Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月16日 

http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/370207.html
湖西病院、管理者を公募 医師不足、経営改善期待
(2017/6/15 08:20)静岡新聞

 湖西市立湖西病院は15日から、経営管理のトップである病院事業管理者を公募する。同病院は医師不足などで市からの繰り入れ金が年間12億円に膨らんでいて、経営改善を図れる人材を求めている。
 同病院は一般病床196床を有するが、医師不足などで4病棟のうち2病棟が稼働できない状態にある。3月末まで寺田肇院長が病院事業管理者を兼務していたが、管理者を経営に専念させるため、兼務を解消した。
 応募資格は満25歳以上(7月1日現在)で日本国籍を有し、病院の財務・経営管理について優れた識見があることなどが条件。任期は4年間で、影山剛士市長が任命する。
 同病院ホームページから申込書をダウンロードして記入し、7月10日までに同病院に提出する。書類審査を経て、合格者には7月に面接を行う予定。
 問い合わせは同病院管理課<電053(576)1231>へ。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170617_63005.html
<いわき市>地域医療守る条例制定へ
2017年06月17日土曜日 河北新報 福島

 いわき市は、地域医療の維持・充実に向け、基本理念を記した「市地域医療を守り育てる基本条例」を制定する。深刻な勤務医不足を踏まえ、「病状に応じた医療機関での受診」など市民にも適切な行動を呼び掛ける内容。市によると、提出している条例案が開会中の市議会6月定例会で可決されれば、地域医療を守る理念を掲げた東北初の条例となる。
 市の基本施策として、救急医療体制の維持・強化や、医師らの確保・育成などを挙げ、「実施のため、必要な財政上の措置を講じるよう努める」と規定する。
 市民の役割として(1)かかりつけ医を持つ(2)病状に応じ救急車を適正に利用する(3)夜間・休日に安易な受診をしない-ことなどを定めている。
 市によると、市内の病院勤務医不足は東日本大震災後に拍車が掛かり、人口10万当たりの勤務医(2014年12月時点)は88.3人と全国平均(153.4人)を大きく下回る。一方、軽症なのに夜間や休日の救急外来に駆け込む「コンビニ受診」などが増え、医療現場からさらなる対策を求める声が上がっていた。
 清水敏男市長は「限られた医療資源を定着させる意味でも、市民にそれぞれの役割を理解してもらい、地域ぐるみで医療を守る土壌をつくりたい」と説明。市の姿勢を内外に発信することで医師などの人材確保にもつなげたい考えだ。



http://www.medwatch.jp/?p=14326
地域枠医師は地元出身者に限定し、県内での臨床研修を原則とする—医師需給分科会(1)
2017年6月15日 MedWatch 医療計画・地域医療構想

 医師偏在の是正に向けた「早期に実行可能な対策」として、地域医療支援センターの作成するキャリア形成プログラムにおいて▼大学との十分な連携を図る▼地域枠入学生は地元出身者に限定し、当該都道府県での臨床研修を原則とする▼勤務地や診療科を限定する—ことなどを促す。また来年度(2018年度)予算において▼代診医師の派遣▼遠隔診療—に関する補助の拡大を目指す―。

 15日に開催された医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)で、こういった方向が了承されました。厚生労働省は、近く通知などで都道府県に伝達する考えです。

 また分科会では構成員から「より大きな医師偏在対策」を求める声が相次いで出され、厚労省は、今秋から「抜本的な医師偏在対策」を議論することを説明しました。この点については別途、お伝えします。

ここがポイント!
1 医師偏在是正に向け、「早期に実行可能な対策」を整理
2 地域枠の医師の「地域定着」を目指し、臨床研修先などの限定を
3 地域医療支援センターとへき地医療支援機構、連携・統合を進めよ
4 へき地以外への代替医師派遣や遠隔診療支援への補助を目指す
医師偏在是正に向け、「早期に実行可能な対策」を整理

 地域間・診療科間の医師偏在が大きな問題となっており、例えば新たな専門医制度についても「医師偏在を是正しないよう、地域医療への十分な配慮を行う」ことになっています。しかし、偏在の解消に向けた規制的手段の検討などには時間がかかるため(関連記事はこちら)、そうした議論・検討を行いながら、まず「早期に実行可能な対策」を取ることが必要とし、今般、具体的な4つの対策案を提示しました。

(1) キャリア形成プログラムの改善
(2) へき地における医師確保
(3) 若手医師へのアプローチ
(4) 医師の勤務負担軽減

地域枠の医師の「地域定着」を目指し、臨床研修先などの限定を

まず(1)のキャリア形成プログラム改善を見てみましょう。地域枠の医師には、原則として「一定期間、地域の医療機関で勤務する」ことが求められます。これは医師が不足する地域や診療科を解消するために極めて重要かつ効果的な施策ですが、対象医師には「きちんとしたキャリアを形成できるのか」という不安もあります。そこで都道府県の地域医療支援センターが、主に地域枠の医師が▼2年間の初期臨床研修▼その後の専門研修—において、どの医療機関・診療科に従事するのかの選択肢を提示し、キャリアを積みながら、偏在解消に資する医師就業を目指すプログラム(キャリア形成プログラム)を策定するものです。
 
しかし、各都道府県のプログラムを見ると、▼未策定や大学との連携が不十分な地域がある▼修学資金貸与を地元出身者に限定していないケースが多い▼初期臨床研修を県内に限定していない—といった課題があります。厚労省の調査では「初期臨床研修を行った地域への医師定着率が高い」ことが分かっており、現在のプログラムでは「偏在の解消」効果が減殺されてしまっていると言えそうです。
 
こうした状況から、厚労省は「地域枠医師が増加していく中で、効果的な偏在対策を行うためにはキャリア形成プログラムの改善が必要」と考え、都道府県に対し、次のような点を促すことを提案しました。

▼全都道府県で、大学(医学部・付属病院)と十分連携して、必ずキャリア形成プログラムを策定する

▼地域枠の入学生は地元出身者に限定し、大学所在都道府県で初期臨床研修を受けることを原則とする

▼勤務地や診療科を限定する

▼修学資金貸与事業における就業義務年限を自治医科大学と同程度の年限(9年程度)とする

こうした見直しによって、キャリア形成プログラムの中で「地域枠の医師は地元出身者に限定され、本都道府県に所在する●●病院、◆◆病院、■■病院のいずれかで初期臨床研修を受ける」ことなどが原則になれば、地域に定着する医師が増加すると期待されます。

この提案に対し明確な反論は出ていませんが、鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は「静岡県では240名程度の臨床研修医が必要だが、浜松医科大学出身医師は1年間で120名程度しかおらず、他県からの医師を招くために奨学金などを出している。各県の事情なども考慮する必要がある」と要望。この点、今村聡構成員(日本医師会副会長)は、鶴田構成員の要望を「理解できる」と述べた上で、「国が一定のルールを示さなければ、都道府県も動けないであろう。その際、県の事情を汲んでもらえるようにすればよいのではないか」とコメントしました。厚労省医政局地域医療計画課の担当者も「臨床研修医が不足するなどの状況があれば、柔軟な対応を検討する」旨の考えを述べています。

厚労省は、今後、全国的な医師の分布状況などを詳細に把握するために▼氏名▼医籍登録番号▼主たる従事先▼従たる従事先▼就業形態▼専門医資格—などのデータベースを構築する予定です。厚労省はこのデータベースを、例えば「キャリア形成プログラムごとの県内定着率などを比較し、プログラムの改善し、医師定着率向上を図る」などといった用途にも活用したい考えです。
 
なお、厚労省の調査では、地域医療支援センターからの医師派遣は「公立病院に偏っている」ことが明らかになっています。そこでキャリア形成プログラムでは「特段の理由なく、特定の開設主体に派遣先が偏らない」よう留意することも求められます。もっとも、公立病院への偏りが、「へき地医療などを担い、医師不足が深刻な病院が公立病院である」からなのか、それとも「単に県立病院の職員を確保するためだけに派遣をしている」からなのか、今後、実態調査が行われる予定です。

地域医療支援センターとへき地医療支援機構、連携・統合を進めよ

(2)の対策は、「地域医療支援センター」と「へき地医療支援機構」との連携・統合を促す内容です。

両組織ともに都道府県が設置しますが、地域によっては十分な連携が取れておらず、別個の方針で医師を派遣するという非効率があると指摘されます。しかし青森県では両組織を統合し、効率的かつ効果的な医師派遣が実現できているといいます。
 
厚労省は、▼両組織の統合も視野に、一体的な医師確保(へき地を含めたキャリア形成プログラムの策定など)を行う▼統合が直ちには行えない場合でも、キャリア形成プログラム策定や派遣調整に当たって、両組織が十分な連携を図る—よう求めていきます。
この点についても鶴田構成員は「1県1大学であれば統合も可能であろうが、複数の大学医学部がある場合には困難である」と指摘し、柔軟な対応の余地を残すよう要望しています。

へき地以外への代替医師派遣や遠隔診療支援への補助を目指す

 また(4)の負担軽減は、▼代替医師の派遣▼遠隔での診療支援―に対する補助の対象拡大を目指すものです。

代替医師の派遣においては「へき地医療拠点病院からへき地診療所へ代替医師を派遣する場合」、遠隔での診療支援においても「へき地医療拠点病院がへき地診療所を支援するための機器導入など」を行う場合に限り、支援(補助金)が行われます。したがって、大学医学部が、へき地でない地域の医療機関に対して遠隔での診療支援を行う場合には、機器導入や運営維持経費は、すべて「自分たちで賄う」ことになります。
 
厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、来年度(2018年度)予算に向けて、この経費の対象拡大(へき地以外での代替医師派遣、同時に複数の医師の派遣、他病院への代替医師派遣依頼、へき地以外での遠隔診療支援など)を目指す考えを示しています。

さらに、医師不足地域の病院勤務医の勤務環境を改善するために、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターの連携も促していくことになります(派遣前に医療勤務環境改善支援センターが勤務環境確認し、助言を行うなど)(関連記事はこちら)。

なお(3)は、若手医師の地方勤務を促すためにSNSなどを活用した広報を行うことなどを推進していくものです。

構成員からは、「こうした対策では抜本的に医師偏在を解消できないが、当面の方策としては了承する」との意見が出されています。厚労省は、2018年度からの第7次医療計画を作成するための指針を出していますが、そこでは医師確保に関する部分、いわば空欄になっています(関連記事はこちらとこちら)。今般の了承を踏まえ、厚労省は「早期に実行可能な医師確保策」として、上記(1)から(4)の内容を都道府県に通知などによって伝達する考えです。もっとも(3)の広報などは、来年度(2018年度)を待たずに実行できることから、都道府県による積極的な取り組みに期待が集まります。



http://www.medwatch.jp/?p=14349
医師の地域偏在解消に向けた抜本対策、法律改正も視野に年内に取りまとめ—医師需給分科会(2)
2017年6月16日 MedWatch |医療計画・地域医療構想

 医師偏在の解消に向けた抜本的な対策を考える上では、まず「ニーズ」をきちんと把握し、その上で医師の要請数や配置を考えていく必要がある—。

 15日に開催された医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)では、構成員からこういった意見が相次ぎました(関連記事はこちら)。今秋から「抜本的な対策」の議論が分科会で始まりますが、どのようにニーズ把握などを行うかが重要な論点となりそうです。分科会では、法律改正も視野に入れて年内(2017年内)に意見をとりまとめます。

医療のニーズを把握した上で、医師の供給数を算出するロジックは維持

分科会では、昨年(2016年)春に中間まとめを行い、地域医療構想などを踏まえて将来における医師の需要量と供給数について「2024年頃に約30万人で需給が均衡し、2040年には医師が3.4万人過剰となる」(中位推計)といった試算を行いました(関連記事はこちらとこちら)。
 
推計のロジックは、次のようなものです。

【入院医療】
(1)一般病床・療養病床の医師需要について、医師・歯科医師・薬剤師調査で得られた「医療施設(病院・診療所)の従事者数」から推計する
(2)(1)の結果を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能に按分する。按分方法としては、「4機能における平均的な医療資源投入量に基づく方法」や「現状の病床機能報告制度などを活用する方法」など、いくつかの仮定を置いて、『複数の推計値』を示す
 
【外来医療】
▽無床診療所で外来医療を提供している部分の医師需要を推計する(病院・有床診療所については、入院医療の医師需要に包含して推計している)
▽「性・年齢階級別の推計人口」と「性・年齢階級別の外来受療率」に基づき、さらに受療の動向(患者調査や社会医療診療行為別調査を活用)を踏まえて、医師需要を推計する
▽在宅医療については、外来需要とは分離して、「将来、慢性期から在宅に移行する」部分を含めて医師需要を推計する
 
しかし、その後に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(以下、ビジョン検討会)が設置され、その報告書(ICTやAIの発展、地域包括ケアの推進など、医療を取り巻く環境の変化を踏まえた『医療従事者の新しい働き方』『今後求められる医療従事者像』などが固められている)を踏まえて、医師などの需給を推計しなおすことになっています(関連記事はこちらとこちら)。
この点について権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)は、「中間まとめのロジックと同様に、まずニーズを推計し、それを踏まえて医師の養成数や配置を検討する」必要があると指摘。福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)も同旨の見解を述べました。厚労省医政局地域医療計画課の担当者も「同じ考えである」ことを明確にしましたが、「病院の外来需要について、どのように把握すべきかが十分に検討できていない。厚労省でさらに検討する」と述べるにとどめています。前述のとおり、中間まとめの推計では「病院の外来需要は、入院医療需要と一体的に推計する」という考え方に立っていますが、新たな推計でどう考えるのか、今後の検討結果に注目が集まります。

また厚労省医政局の神田裕二局長も、「ビジョン検討会の報告書でも、権丈委員らの指摘と同様の指摘が行われており、『ニーズに応じた適正配置』という議論の根本は崩れていない」と強調しました。

ただし、鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は、「医療においては供給がニーズを作り出してしまう」面があることを考慮すべき、と注意を促しています。

なお、今後の医師偏在解消に向けた抜本改革のベースとなるのは、上記で指摘されている「ニーズ」はもちろん、中間まとめで掲げられた14項目の対策案(厚労省のサイトはこちら(中間とりまとめ))であることを厚労省医政局医事課の武井貞治課長は明確にした上で、年内に分科会の意見をまとめ、必要があれば来年(2018年)に医療法改正案などを国会に提出する考えを示しています。

(1)医学部(地域枠の在り方など)
(2)臨床研修(募集定員配分などに対する都道府県の権限強化など)
(3)専門医(都道府県による調整権限の明確化など)
(4)医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)
(5)医師の勤務状況等のデータベース化
(6)地域医療支援センターの機能強化
(7)都道府県が国・関係機関などに協力を求める仕組みの構築
(8)管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)
(9)フリーランス医師への対応
(10)医療事業の継続に関する税制(地域の医療機関の事業の承継に関し、中小企業と同様な優遇税制について検討)
(11)女性医師の支援(病院における柔軟な勤務形態の採用など)
(12)ICTなどの技術革新に対応した医療提供の推進
(13)チーム医療の推進
(14)サービス受益者に係る対策(かかりつけ医の情報提供など)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170616114414
専門医育成の重要研修拠点に「市中病院」明記
機構が整備指針の修正版公表

2017年06月16日 11:59  CBNews

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は15日、「専門医制度新整備指針」の修正版をホームページで公表した。専門医取得を義務付けていないことを指針に明記したほか、幅広い疾患の症例が豊富な「市中病院」を重要な研修拠点と位置付け、「大学病院に研修先が偏らないようにする必要がある」とした。【新井哉】

 今回の修正は、厚生労働省の医師養成と地域医療に関する検討会の会合で、「専門医取得は義務付けではない」といった意見が出たことなどを踏まえたもので、考え方を明確化したり、分かりやすい表現に改めたりした。

 例えば、「専門医の領域について」の項目では、「専門医はすべての医師が取得しなければならないものではなく、医師として自律的な取組として位置付けられるものである」といった文言を新たに加えた。

 また、「研修施設群の原則」の項目でも、大学病院に研修先が偏らないようにするため、「市中病院」を重要な研修拠点とする必要性を挙げ、「地域の中核病院等が基幹施設となれる基準を設定する」と追記した。

 このほか、地域医療従事者、出産や育児で休職・離職した女性医師などが専門医になれるように、「専門医育成の教育レベルが保持されることを条件に柔軟な研修カリキュラム制による専門研修を行う」などと明記した。



http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20170616-OYTNT50092.html
東北医科薬科大が新病院
9月 守病院事業譲受に合意

2017年06月16日 読売新聞 宮城


 昨年医学部を新設した東北医科薬科大(仙台市青葉区)は15日、名取市の医療法人社団・健守会が運営する同市増田の「守病院」(病床数62床)の事業譲受について、健守会と正式合意したと発表した。「東北医科薬科大学名取守病院」(仮称)として、9月1日に開院する計画。譲渡額は非公表。

 守病院は1956年にオープン。診療科は内科、呼吸器内科、循環器内科の3科で、2015年度の外来患者は1日平均65・6人、入院患者は同46・1人。建物は地上3階。所属する医師や看護師など94人の雇用は継続する予定という。

 同大の付属病院は、本院の東北医科薬科大学病院(仙台市宮城野区、466床)と、東北医科薬科大学若林病院(同市若林区、199床)とあわせて3病院体制、計727床となる。

 同大担当者は「今回の譲受で運営基盤がより強固になる。地域医療の拠点としていきたい」としている。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/health/health/1-0411091.html
出産年1千件、札幌・天使病院が予約中止 複数医師が退職意向
06/16 08:57 北海道新聞

 札幌市東区の天使病院(藤井ひとみ院長、260床)が新規の分娩(ぶんべん)予約を中止したことが15日、分かった。複数の産婦人科医が退職する意思を表明しているためで、同病院は産婦人科の診療体制を大幅に縮小せざるを得ないと判断した。

 同病院は全道に30施設、札幌市内に6施設ある、未熟児が生まれた際の治療や処置を行う地域周産期母子医療センターの一つ。52床の産科で、年に約千件の出産を扱っているほか、道央で最大規模の新生児集中治療室(NICU)と新生児治療回復室(GCU)計26床を備える。緊急の帝王切開手術など危険性の高い分娩にも対応しており、同病院の受け入れ制限は、道央の産婦人科医療体制に影響を与えそうだ。

 関係者によると、研修医4人を除く産婦人科医6人のうち、4人が数カ月以内の退職を表明している。4人のうち3人は、北大医学部産婦人科を母体とし、所属する医師を地域に派遣している一般社団法人「ウインド」に所属、または所属していた医師。

 ウインドなどによると、天使病院の経営側が道内の別の病院で働くウインド所属の医師に対し、天使病院への移籍を持ち掛けたとされる。ウインドは天使病院側に抗議し、病院側は謝罪したという。

 ただ、離職を表明している医師の1人は「経営側と信頼関係が築けない中で、リスクが伴う周産期医療は続けられない」と話している。

 天使病院は「詳細についてお答えできない」と話している。既に分娩予約をしている妊婦に対しても他施設の紹介を始めているという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/537734
中央社会保険医療協議会
地域包括ケア病棟、「急性期の受け皿」が7割
2016年度入院医療等調査、「その他」の利用少数

