Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月3日 

https://www.m3.com/news/general/499869?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170203&dcf_doctor=true&mc.l=204497699&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
薬物容疑の医師再雇用 「代わりいない」苦渋の選択 北九州の療育センター 警視庁が書類送検
2017年2月3日 (金) 西日本新聞

 北九州市と同市福祉事業団は2日、市立総合療育センターの30代男性精神科医が、東京都内で危険ドラッグを所持したとして医薬品医療機器法違反の疑いで、警視庁から東京地検に書類送検されたと発表した。医師は1月30日に依願退職したが、センターを運営する同事業団は「代わりの医師がいない」として同31日付で臨時職員に再雇用。3月末まで診察を続ける。

 同事業団によると、医師は昨年12月10日、東京都内で警察官の職務質問を受けた際、危険ドラッグの「ラッシュ」を所持していたことが発覚。1月18日付で書類送検された。尿検査は陰性で同事業団に「知人にもらった。自分で使うつもりだった」と話したという。

 医師は2015年4月から勤務し、発達障害やうつ病の中学、高校生の外来患者など約450人を担当。センターの精神科医は1人だけで、思春期以降の子どもを診る精神科医は全国的にも不足しており、同事業団は臨時雇用の間に代わりの医師や患者の引き継ぎ先を探す。罰金刑以上が確定すれば厚生労働省の「医道審議会」で医師免許停止など行政処分の対象になるが、現時点で診察に問題はないという。

 同事業団は「精神科は医師への依存性が高く、急にいなくなれば、患者が自殺や自傷行為を起こす可能性もある。苦渋の選択だ」と説明。発達障害の子どもがいる福岡市の女性(52)は「医師として正しい判断ができるのか疑問。診てもらいたくないと思う親も多いのでは」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/499789
シリーズ: 総合診療専門医はなぜ必要か?2学会幹部スペシャル座談会
「患者を選ばない医師」が必要◆Vol.1
総合診療医、最も必要なのは東京かもしれず

スペシャル企画 2017年2月3日 (金) 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度の中で、制度設計が遅れているのが、19番目の基本領域として位置づけられる総合診療専門医。新領域である上、関係者が多く、いまだ意見が分かれているのが現状だ。
 長年、学会として総合診療を担う医師を養成してきたのが、日本プライマリ・ケア連合学会と、日本病院総合診療医学会。新制度以降も、研修の主たる担い手になると想定される両学会のトップに、総合診療専門医についての必要性、養成数、研修体制――の3つのテーマを中心に、語っていただいた。
 (座談会は2017年1月23日開催、計7回の連載。出席者は、日本プライマリ・ケア連合学会の丸山泉理事長、前野哲博副理事長、日本病院総合診療医学会の林純理事長、田妻進副理事長の4人。司会は、m3.com編集長の橋本佳子)。

――まず総合診療専門医がなぜ必要かという論点について、前野先生、いかがですか。

【前野】 これからは“地域を広く見る能力”を持つ医師が確実に求められていくと思います。地域医療構想に基づき、病床機能の見直しが進められており、急性期病床は絞っていく方向にあります。臓器専門性が高い医療は集約化が進み、そこで必要な医療を受けた人が、回復期病床あるいは地域に戻ってきて、ケアを受けるようになります。
 その上、高齢化が進み、複数の複雑な問題を抱える人が増え、かつ価値観が多様化する中で、包括的にその人の暮らし、家族、住んでいる地域を全て見据えた上で目配りしなければなりません。これは入院患者についても言えることで、最終的に戻っていく地域まで目配りしながら、全体的な視点からアレンジすることが求められます。総合診療を高いレベルで実践できる医師が必要になってくるのは、このような背景からです。

【林】 私は、大学と地域の病院、両方での総合診療の経験があります。九州大学に勤務していた時代は、B型肝炎、C型肝炎、あるいは成人T細胞白血病などのウイルスの疫学的研究に主に取り組み、それと並行して総合診療の立ち上げに参加し、約25年、総合診療に携わってきました。その時、総合診療の研究としてウイルス感染症だけでは不十分と思い、動脈硬化症の疫学研究を開始しました。九州大学定年後の2013年4月から原土井病院(福岡市東区)で診療するようになりました。今感じているのは、「これまで自分が最初からやってきた研究は、あまり役立たず、途中で開始した動脈硬化症の研究が少し役立つ」ということ。もちろんB型肝炎やC型肝炎の患者は何人かいますが、大半は生活習慣病(動脈硬化症の原因)を中心とした複数の病気を持った患者です。

 また高齢者の病態は独特で、若い人と違って、症状もはっきりしない。ましてや認知症を持っていたら、症状を聞き出すことも容易ではありません。ご家族やヘルパーさんから聞いた情報で診療を行う。団塊の世代が75歳以上になり、このような患者が一気に増えた時、自分の専門分野しか担当しない医師だけでは、対応できません。あらゆる疾患を診る訓練を、若い時から受けた医師が必要になってきます。

 臓器別専門医の中には、自分の患者さんが風邪に罹ったり、頭痛を訴えた場合に、総合診療専門医に紹介するケースもあります。地域に密着した医療機関ほど、総合診療専門医が必要になってくると私は思います。

【丸山】 総合診療専門医が必要な理由は多々ありますが、主な理由を挙げると、第一は、社会状況の変化に、医療と言えども、他の例えばビジネスの世界同様、対応せざるを得ないこと。臓器別専門医は、比較的ブレないというか、担当領域は臓器に限定されていますが、総合診療は社会状況の変化に対応していく柔軟性を持った医師が求められます。それを専門性として具現化したのが、総合診療専門医です。

 第二は、ケアの「断片化」が、キュアでも進んだこと。一方で、患者や地域の医療ニーズが変わってきたために、臓器別に進化してきた医療が、行き詰まってきています。救急患者で増加しているのは、高齢者です。急性期の病院でも、多疾病罹患、認知症、フレイルなど、これまでにない問題をかかえるようになっています。「目が悪いから眼科」「胃が悪いから消化器科」「喘鳴があるから呼吸器科」などと容易に患者に各科を回ってもらうことが難しいのが現実です。

 第三は、医師不足との関係です。例えば、小児科医がほとんどいない地域でも、小児科の患者は少数ながらもいます。そのお子さんたちに、2時間もかけて大都市の小児科医を受診してもらうのでしょうか。そうではなく、住民にアクセスも含めて責任を負う医療体制が必要です。

 では、内科、外科、小児科など、複数の診療科を数カ月間ずつ研修すれば、総合診療専門医の養成が可能なのかと言うと、そうではありません。「ジェネラリズム」「総合」という視点を意識した教育をしないと、養成はできないのです。今の医療が抱える諸問題と、養成すべき医師像を踏まえ、制度として具現化したのが、我々日本プライマリ・ケア連合学会が養成している家庭医療専門医であり、その経験の延長線上に総合診療専門医があると考えています。

 また、総合診療専門医は、それぞれの守備範囲が広く、グループ診療を前提とすることがよいのも特徴です。例えば、医師不足地域で一人で診療していると、いくら志が高くても、疲弊して燃え尽きてしまう。医師の世界でも、ワークライフバランスが重視される時代であり、継続性のある地域医療を確保するには、グループ診療を前提とすることが必要でしょう。診療の幅広さから、他の医師に相談することもできます。これは医療安全につながります。

 最後に付け加えますが、医師不足というと、「僻地」、「田舎」のイメージがありますが、現実的には、今触れたような医療のいびつさが大きな問題になってくるのは、東京などの大都市部も同じです。むしろ、大都市の方が問題は深刻です。

【田妻】 医師不足と言われましたが、それは相対的なものです。実質的には、2008年度以降、医学部定員は1600人余り増えて、医師数も右肩上がりに増えています。にもかかわらず、「医師不足」と慢性的に叫ばれています。その対策として総合診療専門医の役割が期待されるという図式です。

 また今、専門分野が細分化しており、全ての分野の専門医をそろえようとすると、当然、医師は不足します。そこで起きている現象は二つあります。

 一つは、地域の中小病院での医療体制の維持が困難になるということ。どの診療領域もカバーしようとすると、物理的に医師は不足してきます。一方、医師を派遣している大学側からすると、拠点化を進めないと対応できず、そこから漏れた地域の中小病院には「取り残された」との感覚が生じます。

