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3月26日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/514881
シリーズ 日医代議員会
「かかりつけ医の普及と定着、日医の最大課題」、横倉会長
第139回日医代議員会、医師偏在対策は「大変危惧」

2017年3月26日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会の横倉義武会長は3月26日の第139回日医臨時代議員会の冒頭挨拶で、かかりつけ医機能の評価を高め、普及と定着を図っていくことが、「日医を挙げて取り組むべき、最大の課題」として、2018年度の診療報酬改定での評価を求めていくとともに、2016年度から開始した、かかりつけ医機能研修制度の充実を図っていく方針を表明した。日本専門医機構が検討を進める新専門医制度はあくまで学術的な評価であり、かかりつけ医は地域医療を支える存在であり、両者は「明確に分けて捉えている」とも強調。

 さらに政府が進める働き方改革との関連では、医師は生涯学習を続けていく立場であり、応招義務を課せられていることから、医師の残業規制は法施行後5年間猶予し、その間に勤務環境改善に向けた検討を行うという内容が、政府の「働き方改革実現会議」が今月末までにまとめる「働き方改革実行計画」に盛り込まれる予定だ。

 医師の偏在対策についても触れ、「政府内での議論の進め方も含め、大変危惧している」として、日医内に「医師の団体の在り方検討委員会」を設置したことを説明。諸問題の解決に必要な医師の団体の在り方などについての報告書が、間もなく取りまとめられる。

 世界医師会会長に就任、「日本の医療制度を発信」

 横倉会長は挨拶の中でまず、今年10月から世界医師会会長に就任するに当たり、「我が国の優れた医療制度を、世界が経験したことのない高齢社会における安心モデルにまで高め、世界中に発信していきたい。そうした思いからの挑戦であった」との抱負を語った。

 その上で、医療を担う医師の専門家集団には今、医療を取り巻く課題解決に向けた明確な意思表示を行うことが求められているとし、「かかりつけ医機能の評価を高め、さらなる普及と定着を図っていくことが、日医を挙げて取り組むべき最大の課題」と強調。

 かかりつけ医機能の評価をめぐる経緯や昨今の動きとして、2016年度診療報酬改定では、地域包括診療料・加算が拡充され、「人」への評価が行われたこと、今年は第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画が策定され、2025年に向けて地域包括ケアシステム構築が全国で急務となっていることから、かかりつけ医の役割がますます重要になってくることなどを挙げた。2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた議論に当たっては、「人」に対する十分な財源を手当てするよう、政府与党に強く求めていくという。

 かかりつけ医機能の維持・向上に向けて、2016年度から開始した、かかりつけ医機能研修制度の拡充を図っていくほか、この3月から施行された改正道路交通法に対応するため、『認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き』を作成したことを紹介。

 「専門医は学際的かつ自律的な位置付け」

 続けて横倉会長は、かかりつけ医機能の研修やその在り方は、日本専門医機構で検討を進める「新たな専門医の仕組み」とは、明確に分けて捉えていると強調した。

 かかりつけ医は、「診療における役割と社会的役割を持って、地域医療を支える存在」。その一方、専門医は医師の自己研鑽の一手段であり、地域医療に混乱を来すことなく、あくまでも学際的かつ自律的な位置付けとしての仕組み作りを進めるべきとした。

 日医は2016年11月に、日本専門医機構に対し、医師の地域偏在の拡大などによる地域医療への悪影響を是正するよう、要望書を提出。同機構が2016年12月にまとめた「専門医制度新整備指針」では、地域医療への配慮や、同機構と学会の関係が見直されるなどの改訂が行われたとした。

 医師、残業規制は5年間猶予

 かかりつけ医の普及と定着は、政府が進める「働き方改革」や医師の偏在問題とも密接に関わってくるとした。「働き方改革」については、過重労働が問題になる医師の健康を守ることは必要としたものの、一方で、応招義務があり、日進月歩の医学・医療の習得に向けた生涯学習が必要なことなどから、「罰則を伴う労働時間への上限規制の性急な導入は、地域医療に相当な混乱を来す恐れがある」と政府等に働きかけた結果、「医師については、残業規制を法施行後5年間は猶予し、その間、勤務環境改善に向けた検討を行う」という内容が、「働き方改革実行計画」に盛り込まれる予定と説明。