レポート 2017年6月14日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 6月14日に開かれた中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)で報告された「2016年度入院医療等の調査」の調査結果(速報)のうち、「地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直しの影響について」では、地域包括ケア病棟・病室の利用に係る趣旨は「自院の急性期病棟からの受け皿として利用している」が55.4%で最も多く、「他院の急性期病棟からの受け皿として利用している」の15.8%と併せて約7割が急性期病棟からの受け皿としての利用だった。

 一方で、地域包括ケア病棟等の役割の一つである「在宅医療の後方支援として急変時などの受け皿として利用」が5.4%、「介護保険施設等からの急変時の受け皿として利用している」は0.9%にそれぞれとどまるなど、その他の利用は少数だった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)

 2016年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)の包括範囲から、手術、麻酔に係る費用が除外されたほか、重症度、医療・看護必要度や在宅復帰率の施設基準が変更された。これらの影響を検証するため、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料の届出を行っている医療機関を対象に調査を実施した。

 改定前後の他病棟からの届出変更状況を尋ねると、2016年11月1日の時点で地域包括ケア病棟を届け出ていた医療機関についての当該病棟の2016年度改定前の状況は、同じく地域包括ケア病棟だった66.4%を除くと、7対1入院基本料が25.7%と最も多く、10対1入院基本料が15.0%で続いた。

 地域包括ケア病棟等を届け出ている理由については、「より地域のニーズに合った医療を提供できるため」が28.8%で最多。「収益を上げやすいため」と採算を考慮しての届出が次いで多く、18.0%だった。

 重症度、医療・看護必要度の該当患者割合別の分布では、施設基準である10%を大きく上回る医療機関が多い。回答した119施設のうち、基準以下は1施設のみで、20%以上25%未満が32施設で最多。15%以上20%未満が31施設、25%以上30%未満が20施設で続き、平均は22.5%だった。

 在宅復帰率も、回答した184施設のうち、施設基準の70%を下回る医療機関は5施設にとどまり、90%以上95%未満が57施設で最多となり、平均は87.2%だった。

 地域包括ケア病棟入院中に手術を実施した患者は、3.5%。2014年度に行った前回調査の0.7%からは増加したものの、入棟前に手術を行った患者は16.2%から21.3%に増えており、増加幅も入院中の手術の方が多かった。

 調査は2016年11月~12月に郵送で行い、調査対象施設の区分ごとの回収結果の概要は次の通り。いずれの対象にも施設調査票、病棟票、入院患者票、補助票、対等患者票を配布した。

A:7対1・10対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1829、施設調査票回収数650(回収率35.5%)
B:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、13対1・15対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1501、施設調査票回収数488(回収率32.5%)
C:療養病棟入院基本料―対象施設数1801、施設調査票512(回収率28.4%)
D:障害者施設等入院基本料等―対象施設数800、施設調査票(回収率35.3%)
E:有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料―対象施設数800、施設調査票270(33.8%)



https://www.m3.com/news/iryoishin/537656
中央社会保険医療協議会
7対1入院基本料、98.0%は「変更せず」
2016年度入院医療等調査、重症度等28.8%、在宅復帰率92.5%

レポート 2017年6月14日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 「2016年度入院医療等の調査」の調査結果(速報)が6月14日に開かれた中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)で報告され、「一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における『重症度、医療・看護必要度』等の施設基準の見直しについて」の結果では、2016年度診療報酬改定前に一般病棟で7対1入院基本料を届け出ていた施設のうち、同年11月1日時点で同様に7対1入院基本料を届けていた施設は98.0%に上った。

 2016年度改定では、重症度、医療・看護必要度と在宅復帰率の基準が厳しくなり、7対1入院基本料から他の入院料にどの程度変更するかが注目されたが、実際には同基本料のまま運営している病院が大半を占める。重症度、医療・看護必要度の該当患者基準は25%以上だが、2016年8~10月の平均は28.8%で前年同期比で9.6ポイント増、在宅復帰率は80%以上の基準に対し、平均92.5%だった(資料は、厚生労働省のホームページ)。
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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)

 2006年に7対1入院基本料が創設されて以降、届け出病床数は増加し、2014年以降はほぼ横ばいとなっている。2016年度診療報酬改定では、以下のような見直しが行われ、この影響の検証を目的に調査を行った。

・重症度、医療・看護必要度の見直し
(1)手術(2)救命等に係る内科的治療(3)救急搬送(4)認知症・せん妄の症状―等についての評価を拡充
・7対1入院基本料の基準の見直し
「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者の割合を15%から25%に見直す。在宅復帰率の基準を75%から80%に見直す。
・重症患者を受け入れている「10対1」病棟に対し、「重症度、医療・看護必要度」に該当する患者の受け入れに対する評価の充実
・7対1入院基本料から10対1入院基本料に変更する際に限り、2016年4月1日から2年間、7対1病棟と10対1病棟を病棟郡単位で有することを可能とする。

 調査で7対1入院基本料を届け出ている理由を尋ねたところ、「一般病棟(7対1)相当の看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」が49.4%で最も多かったが、「施設基準を満たしており、特に転換する必要性を認めないため」も23.0%と約4分の1を占めた。「一般病棟(7対1)の方が、他の病棟と比較して収益が上げやすいため」と採算性を挙げた施設も6.4%あった。

 一方で、7対1入院基本料から転換した理由については、「重症度、医療・介護必要度の基準を満たさないため」が32.7%で最も多く、2016年度改定が影響したことがうかがえる。。「他の入院料と一般病棟(7対1)を組み合わせることで、より患者の状態に即した医療を提供できるため」が25.0%、「一般病棟(7対1)から他病棟へ転換することで、より地域のニーズに合った医療を提供できるため」が21.2%で続いた。

 入院料別の重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の平均を2015年度の前回調査と比べると、7対1入院基本料では19.2%から28.8%に9.6ポイント、10対1入院基本料では14.4%から19.1%に4.7ポイント、それぞれ上昇した。7対1入院基本料の重症度、医療・看護必要度該当患者割合別の医療機関の分布では、基準の25%を少し超える25%以上30%未満の医療機関が、回答した255施設のうち171施設と多くを占め、30%以上35%未満が60施設で続いた。

 一般病棟(7対1)の在宅復帰率については、2016年度改定後の基準である80%に満たないのは、回答した271施設のうち1施設のみで、90%以上の医療機関が202施設と大半を占めた。

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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)
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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)

 調査は2016年11月~12月に郵送で行い、調査対象施設の区分ごとの回収結果の概要は次の通り。いずれの対象にも施設調査票、病棟票、入院患者票、補助票、対等患者票を配布した。

A:7対1・10対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1829、施設調査票回収数650(回収率35.5%)
B:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、13対1・15対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1501、施設調査票回収数488(回収率32.5%)
C:療養病棟入院基本料―対象施設数1801、施設調査票512(回収率28.4%)
D:障害者施設等入院基本料等―対象施設数800、施設調査票(回収率35.3%)
E:有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料―対象施設数800、施設調査票270(33.8%)



https://www.m3.com/news/iryoishin/537951
中央社会保険医療協議会
20対1療養病棟の理由、「医療需要あり」42.9%
2016年度入院医療等調査、基準満たせず「25対1」も

レポート 2017年6月15日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 療養病棟入院基本料を届け出ている理由は、医療需要があるため――。6月14日に開かれた中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)で報告された「2016年度入院医療等の調査」の調査結果(速報)のうち「療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響について」で、療養病棟入院基本料1(20対1)を届け出ている理由は、「療養病棟(20対1)相当の看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」との回答が42.9%で最多だった。

 療養病棟入院基本料2(25対1)を届け出ている理由も、最多は「療養病棟(20対1)の施設基準を満たす医療区分2・3の該当患者割合まで患者を集めるのが困難であるため」の26.3%だったものの、「療養病棟(25対1)相当の看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」が25.3%で続き、医療需要があることが主要な理由となっていた(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 2016年度診療報酬改定では、慢性期入院医療に関して次のような評価の見直しが行われ、その影響を検証するために調査を実施した。

(1)療養病棟入院基本料2の施設基準における医療区分2・3の患者割合に関する要件の追加
(2)医療区分の評価方法の見直し
(3)療養病棟における在宅復帰機能の評価に関する施設基準の見直し
(4)障害者施設等入院基本料等における脳卒中患者の評価の見直し

 療養病棟入院基本料2(25対1)では「入院患者のうち医療区分2か3の患者が5割以上」の要件が追加されたが、病棟で医療区分2か3の患者が占める割合の分布を見ると、5割を超えているのは回答した89施設のうち7割弱の61施設。療養病棟入院基本料1(20対1)では医療区分2か3の患者の割合の基準は8割以上だが、回答した219施設のうち199施設が基準を満たしていた。療養病棟入院基本料1(20対1)全体での医療区分2・3入院患者は「2」が54.7%、「3」が35.5%で、合わせて約9割。療養病棟入院基本料2(25対1)では「2」が38.6%、「3」が22.7%で、合わせて約6割だった。

 療養病棟の患者の流れを見ると、他院の7対1と10対1の入院基本料の病床からの患者が41.0%で最も多く、自院の7対1、10対1の入院基本料病床からが12.5%、自宅からが11.0%で続いた。退棟先は、死亡退院が40.1%で最多だった。

 調査は2016年11月~12月に郵送で行い、調査対象施設の区分ごとの回収結果の概要は次の通り。いずれの対象にも施設調査票、病棟票、入院患者票、補助票、対等患者票を配布した。