 もう一つは、地域住民の問題です。今や、人口5000人の町でも、人口50万人の都市に住んでいても、同じ情報が同時に提供されるので、例えば「心疾患手術のトップランキングの病院はどこか」などはすぐに分かります。そうしたニーズには拠点病院で対応できますが、一方で、地域での日常診療の体制維持が難しくなってきています。

 したがって、私どもが長年、医師を派遣してきた中小病院における医療の維持には、「患者を選ばない医療」を提供できる医師が必要なのです。しかも、人口の高齢化が進むほど、医療も複雑化し、それに対応していく医療者も、さらに進化していかなければいけない。その進化を支えるのは、患者を選ばずに対応できる医師。そこに総合診療専門医が必要という原点があると私は理解しています。総合診療専門医のマインドは、特定の患者層を専門領域とする高度先進医療を担う医師のマインドとは対極にあり、それぞれ別に養成していくことが必要です。

【丸山】 私も田妻先生と同意見です。さらに言えば、総合診療専門医は、病院と診療所の両方に必要です。また患者側から見れば、病院と診療所の医療に溝があってはいけません。シームレスに「ジェネラリズム」が流れていることが必要。今の日本でそれがより急いで求められているのは病院です。多様な患者を、細分化した医学教育を受けた医師が診ているのが現状であり、医師にとっても辛い一方、患者の側にも戸惑いがあります。



https://www.m3.com/news/general/499807
大阪の医療法人を起訴猶予 看護師らの給与未払い
2017年2月3日 (金) 共同通信社

 大阪地検は2日までに、看護師らの給与を支払わなかったとして、最低賃金法違反の疑いで書類送検された大阪市大正区の医療法人常磐会(破産手続き中)と、運営する「ときわ病院」(同区)の男性院長(56)を起訴猶予処分にした。処分は1月27日付。

 地検は「未払い賃金を立て替える国の制度が適用されることになっており、被害回復が確実に見込まれることなどを考慮した」と説明している。院長の認否は明らかにしていない。

 常磐会はときわ病院の看護師や栄養士9人に2015年10~11月の1カ月分の給与計約296万円を支払わなかったとして、大阪西労働基準監督署が昨年12月、書類送検していた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/493139
シリーズ: 2016年の医療界:1000人アンケート
「専門医 必死に維持して せん妄医」◆Vol.10-2
医師ならではの川柳2

医師調査 2017年2月3日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 医師によくあることを表現した医師ならではの川柳が思いつきましたら教えてください。

【診療の現場2】

専門医 必死に維持して せん妄医

疲弊する 生活保護の ふてぶてしさ

よい医師は 一人また一人 去ってゆく

眠すぎて 何やってたか わからない

遅くなり 看護師帰し 点滴抜く

俺呆けた? 確かこの人 死んだはず

宴会の 予定ある時 患者来る

渡り鳥 変なウイルス 持ち込むな

インフルの 予防と治療 どちら安

  ※インフルエンザワクチンを自費で接種するのと、かかってから保険で薬をもらうのとではどちらが安い?

インフルの 余ったワクチン 3度打ち

  ※1ccのバイアルで1人分余ると捨てるのがもったいないので、自分で3度打っちゃいました。

相手のことを 心配してやり 逆切れされ

部下から パワハラを受ける 人もいる

足白癬 先生いつも まあだだよ

【医師の生き様2】


疲れてる 親の気休め 息子医者

患者見て 自分にそっと あてはめる

いつ辞める 不安抱えて 先延ばし

健康を 与する自身は 不健康

痩せましょう 言えぬわが身の だらしなさ

これをやり あれをやらねばで 日が暮れる

耐えに耐え ぐっとこらえて 深呼吸

働けども 働けども暮らし 楽にならず

頑張って 疲れ果てて 社会の肥料となれ

はたらけば はたらくほど むなしけり

外面は 偉そうに見えるが ただの人



https://www.m3.com/news/general/499834?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170203&mc.l=204497719&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
提訴:手術後に死亡、損賠求め 相続人が水俣市に /熊本
2017年2月3日 (金) 毎日新聞社

 国保水俣市立総合医療センター(水俣市天神町)で手術を受けた津奈木町の男性(当時61歳)が死亡したのは、病院の処置と説明が適切に実施されなかったことなどが原因として男性の相続人が病院を開設している水俣市を相手取り、慰謝料など約6319万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴した。提訴は昨年12月26日付。

 訴状によると、男性は2010年7月27日、腹部の大動脈瘤(りゅう)を切開して人工血管でつなぐ手術を受けた。術後、合併症を発症し手術したが、同29日に高カリウム血症に起因する心不全で死亡した。原告側は「緊急手術で両脚切除の必要があったが、医師が患者の同意を得るに十分な説明を行わなかったのは説明義務違反」と主張。同センターは「口頭弁論で病院の主張をする予定」と話している。【出口絢】



https://www.m3.com/news/general/499693?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170203&mc.l=204497723&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
救急搬送で死亡、賠償命令
2017年2月3日 (金) 朝日新聞

 愛知県瀬戸市の無職男性(当時22)が事情聴取中に救急搬送されて死亡したのは、県警の警察官と瀬戸市消防本部の救急隊員の過剰な自殺防止措置が原因として、男性の両親=静岡県掛川市=が愛知県と瀬戸市に約8500万円の支払いを求めた国家賠償請求訴訟の判決が2日、静岡地裁であった。細矢郁裁判長は、県と市に3900万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2009年、知人の車を傷つけたとして、瀬戸署員に自宅で事情聴取を受けた。男性が舌をかみ切ろうとしたため、署員は自殺防止のために男性の口にタオルを入れて救急車で搬送。男性は搬送中に一時心肺停止となり、18日後に死亡した。細矢裁判長は「タオルを挿入されたことで窒息し心停止に至った」と認定した。



https://mm.m3.com/r/Dq3CU-16Lf-1aRI.html
革新薬に条件つき早期承認 - 薬事版官民対話が初会合
2017年2月3日 (金) 薬事日報

今夏メドに制度改正へ

 厚生労働省は1月30日、製薬業界と薬事行政の方向性やあり方について議論する局長級の「薬事に関する官民政策対話」の初会合を開いた。既に再生医療等製品で導入されている「条件つき早期承認」の仕組みを、高い医療ニーズと有用性が期待される革新的医薬品にも適用を検討していくことを共有。今夏をメドに具体的な内容を固めることで合意した。今後、薬事に関する官民対話は年に1~2回開催する予定。

 官民対話は、製薬業界側が薬事行政に特化した対話を要望していたことを受け、厚労省が局長級の会合を初めて開催することになったもの。行政側から、厚労省の武田俊彦医薬・生活衛生局長、森和彦大臣官房審議官、医薬・生活衛生局の各課長、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長などが出席。一方、業界側からは、日本製薬団体連合会や日本製薬工業協会など5団体の代表が出席し、イノベーションの推進や適正使用の推進に向けた審査体制の整備や規制の国際展開など、薬事行政の方向性やあり方を議論した。

 冒頭、あいさつした武田局長は「行政と業界の関係を大事にしながら、お互いに力を合わせたい。どういう方向に向かっていくか率直な情報交換ができればと思う」と対話への期待を述べた。多田正世日薬連会長は「対話が実現したことを大変嬉しく思う」と歓迎した上で、「薬事規制の面では、世界に先駆けて革新的医薬品が承認され、安全に使用される環境の整備に加え、良質で安価な後発品の安定供給と使用促進が大変重要だ」と要望を述べた。

 この日の初会合では、革新的医薬品の承認審査について、製造販売後の条件をつけ、開発の早期段階で承認する「条件つき早期承認」の仕組みの導入を要望する意見が複数団体から出た。既に条件つき早期承認は、再生医療等製品の審査において導入され、実績を上げているが、市販後の有効性・安全性の検証が必要となる。

 業界側の要望を受けて行政側は、製造販売後に実施する臨床試験には膨大な資金がかかることを踏まえ、早期承認の条件として医療情報データベース(MID-NET)などから得られる「リアルワールド・データ」の活用も含め、合理的で科学的に意義のある製造販売後データによって有効性・安全性を確認できるよう必要な制度改正を行う方向性で合意した。

 今後、官民の実務レベルの協議を通じて現行制度を見直し、今夏頃までに条件つき早期承認を新たな制度でスタートさせる具体的な内容を固め、関係省令の改正で対応する予定。



https://www.m3.com/news/general/499867?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170203&mc.l=204497733&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
岡山大医学部地域枠の勤務先決定 高梁、真庭の病院へ4月から2人
2017年2月3日 (金) 山陽新聞

