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3月27日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/514886?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170327&dcf_doctor=true&mc.l=213245699&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ 日医代議員会
「医師需給分科会、早急に再開を」、横倉会長
第139回日医代議員会、「専門医取得は必須でない」との発言も

2017年3月26日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月26日の第139回日本医師会臨時代議員会で、医師の偏在対策は喫緊の課題であるものの、新専門医制度だけで解決できるものではないと指摘し、現在は議論がストップしている厚生労働省の「医師需給分科会」の早急な再開を求めた。

 「医師需給分科会」が休会となっているのは、塩崎恭久厚労相が2016年10月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を設置し、医師偏在対策も含めて議論しているため。横倉会長は、日医代議員会の冒頭挨拶でも「政府内での議論の進め方も含めて、大変危惧している」とコメントし、厚労省の医師偏在対策の議論の進め方を問題視していることがうかがえた(『「かかりつけ医の普及と定着、日医の最大課題」、横倉会長』を参照)。

 さらに横倉会長は、専門医取得の考え方について、「全ての医師が専門医にならなければいけない理由はない。また専門医を取得するか否かは、あくまで医師の自律性に基づき実践されるものであり、国の介入による法的な規制を求めるものではない」との見解を表明。

 「総合診療専門医を19番目の基本領域の専門医とすることは不適切」との質問には、「総合診療専門医とかかりつけ医を明確に区分したい」と答弁した。総合診療専門医に限らず、専門医は、あくまで学術的な位置付けであり、医師の生涯にわたる自己研鑽の一手段であるとした。一方、医療提供体制において位置付けるのは、かかりつけ医で、その担い手は内科、外科などの各領域の医師であり、そこに総合診療専門医も含まれるという考え方だ。総合診療専門医は、厚生労働省の2013年4月の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書で、19番目の基本領域専門医に位置付けられたことから、「これを外すには、もう一度、検討会を開催して、書き直さなければいけない」(横倉会長)。

 専門医の関連では、日医から日本専門医機構への運営資金の貸し付けに関する質問も出た。横倉会長によると、日医として「1億円を上限として貸し付けることで了解をしているほか、各学会も負担している」と説明。松原謙二副会長がその詳細を次のように説明した。「当初5000万円を貸し付け、3、4年内に、日本専門医機構の運営が軌道に乗れば返却してもらう。そのほか、学会の中に負担できないところがあり、3000万円ほど貸し付けており、この年度末までの返却予定だったが、少し延長することになるだろう。つまり現在、1億円のうち、8000万円まで貸し付けている」。

26日の代議員会は、8つのブロック代表質問と、12の個人質問が出された。

 総合診療専門医、19番目の基本領域は「不適当」
 新専門医制度についてブロック代表質問したのは、和歌山県代議員の寺下浩彰氏。(1)医師の偏在対策は、新専門医制度と切り離して、別の組織で議論すべき、(2)19番目の基本領域の専門医として、総合診療専門医を設定するのは不適当――と述べ、日医の見解を質した。これらに対する横倉会長の答弁は、下記の通り。また関連で、三重県代議員の青木重孝氏が総合診療専門医の位置付けを問題視、兵庫県代議員の橋本寛氏が貸し付けについて質問。

 なお、総合診療専門医については、個人質問でも、大阪府代議員の加納康至氏からも、「総合診療専門医は、サブスペシャルティとして位置付けるよう、制度設計の見直しを図るべき」との質問が出た。答弁した羽鳥裕常任理事は、「内科や外科のサブスペシャルティにした方が合理的ではないか、という意見も多数聞いている。一方、医師不足地域では、基本領域に総合診療専門医を位置付け、当該地域での活躍を期待する声もある。調整が極めて難しい状況にあり、最終的な取りまとめには、もう少し時間がかかる」と回答した。

1.医師の偏在対策と新たな専門医の仕組みについて

 昨年12月に、日本専門医機構は、「専門医制度新整備指針」を策定、その中で、専門医制度確立の基本理念の一つとして、医師の地域偏在等を増長することがないよう、地域医療に十分に配慮した制度設計とすることが明記されている。これは新たな専門医の仕組みにより、偏在が解消するのではなく、これ以上、偏在等を増長することないよう、柔軟な対応をするという趣旨と理解している。

 日医は昨年11月に、日本専門医機構に対して、(1)基幹施設の基準は、大学病院のみ認定されるような基準とすることなく、原則として複数の基幹施設が認定されるようにする、(2)専攻医の採用は基幹施設だけではなく、連携施設でも行えるようにする、(3)研修プログラムの認定に当たっては、各都道府県協議会において、医師会、大学病院、病院団体など、地域医療の関係者の了解を得る――など7項目の要望書を提出した。これらの趣旨は、「専門医制度新整備指針」および運用細則において反映されることになり、最終的な検討が今行われている。

 一方、2月には全国医系市長会が、厚生労働大臣に対して、医師偏在を増長することがないよう、拙速な議論を避けるとともに、基礎自治体の意見反映などを求める要望書を提出している(『「新専門医制度を危惧、拙速は反対」、全国医系市長会』を参照)。

 昨年、新たな制度について、一度立ち止まって再検討することになった最大の要因は、地域医療への影響に対する懸念であったことを鑑み、今後も日本専門医機構の適切な運営、都道府県における協議の場が実務的に機能するように、引き続き日本医師会としても努力していく。

 医師の地域偏在対策は、社会保障審議会医療部会、「医療従事者の需給に関する検討会」の下に設置された「医師需給分科会」で、昨年9月から具体的な議論を開始した。この分科会においては、医学部入学、臨床研修、専門研修など、それぞれの局面で有効な具体的対策、その前提となる各地域の現状の客観的データに基づく検証などの議論を深め、昨年末までに一定の結論を得る予定だった(『医師確保対策は“未定”、医療計画の「作成指針」』を参照)。

 しかしながら、昨年10月に、厚生労働大臣の私的な検討会として、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が設置されて以降、政府審議会の下部組織である「医師需給分科会」は開催されていない。

 医師の偏在対策は喫緊の課題であり、日本専門医機構の対策だけでは、偏在解消はできないので、「医師需給分科会」の早急な再開を求め、地域の実情に応じ、医師の個人の意思を尊重した上で偏在が解消できるような仕組み作りを分科会で検討していく。

2.総合診療専門医について

 総合診療専門医については、2013年4月に厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書において、19番目の基本領域の専門医に位置付けられている。高齢化が加速する我が国の状況において、多様な疾患を持つ高齢者の特性等に応じて、臓器別診療能力に加えて、総合的な診療能力が期待されていると認識している。

 総合診療領域に限らず、専門医の仕組みはあくまで医師の生涯にわたる自己研鑽の一手段として、学際的かつ自律的なものと位置付けることが肝要。全ての医師が専門医にならなければいけない理由はなく、また専門医を取得するか否かは、あくまで医師の自律性に基づき実践されるものであり、国の介入による法的な規制を求めるものではない。

 総合診療専門医の養成も、学術的に高いレベルが担保されるべきであり、他の専門領域と比べると、養成課程もまだ不十分であり、このことは日本専門医機構での議論に反映されるように対応していく。