 「医師の団体の在り方検討委員会」、近く報告書

 医師の偏在問題については、「政府内での議論の進め方も含めて、大変危惧している」と指摘。そのため、医療界としての提言をまとめるため、「医師の団体の在り方検討委員会」を新たに設置、医師の偏在問題をはじめ、さまざまな問題解決のためにどんな医師の団体が必要か、近く報告書をまとめる予定だという(『「全員加盟の医師の団体」の是非を議論、日医』を参照)。

 最後に横倉会長が強調したのは、「専門職としての能力と倫理の水準を高め、専門職自律の原則に立って、自己規律を行う」重要性だ。医療政策、医療制度の推進に向けて医師が提案していくためには、医療に対する国民からの信頼が必要であるという理由からだ。医師の自己規律の問題は広範にわたるが、中でも医療事故調査制度では、死亡原因を医学的に明らかにし、遺族の納得が得られるように説明し、かつ事故の経験を医療界全体として生かすことができるよう、制度として完成度を高めていくことが必要だとした。

 また昨今、若手医師や医学生による不祥事が起きていることから、医の倫理の向上に努めていく重要性を強調。2016年10月に、「医師の職業倫理指針」を8年ぶりに改訂したことも紹介した(『「医の倫理」こそ、医師の原点 - 横倉義武・日医会長に聞く◆Vol.1』を参照)。

 日医をはじめ、全国の医師会が新生医師会として再出発をしてから、今年でちょうど70年。横倉会長は、「日本は世界における確固たる地位を確保する努力と国内での政策を改善する力を発揮しようとうしている」という2011年に発行されたLancet誌の日本の医療に関する論説を紹介。こうした期待があることを謙虚に受け止めながら、我が国の医療政策をリードし、グローバスヘルスにも積極的に関わることで、全国の医師会員、世界医師会加盟の112カ国に及ぶ医師会員の信託に応えていくとし、挨拶を締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/514886
シリーズ 日医代議員会
「医師需給分科会、早急に再開を」、横倉会長
第139回日医代議員会、「専門医取得は必須でない」との発言も

2017年3月26日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月26日の第139回日本医師会臨時代議員会で、医師の偏在対策は喫緊の課題であるものの、新専門医制度だけで解決できるものではないと指摘し、現在は議論がストップしている厚生労働省の「医師需給分科会」の早急な再開を求めた。

 「医師需給分科会」が休会となっているのは、塩崎恭久厚労相が2016年10月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を設置し、医師偏在対策も含めて議論しているため。横倉会長は、日医代議員会の冒頭挨拶でも「政府内での議論の進め方も含めて、大変危惧している」とコメントし、厚労省の医師偏在対策の議論の進め方を問題視していることがうかがえた(『「かかりつけ医の普及と定着、日医の最大課題」、横倉会長』を参照)。

 さらに横倉会長は、専門医取得の考え方について、「全ての医師が専門医にならなければいけない理由はない。また専門医を取得するか否かは、あくまで医師の自律性に基づき実践されるものであり、国の介入による法的な規制を求めるものではない」との見解を表明。

 「総合診療専門医を19番目の基本領域の専門医とすることは不適切」との質問には、「総合診療専門医とかかりつけ医を明確に区分したい」と答弁した。総合診療専門医に限らず、専門医は、あくまで学術的な位置付けであり、医師の生涯にわたる自己研鑽の一手段であるとした。一方、医療提供体制において位置付けるのは、かかりつけ医で、その担い手は内科、外科などの各領域の医師であり、そこに総合診療専門医も含まれるという考え方だ。総合診療専門医は、厚生労働省の2013年4月の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書で、19番目の基本領域専門医に位置付けられたことから、「これを外すには、もう一度、検討会を開催して、書き直さなければいけない」(横倉会長)。

