Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月30日 

http://blogos.com/article/225460/
福島県いわき市の医療崩壊
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
NEXT MEDIA "Japan In-depth"2017年05月27日 10:31 BLOGOS

■いわき市が直面する医療崩壊
福島県いわき市の医療が崩壊の瀬戸際にある。本稿では、この問題について解説したい。

いわき市の人口は34万6439人(2017年5月1日現在)。中核市に認定され、福島県内最大の都市である(郡山市は33万4928人、福島市28万2184人)。

この地域の医師が不足している。人口10万人あたりの医師数は172人、全国平均の234人はおろか、福島県平均の189人を下回る。これはブラジルやエクアドルなどの平均とほぼ同レベルだ。

今年2月には市立総合磐城共立病院が肺結核患者の入院受け入れの停止を発表した。年度末で呼吸器内科の常勤医が定年退職し、後任が確保できなかったためだ。現在、いわき市内に呼吸器内科の常勤医はいない。

■救急医療も危機的状況
もっと深刻なのは救急医療だ。震災前の2009年に救急車が出動したのは1万1256件だったのが、年々増加し、2015年には1万3477件となった。平均して毎年3%ずつ患者が増えたことになる。この間、増加した搬送患者の86%が高齢者だ。高齢化が進めばますます救急医療のニーズは高まる。

この間、いわき市内の医師数は横ばいだ。この結果、救急車は「たらい回し」されることになる。救急車が現場に到着してから、病院に収容されるまでの時間は2009年に30分24秒だったのが、2015年には36分18秒に延長した。

特に悲惨なのが脳外科だ。東北地方は脳卒中の発症率が高く、脳卒中の治療は時間との争いだ。ところが、脳卒中を治療する脳外科医の数が足りない。

2014年12月現在、いわき市内には脳外科専門医は12人しかおらず、人口10万人あたり3.6人だ。これは全国平均の5.0人、福島県の平均の4.5人を下回る。患者は多いのに、医師は足りない。

この地域で活動する救命救急士は「いわき市内で受け入れて貰えない場合、遠く離れた郡山や南相馬市内に搬送します」という。いずれも距離は80キロを超える。郡山に行く場合、阿武隈高地を超えねばならない。冬場は積雪する。片道2時間以上かかることもある。これでは助かる命も助からない。

医師がいないため、脳卒中を含む神経系疾患の約30%がいわき市外で治療を受けている。

どうすればいいのだろう。対策は簡単だ。いわき市内に医師を集め、救急外来を開設するのがいい。

■いわき市で気を吐く「ときわ会」
実は、いわき市内で救急医療に力を入れようとしている医師たちがいる。ときわ会グループだ。泌尿器科医である常盤峻士会長が設立し、透析医療を中心に成長してきた。2010年4月に市立常磐病院を譲渡され、総合病院も経営するようになった。

その一年後、東日本大震災を経験した。このとき、約600名の透析患者を東京・新潟・千葉県に避難させた。私もお手伝いしたが、見事なチームワークだった。

東日本大震災での大活躍でときわ会の知名度は一気にあがった。「ときわ会で働きたい」と全国から若き医師や看護師が集まった。日経新聞は2016年7月3日に「医師の都市集中歯止め?」という記事の中で、ときわ会の取り組みを成功事例として紹介した。

私どもの研究所の関係者からも複数の医師・看護師が就職した。

森甚一氏(血液内科)のように、首都圏の大学病院の「センター長」のポジションを断って就職した医師もいた。(関連記事)

今春には、徳島県立中央病院の院長を辞した永井雅巳氏が、在宅医療部門に移籍した。永井氏の経営手腕は医療界では知らない人がいない。さらに、私も昨年3月に東大医科研を辞してからは、ときわ会の非常勤医師となった。震災時8名だった常勤医師は現在24名に増加している。いわき市内の病院で、震災後医師が増加したのは、ときわ会だけだ。

この結果、240床の病床は常に満床だ。一般病床の稼動率は90%を超える。新村浩明院長の悩みは「医師がいても、入院させる病床がないこと」だ。

新村院長たちは救急医療にも力をいれてきた。2015年4月には救急専門医である岩谷昭美医師も赴任した。昨年は1216件の救急車を受け入れており、2014年度の750件から急増した。

いわき市内の救急医療の中核は、磐城共立病院だ。三次救急を行い、2014年度は4271台の救急車を受け入れた。前出の新村院長は「この地域の医療を守るには、関係者が協力しなければなりません。磐城共立病院の負担を下げるためにも、我々が二次救急の患者を受け入れる必要があります」という。

さらに、新村院長は「病床があれば、脳卒中の患者さんにも対応したい」ともいう。福島県内の病院長は「もし、ときわ会が脳卒中センターを開設するなら、是非、脳外科医を紹介したい」と言う。いわき市民にとって有り難い話だ。ところが、話は簡単には進まない。それは、常磐病院の病床が増やせないのだ。

■病床が増やせないわけ
厚労省は医療費を削減するため、入院病床を削減し、在宅医療に誘導しようとしている。2025年までに全国で11.6%、福島県で28.4%の病床が削減されると予想されている。