 地域医療や地域包括ケアを支える重要な柱は、医療提供機能としてのかかりつけ医であり、全国各地域でかかりつけ医が十分な機能を発揮できる環境整備が必要。今後ともかかりつけ医が定着するよう鋭意努力していく。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201703/550691.html
臨床研修病院はマッチング時に「地域枠医師」かどうかの確認を
地域枠義務放棄の医師採用は研修補助金を減額

2017/3/27 加納 亜子=日経メディカル

 都道府県や大学により卒後一定期間、所定の医療機関で勤務することなどを条件に設けられた入試枠(地域枠)を活用して医学部に入学した医師を、指定されている場所以外の臨床研修病院が採用した場合、その病院への臨床研修費補助金を減額することなどを記した「医師臨床研修制度における地域枠医師への対応(案)」を3月24日、厚生労働省は医道審議会医師臨床研修部会で提示。大筋で了承された。2017年度以降、補助金の目的として「地域における医師不足の是正」を明示することで、地域枠医師の卒後の義務履行を促したい考えだ。

 地域枠とは、地域医療に従事する明確な意志を持った学生の選抜枠として設けられた入試枠のこと。様々な形態の地域枠があるが、卒後一定期間、地元の医療機関に勤めることを条件とする都道府県の修学資金(奨学金)制度を活用する枠が多い(参照:「医師不足解消の救世主?『地域枠』の実像」)。

 しかし、地域枠を活用して医学部に入学した医師が、卒後に都市部の臨床研修病院を選ぶケースが相次いでおり、何らかの対処をすべきとする意見が示されていた。こうした意見を受け、厚労省は対応策を提示した。

 厚労省が提案したのは、(1)マッチングの規約改正、(2)臨床研修病院への採用前の確認の要請、(3)地域枠医師へのフォロー体制整備――の3つ。

(1)マッチングの規約改正
・ 所定の医療機関での勤務といった臨床研修期間中の義務要件が課せられている地域枠を卒業した医師は、マッチングの選考手続き時に病院に申し出る。
・ 各都道府県は地域枠の学生について、氏名、大学、義務要件のリストを作成し、厚生労働省を経由して臨床研修病院に情報提供する。
・ 研修希望者が地域枠の場合に、臨床研修病院が該当する都道府県に照会できる仕組みを設ける。

(2)臨床研修病院への採用前の確認の要請
・ 臨床研修病院は、マッチング前に研修希望者が地域枠卒業生かどうかを確認する。
・ 研修希望者が地域枠卒業生であった場合、義務履行要件と研修プログラムに齟齬がないかどうかを確認した上で順位登録をする。

(3)地域枠医師へのフォロー体制整備
・ 各都道府県は、地域枠を卒業した医師について採用先病院を調べ、義務履行要件と研修プログラムに齟齬がないかどうかを確認して厚生労働省に提出する。
・ 2017年度から、臨床研修費補助金の目的として「地域における医師不足の是正」を追加。義務履行要件に反する研修医を、臨床研修病院が採用している場合、当該病院に対する臨床研修費補助金を減額する。さらに、当該病院については、今後、募集定員を削減することも検討する。



http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-467714.html
<社説>北部基幹病院整備 県は構想を早期実現せよ
2017年3月27日 06:02 琉球新報

 健康で豊かな生活に医療の充実は欠かせない。地域によって医療体制に差があってはならない。県は北部全12市町村など関係者と連携し、速やかに北部の医療体制の充実を進めるべきだ。

 県立北部病院と北部地区医師会病院を再編・統合し、基幹病院とする構想の実現を求める北部12市町村住民総決起大会が名護市であった。離島を含む北部全域から約3200人(主催者発表)が参加し、500病床の機能集約病院設置などを求める大会決議を全会一致で採択した。
 北部地域では救急対応などの急性期医療は北部病院と医師会病院が担っている。両病院は多くの診療科が重複している一方で、ともに医師が少なく、医師の過重負担が生じ、慢性的な医師不足に悩まされている。
 心筋梗塞や頭部損傷など重篤な3次医療に対応できないこともあり、入院患者の約2割が中南部へ転院せざるを得ない。
 さらに両病院での分散や医療機能の縮小が症例数を少なくし、医師の育成を困難にして新たな医師を確保できないという「負の連鎖」も起きている。
 北部地区では2006年に北部病院の産婦人科が医師不足による休止に追い込まれたことをきっかけに、医療体制構築が喫緊の課題となった。議論の末、14年には県の研究会が両病院の統合を提言した。
 しかし県は今年2月の県議会定例会でも「統合する際の課題の抽出作業に取り組んでいる」と答弁し、統合は見通せない。
 経営形態の違う病院の統合に課題が多いことは理解できる。しかし時間をかけ過ぎることにより、負の連鎖が進んでいるのではないか。
 今回、採択された「やんばるの医療を守る宣言」は行政と医療機関の責務に加え、「安易な夜間診療を控える」など住民の責務を盛り込んだことが特徴だ。限られた医療資源の中で住民自らが努力して地域医療を守るという気概を感じる。
 北部の代表は27日、決議と11万人余の署名を持って県知事や県議会議長に要請する。
 沖縄21世紀ビジョンの将来像5本柱の一つは「心豊かで、安心・安全に暮らせる島」というものだ。その中に「誰もが生きがいをもち、十分な医療や福祉が受けられる沖縄」との項目が含まれる。お題目にしてはならない。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170315-OYTET50036/
編集長インタビュー
原発事故後の福島で住民と共に歩む医師・坪倉正治さん
坪倉正治さん(4)原発事故後の地域医療 現場からの改革を目指して

2017年3月27日 読売新聞

 暮れも押し詰まってきた2016年12月30日の深夜。丸一日の外来が終わり、自宅でくつろいでいた坪倉正治さん(35)の携帯電話が鳴った。電話の主は、東京電力福島第一原子力発電所から22キロ南にある福島県広野町の民間病院「高野病院」の事務長、高野 己保さんだった。

 「『院長の自宅が燃えています。火事です。おそらく院長はもう助かりません』と言われた。ショックでしたがすぐに医療体制が気になりました。『入院患者さん、当直はどうするんですか?』と聞きました。『1月1日、2日はいつも来てくださっている大学の非常勤医師が来ます。3日は来ません』と言われたので、『3日の当直は僕が行きます。1月中に医師が入っていないのはどこですか?』と返しました。医師がいない日に南相馬市立総合病院などの病院から若手が手伝いに行けるよう調整を始めました」

 高野病院は、原発のある双葉郡内で唯一残った民間病院だ。81歳だった院長の高野英男さんが唯一の常勤医として、週3~4回当直勤務もこなしながら、118床(療養病棟65床、精神科病棟53床)の患者を引き受けてきた。昨年末の火災で院長が急死し、1本の屋台骨でぎりぎり支えてきた医療体制が一気に崩壊する危機に見舞われた。

 坪倉さんはその3年ほど前から事務長と交流があった。

 「浜通り(福島県沿岸部)にある病院が、震災直後どんな状況だったか、今後の対策に役立てるためにインタビューをして冊子にまとめようとしていたんです。原発事故の初期の問題は、医学・医療ではなくて、国家による危機管理の問題です。地域医療が事故当初の3か月でどうなったのかを残しておく必要があると思っていました。対象病院の中で、高野病院は、『双葉郡で一つだけ残り、高齢の医師が孤軍奮闘している』という印象しかありませんでした」