 専門医の関連では、日医から日本専門医機構への運営資金の貸し付けに関する質問も出た。横倉会長によると、日医として「1億円を上限として貸し付けることで了解をしているほか、各学会も負担している」と説明。松原謙二副会長がその詳細を次のように説明した。「当初5000万円を貸し付け、3、4年内に、日本専門医機構の運営が軌道に乗れば返却してもらう。そのほか、学会の中に負担できないところがあり、3000万円ほど貸し付けており、この年度末までの返却予定だったが、少し延長することになるだろう。つまり現在、1億円のうち、8000万円まで貸し付けている」。

 総合診療専門医、19番目の基本領域は「不適当」

 新専門医制度についてブロック代表質問したのは、和歌山県代議員の寺下浩彰氏。(1)医師の偏在対策は、新専門医制度と切り離して、別の組織で議論すべき、(2)19番目の基本領域の専門医として、総合診療専門医を設定するのは不適当――と述べ、日医の見解を質した。これらに対する横倉会長の答弁は、下記の通り。また関連で、三重県代議員の青木重孝氏が総合診療専門医の位置付けを問題視、兵庫県代議員の橋本寛氏が貸し付けについて質問。

 なお、総合診療専門医については、個人質問でも、大阪府代議員の加納康至氏からも、「総合診療専門医は、サブスペシャルティとして位置付けるよう、制度設計の見直しを図るべき」との質問が出た。答弁した羽鳥裕常任理事は、「内科や外科のサブスペシャルティにした方が合理的ではないか、という意見も多数聞いている。一方、医師不足地域では、基本領域に総合診療専門医を位置付け、当該地域での活躍を期待する声もある。調整が極めて難しい状況にあり、最終的な取りまとめには、もう少し時間がかかる」と回答した。

1.医師の偏在対策と新たな専門医の仕組みについて

 昨年12月に、日本専門医機構は、「専門医制度新整備指針」を策定、その中で、専門医制度確立の基本理念の一つとして、医師の地域偏在等を増長することがないよう、地域医療に十分に配慮した制度設計とすることが明記されている。これは新たな専門医の仕組みにより、偏在が解消するのではなく、これ以上、偏在等を増長することないよう、柔軟な対応をするという趣旨と理解している。

 日医は昨年11月に、日本専門医機構に対して、(1)基幹施設の基準は、大学病院のみ認定されるような基準とすることなく、原則として複数の基幹施設が認定されるようにする、(2)専攻医の採用は基幹施設だけではなく、連携施設でも行えるようにする、(3)研修プログラムの認定に当たっては、各都道府県協議会において、医師会、大学病院、病院団体など、地域医療の関係者の了解を得る――など7項目の要望書を提出した。これらの趣旨は、「専門医制度新整備指針」および運用細則において反映されることになり、最終的な検討が今行われている。

 一方、2月には全国医系市長会が、厚生労働大臣に対して、医師偏在を増長することがないよう、拙速な議論を避けるとともに、基礎自治体の意見反映などを求める要望書を提出している(『「新専門医制度を危惧、拙速は反対」、全国医系市長会』を参照)。

 昨年、新たな制度について、一度立ち止まって再検討することになった最大の要因は、地域医療への影響に対する懸念であったことを鑑み、今後も日本専門医機構の適切な運営、都道府県における協議の場が実務的に機能するように、引き続き日本医師会としても努力していく。

 医師の地域偏在対策は、社会保障審議会医療部会、「医療従事者の需給に関する検討会」の下に設置された「医師需給分科会」で、昨年9月から具体的な議論を開始した。この分科会においては、医学部入学、臨床研修、専門研修など、それぞれの局面で有効な具体的対策、その前提となる各地域の現状の客観的データに基づく検証などの議論を深め、昨年末までに一定の結論を得る予定だった(『医師確保対策は“未定”、医療計画の「作成指針」』を参照)。

 しかしながら、昨年10月に、厚生労働大臣の私的な検討会として、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が設置されて以降、政府審議会の下部組織である「医師需給分科会」は開催されていない。

