Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月23日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/522066
シリーズ m3.com意識調査
「プライマリ・ケアの担い手は専門医」、年代で差
「プライマリ・ケアの確立の是非―医師の働き方改革(2)」

レポート 2017年4月23日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com意識調査で、「プライマリ・ケアの確立の是非」をm3.com会員を対象に聞いた果、「確立が必要」との回答が勤務医65.0%、開業医62.2%でともに6割を超え、(1)まずプライマリ・ケアを担う医師を受診、(2)専門診療を必要とする場合にはその紹介で受診、という体制構築についても、賛成が反対を上回る結果となった(「プライマリ・ケアの確立の是非―医師の働き方改革(2)」)。

 その担い手については、「専門医資格取得者に限定すべきではない」との回答が勤務医58.8%、開業医63.0%という結果で、「限定すべき」との回答(勤務医24.3%、開業医17.2%)大きく上回った。日本の場合、臓器別専門医が開業後、診療領域を広げ、プライマリ・ケアの担い手になっている現状を踏まえた結果と言える。

 しかし、これらの回答結果には、年代による差が見られた。回答者数に差があり、直接的な比較はできないものの、20代と60代以上の医師では、プライマリ・ケア確立の必要性(Q1)、プライマリ・ケアの担い手を専門医資格者に限定すべき(Q2)、プライマリ・ケアから専門医への紹介体制の確立(Q3)のいずれについても、支持する意見が全体平均よりも高い傾向が見られた。

 本調査は、厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が4月6日にまとめた報告書を踏まえて実施。同報告書の中から、外来医療に関連する具体的施策の賛否を質問した(『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』を参照)。

◆意識調査の回答ページ ⇒ ◆プライマリ・ケアの確立の是非―医師の働き方改革(2)

Q1.プライマリ・ケア(患者の複数疾患の状況や生活環境、価値観等を理解し、総合的な適切な診断・処方や専門医療への紹介、疾病予防等を行う)を担う医師を保健医療の基盤として確立(医師会員の回答)
04241_20170424054257b21.jpg

Q2.将来(例えば、10年後)、プライマリ・ケアを担う医師の資格について(医師会員の回答)
04242_20170424054259b47.jpg

Q3.(1)まずプライマリ・ケアを担う医師を受診、(2)専門診療を必要とする場合にはその紹介で受診、という体制構築について(医師会員の回答)
04243.jpg

【調査の概要】
・調査期間:2017年4月8日-2017年4月14日
・対象:m3.com会員
・回答者数:860人(開業医 : 238人 / 勤務医 : 622人)
・回答結果画面:「プライマリ・ケアの確立の是非―医師の働き方改革(2)」



https://www.m3.com/news/iryoishin/522067
シリーズ m3.com意識調査
「ゲートキーパー機能必要」「制度化は反対」
「プライマリ・ケアの確立の是非―医師の働き方改革(2)」

レポート 2017年4月23日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

◆意識調査の結果解説記事 ⇒ ◆「プライマリ・ケアの担い手は専門医」、年代で差

◆意識調査のページ ⇒ ◆プライマリ・ケアの確立の是非―医師の働き方改革(2)

◆「プライマリ・ケアの確立」、基本的に賛成
・専門医制度改革は、いわゆる各科専門医の職業組合(「ギルド」)として専門医集団自体が、個々の構成員(=医師)の質の保証と、地域ごとの必要構成員数のコントロールを、(国など他者からのでは強制ではなく)自立(律)的に行うことが最大の目標と考えます。「職業選択の自由」と言う人がいますが、このことは「職業(=商売)」として成り立つために必須である=その職業を選択する選択する権利に伴う義務です。他方で在宅医療がうまくいかないことや、「救急医療の崩壊」等の原因として、「開業医」を中心として、専門医療へのゲートキーパー機能が働いていないことが大きい。
 これに対する解決策として「プライマリ・ケア(名称は総合診療でも何でも良い)の専門医のみが開業できる」とする法改正があるべきで、その前段階としてプライマリ・ケアを担う医師の専門医化がなくてはならない。
 もう一つの側面としては、病院内でも「専門医」をより機能させるためのゲートキーパーとして救急医/総合診療医が機能する方がベター。医療は本来24時間対応であるべきで、労働環境の適正化により医療安全を担保することからも、労基法の厳正な適応が求められる方向性からも、医師数の再検討が必要。現在が丁度足りていると仮定すると、前記を満たすためには医師数は3倍に増やす必要があるが、これを救急医/総合診療医を中心に増やす方が効率的である。【勤務医】
・いわゆる家庭医のようなプライマリ・ケアの充実も必要と思われるが、施設入所者のプライマリ・ケアを行うべき嘱託医に関しても最低限の質を担保するシステムが必要では?【勤務医】
・英国のGPのシステムでは、地域ごとに各住民の「かかりつけ医」(GP)が決まっていると思います。米国のFamily Physicianの例にもある通り、「二段階システム」にした方がうまく機能すると考えます。「かかりつけ医」→「各診療科専門医」→そして場合によっては、大学病院や地域の総合病院。「かかりつけ医」の養成に関しては、日本医師会のプログラムが既にあります。【勤務医】
・少なくとも開業前にはプライマリ・ケアの研修を必須にした方がいい。介護保険や地域連携も知らないような開業医は一番困る。【勤務医】

