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6月2日 

http://digital.asahi.com/articles/ASK615JLQK61UOHB016.html?rm=616
長時間労働でうつ病、研修医の自殺を労災と認定 新潟
寺崎省子、野中良祐
2017年6月2日08時28分 朝日新聞

 新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医(当時37)が2016年1月に自殺したのは極度の長時間労働によるうつ病発症が原因だとして、新潟労働基準監督署が労災と認定したことが1日、分かった。遺族の弁護士が明らかにした。認定は5月31日付。

研修医自殺「過重労働が原因」 労災認定の方針 新潟

 亡くなったのは新潟市の木元文さん。看護助手をしながら医師を志し、07年に新潟大医学部に合格。15年4月から研修医として新潟市民病院の消化器外科に勤務し、同年秋ごろから体調不良を訴えるようになった。16年1月、自宅を出た後に行方不明となり、近くの公園の雪の上で倒れているのを家族が発見。そばには睡眠薬があり、低体温症で死亡した。

 遺族は長時間労働が原因で自殺したとして同8月、労災認定を求めていた。遺族が調べたところ、時間外労働は4カ月連続で200時間を超え、最も多い月で251時間だったという。

 これに対し、病院側は木元さんの自己申告をもとに、時間外労働時間は1カ月平均約48時間だったとしていた。

 遺族の弁護士によると、労基署は「うつ病の発症は15年9月ごろで、直近1カ月の時間外労働が160時間を超えていたため認定した」と説明した。木元さんの夫(37)は弁護士を通じ、「使用者による殺人にほかならない。医師不足は何の理由にもならない」とコメントした。今後、同病院に長時間労働の改善を求めるという。

 新潟市民病院は「労災が認定されたことは真摯(しんし)に受け止める」とコメントした。

■診療時間見直しも

 診療を原則、拒めない「応召義務」のある医師。労働問題が議論されることは少なかったが、長時間労働に労働基準監督署が是正勧告を出し、病院の外来を縮小する動きも出てきた。

 昨年6月に是正を求められた聖路加国際病院(東京都中央区)は3日から、土曜日の外来診療を14診療科に絞り、神経内科や皮膚科など20診療科を休診する。

 同院によると、労基署は医師の残業時間が月平均95時間に達していると指摘。当直は時間外労働にあたるとした。シフトの調整だけで対応できないため、土曜の一部休診を決めた。医師の「意識改革」もすすめ、午後6、7時には病院を出るよう促している。

 残業時間の削減は達成できる見込みだが、家族らへの都合に合わせて夜にしていた患者への病状説明を昼間にするよう指示し、救急患者の受け入れを断らざるを得ない例も出ているという。福井次矢院長は「最新の治療について調べ、多職種での話し合いが必要。医師は無駄に病院にいるわけではない。国として医師の労働とは何か基準を示すべきだ」と話す。

 宮崎の3県立病院は昨年、当直を労働時間に入れるよう求められた。病院局の担当者は「労働時間に入れると、今度は超過勤務の違法状態になる」と頭を抱える。佐賀県医療センター好生館(佐賀市)も4月、当直について勧告を受けた。2人の従業員が月200時間を超す勤務をしていたとして勧告を受けた関西電力病院(大阪市)は4月、医師の書類作成を補助する人員を増やした。

 政府が3月に公表した働き方改革実行計画は、時間外労働を罰則付きで規制する方針を示す。ただし患者の急変への対応や救急という特殊な業務を担う医師には、5年間の猶予期間を設けた。厚生労働省の検討会で今後、対策を議論する。(寺崎省子、野中良祐)



https://www.m3.com/news/general/534029?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170601&dcf_doctor=true&mc.l=226327491&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
研修医自殺:労災認定へ 労基署「過労が原因」 新潟市民病院
2017年6月1日 (木) 毎日新聞社

