Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月30日 

http://www.medwatch.jp/?p=15067
2017年度の臨床研修医は8439人、地方採用が過去最高の58.2%に―厚労省
2017年7月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatcg

 今年度(2017年度)の初期臨床研修医は、過去最多だった前年から133人減の8489人が採用となり、東京など6都府県を除く道県での採用割合は過去最高の58.2%となった―。

 このような状況が、厚生労働省がさきごろ公表した2017年度の「医師の臨床研修医の採用実績」から明らかになりました(前年度の状況はこちら)(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医学部入学定員増を受け、2017年度の研修医採用実績は8439人と高水準
2 都道府県別の研修医定員設定により、地方での研修医採用は58.2%に拡大
3 大学病院での研修が40.4%、臨床研修病院での研修が59.65%

医学部入学定員増を受け、2017年度の研修医採用実績は8439人と高水準

 2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、「臨床現場に立つためには、医師は2年間以上の初期臨床研修を受ける」ことが必修化されました。「私は◯◯科の医院を継ぐので、他の診療科のことは知らなくて良い。当該科の医師が対応すればよい」と行動することは許されず、将来専門とする分野に関わらず、基本的な診療能力を身につけた医師の養成を目指しています。

 新臨床研修制度は、▼研修医が研修先病院の希望を出し、公的なマッチング機構で研修先病院を決める▼基本的な診療能力を身につけるために、複数の診療科での研修を必須とする―ことなどが特徴となっています。ただし、現場の実態とマッチさせるために、新制度の見直し(都道府県別の募集定員に上限を設ける、小児科、産婦人科、精神科に重点を置いたプログラムを認めるなど)も逐次、行われています。

 臨床研修医が2017年度にどれだけ採用されたのかを見ると、8439人で、過去最高だった前年の8622人から133人減少しています。ただし、医学部定員増(地域の医師確保対策2012)の影響も受け、前々年度(2015年度)以前よりは、200人以上多い水準となっています。

都道府県別の研修医定員設定により、地方での研修医採用は58.2%に拡大

 臨床研修医の採用状況を都道府県別に見ると、大都市を抱える東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡の6都府県の割合は2017年度には41.8%(前年度から0.8ポイント減)となりました。逆に、これら6都府県を除く道県の割合は過去最高の58.2%(同0.8ポイント増)となっています。新制度スタート前の2003年度には、6都府県の割合が51.3%だったので、13年間で9.5ポイント下がっています。
(図 略)
2017年度、都市部(東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡)の初期臨床研修医採用割合は41.8%、それ以外の地方部採用割合は58.2%となった
(図 略)
都市部(東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡)の初期臨床研修医採用人数は3546人、それ以外の地方部採用人数は4943人となった
 
 この背景には前述の「都道府県別の募集定員上限」設定があります。臨床研修医が大都市に集中しているとの批判を受けて定員を設定したことによって、「地方へ分散」という流れが生まれていると言えます。将来的にも、都市部においては上限を厳し目に設定する方向で議論が進んでいます(関連記事はこちら)。
 臨床研修医の採用実績が増えた上位5県、および今年度の採用人数を見ると、(1)長崎県116人(前年度に比べて32人・39.8%増)(2)福井県62人(同13人・26.5%増)(3)徳島県63人(同12人・23.5%増)(4)島根県59人(同9人・22.9%増)(5)鳥取県50人(同9人・22.0%増)―となっています。厚労省の分析によれば、「臨床研修を受けた都道府県で、研修修了後も勤務する医師が多い」ことが分かっており(関連記事はこちらとこちらとこちら)、地方部で臨床研修を受ける医師の増加は、長い目で見て医師の地域偏在是正に相当の効果があると期待できます。

大学病院での研修が40.4%、臨床研修病院での研修が59.65%

 新制度の実施前(旧臨床研修制度)は、卒業した医学部の附属病院で研修を受ける医師が圧倒的多数を占め、大学病院での研修が7割超を占めていました。

 しかし、新制度では「研修医が研修先病院の希望を出せる」ため、大学病院以外の臨床研修病院で研修を受ける医師が増加しています。「大学病院で研修を受ける医師」と「臨床研修病院で研修を受ける医師」の比率は、新制度がスタートした2004年度には55.8対44.2になり、翌05年度には49.2対50.8と、臨床研修病院で研修を受ける医師のほうが多くなりました。研修医の受け入れを希望する病院が、特色ある研修プログラムを準備したり、研修医に厚い待遇を用意したりしたことが大きいようです。

 その後、11年度からは臨床研修病院で研修を受ける医師の割合がさらに増加傾向を強まり、2017年度は40.4対59.6(大学病院での研修割合が40.4%)となり、0.1%とわずかですが大学病院での研修割合が減少し、臨床研修病院での研修割合が増加しています。
大学病院と臨床研修病院とで、採用割合の差はさらに開き、大学病院40.4%、臨床研修病院59.6%となった
大学病院と臨床研修病院とで、採用割合の差はさらに開き、大学病院40.4%、臨床研修病院59.6%となった
(図 略)
2017年度、大学病院における初期臨床研修医の採用数は3432人、臨床研修病院は5057人となった
 
 なお、この点について全国医学部長病院長会議では「地方大学における臨床医不足が、関連病院、つまり地域の医師不足・偏在を生んでいる」とし、初期臨床研修制度の「抜本見直し」が必要と訴えています。
 


https://www.m3.com/news/iryoishin/546262
m3.com全国医学部長・学長アンケート
医師の働き方改革、アイデアさまざま◆Vol.3
事務補助や時短で負担軽減、勤務実態把握が課題

スペシャル企画 2017年7月26日 (水)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

 社会全体を覆う潮流となった感のある「働き方改革」は、医療も例外ではない。2016年1月に新潟県内の市立病院で女性研修医が過労自殺して今年労災認定を受けた他、病院が労働基準監督署に長時間労働などについて是正勧告を受けた事例もある。

[連載第1回はこちら]
Q:政府が進める働き方改革では医師についても争点になっております。「働き方改革実行計画」では医師の時間外労働の上限規制は5年猶予されることになりましたが、現段階で、貴大学・医学部で、教員(職員)の勤務時間の適正化の取り組みをされているでしょうか。

 働き方改革を「実施している」が11人、「実施していない」が7人だった。

【実施している】
【京都府立医科大・竹中洋学長】医師の負担軽減を図るため、医師事務補助を配置。育児や介護等と仕事の両立を図るため、短時間勤務(特定専攻医)制度を創設し、短時間勤務を希望する医師については短時間勤務を認めるとともに、時間外勤務、宿日直業務等を免除。短時間勤務を行っている医師の代替としては、京都府の女性医師等就労支援事業を活用し、当該診療科に有期雇用職員を雇用。社会人大学院制度の導入に伴い、教員の勤務時間に「遅出勤務」を設定。普通勤務:8時30分~17時15分(うち休憩1時間)、遅出勤務:11時00分~19時45分(うち休憩1時間)。学長特別補佐として男女共同参画社会担当に加えて、新たに働き方改革担当を定め、方向制を求めている。

【島根大・山口修平医学部長】適正化の実施は行っている。一部の診療科で長時間労働が解消されにくい現状があり、毎月の医学部附属病院合同の安全衛生委員会において検討をしている。部局に対しては対策案の提出を依頼し、本人に対しては産業医との面接勧奨などを行っている。またワークライフバランス支援室の活動も重視している。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】本学では勤務報告書の提出による自己申告制を採っており、提出された勤務報告書に休暇・出張・兼業等の報告や過小に申告された労働時間がないか、担当事務での確認作業を実施している。また、労働時間の実態を正しく記録し適正に自己申告を行うよう学内のホームページで周知している。1カ月100時間以上の過重労働を行った教員には病院長が自発的に対象者にヒアリングを行い、業務負担を把握した上で問題点の改善が可能か検討している。