A:7対1・10対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1829、施設調査票回収数650(回収率35.5%)
B:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、13対1・15対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1501、施設調査票回収数488(回収率32.5%)
C:療養病棟入院基本料―対象施設数1801、施設調査票512(回収率28.4%)
D:障害者施設等入院基本料等―対象施設数800、施設調査票(回収率35.3%)
E:有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料―対象施設数800、施設調査票270(33.8%)



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t221/201706/551698.html
シリーズ◎どうなる新専門医制度
都道府県協議会の位置付けを奈良県知事が強く批判
厚生労働省「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」

2017/6/14 石垣恒一=日経メディカル

 厚生労働省は6月12日、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:国立社会保障・人口問題研究所所長・遠藤久夫氏)の第3回会議を開き、基本領域7学会の新専門医制度への取り組みについてのヒアリングなどを行った。検討会構成員からは基幹施設の大学偏重の傾向などが質されたが、各学会の地域医療への配慮には概ね好意的な評価が示された。しかし、会議の終盤で奈良県知事の荒井正吾氏が、日本専門医機構が想定する都道府県協議会の位置付けについて、「全く受け入れられない。都道府県知事会を代表して出席している立場として、このままなら新制度をつぶすことも検討する」と強く批判する一幕もあった。

 荒井氏が強い不満を表明したのは、機構が資料として提出した専門医制度整備指針運用細則の改訂内容に対して。都道府県協議会についての改訂は以下のように記載していた。

専門医制度整備指針運用細則の改訂の主な内容について

(1と2は略)
3.都道府県協議会について
【改訂の方向性】
●地域の実情に応じた協議を協議会で実施するためには、連携施設への医師配置に関して、迅速にきめ細かく情報提供いただく必要があり、基幹施設等は協議会の求めに協力する。

<改訂案の要点>
●協議会は、機構に連絡し、研修施設群に対し、ローテート内容等の情報の提供を求めることができ、研修施設群は機構の了解の上、協議会に情報を提供することができる。地域医療への配慮や専門研修レベルを改善するための必要性に応じて、機構は基本領域学会、研修施設群と協同して協議会の求めに協力することができる。

 この日の会議で荒井氏は「地域医療の確保等に関する意見」として確認事項を提出。都道府県協議会の実効性を高めるため、「研修施設が都道府県協議会に協力し、直接に必要な情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある」と主張していた。機構の改訂細則では研修施設の協力は任意で、しかも機構を介する必要があると解釈できることで、冒頭の強い不満を露わにしたと見られる。

 「新制度を事前にいくら検討しても、限界がある。若い医師たちがどのような扱いを受けているかなど、大事なのは事後の検証で、その場が都道府県協議会になる」。荒井氏は都道府県協議会の重要性をこう語り、その活動の実効性の確保を強く求めた。

 機構理事長の吉村博邦氏は「ご指摘を受け止める」と回答。機構理事会などで速やかな検討がなされると見られる。

 都道府県協議会については、自治体によって体制や取り組みの内容に差があることが昨年から指摘されている。厚労省は各都道府県の協議会について調査を行うとともに、次回の検討会では取り組みの好事例についてヒアリングする方針を示した。新専門医制度のリスタートにおいて、都道府県協議会の体制整備がにわかに課題として浮上してきた。



https://mainichi.jp/articles/20170613/ddl/k21/010/114000c
医師の地域偏在解消へ 修学資金制度見直し 県方針 /岐阜
毎日新聞2017年6月13日 地方版 岐阜

 県は12日、医師の地域偏在解消に向け、県内勤務を条件に岐阜大医学部に設けている「地域枠」医学生向けの修学資金制度を見直す方針を県医療審議会で示した。県内の医師不足地域への勤務をより評価した制度を今後検討するという。

 勤務先が岐阜圏域に集中する傾向が見られる修学金貸与医師に、医師不足地域での勤務を促すのが狙い。修学資金制度を利用した医師が2026年には300人近く県内で勤務することが予定されている。

 地域枠に連動した医学生の修学資金制度は6年間で計約1070万円を貸与。県内で2年間の初期臨床研修後、9年間勤務すれば返還が免除される。県はへき地や岐阜圏域以外の医師不足診療科での勤務により、業務従事期間を短縮する措置も今年度から始めた。

 一方、県が設定する地域単位で複数の市町村にまたがる県内五つの二次医療圏のうち、国の見直し検討の要件に合致する飛騨圏域について、県は広大な面積や基幹病院へのアクセスなどを踏まえ、周辺との統合を考えない方針を示した。今年度策定する次期県保健医療計画では現行通りとする。【岡正勝】



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03227_02
第8回日本PC連合学会学術大会開催
週刊医学界新聞 第3227号 2017年06月12日

 第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(大会長=きたじま田岡病院/徳島大・板東浩氏)が5月13~14日,「総合診療が拓く未来――地域に新たな架け橋を」をテーマにサンポートホール高松,他(高松市)にて開催された。本紙では,医学部地域枠および総合診療専門医に関するシンポジウムの模様を紹介する。

地域枠入学制度と総合診療

 医学部入学定員は2009年度から順次,地域枠を主体とした増員が図られるようになった。定員に占める地域枠の割合は,16年度に17.5%(1617人)に達している。地域枠入学者が専攻医として後期専門研修に進むのに際して,地域への定着を図るためには総合診療専門医の育成が鍵となるだろう。シンポジウム「地域枠と総合診療」(座長=長崎大大学院・前田隆浩氏,高知大・阿波谷敏英氏)では,行政,大学専攻医,それぞれの立場から地域枠入学制度と総合診療について考察した。

 最初に登壇した角芽美氏(島根県立中央病院)は島根県の隠岐島出身。地元の高校を卒業後,地域枠で島根大医学部に進学した。初期臨床研修の経験から「出身地域での医療に従事するには総合的に診るスキルが必要」と痛感し,後期研修は総合診療専門研修を選択したという。へき地で医師がキャリアを形成する上では,「基幹病院との連携や代診医を利用しやすい環境づくりが重要」と指摘した。

 松本正俊氏(広島大)は,地域枠入学制度のアウトカムについて分析した。全国地域医療教育協議会・全国医学部長病院長会議の調査によれば,地域枠入学者の医師国試合格率およびストレート卒業率は,一般医学生よりも高い。また,大学病院を基幹とする総合診療専門研修プログラムの多くが地域枠入学者の受け入れを想定していることに言及。「地域枠入学→総合診療専門医取得→地元の地域医療に貢献」というシステムの構築が重要であるとの見解を示した。

 県と連携した地域枠入学者育成の取り組みについては,岡山雅信氏(神戸大大学院)が報告。取り組みの基本として,医学生・初期研修医に対する地域医療マインドの醸成のほか,専門研修以降の医師を育成・支援する仕組みも必要であると強調した。兵庫県では神戸大とも連携して,義務年限終了後のキャリアを支援する担当部署を今年度から設置。「契約期間(義務年限)終了後も安心して働ける職場の提供」を最重要課題に掲げた。

 行政の立場からは吉川裕貴氏(厚労省)が登壇。「遠隔地・地方での医療従事者確保のためのWHOガイドライン」(2010年)では,地方出身学生の受け入れが「エビデンスレベル中等度,強い推奨」とされていることを紹介。また,総合性の高い科の医師はへき地勤務率が3割程度高い[PMID:19463042]といった本邦の研究を紹介し,総合診療専門医への期待を述べた。

 討論では,地域枠出身者のキャリア選択を中心に議論が進んだ。総合診療専門医が地域医療に貢献することは明らかである一方,地方で不足する産科医や外科医のニーズも高いことから,地域枠入学者の進路選択をどこまで規定するかは難しい課題であるといった意見が出された。

総合診療専門医をめぐる議論は収束へ

 新専門医制度の延期が2016年7月に正式決定した後,制度の抜本的見直しを求める声が高まるなか,外科研修を必修化する案が出るなど総合診療専門医をめぐる議論も迷走した。シンポジウム「一体どうなっているの? 総合診療専門医制度」(企画責任者=北海道家庭医療学センター・草場鉄周氏)において,専門医制度担当副理事長の草場氏が現状を説明。草場氏は「議論は収束に向かいつつある」との見方を示し,2016年時点からの主な変更点(予定)を次のとおり提示した。

・「6つのコアコンピテンシー」を「7つの資質・能力」に変更
・内科研修は「6か月」から「12か月」に延長(総合内科研修を推奨)
・外科研修は初期研修で選択しなかった場合に推奨
・小児科・救急科研修は研修基幹施設がへき地に所在する場合はカリキュラム制が可能に
・総合診療専門研修Iの小児や後期高齢者の数値要件は撤廃
・総合診療専門研修と必修研修の最大6か月の読み替えが認められ,その場合に6か月の選択研修が可能
・へき地などで1年以上研修することを推奨

 内科研修の延長に伴うプログラムの再整備は課題となるが,ある程度の柔軟性は担保されたものとみられる。今後は,19領域同時に整備基準が正式承認され,プログラムの公募が開始される見通しだ。

 シンポジウムではこのほか,現行の学会認定専門医制度に携わる委員らが,現状と新専門医制度移行後の展望を解説。草場氏は,学会がこれまで培ってきたノウハウを生かしながら,日本専門医機構と連携して総合診療専門医の育成に尽力する意欲を示した。



http://www.medwatch.jp/?p=14354
特定機能病院の院長は「選考会議」で選出、医療機関ホームページでの虚偽表示など禁止―改正医療法
2017年6月16日 MedWatch |医療・介護行政全般