我が国では病院は勝手に病床を増やせない。厚労省の許可がいるのだ。病床は貴重な経営資源であり、どの病院も削減には応じたくない。

いわき市内の多くの病院の病床稼動率は低い。例えば、磐城共立病院は病床数761床(うち一般709床)だが、一日平均入院患者数は547人(2014年6月分)だ。福島労災病院も状況は変わらない。病床稼動率は75%だ(2015年度)。常識的に考えれば、磐城共立病院や福島労災病院の病床を常磐病院に譲る、あるいは売却すればいいだろう。ところが、この話は一向に進まない。

いわき市の職員は、その理由を「ときわ会に対する嫉妬」という。私が知る限り、いわき市民の多くはときわ会を高く評価している。医療関係者の中でも、ときわ会に好意的な人は少なくない。いわき市内で開業する医師は「このままではいわきの医療はジリ貧です。ときわ会のような元気なグループが、この地域が生き残るために必用です」という。ただ、業界団体がまとまると、「一人勝ちを許さない護送船団方式」となってしまう。福島県やいわき市の行政は彼らの意向を忖度する。

■行政に求められる「市民目線」
私はこのような土壌こそ、福島の復興が進まない本当の原因だと思う。福島県もいわき市も市民目線で考えず、強力な政治力を有する業界団体の都合を優先する。地元紙は、知っていながら、一切報じない。この結果、市民は問題点に気づかない。

有望な病院経営者は、やがて県外に進出する。郡山を拠点にする南東北病院など、その典型だ。2012年には、220億円を投じ、川崎市に新百合ヶ丘病院(377床)を開業した。2018年9月には大阪の難波に「大阪なんばクリニック」を開設する。ときわ会も、このままでは、早晩、いわき市から重点を移すことになるだろう。福島県民にとって、それでいいのだろうか。

いわきの医療は崩壊しつつある。待ったなしだ。地域で情報を共有し、市民目線で議論しなければならない。



http://www.medwatch.jp/?p=13949
2018年度診療報酬改定で、DPC病棟における持参薬管理の評価を—全自病
2017年5月30日|2018同時改定 MedWatch

DPC病棟において、患者の持参薬を鑑別し、処方の指示や服薬管理を行うことを評価する係数を新設する必要がある—。

全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長・兵庫県)は、25日の定例記者会見でこのような要望を2018年度の次期診療報酬改定に向けて行っていく考えを明らかにしました。

ここがポイント!
1 持参薬管理で人的・物的コスト増、DPC係数での評価を
2 医療・看護必要度、内科的治療の拡大などを
3 地域医療構想、自治体病院に偏重した対応は許されない

持参薬管理で人的・物的コスト増、DPC係数での評価を

全自病の改定要望は、出来高110項目、DPC18項目と多岐にわたっています。目立つものをピックアップしてみましょう。

まずDPCでは、18の要望項目のうち▼機能評価係数IIにおける地域医療係数の配分を重くする▼重症度係数を廃止する▼敗血症、播種性血管内凝固(DIC)における診断群分類を細分化する▼川崎病における診断群分類を細分化する▼心不全におけるコーディングルールを見直す(医療資源投入量の多寡で心不全か、原疾患かを選択する)▼持参薬管理を評価する—という6項目を重点要望に掲げました(関連記事はこちら)。

このうち持参薬管理については、全自病が会員DPC病院を対象に行ったアンケート調査(有効回答189病院)から、EFファイルへ持参薬を出力するために「4割弱の病院で最大400万円以上のシステム変更費用が生じた」「薬剤師、医療事務、医師、看護師の業務が増加した」ことなどが明らかになったと指摘。その上で、DPC病棟で持参薬を使用しないメリットは理解できるものの、「廃棄薬・残薬の増加」「採用薬・在庫の増加」「人的・物的コストの増加」「リスクの増加」といったデメリットもあり、「患者の持参薬を鑑別し、処方の指示や服薬管理を行うことを評価する係数を新設する必要がある」と訴えています。

このほか、「再入院7日ルールにおいて、『受傷日が異なる外傷』は対象外とする」「血漿成分製剤輸血は出来高とする」ことなどを求めています。

医療・看護必要度、内科的治療の拡大などを

また出来高では110項目のうち、29項目を重点要望に位置付けました。次のような項目が目立ちます。

▼一般病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度について、「救急搬送後の入院」は3日までA項目に該当することとし(現在は2日まで)、「胸腔鏡・腹腔鏡手術」を5日(現在は3日)・「救命等に係る内科的治療」を3日(現在は2日)までC項目に該当することとする。またC項目に「糖尿病性ケトアシドーシス」「JSD30以上の重症脳卒中」を追加する