【広島大・秀道広医学部長】全職員が、毎年任意の2週間の勤務時間の内訳を報告することを義務づけられている。また、ストレス度チェックの自己点検の結果を提出することが義務づけられており、過剰労働に対しては労働安全の視点から勧告、介入がなされる仕組みである。

【横浜市立大・井上登美夫医学部長】

<臨床系>医師の時間外勤務状況について、安全衛生委員会に報告し、特定の者に偏って負担がかかっていないか確認している。法定労働時間を超過して時間外勤務している医師について、「長時間労働自己チェックリスト」を配付、回収し、心身の状況を把握するとともに、必要に応じて健康管理室が介入している。病院長と各診療科部長等との意見交換の場を通じて、適正な人員配置について検討している。

<基礎系>裁量労働制を導入しており、「勤務実績及び健康状態自己申告書」を毎月配付、回収したうえで、勤務時間が長時間(週63時間以上)にわたる者がいないか、確認している。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】臨床系教員の多くが病院(勤務)と兼務しているが、やはり当直明け等の、休日振り替えなどがやっと実施されつつある程度です。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】医局での自己研鑽を勤務時間に入れないことを徹底している。

【実施していない】
【富山大・北島勲医学部長】実態調査と個人面談の段階である。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】医師不足のためできません。男女共同参画の視点から、一部の診療科の女性医師についてはかなり改善されていますが…。

【山形大・山下英俊医学部長】実施には至っていないが実態把握が重要と考え、その方法を検討している。

【福井大・内木宏延医学部長】現在のところ、特になし。

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



https://www.m3.com/news/iryoishin/546361全国医学部長・学長アンケート
長時間労働、一定の管理を◆Vol.4
研究の扱いは「別次元の話」

スペシャル企画 2017年7月28日 (金)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

Q:医師、研究者に対する、時間外労働の上限規制の適用について、お考えがあればお聞かせください。
【一定の規制や管理は必要】

【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医療人のQOLを高めるのは、医療の質を維持するとともに医療人のキャリアアップを図る上で必要なことは言うまでも無い。過度な研究レースの行き着く先が研究不正であり、安定した生活の保障も医学研究を推進する上で必要な要件である。とはいえ、残業時間を規制したからと言って、これらの問題がクリアできるとも思えないし、何より現場の医師数がまだまだ足りない。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】医師の過重労働は、その影響が患者に及ぶのでしっかりとした管理が必要である。一方、救急や緊急手術など杓子定規の規定では対応できない現場もある。また、人手不足で、規制の程度によっては診療が成り立たなくなる場合もある。この辺りが5年猶予の理由であろうか。研究者について、実験の種類によっては処理や観察を長時間連続的に行う必要がある場合がある。また、ある程度実験(勤務)の計画・時間を自分の裁量でコントロールできるので、当面は規制の適用は必要ないのではないか。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】医師については残業が過剰になることがある程度やむを得ない場合があるが、規制は適用して改善の手段を講じる必要がある。研究者についてはできるだけ無理のない計画を立てるように指導することで規制せずに済むような方略を見出せると考えている。

【福井大・内木宏延医学部長】医師に関しては,残業上限を規制することとなった場合、残業時間の削減を含む一層の医師の負担軽減につながる取り組みを検討する必要があると考える。ただし、医師を含む教員全般の研究活動を、残業上限を理由に規制することは、法制上はともかく研究者個人としては受け入れ難いものとなる可能性が高いため、現在、一部の教員を除き適用している専門型裁量労働制を過度な長時間労働とならないよう健康管理に留意しつつ、適切に運用することを徹底することとなると思われる。

【研究の扱いが問題】
【富山大・北島勲医学部長】研究に対する残業の考え方が明確ではない。医師は業務による残業と研究による残業を区別すべき。

【兵庫医科大・野口光一学長】臨床業務としての残業と、研究としての超過勤務は全く別次元の話である。他業種のように労働時間規制を厳格に適用して、医療機関が経営的に成り立つとは今の日本では考えられない。

【京都府立医科大・竹中洋学長】現在のところ特にない。研究者については、裁量職とも考えている。
【残業規制を適用すべきでない】
【大阪市立大・大畑建治医学部長】高難度手術の最中に、時間ですから手術は終わります、と患者に言えるのか?この問題を考えてほしい。患者の命を救うことを第一に考えている医師には、受け入れることはできない。それぞれの医師の裁量に任せるべきである。

【島根大・山口修平医学部長】医師、研究者の働き方は裁量性にすることで、トータルでバランスを取るべきと考える。



https://ryukyushimpo.jp/news/entry-541536.html
医師の確保を要請 北部市町村会が県に
2017年7月25日 12:33【琉球新報電子版】
医師不足 診療 制限

 県立北部病院が医師不足によって、8月から外科の診療を制限する問題で、北部市町村会(高良文雄会長)は25日午前、県庁に浦崎唯昭副知事を訪ね、医師確保を要請した。
 要請文は外科の診療制限問題について「『県立病院の充実強化を図る』との知事の公約に矛盾し、外科医師不足という一端が表面化しただけで、他の診療科も危機的な状況にある」などと指摘し、県の早期対応を強く求めている。要請で浦崎副知事は「1日も早い(医師不足の)解消を図ることが大事で、全力を挙げていきたい」と述べた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170724172012
「病院総合医」プログラムの受け付け開始へ
10月にも、日病

2017年07月24日 18:00 CB News

 日本病院会(日病)は24日に定例記者会見を開き、来年春にスタートする日病版の「病院総合医」について、会員病院からのプログラムの受け付けを10月にも開始すると発表した。日病のワーキンググループ(WG)では来月中にも、研修の内容や評価方法などの細則をまとめ、9月の常任理事会に諮る見通しだ。【敦賀陽平】

 来年春に始まる新専門医制度では、内科や外科などと並ぶ基本診療領域の一つとして、「総合診療専門医」が位置付けられているが、日病内部では「プライマリケアを目指す診療所の医師は育成できても、病院の総合医は育たないのではな...
CBnews会員(無料会員)



http://www.medwatch.jp/?p=14951
卒後6年以上の医師を対象に、2018年度から「病院総合医」養成開始—日病
2017年7月24日|医療現場から MedWatch

 多くの病院で求められている「病院総合医」を日本病院会として認証する制度について、来年4月からの運用開始を目指した検討を進めている。卒後6年以上の医師を対象として、▼医療安全 ▼感染対策 ▼栄養サポートチーム—などのチーム医療の実施や、地域医療全般に配慮できる能力などを2年間の研修期間で身に着けてもらうことを想定している—。

日本病院会が24日に開いた定例記者会見で、末永裕之副会長(小牧市民病院病院事業管理者)がこういった構想を明らかにしました。

また相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)からは、「公的医療機関などに『改革プラン』の策定が求められることになるが、それを地域医療構想調整会議(以下、調整会議)における本質的議論のきっかけにしてほしい」との考えが示されています。

ここがポイント!
1 将来の幹部候補ともなる「病院総合医」を養成、各病院団体とも連携
2 地域医療構想調整会議、「特定集団による偏った議論」ではいけない
3 大規模災害時の統一診療録となる「災害診療記録」(J-SPEED)

将来の幹部候補ともなる「病院総合医」を養成、各病院団体とも連携

 中小病院では人手不足の中で「総合的な診療を行える能力を持つ医師」の確保が急務とされ、大病院においても「専門診療科の隙間に陥ってしまいがちな、複数疾病を持つ高齢者に総合的な診療を提供できる医師」の確保が求められています。日病では、前堺会長時代から、こうした能力を持つ医師を、「病院総合医」として新たに養成・認証していく制度の構築を進めています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

