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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月18日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201705/551217.html
特別対談◎渋谷健司氏×神田裕二氏
労働環境の改善が医師偏在を解消する

2017/5/18 日経メディカル

 短時間労働や時差勤務の導入といった勤務体系の見直しや、医師の業務を他職種に移管する「タスクシフティング」の推進など、医療従事者の働き方について多岐にわたる提言を厚生労働大臣に行った「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」。その座長を務めた渋谷健司氏と、厚労省で医療政策の司令塔を務める医政局長の神田裕二氏に、医師の働き方改革のあるべき姿を話し合ってもらった。(司会は日本経済新聞・庄子 育子)

──今回、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が設置された経緯を改めて伺えますか。


神田 裕二氏
1982年東京大学法学部卒、同年旧厚生省入省。国民健康保険課長、保険局総務課長、医薬食品局長などを経て、2015年から医政局長。(写真:陶山 勉)

神田 2015年末に立ち上がった「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会では、医師偏在対策が最大のテーマとなり、医学部定員の扱いを今後どうするかを決める必要もあって、限られた時間ではありましたが医師の需給推計を実施しました。そこには医療提供体制の将来像を示す「地域医療構想」を前提とした医師の配置や、今よりゆとりを持った医師の働き方を一応は織り込んだのですが、昨年6月の中間取りまとめで、医師の働き方の実態把握が不十分だという指摘を受けました。

 そこで医師の働き方の実態を把握するため新たな全国調査を行うことに加え、外来医療の将来像や女性の働き方の変化など「新たな医療の在り方を踏まえた医師の働き方ビジョン」を策定して、それを基に医師需給を推計し直すよう宿題を出されたということです。

──ビジョン検討会の設置に当たっては、医師需給分科会などでの議論をいったんストップさせたことに加え、議論が非公開となったことが各方面から批判を浴びましたね。

渋谷 非公開というと聞こえが悪いですが、ビジョン検討会の構成員の人たちには、所属する団体への配慮などから言えないことも遠慮なく話してもらえるように、誰がどの発言をしたかについて表に出さないルールにしただけです。これは国際的にはよく用いられるルールです。また、検討会での議論内容や資料は全てオープンにしています。医療関係者やメディアから議論の中身が見えないという批判があったことは承知していますが、新しい発想で自由闊達な議論ができたことは、4月にまとめた報告書でご判断いただけると思います。

偏在解消に強制措置は不要?

──その報告書の中身について伺います。やはり医師の偏在対策がポイントになると思いますが、医師需給分科会の中間報告では従来の対策の限界から一定の規制の必要性が示されているのに対し、ビジョン検討会の報告書は逆に規制的手段を否定する内容になっています。どうしてでしょう。


渋谷 健司氏
1991年東京大学医学部卒。帝京大学講師、世界保健機関コーディネーターなどを経て、2008年から東京大大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授。一般社団法人JIGH理事長も務める。

渋谷 今回の議論ではファクトを重視しようということで、医師の働き方に関する10万人規模の実態調査を実施しました。これは厚労省としても初めての試みで、非常に画期的だったと思います。そこで結果として上がってきたのは、やはり医師の過重労働が構造化しているということだったのですが、一方では条件さえ合えば、地方に長く勤務してもいいという若い医師が多いことも明らかになりました。その割合は若い医師ほど高く、20歳代では60%が「地方で勤務する意思がある」と回答していました。

 ということは、地方に行ってもいいと考える医師が実際にはなぜ行かないのかを明らかにする必要があるわけです。実態調査でそれを見ると、専門性を追求したい20歳代では、地方に行くと専門医が取れないのではないかという危惧がやはり大きい。これが30~40歳代になると、子どもの教育環境が整っているかに変わります。そして全ての年代に共通するのが、過酷な労働環境や希望する内容の仕事ができないことへの不安です。

 そうした部分のサポートを十分せずに規制的な手段を講じても、持続可能な解決策にはならないでしょう。医療界に特有の構造的・制度的な問題や非近代的なマネジメントを解消することが先決ではないか、というのが今回の考え方です。

