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4月7日 

http://www.medwatch.jp/?p=13171
外科と精神科、初期臨床研修で「必修の診療科」とすべき—四病協
2017年4月6日|医療・介護行政全般 MedWatch

 医師の初期臨床研修において、外科と精神科を必修科目とすべき—。

 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)は3月31日に、このような要望を厚生労働省医政局の神田裕二局長に宛てて行いました。

現在、内科と救急は必修、外科・精神科などは選択必修

 2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、臨床現場に立つ医師には、すべて2年間以上の初期臨床研修を受けることが必修化されました。臨床に携わる医師は、自分が専門とする診療科だけでなく、すべての診療科について基本的な診断・治療技術を持つべきとの考えに基づくものです。

 必修化によって「医師の資質向上」という大きな成果が得られましたが、研修医が研修先を選べる(マッチングシステムの下で)ため地域の医師偏在が進むなどの問題も発生しました。また、▼多くの診療科で研修を課すため研修医のモチベーションが下がる(お客さんで終わってしまうケースもある) ▼病院ごとの特色ある研修が難しい—といった課題も指摘されていました。そこで厚労省は検討会を設置して、研修内容について議論し、2010年から ▼必修の診療科は内科(6か月以上)、救急(3か月以上)にとどめる ▼外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科は選択必修とし、この中から2診療科を選択する―などの見直しを行いました。

 しかし、この見直しによって「外科」医師が減少していると四病協は指摘。例えば、2010年に比べ、2014年に外科後期研修に入った医師は73%に減少しています。

 四病協は「小児科・産婦人科では医師不足が顕在化し待遇改善などがなされて、医師が増加傾向に転じたが、外科では医師不足が顕在化せず、このままでは救急医療現場が崩壊につながる可能性がある」「全人的医療を実践する医師養成のためには精神科の初期研修が必要である」と訴え、外科と精神科について初期臨床研修での「必修化」を強く要望しています。

 

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0406506920/
外科必修化で救急医療の崩壊を防げ!〔CBnews〕
臨床研修制度、関連団体が医政局長に要望書

CBnews | 2017.04.06 07:25

 日本病院会や日本精神科病院協会などは、厚生労働省の神田裕二医政局長に対し、初期臨床研修制度の見直しを求める要望書を提出した。外科医の減少に伴い救急医療の現場が崩壊する恐れがあることを挙げ、臨床研修における外科の扱いを格上げし、医療現場の改善につなげるよう求めている。

 2004年4月から始まった臨床研修制度では、幅広い診療能力を修得することを目的に2年以上の臨床研修が義務付けられている。しかし、10年の臨床研修制度の見直しに伴い、全研修医が学ぶ「必修科目」となっていた外科と精神科などは、5科目の中から2科目を選択する「選択必修科目」となり、外科を選ばない研修医も出てきた。

要望書では、初期研修(2年間)を終えて外科の後期研修に入った医師数が減少傾向となっていることに触れ、外科が「選択必修科目」になったことも減少の「大きな要因」と説明。小児科や産婦人科は医師不足が社会問題化されたことで待遇の改善が図られた一方、外科は減少傾向が表面化しなかったため、対応が図られなかったとの見解を示している。

また、高齢者の救急対応などを担う二次救急の現場で外科医が大きな役割を占めていることを挙げ、「このままの状況では、救急医療現場の崩壊につながる可能性がある」とし、「必修科目」に外科を位置付ける必要があるとしている。

このほか、精神科についても「全人的医療を実践する医師の養成のために不可欠」として「必修科目」に戻すよう求めている。

(2017年4月4日 新井哉・CBnews)



http://digital.asahi.com/articles/ASK463VG9K46ULBJ001.html?_requesturl=articles%2FASK463VG9K46ULBJ001.html&rm=373
20代勤務医、週55時間労働 さらに当直…12時間超
野中良祐
2017年4月7日01時52分 朝日新聞

 20代の勤務医は週平均55時間勤務し、これに当直や緊急時に備えた待機が12時間以上加わる――。厚生労働省研究班(研究代表者=井元清哉・東大医科学研究所教授)が、6日発表した初の大規模調査で、多くの医師が長時間働いている実態が浮かんだ。同省の検討会は同日、偏在対策や他職種との業務分担を盛り込んだ働き方を提言する報告書を塩崎恭久厚労相に提出した。