 会いに行ってじっくり話してみると、町の人口は激減し、その後の産業構造も変化している。民間病院という理由で行政の支援も手厚くなかった同病院は、医療スタッフの確保にも経営的にも非常に苦労していた。

 「事務長の己保さんに、『あなた自身が、あなたの言葉で今までの病院の現状を世間に伝えるのなら、お手伝いさせてください』と伝えました。そして、己保さんは2016年から『高野病院奮戦記』というメールマガジンの連載を始め、僕もその内容にアドバイスしていました。それでも、来年院長が82歳になるからもう限界という話になり、知り合いの記者を通じて、新聞に窮状を投書しようと準備していたのが昨年12月。年明けに掲載も決まり、『良かった、良かった。これで仕事納めですね。それでは来年また』と話してから1週間後に、あの火事があったんです」

若手医師らで「高野病院を支援する会」設立

 すぐに南相馬市立総合病院をはじめ周辺病院に勤務する若手医師6、7人の日程を調整し、交代で医師を派遣するシフトを組んだ。翌朝の大みそかには、後輩医師の尾崎章彦さんが事務局長になり「高野病院を支援する会」を設立。ボランティアの医師やそのための資金の寄付を全国に呼びかけた。

 「2か月間ぐらいの短期間をボランティアの医師で回しても、それはただの応急処置。原発事故で町内の人口は減り、代わりに除染復興作業員が多く居住し、その結果、救急が増えました。患者構成が変わっていく中で、これまでのように経営を維持するのは非常に困難だと思います。4月からの常勤医もめどがつき良かったと思います。しかし、それで安定して医療が回るかと言えば、高野元院長の代わりに必死に働かないといけない次の医師が見つかったというだけ。根本から、医療提供体制を見直さないと先はないです」

 東日本大震災と原発事故で一気に医師不足が加速した浜通りで、坪倉さんは若手医師が進んで働きにくる場所になるよう、そして研究や論文発信などの学術的な活動ができる体制を整えてきた。高野病院を含め医療過疎となったこの地もまた、工夫次第で若手に魅力のある医療現場になり得ると考えている。

 「在宅診療や慢性期(症状は安定しているが長期的な療養が必要な状態)のケアを勉強し、地域の中でどうやって一番良い医療を提供するかを実践するなら、格好の場所でしょう? 若い家族が出ていき、自宅に1人ではいられないから病院に入院を続けるという社会的入院も多い。そういう社会の一部としての病院の役割を勉強したいならうってつけの現場です。ただそのためには、診療の指導体制がしっかりし、研究して論文を書いたりする学術的サポート体制がしっかりしていることが必要ですし、そしてお金も必要です。若者がここで勉強するために投資しようという考えが医療行政や病院経営者になくてはなりません」

 「福島県浜通りで起きた医療問題は、ほかの産業の課題と同じで、地域消滅と地方創生の話です。少子高齢化や過疎化など元々抱えていた問題が原発事故で加速し、2030年ぐらいになった状態に置かれています。ほかの産業では、地域の連携強化、ブランド化、ITの導入、病院や役所などの生活に必要な機能が近隣にまとめられたコンパクトシティーなど、いくつかの成功した事例があります。結局、そうした成功事例が目指したのは、旧体制からの脱却です。防波堤や防潮堤、除染のような公共事業にトップダウン的に金が落ちてバラマキが行われ、土建国家型の復興や都市の一極集中、例えば都心部の現場にいない人が全てを決めたり、建設業や土着の限られた企業だけが潤ったりという古い仕組みから脱け出す。自前で将来像を見いだし、ボトムアップの新しい仕組みを 創つく り出すことでしか未来はないはずです。医療も同じ岐路に立たされています」

若手が働きたい場所にするために 医療での挑戦

 そして、医療の世界で地方創生を果たすため、坪倉さんは若手医師が魅力を感じる職場作りに腐心してきた。

 「震災のどのような影響でどのような患者が増えたのかを見極め、診療し医療も産業として成り立つ。かつ、僕ら若手医師はここに来れば新しい勉強ができて、それは将来に役立つ。そして海外に発信することができる――。そんな成功事例を積み重ねることで、この場所をブランド化しようともがいてきたのがこの3年です。一方で、地元の大学病院や有力病院に予算が落ち、そこに新しい建物がどんどん建って、教授職などのポストが増え、そこから地域の病院に若手医師が派遣され、地方からはお礼参りをしないとシステムが回らないというのが典型的な旧体制。高野病院の件でも、トップダウン的に予算が落ち、大きな組織から派遣される形を取るのか、地元が団結して新しい価値を創造し、そちらに予算がつくかという引っ張り合いがなされましたが、結局、関係者で問題認識は共有されたものの、この危機をきっかけに新しい医療体制を作ろうという動きにはならなかった。高齢化で医療が大変、忙しくて人手不足とみんな言っていますが、超高齢社会の地域医療は現在の産業と同じで、一極集中型の土建国家型復興ではどうしようもない。大きな病院からトップダウン型に予算が落ちる仕組みに、なぜみんな違和感や危機感を持たないのか不思議です」

 坪倉さんは週の半分、浜通りの病院に通っているが、夜は、診療後に自主的に坪倉さんのもとに集まる若手医師に対し論文の書き方や研究の進め方の指導をしている。終わるのはいつも日付が変わった後。かつて20代だった坪倉さんが、東京大学で指導教官にしてもらったことを、福島で後輩医師に行っている。

 「自分の専門技能やキャリアを築けるという魅力がないと、若手医師は地方に来る意味を見いだせないし、10年後にここに来る人はいない。今いる平均年齢50~60代の開業医が引退する頃には、誰も帰ってきません。若手が1人来たら、『当直要員が1人増えた!』とロートルが喜ぶようなところには、絶対来ません」

 坪倉さん自身、福島に支援に入った当初は、東大の同期の医師たちに、「キャリアを捨ててもったいないな」「いつまでそんなことやるんだ?」「そんなのは医者の仕事じゃない」と心配されたり、冷笑されたりしてきたという。

 「でもずっとここでやっていて、ある程度学術的な発表をし、良くも悪くもマスコミで取り上げられたりすることが増えると、今度は『お前は現場があって、ちゃんと学術テーマもあっていいな』『羨ましいよ』という声に変わりました。3年目ぐらいで完全に逆転しました。後に続く後輩医師もそれぞれが進路に迷っているはずです。彼らにもやりがいを見いだせるように、環境を整えてあげたい」

 そして、坪倉さんは、自身の人脈や、支援を惜しまない大先輩の東大教授らの協力によって、海外の大学や市町村との連携を図り、様々な挑戦を仕掛けている。

 「ここで診療もしながら公衆衛生をやりたい若手に来てもらえるといいし、それを指導できるような立場になれればいいと思うのです。要は、若手にとってここに来る面白みをどんどん増やすことが必要です。福島に来てから、僕らのチームで発表した論文は約70本。まだこれから残さなければならないデータ、調べなければならないことはその2倍以上あります。イギリスのエジンバラ大学とは、格差など健康の社会的な決定要因についての共同研究を組んで、研究者を受け入れています。大地震の起きたネパールとも行き来し、上海の復旦大学にはうちの医師が1か月間留学し、介護要員不足の問題を共同研究しています。また、南相馬市がドローン(小型無人機)の特区になったので、過疎地医療の対策としてドローンを使った遠隔医療を試してみるといった案も出ています。いろいろ考えています」