▼小児入院医療管理料において、「救急医療管理加算」を出来高算定可能とする

▼リンパ浮腫複合的治療料の施設基準について、「リンパ浮腫指導管理料算定50回以上」などの要件を緩和する

▼栄養サポートチーム加算(週1回200点)を、「週1回400点」に増店する

▼同一日に複数科を初診で受診した場合、2科目を188点(282点の3分の2、現在は2分の1の141点)、3科目を94点(282点の3分の1、現在はゼロ点)とする

▼同一日に複数科を再診で受診した場合の減算を廃止する

地域医療構想、自治体病院に偏重した対応は許されない

また25日の記者会見では、2018年度の予算編成に向けて、厚生労働省や総務省に(1)東日本大震災の被災地における医療提供体制の確保に向けた支援の継続(2)地域医療介護総合確保基金の自治体病院における十分な活用や、地域医療構想の実現に向けて「自治体病院に偏重した対応」とならないような配慮(3)新専門医制度における地域医療への配慮(4)医療事故調査制度の国民への正しい周知(5)診療報酬における消費税について「仕入れ税額控除」措置―などを要望したことも報告されました。

このうち(2)について邉見会長は、「社会保障審議会などで地域医療構想の議論の際、自治体病院がターゲットにされがちである。日本医師会の中川俊男副会長らは『日赤や済生会などの公的病院についても、公立病院改革ガイドラインのようなものを設けよ』とし、公立・公的病院の役割を制限して、地域医療構想を進めるべき旨を主張される。しかし、中川副会長の『地域の実情に合わせて、医療機関が自主的に機能分化を進めるべき』との主張に反する。地方では救急車のほとんどを自治体病院が受けており、『実績』に応じて機能分化を進める必要がある」と強く訴えています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。



http://toyokeizai.net/articles/-/173997
病院の「診療データ」は一体誰のものなのか
改正個人情報保護法施行で問われること

「CBnews」編集部 2017年05月30日 東洋経済オンライン

改正個人情報保護法が5月30日に施行された。医療での個人情報は、診療録や処方せん、検査データといったものがもともと該当するとされていたが、改正法により、その取り扱いがより厳格化されるほか、DNA配列データなどの個人の身体の一部の特徴を電子化したデータなどが「個人識別符号」として新たに定義される。自分の健康情報を把握・活用して意思決定すべきという、いわゆるヘルスリテラシー意識の向上が叫ばれる中で、同法施行をきっかけに、診療データは果たして誰のものなのかや、どう向き合えばいいのかが問われるかもしれない。

「私の受診記録を抹消してほしい」

最近、医療機関に対して「私の受診記録を抹消してほしい」との問い合わせが増えている。

診療録、いわゆるカルテについては、医師法24条で、「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と規定され、さらに同条で診療録は、「五年間これを保存しなければならない」と定められている。

毎日、外来患者3000人弱を受け入れている虎の門病院(東京都港区)では、患者が診療録の抹消を求めてきた場合、法律によって保存義務があると丁寧に説明している。

同病院事務部の北澤将次長は、「法改正で取り扱う情報が5000人分以下の事業者も対象になりますが、当院はもともと、対象医療機関でしたので、直接的な影響はなく、個人情報へのスタンスは従来と変わりません。しかし、法施行をきっかけに『私の受診情報がどのように扱われているのか』といった照会が増えてくると予想しています」と話す。

カルテの保存期間については、保管スペースの関係で5年を経過したら破棄している医療機関もあるが、虎の門病院では、医療の継続性を担保するために院内で定めた一定期間保存している。北澤次長は、「カルテは誰のものかというと、患者さんのものでもありますが、そのファイルは病院のものですし、私たちのスタッフが記載していますので、カルテの所有権自体は、病院のものと言えると思います」と話す。

しかし、電子化された「診療データが誰のものか」という問いに対して、今は多くの医療機関で電子カルテ化に伴いデータ保存されているため、その判断はより難しくなっている。

患者にとって、診療データが個人情報だという意識が高まれば、自分の情報なのでより気軽に開示してほしいとの要望も出てくるかもしれない。

個人情報保護法に詳しい橋本愛弁護士はカルテについて、「患者さんご自身の個人情報が記載されているものではありますが、病院自体にそれを保存する義務があるという点で、他の個人情報とは異なる特殊性があります」と指摘する。

個人情報とは、生きている人間の情報のことを指し、家族歴が含まれれば別だが、その人が死んでしまうとその情報は、個人情報に該当しない。これを踏まえて橋本弁護士は、こう続ける。

「個人データの消去について、改正法で個人データの消去の努力義務が定められました。その個人データを利用する必要がなくなったときには、遅滞なく消去するように努めなければなりません。しかし、その患者さんが生きている間は、いろいろな病気にかかる可能性があり、病歴は非常に重要ですので、安易に削除することはできません。『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)』には、個人データの消去の努力義務について、『法令の定めにより保存期間等が定められている場合は、この限りではない』と記載されていますので、カルテに記載された個人データについても消去の努力義務の対象外になると考えられます。患者さんから削除要請があったとしても、カルテには保存義務があることを丁寧にご説明せざるを得ないと思います」

カルテを含めて診療データの消去は医療機関にとって、大きな負担になる。例えば紙のカルテの場合、消去するには溶解する作業が必要になったりもするほか、電子カルテでもその患者が死亡するなどした場合、その分の個人情報を抽出する作業の手間も小さくない。

