Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月23日 

https://www.m3.com/news/general/513978
医師の残業規制は5年猶予 労働環境改善急ぐ 働き方改革で政府
2017年3月23日 (木) 共同通信社

 政府は22日、働き方改革の焦点となっている罰則付きの残業規制について、厳しい労働環境になりがちな病院勤務の医師への適用を法律の施行から5年後に遅らせる検討に入った。医師は患者の数や診療時間などの業務量を自分で調整しにくいため、建設業や自動車の運転業務と同様に適用までの猶予期間を設け、その間に労働時間の短縮など勤務環境の改善を急ぐ。

 政府は関係団体などと最終調整しており、来週取りまとめる実行計画に盛り込むことを目指す。

 医師は、救急患者への緊急対応や手術などで勤務時間が長くなりやすい。また、法律で「医師は正当な理由がなければ診療の求めを拒んではならない」との義務が課されており、医師が病気や不在時以外は急患を断れないという特殊性がある。

 働き方改革では、残業時間の上限規制を罰則付きに厳格化する方針。医師が1人しかいない山間部の診療所などでは、患者を診察しきれなくなる可能性がある。日本医師会や病院団体は「義務に応えられず、地域医療に混乱を来す恐れがある」として、医師を例外とするよう求めていた。

 現在の仕組みでは、医師は残業規制の対象だが、現場では規制を超えた長時間労働が常態化している。総務省の2012年の調査では、週の労働時間が60時間超の労働者は全体の14・0%。職種別にみると医師が41・8%を占め、自動車運転手(39・9%)よりも長時間労働の割合が高かった。

 ※残業時間の上限規制

 政府による働き方改革の柱の一つ。長時間労働を抑制するため罰則付きの残業の上限時間を設け、労働基準法を改正して規制を強化する。企業が労働者に残業させる場合、労使協定(三六協定)を結んで上限時間を決める必要がある。現在の「月45時間、年360時間」を目安から原則に格上げし、繁忙期に限って年6回まで上限を超える残業を特例で認める。その場合でも上限は単月で100時間未満、2~6カ月続くなら平均80時間以内とする。特例分を含め、残業は年720時間以内に収める。導入から5年後に見直す予定。



https://www.m3.com/news/general/514070
日本の科学研究は「失速」 論文数、5年で8%減少
2017年3月23日 (木) 共同通信社

 英科学誌ネイチャーは23日、日本の著者による論文数が過去5年間で8%減少し、日本の科学研究は失速していると発表した。日本政府が研究開発への支出を手控えた状況が反映されたという。

 同誌は「日本は長年にわたって世界の第一線で活躍してきた。だが2001年以降、科学への投資が停滞しており、高品質の研究を生み出す能力に悪影響が現れている」と指摘している。

 自然科学系の学術誌68誌に掲載された論文の著者が、どの国出身で、どんな研究機関に所属しているかをまとめたデータベースを使って調べた。

 その結果、12年から16年の5年間で、中国の論文数が48%、英国の論文数が17%伸びた一方で、日本は8%減少したことが判明した。米国も6%減った。

 外部の専門家が事前に内容をチェックする「査読」を受けた論文については、世界では過去10年間で80%増加したのに対し、日本は14%しか増えていなかった。

 研究開発への支出額は、ドイツや中国、韓国などが大幅に増やす中、日本は01年以降、ほぼ横ばいだった。

 同誌は、16年にノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典(おおすみ・よしのり)・東京工業大栄誉教授の成果にも言及。若い研究者の待遇改善が重要だと指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/514078
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度の「運用細則」、引き続き意見募集
日本専門医機構、社員総会には諮らず

2017年3月23日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は3月23日、社員総会を開催したが、予定していた「専門医制度新整備指針」の運用細則は審議事項から外れた。去る3月17日に開催された同機構理事会で運用細則を了承、社員総会に諮り、了承を得た後、パブリックコメントの意見などを踏まえ、正式決定する予定だった(『新専門医制、8月から専攻医の募集開始を予定』を参照)。

 社員総会後、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏は、社員総会に諮らなかった理由について、「現在、機構のホームページ上で、広く意見を募集しているため」と説明した。パブリックコメントは、3月21日から開始した(同機構ホームページはこちら)。その結果を踏まえ、運用細則を見直す必要があるか否かを検討するほか、並行して関係者への説明を進める方針と見られる。見直す場合には、次回4月の理事会等で再度審議することになる見通し。8月から専攻医の募集開始の予定だったが、「8月以降から開始」(吉村理事長)となり、今後のスケジュールが多少遅れることも想定される。