さらに成長し、福島に関わり続ける

 支援に入った当初は20代だった坪倉さんも、現在35歳。6年間、無我夢中で走ってきたが、自身の医師、研究者としてのキャリアを考えると、留学も必要となる。

 「6年たってどうするの?と最近よく聞かれます。福島に関わり続けるとしても、そのためにも僕自身、勉強が足りません。教養もないし、ステップアップを図らなくてはいけません。学術的な地位もなく、国の研究費を申請するのも一苦労です。海外とも交流しながら公衆衛生を学ぶのか、放射線防護について学ぶのか、危機における医療コミュニケーションについて学ぶのかなど決められていませんが、自分の専門性を高めるためにも、いったんここを離れて留学することも必要だろうと思っています」

 原発事故後の福島に放り込まれるようにやってきて、住民と共に悩み、新たな地域医療を創り出そうと走り続けてきた坪倉さん。6年たって、自分の将来を考えながら立ち止まり、その先の未来は、何をやろうとしているのだろう。「やはり、若い頃に思い描いていたように政策やシステムを作る仕事をしたいのですか?」と尋ねると、こう返ってきた。

 「政策やシステムを作る仕事をするのは面白そうだと思う反面、そういう仕事を専門で行うようになると、現場を持たなくなりますよね? それにはすごく違和感があります。いつでも現場にはいたい。結局つらいとき、迷ったとき患者さんや地元の人がかけてくれる声に救われて、助けられ、力をもらって前に進むことができました。福島の現場でいろいろな人に出会えたことは一生の財産です。多くのご縁をいただきました。そう思える医者でいられることは、本当に幸せなことです。ここで働けたことに感謝していますし、だからこそ、結果を住民の皆さんに返していきたい。これからもずっと福島に関わり続けたいと思っています」

 (終わり)



https://www.m3.com/news/iryoishin/515025
シリーズ 日医代議員会
「物から人に財源移転を」、横倉会長
第139回日医代議員会、「政治への働きかけ」各医師に協力要請

2017年3月27日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は3月26日の第139回日医臨時代議員会で、2018年度診療報酬改定に向けて、「物から人への財源調整、アベノミクスの成果を社会保障の財源に使う」ことを求めていく方針を表明、6月の「骨太の方針」、12月の予算編成がそれぞれ節目になるとし、政治への働きかけも必要であることから、各医師への協力を求めた。

 横倉会長はまず、消費税率の8%から10%への引き上げが延期されたことを挙げ、「極めて厳しい状況の中で、さまざまな活動をせざるを得ない。特に次年度は診療報酬と介護報酬の同時改定であり、地域包括ケアを何としてでも作り上げなければ、高齢化が進む我が国の将来はないのではないか、というくらいの危機感を持っている」との認識を説明。

 その上で、6月に「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)が決まることから、「その前に、しっかりと対応をしていかないといけない。ゴールデンウイークをはさみ、関係の政治家には医療界全体の意見として申し入れしていくために、今、準備を始めているところ」とした。さらに12月20日頃には次年度の予算編成が決まることから、「それに向けて全国の先生方の協力のもとで、やっていかなければいけない」と呼びかけた。

 横倉会長は、2014年から2015年にかけて国民医療費は3.8%増加したことを説明、「例年は2%前後なので、非常に伸びが高い。特に調剤医療費は9.4%、その中で薬剤費は11.3%伸びている。『物から人へ』の財源の移動を求めているが、『人から物』に動きすぎているのが実態。まずは物の値段を適正な価格にして、その分を人件費に充てていくことが重要」と訴えた。

 安倍政権は、「一億総活躍」「地方創生」を挙げている。「全国に普遍的にあるのは、医療機関。そこで働く人は、300万人を超えるが、実はこの6年間、適切なベースアップができない状況にある。このことをしっかり主張していく」。横倉会長はこう指摘し、物ではなく人に対し、アベノミクスの成果を社会保障の財源に使うよう求めていく決意を表明した。

 以上は、兵庫県代議員の豊田俊氏による質問への答弁。横倉会長は、同代議員会の冒頭挨拶で、2018年度診療報酬改定で「人に対する十分な財源を手当てするよう、政府与党に強く求めていく」などと述べたのに対し、「地域包括ケアシステムの実現は非常に難しいと考えている」とし、財源手当ての見通しを改めて質したことへの回答だ(『「かかりつけ医の普及と定着、日医の最大課題」、横倉会長』を参照)。



https://www.m3.com/news/general/515150
延命中止は犯罪か 医師捜査で混乱、議連動く 「私たちの最期は」「解探る政官学」
2017年3月27日 (月) 共同通信社

 「終末期医療が雑誌の特集で話題になるのは一つの時代の流れ。問題提起してもらうのは決して悪いことではない」

 今年3月、国会内で取材に応じた民進党参院議員の増子輝彦(ましこ・てるひこ)(69)はこう語った。「平穏死」を提唱する動きや、静かに広がる「終活」ブームも念頭にあるのだろう。

 増子は超党派の国会議員約200人でつくる「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」の会長。患者自らが「尊厳死」を選ぶ権利を法律で定めようと、2005年に発足した。

 当初は「尊厳死法制化を考える議員連盟」という名称だったが、「安楽死を容認する政治活動だ」と誤解されやすく、15年に現在の名称に改めた。増子は「われわれが目指すのはあくまでも尊厳死。安楽死は全く選択肢にない」と強調する。

 尊厳死と安楽死。明確な定義があるわけではないが、安楽死が薬物投与などで積極的に死をほう助することを指すのに対し、尊厳死の場合は、死期を引き延ばすだけの延命措置をしない、または中止し、自然な死を迎えるといった意味合いだ。

 議連の発足前後、終末期医療の在り方を巡り医師が刑事責任を問われるケースが相次いでいた。

 05年5月、心肺停止状態で搬送されてきた90歳の男性の人工呼吸器を外して死亡させたとして、北海道立羽幌病院に勤務していた医師が殺人容疑で書類送検。06年3月には富山県の射水市民病院で末期がん患者の呼吸器が医師2人に取り外され、亡くなっていたことが発覚。2人は08年に殺人容疑で書類送検された。

 1990年代には医師が患者に薬剤を投与し死亡させた「東海大安楽死事件」や「川崎協同病院事件」が起き、2事件とも「法律上許される治療中止」とは認められず有罪が確定した。

 だが羽幌病院や射水市民病院では患者の呼吸器を外しただけで、東海大事件のように薬剤を投与したケースとは様相が異なる。実際、羽幌と射水の場合は呼吸器外しと死亡との因果関係が認められず、嫌疑不十分で不起訴処分となっている。

 死期が迫った患者への延命措置中止は犯罪行為なのか―。捜査の手が相次いで医師に及んだことで臨床現場は混乱。終末期医療のルール作りを求める声が高まった。

 そんな中、議連も尊厳死法制化への動きを加速させていく。(敬称略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/515111
シリーズ 日医代議員会
「かかりつけ医研修、2017年度から一部見直し」、鈴木常任理事
第139回日医代議員会、医師資格証の利用も呼びかけ

