で地域医療支援センターの事業内容を定めることになる。

【地域医療支援センター事業等の記載にすべき事項】

(地域枠およびキャリア形成プログラムについて)

ア:大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、地域枠の入学生は、原則として、地元出身者に限定。特に、修学資金貸与事業における就業義務年限については、対象者間のばらつきを全国で是正するため、同様の枠組みである自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)とし、これを前提として「イ」に規定するキャリア形成プログラムを策定。

イ:地域枠医師の増加等に対応し、医師のキャリア形成が確保された医師確保が進められるよう、以下の点に留意して、キャリア形成プログラムを必ず策定。

・医師のキャリア形成に関する知見を得ることや、重複派遣を防止するなど医師確保の観点から大学(医学部・附属病院)による医師派遣と整合的な医師派遣を実施することができるよう、キャリア形成プログラムを策定する際には、大学(医学部・附属病院)と十分連携すること。

・大学所在都道府県における臨床研修修了者は、臨床研修修了後、大学所在都道府県に定着する割合が高いことから、原則として、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けること。

・医師が不足する地域や診療科における医師を確保するという医学部定員の暫定増の本来の趣旨に鑑み、キャリア形成プログラムにおいて、勤務地や診療科を限定すること。

・特段の理由なく、特定の開設主体に派遣先が偏らないようなキャリア形成プログラムとすること。

・出産、育児、家族の介護の場合や、事前に想定できないやむを得ない特段の事情が生じた場合には、キャリア形成プログラムの内容の変更等について、柔軟に対応できるようにすること。
(医師の勤務負担軽減について)

ウ:医師の勤務負担軽減に配慮した地域医療センターの派遣調整等。

・グループ診療を可能にするよう、同一の医療機関に同時に複数の医師を派遣したり、他の病院から代診医師を派遣するよう斡旋したりすること。

・へき地以外でも代診医師の派遣や遠隔での診療が進むように支援すること。

・地域医療支援センターが医師を派遣する医療機関における勤務環境改善を進めるため、例えば次のような方法により、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターが連携すること。
 
派遣前:医療勤務環境改善支援センターが、派遣候補となっている医療機関の勤務環境を確認し、勤務環境の改善につながるような助言等を行うこと。

派遣後:地域医療支援センターが派遣医師から継続的に勤務環境等について聴取し、課題等を把握した場合は、医療勤務環境改善支援センターが勤務環境を再度確認し、その改善につながるような助言等を行うこと。
(へき地の医師確保について)

エ:地域医療支援センターによるへき地医療支援機構の統合も視野に、へき地に所在する医療機関への派遣を含めたキャリア形成プログラムの策定など、へき地も含めた一体的な医師確保を実施。
(その他)

オ:詳細な医師の配置状況を把握できる新たなデータベースの医師確保への活用

カ:地域医療支援センターの取り組みの認知度向上や医師確保対策の実効性向上のため、SNS等の活用や、医師確保対策に若手医師の主体的な参画を促すなど、若手医師へのアプローチを強化。


  1. 2017/08/05(土) 17:14:43|
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