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4月12日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/519883
シリーズ 安倍政権の医療制度改革
医療費の地域差是正が重要課題、経済財政諮会議
都道府県は医療・介護等の「司令塔」、ガバナンス強化へ

2017年4月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 塩崎恭久厚労相は4月12日の経済財政諮問会議で、「地域の予防・健康・医療・介護の司令塔」として、都道府県のガバナンスの強化を進める方針を表明した。個人、保険者、医療機関等の「自発的な行動変容を促す」のが狙いで、制度(権限)、予算(財政)、人材、情報(データ)の面で強化し、さまざまな地域課題に取り組むのが狙い。

 その重要課題の一つと想定されるのが、医療費の地域差是正だ。塩崎厚労相は「全国統一の審査」を進める方針を掲げたほか、同会議では胃瘻造設術や人工透析などのレセプトにおける出現頻度などのデータも提出されており、「地域差是正」が今年6月頃にまとまる予定の「骨太の方針2017」、ひいては2018年度診療報酬改定の柱になる可能性が高まってきた(資料は、内閣府のホームページ)。

 安倍晋三首相は、地域医療構想の具体化も求めており、「今後は実行段階であり、構想の具体化に向けた行程と手段を決定する必要がある」と発言。塩崎厚労相は、地域医療構想の実現に向け、(1)機能分化・連携の推進のための診療等のデータ提供、(2)地域医療介護総合確保基金による支援――に加え、(3)診療報酬・介護報酬改定による対応、を掲げている。中医協では、診療側が、地域医療構想の実現に向け、“誘導”するように入院医療の診療報酬が設定されることへの懸念を呈しており、2018年度改定で地域医療構想の扱いが焦点になるのは必至だ(『「診療報酬、地域医療構想に“寄り添う”」、迫井医療課長』を参照)。

 塩崎厚労相は、都道府県のガバナンス強化と並行して、保険者機能の抜本強化も掲げた。予防・健康づくりの段階は保険者が、医療の段階では都道府県が、それぞれ果たすべき役割を明確化、その支援に向け、厚労省が施策等を打ち出していく図式になる。

 胃瘻造設術、都道府県で2.7倍の差
 会議後に会見した石原伸晃・内閣府特命担当大臣(経済財政政策)は、会議での主要な意見を紹介。民間議員からは、「一人当たりの医療費が高い地域は、介護費も高くなる傾向にあり、健康増進や予防の推進とともに、医療と介護を一体的に改革していくべき」との指摘があった。塩崎厚労相は、「データの利活用やインセンティブ改革を通じて、保険者機能や都道府県のガバナンスを抜本的に強化する」旨の発言があり、これらを受け、安倍首相は、塩崎厚労相に対して、「この3月までに全都道府県において策定された地域医療構想の具体化に向けて、実効的な施策をスピード感を持って実施するよう指示があった」と紹介。

 地域差については、民間議員から、「胃瘻造設術や人工透析など、地域差のデータを使いながら、厚労省が都道府県に対して、ガバナンスを利かせていくべき」「医療費の地域差が非常に大きい。都道府県で関係者の協議の場を設けて、行動変化を促していく必要がある」などの指摘が上がった。「医療費の都道府県の差が顕著にある。『トップランナーの方に併せていくことが重要』という提言も民間議員からあり、その対応についても塩崎厚労相から、『しっかりやっていく』という話があった」(内閣府事務局)。

 地域差のデータを“見える化”を進めているのは、経済・財政一体改革推進委員会の評価・分析ワーキング・グループ。NDBを活用したデータで、都道府県の性や年齢構成の違いを調整し、レセプトの出現比(SCR)として指数化したデータだ(全国平均と出現比が同じ場合は、100)。例えば、胃瘻造設術の場合、SCRが最も高いのは沖縄県で185、最低の静岡県は69で、約2.7倍の開きがある(資料は、内閣府のホームページ)。

 厚労省が都道府県のガバナンス強化策の一つとして掲げるのが、「保険者努力支援制度」を活用したインセンティブの付与だ。国民健康保険(国保)は、財政基盤を強化するため、2018年度から運営主体を市町村から都道府県に移管する。同時に創設されるのが「保険者努力支援制度」であり、何らかの「アウトカム」を出した場合には予算上の措置を優遇するなどして、「医療費適正化の実効的推進」を図る方針。