 特定機能病院の管理者(病院長)の選任に当たっては、選考会議などを設置し、そこでの審査を経て「適切な能力・経験を有する者」を選ばなければならない。医療機関のホームページも広告規制の対象とし、虚偽広告や比較広告をした場合に罰則の対象とする。「持分なし」医療法人への移行に向けた、厚生労働大臣の移行計画認定期限を2020年9月まで延長する—。

こうした内容の改正医療法が14日に公布されました。厚生労働省医政局長は同日に、その旨を周知する通知「『医療法等の一部を改正する法律』の公布について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。各改正項目によって施行期日が異なりますので、ご留意ください。

ここがポイント!
1 医療機関ホームページも広告、ただし患者のための表示可能事項を明示
2 特定機能病院の院長、選考会議などで選出することが必要
3 持分なし医療法人への移行を促進
4 法令違反の程度に応じて、都道府県知事が段階的・柔軟に対応
医療機関ホームページも広告、ただし患者のための表示可能事項を明示

 今般の医療法改正の内容は、社会保障審議会・医療部会での議論をベースとしており、メディウォッチでも、その内容は順次お伝えしてきました(関連記事はこちらとこちら)。改正内容を、ポイントを絞って改めて振り返ってみましょう。

 まず、医療機関のホームページの位置づけについて、これまで「広告規制」の対象外とされてきましたが、この方針を転換し「広告である」としました。併せて、虚偽広告や比較広告を禁止し、ホームページ内容の適正化を図る考えです。「公布から1年以内」に施行されるので、早急なホームページ内容の点検を行う必要があります。

 具体的には、広告の定義を「医業・歯科医業・病院・診療所に関して『文書その他いかなる方法によるを問わず』、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」とし、▼虚偽の広告▼比較広告(他の病院・診療所と比べて優良である旨の項目)▼誇大広告▼公序良俗に反する広告—を行うことを禁止しました。施行期日は政令で定められますが、遅くとも「来年(2018年)6月13日まで」にスタートします。

ただし、医療機関ホームページには、患者・地域住民にとって有用な情報が少なくないため、▼医師・歯科医師である旨▼診療科名―などの広告可能事項以外についても広告できます。改正法では「広告がされても医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める」としており、具体的な表示可能内容は今後、明らかにされます。

あわせて、助産師・助産所に関しても同様の規定が設けられます。

特定機能病院の院長、選考会議などで選出することが必要

 特定機能病院のガバナンス強化も、改正法の重要事項です。一部の特定機能病院で医療事故が相次いだことを受け、厚労省は一昨年からガバナンス強化に向けた方策(医療安全に関する外部監査委員会の設置などを指定要件に加えるなど)を取っており、今般の改正内容もその流れを汲むものです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。特定機能病院のガバナンス強化は、「公布から1年以内」に施行されます。

 例えば、特定機能病院の承認要件に、「医療の高度の安全を確保する能力を有する」ことを追加するほか、病院長の選任方法について「開設者(例えば学長など)が、選考のための合議体(選考会議など、厚生労働省令で含めるべき構成員を規定)で審査を行い、その結果を踏まえて『特定機能病院の管理・運営に関する業務遂行に必要な能力・経験を有する者』を選ばなければならない」との規定が設けられました。教授会による互選などは認められなくなります。

 また、特定機能病院の開設者に対して、▼病院長の管理・運営権限を明らかにする▼医療安全確保に関する監査委員会を設置する▼病院長の業務執行が法令に適合することなどを確保する体制を整備する—ことを義務付けたほか、病院長に対して、▼医療の高度の安全を確保する▼管理・運営上重要な事項(厚生労働省令で規定)は勤務する医師・歯科医師・薬剤師・看護師などで構成される合議体の決議に基づく—よう指示しています。

持分なし医療法人への移行を促進

 また、医療法人の非営利性担保に向けて「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への転換が推進されていますが、推進方策の1つである「持分なし法人への移行に関する厚生労働大臣の認定期限」を2020年9月30日まで延長することが決まりました(関連記事はこちら)。

認定を受けた場合、持分なし法人への移行期間(最大3年)において▼出資者の相続に係る相続税を猶予・免除する▼出資者間のみなし贈与税を猶予・免除する―という税制上の特例措置を受けられます

さらに今般の改正では、認定要件に「法人運営に関し、社員、理事、監事、使用人その他の法人関係者に対し 特別の利益を与えないこと」などが追加されます(詳細は厚生労働省令で規定)。この規定は今年(2017年)10月から施行されます(期限の延長は、もちろん6月14日から適用)。

法令違反の程度に応じて、都道府県知事が段階的・柔軟に対応

 また従前の医療法では、医療法人に対しては法令違反などへの段階的な、柔軟な対応(立入検査、改善措置命令、業務停止命令、役員解任勧告、認定取り消し)を可能としていますが、それ以外の、例えば自治体病院や社会福祉法人などの規定は硬直的(いきなり閉鎖命令など)なものでした。

 そこで今般の改正では、医療法人以外の医療機関に対しても、法令違反の程度などに応じて段階的、柔軟な対応がとれるような見直しが行われました。具体的には、次のような段階を設けています。この規定は「公布から1年以内」に施行されます。

▼都道府県知事など(知事のほか、保健所設置市長、特別区長)は、病院などの業務が法令などに違反している『疑い』、またはその運営が著しく適正を欠く『疑い』があると認めるときは、当該病院などの開設者の事務所などに立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査することができる【立入検査】

▼都道府県知事などは、病院などの業務が法令などに違反し、またはその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該病院などの開設者に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる【改善命令】

▼病院などの開設者が【改善命令】に従わないときは、都道府県知事などは当該開設者に対し、期間を定めて、その開設する病院等の業務の全部または一部の停止を命ずることができる【業務停止命令】
 
 このほか、次のような見直しも行われます。
▼病院などが検体検査業務を行う場合には、一定の基準(厚生労働省令で定める)への適合を義務付け(この基準を満たせば、検体検査業務を受託可能)【基準に関しては、厚労省が検討会を設置し、そこでの議論を経る必要があるため、「公布から1年半以内」に施行】

▼出張のみの業務に従事する助産師に、妊婦などの異常に対応する病院・診療所を定めることの義務付け【今年(2017年)10月から施行】

▼検体検査の詳細は厚生労働省令に移譲(柔軟に新たな検査を追加できるようにする)【公布から1年半以内に施行】―などの改正内容が盛り込まれています。

 

http://www.medwatch.jp/?p=14226
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
2017年6月13日 MedWatch |医療計画・地域医療構想

 新たな専門医制度によって地域・診療科の医師偏在が助長されないよう、専門医機構は、研修施設群の状況などを「必ず」都道府県協議会に情報提供し、かつ都道府県協議会で「是正の必要がある」などとの求めがあった場合には「必ず」協力するべきである—。

 12日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」(以下、検討会)では、荒井正吾構成員(奈良県知事)からこうした強い要請が出され、日本専門医機構の理事長である吉村博邦構成員(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は関連規定の修正を約束しています。

 厚生労働省医政局医事課の武井貞治課長は、「検討会では、機構や学会が地域医療へどう配慮しているかをフォローしていくことになる。今般指摘された規定修正の状況や、都道府県協議会の状況などを見ながら、次回の検討会開催を考えたい」とメディ・ウォッチにコメントしています。

ここがポイント!
1 都道府県側は「都道府県協議会の関与」を明確にするよう機構に強く要望
2 救急や産科婦人科など7学会からヒアリング、地域医療への配慮がうかがえる
都道府県側は「都道府県協議会の関与」を明確にするよう機構に強く要望

 専門医資格(学会)が乱立し、国民にとって分かりにくい制度になっているとの指摘を受け、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」新たな専門医制度が来年度(2018年度)から全面スタートする予定です。専門医の認定や研修プログラムの認証を、日本専門医機構と各学会が共同して行うことが、新制度の大きな柱となっています。

日本専門医機構では、新専門医制度の憲法とも呼ばれる「整備指針」を昨年(2016年)12月に策定するなどの準備を進めてきました(関連記事はこちらとこちら)。しかし、全国市長会などから「地域医療への、さらなる配慮が必要」との強い要請を受け、塩崎恭久厚生労働大臣は本検討会を設置して「地域医療への十分な配慮がなされているか」のフォローアップを行うことにしたのです。これまでの検討会では、多くの構成員から「プログラム制(年限と研修施設を決め、その中で研修を行う仕組み)では、女性医師などが専門医資格を取得しにくくなる」などの指摘が相次ぎ(関連記事はこちらとこちら)、日本専門医機構では6月2日の理事会で、次のように新整備指針の見直すことを決定。12日に検討会で、その旨が吉村構成員から報告されました(修正内容はこれまでにもメディ・ウォッチでお伝えしているとおりです)(関連記事はこちら)。

▼「専門医はすべての医師が取得しなければならないものでなく、医師として自律的な取り組みとして位置づけられるものである。国民に信頼される安全・安心な医療提供のための専門研修は適正に施行されるべき」旨を明記

▼「基本領域の専門医研修はプログラム制が原則だが、▽専門医取得を希望する義務年限を有する医大卒業生▽地域医療従事者▽出産・育児などで休職・離職を選択した女性医師など▽介護・留学など合理的理由のある医師—などでは、カリキュラム制などの柔軟な対応を行う」旨を明記

▼「全般的、幅広い疾患の症例の豊富な支柱病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする。連携病院で採用した専攻医が希望した場合、長期間連携病院での研修を設定するなど柔軟なプログラムを作成する」旨を明記