 2016年1月、新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医(当時37歳)が自殺したのは過労が原因だったとして、新潟労働基準監督署は31日、労災認定する方針を決めた。遺族に対しても、方針を通知している。【柳沢亮】

 ◇遺族「最長、月251時間残業」

 亡くなった研修医は木元文(あや)さん。看護助手をしながら医師を目指して勉強を続け、2007年、新潟大医学部に合格。卒業後の13年から研修医となったが、15年4月に後期研修医として同病院に移ると、救急患者対応の呼び出し勤務が激増。16年1月24日夜、行き先を告げず一人で自宅を出たまま行方不明になり、翌朝、家族が自宅近くの公園で遺体を発見した。

 新潟県警によると、死因は低体温症で、遺体のそばには睡眠薬と飲み終えた酒が落ちていた。自殺前、家族に「人に会いたくない」と漏らしていたといい、県警は自殺と判断している。

 木元さんの夫は16年8月、「長時間労働による過労と精神疾患が自殺の原因」などとして同監督署に労災を申請した。木元さんの電子カルテの操作記録から月平均時間外労働(残業)時間は厚生労働省が「過労死ライン」と位置付ける80時間の2倍を超える約187時間、最も多い月では251時間に達していたと主張した。

 一方、病院側は木元さんが自己申告していた残業時間は月平均約48時間だったと反論。「電子カルテの操作記録の多くは医師としての学習が目的で、労働時間に当たらない」と説明していた。

 木元さんの夫は毎日新聞の取材に「労災認定され安心したが、亡くなった人は戻らない。過労死は病院による殺人に等しい」と話した。「全国過労死を考える家族の会」東京代表で、自らも医師の夫を過労死で亡くした中原のり子さんは「勤務医の過労死は全国的な問題。聖職者意識や犠牲的精神など個人の力で解決できるものではなく、社会的な支援をすべきだ」と話している。

 ◇勤務先、残業80時間常態化 「使命との間で葛藤」

 木元文さんが勤務していた新潟市民病院では、毎日新聞の情報公開請求による取材で、残業時間を月80時間以内とする労使協定無視が常態化していた。

 「過労死ライン」の月80時間に対し、基本的に死亡の1カ月前に100時間か、2~6カ月前の平均で80時間を超える残業があれば過労死認定される。

 毎日新聞では、情報公開請求により、木元さんが亡くなった2015年度に在籍した後期研修医27人の残業自己申告記録を調べた。200時間を超える残業月は1人 ▽ 150時間超は3人 ▽ 100時間超は9人 ▽ 80時間超は7人 ▽ 80時間以内は7人で、後期研修医の7割以上の20人が協定違反の労働をしていた。また、管理職を除く136人中、62人に80時間を超える残業月があった。ある臨時職員の年間残業時間は1523時間で、平均月約120時間を超えた。

 同病院はこうした実態を踏まえ、今年度の労使協定改定で、残業上限を年6カ月以内の範囲で月100時間以内まで緩和した。上限緩和は過労対策の趣旨に反するが、同病院の担当者は「協定を守れる範囲にした。中核病院としての使命と労働時間の問題との間で葛藤がある」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/531339
医療情報の利活用と保護、両立が肝要 - 山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞く◆Vol.1
日常診療での取り扱いは従来通り

2017年5月25日 (木) 聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 医療情報の取り扱いを厳格化する改正個人情報保護法が5月30日に施行される一方で、医療情報を利活用するための次世代医療基盤法が4月28日に成立した。この二つの法によって、医療や医学研究の現場はどう変わるのか。医療情報システム開発センター理事長の山本隆一氏に聞いた(2017年5月19日にインタビュー。計2回の連載)。

