Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月30日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201706/551831.html?myselect=20170630
コラム: 色平哲郎の「医のふるさと」
「普通の町」の病院が陥った深刻な医師不足

2017/6/30 色平 哲郎(佐久総合病院)

 最近、深刻な医師不足に陥った病院に週一度、当直勤務の「助っ人」として通うようになった。長野県の長和(ながわ)町と上田市が設立した依田窪(よだくぼ)医療福祉事務組合が運営する国保依田窪病院(140床)が、その病院だ。とくに山間へき地や離島に立地しているわけではなく、上田市に隣接する「普通の町」の病院で医師が足りなくなっている現実にショックを受けている。

 依田窪病院にうかがった初日、病院長に、こう言われた。「内科救急患者は、医師の裁量でお断りをしてください。救急対応について相談される場合は、循環器は○○医師、その他内科は○○医師にご相談ください。外科治療を要する急性腹症の患者は、膵胆管系以外は佐久医療センター、膵胆管系につきましては、長野・松本方面の医療機関にご相談をお願いします」。

 これまで「どんな患者でも診る」ように教えられ、実践してきた身には衝撃的だった。救急患者を受け入れても対応できる態勢が整っておらず、近隣に回せる総合病院がないから、最初から断わる。下手に受け入れて「手遅れ」になるようなことがあってはならない、というわけだ。

 救急隊員は、救急患者発生の連絡を受けた時点で、長和町や上田市の外の医療機関へ患者を搬送することを考えている。地域内で少なくとも一次、二次救急をカバーできる体制がいかに重要か、改めて感じている。

県に医師派遣を要請してきたもの…

 依田窪病院は、昨年3月時点では常勤内科医が6人いた。外来、入院、検査を常勤医が担当し、昨年度は休日・夜間の内科の緊急入院も173人受け入れた。しかし、長野県からの医師派遣の終了や定年退職などで今年3月には3人に減少。4、5月に短期で勤務していた医師も退職し、常勤内科医が2人となった。これではとても「休日・夜間の内科の緊急入院」に対応できず、前述のような対応をするしかないのだ。

 病院の運営者は、これまで医師不足を見越して県に医師派遣を要請してきたが、ここ2年、新たな派遣はないという。現在、信州大学付属病院(松本市)、諏訪中央病院(茅野市)からも非常勤医師が派遣されて緊急事態に対処している。

 それにしても、毎年8000人以上も医師が誕生しているというのに、どうしてこのような医師不足が生じるのだろうか。繰り返すが、地方の「普通の町」で、医療崩壊につながりかねない危機的状況が発生している。

 充実した研修環境を求める若手医師は、地方の小規模な病院を敬遠する。医師が少ない病院は勤務環境が厳しいに違いないと考え、さらに足が遠のく。これでいいはずはない。

 医師の偏在を解消すべく、さまざまな施策が講じられてきたが、一向に改善していない。特に足りないのは「どんな患者でも診る」一般内科医(なんでもないか)だ。

 専門医の資格云々の前にやるべきことは山積している。



https://mainichi.jp/articles/20170629/ddl/k23/040/196000c
あま市民病院
指定管理者制度導入へ 医師不足、経営苦しく /愛知

会員限定有料記事 毎日新聞2017年6月29日 毎日新聞 地方版 愛知県

 十分な医師を確保できず苦しい運営を続けているあま市民病院(あま市甚目寺畦田)は、管理運営を民間の法人に任せる指定管理者制度の導入を決め、このほど募集を始めた。医師不足に悩む同様の自治体病院も多く、今後が注目されている。

 あま市民病院は旧海部郡の自治体でつくる公立尾陽病院が前身。旧病棟は耐震性に問題があり、合併してあま市が発足したのを機に、一昨年11月、現在地に市民病院として移転新築された。診療科は11科(外来は8科)で、ベッド数は180床となっている。

 設備は最新に変わったが、常勤医師は現在11人で、充足数は「半分程度」(同病院)という。そのためベッド数も4分の3の135床しか稼働していない。2004年度に臨床研修医制度が変わり、医師が患者や症例の多い特定の病院に集中することになり、多くの病院で医師不足が深刻化している。あま市民病院も、この問題に直撃された格好だ。

 医師不足は病院経営にも影響している。医師や稼働ベッドが少ないので、患者も減っている。昨年度は市から同病院費用の3割強にあたる約13億円が支出された。同病院経営改革室は「高齢化社会でもあり、身近に医療機関があるのは市民生活を守る上で欠かせない」として病院自体は存続させ、運営を医師を集められる民間法人に任せることにした。

 県地域医療支援室によると、07年に国保東栄病院(東栄町)が指定管理者制度を導入し、名古屋市の公立病院でも導入が進んでいるが、他に例はないという。

 あま市では、選定委員会で応募のあった法人を審査し、12月議会で優先候補を報告する方針。【長倉正知】



http://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20170626-OYTNT50280.html
唯一の総合医 閉院…住田町
医師不足 県、定年の勤務医に熱視線

2017年06月25日 読売新聞 岩手

 住田町で今月末、町唯一の個人総合診療医院が閉院する。地域医療を長年支えてきた開業医が、高齢化や後継者不足でやめるケースが相次いでいる。地方の公的な医療機関の役割が増す中、県は定年後の勤務医を活用する「シニアドクター制度」を導入して医師不足を解消しようとしている。(柿沼衣里、徳山喜翔)

 「いざ閉めるとなると、やっぱり寂しいね」。住田町上有住地区の桜井医院で、医師の桜井末男さん(92)は段ボール箱に片づけられたカルテの束を見つめた。

 桜井医院は江戸時代初期に陸前高田市気仙町で開業し、360年ほど前に住田町に移った。内科や外科のほか、皮膚科や産婦人科も診察し、地域医療を支えてきた。7代目の桜井さんは学校医や産業医、特別養護老人ホームの嘱託医も担い、1日に300人を診たこともあった。しかし、人口減少などで患者が減る一方で人件費がかさみ、「赤字経営が10年ほど続いていた」。医師の長男は盛岡市の岩手医大に勤めているが、「生計が立てられなければ後継ぎもない」という。

 町では昨年も80歳代の医師が個人医院を閉じた。来月以降、町内の歯科医院を除く医療機関は常勤医3人の県立大船渡病院付属住田地域診療センターのみになる。患者は今後、同センターや遠野市の病院に通うことになり、桜井さんは320人分の紹介状を書いた。近くの紺野幸子さん(80)は車の運転免許がなく、遠野市の病院までバスで50分ほどかかる。「頼りにしていたので残念」と閉院を惜しんだ。

 町は「新たな開業医を招きたいが、交通の便が悪い土地に呼ぶのは難しい。周辺自治体と連携して医療環境を確保したい」と話す。

 県医師会によると、県内では今年6月までの3年間で医療機関が48か所減った。厚生労働省が2014年に行った調査では、本県の10万人あたりの医師数は204・2人で全国40位だ。

 医師確保のため、県は高い技術と意欲を持つシニアドクターに注目する。15年度に始まったシニアドクター制度は、主に定年後の県内外の医師を最大5年間、県立病院の正規職員待遇で採用する。年収は概算で約1690万円。以前から県立病院の勤務医には定年(65歳)延長制度があるが、3年間に限られている。医師を確保すると同時に、勤務医の働く意欲を向上させる狙いもある。

 初年度は目標の10人を確保し、今年4月までに最高齢の75歳を含む計16人を採用した。東日本大震災応援で沿岸部の仮設診療所に赴任した医師が、再建された県立病院で勤務を続けているケースもあるという。

 県医師支援推進室は「医師不足は深刻で、こうすれば増えるという特効薬はない。ただ、定年後も働く意欲のあるシニアドクターは増えており、医師不足解消策の一つとして機能させたい」としている。



https://www.m3.com/news/general/542524
群馬循環器病院が倒産、負債総額約14億円
2017年7月1日 (土)配信東京商工リサーチ

 医療法人群馬循環器病院(高崎市中尾町、設立1997年、平井立志理事長)は6月29日、前橋地裁高崎支部に民事再生法の適用を申請し、同日に保全命令を受けた。申請代理人は猿谷直樹弁護士(石原・関・猿谷法律事務所)、監督委員は室賀康志弁護士(室賀法律事務所)が選任された。負債総額は約14億円。債権者数は約230人。

 1985年11月、都内において長年の業歴を有す医科大学の系列として群馬県高崎市において個人開業し、1997年3月に法人化を果たした医療法人。それ以降、診療科を拡げ、外部から有能な人材を常勤医に迎え入れて診療サービスの充実に努め、ピーク時の1996年12月期には売上高22億円を計上していた。

 しかしながら、医療設備に相当額の投資を実施してきた中、これに見合った業績を確保できず、損益は低迷推移を辿っていた。また、2002年12月には患者との訴訟に敗訴して多額の支払命令を受けたほか、近年は医師や看護師の減少により売上減少に歯止めがかからず、赤字決算が散見される状態だった。2014年12月期で売上高は10億円を割り込み、当期損失1億334万円を計上して債務超過に転落。翌2015年12月期では売上高8億9712万円、当期損失3億1021万円を計上し、さらに厳しい決算だった。

 こうした中、2015年には過大な診療報酬を請求したとされ診療報酬返還を求められた。過大請求については故意では無く見解の違いとし、返済を進めていたが、これにより支出が増え、合わせて業績も低迷する中で資金繰りがひっ迫。その後も厳しい経営状況に改善が見られず、ついに行き詰まり、今回の措置を採った。なお、病院は通常通り事業を継続しており、今後は医療法人の経営支援再生を主体に手掛けているコンサルタント業者のキャピタルメディカ(東京都港区)から資金や人材面での支援を受け、再建を目指す。



http://www.jomo-news.co.jp/ns/9214987518914084/news.html
高崎の群馬循環器病院が破綻 負債14億 診療は継続
更新日時:2017年6月30日(金) AM 06:00 上毛新聞

 群馬循環器病院(高崎市中尾町)を運営する医療法人「群馬循環器病院」(平井立志理事長)は29日、前橋地裁高崎支部に民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けた。代理人弁護士によると、負債総額は約14億円。病院は通常通り診療を続け、医師や看護師ら従業員約60人の雇用も維持する。

 今後は、医療コンサルタント会社のキャピタルメディカ(東京都)から資金や人材面での支援を受け、再建を目指す。



http://www.medwatch.jp/?p=14539
「今厳しい病院は3年以内に消える」、経営分析システム勉強会で大道日病副会長
2017年6月29日|GHCをウォッチ MedWatch

 「日本病院会」は6月29日、「JHAstis」(Japan Hospital Association Strategy Tactics Information System=日本病院会戦略情報システム)の勉強会を開催しました(JHAstisの紹介ページはこちら)。同ツールの経営改善事例が紹介されたほか、「グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン」(GHC)のコンサルタントによるツール活用方法、メディ・ウォッチ編集部による2018年度診療・介護報酬改定の解説が行われました。

 勉強会の冒頭であいさつした日本病院会の大道道大副会長は、18年度以降、病院が提供する医療の生産性の見える化が進むとした上で、「今後、(生産性の)パフォーマンスの悪い病院はすぐに分かるようになる」と指摘。次期診療・介護報酬改定が厳しい内容になるなどと予測されることから、「今、病院経営は一番いい時期。今が厳しいという病院は、間違いなく3年以内に消えてしまうだろう」と見通しました。