 医師不足に悩む地域の医療を担う人材養成を目的に、岡山県が岡山大医学部に導入した「地域枠」の1期生2人の地域勤務先が高梁中央病院(高梁市南町)と金田病院(真庭市西原)に決まった。地域勤務先の決定は初めてで、2人は4月から1年以上勤務する。

 1月30日、岡山市内で開かれた県医療対策協議会で県が報告した。県医療推進課によると、勤務病院は人口当たりの病院勤務医数が県平均を大きく下回る県北を対象に、県地域医療支援センター(県庁内)が医師不足の深刻度や病院の教育指導力などを評価してリストアップ。候補病院と地域枠医師が面談し、双方の希望を踏まえ県が決定した。

 地域枠は県が岡山大に2009年度から導入、10年度から広島大にも枠を広げた。学生は卒業するまでの6年間、1人当たり年240万円の奨学金給付を受け、卒業後に県指定の医療機関で9年勤務した場合は奨学金の返還を免除される。9年のうち研修期間の4年(初期、選択各2年)は都市部での勤務が認められており、地域勤務は少なくとも5年になる。

 1期生は途中辞退者1人を含め5人。4人が16年度中に岡山市内での初期研修を終える。選択研修を希望した他の2人は来年春以降に地域勤務をする。



http://medg.jp/mt/?p=7302
医療ガバナンス学会 メールマガジン Vol.026
福島県の医療支配と福島県立医大の蛮性

元亀田総合病院副院長
小松秀樹
MRIC by医療ガバナンス学会 (2017年2月3日 06:00)

●高野院長の壮絶な最期

高野病院は福島第一原発から22キロメートル南に位置する118床の病院である。震災後、医療環境が一変し、病院は苦境に陥った。それでも、双葉郡で高野病院だけが、営業を続けた。唯一の常勤医となった高野英男院長は、病院敷地内の自宅に一人で住み、入院患者を守るために、身を粉にして働いた。2016年12月30日、自宅が焼失し、高野院長が火災現場で遺体として発見された。享年81歳。震災に翻弄された壮絶な最期だった。

●火事場泥棒

東日本大震災の6か月後、復興予算が組まれることになった。復興予算は、増税でまかなわれた。すべての国民が、自らを犠牲にして、被災者を助けようとするものだった。当時、私は、復興を被災者の生活が再建されることであると定義し、復興予算を使うことを正当化するための4条件を提案した(1)。復興予算を使うためには、すくなくとも、どれかを満たす必要がある。

1.地元の被災者の生活の維持と再建に直結すること
2.被災者の雇用に直結すること
3.被災者を多数雇用する地元企業にお金が落ちること
4.被災地を後にした被災者の再就職と生活再建に直結すること

実際には、莫大な資金が、行政自身が運営主体になっている事業の新設など、とても、復興とは言えないものにつぎ込まれた。復興予算という名目によって、財政規律が失われ、多くの官庁が復興予算に群がった。それでも、高野病院が支援されることはなかった。
当時の福島民報(2011年9月20日)は、福島県と福島県立医大が、総事業費約1000億円で放射線医学県民健康管理センターなど5施設を、5年以内に新設すると報道していた。これにより、膨大な利益を得たり、特権を得るグループや人が生じるが、それは被災者ではない。福島県立医大は内陸部の中通りにあり、津波の被害を受けていない。私はこの計画の正当性に疑問を投げかけ、この復興予算要求を「火事場泥棒」と非難した(2)。私は、まさか、これが実行されるとは思ってもいなかった。

私の予想に反して、壮大な規模の「火事場泥棒」が実行された。福島県立医大に投入された資金は、浜通りの民間病院支援に必要な資金より、2ケタ以上多かったと想像する。福島県立医科大学のホームページを確認したところ(2017年1月6日)、震災後、ふくしま国際医療科学センター(放射線医学県民健康管理センター、県民健康管理センターデジタルアーカイブ、先端臨床研究センター、医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター、先端診療部門)、ふくしま子ども・女性医療支援センター、災害医療総合学習センターが新設されていた。先端診療部門には新たに建設された5階建てのみらい棟と呼ばれる建物が含まれている。
福島県・福島県立医大の計画には、復興予算の基本である被災者への同情と奉仕の精神が欠如していた。税金を使うことについて、公共心と自制心が欠如していた。結果として、学生と医師の大学に対する誇りを奪った。

●日本の医療統制

日本の医療は旧共産圏のように、政府によって強く統制され、計画経済に近い形で運営されてきた。2014年の地域医療介護総合確保推進法で、さらに統制が強められた。
地域医療構想では、構想区域の病床機能ごとの病床数を行政が推計し、各病院への割り当てを実質的に行政が決める。実行に強制力が伴う。都道府県知事は、「勧告等にも従わない場合には」最終的に「管理者の変更命令等の措置を講ずることができる」(地域医療構想策定ガイドライン)。民間病院でも県に逆らえば、院長が首になる。都道府県に出向した医系技官が、病床配分を通じて、個別医療機関の生死を握ることになる。大きな裁量権は、専制と腐敗を生みやすい。

さらに、消費税増収分を活用した地域医療介護総合確保基金が、都道府県に設置された。補助金を、都道府県の裁量、すなわち、都道府県に出向した医系技官の裁量で医療・介護施設に配分する。医療には消費税を課されていないが、医療機関の購入したものやサービスには消費税が上乗せされている。消費税率引き上げ分が診療報酬に十分に反映されていないことを考え合わせると、この基金は病院の収益の一部を取り上げ、それを、支配の道具に使う制度だと理解される。病院の投資を医系技官が握ることになる。病院独自の経営努力の余地を小さくし、不適切な投資を強いることになる。

●計画経済と自由主義経済

旧共産圏の計画経済は、本来、平等を目指すためのものだった。あらゆる需要を推計し、推計に基づいて計画的に生産する。製品とサービスを平等に分配する。これにより、理想の国家が現出するはずだったが、実際に生じたものは、真逆のものだった。非効率と特権と圧制がはびこった。
計画経済は膨大な優先順位の選択を必要とする。すべてについて民主主義的に決定することは不可能であるため、統制の詳細を官僚が恣意的に決定することになる。官僚の意見が国民に強制され、必然的に官僚に権力をもたらす。福島県立医大の復興予算を使った投資は、官僚によって決められ、莫大な予算が彼らの権力を強めた。

人々の望む製品やサービスは多様である。生産者や提供者が考える良い製品やサービスも多様である。このため、それぞれの提供者は自分の周囲の需要を感じ取り、より良い製品やサービスを目指して、改善の努力を継続する。未来を豊かにするためには、現場における多様な努力を抑圧することなく、促進させなければならない。単一の製品やサービスを国が決めて現場に押し付けると、サービスの選択肢を少なくするのみならず、将来の進歩を阻害する。将来の望ましい製品やサービスは現時点では未知なので、進歩のためには多様性と選択の自由が不可欠なのである。レストランのメニュー、調理方法、価格、食材の配分を国が決めて強制すれば、創意工夫と努力が抑制され、レストランの質は低下するしかない。

自由主義経済は、自生的な力を生かし、強制を最小限のすることで発展を期待する。個々の事業者がそれぞれの価値基準にしたがって努力し、繁栄できるようルールが整えられる。シリコンバレーは政府の計画で生じたものではない。政府は邪魔をしないことが重要なのである。個人の領域では誰の指図も受けないが、これは自由放任ではない。環境保全のための排水や排ガス規制、公正な取引のルール、雇用に関するルール、労働環境の適正化など法による介入は不可欠である。ただし、それが特権をもたらすものであってはならない。
競争が格差をもたらすとする意見があるが、計画経済も権力との距離による差別と格差をもたらした。実際に、所得の再分配は自由主義世界でも大きな課題であり、すべての先進国で行われている。日本はあらゆることを計画し、細かく指示したがる政府を持っているにも関わらず、再配分が有効に機能せず、「こどもの貧困」が大きな問題になっている。

●官民の競争環境

日本では、医療サービスの提供には、医療法人、社会福祉法人、学校法人といった民間非営利法人が大きな役割を果たしてきた。実際に、日本の病床の70%は民間病院が保有している。国公立病院も民間病院と同じく、措置として医療サービスを給付するのではなく、患者との契約に基づいて医療を提供している。契約なので、患者には病院を選択する権利がある。このため、国公立病院を含めて、全ての病院は、競争関係にある。国公立病院も民間病院も、良質の医療を提供して患者を増やし、経営を安定させようとしていることに変わりはない。そうしなければ、病院を存続させることができないからである。