改正個人情報保護法のポイント(5月30日施行)
・医療情報は大部分が「要配慮個人情報」に指定され、下記の取り扱いとなる。
(1)患者の同意を得ずに収集できない。
(2)利用目的の変更が認められない。
(3)オプトアウト(明確に拒否しない限り、同意したと見なすこと)による第三者提供ができない。
・当該患者の医療に必須な利用や、病医院の運用に必要な利用は従来通り可能。
・匿名化する場合や、症例番号などを新たに発番して、番号と患者の対応表を作成して管理する場合、同意なしに情報を取得して研究目的に使うことが、単独施設内や共同研究契約を結んだ複数施設内で研究する場合には可能。

次世代医療基盤法のポイント(来春施行見込み)
・高い情報セキュリティを確保するなど一定の基準を満たし、医療情報などの管理や利活用のための匿名化を行える事業者を、国が「認定匿名加工医療情報作成事業者」として認定。
・医療機関などは、あらかじめ患者本人に通知した上で、オプトアウトで上記の認定事業者に医療情報を提供できる。

※改正個人情報保護法と関連する政令や規則、ガイドラインは、「個人情報保護委員会」のホームページ、次世代医療基盤法は参議院のホームページを参照。

 ――改正個人情報保護法の施行後、医療機関は医療情報をどのように扱えば良いのでしょうか。
 患者情報は「要配慮個人情報」に位置付けられます。要配慮情報というのは、同意を得ずに収集してはいけない、目的の変更が認められない、それから一番大事なのは第三者提供のオプトアウトが使えない。この三つが主な特性ですけども、患者の医療に必須の利用は、今まで通り認められています。紹介状を書くなど第三者提供であっても同様です。日本では患者さんが医療機関を自由に選択できるわけですから、医療機関に来たということは医療を受けることに同意されている。つまり、医療を実施するための情報利用にも同意をされているわけです。介護事業者との連携についても、患者を中心に進めるのは問題ありません。

 また、病医院の運用のための利用も認められる。例えば病棟で男部屋と女部屋の割合をどうするかということを決められないと、病院はやっていけない。そうしたものは医療に必須の利用と認められています。それから、レセプトを出す、感染症の届けを出すといった法律で定められた利用も、もちろんできます。こうした点はこれまでと変わりません。

 ――では、医学研究や教育、新薬開発での利活用など、医療以外の場面ではどうでしょうか。
 患者の医療に直接関係なく、病医院の運用のためでもなく使う第三者利用は同意を得なければなりません。例えば学会などでの症例報告。これは患者の治療や病医院の運用には関係ないので、同意を得なければなりません。個人情報とは生きている人の個人情報ですから、もし患者が亡くなっている場合は個人情報保護法の範囲から外れますが、遺族に関係する問題などがありますので、倫理審査委員会を通して発表を認めていただくなどの第三者的な評価が必要です。

 学術研究は改正個人情報保護法第4章の規定からは外れますが、医学研究に関しては、同法の4章以外の部分と「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」など各種の研究指針の制約を受けます。同指針では、匿名化する場合や、症例番号などを新たに発番して、番号と患者さんの対応表を作成して管理する場合でも、同意なしに情報を取得して研究目的に使うことが、単独施設内や共同研究契約を結んだ複数施設内で研究する場合には可能です。しかし、そうではない複数の施設から情報を集める場合は、集める段階そのものは研究ではないので、法をそのまま解釈すれば、患者さんの同意を得なければならない。

 しかし、ビッグデータを使って、例えば1000万人の患者さんのデータを集めたら、医療機器の開発や薬の開発の他、医療経済的な分析もあり得る。そうした目的が、情報を集める段階で全て決まっているわけではない。また、ある薬で副作用が出ているらしい、調べてみようという場合。そういう問題が起こるから調べることになるわけで、事前に同意を取れるかと言ったら、取れない。その時点で目的が決まっていないわけですから。