 医師の偏在対策は喫緊の課題であり、日本専門医機構の対策だけでは、偏在解消はできないので、「医師需給分科会」の早急な再開を求め、地域の実情に応じ、医師の個人の意思を尊重した上で偏在が解消できるような仕組み作りを分科会で検討していく。

2.総合診療専門医について

 総合診療専門医については、2013年4月に厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書において、19番目の基本領域の専門医に位置付けられている。高齢化が加速する我が国の状況において、多様な疾患を持つ高齢者の特性等に応じて、臓器別診療能力に加えて、総合的な診療能力が期待されていると認識している。

 総合診療領域に限らず、専門医の仕組みはあくまで医師の生涯にわたる自己研鑽の一手段として、学際的かつ自律的なものと位置付けることが肝要。全ての医師が専門医にならなければいけない理由はなく、また専門医を取得するか否かは、あくまで医師の自律性に基づき実践されるものであり、国の介入による法的な規制を求めるものではない。

 総合診療専門医の養成も、学術的に高いレベルが担保されるべきであり、他の専門領域と比べると、養成課程もまだ不十分であり、このことは日本専門医機構での議論に反映されるように対応していく。

 地域医療や地域包括ケアを支える重要な柱は、医療提供機能としてのかかりつけ医であり、全国各地域でかかりつけ医が十分な機能を発揮できる環境整備が必要。今後ともかかりつけ医が定着するよう鋭意努力していく。



https://www.m3.com/news/iryoishin/514888
シリーズ 日医代議員会
遠隔診療やAI、「対面診療の補完にすぎず」、中川副会長
第139回日医代議員会、医療の否定への懸念も

2017年3月26日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月26日の第139回日本医師会臨時代議員会で、ICTを活用し、日常診療を進化させていくことには否定はしないものの、「遠隔診療のツールであるICTやAI(人工知能)は、対面診療の補完」と説明、ICTを活用した遠隔診療等を診療報酬で手当するためには、ICTの活用が患者にとって有用かつ安全であるというエビデンスを確認することが必要だと主張した。在宅医療を関係職種に業務移転するツールとして、また遠隔画像診断などでICTを活用する場合でも、厳格な運用を求めた。

 さらに中川副会長は、「医療費削減のためのICT診療は、医療の否定につながる」とけん制。ICTを活用した診療支援や遠隔医療が広げれば、医療費のパイが同じであれば、医師の技術料のシェアは縮小し、ICT・医療機器にコストに配分されていくことになる上、遠隔による健康指導等で公的保険外のサービスが広がれば、公的医療費は抑制されることが想定され、「それこそが財政当局の狙い」と警鐘を鳴らした。日医は今後も「ICTやAIの進歩に浮き足立つことなく、しっかりと利点と問題点を明確に指摘し、地域医療の進化に貢献していく」方針であると説明。

 ICT診療、中医協では意見対立

 ICTについてブロック代表質問したのは、山口県代議員の河村康明氏。河村氏は、ICTはあくまで診療の補助手段にすぎず、医療の原則は対面診療であり、医療費削減のための「ICT診療」は、医療の否定につながるとし、日医の見解を質した。この問題は、中央社会保険医療協議会でも話題になっており、支払側と診療側で意見が分かれていた(『「対面診療の原則」、“ICT診療”で代替可能?』を参照)。

 これに対し、中川副会長は、(1)ICTを診療に活用することについての日医の考え方、(2)ICTの活用による遠隔診療等を通じた医療費抑制の懸念、(3)日医としてのアクション――の3つの視点から回答。

 中川副会長は、まず(1)について、ICTは進歩し、多くの国民がスマートフォンやタブレット端末に慣れ親しんでいる現状を踏まえ、「国民に寄り添う形で、ICTを活用し日常の診療を進化させていくことを完全に否定すべきではない」と説明、地域包括ケアシステムにおいてICTを活用しネットワークを構築することには大きな利点があるとした。