・プライマリ・ケアに造詣のある医療者の間では周知の事実ですが、ほとんどの健康面でのトラブルはプライマリ・ケアのレベルで解決可能であり、専門医療を必要としたり、高次医療機関への入院が必要となるのは、コミュニティー全体のほんの数パーセントです。したがって、プライマリ・ケア医を大幅に増やし、専門医を一定数に調整した方が医療資源的の有効活用に適切と思います。とはいえ、かつてのイギリス、サッチャー政権時代にこの制度は一度破綻していますから(CT検査が2カ月待ちとか、虫垂炎の診断が付いたのにオペは半年待ちとか、笑えない事態が多発して崩壊)、Q3((1)まずプライマリ・ケアを担う医師を受診、(2)専門診療を必要とする場合にはその紹介で受診、という体制構築)に関しては慎重に考慮せねばなりません。【開業医】
・プライマリ・ケアを担う医師は必要であるが、現今のように医学の領域が広がると、膨大な知識や種々な手技がその医師に必要となる。したがって、米国のようにどんな分野でも網羅するprimary careが可能な医療施設(病院)も必要と考えられる。上記のように考えると、プライマリ・ケア専門医のみに資格を限定すると、かえって不都合な事例が起こる。また、専門施設に一度患者を送ってしまうと、患者が複数の病気を持っていると最初の病気の診断と治療に偏ってしまう弊害が出ることもある。専門医制度とも絡んで複雑になるので、全てを網羅して検討すべきである。【開業医】
・総合医が日常的な疾患を包括的に見ることができるようになれば、より質の良い医療が提供されることになり、病状が進行する前に未然に防ぐことが可能となり、結果として身近な医療に対する信頼が構築され、安心につながり、好循環に移行される。必ずしも専門医を持つ必要はないが、総合診療に対するアップデートや自己研磨は必要であり、そのための仕組みが求められる。【開業医】

◆「プライマリ・ケアの確立」、基本的に反対
・医師が不足しているわけではなく、医師本来の業務以外の仕事が多い、保険点数が低くて働き・リスクに見合う給料が出せない、人を雇う費用が出せないなどが問題となっているのに、厚労省は問題をすり替えているだけである。現在のプライマリ・ケア+専門医療を行う開業形態で何の問題もない。【開業医】
・患者さんのフリーアクセスを損なうので、プライマリ・ケア医師の制度規定には反対です。プライマリ・ケア能力は資格ではなく、医師としての基本的技能であるので、医学教育の場で徹底してカリキュラム化されるべきです。2年間の研修医カリキュラムでも実地研修されるべきです。私の個人的経験から、専門医の研修はその後(3年目)からでも遅くはないと思います。【開業医】

◆「プライマリ・ケアの確立」、どちらとも言えず

・プライマリ・ケアと専門の間の線引きは時代や場所によって違うでしょう。医療のコンシューマーが情報にアクセスできて選択できることが大切で、医療のフリーアクセスに制限がかかりすぎない工夫が必要だと思う。【勤務医】
・移行期をどうするのか。明確な政府行政の対応がない限り、体制構築は困難と思える。過疎化したところに赴任したり、開業する医師はいないので,強制されるのは誰も好まないと思える。日本の未来像を見据えた展望がない限り、絵に描いた餅のような感じがする。【勤務医】