 ――そうした事態に対応するのが、次世代医療基盤法ですね。
 患者が特に断らなければ、情報をオプトアウトで集められる。集めた上で、本人に絶対に迷惑がかからない形、プライバシーを侵害しない、個人の権利を侵害しない形で活用する。「そういう利用は困ります」と言われない限りは、「医療情報」を集められるようにするのが、次世代医療基盤法です。ただし、改正個人情報保護法とは、若干考え方が違います。医療情報の場合、遺族や子孫、そういったことに関係する、遺伝する情報を扱わなくてはいけない。

 その場合は、もちろん本人に加えて遺族や子孫にも迷惑がかからないようにしなければなりません。それが個人情報保護法にはない概念です。個人情報とは、あくまでも情報を提供する本人が「第一者」、受け取る人が「第二者」、それ以外は全て第三者ですから、遺族や子供も第三者になります。そういうものをきちんと定義するため、次世代医療基盤法では「個人情報」という概念を使わず、「医療情報」と言っている。ここには、死者の情報も、子孫に影響する情報も含みます。亡くなった人の情報が対象外になってしまうと困りますから。
 ――「匿名加工医療情報作成事業者」はどのような事業者が想定されるのでしょうか。大学などの研究機関が、自らなる必要はあるのでしょうか。
 どのような事業者が想定されるかは、まだよく分かりませんが、(政府による認定が)相当厳しい基準になるとは思います。また、この事業者は研究をできません。匿名加工して提供するのが仕事なので、大学の一部がなってもいいのかもしれませんが、難しいでしょう。それに、ある大学病院の中で、そこに来た患者の病気のことを、自分たちで匿名加工して研究に使うことはできる。個人情報保護法で匿名加工することが認められていますから、この法の枠内でやればいい。次世代医療基盤法はあくまで複数の医療機関から情報を集めて研究に使う場合を想定した法律です。

解説
 5月30日に、改正個人情報保護法が全面施行される。同法によって医療情報の大部分は「要配慮個人情報」と定められ、患者の同意を得ずに収集できず、利用目的の変更が認められず、オプトアウトによる第三者提供も行えなくなる。医療機関で想定される「要配慮個人情報」とは、診療記録や介護関係記録に記載された病歴、診療や調剤の過程での患者の身体状況、病状、治療などについて医療従事者が知り得た診療情報、健康診断の結果および保健指導の内容、障害の事実、犯罪により害を被った事実などだ。

 改正法では、このような本来的に慎重な取り扱いが求められる医療情報の保護が厳格化される一方で、医学の発展のための研究や教育、新薬の開発などでの利活用を難しくするという側面も持つ。これらは患者自身の治療には直接関係しないために、全て第三者提供の扱いとなるからだ。

 その懸念を解消するものとして4月28日、「次世代医療基盤法」が新たに成立した。同法では、オプトアウトによる第三者提供が可能だ。特定の個人を識別できないように医療情報を匿名加工する事業者を政府が「匿名加工医療情報作成事業者」として認定。医療機関から集められた情報をこの事業者が匿名化し、医学研究や教育、新薬開発などの用途に活用できるようにした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/531340
医療情報の特殊性を意識した法制を - 山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞く◆Vol.2
予防接種歴など「医療以外」の情報の扱い課題

2017年5月31日 (水) 聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 ――改正個人情報保護法は5月30日に全面施行されますが、次世代医療基盤法の施行は来春が見込まれます。この1年弱の間に、医療情報を使えないことで困るような事態があり得るのではないでしょうか。
 止まってしまう可能性がなくはないと危惧されるプロジェクトはあります。例えば、ナショナルクリニカルデータベース(NCD)です。外科系のデータを収集していて、日本で行われる手術のほとんどが登録される。これはデータを集めるもともとの理由が、外科医の専門医の申請に使う症例データとしての登録です。民間のNPO法人が運営していますし、匿名化はしていますが、患者の治療や病医院の運用には直接関係がありません。遡及はされないので、今まで集めたデータは大丈夫ですが、改正個人情報保護法では、きちんと患者の同意を取ってくださいということになる可能性があります。