 全国約1万2千の施設に勤める10万人の医師に調査票を送付。昨年12月の1週間に、何時間働いたかの記入を依頼し、1万5677人が郵送で回答した。

 常勤の20代男性の平均勤務時間は、週に57・3。同女性は53・5。年代が上がるにつれ、勤務時間は減少の傾向だった。週60時間以上勤務していたのは男性の27・7%、女性の17・3%。診療科別では、救急科が最長の55・9。精神科は43・6と差がみられた。
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 ログイン前の続き医師の地域偏在の解消が課題となる中、地方勤務の意思を問うと、20代の60%、全体の44%が「ある」と答えた。「ない」と答えた人にその理由を聞くと、「労働環境への不安」が各年代で上位だった。厚労省の担当者は「休みを確保できるなど環境を整えれば偏在は解消できる」と話す。

 調査は、文書作成や予約業務などは他職種と分担が可能で、実現すれば医師の労働時間を1日に約47分軽減できると分析する。

 これらの結果を踏まえ、有識者らでつくる検討会は、看護師や事務職との業務の分担や同じ薬であれば診察なしで薬を処方できる仕組み、情報通信技術(ICT)の活用による効率化を提言。医師を増やさなくても、高齢化がさらに進む社会のニーズに応えられるよう、工程表をつくって実現するよう求めている。

 検討会座長の渋谷健司・東大教授は「現場が疲弊しないシステム作りは待ったなしだ。世の中全体で働き方を見直している時期でもあり、医療にもメスを入れる」と話した。

 厚労省は、介護職員の勤務実態についても、大規模な全国調査を始める。2025年までに約38万人足りなくなると見込まれる介護職の働き方を把握し、人材確保策に生かしたい考えだ。(野中良祐)



https://www.m3.com/news/iryoishin/518004
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会
医師10万人調査、結果公表!
男性医師27.7%が「週60時間以上」、地方勤務意向は44%

2017年4月6日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 常勤勤務医では男性27.7%、女性17.3%が、「週60時間以上」勤務し、1カ月当たりの時間外労働は「過労死ライン」の80時間を超える計算になる――。

 依然として一定数の勤務医が厳しい勤務を強いられている現状が、4月6日に発表された「医師10万人調査」から明らかになった。個人による差も大きく、週の勤務時間が100時間以上に上る医師も見られた一方、常勤でも40時間未満との回答もあった。

 「医師10万人調査」の正式名は、厚生労働科学特別研究「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(『医師10万人調査がスタート!厚労省』を参照)。厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の議論や今後の医師需給推計の基礎データとなるため、昨年来、注目されていた調査だ。調査票は約10万人の医師に配布、回収できた1万5677人の回答を集計した。年代別などの勤務実態や勤務意向が明らかになり、政府が進める「働き方改革」にも影響し得る結果とも言える(資料は、厚労省のホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000160954.html)。

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(研究班資料による)

 週平均勤務時間を年代別に見ると、最も長いのは20代で55時間程度で、内訳は男性57.3時間、女性53.5時間。年代が上がるにつれて減少し、60代では男性45.5時間、女性39.3時間。

 診療科別では「救急科」(55.9時間)、「外科系」(54.7時間)、「臨床研修医」(53.8時間)などで長い傾向がある。一方、「精神科」(43.6時間)、「麻酔科」(49.1時間)などでは短い。

 医師の働き方改革や医師の地域偏在解消を進めるため、「他職種(看護師や事務職員等のコメディカル職種)との分担の可能性」、地方勤務の意向なども聞いている。「患者への説明・合意形成」「医療記録」など計5つの作業に費やした時間は、1日当たり平均約240分、うち20%弱(約47分)は他業種に分担が可能という結果だった(50代以下の常勤医師の場合)。

 また医師の44%は、地方勤務の意思があり、年代別に見ると最も割合が高かったのは20代で60%だった。地方勤務の期間は、20代では2~4年間を希望する割合が多く、30代以上では10年以上の希望者が増える傾向が見られた。一方、地方勤務の意思がない理由として、どの年代でも、「労働環境への不安」「希望する内容の仕事ができない」を挙げた回答が高かった。

 研究代表者を務めた東京大学医科学研究所ヘルスインテリジェンスセンター健康医療データサイエンス分野教授の井元清哉氏は、調査票が1週間の勤務実態を記録するなど、記入に手間がかかることから、「ハードな負担を強いる調査。時間に余裕がある医師だけが回答するというバイアスがかかると懸念されたが、回答内容を見ると、しっかり自分のデータを記載しており、信頼性が高い内容だと考えている」と説明した。