──社会保障審議会の医療部会では、医師不足地域での一定期間の勤務を病院管理者の要件にすることなどが検討されていましたが。

神田 確かにそういう議論はありましたが、職業選択の自由や営業の自由の規制につながる話なので、法制的な面でクリアすべき論点がまだ残されています。ただ、実態調査で明らかになったように、若い医師が地方に勤務する意思を持っているにもかかわらず、専門医が取れないことや労働環境への不安、やりたい仕事ができないことなどがネックになっているとしたら、それを実現できるように徹底的に支援してみる価値もあるのではないか。今回の報告書の取りまとめを受けて、そう思っているところです。

働き方ビジョン検討会の報告書に盛り込まれた主な項目
(*クリックすると拡大表示します)
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医師の業務担う新職種創設も

──医師の業務を他職種に移管する「タスクシフティング」や、業務の共同化である「タスクシェアリング」の推進も、報告書のポイントの1つかと思います。それに絡めて、簡単な診断や処方、外科手術の助手、術後管理などを担う「フィジシャンアシスタント(PA)」の創設を提言していますね。

渋谷 今回の報告書を通してのキーワードは、高生産性と高付加価値です。生産性の向上という観点では、医師が本来の業務に従事できる環境を整えることが重要ですが、それを実現する手段としてPAを強調したということはあります。

 一方で、看護師の業務を拡大していくという方向性も考えられます。特定行為研修制度の範囲を大きく広げて診療看護師のような資格を設けるなど、PAに限らず医師の業務をシフト、シェアできる人材の育成が大事だということを訴えたわけです。

──生産性や付加価値の向上という点から、報告書ではテクノロジーの積極的活用・推進にも触れています。

渋谷 これからの医師の働き方、看護師の働き方を語る上でテクノロジーの活用は絶対に欠かせないので、報告書の後半にかなり詳しく書き込みました。特に遠隔診療は、医師の偏在対策にも資する可能性が高く、積極的に推進していく必要があると考えています。またAI(人工知能)は、ここ数年で実現に向けて大きく動くのではないかと思っています。実際、総務省の「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会」の議論を受けて、厚労省もいろいろなことを進めていると聞いていますから。

神田 医師にとって、へき地勤務のネックの1つは孤立する不安だと聞いていますので、自分の専門でない患者も遠隔診療でしっかりバックアップしてもらえることは非常に大事だと思います。AIについては、画像診断や見守りなどの分野で省力化が図れるので、本当に人間でなければできない仕事に医師に注力してもらうためにも、どんどん進めるべきだと考えています。

──そこに診療報酬は付きますか。

神田 診療報酬は保険局の所管になりますが、中央社会保険医療協議会では2018年度改定のテーマとして、遠隔医療やAIなど新たな技術への対応が挙がっています。診療報酬も、そういうテクノロジーの進歩を踏まえたものにだんだん変わっていくんだろうと思っています。

5~10年で提言内容の実現を

──最後に、ビジョン検討会の報告書の内容を実際の政策にどう反映させていくべきかについて、ご意見をお聞かせください。

渋谷 報告書の最後の「提言の実現に向けて」という項にも書いたのですが、ここで提言した内容は、5年から10年程度で順次実現されることを期待しています。また、すぐできることについては今走っている審議会や検討会で、報告書の内容を踏まえ具体的に進めていただきたいですね。特に医師需給や専門医の議論に関しては、できるだけ報告書の内容を踏まえてやっていただきたい。ビジョン検討会では短期間に15回もの会合を持ち、議論を積み重ねてきました。それを無駄にすることなく、ぜひ実現してほしいと思っています。

神田 行政としては、報告書の内容を踏まえ、既にある検討会や審議会では鋭意検討を進めていきたいと考えています。また今回、ビジョン検討会では医師の働き方のビジョンを示したわけですが、時を同じくして政府が3月末に取りまとめた「働き方改革実行計画」では、今後2年間で医師の特性に応じた労働時間規制の在り方や労働時間短縮の方策などを検討していくとしていますので、医療界も参加した検討の場が設けられる予定です。そこでも今回の提言内容の多くが検討されることになると思います。