 その一方で、「遠隔診療のツールであるICTにしろ、人工知能AIにしろ、医師の補完であることは大前提」であるとし、そもそも遠隔診療自体が、「直接の対面診療の補完」であり、最終的に医療の責任を取るのは医師であると強調した。

 2016年11月、政府の未来投資会議で、塩崎恭久厚労相が「ICTを活用した遠隔医療等を、診療報酬の中に現場や国民がメリットを実感できる形で、十分なエビデンスのもとに組み込む」と発言したことに触れ、「医療の現場では、オンライン診療を行う診療所が増えてきたが、それをもってエビデンスと言うのではない。ICTを活用した医療が、患者に安全、有用であるというエビデンスを確認することが必要」と述べ、安易な診療報酬での手当てに釘を刺した。遠隔診療は、かかりつけ医と患者との信頼関係が構築された上で行うべきとした。

 さらに中川副会長は、在宅医療を関係職種に業務移転するツールとして、安易に遠隔医療を広げたり、遠隔で行う画像診断などもけん制。「医師同士の信頼関係が構築され、個人情報保護も含めて、地域での連携、ネットワークが構築されていることが必須。商業主義で画像診断などを行うことがないよう、今後も厳格な運用を求めていく」。

 「医師の技術料のシェアは縮小」の懸念

 河村代議員が、「医療費削減のためのICT診療は医療の否定につながる」と問題提起したことについて、「鋭い指摘」と中川副会長。

 (2)について、中川副会長は、「遠隔診療では、医療費は医師の技術料とICT・医療機器のコストに配分される。医療費のパイが同じであれば、次第に医師の技術料のシェアは縮小する。一方、ICT・医療機器は、その技術革新で市場を拡大させ、民間投資を呼び込むと期待されている。在宅医療と併せて考えると、在宅医療が広がれば、営利企業が参入している介護サービスの関わりが増えていく」との見通しを示した。「遠隔診療の形態として健康指導なども行われているが、今後、関係職種が、ICTを活用して公的保険外でサービスを展開していく懸念がある。そうなれば公的医療費が抑制され、民間の市場が拡大する。それこそが財政当局の狙いだろう」。

 最後に(3)について、「国民の多くがICTに慣れ親しむ中で、ICT、医療機器の活用を通じて医療行為そのものが営利産業化する懸念がある」と中川副会長はけん制、次のように結んだ。「今こそ、かかりつけ医として、健康相談、予防も含め、何でも相談できる信頼される医師として、全人的視点から対応する覚悟を新たにしなければならない。日医は、ICTやAIの進歩に浮足立つことなく、利点と問題点を明確に指摘し、地域医療の進化に貢献していく」。

 なお、遠隔診療に対する日医の姿勢については、群馬県代議員の川島崇氏も個人質問。日医常任理事の松本純一氏は、「遠隔診療は対面診療を補完するものでないと認められないことは、1997年の旧厚生省通知で出されており、今も生きている」と説明。さらに2015年8月10日の厚生労働省の事務連絡「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」についても、「対面診療を行わず、メール等のみで遠隔診療を行うことは無診察診療であり、対面診療を求める医師法20条違反に当たる」との解釈であると説明した。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20170326-OYT1T50001.html
都市圏で暮らしたい…「地域枠」医師、3%離脱
2017年03月26日 08時54分 読売新聞

 地域で働く医師を育成する大学医学部の「地域枠」を昨春卒業した1060人のうち、3%強に当たる35人が地域医療から離れていたことが文部科学省の初調査でわかった。

 「地方では専門性を高められない」「都市圏で暮らしたい」などが理由。地方の医師不足が深刻になる中、全国の71大学が地域枠を導入しており、厚生労働省の検討会が改善に向けた議論を進めている。