 なお、ここで言う「勤務時間」は、「診療」(外来、入院、在宅)と「診療外」(教育、研究・自己研鑽、会議・管理業務等)の時間の合計。これに「当直・オンコール」が別途加わるが、「当直・オンコール」中に行った診療等は、「勤務時間」に含めて計算している。例えば、20代の男性常勤勤務医の場合、「当直・オンコール」18.8時間のうち、待機時間は約16時間で、残る2.8時間を含めて「週平均勤務時間」(57.3時間)を計算。もっとも、「当直・オンコール」はその実態により、より多くの時間が勤務時間と見なされる場合もある一方、「診療外」の自己研鑽をどの範囲まで勤務と見なすかという問題は残る。

 本調査の概要と、主な調査結果は以下の通り。

【調査概要】

・医師調査:約10万人を対象に実施、1万5677人の回答を集計。男性74.6%、女性22.7%。回答者の男女割合、診療科の分布は、「医師・歯科医師・薬剤師調査」とほぼ同一。勤務形態は、常勤69.4%、非常勤12.6%、病院・診療所の開設者16.2%。
・医療施設調査:1万2035施設(うち病院2331施設)を対象に実施、3126施設の回答を集計。
・調査期間:2016年11月末から2017年1月。タイムスタディは、2016年12月8日から12月14日の1週間について、「診療」「診療外」「当直・オンコール」の時間について記録。

【調査結果】

◆勤務時間について、性別、診療科別などで大きく異なる。
・20代勤務医(常勤)の勤務時間(診療+診療外)の時間は、週平均55時間程度。これに当直・オンコールの待機時間(男性約16時間、女性約12時間)が加わる。
・勤務医(常勤)の勤務時間は、内科系51.7時間、外科系54.7時間、産婦人科50.6時間、小児科50.2時間、救急科55.9時間、麻酔科49.1時間、精神科43.6時間、放射線科51.9時間、臨床研修医53.7時間。

◆他職種との分担可能な業務について、調査した5種の業務に要する時間のうち、1日当たり平均47分を分担可能。
・「患者への説明・合意形成」、「血圧などの基本的なバイタル測定・データ取得」、「医療記録」(電子カルテの記載)、「医療事務」(診断書等の文書作成、予約業務)、「院内の物品の運搬・補充、患者の検査室等への移送」の業務に要する時間は、1日当たり約240分。中でも「患者への説明・合意形成」(82分)、「医療記録」(93分)が長い。しかし、他職種に分担できる割合は、「医療事務」(33%)、「院内の物品の運搬等」(30%)などで高く、「患者への説明・合意形成」(8%)、「医療記録」(14%)では低い。

◆地方勤務する意思がある医師の割合は44%。
・地方(東京都23区、政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外)で勤務する意思が「ある」のは、44.1%、「ない」は51.3%。年代別で差があり、最も高いのは20代勤務医で、60%が「ある」と回答。
・50代以下の勤務医のうち、約半数は地方勤務の意思がある。半年(0.4%)や1年(2.3%)を希望する割合は低く、10年以上を希望する割合は27.1%。
・地方勤務の意思がない理由として、どの年代でも、「労働環境への不安」「希望する内容の仕事ができない」を挙げた回答が高かった。年代別では、キャリアの変化に応じて、理由が異なっていた。20代では「医局人事のため選択の余地がない」のほか、「専門医の取得に不安」があることも特徴。30代、40代では「子供の教育環境が整っていない」「家族の理解が得られない」が高くなる一方、「専門医の取得に不安」は低くなり、50代では「家族の理解が得られない」は依然高いものの、「子供の教育環境が整っていない」は減少。

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(研究班資料による)



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H5T_W7A400C1EE8000/
医師の偏在対策、強制に反対 厚労省検討会
2017/4/6 20:52 日本経済新聞

 医師の働き方などについて話し合う厚生労働省の検討会が6日、医師の偏在解消のために強制的な手段を使うことに反対する考えを示した報告書をまとめた。報告書では過酷な労働環境など支障を取り払えば、多くの医師が地方で働くと指摘した。ただ厚労省は過去に、別の会議で「偏在解消には規制が必要」との中間報告をまとめており、議論が混乱する懸念も浮かんでいる。

 検討会は団塊世代の高齢化に伴う「多死社会」への対応や、長時間労働が常態化する医師や看護師の働き方の見直しにつなげるために昨年10月に設置された。

 報告書で強調したのが医師の偏在問題への対応だ。偏在は都道府県によって人口あたりの医師の人数に大きな差があったり、特定の診療科に医師が偏っていたりする問題。救急患者のたらい回しや地域医療を支える医療機関の閉鎖・縮小に直結するため、国民にとっても放置できない課題だ。たとえば都道府県別の10万人あたりの医師数でみると、京都が307.9人と最多で、最少の埼玉と2倍の差があるなど地域差は大きい。