ここがポイント! [非表示]
1 医療等ID制度で現場の実態が明らかに
2 算定対象者2人「漏らさない」だけで回収可能
3 今後、最重要は他病院との比較
4 小林病院と平病院が事例紹介

医療等ID制度で現場の実態が明らかに

 18年度は、▼国民健康保険の財政都道府県単位化 ▼新たな医療計画の実施 ▼診療・介護報酬の同時改定― などが控えています。厚生労働省は、このことを「惑星直列」と呼んでおり、団塊世代が後期高齢者になって医療費が膨張する「2025年問題」に向けた大きなターニングポイントになる年度であると考えています(関連記事『2018年の国保都道府県化や診療報酬改定など「惑星直列」に向け、2017年が重要―厚労省・鈴木保険局長』)。財務省も5月に固めた建議でプラス改定をけん制しており、病院にとってはかなり厳しい改定になる可能性がささやかれています(関連記事『2018年度同時改定、「国民の負担増を考慮せよ」とプラス改定論議を牽制—財政審』)。

 また、マイナンバー制度と並行して進む「医療等ID制度」が導入された後の医療の現場を予見し、大道副会長は「疾患ごとに医療従事者が何人投入されたのか、どのような医療を提供したのか、すべてが明らかになる時代がくる」と指摘。その上で、「今から18年4月までに何をしてきたかで病院の将来が決まる。今後、毎月算定できる加算を逃しているような病院はもたない」と警鐘を鳴らしました。

算定対象者2人「漏らさない」だけで回収可能

 JHAstisは日本病院会が16年度・17年度の重点施策に掲げる「病院の経営支援」を具現化したサービスで、出来高病院に特化した自病院の経営状況を見える化するためのシステムです(紹介ページはこちら)。

 JHAstisに参加すると、(1)主要経営指標の分析や加算取得など経営指南書を毎月配信する「月次レポート」(2)他院とのベンチマーク分析など有益な分析情報を提供する「定期レポート」(3)回復期病棟ならではの切り口でデータ分析する「回復期レポート」(4)同時改定の重要論点と自病院の影響に絞って徹底解説する「臨時レポート」―の4つのレポートを受け取れるとともに、分析を担当するGHCの専門コンサルタントによる講演や、JHAstis参加で経営改善した事例などを学べる「無料勉強会」に参加できます。

 JHAstisは月額4万円で参加することが可能です。月額4万円を各種加算に換算して考えると、退院困難な患者について算定できる「退院支援加算1(一般病棟等)」(退院時1回。600点)であればわずか7回の算定増にすぎません。また認知症ケアチームによるケア計画策定などを評価する「認知症ケア加算1」(14日まで1日につき150点、15日以降1日につき30点)であれば、27回(14日までで換算)に該当します。つまり、両加算の算定対象者を2人「漏らさない」だけで、JHAstis参加費用は回収可能なのです(関連記事『日病の経営分析レポートJHAstis、300床規模の病院で年200万円の増収実績』)。

今後、最重要は他病院との比較

 JHAstisの活用方法について講演したGHCコンサルタントでアソシエイトマネジャーの澤田優香は、客観的なデータを活用した経営改善に向けた取り組みの基本姿勢について、「経営データの自病院における実際の値、目標とする値の視点は欠かせない。もう一つの欠かせない視点は他病院平均(中央値)の値であり、これからの経営改善はこの3つの視点は不可欠」と指摘。経営学の父であるドラッカーの言葉を引用して「外の変化を知らなければ、時代に置きざりにされる」としました。

 18年度診療・介護報酬改定の解説をしたメディ・ウォッチ編集主幹の鳥海和輝は、プラス改定を期待することが難しい状況に加えて、地域医療構想や国保の財政都道府県単位化など地域ごとに医療費抑制が進みつつある流れを解説した上で、「今後、国が着目するのは自病院がどれだけ改善したかではない。見ているのは、他病院と比較してどうかということ」と、今後の経営改善で重要なことは「他病院との比較」と繰り返しました。

小林病院と平病院が事例紹介

 今回、ユーザー事例を紹介したのは神奈川県小田原市の「小林病院」(163床:一般56床=うち地域包括ケア6床、回復期リハビリテーション47床、療養60床)と岡山県和気町の「平病院」(90床:一般32床=うち地域包括ケア11床、療養30床、結核28床)。講演した小林病院の市川信英医事課長、平病院の高取敬修事務部長は、JHAstisによって救急医療管理加算の算定状況や、他病院との比較データで確認できるため、ベンチマーク分析によって大きな収益増になったことなどを、自病院の事例を交えて解説しました(講演内容の詳細については追ってお伝えします)。

 JHAstisにご興味がある方は、日本病院会のJHAstis紹介ページをご確認ください(JHAstisの紹介ページはこちら)。

解説を担当したコンサルタント
澤田 優香(さわだ・ゆうか) 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのアソシエイトマネジャー。看護師、保健師。
聖路加看護大学卒業後、集中治療室の勤務を経て、入社。看護必要度分析、看護業務量調査、DPC別診療科検討、病床戦略分析、マーケット分析などを得意とする。自由分析ソフトを用いた分析では、社内で右に出るものはいない。多数の医療機関のコンサルティングを行うとともに、社内のアナリスト育成や看護関連プロジェクト(看護必要度勉強会や「看護必要度分析」開発など)でも精力的に活動する(東京医科大学病院の事例紹介はこちら)。



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO1801448023062017I00000/
医師の地域格差2倍 最多は京都府、高知県は中心部に8割集中
不作為の果てに(3)

2017/6/28 2:00日本経済新聞 電子版

 どこで開業し、どの診療科を置くか--。日本では開業場所や診療科は原則として医師に委ねられている。医療にも市場メカニズムがはたらき、医師は人口の多い地域に偏りがちな傾向がある。厚生労働省によると、人口10万人あたりの医師数は京都府(308人)が最も多く、最も少なかった埼玉県(153人)の2倍だった。高知県では中心部に医師の約8割が集中している。

都道府県別の人口10万人あたり医師数
1   京都   307.9
2   東京   304.5
3   徳島   303.3
4   高知   293.0
5   福岡   292.9
6   鳥取   289.5
7   岡山   287.8
8   長崎   287.7
9   和歌山  277.4
10   熊本   275.3
11   石川   270.6
12   香川   268.3
13   佐賀   266.1
14   島根   265.1
15   大阪   261.8
16   大分   260.8
17   愛媛   254.3
18   広島   252.2
19   鹿児島  247.8
20   山口   244.8
21   沖縄   241.5
22   福井   240.0
23   富山   234.9
     全国    233.6
24   宮崎   233.2
25   兵庫   232.1
26   北海道  230.2
27   奈良   225.7
28   山梨   222.4
29   宮城   221.2
30   群馬   218.9
31   長野   216.8
32   秋田   216.3
33   山形   215.0
34   栃木   212.8
35   滋賀   211.7
36   三重   207.3
37   岐阜   202.9
38   愛知   202.1
39   神奈川  201.7
40   静岡   193.9
41   青森   193.3
42   岩手   192.0
43   福島   188.8
44   新潟   188.2
45   千葉   182.9
46   茨城   169.6
47   埼玉   152.8
(注)単位は人。2014年末時点、厚生労働省まとめ

 かつては各大学が地域ごとに関係の深い病院に医師を派遣する「医局人事」が偏在を緩和してきた。2004年に「新医師臨床研修制度」が導入されると、研修内容や施設が充実した都市部の病院を選択するケースが増え、医師の地域偏在に拍車をかけた。

 厚生労働省がまとめた14年末時点の人口10万人あたりの都道府県別医師数は全国平均で234人だ。京都府が308人で最も多く、2番目が東京都で305人だった。

 最も少ないのは埼玉県で153人にとどまる。東京に隣接するベッドタウンで都内の病院にかかる人が多いためとみられる。続いて茨城県が170人、千葉県が183人だ。都道府県別の医師数は最大で2倍の差がある。

 同じ都道府県内でも医師の偏りのある地域もある。高知県は10万人あたりの医師数が全国4番目に多いにもかかわらず、高知市のある中央に約8割の医師が集中する。周辺部は全国平均を下回る「医療過疎地域」だ。

 診療科ごとの偏りも目立つ。全体として医師数は増えていても、個別の診療科で見ると外科や産婦人科はほとんど増えていない。

 こうした課題の解決に向け、大学医学部は医師確保のため「地域枠」を設けている。定員の一部を割り当て、修学資金などを支給する代わりに一定期間、その地域のへき地で勤務を義務付けるケースが多い。日本医師会も全国で画一的に医師の配属を決めるような規制よりも、地域枠の方が有効との考えだ。

 ただ、医師の中では偏在の解消には規制が必要と考える人も少なくない。「医師の官舎も市議会に怒られるぐらい立派なものを建てたり、冠婚葬祭、卒業式、大学へもしょっちゅう行く。それでも田舎に医師は来ない」。全国自治体病院協議会の辺見公雄会長は4月の厚労省の会議で、こう窮状を訴えた。開業の規制や診療科ごとに医師数を規制した方が、医療の地域格差が是正されると主張している。(奥田宏二)



https://www.m3.com/news/iryoishin/541127
日医代議員会
医師偏在対策は「医師の意思尊重」、今村副会長
第140回日医代議員会、国の強制的手法に先手打つ必要

2017年6月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の今村聡氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師の偏在対策について、「医師の自発的な意思を尊重し、強制的な仕組みを排除しながら、解消に向けて努力していく」と表明した一方、「若い医師に完全な自由度を保証するか、それとも例えば、へき地医療や救急などで経験を積んでもらうようにするかは、医療を受ける国民・患者の視点に立って考える必要もある」と述べ、さまざまな観点から検討する必要性を指摘した。

 今後の医師偏在対策については、地方勤務の意思がある医師が、医師不足地域で安心して診療できる仕組み作りが大切であるとし、地域医療支援センターの医師派遣機能の強化など、合意が得られやすい対策は早急に決定するよう行政に求めていくとした。同時に、今村副会長は、「医師自らが偏在解消策を打たなければ、国による強制的な手段と大胆な規制改革が行われかねない」と述べ、危機感を持って臨んでいくとした。

 今村副会長が、言及した「強制的な手段」とは、2016年6月の経済財政諮問会議の「骨太の方針2016」の素案で、「規制的な手法も含めた地域偏在・診療科偏在対策を検討」が盛り込まれていたことを指す。日医の主張によって「実効性のある地域偏在・診療科偏在対策を検討」に変更させたという。「大胆な規制改革」とは、2017年4月の厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書で、医師の配置にいわゆる規制的な手法を用いることには否定的であるものの、その前提として、「看護師等へのタスク・シフティング」などが提言されたこと(『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』を参照)。