 社員総会は、同機構の社員23人で構成。日本医師会、日本医学会連合、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会、日本がん治療認定医機構のほか、18の基本領域学会の各代表がメンバー。23日の社員総会では、2017年度の事業計画案と予算案を審議し了承、30分弱で終了した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/514114
シリーズ 奈良・勾留医師死亡事件
「想定の範囲内、検察審査会が勝負」
奈良県警が書類送検、不起訴のシナリオ予想

2017年3月23日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 奈良県の山本病院に勤務していた男性医師(当時54歳)が、2010年に奈良県警桜井署での勾留中に死亡、岩手医科大学法医学講座教授の出羽厚二氏が、奈良県警察本部に特別公務員暴行陵虐致死容疑で刑事告発した事件で、奈良県警は3月23日、奈良地検に書類を送付した。出羽氏が指摘する勾留中の暴行は認められなかったとの内容と見られる(事件の詳細は、『勾留中の男性医師死亡、法医が刑事告発したわけ』を参照)。

 出羽氏は、「恐らく奈良県警は、形通りの捜査しか実施しなかったのだろう。予想通りの結果」と受け止め、代理人弁護士の小泉哲二氏も、「想定通り。最初から検察審査会が勝負だと考えていた」とコメント。両氏が想定の範囲内とするのは、奈良県警の事件を奈良県警という身内が捜査する構図になっているからだ。「奈良地検でも、不起訴処分になると見ているおり、検察審査会に申し立てを行い、審査を求める方針」(小泉弁護士)。

 出羽氏の告発状が受理されたのは、2016年11月24日。その後、出羽氏は12月26日と27日、小泉氏は今年1月12日に、事情聴取を受けていた。



https://www.m3.com/news/general/514117
【滋賀】野洲市:病院建設計画 元代表監査委員、適正な審議求め全市議に要望書
2017年3月23日 (木) 毎日新聞社

 野洲市の元代表監査委員で税理士の山川晋氏(65)は21日、市が計画するJR野洲駅前の市立病院建設について、適正な審議を求める要望書を全市議19人に郵送したと発表した。

 駅前建設に反対する市民団体と連名で、開院8年目から黒字になるとする市の収支計画を「あまりに楽観的で問題が多い」と批判。市の見込み通りに進まず、市民負担が増大する結果となれば、病院関連議案に賛成した市議や市長に損害賠償請求をする考えを明記している。山川氏は取材に対し「計画に疑問を呈する公開質問状を3度にわたり市に提出しているが、納得できる回答が得られていない」と話した。【村瀬優子】



https://www.m3.com/news/general/514116
【兵庫】県包括外部監査:県立病院「実質債務超過」 「尼崎」赤字74億円 15年度
2017年3月23日 (木) 毎日新聞社/兵庫

 2016年度の県包括外部監査結果が22日、県議会などに報告され、県の病院事業会計について、15年度末で91億円の実質的な債務超過状態と指摘された。病院運営に支障はないものの、極めて厳しい財政状態が浮かび上がった。2015年7月に開業した尼崎総合医療センターも開業初年度に大幅赤字を計上するなど、当初の収支計画の甘さも指摘した。

 包括外部監査は毎年あり、16年度は病院局が対象。坂井浩史公認会計士が監査人を務めた。

 県内の県立病院数は13(うち3病院は指定管理者が運営)で新潟県と並んで全国2位。県が運営する10病院では6病院は15年度決算で収益が赤字になっている。全体では15年度末の累積損失は225億円に上る。包括外部監査では、負債扱いになる退職給付引当金が15年間で分割計上されていることに注目。会計基準では容認された取り扱いだが、一括して計上すると負債が163億円増え債務超過になると指摘した。

 県立病院で進行する建て替えや統合再編では、病院の損益予測の甘さも指摘された。尼崎総合医療センターは、新行革プランでは15年度は黒字になるはずだったが、決算では74億円の赤字になった。収益の向上策として、高額医療機器や保守管理契約を複数の県立病院で一括して行うことなどを挙げた。【井上元宏】

〔阪神版〕



https://www.m3.com/news/general/514080
南魚沼市:国立法人や県と協定 市民の便採取、研究 /新潟
2017年3月23日 (木) 毎日新聞 /新潟