 これに対し報告書では全国1万6千人の医師への実態調査をもとに、44%の医師が地方勤務の意思があると指摘した。一方で想定通り医師の地方勤務が進まない理由として、極端に少ない休日や長時間勤務といった「過重労働」と「希望する仕事ができない」という2点を挙げた。

 そのうえで「支障が除かれれば、地方に従事する可能性が多く秘められている」と強調。「『規制的手段によって医療従事者を誘導・配置すれば足りる』との発想に依存すべきではない」と結論づけた。

 だが偏在対策を専門に検討する厚労省の医師需給分科会では昨年6月、偏在の解消には「規制を含む対策が必要」との中間報告を公表している。医師がどこでも自由に開業できる「自由開業」や、法律で定められた診療科であれば何を標榜してもよい「自由標榜」の見直しにも踏み込んでおり、有識者の間では「画期的だ」と期待する声もあった。

 それと比べると今回の報告書は、偏在対策が後退している印象が拭えない。厚労省内には「(6日の)報告書への塩崎厚労相のこだわりは強い」(同省幹部)との声もあり、今後の議論でどちらの考えが優先されるのかは見通せない状況だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/518222
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会
医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」
報告書公表、渋谷座長「医療者の働き方にメス」

2017年4月6日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は4月6日、「敢えて医師数を増やす必要がない環境作り」の重要性を打ち出した報告書をまとめ、塩崎恭久厚労相に提出した。

 2008年度以降、医学部の定員増が続いていたが、この傾向に歯止めをかけ、医師数の「量」の議論から、医療の在り方や医師の働き方の議論、それを踏まえた施策の実現への転換を求める報告書と言える。今後、5~10年程度を基本軸とし、着手可能な施策からの具体化を提言。医師偏在対策については、「成果を出すラスト・チャンス」と位置付け、強制力ではなく、地域と医療機関、医師の主体的な取り組みを求めている(資料は、厚労省のホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000160954.html)。

 検討会後に会見した座長の渋谷氏は、「大きく、そして急速な変化の中で、どのような未来を描いていくべきか、戸惑い、時に立ちすくんでいる医療従事者たちへのメッセージとなることを目的としている。医療者の働き方については、ある意味、メスを入れるような形で、さまざまな観点から議論した」と説明。特に喫緊の課題として、医師偏在対策に取り組むことを求めた。

 報告書を受け取った塩崎恭久厚労相は、ビジョン検討会が「医師10万人調査」(『医師10万人調査、結果公表!』を参照)を踏まえて議論してきたとし、「ファクトに基づいた分析を踏まえて、大変画期的な医療介護のビジョンと働き方を示していただいた。いろいろ物議も醸すかもしれないが、それくらいでないと日本は変わらない。ありがたく検討させていただきたい」と労った。

 「ビジョン実行推進本部(仮称)」も提言
 報告書のキーワードは「高生産性、高付加価値」。喫緊の課題である医師偏在対策に加えて、外来医療の在り方の見直し、プライマリ・ケア機能の担い手の確保、医師から看護師等へのタスク・シフティング、「診療看護師」(仮称)や「フィジシャン・アシスタント」の創設など、さまざまな改革を進めるべきと提言。医師需給推計や2020年度以降の医学部定員増は、これらを実施した後に検討すべきとしている。

 医師偏在対策については、「不足する地域に強制的に人材を振り向ける」などの発想ではなく、「いかに医療・介護の質と従事者個々人の意欲と能力を引き出し、生産性と付加価値を高めて、国民の求める保健医療サービスの価値を提供していくかという方向性を重視すべき」と提言。

 「医師10万人調査」(「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」)で、地方勤務の意思がある医師も一定数いることなどを踏まえ、派遣医師と受入医療機関のマッチング支援、週4日勤務制の導入、休日の代替医師の派遣など医師の負担軽減、複数医師によるグループ診療、遠隔診療支援などを施策として盛り込んだ(『医師10万人調査、結果公表!』を参照)。「遠回りかもしれないが、勤務医が働き続けることができる地道な環境作りが必要だろう」(渋谷座長)。

 本ビジョン検討会は、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」の議論をいったん停止してスタートした経緯がある(『「医師需給分科会、早急に再開を」、横倉会長』を参照)。両検討会・分科会の2016年6月の中間報告で打ち出された保険医の配置・定数の設定など規制色が強い施策は、今回は盛り込まれていない(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 「外来医療の最適化に向けた枠組みの構築」を打ち出したことも注目点。2025年の「病床の必要量」を推計する地域医療構想に、外来医療の要素を加え、需給ギャップを把握、最適化を段階的に進めるとともに、「地域における効率的医療提供体制を構築し、診療報酬におけるアウトカム評価と医療費の定額払いを行うことによって、その地域の医療機関全体にメリットが生じるような医療保険制度の見直しを検討」、「自由標榜制の仕組みについても、例えば日本専門医機構の認定する専門医と標榜とを関連付けるなど、患者に分かりやすく、適切な選択に資する標榜の在り方を検討」なども求めた。