渋谷 今回の報告書は、医師をはじめとする現場で働く医療従事者に読んでほしいと考えています。実は医師には柔軟で多様な働き方があって、これからは国も含めて医療界全体がそれをサポートする方向に向かっていくということを理解してほしい。現場の医療従事者が疲弊せずに、モチベーションを持ってキャリアを形成していける働き方を後押ししていく──。ビジョン検討会の報告書全体を貫くこの考え方を、ぜひ分かっていただきたいと思います。(4月9日収録)



http://www.asahi.com/articles/ASK5K5GB8K5KULBJ00S.html
新専門医制度「医局生活は強いられない」 医学部長会議
野中良祐2017年5月18日00時35分 朝日新聞

 2018年度に開始予定の新専門医制度をめぐり、国立大学医学部長会議は17日、東京都内で記者会見を開き、地域医療への影響を懸念して見直しを求めている全国市長会に対し、「重大な事実誤認がある」として反論した。

 全国市長会はこれまで、新専門医制度によって研修施設となる大学病院や大病院の所在地以外の医師不足が助長されたり、若手医師が論文発表のために医局生活を強いられたりするなどと指摘。4月、制度を進めることに反対する要望書を塩崎恭久・厚生労働相に提出した。

 これに対し、同会議を代表して会見した内木(ないき)宏延・福井大学医学部長は「医学は急速に進歩しており、医師は常に新しい医療を学ぶ必要がある」と述べ、新専門医制度による医師の質の保証や均質化が大学の責務だと説明。「論文発表のような学術活動は医師の日常活動で、医局生活を強いるものではない」と話した。

 また、全国市長会が指摘する医師の偏在の原因については、「2004年に始まった臨床研修制度にあると考えている。大学は所在県の医療機関で、ベストな医師配置を目指して努力している」と語った。(野中良祐)



http://www.medwatch.jp/?p=13692
地域包括ケア病棟、「病院の規模」や「7対1の有無」などと関連させた議論に—中医協総会(1)
5月17日 MEDWATCH

 7対1入院基本料を算定している病院と、そうでない病院とで、地域包括ケア病棟への入棟患者の状況を比較すると、7対1のない病院では「他院からの転院患者」が9割以上となっている病院が多く、地域における医療連携が進んでいると考えられる—。

 17日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会では、このように読める資料が厚生労働省から提示されました。7対1のない病院は中小規模病院に多いことから、こうした点を踏まえ診療側委員は「中小規模の病院で地域包括ケア病棟を設置することが望ましく、点数を有利に設定すべき」旨の見解も示しています。


ここがポイント!

1  7対1を持たない中小病院では、地域包括ケア病棟を地域医療連携に活用
2  回復期リハ病棟、患者の状態や意向を踏まえた「効果」を評価指標とすべきとの声も
3  病床機能報告での機能選択と、診療報酬とはリンクさせていない

7対1を持たない中小病院では、地域包括ケア病棟を地域医療連携に活用

 17日の中医協総会では、2018年度診療報酬改定に向けて▼地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料含む、以下同じ)▼回復期リハビリテーション病棟入院料―を議題にしました。入院医療については4回の議論を行っており、「入院についての論議第1ラウンド」が終了した格好です(関連記事はこちら(入院医療3)とこちら(入院医療2)とこちら(入院医療1))。

 地域包括ケア病棟は、2014年度診療報酬改定で(1)急性期からの受け入れ(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ―の3機能を持つ病棟として新設されました。従前の亜急性期病床から発展してきたものです(関連記事はこちら)。

 厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は、地域包括ケア病棟の入棟元(どこから入院してきたのか)を分析したところ、「半数弱(44.6%)の病院では9割の患者が『自院の他病棟から』(つまり転棟患者)である」一方、「一部の病院では、転棟患者が1割以下(他病院からの転院が9割以上)である」ことが分かったと報告しました。
 
 これを【7対1病棟のある病院】と【7対1病棟のない病院】とで比較してみると、「転倒患者が1割以下(他病院からの転院が9割以上)の病院は、ほぼ【7対1病棟のない病院】である」ことが明確になっています。


 さらに開設者別に地域包括ケア病棟の届け出状況を見ると、地域包括ケア病棟入院料1では、他(入院料2や入院医療管理料)に比べて、▼国立▼公立▼公的・組合—の割合が高くなっています。また、地域包括ケア病棟入院料1を届け出る病院では、7対1入院基本料と組み合わせている割合も高くなっています。