2017年3月27日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、3月26日の第139回日医臨時代議員会で、「かかりつけ医機能には、医学的機能と、社会的機能がある」と指摘、2017年度から「地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会」は医学的機能を中心に、「日医かかりつけ医機能研修制度応用研修会」では地域包括ケアシステムの構築に向けて、社会的機能を中心に、それぞれ研修できるよう見直す方針を説明した。両研修会は、内容が一部重複しており、目的が分かりにくいとの指摘があった。

 研修受講に当たっては、「医師会研修管理システム」の利用で、受講履歴の管理が容易になるほか、医師資格証があれば、自分専用のホームページにログインすることで、受講履歴や単位の取得状況が確認でき、地域包括診療加算・地域包括診療料の研修実績の証明にすることも可能であるとし、利用を呼びかけた。

 ただし、研修会のe-learning化は、「診療報酬の算定要件を満たさない」とされていることなどから、その導入は難しいと説明、理解を求めた。

 医学的機能と社会的機能に分けて講義

 「在宅医リーダー研修」「地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会」と、2016年度からスタートした「日医かかりつけ医機能研修制度」について、一部内容が重複しており、会員の間で理解不足や混乱があるなどの現状と指摘したのは、秋田県代議員の佐藤家隆氏。(1)各研修の履修項目に互換性や統一性を持たせる、(2)医師会員各自が研修内容が分かるようにするため、「かかりつけ医研修手帳」の作成、(3)e-learningの導入、医師資格証を利用した一括管理システムの開発――を要望した。

 鈴木常任理事は、3つの研修は、地域における在宅医療のリーダーの育成、診療報酬の算定要件、日医独自のかかりつけ医機能の維持・向上と、それぞれ目的別に実施しているが、佐藤氏の指摘の通り、在宅医療や慢性疾患に関する講義など、重複する部分もあると認めた。特に「地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会」と「日医かかりつけ医機能研修制度」は、ともにかかりつけ医機能に関する講義であり、一方の研修会を受講することが、他方の要件にも活用可能な制度設計であることなど、違いが分かりにくい部分もある。

 「かかりつけ医機能には、医学的機能と、社会的機能がある」とし、2017年度からは、「地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会」では医学的機能を中心として、各疾患についてエビデンスに基づく最新の知見を学習できる内容に、「日医かかりつけ医機能研修制度応用研修会」では地域包括ケアシステムの構築に向けて、社会的機能も理解してもらう内容になるよう、全体調整を図っているところだという。

 e-learningの導入は困難

 次に鈴木常任理事は、各種研修の受講管理ができるよう、新たに「全国医師会研修管理システム」を導入したことを説明。「医師資格証を用いた出欠管理システムとも連動しており、研修会の出欠をオンラインで登録すれば、受講履歴に反映させることができるだけなく、医師資格証があれば、自分専用のホームページにログインすることで、受講履歴や単位の取得状況が確認でき、これを地域包括診療加算・地域包括診療料の研修実績の証明にすることも可能」。

 ただし、e-learningの導入については、診療報酬の算定に係る疑義解釈において、「e-learningの受講では要件を満たさない」とされていることから、「地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会」での導入は難しいとした。「日医かかりつけ医機能研修制度応用研修会」についても、本研修制度の社会的信頼性を確保するために、医師会が座学による研修の受講管理を厳密に行う点も、質の担保を図る一環として考えているとし、理解を求めた。

 「医師資格証による管理」への懸念も
 関連して発言した奈良県代議員の大澤英一氏は、「講習会の受講と医師資格証をリンクさせるのは、別問題」と述べ、「国が医師をコントロールしようとして力を注いでおり、日医がその代役を果たすことになりかねない。医師資格証をもって受講資格とすることには、少し危険がある」と指摘した。

 鈴木氏は、「医師資格証を持っていると単位の管理が便利」であり、持っていないと受講できないわけではないと説明。

 続いて日医会長の横倉義武氏は、「政府が医師をコントロールすることは、絶対我々は否定する。しかし、医師の団体として、自律的にいろいろなことをチェックしていくことは必要ではないか、その点はいかがか」と、大澤氏に質した。

 大澤氏は、「プロフェッショナルオートノミーで、医師のグループをコントロールすることは分かる。しかし、たがが外れた場合に、コントロールしすぎると困るという危惧がある。あまり制度化することがないようにお願いしたい」と答えた。

 横倉会長は、「もちろん、制度化は考えていないが、医師資格証をそうしたこと(研修受講管理など)に利用していくことは、医師会としては自律的にやっていくべきではないか、と思っている」と述べ、引き取った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/515029
シリーズ 日医代議員会
「受診時定額負担、かかりつけ医普及に水差す」、松本常任理事
第139回日医代議員会、「応能負担の議論も必要」

2017年3月27日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、3月26日の第139回日医臨時代議員会で、かかりつけ医以外を受診した場合の「受診時定額負担」について、「導入されれば、かかりつけ医の普及に水を差すことになり、今後の医療提供に重大な影響を及ぼす」とし、反対していくことを表明した。

 一方で、厳しい財政状況を鑑み、2016年度診療報酬改定で導入された、特定機能病院などの大病院に紹介状なく受診した場合の定額負担については、その対象要件や負担額の検討も必要とし、「それにより生じた財源を地域連携の推進やかかりつけ医の評価に充てていくことも一考に値するのではないか」と提案した。さらに受診時定額負担の前に、社会保障の理念に基づき、応能負担の議論を進めていくべきことも主張していく方針を説明した。

 2016年末から2017年末に結論先送り
 受診時定額負担について質したのは、北海道代議員の今眞人氏。2017年末までに社会保障審議会医療保険部会で、「かかりつけ医の普及の観点から、かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担を導入すること」について、結論を得ることとなっていることを踏まえ、日医の考えを質すとともに、「どのような医師がかかりつけ医なのか」と提起し、フリーアクセスを阻害する登録医制度につながる懸念を呈した。

 松本常任理事はまず、受診時定額負担については当初、2016年末までに結論を出すとされていたものの、日医は繰り返し反対し、2016年11月に横倉義武日医会長が、安倍晋三首相と会談した際にも、「国民一人一人がまだかかりつけ医を持つ段階に至っておらず、現在は廃止されている後期高齢者診療料を導入した時のような混乱を招くことから、受診時定額負担は導入すべきではない」と説明したことを紹介。その結果、経済財政諮問会議で2016年12月に決定された「経済・財政再生計画 改革工程表2016改定版」で、2017年末までに結論を得ると先送りされた。「財政健全化の主張もあり、議論は避けられないが、受診抑制につながる受診時定額負担が導入されることのないよう、引き続き政府に厳しく働きかけていく」(松本常任理事)。

 大病院の定額負担、対象要件や負担額検討の余地
 次に、松本常任理事は、日医が、かかりつけ医機能研修制度を通じて、地域住民から信頼されるかかりつけ医を養成し、その普及に努めていると説明。かかりつけ医の評価としては、2014年度診療報酬改定で、地域包括診療料と地域包括診療加算が新設され、2016年度改定ではその要件が緩和された。「かかりつけ医普及の制度的裏付けは、始まったばかりであり、受診時定額負担が導入されれば、かかりつけ医普及に水を差すことになり、今後の医療提供に重大な影響を及ぼす」。