新専門医資格の1つとして総合診療専門医の養成が始まる見込みですが、末永副会長は「総合診療専門医は、主にクリニックにおいてプライマリケアを提供する能力に主眼を置いているとの意見もある。そこで、日病では、これとは別に『病院で必要とされている総合医』の養成を目指していく」と説明しています。

日病において「病院総合医育成プログラム基準」を定め、会員病院がこの基準に則って「育成(研修)プログラム」を作成し、これを日病が認証します。「病院総合医」を育成したいと積極的に考える病院が、この基準に沿って育成(研修)プログラムを作成し、自院の医師を対象に研修を行うことが想定されます。

研修の受講対象は「卒後6年以上の医師」で、認証されたプログラムに沿って2年間(後述するように経歴による短縮も可能)の研修を受け、求められる水準に達していることが当該病院・日病で確認された後に「病院総合医」資格が与えられます。育成(研修)プログラムの内容、つまり「病院総合医に求められる能力」として末永副会長は、▼医療安全 ▼感染対策 ▼栄養サポートチーム—などのチーム医療の実施や、地域医療全般に対応する能力(地域医療構想や地域包括ケアシステムへの配慮)などを例示しました。もっとも卒後6年以上の医師が対象となるため、研修と臨床を同時並行で実践しなければならないことから、高すぎるハードルは設定せず、例えば「医療安全については、日病の開催する医療安全管理者養成講習会の受講などで対応する」など現場に配慮した育成(研修)プログラムとなる見込みです。

病院総合医の育成は、JCHO(地域医療機能推進機構)などでも進められる模様で、末永副会長は「日病独自の制度であるが、各病院団体の取り組みを尊重し、認証しあう(例えばA団体で育成研修を受けた場合には、重複する項目については日病の育成研修の当該項目受講完了とみなすなど)仕組みとしたい。いわば各病院団体のミニマムリクワイアメント(最低限必要な研修内容)とする」との考えも示しています。このため、すでに総合診療を実施している医師や、他団体の研修を受講している医師などでは、研修期間が短縮されることになります。今後、「研修期間をどの程度に短縮していくか」「どのような場合に短縮を認めるか」といった点を詰めていくことになります。

日病では、8月から9月初旬にかけて到達目標や認証基準などを盛り込んだ運用細則を固め、10月より「各病院からの育成(研修)プログラム募集」を受け付け、来年(2018年)4月から「病院総合医」育成制度を運用開始したい考えです。

さらに末永副会長は、「病院総合医」育成制度の理念として(1)包括的かつ柔軟に対応できる総合的診療力を有する医師の育成(2)複数診療科、介護、福祉などの分野と連携・調整し、全人的に対応できる医師の育成(3)医療・介護連携の中心的役割を担える医師の育成(4)チーム医療を推進できる医師の育成(5)地域医療にも貢献できる医師の育成―の5点を示し、「総合医が便利屋扱いされてはいけない。院内でも尊敬され、将来の幹部候補となる病院総合医を育成したい」と強調しています。

地域医療構想調整会議、「特定集団による偏った議論」ではいけない

 24日の会見では、相澤会長から「地域医療構想や新専門医研修プログラムのチェックを行う協議会設定など、医療政策に関する権限が都道府県に移譲されてきている。そこには、さまざまな機能を持った病院代表が参画して議論が行われる必要があり、日病の支部役員などが『調整会議などの場への参画できる』ようにすべきである」との考えも示されました。

調整会議では、すでに都道府県が策定した地域医療構想の実現に向けて、地域の医療関係者が集って「機能分化や機能転換」などに向けた協議を行いますが、地域によっては病院団体の代表が参加できないケースがあると言います。相澤会長は「さまざまな機能を持った病院がある。特定の集団の意見のみでは偏った議論になりかねない(ひいては偏った機能分化にとどまってしまう)」と述べ、常任理事会で「各支部から都道府県の担当者に参画要請を行ってほしい」と要請したことも明らかにしました。

ところで19日に開催された厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織)では、公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院などで、公立病院改革プランと同様に「改革プラン」を作成し、各地の調整会議に提出する方針が固まりました。この点について相澤会長は、「公的病院などでは、域において果たすべき役割が決められており、率先して『自院の役割』などを明らかにすべきであろう。そこから調整会議の議論は始まる。残念ながら、多くの想調整会議は『皆で考えていこう』という場には、まだなっていないようだ。公的病院が改革プランを示し『自院はこういう役割を果たしたい』と意思表明することが、『皆で地域の医療を考える』きっかけになると期待している。そのためにも、調整会議には、さまざまな機能を持つ病院の代表が参画して議論することが大切である」と強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

大規模災害時の統一診療録となる「災害診療記録」(J-SPEED)

 なお、24日の定例会見には、丸山嘉一氏(日本赤十字社医療センター国内医療救護部長、国際医療救援部長)も列席し、▼日本医師会 ▼日本集団災害医学会 ▼日本病院会 ▼日本診療情報管理学会 ▼日本救急医学会 ▼国際協力機構(JICA)―の6団体で構成される「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」がまとめた統一診療記録様式『災害診療記録』(日本版SPEED:Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters、J-SPEED)についての報告もありました。

そこには患者の氏名や居所(避難所など)、状態(外傷、精神状態)、禁忌(アレルギーなど)、常用薬などが記載され、円滑な医療提供に大きく貢献しています(例えば精神状態を診てDPAT(災害派遣精神医療チーム)につなぎ、自殺を食い止めたなど)。さらに、記録を収集・解析することで災害時の疾病構造が明確になり「DMAT(災害時派遣医療チーム)の撤収時期決定」などにも活用できることから、厚労省は「被災者の診療録の様式は『災害診療記録』を参考にする」よう、通知「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」(2017年7月5日付)の中で都道府県知事に要請しています。

丸山氏は、今後「迅速な情報フィードバックのために、災害診療記録の集積・分析をどこで実施するか」などの課題解決に向けた検討を進める考えを示しています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/547472
日病独自の「病院総合医」、2018年4月から育成
相澤会長、地域医療構想「会議に積極的に参加を」

レポート 2017年7月25日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会副会長の末永裕之氏は7月24日の定例記者会見で、日病として独自に育成する「病院総合医」制度の検討状況について報告した。この制度は新専門医制度で19番目の専門医として位置づけられる「総合診療専門医」とは別に日病が認定するもので、2018年4月の運用開始を予定している。末永氏は「総合診療専門医を否定するものではなく、それとは別に、病院から今求められている総合医を育成しようということだ」と方向性を説明した(関連記事は『日病が「総合診療医」養成を検討』を参照)。

 末永氏は、日病独自の認定制度を設ける理由として、中小の病院では専門医を多く集めることが難しいために総合医が必要であり、大規模病院についても、「『これしか診ない』という専門医が隙間的なところを押しつけ合ったり、多くの疾病を持つ高齢者が増えている状況で、必要なのは総合医だ」として日病内で意見が一致したと紹介。また、「新専門医制度の中で、病院総合医をサブスペシャルティにしてくれと言っても、話が進まない」とも指摘した。

 会員病院の日本赤十字社や済生会、地域医療機能推進機構(JCHO)などでもそれぞれが自前で養成しようという動きも進んでいるとして、日病としては「ミニマムリクワイアメント」(末永氏)としてのプログラムを策定すると説明。2017年6月に「病院総合医育成プログラム基準」を策定済みで、現在はその施行細則の策定を進めており、9月を目途にまとめる予定。卒後6年以上の医師を対象とし、研修期間は2年だが、既に総合診療医としての実績がある場合は短縮可能とすることを検討している。末永氏は目指す病院総合医のイメージとしては、「“便利屋”ではなく、病院内で尊敬され、将来的には幹部職員になっていけるような人たちを作りたい」と述べた。