 地域枠は、卒業後の一定期間、大学の地元などで医療に従事することを条件に一般枠とは別に募集、選抜するのが一般的。「一定期間の地元勤務」などを条件に奨学金を返済免除とするケースも多い。一般枠で入学後、同様の奨学金を出す自治体もあり、文科省はこれらを含めて「地域枠」と総称している。今回の調査で判明した離脱者35人のうち30人は条件付き奨学金を受け取り、卒業時に返済するなどしていた。



http://newswitch.jp/p/8443
病院の待ち時間は何とかならないか!医師からの答え
「クレームは宝」、予約制も根本的な解決は難しく

日刊工業新聞2017年3月24日

病院は、患者さんの命を預かるという大切な使命を持っています。最近では、医療をサービス業と捉え、患者さんの意向を取り入れ少しでも気持ちよく診療を受けてもらえるよう改善に努めています。

 病院内に「ご意見箱」を設置して、直接声に出して言いにくい意見をいただくとか、定期的に患者満足度調査を行い、問題点の抽出と改善結果を確かめるなどしています。

 ご意見の中には手厳しい指摘も多く、病院だけではなく職員個人に対するものもあり、それを当事者に伝える時は院長といえども緊張します。

 医療安全・質向上のための業務負担の増大や、マンパワー不足からくる余裕のない状況は、院長の責任でもあるからです。

 ご指摘の中で常に上位を占める不満は外来待ち時間の長さです。特に、予約制なのにその時間に診てもらえない不満は大きく、われわれも頭を痛めています。

 一般病院では、予約外の患者を予約患者の合間に診なければならないことがあり、状態の悪い急患は順番に関わらず早い診察を必要とします。このような予約外の患者のみを診察する医師を配置することが可能な病院は、実際にはそう多くはありません。

 逆に、予約優先を徹底すると、新患や急患の診察は予約患者の後となりますが、それはそれで問題が残ります。

 また、普段は3分とは言わないまでも、5分程度で診察が終了する患者さんも、状態の変化がある場合には、十分に話を聞いて診察し記録を取り、検査を入れるなどすると、あっと言う間に30分位は過ぎてしまいます。

 その検査と説明も患者さんの利便性を考え、当日に実施するとか、丁寧な診察をする医師ほど時間は長くなりますし、人気のある医師は、多くの患者さんを診察していますので、待ち時間への影響は大きくなります。

 一般的に予約は、時間ではなく予約枠に割り振られます。例えば9時―9時30分枠の予約であるところを、習慣的に9時の予約と説明してしまうことがあり、時間枠内に診察が終了しても9時に診てもらえなかったという不満が残ります。

 待ち時間の解消や短縮に向けて、各病院はさまざまな対策を講じていますが、なかなか根本的な解決は難しく、満足していただけないのが実情です。

 ただ、手厳しいご意見も「クレームは宝」、この病院が更に良くなって欲しいという期待からであることは十分理解していますので、患者さんにもこの辺りの事情をくんでいただければと思います。
(文=伊藤雅史・社会医療法人社団慈生会等潤病院理事長)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017032602000125.html
福島・高野病院長を臨時で2カ月 退任の中山さん「医者とは何か、学んだ」
2017年3月26日 朝刊 東京新聞

 福島県広野町にある高野病院の院長を臨時で務めている中山祐次郎医師(36)は今月末に二カ月の任期を終える。病院は東京電力福島第一原発事故後も患者の治療を続けていたが、昨年末に高野英男院長=当時(81)=が亡くなり、中山医師が来るまで常勤医が不在だった。四月には新たな院長と常勤医が着任する。後任に引き継ぐ中山さんは「この病院で医者とは何か、人の命とは何かを学んだ」と話す。 (片山夏子)