 「若手医師に選択の自由を!」と題して、日医の医師偏在対策についての見解を代表質問で質したのは、京都府代議員の松井道宣氏。松井氏は、若手医師の能力と意欲を十分に引き出すためには、地域医療に配慮しながらも、「選択の自由」があることが大切とした。質問の背景として、政府の「骨太の方針 2016」では、「規制的手法」も含めて、医師の地域・診療科偏在対策を検討するとされていること、また2015年12月の日医と全国医学部長病院長会議との合同の緊急提言でも、「病院・診療所の管理者要件に、医師不足地域での一定期間の勤務経験を加える」を盛り込んでいることなどを挙げた。

 一方で、松井氏は、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告については、規制的な手法をけん制し、「個々の医療従事者が現場で輝き、意欲と能力を発揮し続けられるか」と提起している点を評価した。

 「規制」ではなく、「選択の自由」を

 今村副会長は、合同緊急提言について、「当時、新たな医学部を開設するという、重大な局面が訪れたことに対し、危機感を持って提言した」と説明。その上で、日医の「医師の団体の在り方検討会」の2017年3月の報告書で、「医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度においては、医師は職責の重さを認識した上で、自主的・自律的に何らかの適切な仕組みを作り、医師の偏在の解消を実現していくことが必要」とし、その仕組み作りのために「行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要」と提言したことを紹介した。

 松井氏は質問の中で、「医師会が残さなければならないものは、『規制』ではなく、地域医療に配慮しながらも『選択の自由』がある」とも述べた。今村副会長は、検討会報告書は、医師会によるプロフェッショナルオートノミーで進めるべきという提言であり、松井氏の意見とは、表裏一体であると言えるとした。

 さらに今村副会長は、合同緊急提言には、医師のキャリア形成や生活に関する十分な支援策も盛り込んでいるとし、これらは厚労省「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会の「中間取りまとめ」に反映されたと説明(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。医師の偏在対策としては、地域枠・地元枠の拡充、地域医療支援センターの医師派遣機能の強化などを挙げた(『医師偏在対策、カギは「地域医療構想の医師版」、中川副会長』を参照)。政府が進める「働き方改革」は、病院勤務医にとっては健康に働く施策が重要となるものの、医師のキャリア形成も関係する問題であり、日医しても取り組んでいくとし、答弁を結んだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542533
地域医療構想
医師偏在対策「キャリア形成プログラム」、医療計画に位置付け
看護師の特定研修も、厚労省、今夏に追加通知

レポート 2017年6月30日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は6月30日の第10回会議で、第7次医療計画の策定に関する厚労省の追加通知に盛り込む内容を了承した。

 第7次医療計画は、2018年度からの開始に向け、各都道府県で現在策定が進んでいる。今年3月末に厚労省は策定に関する通知を出したが、同通知では「空白」だった「医療従事者の確保」のほか、「一般病床や療養病床から生じる新たなサービス必要量」、「在宅医療の体制構築」などについて追加通知する。7月に開催される社会保障審議会医療部会に諮った後、今夏に通知発出予定。

 医療従事者の確保のうち、医師については、出身大学への地元定着を図り、地域偏在の解消を目指す。都道府県が主体となり策定する「キャリア形成プログラム」に、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定したり、プログラム策定に当たっては大学(医学部、附属病院)と連携するなど、「医療従事者の需給に関する検討会」の第10回医師需給分科会で了承した内容を盛り込む(『「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」』を参照)。かかりつけ薬剤師の確保や看護師の特定研修の充実に向けた取り組みも医療計画に位置付ける。

 第7次医療計画では、2025年の医療提供体制構築に向け、地域医療構想に基づき病床再編が進む中、その受け皿となる介護施設や在宅医療の必要量をいかに見込むかも課題となる。一般病床の転換等に伴う新たなサービス必要量については、3月の第10回会議では異論が出ていたが、厚労省は改めて資料を提示、外来医療として見込むことで了承(『一般病棟の退院患者「外来対応が基本」』を参照)。2017年度末で設置期限を迎える介護療養病床については、各病院に「転換意向調査」を実施するなどして、介護施設や在宅医療等の必要量を推計する。「在宅医療の体制構築」では、退院支援、急変時の対応、看取りなどについて具体的数値目標を設定する。

 慶応義塾大学名誉教授の田中滋氏は、在宅医療等の必要量の推計について、「医療提供体制と地域包括ケアは車の両輪。地域包括ケアを進めた場合、在宅への移行が進み、介護施設等へのニーズが減るかもしれない」と指摘し、各種推計は、現状の地域包括ケアを前提としているのかなどと質問。厚労省医政局地域医療計画課は、「現行の制度を前提としている。第7次医療計画の中間年(2020年度)、あるいは最終年(2023年度)で、進捗を見極めて見直すことが必要」と回答した。


厚生労働省は、社会保障審議会医療部会に諮り、第7次医療計画に関する追加通知を発出予定。

【第7次医療計画に盛り込む追加事項の抜粋】

1.介護施設・在宅医療等の新たなサービス必要量の受け皿の考え方
 2025年に向けて、高齢化の進展、地域医療構想による病床の機能分化・連携により、在宅医療の需要の増大が見込まれるため、第7次医療計画でいかに見込むかが課題。医療計画には下記の(1)~(4)を盛り込む。

(1)一般病床から生じる新たなサービス必要量
 地域医療構想では、一般病床のうち医療資源投入量が少ない「C3基準未満」の患者数については、慢性期・在宅医療等の医療需要として推計する。2014年患者調査によると、一般病床から退院する患者(全年齢)の80.7%は退院後、「自宅かつ通院」となる。65歳以上に限っても75.8%であり、「一般病床から生じる新たなサービス必要量」は外来医療により対応するものとして見込む。

(2)療養病床から生じる新たなサービス必要量の受け皿の考え方
①療養病床から介護医療院等へ転換する見込み量
 介護療養病床等は2018年3月末で廃止(移行期間は6年)されるに伴い、新設される介護医療院等への転換する見込み量を把握する必要がある。医療療養病床と介護療養病床を持つ病院に対し、都道府県と市町村の連携の下、「転換意向調査」を実施、把握した数とする。
 介護療養病床は、第7次医療計画の中間年の2020年度時点では「転換意向調査」により把握した数、移行期間が終わる2023年度時点では、介護療養病床の全数に相当する数を下限として、転換見込み量を設定。

②介護施設・在宅医療への按分の考え方
 患者調査では、医療療養病床から退院する患者の退院先は、「在宅医療」対「介護施設」=1対3。また「国保データベース(KDB)システム」で、療養病床から退院した高齢者(65歳以上、医療区分1)の介護サービス利用状況を把握することができ、例えば、介護老人保健施設・特別養護老人ホーム等は5割強であることなどが分かっている。そのほか、病床機能報告制度の「入院前の場所、退院先の場所別の患者の状況」もあるが、既存の調査や報告制度の結果は、一長一短であり、どのようなデータを用いるかは、各地域で協議して判断。

(3)目標の中間見直し
 第7次医療計画は、2018年度からの6年。その中間年、および第7期介護保険事業(支援)計画の終期は、いずれも2020年度末。原則2次医療圏単位で設置する「医療・介護の体制整備に係る協議の場」で実績を評価した上で、次の整備目標に反映することが基本。2018~2020年度の介護施設や在宅医療の取り組みが不十分な場合、2021~2023年度の計画で、整備必要量の上乗せを行う。

(4)各計画の終了時点における新たなサービス必要量の推計方法
 始点を第7次医療計画がスタートする2018年、終点を2025年度末と設定して、2025年の新たなサービス必要量の推計値を、8年間で等比按分する(例えば、2020年度末時点でのサービス必要量=2025年のサービス必要量×3/8)。

2.在宅医療の体制構築
 第7次医療計画では、将来の在宅医療の需要に対応するサービスごとの整備目標を設定する。具体例は下記。
・退院支援:退院支援ルールを設定している2次医療圏数
・急変時の対応:在宅療養後方支援病院数、在宅療養支援病院数
・看取り:在宅看取りを実施している診療所数、病院数
・訪問看護:24時間体制を取っている訪問看護ステーション数、機能強化型訪問看護ステーション数
・訪問歯科診療:訪問歯科診療を実施している歯科診療所数、在宅療養支援歯科診療所数
・訪問薬剤管理指導:訪問薬剤指導を実施している事業所数

3.医療従事者の確保
(1)医師
 キャリア形成プログラムの改善(医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定、地域医療支援センターがによるプログラム作成に当たっては、大学と十分に連携するなど)、詳細な医師の配置状況が把握できるデータベースの活用、地域医療支援センターの機能強化(へき地医療支援機構の統合も視野に一体的な医師確保を実施、医療勤務環境改善支援センターと連携、若手医師のアプローチ強化、派遣調整に当たって医師の勤務負担軽減に配慮など)などを実施。

(2)歯科医師
 「歯科医師の歯質向上等に関する検討会」で議論中だが、「口腔と全身との関係について広く指摘されている観点を踏まえ、医科歯科連携をさらに推進するために病院に歯科医師を配置していくことが望ましい」との旨を記載する方向で検討する。

(3)薬剤師
 「薬剤師の資質向上のために、『患者のための薬局ビジョン』を踏まえ、最新の医療および医薬品等に関する専門的情報の習得を基礎としつつ、患者・住民とのコミュニケーション能力の向上に資する研修、および医療機関等との連携強化につながる多職種と共同で実施する研修等が行われるよう、研修状況を把握し、関係者間の調整を行う」旨を明記し、かかりつけ薬剤師の確保に向けた取り組みを推進。

(4)看護職員
・「看護職員の確保に向けて、地域の実情を踏まえつつ、看護師等の離職届出を活用した復職支援や、医療機関の勤務環境改善による離職防止などの取り組みを推進していくことが必要である」旨を明記し、看護職員の確保に向けた取り組みを推進。
・「地域の実情を踏まえ、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、指定研修機関および実習を行う協力施設の確保等の研修対壊死の整備に向けた計画」を明記し、都道府県における特定行為研修を修了した看護師の確保に向けた取り組みを推進。

4.その他
 地域医療構想については「地域医療構想に関するワーキンググループ」(『「新規開設・増床」、許可前に調整会議で確認』を参照)の議論、「5疾病5事業」については「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」の議論を、それぞれ踏まえた内容を盛り込む。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540789
日医代議員会
医師偏在対策、カギは「地域医療構想の医師版」、中川副会長
第140回日医代議員会、「喫緊の課題は医師の偏在解消」

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師不足問題について、絶対数は近く充足する見込みであり、「喫緊の課題は、医師の偏在解消」と指摘。2015年12月の全国医学部長病院長会議との合同の緊急提言を精査・進化させ、地域医療支援センターの強化、医学部の地域枠や地元出身枠の拡充のほか、「地域医療構想の医師版」の作成という3点に取り組む必要性を指摘した。

 「地域医療構想の医師版」とは、医師の必要数を地域ごと、診療科ごとに将来推計し、医師需給の「見える化」を図ること。中川副会長は、「新たに医師になる世代に、自らのキャリアを検討、判断するツールを提供できると考えている」と述べ、「行政から強制的に配置されるのではなく、医師自らが選択することを最後まで守っていきたい」と強調した。

 「喫緊の課題は、医師の偏在解消」との現状認識は、厚生労働省の関係審議会の見解ともおおむね一致しているほか、この6月に政府が閣議決定した「骨太の方針 2017」でも、「医師養成数のさらなる増加ではなく、2008年度以降臨時増員してきた医学部定員について、医師需給の見通しを踏まえて精査を行う」としていると説明(『「医学部定員増、精査を」、骨太2017素案』を参照)。