▼「機構の研修プログラム承認に際し、▽都道府県▽市町村▽医師会▽大学▽病院団体—などからなる都道府県協議会と事前に協議し決定する。承認後も、連携施設などの医師配置状況を含めて協議会に情報提供する。協議会の意見を受け、機構は協議会・関係学会と協議・調整し改善する」旨を明記

 吉村構成員は、併せて下部規定となる「運用細則」について、次のように見直すことも報告しました。これも「カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、必要な症例数などが蓄積された段階で専門医試験の受験資格を得られる仕組み)などの柔軟な対応を設けても、それに則って研修を受けられる仕組みが担保されなければ意味がない」旨の検討会構成員からの指摘を受けたものです。

(1)カリキュラム制などの柔軟な対応を担保するために、▼基幹施設などは専攻医からの相談窓口を設け、有効な研修を行えるよう配慮する▼専攻医は、相談窓口への相談後も有効な研修が行えないと判断した場合には、機構に相談できる—こととする

(2)都道府県協議会によるチェックを担保するために、▼協議会は、機構に連絡し、研修施設群に対しローテ―ト内容などの情報提供を求めることができる▼研修施設群は機構の了解の上、協議会に情報を提供できる▼地域医療への配慮や専門研修レベル改善のための必要性に応じて、機構は基本領域圧潰、研修施設群と共同して、協議会の求めに協力することはできる—こととする

 
しかし、運用細則見直しの(2)「協議会によるチェック」について、都道府県代表の荒井構成員は、「地域の医師偏在などが助長されていないか、都道府県協議会が事後チェックすることが重要である」とし、例えば「機構の『了解の上で』研修施設群が情報提供できる」「機構が協議会の求めに協力することが『できる』」といった表現ぶりについて、「協力しないという判断もできるように読める」ことは遺憾であると指摘。協議会の求めがあれば「必ず」対応するような表現に修正するよう極めて強い調子で要請しました。吉村構成員や、機構の理事でもある今村聡構成員(日本医師会副会長)は、この要請を受け運用細則を再度見直すことを約束しています。

また厚生労働省医政局医事課の担当者も、「厚労省も研修施設群に対し、必要な情報提供や改善をしてもらうよう協力する」考えを明確にしています。厚労省は、近く「協議会をどのように運営するのか、何をチェックすればよいのか」などを整理した通知を発出するとともに、新専門医制度に関する説明会(都道府県担当者向け)を開催し、都道府県協議会によるチェックが有効に機能するよう努める考えです。

救急や産科婦人科など7学会からヒアリング、地域医療への配慮がうかがえる

 12日の検討会では、▼日本救急医学会▼日本外科学会▼日本産科婦人科学会▼日本小児科学会▼日本整形外科学会▼日本精神神経学会▼日本麻酔科学会—の7学会から、各学会の研修プログラムにおいて地域医療にどのような配慮を行っているのかを聴取しました(前回会合では日本内科学会から意見聴取を行った、関連記事はこちら)。

 例えば産科婦人科学会では、▼基幹施設での研修は最長でも2年間(24か月)以内とし、基幹病院による「専攻医の抱え込み」が生じないようにする▼基幹施設の認定基準を必要に応じて緩和し、都道府県に複数の基幹施設を置くことを原則とする▼基幹施設でなく、かつ大都市以外に設置された連携施設において「1か月以上」の研修を必須とする—などの配慮を実施。もともと「統一プロトコル」で専門医研修を行うこととしている山梨県を除く、46都道府県で複数の基幹施設を設置する見通しが立っています(青森県や岩手県など24県で単一の基幹施設しかなかったが、学会が調整)。

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産科婦人科領域では24県で「県内に基幹施設が1病院しかない」状況であったが、もともと統一プロトコルで専門医研修を行うこととしいる山梨県を除き、すべての県で「複数の基幹施設設置」に向けた準備を進めている(山口でも候補病院が見つかっている)

 また整形外科学会でも、▼プログラム制とカリキュラム制とを併用する▼都市部(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の専攻医定員を過去5年の平均以下とする一方で、地域部の定員には上限を設けないことで、専攻医の都市集中を防ぐ▼大学病院しか基幹病院となっていない県について、市中病院の基幹病院を設置できるよう、施設基準の柔軟な運用を行う—などを実施。28県で「基幹病院が県内に1つ」という状況でしたが、学会の尽力によって佐賀県・岩手県以外は「県内に複数の基幹病院を設置」する見通しが立っていることが報告されました。
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整形外科領域では、28県で「県内に基幹施設が1病院しかない」状況であった
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基幹施設の基準緩和などにより、岩手県・佐賀県を除き、すべての都道府県で複数の基幹施設設置の目途がたっている

 こうした取り組みに対し、「整形外科領域では指導医5名以上という厳しい要件があるが、1県1基幹病院となっている地域には学会から指導医を派遣するなどの対応を考慮してはどうか」(邉見公雄構成員・全国自治体病院協議会会長)などの注文こそついたものの、多くの構成員からは「地域医療への配慮がなされている」と称賛の声があがりました。

また小児科学会では、各都道府県において「募集定員と採用数(実際に採用できた数)との間にギャップがある」といったデータを示し、定員数と採用数とは分けて議論する必要があるとの見解も示しました。現在、都市部への集中を避けるために、領域によっては「定員に上限を設ける」ことになっていますが、より精緻に見ていく必要があるとの見解です。

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日本小児科学会では、専攻医の定員(募集人数)と採用数との間に、そもそものギャップがあることを指摘している

しかし渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は「大学が地域ニーズを把握せずに定員を設定しないために需給にミスマッチが起きている」と指摘。尾身茂構成員(地域医療機能推進機構理事長)も、「地域にどの程度の医師が必要になるのか、▼人口動態▼疾病構造の変化▼医療提供体制の変化や交通事情—などを踏まえた根本的な議論をする必要があるのではないか。すぐにはできないと思うが、これまでは単に『足りない』という議論しかしてこなかった」との見解を示しています。
【更新履歴】記事中、奈良県の荒井知事のお名前が「新井」となっている個所がございました。お詫びして訂正いたします。記事は訂正済です。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/537263
真価問われる専門医改革
「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング
都道府県協議会の「実効性」向上、奈良県知事が強く要望

レポート 2017年6月13日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は6月12日の第3回会議で、基本領域7学会の新専門医制度への対応についてヒアリングを実施した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「研修プログラム制と研修カリキュラム制の区別が次第になくなり、必要な症例を経験することが大事という考え方になってきている。地域で活躍する医師にもできるだけ専門医を取得してもらいたい、良医を育てたいという意図がうかがえる」(相馬市長の立谷秀清氏)、「各学会ともフレキシブルに対応し、かなり前向きに改訂してもらった」(東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏)など、おおむね評価する声が挙がった一方、7基本領域とも、「基幹施設が大学病院1カ所のみ」という都道府県が残っていた。新専門医制度で「大学医局」の力が強まる懸念の声はあり、合理的な理由がある場合を除き、どこまで「複数基幹施設」が実現できるかが今後の課題となる。

 さらに奈良県知事の荒井正吾氏からは、「専門医制度新整備指針」の運用細則改訂案への強い修正意見が出た。「都道府県協議会」の実効性を高めるために、「研修施設が、協議会に協力し、直接必要な情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある」と提案。「協議会は、医師の囲い込みを防ぐのが目的。そのためには事後のチェックが必要」(荒井氏)。運用細則改訂案は、「直接」ではなく、日本専門医機構を通して情報提供等を行う仕組みを想定していた。

 日本専門医機構理事長の吉村博邦氏は、「重要な意見であり、十分に検討したい」と回答。厚労省医政局医事課も、都道府県に今後通知を出すなどして、都道府県協議会が十分に機能するよう努めていくとした。その後に厚労省は、各都道府県に対し、協議会の開催状況などについて調査、その結果を本検討会で説明する予定。さらに、第4回の検討会でも、他の参考になるよう、都道府県協議会の好事例などについてヒアリングを行う。

 7学会に対し、共通して出た質問は、Webなどを用いた専攻医の登録や研修実績の管理システムの有無。出産・育児などに伴う研修の中断・再開を容易にしたり、研修の質の評価・向上につながると期待されるからだ。現在は、日本外科学会のNCD(NationaL Clinical Database)など、一部の基本領域学会が独自に運営している。

 立谷氏は、「Web管理システムの基準あるいは全体のシステム構築こそ、日本専門医機構の仕事ではないか」と指摘。聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、「専門医の管理、症例登録システムは各学会が作るのではなく、機構が作るべきではないか」と述べたほか、「今は各学会が研修プログラムを作るが、将来的には日本専門医機構が作成するべき」とし、第三者機関として日本専門医機構を設置する意義を問う意見も出た。

 これに対し、日本医師会副会長で、日本専門医機構の監事でもある今村聡氏は、日本専門医機構は、前身の日本専門医制評価・認定機構を引き継いだとはいえ、「全く新しく構築された組織」であるとし、現状では人や財源の問題があるとした。「最終的なゴールとして担当することを目指すとしても、今の段階では日本専門医機構が全てを担うのではなく、まずは学会と機構が連携して進めるのが現実的な手段」「各学会の話を聞くと、かなり配慮している。2018年度に始めないと、若い先生方が心配している」とも述べた。

 今村氏の発言に対し、荒井氏は、「来年度からの実施が、前提になっていると言われると問題」と述べつつ、「ここまで来たため、できるように思えてきた。来年度から開始できるようスケジュールの管理と議論の中身を詰めてもらいたい」と求めた。渋谷氏は、「来年度から始めることは決まっているのか。研修プログラム制と研修カリキュラム制が並行して運営されていることを誰が担保するのか。(それを検証する)PDCAのプロセスはあるのか」と質問。立谷氏からは、そもそも論として、本検討会の役割を問う意見も出た。