 南魚沼市は22日、県と国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」(大阪府茨木市)との3者で「研究連携に関する包括協定」を締結した。市民が提供する便(腸内細菌)を同研究所で調査・研究し、食や生活習慣と、生活習慣病の発症との関係を調べる。

 南魚沼市浦佐の池田記念美術館で開かれた締結式には、林茂男市長、米山隆一知事、米田悦啓・同研究所理事長が出席。魚沼圏域はがん検診の受診率が県内上位で、住民理解が得られやすいとみられるほか、がんの標準化死亡比が男女とも県内で最も低く、食や生活習慣に何らかの要因があることが予想されることから、協定締結に至った。

 対象は、特定健診や人間ドックの受診者で、2017年度からサンプル採取を始め、食事内容や生活習慣を聞き取る。サンプル採取は20~70代の男女計600人を予定している。米田理事長は「南魚沼市民の協力が、県民、国民の健康増進につながる」と期待を寄せた。【板鼻幸雄】



http://mainichi.jp/articles/20170323/ddl/k24/040/328000c
紀南病院
病床数「維持したい」 御浜町長、議会で答弁 県が削減案 /三重

毎日新聞2017年3月23日 三重県〔伊賀版〕

 御浜町の大畑覚町長は22日の町議会で、2025年の県地域医療構想最終案で東紀州の病床数が3割以上削減される見込みの中、紀南地域唯一の総合病院、紀南病院(阿田和)の病床数は「維持したい」と述べた。

 世古正議員(共産)の一般質問に答えた。東紀州の病床は870から561に削減される見込み。紀南病院は熊野、御浜、紀宝3市町運営の公立病院で244床。尾鷲、紀北2市町を加えた東紀州の高齢化が進む中、医師の確保や病床数の維持が課題となっている。

 世古議員は昨年7月行われた鈴木英敬知事と大畑町長との対談で、知事から紀南病院は現行の病床数を確保するとの発言があったことを指摘。「医療構想との乖離(かいり)をどう考えているのか。構想では一方で在宅医療の充実を求めている」と質問した。

 これに対し、紀南病院管理者でもある大畑町長は「高齢者人口が減らない限り、医療人口は減らない」と述べ、病床数削減は「知事が(維持を)命ずれば従わざるを得ないと思う。在宅医療は充実に、医師の確保にも努める」と考えを示した。

 この後、町議会は追加議案1件を含む15件を原案通り可決して閉会した。【汐崎信之】



https://www.m3.com/news/general/514075
取り調べ、暴行認められず 奈良、法医告発の捜査終結
2017年3月23日 (木) 共同通信社

 奈良県警桜井署で2010年2月、勾留中の男性医師=当時(54)=が死亡したのは取り調べ中の暴行が原因として、特別公務員暴行陵虐致死容疑での告発を受けて調べていた県警捜査1課は23日、「暴行は認められなかった」として奈良地検に書類を送付し、捜査を終結した。

 遺族の依頼で遺体の鑑定書を調べた岩手医大の出羽厚二(でわ・こうじ)教授(法医学)が昨年11月、「下肢に広範囲の皮下出血があり、暴行による打撲で生じた可能性が高い」として奈良県警に告発していた。

 医師は10年2月、手術ミスを巡る業務上過失致死容疑で逮捕され、勾留中に桜井署で死亡。当時の司法解剖で死因は急性心筋梗塞と判断された。



https://www.m3.com/news/general/513750
中津市民病院 560万円賠償 患者と示談 外科手術で説明ミス
2017年3月23日 (木) 毎日新聞社 /大分

 中津市は、同市民病院(同市下池永)が2015年9月に行った外科手術で起きた機能障害を巡り、患者への事前説明が不足するミスがあったとして、560万円の賠償金を支払うと明らかにした。3月市議会に支払いの議案を提出しており、可決される見込み。

 市民病院によると、患者は60代女性。左頸部の神経に腫瘍があったため切除手術をした後、左腕が肩までしか上がらなくなるなどの障害が起きた。他の病院で1年以上リハビリをしたが、回復しなかった。

 病院は手術前、女性側に「神経を一部切断するので、しびれや痛みが発生する可能性はある」と説明。しかしここまでの障害が起きる可能性には言及していなかったという。是永大輔院長は「説明が不十分だった。反省しています」とコメントした。