 ここから、▼大規模な急性期病院(7対1病院)では、主に「自院の急性期後の患者受け入れ」に地域包括ケア病棟を活用する▼中小規模の病院では、「他院からの急性期後患者の受け入れ」にも活用する—という大きな傾向があるようにも見えます。そう考えれば、後者(7対1病棟のない病院)では、より「地域医療連携」を意識していると見ることもできそうです。

 診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、こうしたデータを踏まえて「大病院と中小病院で地域包括ケア病棟の使い方が異なるようで、診療報酬上の評価も変えるべきではないか。中小病院で算定しやすくし、高度急性期機能を持つ病院では制約を設ける必要がある」と主張。また同じく診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会副会長)も「地域包括ケアシステムの構築に資する評価を行うべき(つまり他院からの転院患者の受け入れ機能の評価)」と提案しています。今後、「開設者別・規模別」にさらなる分析が行われる予定です。

 もっとも、【7対1病棟のある病院】と【7対1病棟のない病院】とで、地域包括ケア病棟がどれほど異なる医療提供を行っているかをみると、現時点で特段の違いは見えてきません。地域包括ケア病棟の1日当たり請求点数(入院料を除く)を両者で比較すると、いずれにおいても「500-600点」を頂点とする二項分布となっており、大きな違いはなさそうです。「今後、より詳しく医療提供内容を分析する必要がある」と迫井医療課長はコメントしています。

 なお、「機能分化は病棟単位で行われるため、大規模な急性期病院が地域包括ケア病棟を設けても何も問題がないのではないか」との見解もありますが、厚労省保険局医療課の担当者は、「地域医療連携の障壁になる(大病院が患者を抱えてしまう)場面もあり、患者には『急性期治療を終えた後は身近な医療機関に移りたい』との意向も強いという指摘もある」とコメントしています。地方では「中核病院1つが全機能を持たなければならない」ようなケース(その場合には大病院のケアミクスに問題はなさそう)もありますが、少なくとも病院単位での機能分化が可能な都市部では「大規模な急性期病院が地域包括ケア病棟を持ち、院内で機能分化を進める」ことは今後も茨の道が続きそうです。

回復期リハ病棟、患者の状態や意向を踏まえた「効果」を評価指標とすべきとの声も

 回復期リハビリテーション病棟は、2000年度の診療報酬大改定(入院基本料の創設)において設けられたもので、2015年時点で7万5433床が整備されています。

 名称どおり集中的なリハビリを行い、在宅復帰を目指す病棟ですが、「一部の病院では、リハビリの効果を考えず、多くの患者に安直に上限いっぱいのリハビリを提供し、診療報酬を算定している」ことが明らかとなり、2016年度の前回診療報酬改定で「アウトカム評価」が導入されました。回復期リハビリ病棟では疾患別リハビリ料を1人1日「9単位」まで算定できますが、リハビリ効果の低い病棟では「6単位」まで(それ以上は包括)とし、事実上、【リハビリテーション充実加算】の算定を不可能にする仕組みです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。


 この点について支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)や間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「『一律にADLがどの程度改善したか』を見るのではなく、『入棟時の状態』や『改善目標』などを勘案してアウトカム評価を行うべきではないか」と提案しました。厚労省保険局医療課の担当者も「入棟時の状況によって、効果が出るまでに投入するコストなどは異なる」と述べており、今後の検討材料になりそうです。もっとも「改善目標を定めリハビリマネジメントを強化する」ことや「機能回復だけでなく、社会参加なども視野に入れたリハビリを推進する」ことなどは、2015年度の介護報酬改定(関連記事はこちら)、2016年度の診療報酬改定(関連記事はこちら)でも強く意識されており、迫井医療課長もその点を詳しく説明する考えです。また、幸野委員は「回復期リハビリテーション病棟入院料の1-3について、メリハリをつけるべき」などとも要望しています。