地域医療構想、調整会議や協議会に積極参加を
 日病会長の相澤孝夫氏は、7月19日の常任理事会で会員病院に対し、地域医療構想の都道府県ごとの調整会議や協議会に、日病の支部長や会員病院が積極的に参加できるよう、都道府県に働きかけることを要請したことを報告。こうした会議体が、都道府県によってはうまく機能している一方、病院団体が参加できていないケースもあると指摘。「ある集団だけの意見を聞くのではなく、色々な機能を持った病院の意見を聞くのが当然。県任せにしているのではなく、会員も積極的に参加してほしい」と述べた。

統一診療記録様式、熊本地震で効果
 日本医師会や日病など3団体と3学会で組織する「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」副委員長の丸山嘉一氏は、委員会で作成した「災害診療記録」の様式と、集計システムの「J-SPEED(Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters)」が、2016年4月の熊本地震で活用され、成果を上げたことを報告(委員会の報告書と様式は日本診療情報管理学会のホームページ)。 東日本大震災の宮城県における診療録についての調査で、無作為に抽出した3500件の中に37もの様式があり、統一の様式の必要性が認識されたことから、同委員会で作成されたもの。

 熊本地震が2016年4月14日以降発生し、同月25日に熊本県庁から医療・救護活動関係者にこの様式とJ-SPEEDの使用が通知され、それ以降の記録984件のうちこの様式を用いたものは89.7%の883件あった。J-SPEEDでは疾病の概況をウェブで入力でき、集計は産業医科大学公衆衛生学教室が担当。48日間で353の救護チームから患者8089人、1828件の報告があり、これを集計したことで、疾病の動向や災害関連の患者が減少していく状況を把握できるなどの効果があったという。

 今後の運用の課題として、丸山氏はこの様式を医師法における「診療録」とするためには運用面や法的な問題が残っているとし、「熊本でデータを入力し、産業医大で集計し、また熊本に戻す作業がかなり大変だった。首都直下地震や南海トラフ巨大地震が起こった場合に、どこがこれをまとめることができるか」という点も挙げた。



http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2017/07/24/JD0055975539
求む若手医師 県、人材確保へ勧誘に力
7月24日大分合同新聞朝刊

 県が大都市の医学生や若手医師らの勧誘事業に乗り出した。第1弾として、新人医師の臨床研修を受け入れている県内の病院見学バスツアーを8月に実施。秋は大分にゆかりのある関東在住の医師らを集めた交流会を東京で開く予定だ。県内では医師不足の地域が多く、あの手この手で医療の担い手確保を狙う。

 県医療政策課によると、県内の医師は2014年時点で3054人。人口10万人当たりでは260.8人と全国平均(233.6人)を上回ったものの、集中する大分、別府、由布3市以外の市町村は平均を大きく下回るなど、偏在が課題となっている。
 県は毎年、大分大学医学部などの医学生を対象にした臨床研修病院の合同説明会を大分市内で開き、卒業後2年間の初期研修先に県内の病院を選んでもらおうとアピールしている。県内で研修した医師の定着率は約8割と高く、県外の医学生にも積極的に大分の魅力を訴えて安定的に人材を確保しようと、バスツアーを企画した。
 ツアーは8月8、9日の1泊2日。参加者は3コースに分かれ、臨床研修指定の3病院をそれぞれ訪問する。一度に複数の病院を見学できるのがメリットで「実際に現場を見て、大分での研修を考えるきっかけにしてほしい」と同課。
 医学生は地方の病院よりも、都市部で研修を希望する傾向にある。別府市内の病院幹部の一人は「都会の病院は多数の研修医を受け入れるため、1人当たりの経験が限られることもある。大分は少人数で手厚い指導を受けることができる」と語る。
 東京で開催予定の交流会は、即戦力となる県出身の医師や医学生らの確保が狙い。大分大などのネットワークを活用して卒業生らに呼び掛け、帰省や移住などのUIJターンを促したいという。
 同課は「少しでも県内各地域の医師不足解消につなげたい」と話している。

<メモ>
 バスツアーはJR大分駅発着。無料。Aコース(県立病院、済生会日田病院、新別府病院)、Bコース(大分岡病院、厚生連鶴見病院、大分大医学部付属病院)、Cコース(大分赤十字病院、別府医療センター、中津市民病院)があり、定員は各10人。県外在住の医学生は旅費を一部補助するが、県外での研修予定者は対象外。宿泊先は各自で手配が必要。7月末締め切り。申込先は大分大医学部地域医療学センター(TEL 097-586-6306)。



https://mainichi.jp/articles/20170724/k00/00m/040/078000c
厚労省方針
地元出身医師を支援へ 「地域枠」限定

毎日新聞2017年7月23日 23時07分(最終更新 7月23日 23時56分)


 医師の地域偏在解消に向け、厚生労働省が、大学医学部に設けている現行の「地域枠」について、対象を地元出身者に限定するよう、財源負担などで制度を運用する各都道府県に要請する方針を固めたことが22日、分かった。原則として出身県の医学部に通い、卒業後も一定期間、周辺地域の医療機関で働く人であれば、奨学金の返済免除などの支援を行う。地元出身者は地域への定着率が高いとの調査結果もあり、医師不足に悩む地域への対応として注目される。

 厚労省は今月末に都道府県に通知し、2018年度には地元出身者に限定した運用をスタートさせたい意向。担当者は「地域枠制度の効果をより一層高めることになる」と期待する。

 地域枠は、医学部卒業後に周辺地域で勤務することを条件に奨学金を出すなどの制度。現行制度では地元出身者以外も対象に含まれており、卒業生の中には条件を守らず大都市圏での勤務を選ぶ人もいるなど問題点が指摘されている。

 厚労省や文部科学省によると、地域枠は16年度、全国71の国公私大が導入し、入学定員は医学部全体の約5分の1となる計1617人。うち約半数の783人分については、都道府県や各大学が独自に近隣地域の出身者を対象としている。

 厚労省は15~16年、医学部卒業後、2年にわたって実施される臨床研修の修了者に対する調査を実施。地域枠で入学した人で、医学部の立地地域で勤務先を選び、そのまま定着した割合は68%だったのに対し、地域枠も含めた地元出身者で見ると定着率が78%に上っていることが確認された。

 こうした状況を踏まえ、将来の医療ビジョンに関する同省の有識者検討会は今春、「規制的手段で強制的に(地方に)誘導・配置すれば医師は足りる」としてきた従来の発想を否定。都道府県が地元出身者枠の創設・拡大を大学医学部に要請することなどを提言していた。(共同)



https://ryukyushimpo.jp/news/entry-544125.html
軽症なのに「救急ヘリを」 竹富診療所、観光客対応に疲弊
2017年7月29日 05:00 琉球新報

竹富島 竹富診療所 観光客

 【竹富島=竹富】年間約50万人の観光客が訪れる竹富町竹富島で唯一の医療機関である町立竹富診療所が、一部の観光客の過大な要求に悩んでいる。軽症にもかかわらず夜間に「救急ヘリを呼んでほしい」などの求めがあるなど、現場が疲弊しているという。診療所は「離島の医療資源は限られており、そのことを知った上で宿泊してほしい」と訴えている。