 同病院を巡る医療ミスでは、07年に救急外来で来た男性に誤診に基づく治療をし、男性が死亡。遺族に賠償金約3400万円を支払った。【大漉実知朗】



http://www.huffingtonpost.jp/mareyuki-endo/yoshimura-new-system_b_15557006.html
吉村理事長は新専門医制度施行を延期すべき
2017年03月23日 15時27分 JST ハフィントンポスト
 
 日本専門医機構が新専門医制度の平成30年度(平成29年4月)施行を強行しようとしている。3月15日に厚労省説明会があり、17日の理事会では「パブコメを集めたのち23日の社員総会で最終決定」することが決まったという。
 しかしパブコメ募集開始はなんと21日の夜であった。ほぼ一日で細則を読み込み、コメントを書き込めとは、随分と人を喰った話と言わざるを得ない。パブコメなど端から無視するスタンスだったのか、と邪推されても仕方のない対応だ。
吉村理事長は、理事会後の記者会見で、新専門医制度に対する理解が十分でない現状があるとし、専門医制度をめぐる歴史的経緯、制度の意義、新制度の概要などについて、パワーポイントを使用して説明(m3 comの記事(1))したそうだ。
 この吉村氏の「新専門医制度に対する理解が十分でない」という発言も真意が伝わってこない。
対象者は一般市民なのか?だとしたら、あらゆるメディアに対し、誠心誠意この制度の仕組みを丁寧に説明してくるべきだったろう。
 たまに記者会見を開き、web 上に都合のいい文言を載せるだけの「情報公開」など論外である。

 ただ、文脈からの推測だが、「理解が不十分な」者とは、現場の医師を指しているように思える。そしてむしろ「理解が深いがために、制度に反対をしている医師」を念頭においている可能性が高い。
 しかしながら「理解不足」の医師がいるのであれば、「理解」して貰うための説明責任がある筈だ。
 幸い、説明に用いた吉村氏の資料は厚労省のホームページで閲覧できる。作成には相当な努力の跡が見られ、また吉村氏は懇切丁寧に説明した事であろう。ところが資料を読み込むと、あちこちに綻びや、未解決の重大な問題が垣間見えてくる。
一例として「専門医の研修と地域医療について」と題されたスライド39をあげたい。
 まず19の基本領域に加え、内科、外科のサブスペ領域も合わせた数は34領域、一方、後期研修に進む医師は年間8500人とある。
 その後の論考がなんともお粗末だ。後期研修医を各領域均等割り(!)すると1領域あたり250人になる。それを都道府県に均等に割振ると、各自治体あたり一領域5.2人になるという。当たり前である。小学生の算数だ。これで地域医療問題について何を言いたいのか?
 その次に、各領域250人の後期研修医を、都道府県の人口比で配分すれば東京都25人、人口百万人の県2人、になると大真面目に(多分)書いている。
 このような数字をあげる感覚の鈍さには驚かざるを得ない。
 つまり、「人口57万人の鳥取県は各領域1.3人ずつの後期研修医しかとれない」という話を平然としている、ということなのだ。
この説明スライドを素直に読むと、鳥取県には例えば産婦人科、整形外科、小児科、精神科といった重要な診療科の3-5年目研修医が学年ごとにたった「1.3人」しかいない時代が来てしまう。
 果たして鳥取大の教授達は3-5年目の医師が医局に3-4人しかいないという事態を受け止められるのか?逆に、大学教授達もある意味、騙されてきたともいえる。
 それはそれとして、現場やその地方の状況を知らない人間が、机の上の数勘定で専攻医数を決めるとこのような噴飯物の「専門医の研修と地域医療について」とのスライドが出来上がる。
 さらに、図らずも「医師の計画配置、強制配置」を企んでいる腹の中までみせてしまった、ということだ。
 吉村氏の資料を読み込み、この制度や地方医療問題に対する機構の議論が如何に杜撰であるかが、一層深く「理解」できた。確かに自分は「理解不足」だったのだろう。
 それにしてもこの制度は問題がありすぎる。施行されたら最後、日本医療は大混乱に陥るだろう。吉村氏に願う。今一度、制度を白紙に戻し、多様性のある自由度の高い新専門医制度の設計を、現場や若手医師を入れて議論をするべきだ。

(1)https://www.m3.com/news/iryoishin/512746
(2)http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000155449.html