 さらに「地域を支えるプライマリ・ケアの構築」に向け、「日本専門医機構の認定するプログラムにより育成された総合診療専門医の育成を強化していく」など、プライマリ・ケア機能の担い手をまず確保していくことが重要なステップであるとした。その後、一定期間後には、日常の健康問題に関する資料は、まずプライマリ・ケアを担う医師をまず受診し、その紹介を通して専門診療を受診する仕組みも提言している。

 タスク・シフティングについては、「チーム医療」を発展させる形で有効活用すべきと指摘。まず2015年10月から創設された看護師の特定行為研修制度を充実させ、現時点で研修対象となっている医行為を拡大し、「診療看護師」(仮称)の養成を提案している。さらに、簡単な診断や処方、外科手術の助手、術後管理などができる「フィジシャン・アシスタント」の新設も検討すべきとしている。

 そのほか、遠隔医療、ICTにも言及するなど、医師の働き方改革に留まらず、医療提供体制全般にわたる課題を取り上げている。

 報告書の最後には、本提言を実現するため、厚労省内に「ビジョン実行推進本部(仮称)」を設置し、5~10年程度の政策工程表を作成、内閣としての政府方針に位置付け、進捗管理を行うよう求めている。実現困難な提言等については、「国家戦略特区の枠組み等を用いつつ、厚労省が主体となって着実に取り組みが進むようにすべき」とした。

 さらに喫緊の課題となる、医師偏在対策については、「医師需給分科会で、本報告書の内容を踏まえ、その具体化に向けた検討を行い、短期的な方策を精査し、必要な制度改正案を速やかに取りまとめるべき」と提言。その後に、働き方調査に基づく精緻な医師需給推計を行った上で2020年度以降の医学部入学定員の検討に着手すべきとしている。

 もっとも、報告書に盛り込まれた施策は、過去に議論になっては反対意見が上がり、議論が難航したり、実施が見送られたものも少なくない。塩崎厚労相が「いろいろ物議も醸すかもしれない」と発言したのも、この点が念頭にあったと思われる。さらに、医師偏在対策は、前述の通り、「医師需給分科会」などで議論しており、「ビジョン検討会は、大臣の私的検討会。政策につなげるためには、正式な審議会・検討会で議論していくべき」(日本医師会会長の横倉義武氏)などの意見は根強く、ビジョン検討会報告書の内容がどの程度、具体的検討の場に進むか、今後が注目される。

 「これからの医療政策の基本哲学」
 ビジョン検討会は2016年10月に設置、4月6日まで計15回の検討を重ねた。2016年12月には、中間報告をまとめている(『具体的な政策提言、「医師10万人調査」の結果待ち』を参照)。

 報告書はまずその位置付けとして、「これからの医療政策の基本哲学」であるとし、「若手や女性をはじめとして、医療従事者の誰もが将来の展望を持ち、新たな時代に即応した働き方を確保するための指針となることを目指した」と明記。

 その上で、医療を取り巻く構造的な変化、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」に触れた後、「新たなパラダイムと実現すべきビジョン」と「ビジョンの方向性と具体的方策」を列挙する体裁だ。

 「新たなパラダイムと実現すべきビジョン」では、根幹に据えるべき方向性として下記を提示。その実現に向け、「働き方」「医療の在り方」「ガバナンスの在り方」「医師等の需給・偏在の在り方」のそれぞれについて、パラダイムの転換を図ることを求めている。

・それぞれの医療・介護従事者が持つ力量を最大限に発揮できる環境を目指す。
・均一化・規格化されたサービスを大量かつ一方的に提供する(「プッシュ型」)モデルから、脱却し、住民・患者の能動的な関与とニーズに合わせて多様なサービスを設計し、創造する(「プル型」)モデルの確立を目指す。
・医療・介護従事者の役割や機能が、加速する社会的・経済的・技術的な時代の変化に、柔軟かつ迅速に適応できる環境作りを進め、進化できるシステムを目指す。

 「ビジョンの方向性と具体的方策」として、(1)能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方をフル・サポートする、(2)地域の主導により、医療・介護人材を育み、住民の生活を支える、(3)高い生産性と付加価値を生み出す――の3つの柱を立て、それぞれ「目指す姿」と「具体的アクション」を打ち出している。



  1. 2017/04/08(土) 06:02:00|
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