 竹富診療所は所長の石橋興介医師(38)と看護師、事務職員の3人で運営されており、診療時間外の救急診療では、3人に加えて日中は別の職を持つ消防団員も駆け付ける。

 一方で、島内ホテルの宿泊客の一部からは「コンタクトレンズが外れない」という相談や、微熱で必要性が低いにもかかわらず夜間の診療を求められるケースもあり、その中には「船をチャーターしてほしい」「ヘリを呼んでほしい」などと要求をする観光客もいるという。

 竹富島では2009年4月~11年4月の2年間と14年7月~15年3月の9カ月間、常勤医が不在だった。石橋医師は「歴代の医師が抱えていた問題で、所長を離れる要因の一つになっている」と語る。「むちゃな要求をする観光客は感覚的に増えている印象がある」とする。

 「観光客はもちろん大切だが診療所は本来、島民のためにある。島民が診療所の負担を考えて急診を控える一方で、一部の観光客が安易に急診で夜間に呼び出す現状を知ってほしい」と強調する。

 竹富公民館長の上勢頭篤館長は「負担がさらに増えた結果、医師がいなくなって困るのは島民だ。観光客も都会感覚での急診は控えてほしいし、ホテルなどのオーナーも宿泊客に安易に急診しないよう呼び掛けてほしい」と求めた。(大嶺雅俊)



http://www.suzaka.ne.jp/news/?subaction=showfull&id=1501279253&archive=&start_from=&ucat=4
【旧須坂病院28年度決算】診療単価は前年度上回る〜地域包括ケア病棟のリハ訓練も増
2017-07-29 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 県立病院機構(久保恵嗣=けいし=理事長)が運営する県立信州医療センター(須坂市立町、寺田克=まさる=院長)の平成28年度決算が24日、運営協議会(会長・三木市長、16人)で報告された。医業収益は52億3,000万円で前年度比1億2,900万円の減。医業費用は61億5,900万円で同3,100万円の減。当期純損益は700万円の黒字。機構経費を5病院2老健で案分した須坂の損益は9,200万円の赤字となった。
 入院は86,214人で前年度比7,513人の減(92%)。外来は延べ121,387人で5,618人の減(95.6%)。1人1日当たりの診療単価は入院41,868円(105.1%)、外来11,472円(104.7%)。平均在院日数は15.2日。病床利用率は76%。
 地域包括ケア病棟は開設3年目。急性期治療後、在宅等へ橋渡しするためのリハビリや疾患見守りなどに対応する病棟。受け入れが延べ503人(27年度533人)。内訳は、同院入院から403人(同426人) ▽急性期病院等から86人(同95人) ▽レスパイト入院(在宅介護家族の代替)14人(同12人)。
 退院は延べ495人(同494人)。内訳は在宅へ340人(同333人)▽介護老人保健施設へ74人(同103人) ▽転出・社会福祉施設・介護老人福祉施設へと死亡の合計81人(同58人)。
 28年4月からリハビリテーションスタッフを増員し、8月から地域包括ケア病棟で365日リハビリ訓練と同病棟以外の病棟で土曜・祝日リハビリ訓練を開始した。地域包括ケア病棟での実施単位数は、運動器疾患で16,382(27年度11,214)など。
 同医療センターの29年度目標は、内視鏡検査8,300件(28年度実績比で1,695件増)。分娩180件(同98件増)。感染症センター(仮称)を開設し、感染症専門医常勤2人による専門医療の提供や、海外渡航者外来の実施、感染症専門医・薬剤師・看護師の研修などを行う。また、30年5月の電子カルテ更新を準備する。
 久保理事長は「東棟(新棟)がオープンした。内視鏡センターや外来化学療法室、健康管理センター、地域医療福祉連携室が機能強化される。昨年8月から分娩取り扱いを休止していた産科は、今年4月から産婦人科医2人が配置でき、再開できた。最初の分娩が5月にあり、今後順調に産科と婦人科の診療強化が図られるものと思っている。名称変更に大きな期待を寄せているが、地域の信頼に応える病院となるよう引き続きご支援をいただきたい」と述べた。
 8月から10月まで既存棟(南棟)を改修。10月21日の病院祭でグランドオープン(竣工=しゅんこう=式)を予定している。



http://www.medwatch.jp/?p=15036
有床診、2017年5月末に10万466床、7月に10万床切るペースで減少―医療施設動態調査(2017年5月)
2017年7月27日|医療計画・地域医療構想MedWatch

 今年(2017年)4月末から5月末にかけて、病院の一般病床数は60床、療養病床は115床増加した。また有床診療所数は29施設・407床減少し、7397施設・10万466床となった。一方、無床のクリニックは107施設増加し、9万4385床となった―。

 このような状況が、厚生労働省が26日に公表した医療施設動態調査(2017年5月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。有床診は現在の減少ペースが続けば、今年(2017年)7月に10万床を切り、来年(2018年)9月に7000施設を割る見込みです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547671
日病協、地域包括ケア病棟に関する議論を注視
DPCは「実額ベースで議論を」

レポート 2017年7月25日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は7月25日の定例記者会見で、中央社会保険医療協議会での地域包括ケア病棟入院料に関する議論について、「2018年度診療報酬改定の目玉になると考えている。地域包括ケア病棟を持っている病院に、かなりの影響が及ぶのではないかと危惧している」と述べ、日病協として行方を注視していく意向を示した。

 地域包括ケア病棟入院料については、中小病院を想定した設定であり、国公立や公的病院など大規模な施設が経営のために届け出を行うケースを批判する意見が中医協で出ている(『地域包括ケア病棟、「大病院の届出、本来の趣旨にあらず」』、『地域包括ケア病棟、「中小病院評価を」』を参照)。原澤氏は同日の代表者会議で「急性期リハビリテーションも評価できるような地域包括ケア病棟入院料は残してほしい」、「大病院でもリハビリは十分やれるような地域包括ケア病棟は残してほしい」などの意見が出たと紹介。「地域包括ケア病棟を持つことの意義を踏まえていろいろな意見があることを踏まえ、中医協で議論をしてほしい」と述べた。

 これに関連し、代表者会議では、地域包括ケア病棟協会(仲井培雄会長)の日病協への加入について、日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏から推薦状が提出され、次回の会議で協議することが決まった。地域包括ケア病棟協会が法人格を有していないことを懸念する意見も出されたが、原澤氏は「地域包括ケア病棟の議論には現場の意見が必要だろうということで、次回議論する」と述べた。

DPC、「実額ベースで議論必要」
 日病協副議長で、中医協の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会委員でもある山本修一氏は、7月19日の同分科会で、調整係数の置き換えに伴う激変緩和措置に、1年間などの一定の上限を設定することを厚生労働省が提案したことについて、「実額ベースで、具体的にどれくらいの病院がどれくらいの金額で影響を受けるか、という議論が必要だ」との意見が出たことを紹介。「非常に大きな金額が動くようであれば、1年ではとても吸収できないこともあり得る。詳細な検討が必要と考えている」と述べた(資料は厚労省のホームページ)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547206
真価問われる専門医改革
「連携施設メーン」専門医研修も可、厚労省強調
地域医療研究会研修会、2018年度開始への不安相次ぐ

レポート 2017年7月23日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国の医療機関や医師らで構成する地域医療研究会は7月23日、「日本の専門医制度の行方と問題点」をテーマに都内で研修会を開催、基調講演した厚生労働省医政局医事課医師養成等企画調整室室長の堀岡伸彦氏は、新専門医制度について、「連携病院で採用した専攻医については、専攻医の希望があった場合、でき得る限り長期間、連携病院における研修期間を設定することが可能」と説明した。大学病院や地域の基幹病院などの基幹施設と連携病院をローテーションする「循環型」の研修プログラム制を問題視した参加者への回答だ。