 「わが国の特徴であるフリーアクセスはしっかり守っていかなければならない」としたものの、一方で、「大病院と中小病院、診療所の外来の機能分化の観点から、大病院の直接受診には是正も必要」と主張。2016年度診療報酬改定で「紹介状なし」で大病院を受診した場合の選定療養による定額負担については、対象要件や負担額について、現状を分析した上で検討が必要とした。今は、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院が対象。その結果、生じた財源を地域連携の推進やかかりつけ医の評価に充てていくことも一考に値するとした。

 関連で発言した東京都代議員の市川尚一氏は、「受診時定額負担という考え方自体に、ノーと言わなければいけない」と訴えた。消費税がいったん導入されると税率が3%、5%と上がっていくことを例に挙げ、「受診時定額負担は100円で導入されても、いつの日か500円、1000円と上がっていくことが懸念される」と市川氏は指摘し、「かかりつけ医とは何かがはっきりしないうちに導入すると、医師の内部が混乱する」とも述べ、受診時定額負担の導入阻止を主張した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/515028
シリーズ 日医代議員会
「最高の医療を提供」との表現はNG、松原副会長
第138回日医代議員会、医療法改正でHPも規制対象に

2017年3月27日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、今国会に提出された医療法改正法案で、医療機関のホームページも規制対象となったとし、「ホームページでも虚偽、誇大など、不適切な表現をする場合には、規制の対象になった」と説明する一方、基本的には広告やホームページの内容は医療機関の自主性に委ねられるとし、それ故に医療機関や医師が自律的にその内容に責任を持つことが大切だと訴えた。

 現行では「最高の医療を提供します」「日本一の手術件数です」といった、いわゆる比較優良広告は、規制の対象。「今回のホームページ規制案でも、他の病院や診療所として優良である旨を広告しないこととされており、現行の解釈も引き継がれ、規制対象になるものと考えている」(松原副会長)。

 日医は2016年10月、「医師の職業倫理指針」を改訂した。松原副会長は、「今後ともホームページを含む医療広告に関して、医師の職業倫理指針を遵守するよう、その普及啓発に務めていく」方針を表明。同指針は、「医の倫理綱領」として、「医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける」と掲げ、「広告・宣伝」の項で、「国民・患者がその内容を理解し、適切な治療等の選択ができるよう、客観的で正確な情報が提供されなければならない」と記載している。

 問題ホームページが社会問題化
 新潟県代議員の堂前洋一郎氏は、2012年9月に厚生労働省は「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針」(医療機関ホームページガイドライン)を作成したが、各医療機関のホームページを見ると、同指針では掲載してはいけないとされている、「他との比較など自らの優良性を示した内容」などが記載されていると指摘。医療法上の広告規制の対象外のホームページや医療広告についての日医の見解を質した。

 これに対し、松原副会長はまず医療機関のホームページの規制をめぐる経緯を説明。バナー広告を除いて医療広告規制の対象外とされてきたものの、このたびの医療法改正法案で規制の対象になった。「ごく一部の医療機関で、ホームページ上で、虚偽、誇大な表現での利用者の勧誘が行われ、強引な契約締結、ひいて医療事故が発生して、社会問題化したことがある」(松原副会長)。

 2012年9月に厚生労働省は「医療機関ホームページガイドライン」をまとめたものの、2015年7月、政府の消費者委員会から、「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」が出された。その後、厚労省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」と社会保障審議会医療部会を経て、医療法改正法案の提出に至った。

 次に松原副会長は、日医の医療広告に対する考え方を説明。「インターネットは、社会に欠かせない技術になっている。それぞれの医療機関のホームページでは、医師自身の診療の理念などを分かりやすく情報発信している。患者、国民にとっても、有益な取り組みだと思う。自由度を守りつつ、氾濫する情報から患者の生命や健康を守り、国民からの信頼を築いていく必要がある」。この観点から、「医師の職業倫理指針」を遵守することが求められるとした。

 医療機関のホームページに対しては、監視体制も必要になる。「厚労省も監視体制の強化を予算化している。ただし、実際に規制を運用するのは、都道府県が基本であり、新たな規制を具体化するには、都道府県が医師会とも連携しながら、監視を行い、問題事例が起きれば、適切に対処できる仕組みにしなければいけない」。松原副会長はこう説明し、日医は今後、詳細な規制内容を検討する場にも参画して、具体的な規制の枠組み作りと、国や都道府県の監視体制の強化を支えていくとし、都道府県医師会に対しても、行政と連携した対応を行い、情報提供を行うよう求めた。



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0327/ym_170327_3137124550.html
医療事故、過去最多の3882件…昨年
読売新聞3月27日(月)19時5分

 「日本医療機能評価機構」(東京)は27日、昨年1年間に報告された医療事故の件数は全国1031医療機関で、過去最多の計3882件だったと発表した。
 調査は2005年に始まり、9年連続で増え続けている。
 内訳は、医療事故の報告が義務づけられている大学病院など計276医療機関からの報告が8割超の3428件。このほか、任意で755の医療機関が、同機構に454件の事故を報告した。移動時の転倒や手術後に異物が体内に残っていた事故などが目立った。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20170325-OYT1T50058.html
新病院、市議会が3度目「ノー」…住民投票へ
2017年03月27日 15時38分 読売新聞

 滋賀県野洲市が2020年にJR野洲駅南口で開院を目指す新市立病院計画について、市議会は24日、新年度予算案から関連事業費を削減する議員提案の修正案2件を可決した。


 過去2度の関連予算案の否決を経て動き出していた事業は、再び暗礁に乗り上げることになり、山仲善彰市長は「これで計画の命脈が絶たれるなら、市の歴史の大汚点となる」として、建設推進の是非を問う住民投票を実施する考えを表明した。

 市は、老朽化が進む民間の「野洲病院」の資産と事業を19年7月に引き継いで暫定的に市直営とし、20年10月に駅南口の市有地で整備する新市立病院へ移行する事業費86億円の計画を進めている。

 今回、市議から提案された修正案は、一般会計から関連事業費5700万円をカットし、病院用地取得費を計上した土地取得特別会計から約11億円を削減する内容。22日の予算常任委員会では修正案が賛成8、反対9で否決され、市が提案した原案が可決されていた。

 本会議では、駅南口での開院や市直営に反対する市議4人が修正案を提案。採決前の討論で、「他市の公立病院の厳しい現状も見渡し、計画を見直すべきだ」、「駅南口への設置に疑問を持つ市民の意見を排除すべきではない」と強調した。これに対し、市の計画を支持する市議からは「すでに病院設置条例案が可決されている」、「連携する滋賀医大との関係が崩れ、この機会を逃せば市は中核医療を失ってしまう」と主張した。

 修正案に対する採決は記名投票で実施。2件とも賛成9、反対9の同数となったため、坂口哲哉議長の裁決で修正案が可決された。

 市が提案した病院事業会計予算案は、同様に議長裁決で否決した。

 この結果、市は用地取得や実施設計を進められなくなり、事業は凍結状態になった。

 山仲市長は閉会後の記者会見で、「議員や市民の同意を得るため、丁寧に何度も説明してきたが、反対議員がさらに市民の合意が必要と指摘している。残された道は住民投票しかない」と強調。6月議会に実施のための議案や病院関連予算案を提案する考えを示した。