 代表質問で、医師需給や偏在について、「日医主導による意見集約」を求めたのは、埼玉県代議員の金井忠男氏。金井氏は、現状の問題点として、病院勤務医が、過酷な労働環境に耐えられず、開業の道を選ぶことなどを挙げ、勤務医不足の解消が、喫緊の課題であると指摘。しかし、病院と診療所では意見の相違がある上、四病院団体協議会では医師養成強化を続けるべきと主張していることから、「日医のリーダーシップのもと、医師不足解消のための意見を統一すべき」と日医の見解と質した。

 医師増の要望、「病院経営者の危機感も」
 中川副会長はまず、「日医は、大勢として医師の絶対数は充足していくと考えている」と説明。その理由を以下のように説明し、この現状認識について日医がリーダーシップを取り、四病協や全国医学部長病院長会議と共有していくと表明。

 日医は、病院の医師不足の実態について、2008年と2015年に病院に対してアンケートを実施。この間、病院医師数は年平均約2%増えたものの、アンケートの結果、病院の必要医師数は、いずれの時点でもその時点で在籍する医師数の約1.1倍で減少傾向は見られなかった。必要医師数が1倍を超えているのは、「医療の高度化や、病院間の競争が激しくなっており、より多くの医師を確保して、生き残りを図りたいという病院経営者としての危機感もあるためかと思われる」(中川副会長)。

 また今後の高齢化の進展に伴い、医療需要が増加するという見方もあるものの、日医調査では、現在の100床当たり医師数は、急性期機能のみの病院と比較して、回復期機能のみの病院では約半分、慢性期機能のみの病院では約3割にとどまるという。高齢化で回復期、慢性期の医療需要が増えれば、全体の必要医師数はやや抑制される可能性があるほか、医療安全を最優先に位置付けつつ、今以上に多職種の連携も進むと見通した。

 「もちろん、ワークライフバランスの実現を目指した働き方改革を踏まえると、現状の病院勤務医は過重労働で、勤務医の負担軽減は引き続き重要な課題。一方で、これからは2008年度以降の医学部定員増による医師が大挙して医療現場に加わってくる」(中川副会長)

 「かかりつけ医の負担軽減も大事」
 以上のような現状認識を踏まえ、地域および診療科の医師偏在対策として、以下の3点に取り組んでいく必要性を指摘した。

(1)全国の地域医療支援センターの実効性を向上させる。2015年12月の緊急合同提言で、一歩進んで、各大学への「医師キャリア支援センター」の設置を提言したが、まずはその土台となる地域医療支援センターの機能の強化が必要。同センターの機能や運用は全国でさまざまであるため、日医が情報収集、意見交換を行い、好事例を速やかに全国展開できるよう支援。

(2)医学部の地域枠あるいは地元出身枠の拡充。地域に生まれ、地域に愛着を持つ医師の地元定着率が高いことは、厚労省の審議会などでも報告されている。

(3)医師需給の「見える化」を進める。例えば、地域医療構想では将来の患者数から病床の必要量を構想区域ごとに計算し、将来の見通しを示している。同じように将来の医療需要、つまり患者数に対する医師の必要数を、地域ごと、診療科ごとに推計すれば、新たに医師になる世代に自らのキャリア設計を検討、判断するツールを提供できると考えている。

 さらに中川副会長は、「過去10年間に病院の医師が3万1000人増加したのに対し、診療所開設者の増加は約1200人の増加にとどまっている」と説明。都市部では、医療モールなどの展開もあって、診療所が多い地域もあるものの、地方では医師自身の高齢化もあり、地域包括ケアシステムの構築に向けて、かかりつけ医の確保が課題となっているとした。「医師の不足、偏在の問題については、病院勤務医の負担軽減を念頭に置きつつ、同時にかかりつけ医の負担軽減も大事にしていきたいと考えている」。



http://www.medwatch.jp/?p=14553
医学部地域枠の地元出身者への限定や、特定看護師確保策などを医療計画に記載—医療計画見直し検討会(2)
2017年6月30日|医療計画・地域医療構想 Med Watch

 2018年度からの新たな医療計画(第7次医療計画)においては、地域における医師偏在の解消に向けて「大学医学部の地域枠入学生は、原則として地元出身者に限定する」「地域医療支援センターがキャリア形成プログラムを策定する際には、大学医学部などと十分連携する」ことなどを明確にする。また看護師特定行為研修の実施体制を充実する方策なども記載する—。

30日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」では、こういった点も了承されました(関連記事はこちら)。近く開かれる社会保障審議会・医療部会の了承を経て、医療計画作成に関する通知が改めて発出されます。

6月30日に開催された、「第11回 医療計画の見直し等に関する検討会」(図 略)

ここがポイント!  
1 医師の地域偏在是正に向けて、都道府県に「当面の対策」を求める
2 脳卒中や心血管疾患、急性期から回復期・維持期までの一貫した医療提供体制を構築

医師の地域偏在是正に向けて、都道府県に「当面の対策」を求める

2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートするため、厚生労働省は今年(2017年)3月31日付で、都道府県に宛てて通知「医療計画について」(厚労省医政局長通知)および「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(同局地域医療計画課長通知)を発出しています(関連記事はこちら、通知へのリンクも関連記事にあります)。

しかし医療従事者の確保に関しては、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等 の働き方ビジョン検討会」や「医療従事者の需給に関する検討会」の議論を待ち、別途、考え方を示すこととなっていました。

今般、検討会において「当面の対策」(早急に実行可能な医師偏在対策)が固められたことを受け、医療従事者の確保に関する記述を充実することにしたものです。

医師確保については、「地域の医師偏在」を是正するために、地域医療支援センター(都道府県に設置)の作成するキャリア形成プログラムにおいて ▼大学との十分な連携を図る ▼地域枠入学生は地元出身者に限定し、当該都道府県での臨床研修を原則とする ▼勤務地や診療科を限定する—ことなどを促すことにしています。また来年度(2018年度)予算において ▼代診医師の派遣 ▼遠隔診療—に関する補助の拡大も目指すことになります(詳細はこちら)。

なお、より抜本的な偏在対策については、医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)において今秋から議論が行われます(詳細はこちら)。

 
また看護職員の確保については、地域の実情を踏まえつつ ▼看護師などの離職届出を活用した復職支援 ▼医療機関の勤務環境改善による離職防止—などを進めることを医療計画に記載することになります。

さらに、「特定行為に係る看護師の研修制度」を推進するために、「指定研修機関・実習を行う協力施設の確保など、研修体制の整備に向けた計画」も医療計画の中に明記することになります。2014年から、一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を受けた看護師は、医師・歯科医師の包括的指示の下で手順書に基づいて38の診療所の補助(特定行為)を実施することが可能になりましたが、特定行為研修を行う指定研修機関は25都道府県に40機関しか設置されていません(2017年3月末時点)。医療計画への研修体制整備計画を記載することで、「全都道府県における指定研修機関の設置」や「より身近な実習施設の設置」が期待されます(詳細はこちら)。

特定行為研修を行う施設(指定研修施設)の整備に関する計画を医療計画に記載する際のイメージ(その1)(図 略)

特定行為研修を行う施設(指定研修施設)の整備に関する計画を医療計画に記載する際のイメージ(その2)(図 略)
 
 また、病院において歯科医師を確保することが医科歯科連携推進に向けて極めて効果的なことから、厚労省内に設置されている「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の議論を踏まえ、例えば「病院における歯科医師配置」などを医療計画に記載することなどを検討していきます。

脳卒中や心血管疾患、急性期から回復期・維持期までの一貫した医療提供体制を構築

 医療計画では、地域の適切な医療機能を確保するために、5疾病(▼がん ▼脳卒中 ▼心血管疾患 ▼糖尿病 ▼精神疾患)・5事業(▼救急医療 ▼災害時医療 ▼へき地医療 ▼周産期医療 ▼小児救急医療を含む小児医療)、および在宅医療について、患者動向・医療の現状を把握し、「必要な医療機能」や「各医療機能を担う医療機関などの名称」「数値目標と必要な施策」などを記載することも求められます。

30日の検討会では、▼脳卒中 ▼心血管疾患 ▼精神疾患 ▼周産期医療体制—の整備計画のベースとなる厚労省検討会の状況が報告されました。

このうち脳卒中・心血管疾患については、急性期だけでなく「回復期から維持期まで一貫した診療提供体制の構築が必要」との考え方が打ち出されました。今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「画期的である。素晴らしい考え方である」と称賛しています。

脳卒中においては、▼急性期医療機関で急性期治療(t-PA治療など)と急性期リハビリを実施する ▼回復期医療機関で回復期リハビリと亜急性期治療(再発予防、基礎疾患・危険因子の管理、合併症への対応など)を行う ▼維持期医療機関では、かかりつけ医による維持期治療(再発予防、基礎疾患・危険因子の管理など)を、老人保健施設や通所リハビリ事業所などで維持期リハビリを提供する—という機能分担を行うとともに、各医療機関で患者情報を共有し、面による疾病管理を行う構図が描かれています。

脳卒中にかかる診療提供体制のイメージ(図 略)

 
また急性期医療においては、施設間ネットワークを構築し、24時間専門的な診療提供体制の確保が求められますが、医療資源が乏しい地域では、遠隔診療なども活用した「平均的な救急搬送圏の『外』との連携」体制構築も求められます。

脳卒中にかかる急性期医療提供体制のイメージ(図 略)

 
なお、より多くの施設でt-PA治療などを行うべきか(均てん化)という点については、「適切性・安全性を担保しながら進める必要がある」と慎重な姿勢を崩していません。
 
一方、心血管疾患については、入院医療において▼急性期治療・リハビリ ▼亜急性期治療(基礎疾患・危険因子の管理、合併症への対応など) ▼回復期リハビリ(患者教育、食事・服薬指導、運動療法など)―を機能分化・連携の上で提供するとともに、外来医療において ▼回復期リハビリ(再発予防に向けた生活指導、危険因子の是正、運動療法など) ▼維持期治療 ▼維持期リハビリ(定期外来受診による基礎疾患・危険因子の管理、生活習慣の改善など)―を行う体制を提示しました。ここでも各施設の連携が重視されます。

心血管疾患にかかる診療提供体制のイメージ(図 略)

心血管疾患にかかる急性期医療提供体制のイメージ(図 略)
  
厚労省は、医療計画へのこうした内容の記載を求めることについて、社会保障審議会・医療部会の了承を待って、近く関連通知の再発出を行います(今夏予定)。

   

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO1830002029062017EE8000/
医師、自らの改革に消極的 自由開業「制限不要」4割
2017/6/30 1:34日本経済新聞 電子版

 日本経済新聞社などが医師1030人に対して行ったアンケート調査では「このままでは国民皆保険の維持は不可能」と危機感を抱く医師が半数を占めた。だが医師が自由に開業することの制限などに対しては「必要なし」とする回答が4割に上り、自らの改革には消極的だった。医師の地域や診療科の偏在解消は医師数の増加ではない対応を求める声が多かった。