重要性増す医療者と患者の協働の意思決定

診療データは誰のものなのか、そして、どのように向き合えばいいかを考える上で、医療者と患者との関係性で注目されつつある、「協働の意思決定(Co-production)」という考え方がカギになりそうだ。

東京女子医科大の山口直人教授は、日本医療機能評価機構の医療情報サービスMinds(マインズ)事業で2002年度から、エビデンスに基づく診療ガイドラインの普及推進に携わり、診療ガイドラインを通じて医療者と患者が協働の意思決定をする重要性を訴え続けている。山口教授は、診療データについても、それに基づき医療者と患者が協働の意思決定をすべきだと指摘する。

山口教授は「私が医師になった1970年代、患者に診療情報を伝えると、かえって不安になるので、『伝えないで治療してしまおう』というような風潮がありました。私が国立がんセンター(現在の国立がん研究センター)にいたころは、がんを告知するという言葉がありました。今は、ほとんど使われなくなりましたが、告知すると医学的に患者の状態が悪くなることもあって、患者に診療情報を伝えないこともありました」と、当時を振り返る。診療データは誰のものかという問い掛けが起こる今に比べると、隔世の感がある。

ちょうど70年代の海外。「医原病」という言葉が生まれ、医療行為が原因で生ずる疾患を問題視するムーブメントが強まった。それらをきっかけに、海外から患者の自由意思を尊重するためのインフォームドコンセント(説明と同意)という考え方が入ってきた。今、少しずつ医療の現場で浸透し始めている協働の意思決定という考え方は、インフォームドコンセントとは別のもので、患者の意思を尊重する次のステージと言える。

山口教授は、「どんな治療も検査も、望ましい『益』と好ましくない『害』があります。患者さんごとに、『益』と『害』のどちらに重みを付けるかが違ってきます。医師は診療データなどを丁寧に説明し、患者さんが適切に判断できるようにする役割があります。これからの医療では『益』と『害』のバランスで、協働の意思決定をするのが望ましい形ではないかと思うのです」と話す。

「診療データを冷静に受け止めることが大事」

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者の電話相談などの活動を続ける認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の山口育子理事長は、ヘルスリテラシー意識の向上が、重要な課題の一つになっていると考えていると話す。その上で、「患者それぞれが自分の診療データを客観的、かつ冷静に受け止めることが大事」と強調する。

COMLで電話相談を始めた90年ごろは、医療の専門的なことは分からないという患者が多かったが、最近は大きく変化して、尊大な態度の患者も出てきたという。インターネットなどにあふれる情報に振り回されていることも背景にありそうだ。ある男性は、たまたまネットで検索して自分と同じ病気に対する薬剤の情報を知り、そこに書いてあることをすべてうのみにして、診察した医師がその薬剤を処方しなかっただけで、「やぶ医者」だと言ってきたというのだ。

山口理事長は、こう話す。

「ネットなどで知った誤った情報をまるで武器のようにする患者さんもいます。患者さんが一度、自分なりの解釈をしてゆがめられた情報がインプットされると、それを解きほぐすには相当なエネルギーを要します。ヘルスリテラシーはすごく大事ですが、その前提として医療には正しい一つの答えがあるわけではなく、不確実性と限界があることを認識する必要があります」

最後に山口理事長は、「私は27年間、COMLで電話相談などの活動をしてきました。一人の患者として何が変わったかというと、医療に過度な期待は、一切しなくなりました。でも、医療に対してあきらめもしていません。どうすれば医療の力を借りることができるのか、どのようなことなら医師に聞いて答えてもらえるのかをある程度、取捨選択できるようになりました。これは翻ると、冷静に医療を受けられるようになったのかなと思います。これがヘルスリテラシー意識の向上につながるのだと考えています」と述べた。

(文:君塚 靖)



http://www.nikkei.com/article/DGXKZO17049160Q7A530C1MM8000/
医療の改革なぜ慎重? 患者、我々しか守れない 医師16万人のトップ 横倉義武氏
それぞれの責任(2)

2017/5/30付日本経済新聞 朝刊

 総額40兆円を超える医療費は毎年数千億~1兆円程度増え続ける。医療制度の改革は待ったなしだ。そんな医療分野で大きな影響力を持つのが約16万8千人の会員を抱える日本医師会。選挙での集票力も依然強く、医療費抑制の「抵抗勢力」ともみられている。改革の必要性をどう考えるのか。横倉義武会長に聞いた。

■負担まだできる

 ――医療費が膨らみ、給付と負担のバランスが崩れてきています。国民皆保険制度は危うい状況です。

 「私はそう考えていない。国が大きな借金を負っているのは事実だが、基本的に国民生活を支えるために必要なお金は、国民が等しく負担すべきだ」

 「家計の金融資産は約1700兆円、企業の利益剰余金(内部留保)は約380兆円ある。一部にお金がたくさんあって、広く国民生活を支える部分への配分が十分ではない」

 ――消費税を上げたり、富裕層や企業に増税したりするという意味ですか。

 「消費税だけでなく、所得税など必要なところは上げていかなければならない。企業には様々な税制優遇がある。そうした面もしっかり見た方がいい」

 「医療の役割は国民の健康を守ることだ。それにはコストがかかる。負担が将来大きく増えるのではないかという国民の不安があるのも事実。その時々で負担を可能にしていくことが課題だ。日本は公的医療保険による皆保険制度を作ってきた。これは支え合いの気持ちでできたものだ」