 なお、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「2016年度改定で導入したアウトカム評価の効果について検証をしていない。その段階での提案は踏み込みすぎである。安易なアウトカム評価の導入・拡大はモラルハザード(軽症患者や効果の出やすい患者を選別するクリームスキミングの発生)を招く可能性がある」と釘を刺しています。

 回復期リハビリ病棟に関してはこのほかに、「早期からの集中的なリハビリ実施」の評価という論点も掲げられており、これまでの改定と見直し方向は同一と言えるでしょう。また注目される「プロセス評価」については、今回は言及されていません。

病床機能報告での機能選択と、診療報酬とはリンクさせていない

 なお中川委員は、地域医療構想・病床機能報告と診療報酬との関係について「特定機能病院では『すべての病棟を高度急性期で報告しよう』との申し合わせがあったと耳にした。その理由は『高度急性期で報告しなければ、特定機能病院入院基本料を算定できなくなる』という思い込みにあるようだ。これはで、病床機能報告が実態を反映していない恐れがある」とコメントし、厚労省の見解を問いました(関連記事はこちら)。

 これに対し迫井医療課長は、「診療報酬は個別に算定要件・施設基準を定めている。中医協では、『各機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)と診療報酬をリンクさせる』という議論は行われていないことを明確にしたい」と答弁。当面は、「○○機能で報告しているので、◆◆点数は算定できない」(上記のほか、高度急性期・急性期と報告しなければ7対1入院基本料算定できない、ということはない)という状況にないことが改めて明確にされました。



https://www.m3.com/news/iryoishin/529889
中央社会保険医療協議会
地域包括ケア病棟、「大病院の届出、本来の趣旨にあらず」
回復期リハ病棟「患者個別のアウトカム評価」求める声も

レポート 2017年5月18日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は5月17日、2018年度診療報酬改定に向けて、「入院医療(その4)」として、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料と回復期リハビリテーション病棟入院料について議論した(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 地域包括ケア病棟は、地域包括ケアシステムを支える役割を持つ。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「そもそも病床数が少ない中小病院のための入院料設定のはず。しかし、地域包括ケア病棟入院料1の届出の3割以上は、(病床規模が大きいと想定される)国公立・公的病院であり、本来の趣旨ではない使われ方をしているのではないか」と問題提起し、病床機能別の分析を要望した。全日本病院協会副会長の猪口雄二氏も、「地域包括ケアシステムの構築に資するための報酬設定が必要」と求めた。

 回復期リハビリ病棟入院料で議論になったのは、アウトカム評価の在り方。2016年度診療報酬改定では、ADL(FIM得点)の改善度を見るという、アウトカム評価が施設基準に加わった。健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、このアウトカム評価は病棟全体での評価であることから、「患者目線でのアウトカム評価を施設基準に入れてもらいたい」と要望。これに対して、診療側からは、「2016年度改定の結果を見て、次の改定でどうするかを議論していくべきではないか」(中川氏)など、慎重な検討を求める意見が出た。

 地域包括ケア病棟と回復期リハビリ病棟共通の問題として、「在宅復帰率」という言葉の見直しを求めたのは、中川氏。「要件をクリアしているのは、地域連携がうまくいっている現れだが、言葉が実態を反映していない」と指摘、「地域医療連携率」あるいは「医療連携率」への変更を提案。また、回復期リハビリ病棟でも、地域包括ケア病棟と同様に、「在宅強化型」の介護老人保健施設への入所もその割合に加えるべきと求めた。

 地域医療構想と診療報酬との関係についても、中川氏は発言。地域医療構想では2025年の「病床の必要量」と2015年の病床数を比較した場合、「回復期」が少ないが、「回復期病床が不足しているというのが一般常識になっているが、『回復期の患者が行き場がなく、困っている』との指摘は聞かれない」と中川氏は指摘し、急性期など他の病床にも回復期の患者は入院しているとし、「絶妙なバランスで成り立っている」との見方を示した(『急性期指標」、「見える化」の第一歩だが、注意必要』を参照)。