 病院計画を巡っては、市議会が、関連予算案を15年5月と11月の2度否決。その後、市民団体などによる署名集めや要望活動を経て、16年の2月議会で可決した。

 同年10月の市長選では、山仲市長が計画反対派2人を破って3選。同12月議会では病院設置条例案が、総務常任委員会で賛成2、反対4で否決されたが、本会議では賛成10、反対8で可決されていた。(名和川徹)



http://www.asahi.com/articles/ASK3W6WL0K3WPTIL04H.html
組長側の依頼受け、虚偽診断書作成か 男性医師ら逮捕へ
2017年3月27日22時28分 朝日新聞

 暴力団組長をめぐる虚偽診断書作成容疑事件で、民間大手「康生会・武田病院」(京都市下京区)の男性医師が、心臓病の症状を実際より重く見せかける虚偽の意見書を作り、大阪高検に提出した疑いが強まったとして、京都府警は27日、同容疑で逮捕状を取った。捜査関係者への取材でわかった。

 府警は医師のほか、当時の武田病院職員や、暴力団関係者も意見書作成に関わったとみており、容疑が固まり次第、3人を逮捕する方針。

 捜査関係者によると、意見書は、2015年6月に恐喝事件で懲役8年の実刑が確定した山口組系暴力団組長の高山義友希受刑者(60)=今年2月に刑務所収容=の心臓病の症状が記載されていた。

 これまでの調べでは、男性医師は、武田病院で組長の心臓病の診断、治療を担当。16年2月8日には、「重症心室性不整脈」との病名を記し、「今後も不整脈が頻発する」などと実際の症状より重篤に見せかけた虚偽の意見書を作り、大阪高検に提出したという。

 捜査関係者によると、意見書作成に際し、暴力団関係者が医師らに対し、刑務所に組長が収容されないよう取りはからうよう依頼したとの情報があり、心電図などのデータを調べたところ、医師が虚偽の意見書を作った疑いが強まったという。



http://mainichi.jp/articles/20170328/k00/00m/040/062000c
京都府立医大事件
医師ら3人逮捕へ 虚偽診断書作成容疑

毎日新聞2017年3月27日 21時20分(最終更新 3月27日 22時47分)

 京都府立医大付属病院(京都市上京区)などが暴力団組長の病状を偽る書類を作成し検察に提出したとされる事件で、京都府警が虚偽診断書作成などの容疑で「康生会 武田病院」(同市下京区)の男性医師(61)と元病院職員(45)、暴力団組員(48)の逮捕状を取ったことが捜査関係者への取材で分かった。容疑が固まり次第逮捕する。

 組長は、恐喝罪などで懲役8年の実刑判決が確定した指定暴力団・山口組の直系組織「淡海(おうみ)一家」総長、高山義友希(よしゆき)受刑者(60)。捜査関係者によると、医師らは不整脈を患っていた高山受刑者について、「突然死する恐れがあり、収監には耐えられない」とする虚偽の診断書類を検察に提出したなどの疑いが持たれている。

 府立医大病院も、高山受刑者が腎臓病で収監に耐えられないとする書類を作成。これらをもとに大阪高検は2016年2月に高山受刑者の刑の執行を停止した。高検は今年2月14日に高山受刑者を大阪刑務所へ収監し、府警は府立医大病院や武田病院などを家宅捜索した。

 大学関係者らによると、高山受刑者は指定暴力団・会津小鉄会(京都市)の会長だった父の登久太郎氏(故人)が武田病院で診察を受けていたことなどから、武田病院グループで受診するようになった。

 府立医大とは医師派遣などで協力関係にあり、府立医大側は武田病院グループからの紹介で高山受刑者を診察したと説明している。吉川敏一学長は2月の記者会見で、武田病院グループの武田隆久理事長と「古いつきあい」だと話していた。

 府警はこれまで、両病院の複数の医師らから任意で事情を聴取した。このうち府立医大の主治医(44)は「『収監が可能』と判断したが、吉村了勇(のりお)病院長から『拘禁に耐えられない』とするよう指示された」という趣旨の説明をしているという。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27HC3_X20C17A3CC1000/
京都府医大の協力病院、医師ら3人を逮捕 虚偽診断疑い
2017/3/28 1:19 日本経済新聞

 暴力団組長を巡る虚偽診断書作成事件で、京都府警は27日、虚偽の回答書を作り、大阪高検に提出したとして、京都府立医大(京都市)と協力関係にある民間病院「康生会武田病院」(同市)の韓国籍の担当医、***容疑者(61)=同市左京区=ら3人を、虚偽診断書作成・同行使容疑で逮捕した。

 ***容疑者らが、暴力団関係者から商品券や現金を受け取っていたことも同日、捜査関係者への取材で分かった。

 逮捕容疑は共謀し、暴力団山口組淡海一家の総長、高山義友希受刑者(60)についての大阪高検からの病状照会に、2016年1月27日ごろから2月5日ごろまでの間、「心室性不整脈はかなり重篤」「症状が重篤化することが容易に予測できる」などと虚偽の事実を記載し、提出した疑い。

 高山受刑者は13年6月に京都地裁で恐喝罪などにより懲役8年の判決を受け、15年7月に判決が確定した。この回答書が出された16年2月に大阪高検が刑の執行を停止。今年2月まで収監されなかった。

 他に逮捕されたのは、病院職員の***容疑者(45)=大津市=と、暴力団会津小鉄会系組員の山田英志容疑者(48)=京都府宇治市。

 府警によると、山田容疑者は高山受刑者と親交があり、虚偽診断書を病院側に依頼したとみて調べている。***容疑者は武田病院の不整脈治療センター所長、***容疑者は当時、患者の窓口となる医事部長だった。

 府警は2月、府立医大病院とともに武田病院を家宅捜索。腎臓移植手術を受けた高山受刑者が「BKウイルス腎炎」などの影響で、収監に耐えられないとする回答書を作成した府立医大病院の***院長(64)らについても、虚偽がなかったか捜査する。

 府立医大は武田病院に医師派遣などをしており、同病院が高山受刑者を府立医大に紹介していた。〔共同〕

G3註:原文は実名報道



http://www.sankei.com/west/news/170328/wst1703280009-n1.html
【京都府立医大疑惑】
「心臓の武田」の腕利き医師逮捕…府立医大病院の関係性は 暴力団幹部の虚偽診断書作成事件

2017.3.28 00:33 産経ニュース

 家宅捜索から1カ月あまりを経て、医療機関の“闇”を映し出す事件がついに動き出した。病気を理由に収監を免れた暴力団幹部の病状について、京都府立医大病院(京都市)などが検察に虚偽の報告をしたとされる事件。京都府警が27日に逮捕したのは、府立医大病院と関係が深く、「心臓の武田」ともいわれる民間大手「康生会武田病院」(同市)の担当医らだった。

 虚偽診断書作成・同行使の疑いで逮捕されたのは、武田病院の医師、***容疑者(61)=京都市左京区▽同病院の元医事部長、***容疑者(45)=大津市▽暴力団組員、山田英志容疑者(48)=京都府宇治市=の3人。「業界では腕がいいことで有名な医師だ」。ある医者は、***容疑者をこう評する。

 病院関係者によると、***容疑者は武田病院の特色の一つである「不整脈治療センター」のトップ。***容疑者の治療を受けるために京都府外からも患者が受診に訪れていたという。

 だが、過去には収賄事件で逮捕され、有罪判決を受けたこともあった。

 ホームページによると、武田病院グループは京都府内で9病院のほか、検診施設、介護・福祉施設などを経営。不整脈治療センターは「心臓の武田」を代表する「京都では有数の施設」(医療関係者)だった。