 今村氏は、「2018年度からの開始は決定ではなく、日本専門医機構として、2018年度に開始できるように準備を進めているということ。本検討会があったからこそ、さまざまな課題、意見を受けて、各学会が対応し、改善が進んできたと理解している。関係者が納得する形で進められるのであれば、前向きに議論するという捉え方でいいのではないか」と答えた。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「最終的には、日本専門医機構と各学会に地域医療への配慮をしっかりやってもらうことが、本検討会の目的。今日は、現在調整中だったり、あるいは課題があってもその是正がなされているという説明がされた。最終的には新整備指針の基準に準拠した対応がなされているかを確認する。今後の本検討会の中では、進捗状況を管理して、この検討会で議論していくことが大事」と、本検討会の役割を改めて説明した。

 以上のような懸念や質問が出て、やり取りがあった一方、各学会へのヒアリングでは、柔軟に研修プログラム制を運用するなどして、出産・育児等で研修を中断せざるを得ない専攻医への配慮がなされていることや、2017年度から研修プログラム制を暫定的に採用した学会でも、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)に専攻医が集中しなかったことなどが報告された。

 渋谷氏は、日本産科婦人科学会に対し、専攻医の採用自体を連携施設が行い、「連携施設で2年半、基幹施設で6カ月」といった研修形態が可能かを確認。同学会は採用自体は可能としたものの、大都市部への専攻医集中を防ぐほか、高難度医療も含めて幅広い症例の経験を求めるなどの理由から、「連携施設1施設での研修は24カ月以内」としていると回答。ただ3年間で研修を修了しない場合、1年単位で最大9年まで研修期間を延長できるほか、研修プログラムの変更も認めるなど、専攻医を想定したさまざまな対応をしていると説明した。

第3回会議では、基本領域7学会へのヒアリングを実施、2時間40分の長丁場だった。
 
「複数基幹施設で地域医療崩壊の懸念も」
 日本専門医機構は、「専門医制度新整備指針」の運用細則で、過去5年間の平均採用実績が350人以上の基本領域は、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることを求めている。該当するのは、8つの基本領域。内科領域を担当する日本内科学会へのヒアリングは、第2回会議で実施(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』、『内科専門医、基幹施設8割以上は市中病院』を参照)。

 第3回会議では、残る7つの基本領域について、日本救急医学会、日本外科学会、日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本整形外科学会、日本精神神経学会、日本麻酔科学会へのヒアリングを実施した。

 「1県、1基幹施設」というケースは、各基本領域とも存在する。1基幹施設の場合、大抵は大学病院本院だ。

 日本小児科学会の場合、2017年度は暫定的に研修プログラム制を導入した。47都道府県中、21県が基幹病院は大学病院1施設のみ。21の大学病院に対して「大学以外で基幹病院となり得る施設を具体的に挙げ、新たな基幹施設を認定する際に配慮すべき点、想定される問題があれば具体的に記載する」ことを求めた調査を実施した。その結果、20大学病院から、「市中病院は、都市部のみしかカバーしていない可能性があり、県内へき地の医療崩壊を招く」との懸念が呈せられた。基幹病院として認定する場合には、へき地等の医療機関との連携を条件とするなどの対応が必要になるという。この点も踏まえ、現在、複数の基幹病院を設置できるよう調整中だ。

 日本整形外科学会は、47都道府県中、28県が1基幹施設。日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、「28県あるのは問題。改善していく可能性があると理解していいのか」と質問。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、指導医5人以上という基幹病院の基準が厳しいのでは、と問いかけた。

 日本整形外科学会は今後、大学病院しか基幹施設がない県では、原則として複数が基幹病院になれるよう整備基準を改訂する予定であり、佐賀県と岩手県以外は設置の見通しが立っていると説明。「指導医5人以上」という基準については、整形外科領域は細分化しており、幅広い研修のためには複数の指導医が必要だとし、理解を求めた。ただし、この基準を満たすのが困難な場合は、個別に対応していくとした。

 日本産科婦人科学会の場合、47都道府県中、24県が1基幹施設。ただし、山梨県では「専門医制度に係る関係者連絡協議会」から、2018年度は産婦人科領域については、1つの研修プログラムで実施する要望が提出されている。それ以外の22県は、新たな病院が基幹施設への「申請準備中」であり、「候補探索中」は山口県のみ。

募集定員の設定、妥当か?
 新専門医制度では、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)には、過去3年間の平均採用実績を募集定員の上限とする方針。

 日本小児科学会の場合、「2015年と2016年」と「2017年」の専攻医の応募者数を比較すると、5都府県では、7.6%減(283.5人から262人に減少)、5都府県以外では、6.3%増(547.0人から542人に増加)であり、研修プログラム制の導入で募集定員を設けたことで、「都市部への集中を増長した事実は恐らくない」とした、日本整形外科学会も同様だ(『新専門医、「大学の専攻医囲い込み」は誤解 - 丸毛啓史・日本整形外科学会理事長に聞く』を参照)。

 日本小児科学会の研修制度で議論になったのが、募集定員の在り方。2017年度の専攻医の募集定員は、全国で1135人。採用実績は542人。神奈川県では計23人の専攻医を採用、その大半が横浜市立大学の小児科に集まっているとし、残る3大学は1人かゼロ。人気がある病院に集まる傾向があるとし、同学会理事長の高橋孝雄氏は、「募集定員を決めても、実際に応募者があるかは分からない。両者は、分けて考えることが必要」と説明した。

 これに対し、渋谷氏は、「地域のニーズを話し合わず、需給のミスマッチが生じるのは当たり前」とし、地域のニーズを踏まえた基幹病院や募集定員設定の必要性を指摘した。山口氏は「実際の必要数よりも多めか、あるいは実際の必要数なのか」と述べ、そもそもどんな考えで募集定員を設定しているかを質問。高橋氏は、特に採用数が1桁の場合など、年度ごとに採用人数の変動が大きいことから、余裕を持って募集定員を設定せざるを得ない現状を説明、理解を求めた。



http://www.asahi.com/articles/ASK6D7TWHK6DUBQU017.html
新専門医制度、都道府県協議会めぐり議論 厚労省検討会
野中良祐
2017年6月13日06時00分 朝日新聞

 2018年度から導入される予定の新専門医制度について議論する厚生労働省の検討会が12日、開かれた。地域医療に配慮した実施体制づくりを進める、都道府県協議会の位置づけを明確にするよう求める意見などが出た。

 検討会では、専門医を認定する第三者機関の日本専門医機構の吉村博邦理事長が、制度の運用指針や細則を地域医療に配慮した内容に改訂する案を説明。案では、機構が都道府県協議会に「情報提供することができる」「協力することができる」といった任意性を含めた表現にした。

 これに対し、検討会のメンバーの一人、荒井正吾・奈良県知事が反発。「実効性を高めるために、情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある。改訂案は受け入れがたい」と話した。機構は改訂案を再度、練り直すことにした。

 各都道府県協議会で取り組みに差があることから、厚労省は実態を調査することを明らかにした。6月中に自治体の担当者らを集めた説明会を開く。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/538288
医療従事者の需給に関する検討会
「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」
「早期に実現可能な医師偏在対策」は地域医療支援センター強化

レポート 2017年6月16日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の第10回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学学長)は6月15日、「早期に実現可能な医師偏在対策」として、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定、卒後は都道府県の地域医療支援センター等が策定する「キャリア形成プログラム」に沿って、大学所在地の都道府県において研修することを求めるなどの方針を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療支援センターが派遣調整できる地域枠医師の増加が今後見込まれるため、同センターを強化するのが厚労省の狙い。2008年度以降、医学部定員増に伴い地域枠入学者が今後増え、2024年度には臨床研修を修了した地域枠医師は、厚労省による単純推計で9676人(留年、中途離脱等は考慮せず)。

 主に地域枠医師を対象に「キャリア形成プログラム」を策定、医師のキャリア形成に配慮しながら、医師不足地域に実効的な医師派遣を行うことを目指す。同センターについては、大学と十分に連携するなどして運営体制を強化、類似機能を有する「へき地医療支援機構」や「医療勤務環境改善支援センター」との連携も進める。

 都道府県が医師確保対策に活用できるよう、2017年度予算事業として、厚労省は、「医師の地域的な適正配置のためのデータベース」も構築。医師の出身大学に加え、臨床研修、専門医研修、その後のそれぞれの勤務先など、医師の異動・キャリアパスを経年的に追跡できるようになる見通しだ。

 さらに地方勤務の医師の負担を軽減するため、現在の予算事業ではへき地等に限定される代替医師の派遣や遠隔での診療支援等の対象範囲を、2018年度には拡大できるような予算要求を目指す。

 2018年度からの第7次医療計画の作成指針には、「医療従事者の確保」対策は盛り込まれていない(『医師確保対策は“未定”、医療計画の「作成指針」』を参照)。厚労省は、地域医療支援センター強化などを踏まえた計画を作成するよう、都道府県に対して通知する予定。

 医師需給分科会は、4月に親会の「医療従事者の需給に関する検討会」と合同会議を開いたが、単独の開催は、2016年10月以来、約8カ月ぶり(『医師偏在対策、5月から集中的議論、医療計画に盛り込む』を参照)。「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書待ちの状態だった(『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』を参照)。

 2016年6月の中間報告に盛り込んだ14項目の医師偏在対策のうち、「5.医師・診療行為情報のデータベース化」「6.地域医療支援センターの機能強化」を具体化したのが、15日の分科会で提案された内容だ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 厚労省は今後のスケジュールとして、今秋以降、「抜本的な医師偏在対策」を検討、今年末を目途に「法案提出を視野に取りまとめ」を行い、2018年から2020年度以降の医学部定員の取り扱いについて判断するため、医師需給推計の結論を得るという案を提示。