医療サービスを持続可能なものにし、さらに進化させるためには、官民が同じ条件で競争できるようにしておく必要がある。これまで、診療報酬体系が共通だったことで、かろうじて競争を成立させてきたが、自治体病院には、膨大な税金が投入されている。病院に投入されている税金は医療費とみなすべきである。公平な官民の競争環境は整っていない。官僚が自らのために、公を旗印に、利益誘導をしている。これが民間病院の存続を危うくしている。
2014年の医療介護総合確保推進法によって、医療の統制が強められた。診療報酬の引き下げと消費税率引き上げにより、病院の利益が圧縮され、民間医療機関に再投資の余裕がなくなった。周到な計画による政策によって、収益を奪われたといってよい。

自治体病院の多くは、医業収益より医業費用がはるかに大きいが、不足分は税金で補てんされている。福島県立医大では、官僚の恣意で膨大な税金が官製事業につぎ込まれた。民間病院側からみれば、自分たちの収益を競争相手である自治体病院に奪われて、存立が脅かされる状況に追い込まれたことになる。
福島県の無駄使い体質を示す例が高野病院の近くにある。2018年4月、双葉郡に30床の二次救急病院「ふたば医療センター(仮称)」が開院される。この施設の建設予算が24億円だという。1床あたり8000万円にもなる。自治体病院共済会の調査によれば、病院の建設費は、1床あたり、民間病院平均1600万円、公立病院平均3300万円である。ふたば医療センターは民間の5倍の建設費である。しかも、この病院は最大5年で閉鎖される予定だという。5年以内に、双葉郡の避難指示が解除される。避難指示解除に合わせて双葉郡内の県立病院が再開され、それに合わせて「ふたば医療センター(仮称)」は閉鎖されるという。私立病院の存続が危ぶまれるところまで追い込んでおいて、一方で、莫大な費用を公立病院に湯水のごとくつぎ込んでいる。

「ふたば医療センター(仮称)」の無駄遣いは被災地の特殊事情で問題になっていないが、全国的にみると、民間病院のみならず、自治体病院にも危機が迫っている。国と地方の借金が1千兆円を超えており、これまでのような放漫経営を続けることが許されなくなった。病院、とくにフル装備の基幹病院を運営するには、莫大な資金を必要とする。病院の財政規模は小さな市よりはるかに大きい。診療報酬を下げられると、病院の経営が一気に悪化する。2014年に開院した東千葉メディカルセンターは、千葉県の安易な計画により、債務超過、資金ショートに追い込まれ、東金市の財政まで危ぶまれる状況になっている(3)。
現状の政策が継続すれば、誇りを持った民間医療機関は狙い撃ちにされ消滅することになる。後に残った自治体病院は、自治体の予算を食いつぶす。現状の政策の延長上に、明るい未来は見えない。

●法の支配

計画経済はあらゆることを統制しようとする。これは行政の権力を増大させ、自由を阻害する。防ぐ方法はあるのか。
高橋和之によれば、「法の支配」は「人の支配」に対する概念で、人によるその場その場の恣意的な支配を排除して、あらかじめ定められた法に基づく支配によって自由を確保することを目的とする(『立憲主義と日本国憲法』)。このためには、法によって、行政組織の自由裁量権を、最小限に抑えなければならない。
「法の支配」を堅持することは簡単ではない。統制経済では、政府による強制が当たり前になり、ルールが無視される。日本には制限憲法が存在しているが、制限憲法がただ存在しているだけで、「法の支配」が可能になるわけではない。日本国憲法第12条前段が述べているように、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」。しかし、日本人は国家の横暴に対し、あまりにおとなしい。

●福島県立医大の反知性主義

個人主義とは、他者の自由を阻害しない範囲で、自分独自の価値を保持することである。夏目漱石は明治を代表する個人主義者である(4)。漱石に代表されるように、知性は画一化を嫌う。人々に画一的な政策を押し付けるのに、知性は邪魔になる。全体主義が知性に反感を示す乱暴者によって支えられたのは偶然ではない。
東日本大震災後、福島県は、反道徳的とさえ言えるような行動をとった(2)。専制的支配が常態となっていたため県庁職員の道徳まで低下させたと想像する。
2件だけ実例を挙げる。

一件目。福島県は、メディアに対し双葉病院職員が患者を放置して逃げ、多くの患者が死亡したという虚偽の記者発表をして、双葉病院に対する非難報道のきっかけを作った。実際には、病院職員は患者を守るための努力を継続していた。避難誘導の責任は福島県庁にあったが、致命的に遅れたことが事件の背景にある。これを現場の医療従事者の悪として発表した。福島県は4年半にわたる裁判でやっと過誤を認め、「事実に反する記者発表をしたことは行政として、著しく適切さを欠く」とする謝罪文を1年間福島県のホームページに掲載することで和解した。病院側は、税金から支払われることになるためという理由で、損害賠償は求めなかった。

二件目。福島県福祉事業協会傘下の知的障害者施設の多くは、福島原発の10キロ圏内にあった。急に避難を強いられたため、名簿が持ち出せなかった。利用者の多くは、抗てんかん薬をはじめ、重要な薬剤を投与されていた。法令上、生年月日が分からないと、正確な年齢が分からず、処方箋が書けない。このため、福島県 の災害対策本部及び障がい福祉課に対し、生年月日データの有無とない場合の対応について相談したが、自分たちの責任で対応するよう言われ、一切の協力を拒否された。知的障害者は騒ぐので、避難所で迷惑がられ、転々と移動せざるを得なかった。最終的に田村市の40名規模の通所施設に、障害者199名と、職員54名、ボランティア7名がひしめくことになった。てんかん発作の重積状態のため、障害者が1人死亡した。福島県はこれを受けて、投薬などが適切におこなわれているか、不正がなかったか、避難所に調査にきた。自分たちの不親切について語ることはなかった。

県の被災者無視の身勝手な方針を、福島県立医大に強引に伝える役割を果たしてきたのが、菊地臣一学長である。菊地氏の管理者としての基本態度を示す逸話がある(5)。
2007年、福島県立医大整形外科医局の忘年会旅行の余興の問題映像が外部に流出して大騒ぎになった。この事件当時の整形外科教授が現在の菊地臣一学長だった。破廉恥な余興を若い医師に強いる背景には、絶対服従の人事権があったと想像する。
福島医大ホームページに学長が担当するコラムがある。菊地臣一学長は、このコラムで何度か医局旅行に言及している。
「先日の医局旅行で、出欠表になかなか記載をしないスタッフ達がいました。私はこの時、彼等に苦言を呈しました。医局旅行は、医局の行事として恒例のものです。やる以上は、その目的の達成にスタッフは努力すべきです。スタッフが努力せずに、誰に旅行の成否を賭けるのでしょうか。」

菊地学長の文章からは、医局旅行を嫌がる医局員、それでもやれと命ずる上司という構図が浮かぶ。旅行とはゲーテの『イタリア紀行』に代表される個人的な知的趣味の世界である。集団旅行は必ずしも一般に受け入れられるものではない。破廉恥医局旅行は、支配-被支配関係を確認するための儀式に見える。非合理を押し付ける蛮性が、理不尽ともいえる支配を可能にした。被支配者に対する傲慢な態度と、支配者である福島県に対する卑屈な態度は同根であり、知性と相容れない。

●領地巡回

震災後、福島県立医大に新設された施設には、いずれも職員のポストがつけられた。その分、福島県立医大に医師が留められることになり、医療現場から医師が吸い取られた。浜通りへは、「寄附講座」を通して医師が派遣されることが多くなった。「寄附講座」だと、医師の給与以外に福島県立医大への上納金が必要とされるので、医師の調達コストが膨らむ (6)。求められる費用はそれだけではない。医師が派遣された病院は、それぞれの医局にアルバイトを頼むことになる。このアルバイトが大学の医師の収入を補う。若い医師だと、相応の労働を提供するが、大学教授は形ばかりの診療で多額の報酬を受け取るらしい。