 この拙文を読んで下さったみなさま方、ありがとうございました。
 実は、新専門医29年度施行反対署名サイトがございます(3)。要望書の内容や、呼びかけ人に首をかしげてしまう方もいらっしゃるかもしれません。ただ、制度が始まると取り返しがつかないことになると思います。
 小事にこだわり大事を損なうことがないよう、ぜひ、署名をお願いいたします!
 多数のみなさまのご協力が必要なのです!よろしくお願いします。

(3)新専門医29年度施行反対署名サイト
https://www.change.org/p/stopsinsenmoni-excite-co-jp-%E6%96%B0%E5%B0%82%E9%96%80%E5%8C%BB%E5%88%B6%E5%BA%A6-%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E9%96%8B%E5%A7%8B%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99
(2017年3月23日「MRIC by 医療ガバナンス」より転載)



http://www.asahi.com/articles/ASK3R2QQTK3RUBQU007.html
千葉県の医師不足深刻、地域の発展に影響
土肥修一
2017年3月23日13時56分 朝日新聞

 千葉市内のホテルで2月下旬、千葉県内外の病院で働く初期研修医を対象にした研修会が開かれた。

医療・介護報酬の同時改定 2025年問題対応できるか

 集まった30人の研修医たちは、千葉大病院など県内の病院の医師から、肩の痛みや甲状腺の腫れといった症状、神経の反応や眼底を診察する際のコツを学んだ。

 研修会は県とNPO法人が企画し今回で2回目。県内の病院での若手医師の定着を目指す。講師の一人、生坂政臣・千葉大病院副病院長は「研修や教育に熱心な医療機関が県内に多いことをアピールすることで、少しでも多くの医師に県内に残ってほしい」と話す。

 取り組みの背景には、県内の医師不足がある。2014年の厚生労働省の調査で、県の人口10万人あたりの医師数は182.9人で、全国45位だ。県内の二次保健医療圏別でみると、例えば、県都の千葉(千葉市)が264.6人にのぼる一方、最も少ない山武長生夷隅(茂原市、東金市、山武市など)は104人と偏在も課題となっている。

 04年に導入された新たな臨床研修制度により、医学生が研修先を選べるようになると、現在、県内唯一の医学部のある千葉大の学生も卒業後、東京など県外の病院に出ていくようになった。以前は千葉大から県内の病院へ医師が派遣されていたが、それも限られるようになり、特に県東部や南部の病院に影響が及んでいる。

 千葉市内から高速道路を使って車で1時間超、茨城県との県境近くに位置する香取市の県立佐原病院。12年4月に30人いた常勤の医師が、16年4月には19人にまで減った。定年や開業により退職した医師に対し、新たな補充ができなかったのが主な理由だ。

 医師が減ったことで、診療も制限を受ける。

 産科は医師が定年退職した07年4月以降、閉じられたまま。小児科も入院ができない状況だ。さらに昨年3月で脳神経外科の常勤医もいなくなり、循環器内科は1人だけ。高齢者に多い脳梗塞(こうそく)や脳出血、心筋梗塞などの手術や入院ができず、患者は市外の病院に運ばざるを得ない。

 この結果、外来や入院の患者数は年々減少し、15年度の入院患者数は前年度比6034人減の5万2519人、外来患者数は同7358人減の11万3269人。収益は前年度から赤字が1・2億円増えて7・2億円の純損失と、経営的にも苦しい状況に陥っている。

 小林進院長は「せめて脳外科、循環器内科の医師がいれば患者さんの医療ニーズにも応えられる。労働条件を良くして、働きがいのある病院にしないと医師は集まらないが、現状ではどうしたらいいか答えがない」と漏らす。

 中核を担う県立佐原病院の医師不足は、地域全体にも大きな影響を及ぼしている。

 香取広域市町村圏事務組合消防本部の調査によると、香取市内の救急患者の半数近くが、搬送に40分前後かかる国保旭中央病院(旭市)や成田赤十字病院(成田市)など市外の病院に運ばれている。お産のできる施設は市内にはなくなり、妊娠しても市外の医療機関に通わざるを得なくなっている。

 香取郡市医師会の坂本文夫副会長は「医療が衰退すれば、若い世帯の流出にもつながり、地域全体が疲弊していってしまう。中核となる県立佐原病院の充実が不可欠だ」と指摘する。

■県、医学生を支援 成田の新設医学部に期待

 医師不足を解消するため、県は対策を打ち出している。

 2009年度から医学生に対する修学資金の貸付制度を開始。貸し付けを受けた期間の1・5倍(最長9年)、県内の病院で働くと返済が免除される。これまでに225人が制度を利用。卒業した28人中23人が県内で働いているという。