 高野病院は百人を超える入院患者がいる。東京都立駒込病院を退職し、二月一日に院長に就任した中山さんは「自分に何かできればと院長を引き受けたが、百人の患者の主治医になるプレッシャーは大きかった」と振り返った。
 業務は驚くほど多岐にわたった。「前院長は年間百日の当直をこなし、救急患者を受け入れ、地域で亡くなった人の遺体の検案をし、百人の患者の主治医だった。三、四人分の仕事。一人でできる仕事量ではない」。判断に迷うこともたびたびある。そんな時は「看護師、管理栄養士、事務員など、みんなを巻き込んだ」と中山さんは笑う。
 寝たきりや認知症の高齢患者も多い。認知症の患者とうまく会話ができずに悩んだ。しかし、看護師が患者と会話するのを目の当たりにして「きっちりコミュニケーションをしている。まるで家族のように接している」と驚いたという。
 専門の外科以外の治療も多かった。病院には放射線技師がいないため、エックス線撮影やコンピューター断層撮影(CT)検査も医師がする。診断や治療法が分からない場合は知人の医師らにメールや電話をした。
 カルテを見ると、高野前院長が緻密に患者を見ていたことが分かる。認知症の高齢者との会話、食事の介助…。看護師らが患者を事細かに把握していることにも驚いた。高野前院長は看護師に「できる限り患者のそばにいなさい」と言っていたといい、自身も病室で患者や家族と話す時間が増えた。
 院長就任後、止めていた新規患者の外来受け付けを再開すると、訪れた住民から「一カ月困ったよ」と言われた。救急患者の受け入れも再開し、除染や原発の作業員の治療もした。近隣八町村の双葉郡で頑張っている診療所もあるが、入院ができるのは高野病院のみ。目の回るような忙しさの中で、この地域における高野病院の必要性を肌で感じた。
 東京での勤務医生活から、百八十度違う環境で医療に携わり、命との向き合い方も変わった。「患者と過ごす時間も増え、医師として大きな影響を受けた。高齢患者を診る中で人間の尊厳、人間が生きるということを日々考えるようになった」
 バトンタッチする新院長のほか、福島県立医大からも常勤医が一人派遣される。中山さんは二人と月末に会う予定だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/514889
シリーズ 日医代議員会
JMATコーディネーター機能強化、中川副会長
第139回日医代議員会、「統括JMAT」も課題

2017年3月26日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月26日の第139回日本医師会臨時代議員会で、JMATについて、2017年度から、都道府県医師会の役職員を対象としたJMATコーディネーター研修を実施するほか、都道府県医師会に災害医療体制に関するアンケートを実施するなどして、JMATの活動強化に努めていく方針を説明した。災害発生時に複数の組織が医療救護に当たる事態を想定して、指揮命令系統の統一の仕組みをはじめ、ルールの明確化を進める一環の取り組みであり、今期の日医の救急災害医療対策委員会でも、現地の状況や慰留尾ニーズの把握、全国への情報発信、コーディネーターの役割を担う「統括JMAT」が重要課題になっているという。

 熊本地震の検証から見えてきた課題

 JMATについて質問したのは、2016年4月、熊本地震に見舞われた熊本県の代議員、坂本不出夫氏。発災当初からJMATの支援があり、感謝の意を述べた上で、震災を検証していく中で見えてきた課題として、(1)現場で混乱を来さないために、JMATと私設救護班について、統一した体制構築の必要性、(2)今後のJMAT活動強化に向けた、研修体制などの見直し――について質した。

 中川副会長はまず、2016年5月に政府の防災基本計画が改定され、JMATの位置づけが明確化されたことを説明。「DMAT活動と並行して、またはその終了以降、JMATを筆頭に、日赤、国立病院機構、国立大学病院や民間医療機関等からの協力を得て、被災地における医療提供体制の確保・継続を図る」とされている。医療計画の5疾病5事業に関する厚生労働省通知においても、JMATが、明確に位置付けられる見込みだという。

 その上で、(1)については、2011年の東日本大震災を受け、都道府県単位や地域単位で、医療チームの派遣調整を行う組織を設置し、被災地に参集したチームはその指揮命令下で活動することになったほか、2014年度からは、災害医療コーディネーターの活動に必要な統括・調整体制の知識の獲得などを目的とする「都道府県災害医療コーディネート研修」がスタートしたことを説明。

 熊本地震ではこれらの積み重ねが実践されたという。熊本県庁には、医療救護調整本部が立ち上げられ、熊本県医師会の役職員が常駐。地域単位でも派遣調整本部が立ち上がり、兵庫県医師会が益城町の調整機能を、沖縄県医師会が熊本市南区のコーディネーターを、東京都医師会が阿蘇地域のJMATのコーディネーターを、それぞれ担った。