 もっとも、医師偏在対策や医師需給対策、医師の働き方について、複数の場で並行して検討されているため、4月の合同会議と同様、15日の会議でも今後の検討の進め方についての質問が相次いだ。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、働き方ビジョン検討会の報告書は、今後の検討に生かすとした上で、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」は、新専門医制度について議論した後、卒前と卒後の一貫したシームレスな医師養成の在り方を議論する一方(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)、医師需給分科会は医師偏在対策を議論すると改めて説明し、理解を求めた。

 医師需給分科会は次回以降、女性医師の立場として聖路加国際病院副院長の山内英子氏、勤務医の対場として国立がん研究センター人材育成センター副センター長の堀之内秀仁氏をそれぞれ加える。

 「キャリア形成プログラム」、未策定7県
 地域医療支援センターは、47都道府県の全てに設置済み。しかし、「キャリア形成プログラム」の未策定が7県、大学と連携していない県があるなど、都道府県によって取り組みは異なり、運営が成功しているとは言い難い。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「確かに今までは機能していなかった」と指摘しつつ、医療法に位置付けられ、税金を投入している以上、なぜ機能していないのか、その検証が必要だとした上で、「国が一定のルールを設ける方針か」と質問した。厚労省医政局地域医療計画課は、地域定着を図るために、上図のような方策の検討を提案したと回答。

 全国医学部長病院長会議会長の新井一氏も、地域医療支援センターの運営実態の検証が必要だとしたほか、大学が日常的に医師の派遣を行っていることから、「大学がコミットしないとうまく行かないのではないか」と提案した。日医常任理事の羽鳥裕氏は、「へき地医療支援機構」や「医療勤務環境改善支援センター」、さらに新専門医制度についての都道府県協議会など、類似機能を有する組織が複数あるため、連携あるいは統合した運営を求めた。

 一方で、全国衛生部長会会長の鶴田憲一氏からは、例えば、「1県1大学」の県と、それ以外の県では医療事情が異なるほか、類似組織も目的、人員体制、予算などがそれぞれ違うことから、画一的な対応の難しさを指摘する意見も上がった。

 「三師調査」活用し、医師データベース構築
 厚労省が構築し、都道府県が活用する「医師の地域的な適正配置のためのデータベース」は、2年に一度実施する「医師・歯科医師・薬剤師調査」の届出情報、医籍情報、専門医に関する情報を用いて構築。医師の異動やキャリアパスの経年的な追跡な可能になる仕組みだ。

 今村氏は、医師のデータベース作成には賛成したが、「適正配置」との名称を問題視。地域枠医師以外の医師情報もデータベースに入るため、行政が全医師を「適正配置」すると受け取られないからだ。自発的に地方勤務が進むよう、魅力ある「キャリア形成プログラム」を作るなどの動きと齟齬が生じかねない。厚労省医政局長の神田裕二氏は、行政が「適正配置」するのではなく、地域医療支援センターは各地域で医療者や住民も交えて議論し、医師の偏在解消に取り組む場であると説明。

 国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏は、医学教育ではIR(Institutional Research)、臨床研修ではEPOCなど、さまざまなデータベースを既に用いていることから、将来的にはこれらとの連動も検討すべきと提案。岩手医科大学理事長の小川彰氏は、「医師偏在対策には、フリーランス医師への対応が問題」と指摘。「どんな医師がいかなるキャリアを積み、どんな実力を持て、どこで働いているか」の把握が必要だとした。

 “ソフトツール”か、“ハードツール”か
 もっとも、15日の「医師需給分科会」で強かったのは、「早期に実現可能な医師偏在対策」ではなく、「抜本的な医師偏在対策」をめぐる意見だ。

 聖路加国際病院院長の福井次矢氏は、「医師の地域偏在と同様に大切なのは、医師の専門性(診療科)の偏在の問題」と述べ、早急な着手を求めた。小川氏は、「医師数は西高東低。地域枠医師の問題だけを議論しても、医師の偏在は解消しない。日本全体の地域偏在と診療科偏在の議論をしないと意味がない」と指摘。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は、「現時点では、このような形で議論をまとめるのが妥当ではないか」と、地域医療支援センター強化の取り組みを支持しつつ、医師需給分科会の議論を次のように総括した。「インセンティブや情報提供などの、“ソフトツール”ではなく、“ハードツール”でないと問題は解決しないという議論になったところで、(2016年10月以降)医師需給分科会は中断した。しかし、今は地域医療支援センターや地域枠医師の活用など、また“ソフトツール”の議論に戻っているところに、むなしさを感じているのだろう」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/538385
不採算地区病院への支援拡大を検討、総務省審議会
非常勤医師でも多ければ経営改善

レポート 2017年6月16日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第5回会合が6月15日に開催され、不採算地区病院への財政措置充実や、医師確保支援の在り方などについて議論した。

 研究会は地方行政を担当する総務省内に設置されており、2016年9月に第1回会合を開催。2016年度に地方自治体が策定した「新公立病院改革プラン」の影響や改革推進策について調査検討を行っている。これまでの4回の議論を基に、事務局を務める自治財政局準公営企業室は論点を4つにまとめた。

論点
1.新たな公立病院の役割に応じた再編・ネットワーク化の取組をさらに促進するには、どのような方策が考えられるか。
2.地域医療の確保に資する公立病院の標準的な需要をどう捉えるか。
3.病院マネジメントの観点から更なる経営改革につながる方策の議論が必要ではないか。
4.地方独立行政法人化が困難な要因を取り除くにはどのような方策が考えられるか。

不採算地区、更なる支援必要か
 同日の検討会では、論点2に関連して、不採算地区病院の支援の在り方が議論された。現在、総務省が不採算地区(病床数150床未満、直近の一般病院までの移動距離が15キロメートル以上、又は、国勢調査の「人口集中地区」以外の区域に所在など)と定義する地域にある公立病院には、運営経費や医師確保に要する経費が特別地方交付税で財政措置されている。

 総務省の集計では、2015年の医業収支比率では、不採算地区病院の79.5%に対し、それ以外では90.5%で11ポイントの差がある。職員給与比率では、不採算地区病院65.2%、それ以外53.7%、病床利用率で不採算地区68.1%、それ以外73.4%と、いずれの指標でも不採算地区病院では経営状況が厳しいことが分かっており、近年は病院間の乖離が広がる傾向にあるという。2017年2月の「公立病院の実態調査等」では、6割以上が非常勤医師という病院の割合は、不採算地区病院で46.3%に対し、それ以外では25.6%だった。

 一方で、非常勤医師の給与が常勤医師の1.5倍以上の病院のみを分析すると、不採算地区病院であっても、「医師は充足している」と回答した病院の医業収支比率は85.8%に改善しており(「全体的に不足」病院は同81.5%)、「給与が割高な非常勤医師であっても、確保できれば医業収益の改善に寄与する」と分析している。

 その上で、事務局は「不採算地区病院に対する財政措置を充実する方向で検討してはどうか(その際、非常勤医師の給与負担の重さを考慮すべきか)」「医師確保対策に係る財政措置の拡充が必要か」と提案した。城西大学経営学部マネジメント総合学科教授の伊関友伸氏は「看護師、薬剤師、リハビリスタッフも地方だと雇用ができておらず、調査が必要。研修体制が弱いので勤務してくれないという所もある。総務省では難しいかもしれないが、質の部分も目配りが必要」と指摘。

 北海道奈井江町長の北良治氏は「支援を拡充してほしい。非常勤の派遣医師では派遣医師では入院や在宅医療が十分にカバーできず、収益性低下につながっている」と訴えた。

地方では公務員でないと職員来ず
 論点4について事務局は、「地方独立行政法人化が困難な要因」として、(1)住民説明や組織内の合意形成、利害関係者との調整に多くの時間や労力を要する、(2)自治体が短期間に多額の財政的負担を要する――の2点を指摘し、(1)については自治体自らが解決する必要があるとする一方、(2)については、制度の見直しが必要ではと提起した。

 伊関氏は独法化に当たっては、「職員を全員、分限免職で解雇できるかというとなかなかできない。市役所に戻るなどして、安くつくかと思ったが、案外高くつく」と指摘。また、独法化に当たって総務省は「非公務員型」を原則としているが、埼玉県職員として働いていた自身の経験から「公務員としてのプライドを持って仕事をしている医療職も多い。一定の基準があるが、それを緩めることも必要では」と提案した。島根県病院事業管理者の中川正久氏も、独法化でうまくいっているのは都市部ではと指摘し、「田舎の県では、独法化するという噂だけで、看護師の応募が減った。公務員がステータスになっている」と実例を紹介した。

 事務局が示した独法化した病院の経常収支比率が、2009年の104.3%から2015年には100.1%に悪化しているという資料について、どのような背景があるかという質問が出るも、事務局は「収支低下の理由は分かっておらず、分析したい」と答えた。地方独立行政法人静岡県立病院機構理事長の田中一成氏は、自院の事例として、「独法化して黒字を出さなくてはいけないと、最初は設備投資を抑えていたが、ずっとはそうもいかない。人件費も年々、上がってくる」と紹介した。

 一方で、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「公立病院が抱えている問題は、ガバナンスが分散していること。独法化、指定管理にしたから良くなるわけではないが、今までとおなじようにやれないのも事実。権限が分散していると、他の病院との交渉をやっていかなくてはいけないときに迅速にできるのかと思う」と指摘した。



  1. 2017/06/17(土) 09:32:02|
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