毎月1回程度、領地の病院を巡回し、金を手にする。病院側の意識としては、診療に対する対価というより医師派遣の謝礼である。福島県立医大の医局にとって、医師を大学に集めて、地域の医師不足を強めれば、自分たちの経済的メリットが大きくなる。かつて、医師を引き揚げるが他から採用することを許さないとした医局(7)の教授が、どのような報酬を派遣病院から受け取っているか検証してみてはどうだろうか。人事権を持つ教授のアルバイトについては、透明化が必要であろう。

●反知性主義の被害者は県民である

福島県の統制医療は社会主義というよりは、全体主義である。不平等を解消しようという社会主義の持つ原点は観察されず、特権の確保と支配が行動原理になっている。反道徳的行動に対する抑制の欠如が、社会主義より全体主義に近いことを示す。
新専門医制度は大きな論争を巻き起こしたが、矛盾が大きすぎたため、いったん頓挫した。制度が作られると、福島県ではほとんどの診療科で、福島県立医大しか研修基幹病院になれなくなる。福島県内の医療が、今以上に福島県立医大に支配されることになる。

現代の医療倫理は、ナチスへの反省から、医療者は命令ではなく、自分の良心と知識に基づいて判断し、行動することが求められている。判断主体を各医療者とすることで、悪辣な指導者による大きな悲劇が起きるのを防ごうとしている。反知性主義が医療内容に負の影響をあたえるであろうことは、想像に難くない。
福島県は人口10万対医療施設従事医師数が下から5番目であるにもかかわらず、医師の流出が多い。福島県立医大の卒業生も、福島県立医大の蛮性を嫌う。大学ぐるみの反知性主義が改善されない限り、他大学出身者が福島県立医大で研修を受けるとは思えない。福島県の医療のコンセプトを180度変更しない限り、福島県の医師不足が解消することはない。
福島県-福島県立医大の最大の被害者は県民である。福島県-福島県立医大は、もはや公と呼べるようなものではない。彼らは彼ら自身の利害に基づいて行動している。最大の被害者は県民、とりわけ浜通りの住民である。

1)小松秀樹:東北メディカル・メガバンク構想の倫理的欠陥. http://medg.jp/mt/?p=1470
2)小松秀樹:福島県の横暴、福島県立医大の悲劇. http://medg.jp/mt/?p=1479
3) 小松秀樹:東千葉メディカルセンター問題における千葉県の責任(1), (2) http://medg.jp/mt/?p=6641 http://medg.jp/mt/?p=6643
4)小松秀樹:漱石の自己本位と立憲主義~Series「改憲」(第3回). http://medg.jp/mt/?p=1992
5)小松秀樹:寄付講座中毒 浜通りの医療の置かれた状況2/3. http://medg.jp/mt/?p=2622
6)小松秀樹:寄附講座と連携講座 自他の区別の欠如と前近代性(1)(2)
http://medg.jp/mt/?p=3025 http://medg.jp/mt/?p=3028
7)小松秀樹:医師参入障壁としての医局 医師を引き揚げるが、他から採用することは許さない. http://medg.jp/mt/?p=1570



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50498.html
院内調査での外部委員の参加が増加- 医療事故調の年次レポート
2017年02月03日 10時00分 CB news

 医療事故調査制度(医療事故調)について、2015年10月の制度スタートから1年間の動向を分析したところ、医療事故が起きた医療機関が実施する院内調査で、外部委員の参加が増加していることが分かった。制度開始後の半年間は、院内調査をするための委員会を設置した49件のうち、30件(61.2%)で外部委員が参加したが、その後の半年間は111件のうち、90件(81.1%)で外部委員が参加した。また、解剖調査の実施も増えていることが分かった。【君塚靖】

 医療事故調で、医療事故調査・支援センターの業務を担っている日本医療安全調査機構がまとめた年次レポート「医療事故調査制度開始1年の動向」で明らかになった。院内調査での外部委員の参加については、厚生労働省の医療事故調のガイドラインに当たる「Q&A」で、「(調査の)公平性、中立性を確保する観点から、専門家の派遣等の医療事故調査等支援団体の支援を求めること」とされている。

 解剖調査の実施は、前半6カ月は12件だったが、後半6カ月は40件となった。この制度で解剖は、全症例に対して必ずしも実施しなくてもよく、管理者が選択する事項になっている。厚労省の「Q&A」では解剖について、地域の解剖体制と遺族の同意などを勘案して、必要性を考慮するよう求めている。



http://www.medwatch.jp/?p=12229
「看護必要度改革」で7対1昇格へ、大垣市民病院の「全員参加の短期決戦」全記録
2017年2月3日|医療現場をウォッチ MedWatch

 ついに始まった病院大再編時代。急性期病床の適正化を目指した政策が急速に進み、病床の削減や機能分化などを検討する急性期病院は少なくありません。こうした中、来年度(2017年度)をメドに、入院基本料を逆に10対1から7対1へ「昇格」させる計画の病院があります。岐阜県西部の西濃圏域医療圏(人口約37万人)の中核病院「大垣市民病院」(903床:一般857床、結核40床、感染症6床)です。

 同院は高度急性期の医療機能をさらに強化する方針で、重症患者割合を引き上げることを目的に、「重症度、医療・看護必要度」のデータ最適化に着手。その結果、本格スタートからわずか半年で、すべての職種が積極的に看護必要度のデータ最適化に取り組む院内改革を実現しました。これまで基準を満たしていなかった7対1入院基本料の施設基準である重症患者割合25%をクリアし、今では30%に迫る勢いです。「全員参加の短期決戦」を制した大垣市民病院の「看護必要度改革」を取材しました。

ここがポイント!
1 診療スタイル見直す医師や診療科も
2 現場に溶け込み、院内全体を活性化
3 院長が下した大号令
4 自主性促す3つの戦術
5 リーダーシップなくして院内改革なし

診療スタイル見直す医師や診療科も

「この症例は骨の手術だからC項目に該当するはずだ」

「いいえ先生、骨の手術でもこの症例はC項目に該当しません」

 大垣市民病院の手術部門では、このような看護必要度に関する医師と専門看護師のやり取りが頻繁に見られます。看護必要度は、データを記録する病棟看護師や経営部門を除くと、それほど意識されていないことがほとんどです。しかし、同院では手術部門に限らず、検査部門、リハビリテーション部門などそのほかの部署の医師や看護師、理学療法士などが当たり前のように看護必要度の存在を強く意識し、日々の業務に当っています。

 2016年度診療報酬改定では、手術などの医学的状況を評価する「C項目」が新設されるなど、看護必要度データの正確な記録を行うために、病棟看護師には医師をはじめとする多職種との連携が欠かせなくなっています。しかし、「看護必要度は病棟看護師がやるもの」という意識から脱しきれていない医師やそのほかの医療従事者は少なくありません。実際、大垣市民病院でも現場スタッフの意識がすぐに変わったわけではなく、特に医師の理解を得るのに時間がかかったと、改革を推進した中心メンバーの尾石仁志副看護部長は振り返ります。

 もちろん、医師も最終的には改革への取り組みに協力的になっていきました。前述のような診療前に看護必要度を意識することはもちろん、事務部門や看護部門に「この場合はどうだろうか」と看護必要度に関して問い合わせるケースも頻繁にあります。また、「これまで、クリニカルパスなど自身の診療スタイルを変えることに抵抗があった医師や診療科でさえも、重症患者割合を向上させられるのであれば診療スタイルを見直す、という動きも出始めました」(尾石氏)。

 さらには、看護必要度対策で先行している診療科の医師は、次のステップとして地域連携に注目し始めています。重症患者割合の向上という視点からどうすれば後方病院との連携を活性化できるのか、効率的な外来診療を実現するために診療所への逆紹介率を高めるにはどうすればいいのか――。看護必要度を起点に、現場の医師の間では、「急性期らしさを貫く」という意識が明確になりつつあります。

現場に溶け込み、院内全体を活性化

 これまで、看護必要度の勉強会や外部研修に参加するのは主に病棟看護師でしたが、2016年度は手術部門や検査部門の看護師も勉強会や外部研修へ積極的に参加するようになりました。結果、前述のように現場の看護師が、医師に対して看護必要度について明確な回答ができるようになったり、手術台帳のサマリーに看護必要度関連の重要事項を正確に記述したりすることなどで、病棟看護師のより正確な看護必要度データの記録をサポートしています。