 医学部を卒業して医師免許を取得すれば、医師はどこでも開業し、法律で定められた診療科であれば自由に標榜できる。こうした「自由開業」「自由標榜」のため都市部や一部の診療科に医師が集中して過剰な医療を提供するなど医療費の高騰の一因にもなっている。

 今回の調査でも多くの医師がこうした偏在を大きな問題と受け止めていた。だが自由開業や自由標榜の見直しの必要性についても聞いたところ、「必要なし」が42%で、「必要がある」(29%)を上回った。「選択の自由がある」という意見が目立った。

 政府は偏在を解消する目的で医学部の定員増や医学部新設で医師数を増やしてきた。今回の調査では偏在の直接的な背景について67%が「医師数の不足ではない」と回答。「都市部に開業医が多すぎる」などと指摘し、単なる医師数の増加は偏在の解消にならないと考えていた。

 対策としては、医学部で一定期間の地域での勤務を義務付ける代わりに奨学金を出す「地域枠」の政策を都道府県などが拡大している。約16万8千人の会員のうち半数が開業医の日本医師会の横倉義武会長は地域枠によって「地域間の偏在はここ10年間で相当解消するだろう」と話す。

 ところが勤務医が8割を占めた今回の調査では地域枠が偏在対策になっているかを聞いたところ「そうは思わない」が51%で「そう思う」は26%にとどまり、医療現場の実感と温度差があった。

 対策にならない理由として、福岡県の開業医男性(49)は「(医師)免許自体を地域限定にしない限り、医師は都会に集まる」と指摘する。

 今回の調査で「地方勤務の意思があるか」と尋ねたところ、49%が「意思がある」と回答した。ただ首都圏や愛知、大阪、福岡などで働いている人だと「意思あり」の回答は20~30%台だった。

 「意思がない」と回答した人の理由では「家族の理解(子どもの教育など)」が46%とトップ。年代別にみると、40代では67%が理由に挙げた。

 現役の医師でもあるメドピアの石見陽社長は「地方だと医師が少なくて多忙だったり、カバーする範囲が多岐にわたったりして、特に若い医師は勉強会などにも出やすい都市部を選ぶ傾向がある」と話している。


https://www.m3.com/news/iryoishin/542097
真価問われる専門医改革
新専門医制、「7月7日の理事会で準備が整う」
松原副理事長、日本専門医機構が社員総会開催

レポート 2017年6月29日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は6月29日、2017年度の第1回社員総会を開催、2017年度の事業報告や決算報告を説明したほか、「専門医制度新整備指針」と運用細則改訂案を報告した。

 総会後、同機構副理事長の松原謙二氏(日医副会長)は、「私たちがやっている方向については、総会で了承された」と述べ、「7月7日の次回理事会で、運用細則改訂案の了承が得られれば、準備は完全に整うことになる。各学会の準備もできている」と説明。2018年度からの新専門医制度開始の判断については、「厚生労働省と話し合いを進めている」と述べ、最終的には塩崎恭久厚労相の了解が得られるか否かにかかっているとの見通しを示した。

 「専門医制度新整備指針」は、既に6月2日の理事会で了承済み(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 運用細則改訂案は、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で修正が求められ、残された課題は、研修プログラムの精査などを行う場である「都道府県協議会」への情報提供のあり方。6月12日の同検討会では、奈良県知事の荒井正吾氏が、実効性を高めるために、「研修施設が、協議会に協力し、直接必要な情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある」と提案(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。運用細則改訂案は、「直接」ではなく、日本専門医機構を通して情報提供等を行う仕組みを想定していた。

 この意見の趣旨を反映し、運用細則が改訂される見通し。「必要な情報が求められて出すのは当然。ただし、日本専門医機構にも情報が来ないと、何が起きているかが分からなくなるので、報告してもらうことになる」(松原副理事長)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541025
日医代議員会
新専門医制「2018年度開始に向け全力を傾注」、羽鳥常任理事
第140回日医代議員会、都道府県協議会への関与要請

レポート 2017年6月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、「新たな専門医の仕組みについては、専攻医の不安を取り除くためにも、2018年度の開始に向け、全力を傾注していく」と語り、日医は日本専門医機構や厚生労働省と“キャッチボール”しながら、新専門医制度をより良い仕組みにしていく方針であり、都道府県医師会に対しても、都道府県協議会において主導的な立場で関与するよう要請した。

 都道府県協議会は、各関係者が集まり、新専門医制度の地域医療への影響を検証するために、個々の研修プログラムの専攻医の応募や採用予定の状況を把握し、協議する場。厚労省は各都道府県に対し、都道府県協議会の設置と活用などについて、改めて近く通知を発出し、その徹底のため、各都道府県の担当者への説明会を開催する予定だという。

 さらに日本専門医機構の理事でもある羽鳥常任理事は、「仮に、新たな専門医の仕組みについて、医師偏在などの地域医療への影響が明らかになった場合には、都道府県協議会での議論を踏まえ、日本専門医機構においても、次年度の対応、見直しなどを行っていく」と説明した。

 新専門医制度について、「医師の地域偏在を助長する可能性が高い」として、日医の見解を個人質問したのは、新潟県代議員の小池哲雄氏。同制度については、2016年12月に「専門医制度新整備指針」が示され、この6月には改訂された。小池氏は、「大学病院以外の病院も基幹施設になれる基準とする」などの変更がなされたものの、「机上で決められたようにしか思えない」と指摘した。

 医師の偏在、「日医も同様の危機感」

 羽鳥常任理事は、小池氏の質問に対し、(1)大学病院以外の病院も基幹施設になれる基準とする、(2)常勤の専門研修指導医がいない施設でも、医療の質を落とさなければ、研修施設群に加わることができる、(3)各専門研修プログラムを承認する際、都道府県協議会都の事前協議が前提、(4)専門医の取得は義務ではない――という点については、6月の日本専門医機構の理事会で、「専門研修新整備指針」と運用細則の改訂が承認されたと説明(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 「しかし、新整備指針に盛り込むだけでなく、各基本領域の学会が、専門研修プログラム整備基準やモデル専門研修プログラムにも同様の記載をし、運用の際には実効性を担保することが重要。日医としても、日本専門医機構における精査に積極的に協力していく」(羽鳥常任理事)

 さらに厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置くことが求められる、8つの基本領域の学会の対応状況についてヒアリングを行ったことを紹介した(『内科専門医、基幹施設8割以上は市中病院』、『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。羽鳥常任理事は、「その結果、基幹施設が1カ所しかない県があったとしても、学会が基幹施設を複数にすべく調整を進めていること、出産・育児・介護等による研修中断者の柔軟な研修を可能としていること、専攻医の勤務先医療機関や研修状況の把握管理のためのシステムの設置あるいは準備していることなどが明らかとなった」と述べ、「制度的にも医師の偏在を助長することがないよう、対応を整えている」と理解を求めた。

 羽鳥常任理事は、医師の地域偏在について、「日医も同様の危機感を持っている」と述べ、入学時、臨床研修時、専門研修時など、多角的に対応する必要があると指摘。厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、日医としても具体的な対策が実践できるよう、引き続き主張していく方針を掲げた。

 以上の答弁に対し、小池氏は、2004年度の臨床研修必修化に伴い、医師の地域偏在が進んだと指摘、「何らかの問題があった時には、1年(次年度)と言わず、早急に対応してほしい」と要望。羽鳥常任理事は、新専門医制度で同様のことが起きないよう、努力しているとし、「もし不都合が出てきたら、直ちに見直すことは、日本専門医機構の理事全員が承知している」と答えた。



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0630509244/
専門医試験は専門性を担保しているか
神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎
2017年06月30日 07:00 Medical Tribune

研究の背景:米国では専門医資格の維持でもめている

 僕は日本と米国の両方で内科、感染症の専門医資格を持っている。米国の場合は専門医資格の維持、更新条件が厳しく、またルールがコロコロ変わるので油断できない。

 日本と違い、米国では専門医制度が各専門領域の学会から独立しており、例えば内科系ならAmerican Board of Internal Medicine (ABIM)がこれを統括している。米国の内科学会(American College of Physicians; ACP)や医師会(American Medical Association; AMA)あるいは感染症医の専門家団体(Infectious Diseases Society of America; IDSA)は、専門医制度とは直接関係を持たない。利益相反を避け、専門医資格の独立性を担保するためだ。

 一方、日本では専門医資格が学会の"ご褒美"になっている(ところがある)。分野によって専門医取得のハードルの高さには差があるが、多くの学会は「学術集会に参加し、あるいは発表し」「学会に○年間所属し」「学会が出版する学術誌に論文を掲載する」といった、学会への貢献が専門医資格取得の条件にカウントされる。学会に貢献したご褒美としての専門医資格、という側面があるのだ。このような利益相反も、せめて専門医資格が医師の臨床能力を担保しているのであれば、まだよいのだが、果たして。

 とはいえ、米国の状況も万々歳とはいえない。近年批判されているのが、ABIMの"行き過ぎ"である。すなわち、ABIMは各専門医の専門医資格維持、更新のためにMaintenance of Certification (MOC)という課題をこなすことを義務化したのだが、これが面倒くさすぎて現場の大反感を買ったのだ。

 Teirstein PS. Boarded to Death -- Why Maintenance of Certification Is Bad for Doctors and Patients. New Engl J of Med 2015 Jan 8; 372(2): 106-108.

 ABIMも反論する。確かにMOCは面倒くさいかもしれない。しかし、プロとは面倒くさいものなのだ。プロの実力を担保するには、努力し続けなければならない。つべこべ言わんと努力せんかい、とまでは言っていないが、専門医資格維持のためには質の担保は欠かせないのだ、という主張は曲げない。そして、それは正しい。

 Baron RJ, Braddock CHI. Knowing What We Don't Know -- Improving Maintenance of Certification. New Engl J of Med 2016 Dec 29; 375(26): 2516-2517.

研究のポイント:試験問題における症状の出題頻度を実臨床と比較

 今回紹介する研究は、数あるMOCの中でも内科MOC試験(IM-MOC examination)という、内科専門医資格維持のために定期的に行う試験の評価である。特に、一般内科医(general internal medicine)のプラクティスと噛み合っている(concordant)かどうかが、本研究の主眼である。外来そして入院診療のカルテデータを用い、そこで一般内科医が実際に見る病状(condition)の頻度と、試験問題の出題頻度が一致しているかどうかが検証された。

 Gray B, Vandergrift J, Lipner RS, Green MM. Comparison of Content on the American Board of Internal Medicine Maintenance of Certification Examination With Conditions Seen in Practice by General Internists. JAMA 2017 Jun 13; 317(22): 2317-2324.