 ――制度が始まった時点と現在とでは人口構成も大きく変わり、高額な薬剤なども登場しています。

 「私は会長になってから経済と医療提供のバランスをどう取るかをいつも考えてきた。今は価格が高い抗がん剤でも使用者が増えれば当然下がってくる」

■抑制実績に自信

 ――それでも給付も抑制すべきです。過剰診療を抑えるため、受診時に定額を払う「ワンコイン」負担などが検討課題です。

 「ワンコインを一律で導入するのは少し早すぎる。もちろん、いきなり大病院に行くというのはできるだけやめた方がいい」

 「2006年、11年に国民医療費の将来推計が出ている。たとえば06年推計では15年度に44兆円、11年推計では同45兆7千億円としたが、実際には41兆5千億円で済んでいる。不要な医療費はできるだけ減らそうとしていて、それは実績に表れてきている」

 ――医師会は医療のことは専門家の自分たちが決めることに常にこだわりを持っています。それが改革への「抵抗勢力」のように映るのではないでしょうか。

 「利益団体のようなイメージを持つ人もいるだろう。確かにそういう歴史もあった。ただ医師会の綱領は『国民の健康を守ることが重要』とうたっている。患者の権利より政府の方針を優先するようなことがあったときに、専門家としての倫理で対抗するためだ」

 ――そのわりに政治家への献金が多くないですか。

 「日本の医療提供体制は素晴らしいといわれているが、これを変えようという動きがどうしてもある。それを阻止するには政治の力がいる。ダメなものはダメと言うためにも、政治家と良い関係はつくっておかないといけない面はある」

■医師偏在、解消に向かう

 ――地域によって人口あたりの医師数に大きな差があったり、特定の診療科に偏っていたりという「医師の偏在」が問題になっています。本当はもっと医師を増やしてもいいのでは。

 「『総数としては不足ではない』というのが医師会の公式な考えだ。人口対比で見た場合、たとえばドイツでは医師が保険医として働ける期間に一定の決まりがあるが、日本は能力があれば何歳になっても仕事ができる。一概に人口対比だけで判断するのは難しい」

 「ただ、偏在の問題は危惧している。医学部の入学枠に(一定期間の地域での勤務を義務付け、代わりに奨学金を出す)『地域枠』が設けられた。年間定数を1千人以上増やし、昨年からやっと卒業生が出てきた。地域間の偏在はここ10年間で相当解消するだろう。診療科の偏在についても医師としてのやりがいという意味で、地域に不足する診療科があるならそこに行こうと判断できるようになり、解消していくだろう」

 ――全医師が加入する組織が必要とする内部の報告書がまとまりました。

 「現在の加入率は56%くらいだ。強制入会というと反対する人はずいぶんいるだろう。意見は分かれるところだが、私個人としては地域で診療する医師は皆加入した方がいいと考える」

 ――加入率の低下で力が発揮できなくなることを危惧しているのですか。

 「それはやはりある。組織内候補を出している参院選挙などで皆の力を結集したいという思いはある」

 よこくら・よしたけ 1969年(昭和44年)久留米大医卒。専門は外科。福岡県医師会会長、日本医師会副会長などを経て2012年から会長。10月からは世界医師会の会長も務める。72歳。

<聞き手から> コスト抑制策、医師会は提言を

 医療費などが青天井で増えていけば、とても今の社会保障制度はもたない――。これが取材班の認識だ。社会保障の給付と負担のバランスはすでに崩れかけていると考えるが、横倉氏の「そう考えていない」という発言は意外だった。

 誰でも必要な時に必要な医療を受けられる皆保険制度は守るべきだ。ただ、横倉氏の言う「相互扶助の精神」だけで解決するのか。今のままでは国民医療費は50兆円を超えるのも時間の問題だ。医療の効率化に加え、自由に受診できる「フリーアクセス」への一定の制限といった「給付」の方にももっと切り込んでいく必要があるのではないか。

 たとえ皆保険制度を守っても、莫大な借金という形で将来世代にツケを残しては意味がない。医師会は「専門家集団」としてコスト抑制策についても、もっと提言してほしい。(井上孝之)



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO17045690Z20C17A5EE8000/?n_cid=SPTMG002
砂上の安心網それぞれの責任(2)医師偏在、解消に向かう
2017/5/30付日本経済新聞 朝刊

 ――地域によって人口あたりの医師数に大きな差があったり、特定の診療科に偏っていたりという「医師の偏在」が問題になっています。本当はもっと医師を増やしてもいいのでは。

 「『総数としては不足ではない』というのが医師会の公式な考えだ。人口対比で見た場合、たとえばドイツでは医師が保険医として働ける期間に一定の決まりがあるが、日本は能力があれば何歳になっても仕事ができる。一概に人口対比だけで判断するのは難しい」