 「循環型」の研修プログラム制に対しては、専門医研修を長年単独でやってきた病院から、これまでの取り組み、ひいては地域医療が瓦解する懸念が呈せられたほか、研修の質担保の面でも問題があるとされた。

 堀岡氏は、単独で専門医研修が可能な施設にも、「循環型」の研修プログラム制を求めるのは、「個人的には、理不尽だと思っている」と述べたものの、新専門医制度のたたき台となっている、2013年4月の厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書で提言されたと説明。基本領域を19と決めたのも、同報告書であり、現時点では医療法に基づく広告可能な診療科以外も含まれており、「新専門医制度がスタートした時点で、広告との関係は検討しなければいけないだろう」と見通した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、同検討会の座長を務めたのが、当時の日本医学会会長の高久史麿氏であることを踏まえ、基本領域を19とすることや、「循環型」の研修プログラム制の導入に対し、「なぜこの時点で各学会が協議をしたり、問題提起をしなかったのか。それが分からない」と指摘した。日本医学会は、各学会(分科会)を束ねる立場にあるためだ。

 新専門医制度については、専攻医の身分保障を求める声も上がった。医師法で制度化された初期臨床研修制度と異なり、専門医研修は任意の制度のため、各研修施設への国の補助金は出ない。初期研修医よりも、専攻医の給与は低いケースがあることや、「国立病院機構の病院から連携施設に移る場合、いったん自主退職しなければいけないのか」など、具体例を挙げた質問が出た。

 堀岡氏は、自身が厚労省から県に出向した事例を挙げ、同様に研修施設間の異動でも“自主退職”という形態は取るものの、退職金などの支払いは伴わず、出向という扱いで済むと説明。

 日本専門医機構は、2018年度の新専門医制度の開始に向けた準備は整ったとしている(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。今後、各基本領域で専門研修プログラムの審査・認定の準備が進められる。「その結果、地域医療への影響が見受けられたら、制度のさらなる変更や、専門研修プログラムの認定取消なども含めてやってもらいたい。厚労省としてもきちんと対応していく」(堀岡氏)。

 指定発言した日本医師会副会長であり、日本専門医機構の監事も務める今村聡氏は、同機構の今後の課題の第一として、「的確な情報発信」を挙げた。同機構は2016年7月に執行部交代があり、以前よりは改善されたものの、情報発信が不十分であることが、「さまざまな誤解の一因になっている」と指摘。監事の立場から同機構に対し、「何が決まって、何が決まっていないのか」などを情報発信する必要性を繰り返し要請していると説明した。

 堀岡室長「学会での運用がポイント」
 研修会は、堀岡氏の基調講演、今村氏の指定発言の後、フロアとの質疑応答という流れで、約3時間半にわたって開催された。

 堀岡氏は、新専門医制度設立の経緯や諸外国の制度などを説明、さらに2016年6、7月にかけて2017年度からの新専門医制度開始が延期された経緯や「専門医制度新整備指針(第二版)」策定に至るまで、幅広く解説した。

 当初は、プロフェッショナルオートノミーの制度のため厚労省は関与していなかったものの、地域医療への影響が懸念されたことから、「地域医療に責任を持つ官庁として、本当にプロフェッショナルオートノミーだけでいいのか」という認識から、新専門医制度に関する検討の場などを設け、対応してきたと説明。直近の動きとしては、今年4月に「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」を発足、まず地域医療に求められる専門医制度の在り方の議論を始めたことを紹介(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』などを参照)。

 堀岡氏は、日医をはじめ、各方面からの要望を受けて策定された「専門医制度新整備指針(第二版)」の中で、大きなポイントとして挙げたのが、連携病院で専攻医を採用した場合の研修期間の在り方。「各学会は、柔軟に運用してもらいたい」と要請した。

 そのほか、「専門医制度新整備指針(第二版)」での改訂点として、(1)専門医取得は義務ではないことを明記、(2)出産・育児等により休職・離職した女性医師、介護、留学など相当の合理的理由がある場合には、研修カリキュラム制も可能とすることを明記、(3)都道府県協議会で専門研修プログラムの地域医療への影響等を協議することを記載――などを挙げた。

 さらに厚労省は、医師の養成や確保対策について、3つの柱で取り組んでいることを説明。既に発足している、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」、医療従事者の需給に関する検討会の「医師需給分科会」のほか、近く新たにスタートする「働き方改革実行計画を踏まえた検討の場」だ。これは、労働基準法改正で導入される「時間外労働」の上限規制の医師への適用の在り方や、労働時間の短縮策などを検討するのが目的であり、2018年度の第一四半期に中間整理をすることを目指すという。

 今村・日医副会長「専門医に係る議論の場、二転三転」
 今村氏は、堀岡氏と同様に、新専門医制度をめぐる経緯などを紹介したものの、「専門医に係る議論の場が消滅したり、二転三転を繰り返してきた」と厚労省の対応を問題視した。「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の構成員でもある今村氏は、4月の第1回会議でも同様の指摘をした(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か』を参照)。2016年3月に「専門医養成の在り方に関する専門委員会」が設置されたものの、同年5月に議論がストップ。「医師需給分科会」も2016年10月から休会し、再開したのは2017年4月、その間、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(2016年10月設置、2017年4月に報告書)が議論の場となった。

 今村氏は、「一本芯が通った議論をする場がないままに、今に至るという不幸な結果になっている。屋上屋を重ねることを繰り返していると、根本的な議論ができないのではないか」と指摘したほか、専門医制度だけでなく、医学部教育、医師国家試験、初期研修と後期研修を含めて全体的な議論をすることが重要だとした。

 新専門医制度については、日本専門医機構の監事を務める立場から、同機構の第一の課題として、「的確な情報発信」を挙げた。「日本専門医機構による専門医の質の向上等に向けた真摯な努力が、必ずしも正確に理解されていない。このことが、さまざまな誤解の一因になっている。何が決まって、何が決まっていないのか、きちんと情報発信していくことが必要」。今後の課題として、同機構のガバナンスの強化、都道府県協議会などと連携した新専門医制度をめぐる諸問題への対応なども挙げた。

 さらに厚労省に対しても、屋上屋を重ねる議論の回避のほか、日本専門医機構、都道府県協議会、学会、関係者などのそれぞれの役割の明確化を求めた。

 「循環型」ではなく単独での研修も認めるべき
 フロアとの質疑応答では、多岐にわたる質問が出た。

 「循環型」の研修プログラム制を問題視したのが、安城更生病院(愛知県安城市)副院長の安藤哲朗氏、坂根Mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏、仙台厚生病院(仙台市青葉区)医学教育支援室長の遠藤希之氏。3氏は、『専門医制度の「質」を守る会』の呼びかけ人。7月21日に、塩崎恭久厚労相宛に、「新専門医制度2018年度からの開始反対の署名」を提出した(『新専門医制度の2018年度開始に反対、1560人分の署名』を参照)。

 安藤氏は、安城更生病院の例を挙げ、問題提起した。同病院(749床)は、常勤医218人、うち専攻医51人、初期研修医39人(2016年5月時点)。初期研修から専門医研修まで単独施設で、屋根瓦方式で研修してきたことから、「循環型」の研修プログラム制が解消されない限り、大打撃を受けると訴えた。さらに医師数は全国平均で見ても決して多くはないにもかかわらず、専攻医の募集定員の上限規制の対象県であることも問題視した。

 坂根氏は、日本が手本とした米国の研修プログラム制は、「循環型」ではなく、単独施設での研修が原則であると説明、基幹施設と連携施設をローテーションする研修で質が担保できるのかと疑問を投げかけたほか、専門医研修と出産・育児等の時期が重なりやすい女性医師にとって、「循環型」の研修は容易ではないと指摘。単独施設で研修が可能な場合にはそれを認めるべきと主張した。さらに「新専門医制度は、研修の質の担保が最大の目的」とし、研修の質をどのように担保しているかが分からない点も問題視した。