 外科医の技術向上という、広い意味で公益目的ですし、貴重なデータでもあります。次世代医療基盤法が施行される1年先はそういうことを考慮してやれる方向に持って行けると思いますが、それまでの期間はどうしようもないので、ひょっとするとこのようなケースでトラブルが起こる可能性は、ゼロではないと思います。

 ――次世代医療基盤法の施行後はオプトアウトで情報を集めることができますが、そのために情報を利用することを患者に説明する必要はありますね。
 病医院内に掲示しておけばいいというのではなく、患者に対してしっかりやらないといけません。やり方の一つは、初診の際に診察の申込書などを書くと思いますが、そのときにこれを読んでくださいという方法でしょう。それから、「匿名加工医療情報作成事業者」に情報を提供する医療機関は、主務大臣に届出をしなければいけません。審査があるわけではありませんが、届出が必要です。

――新たな二つの法律はできましたが、個人情報保護と医療データの利活用に関して、残る課題はどんなものがあるでしょうか。
 一つは、遺伝する情報を本当に守れるのか、というところがまだ不十分です。これは個人情報保護法の仕組みでは無理です。遺伝する情報を理由に人を差別するということを禁止しなければいけません。例えば米国のGINA(Genetic Information Nondiscrimination Act)の他、ドイツや英国、韓国にもそういう法律がありますが、日本はそういう部分が不十分です。

 また、次世代医療基盤法の仕組みは、今のところ医療情報にしか使えません。定義の部分で、「医療情報」が定義されているので、他の情報では使えません。扱ってはいけないとまでは書いていませんが、基本的には扱えない。そうすると、例えば海外旅行に行った履歴は病気によってはかなり重要なデータですし、予防接種の履歴も重要ですが、病医院できちんと取れるわけではないので、入ってこない可能性もある。それから、介護情報についてはどこにも書いていません。医療と介護の密接な連携は不可欠ですが、書いていない。個々の患者の治療や介護について情報をやりと取りすることはできますが、情報を集めて分析するようなことは十分にできないのです。

 それから、人間、最後は死ぬわけです。いつ亡くなったかというのは、蓄積される情報の中では非常に大きな意味を持ちます。例えば胃がんの人が手術したけども、再発して7年後に亡くなったというときに、亡くなった日までいかなくても年くらいは入っているといいのですが、そういう情報が入ってくる保証はない。そうすると、匿名加工情報の中では生きているように見えるかもしれません。「匿名加工医療情報作成事業者」が持つデータの中に、同じ人の情報が別々に登録されていることも十分あり得ます。次世代医療基盤法は、マイナンバーではなく医療で使う番号制度ができて、医療機関が変わっても1人1人のデータをきちんとつなげることが前提の仕組みなのです。番号制度がいつできるか分からない状態では、不安ですね。

 日本の個人情報保護法は、今回の改正で、少なくとも意図しないことに情報が使われる危険性はだいぶ減ったと思いますが、かなりルールが包括的なため、そのことによって社会的な弊害が起こることへの対応は不十分です。EUのGDPR(General Data Protection Regulation)が来年施行されますが、これには医療情報だけをわざわざ特記してある部分が何十カ所もあります。なぜかというと、やはり医療情報がものすごく特殊な個人情報だからです。犯罪履歴や政治信条、人種などは、記入する場面はそうそうない。大事な情報だけど、あまり使わないわけです。一方で、医療情報はものすごく使う情報です。人間の機微に触れる情報であるにも関わらずものすごく使う情報は、医療情報ぐらいですよ。本来は、そういうことを十分に意識した、個人情報保護法制にすべきだと思います。

 いつまで経ってもそうならないのが日本の特徴ですが、困るのは国民です。医学研究の発展は絶対に大事で、医療情報の公益的活用は止めるわけにはいかない。一方でプライバシーの侵害は絶対に起こしてはいけない。それを両立させることが、改正個人情報保護法と次世代医療基盤法の目的ですが、まだ不十分な恐れがある、ということが現状と考えます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/534485
真価問われる専門医改革
新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承
日本専門医機構、「2018年度開始」は厚労省検討会待ちか