 「もともとは京都大学系の病院だったが、最近では府立医大出身の医師が増えていた」。武田病院を知る関係者によると、同病院を開業したグループ会長(86)が京大出身で、長らく京大系の医師派遣を受け入れていた。だが、現在の理事長(56)に代わってから、府立医大からの医師を積極的に受け入れるようになったという。

 指定暴力団山口組系淡海(おうみ)一家総長、高山義友希(よしゆき)受刑者(60)を患者とし、府立医大側に紹介したのも武田病院グループの医療機関だった。高山受刑者の父親で指定暴力団会津小鉄会(京都市)の故・高山登久太郎(とくたろう)元会長が武田病院で診察を受けていたといい、その縁で高山受刑者も診察を受けたとみられる。

 ***容疑者の逮捕容疑は、高山受刑者が収監されるのを免れさせるため、診断書に虚偽の事実を記載したという内容だ。武田病院を知る医師は、高山受刑者だけでなく、「患者として暴力団組員が出入りしているとの話は耳にしていた」と打ち明ける。

 府立医大と武田病院をめぐっては、武田側から府立医大幹部へ多額の不明朗な現金が渡っていた疑惑も浮上している。京都を代表する民間病院と大学病院が暴力団とどのような関係にあったのか。府警の捜査は本格化する。

G3註:原文は実名報道



http://www.excite.co.jp/News/world_g/20170327/NewsWeekJapan_E189203.html
トランプは張り子の虎、オバマケア廃止撤回までの最悪の一週間
ニューズウィーク 2017年3月27日 17時30分 (2017年3月28日 05時18分 更新)

<トランプは今や、得票数でクリントンに及ばなかった大統領どころではなく、ロシアに当選させてもらった大統領、目玉公約のオバマケア廃止法案さえ通せない大統領、つまり「まぐれの大統領」だ>

ドナルド・トランプ米大統領にとって大きな敗北だ。3月24日、オバマケア(医療保険制度改革)の廃止代替案を議会採決直前に撤回せざるをえなくなったのだ。共和党の「フリーダム・コーカス(下院議員連盟)」と呼ばれる保守強硬派の支持が得られず、賛成票が足りなかった。これで、選挙戦中あれほど強く廃止代替を公約していたオバマケアは予見可能な将来、ずっと続くことになった。上下院を共和党が支配する状況下でさえ、最重要法案を採決に持ち込めない──トランプ米大統領と共和党の驚くべく無能さがさらけだされた瞬間だった。

それだけではない。先週の数日間に、FBI(米連邦捜査局)は米大統領選へのロシアの関与とトランプ陣営の関係について捜査中であることを認め、トランプが指名した最高裁判事候補の議会承認は躓き、極めて良好だったイスラエルとの関係も壁にぶつかった。「最強の交渉役」を自任してきたトランプの面目は丸つぶれだ。フェイク(偽)ニュースや大ぼらでこれまでも散々世間を振り回してきたトランプだが、フロリダでの休暇を取り止めて記者たちへの弁明に終始した今回は、完全にコントロールを失って見えた。

「オバマが盗聴」はでっち上げ

トランプの大統領就任以来続いていた中傷や根拠のない非難、フェイクニュースの嵐を静まらせたのは、先週月曜、FBIのジェームズ・コミー長官が米下院情報特別委員会の公聴会に出席し、米大統領選をトランプ有利にしようと工作したロシアのスパイとトランプ陣営スタッフの関係について捜査中だと証言したときだ。もし本当なら、トランプはロシアに当選させてもらった大統領ということになりかねない。またコミーは、バラク・オバマ前大統領がトランプのことを盗聴していたというトランプの根拠なき主張についても、そんな証拠はとこもないとにべもなく否定した。

それでも、最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチが上院に無事承認されていれば、少しは政治的な暗雲も晴れただろう。だが民主党が承認阻止を宣言し、トランプと上院共和党は難しい立場に追い込まれている。民主党が「フィリバスター(議事妨害)」に打って出れば、共和党は8人の民主党議員を味方につけなければゴーサッチを承認できなくなる。

外交面でも傷を負った。ジャンクロード・ユンケル欧州委員長はEUのローマ条約締結60周年の演説で、ナショナリスト的な運動を煽る「いまいましい」トランプへの警戒を呼びかけた。極右など一部を除けば、ヨーロッパは、トランプのポピュリスト的レトリックにうんざりしているのだ。

熱々だったイスラエルとの関係にもヒビが入った。二国家共存という中東外交の大原則に引き戻されるうちに、トランプも歴代大統領を苦しめたのと同じ立場に陥ったのだ。イスラエルに入植活動を停止し、和平合意を尊重するよう説得する立場だ。

散々な一週間の後、トランプは深刻なイメージダウンを被った。共和党の穏健派も保守強硬派も、共和党員の反乱分子は許さないというトランプの脅しをものともせず公然と歯向かった。上下両院で多数を握る共和党は本来、民主党の意思とは無関係に法案を通せるはずだが、内部の亀裂ゆえにそれができない。医療改革、税制改革、インフラ投資などの大型法案をこれからどうすれば成立をさせられるのかも見通せない。

トランプは、大統領就任式の参加者が史上最大だったという嘘をショーン・スパイサー報道官に押し付けた日から、毎日嘘をつくリズムを身に付けたのかもしれない。就任一週目にはそのどさくさに紛れてトランプ自身の支持者が喜ぶ大統領令に署名することができた。だがそんな蜜月は、もう終わったのかもしれない。

このままだと、トランプは「まぐれの大統領」であり続ける。一般の得票数ではヒラリー・クリントン民主党候補に負けた大統領。ロシアに当選させてもらったかもしれない大統領。与党・共和党の8年越しの公約でもあったオバマケア廃止もできない大統領だ。

ニコラス・ロフレド



http://mainichi.jp/articles/20170328/k00/00m/040/089000c
がんのゲノム医療
促進 拠点病院指定、機能や人材拡充へ

毎日新聞2017年3月27日 23時06分(最終更新 3月27日 23時06分)

 厚生労働省は27日、個人の遺伝情報に基づいたがんのゲノム医療を担う拠点病院を指定する方針を明らかにした。同日の有識者懇談会の初会合で、拠点病院に必要な機能や体制などを夏までにとりまとめる考えを示した。

 ゲノム医療は個人の遺伝情報を基に、その人に応じた病気の診断や治療、予防を行うこと。効果が高く副作用の少ない治療が期待される。現在も一部のがんで実施されているが、幅広いケースに対応するまでには至っていない。

 このため、政府は今夏に、がんのゲノム医療の実用化に向けたプロジェクト「がんゲノム医療推進計画」を策定する予定。その中で、ゲノム医療拠点病院や大学、研究機関によるがんゲノム医療推進体制の構築が柱の一つになる。

 一方で、がんゲノム医療を担える医療機関や人材は限られている。厚労省は、人材などを拠点病院に集約することで、質を確保したい考えだ。遺伝子検査によって幅広くデータを集める役割も担う。

 懇談会では、幅広いがんの遺伝子検査への保険適用の必要性や、がんゲノム情報の集約・管理のあり方などについて検討する。【細川貴代】

  1. 2017/03/28(火) 05:51:32|
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