 病棟薬剤師も重要な役割を担っています。尾石氏によると、重症患者割合を大きく向上させている病棟や診療科には、必ずと言っていいほど病棟薬剤師の存在があるといいます。抗血栓薬など看護必要度の対象薬剤を抜け漏れなく記録するため、看護師へのアドバイスやサポートなどをしているのです。また後発医薬品の利用拡大で、取り扱う薬剤が一気に広がったことから、看護必要度データ最適化に向けた薬剤チェックには薬剤師の存在は欠かせません。

 医事部門との連携も重要です。当初、医事システムとの連携が進まず、医事部門でのチェックは難しい状況でした。しかし、一致率アップのため、電子カルテシステムから送られてくる処置の医事請求データを、医事部門で目視により確認し、データの不備や疑問点を独自のチェックシートに書き加えて、再度、看護部門に送り返すという精度向上のためのキャッチボールが行われるようになりました。現在は、看護必要度・医事請求の両データを突合するチェックツールを導入し、さらなる一致率アップを目指しています。看護必要度データは、多くの病院で精度に問題がある可能性が高く、今後、大きな問題になる可能性もありますが、データ突合によって請求データの精度向上にも役立てています(図表1、2)。

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【図表1、2】改革後、「一致率」(上)や「過剰評価率」は大幅に改善した

 尾石氏は一連の「看護必要度改革」を、こう振り返ります。

 「当初は戸惑いや混乱があったかと思いますが、今では看護必要度が意識すべき当たり前のこととなり、現場に溶け込んできている印象です。看護必要度が一種の共通言語としてチーム医療を推し進め、今まで以上に院内全体が活性化してきていると感じています」

 重症患者割合の向上だけではなく、チーム医療の推進、院内全体の活性化にまで波及しつつある大垣市民病院の「看護必要度改革」。具体的には、どのような改革を実行していったのでしょうか。

院長が下した大号令

 16年度診療報酬改定の全容が明らかになった16年2月。尾石氏は、新制度で重症患者割合がどう変化するのか調査を進めていました。調査結果は、基準値の25%ぎりぎり。看護必要度データの精度に問題がある可能性を加味すると、基準値を下回っている可能性も否定できません。

 尾石氏が調査を進めていた背景には、「大垣市民病院中期計画」の存在があります。同計画は13年度から17年度までの5か年計画で、複数ある事業計画の中でトップに挙げられているのが、7対1入院基本料の導入です。17年4月から始まる最終年度で目標を達成するには、重症患者割合25%の早期達成が不可欠。尾石氏は、基準値を下回っている可能性の高いことを示唆する調査結果を見て、看護部門の主任以上で構成される「主任会」でこの問題にどう対処していくべきか、考えを巡らせていました。

 そうした中、同年4月の幹部会議で、金岡祐次院長が「看護必要度データの最適化を行う」と切り出しました。看護必要度データを最適化する余地があり、それにより重症患者割合を高められると判断したためです。実際、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)がデータ分析した結果、A項目では専門的処置を除き、他病院と比較して看護必要度データと請求データの一致率が低い、つまりデータ精度に問題があることが判明しました(図表1)。

 金岡院長は、すぐに部門長以上を集めたキックオフ・ミーティングの開催を指示。「看護必要度データの最適化を行う」という決意が幹部層へ一気に広まりました。「看護必要度の実際の評価と記録を行うのは看護部ですが、他部署も巻き込んだ院内システムの構築は看護部だけではできません。院長が前面に立ってプロジェクトを指揮してくれたおかげで、かなり動きやすくなりました」(尾石氏)。

自主性促す3つの戦術

 まず取り組んだのが、データ分析です。16年度診療報酬改定の影響を、データ精度の補正も加味しつつ、15年度のデータで緻密にシミュレーション。結果は23.1%と、基準値25%には届いていないことが明らかになりました。その上で、このデータを示して「現状のままではマズい」という認識を院内全体で共有。具体的な改善策を院内全体で検討していくため、看護部門だけではなく、医師向け、薬剤師向け、療法士向け、事務スタッフ向けなど、複数の職種向けの勉強会を数回に分けて開催しました(図表3)。
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【図表3】4月のキックオフから10月までの短期決戦を展開

 勉強会は講演会、運用フローや多職種連携の仕組み作りを目指したディスカッションなどいくつかの手法を用意しました。一方、それらを実施していく上で、さまざまな職種の自主性を引き出し、参加意識を高める戦術も必要です。核となる戦術は大きく3つありました。

 1つ目はマニュアル作りです。看護部門には、評価と記録を一致させることが求められますが、「他部門における参加意識の向上」という役割も担いました。例えば、薬剤部門については、「マニュアルのようなものを作れないか」とだけ打診し、薬剤リストやフィードバックの仕方などのマニュアル作りは一任しました。ただ、任せっぱなしだけではなく、例えば、薬剤のチェックで病棟や看護師の間でバラつきが目立ってくると、「薬剤師が看護師に個別にアドバイスするだけでなく、情報共有による全体の底上げのため、病棟責任者の師長にも併せて報告して欲しい」などの看護部門からの意見があれば、それを薬剤部門へ要望することも欠かしませんでした。

 2つ目に、データの活用です。▼病棟ごとのデータ精度 ▼診療科ごとの重症患者割合 ▼特定の条件を満たす患者リスト――などさまざまなデータがありますが、職種や部門によって着目する視点が異なります。そこで尾石氏は、さまざまな条件の分析データを用意したり、特定部門の要望に応じたデータを作成し、院内全体がデータに触れやすい環境づくりを推進したわけです(図表4)。
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【図表4】データ活用に用いた「病院ダッシュボード」の「看護必要度分析」は、「病棟別」、「診療科別」、「薬剤別」、「疾患別」とどこまでもドリルダウンして分析することができます

 
 また、データ分析をしていく中で、分からないことがあれば、積極的に各部門へヒアリングに赴きました。こうすることで、分析担当としては分析時間の短縮とより正確な分析結果を得ることにつながりますし、ヒアリングを受けた部門の参加意識も高まります。

リーダーシップなくして院内改革なし

 3つ目は、院長による現場確認です。院長が病棟を直接訪れ、(1)在院日数は適正か、(2)クリニカルパスは活用されているか、(3)多職種で対応されているか、看護必要度以外のデータも確認しながら看護師だけでなく、医師や薬剤師も対象に、細かい部分までチェックしていきました。これを1日3-4病棟ずつ、1週間ほどかけて集中的に実施。そうすることで、「院長が来る」という緊張感と、そこまでするほど重要なことなのだという意識への刷り込みが、院内全体へ浸透していきました。
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【図表5】改革着手から半年で重症患者割合は29.6%まで上昇

 17年1月現在、大垣市民病院の重症患者割合は約30%。7対1入院基本料の届け出に向けて、非常に良い状態が続いています。尾石氏は、今回の「看護必要度改革」を振り返り、「最も重要だったことは、院長のリーダーシップ。院長のリーダーシップなくして院内全体の大きな変化はありえません」と強調します。看護必要度データの最適化は、もはや看護部門だけの問題ではなく、院内全体の重要な経営課題であり、リーダーが率先して取り組むべき課題であることは、明らかです。



https://news.nifty.com/article/item/neta/12128-2017020100164/
科研費ランキングから読み解く 医学研究に「強い」大学
2017年02月03日 07時00分 dot.(ドット)

 2年連続でノーベル医学生理学賞の受賞者を出した日本。では、実際に研究に強い大学はどこか。アエラムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる』では、基礎研究を支援する「科研費」データから、医学研究に強い大学を探った。

*  *  *
 医師を養成する機関として、大学医学部はどこも同じようなカリキュラム、教育内容が整備されている。受験生はそう思われるだろう。そのとおりだが、大学によっては特に強い分野を持っているところがある。しかも、それが世界の最先端の研究だったりする。

 その大学がもっとも強い分野については、科研費(科学研究費補助金)の獲得状況から知ることができる。

 科研費とは、人文・社会科学から自然科学まで学問研究の全分野について、基礎から応用までのあらゆる独創的、先駆的な学術研究を対象とする競争的資金である。審査するのは、その専門分野に近い複数の研究者だ。

 つまり、分野ごとに科研費を多く獲得した大学が、その分野の研究が優れているとみることができる。そこで本誌では、これを医学分野にしぼって、さらに細かく分けてランク付けを行ってみた(以下、文部科学省調査を参照。2010年度から14年度までの5年間分の分野別採択件数を累計)。