 遠藤氏も、単独で専門医研修が可能な施設はあると強調。さらに「初期研修の段階から、大学病院に勤務しないと専門医研修が受けにくくなる、などと言っている大学もある」と述べ、新専門医制度が大学病院中心になる懸念を呈した。

 これらの質問に対し、堀岡氏は、「専門医制度新整備指針(第二版)」は、以前よりは改善されているとし、前述のように経験症例などの研修の基準を満たすことは必要なものの、「連携施設で採用、でき得る限り長期間、連携病院で研修」というパターンも可能であるなどと説明した。

 今村氏は、専門研修プログラムについて、日本専門医機構に審査を担当する委員会があり、そこで作業をしているなどと説明、「研修の質をないがしろにしているわけではない」と理解を求めた。

 社員からの借入、「利益相反に当たらず」
 日本専門医機構のガバナンス、情報公開、情報発信の在り方にも質問が相次いだ。遠藤氏は、同機構がパブリックコメントを求めたものの、その結果が公表されないことに加えて、財務状況などを問題視した。「日本専門医機構は、第三者機関として各学会が1次審査した専門研修プログラムを審査する立場。各学会から運営資金を借り入れるのは利益相反ではないか」。遠藤氏はこう指摘するとともに、日本専門医機構が債務超過であることから、「2018年度から始めるのは、財政的にもたないからではないか」と疑問を呈した。

 今村氏は、情報公開、情報発信についての課題は認め、日本専門医機構に働きかけていると説明。ただし、財務状況については、誤解もあるとした。旅費は、各種委員会のために全国から医師らが集まっているために実費を支払っているにすぎず、無駄遣いをしている部分はなく、東京国際フォーラム(東京都千代田区)の事務所も、日本専門医機構が発足する際に前身組織から継続したものであり、同フォーラム内の他よりは賃貸料が安いなどと説明。「しかし、財務状況が厳しいのに、なぜ東京国際フォーラムにいるのかという指摘はあるので、見直す方向で議論している」。

 利益相反とされる点について、今村氏は「以前は日本政策投資銀行から、年3%強の高い利率で借り入れており、これ自体が問題。(日本専門医機構の)社員は、機構の理念に賛同して社員になっているのであり、新たな仕組みが動き始めるまでは、問題にならないと思う」と回答。しかし、財務状況に疑問が呈せられるのであれば、事実を的確に説明しないと誤解を招く上、「財政的理由から新専門医制度を始めるのではないか」という臆測、本質から違う議論になってしまうことを懸念した。

 「日医の基本スタンスは変わっていない」
 安藤氏は、日医の新専門医制度への姿勢も質した。2016年2月に日医が声を上げたことが、2017年度開始予定だった同制度を見直す大きなきっかけとなったからだ(『新専門医制度、「延期も視野」と日医会長』を参照)。「地域医療への懸念は、払拭されないのに、なぜ賛成に回ってしまったのか」。

 今村氏は、「日医の基本スタンスは変わっていない」と説明。2016年2月当時は、全国の医師会などから地域医療への懸念の声が上がっていたが、同7月には日本専門医機構の執行部が一新、日医からも副理事長と理事の2人が入ったとし、その後、改善が進んできたとした。厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」において、計8学会からヒアリングした結果、「完全かどうかは別として、以前よりは、はるかに地域医療への配慮がされてきているという合意が、国の検討の場でなされた」。

 今村氏は、新専門医制度の議論をゼロベースに戻したり、実施を見送れば、「また違った混乱が起きる可能性がある」との見解を示した。新専門医制度の影響は地域によって異なってくることから、「地域の実情をどれだけ反映できるかは、都道府県協議会の役割」と指摘し、都道府県協議会が機能するよう厚労省などに日医として働きかけていくと強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547050
「緊急対応宣言」で新患や救急受け入れ制限 - 片柳憲雄・新潟市民病院院長に聞く◆Vol.2
医師の長時間労働の減少、一定の効果

レポート 2017年7月27日 (木)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

――新潟労働基準監督署の是正勧告はどのような内容でしたか。
 医師の長時間労働が行われていたのでその改善をすること、また(過労自殺した女性医師の)2015年9月の直前の時間外労働が160時間との算定でしたから、他の月も含め、時間外手当を本人の申告と実態との差の分を8月31日までに支払うこと。それから「36協定」を職員に対してきちんと周知していなかったので、するようにということです。勧告を受け、支払いは期日までにする予定ですし、36協定の周知もしっかり行っています。

――医師の月平均が50時間の職場で、160時間もの時間外労働をしていれば、周りが「おかしい」と気づくことはなかったのですか。
 そこがよく分からないのです。是正勧告は真摯に受け止めますが、自己申告では48時間くらいだったのが、労基署から確認するようにと言われて、初めて実態と乖離があったことが分かりました。ただ、160時間もどうやったら時間外労働をできるのか――。私も同じ消化器外科ですが、そんなに働いたことはなかったし、彼女の変調には、誰も気づかない状態でした。勉強会にも出ていて、(本人が過労自殺する)前の週まで顔を見ていますが、変わった様子はなかった。手術も上手になってきていましたし、上司からも「いい研修をしている」と聞いていました。過去にも研修医で、心の病になって数カ月研修を休んだ人はいましたが、周りが気づいて対応していましたし、そういう人に関しては気を付けて見てくれるようにとも上司には言っています。

――是正勧告を受けて、新潟市は6月に「緊急対応宣言」を出し、7月3日からは紹介状なしの外来受付を取りやめるなどしましたが、効果は出ていますか。
 出始めています。1日平均の外来患者数と、そのうちの紹介状なしの患者数は、2016年度が1106人中6.4人、2017年度は4月が1049人中4.7人、5月が1079人中6.0人、6月が1019人中4.0人。7月に入ってからは、1日から18日までの合計で3人しか紹介状なしの新患は来ていません。そういう患者も病診連携システムで受け入れてくれるところがあります。今のところ、患者や市民から大きなクレームは来ていません。

 「救急医療の適正利用」の呼びかけについても、5月と6月の比較で救急搬送が504人から449人に減り、それ以外の救急患者のうちの軽症者で自宅にすぐ帰った人が635人から514人に減っています。これだけ減りますと、呼び出す医師も少なくて済みますし、重症患者に力を注ぐこともできます。消防局にも、3次救急患者は当然受け入れるが、少し軽い場合は急患センターや2次輪番病院へということでお願いしています。

 この効果は既に出ていて、長時間労働は減りました。まだ自己申告ベースなので詳細な数字は出せませんが、時間外労働が100時間以上の人が約5%いたのがゼロに、80時間以上の人が約20%だったのが約5%になりました。

――自治体立病院は、人事委員会勧告による給与の引き上げや診療報酬の伸び悩みなどの影響で赤字に陥る施設も多く出ていますが、新潟市民病院では近年黒字となっています。どのような理由でしょうか。
 重症度の高い、点数の高い手術を実施していることや、救急を含め新入院患者を確保していること、地域連携パスを活用して、患者の在院日数を減らすなどの取り組みをしていることが挙げられます。それから、利用率の高い診療科のベッド数を増やす、手術件数が多く、「待ち」が多い診療科に枠を回す、入院料の加算を取れるものはきっちり取るなどの努力もしています。また、抗がん剤など高額な薬の値引き交渉も頑張っています。