 まず、国立外来ケアサーベイ(National Ambulatory Medical Care Survey; NAMCS)の2010〜13年のカルテデータを用い、一般内科医が遭遇したはずの医学的な状況を調べた。専門外来のデータは除外しており、あくまで一般内科外来のデータである。1万3,832回の外来受診の主病名がカウントされた。

 次に、入院患者について国立病院退院サーベイ(Naitonal Hospital Discharge Survey; NHDS)のデータを抽出した。入手可能な最新のデータ、2010年のものを用いている。18歳以上の患者が対象だ。10万8,472回の入院データがカウントされた。

 対するIM-MOC試験問題は2010〜13年のものを用いた。診療頻度と出題頻度を比較し、0.5標準偏差(0.5SD)以内に入っていれば(外来0.74%, 入院0.51%)、"噛み合っている"と判断した。その結果、69.0%(95%CI 67.5~70.6%)の質問が、プラクティスと合致していた。逆に、30.97%(同29.43~32.51%)の質問は"噛み合っていない"ことが分かった。

 特に、外来受診数や入院数に比べて問題数の頻度が高かったのは肝疾患、血液悪性疾患、カルシウム系代謝疾患、間質性肺疾患、心弁膜疾患、心外膜疾患などである。例えば、肝疾患の出題頻度は2%強であったが、外来で見る頻度はわずかに0.28%, 入院患者では0.64%にすぎなかった。

私の考察と考え方:日本の専門医試験は第三者的吟味に耐えうるか

 既に述べたように、米国の専門医制度は問題ありありで批判も多い。しかし、その批判が妥当であるかどうかを学術的に検証しようという態度。ここが素晴らしいと思う。

 専門医試験は、専門医の臨床能力に対する質を担保しなければ意味がない。しかし、しばしば試験は"試験に出しやすい" "出題者の学問的興味" " ひっかけ問題にしやすい" " 重箱の隅突き"になりがちである。しかし、試験はあくまでも現場での診療に関連しており(relevant)、その問題は臨床能力を反映させるものでなければならない(valid)。ABIMのIM-MOC試験はそこそこ実際のプラクティスを反映しており、しかしある程度は的外れであることが判明した。これを受けてABIMは、さらに実際のプラクティスを反映するよう、試験を改善することであろう。

 翻って日本の試験問題は、専門医制度は、このような第三者的な批判吟味に耐えうるものであろうか。実際のプラクティスと合致しているであろうか。他山の石として考えてみるべきだろうし、同様の検証は行うべきだろう。日本の専門医試験は、各領域のサブスペシャリストが"自分目線"で問題をつくっており、"一般内科医のプラクティス"という視線を欠いているように僕には思える。この点、ぜひ検証してみるべきだと考える。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540332?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170630&dcf_doctor=true&mc.l=231946583&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
医療維新
「総合医の養成」は地域病院の使命 - 花輪峰夫・秩父病院院長に聞く◆Vol.2
行きすぎた専門医志向に危機感

レポート 2017年6月30日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

――今年4月の日本外科学会定期学術集会では、特別企画「今こそ地域医療を考える」の中で、「研修医の視点に学ぶ格差解消への模索と地域医療の役割」と題してお話しをされていました。

 私自身にも言えることですが、近年医師個人の対応能力は大幅に縮小していると言わざるを得ません。特に若い医師達は、極端な専門医志向と教育の結果、その傾向が著しいと思います。あるとき、当院に来ていた研修医が「目からウロコでした」と言ったのですが、何かと思ったら「アッペって開腹するんですね。こんなに直ぐ終わるのですか」。

 私の方が目玉が落ちそうになりました。今や鏡視下手術が全盛ですが、10分やそこらで終わる小児のアッペやヘルニアを、挿管全身麻酔下、腹腔鏡下で行うことには納得がいきません。私は自分の孫にはそうした手術をやりたいとは絶対に思いません。

 もちろん、鏡視下手術は素晴らしい手術です。ラパコレについては、当院では1987年にフランスで行われた5年後の1992年には導入し、今や胆嚢切除の8割以上を行っています。ただ、若い医師への教育的観点からみれば「何でも鏡視下手術」はいかがなものでしょうか。開腹も、手縫いも、糸結びもできない外科医ができるとすれば恐ろしいことです。

――医師養成の在り方についてはどのようなお考えでしょうか。
 今の初期臨床研修制度はどちらかと言えば賛成です。直ぐに役立たたないかもしれませんが、たとえそうであっても、医師の人生は長いので、2年ぐらいいいじゃないかと思います。ローテーションには外科が必須であってほしいとはお思いますが。

 現在は専門医志向が行き過ぎています。実際の地域医療の現場では、各科の専門医がそろっているわけではなく、特に夜間救急では1人で何でも診なくてはならず、ほとんどが自分にとって専門外です。どんな医師でも、ある程度はオールマイティに対応でき、最低限トリアージができなくてはならないはずです。

 大学病院では「訴訟が怖いから専門外の患者は診るな」と教育しているらしいですが、これは患者を断る正統な理由にはならない。それが通ると地域医療は崩壊し、医師の権威は地に落ちてしまいます。

――どのような医師養成の在り方が望ましいのでしょうか。
 今求められているのは「総合医」の養成でしょう。それは新しい総合診療専門医とは違います。総合医には背骨が必要で、何かの専門医を取った上で、幅を広げていくべきです。進路に迷っている若手には、総合診療専門医ではなく、まず外科か内科の専門医を取ることを勧めています。

 人を癒やすという意味において、また若い医師の教育や自己研鑽の場として、地域の臨床医療は、大学病院などに劣っているとは思っていません。もちろんどちらが良いと競うべきものではなく、お互いが補完し合うべきでしょう。

 私は総合医を「器が大きく、懐が深く、成熟度の高い医師」と定義したいです。それは3年程度ではできないです。だからこそ、「総合医の養成」は地域病院の使命だと考えています。

――病院にとって研修医を受け入れる意義はどのようなものでしょうか。
 当院は臨床研修の協力施設として、埼玉医科大学病院、同国際医療センター、同総合医療センター、日本医科大学付属病院、同千葉北総病院、同武蔵小杉病院の研修医を受け入れています。2005年度からこれまでに既に100人以上の先生方が当院で学んでおります。

 研修医を受け入れるのは負担にもなりますが、総じて若い人がいるというのは好ましいと思っています。戦力としてだけでなく、何より病院に活気がもたらされます。毎年、3月は大学からの研修がなく、受け入れが減りますが、院内も何となく活力が消えた感じとなります。

 さらに言うと、夜間救急に応援に来てくれる先生の多くは、うちで研修をしたOBです。うちのスタッフでも、私もそうですが、副院長、診療部長、外科部長も地元の熊谷高校出身です。地元で育った人、縁を感じてくれた人は愛着心も生まれます。病院を知ってもらえるというのも、大きなメリットです。

 2015年度には当院で学んだ研修医やOBらが集う「秩父花仁塾」という私塾を作りました。塾では困った症例をともに検討したり、相談を受け付けたりするほか、レジャーや懇親会も行っています。何人が「当院で教わった」という自覚があるか分かりませんが、「一緒に学んだ」ことは確かです。何かしらをつかんでくれていると嬉しいです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541378
臨床研修制度の見直し
臨床研修、必須29症候、25疾病を提案
福井座長「求める能力定めてからローテーションを議論」

2017年6月27日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が6月26日、臨床研修で必須とする症候や疾病について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。必須経験を現状の52症候、88疾病から、29症候、25疾病に厳選するとした研究班案が説明され、今後約10カ月をかけて議論していく。

 2020年度からの導入を目指して議論が進んでおり、前回までで到達目標が定まり、3月に開かれた医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で承認された。(『医学教育と臨床研修、シームレス化進む』を参照)。今後は到達目標を踏まえて、「方略」と「評価」について議論を進めていく。26日は厚労科研費「医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究」(研究代表:福井氏)が作成した案について、構成員が意見を出し合った。

 「実務研修の方略」(案)では、研修期間を2年以上として、そのうち8カ月以上は基幹型臨床研修病院で行うことを定め、1年以上は同病院で行うことが望ましいと提案。現状では、52症候、88疾病となっている経験症例を、「必須なものだけに絞り込みたい」(福井氏)として下記、29症候、25疾病に絞る考えを示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541378
臨床研修制度の見直し
臨床研修、必須29症候、25疾病を提案
福井座長「求める能力定めてからローテーションを議論」

2017年6月27日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が6月26日、臨床研修で必須とする症候や疾病について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。必須経験を現状の52症候、88疾病から、29症候、25疾病に厳選するとした研究班案が説明され、今後約10カ月をかけて議論していく。

 2020年度からの導入を目指して議論が進んでおり、前回までで到達目標が定まり、3月に開かれた医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で承認された。(『医学教育と臨床研修、シームレス化進む』を参照)。今後は到達目標を踏まえて、「方略」と「評価」について議論を進めていく。26日は厚労科研費「医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究」(研究代表:福井氏)が作成した案について、構成員が意見を出し合った。

 「実務研修の方略」(案)では、研修期間を2年以上として、そのうち8カ月以上は基幹型臨床研修病院で行うことを定め、1年以上は同病院で行うことが望ましいと提案。現状では、52症候、88疾病となっている経験症例を、「必須なものだけに絞り込みたい」(福井氏)として下記、29症候、25疾病に絞る考えを示した。

【経験症候】
下記の症候を呈する患者について、病歴、身体所見、簡単な検査所見に基づく臨床推論と、病態を考慮した初期対応を行う。
ショック、体重減少・るい痩、発疹、黄疸、発熱、もの忘れ、頭痛、めまい、意識障害・失神、けいれん発作、視力障害、胸痛、心停止、呼吸困難、吐血・喀血、下血・血便、嘔気・嘔吐、腹痛、便通異常(下痢・便秘)、熱傷・外傷、腰・背部痛、関節痛、運動麻痺・筋力低下、排尿障害(尿失禁・排尿困難)、興奮・せん妄、抑うつ、妊娠・出産、成長・発達の障害、終末期の症候(29症候)

【経験疾病】
下記の疾病を有する患者の診療に当たる。
脳梗塞・脳出血、脳動脈瘤・くも膜下出血、認知症、心筋梗塞、心不全、大動脈瘤、高血圧、肺癌、肺炎、急性上気道炎、気管支喘息、COPD、胃癌、消化性潰瘍、胆石症、大腸癌、腎盂腎炎、尿路結石、腎不全、高エネルギー外傷・骨折・捻挫、糖尿病、脂質異常症、気分障害、統合失調症、依存症(ニコチン・アルコール・薬物等)(25疾病)

 議論の難航が予想される「ローテーションする分野・診療科」については、研究班で煮詰まっていないとして次回以降に提示する。福井氏は「背景にある考え方は、『こういうことを身に付けてほしいから、こういう診療科をローテーションする』という論理構成にしたい。最初に診療科を決めるようとすると議論が発散してしまう。2004年度の必修化の前にさんざん経験している」と説明した。

 評価については、各分野・診療科のローテーション終了後に指導医、上級医、医師以外の医療職が、研修評価表を用いて評価し、研修管理委員会で保管、少なくとも年に2回、フィードバックを行うこととする。

 研修評価表は「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)に関する観察記録・コメント」と「B. 資質・能力に関する観察記録・試験 」の2つを提案。

 Aでは「社会的使命と公衆衛生への寄与」「利他的な態度」「人間性の尊重」「自らを高める姿勢」について、「安心/称賛」「観察機会なし/NA」「心配/要注意」の3段階で評価する。

 Bでは「医学・医療における倫理性」「医学知識と問題対応能力」など9項目について、「A. 医師として完成されたレベル」「B. 臨床研修の終了時点で期待されるレベル」「C. 改善の余地があるレベル」「D. 大きく改善する余地があるレベル」の4段階で評価することを求める。