 科研費ランキングの医学領域の各分野でトップに立つのは、東京大、大阪大など伝統校だ。翻って、地方の国立大学、公立大学が健闘している分野もある。キラリと光るこれらの大学を紹介しよう。

■世界を牽引していく日本の新生児医療

 まず、胎児・新生児医学分野では香川大がトップに立つ。

 香川大医学部の前身は、1978年に開学した香川医科大。このとき小児科学講座を開設し、初代の指導教授、大西鐘壽(しょうじゅ)さんが長い間、熱心に教育、研究を行ってきた。大西さんは若手研究者に「オリジナリティーを大事にしなさい」と言い続けてきた。こうした教えが今日の研究成果となって示されたと言えよう。

 香川大医学部小児科学講座の日下隆教授が話す。

「小児期(0~15歳)で死亡率がいちばん高いのは0歳の新生児です。だからこそ、赤ちゃんへの医療を一生懸命に行うという伝統が今日まで受け継がれています。たとえば、子どもの脳障害をどう治したらいいか。将来的に後遺症が残るのでそれを最小限にとどめるにはどうしたらいいか。私たちは最先端の医療で取り組んでいます」

 日下教授は、新生児が脳障害を起こした際に、どう診断して治療していくかを常日頃考え、研究に勤しんでいる。日下教授はこう抱負を語る。

「日本の新生児医療の水準は世界のトップです。このような医療を世界中に広めたい。大学ではブルネイ、タイ、ベトナム、ミャンマーの4カ国との医学交流をしており、まずこの分野での医療貢献を進めたい」

■地元との産学連携が医学研究躍進に寄与

 精神神経科学分野は、浜松医科大が得意とし、大阪大に大きく差をつけている。その背景には産学連携がある。

「他大学に先駆けて精神疾患について脳画像を使って脳のメカニズム研究を行い、世界に認められる研究成果をあげています。浜松ホトニクスと連携することで、MRIやPETを使った発達障害や摂食障害などの最先端の研究を行っています」と、同大医学部精神医学講座の山末英典教授が説明する。

 浜松ホトニクスは、光を通した電子計測、解析装置などの精密機器に強く、脳画像検査法であるMRIやPETなどの撮影技術に優れ、浜松医科大との研究交流が進んでいる。

 また、同大同講座は、自閉スペクトラム症の新たな治療法開発のための医師主導治験、身体管理を必要とする摂食障害の診断治療、森田療法、認知行動療法、眼球運動による脱感作と再処理法など、専門性の高い診断や治療に定評がある。

■疼痛学で九州大に迫る関西医科大

 疼痛学分野では、関西医科大が大きな研究成果をあげてきた。九州大に迫る勢いだ。

 けがや炎症で筋肉や神経などに損傷が起き、それが長引くと脊髄から脳に痛みを伝える経路に変化が生じて慢性痛になる。疼痛学は痛みのメカニズムを解明し、慢性痛をどうすれば治療できるかを研究する学問である。

 関西医科大医化学講座の伊藤誠二教授の研究テーマは、難治性疼痛の発生機構の解明と治療への応用などだ。

「転んだ時にさする(触刺激)と痛みが和らぐことは誰でも経験していますね。帯状疱疹が治ったあと皮膚がきれいになっても、肌着を脱ぐ時に強い痛みを感じるのはなぜなのか。触刺激が痛みに変わる反応は研究を開始した20年前はほとんど着目されていないテーマでした。この反応は脊髄の変化であることを見いだし、現在も新しい技術を用いて研究を続けています」

 伊藤教授がそう話すように、関西医科大が疼痛学分野に強いのは、(1)共同実験施設が整備されており、毎年最新の機器を購入している、(2)専門分野の異なる優秀なスタッフが集まっている、(3)学内で脳科学と結びついた研究ができる、(4)日本では数少ない心療内科があり、基礎と臨床系講座がタイアップしている、(5)学外と共同研究を積極的に進めている、といったことが関わっている。

■タコツボ的な研究におちいらない

「本当に知りたいことに取り組む。そのために、惰性に流されず、新しいテーマ、技法に挑むという姿勢があるからでしょう。その結果、痛みの研究がおもしろくなり、研究者が高いモチベーションで取り組めます。なぜおもしろいかというと、分子から医療まで広い範囲が対象になるからです。学問的にも進歩が著しい脳科学と同じ土俵にあり、タコツボ的な研究におちいらないのが魅力です」(伊藤教授)

 逆境を乗り越えて優れた研究成果をあげている大学がある。1999年、横浜市立大医学部附属病院(現・横浜市立大附属病院)では手術患者の取り違えという重大な医療事故を起こした。その後しばらく学内では研究どころではないという雰囲気が濃厚だった。

 それでも横浜市立大には優秀な若手医師が集まってきた。横浜市立大医学部麻酔科学教室の後藤隆久教授が言う。

「前任者の教育重視の方針を引き継ぎ、私はまず臨床教育に力を入れました。若手の中で知的好奇心が強い者は、臨床の実力がある程度つくと、もっと先へ先へと研究したくなる。鉄は熱いうちに打て、という思いで研究させました。臨床と研究の両立は多忙ですが、臨床上の疑問を研究に結びつけるという姿勢、つまり臨床が強くなって初めて研究も強くなるという考え方が、研究成果をあげた背景だと思います。生理学や薬理学など、学内の多くの優れた基礎医学教室が私たちの研究をサポートしてくれたことも大きかった」

 高齢化などのため手術件数が増え続ける中、全国的に麻酔科医は不足している。しかし、横浜市立大は若手麻酔科医の研究への意欲を大切にした。豊富なマンパワーで臨床を支え、研究する時間的余裕を捻出している。また、出身校がさまざまで学閥がないことも、研究を活性化させる大きな原動力のようだ。チームプレーの成果と言えよう。

「がむしゃらに臨床をし、研究をしたら1位になったという感じです。科研費をたくさん取ったら成果を出さなければなりません。医学、医療は公への貢献です。私たちは研究成果と人材養成の両方で社会に還元できるよう、努力を続けていきたいと思います」(後藤教授)

■異分野への強い関心、法医学研究の発展に


 和歌山県立医科大は、主に死因究明などに役立てられる法医学の分野に強い。法医学以外の最先端研究分野にアンテナを張りめぐらせていることが、研究成果に表れたようだ。同大法医学講座の近藤稔和教授が言う。

「たとえば、私たちはノーベル賞受賞の対象となったオートファジーを応用した研究を法医学に取り入れてきました。免疫分野での最先端研究も積極的に取り入れています。一方で、法医学はその時代を反映しており、社会全体の動きには常に着目しています。自殺、事故、大災害などで、死因の究明、身元確認などと関わってくるからです」

 近藤教授は、法医学において実務(解剖)、教育、研究は三位一体と考えている。研究テーマは「侵襲と生体反応」。解剖で遭遇するさまざまな死因を診断するために、外からの侵襲(傷ついた時、薬物を服用した時、心筋梗こう塞そくが発症した時)にどのような生体反応が起こるかについて最先端の研究を進めている。

 法医学はテレビドラマや小説のテーマになりやすく、受験生にもなじみのある言葉だろう。

「法医学は究極の総合医療であり、ここを発信源として医療の発展に寄与します。しかし、黒衣であって、警察の捜査のためだけにあるのではありません。亡くなった方の尊厳を守る、つまり、基本的な人権を守る最後の医療です」(近藤教授)

 医学部の大学選びでは、設置(国公立か私立)、難易度、大学所在地が基準になるが、もう少し踏み込んで大学の強い分野を見てみよう。大学への問い合わせ、オープンキャンパスで知ることができる。世界最先端分野で活躍できるかもしれない。(文/小林哲夫)

※アエラムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる』より



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/anursing/utsunomiya/201702/549945.html
宇都宮宏子の「退院支援」活動日誌
退院調整だけでは患者の希望は叶えられない

宇都宮宏子(在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス)
2017/2/3 日経メディカル Aナーシング

 「退院支援の伝道師」として、私が病院のナースに向けて伝えたいことのひとつは、「退院支援とは、看護そのものである」ということです。

 今回は、私の退院支援に関する基本的な考え方についてお伝えしたいと思います。

 前職の大学病院では、病棟ナースや地域ネットワーク医療部の医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)と一緒に退院支援に携わるなかで、入院決定から退院までのプロセスを可視化してきました。そして、病棟ナースだからこそできる看護と、退院支援の専門部署のナースやMSWが在宅療養コーディネーターとしてできることを明確に分けて、院内のシステム化を進めてきました。「退院支援」と「退院調整」を、意識的に分けて考えることが重要だと考えたのです。また、病院で働くナースたちには、「退院支援を切り口にして看護を取り戻そう」と伝えたかったのです。