 「ただ、偏在の問題は危惧している。医学部の入学枠に(一定期間の地域での勤務を義務付け、代わりに奨学金を出す)『地域枠』が設けられた。年間定数を1千人以上増やし、昨年からやっと卒業生が出てきた。地域間の偏在はここ10年間で相当解消するだろう。診療科の偏在についても医師としてのやりがいという意味で、地域に不足する診療科があるならそこに行こうと判断できるようになり、解消していくだろう」

 ――全医師が加入する組織が必要とする内部の報告書がまとまりました。

 「現在の加入率は56%くらいだ。強制入会というと反対する人はずいぶんいるだろう。意見は分かれるところだが、私個人としては地域で診療する医師は皆加入した方がいいと考える」

 ――加入率の低下で力が発揮できなくなることを危惧しているのですか。

 「それはやはりある。組織内候補を出している参院選挙などで皆の力を結集したいという思いはある」



https://news.biglobe.ne.jp/trend/0530/sgk_170530_5386151720.html
60歳以上の医師 全体で23.5%、“町医者”では44.5%
NEWSポストセブン5月30日(火)7時0分

 主治医の年齢が60歳以上になると患者の死亡率が急上昇する──米ハーバード公衆衛生大学院の研究者で内科医の津川友介氏らが、英国の医学雑誌の権威『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』(5月16日付)に発表した論文の要旨である。

 津川氏らは、2011〜2014年に内科系の疾患で米国の病院に入院した65歳以上の患者約73万人の主治医1万8854人について、年齢や性別、どの大学を何年に卒業したか、どんな医学研修を受けてきたか、といった経歴が、患者の「30日死亡率」(入院してから30日以内に死亡する割合)にどう影響するのかを検証した。

 その結果、「年齢」に関して驚きのデータが出た。40歳以下の若手医師が担当したケースの30日死亡率が10.8%だったのに対し、40代だと11.1%、50代なら11.3%となった。さらに60歳以上になると12.1%と、主治医が高齢になるにつれて死亡率は上がっていったのである。

 人口全体の高齢化に伴い、日本では医師の高齢化も着実に進んでいる。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば、60歳以上の医師の人数は、2004年で5万1870人(医師全体の20.3%)だったが、2014年には6万9857人(同23.5%)まで増加。今では日本の医師の4人に1人が60歳以上。70歳以上の医師は2万6725人で全体の9.0%にあたる。ベッド数が19床以下の診療所(町医者)になると、60歳以上の割合は44.5%にまで跳ね上がる。米国の医療事情に詳しい医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。

「津川氏らの研究はあくまで米国人に対するものです。日本と米国では医療システムや医師の仕事内容が異なるため、一概に日本の医療事情にあてはめることはできない。

 しかし、医師の年齢が医療に与える影響が大きいことは日米で共通しています。一般的には日本でも、60歳を過ぎた医師はそれまで勤めていた大学病院を退職して個人医院を開院するといったことがきっかけで診療数が減ったり、大学病院に残っても後進の指導が忙しくなったりすることで、新たな知見を学ぶ機会が少なくなると考えられている。

 医師の高齢化は、日本の医療全体の地盤沈下をもたらすリスクを孕んでいる。患者は自衛策として“医師を選ぶ”という視点がこれまで以上に必要になってくる」

 経験豊富なはずの老医師が抱えるリスクは確かに存在する。米国では1〜2年(州によって異なる)で医師免許の更新があるように、日本でも医師の高齢化に対処するための議論が活発に行なわれるべきではないだろうか。

※週刊ポスト2017年6月9日号

Physician age and outcomes in elderly patients in hospital in the US: observational study.
Tsugawa Y, Newhouse JP, Zaslavsky AM, Blumenthal DM, Jena AB.
BMJ. 2017 May 16;357:j1797. doi: 10.1136/bmj.j1797.
PMID: 28512089 Free PMC Article
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28512089



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201705/551435.html
コラム: 色平哲郎の「医のふるさと」
新専門医制度、地方の現場は依然強い懸念

2017/5/30 色平 哲郎(佐久総合病院)日経メディカル

 地方で診療に携わる医師の目から、日本専門医機構と各学会が来年度の「再スタート」に向け準備を進めている新専門医制度を見ると、懸念材料が多々ある。

 同機構の吉村博邦理事長が4月24日、厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」に示した資料によれば、専門医制度の主役は「国民と専攻医(後期研修医)」だとされている。卒後2年間の初期臨床研修は必修化されたものの、その後の系統的(標準的)な専門研修の仕組みを欠いたことで、「フリーター医師」(十分な専門研修を受けない医師)が増加した点を指摘。基本的な診療科については、初期研修修了後に全員、3年間程度の専門研修を行ってほしいと述べている。

 このことは「患者、国民の希望」なのだという。確かに多くの国民は、疾病に対する知識や診断の正確さなどを医師に求めている。しかしながら、初期研修を終えた貴重な若手医師たちを、専門医研修のプログラムが組める大学病院や都市部の大病院などに3年間も囲い込みかねないような仕組みを、本当に国民は求めているのだろうか。若手医師が地方の第一線、中小病院から大病院にごっそり移りかねない新制度を期待しているのだろうか。