 さらに、地域医療構想の4つの医療機能と、診療報酬が対応しているとの誤解があることから、例えば、大学病院では、「特定機能病院入院基本料を算定できないと思い込んでいる」(中川氏)ために、全病床を「高度急性期」と報告するケースがあるとも指摘。「急性期か回復期かと迷ったら、急性期と報告した方が無難」あるいは「回復期は、回復期リハビリ病棟入院料を算定していないと報告できない」などの誤解の例も挙げ、「地域医療構想と診療報酬の算定は関係ないことを、明確してもらいたい。そうしないと、診療報酬が地域医療構想に『寄り添う』ことができなくなる」と述べ、厚労省保険局医療課長の迫井正深氏に発言を求めた。

 発言を受け、迫井課長は、「診療報酬は、個別に要件を定めている。この場(中医協)で、病床機能報告制度と診療報酬をリンクさせる議論はしていない。また、病床機能報告制度の在り方には、さまざまな課題があると理解している。(厚労省)医政局と連携し、その懸念が払拭させるように議論していきたい」と答えた。

 地域包括ケア、回復期リハとも着実に増加

 地域包括ケア病棟は、2014年度診療報酬改定で新設された。その役割は、(1)急性期からの受け入れ、(2)在宅・生活復帰支援、(3)在宅療養患者などの緊急時の受け入れ――の3つだ。病棟単位の届出が可能な「地域包括ケア病棟入院料」(1と2)、病室単位(許可病床数200床未満)の届出が可能な「地域包括ケア病棟入院医療管理料」(1と2)がある。在宅復帰率は70%以上が要件。届出病床数は年々着実に増え、2016年10月時点で、5万2492床。

 厚労省は、幾つかの分析データを提示。例えば、届出パターンには幾つかの特徴があり、「地域包括ケア病棟入院料1」は、「7対1入院基本料」とのケア・ミックスが多い。患者の流れは、「7対1病棟あり」の場合、「院内の他病棟からの転棟患者」が90%以上を占める病院が約50%で、前述の3つの役割のうち、(1)の「急性期からの受け入れ」がメーンであることが分かる。一方、「7対1病棟なし」の場合、約42%と相違がある。診療科は、内科、整形外科、外科の順で、受け入れる患者の疾患も、最も多いのは骨折・外傷であり、以下、肺炎、脳梗塞など。

 回復期リハリビテーション病棟入院料は、1~3の3段階がある。在宅復帰率は「入院料1」が70%以上、「入院料2」が60%以上、「入院料3」には規定がない。届出病床数は、2015年7月時点で、7万5433床。

 「患者目線のアウトカム評価を」と支払側

 回復期リハビリ病棟入院料に対し、アウトカム評価を求めた一人が、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の間宮清氏。患者は病状の先行きが見えない不安を抱えており、個々の患者が納得して医療を受けるためにも、患者を支援するような目標設定、アウトカム評価を求めた。

 幸野氏がこの意見を支持。今は病棟全体の在宅復帰率が指標になっていることから、個々の患者が到達すべき目標を設定して、その達成状況の割合を評価するなど、「患者目線で見た場合のアウトカム評価を施設基準に入れてもらいたい」「患者の身体機能と生活機能が改善した比率が高い病棟に高い点数を付ける制度設計をすべき」などと提案。

 これに対し、日本医師会常任理事の松本純一氏は、クリニカル・パスが普及している現状を踏まえ、「パスでは予想を付けており、これである程度、納得してもらえるのではないか」とコメント。中川氏は、2016年度改定で、回復期リハビリ病棟入院料の施設基準にアウトカム評価を入れたばかりであることから、「その結果を見て、次の改定でどうするかを議論していくべきではないか」と述べ、アウトカム評価を追求すると、治りやすい患者を優先的に入院させるなど、「モラルハザードが起きかねない」と述べ、慎重な検討を求めた。

 各種の分析データ、求める声

 そのほか、今後の検討に向けて、さまざまな追加データを求める声が上がった。

 日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、地域包括ケア病棟入院料については、入院日数と関係付けた詳細な現状、手術の有無別と平均在院日数との関係など、回復期リハビリ病棟入院料については、疾患別の在宅復帰率などを要望。

 幸野氏は、地域包括ケア病棟の患者の多くは、院内の転棟であることから、「急性期病棟の平均在院日数は恐らく減っているのだろう」と述べ、関連データの提出を求めた。


  1. 2017/05/19(金) 05:34:45|
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