 医師の負担軽減を図るための人員増も必要ではありますが、予算の制限がある中で、費用対効果を考えながらやっていかないといけません。2018年度の診療報酬改定もマイナスになる可能性がありますから、かなり厳しいと思います。一方で働き方改革もあります。去年まではどんどんやっていた2次救急の軽症者は取らずにやっていますので、厳しいですね。しかし、自治体病院として皆ができないところを担っていますから、3次救急や周産期医療は、赤字になってもやっていかなければいけないと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547885
四病協、控除対象外消費税問題解消など要望
2018年度税制改正、予算要望を決定

レポート 2017年7月26日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は7月26日の総合部会で、「2018年度税制改正要望の重点事項」11項目と、「2018年度政府予算に関する要望」7項目を決定した。要望はそれぞれ以下の通り。

税制改正要望の重点項目
社会保険診療報酬等の非課税に伴う控除対象外消費税問題の解消
医療機関に対する事業税の特例措置の存続
持分のある医療法人に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の創設
社会医療法人に対する寄付金税制の整備および非課税範囲の拡大等
医療法人の法人税率軽減と特定医療法人の法人税非課税
特定医療法人の存続と要件の緩和
介護医療院への転換時の改修等に関する税制上の支援措置の創設
中小企業経営強化税制の医療機器への適用等
病院用建物等の耐用年数の短縮
社団医療法人の出資評価の見直し
医療従事者確保対策用資産および公益社団法人等に対する固定資産税等の減免措置
政府予算に関する要望
医療、介護を先細りさせない診療報酬、介護報酬同時改定
控除対象外消費税問題の解決に向けた予算措置
地域医療介護総合確保基金の配分
医療機関のIT化に向けた補助、研究予算
病院団体の組織する災害医療支援チームへの補助
福利厚生に関する予算(人材確保策として従業員を安定的に雇用するための院内保育所等整備資金等)の増額
傷害保健福祉関係予算の拡充
 この他に、日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、新専門医制度に関して、都道府県における協議会に四病院団体の会員が病院代表として参加することを会員に指示するよう総合部会で要請したことを明らかにし、「専攻医の気持ちをくんで、それぞれの立場で発言するようにとお願いした。病院団体として、専攻医を受け持つ責任もあるためだ」と説明した。

 7月28日に第2回の会合を開く「病院医師の働き方検討委員会」に関しては、「労働という概念や自己研鑽などについて色々な考え方があるので、病院医療の現場を行政に伝えるという役割も果たさないといけない。各団体を通じてのアンケートも行い、しっかりと四病協の委員会でまとめていきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547522
迫井課長「地域医療構想に寄り添う」は名言 - 中川俊男・日医副会長に聞く◆Vol.2
「病床削減や医療費抑制のツール」にあらず

インタビュー 2017年7月29日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生が中医協で、繰り返し発言されていた基本的な考え方が幾つかあります。一つは、地域医療構想と診療報酬の関係です。

 地域医療構想の議論は、非常にデリケート。同構想の発端の議論にさかのぼれば、財務省や官邸筋は、急性期病床削減や医療費削減のツールの一つにしようと思ったことは間違いありません。

――最初は、急性期医療を担う病床を「急性期病床群」(仮称)として医療法上で位置付ける議論でした(『「急性期病床群」創設に委員の批判相次ぐ』を参照)。

 厚労省は当初、一般病床のうち、一定の要件を満たす病床について、都道府県知事による許可制あるいは認定制とし、その要件を満たしているかを確認するために更新制を導入するといった提案をしていました。しかし、急性期病床だけを一律に削減したら、地域医療の現場に混乱を招くだけです。医療の包容力がなくなってしまう。地域によって事情が異なる中で、2025年に向けてどのような医療提供体制を構築していくかは、各地域で話し合うべき問題。そこで議論を押し返し、まずは病床機能報告制度で現状を把握し、皆で各地域の医療の在り方を考え、地域医療構想を策定し、調整会議で話し合う枠組みに変えました。

 つまり、地域医療構想からは、「病床削減や医療費抑制のツール」という機能はなくなったはずです。しかし、いまだに病床機能報告の結果と「病床の必要量」を比較した図が提示されたりするので、地域医療構想をめぐる議論から全く目が離せません。

――地域医療構想の「病床の必要量」は、医療計画の「基準病床」と同様の位置付け、規制であるという誤解がある。

 「病床の必要量の上限」と誤解されたので、医療機関の現場が混乱しました。しかし、「病床の必要量」は、あくまで患者さんの数から推計した医療のニーズであり、病床数とは意味が違います。

――「地域医療構想ワーキンググループ」の資料を見ると、急性期機能の病床からの退院先は、72.3%は「自宅」です(『外科系の高度急性期・急性期、7%は「1カ月の手術ゼロ」』を参照)。急性期の病期にある患者さんが、直接自宅に戻るとは考えにくく、急性期病床にも退院前の回復期にある患者さんが入院していることを示すデータではないでしょうか。

 その通りです。さまざまな機会に繰り返し発言していますが、例えば「急性期機能」を選んだ場合でも、その病棟に入院している全患者が「急性期」の病期にあるわけではありません。だからこそ、地域医療構想の4つの医療機能と、診療報酬の入院料を関係付けることは難しいのです。

 今年1月の中医協総会でも、この点が議論になり、迫井課長(厚労省保険局医療課長の迫井正深氏)から、「(地域医療構想が描く)医療提供体制を推進することに対して、診療報酬がどう支援するのか、どう“寄り添う”のかについては、まさに今後議論してもらう課題」との発言を引き出しました(『「診療報酬、地域医療構想に“寄り添う”」、迫井医療課長』を参照)。診療報酬と地域医療構想の関係を表した「名言」だと思います。私が「4つの医療機能のいずれを選択しても、経営が成り立つようにすることではないか」と釘を刺したところ、迫井課長は否定しませんでした。

 いまだに地域医療構想については、診療報酬との関係も含めて誤解が多い。迫井課長の言葉も引用しながら、説明していく必要があります。

――薬価制度の抜本改革の議論の際には、「公的国民皆保険のプレーヤーとしての自覚を持ってもらいたい」という製薬企業への要請も、基本的な考え方として再三言われていました。

 我々医療機関は非営利ですが、営利企業の製薬企業にとっては、できるだけ利益を上げて、株主に配当するのが使命なので、そもそも議論がかみ合うはずはありません。しかし、公的な国民皆保険制度下でプレーする以上、どこかで折り合いを付けなければいけない。エビデンスに基づく議論を進めるため、企業経営に関するデータを求めても、「企業秘密」と一言で終わらせてしまったら、議論がそれ以上、進まなくなってしまいます。

 例えば、費用対効果評価や薬価算定方式の見直しの際には、製薬企業が薬の製造原価などのデータをどう出すかが問題になります。

 費用対効果評価の検討に当たっては当初、「高すぎる薬価を低くする制度」との説明でした。「安すぎる薬価を高くするものではない」と確認していたはずなのに、そうではなくなってしまう懸念もあり、心配しています。製薬企業のペースになってしまわないよう、注意が必要です。費用対効果評価については、薬価制度改革との整合性をいかに図るかについても、いまだよく分かりません。というか、両者は別の次元の問題なので、整合性を図るのは無理だと思います。薬価制度全体の改革の議論をしているのに、なぜ費用対効果評価の導入を急ぐのかとの疑問もあります。

 さらに薬価をめぐる議論では、「メーカーの採算が取れるかどうか」という議論にもなります。しかし、個別の品目について、採算性を考えていく問題ではないでしょう。メーカーはさまざまな製品を出しており、まして日本国内だけではなく、グローバルで事業を展開している中で、メーカーの採算性をどう考えるかは今後の検討課題です。


  1. 2017/07/30(日) 15:42:51|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<Google Newsでみる医師不足 2017年7月31日 | ホーム | 7月22日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する