 さらに菅義偉内閣官房長官からは、「薬価や医療費を決める委員会をチェックするために、第三者の目を入れていくことが大切」との指摘も上がった。これに対し、塩崎厚労相は「全国統一的な基準で審査できるよう、データヘルス改革を進めていきたい」と答えた。

 保険者機能の強化は、健保組合に対しては、後期高齢者支援金の加減算率を用いて、自発的な取り組みを促すのが柱。法律の上限(±10%)まで引き上げる方針。これは目標の達成状況(特定健診・保健指導の実施率など)を指標に、実績を上げている保険者に対しては、支援金を減算(インセンティブ、現状は▲0.048%)、実績が上がっていない保険者に対しては、支援金を加算(ペナルティ、現状は0.23%)する仕組みだ。

 安倍首相「医療と介護を一体的に改革」
 会議の最後の安倍首相の発言は、以下の通り。

 「民間議員からは、一人当たり医療費が高い地域は、介護費も高くなる傾向にあり、健康増進や予防の推進とともに、医療と介護を一体的に改革していくべきという意見があった。これに対し、塩崎大臣から、データの活用やインセンティブ改革を通じて、保険者機能や都道府県のガバナンスの機能を抜本的に強化するという発言があった。2025年には団塊の世代が、全て75歳以上となり、医療介護ニーズも大きく変わっていくことが見込まれる。あと残り8年となるが、それぞれの地域でどの患者も適切な医療や介護を、適切な場所で受けられるように、用意していく必要がある。

 その第一段階として、この3月までに全都道府県において、地域ごとの将来の病床数を盛り込んだ地域医療構想の策定が完了し、目指す将来像が明らかになった。今後は実行段階であり、構想の具体化に向けた行程と手段を決定する必要がある。その際、第一にデータを最大限活用する、第二に中長期的に持続可能で、効率的なものとする、第三にアジア諸国の模範になるようなものにする、といった視点で取り組みを進めることが必要。民間議員の意見も踏まえ、塩崎大臣を中心に、自治体の先進事例の横展開や病床のスムーズな転換方策など、実行的な施策をスピード感を持って検討してもらいたい」



http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-12/2017041201_04_1.html
地域医療構想 病床削減 遠のく医療
命の保証どこに
重症化招く危険

2017年4月12日(水) 新聞あかはた

 入院ベッド数を全国の1割にあたる15万6千床も削減する計画となった地域医療構想。

 自治体病院の割合が全国より高い青森県では、構想策定後の昨年10月に、弘前市内の弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の統廃合が提案され、この6月にも合意書が市議会に提出される見通しです。現行の4分の1にあたる150床程度も削減する計画です。

 黒石市の黒石病院や大鰐(おおわに)町立大鰐病院などのベッド削減も示しています。

 「住民の、いざという時の命の保証が削られる」と語るのは、青森県民主医療機関連合会の那須稔事務局長。

 「統廃合で病院が遠くなり、通いづらくなる高齢者も生まれます。在宅医療で担えと言っても、深刻な医師の人手不足・高齢化のなかで簡単ではありません。むしろ、統廃合の話がすすむなかで弘前市立病院では医師の退職が相次いでいます。ベッド削減ありきの計画はやめるべきです」

 一方、厚労省は都道府県に対し、調整会議で10~12月にも病院名をあげて「具体的な決定」をするよう提起。知事が公的医療機関に空床の削減命令ができる法改悪もしており、ベッド削減の狙いを鮮明にしています。

 全国団体からは「ベッドが現状で足りなくなることも考えられる」(全日本病院協会)と懸念が出ています。

 各県の構想では、「医療不足が診療活動、特に大幅な入院制限に影響を与えている」(滋賀県・湖北区域)などと、医師不足で空床にせざるをえない実態が示されています。

 「医師不足で、…日常的な疾病・外傷等に対処する機能が不足している地域がある」(秋田県)との指摘もあり、ベッド削減で医療がさらに遠のき、重症化につながる危険は明白です。医療体制の拡充こそ求められます。

(松田大地)
0413.jpg
(G3註:縦長の表を分割しました)(クリックで拡大)
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(G3註:上記の表を地図にしました)


  1. 2017/04/13(木) 09:26:06|
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