 日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「外科、産婦人科、小児科の必修に復帰してほしい」、美郷町地域包括医療局総院長の金丸吉昌氏は「小児、高齢者の領域を経験疾病として入れるようにしてほしい」とそれぞれ指摘。岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏は「いろいろな患者を見ておくのは医師として必須なこと。合わせる気がない人ともコミュニケーションを取る技術が要請されており、(精神科)急性期病棟の経験が必要と断言しておく」と述べた。

 評価を巡っては、東京慈恵会医科大学内科准教授の古谷伸之氏は、自大学では看護師による評価を取りやめたと紹介。「全ての施設で同じように360度ができるわけではない。看護師と医師では見えている点も当然違う。同じ研修評価表で良いのかを検討していく必要がある」と指摘。聖マリアンナ医科大学医学部医学教育文化部門教授の伊野美幸氏は「多職種からの評価は必要であり、教育やアセスメントの仕方を教えていく必要がある」とした。中島氏は評価項目の「医師として完成されたレベル」という表現について、「『完成』ではなく『十分なレベル』ではどうか』と提案した。

 福井氏は寄せられた意見に対して「10カ月かけてブラッシュアップしていきたい」と応えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542509
医療維新
「回復期不足」本当か、把握必要
日病協の原澤議長が記者会見で見解

レポート 2017年6月30日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は6月27日の記者会見で、地域医療構想の病床機能報告制度で、「回復期機能が足りない」との解釈が広まっていることについて、「回復期が足りないというデータがどこの地域でも出てくるが、回復期として使われているが回復期として報告していない病床があることは、日病協として理解している。回復期の病床が本当に足りないのかどうかは、十分に検証する必要がある」と述べ、毎年の病床機能報告で実態を正確に把握していく必要があるとの考えを示した。

 「回復期機能が不足」との解釈については、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の構成員でもある日本医師会副会長の中川俊男氏が、回復期に入ってもそのまま急性期病床で入院を続けているケースが多く、「回復期機能の病床が不足している、というのは誤解」との見解をたびたび表明している(『地域医療構想「大学の理解不十分」「『回復期不足』も誤解」』、『「急性期指標、地域医療を混乱に陥れる」、中川副会長』を参照)。原澤氏は、中川氏の発言についても、「全くその通り。実際、急性期として報告している病床でも、回復期の患者が入院しているのは当たり前のこと」と賛意を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542373
日医代議員会
地域包括ケア病棟、「中小病院評価を」
第140回日医代議員会、石川常任理事

2017年6月30日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の石川広己氏は6月25日の第140回定期代議員会で、地域包括ケア病棟・入院医療管理料の運用に関して、「経営母体自体を問うものではない。民間にせよ公立にせよ、地域に密着し、地域包括ケアを支える中小病院を、地域の実情も踏まえつつ、今後もしっかりと評価するべきだ」と述べ、日医として中央社会保険医療協議会で主張していく考えを示した。実態がより表現できるよう、「在宅復帰率」ではなく、「病床機能連携率」に変更することも提案した。

 北海道代議員の小熊豊氏の個人質問への答弁。小熊氏は地域包括ケア病棟(床)の届出が2017年4月末現在で1894病院、5万9989床と推計され、急性期病棟からの転換が進んでいるとの地域包括ケア病棟協会のデータを紹介し、地域包括ケアシステムの活性化に貢献する一方で、各医療機関の病床利用や医療機能の構築、経営上の観点からも重要視されていると指摘。病院の経営母体にかかわらず、地域包括ケア病棟の活用が在宅医療や地域包括ケアの推進に不可欠だとして、日医の見解を質した。

 石川常任理事は、中医協の調査で200床未満の中小病院からの届出が64%、200床以上の大病院からが36%となっており、急性期の大病院が空床対策で地域包括ケア病棟を設置する動きや、公的医療機関が組織的に参入して、民間中小病院と競合しているケースもあると指摘(『地域包括ケア病棟、「大病院の届出、本来の趣旨にあらず」』を参照)。「急性期の大病院が、経営のために地域包括ケア病棟の届出を行うのは好ましくないと考えている。中医協で分析を依頼しており、本来の趣旨に沿った運用がされているか、しっかりと検証する」と述べた。

 また、中医協の調査では、地域包括ケア病棟で極めて高い在宅復帰率であるとの結果が出ており、地域医療連携が進んでいることが示されたと指摘。一方で、連携できる医療機関、施設がない地域もあるとして、「今後の課題として、このような地域で孤軍奮闘している中小病院への対応も必要と考えている」と述べた。在宅復帰率という言葉が医療現場の実態を表しておらず、日医としては「病床機能連携率」などという表現に修正すべきと主張していることにも言及した(中医協の調査結果は、厚生労働省のホームページ)。

 中小病院への対応を強調した石川常任理事に対し、小熊氏は、自身の所属先が498床の大病院で、地域包括ケア病棟を1棟届け出ていることを紹介した上で、医療資源の豊富な都市部を除けば、急性期、回復期、慢性期をいずれもカバーしなくてはならない場合もあると主張。「入院患者90%以上が、本人も家族も満足して帰られている。他にないためだ。回復期(リハビリテーション病棟)が。そういう地域もあるのだということを、考えてほしい」と強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542021
医療維新
四病協の「働き方検討委」、議論スタート
委員長は岡留日病副会長、「まずは現状認識から」

レポート 2017年6月29日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は6月28日、「病院医師の働き方検討委員会」の第1回会合を都内で開き、医師の働き方改革についての議論を開始した。委員長として日本病院会副会長の岡留健一郎氏を選任。岡留氏は、今後の議論の進め方として、「現状を認識することが最初。データがないと、主張にも迫力がない」と説明し、時間外労働や宿日直の現状などについての実態調査を行い、 国の議論の場に提示する方針。調査は、7月から8月にかけて各団体の加盟病院から合計20から30程度の施設を抽出して実施、今年内をめどに結果をまとめる考えを示した。

 検討委員会の委員は以下の通り。

日本病院会:岡留健一郎副会長、中井修常任理事、安藤亮一・武蔵野赤十字病院副院長
全日本病院協会:猪口雄二会長、神野正博副会長、大澤秀一・平成立石病院院長
日本精神科病院協会:長瀬輝諠副会長、岡本呉賦常務理事、佐久間啓・看護・コメディカル委員会委員
日本医療法人協会:伊藤伸一会長代行、馬場武彦副会長、竹内丙午・菅間記念病院副院長
 安藤、大澤、竹内の各氏は各団体の役員ではなく、現場に比較的近い立場での視点から意見を提供することが期待される。岡留氏は「3人は今も宿直に入っているか、最近まで入っていた医師たち。管理者の立場からでは一方向しか見えないが、現場にいた人なら現状がよく分かる」と話した。

 次回会合は7月28日を予定。調査の素案をこの日までに各団体でまとめ、最終的な調査票を取りまとめる方針だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540967
日医代議員会
「医療体制維持と医師自身の健康両立を」
第140回日医代議員会、働き方改革で横倉会長

レポート 2017年6月26日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師の働き方改革で目指すべき方向性として、「医師自らがその議論をリードし、質の高い医療提供体制の維持と、医師自身の健康確保が両立するような制度の確立が重要だ」と述べ、6月21日に第1回会議を開催した日医の「医師の働き方検討委員会」での議論を基に、国への提言を行っていく考えを示した。

 医師の働き方改革については、富山県代議員の馬瀬大助氏が代表質問で、30歳代の勤務医の時間外労働が月80時間を超えるとの報道を紹介し、「このような就労環境が果たして人間として許される範囲なのか、また医療安全の視点からも危険と隣り合わせではないか。早急に意見集約を行い、日医の見解を表明するべき」と指摘した。

 これに対し横倉会長は、2016年1月に過労で自殺した新潟県内の女性研修医に言及し、「過度の時間外勤務は国民、患者にとっても医師にとっても決して良い結果を招くものではない。こうした事態が繰り返されることのないよう、医師の就労環境改善に向けて今後も会を挙げて取り組んでいく」と述べた。

勤務医会員増加策を

 馬瀬氏は、日医の組織強化策についても質問。日医や多くの都道府県医師会で、勤務医会員の数が開業医会員を上回っているにもかかわらず、勤務医全体のうちで日医会員は半数にも満たないとし、「組織強化は、勤務医の多くを会員とすることにかかっている」と指摘。さらに、勤務医会員の代表としての理事や、女性医師会員代表としての理事の選出手続きを導入することを求めた。

 横倉会長は、理事の選出は代議員会の専権事項で各ブロックでの調整により行われてきたため、日医執行部によるものではないとする一方で、「勤務医委員会の代表、男女共同参画委員会の代表を理事として迎えるというのは重要な提言と認識している。各ブロックの代表の方々に検討を強くお願いしたい」と述べ、各ブロックでの協議を促した。

 組織強化策に関連しては、宮城県代議員の佐藤和宏氏が個人質問で研修医の加入促進策について取り上げた。同氏によると、宮城県医師育成機構による合同研修会で、日医の医師賠償責任保険制度(医賠責)が民間保険などと比べて優れていることを説明して医師会入会を勧めているものの、多くが加入に至っていない。また、研修医等の郡市医師会の入会金が減免になっていなかったり、申込書が開業医と同じ形式になっていたりするなど、研修医加入促進策が十分ではない。同氏はこうした事例を引き合いに出し、研修医加入促進策を質した。

研修医の医賠責保険料引き下げ

 これに対し、日医の市川朝洋常任理事は、2015年度に導入した会費無料化や、研修医、若手医師への入会案内冊子の新規発行等に取り組んだ結果、研修医会員の数が2016年度に約1000人増加したと紹介。その上で、「医師会は三層構造のため、組織率を上げていくために、都道府県医師会、郡市区等医師会の協力が不可欠。医師会相互の綿密な連携を推進して、さらなる医師会組織の強化に努める」と述べた。

 2016年6月の臨時代議員会で要望が出た医賠責の保険料引き下げに関しては、今回の代議員会で、初期研修医 の保険料を年額3万3000円から1万5000円に引き下げることが決まった。市川氏は、引き下げが可能となった要因について、医療安全に対する会員の取り組みによって、医賠責の収支が安定してきたためと説明。日医が医学生向けに発行している情報誌『DOCTOR-ASE(ドクタラーゼ)』の次号に引き下げに関する情報を掲載するほか、研修医向けのチラシやホームページなども活用して加入促進に努めていく方針を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541140
医師の働き方改革とキャリア
日病「医師の働き方改革」、1年後目途に方向性
医師の勤務実態“見える化”、データを基に議論

レポート 2017年6月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、6月26日の定例記者会見で、「医師の働き方改革」について日病独自に検討を進め、1年後を目途に方向性を打ち出すことを明らかにした。医師の勤務実態を明らかにするためにタイムスタディを実施、データに基づく議論を進める重要性を強調した。「医師の働き方改革」に関しては、四病院団体協議会や日本医師会などでも検討の場を設けており、調査結果などの情報を共有するとともに、広く一般にも結果を公開して、医師の働き方の実態を認識してもらう重要性を強調した。