 これらを踏まえ、日医として指揮命令系統の統一の仕組みをはじめ、組織全体のルールの明確化を進めているとした。今期の日医の救急災害医療対策委員会では、JMATのコーディネート機能が、会長諮問事項の一つであり、災害発生直後に出動し、被災地の医師会を支援しながら、現地の状況と医療ニーズの把握、全国への情報発信、コーディネーターの役割を担う「統括JMAT」が重要課題となっている。

 2017年度には、都道府県医師会に災害医療体制に関するアンケートを実施するほか、日医の来年度予算で、災害医療研修のための費用を確保、道府県医師会の役職員を対象としたJMATのコーディネーター研修を実施する予定だ。



http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20170327/CK2017032702000095.html
病院間の連携が急務 県南部、不足する産婦人科医
2017年3月27日 中日新聞 /三重

 県最南部の公立病院「紀南病院」(御浜町阿田和)で、昨年四月から産婦人科が休診する非常事態が続いている。人口減少が続く県内で、へき地医療の充実は喫緊の課題。産婦人科は、医師のなり手が少なく問題が顕在化しやすい。医師の養成や派遣をする三重大(津市)は、地域で分娩(ぶんべん)を担う病院の「選択と集中」を推奨するなど、打開に向けた取り組みを強化している。
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 熊野灘を望む高台に立つ紀南病院は、県最南部の熊野市、御浜町、紀宝町の三市町の病院組合が運営する。三重大から派遣された産婦人科の男性医師二人が退職したため、昨年四月に産婦人科を休診し、再開のめどはたっていない。病院関係者は「このままでは産婦人科の看板を下ろさなくてはいけなくなる」と危機感を抱く。

 「何かあった時に頼りになるのは総合病院。一刻も早く産婦人科を再開して」。八歳と六歳の子どもを連れて、紀南病院を訪れた御浜町の主婦(34)は訴えた。病院によると、この地方で出産する場合は、熊野市の民間病院か、車で三十分ほど離れた隣の和歌山県新宮市の公立病院まで行く必要がある。

 「妊娠で体調が良くない時に長時間、車を運転するのは大変。もう一人産みたいけど…」。紀南病院で二人を産んだというこの主婦は困惑顔で言った。

 昨年五月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の舞台となり注目された志摩市でも、県立志摩病院の産婦人科で出産できないなど医師不足は深刻だ。

 「いわゆる『3K職場』で、若い医師のなり手が少ないのが現状だ」。三重大大学院医学系研究科の池田智明教授(産婦人科学)は説明する。

 夜中の出産にも備えるため、二十四時間態勢の当直も必要な産婦人科医は激務で、志す医学生は全体の4%ほどと少ない。約六十人の医師が在籍する医局のうち、半分の三十人が県内外の病院に派遣されて地域医療に従事したり、医療技術を磨いたりしている。

 池田教授によると、県内の出産は年間約一万四千件。うち、紀南病院のある熊野地区は二百三十件。一方、名古屋通勤圏の桑名地区は十倍の二千三百件。隣の愛知県に越境して出産する人も多く、池田教授は「出産数の多い地区に、少ない人材を割り振らざるを得ない」と明かす。

 一方、過疎が進む地域では、激しい医師の獲得競争が起きている。尾鷲市が運営する尾鷲総合病院は独自に産婦人科医一人を雇用し、複数の助産師とのチームで出産ができる態勢を整えている。

 そんな中、当直勤務などの医師の負担を念頭に、池田教授が提唱するのは、出産できる病院の集約化と医師の共有化だ。「公立と民間の枠を超えて、必要な時に病院同士で産婦人科医を融通する仕組みづくりが急務だ」と話す。

 実際に、いずれも四日市の市立四日市病院と県立総合医療センターで産婦人科の連携態勢を構築できたことから、池田教授は紀南病院のある県南部などでも病院間の連携を強化する必要性を訴えている。

 (池内琢)


  1. 2017/03/27(月) 05:49:44|
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