 全国市長会は4月12日、「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」を厚生労働大臣に提出した。この要望書では、以下のような懸念が表明されている。

(1)中小病院が危機に陥る懸念
 すべての医師を機構の認定する専門医に振り分けるとなると、専門外の診療を敬遠する傾向が生まれ、多くの専門科を整備できない中小病院での診療が困難になる。小規模自治体の地域医療が崩壊する危険に対する議論がなされていない。

(2)地方創生への逆行と医師偏在助長への懸念
 同機構は、専攻医を研修施設の連携病院に派遣することで、地方の医療崩壊を回避できると主張するが、派遣期間は短く、そもそも地域医療の底辺を支える中小病院が研修施設の認定を受けることは現実的に困難。1つの県の中でも大学病院所在地と郡部の小規模自治体との格差は顕著であり、新制度で過疎地域の医師不足が助長される。

(3)医師の診療活動開始年齢の遅延とコスト増大への懸念
 6年間の医学部の学生生活に加え、5年以上の研修を積まないと専門医として第一線に立てないとなれば、結果的に地方の医師不足に拍車がかかる。あらゆる疾患への専門的な検査や診療がなされれば、医療費増大による財源問題も浮上する。

 さらに要望書では、「フリーの立場で地域医療に貢献する医師たちの権利・自由も尊重されるべき」といった点も指摘。総合的に診ることができる医師を育てるという初期研修制度導入時の理念に立ち返り、まずは初期研修を含め医学教育を見直すところから始めるべきだ、と訴える。

 機構側は、様々な批判を受けて、研修施設の基準を緩和したり、大都市部への専攻医集中を回避するための対策を打ち出してきたが、根本的なスキームは変わっていない。

 塩崎恭久厚生労働大臣は昨年6月、「地域医療を崩壊させることのないよう、一度立ち止まって集中的な精査を早急に行うべき」とする談話を発表し、これが契機となって制度開始の延期が決まったが、全国市長会が緊急要望を出したように、特に地方の医療現場の懸念は依然として強いものがある。ここでもう一度立ち止まり、「患者、国民」を含めた根本的な議論を行うことが必要ではなかろうか。



http://www.medwatch.jp/?p=13913
論理的に考え、患者に分かりやすく伝える能力を養うため、専門医に論文執筆は不可欠—医学部長病院長会議
2017年5月29日|医療現場から MedWatch

専門医の資格要件の1つに「論文執筆」や「学会発表」が盛り込まれることが多いが、不明な症例について原因や治療法を論理的に考えて探っていく能力、また患者に分かりやすく状況や治療内容などを伝える能力を養うためには不可避である—。

全国医学部長病院長会議は26日に緊急記者会見を開き、全国市長会による「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」への反論をし、その中で上記のような考えを強調しました。

ここがポイント!
1 複雑な症例をどうすれば治せるのかを「論理的に考える」ことが医師の務め
2 新専門医制度、「地域の医療機関に医師を循環させる」システム

複雑な症例をどうすれば治せるのかを「論理的に考える」ことが医師の務め

新専門医制度については、日本専門医機構と関係学会が共同し、「質の確保」と「地域医療への配慮」の両立に向けた検討を進めていますが、全国市長会などから「さらなる地域医療への配慮が必要」という要望が出されています。このため、塩崎恭久厚生労働大臣は省内に「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、地域医療への配慮に向けた対応を議論しています(関連記事はこちらとこちらとこちら。

25日に開かれた検討会では、日本内科学会から「どのように地域医療への配慮をしているか」が詳細に報告され、検討会構成員から称賛の声が上がる一方、立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)から「内科学会の配慮は素晴らしいが、専門医資格取得要件の中に『論文』発表を含めている点に違和感を覚える」といった指摘もなされています(関連記事はこちら)。

この点について全国医学部長病院長会議の新井一・会長(順天堂大学学長)は、「症例報告は医師の原点である。珍しい症例を解析して、そこから普遍的な原理を見出すことは医師に必要な能力である。また自分の治療内容を反芻し、正しいのかを検証することも重要である。論文の本数については議論があると思うが、決してスキップしてはいけない」と強調。

また日本専門医機構の副理事長でもある山下英俊・専門委員長会医学教育委員会委員長(山形大学医学部長)も、「論理的に考え、患者が分かるような表現で説明するために論文執筆は欠かせない。複雑な病態に直面したとき、原点にかえってどうすれば治せるのかを論理的に考えなければいけない。ただ患者を診ていればよいというのは暴論ではないか。地方学会では、大学病院以外の病院に勤める医師も多く発表しており、これを求めている。患者に役立つ医師になるために、論文執筆は必要である」との考えを示しました。
さらに同会議の稲垣暢也・広報委員会委員長(京都大学医学部附属病院病院長)も「学会発表ではその場で終わってしまう。論文にすれば(形として残り)次につながる」と、論文執筆の重要性を説明しています。