 「退院支援」と「退院調整」は同じものではなく、「退院支援」のプロセスの一部が「退院調整」となります(下表1))。
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「調整だけ」ではだめだった

 私は、退院支援は長期入院患者の収容先を探すことではないと考えています。住み慣れた自宅や介護施設など居心地のよい場所に戻ることによって、本人が取り戻す力があると考え、できる限り自宅へ帰ることを推奨し、「おうちへ帰ろう」を活動の合言葉にしてきました。

 2002年当初、私が大学病院でやりたかったことは、訪問看護の経験や地域のネットワークを活かした「在宅療養コーディネーター」の役割でした。社会福祉士のMSWと協働することで、もっと多くの患者を自宅に帰すことができるのではないか、と考えたからです。

 病院での勤務経験しかない医師や看護師の多くは、介護保険を上手に活用することで、独居・高齢世帯の方でも再び自宅で暮らせるようになることを知りません。また、病気の進行や老衰の過程で、いよいよ最期の時を迎える段になっても、ご本人の「うちにいたい」という願いを叶えるために、訪問診療や訪問看護を行う医療者たちが頑張っていることを知りません。

 でも、それは当然のことなんですね。だから、「私が調整(コーディネート)したらいい」と考えたのです。でも、それだけではダメでした。

 「うちに帰りたい」と言える患者、「うちに連れて帰りたい」と言える家族に対しては、病棟の医療チームと在宅療養コーディネーター役のナースやMSWがチームを組むことで、希望を叶えることができました。でも、実際にはそのように言える患者・家族は多くはありません。希望を叶えられたのは、ほんの一部の患者・家族に過ぎませんでした。

「うちに帰るのはあきらめるしかなかった」
 「先生からうちへ帰るのは無理だよって言われてしまうと、もうあきらめて入院するしかなかった。もっと早く在宅医療のことを知っていれば、入院しないでうちにいられたかもしれんな……」

 これは、痛みや不安を抱えながら外来通院していたあるがん患者さんが、症状悪化のため緊急入院となり、その後在宅療養に向けたコーディネートをしている時に私に言った言葉です。その方は退院後、最期まで自宅で過ごすことができました。
 
 看護師のみなさん、患者さんの声なき声が聞こえているでしょうか。医師のみなさん、その医療選択は患者さんにとって最善でしょうか。例えば、病気の進行や老衰によって最期が近い患者に対する、血管や経腸からの栄養管理・透析・呼吸器管理などの侵襲性の高い医療は、患者のQOL、そしてQOD(クオリティ・オブ・デス)を保障できるものでしょうか。

患者さんはどんな人生を送りたいのだろう?

 退院困難患者に対する初回カンファレンスを繰り返すなかで、在宅療養へのコーディネートをする前にもっと大切な支援があるのではないか、と考え始めました。

 そこで、病棟で「退院支援グループ」をつくって先駆的に取り組んでいた病棟ナースと、支援が終了した成功事例のカルテから、「退院支援に関連すると思われる記録」をすべて抜き出し、時系列・カテゴリー別にする作業をしました。

 資料となったのは、入院時情報収集の看護記録、インフォームド・コンセント(I.C)同席時の看護記録、医師の記録、MSW・退院調整看護師の患者・家族面談記録、在宅支援者との電話相談記録、医師とのカンファレンスや退院前カンファレンスの記録などです。

 「入院時」「治療期」「在宅移行への調整期」の段階で、どのようなことを考え、カンファレンスで何を議論したのか、具体的な看護・ケアの介入や退院指導、在宅支援者への調整方法などを整理するなかから誕生したのが、「3段階プロセス」(図1)です。
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退院支援・退院調整の3段階プロセス(文献2)の資料を基に著者作成)

 この「3段階プロセス」では、退院支援を「退院支援が必要になる患者の把握」「受容・自立支援」「サービス調整(退院調整)」の3つのステップに分け、それぞれの時期にすべきことをまとめています。

 患者にとって、入院はあくまでも通過点です。退院調整の前に、まずは患者・家族が今後にどのような希望をもっているのかを把握する。支援の必要性を患者・家族と共有し、動機づけを行ったら、「疾病の理解」と「受容」につながるよう支援する。これらができた上で患者の「自己決定」を促し、退院後の生活を一緒に構築していく。退院調整の前に、そのような支援が必要なのではないか、それが退院支援なのではないかと思うのです。

 この「3段階プロセス」は、私が退院支援を考える際の基本にしている考え方です。今後の連載のなかで、丁寧に深めていきたいと思っています。

【参考文献】
1)宇都宮宏子編『看護がつながる在宅療養移行支援』(日本看護協会出版会、2014)p11
2)宇都宮宏子 訪問看護と介護2012;17:289



http://www.sankei.com/affairs/news/170204/afr1702040004-n1.html
4月からの院長が内定と発表 内科の常勤医も 福島の高野病院
2017.2.4 01:27 産経ニュース

 東京電力福島第1原発事故後に避難せず診療を続けた院長が昨年末に死去した福島県広野町の高野病院は3日、未定となっていた4月以降の院長が内定したと正式に発表した。他に内科の常勤医師も内定したとしている。

 同病院によると、4月以降の院長は、昨年末に火災で死去した前院長の高野英男さん=当時(81)=の生前より、支援に関心を寄せていたという。ただ、内定した2人の医師は現在、別の組織に在籍しており、就任まで個人名など詳細な情報は明らかにできないとしている。

 関係者によると、院長は長野県の男性医師で、専門は小児科。病院には精神科など4つの診療科があり、精神科については当面の間、福島県立医大などからの派遣医師による診療となる見込み。

 同病院は、福島第1原発や避難区域を抱える双葉郡で唯一入院が可能だが、前院長の死去で常勤医が不在となっていた。



http://news.livedoor.com/article/detail/12624887/
時代遅れのバリウム検査 既得権があり今も採用中
2017年2月3日 7時0分 NEWSポストセブン

 先進国を中心に「医療」が大きな転換期を迎えている。病気を患ってからの「治療」ではなく、「予防」の段階に力を注ぐほうが国民の健康寿命は延び、医療費も削減できるからだ。国立病院機構函館病院病院長の加藤元嗣氏がいう。

「私の試算では、胃がんにかかると2年間で一人平均142万円の治療費がかかる一方、胃がんを予防するのにかかる費用は一人あたり約40万円となります」

 しかし、予防医療の普及の歩みは早くない。自治体の胃がん検診では2016年3月まで、バリウム検査が国の推奨する唯一の検査方法だった(現在は胃内視鏡検査との選択制)。

 バリウム検査は以前から「見逃し」の多さが指摘されていた。事実、1年間で新たに発見される胃がん患者約13万人のうち、自治体のバリウム検査で見つかるのはわずか6000人(厚労省、「地域保健・健康増進事業報告」、2013年度)。

 一方で、発見率の高さと医療費削減への貢献が期待できる検診方法に「胃がんリスク検診」(通称、ABC検診)がある。ピロリ菌の感染の有無と粘膜の萎縮度をチェックし、リスクの高い人に内視鏡検査を行なう手法だ。東京・目黒区では、このABC検診が導入され、胃がん患者一人を発見するのにかかったコストを従来の検診と比較すると「ABC検診180万円、バリウム検診2100万円」と大差がついた(2008~2012年)。

 にもかかわらず、ABC検診を導入する自治体は全体の1割にも満たない。『バリウム検査は危ない』の著書があるジャーナリストの岩澤倫彦氏は、その理由として「医療ムラ」の存在を指摘する。

「かつてはバリウム検査が胃がん発見に貢献した時代もありましたが、次第にその検査を仕事とする人たちの既得権となり、時代遅れのものになってからも温存されている状況がある。

 胃がんのバリウム検査に自治体が投じる予算は年間約600億円とされ、実施団体は検診車などに多額の“投資”をしている。役人、医師、放射線技師などバリウム検査を食い扶持とする“検診ムラ”の存在がABC検診の普及を妨げている面があるのは明らかでしょう」

 これこそ、医療の「不都合な真実」である。

※週刊ポスト2017年2月10日号


  1. 2017/02/04(土) 05:59:16|
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