 相澤会長は、会見の中で、「医師の働き方」の議論を進める際のデータの重要性を強調した。「調査を実施し、医師の働き方を“見える化”する。医師の働き方改革は、炯々に判断すると、日本の医療が崩壊、あるいは病院経営が成り立たなくなってしまう。非常に重要な問題であり、データに基づき、物を言っていくことが必要」。

 「医師の働き方」の“見える化”については、日医もその必要性を強調している(『医師偏在対策、カギは「地域医療構造の医師版」、中川副会長』を参照。政府は、時間外労働の上限規制の医師への適用について、2年以内に結論を得る方針。さまざまな検討の場が立ち上がる中で、医療関係団体が相互に連携を取りながら、どんな議論が展開されるか、今後が注目される。

 日病の検討の場は、既存の委員会で行うか、新たに委員会を発足させるかは未定。四病協の検討会の委員となる日病の3人の委員を軸に、議論が進む見通し。

 日病常任理事の関心高く

 6月24日の日病常任理事会は、さまざまな議題を予定していたものの、「医師の働き方改革」の議論に終始したという。

 相澤会長は、「病院経営者は、勤務医がやりがいを持って、健康で、いきいきと働く環境を作り、医療の質向上につなげたいと願っている」と前置きしつつ、外来診療時間など各種制約がある中で裁量労働制は適用できず、医師の業務の特殊性を鑑みつつ、「医師の働き方改革」を進めるには難しさがあるとした。

 24日の常任理事会で出た意見として、相澤会長は、(1)医師の勤務実態のタイムスタディ実施による、“見える化”の必要性、(2)日本の医療文化の特殊性(主治医制を基本としているため、グループ制導入が容易ではないなど)、(3)公的医療保険による制約(時間外受診の費用等を自由に設定できないため、医師の時間外手当の財源確保が難しいなど)、(4)医師不足、(5)グループ制導入など、組織で医療を提供していくためのマネジメント不足――などを紹介。

 特に、(1)の医師の勤務実態の“見える化”について、相澤氏は次のように語った。「医師の仕事内容を仕分けし、タイムスタディを実施し、データに基づき、議論をしていくことが必要。応招義務と言っても、どんな時に問題になり、どう対応すべきかという点なども明らかにしたい。医師の仕事についての一般の方の理解と納得を得るためにも、データの整備が求められる」。



http://www.medwatch.jp/?p=14450
働き方改革に向け、1年かけて独自に「勤務医の働き方」などのデータ収集—日病・相澤会長
2017年6月27日|医療現場から MedWatch

医師も「罰則付きの時間外労働の上限設定」の対象となるが、医療の特殊性を踏まえて2年間かけて適用方法などを検討することになった。この議論に向けて、1年ほどかけて、日本病院会独自で、(1)医師の働き方についてのタイムスタディ(2)グループ診療制の課題や実現可能性(3)医師不足の状況—などを調査し、見える化を行っていく—。

日本病院会の相澤孝夫会長は、26日の定例記者会見でこのような方針を明らかにしました。こうしたデータを厚生労働省や四病院団体協議会、日本医師会などが参画するであろう協議の場に提示し、「エビデンス・データに基づく議論」をしていく考えを強調しています(関連記事はこちらとこちら)。

「データに基づいた議論の必要性」を相澤会長は強調

罰則付き時間外労働の上限規制は、次のようなものです(関連記事はこちら)。

▼時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」(時間外労働の限度の原則)とし、違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す

▼労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

▼上限について、▽2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の平均で、いずれも80時間以内▽単月では100時間未満―を満たさなければならないとし、原則を上回る特例の適用は年6回を上限とする

病院の勤務医も、例外とはならずこうした上限規制の対象となることが明確になっています。しかし、医師には【応召義務】などの特殊性を踏まえた対応が必要なことから、▼改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用する▼医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る—こととされています。

相澤会長は、「今後1年間で、ある程度の方向性をつけていかなければならないと思う。日病としての対応方針をきちんと決めていかなければならない」と強調し、日病独自に(1)勤務医の仕事内容の仕分けや、タイムスタディ(2)グループ診療制(3)病院の経営状況(4)医師の不足状況—などについて調査検討していく考えを明らかにしました。

まず(1)では、救急医療に限らず、医師には応召義務がありますが、「どのような場合に、どういった業務が医師に求められ、実際にどのように対応しているのか」が必ずしも明らかになっていません。今般の調査では、こうした点を「見える」化することが狙いです。相澤会長は「一般の方にも、医師の労働内容について納得してもらえるようなデータ、情報の整備をしたい」と述べています。

また(2)では、主治医制が一般国民にも受け入れられている我が国において、グループ制を導入する場合の課題、あるいは導入が成功している事例などを調査分析する考えです。相澤会長は、「我が国では、医師が患者との関係性を大切にし、信頼と絆を重視して医療を提供してきた。しかし、例えば家族の都合で夜間に説明をしなければならないというとき、信頼関係を構築できていない主治医以外の医師が説明することも難しく、主治医自身がすべて対応している。こういうケースも含めて実態がどうなっているのかを明らかにする必要がある」旨を説明しました。

さらに(3)は、超過勤務をする医師に残業代や特別手当を支払わなければならないとされたとき(実際にそうした事例が少なくない)、病院にとっても極めて大きな経済的負担が課されます。こうした点についても、具体的にどれだけの人件費増となるのかなど、医師の仕事内容を分析した上でシミュレーションしていくことになります。

また(4)は、例えば脳血管治療が必要な患者が発生した場合に、地方であれば専門医はわずかしかおらず、少ない専門医が一手に引き受けている状況があるでしょう。このような専門医の配置状況なども、医師の働き方に大きく関係するため、実態を詳しく調べる必要があります。

 
こうした点について相澤会長は、「データに基づいた議論」の必要性を強調し、まず日病独自に調査を行う考えを示しています。その際、「どういう医療を提供しているのか、特に救急医療をどう提供しているかで、大きな差が出るのではないだろうか。病院による体制の違いなどが、どのくらい超過勤務に影響するのか、なども見えてくると思う」と相澤会長は見通します。

罰則付きの時間外労働上限規制を初めとする働き方改革は、病院経営の根本を揺るがしかねない大きな問題です。改革によって病院経営が立ち行かなくなれば、地域の医療提供体制に穴があき、住民が不利益を被る可能性もでてきます。日病の調査結果はもちろん、その後、「医師への適用」についてどのような議論が行われるのか、医療関係者のみならず、一般国民も注目する必要があります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540807
日医代議員会
「急性期指標、地域医療を混乱に陥れる」、中川副会長
第140回日医代議員会、「議論の俎上に載せるのを阻止」

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、地域医療構想の「急性期指標」について、「この指標が独り歩きすれば、地域医療が混乱に陥るのは明白」と強く問題視した。その理由として、急性期病院が満たしそうな項目が恣意的に選ばれているほか、地域医療構想は病棟単位だが、「急性期指標」は病院単位であり、結果としてケア・ミックスの病院では指標が低く出ることなどを挙げ、「病院全体のイメージを左右。いわば情報操作に当たる」と指摘した。


 「急性期指標」は、地域医療構想の「急性期機能」を定量的に示す研究の一つとして、5月10日の厚生労働省「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で公表された(『「急性期指標」、「見える化」の第一歩だが、注意必要』を参照)。同会議の構成員でもある中川副会長は、「ワーキンググループで唐突に公表されたのは、大いに問題。以降、議論の俎上に載せることを阻止している」と説明した。

 「急性期指標」について代表質問したのは、北海道代議員の藤原秀俊氏。そもそも地域医療構想は2025年に向けて調整会議で協議を行い、自主的に医療機能を検討していくのが目的であると指摘した上で、(1)「急性期指標」は、病院がその立ち位置を理解するのが目的であれば、都道府県ではなく、まず医師会、各医療機関に先に公表すべき、(2)不完全で問題が多いデータを今後どう扱うべきか――と日医の見解を質した。

 「病院全体のイメージを左右、いわば情報操作」

 中川副会長は、「急性期指標」には、主に以下の4点の問題があると指摘。

(1)急性期病院が満たしそうな項目が恣意的に選ばれている。
(2)急性期の項目を点数化して積み上げ、これを病床数で割り算しているが、分母となる病床数には、療養病床も含めている。
(3)(1)や(2)の結果、民間病院に多いケア・ミックスの病院では、実態より低い急性期スコアが計算され、あたかも急性期機能が劣っているように見える。
(4)地域医療構想では病院の機能分化を病棟単位で進めているが、この急性期指標は病院単位。病院全体のイメージを左右しかねず、いわば情報操作に当たる。

 次に、「急性期指標」が取り上げられ、公表された経緯についての日医見解を説明した。

 まず地域医療構想は、「不足している病床機能を充足する仕組み」で、2025 年度の「病床の必要量」を見据え、各医療機関の自主的な取り組みや医療機関相互の協議を通じて、病床機能を収れんさせていくことが目的であると改めて理解を促した。地域医療構想調整会議では、各医療機関の実情に関する丁寧で慎重な議論が求められるとした。

 調整会議での検討に役立つように、「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、病床機能報告制度の見直しなども進めていると説明。特に「回復期機能」が「不足」と解釈される点について、次のように述べた。「多くの構想区域で病床機能報告制度の数と病床の必要量を比較し、回復期の病床が不足しているという計算結果が出ている。しかし、回復期の患者数は、医療資源投入量から計算された治療経過の病期における通過点の患者数にすぎない。現実には急性期から引き続き同じ病棟に入院しているケースが多く、回復期の患者が締め出されているわけではない。したがって、報告制度の数が、将来の病床の必要量に不足しているために、新たに回復期病棟を作らなければならないという発想は、慎重でなければならない」。

「唐突な公表、大いに問題」

 中川副会長は、「急性期指標が、一つの研究にすぎないとは言え、唐突に厚生労働省の検討会で公表されたことには、大いに問題」と語気を強めた。

 「急性期指標」は、厚生労働科学研究費補助金を受けた、奈良県立医科大学医学教授の今村知明氏らによる研究成果。一部の都道府県では、同指標を用いた分析が進んでいる(『「新規開設・増床」、許可前に調整会議で確認』を参照)。

 「そもそも急性期指標は、こんな不完全な状況で、公表すべきものではなかった。さらに、急性期指標に限らず、都道府県行政だけに情報を提供するのは大きな問題。都道府県において医師会と行政は、地域医療を守る車の両輪」。中川副会長はこう指摘し、今年5月の厚労省主催の都道府県行政職員向けの地域医療計画の講習会にも、日医の要請で都道府県医師会の関係者の出席が実現したとし、「地域医療構想の達成には、行政と医師会との協力関係が極めて大事」と強調した。

 中川副会長は、「今回の急性期指標は、厚労省が財政当局の圧力に押され混乱、迷走した表れなのかもしれない」との見方を示しつつ、「日医は、地域医療計画や地域医療構想について、厚労省と二人三脚の心意気で進めてきたが、さらにしっかり掌握する。都道府県において医師会と行政がそうであるように、日医は厚労省を叱咤激励しながら地域医療を守り続ける」と答弁を結んだ。


  1. 2017/07/01(土) 11:13:09|
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