 15年度からは医師不足に悩む県内の自治体病院に医師を派遣した病院に対する助成も始めた。県医療整備課の担当者は「若い医師は都市部の病院志向が強く、一朝一夕にはいかないが、支援を通じて何とか医師不足や偏在を解消していきたい」と話す。

 今年4月には成田市に国際医療福祉大の医学部が新設され、3年後には付属病院が開院する予定。県内の医師の増加につながると期待され、県は医学部設置に総額35億円を補助する。

 一方、医学部新設の目的は「国際的な医師の育成」となっており、地域医療の充実を求める周辺地域のニーズとのズレを懸念する声もある。このため、県では同大と「地域医療への貢献」を盛り込んだ協定を結ぶことを検討している。



http://diamond.jp/articles/-/122333
治療費の高い医者が「名医」とは限らない理由
井手ゆきえ:医学ライター
2017.3.24 ダイヤモンドオンライン

同じ病気で、同じ病院に入院しても、担当医が違うと治療費はかなりばらつくようだ。治療成績が金額に比例して上がるならまだ納得できるかもしれないが、高い治療費を払ったからといって死亡率、再入院率にはほとんど影響しないというのだから頭を抱えてしまう。右肩上がりの医療費を補填しようと自己負担増や健康保険料を引き上げる前に、ぽっかり抜け落ちていた「医師個人の臨床能力」の費用対効果と価値にスポットを当てるべき時期なのかもしれない。(医学ライター 井手ゆきえ)

治療費を決定づける3要素
患者の重症度、病院、そして医師個人


 先週、米国医師会が発行する「JAMA Internal Medicine」に掲載された1本の日本人研究者による論文が、米国の医療関係者の注目を集めた。医療費高騰の背後にある治療費のばらつきには、一般に信じられてきた病院側の要因より、医師個人の診療パターンに帰する部分が大きいという結果が示されたからだ。

 治療費を決める要因は、大きく(1)患者の基礎疾患や重症度(当然、重い病気を治すにはお金がかかる)、(2)病院側の要因(MRIやCTなどの設備があるか、専門病院か否か等)、(3)医師個人の診療パターン(検査をたくさんするか、高額な薬を使うか等)の3点に分けることができる。たとえば、全く同じ患者を治療していても、大きな治療費のばらつきがあれば、その責任は(2)の病院や(3)の医師にあると考えられる。

診療パターンの違いが影響か
同じ病院で治療費に40%超の開き


 今回、ハーバード公衆衛生大学院の津川友介氏らの研究グループは、メディケア(65歳以上の高齢者がほぼ全員加入する公的医療保険制度のこと)に加盟している約5万人分(2011~2014年)のデータをもとに、内科の病気で入院した患者についてメディケアから病院および医師個人に支払われた金額(償還額)と治療成績との関係を解析した。

 原則、自由診療の米国では地域や病院単位で医療の価格が数倍も違うことがある。しかも、あらかじめ値引き分を想定した上乗せ請求が当たり前のように行われている。


つがわ・ゆうすけ/ハーバード公衆衛生大学院(医療政策管理学)研究員。東北大学医学部卒業後、聖路加国際病院、世界銀行を経て現職。ハーバード公衆衛生大学院でMPH(公衆衛生学修士号)、ハーバード大学で医療政策学のPh.D.を取得。専門は医療政策学、医療経済学。ブログ「医療政策学×医療経済学」において医療政策におけるエビデンスを発信している。


 しかし、今回の研究ではそれらの影響を排除しているため、日本と同じように統一された診療報酬制度の下で病院や医師への支払いが行われていると考えてもらっていい。

 解析にあたっては患者要因の影響を消すため、特に米国独特の医師の職種である「ホスピタリスト」2万人分のデータを使用した。ホスピタリストは入院病棟に勤務する内科医のことで、一般的にシフト勤務しており、勤務時間内に入院してくる患者を順番に担当する。患者は医師を選ぶことができず、また医師も患者を選り好みすることはできないので、一人ひとりが担当する患者の重症度や病気の内容はある程度同レベルにそろう。

 また同じく病院側の要因の影響を消すため、同じ病院に勤務する治療費の高いホスピタリストと治療費の安いホスピタリストを比較している。

 その結果、同じ病気に罹患した患者に費やされる治療費のばらつきは、病院より医師個人の診療パターンの違いによる影響が大きいことが判明した。同じ病院内ですら、最も金がかかる医師と最もリーズナブルな医師との間に40%以上の治療費格差があったのだ。