2017年6月2日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は6月2日の理事会で、専門医取得は義務付けないなど、計4点を修正した「専門医制度新整備指針」の改訂を、全会一致で了承した。修正内容は、5月の同機構理事会で議論後、5月25日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の第2回会議で提示し、了承されていたものだ(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。改訂新整備指針を近く同機構のホームページに掲載予定。

 理事会では、19番目の基本領域に位置付けられる総合診療専門医の研修プログラム整備基準を了承、日本専門医機構の基本問題検討会の下にサブスペシャルティに関するワーキンググループを設置することも決めた。

 ただし、理事会後の記者会見では、新専門医制度の開始時期について、「我々は、2018年度から始めることを目標とし、準備を進めている」(日本専門医機構副理事長の松原謙二氏)と述べるにとどまった。これは、6月中旬に予定されている厚労省の第3回検討会を念頭に置いた発言だ。第2回検討会で日本内科学会にヒアリング済み。第3回検討会では、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科の7領域の各学会からヒアリングを行う予定。これらの学会は、過去3年間の専攻医の平均採用実績が350人以上であり、地域医療への配慮から、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置くことなどが求められている。

 理事会ではこのほか、新整備指針の運用細則の見直しや、「新専門医制度概説とQ&A」への追記について議論した。

 運用細則には、厚労省の第2回検討会で出た議論に対応するため、(1)研修カリキュラム制を運用する場合の対応体制、(2)都道府県協議会での役割や位置付け――などを盛り込む予定。今後、基本問題検討会で議論、最終的に理事会で決定する。

 「新専門医制度概説とQ&A」は、5月12日付けの内容が、日本専門医機構のホームページに掲載されている。日本専門医機構の現執行部は2016年7月に発足したが、以前の制度と現在検討されている制度との相違がより明確になるよう、追記する予定。具体的には、(1)内科をはじめ、8領域については、都道府県ごとに複数の基幹施設を設置できる基準とする、(2)東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都県については、過去 5 年間の都市部の専門医の採用実績の平均値を超えないものとする、(3)都道府県協議会が、研修プログラムの基幹施設、関連施設、連携施設などの構成に偏りがないか、募集定員が適切かどうかなどを検証する役割を担う、(4)卒後に義務年限を有する専攻医(自治医科大学や各大学の地域枠の卒業生など)、出産・育児、介護、留学など、合理的な理由がある場合は、研修カリキュラム制も可能とするなど、柔軟に対応――といった点だ。

 総合診療専門医と内科専門医、「オーバーラップ」

 総合診療専門医の研修プログラム整備基準は、5月の理事会でほぼ固まっていた(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記へ』を参照)。

 同整備基準は、近く公表予定で、記者会見では、松原副理事長が概要を説明。「内科専門医と総合診療専門医は、当初は対立するものとして制度設計が始まったが、話し合いを重ね、オーバーラップした制度となった」。研修期間は、3年が基本。内科1年、救急と小児は各3カ月、総合診療I(中小病院や診療所等で研修)と総合診療II(病院で研修)が各6カ月以上(IとIIの合計で18カ月以上)、残る6カ月は選択研修。医療資源が乏しく、救急や小児の研修が難しい場合には、研修カリキュラム制も認める。

 内科専門医と総合内科専門医を持つ内科指導医のほか、日本臨床内科医会の専門医・認定医なども、指導医になるという。専門医試験は、1次は内科専門医試験、2次は総合診療専門医専用の試験を行う。内科専門医は、都市部への専攻医集中是正策が講じられるため、「総合診療専門医についても、都市部に専攻医が集中しないよう、日本専門医機構で研修プログラムを選定する」(松原副理事長)。


  1. 2017/06/03(土) 09:04:08|
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