・医師自身の技術や知識により決めるもので、制度化をすると行政の影響が強くなり、医療のプロとしての自由度が無くなる恐れがあるので制度化には反対であり、専門医療への受診制限は診療科がたくさんあるので、賛成とも反対とも言えない。【開業医】

◆「プライマリ・ケアは専門医」に賛成
・プライマリ・ケアと言えども、現在の研修制度で地域へ出てきて、そのままプライマリ・ケア医してやっていけるでしょうか?大病院で何でも検査でき、スタッフの揃ったところでの研修だけではいかがでしょうか?もっと外に出る研修期間をある程度長くして(現在の1-2週間の研修ではアリバイ作りにしかならない)、また研修時にはある程度長期間、24時間携帯を持ちながら、必須としてやらないと(もちろん当番制で)、医師の免許だけでプライマリ・ケア医だと言われても、、そのような意味では資格は必要かとも思うが……。【開業医】
・専門医志向がこれまで助長されて来ましたが、人を全体で診てその人それぞれ持っている人生観や価値観を理解して適切な診療を紹介することができるジェネラリストの能力を持った医師の育成は、とても重要で必要なことと思っています。【開業医】

◆「プライマリ・ケアは専門医」に反対
・専門医資格化してしまうと今の開業医が大変狭い門となってしまいそうです。第一線で開業している医師はいろいろな患者さんから勉強させてもらっていますので。【勤務医】

・何でも専門医が絶対的ではない。体制を構築することがかえって医師や患者を縛ってしまうことに留意すべきです。プライマリ・ケアの中で固まるのでなく、お互いに意見を言い合える環境を作っていくべきでしょう。【開業医】
・資格があってもレベルの差が大きい。資格がなくても立派にプライマリ・ケアを担っている医師もいる。都会と地方も事情が異なる。医師会も厚労省もどこを見ているのか。眼を閉じているのかと思うことが多い。【開業医】
・初期研修を終わった時点で、基本的なプライマリ・ケアができるべき。プライマリ・ケア自体は専門医とすべきではない。その後の地域医療(より公衆衛生学的観点を持つ)なり、在宅医療のレベルからが専門医。【開業医】

◆「プライマリ・ケアは専門医」、どちらとも言えず
・専門医療機関も専門医が必要、プライマリ・ケア医も専門医が必要となったら、現時点で専門医を取得していない医師は全員引退に追い込まれてしまうので、プライマリ・ケア医に専門資格を求めるのはいかがかと思います。しかし、プライマリ・ケア医も玉石混交なのは確かだと思うので、質の担保が得られる何らかの制度は必要だと思います(原則的に標榜科の専門医が必要で、それが無い場合は、年○単位以上の講習会を義務付けるなど)。【勤務医】
・現在プライマリ・ケア医でなくとも、産業医資格と同じ程度の講習と試験を受け、専門医資格習得者とすればプライマリ・ケアを担う専門医の範囲が広がると思う。【勤務医】
・専門医制度は、地域を支えるプライマリケア制度に真逆の制度。大病院集中をむしろ加速させるだろう。プライマリケアは、非常に幅広い知識を必要とするから、こちらの認定制度を確立させるべき。【開業医】

◆患者の意識改革が必要
・かつて大学病院や地域中核病院に勤務して、今はプライマリ・ケアを中心の医療に携わっている。体制構築に関しては医師よりはむしろ患者さんの意識改革が必要かもしれない。【開業医】
・医療側だけではなく、診療を受ける患者さん側にも分かるようにしなければ混乱するだけ。現場を十分に理解していない机上の理論が最近多すぎる。【開業医】

◆その他
・プライマリ・ケアと言いながら、専門性を示す医者はたくさんいます。プライマリ・ケアと言う名目の内科というのが多い気がします。小外傷なども診れるようにならないと本当のプライマリ・ケアにはならないと思い、プライマリ・ケアを名乗るには、救急科、救命センターでの研鑽を義務とすれば良いのにと思う。救急集中治療分野で働く、プライマリケア専門医の意見です。【勤務医】

・Q2は、「家元制度に天下り」の新たなジッツを作るだけ。Q3は患者の意識の問題で、ここまで勉強しないなら、金で縛るしかないかと思うが、その揚がりが家元制度を肥やすのには反対。【開業医】


  1. 2017/04/24(月) 05:47:04|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<4月26日  | ホーム | 4月22日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する