 しかも、高額な治療費を取る医師とリーズナブルな医師との間で、入院後30日以内の死亡率と再入院率を比較したところ、差は認められなかった。つまり、「お金をかけてもかけなくても結果は同じ」だったのである。こうなると一部の医師は検査や処置をイヤというほど重ねなければ、同僚と同じ治療成績を残せないのか? と勘ぐってしまう。

患者の負担増をいう前に
医療の無駄の削減を


「この結果から医療費の高騰を効果的に抑えるには、これまでのように病院側の要因に介入するだけでなく、医師個人の診療パターンに焦点を当てるべきだということが分かります。多くの検査をしたり高い薬を使っていても、それは患者さんのためになっていない可能性があります」と津川氏は指摘する。

 従来、米国では高騰する医療費を抑えようと公的医療保険、民間医療保険を問わず、支払い元が病院に厳しい基準を課し、パフォーマンスに応じた支払いを徹底してきた。

 例えば、入院後30日以内の死亡率や再入院率が明らかに高い病院に対しては改善勧告が繰り返され、改善の兆しがない場合は償還率の引き下げや支払い拒否という事態もありうる。さらに2017年からは、医師個人の診療パターンや治療成績を評価し、それによって支払額が増減する仕組みも導入された。今回の結果は、その流れを後押しするもので、今後は医師個人の「腕」を評価する基準作りが進むだろう。

 さて、破綻寸前とはいえ皆保険制度下にある日本はどうだろう。米国民ほど痛切ではないが、日本でも医療費負担が家計を圧迫している。津川氏は「今、日本でも高齢者の自己負担額の見直しや健康保険料の増額が議論されていますが、今回の結果は医師の診療パターン次第でアウトカムを損なわず医療費の無駄を減らせる可能性を示唆しています。国民の負担増をいう以前に、かぜに抗生剤を処方すると言った医療の無駄を減らすことが先決だと思います。」という。

 とはいえ、日本ではようやく昨年4月から、日本版HTA(医療技術評価)が試行導入され医薬品と医療機器の費用対効果に関する評価が始まったばかり。診療プロセスの費用対効果や医師個人の診療パターンの評価なんて何年先になるかわからない。関連団体の猛反発は必至だろうし……。

 とりあえず、個人的に医療の無駄を削減するには、目の前の医師とコミュニケーションをとり、検査や投薬の目的をしっかり聞き取ること。「入院したついでだから、あれもこれも検査しておきましょうか」なんて甘言にノッてしまうと、お財布にも健康にも悪い可能性がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/513756
「医の倫理」こそ、医師の原点 - 横倉義武・日医会長に聞く◆Vol.1
不祥事、「えせ医療」には警告が必要
2017年3月23日 (木) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 「医師の規律」「医の倫理」「社会的共通資本としての医療」――。
横倉義武・日本医師会会長が最近の講演でよく使用する言葉だ。日常診療の実践、あるいは臨床研究の不正など最近報道される不祥事を防ぐために、個々の医師に求められる基本姿勢、考え方とも言える。高齢社会かつ価値観が多様な社会で、医療制度の在り方を検討していく上で、医師の専門職集団の拠り所でもある。
 改めて横倉会長にこれらの言葉に込めた思いなどをお聞きした(2017年3月15日にインタビュー。計2回の連載)。

――今、医療界では、臨床研究の不正、精神保健指定医の不正取得問題などの不祥事が相次ぐ一方、生殖医療などの先進医療、終末期医療などの生命倫理の面でも難しさを伴い、さまざまな局面で「医師の規律」が問われる時代になっています。「最適使用推進ガイドライン」の遵守が求められる高額薬剤の問題に代表されるように、適正な保険診療実践に当たっても、「医の倫理」が原点になると考えられます。先生は2月のある講演で、「医師の規律」との言葉を用いられていましたが、現状をどう見ておられるのでしょうか。

 医師という職業の第一の役割は、人間の生命と健康を守ることにあります。その実践のために、患者さんのプライバシーに踏み込むことも許されているなど、医師の役割には特殊な点があり、それ故、「ヒポクラテスの誓い」でも強く求められていることから分かるように、しっかりとした倫理観、道徳観を持つことを常に意識しなければいけません。