新専門医制度、「地域の医療機関に医師を循環させる」システム

また新井会長は、全国市長会などには「大学病院への誤解」があるのではないかとし、次のような反論も行っています。

(1) 全国市長会は「新専門医制度で中小病院が危機に陥り、地方創成に逆行する」としているが、研修プログラム制は「地域の病院に医師が循環する」ことを担保するもので、またカリキュラム制を柔軟に取り入れる形で地域医療に配慮している

(2) 全国市長会は「2年の初期臨床研修で十分」な旨を述べているが、現在の2年間の卒後臨床研修(初期研修)で一人前の医師となり、診療を行うことは危険である。それこそ国民の理解が得られるのだろうか

(3) 全国市長会は「初期臨床研修導入時に立ち返り、PDCAで考えるべき」と主張するが、まさにその通りで、初期臨床研修への反省をもとに生まれたのが、現在の「新専門医制度」である。初期臨床研修制度が医療崩壊を招いたというエビデンスもあり、その点に関する議論を行うことはやぶさかではない

(4) 全国市長会は「若手医師に医局生活を理不尽に強いる」とするが、何十年の前の「白い巨塔」の発想で大学病院を捉えてもらっては困る。現在の大学病院は、地域の病院への医師派遣などを初め、地域医療にしっかり取り組んでいる

(5) 全国市長会は「専門職自律(プロフェッショナルオートノミー)という国民不在」と指摘するが、プロフェッショナルオートノミーは患者の命を預かる医師の根本の行動規範であり、これをベースに専門医機構が制度構築することは理に適っており、国民不在という指摘は当たらない

全国市長会を初め、厚労省検討会でも「地域医療への配慮」という指摘が出されますが、同会議の島田眞路・専門医に関するワーキンググループ座長(山梨大学学長)は、「地域医療の崩壊は初期臨床研修制度で始まった。山梨大学では、相当数の卒業生が東京に行ってしまい、医師確保に難渋した。そこで行政や大学医学部などで地域の医療機関に医師が循環するような仕組みとして、現在の専門医制度を作ってきた。もう少しで『質の担保』と『地域医療への配慮』を両立する良い仕組みができるところである」と強調し、新専門医制度への理解を求めています。



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/433008
治療の実施率 都道府県で濃淡
2017年05月27日 18時11分 佐賀新聞/共同

治療の実施率 都道府県で濃淡
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■東北大院教授、ビッグデータ10億件分析 

 医療機関の受診時に発行されるレセプト(診療報酬明細書)に記された患者のビッグデータについて、東北大大学院の藤森研司教授(医療政策学)が2015年度の約10億件を分析したところ、都道府県の間で病気やけがの治療の実施率に濃淡がみられることが分かった。地域によって医療提供が過剰だったり、逆に必要な医療が不足したりしている可能性がある。分析結果は政府の経済財政諮問会議に報告された。政府は医療ビッグデータの活用を進め、こうした地域差の解消を図って平準化し、医療費の抑制につなげる方針だ。

 分析では、全国平均を指数100として比較。胃に直接栄養を注入するため腹部に穴を開ける「胃ろう」の造設は、最も低い静岡県が69なのに対し、最高の沖縄県は185で2・68倍。佐賀県は119だった。

 MRI(磁気共鳴画像装置)による撮影や、人工透析でも2~3倍の地域差があった。

 これまで1人当たり医療費については地域差がみられるとの指摘があったが、高齢化率の違いが要因と説明されてきた。

 藤森教授は今回、地域ごとの年齢や性別の偏りを調整した上でレセプトを精査し、約1500種類の治療項目を分析。その結果、高齢化率の影響を取り除いても、項目によっては実施率に地域間でばらつきがあった。実施率が高いほど医療費は膨らむ。

 4月に開かれた諮問会議では、民間議員が治療実施の地域差を問題視。各都道府県に地元医師会や健康保険組合などが協議する場を設け、住民の受診行動や医療機関の診療行為の変化を促すべきだと提案した。

 分析データは内閣府ホームページに掲載。治療項目ごとに都道府県別、市町村別に示している。【共同】

■何が適正医療か議論を

 データを分析した藤森研司・東北大大学院教授の話 地域によって有病率が明らかに違う病気もあるが、ほとんどは有病率に地域差はなく、行われるべき医療にも違いはないはずだ。平均値の100を挟んで大きくぶれている都道府県は、過剰に医療が介入しているか、逆に提供体制が不足している可能性がある。何倍もの地域差は縮小すべきで、まずは「何が適正な医療か」という議論をしなければならない。医療費は主に公費や保険料で賄われている。医療関係者や患者に行動変化を促すための資料として提示した。

■データの分析方法

 電子レセプト(診療報酬明細書)を患者が特定できないよう匿名化した国の「レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)を基に、2015年度に保険診療で扱った約10億件について、都道府県ごとにレセプトを分析した。「件数」で比べると、高齢化率が高い地域では特定の治療項目が多くなったりするため、高齢化の影響を除く調整をデータに施した上で指数化し、比較した。医療機関の所在地ごとに集計し、都道府県をまたぐ患者の流出入は考慮していない。


  1. 2017/05/31(水) 05:59:52|
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