横倉義武会長は、医師には、高い倫理観が求められ、医学生の時代から教育していく必要性を説く。

 日本医師会の歴史を振り返ると、医師全体を束ねる組織として、「医の倫理」の重要性を強く主張してきた経緯があります。日本医師会では、1951年に「醫師の倫理」を定め、その総則において、医師は聖職たるべきもので、医師の行為の根本は仁術であると記されています。また、2000年には「医の倫理綱領」を定め、医師は人類愛を基に全ての人に奉仕するものとして、基本理念と言える6項目を定めましたが、その理念は当初から変わっていません(文末に掲載)。「医師会は、医療政策、経済や経営のことばかり考えている組織ではないか」という指摘を聞くことがありますが、医師会の本質は、プロフェッションとしての「医の倫理」の啓発にあると考えています。

 社会保障の在り方を考える際にも、求められるのは、「医の倫理」です。唐澤祥人先生が会長を務められた2006年頃から、日本医師会は社会保障の基本的な考えとして、宇沢弘文先生の考え方や言葉を引用するようになっています。宇沢先生の主張である「社会的共通資本としての医療制度」は、「医療を経済に合わせるのではなく、経済を医療に合わせるべき」という考え方が基本です。医療は、官僚統制ではなく、医療の専門職集団に任せるべきとも言われ、同時に医師は、医療に関する職業的倫理規律に反する行為をしてはならないとも述べています。その前提をよく理解した上で「社会的共通資本としての医療制度」を主張しないことには、社会に受け入れられることは難しいでしょう。

 しかしながら最近、少し一線を踏み外した問題が起きているのは残念なことです。「医の倫理」を意識していない行動が見られるということだと思います。何らかの問題が生じた場合には、医師会として常に警告を発していく必要があります。

 さらに昨今報道される医学生や研修医の女性に対する不祥事は、「医の倫理」以前の問題です。医師を目指す人には、より高い倫理観が求められ、医学生の時代からしっかりと教育していくことが必要でしょう。

 今の医学部は、カリキュラム的に学ぶべきことが非常に多く、「医の倫理」などの教育がおろそかになりがちです。都道府県の医師会の多くは、地元の医学部・医科大学で、医学生向けの講義の時間を持っており、私も福岡県医師会長だった時代、福岡県内の4大学で講義を担当させていただきました。その時に一番話していたのは、やはり「医の倫理」の問題です。

――先生ご自身、長年臨床医として医療に携われてきた中で、「医の倫理」が問われる場面は増えているとお考えですか。またその難しさは変わっているのでしょうか。

 急速な医学・医療の進歩、社会状況の変化とともに、守るべき倫理や規範は変遷しています。日本医師会は、2004年に「医師の職業倫理指針」を刊行しましたが、2014年6月から会内の「会員の倫理・資質向上委員会」で検討を進め、昨年10月に第3版を刊行しました。

――最近、例えば、癌治療において、エビデンスが確かでない治療法を推奨する医師も見受けられます。

 エビデンスがない医療を提供することは、非常に問題であることは言うまでもありません。「医の倫理綱領」の注釈で第一に掲げている「医療の目的」の中でも、エビデンスに基づく医療の実践を求めており、「医療は医(科)学の実践であり、医(科)学に基づいたものでなければならず、近年、根拠に基づく医療(EBM)が強調されている。医師は医学的な根拠のない医療、特にいわゆる、えせ医療(quack medicine)に手を貸すことを厳に慎むべきである」と明記しています。

日本医師会「医の倫理綱領」
 医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。
1 .医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
2 .医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。
3 .医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。
4 .医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。
5 .医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。
6 .医師は医業にあたって営利を目的としない。
在宅への円滑な移行支援のための訪問看護の提供体制を整備する観点から、訪問看護ステーションの事業規模の拡大や、病院・診療所が行う在宅支援の拡大や人材育成を進めるための方策について、どのように考えるか。
・多様なニーズに柔軟に対応するために、訪問看護と他のサービスを組み合わせた複合型のサービス提供を推進することについて、どのように考えるか。
・患者・家族が安心して在宅での療養生活を送るための訪問看護の24 時間対応や急変時対応について、どのように考えるか。
・ 末期の悪性腫瘍等の患者以外の介護サービス利用者の看取り期において、容体変化の不安を抱える家族や介護職を支えるための医療の関与について、どのように考えるか。



  1. 2017/03/24(金) 05:50:25|
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